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1973-09-19 第71回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月十九日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 大原  亨君    理事 宇田 國榮君 理事 小沢 一郎君    理事 高鳥  修君 理事 渡部 恒三君    理事 金丸 徳重君 理事 村山 喜一君    理事 諫山  博君       江藤 隆美君    越智 伊平君       大西 正男君    瓦   力君       竹中 修一君    旗野 進一君       村岡 兼造君    森  美秀君       吉永 治市君    神門至馬夫君       島田 琢郎君    中村 重光君       高橋  繁君    宮田 早苗君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      坪川 信三君  出席政府委員         農林大臣官房審         議官      澤邊  守君         運輸政務次官  佐藤 文生君         気象庁次長   石原  明君         建設省河川局長 松村 賢吉君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         大蔵省主計局主         計官      宮本 保孝君         農林省農林経済         局金融課長   植木 建雄君         農林省構造改善         局建設部防災課         長       棚橋 正治君         農林省農蚕園芸         局畑作振興課長 本宮 義一君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         建設省道路局次         長       中村  清君         建設省住宅局建         築指導課長   佐藤  温君         国土地理院測地         部長      井上 英二君         消防庁防災課長 藤江 弘一君         消防庁安全救急         課長      矢筈野義郎君     ————————————— 九月十八日  個人災害救助法制定に関する請願(有島重武君  紹介)(第一〇五〇五号)  同(田中昭二紹介)(第一〇五〇六号)  同(松尾信人紹介)(第一〇五〇七号)  同(山田太郎紹介)(第一〇五〇八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(地震対策等)      ————◇—————
  2. 大原亨

    大原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 本日の災害委員会で今国会は終わるという段階を迎えましたので、締めくくりの意味質疑をいたしたいと思います。  まず、桜島火山対策の問題でございますが、八月の十七、十八日、たいへんな降灰がありまして、樹園地等に降りました灰の量は大体反当たり百二十トンということがいわれるような状態でございますが、その中で表土の部分が、降灰によりまして全面的に五センチぐらいの灰が集積をしているという状態を、私ども現地へ参りまして見てまいりました。そういうような状態を見ますと、単にミカンの木のまわりの灰を取り除くというだけではこの問題の解決はできないのではないだろうか、全面的に農地災害復旧事業としてこれを取り上げていかなければ、樹園地はほとんど枯渇をするのではなかろうかという状態にございます。  そこで、県のほうとしては、今度の九月の県議会に県単事業として三千万円を計上いたしまして一日に二千円の日当で、それぞれその植栽をしている人たちが取り除くことに援助をしているわけでございますが、国の農地災害としてこの問題を取り上げなければならないわけでありますが、その状況がどういう事情になっているか説明を願いたい。
  4. 棚橋正治

    棚橋説明員 先月末に鹿児島県からの報告がございまして、それによりますと、特別に規模の大きい噴煙が六月の一日と八月の十六日にございまして、これに伴います降灰によりまして、鹿児島市及び桜島町におきまして、被害の個所で五百七十五カ所、それから被害面積が百七十四ヘクタール、それから先生いまおっしゃいました降灰の厚さでございますが、二ないし三センチ積もったということでございます。その被害の額が、復旧費にいたしましておおよそ七千万という報告が来ております。  国といたしましては、災害査定の要領がございまして、それによりますと、農地土砂が流入した場合、その粒径が一ミリメートル以下の土砂にありましては二センチメートル以上、それから粒径が〇・二五ミリメートル以下の土砂にあっては五センチメートル以上積もったものは、災害復旧事業の国の補助対象にできるということになっております。したがいまして、県から申請がございました場合、いま申しましたような基準に適合するかどうか、それを査定いたしまして、もし適合するといたしますと補助対象になることができるということで、今後県からの申請を待ちましてどうするかを対処いたしたいと存じております。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 この流砂の厚さの問題で補助対象になるかどうかという問題が出ておるわけですが、現地の事情いろいろ聞いてみますと、たいへんな手間がかかる。千八百くらいの筆に分かれておって、それの事業を実施した場合の確認の問題等が、現在の町の人員規模ではそれを処理することができないというのが一つの原因で、役場当局も非常に消極的だ。農民は、その八月十六日の降灰で、それでおしまいになればよろしいわけですが、その後依然として毎日のように灰が降ってくる、だから幾ら灰を除いてみても、次から次にまた、さいの川原のように灰が積もってくる、こういうような状態では、もう農業には見切りをつけて出かせぎに行くなりあるいは日雇いに行くなり、そういう賃金労働者として働いたほうが確実性があるということで、もう自分の農業生産を守ろうという意欲が薄れてきている。そういうようなのがありまして、いろいろその地元の農家の意向というものが、そういう国の補助事業対象にしてくれというところまで盛り上がっていない、私たちはそういうふうに聞いている。  そういうような状況の中で、一体どういう対策を講じたらいいのか。特に火山灰の中に入っている硫黄なりあるいは塩素なりあるいは硫化鉄なり、そういうようなものが積もってまいりますと、ほとんど農業壊滅状態になる。これをどういうふうにしてどのような被害が生ずるという的確な分析をどこがやっているのか。そうしてまた、それを現実の農業政策の中でどういうふうに当てはめていこうとしているのか。この問題については、ただ農地災害復旧というだけではなしに、農政全体の中で私は考えていかなければならない問題だと思うのです。皆さん方の御協力をいただいて法律はできましたが、その時点においては、こういうひどい降灰状態があるということについては予測をしてなかった。それだけに——連日のように活動を続けている桜島噴煙、そうして降灰、これが農業を壊滅的な打撃に追い込んでいく状態をいま見ているわけであります。だから、これに対応して農林省としては、その総合的な政策をどういうふうに立てようとお考えになっているか、その点をお聞かせください。
  6. 澤邊守

    澤邊政府委員 ただいま村山先生の御質問にございましたように、桜島噴火がこれで最後だということであれば、地元で思い切った対策を講ずるということはできるけれども、今後さらに引き続いて噴火が起こるというような不安があるために、ただいまお尋ねがございました降灰除去事業につきましても、地元において積極的に国の助成事業要請するというところまで至っておらないという点は、私どもも同様に伺っておるところであります。  非常にむずかしい問題でございまして、われわれも、現在の桜島噴火状況あるいは将来の予想というのはなかなか困難かと思いますけれども、昨年来降り続いておるような状況のもとにおいて農業面で対処して対策が講じられるということにつきましては、先般の新しい立法も行なわれましたことでもございますので、それに基づきます営農施設整備計画等も現在県とも具体的に折衝をし、検討中でございますけれども、ただ農業的な対策だけで対処できないというような面もあるようでございますので、その点につきまして、われわれとしては、従来の農林省限りの対策だけでも地元に対して十分でないというようにも考えられますので、現地県当局の具体的な地元要望に即した見解等も今後さらに十分聞いた上で、農林サイド、あるいは農林省としてできなければ他省に対して、農民対策としてお願いすることがあればお願いをするというような方向検討したいというように思います。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 ここで結論としての話は、澤邊審議官にお答えいただくのは無理かと思いますが、どういうような対策を講じたらいいのか。たとえば灰に石灰を入れまして中和するという方法もありましょうし、あるいは灰の成分分析をやりまして、これは完全に除去しなければもうだめなんだという結論を出すのかどうか。では、その灰の成分分析は一体どこが責任を持ってやるのかというような問題もあります。地球が続く限り桜島噴火は継続をするということがいわれていますが、いまのような状態が続いていけば、もう農業というものは根本的に破壊をされる。手をこまねいてこれを見ているわけにもいかない。だから、単に県や市町村だけにまかせることなく、農林省としても、いろいろな試験研究機関をお持ちでありますから、そういうようなところと一体的な研究対策等を講じていただいて、的確な指導を私はお願いをしたいと思っています。そうでなければ、ただ根元のところの灰を取り除けばいいじゃないかという意見があってみたり、いや、それは畑全体に降ってきた灰を除かない限りはだめなんだという意見があるかと思うと、いや、石灰を入れて中和したらそれでいいのではないかという意見がある。非常にまちまちである。そういうような点については、ぜひ政策面における斉合性のある指導というものを要望を申し上げておきたいと思います。  それから港湾施設につきましては、運輸省でそれぞれ六港ほどの手当てを予算的にしていただきました。来年度八港については予算的に準備を進めていただいておりますが、問題は、桜島道路の問題であります。  建設省中村道路局次長お見えでございますが、県のほうとしては、来年度の重点施策の中で、桜島のまだ一車線しか通過ができない未改良部分がたくさん残っている、国道部分は二車線になっておりますので、まあこれはいざという、災害がありました場合には支障がないわけですが、県道部分の、特に桜島町の部分については非常に未改良部分がたくさん残っておるので、ここは重点的にやりたいというのが知事意向だというふうに聞いておりますが、その意向に沿うて重点的に建設省のほうとしては、人命救助火山の爆発に備える体制をつくるという意味で、その循環道路改良してもらう方向で措置がなされようとしているのかどうか、この点について説明を願っておきたい。
  8. 中村清

    中村説明員 一般国道のほうは、おかげさまで一次改修は完了しております。問題は一般県道の、いま御指摘のございましたのはおそらく早崎——袴腰港線、このお話だと思います。まだその区間につきましては未了な点が相当ございます。したがいまして、現在鋭意整備を促進中でございますけれども、特に避難のためという緊急に整備する区間、これは人家が非常に連櫓しておりまして、しかも幅員が狭い。桜島町の地内の、地名を具体的に申し上げますと、赤生原とか武とか二俣、白浜古河良、こういった各地区に該当すると思いますけれども、こういった地区重点的に整備する方針でございます。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 本年度の第二次予算配分の中で何か調査費をつけていただいて、そしてやるという方針だと聞いておりましたが、これは、引き続いて来年度、全面的な改良工事を相当馬力をかけてやるのだというふうに受け取っておいていいですか。
  10. 中村清

    中村説明員 具体的に少し申し上げますと、白浜古河良、この両地区につきましては、四十七年度から特改補助継続しております。なお、赤生原地区につきましても、七月の下旬に改良地区として新規採用しようということに決定いたしました。残りの区間につきましては、四十九年度以降に着工いたしまして整備をはかりたい、そういう所存でございます。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 県政の重点の中で、一般県道整備については桜島と川内新空港線の改良に全力を尽くすという知事方針でもあるようでございますので、その面からの予算的な裏づけの問題も要望申し上げておきたいと思います。  そこで、松村河川局長にお尋ねいたしますが、鶴田ダム処理の問題でございます。  現地は、湯田地区復旧工事が大体めどがついてまいりました。全面的に河川改修が行なわれる状況になってきたやに聞いているのでございますが、まだ借家人問題等については十分な了解点に達していないという、そういうような問題がありまして、若干の危惧を持っておるわけでございますが、現在の復興見通しについて説明を願っておきたいと思います。
  12. 松村賢吉

    松村政府委員 ただいまのお話でございますが、宮之城町の湯田地区、ここの流失家屋所有者、これに対しまして再建助成金というものを町長が、町議会の議決を経まして、その責任において支払っておるようでございます。それで、これに関連いたしまして、その流失家屋の中で借家をしていた者、これに対する再建助成金をどうするかということで、この支払いにつきまして、一部家主とあるいは借家人間等におきましていろいろな問題があって、まだ解決していないということでございますが、これにつきましては、町当局責任でやっておることでございますけれども、やはり河川工事関連いたしましてこういうことをお願いしていることでもございますので、建設省といたしましても町当局と十分連絡いたしまして、これの解決をはかっていくようにいたしたいという考えでおります。  なお、この川内川湯田地区工事につきましては、既定の計画に沿いまして現在工事を着々と進めておるところでございまして、予定の工期の中でこれをぜひ完成したいというふうに考えております。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 復興計画がつくられまして、予算配分が四十七年度からなされているわけです。引き続いて四十八年度も相当たくさんの予算がついておりますが、これの進捗状態は、見込みとして、四十八年度にどの程度まで執行ができるような状況になっておるのか、お尋ねしておきます。
  14. 松村賢吉

    松村政府委員 この川内川宮之城湯田地区改修事業、これは四十七年度約八億六千万円の予算を計上しております。しかし、改修計画に対します補償交渉等も、先生御案内のようにいろいろ問題ございまして、四十七年度におきましては、実際実施したのは約二億九千万円でございます。それで、五億七千万円ほどが今年度に繰り越されたわけでございますが、今年度の予算といたしましてはこのほかに五億を出しまして、合わせて十億七千万でございますか、この工事を実施する予定で進めておりまして、現在の段階では、これをぜひ全額できるように極力努力しておるところでございます。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 湯田地区復興は大体私も軌道に乗るであろうと思いますし、また町当局にも借家人組合のほうとの話し合いも進めるように要請もしてありますし、建設省出先機関でもそれぞれ指導をしていただいておるものだと思いますので、これはいいといたしまして、その下流のほうにあります川原虎居地区復旧見通しについては、依然としてまだ立っていないわけであります。そこで地元町自体は、川幅を広げるという河川改修基本計画、それも最後の場合には必要であろうと思うが、その前に、下流の非常に狭くなったところ、椎込地区というところがありますが、そこのいわゆる掘さくのほうが先ではなかろうか、そしてまた、川の中にありますいわゆる岩盤でございますが、轟の瀬という瀬があります、その岩盤を取り除くことが先決ではないか、それらをやって後になおそれでも排水が、あるいは河川改修全体の中においてなお川幅を広げなければやっていけないというのであるならば、われわれとしても協力をすることはやぶさかでない、こういう方向を出しているわけであります。ですから、やはり河川改修の問題は、その地域住民生活の問題とも関係がありますので、そういうようなとりあえずやらなければならない——ただ単に川幅を広げればいいというわけではありません。そういう点から見て、これについての工事計画というものはどういうふうにお考えになっておるか、その点を承りたいと思います。
  16. 松村賢吉

    松村政府委員 先生指摘のように、川内川の四十七年七月六日の出水によりまして、上流湯田地区とともに川原虎居地区につきましても非常に大きな被害がありました。それで、上流湯田地区につきましては、ただいまもお話がありましたように、工事を鋭意進めておる段階でございますが、この下流川原虎居地区改修事業、これも早急に着工したいということで、現在計画をいろいろと検討中でございます。  御承知のように、この地域は非常に川幅が狭い、そのためにこれに安全に流量を流すためには相当の用地補償関連が出てまいるわけでございます。ところが、確かに轟の瀬の河床の高いところ、それから椎込曲部、これも隧道にするかどうかという点、こういう点につきまして、われわれといたしましては、全体につきましていまいろいろと調査し、さらに検討をしているわけでございますけれども、この椎込河道曲部を直すということによって、はたしてこの上流虎居川原地区水位がどの程度下がるのか、あるいはまた、それによりまして川幅をあまり広げないで済むのか、この辺が非常に問題でございまして、いろいろ計算あるいは検討、場合によっては実験ということもあると思いますが、こういうようなことで、全体としてどのようにしたらいいか、これを調査いたしまして、この結果によりまして、至急この改修計画上流湯田地区に引き続きまして進めていきたいというふうに考えております。
  17. 村山喜一

    村山(喜)委員 やはり相当な難工事でもありますし、そういうような椎込地区改修工事等については、全体計画の中では予定をされていなかったもののようにも私は受けとめております。したがいまして、単に川幅を広げるというだけではなくて、そういうような河川全体の改修計画の中において現在どれを優先的に処理をすればいいのかというのは、その地域に住んでいる住民生活の中からよく知っているわけです。だから、科学的な、技術的な方法建設省が案を示されましても、いやその前にやらなければならないところがこういうようなのが残っているじゃないかというのが、住民の声になってあらわれてまいります。だから、やはり住民の納得を得る形の中で河川改修というものはやらなければうそだと思いますので、ぜひ技術的な検討を急いでいただいて、全体的な計画の中で処理を願うように要請を申し上げておきたいと思います。  それに関連をいたしまして、その上流のほうに大口という町があります。この大口の町は上流のほうの吉松、栗野、菱刈の河川改修が進んでまいりまして、そしてわりあいに平たん部でございますが、そこに洪水が一挙に流れ込む、そうなってきたら、曽木の滝の河川バイパスをつくらなければどうにも排水ができないという状態になってくるわけであります。そこで、九州地建のほうでは九州大学の工学部のほうに、そのバイパスをつくった場合に流量の変化がどういうふうになるとか、技術的にはどういうふうに処理が可能であるのかということで研究を委託をされているように聞いておるわけでございます。ところが、その九州大学のほうの研究は、それが終わるまでに三年かかる、こういうような話です。三年も研究をしていただいて、いい結論を出していただくのはいいとしまして、災害はいつやってくるのかわからぬ、上流改修はどんどん進んでくる、その下に住んでいる三万余りの大口の市民はたいへんな不安に襲われている、こういうような状況にあります。  そこで、私は河川局長にお尋ねしたいのは、そういうような研究に三年もかからなければ結論が出ないのかどうか、私はその点が解せないのでございますが、これをもっと早めて、こういうような形でつくったら処理ができるのではないかというような点を急いでいただく意思はないのか、この点について住民のほうから非常に強い要請がありますので、答弁を願いたいと思います。
  18. 松村賢吉

    松村政府委員 私どもいま聞いておるところによりますと、一度実験はやりまして、結果はある程度出たようでございますが、その後の全体の流量の改定、こういう問題がおくれまして、それに伴いまして再実験というような形になっておるように聞いております。ただし、これはその方法等の問題もありますので、極力早急に進めるように、また現地地建当局とも打ち合わせいたしまして、できるだけ促進するようにいたしたいと思います。
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間の関係で私これで終わりますが、宮之城町が町有財産を処分をいたしまして、湯田地区災害復旧の場合の協力をしてもらう意味において、二億七千万円の金を出して処理を急いでおります。ところが、川原なり虎居という同じ町の行政区域にあるところは、まだそういうようなための協力費というようなものが支給がされていない、そういうようなところから、住民の中に非常に不満が高まっていることは御承知のとおりであります。だから、この河川改修という問題については一体どういうふうにしたらいいのかということについて、非常に重要な問題を含んでおりますし、上流下流との関係利害関係が相反する場合が往々にしてございます。それで、そういう問題から政治に対する不信感が出てくるというような状態が、今日の川内川を取り巻いている状況でございます。私は、やはり改修基本計画というのは正しいと思っている。で、そういう線で、住民が毎年災害を受けるような状態を一日も早くなくしていくという努力をいたしているつもりでございますが、見ていると、やり方が、きわめて不合理な解決方法をとっているものも中にはございますし、住民の理解を得ない形の中で処理がなされたりするような動きがございます。だから、これは単に、地元がこういうようなことをやったんだから建設省責任がありません、県のほうは責任はありませんというような形ではなしに、やはり河川改修については、直轄河川でございますから、建設省指導性というものを十分に発揮を願わないとこの問題はうまくいかないんではないか、そういう気がいたします。鶴田ダム水位を下げる操作規則改正等もやっていただいて、いろいろ住民に対する安心感も付与していただいておるわけでございますが、そういうような河川改修に伴う諸問題についても今後ぜひ的確な指導、そうして地方の住民意向というものも十分に改修計画の中で織り込んでいけるように処理を願いたいということを最後要望しておきますが、それに取り組む姿勢について局長の御答弁を願いたいと思います。
  20. 松村賢吉

    松村政府委員 先生のお考えのとおりでございまして、私どものほうといたしましても、今後さらに極力、県あるいは地元市町村あるいは直接の住民の方々と連絡を密にいたしまして、この御協力によって河川改修を進めていきたいと存じます。
  21. 大原亨

  22. 神門至馬夫

    神門委員 私は、この七月、八月特に激甚でありました干害問題について質問をいたします。特に、農林大臣等激甚県に来られまして現地をつぶさに調査をされ、私たちも具体的に今日の実態を調査する中で、いろいろ制度的な問題等について改正をしていただく点、あるいは要綱なり査定基準等につきましてもそのような実態に合わない点があるのではないか、こういうような点も相当数感じましたので、それらの問題を、具体的な問題点としてひとつお尋ねをしてみたいと存じます。  この前、九月の十日付で干ばつによる被害概況というのを発表なさいましたが、その後この被害状況というのが、新しい県報告があって集計がされておりますか。その後の状況がありましたらお知らせ願いたいし、さらに、農林漁業関係の応急対策事業費の総額は八月の二十七日現在で約三十八億二千万円程度ある、こういうことを農林大臣が閣議で報告をされているようでありますが、その後の集約はどの程度のものになっておるのか。三番目には、農地農業用施設の被害総額は最終的には査定が終わってないと思いますが、今日、県の報告は荒々どのような金額があがっているのか。この点についてまず御答弁お願いします。
  23. 澤邊守

    澤邊政府委員 三点のお尋ねでございますが、農産物関係被害につきまして、去る九月十日、農林省が県の報告を取りまとめたものを発表いたしまして、八百九億五千三百万円というのを発表したわけでございます。  干ばつのその後の状況といたしましては、九月の上旬に全国的にかなりの降雨がございます。その後も局地的に雨がございました。私どもの判断といたしましては、大勢としては、干ばつはこれ以上の被害の進行は、農業関係に関する限りとまったのではないかというように判断をいたしております。したがいまして、その後県からさらにあらためて被害報告をとっておりませんが、農林省といたしまして最終的に被害を取りまとめる必要がございますので、九月十日現在で、統計情報部の統計情報事務所を通じて現在被害を取りまとめ中でございまして、九月の下旬、九月一ぱいには報告できるものと思っております。  次に、干害応急対策といたしまして、最近われわれが把握しております県報告によります九月五日現在の実績報告は、実施面積におきまして十九万四千ヘクタール、工事費におきまして四十五億三百万円という報告を得ております。  農地農業用施設の復旧状況につきましては、担当課長からお答えさせます。
  24. 棚橋正治

    棚橋説明員 農地農業用施設の干ばつによります災害復旧事業の費用は、県からの報告によりますと、全国で約十二億でございます。島根県につきましては、農地につきまして二百七十九・四ヘクタール、四億八千二百万円、それから農業用施設が三百五十三カ所、二億五千万円、合計いたしまして七億三千二百万円でございます。
  25. 神門至馬夫

    神門委員 まだ最近のものが集約をされてないようでありますが、大体干害の進行が終息をした段階でございますが、この九月十日の発表によりましてもすでに八百億をこえている。最近の例を見ますと、四十二年の災害が特に激しかったようでありますがこのときは最終的に一千三百億の被害があったのではないかというふうに思います。四十三年の場合には今年度と比べて相当少なくなっておりますが、四十二年にしても四十三年にいたしましても、四十年ごろからぼつぼつ、制度的な干害対策を政府のほうにおいて考えられる、こういう機運が出てまいりまして、特に四十二年の大干ばつにあたって干害対策助成要綱及びそれに基づくところの査定基準、いわゆる要領というものをつくられました。これに基づいてその後の助成対策なり査定計画というものをなされておりますが、今回の場合、いま九月十日現在のものを集約して下旬にはできるということですが、この前例にならって、それら要綱なり基準なりを今日の状況に適応したようなものを新しく策定をする、こういう意図が農林省のほうにございますか。
  26. 澤邊守

    澤邊政府委員 干ばつ災害に対します対策といたしまして、金融措置といたしまして天災融資法の適用という問題がございます。さらに自作農維持資金の貸し付けというような制度が従来行なわれておるわけでございますが、天災融資法の適用につきましては、先ほど申し上げました農作物被害の、農林省が全国一律の方式でやった最終の被害結果を基準といたしまして、適用するかどうか、あるいは適用する場合に融資ワクを総額でどの程度に設定するかというようなことを検討するわけでございまして、われわれ農林省といたしましては当然適用になる災害であるというように考えておりますけれども、先ほど申しましたような、別に最終的に取りまとめを終わった段階で財政当局と具体的な折衝をして、できれば十月の中ごろまでに適用をきめたいというように考えております。  御承知のように天災融資法につきましては、従来から法律による制度がございますので、この制度にのっとって対策を講じたい、こういうように考えております。  なお、自作農維持資金につきましても、天災融資法によってなお救済されない農家につきまして、従来の例に従って融資の必要性の有無、その場合の貸し付け限度等を十分に検討したいというふうに考えております。  農地関係につきましては課長のほうから答弁させます。
  27. 棚橋正治

    棚橋説明員 干害応急対策事業につきましては、県からの報告によりますと、九月五日現在で、市町村それから農業団体等において井戸、水路の掘さく、揚水機の設置等に要しました費用が、全国の集計で、先ほど御報告申しましたように約四十五億円に達しております。今後は最終的な実績をまちまして所要の国の助成をするかどうか検討してまいりたい、その上で財政当局とも折衝してまいりたいというふうに考えております。  先ほど先生、四十二年の例を言われましたけれども、実態的には四十三年の例が一番近いんじゃないかというふうにわれわれは考えております。四十二年は特に干害応急事業につきましては激甚でございまして、むしろ事業全体の、いま四十五億でございますが、そういう見当から申しますと四十三年のほうが近いというふうに、われわれは現在見ております。
  28. 神門至馬夫

    神門委員 現在あるそれぞれの災害にかかわる金融の制度、激甚法なり天災法の適用ということについては、もうすでに、大臣等が現地においでになって、天災法は適用するというふうに明言されております。それは、そのような事実関係が判明しないとなかなか大臣としても言いにくいことでしょうけれども、その災害度合いというのがすでに過去に適用になった、天災法が発動された四十三年、四十二年、それを上回るという現地状況の中でおっしゃったことであるし、約束をされたことだと私たちは理解しておりまして、そのような天災法の発動なり制度資金そのものについては最善のものがもちろんなされるであろう、こういうふうに考えておるわけなんです。たとえば、いまの干害応急対策事業に対する助成等の要綱が四十二年、四十三年——四十三年が一番新しい、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、この干害応急対策事業というふうな、非常に地域によって、土質によって、あるいはそのときの災害状況によって多様な条件の中で、常にそれに対する助成対象なり条件というものがずっと変化してきておりますね。それで二年から三年、三年から今次の災害について、もちろん今度の災害の実態に合うような変化が生まれるであろう、こういうふうに私たちは、一つは期待をしておるわけなんです。  いま大蔵省とのいろいろ折衝の中で、そのような四十八年災害のみを対象とした要綱なりあるいは新しい基準というふうなものを設けるかどうか、このものを決定していきたいということなんですが、すでに大臣等も天災融資法そのものの発動は約束され、閣議におきましても、その適用を前提にすべての作業を進めていくということが、九月四日の閣議でしたか、もう新聞発表になっておりますね。九月四日からすでに今日まで相当期間がたっておる、半月ばかりの期間がたっておるのですが、そのような具体的な要綱を策定しようというような折衝なり意図なりというものが——まだ農林省のほうでは作業がなされていないのですか。そういうようなものをつくっていかなければならない災害の度合いである、激甚度である、こういうふうに私たちは判断をして、もうそのような前提で作業を進めておいでになると考えておるのですが、全くの白紙の状態ですか。
  29. 棚橋正治

    棚橋説明員 先ほどお答えしましたように、干害応急対策事業につきましては、井戸を掘ったとか水路を掘ったとか、そういうものに対する補助でございます。  それから先生、いまちょっとおっしゃっておられますいわゆる干ばつによります災害復旧は、また別に基準がございます。干害の応急事業は、稲が枯れる前に、先ほど申しましたように井戸を掘るとかポンプをつけましてそこから水をかける事業、その事業につきまして国の補助を目下検討しているということでございます。それで、先ほども申しますように、県からの報告の集計が全部寄りましたところで、最終的には財政当局と正式な折衝を始めるということで、目下事務的にはいろいろ検討しておる段階でございます。
  30. 神門至馬夫

    神門委員 そのような、どう言いますか、あなたのおっしゃるのは暫定法に基づくところの復旧でしょう、耕地なり農業用施設の。そのものはわかるのですよ。ただ、干害応急対策として、それは根拠法に基づかない、いわゆる政令で今日まで出しておいでになりますわね、私はその問題については、すでに閣議で天災法の発動というふうな、干害の度合い等が明確になった以上は、もうその前提に立って、その要綱なりを農林省責任において策定をしていくという方向に進めるべきではないか、これは当然じゃないかというふうに、どう言いますか、干害応急対策事業という非常の応急措置としてなされた出費、そしてそれに対するすみやかな反応を示す、こういう意味において、これはもうとられていいことではないか、その部分を申し上げておるわけです。
  31. 棚橋正治

    棚橋説明員 干害応急対策事業につきましては、補助要綱等につきまして目下省内におきまして検討中でございまして、十月中旬ごろには最終的な案ができるというふうに、われわれは目下作業を進めておるわけでございます。
  32. 神門至馬夫

    神門委員 そうすると、それは策定をする、つくるという前提で作業を進めていると、こういうふうに確認してよろしゅうございますね。
  33. 棚橋正治

    棚橋説明員 つくるという前提で作業を進めております。
  34. 神門至馬夫

    神門委員 それではその点はわかりました。  そこで、そのような要綱なりを新たにおつくりになるということになりますと、ここに四十二年七月以降の干ばつについて、「災害対策のしおり」というのが衆議院常任委員会調査室から出されておりますね。その中に第五十六回国会において、四十二年の十月七日において、昭和四十二年七月以降の干ばつによる災害対策に関する件というのが衆議院の本会議で決議をされております。ちょっと読んでみましょう。その中にこういう条項があるのです。「干害応急対策の共同施行分についても、地方公共団体、農業協同組合、土地改良区等の団体が施行するものと同様に高率の助成措置を講ずること。」、いわゆる共同施行分についても足切り等をしないように同じようなものを出せ。あるいは要綱を見ますと、この事業主体の共同施行の分については補助率が、助成率が少のうございますね。これが今日まで——四十三年も続いておりますね。それらの問題について同じようにしてくれないかという国会決議がある。さらに「干害応急対策事業助成要綱に定められている「足切り」措置を廃止すること。」というのがこれと関連をすることですね。それから「干ばつに伴う果樹苗木の共同育苗費、代作用並びに次期作用の種子購入費に対して助成措置を講ずること。」こういう、この災害関連することとして、まだ十分でないと申しますか、私たちの見る限り非常に不十分な点があるのですが、このような点について、いま農林省としては、さらに四十二年、三年の要綱の内容を改良していく、改善していく、こういうような、この国会決議に沿うような意思がございますか。
  35. 棚橋正治

    棚橋説明員 いまの内容等につきましては別途お答えいたしたいと存じますが、干害応急対策事業につきましては、四十二年、四十三年の例を十分しんしゃくいたしまして検討いたしたいと思います。  ただ、四十二年、四十三年の例といいますのは、御承知のように中国それから四国、九州のミカンが大部分でございまして、今回の干ばつの応急対策事業とその対応のしかたが若干違うのじゃないかと思います。たとえば共同事業でございますが、今回の場合共同事業がどのくらいあるかということが、県からの報告の最終的な数字をまちませんともちろん判明いたしませんが、共同事業全体の量がどのくらいあるかとか、その辺のところは十分実態を把握した上で内容の検討をしてまいりたい、かように存じております。
  36. 神門至馬夫

    神門委員 そうすると、いまおっしゃるように——そのときの災害状況によって対策要綱等はそのつど変わっている、これは一番最初申し上げたとおりなんですが、今次災害の実態に応じたような内容に要綱も、改正する点があれば、それは前例にこだわらず改正をしていく、こういうふうに確認してよろしゅうございますね。
  37. 棚橋正治

    棚橋説明員 いま先生の言われます実態に対応するというか、実態に応じたという、その辺のところがちょっと判断しかねますが、いずれにしましても実態を十分把握いたしまして、これで補助の要綱を決定いたしたいと存じます。
  38. 神門至馬夫

    神門委員 いまのような足切り等の問題は、その災害地域がどうであったか、あるいは作目がどうであったかということについてはそう違わない。ただ、共同作業、共同的な経営をしているかどうかということで、補助率の点の相違が出てまいりますね。これは不変的な問題で、そのときの災害状況によって変わるものではない。ですから、国会決議等でも特にその点を重要視しておりますから、新しい要綱が四十八年災害に対して策定をされる段階には、この国会決議の中の——たくさんありますけれども、この災害に対して特にこの点は、現地を歩いてみてたくさん問題が出ている点だなと思ういまの二、三点については、ぜひ考慮してひとつやっていただきたい、このように考えますが、よろしゅうございますか。
  39. 棚橋正治

    棚橋説明員 国会の決議は十分尊重いたしまして、前例等を参考にいたしましてきめたいと存じております。
  40. 神門至馬夫

    神門委員 それでは次に進みますが、先ほど澤邊審議官のほうからお話しになった、いわゆる天災融資法、このことについて澤邊審議官のほうにお尋ねいたします。  この天災融資法は昭和三十年八月に制定されております。これが制定されましてもうすでに相当の期間がたつわけです。それで、その中におけるところのいろいろの制限条項、規制というものがその当時と今日の段階においては相当相違がきている、いわゆる農業状況というものが激変をした今日の状況に適応していく。しかも農作物等の被害については、この天災融資法がまず第一番に発動されて、それをたよりにするわけです。そういう前提で、天災融資法が今日の農業情勢なり農村の社会状況に適応しているかどうかということは、検討すべき時期に来ておるのではないか、こういうように考えます。  それで、具体的にひとつこの内容について問題点を出してみますが、それに対するお考えを承りたいと思うわけです。  まず第一番に、天災融資法にいうところの貸付限度額は、現状では四十万、そして激甚災がそれに適用された場合には五十万になっておりますね。ところが、その四十万、五十万というのが、制定当時よりか若干スライドされておりますようですが、今日の状況、このような天災融資法が適用されるような被害状況の中に、金額そのものがその目的を果たしていないのじゃないか。このかさ上げ等については、そのつど政治的なつかみ金が加えられるというような状況にありますが、もう少し制度的にこれを改める必要があるのじゃないか。  あるいは被災程度によって三段階に貸付利率がなっておりますね。現地に行ってみますと、そういうような災害度合いというものを査定、判別をするというようなこと自体が非常に困難な点がある。あるいは天災融資法というのが、あとでも申し上げますが、あまり評判がよくないので、できれば借りたくないというときに、利率を三段階にして、三十年当時のように、農業情勢が非常にいいから、高い利率で無理に借りてでも米価がこれをまかなってくれるというような状況のときとは違ってきている。こういうことから、一番低い特別地域に指定された三%、これに利率を一律にすべきではないか。これが二つ目ですね。  それから天災融資法の償還期限の問題です。これが最大の場合ずっと六年でしたね。ですが、今日の災害の実態等を見ると、被災した作目の中で永年作目が非常に多い。そういう中で六年以内というふうなことは、これは実態に合いません。ですから、自作農資金のように、二十年、二十五年というようなところまでは一ぺんにいかぬでしょうけれども、少なくとも十年程度に償還期限を延長する、あるいはその間に、現在全然ない据え置き期間というものを設けるべきじゃないか。これが三つ目です。  四つ目としては、これは社会状況、農村の背景というものが今日激変した中において非常に身にしみることなんですが、利子補給について市町村分があるのですね。利率が三%か五・五%か六・五%かという三段階によってそれぞれの分担は違いますけれども、その被災該当市町村というものは、それでなくても多額な費用を持ち出すわけです。その上にこのような天災融資法という、本来救済救助の目的で発動され融資されるものが、こういう市町村の負担金があるということで、それが、非常に足が重たい、不評判であるという大きな原因になっておるわけなんです。ですから、ぜひともそういう点について、少なくとも市町村分、できれば県分もこの利子負担をなくするようにするというのが災害実態に適応した今後のやり方ではないか。天災融資法そのものの中には貸し付け条件がたくさんありますけれども、しかし、被災者が直ちに生活をするという場合には、まず今日の状況としては自作農資金にたよる以外にないわけです。むしろ天災融資法の中にそのような食うための資金、当面の生活資金的なものを制度的に包含すべきではないか、こういうように考えるわけです。  以上四点について——大臣も現地に行って、天災融資法を発動する、現地の者はどんなにありがたいものか、ほんとうにびっくりするほど喜んだ。しかし、あけて見ると、天災融資法というものはなかなか塩からい点がある。そういう点についてはぜひとも改善をしていかねばならないと思いますが、いかがお考えですか、お伺いします。
  41. 植木建雄

    ○植木説明員 天災融資法は、ただいま御質問いただきましたように、昭和三十年に制定をいたされまして十八年経ておりまして、おおむねその運用につきましても、いろいろの問題がありながら定着をしてまいっておると考えます。その過程におきまして、実は一昨年暮れの当委員会におきまして、天災融資法につきまして各種の問題について法改正お願いいたしたわけでございまして、ただいま御質問をいただきました各種の点につきまして一応の態様を整えてきておるつもりでございます。もちろん、経済の実態のいろいろな動きによりまして今後さらに問題が出てまいるかと思いますが、ここに簡単にお答えをさせていただきます。  まず融資限度額でございます。これは法改正の際に一挙に倍にいたしまして、実は四十万円としたわけでございます。この四十万円といいますのは、激甚でございますと五十万円に相なりますけれども、天災融資法の考え方というのが、経営資金を即座に融資したいという考え方でございまして、したがって、次年度の作付に間に合う各種の経営をする費用、そういうものを中心に融資をしていきたいという考えでございます。私ども掌握をいたしております農業の現金経営というのが、大体三十万から三十五万ぐらいのところにあると理解いたしております。したがって、現状におきましてはこの四十万ないし五十万、それから家畜の場合は百万ということにいたしておりますが、多少のでこぼこはもちろんございますけれども、おおむね充足をしておるのではないかというふうに考えております。なお、実際の一戸当たりの貸し付け金額のモードは二、三十万のところに現在相なっております。  なお、今後の問題としては、さらに物価騰貴等の問題がございますれば、融資限度の問題もさらに出てまいるかと思います。  それから利率の点でございますが、これは実は従来は六分五厘と三分、二本立てであったわけでございます。この二本立てをその法改正の際に、被害の深度ということを事務的には考えるということで、従来一割被害から五割被害の間の人は六分五厘しか借りられなかったのを、一割から三割被害の人は六分五厘でございますが、三割から五割の被害を受けた人につきましては五分五厘ということにあえていたしたわけでございます。  この三段階につきましてはいろいろ御意見、御批判もあるかと思うのでございますが、系統資金の末端基準金利は現在八分五厘というように考えておりますが、天災融資はそれにそれぞれ利子補給をいたして行なうという制度でございますので、利子補給、補助という意味でいろいろ国の税金も使うという見地から、やはり被害の深度に応じてそれぞれの手当てをしていくということが一面では必要ではないかと私ども考えておりまして、現在三段階で運用をいたしております。これにつきましては、私どもは、今後ともむしろ実態認定を市町村お願いをして進めていくほうが、やはりきめこまかい手当てになるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、六分五厘、五分五厘につきましては、四十八年度から六分二厘、五分二厘にいたすつもりでございます。  それから期間の問題あるいは据え置き期間の問題でございますが、これは先ほどちょっと申し上げましたが、天災融資はやはり経営資金ということで考えておりまして、いわゆる施設資金の融資でございますと、それに伴う耐用償却年数と申しますか果実が実るというような思想で据え置き期間ということが一応出てまいりますけれども、翌期の再生産、回転するための資金であると考えておりますので、据え置きにつきましては天災融資の制度としては取り入れにくいのではないか。事実、公庫資金、たとえば自作農維持資金でございますとかあるいは公庫の施設災害資金というものについては、すべて据え置き期間が設けてございます。これは経営資金との差というものがどうしても出てくるので、その点についてはなかなかむずかしい問題をはらんでおると考えております。  それから最後に、市町村の負担問題でございます。現在の天災融資法の考え方は、国が半分の利子補給の負担をする、それから県と市町村で半々を持ち合うということでございますが、特に三分資金につきましては、国の補助率を六五%にしております。したがって、市町村の負担につきましては、六分二厘ないし五分二厘につきましては〇・八二五%ないし〇・五七五%ということになっておりまして、これにつきましては、税制上、特別交付税の交付を年度末において災害対策として行なう、こういう処理にしておりまして、市町村の資金面につきまして、災害制度の運用上の資金手当てとしては交付税をもって充てる、こういう措置をいたしておるわけでございます。  天災融資の各種の諸制度につきましては、事態の推移に応じまして、いろいろ御指摘いただきましたように、今後なお問題が出てくるかと思います。私どももそれを一つ一つ受けとめまして、運用について着実に充実をしていきたい、こう考えております。
  42. 神門至馬夫

    神門委員 農林省としては、天災融資法が一昨年いろいろ検討されて改正され、今日の社会状況なり政治状況に合った方向だ、こういうように言わざるを得ないと思いますが、いま私が申し上げましたような点をいまの御答弁の中から配慮していくということは何ら説明にそむくことではないというふうに考えますので、もちろん、そういうような点については、われわれ議員としても、現地被害状況の中から積極的にその実現なり改正方を進めていかなければならない、こういうように考えるわけですが、農林省としても、天災融資法が被災農民、被災市町村のために助けになるという方向でさらに努力をしてもらうようにお願いをしておきたいと存じます。  そこで、時間がなくなりましたから、ひとつ具体的な問題について入っていきたいと思いますが、今度の災害の中でも一番激甚でありました島根県の中で二、三点特徴的なものがございます。一つは、大原郡大東町の山王寺地区のこのたな田地区に五十町歩のものすごい亀裂がございまして、まさに農業を廃止をするかどうか、こういうような大きな問題が一つございます。それから二つ目は、八束郡八束村、ボタンで有名な大根島でありますが、ここで薬用ニンジンを中心として九億一千万の被害を出した。もう一つは、これまでの前例にはなかったようでありますが、干ばつの中から塩害によって相当面積やられて、十四億四千二百二十万の被害を受けておる。  これは特徴的なもので、ひとつ具体的にお尋ねをしてみたいと思いますが、先ほど申しました第一番の大原郡大東町の山王寺地区は五十町歩、これと同じような被害を受けましたのが、その周辺、畑鵯地区、須賀八所合わせて八十町歩くらいございます。これと類似した地区には、平田市の久多美地区というのもございますが、この点についてひとつお尋ねしたい。いま私が申し上げました三つは、農林大臣が全部現地に具体的に足を入れて調査をされたところであります。それほど甚大なところでありますから、それをさらに具体的に私も四、五日かかってずっと回ったわけですが、その回ってみましたことをひとつお尋ねしたいと思います。  まず、この山王寺地区状態は、特に特徴的なものとしては約二百戸の農家ですが、地形は典型的なたな田であります。そして、一筆の大きさが一反で約三十くらいに分筆している、こういう状況でありまして、一反当たりの畦畔が、その三十筆のものを延べますと、延べ六百メートルになる。それがそれぞれたな田でありますから、畦畔の高さが一メートル以上。土壌を掘ってみますと耕土が二十五センチ、心土が五十センチ、それから盤土になるという、こういうような土壌構成になっております。その山王地区の五十町歩、そしてその周辺を合わすと約七、八十町歩が全面的にやられている。私は七十二センチという査定基準というものが非常に島根県の被害実態に合わないということを——他で見てきてここへ来ますと、七十二センチくらいでなしに、一メートルから一メートル四、五十まで深く入っているわけですね。そういうところですが、まず大蔵省なり農林省現地に来て査定をされるその査定準備、被害実態の把握は一体だれがやるのか。これは事務当局のほうへお伺いしてみますと、やはり所在該当市町村でやっていただかなければ方法がないだろう、こういうふうにおっしゃっておられます。ところが、いまのように七十町歩で、この一反が三十分筆になっているということになりますと、現地のほうでは一くぼ一くぼということで筆のことを言っておりますが、二千百くぼにもなる。そのところをどうやって亀裂の査定基準七十二センチというものを把握するのか。石灰を入れるということですが、だめです。それを入れますと、下のほうは溶けてしまって全然判断できません。これは現地に行きますと具体的にわかりますが、そういうことで把握することはできないわけです。そうすると、それを何かエナメルを入れるという話もあったのですが、今日エナメルが三倍、四倍にもはね上がって、そのエナメルを流し込みますと、そのほうが高くなる。また、その労力は一体どこから持ってくるのか。あるいは財政的にもそういう手間がない。こういう問題がございます。その査察をしてもらうにいたしましても、その被害実態の把握作業ですね、いわゆる査察準備を現地でしなければなりませんので、もうまさにお手あげの状態ですね。そのようなところには、任意にどこかの十筆くらい抽出して、そしてスコップで掘ってみて、割れ目のぐあいを追っていくとか何とかしないと、とてもできません。もういろいろなところの町においてもお手あげです。きればといって農民もいま稲刈りですし手間がない。だれもその準備体制をする者がない。こういうことがありますが、このようなときにはそのような査察基準の適用のしかたを、どういうものをお考えになっておりますか。現地では、農林省はまあまあ見てくれるだろうが、大蔵省がやかましいからなかなかそういうようにいかぬのじゃないだろうかということを言っておりますが、ざっくばらんの言い方ですが、その点について具体的にどのようにおやりになるか、お伺いしたいと思います。
  43. 棚橋正治

    棚橋説明員 御承知のように、災害復旧事業といいますのは、法令等に定められました採択基準に合致いたしまして、それが技術的にも妥当な方法であり、また事業費も適正なものでなければならないということになっております。したがいまして、原則といたしまして、やはり各個所ごとに査定をするというふうにきめられております。先生いま言われましたように、二千百区画にも分かれておりまして、それがたいへんだというお話でありますが、確かにたいへんだろうと存じます。しかしながら、そういうことで、一方では技術的な面、それから適正な事業費を出す、それから法令に定められた採択基準に合致するということからいたしますと、一筆ごとに査定をして、いま申しましたような条件に適合したものを採択をするということになると存じます。  しかしながら、干ばつに限ったことだけじゃございませんが、たとえば去年の災害等につきましても、査定の設計書の作成、それから査定の作業、それからその次の入札にかけます書類等につきましても、できるだけ適正なものを出す上の判断の材料になるという見解のもとに、合理化なり省力化できるものは省力化するという線で検討を進めておりまして、必要以上のものをつくっていただいたり、必要以上のことをするということじゃございませんで、やはり最小限のことはするという見解でございます。
  44. 神門至馬夫

    神門委員 それで、何か現地の役場のほうに聞いてみますと、十月ごろに現地においでになるとか、こういうようなお話がありました。そうすると、それまでにそのような査定を受ける準備をして被害実態の把握をしておかねば、現地の役場でもできないわけですね。ですから、そのためには、査察に来られるいわゆる農林省の意思というものが一体どの辺にあるのか、そういう実態の把握の中から。きのう農林部長も県から上がってきておるようですから、そういうような点をひとつ具体的に指示してやらぬと、一筆一筆が原則であるというように原則を振り回されたところで、とてもどうすることもできません。これは現地に行ってみられるとわかります。そうして、亀裂は、重粘度地帯ですけれども、あれだけの雨によってずっとついできておりますね。そうして掘って何か突っ込んでみますと、下がくずれて、上からそれを把握することは絶対不可能だ、こういう状態がありますので、その点について、いわゆる原則に立ちながらも、現地の実態に応じた方法をすみやかに下におろされる用意があるかどうか、お伺いします。
  45. 棚橋正治

    棚橋説明員 いま先生の言われました趣旨を十分体しまして、各被害町村からのそれぞれの報告をよく聞きまして、農政局を通じまして県をよく指導し、さらに県は市町村と連絡をとってよく指導いたしまして、必要以上の労力なり費用のかからないようにしてまいりたいと存じております。
  46. 神門至馬夫

    神門委員 そういうように七十町歩もありますいまのような査察の問題に対して、いま非常に心理的にさびしい気持ちになって動揺しておりますから、まず早くその点を該当町のほうにもおろしていただきたい。  それから具体的な問題としまして、いわゆる一反当たりの畦畔延べ延長が六百メートルにもなる。そこで私たちもいろいろと検討してみたのですが、畦畔の内から田面に対してこれを掘って、そして底固め、床固めをしていくというような方法をやりますと、畦畔自体が段になっておりますから、のりがありますから、一メートル掘って三立米ぐらいの土を一ぺん取らなければいけない。ということになると、一人で一日約一メートルがようやく進む程度じゃないか。そうすると、まあこれはそのまま単純にはいかないのですが、六百メートルあれば百八十万円、こういうことになります。一反当たり百八十万円で、五十町歩、七十町歩あると十何億という金になる。これは畦畔のすぐ下の底のところも全部計算してありますから必ずしもそこまでいかないが、とにかくたいへんなことです。しかも、私らがそこに行って水を流してみますと、表面の割れ目は少ないようですが、その水が二くぼも四くぼも先のほうに出るのですね。だから次の下のくぼには水が出てこない、こういうような状況があるわけですね。そうすると、畦畔のみでなしに、田面のいわゆる底のほうを床締めもしなければいけない、こういう問題が出てまいりますね。そうするとたいへんな金なんです。  それで町のほうとしては、復旧する意思があれば早く査定して基本工法もきめたい、たとえば工法自体もいろいろ検討したいというのですが、地元のものとしてはそれだけの金が要る。田の復旧をほんとうに国がやってくれるのだろうか、やってくれるとしてもこの補助対象限度額は一体幾らなのか。自分らの手持ちは一体幾らなのか。現在の農村の実態から、とても借金では、そのようなものを復旧して将来米をつくっても間に合わない。こういう問題があるのですね。今度は国なり町のほうとしては、地元農民復旧する意思がない限りそれらの査定作業にもなかなか入れない。こういう問題がある。  これらについて具体的にはそのような地域、まあこれは具体的に調査をしてみなければわからないと思いますが、一体、一反当たりの補助対象限度額は幾らぐらいになるのか。そして延べやれば十余億かかる。ところが、島根県から出ている農地及び農業施設の復旧が四億何ぼということですか、しかし、この農地だけでもとても四億や五億、十億では済まない。こういうような中で激甚法を適用されたといたしましても、いわゆる個人負担分に対する助成がふえてくるということで、限度額をオーバーするということではないのですね。そうなってくると、それらの問題について五十町歩、六十町歩、二百戸の農民がまさに農業を放棄するかしないかという重大な段階にあるときに、どういうふうにこの問題について考えられるか。方法があるのか。あるいは、累年災害が三年も続いている、去年は洪水が日本一、ことしは干害が日本一、しかも過疎県であるという中で、方法として改良工事、区画工事、合併工事の施行という問題をこの中で考えられないのか。あるいは、ここは昭和二十七年ですか、地すべり地帯に対する助成立法が一番最初きまったところですね。地すべりに対するいろいろ制限がございますね。幾ら補助して幾らあげてというような問題がある。この制限をはずして区画整理的、改良工事事業的な方向に何か工法をもっていくことができるのか。あるいは地すべり対策としての助成の方法と合併で何か工事考えることはできないのか。そういうたくさんの制度的な問題の中で、考えが政府のほうとして何かないか。なければ、とてもじゃないが、こういうようなかんがい対策、かんがい復旧というものはできないんじゃないかというふうに考えるが、いかがでございますか。
  47. 棚橋正治

    棚橋説明員 いま先生が言われましたいろいろな問題点がありますことは、われわれも十分承知しております。ただ、災害復旧事業でございまして、いま先生から御指摘ございましたように、国といたしましては、地元からの申請を受けまして初めてそこで補助金を流し、それから災害復旧をするわけでございますが、一方ではいま申されましたような、逆に地元負担が幾らくらいになるだろうか、それから反当限度額はどうだという問題もございます。  ただ、反当限度額についてまず申し上げますと、これは全国で一律に幾らというふうにきまっているわけじゃございませんで、御承知と思いますが、その町村におきます一戸当たりの平均の耕作面積が影響してくるわけでございます。それで、いま例にあげられました該当町で申しますと、耕作面積が千九百五十四ヘクタール、うち水田が千五百三十ヘクタールあります。それで耕作戸数が二千五百六十九戸でありまして、反当限度額で申し上げますと七十八万六千円ということに計算されております。したがいまして、七十八万六千円をこえる分については融資とかそういうことで手当てをすることになるわけでございますが、一つ一つの水田につきましての工法につきましては、その水田に合った、いま指摘されました問題点等も十分しんしゃくいたしまして、最も安い方法で、かつ確実な方法復旧の工法を立てるということで、できるだけやはり限度額の中に入るような工法を検討してまいりたいということで指導していく所存でございます。  それから合併施行の問題でございますが、いま考えられますのは、先ほど御指摘のございましたように小さい水田が幾つかあるということで、そういうのを合わせまして圃場整備事業でやるという方法がございます。そういたしますと、圃場整備事業の金を別途つけまして、それを災害復旧費とあわせて合併施行をするというのが一番考えられる方法でございます。しかしながら、圃場整備事業というのは御承知のように土地改良事業でありまして、これも、地元から圃場整備をやってくれという申請がございまして初めて事業が成立し、かつ、そこで予算の裏づけができているかどうかというのが問題でございます。そういうような二つの問題が解決した上でこの圃場整備事業災害復旧事業をあわせて実施することが可能でございます。  それから、地すべりにつきましては地すべり等防止法がございまして、これは地すべりを誘発したり助長したりするような事業はやらないということで制限を受けております。それで、災害復旧事業につきましても当然その制限を受ける事業でございます。しかしながら、先ほど申しました地すべりを誘発したり助長したりしないような工法を検討いたしまして、それで県知事とも十分合議をいたしまして、災害復旧事業を地すべり地帯の中でもやるということで行なっていく所存でございます。
  48. 神門至馬夫

    神門委員 その点は一番の聞きたいところでして、おそらくそういうような措置が国のほうでも、いわゆる合併施行そのものなり——地すべり地帯でありますけれども、地すべりというのはいまあそこではいろいろ対策をやられておりますけれども、地下水ではなしに土圧である、こういうふうなことの結論が出ておるようでありますが、当面何といっても復旧していただく。そのためには原始的な今日のたくさんの区画に分筆しておるというような現状も改良してやっていかないと、災害復旧にはならぬのじゃないかと思いますから、そういう点等につきましても、もちろん該当県と十分合議してもらって、早急にひとつ結論を出してもらいたいというふうに思うわけです。  それから次に、大臣が行かれました八東村の薬用ニンジンの問題ですね。たくさんの問題がここにはございますが、結論的にいって、この薬用ニンジンというのは六年たたないと一人前にならぬという永年生の作物です。これはいま、特に苗に仕立てて二年生になると本植えをするわけですが、本植えをしたニンジンが全滅をして、それだけで四億三千四百八十万円というふうになっている。これは大臣がごらんになったとおりです。  そうすると、苗ができない。六年先になってまいりますと、しまいには全然ニンジンがないというふうな問題が出てくる。こういうようなことについて、一つは、外国からいえば韓国あるいは朝鮮民主主義人民共和国、そこからの輸入しかない。国内の場合には長野、福島、これしかない。これらに対して、非常に大がかりなものですから、県のほうとして輸入の問題あるいは内地の生産県の苗等のあっせんの問題、これに対して何かお世話をされる用意があるか。してもらいたいと思うが、いかがですか。
  49. 本宮義一

    ○本宮説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  島根県からのそういったことについての国に対しましての要望がございまして、在日韓国大使館に、韓国から薬用ニンジンの苗を輸出してくれるかという話を持ってまいったのでございますけれども、現在、韓国では、薬用ニンジンは専売庁の所管であり、輸出禁止品目であるので出せないといったことで、現在のところ韓国からの輸入は、非常に見込みはない状態でございます。  それで、先生のおっしゃられましたように、産地が非常に限られておりまして、島根県のほかには福島県、長野県、それも非常に限られた地域で薬用ニンジンがつくられておる。限定された地域の特殊の農作物でございますけれども、島根県からの御要望があれば、私ども農林省といたしましてこれらの県の苗木のあっせんをいたすべく、県のお考えを聞いたのでございますけれども、島根県では、日本の国の他の産地からの種苗の移入は希望しないというのが現在のお話でございます。現在のところそういうことで、私どももお世話をいたしかねるという状態でございますけれども、種苗については手当てをしておるというお話でございました。たまたま昨日、この薬用ニンジンの八東村の生産者の代表の方が会議でお見えになり、その方にもお伺いしたのでございますけれども、やはりその方のお話でも、県と同じように、他の産地からの種苗の移入は考えていない。いろいろお聞きをいたしますと、地元の方のお話では、島根県産の薬用ニンジンは非常にいいんだ、むしろこちらから従来他の産地に出しておったという経緯等もあるので、自分たちとしてはほかの産地からは入れたくはないというお話をしております。現在のところそういうような状況でございますので、いまの種苗のあっせんということは農林省としてはちょっと——御希望があれば、そういうことでお答えいたしたいと思います。
  50. 神門至馬夫

    神門委員 わかりました。それはそういうことで現地なり該当県と十分相談してもらえばいいと思いますが、昭和四十二年に干害があったときに、農作物種苗加工事業実施要領というのがありますけれども、これが実際は各農家個々に渡った。いまは非常に金が少なくてたよりにならない、たいして現在使っていない、こういうお話がございます。いまのように一つの地域でボタンの苗が二億だとか、その他の苗木等が二億、三億というふうな大きな損害を受けていることに対して何か助成をしていくというような要綱というふうなもの、実効ある要綱を今回作成する、いろいろなことを農林省検討されてないか、お伺いします。
  51. 本宮義一

    ○本宮説明員 現段階においては、いまおっしゃられた問題についての検討はいたしていないのでございます。
  52. 神門至馬夫

    神門委員 その点はぜひとも……。  四十八年度において実施すべき防災に関する計画、第七十一回国会提出、こういうパンフレットがあります。この中で「干害」ということばが出ておるのは、四〇ページに字句でほんの二カ所しかない。干害というのはある意味で後遺症が少なく、しかも表面的には具体的に凄惨な姿をあらわさない。しかし、実体は非常に深刻な災害である。こういう点について、洪水のように例年つながってないから、政府のほうの対策なり熱意というのが少ないんじゃないか。これは観念的な問題でなしに、この中にほとんどその二つの活字しかないのです。そういう考えが、いま言ったように種苗に対する要綱というふうなものも、そのときには若干やかましく言っておるけれども、四十二年から六年間、何らやかましく出ておらぬ。出ておらぬから——出てきたのは島根県のほんのどこか一部の激甚地だ。こういうことで、積極的に見ていないんじゃないか。しかし、災害を受けた該当市町村なり一戸の農家としては、まさに重大なことなんですね。国という規模なんですけれども、その規模が、今日見られるように一つの村で九億、十億というようないわゆる種苗の被害が出ているようなものに対する対策は、ぜひとも要綱の中できめるべきである。これが四十二年の国会決議の趣旨でもあるし、そういうふうに思うのですが、農林省としてはいかがお考えですか。もしそのとおりだというふうにお考えになるならば、要綱策定の中にぜひ入れてもらいたいと考えます。いかがですか。
  53. 澤邊守

    澤邊政府委員 種苗対策につきまして一般的に申し上げますと、個人的な補助にもなりますし、零細になるということがございまして、従来対策としてなかなか実現しにくい面がございます。かなり大きな被害になった場合には、例外的に種苗対策ということで助成をするということもやっておりますが、一般的には先ほど言いましたような点がございますので、施策に実現しにくいという点があるわけでございます。  今回におきましても、現実に申しますと、特に種苗対策についての要望はそれほど強く参っておらないように伺っておりますけれども、ただいまの局地的な島根県の大根島等の問題につきまして、現在のところは天災融資法なり自作農資金なりによります対処ということを考えておりますけれども、さらに現地の実情なり御要望を伺って検討を続けたいと思います。
  54. 神門至馬夫

    神門委員 それでは、時間が来ましたから終わりますが、先ほど来ありますような天災融資法におけるところの貸付限度額、あるいは自作農資金、農林漁業金融公庫の貸付金額のかさ上げ、こういうような点は、すでにいろいろと関係県なり、あるいは当委員会においても質問の中から出された点で最大の努力を払ってもらいたいとともに、あるいは起債、特別交付金、この点についても、議事録を見ますと再三にわたって出されておりますから、重複する点については一切本日は触れませんでしたが、もちろんこれについての強い要望も持っておることは当然でありますから、ぜひとも関係各庁のほうにおいても善処してもらいたい。あるいは厚生省のほうにおいても上水の問題、今後における水利用の問題については、現地へ行ってみますとたくさん私どもなりにも考えはありますが、これはあらためてまたこの委員会あるいは該当の委員会で、ひとつ考え方を申し述べて意見を聞きたいと思います。  本日はこれで終わります。
  55. 大原亨

    大原委員長 次に、諫山博君。
  56. 諫山博

    ○諫山委員 災害と気象がどんなに密接な関係があるかということはいまさら言うまでもありません。そして、災害を防止するためには気象庁の機能も充実する必要があるというようなことが、しばしば当委員会でも論議されています。全気象労働組合の大会ではいつもこの問題が論ぜられていますが、たとえばことしの八月の大会議案書を見ますと、定員削減に反対し、大幅増員をかちとろうという要求が掲げられ、行政反動化に反対し、国民のための気象事業を確立するために戦おうというような要求も掲げられています。これは全気象労働組合の要求であるだけではなくて、たくさんの管区気象台などからも同じような要求が出されています。たとえば昨年七月の十五日付で、福岡管区気象台は政府に要望書を出していますが、その中にこういう内容が盛り込まれています。「レーダー観測体制の強化および伝送網の充実について」「地域気象観測網の早期実現について」「定員削減について」——こういう要望が福岡管区気象台から出されているはずですが、同じような要望は、他の気象台からもたくさん政府に提出されているのではなかろうかと思います。実情はいかがでしょうか。
  57. 石原明

    ○石原政府委員 ただいま先生指摘ございましたように、福岡管区のみならずほかの管区あるいは地方気象台等から、そういった要望が文書あるいは口頭で来ておるということでございますが、ただ、その全体の数等につきましては、現在資料を持ってきておりませんのでよくわかりませんが、いずれにいたしましてもそういうふうに、いろいろな地方機関からそういう要望が出ておることは事実でございます。
  58. 諫山博

    ○諫山委員 労働組合が人員削減や合理化に反対するというのはどこでもやられていることですが、管区気象台から同じような内容の要求を政府に突きつけるというのは、それほど一般的なことではありません。これは地方議会でも同じようなことがやられているのではないかと思います。たとえば昨年の三月、福岡県議会は総理大臣、大蔵大臣、気象庁長官その他の官庁に対して、文書による要望書を提出しています。これを見ますと、「本県の防災計画の作成あるいは農業計画の樹立等行政推進の見地からも、これら諸機関の縮小、廃止は重大な問題であり、むしろ拡充強化し、自然現象を精密に把握し、的確なる気象予報を伝達する機構整備の必要性を痛感するのであります。」こういうことをいいながら、通報所の廃止とかあるいは気象台の人員削減、さらに航空測候所の弱体化などには反対だという要望書が出されています。他の自治体からも同じような措置がとられているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  59. 石原明

    ○石原政府委員 今回の第二次の削減の中には通報所の廃止を十カ所含んでございまして、その十カ所の所在の市町村からそういうような要望が出ているということは事実でございますけれども、その全体の数については、ただいま正確な資料を持ち合わせておりません。
  60. 諫山博

    ○諫山委員 いまの説明からもわかりますように、たとえば通報所を廃止するな、あるいは気象台の人員を削減するな、航空測候所の弱体化には反対、こういうのはいまや国民的な世論になったといってもいいと思います。私のあげました福岡県議会の議長さんは、共産党や社会党の所属ではありません。自民党の議長さんです。この人の名前で政府に合理化反対という要求を突きつけるのでありますから、やはり事は重大だということを認識していただく必要があります。  そこで、ことしの七月福岡地区で集中豪雨が起こりました。局地的な豪雨によって大きな災害が発生するというのが最近の大きな特色であります。乱開発と結びついて、集中豪雨がたくさんの人を殺す、家を流す、こういう状態が全国的に広がってきたわけでありますが、局地的な豪雨をとらえ、これを住民に予報する機能は、従来は主として通報所が果たしていたというふうに聞いています。ところが、この通報所がだんだん整理されて、いまきわめてわずかな数になっているということが、労働組合で問題になっています。たとえば全気象労働組合の一九七二年七月の声明を見ますと、「当初八十二カ所もあった気象通報所が五十一カ所になり、さらに近いうち全廃されようとしている。」こういうことを指摘しながら、通報所の廃止に反対しているわけです。  現在全国で通報所が幾つになっているのか、また、将来通報所をどうしようとしているのか、石原次長に御説明願います。
  61. 石原明

    ○石原政府委員 全体の数を申し上げます。  先生ただいま御指摘のように、元来、全体で八十二ございました。それで、四十六年度以前までにいわゆる併設——併設と申しますのは、たとえば福岡県の例でいいますと、筑後川の場合は久留米にありました。久留米にあった通報所を福岡管区気象台へ持ってくる。持ってきましてもその通報所自体は福岡の管区気象台に置かれるわけでございますが、久留米からいえばそれはなくなったということになるわけでございます。そういう意味合いの併設が四十六年度以前までに二十八ございました。それから四十七年度に三つ、四十八年度に七つ、合計いたしまして三十八カ所を併設する。併設については三十八カ所でございます。管区気象台、地方気象台あるいは測候所に併設するわけでございますけれども、そのうちで地方気象台以上にありますものは、これはそれぞれの地方気象台の技術課等の中で、通報所の残された仕事ということができるわけでございます。そういうような観点から、技術課のほうの予報なり観測なりの業務の中に含めてやるというふうな意味合いで廃止をするというような計画になっているものがございます。これは四十七年度に三カ所、四十八年度に同様に三カ所ございまして、さらに四十九年度には二十一カ所廃止をするというふうな計画でございまして、合計いたしまして廃止は二十七カ所でございます。したがいまして、一ぺん併設をいたしましたものをさらに廃止するということがございますので、その計画が四十九年度までに計画どおりに進みますと、八十二の通報所が結局、併設されるのが十一、廃止されるのが二十七、それから従来の形で存続するものが四十四というふうな形に相なるわけでございます。  しからば、こんなことをなぜするかということでございます。  この点につきましては、気象通報所の任務というものは、実は二いろございます。一つは山の上にロボット雨量計がございまして、そういったものが各地方気象台等の予報機関のほうへ雨量等の観測データを送るわけでございますが、そのために、たとえば筑後川の場合でございますと鳥屋山にロボット雨量計がございまして、当時は、それを直ちに福岡のほうへ送ることができませんので、筑後川の久留米に通報所を置きまして、そこで中継いたしましてそういったものを福岡に送るというふうなことをいたしておりました。そういうふうな意味合いの、無線ロボット雨量計の受信、中継をやるというふうな任務を持つものが一つの種類でございます。さらにもう一つの種類は、ダムの管理機関等がございまして、そういったダム管理機関等に対しまして気象情報を連絡し解説するというふうな意味合いの使命を持つものがございます。  こういうふうな二種類の通報所があるわけでございますが、そのうちでさきに申し上げました無線のロボット雨量計の受信、中継につきましては、開設当時はそういうふうな中継をする必要があったわけでございますが、その後の施設的な改善等によりまして、直接管区気象台あるいは地方気象台のほうにそういうデータが入るというふうな機械的な施設的な整備が行なわれますと、途中の中継所が要らなくなるわけでございます。そういうような通信所につきましては、これは廃止する、あるいは併設するというふうなことが考えられるわけでございます。  それから第二の種類でございますダム管理機関等に対する気象情報の連絡、解説でございますが、そういったものに対しましては、当初はダムのそばに管理機関がおるというふうな事情が多かったわけでございますが、そういったものをリモートコントロールする、町におってそこでダムを管理する、操作をするというふうにだんだん進んできております。そういたしますと、そういうふうなダム管理機関に対する情報の連絡なり解説というものは、何もダムのそばでやる必要がなくなるわけでございますから、これをダムのそばから町のほうへおろしてくるというふうなことが可能になるわけでございます。  そういうふうな意味合いで、通報所というものはそれぞれ、そういうふうな中継が要らなくなるとか、あるいはダム管理機関というものがそういうふうな山からおりてくる。そういたしますと、先生承知のように、現在では地方気象台を中心にいたしまして、予報についての体制を整備しつつあるわけでございますので、したがって、通報所等のようなところよりは、むしろ地方気象台のほうに聞いていただいたほうが的確なる情報の連絡なり解説ができるということでございます。そこで、たとえば山形県の場合でございますと、尾花沢までおりてくるのをさらに山形の気象台のほうへ連絡していただければ、何も尾花沢へ置かなくてもいいというふうなことになるわけでございます。そういうふうなことで逐次、そういう目的を達したと思われるものについては、こういった通報所を併設なり廃止するということを従来から検討しておるわけでございます。  ただ、そういった場合に問題がございまして、一つは、そういうような意味合いで元来通報所というものは置かれたわけでございますけれども、しかしながら、実際に置かれますと、一つは、私どもの職員はすべて観測ということが業務の基本になっておるわけでございます。したがいまして、通報所の職員といえども、そういうふうな中継なり解説なりするほかに、その地点におきまして気象観測をいたします。現実に通報所において、そういうような私どもの職員が直接観測するというふうな意味合いのことが行なわれておるわけでございますので、したがって、そういうような通報所の位置を変更する場合には、そのための観測点をどうするかという問題が一つございます。  この点につきましては、たとえば筑後川の久留米の場合でございますと、元来民間に委託観測をいたしておりましたけれども、そういった通報所が置かれますときに、委託観測でなくて私どもの職員ができるわけでございますので、それは通報所で観測するということにいたしたわけでございますが、四十五年にそういうふうなことで久留米から福岡に移したときには、その辺について、観測点についていろいろ問題が起こらぬようにということで、ちょうど私どもの通報所の元来ありました隣に建設省の筑後川工事事務所がございますので、そこで観測したデータを私どものほうにちょうだいするというふうなことで、観測点のマイナスになる点についてはそういうことによって防止するというふうにいたしておりますが、いずれにいたしましても、そういうふうな通報所の位置を変更する、併設なり廃止するような場合におきましては、観測点がそういうことによりましてマイナスにならぬような措置をするというような考え方を原則にとっております。  それから第二には、通報所の先ほど申し上げましたような任務についてでございますけれども、実際問題として気象庁の出先機関でございますので、したがって、そこの所在の町なり村の方々がいろいろと気象庁のほうに相談に来られるわけでございます。そういう意味で、いわば天気相談みたいなことを実際果たしておるというのが実情でございます。したがいまして、通報所の本来の任務であるかどうかは問題でございますけれども、現実にそういうふうな事態がございますので、したがって、通報所の位置を変更する場合には所在の市町村においてそういった点について支障がないように、たとえば久留米の場合でございますと福岡管区気象台のほうに問い合わせいただくというふうなことになるわけでございますが、そういうふうなことをしていただいたほうがむしろ充実したようないろいろな情報を提供できるからということでお願いいたしまして、そして所在市町村の御了解をとった上でやるというふうなことをいたしております。  したがいまして、現在計画いたしております併設するものについて、まだ四十八年度で七カ所ございますけれども、これは計画でございまして、そういうふうな了解が得られたものをやるということでございまして、現実に申しますと、そのうちの一カ所だけは現にまだそういうふうな了解がとれていないというふうな事情でございます。そういうふうなことで現在は進めてきております。  将来においてはどうかということでございますが、これはさらにそういうような情勢について同じような考え方で今後ともやっていきたい、こういうふうに考えております。
  62. 諫山博

    ○諫山委員 私は聞きたいことを聞きますから、それに答えてください。あなたの十分余りの演説を聞きにきたのではないです。私、聞きたいことをずばり聞きますから。  いま九州を例にとって説明がありましたが、かつて諫早の大水害というのがありました。たくさんの人がなくなったわけです。このときには、諫早市と大村市には同じくらいの雨量があったそうです。ところが、大村市には通報所があって、危険な状態がすぐ市民に知らされた。諫早にはそういう施設がなかった。そのために通報が間に合わなかった。こういうことが一般にもいわれているし、長崎の予報官の間でも広くいわれているということを私は聞いております。あなたの説明の中でも、気象庁は天気相談所的な役割りを果たしていたということがありましたが、このことが通報所と地域住民を結びつけるベルトになっていたわけです。長崎でこういう話が流れていることを御承知ですか。
  63. 石原明

    ○石原政府委員 諫早の水害はたしか三十二年だったと思います。その当時のことについては、私、詳細は存じておりませんけれども、ただいま御指摘のあったような事情もあったかと思います。
  64. 諫山博

    ○諫山委員 いま私が大村市と諫早の例をあげて、通報所がどんなに必要なものであるかということを指摘して、あなたはそういうこともあったのではないかと認められたようですが、そういうことを認められた以上、それに対する改善策は講ぜられましたか。改善策が講ぜられるどころか、そういう役割りを果たした大村の通報所さえその後廃止されたのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  65. 石原明

    ○石原政府委員 大村の通報所は、あそこに空港出張所がございますのでそれを統合したということでございまして、そういう意味で、通報所的な業務は大村においてもいたしております。  ただいま、通報所があるときにはそういうふうな意味合いの働きをするではないかというお話がございました。その点は確かに御指摘のとおりだろうと思います。しかしながら、大体通報所というのは全国で八十二カ所、それから気象観測所もそう数が多いわけではございません。したがいまして、ただいま先生の御指摘がございましたような、警報等の伝達はいかにすべきかということは、ごく一般的に、もっと広く大局的に考えなければいけないと思う次第でございまして、そのためには各府県に地方気象台が一つございますので、その地方気象台とそれから県なりあるいは県警察なりとの間に、あるいはさらに報道機関とか電電公社等との間に、そういうような警報を伝達するような同時送話装置がついてございます。そういったことによりまして、私どもは県を通じて市町村のほうに伝達するというような方式によりまして警報のすみやかなる伝達を期したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  66. 諫山博

    ○諫山委員 気象台は県に一つしかありません。したがって気象台による通報では、全県的な天気の情況はわかるかもしれませんが、局地的な状況はわかりません。また、知らされてもおりません。  局地的な雨がどんなに局地性を持っているかという一例ですが、昨年七月の福岡県南部の集中豪雨というのが、当委員会でも大問題になりました。このときの集中豪雨を見ますと、七月三日の午前九時から七月四日の午前九時までの二十四時間の間に、福岡市の雨は二十五ミリ、柳川市は二百七十ミリ、久留米市は百七十三ミリ、こういう報道がされております。そして、もし久留米に通報所があったとすれば、久留米、柳川地区の集中豪雨は、約三時間ぐらいは早く住民に通報できた、久留米に通報所がなくなったばかりに実際の警報が三時間もおくれた、こういうことが福岡管区気象台の予報官会議で正式に確認されたといわれています。そういうことがありましたか。
  67. 石原明

    ○石原政府委員 昨年の豪雨につきましては、警報の出し方がたいへんおくれまして、当時も申し上げましたが、たいへん遺憾に存じておるわけでございます。警報が出ましたのが十一時過ぎでございましたけれども、実際の雨は八時過ぎから降っておったのでございまして、そういう点では明らかに警報の出しおくれということは、先生の御指摘のとおりでございます。  当時、私どもはそれに対しまして反省会を、福岡を中心にして持ったわけでございます。その点で、ただいま三時間くらいは通報所があればというお話でございますが、実は私どもはあとから考えて、三時間までいきませんけれども、そういうふうな事情は決して否定はいたしませんけれども、さらにほかの事情もございまして、少なくとも通報所によらなくても二時間以上は早くなるだろうというような、そういうふうな問題点が反省されたわけでございます。  で、そういう点につきまして、すでに過ぎたことでございますから詳しくは申し上げませんけれども、いずれにいたしましても雨量の観測というものは、大体雨雲があるわけでございまして、レーダーでその雨雲の存在はわかるわけでございますが、現実に雨がどういうふうに降っておるかということをキャッチするためには、やはり地上で雨量を観測する以外に方法がないわけでございます。そのためには私どもとしては、気象官署のほかに、それだけでは足りませんものですから、従来から、民間の方々にお願いをいたしまして委託観測所というものを設けておるわけでございます。しかしながら、十キロとか二十キロというような範囲の集中豪雨でございますので、それでもまだ穴ができるわけでございます。そういう点につきましては、昨年の反省に基づきまして、国会のほうのお話もございましたし、他の機関から、そういったふうな一定雨量が観測された場合には、私どものほうに連絡をしていただくというふうな方策をとりあえずとれということでございまして、そういったふうな方策をとっておるわけでございます。  なお、恒久的な方策といたしましては、先生承知のように、地域気象観測網という展開を四十八年度からスタートしておるわけでございまして、これは全国でさしあたりは千百カ所、五十一年には千三百カ所の雨量観測点を、したがって、日本を全体で割りますと十七キロ四方に一カ所というふうな割合で雨量観測点が設けられ、それが即時に、オンライン・リアルタイムといっておりますが、天気予報をやるところに通報されるというような計画を進めておるわけでございます。そういったことによりまして、こういった観測点の充実あるいはそういったデータをできるだけ早く獲得するというふうな方策を進めたいということで計画を進めておる段階でございます。
  68. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、私の質問に対する答えは、久留米市に通報所があったとすれば、警報は、実際より三時間も早く出せたはずだというのではなくて、二時間くらいは早く出せたはずだという結論だったということですか。
  69. 石原明

    ○石原政府委員 私、この福岡の検討状況を十分承知しておりませんが、三時間というのはどこから出てくるかということでございますが、実は通報所がないわけでございまして、通報所があったらというのは仮定でございますので、三時間ということについてはいろいろ見方があろうかと思います。私が二時間程度と申し上げましたのは、ちょうど八時ごろ国鉄の南久留米の駅から、百三十ミリくらい雨が降っておるという通報がございました。それを十分に活用すれば、八時四十分に大雨情報を出したわけでありますが、それを警報で出せたのではないかということを私は申し上げたかったわけであります。
  70. 諫山博

    ○諫山委員 通報所をなくした、そして地域住民から連絡があって初めて危険な状態に気づいた、これはまことに情けない状態だと思います。そしてその後、消防署などに雨量の観測をさせて、それを気象台に通報してもらっているということがやられているそうですが、そのとおりですか。
  71. 石原明

    ○石原政府委員 その点は事実でございまして、先ほど申し上げました地域気象観測網というのが、展開にまだ時間がかかります。したがって、その間のつなぎといたしまして、そういうふうな消防とか警察だとか、あるいはまた建設省の出先とか、いろいろございますが、そういうところのデータをできるだけ活用しろというふうに昨年国会のほうからもお話がございまして、そこでことしの雨季に間に合うようにいろいろ検討いたしまして、この六月一日から九月三十日の雨量の多そうな期間に、全国で七百数十カ所について、そういうふうなデータをできるだけ早く送っていただくというふうな手当てをいたしております。ただし、これは、先ほど申しましたような地域気象観測網のでき上がるまでのつなぎの措置と私ども考えております。
  72. 諫山博

    ○諫山委員 大体気象の観測をするのは気象台の仕事、災害が起こった場合に災害対策を立てるのが消防署、これはもう役割りがきまっています。ところが、消防署が気象の観測をして気象台に知らせる、こういう状態が正常な状態と言えるのかどうか、佐藤政務次官、いかがでしょう。
  73. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 私は、国の段階で一元的に全国の地域的な気象観測網が整備されるということが、やはり理想だと思います。しかし、現実的にそれを実行しようとしますというと、先ほど次長が申し上げましたとおりに、ある程度の年次計画は要るものですから、その過程として、地域市町村段階においてのいろいろな連絡網を十分にして、地域の気象観測網の漏れを埋めていくということはやむを得ない措置だ、こういうぐあいに考えております。
  74. 諫山博

    ○諫山委員 私も、いろいろな観測機関の結果を利用することはけっこうだと思います。しかし、それは、肝心の気象庁自体が完全に機能を果たす、それでも足りない部分をほかの観測で補ってもらうというのが筋です。ところが、一方では肝心の通報所をどんどんなくする、そして本来の任務でないところから協力を仰がないと完全な資料がそろわない、こういうやり方は、どう考えても本末転倒です。おそらく政務次官もあるいは気象庁長官のほうでも、これでいいとは思っていないと思います。   〔委員長退席、村山(喜)委員長代理着席〕 こういう事態になるというのは、政府の人員削減の方針、第一次人員削減、第二次人員削減というのが続けられているわけですが、こういう問題がありますから、よくないとはわかっているけれども、やむを得ずこういう措置をとっているというのが実情ではないのですか。
  75. 石原明

    ○石原政府委員 通報所は、先ほど申しましたように、観測点としての機能を果たしていることも事実でございますが、本来の目的からいいまして、そういうのはどっちかといいますと、通報所がたまたまダムの関係だとか中継の関係で置かれて、そのためにそういう観測点ができるという関係でございます。  ただいまの先生お話は、通報所がどうかということではなくて、そういうふうな観測点というものを十分に充実しなければいかぬのじゃないか、そういうふうな御指摘であろうと思います。そういうふうな進み方にかかわらず、気象庁の通報所の廃止時期というものがそれに必ずしもマッチしないじゃないかということであろうかと存ずるわけでございます。  その点につきましては、私ども地域気象観測網の計画というものがやはり相当の年数が要るということでございますので、先ほど申しましたようなつなぎの措置をやむを得ずとっているということは事実でございますが、ただ、一番問題になりますのは、地域気象観測網は雨のほかに気温だとか風向、風速、それから日照というものをはかるわけでございます。その中で雨が一番大事でございまして、この雨についての実測をすみやかにやるという計画で進めておるわけでございます。この雨については全国で千百点を計画しておりますけれども、それは来年の六月から活動できる。ですから、ことしの雨季はすでに過ぎつつありますけれども、来年の雨季には間に合わすことができるというふうに考えておる次第でございます。
  76. 諫山博

    ○諫山委員 私は、通報所の廃止を、いま気象庁の中で進められている合理化の問題の一つとして取り上げたわけですが、気象庁の人員不足というのはいま深刻な問題になっております。そして、労働者が生活と権利を守るという立場から人員補充を要求するだけではなくて、気象台もいろいろ具体的に要求を提起しているはずです。とりわけ問題になっているのは、予報官とレーダー観測員の数をもっとふやせということだと私は聞いています。昨年の災害対策委員会で、たとえば気象台のレーダーは一日ほんのわずかの時間しか動いてないのに、自衛隊のレーダーは二十四時間動いている、こういう状態でいいのかという立場から、わが党の津川議員が問題を提起いたしました。しかし、この点は全く改善されてないと思います。  昨年の七月の福岡県における集中豪雨のあとで、福岡管区気象台が要望書を出していますが、これを見ると、「職員は肉体的限界に達している」ということを指摘しながら、一人一人の職員が何時間働いているのか、何時間ぐらい超過勤務をしているのかというようなことを、詳細に政府のほうに提出しているはずです。そして結論として、「レーダー要員の増員を早急に確立していただくよう特別の御配慮をお願いいたします」と要望書を結んでいます。この要望に対して何らかこたえる措置をとられたのかどうか、お答えください。
  77. 石原明

    ○石原政府委員 レーダー網要員の充足については、その必要性というものは、昨年の七月の集中豪雨の経験で痛切に感ぜられたわけでございます。私どもは、これは定員の算定の基礎でございますけれども、従来レーダーは、一カ所で通常の場合は一日四回の観測をするというふうなたてまえでもって定員の配置がされております。それに対しまして一日に八回、これは台風とか何かの臨時観測は別でございまして、定常的に八回観測することが必要である。八回観測といいますと、三十分とか一時間は予備観測いたしますから、大体一日全部をカバーするというものに近いというふうに考えていただいていいかと思います。したがって、従来までの四回観測を八回観測にする、そのために現在要員の充足をお願いしておるわけでございまして、従来は、これは平地にあるものと山地にあるところと違いますけれども、四回観測のときは、平地におきましては四名、山地におきましては六名という算定をいたしておりまして、それに対しまして私どもは、平地におきましてはさらに四名足して八名、山岳レーダーにつきましては十名というふうなことに充足すれば八回観測ができるということで、そういうふうな要望をしておるわけでございます。従来も東京だとか富士山のレーダーはそれに近いような定員がございましたけれども、その他の十八のレーダーについては必ずしも十分でございませんでしたので、したがってそういう点の充足をするということでありまして、さしあたり四十八年度には、それの大体半数の個所につきましてそのような手当てがされまして、現在そういった体制になってないのはおおむね七カ所くらいであろう、こういうふうに考えるわけでございます。  御指摘の福岡管区気象台の背振山のレーダーでございますけれども、これにつきましては、その重要性からいいまして、四十八年度には、山岳レーダーでございますから、十名になるような定員の手当てがいたされております。  ただ問題は、八回観測をやると同時に、最近では、そこのレーダーを福岡管区気象台において使うのみならず、福岡管区気象台の周辺の地方気象台や航空測候所に、そのレーダーの映像をスケッチいたしまして伝送するということにいたしております。ところが、背振山のレーダーだけは全国で例外でございまして、そういうふうな通信線の仕組みからいたしまして、そういうふうなレーダーエコーをスケッチして送るということが山上でできません。そのために、現在のところやむを得ずこれは福岡管区気象台でいたしておるわけでございまして、そのために要員として四名ふもとにとられるというような実態でございまして、現在山の上には四名いなければならないのが三名しかいないという実情でございます。  この点につきましては、そういうふうな山上におきまして、それぞれの必要な地方気象台等にエコーのスケッチを送るというための通信施設を同時に充足する必要がございまして、本年度中にそういった手当てができるようなことでいま工事を進めておるわけでございます。それができますと、計画どおりに、山上におきまして八回観測をし、そのエコーを周辺の地方気象台に送ることができるわけでございまして、したがって、福岡県の要望しております点は、その時点におきまして大体かなえられるというふうに考えておる次第でございます。
  78. 諫山博

    ○諫山委員 福岡の例をとったのは、福岡だけを充実してくれというのではなくて、全国同じような状態だから問題を解決してもらいたいという趣旨ですから、誤解のないようにしていただきます。  そこで、大蔵省の宮本主計官にお聞きします。  レーダー観測員の不足がどんな事態を生み出しているかということは、たとえば昨年の七月の集中豪雨のときに、さっき話に出ました福岡の背振山レーダーでは、原口という職員が過労のために倒れて、山の下にかつぎおろされる、休養を要するというような事態が出てきました。また、福岡管区気象台の要望書を見ましても、職員の使命感による献身的な努力によってようやく事が処理されたというふうにいわれているくらいであります。管区気象台が、「職員は肉体的限界に達している」ということまで文書化するというのは、よその官庁ではあまり考えられない、たいへんな事態だということを物語っていると思います。そういう立場から、来年度の予算ではこの問題をどう解決しようとしておるのか、お聞きしたいと思います。
  79. 宮本保孝

    ○宮本説明員 大蔵省といたしましても、先生がいま御指摘の点につきましては、前々から配慮はいたしておるわけでございます。特に四十八年度につきましても、レーダー関係で二十八名の増員をいたしております。また、予報業務につきましては二十六名というふうなあれでございまして、これは四十九年度、来年度でございます。これは大蔵省だけできめるわけにはいきません。行政管理庁等ともよく相談いたさなければなりませんけれども、御指摘の重要性につきましてはわれわれも十分承知をいたしておりますので、気象庁側の要求をも十分検討いたしまして対処いたしてまいりたい、こう考えております。
  80. 諫山博

    ○諫山委員 概算要求が出そろう時期になっておるわけですが、具体的にどういうふうにするつもりだということまでは言えませんか。
  81. 宮本保孝

    ○宮本説明員 八月三十一日までに御存じのとおり概算要求が出まして、ただいま要求官庁からヒアリング中でございまして、これから私のところで検討いたしまして、それからまた上に上げていくという段階でございます。いまのところ、私のところにもまだ上がってきていない状況でございますので、ここでどうするかという点につきましてはお答えしかねる状況にございます。
  82. 諫山博

    ○諫山委員 大蔵省ならおわかりでしょうが、日本にはたくさん金があるわけです。私たちは、軍事費を削れとか、大企業優先の支出を削れということを中心に主張しているわけですが、そういう大げさなことを言わなくても、この程度のことはすぐやれるはずです。労働組合も要求している、気象台当局も要求しているというような課題ですから、ぜひ積極的に解決してもらいたいと思います。  そこで、予報官の増員の問題ですが、労働組合は、すべての測候所に予報官を配置すべきだと主張しています。また気象台などでは、すべての測候所ということばは使ってないようですが、すべての指定測候所にいる予報官の数をもっとふやせ。こういう点では、労働組合も当局も似たような予報官増員の要求を掲げています。これについてはどういう構想を持っているのか、石原次長に御説明願います。
  83. 石原明

    ○石原政府委員 今回の三次の行政削減の時期に関連いたしまして、予報業務の効率化というものをはかっておるわけでございます。そういう線で全体の予報業務をどう組み立てていくかという考え方でございまして、全国の地方気象台以上のところで、というのは県で原則として一つでございますけれども、そこにおきまして予報の作業は集中的に行なうというような体制をとり、その他の測候所は、原則といたしまして、そういうふうな地方気象台でできました予報をもとにいたしまして、地元地区に対してその予報の解説を行なう。ただ、全国で、舞鶴の海洋気象台のほかに十二、三カ所でございますが、先生承知のとおり指定地区というのがございます。その指定地区につきましては、これは同じ県内にありながら、特別な気象の状況があるために、特に従来から警報を出すような権限を与えてございます。この点について、指定地区を今後どうするかという問題点はございますけれども、さしあたりそういうような指定地区については従来どおりにしてございます。したがって、現在では、予報を作成する業務は、地方気象台以上と、それから例外的にございます十二、三カ所の指定地区の測候所というものでございまして、その他の測候所におきましては、そういった地区でつくられました予報をもとにいたしまして、その予報の解説をするというような計画でございます。  しからば、それに対応する人員の充足でございますけれども、御承知のように、地方気象台以下におきましては、予報と観測というものを一体として、いわゆる複合的な運営をいたしておるわけでございます。したがいまして、そういうふうな予報上の作業とそれから観測については、二十四回から始まりまして四回もしくはそれ以下の観測回数がございまして、そういうふうな点から検討いたしまして、それぞれの段階のものに対して現業の要員は幾らというふうにはじいておるわけでございます。そういうものに基つきまして今回の人員の再配分をしたわけでございます。そういうふうな過程におきまして、予報業務の充足は必要でございますので、この定員削減と別にいたしまして、合計いたしまして、これは沖繩は別でございますけれども、七十一名の予報官の増員、これは地方気象台向けでございますが、そういったものの充足をするというような考え方が、この削減計画の一環として入っているわけでございます。その要員に対しましては、四十七年度、四十八年度におきまして、大体三分の一程度の充足がされているわけでございまして、私どもは、残りの三分の一につきましては次年度、四十九年度において措置をされるというようなことになりませんと、こういう全体の削減に伴う予報業務の整備ということについてそごを来たすわけでございますので、これから大蔵省あるいは行政管理庁に対しまして御説明をし、お願いをする段階でございますけれども、そういったことが行なわれませんと、全体の予報業務の効率的な運営に支障を来たすわけでございますので、このための定員の充足については十分にお話をいたしまして、お願いをしようというふうな考え方をしておるわけでございます。
  84. 諫山博

    ○諫山委員 予報の業務を集中的に行なうということを言われましたが、実はこれがいろいろ問題を生み出しているのです。これは予報業務の中央集権化をした、ことばを変えれば住民サービスの切り捨てというような結果を生み出しているんだということを反省願いたいと思います。  さらに、気象庁における人員削減、これが気象業務を非常に毒しているわけですが、その中でとりわけ労働組合が問題にしているのは、退職勧奨です。昨年の全気象労組の大会議案書の中には、「強要にわたる退職勧奨は絶対行なわないこと」「強制によって退職を行なわせようとした管理者は、国公法三十九条の不当人事排除条項に基づき厳重処罰すること」というような要求を掲げています。さらにことしの大会議案書には、もう一項目つけ加えられまして、「退職勧奨に応じないことを理由に退職手当法第五条不適用のおどしをするな」こういう要求を掲げています。  退職勧奨について、いま気象庁としてはどういうやり方をしているのか、簡単に御説明ください。
  85. 石原明

    ○石原政府委員 ちょっと、先ほど申し落としましたので補足させていただいてよろしゅうございますか。——普通の測候所に対しまして現在、気象解説官というものの、これは待遇改善でございますが、そういったことを並行して進めておりますので、その点を御了承願いたいと思います。  ただいまのお話の勧奨退職でございますが、この点につきましては、従来からのやり方といたしまして、一般の職員に対しまして六十歳、それからいわゆる行(二)の職員に対しましては六十五歳というものを一つのめどにいたしまして、その満六十歳あるいは満六十五歳になった、そのなりました年度の終わりに大体退職していただくというのが、従来の実際行なわれております内規のような制度でございます。私どもは、そういったものを大体頭に置きまして、そういうふうに該当する方方に対しましてはいわゆる退職の勧奨をするということはいたしております。  ただ、その場合に、御指摘がございましたように、これはいわゆる勧奨でございまして、強制ではないわけでございます。したがいまして、私どもはあくまで勧奨という範囲であって、強制にわたるようなことがないようにということで指導いたしておるわけでございまして、ただいま先生の御指摘のような事項につきましては、私どもの交渉の段階にも出てきておりますので、これは実際に退職を勧奨される方には、非常に微妙なあるいは心理的に動揺しているときでございますので、まあともすれば強制ではないかというふうにとられるようなケースも間々あるかと存ずるわけでございまして、そういったことがないように私どもの管理職の職員等に対しまして指導をいたしておりますけれども、実際問題といたしまして、そういうふうな疑いがある、おそれがあるというものについては、これは個別の問題になるわけでございますので、そういうふうなものがあるならば、私どもに個別に御相談になってください、そういうふうな御相談があるならば、私ども十分に検討いたしまして、そういうふうな一般的な指導のほかに、さらに個々的なそういった問題の提起をまちまして、強制にわたらないように、いわゆる勧奨という線を貫くようにということを指導方針として、退職勧奨を進めさせておるような事態でございます。
  86. 諫山博

    ○諫山委員 労働者は国家公務員法の適用を受けるわけですが、国家公務員法では、六十歳だからどうだとか、六十五歳だからどうだとかいう差別は規定していないはずです。この人たちにだけ特別に退職勧奨をするというのは、法的な根拠は全くありません。内規ということを言われましたが、法律に違反するような内規は効力は持たないはずです。そこで、現実にはどういう勧奨をやっているのですか。
  87. 石原明

    ○石原政府委員 ただいまの、法律ではないということでございますけれども、退職金のほうの定めに、勧奨されたというふうなものについては優遇措置があるわけでございますので、したがって、それはおすすめでございますが、おすすめをするということで、決して禁じられているというふうに私どもは思っておりません。しかしながら、これは強制できるような問題でないことは確かでございます。したがいまして、私どもは、ただいま申しました満六十歳なり満六十五歳というものを一つのめどにいたしておりますけれども、たとえば特に行(二)の職員等につきましては、の性質等からいいまして、健康であれば六十五歳を過ぎましてもつとめることが十分に可能であるというふうな人がございます。そういったような御希望のある方につきましては十分に弾力的な措置をするというふうなことをしているわけでございまして、ことしの資料を置いていませんが、昨年の夏ごろの状況では、全国で行(二)の職員で満六十五歳を過ぎてなおかつそういうようなことでやられる方が、大体六十五歳のところで十名程度、それから六十七、六十八、六十九、七十というところに各一名、最高は七十六歳の方もおられるという状況でございます。したがいまして、私どもはあくまでもおすすめをするということでございまして、ただ、大体一年ぐらいというお話がよくありますので、そういった点につきましては十分に弾力的な配慮をするというふうなことですすめさしていただいておるような次第でございます。
  88. 諫山博

    ○諫山委員 労働組合の資料では、ことしの七月二十七日の労使間の団体交渉で、「退職勧奨について強要やえげつない勧奨はないはずだ。あったら知らせてくれと当局が答えた」となっていますが、そのとおりですか。
  89. 石原明

    ○石原政府委員 その答えは私がやりましたけれども、大体要旨はそういうふうな答え方をしております。
  90. 諫山博

    ○諫山委員 強制には、直接的な強制もあるし間接的な強制もあります。物理的な強制もあるし心理的な強制もあります。こういうあらゆる強制はしないというふうに受け取っていいでしょうか。
  91. 石原明

    ○石原政府委員 いやしくも強制にわたるようなことはしないということを指導方針としているわけであります。ただ、先ほど申し上げましたように、やめられる方、退職をおすすめする対象になる方についてはそういうふうな非常に微妙な心理状態もございますので、そういう点は十分に戒慎をしていただく必要があろうかと思いますが、いずれにいたしましても強制にわたるようなことをいたさないというのが指導方針でございます。
  92. 諫山博

    ○諫山委員 六十歳なり六十五歳に達した人たちは、おそらく戦々恐々たる心理で退職勧奨を待っているんじゃないかと思います。こういう人たちに対して、やめたらどうですか、やめる意思はありませんかとあなたたちが話を持ちかける。その場合に本人が勇を鼓して、私はもっと働きたい、こう答えたら、もうそれで勧奨は打ち切りますか。これ以上の話を続けると心理的な強制にならざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。
  93. 石原明

    ○石原政府委員 これは具体的なすすめ方の話でございまして、つとめたいというふうなお話がございますと、そこで打ち切るというようなことをする場合もありますし、そうでない場合もございまして、その辺のところにつきまして、やはりなるべくならばやめていただくようなことを考えていただけませんかというふうなことをするということは、あり得ることだと思います。ただ、その場合に十分に戒慎いたしまして、少なくともやめなければいかぬ——よく組合等から言われますけれども、やめないとこの次に退職する場合には退職金が減るぞ、だからいまやめないといかぬぞというふうなことを非常に強制的に、脅迫的なふうにいろいろ言うんだというふうなことを、組合の方々は言っております。それはある程度事実でございますけれども、そういったようなことについては十分に戒慎いたしまして、少なくとも客観的に見まして強制というふうにとられないようなことにしていきたい、すべきであるというふうなことで指導いたしておるわけでございます。
  94. 諫山博

    ○諫山委員 あなたたちは強制しているつもりではなくても、受け取る側から見たら強制と理解する場合が非常に多いと思います。そのことは、やめなくともいい、もっと仕事を続けたいと思っていながらも退職勧奨でやめろ人が非常に多いからです。私はこれは正しい人事のあり方ではないと思いますから、厳重に注意していただきたいと思います。  そこで、長官がお見えですから、最後にお聞きします。  私はいま、気象庁の中における合理化の問題についていろいろ質問いたしました。通報所が廃止される。予報官の数がどんどん少なくなる。そして、たとえば通報なんかは中央集権化されるというようなことがあって、住民へのサービスが切り捨てられるというようなことが気象庁の中に系統的にあらわれてきていると思いますが、この点長官は、防災という立場からどのように考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  95. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 国の防災の上において大きいウエートを持っておられ、また大きな役割りを果たしておりますところの気象庁のそうした問題は、やはり陰に陽に、また直接、間接にあらゆる問題にも響く問題でもございますので、そうした御指摘になりました点等は十分運輸大臣とも協議を続けながら、そうした問題の弊害のなきよう最善を尽くしてまいりたい、こう考えております。
  96. 諫山博

    ○諫山委員 いわゆる合理化というのは各省ともあるわけですが、しかし、私は、気象庁の合理化を見て非常に奇異な感じに打たれたのは、労働組合が合理化に反対するだけではなくて、各県の気象台が合理化に反対している。各県の議会、幾つもの市議会が超党派的に、通報所を廃止するな、あるいは気象台の人員削減をやめてもらいたい、空港測候所の弱体化には反対というようなことを政府に要求しています。これはよそではあまり見ない現象だと思いますが、もっとこういう要求にこたえるためにも、また防災を完全にするためにも、こういう問題に対する予算を組むべきではなかろうかと思うのですが、長官いかがでしょうか。
  97. 石原明

    ○石原政府委員 ちょっと前もって御説明申し上げたいと思います。  私どもは、削減を二百六十二名、三カ年ということを出しました。もちろん私どもには、約六千数百名のうちで四千人以上という者が交代制の勤務に服しておるわけであります。そういったようなことを十分に勘案していただいて、現在二百六十二名というものが算定されておるわけでございますが、そういった二百六十二名の削減を実際に進めていく上におきましては、そういったことによりまして防災上の問題点、あるいはまた気象サービス等につきましてマイナスを生じないようにということを目標にいたしまして、具体的な削減計画を進めたわけでございます。たとえば、そういうふうな一定の算定がございますので、そのとおりにやるという方法もございますけれども、そういったことが私どものような現業官庁ではできないわけであります。したがって、約二年の歳月をかけて具体的な問題点というものを十分に掘り下げながら、現在二百六十二名というものの削減計画が成り立っておるというふうなわけでございまして、したがいまして、削減というものを行なうには、単に機械的なものではなくて、実際にそういうふうな計画を十分に練って、防災上あるいは国民に対するサービスというものがマイナスにならないようにということを十分に注意しながら立てたものでございます。  なお、そういうふうな削減は削減でございますけれども、同時に新しい業務があるわけでございます。新しい業務に対する増員というのは、これは十分にお願いをしなければいかぬわけでございまして、最近では私どものほうの業務に対する御理解も、だんだんそういうふうな御理解が得られつつあるわけでございまして、四十八年度におきましては、沖繩の二十二名を含めまして百四十八名というふうな増員が認められておるわけでございまして、削減八十七名でございますので、差引ではかなりの増員になっているというふうな事情でございます。御承知おき願いたいと思います。
  98. 諫山博

    ○諫山委員 私は、気象庁の中でどう予算のやりくりをするかいうような質問ではなくて、日本にはたくさん金があるんだ。四次防の予算を見ても膨大なものじゃないか。どうしてもっと気象庁のようなところに予算をたくさん回してもらわないのかということを長官にお聞きしたがったのです。
  99. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 防災の対策の上からも、また地震対策からも、あらゆる点において気象庁の持つ使命は、非常に重要なウエートを持っていただいておると考えるのであります。そうした立場を正確に理解し把握いたしまして、いま御指摘になりました諸般の問題につきましては、現実の上に立って十分運輸大臣とも協議をいたして、御期待の線に沿うよう最善の配慮をいたしたい、こう考えております。
  100. 諫山博

    ○諫山委員 私は、きょうの質問を準備するにあたりまして、中央防災会議に、来年度の防災関係予算総額はどのくらいになるのか、またその内訳はどうなっているのかということを質問しましたが、そういう資料はまだありませんという話です。これでは責任持った防災計画は立てられないのじゃないかと思います。各省ともそれぞれ、自分のところの予算の概算要求はどうだということが出ておるのに、防災全体の予算がどうなっているのかというのはいまなおわからないんだというふうに聞きました。これはいつごろはっきりするのでしょうか。
  101. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御質問になる御心情は、十分私も敬意をもって拝察いたしております。御案内のように、各省庁が事務的にいわゆる概算要求をまとめてようやく財政当局に出されておるという現時点におきまして、各省庁にまたがる膨大なところの災害対策予算等をいま把握するということは困難でございます。御心配になる点はよく理解いたしておりますが、これらについてはっきりいたしますのは、正式なるところの予算の決定前後においてなされるものでありますので、その点御了解願いたいと思います。
  102. 諫山博

    ○諫山委員 私たちは、美濃部革新都政は日本政府全体よりかもっと多額の公害対策費を予算に組んでいる、こういうことをよく指摘いたします。災害についても同じことです。この間、当委員会で地震災害の問題が論議されたときに、東京都が政府にいろいろ予算の要求をしているけれども、それが大幅に削られているということが出てまいりました。私は、防災予算にもっと思い切った努力をするということを、長官にはお願いしたいと思います。とりわけ気象庁に対しては、おそらく総定員法というようなものに縛られて、心ならずも住民サービスを切り捨てざるを得ないのだろうというように、私は善意に解釈していたのですが、はたしてそうなのかどうなのか、きょうの次長の説明を聞いて幾らか疑問に思いました。しかし、私たちが当委員会災害対策ということを論ずる場合に、気象庁の積極的な役割りというのは密接不可分の関係にありますから、そういう点で、やはり災害国日本を守るためにも、もっと全国民的な立場から政策を立てていただくということを要望して、質問を終わります。
  103. 村山喜一

    村山(喜)委員長代理 金丸徳重君。
  104. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 当委員会では、つい先日、二日間にわたりましてそれぞれの専門家の意見を承る機会を持ち、今後の特に地震対策などについて万全を期したいと思ったのであります。それはもう申し上げるまでもございません。最近根室地震などがあり、また、遠く南米あたりにおきましてもひんぱんに地震などが起きて、その災害のなみなみならぬものがある際において、わが国でもあのおそるべき関東大震災の五十周年という年を迎えたものでありますから、この機会において地震対策、特に予知対策などについてその状況を承り、これからの政策の推進に役立たせなければならない、こういうことでありました。  私は、その委員会におきまして専門家の意見も聞きましたあと、事態なかなか容易ならぬものがあると思いまして、過去における当委員会の審議状況も参考に勉強をいたしたのであります。遠いところは別といたしまして、四十五年のこの委員会における参考人の意見、四十七年の同じ当委員会における意見、あるいは昨年でありますか、ことしの春でありますか、科学技術特別委員会におきまする地震学者などの意見の開陳を勉強いたしまして、いよいよ、相当腹をきめて関係者が取りかかるべきときでなければならない、かように思ったものであります。  といいまするのは、専門学者の意見によりますと、地震は繰り返すということはもう定説となっておるようであります。ここ百年この方、東京におきましては激震と称する震度五以上のものが十五回あった。七年に一回ずつ、ひっくり返って、飛び出さなければならないような地震があったということでありまするし、また、関東大震災のときの震度六の烈震というようなものも、明治二十七年にあり、それから大正十二年にあったということであります。それからかまえて、六十九年周期説というような河角先生意見もかなり信用されて世間に流布されておるような状況でありまするので、これはたいへんなことのように思います。  これからはそういうことにつきまして、何とか早く地震についての対策を練り、それについては予知を、いつごろどこでどのくらいのものということがわかるようにしなければならないということでありますが、それについて学者の言うところにおいては、予知というのは、いま一生懸命データを集め、観測網を整備しつつあるのだけれども、なかなかそう役立つまでにはいま至らないということであります。それらをかまえまして、政府のほうではどうこれを受け取り、今後の準備をなさっておられますか。事務当局からと政治的見地からと、二方面から承りたいのであります。  まず、ごく概要でいいのでありますから、あの参考人の意見その他を通じて事務当局はどう受け取っておられますか。国土地理院及び気象庁等におきましてはどう受け取っておられますか。ついせんだって参議院のほうでも、同じように参考人の意見の聴取があったようであります。それからまた科学技術特別委員会のほうでは、二日にわたってやったようであります。これらをもあわせて踏まえてどういうふうにかまえておられまするか、どう受け取っておられまするか。まず事務当局のほうから承り、それからあとで総務長官から、政治的にどう準備なさっておられるかを承りたいと思います。
  105. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  気象庁の担当している地震業務の分で、特に予知関係技術開発についてどういうふうに計画しているかという御質問だと思いますので、それにしぼってお答えいたします。  先日の鈴木参考人の意見開陳を、先生たいへんよくお聞きくだすっていらしたようでございます。要するにただいまは、予知の基礎になるデータをできるだけ早く集積をする段階でございまして、気象庁といたしましては、まず日本の陸上と、それから日本は大地震が太平洋岸の海の中で起こりますために、日本太平洋岸、近海も含めまして、まず大中小、大は文字どおり大地震でありまして、小と申しますと、ちょうどその真上にたまたま人がいたときにかすかに感ずる程度の地震でありますが、これを漏れなくつかまえるということによって日本内外の地震活動を完全にキャッチするということを一つの目標としております。それから、国土地理院のなさいます測量のある一定期間を置きました繰り返し、これは間欠的に行なわれるものでありますので、その間を補完する意味におきまして、地殻の連続ひずみの観測網もあわせて、ここぞと思われるところに展開いたそうと思っております。  これが方針でありまして、では、そのために具体的にどういうことを考えておるかということでございますが、時間の関係もございますのでごく簡単に申し上げますと、陸上においてはより観測網を充実する。それから、従来観測網のない太平洋岸から日本海溝に至る間には海底地震計のネットを張る。また、これから得られる膨大な数、ただいまよりもデータの数が飛躍的に増大いたしますから、これを能率的に処理する自動処理装置を開発するといったようなことで、地震予知の基礎になるデータを漏れなくとるということを計画しております。
  106. 井上英二

    ○井上説明員 お答えいたします。  国土地理院の場合も、基本的な考え方は全く同じでございます。私どもがやっておりますのは測地測量のほうでございまして、地殻の変動、地面の動きを調べる。これは水平的な動きと垂直的な動き。水平的な動きにつきましては、第三次長期計画におきまして、光波測距儀というような新しい測量法をもちまして全国的な測量を始めました。垂直測量につきましても、同じように五年周期で観測をやっていきたい、このように考えております。
  107. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 お答えするのに先立ちまして申し上げたいのは、金丸委員が防災、災害地震対策等を含めまして、いつも真摯に御討議をいただいておること、また御指導いただいておることを、まずもってお礼を申し上げたいと思います。  地震の予知という問題、非常に重要な問題でございます。御案内のように各報道を通じていろいろの議論がかわされ、私もしろうとながら、しろうとの立場でそれを読む場合も多くあるのでございますが、一つの日本の運命を決する重要な問題でございますから、国家的な立場になって、もう少し科学的に、権威というと失礼でございますが、何か一つのたよりになる、侵しがたいようなものをもっての一つの大綱をきめる、大綱を定めるという点からいいまして非常に重要なことでもございますので、来年度から五カ年計画で、いわゆる百五十億の予算をもって地震予知に対するところの対策を、それぞれの権威の方々とともにひとつ進めてまいりたいということで、来年度の予算要求の中に、文部省と十分協議をいたしながら予知対策を期したい、一つの大綱を整えたい、こういう気持ちでいま諸般の準備を進めておるような次第でございます。   〔村山(喜)委員長代理退席、委員長着席〕  御案内のように、政府といたしましては、七月六日に中央防災会議を開きまして、いわゆる当面する地震対策の問題あるいは防災対策の問題、避難対策問題等の具体的な問題をそれぞれ論議また解明もいたし、その対策を具体化いたしており、御承知のとおりに、新聞紙上でも報ぜられましたごとく、ことしは関東地震の不幸な五十周年の記念であるということからも、九月一日、東京都の美濃部知事並びに東京都の関係当局、また消防庁、警察当局とも御協力をいただきまして、私と金丸建設大臣と江崎国家公安委員長の三人が美濃部知事と、半日にわたりまして、これらの対策——現地でこの目で見、この耳で聞きながら、体験のひとしいような、一つの大きい訓練がなされたわけでございます。結果は新聞でも報じておりますごとく、また一昨日のある新聞に私の所見も対談で載せておりますが、そのような気持ちでいま真剣に取り組んでおるような次第でございますので、御心配いただくこの予知の問題については、いま申しましたような姿でひとつ取り組みたい、こう考えております。
  108. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 実は専門家の言うところは、地震はある、二、三年くらいはまだ余裕があるだろう、しかしそれを過ぎると心配だ、いつ起こるかわからない状態に入るんだというように受け取れたのであります。政府のほうでもそのように受け取っておられるかどうかということを承って、それからこれからの対策についてこまかに承っていこうか、こう思ったのであります。ただ、実は島田委員が、同じように、委員会において非常に熱心に御研究なさっておられます、あとの時間もありますので、ここで先にこれについてのお尋ねをいたしたいということでありますから、私はちょっと時間を島田委員のほうにお譲りいたしたいと思います。さよう御了承願いたい。あとでまたとくと承らさせていただくことにいたします。
  109. 大原亨

    大原委員長 それでは、島田琢郎君。
  110. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 総理府の防災会議のほうにお尋ねをいたしますが、第一点は、根室半島沖地震がありまして、その際私が緊急質問に立ったのでありますが、その際、根室半島沖地震の最終結果がまとまればその資料を提出してください、こういうお願いを申し上げましたのに対して、結果がまとまれば直ちに資料を差し上げます、こういう約束をいただいておったのでありますが、残念ながら今日に至るもまだ、その最終結果が私のところに報告されておりませんが、まだ最終結果がまとまっていないのでしょうか。
  111. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 ただいま資料を持っておりませんけれども関係省庁のをまとめまして、至急御提出申し上げます。
  112. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 どうも私は残念でありますが、もう三月もたっていまだにまだ私のところにその資料が来ない。これは一体どのように地震という問題を考えておられるのか、その姿勢をまず疑いたいわけであります。幸い総務長官おいででありますので、ひとつこの点についてはきびしく反省をしていただきたい。最初からたいへん苦情を申し上げるようでありますが、私のところの選挙区で、この地震問題については、皆さんが、常襲地帯といわれて非常に神経質になっております。それらの結果等がまとまり、また防災措置を含めて災害復旧状態というものを私も承知をしたい、こう思っておりましたので、できておりますれば、ひとつ後ほど早急に私の手元に届けていただくようにお願い申し上げます。  それから、続いて地震関係質問に入りますけれども、先般、防災対策の推進ということで、七月の六日に防災会議の申し合わせがなされたようであります。その資料を私はいただいたわけでありますが、特に地震の予知の推進という中で、まず可及的すみやかに地震予知の実用化をはかる、こういうふうにいっておりますし、また、ただいま金丸委員質問に対して長官から、地震予知のこれからの取り組みについてその決意を含めてのお話がございましたが、実は私ども、地震問題に私自身取り組んでおりました中で非常に奇異に感じますのは、先ほどもお話にあったように、東京大震災が起こってことしは五十年を迎えた、もういままでに地震の予知の技術というものは相当進んでいるのではないかというふうに実は考えておりましたが、それがいまだに、ここに新たに、実用化をはかるという項目をあげなければならぬというのは、たいへん私は心さびしい気がしてならぬわけであります。  気象庁の末広地震課長と前にお話をしたときには、まあ地震の予知という問題については、まだまだ実は地震そのものがわからぬところがたくさんあるから、それらを究明するということもまだ段階としては進めていかなければならぬ非常に大事な点であるけれども、しかし、実際には相当、地震の予知に対して自信を持っておりますと、実はこういうふうなお考えが示されていたわけでありまして、ただいまの長官のお話やら、あらためて中央防災会議が地震に対する予知の問題にこういう申し合わせをしなければならぬということでは、私は非常に残念といいますか心配でならぬわけでありますが、この実用化をはかる段階において、特に文部省の測地学審議会が、地震予知の推進に関する第三次計画の実施についてという建議をされたそうであります。  私は、この地震予知の機能といいますかあり方について、非常にばらばらになっていて、機能統一がされていないのではないかというふうな印象で、実はいままでの論議を通して受けとめていたわけでありますが、この際、実用化を進めていく上において最も大事なのは、いろいろ調べてみますと、各省庁で地震の問題を手がけていて、なかなかその頭脳の統一といいますか機能の統一というものが困難ではないかというふうな印象を一つ持っております。  この点は、重ねてお尋ねをいたしますけれども、だいじょうぶなんですか、その機能統一という問題について。一たんここで地震が起こったら、直ちにそれが機能的に働いていくというふうな状態にあるのかどうか、この辺、くどいようでありますけれども、もう一度念を押しておきたいと思うのですが、もし差しつかえなければ長官からお答えをいただきたいと思います。
  113. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答え申し上げます。  地震予知につきましては、現在、第二次の五カ年計画に基づきまして、それぞれの研究機関、たとえば国土地理院あるいは気象庁、地質調査所、海上保安庁、科学技術庁の防災センター、こういったそれぞれの機関でやっておるわけでございます。たとえば地殻変動は、国土地理院が測地をする段階において把握する事項でございます。気象庁は大・中・小地震の観測、あるいは大学等におきましては微小地震の観測、それぞれのパートでこれをやっておるわけでございます。  これにつきまして、先般の六月二十九日の文部省の測地学審議会におきまして、さらにこれを強化する。現在第二次五カ年計画におきましては、大体五カ年で四十億程度の金額でございましたのを、百五十億に拡張いたしまして、さらに地震予知のそれぞれの分野においてそれを拡充していくという段階でございます。  その地震予知の体制がそれぞれのパートに分かれておるわけでございますけれども、それを集約するものといたしまして地震予知連絡会というのが持たれておりまして、これには地震の優秀な頭脳の方々、それから関係省庁の、ただいま申しましたような各機関が入ってやっておるわけでございますが、これをさらに拡充強化するという意味におきまして、そういった地震予知連絡会、さらにその各省連絡会のようなかっこうで、現在科学技術庁と文部省が中心になりまして各省連絡会、局長クラスの連絡会でございますけれども、こういったものを構成いたしまして、そして地震予知の推進、さらにこれを進めていく、こういった検討がいま科学技術庁、文部省中心に、それから関係省庁中心になされておるわけでございます。
  114. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 私は、この災害対策については、そういう各省の機能を生かすということはあり得るでしょうし、また必要だと思うのですけれども、少なくとも地震問題についてはやはり一カ所に機能を統一して、予知の問題を含めて、地震のいわゆる防災の点まで拡大をした統一機能というものが今日必要ではないか、こういう感じがしております。  そこで、たとえば予算を一つ見ましても、予算の額そのものは非常に少ないのでありますが、昭和四十八年度の地震予算を見ますとわずか七億六千万、四十九年度の予算要求の中で初めて二十一億の予算を要求されておる。これも、大蔵省でどういうことになるかまだわからない。  私は、要求が非常に低いと思うのです。少な過ぎると思うのです。それで、私流に言えば、今日、防衛予算の中でもファントム一機が二十一億も二十三億もするといわれている中で、飛行機一機分にも当たらぬような予算で、一体ほんとうに地震というものが完全に予知できて、しかも対策まで含めてやれるのか、この辺非常に私は心配であります。もちろん七億というのは予知関係のみの予算のようでありますけれども、こういう一つの予算の少な過ぎる点についても非常に大きな問題がありますと同時に、しかも各省庁が地震予算を持っておりますけれども、文部省がことしの要求でわずか七億、気象庁が六億三千万、建設省が六億一千万、あとは科学技術庁にしても海上保安庁にしても千万台の少ない予算で地震の予知をやろうというのでありますから、まことに予算の上から見るとお寒い限りであります。こんなことで、長官がおっしゃっているように、これから地震予知の問題については真剣に取り組む、あるいはまた中央防災会議が申し合わせておりますような、こういう実用化に向けてほんとうに進んでいくことができるかどうかという点について、私ははなはだ心細く思っているわけであります。  予算の組み方について、どういうお考えのもとにこういう少ない予算になっているのか、これをひとつ伺っておきたいと思います。
  115. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 力強い御指摘、ほんとうにありがとうございます。  政府といたしましては、先ほど金丸委員の御質疑にもお答え申し上げましたごとく、四十九年度を初年度とするところの五カ年計画を立てまして、そうして地震に関する研究、観測、予知対策等を積極的に打ち立ててまいりたいという考えをもちまして、初年度予算二十一億円、総額百五十億円の予算をもって実施する考えでございますので、いま御心配いただいておる点も十分理解いたしており、ごもっともでもございますが、政府といたしましては、いま申しましたような具体的な点を取り上げながら、積極的にこれに対処する決意であることを御了解いただきたいと思います。
  116. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そこで、この中央防災会議の申し合わせの中で、いわゆる文部省測地学審議会の建議に沿って各省間で検討を進めて、最終的には科学技術庁と文部省が協力をしてこれを取りまとめる、こういっているわけでありますけれども、そういう仕組みであるといってしまえばそれまででありますけれども、本来、所管するところの場所といいますか、あり方が私は間違っているんじゃないかという気がいたします。  これはきわめて初歩的な質問でありますけれども、先般も私、副長官の小宮山さんに、一体気象庁というのは何のために運輸省に置いているんですか。どうも名前からいうとわれわれにぴたっとこない感じなんだが、これは歴史的な過程があるというお話ですけれども、気象庁というのは、もうこれくらい地震国日本であり、しかも——後ほど、私はまた一般気象で触れますけれども、あすの天気予報というのが非常に日本の生産をあげていく、特に第一次産業部門において果たす役割りというのは非常に強いのですが、もっと私は気象庁そのものを昇格させて、ここでもう一括して地震まで含めてやれる、しかも一たん災害が起こったときにはそこから指令が一斉に飛んでいって、直ちに防災対策に入れる、災害対策に入れる、こういったような機能をこの際充実する必要があるというふうに実は考えて、先般御質問申し上げましたときに、小宮山副長官と議論をしたわけであります。副長官は、あなたは歴史的な経過はようわからぬからそうおっしゃるけれども、これはなかなかむずかしい問題で、そう簡単にはまいりませんという意味答弁をいただいたわけなんですが、この際、そういう過去の経緯だとかセクトだとかにこだわるのではなく、これほど国民がいま強い関心を持ち神経質になっている地震を含めて、きちっとした行政の体制というものを組むという、そのことは私は必要だと思っているのです。むしろ私は気象庁が全責任を負う、そのためには運輸省の中の気象庁だなんということでなくて、気象庁は独立した機関として、徹底的にひとつ予算を突っ込んでこの問題に取り組むというお考えが必要だと思っているのですが、これは私の一つの提言でありますが、長官はどういう御見解をお持ちでしょうか。
  117. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 いま御指摘になりました、御意見を交えての御質疑でございます。私はほんとに傾聴いたしたわけでございますが、全く先生のおっしゃる議論も、またその目標も、正しいというと失礼でございますが、当然だと考えております。そうした点については、行政上どうこれを改革していくべきか、どういうような姿で機構の統一をはかるか、そうした点はやはり検討するに値ある重要な課題であると思いますので、私といたしましてはそうした見識のもとにおいて取り組んでまいりたい、こう考えております。
  118. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 ひとつ具体的にお聞きいたします。これは防災会議にお聞きしたほうがいいのか、どこにお尋ねをしていいのかわかりませんが、地震の関係についてのいわゆる全国指令、あるいはまた全国からの情報を得るという機能は充実しておりますか。たとえば無線装置はどういうふうになっておりますか。
  119. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 全くこの情報化時代におけるところの、こうした国家的な重要な防災、予防あるいは防火、避難、あらゆる点を解明いたすときに、この通信情報網の統一整理ということが非常に必要だ。過般三大臣が東京都内の防災訓練の視察を行ないましたときにおいても、これが地震発生後の重要な一つの機関として、また対策上も施設の上で必要であるということを強く痛感いたしました。そうした観点で、ひとつこうした災害に際しての情報網、通信網の整備、確立、これが人心を安定させ、またこれが救助あるいは防災あるいはあらゆる対策の一つの基本をなすような気持ちがつくづくいたしておりまして、私はあなたと全く感をともにいたしております。そうした点、私は私なりに防災会議に指示を与えておることだけを申し上げておきたいと思います。
  120. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そこで、建設省の建築関係課長がおいでだと思いますが、ちょっとお尋ねをいたします。  これもきわめて初歩的な質問でありますけれども、この目の前に建っております霞が関ビルは非常に耐震構造である、こういうふうにわれわれは、実はこのビルに上がったときにもいろいろと聞きました。実際常識では考えられない高層建築でありますけれども、東京の関東大震災程度の地震には耐え得る、こういうふうに実は説明を受けました。しかし、あの高いところに上がってぐらぐらやられたら、これは精神的に——ビルそのものはだいじょうぶだとしても、あの高いところでぐらぐらきたらたいへんだという気持ちがしたわけですが、専門の立場からお答えをいただきますが、この種の高層建築は、たとえば霞が関ビルはだいじょうぶだ、こういうことなんですか。そして、それはどのくらいの震度に耐え得るのですか。そして、あの一番高いところにいると横ゆれですね、どれくらいの範囲でゆれるのですか。
  121. 佐藤文生

    佐藤説明員 お答えいたします。  ただいま高層建築物に対する安全性についてお尋ねでございますが、まず、特に超高層の建築物の耐震設計につきましては、電子計算機等によりまして動的な解析をいたしまして、これに基づきまして設計をいたしてあります。設計技術におきましては、現益世界でも最高水準にあるような設計をいたしております。また工事の施行もいたしております。  特に、高層建築物につきましては、建設大臣が、建築基準法の三十八条の規定に基づきまして一件一件審査をいたしております。この審査をいたしましたあと認定をいたしますが、それに先立ちまして、わが国の耐震構造の権威者から成っております建築技術審査委員会意見を徴しまして、耐震性は十分に確保されているというように考えております。  ただいま霞が関ビルが地震のときにどの程度ゆれるかという点でございますが、これは私、ちょっと手元にデータを持っておりませんから正確にお答えできかねますが、高い建物は、現在世界の地震波をとっておりまして、それの例を電子計算機に入れまして、世界で起こりました大きな地震に対して耐え得るように設計がなされております。
  122. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そこで、一般住宅に対する耐震構造の建築規則ですか、それとも地震の常襲地帯における建築物に対する指導というものは、いま的確になされているのでしょうか。
  123. 佐藤文生

    佐藤説明員 建築物の耐震対策につきましては、すべての建築物について建築基準法におきまして所要の規定を設けてございます。この中には、原則的な問題といたしましては、建築物の構造設計の原則、これは構造耐力上主要な部分をつり合いよく配置いたしまして、構造上特に必要な剛性、靭性——これは地震に対する粘り強さというようなことでございますが、こういったものによって設計をする。それからそれぞれの構造部材の許容応力度というものを設けてございます。それから、建築物に対しまして地震のときに外力が働きます。その外力の計算方法、そのほか基礎の安全性、こういったものを基本的に設けてございます。さらに、木造、鉄筋コンクリート造と、構造種別ごとに構造の基準を規定してございまして、建築物が地震力等に対しまして安全なように措置するようになっております。  おっしゃいますように、住宅等についても、たとえば木造でございましたら木造の構造基準によって当然設計がなされる、こういうことでございます。  それから地域的な問題でございますが、特に軟弱な地盤等の区域につきましては、構造計算上、外力の計算等につきまして割り増しをして計算をするように、基準法で地域を指定することができるようになっております。
  124. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 建築指導課長でありますから、その設計上の問題について責任を持っておられるという立場だろうと思うのですけれども、こういう建築をする場合において、火災だとか地震だとかというものが起こったときに、脱出といいますか、避難できるような状態というものもあわせて、構造について一つの指導を行なうべきだというふうに考えております。確かに鉄筋も入り、地震には耐え得るけれども、しかし、中に入っている人間が避難をする、物を持ち出す。狭い入り口なんかですと、こういうことで非常に災害が大きくなってまいります。そういう避難をするところの出入り口についても、建築をする場合に指導が行なわれているのですか。
  125. 佐藤文生

    佐藤説明員 おっしゃいますように、建築物の火災時、地震時におきます避難の問題は、非常に重要な問題でございます。建築物のほうからいたしますと、火災、地震に対しましてより安全であるように建築をされるようにすべきだと考えております。避難の問題につきましても、階段の数、階段の位置等につきまして、避難のときにすみやかにしかも安全に避難できるような配置をするように指導してまいっておるわけでございます。
  126. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 この避難については、これは消防庁に関係がありますけれども、消防庁ばかりではなくて、関係の、たとえば防災会議なんかにも関係があると思います。お答えはどちらからでもけっこうでありますが、最近、新聞、テレビに、東京都内においてかなりの人たちが、地震が起こったときに備えて自己防災対策をやっているという話が出ました。自分の家の庭に避難壕を設けて、その中にかなり長期間の食糧を貯蔵するとか、あるいは災害時における必要最小限の器具を備えるとか、自己防衛策をやっておられるのです。  私は先般参考人の方にもお尋ねをしましたが、明確にお答えをいただかなかったのですけれども、はたして自分流にやったこの避難壕が安全なのかどうか。その辺まで指導されているかどうか。その人の判断によって、この程度ならだいじょうぶだというふうな避難壕の設置であるとすれば、私はこれは非常に心配だと思うのです。かえって避難壕に入ったほうが事故が大きくなったなんという結果になったら、これはたいへんですが、この避難壕に対する一つの基準といいますか、たとえばどれくらいの震度に対してはこれくらいの避難壕が必要であるとか、こういったような指導というものは一体なされているのでしょうか。
  127. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 消防庁のほうからお答えがあるとは思いますけれども、都民、国民の人命に関する重要な問題でもあり、これにつきましては私は私なりの考えを持っておるのでございます。  島田先生承知のとおりに、過去の不幸な関東大震災等を振り返り、福井、新潟その他の地震の不幸を考えるときに、いわゆる圧死といいますか、押しつぶされて死ぬという率はもうりょうりょうたるものである。二%前後。関東大震災においても、下敷きになって死んだというのは、二、三千名であったと私は記憶いたしておるのであります。そのあとは全部火から不幸が起きてくるということは厳粛な事実でございますので、社会情勢が変転いたして変わっておりますけれども、そうした点を優先しながら考えるのには、やはり個人個人の自覚が必要である。それとともに、家庭ぐるみで、なごやかな立場で、落ちついた立場でこの急変に処するという心の持ち方を平素から養っておく。私が家族会議というものを提唱しているのはここでございます。夕食などが終わりましたあとに、みながなごやかに、にいちゃんはこの貴重品袋を持っていくとか、だれだれはガス、電気のもとを消すとか、だれだれはいつも準備しているパンやお米などを持っていくとかというような家族ぐるみの、一つの家族防災という姿を私は推進してまいりたい、これが一つでございます。  もう一つ、非常に大串な点は、こうした車の時代になってきておるときの道路対策等を考えるとともに、各人各人が深く心に言い聞かせておいていただきたいことは、自分の車で自分の家族だけが助かればいいというような狭義の避難訓練だけは絶対避けるべきである。車一台で自分の財産が保たれることによって一万の家族が失われ、一万の財産が失われるというきびしさを考えたときに、いわゆる道路の上におけるところのマイカー等もそうした訓練をなすべきである。戦争中に行なわれたような、ああした上から押えつけられたような避難防火訓練ではなくして、国民の中からわき上がった、落ちついた姿勢において、事に動じないというような姿でこうした不幸な災難に当たっていく。平素防災会議その他を通じ、市町村あるいは県、公共体を通じてそうしたことを指導してまいりたいというのが私の基本的な考えでございます。  そういうような避難壕を庭に掘るということも一つの方法かもわかりませんが、それよりか、私が金丸先生らと一緒にやったあの建設相の時代に私が提案いたしましたのは、やはり防火避難地点を多くつくるということ、そしてそれに通ずるところの道路整備をはかるということ、そして都市河川整備を行なって水の問題も考えながら、防火線の問題も考えながら一つの避難道路をつくっていく。この間視察をいたしましたあの一帯の中で江東の白髪が気がかりでございますが、幸い東京都の美濃部知事はじめそれらの関係者も十分配慮していただいて、約二十万の都民が四カ所ほどに集まって、そしてそこに防火壁をつくり、そして水防のほうも設備をいたしまして、一大拠点が昭和の五十一年にでき上がるというような状態、心強く思ったのですが、私はこれだけで決して満足はいたしません。  新聞にも発表いたしましたように、ひとつ閣議にもさらに了承いただきまして、筑波学園に移転する政府機関三十八機関、この三十八機関のあと地の利用というものはけちな考えを持ってはいけない。いわゆる緑地公園、避難防火拠点にして、そして東京都の各地にそうした国民の命を守る拠点をつくり上げていく、こういうような体制で私は進めてまいりたい、こう考えておりますので、その点御理解賜らんことをお願い申し上げておきたいと思います。
  128. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 はからずも坪川バイブルを御披露いただきまして、私は長官のおっしゃる点については全くその通りで、決してそのことを反論するつもりもございませんし、また全く同感であります。ただ、その精神的なものだけ、——この間も町田参考人から、地震が起こったときの心理状態というものを心理学の立場からお聞きをいたしまして、私どもは非常に共鳴すると同時に勉強にもなりましたし、そのことを集約していま長官はおっしゃっているわけでありますから、これは非常に基本になる大事な点であるということも、考え方は一つも変わっておりません。ただ、それだけで、地震が起こったときの災害を最小限に押えることができるかとなりますと、これはまた話が別でありますので、その議論はまた別な機会にやりたいと思います。  きょうは時間がありませんので、消防庁に一つだけお尋ねをしますが、消火器の問題でありますけれども、これは全国的に普及をして、家庭に至るまで設置されているようであります。私ども農家にも、これが二台、三台と設置されております。  そこで、きょうは時間がないので、もう少しこまかに消火器問題をお聞きしようと思ったのでありますけれども、それが許されませんが、最近私どもの近くで起こりました火事、これは火災の中で消火器が機能していないという事実に触れて、私もがく然としているのであります。火事が起こったときに消火器が一番早く使われなきゃならないはずなのに、実際問題、家財道具と一緒になって焼けあとから消火器が出てきている。使われた形跡がない。これはどこかに欠点があるのか。いま長官が言われた心理的な、精神的な問題なのか、その辺は究明しなくちゃいけませんけれども、現実に私どもも、この火災の現場で笑い話みたいな話になってしまったのですけれども、実際火事が起こった、ところが一番先に消火器が頭に来なかった、こう言っているのです。それでまた一人、女の人でありますけれども、消火器に気がついた。消火器を持ち出す途中で壁かなんかに、あわてているものだからぶつかったら、頭がぽろっととれちゃって、これが一つも役立たなかった。これに気がついた人というのは、極端に言えば、まず百人に何人もいないんじゃないか。この消火器が実際にはそのように機能しないということは、あらためて考え直す必要があるという気がするんです。  それで、噴射式のものがいいのか、たまご式になっていて、火災が起こったら、火もとに向けてばっと投げれば直ちに消火器としての役割りを果たすという方法がいいのか、これは技術屋の立場で御検討にならなきゃならぬことですが、私は、長いこと、この消火器という問題については一つの疑問を持ってきているんです。しかも、これはかなり高いものであります。一個二万円も、高いのは五万円もするんですが、これがテレビやたんすと一緒になって焼けておったんじゃ、一体この消火器というものは何のためにあるのかということになるわけですね。この点が私はひとつ御検討いただく必要があると、こう思っているんですが、消防庁はどうでしょうか。
  129. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 ただいま先生指摘のとおり、私どもも、いろいろな火災に消火器が使用されてないケースを散見するわけでございますが、最近の火災は、煙対策と申しましょうか、人命の問題が非常に大きく一般国民に行き渡っておりまして、まずどうやって逃げようかという反作用として、大事な初期消火に取り組むということに時期を失するケースが多いのでございます。しかし、震災対策その他火災現象全般を考えまして、初期消火というものは非常に重要な価値のある問題でございます。したがいまして、消防といたしましては、現地において家庭あるいは企業に対して初期消火の訓練、消火器の使用方法等の徹底をはかり、消火及び避難という両面の訓練を実施させております。  いま御指摘のように、噴射式あるいは手投げ式のどちらのほうがよろしいかといったような点につきましては、火災の態様によりましていろいろ差異もございましょうが、消火器は御存じのように一定の基準に適合するものが検定されております。大体家庭におきましては、私どものほうの実験では、火災が起きましてから三分ぐらいの間に壁を伝って天井に上がります。天井でも、約五平米から七平米ぐらいの程度の火災に対しては、家庭の三・五キログラム粉末の入っておる消火器で消火可能の状況でございますので、できるだけ消火器の利用については今後も徹底をはかりつつ万全を期していきたいと思っております。
  130. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 わかりましたが、私は、消火器がいまおっしゃっているような機能してないということのまず前に、現実に、一たん火災の起こったときに消火器が直ちに使われる体制にないというのには、やはりいろいろな問題があるんだろうから御検討いただきたい、こういうことで申し上げたのでありますが、この議論はまたひとつ別な機会に譲らしていただきます。  時間が参りましたので、一般気象についてお尋ねをしたかったのでありますが、せっかくおいでいただきました気象庁の関係の皆さんには御迷惑をおかけいたしましたことをおわびいたします。  きょうは、長官みずから地震の問題についてお答えをいただきまして、非常に感謝をしておりますけれども、私も地震の常襲地帯といわれるところに住んでおりまして、お茶飲み話になりますと必ず出てくるのは地震であります。少しゆれても地震がどうだった、また錯覚ででもからだがゆれたら、あ、地震じゃないかというくらい神経質になっております。そうした国民の不安というのは、私は、これはひとり常襲地域ばかりじゃなくて、全国的に非常に大きな不安と危険を感じているのではないか、こういうふうに考えておりますだけに、いまだに地震予知という問題が、私どもにいま一つ十分理解されるような行政上の進歩を見ていないということは、あるいは学術的には相当進んでいるんでしょうけれども、それを機能化していく、また国民の不安を取り除いていくためには、まだ研究やそのほかの問題の解決があるんだというふうに言われますと、一体いつになったらこの地震の問題の不安というものが解消されるんだろうかということは、ひとしく国民のみんなが考えていることだと思うのです。特に東京都にありましては深刻な問題でありますから、真剣に取り組むという口先だけではなくて、きょう私の申し上げましたいろいろな点は、きわめて初歩的なしろうとくさい質問でありますけれども、これは素朴な国民の声だと私は思うのです。ひとつどうかそういう点、一笑に付することのないように、とにかくあす地震が起こらないという保証はない、こういう状態にある日本でありますから、ひとつほんとうに腹を据えて、地震予知をはじめ防災の問題まで、真剣に行政府としてはお取り組みをいただきたい、こういう希望を一つ申し添えまして、十分な議論をすることができませんでしたけれども、またの機会に譲らしていただいて、一まず私の質問を終わらしていただきます。
  131. 大原亨

    大原委員長 金丸徳重君。
  132. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 先ほど私は、都合でお尋ねを中途みたいにいたしたのでありますが、私のお伺いいたしたいところが、真意が間違って受け取られるといけませんので繰り返すのでありますが、せんだってからの参考人の意見はお聞き取りのとおりであります。それから、これまで当委員会その他において発表されました意見も、もちろん十分御検討なさっておられるところであります。私の受け取り方と事務当局の受け取り方とが違うと、これからのいろいろお尋ねいたすところに食い違いが出てきてしょうがないものですから、根本を合わしておかなければいけないと思います。  どうも地震、特に関東地帯においてはもう地震は免れ得ないのだという大前提、それからここ二、三年のところはまずそうあれもないのではないか、たいへんデリケートでありますけれども。しかし、そのあとは十分警戒してかからなければならないというのが、大体学界を代表してというような意味における鈴木先生の御意見であります。それと参考人その他の学者の考え方を書物その他によっても見たのでありますが、大体そういうようなことであります。事は地震でありますから、地獄のさたであるだけに、非常に表現がむずかしいのでありますが、真意はそういうところのように思われるのでありますが、これでよろしいのでありましょうかどうか、こういうことであります。
  133. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  まずはっきりしておかなければならないのは、東京がある程度以上の震度でゆれる地震、こう定義さしていただきますと、これは必ずしも五十年前のあの関東地震とは限りません。あれほど大きくなくても、近くで起こりますると、東京はやはり震度五あるいはそれ以上でゆれる可能性がございます。  あのとき鈴木参考人が意見を開陳なさったのは、関東地震のような大きなものについては、われわれはある程度の地震活動と地殻変動から監視をしているから、それから見ると急に差し迫っているとは思われない、こう言われたわけでありますが、もう一つ、あれほど大きくなくても、東京の近くで起こって東京自体をゆするという地震については、われわれは非常に少しの材料しかありません。これは鈴木参考人もおっしゃいましたように、東京では、ごらんのように地殻変動の観測も地震の観測も、非常に人工的な振動その他がございまして、非常にむずかしゅうございます。目下、何とか東京近くの地震もとらえるべく、深い井戸を掘って地震を観測するとか、あるいはビルの屋上越しにひずみをはかるとかいうことを計画しておりますが、まだしかとしたデータがございません。したがいまして、東京近くで、小柄ではあるけれども東京を直撃するという地震は、いつ起こってもふしぎではないと思います。
  134. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そういたしますと、三、三年の猶予があるなどと考えますことは少し甘きに過ぎるのではないか、こうも受け取らなければならないのであります。私もそうでもあろうかと思いながら、しかしながら、現段階の準備状況をもってしてはそういうような表現をせざるを得ないのかな、こんなにも思ったのです。準備は早いほうがいい、これはもう常識的だと思います。しかし、それは口だけの準備ではない。現実に準備を進めなければならないのが政治の責任だと思います。そこで、今日まで、河角さんの六十九年説によって拍車をかけられて、予知連絡会議が持たれまして、もうすでに八年、九年になるのであります。自来ずいぶん予知関係の人も申したように思いまするし、それから会議も持たれたようであります。にもかかわりませず、なかなか思い切った対策が練られなかったのは、連絡会議が持たれたとはいいながら、その活動に十分ならざるものがあったのではないか。逆に言いますと、十分なる活動ができないような、人員、予算、機構、そういうものにおける不十分さがあったのではないかと思うのでありますが、この点はいかがでありますか。参考人も、その点を言っておる人もちょいちょい見えました。現段階においてはどうお考えでありますか。
  135. 末広重二

    ○末広説明員 現場の責任者としては次元の高い御質問で、はたしてお答えすべきかどうか多少惑うのでございますが、つまり地震のからくりと申しますか、地球の中でどういうことが起こっておるかということは、最近の五年くらいの間に非常に進歩いたしました。私どもはその進歩を踏まえまして、第三次予知計画としていままで以上に、私どもにとりましては飛躍的な予算とそれに見合う人員をお願いしているわけでございまして、やはりその最近の進歩があったからこそ、これから第三次の五カ年計画があれだけ方向がはっきりし、かつ、こういうことをすればいいのだという目標が立ったわけでありますから、そういう点で特にいままでおくれていたとは思いません。むしろ過去の進歩、これは地震学だけに限らず、広く地球物理学一般でございますが、それを踏まえて、むしろこれから将来ぜひ第三次計画を実現させていけば、そう遠くない将来に地震予知のめどが立つというふうに考えております。  ただ、タイムスケジュールを立てるというのが非常にむずかしゅうございます。これは鈴木参考人もおっしゃいましたように、大まかな地震の仕組みはわかっておりますが、個々の地震の発生を支配する物理学というものがまだよくわかっておりませんために、それも解明しながら予知技術を進めていかざるを得ないわけでありまして、たとえここに一時に巨額の投資をいたしましても、やはりわれわれの予知技術は、一定の作業仮説を立てまして、自然に起こります地震一つ一つについて正しいかどうかを検証してまいらなければならないという、避けられない一種の条件がございます。そのためにタイムスケジュールが立てにくい。また、たとえ一時に巨額の投資をしても、それが必ずしも投資額に比例した効果があがるとは考えられない。ある程度の時間が必要であるというふうに鈴木参考人は申されたのであり、私どももまさにそう思っております。ただ、日本並びに世界で何十という国が、地震災害をこれから千年先、万年先まで繰り返し続けることは、先生おっしゃいましたように間違いないところでございますので、たとえ、しかとしたタイムスケジュールは立ちませんでも、われわれはこの際踏み切りたいとこう思っているわけでございます。
  136. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 長官、いまもお聞き取りのように、地震で苦労されておりまする学者、専門家の皆さんは、対象が非常にむずかしい、つかみにくいというようなことを前提としてだろうと思うのでありますが、要求する予算にいたしましてもあるいはその他のことにつきましても、非常に遠慮がちなものの言い方をいたしております。私はこれを良心的と思いまして、むしろ敬意も表したいし御同情もいたしたいのでありますが、しかし、何といいましてもむずかしいし、よくわからぬから、わかるまでは遠慮すると言っておったんじゃ困るわけで、多少のむだがあっても、ある場合にははったりがあっても、できるだけのことをしてもらいたいと国民は思います。この大事件といいますか、前にいたしておるわけですから、地震のことを心配する人といたしましては、言うならばワラをもつかみたい気持ちだと思うのです。したがって、学者の先生方、専門家の先生方の御苦労が、ある場合においてはむだになるかもしらぬけれども、しかし、さりとて、ひとつその御苦労を続けてもらいたいという念願を持っていると思うのです。いま投資しただけの効果があがるかどうかわからぬというおことば、私はこれをとうといものだと思います。思いますけれども、そうであってはならない。やることがあったらやってほしいと思います。そういう意味において、むしろこの八年間、そういう遠慮しながら良心的に行動してきたことについて、この際はもうここまできたらばひとつ腹をきめて、多少のむだがあっても金を使ってもらうんだという腹をきめてもらいたい、もらうのが、第三次計画の出発点でなければならないと思う。  長官が、ことしはひとつ思い切って百五十億を要求するのだと、こうおっしゃっておられました。その百五十億の内容は、私はつまびらかにするわけではありませんけれども、そういう政府の態度で百五十億がいいのか、五百億でも足りないのかわかりません。わかりませんけれども、そのあなた方の考え方をこの際はひとつ打ち捨てて、勇敢に政治に向かって突っ込んでもらいたい、こう思うのでありますが、これはいかがですか。これは地震課長、あなたに言っておるわけではない。私は、日本の地震学界といいますか、地震専門家の、地震のために今日まで終生ささげて勉強を続けてこられた学者の先生方全体にお願いをいたしたいところでありますが、そういう意味においていかがでございましょうか。
  137. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 金丸先生の、ほんとうに国民的重要な現実の課題としての、厳粛な本問題に対する取り組み方の基本的なお考えだと思って、深く敬意を表するものであることを申し上げておきたいと思います。  先ほども申しましたように、第三次五カ年計画を百五十億、初年度二十一億ということで一応予算の目途を立てておりますけれども、基本は何といってもこれらの権威の方々に——ことに地震学に対するところの権威というものは、昔から日本の地震学に対する世界的な評価を受けておることであります。そうした歴史を背景にいたしまして考えてみましても、国家はこれらの方々に対して十分な額を差し上げて、研究の追求をお願いすべきであることは当然だと考えておるのでございます。  もちろん、これらの、象牙の塔にこもりながら重要な問題に取り組んでおられる諸先生は、取引もなければはったりもない。まじめに黙々と自分の全能力をそのこといちずに取り組んでおられる敬虔な姿を思えば思うほど、わが国民的な重要な生命、財産に関連する問題であるだけに、政府はやはりまじめに真剣に取り組む、そうした立場からこれらの機関、これらの研究内容、先生たちに対する処遇等も、やはり大所高所に立って、けちな事務的なあるいははったり的な、行政的な考えで処すべきでないという考えで、私は防災会議担当の担当大臣として、今後、金丸先生のお説と全く同様な気持ちで取り組んで、国民の要望にこたえて、さすがは日本の地震学の権威ここにありという姿を世界にも示していきたい、こういうような気持ちでおることを御信頼願いたいと思います。
  138. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 長官のお気持ち、よくわかりました。お願いをいたすのであります。  ただ、長官、そういうように重要視しておられますので、これはあえて申し上げるのでありますけれども、いままでわりあいに地震予知関係——最近は非常に進んできたのでありますけれども、一般気象に比べまして、私はこれを地象と呼びたいのでありますが、地象関係については非常におくれておる、きわめておくれておる。いまの気象庁がこうして、当たらぬとは言いながら、天気予報について非常に信頼と期待を持たれるようになるまでには、ずいぶん長い時間がかかりました。そして相当の金もつぎ込んで、ようやく今日にまいり、いまや、台風はどの方向に、いつごろどこへ上陸する、その強度はどれくらいだということまで、一週間も前に予報できるまでに立ち至っております。その気象と地獄の中の地象とは同じに考えるわけにはいくまいと思いまするけれども、かつてわれわれの先輩が、江戸時代はおてんとうさまの顔を見て雲の流れを見る以外に判断のしかたがなかったのが、いまは科学的に十分なる方法でもってやれることになったんです。いま私どもは、なかなか地獄のさたはわからぬのだ、こういってしまってはいけないのでありまして、むしろ気象以上に地象、地震国日本としては、特にまたその日本の中でも指定地域の随一といわれる関東地区に大事な首都を持ち、四分の一もの人口を擁し、産業経済の中枢としておる日本としては、いまやその地象こそに何とかもっと精緻な正確なるものをほしいと念願するだろう、国家百年の大計はそこから始まるだろうと思うので、したがって、もっと前から観測網などについては、これからつくるということがおかしいくらいにつくっておかなければいけなかった、地点も十分用意しておかなければいけなかった。そしてそれに対する金もいき、データも集め、分析し、いつ幾日何時何分などということはないにいたしましても、こういう前兆がある場合には一カ月くらいの間にはあぶないぞというくらいのことが言えるような状態にいま持っていっておかれたら、どんなにか国民としてはしあわせであるかと私は思います。それだけに、いままでのおくれていることはやむを得ないとしても、思い切ってこの際やっていただかなければなるまい、こう思います。  長官のお気持ち、よくわかります。私はそれをとうといと思いまして、すみやかにこれを実行に移していただき、そしてその成果をあげていただくようにお願いいたしたいところであります。  そこで次に入るのでありますが、私は、連絡会議の活動が不十分ではないかという疑いを持ちます。それは私ばかりではありません。参考人の意見の中にも出てきましたからであります。  問題は、地震対策としては、いかに予知を正確にするかということと、そうはいっても、起きるかもしれない地震に対してどういうように取っ組んでいくかということであろうかと思うのです。  その予知がいまのような状況でありますし、これから取りかかりましても、なかなか五年、十年というわけにはまいらない。私にもしろうとながら想像できます。ただ、それだけに、よけいにいままでの分まで力を入れていただくのでありますが……。  同時に、事後と言ってはいけませんけれども、予知の別の対策にも大いに、いままでにも増しての力の入れ方をしていただかなければなりませんが、私は、これがいまの状況でいきますと、てんでんばらばらのような気がしてならないのであります。各省はそれぞれ一生懸命、自分の受け持ちのところについてはやっておると想像いたします。けれども、それは自分のところだけで、この建築についてはだいじょうぶだ、この川についてはだいじょうぶだ、こういうふうな行き方であります。この地域、この地帯についてはまずだいじょうぶですという総合的な対策というものが練られる段階になっておらないことを、私は心配に思うのであります。  そこで、いま防災対策本部、この機構に思い至るのであります。これが設けられて以来、あまりにもおざなりな、あまりにも弱体に過ぎるような気がしていけないのでありますが、実際ではどうなんでありましょう。  私は、中央防災会議というものは、ただ各省から寄ってくるのを集めて、そして各省に連絡してあるということであってはいけないと思うのですね。むしろ地震に関しては防災会議が中心となり、これが先行して、運輸省はこうあれ、建設省はこうあってほしい、あるいは電電公社についてはこうやってもらいたいというようなことを計画し、指令と言ってはいけませんが、中枢となるべきじゃないかと思います。それについてはもっとスタッフも増して、予算も十分とって、そして思う存分の活動が、予知対策にいたしましても、事後の対策にいたしましても、ここで練られていかなければならないと思うのでありますが、いかがでありましょう。
  139. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御承知のごとく、ほんとうにわが国民一億の地球よりも重い生命を、こうした大災難に処してどう守るか、これがほんとうに重要な国民的課題でございますので、そうした立場からやはり地震の予知対策、また防災対策、また防火、救助、救急体制の確立というような万般にわたるところの問題について、防災会議といたしましては、ことばの表現は間違っているかもわかりませんけれども、企画、総合対策の総参謀本部というような、高度な見識と細部にわたっての機構の確立、各省との連絡調整をはかるということでまいりたい、こう考えておるのです。  具体的に一つの例をあげるにいたしましても、先ほども申しましたように、都市化がこれだけ過密、スプロール化しておる現象を思うときに、高速道路一つを考えても大事な問題でございます。高速道路の上に地震が起きた場合の不幸なことを考えると、やはり高速道路からどうして避難をするか。いま消防あるいは警察等で検討いたしておるのは、一つの網でございます。その網を高速道路からおろしまして、そして人がその網に伝わっておりてくる、また網に乗って不幸な方々を救助するというような、高速道路対策から見て一つの重要な問題点が出てくる。  その次は、高層化した日本の都市化現象を思うときに、やはり高層ビルからの避難訓練あるいは防火訓練、これは消火の上、防火の上、人命救助の上から非常に重要な立場で、いわゆる高いところの問題とともに、地下あるいはビル等のシャッターがおろされてあって内部でこうした不幸で逃げまどう、また煙にまかれるというようなことに対する、一つの地下を含めた、いわゆるシャッターを緊急に直ちに大きく穴をあけてこれを救助するというような問題もあります。  こういうような建物の上から、建築の立場から、また道路の立場から、そしてもう一つやはり大事なのは、みなが水へ水へと水を求めて逃げていくということからくるいわゆる水難救助対策でございます。これにはやはりいろいろの施設を準備しておかなければならぬ。こういうような空、陸、水三体からの総合対策を立てるべきであるという観点から、いま関係各省が具体的にそれに取り組んでおるようなわけでございます。  田中総理も、この問題については都市開発の上から、また日本列島改造の上からも非常に重要視されまして、閣議においても指示を与えられ、過般の防災の日の前にもわれわれ関係者を集められて、それぞれの強い指示を、田中総理みずからが陣頭に立ってやってもおられますので、私は、細部にわたり各般にわたってそうした点を十分、大げさなことばじゃございませんけれども、総参謀本部のような、本山のような立場でひとつ厳粛にこれに処してまいりたい、こういうような気持ちであることを表明申し上げて、御理解を賜わりたい、こう考えております。
  140. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 長官の参謀本部的機構の設置といいますか、機能の発揮をというお考え、私も同感でございます。ただ、その参謀本部は、看板だけの参謀本部であってはならないと思います。ほんとうにその実力、実権を持ち、スタッフを持った参謀本部であってほしいし、その参謀総長というものはほんとうに各方面の総力を結集し得るというような人でありたいと思うのであります。来年度この百五十億の予算の中においては、そういうことをまずお考えになっておられるのでありますか。これは念のために承っておきます。
  141. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御指摘のごとく、そうした点を来年度から直ちに具現化していきたいということで、予算の計上を二十一億いたしておるようなことでございますので、その進捗状況あるいはそれらに対するところの緊急性等勘案する場合には、私は、さらに予算の増を求めながら措置してまいりたいという強い信念を持って取り組む覚悟であることをお約束申し上げたい、こう考えております。
  142. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そこで、中央の機構の充実、活動の活発化について御期待申し上げてこの問題については終わり、次に進めさしていただくのでありますが、次に、各省においてやっておられるところの地震対策についても、各省がばらばらのような観がある。ばらばらといいますか、非常に統一、統制がとれていないといいますか、高い低いがあるように思います。かりに通信が十分できておったといっても、あるところの川が非常に弱い、あるところの橋が非常に弱かったということであってもいけません。そういう意味においてはやはり均斉がとれたような形において、特にこの関東地帯においては進めていかなければならないと思う。これは御如才はあるまいと思いますけれども、一応念のために申し上げておく次第でございます。  そこで、先ほど、参謀本部をつくると同時に、民心の安定をはかるということが大切だと申されました。私もほんとうにそうだと思うのです。先ほどの長官からの御説明の中にもございました、関東大震災は押しつぶされてからの被害よりも、むしろそれから起こってくるところの火事のための被害である、あるいはあのとき起こったところのパニックのために不測の人身の傷害なども起きたということのようであります。問題は、いかにして人心を落ちつかせるかということにあろうかと思います。  要するに、私は、せんだってからの参考人の意見を聞きながら思いついたといいますか、むしろ自分に言い聞かしたことばであるのでありますが、地震をおそれるな——もうこれは、おそれたら日本に住めませんから、そういう意味において、地震をおそれるな、火事をおそれよ、あわてるなということでございます。そこで、地震が起きても火事さえ起こらなければ、問題が小さくて済むと思います。火事を起こさないためには、あわてて逃げる前にまず火事を消し、火事を押しつぶせということの訓練といいますか、教育、指導をなさることではなかろうかと思います。そこで、その避難道路も大切であります。避難場所の設置も大切でありますが、しかしそれより前に、そこに住む人がすべてまず発火点に気をつけ、その小さなものでもまず消して、火事を起こさないようにみながつとむべきだということの指導なり訓練をすべきだと思いますが、いかがでありますか。  せんだって長官がごらんになったときの訓練は、避難もずいぶん重点を置かれたようであります。私は、これからの地震対策の訓練は、まずみんなで火事を押しつぶせ、火事を起こすなということにもう最重点を置き、むしろそれに集中してしまったほうが現段階においては効果的であろうと思うのですが、これはいかがでありましょうか。
  143. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 先ほど島田委員の御質疑、その他の御質疑にもお答えいたしておるのでございますが、こうした最も基本的に考えなければならぬ問題は、何といいますか、いわゆる一つの不安、恐怖感、これを国民に持たしていかぬということでございます。為政者が考えなければならぬ問題は、国民に信頼させて、そして安心して、また恐怖感を持たずにいていただくということです。最近故意か、いろいろの心配からいろいろの報道、各雑誌あるいはその他にいろいろと不安感が助長されるような姿が、言論が見られること、これもやはり十分考えておかなければならぬと思います。そんな言論統制をやるというような考えでなくして、いわゆる国民に信頼感を持たせる、安心感を持たせる、恐怖感を除去する、これが政府のとるべき基本的な姿勢です。  二番目には、やはり起きた場合における動揺、これを絶対に避けるべきである。デマが飛んだり流言飛語が飛んだりしてたいへんな恐怖感と動揺、またそれによっての非常な大混乱が生じてくるということは、過去の関東地震が示しておる。あの不幸な思い出だけは——国民の心理的影響というものを考えてせなければならぬというのが、私は二番目の姿勢だと思います。  したがって、そうした立場から各省庁の持つ使命というものは非常に多うございます。農林省は食糧その他の万全を期してもらっておかなければならぬ。また建設省はこれに対するところの復旧と、消防、警察はこれらに要する救急用具の整備をいたしてもらっておかなければならぬということ、あるいは救急救護対策の点からいっては別に厚生省という問題があってくるというようなことでございますので、各省庁間にまたがっておる広範多岐にわたるものでございますので、先ほども申しましたように、これらを含めまして一兆数千億に相なるであろうと私は予想もいたしております。  来年度のこうした防災予算でございますが、数字はまだ想像できませんけれども、去年の実績を考えてみましても一兆円をこえておる。さっき申し上げました百五十億、二十一億というのは、これはいわゆる予知だけの予算でございますから、予知は予知として十分ひとつさっき申しました姿で取り組み、そうした総合的なる防災の対策予算というものはさらに各省庁にお願いいたしまして、いま財政当局に出しておるさなかでございますので、まとまりましたならばまた国会を通じて御説明、御報告もいたしたい、こう考えておりますので、予算上、機構上すべてをひとつ十分配慮いたしながら、ことに重要なのは通信網でございますので、これがさっき申しましたように、民心安定の上からも、あらゆる対策を迅速に行なう上においても非常に重要な役目を果たすものでございますので、これにもやはり万全を期してまいりたい、こう考えておるような次第であります。
  144. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私のちょうだいした時間も参るようでありますから結論を急ぐのでありますが、実は、地震をおそれるよりもむしろ火事のほうをおそれよという強いなにを持ちましたのは、火事をおそれよということについてはあまり金も要らぬのではないか。といいますのは、たとえばいやな例なんですけれども、東京にいま大地震が起きた。ぐらぐらと来た。みんな、その瞬間にはものの陰に隠れてくわばらをやっておるが、それがやがて済んだら、直ちに火元に飛んでいってこれを消す。ですから、金も何も要らない。  ただ一つ、私は特にこう思います。工場の人でも官庁の人でもその他の団体の人でも、家庭の人はもちろんであります。逃げる前に火を消す。同時に役所の人は、農林省の人はまず食糧確保に狂奔しなければなりますまい。しかし、その食糧対策に取りかかる前に、もし付近に火事が起きたらば、消防署と一緒になって行ってまずその地域の火事を消すということの心がまえが、私はこの震災においては特に必要ではないかと思うのであります。特に東京都内などにおきましては、地震が来た場合におきましては、自動車その他の関係からいって、消防署の活動というものはきわめて限定されると思います。むしろ一人一人のからだをもって火を押えつける、人海戦術で押えつけるぐらいの覚悟でなければいけない。その努力があるというと、私は、東京の何百カ所、何千カ所から一時に火事が起きても消し得ると思います。これが一つ。  もう一つには、しかし、そうは言っても、あのおそるべき火薬なんかはどうなる、からだをもって押えるわけにいかないだろうということになるのでありましょう。一時にガソリンスタンドが爆発したらどうであろうというようなことにもなりましょうから、そういうものをできるだけ危険物として都内から離すとか——都内と言ってはいけません。警戒区域から離すということが必要であります。どうしても置かなければいけないところは、先ほども島田質問の中にも出てまいりました、消防薬なり器具なりを十分備えつけておくことなども非常に大切ではないかと思うのであります。そして、多少金がかかるといいますれば、自動車で車内のガソリンが爆発するときには、同時に消防薬も一緒に爆発して直ちに消してしまうというような装置なり薬などを発見し、つくり出してもらうということも、私はこの際可能のようにも思います。そういう金というものは、地震のときに何万台の自動車がばんばんやられることを考えれば、何でもないことになるのではないかと思うのであります。  そういうような、とにかく地震をおそれず火事を押えようということに指導方針を集中してかかることが、たいへん大事のように思うのであります。消防庁から来てもらっておるのでありますが、消防庁のお考えはどんなでございましょうか。依然として、消防のことはおれたちにまかせろ、みんなやじ馬にならぬでどこかへ早く逃げてくれという考え方でありましょうか。そうでありますと私は非常に残念に思うものですから、承っておきたいと思う。
  145. 藤江弘一

    ○藤江説明員 ただいまお聞きしておりまして、全く先生のおっしゃるとおりでございます。私どものほうでも、一般住民に対する啓発手段といたしまして、地震の心得というようなものを都道府県を通じて配布するというようなことでございますが、その中で、たとえば平常時における火災に対する注意すべき事項とか、その中では、日ごろから火災の危険があるようなものを火気に近づけないとか、できれば消火器等を備えておくというふうなこと。それから、一たん震災時におきましては、これは先ほども指摘がございましたけれども、あわてないでまず消火してもらう、あるいは火元に気をつけてもらうというふうなことを、あらゆる機会を通じまして啓発いたしておるつもりでございます。
  146. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 時間が来ましたものですから、残念ながら終わります。
  147. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、関連でございますから、できるだけ短時間で終わりますが、いま質疑応答の中で坪川総務長官のたいへん御熱心な積極的な発言を承りまして、非常に気を強くいたしております。しかしながら、いままで私たち、参考人の意見を聞きながらなるほどなと思うことが幾つかあります。それを現実の機構の中で当てはめて考えてみたい。それはやはり実施をする防災——都市防災という問題をとらえましても、だれがどういう機構の中で、どういう指揮系統の中でその問題を処理をしていくのかということなんです。  そこで私は、いま災害対策の基本法なりあるいは防災基本計画なりあるいはまた、そのあとにつくられました大都市震災対策推進要綱なり、こういうようなものを見ながら、そしてまた四十八年度の予算を振り返りながら、いろいろ考えてみたのです。総理府には、杉岡参事官を中心にして中央防災会議事務局が構成されていると思うのですが、この杉岡参事官にいたしましても、専任の参事官ではございませんね。兼務です。それで私は、長官が中心的な存在として防災対策を進めていかれるのに、杉岡参事官等少ない人数で非常に活躍をいただいていることには敬意を表するのですが、どうもスタッフの配置が足らないのではないだろうか。もう決定的な災害が生まれる可能性というものが目の前に迫っているんだ、こういう認識に立ちますときに、一体いま総理府におるスタッフで——総務長官はいつまで御在任かわからないが、とにかくあなたが扇のかなめの役割りを果たしているときに、はたしてこれで十分であるのか、このことを私は一番懸念をするわけです。  それからその次に、高山先生お話を聞いておりましたら、総合的な施策が必要なんだということを力説されておりました。というのは、機能も人員も貧弱だけれども、各省ごとに縦割り組織ですべての仕事がやられているじゃないか。だからそれを総合して、戦略的な配置の中からどういうふうにやっていくんだというものがないではないか。だから、いまの各省ごとにやっている事業計画というものと防災計画というものとをやはり一致させるように合わせていくような方法でやるべきではないかということが言われているわけです。その具体的な例としては、建設省の都市計画には国鉄や電電公社や消防のほうは入っていないじゃないか。だから、そういうふうに——なるほど私は、通信網の充実ということを盛んに言われるから、予算配分を見てみましたら、確かにこの防災計画の実施の中で通信網の確保のためには三百九十九億八千六百万円、四十八年度に実施をするのだということで予算が取れていますね。だから、なるほど重点だということはよくわかります。ところが、そういうような通信網を確保するということは、これはきわめて必要なことだけれども、これと都市計画関係は一体どうするのかという問題等がつながりがないのではないか。だから、これらの問題はやはり総合的な施策が必要だと言われる学者の意見というものと、それから実施の中において、いま申し上げましたように予算配分なりあるいはスタッフの問題、これをそろえておかなければどうにもならぬということ。  それから、都市災害の防災基本計画なりあるいは都市の震災対策要綱を見てみましても、やはり大災害が発生をしてからどういうふうにするのだということが中心であります。だから、むしろこの際、防災基本計画のところで、都市の防災構造化対策というのをごらんいただきたいと思います。長官お手元にないと思いますが、これはわずかに六行しか書いてありません。それだけ都市の防災構造化対策というのはおくれている。  そういうことを考えますと、なるほど、この大都市震災対策推進要綱を見てみましても、どうも事後的な対策、応急的な対策しかない、そういうふうにしか受け取れないわけでございますが、もっと総務長官の構想そのものを生かしていくためにはどうなければならないのかという具体的な詰めを中央防災会議で私はやるべきだ、それがなければ、これは命令系統も動きませんよ。長官、いかがでございますか。
  148. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 先ほどからいろいろの立場で御論議をいただいておる、本問題に対するところの本部の総合企画調整、また効率的によりよく総合的な施策に万全を期する立場からの機構上の御憂慮、また御質疑、十分傾聴いたしておるわけでございます。  御承知のとおりに、いまは総理府の中に災害対策本部を設け、また防災会議を所掌いたしておりますが、国会において御審議を賜わりまして議決を得た場合における国土総合開発庁が設置されるということになった場合に、いわゆる総理府の外局としての開発庁でもございますので、その開発庁の官房長のもとに審議官を置きまして、そうして災害対策の担当参事官等も備えまして、それぞれの担当官を置きまして、そうした問題に総合的な国土開発の一環からもこうした体制を整えるということにもなっておるようなわけでございますが、これはいずれ御審議を願って議決を得なければならない問題でございますが、そうした一つの構想のあることも御理解願いますとともに、いま先生がおっしゃったこうした基本的な問題は非常に重要なことでございますので、御意見を十分そんたくいたしながら、これらに対する体制をさらに整えてまいりたい、こう村山先生の大事な御質疑、御意見にお答え申し上げたいと思う次第であります。
  149. 村山喜一

    村山(喜)委員 経済社会基本計画の中を見てみましても、この防災対策の推進という条項を調べてみたのですが、防災基本計画の第二節のところにありますように、基本構想というのは、災害発生原因の制御と耐災環境の整備、これが中心なんだけれども、いまの力では完全に実施することは困難だから、応急対策災害からの復旧をやるのだ、こういうような思想で書かれている。経済社会基本計画というのも昭和五十二年までなんでございますが、これはそれよりも幾らか前進をしておりまして、「目標達成のための政策体系」の中で、「災害の危険のいちじるしい区域について、防災対策緊急事業計画の早期策定とその事業の促進をはかる。」こういうようなことが書いてございます。  そこで私は、今日の日本の経済的な力あるいはまた一億の国民がこの四つの小さな島にたいへん高度な社会をつくって、災害の危険度は都市といわず農村地帯といわず、たいへんな累積をしているわけです。特に大都市の場合には、これは決定的な災害が生まれることは間違いないといわれている。そういうふうな状況の中にあって、災害が発生した場合には逃げるにしかず、逃げるための広場をつくり道路をつくるというだけでは、いままでの災害対策はそれで済まされたわけでしょうが、これからの災害予防対策としてはそれではおくれているのではないだろうか、もうここら辺で防災基本計画もつくり直すべき段階に来ているのだと私は思うのですが、これは大臣答弁でなければ、事務局の答弁ではできないことでございますので、坪川さんが総務長官をやっていただいておる間に、こういう基本的な問題についてメスを入れていただいて前向きの対策をとらなければ、いまのままでは各省ばらばら、しかもどこに連絡があるのかわからないというような、地方庁と東京都との連絡も十分でないようであります。  そこで、東京都がつくっている防災計画というのは、国の機関などの権限を無視するわけにいきませんから、それは別個につくる、つくらざるを得ない。公社関係もそうでございます。そういうような計画では、東京都民は安心して生活ができないわけです。そういうような状態考えてまいりますと、やはり国の機関と地方の自治団体との連絡調整あるいは各種公社、公団、そういうようなものとの調整をどこでやるのかという一つの戦略的な配置を考えなければならないであろうということを思うわけでございます。  そこで、たとえば推進の予算のつきぐあい等を見てみましても、どこに重点があるのかわからないような予算のつき方が出ております。というのは、地震予知は来年はよくやられるそうでございますが、四十八年度の予算関係では前年度よりもかえって減っておる。都市災害の江東地区の場合でも、これまた予算が減っておることは、大臣御承知のとおりでございます。  そういうような問題を考えてまいりますと、やはりもうここら辺でもう少し将来の展望を——そういう、災害だ、さあ逃げろ、逃げる広場をつくる、道路をつくるぞということだけではもう解決がつかない。しかも十五万食分しか緊急食糧は用意してないでしょう。それで足りるはずはありませんよ。だから、災害が起こるということを予測をして、絶えず充実をはかって、それだけの予算とスタッフを用意して、いざという場合の指揮命令系統を明確にしておかなければこれはたいへんなことになりますので、大臣、そういう総合的な施策を基本法の実施要綱から何かもう一回再検討してみる段階を迎えたと思いますが、いかがですか。
  150. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 村山委員のほんとうに適切な御質問、私も全く同感でございます。消極的ではございませんけれども、起きてからあとの避難、逃げる、こうした面を重点考えているのではございませんけれども、これも非常に重要でございます。しかし、起こる前の対策をやはり十分立てるべきである、全く同感でございます。これはやはり基本計画を推し進める基本的な問題を解明する大きい問題点でありますので、私といたしましては、防災会議等を通じまして、各省庁にただいまも十分連絡をいたしながら、そうした起こる前の基本計画を確然と立案処置しておくべきであるという点は十分いまも配慮いたしておりますけれども、さらにそうした立場に立って各省庁との連絡調整をはかって万遺憾なきを期したい、御忠言を十分胸に秘めて進めてまいりたい、こういう気持ちを表明して御理解賜わりたいと思います。
  151. 村山喜一

    村山(喜)委員 これで終わりますが、やはり恒久対策だけやっていくわけにもまいりません。応急対策だけでもだめですから、応急対策と恒久対策とをあわせながらやっていくということで、ぜひ地震予知対策に示される熱意を防災対策全体の一つの力になるように大臣の御努力を要請申し上げて、終わります。
  152. 大原亨

    大原委員長 次は、高橋繁君。
  153. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 現段階において予想される地震の起こり得る地域というものについては、地震予知連絡会等で、あるいは学者等がマスコミ等を通して発表をいたしております。たとえば東京の直下であるとか、あるいは遠州灘、房総、相模湾、あるいは北海道東部、秋田・山形、あるいは長野の北部であるとか新潟の西部、琵琶湖の周辺、東海地方、島根の東部、阪神地方、伊予灘とか、八地域あるいは四地域、いろいろと学説を立てて発表いたしております。  こうした地震の起こり得る地域という発表されたものについて、現段階において気象庁あるいは総理府等でどのようにお考えになっておりますか。大体そのとおりであるのか、あるいはいまは発表できない、予知連絡会の、あるいは地理院の結果を待たなければ発表できないものであるか、その辺についてのお考えなどをまずお聞きいたしたいと思います。
  154. 末広重二

    ○末広説明員 気象庁の担当しておりますのは地震活動でございまして、いま先生の御指摘になりました特定地域と申しておりますところは、過去に大地震が起こった、しかしながら最近になってまだ地震が起きていない、いわゆる地震が繰り返して起こるという考えの上に立ちまして、将来おそらく起こるであろうと目をつけているところでございます。  で、私どもは、そういった地域の地震活動がどう推移しているかということを観測から常に監視を続けておりまして、これを定期的に開かれます地震予知連絡会に常に資料を提出いたしまして、そして国土地理院のなさっていらっしゃる測地の結果と突き合わせまして、現段階でいえばまだ完全な的確な予知はできておりませんが、現段階でたとえばある種の変化が起きているとか、特に異状は認められないとかいったようなことを発表しているわけでございまして、毎度申し上げましたこの第三次地震予知計画によりまして、こういった地震観測並びに測地のデータを飛躍的に増大させまして、いままで以上に的確な情報、ひいてはそれが予知の実現へとつながるように努力している、目下その過程にあるわけでございます。
  155. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 気象庁としてはその過程にあるというお話でありますが、一応その予想される地域としては、先ほど申し上げたような地域が予想される現段階ですよ。それで判断をされるかどうかですね。
  156. 末広重二

    ○末広説明員 現段階では、確かにおっしゃるとおり、特定地域は、いま申し上げた、地震は繰り返して起こるんであるという原理に基づいて地域を定めておるわけでございます。
  157. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 まあそういうように考えるという観点に立って、総理府として防災会議あるいは国として防災計画立案の上でそうした地域を予想されてお考えになっているかどうか、その点についてお答えを願いたい。
  158. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答え申し上げます。  ただいま気象庁地震課長からお話がありましたように、現在、日本の地震予知連絡会が観測地域あるいは強化地域にしておるその地域につきましては、私ども専門家ではございませんけれども、過去に地震があって、それから最近地震がないというようないわゆる潜在的なことを見ながら観測地域あるいは強化地域等にしておるというふうに把握しておるわけでございます。したがいまして、たとえばその指定されておるところだけを特に重点的に防災対策を行なうということが妥当かどうか、まだわれわれとしてはその判断をしかねるわけでございますが、やはり現段階においてどこどこがあぶないということよりも、やはり全般的にその防災体制の整備あるいはその都市の防災化ということが必要であろうか、こう考えておるわけでございます。  したがいまして、一般的にその都市の防災化あるいは訓練あるいは広報、こういったものを消防庁あるいは警察庁等を通じまして、それを全国各地に必要な指導をしてもらっているわけでございますけれども、特に東京、名古屋あるいは大阪というような大都市において震災があった場合、これは非常に大きな問題が起こるわけでございまして、そういう見地から大都市の震災対策といたしまして、そういったところを重点的に都市の防災化あるいは訓練ということはしていただいておるわけでございまして、八地域なら八地域あるいは九地域なら九地域の訓練を特に強化するというようなことじゃなくて、むしろ全般的に都市の住民の訓練あるいは広報、そういった地震に対する対策を一般的に広げるというのが現段階であろう、こう考えておるわけであります。
  159. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 東京あるいは大阪といった大都市を中心にして一応考えて、いるんだということであります。そのほかは全般的に計画立案をなされているようでありますが、しかしながら、こういう地方へ地震が来るという予想あるいは起こり得る予想というものは、国民は大体知っているわけですね。また、その都道府県等も大体わかっておる。われわれはそれを予知することはなかなかむずかしいのでありますけれども、そうした起こり得る地域あるいは特定地域については、現段階において、国が地方の防災計画立案の中である程度具体的に位置づけしていかなければならないのではないか。どこで地震が起こるかということはなかなかむずかしいけれども、現段階における予想の個所として、いま地震課長がおっしゃったように大体その地域が予想されるとするならば、やはり国が地方防災計画樹立の中でこれを位置づけていかなければならない、このように思うわけでありますが、もう少しその辺の具体的な考えはないのですか。
  160. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 非常に重要な問題でございますので、担当責任者として申し上げておきたいと思いますが、それぞれ、いま政府が答えましたように、九つの地域に対する観測が予想されておりますけれども、やはり日本国土全体という立場から、こうした問題については平素から万全の策を周到徹底しておかなければならぬ。重点重点として、国家の行政、国家の政治の立場から、私は日本全体をそうした体制に整えるというのを最高の目標に置きたい、こう考えております点は御理解願いたい。あとはほっておけ、あとは心配ないというようなことは避けたい、こう思っております。
  161. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 根室沖の地震が起きたときに、大体予知されたことが適中されたとか、またそのことによって地域の防災計画なりあるいは地域の防災訓練等がある程度徹底したために被害を非常に食いとめることができたということを、この当委員会でも発表されたことがあります。だから、そういう意味において、私は、全国一律にそういうことをやってもなかなか徹底はしないと思うのです。  たとえば地震対策計画にきわめて消極的である。これは新聞でありますが、起こり得る予想地域の、私の県の場合でありますけれども、その調査の結果地震対策計画の作成を完了したのはわずかに六市と一町だけである。作成中が二市四町、検討中が十二市三十町村、未着手が一市十九町村にのぼっておる。作成していない市町村がかなり多いわけですね。なぜ作成できないかということは、いろいろな原因があると思うのです。市町村職員が少ないとか、あるいは風水害の自然災害が多くてそこまで手が回わらないとか、もっと大きな原因は非常に予知というものがむずかしい、その中で百年に一回くらいしか来ない地震に対する投資効果への疑問、予測もつかない地震の対策に大がかりに取り組むだけの余裕がないということで、なかなかこれは消極的であって積極的にいかないと思う。  黙っておれば、そういう全国一律の中でなかなか進まない。その中でも予想される地域については、国が特別なそうした計画の中に、注意といいますか、指導といいますか、そういうものがあってしかるべきじゃないかと思うのでありますが、今後そうした計画の中でお考えになっていただきたいと思うのです。たとえば、これは建設省関係でありますが、海岸の保全の問題にしても防潮堤の問題にしても、起こり得る予想の個所については全部同じなんですね。せめて起こり得る予想地域については耐震対策として特別な配慮があってしかるべきであろうと私は思うのです。中央防災会議等でどうかひとつそういう点も考慮されて——地震対策、予知という問題はなかなかむずかしい、せめて最小限に被害を少なくするという意味で、そうした起こり得る予想地域に対する積極的な指導なりをお願いいたしたいと思うのですが、長官のお考えはいかがですか。
  162. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御指摘の点、御憂慮になる点、全く同感でございます。これらにつきましては、もう私から申し上げるまでもありませんが、消防庁として非常に憂慮もされ、腐心もされておるようなことを聞き及んでおります。要は金が足らぬ、金がないということに帰着するようなことを思うときに、防災対策責任担当大臣といたしましては、消防庁の立場も十分考えて、そうした予算配慮に側面的にお力添えをいたしたいというのが私の立場であることをお約束申し上げておきたい、こう思います。
  163. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 どうか地震対策の上で今後お考えになっていただきたいと思うのです。あるいは都道府県の防災会議の協議会の設置にしても、先ほど申し上げたように新潟県の西部、長野県の北部、二県にまたがる地域があるわけです。そこら辺の県については防災会議の協議会の設置をはかっていくべきであると思うのです。これはひとつ今後よろしく指導のほどをお願いいたしたいと思うのです。  そこで、これも午前中の質問にあったかと思いますが、理論的に予知が可能になっても、観測体制の整備、現在気象庁が百十カ所ですか、あるいは大学側が百カ所くらいあるが、必要とする個所は千カ所から千二百カ所といわれております。せっかく予知連絡会等でしっかり研究をなさって、勉強をなさって、五年後にはそうした予知のめども立つということがいわれるわけですけれども、それに伴って観測体制の整備ができなければ何にもならないというようにいわれておるわけですが、その辺の今後の計画はどのようになっておりますか。
  164. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  前にも申し上げましたとおり、やはり天然に起こります自然現象を相手にしてわれわれの技術を開発していくわけでございますから、まず第三次計画で、気象庁としてはたとえば大中小地震まで漏れなく見つける、あるいは国土地理院では測地測量網を完備して、繰り返しの年数も縮め、日本全土をおおうという計画を立てているわけでございます。  御承知のとおり、最近いろいろな予知に対する作業仮説が提唱されてまいりましたので、こういったことも飛躍的に増加すると考えられます。第三次五カ年計画が完了いたしましたあとでは非常にデータがよけいとれますので、そのデータを使いましていろいろな予知に関する作業仮説を検証いたしまして、これが確立するに従って、いま先生の御指摘になったように、たとえば地震観測については、ほんとうに実現化の暁には全国百カ所では足りないと思います。おそらく千のけたの観測所がなければ、いわゆる短期予報はできないと思います。それがはたして千でいいのかあるいは二千でいいのかあるいは五百で済むのか、そういったところを第三次予知計画で確かめていきたいと思っている次第でございます。
  165. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 消防庁にちょっとお伺いしたいのですが、この「地震の心得」ですね、これはたしか四十七年ですか、昨年の一月つくられたわけでありますが、これはどういうところに一体配付をされておりますか、ちょっとお聞きしたい。
  166. 藤江弘一

    ○藤江説明員 私どもこれを配付しております対象といたしましては、都道府県、市町村でございまして、そこを通じまして住民に渡るように期待はいたしておるわけでございます。
  167. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 地震に対する正しい国民の知識あるいは心得というものは、これを見ますとかなり具体的には書かれております。しかし、大体都道府県、市町村、自治体で終わっていると思う。私もここへ来て初めて見たわけでありますが、やはり国民に——先ほど全体と総理府が言われましたが、私は、全体にこれを配るというのはなかなか至難なことであると思うのであります。しかし、せめて現段階における、気象庁で言っている予想される地域の国民についてはこの地震の心得というものをある程度理解させることで、いま地震が起きたときの国民の避難あるいは震災を最小限度に食いとめるための心得というものは、かなり徹底されるんじゃないかと私は思うのです。  ところが、いま、ただ地震が起きるという不安感のほうが多くて、それに対する対策といいますか、心得というものはほとんどないと言ってもいいんじゃないか、こう思うのですね。そういう意味で、私は今後さらにこの「地震の心得」については、いろいろ各省の代表の人が出て編さんをされておるようでありますが、できれば、この前、警視庁の心理学の先生が、町田先生ですか、お見えになりましたが、ああいう方も入れて、地震に対する正しい国民の心得というものを徹底するべきであると思うのですが、その辺について消防庁はどうお考えですか。
  168. 藤江弘一

    ○藤江説明員 ただいま御指摘ございましたけれども、都道府県におきましては、私どもが配付いたしました「地震の心得」に基づきまして、地域の実情に応じた修正を行なうとか、あるいはこれを簡略にいたしたものを相当数配付していると聞いております。なお、東京都等では副読本ということで、小学校、中学校の児童先徒に対しましても同じような趣旨で啓発を行なっているわけでございます。なお、御指摘ございましたので、私どもとしてはできるだけの啓発の努力をなお一そう強化してまいりたいと思います。
  169. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 ぜひその辺をよろしくお願いしたいと思うのです。  なお、地下鉄に乗っていたときの注意だとか地下街にいたときの注意というのもきわめてこまかく書いてあるようでありますが、当然地下鉄の中にも電車の中にもこうした注意事項を掲載するような指導というものは、私は地下街におったときのこの前のお話を聞いている中で、これはたいへんな問題になると思うので、電車に乗ったときにちょっと一目見るということが、国民がどれほどそれに対して注意をし、あるいは地下街にいたときの個人の行動というものについても、ある程度指針ができるのではないか、こう思うわけです。したがって、せっかくこの「地震の心得」といういい冊子をつくってあるわけですから、国民に地震に対する安心感あるいは地震に伴う災害を最小限度に防ぐ方法として、せめて、先ほどから申し上げておる、全国民全体にはいかないだろうけれども、いま予想されている地震の起こるべき地域については、私はそうした指導というものがきわめて適切のように思いますので、どうか総理府にしても消防庁にしても特段の努力をお願いいたしたい、こう思います。  以上で終わります。
  170. 大原亨

    大原委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十七分散会