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1973-05-09 第71回国会 衆議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月九日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 服部 安司君    理事 天野 光晴君 理事 田村 良平君    理事 村田敬次郎君 理事 渡辺 栄一君    理事 井上 普方君 理事 福岡 義登君    理事 浦井  洋君       石井  一君    小沢 一郎君       小渕 恵三君    梶山 静六君       澁谷 直藏君    野中 英二君       浜田 幸一君    林  義郎君       廣瀬 正雄君    藤波 孝生君       渡部 恒三君    阿部 昭吾君       勝澤 芳雄君    清水 徳松君       中村  茂君    松浦 利尚君       瀬崎 博義君    中島 武敏君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君  出席政府委員         大蔵省理財局次         長       小幡 琢也君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省住宅局長 沢田 光英君  委員外出席者         自治省税務局固         定資産税課長  小川  亮君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   下平 正一君     勝澤 芳雄君 同日  辞任         補欠選任   勝澤 芳雄君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     下平 正一君     ――――――――――――― 五月九日  屋外広告物法の一部を改正する法律案内閣提  出第七七号)(参議院送付) 同月一日  東北横断自動車道秋田線(北上・横手間)の基  本計画早期設定に関する請願根本龍太郎君外  三名紹介)(第三六九五号) 同月七日  国道二四六号線厚木・大和バイパス建設計画  再検討に関する請願河野洋平紹介)(第三  八四五号)  秋田小坂地区東北縦貫自動車道路線変更に  関する請願川俣健二郎紹介)(第三八四六  号)  同(佐藤敬治紹介)(第三八四七号)  同(浦井洋紹介)(第三九二一号)  同(瀬崎博義紹介)(第三九二二号)  同(中川利三郎紹介)(第三九二三号)  同(中島武敏紹介)(第三九二四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月一日  土地の大規模買占め規制に関する陳情書  (第一六六号)  高速自動車道建設促進に関する陳情書  (第三〇二号)  急傾斜地崩壊対策事業拡充強化に関する陳情  書  (第三〇三号)  公営住宅の払下げに関する陳情書  (第三五  一号)  国道十号線バイパス及び東九州縦貫高速自動車  道の早期建設に関する陳情書  (第三五二  号)  大牟田福岡線国道建設促進に関する陳情書  (第三五三号)  町村道整備促進に関する陳情書  (第三五  四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地価公示法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇〇号)  建設行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 服部安司

    服部委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 富士山の大沢くずれに対しましては建設省もたいへん御関心をいただきまして、特に最近は金丸建設大臣現地に参られましていろいろ視察をいたしてまいったようでございますが、ひとつまず最初建設大臣視察の状況、それに対する対策などについてお伺いをいたしたいと思います。
  4. 金丸信

    金丸国務大臣 お答えいたします。  実は四月十五日に参りまして——かねてから大沢くずれを見たいということで、ちょうど機会がありましたので行ってまいりました。私、大沢くずれを初めて見まして、その下流地帯潤井川——さいの川原というものはこういうものだという感じがしたわけでありますが、この川の下に富士宮市があるわけですが、もしこれがいま少し大きく洪水でも出たらどうなるんだろう、下に住む人たちの気持ちははかり知れないほどの心配があるだろうという感じがいたしました。また、これをこのままでおくなら、富士山というものは、何百年後であるか千年後であるか知らぬけれども、あの富士霊峰というものは、谷間ができたら山が二つになってしまうのじゃないかという感じもいたしました。これは、霊峰富士を保全するというために必要であるとともに、下流地域住民のためにも十分な対策を講ずるように、その十分な対策を講ずることにつきましても、これは時間の問題で、早急にやらなくてはならぬ問題もある、こういうことで、非常に視察してよかった、こういう感じで私は参りました。源頭部、いわゆる富士山の頭に対する対策もあります。扇状地に対する対策もあります。あるいは谷間の深くなった峡谷に対する対策もあります。それにつきましては政府委員から詳細にこれから説明をさせますが、一日も早く、災害が起きても災害住民に及ばないだけの手だてはいたしたい。それにつきましても政府委員から説明を申し上げます。
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大臣から視察をした所見を述べられまして、早急な対策をということでございますので、私は具体的な諸問題につきましてこれからお尋ねをいたします。  まず長期的な対策と、それから当面しなければならない対策二つに分けて、まず長期的な対策とそれから当面する対策、この二つの問題について御説明を承りたいと思います。
  6. 松村賢吉

    松村政府委員 お答え申し上げます。  まず、大沢くずれの長期対策でございます。この長期対策につきましては、まず土砂生産の根源であります一番上流部源頭部対策、それから峡谷部の滝の対策、それから扇状地対策、また扇状地より下流部侵食防止対策というふうに分けて計画しておるわけでございます。それで、このうちの一番もとであります源頭部対策、それから峡谷部の滝の後退防止対策、この二つにつきましては、現在その地形、それから気候的に非常に特異な面が多いわけで、その施工方法、それから土砂運搬方法、それから施工材料、こういうものについて、非常に特殊な工法をやらなければなりませんので、これの調査研究を進めております。それで、この結果を待ちまして、適切な工法対策を立てようという考え目下調査研究をしておる段階でございます。しかし、こういうことではございますけれども、扇状地対策を現在施工しておるわけでございますが、直接の土砂害防止する上にはこの扇状地対策を進めることが非常に有効であるということで、床固め工導流堤工事を現在よりさらに強力に推進する計画をしております。それから、扇状地に毎年流出してくる堆積土砂に対しましては、積極的にその土砂の活用もあわせ考えまして、土砂汗止機能を絶えず維持するようはかるとともに、不慮の土石流に対処いたしますために森林帯を設置いたしまして、土砂害防止に万全を期すよう計画しております。また、これらの扇状地対策の進捗に合わせまして、下流部侵食防止をはかるための流路工促進考える。以上が長期対策でございます。  しからば当面の対策といたしましてはどう考えておるかと申しますと、先ほど申し上げましたように源頭部崩壊を完全に防止するのはきわめて困難である。それで当面の対策といたしましては、扇状地対策工事といたしまして床固め工導流堤及び下流流路工施工する必要があるわけでございます。これが直接の土砂害防止に役立つわけでございますが、これを施工する必要がある。そこで昭和四十八年度にはいままでよりさらに強力に事業の推進をはかるために、予算の配分につきましても特に配慮を加えまして、事業費約九億円、これの予算によりまして、床固め工根固め工導流堤、これを施工することといたしております。それからさらに、昨年の土石流によって扇状地堆積して、次期出水によりまして流出のおそれの大きい不安定土砂、こういう不安定土砂の排除、それから運搬道路の新設、それから大沢川、潤井川流路工、これを促進いたしまして、大沢くずれの対策に万全を期していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、扇状地には昨年の五月以降の土石流の流下によって多量の土砂堆積しておるようでありますが、この除去についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、お伺いいたしたいと思います。
  8. 松村賢吉

    松村政府委員 その扇状地堆積している土砂関係でございますが、ここに堆積いたしております不安定な土砂が約二十三万立方メートルというふうに算定されますが、このうち特に不安定な部分が約十万立方メートルございます。それで四十八年度におきましては、そのうち約五万立方メートルを導流堤工事の盛土に使用しまして、残りの五万立方メートルは別途掘削させることとして、除去いたします。それで残りの十三万立方メートルについても今後早急に掘削するように計画を立てておる次第でございます。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この堆積土石流運搬について、相当の数量があるわけでありますけれども、その運搬道路についても地元としてもいろいろの希望があるようでございますが、これらの計画はどうなっておりますか、お伺いいたします。
  10. 松村賢吉

    松村政府委員 この土砂運搬につきまして、現在計画しております工事用道路でございますが、この工事用道路は、第五号床固め、第四号床固め及び県道河底橋までの流路工施工に伴いまして約三十万立方メートルの残土処理が必要になりまして、これを運搬するためにおもに使用するものでございます。その計画といたしましては、県道白糸滝大坂線、これより上流の第六号床固めまでの延長約三キロメートルの道路を新設する予定でございます。そのうち、昭和四十八年度におきましては下流側約千八百メートルの施工を予定しております。なお、その道路幅員につきましては、当初は五・五メートルで計画しておりました。しかし将来の運搬量の非常な増大を考慮いたしまして、この際幅員を七メートルに拡幅しようとしております。それで将来の地元における各種の利用にも十分こたえ得るのじゃないかということも配慮いたしまして、七メートルの運搬道路というふうにいたしております。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 次に、潤井川改修については、現在星山放水路開削が進められておりまして、これが完成いたしますと下流部治水効果に大きく寄与すると思われますが、これの上流部についてはまだ着工されていない。この上流部についての改修はどのように進めていくつもりか、また完成はいつごろになるのか、その点についてもお伺いいたします。
  12. 松村賢吉

    松村政府委員 潤井川につきましては、現在御承知のように星山放水路、これの開削を重点にいたしまして鋭意進めておるわけでございます。この潤井川星山放水路につきましては四十八年度、今年度には完成させる見通しがついてございます。そこで放水路地点より上流改修につきましても、早期改修が必要になってくるわけでございまして、これも必要であることは十分承知しておりますけれども、まず放水路通水が先決であるという考え方から、まだ着工はしていない実情でございます。ところが、四十八年度放水路完成が予定されておりますので、引き続きまして上流部改修にも着手して早期完成させようという方針のもとに、現在上流計画検討中でございますけれども、そのうち少なくとも緊急を要します身延線下流部の川幅の狭い個所等につきましては、ことし、本年度より用地関係調査に入りまして、この部分につきましては三、四年のうちに完成させたいというふうに考えております。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それでは最後にもう一つお伺いいたしたいのですが、富士山麓の東側は、地形あるいは地質の条件あるいは気象条件から、小河川についても相当対策が必要だと思われます。たとえば芝川とか風祭川とか、あるいは弓沢川とか凡夫川とか、こういうものについての対策はどうなっておりますか、お伺いいたします。
  14. 松村賢吉

    松村政府委員 これらの小河川につきましては、まず砂防工事を実施することが緊要と思われるわけでございます。それで芝川、弓沢川、凡夫川等につきましては、すでに砂防指定地に編入いたしまして、現在砂防事業を鋭意施工中でございます。しかし今後も五カ年計画に基づきまして、さらにこの砂防事業促進をはかっていきたいというふうに考えております。なお、それから風祭川につきましても、本年度昭和四十八年度中に砂防指定地に編入いたしまして、同じように砂防事業の実施を促進していこうというふうに考えておる次第でございます。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 時間もありませんので、以上で私は質問を終わりますが、特に大臣建設省は四十四年以来直轄事業としてこれをやられてきて、そのときどきの大臣がまた現地視察されて、だいぶ御熱心にやられておるようであります。大臣もお隣の県で、富士山は山梨県、静岡県、だいぶ力を入れていただいておりますけれども、さらに一段の協力を要請いたしまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  16. 服部安司

    服部委員長 次に、内閣提出地価公示法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。浦井洋君。
  17. 浦井洋

    浦井委員 地価公示法についての質問をするわけですけれども、これは御承知のように、この四十四年に制定されたときの趣旨からいっても、地価形成合理化をはかるための施策一つとしてやられているということになっております。三十八年に初めて当時の宅地制度審議会の答申で正式に提案されてからいろいろと議論をされて、そしてその間、不動産鑑定評価制度もある程度確立されてきた。そして四十四年の六月に地価公示法制定をされて、それで四十五年四月一日に第一回の公示価格が発表された。こういうことになって、この経過を見ると、相当長期間いろいろ準備も重ね、また相当慎重なやり方でこの制度が発足したというふうに思うわけでございます。だから逆にいえば、大臣に一言お尋ねしたいのですが、この地価公示制度というものは政府土地対策地価対策相当大きな施策一つだというふうに私は思うわけなんですが、大臣、一言その点についてお答え願いたい。
  18. 金丸信

    金丸国務大臣 地価公示法につきましては、ただいま御指摘のような経過をたどっておるわけでございますが、これからいわゆる国総法というような法案を御審議願う前提にもこれが必要であるということはいえると思いますし、またこの地価公示法価格について、日本人の気性からして、その効果実現が一日も早く、もう出てもしかるべきだ、こういうお考えでありますが、まだ生まれて歴史は浅いわけでございますから、この地価公示制度が活用されることをいま少し長い、あたたかい目で見ていただきたい、私はこのように考えております。
  19. 浦井洋

    浦井委員 効果が出るまではもう少し長い目で見てほしい、なかなか意味深長なお答えだと思うのです。これは言わずもがなのことなんですけれども、公示法の第一条に、この公示法目的というのは「正常な価格を公示する」、そのことによって「一般土地取引価格に対して指標」を与えること、それから同時に「公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し」、そして「もって適正な地価形成に寄与することを目的とする」というふうになっておるわけなんです。大臣はさっきも効果等実現が、というような表現を使われたわけなんですが、ここで適正な地価形成ということは、私は常識的に考えて、現在時点では地価抑制ということをやはりさすのだ。適正な地価形成というのはやはり地価抑制するということを含んでいる、むしろそれが大きなねらいであるのではなかろうかというふうに私は思うわけなんですが、その点はどうですか。
  20. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 ただいま地価公示法目的からの御質問でございます。先生の御指摘のとおり、目的におきましては、正常な価格を公示する、それから一般土地取引につきましてはこれを目安とする、それから公共用地取得規準ということになりまして、適正な地価形成に寄与するということになっているわけでございます。先生が、適正な地価形成というのは地価抑制ではないかということをおっしゃるわけでございますけれども、この正常な価格とは何であるかということですが、この前の委員会でも御説明申し上げているわけでございますけれども、土地の売買につきましては買い進みだとか売り急ぎだとか、そういう特殊な動機とか事情、そういう要素が多いわけでございます。しかしながらそういうものを除きまして、一般的な正常な原因による取引価格、それが正常な価格でございまして、これが客観的に万人に共通する価格であるというふうになっておる次第でございます。その正常な価格を公示いたしておるわけでございます。したがいまして、一つは、この地価というのは非常に地価形成がむずかしい。ほかの物品でございましたらその価格幾らというのが大体わかるわけでございますが、土地につきましてはそれが幾らであるというのは一般の人には非常にむずかしい。地価形成が非常にむずかしい。したがいまして、そういうものに指標を与えて目安としていけば、そういう特殊な動機だとか、それからまた一般宅建業者あたり呼び値とかつけ値とかいうことで不当に高い価格をつけようというものに対してもそれをチェックできる。そういう価格がございましても、取引する者は地価公示価格がございますと、これは御承知のように市町村役場、東京では区役所においてこれが閲覧されることになっておりますから、それを見まして、これは高いじゃないかということがわかるわけでございます。そういう意味におきまして、私は不当に高い呼び値つけ値というものを抑制することにはなると思うのでございます。同時に、公共用地取得につきましては、万博だとかオリンピックの場合、これは率直に申し上げますと、そういう公共事業が集中的に行なわれた場合に、公共用地取得によりまして地価が非常に上昇する、役所が地価を上げているじゃないかという批判が一時あったわけでございまして、そういうような批判に対しましても地価公示法が有効であるということで、これをお認め願って成立いたして、現在までやってきたわけでございます。この公共用地取得につきましては、正常な価格である地価公示価格規準とするということになっておりまして、大体これを規準としているわけでございます。従来まちまちでございました公共用地取得価格はこれによりまして一本化する。それから同時に、公共用地取得によりまして地価が非常に上昇するということもこれで押えられるというふうに考えておる次第でございます。そういう意味におきまして、従来土地価格は非常にむずかしくて判定しにくかったものが、この地価公示によりまして一般取引にもこれが指標になる。同時に、公共用地取得においてはこれを規準とするということになりますから、そういう意味におきまして不当な呼び値とかそれからつけ値というものは防止できる。それからまた特殊な動機による非常に高い価格というようなものについては、これはそういうことでなしに正常な価格取引できる、そういう目安一般の人にもできるということがいえるわけでございます。ただ、先生がおっしゃるのはおそらく、これは抑制という効果があまりないじゃないかということでございましょうけれども、これは一番最初に私が申し上げましたように、地価公示価格というのは正常な価格でございまして、これ自体が抑制するとかまた地価を上昇させるというような性質のものではない。あくまでも特殊な動機事情を排除したところのそういう価格であるというふうに考えている次第でございます。
  21. 浦井洋

    浦井委員 非常に歯切れの悪いお答えをもらったわけですが、大臣は一番初めに、効果実現が早く出てきてほしいと言われた。そうすると、大臣効果というのは一体どういうことだと考えていますか。
  22. 金丸信

    金丸国務大臣 地価公示法国民に徹底しておらない、これが徹底すれば非常に地価公示法を利用できるだろう、こういう意味で私は申し上げたわけでございます。
  23. 浦井洋

    浦井委員 いまちょっと聞き漏らしたのですが、国民に徹底をすればどういうことですか。
  24. 金丸信

    金丸国務大臣 地価公示法国民に徹底すれば、いわゆるこの土地価格に対して十分認識もし、これを利用する人も多くなって、安心してこれを目安にするだろう、それから公共事業もこれを目安にして取引をする、こういうことでございます。
  25. 浦井洋

    浦井委員 私その辺が少し、ずっとこの地価公示法制定経過を振り返ってみて、矛盾しておるというふうに思うわけなんです。たとえば議事録を調べてみますと、この公示法制定をされた六十一国会ですか、昭和四十四年の当時の建設大臣である坪川大臣、この公示法に対する趣旨説明を読んでみると、明らかに地価抑制するということが言われておるわけです。そして四十四年の四月の十六日の当建設委員会委員質問に答えて、大臣はこういうふうに言っておられるのですね。「この制度によって不当な土地取引あるいは地価抑制も果たしまして、一般公共事業団体も、また個人も、それぞれ標準価格目安となって、地価の高騰を押えるところに大きな期待と役割りを私は持ちたいと思います」こういうふうにはっきりと委員質問答弁をされておるわけです。この当時の坪川大臣趣旨説明なりあるいはこの答弁というのは、いまも私は生きておるのじゃないかと思うのですが、その点、大臣どうですか。
  26. 金丸信

    金丸国務大臣 不当な取引によっていわゆる高いものを買わされるということが、この公示価格があることによって目安があるので、それで買わなくて済んだとか、あるいは不当な高い値で買わなくて済んだとか、そういう意味では抑制ということばにも通ずるのではないかと私は思います。
  27. 浦井洋

    浦井委員 大臣にいま非常に貴重なお答えをいただいたので、いま局長が先に私の質問を受けてしまわれたのですが、公示制度によって、これが実施されてすでに数年たつわけですけれども、地価抑制という点で一体どういうような効果があったのかということを尋ねざるを得ぬわけなんですが、どうですか。
  28. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この点につきましても先ほど少し触れたわけでございますけれども、この地価公示法制定の当時におきましては、一つには、公共用地取得によりまして、政府だとか公共団体とかいうものの公共事業のための用地取得地価が上がった、高くなった、政府地価上昇主導権を握っておるのじゃないかというふうにいわれたぐらいの時期であったわけでございます。それにつきましては、先ほど申し上げましたように公共用地取得規準ということで地価公示が働くわけでございまして、明らかにそういう声は最近ないわけでございます。というのは、公共用地取得については大体地価公示によりますから、どこの機関もこれを競って高く買うということでなしに、大体これを規準にして買っていくということであるわけでございます。  それからもう一つは、一般土地取引につきましては当時からも非常に、さっき申し上げましたような土地呼び値というものが横行いたしておったわけでございます。一般土地購入者土地取引をする者は、地価がどういうような要素でどういうふうな形成のしかたで出てくるのか、土地価格というものの形成が非常にむずかしゅうございますので、あの付近はどのくらいかというのがちょっとわからぬわけです。一般宅建業者が不当に高い呼び値で、これは幾らだといえばそれを信ずる以外には何もなかったわけでございます。ところが地価公示法制定されて以来、それにつきましては官報でも告示されますし、また先ほど申し上げましたように市町村役場でもこれを閲覧することができるわけでございますから、これを見まして、そうして宅建業者に、これは地価公示価格に比較して非常に高いではないかということで、高い価格をいわれてそのままで取引するということがなくなるわけですから、そういう意味におきましては先生のおっしゃるように地価の上昇についてのチェックができるということになるわけでございます。この点につきましては、市町村役場におきましてもこの閲覧簿を閲覧する件数が数千件毎年あるわけでございます。電話によっての照会も相当に多いということが私どもの調査ではなっておる次第でございます。これは余談でございますけれども、地価公示につきましてテレビへ私、対談ということで一度出してもらったことがあるわけです。それの反響が放送局にいろいろあったわけです。そういうものがあるとは知らなかった、これはなかなか便利だというような投書がたくさんあって、私、見せてもらったことがあるわけでございます。そういうことでございまして、これについては相当一般取引の参考にされておると私どもは信じておるわけでございますけれども、公共用地取得と違って、これは規準ということでなしに目安ということになっておるわけでございまして、現実にその実態を私ども把握できないのは残念でございます。先ほど大臣も申されましたように、これにつきましてはもっとPRを徹底いたしまして、この地価公示を将来土地対策上いろいろな面にもっと活用するということを積極的に考えるべきであるというふうに私ども思っておる次第でございます。そういう点につきましてそういう方策を確立するということを、私ども先生方の御指導によりましていたしましたならば、もっとこの地価公示というものが非常に効果があがるというふうに考えておる次第でございます。
  29. 浦井洋

    浦井委員 長々とお答え願ったのですが、要するに、大臣も結果としては地価抑制になるだろうということを期待する、局長のほうもやはり地価抑制になるということを信ずる、こういうふうに言われたと思うのです。しかし遺憾ながら、私ここに一つ例を持ってきておるのですが、こういうことがあるのです。これは埼玉県の久喜市、ここがいわゆる都市化が非常に進んでまいりまして人口の流入がひどくなった。そうして駅前広場の整備をする必要があるということになって、市当局が三年前に駅前広場を拡張するのに二千坪の土地を買った。ここでは三年前当時は坪六千円で、プラス代替地数百坪で土地が買えた。ところが昨年の春になると、さらに広場をもう少し大きくするために六百坪の土地を買おうと思うと、坪十五万円プラスアルファになった。そういうことで、これはたいへんな地価の高騰によって市の事業がだんだん困難になってきたというふうに市当局は感じておる。ところが、その広場に通ずる道路の用地もやはり当然関連して購入しなければならぬということになってきて、本年に入ってその計画を実行しようと思った矢先に地価公示制度価格が発表された。運がよくか悪くか、この久喜市は本年から初めて公示制度の適用を受けてスタートされた地域です。そうして、道路に予定しておる土地の反対側の商業地が平米当たり十五万円、坪に直して約五十万円だというような、もちろん標準地の価格だろうと思うのですけれども、そういうことになった。そうすると、約二百坪の道路用地が要るのに対して市のほうはそれなりの予算を組んでおったところが、その土地を持っておる人たちが、地価公示で坪五十万円というふうに評価をされたということであれば市の言い値などは問題にならぬ。補償額を入れるとおれたちの土地は坪百万円くらいの値打ちがあるのだというようなことで、交渉が相当難航しておるという話を、私は報告を受けたわけなんです。これは大臣でも局長でもよいのですけれども、いま公示制度が究極的には地価抑制になるということを信ずると言われたけれども、あなた方のそういう願いは、こういう一つの例をとってみても、はかなくも吹っ飛んでしまっておるというふうに私はいわざるを得ぬと思うわけです。しかも悪いことに、ちょうど都市化が進んで銀行がどんどん進出してくる。その標準地のそばの土地を、第一勧業銀行であるとかあるいは三菱銀行が、何と坪三百八十万円で購入した。こんなことをされたのでは市当局の駅前の開発計画なんというものは全く吹き飛んでしまう。こういうことで市長並びに市議会のほうは頭をかかえておる、こういう報告も受けておるわけなんです。大臣どうですか、地価公示制度がより徹底すれば究極的には地価抑制されるようになるだろうというようなことは、一体これでいえると思いますか、どうですか。
  30. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生指摘の埼玉県の例、私も詳しくは存じ上げません。先生のお話の点から私どもいろいろお答え申し上げるわけでございますけれども、この地価公示価格は、先ほども申し上げましたようにこれは正常な価格ということでございまして、これは固定された価格ではございません。ある政策意図のもとにきめられた価格では現在のところございません。したがいまして、たとえばいま先生の御指摘の、市の地域の発展の状況等によりましては、これは土地価格はそれに応じて上がってくるということになるわけでございます。しかし、これも先ほどから御説明申し上げておりますように、土地の売買価格は、価値をきめるのが非常にむずかしゅうございますから一般呼び値は非常に高い。また、さっきの例の民間のたとえば金を持った大きな企業が買い急ぎで、どうしてもそこを必要だという、そういう特殊な事情で非常に高く買うということもあろうかと思います。しかしながら地価公示は、一切そういう特殊な動機、原因を排除いたした正常な価格でございます。したがいまして、固定されたものではございませんから、その地点はおそらく四十七年にも地価公示があったと思いますが、四十八年はこれより高くなっていると思います。しかしながら一般呼び値だとか、または先生の御指摘の民間の業者の購入する価格ということでなしに、それよりは抑制された、チェックされた価格で公示されているわけでございます。したがいまして市役所などはむしろ地価公示についてそういう抑制的な効果があるというふうに考えていると思いますし、私どももそういうふうな一般呼び値だとか、一般の高い特殊な動機による買い急ぎ等による価格よりはチェックされた価格で構成されておると考えておる次第でございます。その意味におきまして、そういう価格一般土地取引指標となるし、公共土地取得規準となるわけでございますから、チェックされていると考えているわけでございます。
  31. 浦井洋

    浦井委員 私は一つの例をあげたのですけれども、こういう例はたくさんあるのです。そういう実態を見ずにいろいろと答弁をいただいても一つも身が入らぬと私は思うわけです。そうすると、いま局長が言われたように、地価公示制度によって発表される価格は正常な価格、これは特殊なファクターを除いたものだというお話なんですけれども、そういう正常な価格は現実にどういう作業できめるわけですか。
  32. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この正常な価格は、先ほども申し上げましたように特殊な原因とか動機を除いたものであるわけでございます。この価格は、いわゆる不動産の鑑定評価の基準というものが答申をされておりまして、この基準に従って省令がございます。省令の中でそういう方法をいろいろ書いておる次第でございますけれども、御承知のように、土地価格形成についてはいろいろな土地の性格からいたしまして三面性格があるといわれているわけでございます。一つは市場性、一つは収益性、一つは費用性というものでございます。したがいまして、その三つの性格の面からそれぞれその価値を測定するということになるわけでございます。一番多くいわれる例がいわゆる周辺の取引事例によるもの。それからもう一つは、その土地における期待される収益がどういうものであるかということ、その収益から還元するもの。それからもう一つは、同等の効用を有する土地の造成費を勘案して定めるという、そういう原価というもの。そういう三つの鑑定の方法があるわけでございまして、そういう鑑定の方法を駆使しまして地価公示価格が定められるということになるわけでございます。  この前もこの席上で御説明申し上げましたから詳しく申し上げませんが、たとえばNHKのあと地についての地価公示の算定についても、先生に資料を差し上げているところでありまして、単に取引事例ということをいいますと相当高いものでございますけれども、これにつきまして類似の周辺の場所の収益についての計算方法からいたしましてこれをチェックしていく。そして取引事例よりもこれを低く押えておるわけでございまして、そういう意味においてこれは正常な価格といえるわけでございます。  それから、申しおくれましたけれども、取引事例を採用する場合におきましても、特殊な動機で非常に高い事例については排除するというふうにいたしておりますし、ほかの事例がなかなかないのでかりにその事例を用いるという場合におきましても、いわゆる事情補正という補正をいたしまして正常な価格に引き直していくということになるわけでございます。そういう意味におきまして、私どもも正常な価格を算定しておるというふうに考えておる次第でございます。
  33. 浦井洋

    浦井委員 そうすると、局長にお尋ねしたいのですが、そういう特殊な事例、特殊なファクターというようなものを除外してやるということになると、巷間いわれておるように、公示価格というものは実際の売買価格の三〇%から四〇%ぐらい低い、こういうことを町の不動産屋さんはみな言っているわけですね。これはやはりそれだけの理由があるわけですね。
  34. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生の御指摘でございますけれども、先ほども何度も申し上げているとおり、一般取引についてはいろいろな取引動機事情がございますから、そういう特殊な非常に高いものについては、そういう価格を算定する、また構成する要素から取り除いているということがいえるわけでございますから、そういうような点から見ますと地価公示価格は非常に低くなっておるということがいえると思います。  それからもう一つ申し上げたいのは、地価公示価格は御承知のように毎年の一月一日現在の価格であるわけです。したがいまして、実際の取引は一月一日というのはめったにないことだと思います。半年あとだとか十カ月あとだろうと思います。そういうふうな時点の差が一つあるわけでございます。もう一つ、先ほど申し上げましたような事情の補正、特殊な動機を取り除く。そういう補正がある。それからもう一つは、地価公示地点そのものを売買する、そこの画地を売買するということはもちろんあろうかと思いますけれども、それよりもむしろそれを規準にしてその周辺の土地がどのくらいかということを算定することのほうが多かろうと思います。そういう場合におきましては品等比較、そこの土地の環境の比較、たとえば上だとか中だとか下だとかいう環境の比較。また個別の土地の間口、形状、その他そういう個別の要因がむろん違ってくるわけであります。たとえば駅に近いとか道路に面しているとか、いろいろな個別の差異がございますから、そういうものの品等比較をしまして格差についての補正をするということで、地価公示価格とは必ずしも一致しない。これは当然のことだろうと思います。一挙にそういうこまかい算定というものは専門家でないとなかなかできませんから、そういうものを頭の中でいろいろ考えで、そうして地価公示価格に比較して幾らということはこれはあろうかと思います。そういう意味におきまして、地価公示価格というものが実際の取引価格と違うということは、現在のように地価が上昇する場合には特殊な動機というものがございますからあろうかと思いますけれども、一面、さっき申し上げたようないろいろなそういう事情で、地価公示価格一般価格とは差異があるということを申し上げたわけでございます。
  35. 浦井洋

    浦井委員 要するに現在のような地価高騰の時期においては公示価格というものが相当低く出る、実際の取引売買価格よりも相当低く出るということを局長は言われたと思うのですけれども、私もそのとおりだと思うのです。言われたことは繰り返しませんけれども、NHKあと地は坪一千百万円、これはきわめて特殊な例だということで除外された。この間の委員会で言われたように、そのNHKに一番近いところの標準地であるところの新橋一丁目なんかでもいろいろと理論的な粉飾をこらされて公示価格を出されておる。結局、近所の協和銀行が隣地を買って、その価格が坪百九十七万であったのに、新橋一丁目二十八の一の標準地の土地が平米当たり百五十一万円であるというような数字で、これはいま局長がいろいろと説明をされたように、低く出るというのがいままでの実績だと思うのです。そうすると、これは私申し上げたいのですが、結局、実際にこの地価公示制度が実施をされて、数年の実績の上でもあるいは仕組みの上でも性格の上でも、やはり実際の取引価格よりも低くなるということになると、実際その近所で一つ土地取引が行なわれる場合に、その地価を、言うたら整理をしてそれを追認をしていくというようなかっこうに地価公示制度というものがなってしまっておるのではないか。この点はどうですか。これはもうすでにお答えは出ておると思いますけれども……。
  36. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほどからいろいろ御説明を申し上げておりますように、地価公示価格はこれはある政策的意図で固定している価格じゃございません。したがいまして、さっき申し上げたような三方式を駆使して評価をして出しているものでございます。つまりその鑑定評価の方法は、標準地の正常な価格を表示するというものであるわけであります。そういう意味におきましては、自由な取引市場でいろいろ需給の関係で実際の土地取引がひんぱんに行なわれて、そうして土地価格が上がっていくという場合には、それに伴ってこれは上昇するという仕組みであるわけであります。しかしながらこれは無原則にこの上昇に追随していくものではないということを先ほどから申し上げておる次第でございます。鑑定評価の方法でもこれをチェックするという方法がいろいろあるということを先ほどから何度も御説明申し上げておる次第でございます。したがいまして、先生のおっしゃるように、地価公示価格は毎年上昇するじゃないかという意味においては、これは上昇いたしております。しかしその上昇をしているというのは、正常な価格というものを表示するためにはこれはいまのたてまえからあたりまえのことである。しかしこれは無原則に上昇に追随しているものではないということを申し上げておる次第でございます。
  37. 浦井洋

    浦井委員 だいぶ苦しいお答えなんですが、これは大臣に別の角度からお尋ねをしたいと思うのです。今度の公示価格、四月一日に発表された公示価格を見ましても、全国的に昨年より三〇・九%上がっておる。東京圏だけを見ても三四%というふうに上がっておるわけなんですが、この数字というのは例年の数字と比較してみましても明らかに急騰しておるわけですし、異常だと思う。これを見て国民は非常に大きな不安に襲われておる。不安と同時に、地価高騰に対して施策が無力であるという点で、率直にいって非常に怒りも感じておるわけであります。そういう点について一体大臣はどういうふうに思われておるのか。またこういう急騰をしたということについて、大臣、この原因はどこにあると思われておるのかをお聞きしたいと思います。
  38. 金丸信

    金丸国務大臣 地価の急騰という問題について、公示価格、こんなものはあってもなくてもいいというような国民の感情もあるのではないかと私は思います。思うけれども、しかし公示価格というものは、先ほど来から局長が御説明申し上げましたような観点から算出したものであって、これは正しい地価である、こういうように私は思うわけでございます。しかし、それを見て国民自体は非常な不安を感ずる。私もそういう感じはいたしました。そういうことですから、不安という問題と別にして、公示価格公示価格として、これは当然正常な価格目安にし、あるいは公共事業用地の取得規準にするということですから必要でありますが、しかし個々の問題については、一応これから御審議を願う法案等によって地価公示価格というものがブレーキの役をするなり、あるいはこれが国民に認識されてくるならば地価公示というものの成果というものはあがってくるのじゃないか、こういうように私は判断をいたしておるわけでございます。
  39. 浦井洋

    浦井委員 大臣のお話によりますと、この地価公示というのは先ほどは結果的には地価抑制に役立つように思うというように言われたのに、何かその辺は飛んでしまって、とにかく地価の騰貴抑制にはとても役に立たないけれども、あとに控えておる法案、これは先ほども言われたように国総法だと思うのですけれども、これに必要だからひとつこの改正をやらしてくれというようなことになってきますと、これは問題が相当違ってくるわけなんです、私たちが尋ねておるのと。ですからそういうことでなしに、地価の高騰の原因というのは、大臣感じておられるように、人口なりあるいは営業所なりがどんどんどんどん東京をはじめとした都市に集中していくという政策をいままで政府がとってこられた、こういうことが一番根本にあって、それから最近商社あるいは民間大デペロッパー、こういうようなところがどんどんどんどんと土地の買い占めをやっているというようなところに地価高騰の原因があるというように私は思うわけなんです。その辺の問題に論議を集中していかなければ、国総法の前の段階で何とかして通してくれといってもわれわれは承知できぬと思う。  そこで、私たちは前からそういう不動産業、民間デベロッパーなどがどれくらい土地を持っているかということを調べておるのですが、すでに大臣承知だと思うのですけれども、たとえば東京都を含む一都三県、首都圏、こういうところで大手の不動産業者、民間デベロッパーが宅地用地として買い占めて、しかもまだ利用しておらない土地というのがざっと計算したところでも約一万九千五百ヘクタール、これだけのものがある。これを、大臣もすでに御承知のように、いわゆるころがすという方法であるとか、あるいは何年問か寝かして、そしてわずかづつ切り売りしていって、そして地価の上昇をはかっておるというような事実があるということはもう最近でははっきりとしてきておるわけなんです。この問私も質問さしていただいたように、例の東急不動産、これが一都三県の中では三千四百二ヘクタールも持っておる。関西ではこの前も言いましたように環境のよい住宅地に大きなマンションを建てて、住民の反対があっていま目を白黒させておるというようなことをやっておるわけです。明らかに私は反社会的な行為だというように思うわけなんですが、いままでの大臣なり局長なりのお答えをふえんしていくと、こういうような商社なりあるいは民間デベロッパーなり、不動産業者なりの反社会的行為、土地買い占めの行為というものを、地価公示制度による公示価格というものがどんどんとこれを追認していく。それが正常な価格でございますというようなことになってしまいますと、これはたいへんなことだと思う。しかも、今度の地価公示法の改正を見てみますと、この公示価格指標として土地取引を行なうことは土地取引を行なう者の責務とされるというような義務規定までできておる。こういうようなことになってくると、すでに正直に地価公示制度というものは地価抑制にあまり役に立ちませんというようなことを言われておりますけれども、しかし少なくとも国民が見るのは、地価公示制度というものはもっとわれわれの不安なり怒りなりを解決してくれるものであるということを期待しておる。その期待に反して、こういう不動産者あるいは民間デベロッパーの反社会的な買い占め行為というものを私は免罪するものではないかというふうにさえ思うわけなんですが、その点について大臣どう思われますか。
  40. 金丸信

    金丸国務大臣 先生おっしゃられる面もあろうと私は思います。確かに地価公示制度が適正な価格を毎年毎年発表している。それで今度はデベロッパーにしても土地所有者にしてもどんどん値上げを待って、その値上げによって売っていくということであるならばそうなるという、一つのそういう一面もあろうと私は思いますが、その一面ばかりでなくして、また地価公示制度には地価公示制度としての一つの、いわゆる公示制度をしいて、目安にしたりあるいは規準にしたりする。こんなに高騰することばかりが考えられているわけじゃないことでございます。それはいま一つの現象として、昨年来からの金融緩和というような問題が起きてきておる。いま金融の引き締めをやっておる。土地の値上がりも、いま私のところに入ってくる情報によれば頭打ちをしてきておるというような状況にもなっておる、なりつつあるというような状況があるというようなことを考えてみれば、この土地の急騰というものはこの時点の現象であって、これが長く続くものであるという考え方で先生の御説のようになるとすればこれは肯定せざるを得ないが、私はそのようになるとは考えておりません。
  41. 浦井洋

    浦井委員 大臣、非常に楽観的なお答えをいただくわけなんですが、地価ももうすでに頭打ちの傾向にあるし、しかもいまのような急騰の状態というのはもうおさまるだろう。建設大臣がそんなことを言われると、これを国民が聞いたときに安心するかもわかりませんけれども、現実に自分たちの周囲の地価はどんどん上がっていくということが目に見えておるわけで、これはまたむしろひどい怒りを燃やさざるを得ないのではないかというふうに思う。非常に楽観的に過ぎると思うのです。  それでもう一つ尋ねたいのですけれども、先ほど一つの改正点をお尋ねしたのですが、もう一つは、いままでは市街化区域に限られておったこの標準地の選定が、今度は都市計画区域に広がる、こういうことを今度改正されようとしておられるわけなんですけれども、都市計画区域ということになると当然市街化調整区域が入ってくる。調整区域というのは、私から申し上げるまでもなく市街化を抑制すベき地域、こういうことになっておるわけです。ということは、やはり開発を規制しなければいかぬ、そういう地域だ。調整区域で現在はやはりある程度の土地の売買というようなものが行なわれておるだろうと思うわけなんですけれども、しかし私の聞いている限りでは、外部から強引な買い占め行為というようなことがない限りは、別に公示価格がなくてもほぼ常識的な世間的な価格取引が行なわれておるというふうに私は聞いておるし、実態もそうだと思うのです。そういう平穏なところになぜこの公示価格を——先ほど久喜市の例を申し上げたけれども、わざわざ公示価格を設定されようとしておるのか、その意図がよくわからぬのですが、その辺の御説明をひとつお願いしたい。
  42. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御指摘のように、今回は都市計画区域に対象地域を拡大するわけでございます。調整区域も当然入るわけでございます。これも何度も従来から申し上げておりますように、私ども、地価公示制度については、現在の市街化区域という限られた地域だけでなしに、全国的にこれを拡大強化していく。そういうことによりましてまた、諸先生方のいろいろ御指摘のように、この地価公示制度というものをもっと活用する基盤をつくりたいというふうに考えておるわけでございます。その第一段階といたしまして、当面都市計画区域にこれを拡大するということにいたしておるわけでございまして、そういうぐあいに全国的なというか、都市計画区域において地価公示制度拡充強化する場合に、調整区域だけこれを除外するということはこれはできないわけでございます。調整区域におきましても土地取引というものは行なわれておるわけでございます。先生指摘のように、市街化区域よりはこれは土地取引は少ないかと思いますけれども、しかし土地取引は調整区域でも行なわれておるわけでございます。  ただ、先生の御心配は、調整区域というのは市街化を抑制するところなのに、そういうことによってむしろ市街化を促進する効果をあげやしないだろうかということだろうと存じます。この点の御懸念はごもっともでございますけれども、この点につきましては御承知の開発許可というものがあるわけで、土地取引がいかに行なわれようとも、あとは開発許可がある。土地をそのままデベロッパーが持っておってもこれは意味ないわけでございます。これを開発するということに意味があるので、そのために買うわけです。その開発許可についての運用方針は従来のものに変更を加えるというものじゃございません。この開発許可について、こういう措置によりまして緩和するということは決してないわけでございます。従来の方針と変わりないわけでございます。また、別の委員会で御審議をいただいております公有地拡大法の一部改正につきましても今回その対象を調整区域に広げているわけでございますが、これはそういう公共用地取得する場合には地価公示価格規準にするということになつておるわけでございます。そういうことも含めまして私ども都市計画区域というふうに対象地域を拡大いたしたわけでございまして、その段階の中におきまして、調整区域にも地価公示制度を拡充するということでございます。
  43. 浦井洋

    浦井委員 調整区域にまでも標準地を設けて公示制度を拡大する、しかし開発許可のこれまでの運用方針というものはそのまま厳重に守っていくんだから、地価がそれによって急騰するというような心配はない、そういうようなお答えだったのですが、私はこれも昭和四十四年の四月十六日の建設委員会、当委員会議事録で見たのですけれども、局長の先輩である、当時の計画局長である川島さんはこう言っておる。「将来においても市街化区域以外の地域については地価公示を行なうつもりはございません。」そうするとこれは一体どういうことなんですか。いまこの答弁をまっこうから踏みにじって公示法の改正をされようとしておるわけなんです。方針がきわめてふらついておる、統一しておらない、こういうふうに思うわけなんですが、これはどうですか。
  44. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 地価公示法制定いたしまして御審議いただく場合におきまして当面は市街化区域というふうに考えた理由は、土地取引なりまた土地問題の重点が市街化区域というところにあったことであろうと存ずるわけでございます。同時にまた、地価公示制度というものはまだ何もなかったわけでございますから、これをどういうふうに活用するかということについても、実際の地価公示が行なわれたその運用をながめながらその対策考えていくという段階であったろうと存じます。  ところが第一点の、土地問題というものが大体市街化区域の中で問題にされたという情勢が、最近におきましては非常に変わってきておるという点が一つ指摘できるわけでございます。従来は都市に対する人口、産業の集中が非常に多くなって、そのために需要が多くなって、需給のバランスがとれなくて地価が上昇してきた。そういう土地問題の姿であったことは先生も御指摘のとおりであると思います。最近それに拍車をかけているものは、土地の性格からして投機的な対象になりやすい、同時に一昨年来の金融緩和に伴っての法人の土地買い、これも先生の御指摘のところでございますが、そういうことによりまして地価が上昇するという最近の新しい情勢があることは間違いないわけでございます。そういう土地の買収は、私ども先生にも差し上げました資料によりましても、市街化区域につきましては大体一七、八%、あとはそれ以外の地域であるわけでございます。そういうような点から、私どもは市街化区域に限定せずに、全国的なところで地価公示制度をやはり拡充する必要があろうかというふうに考えておるわけでございます。  それから第二の点につきましては、地価公示制度をほんとうに活用する、先生方の御指摘のとおり、また私どももぜひこれをそういうふうにしたいと考えております課税上の評価額との一元化の問題、この地価公示をもっといろいろ活用するというふうな考えからいたしますと、どうもそれができない一つの原因は、市街化区域という限定された地域だけに限っておるものですから、ほかの地域との均衡の問題でなかなかむずかしい点が出てくるわけでございます。したがいまして、これを全国的に広げるということによりまして、先生方も御指導くださるそういう一本化の方向にもこれはつながるわけでございます。そういう意味で、私ども単に市街化区域だけではなしに、将来にわたっては全国的に地価公示制度を整備したい。そのために当面都市計画区域に拡大したいということで御審議をお願いしておる次第でございます。
  45. 浦井洋

    浦井委員 私は考えが全く違うわけなんですけれども。市街化区域に公示制度が限られておった場合もあまり役に立たなかった。むしろ、先ほどから申し上げておるように、公示価格を公表することによって地価の急騰を助長したのではないかというふうに思うわけなんです。だからそれを全国的に、特に今度の改正のように都市計画区域全体に広げる。そうすると当然調整区域にそういうムードが巻き起こって、必ずそこで取引がいままで以上に活発になるのではないか、いままでの数年間の公示制度発足以来の実績を見ましても。そうなってくると、そこへ公示価格を設定するということになると、これはちょっと想像もできないようないろいろな不安を、調整区域の方ですから純真な農民の方に与えるのではないかというふうに私は思わざるを得ないわけなんです。たとえばこれまで公共事業がそういう調整区域で実施されるというような情報が入った、あるいはまして事業が行なわれたというだけで付近の山林であるとか原野であるとか、そういうようなところがどんどん地価が上がっていっておるというような話はよく聞くわけでございますし、こういう改正が行なわれるならば必ず政府考えておられることと逆の効果が出てくるというふうに思わざるを得ないわけなんです。大臣、どうですか。
  46. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生の御指摘の中で、地価公示地価上昇促進したのではないかという点が第一点でございましたけれども、これについては何度も申し上げませんけれども、この地価公示については正常な価格でございまして、特殊な高いものにつきましてはこれは排除しているわけでございますから、むしろチェックの意味もあるわけでございます。そしてまた、正しい地価公示価格というものは先ほど申し上げたようにある意図のもとに固定した価格ではございませんから、市場性とか収益性というものを勘案してきめられておるわけでありますから、そういう意味では地価は固定されずに上昇することがある。しかしその上昇は地価公示のせいで上昇しているわけではないわけでありまして、やはり先ほどから先生指摘のいろいろな宅地の需給の問題、そういう問題からしてこういう地価が上昇しておる。地価公示は正常な価格として、そういう正常な実勢というものを表示しておる。これはそういう正常な土地価格についてのバロメーターであるということがいえるわけでございます。  それから第二点は、こういうことで地価公示を調整区域に拡大しますといままでよりも取引が活発になるのではないかということでございますけれども、これは地価公示価格ができたから活発になるのじゃなしに、そういうことでなしに、やはり一般土地取引、これは先ほど来申し上げたようないろいろな原因で土地を投機の対象とする、そういう原因等に基づいた土地取引が非常に多くなっているわけでございます。むしろそういう問題につきましては先ほど申し上げましたように、土地をなぜ買うかということは、これはあとで何かに利用するということでございましょうから、その点については開発許可というものでチェックできます。この開発許可につきましては、従来の方針に何ら変更を加えるものではございませんということを申し上げておる次第でございます。
  47. 浦井洋

    浦井委員 私は、地価の暴騰を、公示制度というものが公示価格を設定することによって、これが追認して助長しておるということを言っておるわけです。そして調整区域にこれが広げられた場合には、一般的に非常にそこでの投機買いというようなことがだんだん行なわれてくる。これからもますますひどくなっていくだろう。それをまた正常な価格を設定することによって私は合法化するのではないかというふうに思うわけなんです。その点を指摘をしておるわけで、あなたと全く意見が違うわけなんですけれども、まあそれはそれといたしまして、いずれにしても大臣、この地価の急騰、暴騰というものを押えるということは、これはいまの最大の政治課題だというふうに思うわけなんです。この間本会議でいわゆる国総法の趣旨説明が行なわれたときに私は質問をしたわけなんですが、そのとき大臣は、この私の質問、民間デベロッパーであるとかあるいは大手の不動産業者の持っておるところの買い占め地、こういうものを放出させることが非常に必要ではないかというふうに質問をしたら、大臣は新住法であるとか新都市基盤などで収用することもあり得る、というようなお答えをいただいたわけです。そうすると具体的にお尋ねしたいのですけれども、新都市基盤はまだでしょうけれども、新住法などで昭和四十四年、四十五年、四十六年の三年間で一体どれくらいの件数を収用されたのか、ひとつ資料を教えていただきたい。
  48. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生の御質問につきましてでございますが、おそらく御趣旨は、民間の所有している土地について開発適地があったらそれは積極的に公的な機関で宅地化していく。そのためには収用権の活用も考えるということについての関係だろうと存じますので、まず土地収用法について、これを活用して買うという点について申し上げますと、土地収用法で事業認定をいたしました件数が、四十六年に大臣認定、知事認定も合わせまして四件でございます。それから四十七年につきましては、県のものがけさほどやっと集計できたわけでございますけれども、大臣及び知事の事業認定を入れますと十六件ということになっておるわけでございます。それからお尋ねの新住宅市街地開発事業の御承知の都市計画決定をいたしますと、これは事業認定に変わるわけでございます。土地収用法による事業認定に変わる制度でございます。したがって土地収用法と同じような趣旨のものでございますが、この都市計画決定が、ここに持っておる資料によりますと、三十九年から四十七年までが団地数で三十五件でございます。その中で四十六年度の決定が団地数で三、四十七年度が団地数で一ということになっておるわけでございます。それから新住以外に都市計画決定で収用できる方法として一団地の住宅施設の都市計画決定というのがございます。この制度ができまして、団地数で二百二十三件でございますが、四十六年が団地数で六、それから四十七年が団地数で一ということになっている次第でございます。
  49. 浦井洋

    浦井委員 大臣、その数字を見られて、本会議での答弁で、もっと住宅適地あるいは国民の生活用地に適したようなところを今後どんどんと収用していきたいというようなお答えがあったわけなんですが、それについての御意見をひとつお伺いしたい。
  50. 金丸信

    金丸国務大臣 公共用地としての適地であるならば私はどしどしひとつこれを利用していきたい。その場合、最悪の事態には収用権を使う、こういうことを考えております。
  51. 浦井洋

    浦井委員 私たちは先ほどから申し上げているように、土地収用法なりあるいはそれに関連した特別法的な都市計画法あるいは新住法、新都市基盤、こういうようなものを零細な土地所有者にばんばんかけていって土地を取り上げてしまうというようなやり方をやるのでなしに、やはり先ほどから申し上げておる、たとえば民間デベロッパーあるいは大企業の買い占めておる、そういうような土地にそれを適用して、そして適正な価格で収用せよ、こういうことを言っておるわけなんですが、その点についてもう少し大臣お答えを……。
  52. 金丸信

    金丸国務大臣 そういう考えは、先生のお考えと私も同一であります。
  53. 浦井洋

    浦井委員 そうすると大臣、ひとつ具体的にお尋ねしたいんですけれども、きょうのある新聞にも出ておりましたけれども、この間の四月十九日、参議院の物価の特別委員会でわが党の渡辺武議員が、参考人として来られた江戸英雄さん、三井不動産の社長に尋ねたときに、江戸さんはこういうお答えをした。「大手不動産業者は市街化調整区域内の土地をかなり所有しており、この部分は金利費用がかさむのに、開発のめどが立っておらない。政府や地方公共団体が宅地供給に力を入れて、これを買い上げて住宅用地に転用する考えがあれば、適正価格で放出する。」こういう発言をしておられる。それから、そういう問答を受けて、その直後の四月二十日、衆議院の地方行政委員会でわが党の林百郎議員が江崎自治大臣にこれについて意見を尋ねておるわけです。そうすると自治大臣はこういうふうに言われておる。「私もあの発言を注目している。地方自治体がごく最小限の適正価格で買い上げることができれば、けっこうなことである。そういうものは吐き出してもらうほうが望ましい。民間に渡ったものについては、今後大いに着目して、利用をしていきたい。」こういうふうに江崎自治大臣も答えておられる。そういう経過を踏んまえて、建設行政土地行政をつかさどる建設大臣としてこういうことをされるお考えがあるのかないのか、この辺についてひとつ御意見を聞かしていただきたい。
  54. 金丸信

    金丸国務大臣 適正な適地であるならば、私はそういうことをどしどしやるべきだ、こう考えております。
  55. 浦井洋

    浦井委員 どしどしやるべきだ。それで計画局長にお尋ねしたいんですが、これをやるとすれば、大企業が一体首都圏なりあるいは近畿圏なり中部圏なりにどれだけのどういう土地を持っておるかというようなことを、やはり実態を把握しなければならぬと思うわけなんですけれども、この点について一体局長は、建設省としてそういう調査をやっておられるのかどうか。
  56. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 首都圏とか三大都市圏におきまして企業がどのくらい土地を持っておるかということにつきましては、すでに昨年私ども調査したものがございます。したがいましてそれを基礎に、できると思います。同時に、私どもも最近そういう東京圏に限りまして企業の持っておる土地というものについていろいろ実態の把握につとめております。これからもそういうことについて企業の協力を得て、そういう実態調査をいたしたい。  それから大臣お答えになった開発適地、これは御承知のように水だとか交通だとか緑の保全だとか、そういうようないろいろな要素がございますから、企業の持っておる土地はどこでもそういう住宅適地になるというわけではございません。そういうようなことを十分考えながら、開発適地でございましたら公的な機関でこれを開発していくということも二つの宅地供給の方策でございます。そういう意味におきまして大いにそれをやっていきたいというふうに考えております。
  57. 浦井洋

    浦井委員 けさの新聞報道によると調整区域の問題がクローズアップされておったわけなんですけれども、私はいまの局長なり大臣お答えの中では、そういうような調査は当然市街化区域内も含まれた調査が行なわれるものだというふうに理解したいのですが、その点はどうですか。
  58. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 市街化区域につきましても調整区域につきましても、実態調査につとめたいというふうに考えております。
  59. 浦井洋

    浦井委員 そうしますと、そのときにそういう実態調査が行なわれて、それが住宅あるいは住宅を含めた国民の生活用地に適当だということになったら、それは当然買い取らなければならない。その買い取り価格については一体局長はどういうふうに考えておりますか。
  60. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 公的な機関が公共用地取得するときには、いろいろ御審議いただいておりますように、地価公示価格がある場合におきまして、これを規準にできる場合はこれを規準としなければならないということになっておるわけでございます。しかしながら、そういう適地について企業の協力を得られますならば適正価格で、たとえば取得価格に金利だとか一般管理費だとかいうものを加えたもの、その他そういうようないろいろなものを考えまして、適正価格でこれは取得するように、個々にいろいろ企業を指導したいというふうに考えておるわけでございます。
  61. 浦井洋

    浦井委員 これは言うまでもないことですけれども、それもやはり市街化区域も含めてそういうことを考えておられるわけですね。
  62. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 市街化区域も含めまして、もちろんそういうふうに考えておる次第でございます。
  63. 浦井洋

    浦井委員 私が念を押したのは、むしろ調整区域については企業のほうで売りたいといういろいろな動きが出ておるわけで、調整区域だけでは片手落ちではないか、むしろ市街化区域に重点を置いてやるべきだということで念を押しておいたわけなんです。  そういうことで、大臣、お話を聞いていただいておわかりになったと思うのですが、相当いろいろな動きが出ておるようなわけなので、やはり生活用地を確保するために大臣として責任を持っておられるわけですし、その点についても積極的な姿勢を私は期待したいと思うわけなんですけれども、最後に大臣の決意をひとつとっくりと聞かしていただいて私の質問を終わりたいと思います。
  64. 金丸信

    金丸国務大臣 私はかねてこの委員会でも申し上げましたとおり、住宅問題、それは土地の問題に一番関係が深いわけでございまして、その土地問題を解決することが今日の大きな政治問題であることは言をまたないわけです。それはいま住宅を得たいといっても、土地を得たいといっても、なかなか少々の金では得ることができない。青年は希望も持てない。希望も持てない青年が次の時代をになうことができるか、こういうことを考えてみますと、この問題は、働く青年が、働けば住宅が得られる、土地が得られるというところに持っていかなければならない。そういう意味で今日の一番の大きな政治問題として私は特に蛮勇をふるわざるを得ない、こう申し上げておる次第でございますが、そういう意味先生の御指摘のように一生懸命にやってみたい、こう思っております。
  65. 服部安司

    服部委員長 新井彬之君。
  66. 新井彬之

    ○新井委員 私は、地価公示法の一部改正案につきまして質問をさせていただきます。  これはいままで再三にわたりまして議論がございましたけれども、この地価公示制度が提案をされましたときは、地価そのものを安定させる、そのことが一番の根幹であったのではないか。しかしながら現在に至りまして、その効果というものが期待どおりではなかった。したがって、先ほどから局長なり大臣答弁なさっておりますように、これは正常な価格取引ということにおいては効果があるけれども、地価抑制そのものについては別に効果はないのだ、こういうぐあいにいままでの質疑を聞きまして感じておるわけであります。もう一つは、この地価公示制度があるがためにかえって地価を上げてしまっておるのではないか、こういうことにも感ずるわけでございます。ということは、ちょうどことしの発表によりましても地価が非常に上がっておりまして、三〇・九%。住居地域、商業地域、準工業地域、工業地域、いろいろ分かれておりますけれども、東京におきましても四十八年においては住居地域で三五・九%、大阪が三〇・一%、こういうことでどんどん上がってきておるわけでございます。したがって、この地価公示制度そのものをもっと権威づけるなら権威づけるとして、どのようにすれば地価抑制をはかることができるのか、こういうことを考えていかなければならないのじゃないか、こういうぐあいに思うわけでございます。先ほどからの議論によりまして、地価抑制についてはこれは価値がないのだ、こういうぐあいに判断するわけですけれども、もう一度明確に御答弁願いたい。
  67. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほどからいろいろお答え申し上げておるとおりでございますけれども、この地価公示価格は、何度も詳しくは申し上げませんけれども、正常な価格でございますから、特殊な動機だとか事情のものは排除される。同時に一般のそういう市場性——土地価格の特殊性から市場性というものももちろん重視されますが、その市場性の中でもそういう特殊な事情のものを排除するとともに、また取引事例からだけではなしに、その土地の価値の構成要素でございますところの収益性というものからもこれはいろいろ計算をしてチェックしているというふうに申し上げておるわけでございます。そういう意味におきまして、正常な価格でございますから、そういう一般の不当に高い呼び値だとかつけ値というようなものはチェックできる、排除できるわけでございます。一般土地取引にあたりまして、民間の一応目安指標ということになっておりますけれども、従来から土地価格につきましては非常にむずかしいから、そういうふうにつけ値呼び値というものがございましても、一般の民間人もこれは専門家でないと、高いか安いかわからないわけでございます。これを地価公示によりまして、大体これが妥当であるということの目安になるわけでございますから、そういう意味におきまして、そういう特殊な動機に基づくものだとか、またそういう不当な呼び値についてはチェックできる、抑制できているわけでございます。  それからもう一つ、先ほど申し上げましたのは、公共用地取得についてもこれは規準にしなければならないということが義務づけられておるわけでございます。この地価公示法制定されるころにおきましては、公共事業が、万博だとかそれからオリンピックだとか、その他東西におきましていろいろ事業が多かったせいもありまして、公共用地取得によって地価が上昇している、政府地価を上身さしているのじゃないかという議論も非常に多かったわけであります。それはやはりそういう共通の公益的な用地取得規準というものが、明確なものがあまりなかったからでございます。これが、地価公示制度ができまして地価公示が行なわれますと、これを規準にして用地を取得することになるわけでございます。この用地取得につきましても、その規準となる地価公示価格は先ほどから申し上げておるように正常な価格である。したがいましてその価格によって土地取得いたします。したがって、各公的機関がそれぞれ高い値段をつけて、そうしてこれを買う、また仲介業者あたりが不当に高い呼び値でこれを仲介するということはこれは排除できる。そういう意味におきましては効果はあるというふうに私ども思っておるわけでございます。
  68. 新井彬之

    ○新井委員 この地価が、いまのような考え方でいけばどんどん上がってしまうと思うのです。ということは、去年の八月から九月にかけまして、公明党におきまして大手不動産業者による土地の買い占めの実態調査というのをやっております。そのときにどういう形で買い占めているかということはいろいろ出ておるわけでございますが、一つは大規模な工業基地及び新産工特地域、それから二番目には大都市の近郊地域、それから三番目には観光レジャー的性格が強い地域、そういうようなところを選びまして調査をいたしたわけでございます。そのときには、結局はその土地というものが今後開発をされるというような買う側の考え方によって、いままで坪三千円であるものだったら四千円でも五千円でも買いましょう、売るほうも値段が高いから売りましょうということになるわけですね。そして大手の商社であるならばダミーをつくって、そこでその土地を買ってくる。それで大きくなった土地が今度は商社なら商社に買われて、それがまた値段が上がって売られていくということになるわけですね。したがいまして、土地というものは極端にいえば、地価公示制度があって、去年そこが坪十万円であった、そういう場合に、地価公示が十万円であるから十二万円なら買いましょうということでどんどん買われてしまう、あるいは十三万、十四万円になる。さっきもお話がありましたように、銀行であるとか、どうしてもそこを買わなければいけない、そういうような会社は非常にべらぼうなお金を出してでも買ってくる。それを今度は逆に、そういう売買実例がある、そういうようなことで、正常の取引ということになりますからそういうものは除外したとしても、結局は毎年毎年地価公示がまた上がる。そして上がったものがまた基本になってそういうような買われ方をして、また次も地価公示が上がっていく。こういうようなパターンを繰り返してみても何ら、国民の皆さんから見て、それがあるから非常にいいんだというような考え方にはならないと思うのですね。したがって、この地価公示というのはただ手数をかけて、あるいは金をかけて、そしてそういうものを逆に認めて、そしてこれが適正な価格でございますというだけのことなのかどうか。もう一度その辺をお伺いしたいと思います。
  69. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生の御趣旨は、先ほど一番最初に申し上げました第二点の、地価公示がむしろ地価を上昇さしておるのではないかという点であろうかと存じます。これも何度も申し上げておりますので簡単に申し上げますけれども、この地価公示は、自由な取引におきまして通常正常な、売り手にも買い手にも片寄らない、いわゆる仲値と称するものでございます。したがいまして、一般取引市場と無関係に特定の政策意図を持って価格をきめるというものではないわけでございます。そういう意味におきましては、そういう取引市場で売買する価格が変動すればこれに応じて毎年変化があるということを申し上げておるわけでございます。しかしながらその変化のしかたは、無制限に実際の取引価格というものに即していくものではない、正常な価格であるということを繰り返し申し上げておるわけでございます。そういう性質のものでございますので、この地価公示が行なわれたから、その地価公示のためにこの地価が上がっておるということじゃなしに、それはやはり先ほど先生がいろいろ御指摘ございましたように、需給の実態、たとえば企業が土地の買収を非常に大規模に行なう、その企業が大規模に土地を買収するのにあたりまして、今度はどうしてもそこを買いたいというときのいわゆる買い進みみたいなもの、これが非常に正常な価格よりも高い価格であろうかと思います。そういうような需給の実態からいたしましてその価格というものはきまってくるものであるわけでございます。その需給の実態からきめる際に、極端な買い進みみたいなそういう高いものは排除をいたしておりますということを申し上げておるわけでございます。そういう需給の実態が原因で土地の価値が上がるという場合には、この正常な価格取引市場で正常に成立するという限り上がっていくわけでございますが、そういう意味におきまして何も固定しておるものではないわけでございます。しかし、申し上げたいのは、地価公示というものは正常なものを表示するというバロメーターになるものでございまして、そういうバロメーターになるという意味におきまして不当に高いものはチェックし、抑制できておるというものであるわけでございます。そういうような地価公示制度の性格でございますので、地価公示が発表されたから土地の値段が上がるというものではないわけでございます。その土地の価値が上がる。なぜ価値が上がるかといえば、非常にそこの開発、発展が行なわれる、そのために価格が上がるということになるわけでございます。そういうような関係だと先ほどからお答え申し上げておるわけでございます。
  70. 新井彬之

    ○新井委員 まあその辺がわからないのですが、たとえていいますと、日本の国で三〇・九%上がっていますね。そうすると、日本全国においてそういう開発とかそういう公共事業で三〇・九%進んだからそれで上がったのだということですか。ということは、この地価公示が非常に正当な価格であるという場合に、この地域が一平方メートル当たりことし十万円であったといたしますね。そうすると、来年ここが三〇%なら三〇%上がって一平方メートル十三万円になった、そういうような割り出しというのはどういうやり方でやられるのですか。
  71. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この地価公示価格をどういうふうにして評価するかということについて、この前の委員会でも具体的にちょっと御説明申し上げたわけでございますけれども簡単にまた御説明を申し上げてみたいと思います。同じ例で申し上げます。  例のNHKのあと地の問題でございますけれども、このNHKのあと地の隣接地、近所に協和銀行がございます。そこの協和銀行のところで地価公示があるわけです。これは四十八年に平米百五十一万ということになっております。これを計算する際に、一つ取引事例——隣接地を協和銀行が買収しておるわけです。これの取引価格が平米当たり百九十七万円ということになっております。これを簡単に申し上げますけれども、隣だからどうしても買いたいという、そういうような事情補正をしたり、また時点修正をしたり、これは去年の七月からことしの一月一日まで時点修正をしたり、それからこの事例地の隣接地でございますけれども、その個別的な要因の比較をして、そうしていろいろきめていきますと、これは大体百五十七万円ばかりになるわけでございます。ところがこれを収益価格の例から見ますと、これは類似の利用価値を持つ事例、これは銀座八丁目であるわけですが、百メートルばかり離れたところで、これについてのいろいろな収益をずっと計算をいたして、それについての事例地の個別的な要因の補正だとか地域格差の補正だとかいうことをいたしまして、それの純収益を還元利回りで六%、あの周辺の利回りの六%で見ますと平米当たり修正価格は百五十万になる。そういうようなことで公示価格を百五十一万円ということにいたしておるわけであります。そういう意味におきまして、実際の取引価格は百九十七万でございますけれども、そういうような収益価格からのチェックだとか、またいろいろなそういう事情の修正からいたしまして百五十一万円というふうに公示をいたしておるわけでございます。そういう趣旨でございますから、先ほどから申し上げておりますように、この地価公示価格というのは、その土地価格を表示する際に、固定されたある政策的な意図できめられたというものじゃございませんので、通常の取引市場でこれは成立するという、売り手にも買い手にも片寄らない端的な仲値であるということでございます。そういうような性格でございますから、取引市場におきましてその価値が上がっていけばそれは上がるというものである。しかしその上がり方は、先ほどから申し上げておりますようにいろいろチェックをしながらその土地価格を鑑定評価いたしておるというふうに御説明申し上げておるのでございます。
  72. 新井彬之

    ○新井委員 結局、説明がまだちょっとわからないのですけれども、土地というのは、私たちの住んでいるところもありますが、必要のないところというのはそう上がらないと思うのですよ。だけれども、そこにたくさんの人が家を建てたりして買っていきますと、初め一万円で買えた土地が二万円になる、あるいは三万円になる、こういうぐあいにだんだんと上がってくるような状態になるわけですね。それで売るほうにしても、あそこは三万の値段がついたのだから四万なら売る、あるいは五万なら売るという形になってくるわけですね。したがってそういうものを平均化して、いろいろな状態を見て、これはこの辺が妥当であるというようなつけ方ですね。それはそれでいいと思うのですよ、そういうつけ方ならつけ方で。しかし、そういうつけ方をして、それをたくさんふやしても何ら価値がないのじゃないか。というのは、やはり何といっても地価公示というのは土地政策についての国の権威ある一つの発表になるわけですね。したがいまして、確かに局長が言われたように電話の問い合わせなりあるいはいろいろな活用というものは部分的には行なわれておると思うのです。しかしそれは最低の金額だ。特にさっきも指摘がありましたように、地価公示の場合は二〇%ないし三〇%低目に見ていく。それはいろいろ技術上の問題がございますから高く見るわけにいかないということもあるでしょうけれども、そういうことから見て、結局、それをそういうやり方をしても、たくさんふやしていっても、労力と費用のむだづかいに終わるのじゃないか、こういうぐあいに私は考えるわけです。  そこで、たとえていいますと、新聞なんかでもいろいろ出ておりますけれども、土地の値上がりということについて、これは東京の高井戸東小学校ですね。その一つの小学校が小学校の用地を買いたいということでいろいろ考えたのですけれども、四十四年ごろ三・三平方メートル当たり平均十万円であった公共用地の買収価格が四十五年には二十万円、四十六年には三十万円、こういうことで異常な値上がりになってきた。それで区のほうは二人の不動産鑑定士に依頼して評価した買収価格二十六万円ということで示したけれども、地主は三十二万円を主張して、結局それは話にならなかった。そうして今度はまたほかの土地を当たったところが、三・三平方メートル六十万円、二月末までに契約を締結して三月末までに決済という条件が出た。これに対して区のほうとしては大蔵省の相続税財産価格建設省地価公示価格をもとに、月間の地価上昇率二%などを加算して最大限が四十六万五千円、こういうぐあいに評価した。そこでいろいろ話し合ったけれども、区とすればやはり財源のワクというものがあるわけで、これもなかなか話がつかなかった。こういうような状態があるわけですね。  実際問題、地価公示というものがよしんばそこに幾らか出たときにおいても、そのときに、いまの例でいけばこっち側は当然四十六万円だというものを六十万でなければ売らないのだ。たまたまそれを買えば、今度は、来年はそれが六十万の地価公示だということで出てくるだけでしょう、極端にいえば。それはもちろん六十万出さないで、五十五万か五十八万にするかわかりませんけれども、それを今度は来年の地価公示価格だということで発表していくだけでは何ら価値はない。またその次はそれが、今度は八十万なら売りましょう、そういう話になってどんどん上がってしまう。したがって公示するだけでは何ら価値がないわけですね。したがって、公共事業については逆に、その公示価格を基本としなければならないということになっておりますから、かえって公共事業というのはこれから進まなくなる。それ以外に売れるところであれば、さっきも言ったように大手不動産業者であるとかそういうところがどんどん買ってしまうわけですね。したがいまして、この地価公示価格以上においてそれを売買した場合において、やはりそれを何らか押えるという、これはもうこの前の附帯決議にも出ております。それからまた地価対策閣僚協議会等でもいろいろと問題になっておりますけれども、結局地価公示以上の高い値段で売った場合においては、そこから差益を八〇%なら八〇%も取るというような形にしなければ、これはやはり地価の暴騰というものは押えられない。したがって年々いまのようなパターンによって幾らでも上がるような状態になるのではないか、こういうぐあいに思いますけれども、そういう点についてはいかがですか。
  73. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 いろいろ御質問があったわけでありますが、簡単にお答えいたしますと、地価公示価格では公共用地がなかなか買えないという場合が多いという事実、これは事実そういうことが相当多かろうと思うのです。しかしながら、やはり地価を上昇させないようにするために地価公示価格規準にするということでございますから、努力をして、公的な機関はその価格で買収するというふうにいたさなければならないと考えます。どうしてもそれが買えないときには収用という手段もあるわけでございます。収用委員会地価公示価格を考慮しなければならないということになっておるわけでございます。  それから、先生のおっしゃるように、地価公示については現在でも私ども、先ほどから申し上げておりますけれども、いろいろチェックの機能を果たしておるというふうに考えておりますが、なおこれを大いに活用しなければならないということについてはごもっともでございます。その方策についてはいろいろ今後とも検討しなければいけません。地価公示については、これは地価公示をする法律でございますからそれにかりにとどまるといたしましても、それの活用方策はいろいろな方法を考えなければいけません。その中の一つとして、新井先生御提案の土地高価譲渡所得税と申すものでございますけれども、これは先ほど御指摘のように一つの方法でございまして、私どももそういう方法については何とか実現をするように努力してまいりたいと考えておるわけでございます。これにつきましては、まず最初には、その前提条件といたしましてやはりこの地価公示そのものが全国的に広範囲に整備をされなければできない。そういう前提条件の整備が十分でない。またそういう場合におきましてどの程度値上がり益の徴収を許すかというふうないろいろな問題があるわけでございまして、そういうものについて今後慎重に検討してまいりたいと思いますけれども、建設省といたしましてはぜひ実現をさせたいというふうに考えておる次第でございます。
  74. 服部安司

    服部委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ————◇—————    午後一時三十七分開議
  75. 服部安司

    服部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新井彬之君。
  76. 新井彬之

    ○新井委員 先ほどは答弁としては、その整備を全部そろえてからそういうことも考えるということの答弁があったわけです。その答弁につきましては、前回の委員会におきましても、今後そういうことを充実してやっていく、こういうことになるわけですけれども、そのようにお伺いしておるわけですけれども、私は、ただ単にそういうような形で、よしんばそれを充実していくとしても、いまの大蔵省でやっておりますところの路線価格、あるいはまた自治省でやっておりますところの固定資産税、そういうようなからみ合いと考えまして、結局そういうだけの内容であれば大体似たような形ですぐにもできるのじゃないか。たとえていいますと、大蔵省におきましては七万地点において現在もうそういう充実したもの、路線価格があるわけです。あるいはまた自治省においては固定資産税の評価地点というのが、農地もひっくるめて七十七万カ所、宅地だけでも二十六万カ所、そういうのがあるわけですけれども、やはり地価公示ということになった場合においては、これはやはり地価の安定ということが基本になる。地価が上がるということについては、これは一つはやはり公共事業がその分だけ予算が足らなくておくれてしまうというようなことも出てくるでしょうし、あるいはまた民間の住宅を建てるにしましても、そういう住宅問題にも影響してくる。あるいはまたその地価が上がることによって固定資産税が非常に上がる。したがってそれが今度は家賃にはね返る。そういうようないろいろな問題が出てくるわけでございます。したがって、少なくとも建設省がその地価公示をしているということについては、地価公示そのものでとめられないにしても、本来ならばそれできゅっと押える力というものを当然持たなければいけないわけです。しかし、今回出しております法案の第一条には、「都市及びその周辺の地域等において、土地取引を行なう者は、」公示価格を「指標として取引を行なうよう努めなければならない。」こういうことで土地取引を行なう者の責務が書かれていますけれども、これには何ら拘束力がないということを聞いておるわけでございます。そうなってまいりますと、そういう地価が三〇・九%も上がったということについて、当然これは先ほど言ったようないろいろなところに影響を及ぼしてくるわけでございます。したがって、そういうところに対して、少なくとも来年度は、一つはそういう地価が三〇%も上がらないように手を打たなければならない。もう一つは、上がってしまった地価に対して、公共事業がおくれないようなことも考えなければいけない。それからまたそれによってもし固定資産税が上がるようなことがあれば、そういうところにも何らかの形で連絡をとって——一般の民間の方々が、いま政府が進めております民間自力建設、これでようやく住宅金融公庫であるとかあるいはまた住宅ローンで銀行から長期の借り入れによって建てて払うのが一ぱいである上に、なおかつまた固定資産税がふえる。そういうことでは住宅政策そのものもつぶれてくるというようなことがあるわけです。したがって、そういう面については大臣としてはどのようなお考えなのか、どのような手を打たれたのか。それから来年度においては、今回取得税であるとかあるいはまた保有税だとか譲渡所得税、そういうものが出ていますけれども、そういうことで押えられるとお考えになっているのかどうか。その辺のことをお聞かせ願いたいと思います。
  77. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほど来、局長も述べておりますように、地価公示法公示法として、正しい地価の発表をして国民目安にしてもらう、あるいは公共事業の一助にする、こういうことでございますが、それとは別に、先ほど来から申し上げておりますように、土地問題という問題は焦眉の急を要する政治問題である、こういうことで、これはこれとして土地の値上がりを鎮圧することを考えなくちゃならない。それには先生のいま御指摘したいろいろの課税の問題や、その他いろいろ土地対策要綱等で取りきめておるそういうようなものをもってこの地価鎮圧ということはやっていかなくちゃならぬだろう。その上にいま一つ、こういう固定資産税、相続税、この公示制度の三つというものをできるだけ早い機会に一本にすべきである、こういうことをまた政府も申し合わせをして鋭意その研究、努力をいたしておるわけでございます。そういうようなことで、公示価格公示価格土地の値上がりの問題については別途手を打たなくちゃやっていけない。この公示制度だけやって土地の問題は解決つくかということになると、私はそれは別だと思う。もちろんこれがおいおい国民に周知徹底してくればその活用もあろうと思いますが、現状においては私はそのように考えておるわけでございます。
  78. 新井彬之

    ○新井委員 もう一つお伺いしておきたいのですけれども、今回所得番付というのが発表されましたけれども、ほとんどが土地を売却した方が高額所得者になっているわけです。ちょっと新聞なんかで見たのですけれども、新宿でたった五十坪の土地を売っただけで十数億の所得があった、こういうようなことも出ておりましたけれども、これは土地の値上がりと、それからもう一つはそういう土地さえ持っていれば幾らでも金になるのだという一つの非常な国民感情というものがあるわけです。こういうことについてはいろいろと考えていかなければいけないと思います。たとえていいますと、四十四年に譲渡所得税の非常に安い税金でもって、これが放出というために安くされている。しかしながら実際問題放出された土地というものは、公共事業だとかあるいは民間のほんとうに住宅がほしいから何とかしなければならないという方には手に入らないで、結局大手の金のあるところが買ってしまう。そして必要な一般の人に渡るときには何段階も経た上で高い値段で土地が売られている。したがいまして、公共用地あるいはまたそういう民間に直接売ってあげた場合というのはこういう譲渡所得税でもいいけれども、しかし実際問題そうして放出されたものが自分のところには全然入ってこないのだ、そういうときにはもっと税制を強化しなければならぬじゃないかというような議論もあります。あるいはまた土地の売買につきましても、いろいろ公共事業としても国鉄ありあるいは道路公団あり、あるいは住宅公団ありあるいは県があり市があり、いろいろなところが土地を買っておるわけでありますが、財源の豊かなところと豊かでないところ、いろいろなところで土地価格というものに対しての不信があるわけでございます。したがって、土地管理委員会というようなものを設けて、そこで一手に買い受ける、そして適正な値段で必要に応じて分け与えるというようなことも当然必要じゃないか。この前の委員会のときにおきましても土地公社、公的機関で買うというような御意見もございましたけれども、そういうようなものを設けてやっていかなければならないのじゃないか。そういうようなことが、一つの事例から見ましても国民の世論としていろいろとあるわけでございます。そういうものを敏感に大臣としてキャッチをされて、今後どのようにしなければならないかという施策を立てなければ、やはり来年同じようなことで、地価公示調査地点がふえたということだけで終わってしまうということを思うわけでございます。そういうことについてのお考えはいかがですか。
  79. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御質問の第一点は、四十四年に実施されました個人の土地の譲渡所得税に対する軽課の問題、あのときは御承知のように長期保有につきましては軽課、さっき申されましたように土地を供給する意味におきましての軽課、それから短期保有につきましては重課の措置、両方税法が改正になったわけでございます。もちろん先生のおっしゃるように、その軽課の措置によりまして相当土地成金というものができた。それと同時に、土地は放出されたけれども一般国民に渡らずに、結局大手の法人企業に渡って、また高く国民に売られることになるじゃないかという御質問だろうと思います。そういうことにつきましては、土地が放出されたという効果はそれについて確かにあろうと思うわけですが、それを法人企業が買い占めたということにつきましては、そういうようなことで最終需要者の手に渡らずに法人企業が相当所有したことはやはり事実であろうかと思います。したがいまして、今回この国会において成立させていただきました法人企業についての土地譲渡所得税の重課の措置、七割課税をするという重課の措置ができたわけでございます。そういう四十四年の税制を補完する意味におきまして、今回の法人の土地譲渡所得税の重課という措置が考えられた。そういうことによりまして、投機的な土地を保有することを抑制しようということになった次第であります。  それから第二点の、土地につきまして土地管理委員会を設けて、そこで一手にこれを買収して配分していったらという御提案でございます。これにつきましては、一つ土地対策上の御提案と考える次第でございます。これについても検討しなければいけない問題が多いわけでございますけれども、問題点といたしましては、そこで土地の買収を全部行なって一般の民間の土地取引を全く禁止するということになりますと、現在の体制におきましての土地の売買は全くなくなる、衰微する、土地の供給がストップするというような問題点も一つあるわけでございます。また公的のみでこれを買収し、造成するということになりますと、予算だとかその他いろいろな問題もあろうかと思いますので慎重に検討しなければいけませんが、ただ、先生の御趣旨のように、そういうふうに公的な土地をどんどん先行取得していくことは非常に必要なことでございます。したがいまして、公有地拡大法におきましては土地開発公社をつくりまして、土地開発公社が国のいろいろな資金手当て、地方公共団体の資金手当てをバックにして土地の先行的取得、先買いを行なうという制度ができておるわけでございます。そういう土地開発公社等を通じまして、先生のおっしゃるように公的な土地保有をどんどんふやしていくということにつとめてまいる必要があろうかと存ずるわけでございます。
  80. 新井彬之

    ○新井委員 私が言っていることとあれなんですけれども、今回の譲渡所得税については、確かに取得が四十四年以後のものについてはそういうことになると思いますけれども、古くから持っている土地もたくさんあるわけですね。それを吐き出した場合に、やはりそれがさっきも言ったように公共事業だとかあるいは個人の必要なところに渡らない。そういうところに渡る分については優遇してあげるということは当然いいことだと思います。だからもう一歩進めて、そういう方でもほかのところに売った場合においてはそういうことも考えたほうがいいのじゃないかというのが私の意見でございます。確かに、投機だとか買い占めというようなことで、近年土地が上がるからということで買い占めた分については、これも適正利潤率とかいろいろな問題がありますから、ある程度はそういうことで押えがあるかもわかりませんけれども、もっと全般的にわたったことをやらなければいけないじゃないか、こういうような意見を言ったわけでございます。  そこで、そういうようなことも今後はよく考えてやっていただきたいと思いますけれども、今回のこの地価公示から見てまいりまして、都道府県の用地費の増大を見てまいりますと、都道府県よりも市町村のほうがその用地費の増大が伸びております。一つの例をとりますと、四十一年の基準におきましては、用地費の伸びが都道府県では一・七五倍、大都市においては一・二七倍、都市においては二・一四倍、それから町村においては二・五二倍。それから四十六年度の決算におきましては、用地費の伸びが都道府県で三・一七倍、大都市で二・五三倍、都市で五・三倍、町村において五・二七倍になっているわけです。そういうことで、この地価公示から四十八年なら四十八年度予算が去年から組まれてきて決定されておりますけれども、事業がちゃんとできるかどうかということですね。そういう問題についてはどのようにお考えになっておりますか。
  81. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生指摘のように、市町村のいわゆる用地費というものが多くなってきているだろうと思います。これはやはり市町村の行なう公共事業が非常に増大してきているという一つの傾向の結果であろうかと思います。御承知のように、国の政策のすべてを、また予算の重点といたしましても、国民福祉ということを重点にして予算を組むということになりますと、公共事業の中でも勢い公園だとか下水道、そういういわゆる生活環境施設の整備が必要になってきます。こういうものはもちろん都道府県でも公的なものは大規模なものについて負担いたしますけれども、市町村が主体となってやるのが非常に多うございます。したがいまして、今後市町村のそういう公共事業関係の経費は生活環境施設の整備を中心にして非常に多くなります。したがいましてそれに伴って用地費も多くなろうかと思います。その際に、用地取得について非常に困難になるのじゃないかという点でございますが、これはごもっともでありまして、市町村に限らず、都道府県、公団、公社とも、公的な機関は用地取得について非常に難儀をいたしておるような次第でございます。その対策といたしまして、総合的な土地対策を講じて地価を安定させるとともに、用地取得についてもいろいろな方策、たとえば先行取得を行なう、先買いを行なう、その他いろいろな方法を講じまして用地取得を容易にする、従来よりもスムーズにできるようにすることが必要になってくるわけでございます。今後ともそういう用地取得対策について私ども格段の努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  82. 新井彬之

    ○新井委員 ちょっと抽象的なんでわかりにくいので、具体的な一つの問題からいきたいと思いますが、東京都においては昭和四十六年から五十年度で十万戸の第二次住宅建設長期計画というものを前提といたしまして、昭和四十六年から四十七年度で三万六千七百戸、これだけ着手いたしております。それから昭和四十八年から五十年度を対象にした中期計画の実績も四万戸前後に落ち込んで、結局十万戸の予定が八万戸の実現もむずかしいのじゃないか、こういうような情勢にある。また日本住宅公団の四十七年度建設計画の八万八千戸は大幅にダウンいたしまして、計画の半分の四万四千戸が限度である、こういうような見通しも聞いているわけでございます。また三月一日の衆議院の予算委員会建設大臣から、住宅建設五カ年計画を四十九年度を目途として洗い直すというような方針も出ておりますけれども、こういうぐあいに住宅が建たないという、行き詰まってきた原因はどこにあるとお考えになっておりますか。
  83. 沢田光英

    ○沢田政府委員 先生のおっしゃるとおり、東京都におきましても住宅公団が行ないます東京周辺の事業は大幅におくれてまいっております。そのほかの地方ではおおむねかなりの率をこなしておるというのが事実でございます。問題はどこにあるかということでございますが、やはりすべて用地あるいは用地に関連した底地の問題でございます。一つは、公団などについて見ますと、実は公団は八万八千戸を八千戸減じたものに四十八年度しているわけでございますが、四十七年度、四十八年度の用地につきましてはほぼ手配が済んでおるわけでございます。しかしここに家が建たないという問題で実は公団がおくれておる。これから先、もちろん買いにくいという情勢もございますけれども、それ以上に、いわゆる地方公共団体の団地お断わり、これは関連公共施設の費用が非常にかかるとか、あるいは水の問題があるとか、あるいは人口増を各千葉県なり神奈川県が拒否する。こういうようなことで建てることになかなかオーケーを出さないという問題が一番多うございます。しかしこれもやはり土地、底ものに関係するものでございます。東京都の場合にはおっしゃるように計画が非常に進んでおりませんで、四十七年度におきましても一〇%をややこえる程度の発注しかできておりません。これは実はいま言ったような公団と同じような原因もございますが、実はこれはなかなか用地が買えないという問題がございます。これはもちろんお金の問題もございますし、ことに四十七年度は、先ほど来御議論になっておりますように非常な値上がりがございました。しかも東京都の地域というものは限られておりますので、その中でなかなか買い進みができなかったというふうなことで、公団のような原因と、さらにいまの地価の高騰の問題をあわせてかぶりまして、したがいまして進捗が非常におくれた、こういうことが事実でございます。
  84. 新井彬之

    ○新井委員 その原因というのは土地対策の無策にある、こういうぐあいにいわれておるわけです。三月一日の予算委員会の席上におきまして大臣が、土地は商品でないという考え対策検討したい、こういうぐあいに答弁をなさっておりますが、ここら辺はどういうことなのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  85. 金丸信

    金丸国務大臣 この時点に来れば土地公共に優先すべきである。また土地は商品にあらず、いわゆる特殊な物件である。この時点というのはいわゆる住宅を建てたくも家を建てることができないという状況にある、この時点で土地を私物化していくということは相ならぬ。そういうことですから、私有権を相当抑制をしていく。私は、かねて申し上げましたように、土地国民が共有する領土なり、こういう考え方で、これに対しては相当いろいろ異見もあると思いますが、この時点においてはそういう考え方で土地問題に対処していくべきである、実はこんなように考えておるわけでございます。
  86. 新井彬之

    ○新井委員 これは東京都の五カ年計画でございますけれども、四十六年度においては当初計画一万七千七百戸、それから実績が、ちょうど三百戸上のせがありまして一万八千戸。四十七年度になりまして、一万九千戸の計画が三月三十一日現在着工数が千八百二十六戸、九%しかできていない。これについては東京都の住宅局長説明によりますと、都が用地を買う場合には市価よりも一割から五割安い公示価格規準として、土地はさら地で担保などに入っていてはならないことにきめられているが、民間デベロッパーなどは市価以上の値をつけ、古い建物や抵当権があっても前渡し金で解決していくため、都としても対抗できない。こういうぐあいに一つの理由を言っているわけです。要するに、一つ地価公示そのものが一割から五割安い。そして買う条件というのはさら地で担保にも何も入っていない。しかし民間が買う場合というのはそういうものも全部先に前払いをして買ってしまうために、土地が手に入らない。それからもう一つは、先ほどお話がありました公有地拡大推進法が施行された昨年の十二月から、地主から土地を売ってもいいという届け出件数が四十八件あったわけです。しかし三十二件はその価格が高くて合わないために初めから交渉を見送った。それから場所柄や土地の面積が狭過ぎるということで十三件を除いた残り三件について交渉に入ったけれども、値段が折り合わず、買えた土地は一件もなかった、こういうような状態だということが言われておるわけです。それから東京都では現在先行取得した土地は六十八万平方メートル、約九千百戸分ありますけれども、このうち三十八万平方メートルは一部用地内に買収に応じない地主ががんばっているし、十三万平方メートルは区画整理前の端切れの土地であって、このほか古代の遺跡が出たり、地元の区市町が人口増をきらう、あるいはまた工業地域に指定されている状況で、手持ちの土地もすぐ使えない現状である。こういうような状況になっておるわけです。そこで、先行取得の話が先ほど出ましたけれども、そういうものとからめて、先ほど公共事業はおくれないように努力するということをお聞きしましたけれども、こういうような状況から見て今後どのようなことをやればいいのか、このことをちょっとお伺いしたいと思います。
  87. 沢田光英

    ○沢田政府委員 全般的な話の前に、公営住宅の問題だけにつきまして私どもの考え方を申し上げたいと思います。  東京都が非常にダウンしておるということはたいへんな問題でございます。とにかくこれは計画どおり、あるいは計画に近いところまでこの五カ年に持っていかなければいけない。それにはやはり長期と短期の二つの策が要るだろうと思います。このように一割程度しか着工できなかったということに対処いたしますには、私どもはいま二つの問題を至急に考えております。一つは、木造の公営住宅が都内にたしか三万何千戸かございます。こういうものを逐次再開発をやっておるわけでございますが、払い下げの問題等もございましてなかなか進まない。しかし、これらに対しまして促進策を講じますれば、その面積は現在二百万坪ございますので相当量こなせる。でございますのでこれを促進したい。東京都もそう申しておりますし、私どもも有効なことであるというふうに考えております。それからもう一つは、これは都市計画上一団地住宅施設というものを都市計画できめまして、これを東京都が収用までいきますことを背景にして手に入れる。A、B農地などがその対象になるかと思いますが、これを具体的にどんどん進める。こういうことをすぐにでも手を打っていって緊急策にいたしたいと思っております。恒久策はもちろん各種の基本的な土地対策ということに乗って私どもの基盤をつくっていっていただきたい、かように長短両様に手を打っていくということを考えております。  ただいまの私の答弁公営住宅に関する部分だけでございます。全般的なことは計画局長から……。
  88. 新井彬之

    ○新井委員 私がお話ししたいことは、公有地拡大推進法というのができているわけですね。それから現在まで四カ月間を経過していますけれども、関係都道府県の状況というのはあまり前進をしていないわけです。その状況というのは、東京都は先ほど申しましたが、兵庫県におきましても、届け出、これは申し出を含みますけれども、百十五、協議件数が三十二、買い取り成立件数が二。神奈川は九十三、十、一。埼玉では九十九、二十一、五。千葉では百三十九、四十四、十四。こういうような状況になっているわけですけれども、これはやはり地価公示価格そのものが非常に低いためなのか。本来ならば、それが適正価格ですから、競争した場合は当然五分五分でもって必要なものについては公共団体に入るのじゃないか、さっきの説明からやはりそういうぐあいに思われるわけです。しかし、そういうことで出してみた場合に、やはりどうしても金額が合わないというようなことが一番の理由で入っていない。こういう件についてはどのようにお考えになりますか。
  89. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 土地開発公社等が公有地拡大推進法によりまして先買いする場合、その他一般の公的機関が土地を買収する場合でも同じでございますが、先ほど先生が御指摘のとおり、公的機関は地価公示価格規準にしてこれを買収するということになっております。ところが民間デベロッパーについては従来は何にもそういうことがございませんでした。したがって、地価公示価格は先ほどから御説明申し上げたとおり正常な価格でございますから、いわゆる特殊な事情でぜひ売りたい、ぜひ買いたいというようなそういうものが入っていないわけでございますが、民間デベロッパーがどうしてもそこを買いたいというときに、高いお金を上積みして買うという場合、土地の所有者としては、これは一般の心理からいいますと、どうしても高いほうに売るという例があることは、これはまことに残念でございますけれども、そういう実態があろうかと存じます。しかしながら、いわゆる公有地の拡大法による先買いとか、またいわゆる先行取得という段階におきましては、まだ具体的な道路計画なり公園計画なりが決定しない前の段階、予定地の段階でもこれは公有地を買っておこうというようなものでございます。したがいまして、どうしてもその土地道路用地として、また公園用地として必要であるならば、早く計画をきめまして、そういうことによりまして都市計画法なり土地収用法というような、そういう手段もあるわけでございますから、そういう方法によりましてそれを取得する。そういうことでございますと、民間デベロッパーなり民間のそういう高い上積みしたような価格を排除しまして公共機関がこれを取得できる。その際の価格は、土地収用委員会が裁決いたしますけれども、地価公示価格を考慮しなければならぬということになっておる次第でございます。そういうような趣旨計画を早くきめるということが必要になってくるわけでございますけれども、公有地拡大推進法によりまして届け出があってもなかなか買えないという実情、これは事実でございますから、なお関係の省なり関係の部局において十分検討いたしたいと存じます。
  90. 新井彬之

    ○新井委員 次に進みますけれども、そういう問題について、それが現実でございますので、今後よく検討していただきたい。  それから、今後地価公示をどんどん拡大していくときに、このやり方というのは不動産鑑定士あるいは士補が二名でもってその鑑定ということを行なうようになっておりますね。その場合一地点で二名以上でそれをやる。それで一人の手当が一万六千五百円、これは二人で三万三千円という予算だと思います。今後それだけの、二十四万地点という拡大をしていく場合において、一体どのような鑑定方法をとっていくのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  91. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御質問ごもっともでございまして、全国的に拡大いたしまして、相当の地点、宅地だけでも二十四万地点という場合におきましては、従来の方法でやりますと相当な不動産鑑定士及び予算が要るだろうということでございます。私ども現在考えております将来構想といたしましては、前にも申し上げましたけれども、四十九年に大体国の基準地点一万四千五百七十地点を考慮し、それを基礎にいたしまして都道府県が昭和五十年に公示する。それから国の基準点と都道府県の基準点の公示を基礎にいたしまして市町村が、宅地だけについては二十四万地点の公示をその秋にはいたしたいというもくろみでいるわけでございます。  そういう場合におきまして、国の基準地点につきましては従来と同じような方式で、これは最も基礎になるものでございますから、一万四千五百七十地点につきましては二人以上の不動産鑑定士または士補によってこれを鑑定するという方法を従来どおりやりたいと思うわけです。それから都道府県につきましてはこれからのいろいろな検討事項でございますけれども、都道府県につきましても、これはやはり不動産鑑定士によりますけれども、これはやはり国の基準地点というものはもうすでにございます。たとえば一等基準点といいますか、そういうものがありますから、それを基準にいたしまして鑑定評価するわけですから従来のような不動産鑑定士は必要がなくなる。それから市町村につきましては、これは国と都道府県の公示いたしましたそういう地点につきまして、これを基準にしてやるわけですから、この点につきましては不動産鑑定士を使わずにそういう基準地点を市町村が鑑定評価するという方法、その場合には都道府県及び市町村にも土地鑑定委員会を設置する予定でございます。そういう私どものほうの建設省の構想でございますが、そういう土地鑑定委員会及び事務局は市町村をもって事務局に充てられると思いますが、従来は市町村におきましては御承知のように固定資産税の課税のための評価というものをいたしておるわけでございます。そういう経験のある職員もいるわけでございます。そういう職員がその経験を十分生かしてそういうこともできると私ども考えておるわけでございます。そういう方法によりますれば、不動産鑑定士の現状——不動産鑑定士は毎年ふえておりますから、将来のそういう増加計画考え合わして、大体これで地価公示ができるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  92. 新井彬之

    ○新井委員 いま不動産鑑定士あるいは鑑定士補、この方は四十八年の三月現在で二千七百名ぐらいだと思います。いまのままのやり方でやるならば、二十四万地点において四万六千名の鑑定士の方が必要である。予算においても、こっちの計算だけでも約八十億円ということになるわけでございます。いまお話があったように、今後またそういうことは検討するということでございますけれども、少なくていいかげんになってはならないし、そういうところで非常に無理があっても問題があるということでありますので、そういう点についてはひとつよく検討願いたい。  それから最後に一本化の問題についてお聞きしたいと思います。これは地価対策閣僚協議会におきましても土地の有効利用の促進ということで、土地の評価の適正化と一本化ということがいわれております。あるいはまた附帯決議におきましてもそのようにいわれておりますし、いろいろ出ております。この一本化については、もっと充実したときにおいてどのように一本化するかということを検討するということがいわれているわけでございますけれども、建設省地価公示というのは毎年一月一日の評価額をまとめて四月一日に発表する。それから大蔵省のほうの相続税は毎年七月一日の評価額を基準にして翌年一年間使用する。自治省は、固定資産税のほうは三年に一回評価額の変更を行なう。こういうような形で来ているわけですけれども、初めに大蔵省のほうにお伺いしたいのですけれども、確かに地価公示価格と比べた場合においては、毎年七月一日の評価額であるし、それが一年ずれているわけですからだいぶ差がありますね。ありますけれども、それと逆に、建設省と同じような形にした場合にはそのまま地価公示になるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  93. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 国有財産の評価の問題でございますが、その前に、先生が御指摘の相続税の課税標準価格の問題、これは国税庁が現在やっておりますが、これは相続税の物納の場合の収納価額、また物納じゃない場合に、それの課税価格というものの基礎になる評価でございます。これは国税庁が全国の署員を動員いたしまして路線価というものを設けておるわけでございます。しかしこの路線価といいますものは時価に対しましてある程度低くなっておる、そういう実情がございますので、国有財産としての土地を大蔵省として払い下げます場合の評価といたしましては、それをそのまま採用することはできない。そういうことで、相続税の課税標準価格に一定の修正率を乗じまして時価に近いものに持っていく。また固定資産税、これもその課税標準価格を修正いたしまして時価に近いものに持っていく、こういう作業をいたします。それからまた近傍類地の売買実例というものを三、四件見てみまして、それも入れる。それから最後に民間精通者の鑑定評価、こういうものも、正式に評価を依頼いたしまして、する。そういうものを総合勘案いたしまして大蔵省として幾らと評価するわけでございまして、それが従来やっている方式でございますが、地価公示法ができまして公示価格が示されたわけでございますので、近隣地域にこういった標準地がございます場合にはその公示価格との均衝を保つというような作業を最後にいたしまして、できるだけ公示価格に近いものにして評価をする、かようにいたしておるわけでございます。
  94. 新井彬之

    ○新井委員 その調査については、売買実例であるとか、あるいはまたそれを非常にかた目に見るとか、あるいはまたそれは相続税との関係がありますから七〇%で見る、あるいはまた鑑定士とかその土地に精通した人たち、あるいはまた銀行、不動産研究所、それから取引業者、それから近傍類地、そういうようなものを全部参考にしてやられるということなんです。だから、言ってみれば、そういう不動産鑑定士が二人で調べている以上に、現在の価格というものを把握しようと思ったらしやすいわけじゃないですか。
  95. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 ただいま大蔵省から答弁がありましたけれども、固定資産税なりまた相続税につきましての評価というのは、これはあくまでも課税をするための評価額の算定でございます。しかしながら地価公示価格というのは、現行制度でも公共用地取得規準ということになるわけでございますから、これはやはり憲法でいう、その価格は正当な補償でなければいけないわけでございます。そこに大きな評価上の差があるわけでございます。これも先ほどから申し上げておりますように、正当な補償に当たる正常な価格というものを、不動産鑑定士は二名以上でございますけれども、さらにこれを不動産鑑定士が評価して、二名のものが差が著しくありますと土地鑑定委員会がまたこれをいろいろチェックし、最終的な価格をきめるというようないろいろな手はずをとっておるわけでございまして、二人の不動産鑑定士だけがきめるというわけじゃ決してないわけでございます。そういう意味におきまして根本的な差異があろうかと思いますけれども、公的な評価がこういうふうないろいろ関係のあるところでまちまちになるということは私どもまことに遺憾である、好ましくないことであると思いますので、先ほどから申し上げておりますように、将来は何とかしてこれを一本化してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  ここでちょっとつけ加えさせていただきますが、建設省地価公示は一月一日だとおっしゃいましたけれど、私先ほどちょっと申し上げましたが、宅地について二十四万地点を公示するということになりますと、昭和五十年の秋、十月一日に地価公示をするということで、自後におきましての課税上の評価について役立つように、そういうくふうを私ども検討いたしております。
  96. 新井彬之

    ○新井委員 ちょっと違うのです。私が言っていることは、前提としては固定資産税だとか相続税だとか、これは、土地がこんなにどんどん上がっておるわけですから、地価公示価格をそのまま適用すればいろいろな方々が——現在では年間七十万人ぐらいなくなられている中で、四十六年分については二万六千人の方しか相続税はかからないようになっているらしいのですけれども、とにかくこのように土地が上がってきた場合は、いままで非常に安い土地で、自分の家を持っていて、サラリーマンだ、ところが評価額がどんどん上がったために、今度は相続税からはみ出して税金がかかるということもありますから、それはその段階においては当然手直しをしていただいて、一般の方のマイホームが課税の対象になるなんということは避けてもらわなければならぬ、こういうように思うわけであります。しかしながら、そういういま言った話の中で、やはりそういったことがあるから手心を加えているから、この路線価というのは一般の売買の実例ということにはなりませんけれども、そういう形で評価しようと思ったら来年からでもできるんじゃないかということを言っているわけです。たとえていいますと、地価公示価格が一〇〇としますと七〇になっている。しかしこれの売買価格幾らなんだということからいけば、これだけの鑑定士なり精通者なり銀行なり不動産研究所が全く地価公示価格以上に徹底した調査のもとにやられて、七万地点というのがあるわけですから、来年からでもできるということにはなりませんかということをいま大蔵省の方にお伺いしているわけです。その辺はどうですか。
  97. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 問題は課税価格というものと個々の地価の問題だと思いますが、現在不動産鑑定士の鑑定はいろいろな取引事例を比較する、いわば取引の売買実例からいいまして地価を求めるというような方式を大体とっているわけでございます。公示価格もそういうようなことで出ているわけでございます。それと比較いたしましても、路線価というものはやはり低目になる。これは国税庁のほうの問題でございますけれども、国税庁といたしましてはこういった課税をする場合の価格というものは、その財産をすぐ換価する場合に、はたして正常な取引価格だけでいいだろうか、やはり若干ダウンしなければいかぬということで、よくいわれておりますが大体七掛けぐらいということでやっているわけでございます。私どもがそれじゃ相続税の価格地価としてやっていいかといいますと、これはやはり具体的に近くに売買実例があるし、近隣地域に公示価格がありますれば、明らかにそれよりも低いのはまずいんじゃないかということで、私どもは普通の鑑定のやり方というものを取り入れ、いろいろ苦慮いたしまして、現在のものは普通財産売払評価基準というものが、まあ通達でございますが、ございまして、先ほど言いましたような非常にややこしい多角的な方法を取り入れてやっているわけでございます。これを何とかもうちょっと単純化して簡素化できないかということで現在検討しているわけでございますけれども、どうも相続税の価格をそのままとるということは、現在のところはちょっと無理じゃないかと思います。
  98. 新井彬之

    ○新井委員 私が聞いているのは、さっきも言ったようなことなんですが、それでは自治省の固定資産税と地価公示価格関係はどのようになっていますか。
  99. 小川亮

    ○小川説明員 先ほどおっしゃいましたように、固定産資税は三年ごとに基準年度を設けてやっておりますが、ちょうど四十八年が基準年度でございます。評価がえをいたしましたその結果、宅地につきまして全国平均しますと、四十五年の評価額に比べまして一・八倍くらい上昇しておりますが、公示価格に比較しまして、平均しますと五割程度ではないか。あるいは、先ほどお話がありましたように三割強公示価格も上がっておりますので、五割ちょっと切れるかもしれませんが、大体そういう感じでございます。
  100. 新井彬之

    ○新井委員 だから、この一本化するという問題については、その積算の方法というものはおのおのがやっているわけですけれども、考え方を変えてこういう方向で出せといえば、すぐに出ないとしても、来年なら来年からでも出るような、それだけ完備をしたものだと思います。ただそのときに問題になることは、固定資産税でいえば、非常に上がる。上がった場合に、せっかく建てたマイホームが、お金の返済、そしてまたその上に今度は固定資産税がかかるというようなことでは非常に問題がありますから、そういうようなことについては、前のそっちの委員会のほうでもいろいろ問題になって、どのようにするのかということであったようでございますけれども、それはやはり当然押えてもらわなければいけない。しかし、路線価と固定資産税とそれからまたこの地価公示、どうもその三者が同じように、続々と金を使って、そしておのおのの出し方をしている。しかしここでいわれていることは、一本化に向かってそれが活用されるべきだということがいわれているわけです。したがって、そういうことについては今後よく検討していっていただかなければならないということを申し上げまして質問を終わります。
  101. 服部安司

    服部委員長 渡辺武三君。
  102. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 地価公示法の具体的な質問に入る前に、大臣に対して基本的な問題についてお尋ねを申し上げたいと存じます。  大臣承知のように、土地というものはいわゆる人間が生産をするものではございません。したがって、需要と供給の関係からいけば、自由な取引を許しておけばこれは必然的に需要が多ければ高騰をしていく、こういう性質のものであろうと考えるわけですね。そこで、本来地価抑制あるいは土地の有効利用という観点から見れば、土地そのものを投機的な対象物からはずさなければいけない、いわゆる一般的な取引商品から土地そのものをはずさなければいけない、こう考えるわけですけれども、大臣はどのような認識を持っておられるか、お聞かせを願いたい。
  103. 金丸信

    金丸国務大臣 私も先生と同じような考え方を持っておるわけでございますが、ただ、経済状態、社会組織の仕組み、こういう中で、徹底したその考え方を持っていいのかどうかということについては疑義を持っているわけでございます。ただ、土地というものは、たびたび申し上げるわけでございますが、公共優先でなければならないということだけは確かである。これは商品ではない、こういうことでございますから、相当な規制をやってしかるべきである。そうしなければ今日の現実の政治問題を解決するわけにはいかない、こういうふうに私は考えております。
  104. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣、将来、土地の自由な取引を制限するお考えはございませんか。
  105. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題は、内閣の全責任の立場にあるところで答弁しなければならぬ話だろうと私は思います。しかし、いまのようないろいろの悪徳業者やあるいは投機的なそういうものについては徹底的な取り締まりをやってしかるべきである、あるいは投機をはずすべきであるというような考え方は先生と同じでございます。
  106. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 建設省地価関係することが一番多いわけですね。公共事業を進めるにあたっても土地取得するためにたくさんな税金をつぎ込まなければいけない、こういうことが前々から問題になっておるし、道路一つつくるにいたしましても、都市近郊においては土地取得費が実際のい工事費の七〇%、七五%というような高価なものになってしまっておる。したがって、そういう公共事業を推進させるという立場からも当然土地という問題に真剣に取り組まなければならない立場に建設省は置かれておると思うのです。そこでお尋ねをしておるわけですけれども、いまのような状態を放置しておくと本来の基本的な業務そのものも支障が出てくるおそれすらある。先ほどの委員の討議の中にもございましたように、住宅建設そのものもたいへんなおくれをしておる。その中の要因の一つとしてやはり土地の高騰というものがある。こういう状態ですから、当然やはりいまの形態そのものに非常な変革を行なっていかなければいけないのではないか。その一つとして地価公示法があるといわれるかもわかりませんが、いろいろな施策もいわゆる地価抑制するための実効があらわれていない。したがって、どうしたらばいいだろうかというふうに考えていきますと、当然やはり一般商品と同じような自由取引をそのまま許しておいたのではもうだめだ、こういう結論にならざるを得ないと私は思うのです。そういう従来からの経過に基づいてやはり建設省としての決意というものが私はあるはずじゃなかろうか。もちろん基本的な施策でございますから閣議の中で政府としての問題にされることは当然なことでございましょうが、建設省自身としては、自己の業務を遂行するためにもやはりこの地価の高騰を抑制するために一体どうしなければならぬか、こういうことが基本的に浮かび上がってきていなければいけないのではないだろうか。そういう観点から大臣考え方を実はお尋ねしておるわけです。もう一回ひとつお聞かせ願いたい。
  107. 金丸信

    金丸国務大臣 自由取引を取りやめるというような問題については、相当な物議をかもす問題でもありますし、いろいろ問題も起きますが、しかし土地という問題と今日の住宅問題とあわせて考えてみますと、相当思い切った徹底した施策を行なわなくちゃならない。土地問題で閣僚協議会等でいろいろ案も出ておるわけですが、国総法や税制の問題や、その他規制を新しく設ける制度、そういうようなものによってひとつこれを推進していく。しかしそれだけではまことに、先生のおっしゃられるようにまだるっこしいという感じが私はいたしております。それにはどういう手を打とうかということで建設省自体もいろいろ話し合っておるわけでございますが、向こう見ずに進めば憲法違反にもなるという面もありますし、その点なかなか微妙なところがあるわけでございます。しかし、十分考えて、どうしましょうなんといっている場合じゃない、もうきょうからやらなくちゃならないということであるわけでございますから、できるだけ土地問題につきましては私は早急な手を打って、国総法の成立を待って、税制の問題やその他とあわせて推進していくところに活路もあるだろう。それだけではまだるっこしいという場面があるならば、二の手、三の手も打つべきである、このように考えておるわけでございます。
  108. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 国総法がすべてではないと私は思いますし、いま現実の問題として土地の売買は確かに自由なんですが、実際の利用の面においてはいろいろな制限があるわけですね。たとえば市街化区域、市街化調整区域もその一つの例ですし、あるいは土地利用の面からいっても、商業地帯、住居専用地帯、いろいろございまして、建ててはならない建物あるいはやってはならない商売、こういうものが実はいろいろ制限をされておるわけですよ、利用面から見ればですね。したがって、私は土地の個人取引を全面的に禁止をしてしまえ、こう言っておるわけじゃないわけでございまして、憲法の許す範囲内において、少なくとももっと制限を課していくべきではないか、いろいろな条件をつけていくべきではないか。たとえば売買に対して公的機関が介入できるような制度、私どもが前々から言っておるような土地利用公社というようなものを設けて、そして公的機関が土地の売買に介入できるような制度、これも一つの方法でございましょう。そういうようなことが考えられないか、実はこういうことを言っておるわけです。
  109. 金丸信

    金丸国務大臣 先生のおっしゃるとおり、私もそのように考えておるわけですから、後手にならないように、先手、先手といきたいと思います。しかしこの状況下で、国総法その他御審議願っておる、それもあわせて見ながら手を打っていきたい。法の許す範囲においてやるということにおいては同感でございます。
  110. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実はもっと明快な御答弁がほしかったわけでありますが、気持ちとしては大臣もそのように思っておるということでございますから、ほんとうにもっと厳格な施策、これをすみやかに行なうということが私はいまの時点ではたいへん大切だ、こう考えますので、ひとつ勇気をふるってやっていただきたいと要望しておきます。  そこで、具体的に地価公示法に入るわけでございますが、実はすでに四十三年の四月に私どもの党が建設委員会において提案をいたしました土地価格の抑制のための基本的施策に関する法律案、その中の一項目として土地の基準価格を設け、公示する制度を確立してはどうか、こういうのが実はあったわけでございます。しかしその法律を私どもが提出をいたしましたときにはそれは単なる一項目であって、三つも四つもその中にあったわけでございます。それは、土地の基準価格は当分の問据え置く、こういうこともございましたし、さらに、地価抑制するために土地の高価譲渡税を設けて、かりに土地の基準価格がきめられても、それを越えて売買をされた場合には、その越えた部分の金額を課税標準として高率な税金を課そう、これも実は一緒に提案をしてございました。さらには、土地の有効な利用をはかるために、さらに地価の安定をはかるために余裕地税も設けなければいけない。こういうことから私どもが提案をした法律案というものはなっておったわけですが、その後政府のほうで私どもが提案した一部だけの政策アイディアをおとりになってこの地価公示制度をお設けになった。これが四十四年、あくる年に実は政府提案として出てきておるわけでございます。したがって、私どもが当初考えましたような方向でこの法律ができておりませんので、たいへんしり抜けといいますか、水もじゃじゃ漏れといいますか、先ほどからの答弁を聞いておりますと、正常な価格の公示だということを何回も何回も御説明になっておるわけでございますが、その正常な価格公示そのものが一体どういう意味を持っておるであろうか、きわめて疑問に思えるわけでございます。本来、そういう正常な価格を示すことによって正常な取引促進をしていくのだ、こういうことでございますが、正常な価格そのものを示すという意味は一体何であろうか、きわめて疑問に思えるわけでございます。本来的に地価というものをほんとうに抑制するといいますか、あるいはことばをかえていえば正常な価格にするといいますか、目的はそういうことであろうと思うのですけれども、現実には、たとえばNHKのあと地の売買を見ましても、これは公示価格のたしか二倍ないし三倍程度で売買がされておると思うのです。今回法律改正によって新しく、一般民間デベロッパーが売買する場合でもこの公示価格を尊重しなければいけないというような倫理規定があるようでございますけれども、しかしそれだけでほんとうにこの公示価格というものが地価抑制するための効力を発揮するだろうか、これまたきわめて疑問でございます。したがって、いまこの地価公示法そのものを存在させておる理由というものが、そうなってくると実はわけがわからなくなってくるのです。まあお答えは、土地収用をする等々のときにはこの地価公示法によって示された公示価格規準になるのだ、こういうようなお答えが返ってくるかと思いますが、そういうものがないとしても、やはり固定資産税評価額等もあるわけですから、何らかの方法で当然適正な価格というのは算出できる仕組みに実はなっておると思うのです。あえて地価公示法によって公示をしてそれを守らなければならぬという理由が一体どこにあるであろうか、明快にお答えを願いたいと思います。
  111. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 いろいろいままでも御説明申し上げてきたわけでございますけれども、土地の価値、これが地価でございますけれども、これはほかの商品と違って非常にこの価値をきめるのはむずかしゅうございます。特に一般人たちから見ますと、その価格というのがどういう形成要因でどうなって幾らになるかということが非常にむずかしゅうございます。したがいまして、そういうふうに非常にむずかしゅうございますから、土地取引にあたりましては呼び値だとかつけ値ということで、宅建業者がこの土地価格幾らと言ったら大体そういう価格で買わざるを得  ないようなかっこうになる。そういうことからいたしまして、一般の人から見まして土地価格と  いうものが大体どのくらいだろうかというのが自分で非常に判定しにくい点がありますので、それを一つの判定評価基準によりまして土地価格を定時に毎年公示して、そして一般目安とし指標とするということでございまして、一般土地取引でもこれを目安にして行なえば、宅建業者が非常に高い値段を言いましても、いやそれは地価公示価格によれば大体こういう程度じゃないか  ということが言えるわけでございます。そういう意味におきまして、先ほど申し上げたような正常価格でございますから、特殊なそういう高いつけ値なんかがありましても、そういうものはチェック、抑制できるということでございます。  それから地価公示法制定されるとき、これは先ほども申し上げましたけれども、どうも公共用地取得地価を上昇さしているのではないか、政府地価上昇の主犯ではないかということをいわれておったわけでございます。それほど東西におきまして非常に公共事業が集中的に行なわれたのでございます。これにつきましては、公共用地取得については公共用地取得の基準はございますけれども、具体的にその地点の準拠すべき価格がないわけでございます。したがいまして、一つは、各公共機関が競合するような場合におきましては、やはり民間が買うと同じように少しずつ高く交渉するというようなこともあろうかと思います。そういう場合におきまして地価公示価格という、その土地におきまして正常な価格というものを表示いたしておきますればその価格によって——公共用地規準としなければならぬと特に規定をしておるわけでございますから、どの公的機関がこれを買収する場合におきましても、そういう公示されました土地地価規準にいたしまして買収するということになるわけでございます。そういうことによりまして土地の値段を、公共用地でも同じですが、需要が非常に多いときに上昇しがちなものをチェックするということにこれはなろうかと思うわけでございます。  そういうような理由から地価公示法が当時制定され、お認めいただいたわけでございますが、もう一つ地価公示については、正常な価格について——この正常な価格というのは、先ほどから申し上げているように、いわゆる普通の取引市場で通常成立すると思われる価格でございますから、その市場で変動があれば変動が出てくるのはあたりまえでございますけれども、そういう価格でございますので、需給関係で変動があってそして地価が上がってくるということになりますと、この地価公示によりましてどのくらい上がったということも表示できるわけでございます。大体四十八年度も三〇%地価公示で上がったという場合、地価公示制度があるからこそ三〇%上がったのが公式に発表できるわけでございます。NHKのあと地が三倍も高いじゃないか、二倍も高いじゃないかとおっしゃいます。公示価格があればこそ、それを基礎にして二倍であり、三倍だということが言えるわけでございます。そういう一種のバロメーター、人間のからだでいいますと体温計にも当たるべきものだというふうに存ずるわけでございまして、そういう地価公示制度というものがいろいろな役割りを果たすわけでございます。  ただ、おそらく先生の御趣旨はこれをもっと活用する方法はないかということにございましょうが、それにつきましては先生のおっしゃるような、先ほどから御説明しているように、これを守らせるためのいろいろな措置をどうしたらいいか。ある時点である程度整備されたら価格を固定するのか、また土地高価譲渡所得税というもので一〇〇%取ってしまうのか、そういう方法は十分考えてしかるべきでございます。いろいろな問題点がございますから、そういういろいろな問題点を解明していく必要がございます。同時にまた公的な評価を一本化する。国総法におきましては、地価公示を守らせるための中止勧告の制度というのがあるわけでございますから、そういう地価公示以外のものでこれを活用するといういろいろな法則を今後も十分考えていく必要があろうかというのは、先生のおっしゃるとおりだろうと思います。
  112. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 局長はやはり基本的に認識が違うのじゃないかと思うのですよ。地価公示があるために高額で売買されることが抑制できるとか、あるいは公共用地取得するために一つ目安がないのでそれが目安になるとか、そういう認識では私は全然だめだと思うのです。何のために地価公示制度があるだろうか。たとえば高額になるのを抑制できるかどうかということは、需要と供給の関係があるのだから、そういう自由な売買原則を許しておくならば、ほんとうに要る人があるならばこんなものは問題にならないわけです。ほんとうに要る人があるならば、この公示価格制度によって抑制できるのですか。抑制できるわけがないじゃないですか。そのためにそれが二倍になったとか三倍になったとかいう一つのバロメーターに使えるじゃないかとおっしゃるが、バロメーターとして使って何の意味があるのですか。私は何にも意味がないと思う。NHKのあと地が二倍ないし三倍、公示制度があるからこそ二倍、三倍という数字がわかるじゃないかとおっしゃるけれども、それは何の役割りを果たしているのですか。それは単に二倍、三倍と言えるだけの役割りですか。私はそうじゃなくて、公示価格そのもので、ほんとうにそれによって取引をされ、正常な価格が守られるということならば意味を持つわけですけれども、ただ単なるそういうことだけなら意味を持たない。実際に公共用地取得する場合にも、たとえば固定資産税の評価地点というものは二十六万地点もあるわけです。うんとこまかい範囲で評価されているわけです。先ほどから御説明を聞いておると、実際の税金はいろいろの計数をかけて七割程度だとかなんとか言っておられますから、それを逆算していけば地価公示価格が出てくるはずだと思うのです、彼が言うことがほんとうだとすれば。何のために二重の制度をつくってこの公示価格をつくっておるのか。この公示制度を実行するためには相当予算が要るわけですよ。土地の鑑定士も雇って、税金のむだ使いじゃないですか。ほんとうにそういうのがわれわれの生活によりよい効力を及ぼして、よりよい方向で活用されていけるということならばいいわけですよ。ところがいま局長がおっしゃっているような理由では何のために高額な税金を使って公示価格を示さなければならぬのか、全然意味がわからなくなってくる。
  113. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほど御説明申し上げましたのは、最初制定趣旨、理由を申し上げた。ただしこれを大いに活用するということにつきましては、先生のおっしゃるような、民社党で四十三年に出されたようなそういう方法を今後も活用しなければならぬということを申し上げたわけであります。その一つの方法といたしまして、たとえばNHKあと地のような場合におきましては、国総法をお認めいただきますれば、あの土地取引の届け出におきましてこれを中止勧告をするということがこの場合当てはまるだろうと思います。そして中止勧告を聞かない場合におきましては公表する、そういう社会的責任をとってもらうという方法があるわけでございます。それからそれ以外に今度考えられますことは、先ほどからこれは御説明申し上げておりますが、また先生の御指摘の、これを守らせるための土地高価譲渡所得税というようなものを行なって、それ以上のものは一〇〇%徴収するという方法がございます。これは先ほどから申し上げたように、ぜひ私ども建設省としては実現したい。ただしその前提条件として、早く地価公示制度を私どもも拡大整備いたしたい。ああいう税制上の制度をとるためには、どうしても各筆ごとに価格がきまるということが必要になってくるわけであります。固定資産税のそういう例がございましたけれども、固定資産税の評価地点は確かに農地を入れますと七十七万地点というものがございますけれども、これにつきましてはいわゆる課税上のものでございまして、市町村でやっておりますから非常にまちまちであるということが一つの問題点であったわけでございます。それの何倍ということに一律に言えないわけでございます。これは先ほど先生に申し上げたとおり、私どもの言っておるのは正常な価格でございます。これは憲法でいう正当な補償に当たりますから、政策上のこういう何倍というようなものをかけるのじゃなしに、やはり正常な価格でなければならない。正常な価格というものは、大審院の判例その他によりましても、これは正常な交換価値ということになるわけでございますから、そういう意味におきまして正常な価格地価公示法で表示する必要がある。固定資産税をそのまま地価の基礎にする、それによって公共用地取得規準にするということは非常にむずかしかろうということを思うわけでございます。今後大いにこの地価公示制度を活用するためにいろいろな方策を講じなければならぬという御趣旨は私どもよく了解できますし、今後とも大いに検討していきたいと思います。
  114. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 もうやめようと思っているのだけれども、どうも答弁がおかしいので……。私はいま局長がおっしゃったのは、重大だと思うのですよ。税金の場合にはとか、正常な価格というものは大審院の判例によってどうとかこうとか、さも権威あるようなことをおっしゃいました。そうすると、税金をかけるための土地の評価というものはきわめていいかげんなものですか。
  115. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 私の申し上げているのは、いいかげんとかなんとかいうことばは一切使った覚えはございません。そういうものは課税上のための評価、これはあくまでも税金をかけるためにある。だから公共用地として取得するという正当な補償とは基本的に違いますということを申し上げた。というのは、課税する場合におきましては、いわゆる課税政策上の見地から税をかけるわけですから、かりにその評価額というものを低くしたっていいわけです。税というのはそれぞれの政策に基づきまして国会の承認を得て課税され、徴収されるわけです。そういうことでございまして、いわゆる憲法でいう正当な補償、公共用地取得するときの規準とはおのずから違いますということを申し上げておるので、いいかげんなものということを決して申し上げておるわけではございません。
  116. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 課税政策上とおっしゃいますが、政策上によって実際の価格の七割とか六割とか、これはいいでしょう。しかし、その七割とか六割になるもとのものはいわゆる正常価格でなくてはいかぬじゃないですか。同じ補償をする場合に、売買をする場合にはつまり正常な価格である、課税をする場合には課税政策上だとおっしゃるけれども、その額そのものは、それは課税政策上の額によってあるいは実際の実勢価格とは違ってくるかもしれませんけれども、そのもとになるものがあるわけでしょう。固定資産税だって、固定資産税そのものはそれは政策が入るかもしれませんが、算定をする基礎はいいかげんなものじゃいかぬはずです。
  117. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほどから大蔵省なり自治省から御答弁がありましたように、課税の場合の評価額につきましては、もちろん正当な手段でいろいろな調査をし、その評価額をきめておりますけれども、それに頭から何掛けというものをかけたり何かしているわけでございます。それも市町村でそれぞれみな違うわけでございます。そういうことによりまして、それがどうしてもいわゆる正常な価格と言うことはできないということを申し上げているわけでございます。
  118. 服部安司

    服部委員長 税の問題だから、日を変えてやっていただきたい。
  119. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 正常な価格でなくて、不正常な価格でどうも課税しておられるようですから——またあとで追及をしていきたいと思いますが、ために局長も、この公示法そのものの整備をまず行なって、それから実効のあるように、こうおっしゃっているのですが、その整備を行なってと言われるけれども、今回の法改正はこれは整備を行なうためですか。ただ公示地点の範囲を広げる。それからいままで公的なものについての、たとえば土地収用法を適用した場合にこれを適用せよということになっておったけれども、今度は民間デベロッパーが取引する場合にもこの公示価格を順守しなければいかぬ、こういうことが倫理規定として入った程度であって、ほんとうにこれは整備したことになるのかどうか。むしろこの公示価格を決定をする算定基準そのものが実は非常にあいまいではないだろうか、実際にいままでやられてきたことそのものが。そういうことを整備すること自身がこの法案を整備することになるのであって、公示価格を設ける地点をふやしたり倫理規定を設けたりすることだけが実際に法案の整備になるのだろうか。わかりますか。局長がおっしゃっておるのは、もっとこの法案を整備してから、そしてより実効あるようにしたいんだ。それならば、今回提案されている法改正というのはほんとうに整備することになるのだろうか。肝心なものを忘れていらっしゃいませんかと言いたくなるような整備のしかたではないか。地点だけをふやす、倫理規定を設けることよりも、むしろ公示価格の算定方式そのものの基準が非常に問題だとぼくは思うのですよ。近傍類地の取引価格をどうとかこうとか、それ自身がほんとうにそれでいいだろうか。フランスあたりを調べてみますと、実は地価が安定をしておるときの状態を基準にして公示価格はきめられているようなんですよ。日本のように毎年毎年高騰するような地価をあとからあとから追認していくこと自身が、ほんとうに公示価格そのものが持つ意味があるだろうか。そう思うから先ほどからいろいろ御質問しているわけです。法を整備して実効あるようにしたいとおっしゃっているわけですけれども、それにしては今回の法改正は、ほんとうに整備されるつもりでお出しになっているのか、ほんとうに実効あるようにやるつもりになっておるのかということ自身が実はたいへん疑問だ、こういわざるを得ないわけです。この法律が所期の目的を達成するように、公正な正常価格取引が安心してできるような実効性を持つならば別ですが、実際は、よくよく見れば実効性を持つということについての法改正じゃないわけでしょう。公示価格を尊重しなければいかぬというような倫理規定が一点入っておりますけれども、現実を見たときに、現実はそうじゃありません。私どもの郷里に帰っても、公示価格の二倍、三倍で取引をされております。中には、公示価格で表の取引をして、裏の取引でその二倍、三倍とやっているのですよ。そういうことは現実におわかりだと思うのです。そういうことをどうして抑制していくかということがきわめて大切なことであって、公示地点をふやしただけでは、単なる倫理規定を設けただけでは、そういうことが実効あるような地価公示法にはならぬ、私はこういわざるを得ないわけでございます。  どうも的確なお答えが返ってまいりませんので、質問を終わりたいと思います。
  120. 服部安司

    服部委員長 清水徳松君。
  121. 清水徳松

    ○清水委員 だんだん質問がダブってまいりますけれども、納得のいくお答えが出ないものですから、たいへんしつこく聞くようになると思いますが、お答え願いたいと思います。  この地価公示法の一部を改正する法律案の提案理由に「最近における土地取引の実情にかんがみ、地価の公示を行なう区域を市街化区域から都市計画区域に拡大するとともに、土地取引を行なう者の責務について定める必要がある。」こういうふうに書いてあるわけです。「最近における土地取引の実情にかんがみ、」というその実情というのは一体どのように把握されておるか、その辺のところをお答え願いたい。
  122. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 土地取引の実情という点でございますけれども、これも先ほどから御説明いたしておりますが、最近の地価上昇の原因といたしましては、大都市地域への人口、産業の集中によっての需給のバランスということもこれは大きな原因でございます。同時に、最近の地価上昇に拍車をかけているものは、最近の金融緩和に伴いましての法人の土地買いその他によりまして、単に市街化区域だけではありませんで、それ以外の地域にも土地取引が非常に活発になってきているということがいえるわけでございます。そういうような実情を踏まえまして、土地対策が従来市街化区域だけを重点に置いて対策考えられていたわけでございますが、今後においては全国的な立場から土地対策考えなければいけないわけでございます。そういう意味におきまして、全国的な見地で私どもは地価公示制度を整備いたしたいわけでございますけれども、その第一段階といたしましては都市計画区域に拡大をしていきたいということで提案いたしまして、御審議を願っておる次第でございます。
  123. 清水徳松

    ○清水委員 土地の値上がり、あるいはまたその原因となっておる土地に対する投機的な取引や適正価格を上回る取引が多く見られ、しかもその傾向が市街化区域にとどまらず、全国の都市及びその周辺地域において見られる状況となっておる、これがいま局長も言ったとおりの理由になっておるわけでございます。そうすれば、地価公示法の一部を改正して公示地点の数をふやしたからといって、どうして投機的な取引やあるいはまたそのために起こってくる適正価格を上回るような地価の高騰が押えられるのか、その点についてお答えを願いたいと思います。いままでの御説明によりますと、何かたいへん見当違いな論議をしているような気がするものですから、その点あらためてお答えを願いたいと思います。
  124. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御質問の御趣旨は、地価公示地点を拡大することについての理由だろうと存じますけれども、現在、御承知のように地価公示制度が市街化区域内だけでございますけれども、これを都市計画区域内全体にふやすことになるわけでございます。地価公示については、この目的が、先ほどから何度も申し上げておりますように、公共取得についてはその取得規準になる、一般取引につきましては指標とするという責務を今回加えておるわけでございますが、まず第一点は、数が少ないと規準とするところの数が非常に限定されるわけです。数が非常に多くなることによって、公共用地取得のときの規準も非常に多くできるわけでございます。それから一般土地取引におきましての目安指標にするという場合におきましても、これは御説明申し上げるまでもなく、数が非常に多くなるということはそれだけ目安がふえるわけでございますから、そういう意味におきましてはそういう御趣旨に沿うようなことになろうかと思うわけでございます。  もう一つは、市街化区域だけじゃなしにそれ以外の地域にも拡大するということについてでございますが、これも先ほど申し上げたとおり、最近の土地取引がどうも市街化区域内だけじゃなしに、それ以外の地域にも全国的に、法人の土地の買い占めその他投機の対象という意味におきまして、非常に多くなっておる。昨年の五月の私どもの調査によりましても、その一七%が市街化区域内、それから調整区域も一七%、その他のところがその残りであるというふうな状況でございまして、そういう意味におきまして、区域を広げるということによりまして、先ほどから御説明申し上げておるように、現行制度における地価公示役割りというものをまず十分に果たしてまいりたいということでございます。それから今後の問題といたしましては、いろいろこれを活用する方法がございます。その際におきましても、たとえば国総法をお認めいただきますと、届け出制度及び中止勧告制度というのがあるわけでございますが、そういうものにつきましても、数が市街化区域だけに限定しておりますとその効果というものは非常に少ないわけでございますから、これはやはり私どもは全国的にこれを拡大するということで、その第一段階といたしまして都市計画区域に拡大いたしたいということで、その効果もその対象地域を広げることによって非常にふえてまいるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  125. 清水徳松

    ○清水委員 この提案の理由として、土地に対する投機的取引や、それからまた適正価格を上回る取引が多く見られるに至った。「このため、地価公示の対象区域の拡大をはかるとともに、土地取引を行なう者の公示価格指標とすべき責務を明確化することが必要であると考えた」、こう言っておられるわけで、その辺のところの関係がわからない。どうしてこの地価公示の対象区域の拡大をはかると投機的取引がなくなるのか。なくなるとは言っておりませんが、投機的な取引が出てきたために、適正な価格を上回るものが出てきたためにこの数を多くするのだ、範囲を広げるのだ、そういうふうに書いてあるわけですけれども、その間に非常に重要な論理がないような気がするものですから、その辺のところを御説明を願いたい。なぜ投機的取引が、この範囲を広げ数を多くすることによって抑制できるのか。その辺のところをひとつ説明をしていただきたい。
  126. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 ここの提案理由にもございますように、また御指摘になりましたように、土地に対する投機的取引、適正価格を上回る取引が多くなった。それが市街化区域だけじゃなくてその他の地域にもということはさっきから御説明申し上げておるとおりでございます。それについて、さっきから申し上げておりますように市街化区域だけにそういう投機的傾向、それから適正価格を上回る取引が多くあるのじゃなくて、それ以外の地域にもあるわけでございますから、それ以外の地域に拡大いたしまして、そして地価公示をいたしたい。おそらく先生の御質問の御趣旨は、それは市街化区域だけじゃなしに、それ以外のところでも、これは同様でございますけれども、ここに書いてあるような投機的取引抑制したり、適正価格を上回る取引を規制することができるかという御趣旨かとも存じますけれども、そういうことにつきましては、先ほどからいろいろ御説明いたしておりますように、投機的取引の対象に土地がなりやすいわけです。したがいまして、先ほどから御説明申し上げておるように、いわゆる正常な価格じゃなしに、どうしてもそれを買いたい、投機的に買っておけばもうかるということで、いわゆる呼び値をつけて買い進んで、相当高い価格でも買うということが市街化区域以外の地域におきましても最近多くなってきた。これはやはり金融緩和に伴ってのいわゆる企業の土地買いその他にも原因があろうかと思いますが、そういう傾向があるわけです。それからNHKあと地の問題のように、適正価格を上回る取引もあるわけです。あれは市街化区域内でございますけれども、市街化区域外におきましてもそういう例があろうかと思います。そういうものにつきまして、さっきから申し上げておるように、地価公示は正常な価格でございますから、一つ目安になる。もう一つ公共用地につきましても規準にすることができる。それから同時にまた、別に御審議をいただきます国総法の中でも、土地の届け出制度というものの中で、地価公示価格を著しく上回る場合におきましては中止勧告をすることができるわけでございますから、そういう適正な価格を上回る取引につきましてのチェックもできるという考え方でございます。
  127. 清水徳松

    ○清水委員 私は次の論理というものをもう一本入れてもらいたいと思ったものですから質問しているわけですけれども、やはりここに書いてあるとおりの説明しかいただけないわけなんですが、そうすると、この地価公示の対象区域の拡大をはかり、かつまた標準地点を多くすることによってこれらの投機的取引抑制できるというような考え方に立って出してきておるわけなんだけれども、それは当然、今日までこの地価公示法土地の正常な取引についての役割りを果たしてきたという評価、たとえば土地取引についての信頼度の高い目安にもなってきたし、そうしてまた地価対策相当効果をあげてきたというような評価に基づいて、この範囲をさらに拡大して、またその標準地点というものを多くすることによって、この果たしてきた役割りというものをさらに拡大できるのだというような評価に立っているものかどうか。私はそうじゃないという考え方に立っているものですから質問をしているわけなんです。その点、やはりこの地価公示法というものがそれだけの役割りを果たしてきたという評価を政府は持っておられるのかどうか、その点について御答弁願いたいと思います。
  128. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生のいまお読みいただいております提案理由の中にもございますように、公示価格につきましては、一般土地取引におきましても市街化区域内におきましては信頼度の高い目安になっていると私どもも考えているわけでございます。ただし、この点につきましてはなお守られない点が相当多かろうと存じます。その点はまことに残念なことでございますけれども、今後これを十分活用するための基盤を整備いたしまして、同時に、これを活用する方策を早急に考えてまいりたいということを先ほどから御説明申し上げておる次第でございます。また、公共用地取得につきましては大体これを規準にいたしておるわけでございます。したがいましてその点におきましては、先ほどから申し上げておるように、公共用地取得につきましては、制定当時は公共用地取得でむしろ地価を上昇させたのじゃないかというようなことが非常に言われたわけでございますけれども、最近におきましてはそういうような批判も実はあまり聞かない次第でございます。そういう意味におきまして、私どもといたしましては現行制度は現行制度なりの役割りというものはあるのではないかと思います。ただし、その役割りにつきまして、これをもっと活用しないと、予算を使っているわりには効果が少ないじゃないかという点につきまして、私どももそういう御批判にも十分こたえてまいらなければいけないわけでございますから、何度も申し上げておりますように、今後、将来構想といたしまして、十分基盤を整備いたしまして、同時に、これを活用する方法を十分考えてまいりたい。先生方のお知恵も拝借いたしましてそういうことを考えてまいりたいという考えを持っている次第でございます。
  129. 清水徳松

    ○清水委員 いまの局長の御答弁によりましても、今日まで地価公示法の果たしてきた役割りというものは一応の評価をしておるようでありますが、はたしてこの地価公示法というものはこの法律の目的にある信頼度の高い目安となってきたのか、あるいはまた地価対策相当効果をあげてきたものであるかどうか、この点については非常に疑問があると思います。先ほど大臣局長も、長い目で見てくれというふうに言っておるわけですけれども、地価公示法が施行されてからもう四年たっているわけなんです。しかもその四年間というものは土地価格の面で非常に大きく変動をした時代でありまして、土地問題では非常に重要な時期ではなかったかと思います。その重要な時期をこの地価公示法経過してきたわけでありますから、もう四年たってみれば、はたしてこれが地価対策相当効果のあるものであるか、そうしてまた公示価格というものが信頼度の高い目安になってきたかどうかということについては、一応のめどといいますか、そういう評価が成り立っていいのじゃないかというふうに思います。われわれもわれわれなりの評価をしておるわけでございまして、その点について長い目で見てくれとは言うけれども、もう四年たった今日において、地価公示法の果たす役割り、そうしてまたその評価というものは、われわれを納得させるものがあっていいのじゃないかというふうに思うわけです。  そういうことで、今度の改正案も、政府のほうとしては十分任務を果たしてきたという評価の上に立っておそらく提出されたのじゃないかと思いますけれども、しかしながらわれわれとしては、いままでの御答弁によってもなかなか納得のいく答弁は聞かれないし、この法案の存在の価値すらも疑う、そういうような御答弁しか返ってこないわけであります。しかし、現在まで地価公示法がどの程度の役割りを果たしてきたかという評価に非常に重要じゃないかと思います。政府として、この地価公示法の果たしてきた、しかも政府なりに評価をしているその具体的な理由をわれわれに示しまして——われわれということは結局国民全体に対して、地価公示法というものは地価安定のために、そうしてまた公正なる土地取引のためにこのような役割りを果たしてきた、投機的な取引抑制するためにこのような役割りを果たしてきたのだという、もう少し具体的な説明がないと、私はこの改正案を審議するということには大きな疑問を感ずるわけでございます。われわれの考え方からすると、この土地公示価格というものは、何だかんだといいながらも、結局は地価の値上がりを刺激しただけのことじゃないか、むしろなかったほうがよかったのじゃないかというような評価もあるわけでありまして、その評価をあえてくつがえすような、納得させるような説明がないと、われわれとしてはこの地価公示法の改正の必要性というものは全然認めるわけにはいかないような気がするわけなんですけれども、その辺もう少し政府としては地価公示法を改正する理由というものについて具体的な事例を示しながら、われわれの納得いくような説明をひとつしていただきたい、そういうふうに思うわけであります。御答弁をひとつお願いします。
  130. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 地価公示制度効果といいますか、評価につきまして具体的にということでございます。何度も御説明申し上げておりまする抽象論につきましては省略させていただきますが、公共用地取得規準ということにつきましては、私ども、公共事業者が公示価格規準にした件数というものを四十五年発足以来とっておる次第でございますけれども、四十五年におきましては千三十五カ所で数は非常に少ないわけでございます。次第に毎年ふえていくわけでございますが、四十六年におきましては千六百五十五カ所を規準にいたした例があるわけでございます。それから一般目安指標にしたということにつきましては、これは実態を把握することは非常にむずかしいわけでございますけれども、数字として把握いたしておりますものにつきましては、四十五年以来、地価公示市町村役場で閲覧することができます。この閲覧件数は大体一万件をこえておる次第でございまして、市町村で調査いたしたときに聞きますと、電話による照会も非常に多いというふうに聞いておる次第でございます。その他、不動産鑑定士が不動産鑑定をする場合には公示価格規準にしなければならぬということになっておるわけでございます。この点につきましても、四十五年に一万一千件、四十六年に一万五千件ということで、それぞれ公示価格規準にして鑑定等を行なっておる実態も把握をされておるわけでございます。そういうふうにいろいろ具体的な数字につきましても、実際に地価公示を利用して、そのためにいろいろな御議論がございますけれども、正常な価格ということを規準にし、また目安にして用地を取得するということの資料はあるわけでございます。  ただ、こういう効果なり評価について一つ私どもが申し上げたいのは、これは四十五年に最初に九百七十地点から始まったもので、まだことしで四年目でございますけれども、これが約五千五百地点、五千四百九十地点ということになっているわけでございまして、全国的な視野から見ますとまだ非常に地点数も少のうございます。つまり、地価公示制度は、これを活用する基盤というものがまだ非常に不足であろうかと思います。したがいまして、これは何度も申し上げておりますように、近い将来の構想といたしまして、私ども基盤の整備を早く行なって、そしてこれを十分に活用する方策を考えたいということでございまして、そういう意味におきましては、なお今後基盤を整備していきますならば地価公示制度はもっと活用される、評価されていいというふうに考えておるわけでございます。
  131. 清水徳松

    ○清水委員 「公共用地取得価格公示価格関係」という資料がここにありますけれども、これを見ましても、いわゆる公示価格と実際に取引された価格との間には非常に差があるわけであります。もちろんこれは差のあるのは当然だろうと思います。しかも、その差の中身になっている時点修正、それから格差修正、この二つがあるわけですけれども、格差修正ということについてはその実態が不明ですからこれは論評は避けなければいけないわけですが、この時点修正だけを見てみると、大体同じような時期の事例が出ておるわけでありまして、ですから土地の値上がりというような面から見るとそう違ったものは出ていないはずなんですけれども、ところが時点修正は、ある一部のものについては二%、三%の時点修正、そうしてまた一八%、二〇%をこえるような時点修正というものもあるわけなんですね。そういったようなものを見ると、何か公示価格というものを無理に参考にしたのだということの、それをうまく説明するためにとってつけたような時点修正であるような気がするわけであります。公示価格などというのは、結局は実勢価格にただ押し流されて、何にも役割りを果たしていないといわれるような、そういう感じのするデータがここにたくさん出ておるわけでありまして、その点において、公示価格というものは、こういう公共用地の役得の場合はもちろんのこと、その他の土地取引の場合において、はたしてその役割りというものを、その公示法目的にあるようなそういう役割りを果たしたものであるかどうかということが非常に疑わしいわけでございます。その点において、今度の地価公示法の改正についても、単にこれの数をふやす、あるいは範囲を広げる、こういったことだけでこの土地取引に対する影響力というものを強められるといったような考え方自体に大きな誤りがあるんじゃないかというふうに思うわけです。  次にお伺いするわけなんですが、総理も大臣も、土地は商品ではないというふうにたびたび言明されておるわけでございます。少なくとも土地の利用については、公共の福祉を優先させるということを今後は考えていかなければならないということをたびたび申されておるわけであります。今度の一連の土地関係法、国土総合開発法案、都市計画法案、それから今度の地価公示法、さらにまた中核都市法——これは出すか出さないかわかりませんけれども、こういったような一連のいわゆる日本列島改造土地関係法、こういったような法律案についてもやはり公共の福祉優先、そしてまたそれからくるところの私権の制限、そういったようなことについて割り切った考え方を持たない限り、すべてが実勢に沿わないところの単なるうたい文句だけのものになってしまって、何らの効果のないものになるんじゃないかというふうに考えられるわけであります。地価公示法の第一条の目的についても、一般土地取引について指標を与えるということがうたわれており、またその次には公共の利益となるような事業の用に供する土地の適正なる補償金の支払いの算定に資するということがうたわれておるわけでございますけれども、この地価公示法というものは、言うなれば単に土地取引についての指標を与えるということだけに重点が置かれておるのか、あるいはまた公共の利益の事業の用に供する土地の適正なる補償金の支払いの算定に資すること、そういったようなところに重点が置かれているのか、その辺のところを明確にひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  132. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 土地については、一般国民生活の基盤となる国土の一部を構成する重要なものでございまして、普通の商品と違うものでございます。そういう意味におきましては、先生のおっしゃるような公共優先という見地からしまして相当の私権の制限というものが加えられてしかるべきであることはおっしゃるとおりでございます。そういう意味におきまして一連の土地対策がいろいろ講ぜられておるわけでございます。  地価公示法につきましての御質問につきましてお答え申し上げますが、ただいまの一般土地取引についてはこれを指標とする、公共用地取得についてはこれを規準にするというようなことでございますので、それのどっちに重点を置くかという御質問だったかと思いますが、これにつきましては、この法律に規定いたしておりますように、両方ともこれは法律の内容となる、重点となるものでございます。  一つだけちょっとつけ加えさしていただきますが、時点修正について、私どもの差し上げました資料がえらいいろいろまちまちじゃないかということでございますけれども、これはその地点においてそういう時点修正が違っている。不動産鑑定専門家がその経験に基づいて変動率を定めておるわけでありますけれども、それは個所によって一つは違う。もう一つは、用地の取得の時期が全部違うわけでありますから、そういう意味におきまして差があるということでございます。ただ、先生のおっしゃるように、先ほどの渡辺先生の御質問にもございましたように、地域を拡大するだけではなしに、もう少しそういう評価の内容についても検討したらということについてはごもっともでございますので、鑑定評価につきましてはすでに何度もいろいろ検討されておりまして、たとえば品等比較の中で地域格差の問題につきましては、これはこの前の鑑定評価基準の更新のときに新しくつけ加えられたものでございまして、こういうものにつきましては常時、先生のおっしゃるとおり、いろいろ今後も検討、研究をされなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  133. 清水徳松

    ○清水委員 いま時点修正の話があったのですけれども、格差の修正というものはやはり地価公示地点との関係で、道路に面したか面さないか、それがどの程度離れているかといったようなことでずいぶん差が出てくるわけですから、この差というものはあってしかるべきじゃないか。実態が不明だから論評を避けると申し上げたのはそのためでありまして、ただ時点修正ということになりますと、ここには墨田区の例、板橋区の例、葛飾区の例があるわけですけれども、このアップの率というものは、相当離れておってもそう極端に変わるものじゃないというふうに思うわけなんです。ですから、たとえばそれが高いところは高いところなりに一〇%上がれば、安いところも安いところなりに、そう違ったところでない以上はその程度、似たり寄ったりの値上がりをするというのが実際の状態であるのにもかかわらず、時点修正が二%か三%で少ないもの、それから二〇%をこえるといったようなものすごく大きいもの、こういうものがあるものですから、適当にこれでもってうまく数字を合わせて、公示価格というものがこれだけ取引価格規準になっておったんだということを無理して説明したような、そういう感じを持ったものですから質問をしたわけなんです。いわゆる時点修正というものはそんなに差があるものではないというふうに私は考えておるわけなんで、その点が先ほど質問申し上げたところでございます。  それから次にお伺いしますけれども、先ほど先に質問された方も申し上げましたですけれども、土地の基本的な考え方、いわゆる公共の福祉を重点に土地の所有権なり私有権なりというものを規制していくというような割り切った考え方、そういったような考え方を確立しないで、つまり土地は商品ではない、土地公共の福祉を優先して考えられるべきものであるといったような基本的な方針というものを確立しないで公示価格制度をとってみても、都市地域での適正な地価形成などはおそらく不可能ではないだろうか、正常な価格の公示などというのは不可能ではなかろうか。実際、昭和四十四年地価公示法制定以来、はたしてこの法律が地価の適正化のためにどれだけの役割りを果たしてきたものであろうかということを考えて、そして御質問申し上げてもこれといった具体的な答弁は出てこない、こういう状態であります。地価公示法を提案をし、そしてまたそれを実施する面で、何か重大なものを忘れ、われわれは枝葉末節のことをいま審議しているんじゃないかというような気がしてならないわけです。人間が多くなったから土地は当然高くなるんだ、そして買い手が多くなるから地価が上がってくるのはあたりまえのことじゃないか、そういうような考え方で土地がどんどん上がってくる。その上がってくる価格を追認するような形で公示価格をつくったとしても、これはいわゆる商売人の手助けをするような役割りしか果たし得ないのじゃないかというふうに考えるわけなんです。こういうような基本的な土地に対する考え方を確立しないでこのような法律をつくったからといって、はたしてどの程度の役割りを正常なる土地価格形成のために果たし得るものであるか。そういったような点について政府はどういうようにお考えになっているのか、その点御説明を願いたいと思います。これは大臣のほうからひとつお願いいたします。
  134. 金丸信

    金丸国務大臣 前段の件につきましてお話し申し上げたいと思いますが、土地は商品にあらず、いわゆる公共のためには優先すべきであるということが政府の基本方針であります。その基本方針に従って国総法を御審議願うという段取りになっていることでありまして、その辺がぐらついておるということではないということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  135. 清水徳松

    ○清水委員 それから、今度の改正によって地価公示地点を調整地域にまで及ぼしていくわけですけれども、その目的というのは一体どういうことのためであろうか。その点について御説明を願いたいと思います。いま調整地域においては全然売買の話も出ていないようなところを公示地点に選びまして、そこに公示価格を設定する、まるで売りたくもないのに正札をつけられた、そういうような結果しか見出し得ないようなことになりはしないかという心配もあるわけですけれども、一体調整地域にまで範囲を広めていく直接の理由というのは何のためであるか、その点についてあらためてお答えいただきたいと思います。
  136. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この点につきましては先ほども御説明申し上げましたとおり、最近の土地取引は従来のように市街化区域だけではございませんで、全国的な問題として活発になってきておるわけでございます。こういうような実態を踏まえまして、私どもの土地対策の一環として地価公示制度を全国的に整備いたしたいというふうに考えておるわけでございます。そのための第一段階といたしまして今回都市計画区域にまでこれを拡大するということで御審議願っておる次第でございます。調整区域におきましてだけ地価公示制度というものをはずすということは、私どもの将来構想のいろいろな考え方からいたしましてそういうことはできないわけでございますので、そういうような将来構想の第一段階として今回都市計画区域に拡大いたしたいということでございます。
  137. 清水徳松

    ○清水委員 都市計画法ができたときに、この調整区域に入ったためにその後土地の値段にずいぶん差がついてきたというのが実態じゃないかと思います。たとえば、市街化区域に入ったところは非常に地価が上がったけれども、調整区域に入ったために、きわめて市街化区域には近いけれどもずいぶん値段が低く押えられておるというのが実態じゃなかったかと思います。今度の国土総合開発法案についても、五十年の三月をめどに土地の利用基本計画というものがなされることになっておるわけでございますが、ちょうどこの市街化区域と調整区域でずいぶん土地の値段が違ったと同じように、この土地の利用基本計画についても、それが宅地、農地あるいはまた工場用地、その他自然公園だとか森林、こういったようなところに分けられるでしょうけれども、ほんとうにこの基本計画というものがその後忠実に行なわれるということを想定するならば、ずいぶんそれによって土地の値段も違ってくるのじゃないかというふうにわれわれは想像するわけなんです。今度都市計画区域内だけでの公示価格ですからそう広い範囲ではないとしても、しかしそれなりにやはり、今度の国土総合開発法案がかりに通った場合は、この土地利用の基本計画というものの結果によってずいぶん公示価格の実勢というものが変わってくるのじゃないかというふうに思うわけなんです。ですから、五十年の三月までに当然相当変動があるであろうと予想される時期に、公示価格の地点というものをいまふやしていくということについて、何というか、非常に矛盾があるような気がするわけですけれども、この土地利用の基本計画というものと今度のこの公示価格というものとの間をどういうふうに調整していくのか、その点について御説明を願いたいと思うのです。
  138. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御指摘の国土総合開発法の改正案によりますと、土地利用計画というものを定めることに第六条でなっておる次第でございます。これはもう先生承知のように、都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域という五種類の地域にこれを土地利用計画できめられておるのでございますけれども、その中の都市地域というのがございます。これは詳しく申し上げませんが、この都市地域は大体都市計画法にいいますところの都市計画区域と同じだというふうに私ども考えておるわけでございますので、今後そういう土地利用計画が定められましても、今回の法律の改正もこれは都市計画区域にまで拡大するわけでございますから、公示価格への影響はほとんどないというふうに考えておる次第でございます。
  139. 清水徳松

    ○清水委員 これは前の委員会でも聞いたわけですけれども、総理がこの線引きを再検討するというふうにおっしゃっておったわけなんですけれども、建設大臣のほうもそれを受けて若干手直しを考えているやに承っておるわけです。その点について、特に調整区域にまでこの公示価格というものを拡大していくという段階にあるだけに非常に重要な意味を持つものであると思いますので、ひとつ大臣からその点について、線引きの変更があるかどうか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  140. 金丸信

    金丸国務大臣 線引きの問題につきましては、田中総理から指示があったというようなことを各委員会質問を受けたわけですが、私は指示を受けた覚えはありません。ただ、線引きという問題は、市町村、知事を通してきめるべきものでありまして、それを建設省が決定したということですから、権威がなければならないわけであります。権威がなければならないと思いますので、軽々しくこれを変更するというようなことはでき得ないと私は考えております。しかし、地方公共団体等におきまして、線引きの外で市街化区域にできるところがあるならばそれは一応考えてみたい、こういうことですが、なおそういういろいろの問題につきましても、線引きという問題ももう四年たっておりますから、一応慎重に調査し、慎重に各市町村あるいは各県の内容も調べてこれに対処してまいりたい。軽々しくこの線引きを変更するというようなことは考えておらないということを御理解いただきたいと思います。
  141. 清水徳松

    ○清水委員 特に公示価格を調整区域にまで広げるという段階であるだけに、それでなくても調整区域内における土地取引、投機的なもの、そういったようなものが非常に刺激される、そういう情勢にあるわけですから、特にそういう点については、いまのおことばをお守りになっていただきたいというふうに強く要望しておくものでございます。  この公示価格というのは、いまのところは都市計画区域内に伸ばしていくということなんですが、今後それ以外の、現在は無指定のところまで広く拡大していくという計画がありますか。
  142. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほどから御説明いたしておりますように、当面は都市計画区域ということで国の基準点を約一万五千地点でございますけれども、私ども建設省考えておりますものは、これをさらに都道府県に約四万地点、市町村におきまして宅地のみについては約二十四万地点ということで、それぞれ都道府県及び市町村の土地鑑定委員会を設けて、国の基準地点を基準にして並行的に土地の評価を行なって、地価公示をするということを考えておるわけでございます。これは関係各省ございますので、十分折衝して、私どもとしましては早急にこの見通しを立てたいということで、先般一月に決定いたしました土地対策要綱の中におきましてもそれについては触れておるわけでございます。
  143. 清水徳松

    ○清水委員 それから、先ほど申し上げましたのですが、調整区域で全然売買の話も何もないところに公示価格がきめられだとすると、いわゆる正札を張られたような感じで、取引を刺激するような結果になりかねないわけなんですけれども、特に農地の場合なんかはそういうことがあってはいかぬというふうにわれわれは思っておるわけですけれども、調整区域内でどんなところへ重点的にこの標準地点を設けられるのか、その点、一応の計画がありましたら、方針なり何なりひとつお示しを願いたいというふうに思います。
  144. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 調整区域内におきましては、現在たとえば集落があるというような、そういう宅地の中から標準地をきめまして、千六百三十地点ばかり公示をいたしたいという計画でございます。したがいまして当面は、現状が農地だとか田畑というような宅地見込み地というようなものには標準地を設定しないということでございます。
  145. 清水徳松

    ○清水委員 資料で、調整区域内での大企業の買い占めた土地がどの程度あるかということをお調べの上、出していただいたわけですけれども、この買い占められた、いわゆる買われた土地の売買価格というのはどの程度であるかということは調べてみるとわかるわけですか、全然わからないわけですか。
  146. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 提出いたしました資料は、昨年五月に一部、二部上場会社についての調査をしたものでございまして、その際におきましては、現在の保有量及び六カ年間の取得した面積というものをとっておる次第でございます。したがいまして、個々別々の取得価格というものを調べることは非常にたいへんでございまして、これについては調査をいたしておりません。その昨年については調査をいたした資料はございません。
  147. 清水徳松

    ○清水委員 それは調べればわかるわけでしょう。
  148. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 昨年の調査についてのことで御質問でございますならば、調査内容にはそういうものはございませんから、いま役所に帰って調べてもこれはわからないわけでございます。先生の御趣旨が、もう一度各会社の協力を得て調査しろということであればこれはまた別でございますが、去年調査しましたその資料についてはそういうものはないということでございます。
  149. 清水徳松

    ○清水委員 資料要求ではなくて、こういうふうに買い占められておるわけなんだけれども、その買い占められた土地がその当時どの程度の値段で買われたのか、その値段を把握しようとすればできるのか。それはどういう意味かといえば、その土地を買い戻しする場合の値段に関係が出てくるわけなんです。その値段と公示価格とはどういう関係になるのかということを御質問したいわけです。公示価格を中心にして買い戻しするわけでしょう。そのときに相手の会社、企業はそれを、四十二年であれ三年であれ、大体どの程度の値段で買ったものか、それが把握できるかどうかです。そのときに、あとでそれは公示価格で出てくるわけでしょう。そこのところを聞きたいのです。
  150. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 これは千三百社につきまして個別に土地取得価格を調べるのは、取得価格というのは場所によってみな違いますから、これはまことにたいへんなことであろうかと存じます。どこかの個所でというなら、これはその会社の協力を求めて調査ができるわけですけれども、全体についてそれを調査するというのは非常にむずかしかろうと存じます。
  151. 清水徳松

    ○清水委員 公共用地なり住宅用地が非常に不足しておる、そういうことで地方自治体なんか非常に困難しているわけなんですけれども、いま新しく土地をそれぞれ所有者にかけ合って取得しようとしたって非常に無理なんです。公共用地取得のためにいろいろ法案をつくりまして、公共用地取得に関する法律、そういったような法律に基づいて折衝しているわけなんだけれども、先ほどどなたか質問しておられましたけれども、ほんのわずかしか折り合いがつかぬわけでしょう。そういう場合、やはりこういう大企業の買い占めた土地に対して、もし使用できる適地があったらば自治体は積極的にそれを買い戻しするような、そういう方法を講じたほうがいいのじゃないか。個々人だったらなかなかこれはたいへんだと思うし、そうしてまたいまあらためて折衝するとずいぶん高い値段もつくのじゃないかという心配もあるわけなんだけれども、この大企業の買い占め土地については、買い占めたときの値段が把握され、そしてまた今日土地公示価格によって現在の適正なる価格というものはわかっているわけなんだから、少なくとも、新しくばらばらになっているたくさんの地主さんと折衝して地所を買い求めるよりも、大企業が一括して持っている地所について適地があるならばどんどんそれを買い戻しをした形で公共用地というものを求めていったほうが、取得したほうがずっと楽だし、さらにまた値段の上でも公示価格程度のところでどんどん求められるのじゃないか。そしてまた大企業が買い占めたときの値段と公示価格との間の差については、土地税制があるわけですから、それでもってその利潤は相当程度税金として吸い取る、こういったようなこともできるわけなんです。さらにまた、かりに土地収用といったような場合も、個人の場合ならなかなか零細なものもあって非常にむずかしい問題も出てくるだろうと思うけれども、大企業の場合ならば私は話し合いが相当可能だという面も出てくるのじゃないかと思いまして、その点ひとつ、政府としてもどのように考えておられるか、提案もかねて御質問申し上げたいと思います。
  152. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 大企業の所有している土地につきまして、それが開発適地である、つまり水の問題、交通の問題、環境保全とか、そういうような条件がそろったところにつきましては、もちろんそういうふうに開発され住宅地として供給されることが望ましいわけです。その場合、大企業なりデベロッパーがすでに計画を持ってこれを供給するということであればもちろんいいわけですが、そういうような計画もない、そういうような見通しもない場合におきましては、先生のおっしゃるように公的機関でこれを買収して、そうして住宅適地としてこれを最終需要者である国民に届けるということはもちろん、先ほどから大臣答弁申されたとおり、一つの方法として考えられるわけでございます。そういうものについて積極的に今後も検討してまいりたいと思います。
  153. 清水徳松

    ○清水委員 それからあと二つだけ。  一つ土地価格、自治省ではさっき言ったとおり固定資産税についての評価をやるし、大蔵省は相続税の場合も非常にむずかしい調査をするわけです。建設省地価公示、こういったようなことでばらばらで価格というものはつけられるわけなんだけれども、これには全然関連性というものがないのか。それから地価公示の場合は土地鑑定士あるいは鑑定士補、それからまた鑑定委員会というものが入っているわけなんですけれども、相続税だとか固定資産税の基盤になる価格に対しては土地鑑定士というものは全然関与しないものであろうかどうか。非常に素朴な質問だけれども、お伺いします。
  154. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この点につきましては、先ほど大蔵省及び自治省からも答弁がありましたように、それぞれの鑑定方法はやはり異なっております。ただし、たとえば土地取引の事例を参考にするというようなところについては同じものももちろんあるわけでございます。また先ほどの大蔵省の話によりますと、地価公示価格のあるところはそれも参考にしているという点もあるわけでございます。まるきり無関係であるというわけではございませんけれども、評価の方法は現在のところそれぞれの目的によって違っているということがいえるであろうと思います。
  155. 清水徳松

    ○清水委員 土地鑑定士だとか鑑定委員会というものは全然関与しないわけですね。
  156. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 土地鑑定委員会建設省に設けられておりますけれども、これは地価公示についての評価だけ、地価公示だけでございます。相続税とか固定資産税には関係ございません。それからほかの大蔵省、自治省のほうで不動産鑑定士を活用するという方法につきまして、私どもそういうことは聞いていないわけでございます。職員がいろいろなそういうことをやっているわけでございます。職員の中に相当数の不動産鑑定士の資格を持った者がいるわけでございます。
  157. 清水徳松

    ○清水委員 最後に、この地価公示法昭和四十四年につくられたときに衆参両院で附帯決議というものをつけている。それには、それぞれ大蔵省、自治省、建設省がやる土地に対する評価、これを一本化する方向で努力しなさいということをそれぞれ附帯決議であげているわけなんだけれども、政府は一体この附帯決議についてこの四年間どのように努力してこられたのか、附帯決議に対する認識というものをどういうふうに持っておられるのか、それを最後に承りたい。
  158. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 衆議院におきますところの附帯決議は三点ございます。その第一点は、先生のただいま御質問の課税上の評価にあたって公示価格との均衡を失しないようつとめるという点についてでございます。この点につきましては、簡単に申し上げますけれども、何度も申し上げておりますように、私どもとしてはそういう方向でぜひ建設省としては進めたい。そのための基盤整備をやりたいので、ぜひこの法案は通していただきたいということが第一点でございます。  それから第二点につきましては、土地高価譲渡所得税というようなものについての御提案でございます。この点につきましても、これも何度も御説明申し上げておりますので簡単に申し上げますと、私どもこれも同じようにぜひ実現いたしたいというふうに考えて、そのための基盤整備としての地価公示制度をまず拡充していただきたいという点でございます。  第三点につきましては、不動産鑑定士制度の充実等について十分配慮するという点についてでございます。この点につきましては、附帯決議のつきました昭和四十四年のあとの四十五年、四十六年の二カ年にわたりまして、不動産鑑定士及び士補の特例試験を実施いたしまして、約千二百名の不動産鑑定士及び士補が合格いたしておる次第でございます。
  159. 清水徳松

    ○清水委員 これで終わりますが、大蔵省と自治省と建設省というものは、この附帯決議の趣旨に沿って何らかの具体的な動きを、努力をしているのかどうか。この附帯決議なんというものはそのときだけのものであって忘れてしまっておるのか、その点ちょっと聞きたい。
  160. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 一口に申し上げますと、私ども十分連絡をとり、働きかけをいたしております。したがって、土地対策要綱を政府で一月にきめましたが、その中でも一本化の方向についての検討ということについては項目にあげられております。
  161. 服部安司

    服部委員長 次回は、来たる十一日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時十分散会