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橋本(龍)
委員 ただいまの御
答弁の
意味はよくわかります。確かに六十九条第六項で、
文部大臣自身から
環境庁の意見を聞かなければならないという条文もあります。ですから私は、この法体系の上で連係動作がとれないようにできていると言っているのではありません。法体系の上からいけば確かにりっぱにできているのです。りっぱにできているのですけれ
ども、
現実にこの中から拾い出したように、
絶滅したので
指定を解除するんだといわれるものもあります。これは
水質汚濁と切り離すことのできない
部分です。姿を見ることができなくなったが、再
発見を期待していると
文化庁自身が書かれたものもあります。これも
水質汚濁とは切り離せない問題です。
松川モリアオガエル繁殖のように、皆さん方からいえば
繁殖地そのものを
指定したんだと言われるでしょう。
繁殖地そのものの周辺の
環境が
変化したために衰亡しつつあると
現実に皆さんが書かれたものもあるのです。私は、どちらのお役所がいいとか、どちらのお役所が悪いとかいうつもりはありません。そして
環境庁の
自然保護行政そのものがすでに合格点だとも私は思っておりません。むしろなお
自然保護の
観点からやってもらわなければならぬ仕事というものはずいぶんあると私は思うのです。しかし
現実に私は
環境庁発足の当初の経緯を考えて、自分でその当時の
関係者の一人として考えてみるとき、
環境庁のスタートが、あれだけ期日までにスタートさせなければいかぬということで、各省との
権限調整を不十分なままに発足をさせたことがはたしてよかったのか、それともなお十分な
調整をはかった上で
環境庁に十分な
権限を付与させて発足をさせたほうがよかったのか。これで
環境庁誕生以来二年を迎えようとしているわけであります。この一年半余りの
環境行政というものを見ていて、私はそれを感じさせられるケースが非常に多いのです。これは重要港湾と海洋汚染防止法あるいな海中公園の
指定との
関係でも同じことがいえます。あるいは道路その他の
行政の
調整の
部分でも同じことがいえます。林野庁
所管の
保安林、
国有林と
自然公園法、
自然環境保全法の
関係でも同じ問題が私はあると思います。あるいはまた下水道の
関係もあるでしょう。ごみとか屎尿、廃棄物の処理
関係ももちろんあります。しかし率直に申し上げて、それぞれ各省に付与されて残された
権限はいま私
どもは見ておりますと、それなりに各省の努力によって前進がはかられておるようにも思う。
環境庁発足以来確かに下水道の
予算というものは飛躍的に伸びました。またごみでありますとか屎尿でありますとか、いわゆる廃棄物処理の
予算も大幅に伸びております。ひとりこの
天然記念物行政、四十八億の
予算の中で
記念物課八千万円。物の
保護と生きている
動植生の
保護とにさかれているその比率は何%ですか。なるほど法文上では
文部大臣あるいは
環境庁長官それぞれが意思の疎通をはかれば十分にできるような形になっている。法体系上ではなっているけれ
ども現実になっていない証明が、あなたのところで
監修をされたこの
天然記念物事典そのものの中に書かれている。はたして現在の
天然記念物として
指定されている
動植生に対する
保護行政というものはこのままでいいのかどうか。このままの法体系、いまの各省の
権限分与の中でそのまま推進をされていって十分な効果をあげ得るのかどうか。その実績は皆さんが
監修されたこの本の中に書いてあるじゃありませんか。明治以来の沿革といわれる——明治以来
環境庁があったわけじゃありません。
環境庁ができたのは四十六年の夏なんだ。百年前の歴史が、今日まで沿革があってそこからはずれないんだというなら十分な
行政ができるはずだ。御自分のところで
監修された本の中に
絶滅した。再
発見を期待されている。周辺の
環境によって衰亡している。そういう文言が出てくるというのはおかしいとはお思いになりませんか。私はおかしいと思う。おそらく与野党の
委員の方だっておかしいと思われる。私はこんな話はしたくない。しかも
環境庁のスタートの
時点の
責任者の一人としてこんなことを言うのは自分がばかだったことを人の前にさらしているようなものです。しかし
現実に二元
行政の弊は出ている。
天然記念物の
動植物の
取り締まりそのものについても
文化庁本体の
指定をされた
管理者が
司法警察権を付与されている。
環境庁自然保護局系統の中にある
都道府県職員また
立ち入り権限を持つ
鳥獣保護員、それが第一線の
取り締まりに当たっているという
実例も
現実のことです。私は
最初三木大臣に対して
環境庁長官としてではなく、副
総理としてお聞きを願いたいと申し上げたのも実はこの点であります。
私は、各省庁の
権限の問題について介入することは決して好きではありません。本来ならこれは政府
自身がおやりになることであります。政府
自身の
責任で
調整をされるべきことであります。しかし
現実問題として
一つの
実例で、私はいま
環境問題、
自然保護というものと
現実に
保護されているはずである
天然記念物行政との
一つのギャップを大臣に
実例として申し上げました。私は副
総理としての
三木大臣にこうした点についての
調整をぜひしていただきたい。そしてあえて私は自分の見解を申し上げるならば、率直に申し上げて
環境庁の
自然保護局の組織、機構、定員、
予算、
文化庁における
記念物課の中での
天然記念物の
ウエート、組織、
予算いずれも不十分であります。これから次の世代、その次の世代へと
天然記念物の姿を生きたままに伝えていこうとするなら、いずれも不十分であります。こうした
生態環境の
変化というものからどうしても免かれ得ない
動植生の
保護というものは、むしろ私ははっきりと
自然保護という
観点、
環境保全という
観点からの割り切りを行なって、
天然記念物行政というものは
環境庁に一元化をされる。そして同時に、これから先の組織、機構、定員あるいは
予算というものを拡充強化していく。同時に民間の協力、国民全体のこういうものに対しての尊重の気風というものを育て上げていくことによって
保護を行なっていかなければならない。私は個人的にそのような見解を持っております。私はこの点について
環境庁及び
文化庁の
事務当局そのものの意見も聞きたいと思います。同時にその意見を聞きました上で、
環境庁長官としてではなく、国務大臣、副
総理としての
三木大臣に政府としてこの
行政の一元化という一これは
環境保全問題の
行政が多元化しておるもののごく
一つの側面にしかすぎません。こうした点について政府としての今後の
考え方というものをぜひこの機会に承って、今回の
質問を締めくくりたいと思います。