○小林(信)委員 大臣のその
考え方を根拠にしての毎日の御活動ならば、私は大臣の存在ということについては一応了解するわけですが、しかしそれが
ほんとうにいまの
日本の政治の根本的なものゆさぶるような、そういう大臣の活動というものがいまの
公害対策の裏になければならない。もしそれがあれば、私が心配するように、これはもう
公害対策どこへいくのだというような、何か見限りをつけたような顔色でなく、
環境庁長官としてもっと生気のある顔色をしておられると思うのですよ。この
一つ一つの問題がだめだったら、これはもう環境行政も
公害行政もだめだ、
日本の政治もだめだ、民族の将来もだめだ、かかって
三木長官の双肩にはそういうものがあるということをひとつ確認をして、これからお進みを願いたいと思うのですが、私はもうこれで時間がないのです。一時間くれたのですが、だんだんしわ寄せがきて、もうなくなってしまったのですが、ひとつ私はここで警告をしておきます。
答弁をしていただくことはできませんが、
あとの人に二、三分食い込ませていただきます。
というのは、今度私は有明海あるいは八代湾の視察をしまして、これはもの
日本の港湾、
日本の海岸線の
一つの
代表的なものだと思うのです。あれだけの大きな、四県が沿岸にある有明海がわずか小さな入り口でもって外海と接しておる。これはもうそこへ流し込んだものは永久にあそこへ蓄積されて外へ出ませんよ。したがって、これは瀬戸内海も同じ問題だと思います。そういう特殊事情というものを、地理的な検討をもっと環境行政の中で加えておったならば、もう未然に、こういうところはこうなるという判断から相当な
対策というものが講ぜられたのではないか。これが
一つです。これは単に
環境庁だけの問題ではない。
通産省も、その沿岸に
工場があるならば、この
工場からは絶対に
水銀は出さしてはならない、あるいは運輸省は、ここへ蓄積されればおれたちがこれをしゅんせつをしなければならぬということを
考えていかなければならないわけなんですから、未然に手を打っているはずなんです。ところがそういう手が打たれておらぬから、ああいう内海は外海へ流れ出すというのはわずかなもので、長い間の蓄積というものはもう死の海をつくりつつあるわけで、さっき
中島委員が、ふさいで、締め切りしろというようなお話まで出ているわけですが、こんなことはいま
考えることではない。政治があるならばもうとっくに
日本の沿岸というものは
調査をされていなければならぬ問題だと思います。その湾の中に、また小さく入った湾の中にチッソのあの
水銀というものがほうり込まれているわけでしょう。だからそこの魚を食べたら、これは被害を受けるのは当然なんです。こういう
一つの地理的な問題から、私は
日本全体を点検しなければならぬということが
一つ。
もう
一つは、熊本大学の先生の
調査の問題です。これはきょう文部省が、大臣が来られないそうですし次官も来られないということですが、私は
三木長官を通して内閣の中に文教行政としてひとつ強く言ってもらいたいことは、学問の自由とか研究の自由とかいうことが強く叫ばれておりますが、私たちが主張しておりますものは学内だけの自由というわけじゃないのです。やっぱり学者の自由に研究する態度、学問に対するところの自由の態度というものがあったからこそ、この問題というものが大きく出てきた。これはこの地域の人たちに言わせれば、あの武内教授がこんなことをしてくれなければ魚が売れたんだという幼稚な
考え方をする人があるかもしれません。そういうことを承知の上で、いろいろな圧力の中で、こんなことを
発表したら委嘱した熊本県も困るだろうということも承知の上でもって勇敢に取り組んで、そして自分の所信というものをそのまま出した。
しかし文部省は、私の聞くところではこれに対して一文も金は出しておりません。熊本県では一千三百六十万の金を出して
調査をさせておる。文部省はこれに対して、拘束はしなかった。拘束はしなかったけれ
ども、そういう資金的な配慮というものはなかったと思うのですが、
三木長官、文部行政というものがあるなら
——そして研究するということについては意欲を燃やしているわけですよ。これは私読むことはしませんが、武内教授は、私は有機
水銀の被害だと
考えておるから、この問題に積極的に取り組みましたというような、そういう研究家の活動というものが非常に大事であるし、その心がまえというものは非常に大事なんですが、こういう問題を私は第二の問題として
考えたし、それから漁民の被害というものは、いままで私は農村の天災被害を経験をしてまいりましたが、それ以上の深刻なものであることを経験いたしました。
これらについて私は私の
意見も述べながら
政府の
意見もただしたかったのですが、時間がございませんので、またいずれかの機会に御
質問を申し上げます。ありがとうございました。