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八木(一)議員 私は、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して、ただいま
議題に相なりました
国民年金法、
厚生年金保険法等の一部を
改正する
法律案並びに
国民年金等の積み立て金の
運用に関する
法律案について、
提案の
趣旨並びに
内容の大綱について御説明申し上げます。
社会保障
制度の
確立は、声ある者、声なき者を問わず全
国民の切実な願いであります。そしてまた、このことは、憲法がその第二十五条第二項において、国に対して明確に責務を課しているところであります。にもかかわらず
政府がGNP世界第三位、成長率世界第一位と誇号するわが日本において、その社会保障
制度が西欧諸国よりはるかに低位にあることは、低
賃金、高物価、公害と並んで、憲法を軽視をし、大資本に奉仕をする自民党政権の冷酷きわまりない政治の代表的なものと言うべきであります。
ことに
医療保障とともに社会保障
制度の重要な柱である
年金制度の劣悪な現状は、全く
国民を無視したものといわなくてはなりません。ウナギのぼりの物価上昇で大部分の
国民の生活が異常に圧迫されておりますが、その中でも障害者や
母子家庭等は全く苦しい生活にあえぎ、多くの
老人はきわめて暗い生活を送っております。戦前からの
老後のための貯蓄は、戦後のインフレで完全に消え去り、さらに、家族
制度が音を立てて崩壊をしております。そうした現状の中で明治、大正、
昭和と続いた圧政と苦難の中を生き抜いてきたわれわれの先輩に対するいまの政治は、きわめて冷酷であり、怠慢であります。
住宅
医療等々
老人等のために対処すべきことは多々ありますが、
年金制度の
確立こそがその
中心であることは、何人も否定できないところであります。しかしその現状は、全くお話しになりません。ちなみに
昭和四十七年度の六十歳以上の人口約一千二百万人でありますが、そのうち、
老齢年金の
受給者はすべての
制度を合わせて約六百五十三万、そのほぼ半数にしかすぎません。しかもその六割が
年金という名に値しない、あめ玉
年金、すなわち月三千三百円の
老齢福祉年金の
受給者であります。
厚生年金の
受給者ですら平均月一万六千五百円、
老人の暗い生活の嘆きがこの数字で裏書きされているといえましょう。用われわれは、
昭和三十三年
政府が全く放置していた
国民皆
年金を実現するため、抜本的
国民年金法案を国会に
提出をしたことをはじめとして、
年金制度確立の先駆的役割りを果たすため努力を続けてまいったのでありますが、
老人等の生活の現状と人口老齢化の進行を重視をし、昨年総選挙での公約を果たすべく四党一致して、ここに、本二法案を
提出したわけであります。
そのうち、まず、
国民年金法、
厚生年金保険法等の一部を
改正する
法律案について申し上げます。本法案は
国民年金法、
厚生年金保険法、
船員保険法並びに
年金福祉事業団法の一部を
改正しようとするものでありまして、先ほど
提案理由の説明のありました
政府提案の
厚生年金保険法等の
改正案と主要点において対比をしながら御説明申し上げたいと存じます。
本法案の目的とするものは、まず第一に
老人、障害者、遺族の生活を保障するに足る
年金制度を、いわゆる月六万円
年金として
確立しようとするものであります。これは
厚生年金では、被
保険者期間二十年、
国民年金では二十五年の人を計算の
中心点として六万円
年金と称するものであります。これに対し、
政府案は、
厚生年金では、被
保険者期間を二十七年に引き延ばして上げ底として、五万円
年金と称し、
国民年金では付加部分を加えて夫婦月五万円
年金と称するものであり、これを本案と正確に比較をすれば、
厚生年金において三万七千円、
国民年金において、夫婦四万円としか称し得ない
内容であります。
野党四党案が誇大宣伝の
政府案とは違い、真に
充実した
内容であることを明確にいたしておきたいと存じます。
第二に、
年金の
最低保障額の
確立と、それに見合った
福祉年金等の
改善であります。
厚生年金、
船員保険中、
老齢年金の
最低保障額が妻の加給を入れて
現行法
月額一万二千二百円、
政府案月二万四千四百円であるのに対し月四万三千円とし、それに見合い、
老齢福祉年金について
現行法
月額三千三百円、
政府案月五千円を月二万円、すなわち夫婦月四万円とし、さらにこれを上回り二十五年
年金額に近い、五年
年金、夫婦四万六千円、十年
年金、夫婦五万一千円を実現しようとするものであります。
さらに、
現行法では月八千八百円、
政府案では一万八千四百円であるのに対し、
月額三万三千円を
最低保障額とする障害及び遺族関係の
年金、並びにこれに準じた各
福祉年金額の飛躍的
引き上げをはかるものであります。これこそ、いますぐ、生活できる
年金をと叫ぶ
国民の要望にこたえる道であると確信をいたします。
第三に、
年金の
支給対象を大幅に拡大し、
年金を必要とする全
国民に
制度を及ぼし、かつ、また全労働者に被用者
年金を適用しようとすることであります。
すなわち、
国民年金においては、六十五歳から
老齢福祉年金の適用、二級
障害福祉年金制度の創設、
福祉年金の
扶養義務者並びに配偶者の所得制限の撤廃であり、
国民年金保険料免除者に対する
年金の大幅増額なども同じ
趣旨の
改正であります。
厚生年金においては、五人
未満雇用事業所の労働者への強制適用、日雇い労働者に対する
厚生年金適用促進、在職老齢
年金制度の拡大及び
改善、五十五歳以上退職者の繰り上げ減額
年金制度の創設、
船員保険も含めて、
保険料かけ捨て及び脱退一時金
受給者の
年金受給権利の
確立の推進であり、各
制度を通ずるものとしては、遺族
年金、障害
年金の通算
措置の促進であります。
これに対し
政府案では、
福祉年金の所得制限、在職
老齢年金について、わずかな
改善を行なおうとするのみであり、その他の多くの事項については、一切取り上げられていない点を明らかにいたしておきたいと存じます。
以上の第二、第三がいわゆる谷間問題の
解決等、社会保障の理念に従い賦課方式の考え方に基づき多くの
国民のため、
年金制度を質的に改革をしようとする本法案の特徴であり、社会
保険主義の弊を改めようとせず日陰にいる人々にきわめて冷たい
政府改正案とは、全く考え方を変えた抜本的な
改正案であることを明確にいたしておきたいと思います。
第四に、
賃金自動
スライド制を
実施することであります。本案は
厚生年金、
船員保険はもとより
国民年金にも、ことに各
福祉年金を含めて
賃金自動
スライド制をとることにいたしたのであります。
自動
スライド制が
年金制度に欠くことのできないことは、もはや申すまでもありません。しかし、
政府案のように物価スライドでは現在の苦しい
国民大衆の生活
水準、その中でもつつましい
年金生活者の生活
水準を維持するだけにとどまるものでありまして、私たちは活躍中の青壮年と同様に先輩の生活が豊かになるよう
賃金スライドが絶対に必要であると確信してこのことに踏み切ったのであります。ちなみに
昭和四十七年度に、
政府の推計では消費者物価上昇率は五・七%、
賃金上昇率は一五%と推定をされ、
賃金自動スライドのほうが
年金受給者のための生活保障にきわめて有効であることをつけ加えておきたいと存じます。
第五に
保険料の据え置きと国庫
負担の増率であります。
年金制度の
充実を推進するのに際し、
国民生活の現状から見て
保険料の値上げは、断じて避けなくてはなりません。
わずかな
年金の
充実を計画する際に、これを
国民の
負担増でまかなおうとする
政府案とは違い、本案は、
保険料値上げなしに
年金の飛躍的
充実改善を実現しようとするものでありまして、国庫
負担は、
厚生年金の基本部分の二割を三割に
船員保険及び
厚生年金第三種の二割五分を三割五分に、
国民年金の
保険料の五割すなわち
給付に対する三分の一の国庫
負担を
保険料と同額すなわち
給付に対して五割に増率することとし、
厚生年金、
船員保険の
保険料の労使
負担区分を使用主七、労働者三に改めることとしたのであります。各
年金の
保険料を
引き上げ、しかも引き続き一そうの
引き上げを計画し、国庫
負担増率をしない低
福祉高
負担の
政府案に比し、四党案は、高
福祉低
負担「社会保障
充実は、国と、資本家の
負担で」の
国民に対する公約を明らかに果たすものであります。
第六に、
年金財政を
現行の積み立て方式より賦課方式に転換することであります。
政府はこれに対し、後代の
負担との均衡をはかるべきであるとの
理由のもとに積み立て方式を主張しております。しかし、われわれは高物価、低収入で
保険料負担が苦しい現状と、物価が安定し、十分な収入が保障され、
年金のための
負担に痛痒を感じない、将来あるべき状態とを考慮したとき、
政府のように形式的均衡論はとるべきではなく、実質的均衡論こそ、重視さるべきであると、確信をいたします。ことに、
政府の積み立て方式論の真の意味は、高い
保険料を吸い上げばく大な積み立て金を大資本の設備投資や産業基盤をつくるために利用しようとするものであり、目的と手段を混同、いな逆転させ、インフレによって、
国民を収奪しようとするものであり、その意図は、断じて、粉砕されなければならないと信じます。
積み立て金
制度を継続しようとすれば、たとえ
政府が言うごとく、その修正度を、幾ぶん増大し、さらにわれわれが主張するごとく国庫
負担の増率及び労使
負担区分の変更を行なっても、
国民年金の被
保険者及び
厚生年金、
船員保険の労働者の近い将来の
負担は、たえがたいものになることは必至であります。したがって、われわれは、この際賦課方式に向かって、踏み切り、現在並びに近い将来の
国民の
負担の増大を避け、
年金制度の飛躍的
充実をはかることにいたしたのであります。大資本の立場に立った、俗論を排し、深い
国民的視野に立って、断固として、賦課方式に踏み切ったことを明確にいたしておきたいと存じます。
第七に、本案は、
国民年金と、
厚生年金、
船員保険の各
制度間の均衡をはかる考え方のもとに、構成されたものであり、さらに、すべての
年金制度充実の過程において、他の被用者
年金制度と、早急に肩を並べるようにする考えのもとに、つくられたものであることを明らかにいたしておきたいと存じます。
次に、本案の具体的
内容を要約して御説明申し上げます。
まず、
国民年金法の
改正についてであります。
その第一は、
年金額の
引き上げ及び
支給範囲の拡大であります。
第一点は、
老齢年金の
引き上げでありまして、夫婦で
月額六万円の
年金を実現しようとするものであります。このため
老齢年金の額は、現在
保険料納付済み期間一月につき三百二十円で計算しておりますものを、千二百円に改め、加入期間が二十五年の場合、
現行法では
月額八千円、
政府案では二万円をであるのに対し、これを
月額三万円すなわち夫婦月六万円に
引き上げることにいたしました。
また、ただいま
支給が行なわれております、経過的
年金の額につきましては格段の配慮を払うこととし、十年
年金については、
現行法の
月額五千円、
政府案では一万二千五百円を月二万五千五百円に、すなわち夫婦月五万一千円に
引き上げ、近く
支給が開始をされる五年
年金につきましても、
現行法の
月額一人二千五百円、
政府案では八千円を、月二万三千円、すなわち夫婦月四万六千円に
引き上げることといたしたのであります。
なお、この際、
保険料免除期間の取り扱いを改めることに踏み切りました。心身障害者、生活保護世帯など、
保険料納入を免除された人たちこそ、特に
年金を必要とするものでありまして、これらの人達の
年金額が他の人に比較して、はるかに少ないことは、
現行制度の大きな欠陥であります。したがって、
現行の
保険料免除期間は、
年金額の計算上
保険料納付期間の三分の一の評価とされておりますが、これを四分の三と評価し、日陰の人たちの
年金を大幅に
引き上げることにいたしたのであります。
第二点として、
老齢福祉年金につきましても飛躍的な
改善を行なうこととし、いわゆる谷間問題を
解決するために、その
支給開始時期を現在の七十歳から六十五歳に引き下げるとともに、その額をあめ玉
年金、お小づかい
年金としかいえない
現行の
月額三千三百円、
政府案五千円に対し、生活保障
年金を実現するために飛躍的に
引き上げ月二万円夫婦月四万円にすることにいたしました。ただ七十歳
未満の人につきましては、施行日から一年間は月一万円、その後一年間は月一万五千円にとどめ、三年目から月二万円とすることにいたしております。
第三点は、質的に見て最も所得保障の必要の度の多い障害者のための障害
年金の
改善でありまして、その額を
老齢年金の
改善に準じて
引き上げるとともに、その
最低保障額を障害の程度が二級の者で
現行法の
月額八千八百円、
政府案一万八千四百円に対し、大幅に
引き上げ月額三万三千円にすることにいたしました。
第四点は、
障害福祉年金の
支給範囲の拡大と、
年金額の増額でありまして、この点は、現在拠出制障害
年金制度から、除外されている障害者のために、特に欠くことのできない
改正点であります。すなわち新たに、障害の程度が二級の者にも
支給することとし、その額は一級にあっては、
現行法の
月額五千円、
政府案七千五百円に対し、飛躍的に
引き上げ月三万三千円にすることとし、二級にあっては月二万四千七百五十円にすることにいたしたのであります。
第五点は、母子
年金、準母子
年金及び遺児
年金についても、
現行法の
月額八千四百円、
政府案一万八千四百円に対し、月三万三千円に
引き上げることといたし、また、母子
福祉年金、準母子
福祉年金の額を
現行の
月額四千三百円、
政府案六千五百円に対し、月二万四千七百五十円に
引き上げるとともに、子や孫が二人以上ある場合に
支給される加給金の額を一人につき
月額千円に
引き上げることといたしました。
第六点は、
扶養義務者並びに配偶者の所得による
福祉年金の
支給制限は、一切これを撤廃することにいたしたのであります。
その第二は、
年金額の
賃金自動スライドであります。
その第三は、
年金の
財政方式でありまして、
現行の
財政方式は、いわゆる積み立て方式によることとされておりますが、今後は、賦課方式を原則として、
年金財政の運営にあたっていくべきことといたしております。
第四は、国庫
負担の増額であります。
現行の
保険料に対して二分の一の国庫
負担を
保険料と同額とするものであり、これは
給付に対して三分の一の国庫
負担が二分の一になることは、各位の御理解のとおりであります。
その他、今回の
給付改善に伴う支出増の過半を国庫
負担することとし、また、インフレ等に伴う整理資源について、別途国庫
負担をできるようにいたしたのであります。
第五は、既裁定
年金の扱いでありますが、
改正後の
規定に準じて、大幅な
年金額の
引き上げが行なわれることといたしました。
次に、
厚生年金保険法の
改正について申し上げます。
その第一は、
年金額の
引き上げ及び
支給要件の緩和であります。
第一点は、
老齢年金の
引き上げでありまして、これは本年十一月新たに
老齢年金を受けることとなる者に加入期間二十年で妻の加給を加えて
月額平均六万一千円の
年金を
支給しようとするものであります。
そのために、まず、基本
年金額の定額部分の算定基礎額四百六十円を千六百五十円に
引き上げ、報酬比例部分につきまして、その乗率を現在の千分の十を千分の十五に
引き上げるとともに、平均標準
月額を計算する場合において、過去の低い
標準報酬月額を現在の
水準に合うよう再評価することにいたしました。
また加給
年金につきましても、妻については
月額四千円、子については、千五百円に
引き上げることといたしたのであります。
第二点は、
老齢年金及び通算
老齢年金の在職
支給の要件の大幅な緩和であります。
第三点は、
老齢年金を五十五歳から本人の請求により、繰り上げ減額
支給する
制度を新設することであります。
第四点は、障害者の所得保障を重視をし、障害
年金の
最低保障額を
老齢年金の
改善に準じて、
引き上げることとし、二級の場合で
現行の
月額八千八百円、
政府案一万八千四百円に対し大幅に
引き上げて、月三万三千円といたしました。
第五点として、遺族
年金の
最低保障額も、
現行法の月八千八百円、
政府案一万八千四百円に対し、月三万三千円に
引き上げることといたしました。
その第二は、
年金額の
賃金自動スライドであります。
第三は、
標準報酬の下限を二万円、上限を二十万円に
改定することであります。
第四は、
財政方式であります。
国民年金と同様
現行の積み立て方式から賦課方式に移行すべきことといたしております。
右の原則にのっとり、
保険料率は
現行の率を維持することといたしました。また、現在折半
負担になっております
保険料の
負担割合を労働者側三、使用者側七の割合に改めることといたしましたが、当分の間は、従来どおり折半
負担を続けることといたしております。
国庫
負担につきましても、現在一般的に
給付時における二〇%、第三種は二五%の国庫
負担がなされておりまするのを、それぞれ三〇%、三五%に増率することとし、さらに、インフレ等に伴う
給付改善の結果必要となる整理資源について、別途国庫
負担をする道を開くことにいたしました。
第五は、既裁定
年金の扱いでありますが、
改正後の
規定に準じて、大幅な
年金額の
引き上げが行なわれることにいたしました。
第六として、五人
未満の事業所の労働者についても、強制適用に踏み切ることにいたしたのであります。
次に、
船員保険法の
改正について申し上げすす。
船員保険の
年金部門につきましては、
厚生年金保険法の一部
改正に準じて所要の
改正を行なうことといたしました。
さらに、
年金福祉事業団法の一部
改正について申し上げます。その
内容は、
年金福祉事業団に被
保険者に対する住宅資金の貸し付け等の事業を行なわせることとするものであります。
なお、
年金制度につきましては、今回取り上げた事項のほかに困難かつ深刻な問題が山積をしていることは、同僚議員各位のすでに御承知のとおりであります。たとえば、各種公的
年金制度の統合の問題、妻の地位の問題など非常に大きな問題がありますが、この
法律案は、緊急に
措置されなければならない重要事項として、三つの事項を提示し、
政府にすみやかに実現する責務を課するものであります。
その一つは、日雇い労働者の厚生
年金制度適用であり、第二は、かつて、
厚生年金等の被
保険者であった者をできる限り
年金給付に結びつけるためのいわゆる掛け捨て並びに脱退一時金
受給者の救済
措置でありまして、第三は、各種公的
年金における遺族
年金及び障害
年金の通算
措置を講ずることであります。
終わりに、この
法律の施行は
国民年金については
昭和四十八年十月一日、
厚生年金及び
船員保険については同年十一月からであります。
次いで
国民年金等の
積立金の
運用に関する
法律案について申し上げます。
現在、
国民年金、
厚生年金保険、
船員保険の特別会計の積み立て金については、その大部分が資金
運用部に預託され、直接間接に大資本の利益のために用いられ、被
保険者のために用い得る資金は、増加資金の四分の一程度に限られているわけでありますが、これは全く不当なことであります。
これはこの
運用に関し被
保険者代表の意思を表示する
制度がなく、また、
運用の主体が大蔵省に握られていることに基因しております。
元来、積み立て金というものは、老齢または、障害の場合被
保険者に、死亡の場合遺族に
支給まれるものであり、当然その全部が被
保険者のものと考えることが至当であります。たとえ、国または資本家がその中の一部の金額を
負担していたとしても、積み立て金となったときに、被
保険者のものになり、彼らには絶対に戻らないものであって、これに対して介入する権利は断じて認めるべきではございません。
こうした明確な立場に立ち、四党は、積み立て金の
運用は、被
保険者の意思によって決定され、被
保険者のためになされるべきであるとの見地から、本法案を
提出したわけであります。
本案の主要な
内容は、
国民年金等積立金審議会を設置し、その構成は、被
保険者代表者が十名、学識経験者五名、
政府側三名とし、被
保険者の意思が完全に反映できるようにしたことであります。
この
審議会の決定に基づき、
厚生大臣が、積み立て金を
福祉資金と一般資金に分かち、
福祉資金は、
審議会の議にはかりつつ、
運用することにいたしてあります。
一般資金については、急速に減少し、
福祉資金が真に被
保険者のために役立つ
運用がなされることを確信して、本法案を
提出した次第であります。
以上で、四党
提出二法案の
提案理由の説明を終わるわけでありますが、いずれも、
年金制度充実及び整備が内政の急務であることにかんがみ、
国民のためにこれだけは即時絶対に必要であるとの確信のもとに、四党が一致して
提案したものでありまして、さらに、四党とも一そうに
年金制度の
向上確立のため邁進する決意を持つものであることを明らかにいたしておく次第であります。
全同僚議員各位、われわれ四党は、即時生活できる
年金をと叫ばれる
国民の声、将来を安心できる
年金制度をと求められる
国民の意思を体して、強い決意を込めて、本二法案を
提出いたしました。この二法案を熱心に
審議を賜わり、満場一致可決されることを強く要望をいたしまして、
提案の
趣旨説明を終わります。(拍手)
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