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1973-03-07 第71回国会 衆議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月七日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 浦野 幸男君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 田中 六助君 理事 羽田野忠文君    理事 山田 久就君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君       愛野興一郎君    天野 公義君       稲村 利幸君    小川 平二君       越智 伊平君    大久保武雄君       木部 佳昭君    小山 省二君       近藤 鉄雄君    笹山茂太郎君       塩崎  潤君    澁谷 直藏君       田中 榮一君    戸井田三郎君       西村 直己君    林  義郎君       渡部 恒三君    岡田 哲児君       加藤 清政君    加藤 清二君       上坂  昇君    佐野  進君       竹村 幸雄君    渡辺 三郎君       野間 友一君    近江巳記夫君       松尾 信人君    玉置 一徳君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       塩川正十郎君         通商産業省重工         業局長     山形 栄治君  委員外出席者         通商産業省重工         業局機械保険課         長       宮野 素行君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   島村 一郎君     愛野興一郎君   田中 榮一君     渡部 恒三君   西村 直己君     戸井田三郎君   松永  光君     林  義郎君   近江巳記夫君     岡本 富夫君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     島村 一郎君   戸井田三郎君     西村 直己君   林  義郎君     松永  光君   渡部 恒三君     田中 榮一君   岡本 富夫君     近江巳記夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  機械類信用保険法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二六号)  総合研究開発機構法案内閣提出第五七号)      ————◇—————
  2. 浦野幸男

    浦野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出機械類信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。渡辺三郎君。
  3. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それでは、昨日に引き続きまして、御質問を続けます。  昨日は、税法上の問題につきまして二、三の点を御質問申し上げたいということで、貸し倒れ準備金の問題についてお伺いしたわけでありますけれども、さらに一、二点について、この問題で申し上げたいと思います。  まず、償却の問題について、現行税法上問題はないかという点であります。  現行税法では、主として産業保護育成並びに特定効果を与える政策的見地から、特別償却割り増し償却を認めておるわけであります。しかも、それがリース関連の深いものが非常にたくさんあると思います。たとえば、租税特別措置法の四十三条から四十六条まで、さらにまた同施行令の二十八条の一から二十八条の五まで、それぞれ特別償却あるいはまた割り増し償却等について並べておるわけでありますけれども、リース期間がかり法定耐用年数と同じような場合、こういうことは例としてはあまり数多くはないと思いますけれども、しかしそうなった場合には、やはり大きな問題があるのではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。つまり、ユーザー立場から見ました場合には、同じ機械を利用するにいたしましても、借り入れ金を起こしてその機械購入すれば税法上の恩典を受けることができる、しかし、リース契約によって使用する場合にはその恩典が得られない、こういうふうなことになっているのが現在の税法上の矛盾だというふうにいわなければならないと思うのです。  リース会社にとってみましても、自己合理化のためにこれを取得するわけではありませんから、この特別償却あるいは割り増し償却というものはもちろん受けることができません。しかし、実態を考えてみますと、これは通産省も言われておりますとおり、こうした機械というものは、いわゆる所有することによって合理化に役立っているのではなくて、利用することによって具体的には合理化に役立っている、こういうふうになっていると思うのです。ですから、どうしてもこういう点を考えた場合には、償却方法に特例を設けることが本来必要なのではないか、リース業の発展というような観点からいってもそれが当然なのではないか、このように思うわけであります。結局そうすることによってリース料にそれが反映をしてユーザーに還元される、このようになると思いますから、この点、私はやはり少し現行税法矛盾があるのではないかと思うのでありまして、この点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  4. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、特別償却、現在租特法でいろいろな場合が認められておるわけでございますけれども、これは先生がいまお話しのとおり、特定産業合理化という観点から認められておるわけでございます。  リース会社は、これもいま先生指摘のとおり、自己合理化のために取得するものではなく、現時点におきまして、リース業というものが合理化業種の中に入っておらないことも事実でございます。したがいまして、現実にはリース業者には租特法に基づく特別償却は適用されておらないわけでございます。  一方、現実リース期間を見ますと、法定耐用年数よりも短いのが通常でございますが、かりにリース期間法定耐用年数と同一の場合、ユーザーは、これも御指摘のとおり、特別償却等恩典を受け得ない状況になっております。確かに問題の一つだと私思うわけでございますが、リースの場合におきましては、リース料支払いユーザーにとって非常に大きな問題でございまして、特別償却等が適用されておりますと、ある意味では初期に多額のリース料支払いあとのほうで低額のリース料を払うというトップヘビーのようなリース料支払い形態になることも当然だということになりまして、ユーザーにとりましては、むしろリース機械購入使用いたしまして、均等にリース料を支払うほうが事業の運営上望ましいということを希望しておりますユーザーもありますことも当然でございます。ユーザー側から見まして、両者どちらが有利であるかということにつきましては検討を要する問題だと思います。  このどちらの形態が真にユーザーである中小企業にとって実質的な利益であるかということは、今後慎重に検討しまして、もし先生の御指摘のとおり、リース料の問題も含めまして、ユーザーから見ましても特別償却等の問題がありましたほうが有利であるということでございますれば、今後の税制の一つ改正点であろうかと思いますが、いずれにしましても、制度の発足を見まして、しばらく全般的なユーザーの声もつかんで今後考えていきたい、こう思っておるわけでございます。
  5. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それでは、この税法上の問題でもう一つだけお伺いをしたいと思います。  いま私、御質問申し上げましたのは、リース期間法定耐用年数と同じ場合を想定した場合にこういう矛盾があるのではないか、こういうふうに申し上げたのでありますが、いま申し上げる問題は、賃貸借期間リース物件法定耐用年数から見まして著しく短く定められた場合、普通は法定耐用年数よりもだいぶ短いというふうになっていると思うのですが、それが著しく短く定められた場合、しかも、その賃貸借期間中に支払いを受けるリース料の額の合計がその所得に要した費用相当部分に達するような場合に、現在の税務署が実際に行なっております内容——私の調べた範囲内では、減価償却の問題にも関連するわけでありますけれども、現在の税法上では、リースにとっては必ずしも有利に解釈をされていないのではないか、こういうふうな危惧を持つわけであります。  しかし、現在税務署が実際に行なっているのは、私がいま指摘するような内容にはなっていないのじゃないかという見解もあるようであります。ですから、これは税務署課税あるいは取り扱いがどのようになっているかという点では若干見解が違うかもしれませんけれども、ひとつそういう点で違えば明確にしていただきたいと思うのであります。  言いかえれば、実際の耐用年数よりもずっと短い期間中に物件購入原価の大部分リース料で回収する場合、この場合には税務署取り扱いというものが損金でそれを全部落とすということを認めない、否認をする、このような課税実態になっているのではないかというふうに思うのです。ですから、この取り扱いがいま私が指摘したような形で行なわれているかどうか。それから、もし行なわれているとすれば、これは実態にそぐわないのではないか、こういうふうに思いますので、その辺はひとつどのようにつかんでおられるか、お答えをいただきたいと思います。
  6. 宮野素行

    宮野説明員 御説明申し上げます。  ただいま御指摘のようなリース期間が短いものでございますが、わが国リースの場合には、どんな短いものでも三年以上でございまして、それよりもさらに短いというものはほとんどない実情でございます。したがいまして、三年以上のものについてでございますが、この場合のユーザーサイド税法上の取り扱いでありますが、原則といたしましては、税務署支払いましたリース料をすべて損金として認める扱いになっております。ただし、ごくわずか例外がございます。例外と申しますのは譲渡条件つきリースのように、リースといいながら実際は譲渡実態を持つもの、また一部の物件、たとえばサイロであるとか、エレベーターのように、リースされた物件が、実際にはこれは長期でございますが、長期に使われまして譲渡と変わらないような経済効果を持つもの、こうしたごく一部の例外につきましては譲渡とみなされまして、リース料全額損金に算入されることを認めないという扱いになっております。
  7. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いま課長がおっしゃいました、たとえばエレベーターの場合であるとか、あるいはサイロの場合は、確かにいま御指摘のように、損金算入をそのまま認めない、事実上の譲渡とみなす、こういうふうなことが税務当局でも明確なようです。  重ねてもう一回この問題について念を押しておくといいますか、そういう立場でお聞きをしたいわけですが、私が申し上げましたように、賃貸借期間リース物件法定耐用年数から見て著しく短い場合ですね、実態としては大体三年から五年あるいは六年程度が実態になっておるのは私どもも知っております。知っておりますけれども、しかし税務当局考え方は、いま言いましたように、法定耐用年数よりも著しく短い、こういうふうな場合に、しかも、もう一つ条件としては、この短いリース期間中に購入をした物件にほぼひとしい額が全部支払われる、こういう場合には、損金算入は認めないのだというのが税務当局原則ではないか、むしろ現時点における原則をそう考えているのではないか、こういう点を私は危惧するわけです。  そうしてまた、私がこれまで聞いたり、あるいは調べたりした範囲内では、何かそういうふうな危惧を非常に強く私は持ちます。ですから、単にエレベーターとか、あるいはサイロの場合のみならず、いま言ったような条件の場合には損金算入を認めていないのではないかと思う。もう一回その点はひとつ明確にお答えをいただきたいと思っているわけです。
  8. 宮野素行

    宮野説明員 先ほどは実態について申し上げたわけでございますが、税務署考え方の基本についての再度の御質問ではないかと考えるわけでございます。  私どもあるいは不勉強でございましたら申しわけないと思うわけでございますが、従来国税庁から聞いております限りでは、ただいま先生指摘のような二つ条件、すなわち非常に期間が短い、それでなおかつその期間内に機械代金が全部リース料として支払われる、この二つ条件を満たすものについては、むしろリース料全額損金算入を認めないのが原則であるというふうに国税庁が取り扱っているとは聞いていないわけでございます。  なお、十分に国税庁のほうとも打ち合わせをいたしまして、追って詳しい御報告を先生のお手元にさせていただきたいと考えている次第でございます。
  9. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 ぜひそういうふうにしていただきたいと思います。  それでは次に、これは簡単な問題でありますが、リース期間と、それから賃借料について若干お尋ねをいたしたいと思います。  このリース期間については、大体わが国の場合には、これは何回か御答弁いただきましたように、三年から六年くらいまでが大体その期間になっておる、こういうふうな御説明でありますし、実態もそうだと思います。ですから、今回の改正案につきましても、その点をめどにして出しておられると思うのであります。この動産の賃貸借存続期間は二十年をこえることができない、こういうふうに民法では明確に示していると思うのです。しかし、最短期間制限はないわけです。長い存続期間の上のほうの制限はありますけれども、短いほうはない、こういうふうなことになっておりまして、今後リース期間について通産省がいろいろなリースの業者なり、あるいはユーザーなりを指導される場合、その機械実態やあるいは企業状況によっても違うと思いますけれども、大体どの辺をめどにして、あるいはどういう基準を考え方の基礎に置いてこの指導をされるのか、この点をまず第一点お伺いします。  それから引き続いてリース料についても一、二点お伺いをしたいのでありますが、たとえばレジャー産業ですね、収益の割合に応じて賃借料をきめる、いわゆるパーセンテージリースでありますけれども、これについて、これは考え方の問題でありますが、このパーセンテージリースの場合にファイナンスリースというふうに呼べるのかどうか、ひとつどういうふうな考え方通産省は持っておられるのか、この点をお聞きしたいと思います。  それから、ついでにもう一つ重ねてお聞きしたいわけですが、これは非常に単純な質問でありますけれども、たとえば、将来経済事情が著しく変動をしたというふうな場合に、リース料変更請求を途中ですることができるかどうか。これは当事者間の約款によってきめればそれまでだ、こういうふうなお答えになるかもしれませんけれども、リースというふうなものの本質を考えた場合にそれが一体可能なのだろうかどうだろうか。こういう点もあわせてお聞きをしておきたいと思うのです。  特に最後の問題については、リース期間が相当長期にわたる場合、たとえば三年とか四年とかではなくて六、七年あるいは七、八年というふうな場合には、その間に大きな経済変動というものがあり得るわけであります。その場合に、あらかじめ約款に明確に定めがあれば別でありますけれども、ない場合にリース変更請求というものをすることができるだろうかどうだろうか。この点は続けて御質問申し上げましたが、三点についてお伺いしたいと思います。
  10. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 最初のお尋ねリース期間の問題でございますけれども、現在の段階では、リース期間は最低大体三年、平均で五年くらいでございます。リース期間の差異でございますが、これはおのずからその対象とされます機械性格が最大の問題だと思います。  例示を申し上げますと、公害関係計測器等は現在非常に技術進歩が目まぐるしく動いておりまして刻々に変化いたしておるわけでございます。かつ中小企業の使います公害計測器につきましては、比較的金額が少額のものが多いわけでございます。また、金額は若干張りますけれども、建設機械のごとく消耗度の非常に激しい機械もございまして、これらのグループのものはその期間が比較的短いわけでございます。大体三年でリースされておるのが現状でございます。一方、相当金額のかさばります機械類につきましては、ユーザーの一回当たりのリース料負担との関係もございまして五年以上長期にわたるものもありますことは現実でございまして、この辺主として対象機械性格に応じてリース期間というものは定まるのが合理的ではなかろうか、こう思います。  それから、御質問の二番目のレジャー等パーセントリースといいますか、そういうものにつきましては、これは一応やはりリースの一種であろうと思うわけでございますけれども、本法対象は主として中小企業の使います産業機械に限定してこれを運営いたしたいと思っておりますので、本法対象には現時点では入れるつもりはございません。  それから、三番目に御質問リース料変更請求の問題でございます。これは御指摘のとおり経済変動は今後非常に激しいと思いますので、リース期間途中におきまして合理的なる変更必要性というのも当然考えられるわけでございますけれども、これはリース業者との契約を結びますときの約款にその旨が記載されておらない限りにおいては、当然われわれはそれを認めがたいと思います。また、今後の運営といたしましては、変更いたします場合にはわれわれのほうにこれを知らせてもらう、事前に知らせてもらうような意味でのチェックをわれわれといたしましてはいたしたい、こう思っておるわけでございます。
  11. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 第一点の問題についてはわかりました。これは当然言うまでもありませんけれども、その使用する、あるいは取引の対象になる機械性格実態、あるいはそのリース契約するユーザー企業実態、そういうふうなものをいま局長がおっしゃったように、十分に具体的に検討しながら指導を強めていただきたい、こういう意味で御質問を申し上げたわけであります。  それから、二番目の問題については、本法対象外だということはもちろんであります。もちろんでありますが、リースそのもの考え方、そういう点から御質問を申し上げましたので、その点、局長答弁は私ちょっとまだ不満でありますけれども、しかし、いますぐにこの問題をどうこうするということではありませんから、今後の考え方として御質問をしてみたわけでありますけれども、これはけっこうです。  それから、三番目の変更請求の問題でありますが、大体いまおっしゃったような内容になるだろうというふうに私も思いますが、特にわれわれ審議をしておる現時点もそうでありますけれども、経済変動が非常に激しいわけでありますから、この契約を結ぶ際の指導の中に、あらかじめこういう点についてもひとつ高い見地から通産省見通しをしていただきながら、具体的にこれらの指導に粗漏のないようにしてもらいたい。特にユーザーの場合に、今後中小企業部門にこれが拡大をしていくわけでありますので、そういう点については初めての経験でありますから、必ずしも十分な知識を持ちあわせておらない企業もあると思うのです。そういう点はひとつ抜かりなく指導をしていただきたい、こういうふうに思います。  次に、リースのいろいろな立場から見たメリットデメリットの問題であります。これはユーザー立場から見た場合もありましょうし、それからリース業者立場から見た場合もあります。これはそう時間をとるわけにまいりませんけれども、大体どのように通産省のほうではメリットデメリットについて整理をしておられるか、どういう場合を大体想定しておられるか、この点についてお伺いをしたいと思うのです。
  12. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リースメリットデメリットはいろいろな見方があると思いますけれども、これをユーザー立場、それから機械製造業者立場、それからリース業者立場、この三つからごく簡単に申し上げたいと思います。  第一番目のユーザー立場から見ましたリースメリットでございますけれども、これは当然に非常に資金負担が少なくなり、事務上の煩瑣もなくなりまして、これは本法の立法の趣旨にもそういうことが前提になっておるわけでございますが、このデメリットが全然ないかということでございますが、これは一つ考えられますことは、ユーザーといたしましては、機械を自分のものとしてこれを使いたいという、これは本質的な願望があるわけでございます。いわゆる所有による満足感といいますか、それは当然にあろうかと思いますが、リースの場合には、所有権リース業者に残っておりますので、そういう意味での満足感は得られないというデメリットはあろうかと思います。しかしながら、リースになる機械というのは非常に陳腐化が早い機械でございますので、むしろこれを長期間所有するよりはリースでもって使用の目的を達するというほうが中小企業にとっては有利ではないかと私は思います。しいて申し上げれば、そういうデメリットがあるということでございます。  製造業者にとりましては、現金販売をしたときと同様にリース業者にこれを売るわけでございまして、そのときにやはり現金販売と同じような意味代金を受領いたしますので、その点におきましてメーカーとしましてはデメリットはないのではないか、こう思います。  それからリース業者につきましては、リース期間が非常に長いわけでございますので、割賦に比較しまして長期にわたって金融負担をやはり自己として増大せざるを得ない。それから長期間にわたりまして債権管理を行なうという、しいて言いますれば、これもデメリットでございますが、これはリース業者本来の業務でございます。しいて言いますれば、割賦期間よりは長いという点での金融費用及び債権管理業務負担というのがあろうかと思います。
  13. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 この問題につきましては、最後に、要望を含めて私質問をしたいと思っております。内容関連をさせてあとでもう一度お聞きをするとき、私の考え方も述べさせておいていただきたいと思います。  そこで、最後のほうの質問になりますけれども、これはきのう質問された委員の方からも御指摘があったわけですが、特に今回の法改正におきまして、今後の運用については、支払い能力あるいは信用力が比較的劣っております中小企業や、それから担保力が弱いこうした小規模の企業が、ほんとうに今回のリースを広く利用できるように心がけていかなければならぬわけです。そこに法改正一つのねらいもあるわけであります。  私から申し上げるまでもなく、機械類信用保険制度につきましては、この衆議院の商工委員会においても、何回かその運用についての附帯決議が行なわれていると思います。第三十八回の国会においてもあるいは五十一回国会においても、さらにまた六十三国会においても、そのつど同じような趣旨附帯決議が行なわれておるわけでございまして、どうしても十分に中小企業に活用できるように配慮していかなければならないと思うわけであります。昨日、局長の御答弁の中で、いま行なわれております各都道府県の機械貸与公社で取り扱っている中小企業向け機械類、これは今度の法案による第一種の機械であるわけでありますけれども、これについては追加指定する方向でやっていきたい、こういうふうな御答弁がありました。これは私は強く望んでおる内容でありますから、大いにひとつこの点については努力をしていただきたいと思うわけです。  さらに、第二種の機械においても、昨日も加藤委員が言われましたが、十五種当面認められておるわけですけれども、これを何とかもう少し実態に合わせて拡大をしていく方向を考えなくちゃいかぬのじゃないか、こういうふうな指摘がありました。私も全くその点は同様に考えております。これは初めてのケースでありますから、当面は十五種というふうに通産省は考えておられるのだと思いますけれども、しかしこれについては、ぜひ実情に合わせながら機種の追加も考えてもらいたい、こういうふうに思っておるわけであります。この点について、中小企業により広くこれが運用の面で利用できるようにする、このための何か具体策があればお聞かせをいただきたいと思うわけです。
  14. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 機種の数の問題でありますけれども、これは第一種機械につきましては貸与機関の取り扱い全品目を追加する予定にいたしておりまして、先生の御要望もございまして、必ずこれは実施いたしたいと思う次第でございます。  それから第二種のリース関係は、これは何はともあれ発足の最初でございます。もう一つは、やはりリースにかかるものは、どちらかというと陳腐化の早い、技術の進歩の早い機械ということでもございますので、さしあたり十五機種で発足いたしまして、現実の姿も見ながら今後これを拡大する方向で考えたいと思います。ちなみに第一種につきましても、制度発足の昭和三十六年のときには五機種であったわけでありますけれども、逐年、時代の変遷に応じてこれを追加いたしまして、現在三十三という数に相なっておるわけでございます。  中小企業に対しましては本制度の普及、PRを行なうのは当然でございまして、われわれ従来からも非常に努力しているわけでございますけれども、今後とも中小企業団体、各種工業会等を通じまして、パンフレットを配付すること、機種ごとの説明会を各地で行ないますこと、それから保険契約者に対しましては本法趣旨を徹底いたしまして、ユーザーに周知徹底をはかるようにいたしたい、特に通産省は、中小企業庁という組織がございまして、いろいろな広報活動、調査活動もしておりますので、中小企業庁、各地方の通産局等の機構も動員いたしまして、今後一そうその普及にはつとめてまいりたいと思っております。
  15. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 ぜひそういう点を強化していただきたいと思います。  先ほど質問を申し上げましたユーザー立場から見たメリットデメリットの問題も、当然いま申し上げた点で関連をするわけであります。これらの幾つかについては、先ほど局長も御答弁がございましたが、私は、たとえばリース料は、これは表現は必ずしも妥当かどうかわかりませんが、やはり割り高だと思うのです。リース期間が三年から五年くらいの場合に支払うリースの総計、これは物件購入費の大体一三〇から一四〇%くらいになるのではないか、こういうふうに思います。ですから、物件そのものの値段より割り高になるのは当然だと思うわけです。それは申し上げるまでもないのですが、リース会社の金融機関に支払う金利、それからリース会社自身の収益、これが必然的に含まれてくるわけでありますから、そういう面では一三〇なり一四〇%くらいになる。ですから、必ずしもリースを利用することだけが企業にとって有利だというふうに錯覚を起こさせるような指導も、これはやはり問題がある。資金的な余裕のある場合には購入をしたほうがいいわけでありますから、そういう点も十分に指導の際には明らかにしていただきたいと思います。  それから、中途解約ができないというふうなデメリットもあります。さらに、自己所有の設備と当然異なるわけでありますから、非常の場合に借り入れ金の担保としてそれを活用することができない、これは言うまでもありません。そういった点もあるわけでありまして、ひとつその点は十分手落ちなく指導をしていただきたい、こういうふうに思います。  もう一つ、これは要望を兼ねてさらに申し上げたいのですが、冒頭私がこのリース業の業者の実態、それから特に事業協会との関連などを御質問申し上げました。こういう点で、いまも局長答弁にもございましたが、リース業者中小企業を不当に圧迫しないように業界の質的な整備をどうしてもはかっていかなければならぬと思うのです。何もインサイダー組合あるいはアウトサイダー組合と比較をしてどうだこうだということは私は一がいに申し上げませんけれども、協会に入っていないところはやはりなかなか実態がつかめない、こういうふうな実情があるわけでありますから、質的な業界の整備といいますか、そういう点も通産省としても考えていかなければならない点ではないか、こういうふうに思います。  それからさらに、このリース期間中のリース業者ユーザーに対するサービス、この体制は、わが国の場合にまだこの産業が始まって期間が浅いわけですから当然だと思いますけれども、アメリカの場合をいろいろと調べてみますと、このリース業者ユーザーに対するサービスというのは非常に徹底をしておる。いわゆるそのサービスがむしろ売りものである。そうでないとその業者はユーザーから利用されない、このような状態になっておるようです。そういう点から言うならば、日本のリース業者もこの点についてはひとつ万全のアフターサービスというものをやるようにしていかないとほんとうのリースのよさというものが出てこないと思うのでありまして、その点なども、ひとつ通産省では十分に気を配っていただきたいと思います。その点について何か御意見があれば承っておきたいと思います。
  16. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リース業の健全な発展というのは、今後の流通及び生産行政全体を通じまして非常に重要な問題だと思います。いま先生の御指摘のとおり、わが国リース業といいますのは昭和三十八年にできましたばかりのせいもございまして、特にユーザーに対するサービス機能というのは非常に劣っておりまして、先進国でございますアメリカでは、むしろその事前及び事後のサービス能力のいい悪いがリース業者の決定的な要因にまでもう育ち上がっておるわけでございます。今後この点が一番大きな問題であろうかと思うわけでございます。  ただ、本法はあくまで中小企業の設備の近代化をはかるための保険制度の問題でございまして、この法律だけでリース業全体のあり方を云々するのは少し拡大し過ぎるきらいもございます。通産省全体といたしましては、このリース業の重要性にかんがみまして、さきに昭和四十五年度から国民生活関連機器リース金融制度というものを創設いたしました。引き続きまして四十七年度から新機械機器普及促進リース金融措置というものをつくりましてこれがいわゆる制度リースといわれているものでありますけれども、新時代のニーズに応じた新しいリースの促進をはかるための制度でございまして、これは興長銀債の発行を国が引き受けまして、その資金に基づいてこういう新しいかっこうでのリース拡大をはかる措置を四十五年度以来やっておるわけでございますが、より基本的にはリース業全体のあり方、今後の長期的な展望等も当然に必要かと思いまして、これはわれわれ内部的には寄り寄り検討もいたしておりますけれども、必要に応じまして産業構造審議会の審議の場も活用いたしまして、今後のリース業のあり方についても必要に応じて議論を進め、各界の御意見もいただきまして、長期的な施策の確立をはかりたいといま準備中でございます。
  17. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 質問を終わりますけれども、機械類信用保険制度の利用にあたって、いわゆる今度の法改正によりまして、割賦、ローン、リース、このいずれをも自己の選択において中小企業側は、ユーザーは利用できる、こういうふうになったわけであります。しかし、割賦にしましても、あるいはローンにしましても、今回のリースにしましても、それぞれの特徴があり、メリットデメリットがあるわけであります。ですから私、先ほどその問題についてもお伺いをしたのでありますけれども、やはりこれらの問題については、先ほど局長は、きわめて代表的なメリットデメリットをお話しされました。しかし、実際はもっともっときめこまかにこれらを整理をしながら、一つの基準といいますか、行政指導の場合の標準、こういうものをしっかりと確立をしていただいて、そして中小企業がこれらのいずれを利用したほうがその企業実態や現状に即しているのかということも、直接指導なさるわけではありませんけれども、それぞれの都道府県機関を通じて実際は指導をおろされるわけでありますから、そういう点は、繰り返して申し上げることになりますけれども、十分に心をしていただいて、そしてこの制度が新しくできることによって日本の中小企業がさらにその立場を強めていくことができる、あるいは経済の現状に即した企業活動をすることができる、そのように進めていただきたいと思います。  以上をもって、私の質問を終わります。
  18. 浦野幸男

    浦野委員長 板川正吾君。
  19. 板川正吾

    ○板川委員 引き続きまして、機械類信用保険法の一部を改正する法律案について質疑をいたしたいと思います。  若干前の発言と重複するところがありますが、御了承願いたいと思います。  伺いますが、本法制定以来の運用状況、まずこれを伺っておきたいと思います。
  20. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 本法は、昭和三十六年本制度が発足いたしたわけでございます。この保険は、ほかの保険もそうでございますけれども、これを収支状況から見ますと、景気にきわめて敏感な性格を有しております。不景気のときには、当然のことでございますけれども中小企業の倒産等が多く出る関係もございまして、保険金の支払いがそのときは非常に急増いたすわけでございますけれども、反面、好況の時期にはそういう不測の事態が少ないわけでございまして、保険金の支払いが少なくなり、保険会計の収支は好転するということで、いままで推移いたしてきておるわけでございます。  若干詳しくこれを申し上げますと、四十年不況のときには、四十年、四十一年でございますけれども、保険金の支払い高が非常にかさみまして、六、七億円の保険収支の赤字が発生いたしたわけでございます。反面、大型景気、たとえば、昭和四十三年から四十五年の三カ年の平均でございますけれども、年間一億五千万円程度の収支の黒字というのが出たわけでございます。このように、景気の好不況で収支状況というのはでこぼこが出るわけでございます。しかしながら、これを全部通じまして、本制度発足の昭和三十六年から昭和四十六年までの十一年間の全体の累計の収支でこれを見てまいりますと、収支はほぼ均衡いたしております。厳密に申し上げますと、千三百万円の黒字ということでございまして、保険収支は非常に均衡状態のようでございます。若干我田引水でございますけれども、長期的に見た場合に、本保険の保険料率水準というものはほぼ妥当であったということが言えるのではないかと思います。  当面の状態を若干申し上げますと、昭和四十六年度は景気沈滞のため、保険金の支払いが増大いたしまして、収支は赤字でございます。四十七年度も赤字が見込まれておるわけでございます。四十八年度の見通しでございますが、これにつきましては、若干景気の回復等の影響もございまして、一応黒字が見込まれるのではないかと思いますが、最近の国際情勢の動き、特に通貨関係変動の推移が非常に不明の段階でもございます。このいかんによりましては、いま申し上げましたような見通しを若干修正せざるを得ないかとも思います。なお、その辺のことも含めまして、今後推移を見きわめる必要はあろうかと存ずる次第でございます。
  21. 板川正吾

    ○板川委員 三十六年に割販信用保険として発足をして、その後ローンが追加されたが、この付保件数及び引き受け保険金額、この推移はどういうふうに見ておられますか。
  22. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 付保件数から申し上げますと、発足の昭和三十六年のときは二千二百三十三件でございましたが、その後逐年これが増加いたしまして、四十六年度におきましては一万二千二百四十四件でございます。四十七年度はまだ最終的に確定いたしておりませんが、現段階ではほぼ一万五千件にこれが相なる推計でございます。  それから、保険引き受け実績でございますが、これは発足のときはわずか五十五億円、昭和三十六年は五十五億円で始まりまして、これも逐年増加いたしまして、四十六年は百七十八億円、四十七年は二百十二億円でございます。  ついででございますが、われわれの見通しといたしましては、リース保険がもしこの実施に入りますると、この分が相当の金額引き受けの可能性がございまして、昭和四十八年度の見通しといたしましては六百二十六億円を想定いたしておるわけでございます。
  23. 板川正吾

    ○板川委員 過去の実績を見ますと、三十六年、三十七年は発足早々でありますから本法趣旨が徹底しなかったのですが、三十八年ですと付保件数が一万一千何がしで、ずっと年度別に付保件数を見ますと、一番多いのが四十一年の一万六千、それからずっと毎年度下がってきております。引き受け保険金額においても三十八年が二百二十九億、これが一番多い状況で、その後はずっと三十九年以降下がってきておりますね。この過去における機械類の信用保険というものが意外と、年度的に見ましてもあまり利用者がふえていない。一体それはどこに原因があるとお考えなんでしょうか。ほんとうはいまちょっと、逐年たとえば利用者がふえていいはずなんです。利用保険数、これの金額はふえていいと思われますが、逆に下降ぎみであります。この原因はどこにあるとお考えでしょうか。
  24. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 中間年次を省略いたしまして非常に恐縮でございましたが、いま先生指摘のとおり、逐年で見ますとむしろ減っている年もございますし、最近また伸び悩みの感じもございます。  これは若干こまかいことでございますが御説明申し上げますと、引き受け保険金額が過去最高でございましたのが昭和四十一年の二百二十四億でございます。これがその次の年には百六十億円に下がっておるわけでございますけれども、これはかつて本制度の非常に大きな部分を占めておりましたブルドーザーの関係でございまして、ブルドーザーにつきましては、中小の割賦業者等もこれを非常に取り扱うことになりまして、事故率も非常に多くなりました。それで当然のことながら、ブルドーザー関係の保険金額も、ほかの機種に比べましてたしか三倍ぐらいの金額にせざるを得ない状況に相なったわけでございます。この辺の事情を前提にいたしまして、ブルドーザーの大手でございます小松製作所、それから当時の三菱等々が保険料率の非常な高騰を前提に自家保険にこれが進みまして、自分でもって保険をやらざるを得ないという状態に追い込まれまして、結局本保険制度から脱落をするということで、当時ブルドーザーのシェアが非常に大きかったものでございますから、保険金額が四十二年に非常に下がったわけでございます。  しかしながら、その後、もう一つの最近の伸び悩みといいますのは、最近のいわゆる四十六年八月のドル・ショック以降の日本経済の一種の停滞を反映したものでございまして、これは先ほど申し上げましたように、全体の景気の動向の反映とわれわれは考えております。  またちなみに、ブルドーザーを除きました残りの機種についてだけの引き受け保険金額を見ますと、これは大体において逐年ふえてございまして、先ほど来くどく申し上げましたように、四十一年におけるブルドーザーの脱落、その後の、昭和四十六、七年における不況の反映、大きくいうと、この二つのことで最近の伸び悩み等も出ておるのではないかと思いますが、今後景気の回復につれまして、特にリース保険の新設等によりまして、引き受け金額等は相当程度の大幅な増加が望めるのではないかと考えておるわけでございます。
  25. 板川正吾

    ○板川委員 過去の運用について聞いたのでありまして、リース保険が新たに加えられればどうなるかというのはまた別の問題であります。  本法の一条の目的に、中小企業の設備の近代化と機械工業の振興に資することを目的とする、この目的が二つございますが、現在、機械工業の振興に資するという目的の条項をどのように運用しようとされておるのか。この法律が制定された当時は、いわば機械工業がまだわが国におくれておって、機械工業の振興が当時の産業界の一つの大きな使命であった。しかし今日は、過剰なドルを、外貨を持っておって、今日機械工業の振興に貧するというのは、この法の運用上相当疑問点だと思うのです。前の質問者の質問の中にもありましたが、中小企業の設備の近代化をはかるためということに主点があって、機械工業の振興に資するという点は、運用上ずっと幅を狭めていくべきではないかと思いますが、法の運用、解釈にあたって、通産省見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  26. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。  現行法におきましては、中小企業、特に保険対象機種の選定にあたりまして、むしろ機械工業の振興を目的とし、あわせて中小企業の近代化に資するということになっておったわけでございます。もちろん運用上は、最近の情勢に応じまして、中小企業の近代化を重視しておったわけでございますけれども、今回、改正におきまして、中小企業の近代化を前面に、第一目的にこれを出したわけでございます。  いま、先生指摘のとおり、それだけでいいのではないかというお話でございますけれども、われわれの一つのねらいは、対象機種といいますものが、先ほどもちょっと申し上げましたように、公害防止用の計測器とか、その他製めん機械、製パン機械、それからかまぼこのような水産練り製品製造機械、かん詰め機械、木材加工機械、それから冷凍機用の応用製品など、相当幅広く考えておりまして、当然に、中小企業の使う機械でございますので、その対象とされる機械自身の製造業者も相当程度中小企業者が多いわけでございます。これらの機械工業といいますのは、日本の経済、産業の底辺でございまして、今後とも中小企業機械業者等を中心にした機械工業の振興というのは非常に重要な問題ではなかろうかと私考えておる次第でございます。ただ、本法運用自身といたしましては、中小企業の近代化を第一目的にして、これは機械工業の振興に資するものであるということにいたしたわけでございまして、やはり両方の目的は達成されるべきではないかと考えておるわけでございます。
  27. 板川正吾

    ○板川委員 昨日も加藤議員から指摘がありましたが、本法機械類の指定の中に外国の製品が入っておらぬ、入らぬという方針のようであります。中小企業者が、あるいはドイツの機械とかスイスの機械とか、ある専門分野においては日本の機械よりもこのほうがなかなか性能もいいから、こういうものを入れようとした場合に、このリース保険の対象にならない。外国の輸入製品、輸入機械は指定にならない。この理由はどういうわけでありますか。
  28. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 外国輸入機械本法対象にしないということではございませんで、私の昨日申し上げましたのは、でき得れば国産機械対象であることが望ましい。従来は実は国産機械だけでこれを運用してまいりましたことも事実であるわけでございます。しかしながら、今後の経済情勢の変化、特に中小企業の急速な近代化等を考えますためには、非常に優秀な、手軽な輸入機械がございますれば、これは当然に対象にすべきではないかと思います。私きのう申し上げましたのは、これを個別審査の上で承認でやっていきたいと申し上げまして、そう考えておりますけれども、一つ考え方といたしましては、もっと包括的、積極的に中小企業に対する輸入機械の導入というかっこうでこれを取り扱ってもいいのではないかというふうにも考えております。御質問趣旨等も考えまして、そういう方向で検討いたしたいと思う次第でございます。
  29. 板川正吾

    ○板川委員 きのうは、弾力的に運用していきたい、こういう答弁でありました。私は、それがこの法律の目的の二つのうちの一つである機械工業の振興に資する——もちろんこれは国内機械工業ですから、したがって、この法律の目的の項目にひっかかって、いままでは国産機械を主としてやってきた。しかし、今日国際経済情勢というのが非常に変わってきて、いままでのように国産機械を優遇するという観点じゃなくて、専門的ないい機械があれば、どこのものでも買っていいじゃないか。過剰なドルを持って実は困っておる状況なんですから、そういうワクはひとつこの際はずすような方針で運用したらいかがでしょう。それが中小企業の設備の近代化のために役立つのであれば、そういう方式をとったらいかがでしょう。こういう質問でありますが、もう一ぺんその点、端的に答えてください。
  30. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 中小企業の近代化をはかりますために、適切なる輸入機械の導入は当然必要な場合が多いのではないかと思います。  それからもう一つ機械工業の振興上ということの読み方でございますけれども、やはり輸入機械を入れて国内の機械工業に刺激を与えることも、非常に大きな振興の一つの行き方だとも思いますので、御質問趣旨に沿いましてこれを運営いたしたい、こう思います。
  31. 板川正吾

    ○板川委員 二条三項の二でありますが、「対価を政令で定める回数以上に分割して受領することを条件とするものであることその他」云々とありますが、このその他対価の内容が政令で定めるというのでありますが、この分割して対価を定めるこの分割の方式は、いわば定額的な分割なのか、それとも定率的な、税法で言うなら定率法的な分割、この各保険価額を、対価を分割するのか、その点どういうふうなことを考えておられるのですか。
  32. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 現実リースの運営におきましては、大体月ぎめで毎月同じ金額を均等に割りまして払っておるのが現状でございます。中には四半期別に払うのもございますけれども、いずれにしましても、定額といいますか、同じ金額を払っておるのが現状でございますので、その現状を踏まえてわれわれとしては現在ではそういうかっこうできめていきたい、こう思っております。
  33. 板川正吾

    ○板川委員 じゃ定率的な思想ですね、これはこの中にないということで理解をいたします。  次に、指定機械の指定要件についてもう一ぺん説明してくれませんか。機械類を指定する場合の指定要件についてもう一度。
  34. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 御説明申し上げますと、機種の指定にあたりましては、中小企業の設備の近代化をはかるため、必要性があって、かつ機械工業の振興に資すると認められる機械類でございます。これは先ほども申し上げましたように、中小企業の設備の近代化をはかることが必要要件でございます。機械工業の振興は、俗なことばで言いますと、付随的な要件ということであります。しかし、両方の要件がもちろんなければならないわけでありますけれども、主たる要件は、中小企業の設備の近代化のための必要性ということに御理解願いたいと思います。
  35. 板川正吾

    ○板川委員 中小企業の設備の近代化ということをどういう基準で判定をされますか。
  36. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 中小企業の近代化のためには、政府内部におきましてもいろいろな制度があるわけでございまして、中小企業金融公庫その他いろいろな制度があるわけでございます。そこで特利を認めて、特に特別の金利で中小企業にある機械を導入することを促進するというようなことをやっている制度も多々あるわけでございます。一番前提といたしましては、そういう中小企業が真に望み、かつ中小企業に導入されることが必要と思われる機械類が想定されるわけでございます。これが第一要件でございます。  もう一つは、本法の保険制度から見た一つ条件でございまして、現在リース会社ユーザーに対しまして機械リースいたしておりますけれども、そのうちで比率のやはり高い機種、これは当然に中小企業から要望の強い機種と考えられますので、その辺はわれわれは実態調査を通じまして大体把握をいたしております。  以上申し上げましたような一般的な近代化必要機種及びリースとして中小企業からの要望の強い機種、その二つの要件を考えまして政令指定をいたしてまいりたいと考えております。
  37. 板川正吾

    ○板川委員 たとえば金額で六〇%、件数で七〇%ぐらいを基準としてきめていこう、こういうことですね。
  38. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 現時点では、先生のおっしゃるとおりでございます。
  39. 板川正吾

    ○板川委員 いままで中小企業の政策は、実はいろいろ制度ができても利用する者が意外と少ない、こういうのがずいぶん多いんです。制度はたくさんできているが、利用する者が少ない。まあ当面はそういうことで指定機械を指定する基準としておるんでしょうが、将来、金額を六〇%から少し下げるなり、あるいは件数でももっと下げるなりして、再三前から御要望がございましたように、対象機種をもっとふやしていかなくちゃいけない。実態に応じて私はふやしていくべきだと思います。そういう考慮を運用の面で払ってもらいたいと思います。  次に、技術者とユーザーの間のトラブルは、従来どんなものがありましたか。このリース業者ユーザーとの間に、過去何年かやっておる現状からいって、トラブルはどういうものがあったでしょう。
  40. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リース業は、まだ始まってわりあいに日にちもない制度でございます。われわれのところで調べましたところでは、ユーザーリース会社の間で非常に大きなトラブルがあったということは、現時点では聞いておりません。  ただ、これはトラブルではございませんけれども、リースをいたしまして、そのユーザー側で倒産等が起こったことに伴うリース料の不払い事故といいますのは、これは当然出ておりまして、昭和四十一年度から昭和四十六年度までに発生いたしましたリース料不払い事故を申し上げますと、総額で、二億三千万円、これはもうほとんど全部中小企業ユーザーの事故でございます。
  41. 板川正吾

    ○板川委員 政府が保険契約を締結してはならないというのが二つの項目になっております。この保険契約をしてはならないということをきめる基準は、どういう基準でこれをきめられますか。
  42. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 これは二つございまして、一つは、リース業者が当該リース契約を履行する能力を有しないと認められたときが一つでございます。それからもう一つは、この契約締結をいたしましても、中小企業の設備の近代化等に資する、貢献をすると認められない場合ということでございます。  これをもう少しこまかく申し上げますと、このリース業者の能力問題につきましては、一番大きいのはやはり金融能力でございまして、機械類購入能力もないようなものがこの制度に乗って新しく適当に何かをやろうというようなことが考えられます。こういうようなものは、われわれのほうといたしまして、そういう能力をよく見まして、そういう悪く使用されますと問題でございますので、そういうのはチェックするというのが一つの、第一号の趣旨でございます。  もう一つは、中小企業に悪影響があるかどうかということのチェックでございますけれども、これはわれわれのほうと契約を業者が結びますときに、向こうの契約書の写し等をとりますが、その内容といたしまして、中小企業を不当に圧迫するような条項が入っているもの、差別待遇を中小企業だけに行なうような条項のあるもの、それから非常に悪い機械をむしろ高い金でリースするような、粗悪品を取り扱うような場合、これはどこからその機械を買うかというようなことをチェックすればわかりますので、そういうこと、それから本法の基本精神でございますように、中小企業向けの比率が非常に低くて大企業なんかにやるのを主たる業務にしておるような場合は、これは当然チェックして保険契約をお互いに締結しないというかっこうにいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  43. 板川正吾

    ○板川委員 政府が保険契約を締結しないという例としていま例をあげられましたが、では手続的にはどういうふうにそれを断わるのですか、その手続的な説明をしてみてください。
  44. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 政府と契約を結ぶに際しましていろいろと書類を提出していただくわけでございますが、金融関係といたしましては、その当該リース会社の財務諸表、それから中小企業の比率がどういうふうになっているかということにつきましては過去のリースの実績等を出していただいて、これをよく審査するわけでございます。  それから、いま申し上げましたように、中小企業に差別待遇を与えるようなことをチェックするのが非常に大事だと思いますが、これにつきましては、そのリース会社契約の写しを出していただきまして、これを法文上チェックするだけではなくて、それを使って、その業者との過去のユーザー側からの事情も私のほうとしては聴取いたしまして、実際にリース会社のビヘービア、やり方等もチェックし、そういう意味で金融能力、中小企業に対する態度、中小企業比率の高さ等々、いま申し上げましたような点を申請してもらうことによって、申し込みをしてもらうことによって、具体的にチェックしてまいりたいと思っております。
  45. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、一件一件申請をしてもらって、それを審査して、この基準に基づいてチェックをする、保険契約をしないことがあるということになりますね。先ほどの話ですと、いままでの割賦、ローンの信用保険の場合には非常に利用者が少なかった、横ばいでずっとこの十年間きておって、あまり制度的に活用されていない、ところが、今度リース保険を入れることによって非常にこの利用度がふえるといっておるんですね。ところが、この処理する人員を予算面で見ますと、去年までは二十九人であって今度は三十人、一人しかふえない。この何万件と出てくるこういう申請を一件一件審査するのに一人ぐらいの増員で間に合うんですか。
  46. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 本保険制度の定員は御指摘のとおり四十七年度で二十九名、来年度一名ふえるわけでございます。これは、確かに一人では処理しがたいと私思いますけれども、別途、現行保険制度の事務の簡素化ということも含めまして、電算機の導入、アルバイトの活用ということを実は前からやっておりまして、電算機の活用につきましてはソフトウエアも相当うまくでき上がりまして、来年度以降この面から現在の二十九名にゆとりが出るわけでございます。その辺を新しくふえました一名と足しまして本制度の新しいリース部分の要員として活用してまいりたいと考えておるわけでございます。
  47. 板川正吾

    ○板川委員 保険契約を申し込んで、三十人でいろいろやりくりして、アルバイトも頼んでやって、一体これが保険契約をしないということになるとどのくらいの日数の間にその結論を出して通知をするんでしょう。
  48. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 誤解を避けますためにちょっとお話し申し上げますが、先ほど来申し上げました付保件数一万五千件とかいいますのは、これは全部個々に審査の対象にするわけではございません。これはいわゆる包括保険でございますので、申し込みを受けましたときにその企業の能力、先ほど来申し上げました能力とかビヘービアとか実績とか、それを審査いたしまして、あとは中間でのレビューはありますけれども、原則的には包括保険で、国とそのリース会社との間ではいわゆる包括保険を結んでいくわけでございます。したがいまして、付保件数がたとえば四十七年度一万五千件でありましたときの契約件数は二千十六件でございます。審査の対象はこの二千十六件のほうでありまして、これはわれわれのほうとしましては相当詳細に審査いたすわけでございまして、一カ月半くらいかかる予定に相なっております。したがいまして、本法の施行も、一応その辺を見込んで施行期日はきめざるを得ない。いわゆる準備段階としてそういう期間は織り込んで施行期日をきめる必要があろうかと考えておるわけでございます。
  49. 板川正吾

    ○板川委員 三条の二で、政府は、リース業者機械類ごとに包括して機械類信用保険の保険契約を締結する。この業者との件数が契約件数である。それが二千十六件ぐらい予定しておる。それから出される一つ一つ案件については審査の対象とはしない。こういうことですね。その場合に、ではもし、この三条の三項に適合するような条件ができて、締結をしてはならないというときには、どうやって手続的にそれを断わるのかというのが最初の質問だったわけですが、これはどうやってお断わりになるのですか。
  50. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 これは、先ほど来申し上げましたような欠格要件が判明いたしますれば、当然にその契約関係は、国との契約関係を解除せざるを得ないということに相なろうかと思います。
  51. 板川正吾

    ○板川委員 保険金の項目で、「会社更生法の規定による更生手続開始の決定があつた場合」、これはわかるのですが、「その他これに準ずる場合」というのは、例としてどういうのを考えておりますか。
  52. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 会社更生法に準ずる場合といいますのは、一番はっきりしますのが破産でございます。それから、商法上の整理段階に入る、これも当然だと思います。  この場合に破産ということばを使いませんでおきましたのは、破産条件というのは、法律上も厳格で非常にきちっとしておりますので、それを例示にいたしますと、そのこと自体の解釈、準ずる場合の解釈が非常に狭まるおそれもございますので、会社更生法を例示にいたしまして法文では表現をいたした次第でございます。
  53. 板川正吾

    ○板川委員 次は、保険料率の算定ですが、第六条では、特別会計であり、独立採算制の原則を規定しております。この場合に、保険料はどのくらいの基準でありますか。
  54. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 保険料率につきましては、こういう特別会計の原則では収支償うようにというのが大原則であるわけでございます。われわれといたしましては、このリース保険につきましていままで実態調査を進めてきておりまして、その調査の結果の事故率等も勘案いたしまして、現在われわれのほうで事務的に考えておりますのは、リース期間五年程度のもので〇・五%前後で設定いたしたいと考えております。
  55. 板川正吾

    ○板川委員 今度の法律で一種機械類となった割賦ローンの保険料はどういう比率ですか。
  56. 宮野素行

    宮野説明員 御説明申し上げます。  現在の第一種機械類につきましては、料率が三つに分かれております。標準的な料率がA料率、次にそれよりも倍の水準の料率がB料率、特に高い料率がC料率でございます。もちろん、料率は割賦期間によって違うわけでございまして、割賦期間が短ければ安い、長ければ高いわけでございます。  そこで、現在の割賦の平均期間は二十カ月でございますので、二十カ月について申し上げますと、A料率は保険金額の〇・四三%でございます。B料率は〇・八六%、C料率は一・一六%でございます。ちなみに、どれくらいの機械がA、B、Cそれぞれに属しているかでございますが、現在の対象機種三十三のうち、九割は一番安いA料率でございます。次に四つの機械類がB料率でございまして、最も高いC料率を適用されておりますのはブルドーザー一機種のみでございます。
  57. 板川正吾

    ○板川委員 この特別会計になると、第一種、第二種、どういうふうに区分してやるのですか。いずれにしても、たとえば第二種なら第二種で、リースならリースだけの計算をし、さらに、第一種の中で各機械ごとに比率が違うのですね、そうすると今度の場合、第二種機械の場合に、機械類ごとに、種別ごとに比率は変えませんか。
  58. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 第一種につきましては、いま御説明申し上げましたように機械ごとの実態もつかめておりますので、三区分でこれを運営いたしておるわけでございますが、リースにつきましては、いずれにしましても発足当初のことでございますので、いまのところ、これを機種ごとに区分して料率をきめるということをいたさないで、さしあたりは一本で進みまして、今後実態の動き等も把握の上で、将来これをどうするか、その辺は考えたいと思っております。
  59. 板川正吾

    ○板川委員 一種の機械類のように、将来実績を見て考慮したい、こういうことだと思います。  それから、保険料をユーザーが最初前払いをする、まあ二カ月ないし三カ月という議論がちょっとございましたが、これは一体、リース業者とすれば多いにこしたことはないと思いますが、最長一年ぐらいを一つ指導の限界としておりますか。
  60. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 現在まだきめておりませんけれども、われわれのほうの指導方針といたしまして、大体三カ月を一つめどにいたしたいと考えております。
  61. 板川正吾

    ○板川委員 ユーザー側としては、じゃ三カ月以上取られることはない、こういうふうに見ていいわけですね。——わかりました。  最後に、七条に規定してあるのですが、会計年度ごとに国会できめられた金額をこえない範囲において保険契約をする。きのうまでの議論ですと、十一億七千万あり、今度の国会の予算で二億を追加されたから、十三億七千万の出資となる、これで約一千億の保険引き受け限度を運用できる、こういうことでありますが、これで十分かどうかということをもう一ぺんひとつ説明してみてください。
  62. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 四十八年度の予定といたしましては、現行の割賦等の保険金額は、最近の趨勢からいいましても、二百九十億円くらいであろうかと思います。  それからリースの保険金額は約三百三十億円をわれわれは見込んでおるわけでございまして、その合計が六百二十億円でございます。これに対応いたします限度額は、いま先生指摘のとおり、予算総則上一千億という、相当の余裕を持ってこれを設定いたしておりますので、万が一にも限度額一ぱいになるということは、われわれとしてはないというふうに考えておりますが、もちろんこれがそういうふうになりますれば、所要の措置を講じなければいかぬと思います。現時点では六百二十億と一千億でございますので、余裕はたっぷりある、こう考えております。
  63. 板川正吾

    ○板川委員 私の質問は以上で終わりますが、せっかく大臣が来ておりますから一言申し上げます。  このリース信用保険の対象機種として電子計算機があるのです。これはもちろん中小企業向けの電子計算機であって、大企業向けの電子計算機ではございません。そこで、最近、きのうきょうの新聞をにぎわわしておることは、まあ電子計算機の対米輸入の自由化問題で、業界が、電算機の輸入について、もし政府が自由化するならばこれこれでやってほしい、しかも、それに対して一千四百億とか膨大な補助をしてもらいたい、こういう要求が新聞等で報道されておりますが、一体自由化をされたからといって、その大企業が何千億も国家に補助を求めるという考え方はどこにあるんでしょう。どうもわれわれ、それは理解できない。円の切り上げで大きな被害を受けておる中小企業もたくさんある。それにいま政府がいろいろな対策をとっておるが、それはたとえば滞貨資金を融通するとか、あるいは低利な資金を融通するとかいうようなことであって、補助ではない。しかし、電算機大手業者が一千四百億円も補助を出せ、こういうふうに報道されておるのですが、どういう趣旨なのか、われわれは全く国民の一人としてわからないのですが、大臣はどういうふうにお考えですか。
  64. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 日本の産業構造を知識集約型、社会福祉指向型に転換させるということを通産省も日本の政府当局も大方針として進めてきておるわけでございます。日本の将来の産業構造のあり方を考えてみますと、一方においでは、発展途上国からはいろいろ追い上げられておりますし、また一方においては、知識集約型という形で逃げていかないと、いつまでも重化学工業型にいることはできません。そういう意味で、知識集約型の一つの例は、コンピューターを中心にする情報産業あるいは航空機産業、こういう方向であるだろうとわれわれは思います。  そういう意味において、次の時代の日本の産業構造の基幹となるような電子計算機等につきましては、国策としても特に重点を入れて育成強化をはかって、できるだけこれが外国企業に負けないようにいろいろ措置してきておるところでございます。そういう意味で、政府も、いろいろ大型コンピューターあるいはコンピューター等につきまして、いままで助成強化の方法を講じてきたところでございますが、最近、アメリカのいろいろな通貨、通商政策の動向、それから国際経済の動向あるいはガットにおけるこれからの評議の動向等を見ますと、日本の電算機産業やあるいはIC産業というものを、いままでのような自由化に対して聖域にいつまでも置くわけにいかない、もはやこれはある程度の補強工作を行ないながら、外国との競争に対決していかなければならぬ、そういうことを私考えまして、そういう方向でいろいろいま環境づくりをやっておるところでございます。  先般、コンピューターの会社の代表の皆さんがお見えになりまして、大体政府のそういう方向については自分たちも理解できる、それについては協力もいたしましょう、ただし、電算機のあるものについては五十二年、あるいはもう一つのICについては五十一年というような期限を、先方の要望として、大体の目途として言ってまいりまして、それに伴って外国企業に負けないだけの力をつくっていくためにこれこれの援助がほしい、そう言ってきたわけでございます。  私は、それに対しまして、いままで政府が助成してきましたについては、これは国民の税金を使ってきておるのだし、また将来も国民の税金のお世話になるわけであるから、そういう社会公共的責任もコンピューター会社としては考えてもらわなければならない、そういう意味においてこのお金を効率的に使わなければならぬという意味から、電算機産業自体においても効率的に使って、むだな競争を排除してある程度の集約化を行なう必要があるであろう、こういうことで三系列に政府としては整理して、業界の協力を求めてきたわけでございますが、この事態になりますというと、もっと提携を強化して、そうして将来一定の時期にはもう一段と高い場所に進んだ提携強化、密度の濃い集約形態というものを考えざるを得ない。さもなければむだも多いし、あるいはむだな競争自体も出てまいります。そうして、いま世界を席巻しているIBMやそのほかとの対抗上から見ても、いまからそういう防御措置を講じていかなければ、日本の将来の産業構造からも非常に深憂すべき状態になる、そういうことを私は申し上げたわけでございます。  国民の税金を使うということについていろいろ御批判があると思いますけれども、国策の産業、これからの日本の構造の一つの中核にしていくというものについては、ある程度国家的助成やら誘導政策をいままでやってきたところでございます。航空機にしてもそうでございますし、原子力産業にしてもそうでございます。そういう意味において、電子計算機も同じような対象として育成していっていいと私は思うのであります。ただ、その利益が私的会社の利潤にのみ還元されるということは避けなければならぬと思いますし、それで得た特許というものについても、これは単なる私的会社の独占的な特許として確保しておくべき筋のものでもないだろうと私は思います。そういう社会的規制を加えながら、国の助成策というものも国民全般から受け入れられるような均衡ある措置を確保しつつ助成していく、そういう形で進んでまいりたいと思っておるわけでございます。
  65. 板川正吾

    ○板川委員 日本の経済構造が重化学構造から知識集約型に移行すべきだという方向についてはわれわれも理解します。しかし、電算機の国産率というのですか、これをヨーロッパ諸国と比較をいたしましても、電算機の国産比率というのは日本が一番高い。現在五六%近くあるそうであります。イギリスが何%ですか、西ドイツでもわずかに一〇%以下だというふうにいわれておるのですが、日本の産業構造を考えた場合に、一から十まで全部日本でつくっていかなければならないというものではないと思うのです。ある面では、機械などは国際分業的なものであってもいい、こういう感じがいたします。たとえば、ドイツのある種の機械あるいはスイスの機械、フランスの機械、それぞれ特徴を持ったものを使っていいのではないか。それと対抗するためにわがほうも同じ機械をつくってということでやってきましたために、こういうようにドルがたまって過剰流動性を形成し、それが今日の物価高をもたらしておるということにもなるので、私は、ある種の機械、特に専門的なものは国際分業的であっていいのではないだろうかという感じがします。  国際競争力といっても、いままで国際競争力で——通産省はかつて特振法というのを出した。企業が、自動車が幾つかに統一をし、あるいは石油化学が幾つかに統一する、そして寡占状態になって対抗しないと外国と対抗できない、こういう構想であったわけです。しかし、その法案がつぶれて今日に至ってみますと、石油化学にしましても自動車にしても、国際競争力は十分あり過ぎるという状態であった。ですから、国際競争力をつけるという観点から特殊な保護を加えることは、私は結局は過保護になるのではないかという感じがします。  これは、いずれまた時をあらためてじっくりと議論をいたしたいと思いますから、私の意見だけ申し上げて、質問を終わります。
  66. 浦野幸男

    浦野委員長 午後二時三十分から委員会を再開することにし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ————◇—————    午後二時四十六分開議
  67. 浦野幸男

    浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出総合研究開発機構法案を議題といたします。
  68. 浦野幸男

    浦野委員長 この際、提案理由の説明を聴取いたします。小坂経済企画庁長官。
  69. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 ただいま議題となりました総合研究開発機構法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  今日の経済社会は、環境問題、都市問題をはじめ、複雑かつ、広範な諸問題に直面しております。戦後、国民のたゆまざる努力によって驚異的な経済成長を遂げたわが国が、今後、一そうの発展をはかり、国民生活の向上を期するためには、わが国が直面するこれらの広範な諸問題を解明し、新たな方途を探究することが必要であります。わが国は、社会科学、自然科学等の個々の学問分野においては、世界的な水準にあると考えられますが、複雑かつ、広範な現代社会の諸問題を解明するため、これら諸科学における専門知識を結集して行なわれることが必要な総合的な研究開発については、まだその緒についたばかりであります。  近年、民間において、こうした大きな課題を総合的に解明するための新しい手法の研究を行なう組織が生まれてきております。また、政府といたしましても、かねてから、関係各省庁におけるこの種の調査研究等を強力に実施してきたところでありますが、多領域にわたる総合的な研究開発を効率的に実施するための体制の不備、研究開発のための資金や人材の養成不足、良好な研究環境に恵まれないこと等総合的な研究開発体制は必ずしも十分であるとはいえません。  この法律案は、このような現状にかんがみ、現代社会の広範な諸問題を全国民的な課題として取り上げ、民間研究機関の活用及び助成をはかりつつ、自主的な立場から、総合的な研究開発を推進する機関として、総合研究開発機構を設立しようとするものであります。  次に、この法案の要旨について、御説明申し上げます。  まず第一に、総合研究開発機構の設立につきましては、総合的な研究開発について識見を有する者が発起人となって、内閣総理大臣に設立の認可申請を行なうものとし、内閣総理大臣は、その申請の内容が一定の要件に適合すると認めるときは、一を限り、設立を認可することとなっております。  第二に、総合研究開発機構の資本金は、官民の出資によって構成されることとなっており、政府は、昭和四十八年度予算案におきまして三十億円の出資を計上しております。  第三に、総合研究開発機構の役員について規定し、その選任には内閣総理大臣の認可を要することといたしております。また事業計画等機構の運営に関する重要事項を審議する機関として、研究評議会を置くこととしております。  第四に、総合研究開発機構の行なう業務は、次のとおりであります。その一は、総合的な研究開発を実施し、助成することであります。その二は、総合的な研究開発に関する情報を収集整理し、各方面の利用に供することであります。その三は、総合的な研究開発に関する研究者に対する研修及び総合的な研究開発の企画調整に当たる者の養成を行なうことであります。その四は、研究施設その他の施設を研究者の利用に供することであります。さらに、他の研究機関との提携、交流等の業務を行なうこととしております。  その他、総合研究開発機構の財務及び会計に関する規定、機構に対する監督に関する規定等を定めるとともに、関係法律に所要の改正を行なうこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  70. 浦野幸男

    浦野委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  71. 浦野幸男

    浦野委員長 内閣提出機械類信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を続行いたします。野間友一君。
  72. 野間友一

    ○野間委員 先ほどの御質問にもあったわけですけれども、本件改正法案、この中には、この法の目的として中小企業の設備の近代化ということがうたわれておることはもちろんでありますけれども、この点について一言お伺いしたいのは、いままでのリース契約そのものは、中小企業の中ではあまり進んでいないじゃなかったか。通産省あたりに聞きますと、中小企業がそういう申し込みをしたうちの四〇%が断わられておった、こういうことも聞いておるわけでありますけれども、これを改正することによって、つまり、リース契約そのものをこれに入れることによって中小企業の、私から言わしめれば一〇〇%保証、こういうことはあるのかないのか、通産省として、どのようにその点についての見込みを持っておるのか。この点をまずお聞きしたいと思うのです。
  73. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 現在リース会社中小企業対象にいたしまして申し込みを受け、リースを行なっているその比率につきましては、いま先生のお話のとおり、申し込みのうちの約四割はこれを断わっておるわけでございます。  その理由といいますのは、ユーザー側の資産内容、営業内容等を見まして、非常に危険度の高いものはリース会社としてはこれを断わっておるわけでございます。本法の改正の趣旨リース関係を保険の対象にしますのも全くそこにあるわけでございまして、私のほうの見通しでは、断わっているものの半分強は当然にこの制度のおかげで契約対象になれるのではないか、こう思います。  しかし、若干付言いたしますと、この保険制度だけで全部そういう中小企業の危険のカバーというものをやるというのは制度上もなかなか無理でございまして、われわれといたしましては、たとえて言いますれば、百歩歩む五十歩をこれで確保いたしたい、こう思っておる次第でございます。
  74. 野間友一

    ○野間委員 これはやはり中小企業あたりが、私が聞いたところによりましても、要望と申しますか、これを利用したいということをかなり強く望まれておるわけですけれども、この点について単にリース業者だけにまかせずに、通産省が積極的に行政指導なりあるいは何らかの措置をとって、そして中小企業がほんとうに一〇〇%利用できるように具体的な施策をとる必要があるのじゃないかというふうに思うのですけれども、この点についてどのように考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  75. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 この点につきましては、リース会社そのものがやはり営利事業でございまして、この辺どうしても私は限界があろうかと思いますが、われわれといたしましては、まずこの制度効果のPR、それから、この契約をわれわれと結びますときに、中小企業にこれが実質的に運営されますように、個別に——これは個別の契約リース会社と結ぶわけでございますので、契約締結及びその前段階を使いまして、できる限り中小企業にこれが均てんできますように積極的な指導をはかってまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  76. 野間友一

    ○野間委員 その点特に私のほうからもお願いを申し上げたいと思います。  次に、質問を進めてみたいと思うのですけれども、リース契約について、契約そのものについての関係法規がないですね。たとえば、割賦販売法によりますといわゆる買い手の保護ですね。こういうことで幾つかいろいろな保護の規定があるわけですけれども、このリース契約についても、中小企業がこれからユーザーとして特に強く要求しておるというような観点で、リース契約そのものについてユーザー立場を保護する関係法規、こういうものを整備する必要があるのじゃないかと思うのですけれども、その点についてまずお伺いしたいと思います。
  77. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リース事業といいますのは、先ほども述べましたように、今後非常に成長の度合いが高い一つの取引形態に相なるのではないかと私は思います。したがいまして、リース業全体のあり方については、われわれといたしましても今後慎重に検討いたしたい。午前中の答弁のときにも申し上げましたように、必要に応じまして産業構造審議会の場も使ってまいりたい、こう思っておりますけれども、具体的にこの保険制度関連いたしましては、われわれのほうの保険約款をつくりまして、それから各リース会社が個別にわれわれと契約を結ぶわけでございますけれども、その契約を結ぶにあたりまして所要書類を審査し、実質的に指導方向をきめまして、中小企業に悪影響のないように約款の運営と契約のチェックということで万全を期したいと思っておる次第でございます。
  78. 野間友一

    ○野間委員 そういう行政サイドでチェックされるということはそれとして、私がお聞きしたいのは、この基本契約と申しますか、いま申し上げたように、リース契約そのものをユーザーの保護という立場から立法化する、そういう方針を持っておられるのかどうか、この点についてお聞きしたいわけです。
  79. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 これはただいまもお答え申し上げましたように、ユーザー側立場からリースのあり方を考えまして、たとえばリース業法というものが一つ考えられるのじゃないかと思いますけれども、これにつきましてはリース業者実態、これの伸展の度合い、これに関連するユーザーのあり方、これに関連する金融の問題その他いろいろな問題があろうかと思いますし、今後の重要な課題であろうかと思いまして、先ほど来申し上げておりますように、必要に応じまして通産省内部の新規機構も活用いたしまして、そういう方向で今後検討することに相なろうか、こう思う次第でございます。
  80. 野間友一

    ○野間委員 それでは次にお聞きするのは、改正法案の二条三項二号に「対価を政令で定める回数以上に分割して受領することを条件とするものであることその他対価に関する契約内容が政令で定める要件に適合するものであること。」というのがございます。私おそらくそういう質問はあったかと思うのですけれども、「対価に関する契約内容が政令で定める要件に適合するものである」ということ、政令として具体的にどういう本のを考えておられるのか、説明していただきたいと思うのです。
  81. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 本法に基づきますリースの運営といたしまして、まずリース期間をどういうふうにきめるかということで、これは三年以上であって政令で定める期間ということになっております。くどいようでございますが、これは現時点では私のほうは三年できめるつもりでございますけれども、今後リース期間が全般的に延長をする可能性が、諸外国の事情等も見るとございますので、三年以上でそのつど適正にきめていきたい。  いま先生の御質問の回数でございますけれども、これは現在大部分がそれぞれ各月ごとに支払いを立てておるわけでございますけれども、たまには四半期別に立てるものもあるわけでございます。したがいまして、もしリース期間が三年でございますれば、四半期別をベースにいたしまして十二回以上というふうに政令できめたいと思っております。これは将来リース期間そのものが四年になりますれば十六回以上というふうにきめることに相なろうかと思うわけでございます。
  82. 野間友一

    ○野間委員 私がお聞きしたのは回数だけではなしに、「その他対価に関する契約内容が政令で定める要件」、こういうことになっておりますので、「その他対価に関する契約内容」、これについて政令でどのようにつくられるのか、この点についての問いなんです。
  83. 宮野素行

    宮野説明員 御説明申し上げます。  確かに御指摘のとおりでございまして、後段のお尋ねでございますが、私ども実態として考えておりますのは、現在のリースの実情におきましては月払いが原則でございまして、五年間のリースならば五年間毎月リース料を取っていくわけでございます。ところが観念的には、たとえば五年のリース期間でありながら、初めの半年にリース料を全部もらってしまう、一年で全部もらってしまうというものも考え得るわけでございます。かりに将来そういうものが出てまいりましたときには、これはおそらくユーザー保護の観点から見て好ましくもないし、また信用リスクがそもそもない、あるいは非常に薄いということになるわけでございまして、そういうものを排除する。趣旨といたしましては、局長お答え申し上げました十二回の分割が、リース期間三年ならば三年にわたって分割される実態を確保するという趣旨でございます。
  84. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、リース料支払いですか、これに関して政令で定める、こういうことになるわけですね。  そのほかに私がお聞きしたいのは、先ほどの局長答弁にもありましたけれども、具体的な契約内容に関しての一定の基準ですね。あとからまた申し上げますけれども、リース料以外に、あるいはリース料の中でも、具体的に料金をどうきめるのかということも一つの問題ではありますし、またその他契約の解除等々についてもいろいろ問題になりますので、この点についての基準をこの政令で設けるということではないわけですか。
  85. 宮野素行

    宮野説明員 お尋ねの価格面につきましては、この規定で設けることは考えておりません。むしろ価格面のチェックは、この法律の第三条の二の第三項で二つ規定がございまして、第一には、この規定と申しますのは、次の場合には政府は包括保険契約を結んではならないという規定でございまして、その第一が、当該リース事業者がリース契約の履行能力がない場合、第二には、そのリース事業者と契約を結んでも中小企業の設備の近代化あるいは機械工業の振興に資すると認められない場合、この二つ契約を結んではならないということになっておりまして、実際に包括保険契約の申し出がございました場合には、そのリース事業者の中小企業に対するリース条件等を十分審査いたしまして、この規定に適合するかいなかで選別をするつもりでございます。
  86. 野間友一

    ○野間委員 一つの基準ですね、そういうものは何かの形でつくられるわけですか。
  87. 宮野素行

    宮野説明員 お尋ねの基準は、先ほどお答え申し上げました三条の二の三項についての基準であろうかと思いますが、過去同様の規定が割賦等についてございました。私ども内規的なものといたしましては、基準をつくりまして運営をいたしておりますが、一般的に画一的なものとして公表するようなところまではいっておりません。実際上審査をいたしてまいりますと、かなりケース・バイ・ケースに考えなければいけない問題がございまして、また、そのときどきの経済実態によって判断のしかたを変えていく必要もございますので、画一的な基準は従来つくっておりません。将来ともおそらく同様のことになるのではないかと思っております。
  88. 野間友一

    ○野間委員 そうすると、内規という形で何らかの基準を設けられるということはわかったのですが、しかしあくまで内規は内規でありまして、これはリース業者あるいはユーザーに対しては対外的には明示をされないということになりますと、いまでもリース業者は銀行とかあるいは商社と結びついて、大手資本と結びついた大きな業者が主なんです。そうすると、自分の利益になるように、そしてユーザーを泣かす、そういう方向でこれから契約が結ばれることがかなり出てくるのじゃないかというふうに私は憂慮するわけです。  と申しますのは、ここに某リース会社リース契約書というものを私は持っておりますけれども、この約款によりますと、業者に利益、逆にユーザーに不利益な規定がずいぶんあるわけですね。私思いますのに、このリース契約の基本は、おそらく民法の賃貸借契約ということになるのじゃないかと思いますけれども、たとえば例をあげますと、物件の整備、保守、修理などその保全費用は、どんな場合でもすべてユーザー負担する。つまりこれは民法の原則、賃貸人の修繕義務、これとは全く逆になっておるわけなんです。あるいはこれについても、いま申し上げたようなことについて、その明細を業者に書面で知らせなければならないというような規定もあるわけなんです。  さらに私、これはべっ見したわけなんですけれども、終了後返還する、この点について、法律的にいいますと持参債務というわけですけれども、これを業者のところにユーザーが返還しにいかなければならぬ、こういう規定です。  さらに、契約の解除。これはおそらく料金の不払い、履行遅滞に基づく契約の解除が通常多く出てくると思うのですけれども、それに関する条項では、催告なしで契約の解除ができる。つまり無催告の契約解除、こういうものが約款にあるわけなんです。しかも、この解除の理由について、解除原因ですが、たとえばこういうものがある。「経営が相当悪化し、またはそのおそれがあるとみとめられる相当の理由があるとき。」つまりこれは業者の判断で経営が悪化しておる、あるいは悪化のおそれがある、このように判断しただけで催告もせずに契約解除ができる。しかも、解除されたら、先ほど指摘申し上げたように、ユーザーが持参債務の履行をしなければならぬ。これはたいへんなことだと正直に申し上げて思うのです。この催告なしの解除についても、やはり民法の原則では催告をして、こういうふうにありますし、また割賦販売法によっても、これは書面によって、たしか二十日間の期間を設けて催告する。これは当然だと思うのですけれども、こういうふうにいままでの約款を見ますと非常に問題のある点が多い。  さらに、連帯保証人、これは人的担保です。これについても記載があるわけです。  さらに公正証書、これを作成する義務。  べっ見しただけでも幾つかこういう問題が現に行なわれておる。約款の中にあるということ、おそらくこの保険でこれが補完されるようになっても、このような業者の一方的な利益の保護という点で、約款そのものはこういうような形が残されるのじゃないか。こういうふうに私は懸念いたします。  こうなりますと、ユーザーにとってみればたいへんなことなんです。だから、これら指摘申し上げた点も含めて、政令か何かで一定の基準をつくらなければ、基本的には、これらに関する基本法を、たとえば割賦販売法のごときものをつくる必要があると思いますけれども、当面審議会の中で審議されて、十分練られるとすれば、政令という形でもけっこうですから、その基準を明らかにする必要があるのじゃないか、こういうように思うのですけれども、その点についてお答え願いたいと思います。
  89. 宮野素行

    宮野説明員 ただいま詳細に御指摘ございましたように、現在行なわれておりますリース契約の中身につきましては、中小企業者のためという見地から見まして遺憾な点があると私どもも考えております。この点につきましては、今後保険契約者となるリース業者に対しては十分その改善を行なわせていくというのが私どもの基本方針でございます。ただし、ただいま御指摘のございました幾つかの具体的な内容につきまして、若干御説明をさせていただきたいと思います。  第一点の修理の問題でございます。確かに今日のわが国リース契約ファイナンスリースといわれている種類のものが大部分でございまして、サービスリースといわれるものはほとんどない状況でございます。先ほど御指摘リース契約ファイナンスリースに関するリース契約であろうと思うわけでございますが、ファイナンスリースの場合には、リース会社がその機械の点検、保守、修理等についての専門的能力を必ずしも持っていないのが前提でございます。わが国ファイナンスリースにおきましては、リース契約が結ばれる時点におきまして、その機械をつくったメーカーとリースユーザーとの間に同時に保守契約を結ばせるという仕組みになっております。その場合の保守費用でございますが、これは機械を買い取った場合と同様でございまして、機械によって違いますが、たとえば初めの二年間は無料、三年目からは一定の料率で保守料を払うというような仕組みになっております。その負担者はユーザーでございます。まあメーカーが保守の任に当たるのとリース会社が保守の任に当たるのといずれがいいかは、おそらく十分な専門能力を持っているほうにやらせたほうがいいと考えられるのではないかと思いますが、問題は、その負担リース会社でなくしてユーザーがやっているという点にあろうかと思います。サービスリースの場合にはこれが逆になりまして、リース会社自身がサービスを行なう。それで当然そのサービスのコストはリース会社負担するわけでございます。ただいまリース料の計算において、そのサービスのコストが織り込まれてくるという形になるわけでございます。したがいまして、結果といたしましてのユーザーの総負担は、締めてみれば同じだというふうになっているのが実情でございます。  第二番目に、リース期間終了後にリース物件をメーカーの指定する場所へユーザーが運んでくる義務がある、しかもその費用負担ユーザー負担であるというようなことに契約上は現在はなっているかと思いますが、これは私もおかしい契約だと思っております。しかし、実態がどうなっているかと申しますと、現実にはリース会社ユーザーの手元にリース会社費用でそのものを取りにいっているのがほとんどすべての実情でございます。この点は契約との間に矛盾があるわけでございます。第三番目に、契約の解除でございますが、催告なしに解除ができる、確かにこの辺も一つの問題点であろうかと考えております。  第四番目には、連帯保証人を過度にとっておるのではないかというような点でございますが、現在の連帯保証人はリース契約では必ずとるのが原則でございまして、連帯保証人のうち九割はユーザー企業の社長さんになっております。社長さん一人が連帯保証人になっているという状況でございますが、しかし約一割くらい、社長さん以外の第二の連帯保証人をとられているケースがございます。これはリース会社の目から見て非常に信用機関が大きいユーザーであるというような場合に、親会社を連帯保証人にしてくれと言うようなことがあるわけでございまして、この辺も今後十分に検討すべき問題であろうかと思っております。  内容といたしましては、したがいまして、御指摘のとおり本制度発足後は、大いに私ども事態の改善に努力していきたいということでございます。それを政令で指定するかいなかの点でございますが、できれば政令で画一的な基準というものが設定できれば、一番事態がはっきりいたしましてよろしいのでございますが、ただいま画一的な基準をつくってしまいますと、かえってぐあいが悪い点も出てくるかと思います。もっとそれ以上の指導をするという場合にも、その基準に合致していればというようなこともあるいはあるかもしれませんし、なお今後、基準を画一的なものとして明確にするのが実質的であるか、それとも実態に応じて改善に努力していくのがより実質的であるか、十分に御趣旨を体しまして検討さしていただきたいと思うわけでございます。
  90. 野間友一

    ○野間委員 画一的に基準を設けるという、これは私が申し上げておるのは、ユーザーの利益の保護という観点から申し上げているので、これについてつくること自体、これは非常にユーザーに利益になるわけですね。この点については、いま申し上げた割賦販売法だって同じことが言えると思うのです。したがって、そういう観点から、ぜひやっぱりつくるべきであるというふうに私は考えております。  それから、いまの答弁の中で修繕義務の問題について多少触れられたわけですけれども、要するに、リース料というのは、そのものの使用の対価なんですね。業者とすれば、いつでも債務の本旨に従ってそのものの使用収益ができる、そういう状態に置かなければならない義務が当然あるわけでございますね。したがって、これがユーザーの過失とか故意でなくて修理をしなければならぬ状態に置かれた場合は、当然貸し主、つまり業者が修理するのは当然なんですね。だから、そういう意味からしても、私は、こういう義務者を転換させるというようなことは許されない、これはあまりにも業者に肩を持つものであることは当然だと思うのです。したがって、この点についても、私はやはり問題があると思うのです。こういうように考えてみますと、具体的に二、三例を出しただけですけれども、これからもユーザーに不利益なこういう約款、しかも、これは業者がかってに不動文字でこういう約款契約書をたくさんつくるわけですから、必ずたくさん出てくると思うのです。そういう意味からしても、内規を設けるにしても、あるいは政令を設けるにしても、いずれにしても、具体的にこういう点について明確な基準を設けるべきだと思う。そういう意味で、いま具体的にどの点を基準として考えておるのか。ありましたら、ひとつお答え願いたいと思うのですけれども……。
  91. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 いまお話の諸点につきまして、現時点におきましてここに内規の案があるわけではございません。しかし、このリース関係は、大体午前中の御答弁でも申し上げましたように、三十数社程度がいま考えられておりまして、さしあたりのところは非常に数が少ないわけでございます。  それからもう一つは、これは何ぶんにも今回初めての発足のことでございまして、われわれといたしましては、いま先生の御指摘の点等も、午前中も申し上げたわけでございますけれども、一カ月半くらいかかりまして個別に審査をいたしまして、その過程を経て、基本はユーザーの利益の侵害をいかに防ぐかということに最大の重点を置きまして、具体的にむしろこの約款なり契約書の内容なりを検討いたしたい。将来そういうものの積み上がり等を見まして、リース業界全体のあり方も含めて、割賦販売法等の立法の必要性もあろうかと考えておる次第でございます。
  92. 野間友一

    ○野間委員 ちょっとそれではおそいように私は思うのですね。むしろいままでの実態が、いま申し上げたようにユーザーに不利益な条項、約束、これが非常に多いわけなんです。そういうものを踏まえた上で、これは信用補完するわけですから、国が金を出すわけですから、しかも、中小企業の近代化というのが法の目的、柱になっておりますから、そういう点からしても、こういう法律をつくりながら具体的にユーザーの利益を保護するという観点での基準がまだなされていないということについては、これは手落ちじゃないか、こういうふうに思うのです。したがって、この点については、いま幾つか御指摘申し上げたのですけれども、こういう点を考慮した上で、決してユーザー、とりわけ中小業者が不利益にならないように、特段に、早急に、こういう点についての配慮、指導あるいは基準設定ということを私は強く要望したいというように思います。  それから、アフターサービスの問題ですけれども、これはいろいろ聞いてみますと、アメリカなどでは、このアフターサービスのいかんによって企業の伸長度合いがきまるというふうにいわれておりますけれども、ただ、私が日本の実態を調べた段階では、ほとんどそういうものはなされていない。だから、貸せばもう貸しっぱなしというのが実態ではないかというふうに、私の少ない調査でもわかったわけですけれども、この点について、通産省ではどういう具体的な指導なり措置をするのか、お答えを願いたいと思うのです。
  93. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 これは機械を使用させるわけでございますので、これのアフターサービスは非常に重要な問題だと思います。御指摘のとおり、アメリカでは非常にこれが進んでおりまして、むしろいま一つのきめ手になるぐらいに進歩いたしておるわけでございます。日本といたしましては、現時点では非常に手薄であることは認めざるを得ないと思います。われわれといたしましては、この点がこれからのリース業の適正なる、健全なる発展の基盤であるという考えを持っておりまして、今回リース保険を発足するにあたりましても、個別に各リース業界の指導に入りたい。個々のリース会社におきます機械メーカーとの連携の強化、それからアフターサービス、修繕業務等の要員の確保、この辺はこれからのリース事業の発展の中で当然に吸収されるべき性質のものだと思いますので、個別の、たまたま個々のリースとわれわれが相対で契約を結ぶわけでございますので、その辺の指導に万全を期したい。しかしながら、この保険制度だけでは十全と思えませんので、全般的にリース業の発展につきましても制度リースの活用、拡充等も今後ともはかってまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  94. 野間友一

    ○野間委員 特に私がその点について要請する理由は、リース事業者、これは通産省でもらった表がありますけれども、この大部分というか、ほとんどが独占資本メーカー、それから大商社あるいは銀行、こういうところと結びついたものなんですね。したがって、こういう業者は、とにかくユーザーに比べますと非常に売り手市場とでも申しますか、非常に強い立場にあるわけなんです。したがって、契約すればあとはもうとにかく対価さえ取れればいい、そういう態度に終始しておるというのが実態だと思うのです。したがって、この点について、単にその業者のモラルとか、そういうものだけにこの改善を求めることはできない。これは何度も申し上げておるように、中小企業の近代化というのが法の目的ですから、この点について、強い通産省の行政指導が望まれるというところがやはり理由になると思うのです。その点について、私は、やはりユーザーを泣かせないように、ぜひ強力な指導をお願いしたいということを申し上げておきます。  それから、次の質問ですけれども、そのリースの料金ですね。この料金が通常どのようにきめられておるのか。このリース料金について、通産省としては一定の基準なり規制、こういうものを考えておられるのかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。
  95. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リース料の構成要素を申し上げますと、まず第一に機械類の価格でございます。それ以外に、これはリース業者所有権を持っておるわけでございますので、金利関係それから固定資産税、動産総合保険料それから手数料といいますか一般管理費、大体その五つから形成されることに相なろうかと思うわけでございます。  リース期間が五年ということを前提にして、標準的なリース料をわれわれのほうで計算いたしますと、機械代金を一〇〇といたしました場合に、大体においてこれは一四〇程度に相なろうかと思います。これは四割でございますので、一見非常に高いのじゃないかという感じもいたしますが、金利及び固定資産税、火災、盗難等の保険料、適正なる手数料等の計算は、われわれのほうとしてはこの四割に該当するという感じでございます。割賦と比べまして比率としては高いわけでございますが、割賦は御存じのとおり、大体二年以内ぐらいで行なわれておりますのが現状でございますので、二年とそれより長期の五年との金利問題、保険料、固定資産税等々、当然その間の差がございますので、これは非常に乱暴なことでございますが、もし同一の期間ということで、われわれのほうで試算いたしてみますと、ほぼ同等の金額になるわけでございます。  なお、これに関連いたしまして、リース料がこういう妥当な線におさまっておる限りにおいては、私は問題ないと思うのでございますけれども、もし万が一これを非常に高いかっこうで設定するような業者がございますれば、これは著しく高い場合には競争条件でおそらく負けると思いますけれども、相手が中小企業でございますので、それを不当に押しつけられる可能性もないわけではございません。われわれといたしましては、その契約書の内容とか、不当に高くされた中小企業の声等を反映いたしまして、もしそういうことが万一ございましたら、そのリース業者との契約は解除いたす方針で臨みたいということを考えておる次第でございます。
  96. 野間友一

    ○野間委員 何かものの本によりますと、大体どのような算定方法をなされておるかということについて書いてあるのですけれども、それによりますと、物件購入原価、これから見積り残存価額を引いて、それにプラス金利プラス手数料プラス保険料、税金プラス利益、こういうふうになっておるようなんですね。これはリース業者によって、多少の変動はあるのかと思いますけれども、やはり通産省としては、適正な料金をつくることによってユーザーを保護するという観点からすれば、一定の料金の算出方法をきめたほうが望ましいのではないかとも思えるのですけれども、この点について何かお考えがございますか。
  97. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 ただいま申し上げました一四〇%程度といいますのは、機械の価格を一〇〇にいたしました場合に、金利が商業金利の標準もので五年間計算いたしております。それから固定資産税、動産総合保険料等も世間の全体的な標準的なものでやっておるわけでございます。手数料と適正利潤につきましては一〇%というふうにわれわれは考えております。これは、われわれとしては、本制度の発足の準備指導においてリース会社に対しましてすでに標準としてこれを提示しておりまして、もしこの法案が成立を見た暁におきましては、契約の前段階にもう一回これを確認いたしまして、その線で実質的にこの線と背馳のないように各リース業者指導してまいる考えでございます。
  98. 野間友一

    ○野間委員 次にお聞きしたいのは、ローンあるいは割賦それからリース、これは午前中にも出ておりましたけれども、メリットあるいはデメリットいろいろございますが、これらについて、ほんとうにユーザー立場から具体的に個々のケースにどの方法をとれば一番利益になるかという点について、積極的にこれを周知徹底させることが望ましいというふうに考えられます。特にこういう新しい制度になりますと、なかなかユーザーとしても、とりわけ中小企業者の場合には十分な知識を持っておるわけではありませんので、したがって、通り一ぺんの指導でなくて、具体的に中小企業者に周知させるような方法でPRするようなことが望ましいと思うのですけれども、何かその点について具体的に考えられておることがあれば、それをひとつ答弁願いたいと思います。
  99. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 割賦、ローンそれからリースのそれぞれのメリットデメリットにつきましては、詳細を省きますけれども、確かに先生のおっしゃいますように、それはそれぞれメリットデメリットを持っておるわけでございます。いかなる状態でこれをそれぞれ使うかというのは、中小企業の選択の問題でございます。われわれとしては、一番大事なことは、中小企業の諸団体を通じて周知徹底するのが一番いいのじゃないか。それから役所側といたしましては、中小企業庁の広報活動が相当行き届いておりますので、商工会議所等とも連携をとりながら、中小企業庁の広報活動、それから中小企業団体の中における周知徹底、この二つを大きな柱として、その全体の制度の利害得失について徹底をはかりたいと考えておる次第でございます。
  100. 野間友一

    ○野間委員 最後に繰り返してお聞きするわけですけれども、リース契約一つの基準の問題なんですが、内規をつくって指導したい、こういうお話があったわけですが、この法案が成立しますと、すぐ動くわけなんですね。だから、内規をつくる時期をそうおくらすわけにいかない。成立と同時にこれが運用できるようにやらなければならぬと思いますけれども、いつごろつくられるものなのか。つくられた場合には、それを資料としていただきたい。この点についてお答え願いたいと思います。
  101. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 本法は、成立いたしましても即日施行することを考えておりません。それと申しますのは、いまの先生のお話にも関係するわけでございますけれども、そういう具体的な基準の作成もありましょうし、それから個々のリース会社との非常に詳細なる検討が必要だと考えます。  それから、いまお話が出ましたように、中小企業者に対する周知徹底の問題もあろうと思いますので、われわれのほうの感じでは、三カ月程度施行をずらせまして、その間にそういう準備行為を行ないまして、それで円満にこの制度の施行ができるような形をとりたいと思います。したがいまして、その間に、いま先生指摘のようなこともおそらく何らかのかっこうでできると思いますので、また私、その節は御連絡申し上げたいと思います。
  102. 野間友一

    ○野間委員 最後に、とにかくるる申し上げておりますように、何といいましても中小企業の利益をそこなわないように、これはリース業者でなくて中小企業者を育成保護するという観点から、いささかの不利益な扱いもないような方法を、ぜひとっていただきたいということを強く要望いたしまして、終わりたいと思います。
  103. 浦野幸男

    浦野委員長 松尾信人君。
  104. 松尾信人

    ○松尾委員 この機械類信用保険、また今回創設しようとするリースの点につきまして、二、三質問をいたしてまいります。  この保険制度運用につきましては、第六十三回国会でこの法律の一部改正案が審議されましたときに、てん補率だとか保険料率、貸し付け利率その他制度全般に関して早急に検討を加えること、このような附帯決議がなされております。今回、このリース契約をこの制度対象に加えるということにあたりまして、これらの附帯決議の点についてどのように検討されたかということをまず聞いてまいりたいと思います。
  105. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 第六十三回国会附帯決議におきまして、てん補率、保険料率等につきまして附帯決議がなされましたことは先生指摘のとおりでございます。  今回、リース対象にいたしますにあたりまして、てん補率といたしましては、法第四条及び第五条におきまして二分の一をてん補するというふうにきめた次第でございます。  それから保険料率につきましては、法第六条におきまして、この保険事業の収支が相償う水準に定めるべきであるとされておりますので、これに反する運用は非常に困難でございます。  ただ、保険料率につきましては、不況期におきまして保険事故が多発した場合におきましても、直ちに保険料率を引き上げることはいたしませんで、長期的に見て本特別会計の収支が相償う水準が維持されればいいという基本的な考えでやっておる次第でございます。なお、今回の改正にあたりまして、関係条文の改正を行なうかいなか種々検討いたしたわけでございますけれども、保険料率を著しく引き下げるというような場合には、一般会計からこの特別会計に赤字補給金が必要ということになるわけでございまして、予算編成上なかなか大きな問題もあろうかと考えます。また、長期的に見ますと、この特別会計は過去十一年間で非常にうまく収支とんとんになっておりますので、その点から見ましても、保険料率はほば妥当ではないかとわれわれは考えておる次第でございます。  種々の事情はございましたけれども、今回の改正で特別の措置はしておりませんけれども、考え方といたしましては附帯決議の線に沿っておるのではないかと考える次第でございます。
  106. 松尾信人

    ○松尾委員 時間がありませんから、要領よく答弁してください。  この料率でありますけれども、これは収入で支出をまかなう、そういう観点から料率をきめていく、このようになっているわけですね。ですから、現行料率というものがあるわけでありますし、今回も保険の料率、リースの料率、これはあくまでもこのような基本の方針でありましょうけれども、この収支をとんとんにしていくということで、料率のきめ方について品目がたくさんありますし、一品一品違うのでありましょうけれども、何か特に配慮された点はありませんか。
  107. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リース保険につきましては、今回制度の発足でございますので、一応統一で進めたいと思っておりますが、当時特別会計全体といたしましては、第一種機械類につきまして、その後の事故率の発生度等が機種ごとに違ってきておりまして、その辺も含めて今後若干手直しが必要になるかとも思っておりますけれども、おのおのの機種ごとの事故発生率の違いとか、そういうことが、そういうことを考えますときの前提であろうかと思います。
  108. 松尾信人

    ○松尾委員 この収支とんとんでいくという原則でありますけれども、過去の業務の収支を見てみますと、三十八年、三十九年、四十年、四十一年、四十六年、四十七年度も、この年度では払い超になっておるようですね。これはどういう理由によって収支が払い超になっておるか、この点はいかがですか。
  109. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 この保険制度と申しますのは非常に景気変動に敏感でございまして、不況期には特に中小企業の倒産、不渡り等から保険事故が発生するわけでございます。最近時の四十六、七年につきましては、御指摘のとおり、四十六年の八月にドル・ショックが行なわれまして、それ以来経済界は沈滞に入っておったわけでございます。その辺の関係も含めて事故の発生率が高かったということがいま先生の御指摘のようなことだと思います。
  110. 松尾信人

    ○松尾委員 この保険料収入の過去の実績をながめてみますと、三十九年度に二億一千九百万、これが最高の収入ですね。それ以降は減少しておる。付保件数は横ばい、若干ふえる、保険金額も大体横ばい、そして保険料は減少しておる、このようなことが添付の資料でわかるわけでありますけれども、これはどういうわけでしょうか。
  111. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 保険料収入につきましては、最近横ばい傾向でございます。これは御指摘のとおりでございます。昭和三十九年が収入のピータであったわけでございますけれども、この理由は二つぐらいあろうかと思います。  その一つは、昭和四十年以降装軌式トラクター、いわゆるブルドーザーがいわゆる自己保険に切りかえまして、この付保がここから非常に大きく脱落いたしたわけでございます。この件数で非常に大きく減ってきたわけでございます。  それから、しかももう一つの要因は、このブルドーザーというのは事故率がわりあいに高かったものでございますので、一般の保険料の三倍の一番高額の保険料を取っておったわけでございますが、その一番高いところが落ちていったものでございますので、その辺で付保率の減少を上回る保保険料の収入減少につながったわけでございす。
  112. 松尾信人

    ○松尾委員 リースのほうへ戻りますけれども、これは一律に〇・五%。この〇・五%という積算の根拠、また、あらゆる機種があるのに、通じて〇・五%のみを保険料率としているこの理由はどういうところにありましょうか。
  113. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リース保険につきましては、現行の割賦ローンの保険料率の場合と同様に、結局は事故率の分析、調査を前提にいたしまして、収支相償うように水準をきめるのが筋でございます。リースにつきましては、いずれにしても今回最初の発足でございます。われわれとしましては、過去の事故率等の実績を機種別に検討いたしたわけでございますが、その結果、現時点におきましては、機種間で事故率等に著しい差がないということが判明いたしたわけでございます。これは今後事業を実施いたしまして数年経ますれば、またここにいろいろな変化が出るかとも思いますけれども、現時点におきましては事故率等に差異が明確にございませんので、むしろ機種間の公平ということをはかるべきであるということで、発足時におきましては一律で発足いたしたい、こう考えておるわけでございます。
  114. 松尾信人

    ○松尾委員 これはリース業界の全般的な話でありますけれども、このリース業界の契約高、これは四十七年度に三千二百億円、このようなリース業界の実績があるわけでありますけれども、このような実績というものが今回のリース保険のほうへどのように移ってくるであろうか、これをどういうふうに考えて見ておりますか。リース業界全体の実績、それを今回はリース保険でどのくらいこれがこの保険のほうへ入ってくるか、こういう見込みであります。
  115. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リースはこれから非常に私は伸びる形態だと思うわけでございますが、いまの先生のお話の、全体のリースのうちどのぐらいがここにかかってくるかということでございますが、まず大まかにいいまして対象十五業種というのは機械関係リース全体の半分だと思っていただきたいと思います。そのうち、これは機種としての比率が半分でございまして、それのまた五割ぐらいの付保になるのではないか。したがいまして、全体の約四分の一弱ぐらいが一応付保対象にあがってくるのではないかと推定いたしておるわけでございます。
  116. 松尾信人

    ○松尾委員 四分の一ということになりますと、三千二百億の四分の一、今回あなたのほうで大体三百とか三百何十億、こうおっしゃっていますけれども、それはどういうことになりますか。
  117. 宮野素行

    宮野説明員 御説明申し上げます。  三百二十億円はまず付保の金額でございます。引き受け金額でございまして、それをリース料に換算いたしますとおおむね倍になるわけでございます。六百数十億でございます。  ところで、四十八年度の見込みにつきましては、七月から保険関係が始まるという前提でございますので、九カ月間の期間でございます。したがいまして、ただいま申し上げました六百四十億円をさらに一年に引き延ばしてみますと一千億弱の勘定になるわけでございまして、先ほど先生指摘のトータルで四千億弱の四分の一という数字に合致するわけでございます。
  118. 松尾信人

    ○松尾委員 いよいよこのリースの保険の申し込み、こういうことになるわけでありますけれども、これは保険の申し込みというものがすなわち契約件数に一〇〇%なる、このように理解していいんですか。
  119. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 基本的な考え方はそうでございますけれども、先ほど来お話が種々出ておりましたように、中小企業を著しく圧迫するとか、差別待遇するとか、そういうものは当然排除されるべきでございますので、そういうものはその分から落ちると御理解願いたいと思います。
  120. 松尾信人

    ○松尾委員 そうしますと、この保険契約の窓口の問題でありますけれども、そのような査定をするとか排除する。それは窓口としてはいま通産省を考えておるということだと思うのでありますが、これは割賦等につきましては通産各局に窓口を広げておる。そうしますと、これは一応はスタートは本省でいいでしょうけれども、これが普及してまいりますとやはり窓口を広げていく。それで、政府も中小企業に対するいろいろな配慮をそこでじっくりしていくということも必要かと思うのですけれども、どうです。
  121. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リース保険は保険契約者がさしあたり二、三十社しか予定されておりません。これに対応する現行保険制度は、これは非常に数多くの割賦販売業者が、たしか五百ぐらいあろうかと思いますけれども、さしあたりリース関係は二、三十社でございますので、かつそのリース業者の本社といいますか、それがほとんどが東京にございますので、また地方にありますものも東京にみんな支店を持っておりますので、制度の発足にあたりましては東京で一括本省でこれを厳重に審査をいたしたいと思います。  ただ、先生のお話のように、今後これが拡大、地方分散等のことが当然考えられると思いますので、そのときには現行の割賦と同じように通産局の活用、権限の委譲ということは当然行なう方針でございます。
  122. 松尾信人

    ○松尾委員 このリース保険の対象品目でありますけれども、現在は機械、そういうものにとどまっております。これは将来やはりいろいろな機械器具等に広がっていくんじゃないかと思われるのでありますけれども、医療関係、室内装飾、商店、そういうものを一切含めた、現在はそういうリースがありますかどうかということですね。そしてそういうものも今後は必要と認めた場合には、この品種、品目、これを追加していく考えがあるか、この点でありますが、どうです。
  123. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 さしあたりリース保険につきましては十五業種を指定いたすわけでございますけれども、いま先生お話しのように、インテリアとか商店とかいうものは、われわれのほうは一応機械の面に限定しておりますので、今後ともなかなかむずかしいんではないかと思います。ただ、同じ機械及びシステム等に関係するものにつきましては、これからの時代の進展でいろいろなものが出てくると思いますので、それは当然に今後追加するというかまえで臨みたいと思っております。
  124. 松尾信人

    ○松尾委員 そういうふうになった場合ですけれども、これは、現在のこの機械類信用保険法という制度だけでいいかどうか。やはりリースというものが大きく伸びる段階におきましては、リース保険というものを別個に独立させたほうがいいんじゃないか、こういう考えもわくわけでありますけれども、どうですか。
  125. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リースの重要性と、今後の発展といいますか伸展につきましては、先生のお話のとおりだと私、思います。このリース業というものをどういうつかまえ方をするか、これは今後衆知を集めて検討すべきだと思います。その一環といたしまして、リースは商店の店舗のリースその他いろいろなものがあると思いますが、その辺を全部含めて保険にかけるのかどうか、その辺がリース業全体の今後のあり方と関連すると思いますので、そういう方向で検討すべきだと思います。
  126. 松尾信人

    ○松尾委員 ちょっと品種の選定に立ち戻りますけれども、中小企業の比率が六〇%とか七〇%とかいっておりますが、これはどちらであるかということ。  それから、現在、中小企業の比率があなたたちの考えておる比率基準よりも低い場合でありますと、たとえ中小企業の設備の近代化で非常に重要な段階であるというような判定のできるものについても、現在はだめだ、こうなるわけですね。そういうものを今後は拾っていこう、このような考えはありませんか。
  127. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 まず機械の選定でございますけれども、われわれのほうでいま考えておりますのは、金額で六〇%以上中小企業向けリースされておる機種ということで、中小企業重視でいきたいと思います。いま十五業種全部を平均いたしますと、これが七割に相なるわけでございますけれども、基準といたしましては六割以上のもので拾うということでございます。  二番目に御指摘の、比率がこれからどういうふうになるか、近代化に役立つ場合の機種を拾うべきではないかというお話でございましたけれども、たとえば一つの機種の中でも、非常に大型のもので金額のかさばるようなものは大企業が主として使っておって、金額のどちらかというと小さいようなものが中小企業に非常に使われるというものもあろうかと思います。これを平均すると、中小企業比率が金額で小さいような場合でも、金額の最高限を限定することによりまして、その機種は中小企業機種であるということで拾う方法もあろうかと思いますので、その辺も含めまして、機種選定におきましても、中小企業に十分な配慮を行ないたいと考えております。
  128. 松尾信人

    ○松尾委員 いまお話がちょっと出ましたけれども、大企業がもっぱら使うという、大企業専用と申しますか、そういうものも今回の品目の中にあるわけですか。そうならば、中小企業は使わない、大企業のみが使うというものはどのくらいあるのですか。
  129. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 ちょっと誤解を生じまして恐縮でございました。  いまの十五業種の中にはそういうものはございません。将来の問題といたしまして、非常に中小企業の近代化に役立つけれども、形式的に、中小企業比率が低いような場合に何か方法はないかということで、ちょっと先走りをして申し上げたわけでございまして、現在の十五業種は中小比率の非常に高いものだけに限定しておりまして、大企業の比率の高いようなものは全然入っておりません。
  130. 松尾信人

    ○松尾委員 大企業だけのものはないのですか。
  131. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 ございません。
  132. 松尾信人

    ○松尾委員 リース業全体のことでありますけれども、メーカーとリース業者との関係ですね。メーカーが子会社をつくってリースさせているとか、そのほかにリース専門の商社があるとか、いろいろ分かれるかと思うのでありますけれども、そういう関連で現在のリース業者というものをながめた場合に、メーカーとリース業者、それは親子の関係のものか、商社が独立してやっているものか、金融機関とのつながり等いろいろありましょうが、全般的にそういうものの構成比率というのはどうなっていますか。
  133. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 現在のリース業者の系列別の比率は、詳細な資料はここにございませんけれども、大勢観察いたしまして大部分のものが商社及び金融機関の系列のものでございます。メーカーが自分の製品をリースするために別の会社をつくっておりますのは、現状では非常に少ないわけでございます。ただし、私の感じでございますけれども、今後メーカーが自己の製品を売る方法といたしまして、メーカー直結のリース会社の出現というのはふえるのではないかと思います。その場合に、最大の問題は金融問題だと思いますが、今後の方向といたしましては、メーカー筋のリース会社の増加は考えられると思います。
  134. 松尾信人

    ○松尾委員 これは資金の有効活用ということがいわれておりますね。リースの場合、一回当たりの支払い金額は少なくて済む、このようにありますけれども、このリースの価格というものは、機械価格の一・四倍ですね。それを月賦で払うわけでありますから、これは私の認識不足かどうかわかりませんけれども、信用保険の場合の価格とリース保険の場合の価格とは違ってくるだろう、リース保険のほうが高くなっていくんじゃないか。そうなりますると、一回当たりの支払い金額というものはむしろリースのほうが高くなっていくような感じを持つわけですけれども、いかがですか。
  135. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、リースの場合には代金の一・四倍でございますが、これは五年間のリースということを前提にしての計算でございます。これを三年間で計算しますと一・二五倍に相なるわけでございます。割賦代金のほうは、割賦期間というのが現実には二年以下でございますので、二年の割賦と五年のリースを比較しますと、確かに十数%の差が出るわけでございますけれども、これをもし仮定の話で同一条件で比較しますと、ほぼ同じ関係になりまして、この点でリースのほうが割賦より高いということはいえないのではないかと考えます。
  136. 松尾信人

    ○松尾委員 逆にいえば、あまり安いともいえないじゃないか、こう思うのですけれどもね。安くなると書いてあるから、念を押しておるわけです。メンテナンス問題でいろいろお話も出ておりますけれども、これはやはり責任の帰属というものをはっきりさせておかなくちゃいかぬと思うのです。ですから、メーカーにあるのか商社にあるのか、いろいろこのメーカーと商社のつながり等で、技術というものがどこにあるかという問題でありますけれども、現状はどうであり、どのような方向で、これをあなたのほうではしっかり押えていこうと思うか、その方向をきめていこうと思っておるか、この問題についてはどうです。
  137. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 御指摘のとおり、メーカーへのアフターサービスは非常に重要でございまして、他産業と比較しまして非常に歴史が浅いわけでございます。サービス、コンサルティング業務等は非常に劣っておりますけれども、現実はどうなっておるかと申しますと、アフターサービスにつきましては、残念ながらリース業者の力は非常に劣っております。したがいまして、みずから修繕等を行なう実力がほとんどないといっても過言ではないと思いますので、現在はリース開始と同時に、そのリースいたしました機械のメーカーとユーザーの間で保守契約を結ぶのが通例でございます。メーカーとユーザーの間で保守契約を結んでおるわけでございます。  機械類のこういう関係のトラブルといいますか、保守関係の解決をリース業者みずからが行なうほうがいいのか、それともそのものをつくりましたメーカーが行なうのがいいのか、これはなかなかむずかしい問題でございまして、どちらのほうがユーザーにとってより親切で有効であるかという問題は、これはむしろユーザーの選択であろうかと思います。残念ながらいまリース業者には力がございませんが、将来リース業者に非常に力ができました場合におきましても、保守をどちらがやったらいいかということは、われわれとしてはむしろユーザーの意見を第一に取り上げて、それに従ったほうがより有効ではないか、こう思っております。
  138. 松尾信人

    ○松尾委員 その機械にトラブルが起こるということになりますれば、これは中小企業というのは非常に迷惑するわけであります。リース料金というものは変わらぬだろうし、下げてくれぬだろうし、そうすると操業はその間できない。仕事はできない。これは非常に迷惑であります。ですから、今度はアフターサービスというものはリース業者は抜けちゃって、機械のメーカーとユーザーがやる。まるで機械の故障だとか、そういうものについてはリース業者は無責任で関係ない。そうすると、どこに中小企業は文句を持っていくかということですね。故障が起こる、そういう事例も多々あるんじゃないか。そうすると、そういうことを解決するものをやはりきちっとしておきませんと、中小企業としてはこのトラブルを持っていく先がないわけですよ。これはどういうふうに考えますか。そういうものをきちっと解決してあげなくちゃいけません。
  139. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 先生の御指摘は全くそのとおりだと私は思います。歴史の浅いせいもありますけれども、リース機械のそういう関係のトラブルというのはあまり起こってないのが実情でございますが、今後とも一番大事なことはそういう点の完全を期するということでございますので、われわれといたしましては、リース業者契約を結ぶにあたりましても、その辺を十分に確保いたしまして指導に当たりたいと思います。
  140. 松尾信人

    ○松尾委員 現在のリース業者には悪質なものはいないと思います。大体相当力もあるし、信用もあると思いますけれども、やはり何かと事故が起こりがちだとか、そこの機械がやはりトラブルを起こすとか、今後保険に乗せてきますといろいろ問題が起こってくると思うのです。そういうことから、やはり的をしぼってリース業指導していかなくちゃいけない。そういう点も十分にお考えになっておるかどうか。今度はそれは法律等ではおやりにならぬでしょうから、どのような方法をもって今後そういうものを取り締まっていくか、こういうことであります。
  141. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リース業者の詳細な実態は必ずしも全部明確でございませんけれども、われわれのほうの今度リース保険の対象にいたします産業機械類を取り扱っておりますリースは数十社でございます。その他商店改造とかいろいろなことがございますが、その数十社のうちで資本金が一億円以上の金融力を有するものは二十五社前後だと思います。これは先ほど来申し上げますように、われわれといたしましては、契約リース業者と結びますときにその金融能力、取り扱う品物の性格、経理内容等は詳細に一カ月半くらいかかりまして審査をいたしまして、いやしくもそういう資格のないリース業者対象にしないという方針で臨むつもりでございますので、そういうふうに心得ております。
  142. 松尾信人

    ○松尾委員 先ほどもちょっと出ておりましたけれども、中小企業に対してのリース保険の問題、これを周知徹底させていく必要がある。いろいろ周到に御計画のようでありますけれども、中小企業に対してそういう制度があるというようなことだけじゃなくて、いろいろその他の情報ですね、たとえばメンテナンスに関する件だとか、いろいろ知りたいことがいっぱいあると思うのです。そういうことをよく教えませんと、制度ができても、こういう制度ができたのかということだけで終わって、せっかくの計画が浸透しませんから、そういう中小企業に対する情報の提供、どういう部門についてまでやっていこうというようなお考えはありますか。  それからもう一つ、将来リース業者のその機械でいろいろ問題が起こる。そういう情報はやはりすぐ流していくとか、現在この保険が始まる時点における情報提供というものと、この保険が始まりましたあとでいろいろ教えてあげなければいけない問題が多々私は起こってくると思うのです。そういうものと合わせたあなたのほうからの情報の提供についてどのように考えておりますか。
  143. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 まず今回のリース保険は新種保険でございますので、パンフレット等はもちろんつくりまして周知徹底をはかるわけでございますけれども、既存の割賦販売等にかかるものも含め、私のほうの非常に力点を置いておりますのは、今度は貸与機関の機械も全部保険の対象にいたしたいと思いますので、われわれのほうといたしましては通産局にまずおも立った県の方に集まっていただきまして、ここで詳細に新種保険、既存の保険すべての説明会を開催いたしまして、それから通産局の職員にむしろ巡回的に各地方の商工会等にも行っていただくということを考えております。基本的には、先ほど申し上げましたように、中小企業庁の活動と中小企業諸団体のPR効果も当然これは前提でございますけれども、特に府県とのつながり、そこに対する職員の巡回指導等も考えたいと思っております。
  144. 松尾信人

    ○松尾委員 制度について教えるというのがまずスタートでは一番中心になるでありましょうけれども、しかしその制度が始まってあとのいろいろの情報を漏れなく教えていくというのが基本的に大事だと思います。  それから、いままでの信用保険でありますけれども、あなたのほうで過去何年かいままで実施してきておって、中小企業の設備の近代化というものに非常に役に立った、このように貢献したというような、貢献度というものを言えるくらい何かありますか、いままでの保険で。
  145. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 現行法に基づきます保険制度は、割賦等を中心にする代金不払いのリスク補てんでございます。基本的には、この制度によりまして中小企業信用力が補完されまして、中小企業に新鋭機械購入がはかられたことが一つの大きな効果だと思います。  これをある程度具体的に申しますと、本保険を付しました割賦販売によって中小企業購入いたしました合理化機械は、昭和四十七年度で約四百億円にのぼる見込みでございます。また、本保険の利用状況の最もティピカルな指標でございます付保件数でございますけれども、これは昭和四十六年度一万二千件に対しまして、四十七年度は二五%増の一万五千件にのぼっております。われわれのほうである程度この内容も見ておりますけれども、中小企業の中でも零細企業といわれているような企業の比率も非常にこの中にふえておりまして、こういうような関係指標から見ましても、本制度中小企業、零細企業の設備近代化に非常に役立っておるのじゃないか、こう思っておるわけでございます。
  146. 松尾信人

    ○松尾委員 それで、この中小企業に対する金融助成という問題と、このリース保険というものを直接結ぶわけにはまいらぬと思います。まいらぬと思いますけれども、特にいろいろ助成策がありますね。中小企業の近代化、それに対しての金融助成措置、そういうものがありますけれども、そういう一連の通産省中小企業対策、近代化とか、また産業構造の転換、これで、いままでの機械が全部だめになる。省力的な意味合いからも、騒音を出さないという意味からも、公害をとどめていくという意味からも、あらゆる機械が今度は出てくるんじゃないかと思う。これは当然出てこないといけません。そういう観点からいうと、いままでの機械というのは使えないような時代にやがてなりますね。燃料の面でも節約しなくちゃできません。そうしますと、中小企業の段階におきましては、このリースでいこうというのがうんと出てくるんじゃないか、こう私は思うのです。これはあなたたちがいまおっしゃいましたけれども、そういうもの以上にこれを利用しなくちゃできないという段階が来るであろう。そういうときに、いまの中小企業の金融政策、助成策等で、今度はぱっと変わっていく、産業構造の転換、中小企業機械が変わっていくという段階で救うことができないんじゃないか。もう少し基本的にそういうものを考えられまして、手広くやっておいて、そしてそれをリースと結んでいくというふうに両方が機動的に動きませんとうまくいかぬのじゃないか。こればかりに没頭して、リース保険でほかのことは何も見えないというようなことでは、これはやはり視野が狭いのじゃないか、こう思いますよ。  そういう意味において、いま私が申し上げたことをひとつ点検されまして、大きくこれを——やがていまの機械がだめになっていく段階がくる。そういうときに全部機械が総変わり、これがリースでくるというような方向というものは固めていく必要もある、ほかの政策も考えなければいけない、こういうようになりますね。その点はどうです。
  147. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 仰せのとおり、これからの中小企業対策というものはそういう総合性を持たなければいかぬと思うのであります。いままでもそういう総合性に努力してまいりましたが、今回この保険法の中にリースが入ることによって、おっしゃるような方向を検討してみたいと思います。特に仰せの中にございました公害施設なんというものは、まさにそういうリース的なものとして一番最適なものであろうと思ったりいたしますので、今後十分検討してまいりたいと思います。
  148. 松尾信人

    ○松尾委員 公害もありますけれども、燃料節約をするとか、それから労働力を省くとか、省力機械等あると思いますね。幅広いことについては次官がぴしっとお答えになりましたから、もう少し具体的な面に入って局長からお答え願いたいと思います。
  149. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 私も詳細はなかなかむずかしいのでございますけれども、中小企業対策、各般の施策があるわけでございますけれども、本制度と非常に関係がありますのは、中小企業信用保証関係でございます。これは中小業者が、たとえば機械のことに即していいますと、機械を主として現金買いするような場合に、その金融力を保証するということでございます。リースのほうは、中小企業リースを行なうにあたっての信用力を補完するということでございます。  これは先ほど来出ておりましたように、中小企業者といたしましても、その機械に応じてこれを割賦で買うか、ローンでやるか、それとも自分で現金買いをするか、リースでやるか、いろいろなことが選択を迫られるという感じがいたしておるわけでございますけれども、今後の時代の進展で、リースがその中で特に伸びるという感じが私はいたしておりますけれども、依然として中小企業におきましてはあらゆる手段が完備されまして、一番有利なる形で一番適切なる機械設備の購入がはかられるべきである。そういう意味で、いま政務次官からもお答えがございましたように、既存の中小企業対策と本制度とは有機的に関連をつけまして、相互に補完的にこれを強化し合っていくというかっこうで、通産省全体としても運営いたしたいと考えておる次第でございます。
  150. 松尾信人

    ○松尾委員 私の言いたいのは、結局お金がないと非常にほしいんですけれども買えない、こういうのが現実にはたくさんあると思うのですよ。ほかにいろいろ近代化とかそういう金融補完措置がありますね。おまけに、それが非常に転換の時期に差しかかっておりまするから、差し迫ってほしいのだけれども金がない、おまけに公害等の関係機器になりますと金額も高くなってまいると思います。ですから、ある程度はリースで信用補完もするけれども、リースに入ってきたものは一つ産業構造の転換なり大きな意味合いがありますから、近代化等をもう少し広めて、そしてリースとつないでその資金をがっちり固めて——ほしいけれどもできない、転換したいけれどもできない、そのために公害がいつまでも除去できないというようなことは防いでいかなければいけないじゃないか、こう言っているわけですよ。ですから、直接には結ばれませんでしょうけれども、やはり政務次官のおっしゃった総合的な検討、その中には私が言ったようなことをきちっと入れていく、そしてやがて中小企業のいろいろな体質の転換、構造の転換、そういうものをあわせて助成していくという、むしろこの法の精神から大きく離れますけれども、今後法の精神を生かしていくような方向をがっちりとってもらいたい、こう言っているわけですが、どうですか。
  151. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 御意見全くそのとおりだと私も同感でございます。中小企業のいろいろな機械の近代化対策について、私、専門家でございませんけれども、大綱を申し述べますと、中小企業振興事業団の融資、それから中小企業金融三機関による融資、それから先ほどちょっと触れました信用保証、この辺が全部金融措置でございまして、運用といたしましては、中小企業の、近代化、省力化、無公害化というようなところに重点を置いて融資が行なわれておるわけでございます。それから設備の近代化そのものにつきましては、補助金が相当高く出ております。また、設備の貸与制度というものも行なわれておりまして、補助金とか貸与制度を通じまして直接的に設備の近代化がはかられておるわけでございます。  それから、この近代化に関連いたしまして、中小企業機械近代化特別償却制度がございまして、これは税制上の優遇措置もとられているわけであります。以上、金融とか財政投融資とか税制とか、そういうことで近代化をはかってまいるわけでございますけれども、このリースもその一環といいますか、うらはらといいますか、政務次官の言いましたように有機的にこれを運営して、時代の変遷に中小企業が応じ得られる有力な一つの手段としてこれを総合的に活用してまいりたい、こう考える次第でございます。
  152. 松尾信人

    ○松尾委員 ただいまのお答えを私もしっかり覚えておきますから、次官もいいですか。これはほんとうに中小企業がいま行き詰まっておる問題なんです。公害がいつまでも地域社会から除去できないという問題なんです。これは何としても資金がないということですね。そして公害機器、省力機械等が非常に高いということですね。それと採算等で中小企業がまた困るということ、金がないということ、基本はそこでありますから、ひとつ大きな立場から推進していただきたい、これは重ねて強く要請しておくものであります。  それから、現在わが国リース業界でありますけれども、その多くがあらゆる商品を取り扱っておる総合リース業と申しますか、そのような傾向であろうと思うのでありますけれども、米国の場合は、ある程度これは商品別に専門化されておるのではないか、このように聞いております。ですから、日本におけるそのようなリース業界というものの現状はどうであるかということと、今後はやはりどのようになっていくであろうか、専門化されていくのか、総合化というものが日本で今後とも維持されていくのか、どの方向が望ましいのか、こういう問題がありますけれども、お考えはどうですか。
  153. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 先ほど松尾先生からアメリカの例を出されたのでございますが、扱う品物によって総合的に伸びていくリース業と、それから単品を扱っていくリース業とあると思います。たとえば機械等は、将来はわかりませんが、おそらく専門化していくのではないかと思ったりするのでありますが、それともう一方において、生活関係のものは総合的なリース業ということになっていくと思うのです。  お尋ねにございました、たとえばインテリアの問題等もございますが、これは本件とは関係ございません。現在御審議いただいておりますのは機械の保険でございますので関係ございませんが、アメリカでは、すでにそういうようなものが相当広くリースとして扱われております。そうした場合には、そういう関係リース業は総合的な、もっと幅広い、多様化したものを扱うリース業者になっていくと思います。一方において、こういう機械のようなものは、その品物を専門化して、そしてまたリースの中におきましてもいろいろな種類のリースをつくっていくであろう、こう思いますので、そういう観点からわれわれもながめていきたいと思います。
  154. 松尾信人

    ○松尾委員 現在わが国リースが発展していますね。海外進出の問題でありますけれども、わが国リース業界というものが現在海外に進出している事例があるかどうか、まずそのところから聞いてみたいと思います。これはいろいろ海外進出の問題がたくさんあると思いますけれども、そういう事例をまずお尋ねいたします。
  155. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リース業の海外進出でございますけれども、わが国リース会社で海外の企業に出資いたしておりますのは六社、十二件でございます。大部分が香港、シンガポール、フィリピン等の東南アジアでございますけれども、一つだけアメリカにコンテナのリースということで、その関係で出資をいたしておるものがございます。それで一〇〇%のものも相当あるわけでございますけれども、現時点におきましては、いずれも小規模の活動だと思わざるを得ないと思います。
  156. 松尾信人

    ○松尾委員 現在の事例をいま言われたわけでありますけれども、何か非常にそこに国内と違いまして、ことに海外でありますので、メンテナンスの問題とか、いろいろあると思いますね。そういう点はどのような現状でありますか。
  157. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 いま申し上げましたようなリースを海外でみずから、また合弁で行なっておりますけれども、メンテナンスづきのものは皆無であります。この辺非常に問題だと私は思うわけでございますけれども、今後機種の性格、相手側の事情等に即応しました現地サービス体制の確立というのが絶対必要だと思いますが、現時点におきましてはメンテナンスの体制は不備でございます。今後われわれといたしましては、リース事業協会というのがございますけれども、この辺の活動の強化等を通じまして、海外進出の場合のメンテナンスの強化、これに取り組んでまいりたいと思う次第でございます。
  158. 松尾信人

    ○松尾委員 いま事業協会の話が出ましたけれども、これはいまお尋ねしようと思っておった。これは通産省の肝いりでできたわけでありますけれども、いま海外のメンテナンスについては行き詰まっておる。何もできない。ですから、この事業協会を通じてしっかり体制を固めたい、こうおっしゃいますけれども、そういうものでいいのかどうか。やはりリースが海外で伸びていくには、日本でやっているようなかっこうでそういう海外のメンテナンスをやっていくことには限界があるのではないかと思われます。  そうすると、日本の海外メンテナンス対策、これをやはり一つの機関といいますか、いまおっしゃった事業協会でもけっこうでありますけれども、技術の部門だとか、そういうものをがっちりとしておきませんと、ただお答えだけでありまして、事業協会にやらせるとかなんとかで、内容的には固まっていないと思いますが、これははっきりしておきませんと、これはやはり日本の産業構造の一つの大きな変化ですよ。海外に出ていく。それは物は出ますけれども、付加価値がうんと多い、こういうようなかっこうでございますから、がっちりと海外のメンテナンスの問題は解決されるような方向をもう少しお考えになったらどうですか。もう少し具体的にお答え願いたいと思います。
  159. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 海外に進出しておりますのは、先ほどもちょっと申し上げましたように、現時点ではわりあいに小規模でございます。取り扱っておる品物も、産業機械、船舶、コンテナ、小さな航空機のリースをちょっとやっておるところもございます。それから空気調節機器のリース、それからレジャー関係が一部出ておりまして、ボウリング等のリースも行なっておるわけでございます。  いずれにしましても、現時点ではわりあい小規模にあれしておりますので、いま先生指摘のような大問題は出ておらないわけでございますけれども、国内でももちろん問題でございますが、特に海外でメンテナンス上で非常に不信を買うようなことは非常に大きな問題だと思います。  その一つといたしまして、先ほど事業協会の活動を申し上げたわけでございますが、それ以外に、通産省といたしましても、わが国企業の海外進出を促進して、その事業活動を円滑に行ないますように、海外投資保険制度でこれを促進し、所要資金を保険するという制度がすでにございます。それから海外投資情報の提供ということで、ジェトロの活用等も考えております。今後とも保険制度の活用なり外貨の有効利用——これは私ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、外貨の有効利用等のことも含めまして、海外におけるこれらメンテナンス事業の確保を、事業協会を中心にいたしまして具体的に進めてまいりたいと考えております。
  160. 松尾信人

    ○松尾委員 海外へリースが出ていくということは、これは新しい輸出産業なんですよ。力を入れていかなくてはいけませんし、中小企業が国内で非常に喜ぶように、これは海外のユーザーとしましてもやはり非常に喜ぶのじゃないか。これを広げていこうという気があれば相当伸びるのではないか。これは商社の自主的な活動が原則ではありますけれども、大いにそれを助成していくようなお考えがないといかぬと思うのです。こういう輸出産業というものは新しい型の輸出産業でありますから、うんと力を入れる。おまけに相手の国が、これはユーザーが全面的に喜ぶものであろうということでありますから、これもひとつあわせて保険制度リースまでも広げたこの段階におきましても、大きく将来性ということを常にお考えになりまして、そうしてしっかりやってもらいたい。  繰り返して最後に要望いたしますけれども、中小企業に対するメンテナンスの問題、これは何としてもがっちり解決されまして、メーカーとユーザーという訴え先のない中小企業というものを、どのようにしたら具体的に守れるかということはやはり確立されていきませんと、本制度の将来の発展というものが大きく阻害されていくんじゃないか、こういう心配でありますが、最後にそういうことについて総括的にお答え願いたい。
  161. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 松尾先生御心配になっておりますメンテナンスの問題でございますが、これは、当然考えなければならぬ問題でございまして、今後とも十分に、そういうことでトラブルの起こらないように、機械リースで渡したがあとの補修等におけるメンテナンスが全然いかない、それによってトラブルが起こって中小企業が困るということのないようにいたさなければ、画竜点睛を欠くということになろうと思うのでございます。  それと、なおかつこのリース業をもっと海外にも伸ばしていけというお説でございますが、これはまさにいい提案でございまして、何ぶんこのリースわが国で普及してまいりました歴史が新しい。それだけにリースというものに対するなじみが一般に薄かったということと、これに対する企業の取り組み方におきましても、十分な計画もなければ準備もしておらないと思うのでございますが、これはまさにこのリース業は世界に日本として伸ばしていくべき産業だと私は思います。  幸いにいたしまして、外貨も十分蓄積されてきておる状態でございますし、そういうようなものの活用の方法といたしましても、これは適切なものであろうと思いますので、通商産業省としても、もっと積極的に考えていきたい、このように思います。
  162. 松尾信人

    ○松尾委員 最後でありますけれども、そういうときに国内におけるリース保険ですね、これは今回創設されるわけでありますけれども、海外のそのようなリース、これに対しての保険制度ですか、そういうものについては、いきなりこの現行法、機械類信用保険法、こういうようなものがそのままできる、こういうわけにまいらぬのじゃないか、こういう気もしますね。そうすると、そういう海外進出のリース、これは望ましいものである。それをもう一つ保険で何かつなぐという考え方はどのようにやったらいいか、その点いかがでしょうか。
  163. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リースの海外進出は、今後のわが国産業といいますか、その行き方としまして非常に望ましい形だと思います。しかしその場合、おそらくリースされます機械ユーザーは、外国の企業ということに相なろうかと思います。これをわれわれが本制度のような形で保証するというのは、これは絶対私は無理だと思うのでございますが、メンテナンス能力の拡充も含めまして、海外にリース業者等が出ますときに、その資金能力を強化補充してやる必要が当然あろうかと思います。これは先ほどちょっと触れましたように、海外投資保険という制度がございますので、この海外投資保険の対象にこれは当然なるわけでございます。これはちょっと詳細はわかりませんが、相当の余裕の金もございますので、この保険制度を通じまして、これらリース業者の海外活動を保険する、向こうでの政治的な不測の問題が起こった場合等々にその損害をこの保険を通じて別途補償するという形で、こういうリース業者の海外進出につきましては、これを強化、補完していきたいと思います。くどいようでございますけれども、海外における外国企業に対するリースというものをわれわれが今回の保険制度でカバーするというのは無理じゃないかと考えておる次第でございます。
  164. 松尾信人

    ○松尾委員 終わります。
  165. 浦野幸男

    浦野委員長 中村重光君。
  166. 中村重光

    ○中村(重)委員 局長に二、三点お尋ねをいたしておきます。  この機械類信用保険法の一部改正でもってリースを保険の対象にする。私は、単純に、リースといったようなことがアメリカから導入をされて、そして相当これが成長発展の方向にある、だからいろいろと事故も起こってくる、だから保険の対象にするのだということだけでなくて、現在の産業構造というものが重化学工業から知識集約型の方向へ進んでいくということと無縁であってはならないと思います。そうした観点から中小企業の近代化ということにウエートが相当置かれているように思うのですが、単に文字の上で中小企業の近代化ということを強調するにとどまることなく、具体的に中小企業近代化のためにこれをどう生かしていこうとするのか。機械産業の振興というものはむしろ従的に取り扱われておるような感じもいたしますから、その点についてのあなたの考え方を明らかにしておいていただきたいと思います。
  167. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 今回リース保険を追加するにあたりまして機械保険法自体の改正も行ないまして、従来とかく条文上対等に取り扱われておりました中小企業の近代化と機械工業の振興との関係を、今回の改正法では、中小企業の近代化に重点を移すようにこれを修正いたして、従来の行政の姿を反映さしたわけでございます。本文に即して言いますれば、機械、機種の選定におきまして中小企業の近代化を重視するようにいたしたことでございます。  なお、中小企業の近代化といいますのは非常に大きな問題でございまして、本法だけではこれをカバーしきれないと思われますので、先ほど御説明申し上げたのですが、中小企業の融資金融、財投、税制等各般の中小企業近代化政策の一環にこれを組み入れまして、総合的に中小企業の近代化をはかってまいりたいと考えておるわけでございます。
  168. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまあなたが言われたことは当然であって、中小企業の近代化を特に促進をするという積極面というものが出てこなければいけないのだ。単にいままでは機械工業の振興というものにウエートが置かれておったわけだ。中小企業の近代化というものはむしろ従的という形であったのだけれども、今度は中小企業の近代化ということに相当ウエートが置かれている。ならば、この法律目的として中小企業の近代化というものが積極面としてどう出てくるのかということが私は重点であると思うので、その点をひとつもう少しあなた方の意図しているところを明らかにしておいてもらいたいというのです。
  169. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 法文の改正の形式は先ほど申し上げましたことでございますが、われわれのほうで中小企業の近代化を重視する具体的なあらわれといたしましては、従来対象にしておりませんでした各府県の貸与機関の取り扱い業種、機種、これは全部本保険制度対象にいたしたい。これは中小企業の近代化に非常に資する。しかしながら、どちらかといいますと、わりあいにこまかい機械が多いわけでございますけれども、この辺は今回の行政の行き方といたしまして、保険対象機種に追加いたしまして中小企業の近代化をはかってまいりたいと考えております。
  170. 中村重光

    ○中村(重)委員 同僚諸君からお尋ねをしてお答えがあったわけですが、社団法人リース事業協会に加盟しているリース業者というものは二十三社にすぎない。してみると、これの二倍ないし三倍程度のリース業者というものが存在している。ところが、私はあえていかがわしいということは言わないのだけれども、相当弱体な業者がいるというふうに思われるわけですね。そこで、これを把握してこの保険の対象にしなければならないと思うのです。  それから、保険の対象につきましても、この弱体なリース業者というものは倒産をするといったことも起こってこないとはいえない。倒産をいたしました際に、その所有権というものはリース業者にあるわけだから、それがユーザーの使用というものに非常な混乱を起こさせるというような、いわゆるメーカーが機械を引き揚げるという事態が起こりかねない。そのような場合には、中小企業というものは、いわゆるユーザーはたいへん混乱する状態の中に追い込まれるわけだけれども、これを救済する措置としてどのようなことをお考えになっておられるのかということです。
  171. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 御指摘のとおりリース会社は数十社あるわけでございますけれども、特に本法対象機種に関係するものにつきましては、われわれといたしましては、契約を国と結びますときに資産内容、財務諸表、信用関係を厳重に審査いたすわけでございます。いまリース事業協会に加盟しておりますのは二十三社でございますが、まあこれは大部分非常に信用力のあるリース会社だと思います。おそらくあと数社出てまいりまして総計で契約の相手方は三十社程度に相なろうかと思いますが、われわれといたしましては、そういうリース会社の倒産とか、そういうことのないように厳重なる審査を経まして、金融力の系列なりその資金調達方法の安全性等も十分審査いたしまして、先生のおっしゃいますような、いやしくも、倒産の起こらないように相手方を選定して契約をいたしたいと考えております。
  172. 中村重光

    ○中村(重)委員 まあ倒産をしないように、十分これを審査をしていきたい、こういうのだけれども、さて経理的基礎というものは基準が示されているものじゃない。また、審査の調査能力であるとか物的の流通資力とかあるいは資金の調達力とかいったようなことについて、あなた方は具体的な基礎というものをどこに置いているのかということですね。そのことに対する確信がなければ、リース業者が倒産するといったような場合において——倒産をするような業者に対しては保険の対象にしないといっても、現実に実際問題にぶつかってみるとそうはいかないであろう。だから、この点は、具体的にどういうふうにしてこの基準をきめていこうとお考えになっておられるのかということです。
  173. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 具体的な基準はなかなか申し上げにくいのでございますけれども、われわれといたしましては、これはいま先生指摘のとおり、そういう問題か起こりましてはリースを受けておりますユーザーである中小企業に多大の御迷惑がかかるわけでございますので、これらのリース会社契約を結ぶにあたりましては、専門の金融調査機関にそのリース会社の徹底的な調査をお願いする予定を現在立てております。また、事業協会に入っております二十三社の大部分につきましては、これが非常に大きな、いい悪いは別にいたしまして、金融機関または大商社がむしろこれをつくって、その系列でつくられているリース会社でございますので、そういう実質上の信用力及びその調査機関を通じての確認、その両方を含めまして、万が一にもそういうことがないような配慮はいたしたいと考えております。
  174. 中村重光

    ○中村(重)委員 リース業者は、みずからの危険負担というものを免れるために、この保険に対して積極的にこれを保険の対象とするように望まれるということはよくわかる。しかし、国といたしましては、事中小企業に及ぼす影響ということを考えると、この保険の対象になるならぬにかかわらず、中小企業の振興という観点から積極的な取り組みをされることは言うまでもない。なかんずく、これを保険の対象にしたということにおいて、なおさら国の責任というものは重加されてくるわけですから、その点については慎重な態度をもって、信用力というものを十分確保していく、そしてこの保険事業というものの伸展をはかっていくという態度でなければならないと私は思うのです。  まだいろいろお尋ねしたいこともありましたけれども、同僚諸君から質疑がなされているところでもありますし、玉置議員のほうからも質問希望があるようでございますから、あと一問で終わりますが、回収事務というものは、保険会計の健全化という点から私は重要であると考えます。そうなってまいりますと、このリース会社に対して保険の回収というものを強く要求されてくるであろう。そうなってまいりますと、費用というものは当然かかってくるわけですから、かかった費用をどう弁済をするのか、補償していくのかという点は、小さい問題のようであって、きわめてこれは大きいわけです。中小企業等の信用保険の場合におきましてもいえることですが、保証協会がこの弁済金の回収のために努力をする。ところが、実は公庫のほうはそれに対して費用弁証というものをしない。そのことで回収というものがうまくいかないということが現実の問題であるわけです。したがいまして、この回収費用というようなものをどうするのかといったような問題も、保険会計健全化の立場から十分ひとつ対処してもらわなければいけないと思います。一応あなたのお考え方を伺って質問を終わります。  最後に、大臣から、冒頭この問題に対する質疑が行なわれまして、一応の考え方をお示しになったわけでありますけれども、予算委員会等々の関係から同僚諸君の質疑をお聞きになりませんでしたが、この制度の健全化、まして目的の中に、中小企業の振興といったようなことにこの法改正のウエートが置かれているわけでありますから、今後のこの法律の運用にあたっての大臣の考え方をひとつお示しおきいただきたいと思います。
  175. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 本制度運用にあたりましては、中小企業の振興育成のために本制度が最大限に活用されますように、いろいろ配慮していきたいと思います。なおまた、本会計の健全化等につきましても、いろいろ注意してまいりたいと思います。この委員会でいろいろ御質疑いただきました諸点については、当局にも指示いたしまして、よく注意してまいるつもりでございます。
  176. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 回収費用のことにつきましてお答え申し上げます。  回収自身をだれにやらしたらいいかということでございますけれども、これはやはりそういうことに熟知しましたリース会社そのものにやらせるのが一番妥当であろうと考えております。その場合にかかります費用は当然にこれを認めることにいたしまして、実は回収されました金額の二分の一を国庫に納付することに相なっておりますけれども、その場合、基礎控除的にこの費用はもちろんわれわれのほうで審査いたしますけれども、当然に引き算をいたしまして、その残余の二分の一を国庫に返してもらうということで、回収の円滑化といいますか、それをはかってまいりたいと思います。
  177. 浦野幸男

    浦野委員長 玉置一徳君。
  178. 玉置一徳

    ○玉置委員 ほとんど同僚議員から質問がございまして、意を尽くしていると思いますので、一、二点質問をいたしまして私の責めを終わっておきたいと思います。  まず第一点でありますが、本法にいう中小企業範囲でございますが、今国会に予定されております中小企業本法の改正によりまして中小企業範囲拡大することになりますが、本保険の運営上零細小企業が相対的に不利になることはないか、この点について当局から御答弁をいただきたいと思います。
  179. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 本法にいいます中小企業範囲は、中小企業本法第二条の規定の中小企業者の概念でございます。したがいまして、基本法がもし改正されますれば、本法におきます中小企業範囲、これは改定されるのは当然だと思います。  この場合、零細企業が相対的に不利になるではないかということでございますけれども、本保険制度対象機械類の選定等の本法運用に際しまして、小規模企業の近代化という点につきましては、従来にも増しました配慮をいたしたい。先ほど来何回も申し上げますように、各府県の貸与機関の機械類も今回全部入れることにいたしまして、これは相当零細企業対策という点にも配慮いたしておることのあらわれだと御理解願いたいと思います。
  180. 玉置一徳

    ○玉置委員 第二点は、今回の改正でリース保険を設けられるわけでありますが、同じようなレンタル制度に対してはなぜその対象にせられないのか、この点をお伺いしたいと思います。
  181. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 リースは御存じのとおり三年以上、大体平均五年ぐらい長期にわたって機械を使用させる形態のものでございます。レンタルといいますのは、一番端的な例はレンタカーといいまして、ほんとうに半日とか一日自動車を借りて乗り回してそのままそれを返すというかっこうをとるものでございます。したがいまして、レンタカーの場合で申し上げますと、レンタカーを行ないます業者は、同じ物件を何回も何回も使用目的を違えまして代金を回収することができるわけでございます。その点で、長期にわたって途中における中小企業の倒産等の不確定なるリスクがレンタルにはございません。おのずから保険をする必要性において違うのではないかと思います。  それから、レンタルで非常に有名でございますのは電算機でございます。これは非常に大型の電算機等、特にIBMがレンタル方式をとっておりますので、電算機部門では非常にレンタル形式がとられておりますが、このレンタルといいますのは、いつでもこれを返すことができるという契約でございまして、このリースとはおのずから相異なっておりますので、一般的にレンタルには二種類ございますけれども、今回は性格が違うという点でリースの中にレンタルを入れないで本制度の改正をお願いした次第でございます。
  182. 玉置一徳

    ○玉置委員 運営に協力して、これで質問をやめます。
  183. 浦野幸男

    浦野委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  184. 浦野幸男

    浦野委員長 速記を始めて。  以上で、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  185. 浦野幸男

    浦野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  機械類信用保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  186. 浦野幸男

    浦野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  187. 浦野幸男

    浦野委員長 次に、本法律案に対し、稻村左近四郎君外四名より、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党五党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を求めます。板川正吾君。
  188. 板川正吾

    ○板川委員 ただいま提出いたしました附帯決議案につきまして、提案者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。      機械類信用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、機械類信用保険制度の重点を中小企業の設備近代化におき、特に小規模企業が広く利用し得るような運用方針を今後とも貫くことを基本とし、特に左の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一 保険対象機種の拡大を図るとともに、保険業務体制の充実に努めること。  二 リース業者実態把握等に努めるとともに、その事業の健全な発展を期し、就中アフターサービス体制の整備を図るための指導を進めること。  三 割賦販売、ローン保証販売及びリースのそれぞれの特色、利点等について、中小企業者が周知できるよう、積極的な広報活動を行なうこと。  四 輸入機械の中で中小企業の設備近代化に特に必要なものについては、これを保険制度対象に加えるよう考慮すること。 以上でございます。  決議の内容につきましては、委員会における質疑等を通じまして、委員各位の十分御承知のことと存じますので、この際、趣旨説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  189. 浦野幸男

    浦野委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  190. 浦野幸男

    浦野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根通商産業大臣
  191. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 政府といたしましては、今後本保険制度運用するにあたりまして、御決議の内容を十分尊重いたしまして、御趣旨に沿うよう努力いたす所存でございます。ありがとうございます。     —————————————
  192. 浦野幸男

    浦野委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 浦野幸男

    浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  194. 浦野幸男

    浦野委員長 次回は、明後九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十六分散会