○
宮崎(仁)
政府委員 確かに
法案の書き方としてはどうしてもそういうふうな抽象的な表現にならざるを得なかったわけでございまして、恐縮でございますが、そこに書いてある
二つの趣旨、つまり
現代の
経済社会の諸問題、言ってみれば、
現代先進社会の諸問題ということがよくいわれておりますが、そういった問題として、たとえばクリステンセンの
報告書であるとか、あるいは最近における
ローマクラブ、
マンスホルト委員長の
報告とか、そういったことが問題として出されておるのは御
承知のとおりだと思います。
さらに、
国民生活の問題というと、これまた非常に広範でございますが、言ってみれば、第一の
課題と非常に密接でございまして、
わが国がこれだけやはり豊かな
社会になってまいりますと、いままで私どもが追い求めてきた貧困の解消とか、あるいは
完全雇用とかいうことは達成できたのでありますけれども、その反面、たくさんの問題が出たということは御
承知のとおりでございます。そういうことを解明していこう、このためには、
経済学とか
社会学とか単一の学問ではなかなかやっていけない
分野というのが非常にある。それがいわゆる「
専門的知識を結集して」ということが書いてある点でございます。
具体的にはどんなことが考えられるかということでございますが、たとえば、よくいわれておることですが、
価値観の変化に対する対応というような問題について、結局物的な
価値観から多様な人間的な欲求といいますか、そういう問題に対応していかなければならない。そのためには
市場システムというようなものをどうするとか、あるいは
社会におけるルールをどうするかというような非常に大きな基本的な問題がございます。あるいは
環境資源といいますか、
環境と
成長の問題、こういうことも非常に大きな問題でございまして、これは
内容の御
説明は要らないと思います。それからさらに物的な
資源と
成長の問題、これも
ローマクラブ等で
指摘されておるような問題があるわけでございます。
さらに、
巨大開発の停滞と
高級技術者の失業問題というようなことがいわれておりますが、これは主として
アメリカでの問題でございまして、
わが国ではこんな問題はあまりありませんが、しかしこれから生じてくる
可能性はございます。
大学院卒業の学生の
働き先をどうするかという問題が
わが国でもだんだん問題になってきておるようでございます。
それから、現在非常に大きな問題になっておりますインフレーションの問題、こういう問題も
経済問題として取り扱われておるわけでございますけれども、一歩突っ込んでいくとあちらこちらの
分野に非常に大きな
関係を持ってくると思うのでございまして、それも
一つの問題であろうと思います。
さらに、都市問題とか、
地域社会形成の問題、
地方中核都市のような問題でございますが、こういうものについても新しい
システムを応用して
研究をしていく必要があるんじゃないか、あるいは余暇と教育の問題とか、そういったような問題がいろいろ出されております。
さしずめの問題としては、たとえば石油の問題を
中心として、
環境資源、人類の文化というようなことに
関連して相当広範な
研究をやってみたらどうか、こういう
提案がいま出されておりますけれども、実際にどうするかは
機構が発足してからの問題である、こういうことに考えております。