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森嶋参考人 森嶋でございます。
本日、諸
先生方お忙しいところ、私たちの
意見を聞いてくださるということで、厚くお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
それぞれの
立場からいま
意見の発表がなされておりますが、私は
労働組合の
立場から、職場を守るという点から
意見を申し上げたいと思います。したがいまして、いま御
意見を求められております二
法案の
考え方は一番
最後に申し述べさせていただきたいと思います。
まず、
金属鉱山は、ただいま
原口委員長の話の中にもありましたように、
国際相場で
銅価がきめられておるという、この
価格の低迷がこの一年間ばかり続いてまいりました。それから一昨年の大幅な円の切り上げ、これによっても昨年度は大きな
打撃をこうむっております。こういった悪条件が重なりまして、四十七年度中の、昨年の
休閉山は四十数
鉱山、こういうように続出をしておる状態にあります。
特に従来と異なった特異な点と申しますのは、別子あるいは生野、足尾、尾去沢、最近においては日立という
著名な大
鉱山が休山もしくは縮小のやむなきに至っておる、こういう現状にありますことを御認識いただきたいと思います。
これはまさに私たちから言いますならば、職場をとられるという危急存亡のときと言っても過言ではありませんし、このような重大な局面を迎えたときに、今回の円のフロートへの移行という問題は文字どおりダブルパンチ的なショッキングな問題でありまして、働く
労働者に将来の希望を失わしめておるというのが現状でございます。
通貨調整問題につきましては、それのみならず
国内鉱山の将来の展望、こういった問題を困難にしておることは事実でありまして、
内容を若干申し上げますと、ドル建てで買鉱条件を設定しておる、そういう面から来る実質的な低下、これは
鉱山、製錬ともに影響を及ぼしまして壊滅的な
打撃を与えておるというのが現状でございます。そこで、このまま推移をしていくということになりますと、年間に銅が九十七万トン、亜鉛が七十七万トン、鉛が二十三万トンという
国内需要に現在こたえておるわけでありますけれ
ども、こういった
安定供給が期せられなくなるのではないか、こういう懸念も一方ではされておりまして、
産業政策上もきわめて重大な問題でなかろうか、こういう判断から私たちは現在積極的な陳情活動を実施中でございます。
円の切り上げの影響について
参考例として申し上げますと、銅、鉛、亜鉛、これが初年度において三百七十八億、次年度においては二百二十九億、ニッケルが百二十四億四千万、次年度は八十二億五千万、その他として初年度六億九千万、次年度六億、合計いたしまして初年度五百九億三千万、次年度から三百十七億五千万、こういった数字が円の切り上げの影響としてあげられております。したがいまして、
政府と国会にお願いしたい点は、
金属鉱山の
産業政策上の位置づけ、これをひとつ明らかにしていただきたいというのが私の第一点のお願いでございます。このことによりまして位置づけが明らかになれば、先ほど
原口委員長が申されましたような諸施策がなされていただけるものと考えまして、
金属鉱山の位置づけについて御要請をしたいのでございます。
それから次に、探鉱の問題について御要請申し上げたいのですが、
資源開発に積極的な
助成をお願いしたいということは、先ほど来から言われておりますように、
国内鉱山の育成は、
鉱物資源の
安定供給という面だけではなくて、地域経済の貢献度は歴史が証明しておるところでありまして、大いなる貢献を示しておるものと私たちは考えております。
また、
国内鉱山を存続させてもらいたい、また、われわれもその意欲に燃えておるという第二の大きな点は、海外
鉱物資源を
確保しなければ日本における
非鉄金属の需要にこたえることができない。そのためには技術、買鉱交渉力の維持強化、こういったものが絶対必要条件でありまして、現在国会で
資源問題が云々されておるときに、国の方針にも沿う唯一の道である、こういうふうにも考えておるわけであります。
油の問題として、産油国の一方的な
価格の押しつけというか、OPEC問題が出ておりますけれ
ども、銅のCIPEC問題も大きな問題として今後われわれ日本の
金属鉱業には投げかけられてくるのではないか、こういう感じもいたします。これは今日的な課題として要請されておるところでありますから、何としても、この問題を
解決するためには、
安定供給源としての
国内鉱山の位置づけというものは絶対に必要だということを強調しておきたいと思います。
そういった努力といいますか、そういうものが現実にあらわれておるかということになりますと、現にマレーシアにおきますところのマムート
鉱山あるいはアフリカに
開発されておりますザイール
鉱山、特にアフリカは五百数名の
労働者を派遣して、まさに民族資本として
開発しておる
鉱山でありまして、探鉱の問題がこのような
国内外を含めての成功例がありますけれ
ども、これも一にかかりまして、先ほど申し上げましたような高い技術を温存しておる、こういう面から、こういった海外
資源の
開発ができるのではないか、かように考えておるわけであります。
以上のような大きな目的のためにも、
国内鉱山を積極的に
助成していただきたいと思いますけれ
ども、現在の探鉱の諸制度、これは逐年やっていただいておりますけれ
ども、それでは探鉱がおぼつかない。したがって、次から次と
鉱山が閉山をしておるという現状でありますので、抜本的な探鉱費の増額、こういう問題をこの
機会にお願いしておきたい、こう考えておるわけであります。
日本は狭いとはいいながら、まだまだ
資源はさがせばあるのではないか、こういうふうに私たちはしろうとなりには考えておりますけれ
ども、年々計画されておりますその計画がなかなかわれわれが思うように実行できないということで、積極的な
助成策を一段とお願いするところでございます。そして長期的な展望に立った
資源政策なりをしていただきまして、われわれの職場を守り、また、日本における
安定供給源の
確保ということもぜひはかっていただきたい、こういうことをお願いしたいと思います。
次に、今回われわれに
意見を求められております
鉱害二
法案の問題について言及いたしますが、
政府の積極的な
姿勢に対して私は高く評価いたしたいと思います。そして、原則的な
立場に立ってはこれを
理解しております。
ただ、この
機会にあえて問題点を申し上げさせていただきたいと思いますのは、まず一つは、
融資ワクは全額にしてもらいたい、こういう希望を持っております。
それから積み立て制度ではなく
融資制度として、これは
特定施設に関する
鉱害防止積立金の問題ですが、やってもらいたい、理由はあとで申し上げます。
それから三番目といたしましては、将来は国の
助成についても考慮願いたい。その理由といたしましては、
鉱害防除については、もう世論の声を待つまでもなく、われわれその業に携わる労使の
立場としては、第三者に迷惑のかからないような対処策をとろうということで現在までもやってまいりましたし、そういう
責任があるという認識に立って努力しておるわけでありますが、いかんせん、先ほどから言われております
蓄積鉱害の問題等を含めまして、その
費用は膨大な数字にのぼっております。
法案の中で解説として通産省のほうから出されております数字を見ましても、
鉱害防止のための事業総量が三百五十二億七千万円、こういう数字があげられております。その中で、
鉱害防止義務者がいない場合、これは八十八億ですが、
鉱害防止義務者が存在している場合二百六十四億六千万円、こういう数字があげられておりまして、これからの問題につきましても、休廃止に支出される
鉱害対策費というものは膨大なものが予想されておるわけであります。
こういった問題は、
企業の問題として単に私たちは見のがせないということは、これらの問題が
融資にせよ何にせよ、間接的には
労働者の労働条件として圧迫されておるということは事実でありまして、この問題を
労働組合の
立場から申し上げて善処を願いたい、こういうことでありますけれ
ども、そのためには、先ほど申し上げました三つの点について今後の御
配慮をいただきたい。
それから通常の
操業時、これにも個々の問題についてこれらの
費用を営業費として出していかなければならない問題は当然のことでありまして、それらの問題を含めますと
相当量の金が必要となってくるのではないか、こういうふうに考えられております。ぜひ御
配慮願いたい点でございます。
最後に、
労働組合として現状について訴えたいことでありますが、それはわれわれの労働条件についてでございます。坑内労働という地下
産業の悪条件下にありまして、全般的には時短、定年制、こういった
一般産業が享受できるような条件は現在何一つ存在しておりません。こういう恵まれない環境にございます。この点はぜひ実態について御調査願いたいと思うわけであります。
それから、これは一つの傾向として申し上げたいのですけれ
ども、昨年末の期末一時金、全
産業平均で十九万六千円、最高額は三十五万九千円、最低額が十三万五千円の中で、
金属鉱山に支給されております期末一時金は十四万三千円という低額のものでございます。それから四十七年度の獲得いたしました春闘分を含めました額は、平均では七万五千円、これは給料のほうですが、一番高くて電力の八万九千円、
金属鉱山は坑内労働をしておるという面を見ましても七万八千円という数字になっておりまして、しかも時間外は平均の十七・四時間に対して二十三・七時間というふうに多くなっておりますし、稼働日数も二十二・八に対して二十三・四という
状況下に置かれておりますことも御
参考までに申し上げまして、特段の御
配慮をいただきたい。
以上をもちまして私の
意見といたします。