○
石母田
委員 これ以上よしますけれども、ただ全く違った
考えじゃないですね。今度のはそういう
意見も入り、
使用者側の
意見も入り、そしてミックスしてできたものです。そういう中で
労働者側の
意見も全面的には採用されなかった、
使用者側の
意見も全面的には採用されなかった、しかし両方の部分もまた入っているという今度の
法案ですから、私は
検討するに値する
意見だと思うし、この問題はまだ解決されてないとすれば、解決するようにやはり政府自身としても指導的な立場で
検討していくというのが、私は政府の態度だと思うんですよ。ですから私の質問に対して何かかたくなに——私は
労働者側の
意見にあなたたちが賛成しろと言っているのじゃなくて、また
調査会と全然違った
意見のことを言うのではなくて、
調査会の今度の報告の過程がそういう二つの
意見がミックスされたものだから、それぞれの
意見というものは十分
検討するに値する
意見としていく必要があるのじゃないか、こういうことを言っているわけです。それはじゃ要望としておきましょう。
それから幾つかのいまの問題から出てくる条件についてお伺いし、また
お答え願いたいと思うのです。
一つは、私ども一番問題にしているのは
業務外、
業務上とみなされなかったというところから
労働者に対する権利保護というような点で非常に不十分な点があるということです。たとえばこの間の質問の中に出ていましたような解雇制限の問題、
労働基準法の
適用がないわけでして、そういうところから休業中の解雇問題というような問題が起きやしないかということなんです。
労働基準法ですと三年までは十九条によって解雇の制限があるわけですね。今度の場合はないわけですね。ですからけがをした、たとえばむち打ちになったというようなことで、それを直接の
理由とするかどうかは別として、休業中に解雇をしようとすれば、
基準法上の制限がないわけですからできるという問題が
一つありますね。それからもう
一つは、今度の第十二条八の
改正で長期傷病
補償のほうに移行ができるようになっていますね。三年以上たって、しかも政府が必要と認めた場合には移る。そうすると、この移行した、あるいは移行したあとにおける解雇問題というのは三年以内でもできるけれども、企業主から見ればより良心に苛責なくできる条件になっているわけですね。条件というとおかしいけれども、長期でなおらない、なかなかなおりにくいというようなことで、
補償給付に移したということによって、これがまた解雇の
理由になるということも、
労災のときよりももっと大きくなるのじゃないか、ひどくなるんじゃないかということを私どもは心配しているわけです。この解雇制限についての歯どめというか、あるいはそういうことをさせないような指導、行政的な処置というようなものについて何か
考えておられるかどうかお伺いしたいと思うのです。