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1973-11-07 第71回国会 衆議院 建設委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十一月七日(水曜日)     午後零時九分開議  出席委員    委員長 服部 安司君    理事 天野 光晴君 理事 田村 良平君    理事 村田敬次郎君 理事 渡辺 栄一君       愛野興一郎君    小渕 恵三君       大村 襄治君    梶山 静六君       國場 幸昌君    高橋 千寿君       野中 英二君    廣瀬 正雄君       藤波 孝生君    宮崎 茂一君       渡部 恒三君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      坪川 信三君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  委員外出席者         内閣審議官   粟屋 敏信君         総理府総務副長         官      小宮山重四郎君         経済企画庁政務         次官      橋口  隆君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省住宅局長 沢田 光英君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 十月九日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     八木  昇君 同日  辞任         補欠選任   八木  昇君     松浦 利尚君 十一月七日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     高橋 千寿君   澁谷 直藏君     宮崎 茂一君   浜田 幸一君     大村 襄治君   林  義郎君     愛野興一郎君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     林  義郎君   大村 襄治君     浜田 幸一君   高橋 千寿君     小沢 一郎君   宮崎 茂一君     澁谷 直藏君     ————————————— 九月二十七日  一、工業配置・産炭地域振興公団法の一部を   改正する法律案内閣提出第五六号)  二、都市計画法及び建築基準法の一部を改正す   る法律案内閣提出第七六号)  三、国土総合開発法案内閣提出第一一四号)  四、住宅基本法案北側義一君外一名提出、衆   法第二五号)  五、土地対策緊急措置法案井上普方君外六名   提出衆法第五三号)  六、建設行政基本施策に関する件  七、国土計画に関する件  八、地方計画に関する件  九、都市計画に関する件  一〇、河川に関する件  一一、道路に関する件  一二、住宅に関する件  一三、建築に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  工業配置・産炭地域振興公団法の一部を改正  する法律案内閣提出第五六号)  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出第七六号)  国土総合開発法案内閣提出第一一四号)  土地対策緊急措置法案井上普方君外六名提出、  衆法第五三号)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 服部安司

    服部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出工業配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案国土総合開発法案井上普方君外六名提出土地対策緊急措置法案、以上四案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部恒三君。
  3. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 私は、政府提出国土総合開発法案、並びにこれに関連する法案について質問を行ないたいと思います。  いまわれわれが当面している最大の問題は過疎過密同時解決です。私は、選挙区と東京を往復しておってしみじみ感じますのは、私の選挙区は東北でありますが、選挙区に帰って歩いておりますと、五十坪も六十坪もある大きな家ががらんとあき家になっている。あるいはおばあさん一人しかいなくて、十畳の部屋が三つも四つも何年間もあかずの間になっておる。ところが一たん東京に帰ってくると、若い人たちが私ども相談に来るのは、いよいよ好きな人ができて結婚する、ところが二DKの住宅も見つからなくて、結婚しても住宅がない。あるいは六畳一間に暮らしておるんだが、子供はできたけれどもどうしようもないというような相談なんです。いまこういうことを考えると、やらなければならない問題は、過疎過密同時解決のために、都市の再開発地方の思い切った開発であります。ところが、同時にいまの日本列島が当面する大きな問題は、国土保全乱開発が行なわれては環境が破壊されてしまって困る、また開発が行なわれると地価暴騰して困るという、一つの相矛盾する、相反する問題なんです。  そこで、いま出しておる国土総合開発法に対する国民の期待は二つある。一つはこの過疎過密同時解決のための思い切った開発であるし、同時に一方はこの国総法によって乱開発を防止してもらいたい、地価暴騰を防いでもらいたい。これは非常にむずかしい相反する矛盾の問題でありますけれども、しかも国民はこの同時解決を求めておる。ここにむずかしさがあり、私どもが期待しておるのは、この同時解決をこの法案によってやってくれるだろうということなんです。しかし、本来は開発というのは、行なわれれば地価が上がる、あるいは環境が破壊されるというものなんです。この一つ法律によってその矛盾、相反するものをどういうふうにして解決していくのか、この点について、経済企画庁長官答弁をお願いしたいと思います。
  4. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 福島県の選良である渡部委員が地元の県民各位の痛切なる気持ち自分の問題として取り上げておられる態度に深く敬意を表します。私もさような問題が全国にあることをひしひしとはだで感じておりますし、何といっても今日日本発展の中で、過密と過疎の問題こそ一番解決を要する問題であると痛感をいたしております、  仰せのように、この日本の成長、経済発展というものは、大体昭和三十五年くらいから急速に高まりまして、そのゆえに日本経済的な地位が非常に高くなったといわれておりますけれども、その反面に、いま仰せのような、非常に一部に人口集中工業力集中し過ぎた過度集中の問題があるわけでございます。ちなみに数字を申し上げますると、いわゆる三大都市圏東京圏大阪圏名古屋圏、これに総人口の四四%近くが集まっております。この地域は大体一割六分程度の面積でございますが、そこにそれだけの人口が集まっておる。ことに東京大阪名古屋という都市だけをとってみますと、一%にすぎないものに三分の一の人口が集まっておる。そこに結局、空気の汚濁の問題であるとか、あるいは公害の問題であるとか、交通戦争の問題であるとか、住宅難の非常な緊迫した問題であるとかいうものが出ておるのでございまして、いま仰せのようなそうしたものを解消しつつ国土の再開発考えていかなければならぬと思うのでございます。  国土総合開発法案国会に提案せられましてからいろいろの御議論があるわけでございますが、私は、その議論の中には、国土総合開発法というものをよく読んでいないことから出る議論が相当あるのじゃないかというふうに思うわけでございます。私どもは、国土総合開発法というのは、名前は開発法でございますけれども、その実体はむしろ規制のほうに重点の置かれた法律であると思うのでございます。非常に過度に集中開発された地方開発規制していくということに重点が置かれておると思うのでございまして、それはまたあとでいろいろ御質問に応じて申し上げたいと思いますが、それを主眼にしている。しかし、一方において規制をするということは、乱開発をこれまた規制していくということでございまして、この法律のねらいはまさに両面考えておるわけでございます。  一部に土地規制だけ別の法案にしたらいいじゃないかという議論がございますけれども、それはそうでないのでございまして、ある地方における土地規制をするということになると、片一方の規制対象にならぬ地区乱開発というものが現行法のままになるわけでございます。いま現行法によって開発をされているために、たとえば奈良のような歴史的な古都、そういうものにも妙な建築物が建つというようなことで非常に問題になっているわけでございまして、やはり開発規制というものはうらはらである。国土総合開発法はまさに開発規制両面をねらったものであるということを強調いたしたいのでございます。  渡部委員すでに御承知のことばかりだと思いますけれども、一応私の考えを申し上げます。
  5. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 いまの大臣最後答弁なんですが、これが何か徹底していないために、いたずらに、列島改造論地価暴騰させるだろうとか乱開発が行なわれるだろうというような、非常に誤った見解が強いのです。いま国民が一番この国総法に期待しているものは、土地の問題をこの国総法解決することだと思うのです。  この国総法提出されたとき、いろいろ新聞の論評がありますが、これはずいぶん古いあれですが、提出された時点の三月三十一日の毎日新聞です。「私権制限時代」というのに、「ぼくはタナカを見直したヨ。やはり昨年末の総選挙の結果が、こたえたんだろうねェ。都市住民対策として真剣に土地問題に取組まなければ、自民党は見放されてしまう危機感を持ったんだナ。そこで生まれた新国土総合開発法案が盛込んでいる土地利用土地取引に関する規制というのは一〇〇%完全な私権制限ではないが、及第点をつけていい方策だと思いますネ」。これは土屋清さんの評論ですが、この点、大臣、この国総法が行なわれれば地価暴騰が押えられるのだ、乱開発を押えられるのだということを、もっと具体的に、抽象的にはこれはだれでもお互い言っておることなのですから、説明をしていただきたい。
  6. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 国総法のねらいは、いま渡部委員仰せのように規制に非常に重点があるわけで、その規制も、いわゆる大都市地域、そこの地価を凍結するという非常に思い切った構想が書かれてあるわけでございます。この法案法案として成立いたしますまでの間には非常に何回も何回も激論がかわされたのでございまして、特に憲法の規定する財産権との抵触の問題、これが非常に法制局等でも慎重にかまえられまして、議論がかわされました。また自由民主党の中でも、今日の大都市住宅問題と関連して、これはやらなければならぬと思うけれども、一方において私権制限との憲法上の疑問はないのかというようなことで、実は非常に御熱心な御議論があったわけでございます。ある意味でこれは、いわゆる革新と称せられる方々がむしろ率先して主張して、それはちょっと行き過ぎるではないかという議論が出てきてもおかしくないと思うのでありますが、自由民主党は非常に進歩的な考え方でこの法案をあえて御提出になっておる。われわれの考えと一致した政府提案をさしていただいておる。野党のほうは何かこの大事な問題について非常に考えがおろそかであるという点を、実は私、奇異に感じておる次第でございます。  内容をちょっと申し上げさしていただきますがまず一般に届け出勧告制度をしいておるわけでございまして、これは規模によって、市街化区域これは二千平米以上のもの。それから市街化区域以外の都市計画区域、これが五千平米以上のもの、その他一万平米以上のものといたしておりまして、この地域における土地に関する権利のの移動というものは全部届け出させる、そして全体から見ておかしいところがあるものはチェックをするということになっております。一部の論者は、届け出をさしておかしいじゃないか、勧告はなまぬるいという議論がございますけれども、これはやはり程度がございまして、やはり勧告ということを受けると、あの人は非常にまじめな人だと思ったが、あんなエゴいことをやっておるかというようなことで、非常に社会的な信用に関係するわけでございまして、これは非常に有効であると思います。  次に特別規制地域、これは地域指定いたしまして、その地域地価をその時点に凍結するわけです。そしてそれについては売買許可制にいたしまして、その地価以上のものの売買は禁止してしまうぞ。ただ憲法上の問題がございますので、三年間、しかし場合によってはさらに二年延長する、五年凍結ができるようになっております。これはもう非常なことだと思うのでございます。  さらに、特定総合開発地域制度がございまして、これはいまいろいろ問題になっておりまする第三セクターのやっております総合開発地区ですね。ここにいろいろ野党等方々非難をされる問題があるわけですが、そういう非難があればこそこれを規制しようということでございまして、いろいろな非難をされるならこの法律をなぜ早く通さないかということを申し上げたい次第でございます。  内容は御承知のことでございますが、都市計画区域では三百平米、その他では千平米、それ以上のものは届け出勧告制度対象になりまして、指定後五年間はいまの基準で凍結するという届け出をさせるということになっておるわけでございます。  私は地価というものは実は物価の根本であると思うのです。物価を安定させるというのは、私はまずもって地価を安定させなければならぬと思うのです。地価を安定するのは、日本は法治国でございますから、かってに政府がどうこうするわけにいかないので、法律によらなければならぬわけでございます。その法律をなぜ通さないのだと、私はほんとうに訴えたい気持ちでございまして、渡部委員の御指摘はまことに当を得ていると考えております。
  7. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 大臣のおっしゃるとおりなんです。土地規制、これはいま最大の問題じゃないかと思うのですが、たとえば最近、新幹線路線審議会で発表されまして、二つの議論が出ているわけですね。しかし、われわれ考えれば、過疎過密解決して北海道から沖繩まで有効に人間経済発展するようにするためには新幹線をつくらなければならない。ところが一方の議論は、新幹線を発表してしまうと、その周辺土地値上がりをどっと来たして、インフレを誘発させるのじゃないかというような心配が非常に多くなされている。この国総法が通れば、国総法に、さっきも大臣説明ありましたように、土地価格が急激に上昇し、またはそのおそれがあると認めるとき、その事態を緊急に除去するため、必要最小限度区域を最高五年以内の期限に限って特別規制地域指定することができるとありますね。この条項で、新幹線路線なんか、あるいは高速道路を発表した場合、その周辺土地業者が買い求めて不当な利益を得るようなことをしないようにするというようなことは、この法律でできますか。
  8. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 地域指定するわけでございますね。たとえば、いま仰せのような新幹線の駅ができると、そのまわりの土地は予想される価格になりそうだからというので凍結する。その地域指定がいいか悪いかという正当な基準が必要でございますが、それはやはり県知事が一番よく知っているわけだと思います。そこで、県知事が所属の市町村長意見を聞いて、その上にそういう指定をするわけです。これはある日突然に指定できます。ですから、そういうことがきまればぴしゃっと押えられるのでございますが、法律がないことにはどうにもならない。ですから、一方に新幹線をつくって物価を上げるなんというなら、なぜこの法律を早く通してやらぬか。それで、当初の御質問に返りますが、過密過疎の問題を解決するにはやはり交通通信のネットワークをつくらなければいかぬのだ。そのことがいけないということはこの法律がないからいけないのでございまして、その意味でぜひ早く法律の御制定を願いたい、こう考えます。
  9. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 大臣おっしゃるとおりなんですね。ただこれが徹底されていない。いま確かに国民不満というのを考えると、衣食は戦後二十八年間たいへんな勢いでよくなってきて、実際問題としてわれわれ国民で、あした着るものがない、きょう腹一ぱい食べるものがないという人は、ほとんどないのですね。どこに不満があるかというと、宅地住宅なんです。そしてまた人間というのはふしぎなもので、自分がどんなしあわせな生活をしても、隣の家によりしあわせな人間がいると、また不満になってくるのですね。九州に旅行してきたといって娘さんが喜んでいる、ところが隣の家の娘さんがハワイに行くということになると、ハワイに行けなかったことの不幸を考えるというのが人間なんですね。いま一番国民の中でくすぶっているものは、あの隣のやつが何か何千坪の土地を五千円で買って十万円で売って、べらぼうに不当な利益勤労所得では考えられないような利益をあげているということなんですね。そういう者をなくするということには、この国総法、これを徹底させる。私も、この法案に反対するとか、この法案審議に参加しないなんというのが国会議員の中におること自体、これはふしぎだと思っているのです。しかし同時に、もっと突っ込んでいかなければならないと思うのです。  ここで、これもやはり土屋清さんですけれども、「つまり資本主議体制下で、もっとも有効な土地に対する私権制限は三つあるという。一つは、しっかりした国土利用計画。もう一つ土地売買所有権移動規制。そして最後土地処分による利益の徴収」ということを言っているのですけれども、確かにこの国総法では、土地規制面はありますけれども、一番国民不満に思っている、いまインフレでお金の値打ちがなくなっている、土地を持っているやつだけがいい思いをしているのだ、土地を買ったやつだけがもうけているのだということ、これは政治の力で公平な政治をやっていくと、当然税の面で出てくると思うのですよ。  私どもは、自由民主党の中の昭和会という若い議員の集まりで、一度、固定資産税累進高率課税方式を思い切って取り上げるべきでないかということを政府と党の幹部に提言したことがあるんですが、大臣のほうから政府部内で働きかけて、規制と同時に、こういう世の中の不平不満をなくするために、土地売買によって不当な利益をする者はいないんだというために、固定資産税累進高率課税をこれと並行してつくるようにするとか、あるいは土地売買利益をもっと税の面で大胆に吸収する処置を講ずるとか、こういう考え方大臣お持ちになったらお聞かせいただきたいと思います。
  10. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 実は御承知のように、至る一月の土地対策閣僚協税制の面をいろいろ検討いたしまして、土地譲渡益に対しては普通の法人税以外に二〇%かける、さらに土地保有税をかけるということにいたしまして、最近非常に金融の引き締め等もございまして、土地を手放す件数がふえてまいりました。全体で土地値上がり傾向というものは著しく鈍化してまいりまして、今後この傾向はさらに進むと思います。  ただ、いまおっしゃるような、特別の土地を持つことによっての利益に対する課税、この問題は実は、土地だけでなくていわゆるキャピタルゲインというものに対してどう考えるかということであると思います。実は私もそういうようなことをちょっと別の委員会で言うたことがございますが、ちょっとその私の構想は、なかなかいまののではいれられません。実は私としましては、一度国会で私が言うたことでございますので、税制調査会にこの問題をかけております。東畑委員長に対して、土地を含めたキャピタルゲイン、これは主として法人の利得になると思いますが、そういうものを検討してもらうように言っておりまして、いま議論をしていただいておるんで、渡部委員におかせられましても、そちらのほうへもひとつ、おれもこう思っているんだがどうだということをおっしゃっていただければけっこうかと思います。
  11. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 そこで結局、いま一番この土地の問題が国民不満になっておるわけなんですけれども、実際は、私ども日本じゅう歩いていると、あちこちにあいておる土地が一ぱいあるんですね。ところが、あんまり土地が上がる、土地が足りないということが騒ぎになっているために、何か若いサラリーマンの人にでも、土地日本じゅうからなくなっちゃうんじゃないかというようなあせりから、必要以上に土地を買っておかなくちゃならない、なくなったらたいへんだという気持ちが多いんですね。これは東京女子大学教授伊藤善市さんという方ですけれども土地所有利用売買について少なくとも毎年一回土地白書を公にし、国民土地問題に対する十分な情報を提供し、また土地対策の実態と効果を報告すること、こういうことをやればいいだろうという意見が出ておりますが、これは下河辺局長にお答え願ったほうがいいかと思うのですが、いまの一億の国民に、土地はまだあるんだ、政府がこういう施策をやればサラリーマン住宅を持てるんだということをはっきりと安心させる、そういうものを必要とすると思うんですけれども下河辺局長にお伺いしたい。
  12. 下河辺淳

    下河辺説明員 お答えいたします。  土地の問題につきましては、御指摘いただきましたように、従来とかく総合的な白書というものに欠けていたきらいがあると思います。そこで、私どもといたしましては、新全国総合開発計画の総点検という形で土地関係資料の収集を実はいたして、ごく最近発表さしていただきましたが、非常にまだ素朴なものでありますけれども政府としての土地白書的なものの第一歩と考えておりまして、今後国土総合開発を進めるにあたって、やはり毎年土地事情について国民皆さん方にお知らせすることが重要であると考えております。  もう一点につきましては、実は、長期の昭和六十年までの宅地に関します需要について、関係省庁とも相談をし作業をし始めておりますが、おおよそ四、五十万ヘクタール程度宅地を用意することが、日本の一億二千万人こえてくる国民のために必要ではなかろうかと考えておりますが、その四十万あるいは五十万ヘクタール程度住宅地の配分について考えます際に、全国土にわたって考えます際には十分な宅地を用意することが可能であるという考え方に立っておりますが、大都市へさらに集中を深める場合には、大都市において住宅地を供給することがきわめて困難な事情にあるということを申し上げる必要があると思います。
  13. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 その宅地の問題で建設大臣にお尋ねしたいと思うのですけれども、つい最近の新聞ですけれども建設省住宅問題に非常に意欲的になってがんばっていられるのをたいへんいいことだと思うのですけれども建設省宅地業者がこの二年間の間に宅地開発のために土地を入手した経路を調べていったところが、その宅地業者が買い占めた土地の七五%は、全然宅地として利用されないで放置されておるという結果が出たということが報道されております。たいへん御苦労さまでしたが、しかし問題は、その七五%をできるだけ早く宅地に活用するように行政指導していくのが政府の指導だと思うのですが、こういう意味でも、国土総合開発法が通らないと建設省としても仕事が非常にやりにくいので、いわば国土総合開発法審議をおくらせたり審議を阻止したりしている人たちは、宅地をほしい、住宅をほしいというサラリーマンのささやかな願いさえはばもうとしている人で、われわれ非常に腹が立つのですけれども建設大臣として、この七五%の利用現行の状態ではどういうふうにして指導していくものでしょうか。
  14. 金丸信

    金丸国務大臣 大手不動産業者、七五%というただいま御指摘のお話は、そのような状況であるわけでございますが、その中には市街化調整区域がほとんどであるというような状況もあるわけでございます。そういうことでございますから、ただいまおっしゃられるように、右から左にこれを宅地に供給することができ得ないというようなこともありますし、また水の問題、あるいは交通の問題等を考えますと、なかなかいますぐということもむずかしい問題がある。あるいは、各地域の公共の団体、各県、市、こういうようなところが拒絶反応を起こしておる。それは相当な負担増というようなことにもなることでありまして、こういう問題も解決しなければならないという問題もあるわけでございますが、どちらにいたしましても、この問題も、国総法が通ることによって一部解決する問題もありますし、また現在、市街化区域内の土地につきまして、これを調査、そしてこれを宅地化していくというようなことについても、鋭意努力して進めておるという状況であります。
  15. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 そこで、建設省の関係の局長にお尋ねしたいのですが、いまのこの深刻な宅地問題に対処するために、大臣非常に御苦労をなさっているのですけれども、優先的に市街化を推進すべき区域としての市街化区域について計画的な公共施設の整備を推進する必要があると思うのです。  いま民間ベースでどんどん住宅を建てておっても、これも過疎過密最大矛盾を私ども感ずるのですが、いま地方に行くと、おとといも私行っておったところ、大きな学校なんですけれども、来年の四月から入学する子供がいなくなっちゃう。せっかく体育館までできておるりっぱな学校が、入ってくる生徒がなくて廃校するしかない。これは大臣地方なんかにはあるかどうかわかりませんけれども、われわれ地方出身の議員が一番さびしい思いをするのは、螢の光で学校が次々と廃校している姿なんです。ところが一方、過密地帯では、総務副長官なんか過密地帯ですけれども、今度は毎年毎年入学児童が多くなって、プレハブ校舎を建てても間に合わない。これはたいへんな矛盾なんですけれども都市地域住宅をつくっていく場合は、水道、下水、学校、公民館、老人施設、こういったような公共投資、これがいまのところはあとから追いかけているのですが、むしろ市街化区域をやる場合、これを先にやって、さあ住宅いらっしゃいということにならなきゃならないと思うのですが、担当の計画局長ですか、お答え願います。
  16. 吉田泰夫

    ○吉田説明員 先生ただいまの御指摘は、まことにそのとおりでございまして、特に市街化を計画的に進めようというために設定いたしました市街化区域でございますので、ここに計画的な、優先的な市街化のための前提となる街路、公園、下水道、上水道、あるいは学校、その他もろもろの都市施設を先行的に整備し、受け入れ体制を整えた上で住宅配置していくということでなければならないわけでございます。そのために、建設省におきましても、市街化区域の計画的な整備計画を立てておりまして、まあ全国相当の面積にわたるものですから、ある程度の期間はかかりますが、そういった計画に基づいて基盤施設の整備をはかってまいりたいと考えております。  なお、市街化区域の中でも、既成市街地以外のこれから市街化していくという場所につきましては、できるだけ都市区画整理事業とか新住宅市街地開発事業といったような公共施設の整備と合わせて、広範な地域にわたって面的に整備される手法を用いて良好な町づくりの前提にいたしたい、こう考えております。  そのうちで、建設省が直接所管いたしております道路、公園、下水道について申し上げますと、これらはいずれも昭和六十年までには一〇〇%完成したい。やや長期になりますので、中間的に昭和五十五年ぐらいの段階を予想いたしまして、この段階に大体六〇ないし六五%ぐらいの整備をはかりたいと考えております。現在は、街路、公園は所要の計画に対しまして二四%程度、下水道が二〇%程度でありますので、相当ピッチを上げてやらなければならないと思います。このためには国の各種五カ年計画の充実とか、それに基づく国の補助金の増額がもとより必要でございますが、その他地方財政の充実あるいは国庫補助率の引き上げ等も十分に勘案して、その計画が予定どおり達成されますように今後とも努力を傾けたいと存じております。
  17. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 また局長にお尋ねしたいのですが、さっき大臣から話があったように、新住宅市街地開発事業、いわゆる大規模な再開発事業について、都市計画法で市街地開発事業予定区域の制度を創設するとしているのですけれども、これは国総法の特定総合開発地域とは、どういう関連で仕事を進めていくのですか。
  18. 吉田泰夫

    ○吉田説明員 ただいま御質問のありましたのはただいま御審議いただいております都市計画法の一部改正案の中に盛られている新しい制度でございまして、近年における全国的な乱開発傾向によって、地方都市も含めまして都市地域というところでは、計画的な市街地の開発がなかなか困難な事情になっております。特に、新住宅地開発事業とか、こういった大規模ないわゆる面的な開発事業の施行がなかなか円滑を欠くという事態が生じておりますために、それがまた一つ宅地需給の不均衡を招来しているというような結果になっておるわけでございます。そのために市街地開発事業等予定区域という新しい制度を考えておりますが、これは、事業の施行の区域と施行予定者、この二つのものがきまり次第、いち早くその地域都市計画で予定区域として指定し、それから先、その区域内の公共施設の配置計画とか土地利用計画の詳細、あるいは住宅等の建設計画の詳細を立てまして、そして事業にかかるということであります。  そのような詳細計画を立てるには相当時間がかかって、現行制度のままですと、いち早く地区だけを指定して押えておくということができないわけでございますが、この予定区域の制度ができますと、先ほど申し上げましたように、施行区域と施行予定者、これは何々県であるとかあるいは住宅公団であるとかいうことでございますが、それだけをきめれば、すぐにでも予定区域都市計画が決定でき、それから先は厳重な建築あるいは開発行為の規制がありまして、乱開発は相当程度きびしく押えられると思います。もちろん土地所有者の保護のためには、何どきでも買い取り請求権を認めるということにして保護いたしておりまして、かたわら公的機関は、買い取り請求権に応じ、あるいは任意の折衝によって先行的に土地を買収することも当然考えられるわけであります。  そういったものが、いま御指摘をいただいた市街地開発事業等予定区域の御提案申し上げている概要でございますが、これが国土総合開発法案にあります特定総合開発地域とどういう関係にあるかという御質問でございます。  国土総合開発法案では、新都市、あるいは新市街地、あるいは大規模な開発予定地域といったものを対象に、特定総合開発地域という地域指定ができることになっておりまして、したがいまして特定総合開発地域の中には、私どもが先ほど申し上げました住宅団地、大規模な住宅市街地というものの予定される場所も、当然含まれるわけであります。もちろんそれ以外の場合もありますが、全く同じものを目的とした、同じような住宅市街地等をつくろうという場合も入るわけでございまして、この場合に、国総法にいう特定総合開発地域というのは、いわゆる上位計画、都市計画から見ての上位にある先行的な計画でありまして、これを受けて具体的な都市計画事業、つまり執行力を持った事業に密着した都市計画が定められていく。その場合に、その予定地がきまり、施行予定者がきまれば、現行制度ではできないような早い時期に、市街地開発事業等予定区域というものをきめまして、いわば国総法による特定総合開発地域を、都市計画の予定地域、さらには現実の市街地開発事業というふうにフォローしていくという関係になるわけでございます。
  19. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 次に、建築基準法の一部を改正するこの法律の中に、工業専用地域内の建蔽率を強化することにより工業専用地域の密度を緩和することにしております。いま公害がいろいろ心配されておるとき、これは当然のことでありますがこれは同時に、住居地域等における高層化に基因する日照権の問題、これと非常に関連する問題なんです。  私は、東京都議会選挙のときに、中央区の選挙の応援に歩いて驚いたのですが、東京のどまん中に平家建てあるいは二階建ての建物が非常に多いんですね。これは、土地が足りない、足りないといっておって、まだまだこの日本全国はおろか、東京都内でさえも非常に土地利用が不合理になっております。これは、地方の問題は別としても、都市区域における問題の解決は、田中総理がいつもおっしゃっているように、東京のどまん中に平家建ての家をそのままにしておいて、そこに高層建築が建とうとすると日照権で制限されるということでは、都市開発なんかできるはずはないと思うんですよ。私はそういう意味で、日照権を固執する考え方こそが、最も私有財産の尊重を公益よりも優先させて主張する古い封建的な考え方だ。美濃部さんがどうしてああいう考え方を持つのかとよくふしぎに思うことがあるのですが、建設省の専門家の皆さん、この点について御意見を承りたいと思います。
  20. 沢田光英

    ○沢田説明員 先生御指摘の日照問題が非常に起こっております。この日照問題は、御指摘のように、従来、非常に低層、低利用都市が、土地価格が上がってまいりまして、効率利用をしなきゃいけない、こういう段階の移りかわりの時点に摩擦として出てきておる、かようなことだと思います。しかし、結論を申し上げますと、やはり土地の非常に高い場所では効率利用をしなければならない。しかもその中で一応快適な生活というものもやはり担保されなきゃならない。そこで最終的には、何と申しましても再開発事業等によりまして立体化をして、そのまわりに空間地、オープンスペースをとって、そして日照なり、あるいは緑なり、あるいは太陽なり、こういうふうなものを生み出していくということになるわけでございますけれども、その過程におきまして、現在は平家である、そのそばに立体化されたものが建てば問題が起きてくる、かようなところでございますが、私どもも、この摩擦をある程度押えながらやはり最終的にはオープンスペースをとった都市立体化の方向、かような方向にうまく誘導するような制度、こういうものを積極的に基準法の中でも改正事項として取り入れまして、そういうふうに誘導していきたい、かように思っておる次第でございます。
  21. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 わかりました。  次に地方都市に対する考え方です。これは下河辺局長になるのか、あるいは総務副長官になるのかわかりませんが、どちらからでもけっこうですけれども、この国総法に対する大きな期待は地方の中核都市の建設ということですね。これはまた逆に、かつて新産業都市建設ということではなばなしく騒ぎましたけれども、あの新産都市建設は百万都市建設だったのですね。ところが田中総理の列島改造論には、百万都市構想というものに対する反省がある。やはりこれは、公害のない快適な都市というものは二十五万前後が適当だろう、私どももそう考えておるのです。そこに中核都市に対する期待があると思うのですが、この地方中核都市、この国総法における建設の内容考え方。  それから、これをやっていくことになると、これは百万都市の反省から起こっておるのですから新産業都市の財特法、これは五十年三月に終了することになっておりますが、新産業都市地域の人はまた逆に、まだ終わってないからこれを引き延ばしてほしいという陳情等をわれわれも聞いております。これは五十年の三月の時点で延ばすことになるのか。ここで打ち切って、百万都市というのはむしろ公害密度を多くする、これからの理想的な地方都市は二十五万あるいは三十万、そういう中間都市の建設という方向で地方開発を行なうのか。この点についての明快な御答弁をいただきたい。
  22. 下河辺淳

    下河辺説明員 地方都市の整備問題のお尋ねでございますが、新産業都市につきましては、昭和三十七、八年以来今日まで、各県の協力を得て推進をはかってきておりますが、多々公害問題その他がございますので、この工業開発を進めながら生活環境の問題あるいは公害の問題について努力を重ねているところでありますが、この財政その他の特例法が昭和五十年ということで定められておりますので、昭和五十年までこの従来の方式でただいま申し上げたような問題に取り組んでまいりたいと考えております。  五十年以降の問題につきましては、新しい国総法ができますと同時に新しい計画をつくりたいということを考えておりまして、そういった検討の中で、お尋ねのような地方都市問題の一環として五十年以降の方針を政府として明らかにしてまいりたいという考え方でございます。  地方都市問題につきましては、新産業都市時代工場誘致ということに非常に重点が置かれて、工業誘致に成功するかしないかということが、新産業都市にとりまして非常に基本的な課題であったことは御承知のとおりであります。しかし今日、私ども地方都市議論いたします際には、巨大都市の状態、あるいは地方過疎の状態ということを踏まえて、新しい生活環境をどうつくるかということが大きな課題になってまいりまして、自然環境を十分持った形で、しかも医療、教育その他生活環境についての整備がどこまで進むかということを中心に地方都市の整備問題を考えませんと、やはり人口の定着性が得られないという点があるかと存じます。そのために、現在、関係省庁集まりまして地方都市整備の方針についての検討をしつつあるところでございまして、今日まだ明快な方針を持っておりませんが、しかし、私どもといたしましては、私どもの推計にいたしますと地方都市人口が千五百万近く増加することが予定される面もございますので、この地方都市整備にこれからの国土開発一つの焦点があると考えております。  その際の規模といたしましては、百万都市だけがよいという考え方ではなくて、やはり二十五万都市のよさというものも十分生かさなければなりませんが、しかしこれもまた、二十五万に画一的にするということは問題があるわけでございまして、十万の都市あるいは五万の都市が実際にあるわけでございますから、そういった都市も、相互の都市が相互に扶助し合うということで、お互いの欠けたるところを補いながら地方都市の生活が完全なものになるようにくふうを加えながら、これからの地方都市の規模なり配置ということを考えてまいりたいと考えております。
  23. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 地方都市の建設、非常にまた国民は期待しておるし、いま局長からたいへん意欲的な御意見を承ったのですけれども地方都市の建設ということは、中央との新幹線あるいは高速道路による交通網の直結ということによって生きてくるのですね。私の福島県で、今度新幹線ができると、郡山−東京間が一時間になる。そこで、白河地方あるいは須賀川地方、それから会津のほうも非常に発展するという大きな可能性と期待を持っているのですね。そのときに、地方人たちにとって最近一番不愉快な思いをさせられたのは美濃部都知事が東北新幹線東京に入れないというようなことを言っている。このくらい、日本の国全体を考えないエゴイズムというか、セクト主義というものはないと思うのですね。東京だけが日本じゃありません。日本全体が栄えて東京も栄えるのです。これはたいへんなあやまちをおかしておると思うのですけれども新幹線高速道路東京に入れないということでは画竜点睛を欠いてしまいます。何とかこういうものを解決する方法というのは、この国総法で出てくるのですか。
  24. 下河辺淳

    下河辺説明員 国土総合開発法の中で、全国総合開発計画あるいは都道府県総合開発計画を策定することにいたしておりまして、その計画の中で全国的な交通通信体系というものを十分検討して決定するということにしておりまして、全国的な交通ネットワークが今日国土開発の基本的な手段であるということについては、御指摘のとおりだろうと思いますので、そういった形の計画をきめたいと思います。  一つ申し上げたいと思いますのは、東京あるいはその他の大都市におきまして、幹線交通体系が全部一点に集中するという形につきましては、やはり少し検討を加える必要があるのじゃないかということで、運輸省、建設省ともよく相談いたしまして、交通体系の具体的な実施につきましては、また一くふうさせていただきたいと思います。
  25. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 美濃部さんが新幹線高速道路に非常に消極的であるというのは、日本列島全体の繁栄というものを非常にはばんでおる。残念なことだと私は思うのですが、あの錯覚の中には、何かもう東京にこれ以上人が集まったらたいへんだ。これは美濃部さんの考えもわれわれの考えも同じなんですね。ところが、高速道路ができる、新幹線ができるということは、地方の人をどんどんますます東京に集めてしまうという考え方からこれに反対しておられるんだろうと思うのですけれども、これは非常な錯覚で、この国総法の意義で進めていくことになれば、今度できる新幹線高速道路は、東京集中してしまった経済人口地方に分散させる役割りを果たすものにもっていかなくちゃならないと思うのですよ。これが一番肝心なんですね。  そこで、私は建設大臣にお伺いしたいのですけれども、いままでずいぶん、大学を移転させるとか、工場追い出し税をつくって工場を追い出せとか、いろんなことをやってきてますけれども、なかなか実効があがらない。というのは、日本人の国民性というのはやはり上にならうのですね。大将がここにおって、家来にあっちに行け、こっちに行けと言ったって、絶対に行かないのですね。大将が動けば自然に行くのです。六畳の部屋に人が一ぱい集まっているときに、おまえらじゃまになるから出ていけということを何回言ったって、これは出ていかない。しかし、そこの一番偉いやつが出ていくと、自然にいなくなってしまう。そうすると、結局最後に、いまの日本経済、社会の最大の欠陥になっておる過疎と過密、特にこの東京の激しい人口集中、これを解決する道は、これは東京政治都市である、その政治都市の中心センターを他に移すということが解決になると思うのです。  私は最近中南米へ行って、あのおくれたブラジルが、あの貧しいブラジルが、十年間の間にブラジリアというりっぱな、すばらしい新都市をつくった。その建設までの経過には、インフレの問題、財政の問題、いろいろあったようですが、すばらしい都市づくりをやっているのをまのあたり見ましたけれども、ちょうど明治維新が行なわれて京都から東京に都が移って百年になるわけですね。その百年の間に、東京を中心として確かに太平洋ベルト地帯は発展をした。ところが、北陸地方とか東北地方とかは非常におくれをとってきた。これを直すにはやはり、政治の都を今度は北陸なり東北なりに、あるいは富士山麓でもいいかもしれない、地域のことは申しませんが、とにかく東京からよそに国会議事堂も建設省も総理府も移っていくというくらいのことがなければ、いまの深刻な過密過疎の根本的な解決にはならないと思うのです。大臣東京遷都論に対する非常に理解ある考え方の方だということで、一億の国民は非常に大臣に期待をしておるのです。ひとつ大臣のこの問題に対する御見解を承っておきたいと思います。
  26. 金丸信

    金丸国務大臣 首都移転の問題につきましては、ワシントンにいたしましても、あるいはオーストラリアのキャンベラにいたしましても、御指摘のブラジリアにいたしましても、みごとに政治都市を移しておるわけでございますが、私もあれを見まして、また東京のこの過密という問題を考えてことに豊かな均衡のある、実りある地域社会をつくるということが、そうして所得の格差のない地域をつくるということが政治のねらいであるならば、この過密過疎を解消するということについては、まず一番人口の集まっておる東京のこの問題を解決しなければならないことは言をまたないと思います。これはまた、災害の問題にいたしましてもそうであります。また宅地の問題にしても、宅地の分散ということも考えなければならぬ。東京にだけ宅地を求めるということは愚かではないかという感じが私はいたすわけであります。  そういう意味で、まず第一に、行政府あるいは国会、こういうものが移ることによって範を示しそれによって東京に集まる一時的な人口を緩和するという面もありましょうし、そういうことでございますが、先般、総理府においてアンケートをとったその結果は、遷都という問題、あるいは行政官庁、あるいは国会を移すという問題について国民の多くの人がまだ十分な認識を持っておらないような結果が出ておるわけでございまして、これは相当重大な問題でありますので、国民にこの内容を十分に徹底して、その上で国民のいわゆる考え方を集約して、その結果をもって政治的な判断をすべきではないか。渡部先生のおっしゃられるお考えについては、私も今後鋭意努力してそういう方向に持っていきたいと考えておる次第であります。
  27. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 大臣の非常に意欲的なお考えを聞いて、私どもも意を強くしました。私どももひとつ今度は超党派で議員人たちに呼びかけて、東京移転研究議員連盟ぐらいつくって、この問題に本気で大臣をバックアップしようという考えでありますので、なお大臣にがんばっていただきたいと思います。  そこで、もう一つ大臣にお尋ねしたいのですがいままで私たちこの国総法を中心として議論をしてみますと、何の議論から始まっても、根本、行き着くところは土地の問題になってくるのです。土地が足りない、土地が高い、これを押えなくちゃならない。ところが日本全国歩いてみると、この狭い日本のはずですけれども、まだまだ未利用土地がある。すばらしい住宅地になるだろうに、何にも使われないで遊んでおる。ここに工場ができたらすばらしい工場地域になるのに使われないでおる。いわばむだに遊んでおる土地が非常に多いのです。なぜその土地がむだに遊んでいるかということを調べてみると、それは全部道路交通網が整備されていないからなんです。橋一本をかけることによって、何千坪のいままで利用されなかった土地人間のために利用できるようになるのです。トンネル一つを山の中に掘ることによって、いままで全く使われなかった何千坪の土地が生き返ってくるのです。そうするとこれは、国総法によって国土総合開発を進めるにしても、基本的には地方の交通体系、道路を整備していくということに最後の結論は出てくるのです。  きのうも、私のところにいなかの町村長さんや関係の人が陳情に来て、いろんな話をしていましたが、これは議論としては受け取れませんが、しかし地方人間の素朴な声であるということで聞いていただきたいと思うのです。その人はこの間東南アジアに行ってきたというのですが、歩いたら全部舗装道路だった。ところが、おれの家に行くのには、砂利の道、満足な砂利も敷いていない道を歩かなければならない。新聞を見ると、日本は金持ちになった、金が余っているから東南アジアに経済援助をどんどんするということだが、経済援助をするのなら、まず日本の中で東南アジアよりもっとおくれているところになぜ舗装道路をやってくれないんだということを言われて、私はその意見が当然だとは思いませんけれども一つのいまの地方の住民の素朴な道路交通に対する願いが秘められておると思うのです。大臣は特に地方道路開発に対して御熱心な大臣で、国民が期待しているのですが、来年度予算編成がいよいよ始まろうとするときに、いま地方の者が一番心配しているのは、インフレ対策のために公共事業を抑制するということで道路予算が減って、地方のこのささやかな道路開発に対する願いが押えられるんじゃないかということでありますので、ひとつこの際、大臣の来年度の予算に対する、道路行政についての御意見を承っておきたいと思うのです。
  28. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま渡部先生からの御質問でございますが、いわゆる都会の再開発地方開発ということは、まず、都会の再開発をやる前に、地方開発、受け皿のしっかりしたものをつくらなければ都会の再開発はできないだろうと私は考えます。そういうことで、建設省におきましては、道路の問題については、本年度を起点として十九兆五千億という道路予算、五カ年計画というものは成立をいたしておるわけでございますがその中で一級国道等につきましては、大かた大部分が完成いたしておるということ。また、先ほど私が申し上げました地方の受け皿をしっかりするためには、市町村道というこの関係の生活道路国民に密着した道路をしっかりしたものをつくることによって、受け皿というものはしっかりでき上がるのじゃないか。先ほど御指摘のように、いままでは、効率が悪いからここに道路はつくらない、効率か悪いからここに隧道はつくらない、効率が悪いからここに橋はつくらないというような考え方であったけれども、いわゆる過疎過密を解消するためには、この山に隧道を抜けば、ここに青年が帰り、あるいはここの未利用土地開発される、ここに工場もできる、働く場所もできるこういうようなことになることが、日本総合開発の均衡のとれた地域社会をつくり、いわゆる所得の格差のない日本全体の姿になっていくだろう。そういう意味で、来年度予算等につきましては、この国民と密着した生活道路になお一そうの努力を払ってまいりたい、こう考えておる次第であります。
  29. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 大臣ありがとうございました。  なお、公団法の問題、あるいはさっき途中になっておりました土地税制の問題等、私、質問したいことがあるのですけれども、ちょうど時間が参りましたし、また関係者もおりませんので、次に質問を保留して、ここで終わりたいと思います。      ————◇—————
  30. 服部安司

    服部委員長 次に、建設行政基本施策に関すする件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します渡辺武三君。
  31. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 冒頭に委員長に一言御要望申し上げておきたいと思います。  本日は変則的な委員会が開催をされておりますが、私は、このような状態は真の議会制民主主議を確立する上からも好ましいことではないと思います。委員長の立場並びに御主張は私なりに十分理解はできますが、なお一そうの御努力をされまして、一日も早く正常な状態で委員会が開催をされますように、特に強く要望いたしておきたいと思います。  そこで、きょうはこのような状態でございますし、質問通告もしてございませんので、一般的な問題を若干御質問申し上げて私の質問を終わりたいと思います。  まず最初に、最近の新聞報道によりますと、建設省は、物価の高騰等によりまして国民の住居費の負担がたいへんにふえてきておる、そこで家賃の補助制度を採用していきたい、こういうことが新聞紙上にうたわれております。この家賃補助制度につきましては、すでに先進諸国等で実施をされ、いろいろな成果があげられ、住宅政策に相当大きな影響を及ぼしておるということを私どもも見聞をいたしておりまして、このような委員会でも、われわれ自身からも家賃の補助制度を実施をしてはどうかということを申し上げた記憶があるわけでございますが、ぼつぼつ建設省もそのような方向を取り入れたい、こういうことでございますが、具体的にはどのような方向を考えられておるのか、御説明を願いたいと思います。
  32. 金丸信

    金丸国務大臣 お答えいたします。  現行の公共賃貸住宅の家賃は原価家賃方式をとっておるわけでございますが、いまの物価高、社会状況から考えてみますと、いわゆる家賃が物価の関係等によってはね返ってくる、そうすると毎年毎年新しく建てる建物については家賃が増額されていくということは、まことに芸のないことじゃないか。また、いわゆる働く者のために、まことにこれは政治的に考えても重大な問題である。そういうようなことから、この家賃制度のあり方につきまして、審議会にかけましてこの問題をただいま審議していただいておるわけでございますが、中間答申におきましては、収入に応じた家賃制度というものを検討をするという方向で私のほうに中間報告があったわけでございますが、自後この問題につきましてはこの方向でただいま審議を続けておるわけでございます。その答申によりまして、私は、十分答申を尊重してその方向でこの家賃制度というものをきめてまいりたい、このように考えております。
  33. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その場合、いわば適正負担率と申しますか、収入の中に占める住居費の割合というものは何が適正であろうか、こういうことが問題になってまいると思います。その辺まだ結論はあるいは出ていないかもわかりませんが、アウトラインはどの程度をお考えになっておるのでございましょうか。
  34. 沢田光英

    ○沢田説明員 ただいま大臣から審議会の模様を御報告申し上げたわけでございますが、審議会審議の中でも二つの大きな筋がございます。それは一つは、国民のこれからの住居水準、確保すべき水準は一体いかほどか、これが一つの基本でございます。もう一つは、そういう水準に居住するにつきましても、一体、国民の適正住居費負担率、こういうものはいかほどなのか、この二つが軸でございまして、その間にギャップがあれば埋めていこう、こういう政策になろうと思います。  先生の御指摘の問題は、後段のいわゆる負担率の問題だと思います。各国におきましても、そういう制度をとっておりますところは、事こまかに負担率をきめておるところもございます。あるいは概括的にきめておるところもございます。世界的な情勢で見ますと、大体一五ないし二五の間に、いろいろな状況、家族の状態そのほかによりまして分布をしておるというのが通例でございますけれども、現在、わが国の事態をまたもう一回見直しまして、この負担率を答申の内容と申しますか、具体的な内容としていただくということで、現在そういうものの具体的な数字の詰めを行なっておる、かような次第でございます。
  35. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 住居費の割合等々の適正な負担率の算定ということ、たいへんに重要なことでございますが、私は、いまの日本の現状から見ると、むしろ建設コストが非常に不安定である。年々諸物価の高騰によりまして、ことしきめたことが来年そのままもう通用しないという現状にある。そこでやはりどうしても急がなければならないのは物価の抑制ということになる。なかんずく地価の抑制、建設資材の供給を不足なからしめていく、こういうことが当然に考えられないと、いまの現状の中で家賃補助制度だけを採用してはたしてうまくいくであろうか、実はたいへん心配をいたしておるわけでございます。  そこで私は、その中の一つである土地政策。先ほども論議はされておったと思いますが、この地価の凍結ということが各方面で実は論議をされておりまして、過日、総理と福田行管庁長官との会談においてもこのことが論議をされ、そして総理いわく、それは国総法によって地価の抑制ができるのではないか、こういうことばに対し、福田行管庁長官は、いや国総法では地価の抑制はできない、不十分だ、やはり新たな立法が必要なんだ、こういうふうに言われたということがニュースとして流されております。  私どもも、いまの地価の現状というものを見る限り、今回政府が提案をしております国総法ではたして地価が抑制できるであろうか、実はたいへんに疑問に思わざるを得ないわけでございます。そこで新聞等では、国総法を修正するのか、新たな新法をつくるのかというたいへん大きな見出しで報道をされておりますが、このこと自身が実は与野党の非常に大きな対立の原点になっておったのではないであろうか、こういうふうに考えるわけでございまして、なかんずく私は、諸事業の実施省として建設省が仕事を進めようとすれば、おのずから土地というものが実はついて回っておるわけでございまして、地価そのものが、建設省の所管を離れた、経済そのものに影響する経済政策である、ために建設省独自で地価凍結などということはなかなか考えられないのだ、こういうお考えもあろうかと思いますが、実際には、その事業の実施省である建設省が何か仕事をやろうと思えば、すぐにこの地価問題に頭をぶつけておるはずでございます。先ほども問題になっておりました道路の問題も、年々膨大になっていく予算、はたしてそれでいいだろうかと見ておりますと、やはり用地費にかかっておる費用が非常に多い。逆説的に口を早くして言えば、いわば土地の無策のために税金をむだ使いをしておるのではないか、こういわれてもやむを得ないような事情が発生をしておるのではないか、こう考えざるを得ないわけです。  そこでやはり、一番関係のある実施省としての建設省が、所管事項ではかりにないとしても、積極的に経企庁等々に働きかけて、そうして一日も早い地価の安定策、こういうものを考えていかないと、国民がたいへんに不便をいたしておりますこの住居の問題も、ことしも、これは皆さま方も御承知のように、公団住宅が計画の一割にも満たないというような状況、しかも用地難、土地を買いに行っても非常に高くて買えない、それでコストではじき出していけばたいへんに高い家賃になってしまう等々のいろいろな問題を含みまして住宅そのものも実は建設できないというような状況になっておろうかと思います。  そういう状況を考えますときに、私は、一日も早い地価対策というものが建設省の立場からも出てこなければならないのではないか、かように考えるわけですが、この辺についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  36. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 お説のとおり、地価問題というものは現下の最も緊急な問題でございますし、特に建設行政におきましては非常に比重の高い課題の一つでございます。これにつきましては、地価問題は、大体先生もいま御指摘のありましたように経済全体の仕組みの中に一つの大きな根元を持っておる問題でございますから、一般的な地価対策といたしましては、一般物価対策あるいは地価問題一般としましては、総合的な対策を必要とするところでございます。  建設省としましては、地価対策閣僚協議会等の結論に基づきまして逐次その実現をはかってきたところでございますけれども、特に最近、買い占め問題あるいは異常な値上がり等が建設行政の施行に大きな障害となっております。そこで、過般来次々に、税制の問題あるいは金融の引き締めの問題等につきまして、各省庁相寄りましてその方向に沿って制度の改善をはかってきたところでございます。その効果は相当今日出てきていると私ども考えている次第でございますが、さらに一そうこの地価対策の強化をはかりますためには、現在提出されております国総法等によります特別規制区域の制度等が一刻も早く活用できるような方向を期待いたしたい。そのためには、この法律によってなお足らざるところがあれば、それらの積み上げ、実施の経過を見まして、慎重にフォローをいたしましてその欠陥を補っていくべきであろう。われわれは、地価対策につきまして、総合的に、かつこれを段階的に積み上げていく、こういう方向のもとに地価対策を各省庁とともに鋭意検討いたしてまいりたいと考えている次第でございます。
  37. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私はややその考え方には問題があろうかと思います。なぜならば、今回の国総法に盛られている、特定地域指定をして、その網の中からまず規制を始めていこう、こういうことをおっしゃったわけですが、いわば開発を前提とした地価の抑制というようなこと、いまの段階でそれが一番先決だというお考え方は、私はややおかしいのではないであろうか。現状そのものが地価の高騰により非常に国民が迷惑をしておる。したがって、開発を前提にせずしても、現状のままでも一日も早い地価の凍結なり土地規制ということが必要になってこなければならないわけです。そういうことを一番痛切に感じておるのが建設省であるはずなんだ。これは何かといえばすぐ土地に関連をしておるはずですから、当然そういうことはもう身をもって体験をしておられるはずなんだ。だとするならば、建設行政に携わる上からももう少し具体的な積極的な対策というものが打ち出されてこなければいけないのではないか、こういうふうに考えておるわけですが、国総法が通ればどうとかこうとか、すぐそういうことになっていったのでは私は非常に問題があるのではないか。なかんずく福田行管庁長官ですら、国総法だけでは地価の抑制はできませんよと閣内でもおっしゃっておるのですからね。  新聞報道によれば、建設省がたいへん消極的だと報道しておりますが、私は、一番積極的にならなければならない建設省が、むしろ新聞にこういうことを書かれること自身が恥だというふうにお考えになっていただかなければいかぬ。そこで、われわれのこういう質問に対しては、直ちに積極的な事こまかい答弁が返ってきて当然なんだ。ところが、残念ながらいまの御答弁ではとうていわれわれの納得できるところではございませんのでもっともっと一生懸命に勉強されて積極的な姿勢をとられますように強く要望いたしまして、きょうは質問を終わりたいと思います。
  38. 服部安司

    服部委員長 次回は、来たる十二日月曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十三分散会