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1973-04-12 第71回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月十二日(木曜日)     午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 久保 三郎君    理事 大竹 太郎君 理事 唐沢俊二郎君    理事 左藤  恵君 理事 中村 弘海君    理事 井上  泉君 理事 太田 一夫君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       加藤 六月君    片岡 清一君       佐藤 守良君    斉藤滋与史君       野中 英二君    板川 正吾君       野坂 浩賢君    平田 藤吉君       沖本 泰幸君    松本 忠助君       渡辺 武三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         運輸政務次官  佐藤 文生君         運輸大臣官房長 薗村 泰彦君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         運輸省航空局長 内村 信行君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    島村 史郎君         建設省道路局次         長       中村  清君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         日本国有鉄道運         転局長     鈴木  宏君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 久保三郎

    久保委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沖本泰幸
  3. 沖本泰幸

    沖本委員 前回の当委員会航空安全対策について種々御質問いたしましたが、その際に大臣の御出席がないため大臣に対する質問を留保させていただいた分につきまして、許された時間内で御質問したいと思います。  航空安全の点について問題点を明らかにしていきたいと思いますが、いまの許されている時間内では言い尽くせないところもたくさんありますので、残る部分については留保をしていきたいと考えております。  きょうのお昼までの間に、日航事故について日航幹部責任を追及するために、わが党のほうから官房長官に申し入れをする、こういうことになっております。まあ、この点については、大臣も、日航責任があるという点は運輸委員会のほうで御発言になったようでございます。いま、いろんな問題を起こして総点検をやっておるような状態の中で、日航幹部の中にも非常な動揺があり、十分まとまっていない。こういう点について、こういうものが存在する限り航空の安全ということにも大きなひびが入ってくる、こういうことにもなるわけですけれども、とりあえずそれに対する大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  4. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 日航の重なる事故責任につきましては、予算委員会でも運輸委員会でも申し上げたのでございますが、もちろん当事者である日航責任というものは重大であると考えております。のみならず、監督責任を持っております運輸省責任もまた重大であることは言うまでもございません。そこで、私どもその責任をどうして果たすかということでございますが、こういうたび重なる事故によって一番問題になりますのは、国民全体が、いままで無事故であったのにこういうふうな事故が頻発するようでは、航空機というものは非常に安心のできない交通機関になってきておるというので、航空機に対する不安感が非常に高まっておることでございます。それを解消するのには、どうしても具体的に安全体制というものを確保しなければならぬということは、言うまでもないのであります。これが、当面一番急いで確立しなければならない日航責任であり、運輸省責任であると考えておるのでございます。  したがいまして、日航に対しましては、ああいう事故を起こしたその原因がほぼ明らかになったものもございますから、そういったものについての反省をいたしまして、全社内を一本の体制にまとめて、これは単に運航部門とかあるいは経理部門とかいう個々の問題ではなしに、全社が打って一丸となって、この安全体制確立するにはどうするかということを検討をし、それをすみやかに実行するということが一番大事であるという意味で、私は日航に直接にそのことを指示いたしまして、日航も、そのとおりでありますということで、非常に内容についていままでもやっておったと思いますけれども、さらに再点検をして、全社内を通じまして安全体制確立するための努力をしてまいりまして、それについての私の指示に対する答えを出してまいりました。いま、この答申の線に沿いまして、全社を通じまして、つまり各部局打って一丸となって、再びこういう事故を起こしちゃいかぬという認識のもとに、そういう意識を持ってこの安全体制確立すべく努力を続けておる。これがいま進行中でございまして、私も、初めに申し上げましたように、航空機関、ことに航空機では、何といっても人命の安全というものを度外視しては考えていけない、これがもう最優先であるということを強調しておりますので、その線に沿いまして、運輸省におきましても、日航に対するあらゆる面からの指導監督というものを強化いたしておる次第でございます。ただいまはそういう体制安全運航体制というものが確立されようとしておるのでございまして、この点は、私も日航の現在の努力を多といたしておる次第でございます。  お話の中で最後におっしゃいましたが、それならばそれだけでいいのかということでございます。私は、それに対しましては、やはり日航の業務を担当しておる人たちが、それだけで責任がなくなったとは言えないと思います。これにつきましては、日航のいわゆる人事につきまして、われわれも将来に向かって、ほんとう日航国策会社としての使命を達成し、一面におきましては、いま申し上げたような安全体制というものを最後までこれは確立して、それを持続し、そしてさらにそれを発展させるような方向努力をしなければならぬと思いますので、そういう点に向かって、どういう人事構成がいいかということにつきましては、慎重に考えなければならぬと思っておるのでございます。現在のところは、いま申し上げたように、運航安全体制確立しつつある最中でございますから、人事につきましては、まだ具体的にここで申し上げる段階ではございませんし、現在のところ、しいておっしゃれといえば、私はいまのところ、この問題につきましては白紙でございますということをお答え申し上げる以外にないという段階であります。
  5. 沖本泰幸

    沖本委員 多くの生命、財産を守り、航空の安全をはかってもらわなければならないのが、この公共性を持っているこういうものの一番重大な問題なんですが、そこで大事なことは、いわゆる営利主義であるのかあるいは安全第一に考え経営をやっていくのか、この経営方針によっていろいろ形が変わってくると思うのです。それで、安全性がいかにそこなわれているかという点については、後ほど御質問はいたしますけれども、とにかくその会社経営方針自体営利主義に走るかあるいは乗客の安全を第一に考え経営方針を立てていくかという、そこのところに基本がかかってくると思うのです。  そこで、一足飛びにお話しいたしますが、最近では、小佐野さんがどうであるとか、あるいは予算委員会でも問題になりましたDC9の東亜国内航空に対する売り込みの問題であるとか、こういうことが問題になりましたけれども、この間も資料を要求いたしまして、株の内容なんかについていろいろお調べをいただいたわけですけれども、たとえば東亜国内航空では東急が株を一番たくさん持っていらっしゃる。五百万株、二六・三%を東急がお持ちだ、こういうふうな内容。こういう会社の資本に関する株の動き等によって、経営内容の中にこういう人たち考えなりそういうものが入ってくると、会社の安全第一主義経営方針も変わってくる、こういうことになってくるわけです。そこで、たとえばDC9を東亜国内航空に入れるために三井が全日空の株を売って切りかえているようなうわさも聞いておりますし、あるいは東急さんがどんどん動いていらっしゃるとか、あるいは全日空の中にも名鉄の株がたくさんあるとか、その安全をはかるために日本航空も株を持っていらっしゃるというような内容がありますけれども、現在のような時勢であり、国民の関心が十分寄っていくところの航空会社に対して、いま盛んに商社の買い占めとかこういうものが、きのうも物価特別委員会で大きく取り上げられておりまして、新聞なんかでは、とうとう政府も、商社が買ったのではないかというようなことも出ておるわけですけれども、そういうふうに商社なんかの株の操作によって経営内容がぐらついていく、こういうことになってはならないと思うわけです。以前に、「ばんだい号」のときに、運輸大臣は、東亜国内航空に対して警告を発していらっしゃるはずなんですね。それで、株を集中させてはいけない、分散させなければならないし、内容を十分検討しなければならないというような警告をお出しになったけれども、一向に実行されていない、こういうふうな点を私聞いておるわけなんです。日本航空に関しましては、政府自体が四六%から株を持っていて、経営方針なり何なりについては十分その内容検討ということになりますけれども、そのほかの民間航空というような点、合併問題もいろいろからんできて、いわゆる商業ベースに走るような会社経営内容経営陣が変わっていくようなことがあれば、これはもう完全に安全を保っていくようなことではなくて、営利主義に走ってしまうということが十分考えられるわけです。そういう点、最近つとに多いと思うのですが、運輸省のほうで、そういう裏の動きなり内容なりについてどの程度おつかみになっていらっしゃるか、あるいは今後こういう経営について商社の立ち入り、株の操作というものに対して、大臣はどういうお考えでこの問題に取り組んでいらっしゃるか。それについてお答え願いたいと思います。
  6. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 各航空会社株主がどういう動きをしているか知っているかというお話でございますが、私は存じません。運輸大臣としての私に関する限り、そういう動きは全然ございません。私は会ったこともございません。おっしゃることはよくわかります。初めにおっしゃいました、やはり営利会社でございますから、採算第一主義というようなところがあらわれてまいりまして安全を害するようなことになっては困るという御意見、全く同感でございます。その点は私も、日航といわず他の一般の会社特殊会社でない東亜とか全日空等に対しましても、安全確保ということについては同じように考えておるのございます。  いま株式シェアの問題のお話がございました。私も調べてみますと、お手元にあるそういう数字になっております。なぜそういうふうになっているのか。株式移動ということについては法律上の権限運輸省にはありませんので、私たち株式を早く分けろとかということは強制的には言えません。しかし政府方針といたしまして、先ほどお示しになったように、あんまり一方に片寄るということは経営上思わしくない、望ましくない結果になるおそれがあるからということで、なるべく株式というものは多くの方々に分散したほうがいいよということは注意はしてございます。しかし、かりにいまのような状態、いまお話名古屋鉄道とかあるいは東急とか、そういったものの株式シェアがほかの人たちに比べて多いということがかりにございましても、私どもとしましては、そういったものに別にとんちゃくする必要はないので、航空法によりまして安全の確保をしなければならぬということは、われわれの責務でございます。これをどこまでも貫いていく方針でございまして、航空路の設定の問題からあるいは使っております各飛行機の安全の問題、整備の問題、乗員の問題、すべてに対しまして、航空法で所期しております安全対策というものはどの会社に対しましても、株主が右だからといって右のほうに片寄るということはいたしません。絶対に安全確保はさせます。そういう決意でおりますので、その点は私は、これも極端な場合は別でございますけれども、そこに多少の移動があっても、それのために、あの物価問題でいろいろ大商社が動かれて、つい国民にたいへんな迷惑をかけたというような結果には絶対にしない。航空法のたてまえでもできないことであるし、させないだけの権限は持っておりますから、いたさせません。  一つ例を申し上げて御安心を願いたいと思うのですが、日航事業計画資金計画等がこの新年度で出てまいりました。私はそれは、いままでは同じような方向で審査をしたと思いますけれども、ことしは特に力を入れましたのは、さっき申し上げましたああいう事故の頻発したあと、われわれのほうからも安全対策についての方針指示し、日航もそれにこたえて、私のほうはこういうふうなことを実行いたしますということを答申をし、われわれに約束をしておるわけです。私は非常にたくさんの、数十項目にわたっておりますが、その項目一つ一つ今度の事業計画の中でチェックさせたわけです。その問題は四十八年度の計画の中でどう生かされているか、具体的にこれをどうするんだということを数十項目にわたりまして全部チェックいたしました。日航もその点は真剣に考えたと思います。大体、約束したとおりに事業計画というものは編成しておりましたので、今度の四十八年度の事業計画につきましては承認を与えたのでございます。  同時に、これは日航と同じ立場にございませんが、全日空東亜国内航空につきましても、昨年からことしの正月にかけまして首脳部を呼んで、これは日航だけの問題じゃありません、全航空会社の問題ですから、あなた方は今後安全体制確立についてどういうことを考えておられますか、どういうことをなさいますか、それを具体的に私に示してもらいたいというので、日航と同じように注文を出したのです。それに対しまして、両社とも具体的に、私のほうはこういうふうにして安全体制確立いたしますということを答申をしておるのでございまして、今度は日航とは違いますけれども、そういう約束があるのですから、私は両社に対しまして、日航と同じように、新しい四十八年度の事業計画においてお約束になったこういう安全体制についての各項目が、どういうふうに生かされておるかということを具体的に報告してもらいたいということを注文しておるのでございまして、やがて返事がくると思います。  非常に御心配いただいてありがたいのですけれども運輸省といたしましてはそういう方針によりまして、各航空会社に対しまして安全体制確立が第一であるという指導理念のもとに、行政事務をすべて処理いたしてありますので、この点は御安心願いたいというと言い過ぎかもしれませんが、一応われわれの方針に対しまして御了解をいただきまして、これからもそういう方向努力いたしますから、御協力をお願いしたいと考える次第でございます。
  7. 沖本泰幸

    沖本委員 大臣も非常に熱心な御答弁なんですけれども、中央公論の「経営問題春季号」という中の、東海大学の教授の井戸さんがお述べになっている点から引いてみますと、「近代ジェット旅客機は論理的な操作のみが通用するシステムで、過去の経験の多寡によって運用状態が左右される余地は極めて少ない。劣者必敗の冷厳な法則がそのまま適用される世界であるから、機体をだましだまし使う事で訓練されてきた戦中組のなかには脱落者が出てきても不思議ではない。四十一年を境とする前後にその兆候は現実に現われた。乗員だけでなく整備にもそれが現われた。」あるいは「創業以来、日航の機長の人員構成日本人二に対し外人一の割合であったから、両者技能レベルが同等ならば外人側から事故が出ても然るべきであるのに皆無で、すべては日本人パイロットによるものである。経営者が真に安全確保を顧慮したならば、当然着目すべき点はここにあって、」こういうものも出ておりますし、それから「日航の第二期経営者が真底から航空事業百年の計を考えたならば、第一にすべきことは人材の養成・訓練であり、第二には優秀な機材整備して、両者の調和で着実な事業拡大を行なうことであった。」こういうことで、訓練時間の問題なんか非常に取り上げられておりますけれども、むしろまた経営内容からいくと、この人の面と機材の面というふうに二つに分かれるわけなんですね、安全性考えていったりする場合には。そこで、ここでも述べられておるのは、「世界航空関係者日航のような営業成績の良い企業が、生産中止したDC−8型のような古い機材を買い集めて一流路線に使い続けるのを不思議がっていた。同機は欠陥と言うのではないが、基本的に一九五〇年代初期の設計で、その後、より優秀でシステム設計手法の進歩した機材はいくらも出現している。DC−8型機は日航で三十五年以来七八万時間飛行して全損大破八件だが、727型は二〇万時間飛行で無事故だ。もう退役したCV−880型機は僅か一二万時間余で九機のうち四機が潰れている。これでも新型機の方がいかに安全かを示している。それにもかかわらず、日航DC−8型に異常な執着を示し、機数を急増させた。たまりかねた運航責任者たちは四十四年に新型機種採用を松尾に勧告したが言下に却下されてしまった。」こういう内容が出ているわけです。それから同じように、働いていらっしゃる皆さん方からいろいろ伺いますと、DC8−61型のエンジンにひびが入った。十八機のうち十四機にひびが入っている。そういうことで最近DC8の事故が多い。こういう点を指摘しております。  それから、ジャンボはホノルルでフラップが欠けていた。整備の人がわからずに、お客から言われてあらためてわかった。それから引っ込み脚ふたが落ちたり、逆噴射のふたを落としたり。グラウンドで見るひまがないのだ、人が足りないから。こういうことがあって、上層の幹部もこういう点については非常に心配しておる。夜勤専門の者が、課長あたりで過労のため死んだ例もある。それがほんとうかどうかわかりませんが、そうとられるような内容もあるわけです。そうすると、こういう内容のものは、いわゆる会社全般の、安全を確保するために従事している人たち内容そのものよりも、会社自体の姿勢なり何なりに問題があるんじゃないか、こういうことになってくるわけです。  私、時間があまりありませんのでかいつまんで申し上げるわけですけれども、結局、航路とか運航規程整備規程、こういうものがありますけれども、その安全については、大臣が認可するため責任をお持ちだということなんです。運輸省責任があるわけなんです。ところが間々すれば、ほとんどの人たちが、ただ航空会社だけに責任があるようなとり方であり、そういう面で私たちはとらえていきやすい内容が十分あるわけなんですけれども、こういう内容について、運輸大臣が認可を与えるわけですから、その安全性あるいはその機種の選定とか、こういう事故内容とか、こういうものについてこまかいデータをとりながら、検討しながら認可する、しないということになるわけで、一体認可したという点について言うことになれば、運輸省自体責任があるはずなんです。会社以上の責任運輸省に出てこなければならないわけです。ともすれば当委員会のやりとりも、あたかも航空会社だけの責任を追及しているような形に終わりやすいわけなんですけれども、その点について、大臣自体は、こういう一連の問題に対して、今後、あなたが認可していらっしゃるわけですから、あなたにすべての責任があるわけなんですから、会社幹部責任をとれということを言う以上に、大臣責任をとらなければならない。責任をとってやめたら問題ないということではないわけです。乗客の安全を確保していくためには、今後いかにしてこういう問題を消化していくかという点に問題点があるわけですけれども、その点について大臣どうお考えなんですか。
  8. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほどのお答えのしかたが少し抽象的に過ぎましたので、そういう御質問も出たと思いますが、必要があれば政府委員が来ておりますから、具体的にお答えさしてもけっこうでございます。  日航に対しましても、私たち指示いたしましたのは、いまお話しのような乗員関係、それから整備関係、それから人事管理の面、すべてにわたりましてきめられた内規どおりにそれを理想的に処理いたしておりますと、ああいう事故は起こらないはずなんです。それが起こったというのは、どこかに欠陥があったということでございますから、その一番重大なところはどこだったろうかということを十分反省をして、今後の安全体制確立に資するようにしなければならぬじゃないかという意味で、非常に具体的な注意をいたしておるのでございます。  一例をあげてみますと、日航なんか外国航路が多いんですから、どこかヨーロッパの空港へ行って、そこで一晩泊まって習日帰ってくるわけです。その場合に、休養は十分とれるだろうか、翌日何百人というお客さんを乗せて安全に日本に帰ってくるための必要な休養乗務員がとれるだろうかというようなことについては、これは人事管理の面から十分考えていかなければならぬ。こういったことは一々内規とか何かに書けません。書けませんが、全体を通じまして、たとえば乗員の数も非常にぎりぎりでございますとなかなかできない。そういったことに対して相当の余裕を持って考えなければいかぬというようなこともございます。  整備についても同様でございます。そういった点につきましてあらゆる面から考えて、日航に対しましてはわれわれも指示をし、日航もそれにこたえております。さっき申し上げた新しい四十八年度の事業計画におきましてもチェックいたしまして、昨年と比べてそういった点については相当に新しい角度から考慮を払っておるということが明瞭でございます。そういう点につきましては、及ばずながらあらゆる面から見て安全体制確立のために努力をいたしておりますし、いたさせておるつもりでございます。  あとでおっしゃいました運輸省責任があるじゃないか、もちろんでございます。ですから私、初めから、日航だけではございません、運輸省責任がございますということを申し上げておるわけです。これは、その責任をどうして果たすかということです。それには、国民全体の方が航空機に対して非常な不安を持っておられる、その不安を除去して、ほんとに今後ああいう事故をなくすためのあらゆる努力をするということが第一の責任だろう、責任を果たすゆえんだろうと考えておりまして、真剣にまっこうからそれに取り組んでおるわけでございまして、ですから、日航に対しましても、全日空に対しましても、東亜に対しましても、いまの運輸省のいろいろの地上の施設あるいは規程類、そういったものについて、運輸省に、こういう点を考えてくださればもっと安全体制確立いたしますという点があれば遠慮なく言ってもらいたいということも同時に指示をしたのですけれども、この点についてはあまりございませんでした。結局、運輸省としましては、この法律や規則に書いてありますようなことを今後も厳重に励行させるように指導してまいりますれば、安全体制というものは確立できるんじゃないかというようにいまのところ考えております。  それから同時に、御質問ございませんでしたが、航空の、空の安全を守るための運輸省施設でございます。電波その他を使いましていろいろの誘導をしなければなりません。これにつきましては、従来、地域によりまして欠けているところもあったようでございますが、今度は、四十八年度におきましては、この点について相当予算を充実いたしまして、日本全空域にわたりましてレーダー網を敷いて、技術的な方面から、専門的な方面から見ても差しつかえないような体制をとることにいたしておるような次第でございます。  いまおっしゃったような点について真正面からのお答えにならないかもしれませんが、われわれといたしましては、いまの法律や予算で許される範囲において最大限の責任を果たすべく努力をしておる、また、そういうふうに実際措置をしておりますということを申し上げたいと思います。
  9. 沖本泰幸

    沖本委員 もう時間がないので、言うことだけ言っておきたいと思うのですが、前回の質問のときに、整備の簡略化でオン・コン方式を申し上げたんですが、そのときに当局のほうのお答えは、このオン・コン方式のほうがいいんだと、こういうお答えがあったわけなんです。簡略化されていて、こういう方式を運輸省のほうとしても認めたというような御発言だったと思うのですが、いろいろ聞いてみますと、アメリカでもオン・コン方式を使っているから日本でも使うんだというような安易なとらえ方をしていらっしゃるのです。ところがアメリカがそこまでいくには、十分の体制があるわけです。あるいはアメリカの当局者自体が、会社が選んだ機種と同じような機種をちゃんとそろえて、それでどんどんテストしている。その中から安全性というものを出してきている。ところが運輸省にはそういうものはないわけです。ただ、会社が出すだけの方式をそのまま採用していらっしゃる、こういうことです。  一例をとってみると、私が運輸委員時代に、飛行機の航行の安全のために、ドップラーを入れたわけです。これは非常に安全性を高め、航路を選定していく誤差が非常に少ないという説明を私たちは聞きました。ですから、その前にとっておる電波方式よりもこのドップラーのほうが非常にいいんだ、こういうことで、硫黄島まで飛んだわけです、日航に乗ってですね。ところが、いろいろ聞いてみると、硫黄島は一番選定しやすい、やりやすい航路の上を飛んだんだ。実際は一番誤差が大きいんだ。なぜかというと、サンフランシスコから飛んでくる場合には、点と線で行くんだ、だから非常に問題が大きい。やはり天体を調べ、肉眼で見ていくということが一番正確さを期していくことができるんだ。ところが、天体方式なんか、このドップラーが入るともう要らなくなるんですと、こういう御説明があったわけです。この両者の間に大きな食い違いがあるわけです。そういう間で、どこかへ行ってしまったというような事故はないわけですけれども、そういう辺に、運輸省のおきめになっているやり方、とり方というものに非常な安易さがあるんじゃないか。会社自体が言ってきたものをそのままお受けになっていらっしゃるのじゃないか。会社側が言ってきたことをもう一つさらに確かめて、ここが違うじゃないか、これはこうしなければいけないというような、はっきりしたものを運輸省から出していらっしゃらない。会社側が営利本位に安易なオン・コン方式をとっていっている、経営内容を変えていっている、そのためにいろいろな問題が起きているから、結局、DC8によるところの事故も起こるべくして起きるような状態がかもし出されておったということが、この従事している人たちの中から出てきておるわけです。いままで私が申し上げた中にもそういうものが十分あるわけです。  そういう点をお考えになっていくと、機種の選定から、すべてに対して、運輸省相当きびしいものを持ちながら、また、はっきりした証拠を持ちながら、検討しながら、会社の違う内容のものを十分運輸省側から指摘していくよう宏内容に持っていかなければ、航空の安全なんということははかれない、こういうことになるわけです。人員も要れば、それに対する設備も要るし、金もかかってくるということになるけれども、要は、国民のあるいは乗客の安全をはかるために問題を論議しているわけですから、その点十分御検討を願いたいと思います。  ただ申し上げただけできょうの質問は終わらしていただきますけれども、さらにこういう問題は深くとらえて今後もやっていきたい、こう考えるわけです。  以上で質問を終わります。
  10. 久保三郎

    久保委員長 次に、平田藤吉君。
  11. 平田藤吉

    ○平田委員 私は、きょうは短い時間ですから、二つの点にしぼって質問をしたいと思うのです。当初予定していたときから約一カ月半経過しまして、この間にいろいろと新しい問題が出てきていますので、とりわけ、この前大臣が出られるという予定であったとき以降に出てきている問題にしぼって質問をしたいと思います。  大臣は、この委員会で所信表明をされましたけれども、その中で、交通安全の確保は非常に重要な課題の一つだというふうに繰り返して強調されております。そして、委員会の皆さんの御指導と御鞭撻をお願い申し上げたいというふうに言われております。それは委員会での十分な審議、国会での十分な審議を要請されたものというふうに私は受け取っておりますけれども、それでよろしゅうございますか。
  12. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 そういうふうにおとりくださってけっこうでございます。  ただ、たぶんこの委員会にあまり出ないのはどういうわけだ、こういうことをおっしゃりたいのでしょうが、御承知のように、予算委員会では、非常に私は各方面で引っぱられまして、午前、午後までたいてい質問者で埋まっておりまして、事実上、時間的余裕がなかったのです。しかし、予算委員会も、昨日、大体それで終止符を打たれましたので、今後は委員会には極力出席をいたしたいと思いますが、ただ、御承知のように、これは国会のほうでおきめになることなんですが、関係委員会がたくさんございます。どの委員会を優先すると私は考えません。これは各委員会理事間、あるいは衆参両院でございますと、両院の関係者の間で、国会においておきめくださる以外にないわけです。私はもうほんとうに人形のように、御命令に従ってどの委員会にでも最大限出るつもりでございますから、その点は、運輸大臣におっしゃっても無理な点が多々あるのです。これはひとつ御了承を願いたいと思いますが、私としては労を惜しむことは絶対ございませんで、極力出席させていただきます。
  13. 平田藤吉

    ○平田委員 たいへんいろいろと気を回しておられるようですけれども、私も、そうした問題もあるのですが、われわれはやはり議会制民主主議を発展させていくという立場から、とにかく問題が山積しているから、審議を尽くそうというふうに努力をしているわけです。われわれが審議を尽くしていくためには、やはり想像したり空想をめぐらしたりして問題をきわめることはできない、事実に立脚して検討していくということが何よりも大事だと思うのです。そういう意味で、資料をめぐる問題で私は特に大臣質問したいと思っているわけなんです。  いま申し上げたように、やはり事実に立脚しなければならぬという点で私は考えているけれども大臣はどうお考えになっているか、お聞かせ願いたい。
  14. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いまの御質問の趣旨は、よく具体的に了解はしにくいのでございますが、方向としてはいまおっしゃったような方向考えることは、私も必要であろうかと思っております。
  15. 平田藤吉

    ○平田委員 この立場に立って私は努力を重ねてきているわけなんですけれども、具体的に申し上げますと、国鉄の当局が、私のそういう立場からの努力に対して阻害をしているということなんです。  幾つかの資料を要請したのです。ところが、要請したその大部分の提出を拒否しているのです。非常にふしぎに思うわけなんですけれども大臣は、なるべく資料などというものは出さないようにしたほうがよろしいという指導をなさっているのかどうか、お聞かせいただきたい。
  16. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 そういう指導をしたことはございません。
  17. 平田藤吉

    ○平田委員 じゃ、磯崎総裁は、資料をなるべく出さないように指示していられるのかどうか、お聞かせいただきたい。
  18. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私も長年国会に出席さしていただいておりますので、いまの御質問のような気持ちを持っているわけはないと、自分でそう思っております。
  19. 平田藤吉

    ○平田委員 たとえばこういうことになっているのです。十三項目の資料を要求したのです。その中には、こういうもの、線路の修繕、丙修繕の作業担当別実績を出してもらいたい、これは拒否された。それから保線における作業計画の立て方について出していただきたい、これも拒否しております。それからマヤチャートによる軌道保守についての資料を出してもらいたい、これも拒否しています。というように、十三のうち五つは一部出してくれたんですけれども、五つのうちのかなりの部分と、それから残りの八つは、こういうたぐいのものを拒否しているのですよ。これは非常に重大だと思うのです。前委員会で私は、新幹線のあの脱線事故について、事故現場での運転手と指令部との交信記録がテープレコーダーに残っているはずだが、あったら見せるかと言ったら、調べて御連絡いたします、こういう話だった。この間、総合指令書を見せていただいたんですけれども、その際に、あったら聞かせてもらいたいということをお願いしたら、これも断わられたですね。こうして見てきますと、いま大臣も総裁も、そういう指導はしておりません、そういう指示はしておりませんとおっしゃるんだが、現実にはこうなっている。だれが一体やっているのか、そういうことをさせない権限はだれが持っているのか、ひとつ、私もしろうとなんですから、お聞かせいただきたい。
  20. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先生からたくさんの資料の御要求があったことは、私も大体聞いております。やはり私どもといたしましても、国会議員に資料を提出するということは、これは公になるということ、これは当然なことでございます。したがいまして、国鉄の中にもいろいろな資料がございまして、研究過程のものあるいは勉強過程のものあるいは総合的な、ほかのものと全体として見なければ一つのものにならないというものがたくさんございます。したがって、一局部だけの資料を御提出するということで、非常に全体の御判断を誤ってはいけないというふうに思います。あるいは研究中のもの、勉強過程のものあるいはテスト中のものなどについて、それを一々全部公表するということは、これからの技術の開発、あるいは改良もございます。そういう意味で、全体として一応国鉄としての、こういう結果に間違いないという資料でない限り、私は出すべきでない。ただ、あくまでも勉強中のものだ、それ以外に使わないんだということならばけっこうでございますけれども、しかしやはり私どもといたしましては、国会にお出しするということは、これはもう公にするということと同じことということである以上、国鉄として自信がある、しかも総合的に判断して間違いのない資料をお出しするのが、私どものつとめだというふうに考えております。  また、いまおっしゃいました例のボイスレコーダーのことだと存じますけれども、これも、あそこへいろいろ参観の方がたくさん見えます。それで、どういうものか見せてくれという方もおられます。ただ、ことに、普通の場合のことならけっこうでございますが、ああいう事故のときの指令と乗務員との会話というものには、それまでのたくさんの経過がございます。あるいはその後の問題もいろいろ含まれております。あるいはその際のいろいろな実態がございます。そういうことを踏まえておりませんで、ただそのテープだけをお聞きになると、非常にまた誤解を生ずるという意味で、あくまでも事故の総合判断をする、こういうこととこういうこと、そのうちの一つとしての問題、これなら私どももずいぶんあれを使っております。組合にも聞かせております。そういう意味で、あくまで総合的な判断の資料としての考えでもって私どもつくっております。したがって、そのテープレコーダーだけをぼっと出せとおっしゃいましても、どういう目的にお使いになるか。事故の原因の究明は、そこだけお聞きになってもわからない。またそこだけをお聞きになると非常に間違いや誤解が起きやすい。私ども国民に誤解を生ずることは非常に問題だと思っておりますので、やはり総合的に私どもといたしまして判断した正式な発表というものを、国会にも御提出し、国民にも公にするわけであります。あの際にも、ボイスレコーダーを十分しんしゃくして調査委員会でもって検討したということになっております。
  21. 平田藤吉

    ○平田委員 この国会で、審議を通じて国民の前に明らかにするというために、必要なものを要請しているのですね。いまあげたように、そんなむずかしいものじゃないのですよ。私が心配するのはわからないことは私は専門家に聞きますよ。それは国鉄当局の専門家に聞かせてもらう。この間もいろいろ、なるほどそういうものかというので意見交換してきていますよ。そこだけ取り上げて、ここだけ狂っているなんてことを言おうとは思っていません。そんなに疑っていてはあなた方も仕事ができないのじゃないですか。それで、出していただきたいと言ったことに対して、一々こまかいことまで、いや、これは部分でございます、あれは部分でございますと言ったら、全部部分でしょう。だから総裁自身のそういうものの言い方が、秘密から秘密へとものをほうむっていく結果を生むのじゃないか。でき上がったものだけあなた方は受け取っていればいいんだ、専門家にあとはまかせておけばいいんだ、こういうものの言い方としか私はとれないと思うのですね。したがって、いまの御説明では、国会ではそういうことは審議しないでよろしい。私は毎日大宮からこちらは東北本線に乗っていますよ。こんなになって走っているのですから、これは事実から見て、重大な事態が起こってからではまずいというので、状態を聞かせてくれ、説明してくれ、資料も見せてくれ、こう言っているわけなんですからね。そうしてお互いに事故の起こらないうちにそういう問題の一つ一つについて解明し納得もしていかなければならない。あるいはわれわれしろうとのほうで気がつくものも少なくないだろうというように思うから聞いているのですよ。事実、大宮から上野までの間だってスピードアップはたいへんなんですよ。ですから、それだけにゆれも非常に激しいんです。横ゆれも上下ゆれも激しいんですよ。だから資料を出してもらいたいといって、部分的であってはならないから、どういうふうにやられているのかを全般的に知ろうと思って要請したわけです。  それからいまの話ですと、この一つだけを私が要請しているような、そうして私自身がどこか間違えてしまうようなそういう話としてしかそれは聞えませんよ。もう一ぺん答えてください。
  22. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先ほども申し上げましたとおり、資料の中にいろいろございます。研究過程のもの、勉強過程のもの、またいろいろなテストをした資料もございますれば、総合的にやらなければならない資料もございます。そういう意味で、たとえばいろいろな具体的な点とおっしゃいましたけれども、それの中で、もちろん国会の御審議に必要なものあるいは国会の御審議に当然提出すべきものは提出しておりますし、そうでない、部内の、総合資料のうちの一部だというようなものについては、私は提出すべきじゃない。やはりあくまでも総合的に国会で御判断願うという意味で、資料はもちろん、当委員会委員長からの正式な御要請でお出しするのがたてまえでございますけれども、そういう形式はときどき省きまして、直接お出ししておりますけれども、あくまで国会でもって必要だという御認定のもとに資料の御要求があるというふうに、私は承知いたしております。
  23. 平田藤吉

    ○平田委員 じゃ、たとえば丙修繕の作業担当別実績というようなものは、こういうふうに直しましたよということなんですね。これは何か誤解を生みますか。私はそういう言いのがれじゃだめと思う。
  24. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私は言いのがれをする気持ちは毛頭ございません。ただ、そういう局部的な問題、そうして局部的なデータ、それだけをごらんになって、それがすぐ外に出るということは、私は国鉄としては感心しないというふうに思います。したがって、それのデータならデータで、どういう過程でそういうデータができたか、今後それがどうなるのかというのがなくて、ただ一局部の一部分だけのデータ、それをもって、それが公になるということでもって、何か国民に大きな不安を起こすということは、私は国鉄としてとるべきことじゃないというふうに考えます。
  25. 平田藤吉

    ○平田委員 この程度の資料の提出を拒否する何か法的根拠があるのでしょうか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  26. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私は政府の説明員にすぎませんので、法律問題については御答弁する資格はございませんが、私のいままでの長い国会での、出席していろいろ御答弁申し上げあるいは資料を提出した一つの慣例上、私はそういうふうに思っております。
  27. 平田藤吉

    ○平田委員 大体審議を促進する、そして十分審議していただきたいと言っておいて、こういう状態では、私はこれはたいへんまずいことだと思うのです。部分的になる心配があったら、ちゃんと皆さんいつでも説明に来てくれるのですから、そうでしょう。それはそうじゃなくてこうなんですという説明をちゃんとしてくれるのですから、やはり資料を出し、説明をし、お互いに理解を深めながら問題を検討していくというふうにすべきだと思うのですよ。私は、総裁がそういう態度で指導されているんだなということがここであらためてはっきりした。この問題はこの問題として引き続いて具体的な事実を通じて問題にしていかなければならないというふうに考えます。  さて、次の問題に移りたいと思うのです。  新谷運輸大臣にお伺いしたいのですけれども、この委員会で、大臣出席されないときに、政府委員の方が議員の質問に答えておられますけれども、それは大臣にかわって答えているもの、大臣が答弁に責任を持っているものというふうに理解してよろしゅうございますか。
  28. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 政府委員も私のかわりに答弁したものと考えております。  ただしかし、問題によりまして受け取り方がいろいろあると思います。いま調査中の事項につきまして、その当時の事情からいって、政府委員として私はこう思いますということもございます。それから、事実の報告を求められました場合には、事実、結果はこうでございましたという御報告もしなければならぬと思います。それについて、事実問題をお尋ねになりました場合には、事実のありのままをお答えするでしょうが、将来に対する方針でございますとか、見込みでございますとか、計画でございますとか、そういったものにつきましては、これは私にかわって答弁をしていると思いますが、その時点においてこういうことでございますということを申し上げておるので、いろいろな将来の計画とかあるいは見込みとかいうものにつきましては、これは変わってくる場合が多々ございますので、それが直ちに、前の場合に政府委員がこう言ったから主管大臣もそうでなければならぬぞというようなことで、これはまあことばの問題かと思いますけれども、そういうふうにかたくなると、将来の見込みについては御答弁できないということです。それでは審議は進みませんから、その時点における一応の計画とか考え方というものを御答弁を申し上げて、そして、それに基づいて、これは仮定の問題といいますよりも、条件的な問題だと思いますから、そういう状態において審議をお進め願う、御意見をお聞かせ願うということは、どの委員会でも間々あることでございますから、その点についてはよく御承知のことですから詳しくは言いませんが、そういう意味でお考えをいただいたらけっこうでございます。
  29. 平田藤吉

    ○平田委員 佐藤運輸政務次官が三月の十日に、畑埼玉県知事と小林東京北区区長に対して、東北、上越、北陸の三新幹線の運輸省案なる路線計画を示したそうですけれども、これが事実であるかどうか。それから磯崎総裁も同じ案を話されたそうですけれども、事実であるかどうか、お伺いいたします。
  30. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 概括的な報告は聞いておりますが、さっき申し上げましたような意味で、運輸省の確定した案として、運輸省はこうきめましたというようなことを申し上げたことはないと私は了解しておるのでございます。いろいろな話し合いの中で、こういう方法もあるじゃないか、こういうことを考えたらどうかというように、お互いに話し合いをされた際に、いろいろな意見が出たということは聞いております。
  31. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 たしか三月十日の土曜日だったと思います。私は埼玉県知事そのほかの方にお目にかかりました。そのとき、例の問題になっております上越、東北新幹線のルートの問題につきまして、まあ私どももあれが膠着状態にあることはよく知っております。埼玉県側から非常に新しいアイデアが出ましたので、これはいま実は運輸省へ行って運輸省お話ししてきたところというふうな話がございました。非常におもしろいと言っては失礼でございますが、私ども考えなかったようなアイデアでございますので、ひとつよく勉強いたしましょうということをお答えしたのでございます。
  32. 平田藤吉

    ○平田委員 実は三月七日、この委員会で、私は通勤問題で安全を守る必要があるということで質問しました。そのときに、国鉄の内田常務理事は次のように答えています。武蔵野線ができれば貨車線があくので、それを通勤線にしたい。いつごろまでにやるつもりだと言うと、まあはっきりいつまでというふうには言えないですけれども、約三年くらいはかかるのではなかろうかという趣旨の話をされました。  私がふしぎに思いましたのは、それから中二日置いて、そして畑知事と北区の区長に対して、話し合われた際に、運輸省が示された案の中に、この貨車線を、北陸、上越新幹線を走らせるという線にしたいという案が出されているわけなんですね。これ一体どうしたことなんだろう。中二日しかないのですね。したがって、さっき大臣にお伺いしたのは、内田常務理事がそういう答えをしていて、中二日したら畑知事に対しては変わった話が運輸省から出されていくということはどういうことなのか、私にはとうてい理解できないことなんですね。聞いた瞬間考えましたのは、全く国会軽視だなということを感じたわけですよ。そういう意味で、こういう新幹線の提案なるものが軽々に出されて、本委員会の答弁と二日間でもって変わっちまうというようなことがあっていいのかどうなのか。
  33. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 考え方でございますが、先ほどもちょっとそういう問題に一般的に触れた答弁を申し上げたと思いますけれども、国会軽視ではなくて、むしろ国会においていろいろな角度からの御審議をいただく意味で、まだ計画も十分にきまってないものでも、いまのところ私はこう思いますというようなことを答弁されたものと思います。それで、むしろこれは国会の御審議を十分していただく意味でありように申し上げたのでございまして、非常にかたく考えますと、将来の見込みとかなんとかいうものは、主管大臣の判がないと一切言えないということになります。そういうことになることは、行政府とそれから国会との関係を非常にかたいものにしてしまいまして、それでは御審議も十分にいかないと思うのです。  私はむしろ、まだ十分に煮え切った案でない、熟した案ではなくても、いまの段階では私はこう思いますという、国鉄の常務理事の立場から意見を率直に申し述べられたと思うのでありまして、これは私もまだ主管大臣として、その線でいいというような決定を運輸省としてはいたしておりませんから、確定したものじゃないことは言うまでもないのです。その場合に、埼玉県の知事が来られたということを私も聞きましたが、いろいろな意見が出た。それで国鉄総裁に会われたそうですから、具体的にはお聞き願いたいと思いますけれども、いろいろな意見が出た中で、国鉄としてはいまだ考えたこともないようなアイデアを出された。それも一つの案ですというようなことで、お互いにざっくばらんに話し合ったというだけのことでございまして、その案にきめたということもございません。いずれもいま検討段階の問題でございますから、私は先生にお願いしておきますけれども、これはあんまりそういう、いつだれがこう言ったのに、またすぐに違ったことを言っているのはけしからぬというようなことになりますと、これはどうも国会の答弁が非常にかたくなりまして、きまったもの以外は出せないぞということになりますと、お互いにこれはよろしくないと思うのですよ。  ですから、御意見があるところは十二分に配慮いたします。私たちは、こういう具体的な問題につきましても、国会における御審議の経過というものを十分尊重いたしまして、国民代表でいらっしゃるのですから、そういう点を十二分に尊重いたしまして、案をきめます場合に、これは尊重をして考えるということは言うまでもないのでありますから、そういうかまえでおりますから、あんまりこの問題を、何だ二日おいて違ったことを言うのはけしからぬというふうにおとがめになるような、そういう感覚ではなく、やはり行政府と立法府というものがお互いに切磋琢磨し合って、そうしてなるべく国民のためにいい案をこしらえ上げるということに努力をするのが当然であると私は考えておりますが、もしあなたもお許しを願えれば、そういう方向でひとつ御協力をぜひお願いしたいと思う次第でございます。
  34. 平田藤吉

    ○平田委員 まあこれからこの通過地点の問題というのはたいへん問題になる。いまでも問題になっておりますけれども。もう陳情や請願だけでもたいへんですよ。そこへぽんとまた新しい波紋を投げられた感じなんですね。しかも報道されてくるのは、東北新幹線、戸田は地上を通しますよ。東京から大宮間は地上になりますよ。前は半分地下といっていたのだけれども、今度は地上になる。無理だから地上だよ、そのかわり通勤線をここへ抱き合わせたらどうだろうという話になってきたんですね。私、これ聞きまして、やはり話の出し方が違うんじゃないかという感じがしたわけです。といいますのは、新幹線が通ろうと通るまいと、現在の通勤地獄の状態を解消しなければならないのは、これはもうだれが考えてもそうです。ですから、内田常務理事が答えられたいまの貨車線、大宮から赤羽へ出て、田端へ回って新宿へ出ていますけれども、あれで赤羽から新宿へ行けるようにという趣旨の案が出されたときに、私はなるほどいいなと思った。ところがあとからの話だと、これは新幹線と抱き合わせでするんだというような話として通勤線の問題が伝えられる。そうしますと、やはりこれはうまくいくものもいかなくなるんですね。必要なのは通勤線が必要ですから、いま言った貨車線を通勤線にする問題や地下鉄を延伸する問題などについては、これはこれとしてやはり検討すべき性質のものだろうというように思います。しかもこれは県民がつくり出した通勤難ではなくて、政府の施策によって、高度経済成長政策によって埼玉県が急速に膨張して、通勤難というのが重大問題として前面にあらわれてきたんですから、これは政府責任において解決すべきものであって、新幹線を敷くからこれと抱き合わせにすべきだという性格のものではないというように私は考える。まあそういう意味では、通勤線の問題、それから地下鉄を延伸するために資金援助を、また十分な補助を出すという問題なども、真剣に検討していただかなければならない問題だ。これは、これの問題と思うのです。  それからもう一つは、その上に立って新幹線計画について関連の出てくる住民との話し合い、これはやっぱり大事だと思うんですね。住民が大体おこっていますのは、全く問答無用で押し込んでくるということでおこっているわけです。ですから、やはり住民との十分な話し合いと地方自治体の意見を聞くということを基本に据えて、今後とも進めてもらうことが大事だろうというふうに考えるわけです。そういう意味で、通勤線の問題と新幹線の問題とを切り離してやっぱり問題を立てながら、関連させていかないとまずいんじゃないかというように思うんですね。それから住民と地方自治体の意見を聞くということを、新幹線については十分にやる必要があるというふうに考えるわけですが、どうですか。
  35. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 方向としてはおっしゃったとおりに考えております。何も新幹線と通勤列車を抱き合わせのように考えているわけじゃございません。先般の上尾事件のような問題で、あの辺は非常に通勤客が多くて輸送上非常に混雑率が高いというようなこともよく了承しておりまして、何とかして通勤をもう少し緩和しなければならぬということもこれは事実でございます。そういう計画を一方では持ちながら、大宮というところが、新幹線から申しますと非常にこれは中心になるような、いまの構想ではそういうふうになりそうでございますから、そうなってくると、あの辺の、いまおっしゃったような住民の方々の意見もあるし、そういったものを勘案いたしまして、大宮を中心とした新幹線をどうするかということは、これはなかなか重大な問題でございますから、国鉄当局におきましても、これはまあ非常に国鉄当局もその問題につきましてはずいぶん腐心もしているところだと思います。方向としましては、いま先生のおっしゃったような方向で、地方自治体の意見も十分聞きながら、住民にも喜んでもらえるような、せっかくやるのですから、いい新幹線をつくる。同時に、別の問題だとおっしゃればそのとおりなんですが、前々から困っておるこの通勤客の輸送につきましても、またこの際に考慮しなければならぬ、こういうようなことを考えながら、われわれも計画をさらに具体的に進めていこうということでございます。御了承願いたい。御協力もいただきたいと思います。
  36. 平田藤吉

    ○平田委員 じゃこれで終わりますけれども、まあ私は、資料提出を非常に渋っている問題にしても、それから、引きかえ案としてしか受け取れないような問題の出し方をしたり、それから、事実上いままでやってきたやり方でも、やはり住民に言わせれば問答無用で国鉄は押し込んでくる。とにかく国鉄がやることは国民の意見がなかなか通らないんだというふうに言われているこういう実態の中に、日本列島改造論の背骨なんだと言われている新幹線計画が強行されてくるわけですけれども、その本質があるというふうに考えるわけです。また、最近ひんぱんに大規模な事故が起こってくる要因の一つにもなっているんじゃないかという点で、たいへん心配しているわけです。  今後ひとつ交通安全をほんとうに守ってやくためにも、国会で十分審議できるように協力すること、また住民の皆さんの意見を十分に尊重して仕事を進めることを要請して、私の発言を終わります。
  37. 久保三郎

    久保委員長 渡辺武三君。
  38. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 運輸大臣にお尋ねをいたしますが、運輸行政は、従来とかく規制型と申しますか、規制がいろいろ行なわれるというのを中心に行政が行なわれておると思うのですが、私はむしろ規制型よりも誘導型といいますか、あるいは指導型といいますか、そういう面を強めていかなければならないんではないだろうか、そういう面を強める必要があるんだ、こういうふうに思うわけですが、大臣はいかがに思われるでしょうか。
  39. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 関係の部局が非常に広いものですから、いろいろあると思います。たとえば海運とか造船というもの、あるいは航空というものといささか違うと思います。自動車もそうでございます。非常に特色がございます。特色に応じまして、いまおっしゃるような、厳重に目を見はって政府が監督指導をしていかないといけない事業もございましょうと思います。これはまだ法律の不備な点も残っておるせいかもしれません。  それからいまおっしゃるように、むしろあまり監督指導に重きを置かないで、おっしゃったような指導をし、方向をきめて、あとは業界がみずから進んでその方向努力をしてくれるような指導をしなければならぬ事業もあると思います。非常に多種多様でございますから、一がいに運輸省がそういう指導型に全部なったほうがいいんだなどということになりますと、非常に困った問題ができる行政部門もあるかと私は考えます。一番著しいのは航空だと思います。これなんかは私はやはり関係の規定もまだ不備だと思います。あの二百条くらいの大法典が航空法でございます。ここまで日本航空が発展してまいりますと、航空関係の法規というものは、体系的にも整備しなければならぬ、内容ももっと充実しなければいかぬということを考えますが、その他につきましては、いまおっしゃったような方向で指導をしていったほうがよりいいのじゃないかという点もあることを私も感じておるわけでございます。
  40. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 運輸省そのものは、いわゆる陸海空の輸送機関をつかさどっているわけですから、きわめて行政範囲が広い。そういう中で、つまり交通安全対策を推進をするということは、大臣も所信の中で述べられておりますように、これはたいへん重要な課題であるということは間違いないわけでございますが、しかしながら、交通安全と申しましても実はたいへんに幅の広いものでございまして、運輸省そのものが受け持つ交通安全というものは一体どのようなものであろうか。まず、大臣はどのような理解をしておられるのか、これについてお聞きをしたいと思います。
  41. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 申すまでもなく国民の人命及び財産でございます。
  42. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 大綱としては大臣おっしゃるように、確かに人命、財産、これが一番の根源をなすものであろうと思います。しかしながら、運輸省自身のお持ちになっておる行政範囲の中における交通安全対策というものが私はあると思うのです。そういうものをやはり十分に認識をされた上で本来的な交通安全対策というものに取り組まないと、なかなか最終目標が達せられないのではないであろうか、このように考えたものですから、実はわざわざお聞きをしたわけでございますが、御承知のように、交通安全と申しましても、つまりは予防的な安全、あるいは実際の事故のときの安全、あるいは事故が起こってしまってからの交通安全、いろいろあるわけなんですよ、実際には。そういう意味からいけば、運輸省が受け持つ交通安全というのは、むしろ予防的な段階、つまり物、飛行機、自動車、あるいは鉄道、その物のいわば安全性というものを確かめるといいますか、こういう範囲がむしろ非常に強いのではなかろうか。ためにいろいろな安全基準等が設けられておるのではないであろうか、こう思うわけです。したがって、そういう立場に立って実は運輸省としてはおやりになる、それが根源としては人命を尊重し財産を守っていく、こういうことにつながってまいるわけでございますが、しかし大臣が一番根本をおっしゃったように、実はその根本を守るためには、この交通安全というのは、きわめて総合性が発揮されないとその最終目標を達せられないものでございます。したがって私は、運輸省は、運輸省が持つ範囲これは当然あると思いますけれども、そのほか、その目的を達成するための総合性については、一体どのように御理解なさっておるでしょうか。
  43. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 考え方としては共通していると思うんです。さっき申し上げましたように、人名及び財産の安全を守っていくという考え方については、これはすべての交通機関に共通の問題だと思います。問題は、その交通機関がそれぞれの特色を持っておりますから、具体的な方策としてどういうふうにそれをとらえてどういうふうに実行するかという問題は、これは非常に多岐にわたると考えております。しかし、お尋ねの要点、実は私よく捕捉できないで違った答弁になるかもしれませんけれども、まあ私のいま聞きましたところで、総合交通体系というもの、それは関係閣僚会議でもきまりましたし、運輸政策審議会でも大体方向を打ち出されております。その中で、この安全というものを中心にして各機関がそれぞれ特色を発揮しながら活動しているわけですが、何かそこに共通の命題でもあるのか、共通の方策でもあるのかということをお尋ねになったんじゃなかろうかと思うのですが、そうじゃないでしょうか。具体的におっしゃっていただければ、もう少しはっきり御答弁したいと思いますが……。
  44. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 たとえば自動車について申し上げますと、自動車にはそれぞれの安全基準というのが、たくさんの安全基準が設けられておりますね。運輸省はいろいろその安全基準を守るように指導なさる、あるいはその安全装置をつける義務づけをなさる、これはつまりは広い意味交通安全対策、こういうことにつながると思います。しかしながら運輸省は、あくまでもその物の安全基準であって、たとえばその物の安全基準が達せられることによって人命が尊重されるということにダイレクトにつながる場合はいいのですけれども、車の座席にシートベルトがございますね、安全ベルト。これは運輸省は、つまりは装置義務を安全基準の中で課せられる。ところが、この安全基準の中で装置義務を課せられても、実は人間そのものが装着をする義務を持っていないとその目的が達せられないわけでしょう。したがって、私は運輸省考えられた、たとえば車に対する安全ベルトの装置義務も、その最終目的が達せられるためには、これはやはり道交法の中で考えていかなければならぬという問題が出てくると思うのです。私はそういう意味の交通安全、つまり全体を守るための総合性というものがあるのではなかろうか。そうすれば、運輸省は自分の持ち分の中でただ安全基準さえきめてやればいいのだというだけでは、実は運輸省自身がお考えになったことが、最終的にその目的が達せられないのではないだろうか。そうなれば、たとえ所管は違っても内閣総理大臣を会長とする中央交通安全対策会議があるわけですから、このあたりで当然そういう問題を運輸省としては強硬に主張なさって、所期の目的を達成するための努力、これが当然なされていかなければならないのではないだろうか、実はこう考えておるものですから、大臣は一体どのようにその総合性について御理解をなさっているのか、こういう御質問をしたわけです。
  45. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 何かわかったような気がいたしますが、そういう問題につきましては、これは御承知のように、内閣におきましてもいろいろな機関がございます。われわれのほうで直接に行政措置のできない部分は、これは他の官庁で、たとえばわれわれの設備方面の安全対策と並行いたしまして、そういう措置をとってもらわなければならぬと考えますし、いままでもその点については、いまシートベルトというふうなお話がありましたので、私も多少聞いておりますけれども、なおかつ、いまの自動車輸送というようなことから見ると、まだ欠陥があるじゃないか、足りないのじゃないか、こういうことも御指摘になっているような気もしますが、これらの点は運輸省のほうでも、いまの自動車輸送というものの内容を調べ、それによって起こる人身に及ぼす被害の状況なんかも統計的に大体出ておりますので、これは私は積極的に取り組む姿勢が要るんじゃないかと思います。ただ基準だけこしらえて、あとは他の官庁がやっているんだからしかるべくやってくれということでは、もちろん足りないと思います。  この点は、自動車だけではございませんで、ほかの交通機関についても同様に言えることでございますから、初めに申し上げましたような、人命及び財産の安全をはかるのが運輸省としては一番大事でございますということを申し上げておりますから、その方向で、その方針にのっとりましてこれからも具体的に努力をいたします。各省に対しても、御指示によりまして、こういう点が足りないじゃないかといろ点があれば、これはいろいろな関係ですぐに実行できるかどうかわかりませんが、極力これを実現するための努力運輸省としてはすべきであるというふうに私はとらえております。  関係局長が来ておりますので、自動車については、もし御入用であれば局長からでも御答弁させます。
  46. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 ただいまの大臣の答弁につきまして、若干補足さしていただきます。  お尋ねのシートベルトについて考えてみますと、その後の交通事故例の際に、ベルトを着用していたため非常に被害が軽く済んだ例というものも非常に多いように聞いております。また、交通安全公害研究所の実験、研究ということもいたしておりまして、その効果が立証されておりますので、ただいま御指摘のとおり、私どものほうの道路運送車両の保安基準では、金具とかベルトの装着義務をやっております。  ただいま申し上げましたように、非常に効果が立証されつつありますので、今後はこれを拡大する、また技術的にはその性能の向上というようなこともやるとともに、警察との関係につきましては、これの車両法上の義務づけだけでなくして、つける以上はこれはそのとおり使用しなければいかぬというような点について、どういう法規制が可能かというようなことについては、すでに警察庁と相談といいますか、話し合いつつあるわけでございます。これは立法政策あるいは立法論としても非常にむずかしい問題かと思いますので、現在の段階で、私自身まだそれの見通しについては承知いたしておりませんけれども、いずれにいたしましても、そういった点について問題をすでに把握いたしておりますので、今後検討してまいりたいと思います。
  47. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 大臣、お聞きのように、せっかく運輸省がそういう安全上必要だということで基準を設けられて、にもかかわらず、実はそれが実施面においてはあまり実施がされていないという、お役所が違うことによってそのちぐはぐ行政が行なわれておるわけです。したがって、こういう面も、せっかく運輸省が推進をなさっておられるわけですから、推進をする仕事がほんとうに末端で効果をあらわすかどうか、つまりはその計画したことの追跡調査、たとえば交通安全施設をつくれば、そのつくったことによってほんとうはどの程度効果があがったかということを十分に調査していかなければいけないのですよ。ところが、ほとんどやられていないのですね。横断歩道をつくった、どういう効果があっただろうか、どういう事故が減少しただろうか、そのために今後改善すべき事項は何かということが、ほんとうはたゆみなく行なわれていかないと、よりよい交通安全対策というのはできないと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  それから、実は昨日、トラック業界の方々に来ていただいて、過積みの問題が交通安全上たいへん問題があるということで、いろいろ御意見をお伺いをしたわけでございますが、実は、私どもが参考になるような意見があまりなくて、むしろ責任のがれ的な意見、私どもは過積みをやっておりません、しかしどうも車が積め過ぎるのでいけないですよとか、そのような責任のがれ的な御意見が非常に多かったわけで、たいへん残念なんですけれども、その中で、運転者側から言わしむれば、やはり労働条件がたいへんそれらに影響してくる、走らなければ、無理に積まなければ自分の生活ができないんだ、苦しいんだ、あるいは非常に長い時間にわたって労働させられてしまうんだ、こういう御意見もあったわけでございまして、なお、ダンプ等はほんとうは過積みをしなければ採算がとれないんだとさえいう御意見もあった。  そこで運賃が非常に問題になってまいるわけですが、トラック運賃というのは一体どういうふうにきめられているだろうか、こう見ていきますと協会なり業界の申請によって運輸省が認可をする、こういう形になっておるようでございます。ところが実績を調べていくと、それが七、八年も改定をされずにずっと推移をしてきて、そしてぎりぎりの線に来て業界が申請をし、それを運輸省検討する、こういう形になっておるようでございます。ところが最近の物価の上昇あるいは人件費の上昇等を考えて、はたしてそれでほんとうにやっていけるだろうか。やっていけるとすれば、その数年前にきめられた運賃体系というものは非常に余裕のあったものではないだろうか。現在のように五けたぐらいの賃金が上がるというような世の中に、六年も七年もそのままにしておいて、物価上昇なりあるいは人件費のコストアップを吸収できていけるだろうか。結局そういうことがしわ寄せとなって過積みに集中されてきているのじゃないだろうか。実はこういうふうに考えたわけでございまして、そういう面では、やはり運輸省が持っておる運賃の認可の方法、制度というものをこの際再検討していただかなければいけない時期が来ておるのじゃないか、こう考えるわけですが、大臣、いかがですか。
  48. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 非常に実態に即した御意見と拝聴いたしました。これは考えなければいかぬと思います。  運賃制度の問題は、従来長い間の行政慣行で、おっしゃるように関係業者が申請をしてきて、それに基づいて、これが物価に及ぼす影響はどうだろうかとか企業経営の上でどういうふうに響くだろうかというような点を考えまして、公の立場からと、それから企業経営の立場から、それから国民一般に及ぼす影響というようなものを考えて、認可運賃をきめていると考えておりますが、どうも、運輸省としましては物価問題、あるいは一度に非常にたくさん運賃率が上がることは国民生活にも影響が大きいというふうな点に非常に重点が置かれて運賃がきめられておったと、抽象的でございますが、私もそういうふうに見ております。事情が許せば、やはり公正な運賃というものはあってしかるべきだろうと考えます。これはひとつ今後の問題にして、考えさしていただきます。  過積み問題は非常に技術的な問題が多いと思います。関係省も、これは御承知のように、運輸省だけでございませんで、やはり警察当局等との関係もございまして、運輸省としましては、車両の構造の上で過積みができないような構造にしようということで、これはなかなか実行できない点もあるようですけれども、いろいろ知恵を出して考えておるということは事実でございまして、この過積みが事故につながっていくという例も多いようでございまして、われわれとしましては、警察当局の取り締まりと並行いたしまして、荷主に対する啓蒙もやりながら、一方では物理的になるべく過積みができないような車両の構造をもう少し徹底してやったほうがいいんじゃないかということで努力をしております。  運転者の労働条件の問題でございますが、これは労働省とも関係がございまして、運輸省が指図をするわけにいかない点も多々あるわけでございます。この点は、さっき申し上げた荷主の問題それからトラック業者の問題、両方に関係いたしますので、われわれとしましてはできるだけ、これも、非常に無理なことでもしないと生活ができないような賃金体系では困りますので、大体これは実態はわかっていると思います、これに応じまして、関係各省と相談をいたしまして適当な措置をとるほかには方法がないということで、内部でもそういったことをいま相談をいたしておるところでございます。もう少し時間をかしていただきたいと思います。
  49. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 私は、公共輸送機関だからある程度規制をしていく、あるいは物価に重大な影響があるから運賃を規制をしていく、こういう考え方はわからぬでもないわけですけれども、それならば、その規制の代償として、やはり何か国家が補助をするとかいうことが考えられていかないと、結局は、そういう公共輸送機関なるがゆえに規制だけを受けて、そしてそのしわ寄せはどこへいくかというと、どうしてもやはり弱いほうの働く者の上にそれがおおいかぶさっていくのが現実の姿だと思いますから、そういうことのないように、ひとつ十分御検討をいただきたいと思います。  なお、それに関連をいたしまして、タクシーの料金がございますね。タクシー料金は、いま、御承知のように、指定都市では、これも交通安全と非常に関係があるわけですが、時間距離併用制というものがとられておる。たいへん交通が渋滞をしてくると、タクシーも動けない、動けないのではタクシーが食っていけないので、やはりある程度時間がかかればそれによって料金が上がっていくという制度になっていると思います。このタクシーの時間距離併用制が採用されてからの、つまりは交通事故の実態というもの、これはおわかりになっていると思いますが、やはりたいへんに効果が出てきておると思います。  そこで、指定都市だけいま実施をされておるわけですけれども、指定都市以外にもやはり相当交通混雑ということが出てきております。ために、いなかのほうへ行きましても、局部的には非常に混雑をするところがある。そういうところはやはりどうしてもタクシーがあくせくする、いらいらする。こういう問題が起こっておると思いますので、私はこの際、このタクシーの時間距離併用制問題については、やはり全国的な問題として再検討を急いでいただかなければいけない時期が来ておるのではないだろうか、こう考えておるわけですが、大臣いかがでしょうか。
  50. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 主管局から、初め東京、大阪だけでございましたが、いま先生お述べになりましたような指定都市にまで広げて、結果は概していいようだという報告も聞いておりまして、これをほかの都市にもだんだん広げたらどうだというような計画を主管局は持っておるようでございまして、私も賛成いたしております。  ただ、広げていきます場合に、やはりその都市における交通事情というようなものをよく調べませんと、ただ全国一律に、市になったから市だけ広げようとか、町村までいこうというような単純なことでは、これは実効があがりませんので、各市における交通事情というものの実情をよく調べまして、いまおっしゃったように、実効のあがると思われる都市から順次に広げていくというような方法を具体的にとっていく以外にはないんじゃないかなと思っておりますが、方向としては、その方向に向かって主管局も考えておりまして、これはだんだんに実現するようにしなければならぬと思っております。
  51. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 局長、たとえば時間距離併用制にしてやりますと、交通渋滞のないところでは何か弊害がありますか。お客さんがたくさん負担をしなければならぬとか。交通渋滞のあるところは、タクシーが時間がかかっても、不当に料金が減ってしまうということはなくなりますね。ところが、交通渋滞がないいなかの都市にいって、たとえば時間距離併用制にした場合に、何か不都合なことがあるでしょうか。
  52. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 ただいま御指摘の時間距離併用制というものをとりましたのは、非常に交通混雑であるということで、当時どういうことが東京で言われたかと申しますと、一つは、そのために運転手が飛び出し運転をやるとかあるいはスピード違反をやるとかいうようなことで、安全の問題につながるということがございました。それからもう一つは、時間制の運賃が加味されませんと、混雑地帯には流しタクシーは乗り入れたくないというようなことで、いわゆる乗車拒否が行なわれる、こういう二つの問題があったわけでございます。したがって、運賃制度論としましては、一般の議論といたしまして、時間がかかればかかるほど運賃が高くなるというようなことは、利用の対価としての運賃といたしましては、利用者に対して必ずしも直ちに結びつく制度ではないと思いますが、ただいま申し上げましたような点を踏まえまして、大都市について踏み切ったわけでございます。したがいまして、それと同じような事情にある都市というようなことで漸次広げてまいっておりまして、現在では先ほどお話のありましたとおり、指定都市にはこの制度が適用になったわけでございます。  現在の問題といたしましては、お尋ねのように今後これを全部に広げるべきだ、その際私ども、効果があがっている以上、全く同様に考えるわけでございますが、それの一つの限界、ただいま大臣が答弁されましたように、その都市の交通事情からくるところの実態をよく把握いたしまして、一応合理的な基準というものを考えなければならぬ。  それで、先生のただいまの御質問は、混雑していない場合には時間制が作動しないんだから、全国一律に交通混雑地帯でないところに適用しても、弊害がないのではないかというお尋ねだと思います。こういった議論も私どもの内部ではいま十分いたしておるわけでございますが、まだ最終結論に至っておりません。  私ども一つ問題点として考えておりますのは、交通渋滞、したがって乗車拒否が起こる、あるいは安全上問題があるというようなことは、それを運賃に関連させます場合には、やはり流しタクシーといいますか、朝車庫を出まして、終日運転手が事実上営業いたしまして、夜中に帰ってくるというような場合には、先ほど申し上げました安全だとか乗車拒否の問題とも関連するわけでございますが、たとえば地方におきまして、そういった制度を一挙にとったといたしますと、それは作動しないからいいわけでございますが、たまたまある地点に行くとそこで運賃が高くなるということは、全体として見ますと、その会社全体であがるべき収入を混雑地帯に行った人が高く負担するということになるわけでして、したがって、たいした混雑度もないし、またしたがって流しタクシーもない、車庫待ち営業といいますか、車庫から出てお客さんを目的地まで届けるという運送形態を通常の場合地方においてはとっておりますが、そういう場合には、全体としてその運送事業者が原価を償えばいいわけでございまして、その中において利用客個々に時間距離併用制を入れた運賃でカットするといいますか、負担するといいますか、そういうようなことをやることが必ずしも合理的であるかどうかという点について問題があるのじゃないか、こう思うわけでございます。そういった意味から、非常に割り切って、ただ単に混雑地帯でない地方でも、適用しても作動しないんだから、思い切って全国一律に直ちに実施すべきだという意見が現在各方面にございますけれども、いま直ちにそれに踏み切れるかどうか、その辺の限界を考えておるわけでございます。
  53. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 確かに利害関係、経済的な問題から見れば、いろいろな問題が出てくるかと思いますが、私は根本的には、交通安全を守るという立場から見れば、局部的に起こった交通渋滞でも、ために先を急ぐとか、運転手の心理的な影響と申しますか、いろいろな問題が起こってまいると思いますから、交通安全上からは、それは料金に関係なくつけたほうがいいんだろう、こういうことになってきますね。そのために起こる経済的な利害関係、この問題は別に残ると私は思いますけれども、本来的に、交通安全を主体にしたものの考え方、どうしたならば事故を少しでも減らしていくことができるだろうかという基本的な考え方の上からやはり検討をすべきではないか、こう思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  終わります。
  54. 久保三郎

    久保委員長 太田一夫君。
  55. 太田一夫

    ○太田委員 最初に、これは総理府長官にお尋ねをしたいところでありますが、代理の島村参事官でけっこうですからお答えください。  この間、二月二十三日の日にここで基本対策の御説明が大臣からありました。その際に、昭和四十六年の交通事故の死者は一万五千九百十八人、こういうふうにお話があったのでありますが、どうもこの数字について私は疑惑を持っておるのです。内訳をこまかく分けてみますと、自動車関係が何人で、鉄道事故によるものがどれくらいで、その他がどれくらい、こういうことになると思いますが、それはどういうふうになっておるのでございますか。
  56. 島村史郎

    ○島村説明員 お答えいたします。  この交通事故事故統計につきましては、陸上の交通のうち、道路に関係をするもののみを含んでおります。したがいまして、海上及び航空は除いてございます。それからまた、鉄軌道につきましても、踏切事故については計上してございますが、列車事故については計上してございません。昭和四十六年度に六百十五件、それから四十七年度に六百十六件の踏切事故がございました。
  57. 太田一夫

    ○太田委員 あなたのおっしゃる踏切事故というのは数が非常に少ないのですが、私はつまびらかにいたしませんから、国鉄のほうからついでにお答えをいただきたいのでありますが、四十五年度運転事故としての死者二千六百七人というのが出ております。この数字が正しいと言うわけじゃありませんが、いま踏切における事故というのは、死者の数四十六年、七年というのはいまの数字でよろしいのですか。
  58. 内田隆滋

    ○内田説明員 お答えいたします。  国鉄の踏切事故による死者は、四十六年度は四百六十一人、それから四十七年度が四百七十人でございます。そのほかに職員がそれぞれ四十六年に一人、四十七年に二人ということで、合計で四十六年が四百六十二名、四十七年四百七十二名ということになっております。
  59. 太田一夫

    ○太田委員 それでは島村参事官、この場合のあなたのほうの御発表の数字というのは、言うならば自動車事故、道路上の歩行者事故ということに限定をいたしまして、交通事故という概念から少しはずれて、道路とか自動車とか歩行者、こういう条件の関係する事故死者というふうに御発表になったのですか。
  60. 島村史郎

    ○島村説明員 さっき申し上げましたのは、この踏切死亡事故にかかる件数を実は申し上げたわけでございまして、これは国鉄及び民鉄両方合わせたものでございます。この踏切事故は、列車と人それから列車と自動車等が要するに踏切において衝突したもの、これをさしておるわけでございます。
  61. 太田一夫

    ○太田委員 そこでふしぎに思うのですが、総理府は交通安全対策基本法第十四条に基づきまして中央交通安全対策会議をつくりまして、会長には総理が当たっていらっしゃる。この場合に、国鉄とか地方鉄道、いわゆる自動車交通以外のものというものがそういう場合の基本計画の対象からははずされておるのでしょうか。
  62. 島村史郎

    ○島村説明員 交通安全基本計画につきましては、これはもちろん鉄道も含んでおるわけでございます。交通安全基本計画の中におきましては、第二部のところに「陸上交通の安全」という部がありまして、それの第二章、第三章として「鉄軌道交通の安全」「踏切道における交通の安全」というふうにしてございます。この中におきましては、要するに国鉄及び民営というふうには区別はいたしておりません。
  63. 太田一夫

    ○太田委員 あなたのほうが御発表になりました交通安全白書によりますと、その中に四十六年度の交通事故による死者は一万六千二百七十八人とある。この数字とあなたのほうの大臣のおっしゃった数字は合わない。しかもあなたのほうは常に自動車ということだけを考えあとのことは知らないという態度だ。本年度の施政方針演説というわけになるのですが、総理府としては、道路の上の自動車関係事故のみに限定して安全対策考えたし、これからも考えていくというかまえに受け取られる。どうしてあなたのほうは自動車事故だけに限定して考えられるのか。あなたのほうの交通安全白書に昭和四十六年度の交通事故による死者一万六千二百七十八人となっているというのはちょっと片寄っていませんか。
  64. 島村史郎

    ○島村説明員 私どもの交通安全につきましては、もちろん航空交通安全、それから海上交通安全、これを含むわけでございますが、ただ総合調整という面につきましては、自動車に関する事故というものが非常にウエートを持ってくるわけでございます。したがいまして、海上交通及び航空安全につきましては、これはむしろ主管省というものがわりに一定しておりまして、運輸省でやっていただく。ただ、陸上交通特に自動車交通につきましては、各省にわたるものでございますので、非常に総合調整が必要であるということで、私どももこれにウエートを置いているというのが実情でございます。
  65. 太田一夫

    ○太田委員 佐藤運輸政務次官にお尋ねしますが、いまのような総理府の態度からいいますと、オンレールの安全対策というのは運輸省の所管である、総理府は関係ないということですね。総理府長官みずから四十六年度の死者はこれだけだとおっしゃった中に、鉄道のレールの上の事故というのは全部除いている、あるいは航空機、船舶というのも除いてしまっている。総理府のは総合交通安全対策じゃない。総理府でなくて偏理府だ。それで運輸政務次官どうなんですか。運輸大臣がおっしゃった中にそういう数字が何か出てくるかというと、これまた出ない。その間十分連絡がとれておるのですか。あなたのほうの分担だからあなたにおまかせいたします、やあやあ私のほうで引き受けます、こういうことでございますか。
  66. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 私は次のように考えるのです。昨年の十一月に、御承知のとおりに、自動車交通事故が非常に頻発をしてきた、したがって、その原因を追及するためには各省にわたる処理の方法が徹底してなくちゃならぬということで出された中に、十九にわたるたくさんの項目を羅列しまして、そして総理府が中心になって、陸上交通の中心をなす自動車事故に対しては、各省このような一つ一つの所管で問題点を解決すべきだということを、昨年の十一月に出されたわけであります。そういう経過から見まして、陸上におけるところの交通事故の中心をなす自動車交通について、総理府は各省の連携機関を十分保っていく。しかし、自動車事故にいたしましても、この踏切事故との関係というものは、やはり運輸省の踏切対策というものと、それからトラックあるいはバス、あるいはタクシー、こういったような面についての指導、こういうものとがかみ合わされて、陸上交通の一番大きな事故率を示しておる自動車の事故対策としては、いろいろな面における連携が必要であるということで、総理府はそれに重点を置いておる。したがって、運輸省としては、オンレールの、いわゆる鉄道によるところの事故対策としては、運輸省としてはその責任があるので、総合交通の体系の面から、オンレールに関係しておるそういう面については、運輸省責任を持って事故対策に強い行政指導をしていこう、こういう私は十分な連携を持ちながらやっているわけであります。
  67. 太田一夫

    ○太田委員 それじゃ、昭和四十五年の数字というのは発表されておりますね。  昭和四十五年運転事故によるところの発生した事故件数は七千三百十五件、そのうち国鉄が二千七百二十一件、民鉄が四千五百九十四件。そうして死傷者は、国鉄が二千六百七人、民鉄二千百四十六人、合わせて四千七百五十三人。軽視すべからざる数字になっております。これは旅客の輸送量を見ればわかるのでありますが、昭和四十五年の統計が出ておりますが、六十五億人国鉄が運ぶ。民鉄のほうは距離は短いが九十九億人運ぶ。こういうような中において、死傷者四千七百五十三人が四十五年に発生しております。  それで、ここでついでにお聞きしますが、四十六年、四十七年は何人ずつ死傷者が出ておりますか。
  68. 秋富公正

    秋富政府委員 四十六年、四十七年のいわゆる運転事故について申し上げます。   〔委員長退席、井上(泉)委員長代理着席〕  四十六年度すべてを含みまして、国鉄におきましては八百二十一名の死亡者、負傷者二千二百七十八名、民営鉄道におきましては、四十六年度に件数三千六百九十八件、死亡者は四百七十三人、負傷者は二千七十二名であります。  それから、四十七年度につきましては、現在まで国鉄、私鉄、両方合わせますと、それぞれ九月まででございますけれども、これを見ますと、国鉄におきましては四十七年の四月から九月までに件数千百十件、死亡者は四百十名、負傷者は七百六十二名。民営鉄道におきましては、件数千三百八十件、死亡者は百六十二名、負傷者は五百二十七名でございます。
  69. 太田一夫

    ○太田委員 それでは、そういう連携を保っていらっしゃるならよろしいから、ひとつ説明してください。  交通安全対策基本法の第十四条に基づいて交通安全対策会議が策定したと思われるこの交通安全基本計画は、国鉄部分と地方鉄道部分とに分けてどうなっておるか。基本法二十四条の交通安全業務計画の中において、本年度、四十八年度において運輸省が講ずべき施策はどういうふうになっているか。これがわかりましたら、わかるところから御説明してください。
  70. 島村史郎

    ○島村説明員 交通安全基本計画につきましては、第二部の「陸上交通の安全」、これは先ほど申しましたように、昭和四十六年から五十年までの五カ年計画でございます。陸上交通の部分におきまして「鉄軌道交通の安全」それから「踏切道における交通の安全」という章を設けております。ここでは国鉄、民営に区別して記述してはございません。  それから、この交通安全業務計画、この四十八年度につきましては、現在策定中でございます。
  71. 太田一夫

    ○太田委員 言うなら、ないということです。佐藤政務次官どうですか、運輸省として。
  72. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 私は、たとえば自動車の面で申し上げるならば、車両法の安全に関する基準を逐次強化していって、年次ごとに自動車の交通安全について、ブレーキはことしはこういう装置をしなさい、あるいは後尾灯はこのような装置をして、駐車中に後方からの追突を避けるようにすべきである、こういったように、一つ一つ具体的に年次別に安全基準を示して、車両の改正を行なっておる。例を言えばそういう例です。  それから、鉄道面におけるところの安全面については、全国的に第一種、第二種、第三種、第四種と、御承知のとおりに踏切がございます。その踏切を一つ一つ点検しまして、そうして第四種の無人踏切を格上げするとか、あるいは第三種の踏切を一種に一挙に持っていくとか、こういったようないろいろな具体的な方法を年次別に計画を立てて踏切対策をやっておる。  まあそういうことで、予算も御承知のとおりに、本年度、今後御審議願う国鉄に関するいろいろな予算の中に、向こう十カ年間は少なくともこういった安全面については一兆数千億の金を投資します、こういったような年次別計画を立てていろいろな安全対策を立てておるということですから、具体的に国鉄の面においてはこういう年次計画を立てていく。それから自動車面については、こういう五カ年計画を立てて年次別に安全対策を実行していく、こういうような方法を講じているわけであります。
  73. 太田一夫

    ○太田委員 私は、たとえば自動車のことはもう総理府の頭の中にあるのだから、総理府の頭の中にあるのは自動車のみです。鉄道のことはないんだから、そこで運輸省のほうにそれがあるんですかと聞いているのです。あるならば、運輸省として国鉄の安全運転についてはどのような対策が基本計画としてきめられておるかということについてお尋ねしたのですが、私のほうから見ると、どうも国鉄まかせではないか、こういう気がしてしようがない。この点いかがですか。
  74. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 国鉄の安全面については、もうすでに先生御承知のとおりに、その安全問題について先般順法闘争が行なわれておる。こういったような状態が社会面に出てまいりました。  御承知のとおりに、この安全問題については、これは国鉄の今後の経営に重要な影響がございますので、十分労使間が話し合うということで、昭和四十一、二年ごろから労使間で十分な話し合いを行なってきて、そうして、たとえば機関士の乗務員の二人制、一人制という問題についても労使間で十分な話をつけながら、昭和四十四年だったと記憶しますが、労使間の調印を終わって、そうしてその前提としては、技術革新に伴うところの相当な技術的な、あるいは科学的な、あるいは合理的な安全面というものが出てこなくちゃならぬということで、ATC、ATSあるいはEB装置とか、そういうものを年次ごとに完成をさせて、したがって機関士の一人乗務というようなことが表にはっきり出てきたわけでございます。  まあこういったようなことで、その問題について、まだ踏切は非常に無人踏切が多い。非常にこれは安全を阻害することであるというようなことも表に出てきましたので、そういうことも私は政務次官就任直後に、この問題をさらに追及すべきであるということを考えまして、全国的にそういうような問題についての総点検をやれ、こういう指令を出しまして、逐次その資料を大臣、政務次官私どものもとに集めまして、そうして年次計画のもとに、組合の諸君が言っている問題、あるいは経営者の方面から、こういう予算がつけばこのくらい前進ができるというような面を具体的に吸い上げまして、措置をしていっているわけであります。  したがって、国鉄におけるところの安全面の最後の面は、いわゆる機関士の心理学というか生理学というか、そこまでやはり、航空機と同じように追求する必要があるということで、それも私自身検討しましたが、機関士の、高校卒の機関士が数年間かかり、あるいは五年間かかり六年間かかって一人前の機関士になっていくという過程も、一応私は勉強さしていただきました。きびしい訓練のもとに、きびしい教育のもとに一人の機関士ができているという過程を私は知りまして、さらに一歩前進するような養成機関も必要ではなかろうか、こういうようなことも実は内部で話し合って、私自身も勉強しておるわけでございます。
  75. 太田一夫

    ○太田委員 国鉄まかせでなければ幸いです。総理府は鉄道のことは運輸省まかせ。実は、私どもはあの小六法を配っていただきました。あの中には鉄道のことは書いてないですね。自動車のみだ。道路交通のみの安全対策だというところに総理府の偏向性があるのです。これは一度総理に聞かなければわからぬ。中央交通安全対策会議の会長は、総理大臣をもって充てると書いてあるのだから、総理に聞かなければわからぬ。これ以上はやらない。  そこで、国鉄まかせでなければ、国鉄の安全は、ダイヤの編成はどうして国鉄まかせになっておるのでありますか。
  76. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま御指摘の、国鉄の保安状態は国鉄にまかせきりかという御指摘でございますが、国鉄と民営鉄道におきましては、全般の問題につきまして監督上の規定の相違があるわけでございます。   〔井上(泉)委員長代理退席、委員長着席〕 国鉄は現在法律に基づきまして、いわゆる日本国有鉄道といたしまして、公共企業体といたしまして、国に準ずるものとしてその運営ができておるわけでございます。したがいまして、その自主性というものを尊重いたしまして、諸般の行政におきましても、民営鉄道に対する監督と違っておるわけでございます。しかしながら、決して国鉄まかせというわけではございませんで、ただいま御指摘の事故関係につきましても、たとえて申しますと、先般の北陸の長大トンネルにおきます事故につきましても、運輸大臣が任命いたしております国鉄の監査委員に、特別監査命令を出しまして、これの監査を命じたわけでございます。そして、その報告を直接運輸大臣が受け取ったわけでございます。また、たとえて申しますといわゆる騒音公害、こういったものにつきまして、環境庁から運輸大臣に対しまして勧告がございました。これに基づきまして、新幹線の工事につきましての保安あるいは監督命令を出しておるわけでございます。また新幹線につきましては、特別総点検を命じまして、三月の一日から三月の末まで一カ月間、国鉄の全社をあげましての総点検を命じておるわけでございます。また、個々の問題につきましても、国鉄が総点検いたします際には、運輸省が職員をまた派遣いたしまして、それぞれの現場におきましても、その指示あるいは全般的な指導、こういうものをやっているわけでございます。  ただいま御指摘のダイヤの問題でございますが、これは先生よく御承知のとおり、民営鉄道につきましては、運輸省においてこの認可をしておるわけでございますが、国鉄につきましては、先般申しましたその自主性ということに基づきまして、大局的に監督しているということで、個々には認可してない、かような状態であります。
  77. 太田一夫

    ○太田委員 そういうこと。そのとおりですね。これは正しい御答弁ですから、別にまた異存を申すわけではない。違っておるとは申しません。しかし、方角は違っておる。運輸省に交通安全のことはまかしたと言うならば、総理府の交通安全基本計画の中にそういうものがあるなら別として、ないのだから、運輸省にまかせたとしたならば、運輸省はまかされたという立場から、国鉄、民鉄ともに、これはもう公営企業まで含めまして安全対策の徹底的な究明を行なっていかなければいけないわけです。自主性が国鉄にあるからということは、昔一緒におったのだから、国鉄という昔の国有鉄道時代には運輸省は一緒だったんだから、ツーカーで、おい、おまえ、何だ、というような話の仲間だからというので、ひもが長くしてあるのではないか。たてまえとして間違っておるのではないか、私はそれをお尋ねしたいのですが、きょうは大臣いらっしゃいませんから省略して、しからばそれほどダイヤの問題について自主性が尊重されて、そして国鉄の思うとおりに、言うならば恣意にまかされておるということであるならば、新幹線についてひとつ聞きます。  新幹線を二百キロ以上のスピードによって東京−大阪間を三時間で走らすということのその意義というものは何であるかということは、私どもよくわからない。スピードマニアにはいいのでありましょうけれども、どう考えてみても、これが安全という面から見た場合に、それにチェックは受けない。船は海において沈むことがある。その場合には救命ボートという設備がありまして助かることがある確率があります。飛行機はどうなる。飛行機は落ちたらそれっきりということ、これは承知の上でみな乗っておる。ところが新幹線に乗るのは、速いけれども安全だと、国鉄、運輸省のおやりになっていることに間違いはなかろうと思って実はスピードを楽しんでおるのでありますが、あの二百キロで走っていて、関東大震災なら関東大震災が突如として来て、それで安全という保障はあるのですか。
  78. 内田隆滋

    ○内田説明員 東海道新幹線の地震対策でございますが、これは御承知のように、東海道、山陽合わせまして三十一カ所に地震計を設けてございます。大体四十ガル、八十ガルの二つの震動に対しまして、自動的に電気が切れまして、そして非常制動がかかって列車がとまるというシステムになっております。このシステムでもって、関東大震災程度の地震が参りましても、その前に予震がございますので、列車の安全は十分自信をもって確保できるというふうに考えております。
  79. 太田一夫

    ○太田委員 予震があるから、予震は微震であろうと、だからその微震をキャッチしておけばその間にとまるんだろうと、こういうことでありますが、そのとおり来るか来ないか、これは私は非常に大問題だと思うのでありますが、ほんとうに国鉄当局には、その確信ですね、信念がおありになればけっこうでありますが、二百キロのスピードで走っておる場合のとまり得る距離というものは千六百メーター、もし二百五十キロとするなら二千五百メーターというように長距離の惰走が必要であります。それを考えてみましたときに、関東大震災のようなものがある程度瞬間的に来たときに、二百キロで走って千六百メーター、なおとまる間にそれだけの距離がある。その間にどこかであぶないところに来たときに、高架、これは不幸にして高架ですから、これが線路の下に転落して一個列車全部全滅するというようなことは起きないかどうか。ここのところは実際におやりになってごらんになったことがあるかどうか、念のためにお尋ねしておきたいと思うのです。
  80. 内田隆滋

    ○内田説明員 実際に実物試験をやった例は、私、寡聞にして聞いておりませんけれども、大体六十五秒ぐらいで停止までまいりますので、構造物が一分以内にがたがたにくずれるというようなことはまず考えられませんので、そういう意味では、お客さんの生命に対しては安全であるというふうに考えます。
  81. 太田一夫

    ○太田委員 これは不安全だという話になってはたいへんでございますから、いまにもあのような地震が起きるではないかと言われておるときに、これは安全感を与えておかなければたいへんだと思いますが、私はこれについては、もう少し安全の程度で、どうしてそんなに急いで狭い日本を走るんですかという、どこかでおつくりになりました標語を国鉄の皆さんにも呈上しておきたいと思うのです。テストなさったことはなさそうでありますから、一度テストなさって、そうして確認できることは確認をしておいていただきたいと思います。  その話は一応きょうはそれでとめておきますが、そこで、鉄監局長いらっしゃいますが、国鉄に対する監督の問題でございますが、ある程度はほのかにやっていらっしゃるようでございます。  そこで、直接運転事故関係をしてお尋ねをいたしますが、ATS装置があるから安全だとおっしゃるけれども、国鉄のATS装置というのはブザーが鳴る警報装置でございます。これを先制御というように先で制御をいたしまして、たとえば踏切で閉じるところが開いていたようなときにもとまり得るがごとく、どこかで、急にその車の惰力がついて、次の信号でとめられないような危険なスピードになったときには自動的にブレーキがかかるように、これは科学の時代ですから、先制御なんというのはすでに古いぐらいですから、いまのブザー方式から先制御方式ぐらいまでにせめて改良すべきじゃないか。  それからついでに信号についてお尋ねしますが、信号もいまだに三位式自動閉塞信号機でございますけれども、どうしてスピードシグナル方式を採用されないか。もう採用されておりますとこの間お話がありました。なるほど一部採用されております。これをすみやかに全面的に採用して、運転手の過労と誤識別を防ぐというようなことをすべきだと思うのです。熟練度にたよる、熟練度にたよるとおっしゃる、有能な運転手がいるからそれでいいと言うけれども、それではあぶないと思う。全面的にスピードシグナル方式に改良するように指導すべきであると思うが、その点についてはいかがですか。
  82. 秋富公正

    秋富政府委員 先般の運輸委員会におきまして、太田先生から、いまの信号の問題につきましては御指摘のあった問題でございます。  列車のスピードがこのように高速化してまいりまして、また列車の編成も増大してまいりまして、事故の大型化という懸念もございます。幸いにして、事故件数は減ってきておるわけでございますが、一たび事故が起こりますと、これが大事故になるおそれは十分ございますので、ただいま先生の御指摘のATSの精度の高度化の問題、あるいはいまおっしゃいました三位信号の改善の問題、こういったことにつきまして、前向きに今後国鉄を指導していきたい、かように考えております。
  83. 太田一夫

    ○太田委員 それで、そういうことに国鉄も御回感でございましょうか、一度どなたか……。
  84. 鈴木宏

    ○鈴木説明員 いま運輸省鉄監局長からお話がございましたような、同趣旨でわれわれも考えております。  ただ、御承知のように、ATSは、戦後、車内警報装置から発達してまいりまして、ただいま全国二万キロ津々浦々にわたっております。そして、いまお話もございましたように、一部の線区、常磐線の管区、また総武の地下ルート等に、新幹線のほかに連続制御式のATSを採用いたしまして、これを輸送量その他条件に応じて今後拡大してまいりたいというふうに考えております。  また、スピードシグナル化の問題でございますが、非自動区間は別といたしまして、自動区間は、当初ルートシグナル方式というので、国鉄全体が一つの体系として成り立っておりました。それを自動信号化の発展とともに、いまの御指摘のスピードシグナル化を加味してまいっておるわけであります。今後ともその線で、条件に応じて先生の御指摘のような線に進めてまいるという考えでおります。
  85. 太田一夫

    ○太田委員 最後に、時間がありませんので、特にこれは民鉄の関係をしてお尋ねをいたします。建設省並びに運輸省当局からお答えをいただきたい。  踏切道改良促進法というのがございます。これによって踏切の立体交差化が促進をはかられたと思うのでありますが、現況はどうでありますか。  それからもう一つ、踏切道と前後の道路の幅でありますが、この道幅というのは同一であることが望ましいと規定されておるように思うのでありますが、これは大体そのような問題は実現を見ておるのでありましょうか。  この二点について建設省並びに運輸省関係者からそれぞれお答えいただきたい。
  86. 中村清

    中村説明員 お尋ねのございました鉄道と道路との立体交差につきましては、ご承知のように、踏切道改良促進法という法律によって事業の促進をはかっております。その法律によりますと、立体交差化を行なうべき踏切道、これは運輸大臣と建設大臣が指定をするわけがございますが、一定の基準がございまして、たとえば、踏切交通の遮断量が一定の基準に達しておるか、あるいは事業を行なうことによって効果が非常に大きいというふうなことがございますけれども、そういった基準に基づきまして、現在指定をされております踏切道の数は全部で九百八十七カ所というふうに承知をしております。これは四十七年度末までの数字でございます。そのうち現在まだ工事をやっておる、あるいはすでに完成をいたしておるというものを含めますと、八百二十八カ所、割合でいきますと、約八四%がすでに完成した、あるいは現在工事中であるということになっております。なお民鉄だけについて言いますと、九百八十七カ所のうち、民鉄関係の部分が三百三十七カ所、それから民鉄関係ですでに完成したもの、あるいは現在工事中といったものが二百六十七カ所で、割合でいきますと、約八〇%というふうに承知をしております。  なお、お尋ねの第二点でございますけれども、実は道路構造令では、鉄道と交差する場合の道路の幅員につきましては、特別の規定はつくっておりません。ただ現実の運用といたしましては、踏切道と幅員を同じようにすることが好ましい、当然であるという指導をいたしております。
  87. 秋富公正

    秋富政府委員 いま建設省の道路局次長から御説明がありましたように、連続立体交差につきましては、昭和四十四年に踏切道の連続立体交差化の協定をいたしております。また、御指摘の踏切道の幅の問題でございますが、構造改良につきましても覚え書きをいたしておるわけでございます。これによりまして国鉄、私鉄ともに、連続立体交差、あるいは踏切道の構造改良ということはきわめて促進されてきておることは事実でございます。
  88. 太田一夫

    ○太田委員 踏切道と前後の道路の道幅については、相当強く同じ幅にすべきだという規定がどこかにあるように思いましたが、ちょっとそれを思い出せないのでお尋ねしてみたのですが、市道であるということになると弱いですね。これはひとつ、よくお考えになりませんと、交通安全のためには、たいへん問題だと思います。そこで、国道と私鉄の平面交差しておるところ、一つの例をお答えいただきたいのでありますが、国道八号線と、これは一級国道でございます。小松市内におきまして小さな小さな民営鉄道の尾小屋という鉄道と平面交差しておるところがあるのでありますが、これが現在三万七千台以上の交通量をもちましてバイパス計画さえ立てられております。そこで昭和三十三年の二月十五日に、当時の中部地建の局長さんとその社の法人代表取締役との間に協定ができまして、これは将来立体交差をする予定だから、当面、国道八号線の拡幅については暫定措置をもって保安装置とするというようなことから、将来を約して協定書ができておりますが、十五年たちましたが、道路はますます交通が混雑し、片や資本のない小さな民営鉄道が動いているということでございますので、どうにも耐えられない状態になっておる。一朝事があったときには大きな事故になりますので、この協定はなるべくなら実施をしてほしいものだという声が地方のほうからわき上がってきておるのであります。  それで、どうしてこれができないんだろうか。言うならば、相手が小さいからほうっておけば事故を起こしてやめるであろう、こういうことも考えられるわけで、これは一たび事故を起こしましたら、この会社の存続はできません。そういう点から、私ども非常に心配をするのですが、これは建設省にお答えいただきましょうか。
  89. 中村清

    中村説明員 いま御指摘がございましたように、現在バイパスの計画をやっていることは事実でございます。  そこで本論に返りまして、例の尾小屋鉄道の立体交差の件でございますけれども、確かに三十三年の協定がございまして、将来立体交差をする予定であるというふうになっていることは間違いございません。ただ、踏切道改良促進法によりますいわゆる立体交差の基準は、踏切交通遮断量が一万台時ということになっておりますけれども、その基準に適合していないということと、四十六年の八月ごろでございましたけれども、尾小屋鉄道の会社の方から、当該路線は将来廃業にする予定であるというふうなお話もございました。以上の二つの観点から、立体交差化を見送っているということでございます。  ただ、立体交差化を見送りましても、今度は交通安全という面ではそのままに放置できませんので、陸運局のほうからも申し出がございまして、いわゆる遮断機をつくるということでございまして、四十五年度と四十六年度におきまして、道路管理者のほうで遮断機をつくるお金を持ちましょうということで用意をしておったのでございますけれども、手続が間に合わない、あるいはその廃業の話が出たというふうな事情がございまして、これまた現在まで実現には至っておりません。  私のほうの考え方といたしましては、会社のほうがずっと営業を継続されるというふうなことでございますれば、遮断機設置に要する経費を持たしていただきたい、かように考えております。
  90. 太田一夫

    ○太田委員 これは運輸大臣にかわって佐藤次官、ちょっとあなたから感想をいただきたいのです。  いまのような場合、相手が弱小資本でありますから、いろいろなことがやれないと思うのですよ。だから、すでに二年、三年前から遮断機をつけようじゃないかという話さえも、いまにやめるんじゃなかろうかという憶測のもとにそれが見送られてしまった。間に合わないということは、そういうことだと思うのですよ。向こうのほうは、こんなぐあいならやめようということは、一たん事故が起きたときには会社はたいへんなことだ、それは成り立つものじゃないです。そういう点がありますので、これがしばしば壁に突き当たってしまったという状態です。大所高所からひとつ御指導していただきたいと思いますと同時に、あなたのほうの大臣にお伝えいただきたいことは、そういうふうな手をかけない鉄道、国鉄、民鉄に対するところの運転事故絶滅、そして死傷者の絶滅を期する具体的基本方針というものの策定について、いままでのやり方ではおかしいじゃないかと思いますので、それについても何らか具体策をいつかのときにお示しくださるように促進をはかっていただきたいと思うのです。御感想だけ最後に、承っておきます。
  91. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 先生御指摘のとおりに、私もそういう観点で大臣と御相談しまして、国鉄を中心にした安全対策についての検討を就任以来ずっとやっております。たとえば長大トンネルの中の事故とか、あるいは新幹線におけるほんの小さな小さなちょっとした事故でも、そこには何かの原因があるわけです。それがやはり安全であったとはいえない面が、私は率直に言ってあると、思います。したがって、そういう足らざる面を行政指導によって強く指導していくという体制をとっていきたいということを率直に申し上げたいと思います。  それから、私鉄のただいまの御指摘の点については、私、初めてお聞きしましたので、これは関係各省ともよく連絡し、また、運輸省内部においても、民鉄のそういう無人踏切といいますか、全然遮断機のないようなところに対してどのような指導をし、やっていくかということについても、ケース・バイ・ケースでやっているところも実はあるわけであります。したがって、そういう点も十分配慮して検討させていただきたい、こう思っております。
  92. 久保三郎

    久保委員長 次回は来たる十八日水曜日午後零時三十分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十五分散会