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1973-05-11 第71回国会 衆議院 商工委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月十一日(金曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 浦野 幸男君   理事 稻村左近四郎君 理事 羽田野忠文君    理事 山田 久就君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       小川 平二君    越智 伊平君       木部 佳昭君    近藤 鉄雄君       田中 榮一君    八田 貞義君       増岡 博之君    岡田 哲児君       加藤 清政君    加藤 清二君       上坂  昇君    佐野  進君       竹村 幸雄君    野間 友一君       近江巳記夫君    松尾 信人君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局取引部長 熊田淳一郎君         通商産業省通商         局長      小松勇五郎君         通商産業省企業         局長      山下 英明君         通商産業省鉱山         石炭局長    外山  弘君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局環境衛生課長 加地 夏雄君         厚生省薬務局企         業課長     吉村  仁君         水産庁長官官房         参事官     前田  優君         海上保安庁警備         救難部参事官  多田  稔君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 五月十日  小企業経営改善資金融資制度創設に関する請  願(坂口力紹介)(第三九八三号)  同(渡部一郎紹介)(第四〇八三号)  中小小売商店営業保護に関する請願坂口力  君紹介)(第三九八四号)  中小小売商業振興に関する請願坂口力紹介)  (第三九八五号)  同(渡部一郎紹介)(第四〇八二号)  中小業者営業生活擁護に関する請願(浅井  美幸君紹介)(第三九八六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 浦野幸男

    浦野委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  運輸委員会において審査中の国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について、同委員会連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 浦野幸男

    浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時につきましては、委員長間おいて協議の上決定いたしますので、御了承願います。      ————◇—————
  4. 浦野幸男

    浦野委員長 通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  5. 板川正吾

    板川委員 公取委員長にお伺いをいたします。  この一、二日来の新聞に、公取商社実態メスを入れる、こういう報道がなされております。かねて私の持論であり、今日財閥が復活をした、これにメスを入れない限り、買い占め、売り惜しみ、あるいは管理価格というものが、手をかえ品をかえて行なわれて、実質的に消費者利益が守れないというわれわれの主張でありましたが、今回、公取総合商社実態調査に乗り出したことは大いに歓迎いたします。ぜひ、竜頭蛇尾に終わらないように、十分調査をし、その実態を明らかにしてほしい、こう思います。  朝日新聞記事の中には、どうも公取の姿勢としておかしいという報道なんかもなされておりますが、たとえば商品に向かった点に原因がある。公取委員長は、いろいろな生活物資の暴騰は、投機的行為そのものよりも円対策の副作用で、過剰流動性が土地、株、最後には商品に向かった点に原因がある、そして商社行為独禁法上問題はなかったことを明らかにしたなどという報道もされておりますが、これから調査をするのですから、独禁法上問題はなかったという記事はどうもおかしいように思う。しかし、いずれにしても、ひとつぜひしっかりと調査をして、その報告をしてもらいたい。それから必要があれば立法措置を講じてもらいたい。  きょうの新聞によると、両角通産次官が、いまの独禁法体制からいって、巨大な企業になることは別に独禁法で取り締まる対象ではない、こういうことを言ったという報道があります。新聞報道ですから私も真意はわかりませんが、しかし、いまのように企業巨大化すれば、必然的に管理価格というものが生まれ、独禁法目的である実質的な競争が制限されて消費者利益を害する、こういう一連の方程式があるわけでありまして、日本が終戦後から経済復興をしてきた段階においては、あるいは巨大化ということが独禁法対象ではなかったかもしれませんが、いま日本企業がこうした巨大化になれば、独禁法第一条の目的からいって対象になって当然だろうと私は思います。これは私の意見だけ述べておきます。  きょう私が公取委員長に伺いたいのは、かねて問題となっております無果汁ジュース表示の件についてであります。  不当景品表示防止法に基づいて、昭和四十六年三月五日、公取告示十一号で認定された果実飲料等表示に関する公正競争規約に関して、主婦連公取の間で意見の対立があった。目下高裁で争われておる問題でありますが、私は公取のとった措置に大きな疑義を持ちます。これを放置しておくことは、独禁行政上非常に問題があると思いますので、この際、公取委員長に質問したいのであります。  事件経過を簡単に申し上げますと、昭和四十六年三月五日、公取委員会告示十一号で、果実飲料等表示に関する公正競争規約認定した。その認定の中で、三条のほうですが、「果汁含有率が五%未満のもの又は果汁を含まないものにあっては、果汁を含まない旨を一四ポイント活字以上の肉太文字で標示する。但し、着色したものにあっては「合成着色飲料」又は「合成着色炭酸飲料」と、香料のみを使用したものにあっては「香料使用」と一四ポイント活字以上の肉太文字で標示することにより上記の標示にかえることができる。」すなわち、無果汁ジュースでも、合成着色飲料とか、あるいは香料使用とかいうことでよろしいということですが、これに対して、主婦連奥むめお氏以下の人々がこの公正競争規約について異論を唱えた。  それはどういう理由かというと「果汁含有率五%未満のものまたは果汁を含まないものにあっては、その旨の表示にかえ、「合成着色飲料」、「香料使用」等とのみ表示すればよいことになっている。このような表示は、一般消費者果汁を含有していない旨を誤りなく伝えるものではないことなどから、適正な表示ではない。」だから無果汁の場合は無果汁表示すべきである。こういうことを論点として、公取委に対して、この公正競争規約に関して幾つかの不服申し立てをいたしたわけであります。  これに対し、公取では、「本案前の抗弁として、不服申立人らには、不服申立て資格がないと主張し、その理由として、違法な行政処分に対する不服申立てについて、その資格があるか否かは、取消訴訟における原告適格に関する判例学説を参考にして決すべきである。原告適格につき、行政事件訴訟法第九条は「法律上の利益を有する者に限り提起することができる」旨規定しており、この「法律上の利益を有する者」についての判例通説は、行政庁の違法な処分により権利のみならず、広く法律上保護された利益を害されたものをも含むとするが、単なる法規の反射的利益ないし事実上の利益だけでは足りないとしている。また、それは、法律上の争訟であるから、個人の具体的な権利ないし利益侵害があることを主張するものでなければならない。したがって、本件不服申立てについても、不服申立人ら自身の具体的な権利ないし法律上の利益侵害せられたと主張するものでなければ、不服申立て資格を欠くことになる。」という主張公取がして、結果的に「不服申立人らの本件不服申立ては、その資格を欠き却下をまぬがれないので、景品表示法第十条第六項の規定を適用し、主文のとおり審決する。」公取では、そういう不服申し立ては、まず申し立て人の資格がないということで、審決でこれをいわば門前払いを食わしたということになったわけであります。  そこで、主婦連は、この不服申し立て資格なしという点を問題として、高裁訴えて、いま争っていることは御承知のとおりであります。ただし公取は、不服申し立て資格なしと原告門前払いを食わしていながら、一週間後には景表法の第四条の三号で、実質的には主婦連主張を認めて、無果汁清涼飲料水は無果汁ということを表示すべきだと告示第四号でこれを規定しておる、こういう事件経過であります。  以上の経過を見ますと、公取態度はどうも感情的に感じます。古い法理解釈に従って資格なしとしながら、その主張は実質的には別の方法で受け入れておる。私が問題にしたいのは、公正取引委員会使命は、独禁法第一条にありますように、公正な競争を維持させながら、目的としては一般消費者利益を守るということが公正取引委員会最大使命であり、独禁法目的であります。ところが、消費者利益を守ることについて、主婦連とか地婦連とか、こういう婦人団体は、いわば公取最大協力者公取としては友軍とすべきであり、自分たち味方とすべきである、こう思います。  これは最近ある新聞に出たのをちょっと記憶しておりますが、日本消費者運動は、消費者運動が必要だとか大切だとかいうことはそれぞれ理解をしておるのですが、あなたは消費者運動に参加しますかというと、参加するというのは非常に少ない。消費者運動は非常に必要だ、大切だと言いながら、自分から消費者運動を行なうという日本人の気質といいますか、ものぐさで、自分に一文の得もないようなことは行動しないというのか、あまり権利主張しないというのか、そういう中で、主婦連等婦人団体運動というのは、独禁行政にとっても非常に貴重なものである。その婦人団体意見を実質的には取り入れながら、行政訴訟法第九条を引用して、いわばこれに門前払いを食わすというのは、どうもあまり適切な行動ではない。しかも、その公取審決高裁で争われておりますが、普通の場合ならば、私はまず公取審決高裁で破れることはないと思いますが、しかし今度の場合には、公取審決といえども、それは行政訴訟法解釈でありますね、ですから、この審決は、最近の判例法解釈等からいうと、公取が敗訴する空気が非常に濃厚だと思いますので、もし公取が敗訴するようなことになれば、私は、これは公取の歴史の上に非常に汚点を残すことになると思います。  そこで、この問題点について、時間の関係がありますから私のほうで申し上げますが、たとえば、独禁法解釈の大家であります、あるいは行政法権威者であります北海道大学の今村教授新聞でこういうふうに当時のことを語っております。今村教授も「「法解釈を誤っているとしか思えない」と、この審決にはやはり首をかしげています。今村さんのいうところはこうです。行政法一般論から言えば、隣家の主人が行政処分を受けたのは釈然としない、というような「観念的には不服であっても利害関係がない」場合は不服申し立ては出来ないことになっているのですが、この場合、直接の利害関係者消費者。ですから、公正競争規約を結んだ業者以外は不服申し立てを認めないというのは考え方が狭すぎるというのです。しかし、今回の不服審査一般裁判と違って、公取委認定に再考を求めたもの。裁判のように厳格に資格を考える必要はないのだし、消費者側団体が不服を申し立てれば、これを積極的にくみ取るのが公取委のあるべき姿ではないのか。どう考えても、主婦連申し立てを認めてはいけないという理由はみつからないし、主婦連資格を認めたところで、どこからも文句のこないこと。第一、消費者側利害関係を認めないのは、消費者保護をうたっている」独禁法趣旨と矛盾をするというわけです。「さらに「前例がないから消極的になったのかもしれないが、昔なら問題にもならなかった環境権さえ裁判所で争われる時代。なぜ、主婦連不服申し立て出来るのは当然、という態度をとれなかったのか」とも言います。ともあれ、今回の出来事は、主婦連だけでなく、消費者全般にかかわる問題。高裁の判断がどう出るか、今後の動きを見守ってゆく必要があるようです。」こういう今村教授談話等が載っておりますし、さらに、朝日新聞の論説では、やはり同様な趣旨でこの公取措置を不満とする、あるいは他の新聞にも同様の記事が出ております。  こうした一連経過動きに対して、公取委員長の今日の見解はどうであるか、ひとつ伺いたいと思います。
  6. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 この問題につきましては、以前にもこの委員会で私はお答えをしております。公正取引委員会消費者のためにいろいろしなければならぬ。そういう責務を負っていることは私ども十分自覚しておるつもりでありますが、いま御指摘になった問題については、問題は二つあるわけでございます。主婦連の実質的に無果汁表示をすべきであるという主張に対してどう答えるかということについては、私どもすでに三月に告示をしております。つまり誤認のおそれのあるという条文を使いまして指定を行ない、実質的に申しましたならば、この問題は私は解決しているのではないかと思います。  すでにこまかい点につきましては、びんに表示をさせるというところまで私どもは強く業界を説得いたしました。実のところ申しまして、かなりの強い抵抗があったわけでございますが、そういうものに対しても相当根気強く説得を続けまして納得してもらったということであります。  王冠に表示をする点につきましても、従来のものでは不鮮明であるということから、位置が悪い、まん中に書きなさい、まん中にした上に、活字の大きさも従来の九ポイントというものでは小さ過ぎるから十四ポイントの活字にしてくれ、こういうようなことを要請いたしまして、業界としてはある程度は犠牲を払うという意味で納得をしたということでございまして、これによって、九月あるいはおそいものでも十月から完全にその趣旨を盛り込んだ表示が実施に移されることになっておりますので、私はその実態においては要請に応じたつもりであります。  昔のことにさかのぼりますれば、これはいろいろないきさつがあって、当時のことを申せば、おそらく業界の一部の強い抵抗もあって、ありのままに申しますれば無果汁という表示を貫き得なかったという事情はあったようでありまするが、今回の場合につきましては、主張した訴え中身についてはもっともであるという考え方から、私どもはそういう趣旨に沿って善処したつもりであります。  もう一方の点は、これはあくまで法律上の問題でありまして、法律そのものであり、法律上の手続に関する問題でありまして、だれが原告適格を有するかということでございますから、これは行政事件訴訟法の第九条の条文をいかに解釈するかということでありまして、その点につきましては、すでに原告適格ありと主張する主婦連訴訟東京高裁に、いまお話しのとおり出ております。私はそれでけっこうだと思います。そういうふうにして、これは黒白をはっきりしていただいたほうが私どもとしてもよろしい。しかし、これはあくまでも場合によっては最高裁できめてもらうのが筋であろうと思います。そこまでいかなければ、こういう問題ははっきりしない。  その第九条にありますところの行政事件そのものに対する規定でございますが、私どものほうの公正取引委員会というのも、ほかの条文からもおわかりになりますように、審決に至るような決定は、これは第一審の判決と同じようなふうに扱われております。すべての国民は三段階裁判を受ける権利がございます。そのうち、公取において行なったものは、次は二段階しかないのですから、一審の判決と同じ扱いを受けている。と申しますことは、やはり行政事件もすべてこれは上級裁判所東京高裁、これも東京高裁でやるということにはっきり条文できまっておりますし、ほかの高裁ではない。それから、最高裁に行く、こうなっておりますので、その中の一環として見る限り、私どもの行ないます決定は、これは実は行政事件裁判の第一審に相当するようなものと解せざるを得ないわけでございます。としますと、行政事件訴訟法解釈をそのまま取り入れるということはやむを得ないことであるし、当然のことであるというふうに思いますので、そのときにおいて訴えを起こすについて法律上の利益を有するものについて、ただいまいろいろ学説あるいは新聞等の引用がございましたが、これは私ども委員会で十分検討いたしました。それは中身の問題とまた別個に手続法の問題としていろいろな角度から判例等をしんしゃくいたしまして、特に私ども重視すべきものは、われわれの性格上、民間の学説の一部ではなくて、やはり通説を尊重し、かつ判例を重く見るというのはやむを得ないことではないかと思います。  そういう意味において、新聞が書く上にはどうしてもこれは玄関払いということになりますので、ややそういう点では感情的に一般的には受け取られがちで、消費者味方であるべき公取がそういう態度に出るのはけしからぬというふうにどうしてもなりがちでございますけれども、これはあくまで法律上の訴訟手続解釈の問題として下した決定でございますから、この点については、私どもとしてはあくまで確信を持って行なったもので、いいかげんな気持ちではなくて、これはやむを得ない。  もし、そうでなければ民衆訴訟というのがございます。別に行政事件訴訟の中で民衆訴訟というのを規定してございますが、直接のかかわり合いは全くないわけじゃございません。いささかは住民としてあるいは国民としてのかかわりがある選挙法とか、あるいは地方財政監査請求というものについてありますが、そういうものについてもはっきり法律で定めなければならない、こうなっております。したがいまして、あまり直接かかわりがない、実害を受けない者が訴訟を起こす、これは民衆訴訟として扱うのが筋ではないか、私は立法論としてそう思いますが、これは別途のお話であります。  しかし、とにかく今回の事件についてはそのような見解を持って対処したわけでございますので、東京高裁あるいは最高裁においてはっきりさしていただくのが私どもとしてはすっきりして適当であるというふうに考えております。
  7. 板川正吾

    板川委員 時間が十一時二十分までですから、簡単に質問します。  実質的には結局主婦連主張を取り入れておるのですね、不当表示防止法の四条三号で。だから実質的に取り入れたというなら、その前に公正競争規約をつくるときにその意見を取り入れたら一番問題なかったと思うのですよ。そのときだめだと言っておいて、今度のが争いになったら、行政事件訴訟法の第九条で原告適格がない、こういう判例を求めて何も公取がそれを最高裁までいって争う必要はないじゃないですか。実際問題からいったならば。それで、この原告適格の問題といっても、判例通説というのは、それは過去からあるかもしれませんが、いまは、たとえば公害裁判なんかでも、おれはこういう病気になった、公害になった、そうしたら会社、企業側のほうでは、因果関係を証明しろ、こう言っていままで突っぱねておった。それが今日の段階においては、公害訴訟においても、そういう原告適格の問題もだんだん幅広く解釈されるようになってきておる。あるいは挙証責任の転換というようなこともあって、裁判上からもだんだんこの法の解釈が変わってきているのに、いわば古い法解釈に立てこもって、原告適格性がないなどというのは、あまりにも形式的じゃないだろうか。しかも、これは高裁争い最高裁までいく、しかも、その争い相手主婦連という消費者団体、実際に活動しておる人、これらは公取のいわば友軍ですよ。一生懸命公取のしりをたたいて協力していこうという団体じゃありませんか。それをさまつ的な法解釈であくまでも争うという態度はどうかと思います。  時間がないからはしょりますけれども公取委員長記者会見で、規約認定で具体的な損害が考えられるのは業者側であって、消費者側では考えられない、この公正競争規約をつくって具体的な損害があるのは業者側であって、消費者側ではない、こういう何か説明をされておるという報道もあります。これまたおかしい話じゃありませんか。消費者にとって不十分な規約がまかり通った、そして不必要に高い価格商品や悪い品質の品物をつかまされて、その消費者が具体的に権利侵害が起こったということについて文句が言えない、苦情が言えない、業者側にはある、こういうのですね。これは不当景品防止法趣旨からいっても——先ほど公取委員長も、業者側をようやく説得したと、何か業者側が自主的にきめたら、公取側がこれに文句を言うのは悪いようなものの言い方一連の中でされております。しかし、業者側公正競争規約認定するというのは、公取は、これはどういう権限かということもありますし、また、その業者側公正競争規約が不十分だから、今度四条の三号を発動して、これを無果汁表示しろと言ったんじゃないですか。だから、業者の自主的な申し合わせみたいなものだから、ここまでもってくるのがたいへんであって、できればいいじゃないか、こういうことは、どうも不当景品表示法趣旨からいっても何か消極的であって、もし公正競争規約が不十分なら四条の三号を発動してできるのだからいいかげんなことはきめてはいかぬ、こういう言い方ができるわけじゃないですか。その点、公取委員長はどう思うのですか。
  8. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 もうすっかりおわかりであると思いますけれども公正競争規約というものはあくまで業界が自主的につくって、公取認定するわけです。ですから、公取のほうから命令でつくらしていや応なしに相手の承諾も何もなしにきめることはできない仕組みになっている。  また、自主規制ですから、自主規制の効果をあげるためには、これはたまたま清涼飲料水の場合なんかはまだ具体的ですからいいですけれども自主規制というものは、たとえば宅地宅建業者の場合などは非常にむずかしいわけでして、必ずしも守られない場合だってあるわけです。ところが、そのための協議会ができて、これを積極的にどうしても守って反則者を出さないようにするのだということが行なわれることが自主規制の大切なところだと思うのです。そういたしますと、業界が納得しない場合に私のほうはつくることができるかといいますと、つくれないのです。ですから私は……(板川委員「四条の三で」と呼ぶ)その点あとで申しますが、自主規制でもってやるという点は、私どものわずかな人間でも、幅広い、非常にあらゆる商品かかわりのあるこの不当表示等につきまして効果ある取り締まり規制を行なうのには、これによるところが非常に大きい。そこで、私どもはもっとたくさん自主規制をつくらせよう、公正競争規約をつくらせようと努力しておるわけです。これはやはり業界を説得しながら進めなければならない。  そういうことで、さきに四十六年にきめました十種類の清涼飲料水表示は不十分ではあったかもしれない、不十分であったと認めたからこそ、私ども委員会としては、昨年の十一月から内容的には取り入れようじゃないかということをすでに発表しておるわけです。ですから、そういう点において、確かに前の段階においては説得不十分で、思ったような五%未満のものについて無果汁表示させることまではできなかった。これはアメリカにおいて特にフレーバービバリッジでまかり通っている。それが民衆の間に定着いたしまして、フレーバービバリッジといえば、それは本物が入っていないのだ、無果汁であるということが定着しておるわけです。そういうものが日本の場合においてもそういう方法で定着するのではあるまいかという観測であったわけです。  これにもそれ相当の理由があるわけでして、業者抵抗の中には、そう書かなくても、それが定着するようになれば、それでみんなまかり通るのだ、そうするとだれも誤認しないのじゃないかという、そういう主張があって、ある程度譲らざるを得なかった。その後になって争いが直ちに起きた。したがって、私どもは、そういうものが定着するということを期待するわけにいかない。もっと手っ取り早くいかなければならぬということでその四条三号を使ったのですが、ただし、これはそれだけやっていますと、その取り締まりの責任はすべて私どものほうにかかってくるわけです。自主規制じゃありませんから、私どもの責任でやらなければなりません。そういうことで、なるべくならばそういう方法を避けるのが賢明で、自主規制の方法であるそういう公正競争規約をさらにりっぱなものにして、業界自身の力によって不当表示を防いでもらうというのが正しいあり方だと考えておる次第であります。
  9. 板川正吾

    板川委員 業者自主規制をそのまま公取がのまなければならぬという理由はないわけですよ。何のために認定をするのか。それは法の精神なりに基づいて認定して、おかしければそれはだめだと認定しなければいいと思うのです。しかも、場合によっては四条の三号を発動して告示ができるぞ、こういう根拠もあるわけですし、現に今度はそれを使ったわけなんです。公取は人数が少ないから一々みんなできないという言い方をしょっちゅうするのですけれども公取の人数が少なければ人員をどんどんふやすように要請したらいいと思うのです。とにかくこの問題は、公取として、行政訴訟法解釈最高裁まで持っていって決着をつけてもらうということよりも、今後の独禁法上、行政を推進する立場からいって、高裁における両者の和解なりということをやったほうが得策ではないだろうかという私の意見を申し上げておきます。  時間がございませんから、以上で公取委員長に対する質問を終わります。  通産大臣にお伺いします。時間がありませんが二点です。  一つは、この間、中近東へおいでになった経過について簡単に御報告を願い、所感を述べてもらいたいということです。  もう一つは、きのうの新聞によると、北京の自動化展で、日本国際貿易促進協会が二週間ほど六月十九日から北京で開くんだそうです。「七三年日本自動化電子機器・医療器機展覧会(略称、自動化展)に出品する約六百品目」の輸出許可を通産省に申請していたが、このうち四十八品目は、いわゆるココムの規制に触れるということで、通産省からこれはいかぬという指示があったということが昨日も報道されておるのです。ココムというのは国際間の条約じゃないはずですし、また、これは国際的な、国際間の申し合わせかもしれませんが、これはいわば冷戦時代の米ソ、米中対立時代の申し合わせであり、しかも、その申し合わせも、当時からイギリスがすぐにそれを破るとか、必ずしもきびしい申し合わせじゃない。しかも、冷戦時代というのが終わったのに、なおココムの規定があるからということで四十八品目の輸出許可をしないというのはどうも適切な処置じゃないのじゃないかと思います。  御承知のように、ココムは条約ではない。条約ならば日本法律を見なければならぬけれども、条約ではない。輸出貿易管理令で行政措置ということで扱っているようであります。このココムの措置については、裁判で政府側が実質的に負けた判例もあるわけです。こういった措置からいって、私は時間がなくて四十八品目の内容がどういう品物であるか実は検討してないのですけれども、せっかく日中の友好が促進されつつあるときでありますから、この全出品が売買許可ができるように、ひとつ通産大臣のお骨折りを願いたい、こういう気持ちからこの二つの問題について質問いたします。
  10. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まず第一に中東訪問の問題でございますが、今回の中東訪問は、一つには、友好親善をますます濃密化していくということ、それから、世界の石油事情の変化に備えまして、現地の情勢や中東諸国の意見をよく聞いて政策立案の資にしたい、こういうことでございます。  さらにもう一つは、沖繩海洋博にぜひ出展参加をお願いしたい、これも各国にお願いをしてまいりました。  行きました感想は、実は予想以上に日本に期待し、かつわれわれは歓迎していただきました。特にイランとの間におきましては、貿易協定がここ一年半ばかりとぎれておったのでありますけれども、ことし分と来年分と引き続いてこれを継続することに話がきまりまして、外交手続でこれを調印することにいたしました。  それから、サウジアラビアにつきましては、経済技術協定が同じように停滞しておりましたのを至急促進することにおいて意見が一致いたしました。  そのほか、現地の情勢を見てみますと、ともかく石油産油国は、いまや石油は商品ではない、石油は自分の国の工業建設あるいは都市開発のための重要な手段である、石油産出国は、その石油の代金をスイスの銀行や欧米の銀行に貯金しておいたところで、ドルが切り下げられれば財産は喪失してしまうし、石油はいつかはなくなってしまう、だからいまのうちにそれらを工業設備にかえておいて、現地に工業設備をつくって、それを世界に売って、子孫のときになっても子孫が食べられるようにしておきたい、こういう非常に熾烈な要望を持って、その相手として日本をマークしておるということが非常に顕著でございました。それはやはり一つには、日本がアジアにあって非常な親近性を持つということと、もう一つは、アラブの国が非常に注目しておるイスラエル問題について、日本はクリーンハンドを持っておる、そういうことにおいて、欧米の諸国と扱いを異にしておるという面があったわけでございます。  それで、私が発言した中で、二、三国際的に波紋を起こした問題がございますが、この問題について私の真意を解明しておきたいと思います。  一つは、いわゆる消費国同盟に入らないと私が発言したと伝えられまして、それがアメリカ筋においてある程度の反発を買っておるということでございます。私は現地へ行きまして、どの国に対しても共存共栄でいこう、そういうふうに言いましたら非常に喜んでくれまして、それと同時に、向こうは相互補完という形でこたえてくれました。日本の工業力それから現地の油、お互いが補完し合って発展していこう、共存共栄ということばを聞いたことは非常にうれしい、そういう共鳴をもって迎えられたのでございますが、そのときに、伝えられる消費国同盟に日本は入るのか、こういう質問がございました。なぜそういう質問をしたかといいますと、それらのアラブの国々は、消費国同盟あるいは消費国連合ということばを聞いてすぐ殺気立つような情勢にあったわけです。これは、いままで欧米のメジャーが産油国に対して覇権を握るような形で押えつけてきて、石油の値段でも何でも、とにかくドルが一〇%切り下げられてしまえば自分の国はばく大な損をする、なぜ切り下げられたかといえば、これは先進工業国家間のドルのアンバランスによって起きたことで、産油国は関係ないことだ、だから石油を当然値上げすべきだという考え方をあの人たちは持っているわけです。そういう中で西欧あるいは先進国が結束して消費国連合をつくるということは、産油国に対する挑戦であり、対決であるとすぐとっておるわけです。そういう異常な心理のもとにあって、このようなかつての植民地主義のようなことで圧迫あるいは圧服されるということについて、非常に感情的な身がまえをあの人たちは持っておりました。  私は、そういうことは適当でない、そういう対決を刺激するようなことは好ましくない、日本はあくまで協調と国際緊張の緩和を目ざして、そして産油国及び消費国が協力し合って、両方の国及び世界人類の幸福のために進むということが望ましい、だから共存共栄ということばを言ったのであります。そういうところから、主として産油国、いわゆるOPECの諸国の人たちが身がまえておるところに私が参りまして、そういう質問を受けたものでありますから、私らはそういう消費国連合というような考えに対して、何ら事前相談も受けていなければ情報も受けていないことであって、そういう対決あるいは緊張を惹起するということであるならば、向こうの石油大臣が言っていましたが、われわれのほうはすぐ生産制限する、そうすれば値が上がってしまう、消費国もすぐ困ることだ、出しているのはわれわれの国ではないかということを激しく言っておりました。そういうことになればかえって石油の値は上がっていく、対決方式よりも協調共存方式のほうがこの場合は好ましい、そういう考えに立ちまして、そういう誤解が解けないうちに日本が入るなどということは適切でない、軽率であると思ったから、したがって私は入らないというふうに言ってきたのであります。  それからもう一つは、OPECの諸国は、いわゆるシオニズム、すなわちパレスチナ問題について、非常に大きな警戒と問題を持っているわけです。それで、この西欧同盟というようなものについては、彼らはこれはシオニズムのカムフラージュじゃないかと見ているわけです。日本は幸いに、そういうシオニズムの問題についてはいままでクリーンハンドを握っておって、国連においても、安全保障理事会の二百四十二号という決議においては、武力による占領あるいは武力による侵略ということは否定しているし、武力で占領されたものはもとに復さなければならないという決議に賛成しておりますし、パレスチナ民族の民族自決権についても、われわれは賛成投票しておるわけです。そういうことはアラブの国々はかなり好感を持って見ておる。シオニズムに対する非常に大きな恐怖心と警戒心を持っておるやさき、日本がわざわざそういう誤解があるところで汚染され誤解を受ける必要はない、そういう誤解が払拭されないうちに入るというようなことは適当でない、こういう考えに立ってそういう話をしたわけです。  それで、先方の石油大臣たちも、じゃどういう方式で協調方式がとれるかと私が質問したのに対して、そういう対決をもって最初からやってくるというやり方でなくて、たとえば、国連のもとに資源や石油の問題を協調してどうするかという相談をするというのならば、われわれも考えていいという答弁がありました。アラブの国々も長い目で見て自分の国家を存立させ発展させるということを考えておるので、一時的に金もうけをしようなんということはいま考えておりません。そういう意味において協調方式をどうして生み出すかということに頭をいま用いるべき時代である、こう考えたわけであります。  それからもう一つは、キッシンジャー博士が言う大西洋同盟に日本は入るのか、こういう質問を受けましたが、私は、そういうものに入る理由はないと答えた。なぜならば、そういうものはわれわれのところにまだプロポーズもないし、内容もよくわかぬけれども、太平洋の国の日本で、大西洋の国々の同盟に入るというのは妙な話じゃありませんか、われわれはアジアの国として、アジアの国々とまず共存共栄を保っていくというのが第一の方式であって、そういう伝えられるような大西洋コミュニティーというものに入る理由はないということを私は答えた、これがその真相でございます。  それから、ココムの問題につきましては、簡単に申し上げますが、日本は、ココムのリストレビューについては常にこれを緩和するように提案して努力してきたところでありますが、今後もその方針を持っていくつもりです。しかし、御質問の点については、六月十九日から二週間、北京で七三年北京日本生産工程自動化電子機器、医療機器展覧会というのがあって、そのうちの三十三品目がココムの特認事項に含まれておったものが出ておりました。しかし、日本もココムの中には入っておりますから、入っている以上はその規定を守ることが当然でございますから、各出品者に対して直接通産大臣に輸出承認申請を行なうように指導して、それぞれ持ち帰り条件を付して五月二日に承認したところでありますが、品物はコンピューターとか、半導体とか、あるいはデーターレコーダーとか、周波数シンセサイザーとか、そういうようなものでありまして、われわれが協定に入っている以上はこれを守るべきものであると思います。しかし、ココムリストの緩和につきましては今後とも引き続いてわが国は努力してまいりたいと思います。
  11. 板川正吾

    板川委員 ココムの問題は、それは守るという道義的責任はあるかもしれませんが、どこの国でもあまりこれは厳密に守っていないのですね。先ほども言いましたように、冷戦時代の遺物であるということを考えて、ぜひ善処方を要望したいと思います。  それから、石油消費国同盟、これに対する大臣の見解は私どももこれを支持したい、こう思います。  時間がありませんから、以上をもって私の質問を終わります。
  12. 浦野幸男

    浦野委員長 中村重光君。
  13. 中村重光

    ○中村(重)委員 通産大臣が資源外交の第一歩として中東に行かれたことは評価をしたい。現地の反応についてはいまお話を伺ったわけですが、大臣は現地で受けた感覚、これを今後どう生かしていこうとお考えになっておるのか。たいへん時間の制約がございますのできょうはじっくりお伺いすることができませんが、いろいろ新聞報道等もございますので大臣の今後これを生かしていくことについての考え方をお示しいただきたい。
  14. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 第一は、日本の資源外交というものが非常に手薄であると感じました。この日本の資源外交をさらに重点的に強化していくということが第一であります。  それから第二番目には、日本の石油政策をここで検討すべきときに来た。具体的には、石油業法というものをどういうふうにこの時代に合うように改正していくかということをもはや具体的に検討に着手すべきときに来た、こういうふうに思います。  第一の資源外交の問題につきましては、ともかく現地に参りますと、いわゆる石油情勢の変化によって、たとえばいわゆるパーティシペーション、産油国が参加をして自分で直接販売できる原油をかなり持ってきた。八一年には五一%持つという情勢になってきた。ことしから二五%、いわゆる自分の自主原油を持ってきたということになって、非常に変化してきたことであります。  それから、産油国自体が単に商品として売るという感じではなくして、自分の国のインフラストラクチュアとか、工業の建設に直接貢献している国に売る、そういう基本方針をこれはOPECで話し合ったんだろうと思いますが、各国ともみんなそういうことを言っております。その理由は、先ほど申し上げたような民族の将来を考えた発想からきておるわけであります。  そうなりますと、そういういわゆる石油資源を持っておる中近東地帯あるいはアフリカ地帯の国々に対する外交というものは、単にいままでの政治と申しますか、グリーティングの交換みたいな社交方式の問題ではなくして、むしろ経済提携というものが中核になって入っていくべきものである。そういう経済提携をいかに具体的に実らせながら友好親善関係を長期に結んでいくかということが、日本の石油を獲得する、また友好を維持していく基本方策である。そういう意味において、資源外交という考え方がいままではあまりにも薄かった。そういう点について再検討して具体的体系と方策をもって出ていかなければならぬ。根気よくやらなければならぬ。  たとえば、サウジアラビアにおきましていま利権が国際ビッドに出ております。ところがアメリカは、コナリー財務長官が去年の十二月行き、ことしの二月も行き、フルブライト上院外交委員長が飛び、ジャクソン議員が飛ぶ、そういうようにあらゆる政治の手も使って努力しておる。各国みんな同様です。大体ヨーロッパの国は外務大臣や担当大臣は、なれば、ほとんどそこを訪問しておる。遺憾ながら日本においては現職大臣が行くという機会がほとんどありませんでした。そういう意味において、やはりこれは地下たびをはいて国々を回らなければだめなんだということを痛感いたしまして、そういう資源外交をスタートさせるということでございます。  それからもう一つは、ただいま申し上げましたように、その国の工業建設に協力するということで、それには各国がいろいろなブラントの名前を言っていました。たとえば、ペトロールケミカルであるとか、あるいは石油のリファイナリーであるとか、あるいは商船隊の建造であるとか、あるいは自動車工業であるとか、国によっては鉄鋼業であるとか、あるいはかん詰め冷凍工場であるとか、みんな自分の国につくりたい、こういうことを言っておるわけです。  そうすると、いままでの日本の石油政策というのは、内地につくる石油精製所政策であったのではないか。マッカーサー指令によって太平洋沿岸に石油精製所の開設が許されて、外資が入ってきて、外資を中心にして日本の石油精製工業というものが始められて、民族資本があとで追っかけていって、そして政府も非常に努力してその民族資本の育成をやって、ようやくフィフティー・フィフティー近くまでいま来たという現状であります。しかし、それにしても、原油を獲得するということをメインに置いた石油政策がなかったのです。内地で精製したのをどう制限するとか、増設をどうするとか、あるいはできる製品を白い油と黒い油をどういう程度に分けるとかいうような発想が中心であったわけです。  しかし、いまやこういう情勢になりますと、原油獲得ということも精製と同じくらいにフィフティー・フィフティーで頭に入ってきた精製政策でなければならぬ。そうすれば本土で精製をやるということのみに限定していた消費地精製主義というものを、あるいは中間地点にあるいは産油国につくる、それらの製品をどうあんばいするかという問題ももう当然考えなければならぬ。さもなければ、石油の確保ということは非常にむずかしくなってきているところです。  わが国のいわゆる自主開発原油を三〇%程度までふやそう、それを最近の機会において持とうという努力をしておるわけでございますけれども、それを実現するためにもそういう努力はいまや必要になってきた。そういう意味において、石油に関する関税政策あるいは石油業法、こういう問題を検討する、こういう二つのことを考えたわけであります。
  15. 中村重光

    ○中村(重)委員 いま大臣がお答えになりましたことは、産油国が日本に迫った資源外交の原則というように理解をしてよろしいわけですか。
  16. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そういうふうに御理解いただいて、原則的に間違いないと思います。
  17. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣は、イランで石油消費国連盟に不参加の方針を明らかにされたわけですが、それはそれなりに私どもも賛意を表するわけです。ところが、ECがエネルギー政策でもって日米との協力強化を強調して具体的な政策を明らかにいたしておりますが、この点とのひっかかりと申しますか、矛盾も出てくるのではないかと思うのです。この点はどうお考えになっておりますか。
  18. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 日本はOECDに加入しておりまして、OECDのワク内においていろいろそういうことを相談するということは当然あり得る、そういうことは、私は先方に言明しておきました。しかし、それ以上に、伝えられるようないわゆる消費国同盟というような構想については、私は入る考えはない、そういうことを言いましたので、OECD内において調和をとるということは当然考えられることでもあります。
  19. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が先般商社の買い占め、売り惜しみの問題について緊急質問をいたしました際に、備蓄の問題、備蓄だけではなくて一歩踏み出して公団等をつくってそこで購入するということもやるべきであるということを政府の方針としてただしてまいりましたが、そこまでは考え方が固まっていないようでありますけれども、石油、非鉄金属等についての備蓄公団をつくり、また、農林省は農林省なりに農作物等の備蓄公団をつくっていきたいというような方針を明らかにいたしておりますが、この備蓄公団構想というものはどこまで固まっているのか。単なるアドバルーンではなくて、ほんとうに踏み切ってそこまでおやりになる御意思を持っていらっしゃるのかどうか、その点いかがでしょう。
  20. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 この点は、いま各省でその具体的な内容について詰め合わせをやっておるところでございます。これは日本の緊要な生活物資あるいは飼料等の農業物資あるいは非鉄金属等についてある程度の備蓄を持っておりませんと、あるいは先般来のような国内インフレとか、物に対する過剰な要求が出てきた場合に、国民の皆さんに非常に御迷惑をおかけするという結果にもなりかねない、そういう意味において、外貨を活用しながら向こうが安いときに相当量買い入れておいて、そして日本で高くなった場合にそれを放出する、そういうことは賢明な政策であると思いまして、具体的にさらにこれを推進していくつもりでおります。
  21. 中村重光

    ○中村(重)委員 資源の問題につきましては、たいへん重要な問題でございますし、また通産省といたしましても今度機構改革でエネルギー庁をつくるということで積極的な姿勢をお示しになっていらっしゃる。したがいまして、またあらためてじっくりこの問題を時間をかけて御意見を伺いたいし、議論もしてみたい、こう思います。きょうは時間の制約がございますので、次にお尋ねしたいことについて触れます。  五月十日の新聞報道ですが「系列外業者のガソリン安売り」「通産省が待った」をかけて、「「安定乱す」と開店認めず」こういう見出しでもって具体的なことを書いてあるわけですが、どうも物価問題というのがたいへん大きな問題である。商社の買い占め、売り惜しみ等が社会悪として糾弾されておることは御指摘のとおりです。通産省もこれに対しまして警告を発するといったような措置をおとりになっておりまして、商社の買い占め、売り惜しみと直接的に関係はないというように受け取られはいたしますけれども、いずれにいたしましても、系列外業者がガソリンの安売りをするといったようなことは、この物価が上昇をいたしております際に一つの清涼剤とも受け取れるわけでございますが、これに通産省が待ったをおかけになった、その御意思はどこにあるのであろうか、たいへん不可解に思っているわけでございますが、その点に対してのお考え方を聞かせていただきたい。
  22. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ガソリンスタンドにつきましては、法規上は届け出ということになっております。しかし、周囲の保安あるいは乱売をやって、それがために悪質ガソリンが出てくる、たとえば鉛の量とかあるいは消防法上のいろいろな防火関係の配慮、そういうようないろいろな点も考えまして、行政指導をしているところでございます。そういう意味からも、その行政指導にはずれるようなことは好ましくないとわれわれは考えております。  具体的な点は局長から御答弁申し上げます。
  23. 外山弘

    ○外山政府委員 ガソリンスタンドの建設につきましては、法的な面では届け出だけでございます。しかし実際上、いま大臣もお答えになりましたように、品質の保持ということのたてまえから、そのことが当然消防法上の問題、建築基準法上の問題等はもちろんでございますが、石油政策上も、そういった品質の保持ということが消費者への的確なサービスにもつながるということのたてまえから、従来から行政指導しておりまして、そして特に本件で問題になっておりますような無印と申しましてどこから仕入れるかわからないというようなかっこうのスタンドについては、できるだけどこから仕入れるかを明らかにして届けてほしい、こういう行政指導をしているわけでございます。そういう点も実際の届け出の書類面での記載事項というようなかっこうで指導し、また、実際にその仕入れ先が明らかになるようなかっこうの指導をしているわけでございますが、そういった角度から見まして、その点に何ら触れていないということは指導上好ましくないということがあるわけでございます。法的な問題ではございませんが、行政指導の問題としてできるだけそういう指導をしていく。その一環がその新聞紙上に出たわけでございます。ただ、物が安く売られることを否定するという趣旨では絶対ございません。ただ、品質の保持というような点から起こっておりまするそういう行政指導というものの面で、そういう仕入れ先についての指導をしている点がそういうふうに報道されたというふうに私どもは了解しております。
  24. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまの答弁では私ども納得いたしませんが、少なくとも国民は納得しないと思うのです。これはこの新聞中身を読んでみましても、「石油資本の系列にはいらない無印ガソリン店を開き、ガソリンや灯油を安売りしようとした業者たちが、通産省から開店をストップさせられた。石油資源危機を理由に値上りが続いているが、半面、末端小売りでは割当量を売りさばけないのが実情といわれ、業者たちは「業転物」といわれる余ったガソリンなどを市価より一五%程度安く売ろうとしたもの。怒った業者たちは、通産省に抗議」をしたということが書いてあるわけであります。乱売競争というようなこと、秩序を乱してくるというようなことは好ましくないというようなお考えでございましょうか。そのことはせっかく安く売りたいということでも安く売らせない。結局値上げをさせるという形に私はなっていくと思う。だから秩序を乱すというようなことで待ったをかける、これを認可しないといったようなことではなくて、値段を下げて売るということは好ましいことであるというような考え方の上に立って、また別の行政指導という形のものがなければいけないのじゃないか。安売りするということはおかしい、秩序を乱す、どうにもならない、そういったようなことでは、少なくとも通産省がこの値下げをさせることを避けていこうとする考え方価格統制をやっていく、そういう価格の硬直化の方向を指導しておるという国民の受け取り方というものがあるのではないですか。私は、少なくともこのことは、今日まで通産大臣が一つの方針として新しいアイデアをもって対処してこられたということとは矛盾する、これに反する方向であるという受け取り方をいたしております。そうはお思いになりませんか。  また、行政指導というものは、ただいまお答えになりましたような行政指導ではなくて、もっと秩序を維持するという方向の行政指導はあってしかるべきである。値段を下げる、安く売るということをストップさせることに役立つような行政指導というものはあってはならないと思いますが、そうはお思いになりませんか。
  25. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘のとおりでございまして、値段を下げることをストップするような行政指導ということになりますれば、そういうような行政指導では、社会の信用にこたえられない内容になってしまうわけでございます。もちろんガソリンスタンドに対する行政指導の本質は消費者に対するサービスということが基本でございまして、その点は二面あるわけでございます。いたずらにガソリンスタンドが乱立するというふうなことになった場合に、かえって品質の問題等で消費者に迷惑をかけるという面もございましょう。しかし同時に、できるだけ多数のサービス機関をつくることも消費者に対するサービスになるという点もございます。その辺の調和の中で、私どもとしては的確な行政指導をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。  本件につきましてもそういう指導はしております。仕入れ先をぜひ書いてほしいという指導はしているようでございます。しかし、仕入れ先が始終変わるという場合があっても、これを最終的に断わるというふうなことは、断じてその行政指導の内容ではございません。したがいまして、指導の経過が部分的に間違って報道されているという面があるのではないかというふうに考えるわけでございます。私どもとしましては、ガソリンスタンドに関する行政指導の精神が、いま先生の御指摘の点についてまずいようなことにならないような指導、そういった点について今後とも努力をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  26. 中村重光

    ○中村(重)委員 ガソリンスタンドが安いものを買ってきて売ることは好ましいことですよ。そういうことが品質が悪くなるのだという受け取り方が間違いなんですよ。だから、ストックをしてきているわけですね。値段が上がるんだというようなことから買い占めをやっている。ところが、持ちこたえられない。だから、それを売ろうといったような形になってくる。ところが、正規のメーカーと申しますか、そういったところから買うということになってまいりますと、価格統制をしている。これは事実上価格統制をやっておりますからね。だから、安く売らないのですよ。ところが、安く売る小売店等にいたしましても、たくさん買い占めというのですか、ストックがある。だからして、それを売りたいという小売業者があるということは事実なんです。それを買って、売っていこうとするわけです。ですから、認めるものは認めていく、そして品質が低下しないような指導は指導としていくというようなことで、価格を安くすることは好ましいことだという基本的な考え方の上に立った行政指導でなければいけないということなんです。結局あなたのほうは、どこから仕入れてきたか、そこをはっきり書いてきなさい、ところが、ストックしている小売店から買ってきた、それは正規の販売ルートじゃない、だめなんだ、こういうことになるでしょう。それを認めてないでしょう。ならば、石油を安く売ることにならないじゃないですか。だから、あなた方の基本的な考え方が間違っているということですよ。だから、認めるものは認めていく。そして先ほど申し上げましたように、行政指導は行政指導として、あまり乱売合戦みたいな形にならないような、品質が非常に低下をしないような形の行政指導というものは、やはりそれなりにやっていくということでなければならぬと私は思うのです。少なくともガソリンスタンドがどういうことで品質を低下させたりなんかするようなことができますか。そういうことはできません。それはできないような指導をあなた方のほうでもできるはずなんです。だから、いまこの新聞報道されておりますような形のあなたのほうの行政指導、「「安定乱す」と開店認めず」、これは明らかに特定の大企業利益を守り、消費者利益をそこなう以外の何ものでもないということを私は指摘をしておきたいと思います。この点について十分御留意をいただきたいと思いますが、大臣ひとつお答えをいただきたいと思います。
  27. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 趣旨とするところは消費者にサービスするというところでありまして、通産省は、特に乱売の結果不心得者が出てきて鉛の量が多いガソリンなんかが出てくる、そうすると結局また公害や何かで消費者に迷惑をかけてくる、そういうことをおそれてある程度そういう行政指導をしているわけでございます。  そういうわけで、ガソリンスタンドの経営者同士の間にもそういう自主検定のことをやらせておりまして、抜き取りでおのおの油を検査してみまして、ガソリンの中における鉛の保有量もチェックしておるわけであります。したがって、そういう面における協力行為と同時に、また値を下げていくという面と両全しなければ通産行政は全うできませんので、御意見の点はよく考えまして検討してみたいと思います。
  28. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣の感触を伺ってみたいと思うのですが、商社の三月期決算の利益は前期を倍増したたいへんな大もうけをやっておりますが、この三月期決算、それから前期の九月期決算と合わせますと、これはもう全く私どもも驚くような商社利益をあげておりますが、このような商社の大もうけに対して、大臣はどのような感触をお持ちになっていらっしゃいますか。
  29. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 商社の行動については先般来いろいろ批判があり、また国会でも御質問をいただき、特別の立法をしようということでもありまして、商社のほうもいろいろ自粛的な声明を出したり、あるいは共同行動をとるための考え方を公表したりしております。私は、今回の決算を見まして、もしそれらの利益というものが不当な投機とか、あるいは自由の乱用というものによって国民に迷惑を及ぼしたという結果であるならば、これは遺憾な結果であると思います。そうして、そういうような不当な投機とか、自由の乱用によって国民に迷惑を及ぼすような結果が出ないように私たちは今後戒めていかなければならない。しかし、正常な経済活動によって国民とともに共存共栄しながら需給関係における使命を果たしている、こういうことであるならば、それはあながち非難すべきことではない、こういうように思います。
  30. 中村重光

    ○中村(重)委員 総合商社がこのようなべらぼうなもうけをやったということは、買い占めであるとか売り惜しみ、土地や株式その他に対する投資をやってもうかったということが主因ではありますけれども、もうけさえすれば何でもよろしいという手当たり次第に無秩序に大企業がどこにでも進出をして利益をむさぼっておるというところに問題がある。  そこで、二月の二十七日に同僚佐野委員が、この総合商社その他大企業がクリーニング業界にまで進出をしているということは好ましいことではないというような指摘に対しまして、大臣は、確かにそのとおりなんだ、そこで中小企業団体の組織に関する法律の十七条あるいは三十条でもって調停する方法もある。それから、これは環衛法の特殊契約のこともあるわけでございますが、その団体法の三十条の特殊契約の締結といったようなこと等もあるので、そういうことでチェックしていきたいというお答えがなされているわけであります。その後、このチェックについてどのような行政措置、指導をおとりになったのかということが一点でございます。  もう一つは、この団体法でございますけれども、また、その具体的な中身であります十七条あるいは三十条にいたしましても、中小企業が著しい影響を受ける場合にのみこの十七条とか三十条というものが発動されるという形になってくる。そこで、総合商社がもうけさえすれば何でもよろしいというような無秩序なやり方というものをチェックすることにはならない。今日、産業分野にまでいかないといたしましても、事業分野というものを中小企業に確保していくというようなことでなくてはいけないのではないか、もう今日はその段階ではないかというように実は思っておるわけです。     〔委員長退席、山田(久)委員長代理着席〕  続いて、四月二十一日に、大臣は、衆議院の物価問題特別委員会に御出席になりまして、議員の質問に対してお答えになっていらっしゃいます。大手商社は、国内の中小企業と競合する分野から順次手を引くような行政指導をしたい。商社の本来の仕事は海外貿易である。戦後海外活動を押えられたこともあって、国内活動に力を入れた。その結果として株や土地投機のようなマイナス面も出ている。また、クリーニングやラーメンなどの国内の中小企業を圧迫するような商売をやっておる。豊富な資金と人材を持つ大手商社競争に勝つのは当然で、これは自由権の乱用であるというふうに言っておられる。私は大いにこれに共鳴いたしているわけであります。ぜひその方向で具体化していただきたいと思うわけでありますが、その点に対して大臣の考え方をお示しいただきたい。
  31. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 商社の活動、特に商業活動あるいは中小企業に対する進出等については、前回あるいは前々回本院において御答弁申し上げたとおりでありまして、そういう行政指導を強力にやっていこうと実は思っております。  申し上げましたように、商社は本来、三井にしても三菱にしても五綿にしても丸紅にしても伊藤忠にしても、貿易商社としてスタートして、海外においてかなりの力も培養し、令名もあげ、また国家の力にもなってきたわけであります。それが戦後は、戦争に負けて引き揚げ者を収容しなければならぬというところから、海外貿易もなかったので、国内企業に手をつけて、商業その他の方面にも進出した。その惰性がずっとまだ続いておりまして、そしてもうければ何でもいいんだというような、モラル上考えるべきような要素も入ってきたと私は思うのです。  しかし、戦前の商社というのはやはり品格を持っておったと思うのです。日本商社がそういう方向に早く復帰して、できるだけ中小企業や零細企業と競合することから手を引いて、本来のかつて敬愛された商社という方向に復帰すべきである、そういうふうに考えております。  それで、たとえばクリーニングとかあるいはボウリングとか、ラーメンからミサイルまでといわれておりますから、そういうところまで手を出してきた向きもありますし、また株や土地に手を出して、大きな社会的誤解と非難を浴びたということもあります。そういう今回の経験にかんがみまして、商社にも行政指導をいたしておりまして、そういう競合するようなところからは手を引きなさい、そして本来の使命に返りなさい、そういうことも勧告もしております。  今後、今回の法律も通ったりすれば、官庁としても調査その他のいろいろの権限も出てくるわけでございますから、そういう条文が適用できるような場合にはその条文を適用いたしまして、綿密に実態調査するし、過当投機や買いだめ、売り惜しみという問題についてやるわけでございますから、当然商社がやっておる活動全般がわかってくるわけでございましょう。そういうときも利用しまして、できるだけ先ほど申し上げました方向に行政指導してまいるつもりでございます。  クリーニング業界実態につきましては、厚生省から参っておりますから御答弁申し上げます。
  32. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣の姿勢と申しますか、考え方は私も賛成です。ところが、それだけでは問題の解決にならない。団体法にいたしましても、あるいは環衛法にいたしましても、調整行為以上出ないわけです。今度の売り惜しみ防止の法律案にいたしましても、商社が手当たり次第どこでも、もうかるところに進出していくことを規制することにはならない。してみると、どうしても中小企業者の事業分野の確保ということが必要になってまいりますから立法措置が必要であると考えております。そこまで踏み切るべきではないでしょうか。  商社にいたしましても行動基準というものをきめて、商社が国内の流通分野に広く根をおろし、中小企業に対する圧迫も問題になっておるということの反省から、中小企業との共存共栄に重点を置きつつ、公正取引の原則を経営活動の基準とする、こういっておりますが、少なくともクリーニングのようなところに、あるいは先ほどお話がございましたが、ラーメンといったようなところに総合商社が進出していく、大企業が資本力にものを言わせて中小企業を圧迫していくということは、ひとり中小企業の犠牲を強要するだけではなくて、そのことがやはり消費者利益をそこなうという形にも発展していくと思います。そこまで立法措置にこの際踏み切るべきではないかと私は思いますが、御見解はいかがでございましょうか。
  33. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 中村委員の御指摘のお考えや方向については私も共鳴するところでございます。でありますから、当委員会における答弁におきましても、商社の動向の推移を見て立法措置を講ずるか講じないか検討していきたい、こういうふうにかつて御答弁申し上げた記憶がございます。  今回、商社の行動基準の中に、総合商社は他産業、特に中小企業に対しては共存共栄の実をあげつつ、ともに社会的な要請にこたえるべく努力する。また、相手企業業界の立場に十分な配慮を払いつつ、秩序ある競争の原理と公正取引の原則を経営活動の基準とする、こういうふうに宣言してきたことは、国会における先生方の御発言やわれわれの考え方を考慮して、また、国民一般の世論を考慮してこういう発言にもなってきたのだろうと思います。一体今後どういうふうな行動をとるか、そのこともよく見守りながら公正取引委員会とも相談をして、この問題は真剣に検討していきたいと思います。
  34. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは、時間がもうわずかしかございませんから厚生省にお尋ねをいたします。  具体的な問題ですが、大企業がクリーニング業に手を伸ばすことになりまして、洗たく物の受け取り及び引き渡しのみを行なうところのクリーニング所というものをつくっておる。ところが、これはクリーニング業法あるいは環衛法の圏外にある。ところが、クリーニングをしなければならないような寝具だとかその他衣類等々は、伝染病の罹病者を含んで不特定多数の人が使用しておるもの、種々雑多なものがあるわけでございます。これは私はたいへん重大な問題であると思います。したがいまして、この洗たく物の受け取り及び引き渡しのみを行なうところのクリーニング所、通常取り次ぎ店でございますが、これにはクリーニング業法あるいは環衛法を適用していく、それで一人以上のクリーニング師を置くということが必要であると考えておりますが、この点に対してはどのような御見解でございましょうか。
  35. 加地夏雄

    ○加地説明員 御指摘のように、現在のクリーニング業法におきましては営業の形態が二つございまして、その本来的な洗たくを含めた営業をしておるクリーニング所と、それから洗たく物の取り次ぎを専門にしておる、そういう取り次ぎ店と二つございます。いずれもクリーニング業法の適用を受けておるわけでございます。  ただ、御指摘のように、その取り次ぎを専門にするクリーニング所の場合には、いわゆる専門の技術者であるクリーニング師は置いていない、こういうふうになっておるわけでございます。したがって、御質問は、まさにその取り次ぎ店にも、そういう今日の洗たく物の実態なり公衆衛生上の維持という面からクリーニング師を置くべきではないか、こういう御質問だと思いますけれども、このクリーニング所に専門の技術を持ったクリーニング師を置かなければいけないというふうにしたのは実は三十五年であります。これは先生よく御承知だと思いますけれども、三十五年のクリーニング業法の改正で入れたわけでございます。その際に、やはり取り次ぎ店にそれを置くかどうかということは確かに一つの議論があったわけでございますけれども、洗たくの事業そのものを含めた技術者という観点から、当時はいわゆる本来のクリーニング所に限ったわけでございます。  その後、いろいろとそういった消費者の保護の問題とか、洗たく物の多様化、そういう問題もございまして、私どもとしては、現在の法律には入っておりませんけれども、たとえばクリーニングの技術であるとか、あるいは経営指導であるとか、そういう問題につきまして都道府県で講習会をやっておるわけでございます。これには積極的に取り次ぎ店の者についても参加をさせるとか、こういう対応をしてきたわけでございます。  ただ、具体的に取り次ぎ所にクリーニング師を置くかどうかという問題になりますと、本店のほうでそういう業務をやっている場合の均衡その他もございまして、慎重に検討する必要があるだろうということでございましたけれども、御指摘のようなこともございますし、私どもは、講習会を通じて積極的にそういう技術向上をさせると同時に、積極的にそういうお考え方に沿って検討していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  36. 中村重光

    ○中村(重)委員 もう検討の段階ではない。先ほど申し上げましたように、クリーニングの処理をする前に、これは伝染病の罹病者を含んだ寝具を扱っておるわけでしょう。ところが、クリーニングの処理をいたしましたあとでも相当数の細菌の汚染があったという学会報告が出ているわけです。これらはもう本社で講習をするというようなことだけにとどまらないのです。資格者が必要なんです。  もう一つは、取り次ぎ店というのは専門の取り次ぎ店じゃないのです。食品販売等をやりまして、ほとんど兼業をやっている。まことにこれは公衆衛生上危険なことなんです。これに対してはクリーニング師を置く、それから設備にいたしましても、ケースなんかをきちっと基準にかなったものを備えつけるということが当然必要である。これは取り次ぎ所であるから、そこでクリーニングをするわけじゃないからというようなことじゃないでしょう。現にあなたのほうでは、クリーニング所、クリーニングをする場所ですね、工場、そういったところでも、ただクリーニングをするところだけではなくて、全体的に一つの設備基準というものによって取り締まりをやっているわけでしょう。それなら取り次ぎ所というものも同じような扱いをしなければだめなんです。だから、これはもう検討の段階ではない、実施の段階である、踏み切るべきである、私はそのような見解を持っております。もう一度お答えをいただきます。
  37. 加地夏雄

    ○加地説明員 お答えを申し上げる内容が少し私不十分であった点がございますので申し上げますと、いま先生御指摘のように、取り次ぎ店の場合でありましても、いまの伝染病関係とか、そういう仕分けとか消毒とか、そういう設備上の要件は課しておるわけでございます。クリーニング業法の三条の三項でございますけれども、三項のほうは、これは取り次ぎ店を含めた規定になってございまして、したがいまして、いま先生御指摘のような点は、取り次ぎ店にも当然適用があるわけでございます。ただ、人的な要件といたしまして、クリーニング師という技術者を置くか置かぬかという問題、これは確かに取り次ぎ店にはないということでございます。  そこで、先ほど答弁申し上げましたように、私どもといたしましては、そういう物的な設備基準のほかに人的なそういう技術者を置く必要があるのではないかということで、現在のところは、先ほど申し上げましたように、講習会その他でそういう人たちの技術の向上をはかっておるということでございます。  しかしながら、御指摘のように取り次ぎ店の経営の内容がいろいろと変わってまいりまして、むしろ本来の洗たく所に近いような扱い方をするとか、あるいは少なくとも洗たく物について、非常に公衆保健上の問題が出るというものを扱うのだから、そこにはやはり専門の技術者を置く必要があるだろうという御指摘は十分わかるわけでございます。そういう意味で、私どもは、積極的に先生の御指摘の線で検討さしていただきたいということを申し上げたわけでございます。
  38. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなた方は実態をおつかみになっていらっしゃらないのです。私どもは現場を見ている。それは取り次ぎ店に対しても、クリーニング業法の条文に基づいて、こうしなければならぬ、ああしなければならぬようになっている。行ってごらんなさい、取り次ぎ店に。そういうことじゃありませんよ。よごれた品物をずっとそのままほったらかしてある。一つの容器にしまって、そうして公衆衛生上の措置をとっているのじゃない。それはその取り次ぎ店の責任者というのがクリーニング師ではないから、そういう感覚がないから、そういうことになる。クリーニング師であれば、それだけの知識を持っているから、それだけの感覚もある、責任も感ずるということになるので、条文に基づいてそれぞれの措置をやる。また、やらなければ、処分とまではいかないでしょうけれども、あなたのほうも、それなりの適切な措置というものが講じられるということになっていくでしょう。そうでないところに問題がある。やはりその設備、同時に人的な関係、いわゆる資格の問題です。相一致していくということでなければいけない。もういまの段階は、それだけの資格を持っておるクリーニング師を置くということでなければいけない。  時間がございませんからもう一度お答えをいただいて私の質問を終わります。  そこで大臣、これは厚生省の関係といいながらも、それだけではなくて、中小企業等に及ぼす影響とか、いろいろな問題も実はあるわけであります。実力閣僚のお一人として、いま私が申し上げていることをお聞きになって、どうあるべきかということについての御見解もひとつお示しいただきたいと思います。
  39. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 公衆衛生を確保することは非常に重要な仕事でございまして、クリーニング業法ができている一つの趣旨でもございます。そういう面から、取り次ぎ店におきます扱いにつきまして、もし実情がそういうことであるならば、これは考うべきポイントであると思います。これらの点につきましては厚生大臣と相談してみたいと思います。
  40. 山田久就

    ○山田(久)委員長代理 岡田哲児君。
  41. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 伊良湖水道におけるタンカー日聖丸の追突による重油流出事故についてまず通産省にお伺いをしたいと思うわけであります。  いまさら言うまでもなく、四十六年十一月には新潟、また四十七年の七月三日に同じ伊良湖水道で衝突が起こっております。まさにこの伊良湖水道では一年もたたないうちに事故が発生をしている。御存じのようにこの水道は、名古屋、四日市、三河湾その他一般港を数えてみますと二十数港に数えられるわけでありまして、また中電の火力発電所で見ましても、三重、四日市、西名古屋、名港、名火、新名古屋、知多、武豊、渥美というふうに数えられるわけであります。こういうような状態の中にさらに港が開発をされまして今後大きくなっていく、こういうことがいわれるわけであります。  ここで調べてみますと、海上保安庁の調べだと、昨年、四十七年八月の三日間の測定で、一日に七百七十九隻ということが、これは五百トン以上の計算で出ております。私は名古屋港の管理組合で調べたのでありますが、月平均大体二千から二千五百隻くらい、三百トン以上のものが通っておるわけでありまして、その中に占めるタンカー、油の輸送船の関係というのは日増しに多くなってきているというふうに考えられるわけであります。しかも、ここには漁港もまた相当たくさんありますし、フェリーなども通っている超過密水道だといわれております上に、水路の幅が一・二キロ、非常に狭いといいますか、伊勢湾から名古屋港から三河湾、すべてこの一本にまかされているわけであります。ヘッドでいいますと二分へッドといわれておりますが、こういうような状態の中で、特に今後の見通しから見ますと、石油の輸送という点がこの水路では相当大きくなってくる、こういうふうに判断いたすわけでありますし、タンカーも一そう大型になってきている傾向など考えてみまするときに非常に不安を感ずるわけであります。  しかも、その災害の件数などを見ましても、海上の交通事故ではありますが、問題は、積んでおります原油による災害をほかに非常に大きく及ぼしてくるということになるわけでございますので、通産省として、この輸送は当然運輸省だということでなしに、今後、将来の発展、方向から判断をして、この輸送についてはどのような安全対策を講ずべきか、また、こういうことのないようにするためにどういうふうにお考えになっているか、この点をまずただしたいと思います。
  42. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 海上、特に狭い海峡や内海における衝突事故等によって海水が汚濁し、特に油による汚濁が行なわれるということは非常に重大な問題でありまして、かつて英国でトリー・キャニヨン号の事件がありまして、ヨーロッパで大騒ぎをいたしましたが、わが国においてもそういう危険が随所にあるわけであります。したがって、私は運輸大臣をやっていたときに、海上航行の安全に関する法律を立法しようと思いまして努力をいたしました。漁業者側との話し合いもついて、この法律はたしかに先年成立したと思います。しかし、それはまだ水道が限定されておりまして、全国的に広がってはおりません。  そういう面から見まして、いまもお話をいただきまして、さらにこれは規制を強化する必要があるのではないかと思います。これらの問題につきましては、石油連盟におきましてもいろいろそれに対する共同機構等もつくっておりますけれども、事重油の流出ということはあらゆる方面に大きな影響を与えますから、今回の事件を契機にいたしましてさらに対策を検討してみたいと思います。
  43. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いま大臣もちょっと触れられましたように、昨年六十八国会で海上交通安全法が成立をいたしたのでありますが、この附帯決議の中に第一に載っているのでありますが、「外海の適地に中継基地を設けパイプライン網の整備を急ぐ」等、いろいろな措置をとるべきだということが附帯決議されているわけであります。問題は、通産省側として、こういうものについて、もうこれは一年になるわけでありますが、どのような対処をされておるのか、お伺いをしたいと思います。
  44. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘のように、海上交通安全法案に対する附帯決議におきまして、「外海の適地に中継基地を設けパイプライン網の整備を急ぐ」という措置がうたってあります。わが国の製油所立地は、おおむね東京湾あるいは瀬戸内海、伊勢湾といったようなところに集中しております。したがいまして、先ほど来お話がございますように、非常に過密が海上において激化しつつあるということでございまして、これらの水域へのタンカー進入の増大という点から見まして、まことに災害防止上問題が多いというふうに私も考えるわけでございます。  従来から私どもこれらの湾口あるいは湾外にCTS、つまり基地を建設いたしまして、そこにタンカーの原油を受け入れまして、そこからパイプラインで製油所に原油を供給するということがタンカーの湾内進入の抑制となるし、海上過密の緩和にもなるということで、そういう手段の助長が一番大事であるということで、附帯決議を待つまでもなく、私どもとしても懸命にやっているわけでございます。四十二年度以降CTSの全国配置あるいは東京湾、瀬戸内海地域における具体的な建設可能性の調査といったようなことを精力的に行なってまいりました。  しかし、何と申しましてもこの計画自体が港湾の整備ということを伴いまする非常に大規模なプロジェクトでございます。必然的にその建設、実行にあたりまして地元との立地上のコンセンサスが必要でございましょう。あるいは関係各省との調整、あるいはだれが建設主体になるかといったような問題点がいろいろございます。私どもとしては、一々そういう問題点の解決をはかりまして、建設が少しでも早まるような推進を従来もやってまいりましたけれども、今後もやってまいりたいと考えておるわけでございます。ただ、いま申しましたような問題点が非常に多いということで、なかなか順調に進捗していないというのが現状でございます。
  45. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 ついででありますから、ここで聞いておきたいのでありますが、いま申し上げたのは第一項でありますが、二、三、四、五、六と、六つの附帯決議がされているのでございます。当然やるべきことだと思うのでありますが、現地の話を聞きますと、この附帯決議の実施が全然なされていない、こういうふうに聞いているのであります。これは特に運輸省関係になると思いますが、附帯決議の実施状況、こういうものについて明らかにしていただきたいと思います。
  46. 多田稔

    ○多田説明員 ただいま先生の御指摘のとおり、昨年の五月十一日でございますが、衆議院の交通安全対策特別委員会におきまして、附帯決議がございまして、六項目にわたります附帯決議がついております。  パイプライン網の整備につきましては通産省からいま御回答がございましたけれども、そのほかにも漁業者に対する補償制度を確保すること、それから加害者不明の漁船に対する当て逃げ、あるいは油による漁業の損害について救済するための有効な制度の確立をはかること、あるいは「政省令の改廃あるいは施行にあたっては、関係者の意見を尊重するよう特に配慮すること。」五番目といたしまして「船舶交通のふくそうする海域における旅客船の航行安全については、人命尊重の観点から、一層安全対策の充実強化に努めること。」六項目といたしまして、「交通ふくそう、海域の汚染等による漁場の減少並びに漁業操業の制約に伴い関係漁民のこうむる影響にかんがみ、内湾漁業の保護並びに振興に関する基本的水産政策を早急に確立すること。」という附帯決議がついておりますが、これにつきまして、漁業者に対する補償の問題につきましては、運輸省及び環境庁におきまして現在検討中でございます。  それから、政省令の改廃の場合につきましては、海上交通安全法の政令及び省令につきまして、先日これを制定、公布いたしておりまして、七月一日から施行されるわけでございますが、この改正にと申しますか、制定にあたりましては、関係者の意見を十分尊重いたしまして、あるいは航行安全審議会等の御意見をお聞きいたしまして、あるいは地元の御意見もお聞きいたしまして制定いたしました。さらに、旅客船の航行安全につきましても、特に現在この海上交通安全法が施行されるのがあと一カ月ちょっとになっておりますので、現在鋭意この海上交通安全法を普及すべくPRしております。いろいろ旅客船関係業界とも接触いたしまして、鉄道、さらには船舶の運行管理規定等の充実強化等につとめております。  最後にございました基本的水産政策の確立につきましては、これは農林省、水産庁の関係でございますので私は把握しておりませんが、そういうことでございます。
  47. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 結局検討しているということで内容がないわけであります。早急に検討の結果どのようにするか、明確に出さなければならぬというふうに思いますので、これは後ほど議論の末、明確に聞きただしたいというふうに考えております。  ついででありますので水産庁に伺いますが、第六項でいっております「交通ふくそう、海域の汚染等による漁場」の問題で、「内湾漁業の保護並びに振興に関する基本的水産政策を早急に確立」させる、この点についてはどんな進行状態ですか。
  48. 前田優

    ○前田説明員 お答え申し上げます。  水産庁におきましては、昨年でございますが、制定されました開発法に基づきまして、内湾、沿岸地域に開発区域というものを設定しております。その開発区域の中につきましては、ほとんど内海、内湾が多うございますけれども、これにつきましては、この環境を十分整備していくために調査を行ない、なおかつ栽培漁業等によりまして稚魚の放流その他魚族の資源確保につとめるという立場をとりまして、現在進めている段階でございます。
  49. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 時間がございませんのでまことに残念でございますが、昨年一月以降、水道で追突事故が起こっているのが十一件、そのうち七件が外国船関係関係するもので、そのうち二件が二つとも外国船、こういうふうになっておるわけでございます。当然こういう航路から見ますと相当外国船が多く見られるわけでありまして、従来の例から見ますと、外国船がからまる場合に、まことに補償やその他の問題が困難を来たしている、こういうふうに推察されるわけであります。そこで問題は、この補償の関係などについて当然外国船もからまることでありますから、国が正面に出てやる、しかも、これは愛知県と三重県にまたがるというような状態も起こっておりますので、国がほんとうに積極的に対処する、こういう立場をとるべきだと思うのでありますが、この点どうでしょうか。
  50. 多田稔

    ○多田説明員 流出いたしました油による被害補償につきましては、外国船の問題その他いろいろございまして、確かに御指摘のとおり非常にむずかしい問題でございます。本件の伊良湖水道の問題にからまりましては、現在愛知県及び三重県におきまして被害状況を調査いたしまして、特に県の水産課が中心となりまして調査しておると聞いております。私どものほうには、現在まだ報告はまいっておりませんが、非常にむずかしい問題であろうと考えております。  それから外国船に対します補償の問題につきましても、先ほど当て逃げ船であるとかいろいろな問題がございましたが、当て逃げ船であるとかあるいは加害者不明の補償の問題とか、そういった問題をからめましていろいろ検討しなければならない問題だと考えております。
  51. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いま私の申し上げたことはそういうようなことでなしに、県からいうと愛知、三重と二県にまたがり、また被害の自治体から見ますと相当な数になるわけであります。広域になるわけであります。しかも、外国船がからまるというような複雑な問題ですから、当然これの対処については、そういうようなものは国が負っていかなければいかぬのではないかという点と、さらに、刑事事件だと早いと思いますが、民事がからまりますと、従来の例から見ると相当長期間を要するわけであります。当然この間につなぎ融資その他の点が考えられると思うのでありますが、国が前面に出て十分そういう措置をとるべきだ、こういうことをいま申し上げておるのでありまして、その見解をただしたいと思います。
  52. 前田優

    ○前田説明員 水産庁のほうからお答え申し上げます。  今回の事故につきましては、一番漁業被害が大きいわけでございまして、先生御指摘のとおり、愛知、三重両県にわたっておるわけであります。その被害の内容といたしましては、現在私どもの係官を現地に派遣いたしまして、十分指導しながら調査を進めておる段階でございます。  なお、私どもに東海区水産研究所という研究所がありまして、ここが両県の水産試験場をいろいろ指導して、的確な被害の把握ということが必要でございますので、そこでその作業をやっておる段階でございまして、まだ被害額幾らということを申し上げられないのが残念でございます。  それで、被害が想定されますところの漁業種類といたしましては、養殖のアオノリ、天然ワカメ、ヒジキ、カツオの餌料いけすというようなものが直接的な油の被害を受けるわけでございまして、なお、一本釣りとか船引き網、刺し網などが操業できないということで、操業できない間のいわゆる被害額、これも相当見込まれるわけでございます。  御指摘のように、外国船によりますところのこういう加害につきましては、なかなか解決が手間どるのがいままでの通例でございます。昨年起きました新潟におきますところのあのジュリアナ号の場合におきましても、いろいろと交渉で手間どりました。この点につきましては、現在までのところ、私どもとしては、今回の場合、原因者が判明しているわけでございます。したがって、この原因者が判明しておりますので、漁業補償の早期適切な解決ということで、関係省庁とも十分協議してできるだけ指導してまいりたいと思っておりますし、当面漁業者の生活資金等の問題については両県をよく指導いたしまして、両県からそれなりの措置をするように指導してまいりたい、そのように考えているわけでございます。
  53. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 まことに残念ですが、時間がきましたので、これで終わるわけでありますが、あと外国船との関係の問題、それから当面する対策の問題、現地における一日も早い解決の問題その他ございますが、時間がございませんので次に譲って、きょうは終わりたいと思います。
  54. 山田久就

    ○山田(久)委員長代理 神崎敏雄君。
  55. 神崎敏雄

    ○神崎委員 まず初めにお伺いいたしますことは、通産省企業局が四十七年の二月二十八日付で出された「医薬品の取引条件適正化指針」についてでありますが、この指針をお出しになった背景と経過について、まず初めに伺いたいと思うのであります。
  56. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 四十七年の二月に取引条件適正化指針を作成いたしまして、それに基づいて四十八年度には標準契約書をつくっていくという方針になっております。これは通産省としまして、流通近代化のために、昭和四十四年ごろから予算をとりまして、各品目別に適正な取引条件とはどういう形がいいかという調査をして、調査の資料に基づいて専門家の御意見を聞き、それによって順次指針をつくってまいったわけでございますが、医薬品について二月に指針ができた次第でございます。
  57. 神崎敏雄

    ○神崎委員 きょうは大臣の都合で時間が非常に制約されているので、一つ一つ反論を繰り返したりすることができないことは非常に残念でありますが、ひとつ簡潔に、重ねて言わなくてもいいような答弁をいただきたいと思うのです。  第二番には、医薬品というのは、他の一般商品とは異なった特性を持った商品と思いますが、通産省は、この指針の作成段階において、この医薬品の特性についてどのような配慮をせられたのか、それを伺いたいと思います。
  58. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 一つは需要者、薬を買う立場の人が常備薬として、常に手に入る状態にしてほしいという消費者側の要求、これを満たさなければならない。それから二つには薬屋さん、これは全国に零細多数にわたっておるわけですが、この中小商店がそういった消費者の求めに応じて常備薬を整備しておく。そして卸とどういう関係になるのが一番適正であるか。そして今度は流通近代化の一環でございますが、その卸がメーカーと小売りとの間に入って、どういう役割りをしたらいいか。その場合に、従来数十年に及ぶ慣行が積み重なってきておりまして、仕入れの方法、マージンのきめ方、返品のしかた等について実情に合った各種各様の慣行ができておるというのが実態でございました。その辺を配慮して指針を検討していただいたわけであります。
  59. 神崎敏雄

    ○神崎委員 次に、この指針の中で医家向けの薬品は生産財的性格、それから薬局や薬店に販売するのは典型的な消費財、こういうふうに分けられたのは、どういう根拠で分けられたのか。
  60. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 流通秩序かつその近代化という観点から見まして、大量に製造元から病院に流れる経路と、それから先ほど申し上げた、卸を通じ小売りを通じて個々の消費者に流れる経路で性質が非常に違いますので、二つに分けた次第でございます。
  61. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私は医薬品というものは、これが病院や医院、医家向けになりましても、また薬局や薬店に出ても、結局は国民が治療を受けるために飲んだりするものだと思うのですね。ところが、その根本的には同じ薬が、病院や医院にいくときは生産財的性格であって、薬局や薬店にいくときは消費財的性格だ。同じ薬をなぜ生産財的なものと消費財的なものとに分けなければならないのか。そこが納得できない。それをひとつ納得さしてください。
  62. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 生産財的ということばが正確かどうかわかりませんが、一つは、先ほどの流通経路が大きく違うということと、それから病院なりお医者さんが薬を購入する場合には、そこに診断、病理とあわせて、その購入する薬を選択もできるし評価もできる、ところが、消費者のほうは、自分の病気に対して一定の消費財として購入する。その差異を区別せざるを得ない。こう判断したわけであります。
  63. 神崎敏雄

    ○神崎委員 その異性格的な性格にするところに私は問題があると思うのです。たとえば、これはあとで問題点を明らかにしますが、通産省企業局から出ている、四十六年七月のいわゆる「取引条件の適正化について」というのによりますと、こういうことになっているのですね。たとえば文具、紙製品、たくさんありますから、その中で特徴的なものだけをあげますが、洋がさ、写真のフィルム、出版物、メリヤスの肌着あるいはカメラ、こういうものと医薬品とを同じ消費財製品として扱っているのですね。そういうふうな形で区別をされております。ここでこの十五の品目をあげられた中でそういう形になったのですが、こうもりがさや写真のフィルムやあるいはメリヤスの肌着と薬とは同じ性格ですか。
  64. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 違うというほうが当たっていると思いますが、御承知のように、医薬品は、厚生省がそのために流通販売を担当して、国民健康のための治療だということで主眼を置いた商品でございます。私どもが担当しておる分野は、たとえそれがそういった医薬品でありましても、流通近代化ということでは責任がありますので、その取引条件の適正化については厚生省と通産省が相談して指針をつくろう、こういうことでやったわけでございます。
  65. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そこで、あなたもおっしゃるように、違うといったほうが正しいというふうに思われるものが同じ条件下に置かれることについて、それでいいというふうにいまでも思っていらっしゃるのですか。
  66. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 違うところは違うと認識し、かつ取引条件の適正化という一般指針の線に沿って両省で相談しよう、こういうことでございます。
  67. 神崎敏雄

    ○神崎委員 公取委員長がお急ぎらしいので先にそのほうへ入りますが、昨年の九月から十二月にかけて、それからまた本年の一月にかけて、がっちり三カ月を一つのポイントにして武田、中外、三共、こういう医薬品メーカーが卸、小売店にあるいは薬店に返品拒否、すなわち返品規制の通達的文書を出しているのですが、これは企業局は御存じですか。御存じであったらその内容をひとつ教えてほしい。
  68. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 直接には厚生省でございますけれども、私どもは、先ほど申し上げましたように、指針に基づいて契約書等をつくっていく必要がありましたので、厚生省を通じ情報は入手いたしております。
  69. 神崎敏雄

    ○神崎委員 中身を知っておられるか。中身を教えてほしいといっている。
  70. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 どれほど詳しい中身を知っているかという御質問であれば、詳しくは存じませんが、いまあげられた各社がいつ、どういう方針を打ち出して、かつ卸や小売りとの間で話し合いをしてきたかという一般的な経過は存じております。
  71. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それではこちらから申しましょう。ここに中外製薬が四十七年九月に出したいわゆる「戻り品に関する入帳処理について」というのがあります。それからまた同じ中外から「当社製品戻り品処理についてのご案内」もここにある。さらに、四十七年の十二月に武田薬品から出している、これも返品拒絶の通達であります。続いて、四十八年一月、いわゆる三共から、これも同じ「三共品返品処理基準」を出しているのですね。こういうのは適正化指針に基づいて出されたものである、こういうふうに理解していいのかどうか、それをまずお伺いしたい。
  72. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 いまおあげになりました個々の会社の方針、文書は、必ずしも私どもが出した指針とは一致しておらないと思います。むしろ私どもが得ておる情報では、メーカーとしての出過ぎた、あるいは一方的なものがあったがためにトラブルが生じておると判断しております。     〔山田(久)委員長代理退席、羽田野委員長代   理着席〕
  73. 神崎敏雄

    ○神崎委員 適正なものでないという前提だったら、こちらもまた意見も申し上げ、質問の態度も変わるのですが、非常にこれは問題だと思うのです。  そこで公取委員長独禁法第二条の四から五までの間に書かれていることとこれとの関係についてちょっと御意見を聞きたいと思うのです。これは押し込み販売、それから委託販売、返品等を廃止することを規制しているのですが、実際は押し込み販売はやめさせないで、返品規制だけが主点になる、こういう形で指針が出ているのです。しかも、どれを見ましても、かつてビールがやったようなケースで、大製薬メーカーは一切の返品を認めない、あるいは返品する場合は全部ゼロ円で取り扱う、ただ廃棄だけはしてやる、こういうような形をとっているわけですね。こういう形から見たら、この独禁法の第二条の四の「相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもって取引すること。」五の「自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。」こういうことに全く該当すると思うのですが、委員長はこれをどう見ておられますか。
  74. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 薬の流通の適正化について、実は私はごく最近その話を伺い、詳細についてまだ検討いたしておりません。これからよく内容を検討したいと思います・要するに、流通の適正化をはかるという趣旨においては、つまりやや前近代的な方式であったものを適正なものに改めるという趣旨においては、私は抽象的にいってそういう方針は賛成だと思うのです。しかし「いま御指摘の件が、真にまず取引条件の適正化そのものを十分にはかった上で、それに伴って返品を拒否するということが許される、つまりバランスのとれたものである、取引条件を改めることによって当然返品を拒否してもいいという状態であるならばよろしいのですが、その点は……(神崎委員「違反するかどうかということです」と呼ぶ)ですから、違反するかどうかということは、事態をよく調べた上でないと申し上げられませんが、ただ単に返品拒否を一方的に行なっている、メーカーがそれをやっているとするならば、ほかの条件を改善せずに、ただ一方的に返品拒否だけをやったと仮定するならば、それは不公正な取引方法に該当することが十分考えられると思います。
  75. 神崎敏雄

    ○神崎委員 一貫して公取の姿勢というのはそういうふうに一般論にするのですが、少なくとも一年も二年も前からこういうことが起こっているのに、いま聞くのが初めてだ、こういうことにも問題があるが、特に出しているものには「医薬品は生命に関する商品であるため、何よりも品質が重視される必要があり、大量生産——大量販売によるコストの低下を重視するあまり品質上の問題を惹起するような事態は、さけなければならない。また、全国どこでも、いつでも必要な良質の医薬品が入手できるような体制を維持していく取引条件が要求される。」こういうようにいわれているのですね。そして一方では返品は認めない。そうすると、薬店や薬局の人たちはどういうことになるかといえば、あるいはわれわれ病気になったときに薬を買う一般の者はどういうことになるかといえば、返品は認めてくれないのだからできるだけ古いものから、そして価格の高いものから先に売っていかなければ薬店の運転資金が回らない、こういう形でどんどんと、言うなれば、相当古いかぜ薬——おかしな言い方ですが、薬がかぜを引いたやつですね、この薬がかぜを引いているやつを売りつけられて、価格も高いものを売りつけられて、結果としてあまりきかない、そういうことで回転をしていかなければならない、こういうような状態になるのです。しかも、そういうことを全部大メーカーが、いまあげた武田あるいは三共、中外というものは三カ月を切って、きちっと三カ月日三カ月日に全部薬店におろしているのです。それが用意ドンで始まっているのですね。そのために、いま薬局や薬店の人たちは、どんな形でこれに対する抵抗あるいは不満、抗議、陳情、これをやっているか、それは御存じですか。
  76. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 遺憾ながら私としてはそういうふうなことでトラブルが生じているということを承知しておりません。承知をしておれば、それは当然に調査しているはずであります。ですから、その点は、事実問題として私はいままでそういうトラブルがあるということを知らないでおりましたので、十分調べた上でお答えをしないと、メーカー側が一方的にそういうふうなことをかってにやり得るものかというふうにさえふしぎに思うくらいで、何らかそれに対する、いままでのやり方と違った販売方法をとっているからこうするというならわかるのですが、そうではなくて、それが関係なしにただ一方的に返品だけは拒否するということであれば、これは不都合千万な話でございまして、申すまでもなく不公正な取引に該当すると思う、こうお答えせざるを得ないわけであります。
  77. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それはまことにいい答弁をいただいた。返品だけが規制されて、その他規制されていないのですから、いま聞いたところだというならすぐこれを手に入れて、もしあなたがまだ手に入れられてないというならこれをお貸ししてもよろしい。これをお読みになって、いま御答弁されたとおりに、大製薬メーカーに、こういうきびしい、不当な、不公正な取引を直ちにやめさせるようにしていただきたい。と申しますのは、返品規制についてどういうことがいわれているかと言えば、製造後年月がたったものや不良品などをメーカーが責任をもって引き取ることは国民に対するメーカーの当然の義務であり、したがって、従来の商習慣として返品が行なわれてきたものである。返品処理基準が実施されることにより、実質的に返品ができなくなれば、何とかして売り切ってしまわなければならない。ここから受ける国民の健康上の悪影響ははかり知れないものがある。こういうふうに業者は言っているのですね。  先般どういうことが起こったかと言えば、時間がないので簡潔に言いますが、先般二百人くらいの全国の薬剤師の方々の代表が集まられて、そして国会の議員会館の一階に結集されて、各政党の代表がそこに呼ばれたのです。その二百人以上の代表は、薬剤師の免状を厚生大臣あるいはいわゆる主務大臣の前に行ってずたずたに破って捨てたい、何のためにわれわれは長年薬剤師という資格を取るために学校で学んだか、そして薬局を開いているか、最近はこういう形で扱われているためにどんどん商売ができなくなって、薬屋さんの三分の一は週刊誌を売っているのだ、また三分の一は化粧品を売っているのだ、あとは箱詰めやびん詰めの薬だけを売っているのだ、それが古くなってしまったらかえてくれないから、非常に非良心的だけれども、まず古いやつから、高いやつから先に、お客さんが来たら売っていかなければならぬような状態で、これはもう薬剤師としても良心的に商売ができないのだ、どこに薬店としての資格があるだろうか、また長年勉強してきてどうしてこういうことになるのだろう、これなら薬剤師、いわゆる大学などへ行ってそういう資格を取るために勉強などしなくたっていいのだ、チェーン販売人にしかすぎないのだ、しかも、こういうことで年間生産一兆円といういわゆる製薬大独占が一方的に思うままにこういうことをやる、そしてこういう薬屋を全部淘汰していくというようなやり方になっている。しかも、不公正な、いわゆる法に触れるようなやり方を公然とやっているのですね。これについてあなたは——何かまた次にどこかへ行かれるらしいのですが、こういう現状をどうお考えになりますか。こういう現状についてこれからどうしようとされるか、それだけ言って、行ってください。
  78. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 繰り返し申すようですが、その事実についてその実態をさっそく十分調査します。その結果によりましてしかるべき措置をとるつもりでございます。
  79. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いつもそういう答弁ばかりで、実態調査して、それでしかるべく対処すると言うのです。しかるべく対処するとは一体どういうことなのか。実態はここにあるのですよ。これはお持ちじゃなかったらあなたに貸してあげると言っているのです。あなたはいま私が申していることについて——薬剤師の方々の現実をいまあなたに紹介したのです。それが実態なんです。それをまたあらためてこれから調べてから善処するのですか。私が言っていることがほんとうならこうやりますということを言えませんか。調べてからまたいろいろ考えるのですか。どうです。
  80. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 公正取引委員会は、独禁法に違反するような行為、こういう事実があるというふうな申告に基づくとか、あるいは自分で職権で探知するということもありますが、そういう場合に、実態調査を十分に行なわないで直ちに判断を下すということは、われわれのやり方としてはいかにも不適当でございまして、やはりその場合においては、たとえばメーカー側を呼びまして、どういうわけでそういうことをしたのかということも聞いてみる必要がございます。メーカー側の言い分と、それからそういうことによって不都合な不公正な扱いを受けたとするものとの両方の意見見解を聞いて、実態を調べて、そしてこれは明らかに不公正である、こうなれば、その事実、その不公正な取引をやめるようにするわけです。差しとめを命ずることができますから。不公正な取引については、そういう事実がある、不公正であると認定されぬ限り、それは私どもとしても独自の調査をした上でなければやらないというのがあたりまえではないかと思うのです。ただ、ここで承って、調査した上でしかるべきということは、もし不公正であれば、その事実は差しとめます、こういう趣旨でございます。
  81. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それじゃ行ってください。  そこで、先ほどから公取委員長に対して、あるいは現状をほんの一部分ですが、ここで申し上げておるのを通産大臣お聞きだと思うのですが、こういう現状は、通産大臣はどういうふうにお考えであるか。
  82. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 消費者本位の立場に立って、低廉で、そして安全、衛生上かなった薬品を供給する、そういうことを私たちも実行していきたいと思います。いまも、公取委員長がお答えになりましたが、公取委員長との間も調整いたしまして、いまのような趣旨に沿った方向で行政指導もしていきたいと思います。
  83. 神崎敏雄

    ○神崎委員 もう一言、通産大臣に申しておきたいのは、われわれの生命に関係のないものでも、流通過程で破損したりあるいは古くなったりするものは、卸やメーカーは交換する。これは一般の商業慣習でもあり、事実やられていることですね。ましてや命にかかわるような薬品をもう一切引き取らない、返品をする場合はゼロ円扱いだ、そして廃棄をするというだけがメーカーが責任を持つ、こういう一方的なことがいわれてきたから、薬剤師、薬店の諸君は立ち上がって、これの取りやめ方をいま運動しているのです。  いま大臣がそういうふうに言われるのですから、これ以上のことは申しませんが、国民の命にかかわるような性格を持ったものですから、いままでの商社の買い占めやいろいろなこともたくさんありますけれども、特にこの問題については非常に重要だと私は思うのです。というのは、命にかかわる問題ですから、少なくとも公取とよく相談をされた上で、一日も早くこういう不当な一方的なやり方はとめるべきだ、こういうふうにきびしくやっていただきたい、そのように思います。  以上でやめます。
  84. 羽田野忠文

    ○羽田野委員長代理 近江巳記夫君。
  85. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどの医薬品の問題ですが、これはいま全国の薬局店で非常に大きな問題になってきております。こういう通産省の指示のところに医薬品をなぜ入れたのですか。普通の商品とは全然違うわけです。なぜこういう医薬品というものを中に入れたのですか。まずその点から一ぺん聞いてみたい。
  86. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 先ほども申し上げましたが、流通秩序の近代化のために各種商品を取り上げます際に、医薬品は国民の生命に関係する、医療に関係する特殊の商品である、そうして長い間にいろいろな慣行が積み重なってきております。  私どもの観点からそれではすぐ直せないかというような点だけを一、二申し上げますと、先ほど神崎先生も御指摘のように、長い間返品の慣行が続いております。そうすると、その返品も、ものによって輸送中に中身が減ったもの、あるいは器のこわれたもの、あるいはすでに有効期限を過ぎたもの、こういうものは当然小売店としては返すなり何なりして処分せねばならない。さらに進むと、今度はメーカーが小売店に大量に押しつけて、これは新薬でございますが、非常にいいからとにかく置いてくださいというので、売れる売れないは関係なしに大量に小売店に置く、小売店のほうはいつでも返品できるからというので、マーケットなりお得意さんも調べずに、とりあえず引き受けておく、こういうような慣行もございます。  その際に、内金として幾ら払うか、現金なら幾らまけるか、こういうことがばらばらで、メーカー、卸、小売りの間にございまして、そしてそれならば返品を受けるメーカーはそれだけ小売りにサービスしているかといいますと、それが言ってみれば全部薬の値段に入っておるわけでございます。それでは返品をやめて、きちっと常備薬が要るだけ小売店に流れて買ってもらえるということであれば、マージンも安くなって、薬の値段も安くなる、こういうことができないか等々、一、二の例を申し上げたのですが、積年の間に慣行の積み重なった一つの商品として、取引条件適正化の対象に選ばれたわけでございます。
  87. 近江巳記夫

    ○近江委員 その商品に通産省は指定をした。ところが、医薬品メーカーは返品は受け取らない、そういう非常に飛躍した方針を打ち出してきた。通産省が目ざしておったそういう改善をしなきゃならないというか、そういうようなところに対しての何らの手も打たず、結局ストレートに返品は受け取らない、これは全くけしからぬことですね。医薬品というのは、ほかの商品とは全然意味が違うわけです。いまでも日本は、医者の使う薬と一般薬店で販売しておる薬をトータルしますと、世界じゅうで一番薬を使っているわけです。これはいま健保の法案も出ておりますし、どんどん審議をやっておりますけれども、そういう一つの背景がある。返品がきかないとなれば売らなければどうしようもない。どんどん売りつけるという悪影響も出てくる。古いものを使えば、またそこに大きな薬品公害も起きてくる。これは人命、健康に重大な問題になってくる。だから、この返品という問題は大問題なんですね。しかも、通産省は、いまのあなたの説をそのままとれば、こういうふうにストレートに返品がくるということについては、局長としてあなた自身も、ほんとうに筋違いの話であり、けしからぬことである、このようにはお思いなんでしょう。その辺はどうなんですか。その辺のまずあなたの一応考え方をお伺いしてみたいと思うのです。
  88. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 最初にお断わりいたしますが、薬はとにかく国民の健康に直結いたしますので、そして厚生省が薬事法という法律によってきちっと規制しておりますので、私どもが取引秩序の適正化を取り上げました際も、薬事法によるきちっとした姿が前提でございます。したがって、かりに返品をメーカーが認めないから悪い薬、古くなって有効期間が過ぎた薬を患者に押しつけるなんということは、これは取引秩序以外のことでございまして、薬事法できちっと守ってもらうということでございますが、御質問の点につきまして、私のほうの率直な意見を申しますと、私のほうの指針は、返品について適正なルールをつくってほしい、それはメーカー、問屋、小売りがよく話し合わなければならない。たとえば先ほども申し上げましたように、当然返品しなければならないもの、これは従来の慣行どおりでいいではないか、それから、もしも新しい薬品で押し込み販売等をやめるために返品もやめようというのであれば、それは国民が薬屋さんにかけ込んだときにいつでも常備薬として適量はあるようにするためにはどうしたらいいかということ、それから、その品物について返品をやめるならば、当然値段なりはその分は安くしなければいけない、そういうことを話し合いによってきめた上でやるべきである。  取引秩序につきましては、原則として私どもは当事者間の契約、合意を中心にしておりまして、通産省も、これは医薬品だけじゃございませんが、全般的に、マージンは何%でなければいかぬ、あるいはこういう数量と価格でなければいかぬということはやらない原則でございます。したがって、われわれの指針といいますのも、こうしたらどうかということに基づいて当事者間でそういう問題を話し合った上できめるべきだ。先ほど神崎先生もおあげになりましたが、去年からことしにかけて四つのメーカーがやってきましたそれぞれを見ますと、特にその一社などにおきましては、十二月にみずから大量に一種の押し込み販売をした形跡もあるようでございますが、その直後に返品廃止の方針をきめて、そしてそれを一カ月もたたないうちに実施したい、こういうようなことのようでございまして、これは私は反対でございます。
  89. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま局長も言われたように、そういうような話し合いも何の煮詰めもなく、一方的に返品は受け取らない、このようないまの大薬品メーカーのあり方というのはほんとうに許せない行為だと思うのです。薬というこの特殊性、薬品メーカーの監督は厚生省がやるけれども、販売の点になってくると、取引秩序等の関係もあるということで通産省が持っておる。この両省にまたがっておる。これは普通の商品とは全然違うわけですね。これは行政に非常に矛盾があると私は思うのですよ。だから、これは当然一元化をして、厚生省なら厚生省がほんとうに最後までその責任を持つ、そういう形をとらないと、結局そういうところにこういう問題が出てきた一つの大きな背景があると思うのですよ。こういうような問題について関係両省で話し合われ、政府として何らかの今後のそういうようなめどというものを立てているのですか。このままでずるずる厚生省、通産省両省でいまのような状態でいくのですか。また、こういう問題が幾らでも起きてきますよ。ほんとうに国民の健康を守るためにどうすればいいか、それに一番根本を置いてもらわなければいけませんよ。その点、行政のあり方についてどう思われますか。
  90. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 四十七年の三月に指針をつくりました際も両省相談してやったわけでございまして、今後も薬事法その他厚生省の権限に属する部面はむしろ厚生省のほうが主体でございます。私ども一般指針をつくります関係で厚生省と相談しながらやってきたわけでございまして、厚生省の方も来ておられますので、御答弁いただければと思っております。
  91. 吉村仁

    ○吉村説明員 お答えいたします。  医薬品の取引条件の適正化の指針につきましては、私どもも、この作成の段階におきましては通産省から御相談にあずかっておるわけでございまして、基本的な考え方としてはもっともである、こう私どもも考えております。  しかしながら、医薬品の流通過程におきましては長い間の商習慣となっておりますいろいろな問題もございますので、かりに流通の近代化という面から、やるにいたしましてもできる面から関係者の話し合いによって無理のない点から少しずつ実施していくのが具体的なやり方ではないかというように思っております。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 厚生省もそのように十分な話し合いの上でやっていかなければいけないと言われるが、それが行なわれていないのですよ。行なわれずにそういうことを一方的に言ってきている。これの弊害については、しろうとのわれわれが考えてみたっていろいろな点が考えられるわけですね。それは、古いものも押しつけてくる、あるいは返品がきかないとなれば、売れるか売れないかわからないような薬はもう置かないでおこう、そうすると、その患者はここの薬局に行ってもない、ここの薬局に行ってもない、それじゃ間に合わぬわけでしょう。そういうようなこととか、いろいろなことが起きてくるわけですね。この弊害については、皆さん専門ですから一番よく御承知なわけです。いずれにしても、今回の大メーカーのそういう一方的な返品処理の押しつけということは許せないことです。公取委員長も、先ほどそれについては調査をして疑義があればすぐにやめさせるということを言っておりましたが、もうそういう押しつけに対しては調査をしてから処置をするということではなくして、とにかく即刻中止させる、その上で公取調査をして、そしてさらにその中止をそのまま決定をする。とにかくこれは即刻やめさせるべきですよ。これについてどう思いますか。厚生省、通産省、そして大臣、ひとつお伺いしたいと思います。
  93. 吉村仁

    ○吉村説明員 今回の返品の問題につきましては、昨年の末からいろいろメーカーとそれから小売り段階の間でトラブルがあったわけでございまして、現在のところ、先ほどあげました武田、三共、中外の三社、みな返品の問題につきましては一応白紙撤回をいたしまして、返品規制ということはおさまったわけでございます。  先ほどからいろいろお話に出ておりますが、必ずしも今回のメーカーがやりました返品規制の問題は、通産省がさきにお出しになりました適正化指針と直接に結びつきまして、通産省のほうで、そういう一般的な適正化指針ができたから、それに基づいて返品規制を各社がやったというようなことではないというように私ども聞いております。そういうことから、各社あるいは小売団体のいろいろな団体がございますが、それとの話し合いにおきまして、一応、現在のところ白紙撤回にする、こういう経過に相なっております。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなた、白紙撤回にいまなったと言っていますけれども、これは各薬局がものすごい抗議をしたわけですよ。それで、やむを得ず撤回したんです。何も行政府から一応やめろと皆さんから出して、白紙撤回したのと違いますよ。しばらくそうしておるだけですよ。おりを見てまた出してきますよ。それはとにかく政府が即刻やめなさい、その上で皆さんもいろいろな判断をして、先ほど申し上げたように中止の決定を正式に打ち出せばいいんですよ。そうしなければ、そういう流通の問題よりも、国民の命や健康に重大な影響があるんですよ。何回も申し上げておるように、話し合いも一方的にやった、あらゆる点において、政府がとにかく中止命令を出すことについても、何の問題点もないと私は思うのですよ。しかも、この通産省の指針とこれとは結びついてないというようなお話ですけれども、そんなことはありませんよ。この指針があるから、これをバックにして取引の適正化といいますか、彼らに言わせればそうでしょう。そういう一つのことに基づいて、こういう措置をやっているんですよ。それは向こうは、それとは関係ないとかいうようなことが、いろいろなところからあなた方のほうにも意見が入ってきているかもしれぬけれども、指針が出たから、こういうことを言っているんですよ。これは重大な関係があるんですよ。だから、いずれにしても、今回のこの件については、そういう小売りの薬局の突き上げによって一応白紙撤回になっておるけれども、正式に、政府としてはとにかくこれは取りやめさせる、これを私はやるべきであると思うのですが、局長、どうでしょうか。
  95. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 私どもの入れております情報でも、三月の中旬には撤回をして一応白紙に戻したようでございますが、先生のおっしゃるように、何度でもまたおりを見て出してくるかもしれません。そこで、卸売業界の審議会も、取引秩序適正化の審議会もございますし、小売関係、薬局、薬店のいろいろな団体もございますし、私どもの基本方針は、適正なルールをつくるということで、積年の弊害があればそれを是正してほしい、しかも、それは話し合いベースでやってほしいということでございますので、そういうベースに乗るように指導いたし、前回と同じようにいきなり一方的に大メーカーが出して、一月後には実施というようなことはさせないようにしたいと思います。
  96. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、要するに、薬局等の意見を十分聞いて、今後、メーカーとの話し合い、いろいろなことをやっていかれると思うわけですが、いずれにしても、そういう話が煮詰まるまで、いま白紙撤回になっているけれども、政府としてもはっきりと、そういう通産省が当初言っておった中身を、また実際に話し合いも行なわれてないということにもかんがみて、正式にこれは取りやめさせるということをさせますね。正式にこれは言いますね。
  97. 吉村仁

    ○吉村説明員 メーカーのほうの返品規制のすでに出しましたものについては撤回しておるわけでございまして、今後そういう動きが出てくるかどうか、出てくるかもわかりません。経営の近代化というような意味から出てくる点もあろうかと思いますが、いずれにしましても、やはりある程度流通面におきます近代化というのは時代の要請でございますが、時代の要請だからといって、この間のようなやり方がいいかどうか、こういう点については非常に私ども疑問を持っておるわけでございまして、いずれにしましても、関係業界が十分話し合いをすることによって、流通過程の近代化というものが少しずつ進められていくというようなことに相なるのが一番適当であろう、こう思っております。
  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、皆さん方の話を受けたとしても、今後話し合いをするわけですよ。話し合いをしておるさなかであっても、こういう指針があって、そしてまたいつ出すかわからない、これは局長のいまおっしゃったとおりですね。そういう不安があるのですよ。ですから話し合いを今後やっていく上において、とりあえずそれは業者の自主的な白紙撤回ではなくして、政府としてこれは中止させる、それをはっきりさせますねということを言っているのですよ。そうでしょう。あなたは、厚生省は国民の健康を守る立場でしょう。取引の適正化であるとか、今日の流通問題であるとか、それじゃいまそういう返品を受け取らないということから起きてくる国民の健康に対する重大な弊害について、あなたは黙っているのですか。厚生省は、国民の健康の立場に立たなければだめじゃないですか。
  99. 吉村仁

    ○吉村説明員 返品の廃止ということが直ちに医薬品の品質を低下させ、国民の健康に非常に悪い影響をもたらすものであるかどうかという点については、やはりもう少し検討しなければならない問題だと思います。私どもは、いずれにいたしましても、医薬品というものは生命関連商品でございますので、その品質が十分保たれる、こういうような面から医薬品については考えていかなければいかぬ問題でございまして、単に近代化をする、その結果医薬品の品質がおかしくなる、こういうようなことがあってはならない、こういう観点から指導をしていきたいと思います。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、指導もいいけれども、いま言うように、そういうような心配もあるわけですよ。だから正式に政府として、話し合いが進んできちっとした結論が出るまで一あなた方の話を受けているわけですよ。受けたとしても、要するに、それまでは正式に政府として、そういう暴挙はやめなさいということを言うべきであるというのですよ。そうでしょう。そんな一方的なやり方をなぜ政府は肩を持つ必要があるのですか。
  101. 吉村仁

    ○吉村説明員 今回のやり方自体につきましては、私どもも決して肩を持っているわけではございませんで、ああいうやり方を今後繰り返すということになれば、私どもはもちろんメーカーを指導いたしまして、ああいうやり方はよせというようなことは十分やっていきたいと思います。
  102. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、十分にメーカーを指導してこれはやめさせるということですね。そうですね。話し合いも行なわれないうちに、再度出すような、そういうことができてきたら直ちに中止をさせる、こういうことですね。
  103. 吉村仁

    ○吉村説明員 十分話し合いをした上で実施をするか、あるいは撤回をするかというのは関係業界できめることでございますが、そういう話し合いが行なわれるまでに一方的にやるというようなことについては十分監視をしていきたいということでございます。
  104. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、監視をして、そういうことが行なわれるならばやめさせる、こういうことですね。そうですね。——もうちょっとあなた、はいならはいとそこで口があるのだから……。
  105. 吉村仁

    ○吉村説明員 そういうことでございます。
  106. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからこの医薬品を一般商品と同じように入れておる。ここに私は今回のような問題が出てきたと思うのですよ。通産省として医薬品をはずすなり、どうしてもそれができないなら、医薬品については別に何らかのそういうような対策というものを考えておられるわけですか。
  107. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 指針は物資別につくったわけでございまして、医薬品につきましては、厚生省と一緒に医薬品の取引流通近代化として取り上げたわけでございます。しかし、先ほど来のお話のとおりに、これは全くほかとは違った国民の生命関連薬品、そういうことでございますので、それなりに取引秩序をどうしたらいいかというのは、むしろほかの商品よりも流通問題としては大事な分野で、ほっておけない分野だろうと考えております。したがって、いま先生の御質問にじかに答えれば、私どもは取引秩序の適正化基準ということで幾つかの商品をあげておりますが、医薬品については、厚生省を中心とし、通産省が一般基準で相談に乗りながらやっておる全く別個の作業だとおとりいただいてけっこうだろうと思います。
  108. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、この「医薬品の取引条件適正化指針」を撤回するか、あるいは今回のようなこういう行為が出たということは、その指針自体が非常に抽象的なといいますか、そういう点も大きくあったと思うのです。ですから、そこにおいて薬局の、またメーカーのそういうような話をよく聞いて、あくまでも国民の健康を守る、そういう国民の立場、そして薬局の立場、そういうことを最大限に重視した立場に立って大幅に改正する意思はありますか。
  109. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 この医薬品に関する取引条件の指針、これはすでに四十六年から何回にもわたりまして薬局も含む関係者代表の御審議の上でできてきて、四十七年三月にきめたわけでございます。そして先ほど来具体例として昨年暮れのあの問題を御指摘になりましたが、これは私どもも先ほど申し上げましたように、適正でないと判断しております。  それでは、通産省が指導した指針そのものも適正でないかというと、私ども、指針は、たとえばその返品につきましては、返品について適正なルールをつくることという指針でございまして、今回あるメーカーがやったようなことを指針に入れたわけではございません。したがって、もちろんこれは私どものほうは基本的な根拠になる法律があったり、あるいはメーカー、薬局に対して権限があるわけでございませんので、指針も一つのガイドラインとしてそれを示し、かつそういう方向で話し合いをされるようというだけでございますが、今回の経験からまた反省し、再検討いたしますが、現在のところでは、指針そのものを変える必要はないのではないかと思っております。
  110. 近江巳記夫

    ○近江委員 大幅に再検討するということですね。しかし、私の希望としては撤回、そしてそれがどうしても無理ということであれば、いま局長が言われた再検討をして、そこは大幅に変える。これはいま表明されたわけですから、いずれにしても、こういう一つの指針というものがこれだけ大きなトラブル、また国民の健康に重大な影響を及ぼしていくような結果にもなるわけです。ですから、ひとつ行政当局はあらゆる場合省庁と連携を密にして、二度とこういうようなことのないように、指導監督というものを厳重にやっていただきたいと思うのです。厚生、通産両省にまたがる大きな問題でありますし、今後一元化していく問題であるとか、そういうような問題につきましても十分ひとつ検討していただきたいと思うのです。この問題について大臣からまとめて最後にひとつあなたの決意をお聞かせいただきたいと思うのです。
  111. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 医薬品というものは、御指摘のとおり特殊の商品でございます。人間の生命にも影響する大きなファクターを持っております。しかし、また一面においては、契約には契約の原則があり、取引には取引の慣習というものが日本の社会にはございます。それを全然無視することもまたできない。しかし、いままで政府委員との間に応答がありましたように、ある特殊の力を利用して不当な条件を押しつけるということは、独占禁止法の精神上からも考えるべき点が多々ございます。したがいまして、そういう不公平な扱いのないように、通産省といたしましても、厚生省と連絡をとりまして行政指導していきたいと思います。
  112. 近江巳記夫

    ○近江委員 この間、大臣は中東方面を歴訪されたわけでございますが、大臣が行かれることにつきまして外務省との間に一種の摩擦があったということもお聞きしておるわけですが、そういう点、非常に政府の不統一といいますか、そういうことを感じるわけです。こういう点については、大臣としてどのように思われますか。
  113. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 外務省との間に摩擦があったということは全然ございません。外務省は欣然として、喜んで私たちが行くのを送ってくれたわけです。と申しますのは、現地の在外公館からも非常に強い要望をもって私あるいは日本のしかるべき責任者の来訪を要請しておりまして、あそこにおける四カ国の大使がベイルートに集まってそういう意見具申まで本省にしてきておったのです。私らはそういう情勢も踏まえて行ったのでありまして、もしそういう情報が伝えられるとすれば全く事実無根の話であります。
  114. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、大臣が向こうのほうで石油消費国機構ができても日本は参加しない、そういう発言をなさったということは、各紙にも載ったわけでございますが、今月九日のワシントン・ポスト紙におきましても、中曽根大臣の発言を大きく取り上げて、石油資源の確保をめぐって何か日本はいたずらに石油の輸入競争を引き起こしておるのじゃないかという批判をしておるということが伝えられておるわけです。この問題をめぐって日米の経済関係に新しい摩擦が生じたのじゃないかというような指摘もあるわけですが、大臣としては、こういう問題に対してどのように対処なさるわけですか。
  115. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ワシントン・ポストにどういう記事が書かれておるか知りませんが、日本は、日本の主権の範囲内において自主的に日本生存の道を講じていく、しかも国際的に協調方針をもってやっていくということは当然なことであるだろうと思います。このいわゆる消費国同盟というものはどういうものか、われわれのところにはまだ内容も伝えられておりませんし、説明もございません。したがって、どういう内容でどういうふうにしてつくるかということもわからない状態のもとに、われわれが賛否を明らかにするということはなかなかできないことでありますけれども、私が現地へ行きました情勢では、先ほど来申し上げたような情勢のもとにあって、そしていまのような日本にとってマイナス点が生まれる、そういうことが現認されてきておるものでありますから、日本の国益及び将来の展望を考えまして、そういう考えを言ったのです。つまり、消費国連合というものについては、おそらくアメリカ側も新聞報道か何かで出たのであって、OPECの国に内面的に話し合いをしてないのじゃないと思うのです。だからOPEC側においても誤解もあるでしょうし、また、中身もわからないで不安感もあるだろうと思います。日本にもあるわけです。そういう正体不明のものについて、軽々に賛成などということは言えるものではありません。
  116. 近江巳記夫

    ○近江委員 予鈴も鳴っておるようでございますので、あと一、二点だけお聞きしたいと思います。  一つは、石油の備蓄の問題でございますが、ヨーロッパ各国におきましても、九十日程度のそういう備蓄をやっておるようでございます。わが国としても、石油問題はもうたいへんな問題でございますし、備蓄をもっとできるような、そういう体制をとるべきだと思うのです。この備蓄についての大臣の構想をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  117. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いまたしか、大体四十五日分ぐらいの備蓄があると思いますが、これを六十日にできるだけ早い機会にふやしていこうというのがわれわれの考えでございまして、そのためにいろいろ財政投融資あるいは金融関係、そういう方面からもめんどうを見ていかなければならないのではないか、こう思います。
  118. 近江巳記夫

    ○近江委員 ココムの問題でありますが、中国で今回そういう展覧会が行なわれるわけですが、四十八品目ひっかかってくるということでございます。日中の国交も正常化された今日、この辺の努力といいますか、これがないと、私は非常にまずいと思うのです。その点、大臣としての今後の対処をお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  119. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ココムのリストの緩和につきましては、われわれは国際緊張緩和の情勢から見ましても、できるだけ早くこれを緩和する、そういう方向でいままでも努力してまいりましたが、今後もさらに強い努力を実行してまいりたいと思います。
  120. 近江巳記夫

    ○近江委員 これで終わりますが、いま具体的に四十八品目があがっておることは大臣も御承知のとおりであります。この問題についてはどうされますか。
  121. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは関係国と協議しなければ合意に達することができませんから、関係国を説得いたしまして、できるだけ品目数を減らしていくようにしたいと思います。
  122. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  123. 羽田野忠文

    ○羽田野委員長代理 次回は、来たる十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十四分散会