運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-03-09 第71回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月九日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 佐野 憲治君   理事 稻村左近四郎君 理事 菅波  茂君    理事 登坂重次郎君 理事 小林 信一君    理事 島本 虎三君 理事 中島 武敏君       田中  覚君    中山 正暉君       羽田野忠文君    村田敬次郎君       阿部未喜男君    岩垂寿喜男君       岡本 富夫君    坂口  力君       小宮 武喜君  出席政府委員         環境政務次官  坂本三十次君         環境庁長官官房         長       城戸 謙次君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省児童家庭         局長      穴山 徳夫君         通商産業省企業         局参事官    三枝 英夫君         通商産業省公害         保安局長    青木 慎三君         通商産業省化学         工業局長    齋藤 太一君         海上保安庁長官 野村 一彦君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  大池 金二君         経済企画庁長官         官房参事官   岩田 幸基君         通商産業省繊維         雑貨局紙業課長 村田 文男君         運輸省港湾局技         術参事官    大久保喜市君         海上保安庁警備         救難監     貞廣  豊君         郵政大臣官房資         材部長     田所 文雄君         労働省労働基準         局安全衛生部長 北川 俊夫君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 三月七日  日光国立公園尾瀬地区自然保護に関する請願  (瀬野栄次郎紹介)(第一〇三一号)  同(小川新一郎紹介)(第一〇五六号)  同(高橋繁紹介)(第一〇五七号)  同(矢野絢也君紹介)(第一〇五八号)  同(新井彬之君紹介)(第一一三七号)  同(大野潔紹介)(第一一三八号)  同(竹入義勝君紹介)(第一一三九号)  同(松本忠助紹介)(第一一四〇号)  山梨県山岳地帯自然保護に関する請願瀬野  栄次郎紹介)(第一〇三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(水質汚濁  対策等)      ————◇—————
  2. 佐野憲治

    佐野委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 きょうは、大体、PCBとPCTの問題並びに響灘埋め立て並びにこの水質汚濁調査について、この二つについて伺います。  まず、響灘埋め立て水質汚濁についてでありますが、前回の委員会で、ちょうど調査を終えました私どものほうで、一応は、住民の声なり当然重要だと思う点について質問をいたしました。その際、文書においてこれを明確にしたほうがよろしい、こう思いまして、文書調査資料として要求したのであります。その結果きのう私の手元に参りました。そして、響灘埋め立て問題については自由に変更できるようにいっているが、局長説明と異なる点がある事情を調べて報告されたい、こういうようなことであります。これについてはいろいろやってまいりましたが、やはり港湾局長の言うとおりであって、北九州港湾管理組合説明は間違っておる、こういうようなことでございます。大体において、私の手元へこう来ておりますが、この調書、間違いございませんか。
  4. 大久保喜市

    大久保説明員 お答え申し上げます。  昨日、私どものほうの担当課長が御説明に参上いたしまして御報告申し上げましたとおり、先般港湾局長がこの席でお答え申し上げましたとおりに、いわゆる埋め立て願い書及び添付図書に記載された事項または免許に付した条件を変更しようといたしますときは、免許権者であります、この場合でいいますと北九州港湾管理組合の長でありますが、それの許可を受けなければならないわけでございますが、この管理組合の長が許可をするにあたりましては、運輸大臣認可を受けることになっております。それからまた、埋め立て計画を変更いたしまして、免許を受けた区域外区域埋め立てることにしようというような場合には、このはみ出した部分につきましては、新しい免許手続を要するわけでございます。したがいまして、そのような新しい手続になりますと、これは免許、それから運輸大臣認可という行為になります。  いま一つ免許を受けた区域を減らす場合が出てくるわけでございますが、そういうような場合には、免許権者でありますところの、この場合でいえば北九州港湾管理組合の長の許可を受けなければならないわけでございますが、この許可についても、運輸大臣認可を要する、こういうことでございまして、先日港湾局長お答えしたとおりでございます。  なお、港湾関係に関しましては、北九州港の場合は特定重要港湾でございますので、この場合港湾法四十八条に基づいて運輸大臣の審査を受けることになっております。  現地におきまして、担当の者の説明が、非常に不正確なことばを使って、たいへん御迷惑をかけましたようでございますので、私ども、このような間違いのないように、港湾管理者担当の者にも注意を与えた次第でございます。この席をかりておわびいたします。
  5. 島本虎三

    島本委員 局長のその答弁は了承いたします。ただ、現地との意見の違いは、同じような面積であっても、その面積を移動させる、同じような面積であっても、ひし形のものを四角にする、面積が変わらない以上これは新たに認可を得る必要はないのだ、こういうような考え方に立っているわけです。そうすると、変更そのものも、部分的には減らすことになり、部分的にはふやすことになるから、当然これは認可が必要じゃないか、こういうようなことなんですが、現地はその必要なし、こういうような考え方の上に立って強行しようとしております。  ですから、このズレがはなはだしいものがあるから、あらためて文書にして請求したわけでございますが、その答弁で納得いたしました。むしろ、このような点については、現地との間の意見ズレや相違がないように、十分監督指導すべきです。ずいぶんズレがあります。今後いろいろ立法化されるでしょうが、そういうような点についても当然十分考えておいてもらいたい。  それと、現地説明埋め立て手続に習熟していない職員が行なった模様で、用語の使い方が不正確となり、誤解を生じたかと思われるといいますが、用語だけの問題ではないのであります。考え方が違っているのであります。そういうような点等からして、十分現地のほうへ示達しておいて、こういう間違った運営をしないようにすべきだ、こういうように思います。港湾局長でなくても、あなたでも、この点はよろしゅうございますね。
  6. 貞廣豊

    貞廣説明員 先生の御指摘よく承知いたしました。すでに担当の者には十分電話をもって注意を与えておきましたが、しかるべく現地責任者に、機会をとらえまして、よく趣旨の徹底するようにいたしたいと思います。
  7. 島本虎三

    島本委員 この資料によって、やはり響灘汚濁に対する成分分析表が参っております。同時に溶出試験結果も出されております。響灘では対岸の山口県のたぶん黒井だと思いましたが、大規模な養殖をしている。その養殖そのものが、夏のころになると二回にわたって、普通の富栄養的な赤潮じゃなく、毒素を含んだような赤潮が発生して、そうしてそれが来るとわかる。色もついてわかる。どうしても来てしまうと、ハマチが気違いのようになって泳ぎ回っている。そういうのはわかるのだけれども、それがさっといったならば落ちつく。それに対する防御の手段はないのだ、こういうふうに言っているわけです。この成分分析表によると、一つもそういうようなものが見当たらないようです。ことにアンモニア燐酸関係、こういうふうなものの摘出がないようであります。こういうふうなことになると、やり方がちょっと間違いじゃないだろうか、どういうような成分なのかというようなやり方は、時期と場所、こういうふうな点でもっと検討を要するのじゃないか。しかしこういうふうな分析表、これが出ても赤潮は依然として発生しております。この分析表によると、赤潮発生要素一つもないのだ——どういうことになるのでございましょうか。それから溶出試験結果、これによると重金属の部分なんかもずっとありますが、全部不検出です。全部原因がないのに結果だけあらわれるというのは、七〇年代の何でございましょうか、奇跡かもしれませんが、こういうふうなことは間違いない結果ですか。国会に出て今回だけこれを通せばいいというふうなことで出した分析表ではなかろうと思いますが、アンモニア燐酸、こういうふうなものが全然ないというのは私ども理解できないのでありますが、どういうふうなことになっているのでございましょうか。
  8. 貞廣豊

    貞廣説明員 お答え申し上げます。  私どものほうで現在最も最近に得られた資料によりましてお答え資料をつくったわけでございますが、なお現地におきまして、先般もこの委員会でほかの方が御説明申し上げたわけでございますが、響灘海域環境調査計画を総合的にやっております。それで赤潮とあの付近排出物それから海流、そういうふうなものとの関連等につきましても、総合的な見地からいま調査中でございまして、いまの養殖場の魚のいろいろな異常の現象赤潮現象、そこいらの点につきましても、なお私どもの知識だけでは非常にわかりにくい点もございますので、私どもその調査結果を期待いたしまして、それで必要あれば何らかの措置をとらなければならない、そういうふうに判断しております。  それで、何ぶんにもこの試験結果、これは間違いないかという御指摘方法に遺漏がないかという点につきましては、私ども現在の時点で、こういうような排出物溶出試験は、きめられましたルールによってやっておりますので、それ以上のことになりますと、私どもといたしましてこの席でその当、不当をお答えする能力は持っておらないわけでございます。やはり赤潮問題は非常にわかりにくいいろいろな問題がからみ合っていると思いますので、私ども響灘地区も大体三月中に一応の結論を得るやに聞いておりますが、それで完全なお答えになるかどうかも、ちょっと私どももまだ十分承知しておりませんが、よくその結果を吟味して今後の対策に資したい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  9. 島本虎三

    島本委員 ことにこういう工場廃棄物、こういうもので埋め立てをするというような斬新なやり方を採用しているわけです。そうして海底のどろ、こういうふうなものを撹拌してそれをポンプで揚げてそうして埋め立てに使う。それから洞海湾、あれは明治以来いろいろ排出された鉱泥、こういうふうなものを山積してあって、おそらく有毒なる鉱物も物質もその中に沈でんしているのではないかといわれているわけです。そういうようなものに対してやはり撹拌しながら、それを全部吸い上げるのならまだしも、そのまま流れていくことは当然であります。漁業被害が起きるのは当然であります。そういうようなことに対しては科学的な調査をなすっておられると聞いているのですが、これはやっているのですか。
  10. 大久保喜市

    大久保説明員 お答え申し上げます。  先生指摘洞海湾につきまして、ことにその洞海湾の奥のほうに御指摘のような明治以来の非常に長い間のいろいろの堆積物があるというのは事実でございまして、それに対しまして、有害な物質も含んでいるであろう汚泥の処理につきまして、いわゆる公害対策といたしましてそのしゅんせつ、それでこれを二次公害を発生しないような方法で封じ込めるというようなことをいたしたいということで予算措置もしてございます。それでこれまでのところ、事業者費用負担法とのからみもございまして、現地において対策審議会でその費用負担等につきまして論議しておったようでございますが、その結論も出たと聞いております。  それで、いま一つの問題ございますのは、二次公害を起こさないようなその施行のしかたで処理をしなければならない、これも非常に大事なことでございます。その点での技術的な措置につきまして関係者が鋭意検討いたしまして、いわゆる埋め立て地護岸から流出しないような方法をとりながら、しかもとるにつきましても、それが極力流出しないような方法でやるという方向で施行計画を練っておると聞いております。
  11. 島本虎三

    島本委員 それはわかりました。  そうなりますと、国のほうでも県のほうでも、もしいろいろと科学的な調査をなすっておる、こういうならば、この科学的な調査結論出るまで、そういうようなおそれのあるようなしゅんせつまたは埋め立てのためのいろいろなやり方、こういうようなものを検討しなければならないし、夏にかけてやはり漁業被害などを考えたならば、一時、早目結論を出させるようにして、それまでの間停止するのが当然だと思うのです。そういうような措置をとるべきです。これはどうお考えですか。
  12. 大久保喜市

    大久保説明員 お答え申し上げます。  ただいま申しましたような非常に問題のあるものにつきましては、その措置がしっかり固まるまで作業を見合わせております。  それから、ただいわゆるしゅんせつ工事のうち、そういう有害物質のない、いわゆる外側の航路の問題もございます。それからまた、埋め立て地に完全に流出しないような方法処理している例もございます。それで、地域のいろいろな活動を全面的にストップするわけにもまいりませんので、まあ疑わしきものは、極力これははっきりするまでストップする、そういうような方法で現実に対処してまいりたいと思っております。
  13. 島本虎三

    島本委員 当然両県でこれは科学的な調査をしているのですから、その結果が判明するまでまあこれは当然中止するのはあたりまえなんです。それを強行するところに問題がありますから、十分その点に対して注意しておいてやってもらいたいと思います。当然注意するのか妥当ですから。それでないととんでもないことになるから、その点いいですか。
  14. 大久保喜市

    大久保説明員 先生の御指摘事項はよく体しまして、現地においても慎重にこの問題に対処するように指導いたしたいと考えております。
  15. 島本虎三

    島本委員 この新日鉄をはじめとしての埋め立て地ですね。鉱廃物というのですか廃鉱物というのか、ワクをつくって中のほうへ捨てているようであります。しかし船でぼんぼん中へ入っていけるようになっているわけです。当然流出もあるわけです。流出するだけではなくて、普通のたいした波ではない、その波がその防波堤を越えて平気で中へ入っているのです。あれは不完全だと思うのですが、ああいう指導でいいのですか。あれだったら、中へ水のようなものに溶かして捨ててくるものは全部外へ流れます。流れるような状態ではなくしてやっているはずですが、それも上のほうに、しけでもないのに波が越えて入ってきているような状態、当然これは不完全なやり方だと思いますが、ああいう指導運輸省でなすっておるのですか。
  16. 大久保喜市

    大久保説明員 御指摘のように工場廃滓と申しますか鉱滓と申しますか、そういうようなものを埋め立て地護岸の内側に捨てているというケースが幾つかございまして、そのうちのあるものにつきましては船でそこの中まで持っていって捨てているというケースがございます。それで私ども、これまで先生の御心配になっておられるような点、非常に気にしまして、有害物質流出するようなことがないかどうか、その点慎重に検討してほしいということを再々現地に言いまして、それで私どもが聞き及んでいるところでは、いわゆる鉱滓が捨てられた場合に有害物質が溶出する、水に溶けて流れ出る、そういうような有害物質のないものに限って、しかもそれらのものが少しでも危険を少なくするというようなことで、入り口からできるだけ遠いところに捨て込むというような方法をとらして、しかも流れ出る口のところでは、ときどきその流出物があるかどうかということをチェックしているというふうな報告を聞いております。  それからいま一つ護岸天端が低いがために、波があるときにはばちゃちゃ水が入ってくるという御指摘でございまして、実は公有水面埋立法におきましても、埋め立て地護岸は、埋め立て地の中に捨てる土砂が流出しないように配慮して護岸をつくらなければならないということをきめてございますので、もしそのように中のものが流出するようなおそれがあるものであれば、厳重に指導してそういうことのないように措置をとらせなければいけないと考えております。それで私ども報告を受けたところでは、護岸場所によりましては完成断面までいっていない、上部の天端が施工されていないということのために波が打ち込むおそれのあるというような場所もあることがわかりましたので、実情をよく調べまして、御指摘のような問題を起こすおそれのあるところは早急に適切な措置をとらせるようにいたしたいと考えております。
  17. 島本虎三

    島本委員 海上保安庁でもこの点を十分重視して、海上保安庁でも、いわばこの北九州周辺海域における海上公害監視取り締まりを行なっているようであります。その結果、私ども手元にその報告雷が参っておりますが、この内容を見て、はたしてこれでどうなんでしょうか、このとおりなんでしょうかね。たとえばPHにしてみると、排水一律基準五・〇から九・〇PPMとあって、調査した結果五・〇から九PPMである、こういうようなこと。同じような数値が出ていますが、これは間違いないですか。
  18. 貞廣豊

    貞廣説明員 お答えいたします。  資料にも書いてございますように、ことしの一月の結果でございまして、このとおりでございます。
  19. 島本虎三

    島本委員 一律基準にこうぴたっと合うというのは珍しいんじゃありませんか。ほかは全部合わない。PHだけ合う。そのほかにシアン、これは猛毒であります。それが一PPM以下であればいいのですが、〇・四三PPMであるからよろしい、こういうようなことになっております。カドミウムは検出されておらない、こういうようなことです。〇・四三検出されたならば、これはやはり場所によってはもっと検出される場所もあるんじゃないか、こう思われるわけです。また、油分については五PPM以下であればよろしいという、それが五PPMなんです。ぴたっと合うのです。これ以上のやつはないのですね。これもこんなものですか。PH油分の分折結果はいかがでございますか。
  20. 貞廣豊

    貞廣説明員 この資料で、たとえばPHは五から九PPMの間にあるという意味でございます。それからCOD、SS、油分シアンについては検出結果の最大値をここにあげてございまして、これより下のものもある。最大がここまであったという意味でございます。(島本委員油分は」と呼ぶ)油分もこれが最大で五PPMあった、それ以下もございますけれども、そういう意味でございます。
  21. 島本虎三

    島本委員 これはどういう方法検出しましたか。
  22. 貞廣豊

    貞廣説明員 油は油分の濁度計ではかっております。私ども取り締まりは、普通、簡易測定器、簡単に持っていけるものでやっておりまして、疑わしいとなると、試料をとってきて精密な検査にかけるということで、油分は濁度計PHPH計、それからCODシアン等イオン濃度計という器械を使って、数名の者が、随時いつでもとれるような器械を持っていってやっておるわけでございます。
  23. 島本虎三

    島本委員 特にこの問題では、付近の六連島やその周辺にふん尿を流しているのです。そして、その色の変わったことを漁師が報告までしてきているわけです。その話も聞きました。アンモニアも燐も全然検出されていないのですが、どうなんですかね。どうもその点私はふしぎなんです。
  24. 貞廣豊

    貞廣説明員 先生の言われる海面は沖合いのほうではないかと思うのでございますが、ここではかっておりますのは、沿岸海域で、いわゆる水質汚濁防止法によって知事は常時監視義務があって、監視計画を立てておりますが、その沿岸区域あたりに測点をずっと百二十点置いておりますが、先生がごらんになられたあたりはかなり沖合いではなかったんでございましょうか。
  25. 島本虎三

    島本委員 北九州周辺海域となっているでしょう。——周辺海域のことなんです。その島の一つ一つもずっと見て回りました。この周辺の島も行って見てまいりました。しかし、測定点だけだということでは、調査方法もこれからもう少し考えたほうがいいんじゃないか、こういうふうに思います。今後その点を十分考えてやってほしいと思います。  なお私はこの際——海洋汚染防止法、これは施行になっております。水質汚濁防止法、これも施行になっております。それと同時に水面については、特別に指定した場所というようなものはありません。全部の海域がもう清浄に保たれなければならなくなっているわけですから、保安庁の任務はもう昔日の段ではないのです。重くなっているのです。したがって、今度は科学的な要素をもって全部これを検出しなければならない、そういうような重要な任務がまさにあるのです。人員や機材、こういうようなものを十分整えて——いままでのような救難活動だけじゃないのでありまして、今度はもう公害防除のためにも責任は重大になっているのです。ちょうど海上保安庁長官も入っておるようでありますけれども、この辺について、準備は十分なのですか。人員の点、器材の点、こういうような点で十分なのですか。この点、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  26. 野村一彦

    野村政府委員 おくれてまいりましてすみませんでした。  ただいま先生指摘の点でございますが、私ども海上保安庁としましては、従来にも増して公害取り締まりに十分従事していかなければならないと思っております。したがいまして、今年度の予算要求におきましても、船艇整備航空機整備、それから御指摘になりました観測用器材整備と、私どもの化学的な分析能力の充実と、そういう専門的な取り締まり要員整備ということで、かなりな予算を要求いたしております。ただいま先生指摘になりましたような、特に沿海の汚染状況を見るために有効な航空機を使っての夜間監視装置というようなものも予算に計上されておりますので、こういうものを使いまして、船艇航空機による監視、それから採取しました汚水その他を化学的に分析をして、その成分を割り出すという体制がやや前進をいたしつつあるわけでございます。したがいまして、要員の訓練と監視体制整備ということで従来より以上に力を入れてやりたいと思っております。先生現地を御視察になりましたそのお話も私どもいろいろ承っておりますので、ただいま御指摘の線に沿いまして、今後とも一そう監視能力を高めて効果を発揮するようにしたい、かように思っております。
  27. 島本虎三

    島本委員 そのことばはなかなか心強いです。港則法違反、これを当然取り締まらなければならない責任もあるわけです。たとえば富士市の岳南排水路、これから十数年にわたって流されている汚水が港の中にほとんど蓄積されて、船も、入ったら腐食を早めるということで、入港を拒否する向きも出てきた。しかしながら取り締まれない。港則法違反の事実ははっきりしている。廃棄物が捨ててあるのもわかる。だけれども取り締まれない。なぜ取り締まれないのか。長い間知事が、国が認可してやらしているから、当然それはもう取り締まれないんだということを聞いているのです。野村長官、これじゃだらしないじゃありませんか。責任者はいるんだから。その現実はもうはっきりしている。犯行と認めてもいいのですから、遠慮する必要はないわけです。やはり行政に遠慮をなさっておられる。こういうような態度では、これからどのように器材整備してもだめじゃないかと思うのです。富士市の場合なんかに対しての御高見を一応拝聴しておきたいと思います。
  28. 野村一彦

    野村政府委員 駿河湾におきますヘドロの問題について、先生がかねてから御指摘になって、強力な取り締まりを御要請になっておられるということは、私どもよく存じております。もちろん、この問題は、現象として見ますと、みだりに港内をよごすということでございまして、港則法違反ということは言い得ると私は思います。ただ、そのよって来たるところを見ますと、共同排水溝の問題とかいろいろございまして、私ども取り締まりだけではこれは根絶することはできない。したがいまして、私どもは関係の政府機関にも要請をして、そういう根っこのところからこういうものが港湾内に流れ込まないような措置を講じていただくということが根本かと思います。いままで見のがしてきたといいますか、長年かかってそういう汚染が行なわれたわけですが、これをある時点において違法として捜査に踏み切るということはなかなか法律上の問題としてはむずかしいかと思いますが、先生の御主張の趣旨は根本にさかのぼってそういうヘドロが港湾内に流れないような、関係機関との連絡をとって未然に防止をするということが最善であろうと思いますので、私どももその線に沿って努力をいたしますが、今後につきましては、さらにそれをもってしてもなお汚染が行なわれるということであれば、法の適用ということを考えざるを得ないと思いますので、そういう考えで進みたいと思います。
  29. 島本虎三

    島本委員 そういうような面がございます。いろいろ行政上の面で、その接点はわかっておってもなかなか踏み込み得ない、そういうような重大なポイントもあるのを承知しています。だけれども公害の場合だけは、環境庁と保安庁、いわばそれを取り締まりあるいは調整をする権限がある官庁は遠慮なしにやらなければだめだ。長官に勧告なんかしてないはずです。行政にまかしているはずです。やはり勧告ぐらいしないといけません。もしできなければ、環境庁に言って環境庁の長官から勧告さしてもいいのです。やはりそういうふうにして積極的にこれをやるべきです。ことに取り締まる場合には、夜、それからいろいろな調査の場合には、科学技術者、こういうようなものは往々にしてやってもごまかされるのです。カメの甲で言われると引っ込むのです。したがって、そういうようなことのないように、技術人員も化学人員も十分に整備しておくべきだ、こういうように思います。  この点等については、ここに優秀なる政務次官がおられますから、十分配慮してやるべきだと思います。ことに環境庁長官は、予算作定のおりには、自分の庁の関係する予算でなくても、他省庁の予算でも公害関係のやつは率先して認めろ、こういうようなことを環境庁長官が申し入れております。ですから、いまのような状態で長い間やって、違反が認められても行政として謙虚に踏み切れない、こういうふうな問題はおそらく富士市だけじゃないと思います。ずっと北海道から——よごれているのは、北海道の製紙工場のあるところはほとんどそれです。ですから、もっともっとそういうような点に対しては踏み込むようにして、進んで指導するようにして、今後この完ぺきを期しておいてもらいたい、こういうように思うわけです。いまさら言っても死んだ子供の年を勘定するようなものでございますけれども、駿河溝なんか一番ひどいのですから、この点等については十分配慮すべきであります。ひとつお二人の御高見と決意を聞いて次に進みたいと思います。
  30. 坂本三十次

    ○坂本政府委員 おっしゃる御趣旨につきましてはごもっともでございますので、よくひとつ、このたびは海上保安庁でございますか、各省と連絡の上で十分調査をいたしまして、もっと善処をいたしてまいりたい、こう思っております。
  31. 野村一彦

    野村政府委員 先生指摘のように、関係各省とも連絡をいままで以上に密にし、私どもとしても関係各省に要望すべき点は要望し、そういう化学的な分析能力等の整備についても十分体制整備して、今後の取り締まりに精を出したいと思います。
  32. 島本虎三

    島本委員 じゃ次に移りますが、問題はPCTという、PCBよりさらに有害だといわれるそういうような一つの薬——薬じゃありませんが、これはポリ塩化何とかいうものでありますけれども、こういうようなのが一つまた新潟の衛研から指摘を受けたようであります。これは人体の脂肪と母乳から検出された、こういうようなことであります。一体こういうようなことはどういうことになっているのですか。厚生省、このあらましを報告願いたいのであります。
  33. 浦田純一

    ○浦田政府委員 御報告いたします。  まず第一報は、昨年の九月に新潟衛生研究所の調査で、チューインガム等の包装用紙からPCTが発見されております。これは調査の結果インクにまじっておったものでございまして、その後の調査では食品用容器、包装用のプラスチックなどには使用されていない、また食品中からは検出されていないことが判明しております。しかしながら、私どもはこのためにPCBとの関連ということも考えまして、通産省に対しましてインクへのPCTの使用中止方について要請を行ないました。その後PCTの問題がPCB類似物資という問題で起こってまいりまして、私どもはPCTの毒性についての研究に着手する予定でございます。  さて、つい最近同じく新潟県の衛生研究所から新しい分析方法分析をいたしました結果が発表されております。それによりますと、これは三十二例でございますが、脂肪組織から一・九ないし〇・〇三PPM、平均いたしますと〇・三PPMのPCTが発見されております。それから母乳では、これはだいぶ濃度が低うございますが、十一例につきまして脂肪ベースで〇・〇三ないし〇・〇〇四PPMということで、平均〇・〇一PPM検出されております。それらはPCBよりは検出値は低いのでございますが、またPCTはPCBと同様にどうも男性のほうに高いというような傾向があるのでございますが、概略以上のような結果が出ております。
  34. 島本虎三

    島本委員 そういうような毒性の強いものを、通産省ではどういうような指導によってこれを許可して使用さしているのですか。
  35. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 PCBはフェニル基が二つあるのに塩素がついたものでございますが、PCTはフェニル基が三つございまして、それに塩素がついておりまして、物質の構造はPCBと非常によく似た構造になっております。生産量はPCBよりも非常に少のうございまして、つくっておりましたのは三菱モンサントと鍾渕化学の二社でございまして、PCBと同じメーカーでございますが、昨年の三月にいずれも生産をやめておりますけれども、それまでの間に両社合わせまして生産が二千六百二十トンございまして、それに輸入が百四十トンございまして、結局二千七百六十トンが生産及び輸入という形で使われております。これの用途は大体PCBと似ておりまして、四分の一が電気機器関係、残りの四分の三が塗料、それからインキ、それから建築現場なんかで使っておりますたれ幕、火災防止用のたれ幕の難燃剤としてそれにしみ込ませるという形で使われております。わりあい過去古くから、三十年ごろからつくられておりましたようでございまして、毎年の生産が百トン、二百トンといった少ない数字でございましたので、実は私どもこれが生産統計報告にも出てまいりませんで、生産されておることを報告を受けておりませんでしたために知らなかったのでございますけれども、PCB問題のあとこれと非常に似ておるPCTというのがつくられておるということがわかりまして、その構造式から判断いたしますとどうもPCBと似たような毒性を持つものではなかろうか、こういうふうに考えましたので、昨年の七月に両社に対しまして、販売したもので売り先に在庫になっておるような未使用のものがあれば至急に回収するようにという指示をいたしました結果、PCTの形で三十トン回収が行なわれております。それから特に食品包装の印刷関係に使われることが問題かと存じまして、印刷インキ工業会に対しまして使用の中止と回収方を指示をいたしまして、インキ量にいたしまして七十八トンを回収いたしております。ただ、用途が塗料あるいは難燃剤といったようないわゆる開放系でございまして、私ども回収を指示いたしましたときにはやはり相当使われておりまして、在庫、残りがいま申しましたようにほとんどなくなっておったような状態になっておった次第でございます。  毒性につきましては、ただいま厚生省からもお話ございましたが、このアメリカのモンサント会社の資料によりますと、急性毒性についてはPCBよりも幾らか低いといったような報告もなされておりますけれども、慢性毒性につきましてはどのような慢性毒性を持っておるかまだ判明をいたしておりませんで、厚生省のほうでその試験をなされるような御予定になっておりますように聞いておる次第でございます。
  36. 島本虎三

    島本委員 この製造会社はどことどこになっていますか。これは厚生省でしょうか、それとも通産省でしょうか。
  37. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 PCBと同様の鐘淵化学、それから三菱モンサント化成であります。
  38. 島本虎三

    島本委員 前の石油たん白もこれはまた同じ鐘淵化学ですね。そうしてまたPCBも同じですね。それで安心かと思うと、また代用品として出てきたPCTも同じ会社だ。その会社に対しての指導が皆さん具体的な点で足りないのじゃないですか。どういうわけで同じ会社から二回も三回も、今後だって出ないということは言えないでしょう。ちゃんとこれは検査して、そしてもうあるいは認可してやっているからこの製造に踏み切るんじゃございませんか。これは許可なしに製造しているんですか。こういうようなものを使ってよろしいということに対して、厚生省もそのまま黙って見ているのですか。厚生省、通産省、こういうような連絡全然ないのですか。かってにやっているのですか。これはどうなんですか。
  39. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 政府はこういったものを許可制か何かしいていないかという御質問でございますが、薬品でございますと薬事法の規制を受けております。それから食品添加物でございますれば食品衛生法とか、それぞれその使用の用途に基づきまして規制法がございますけれども、一般的な化学品につきましては現在そういった規制がございませんで、そのために別に製造につきましても許可認可等の政府による監督は従来はございませんでした。ただ生産統計等の報告によりまして、一定量以上生産される大口の生産物は報告がございまして、そのためにPCBにつきましては生産報告が出ておりましたけれども、PCTは非常に量が、ただいま申しましたように年間百トンといったようなオーダーでございましたために生産統計の指定にもなっておりませんで、なお相当長い期間つくられておりましたけれども、そういうものがつくられておるという報告がありませんでしたために、私どもそれを承知していなかったという状況であったわけでございます。  それの生産中止、回収につきましては、ただいま申し上げましたように昨年の七月に行政指導をもちまして通達で生産をやめさせ、回収の指示をいたしたわけでございますが、先生指摘のように、そういった危険な化学物質が政府の事前のチェックなしに市中に出回るということは非常に問題でございますので、私どもとしましては、この際こういったいわゆる環境に出ましてそのまま環境に残留して、また回り回って人の口等に入るということで、人の健康を害するような産業用等に使われます化学物質につきまして、これを事前に製造段階で政府が安全性のチェックをいたしまして、そのチェックの結果安全と認められたものしか製造、販売させない、こういった規制が必要ではないかというふうに思いまして、ただいま立法措置につきまして準備中でございまして、できれば今国会に提案申し上げたい、かように考えてただいま準備中のところでございます。
  40. 島本虎三

    島本委員 あとからあとから行政が追って歩く、そうしてその追い詰められた結果によって立法化する、どうもこういうような態度はかんばしくないです。むしろこういうような点に対して環境庁あたりは進んでチェックしていく。鐘淵化学なんか、もうこれでPCB、石油たん白、PCT、いつでもこういうふうにやるくせがある会社でしょう、これは。むしろそういうような会社に対しては皆さんのほうで先に手を入れて、こういうような人体に有害な、人畜に被害を及ぼすような製品はつくらせない、こういうような点はあらかじめ調べておいたらいかがですか。これが終わってもまた次のやつが何か出てくる、そのおそれはないですか。危険は感じられませんか。仏の顔も三度といいますよ。今度三回目ですよ。この次はどんなのが出てくるのですか。
  41. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 実はPCTがこういうふうに問題になりましたのはやはりPCBのあとでございますけれども、つくられておりましたのはPCBとほぼ同時期からでございます。ただ、PCBにつきましてもあるいはPCTにつきましても、つくられまして使われ始めましたころはその慢性毒性問題が明らかでございませんで、むしろ産業界にとって非常に有効な物質であるということで、いろいろな多角的な使われ方を十数年にわたってされてまいったわけでございますけれども、二、三年前からその毒性問題が世界的に問題になってまいりまして、その後いろいろな調査によりまして確かに毒性が問題であるということになりまして、急遽取り締まりをやったわけでございますが、先生指摘のように、やはりこういうものは工場でつくられまして工場の外に出ていく前に安全性の問題をチェックすることが万全を期す上では必要であろう、一ぺん環境に出ましてからあとで毒性がわかってそれの回収をはかるということは、万全を期しましてもなかなか完ぺきに回収ということは困難でございますので、やはり事前にチェックするというシステムが必要ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございまして、いま申しましたように、そのための立法措置を現在準備をいたしておるところでございます。
  42. 島本虎三

    島本委員 出回っている数量、また回収についてその措置がどうなっておるのかわかりますか。あわせて輸入に対してはどういう措置をとっていますか。
  43. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 出荷されましたのは、先ほど申し上げましたように、約二千五、六百トンでございますが、大半のものは開放系、つまり塗料とかあるいはたれ幕の難燃剤でございますとかあるいはインクといった形で過去十数年にわたって出荷されておりますために、ユーザー側にございました未使用のもの三十トンを回収いたしましただけで、あとは回収ができませんでした。輸入の点は、過去に三菱モンサントが自分で製造する前にアメリカのモンサントから百四十トン入れて市場開拓をしまして、そしてそのあと自分の生産に切りかえた、こういう経緯で、わずかでございますけれども輸入がございましたが、現在、使用の面につきましては、これを使用しないように業界を指導いたしましたので、ユーザー側でも使っておりませんし、メーカーももちろん輸入はいたしておりません。
  44. 島本虎三

    島本委員 輸入もないですか。
  45. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 はい、ございません。
  46. 島本虎三

    島本委員 その点について、私は、行政の面がどうも怠慢だと思うのです。  次に、こういう指摘をしなければならないのです。開放性の感圧紙、こういうことでありますから、おそらくそれはどこか倉の中にあるんじゃないかと思います。しかしそういうようなものに対しての点検、指導はどうなっているか。富士写真フイルム、ここではPCBのノーカーボン紙を大量につくってきたわけです。しかしPCBが問題になってから新しい製品に切りかえているんです。それもKMC油を使った新しいノーカーボン紙をつくって市場へ出しているわけです。この新しい感圧紙、これは安全であるからという証明書までつけて出しているのです。それによると「PCB使用ノーカーボン紙による有害の事実が判明したわけではありませんが、弊社におきましては、一層安心してご使用いただけるよう四十六年三月以降PCBに替る新組成の溶剤に全面切替を実施いたしております。」その他ずっと書いてこれを出しているんです。さて、「PCBに替る新組成の溶剤に全面切替を実施」しておる、そういうようになったその時点において、四十六年二月二十日現在で二千二百トン、約八億円の在庫があったわけです。それが四十七年の四月二十日現在で百五十トンになっているんです。新溶剤に切りかえたといっていながらこれを売り出している。こういうような行政指導というのがありますかね。通産省はこれをどういうふうにやっているんですか。これははっきりしているんです。私はこの問題については、まず安心せいといわれても、国民の立場に立てば行政の手抜かりがあるんじゃないだろうかと思う。この点についてはっきり解明してもらいたいと思います。
  47. 村田文男

    村田説明員 お答え申し上げます。  富士フイルムは他の感圧紙メーカー三社と同様、一昨年四十六年の三月に生産は全面的に切りかえております。ただ、その時点におきまして、これほどPCBによる環境汚染あるいは人体に対する影響というものが深刻化しておるという認識が、これはまことに遺憾なことでございますけれども、十分徹底していなかったというような関係で、出荷につきましては差しとめ、他の開放系のものにつきましても出荷差しとめあるいは生産差しとめという措置がその当時まだ行なわれておりませんでしたような状況もございまして、出荷差しとめは指導しておらなかったわけでございます。そんな関係で、私ども調査しましたところ、大体四十六年中一ぱいぐらいまでは各メーカーとも一部出荷があった模様でございます。そういうことでありまして、最近そういう事実が判明いたしましたので、私どもも昨年十月、これを一切出荷しないように、在庫についてはこれを凍結するようにというような指導をいたしております。  以上、お答えいたします。
  48. 島本虎三

    島本委員 もう四十六年の三月以降にPCBにかわる新組成の溶剤に全面切りかえをしたといっている。お客さんとのとおりですというのを全部証明書つきで出しているわけです。ところがもうその時点で、すでに四十六年の二月現在で二千二百トンもあったPCBのこれが四十七年の四月二十日までの間に百五十トンに減っている。これはもう全部新溶剤に切りかえたといいながらも売り出しているんです。これは国会で決議までしているんです。皆さんのほうでは非常なる熱意をもってこれに取り組むという所信表明さえ出ているんです。しかし実際は凍結されているどころか、こういうふうにそれを売り出している。まして四十六年の三月にPCB含みのノーカーボン紙は製造禁止になっており、それを皆さんのほうで四十七年五月十二日に凍結の指導をしているわけでしょう。四十六年の三月にノーカーボン紙の製造を禁止していながら四十七年の五月、約一年の間これを自由に出させていたのでしょう。この製造禁止をしたあとでなぜ直ちに措置をとらないんですか。
  49. 村田文男

    村田説明員 先ほども申しましたように、四十六年三月に生産は全面的に切りかわっておりますが、当時三カ月分ぐらいの在庫がございました。それにつきまして出荷差しとめを特に要請しなかった理由は、先ほど申しましたように、他の一般の開放系のものにつきましても当時なお生産が続けられておった、こういうような事情も考えたわけでございます。  ただ、私ども調査がはなはだ不十分だというおしかりを受ければそのとおりになるわけでございますけれども、四十六年の九月ごろに流通段階もいろいろ調べてみましたところ、在庫がほとんどなくなっておったというようなことですね。(島本委員「どこの在庫がなくなっているのか」と呼ぶ)流通段階でございます。そういうことで、これは出荷はとまっておるものというふうに実は理解しておったわけでございます。その後昨年、いま先生指摘のような資料を別途ほかの会議でも私ども指摘を受けましたので、厳重調査の結果、先ほど申しましたように四十六年度中一ぱいくらいまでは出荷をしておったという事実が判明しましたので、厳重注意するとともに、在庫の凍結ということを強く指示いたしました。
  50. 島本虎三

    島本委員 どうもとろいですね。通産省というのは、業者の側に立って国民の側に立たないのですか。こういうものを出したらあぶないということ、これは国会決議までされているのでしょう。行政指導の点では万全を期すると大臣答弁までしているでしょう。ところが、依然としてこういうようなことがなされているということは、とても遺憾です。あえて言うと、通産省は、省でありながら、国会の公害対策環境保全特別委員会を侮辱しているというようなことになってしまうじゃありませんか。ここにいる人は全部そういうような立場になってしまうのです。なぜ的確な手を打てないのですか。  同時に、いまあるPCBの感圧紙並びに現在保管中のPCBの回収したものに対して、どういう処置をしていますか。
  51. 村田文男

    村田説明員 最初の国会の決議の関係でございますけれども、国会の決議がございました四十七年四月以降につきましては、一切そういう事実はございません。あらかじめちょっとお断わりしておきます。  それから、現在回収中の感圧紙あるいは保管中の感圧紙について申し上げますと、昨年五月、各省庁に使用中の感圧紙を凍結するようにお願いいたしまして、これが実行に移されております。それから、印刷あるいは卸商等の流通段階にございました感圧紙につきましては、昨年七月末をもって回収を終えております。それから、民間のユーザーにあるものでこれから廃棄し得るようなものにつきましては、昨年九月からこれの回収を開始いたしております。  回収状況については以上でございますけれども、残念ながら処理技術がまだ確立しておらぬというような状況でございまして、昨年の五月に、学識経験者と関係各省庁の専門家にお集まりいただいて、処理技術研究会というものをつくりまして、昨年の十二月に一応の結論を得まして、それに基づいて現在、工業技術院の公害資源研究所あるいは東京工業試験所等におきまして、燃焼方法あるいは封じ込めの方法等について、具体的な研究を開始している段階でございます。
  52. 島本虎三

    島本委員 あと何年でこれは全部回収できますか。
  53. 村田文男

    村田説明員 先ほど申しましたように、流通段階のものあるいは印刷段階のものは、全部回収済みでございます。それから、官公庁あるいは民間のエンドユーザーのものでございますけれども、私ども調査では、分布が非常に広範囲に及んでおりますし、他の書類等々もまじっている場合もございますので、正確な数字は確信を持てないわけでございますが、大きく推定いたしまして大体五千トンから六千トンというものが……。
  54. 島本虎三

    島本委員 それをどうしますか。
  55. 村田文男

    村田説明員 処理方法の開発と並行しながら回収方法を定め、適正に回収するということにいたしたいと思っております。
  56. 島本虎三

    島本委員 回収してどうしますか。
  57. 村田文男

    村田説明員 回収したものにつきましては、いま研究しております新しい焼却方式、あるいは封じ込めというような研究が完了して無害が立証された方式で処理いたしたい、こういうふうに考えております。
  58. 島本虎三

    島本委員 それまでどうしておくのですか。
  59. 村田文男

    村田説明員 それまでは、先ほど申しましたように、官公庁につきましては保管をお願いいたしておるわけでございます。と申しますのは、感圧紙の性質上、伝票類あるいは帳簿類というような形で使用されておりますので、保存期限が切れないものにつきましては、各省庁でそれぞれ保管されておるというような実態もございます。そういうようなことでお願いいたしております。  ただ民間につきましては、保管をお願いしましても、その徹底が期しがたい、まかり間違えば環境へ流れていくということも懸念されますので、処理技術の開発が時間がかかるというような見通しがわかってきましたような現状にかんがみまして、昨年の九月から民間感圧紙メーカー四社でこれを回収し、それぞれ工場内の倉庫あるいは雇い上げた商業倉庫に保管するということで進めております。
  60. 島本虎三

    島本委員 あくまでもこれは国会決議にもあったように、処理方法がはっきりしないものの製造はさせるべきじゃありませんよ。そうしてもうけさせるだけもうけさせておいて、あとからまた苦労しておる。こういうようなやり方はだめです。国会決議に沿っていないじゃありませんか。  それだけじゃないです。今度郵政省のほうにもこれはありますね。四十七年の十二月の通達でカーボン紙に切りかえるというようなことになっておりますけれども、四国郵政局管内は全局四十八年の五月、その他全部の局は八月に切りかえるというようになって、全部やっております。郵政省のほうではこの感圧紙を一番よく使っておるようですが、これをどういうふうにして処理していますか。
  61. 田所文雄

    ○田所説明員 郵政省におきましては、PCB入りの感圧紙は、現在未使用の分は地方郵政局資材部の倉庫に厳封して保管をしております。それから、使用いたしました地方貯金局にありますものは、昨年の十一月末までに写しをつくりまして、現物は未使用の分と同じようにビニールの袋に入れて段ボール箱に収納し、厳重に促管をしております。  それからこの式紙につきましては、まだ慢性毒性等につきましてもはっきりした結論が出ていない段階でございますので、郵政省といたしましては、これの黒白が明らかになるまでは使用を中止いたしまして新しい式紙、言いかえればカーボン紙でございますが、これを郵便局に導入する計画を立てたわけでございます。これの導入のしかたでございますが、先ほどの御指摘にございましたように、最初に導入いたしますのが四国郵政局管内の郵便局でございます。それから、できることならばなるべく短い期間に全国の郵便局に入れたいわけでございますが、生産の能力あるいは資材の配給の機構等の関係がございまして、五月、八月、十一月、最後には四月というような順序で全国の郵便局に入れたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  62. 島本虎三

    島本委員 これはもう的確にやってもらいたい。従業員は安心して手をなめてやっているような始末ですから、いつどこのだれでも——人の命は地球より重いのですから、特にこの点を注意してやってもらわなければなりません。  並びに厚生省と通産省、新しい栄養剤としてパルプの廃液から糖分を検出して、それがまた有害な栄養剤であるということで、これまた指摘を受けたようですが、続々と出てくる。これはだれが許可して、どういうふうなことになっておるのですか。労働省。
  63. 北川俊夫

    ○北川(俊)政府委員 ただいまの物質につきましての製造の許可あるいは認可等につきましては、労働省の所管ではございません。ただ当該物質の三・四ベンツピレンの測定につきましては、私たちのほうの所管の労働衛生研究所でいろいろ研究をいたしております。なお、これを扱います労働者の保護につきましては、三・四ベンツピレンのみではございませんが、それに触れる機会の多い、たとえばタールを取り扱う労働者、そういう者につきましては、タールの抑制濃度というものを特定化学物質等障害予防規則で明確にきめておりまして、それによって労働者の保護をはかるということでございます。
  64. 島本虎三

    島本委員 今回指摘された栄養剤としてこれを使用しているパルプの廃液のたん白化、これはもう労働衛生研究所でいま報告のようなこういうような指摘を受けたわけであります。これはいままでだれが認可してこれをやらしていたのですか。これは労働省じゃないでしょう。通産省ですか。
  65. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 お答えいたします。  これは用途が御承知のように飼料、えさ用でございまして、農林省のほうで御監督をいただいております。なお、製造等につきましては、通産省のほうでは別に許認可等は何にもございません。
  66. 島本虎三

    島本委員 今後これはどういうふうに指導するつもりですか。厚生省。
  67. 浦田純一

    ○浦田政府委員 薬の所管は薬務局のほうでございますので、私、委細は承知いたしておりませんが、私どもの所管しております食品関係では、この問題は関係はございません。薬につきましては、きのう中止したというふうに伺っております。なお、このような問題につきましては、私どもはやはり国民の健康を守るという、国民の皆さまに不安を与えないという立場から、実態を明らかにしていくようにつとめてまいりたいと考えております。
  68. 島本虎三

    島本委員 次の人の時間まで食い込んじまってこれ以上追及はできません。したがって、もうこの辺でやめます。  石油たん白の問題ではあれほど世論にたたかれて製造禁止、やめるように踏み切った。今度の場合も飼料用のたん白、この安全性についても同様にまた問題点が提示された。この安全性に対しては不安がないというような、こういうようなはっきりしためどが立つまでの間は軽々にこれは利益の対象にすべきじゃない、このことだけは、公害並びに環境保全を扱う者の立場として、皆さんも十分考えて今後の行政に処してもらいたい。なお、これはこれで終わったわけではありませんが、私はこれで質問を次の人に譲ることにいたしまして、皆さんどうも御苦労さまでした。  これで終わります。
  69. 佐野憲治

    佐野委員長 阿部未喜男君。
  70. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 きょうは実は私は長官が出席をされると思っておったのですけれども予算委員会のほうが急遽ああいう状態になりましたので、たいへん残念ですが、優秀な次官に御出席いただいておりますので、長官にかわってひとつ明快な結論を出してもらいたいと思います。  私の質問は新産都の優等生といわれる大分の新産都の問題についてでございますけれども、御承知のように昭和三十九年から大分の新産都が操業を開始いたしまして今日に及んでおりますが、この間、企業にとっては優等生であっても、地域の住民にとっては疫病神が舞い込んだような公害が起こりつつあるわけでございますが、まずこの公害の状況について環境庁はどのように把握をしておるか承りたいと思います。
  71. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 大気関係の問題について先に私から申し上げます。  先生指摘の大分地域の大気汚染状況でございますけれども現地の大分市並びに佐賀関町にございます測定点、測定局の流造酸化物の汚染状況を見てまいりますと、一応少しよくなっているのとあるいは横ばいのとがございますが、四十七年度の四月から十月までの一番新しい七か月の平均値で見ますと、現在の環境基準の平均値は満たしております。大体〇・〇二五、〇二三あるいは〇・〇一九というような数値なのでございます。降下ばいじんの推移についても四十六年度の月の一平方キロメートルにおけるトン数を見てみますと、四・八トンから一番多い鶴崎のところが十・一トンというのがありますが、一応これも年次別に見るとだんだんとよくなっている数値は示しております。  ただし、先ほど申しましたように、現状の環境基準を満たしておるというだけでございまして、私ども四日市のあの判決以来硫黄酸化物の環境基準はいまきびしくしようという見直しの作業をやっておりますので、それができましたならば、こういうような問題についてはなおもう一そうの規制をかけねばならないだろう、こういうことを大気汚染状況から考えておるのでございます。
  72. 岡安誠

    ○岡安政府委員 水質の関係をお答え申し上げます。  別府湾の水質につきましては、昨年私ども調査をいたしたわけでございますが、おおむねCOD値にいたしまして、一・四から五・五PPM程度でございまして、環境基準から見ますと、Bとか、Cとかいうような状態でございます。  で、汚染の進んでおりますのは、時期によって違いますが、やはり湾の奥の部分、別府市街の地先であるとか、それから湾の南の部分、第一期の埋め立て地の地先であるとかいうところが汚染が進行しておるようでございます。汚染の原因は、私どもの推定では寄与率が工業排水によるものが大体七七%、生活排水が約一九%、その他が四%ということになっております。  私どもは、近く県が、湾につきましては環境基準を策定するというふうに聞いております。その策定にあたりましても、相当きびしい環境基準を設定するものと考えておりますが、その環境基準並びに先般きまりました公害防止計画に基づきまして、今後工場排水の規制、下水道の整備等につとめてまいりたい、かように考えております。
  73. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次官、きのう地元の人たちが陳情にお見えになりまして、三木長官にお会いになって、けさたしかNHKテレビのスタジオ102で報道されておる問題があるのです。いま環境基準の数値については大体基準内だというふうなお話ですけれども、実は基準がどうなっているかというようなことは地域住民の皆さんにとってはそれほど重要ではないのです。現に公害にかかるかかからないかということのほうが事は重大なんですよ。したがって、いまこの地域における公害の発生状況が、特に身体関係の発生状況がどうなっておるかを環境庁のほうから知らしてもらいたいのです。
  74. 船後正道

    ○船後政府委員 大分地区につきましての大気の汚染状況は、先ほど大気保全局長が申し上げたような状況でございまして、現状では年平均値が〇・〇二五PPM前後というような状況でございます。他方、その大気汚染による健康影響の問題でございますが、私ども承知いたしております限りでは、県の医師会あるいは県の手によりまして、あるいは国保のレセプトによる調査が行なわれております。この場合には、対象疾病といたしまして、慢性呼吸器疾患だけではなく、急性の感冒といったものも対象にされまして、医師会のほうの御調査では、一応、企業群が操業を開始したあたりから次第に悪くなってきておるというようなデータも出ておりますけれども、これがどの程度大気汚染と相当因果関係があるかといった問題につきましては、なお調査の内容あるいは調査の範囲等につきまして検討する必要があろうか、そのように考えております。  なお、現在もう大分県の手によりまして、有症率の調査あるいは直接の面接等も実施されておるようでございますから、この結果を待って判断いたしたい、かように考えております。
  75. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま私が申し上げましたように、硫黄酸化物の数値がどうであるとかということよりも、現に工場立地によって公害が起きつつあるという実態を環境庁は把握してもらわなければならぬと思います。ですから、ただあがってきた報告が、数値が〇・〇二五PPMだから大体よろしいとか、そういう考えでは困ると思うのです。もうずっと前から県のいろいろな関係の方々が調査をされておりますが、私が特にここに持ってきておる中の特殊なものを二、三披露いたしますと、昨年の十一月八日に医師会の中島という先生が発表されておるのが、四十年の新産都発足を境にして、大気中の硫黄酸化物が非常に増大をして、工場を建てるのと正比例に伸びていって、そのために大分市の鶴崎地区に特殊疾患が非常にふえておる、こういう報告がまず出ております。その次に、四十七年の十二月二十二日に、これは地方紙ですが、非常に有力な新聞ですけれども、大分合同新聞の報道によりましても、大体、大分鶴崎地域の大気の汚染は水島に近づいておるし、あるいは水島以上になるのではないかという大気汚染が報道をせられております。さらに健康被害の関係では、今年の三月二日、これは読売新聞でございますけれども、新産都背後地の住民について健康調査をしたところ、これは県——あなた方が最も措信をする県、市医師会が調査をした結果、三百五十人が何らかの形で被害を受けておる、苦しいということを訴えておるわけです。詳細な調査はたくさんありますが、これはまた別に話をしますけれども、このように現に公害が発生をしておるわけです。それについて、私はもう公害病の認定を行なう時点に至っておると思うのですが、この点どういうふうに考えておりますか。
  76. 船後正道

    ○船後政府委員 現在の特別措置法によります措置は、御承知のとおり、大気汚染が著しく、疾病が多発しておるという状態に着目いたしまして、健康被害者の救済を講じておるわけでございます。そういった観点から、従来、環境基準が過去数カ年間かなり上回り、かつ有症率の調査をいたしましても著しく高いというような地域、たとえば四日市とか尼崎、川崎といった地域でございますが、こういった地域につきまして指定をしてまいったのでございます。そのような指定の際の一応の基準から考えますと、現在の大分地区につきましては、大気の汚染状況あるいは県、市医師会等でいままで予備的におやりになりましたいろいろな有症率の調査の結果等から判断いたしますと、現段階で直ちに指定地域にするということはきわめて困難かと思われますけれども、御指摘のとおり、大分につきましては、企業のコンビナートの活動が開始されましてから問題が生じつつあるという事実はあるわけでございますから、私どもも十分この点に着用しつつ、今後地元とも密接な連絡をとって検討してまいりたいと考えております。
  77. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 役所の仕事は、さっき島本委員からも指摘されましたように、あとからあとから追っかけていって、先に公害をなくするという姿勢はどうも見受けられなくて私は残念なんですけれども、それでは、いまの問題については、いわゆる公害病認定について、厚生省としては積極的に県、市を指導結論を出す、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  78. 船後正道

    ○船後政府委員 先ほども申し上げましたように、特別措置法による指定は、客観的な大気の汚染状況とそれから有症率の増加という二点に着目いたしまして、そういった閉塞性呼吸器疾患の増加というものが大気汚染の影響によるということを疫学的に判断いたしまして指定をするという手法をとっておるわけでございますので、現在指定しております地域、これらの地域との指定の基準のバランスを考えながら、こういった地域につきましては私ども全然しないというわけのものではございません。非常に注目すべき状態にあると考えておりますので、今後とも地元と十分に連絡しながら検討してまいりたいと考えております。
  79. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう少し積極的にやってもらいませんと、地元は御承知のように、一部で非常に開発を促進したいという地方自治体の姿勢があるわけですよ。県にしても市にしても、そういう姿勢がある。たとえば去年の十月、大分の市議会に県が提出をした資料の中に、公害を心配をする状況はないというふうな字句が入っておった。そこで公害に反対をする地域の皆さんから、現に公害が発生をしておるではないかということで追及をされて、その字句をわざわざマジックで消してその資料を議会に提出する、そういう姿勢があるわけですよ。したがって、私がここであなた方に頼みたいのは、もっと環境庁が積極的に取り組んでもらいたいということなんですよ。地元のほうからあがってくる資料だけで判断をしておったんではどうしようもないと思うのです。あなたのいまのお答えで私は納得できませんので、環境庁のほうからだれか派遣をして、現地調査をしてもらいたいと思いますが、これは次官、どうでしょう。
  80. 坂本三十次

    ○坂本政府委員 公害のあと追い行政ということは、これはもうきびしく反省をすべき段階に来ておる、これはあなたのおっしゃるとおりであります。法律的な手続、行政指導、いろいろございましょうけれども、未然に防止をするという意味で、特に人の健康に関するようなことでありますから、行ってひとつ県と相談をする、そして督励をすべきことがあれば督励をする。人の健康に関することでありますから、現地に参りまして、調査の上万全を期するというようなことは労を惜しむものではありません。
  81. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次官から御答弁いただきましたので、事務当局のほうでも、なるべく早い時期に現地の健康被害の状況、それから対策、そういうものについて、現地においでになって手を打ってもらいたいということを強く要望をしておきます。  そこで、いま申し上げましたように、環境庁のほうでも、大体第一期の操業開始後人の健康にかかわる被害が出つつあるということについては承知をされておるようでざいますが、いま、県はさらに第一期計画に続いて第二期の計画を強行しようとしておりますが、一期の操業だけでもすでに人体の被害が出つつあるこの状態の中でさらに第二期の計画を強行するということについて、次官は政治的に判断をされてどういうふうにお考えになりますか。
  82. 船後正道

    ○船後政府委員 大分につきましては、昨年十二月に公害防止計画を策定いたしております。この公害防止計画では大気の環境基準、特に硫黄酸化物につきましては、ともかく現状以上に悪化させないということを目標といたしておるわけでございます。しかし御承知のとおり、硫黄酸化物につきましては現在環境庁で人の健康に影響がない、よりきびしい環境基準の改定というものを検討中でございますので、これができますれば当然公害防止計画における硫黄酸化物の目標値というものも強化改定されるべき筋合いのものでございます。で、私どもは、大分のように新しい工業立地がされたというような地域につきましては、原則としていろいろな汚染物質の排出は人の健康を害さないという範囲内に押えるべきである、この範囲内において企業活動というものが営まれるべきである、かような考えを持っておるわけでございます。現在の第一期計画といわれるものだけを考えましても、このような原則を維持するためには相当の公害防止の努力を必要とするわけでございますから、その上にさらに汚染物質の排出が増加するような第二期計画を単純につけ加えるということにはきわめて問題が多いわけでございますので、このような公害防止のめどというものとの関連を考えつつ、第二期計画につきましては慎重に検討する必要がある、かように考えます。
  83. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 環境庁の考え方、非常にりっぱだと思いますが、そこで、大分の新産都第二期計画はいまどういうふうな内容で進められておるのか。これは企画庁のほうでちょっと内容を知らしてもらいたいのですが……。
  84. 岩田幸基

    ○岩田説明員 いわゆる新産都第二期計画の進行状況でございますが、現在六号地と七号地につきましては漁業補償が妥結いたしまして、昨年十二月に港湾計画認可もおりまして、現在進出予定企業と協定を結んでいるという段階でございます。進出の予定といたしましては、造船を中心にいたしまして、現在第一期計画のところにございます石油化学の若干の拡大などが予定されておるようでございます。  なお、八号地につきましては、現在漁業補償について現地で交渉中でございまして、この点につきましてはまだはっきりしためどはついていないという状況でございます。
  85. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 実はその県のほうもいまあなたがおっしゃるように造船を中心だというふうにだまして漁業権の放棄をさせたのです。  まず第一点私が疑問に思うのは、なるほど漁業権放棄が行なわれれば、現行法上知事認可をして埋め立ては可能であるかもわかりません。しかしそこに立地される工場あるいはその環境から考えて、その漁民を除く地域の住民には何ら環境を守るという意味での権限はないものかどうか、そういう主張はできないものかどうか。その点について、単に漁業権の放棄さえ行なわれればどんどんそういうことを進めていいということになるのだろうか、環境破壊なりあるいは大気の汚染等についてその地域の住民は何も言うことができないのかどうか、この点は環境庁のほうではどう考えますか。
  86. 船後正道

    ○船後政府委員 埋め立て問題につきましては、現行法では漁業権者その他とのいわゆる私権の調整というものを中心にして考えておる体制になっております。しかし埋め立てによる自然環境の変化あるいは埋め立てされました土地の上に立地されます企業による自然環境への影響といった点を考えますれば、当然このような配慮も必要となってくるわけでございます。  ただいま先生の御質問では、住民側としては漁業権以外に主張すべき権利はないのかという御指摘でございますが、権利という点になってまいりますと、これは民事上の問題といたしましてはすでに各地の裁判等で住民が、あるいは土地所有権あるいは人格権等に根拠を置きまして、それぞれ良好な環境を維持するための差しとめといったような訴訟も起こっておるわけでございますから、そういった民事上の権利というものは、ここで私申し上げるべき立場にないと思います。しかし一般的に申しまして、行政官庁といたしましては、良好なる環境を維持するということは、これは責務でございまして、先ほど申し上げました公害防止計画もそういった観点から、大分地区について申し上げますと、ともかく企業の操業ということにつきまして、人の健康を害しないということを目標に置いて種々の規制を加えていくということになるわけでございます。
  87. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 通産省はさっきお話がありましたが、なるほど造船を中心ということばを使っていますが、計画によりますと、二期計画の中で九石が新規に三十万バーレル、それから昭電がエチレン換算で年三十万トン、昭石が五十万バーレル、大体こういうものが三菱、三井の造船機器のほかにあの二期計画の中に立地をされるようになっていますが、そういうふうになっていませんか、どうですか。
  88. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 お答え申し上げます。先生指摘計画の内容でございますが、三菱グループ、三井グループの関係が船舶の修理なりあるいは造船ということでございまして、それ以外に九州石油の石油精製それから昭和電工グループの石油化学及びエチレン誘導体というものが、県との間ではすでに協定済みの問題として出てきております。  現在八号地につきましては漁業補償等まだ完了していない案件がございますが、ここには御指摘のような、まだ最終決定ということにはなってないわけでございますが、進出意欲を持っておるということでは昭和石油及び帝人がございます。
  89. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 環境庁、いまお聞きのとおりで、まあ八号地の問題はあとでまた議論をいたしますけれども、すでに二期計画埋め立てがきまった六号、七号地に進出をするときに、九石の新規三十万バーレルというのは現在の十万バーレルの三倍になるわけですよ。それから昭電のエチレンにしましても、これが大体いま換算の二十万トンですから、これが三十万トンになれば一・五倍でしょう。こういうものが出てくることが想定される埋め立てになるわけなんですね。いまでさえ健康被害が起こりつつあるという状態の中で、さらにこういうものが出てくるのです。それで現地の人たちは非常に正直だからだまされるんですよ。県庁の役人が来まして、もう公害のことは心配要らないんだ、ここにはグリーンベルトをつくるからと言う、そういうりっぱな企業が来るようならだいじょうぶだろうと言ったそうですから、そのくらい現地の人たちは知らなくてお役人にだまされだまされして第一期計画が進んで、いままた第二期計画が進められようとしているのです。環境庁どうですか。いま通産省のほうからお話がありましたが、こういう昭石なり公害企業の進出についてどう考えますか。
  90. 船後正道

    ○船後政府委員 環境庁といたしましては、大分地区全体につきまして人の健康が守られるような環境基準が確保されるということを目標としておるわけでございます。で、大分地区におきましては、私先ほど申し上げましたように、一期計画による操業を前提といたしましても、このきびしい環境基準を守るにはかなりの努力を必要とするわけでございまして、そこにさらに汚濁負荷を追加するということになりますればさらに規制をきびしくしなければならない、こういうことになるわけでございます。現在その手法といたしましては、これはまた後ほど大気保全局長からもお話しすると思いますが、いわゆる総量規制的な規制を導入するという考え方を持っておるわけでございまして、これはその地域の排出総許容量というものを考えまして、その総許容量の範囲内にすべての汚濁物質がおさまるようにという手法をとった規制をするということを考えておりますので、そのようになりますと、いかなる企業が進出するにいたしましても排出規制はきわめてきびしくなるわけでございます。
  91. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでさっき県のほうに、いま以上の硫黄酸化物の排出等はないように、現行以上にはならないようにということを指導して、そしていずれはもう少しきびしい基準をつくるということを指導したと言われましたが、それはいつごろ、どういう文書になっていますか。文書をちょっとお知らせくださいませんか、いつごろ出したものか。
  92. 船後正道

    ○船後政府委員 昨年策定いたしました公害防止計画計画目標というところには、一応現行環境基準というものを目標値といたしておりますが、環境汚染を現行程度以上に進行させないということを条件といたしておるわけでございます。
  93. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それはいつ出している。
  94. 船後正道

    ○船後政府委員 これは昨年の十二月十九日に正式に決定いたしております。
  95. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 表の名称は何ですか。
  96. 船後正道

    ○船後政府委員 「大分地域公害防止計画」です。
  97. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それではその次にいきますが、埋め立ての関係ですが、いまずっとお話がありましたように六、七号は埋め立てであるというのですが、八号地について県のほうで埋め立て計画を持っておるようですが、いまお聞きのような状態になっているわけです。特にここは漁業補償の問題があるのですが、何か強引にこの漁業補償を放棄させるように買収等の行為が盛んに行なわれておるようでございます。そういう状態漁業補償の問題かどうなるかは別にして、公害がこういう状態になっておるときに、公害という観点から一体運輸省としてこの埋め立て認可するかどうか。どうですか。
  98. 大久保喜市

    大久保説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の大分の地域につきましては、港湾管理者であります大分県が港港計画を策定いたしまして、途中の変更等がございましたが、昨年、四十七年の十二月でございますか、港湾審議会で計画が審議されまして一応承認を得たものでございます。それで、その土地の利用計画等につきましては先ほど来関係の各方面からもお答えしたとおりでございますが、港湾審議会にかける過程におきまして関係各省の幹事の方々との検討がいろいろとございまして、この幹事会並びに港湾審議会の計画部会で公害対策、これは業種の選定とかグリーンベルト等、こういうようなことにつきまして十分配慮するようにということが指摘されております。それでこれにつきましては港湾管理者といたしましても十分実施の際配慮するという答弁をいたしてございまして、私どもといたしましてはその港湾管理者はどこまでも地域の発展といいますか、地域をよくするために計画が立てられるべきものでございますし、そういうような責務を持っておる港湾管理者が十分その点を配慮してこの計画を進めてくれるものと期待しております。それでこのうちすでに埋め立て免許になりましたところは御指摘のように六号地、七号地の一部でありますが、八号地につきましてはまだ現在の段階では漁業補償等のことがきまってもおりませんし、私どものほうにまだ埋め立て認可申請の文書も参っておりません。この埋め立て免許行為をするにあたりましては、港湾管理者の長は、四十五年に私どものほうから局長通達で出しております指導基準に従いまして、公害等の対策について十分措置したものであるということでなければならないことにしてございますので、そこいらの点は出てきた段階でよく検討いたしたいと考えております。
  99. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たてまえと実際がいつも違っておるのですよ。  そこで政務次官、この前あれは二月十四日に、環境庁長官が関係十一府県の知事並びに市長を集めて瀬戸内海を守るための提案をなさいました。次官は同席されておりましたか。(坂本政府委員「ええ」と呼ぶ)それは非常にけっこうですが、特にその第何項目でしたか、十項目の提案をなさったその一項に、新規埋め立ては当分やめる、それから続いて進行中の埋め立てについても再検討を加えるというのが環境庁長官としてのお考え方のようです。これは提案をされたわけですね。各都道府県知事がどういうお答えをしたか私は知りませんが、長官はそういうお考えのようであることはこの新聞に出ておるのですが、これは間違いありませんか。
  100. 坂本三十次

    ○坂本政府委員 瀬戸内海をどうしてもきれいにもとの姿にしなければならぬ、そういう強い要請が瀬戸内海周辺知事さん方から、あるいは政令の市長さん方から出ておる。私どももまたそう願っておったというときに、それならばこれ以上の埋め立てをやって、そして相も変わらぬような公害型企業を立地をさせていくということになれば、それはきれいにするということはできないんじゃないか。きれいにするからには少なくとも基本的な腹がまえとしては、新しい埋め立ての上にそういう従来どおりの企業の立地というようなことは原則的にやめてもらわないときれいにならないのじゃないですか。知事さん方のおなかの中もひとつしっかり確かめて、お互いにこれは協力し合わなければできませんから、そういう意味で率直な話し合いをした、こういうことでございます。
  101. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 同じ国の行政、特に環境庁長官は副総理でもあるわけでございます。その副総理が瀬戸内海の汚染を防止し、公害から国民を守ろうという見地に立ってこういうりっぱな提案をなさった。私はこれは非常にりっぱだと思いますし、国民も非常に期待しております。特にいま、権力を持たない地域の住民は、環境庁というものに対して非常にたよりにしています。環境庁だけがよりどころだというふうに考えてそこに泣きついてくる。おそらく次官のところにも多くの陳情があったと思いますが、そういう状況になっておる。  ところで国政全般にわたって考えてみる場合に、環境庁の長官は国務大臣であり、しかも副総理である。その三木環境庁長官がこういう提案をされた。そういう考えでこれからの瀬戸内海の浄化なり公害に取り組んでいこうとしているときに、一方通産省あたりではあるいは運輸省あたりでは、現行法令上支障がなければやむを得ぬじゃないかという考えに立って、いまの二期計画の中の六号地、七号地あるいはまだ免許になっていない八号地についても漁業補償の問題が片がつけばしかたがないんじゃないか。そういうように同じ国の行政の中で公害の姿勢に食い違いがあると思うのですけれども、この点は次官、どうお考えになりますか。聞かしてもらいたいのです。
  102. 坂本三十次

    ○坂本政府委員 やはり今日までの日本の高度成長というものは世界的な驚異の目で見られるくらいのすばらしい飛躍がありました。生活水準もうんと上がったということは事実であります。これはこれで評価をされるべきでありますが、しかしその反面における公害問題の深刻さというものについては、これはじかに人の健康に関することでございますし……(阿部(未)委員「公害のほうも世界一だ」と呼ぶ)そうなってはたいへんでありまするから、ここでやはりチェックをするということはこれまた政府のみならずすべての世論のしからしめるところだ、こういうふうに思っております。確かに率直に申し上げれば非常な反省の上に立って、そしてこれからの大きな政策の転換というものをはかろうという意欲を持っておるということは、これは環境庁は当然でありまするが、他の役所においても頭の切りかえということはだんだん進んできておる、またそうすべきであるという基本姿勢においては私は偽りはなかろう、こういうふうに思っておるわけでございます。ただ環境庁はその水先案内でがんばっていきたい、こういう姿勢は間違いはありません。
  103. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで運輸省、いまのお聞きのとおりに、それは一つの国の姿勢でもあるというふうにお話しになっておるわけでありますが、事務当局としてはなかなか言いにくいところもあろうと思いますけれども、この八号地の埋め立てについては、実はこの国会でも環境庁長官が話されたような趣旨の内容を盛った議員立法ができるだろうと思います。各党とも準備をしておるようでございますから、そういう趨勢にあるわけでありますから、指導としてはやはり埋め立てをさせないという方向での指導がおたくのほうも望ましいと思いますし、特にこれは経済企画庁のほうはやらせないように指導しておいてもらいたいと思いますが、どうでしょう。
  104. 岩田幸基

    ○岩田説明員 八号地の埋め立てにつきましては私どもといたしましても、すでに一号地から七号地まで埋め立てて、さらに八号地を埋め立てるわけでございますから、それの扱い方つまり業種をどうするか、あるいは規模をどうするか、そういったことにつきましては重大な条件その他の調査をやった上でなければ判断できないのではないかというように考えております。したがって、この点は今後環境庁とも十分相談いたしまして、八号地をどうするかということを検討してまいりたいと思いますが、現在はまだ漁業補償の最中でもございますので、いまの段階でどうするということを決定する段階ではないというように考えております。
  105. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その辺で行政指導が入らないと、地元のほうでは漁業補償の問題が先行して、漁業補償さえ片がつけば埋め立てていいのだ、そういうふうにずっと進んでいくわけです。ここは埋め立てることは困難だぞということで行政指導すれば、血で血を洗うような——いま漁協は割れて、さっき申し上げたように買収したりされたりしてたいへん醜い姿になっておるわけで、そういう争いも起こらなくて済む。そういう争いを起こしてそのあとで、どうも好ましくないと言ったんでは実はおそくなるし、そういう方向で進めていく地方自治体にとっても気の毒なことです。地方自治体は、県はそういう方向で埋め立てていくという考えでやっているわけですから、ですから無理なものは無理だということをあらかじめ指導するということが国の方針でなければならぬと思うのですが、どうですか。
  106. 岩田幸基

    ○岩田説明員 私どもの新産都市の建設計画の基本的な考え方といたしましては、やはり地元地方公共団体の意思を十分尊重するということ、それから自然環境その他環境保全に十分意を用いるという二つの点でございます。したがいまして、八号地の埋め立てにつきましても、現在のところ大分県側といたしましてこの埋め立てをやりたいという意思が非常に強いわけでございますので、現在のところいま私どもとしてもその意思を尊重するという姿勢ではあるわけでございます。ただ御指摘のように、これが将来環境問題の観点から非常に問題があるということであれば非常に問題でございますので、その点は漁業交渉その他が一段落いたしました段階で、環境庁とも相談をして十分その辺を調査した上で処理したいと思います。
  107. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 やはり通産のほうはそういう姿勢が出てくるわけですね。何とか開発はやらしたいという姿勢が出てくるんです。しかしそれじゃ瀬戸内海が守れない。すでに環境庁の長官も言っているように、新しい埋め立てはやめようじゃないか、国の方針としてそう言っているのです。免許してしまったところをこれから取り消すということは、これは行政上私はむずかしいと思います。免許してしまったところを取り消すというのがむずかしいとすれば、まだ免許してないところについては、あなたのほうの姿勢も地元がいうならいいじゃないかというような姿勢では、いつまでたっても瀬戸内海は浄化できません。三木環境庁長官が言ったのは単なるアドバルーンにすぎないということになりますよ。いま、通産のほうはそういう考えでございますが、環境庁のほうはどうですか、長官の意を受けて、もうこれからの埋め立てはやらせないという意思はありますか。
  108. 坂本三十次

    ○坂本政府委員 先ほど局長からお答えをしましたように、こちらのほうは健康を守る、環境を保全するというような観点からひとつ規制をしていこうということになっておるわけでございます。しかしいまの防止協定でもこれ以上の、たとえば硫黄酸化物などでもふやさないというのでしょう、だけれども、これ以上ふやさないどころではなしに、もっときびしく規制をしようという、こういう段階にこれから進もうとしておるわけでありますから、そういうきびしい環境の中で、それがいろいろの企業努力というものによりまして公害が人の健康に重大な被害はもちろん、大して被害を及ぼさないというその証明のない限りは、環境庁としてはやっぱり慎重に、ときにはきびしくチェックをするということはあり得る、私はそう思っております。
  109. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 かつて、前の長官の大石先生は、いろいろな道路の開発等の問題について、好ましくないということを明確に、自分が足を運んで現地をごらんになって、ここに新しい道路をつくることは好ましくないとか、こういう地域を開発することは好ましくないということを明確におっしゃいましたけれども、それが非常に国民の信頼を受けて、また行政の中でも生かされてきた、私はそういう経緯を十分に承知をしておるわけですが、特に私がいま申し上げておるのは、そこにどういう工場を立地するかというのではなくて、瀬戸内海の環境を保全するという意味から、瀬戸内海の中にこれ以上の新しい埋め立てはすべきでない、そういうお考えに環境庁は立っておると思うのです。ところがその長官のおっしゃる瀬戸内海の中に、まだ免許がおりていないが新しい埋め立てをしようという計画がある。そのことが好ましいか好ましくないか、これは政治的な判断で、ずばり次官から答えてもらいたいのです。
  110. 坂本三十次

    ○坂本政府委員 いまのような程度の企業努力では、新しい埋め立てをどんどんやるということは瀬戸内海を浄化しないことになりますから、それについては私どもは、環境庁としては、新規埋め立てについては、これはやはり厳重にチェックをしていきたい、こういう方針であるということを申し上げておきます。
  111. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで環境庁のほうはわかりましたから、ひとつみんながんばって、新しい埋め立てはもうやらせないという方針で臨んでもらいたいと思います。それから出席をいただきました、特に通産省、経済企画庁関係、それから運輸省の関係につきましても、さっき申し上げたように、一つの国の方針として、もうこれ以上瀬戸内海をよごさないためには、もっときれいにするためには、新しい埋め立てはもうやるべきじゃないか、いま計画中のものでも再検討すべきじゃないかということが話し合われておるし、長官もそのことを提起されておるわけなんですよ。そこへもってきて、現行法上やれるんだからと、あるいは地元の要望がありますからというふうなことで——私は地元といってもいろいろな観点から見方は違うと思うのです。  ちょっと余談になりますが、厚生省では地元の反対という場合には、町議会が決議をしたとか市議会が決議をしたことをもって直ちに地元が賛成したというようには見ないという見解をとっているのですね。一つの屎尿処理場をつくる場合でも、それによって影響を受ける人たちがどう考えておるかということを重視する、市議会が決議をしておられるのはけっこうだが、影響を受ける地域の人たちの反対がある場合には国の補助を出しません、私はこの限りにおいては厚生省の見解はりっぱだと思うのですよ。そういうふうに皆さん方もひとつ考えを改めて、もうこれ以上瀬戸内海をよごしてはならないのですから、埋め立てをやらない、特に大分の場合についていうならば、いまの八号についてはもうやらせない、これはひとつ決意を述べてもらいたい。どうですか。
  112. 大久保喜市

    大久保説明員 お答え申し上げます。  先ほど来論議にのぼっております八号地につきましては、いろいろと問題もあるということは、私もけさのテレビを見て承知いたしております。しかしながら私どもの、先ほど申し上げました港湾審議会の場におきましても、公害対策等につきまして十分配慮するようということを言いまして、港湾管理者もそれを実施にあたっては配慮するということを答えてくれておりますので、私どもといたしましては、その港湾管理者の常識と申しますか、それを信頼をいたしまして、実際にもしこの案件が出てまいりました場合には、その点を、ほんとうに約束どおりになっているかどうかということを十分チェックいたしたいと考えております。  それで、おことばを返すようで非常に恐縮でございますけれども埋め立てを絶対にやめるというわけにはいかない事情がございます。これは、八号地の問題ではございませんで一般論としてでございますが、いわゆる埠頭の用地とかあるいは公害対策のためにやらなければならぬという場合もございます。ですから、一般論として埋め立てを絶対やらないということを約束せよと仰せられましても、私この席においては何とも申し上げかねますが、この八号地につきましては、いま申しましたような点、十分配慮いたしまして、港湾管理者が私どもの期待を裏切らないようにしてくれることを期待いたしまして、おりをとらまえてよくきょうの論議のありましたことも伝えたいと考えております。
  113. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 通産省はどうですか。
  114. 青木慎三

    ○青木政府委員 埋め立てそのものに関しましては私どもの直接の権限ではございませんけれども、企業の進出にあたりましては、私どもとしましては事前の想定を置きまして、事前調査をしてその公害の状況を予測する手段をとっております。これは環境庁のほうとも十分相談いたしまして、公害がこれ以上ふえないような防除手段を十分講じた上でなければ進出をさせないというふうに行政指導してまいりたいと思います。  なお、公害防止技術は日進月歩でございまして、低硫黄化の燃料の使用とかあるいは排煙脱硫とか、いろいろな手段もございますので、こういう手段を駆使しまして、十分公害に配慮しつつ工場進出をするように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  115. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 経済企画庁は……。
  116. 岩田幸基

    ○岩田説明員 特に八号地につきましてはいろいろと問題があるということはよく承知しております。先生指摘のような問題を踏まえまして、埋め立てそのものを私どもが決定する権限はございませんけれども埋め立て問題を含めまして立地計画全体について、これまで以上に慎重に処理をしていくというふうな方向で府県を指導し、私どもも関係各省とも努力してまいりたいと思います。
  117. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 まだ少し認識が違うのですけれども、特に私が申し上げておるのは、そこに進出する企業から公害が出る、出ないという前に、瀬戸内海の環境を守るという観点からも、この自浄作用をこわすような埋め立て——あなたはさっきことばじりをとらえたけれども、それは公害防止のための埋め立てもありましょうけれども、何もかもということにはならないかもしれませんが、私の言うのは、公害を出すような企業のための埋め立ては、これはもう本来やるべきでない、瀬戸内海の地域においては特別慎重を期してもらいたい。  それから、環境庁に最後にお願いをしておきたいのですけれども、さっき次官のお話もありまして、おそらく近い時期と思いますが、大分のほうの現地を視察していただいて、いろいろ地方自治体とも打ち合わせをしてもらいたいのですが、特にその際にお願いしたいのは、いま公害が人の健康に及んでおるという実態の調査と同時に、いま進められておる六号地、七号地の計画について、できるならば長官のおっしゃるようにしばらく見合わせてもらいたい。かりにそれが困難であるとしても、少なくとも立地については、工場誘致については十分な指導をしてもらわないと、さっき申し上げた硫黄酸化物をたくさん出すようなところは出てきてもらったんじゃ困るわけですから、その点について十分地方自治体の指導をやってもらいたいと思います。できるならば、埋め立ても当分見合わせてもらいたいと思いますけれども、それがかりに環境庁の権限外であったとしても、公害の見地から思い切ってひとつ地方自治体を指導してもらうように、出張の際にあわせてお願いをしておきたいと思います。  質問を終わります。どうもありがとうございました。
  118. 佐野憲治

    佐野委員長 この際、暫時休憩いたします。  本会議散会後直ちに再開いたします。    午後零時四十六分休憩      ————◇—————    午後一時五十五分開議
  119. 佐野憲治

    佐野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂口力君。
  120. 坂口力

    ○坂口委員 きょうは一番最初に総量規制の問題をお尋ねしたいと思うのでございます。  総理も環境庁長官も実現させるというふうに再三御答弁をなさっているわけでございますが、東京、千葉さらに七日の日には大阪のほうで総量規制の問題が発表になりました。この大阪の総量規制案に対する御見解というものをまずお伺いをしたい思います。
  121. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 お答えいたします。  まず、大阪でこの前新聞に発表のありました、立案されました総量規制の内容と、それに関します私どもの所見を申し上げますと、大阪ではこれを前から計画しておりまして、大阪府下を四つの地域に分けまして、それぞれの地域について硫黄酸化物と窒素酸化物の削減必要量、これを電子計算機によって算出したものであります。これには非常な労苦が要りましたのでありますが、この総量規制方式を導入するための検討につきましては、私どものほうにおいても現在水島地区において硫黄酸化物についてやっております。大阪のほうは硫黄酸化物だけでなしに窒素酸化物も導入してやったことと、それから硫黄酸化については、四日市の裁判のあと、三重県がまず一定の目標値を置いて小規模ながらもどの総量規制の方式をまずやりました。それらを総合して、この大阪の一つの目標は限定したものを仮定してはおりますものの、目標達成に必要な排出削減必要量を算出したというもので、私どもにとっては非常にこれは参考になる仕事だと評価を高くしております。
  122. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、この大阪の総量規制案に対しましては、今後国の段階でこれを参考にされまして全国的に取り入れていかれるという御方針でございますか。その辺のところをお伺いしたいと思うのです。
  123. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 大阪におきます総量規制の内容につきましては、先ほど申しましたが、まず硫黄酸化物については厚生省時代につくりました生活環境審議会環境基準専門委員会で出しました数値、この数値を使って目標値といたしたものであります。それから窒素酸化物については中央公害対策審議会の大気部会の専門委員会で出しました環境基準、これを目標値にして出したものであります。それで、私どもこの手法については大いに今後参考にしてやっていこうと思っておりますか、御承知のとおり総量規制の問題にはいわゆる濃度の規制の欠点の問題は従来諸先生から御指摘を受けておるのでありますが、大気の場合は現在K値規制というのをやっておりまして、これは地域の総量規制、地域の総量は一応認めております。したがって、部分的な総量規制はいまの大気汚染防止法の排出規制にも入っておりますが、これにも煙突を高くすれば多く排出できるという点と、それから施設の増加による排出量の増加を規制することができない、こういう問題での欠点がございますので、総量規制を考えるときにそれらをどういうふうに補完するかという問題が出てまいります。したがって、環境容量を決定するにあたって自然浄化力をどういうふうに判定するか、その特定地域をきめてやっていく方式になお幾つもの方式があるものでございますから、この大阪のやり方を大いに参考にいたしまして、条件がいろいろ違います、たとえば風向、風速の問題にしてもいろいろな条件がございますので、これらを幾つも組み合わせてやる作業を四十八年度中で何とか結果を出したい、こういうふうな方針で目下検討を続けておる最中でございます。
  124. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、この方式としては幾つかある。しかし全体としては、今後この総量規制の方針を取り入れていくというお考えだというふうに承ってよろしゅうございますね。
  125. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 それでよろしゅうございます。
  126. 坂口力

    ○坂口委員 許容量は、大阪市が、行政目標としてではございますけれども、NO、NO2、NO3、いわゆる窒素酸化物に対しまして幾つかの値を示しております。これらの窒素酸化物に対しましては、環境基準が現在のところない状態でございますが、アメリカでは〇・〇二PPM、中公審でもやはり〇・〇二PPMという数字を一応出しておられるようでありますけれども、大阪の場合を見せていただきますと、大阪では〇・〇一五六PPMという数値を出しておられます。国全体といたしましては、どういうふうな窒素酸化物の基準をつくられるのか、どの辺に基準を置かれるおつもりなのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  127. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 窒素酸化物の環境基準の問題でございますが、窒素酸化物にいろいろ中身がございますが、いま私ども考えております窒素酸化物は、一応、二酸化窒素、NO2について先にきめること、それから光化学オキシダント、この二つをいま考えております。  先ほど先生おっしゃった中で・アメリカが〇・〇二とおっしゃいましたが、これはあるいはお間違いでないかと思います。年間平均で〇・〇五でございます。私どものほうの専門委員会で一応出しました〇・〇二というのは、年間値でございませんで、二十四時間の平均値でございます。したがって、これは非常にきつい数値になっておりまして、もしこれを年間値に直しますと、約三分の一から四分の一ぐらいの間と思いますので、その辺が大阪で今度きめました目標値に使いました窒素酸化物の値だと思います。  それから、現在これをどうするかという点でございますが、私ども、この環境基準を、学問的に出しました数値をもとに、いかにこれを達成できるかという段階の検討をしておりますが、残念ながら、硫黄酸化物のローサルファの問題とかあるいは脱硫という問題というような目標がございませんで、ボイラーに関してはやや技術が開発されつつありますが、一般の炉に対しては、何らいままだ技術が開発されておりません。したがって、この硫黄酸化物を抑制する技術を何年先にどういうふうに見たらいいか、この技術開発の問題とあわせて窒素酸化物の環境基準を達成するための期限と方途、この問題についていま検討しておる最中でございます。専門委員会の数値は〇・〇二でございますので、これを目標にすべくどういうふうに方途と期限を定めたらよろしいか、この内容についていま検討しておる最中でございます。
  128. 坂口力

    ○坂口委員 窒素酸化物の人体に対する影響についてでございますけれども、疫学調査というのは、まだいままで本格的に行なわれていないと思いますが、この点につきましてはどうでございましょうか。
  129. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 窒素酸化物の人体影響については、窒素酸化物だけの人体影響を見る方法は、残念ながら日本ではまだございません。その理由は、ほかの工場から窒素酸化物のものは影響なくて、窒素酸化物だけを煙突から出しておるという、そういう場所が日本にはございません。アメリカでやりました学童に対する人体影響調査あるいはチェコスロバキアでやりました例が人体影響の唯一のデータでございます。  日本で行ないました人体影響というのは、すでに先生御承知のとおり、硫黄酸化物等で、ばい煙影響調査というのをやっております。それらについて硫黄酸化物に関するものとしてのデータを追跡しておる最中に、それに関する二酸化窒素等の影響を合わせて濃度をずっと測定しておりますものですから、それらを並行して関連させて追跡しながら、それを硫黄酸化物と別に窒素酸化物のほうの影響として見ておるわけでございます。したがって、窒素酸化物の人体影響の中には、当然硫黄酸化物あるいは粉じん等の相関作用が入っておるという点はありますが、一方、硫黄酸化物のほうの疫学データはいままでわりあいしっかり積み重なっておりますので、それらを勘案して、人体影響の問題を一応有症率をどこに見るかということをやりまして、いまのところ、硫黄酸化物の人体影響は成人については有症率は大体三%ではなかろうかという数個を出したのであります。
  130. 坂口力

    ○坂口委員 この光化学スモッグの発生には、私もあまり詳しいことはわからないのですが、温度がかなり影響する、大体二十四度ぐらいが一つのポイントではないかということがいわれております。それから紫外線がこれに対して加わってくるということがいわれております。そういたしますと、季節によりまして、これは夏と冬とでは発生率がおのずから異なってくると思います。そういうことになりますと、冬と夏とはこの基準というものをある程度変えなければならないのではないかという気がいたしますが、これに対する御見解はどうでございましょうか。
  131. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 いまの先生の御指摘の中で、光化学オキシダントの発生から考えますと、確かに冬と夏とはオキシダントの濃度が明らかに違います。それは大部分は温度ことに紫外線のあるなしの問題が大きく作用すると思います。したがって、冬と夏ではオキシダントの出方は確かに違いますが、しかし、オキシダントそのものの環境基準を示すときに、夏と冬との環境基準に分けることは、たいへんむずかしいことがあると思います。まずオキシダントの人体影響という根本的な問題については米国の例しかございません。日本の例はオキシダントの濃度が低いのにいろいろな急性症状が出ておりますので、これらの解明をいまやっている最中でございますので、オキシダントそのものの影響をまず追跡しておる最中なことと、オキシダントの環境基準ということになりますと、人の健康に被害を与えないというポイントを加えますので、それをさらに冬と夏に分けるということは、環境基準を設定する上において非常にむずかしい技術的な問題が入ってくると思います。
  132. 坂口力

    ○坂口委員 そうしますと、非常に発生率の多い夏を中心にしてきめていただくという以外にないと思いますが、その問題をあまり詳しくやっている時間がございませんが、総量規制ですね。これは方向としては国のほうでもお取り上げになるという方向であるということをいまお聞きしたわけでございますが、具体的にいつごろからこれを実行できるというふうにお考えいただけますか。  それから、現在のいわゆるエネルギー消費型の産業構造を根本的に変えていかないことには、大阪が示したような非常にきびしい——きびしいと申しますか、シビアな基準というものはなかなか達成されないと思いますが、その辺のプログラム等もありましたら、あわせてお願いしたいと思います。
  133. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 全般の総量規制をいつごろからやる予定かという御質問でございますが、これは水と大気とちょっと進み方が違いますので、大気に関して申しますと、大気はいま地域総量規制を一部やっておりますので、それを補完する方式として今度の大阪方式等を取り入れてやれるかということで、いろいろな術式を導入して、四十八年度中に何とか調査の結果を出したいという方向でいま進んでおります。しかし、それをすぐに法律を改正して、大気汚染防止法をずっと改正をいたしまして、それを全地域にわたらせる処置をするかどうかになりますと、ちょっと時間がかかりますので、いま私どもの目標は四十八年度中に総量方式の術式の決定を早くしていきたい。それらの出た結果を見て、法律問題をどういうふうにやっていくかという検討はあとに残りますので、さしあたり術式の決定を急いでいるという段階でございます。  それからあと産業構造云々の問題につきましては、これはおっしゃる点十分認識しておりまして、この点に関しましては、私どものほうにあります防止計画、あるいはそれに関する通産当局との折衝等々から、いろいろ改善していかなくてはならない点があることはもう十分承知しております。  ただ、工場等の問題だけでなしに、先ほど御指摘がありましたオキシダント等から考えますと、自動車の問題もあわせて考えねばなりませんので、移動発生源と固定発生源の両方からこの環境基準をいま総量規制していく場合に、どういうふうにそれを実際の計画の中に入れられるかという点については、なお多くの問題があることを承知しております。
  134. 岡安誠

    ○岡安政府委員 水につきましても、私どもは総量規制と申しますか、量規制の導入ということをなるべく早くいたしたいというふうに考えております。現状の方法によりましても、量規制の考え方を導入することは、上乗せの規制の運用いかんによりましてはできるわけでございますけれども、しかし、厳密な意味で量規制をするためには、まだ技術開発の面その他開発を要する面がたくさんございます。私どもなるべく早く、全面的にといいますか、量規制を導入できるように問題の解決をはかりたいというふうに考えておりまして、しばらく時間はかかるものというふうに考えております。(「しばらくっていつくらいまでですか」と呼ぶ者あり)
  135. 坂口力

    ○坂口委員 水の問題でございますけれども、技術的になかなかむずかしい問題があるということはよくわかるのですが、いわゆる科学的な意味での目標というものは、これはもうきまっていると思いますが、その辺はどれくらいでございましょう。あるいはまた、いまお隣からお話が出ましたように、もう少しはっきりしたプログラムというものを示していただきたいと思うわけです。
  136. 岡安誠

    ○岡安政府委員 水につきましての量規制の問題点というのは、二、三ございます。  まず一つは、やはり水域ごとにこれは規制をしなければならないわけです。全国一律では濃度規制にならざるを得ませんので、量規制というのは水域ごとの規制になります。水域の場合には、その水域における自浄能力と申しますか、環境容量と申しますか、それをはっきりいたしまして、その容量の中ですべての汚染を押えるわけでございまして、自浄能力等の測定、これを急ぎたいと考えておるわけでございます。  二番目には、この環境容量がきまりますと、これを業種別あるいは工場ごとに割り当てをするわけでございまして、それらにつきましては、工場ごとの産業の業種別の規制の可能性といいますか、それらの判断をしなければならないという点でございます。  三番目には、やはりこれらを法的に確保するためには、工場の排出口ごとに量並びに濃度を同時に測定する機器の開発がどうしても必要でございます。私ども量規制に踏み切る場合には、法改正をいたしまして、各工場の排出日ごとにそういう機器の設置というのを義務づけざるを得ないというふうに考えております。そのためには先ほど申し上げましたように、機器の開発を急がなければならないと考ておりまして、私どもはそれぞれその促進方をいたしております。  またもう一つ問題がございますのは、水質汚濁の指標項目でありますCOD、BODにつきましては、その指標では機械的にこれを測定することがほとんど不可能でございます。そこで私どもは新しい指標、たとえばTODというものの開発を急いでおりまして、この指標をBOD、CODにかえまして採用するという段階が先になければ、やはり機械的にこれを測定することが困難であります。このTOD方式につきましては、四十七年度、今年度からその調査を進めておりまして、私どもはできれば昭和五十一年くらいまでにはこの採用をいたしたいというふうに考えておりますので、そのテンポでいま作業を進めております。できるだけそれは促進をいたしまして、あわせて量規制のほうに踏み切ってまいるというふうなことを現在考えております。
  137. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、たとえば大気汚染の場合に四日市なんかでも一本一本の煙突に測定器をつけて、それを見るというような方針をとっておりますけれども、やはり水の場合にも一つ一つの排出口にそういうふうな測定装置をつけて、そしてそれを見るという、そこまでおやりになるつもりでございますね。
  138. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いまのお話のように、そういう排出日ごとにメーターをつけなければ量規制を法的に強制することは不可能じゃないかというふうに考えております。
  139. 坂口力

    ○坂口委員 特にいまおっしゃるとおり、水の中でも場所によってこれは違うと思うのでございますが、そういう意味では瀬戸内海なんかは特殊な場所ではないかというふうに思いますので、この瀬戸内海の環境保全に対しましては三木長官も非常に前向きな姿勢を示していく、積極的に取り組んでいくということを再三表明してお見えになります。この瀬戸内海を保全をしていこうということに対して、特別の何かプログラムがございましたら、お示しをいただきたいと思います。
  140. 岡安誠

    ○岡安政府委員 瀬戸内海につきましては、やはりああいう閉鎖性の水域でございますし、最近汚濁の進行が相当進んでおりますので、できるだけ早くこれを正常化いたしたいということで、昨年関係各省庁集まりまして、瀬戸内海の汚濁対策推進会議というものをつくって、それぞれの対策を現在研究いたしておるわけでございます。私ども一昨年の暮れに対策会議の中間報告を得まして、当面推進すべき方策等につきまして合意を得たわけでございますが、私ども今後さらにこれらの方策を推進するために、できるならば四十九年度を初年度といたしまして、年次計画的に対策を推進するということを現在検討いたしておるわけでございます。
  141. 坂口力

    ○坂口委員 二月の十四日でございますか、瀬戸内海環境保全知事・市長会と環境庁との合同会議がございました。そのときに三木長官は、十項目の地域、利害を越える共同歩調を求めた点を示しておいでになります。これは読むまでもないと思いますが、その内容につきましては、これは現在も変わっておりませんですか、その点お伺いいたします。これは政務次官にお伺いしたほうがよろしいでしょうか。  ちょっと説明が足らなかったと思いますけれども、二月十関口の知事・市長会との合同会議において、ちょっと読みますと、「三木長官は「四十九年度から五カ年計画で浄化策を実行したい。ただし各府県市が次の十条件に同意しない限り、その効果は上がらない」と指摘」になりまして、「新しい埋立ての中止。進行中の計画の再検討」を一つ、それから第二に「公害発生型企業の進出規制」三番目に「工場排水の規制強化と総排出量規制への切替え」四番目に「重油タンカーの航行規制」五番目に「島部の土石採取の取止め」六番目に「沿岸の都市計画区域全部に国の財政援助による下水道を付ける。」七番目に「養魚場を含む漁業の保全」八番目に「汚染の監視体制整備」九番目に「赤潮などによる被害の救済」十番目に「汚染原因の究明」こういう十項目をあげて、五カ年計画として、そして各府県、市に対して示されたものでございます。これは新聞の記事でございますが、間違いございませんね。
  142. 坂本三十次

    ○坂本政府委員 おっしゃるとおりです。
  143. 坂口力

    ○坂口委員 この第一項目にありますところの、新たに埋め立てを当分の間やめる、こういっておみえになるわけでございますが、当分の間というのは、これは一体どのくらいなことなのかということをお聞きしたいのですが、政務次官お聞き及びの点、だけでけっこうでございますので……。
  144. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いまお話しの二月の十四日の知事・市長との懇談会でございますが、そのときの十項目、それは瀬戸内海を急速に浄化するためには避けて通ることのできない重大な問題なので、その点について各関係者の合意がなければなかなか困難であろうということで提案がされ、議論があったわけでございます。したがって、当分の間というのは別にどれだけということではございませんで、少なくとも当分の間これを非常にきびしく規制をするということを避けては、瀬戸内海をこれ以上よごさない、符に急速にきれいにするということば問題であるというような議論がなされたわけでございます。
  145. 坂口力

    ○坂口委員 防衛庁の方お見えいただいておりますでしょうか。——防衛施設庁の四十八年度一般会計予算の中で、施設運営等関連諸費として六百八十五億円、私の書き間違いがなければ、これが計上されております。その中で、山石国基地の移転調査費として計上されておりますけれども、これはどのくらいな額になっておりますか。
  146. 大池金二

    ○大池説明員 お答えいたします。  岩国基地は先生御存じのとおり、海兵隊が使用している飛行場でございます。この飛行場はちょうどその臨海工業地帯に接続しております。ちょうどその臨海工業地帯というのが進入表面の下にございますが、そこで、そういうことから、危険感とか騒音とか、そういういわゆる公害と申しましょうか、そういう面からこれを沖合いに移転してくれ、そういう話が前々からございました。  それで、昨年、実は岩国市議会で、これを市議会として決議しまして、わがほうに要求を出してきたわけです。そこで、基地の安定的な使用ということをさせることを任務といたしますわが施設庁といたしましては、これを一応要望をいれまして、その可能性があるかどうか、そういうことを検討する必要があるのじゃないか、そういうことで予算を要求いたしました。概算要求ではいたしましたが、しかし予算の内示の段階では認められておりません。したがって、項目としてはそういうものは入っておりません。
  147. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、現在の段階ではこの調査費というのはついていないわけでございますか。
  148. 大池金二

    ○大池説明員 そのとおりでございます。
  149. 坂口力

    ○坂口委員 現在その調査費というものはつかなかったけれども、しかし計画というものは現在の段階であるということでございますか。
  150. 大池金二

    ○大池説明員 基地の安定的な使用といいますか、そういうことを果たすことを任務としております防衛施設庁としましては、地元からそういう要望がございますので、これは施設庁の通常の業務としまして、埋め立ての可能性とかその場合のいろいろな問題点とかそういったものについて当然調査する必要があるだろう、そういうことで、来年度そういう調査を実施してみたい、こういうことは一応はきめております。
  151. 坂口力

    ○坂口委員 政務次官、いま調査費としては実際にはつかなかったというお話でございますけれども、こういうふうなお話が出ていることも事実でございますし、そしてそういう項目があることも事実でございます。  そこで、長官としては新しい埋め立ては一応しないというふうに都道府県に対しても市に対しても表明をしておみえになる。表明をしておみえになるというよりも、そういうふうに要望しておみえになるわけです。しかし一方におきましては、いろいろ事情はあると思いますけれども、この基地の移転問題、埋め立てという問題が起こってきたわけで、今後これが一つのルートに乗ってくるであろう、こう思われるわけでございますが、こういうふうなお申し出があった場合、たとえば防衛庁のほうからこういうふうにやりたいというような申し出があった場合、どういうふうになさるおつもりか、その点ひとつお伺いしたい。
  152. 坂本三十次

    ○坂本政府委員 瀬戸内海をきれいにしようという観点から、埋め立てについてはきびしく規制をしたいということをこの間知事さんともいろいろ突っ込んで御相談中というところでございます。そういう環境を守るという観点からいたしますれば、基地の問題であろうと、それから公害型の企業の立地の問題であろうと、とにかく環境に対して、これを十分保全したいという気持ちは環境庁においては変わるところはございません。  新規埋め立てについてきびしく規制をしていきたいという気持ち、これは米軍の基地につきましてもやはり環境についての影響は十分調査をいたしまして、そして環境保全の上で遺憾のないように厳重にアセスメントをやっていかなければならない、こう思っております。
  153. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、いまいろいろ調査をしなければならぬというふうにおっしゃいましたけれども、それは一応埋め立てを認めるという前提の上での調査という意味でございますか。長出目のおっしゃったのは、これはどうしてもこの瀬戸内海というものを守っていかなければならない、そのためにはこういうふうな埋め立て等を、いかなる理由であろうとそれはしてはならないんだという御趣旨であろうと思う。だからそういう長官の御趣旨があるわけですから、一応埋めることを前提にした調査ということは私はあり得ないと思うのですが、いかがでございましょうか。
  154. 坂本三十次

    ○坂本政府委員 環境を保全するという意味におきましては、公害型企業の立地であろうとそれから基地の問題であろうと、同じやはり環境保全上きびしい立場で臨むということは変わりありません。  ただ、基地の問題その他につきましては、これはまた別の政府全体としての姿勢の問題がございますから、私がここでそれは絶対にいけませんとは申し上げられないわけでございます。
  155. 坂口力

    ○坂口委員 私は、環境庁の御意見というのはこれはやはり政府全体の御意見だろうと思います。環境庁長官の申されたことは現在の田中内閣の御意見であろう、政府全体の御意見であろうと思います。政府全体としての立場からいうと、この防衛庁の問題は別ワクだ、これはちょっとおかしい。これらもすべて含めた意味での環境庁長官の御発言であろうと私は思うのです。国全体から見ましても、これだけ環境というものが破壊され、これを何とかしてもとへ取り戻さなければならないというのは、これはみんなの命を一番守らなければならないというところから出発しておるわけでございますから、そういう意味からいたしましたら、これは防衛庁であろうと通産省の範囲内であろうと、どういう範囲内であったとしても、これは一番優先して環境庁の仕事というのはなさるべきである、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  156. 坂本三十次

    ○坂本政府委員 おっしゃるような気持ちは、環境庁は当然持っております。基地につきましても、その影響などについてきびしくやはり環境を守る上でチェックしていくという姿勢においては変わりはありません。
  157. 坂口力

    ○坂口委員 だいぶ力強いおことばをいただいたわけでございますが、この新しい埋め立てというのが、特に汚染されております瀬戸内海を今後守っていくためには、この埋め立ての中止はどうしてもやらなければならない、埋め立てというのはたいへん悪影響を及ぼすということを長官は言っておいでになると思うのです。だから十項目の中で第一番に、新しい埋め立ての中止ということをここに立てておいでになると思うのです。ですから、これほどきっぱり長官が埋め立ての中止を言っておいでになるのですから、ですからいかなる理由があろうと、もしもそういうふうなことが、ほかの省庁から話があったら断じてそれは許さないのだ、われわれが住む日本はどうしても環境庁が中心になって守っていかなければならないのだということを、私は明確にここで言われるべきだと思うのです。いかがでしょうか。
  158. 坂本三十次

    ○坂本政府委員 環境に対する影響調査というものを厳重にやりまして、そして環境保全という目的のために全力を尽くすということを申し上げておるわけであります。
  159. 坂口力

    ○坂口委員 どういう目的で埋め立てがされるといたしましても、その埋め立てをすることによって瀬戸内海の環境というものがよくはならない。少なくともよくはならない。おそらく悪くなるであろう。だから、そういうふうな観点の上から、この埋め立て中止という長官のお話があったと思うわけでございます。だから、いろいろ調査をして、そして、えらいことないだろうから、これをひとつ認めようという形ではなしに、やはりいかなる理由であろうとこれは認めない。私はいま、防衛庁のそれがいいとか悪いとかいうことを申し上げているのではないのです。環境にしぼってのお話をしているのです。瀬戸内海の環境保持という点から言えば、そういう強い姿勢を示してもらわないと、また、たとえばほかの工場埋め立てというようなものが出てまいります。そうしますと、一部防衛庁に許したじゃないか、じゃこちらもということになって、だんだんそれがくずれてくる。だから、せっかく強く長官がおっしゃっても、せきを切ったようにそれがくずれてしまう。それでは私どものこの瀬戸内海というものは守れない。だから、そういうふうなくずれる一つをつくらないということがより大事じゃないか。まあ基地の問題は基地の問題として、私は別のほうで考えればいいと思うのです。  それで、瀬戸内海の保全という立場からいたしましたら、私は、長官がみずから示されたこの姿勢を最後まで貫かれるということが一番大事だと思う。だから、これをひとつ政務次官かわって、これで最後までがんばりますと一言言っていただいたら、私はもうこれで終わりにさせていただきたいと思います。
  160. 坂本三十次

    ○坂本政府委員 先般来の知事さん方とのお話し合いにおきましても、やはり瀬戸内海をこれ以上よごさない、それどころか数年前のきれいな瀬戸内海を取り戻したいという要望、まことに環境庁の期待するところ大きいところであったわけでありまするから、お互いに両々相まって、どうしたらよいだろうか、その解決には十ぐらいの問題、これは避けて通れないぞ、しっかりここで腹を固めなければならないという、第一段階としてお打ち合わせをしたわけです。そのときには、この埋め立ての問題は、そこにいままで瀬戸内海周辺にはやはり公害型とでも申しましょうか、そういう産業がずっと集まってきて、そしてあの汚染になってきた。だから、ああいうようないままでの公害型企業というものについては、これはもうこれ以上はひとつストップしないとたいへんなことになるぞという意味で、この間のあの十項目のうちの、埋め立ては厳重にチェックするという話になったわけでございまして、埋め立ての中でもいろいろと、たとえば産業廃棄物を入れなければならぬじゃないか、港をつくらなければならぬとか、あるいはまた住宅地をつくる場合はこれは別だろうとか、いろいろ知事さんの中からでもお話が出てまいりまして、用途の問題につきまして、いわゆるいままでの産業公害型、そういうものはきびしく規制するけれども、そのほかにつきましては、これはやはりケース・バイ・ケースということで話し合いが進んでいったように私どもは記憶をしております。私どもの重点とするところは、いままでのようなそういう相も変わらぬ公害型企業をどんどん立地させるための埋め立てというものについては、きびしくこれは規制をしていきたい、こういう気持ちでございます。
  161. 坂口力

    ○坂口委員 おっしゃるとおり、第一段として腹をきめられたわけでございます。その中には、いまおっしゃったようなお気持ちもあるいはあったかもしれませんけれども、しかし、何と申しましても、埋め立てということによって起こるこの自然生態系の変化というものは、非常にこの瀬戸内海の浄化というものに悪影響を及ぼすというのが、やはり長官の言われた第一の埋め立て中止の理由ではなかったと思うわけでございます。まあ、そこにできるものにつきましては、もちろんおっしゃるとおり公害のないものもありますでしょうし、あるいは多く出るものもあるだろうと思うのでございます。やはり基地というようなことになりますと、そこから公害が、いままでの例からいきますと、これはないとはいえない。ないといえないというよりも、むしろ大いにその水をよごすというようなこと、そういう面においては非常に心配をしなければならない問題もあると思うのです。だから、公害でないから、ほかのものだったらいいんだというような形であったら、徐々に徐々にこの長官のお気持ちというものはくずれていかざるを得ない。これだけは例外である、これも例外である、例外をつくっていくということは、私はほんとうの瀬戸内海の浄化という、これには結びついていかない、こう思います。それで、この瀬戸内海に対する環境保全法というものを私は立法化する必要があるというふうに思いますが、これにつきましての御意見をお伺いしたいと思います。
  162. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私どもも、瀬戸内海の浄化対策に取り組んでいく過程におきまして、現行法によりましては十分その効果が得られないという点があるならば、やはりこれは特別立法というような形でもって補足せざるを得ないのではないかというふうに考えているわけでございまして、私どもは特別立法そのものは必要ではないというふうに考えておるわけではございませんで、やはり具体的な浄化対策路線の過程におきまして対処をするというような考え方でございます。
  163. 坂口力

    ○坂口委員 岡安水質保全局長に重ねてお伺いしたいわけでございますが、いま政務次官にお聞きしましたのはお聞き及びのとおりでございます。長官が先日の知事あるいは市長会で取り上げられた十項目のまず最初に、新しい埋め立ての中止、進行中の計画のものは再検討する、そこまでおっしゃった。それはやはりこの瀬戸内海の環境というものをどうして守るかという強い決意をそこに示されていると私は思うわけであります。これは、そこへできるものが工場でなければ、ほかのものだったらいいんだ、家が建つんだったらいいのだ、そういう意味ではない、私はこう解釈をしておるわけでございます。その点、政務次官とだいぶ意見を異にするわけでございますが、水質保全局長としての立場からどう受けとめておいでになるか、ひとつお聞きをしたいと思います。
  164. 岡安誠

    ○岡安政府委員 おっしゃるとおり、埋め立てにつきましての特に水に対する影響というものはいろいろあると思います。  一つは、やはり埋め立てによりまして海流その他が変わってくるとか、それからまた埋め立てをすることによりまして、その作業中にいろいろ環境汚染の問題が生ずるとか、またさらには埋め立て地ができまして、その上に立地する企業その他のものによりましてどれだけ汚染されるか、各種の問題があろうかと思います。先般の十四日の会議におきましては、先ほど政務次官のほうからお答えございましたとおり、やはり埋め立ての問題につきましては、瀬戸内海の浄化対策の一環として、どうしても取り組まなければならないということで問題提起がございまして、関係各知事のほうからも埋め立てにもいろいろあるではないか、一がいにすべて埋め立てはやめるというようなことが、かえってやはり環境浄化の面からマイナスの面がありはしないか。たとえば産業廃棄物処理場をつくるとか、下水の終末処理場をつくるとか、屎尿処理場をつくるとかいうような場合には、現在の陸地ではなかなか適地が得られない。そのような場合に、海上にその適地を求めるということもあり得るし、また住宅等の問題につきましても、現在のところから移転をいたしまして、海上にその適地を求めるということもあり得るではないか。だから問題は埋め立てそのものの問題と、それから埋め立ての上に立地するいろいろな諸施設の問題というものと分けて考えて、それがどういう形でもって水の汚染に影響があるかということを論じる必要があるというふうな議論があったように記憶いたしております。今後私どもは、すべてやはり瀬戸内海の汚染にどれだけ影響があるかという点にしぼりまして水の問題は対処いたしたいと思いますけれども、基本はやはり長官も申されたとおり、きびしくこれを規制していくという考え方で対処すべきものだというように思っております。
  165. 坂口力

    ○坂口委員 いまもおっしゃったように、埋め立てることによって海流そのものが変わる、まあ埋め立てによる汚染というものもございますけれども、そういうふうな自然の流れを変えるということが、特に瀬戸内海のような非常に水の変わりにくい、限られた地域の中での埋め立てというようなことは、これはどんな理由にしても埋め立てというようなものがなされるということは、これは瀬戸内海の水質をよりよくするということに役立つというふうに、それじゃお考えになりますか。専門家でございますので、この辺のこまかなお話を承りたい。
  166. 岡安誠

    ○岡安政府委員 厳密にいいますと、すべての埋め立てが海流を変えて汚染につながるというふうには言い切れないと思います。しかし大部分埋め立てがやはり海流を阻害いたしまして、ある程度の影響があるということは私ども考えております。ただし環境アセスメントというのは、問題はやはりそういうことによるマイナスの面と、それから埋め立てをする目的、いろいろありましょう。たとえば先ほど申し上げましたように産業廃棄物の捨て場をつくるとか、処理場をつくるとか、その他いろいろ目的がございますが、その比較考量の問題も入ってくるというふうに考えております。ただ、私どもは水の立場からいえば大幅に水の汚染につながるような、そういうものはたとえ他にメリットがありましても好ましくないとは考えておりますが、多少の影響、程度の問題はございましょうけれども、やはりアセスメントというのは比較考量のものだと思いますから、その辺は十分慎重に対処いたす。しかし先ほど申し上げましたように、基本はやはり新しい埋め立ては厳重に規制をするという基本的姿勢は必要なのではないかというふうに考えております。
  167. 坂口力

    ○坂口委員 いずれにいたしましても、この議論を続けておりましても堂々めぐりになる可能性がございます。心の中ではよくおわかりをいただいておるというふうに私は思っております。政務次官もよくおわかりをいただいておるけれども、立場上そういうふうにおっしゃるのであろうと思いますが、何と申しましても、この瀬戸内海は特別に水のよごれた地域でございます。特別な環境の場でございます。いろいろの理由で長官のほんとうに純真な、きれいにしていこうというお気持ちがくずれるようなことがあってはならないと私は思うのでございます。どんな理由であるにせよ、この瀬戸内海をきれいに守って、そしてこの地域の住民の人たちが少しでも健康に暮らせるように、それが何にも増して一番必要なことであるということは、これは私が申し上げるまでもなく皆さん方もよくおわかりのことであるわけでございます。そういうふうな立場から、ひとつこの長官のおことばを最後までお守りをいただきたいということを最後にお願いしまして、私の質問は終わらせていただきます。
  168. 佐野憲治

    佐野委員長 次回は、来たる十三日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。   午後二時四十五分散会