○浦井
委員 私、行ってみた上での
意見を申し上げたいわけなんですが、
大臣、上木崎
団地へ私行きまして、住民の方々に数人お会いいたしました。そこの住民の方々は一般的にいって非常におこっておられるわけなんです。何でおこっておられるかというと、頭越しに、しかも突然に自分たちのところをモデルに選んだ、こういう形に受け取っておられる。それからこういうような民主的でないやり方はけしからぬ、こういうやり方は
入居者の権利を侵すものだ、こういうことでおこっておられる。さらに、いませっかくそういう居住条件のよいところで平穏に暮らしておるのに、その平穏な生活をかき乱されたということで、これは案外無視できない条件だろうと思う。これで非常におこっておられる。
そこで、私たちと一緒に行った数人の者はずっと巡回しまして、直接
団地の人々に当たってみたわけなんです。そうすると、たまたま昼間だったので、七十二戸のうち三十二軒しか在宅されておらない。主として奥さん方、そういう方は、統計をとってみますと、
分譲をされれば買いたいという
希望を述べられたのはたったの六人なんです。三十二世帯のうち六人。そして、
分譲をされても買わぬ、
分譲に反対だという方が、はっきりと意思表示をされた方が二十六人あるわけなんです。しかも、そこの七十二戸と
公団との間に立って連絡をされておる方は、これは比較的ものごとを公平、客観的に見られる立場にあるんだろうと思うのですけれ
ども、おそらくこの上木崎
団地の現在の
入居者の七割以上は、たとえ
分譲というような
政策が出てきても買わないだろう、こういうことをはっきり言っておられる。これは私は直接聞きました。
そこでさらにその
人たちの
意見を分析してみますと、二十六人の方がなぜ買わないのか。それは三つあるわけです。
一つは、
先ほどから言っておることでございますけれ
ども、もう十五年もたってかなり古い、そしてこれを
払い下げてもらっても自分の家として今後住んでいくには相当いたんでおる、買っても修理するのがたいへんだというのが率直な
意見。それからやはり狭い。上木崎
団地は二Kあるいは二DKであるわけなんですけれ
ども、やはり将来永住していくには狭い、こういうことなんです。それから家賃の問題、
分譲価格の問題。
新聞報道による三百万とか四百万というふうな値段ではとても手が出ない。
先ほども言ったように、共益費を含めずに五千円あるいは五千数百円から九千円ぐらいの間の家賃で平穏に暮らしておる。それを高い、実際上の家賃の値上げになって、しかもこんなぼろの狭い
公団の一室をなぜわれわれは買わなければならぬのか、こういう
意見がほとんど全体であります。
さらに、それでは客観性を欠くかもわからぬということで、六人の買ってもよいという方の
意見も聞いてみました。そうすると、無条件に買うという人は一人もおらぬわけです。買ってもよいという人は値段によりけりだという。三百万から四百万というような値段であれば、もうとてもこんなものは買う値打ちがない。その
人たちに、あなた方はここに永住するんですかというふうに聞きますと、永住はしない。しかし安ければ買うんだとその
人たちは正直に言ってくれました。こういう
考え方はよいことではないと思う、しかし安ければ買って転売すればもっとよいマイホームをつくる
資金の一助になる、だから私は安ければ買うという
希望を持っておるんだ、こういう
意見なんですよ、
大臣。だから、悪いけれ
ども投機的な気持ちにならざるを得ぬのだ、むしろ今度の
総理の
発言に基づく
建設省なり
公団の
方針というものはわれわれに投機をすすめておるのではないか、こういう
意見を述べられた方さえもあるわけなんです。だから、買う人、それから絶対に買わないという
人たちに共通しておるのは、繰り返しになりますけれ
ども、政府や
公団が一方的にきわめて突然にこういうやり方をやったということにどちらもおこっておられるわけなんです。
それから、
賃貸や
分譲が
バラ売りで混合になった場合には非常に
管理を心配されておる。特に奥さん方、これは実際に自分たちが四六時中生活をされるわけですから、小さなしかも非常に大事なデリケートな
意見を持っておられるわけです。混在になれば隣近所の関係、いろいろなことでごたごたが起こってくるというようなこと。いまであれば一応まとまって、自治会はないけれ
ども、まとまって一括して
公団に要望すれば、あるいは要求すれば済んでおったのが、これからはそういうやり方ができなくなる、こういうことを奥さん方はすでに敏感に察知をされて反対をされておる。
さらに、
先ほどから出ておりますように、政府の
賃貸住宅でできたものを、そういう公的施策
住宅を減らすということに反対をされておる。たとえば、
公団に住んでおられる方はいわゆるホワイトカラーの方が多い。転勤がある。転勤があっても、いままでであれば
公団に住んでおって、転勤先であき家に入るというようなことが比較的できておった。それがこういうような形でどんどん
賃貸住宅さえも
分譲に変わってきて、当然あき象がなくなってくる。こうなれば私たちが転勤をした場合にさしあたって困るではないか。民間
住宅に入って商い家賃を払って、そしてますますわれわれは
住宅難に苦しむのかということで、非常におこっておられる。
こういう実情を私はこの一週間ほど前に調べてきたわけなんです。だからそこで
大臣にあえて申し上げたいのですけれ
ども、自民党さんはおそらくこれでやればいいことをやっておるのだというようなつもりかもわかりませんけれ
ども、これは建設
委員会で申し上げておいてくれ、ここに住んでおる方はだれも、自民党さんや政府がいいことをしてくれたと思っておる者は一人もおらぬ、
選挙目当てだということぐらいは居住者は敏感に察しておるのだ、かえって私たちは迷惑なんだということを、御主人も奥さん方も私に切々として訴えられたわけなんです。そういう施策をやるよりも、もっと安い、楽に入れるような公的
住宅を大量に
建ててほしいんだ、こういうことをその
人たちは私に訴えられたわけなんです。私も全くそうだと思う。だから
大臣にお尋ねをしたいわけなんですけれ
ども、この
払い下げ問題、特に
公団に限っていいますならば、
公団の
払い下げというようなことはこれは
住宅問題を真に解決する道にならぬと思う。やっぱりこういう
方針は
大臣は即刻撤回をされて、そしてもっと
国民が望んでおるほんとうの
意味での
住宅政策の
方向に
努力をしていただきたい、私はこういうように思うわけなんですが、私の
調査結果などを踏んまえて、ひとつ
大臣の御所見を承りたいと思う。