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1973-04-06 第71回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月六日(金曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 佐野 憲治君    理事 菅波  茂君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 森  喜朗君    理事 小林 信一君 理事 島本 虎三君    理事 中島 武敏君       小澤 太郎君    田中  覚君       中山 正暉君    羽田野忠文君       村田敬次郎君    土井たか子君       岡本 富夫君    小宮 武喜君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         公害等調整委員         会委員長    小澤 文雄君         公害等調整委員         会事務局長   川村 皓章君         環境政務次官  坂本三十次君         環境庁長官官房         長       城戸 謙次君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         通商産業政務次         官       塩川正十郎君         通商産業省公害         保安局長    青木 慎三君         通商産業省公害         保安局参事官  田中 芳秋君         通商産業省公益         事業局長    井上  保君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局次長    倉本 昌昭君         水産庁調査研究         部長      松下 友成君         通商産業大臣官         房総合エネル         ギー政策課長  荒川  英君         運輸大臣官房安         全公害課長   勝目久二郎君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 四月四日  山梨県山岳地帯自然保護に関する請願(小濱  新次君紹介)(第二〇七九号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第二〇八〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害対策並びに環境保全に関する件(水質汚濁  対策等)      ————◇—————
  2. 佐野憲治

    佐野委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮武喜君。
  3. 小宮武喜

    小宮委員 それでは、まずタンカー排水規制強化について質問します。  さきに、二月十二日から三月二日までロンドンで開かれた政府間海事協議機関海洋汚染防止条約準備会議概要について、この準備会議でどういうようなことが協議されたのか、またそれでどういうようなことが決定されたのか、その点まず説明を願いたい。
  4. 勝目久二郎

    勝目説明員 先生お尋ね会議でございますが、ことしの二月から三月にかけまして、ロンドンにおきまして、政府間海事協議機関におきまして、この秋に予定されております一九七三年の海洋汚染防止条約準備会議概要につきまして説明申し上げます。  御承知のように、一九五四年の条約がございまして、これを六九年に大改正をしたわけでございます。わが国はいち早く同条約内容を取り入れまして、海洋汚染防止法を制定いたし、すでにそれを完全に施行しておるという状況にございます。しかしながら、六九年の条約自体はまだ発効しておりません。これは発効の要件を満たしておりませんので、まだ発効をしていない状況でございますが、わが国はすでにそれを国内法として実行しておるという状況にございます。  ただ、それに引き続きまして、ことしの秋にいままでの条約を全部検討いたしまして、新しい条約をつくるということで、政府間海事協議機関、私どもは俗に略してIMCOと言っております。IMCOにおきます会議がここ数年来続けられております。先ほど先生のおっしゃいました会議が最終的な準備会議として、この二月から三月にかけて開かれたわけでございます。  この条約が従来の条約とどのような関係があるか、あるいはどういう点が主要な変更事項であるかということを簡単に申し上げますと、従来の条約は油濁の関係のみでございましたが、これを船舶から排出されるいろいろな廃棄物有害物質全般に広げようということが、まず第一点であろうかと思います。したがいまして、条約の構成も条約本文付属書が一、二、三、四、五と、五つの付属書がついておりまして、油それから油以外の有害物質、コンテナの場合、船舶からの汚水、船舶からのごみというものの排出に関するいろいろな規制を行なうということをその内容にしておるわけでございます。  その中で特に先生質問のございました油の関係について申し上げますと、これは現在の条約並びにわが国海洋汚染防止法で取り入れております規制よりもさらにきびしくしようということがございます。特にその中で目立った点を申し上げますと、現在の条約規定でいきますと、一航海中に排出できる油分の量、これが貨物容積の一万五千分の一ということになっております。これを十万トン以上の新造タンカーにつきましては三万分の一以下にするということ、それから十五万トン以上の新造タンカーで一定の時期以後に対して、新造船につきましては専用バラストタンクを設けることを強制するということを考えているわけでございます。  準備会議におきましては、主としてこのような点につきまして議論があったわけでございますが、これから秋の条約の本会議までの間に各国でさらに検討が続けられ、わが国としても慎重に判断をいたしまして、同会議での決定に臨みたいというように考えております。
  5. 小宮武喜

    小宮委員 いまの話によれば、一九六九年の防止条約との相違点は大体わかりました。がしかし、この準備会議決定された事項が、ことしの十月六日ですか、ロンドンで開かれるこの会議に、そのまま原案として提案されるわけでしょう。そうすると、いま言ったこの準備会議でどういうふうなものが具体的に決定されたのかというのが、いまの説明ではよくわからぬのです。たとえば、私が伺っておるところでは、この準備会議原案では、第一点が一九七八年に建造契約あるいは一九八〇年に進水あるいは八一年に引き渡し予定の、いずれかのものになっておるというような話を聞いておるのです。だからもう少し具体的な、タンカー排水規制をいつから実施するのかということについては、まだはっきり準備会議の中でも一つの結論が出ていないと思うのですが、いま言われたように、たとえば七九年、八〇年までに契約した船に適用するのか、あるいは八〇年に進水する船に適用するのか、あるいは八一年に引き渡す船に適用するのか、この点も少し明確にしてください。
  6. 勝目久二郎

    勝目説明員 いま先生準備会議決定をしたことをそのとおり言いなさいというお話だと思いますが、準備会議自体が、準備会議という性格もございますので、これでもって国際間の合意がすべてあったという意味での決定ではございませんで、準備会議におきましては、いままでの討議の結果をもとにいたしました第四次案というものを審議したわけでございます。  それで、各国がいろいろその第四次案につきまして審議をいたしまして、そこで第五次案というものを策定したわけでございます。したがいまして、第五次案の中にも、このような問題につきましてははっきりと全員が一致を見たというような意味ではございませんで、あるいは代案一、代案二というようにいろいろの案の準備されているものもあるわけでございます。そういう意味での決定というように御認識いただきたいと思います。  そこで先生お尋ねの点でございますけれども、詳しく申し上げますと、十五万トン以上の油タンカーで次のものについては、分離バラスト方式を採用しなければならないということでございまして、まず一番目には一九八一年一月一日以後引き渡しが行なわれるもの、それから二番目に一九八〇年の一月一日以後にキールが据えられるもの、三番目に一九七八年一月一日以後に建造契約が行なわれるもの、というような案が第五次案として作成をされたということでございます。
  7. 小宮武喜

    小宮委員 準備会議ではこういうように具体的に決定をしたということではないにしても、その一つの方向としては一応確認されたわけでしょう。それが今度十月八日から開かれる国際会議にそのまま原案として出されることになるのでしょう。そういうふうに理解していいのですね。したがって、それはそれとして、いま言われた話を聞きますと、たとえば一九七八年までに契約した船だとかあるいは八〇年に進水する船だとか八一年に引き渡しする船だとか言われておりますが、われわれからすれば、排水規制強化はもっと早く適用を、八〇年とか七八年とか言わぬで、もっと早くやるべきだというような考えを持っておるわけです。したがって、七八年とか八〇年とか八一年とかというその第五次案ですか、それが準備会議でそういうようなことに決定された、まあ一応確認されたということのいきさつについて、何で七八年とか八〇年とか八一年とか、そういうような年度がきめられたのか、その点についてひとつお聞かせ願いたい。
  8. 勝目久二郎

    勝目説明員 準備会議におきます一々の議論過程を詳細に申し上げますことは、国際的な問題でもございますし、それから将来のわが国対処方針の問題もございますので、詳細につきましては控えさせていただきたいと思いますが、私の推測でこれはたいへん恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、六九年の条約自体がまだ世界的には発効をしていないという一つ客観情勢があるわけでございます。したがいまして、七三年条約がこの秋の会議採択をされました場合の発効見通しがどうであろうか、それから、そういうこととからみ合わせて新造船が、その条約適用されるべき新造船というものをどこからにしたほうがよかろうかという点について議論があったあげく、このような線に一応落ちついたものというように了解をいたしております。
  9. 小宮武喜

    小宮委員 その六九年の条約にしてもまだ発効もしておらぬ、結局日本だけはそれにのっとって汚染防止法をつくったというような状態の中で、また今度の秋に新しい条約をつくられるというようになった場合に、私に言わしめれば、どうもよくわからぬのですが、たとえば七八年とか八〇年とか八一年とかということを言わなくても、やはり設計変更さえすれば早められることは可能なんですね。だから、せっかくこういうような海洋汚染防止条約をつくるならば、いままでの行きがかり、つながりもありましょうけれども、やはりそういった条約は早く締結して、早くこれを実効をあげるという意味では、現在の契約中の船であっても、まだこれは設計変更すればいいわけですから、そういうような意味でもっと早い船から一まあこれは着工している船は別ですよ。しかし契約中の船であってもまだ設計段階に入っておらぬタンカーについては、この条約適用するようにしたらどうなんだ、すべきじゃないのかと私は主張しておるわけです。それについて運輸省として考え、所見があれば、ひとつ聞いておきたい。
  10. 勝目久二郎

    勝目説明員 先般の準備会議でこのように、一応第五次案というものが策定されたということと、日本政府がこの問題についてどういうふうに対処していくかということは、必ずしも、国際的に準備会議できまった線でしか考えないということではないと思います。先ほども申し上げましたように、海洋汚染防止法を六九年条約を取り入れて制定いたしましたのは四十五年でございます。そのように、私どもといたしましては、国際的なそういう動きなり規制なりというものをすでに常に早く取り入れてやっていくという基本方針でおるわけでございますし、六九年条約が世界的にまだ効力を発してないという点につきましてもたいへん残念に思っているわけでございまして、常に外国に対して、米批准国に対しましては早く批准をしてこの条約発効するようにということで、国際的なお願いもいろいろしている状況でございます。したがいまして、この新しい条約をどの時点から適用するということにするかという点につきましても、先生のおっしゃるような趣旨もございますので、そういうことも考えて対処していきたいというように考えております。
  11. 小宮武喜

    小宮委員 それでは、いまの説明の中で、第五次案の中では結局十五万トン以上のタンカーまたは十万トン以上の石油鉱石運搬専用船、これも専用バラストタンク設置することを一応方針としてきめているわけですね。そうした場合に、これは既存タンカーについては、この条約が締結される場合どういうふうになるのか。たとえばいまから契約、建造される船についてのみこの条約適用しようという準備会議考え方なのか。いま既存タンカーがおりますね。このタンカーについては大体専用バラストタンク設置を義務づけするのかどうか、その点いかがですか。
  12. 勝目久二郎

    勝目説明員 現在の案でいきますと、現存船につきまして、条約を新たに発効した時点から基準をあげるということではございませんけれども、現在よりきびしいロード・オン・トップ方式というものを適用して、油の排出を少なくしていこうという考え方でございます。
  13. 小宮武喜

    小宮委員 既存の船についてはどうなのですか。はっきりしてください。
  14. 勝目久二郎

    勝目説明員 既存タンカーにつきましては、現在と同様の規制条約原案ということにいたしております。
  15. 小宮武喜

    小宮委員 今度新しい条約はことしの十月八日ロンドンで開かれる国際会議できまるわけでしょう。これは従来の六九年条約よりももっときびしいものになっているわけですね。そうしますと、この条約発効するのは、結局適用されるのは、七八年の契約だとか八〇年の進水とかいうものになっているわけですね。そうすると、いままで進水しておる既存タンカーについて、やはり今度新たに条約が締結されたならば、その条約適用して、排水基準を従来の船でもきびしくすべきじゃないかというのが私の質問趣旨なのです。
  16. 勝目久二郎

    勝目説明員 ちょっと私の説明が不足しておりましたので、補足いたします。排出基準といたしましては、現在の六九年条約規制内容現存船にはそのまま適用になるわけでございますが、ただ今度の新しい条約ではモニタリングシステムと申しますか、構造的な設備の義務づけを強制するということを考えているわけでございます。現在の六九年条約によりますと、要するにこれ以下の濃度ないしは瞬間排出率でなければ排出してはならないという、いわば行為の面だけを規制しているわけでございますけれども、今回の条約におきましては、その排出をする際の、はたしてその基準どおり排出をしているかどうかということを監視し、それを記録するという装置を義務づけるということを考えているわけでございます。そういう意味で、きびしく現存船についても基準適用されるということを申し上げてよろしいかと思います。
  17. 小宮武喜

    小宮委員 いま佐世保あたりでは、アメリカの軍用タンカー船あたりが油のたれ流しをやって、いつも問題になっているのです。そうすると、この条約はそういうような軍用タンカーについても適用されるのですか。
  18. 勝目久二郎

    勝目説明員 軍用船につきましては適用されません。
  19. 小宮武喜

    小宮委員 今度の準備会議で十五万トン以上のタンカーとか、また十万トン以上の石油鉱石運搬専用船となっているが、この基準はどこから出てきたのですか。これは六九年条約もこのとおりですか。
  20. 勝目久二郎

    勝目説明員 六九年条約ではさような区別はございません。すべてのタンカーにつきまして一律の基準を設けているわけでございます。
  21. 小宮武喜

    小宮委員 そうであれば、なぜ今回の準備会議で十五万トン以上とか十万トン以上という基準を設けたのか。むしろ逆にいえば、国内海洋汚染防止法にしても、やはりいままでは三百トンとか九百トンといっておったのを、タンカーについては全船に適用するようになったし、貨物船についてもこれを三百トン以上に訂正をしたわけですね。そのような意味でたとえば十五万トン以上ということになると、タンカーでも五万トンや六万トンの船が一ぱいいるわけですよ。それをなぜ十五万トン以上のタンカーとか十万トン以上の石油鉱石専用運搬船と限ったのか、その点はどうですか。
  22. 勝目久二郎

    勝目説明員 問題は専用バラストタンク方式と申しますのを、どの大きさのタンカーから強制をすることが適当かどうかという点の判断にあったかと思います。これにつきましては油水分離装置の性能とか将来の開発の見通しもございますし、それから一航海排出される油分の絶対量という点の考慮もございましょうし、いろいろな議論があったあげくに、タンカーにつきましては十五万トンという線に落ちついたというように聞いております。
  23. 小宮武喜

    小宮委員 いまの答弁はちょっとおかしいのですがね。それはたとえば油を積みにペルシャ湾に行く。結局その間空船で行くわけですからバラストを積んで行くのですね。そのバラストを今度油を積む場合に排出するから、それが問題になるわけですね。しかしこれは向こうのペルシャ湾とかああいうふうなところだけでなくて、今度は近海も五万、十万トンの船で油の輸送に行くわけですね。そのような意味でどうもいまの答弁では十五万トンとか十万トンときめられた根拠が理解しにくいのですがね。課長会議に行かれたのですか。——行ってないですか。それではこれ以上言ってもむだだろうと思いますからやめます。  それからこの準備会議で、これまで自国船あるいは自国に寄港して問題を起こした外国船しか取り締まれなかったのが、今度の原案では第三国あるいは公海上で油濁汚染を起こした船舶も取り締まることができるということになっておるようですね。そうした場合に、公海上でそのような油濁汚染を起こした場合に大体取り締まることになっておるのだけれども、だれがどうして取り締まるのか。現在国内の油濁防止についても非常に問題があるわけですけれども、そういった公海上で油濁汚染を起こした場合、たとえば日本でもその辺で千葉沖タンカーが油をたれ流して逃げたのを追いかけて見つけて回ったというような話もあるくらいですから、そういうような意味で言うはやすくなかなか取り締まりはむずかしいのではないかと思うのですが、これは大体どういうふうに取り締まるのですか。
  24. 勝目久二郎

    勝目説明員 お尋ねの点でございますが、第四次案におきましては先生のおっしゃるような規定があったわけでございます。準備会議におきます検討過程におきましていろいろ議論がございまして、そういう条約規定は、公海上で違反したような場合について締約国である第三国が処罰することができるという点が、従来の国際的な慣例なり慣行と非常に違うわけでございます。従来の例でございますと、旗国、その船の本国または領海に対して権限を持っております沿岸国というものが処罰をするということであったわけでございます。その点に関します非常に大きな国際法的な修正でございますので、いろいろそういう国際法上の議論がございまして、一応第五次案としては、当該条文条文の形では残さない。ただしフットノート、脚注という形で残して、さらに本会議での議論にゆだねるということになってございます。
  25. 小宮武喜

    小宮委員 きょうは船舶局は来ていないですね、きのう連絡しておいたんたけれども。たとえば専用バラストタンク設置を義務づけしてでも——それは具体的にどういうふうなことにするのか、たとえば既存タンカーの中で、このタンクバラスト専用タンクだ。これはバラスト専用で、ほかは一切油を積んではいかぬというふうに規定するのか。それと同時に、たとえばそれでは十五万トンタンカーで何トンくらいのバラストタンクが必要なのか、その点もちょっとお聞きしたいと思ったのですが、わかっておったらひとつ答弁してください。
  26. 勝目久二郎

    勝目説明員 この条約採択をされ、日本批准をし、国内法化するということになりまして、専用バラストタンクの問題をどういうふうに取り入れ、かつそれを取り締まるかというお尋ねだと思います。それにつきましては、当然国内法上どのタンカーについて専用バラストタンクを強制するかということを当面定めまして、それを担保するために必要な構造上の規制をする、検査も行なうということに相なろうかと思います。
  27. 小宮武喜

    小宮委員 それで、問題は、排水規制強化だけでは、やはり汚濁問題は解決しないと思うんですよ。いまの船舶構造上にも問題がありはしないか。たとえば衝突をした、座礁をしたということになると、すぐ油が船外に流れて汚濁するというような問題もあるので、やはり船舶タンカー構造上の問題も、これはやはり運輸省としても検討しなければならぬと思うんですよ。たとえばいまの油タンクはみんな隔壁とか外板でじかになっておるわけですが、だから外壁が破れた、へっこんだということになると、みんな油が流れてしまうというようなことで、やはりタンクを二重構造にして、船底とか外板側は、たとえば空所をつくって、ちょっとくらい衝突しても座礁しても、油が外に漏れないようにするとか、そういうような構造上の問題も、やはり運輸省としては検討すべきであるというように考えるわけですが、その点いかがですか、公害関係の立場として。
  28. 勝目久二郎

    勝目説明員 おっしゃるような配慮を運輸省としてするのは当然だと考えます。
  29. 小宮武喜

    小宮委員 当然だけれども、具体的にそういうふうな研究をやはりやってもらいたい。  それから、国内海洋汚染防止法が制定されてから、違反事件がどれくらい起きておりますか。——私は、公害関係は、課長だけではだめだと言っておいたのだけれども課長しか来ておらぬものだから……。
  30. 勝目久二郎

    勝目説明員 ただいま先生のお求めになりました、法施行後どれくらいの違反があったかという資料が、実は手元にございません。去る二月に、海上保安庁で一斉取り締まりを行なったのでございますけれども、その結果をとりあえず申し上げますと、この二月十二日から二月十六日までの五日間、取り締まりをやったわけでございますが、海洋汚染防止法違反が二百七件。廃棄物処理及び清掃に関する法律違反が九件。港則法違反が二十六件。合計二百四十二件ということに相なっております。
  31. 小宮武喜

    小宮委員 二月十二日から十六日のわずか五日間にそれだけの違反事件が起きておるというのは、これは問題だと思うんですよ。それでは法律が施行されても、具体的にどうなっておるのか。法律はあっても、ないのと同じじゃないか。わずか十二日から十六日までの間に海上保安庁の一斉調査結果でも、そんな二百四十二件の違反事件が出ておるのは、これはやはり問題だと思うんですよ。だからこの問題は、この法律ができる場合も、大体いまの海上保安庁体制はどうなのかというようなことからいろいろ追及されたわけですが、そのときは運輸大臣も、いやもう何とかやっていきます——たとえば夜だって油をたれ流したら、これはもう全然わかりませんよ。だから、そのような海上保安庁のいまの体制がどうなんだということを追及したいんですよ。そうしなければ、これは一年間にどれくらい発生しているか。おそらく驚くような数字じゃないでしょうか。これはもう課長に言ってもどうにもならぬでしょうから、資料を出してください。  それと廃油処理施設、これはこの法律が施行される場合も非常に不足しておった。だから、今後三年間に処理施設は十分整えますということを答弁しておられたのですが、廃油処理施設の現状はどうなっておるのか、その点はいかがですか。
  32. 勝目久二郎

    勝目説明員 四十八年の一月初め現在でございますが、廃油処理施設は三十一港、五十一カ所、整備でございますか、現在すでに操業中でございます。四十七年度末におきます予定、おそらくこの予定どおりいっておると思います。その予定でまいりますと、四十六港、七十一カ所が操業をする。さらに四十八年度末におきましては五十三港、七十九カ所が整備をされるということに相なっております。
  33. 小宮武喜

    小宮委員 廃油処理施設の問題についてもいろいろ問題が多いのです。したがってこの問題についても触れたいと思いますけれども、この問題は一応また次の機会に譲りたいと思います。これは、この前の汚染防止法を審議する場合も計画は出していたのです。しかしながら計画どおりいってないわけです。そこにまた一つの問題がある。そういうような処理施設がないから廃油を海中に投棄するというような問題もあるのです。だから、その意味でこの廃油処理施設の問題についてもまた一応資料を提出してください。  それから次は、発電所建設に伴う公害防止の問題について質問します。電力の需要量は毎年一〇%から一二%伸びているということで、電力危機ということがいろいろ叫ばれているわけですが、しかしながら一方では、電源開発に関して公害問題、環境破壊問題がいろいろ起きて非常に問題になっているわけです。したがって、こういうふうな電力危機の解消をどうするかという問題と、公害問題、環境破壊という問題をどうするかということが非常にむずかしい問題ですが、いま電源立地が難航しておる、その理由というのをまずひとつ説明してください。
  34. 井上保

    ○井上政府委員 ただいま御指摘のように、電気の需要は大体一〇%ぐらいのところで毎年伸びてまいっております。それで、電源開発のほうはおっしゃいますとおり停滞ぎみでございますが、その理由を申し上げますと、第一の理由といたしましては、公害問題でございます。それは、火力発電所あるいは原子力発電所のサルファの問題、あるいはNOxの問題、あるいは放射能の問題等ございまして、それぞれ対策を講じておりますけれども、公害問題についての地元との話し合いが難航しておるという点が一つでございます。  それからいま一つは、電気の発電地帯あるいは消費地帯で発電所が与えます経済メリットという点につきまして非常に差があるということがございまして、発電地帯の地元におきましては、その経済メリットを発電地帯に賦与することを考えてくれというような問題がございます。御承知のとおり、一般の工場の場合でございますと、こういう効果があったり、あるいは下請企業が進出するというような、地元に対して経済効果を与える場合が非常に多いわけでございますけれども、発電所の場合は工事が完成いたしますとそういうことがないということでございまして、いろいろと地元の要望がそういうことにつきまして違っているということがございまして、そういう点からいたしまして現在発電所の建設が停滞ぎみであるということでございます。
  35. 小宮武喜

    小宮委員 いまの説明にもありましたが、やはり電源開発に対しては公害問題、環境問題がまず解決されるというのが大前提にならなければいかぬというように考えますが、いま政府が今度の国会に提案しようとしておる発電用施設周辺地域整備法案というようなものは大体どういうような内容のものか。公害問題、環境問題については全然触れられていないようですが、その辺ひとつ御説明願いたい。
  36. 井上保

    ○井上政府委員 公害問題の対策でございますけれども、これにつきましては、例をサルファにとりますと、低サルファ燃料の確保、あるいは排煙脱硫の問題であるとかガス化脱硫であるとかあるいは直脱の問題でございますとかいろいろな手段を講じまして、公害が発生しないようにしたいということで格段の努力をいたしておるわけでございます。さらに、ナフサをたくとかあるいはLNGをたくとか、あるいはローサルファの原油をなまだきするとかというようなことをいたしておりまして、その数量を毎年だんだんふやしていっておるということでございます。それに従いまして、その中に含まれますサルファ分につきましても現在格段に低下しておりますが、将来はそれを一そう低下させるということでございます。  それから公害関係規制につきましては、大気汚染防止法であるとかあるいは諸般の公害関係の法令で規制がございまして、それに基づきます諸般の地元との協定であるとか、そういう点を十分に行ないまして、地元の納得を得て電源開発を進めていくということでございます。  具体的に申し上げますと、電源開発調整審議会で基本計画を決定するわけでありますが、その際に都道府県知事の同意を事実上得ることが条件になっております。したがいまして、都道府県知事が同意をされました場合には、そういう公害問題につきましては一応地元との協定ができておるという前提になっております。したがいまして、今度の地帯整備法の考え方は、そういう電源開発調整審議会を通ってまいりました地点につきましてその地帯整備のことを行なっていくということでございます。したがいまして公害問題は、一応地元との関係その他関係各省で十分チェックして問題がないということで、そのあとで今度の法律が施行されるというかっこうになるわけでございます。
  37. 小宮武喜

    小宮委員 それでは、政府が提出しようとしている地域整備法案というのは、公害問題、環境問題については全然触れていないのですね。そうであれば、いま電源立地問題が難航しておる理由を先ほどあげられましたけれども、このような電源立地の問題は解消しないというように理解せざるを得ません。その点どうなんですか。
  38. 井上保

    ○井上政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、公害関係につきましては公害基本法を頂点といたします一連の法令がございまして、それに基づきまして十分にチェックを行ないました後に今度の地帯整備法が動いていく。したがいまして今度の法案の条文の中に、発電所の建設が確実になったものについてこの法律適用することを指定するということがございますが、これは電気事業法もしくは原子炉等規制法のそれぞれの許可があった段階を考えておりまして、これは公害についてのチェックが十分に終わっておるという段階で考えておるわけでございます。
  39. 小宮武喜

    小宮委員 それでは、この整備法案だけでは発電所建設がスムーズに進むということはとうてい考えられないし、当然それのほかに公害、環境問題を根本的に考えていかなければ非常に困難だと思う。  その点について環境庁は、発電所建設にあたっての公審問題、環境問題についてどのように対策を考えられておるのか、ひとつお聞きしたいと思います。
  40. 三木武夫

    ○三木国務大臣 電力の需要というものが増加していく傾向であり、またある程度の電力を確保しなければならぬという必要があるわけです。したがって、発電所は全部いかぬという論は成り立たないわけであります。そういう点で、今度の整備法などにおいても、考えようによると、国として絶対必要であるが、やはりだれでも発電所というものは公害なんかでいろんな不安があると思うのですね。しかし国としては国民生活の上から必要である。国民にかわってそういういろいろな公害問題なんかの不安があってそれを認めるわけですから、地域全体として、そのことによっていろいろ地域が整備されるようなメリットがあったらいいのではないかという考え方がこの整備法の一つ考え方だと思うのです。したがって、そのことが直ちに地域の整備であって、公害防止ということを目的としたものではないわけです。したがって、環境庁の使命は、そのことが、整備法ができるできぬにかかわらず、人の健康を保持するという見地から、やはり環境基準とかあるいは環境の保全とか、そういう見地から厳重な事前の調査検討が必要なことで、整備法ができたからそれはおろそかにしていいというものではないので、それは、そういうものができる、できぬにかかわらず、環境庁は公害防止環境保全という角度から十分な事前の調査を必要とする、こういうふうに考えておる次第でございます。
  41. 小宮武喜

    小宮委員 そこで、発電所をつくる場合に一番大きく問題になるのは、やはり亜硫酸ガスの発生による大気汚染だと思うのですが、この問題について中央公害対策審議会では、今度の、亜硫酸ガスの環境基準を現行の三倍以上に規制をきびしくするという一つの方向が出たようですが、これに対して環境庁としてはどう取り組むのか、それをいつごろまでに取り組むのか、その点ひとつお考えをお聞きしたいと思います。
  42. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは専門委員会で、大気部会のほうにそういう答申があったわけですが、大気部会でこれをかけて、そして正式にきめるような手続になると思うのですが、どうしても大気汚染というもの、これを防止するためには、相当一方においては環境庁は環境基準をきびしくしていって、不可能をしいるわけにはいかぬですけれども、しかし最大の努力をしていくという、まあ環境庁の基準はきびしくなるし、これにこたえなければいかぬという、そういう一つの企業側としても非常な努力をさらに一そう傾けていかなければならぬようにすることは私は必要だ、そういう点で、この専門委員会の答申というものは尊重をしたいと思っております。  そしてこれもあまり遠くない時期に——遠くないというのは、できれば四月中と考えているのですが、多少の時間的なゆとりはちょうだいをするとしましても、できるだけ早くきめたいと考えております。
  43. 小宮武喜

    小宮委員 長官、やはり環境基準というのはもっともっときびしくして、先導的役割りを果たしてもらわぬと、どうしても環境基準が甘いと、環境基準のぎりぎりの線でいろいろな企業側としても施策をやるというようなうらみがありますので、やはりその点、いまの審議会の答申にのっとってきびしくして、そして先導的な役割りを果たしてもらうように、ぜひひとつ長官にお願いしたいと思います。  それと同時に、今度はやはり通産省ですね。たとえば電力だとかそれから鉄鋼だとか石油化学、こういうような企業側においてもやはり思い切った燃料政策の転換をやらなければならぬと思うのですよ。またそればかりではなくて、それに対するいろいろ地方自治体の問題あるいは国の財政協力の問題、この問題は国、地方自治体、産業界も一体とならなければやはり解消しないと思うのですが、いま石油業界、電力業界あるいは鉄鋼業界ですね、こういうような燃料政策の転換についてはどのように指導されておるのか、通産省の所見を伺いたいと思う。
  44. 井上保

    ○井上政府委員 電力業界を例にあげて御説明申し上げたいと思いますが、昭和二十三年ごろの電気で使っておりました重油のサルファ分は大体二・五%でございます。それから原油が二・二%ぐらいになりますか。現在ではそれが大体原油につきましては〇・九%ぐらい、それから重油につきましては一・一%ぐらい、非常に努力をして下げてまいっております。  さらにナフサでございますが、これは非常に特殊な地域に使うわけでございますけれども、本年度は約三十二万トンほどのナフサを使ったわけでございますが、来年度は一応二百四十五万トン程度のナフサを東京湾地帯を中心にして使いたいと考えております。  それからローサルファ原油の使い方でございますけれども、これも従来約三千万トンぐらい使われておりますが、これも非常にローサルファのものを手に入れたいということで努力いたしております。  それから原油のなまだきでございますが、これは非常にサルファが少ないわけでございますけれども、これにつきましては本年度は約千八百万トン程度でございますが、来年度は二千三百五十万トンという数字を一応確保いたしたいということでございます。  それからなおナフサは非常に少ないのですが、LNGのごときはほとんどS分がないということになっておりまして、これにつきましても極力確保していきたいということで、いろいろと密集地帯のところにつきましては環境基準の順守の問題もございまして、そういうものを大幅に確保するように努力していきたいということでございまして、将来もそういう線に沿った努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  45. 小宮武喜

    小宮委員 通産省としてはそういうような燃料政策の転換をただ企業まかせにするということでなくて、やはり一応のめどを立てて、大体何年ぐらいまでにそういうような燃料政策の転換をやりなさいという強い指導をすべきだと思うのですが、その場合に問題になるのは、いまたとえば電力会社にした場合に、ナフサとかLNGとかこういった問題をやれば大気汚染、亜硫酸ガスの発生というのはなくなると思うのですが、そういう場合にもナフサとかそういうものの需給関係はどうなるのか、次から次へ問題がやはり出てくるわけですね。そういうふうなものについての万全の将来の燃料政策の見通しを立ててやっていかぬと、一つ一つつまずいてしまうというような問題も起きますが、いまの日本の電力会社あるいは鉄鋼会社、石油化学、こういうようなところを、いろいろ燃料政策をやった場合にナフサの需給関係はどうなりますか。
  46. 荒川英

    ○荒川説明員 ナフサのなまだきの関係での需給関係でございますが、四十七年からナフサのなまだきを始めたわけでございますが、その場合には非常に量が少のうございまして、電力関係、鉄鋼関係合わせまして四十三万キロリットルでございます。四十八年度は、現在の計画ではナフサ関係で四日市判決以降、非常にこういう需要が多かったわけでございますが、設備投資の実施等の関係がございまして約二百九十万キロリットル程度を電力、鉄鋼で使用するということになっております。この段階では、ほかの全体を申し上げますと石化工業で原料としてナフサを使用いたします計画が二千九百万キロリットルございます。その他アンモニアあるいは都市ガス製造用等含めまして、合計需要量としては三千三百万キロリットルでございます。先ほどの電力、鉄鋼のこれは燃料用でございますが、二百八十万キロリットルと合わせまして三千六百五十万キロリットルというふうになっております。これにつきましては国産のナフサ生産及び輸入、これは石化用の原料用のナフサの輸入が三百万キロリットルでございまして、大体これは見合っております。ただし四十九年度以降になりますと電力等で申しますと、石化のナフサが非常に大きくなってまいります。これに対しまして国内だけの供給だけではやはり足りません。結局四十九年度以降につきましては輸入ナフサをもって燃料をたかせなければならない。そういたしますと、やはり輸入ナフサの供給が限られておりますので価格が上がる、あるいは需給がショートするという問題がございまして、石化工業との調整という問題が起きております。しかし私どもはそういった問題がございましたけれども、四十九年度以降輸入ナフサに踏み切るということでその線は踏み切っております。あと五十年度以降につきましてはやはり相当こういった需要がふえてまいりますので、こういった需給関係も含めまして、その他価格政策、関税等の検討も含めまして、低硫黄化の部会がエネルギー調査会にございますので、こういった知恵を拝借いたしまして、目下検討を進めておる最中でございます。
  47. 小宮武喜

    小宮委員 質問も簡単にしますから答弁のほうもひとつ簡単に願います。  発電所から出される温排水の問題は魚介類にどういうような影響があるか、この点ひとつ水産庁から答弁してください。
  48. 松下友成

    ○松下説明員 温排水が水産の生物に与えます影響につきましては、従来各種の知見が得られているわけでございますが、魚介類の生存可能な水温の範囲は一般的にはかなり広いものとされております。しかし温排水によりまして恒常的に水温が上昇するような場合には、その海域の生物相が局部的に変化することが考えられるわけでございます。特にノリにつきましては高水温の影響を受けやすいということが知られておりまして、漁場の冬季の水温が十度以上になると病害が発生しやすいということがいわれております。今後発電所等の増設に伴いまして、温排水による水産生物相への影響範囲が単に局地的なものにとどまりませず、そういった広い範囲に影響を及ぼすおそれも出てまいりますので、現在各省庁と共同で温排水の漁場環境への影響調査をやっておるわけでございますけれども、今後水産資源上必要があります場合には、水質汚濁防止法等によりまして、所要の規制を行なうことにつきましても関係省庁と協議してまいる必要があるのではないか、かように考えております。
  49. 小宮武喜

    小宮委員 それから原子力発電の問題ですが、科学技術庁おられますか。原子炉の問題についても安全性についていろいろ指摘されておりますけれども、現状でどうこうということはいろいろむずかしい問題と思いますが、大体現状の原子炉の安全性について通産省はどういうように考えられておるのかということを御参考までにひとつお聞きしたいということと、それから放射能を含めた廃棄物処理はどうしておるのかという点、二点ひとつお答えを願いたいと思います。
  50. 倉本昌昭

    ○倉本説明員 原子力発電所につきましては、設置の問題はともかくといたしまして、まず第一にその安全性をはかるということが大前提でございまして、この原子力発電所の安全性を確保するということについて私どもは全力を尽くしておるわけでございます。そのために御案内のように申請が出てまいりましたときには、原子力委員会の学識経験者、専門家の方がおられます安全審査会というところにおきまして十分なる審査をいただいております。それから原子力委員会における報告に基づきまして、私どもはその設置許可をいたしておるわけでございますが、なおまたさらにこれはそれだけの安全性を確保するためには、その工事の設計とか工法とか、それからまたそれについての検査の問題等も十分行なっていく。またさらにその安全性を確保するためには、常に新しい進歩した技術をこれに取り入れていくということにおいての指導を常時行なっておるわけでございます。  それから次に第二点でございますけれども廃棄物の問題でございます。原子力発電所から出ます廃棄物と申しますのは、これを大きく分けましても三種類あるわけでございます。まず気体の廃棄物、それから液体の廃棄物、それから固体の廃棄物という三種類に分けられると思いますが、この気体の廃棄物は、原子炉を運転しておりますときに、燃料体等から放射性の物質が漏れてまいりましたときに煙突から出ていくというようなことになるわけでございます。これについては気体のガスを途中でとりますためにガスをとるトラップとか、それからあるいはフィルターとか、そういうようなものを十分通しまして、さらに最近では新しい技術としてチャコールベッドというものを採用いたしておるというような形でこれをやっております。また液体廃棄物のほうにつきましても、これはやはり一応フィルターにかけ、またそれで出てまいりましたものを蒸発装置を使って濃縮していく。その濃縮した残りの廃液は十分薄めてこれを放出する。それからさらに固体廃棄物につきましては、これを周囲に影響を及ぼさないというような状態にコンクリートに詰めまして、これをその域内に貯蔵をしていくというようなことで、その周辺の方々、また一般の公衆に対しての影響がないという形でこれを安全に運転を進めていくということで現在進めておるわけでございます。
  51. 小宮武喜

    小宮委員 やはり廃棄物処理に問題があると思うのですよ。したがって、時間がございませんからいまの答弁だけ聞いて、次の機会にまた質問しますけれども、非常に問題があるのです。  それからこれは三木長官にお伺いしたいのですが、北海道の伊達火力発電所の建設に対して、いま火力発電所の建設がされた場合、亜硫酸ガスや温排水により自然環境が破壊され健康がそこなわれるおそれがあるということで、建設禁止を求める環境権訴訟がなされておりますね。この訴訟に対して環境庁としてはどういうような所見を持っておるのか。これは非常にむずかしい問題で、その根本理念は憲法二十五条に基づいておるともいわれておりますが、特に環境庁長官のこの訴訟に対する所見を一言承りたいと思います。
  52. 三木武夫

    ○三木国務大臣 伊達火力の発電設備にかかわる訴訟、憲法十三条、二十五条、環境権に対する訴訟であるといわれておるわけですが、これは最近においても、人間がよき環境のもとに生活をするということは基本的権利であるという思想がストックホルムなんかにおいても出てきておる。最近の裁判の例なんかにも、環境権といわれるものに関連する判例が出てきておることは事実であります。したがって、今後は政治の一つの理念として環境権というものがあるという考え方でやっていく必要がある。ただしかし、環境権という法概念として、そして法律の、たとえば公害基本法の中に入れたりすることに対しては、環境権というものはまだばく然としたものがあるのですからね。いろいろな判例なんかにおいて、具体的な問題として環境権といわれるものに結びつくものはあっても、包括的な環境権という形で出すことには、どうもまだ何かばく然としたものがありますから、したがって法概念の中にということに対しては、私ももう少し時間が要ると思うのですが、政治の理念としてはやはりそういう考え方でこれからの政治はやっていくべきだという考え方でございます。
  53. 小宮武喜

    小宮委員 最後に、昨日、熊本、鹿児島県の両知事が新たに五十四名の水俣病患者の認定を行なっていますね。その患者の中には、もう水俣より非常に離れた天草本島の人も含まれているわけです。それで天草本島だけでも八名の人が認定されています。その原因については、船の船長さんですから水俣に来て、そこの魚を食べたのが原因ではないかとはいわれておりますが、やはり一般的な見方では、あそこでヘドロが蓄積されておりますね。それがずっと不知火海全域にもう広がっておるというようなことが非常に懸念されております。これは特に一昨年も、諫早湾の水域で魚介類が非常に高度のカドミウム汚染をしておることが明らかになったわけですが、長崎とか佐賀県にはそういうような公害の発生源と思われる企業は全然ないのです。したがって、水産庁もこれの調査を依頼したわけですが、たぶん熊本、福岡から潮流に乗って流されてきたものが沈でんしたのではないかという見方が非常に強いのです。そういうような意味で、やはり水俣病の問題も鹿児島に発生した、やれ天草に発生したということで、その原因はどうであれ、われわれが心配するのはヘドロが潮流に乗って有明海、不知火海全域に広がっておるのではないかということが心配されるし、今後さらに水俣病の患者が長崎あたりにも出る危険性もありますので、この点について、ヘドロの処理をどうするのかということと、そういった有明海、不知火海全体の水質調査をぜひひとつ環境庁としてやってもらいたいということと、それから水産庁に対しては、先ほど申し上げましたカドミウム汚染の原因は調査されておったが、どうなっておるのかということ、以上三点を質問いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  54. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いま三点に触れてお答えをいたしますが、不知火海、あそこは袋みたいになっているのです。沿岸の人々の健康診断というものはやはり広範囲にやってやる必要がある、こういうことで先般も熊本県知事にそのことを強く要請をしておいたわけでございます。  またもう一つは、ヘドロというものが除去されないといつまでも汚染の不安というか、海域汚染の原因が残るわけですから、これは除去するという方針のもとに、いま政府のほうにおいては運輸省の港湾局長を中心にしましてこの検討を進めておる。また地元も、熊本大学なんかの協力を得て熊本県でも研究をしておるようであります。また、そのことによって第二汚染が発生するようなことになってはいけませんから、どういうふうにしてヘドロを処理するかということを早急に方針をきめて、四十八年度からヘドロの除去にはかかりたい。それから有明海については、水銀汚染の分布状態は有明海にまで調査を拡大していきたいと思っております。
  55. 小宮武喜

    小宮委員 これで質問を終わります。
  56. 佐野憲治

    佐野委員長 島本虎三君。
  57. 島本虎三

    ○島本委員 去る三日に行なわれた行政監察結果に基づく勧告によるところの環境保全のあり方、それと水俣病患者の処理についての申し入れについての回答、それと公害等調整委員会のあり方について、それから伊達火力発電の今後の対処のしかた、この四つに重点を置いて質問いたします。  まず長官に先に伺いますが、去る三日に長百のほうから、自然公園審議会に諮問中の道路問題についての経過報告、福田行政管理庁長官からは「自然保護に関する行政監察結果に基づく勧告」、これが同時になされ、それぞれ質疑が行なわれました。すべてこれは木に竹をついだような、まことに非理論的な答弁しか得られなかったのであります。たとえば環境破壊と環境保全とそれから自然破壊が両立する、それを調整をしながら両方ともいいように進める、こういうような答弁であります。これはまことに心外な、非科学的な答弁でありまして、今後これをそのままにしておくわけにはまいりませんので、いま一、二の点についてまず長官に伺いたいのであります。  この中にははっきりと、いろいろ破壊された現状に対して、また破壊されるものに対しての措置、こういうようなものが具体的に示されております。たとえば「開発行為等に対する規制の適正化について」こういうようなことであります。その中には国立公園、国定公園等の区域内における開発による自然破壊がすでに進行し、これを防ぐために特別地域の拡張等の保護対策が検討されている等の事例からかんがみて、環境庁は、これまでにきめられた国立・国定公園の規制区域について保護対策を事前に適切に行ない、こういうふうに指摘されているわけです。  それと同時に、長官のほうからは、「大雪山は、日本の代表的な原始地域であり、道路は認めるべきではない。」との意見、それから、「最近の国際的傾向として、自然公園内の自動車道路は、減らそうとする反省期に来ている。」という意見、これらと並行して、「道路建設の賛成、反対両派を招いて意見を聞いてはどうか。」「審議会として現地調査をした上で判断すべきである。」こういうような意見も併記されているわけです。  おそらく、これを見る場合には、当然、いま国民の常識である自然保護環境保全、こういうようなことに対しても、審議会の審議をする、その中に、道路建設をまず先に考えるというような委員もいるということが歴然たる事実ですよ。私は、こういうようなことは、意見として述べられておることに対してはわかります。しかし、自然環境を保全するために道路をつくるということをまず考えなければならないという考え方、はたしてこれは、長官、どうでしょうか。  同時に、妙高高原の道路については、「自然保護に関する専門学者から反対があり、これを無視すべきでなく、さらに審議を尽くすべきである。」少数意見のみが載せられている。多数意見はどうなんだ、依然として疑問であります。  この「自然保護に関する行政監察結果に基づく勧告」、それに基づいて長官が行なった「自然公園審議会に諮問中の道路問題についての経過報告」、この四つを合わせての長官の見解を私はひとつお伺いしておきたい、こういうふうに思うわけです。
  58. 三木武夫

    ○三木国務大臣 一切の道路を否定するという立場は、これはやはり合理的でないです。しかし、この道路というものが環境の破壊を伴うというものであっては、環境の保護の立場をとらなければならぬ。しかし、一切の道はいかぬのだ、そういう極端な立場に立つわけにはいかぬことは、島本委員もよく御了察のつくところでございます。  そこでわれわれは、最近勧告の中にもありますように、自然環境の保全というものが、いろいろ行政管理庁の勧告、もっともな点が多いと私は思う。今後、環境保全をする上において、何か基準というものですか、よりどころというものも要るものだと思うのです。たとえば山岳地帯における道路などに対しても、なかなか、やはり基準というものが明白でないから、審議会も、賛否両論に分かれることは事実です。あるいはまた、自然環境の保全というものに対する管理体制というものもどうもいまは、私環境庁へ来て、自然環境には関心を持っておるわけですから、国立公園なんかのレンジャー、管理員も、六十一名ぐらいしかいないのですね。   〔委員長退席、小林(信)委員長代理着席〕  この、国立公園で六十一名というのは、やはりとても管理の万全を期するわけにはいかぬわけですから、こういうところにも検討を加えなければいかぬ、こういうことで、行政管理庁の勧告というものは、われわれとしてやはり傾聴しなければならぬ点がある。そういうことで、今後、自然環境の保全については、いま言った人員、機構等も含めて、検討を加えたいと思っております。  それから、いろいろお読みになって、何か島本委員の言われたこと、ちょっと私の意味とは違った御指摘があったように思います。環境破壊をしてもいいんだというような、そういう意味は、私の申し上げたことの中には入っていないわけです。環境の保全ということはやはり第一番に、優先的に考えなければならぬということは、私の根本の考え方でございます。
  59. 島本虎三

    ○島本委員 それならば、富士保全整備法がいま出されようとしている。それに、安保条約に基づいて、あの膨大な富士破壊のための演習をそのまま認める。そして、限りなく大砲やその他の兵器をもって、演習という名で破壊する。それを認めながら、富士保全法というものを出されようとしている。破壊を認めながら環境保全はないだろうと思う。ここの点だけはどうしても合わない。なぜかというと、安保条約を認めなければならないという至上命令の上に立っているから、そういうふうにちぐはぐになるわけです。環境保全が至上ならば、環境保全のためのやつをまず出して、網を張って、そしてそれ以外の地域であるならばということを考えるのが当然じゃないか。先に演習を認めておいて限りない破壊を許しておきながら、今度は環境保全をいたしますなんというのは、羊頭を掲げて狗肉を売る策だというのです。田中内閣はそういう内閣ですか。
  60. 三木武夫

    ○三木国務大臣 お答えいたします。  私も、富士に演習場があるというのは好ましいとは思っていないのです。(島本委員「やめさせたらいい」と呼ぶ)そこは、島本委員と根本の違いは、われわれは新たに演習場をつくろうというわけではない。いままでやはりずっと、安保条約の地位協定あるいは自衛隊の自衛隊法、いろいろな点でそれは根本に違うわけですよ。島本委員はそれを否定するわけですからね。否定する者にとって不必要なものがあるという論議は……。(島本委員「環境保全では一致しています」と呼ぶ)環境保全では一致するけれども、演習場については根本的に違うわけですね。そこは、この議論をしますとこれはなかなか、やはり基本の問題に触れますから……。(島本委員「環境は破壊されるでしょう」と呼ぶ)だから私は、そういうような基本の問題に触れる問題をここで島本委員と決着をつけるわけにはいかぬわけですから、そういうことは理想ではない、富士山麓にそういう演習場がないほうが好ましいけれども、現在の状態ではやむを得ない、そういうことで、これは永久とも考えてはおりませんが、そういう条件のもとでできる限り——富士山という日本の国民からいっても非常に特別な地域でありますから、それ以外の、やはり半径二十キロまで及ぶわけですから、せめてそういう地域の環境の保全というものに今後できるだけ努力していきたい。そのためにはそういう規制があったほうがいい。そのかわりに、演習場はやはり環境保全のための協力は求めたい……。(島本委員「殺された者は生き返るのですか」と呼ぶ)殺すというようなことは、これは演習……。(島本委員「環境が……。」と呼ぶ)環境のことは、できる限り環境の保全に協力を求めるけれども、演習場でありますから、大砲を打ってはいけないということでは演習場にならないですから、そういう中においても、できるだけ環境保全のために協力を求める、こういう立場であります。  根本はやはり安保条約にさかのぼりますから、これはなかなか島本委員と——あなたとは意見が一致する点が多いのですけれども、この点については意見が一致しないことは、まことに残念でございます。
  61. 島本虎三

    ○島本委員 では、安保条約関係のない大雪山は、日本の代表的な原始地域なんです。そしてまたこれに対しては、学術的にも優秀だということはいろいろいわれているのです。それに対しても、生態学的にも変化をしようとする。またそういうようなことは過去で一回やった。ようやく食いとめた。そこへまた道路をつける計画があって、いまそれがあなたのほうにかかっている。これは安保条約とは関係ないでしょう。これもあなたはやらせるつもりですか。
  62. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私がそういう山岳地帯における道路というものにどういう慎重な態度をとっておるかということは、島本委員おわかりにならぬはずはないと思うのでございます。私はいろんな角度から、専門家等の意見をただ聞くというのではなしに、現地もやっぱり見てもらうつもりです。そして、納得のいくような一つの結論がそういう専門家によって出されなければ、軽率な決定はいたさないという態度でございます。
  63. 島本虎三

    ○島本委員 なかなか慎重な答弁なんですね。しかし、やはり自然環境はあくまでも守る、生態学的にもこれはいろいろ変化をもたらす、それが破壊に通ずるような行為は一切させない、こういうような崇高な理念は貫かれているものと解釈していいですね。
  64. 三木武夫

    ○三木国務大臣 自然の環境、しかもこれは保存しなければならぬ自然の環境というものは、これを保存することを貫きたい。ただ、しかし、一切の山岳地帯に道路は一切いかぬという説はとらない。その環境というものが保存をしなければならぬ自然環境である場合は道路は認めない、こういうことであります。それが一切の山岳地帯といわれる地域に道路は一切つくってはいけないんだということは少し現実的でない、こういうことでございます。
  65. 島本虎三

    ○島本委員 その程度でやめておきたいのです。うんと追い詰められると、何言うかわからぬようになったら困りますから。しかし、そうじゃなく、ただ確認をはっきりしておきたいのは、やはり原始地域環境保全、こういうようなものは世論として高くなっている。こういうようなものに対しては、道路をつけることによって環境が変化をする、こういうようなことはさせないものであるというような崇高な考え方に変わりないかというのですが、それさえイエスと言ってくれないのであれば、これも安保条約に基づくのか、こう思わざるを得ないではありませんか。私が言っているのは抽象的だけれども、こういうようなことで貫いてほしいということを言っているのです。そうなんでしょう。——簡単でいいです。
  66. 三木武夫

    ○三木国務大臣 保存しなければならぬ自然環境というものは、これを破壊させるようなことは認めない考え方でございます。
  67. 島本虎三

    ○島本委員 では、この問題はそういうふうにさせてもらいます。  それと同時に、本法施行によって新たな委員の選任があるはずです。その委員の選任等についても慎重に考えて、少なくとも自然破壊を促進するような利益代表は好ましくない、このことだけは私そう思いますが、長官の御意見も伺っておきたいと思います。
  68. 三木武夫

    ○三木国務大臣 自然破壊促進論者は入れないつもりでございます。
  69. 島本虎三

    ○島本委員 そのようにして最後まで堂々とがんばってもらいたいと思います。  次に、去る三十日、院内の大臣室で、政府に対してわが党のほうから、「水俣病対策の確立に関する申し入れ」を行ないました。そして、その申し入れをした土井たか子委員もきょうは見えておられるのでありますけれども、この一つ一つの項目に対して政府は善処を約束され、むしろこれ以上の姿勢をとらなければならないような個所もあるのじゃないかという、なかなか示唆に富んだ答弁もあったかのように承っております。その中で、やはり公害裁判には限界があり、政治行政の責任は重いという、こういうようなあの二十日の裁判長の訴え、こういうようなこととあわせて、患者家族は、裁判の判決によって、狂い死にした命は戻らないんだ、生けるしかばね、生き地獄の苦しみからは抜けられない、生活苦や差別扱いは解消しておらない、真の水俣病対策はこれから始まるのであるということを口をそろえて言っているわけであります。したがって、この対策というものはまことに重要だと思います。いままでの政府の無策にひとしいような水俣病対策、不十分な公害行政の責任をここにはっきりと明らかにし、真の水俣病の対策を十分樹立する、確立するということなしには、公害行政はないものだと言わざるを得ないと思います。したがって、この一つ一つに対して、大臣の見解をこの際国民の前にはっきりさしてもらいたい。  その一つは政府の行政姿勢であります。水俣病判決を契機として、四日市、イタイイタイ病、新潟水俣病等の公害判決を踏まえて、政府のこれまでの水俣病対策、公害対策を深く反省し、その責任を明らかにすべきである、この点についての見解を伺います。
  70. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私、しばしば言っておるように、行政も責任を持っておる。それはどういうことかといいますと、この水俣病というものの被害といいますか、人間の健康に対する被害というものをもっと深刻に認識すべきであった、どういうおそるべき結果が起こるかということについて深刻な認識のもとに対処すべきであったので、そういう認識の甘さといいますか浅さというものに対しては、その責任について深く反省するところがなければならぬと考えておる次第でございます。
  71. 島本虎三

    ○島本委員 責任を深く感ずるということは、これからの行政にあらわすことを前提にしておると思います。したがって、その二として、公害裁判の判決、住民要求、これらのものを踏まえて、人間尊重と環境保全の立場に立って、すみやかに既成の公害関係の諸法律を再検討の上、整備しなければならないと思います。これに対して再々伺っておるところでありますけれども、あらためて長官の決意を伺います。
  72. 三木武夫

    ○三木国務大臣 公害に関係する諸法令というものは、最近の法令でもありますし、その後いろいろ社会情勢の変化等もございますし、常に関係法令は見直していきたい。ただしかし、具体的にこの国会にどうするというようなスケジュールを組んでは考えておりませんが、公害に関係する諸法令というものは、時代のいろんな変化というものにおくれをとるような法令であってはいかぬということを基本的に考えております。
  73. 島本虎三

    ○島本委員 したがって、基本的な考えの上に立って政府も十分にこれを検討さしておる、こういうふうにいま理解しておりますが、そのとおりですか。——そのとおりだと理解いたします。  次には担当大臣それぞれ、その中心をなすのは三木環境庁長官、直ちに水俣病の現地を視察して、患者家族に接するとともに、現地の状況を十分把握して今後の行政に生かすこと、これも基本的な問題点であります。これだけはすぐでもやりたいという意思表示でありましたが、長官には再々他の委員からもこのような要請があったかに承っております。この点について長官の御意見を伺います。
  74. 三木武夫

    ○三木国務大臣 こうして毎日委員会が開かれ、島本委員の御質問を受けることでもあり、環境庁長官としては、きわめて重要なことでございますので、国会の審議等もにらみ合わせて、できるだけすみやかに行きたいと思っておるわけでございます。島本委員御承知のように、まだ予算の審議も続いております。私も予算委員会にはずっと、質問のあるなしにかかわらず、うしろに着席をしておれというくらいの御命令を受けておりますわけでございますから、そういう国会の状態等もにらみ合わせて、すみやかにそういう機会を持ちたいと考えておる次第でございます。
  75. 島本虎三

    ○島本委員 行政指導の態度でありますけれども、やはり加害企業の責任を明らかにしてPPPの原則を貫く行政指導だけは行なわなければならない。大臣相互の中にも別な意見もあるかのように承っておる。国がかわって若干やらなければならないという企業擁護の立場に立つ大臣もあると聞いておる。しかし、やはり総理をはじめとしていま三木長官あたりもPPPの原則を貫くと言うのでありますから、この機会に閣内で意見の不統一がないようにこれはき然として指導してもらいたいと思います。この点いかがですか。
  76. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私もPPPの原則を貫きたいと考えております。
  77. 島本虎三

    ○島本委員 次に患者、家族の生存権についての訴えであります。これはもう患者や家族の生涯の生活保障対策、これは今回の場合を通じましていまや世論としてその対策が迫られておる状態であります。あくまでも生活保護対策は確立すべきである、こういうような基本線の上に立っておりますが、長官も同様ですか。
  78. 三木武夫

    ○三木国務大臣 その内容をどういう形にするかということは当事者の話に待ちたいと思いますが、そういう患者の方々の生活を保障するということは当然のことだと考えております。どういう形態で保障するかということは当事者にまかしたいと思っております。
  79. 島本虎三

    ○島本委員 したがって、ともかくしいたげられ苦しんでまいりました患者、もうすでに植物的生存さえもできなくなっているような患者、こういうような人たちを見る場合にはまさに地獄の責め苦だと言わざるを得ません。何の罪もない人がそれを受ける理由もないのであります。まさに悲惨であります。そういうふうなところからして患者や家族の人間として生きる喜びだけは憲法によっても、行政の中でもこれを生かしてやりたい、そのためには教育、福祉、職業訓練、職場確保等の対策、これは行政の面からしなければならないはずであります。当然これは考えなければなりませんが、長官よろしゅうございますか。
  80. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私も、いまになって生命も健康も取り戻しがつかないわけですから、そういう非常にお気の毒な立場にある患者のために、いま御指摘になった教育とか、福祉とか、あるいは職業訓練とかできるだけのことをいたしたいと考えておる次第でございます。
  81. 島本虎三

    ○島本委員 いまだに、大臣も行ってよく状態を把握してこられたらおわかりだと思いますが、あの中には患者や家族、その人たちがいわば昭和三十年前後でございましょうか、その当時からいろいろ行政的にも、企業の一つのあり方等からしてもこの患者自身が差別待遇を受けておった、その地域から村八分にもされておった、こういうような実態もあるのであります。したがって、患者や家族が行政や加害企業を中心に地域から差別扱いを受けておったというこの実態を直ちに今後は改めるように、これはもう当然行政指導は的確に行なわなければならない問題点であります。こういうようなことを現存させておくわけには絶対まいりません。こういう状態に現在あるということは行政上の大きい問題です。長官、こういうようなものをすぐ命令を発してもなくさなければならないはずです。当然でしょう。
  82. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはまあ行政指導という、そういう面もあるんでしょうけれども、地域社会全体として、そういう不幸な事態が起こった場合にみんなが、水俣市なら水俣市という地域社会全体でこれを守っていくという社会連帯的な風潮もやはり今後助長していく必要が私はあると思います。
  83. 島本虎三

    ○島本委員 第三番目は、医療の充実及び確立についてでありますけれども、これはもうすでに何回も他の委員からも申されておったことでおわかりのとおり、あの沿岸住民だけではなくて、県外の転出者を含めて一斉検診を強力に実施して患者の発掘も当然これは考えてもいいのじゃなかろうか。他の企業にも同じようなのがあります。休廃止鉱山、砒素中毒なんか、それにも増してひどいのはこの水俣の有機水銀中毒であります。したがって、これは県の内外、転出のいかんにかかわらず患者の発掘を行なう作業も、これは当然展開しなければならないと思いますが、これは通産省にでも命令して、まさに諸悪の根源を断たなければなりませんから、その意味で強くこの点は要請し、実施させなければならないと思います。長官の御答弁を伺います。
  84. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私は先ほどにもお答えいたしたと思いますが、熊本県知事にも広くやはり一斉検診をするようにということを申しておるわけでございますから、できる限り水俣病の患者の人たちを捕捉できるような、今後はそういう努力をしてまいりたいと考えております。   〔小林(信)委員長代理退席、委員長着席〕
  85. 島本虎三

    ○島本委員 その努力をしてもらうことにいたしまして、しかし日本の内外の、これは最高の医学水準で解明が行なわれていない。治療方法、こういうようなものに対して十分に解明を行なわせなければならないはずであります。  それと同時に、水俣病の多発地区を中心に医療機関の充実、新設、この二つはもうすぐ差し迫った重要な問題でありますが、長官、これは急ぐべきであります。この点についても、この際ですから、決意を伺っておきます。
  86. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私もせめてできることは、治療方法を確立して、できる限り患者の方々の苦痛を軽減するような努力をする必要がある。それですでに水俣病に長い経験を持っておる学者や医者の人たちもいろいろ来てもらって話を聞きましたし、新潟大学あるいは熊本大学の医学部の教授連中も長い間水俣病に寄与してきたわけですから、そういう人たちの意見も聞いて何か理想的な医療センターのようなものをつくりたいものだ、そういう方針のもとにいま検討をいたしておる次第でございます。
  87. 島本虎三

    ○島本委員 検討から早く実行の段階に行くように、これも重要な問題ですから、ひとつ心からこれは要請しておきます。  それから現在の社会情勢、経済情勢を見ましても、物価の高騰は目に余るものがあります。同時に現行の医療手当や介護手当、このようなものでは十分な患者に対しての手当てはできません。  全国どこでも受療できるような医療手帳等の交付等も考えて、どこへ行っても基本的にはとうとい命だけは確保してやるような体制にこれはもうしなければならないと思います。せっかくこの判決がなされて、そうしてこれも政府も、企業もあわせて今後責任を問われている段階でありますから、政府としてできる行政上の処置としても当然だと思うのです。全国どこでも受療できる医療手帳の交付、こういうようなものを当然考えなければならないのであります。こういうようなものはすぐ考えさせようじゃありませんか、大臣。
  88. 三木武夫

    ○三木国務大臣 この水俣病というのは特殊な病気でもありますから、全国どこへでも行って治療を受けられるようにすることは専門的に検討する必要があります。私は考えたいと思うのは、なるべく患者の側に立ってその苦痛を軽減できるような方法をとりたいということですが、いま言ったように、水俣病は特殊な病気でもあり、全国のお医者の方々の治療ということには問題があろうかと思いますので、いまの御質問はもう少し専門的に研究してみたいと思います。
  89. 島本虎三

    ○島本委員 あくまでも、やはり現存の状態でははたしてどこへ行ったならばほんとうの治療ができるのかわからない。手さぐりででも行って、自分のからだの保全をはかるというような差し迫った状態であります。したがって、熊本以外にはないということもいえない、北海道にあるかもしれない。そういうような場合には、どこへ行っても治療を受けれるようにしてやるのが親心であり、そうでなければ画竜点睛を欠く、こういわざるを得ないと思います。十分この辺に留意してもらいたいことも要請しておきます。  あわせて、第四番目には、科学的調査についてであります。これは、無機水銀の有機水銀化の解明と統一見解の確立、まだまだこれはできておりません。しかし、できていないうちに患者だけはふえているのでありますから、これは急がなければならないと思うのであります。それと同時に、魚介類になお水銀が含まれておる。その長期摂取の人体に及ぼす影響、こういうようなものに対しても、まだ学術的にも明らかにされておらない、こういうような状態があります。したがって、不知火海の調査を全般的に行なって、先ほどの質問のように、住民の不安を除去することがいまや科学的調査に基づいてこそ、これが実現できるのでありまして、長官、ここは急ぐべきである、こういうように思いますが、この点についての御意見を伺わしてもらいます。
  90. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いま島本委員の御指摘のような問題は、重要な問題だと思います。無機水銀から有機水銀への転化あるいは微風な魚介類に蓄積したものの人体に対する影響、いろいろ解明せなければならぬ問題がございますから、医療のための一つの施設ばかりでなしに、そういう根本の問題にも触れて、研究のできるような体制をあわせて考えていきたいと考えております。
  91. 島本虎三

    ○島本委員 それで、この際やはりはっきり聞いておかなければならないのは、六百トンに及ぶといわれる水銀ヘドロ、その他有害物質の浄化対策を早急に講ずる。それと同時に、漁業被害に対する補償と、漁業振興対策も行政の面から十分考えてやらなければならない状態に来ていると思います。この点も考えながら措置してもらいたい。これを強く要請いたします。これに対する見解も伺います。
  92. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私もヘドロは除去しなければ禍根は断てないという方針で、除去するためには政府と地方自治体の協力関係が必要でありますので、運輸省とさっそく連絡をとりまして、港湾局長にもヘドロの除去についてあらゆる角度から、政府の側からも校訂してもらいたいということを要請をしたわけでございます。地元も熊本大学の工学部においてもヘドロの処理問題についていままで研究を続けてきておるし、熊本県も非常に関心を持っておりますから、政府と地方自治体一体になって、第二次汚染を起こさないような方法で、ヘドロの除去というものをどうやるかという方法をひとつ結論を得て、今年中にでもその工事にかかりたいと考えておる次第でございます。
  93. 島本虎三

    ○島本委員 大体いま言ったそういうような御答弁、これは直ちに実行に移して、そして、再びこれを繰り返さないように、副総理として、今度他の官庁に対しても、この点等においては十分指導すべきであります。調整すべきでありましょう。それと同時に、閣内で意見の不一致を来たすようなことがないようにも十分配慮して、こういうようなことを再び繰り返さない、こういうような対策を講じてもらいたいことを心から要請いたします。  それと同時に、公害等調整委員長も来られておりますが、訴訟派は終わり、一任派は終わり、自主交渉派も終わり、そしていま残っておるのは公害等調整委に提訴した人たちでありますが、これに対しての対策はどういうふうになっておりますか。
  94. 小澤文雄

    小澤政府委員 公害紛争の迅速適正な解決ということが調停制度の目的であることは当然でございまして、水俣病の調停もその線に従って鋭意努力をしてまいったことは当然でございます。  ところで調停は、終局的には双方の話し合い、合意をもって成り立つものでございますが、この水俣病事件につきましては、さきに熊本地裁の判決がございまして、その後会社のほうではこの判決を基準として補償を行ないたいということを表明いたしましたし、また調停を申請をしている患者側からも、患者相互間の不公平が生じないように判決並みの補償を受けたいということの希望を私どものほうに申してまいりました。ほぼそれで双方の合意に近い基本の線はできたと思われましたので、これを土台にいたしまして、あとは判決で示された患者のそれぞれの事情と、それからそれぞれの患者に対する補償額との関係検討しまして、その判決にあらわれている理由で示された状況とほぼ同じような状況の患者に対しては、同じような不公平のない調停が出されるのが通常じゃないか、妥当じゃないかというような、そういう観点でいま個々の患者についての調停の作業を進めております。それで最終的には、各調停委員が現実にその患者たちを見なければならぬわけでございますが、この数日中にも各調停委員が現地に参りまして、最終的な結論を出すために個々の患者に当たって調査するという予定になっております。  それからなお水俣病の被害者が非常にお気の毒な状況にあることは御承知のとおりでございますので、調停の成否を問わず一刻も早く現実の救済をはかりたいと思いまして、委員会のほうから会社側にとりあえず仮払いをするようにということを申し入れまして、これは会社でやはりこれを受け入れましたので、近日中にその仮払いが開始されることになる、そういうふうな予定になっております。そういうわけでこの仮払いによって当面の急を救い、なお至急に最終的な調停そのものが成立するように努力をする次第でございます。
  95. 島本虎三

    ○島本委員 ここにあるのは先般の公害等調整委員会、この審議の状態を含めたいろいろな報告書がなされております。四十七年、去年この法律が成立しておるのであります。国家行政組織法第三条によってのいわゆる三条機関としての意義をここに持たされたのであります。したがって、原因裁定なり、今後仲裁の中には裁定権も持つようになっておるわけであります。したがって、原因裁定や責任裁定も行なえるようになっているのです。この水俣病に関しては、いままでいろいろな複雑な経過もあったようです。まあ、あったに相違ありません。しかしながらこれが仮払いによってそれをやってやるという行政措置、いいと思います。しかしもしこれが単独でやったならば、判決が出たよりも低い額でまたおさまったのだということになりますと、これはまさに三条機関の存在意義を問われるような重大な結果になったんじゃなかろうか、こういうように思うわけです。したがって、いま仮払いといった以上、判決そのものより上回っても下回ることがあってはならないのじゃないか。それが費用やまた権限においても準司法的な行政機関としての意義でなければならないと思っているわけです。  いま仮払いをやったと承りました。しかし今後本払いなりをやった場合には、それを下回ることは万々あり得ない。しかし同じだということにおいては、今後やはりその存在価値さえも、どうかすると疑われる。それより上回ったということになって、ようやくこれが、さすが小澤委員長以下、事務局長川村君もよくやったということになるのじゃないか。これに対して仮払いのままで全部終わるのか、どういうような決意でこれを結審されようとするのか、ひとつその決意を聞かしてもらいたいと思うわけです。
  96. 小澤文雄

    小澤政府委員 ただいま申し上げました仮払いは、もちろん仮払いでございまして、このほんとうの解決は手続の上で最終的に調停を成立させ、その条項の中できまるわけでございます。  それで、その場合にどういう金額になるかということは、これはやはり具体的な患者ごとにそれぞれの事情によってきまるわけでございまして、先ほども申しましたように、基本的には判決を受けた患者の皆さんとの間に不公平があってはいけない、そういうことを考えております。ただ、具体的にどの患者に対してどういう金額になるのか、あるいはそれを具体的に適用したときに、判決で最高の額をもらった人よりもっと高い額をもらう人が出るのか、あるいは判決で最低の額をもらった人よりももっと低い額をもらう人が出るのか、それはまだ具体的には調査中でございますからお許しいただきたいと思うのです。  ただ、もう一つ申し上げたいと思いますのは、先ほど仮払いのことを申しましたけれども、この仮払いは患者ごとに千六百万円という仮払いを会社に承諾させたわけでございますけれども、さらに調停の場合には、それに加えて、判決で示されたような家族の受けるべき、諸般の事情を考慮した上での慰謝料の額が調停ではさらに問題になろうかと思います。  これを水俣難件の調停では、申請人は患者だけでございまして、家族が患者と並んで申請しているという形にはなっておりませんけれども、その点は何らかの方法で家族の分も見解を明らかにして救済にいささかも不公平のないようにしたい、そういうようなつもりでおります。
  97. 島本虎三

    ○島本委員 やはり三条機関として独自の調査機関を持ち、研究機関を持ち、そして準司法機関として裁判の判決に劣らない、またそれ以上の努力を傾注して、そしてそれに劣らないような決定をなし得るという、ここに魅力があったわけであります。しかしあたかも判決にたより、そして判決程度のもので終わるということになりますと、私としては三条機関にして、これを声高らかに発足させたそれには、あまりにも期待のほうが過大であったような気がいたします。  しかし何にしてもこれは正確に行なわれなければならないのでありますが、その正確の中でも、裁判の判決がまず出た。その他のほうはそれに対して順応していった。まず公害等調整委員会のほうにかかっているのがまだある。その分については取りこぼしが一つもないという完ぺきな結果を期待したいのです。そして額等においてもいろいろ調査した結果、いわゆる裁判よりも上回るものも出たというのが一つや二つや三つや四つ出ても当然しかるべきじゃないか、こうも思うのであります。これがやはり公害等調整委員会、国家行政組織法第三条によるところの準司法的な機関の存在価値なんだ、こういうふうに思うのであります。私はそれを期待していたのでありますが、私の期待は過大でございましょうか、委員長
  98. 小澤文雄

    小澤政府委員 御趣旨はよくわかるのでございます。仰せのようにこの委員会は三条機関として全く独自に公平、適正な調停をすることを目途として、水俣事件の調停にも全力を傾けている次第でございます。ただいま申されましたように、判決よりも上回る金額が何件か出るかどうかということ、これをいますぐお答えすることは、これはできませんので、どうか、そう遠くないと思いますが、数日中にも現地に行って最後の調査を完了する予定でございますから、それをお待ちいただきたいと思います。
  99. 島本虎三

    ○島本委員 やはり法制定のその権威を傷つけないように、そして今後国民の期待に十分沿ってその機関が運営できるように、これを身をもって今回は示してもらいたい。このことを心から要請しておきたいと思います。  次に私は、最後に伊達火力の問題についての見解をはっきり聞いておきたいと思うのです。  すでに御存じのとおりに、伊達火力の問題では強制着工が十日ごろの見込みだということが流布されております。有珠漁業協同組合第四十四回の臨時総会が、これは流会に終わってしまいました。そして環境権の裁判がいま進行中であります。進行中であるだけじゃございません。この虻田の町長がリコールされて、リコールの選挙が十五日から始まるのであります。その十日を目ざして強制着工の準備をいましているということであります。これは何のためにそういうことをするのか。環境裁判にもかかっておる。裁判だけじゃない。すでに知事も中曽根長官も、この点に対しては民意を十分考えた上で行なうということを言っておるのに、強制着工しようとする北海道電力の行き方に——逆にそれをけしかけているのが通産省である。言語道断だといわなければなりません。北海道の情勢を十分把握しておられるのかどうか答弁を求めます。
  100. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 島本先生からのお話で、通産省が強制着工をけしかけているというお話でございますが、そのような事実は絶対ございません。通産省といたしましては、あくまでも地元と十分な話し合いをするということを、北海道電力に対しまして申しておる次第でございます。
  101. 島本虎三

    ○島本委員 地元と話し合いをする、またさせなければならない、当然であります。しかし漁業協同組合がこのために流会になっておる。それと同時に、いま着工の時期を十日にめどを立てて、そして強制着工しようとするわけです。その理由は一つ、電力事情が待てない、こういうようなことです。北海道の場合は電力事情が待てない理由は一つもないのです。聴聞会では予備率二〇%だといっている。本州ではそれほどの予備率を持つところはないのです。何のためにそこを強行しなければならないのですか、通産省。こういうばかげたことは許しちゃいけないのです。  環境庁長官、この行政監察の中でも、許可基準の作成について、「自然公園法に基づく許可については、許可の基準は定められておらず、たとえば、樹林の保存を考慮すべき地域に宅地造成を許可し、その後、隣接地についても単に前例にならって許可したと認められるもの(例、支笏洞爺国立公園特別地域(北海道有珠郡壮瞥町))」こういうようなところがみな入っているのです。勧告を受けた場所です。ここに火力発電所の影響がくるのです、重油専焼の。どうして北海道一の風光明媚な、そして温暖な、北海道の湘南地帯といわれるようなこういうような地帯に、よりによって火力発電所をつくらなければならないのですか。それくらいの土地は北海道の面積からするとどこにでもあるのです。北海道は一県並みの扱いじゃないのです。九州、四国、中国を足して広島を引いたくらいの大きさです。何でほんの針の先ほどのこれに固執して、まさに行政勧告の面からもそれに反するようなことを通産省はやり、また教唆し、扇動し、そして地元に流血の惨事を起こさせようとすることをさせるのですか。環境庁長官を経てちゃんと勧告されているじゃありませんか、通産省。その地域ですよ、影響される地域は。それだけじゃないのです。温排水調査、これあたりは十分しておらないのです。したと思われる温排水調査、それはうそであります。うそだということははっきりわかってきた。このうそをもとにして電調審にかけて熱心にやらした張本人はその辺にいるだろう、公益事業局長。温排水はこれは有珠まで影響しない、こういうようなことになっている。ところが調査書によれば、二一ページに有珠にも影響する、こういう調査書が出ている。うその電調審の資料によってこれを許可している。それが北海道一の風光明知、環境優秀な土地にこれを強行しようとしている、こういう行政のうしろ向きなやり方はありません。環境庁長官は調整権の発動をこういうようなときにすべきじゃありませんか。ましてその資料といわれるのは、北海道電力から出された資料そのままに出してきたものを受け取っている。まさに大企業と資本の走狗が通産省じゃないですか。こんな間違った態度で決定することは許されません。温排水調査についての基本的な考え方、これは間違いであるということは指摘されております。これについてもいまこれを強行させようとするのですか。強行したならば血の雨が降るのです。それを児ながらこれをやらせようとする通産省の企業寄りの態度、これは許すことはできません。長官、調整権の発動をすべきです。長官の意見を伺います。
  102. 三木武夫

    ○三木国務大臣 伊達火力発電、地元で御指摘のような問題が起こっておることは承知しております。こういう火力発電の建設をめぐって地元に血の雨が降るというようなことは、これはもう穏やかならぬことでございますので、北海道庁にも通産省にも北海道電力に対しても、地元との調整を十分にするようにということを強く要請をいたしておる次第でございます。
  103. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 伊達火力発電所の問題につきましては、再三、再四、島本先生からの申し入れもございますし、われわれといたしましても、あくまでも地元にそういう流血の惨事を起こしてはいかぬということ、これはきびしく申しております。したがって、着工するに際し、そういう不測の事態は極力避けなければなりませんし、またそういうことがあれば、私たちも起こらないように時期、方法等につきまして十分な指導をこれからもやっていきたい、こう思っております。
  104. 島本虎三

    ○島本委員 ぜひそういうことのないように、強行着工させないように、合意を取りつけるまでこれはやらせないように。予備率もあるのに何のために北海道をよごすのか。よごす証拠はまだあるのです。使用重油の硫黄含有率一・七%のものを使うことになっているのです。ところが東京電力では、先般当委員会調査によっても、品川火力では〇・六%のものをたく、大井火力では〇・一%のものをたいている。そして川崎ではもうすでに一時間価〇・一PPM以下、二十四時間平均値〇・〇五PPM以下、これが川崎の硫黄酸化物に関する環境目標値、規制基準です。そしてその中では中原区、高津区、多摩区では年間平均値が〇・〇一二PM以下にする、二十四時間平均値が〇・〇五PPM以下にする、もうすでに多摩地区やその方面では完全にこういうような自主規制に入っているのです。ところが北海道のほうでは何たることですか。国立公園の地帯であって、そして、これまでに及ばないようなのが、企業努力の結果、もう自然破壊いたしませんということでやろうとしているのです。まさに殿さま商法です。こういうばかげたことを環境庁、知っているのですか、各局長は。船後局長なんか居眠りをする段階じゃないのですよ。もう少し環境庁の各局長も、この問題に対して通産省のほうを見てやらないと、だめなんです。現に川崎でやっている、よごさないために。そして、これからせめてよごれていない多摩地区、この方面にやろうとする環境目標値、これより悪いものを押しつけようとしているのです。それが努力の結果ですか。こういうばかげたことは許されません。もう少し事務当局、督励しないとだめなんです。  政務次官、この点ではだめですよ。どこまで日本をよごしたら気が済むのですか。電力事情によってどこまで日本の風光明媚なあの国立公園の周辺地をよごしたら気が済むのですか。場所はほかにないのですか。なぜほかの場所を考えないのですか。広大な土地が山ほどあるのです。そういうところに強行着工しようとする。それに対して何ら手を施さない。努力など何もしてないじゃありませんか。これだって現に川崎でやっている。これより悪い平均値を押しつけようとしている。冗談にもほどがある。私は満足いたしません。もう一回、これは再点検が必要だと思う。政務次官どうですか。
  105. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 硫黄酸化物の排出基準等につきましては、この前もお答えいたしましたように近く改正されるであろうという排出基準、これをある程度見通しまして、それでもなおかつ耐え得るだけの施設を、あるいは燃料を使うように今日まで指導してまいりましたし、また事実できるだけ低硫黄の燃料を使い、機器、設備等におきましてもそういう排出基準をオーバーして迷惑をかけるようなことのないように、北海道電力のほうでも確約しておるのでございます。したがいまして、万一そういう事態が起こるようなことがございましたら、これはもう仰せのとおり直ちにそういうことを(島本委員「起こってからじゃおそいんだよ」と呼ぶ)そういうようなことも考えられますが、(島本委員「過去のくだらない例をまた繰り返してはならぬ」と呼ぶ)現在の状態ではそれに耐え得るものとして判定し、許可し、認可したような次第でございます。
  106. 島本虎三

    ○島本委員 それは許されません。水島工業地帯では、鷲羽国立公園の特別地区で、その辺の松まで枯らしている。もう少し環境保全のために長官がんばらないとだめですよ。あれも同姓の三木知事が、過疎対策を施行して、そして次男、三野を東京や大阪のほうへやらないでもそこで産業を興す、公害のない企業を誘致してやるのが、新産都市のあの始末なんです。今度は旧全総によって鹿島が四割操業してもまだ公害。そのときだって公害出さない、出さない。出さないと言った以上、出したら辞職すべきですよ。これは、出したら、じゃ、今後出きないようにする、これが通産省の一つのいままでのやり方じゃありませんか。出さない。出たならばどうするのですか。現に出ているじゃありませんか。ほんとうに出さない施薬があるならば、現在のコンビナートを稼働しているその中できれいにしてみせて、これはだいじょうぶですと言ってみせて当然です。それをそのままにして、これと同じようなものを他に持っていって、これは起こしません。同じようなことを何回繰り返したらいいのですか。住民との合意が必要だ、こういうようなことを強く皆さんからも要請される——まあ答弁もありましたから、なお次までこの問題に対しては十分事態を見守り、監視していきたいと私は思います。そして、必要な場合にはどなたかに辞職勧告をしなければならない。国会侮辱罪でこれまた責任をとってもらわなければならない。こういうような人も出るかもしれません。私はいまこういうような重大な決意をしながらきょうの質問だけは終わらせてもらいますが、これで満足はしておりません。次まで事態を十分見きわめることを宣言して、私の質問はこれで終わります。      ————◇—————
  107. 佐野憲治

    佐野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件、特に水俣病問題調査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 佐野憲治

    佐野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 佐野憲治

    佐野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  110. 佐野憲治

    佐野委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について質疑を続行いたします。岡本富夫君。
  111. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間があまりありませんから、率直にお聞きいたしますが、先日の報道を見ますと、米国の地球資源技術衛星アーツというのですか、一号が宇宙から送ってきた写真を分析した結果、日本列島の汚染、都市の大気汚染などの実態が驚くほどの精度でとらえられている。そして、科学技術庁の解読によりますと、まあ大気汚染はおきましょう。特に大阪湾、紀伊水道を写した緑色光あるいはオレンジ色、こういうような画像を合成すると、非常にこの汚染がよくわかる。大阪湾中央から明石海峡までの汚染水が黒くあらわれておる、こういうような報道が出ております。  そこで、どうしても瀬戸内海をまず環境保全をしなければならぬというわけで、私どもはすでに法案を提出しておりますけれども、環境庁としては、いつごろ瀬戸内海の環境保全法の提出をするのか、このめどについてひとつ……。
  112. 三木武夫

    ○三木国務大臣 ああいう日本のすぐれた自然の環境を持っておる瀬戸内海でありますから、これを浄化したいという強い熱意を持っておることは御承知のとおりであります。そのために沿岸の各県の知事とか特別市制をしいておる市の首長にお集まりを願って相談も始めておるわけでございます。われわれとしては、総合的な対策を立てなければ瀬戸内海の浄化はできませんわけですから、そういう面から、どのようにして瀬戸内海の浄化を年度計画的にやっていくかというものを検討を加えておるわけでございまして、いまこの国会に政府の提出法案として瀬戸内海の特別立法というところまで踏み切ってはいないわけでございます。いろいろ各党においてもこの特別立法に対して御研究が進んでおるということに対しては敬意を仏っておるわけでございますが、まだこの国会に特別立法を政府が提案するというところまでわれわれの決意はいっていないというのが実情でございます。
  113. 岡本富夫

    ○岡本委員 しかし、それじゃちょっと話がおかしいですね。すでに自民党のほうもいろいろ検討しておるらしいですが、長官は所信の表明でも、このよごれた、だいぶよごれておりますけれども、これをきれいにして次の後代にまで、次の時代までもこの日本列島を残さなければならないという御決意を所信演説でされている。にかかわらず、今国会にはとても出ないというようなことでは、その所信表明といささか大きな隔たりがあるのじゃないか、私はこういうように考えるわけであります。  そこで、ことしの二月十四日、長官は、瀬戸内海環境保全知事・市長会議、ここに出席をなすって、瀬戸内海の新規埋め立ては全面禁止、また現在進んでいる埋め立てについても再検討する、こういうような根本的な課題をあなたのほうから発表しております。この埋め立ては、おそらくあなたも、私のほうもそうでありますが、自然浄化力、自然浄化、要するに瀬戸内海は六十年に一ぺんしか水がかわらぬということでありますから、そういうようなことでこうした発表をされたと思うのですが、ほんとうに内海の新規埋め立ては全面禁止する、また現在進行しておるところの埋め立ては再検討する、これはほんとうのそういう決意ですか。これはいかがですか。
  114. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私はこの瀬戸内海の浄化ということは、一政府だけの力でできるものではないと思っているんです。やはり沿岸の県、市、地域住民というような広範な協力のもとに瀬戸内海をきれいにしようということにならないと目的は達成できない。その中においても沿岸の県とか市というものがほんとうにひとつ瀬戸内海をきれいにしようということで、熱意、行動にみながあらわれてくるようにならなければ、目的はなかなか達成できにくい。そういう点で、瀬戸内海の浄化にはそれくらいの決意が必要なんだということを一つの提案として、いろいろな議題を提供しないと、いろいろな、ああでもない、こうでもないという会議に終わりますから、その会議は、瀬戸内海浄化に対する一つの提案のような形で、各知事あるいは市長の意見を聞くことにしたわけです。  そうして、いろいろな議論が出たことは事実でございますが、しかし全体としての空気は、埋め立ては抑制しなければいかぬということが最大公約数として出てきた意見でした。しかし、全面禁止といいますと、現に公害防止のためにいろいろな施設をするために埋め立てを計画しておる県もあるんだというような話がありまして、それがその会議の結論としてそういうことになったというのとは違うわけですが、しかし、とにかく埋め立てというものは抑制しなければいかぬということではみなの意見が一致したことは事実でございます。  ここで、今後その特別立法ということに対しては、検討はしているのですよ、岡本委員、私らのほうでも。しかし、いまこの国会ということになりますと、これは総合対策ですからね、瀬戸内海の浄化というのは。これだけ一つやれば浄化ができるというなら、特別立法でも、やるのですよ。しかし、各省にもまたがるし、また総合対策でありますから、どうも、この国会に提出をお約束するのには、政府案としてはもう少し研究と調整を必要とするのではないかということで、用心深くお答えをしておる。私が言うたら、それが間違ったら許す岡本委員でありませんからね、一ぺん言うと。そういうことで、研究をいたしておることは事実ですけれども、まだ、この国会に政府案として提出するのにはとにかく熟していないような状態でありますので、率直にお答えをしたわけでございます。
  115. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官は、予算委員会のときにも、瀬戸内海は総量規制をやらなければならぬというような発言もされている。ただ、そう言って、総量規制するあるいは埋め立て禁止をする、そういうアドバルーンだけぽっと上げて、そしてあとほうっておく、そういうようなことでは、瀬戸内海はそれだけきれいにならない。それから、環境庁は調整機能でして、権限がそこまで及ばない。あなたは副総理だけれども、やはり法的に。そこでわれわれは、どうしても、瀬戸内海環境保全本部というようなものを総理府の中に設けて、そして長官に国務大臣を当てる。しかし、これによって環境庁長官の権限を取ってしまっては困りますから、環境庁長官をここへ持っていって、そして権限を与え、そしてやっていこう、私たちはこういうような対案を持っているわけですけれども、それはそれとして、そこで、長官はいま、皆さんの意見を聞くために課題を出しただけであって、決して、全面禁止をしたり、あるいはまた、いま埋め立てしておるところを再検討しようという考えはないのですか、それともあるのですか、どうですか。
  116. 三木武夫

    ○三木国務大臣 それは、いま私が申し上げたのは、知事、市長の会議で、この問題に対して各県の知事、市長の間に、みなの合意は達成しなかった。みながそういうことをやろうというような、そういう合意は達成しなかったけれども、瀬戸内海をきれいにするためには埋め立てというものを今後抑制していかなければならぬという程度まではみなの合意は達成をしたという、客観的なことを申し上げておるわけでございまして、瀬戸内海というものは、いま言ったような公害の施設などをやる場合に——そういう場合も実際に起こるでしょう、いろいろな公害施設なんかの、埋め立てを。それで埋め立てによってそういうことの施設の土地というものを求める場合も、実際問題あるでしょうから、そういう例外を除いて、原則的には、新しい埋め立てというものはこれはもうやめる。そうしていままで埋め立てをしておるようなところにおいても、そこのところへ持ってくる企業などに対しても、いろいろな検討を加えていくというぐらいの決意がやはり要るのじゃないかと私自身は思っておるわけです。  しかし、先ほど申し上げたのは、その会議ではまだそこまで合意は達成しなかった。抑制しようということで、その程度の合意は達成できたと私は見ておりますが、会議としての結果はそこまではいかなかったということを申し上げたのです。それは会議の客観的な御説明を申したにとどまるわけでございます。
  117. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、あなた、環境庁長官らしからぬ、先ほどからの答弁を聞いていますとね。この会議の話、それはそうですけれども、話をずらしてはいけない。あなたは環境庁長官として、あの所信表明にあったように、ほんとうに瀬戸内海をきれいにしよう、日本列島全部ですけれども、わけても。そういう考えのもとに、いまお話しの中では、公害を除去するためのそういうものの埋め立ては必要だ、これはわかります。しかし、公害を除去するのではなくして、ただ工場あるいはいろいろな港湾をやるとか、こういうものに対しては、規制を加える、こういう考えは変わっておりませんですね。
  118. 三木武夫

    ○三木国務大臣 それは当然なことです。
  119. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、実は科学技術庁の調査によりますと、海水が自然浄化する、これはああいう岸壁ではだめなんですね、砂浜でないと。そこで海水が何べんも波打ちぎわに来て、そしてきれいになるのだということでありますから、これは極力押えなければならぬ。いま長官、公害を防止するためのものに対しては、これはまあ一応検討、そうでないものは抑制しなければならぬということでありますが、一つだけ、時間がありませんから……。  先般、長官のところへ私どもが、現地から陳情に見えましたのでお連れしたことがあります。これは御承知のように西宮の浜甲子園、鳴尾甲子園の公有水面埋め立て工事でありますが、これは港湾工事でありますけれども、すでに四十六年に許可はなっておりますが、いままだ一部しかできてない。この付近は、御承知のようにいまちょうど甲子園で野球をやっているあの球場のすぐそばでして、ここには渡り鳥、要するに鳥類の遊び場というのですか、そういうものもある、自然環境を残さなければならぬ、こういうところで、あのときに一万二千名からの署名を持って来たわけでありますが、このときに、長官はお答えの中で、これは兵庫県のことだから、兵庫県のほうに皆さん方からやってもらうということで、あなたは若干逃げたのですが、いまの御答弁を聞きますと、公害防止でないものに対してはひとつ規制を加えなければならぬという心の中、したがって、もう一度再検討を兵庫県あるいは運輸省に、これは特に港湾の埋め立てでありますから、やらしていただきたい。そういう決意はどうか、これをひとつお聞きしておきます。
  120. 三木武夫

    ○三木国務大臣 先日岡本委員もおいでになって、私も直接会ったわけです。珍しくああいう陳情といいますか、それに各政党が来られたわけですが、この地域というのはすでに埋め立ての免許を得ておる地域ですから、やはり新規のものに対しては、私、先ほど育ったのですが、すでに免許を得ておるものについてもいろいろ用途などに対して検討を加えていくようにということを私は言ったのです。これは大部分が免許を得ておるのです。そこへ有力な各党の代議士の諸君が来られたので、何かああいうことで地元と県というものとが対立するということについては、来られた方の中に、埋め立てそのものよりもやり方自体に対してもいろいろ御希望があるようでした。そういうことですから、有力な各党の代議士諸君が一緒に来られておるわけですから、こういう話は県と地元住民との間の話はつかないのでしょうかと言ったのでありますが、みなおいでになっておる代議士諸君は、わしが解決してやるというふうに言われたから、そういうことで地元で問題が解決されることは好ましいと思うのです。やはり地元の選出の代議士が、しかも超党派で、免許になっておる地域を主としておるわけですが、それと県との間に立って解決をされるということになれば、形として私は好ましいと思うので、逃げたのではないのです。その場面をごらんのように、わしがやるというように発言された方もございましたし、これは地元の選出代儀士としては、一つのやはり諸君に関係をすることでもありますし、自分の選挙区ですから、そういうことで、それは好ましいということで、あの場面で逃げたとおとりになることは、ちょっと私も承服いたしかねると申し上げるよりほかにございません。
  121. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、私の言っているのは、それはそれとしまして、瀬戸内海の環境保全、こういう面からしましたら、この埋め立てというものは、御承知のように海水が自然浄化力を失うわけです。そういう面から再検討をしなければならない、これはもうできてしまっていると言うのだったら話にならないのですけれども、地図がございますけれども、まだほんのちょっとやったところであって、これからのやつが非常に大きいのです。これで埋め立てが行なわれますと、自然浄化力というのはうんと減ってしまう。御承知のように、先ほど私が申しましたように、一部は野鳥の生息地である。ですから、そういうところを再検討を、要するに総量規制も行なうということは、自然浄化力を非常に重視しなければならぬわけですから、全然だめにしてしまってから、それからやるというのではなくて、やはり一ぺんあなたのほうで検討をしていただきたいということを私は要請しておるのです。その点についていかがですか。
  122. 三木武夫

    ○三木国務大臣 環境を保全していくためにそこにどういうものを、埋め立てした上のいろいろな施設等についてもいろいろ問題があろうかと思うので、その点については兵庫県とも十分に連絡をとることにいたします。(岡本委員「水質のほう」と呼ぶ)水質のそういういろいろな点についても今後注意をいたします。
  123. 岡本富夫

    ○岡本委員 注意をするということは、もう一度科学的な調査検討するということにとっておきます。そうでないと、注意したって、まだこれからやるところなのでしょう。埋め立てをすれば自然浄化力はなくなってくるというのです。だからそういった面を海のほうから、要するに瀬戸内海を環境保全する上において一応検討していただきたい、こういうことを言っておるのです。
  124. 三木武夫

    ○三木国務大臣 もう一ぺん調査をしますということになれば、いま工事は進んでおるようですから、それを全部ストップさせてやらなければなりません。そのお約束はいたしかねますけれども、これが将来環境汚染というものに対して非常な影響を与えないように、十分な監視はいたします。再調査ということになれば、全部工事はストップさせて、そしてやり直さなければならぬ。そこまでは考えていないわけでございます。
  125. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、これを許可したときは、四十二、三年ごろからずっと検討してきておるわけでしょう。これは港湾の埋め立てだけでしょう。そのころは瀬戸内海のこういった環境保全をしようというような大きな世論といいますか、あるいは政府もそこまで考えていなかった。ただ埋め立てだけ、それも埋め立てを許可したのは運輸省ですよ。今度は立場が違うのです。いま埋め立てはちょっとやっているだけです。あとはストップしてます。だから、もう一回そういった瀬戸内海の環境保全の立場からチェックする必要があるのじゃないか、それだけをお伺いしておきたいと思うのです。
  126. 三木武夫

    ○三木国務大臣 免許しておるものを環境庁長官が取り消すということは……。(岡本委員「取り消しじゃない、チェックすることを言っている。」と呼ぶ)だから、そういうことによっていろいろな環境への将来の影響というものに対しては、十分監視はいたしますけれども、岡本委員は、これをストップさせてやれということがお考えの中にあるのだと思うのですが、そこはいろいろな法的な問題もありますし、したがって、われわれとしては環境への影響というものに対して十分な監視をいたして、そのことが瀬戸内海全体に対して非常に悪い影響を与えることのないような監視は十分にいたします。しかし、埋め立て免許そのものを、過去にさかのぼってストップさすということについては、いろいろな権限上の問題もあると思いますから、この点はお約束はできません。
  127. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなた、瀬戸内海環境保全知事・市長会議のときに、環境庁長官として内海の新規埋め立て、あるいはまた現在進んでいる埋め立ても再検討する、こういうようにおっしゃったのですが、提案したということは、権限を侵したことになるのですか。そうではないと私は思うのです。あなたの主張を言ったと思うのですよ。ですから、先ほどの伊達火力と一緒です。できてしまってから、要するに許可したから、もうおろしたからではなくて、私は何もいますぐ全面的にこれを中止せいと言っているのじゃないのです。要するに、いままで埋め立てに対しては、瀬戸内海のほうから見たチェックはしてないのです、ただ陸の上からだけのあれでね。だから、こうして瀬戸内海環境保全基本法もつくらなければならぬ、自民党も一生懸命やってます。各党やっている。私のところもすでに出しておる。そういうときでありますから、もう一度検討をしなければならぬ。その点についてチェックをもう一ぺんしてもらいたい、こういうことを言っているんです。いいですか、その点は。話はわかるでしょう。
  128. 三木武夫

    ○三木国務大臣 免許それ自体にさかのぼらないで、こういう瀬戸内海の汚染がやかましいときでもあるから、十分その埋め立ての影響というものに対して監視したり、そのために必要ならば調査をしたり、そういうことをやれということならば、それはわれわれとしても当然のことだと思いますが、そいつを免許に、過去にさかのぼってということになりますと、それはわれわれとしていたすことはできませんが、そういうあとの、先ほど申し上げたようなことならば、十分今後注意をいたします。
  129. 岡本富夫

    ○岡本委員 納得できませんが、時間が参りましたから、また次のときに譲りまして、きょうは一応これで終わっておきます。
  130. 佐野憲治

    佐野委員長 次回は、来たる四月十日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時一分散会