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1973-07-04 第71回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月四日(水曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 久保 三郎君    理事 大竹 太郎君 理事 唐沢俊二郎君    理事 中村 弘海君 理事 野中 英二君    理事 井上  泉君 理事 太田 一夫君       足立 篤郎君    阿部 喜元君      小此木彦三郎君    加藤 六月君       片岡 清一君    佐藤 守良君       斉藤滋与史君    斉藤 正男君       野坂 浩賢君    平田 藤吉君       沖本 泰幸君    山田 太郎君       渡辺 武三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      坪川 信三君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      秋山  進君         運輸大臣官房長 薗村 泰彦君         運輸大臣官房観         光部長     中村 大造君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省船員局長 丸居 幹一君         海上保安庁長官 野村 一彦君         海上保安庁次長 紅村  武君         自治省行政局長 林  忠雄君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部外勤課長  金沢 昭雄君         運輸省海運局参         事官      見角 修二君     ————————————— 委員の異動 七月四日  辞任         補欠選任   松本 忠助君     山田 太郎君 同日  辞任         補欠選任   山田 太郎君     松本 忠助君     ————————————— 本日の会議に付した案件  船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出  第六九号)  船舶職員法の一部を改正する法律案内閣提出  第七四号)      ————◇—————
  2. 久保三郎

    久保委員長 これより会議を開きます。  船舶安全法の一部を改正する法律案船舶職員法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。     〔委員長退席井上(泉)委員長代理着席
  3. 井上泉

    井上(泉)委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  4. 久保三郎

    久保(三)委員 総務長官御用があるそうでありますから、先に総務長官関係についてお尋ねします。  いま提案されておる二つ法律改正案でありますが、これは御承知のように、総理府には関係ありません。運輸大臣所管法律であります。しかし、問題は、いま提案されているこの二つ法律では問題の本質に直接触れるような対策ではないというのが、これまで質問された各党の委員意見であります。私もそういうふうに思っているわけであります。と申し上げますのは、このレジャーボートによるいろいろな問題がありますが、特にその中でも問題とするのは、レジャーボートが野放しでどこの海洋あるいは湖沼でも航行ができる。航行ができることはけっこうなんでありますが、そのために他人に迷惑を及ぼしたり、危険を及ぼす、あるいは他の船に危害を及ぼすというような心配があるので、これは何とかしようというのが、これまでのいうならば世論であります。この世論に一部こたえたのが警察庁から出した、いうならば水上安全条例モデル案というか、そういうものによる案が一つありました。これも各都道府県の中で実際にこのモデルに従って条例をつくっているものはそんなに多くありません。というよりはほとんどないといっていいくらいなんです。しかもこの条例は、あとからも聞きますが、いうならば局限された水域というか、海域なんであります。ところがこのレジャーボート航行する範囲というのは無制限であります。今度も二つ法律規制はしますが、やはり無制限といっていいはずです。海洋の続く限り無制限ということであります。  そこで、なぜそういう問題のところに直接対応する規制なりあるいは秩序確立なりそういうための所要の措置がとれないのであろうかというと、一つには取り締まりからいえば、運輸省海上保安庁警察との権限の問題が一つあります。それからもう一つ航法、船を操船する航法については、いま提案している現局である船舶局船員局には関係のない海運局がこれは担当しているはずであります。そういうものが全然警察保安庁海運局も実際は問題の焦点にあるべきところの担当の役所がわきにどいていて、いうならばわき役的存在である船員局船舶局中心になった法律改正しようというのでありますから、いままで各委員から質問があったように、くつを隔てて足をかくということわざがありますが、そのとおりの法律にいまなっているわけです。  ついては、そういうものを調整してそういう体制をつくるのが総理府ではないんだろうか、交通安全基本法によっても当然そういうものも調整し、そういうものを推進するのが総理府ではないのか、こういうふうにてまえどもは思っているわけです。ところがあまりこれには関係なさっておらないというふうに思うわけですね。この点について総理府責任というのはあろうと思うのですね。今後いかようにされるのか、ひとつ御所見を伺いたいと思います。
  5. 坪川信三

    坪川国務大臣 お答えを申し上げます。  当分の間は、新たに設けられることになっておりますレジャーボート操縦者資格試験及び養成施設における教習に際しまして、法令の励行、無暴運転の防止等について十分配慮するとともに、海上保安庁の指導、都道府県が制定する水上安全条例の適正な運用等によりまして万全を期すことができるものと考えておるのでございます。  たいへん大事な問題でもございますので、なお今後の情勢の推移を見まして、関係機関十分協議をいたしながら検討を前向きの姿勢で進めてまいりたい、こう考えておるような次第でございます。
  6. 久保三郎

    久保(三)委員 総理府長官御用だそうでありますから、原則的なことだけお尋ねして、あと室長もおられるようでありますから、こまかい点は申し上げるし、運輸大臣はずっとおられるようでありますから申し上げます。長官はよろしゅうございます。  続いて、この問題で申し上げますが、いま申し上げたように運輸大臣にお聞きしましょう。  これはどうもこの前も何人かの委員からお尋ねがあったようでありますが、一つには問題の焦点スポットが当たってない法律改正である。というよりは、大体焦点が違うんじゃないか。スポットの当てぐあいが違うというふうに一つは思う。  それからもう一つは、これも各委員からお話がありましたように、レジャーボートの安全なり何なりをこの船舶安全法あるいは職員法で取り入れることは、従来の法体系から見て多少異質のものに考えられる。なじまないのではないかというふうに思うわけであります。  この役所筋も先般この立案の前には外国へ行って調査したそうであります。われわれは、行った先の制度等について見ますと、行った先の勉強は何もしてないのじゃなかろうかと思うのです。というのは、行った先では大体レジャーボートという特殊な範疇でとらえているのが多いのですね、アメリカでもフランスでも。アメリカフランスをお調べになったそうでありますが、アメリカフランスでは、レジャーボートというのはレジャーボートだけでくくっているわけですね。そういうことを考えると、なぜ船舶職員法安全法に取り入れてそれでやろうというのか、法体系からいってもおかしいのじゃないかというふうにわれわれ思うわけです。  それから三点目は、海上の大きな法律としては、言うならば安全法職員法それから船員法、この三法はやはりあらためて時代に適応して中身を改正というか、新たな観点から手直しというか、見直す必要がある法律だろうというふうにわれわれは見ているわけです。その上に今度異質のものを、そのさなかに異質のものを取り入れるということは、ますます法体系と実際の混乱を来たしはしないかというふうに思っているわけです。  幸い運輸大臣海運というか、そういうものに造詣が深いようでありますからお尋ねするのであります。ここでやることは、そういうふうに考えれば、くどいようでありますが、レジャーボートレジャーボートとしての範疇でこれを考えていくというふうなことが一番正しいのではないかというふうに思うのであります。それはこの前も御答弁なさっているようでありますが、率直にいってどうなんでしょう。
  7. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 久保先生の御意見は、これは一つの見方だと私も思います。ただ、いまの法体系の問題につきましては、いろいろのお考え方がございますけれども運輸省でいま所管をいたしております海上の安全ということから考えますと、船舶安全法は御承知のように、これは船舶構造関係それから設備関係、そういったものから、これは大きな船から小さい船に至りますまでここで一応規律することで法体系を貫いておるわけでございます。出どころは御承知のように、海上における人命の安全のための国際条約というのが基準になりまして、世界各国ともそれに応じて安全設備を要求しておるのでありますが、レジャーボートは非常に動き方が違うじゃないか。結局、端的に申しますと、船そのものの安全というのはやはりどうしても考えなければなりません。これはやはり安全法体系の中で考えていかなければならぬ。それから船の運航の面、これはおっしゃったように職員法がありますし、船員法もございますが、その中で操縦をしたりあるいは船の運航についての人的面からくる安全というものは考えていかなければならぬ。これもやはりその法の体系で大きくても小さくてもまかなわなければならぬと思いますが、どうもいままでは船対船ということを原則にして安全を考えていたのですね。自分船自身あるいは船対船ということでございました。今度は、レジャーボートになりますと、最近海水浴場へ突っ込んだとかいろんなことがございまして、船と海上のいろんな船でないものとの関係においての安全をどうするか、こういう問題が新しく起こってきているわけでございます。このほうになりますと、言うまでもないのですけれども、たとえば港の中でございますとハーバーレギュレーションというのがございます。各港、港できめておる港則によって港内警察をやっておりますから、そういうことはまあ取り締まれるわけでございますが、港の外へ出てまいりますと、そういうふうなものがございませんで、各都道府県がそれぞれの立場で、そういう海上の安全のための交通警察というものを都道府県知事にまかされてやっております。都道府県になるべく早く条例をつくれと言うのですけれども、なかなかそれが全部に行き渡らないのでございまして、そこの点に私は一番のウイークポイントがあるんじゃないかと思っておるわけでございます。これは安全法範疇でもないし、職員法範疇でもないのですね。本来であれば、いまの海上交通安全法のたてまえからいきますと、あるいはそのほうに入るかなあと思うのでございますけれども、これもしかし法律が目的を明示しておりますように、いまのおっしゃるようなものまで包含するということが法体系としてできるかどうかという疑問がございます。しかし、それはほっておくわけにいきませんので、今日の場合、できるだけそういった問題について都道府県とも打ち合わせて、そういう問題についてもまっ正面から取り組んでくれるように措置をするという以外には、現在のところは方法はないんじゃないかなという気がしておるわけでございます。  それから、先ほどお尋ねの中にちょっとございましたけれども、これは政府委員から御説明さしてもいいのですけれども船舶構造検査をいたしますね。そうしますと、検査をいたしました以上は小さなレジャーボートがどこへ行ってもいいんだということではございませんので、やはり航行区域——近海まで行ってもいいとか、これは平水ですよとかいうように、航行区域の制限はいたします。これは船舶構造上当然やらなければならぬことでございますから、どこへ行ってもいいというような規則ではございませんで、やはり航行し得る区域というもののリミットをちゃんときめるのでございます。その点ひとつ御了解いただきたい。  御質問の御趣旨にちょっとそぐわない点があったかもしれませんが、私のほうからいまお答えできるところはそういうことで、問題は将来に残る点がございます。それは、いま総務長官もいろいろお話がございましたが、われわれのほうでやるべきか、あるいはもう少し政府全体として取り組むべきか、そういった問題については将来の問題として、これは検討さしていただきたいと思います。
  8. 久保三郎

    久保(三)委員 時間もありませんので簡単にまいりますが、いまもお答えの中にありましたように、御提案なさっているものというよりは、いま運輸省で船の問題についての法律体系の中では、おっしゃるとおり船舶船舶航行の安全を中心にしているわけです。そこから漏れているのは、船と人間との関係、船とその他のものの関係がないのです。船舶安全法職員法もそういうものではないのですね。船舶船舶航行の安全のためにあるわけなんですね。だから、いま世論としては何が必要かというと、船舶人間との関係、これはわずかにあるとすれば、さっき申し上げたように、警察庁が出した水上安全条例モデルというものに多少あるわけですね。それ以外は港則法も何もないわけです。全然ない。ないととろに新しい問題があるということを言っている。あなたがおっしゃるとおりです。だから、抜けているそこを埋めなければならないし、その埋めることを社会、国民は要求しているわけですから、それにこたえないで、回りをぐるぐる回るといったらたいへん語弊がありますが、そういう法律改正することだけではどうしてもおかしいのじゃないか。ずいぶん逃げた形じゃなかろうかというふうにてまえどもはとっておるわけであります。非常に不満なんです。  しかも今度のは、さっき言ったように法体系からいってもどうもなじまない点が非常に多い、たとえば漁船とレジャーボート一緒にするとかね。そういうもの自体も違うんですね。それからもう一つは、事業用と、たとえば遊漁船とかそういうものとレジャーボート一緒にするというそういうところにやはり問題があると思うんですね。  それから大型船と同じ範疇船舶として入れること自体型式証明でできるような船と注文でつくる大きい船と、同じ法律体系の中で船舶検査という概念そのものもおかしいのじゃないかというふうにわれわれは思うわけです。  安全を確保することについて異論があるわけではありません。しかしいま最も必要なのは、繰り返し申し上げますように、それによって被害をこうむるであろう人間あるいはその他のもの、その他の船についてどうやったらいいのかということが問題でありますから、これはやはり、総務長官は忙しいというから帰ってもらったのだけれども、本来ならもう少しずつと、きっちり問題を片づけてもらうまでいてもらわなければいかぬ性格のものだ。これは対策室長おられるから、なんですがね。あまりにも問題の本質をつかまない安全対策だと私は思っておるのです。いままでボートが故障して危険があったなんて話は聞かないんですよ。ありますか、船舶局長
  9. 田坂鋭一

    田坂政府委員 海上保安庁の要救助船舶の統計によりますと、昨年度におきまして全遭難救助船舶数は約二千六百隻と伺っております。そのうち本安全法改正におきまして適用になります小型船舶遭難数はその半数の約千二百隻と伺っておりますが、その海難の内容を伺いますと、人的面におきます事故が四〇%、施設面におきます事故が六〇%と伺っております。また一方、検査の対象になっております、いわゆる小型船舶以外の船舶につきましては、施設によります事故が四〇%、人的面におきます事故が六〇%、こういうことでございまして、やはり検査を行なっておらないということからして、施設面からの事故が多いというふうに私どもは考えております。ということでございますので、先生の御質問施設による事故はやはり私どもは相当あるというふうに把握しておる次第でございます。
  10. 久保三郎

    久保(三)委員 ぼくがお尋ねしているのは、レジャーボートに限定してお尋ねした。レジャーボートの船というか、そういうものの安全がそこなわれて海難事故が出たという話はあまり聞いてないということを言っているんですよ。小型船全体についてはおっしゃるとおりでありますよ。だから、小型船全体を船舶安全法に取り入れて改善していこうということについて、われわれは反対ではないのであります。レジャーボートそのものに対してどうかというと、あまり聞いてないということなんです。しかし、安全を確保するために船舶検査、これはやったほうがいいだろうということであります。ただし、問題の焦点からは多少ズレていますね、ということを言いたいのですよ。だからその点はよく含んでおいてください。時間がありませんから、先へ行きましょう。  そこで、海上保安庁警察庁両方に聞きますが、いわゆる警察海上保安庁との、何というか自分権限の及ぶところ——権限といってもいろいろ権限があるのだろうが、犯罪捜査については警察無限大と言ったらおかしいが、国際警察まであるから無限大かもしれませんが、いわゆる一般的な人命、財産の安寧秩序というか、そういうものをやる場合に、湖沼警察範囲だろうと思うから、海の上で、どこまでが海上保安庁で、どこまでが警察庁なのか。この辺はどうなんですか。保安庁から先に聞きましょう。
  11. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  人命救助等に関しまして、警察と私どもとの権限分界あるいは分界点と申しましょうか、こういうことにつきましては、ただいま先生も御指摘ございましたけれども犯罪捜査その他につきましては、私ども警察庁との間でお打ち合わせをいたしております。人命救助といったことになりますと、これはそのつどそのつどの特殊事情もあるわけでございまして、具体的な場合は、そのつど警察ともお打ち合わせいたしますけれども、大体それぞれの出先のところでお打ち合わせをいたしまして、手落ちのないようにやっておるというのが現状であります。
  12. 久保三郎

    久保(三)委員 私は手落ちのあるかないかを聞いているのじゃない。どこまでが権限で、あなたのほうの責任でやるのか、それとも警察責任なのか、その辺をお聞きしているわけなんです。いかがですか。
  13. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  法律的には実は重複しておるわけでございます。したがいまして、そこのところは警察がおやりになったほうがよろしいかあるいは私どもがやったほうがより効果があがるのか、こういうことで実行いたしておるわけでございます。
  14. 久保三郎

    久保(三)委員 それでは、海上交通の安全ということで、単なる船と、船ばかりじゃなくて、さっきから申し上げているようなその他のものを含めての安全、全体的な安全、そういうもののために行なわねばならぬ第一次的な責任者はだれであるか。
  15. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  先ほどお答え申し上げましたように、水際線近くにおきましては、警察のほうと私どものほうとは重複いたしておりますので、実はどちらが第一次的であるかという点は多少はっきりしない点もあろうかと存じますが、ただ私どもといたしましては、そういうことであるいは消極的権限争いというふうなことになりましても非常にぐあいの悪い点もございますので、その点は現地で具体的なお打ち合わせをしながら、差しつかえないようにやっておるのが実情でございます。
  16. 久保三郎

    久保(三)委員 はっきりしないね。問題が起きたら現地打ち合わせするのはあたりまえ。どこまでが原則的に自分権限で、自分責任でやらなければならぬのか。重複しているのはどこか。海の水ぎわかあるいは水ぎわから何海里行ったところが重複しているのか、その辺はどうなのか。
  17. 紅村武

    ○紅村政府委員 警察あるいは私どものほうの機関でも、それぞれ持っております船の勢力あるいは陸上勢力その他いろいろ違いがあるわけでございます。したがいまして、私どものほうが船がたくさんあるあるいは水上署のように船を持っておりますような場合もあるわけでございますけれども、そういった場合に一番効率があがるという運営をいたしておるわけでございまして、ただいま先生指摘になりましたように、実は距岸何海里までは警察であるあるいはそれ以上は海上保安庁というのが、実は一律的にはきまっていないのが現状でございます。
  18. 久保三郎

    久保(三)委員 ぼくは、船の持っている能力とか性能とかそういうものによってどうこうという話を聞いているのじゃないのです。そんなものはあるだろう。ここまでは権限だけれども手が届きません、それが現状の話なんです。権限を聞いているのです。責任を聞いているのです。どこまではおれの責任だというのがあるのか、重複しているというならどこが重複しているのか、しろうとがわかるような説明をしなければいかぬですよ。そういうことがあるから、それじゃ警察庁に聞きましょう。  警察庁が出している水上安全条例モデルというか、モデル案というか、そういうものを見ますと、水域として河川及び湖沼をいうということで、第二条にはそういうふうなものをあげているわけですね。はっきり言うと、内陸地帯における水面ですね。ところがあとのほうにまいりまして、海水浴場ということで出していますね。それだから、あとのほうで海の一部分についてこれは言及していますね。ところが、原則的な定義については内陸地帯における水面をいっているのです、これから類推すると。あなたが言う、重複しているというのは海水浴場で、警察がこれはぼくがやりますというようなところがあれば警察がやるのかどうか、これから類推すればそうですね。これは警察庁でどういうふうに考えておりますか。いま私が尋ねているように、海上保安庁警察庁責任範囲というのは、海の上ではどこからどこまでというふうになっておるのか、あいまいであるとするならあいまい、重複しているとするならどんなところが重複しているのか、それをはっきりして答弁ができればひとつお願いしたい。
  19. 金沢昭雄

    金沢説明員 お答えいたします。  海の関係につきましては、いま保安庁次長がおっしゃったように、両方とも権限は重複しておるというふうには考えております。と申しますのは、私どものほうの警察の執行の範囲でございますが、これは都道府県区域ということになっておりますので、海につきましてはいわゆる領海内は警察権限が及ぶ、こういうふうに考えております。  あとは事実上の取り締まりその他の問題でございますが、これはやはり警察の持っております船であるとかそれから人間あとは徒歩の人間でございますので、海の上についてどの程度まで事実問題として取り締まりの実効が及ぶか、こういう具体的な問題によって保安庁のほうと差が出てまいると思います。  いまお尋ねになりました安全条例モデルでございますが、一応、水域ということで内陸水面淡水面のほうをもっぱら規定したわけでございますが、これは海一般につきましてはいろいろと海上関係法律があります。海上衝突予防法とか海上交通安全法その他の法律がありまして、航法、船の走り方、危険の際の措置、そういったことにつきましては、すでに海の関係につきましてはございますので、そういった船の走り方については何ら規定のない内陸水面についてもっぱら規定した。  ただ、人とボートとの事故の問題がございますので、海につきましては、海の一部、特に海水浴場を想定したわけでございますが、そういった海の一部につきましては、人とボートとの衝突事故のおそれが多分にありますので、そういった特定の海の区域につきましては、保安区域ということで、ボートと人を分けよう、こういう考えで規定したわけでございます。  以上でございます。
  20. 久保三郎

    久保(三)委員 いまのお話だと、大体領海の範囲内は共管になっているということだね。海上保安庁もそういうふうに考えているのですか。あなたの答弁は警察庁より明確じゃないよ、海の上に暮らしているのに。はっきりしないね。どうなんです。
  21. 紅村武

    ○紅村政府委員 私、先ほどお答え申し上げましたことで、ただいま先生の御指摘になりましたように、あるいは明確さを欠いておったかもしれませんが、私どもの考え方もただいま警察庁からお答えのあったことと同じでございます。
  22. 久保三郎

    久保(三)委員 それでは具体的に聞きますが、警察庁は大体条例モデルによって自分の守備範囲がこれでわかりますね。これ以外のところはだれがやるんですか。これお読みになっているんでしょう、保安庁。それではこれ以外のところはだれの責任でやるつもりであるか。
  23. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  それ以外の海域につきましては、当然海上保安庁が実施をいたします。
  24. 久保三郎

    久保(三)委員 そうしますと、あとから自治省に聞きますが、いま問題になっているモーターボートというかレジャーボート中心にしていろいろな問題が出てきている。これも何とか規制といったらたいへんまずい話かもしれませんが、もっと秩序立てて、それでまわりの安全を確保するということが必要だというふうになった場合に、これは警察庁の提案ではあるが、これを実行するかどうか。条例を制定するかどうかは、かかってそれぞれの都道府県というか、自治体の権限に属するわけでありますが、これはしかしやろうと思えばこれでできる。そうすると、一定の区域水域というか海域、そういうものはこれで大体まかない得るというように思うんです。多少足らないところがあるんですが、これでまあまあというところです。  それ以外のところはあなたのほうの権限だというのなら、これと見合ったようなものを何とか考えなければいかぬじゃないですか。なるほど港湾の中においては港則法がある。港則法も、いうならばまだレジャーボート取り締まりというか規制、こういうものに多少抜けている面がある。さっき言ったように船舶の安全及び航行の安全だけに限定しているわけだから、それからいえば港則法で十分だという話はできないんです。その港則法の、湾内については別としても、それ以外の海浜地帯にはどうしたらいいのかということです。しかも、現実的にはまだこういう条例は実際にたくさんできていない。警察庁から指導している条例というのはそんなにたくさんの都道府県でつくっているわけじゃないのですね。そうだとすれば、あなたのほうではどういうふうに考えておられるかお尋ねしたい。
  25. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  ただいまの先生の御質問は、こういった条例だということではなしに、航法規制あるいは迷惑行為の禁止といったような立法措置を考えたらどうかという御趣旨に私ども理解いたしたわけでございますが、実はこの問題につきましては、私どもも研究をいたしてまいりました。ただ海水浴場と申しますと、全国に点在をいたしまして、また、それぞれ海水浴場ごとにいろいろ地域特性が多いわけでございます。したがって、各種の規制という面につきましても、やはりそういった地域特性に及ぶきめのこまかい規制が必要だということが考えられるわけでございまして、そういう意味で、条例ということでおまかせいたすほうがあるいはいいのではないかという点も一面考えられるわけでございます。ただしかし、条例だけということでございますると、各府県によってそれがまちまちになるというようなこともあるいは懸念されるわけでございます。そういったような問題もございますので、私どもといたしましては、条例によって規制していくのがいいのか、あるいは立法措置が必要であるのかという点は、さらに今後とも研究いたしてまいりたいというふうには考えておるわけでございます。ただ、ただいま御審議いただいております船舶職員法あるいは船舶安全法改正案が成立いたしますと、これで相当の事故が減るとは思いますけれども、しかしながらやはりそういった無暴運転あるいは迷惑行為というものはあとを断つということも必ずしも期待できませんので、その点につきましては、私どもさらに今後とも研究いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  26. 久保三郎

    久保(三)委員 これから研究するというから、これから研究するものを責めたっていたし方ない話だからやめておくけれども、問題の本質はそういうところにあるのではないか。  警察庁に言いますが、条例ができているところはまだ幾つもない。こういうものを放置しているところに問題があると思うのです。条例をつくった、これも話によれば、私の選挙区というか、つい隣に沼がありますが、そこで大きな問題がある。それに突っつかれて、何とかならぬかということで重い腰をやっこらさと上げて警察庁がつくったという話を聞いております。それでもやっこらさと腰を上げただけいいと思うのですが、海上保安庁はこれからだという。  しかも海水浴場ばかりではないのです。漁船の問題もある。普通一般の船の問題もある。海水浴場以外のところにも船は出ていく。小さい船もあるし大きい船もある。そういうところにおけるモーターボートのいわゆる航行航法、そういうものについて規制しなければならぬというのがいまの世論ではなかろうかと思う。それをいまから研究する、安全法職員法ができれば多少前進だろうというのですが、多少は前進かもしれない。しかし、それは本質的なものではないと思う。しかもこれをさっき言ったようにほったらかしにしておく、成り行きにまかせておくというのは、何か自分権限でありそうななさそうな、そして、やろうとすればたいへんめんどうだし、そういう力もないからということで、さっきくしくもおっしゃったが、消極的なんとかというもので消極的権限争いがある。消極的権限争いというのは新語で、さっき新しいことばとして拝聴して興味深いのだが、そういうことではこれは困ると思うのです。  こういうものを督戦するのが総理府なんだ。室長、いまお話を聞いていてどうです。これははっきり言って消極的権限争いだよ。これをごまかすのに二つ法律改正というのは問題をぼかしていることになってくる。いかがですか。
  27. 秋山進

    ○秋山政府委員 ただいまの先生の御意見を体しまして、さらに各省と協議いたしまして、ただいまおっしゃった消極的権限争いその他によって人命その他にたいへんな影響を及ぼすようなことは、極力防止すべく努力してまいりたいと存じます。
  28. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 総務長官がおられませんので、かわりといってはなんですが、関係閣僚と相談いたします。  それで、いまのところでは、お調べになっておりますからもう申し上げませんけれども、やはりこれは海上交通、ちょうど陸上でいうと道交法みたいな性質のものになっていると思いますが、それは方法といたしましては条例でやればできるわけです。罰則が重い軽いは別といたしまして、一応取り締まりはできるわけです。できるなら、私のいまの思いつきでございますけれども条例の根拠になる基本的な方針だけは中央できめまして、それにのっとって各府県が条例を出してくれる、それがいま目前にやれることであるし、わりあいに効果あることではないかと思います。  それからもう一つ、これは言うまでもありませんが、つけ加えて申し上げますと、今度船舶職員法改正をお願いいたしまして、小型の船にも船舶職員を乗り込ましめるということになっております。この船舶職員としては、免状を持っているのですから、やはり船舶職員法の適用を受けまして、船舶職員としてのあるまじき行為をした場合は、船舶職員法によってこれは懲戒に該当するわけです。懲戒に該当いたしますと、結局これは刑事問題あるいは民事問題の先決処分のようなかっこうになりまして、必ず民事、刑事の責任を負わなければならぬということになるわけでございまして、その点は非常に間接的ではございますけれども、そういうものを防止するための一つの手段としては、免状持ちが乗っておる、そして海難審判にかかるということになりますことは、これは非常に効果のある防止方法になると思うのです。  そういったのを含めまして、関係閣僚とも相談いたしまして、御趣旨に沿うように至急に処理をしてもらうように私も努力をいたします。
  29. 久保三郎

    久保(三)委員 大臣のせっかくのお話でありますから、先に進めますが、審判法にかかるのは人間対船の関係はないんですね。(新谷国務大臣「あるんです」と呼ぶ)あるんですか。だけれども、たとえばモーターボートで人を殺傷したらば審判法ですか。あるんですか。(新谷国務大臣「あります」と呼ぶ)そうですか。それじゃそれは取り消しましょう。いずれにしても、いまの野放しのものを、まわりからじゃなくて何とかそのもの直接に対策を立てる必要があろうかと思うのですね。  自治省おいでになっていますから、自治省にお聞きしますが、さっき警察庁からも話が出ましたけれども水上安全条例モデル、こういうものが出ているんだが、こういうものができている都道府県というのは幾つもないんですね。自治省としてこれをさらに推進させるというくふうはいましておるのかどうか、この点についてお伺いしたい。
  30. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは船舶航行の安全及び人命の問題でございますので、御指摘のとおり運輸省海上保安庁あるいは警察庁所管の仕事だと思います。したがって、この仕事について必要性があるかどうかということは私のほうで判断をしているわけではございませんけれども、常識的に考えまして、最近のこういう事故の多発にかんがみましてけっこうなことだと考えております。
  31. 久保三郎

    久保(三)委員 自治省そのものは考えたことはない、よそさまで考えたことだが、いいことであるというふうな、これまた消極的権限争いみたいなものですね。条例案というかモデル案をつくるときには、警察庁もあなたのほうと合議をなさっているはずだと思うのですよ。推進する条例モデルをつくって下部に流すのは警察庁、それをやるでしょう。しかし、こういうものができていますからぜひやろうじゃないかというのは、警察範疇じゃなくて、条例をつくるのは関係都道府県なんだ、あるいは市町村なんだ。それを積極的に取り込ませるのは自治省の仕事じゃないのですか。そんなら公安委員会でずっと通せばいいんだ。公安委員会じゃない、私はそうじゃないかと思うのですが、どうですか。
  32. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 この事柄自体たいへんけっこうなことだと私たち思っておりますことは、先ほどお答えしたとおりでございます。ただ、それぞれの行政にはそれぞれの所管庁がございますので、その所管庁の御指導におまかせするというのがわれわれの一般原則でございますが、条例自体をつくるとき、御相談がある場合とない場合とがございます。特に条例自体が法的にいかがなものだろうか、たとえば自治法が認めている条例制定事項の幅に入るだろうかどうかという法的問題については、御相談があることはしばしばございます。この案件につきましてはそういう御疑問がなかったのだと思います。特に御相談を受けませんでしたけれども、仕事の内容自体でそれぞれの所管庁が御指導なさることは、私たちのほうは干渉いたしませんが、このこと自体はたいへんけっこうなことだと思いますし、特に都道府県のほうから、つくろうかどうか、法的にどうだろうかという御相談があれば、これは積極的に御相談を受けまして、法的な問題点その他については十分検討し、示唆し、指導する用意はあるわけでございます。
  33. 久保三郎

    久保(三)委員 それでは警察庁に聞きます。自治省はいまのような見解です。そうすると、実際あなたのほうで推進しなければだめなんだな。どういうふうにやられておりますか。いまあまり制定をしている都道府県はない。しかし問題は深刻になってきている。だから、そうなると警察庁独自の立場で地方自治体を指導しなければならぬ。自治省のほうではけっこうでございますということをあとから言っているんだから。どうなんです。
  34. 金沢昭雄

    金沢説明員 現在、との安全条例モデルを出しまして、その指導によってつくりました県が茨城と山梨の二県でございます。そのほか七つの県が今後早急につくりたいということで現在検討中であります。そのほか十一の府県が明年以降制定を予定している。こういうことで、一応数の点につきましては、だんだんそろってきているということが言えるだろうと思いますが、自治省のほうともいろいろ今後また相談をいたしまして、それからあと建設省であるとか運輸省であるとか関係の省といろいろ相談をしまして、また県のほうと積極的に相談をしまして、できるだけ必要な県について早急につくっていきたい。県によっていろいろ条件が異なってまいりますので、一律に進めるというのはなかなかむずかしいわけでございますが、できる県から早急につくっていきたいということでやってまいりたいと思います。
  35. 久保三郎

    久保(三)委員 もう一つ警察庁に続いて伺いますが、いまのお話では、モデルに従ってつくったのは茨城と山梨だ、あと多少のものが続いていくだろうということでございますが、問題は各所に起きていると思うのです。モデルもできて下部にも流してある、ところがなかなかつくらぬ。ということは何に起因しますか。何か原因があるのですか。本来ならば条例をつくって何とか規制したほうがよさそうだというふうに常識的には思うわけですね。ところがそれがなかなかはかどらぬという裏には何かあるのじゃないか。それほど深刻に受けとめていないのか。そういう情勢なのか。われわれが見る目ではかなり深刻になりつつあるというふうに思うのですが、その辺はどうなんですか。
  36. 金沢昭雄

    金沢説明員 県によりましてだいぶ条件が違います。たとえば海のない県、海水浴場のない県もございますし、湖その他大きな河川等のない県もございますので、地理的な条件でだいぶ必要度を感じる度合いが県によって違っておると思います。そういうようなことで、物理的にあまり必要を感じていない県、それから当面必要だという県とだいぶ条件が違っておりますので、足並みがなかなかそろわない、こういう状況でございます。しかし全般におきましては、できるだけ人命尊重ということで進めたいということでやっております。そのほかにもいわゆる迷惑防止条例といったようなもので多少のカバーができるという状況もございますので、なかなか県によって足並みがそろいにくい。しかし、積極的に指導しておりますので、逐次足並みをそろえてまいりたい。  以上でございます。
  37. 久保三郎

    久保(三)委員 観光部はどなたか来ていますか。——レクリエーションというかレジャーボートの問題をいま審議しているのですが、最近のレジャーというかレクリエーションというか、そういうものに欠けているものとして安全の問題が一つあります。安全をいかに確保していくかという問題になってきている。そういう観点からもレジャーボートによるレクリエーション、こういうものの安全についてひとつ考えなければいかぬだろう。  それからもう一つ、これは港湾局にも関係するのだけれども、そういうものの基地あるいは施設、そういうものを一緒にして、これはこれからの傾向だが、レジャーなり、レクリエーションというのはそれぞれ大型化してきます。小型じゃもう用をなさなくなってきている。大型化してきた場合に、やはり安全という問題が一つは出てくる。限られた区域においてどうやって楽しませるかという問題があると思う。  むしろこの発想は、運輸省の中でも観光部が先頭を切って始めるべきなんだが、観光部というのはそういうものについて関心があまりないように思うのだが、そうではないか。関心があるとするならば、これは将来というか、どういうふうに考えておられるのか、所見を述べてもらいたい。
  38. 中村大造

    中村(大)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃいましたように、最近のレジャーの爆発的な増加に関連いたしまして、レジャーの質の問題が非常にクローズアップされております。特にやはり安全性ということがレジャーの遂行の上では一番基礎的な問題として重要視されておることはもう先生おっしゃるとおりでございます。われわれといたしましては、当然観光行政の中で、いわゆる旅行者の安全の確保ということは重大な問題として従来から関心を持っておるわけでございます。このレジャーボートに関しましては、今回の法律改正によりまして、レジャーボートを使う人の問題及び道具といいますか船の問題、この面で非常な改善がなされるということは、将来増加するであろうレジャーボートの安全を確保する上で、きわめて意義があるというふうに私どもは感じておる次第でございます。  それからもう一点。そういうふうなレジャーボートの将来の発展に備えて、そういうものの基地といいますか、施設づくりについてどのように考えておるかということだろうと存じますけれども、これにつきましては、私ども、四十八年度から大規模な国民のためのレクリエーション施設というものを、国の補助金を出しまして順次整備してまいりたいというふうに考えておりまして、四十八年度は、たまたま内陸性のレジャー基地を整備いたしましたけれども、将来は海洋性のものを整備してまいりたい。その場合に、こういうふうなレジャーボートの基地の整備ということも、当然この中の大きな要素となるわけでございますので、港湾局はじめ関係の部局とも十分協議をいたしまして、先生の御趣旨に沿うように実現してまいりたいというふうに考えております。
  39. 久保三郎

    久保(三)委員 もう時間がないそうでありますから……。  海運局では、航法というか、そういうものは海運局所管なんですね。違うのですか。——それじゃ、現場における、海運局における運航部長というものの権限は何を担当していますか。
  40. 見角修二

    ○見角説明員 お答えいたします。  現在地方に海運局が十ございますが、全部の海運局運航部という組織を持っております。運航部長の所管する行政は、輸送行政、これは主として内航海運それから旅客定期航路事業、最近フェリー、カーフェリーを含みます旅客航路事業、こういったものを、輸送課というものがございましてそこでやっております。このほかに港湾運送行政、これは本省では港湾局の関係でございますが、港湾運送行政を所管する港運課というのがほとんどの海運局にございます。それからもう一つは、倉庫課というのがございまして、これは本省は港湾局倉庫課につながるわけでございますが、営業倉庫全体の監督をしております。これだけ全体が、大体の地方の海運局運航部長の所掌でございます。
  41. 久保三郎

    久保(三)委員 それじゃ、それはよろしゅうございます。  それでは、時間もないようだから、自治省行政局長にもう一つ。  安全法の二十九条があるわけなんだが、これに基づいて地方自治体が検査というかそういう規定をあまりつくっておらないのでありますね。今度の改正案では二十九条ノ二というものを新しく設けようというのですね。これには、この船舶検査というかそういうものについて必要があれば、運輸大臣に要請することができる。何で要請するんだろう、いままで眠っていたような話なので、そこへ何で要請が必要なのかというふうに疑問に思うわけなんです。これはどういうふうに考えていますか。
  42. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 私のほうでは、この条項が必要になったさだかな理由というのはよく存じないのでございますけれども、いまのいろいろな御質問その他の御指摘にありましたとおり、小型船舶というものの範囲がだいぶ広がってまいりまして、特にレジャー用のモーターボートその他による安全性ということが最近とみに必要性を増してまいりました。この時代の変化に即応して、都道府県側からもそういう要請ができるように、そういう意欲のある都道府県としてはそういう要請ができるように規定を設けられたものというふうに、運輸省からは伺っておる次第でございます。
  43. 久保三郎

    久保(三)委員 船舶局長から二十九条ノ二について聞きましょう。
  44. 田坂鋭一

    田坂政府委員 基本的には、船舶は広域性が非常にあるものでございますので、国が一元的に基準を定めまして安全を確保していくということが必要かと考えられますが、今回の拡張されます小型船の中には、地域的に限定されたようなものも相当にある場合があるかと考えられます。そういう場合に都道府県知事から、それらの船につきまして安全確保の面でいろいろ御意見がありましたときに、安全の所管であります運輸大臣にいろいろ御要請ができるということは、小型船舶の安全の確保のために非常に役立つと考えまして、この条項を入れたわけでございます。
  45. 久保三郎

    久保(三)委員 よくわからぬ法律の条文だと思う。わからぬというのは、文章はわかりますよ、日本語を知っておりますから。ただし、何でこんなものを置くのかわからぬ。
  46. 田坂鋭一

    田坂政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、地域的に限定された船舶につきまして、都道府県知事もある程度の権限を持たれる必要があるというような、先ほどから話題にのぼっております消極的な権限上の問題もこの中にあったということでございます。
  47. 久保三郎

    久保(三)委員 こういうところでやはり法体系をこわしていくのですね。私はそう思う。二十九条があって、本筋は二十九条で、実際はこの小型のものは、自分の自治体としてやはりその責任においてやらせるというのが本筋ですよ、はっきり言って。それをそのままにしておいて、今度は二十九条ノ二というのは、実際は、検査機構というものをつくるから、二十九条は要らないんだけれども、取ることについてはどうもおかしい——おかしいというより、これははっきり言えば、自治省が抵抗するかもしれないしね。眠っている条文であっても、これは取られるとなれば抵抗するかもしれないから、まあそっとしておけ。しかし、もう一つこの機構に対して重点を置いていくというと、どうもそれだけじゃうまくないというので、二十九条が発動しないし、といって、文句も言うだろう、そこでまあ盲腸みたいな存在であるが、二十九条ノ二をつくって、まあ御意見があったらここで言ってください、こういうふうになったのじゃなかろうかというふうに、てまえどもは推測するわけであります、たいへん意地の悪い解釈かもしれませんが。そういうことで法体系が非常にくずれてきておるというふうに私は思うわけであります。時間がありませんから言いっぱなしでありますが……。  それからもう一つ。これは新聞の記事でありますが、「暴走する海洋レジャー 今こそ市民の手に  官僚統制の前に自立を」ということで、海洋スポーツ協会というところの人の記事がここにある。これは運輸省にもゼロックスしたものを差し上げてあります、これは長文のものでありますから。これにはいろいろなことが書いてあります。私も同感するところがあるのです。この中身を読んでいる時間ありませんので簡単に言いますが、ほんとうのスポーツをやる連中というのは、いま提案されている法律改正案というようなもので統制されてやることについてはあまり好んでいない、というよりは、むしろ自律的に自主性に基づいてわれわれはやっていくんだというようなまじめなグループがあるのですね。まじめなグループは、言うならば、ここにも書いてあるのですが、「水域ごとの指導組織が必要だ」——江の島なら江の島というか、そういうところの「水域ごとの指導組織が必要だ」というふうなことを言っているわけです。そのほかにもたくさん言っていますよ。何かメーカーと一緒にどうだとかこうだとか言っておりますが、その問題は別として、最も彼らが言いたいのはここだろうと思うのですね。自主性を重んじた指導組織によって——単なる免許をとったからどうというのじゃない。そういうグループがあることも忘れて、いろいろな規制をするということだけで事足れりということも違うとわれわれは思うわけです。  さっき冒頭から申し上げておるようなことだけではいけないのですね。むしろ、そういうまじめな、ほんとうにスポーツとして楽しもうというグループをどうやって育てていくか、これは文部省の範疇かもしれませんが、やはり船に関係すれば運輸省の問題もある。そういうものについて今後考えていく必要があると思うのだが、これは運輸大臣、時間もありませんから、簡単に御所見があればお述べいただきたいと思います。
  48. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。  これは、船が非常に多様化する。いろいろな種類が出てくるのと、船の利用のしかたが多様化します。それから数も多くなります。でございますから、単純に、いまの運輸省できめておりますような法律だけでは実効があがり得ないという点がございますから、いまお示しのような点を十分実際の問題として考えながら、関係各省と連絡をとって、レジャーを大いにあと押ししてあげるということも必要でありましょうし、また、それに伴ういろいろな弊害が起こりますれば、これを防除するために法体系も整備しなければならぬかもしれませんが、そういう民間の団体が積極的に活動をしてくれるように大いに指導していかなければならぬと考えて、関係各省と十分連絡をして努力をいたします。
  49. 久保三郎

    久保(三)委員 これは観光部にも関係あるだろうし、文部省にも関係あるだろうし、そういう点を忘れて、何というか業界中心というとたいへんことばが悪いのでありますが、そういうものだけに焦点を置いて、ボートをつくるメーカーあるいは養成する機関、そういうものだけを対象にして問題を展開していくと、健全なものがつぶされるという心配があるわけですね。だから、この点はやはり十分注意してほしいと私は思います。  それから、最後に一括して答弁してもらいたいのだが、船員局長、これは、各委員からもお話がありましたが、二つの点を申し上げたいと思います。  一つは、四級小型船舶操縦士が、今度の改正案では十六歳というふうになっているわけですね。ところが、これは、現行は十八歳以上ですね。関係役所のあなたらが見てきたという外国の法令を見ても、そういうものはないのですよ。十六歳なんというのはない。みんな十七歳半とか十八歳以上なんですね。それを何で十六歳にしたのか。  この間現地調査に行ったときに、関係者は、いまの子供は資力、知力も十六歳でりっぱに一人前だから心配ございませんよというお話なんだが、やはりこれは心配ですよ、十六歳にするということが。単なるそういうものだけで下げていいのかどうか、たいへん疑問があると思う。  それからフランスだと思うが、フランスは十六歳以上は乗って操縦できるのです。操縦はできるが、そのときには、成人で免許を持った者が付き添っていればという条件つきです。せめてそういうことをやるなら別だが、まるっきり一人で、十六歳で四級船舶操縦士としての資格を持つ。これは距岸九キロまで出ていく資格でありますから、九キロといったらかなりのところですね。しかも、これは小型船全体となると、遊漁船などは、旅客の乗る船というのは十二名以下は旅客の範疇に属しませんから、たとえば遊漁船で十六歳の子供が十人なら十人の釣り人を乗せていく、そういう場合に一朝事あった場合に、それはうまくいくのだろうかという心配が私はあります。だから、これは少し考えたほうがいいだろうと思う。  それからもう一つは、この間も質問があって答弁されて、もう内容はわかりましたが、いまのエンジンというのはたいへん焼き玉エンジンと違うのであって、焼き玉エンジン時代の配乗表は改めなければならぬという観点から、今度は一級船舶操縦士については外洋の場合一人でいいというふうに規定されておりますが、精巧なエンジンになればなるほど問題が多いのですね。一たん焼きつきができると修理がきかないというのですから、焼きつく前に技術的な専門家が修理したほうがいいのではないかというふうにわれわれは考えておる。だから、この点については、現行どおりに大体ものごとは考えていったほうがよさそうに私は思う。安全度を高めるのが今度の法改正のねらいであるとするならば、そういうふうにするのが筋じゃないかと思うのですが、いかがでしょう。簡単に御所見を伺いたい。
  50. 丸居幹一

    ○丸君政府委員 外国の例でございますが、調査結果の報告を実は聞いておりますが、あまり免許の例というものはたくさんはございません。さっき先生おっしゃったフランスの例、十七歳六カ月というのはそのとおりなんでございますが、ただ十七歳六カ月は、全免許について十七歳六カ月です。私たちが十六歳と提案しておりますのは四級だけでございまして、三級以上は十八歳でございます。  そこで、なぜ四級を十六歳にしたかということでございますけれども、これは、考えました一番最大の理由は、養殖漁業等に漁民の子息等が中学校を卒業しまして——中学校を卒業して大体十六歳になるわけでございますけれども、そういう者が養殖漁業のところに家庭の仕事として出ていくわけであります。そういう者に免許を一切とめてしまいますと、十八歳になるまで親の手伝いもできないということは非常に気の毒ではないだろうかということが一番大きな理由でございます。それではそういう者だけやれるようにしたらどうかという御意見もあるかと思いますけれども、実はレジャーボートのほうの問題があるのでございますが、高等学校へ入りますとどうしてもこういうものを扱いたいという年ごろになるわけであります。陸上でもオート二輪車につきましては十六歳が免許年齢になっておりますが、そういうこと等を考えましても、やはり乗りたい年には、ルールなり操作方法等を教えまして、そして乗せたほうがいいのではないか。それが乗れないということにしておくと、どうしても無免許運転してそれが事故のもとになるということにもなりかねない、こういう二つの理由が十六歳にした一番大きな理由であります。  それからこれは十六歳にするか十八歳にするかという確かにいろいろな問題があったわけでありますが、やはり問題のある点は、先生のおっしゃったように遊漁船に人を乗せる場合が問題じゃないか。そんなものに乗せられたらたまらぬということは御指摘のとおりでございます。しかし、遊漁船に乗る場合には、少数のグループで乗るとかあるいは一人、二人で乗るというような場合だと思いますが、こういうようなあぶないところへ自分は遊漁船で漁に行くのだという場合には、おまえじゃたよりないのでおやじとかわってもらいたいというような点もありますので、取捨選択の実力というものがお客のほうにある。それで、同じ旅客船でも定期とかなんとかであれば、海上運送法でもって免許のときにいろいろ条件がつけられますので、それはそれで解決がつく。結局遊漁船が問題じゃないか。しかし、それがすぐ目と鼻の先ぐらいだったら十六歳でも行けるということでお客が安心を持てる場合もあるわけです。お客にして見れば選択する余地があるから、それでもいいじゃないかというふうに考えたのが十六歳にした原因でございます。  それからあと一つ、四十馬力以上の丙種機関士が乗っているのをおろすという問題でございますけれども、これは先生のおっしゃるとおりに、非常に遠いととろに行くのには心配じゃないかという問題は、実は審議会にかけました段階に海員組合からもそういう意見が出まして、実は多少議論をした点でありますけれども、この間もお答えいたしましたように、最近は非常にエンジンも進歩しておりますし、焼き玉エンジンのときとは非常に違ってきておる。安全の問題というのはやはり別に考えるべき問題ではないだろうか。たとえば自分一人で行くということは、どんなにエンジンが進みましても、それから丙種機関士が乗っておっても、その丙種機関士で直らないエンジンの事故というものが、先生指摘のとおりいまの船については起こってくるわけです。そうすれば、やはりそういうことについてどうしても安全というものを二重、三重にかけておかなければいかぬだろう。したがって、無線を持っていくとかあるいは乗船とともに何らか遠いところへ行くものについては船団を組んでいくとか、そういう対策が必要なのであって、何も役に立たぬ——役に立たぬと言ったら悪いですけれども、現場に走っている間は丙種機関士が乗っていなくても操縦できるような装置になっている、そういうものに丙種機関士を乗せる必要はないだろう。船舶職員法では、どういう職員を乗せるかということは、安全の問題も大事ではございますけれども、むしろ物理的に何人ここに乗らなければ船の操船上差しつかえがあるか。もちろん勤務時間の問題等もありますけれども、そういった意味からこれは二人組み、これは三人組み、これは一人でいいとかということをきめるべきではないかということで、一応ああいうことで踏み切って出した次第でございます。
  51. 久保三郎

    久保(三)委員 船員局長に言っておきますが、四十馬力以上のもので、故障になったら直すのでなくて、故障になる前に、エンジンならエンジンを良好な状態で管理して維持していくというのが、機関士を乗せるまず最大のねらいでなければいけない。焼き玉エンジンと違いまして精巧だからいいという認識ですけれども、いまのエンジンは焼きついたら終わりなんですよ。直らないのです。そういうこともあるから考えていただきたい。  それから、遊漁船などはお客が選択ができるだろうというけれども、現実にそういうことはあるかもしれないが、しかし、それによってモーターボート一緒にしていいだろうかという問題が残ってくる。選択はやる。お客の自由なんだ。選択をしない場合もある。しかし、法律はみんな同じなんです。だからそこはやはり考えなければいかぬというのが私どもの考え方なんです。  船舶局長にちょっと聞きますが、時間がないので簡単に答えてください。  船舶検査の場合に、現行法では最大搭載人員をきめることになっていますね。ところが今度法律から落としている。落としているというよりは、全部一括して新しい条文でくくっている。くくっているところには、最大搭載人員とかあるいは機関の最高気圧とか、そういうものは全部明示してない。最大搭載人員というのはやはり検査の重要な部分なんです。重要な部分を、いまあるのに今度は一括して法文の整理でくくりましたでは、実際いって通らぬと思うのです。そういうのは、法制局はどういうような解釈でそういう法律をつくったのかわかりませんが、これはやはり明確にしておかなければいかぬと思うのです。  それから、もう一つは、搭載する船舶用品、こういうものの型式承認の場合でも、いまは政令事項によるものでやっているわけですね。そうでしょう。ところが今度は新しい法律では指定検定機関で全部そういうものもやるというのだが、この政令との関係はどうなるのか。その関係をひとつ説明してください。  それからもう一つは、第二条第一項の搭載すべき、装備すべきところの船用品、船舶用品というのはどういうものに装備するのか明確になっていないが、それは大体案としてはあるのでしょう。命令で定めるというようなことになっているが、命令で定めるならその命令の内容を、あとでけっこうだから、物に書いたものとして出してほしい。これはどういうものをどういう船につけるか。救命胴衣はどういうものにつけるのか。消火器はどういうものにつけるか。これは原則として全部つけるのだろうが、そういうものをきめてあるのならばあとで出してもらいたい。  以上です。
  52. 田坂鋭一

    田坂政府委員 まず十条ノ三の最大搭載人員や機関の制限圧力等を一般の二十九条ノ三に移しました件につきましては、現行の命令におきまして、事務手続を設ける事項と、それから罰則を設ける事項とが一緒に明示されておったわけでございますが、今回の法改正におきまして、条文整理を行ないまして、罰則規定を命令で定める必要がある事項のみを本条にとどめまして、事務手続のみを、たとえばただいま先生の御指摘になりました最大搭載人員、制限圧力等につきましては、新たに包括委任規定で、改正法の第二十九条ノ三を設けまして、これに移すことにいたしたわけでございます。  それから次に、型式承認の認定につきまして、法律のほうに移してきましたのは、現行の型式承認制度におきまして取り扱われておりました品目が、大型船の関連のものでございまして、非常に品種が少のうございましたので政令でやっておったわけでございますが、小型船がふえてまいりますと、艇体あるいはエンジンその他非常に品目の種類、それから内容等がふえてまいりますので、非常に重要なことになりましたので、法律にあげてきたわけでございます。  それから、最後の設備すべき内容でございますが、これにつきましては、後刻資料として提出さしていただきたいと思います。
  53. 久保三郎

    久保(三)委員 終わります。
  54. 井上泉

    井上(泉)委員長代理 斉藤正男君。
  55. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 レジャーボート関係する二法の審議にあたって差しかえで出席をいたしておりますので、重複する点があればお許しを願うし、各党の理事から御忠告をいただけば途中でやめます。  全体的に一言聞きたいのですけれども、今度の法改正にあたって全体を流れている傾向というのが、どうもボートに乗る人あるいは、ボートをつくる人などなどについてたいへん重点が置かれているけれどもレジャーボート運航によって他産業に与える影響あるいは他人に与える危害といったようなものについてきわめて冷淡だ。世論の要求にこたえて立法化されたことはわかるけれども、そういう点であまりにもてまえみその法案ではないかという感じがないわけではございません。  特に一、二申し上げますと、すでにお尋ねがあったかと思いますけれども、たとえばFRPの船体が永久に腐りもしないし焼けもしないし——焼けるかどうか知りません。焼けるでしょうけれども、腐らない。十年、二十年、三十年先におびただしいボートが廃船になった場合に、一体どういう処置をさせようとしておるのか、あるいは航行規制、今日海水浴客あるいは漁業等に与える影響というものはきわめて大きくて、マスコミ等は大きくこれを報道をいたしておりますが、極端なことをいうならば、ひまがあって金があって、かってに買って乗り回すんだから、ボートが沈もうとつぶれようと、乗っている人が死のうとけがしようと、それはかってなことだ。しかし、本人がどうなってもかまいませんという意見があるとしても、他人に迷惑をかけるというようなことは全くもって不届き千万だと思うわけであります。     〔井上(泉)委員長代理退席、委員長着席〕 そういう航行規制だとか航行の安全だとかいう点について多少抜けているんじゃないかという感じがするのですけれども、両局長から明快にお答えをいただきたい。
  56. 田坂鋭一

    田坂政府委員 まず、私ども所管といたしましては、ただいまの御質問のうちの廃船処理についてであろうと考えられますので、廃船処理につきまして私どもが現在考えておりますことにつきまして御答弁いたします。  先生のお説のように、プラスチックボートは非常に安定した材料でございまして、十年、二十年腐らない、燃えないというものでございます。プラスチックボートが本格的にあらわれましたのは四十二年ごろでございますので、まだ現在のところは、ボートが廃船されるというような状態でございませんけれども、これから先々になりますと、相当にプラスチックボートがふえますし、また、廃船の問題が大きな問題となってまいると思います。これらの材料は、ただいまも申し上げましたように、非常に安定した材料でございますので、廃棄処理をいたしますのには非常にむずかしい面がございます。特にガラス繊維を含んでおりますので、一般のプラスチックの処理とはまた同一にはいかない面もございますから、私どもはこれは非常に重要な問題と考えまして、来年度からこれらの処理につきまして、開発も含めまして予算要求をいたしまして、その体制を整えていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  57. 丸居幹一

    丸居政府委員 二法だけに限ったという問題でございますけれども、これは先生指摘のとおり、こういったものは総合的に法律というものをまとめて出すというのも一つの方法であることは確かでございますが、ただ現在の状況は、五トン未満については旅客船を除きまして全部無免許になっているものですから、かりにどんな法律ができましてもそれを教える方法がない。法律を教える方法がないくらいですから、海のルールにつきましてもまたルールを教える方法がない。そこで、やはり何といってもそういった人たちの教育がまず最初である。そういった教育の場をつくることがまず大事であると、いうことで、そういう方法について一番いい方法は何か。それはやはり免許制度だ。免許制度をつくることによってそういう人たちを教育する場が与えられてくる。そういう場を与える方法をつくっておりますと、今度新しく、ただいま先生指摘のような航行規制法律をつくるとかいろいろなことができましても、それを教えることができるわけであります。そこで、何よりも先に、こういったみんなに海のルールなり海のマナーを知ってもらう、そういった場をひとつつくろうというのが船舶職員法改正の動機となった次第でございまして、これをもって足れりというふうには運輸省としても考えておりませんのですが、そのほかのことは、先ほど来ちょっといろいろの質問海上保安庁その他にも出ておりましたような問題もございますので、そういう点を十分に調整、検討いたしまして、ほかの問題についての態度をきめていきたいというふうに考えておるものでございます。
  58. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 静岡県漁連が全面的にマリーナ、ヨットハーバー等の建設に反対をし、航行についても、地元漁業権でも共同漁業権でもとにかくあるところについては全面航行禁止だという決定をしているわけで、これは運輸省へどのように届いているか私は存じませんけれども、その辺の調整がない限り、いかに法律をつくろうと、いかに免許を与えようと、私は円満な海洋行政というものは進まないと思うのです。そういう観点から、この改正なり立法なりということに満足しないで、今後鋭意勉強をしていただくことを冒頭要求をいたしておきます。  そこで、最初に安全法についてお尋ねをいたします。  安全法改正により、新しく同法の対象となる船舶は十八万九千隻と運輸省の資料で聞いております。この十八万九千隻のうち、モーターボート、ヨットはどのくらいあるのか。その隻数がおわかりならばお答え願いたい。
  59. 田坂鋭一

    田坂政府委員 お答え申し上げます。  モーターボート、ヨットの総数は、私どもが推定いたしております隻数は十万四千隻でございまして、そのうちモーターボートが十万三千、ヨットが一千、概略の数字、そういうふうに想定いたしております。
  60. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 十万三千隻、一千隻というような数字から見ましても、今回の改正のねらいはレジャー用ボート、ヨットに対する規制中心になっていくということが理解をされるわけでありますが、この法改正は、小型船舶の将来の姿を踏まえてなされていかなければならぬ。昭和六十年のレジャーボートの保有予測は、ある筋では六十万隻ともいい、ある筋では百二十万隻ともいい、たいへんな違いはあるにいたしましても、異常な伸びであることはわかるわけであります。こういう異常な伸びが予想される中で、レジャーボートの数あるいはそのレジャーボートの大きさ、そういうものについて、何かこうなるであろうというような展望的な資料なりあるいは予測した数字がありますか。
  61. 田坂鋭一

    田坂政府委員 今回の小型船舶に対します安全規制につきましては、レジャーボート、遊漁船、漁船等が対象になっておりますけれども、その中でレジャーボート先生の仰せのように確かに一つの大きな柱でございます。そういたしまして、昭和六十年度には私どもも、おおむねただいまの伸びを続けていきますれば、モーターボートの数は百万隻前後になるものと予測いたしております。そういたしまして、本法の施行後五年後には小型船舶の数は総計三十八万隻程度に達し、その中のレジャーボートは二十六万隻程度と考えておるわけでございます。  レジャーボートの大きさの点でございますが、ただいま詳細に現在の全体につきまして把握はいたしておりませんが、四十六年度に生産されましたレジャーボートを調べてみますと、三メートル未満が約二〇%、三メートルから五メートルが六三%強、それから五メートルから十メートルが一五%強でございまして、それ以上のものはほとんどございません。でございますので、現在の約十万隻の内容は、この生産の比率で大体合っておるのじゃないかと考えられますが、今後はさらに大型化が進んでいくものと予測をいたしております。
  62. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 いまの予測される数字から見ましても、百万隻のうち二十六万隻がレジャーボートだ、こういうことから考えていきますと、レジャーボートを利用するのももちろん国民大衆であり、そのレジャーボートによって、もしかりに被害というものがあるとすれば、これを受ける者もやはり国民大衆だというように思うわけであります。したがいまして、これらレジャーボートの安全管理のポイントは、やはり検査というようなことが当然考えられるわけであります。言いかえれば、国民にとって利用しやすい検査制度であることが必要であると同時に、利用はしやすいが、それが不十分なものであれば何にもならぬ、こういうことになると思うのであります。  こうした観点から、私は、両立する検査制度のあり方というものについて具体的なお尋ねをいたしたいと思うわけであります。  そこで、まず第一に、検査の対象船舶及び実比のスケジュールについて大まかな点を、重複するかと思いますけれどもお答え願いたい。
  63. 田坂鋭一

    田坂政府委員 検査の対象船舶につきましては、レジャーボートにつきましては、推進機関がつきました全船舶検査の対象になるわけでございます。  次に、検査の対象といたします今後のスケジュールでございますけれども、基本的には、既存船につきまして、施行と同時に全船舶検査の対象にいたすことが理想でございますけれども検査を受ける人たちに対します周知の点、あるいは安全設備等の生産体制の整備の面等を考えまして、円滑に検査を進めていくということから、大体三年間に、既存船につきましては、分割いたしまして、三年後には全部の船舶検査が施行されるというふうにいたしたいと考えております。  新造船につきましては、もちろん施行と同時に検査を全船舶に適用していくというふうに考えておる次第でございます。
  64. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 三年間に既存船の検査を終わるということでありますけれども、これは船種別に三年間に分けるのか、地域別に分けるのか、あるいは建造別に分けるのか。その辺の具体的な方法はどのようにお考えですか。
  65. 田坂鋭一

    田坂政府委員 お答え申し上げます。  船種別に分けまして、さらにそれぞれの船種の中で、船の長さをもって、逐次長さの大きいものから適用していきたい。たとえば四十九年度におきまして、現在考えておりますのは、漁船につきましては、約十五メートル以上のもの、遊漁船につきましては十メートル以上のもの、モーターボートにつきましては五メートル以上のものを初年度の対象船舶と考えたいというふうに考えております。
  66. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこで、この検査の意味について伺いたいのです。  現行法では、エンジンはエンジンで検査を行ない、艇体は艇体で検査を行ない、最終的にエンジンと艇体がドッキングされたときに初めて船が完成し、完成した船にあらためて検査が行なわれる。検査証が交付される。こういう三段がまえになっておりますが、改正によりまして適用を受ける小型船舶に対しても、同様な考え方で三段階の検査が行なわれると理解してよろしいか。
  67. 田坂鋭一

    田坂政府委員 船舶検査につきましては、船体、機関設備が一体となりまして一段階で検査をされるのが基本的なたてまえでございますが、製造者の便宜のために、機関設備等につきましては予備検査の制度がありまして、これを受けたものを組み合わせて使用する場合には、形式的には先生の仰せのとおりになるわけでございますが、この場合には、船舶検査といたしまして、予備検査を受けた事項につきましては、検査を省略されまして、船体と機関、たとえば機関とのマッチングを主体とした検査が行なわれることになっております。
  68. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 小型のレジャーボートにあっては船外機を装着するものが御承知のように多いわけであります。船外機はしろうとでも簡単に着脱可能である。故障などの理由でエンジンを交換することはしばしばあります。また、艇体は同じであっても、人間の本能として、よりパワーの強いエンジンにかえていきたいというようなこともしばしばあるわけでありますが、この場合、いま説明をいただきましたような方法で、厳密に解釈をするならば、新しいエンジンを取りつけた場合には新たに検査を受けることが必要だということにも解釈できると思うのですが、実際上はこれは無理だ、また安全の観点から見ても、調子の悪いエンジンがあれば積極的に交換をすべきだ、それもまた常識だと思うのですけれども、このような点は、利用者にわかるように説明をいただくとするならば、どういう説明をいただけるのでしょうか。
  69. 田坂鋭一

    田坂政府委員 確かに先生の仰せのとおりでございますし、モーターボートの実態は先生の仰せのとおりでございますので、私ども基本的に、モーターボートの安全基準につきましては、モーターボートの実態を十分に勘案していきたいというふうに考えている次第でございます。  さて、ただいまのエンジンの問題につきましては、船外機を装備するモーターボートにつきましては、船体に応じた適当な船外機の基準馬力等につきまして、幅を持たせましてそれぞれの艇体につきまして定めておきまして、その範囲内での検査済みの船外機、先ほど御説明申し上げました予備検査を受けたもの、これにつきましてはその取りかえば、検査を省略する制度をこの中に導入いたしたいというふうに考えております。
  70. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうすると、小型船のすべてに対し、エンジン性能に幅を与えて、その幅内のエンジンであればエンジンを交換しても差しつかえない、そのつど検査を受ける必要はないというように解釈してよろしいと思うが、それでよろしいかどうかということ。  もう一つ検査の合理化をはかるために、型式認定制度、認定事業場制度が考えられているようであるけれども、外国から輸入されるボート及びエンジンはこの恩典を受けるのかどうか。すなわち型式認定制度と認定事業場制度は、国内においてはこれはできると思うのですね。外国から輸入される艇体並びにエンジンについては、具体的にどうされるのか。  二問にお答え願いたい。
  71. 田坂鋭一

    田坂政府委員 第一問でございますけれども、先ほど申し上げましたように、予備検査を受けて、予備検査に合格した機関を取りかえるときは、検査を受ける必要はございません。その後使用者が適当に取りかえてよろしいわけでございます。  次に、型式承認並びに認定工場制度が輸入船にどういうふうに関係あるかというような御趣旨の御質問だと思いますが、認定工場制度あるいは型式承認制度、これは当該工場の品質管理、作業管理等が十分に行なわれておりまして、それをまた私どもが十分な監督をする必要がございます。そういうことでございますので、輸入されましたボートあるいはエンジンにつきまして、新造の場合につきましてこれを適用することは不可能でございます。ただし、同一の機種のものが相当多量に輸入されたような場合につきましては、先ほど申し上げました予備検査等をこれに適用いたしまして、これを適当に運用することにおいて、ある程度のカバーはできるかと考えております。  修繕、整備等につきましては、一般の国内エンジンと同様に認定工場制度の適用は受けることができるわけでございます。
  72. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 ボートが国民の手に渡ってからの検査を合理化するために認定事業場制度があり、これには製造認定事業場、改造認定事業場、整備修繕事業場の三種類が考えられる。国民に定期検査、中間検査を受けやすくするために、改造と整備修繕が非常に大きなウエートを占めてくると思うのであります。伝え聞くところによりますと、現在準備中の基準では、整備修繕事業場の場合、建物の敷地、特に屋内面積と検査主任者の資格基準がハイレベル過ぎる。現状のままでは既存の業者の多くは不合格になるということが言われておるわけであります。私は、これは業者からどのような意見があろうとも、これが適正だ、ルーズにすることは許されないと思いますけれども、しかしとても追っつかない、とても手が届かないというような基準であってもまた現状とのつり合いがとれないというように思いますけれども、基準の内容及び全国的にどの程度設置が可能だと考えているのか。もし簡単に口頭でお答えができないならば、後ほど書類等で御提示をいただいてもいいと思うのでありますけれどもお答えできる範囲お答えをいただきたい。
  73. 田坂鋭一

    田坂政府委員 今回の法改正に当たりまして、製造工場制度のほかに認定改造修理事業場制度並びに認定整備事業場制度を追加したわけでございまして、これはただいま先生仰せのとおり、これらの認定を受けました工場は検査の一部または全部を免除されるような非常に重要な工場でございます。安全の面から非常に重要な工場でございますので、これまた先生のお説のように、私どもはこれらの工場の認定につきましては、非常に慎重に当たりたいというふうに考えている次第でございますけれども、これらの認定をいたします基準は、ただいま簡単に申し上げるのは非常にむずかしゅうございますが、認定の主要な項目といたしましては、工場の施設並びに品質管理、作業管理体制の面、それから技術者の面、そういうふうな面に重点を置いて定めたいと考えておる次第でございます。そういたしまして、これが先生のお説のとおりに、今後の整備を円滑に進めるための非常に重要な点でございまして、大体全国的に二百工場ぐらいが必要かと考えておる次第でございますが、現在全国的にこれらの工場の概要につきましては調査をいたしておりますけれども、私どもは今後ともこれらの二百工場に近い認定整備工場が確保されますように、技術水準の向上等につきまして指導を行なってこの体制を完備いたしたいと考えておる次第でございます。
  74. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 この認定工場は基準なりあるいは認可の内容というようなものが利用者にもたいへんな影響があるし、業者にも生活上の問題等も含めて大きな影響があると思うので、慎重に扱うことは必要だと思う。  既存のものとして自動車整備士というのがございます。エンジンを扱うあるいは動くものを扱う、陸上と海上の違いはありましても類似をしている点は多いと思うのでありますが、私は自動車整備士とほぼ同じように考えていいのじゃないかというくらいに思っているのですけれども、その点は一がいに言えないと思いますけれども、いかがでございますか。
  75. 田坂鋭一

    田坂政府委員 確かに先生の仰せのように、動くものという点におきましては同一のものでございますが、使用条件やら設計条件やらそういうものが非常に異なる点があろうかと考えます。そういうことでございますので、一がいに自動車のほうの整備士というものと同一にはいかないというふうに現在考えております。
  76. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこで検査の機構について伺います。  数点ございますが、まず第一に、検査機構で扱う検査は十二メートル未満の船であるが、十二メートル未満であればトン数に関係なくその機構で扱うことができるのか。すなわち長さで規定をしてあるが、トン数には関係ないのか、この点についてお答え願いたい。
  77. 田坂鋭一

    田坂政府委員 十二メートル未満のものでございまして、トン数には関係ございません。ただし、十二メートル未満のものでございましても、旅客船とか危険物のばら積み運搬船であるとか特殊な船につきましては、直接国が行なうように考えております。
  78. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうすると、二番目に、モーターボートの場合には検査の基準は五トン未満、五トン以上という簡単な区分で分けるというように理解してよろしいか。
  79. 田坂鋭一

    田坂政府委員 検査の面におきましては、トン数は全く関係ございませんで、機関を有する船舶につきましてはすべての船が検査の対象になるというようなことでございますので、トン数は関係ございません。
  80. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうすると、私が第一項で申し上げましたように、十二メートル未満ということでこれをものさしにして、トン数については五トン以上とか未満とかいうようなことは関係ない、こういうように解釈してよろしいか。
  81. 田坂鋭一

    田坂政府委員 トン数は関係ございません。
  82. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 現在トン数の検測は、海運局または都道府県が行なっていて、検査官の裁量幅が大きくて、検査官によって判断の異なる場合もあると聞くが、将来もしトン数検測のばらつきによって、五トン未満のものでも購入したボート検査の際五トン以上と判定されるなどの不都合の心配はないかというような意見もあるわけなんですけれども、いまのお答によれば、都道府県検査しようが、海運局検査しようが、検査についてトン数は全く関係ない。したがって長さだけでやるのでそんな心配は全く無用だというように考えてよろしいのか。全く五トン以上、五トン未満というようなことは考える必要がない、こういうことなんでありましょうか。
  83. 田坂鋭一

    田坂政府委員 モーターボートにつきましては、全く考える必要はございません。
  84. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 明らかになりましたので、やや末梢的になりますけれども、この検査官の数、あるいは検査の場所、また検査の日数というのはどのくらいかかるか。  いつ、どこでも検査するというわけにはいかぬと思うのですね。そしてまた、艇体を動かすという検査の方法と、検査官が動くという検査の方法と、両方とも動いてデートするという方法、いろいろあると思うのですけれども、それらを組み合わせてやるのか、具体的にはどうなのですか。     〔私語する者あり〕
  85. 久保三郎

    久保委員長 静粛に願います。
  86. 田坂鋭一

    田坂政府委員 まず検査に要します日数、時間の問題でございますが、モーターボートにつきましては、船の大きさ等にいろいろ差異もございますけれども、定期検査でいえばおおむね一時間から二時間くらいの検査で終了するというふうに考えていただいてけっこうだと思います。  また、検査のために船が動くのか、人が動くのかというお話でございますが、いずれの場合も考えてはおります。いずれの場合もできるようにもなっておりますが、私どもといたしましては、まず第一に、物も人も検査のために動くことが少なくて済むということを理想に考えておるわけでございます。また、一方モーターボートのように非常に隻数の多いものにつきましては、検査場をある程度整備いたしまして、そこに来ていただきまして、一括的に非常に短時間でやれる方法も考えたい。検査の合理化につきましてはあらゆることを考えて、検査のために受検者に迷惑をかける度合いを極力少なくいたしたいというふうに考えております。
  87. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 将来の展望を含めてお答えを願いたいと思うのですけれども、先ほども局長の説明にありましたように、レジャーボートが大型化の傾向にあるということはわかりました。この大型レジャー・ボートの管理についてまず第一点として伺いたいわけでありますが、クルージングというのが海洋レクリエーションのたいへんなだいご味だそうであります。私ども貧乏人には縁の薄いことでございますけれども、現在安全法適用の対象船は、海運局長心得とか称する、通達ですか、通牒ですか、命令ですか、通知ですか、よくわからぬのですけれども海運局長心得によって、二十メートル以上のものでないと沿海に行けない。すなわちクルージングができない。このため、安全法の適用外にある五トン未満のモーターボートを使って、無理な方法でクルージングを行なっておる。今後の法の改正により、五トン未満も法の適用対象となったときに、二十メートル以上のボートでないとクルージングができなくなるのかどうか、この点が、具体的な問題としては注目されているところであります。言いかえれば、少なくとも改正法のもとにおいては、長さ十五メートル、排水量十トンのモーターボートは東京から大阪までクルージングができるのですか、できないのですか。いかがですか。
  88. 田坂鋭一

    田坂政府委員 御指摘のように、安全法の対象になっておらない船につきましては、航行区域の制定はございませんので、従来は五トン未満のモーターボートはどこでも行けたということでございます。  一方、安全法におきましては、それぞれ検査をいたしましたら、その船の安全性を見まして、平水区域から遠洋までの航行区域を定めて、それを指定するということになっております。そういたしまして、先生のいま御指摘のように、二十メートル以上の船でないと沿海区域には行けないというふうに一般にいわれておりますが、私ども船舶局長の通達によりまして、二十メートル以上の船を一応の標準として沿海区域を与えておるわけでございます。もちろんこれは標準でございますので、その船舶の復原性能、強度あるいは設備等を十分に勘案いたしまして、船が小さくても安全性が十分ならば沿海区域が与えられるということでございます。ただいま御指摘の十五メートル、十トンのモーターボートがございまして、これらが安全性が十分で沿海区域に出られるということでありますれば、東京から大阪までクルージングはできることになるわけでございます。
  89. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 海上保安庁、せっかく残っていてくれますからちょっと聞きますけれども、最近伝え聞くところによると、五トン以上のモーターボートが外国から持ち込まれて、検査も受けずに、また免許も持たずに航行しているものが多いということでありますが、海上保安庁などでこれらを取り締まった例があるのかどうか。こういう具体的な場面に——事故が起きれば別ですよ。あるいは危害を与えるような航行をしていれば別だけれども検査を受けてない、免許証はもちろん持ってないというようなことで取り締まった例がございますか。
  90. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  私どもといたしまして、特にこのレジャーボートのための一斉取り締まりというのを最近行なった事例はありません。日常の巡視警戒は行なっておるわけでございますけれども、その巡視警戒に際しまして適時に指導、取り締まりを行なっておるというのが現状でございます。  それで、ただいま事例があるのかという御質問でございますが、去る五月の末ごろから六月の初めごろにかけまして、私どもの横浜保安部——第三管区海上保安本部でありますが、この横浜保安部におきまして、県の積量測度員に御同行いただきまして指導、取り締まりを行なった事例がございます。その際に、五トン以上の五隻のモーターボートを見つけまして、これに対しまして積量測度の申請を行なうように指導いたした事例がございます。
  91. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 これらの五トン以上のモーターボートが無届けで使用されている原因として、以下申し上げるようなことがあり得ると思うのです。  まず、その一つは、検査は申請主義である。ボートの所有者が必要な書類を添えて申請しなければならない。しかるに、外国艇の場合、図面、計算書などの書類をオーナーが用意することは全く不可能といっていい。ディーラーであってもかなりむずかしい問題だ。二番目に、検査は申請主義でありますので、役所にトン数を検測させる権限はないから、五トン未満といえばそれで通ってしまう。三番目に、外国の基準と比べ日本の基準はレジャーボート用の考えがないから、外国で多数販売され使用されているボートでも、日本では使用できないということがあると思うのです。こういうことを考えていきますと、もしこれが、現実そのとおりですというならば、実質的な輸入禁止策であり、特にドルの問題等を含めてこれは問題になってくる可能性があると思うのですけれども、こういう点は一体どう考えていいのか。役所としてもお困りじゃないですか。何かお考えがありますか。
  92. 田坂鋭一

    田坂政府委員 船舶運航に対しましては、まず安全が大事でございますので、安全を基本にして考えるべきだと考えております。そういたしまして、外国の船が日本に簡単に受け入れられるかというようなお話でございますが、私どもこの基準を制定するにあたりまして、外国の基準につきましても十分に検討いたしております。そういうことでございますので、特段の差はないかと思いますけれども、わが国の四周の海象、気象等が外国と相当異なる点もございますので、わが国はわが国なりの基準が必要になる点もございます。そういたしまして、わが国に輸入されたモーターボートは、またわが国の国内のモーターボートと同じような基準で検査をされるということはどうしても必要かと考えられますので、その面からは先生御心配の点がわずかにはあるかもしれないというふうに考えております。  また、図面等の問題でございますが、これらの点につきましてはむずかしい図面等を要求するつもりはございません。
  93. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そういたしますと、結論的に言うならば、本法改正によって、外国の一流メーカー品であるボート及びエンジンは、日本国内で特別な性能、構造の改造を行なわない限りそのまま使用できる、日本の法規典礼に従って一様に扱うというように解釈していいのかどうなのか。さらにそのためには、五トン未満のボートだけでなくて五トン以上二十トン程度のボートについて安全基準を外国水準に合わせねばならないのかどうなのか、こういう点がやはり問題として出てくると思うのでありますけれども、どのように考えたらよろしいか。
  94. 田坂鋭一

    田坂政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、わが国の安全基準と外国の安全基準とは異なる面もあるだろうと考えられます。それで、ただ大筋におきましては、基準の考え方は、基本は一致いたしておりますので、外国の一流のメーカーの製品につきましては、特別な改造を行なわないでも大体使用できるものと考えております。
  95. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 安全法については以上で終わりますが、免許法につきましてはまた後ほど時間をいただいてお尋ねすることにいたしまして、本日の私の質問は以上で終わります。
  96. 久保三郎

    久保委員長 これより、ただいま議題となっております二法案中、船舶安全法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  船舶安全法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  97. 久保三郎

    久保委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  98. 久保三郎

    久保委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、太田一夫君外四名より、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党の共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。太田一夫君。
  99. 太田一夫

    ○太田委員 私は、ただいま議決いたしました本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議について、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     船舶安全法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、今後のレジャーボートの増加傾向に対処するため、次の諸点について、努力すべきである。  一 レジャーボート航法及び航行水域規制し、海上交通の安全の確保と秩序を図るため所要の措置を講ずること。  二 強化プラスチック船の廃船処理問題について検討を加え、必要な対策を推進すること。  以上の附帯決議の趣旨につきましては、すでに質疑の過程で十分論議されており、委員各位には御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ御賛同を賜わりますよう、お願いいたします。(拍手)
  100. 久保三郎

    久保委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  おはかりいたします。  本動議のごとく附帯決議を付することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 久保三郎

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。新谷運輸大臣
  102. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 ただいまは、船舶安全法の一部を改正する法律案について御審議の結果御採決をいただきまして、まことにありがとうございました。  また、決議されました附帯決議の内容につきましては、その趣旨を十分尊重し、誠意をもって実施にあたる所存でございます。まことにありがとうございました。     —————————————
  103. 久保三郎

    久保委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 久保三郎

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  105. 久保三郎

    久保委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十六分散会