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八木(一)議員 日本
社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党が提案をいたしました野党四党案に与党自民党の方が積極的に
質問をされて、この四党案をよしとすれば御賛成になろうというような意思も含めて御質疑になっていることに非常に敬意を表するわけであります。
いま非常に大切な問題について御
質問がございました。私もその問題についてお答えをできるだけたんねんにいたしたいと考えております。(橋本(龍)
委員「時間の制約がありますから簡潔にお願いいたします」と呼ぶ)それでは
質問者の御要望もいれて、たんねんから、ある
程度にいたしたいと思います。
そこで、実はいまの長期的見通しの前に、
国民的合意というお話もございましたけれ
ども、それについてはまた次の御
質問のときにお答えできると思いますので、まず長期的見通しについて端的にお答えを申し上げたいと思います。
まず、この
年金制度は、
厚生年金保険あるいは船員保険あるいはまた
国民年金、その中の拠出制
国民年金と各
福祉年金という
制度に大まかに分かれておりますが、全部を申し上げると非常に時間がかかりますので、大体似たようなもので量的に非常に少ない船員保険の分は省略をいたします。
厚生年金を主として、それからまた、それに対して
国民年金について、いまのことを申し上げたいと思います。
厚生年金はまず第一に、いま
昭和四十八年度でございますが、これは申すまでもなく
年金制度は
昭和八十五年にそのピークに達する、そうしてその後は平準化するということは申すまでもないことであります。したがって、出発点と途中点と八十五年のピーク、一番
年金的に
年金を給付することが必要であり、また財政的に困難な時期、その時点について、三つくらいの点で要約して申し上げたいと思います。
現在、実は被保険者数は、私
どもは、四党案によれば五人未満の事業所の方を厚生
年金制度に即時入れることになっております。したがって、その数を百二十五万と推定をいたしまして、
政府の見通しの
厚生年金の適用者数よりも、これをふやしております。その点少し数字が食い違いがあると思いますが、そういう要素が入っていることをひとつ御理解をいただきたいと思います。
被保険者数は
昭和四十八年で大体二千四百七十万人、五十五年で二千七百十九万人。それから簡単にとおっしゃいましたから飛ばします。ピークのところを申し上げます、三千百六十八万人と推定をいたしております。
次に、その
年金受給者数、これは老齢、通算、障害、遺族、項目別に申し上げましょうか、合計でいいですか。(橋本(龍)
委員「合計でけっこうです」と呼ぶ)じゃ被保険者数はいま言ったように老齢
年金、通算老齢
年金、障害
年金、遺族
年金全部入りますから、全部の数を合わせて、本年度で約二百万人、それから五十五年度で四百十五万人、それから八十五年度でふえまして二千二百三万人ということに推定をいたしております。
それについて標準報酬の総額が、四十八年度で二十一兆、五十五年度で二十四兆、これはもう端数は省略します、兆単位で申し上げます。それから八十五年度で二十五兆というのは、これは実は賃金あるいは物価、そういうものの
変化がないとしてきた基礎数字であります。
変化はあとで申し上げます。
変化がない場合に、賃金、物価等の
変化がないとして計算をした
年金給付費は、
昭和四十八年五千三百四十億円、それから五十五年二兆百六十億円、八十五年十二兆八千三百七十億円。兆単位より下を申し上げましたけれ
ども、これではもちろん物価なり賃金が変わりますから、ほんとうの収支計算になりません。
収支計算のほうで申し上げますと、
昭和四十八年が、保険料の収入が、いまの四党案のやり方ですから保険料率は変わりませんから、四十八年度に千八百六十四億円の収入合計であります。その中で保険料が千二百七十二億円、国庫
負担が百四十九億円、利子四百四十三億円、合計額で千八百六十四億円。五十五年度に、その合計額だけを申し上げると、合計額で五千三百四十二億円。それがピークになりますと、合計額で二百五十一兆四千三百三十億円。収入総計であります。大きいですから、その内容を申し上げますと、保険料が百七十七兆、それから国庫
負担が六十七兆、利子収入が七兆強であります。
それに対して、今度は支出のほうでありますが、四十八年に五千三百四十億円、五十五年に四兆二千八百五十億円、それから八十五年のピークになりますと、支出が二百三十九兆七千六十億円ということになります。年度末の準備金は半年分準備いたしますので、そのときに百二十五兆ということになります。これは少し切り捨て、切り上げしておりますので、ラウンドナンバーであります。
このように計算をしました基礎は、
昭和五十二年度までは年率一三%で標準報酬は上がっていくという計算であります。それから、五十三年度から五十七年度までは年率一〇%、五十八年度から六十二年度までは年率八%、六十三年度以降は年率七%、準備金の
運用利回りは六・二%ということで仮定して計算をいたしました。これはもちろん変動があると思います。
そこで、実は保険料でございますが、保険料は、これは四党では三年ごとに計算をして、いろいろなことをきめることになっておりますからあれですが、三年目のときの相談をいたしておりませんけれ
ども、いまとにかく千分の六十四の保険料、これは第一種の男子の場合であります。女子と坑内夫等は別であります。六十四がずっと続きまして、五十四年までは六十四で、そのままいけるわけです。それからだんだん上がりまして、八十五年に三一%になります。
質問者の推定された金額と大体一致をいたします。三一%になりますが、これは保険料全体が三割ということになるわけでございまして、四党案では、使用主七、
労働者三ということになっておりますから、これは〇・九割、すなわち九分ということになる。収入の一割弱ということになります。これはピークの一番苦しいときであります。その後は何十年、何百年、こう横になりますから、苦しさはなくなるわけですから、一番ピークのときに一割弱の
労働者の
負担が必要であるということになります。(「本来の
質問者がじれておりますから簡単に」と呼ぶ者あり)
非常に広範な問題ですから、これは三点だけで、だいぶ省略しているわけです。あまり省略して申し上げると、野党案が粗雑に見えますので、できるだけ短く言いますけれ
ども、実は、賦課方式について幾ぶんいまの
政府と考え方を似たようにする学者の方は、将来の
負担が非常に多くなる、したがって、賦課方式じゃなくて修正積み立て金方式で、現在の
労働者にかなり
負担をしてもらわなければ、現在の
労働者と将来の
労働者の均衡を欠くという議論をする方があるわけです。それに対して、私
ども四党も徹底的に討議をし、検討した結果、それは当たらない。現在の
労働者は、たいへん低賃金と重
労働で収奪をされている。その他にも物価高や
住宅難などで非常に
生活が圧迫をされている。その
労働者に高い保険料を課することは、ほんとうに不適当である。将来の
社会は、
経済も発展するとともに
労働分配率がふえて、将来の
労働者は、先輩に対する
年金に対する
負担に痛痒を感じないだけの収入が確保されているべきである、そのようなことで、私が申し上げたような、いわゆる学者たちのいうような形式的の均衡論ではなしに、実質的な均衡論でこれを考えるべきであるという点で、賦課方式に踏み切ったわけであります。
ここで
昭和八十五年度
労働者の
負担が収入の一割弱、九%ということになっても、これは十分な収入が
保障され、先輩に対するそのための
負担をする、またその
労働者が、将来老齢になったときには、それだけの十分な
年金が
保障されるということが完全に
保障されているわけでございまして、そのときはいまと違って、その
保障されている実態を目の前に見ているわけです。ですから、これは実際的に
労働者は痛痒を感じない
負担であるし、積極的に
労働者の合意を得られるというふうに考えているところであります。
それでは
国民年金について、ごく簡単に申し上げます。
国民年金のほうは被保険者総数が、
昭和四十八年度二千三百三万人、五十五年度が二千二百七十万人、それから八十五年度が二千百七十六万人と推定をいたしております。これは雇用が増大をいたしまして、自営者よりも雇用者が多くなるということで、こうなってくると推定をいたしておるわけでございます。受給者のほうは、四十八年度九十五万三千人、五十五年度三百八十万六千人、それから八十五年度が千百十六万人であります。給付額のほうはそのような物価、賃金等のスライドがないと見た場合において四十八年度千七百億円、五十五年度一兆六百五十億円、それから八十五年度三兆二千七百九十億円。これはしかし同じように賃金スライドがありますし、
生活水準その他で改定もありますので、それを
先ほどの例に従って変えていくといたしまして、五十一年度で収入額が、合計五千三百二十億円、その中の保険料の収入が千百五十億円、国庫
負担が三千五百六十億円、それから支出額のほうは八千九百六十億円ということであります。
国年のほうが厚年よりも積み立て金がなくなる年数が早うございます。そのころからなくなってまいりまして、保険料の値上げをしてまいらなければならないという事態になってまいります。八十五年度においては、実はわれわれの考え方で保険料を算定したとして、保険料が二十五兆九千億円、国庫
負担が二十九兆七千五百四十億円。そして支出のほうは五十五兆ということになります。このときの保険料はピークの一番苦しいときでございますが、賦課方式で月額十二万六千百十七円になります。
ただし、これは
先ほど申し上げました物価とか賃金とか、そういうものが関係ないとして、
昭和八十五年度に三兆になる。それが関係あるとして五十五兆になるということでございますと、その間に十七対一という比率があります。結局物価、賃金等でいま
変化がないとした計算よりも十七倍になるわけであります。いまにこれを逆算いたしますと、十二万六千百十七円というのは月額七千円という金額になります。八十五年のピークでございますから、八十五年を越えたら、あとはぐっと楽になるわけです。
国民年金はその間に階段がありまして、十年
年金が始まっておりますが、それをもらう人がどんどんできる。五年
年金が二、三年後にできる。そのような中でございまして、このように
年金制度というものが非常に
老後を安定させるものであるということが、
現実に全
国民に浸透いたしておりますから、その後における保険料の
負担は、みずからの老齢の
保障をするものに直結するものであるということで、このような保険料
負担がふえてくることについては、
国民的な合意が成り立つものと考えているわけでございます。
御希望によりまして、できるだけ省略をいたしました御説明を申し上げましたが、もう
一つだけ申し上げておかなければならぬことがあります。簡単に申し上げておきます。
これは国庫
負担であります。ここでピークだけ申し上げますと、国庫
負担が
厚生年金で年間六十七兆ということになります。それで
国民年金で二十九兆になります。ピーク時です。ところで日本の
経済の将来の
計画でございますが、いまのGNP、ことし百兆といわれておりますが、それを私なりに計算をしますと、GNPデフレーター、
変化の率、これを年率五%としますと、八十五年のピークにおいてGNPが六千兆ということになって、その場合における国家財政は、GNPと国家財政との比率を、大体ことし及び去年の比率の平均値で出してみますと七百六十兆円、一年間の国家財政が七百六十兆円ということに相なります。
七百六十兆円ということでございますから、この国庫
負担九十六兆円ということは、たいした金額ではございませんで、この点、
先ほど本来の
質問者の言われた
社会保障制度審議会の三十七年の勧告によると、
昭和四十五年に国家財政の四分の一は
社会保障費に出さなければならないという内容が、精密にはついているわけです。その形でいくと、七百六十兆円の四分の一は百九十兆円になるわけです。その中の九十六兆円というのは、
年金制度が成立した、
年金が
社会保障の中で一番中心になる事態を考えますと、これはいささかもおかしな数字ではない、妥当な数字であると考えておるわけであります。
以上、簡単でありますが……。