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1973-06-23 第71回国会 衆議院 建設委員会地方行政委員会農林水産委員会運輸委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十三日(土曜日)     午前十時九分開議  出席委員   建設委員会    委員長 服部 安司君    理事 田村 良平君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    梶山 静六君       廣瀬 正雄君    藤波 孝生君       渡部 恒三君    清水 徳松君       中村  茂君    渡辺 惣蔵君       中島 武敏君    新井 彬之君       北側 義一君    渡辺 武三君   地方行政委員会    理事 中村 弘海君 理事 山本弥之助君       愛野興一郎君    亀山 孝一君       岩垂寿喜男君    小濱 新次君   農林水産委員会    理事 仮谷 忠男君       井上  泉君    角屋堅次郎君       野間 友一君    瀬野栄次郎君   運輸委員会    委員長 井原 岸高君    理事 加藤 六月君 理事 細田 吉藏君    理事 兒玉 末男君 理事 梅田  勝君       徳安 實藏君    神門至馬夫君       石田幸四郎君    松本 忠助君   公害対策並びに環境保全特別委員会    委員長 佐野憲治君    理事 渡部 恒三君 理事 中島 武敏君       村田敬次郎君    岩垂寿喜男君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君         建 設 大 臣 金丸  信君         自 治 大 臣 江崎 真澄君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         運輸政務次官  佐藤 文生君         運輸省港湾局長 岡部  保君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省河川局次         長       川田 陽吉君         建設省道路局長 菊池 三男君  委員外出席者         環境庁大気保全         局企画課長   河野 義男君         農林大臣官房審         議官      有松  晃君         水産庁漁政部長 増満 二郎君         通商産業省企業         局工業配置課         長       志賀  学君         通商産業省公害         保全局公害防止         企画課長    黒田  真君         通商産業省鉱山         石炭局石油業務         課長      根岸 正男君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君         地方行政委員会         調査室長    月原 正雄君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公有水面埋立法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二〇号)      ————◇—————   〔服部建設委員長委員長席に着く〕
  2. 服部安司

    服部委員長 これより建設委員会地方行政委員会農林水産委員会運輸委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出公有水面埋立法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 服部安司

    服部委員長 本案に対する提案理由等は、お手元に配付してあります資料によって御了解を願うこととし、直ちに質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本弥之助君。
  4. 山本弥之助

    山本(弥)委員 建設委員会調査室本案に関連いたしましての資料がありますが、それによりますと、昭和二十年から昭和四十七年までの間に、これは建設省の調べとなっておりますので間違いはないと思いますが、公有水面埋め立て面積が十一万二千七百二十六ヘクタールとなっておりまして、工業用地が三三・八%、農用地が三九・九%と相なっております。これは終戦時の食糧増産に関連いたしましての農業用地としての埋め立てと、それからいわゆる全国総合開発計画なりあるいはその後の新全総計画等に基づいて工業用地が、臨海工業用地として埋め立てが進められた結果だと思うのでありますが、いま問題になっております瀬戸内海は漁民の生活を脅かし、また国民の健康に大きく影響を与える公害の不安にさらされておるわけでありますが、この工業用地の三万八千六十七ヘクタールのうち、瀬戸内海におきましてどのくらいの工業用地としての埋め立てが行なわれましたか。これは事務的でけっこうでございますので、お聞かせ願いたいと思います。
  5. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの御質問に対しまして、運輸省所管、いわゆる港湾区域内の埋め立ての問題について御答弁申し上げます。  先ほどお話のございました中で、瀬戸内海に面しました港湾区域内で昭和二十年から四十七年の九月までに造成済み面積が一万一千ヘクタールでございます。それから昭和四十七年九月現在に造成中の面積が一万ヘクタールでございます。合計いたしまして、造成済み並び造成中合わせますと二万一千ヘクタールでございます。  そのうちの、先ほど指摘のございました工業用地につきまして申し上げますと、造成済みの一万一千ヘクタールのうち工業用地が七八%、約八千六百ヘクタールでございます。それから造成中の二万ヘクタールの中の約六〇%で、六千二百ヘクタールが工業用地でございます。したがいまして、合計いたしまして一万四千八百ヘクタールが工業用地であるということでございます。
  6. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいまの御答弁はあれでございますか、私の御質問申し上げましたのは、工業用地の三万八千六十七ヘクタールに対応する瀬戸内海における埋め立てもしくは干拓の面積をお聞きしたわけでありますが……。
  7. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま先生のおっしゃいました三万八千ヘクタール、これは建設省所管運輸省所管を通じてでございます。それで三万八千ヘクタールのうちで、運輸省所管分が三万三千七百ヘクタールでございます。したがって、それのうちのものであるというふうに御理解いただきたいと存じます。
  8. 松村賢吉

    松村政府委員 お答え申し上げます。  建設省所管のものにつきまして申し上げます。昭和三十六年から四十七年までの間につきまして、三千九百十七ヘクタールの瀬戸内海関係埋め立てをやっております。
  9. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいま瀬戸内海だけの過去の実績につきましてお聞きしたわけでありますが、合わせまして一万八千という数字になりますが、大体全国埋め立て面積のうち半数近いものが瀬戸内海に集中しておるということでございます。このことは、私ども、かつて全国総合開発計画等におきまして新産都市あるいは工特都市と、国の方策といたしまして工業を優先的に臨海工業地帯に建設することになりまして、国の音頭とり地方公共団体はあげてそれらの立地のためにこういう埋め立てをやったわけでありますが、今日から考えますと、これらの問題がいわゆる将来の見通しもなく、国民の健康にどういうふうな影響を与えるか、あるいは瀬戸内海国立公園としての立場からも環境保全立場からも、また瀬戸内海の多くの漁業者生活を脅かすという結果になりまして、今日大きく問題になっておるわけであります。私は、この瀬戸内海の一事をもっていたしましても、いわゆる公有水面埋め立て、ことに海面埋め立てについては今後大きく転換していかなければならぬと思うのですが、この問題につきまして大臣の御所信を承りたいと思います。
  10. 金丸信

    金丸国務大臣 従来も環境保全というようなことに留意はいたしておったようでございますが、いまの現時点においてはより以上に環境保全災害等の問題につきましては十分な施策をもって臨まなければならないと私は思うわけでありまして、瀬戸内海が死の海だといわれるのもその辺にあるんじゃないか。そういう意味不要不急埋め立てにつきましては、極力これは抑制していくべきである、私はそのように考えております。
  11. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この機会にお聞きしたいと思いますが、通産省なり経済企画庁におきまして、今後の臨海工業のためのいわゆる海面中心とする公有水面埋め立てにつきまして、将来どういうふうな計画をお持ちになっておるか。また経済企画庁におきましては、今日の瀬戸内海中心とする——これは瀬戸内海に限りませんが、大阪湾あるいは東京湾その他におきましても、こういう趨勢で公有水面埋め立てていくとするならば、おそらく同じような自然破壊あるいは漁業の壊滅また国民の健康を害するような事態が到来すると思うのであります。どういうふうに今後この海面埋め立てについてお考えを持っておられるか、計画面積なりあるいは工業立地についての埋め立てに関連してのお考え等お聞かせ願いたいと思います。
  12. 志賀学

    志賀説明員 最初に、今後の工業用地、特に埋め立て用地がどういうことになるのかという点について御説明申し上げます。  今後の工業埋め立て用地がどうなるかということにつきましては、これはなかなかむずかしい問題でございますので、大体の感じを申し上げるということで御了解いただきたいと思うのでございますけれども、現在の日本全体の工業用地面積というのが、昭和四十五年現在で大体十三万ヘクタールくらいあるという推計を私どもしております。そのうち臨海部、これは埋め立て地とは限りません。臨海部用地が大体四五%くらい、六万ヘクタールくらいであろうという推計をやっております。これが将来どうなっていくだろうかということでございますけれども、これは今後の経済成長率をどう見るか、あるいは産業構造がどう変わっていくのか、あるいは海外立地の問題あるいは輸入の問題、そういう問題をいろいろ総合的に考えていかなければなかなか答えが出てこない問題でございますけれども、今後工業用地の中に環境保全のために、たとえば緑地面積をふやしていくとかいうことで建蔽率をだんだん下げていく、そういう傾向も出てくると思います。そういうことも加味いたしまして、大ざっぱな感じでございますけれども昭和六十年で大体三十万から三十五万ヘクタールくらいの工業用地が必要なのではなかろうか、そういう感じを持っておるわけでございます。したがいまして、昭和四十五年に比べまして二十万ヘクタール前後今後ふえるのではなかろうかという感じでございます。  今後このうちどれだけが臨海部になるであろうかということでございますけれども、これは今後産業構造知識集約化であるとか省エネルギー、省資源という方向に向かってまいります。したがって内陸型の方向に向かっていくだろうと思うわけでございますけれども、かりに従来と同じように四五%くらいというふうに推計いたしますと、大体八万ないし九万ヘクタールくらいが臨海部ということになろうかと思います。このうちどれだけが埋め立てになるのかということでございますけれども、それは個々の立地条件その他で左右される問題でございますのでなかなか推計がむずかしいわけでございますけれども、過去の例から申しますと、埋め立て地としてはこれを相当下回る数字ということになるのではなかろうか。これは一応事務的な推計でございますけれども、そんな感じを持っております。  それから私どもといたしましての公有水面埋め立てについての考え方でございますけれども、私どもといたしまして、日本の場合に可住地面積が少ないとかそういうようなことから申しまして、埋め立てというのは、工業用地の確保のための対策としての一つの手段であろうという感じはしておるわけでございます。ただ同時に、埋め立てと申しますのは、これはもう先生よく御承知のとおり、埋め立てそれ自身による生態系への影響であるとかあるいは立地企業による公害の問題であるとか、いろいろ問題がございます。したがって、こういった点に十分配慮しながらやっていく必要があるだろうというような感じを持っております。
  13. 山本弥之助

    山本(弥)委員 過去を下回るというのは一万八千以下になるということですか。
  14. 志賀学

    志賀説明員 いえ、さっき申しました八万ないし九万ヘクタールというのが大体臨海部用地でございますけれども、この八万ないし九万ヘクタールを相当下回る数字埋め立て地というふうにも考えられるということでございます。
  15. 下河辺淳

    下河辺政府委員 お答えいたします。  経済企画庁といたしましては、現在新全国総合開発計画の総点検をしておりまして、その総点検の中の非常に大きな課題は、環境問題から見た臨海部工業開発限界性について考え方をまとめることにあるというふうに考えて、現在作業しております。ただいま通産省から詳しい説明がございましたけれども通産省からもそういう話を聞いておりまして、現在、はたしてそれでよいのかどうかということについて、実態調査を含めて若干検討しておりますので、きょうはそういう最終的なお答えをすることができませんけれども考え方といたしましては、昭和四十四年にきめました新全国総合開発計画におきましては約十万ヘクタール程度臨海部での埋め立てを必要とするのではないかという推計をしております。四十年から四十六年までの実績が約二、三万ヘクタールであるというふうに考えておりますので、四十四年の新全国総合開発計画から見ますとあと七、八万ヘクタールということになってまいりますが、その埋め立てにつきましては実は従来の実績先ほど指摘いただきましたような瀬戸内海その他の実態から見まして、浅瀬であるために経済的に安く埋め立てられるという条件だけで埋め立てていくことについての疑問は非常にはっきりしてきているわけでありまして、漁業の問題あるいは生態系としての問題ということに十分留意いたしまして、その再検討をしなければならないということであります。現実の問題としては、たとえば一つの例としては、周防灘等におきましてはかつてのような大型埋め立て計画を実施することは困難であるということで、どのようなことが周防灘で可能であるかということを現在調査しているわけでございまして、基本的な方針は、先ほど建設大臣がお述べになりました方針を企画庁としても守ってまいりたいというふうに考えております。
  16. 山本弥之助

    山本(弥)委員 建設大臣から先ほど考えをお聞きしたわけでありますが、ただいまお聞きいたしまして、まだ国の方針として臨海工業のために海面埋め立て用地に充当するということについての方針も固まっていないというふうに私どもは承るわけであります。また今回出ましたこの法案につきましても、きわめて方針が不明確である。従来、自然環境保全だとか公害防止ということについて配慮してこの法の運用をやってきたというふうな大臣趣旨説明があり、それに引き続きまして今回の改正は、最近のように埋め立て規模大型化あるいは埋め立て地利用多様化等社会情勢に適合しなくなって、行政指導ではできなくなったので改正する、こういうような趣旨説明になっておりますが、そのために多少地域住民権利を尊重するような、いわゆる免許の手続について慎重を期するという改正になっておること、これは一応私は前進しておると思うのであります。しかし、公有水面埋立法そのものを根本的に見直さなければならぬ段階じゃなかろうか。しかも埋め立て規模大型化ということを前提に置いての法の改正ということであるならば、今日の公害だとかあるいは将来のたん白給源としての沿海漁業養殖漁業保護育成というような見地からいいましても、むしろこの埋め立てにつきましては一定の国の方針のもとに十分規制をするという根本的な法改正が行なわれるべきである、かように考えるわけでありますが、その点につきまして重ねて大臣の御決意を承りたいと思います。
  17. 金丸信

    金丸国務大臣 この法案につきまして抜本的に改正すべきであるという御指摘でございますが、私もそのように思います。それができなかったというところに問題があるわけでございまして、いま建設省一つのものでなくて共管でもありますし、いろいろ問題点があるということで、検討しなければならぬ問題点が多々あった。そこで私もこの法案提出するのを差し控えようと考えたわけでございますが、しかし、差し控えるより一歩前進だからどうしても出せという声も強いわけでございますから出したわけでございます。実際からいいますと、この法案はまことにぬるま湯に入ったような感じがいたしておると私は申し上げておるわけでございますが、抜本的な改正を追っかけてやるべきだと私は考えております。
  18. 山本弥之助

    山本(弥)委員 抜本的な改正ということもさることながら、ただいまお聞きいたしますと、過去三万八千ヘクタールの埋め立て、ことに工業用地としての埋め立て、いろいろな問題が出ていますね。他の産業との関係あるいは公害の問題、それが将来下回るというお話があるにしても、全総では海面埋め立ては十万ヘクタールというような計画をしており、いまのお話を聞きますと、七万ヘクタールあるいはこれを下回ることについての再検討をやると経済企画庁答弁があったわけです。将来の経済政策はともかくといたしまして、この海面埋め立てについて、公害あるいは漁業資源環境保全という関係から、原則として埋め立てをしないのだという基本方針のもとに検討を加えていくべきである。そして港湾の機能を整備するという関係で、たとえば私のほうの県の釜石のごときは、埋め立てをやりましたために湾内の潮流が変わりまして、さらに大規模な湾口の防潮堤をつくらなければならぬということが出てまいり、このことは建設省調査を願い、将来御配慮を願うということになっておりますが、過去におきましてはそういったようなことと関係なしに工業優先であり、企業優先装置工業優先ということで埋め立てをやってきたわけであります。今後、むしろ埋め立て原則的に規制しなければいかぬのだという考え方に立たざるを得ない。基本的な改正ということは、基本的に埋め立てについては極力押えていくのだ、規制をしていくのだ、そして必要やむを得ない場合にとどめるのだという根本的な、改正というより、そういう基本方針がまず打ち出さるべきではないか、かように考えるのですが、その点、重ねてお伺いしたいと思います。
  19. 金丸信

    金丸国務大臣 基本方針としては、先生の御指摘のような考え方で進むことが私は当然だと思います。いま埋め立てによって起きておる環境阻害というような問題等考えますと、この基本方針なくして何だ、こういうことになるわけでありまして、そういう面につきまして極力埋め立てを抑制するということでございますが、その面につきましていろいろ、全面的に禁止はしない、必要欠くべからざるものについては、公共のためにやらなければならぬというものに対してはこれは例外というものもあるだろうという、いろいろな議論もあるわけでありまして、そういうところが今回この法案に盛ることができなかった一つ理由でございます。そういう意味で、そういう問題もあわせまして、将来これを検討いたしたいと思っておるわけでございます。
  20. 山本弥之助

    山本(弥)委員 大体大臣に御答弁いただいてわかりましたが、この趣旨説明のような埋め立て規模大型化に対応する改正ということじゃなしに、基本にさかのぼって埋め立て大型化規制するのだ、埋め立てそのもの原則としては規制していくのだという考え方に立つということにつきましては了承いたしました。幸い過去の埋め立てにおきまして、やはり同じさきの資料を見ますと、国及び地方公共団体埋め立て事業を実施しておるというのが九〇%を占めておりまして、国、公共団体以外の埋め立ては一二%にすぎないのであります。今後例外的に認めていくにいたしましても、国、公共団体以外の企業主体埋め立て事業は、私はむしろ免許しないという方針を堅持しておくことが、貴重な公有水面埋め立て所有権埋め立て業者の手に入るわけですから、その方針は堅持しなければいかぬと思いますが、いかがでございますか。
  21. 金丸信

    金丸国務大臣 その問題も実は論議の点でありまして、そうすべきだと私は考えておるわけでございますが、論議の点でありますので、これもできるだけ早い機会に詰めてみたいと考えておるわけでございます。
  22. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいまの御答弁先ほどからの御答弁によりまして、大体この法案についての基本的な考え方は了承したのでありますが、基本方針がきまりまして、それから公有水面埋立法をどういうふうに今後根本的な規制法的な——これは他の法律でも規制する道はあると思うのでありますが、埋立法規制法的な考え方で根本的に改正するということも了承できるように思います。  しかし、当面の改正にいたしましても、公有水面埋立法についての今回の改正におきまして、基本的には埋め立てを奨励するのじゃなくて、むしろある程度まで規制するのだという考え方に立つならば、地域住民生活環境あるいは自然環境、さらには既得の漁業権をはじめその他の権利を極力尊重するということについてもっと重点が置かるべきではなかろうか。暫定的な法改正にいたしましても、あるいは縦覧とか、あるいは地域住民意見書提出を求めるとか、あるいは追認をしないとかいうような、規定的にある程度前進はあると私は思うのであります。しかし、もっと積極的に考えますならば、都市計画事業のようにあるいは公聴会も行なう、あるいは意見書の取り扱いにつきましても、さらに都市計画審議会のような機関によりまして意見を十分尊重する、審査を行なうというような、地域住民あるいは地域生活環境を保持することについて学識経験者意見を聞く、あるいは地域利害関係者意見を聞く、それに対する判断を慎重にする規定を織り込むべきではないか。いわば、今後は必要やむを得ない埋め立てをする場合に、それが自然環境破壊なりあるいは利害関係にどういう影響があるかということについて慎重な手続を経るということが、暫定的に改正する法案の内容になろうかと思うのであります。それにいたしましてはあまりにどうも、一応条文を改正したという程度で、もっと慎重な配慮が規定的にもなさるべきだ、こう考えますが、いかがでございますか。
  23. 金丸信

    金丸国務大臣 この法案につきましては、先ほど来申し上げましたように、先生が御指摘のとおりまことに法案としてなっておらない、まさに私もそう思うわけでございます。しかし、これは出さないより出したほうがまだよろしいということでございますから一応出したということでありまして、基本的人権、民意の問い方等についても十分慎重にやらなければならぬし、また今後そういう面に欠けておる面は、行政の面でも十分にカバーしていかなければならぬが、基本的にはその法文の中にそういうものが入ってしかるべきだ、そういうことも十分検討の中に入れてまいりたいと思います。
  24. 山本弥之助

    山本(弥)委員 時間がありませんので質問は終わりますが、大臣は誠実な御性格のようで、私は何も立て板に水を流すような御答弁を求めるわけじゃありません。しかし、いま生活環境の整備なり福祉行政に大きく転換していく行政のうちの主要な部分は建設省になろうかと思うのです。そのときに暫定的な、出しても出さなくてもよかったような法案を出すにいたしましては、いままでの埋め立てによる弊害を考えますれば、将来大型埋め立てが行なわれるであろうというような前提のもとに無神経に法案を出されるということは、私はやはり慎重を期さなければならぬと思います。その点、建設行政福祉行政生活環境行政に大きく転換するときでございますので、私どもは地方自治の立場からきょうは御質問申し上げたのであります。地方自治体もそのことを熱望しておりますので、どうぞそういう配慮を今後ともとっていただきますことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
  25. 服部安司

    服部委員長 井上泉君。
  26. 井上泉

    井上(泉)委員 どうもこの法律は、明治憲法のときにつくった法律をいまの時世、つまり環境問題のやかましくなってきたおりから何とか合理化して体面をつくろおう、そういう意図のあらわれの法案改正のようであって、だからやってもやらないでも同じようなことだという見解が出されるのは当然だと思います。その特徴的なものとしては、もうこの際、埋立法にいたしましてもかたかなの書き方はやめたらどうなのか。この条文というのは明治憲法のときの条文であるし、船舶法にはまだ、船舶は「日本臣民ノ所有」するというような、天皇と国民との関係を臣民と位置づけたようなかたかなの法律が現在もあるが、それと同じようなやはり古い憲法の考え方の上に立ったこの法案改正の内容、それに新しい意識を盛り込んでつくろう、こういうようなものだと思うわけですが、この法案改正にあたってこういうことは問題にならなかったのかどうか。運輸大臣建設大臣、ともども御見解を承りたいと思います。
  27. 金丸信

    金丸国務大臣 私も実はこの問題につきましては、先生の御指摘のとおり、この時代にかたかなという手はないじゃないか、ひらがなでやるべきだという注文をつけたわけでございます。一部改正であっても全部かたかなをひらがなに直すことはできるだろうというのですが、なかなかその辺のニュアンスが違ってくるということであって、また慣例もそういう慣例だということで、この問題を先生の御指摘のように切りかえることができなかったというようないきさつであります。
  28. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 この法律案が出ます前に、もちろん建設省側から御協議を受けたわけでございますが、率直に申しますと、いま建設大臣がおっしゃいましたような感じは私も受けましたし、のみならず、全体を通覧いたしますと、いまお話しになりましたように、この書き方の問題よりも、内容につきましても、もう少し抜本的な改正が必要ではないかというような考えを持ちまして、私は個人的な考えとしては、もう少し時間をかけて練った上で全面的に改正をはかったらどうかというような意見も出したこともあるわけでございます。しかし、私ども関係港湾法の改正案にいたしましても、この改正案にいたしましても、両方とも環境保全でございますとか、公害の防止でありますとか、いろいろ当面非常に社会的に大きな問題になっておりますような点についての規定の整備が欠けておりますから、これだけは少なくとも早急にやらなければならぬということでそれを中心にした改正案を出すことになったわけでございまして、根本的な考え方としては建設大臣と全く同様でございます。
  29. 井上泉

    井上(泉)委員 この公有水面埋め立てについての許可権限というものが、法文の上では全部知事ということになっておるのですが、これを知事がやることについて、いわゆる公有水面の管理権は国側にあるわけですが、その管理権がある国がやらずに知事が全部許可を与える、こういうことになっておるのですが、これについての双方の大臣の見解を聞きたいと思います。
  30. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題につきましては、知事は地方の事情が十分熟知できるということでそうなっておるように感じるわけでございますが、実際問題として知事が申請を出して知事が許可をおろすというようなかっこうはまことにおかしなかっこうだと指摘されておるわけです。そういう点につきましては、一考せなければならない点もあるんじゃないかと私も思うわけでございます。
  31. 井上泉

    井上(泉)委員 知事にこういう絶対的な権限を与えておる。それで知事は、この法文によっても、たとえば何か五十ヘクタール以上の場合については、こういうふうなことは「政令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケシムルコトヲ得」——かたかなですからむずかしいなにですけれども、五十ヘクタール以上でも、この条文によると主務大臣の認可を受けなくともよろしい、受けてもよろしい。こういうことで知事に絶対権限があるわけですが、こういう関係において運輸大臣は、この知事の権限と運輸大臣としての国の立場と、どうお考えになっておりますか。
  32. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 一般的には、こういう問題につきましては、先ほど御議論がございましたような地方の利害関係といいますか、そういったのが非常に多いものですから、やはり知事が前面に立ってそれの行政処分の中心になることは適当ではないかと思います。ただ、いまおあげになりました条文、これは政令においてどの程度の規定をされますか、これから両者でもって相談をするわけでございますが、その中で特に重要なものにつきましては政令をもって書きまして——主務大臣の認可にかからしめるというような根拠規定が置いてあるものでございますから、大事なもの、国の立場において考えなければならぬものは、その政令で規定をされまして中央のほうに引き上げてくるということになるわけでございまして、その間の中央と地方との調整につきましては、法制上はそれで整っておるように考えます。
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで国との関係においてこれはどうですか、たとえば国が埋め立てをするときには、当該都道府県知事の承認を受けなければいかぬ。それで地方の長は国がやる場合においてはやらなければならぬけれども、その他の者がやる場合にはこれは知事の権限で全部行なえることになっておるし、それをどこでチェックすることができておるのか、その点の法令上の根拠というものを明らかにしていただきたいと思います。その点については、これは大臣が実務的でわからないといえば、それらのわかっておる方から説明を受けたいと思います。
  34. 川田陽吉

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生のまず御質問の、現行法の四十七条で「受ケシムルコトヲ得」、受けさせることができるという表現になっておりますが、政令のほうの三十二条におきまして、建設大臣、運輸大臣の「認可ヲ受クヘシ」というふうに、一定規模以上のものは認可を受けなければならないというふうに義務づけてございます。  それからただいまの御質問でございますが、四十二条におきまして、「国ニ於テ埋立ヲ為サムトスルトキハ当該官庁地方長官ノ承認ヲ受クヘシ」ということで、やはり知事の承認を国も受けなければならないという法文上の規定になっております。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 大体こういう連合審査は、半時間くらいの質問で審議ができるわけのものではないですから非常にやりにくいわけですが、その政令で一定規模、こういうことになっているわけですが、その一定規模の範囲は、福岡理事に聞くと何か五十ヘクタールというような話を聞いたのですけれども、政令で一定規模というのはどこへ置くというつもりですか。
  36. 川田陽吉

    ○川田政府委員 政令の三十二条第六号におきまして「埋立ノ面積五十ヘクタールヲ超ユル埋立ノ免許」というものは主務大臣の認可を受くべしという制度になっております。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 これは大臣にお尋ねしなければならぬですが、五十ヘクタール以下は大臣の認可も要らぬ、かってに都道府県知事の認可でやれる、こういうことになると、それをチェックする国としてのなにがないじゃないですか。これは五十ヘクタールという政令をもっと縮めて、少なくとも一ヘクタールでも河川、公有水面埋め立てるについては主務大臣と合議の上知事が認可すべしとか、こういう条文を挿入するのが適切な措置ではないかと私は思うのですが、それについての大臣の見解を承りたいと思います。——大臣に問うているのですよ。
  38. 川田陽吉

    ○川田政府委員 事務的なお答えをまず最初にさせていただきたいと思いますが、埋め立てには非常に種類が多くございます。地方の実情を一番よく知悉しておりますのは都道府県知事ございますので、知事に権限をまかせるということにしておりますが、その知事の立場地方公共団体の単なる長であるという立場ではなくて、国の行政事務をまかされているという立場の知事でございます。したがいまして、法改正前におきましていろいろ通達も出しておりますし、また今度の法改正で免許基準というものをはっきり与えまして、五十ヘクタール未満の埋め立てにおきましても適正な運用が法律上保障されるような改正を企図した次第でございます。
  39. 井上泉

    井上(泉)委員 ぼくは五十ヘクタールとかいうようなことではなしに、いわゆる国が承認を与えるものは、たとえ一ヘクタールでも、極端なことをいえば寸土たりといえどもこれを埋め立てをするにあたっては府県知事の権限ではだめだ、少なくとも所轄大臣、国と合議の上承認する、もっと府県知事のものを押えるような、チェックするような、そういうものが必要じゃないかと思うわけなので、その点を大臣に問うておるので、ひとつそのことを大臣にお答え願いたいと思います。
  40. 金丸信

    金丸国務大臣 環境保全というようなものは非常に大切なときでありますので、そういうことを考えてみますと、先生の御指摘のことはまさにそういう意味でおっしゃっておられると私は思うわけでありますが、そういうことにつきましてひとつ十分検討して、その御趣旨を体してやるようにいたしたいと思います。
  41. 井上泉

    井上(泉)委員 私は大臣から先生と言われるほどの柄でもないわけですけれども……。  意見を申し述べることができる、こういうなにがあるのですけれども、異議の意見があった場合に意見を申し述べて、これをどう受け入れるか。ただ言うたなりで、意見を述べるということをやったから、縦覧に供して異議を申し述べることができるということでそれでお茶を濁す、いわゆる下世話にお茶を濁す、こういう取り扱いのように考えられてならぬわけです。その意見に対してはどういう取り扱いをするのか、これは実務的な担当者としての御意見を承りたいと思います。
  42. 川田陽吉

    ○川田政府委員 公有水面埋め立ては、直接、地方の当該海域において漁業を営んでいる人方の生活ともいろいろ非常に密接な関係がございます。そうした方々に関しましては、同意をもらわなければ埋め立てができないという制度になっております。またその周辺において当該埋め立てについていろいろ影響を受ける人もあるわけでございますが、市町村議会の議決を経て市町村長の意見を聞くという形におきまして知事が判断をして免許をするわけでございますから、そうした人方の意見を十分尊重して免許を慎重にやらなければならないという考え方でございます。ちなみに、横浜市等におきましてもいろいろ埋め立て計画があるようでございますが、そうした問題につきましても神奈川県知事は相当慎重な態度で臨んでいるという実情でございまして、意見につきましては十分尊重して埋め立ての事務を処理しなければならないということでございます。
  43. 井上泉

    井上(泉)委員 たとえば府県知事が、これは法四条の第三項で、「各号ノ一二該当スル場合ニ非ザレバ埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ス」こういうことになっておるわけで、その中で、たとえば「法令ニ依リ公有水面ヨリ引水ヲ為シ又ハ公有水面ニ排水ヲ為ス許可ヲ受ケタル者」あるいは「慣習ニ依リ公有水面ヨリ引水ヲ為シ又ハ公有水面ニ排水ヲ為ス者」、これらの許可がなければならないということになっておるわけですが、たとえば湾内の埋め立てをするときに、湾内に対しては、これは流域河川があるわけですから、その流域河川の関係住民、つまり排水河川としての関係住民の許可がなければいけない、こういうふうに解釈をしてよろしいのかどうか。
  44. 川田陽吉

    ○川田政府委員 先生指摘の件は、いわゆる第五条に関する水面の権利者という範囲には入りません。しかし、利害関係を受ける人方ということで、十分そうした人方の御意見も参考にして判断できるのはやはり知事が一番そういう立場にふさわしいということで、この法律の免許権者を知事にしてある次第でございます。
  45. 井上泉

    井上(泉)委員 それはあなたおかしいですよ。大体河川は排水になっておるでしょう。排水をするのは、いわゆる農業排水もあるけれども、あるいは生活排水もあるけれども、排水をその河川にたよっておる者が関係するのはあたりまえじゃないですか。これが関係しないということは私納得いかぬわけですが、どうですか。
  46. 川田陽吉

    ○川田政府委員 この埋め立ての施行区域内に直接排水したり、そこから直接水を引いている人はこの法律に基づく権利者でございますが、その周辺地域で湾内やなんかで水を引いている人というようなものは、やはり利害関係人の範囲に入るということでございます。
  47. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、河川局長がおいでになるから高知県の事情はよく御理解していると思うのですが、たとえば高知県の浦戸湾、浦戸湾には下田川、国分川から全部排水しておる。それは排水河川であります。その浦戸湾を埋め立てるにあたっては、こういう下田川とか国分川とかのこれに排水しておる関係住民意見を聞く必要はないのかどうか、この点一つ
  48. 川田陽吉

    ○川田政府委員 今度の改正で、知事が埋め立ての免許申請を受理した場合には告示をすることになっております。そして申請書を縦覧に供することになっております。そこで、先生ただいま御発言の方々は知事に対して意見書を出すことができるというふうに改正手続を入れた次第でございます。
  49. 井上泉

    井上(泉)委員 意見書を出すではいかぬですよ。意見書を出すというが、意見書を出したところでその意見書がどうなるか。その意見書の取り扱いは、その意見書を聞かねばならないという規定はないでしょう。それに関連がある者の許可がなければならない。つまり、「権利ヲ有スル者」こういうことになっておるから、この「権利ヲ有スル者」として意見書を出すのではなしに、やはり埋め立ての許可申請を出す場合には、これに対する関係のある者の許可が要るという、いわゆる権利者として関係住民を認めるのが、私は埋め立てがきわめて住民の意思に沿って行なわれるゆえんになると思うわけですが、それをあなたの言われるように意見書を出したらそれでいい、意見書を出す道があるからということでやられると、これは関係住民としてはたまったものではないわけです。やはり関係住民の、この条文にもはっきり書いてあるとおり、私は、排水をしておる者がこれはいかぬといったら許可してはならぬ、こういうふうに条文というものをすなおに解釈をしたいと思うのですが、そういうすなおに解釈をするのは間違いでしょうか、もう一回……。
  50. 川田陽吉

    ○川田政府委員 第五条におきまして、同意を得るべき対象というものは地域的に非常にはっきりとした権利者でございます。埋め立て区域そのものに権利を持っている人の完全な同意をとらなければ埋め立てを免許することができないように書いてございますが、そのまわりの人ということになりますと、どの程度の範囲の人を入れるべきかという、権利の強さとか濃さとかいう問題と、また同時に区域的な広まりの限定の問題と、双方の点から明確な法律上の義務づけというのが困難なのでございます。しかし、そうした方々の御意見も十分拝聴しまして免許の判断の要素に入れるという趣旨で、意見聴取の、意見書提出の条文改正を行なったわけでございます。
  51. 井上泉

    井上(泉)委員 その埋め立ての区域というのは、たとえば五十ヘクタールを埋め立てするということは、その五十ヘクタールをさしていうのですか、どうですか。
  52. 川田陽吉

    ○川田政府委員 直接の埋め立て区域と、またその埋め立て工事に必要な土取り場とか、そういうごく限られた範囲の区域をさしております。
  53. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうふうないわゆる埋め立て区域と称する区域だけなら、そこで排水もしてない、あるいはそこから取水もしてない、そういうことならばその人の認可は要らない、許可は要らない、こういいましても、そこのところを埋め立てすることによって、排水をしておる者のいわゆる遊水池というものの面積が狭くなるでしょう。やはりそこは直接に、間接じゃないですよ、直接にその埋め立てすることによって関係を有する住民ということになると思うわけですけれども、これはならぬですか。もう一回……。
  54. 川田陽吉

    ○川田政府委員 利害関係者であるということについては私どももそう思うわけでございますが……。
  55. 井上泉

    井上(泉)委員 それでよし。それで、利害関係者であるということはこれらの許可が要る、こういうことに考えられるわけですが、大臣どうですか。
  56. 松村賢吉

    松村政府委員 ただいま埋め立て区域に対する排水の問題等ございましたが、これに流入する河川、こういうものにつきましては、もちろん免許する際に十分打ち合わせするわけでございます。特に一級河川にかかるものの埋め立て、これにつきましては現行法規におきましても、これは大臣が認可をするということになっております。そういう関係から、こういう河川に関連する排水、これは十分チェック機構がございますし、地元の意見も尊重して免許するというような形になるわけでございます。
  57. 井上泉

    井上(泉)委員 漁業権の場合は、これはこういう埋め立て区域内では漁業はしてないけれども、その区域の外では漁業をしておる、そこで埋め立てができると勢い漁業権というものは影響を来たすわけですが、こういう場合における漁業権権利というか、そういうものはどういうようになっておるのか、水産庁の御見解を承りたいと思います。
  58. 増満二郎

    増満説明員 お答えいたします。  漁業権者が漁協であります場合が多うございますが、そういう漁協が漁業権の得喪、変更、行使規則の変更、廃止というようなことを伴います埋め立てにつきまして同意をいたします場合には、水産業協同組合法という法律がございますが、その法律の四十八条、五十条という規定に基づきまして特別議決ということで、関係者の多数の意見が反映いたしますように特別議決という規定を設けております。したがいまして、この規定によりまして組合員の大多数の意見が反映されるわけでございますが、水産庁といたしましては、埋め立て問題は非常に漁業関係が深いわけでございますので、関係漁民の納得の上に埋め立ての同意を行なうよう指導してまいりたい、かように思います。
  59. 井上泉

    井上(泉)委員 水産庁にお伺いするわけですけれども、この埋め立てが非常にやられておるわけですが、埋め立てがやられたことによって一番被害を受けておるのは漁業者だと思うわけです。この漁業者が被害のないという埋め立て、私はそういう例を聞いたことがないわけです。それなら、いま建設省から説明のありましたような埋め立て区域内ということの中に漁業権というものはどの範囲まで及ぼすのか、そのことをひとつ承りたいと思います。
  60. 増満二郎

    増満説明員 この場合の漁業権は、埋め立て区域内の、その漁業権の区域にあります漁業権というふうに考えられます。漁業埋め立てが与えます影響は非常に広うございます。それで、その漁業権がありますところが埋め立てられますことによる影響と、それから、そこのところは埋め立てられませんけれども周辺の漁業権がありますところに影響が及ぶ場合と二面ございますが、その埋め立てられますところの漁業権が、おっしゃいました漁業権に当たるというふうに思います。
  61. 井上泉

    井上(泉)委員 この埋め立てというものは知事の許可権限ということになっておるけれども、なっておることによって、大体その埋め立てをする者は都道府県知事が埋め立てを願うわけで、自分が埋め立ての申請をして自分が許可するわけですから、だから埋め立てがどんどん進んでおるわけです。そこをチェックするために国がこれに対して合い議をしなければならぬ、あるいは今度の法律も若干そういう面が加味されておると思うわけですけれども、しかし小規模埋め立てになるとそのまま素通りにするきらいもあると思いますし、ましてやこういう法案が出ると、これはたいへん埋め立てがきびしゅうなるから、直ちにかけ込みで埋め立ての申請をして、港湾審議会の答申ももらって、早うに埋め立てをするように知事が許可しようとするような、そういう動きというものが全国に出ておりはしないか、そういうことを心配をするものでありますが、その点についての状況と、さらには、このような公有水面埋立法の一部改正では、今日の環境悪化、漁場の汚染あるいは浸水、防災、あらゆる面からもこういう埋立法規制ではまだ不十分だと思うわけですが、これをもっと根本的に、つまり明治憲法によるところの埋立法ではなしに、つまりかたかなの埋立法ではなしに、ひらがなの、いまの憲法による埋め立て、いまの時代に即応した埋立法改正するべきではないかと思うのであります。その点についての建設大臣の所信を承って、私の質問を終わります。
  62. 金丸信

    金丸国務大臣 かけ込みのような埋め立てがあってはならない、まさに私も同感であります。そういうことのないように行政指導は十分にいたしたいと思います。  なお、この法案の全面改正という問題につきまして、まず第一に、大正十年以来の法案でかたかなだということでございますので、まことに文体をなしておらぬ、その内容もしかりであります。これも早い機会に改むべきだ、こう私は考えております。
  63. 服部安司

    服部委員長 柴田睦夫君。
  64. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 東京湾埋め立てのことについてお尋ねいたします。  東京湾が汚染されてきて、そのことが問題になって久しくなるわけで、汚染対策ということもいろいろいわれますけれども、一向に改善されない。東京湾を汚染する原因はいろいろあるわけですけれども、無計画ともいうべき無謀な膨大な埋め立てがその大きな原因をなしていると思うわけです。私は千葉県に住んでおりますので、振り返ってみてもこのことを痛切に感じます。全国的にも、工場地帯の造成あるいは関連施設を中心にしているものが、やはりどこでも大きな原因をなしていると思うわけです。  先日運輸省からいただきました資料によりますと、千葉県は戦後、海岸を埋め立て造成した土地が三千九百万平方メートルになっております。しかもこれに造成中のものが二千九百万平方メートル加わるわけです。さらに埋め立ての申請がなされているものが七百四十二万六千八百七平方メートル、こうなっております。  まず運輸省にお尋ねしたいのですが、このいただきました資料の中で埋め立て希望地というのがありますけれども、その中には千葉県の富津沖の埋め立ては加わっているわけですか。
  65. 岡部保

    岡部政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの私どものほうで出しましたいわゆる港湾区域内の埋め立ての問題でございますが、富津沖の埋め立て計画、これにつきましては、一部港湾区域内に入っておりますが、むしろ港湾区域外のほうが多いということで、全面的に入っておる筋ではありません。
  66. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 千葉県の埋め立て区域に限っていいのですけれども埋め立てして造成された土地のその後の利用状況、利用区分ですか、工場地帯は何割くらい、住宅用地は何割くらい、この程度で示していただきたいと思います。
  67. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの御質問でございますが、東京湾のうちでも千葉県に限りまして申し上げます。千葉県地先の港湾区域内で埋め立てをいたしまして造成済みの戦後の面積と申しますと、ヘクタールで申しまして四千六十四ヘクタールでございます。このうち住宅用地が三百四十三ヘクタール、公園緑地はわずかに二十七ヘクタール、工場用地が三千二百一ヘクタール、その他が、これは港湾、道路等いわゆる公共用地が主体でございますが、四百九十三ヘクタール。それから造成中の面積でございますが、総量で二千九百二ヘクタール。その内訳は、住宅用地で三百五十ヘクタール、公園緑地で百三十二ヘクタール、工場用地では千九百二十八ヘクタール、その他が約四百九十ヘクタールであるということでございます。
  68. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 富津沖の埋め立てについては、これは全体で二百六十四万八千坪という計画がなされておりますが、その大部分が工場用地になるようであります。資料によりますと、完成後、この工場へ製品の出入荷のために、船舶が一日九十六隻、鉄道は一日百七台、トラックは一日四千七百十二台が出入りすることが予想されているわけです。そうしますと今度は道路の環境、あるいは鉄道をつくる関係での環境の変化、それから船舶の増加に伴う海上汚染というような環境問題が当然生じてくるわけですけれども、こういった製品の出入荷についての環境対策について、見解をお尋ねします。
  69. 岡部保

    岡部政府委員 この富津沖の計画につきまして、これはまだ具体的に私どものほうの手続に入っておるわけではございませんが、千葉県でいま一生懸命計画を練りつつありますし、それからいま先生のおっしゃいましたようないろいろな環境問題、あるいは周囲に対する問題等々について、県当局でいろいろ検討いたしておる最中でございます。もちろん県のいろいろな審議会で何回も審議されたということも伺っております。  そこで、環境問題につきまして私ども、これは上物と申しますか、ここへ進出をしてくる企業の環境問題、たとえば排気であるとか排水であるとか、そういうような問題につきましてのことは、むしろ環境庁にお話しいただいたほうが正確だと存じますので、私としてはこの埋め立てによって潮流がどういうふうに変わるかという点、それからここでの交通の問題の二点についてしぼってお答え申し上げます。  まず潮流の問題でございますが、富津沖の現在計画しておられる程度埋め立てであるならば、東京湾の潮流の変化については、水理の模型実験を行なった結果では、さしたる変化がないという結論を得ております。  それから交通の問題につきましては、これは必ずしもまだ十分の検討は済んでおりませんが、ただ現段階で、もしも中のほうに入ってくるという交通量が一部でも外側へ持っていければ決してマイナスではない。ただ、確かに先生のおっしゃるように相当な交通量がございますので、この点はもう少し検討さしていただきたいという考え方でございます。
  70. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 いまの点について環境庁の見解も伺いたいのですが、ついでに、産業廃棄物の計算が月に千四百七十九トン、それから一般の廃棄物が二百十四トン、産業廃棄物と一般の混合物が九千百二トン、合計一万七百九十五トンの廃棄物が出てくる。これについての対策が問題になると思うのですけれども、あわせて環境庁の意見を伺いたいと思います。
  71. 岡安誠

    ○岡安政府委員 富津の埋め立てに伴います環境汚染対策の問題でございますが、私ども、まだ富津の埋め立てに伴います工場立地の内容等につきまして詳細に承っておらないので、具体的にお答えするわけにはまいらないのでありますけれども、一般的には、やはり東京湾のように非常に汚染のおそれのある地域につきましては、埋め立ては厳に規制すべきものと考えております。しかし埋め立てをする場合には、その埋め立てがやはり必要不可欠だ、それから環境保全上問題がないというようなことになった場合に初めて埋め立てが認められるということは望ましいと考えておるわけでございまして、この富津につきましても具体的に立地企業がきまれば、水質汚濁、大気汚染の見地から厳重にチェックをいたしたい、かように考えております。  それから廃棄物でございますが、これは一般的には、産業廃棄物につきましては企業自身が責任をもってこれを処理すべきものでございまして、お話しのように膨大な廃棄物が出る予定のところにおきましては、その処理計画もあわせて事前にチェックすべきであろうというふうに考えます。また一般廃棄物につきましては厚生省の所管でございますけれども関係市町村が十分処理し得るような体制を事前に備えるということが望ましいというように考えております。
  72. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 大気汚染の問題ですけれども、千葉県のあの京葉工業地帯を中心とする大気の汚染が大きな問題になっております。この富津沖での埋め立て、その後の工場の設置によって出てくるものが、窒素酸化物が五社で一時間に千八百六立方メートル、硫黄酸化物が四百八十六立方メートル、それからばいじんなどで一時間に三千百七十四キログラム出てくるわけです。すでにぜんそくだとかいろんな問題の公害が生じているところで、さらにこうした大気を汚染するものがあらわれるということについての見解を環境庁にお伺いしたのであります。
  73. 河野義男

    ○河野説明員 京葉工業地帯、特に富津地区の工場進出に伴います大気汚染につきましてお答え申し上げます。  大気汚染の問題につきましては、先般窒素酸化物につきまして環境基準を設定しましたし、また硫黄酸化物につきましても従来の環境基準を改定、強化されたところでございまして、非常にきびしい基準になっております。今後この環境基準を維持、達成するために、規制の強化をはかってまいるわけでございます。この地域につきましては汚染のかなり進んでいる地域でございまして、工場進出に伴いましてさらに汚染が進行するということは当然考えられるわけでございますから、工場立地等についての具体的な計画についてまだ話は聞いておりませんが、今後の開発行為にあたりましては、大気汚染防止という観点から厳格なチェックをしてまいりたい、かように考えております。
  74. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 その関係で最後に、一つは、結局工場が新しくつくられて人口が集中する。その場合に、先ほどの運輸省の資料からも緑地が非常に少ないわけで、富津の場合もこの緑地の計画がわずかに四%しか立てられていない。そしてその緑地が一般の芝生のようなものでは、実際上人間の生活環境としては間に合わないと考えるわけですけれども、この緑地の四%という計画については、環境庁はどうお考えですか。
  75. 河野義男

    ○河野説明員 環境保全するための対策といたしまして、緑地とかあるいは環境施設、それから先ほど申しましたような規制の強化、こういう対策が当然講ぜられるわけでございますが、この富津地区につきましては、具体的な計画が出された段階におきまして総合的に評価、チェックをしてまいりたい、かように考えております。
  76. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 そういう見解で見た場合に、今度の公有水面埋立法改正の中で「国土利用上適正且合理的ナルコト」「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」と、いろいろ免許の基準が新しくつけ加えられておりますけれども、この人間の生活環境を守る、それから公害によって人体に悪影響を及ぼさないという面で厳格な規制ができることになっているかどうか、そこをお伺いします。
  77. 川田陽吉

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  埋め立て地につきましては、環境保全とそれから施工中その他の災害防止につきまして十分配慮しなければならないという点は当然でございますが、なお三号におきまして「埋立地ノ用途が土地利用又ハ環境保全ニ関スル国又は地方公共団体法律ニ基ク計画ニ違背セザルコト」という両方の面で、裏表でもってきちんと環境対策配慮して埋め立ての免許をやるようにという趣旨でございます。
  78. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 埋め立てという場合は、これは大きな計画がなされると、現実には自然が大きく破壊されていくことになるわけです。たとえばいま富津沖なんかの場合でも、ここでは海浜植物が内湾性のものと外湾性のものとがみさきの両端に共存するという全国でも珍しいような植物があって、天然記念物に指定されているということもあるわけです。そして東京湾埋め立ての場合は大体が干がたなんですけれども、この干がたを埋め立ててしまうと、海の様子がすっかり変わってしまう。干がたは自然の浄化作用をなすものであって、これは、千葉県などにあの干がたがあった時代から住んでいる者から見ると、まさに人間の生活にとって貴重なものであるし、むしろなくてはならないものであるというように考えざるを得ないわけです。こうした人間にとってよい環境をなくして、いまこれが現実に東京湾埋め立てになっているわけですけれども、そしてさらに、この埋め立てをしたところには、先ほど言われました資料によっても、大部分工場地帯が進出して、ここで大気の汚染とかをして人間の生活破壊をやっていくというのが現実であるわけです。埋め立てて土地を造成する、あるいはその造成地の利用という問題については、やはりいまの段階では何と言ってもあらゆる種類の公害を完全に防止する、そして環境保全ということについても厳格な、妥協のない審査がなされなければならない、こう私は考えております。そして公害防止という保障がない限りは、人間の生活にとって非常に重要な海を埋め立てていくということはもう認めるべきではない問題である、こう考えるわけです。特に東京湾のように、すでに人口が過密化し、その海のほとんどが埋め立てられて、昔のなぎさもほとんどなくなってしまっている、そういうところにおいてはこれ以上埋め立てすることは許されるべきではない、こういうように考えるものであります。  そういう意味で、この公有水面埋立法改正というのは、これは一面認可の、免許の一定の基準を設けることによって埋め立てを進めるような性質を持っているのではないか。むしろ、公害という面からこの埋め立てを厳重に規制する取り締まりという性質の法律にならなければならない、こう考えますけれども、この点についての見解をお聞きします。
  79. 川田陽吉

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  公有水面埋立法は、表現としては全く純粋の手続法として発足した大正十年の法律でございますが、このたびの免許基準の条項の挿入というような点、追認制度の廃止というような点から、埋め立て行政につきましては環境にも十分配慮し、また制度の運用が乱にわたらないように十分配慮して、適法な埋め立てのみをやるようにという精神を盛り込んだ次第でございます。
  80. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 ちょっと時間がありますので……。  東京湾横断道の建設計画がいろいろいわれておりましたけれども、この建設計画というのは現実にどこまで進んでいるのか。そして東京湾総合開発審議会というのがあって、新聞によりますと、美濃部都知事がこの審議会から脱退する。というのは、東京湾の横断道というのが東京湾環境を悪化する、そしていろいろな面からそれが説明されておりますけれども、そういうことから脱退されるということになったようであります。この東京湾横断道が東京湾環境上どういう影響を及ぼすか、そういう点についての検討がなされているかどうか、その点についてお伺いします。
  81. 金丸信

    金丸国務大臣 あとの問題につきましては道路局長から御報告をいたしたいと思いますが、前段のことにつきまして、美濃部知事が協議会を脱退するというようなことは、新聞で私も読ましていただきましたが、実はその内容の詳細はまだ本省でつかむことができておりません。あるいは新聞辞令かもしれぬという感じもいたすわけでございますが、その内容の詳細は全然つかんでおらぬということで、また千葉県の友納知事のほうに聞いてみましてもそういうことをまだ聞いておらないという状況でありますので、いまの状況ではまだその点ははっきりしてないということだけ申し上げます。  後段につきましては道路局長から御説明申し上げます。
  82. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいま御質問の横断道路の問題でございます。これは東京湾の湾岸道路がございます。東京湾をずっと一周する考え方の道路でございます。その中の一環といたしまして、房総半島と三浦半島を結びますのに一番湾口の部分と、それから川崎——木更津を結びます横断道路という、二つの考え方で循環する道路の計画でございます。これは、東京湾周辺のいろいろな施設がございます、いろいろな関連の事業がございますが、そういう関連のものを結ぶ、相互に連絡する道路として、また東京の都心を通らずに抜けていけるバイパス道路として、あるいは東京の工業が房総のほうへ分散するというような、工業の再開発というようなことも考えまして、非常に湾岸としての道路の価値がある、その中の一環でございます。  それで横断道路でありますので、東京湾の中に道路をつくりますので、そういうことによる東京湾の潮流がどうなるか、あるいは東京湾の水質がどうなるかというようなことは非常に重大な問題でございますので、これは建設省のほうでもいま相当調査を進めております。その結果によりますと、潮流もほとんど影響はない、また水質につきましても、この横断堤をつくることによって水質がよごれるというようなことはないというようなことで、いまいろいろさらに詰めた調査を進めておるところでございます。  それから、先ほど大臣お話しありました東京湾総合開発協議会でございますが、東京、千葉、神奈川、埼玉、それに横浜市、それ以外に関係地方公共団体ということで市がたくさん入っております。それから各企業の民間団体あるいは企業の代表者という形で、それは任意団体でございますが、東京湾の総合的な調査をやり、また研究をやり、そして開発計画を促進するという意味の団体でございます。で、これは会長が持ち回りでありまして、ただいまは千葉県知事が会長でございます。二十二日の毎日新聞の夕刊で東京都知事がそこを抜けるという話が出ておりましたが、まだ公には何の話もございませんので、どういうわけで抜けるのか、実は私どももまだよくつかんでおりません。ただ、この協議会といたしましては、特に四十八年度の事業の第一点に公害防止対策を進める、自然環境保全。父回復につとめるということがまず第一項目にあがっておりまして、第二項目に東京湾の湾岸道路の、あるいは横断道路を含む道路の整備あるいは港湾の整備というようなことが次々出ておりますが、特に抜けなければならないという理由はよくわかりません。
  83. 服部安司

    服部委員長 柴田君に申し上げます。持ち時間が……。
  84. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 時間が参りましたので終わりますが、いまいろいろ言われましたので、それらの資料を特に明らかにされることを要求して終わります。
  85. 服部安司

  86. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この法案について、たとえば鉄鋼業界とか電力業界とか、それから石油業界とかから、反対の気持ちがそれぞれのところに陳情されているということを漏れ承っておりますが、そういう事実があるかどうか、最初に承っておきたいと思います。
  87. 金丸信

    金丸国務大臣 建設省の私のところには参って一おりません。
  88. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 運輸省はどうですか。
  89. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 私のところにも直接には来ていないです。
  90. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 環境庁にお伺いをしたいと思います。  ちょうど大臣もお見えになりましたので伺いたいと思うのですが、去る二月の十四日でありますか、瀬戸内海環境保全についての知事・市長の会議が環境庁で開かれまして、その際に三木長官から、瀬戸内海の実情をとらえて、瀬戸内海を死の海にしてはいけないという立場から幾つかの問題点指摘されております。その中の第一の条件の中に、瀬戸内海の新規の埋め立ては当分やめる、事業が進行中のものも再検討する、こういう立場を明らかにされ、以下工場の新増設には厳重な規制を加える、三番目に工場の排出規制を強化し、総量規制を行なう、四番目にオイルタンカーの規制、五番目に土石採取の中止、六番目に沿岸の都市計画を洗い直し、末端処理施設まで含めた下水道の整備、その裏づけに国は財政の援助をする等々、この会議に長官が提案をされておられますが、それは事実であるかどうか、さっそく長官から伺いたいと思います。
  91. 三木武夫

    ○三木国務大臣 御指摘のように知事会議をいたしまして、そのときに申したことは、すでに埋め立て免許を受けておるところは取り消すというわけにはいかぬ。しかし新規の埋め立てについては、全部ストップということはなかなか問題がありますから、極力抑制をする。そうでなければ、ただでさえも汚染しておる瀬戸内海が次々に埋め立てをやって、そして瀬戸内海を浄化することは不可能でありますから、極力抑制するのだということを私は申したのであります。またあまり時間もたっておりませんから、そのことがきいたかどうか知らぬが、新規の埋め立ての申請はないということであります。
  92. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 新規だけでなくて、現在事業が進行中のものも再検討するというふうにおっしゃっておられて、その長官の発言を含めて若干の事情の変化がその後起こっています。そのことを含めて、二月からもう四カ月経過しているわけですが、環境庁長官方針がその後具体的にどんな形で成果をあげてきているか、あるいは問題を残しているか、この点について御意見を承りたいと思います。
  93. 三木武夫

    ○三木国務大臣 御承知のように、瀬戸内海というものはいまにしてこれを浄化の方向に踏み切らないと、永久に美しい瀬戸内海は返ってこないと私は思うんですよ。そういう点で、免許を受けた埋め立ては、行政一つの安定性からいっても、いままでの免許を受けておるのを私が出てきて取り消すというようなことは、そういうことはやはりやれるものではないわけですが、しかし免許を受けた埋め立て地も、それは再検討する必要がある、瀬戸内海を浄化するためには。それは各県知事に対して再検討を求めたことは事実でございます。われわれの立場からすれば、これは全体の総量規制をやろうとしていますからね。またしかも工場に対しての規制、いろいろな排出物に対する規制は強化していきますから、その上総量規制をやるわけですから、そういう形で、簡単に企業がいままでのように、企業はみなが呼んでくればいいんだという時代は過ぎたですからね。そういう点で今後の工場の立地に対しても、環境基準からやはりその種類というものは変更を求めることもある、こっちのほうは。その環境の基準を守るために、こういう工場が次々に来たのでは環境が守れないということで、その立地される工場に対しての環境面からくる制約を受けることは当然にあるわけですから、そういうときには指導を行なうということでございます。環境庁は環境というものを守るという立場から、そういう環境基準に照らして埋め立てなどに対する指導を行なうというのが基本立場ですから、これはますます厳重にしていこう。瀬戸内海をきれいにしたいわけですから、これ以上よこしてはだめだということになってくると、今後の埋め立てにしても、工場立地に対しても相当きびしい態度で環境庁というのは臨まなければ、やはりなかなか瀬戸内海の浄化はできないという態度で臨む考えでございます。
  94. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いまの長官のお答えは、この埋め立てに関して、いわゆる大臣がいつもおっしゃっていらっしゃる環境アセスメント、この手法を取り入れるという考え方と理解をしてよろしいかどうか。とりわけその中で土地の利用区分などをはっきりさせて、いわゆる自然保護、あるいはまた干がたの保存というような問題についても考慮されるべきだというふうに考えますが、その点はどうかということが一つ。第二に、少しでも公害が発生をするという可能性がある場合には、やはり事前防止の手だてというものをきちんとしなければならない、それが保障されなければいけないという問題点。第三番目には、造成工事中の土砂やあるいは埋め立て地ができて起こる海の流れの変化とか、あるいは生態学的に著しい悪影響があるかないか。これらの問題を含めて、つまり環境保全の問題をやや広く理解をした上で環境アセスメントの手法を取り入れる用意があるかどうか、この点について承っておきたいと思います。
  95. 三木武夫

    ○三木国務大臣 御指摘のとおり、環境保全というのは、窒素酸化物が幾ら、硫黄酸化物が幾らというような狭いものではない自然環境、あるいは生態学的な、いまおっしゃられた人間と環境の持っておる微妙な相互関係をこわしてしまったら、いろいろな災害を人間がまたかえって受けるわけですから、そういう点で広い意味環境保全のアセスメントというようなもの、そういう意味のアセスメントをやるわけであります。やはりこれからの日本産業というものは、公害防止に対する企業の能力いかんというものに、企業発展の一つの競争力があらわれるのじゃないでしょうか。みな企業がいままでは公害というものにむとんちゃくであったわけですけれども、これだけの大きな社会問題、公害問題というものを起こしたら、企業が大きな公害問題を起こしたら企業の存立の基礎があぶなくなりますよ。だからどうしても企業とすれば、そうなったからというのでなしに、企業の社会的責任を考えても、公害をなくしながらどうして生産の面における効率をあげるかということが企業の競争の中心になる。それを怠る企業はこれから立っていかないんだと私は思うのですね。そういう意味で、言われるとおり公害防止ということにどれだけの能力を発揮するかということが、企業のこれからの一つの発展の基礎になる、その点は御意見のとおりだと思っております。
  96. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 たいへん御親切な答弁をいただいておりますが、そうしますと、今度の法律改正で、四十七条の二項で「環境保全上ノ観点ヨリスル環境庁長官意見」を求める、この程度ではなかなかチェックできないのではないだろうか。たとえば、環境庁長官がここできちんと埋め立てについて意見を述べることができて、規制することができる、そういう権限をもうちょっとはっきりさせるべきではないか、このように思いますが、その点はいかがでしょうか。
  97. 三木武夫

    ○三木国務大臣 意見を述べるということで、これは事前にいろいろな協議を受けますから、もっと強い何かのほうがいいという御意見もあると思いますけれども、これで十分にやはり目的は達成できると思うのですよ。何かといったら、環境保全という一つの大きな役割りを環境庁が持っておるわけですから、そのことからくる環境のアセスメントというものをルーズにやったら、それからくるものに対しての責任を受けるのは環境庁ですから、意見であろうが同意であろうが全責任を負うわけですから、そういう点で、ことばが弱いから環境庁があまりものを言えないのではないかという心配はないと思いますね。それはそうしなければ、責任を負うものは環境庁ですからね、かぶってくる。環境庁がいいと言ったからと、こう言いますからね。そういうことで、意見を言うことができるというのは、環境庁がそのことばの基礎の上に立って強い発言力を持つことは私は可能であると考えております。
  98. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 人によって強いか弱いかがあらわれてくるようなことでは困るわけで、これは副総理だから強いだろうけれども、そうでない人ではどうであろうかということについては疑念があるわけであります。したがって、いまことばにあまりこだわらないでとおっしゃるわけですが、やはりこれは環境庁長官の同意を必要とするというようなはっきりした立場を明らかになさるべきだということを、副総理なんですから、やはり閣内で主張をしてその立場を生かすようにすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  99. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは勧告できることになっていますから、意見を述べるだけでなしに。そのとおりに、意見を述べてもそのことが実際の上にあらわれなければ勧告することもできますから、そういうことで、そんなに私はこれによって環境保全立場が弱められるとは思ってないです。必要があったら勧告いたします。
  100. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうもこれでやりとりをしていると時間がたってしまいますから、ここはやはり最後まで問題が残る、そのことを申し上げておきたいと思います。  次に、建設大臣に伺いたいと思うのですが、長官の二月の発言以後、たとえば瀬戸内海だけとらえてみても、周防灘の開発計画のたな上げという問題だとか、あるいは新産都市大分の二期計画のうち八号埋め立てを中止せざるを得ないとか、そういう新しい問題が起こっているわけであります。それは環境庁長官の発言だけがおもなる理由ではないかもしれません。地元の反対運動、住民運動その他を含めてそれらの問題を指摘することができるのでありますが、それらのことから新全総が基本的に手直しを迫られておるというふうに考えてよいかどうか、伺っておきたいと思います。
  101. 金丸信

    金丸国務大臣 新全総の手直しということとは別に、いまこの公害の問題につきましては、私は当然もういまの大きな政治問題でありますし、またこれをやらなければ環境破壊されていく、人命に影響がある、こういうことでございますから、そういう意味でこれはどうしてもやらなければならないことである、至上命令である、こういうように思っております。
  102. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 運輸省にお伺いしたいと思いますが、この法案の四十七条との関連で、いま問題になっている関西新空港計画についてお伺いをしてみたいと思います。いま航空審議会で、場所の問題を含めて審議が進められておるそうでありますけれども、この結論はいつごろ出て、いつごろどんな答申が行なわれるか、承っておきたいと思います。
  103. 佐藤文生

    ○佐藤(文)政府委員 お答いたします。  ただいま関西国際新空港は航空審議会で検討中でございます。特に航空審議会の中の関西国際空港部会というのがございまして、その部会で検討中でございまして、大体煮詰まりつつあると思います。近いうちに答申があるやに聞いておりますが、まだ明確な時期は承知いたしておりません。
  104. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 やはり運輸省にお伺いをいたしますが、運輸省が一般に公表した、いわゆる関西新空港の資料によれば、新空港は海上埋め立て案を主候補にしておる。そして面積は成田空港の二倍、離着陸の処分能力は年間を通して大阪空港の何と二・六倍だそうでございます。完成の暁には東洋一の大空港になること、あるいは関連施設まで入れますと建設費は軽く一兆円をこすといわれておりますけれども、そのように理解をしてよろしゅうございますか。
  105. 佐藤文生

    ○佐藤(文)政府委員 細部の予算とかあるいは規模については、明確にそのとおりでございますと言うわけにはちょっといかないと思います。審議会の答申を得て、その内容を検討して、予算の規模なり、あるいはどういう埋め立て方法をやるのか、あるいは埋め立てと、日本の船舶技術を生かした浮上した滑走路をつくるか、そういう技術的問題についてはまだ答申を得ていませんので、答申を得てから明確に御返答申し上げたいと思っております。
  106. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 環境庁長官にお伺いいたします。いまの関西新空港の建設に関連をしまして、いま裁判でも争われておりますけれども、いわゆる騒音の問題、大気汚染の問題、あるいは埋め立て、しゅんせつの関係からくるいわば瀬戸内海水質汚濁の問題、あるいは大阪に至る道路交通のふくそう化の問題、その他含めまして、新空港が持っているいわゆる埋め立て方式といわれるものにいろいろな問題があらわれておると思うのであります。とりわけ、この法律案との関係を見るならば、環境庁の、さっき大臣から御答弁いただきました環境アセスメントという考え方から見て、この新空港に対するいわゆる環境アセスメントの手法をどんなふうにおとりになっておるか、伺っておきたいと思います。
  107. 三木武夫

    ○三木国務大臣 この新空港の問題というのは、われわれとしてもこれはやはり厳重な環境調査をしなければならぬ。それは一体どこに置くのか、どういう形態か。これが海流に対してどういう変化を与えるか、水質に対するどういう変化を与えるか、生態学的な変化というものが大事ですよね。それからまた工事中における海洋の汚濁という問題があるわけです。また、いま御指摘のような騒音というものが一般の住民に対してどういう影響を与えるであろうか。それから油というものは一体どういう形で油を搬入するのか、それが油の海上の汚濁というものとどう結びつくか。また空港自体のいろいろな排水とかあるいは廃棄物の処理というものは一体どうしようとしておるのか。あるいはまたそういう空港ができて海上の輸送というものもいろいろといまよりもふくそうしてくるでしょう、それがやはり衝突の事故なんかにおける油の汚濁の問題もある。これは、環境アセスメントというものは、空港というものにおいてはきわめて重大な問題を含んでおりますから、これはまだ場所もきまってないくらいですから具体的にというわけにはいきませんけれども、運輸省にも常に申してあることは、この問題は事前に十分な連絡をとって環境アセスメントをしなければ、この空港というものは軽々に決定することはできぬということを申してある次第でございます。
  108. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大阪湾といってもそれほど広い面積であるわけではないわけであります。その中のどこをとるかということを考えてみても決して広い面積じゃないわけです。その意味では、さっき一番最初に長官がおっしゃったように、瀬戸内海埋め立てはもうこれから認めたくない、そういうふうにおっしゃっている立場、それからいまおっしゃった環境アセスメントの考え方、これはだれが見ても明確に、地元の住民のあるいは大阪府をはじめとする近隣の市町村の反対決議ということを含めて、いま重要な問題になっていると思うわけでありますが、これについてもう一ぺん三木長官に、たとえば運輸省がいま航空審議会の中で議論をしているさなかに、環境庁としてそれらの問題をきちんと申し入れていく、そしてその議論の中にそういう配慮が生かされていくという手続をとるべきではないかというふうに考えますが、見解を承りたいと思います。
  109. 三木武夫

    ○三木国務大臣 すでに運輸省に対しては、環境アセスメントとしてわれわれが問題にする項目に対しては連絡してあるわけです。こういう角度から関西新空港については十分な検討を遂げなければならぬということをすでに運輸省とは連絡をいたしておるわけでございますから、これがいろいろきまってから環境調査にかかるというような、そういう方式はとりたくない、やはり事前に参画したいという考えでございます。
  110. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それでは、ぜひこの際に申し入れておきたいと思うのですが、環境庁が調査をいたしましたら、そのアセスメントにかかわる資料をできるだけ大衆に公開していく、そしてとりわけ住民運動にかかわっている人たちに、あるいは大阪や関係の市町村に対して明らかにしていく、こういう態度をお約束できるかどうか、承っておきたいと思います。
  111. 三木武夫

    ○三木国務大臣 伊丹などであれだけの大問題を起こしているわけですから、ことに騒音問題というのはこれから空港として大問題になってくるわけですから、われわれが調べましたことはこれは公にして、やはり住民の人たちが安心できるようなことでないと、空港はできた、反対運動はいつまでも続いていくというのは安定した空港を利用する道ではありませんから、できるだけ明らかにしていく。その上で合意を求めるように持っていくべきだと思っております。
  112. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 すでに指摘をされているように、たとえば飛行機が離着陸する場合に、ジャンボが燃料を満載にして離陸する場合には、七十ホン以上の騒音範囲というものは幅が六キロで延長が四十キロだというようなことは統計的に明らかにされております。あるいは着陸のときでも幅が四キロで延長は二十キロ以上が七十ホン以上の地帯になるということがいわれているわけであります。だから陸上部に七十ホン以上の騒音を及ぼさないためには飛行コースを海岸から何キロか離さなければなりません。三キロ以上といわれておりますけれども、それはそれとして、その場合に、たとえば中央公害対策審議会の特殊騒音専門委員会が航空機騒音環境基準案というものをことしの四月十二日に明らかにしております。これは御承知のとおりに加重等価平均騒音レベルが七十ホン、こういうふうになっていることは御存じのとおりであります。これらの問題を十分考慮して立地をお考えになっているかどうか、運輸省にお伺いしたいと思います。
  113. 佐藤文生

    ○佐藤(文)政府委員 現在航空審議会で審議しておりますが、私どもはただいま先生が言われましたとおりに、騒音対策、それから海水汚染に対する対策を最重点に配慮して位置の決定をすべきであるということで運輸省内で合意を見まして、そういう考え方で航空審議会の結論を待っております。御承知のとおりに、現在、位置はしぼられまして、泉南沖、それから神戸沖、それから播磨灘、それから淡路島、この四地区に焦点をしぼりまして、現在最後の結論を急いでいるわけでありますが、WECPNL、いま先生が言われましたその基準の七十ホンという基準以下にするためには陸地からどのくらい離せばいいか、それもやはり検討の一番重点でございます。そこで最低三キロにいたしましても、やはり三キロから五キロ以上、大体その間以上くらいに離しますとどういう地域でも大体七十ホン以下に押えられる、こういうことであります。したがって埋め立てる方法ということも、これは御承知のとおりに、今度の改正法の趣旨である国土の適正な利用、合理的な利用ということを考えながら、しかも環境保全が完全に維持されるかどうか、それから安全対策が確立できるかどうか、こういうことを十分に配慮しながらやはり建設の必要性が認められないと空港建設はできません。そして建設にあたって地域住民の合意が得られないと、成田空港で御承知のとおりに空港建設はできないわけでございます。そういうことを十分に配慮して、今度の改正法の趣旨である環境保全と安全基準というものを十分に考えながら工事にかかっていくということが基本であります。  そこで、埋め立てる方法をとるのか、あるいは先ほど言いました日本の船舶技術を中心にして今度運輸省でアクアポリス室というものをつくりまして、日本の船舶技術で海面十メートルに柱を建てて浮かばせますと五千メートルの滑走路も技術的に可能な段階にいま入っておりますので、一部は埋め立て、一部はそういう浮上した滑走路をつくるかどうか、そういう問題についてはいま答申待ちでございます。したがって、もしもその埋め立てをするとしたら先ほど言ったような基準でやらなくちゃならぬ。地元の合意を当然とらなくちゃならぬ。そして環境保全、特に海水汚染、それから騒音対策考えなくちゃならぬ。技術的には、私の聞くところによりますと、工事中といえども海水を汚染しない技術の開発ができているということを聞いておりますので、それに信頼をすると同時に、騒音対策としては、陸地からの、沿岸からの距離を三ないし五キロ以上離隔させるということ、それで七十ホン以下にWECPNLを落としていく、こういうことで両面考えております。特にアクアポリスは今度沖繩の海上博でそのテストをやりまして、陸地をそのまま持っていって船舶技術を生かした陸地をつくるということで、それは関西空港の滑走路の一つのテストケースになる、こういうぐあいに考えて、環境対策にはそういうことも技術的には開発中であるということで、私は航空審議会の答申を待ちながら、運輸省としては技術開発を急いでいるわけでございます。
  114. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いまの騒音の問題、それから埋め立てに伴うとりわけ土取り公害の問題、これは承るところによると一期工事だけで何と二億二千四百万立方メートルくらいの土が動いて、海水の汚濁やあるいは漁場の破壊、重大な問題を起こすおそれがあるというふうに指摘をされています。それだけではなくて、やはり飛行機の、あるいはジャンボの離着陸をする場合の窒素酸化物の規制、これらの問題も当然考えられなければいけないと思うのでありますが、これらの窒素酸化物の問題を含めて環境汚染の問題についての検討を、環境庁の申し入れを含めて運輸省として検討していらっしゃるか、この辺を聞いておきたいと思います。
  115. 佐藤文生

    ○佐藤(文)政府委員 航空機関係の音の環境、海水汚染と空気のそういったような汚染というものは、ある程度押し込めていかれるわけであります。特にNOxの問題についても、ジェットエンジンの開発で、その排気ガスの基準と申しますか、それを基準以下にもってくるという努力はいまなお続けております。自動車エンジンにおいては、御承知のとおり五十年のマスキー法並み以上に、一歩も譲らない措置で、アメリカは延ばしておりますけれども、延ばさない、−こういうことで、五十年規制で現在日本の二社だけはそれが成功して、一歩も譲らないということでやっていくと同じように、ジェットエンジンもそういう方向で指導いたしております。  ただ騒音の問題は、これはゼロにならないわけです。したがってこの騒音の問題については、滑走路から出るような場合においては、そのエンジンの騒音を空中に延ばすとか、あるいは横に振り向けて住民のほうに音をさせないとか、そういう特殊なボックスをつくる、そういう施設をつくるとか、それから排気ガスの出る方向を変えるとか、そういうことをしながら、ジェットエンジンそのものの音を下げるという対策と同時に、住民地域から飛行場の滑走路を隔離する、そういうような方法で音と排気ガスの規制という問題について検討を加え、さらに積極的にその問題と取り組んでおるということだけお答え申し上げておきます。
  116. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 時間がありませんから、最後に伺いますが、この新しい空港が、この法律案との関係でかなり埋め立て方式が規制されてきているというふうに私は思うのです。いま環境庁長官お話を伺ってもそうです。したがって別の手だてを考えなければいけないというふうに運輸省もかなり真剣に考えていらっしゃると思うが、その辺はどのようにお考えになっていらっしゃるか。この法律案と新しい空港の建設との関連であります。埋め立て方式による関連であります。
  117. 佐藤文生

    ○佐藤(文)政府委員 今度の法律の内容は、もう私が言うまでもなく先生が御承知のとおりに、埋め立て改正法案趣旨というものは埋め立てについての免許について、先ほど言ったように、国土の利用が合理的であるか、適正であるか、そして環境が完全に維持されるか、それから安全というものが確立されておるか、そういう問題について徹底的にこれを追及して、そうしてよりきびしい基準で免許しよう、こういうことでございます。したがって、関西新空港というものが必要であるかどうか、建設が必要であるかという合意を得ることが必要、それから免許する際において関係機関において、これは地元住民も入れまして、合意というものが得られるかどうかという問題、こういうような問題を考えて、環境汚染に対する対策と安全基準というものを十分考えながらやっていくとすれば、もしもそういうことが全部クリアされれば、私は、この改正法の趣旨の中において関西新空港の建設というものは可能である、こういうぐあいに考えておる次第であります。
  118. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 可能であるということを考えられただけでは困るわけでありまして、いま環境庁長官が言われたように、あらゆる角度から環境のアセスメントをやっていく、そうすればおのずから住民を含めて当該市町村あるいは県、そういうところの反対の理由というものも十分生かされなければならぬと思うのであります。そうなりますと、この法律がある意味で新しい空港の建設について非常に大きな規制の役割りを果たしている、私はそういうふうに思うし、そういうふうに思いたいわけであります。その点について最後にもう一ぺん、何かこの法律でちっとも問題はないのだという考え方では、さっきおっしゃった環境アセスメントの思想というものはこの法律に盛られてないわけであります。その点をもう一ぺん承っておきたいと思うわけであります。
  119. 佐藤文生

    ○佐藤(文)政府委員 私は大分県の選出でございまして、大分県は御承知のとおりに新産都市をつくっておりまして、最後の完成である八号地の埋め立てについて、県あげてこれをやりたいということをいった最中に、三木長官から既存の環境基準を少しオーバーしているじゃないか、それではいけないというサゼスチョンをいただきまして、私も地元の県民と相談をして、一時中止した、こういう実績を私は持っております。したがって、よりきびしい環境基準を提示して、そして埋め立ての免許についてきびしい姿勢があるということを十分に承知しておるわけですから、それにのっとった関西新空港の建設ということを私どもはやっていきたい、こう思っておる次第でございます。
  120. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 以上で終わります。
  121. 服部安司

    服部委員長 小濱新次君。   〔服部委員長退席、村田委員長代理着席〕
  122. 小濱新次

    ○小濱委員 まず私は、通産省公害防止企画課長にお尋ねいたしますが、公有水面埋立法の一部改正案の中で、第三条の関係の出願事項の縦覧等、きびしい規制改正をすることはまことに時宜を得たものと私ども考えております。しかしながら、九州、四国あるいは瀬戸内海、関東、東北、北海道と、全国的に漁業は瀕死の危機に直面しているという大きな社会問題が起こっております。ただいまも環境庁長官からいろいろとその内容について御説明がございましたけれども埋め立て地立地する企業はこれが新しい公害源になるということは当然考えられるわけであります。通産省として今後はどのように公害防止対策というものを進めようとされるのか。この法案審議にあたりまして、これは今後の問題として最も大事な点であろうと思いますので、通産省の見解を承っておきたいと思います。
  123. 黒田真

    ○黒田説明員 お答えいたします。  先生ただいまおっしゃいましたように、現在各地で水の汚染に関連いたしまして問題が起こっております。私ども、現在の工場は、あるいは今後の工場は、新しい汚染物質というものを絶対出してはならないということで指導しております。いままでのものは残念ながら過去の蓄積の結果があらわれておるわけでございますけれども先生指摘のように、今後立地いたします工場、特に埋め立て地ということでございますれば当然それは海岸近くにあるわけでございまして、その排水の処理につきましては、現在でも非常にきびしい各種の排水の基準がございますので、これを守ることはもとよりでございますけれども、同時に、さらに幾つかの工場が合わさって集中して設置をする、そういう重合的な重なり合いが万一でも生じないように、私どもといたしましては別途御審議をいただいております工場立地法等でも十分に事前の調査を徹底いたしまして、万遺漏ないように企業の立地を指導していきたい、かように考えております。
  124. 小濱新次

    ○小濱委員 公害の元凶というのは当然これは企業にあることは明らかになってまいりました。どうかひとつ、ただいまの御意見は御意見として伺いましたけれども、もっときびしい決意で臨んでいただきたいということを心からまず要望しておきます。  さらにお伺いしたことは、これは佐藤政務次官にお尋ねいたしますが、今回のこの埋立法改正は五十年ぶり、こういうふうにいわれております。そこで、現在埋め立て事業全国でたくさん行なわれているようであります。九州の響灘、東北のむつ小川原、北海道苫小牧とかあるいは千葉の富津その他で相当実施をされているようであります。いろいろといまお話がありましたように、中には陳情、請願等によって継続になったいきさつもあり、また中止になったという、そういう経過もあるようでありますが、この現在埋め立て事業が行なわれている、その埋め立て聖業そのものは公害と無縁なものなのかどうか、埋め立て公害なのか。そういう点で、この港湾埋め立てに対する御質問でございますから、これは運輸省の佐藤政務次官からお答えをいただきたいと思います。
  125. 佐藤文生

    ○佐藤(文)政府委員 現行埋立法によりまして認可し免許してやっておる事業について、原局においてはそれぞれチェックをいたしておりますけれども、それが現在公害に対して有害であるというようなことはございません、現行において。したがって、埋め立てそのものというものがともすれば環境破壊にやはりつながっていくことはこれは争えない事実でございますから、今後とも環境保全、災害防止、そういったことに十分に配慮してやっていきたい、こう考えております。  なお、御審議いただいております港湾法の改正も、御承知のとおりにいままでは港湾をつくるだけの、言いかえれば簡単なことでございましたが、このたびの港湾法の改正も、後背地に緑化をやるとか、あるいは海水の汚染に対して対策を練るとか、あるいは廃棄物の処理施設を港湾につくるとか、あわせて一本、港湾埋め立て港湾の建設についてはそういう環境保全について十分な配慮をして現在でもやっておるわけでございます。今後ともそういう配慮をして十分やっていきたい、こういうぐあいに考えております。
  126. 小濱新次

    ○小濱委員 埋め立てといえば公害、こういう一体のようないろいろな御意見を伺うことが間々あるわけであります。政務次官からの御答弁で、埋め立てそのもの公害ではないんだということで御答弁いただいたわけですが、あわせてひとつ、これは一般港湾との関係建設大臣にお伺いしたいのですが、私のことを言って申しわけありませんが、横浜の市議会に在職当時、私も埋め立て事業の特別委員長をやりました。そこで、横浜の通称第二横浜港といわれている港が昔の港にもう一つ、この磯子、金沢のほうにできた、みごとな港湾ができております。そのことについて三十二年ころのことを思い出すわけですが、横浜ではたいへんな審議の続行続行で、最終的には議決をいたしましてやることに決定したわけです。その後、根岸の埋め立てで六百十一万平米、本牧で五百十三万平米、大黒町で百八十四万平米、現在金沢の第一工区と第二工区、これがあわせて三百六十三万平米、免許申請部分が第三工区で二百九十七万平米、合わせますと千九百六十八万平米、膨大な土地になります。そこでこの計画が、いま問題になっておりました環境保全ということを根幹に置きながら実施をしてまいりまして、この周辺の緑の破壊ということは私の記憶ではございませんでした。ただ、埋め立て当初の計画の中で、当時はまだ幼稚だったのでしょうか、非常に濁り水が海面を流れまして漁民に迷惑を与えたという、そういうことがございました。その後の埋め立て事業というものを私もしばしば行って見るのですけれども、いまは昔とはだいぶ事業形態、その内容が違ってまいりまして、先ほど佐藤政務次官からお話がありましたように、現在の埋め立てのあの事業内容ではそれほど公害をまき散らしているという姿はないわけです。  そこはそれでいいのですが、結論として建設大臣にお伺いしたいことは、やはりこの埋め立てというものをこれからどうしてもやっていかなければならない、そういう特殊な地域がたくさんあるわけであります。やはり今後進めていくことについてはいろいろな住民意見もしんしゃくしていかなければならない。知事あるいは環境庁長官にもいろいろと御意見を伺っていかなければなりませんが、地元の議決も必要であり、あるいはまた三週間の縦覧という、そういう公示の点もこれも出てまいります。いろいろな問題点が出てまいりまして、そのことは分けて行なっていかなければなりませんが、やはり私の考え、見通しとしては、やはりやらなければならない地域はたくさんある。今度のこの法改正でこれができなくなっていったときはどういう結果を招くのであろうかなという危惧も一部感ずるわけです。そういう点から建設大臣にも、埋め立てというものは公害と無縁なのか有害なのかということで御意見をひとつ伺っておきたい。
  127. 金丸信

    金丸国務大臣 埋め立ての問題につきましては、認可、許可する場合におきまして十分に審査もし、調査もして許可するということでございますから、この公害が特にあるということは私は考えられないと思うわけでございます、絶無とも言えないとは思います。また、やらなければならないという公共性の強いようなものもあろうと私は思いますし、それはケース・バイ・ケースだと私は考えておるわけでありますが、あくまでも、先ほど来から議論の焦点になっておりますいわゆる環境保全という問題については、これは堅持していかなければならない、こう考えております。
  128. 小濱新次

    ○小濱委員 御意見、よくわかりました。  そこで、関係する問題としてお尋ねをしていきたいのですが、菊池道路局長に御説明願いたいのです。現在の建設大臣建設委員会委員長をしておった当時かと思いますが、私はあの当時、根本建設大臣東京湾岸道路建設についての将来計画をお伺いしたことがございます。当時としては明確な御答弁はございませんでしたが、しかしその後非常に努力をしていただきまして、現在東京湾岸道路建設が急ピッチで進められているというお話を伺っております。その計画は、もちろん千葉の市川、船橋から荒川、大井、羽田の地下を抜けて川崎、あるいは扇島のあの埋め立て地を通って、それから大黒町、それから横浜のベイブリッジ、横断橋を通って本牧から金沢に抜けて、それから横須賀におりる。横須賀では三浦半島につながり、あるいはまたいま建設中の第二・十六号線のバイパスですか、その国道につながりまして、将来は最終的には東名の保土ケ谷インターにつながる、こういう膨大な計画がいま進められておるわけです。この計画の進渉状況をまず局長からお伺いしたいということと、問題が起こっているということを聞いておりますので、その問題点について御報告をいただきたい、こういうふうに思います。
  129. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまの湾岸道路の問題でございます。ただいま先生お話ございましたように、湾岸道路は東京湾を房総半島と三浦半島をつなぎまして一周する道路でございます。それに川崎−木更津を結ぶ横断道路、これも中に、一環に入っております。この湾岸道路のうち、特に羽田−大井埠頭のところでありますけれども、環状七号線が出てまいります。それから東京の港を抜けまして葛西沖を通り検見川まで、これは早急に整備を進めるべきであるということで、現在鋭意工事建設中でございます。特にこの道路が東京の都心を通らずにバイパス的な効果があるということから、通過交通はこの道路でさばくべきであるということ、そして同時に、埋め立てをしました港湾計画の整備、あるいはそこへ立地されます企業の整備というものとあわせまして、いまの区間は早急にやるということを考えております。  それから、羽田から南のほう、横浜のベイブリッジという計画もございますが、それを抜けて金沢のほうにつきましてはまだ埋め立て計画が確定しておりません。もう一部埋め立てのできたところもございますけれども、そういう埋め立て計画の確定に伴いまして、また港湾整備の状況に伴いまして、逐次都市計画決定をしていきたい。また横浜のベイブリッジ等につきましては、相当大規模計画でございますので、これにつきましては具体的に、橋にするか沈埋にするか、いろいろ問題はございますが、地元のほうと協議中でございます。
  130. 小濱新次

    ○小濱委員 建設大臣、横浜の大黒町の埋め立てというのはこの湾岸道路建設のために行なわれている事業内容であります。それから金沢の現在の埋め立て地も、いまの横浜港の横断橋といわれるベイブリッジをぬけますと金沢の埋め立て地に百メートル道路というのがおりていくわけです。ですからどうしても金沢の埋め立て地というものは完成していきませんと、そのベイブリッジが、あるいはまた湾岸道路が分断されていくという形になってくる。この金沢の埋め立てが大体二百万坪、この予定地が——漁業補償のあの交渉から見るともう六年も経過している。私ども委員会におりました当時の計画は、三十二年ごろですからもう古いものです。そういう長い間かかっていよいよ踏み切った事業計画が、現在百万坪、半分しかまだ済んでおりません。ところがこの完成予定は何と昭和五十五年ということです。横浜市会では、現在この市の管理区域、第一工区と第二工区は横浜の管理区域ですから、これは問題なく事業が進んでおりますが、第三工区というのが県と横浜市の公有地になっているので、これがまた問題になって、とうとうことしの六月県会においてこの問題の認可が継続審議になってしまった、こういういきさつがあるわけです。ところが、御承知のとおりこの漁業補償費は一世帯三千万円といわれておりますが、これはもう終わっております。補償費も終わっている。マルク債も横浜市では相当の見込み額を三回にわたって借款もしているわけです。この計画が進まなければどうなるのか、やはり分断ということが非常に危惧されるわけでございます。これは建設大臣の大きな御構想実現の一つの仕事でございますから御努力願わなければならないと思うのですが、市と県とでいま何か対決ムードになっているということで、私どもとしてもこれは主務大臣の働きを要請していかなければならないであろうとも考えているわけでございまして、今後の見通しについて建設大臣の御所見を承っておきたい、こう思います。
  131. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま御指摘の問題につきましては、なかなか重要な問題でありますし、また道路をつくる上におきましても必要でありますし、またいろいろな経過もあるわけでございますので、建設省といたしましては十分に下部、両者と相談しながら慎重にこれを進めていくようにやらなければならない、こう思っております。
  132. 小濱新次

    ○小濱委員 私は現地のことはよく知っているわけです。そういうわけで、環境破壊をしてはならぬということで、山手のほうの路線変更ということはこれは考えられません。その間に十六号線が通っております。これがまた一本しかありませんので、どうにもならない混雑を毎日繰り返しておる。したがって、今後はやはり海に伸びていく以外に道路建設はあり得ないということでございます。たとえば道路変更をするにいたしましても、ばく大な費用とたいへんな日数を要しなければこの計画が進まないという、これはそういう見通しになるかと思います。そういう点で、ぜひひとつこの問題の促進にあたりましては建設大臣も大いに御関心を持っていただきたい。そういうことが起こっている。もうすでに、どうしても横浜も横須賀方面ももう一本道路をつくらなければなりませんけれども、その最も要望される道路の進捗状況がいまのような形になっているということで、この問題については当然建設と公害ということは先ほどの御答弁の中では考えられません、そういう点で促進をよろしくお願いを申し上げておきたい、こういうふうに思います。  さらに、最後にもう一点お伺いしたいのですが、これは港湾局長にお尋ねしたいと思います。公有水面埋立法施行令の「免許料の額」についてでありますが、第十六条では「都道府県知事ハ埋立ノ免許ヲ受ケタル者ニ帰属スヘキ埋立地ノ価額ノ百分ノ三ヲ埋立ノ免許料トシテ徴収スヘシ」こうございます。また「埋立地ノ価額ハ埋立ノ免許ノ日ヲ標準トシ比隣ノ土地ノ価格ヲ参酌シテ都道府県知事之ヲ認定ス」こうございますね。これは、この埋立て免許の日というのが問題かと思います。したがって、背後地に都市がある、そして遠浅の場合はこれは埋め立て事業費は非常に安価に上がりますね。近傍類地で先買いをすれば大きな差額が出てまいりますね。この百分の三という免許料の基準と、その埋め立て造成地と近傍類地の差額が大きいときはどういうふうにされるのか。いまの私の話にもありましたように、三十二年に始まって、もうすでに五十五年完成というような長期にわたって埋め立て事業というものは進めていかなければならない。それが、その埋め立て免許の日を標準としてということですから、それで膨大な価格の開きが出てくることに問題があろうかと思いますので、この点を承っておきたいと思います。
  133. 岡部保

    岡部政府委員 お答え申し上げます。  免許料の問題についてのただいまの先生の御指摘建設委員会においても実は昨日もその御指摘がございまして、結論的に申し上げますと、まことに申しわけございませんが現在私ども検討しておるという結論でございます。と申しますのは、ただいま先生おっしゃいましたように、確かに免許料というものを近傍の地価の百分の三ということできめておりますけれども、この百分の三の根拠がどうであるかということになりますと、だいぶ前にきめられたために、どうも私どもはっきりつかんでおりません。そこで、百分の三という一律の規定がいいのかどうかという点については、確かに先生のおっしゃいました実際のでき上がった土地、要するに近隣の土地と同じような価格になると思いますが、でき上がった土地の価格と思われるものと造成費との差が非常に大きい場合、あるいは場合によってはわりに小さい場合、そういうケース・バイ・ケースで非常に差がございます。それからもう一つは、いまのように時間がたちますと地価が非常に上がっていくというような場合に、どこの時点を基準にするかという点での変化がある場合、こういう場合を考えますと、いまの百分の三という一律の規定がいいのかどうかという点については、現実の問題として私は非常に疑問を持っております。むしろある程度上げるべきではなかろうかという考え方を持っておる次第でございます。ただそれも、一律に百分の三を百分の五にするとか十にするとかということでいってもいまの矛盾はどうも解消できない。したがって、これは申しわけございませんが、もう少し検討の時間をかしていただきたいということを昨日もお願い申し上げたわけでございますが、できるだけすみやかにこの点の矛盾をどういうふうなかっこうで考えるかという点について検討さしていただきたいと申し上げて、御答弁にさしていただきたいと存じます。
  134. 小濱新次

    ○小濱委員 それではさらに港湾局長にもう一点お伺いしたいのですが、私企業の埋め立ての場合がありますね。それから住宅用地としての埋め立ての場合もございますね。それから環境保全の十分な公共施設のときの埋め立ての場合、こういうものもございますね。おのおの違うと思うわけですが、これについても、いま御意見がございましたように検討中ということになるのか。これについては具体的な御意見がございますればお伺いしたいと思います。
  135. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの先生の御意見は、いわゆる土地利用の区分と申しますか、そういう性格によってそういうものもおのずから変わってくるのではなかろうかという御意見かと存じましたけれども、私ども考え方で申しますれば、いわゆるでき上がったものを分譲するときの、たとえば港湾管理者である地方公共団体埋め立てをいたしましたそれを分譲いたしますというときに、その分譲価格が適正なものであるかどうかというあたりに、それの一つの要素として埋め立て免許料という問題が入ってくるわけでございますが、この場合に、従来の考え方よりもいわゆる環境保全ということを非常に重要視する。したがって、いわゆる緑地であるとか、そういうような公共的な、ざっくばらんに申しますれば売れない土地の面積のシェアが非常にふえてくる。したがって売る土地の価格は高くしなければならないという問題が出てくるわけでございます。そういうようなことと、それからそれのベースに入ります免許料をどういうふうに考えるかというあたり、結局売却地と埋め立て地の売るものだけに造成原価をかぶせた場合の売れる金額というものとの差がどういうふうになるかということで、これも言うなれば場所によって違う、ケース・バイ・ケースであるという点があるわけでございます。ただ、いずれにいたしましても従来よりも、これから環境問題を考えれば考えるほど、そういうように売却をする場合、分譲する場合の価格というものは当然上がってくるということは前提になるかと存じます。したがってそういうことも考えに入れて検討をしなければならないというのは先ほど先生のおっしゃったとおりだと存じますので、そこら辺も考えに含めてこれからの検討を進めたいと思います。
  136. 小濱新次

    ○小濱委員 時間の制約がございますので、以上で終わります。
  137. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 神門至馬夫君
  138. 神門至馬夫

    ○神門委員 公有水面埋立法の一部を改正する法律案につきまして質問をいたします。私の質問の要点は、第一の公開の原則とも申しますこの「出願事項の縦覧」第三条関係、あるいは第二の「埋立免許基準」これは法律案要綱の中に出ております第四条関係、それと「環境庁長官との調整」の第四十七条関係、この三点について質問をいたします。  この公有水面埋立法改正というのが、これまでの実績にかんがみ公害をまき散らす日本列島の高度経済成長政策をある側面からチェックしよう、こういう意図から生まれておるのでありますが、この法案の審議にあたりまして社会党のほうからいろいろ審議の中で出しておりますように、まず前進した面は一応認めながらも、公有水面埋め立ての制限、第一条関係につきましては、公有水面埋め立て環境上の影響生態系に及ぼす影響の深刻さを憂慮されておるときに、環境をいささかでもそこねる場合は、あるいはまたそのおそれのある場合はこれを認めないものとし、今後埋め立て公共施設に限ることとする、ただし、その場合においても必要最小限度にとどめるものとする、こういうような要求が社会党から出されております。そしてもう一つ埋め立て免許基準につきましては、埋め立ての免許基準に、その埋め立て漁業資源、及び国民のいこいの場として、海水浴、釣りなどを楽しみ、その自然の景観や美しさをそこねないこととすること、こういう点を特に社会党としては主張いたしておるのであります。  実は、先ほど申しますように、この第三条、第四条、第四十七条、改正案のこの三条項についての具体的な問題でありますが、昨日の新聞でも出ておりましたように、田中首相がチュメニ開発に輸銀の融資を適用する、こういうように、この二十一日の帝国ホテルの日本記者クラブの昼食会において、秋の訪ソにあたって重要な発言をいたしております。このチュメニの開発、そしてその原油の中継基地として、いまあの世界環境の日、六月の五日、その日に前後いたしまして、山陰の島根、鳥取両県においてはたいへんな問題が出ておる。一切のマスコミがあげて、このチュメニ開発にかかわる中継基地として鳥取県にありますところの境港の沖、美保湾を埋め立てて、そこに膨大な人工島をつくる、こういうようなことから重大な問題が出ておるわけであります。  そこで、時間がありませんからたくさんのことは申し上げられませんが、このようにチュメニの開発なりその原油の輸入の問題が石油資源枯渇の問題等々をめぐってたいへんな政治問題になり、今度の田中首相の訪ソにあたりましても大きな主要な議題になる、こういう状況の中にありまして、すでに通産省なり運輸省、あるいは日ソ経済委員会等においてもそのような問題についてはいろいろと相談がなされていたというような情報も入って、まさに百家争鳴のような状態になっておるわけであります。そこで、この改正法そのものが、第三条に縦覧の諸条項を設けましたように、公開の原則を第一にうたっている以上、いつまでも通産省なり運輸省そのものが、これは一切かかわり合いのないことだ、こういうふうに逃げていくこと自体はこの法改正趣旨にも反することである、こういうふうに思うわけであります。そして両県の知事と申しますか、鳥取県の知事はすでに新聞記者会見をいたしまして、九日に運輸省に行った、通産省に行った、そこにおける回答はこういう状態であったということを発表いたしております。いわゆる受け入れに対するいろいろの準備にとりかからなくちゃならぬ、こういうような状況にあります。島根県知事におきましても、先日八日に会いましたときに、第三港湾建設局長の竹内さんが言った、この問題についていろいろ話をしたよう、だが事実かと言いますと、事実である、こういう答えをしておるわけでありますから、この辺でひとつ、ある計画の全貌と申しますか、そこまで計画されている度合いの問題についてぜひともお知らせを願っておきたい。これがやはりこの法案改正趣旨に沿うことになる、こういう立場からこの点について質問をするわけであります。  まず通産省のほうにお尋ねいたしますが、田中首相の帝国ホテルでの昼食会の新聞記者会見での発言を新聞で見ますと、チュメニ開発に対して輸銀の融資を適用する。そしてこれは開発融資の中の十億ドルで、ソビエトからの要求を輸銀でまかなって適用する、こういうような内容になっております。そして開発したチュメニ原油は全部政府が受け入れる、こういうような引き取りの保障をいたしております。そしてさらに、この硫黄含有量等の問題についていろいろ検討されておるけれども、実際輸入される時点では全消費量の四、五%の比率にしかならないから、引き取るとか引き取らないとかいうようなことについてはたいした問題ではないのだ、こういうことを公式に首相が発表しております。そうすると、われわれが聞いておるところによりますと、五十三年からこのチュメニから二十年間にわたって年間四千万キロリットル程度の原油が日本に入る、こういうことでありますが、五十三年のその時期をチュメニ油田からの輸入の時期、あるいはその供給を受ける時期として田中首相は想定して言われたものかどうか。そのような田中首相の発言について通産省は全く知らないというような態度かどうか。この点をまず通産省のほうにお伺いいたします。
  139. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  チュメニ油田の開発につきましては通商局のほうが担当しておるわけでございまして、私もその詳しい話は聞いておりません。ただ、原則的な問題につきましては民間ベースでただいま話が進んでおりまして、近々に具体的な問題について向こうのほうと話し合いに入るということを聞いておる次第でございます。  それから原油の性質その他、量等につきましても、総括的なお話は聞いておりますが、まだ具体的な油種の性状その他についてもわれわれはまだ明快にわかっておりませんので、具体的な受け入れの計画というものを考える段階にまだなっていないというふうに了解しております。
  140. 神門至馬夫

    ○神門委員 七月に行なわれる第六回の日ソ経済委員会において、この問題については正式に調印されるというような田中発言、田中首相の新聞記者会見に沿ってやはり関連記事が出ておるのですね。ところが、いま通産省課長お話でありますが、その内容は進んではおるけれども全貌はわかっていない、こういうことと、田中首相がおっしゃっている具体的な数字等の問題からいって、私の質問でありますところの五十三年ごろから二十年間にわたって四千万キロ程度の原油が入る、こういうような大ワクについても御承知ないですか。
  141. 根岸正男

    ○根岸説明員 ただいま向こうで開発中の油田の開発状況等から見まして、そのような数字が輸出可能であるという総ワク的なお話はわれわれ伺っておりますけれども、具体的に、どういう年次別に、どういう輸送計画で、どういうふうに日本に到達するかというようなことについては、今後の討議の結果判明するものだというふうに私は了解しております。
  142. 神門至馬夫

    ○神門委員 それでは課長、いま私が申しました五十三年ごろから約二十年間にわたって年間四千万キロ程度の原油を日本がチュメニから供給を受ける、こういうふうな開発輸入をするという大ワクは伺っている、こういうふうに解釈してよろしいですね。ちょっと答弁してください。
  143. 根岸正男

    ○根岸説明員 五十三年から幾らになるかということはまだ明快ではございませんが、平常ベースになりまして三千万ないし四千万になるであろうという数字は了解しております。
  144. 神門至馬夫

    ○神門委員 あとからまた通産省のほうにお伺いしますが、港湾局長に……。  五月二十九日に第三港建設局長の竹内さん、これが米子市に行って石破鳥取県知事に、また五月三十日に島根県庁に行って伊達知事に、こういうことをおっしゃっているわけですね。美保湾を埋め立てて人工島をつくる、公害のない石油基地を建設したいので調査に協力してほしい、こういうことをおっしゃっておる。この中でちょっと新聞記事に誤りがあるのは、石破さんとの会見の内容の模様はそのようなところまで入ってなかった。ところがあくる日島根県に行って伊達知事と話した場合は、あそこで人工島をつくって石油の中継基地をつくりたいというふうなことをおっしゃっている。その場合にチュメニということばは出ていないのですが、第三港建設局長が行かれたことを転機として、前からおっしゃっていたチュメニ石油基地問題というものがにわかに全山陰の問題に拡大して、連日の追跡キャンペーンが張られているという今日の状況でありますが、この実態は御承知ですか。
  145. 岡部保

    岡部政府委員 そのような事実のあることは存じております。また、私どもの出先である第三港湾建設局長がそういう、いま先生のおっしゃいましたような行動をしたということについての報告は、私聴取しております。
  146. 神門至馬夫

    ○神門委員 第三港建局長港湾局長なり運輸大臣そのものと関連しながら、そうしていま国策上もエネルギー資源そのものの確保という大きな課題に取り組み、石油基地という、これがどこから入れようとも、重大な政治課題をかかえての行動が、港湾建設局長一人の個人的な考えであったとはこれは言われないし、公的にと申しますか、やはり知事に会見してこの問題を尋ねておるわけなんですね。それについて石破知事も、鳥取県知事ですね、九日に記者会見をして、東京に行って運輸省に行った、ところが美保湾の開発のために調査するというそのことは本省も承知の上であった、こういう新聞発表をしておるわけです。それでこの石油基地ということが、どこから入る油の石油基地と想定されてこの問題をそのように調査をしたいということを申し込まれたのか。今日の段階においては、そのような石油基地というものがいま日本海のそれぞれのところに必要とするものは、チュメニの、あるいは西シベリア全体の開発に伴うところの天然ガスなり石油の開発ということに関連すれば想定できることなんですが、いまのところチュメニ以外には考えられない。他のところからタンカーをもって石油中継基地をつくるというようなことは考えられない。それでこの前の港湾法の改正のときにもいろいろ議論になりましたように、たとえば境港というものが具体的に名前があがって議論になりましたように、あそこにはことしから始まった八カ年計画で外港の新港建設をやっておりますけれども、そこで将来へのビジョンを持って二百二十億の金を入れて大々的なものをやっている。その補償が四年かかってようやくまとまるかまとまらぬかというそのどまん中に、しかもその所管をしている第三港建の局長が行って……。おそらく補償もまとまらぬようになるだろうと思いますね。おそらくこの第三次ですか、五カ年計画そのものというものは、あの境港においては補償計画もまとまらないまま行く、それをねらっての港建局長の発言ではないかと地元では疑う。こういうような重大なことをやっておられる以上、この石油基地としてある程度日本海に六つばかりの候補地の中で、境港が一番適地である、こういうような判断を、運輸省なり通産省なりあるいは建設省なりと相談をされた上でやった第三港建局長の行動であった、こういうことにとらざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  147. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの先生お話、全面的に私、たいへん失礼でございますけれども、反論をせざるを得ないことでございます。と申しますのは、私ども、こういう、たとえばチュメニの油であるとかというようなものが五十三年度からそれこそ四千万キロリットル入ってくるということであるならば、ほんとうにこれの受け入れ港をどうするべきかということを、逆に私ども考えろと言われるのが政府部内、たとえば通産省からの連絡があってしかるべきだと存じます。しかし全くそういう事実はございません。この実情を申し上げますと、第三港湾建設局長はなぜこういう動きをしたかという背景を申し上げます。と申しますのは、たとえば瀬戸内海においてただいま石油関係のいわゆるコンビナート、原料を比較的大量に入れておるというのが水島地区であったり、あるいは坂出地区であったりするわけでございます。こういうところに明石海峡を通って大きなタンカーが入るということがいいことであろうかどうかという点は、交通安全上、私ども非常に疑問にしております。そこで、これをもしもルートを変えて、これがほんとうに安全かどうかは別にいたしまして、もっと安全なルートはないかということで、これはいろいろと第三港湾建設局が瀬戸内海という問題を取り上げて調査しておることは事実でございます。   〔村田委員長代理退席、服部委員長着席〕  それのうちの一つとして、裏日本に石油受け入れ港をつくりまして、そこからパイプラインで表日本と申しますか、瀬戸内海のほうに渡して、それでやるということが安全であろうかどうであろうかということを検討しておることは事実でございます。そういうような考え方から、したがっていまのチュメニと申しますよりは、むしろいまのたとえば水島の油であるとすれば中東原油が中心じゃないかと思いますが、そういうものにいたしましても何か別のルートを考える必要があるのではなかろうかということで、その場合に、一体こういう適地というものがたとえば第三港湾建設局の管内、いわゆる京都府から西でございますが、この裏日本日本海沿岸にどういう地域があるかというようなことを、三建の局長としてはいろいろ絶えず注意して研究しておるわけでございます。  それの一つの例として、たとえばただいま御指摘のございました美保湾を利用できないかどうかということを、彼の個人的な感覚として、これをもしも、できるできないというのを別にいたしまして、やるとすればどういう計画、手法がいいか。そこで、これは例の港湾計画というものがあくまでも港湾管理者の計画であり、主体性を持ってお進めになる、それに対して、どういうふうにお手助けをしていくかというのが国の立場だということは港湾法の際にもずいぶん御説明申し上げたわけでございますけれども、たまたま経済企画庁の所管いたしております国土総合開発事業調整費という、年度内に消化できる予算がございます。これは事業と調査と両方ございまして、調査部門でそういう新しい計画に対する一つの手法の調査をしたいということで、こういうことをしていいだろうかどうだろうかということを両知事にお話ししに行ったということが事実であると私は信じておりますし、そういう報告を聞いております。
  148. 神門至馬夫

    ○神門委員 チュメニは全く関係なしに、瀬戸内等の混乱を緩和しよう、こういう意思からであったろう、こういうことでありますが、しかしそれにしては、ことしに入ってから非常に財界の往来が鳥取県、島根県に盛んになされておるようですね。二月には植村経団連会長が来られ、あるいは日商岩井の商社が来る。四月には日本開発銀行の地方開発局長の吉田さんが松江に来て、チュメニとの関連でやはり山陰を開発すべきだ、こういう発言をしておいでになる。すでに鳥取県におきましては、あそこで約三百万平方メートルぐらいの人工島ができるのだ、こういうような話がなされて、それで日本で初めての百六十キロに及ぶところの一メートルの直径のパイプをもって水島に輸送するのだ、こういうようなことが盛んに言われておる。いま私ここにスクラップを持ってきておるのですが、これは重複したものもあるが最近のものですね。このような大きなスペースをさいて、社説から何から全部、このチュメニとの関連においての石油基地というものが論議になっておるのです。中東からの石油を、日本はあそこに八五%も依存しているのですから、それを迂回して日本海の処女地にというような気持ちも、それは理屈としてはあろうと思うのですが、全体の動きの中に、いま局長がおっしゃっておりますように、いまの財界、経団連の植村会長が来ての中海干拓五千七百ヘクタール、それは将来農本主義ではいけぬ、工業用地に転用すべきだ、あるいはさきの開発銀行の開発局長の話だとか、第三港湾建設局長の具体的に人工島をつくりたいという知事に対する申し入れですよ。これは話があったことを直接聞いているのですが、それらのものがチュメニとは全く関係のないという、チュメニのみを除外して中東の石油基地である、こういうふうにおっしゃるその意思は——チュメニそのものがもう具体的に、総理大臣がこのような、輸銀の融資を適用して積極的に開発したい、七月の第六回日ソ経済委員会においてはおそらくこの調印を見るであろうという今日の状況の中に、その受け入れる候補地が山陰あるいは日本海側に六カ所ばかりある、どの場所かは未定といたしましても、そのうちの特に境港というものが有力視されていることは全く間違いないのじゃないですか。この点については、港湾局長といまの通産省の石油業務課長のほうから、有力な候補地としてあげられているというその情報自体が全く根拠のないものか、この点をひとつお伺いをしたいと思います。
  149. 岡部保

    岡部政府委員 少なくも運輸省港湾局に関します限り、全くそういう考え方はございません。先ほど私申し上げましたのに、中東の原油等々の話を申し上げたのはかえって悪かったかもしれませんけれども、確かにそれぞれの原案者、あるいは経団連であったり開発銀行であったり第三港湾建設局長であったり、そういう個々の人たちがチュメニというものを一つ前提として考えておるかもしれません。  ただ、私はっきり申し上げられることは、もしもチュメニからこれだけの量の油を入れるとすれば、こういう油を入れたいのだという港、あるいは入れたいのだという地方の首長、いわゆる知事さんであったり市長さんであったりという方が、この非常な限定されたところに限るはずはないわけでございます。したがって、そういうのが具体化するというか、事実がわれわれでほんとうに持っておれば、必ずこれは、たとえば秋田港であったり、この前の毎日新聞のには図面が載っておりましたけれども、敦賀港であったり七尾港であったり、こういうような線を引いた図面が載っておりましたけれども、こういう港の管理者というものが、ほんとうにいやならいやというはっきりした意思表示があるわけでございますし、またぜひ誘致したいというのなら、そういう受け入れを考えるはずでございます。そういう気持ちで、たとえばいま申しましたうちで境港を除きますと三港とも第一港湾建設局の管内でございますが、第一港湾建設局長のほうからそういう連絡が全く来ておりません。ということは、たとえば裏日本でどういう港を考えるというようなことを私ども考えてもおりませんし、そういうお話があったらまだまだこれからほんとうに考えなければいかぬわけであります。そこで次の段階としてはそういう段階になるかもしれませんけれども、現段階では一切そういうことはございません。
  150. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  チュメニの受け入れにつきまして具体的にどういうふうにするかということは、先ほどもお答えしましたように、まだ通産省としては何も考えておりません。これは先ほども申し上げたことでございますが、ソ連側とこれからのいろいろこまかいところを詰めていくわけでございますから、たとえば積み出し港が一体どうなるか、あるいは積み出し設備の大きさが一体どうなるかということにつきまして、あるいは油の種類がS分も、これも情報によりますと、相当幅もございますし、あるいはAPIの差も相当あるという状態でございますので、どこへどういう性状のものをどういうふうに受け入れるかということは、その原油の積み出しとか、そういう性状がはっきりした事態で初めてこれは検討しなければならぬ問題になるわけでございます。そういう事態に至りますれば、これは当然われわれのほうとしては運輸省のほうにも御相談して具体的なことを進めてまいらなければならぬことになるわけでございますが、いまはまだそういうことはわかっておりませんので、具体的な案をつくるわけにはまいらないということできておるわけでございます。
  151. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうすると、鳥取県知事が八日に東京へ来まして帰ってからの記者会見において、美保湾の開発の調査をするのは本省も知っていた、そしてその調査というのは石油輸入基地だ、こういう前提での調査には間違いないだろう、しかし具体的には第三港湾建設局長に文書をもって回答を求める、こういうことを公式に新聞で発表していますね。ですから、そういうことだといま局長がおっしゃったこととたいへん相違がある。しかし、もう七月に迫った日ソ経済委員会の調印がなされる段階においていわれているところのものは、ものすごく大規模なものですね。おそらく、五十三年ということになりますともうそろそろ結論を出して、受け入れの準備を、入れものをつくらないとこれは間に合わない。こういう状況にありますけれども、知事が第三港湾建設局長のほうに質問をして、それにいまの局長と全くうらはらな回答が出るようなことは、まさかありませんか。
  152. 岡部保

    岡部政府委員 いまおっしゃった、知事の発言されたという点で、本省に行っても、調査をするということを考えておるということは事実でございます。これは先ほど申し上げました調査費、いわゆる国土総合開発事業調整費の調査費を経済企画庁に対して要求をいたしております。これはその美保湾地域の開発をどういう手法で、どういうふうに考えたらいいかということで、それの中心——第三港湾建設局長が要求をしてきた原案者でございますが、その考え方では、こういう一つの石油輸入基地であるという考え方を持っているのであろうと存じます。私、実はそれの要求の内容をまだ聞いておりませんので存じませんが、まずそういうことであろうと存じます。ただ、そういう予算要求をしておることは事実でございますが、これが、先ほど申し上げましたようにチュメニあるいはそういうような問題とは直接結んでいないということは、はっきり申し上げます。
  153. 神門至馬夫

    ○神門委員 時間がありませんから最後に環境庁のほうにお尋ねいたしますが、この公有水面埋立法改正そのものが、自然環境保全するということも改正の大きな意思になっているわけですね。ところがこの地域全体が、大山、皆生あるいは美保神社のあるあの一帯、そして松江、大社、隠岐、三瓶、こういう自然公園の場所なんです。国立公園であります。そこに、いまチュメニという対象ははっきりされていないけれども、石油基地構想は調査の段階、その意思としては港湾局長もある、こうおっしゃっているのですが、この石油基地そのものが設置をされるかどうかは別として、必然的に関連してコンビナートが中海干拓地に建設されるであろうというようないろいろな問題から、いま山陰全体を大問題の中に投げ込んでいるわけであります。こういうような古代出雲文化の発祥の地であり、風光明媚で自然環境保全されている地域に、最も公害をたれ流す代表である石油基地、あるいは石油化学が関連してそういうところに建設をされる、あるいは人工島がそこに建設されるということは、この四十七条関係からいっても環境庁としては相談を受けられるわけでありますが、最も適当でない場所ではないか、こういうふうに考えるが、これは法律を制定するしないにかかわらず、今日の行政ベースにおいて判断し、チェックされることだろうと思います。そこで環境庁のほうにこの点についての考えをお伺いいたします。
  154. 首尾木一

    首尾木政府委員 御質問の件につきましては、私ども全くその構想について承知をしておりませんし、関係省庁のほうからもこのことについての話をまだ全然聞いておりません。具体的にこれについてのお答えを申す段階ではないと思いますがが、御指摘のようにあの地域は大山隠岐国立公園の中にありまして、島根半島がその一部分として指定されておるところでございます。この地域はやはり海岸の、特に沈降海岸として海食崖でありますとか、そういうことについての特徴を持っている地域であり、またお話のありましたように古代文化の発祥の地であるというような特徴を持っておる地域でございます。公有水面埋立法によりますと、今後、改正になりますれば、四十七条によって環境庁長官意見を求められるということにもなるわけでございますし、また現在港湾審議会にも環境庁のほうで入っておるわけでございまして、こういう計画についての大きな変更については環境庁が十分意見を申し上げるということにいたしておるわけでございます。したがいまして、環境庁としましては、こういう国立公園等の地域の場合には当然自然環境保全という観点から強い意見を申し上げるということでございますし、また一般的なそういう自然環境、いわゆる国立公園以外につきましても、全体としまして環境保全上の問題については事前の十分な調査の結果に基づいて判断をする立場を貫いてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  155. 神門至馬夫

    ○神門委員 質問を終わります。
  156. 服部安司

    服部委員長 野間友一君。
  157. 野間友一

    ○野間委員 和歌山の北部臨海工業地帯、これは皆さんすでに御承知だと思いますが、このほとんどが下津港湾ですね。ここには密集しておりますですね。しかもこの工業地帯の中核は何かといいますと、国民から最もきらわれる公害工場、具体的に言いますと、住金の和歌山製鉄所、これは粗鋼生産が年間九百万トンで世界最大ですね。それから石油精製工場、これには丸善、東燃、富士興産、この三つがあります。日産で東燃が十八万バーレル、丸善が三万八千バーレル、富士興産が七万六千バーレルですね。これは日本有数の石油精製基地。この上に丸善がさらに二十五万バーレルの増設の準備をいま進めておる、こういう状態ですね。さらに関西電力が海南の火力発電所、これは四十五万キロワット二基と六十万キロワット二基、合わせて二百十万キロワットと、日本でも最大級の発電所。このように石油、鉄鋼、電力、これらがいま和歌山北部においては非常に深刻な公害問題を惹起しておる。万葉の昔から歌われた風光明媚な和歌浦湾、これが埋め立てによっていま根底から破壊されている。大きな工場の煙突が林立する。そうしてわがもの顔に企業がふるまう。この中で命あるいは暮らしが根底から破壊されておるというのが、いまの北部の現状であるわけです。これはやはり今日までの自民党の高度経済成長、またこれに追随した和歌山県の自民党県政、これらが大合唱してこのような結果をもたらしたというふうに私たちは考えております。しかもこの中で最も法律的な側面からの援助といいますと、公有水面埋立法、私たちは一名、大企業のための公有水面埋立促進法、このように呼んでおるわけですが、これによって人類共通の海が大企業のために私物化されてしまった。そして先ほど申し上げたように自然環境破壊され、人間の命すら破壊されておる。  こういう事態を踏まえて考えてみますと、すべての国民が、また和歌山県民がいま心から願っておるのはこの公有水面埋立法の抜本的な改正であろう、このように考えるわけですけれども、これについて環境庁あるいは運輸省の御見解を承りたいと思います。
  158. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私どもは、埋め立てによりましていろいろ環境が変化をする、いろいろと影響を受けるということ、それはいろいろ理由があると思います。たとえば、海岸線がそれによって変更を受ける。それから、埋め立てをすることによって工事中に水質が汚濁をする。それから、できました干拓地によって海流が変化する。それから、できました埋め立ての上に企業が立地した場合に大気または水質のほうに汚染が広がるというような問題がございまして、私どもはそういう環境保全の点につきまして十分チェックをし、問題があるものは免許をしないというたてまえを従来からもとっておりますし、今後もこの法律改正趣旨によって私どもの態度を貴くし、また法律もそのように運用されていくというふうに考えておるわけでございます。
  159. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま先生から具体的な事例によってお話があったわけでございますけれども、私ども今後のいわゆる公有水面埋め立て行政、特に港湾区域内での行政を実施していく上で公害問題あるいは環境問題を重要視していくという考え方で、従来以上にそういう点についての考えを強くしていくということを私ども考えておる次第でございます。
  160. 野間友一

    ○野間委員 今度の改正法案問題点については、時間の関係で省きはしますけれども、日弁連からも意見書が出されております。これはもっともなことだと思います。基本的に、大正十年にできた現行法、これは先ほど申し上げたように埋め立てを促進する、そういう観点からできた法律であることは明らかであります。しかも、今度の改正によってもその本質的な性格そのものは変わっていない。断片的に若干の手直しをしておるだけだ、こういうふうに評価せざるを得ないと思うのです。今日までのこの法律のもとで和歌山の先ほど申し上げたような深刻な事態が到来しておるという事実を考えまして、やはり規制するという基本的な観点からこの法律の抜本的な改正、これをやらなければ、私は今日までの深刻な情勢がさらに悪化するというふうに考えておるわけです。  次に、環境庁長官が二月十四日に、先ほども出ましたけれども瀬戸内海環境保全知事・市長会議の中で十項目の瀬戸内海の浄化の目標を示されました。公害発生型企業というふうにいわれておりますが、鉄鋼、紙パルプあるいは石油、これらについては新しい埋め立て規制していく、現在進行中のものも再検討を加えていく、こういうような方向を打ち出されたわけであります。各関係自治体においてもいろいろなパンフレットなどを発行して、たとえば「みんなで守ろう瀬戸内海」「子に孫に残せきれいな瀬戸の海」こういうパンフレットまで発行しておりますが、私たち考えますのは、このように、おくればせながら環境庁がこのような方針を出さざるを得なかったということは、現在までのこの種の問題についての国の政策、こういうものの欠陥の上に立って、そして十分反省してこれからなされるべきだというふうに考えるわけですが、環境庁長官のこの発言を前提にして、この瀬戸内海の浄化についてどのように具体的に考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  161. 岡安誠

    ○岡安政府委員 お話しのとおり、瀬戸内海につきましては、政府といたしましても対策の推進会議を設けまして、直ちに実施できる対策からすでに手をつけているわけでございます。たとえば下水道の整備、排水の規制、その他の対策をやっておりますが、やはり根本的にはマスタープランをつくりまして、瀬戸内海環境容量に合った開発がされるというようなことを考えたいということで、総合的な調査も完了いたしましたので、できるだけ早くマスタープランをつくり、そのマスタープランによって各般の規制その他をやってまいりたいと実は考えているわけでございます。
  162. 野間友一

    ○野間委員 環境庁、どうもおざなりな答弁で、私は納得しません。  和歌山の具体的な被害の実態について申し上げたいと思います。まず漁民あるいは漁業、これらの問題についてですが、この北部臨海工業地帯はいまもうすでに死んだ海になっておる。これは同志社大学の小林直正教授がバフンウニを使って調査をされたわけですが、その結果によりますと、海水を激有害、強有害、中有害、弱有害、普通の五段階に分けて調査されております。これによりますと、住金の和歌山製鉄所あるいは関西電力の火力発電所、これらの周辺についてはすべて激有害、こういう結果が生じております。漁業の被害につきましては、これはたとえば油のたれ流しとかそういう突発的な公害でなくて、継続的な公害による漁業被害は、水産庁の資料にもありますが、一九七〇年六億五千五百四十万円、これは岡山、兵庫に次いで三位、こういう不名誉な記録を持っておるわけです。これらは、何度も言いますけれども、現行の公有水面埋立法によって、公害企業がこれらの埋め立ての上に乗っかってどんどんたれ流し、吐き流ししていく、この結果がいま申し上げたような漁民あるいは漁業の被害につながっておるわけです。  そこで、水産庁に対してお聞きするわけですが、このような事態を踏まえた上で、漁民の生活あるいは魚族の保護という観点から、この下津港、和歌浦湾のあたりについてどのような施策をとってきたのか、あるいは今後どのようにしようとしておるのか、お聞きしたいと思います。
  163. 増満二郎

    増満説明員 和歌浦湾におきましては、ノリの養殖の像か、シラスなどの船びきとかコノシロの刺し網、一本釣りなどの漁業が行なわれております。埋め立てが行なわれます場合には、ノリ漁場の喪失の問題でございますとか、埋め立て工事によります土砂の濁りによります魚の回避、あるいは潮流の変化に伴います漁場の変化等の影響考えられます。  水産庁としましては和歌浦湾の具体的な埋め立て計画は聞いておりませんけれども、こういった埋め立てが起こります場合の対策といたしましては、まず第一点は、計画の事前に漁業関係者の十分な納得のいくといいますか、よく意見が反映するように指導をしたいということでございます。それから第二点としましては、埋め立てられます場合の公害の防止ということに万全を期するために、公害諸法令の順守ということにつきまして関係者を指導していきたい、こういうふうに考えております。
  164. 野間友一

    ○野間委員 あなた、そういうことではだめですよ。埋め立てを認めた上で環境問題を考えるというんではなくて、埋め立てそのものの持つ問題を根本的に考えなければだめだと思うのです。たとえば、海を埋め立てることによって、魚礁——魚がふ化して遊んでまた沖へ出るわけですが、こういう魚礁を失うわけです。だからいま申し上げたように、バフンウニの実験の結果、この中でも激有害、これは重金属なんです。これはいま申し上げた公害企業から吐き出す排水の中でこういう事態が起こっているわけです、激有害という結果が。ですから、埋め立てそのものを水産庁としては規制するという方向考えなければ、埋め立てをして工場を建てる、それで環境保全のために努力するというようなことでは、そんなことでこれから下津や和歌浦湾の海がきれいになるわけがないのです。これは漁民が聞いたらみんなおこりますよ。  時間がありませんので次に進みたいと思いますが、農産物について、私は予算委員会の中でSO2によって土壌が酸化する土壌汚染の問題、あるいはミカンの黒点病の問題、特に和歌山の下津というところで「公害からみかんを守る会」これは会長が下津農協の組合長ですが、この農協の生産課長の原田先生、この方が中心になって調査された結果によりますと、町内全域に水素イオン指数PH三から四の非常に強酸性の雨が降る、これは四日市よりもひどいというようにいわれております。ミカンと工場は限度にある、こういうことが報告されております。予算委員会の中でもこの点について言及したわけですが、農林省から県の報告を聞いてその上で善処するという答弁をいただきました。その後どのような調査をされ、どのような報告を受けておるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  165. 有松晃

    ○有松説明員 お答えいたします。  下津農協の原田さんという方が調査をなさった、こういうことが予算委員会でお話ございましたので、さっそくこの点調べましたところ、これは原田さんが三重大学の先生と一緒に調査なさった結果ではないかと思いますが、確かに土壌の酸化についてPHで三・幾つというような実態もございますが、これの直接ミカンの果樹に対する影響につきましては、さほどの影響は出ていないというふうに私どもは承知しております。
  166. 野間友一

    ○野間委員 それは県の報告ですか、どうですか。
  167. 有松晃

    ○有松説明員 県の報告も聞きましたけれども、農林省の中で検討いたしました結果、それはさほどの影響はないというふうに見ております。
  168. 野間友一

    ○野間委員 いま指摘されたのは三重大学園芸研究室の松下二良助教授ですが、四日市市よりもひどく全国で数少ないショックな事実だ、土壌に累積すれば地場産業のミカンに影響を与えるのは必至、こういうように指摘をされております。このような学者の意見をもっと謙虚に尊重して、しかも三から四というのはたいへんなものだと思うのです。これをたいしたことないと言う感覚は私はわからぬ。もっとまじめに考えて、さらにこれの調査あるいは検討を進めていただきたい、このように考えます。  それから健康被害の問題について、これはたくさんあります。たとえば気管支炎、ぜんそく、あるいはかぜを引きやすい。これは四日市のぜんそくのたくさんの症例もありますが、特に私が深刻に思うのは、住金工場周辺の小学生児童の身長の伸び率、これはたいへん深刻な問題をかかえているわけです。和歌山市教育委員会の学校保健統計によりますと、三十八年、九年に比べて四十三年、四十四年は伸び率が減少しておるのです。具体的にあげますと、たとえば六年生の平均が全国でプラス二・一五センチ、県の平均がプラス二二・二二五センチ、市の平均がプラス一・六五センチ、ところがこの周辺の湊小学校はマイナス〇・六二五センチ、松江小学校がマイナス〇・二センチ、西ノ庄小学校がマイナス〇・三センチ、このように軒並み全国平均あるいは県、市の平均より下回ってマイナスになっておる。これは汐見文隆というお医者さんがいろんな資料をもとにして調査されたわけですが、これは非常に深刻な問題だと思うのです。成長盛りの子供がこんなに伸び悩んでおる。大気汚染とこの伸び率の減少は大きな関連があるということはよくいわれておりますが、こういう問題について環境庁ではどういう見解をとっておるのか。またこれらに対する対策があるのかないのか、お聞かせ願いたいと思います。
  169. 河野義男

    ○河野説明員 大気汚染による健康影響の問題についてお答え申し上げます。  先般五月に環境基準を設定したわけでございますが、硫黄酸化物につきましては従来の環境基準を改定、強化いたしまして、健康への影響のないきびしいレベルで設定したわけでございます。それから窒素酸化物につきましても同様環境基準を新たに設定いたしまして、これも非常にきびしい基準でございまして、健康に影響のないレベルで設定をされておるわけでございます。  いま御指摘の問題は、従来の硫黄酸化物に関する大気汚染が児童等に与えた健康影響の問題だろうと思いますが、この点につきましては、まだ私どもその実態についてのデータをいま持っておりませんが、県と十分連絡をとりながら検討していきたいと思います。ただ今後の大気汚染防止対策につきましては、ただいま申しましたようなきびしい環境基準を達成するために今後規制の強化を進めてまいりたい、かように考えております。最近の大気汚染の現状を申し上げますと、硫黄酸化物につきましてはだんだん改善されてまいっております。今回定めましたきびしい環境基準からいいますとまだ若干汚染が上回っておりますが、これも早急に規制を強化いたしまして、環境基準の達成をはかってまいりたい、かように考えております。
  170. 野間友一

    ○野間委員 中公審が発表した資料によると、七年後の昭和五十五年、日本列島改造を進めたらどうなるかという調査のようですが、和歌山は東京、神奈川、大阪、これ並みに公害問題がなるわけですね。これは二月の十三日付新聞に出ております。亜硫酸ガス、粉じん、BOD、産業廃棄物、この四資料によって行なわれたわけでありますが、もう和歌山北部の開発は非常に限界に達しておる。たいへんな事態なんですね。しかもいま申し上げたように七年後にはもっともっと深刻な事態になる。先ほど申し上げたようにずいぶん被害がありますが、これがさらに深刻になるということを前提として考えますと、もう和歌山北部の埋め立ては限界だというふうに考えざるを得ないのです。この点について運輸省、この下津港湾埋め立てについては、とりわけ公害企業、鉄鋼、石油、これらの埋め立てについてはもうきびしく規制する、一切許さない、このような態度で臨むべきだと思いますが、御答弁願います。
  171. 岡部保

    岡部政府委員 この件に関しましては、私どものところにも現地の方がおいでになって話を伺いましたのでよく存じておる次第でございます。ただ、私そのときも申し上げたと思いますが、私ども立場で、これは絶対に禁止するとかなんとかいうことよりも、もう一つ前の段階といたしまして、港湾計画といたしまして、現在ストップしております地元の港湾審議会の問題があるわけでございますけれども港湾計画として地元でこういうものをどういうふうに考えるかということをまとめていただきたい。私どもはあくまでも港湾計画というものがまずベースになります。この港湾計画というのは港湾管理者である立場がおつくりになるという原則考えております。したがってそういう線で進んでいきたいという考え方でございます。
  172. 野間友一

    ○野間委員 それはすりかえですよ。私は県や市や町のことを聞いておるのじゃない。国の方針を聞いておるのです。これだけ深刻な被害をわれわれは受けておるわけですよ。その上また埋め立ての問題が出ておる。こういうものは一切禁止すべきじゃないか、こういうように思うのです。国の方針を聞いておるのです。一言で……。
  173. 岡部保

    岡部政府委員 なぜそういうことを申し上げたかと申しますと、ただいまの埋め立て計画につきましてもいろいろあるわけでございます。確かに先生のおっしゃった公害の問題ということでも、たとえば鉄の関係で少しでもいまの公害を減らそうという考え方、これがほんとうかどうかは別といたしまして、そういうような考え方がある。それから、明らかに石油の関係では公害というか廃棄物のふえそうな感じがいたします。それぞれによって性格が違うという点を十分検討していただきたい。私どもももちろん先ほど申し上げたように環境を守るという立場でこれを判断していくということは当然のことでございますので、ただいまお答えを省略したわけでございます。
  174. 野間友一

    ○野間委員 これから肝心の問題に入るわけですが、和歌山県が四月二十五日に下津港港湾計画を発表しております。六十年をめどに六百二十六万平方、約三百万坪の埋め立てですね。これはたいへんなことです。これについては住民とかあるいは地域漁民、これらこぞって反対しているという現状です。環境庁、運輸省あるいは建設省それから通産省、これらにそれぞれ地元の方をお連れしておじやましたわけですが、特にこの中で私が指摘したいのは、先ほどから申し上げておる住金あるいは丸善、公害を吐き散らし、たれ流しておる、こういうところのおぜん立てをまたやっておるということ。たとえば住金の場合は百六十一万平方、丸善の場合は百二十万平方、これはちょうど住金、丸善が要求しておる面積をそっくり今度さらに埋め立てをして認めてやろうというわけで、何と気前のいいことだというように私は考えておるのです。これは県が企業にかわって計画を先取りして、そしておぜん立てをして、また工場をどんどん拡張していく。さらにもう一つの問題は、和歌山の本港沖に百七十万平方、これの計画も入っておるわけです。しかもこれは使途不明なんです。急にこれは県知事がこのような計画を発表したわけですが、この内容について、いま申し上げたようにこれだけきびしくいわれておるにもかかわらず、企業の計画を先取りしてそして基本計画として埋めていこう、こういう姿勢が許されるかどうかということです。これは自治大臣お越しですので、ひとつお答え願いたいと思います。
  175. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 県が埋め立て計画をしたり工場誘致をはかったりということは、当然の責務を遂行をしてきたと思うわけです。問題はいまおっしゃるようにたれ流しを許容するというようなことはまさか県として認めるはずがありますまい。したがって、県がこれらの公害原因をどう規制するか、どう排除をしていくか、これが問題だと思うのです。ですから、計画を立てるのはけっこうだというふうに私どもは思っております。いま御指摘の下津港の埋め立てについてはまだ正式の申請は出ていないというふうに聞いております。したがって、われわれ自治省の仕組みからいいますと、市町村に反対の声があるということになれば、県の港湾審議会というものは当然市町村の反対なり批評なり、そういった声を参酌しながら、港湾審議会においていなやを決定していくことになります。まさか県知事が市町村の声を全然無視して決定するというていのものではありませんから、相当な歯どめはある。この点はひとつ御安心願いたいと思います。
  176. 野間友一

    ○野間委員 いみじくもいま大臣言われましたけれども、企業から申請が出ていないにもかかわらずこれを県が先取りして具体的な計画を立てる、だから私は問題にしておるのです。いま申し上げた丸善の百二十万平方、住金の百六十一万平方、まさに企業の手先となってこのような計画をきめるということが許されますか。申請が出たあとで、こういう問題があるのでどうですかということなら話はわかりますよ。逆ですよ。出る前にこんなに気前がよいようなことをしていいのですか。特に埋立法というのはまさに所有権を原始的に取得するわけでしょう。われわれの共有の海をもっともっと真剣に考えなければならぬ。特に、るる申し上げているようにこれだけ深刻な事態をかかえた中で、なおかつ性こりもなしにこういうことをやる、これは自治大臣、こういうことは許されますか。
  177. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 私さっきも申し上げたように、工場を誘致する計画をつくるということは、過密過疎の問題をはじめ、いわゆる国土の平均ある発展をはかっていくというたてまえからいうならば、これはやはり地方の県知事として考えていいと思うのです。問題は、たとえば漁業にたいへんな悪影響を及ぼすということになれば、補償は原因者がすべて補償することになっておりますね。ですから、企業といえども道徳、道義を無視してかってなたれ流しなんということはこれからできるはずのものじゃありません。したがって、将来これは埋め立て適地であるから工場を誘致しよう、これはいいですね。これはやはり私、県としては過密過疎の問題解消とか、県がやはり力を持つために、働く人の職場をつくるために、ということは当然あっていいと思うのです。ただそのときに公害企業の公害をどう規制するか、これは県としても十分配慮しなければならぬし、国としてもそれには十分責任を持っていく。そして新しい時代の公害のない企業、こういうものをつくり上げようじゃありませんか。そういうふうにひとつ規制していくことが必要ですね。
  178. 野間友一

    ○野間委員 問題の性質、本質をわかってないのですよ。そういうことを言われるから自民党はずっと減っていくわけですよ。それはやはり企業べったりですよ。そうでしょう。いま申し上げたように、申請が出ていないのになぜ県がそんなサービスをしなければならぬのですか。申請が出た上で検討するならいいと私は言うのですよ。しかも面積がそれぞれの企業が準備しているそのままなんです。これは計画書がありますけれども、具体的な手だてをする前にこんなになぜサービスをしなければならぬか、ここに私は問題があると思うのですよ。違いますか。ですからできたあとで環境破壊され、補償とかいうもの——これはあとで問題出ますが、その前の段階で、われわれはいまどうやってこの環境保全しようかという段階の中で、このように先取りをして県がやるということは許せないと思うのです。だからちょっと大臣は問題の本質をおわかりじゃないのじゃないかというふうに考えるわけです。  時間がありませんので次に進みますが、しかも問題は審議会の構成なんです。これは知事の諮問機関として審議会をつくっているのです。これによりますと、国とそれから県の執行部、これが十七人入って四三%、それから経営者あるいは業界代表、これが七人、合わせて六〇%が業界と県と国、これが入っておる。しかもその委員の中には、漁民の代表は漁連の会長がおりますが、農民の代表、地域住民、学者、弁護士、医師、こういうものが一切含まれていないわけであります。だから、こういう構成の審議会というのは、これはまさに企業ペースというふうにいわれてもやむを得ぬと思うのです。しかも、その地域住民に、直接に被害を受ける住民がこの審議会の公開をしろと言ったわけです。ところが国から出ている委員がこぞって公開に反対した。企業ぺースの人選をしながら、しかも公開に反対して、ほんとうに被害を受ける住民の意思を聞かない。こういうような審議会であれば、これはまさに企業ペースだ、企業サイドだというふうに県民が言うのは無理ないと思うのです。こういうような構成について大臣はどういうふうにお考えですか。
  179. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 誤解があってはいけませんから私はっきり申し上げておきますが、要するに、工業再配置促進法等に基づいて、いまの公害のある工場の集中しておるところ、これを合理的に近代的な公害の少ない——皆無というようなことはちょっと言い過ぎでしょうね。しかし少ない工場にして、そうしてこれを地方に分散させていく、これをしも公害のまき散らしというのは私はこれは違うと思うのです。受けざらをつくる。受けざらをつくらないで、いま集中しておるところだけはそれじゃもうそれで被害にまかせるか。これはいけませんね。ですから、近代的な合理的な公害の少ない施設にして、そうしてこれを受けざらであるそういう地域に分散するということは、別に企業に対してのサービスであるとはいえません。またそれによって地域住民が働く場所を得るということであれば、これはやはり私は時代の趨勢に沿ったものだ。しかし公害を許してはならぬ、これはあなたと全く同感なんです。自民党もその辺は非常にきびしく規制をいたしておるわけです。  それからいまの構成については、これは市町村議会というものが中心になって意見を申します市町村長の意見というものは、やはり県知事は当然尊重しますし、その構成の中にたまたま入った人、入らない人、いろいろありましょうが、その構成が不当、不公平なものとは私ども思いません。特に、市町村住民の声というものを県知事が、いまこの公選の時代に無視してかってなことができるものではありませんから、御心配の点等については十分私どものほうでも調整をしてまいりたいと思います。
  180. 服部安司

    服部委員長 野間委員に申し上げます。なかなか重要な質疑と認めて、寛大な気持ちで五分間超過を認めたのですが、何ぶん、時間的制約は私はあまり好まないのだが、申し合わせでありますので、心得てひとつ……。
  181. 野間友一

    ○野間委員 最後に一つ。いろいろ時間の関係で十分な質疑ができなかったわけですが、私は、国民のだれが聞いても私の言うことは正しいと思うのです、正直言うて。これはやはり大臣として一ペんこの実態を踏まえた上で、県に対してきびしい行政指導をぜひ私はお願いしておきます。埋立法改正問題点について冒頭にいろいろ申し上げたのですが、私は、日弁連の意見書が出ておりますが、少なくとも最低これを入れなければ、現在のこの改正について見ればまさにこれは従前の促進法そのまま、本質において変わっていないと思う。現在の法案のままでは、これはまさに今後このような多少の手直しをしながら工場をあっちこっちに拡散していくということで、これはやはり住民意見をやわらげるような、そういうような役割りしかないと私は思うのです。アヘンのような役割りしかない、正直申し上げて。そこで終わるわけですが、ぜひこの点について、和歌山の基本計画について、これは運輸省もあるいは自治省も、それから環境庁も、これをぜひきびしく規制していただきたいということをお願いしまして質問を終わります。
  182. 服部安司

  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 公有水面埋立法の一部を改正する法律案について質問いたします。  公有水面埋め立てが、今日ほど土地が最も重要な問題として取り上げられておるときはないわけでありますが、土地を新しく生産する唯一の方法であるわけですけれども環境保全の上からも問題がたくさんあるわけでございます。軽々にこれをきめるということは問題があるわけで、十分慎重にやっていただきたい、かように思うわけです。  そこで建設大臣に、今回の法改正埋め立て手続法というふうなことになっておりますが、埋め立て公害防止によるところの環境保全、安易な埋め立て計画による利権化の問題規制等がございます。関係住民意見も十分聞いて慎重に対処していただきたいわけでありますけれども、冒頭、地域住民の要請にこたえて建設大臣はどのように本法制定にあたっては考えておられるのか、その点ひとつお考えをお伺いしたい。
  184. 金丸信

    金丸国務大臣 この法案はまことに全き法案でないと私最初から申し上げておるわけでございますが、今後できるだけ早い機会に全き法案にしなければならぬ、こう思っております。そこで、民意を尊重ということはやらなければならぬ。民意の尊重ということだけはやるということは当然だと私は考えております。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大正十年以来今日に至るまで、ずいぶん長い間改正がなされずにきたわけですけれども、今回の法改正にあたりまして、現行の公有水面埋立法におけるところの主要な問題点、こういったものはどういうふうにとらえておられるのですか。その点、大臣からお伺いしたい。
  186. 金丸信

    金丸国務大臣 大正十年につくりました古い法律でございますが、環境保全、災害防止等について十分でないという面もありますし、地域住民利害関係者意見の反映が十分でないというような面もあるし、また追認制度があるということは厳正な埋め立て行政にならないというような面もありますし、いろいろその他あると思うわけであります。改正しなければならぬ点はまだたくさんあると思います。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 建設大臣にもう一点聞いておきますが、今回の改正は抜本改正すべきなんです。私たちの農水委員会でもまだかたかなまじりの法案が若干あるわけですが、これもかたかなまじりの法案になっております。今度の改正にあたってはずいぶん企業の圧力もあってなかなかむずかしかった、大臣も苦慮されたというように聞いておりますが、どうだったのですか。抜本改正がどうしてできなかったのですか。
  188. 金丸信

    金丸国務大臣 古い法律でありますから、かたかなをまず直すというようなことは当然でありますが、一部改正ということでそういうものも改正できなかったという問題もあります。よそからの圧力によってこの法案が一部改正しかできなかったということでなくて、これはいろいろ共管というところもありますし、またいろいろ党の考え方もありますし、そういうような面で検討しなければならぬ問題があり、速急に法案を提案するわけにいかないような事態があった。そこで私も提案を見合わせようかと考えたわけでございます。しかし一歩前進だから出せ、提案したほうがよろしい、こういう声も強いものですから、あえてほおかぶりして出したというのが私の心境であります。
  189. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 全く、建設大臣、提案を見合わせようと思ったけれどもほおかぶりして出したなんて、とんでもないです。われわれはもっときびしい規制をしてもらいたいわけです。こういう法案では困るわけですけれども、提案されておりますのでこの機会にいろいろお聞きするわけですけれども、全くこれは怠慢、こういう一言に尽きると私は思うのです。  そこで、埋め立ての免許にあたって地域住民意見を反映させることになっておるわけですけれども公聴会とか、免許権者においても公物管理の見地に限らず、都市計画地方審議会の議決等、都市計画上の見地からも審査する手続をすべきである、こういうようにわれわれは思っているのですけれども、この点はどういうふうに検討されておるのですか。
  190. 川田陽吉

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  今回の改正におきまして地元の御意見の聴取の方法といたしまして、従来からもありましたが、市町村会の議決をまず得て、市町村長が意見を出すということが一つ。それから都道府県知事が縦覧、公告をいたしまして、それに基づきまして地元住民の方々から意見書提出する、そういう形で民意を十分聴取するというやり方をとっております。それからまた、当該区域が港湾区域であるならば港湾審議会の意見、あるいは都市計画区域に入っているならば当然免許官庁としてはそうした審議会の意見はどうであるかということを聞いた上で処分をするような行政になっております。
  191. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで五条の「水面に関する権利者」については、「漁業権者又ハ入漁権者」が水面に関する権利者として規定され云々とあります。そしてこの埋め立て区域内の当然同意をとることになっておるわけでありますが、埋め立て区域外の関係者に対しては行政不服審査法によって埋め立ての異議の申し立てができる、こういうふうになっておるわけです。今回第三条の一項において、埋め立て免許出願の場合は許可する前に三週間公衆の縦覧に供する、こういうふうになっております。これは私の推定では関係者の異議の申し立てを規定したもの、こういうふうに思うのですが、その点と、この関係者とはだれをさすのか、お答えいただきたい。
  192. 川田陽吉

    ○川田政府委員 第三条の意見書提出することができる人は、告示を見た人はだれでもよろしいわけでございます。したがいまして、直接異議を申し立てることができる人という範囲よりはもっと広うございます。  それから第五条の権利者以外に、利害関係について具体的な影響を受ける方はもちろんあるわけでございます。この第五条の水面に関する権利者は、先生仰せのとおり埋め立て区域内に直接権利法律によって与えられている人でございますが、そのまわりでも利害関係、損害を受ける人も考えられるわけです。そういう方々は民法の規定に基づく、不法行為に基づく損害賠償の請求権等を当然持っておりますから、そうした方々は異議の申し立てを裁判所に申し立てることができるようになっております。
  193. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、総論的に聞くわけですけれども関係者となりますと、もちろん埋め立てた周辺、それから潮流の変化を起こす場合が考えられてくる。埋め立てたことによって潮流の変化を来たす。そうしますと相当広範囲の地域考えられる。あとで具体的な例を指摘するわけですが、ここで、はしょって若干申し上げますと、大分の新産都市の第二期埋め立て関係で六号、七号、八号という埋め立て等がいろいろ計画されておりますけれども、佐賀関と佐田岬のあの狭いところに牛島とか高島とかいう島があります。ここの潮流は埋め立てによって相当変わってきて、瀬戸内の潮流が引き潮になりますと、汚濁水がずっと別府湾から佐田岬周辺まで流れてきて、漁場を荒らされて、地元の漁民はもう魚がとれないということで相当反対をし、環境庁並びに関係各省にも申し入れをしておるわけです。満ち潮になりますとまた瀬戸内のほうに押しやっていくということで、瀬戸内ともずいぶん関係がある。いわばあそこは入り口になっております。私も数回調査に行きましたが、こういった関係の場合には、この条項でいきますと、いわゆる関係者といえば瀬戸内も当然考えられると私は思うのですが、その辺の見解はどういうふうに立法の精神として検討されておられるか、御回答いただきたい。
  194. 川田陽吉

    ○川田政府委員 埋め立て地周辺におきまして、漁獲とかそういった生産の問題について直接被害を受ける人がいるならば、これは当然本法の利害関係の損害賠償の範囲で考えなければなりません。しかし、非常に広範な地域におきまして多かれ少なかれいろいろ社会的な影響を受ける、まあ漁業等の影響が一番大きいという点は当然考えられますが、そうした問題につきましてはすべてむしろ環境上の問題としてこの法律では考えております。そこで免許基準におきましても、「其ノ埋立が環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」という基準と、それから「埋地ノ用途が土地利用又ハ環境保全ニ関スル国又ハ地方公共団体法律ニ基ク計画ニ違背セザルコト」という二つの点で一応保障いたしまして、かつまた、影響の範囲が大きいものはたいがい大規模埋め立てでございますので、そうしたものにつきましては認可を与える前に環境庁長官意見を聞いた上で処理するというやり方でこの法律考えております。
  195. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の制約があるので、議事録を見て、このことについては再度検討した上で質問することにいたしまして、もう一点お聞きしておきますが、これは建設大臣建設省当局でけっこうですけれども、四十七条で、主務大臣は、特に大規模埋め立て等政令で定めるものについては、都道府県知事に対して認可をしようとするときは環境保全上の観点からの調整をはかるため環境庁長官意見を求めなければならないものとする、こういうふうに規定されておるのですが、漁業立場から四十七条第三項を起こしてぜひ修正をしていただきたい、私はこういうふうに考えておるわけです。それは、大規模埋め立てのときは漁業権者、関係漁民の保護、また国民の動物性たん白質を供給するという立場から考えまして、農林大臣の認可を求める条文を当然入れるべきである。なぜかなれば、環境庁のみで認可ができる場合と、漁協法によって行なう場合は農林大臣の権限でできる。しかし環境庁にもさっき言った理由から農林大臣にも関係をするという問題がしばしば起きておる、現にあるわけですが、そういったことを考えますと、環境庁長官のみでなく農林大臣に対しても許可を与える条文を入れるべきである、四十七条の三項として一項加えるべきである、こういうふうに私は思っているのですが、この点についての見解を承りたい。
  196. 川田陽吉

    ○川田政府委員 先ほど私お答え申し上げました点と若干重複するようなお答えで恐縮でございますが、埋め立てに際して漁業関係との関係の深さというものは、個別の問題につきまして非常に密接でございます。そういう意味で、具体の一件一件の埋め立ての際には、水面に関する権利者として漁業権者である漁業協同組合等の完全なる同意を得た上で実施するということをこの法律はたてまえとしているわけでございますが、影響力が全般に及ぶ場合は、ひとり漁業の問題だけでなくすべて環境全般の問題というとらえ方で一括環境庁長官というものに協議をすることによって運営してまいりたいと思っております。ただし、水産庁その他農林省と行政運用上密接な連絡をとりながらやっていかなければならないということにつきましては、私どももそのように考えて運用してまいりたいと思います。
  197. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省、よく聞いておいてもらいたいが、いままで日本列島周辺はほとんどよごされてしまった。企業がいわゆるたれ流しをしほうだいにしたためにこういうことになった。国民の食糧を生産する漁民の味方である農林省がだらしがないから、われわれ農林委員会でも大蔵省農林局なんということをいわれるとよく言っているんだが、こういうふうに通産省に対しても腰が弱い。このことについて農林省はもっと強く、漁民を守る立場から、現在第三水俣病が起きてたいへんな問題が起きている立場から、こういったことの許可権限を与えるようなことを当然お互いに話し合って法の制定を考えるべきであった。こう思うんだが、そういったことで環境庁とも相談され、また建設省とも相談されたのか。農林省はどういうふうに考えておられるのか。これでいいとされるのか、漁民のためにひとつお答えいただきたい。
  198. 増満二郎

    増満説明員 お答えいたします。  四条の「環境保全」という中には当然重要なものとして漁場環境保全が入っておるということでございます。それで、先ほどの「環境庁長官意見ヲ求ムベシ」という場合には、当然漁場環境の問題がございますれば環境庁のほうから私どものほうにお話があり、その場合には水産庁の意見を十分反映するように申し上げたい、こういうふうに思っております。先生おっしゃいますように、埋め立て漁業に与えます影響は非常に大きなものがございますので、私どもとしましては、埋め立てについての漁業関係者の意見が十分に尊重されるように指導してまいりたいと思います。
  199. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これ以上答弁を求めることは、農林大臣も来てないのでここでは無理だと思うが、農林省のいわゆる弱腰を指摘せざるを得ない。こういったことで、漁民が全国的に埋め立てあるいはまた、水銀、PCB汚染によってたいへん苦しんでおることを指摘しておくわけです。  もう一点聞いておきますけれども、四十七条に大規模埋め立て等を政令で定めるとあるが、この大規模埋め立てを政令で定めるという、その内容はどういうことになっていますか、その点をお伺いしたい。
  200. 川田陽吉

    ○川田政府委員 埋立法の政令が現在すでに制定されておりますが、第三十二条で第一号から七号まで、主務大臣の認可を受けなければならない事項を指定してございます。一番その中で多く使われておりますのは、代表的なものは埋め立て面積が五十ヘクタールをこえる埋め立ての免許というたぐいのものでございますが、そのほかに重要な港湾にかかるものとか、重要な河川区域に接するような埋め立てというようなものも、建設大臣あるいは運輸大臣の認可を経るようなことになっております。そこで、今度の改正法の第四十七条の二項のほうで、三十二条の中に政令を追加することになるわけでございまして、そこで環境庁長官意見を求めてそういう埋め立てを指定するということになるわけでございます。目下環境庁、運輸省、建設省三省で協議中でございます。
  201. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、時間が参りますので環境庁長官にお伺いをしますが、水俣湾のヘドロ埋め立て問題ですけれども、御承知のように五月二十二日第三水俣病が発生以来、熊本県をはじめ福岡、佐賀、長崎、鹿児島の五県の漁民はたいへんな怒りと、また生活苦にあえいで、現在新聞、テレビ等で報道されておるようなせっぱ詰まった、爆発寸前にあることは御承知のとおりです。環境庁長官は五月現地に行かれて、いろいろと漁民に対して答弁をされて、漁民もそのときは喜んだけれども、現在では、国会からも数回調査に来たけれども何もやってくれないということで、工場に魚をぶっつけたり意思を投げたり、全く昔の百姓一揆以上のすさまじい勢いで漁民は怒りたけっております。われわれもたいへん心配しております。御承知のように、この水俣湾のヘドロの問題、これはまず早く、埋め立てなければならないということで、環境庁長官もことしの暮れにはぜひ工事に着工したいということをいっておられますけれども、御承知のように、ヘドロは湾内北部、明神崎と緑鼻に囲まれた約六十万平方メートル内に最も多くて、五十九万八千立方メートルが推積している、こういうふうにもいわれております。早急に埋め立てをしなければならぬ。しばしば私も農林委員会等で五、六回このことを追及してきましたが、きょうは公有水面埋立法案の連合審査でもあるし、現在どういうふうなところまで調査を進め、見通しを立てておられるか、今年末着工を目ざしてやっておられると思うが、まずそれをお答えいただきたい。
  202. 岡部保

    岡部政府委員 水俣湾のヘドロ処理の問題でございますが、ただいま先生の御指摘のあった部分、水俣港の港湾区域内でございまして、私どもで所管をいたしておりますので私からお答えをさせていただきたいと存じます。  昨年、県が委託されまして、熊本大学の先生方の調査の結果が一応報告されたわけでございますが、その中でいわゆる水俣湾の底質ヘドロの水銀の含有の高い部分はもう埋め殺してしまえ、それから、わりに薄い部分で除去をする必要があるというところは掘って埋め殺すという中に入れてしまえというようなことが、一つ考え方として示唆されたわけでございます。それをもとにいたしまして、私ども県といろいろ御相談しながら、県が具体的な計画をいまお立てになっている最中でございます。  そこで、いま先生がおっしゃいましたように、昨年私どもが承知をいたしておりました海底のいわゆる水銀の濃度分布状況、これが、今年に入ってまた再調査されました分布状況と少し異なっておりまして、新しい分布状況によりまして現在もう一度計画を再検討している最中でございます。この計画によりまして、しゅんせつをするというのは二次公害のおそれもございますので、なるべくこれを減らしていく、なるべく埋め殺す範囲を逆に拡大していくというような方向で、どういうふうなところまでやるべきかという具体的な問題として現在検討中でございます。これは環境庁とも御相談いたしておりますし、主体として熊本県が中心になっておるわけでございます。  そこで、こういう計画が大体めどがついてまいりますと、このためにどのくらいの金がかかるということがわかってまいります。そういたしますと、例の事業者負担と申しますか、はっきり申せばいわゆるチッソが一体この事業費をどのくらいを持つべきであるかといような問題が、県の公害対策審議会で御審議になって知事としてきめられるわけでございます。そこでこういう公害対策事業としてこれが捕捉できる段階になるかと存じます。  そこで、本年度の公害対策事業の予算として私どもこの水俣港につぎ込める予算を確保いたしております。これは他の港とも一緒に合わせまして約八億五千万ほどの国費を現在トータルで保留をいたしておる次第でございます。そこでこの中から、はっきりきまれば直ちにこれを支出して、水俣湾の公害対策事業に着工できるという段階になっておりまして、私どもとしては、もちろんこれの工法の検討でございますとかあるいはいろいろなまだ検討しなければならない点がございますが、できるだけ急ぎまして、今年中にはこの準備段階を終えて、できる限り今年度の第四・四半期には着工にこぎつけたいということで、現在鋭意検討中でございます。
  203. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もう一点伺っておきますが、熊本県の沢田知事が六月十二日、われわれが衆議院としての調査に行ったときでありますけれども、水俣湾内に推積しているヘドロ処理対策一つとして、水俣湾の入り口にあるところの民有地の恋路島を買収、埋め立てすることを明らかにしたのであります。言うまでもなくこれは、いわゆる水俣湾の水銀の拡散を防ぐために県が計画している湾内の埋め立てが予想以上に大規模になり、水俣湾を移転するということを示唆した、こういうふうになるわけで、われわれそういうふうに受けとめております。その点、県のほうからもいろいろ報告が来ておると思うのですが、当局はどういうように受けとめておられますか。
  204. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの御発言、そのとおりでございます。県の知事さんの考え方でも、私ども一緒に御相談しながら考えてまいっておりました経過におきましても、確かに当初はごく内側のほうに埋め殺しするを部分でいいのではなかろうか。したがって、現在水俣港の港湾施設が、公共港湾施設がございますが、これはそのまま活用できるのではないかというような考え方さえございました。ところが、この汚染されたいわゆるヘドロの分布が相当広いということと、それから比較的その汚染の程度がひどいということから、いま御指摘がございました恋路島という島まで、いわゆる埋め立てと申しますか、締め切り堤を建設いたしまして、そうして湾内、いまのいわゆる港湾として活用いたしておりました水面をほとんど失わざるを得ないという感じを持っております。したがって、今度新たに締め切り堤をつくりました外側に新しく港の施設、いわゆる従来ございましたものの代替の施設ということを当然考えなければならないということで、港湾計画もこれに伴っていわゆる公共事業の港湾整備として実施をすることをあわせて考えていくというつもりでございます。
  205. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまいろいろ答弁がありましたが、長官も現地で視察されていろいろ漁民にも答えておられる。それからまたせんだって二回にわたって申し入れをした際にも、本年末に着工するということで強い決意を述べられた。いまの答弁によると、本年中に諸準備が終わって第四・四半期ということでまた後退した感じがするのです。本年度の第四・四半期に着工する、こういうような答弁がいまありましたけれども、とにかくいまこそこれは決断と実行という、そのとおりに実行しなければならぬときがきている。調査ももちろん急いでやってもらいたいし、早く埋め立ててもらいたい、そのことが一番大事な焦眉の急務になっておりますが、もちろんそのほかにもいろいろ問題があるわけですけれども、これが一番根本原因になっておりますので早くやっていただきたい、かように思うわけです。  そこで、環境庁長官はこのことについてしばしば現地でも漁民に答えておられますけれども、あなたもいわゆる自民党の副総裁として、また環境庁長官として、この問題を地元で相当強く漁民に答えて言われている、そういったことから、この場を通じて漁民のために、ひとつかたい決意を再度お聞きしたい、かように思います。
  206. 三木武夫

    ○三木国務大臣 公害病の原点ともいうべき水俣の市民が、患者に限らず、受けた被害というものはたいへん大きなものがある。したがってその禍根を断たなければいけない。そのためにはいま問題になっておるヘドロなども完全に除去、埋め立てる方法によるべきだと思うのですが、この根を断つためには、いま港湾局長も非常にこの問題と真剣に取り組んで、用心深く答弁があったようでありますが、第四・四半期には着工する、こういう方針のもとにいま計画を進めておるわけでございます。そして、とにかくヘドロという、ああいうものがあれば、いつまでたってもまた汚染の機会もあるわけですから、これを除去して、そうして患者のためには治療あるいはリハビリテーション、もっとその根本において水俣病の研究というものもあると思いますが、そこにひとつセンターをつくろうということで、いま敷地なども物色中であります。そうして患者の人々が、なかなかあの病気はなおりにくいというけれども、病気を悪化さすというようなことはこれを防いで、あるいはまた訓練によって日常の生活が十分達せるようなことにできないかというようなことで、患者の人々にもその苦痛をなるべく軽くするために努力をしていきたい。  補償問題は、これは最終段階に来ておるのですが、自主交渉派がまだ残っておるわけですが、われわれもできるだけあっせんをして、補償の問題というものは全部一応解決をしたということにして、次にあしたからの水俣の人たち、これを何とかしてああいう悲劇の町からイメージを変えた水俣市にするために、できるだけの協力をしたいと考えておるわけでございます。
  207. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 水俣湾の埋め立てについてはもうしばしば論議されているところでありますし、いままた言うまでもないことですけれども、どうかひとつ特段の配慮をいただいて、早く解決できますように、漁民が安心して出漁できますように、これはわかり切ったことでございますので、強くひとつお願いをすると同時に、早く着工できるようにお願いしたい。第四・四半期といっても早目にやっていただくことをお願いするわけです。  もう一点通告しておいた問題、重要な問題でございますのでお尋ねしておきますが、大分県の先ほど申しました新産都市の二期計画の問題ですけれども、一期計画の一号から五号地に隣接して、大野川の右岸から北海部郡の佐賀関町までの約十一キロの海津線を埋め立て造成する六、七、八号の埋め立て地の問題です。これも先般申し入れた際に環境長官も現地へ行くということで、いずれ行っていただくことになると思うのですが、たいへんな問題で、先ほども冒頭申しましたように、この埋め立てが行なわれますと、結局瀬戸内の水が引き潮のときには佐田岬と佐賀関の狭いところを通ってあの一帯がよごれる。また満ち潮のときには、逆に今度は瀬戸内に押しやるということで、瀬戸内海の水は学説によると十年または二十年も水がかわらないということもいわれる、そうなってきますと広範囲に影響を及ぼす。この埋め立てをしたらたいへんだということで、先般八号地の埋め立てについては中断ということで、いろいろ政府もお考えを発表されましたが、大分県側は中断の受け取り方について、二期計画と切り離す、そして中止ではないというようなことを言って、三期計画とも言えるかもしれないというような意味のことを言っておりますけれども、これは三期計画という意味に含まれておるように政府も理解しておられるのか。中断ということは、われわれはもうこれは埋め立てをやめた、こういうふうに理解しているのですけれども、その点、明確にお答えいただきたい。
  208. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの大分港の八号地の問題でございますが、これはいわゆる新産都市の計画で、大野川までの地域が第一期計画であった。それからその右岸のほうのが第二期計画である。それでいま先生、これは第三期計画として次の段階につくるべきものと考えておるかという御質問でございますが、これは厳密に申しますれば経済企画庁が担当いたしております計画でございますので、そちらの意見を聞くべきだと存じます。ただ私どもの理解いたしておりますところは、決してそういうタイミングとして次の段階に譲ったということではないというふうに了解をいたしております。と申しますのは、二期計画にこれが含まれておった。ただ現段階で、計画として非常に環境問題等々の問題で問題があるということで、一時この実施を保留するという考え方で、この計画を再検討する必要があるのだというふうに県は解釈をしておるというふうに私どもは理解をいたしております。
  209. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 環境庁長官、地元の代表がしばしば長官に申し入れもして、このことに対しては長官からもそのつどいろいろ答弁されておりますけれども、われわれは地元の要請、また、この埋め立て先ほど言いましたように潮流の変化に重大な影響を及ぼす、こういったことから、この二期計画そのものも、六、七号地そのものも中止すべきである、これは環境庁として当然こういったことを指導すべきだ、こういうことを申し上げておるのですが、長官、これに対してはどういうふうな見解を持っておられますか、あらためてお聞きしたい。
  210. 三木武夫

    ○三木国務大臣 すでに六号地、七号地は埋め立ての免許を受けておるわけですから、いまこれの免許を取り消すということはできませんが、しかし六号地、七号地に限らず、大分の臨海工業地帯というものは環境の全体から見直すという時期になってきておるわけで、だからあそこの六号地、七号地ばかりでなしに、全体の環境容量というものを設定しまして、それでその環境容量に従って、各立地される工場にいろいろな排出基準が生まれるわけでありますから、六号地、七号地の埋め立てそれ自身はとめることはできませんが、その埋め立てた上にくる工場に対しては、われわれとしては環境保全立場からいろいろな制限をつける考えでございます。
  211. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長官、そうおっしゃるけれども、県のほうは環境庁の指導どおりにやっておる、こう言っておるのですよ。環境を守る立場から工事を即時中止させるべきではないか。環境庁の言うとおりにしておる、環境庁の指示に従う、こういうように県のほうでは言っておりますし、そういった意味からも環境庁はもっと強い態度で指導をすべきだ。かように思うわけです。あそこの状態がどういうふうになるかということは十分承知だと思いますので、その点はどういうふうに理解しておられますか。
  212. 三木武夫

    ○三木国務大臣 すでに埋め立てに対して免許を受けておるわけでありますから、その免許を受けた埋め立てをした後に、一体これはどういうふうに使うのかということは、これはやはり環境庁の事前のアセスメントによって、それが環境基準を上回るようなことになれば用途の変更をわれわれが大分県に指示する場合があるということで、環境庁の立場は、そういう埋め立てをして、埋め立てをした上にいろいろな工場がきた場合に、はたしてわれわれが一つの守ろうとする環境基準の中におさまるかおさまらぬか。おさまらぬということならば、上に持ってくる、一つ埋め立てをした後における工場にしても、どういう種類の工場がくるかということに対して制限を加えざるを得ないということでございます。
  213. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に長官にもう一点お伺いして終わりにしたいが、先般長官室で私も二回にわたって申し入れしていろいろ話してあるので事情はよくおわかりのとおりであります。これは現地のいろいろな状態を見てもらわなければ——長官だから地図の上でも相当わかられると思いますけれども、百聞は一見にしかずで、現地を見ることが最大のきめ手になると思うのです。先般も現地に行くということで約束もしておられますけれども、実情をほんとうに見て、どういう状態であるか、引き潮と満ち潮の状態等見れば一目瞭然としております。ちょうど別府湾はタコつぼみたいになっておりまして、あの引き潮のときは瀬戸内の水が流れてきまして、すでに別府の町にある水族館のマリンパレスなんかの魚が弱ってしまって、まいりつつある。いわゆる第二洞海湾といわれるように、死の海になりつつあるわけであります。そこの埋め立てができますとたいへんなことになります。大分県の埋め立ても、当然これは新産都市計画によって計画されていることだし、二期、三期と計画されても当然かと思いますけれども、あそこの大分全部がたいへんな問題になる。こういったことから、これはもうたいへんな歴史の上に汚点を残す、こういうことになりかねない。環境庁長官は勇断をもって、現地を見、それでほんとうにつまびらかに調査されて、県に対する指導を強力にやっていただかなければならぬ、かように思う。そういう意味で現地にもぜひ早く行ってもらいたいが、いつごろ行かれるのか、どういう考えでおられるか。国会中はたいへんかもしれませんけれども、はっきりひとつ公開の席でお答えいただきたいと思う。
  214. 三木武夫

    ○三木国務大臣 問題の海区は私自身も見ることが必要だと思っております。しかし目下はこのような国会の状態でありますから、国会が済みますれば一度現地を見てみたいという考え方でございます。
  215. 服部安司

    服部委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後二時四十分散会