運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-03-02 第71回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月二日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 服部 安司君    理事 天野 光晴君 理事 田村 良平君    理事 村田敬次郎君 理事 渡辺 栄一君    理事 福岡 義登君       石井  一君    小沢 一郎君       小渕 恵三君    奥田 敬和君       野中 英二君    浜田 幸一君       林  義郎君    廣瀬 正雄君       渡部 恒三君    渡辺 紘三君       清水 徳松君    下平 正一君       渡辺 惣蔵君    柴田 睦夫君       瀬崎 博義君    新井 彬之君       北側 義一君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         建設政務次官  松野 幸泰君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省住宅局長 沢田 光英君  委員外出席者         自治大臣官房企         画室長     横手  正君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     大原  亨君   柴田 睦夫君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   藤波 孝生君     塚原 俊郎君   大原  亨君     松浦 利尚君   不破 哲三君     柴田 睦夫君 同月二日  辞任         補欠選任   浜田 幸一君     渡辺 紘三君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 紘三君     浜田 幸一君     ————————————— 三月一日  公営住宅法改正等に関する請願(竹村幸雄君紹  介)(第八〇〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 服部安司

    服部委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北側義一君。
  3. 北側義一

    北側委員 先日予算一般質問でちょっと質問さしていただいたわけですが、そのとき時間がありませんでしたので、つまらない問題があったわけですが、それをきょうお伺いしてまいりたい、こう考えております。  先日田中総理が、いわゆる宅地供給増加、このことについて指示した、このように聞いておりますが、建設省として宅地増加策、これをどのようにこれから進めていくのか、それをお聞きいたします。
  4. 金丸信

    金丸国務大臣 北側先生のおっしゃっている問題につきましては線引きという問題もあろうと思いますが、私は、この線引きの問題は各市町村からあるいは県から、それを踏まえまして建設省がこの線引きというものをいたしたわけでありますから、この線引きというものは相当権威あるものでなくてはならない、こう考えておるわけでございます。しかし住宅宅地等の問題あるいは公共用地等の問題で、公共機関がどうしても必要だ、線引き調整地域でも必要だという状況ならば、その地域状況も十分に把握して検討して、慎重にこれを許可すべきものである、こういうように私は考えております。
  5. 北側義一

    北側委員 聞くところによりますと、仙台あたりで非常に大きな宅地造成が行なわれて、線引きを直すようなことがいまいわれておるわけです。私思いますのは、いま大臣が言われたとおり、都市計画法を審議しましたときにこの線引きの問題が非常に重要な問題になったわけです。と申しますのは、あの都市計画法の中に、市街化区域というのは十カ年間で公共投資を行なってそういう市街化を促進する、このようになっております。そういう点から見まして、線引き手直しということが、市街化の促進、結局スプロールをなくするためにやったものが、また線引きの変更によってそれがくずれていくようでは何もならないと思うのです。私思いますのに、いま大臣が言われましたとおり、先般もちょっと触れたので確認のために申し上げておるのですが、線引き手直しする場合には、市街化調整区域というのは市街化区域よりは地価が安いわけです。だから、そういう場所には一応公営住宅なり公団住宅なりその他社会福祉施設、こういうものをやっていいのじゃないかと私は思うのです。老人ホームとかいろいろあろうと思うのです。そういう施設を建てることについては特別の措置を講じてこれを許可していく、こういう方向に進むのが一番いいのじゃないかと思うのです。そうでなければまた乱開発が始まって、いま現に私の知っている範囲でも都市計画外及び調整区域で、特にゴルフ場なんかずいぶんつくっております。ゴルフ場なんかは二十ヘクタール以下でもできるわけです。そんな小さなあれはありませんがね。建物も建てられるわけですよ、都市計画法では。だから、結局土地を買い占めるのはゴルフ場を無数につくっておる。実際ゴルフ場に使うのかというと使わない。こういう場所が非常に多いわけです。きのうの本会議でも自民党の渡辺さんがおっしゃっておられた。私は全くあれはそのとおりだと思うのです。そういう点から見ましても、やはりこの線引き手直しについては、公共団体がどうしても必要な施設については許可していく、こういう方向が一番望ましいのじゃないか、こう私は考えておるわけなんです。大臣のおっしゃっていることもそういう意味のことを先ほどおっしゃったのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  6. 金丸信

    金丸国務大臣 先生のおっしゃるとおりでございまして、私もこの市街化地域というものは整然たる都市をつくる、そして調整地域乱開発を防止するというところに大きなねらいがあると思うわけでございます。そういう意味で、公共機関が必要だということであるならば、もちろん乱開発にならぬことは踏まえてやらなければならぬわけでありますが、十分に検討の上許可する方向で進みたい、こう考えております。
  7. 北側義一

    北側委員 公有地拡大推進法、これに基づいて公共用地を先行取得する土地開発公社、この設立がいわれておるわけですが、現在都道府県及び市町村で大体どの程度これが進んでおるのか、自治省の方……。
  8. 横手正

    横手説明員 土地開発公社設立状況でございますが、都道府県にありましては、昨年末の十二月の都道府県議会を終えまして申請の手続の終わったもの並びに申請中のものを加えまして二十県ございます。なお、この三月議会提案予定の県が十六県ほどございます。一方、市町村でございますが、現在までのところ設立の終わっておる公社の数は八十六ございます。以上のよう状況でございます。
  9. 北側義一

    北側委員 大臣、いま聞かれたように、大体都道府県で現在二十県、あと十六県がこの三月議会でこのよう土地開発公社ができるわけです。こういういわゆる土地開発公社調整区域なんかを買わしたらいいのじゃないかと思うのです。そういう点で、これはどうでしょうか、考え方だけではいけないと思うのですが、一体いつごろからそういう特別措置を講じてやるよう方向に進められるわけですか。
  10. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 現在、公有地拡大推進法によるいわゆる届け出義務がつけられております地域は、法律によって市街化区域に限られております。土地開発公社業務先買い届け出に関する分ばかりではございませんで、もっと広く土地を取得し、管理できることになっておりますので、今後、先ほど大臣から申されたよう方針もありますので、線引きの内外を問わず、適地につきましてはこれを活用するよう方向検討させていただきたいと思います。
  11. 北側義一

    北側委員 わかりました。  そこで済みませんが、東京千葉埼玉神奈川及び横浜川崎、ここらの大きな都市公有地拡大推進法により一体どれくらいの土地先買いできたのか。これは十二月一日から施行されておりますので、届け出申し出、二通りありますが、その申請数買い取り協議件数契約件数、これを一ぺんお伺いしたいのです。
  12. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 二月末現在で取り急ぎ集計いたしました数字を御報告申し上げます。  東京埼玉千葉神奈川横浜川崎の合計で、届け出申し出件数は三百八十八件、協議をいたしました件数が九十八件、それから買い取りましたものが十三件、そのほかに買い取りのための協議を続行中のものが四十二件ということになっております。
  13. 北側義一

    北側委員 九十八件いわゆる協議がなされて、契約件数が十三件、非常に少ないように思うわけです。その少ない原因はどういうところにあるのですか。協議する以上は買い取りしたいから、必要だからその協議の段階に入ったのじゃないかと思うわけです。
  14. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 県によりましては、届け出がありましたものは原則としてとりあえず協議するという方針をとっているために、あまり適地でなさそうなものも一応協議に入るというようなこともあります。それから精査してみますと、最初はよさそうだと思った土地でどうも公用地として使いがたいということもございます。それから、同じ価格であればやはり先に話のあった、いわゆる当初の売買の相手方との義理があるというようなことで、まあそちらに売るよう気持ちが強いというよう地主もございます。しかし、価格が折り合わないという、要するに第三者への売買価格公的機関が買おうとする価格よりも高いということもかなりあるようであります。いずれにしてもまだ発足当初でございまして、実施後三カ月を経過したばかりでございますので、いろいろな体制その他から見ましても、あるいは資金量から見ましても、まだちょっと法律施行の完全な姿になっていないというところに基本的な問題があるかと思います。
  15. 北側義一

    北側委員 いま言われたとおりいろいろな問題があろうと思うのですが、公有地拡大推進法連合審査でやりましたときにいろいろな問題が出たわけです。たとえば、地主協議もできますし、市街化区域内だけ、こうなっております。そういう点、やはりもっと有効にこの法律を使わなければいけないのじゃないかと私は思うのです。というのは、住宅問題を非常にここで論議をやっても土地がなければどうしようもないわけですね、実際の問題としては。そういう点から、やはりもう少しこれは強いものにしていかなければ住宅は建設できないのじゃないかと思うのです。そういう点、この公有地拡大推進法を今後改めるような、土地がいわゆる協議のもとに契約できるよう方向に内容を変えるような、そういう意思があるのかどうか、どうでしょうか。
  16. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 公有地拡大法の強化の方策としましては、一つには届け出義務を課する対象区域拡大の問題があります。これはいわば現在の市街化区域計画的整備を促進するためという目的でもって法律ができている関係上、非常に限られた地域にのみ義務づけの規定は働いておるわけですが、これにつきまして、調整区域と、あるいは線引きしていない都市化区域くらいまでは広げるべきではないかという各方面からの御意見もございます。この点につきましては、現在自治省と共同で検討中でございまして、私ども気持ちとしてはできるだけ前向きに取り組みたいと考えております。  もう一点、価格そのものを話し合い以上の強い線で何か方法はないかということになりますと、これはまあ先買い制度に内在していると申しますか、限界がございまして、同じような値段で第三者にみすみす売られるようならば、途中で公的機関が介入して、直接公的機関のものにしてしまう、第三者の手に渡らぬようにしてしまうというのが先買い制度の根本だと思いますので、そういう意味ではやはり話し合いをして納得づくで、第三者に売るかわりに公的機関に売ってもらいたいということでいくしかないのじゃないかと思います。これ以上の強い制度といえば、これは先買い制度と離れまして、先般来政府部内でも検討されております、一定地域を限りあるいは一定時期を限りまして売買そのものをチェックしていくというようなことを別途考える、あるいはかみ合わしていくということではないかと考えております。
  17. 北側義一

    北側委員 これはちょうど十二月一日から始まったところで年月もそうだってないわけですから、ここらの問題を相当強力にやらなければいけないのじゃないかと思うのです。ひとつ自治省協議し早急に進めてもらいたいと思うのです。  それから、大臣が出ていかれるので先に大臣にお伺いいたします。  この間も住宅問題を少し私御質問申し上げたわけですが、おとといも大臣少しこの建設委員会でおっしゃっておられたようですが、第二期住宅建設五カ年計画ですね。いまの状況では、実際これは公営住宅の数にしましても公団住宅の数にしましても、当初計画計画戸数が建たないんじゃないか、こう思うわけです。そういう点について大臣はどのようなお考えでおられるのか、それをお聞きしたいと思います。
  18. 金丸信

    金丸国務大臣 住宅問題は、先ほど来からお話しのよう土地問題というものがあずかって力あることは当然であります。しかしまた、いま全般に見まして順調な進捗をいたしておるわけでございますが、ただ公団住宅の問題につきましては非常な問題点がありまして、非常にその成果を危ぶんでおるわけでございます。その原因といたしましては、土地はあるけれども、いわゆる人口抑制というようなこと、あるいは公共負担が非常に大きいというようなこと、あるいは公害の続出というような問題も出てくる。こういうことで、財政的な面から見ても、東京を中心にした埼玉千葉神奈川等にいたしましても、土地があっても、ここに建てるという時点になるとなかなか賛成してくれない。ましてや東京周辺にはそのよう状況土地もないという状況でございます。そういう面で非常な隘路を来たしておるわけでございますが、この問題につきましては税制等の問題をひとつフルに動かしていただいて、その上でいわゆる土地を提供して、まあ大企業も相当な土地を持っておるということでありますし、そういうよう土地を提供していただいて、その土地住宅方向へ持っていくというようなことを考えるのですが、しかし土地があってももう東京周辺住宅を建てるという問題についてはなかなか困難性の問題もあります。しかしそういう困難性も打破しながら、それには財政的に地方公共団体等負担のかからないようなことも考えなくてはならないだろう、こういうようなことを考えながら一生懸命努力いたしていきたい、このように考えております。
  19. 北側義一

    北側委員 東京都も御存じのとおりこの三月末で発注見込み計画戸数の三千戸、こう私聞いております。大阪のほうも聞いてみたのですが、やはり何とかことしは消化できるというのです。ところが来年あたりはちょっとあぶない、こういう話です。なぜあぶないのだと聞きますと、特に公営二種住宅なんか、うちはもうつくっていられぬというのです。これは私は、住宅に対する基本的な考え方というか、住宅基本法というのですか、そういうものがないからいけないのじゃないかと思うのです。一体どこに責任があるのかということになるのですね。一例をあげますと、大阪府が年間七千戸建てなければならない。それをたとえば一つの市へ持っていった。その市のほうでは、もうとてもじゃない、うちよう受け入れぬ、これ以上かんにんしてくださいとそれを拒絶した。これは一体どこに責任があるのでしょうか。どこがそういうものに対する責任を持ったらいいのですか。
  20. 沢田光英

    沢田政府委員 ただいま国の住宅政策一つの大きな柱は五カ年計画でございます。これは住宅建設計画法に基づいて毎五カ年に立てる。先生御承知のように、その仕組みは国ばかりでなしに地方ブロックあるいはおのおのの公共体までおりております。こういうことを上から押しつけるのではなしに、それぞれのところで計画を組みまして、それが集積されて最後の三百八十万なり何なりになっておる。もちろんこの間の調整はございますが、そういう形になっておるわけでございます。ただしかし、各市町村におきましても、そういう計画を立てた上で実際に当たりますと、先生のおっしゃるようにいろいろな負担の問題、そういうことが出てきまして、まあ二種のほうはいやだとか、そういう計画はあっても実際困難だからいやだ、こういうふうな問題がいろいろ起こってこようかと思います。その問題は、大臣が申し上げましたように、やはり関連公共施設負担であるとか、あるいはそれから来ますところの財政問題であるとか、これは自治省のほうにも関連いたしますが、そういう環境をやはり改善しなければいかぬ。もちろん直接には超過負担、単価問題もございますが、そういうものを私どもは極力環境をよくして、やはり計画法に基づきますこの計画というものを国と地方公共団体が両方の責任で完遂をするというところにいくのが至当であろう。その場合に、やはり財政問題とか超過負担問題とか、こういう問題は国の努力というものが非常に大きなウェートを占める、かように考えております。
  21. 北側義一

    北側委員 まあ、ことばの上ではいま局長言われたとおりになろうと思うのですが、具体的に一体これをどのようにやったらいいのか。話は理論的にわかりますよ。全く言われたとおりだと思うんですよ。しかしそれが具体的に事実建つようにしてもらわぬと国民は困るのですからね。そのためには具体的にどういう手を打つのかということですね。それはもちろん公共関連施設のいわゆる増額をする。それでもやはり現に断わっているわけですよ。だからそれは相当思い切った手を下さなければできないのじゃないかと思うのです。そういう点から見ますと、一番必要な、たとえば三大都市圏に当初計画では三百八十万戸のうちの七〇%ですか、建てるなんという、こういう計画だったのですよ。これはとても建たないですよ。そうすると第二期住宅建設五カ年計画というものはやはりこれは見直さないといけないようになるのじゃないかと思うのですよ。見直してどうするかということが問題になってくるのじゃないかと思うのですよ。たとえば今度の住宅局予算では長期特別分譲住宅制度であるとか、いろんなことをやっておられます。しかしこれは持ち家政策ですよ。家賃も、聞いてみますと相当高い家賃になる。これなんか見ますと、償還期間が三十年、一時金五十万円以上、初めの五年が金利六・二%——これは建設省住宅局の方に聞いたのです。大体二万六千円くらいだろう。次の五年が金利六・二%三万二千円くらいになるだろう。あとの二十年が金利が七・二%、三万五千円、これに固定資産税管理費で一カ月四千円から五千円かかるであろう、こう言われております。そうしますと大体三万円からそこら、初めの五年間でも三万円近い払い込みになるわけですよ。自分のものになるといえばそれまでですが、実際問題として、先般もちょっとお話し申し上げましたとおり、大阪市の此花区、ここに昭和四十六年賃貸募集千鳥橋団地、これは二DKですよ。七百七十五戸あって応募者が百五十七戸しかなかった。大阪市のまん中です。此花区というのはちょっと端のほうですが大阪市内です。大正区の千島団地にしましても四百八十三戸公団が建てまして、そのうち百五十戸しか申し込みがなかった。家賃傾斜家賃で二万四千九百円から二万六千円、大正区の千島団地が二万六千九百円から二万六千百円、それでもこれくらいしか応募がないのですよ。ということは、やはり住宅ほんとうに困っている方というのはもう三万円になるとちょっと手が出せないということなんですよ。そうなってきますと、どうしてもやはりこれは国なり地方公共団体がこの住宅対策を何らかの形で講じてあげなければ救いようがないわけです。これは毎度言っておることですが、そういう点から見て、第二期住宅建設五カ年計画というものをもう少し見直して、政府も大胆な施策を講じなければ、ことしよりも来年、来年よりも再来年とだんだん年がたつに従って状況はひどくなってくると思うのです。土地の、いわゆる住宅の需要というものはものすごいのですから、いまは。だからやはり相当早くここらで手を打って第二期住宅建設五カ年計画を見直して、そうしてやらなければ、もうますます救いようがなくなってくるのじゃないかと思うのですよ。そういう点どうでしょうかね、大臣
  22. 金丸信

    金丸国務大臣 非常に住宅問題はむずかしい問題でありまして、私もこの住宅問題につきまして、私になりましてから、住宅政策はいかにあるべきかという、先般住宅審議会答申を求めておるわけでございますが、この住宅の問題は、家賃補助金を出せというよう意見もありますし、そういうことをいたしますとまた家賃体系というものがほんとうに百八十度転換するということ、そういうようなことも考えてみますと非常にむずかしい問題があるわけですが、先般の予算委員会で御説明申し上げましたが、私は、もろもろの問題点があることですから、この第二期五カ年計画を洗い直したい、こういう考え方でおるわけであります。
  23. 北側義一

    北側委員 ひとつ洗い直していただいて、早く措置を講じなければいけないと思いますので、大臣その点よろしくお願いします。特に東京大阪なんというのは、これはどうしようもないのです。もう住宅問題をここで質問しても、返ってくる答弁、実情は、質問していてもいやになってくるのです、正直申し上げて。ほんとう金丸さん、真剣に取り組んでください。この点お願いしますよ。私思うのは、やはり住宅基本法というようなものをつくらなければいけないのではないかと思うのです。責任を明確にする、ある程度そこまでいかなければできないのです。そういう考え方に立ってひとつやってもらいたいと思うのです。  実は建設大臣、先般、都市開発を強力に推進するために都市計画中央審議会に対して諮問なさった。その答申が六月ごろに返ってくると、このように知ったわけですが、この諮問をなさった原因はいろいろあろうと思うのです。私の聞いたところによりますと、これもいま少し変わっておるかわかりませんが、地方公共団体施行都市開発事業、これを強力に推進していく、こういう状況らしいのですが、ちょうど三十七カ所のうち権利変換計画が六カ所これはさまってないように思うのです。再開発法を審議したときにも問題になりましたように、非常に権利が錯綜しておりますのでなかなか前に進まないという実態ではないかと思うのです。そういうところを建設大臣都市計画中央審議会に対して諮問をなさった、こう思うわけですが、大体どういう目的でそれをなさったのか、そこらのところをちょっと教えてもらいたい。
  24. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 昭和四十四年に都市開発法施行いたしましてから、従来の方式にかえましていわゆる権利変換方式を基礎とした現行制度をフルに活用して各都市事業を実施しておりますが、御指摘のようになかなか進まない事業もございます。この理由は多々ありますが、要するに各種の既成市街地の中で、それもかなり密集しておるよう地域で再開発事業が行なわれなければならないわけでございますので、そういう関係権利も非常に錯綜しておる。あるいは狭小過密な住宅等が密集しておる。また再開発によっていわゆる立体換地を行なうわけでございますので、いままで土地の上に建っておった住宅なり店舗なりが新しい高層ビルの中に移りかわるというようなことによる業務上あるいは生活上の激変というようなこともあります。こういうために地元住民の方と権利調整、具体的な計画のつくり方等について協議するのに時間もかかり、また地方公共団体事業者として負担すべき経費も多額にのぼるということが最大の理由だと思います。そういう現実を踏まえまして、今年度、四十八年度予算におきましても新たに一般会計の補助を加える等、かなりの改善をいたしたつもりでございまして、これによりまして相当の地区では事業が進むと思いますが、なおやはり場所によりあるいはその地区内の現況によりまして、特に大規模にやろう、あるいは計画的に必要な個所を次々とやっていこうという場合にはまだ不十分ではないか。したがって、制度的にも、その他融資、助成等の万般にわたりましてこの際根本的に洗い直し、いわば地方の開発とあわせて、既成市街地内再開発という大きな柱につきましても本格的に取り組めるようなものをつくり上げていきたいというのが、諮問によって期待している事柄でございます。
  25. 北側義一

    北側委員 既成市街地においては、なるほど都市開発をやらなければならないと思うのです。しかし、都市開発法の中のいわゆる借家権者、これは非常に権利が弱いわけです。いままでやった個所を私調べてみますと、こういう人はどうしてもほとんど出ていきますね。小さな店舗は成り立たないのです。これからの考え方としては、やはり住宅開発というよう考え方で進めなければいけないのじゃないかと思うのです。ところが小さい再開発の場合には大体そういうふうになっていないのですね。住宅開発にならない。地価が高いからどうしてもそうなっていくのじゃないかと思いますが、できるだけ住宅開発という考え方で、もっと大幅に、たとえば公営住宅にしたって一種で二分の一、二種で三分の二の補助があるわけですから、それと同じよう考え方でこれをやらなければこの問題は解決できないじゃないかと思うのです。公営住宅にはそういう補助がいっているわけですから、それと同じよう住宅開発という見方でやるならば、そういう補助をしていくならばいいじゃないかと思うのです。そういう考え方に立たなければ、既成市街地権利の錯綜した、また住宅難の場所、ここへそういう再開発を出されると借家権者はそこに残れないわけですから、残そうと思ったらどうしてもそういう手法を取り入れなければこれはむずかしいのじゃないか、こういう考えを私は持っておるわけなんです。その点についてどうでしょうか。
  26. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 おっしゃるとおり、今後の再開発の重点は、現在主としてやっております駅前地区とか都心業務地区、これも必要でございますが、これは比較的採算もとりやすいということでありますので、それ以外の主として住宅地区、これが防災対策上、環境対策上もきわめて急がれているところだと思いますので、そういうところでも大々的にやれるよう制度にしなければならぬと考えております。御指摘の、住宅を主体とした再開発であるべきだという点についてはいま甲したとおりでございますが、それではどういうふうにやるかということでございます。現在でも再開発地区内の建物につきまして、これが住宅であれば一種、二種等の公営住宅、あるいは住宅地区改良法の条件に適合しておれば、改良住宅等と合併施行という方式でやっておる例もございます。こういうところには、上物については所定の補助率の補助が出ておりますので、事業促進上相当な効果をあげている次第でございます。私としては、なお公営住宅の基準あるいは改良住宅の基準に合わないようなものについてももしできれば、非常に事業が進むと思いますので、なかなかむずかしい問題でございますが、何とか前向きで進められるようなことを審議会でも御審議いただきたいと考えております。
  27. 北側義一

    北側委員 あと時間がないので、ちょっとほかの問題に移ります。  今度の建設省予算案で下水の第三次処理、これが予算化されておるわけですが、これについての見通しですね、大体どれくらいの時期にこの第三次処理が研究段階から実施段階に移れるのか。これについてどうでしょうか。
  28. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 下水道の第三次処理と申しますのは、現在生物化学的に処理しております二次処理を越えるような程度のものを、非常に広い範囲で三次処理と一括して申し上げているわけでございます。したがいまして、二次処理にちょっと手を加える程度のものもあれば、非常に高級なものまで、幅があるわけでございますが、その三次処理につきましても現在技術開発が進行中でございまして、いわれるところの燐、窒素等の除去とか、その他BODを大幅に低める等につきましてなかなか未解決の問題があります。それを建設省では、土木研究所による実験プラント等を活用いたしまして、また諸外国の例なども刻々連絡を密にしながら追っかけておりまして、そういうことによってまず技術開発を進めるということが最大の問題であります。しかし特に内水等、汚濁すればなかなか回復のむずかしい個所等を重点に、いずれ近い将来、三次処理というものを技術開発と対応させながら実施していかなければならない時期がくると思いますが、それにつきましては現在各般の事情、特に料金へのはね返りその他もございますので、総合的に検討させていただいているところでございます。
  29. 北側義一

    北側委員 三次処理でもいろいろあるということですが、なるほどそのとおりだと思うのです。今度の予算で三次処理についての予算が一応組まれておりますね。あれは多摩川ですか、それについての第三次処理、これはどういうふうになっているのですか。
  30. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 多摩川流域下水道の処理場におきまして、昭和四十八年度に初めて実用規値による実験という意味で三次処理の建設の予算が認められました。四十八年度からこれにかかることになりますが、その程度は、現在の二次処理がBOD二〇PPMにとどまりますものを一応一〇PPM程度にしたいという目標のものでありまして、三次処理としては現在一応技術開発がまずまずできているというものを取り上げて、なおそれを実用規模によって実験し、効果、改善方法等を、その建設による実験を待ちながらさらに検討したい、こういう予定にいたしております。
  31. 北側義一

    北側委員 いつごろをめどにしてやるかというのはどうも答えが出てこないようですが、今回の予算の復活要求で通った淀川水質保全のための汚水バイパスなんですが、これについての考え方、これをお伺いしたいのです。
  32. 松村賢吉

    ○松村政府委員 ただいまの御質問は淀川の保全水路のことかと思いますが、淀川の水質保全、これにつきましては建設省として特に重点的に考えておるわけでございます。それで、流域内の下水道、これと相まちまして、今回淀川の河川敷を利用いたしまして水質保全のための水路、全体で約四十二キロくらい、これを考えておるわけでございます。それで、これの概要といたしましては、桂川、それから宇治川、木津川の三川合流点、その本川を通りまして、淀川の左岸を通りまして長柄ぜきの上流までいった水路をいま検討しているわけでございます。それで四十八年度からその具体的な計画、これを立てるための調査に着手するという段階でございます。以上でございます。
  33. 北側義一

    北側委員 そうすると、またこれも非常にむずかしい問題があろうかと思うのです。たとえば処理場を建設しなければなりませんね。最後に、汚水バイパスをそのままずぼんと大阪湾へ流すのではこれは何のためかわからぬから、これはやはり処理場をつくらなければならない。そういういろいろな問題があろうかと思うのですが、大体めどとしてはどのように考えているのでしょうか。
  34. 松村賢吉

    ○松村政府委員 この保全水路につきましては、流域内の下水道から入る処理水を主体にして入れるわけでございますが、未処理の水も一部入ってくる水路になります。そうしてこれを淀川の本川と分離いたしまして持っていくということで、これをさらに高級処理をしまして、それで市内の河川の浄化用水に主として使いたい。一部他の用水に使うということもありましょうが、主として河川の浄化用水に使いたいということでございます。ただし、その処理場につきましての計画、どこにつくるか、あるいはまた下水道の処理の関係、こういうものはまだ部内の問題でございますので、今後実施調査と関連いたしまして詰めていきたいというふうに考えております。
  35. 北側義一

    北側委員 私思うのですが、たとえば京都のほうは市内の下水道普及率は四〇%、こう聞いております。それがやはり、バイパスをつくっても上流のほうで淀川へ流すようでは話になりませんから、上流にもやはり下水道整備ということは非常に、大事な点ではないかと思うのです。そうでないとこの汚水バイパスの意味がなくなってまいりますので、そういう点やはり考え合わせてやらなければならない問題ではないか、こう思っております。計画検討段階であろうと思うのですが、上流側の下水道についての考え方、どのように考えておられるのか。
  36. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 淀川の流域下水道の整備計画につきましては、昭和四十五年に環境基準の水域類型の指定が行なわれましたので、現在鋭意計画を立て、大部分につきましては事業を始めておるところでございますが、含まれます流域は淀川右岸、淀川左岸、桂川、琵琶湖流域、さらに現在流域別下水道総合計画を策定中でございまして、その策定を待ちまして、宇治川、木津川流域等にも及ぼし、もちろん御指摘のような京都市、大津市の公共下水道と上流地域における公共下水道と相まちまして、できるだけすみやかにこれを達成したいということでございます。非常に広範な地域にわたる大規模な事業になりますので、下水道五カ年計画そのものの早期達成あるいは拡大、改定等も今後行ないつつこれに対処したいと考えております。
  37. 北側義一

    北側委員 時間がまだ五分ほどあるようですが、先ほど質問しようと思いましたが、大臣行かれるというので飛ばしたのですが、行かれないようですから、これは大臣に別に御質問申し上げるわけじゃないのですが、土地の問題です。公共事業を行なう上において、建設省所管の公共事業費のうち用地費及び用地補償費、これは公共事業の全額から見て四十七年度はどれくらいになっておるのですか。
  38. 大津留温

    ○大津留政府委員 建設省所管の公共事業費の総トータルが四十七年度三兆八千九百八十二億になります。そのうち用地費及び補償費が一兆四百三十二億ということに相なります。
  39. 北側義一

    北側委員 昭和四十八年度の建設省所管の公共事業費のうち、この用地費、用地補償費、大体どの程度見ておられますか。パーセントで言ってください。
  40. 大津留温

    ○大津留政府委員 四十八年度は公共事業費四兆三千八百八十二億、そのうち用地費及び補償費が一兆四百八十七億で、その割合は二三・九%でございます。四十七年度は先ほど申し落としましたが、二六・八%になります。
  41. 北側義一

    北側委員 この事業費のうちほとんどが用地費、用地補償費。予算額がふえても事業量が特に伸びないじゃないか。四十八年は少し減るようですが、そういう点もありますので特に先般予算一般質問で私いろいろお尋ねしたわけですが、譲渡所得税、保有税の問題、これなんか、大蔵省、自治省関係ですから建設省としてはどうしようもないでしょうが、土地問題というのはやはり根本的な問題ですから、ひとつこの大事なところを——この間お聞きしたときは全然答えが返ってこなかったわけです。たとえば譲渡税の適正基準率の問題も返ってきませんでしたし、国土総合開発計画ですか、これのうち届け出制にするか許可制にするか、この問題も検討中、こういう段階でした。公有地拡大推進法案、これもいま検討中。非常に検討中のものが多いわけです、重要な部分が。何とかひとつこの土地問題、非常に大事な問題ですから、これらについて建設省側としての強い意見を言うてもらわなければ、このように用地費及び用地補償費が非常に率が高いわけですから公共事業が進まぬわけです。その点をお願いいたしまして、時間が参ったようですから終わらせていただきたいと思います。
  42. 服部安司

    服部委員長 渡辺武三君。
  43. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣は今回の建設行政基本施策に関する所信表明の中で、いわゆる社会資本の整備を一日も早く行なうことが国民生活の基礎をつちかい、経済発展の基礎を整えることになるんだ、こうおっしゃっておるわけでございます。そこで、そのためにやはり土地対策が一番重要だということで第一に取り上げられておると思います。そこで質問をしたいわけですが、昨今の地価の高騰によって、現実に建設省が行なっております公共事業そのものの事業量ですか、計画に対する事業の進捗度合いというものがたいへんにおくれをしておるのではないだろうか、こういう事実がたくさんあると思います。特に住宅建設等ではそれらが顕著にあらわれておるんではないだろうか。したがって、まずこれらの公共事業の進捗の度合い、あるいはそれらの事業に対する事業費とそれに占めておる用地取得費、これとの関係についてお尋ねしたいと思います。
  44. 大津留温

    ○大津留政府委員 四十七年度の建設省関係公共事業の進捗状況でございますが、十二月末現存の契約状況で申しますと直轄事業が七八・四%、補助事業が七六・一%、公団事業が六九・五%でございまして、それを総平均いたしますと七四・五%になります。その後、四・四半期に入りまして、工事の進捗の見通しにつきましても、住宅公団事業を除きましてはおおむね順調に進捗中との報告を受けておりますので、年度内消化はおおむね可能であると考えております。この公共事業の中で用地費の占める割合でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、四十七年度におきましては、事業費三兆八千九百八十二億に対しまして用地費及び補償費は一兆四百三十二億、二六・八%の割合になります。これはそれ以前の年度に比べますとやや高くなっております。それは四十七年度の補正予算におきまして用地の先行取得を大いに進めるということで、用地補償費の先行取得費を相当額補正で組みました関係でこのパーセンテージがやや高くなっておるという関係でございます。
  45. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 計画に対しておおむね妥当だ、いわばおくれていない、こういう御説明でございますが、それはほんとうなんですか。すべての公共事業に対してほとんど計画は達成するんだ、できるんだ、こういうお答えですか。
  46. 大津留温

    ○大津留政府委員 十二月末現在は先ほど申し上げたとおりでございますが、年度末におきましてそれではどのくらいにいく見込みであるのかという報告をとりました結果、直轄事業におきましては九八・七%、補助事業におきましては九八・〇%、公団におきましては八七・七%という報出でございます。先ほども申し上げましたように、住宅公団事業がおくれております、これははなはだ申しわけありませんが、のを除きますと、おおむね順調にいっておるというふうに考えております。
  47. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 住宅公団側の事業がおくれておる、これの原因でございますが、先ほども討論があったと思いますが、その要因の一つにはやはり地価の高騰ということがあって、そしてそれが非常に建てたくても建てれないという問題、あるいは地方公共団体そのものがこの利便施設の建設のためにたいへんな予算を伴う問題が生じておる、これも要因の一つではございましょうが、大きな問題としてやはり土地の高騰、土地の入手難、こういう問題があろうかと思います。そこで大臣もこの所信表明の中で、土地対策についてそれを最も重点的に、第一番目に取り上げられておるゆえんではなかろうか、こういうふうに考えるわけですが、この所信表明の中で、もろもろのことがいわれておるわけでございますけれども、これらのことがほんとう土地の有効利用あるいは地価の抑制というものに効果を及ばすであろうか、こう考えてまいりますと、はなはだ実は疑問に思わざるを得ないわけでございます。と申し上げますのは、従来からもこの土地に関する法律、これは数限りないほどあるといってもいいくらいたくさんの法律がございます。そのおのおのが土地の有効利用あるいは地価の抑制ということを目的にしておると思いますが、いずれもそれらはいま現実の姿として実効をあらわしていない、こういう状況にあると思います。ところがいまやそれらの問題が直接国民の生活にしわ寄せがされてきておる。特に基本である衣食住の中の住問題についてたいへんな影響を及ぼしてきておる、こういう状態が出ておるわけでございますので、大臣自身が第一番に取り上げられております土地対策、その基本は一体何であるのか。ここにいろいろのことが羅列がされておりますが、現実の問題としてほんとうに実効ある土地対策というものは、大臣自身いま何をやらなければならぬとお考えになっておられるでしょうか。
  48. 金丸信

    金丸国務大臣 お答えいたします。  私は、土地問題が今日の一番大きい政治問題だと考えております。これを解決せずして政治はない、これまで思い詰めておるわけでございますが、いろいろ、もろもろの状況がありまして、土地の買い占め等もありましょう、そういうよう状況、そうしてことにこの土地問題は、東京大阪、名古屋、この三大都市土地問題を解決するということが私は大部分の土地問題を解決するゆえんだ、こうも考えておるわけでございまして、そのためにいろいろ法律等、今回検討中の問題等も先生御案内のとおりであります。税制の問題も関連する、あるいは届け出制にする、あるいは公示価格より著しく高い場合はこれを中止勧告をするというような、もろもろの施策を講じてやる。それでもいけるのかというような問題につきましては、私も非常に危惧の念を持っております。しかし何しろその問題もやらないよりやったほうがいい。そしてなおかつその上に対処すべきものは対処すべきである。このように対処して、いろいろの方法で、何しろここに提供する土地が全然ないわけではない、その土地宅地として提供できるよう方向に持っていく。宅地として提供してもらうことによって、あるいは公共用地として提供してもらうことによって、公共事業あるいは社会資本の充実という問題も考えられる、私はこういうように考えております。
  49. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうもよくわからぬのですが、いままでいろいろな問題をやってこられた。それらが実効をあらわしていない。そこでこの所信表明の中を拝見すると大体従来やってこられたようなことが羅列をされておる。一番最初には土地の利用計画を策定をしなければいけないんだ、こうおっしゃっておりますが、そのほかのことは、税制の問題に対してもあるいは地価公示制度にいたしましても、大体従来やってきておることが書いてあるわけですね。それだけでは地価の抑制もできなかったし、あるいは宅地の供給もできなかった。これが従来の実績なんです。したがって、今後、いま緊急にやらなければならないことは一体何だろう、それについて大臣はどうお考えになっておるのでしょうか、こうお尋ねしたわけです。確かに従来やられてきておることも、これからもっともっとほんとうに実効のあがるような努力もしていかなければならないでしょうけれども、しかしそれだけでほんとうにいいだろうかというふうに考えていきますと、確かに疑問が残るわけです。したがって、そういう点について大臣は一体どうお考えになっているでしょうか。
  50. 金丸信

    金丸国務大臣 いろいろの考え方はあると思いますが、たとえて申しますと、建設省だけで考えるということでなくて政府全体で考えなければならぬことでございますが、東京周辺土地が一反歩六千万円だ、固定資産税は六百円だ、こういうようなところに一つ問題点があると私は思います。しかし、それはもろもろの関連性もあることだし、税制の体系の問題もありましょうし、そういうことですから、建設省自体が六百円は安過ぎる、こういう考え方を端的に申し上げること自体にも問題点はあると私は思います。しかし、そういうような問題あるいは土地の凍結というような問題、いろいろあると思いますが、そういう問題も十分検討してまいりたい、このように考えております。
  51. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いまのまま放置をしていきますと、これは年々一般物価の数倍にわたって土地の投機がなされていってしまう。いま国民は自分の住宅をつくるためにたいへん苦労をいたしておりますが、公共事業そのものもそのためにたいへんな苦労が増してきておると思うのです。というのは、平均的にものをおっしゃいますからなかなかばっと浮き上がってまいりませんけれども、たとえば道路を一つつくるにいたしましても、都市近郊ではすでに総事業費の半分以上を用地費にとられてしまうというような状態が出ておるはずなんです。国民の立場からこれを言うならば、これはいかにも税金のむだ使いなんですよ。一生懸命に納めた税金です。その事業費の大半というものが用地を取得するだけに消えていってしまう。多額の予算を計上しましても現実にはそれが形となってあらわれてこない、こういう状態が生まれてからもう久しい状態なんです。そこで、いろいろな手だてはやってみたもののなかなか実効があがらない、そういう段階に来てしまっておって、実はこれから検討するとか考慮するとかいう段階は超過してしまっておる、越えてしまっておると私は思うのです。いま直ちに何らかの強力な手段を打ち出していかなければならないぎりぎりのところに来ておるのではなかろうか。もう都市の中では働く人々、国民は自分の持ち家を持つなんということは夢のまた夢、というよりも話ができないのです。一生働いたって、そんな五十坪、百坪の土地を買うことすらできない、そういう状態に追い込まれてしまっておるのです。だからそこではやはり抜本的な何らかの方法が、ほんとうに真剣になって考えられねばならない。大臣のおっしゃったように確かに建設省だけの問題ではないでしょう。しかし公共事業を進める主体となっている建設省は、自己の仕事を進める上についてこれは一番大きなネックとなってきているはずなんです。したがって、その問題については一番敏感に建設省が考えられてしかるべき問題ではなかろうか。それはもちろん政府全体の問題でしょうけれども、少なくとも建設省案が策定をされて、そしてこうあるべきだという方向が示されていかなければいけない事態になっておるじゃないか、そういうときが来ておるのだ、こういう認識を私は持っておる。したがって、その辺の御決意、お考え方は一体大臣はどうなんだろうか。
  52. 金丸信

    金丸国務大臣 土地は国民の共有する領土である、こういう考え方、これは適切な考え方といまの時代では思われます。そういうことを考えてみますと、公共のために土地というものは相当私権というものを抑制してしかるべきだ、そういうことで党の政調とも十分連絡して、この問題等につきましていま検討中でございます。
  53. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私に言わしむれば、検討の時間があまりにも長過ぎるということなんです。実は来る年も来る年もそういう問題を浮き彫りにしながら、検討が続けられてきておったわけです。その限度をもういままさに越さんとしておるから、とりあえず恒久的な対策をあと回しにしても、何とか個人売買だけでも禁止したらどうか、凍結したらどうか。その上に立って、ほんとうに真剣になってこの土地政策に取り組んでいかないと、とんでもないことになってくるのではないだろうか。恒久対策で長い間かかって一生懸命御勉強され、御検討されるのもけっこうですけれども、その検討している間にも、勉強している間にも、毎日毎日地価は上がっていってしまうのですよ。もういまや臨時的な強力な措置を間髪を入れずとらなければいけない時代が来ておると思うのです。そういう臨時措置はどうですか、大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  54. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題につきましては検討中ということばは例年使われておることばだというようにただいまお話がありますが、検討中ということは、もう間もなく、即刻検討の結果が出てくる、こういうふうに御解釈を願いたいと思います。
  55. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 即刻検討の結果が出てきて、ほんとう大臣、それで地価が抑制され、土地の利用が有効にはかられる、そういう案が即刻出てまいるわけですか。
  56. 金丸信

    金丸国務大臣 大臣、出てくるかと御質問ですが、私一人の党ではありませんし、大ぜいでこの問題を審議し、われわれ建設省建設省としてこうやってほしいという強い要請をいたしておるわけですから——まあ政治というものはいろいろ話し合いの中で妥協をしなければならない面もあると思います。しかし、土地問題で、法律はつくったけれども結局これはかご抜けだというよう法律であってはならない、こう考えております。
  57. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 抽象論のやりとりになってしまいますけれども、私は少なくともいま非常に大切な時期に来ておるので、大臣がおっしゃっておりますように、それは真剣にお考えになっておられるでしょう。あるいは何らかの案が提出されると思います。しかし案が提出をされ、それからすったもんだもんでおるうちに年月がたっていってしまうのです。したがって、私はそういうことも十分見越した上で、少なくとも一年間なり二年間は個人売買を禁止する、これは私権の制限にも一部なるかもしれませんけれども売買行為だけを禁止するということは、そう大きな財産権の侵害にもならぬと思うのです。あるいは処分というものを財産権の中に含むという解釈をとればこれは制約になるかもしれませんが、片方でそういう臨時的な措置をとりながらも片方で恒久的な対策案というものが考えられていってしかるべきではないであろうか。あるいは全面的に禁止ということになっていろいろな問題が出てくるといえば、それには臨時的に公共的機関を通じて売買を許すとか、こういう方向は考えられると思うのです。こういう考え方を私は持っておるのです。大臣、いかがでしょう。
  58. 金丸信

    金丸国務大臣 建設省といたしましては、宅地の問題あるいは公共用地の問題等で、これを獲得するために非常な苦労をいたしております。土地の問題を解決せずして政治はないと先ほど来申し上げておるわけですから、先生考え方については、私はそういう考え方でよい法律ができるということであれば、建設省自体としてはまことにいいと考えられるけれども、しかし建設省でいいというだけで、すべての関係を全然考えずに馬車馬じゃないけれども、前ばかり向いていくわけにもいかぬということもあるようであります。十分そういう面についても検討して、あるいは憲法にもいろいろあるわけでありますから、憲法にも抵触しないということも考えなくちゃならない。そういうよう意味でいろいろ技術的にもむずかしい面もあるようでありますが、私は精神はそうあってほしい、こう考えております。
  59. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私はこの問題こそ、ほんとうに田中内閣がキャッチフレーズとしてこられました決断と実行が必要なときだと思うのです。世論を見ますと、いろいろな土地関係法案が国会に提出される、与野党が共同でそれを骨抜きにしてしまう、こういうようなことがいろいろいわれております。特に農地の宅地並み課税問題についてもそのようなことが連日新聞に取り上げられておる。確かにそういう面が一部あるかもしれません。この際みんな大いに反省しなければならない時期が来ておると思うのです。しかし、農地の宅地並み課税につきましては、本来は建設省がここにいわゆる新都市開発していくのだという目的、いわゆる都市化が無秩序に行なわれないようにしていこうという目的をもって線引きをされた。今度はその線引きを使って、線引き範囲内を課税対象としてしまったことに対して、ここにやはり大きな問題点があると私は思うのです。片方では市街化を建設するために、そういう目的のみをもって市街化区域という線引きがされた。課税のほうは、その市街化区域内のその線を使ってまた課税強化がなされようとしておる。この辺に実は大きな問題がありまして、確かに全国一律にやろうといたしますと、十年間で市街化を形成するといいしましても、ほんとうにいなかのほうに行きますと、もうこれから十年、十五年たってもどうなるかわからぬというところがたくさんあって、それらが市街化区域内に編入をされた。にもかかわらず、これから十年、十五年、二十年も宅地並みに税金を払わなければいけないのかという疑問、これは当然出てくるわけです。一方都市の中では、ほんとうに一反の土地の中でたった三分の一くらいを耕して、申しわけ的につくって、そして農地だと称しておるところもある。これも現実なんです。したがって、全国一律に農地の宅地並み課税をしようとするところに実は無理があるのです。だからその辺をもっと考えてやればそんなことはないはずなんだ。実際にはできるはずなんだ。また、少なくとも国民生活の向上を願っておる立場の人々はそれらに対して賛成をするはずなんです。ところが、いろいろな問題点が内蔵されておりますから、全国画一的にやろうとするところに問題点があるのではなかろうか。そういう場面ではやはり私は、建設省が一省だけで猪突猛進をするということは確かにむずかしいと思いますが、しかし建設省の仕事というものがたいへんにそれに関係をしておるわけですから、私は建設省みずからが他省に向かって相当それらのPRをしていか丸ければならないのではないだろうか。それにはやはり建設省そのものが確固たる信念の上に立って、そういう不動の試案というものができてこなければいけない。そして各省を説得していくという立場、これが私は必要だと思うのです。大臣のおっしゃっていることもよくわかります。私は、それ以上にさらに大きな勇気をもって建設省試案がつくられ、それが各省にPRされる、こういうことを実はほんとうに声を大にして大臣にお願いをし、要望したいと思うのです。ひとつ大臣の漢意をお聞かせ願いたい。
  60. 金丸信

    金丸国務大臣 線引きの問題についていろいろ御意見を承りました。私も先生の御意見に非常に感銘するところがあります。そこで実際問題、市街化区域の中で線引きをするのだということで、それじゃ農地でも市街化へ入れておいてもらったほうがよかろうというふうな考え方で、当時運動までし、政治家まで使ってやった。地方の都市で県会議員が動いたという話を私は耳にしております。しかし今度これに税金がつくということになったらこれはうらはらで、とんでもないことになった、こういうことだろうと私は思います。私は、健全な農家を育てる上から、ほんとうに農家でいくということであるならば、それをいわゆる健全な整然とした都市をつくる上の犠牲にするということはならぬ、十分その点についても考えさせていただきたいと思います。
  61. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは所信表明の第二に取り上げられております住宅問題について御質問をしていきたいと思います。いま第二期の住宅建設五カ年計画というものが策定をされ、実行に移されておると思います。今年度末でこの第二期住宅建設五カ年計画そのものの達成率はどの程度になるでしょうか。
  62. 沢田光英

    沢田政府委員 四十六年度から第二期五カ年計画が始まりまして、御存じのように総計では九百五十万戸でございます。そのうち公的資金によるものが四割の三百八十万戸でございます。これが四十六年、四十七年、こう建設してまいっております。先生の御質問は、この四十七年度末の成績はいかがか、こういうことだと思います。これでいきますと、四十七年度末までに全体の九百五十万戸に対しまして約三百五十万戸の建設が行なわれております。それから公的資金によりますもの、これが百三十五万戸程度の進捗でございます。  またさらに四十八年度の計画、これは予算戸数でございますが、この計画を入れましたパーセントを申し上げますと、ただいまの四十七年度末にさらに四十八年度末を足しまして、全体で九百五十万戸に対しまして五七・三%の進捗率になります。その中で公的資金によりますものは五五%、かようなかっこうになっています。このパーセントからわかりますように、計画といたしますと、いわゆる定率で伸びたものよりもやや上回る感じで伸びております。したがいまして、計画自体につきましては順調というふうなかっこうでございます。ただ、四十七年度から実施のものについていろいろ問題が起こってきていることは、先ほど来御議論があるところでございます。
  63. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この建設五カ年計画そのものは、つまり公的資金で建設をする戸数は全体の四〇%ぐらいですね。いわば民間が建ててくれなければこの計画が達成できないのだということでこの建設計画が成り立っておると思います。そこで、まあいままではたいへん景気の上向き、国民の生活水準の向上等々があって、民間自力建設というものがある程度進捗をしてきたと思いますけれども、これから通貨の不安、あるいはこれからいろいろとられるであろう金融政策等々を考慮いたしますと、この民間が自力建設をするというパーセンテージ、これがたいへんに低下をするおそれがあるのではないか、こういうふうに考えるわけです。むしろ、国がつくる住宅建設五カ年計画というものがそういう民間がつくってくれるものを考慮に入れて、そして九百五十万戸つくりますよといっておりますが、実際はそのうちの六〇%くらいは民間がつくってくれることを期待をしておるわけですね。だからそういう考え方自身に実は大きな問題があるのではないだろうか。むしろ建設省自身が進め得る計画、これをはっきりやるべきではないのか。そして自力建設はそれを補完せしめていくという程度ならばいいのですが、むしろ建設省の自力建設が少ないとなれば、それを一生懸命何とかして修正をして補完をしていこうというような、そういう主客転倒したよう計画ではないだろうか。そういうふうに思えてならないのですが、特にいろいろの状態を見てまいりましても、その戸数中心主義といいますか、こういう状態で進められておるこの建設計画そのものを見たときに、その数が、しかも六〇%は民間自力依存、こういう状態を見ますと、そうではないのであろうか、そういう疑問は当然のごとく起こってまいるわけであります。そこでこれからの住宅政策として、やはり民間自力建設そのものを、それは推進し促進するということは必要でしょうが、少なくとも住宅建設の五カ年計画の中に編入していくということ自身が少しおかしいのではないか。もちろん何ぼくらいは民間で建てていきたいというその計画は別にあっても、それは別の角度で推進をしていくことは必要ですけれども建設省自身が進められようとしております住宅建設五カ年計画の中に民間建設を数字として入れていく、そして全体の達成率何%でございますと出てきても、これはその数字がどういう価値を持つであろうか、疑問に思えるわけです。したがって、これからの方向としてそういう考え方をとられていかれるつもりかどうか。
  64. 沢田光英

    沢田政府委員 五カ年計画計画考え方は戸数で結果をあらわしております。しかし考え方はさようなものではございません。まず原理は、やはり国民すべてが適正な水準以上の住宅に住む、こういうことに目標を達成する。しかもそのときにそれぞれの能力に応じた支払い、これは持ち家でも借家でもそうでございますが、そういう住負担で住み得るようにする、その目的を達成するのが五カ年計画でございます。そこで御説のように、民間と公的に分けておりますが、いまの考え方に基づきまして、たとえば今度の五カ年計画では一応国民の達成すべき最低水準を、小世帯すなわち二人、三人世帯、これは九畳でございます。それ以上の世帯は十二畳以上、こういうふうな線を一応引きましてそこまでは確保したい。この水準を確保するのにつきまして、自分の負担で確保できる方はこれは確保していただく。もちろん税制等では援助をいたしますけれども、直接は援助をしないで確保できる方は応分の負担でやっていただく。これができない方は公的な何がしかの援助をしてそして達成する、かよう考え方でございます。したがいまして援助も非常に濃いものから薄いものかございます。濃いものは公営住宅ように三分の二補助をするとか、さようなものから、薄いものにつきましては、たとえば公庫の資金、現在は五分二厘の金利金利補給のようなかっこうでございますが、かようなことでいろいろな公的資金でやる。そういうふうなことをいまの水準と国民の負担力、こういうものを比べ合わせまして計算をいたしますと、この四割、こういう数字は公共が援助をして建てればよろしい、供給を援助すればよろしい、かようなかっこうになっておるわけでございます。もちろん住宅問題は公的な手を差し伸べなければならないところが非常に色濃くあります。したがいまして非常に重要でございますが、民間を抜いていいかといいますと、これも抜けないわけでございまして、民間におきましてもやはり水準達成、最後の目標を達成しなければいけない。そこで現在そのとおりいっておるかといいますと、現在でも住宅難は残っておりまして、たとえば民間木賃住宅のごときはこれを解消する。解消する手段といたしましては公的援助によって解消していく、かようなつながりになろうかと思います。
  65. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いわばこれからの住宅は質的向上をはかっていかなければならない、こうおっしゃつているわけですが、もちろんそのとおりなんです。そのとおりなんですが、計画全体で公的資金でつくるのが四〇%なんだ。いわば住宅金融公庫から融資を受けて個人がつくる住宅も実は施策住宅なんですね。民間住宅じゃないわけです。そうすると大部分のものが残っておるわけですから、質的向上をはかるといいましても、これは大部分のものをどうすることもできないわけでしょう、半分以上のものは、政府方針として公共住宅は質的向上をはかっていきます、これはけっこうなんですが、その住宅建設戸数が、たとえば百万戸不足しておるとすれば、そのうちの四十万戸はわれわれがつくりましょう、六十万戸は何とか国民の皆さん頼みますよ、こういう姿勢ではいけないのではないかということを言っておるのですよ。質問題をどうこう言っておるわけではありません。もちろん質を向上していかなければいかぬということは大前提になっておるわけです。いまや、犬小屋や豚小屋のほうがもっと程度がいいのがあるという状態ではないわけでしょう。ですから、それは当然のごとく目標としては一人一室ということが確保されていくことが必要でしょうけれども、そういう住宅計画全体を進めていく中でもいま日本で国民が不足を訴えておる家屋、それが何戸不足しておるだろうか、それを達成するためにどうしよう、こういう問題になってくれば年次計画が立てられると思いますが、その年次計画も半数以下を国がやるのですよという態度ではいけないのではないかということを言っておる。わかりますか。
  66. 沢田光英

    沢田政府委員 先生の御主張は、おそらく四割が少ないではないか、こういう御主張だと思います。これは結局水準をどこの目標に置くかというところだと思います。先ほど申し上げましたような水準というものを、さらに高く掲げなければいけないということであるとすれば、それだけの支出にたえられない方々ができてくるわけでございますから、したがってさらに公共援助の度合いが必要になって、四、六ではだめだ、かようなかっこうになろうかと思います。しかし、顧みますと、片やいまだに木賃住宅ような非常に悪いものが三百万もある。これを五カ年計画で解消しよう。それで先ほど言いました水準まで国民の最低水準というものを持っていこう、かよう考え方でやっておりますので、とりあえずそういう解消目標からいたしまして四割が妥当であるという数字にこの計画はなっておるわけでございます。
  67. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 ぼくの考えておることと食い違っておるのですがね。局長は、ある一定住宅建設資金というワクを頭の中に入れて、そのワクの中で考えていこう、こういうことではないかと思うのです。だから無理だとか、あるいは質をよくすれば量が足りないのだとか、こういうことが出てくる。そうじゃないですか。
  68. 沢田光英

    沢田政府委員 私はそういうことを申しておるのではございませんで、要するに、国民の水準の質を、ある水準以下のものをなくしよう、こういうことでございます。なくするために一体公共がどれだけの援助をすべきか。このお金が先にきまっておるわけではございませんで、これを数量的にはじくと四割になる。非常に簡単に申しますと、たとえば建設費がございます。普通世帯で十二畳を確保した住宅というものを土地込みでやりますと、家賃なりなんなりというものが出てくる。これを払えない階層の方々がどのくらい住宅難の中におられるか。これを勘定すると、まあたとえて申せば四割になるでしょうから、四割を公共の援助でやろうというかっこうに計画を組んでおるわけでございます。総ワクを固めましてその中でおさめた、こういう話ではないわけでございます。
  69. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そうすると、四割の方は自力建設がむずかしい。したがって何らかの援助政策をとらなければいけないという発想から出ておる、こういうことなんですね。
  70. 沢田光英

    沢田政府委員 四割の方は、自力建設、いわゆる持ち家だけではございませんで、その適正な借家に入るにつきましても家賃負担能力が足りない、かような住的負担が水準に及んでいないという方でございます。
  71. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 ちょっとどうも理解できません。つまり四割の人は、普通の借家等に入っても補助を受けなければやっていけないような人たち、したがって全体の家屋不足額、住居不足額の四割を国が建ててやらなくちゃいかぬのだ、こういうことでしょう。そういう考え方からいけば、住宅金融公庫から融資を受けて個人が建てるのまでも政府施策住宅としているのはどういうわけですか。
  72. 沢田光英

    沢田政府委員 そのお話は持ち家のお話だと思います。持ち家は、やはりその方の持ちたいという意欲と、持てるという条件が整わなければ持てないと思うのです。そのときに持てる条件がやや欠けておりまして、一般金利では持てない。しかしそれを低利で融資をすれば持てる、水準のものが持てる、かようなものは援助からいうと一番薄い段階階のものでございますけれども、そういうふうなものは住宅金融公庫の低利融資という政策で、公共の資金を使って持ち家を建てていただく、かようなものが四割の中に入っているということでございます。
  73. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私の言っているのは、住宅政策そのものを、住宅の不足戸数に見合ったような政策を国が立てていく必要がもう少しあるのではないだろうか。これは、いまの考え方の上に立って、四割の人を何とか救ってやればいいんだということではなくて、たとえば宅地だけを供給して、家屋は建てさせるという方法もあるわけでしょう。いろいろな方向があるわけですよ。だから、国が不足戸数のほうは何とか考えていくのだという立場に立って進めていかないと、かってに建てさせておいて、都市計画がどうだとか変なふうになってしまうとかいっているのがいまの現状なんでしょう。だからそれをやらせないために線引きをしてみたとか、無秩序に建てさせないのだといっておりますが、住宅建設計画が樹立されましても、大部分のものは自由にお建てなさいという方向だから結局はそうなっていくのではなかろうか。したがって、国民が負担能力があるとかないとかいうことは別にして、国家の手で住宅政策をもっときちっ立とてていく必要があるのじゃないないだろうか。そういう住宅政策の中で、あなたが言っておられるような分けた考え方というものは当然とられていくことができると思うのですよ。だから数字だけを合算して九百五十万戸つくりますよという計画ではだめなんだよ、こう言っているのです。
  74. 沢田光英

    沢田政府委員 先生のおっしゃったこと、たいへんよくわかるわけでございますが、この五カ年計画の中に、数字の部分とうたい文句の部分がございます。数字の部分はきわめて冷たいことでございまして、これだけのものが足りないのだから建てるのだ、こういうことになっておりますが、建てるものを一体どういうふうな目標に置くか。これも数字で申しますと、先ほど言った九畳、十二畳以上という、非常に冷たいものになってしまう。しかし現実にはそうではなしに、その住宅の設備であるとか、さらに住宅から外に出ました、住宅を取り巻く環境であるとか、あるいはだんだん広がっていきますと都市施設の問題であるとか、そういう大きな環境のところまで水準の問題として入れてくるのが当然だろうと思います。したがいまして、そのうたい文句の中には書いてございますが数字には出てこない、そういうふうなものは結局社会資本投資の中でどうやっていくかということで、住宅計画都市計画、そのほか公共施設等の投資にからめて当然計画していかなければならぬ問題ですし、こういう問題は現在の状態でいきますと、都市計画なりあるいは都市建設なり再開発なりに、事業としては密接につながってこの九百五十万戸というものは建てられなければいけない、かようなことだと私ども思っております。公的に建つものは当然みずからも都市計画にふさわしい、あるいはそれを先取りしたようないいかっこうのものをつくるのでございますが、民間のものも当然そういう都市行政なり住宅行政の範囲で、環境問題もあわせてよくいくような方策はそれぞれの行政で十分とらなければいけない、かように考えております。
  75. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 本来住宅は、国民が成年になって世帯を持つときには国家の手でそれが提供される、最終的にはこういうところまで進むのが望ましいわけです。そうすれば、個人が一生懸命で宅地をさがして歩くとか、いろいろなロードがなくなるわけですから。そういうことが野放しになっておるために地価の高騰その他等々いろいろ出てくる一つの要因にもなっておる。したがって、少なくとも住居は国がもう全部与えてしまうのだ、こういう基本的な大ざっぱな考え方の上に立って、そこからいろいろな政策が打ち出されてこないといけないのではないだろうか。そういうふうに考えていくと、この住宅建設五カ年計画なるものの中身は、まだまだほど遠い感がするのではないだろうか、こう私は思うのです。したがっていまのような御質問をしたわけでございますが、少なくともそういう方向へ向かって努力をしていくことが必要ではないだろうか、私はこういうふうに考えておりますので、どうかひとつそういう方向でこれからも努力をしていただきたいと思います。  それから、大臣がおられませんので、前々の国会で私が質問をいたしました問題についてのあと処理についての質問をしたいと思います。つまり、建設省所管の国有財産、中でも、昔から個人的につくられていった里道あるいは水路というようなものが途中で国有財産になり、その管理がきわめてずさんなまま推移をしておる。こういうことを四十六年の六十六国会で申し上げたわけでございます。全国を合わせれば、実際は相当な面積になっておる。建設省調査によりましても山梨県一県分くらいの面積に相当するのではないかとさえいわれております。集約すれば山梨県一県分くらいの面積になるが、各地方にそれが点在をしておる。大体有効面積の一%ないし二%くらいのものがそのまま残されておると思うのです。その国有財産の管理をめぐって、あるいは使用をめぐっていろいろなトラブルが実は起きておる。しかも長い間にわたってこれが放置されたままですから、国有財産でありながらその管理は県知事に委任はされておる。委任を受けた県のほうでいろいろ調べますと、別に委託料をもらっているわけではなし、現実には管理がされているわけではない。その管理そのものが全体を把握しているかどうかというところまで調べていきますと、はなはだしきは、どこにあるのかもわからぬというようなところがたくさんある。具体的には、その場所に行きますと、悪いやつは、その上に家をつくってしまっておる。そしてかってに半分くらいの細い道を横っちょにつけてしまう。こういうようなことが往々にして行なわれてしまっておる。したがって、もっと早くにそういうものを整理していかなかった国の責任というのは非常に大きいと思いますが、いずれにいたしましてもいまの現状を見たときに、一体これはどうしたらいいだろうかという非常にむずかしい問題が出てきてしまっている。したがって、これは各地方自治団体も前々から相当な問題が出てきておって、あるいは市長会においても町村長会においても国に対して陳情がされておると思うのです。私はそのときにも言いましたが、そういうようないわば名前だけ国有財産であり、維持管理が放任をされておる土地については、もうこの際思い切って地方自治体に無償譲渡をしてはどうか、そういうことを申し上げたわけです。そのとき、建設大臣はたまたま西村大臣でございましたが、大臣も私の意見に賛成をされて、まあ道路に編入すべきところはそのようにしていったほうがいいけれども、原則としては地方自治体に無償交付するのが望ましい、したがって十分に検討していきます、こういうことであったわけです。そのときにあえて私はつけ加えて質問をしておきましたのは、質問をしますとすぐに検討するとか善処するとかいうことばがのぼってくるけれども、この問題を私が今後質問したときに、再び同じように、いや検討を続けていきますという答えではないでしょうねということを念を押してあるのです。そのときに大臣は、そういうことはいたしませんとはっきりおっしゃっておったわけです。したがって、この問題について建設省はその後どのよう方向で処理をなされようとしておられるのか、どういう状態になっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  76. 大津留温

    ○大津留政府委員 法定外公共物の管理につきましては、渡辺先生前々からたいへん御熱心に御主張ございまして、西村大臣もその方向で処置したいということをこの席で御答弁申し上げたわけでございます。西村大臣の指示によりまして、事務当局といたしましては、ただいま先生が御指摘になりましたように、この法定外公共物、全国至るところに小面積のものが散在しておるということでございますので、これを所在市町村が管理すること、それから公用を廃止いたしました場合には、国においてこれを公用または公共用として使用いたします場合を除いて、管理しておりました公共団体に無償で譲与するのがいいじゃないかということで、これは国有財産でございますから大蔵省が主管官庁になりますので、大蔵省に対してその後ただいま申し上げたような改正をしてもらいたいということを申し出ておるわけでございます。国有財産審議会におきましてもこの問題を取り上げられて御検討をいただいておりますが、まだ法律改正というところまでは結論が出ていないのが実態でございます。
  77. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どのくらい検討が続くのでしょうか。私はそういうことを十分に想像して、少なくともこれから一年、二年後の委員会で御質問をしたときにあなたはどう答弁されますかと念を押したのです。いや、同じ答弁はいたしません、こういうふうに大臣ははっきりおっしゃっているのです。だから、やはり私が推定をしたことと同じことなんです。まあ確かに国有財産ですから大蔵省にも相談をしなければいけませんが、あのときには大蔵省の人にも来てもらって、大蔵省知っているのか、こういう質問に対しては、これは国有財産法第三十八条によって大蔵省はその登録台帳には記載をしない程度としているものだ、したがって大蔵省は何ら実態を把握しておりません、それは建設省にまかせてあります、こういうことだったわけです。あれからもう二年以上たっているわけですからね。ところが依然としてやはりそういう問題は検討しておるという状態なんです。私は当時それを、もう当然そういうことになるであろうと思って、いつまでたっても検討しておるというのじゃ済みませんよ。もう何十年来と続いてきている問題です。現実にはもうそういう上に工場が建ってしまっておるところもある。家が建ってしまっておるところもある。それがそのまま放置されておる。そういう状態だからほんとうに一日も早く解決をしなさいよ。そうして、国の立場で解決するというのは困難な状態になっておるので、地方自治団体に無償交付して、地方自治団体がほんとうに管理の万全を期すという意味で、その処分、利用等々を考慮していくときがきておるのだ、こう申し上げたつもりでございます。どうなんでしょうか。いつまで検討が続きますか。
  78. 大津留温

    ○大津留政府委員 先生の御指摘、私ども同感ですが、先ほど申しましたように、所在の市町村に管理をさせる。用途を廃止する場合にはそのまま無償で譲渡したらいいじゃないかという御主張に対して、やはり国有財産の管理の立場から、国有財産審議会委員の方々の中には、無償で交付する、譲渡するということについてたいへん御異議があるのです。やっぱり譲渡するときの時価によるべきだとか、それから管理費を除いたものにすべきだとか、なかなか無償譲渡というところに難点がございまして、結論が簡単に出ないというのが現在の実情でございます。しかし、私どもといたしましても、そういうことよりも、大局的に、やはり公共団体のものにするのですから、ただでむだになるわけでもございませんから、そういう結論を出してもらいたいということで議論をやっておる段階で、おっしゃるように早く結論を出したいと思います。
  79. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 国有財産を無償で払い下げるといいましても、おっしゃっておるように地方自治団体に払い下げるわけであって、個人に払い下げるわけではございませんから、私はそう大きな問題にならないと思いますが、しかし、無償で払い下げる云々が問題になるというなら、これは本来ならば国が維持管理をしなければならないのに放置しておいて、めちゃくちゃにしておいて、それを無償譲渡せよといえば、それは困る、こういう無責任方向はないわけですからね。それならばほんとうに維持管理というものをしっかり建設省がやる、こういう基本的な立場に立つならばいいけれども、それができない現状にあるならば、ほんとうに維持管理ができるよう地方公共団体に無償譲渡すべきではないか、当然こういうことになってくるわけですが、その時点になると、時価でなければいかぬというようなそんなけしからぬ意見はないわけですよ。実態を知らざる者の意見です。それでははっきりと維持管理というものを国が責任をもってやる。この前も私は具体的な例として、そういう維持管理がはっきりしてないところでもしも交通事故が起こったときに、道路維持管理者はだれか、だれがその責任をとるか。県は県で、それは国の財産だから国がとるでしょう。私がこの場所で聞きますと、それは県に委管してありますから県が責任を負うべきです。双方が責任のなすり合いをしておるわけです。そのために現実に迷惑をかけてしまうのだ。だからそういう現実というものを見ていただいて、ほんとうに一日も早く解決してもらわなければならない問題だと思います。もしもほんとうに早くやらなければ、国の所管の国有財産ですから、建設省自身がどういうふうに維持管理していくのだということをはっきり示していただきたい。それができなければ無償交付する、こういう方針で進んでいただきたいことを強く要望して、私の質問を終わります。
  80. 服部安司

    服部委員長 この際、午後三時まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ————◇—————    午後三時九分開議
  81. 服部安司

    服部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。清水徳松君。
  82. 清水徳松

    ○清水委員 初めての質問でございますので、丁寧にひとつお答え願いたいと思います。  大臣は所信表明の中で、建設行政は国土総合開発の中核的な役割りを果たすものであり、大いにその推進をはかっていかなければならないということをおっしゃっておるわけでございます。そして当面の施策として、第一番に土地対策をあげられ、第二番目に住宅対策、そして第三に都市対策、四に道路整備、五に国土保全という順序であげられておるわけでございますが、何といっても、われわれしろうとが考えても土地対策があらゆる施策の根本であるというようなことはわかるわけでございます。住宅が建たないとか、あるいは公共用地が取得できない、そしてまた区画整理も円滑にいかないし、したがって都市計画も十分なことができない、そういったようなことが出てくるわけでございまして、政府の推進をしようとしておる——われわれはこれに対して批判的な立場にあるわけでありますけれども、日本列島改造論、そしてまた工場の再配置の問題等々の実行のためにも、全部この土地というものがからんでくるわけでございます。政府も、ここまできますとどうしてもこれを避けて通るわけにはいかない。本腰を入れざるを得ないというところまで追い込まれたというか、そういうところまで来てしまっているわけであります。ですからそれを受けまして、政府も地価対策閣僚協議会でこの問題と取り組みまして、土地要綱ですか、これをつくったわけでございますが、その要綱に基づきまして新国土総国開発法案も三月中旬くらいまでには出せるんじゃないかというふうなことも聞いておるわけでございます。私たちは先般この国土総合開発法案要旨というものをいただきました。そこで大臣の所信表明とそれから国土総合開発法案要旨、これを土台にいたしましてわれわれなりに一応いろいろな考え方をまとめまして、ここに若干の質問をさしていただきたいと思います。  まず最初に、大臣土地対策について——二ページになりますが、「いまや、国民的課題である土地問題につきましては、公益優先の観点に立って、土地が広く公正に国民に利用されるよう、総合的な徹底した土地対策を強力に実施する必要がある」ということを言っておられるわけでございます。憲法との関連で、土地の所有権はどの程度までこれが制約できるものであるか、この点についてお伺いするわけでありますが、憲法二十九条には「財産権は、これを侵してはならない。財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。私有財産は、正當な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」こういったような規定があるわけでございますが、この辺のところと関連をいたしまして、土地というものに対する基本的な考え方というものを、これから何年かにわたってまたいろいろ質問させてもらうわけでありますが、このことから始めたいと思いますので、ぜひひとつお聞かせ願いたいというふうに思います。
  83. 金丸信

    金丸国務大臣 土地の問題につきまして詳しく申し上げることにつきましては、いまこちらに企画庁の下河辺局長も来ておるわけですが、私は私なりに考え方を申し上げておきたいと思います。  その前に国土総合開発の問題につきまして、いわばこれが日本列島改造論に通ずるものだと思うわけでございますが、大都市の人口や産業の集中を抑制するというような立場、またその抑制をし人口を間引きするというような、大都市、まあ私は東京大阪あるいは名古屋、こういうようなものからまず考えるべき問題であろうと思いますし、この三都市の問題を解決すれば、一番大きく問題になっておる宅地の問題も土地の問題もあるいは住宅の問題も解決するだろう。  そこで土地という問題については、私は、商品ではない、いわゆる国民の共有すべき領土であるというよう考え方、そういう上に立って公共優先でやるべきだ、こういうことでございますから、当然今日この時代には、私は私権に対して相当な抑制があってもいい。こういうところに、ただいま先生が申されましたような今度の経済関係閣僚協議会の土地対策要綱というものも組まれておるわけでございますが、どちらにしても、この対策を講ずる上において土地というものをないがしろにはできない、こういうことですから、私は建設省へ参りまして、一番の問題は土地だ、土地を解決することは建設省の政治問題の大部分を解決することだとまで思い詰めておるわけでございます。そういう意味で、この土地問題にひとつ懸命に取り組んでいきたい。いきたいけれども、じゃこの問題についてどうするのだ、おまえの考えはどうだ、こういうことになりますと、先ほど申し上げました経済関係閣僚協議会で閣議了承いたしましたこの要綱等により、あるいは届け出あるいは公示制度を入れて、非常に著しく高い土地については中止勧告をするようなこと、その他万般の対策を講じて——私はこれだけで足りるとは思いません。もっとやらなければならぬだろう、こう思っておるわけですが、土地にしても、この対策を論じておるよりまずやるべきだ、その上でなおかつ強力に推し進めていくということが私に課せられた使命じゃないか、このようにも考えております。
  84. 清水徳松

    ○清水委員 大臣も、土地というものは商品ではないというふうにおっしゃいました。ほんとう土地はそれによって無制限に利潤をかせいでいくといったような性格の商品ではないと思います。当面の地価対策として私有権のある程度の制限というものは当然その意味においてもやむを得ないものであろう。ただ現憲法下では、私有権そのものを認めないということについては、政治的にも経済的にも社会的にもいろいろ問題が出てくるわけでございまして、われわれとしても現在考えておるのは、私有権を認めながら国民のための土地の利用を計画的に考えていく、拡充をしていく、そうして効果ある対策というものを実施していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。そうして、大臣もおっしゃったとおり、このことがこれからのいろんな施策一つの大きなポイント、基礎になるものであろうというふうに考えておるわけであります。大臣はこの際、土地の所有権に対する政府の基本的な考え方を、特にこの憲法の二十九条に関連して、二項以下の「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」また「私有財産は、正當な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」第二項、第三項に関連をしてもう一度、どのように考えておられるか、ひとつ御説明を願えればと存じます。
  85. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 ただいま土地の所有権に対しての基本的な考え方大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。大臣も申されたように、土地の性格は、われわれ国民生活万般の基礎にたるものでございますし、同時に御承知のように新しく生産ということもできない、輸入もできない、そういうものでございます。総量にも限りがあります。そういうような性格からいたしまして、土地の所有権は公共の利益に適合することが強く要請されておるわけでございます。その場合に、ただいま御指摘にございましたような憲法二十九条がございまして、そういう「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」ということになっておりますし、「正當な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」わけでございます。したがいまして、その財産権の内容なりその制限というものは法律できめられるわけでございますが、公共の福祉だとか公共の利益というものは何であるかという問題でございます。公共の利益というのはいろいろ解釈がございますが、学者その他のものをいろいろ読んでみますと、なるべく多数の人々の利益になるものでなければいけませんし、その公共にとって有用でありまた実益がある、そしてまた正当なものであるということを意味するというような解釈もございます。そういうようないろいろな公共の利益、公共の福祉というものとの兼ね合いで財産権の制限というものが行なわれると思います。具体的に、それでは、公共の福祉というものと根本にございます所有権——所有権の基礎はやはり憲法にございます基本的人権の尊重ということであろうと思いますけれども、その兼ね合いの問題は、理論的には先ほど申し上げたようなことでございますけれども、具体的なことにつきましては、個々の内容につきましてそのつどその当時の社会通念によりまして判断することになるわけでございます。そういう意味におきまして、私どもも、昨今のいろいろな情勢からいたしまして、国土の中における土地というものの観念が、従来よりも非常に国民生活にとりまして影響を与える。地価が上がったりまた乱開発をされる、土地利用が乱されるということは、国民生活に非常に従来よりも影響が出てくるわけでございますから、そういうような最近の情勢を踏まえまして、財産権の制限は従来よりもいろいろできるのではないかというような考えを持っておりますし、そういう観点からいたしまして、先ほど大臣から申されたように、政府といたしましてもそういう新しい土地利用の規制の問題をいろいろ検討いたしておる次第でございます。  土地対策要綱につきましての内容は、すでに御承知のとおり、第一に、そういう土地利用基本計画に基づきますところの土地利用規制、土地取引の届け出勧告制度、また開発行為に対する規制の拡充強化、さらにまた特定地域におきますところの土地利用規制の強化というものをあげておる次第でございます。さらに、各方面からのいろいろ強い御要望もございまして、特別の地域におきましては、ある事業が行なわれることによりまして土地利用上混乱を来たす、また地価の高騰を来たすおそれのあるよう地域におきましては、特別に届け出及び勧告制度以上の規制強化というものも必要であろうということで、目下企画庁及び法制局を中心に、関係各省で研究しておる次第でございます。
  86. 清水徳松

    ○清水委員 従来の土地利用については、若干農地法だとかその他である程度の規制が行なわれてきたということはございましたけれども、原則としては、現在までは、憲法の二十九条の趣旨からすれば第一項、最初の精神のほうが重んぜられまして、原則としては土地利用については私権の発動ということで、まあ何でも所有者の自由になる、こういった考え方が優先をいたしまして、それなりに所有者の自由に処理されてきたというのがいままでの実態だと思いますが、これからはしかし、先ほど局長もおっしゃったように、土地の有限性、そしてまたこれからの計画的な利用がどうしても必要になってくる。土地は広がらないけれども人口はどんどんふえてくる。しかも計画的に今後いろいろな施政をやっていくためには、どうしてもこの私権の制限というものを拡大していかざるを得ないであろう。これが一つの今後の基本的な方向であろうと思います。ですから今後はぜひひとつ、憲法二十九条も二項、三項に重点を置きながらこの適用をいたしまして土地問題を処理していっていただきたい。またそういう方向でないとおそらく何一つ処理できないであろう。考えてみると、この土地の所有権をめぐりまして、この国会という権威ある場でこれほど論議をされたというようなことはかってなかったような気がするわけでございます。予算委員会においても各委員会におきましても、この土地問題が論議をされないというところはおそらくないのではないかというふうに思うわけでございます。せっかくこの問題がこのように各方面で取り上げられるようになったわけでございますので、大山鳴動してネズミ一匹も出ないといったようなことにならないように、少なくとも、いま局長が届け出制の問題、勧告の問題あるいは公表の問題等々言われましたけれども、そういったことにとどまらず、せめてネコの子一匹ぐらいは出るようなところにこの土地問題の論議の結論を持っていってもらいたい、そういうふうに思うわけでございます。  それから、大臣の所信表明の中に「このためには、国の総力を結集してこれに当たる必要があります」とあります。この「国の総力」というのは、おそらく法的な措置あるいは行政的な指導、あるいは財政、税制上のいろいろな問一題をいっているのだろうと思いますが、その点についてちょっとお答えを願いたいと思います。
  87. 大津留温

    ○大津留政府委員 国の総力をあげてこれに当たるということは、ただいま先生のおっしゃいましたように、法制的な整備あるいは財政的な運用あるいは金融的な政策、こういうものをあげてこの問題の解決にあたるべきである、こういう趣旨でございます。
  88. 清水徳松

    ○清水委員 これは私たちの仲間である中村さんのほうからも若干意見あるいは質問として申し上げたことでございますが、土地の私有の制限に思い切った政策として参考になるのは英国の土地対策。これは一九四七年英国の都市計画法によって定められておるわけですが、これには本来ならば、英国としても時はちょうど労働党内閣のときでありますので、できたら国有にしたいと思っておったわけですが、いかにせん国有ということになりますと、これを国で買収をしなければならぬわけでありますから、国家的な財政が持たない。次に、土地を国有ということになりますと国の機構で管理することが必要であるけれども、その行政機構がきわめて膨大になる。それからまた、これは日本でも同じでしょうけれども、国有化ということになりますとたいへんな政治の問題になる、いわゆる革命といわれるようなことでございますので、これはなかなか実現が不可能である。こういったようなことが原因になりまして、結局考えついたのが、この国有化という方向ではなくて、未利用地の利用権、それからそれによって生ずる利益というものをすべて国に帰属をするという考え方であったわけです。これに基づいて土地の利用計画の実施を推進して、非常にうまくいっているというのが今日の英国の状況であるようです。つまり所有権には手を触れないで利用権を大幅に国有にする、これが一番の本質でございます。このやり方を日本にすぐ持ち込めとは申し上げませんけれども政府としてもこの例を十分検討いたしまして、土地利用基本計画というものを、国土総合開発法案もあるわけですが、これをつくりまして効果あるように運営させるためには、どうしてもこれを参考にしながらの対策が必要じゃなかろうかというふうに思うわけでございます。そういったようなことについて、中村さんにも御答弁がございましたけれども、ひとつ大臣から御見解を承りたいと思います。
  89. 金丸信

    金丸国務大臣 その英国のお話も非常に貴重なお話だと思います。しかし、英国と日本の国情は違うということもありますが、まあそういう考え方を踏まえて国土法を考えるということは対症療法的にもどちらにしても考えるべきだと、非常に参考になる意見として承っておきたいと思います。
  90. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 イギリスの例のお話が出ましたが、確かにイギリスはだいぶ前からそういう点についていろいろ検討したわけでございますけれども先生のおっしゃったことと関連がございますけれども、所有権を上部所有権というのと下部所有権というのと二つに分けて考える。そして下部所有権につきましては個人に所有される。上部所有権につきましては国が買い上げるということで、実際にある程度そういうお金を出しまして買収してきたそうでございます。ところが、あろ部分まで買収したところで、わずかだったようでございますけれども、たいへんだということで、これはやはり廃止になったようでございます。それからまた、よく話が出ます土地委員会、これも御承知のように一九六七年に制定されましたけれども、いろいろな事情でこれは一九七一年には廃止になっております。そういうことで、やはりそういう欧米各国も土地問題につきましてはいろいる苦労を重ねながら、その国の実情に合うような法制度をつくり上げているわけでございます。  それから、イギリスの土地利用計画は確かに非常にすぐれた面もございまして、一九四七年に制定されました都市農村計画法というのがございます。これは一九六八年に改正になっておりますけれども、この都市農村計画法によりまして計画を作成いたしまして、これに基づいての開発計画ということが行なわれておるわけでございます。まあこういう点はもちろん諸外国のいいところはまねる必要がございますし、同時に国情が違いますから国情に合ったような法制度をつくる必要があるわけでございます。したがって今回も、これは国土総合開発法を大改正いたしまして、すでに御案内のよう土地利用基本計画というものをつくって、これを御承知の都市地域、それから農村地域、それから自然環境保護地域、それから自然公園地域、また森林地域というような五種類に分けて、そういう基本計画をつくる。そのもとにおきまして、先ほど申し上げましたよう土地利用規制、開発行為の許可制度というものを、大体全国的にそれぞれの法令で規制を強化していこうということで、目下関係の法令を準備し、今国会に出して御審議をいただくことになっておるわけでございますけれども先生御承知のように、土地利用基本計画というものは重要な今後の土地対策上の基礎になるものでございますから、政府部内でも大いにこれを研究し、整備することができるように努力いたしている次第でございます。
  91. 清水徳松

    ○清水委員 土地利用計画に入ってきたわけですが、大臣の所信表明の中にも具体的な政策展開に触れまして、「全国土にわたる土地利用計画を策定し、土地取引の届け出勧告制と開発行為」云々とあるわけですが、土地利用計画について政府はそれをさらに具体化するものとして、新国土総合開発法案の中にも土地利用の基本計画というものをうたっておるわけでございますが、本来この土地利用というものは土地に対する私権の発動として、先ほど申し上げましたとおり所有者の自由にゆだねておったというのがいままでの一つの行き方であったと思います。実情であったと思います。したがって、ほんとうに全国的に土地利用基本計画というものをつくって、そしてそれを厳格に行なっていこうとするならば、そのこと自体がもうすでにはっきりこの利用権の制約と申しましょうか、あるいはまた私権に対する重大なる制限であるというふうに思うわけでございます。そういうことについてちょっと御見解をお伺いしたいと思います。ほんとうにそれをやろうとするならば、はっきり私権に対する制限であること、そういう基本的な態度をお持ちになりながらこれをおやりになるのかどうかという点。ちょっと要領を得ないかもしれないが……。
  92. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いまお尋ねの点でございますけれども土地利用というものが非常に不適切であったり乱開発が起こるということはやはり公共の福祉に非常に抵触するものであるという考え方は、非常にはっきり持たざるを得ないというふうに考えておりまして、そのことを全うするためには土地利用計画を立てて、土地利用計画に合わないものを認めないという考え方一つございますし、それから、それだけではまだ不十分でありますから、個別に、開発行為をなさる方々に届け出をいただいて、そしてその件別にといいますか、届け出られた案件別に審査をいたしましてよろしいかどうかという判断をしたいという考え方で、新しい国土総合開発法をつくることにしておりますので、御指摘いただきましたように、全国土にわたって私権に対して利用の面でかなりの制限が加わってくるというふうに考えております。そのことにつきましては予算委員会におきまして法制局長官から、憲法との関係での基本的な御説明は宮澤委員へのお答えとしてしたかと思いますが、その方針に沿って現在各省間で調整をはかって、近い機会に国会で御審議をいただく用意をしております。
  93. 清水徳松

    ○清水委員 この土地の利用基本計画というのは、考えてみるとこれからの土地対策の一番の基本になる、土台になる問題じゃないかというふうに考えるわけです。言うなれば、現在これを実行しようとするならば、これからの土地憲法といったようなものにも匹敵するものになるのではなかろうかというふうに考えるのでございます。開発行為を行なうにしても、つまり都市計画をやったりあるいは道路をつくったり、あるいはまた工場を、産業立地等を行なうについても、みんなこの利用基本計画に基づいてやることになるわけでございますので、ほんとうにこの土地利用基本計画というものを重大に考えるならば何もかもここから始まる、重大なる土地憲法であろうというふうに解釈するわけでございますが、その点についてひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  94. 金丸信

    金丸国務大臣 その問題につきましては、私は、憲法といわれるまでもなく、それほど考えなくても、実際問題として土地問題のいわば土地の基本法をつくるという場合のこの計画というものは、まさに憲法に匹敵するような、一つの根底をなすものだ、いわゆる大きな柱である、こう考えております。
  95. 清水徳松

    ○清水委員 そういうことになりますと、いまこの土地問題が起こってきた。そして土地の利用についての基本計画が必要になってきた。そういうことの動機というものは、やはり地価が高い、そしてわれわれの最も要求する住宅が建たない。そしてまた国あるいは自治体が必要とする、いわゆる公共用地が手に入らない。そしてある場合によっては、日本列島改造に必要なそういったよう土地も手に入らない。そしてまた土地が有効に利用されておらない。たとえば都会のまん中に草ぼうぼうの土地がある。そういったようにいろんな有効な形で土地が利用されておらない。さらにまた土地の値段というものが継続的にどんどん上がってきておる、こういったようなことが今日のこういったよう土地問題を取り上げざるを得ない一つの大きな要因になっておるわけでございますけれども、しかしこのうちでも特にわれわれとしては住宅をぜひ建てなければならない。そのための用地が必要である。そしてまたやはり公共用地というものを優先的に確保していかなければならない。そして土地の有効利用というものをさらに強めていかなければならない、こういったようなことはやはり国民の福祉増強という立場からしてもぜひ必要であるわけでございます。これらを解決するために土地の利用基本計画を立てる場合と、同じ土地の利用計画でも産業用地の取得の場合、あるいは産業道路の敷設等々、そういったようなものを重点に、あるいは観光開発でも同じでしょうけれども、そういったようなものを重点にして土地利用計画というものを立てる場合では、そのウエートの置き方によってずいぶん違ってくるんじゃないかというように思うわけですけれども、たいへん大ざっぱな質問で申しわけないですけれども政府が言うところの土地の利用について、どのような基本的な考え方に立ってこの利用計画を行政指導しようとしておるのか、その辺のところをひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  96. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 土地利用計画を立てます際に何よりもまず考えたいと思いますのは、現在と将来の国民のための土地であるということを考えます場合には自然環境を保護するということがやはり非常に重要な段階に来ているという認識が一つあると思います。さらには森林地域であるとかあるいは農耕地というものについて、どのような将来を見通した面積の確保が必要であるかということの議論をしたいと考えております。しかし、これから日本の国民が生きていくために必要な都市の活動であるとかあるいは工業の活動について、最小限いかなる適地にどのような形で確保するかということについても考えることは当然でありますけれども土地利用をはかる場合の優先性については以上申し上げたよう方針で臨みたいと考えております。
  97. 清水徳松

    ○清水委員 たいへん大ざっぱな質問になるわけですが、いわゆる産業優先であるかそれとも福祉優先であるかということを聞きたいわけですが、そういったような形ではっきり御答弁をいまお願いするのはちょっと無理だと思いますのでその程度にしておきます。われわれとしてはあくまで福祉重点の土地の利用のしかたということを考えながら、それを基本にして土地利用基本計画をつくってほしい、これが私たちの要求でもあるわけでございます。  さらにまた、これはあとでもまた時間があれば御質問したいと思っておるのですけれども、この土地の利用基本画計を立てる場合でも、やはり民主的な手続を経て決定されてこそ、ほんとうの国民の意思に沿った利用計画というものが実現できるのじゃないかというふうに思うわけです。たとえばこの国土総合開発法の要旨を見ましても、その利用計画においては、われわれ国民と最も密着しておるところの関係市町村の意向というものが十分入り込まないような形でつくられるという危険があるわけでございます。市町村長の意見を聞いてというようなことになっておるわけですけれども、その意見の聞き方によっても相当違いが出てくるわけでございます。その辺のところは政府の行政指導によって大きく違ってくるのではないかと思われますので、土地利用計画ができるその民主的な手続というものがどういうものであるかということをここで明らかにしていただければありがたいと思います。
  98. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 現在検討しておりますのは、土地利用計画をつくります際に、各都道府県に置かれております総合開発議会の議を経てまず原案を作成したいというふうに考えおりまして、審議会の構成といたしましても、いま御指摘ありましたように各地域の方々の御意向が入るように、県知事に委員の任命については指導したいと考えております。審議会の議を経ましたあと市町村長に意見を聞くようにしておりますが、その市町村長へ聞きます場合でも、かなり丁寧な指導をした上で意見を聞いて調整をして、さらにできました県知事の案を国のほうでもよく知っておきたいということから国への手続もお願いいたしまして国としてそれが不適当であるかどうかという指導もするようにいたしたいと考えております。
  99. 清水徳松

    ○清水委員 そうすると、市町村にあるこの土地利用についての審議会、ないところは設置さして、ちょっとその点、名前はどういうふうになっておるかわかりませんけれども、そういったようなものを十分活用して民主的な意向を取り上げる、こういう制度をとって計画を決定していくものでしょうか。
  100. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いま先生市町村のとおっしゃいましたけれども都道府県の審議会ということでございます。
  101. 清水徳松

    ○清水委員 私が先ほど御質問申し上げたのは、実は都道府県知事は、これは開発計画のほうでも非常に明確に出ておるわけですが、この土地利用計画についても市町村の意向は市町村長の意見を聞いてというふうな説明があるだけで、その実態はどのような形で行なわれるものか非常にはっきりしない。われわれの生活と密着しておるところの市町村長の意見を聞くにしても、それは市町村において土地利用委員会あるいはその他の名前でもけっこうですが、われわれの土地の利用のしかたというものを十分吸い取れるような形をつくらして、そこでの議論を集約した形で市町村長が意見を持って知事と交渉するといった、そういう民主的な手続がとられるのかどうか。それはやはり政府の行政指導によって大きく変わってくるところじゃないかと思いますから、その意味の御質問を申し上げたわけです。
  102. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 現在検討しておりますのは、市町村につきましては、御承知のように地方自治法によりまして、市町村の将来あるべき構想を練るように法制上はなっておりまして、その案をできるだけ各市町村にお願いするという行政指導をいたしまして、それをベースに市町村長が県知事に対して、意見を聞かれました場合にお答えをしていただくということが行政指導上よろしいかと思います。
  103. 清水徳松

    ○清水委員 ぜひそういうふうに行政指導をしていただきたいというふうに思うわけです。ただ、市町村長が適当なことを、個人的な意見を知事に具申して、それに基づいて計画がつくられるといったことのないように、ひとつ行政指導をお願いしておきたいと思います。  それから第四に、大臣は「土地利用計画を策定し、土地取引の届け出勧告制と開発行為の規制を強化し、」というようにごく簡単に触れられておるわけでございますが、この開発行為についてお伺いをいたしたいと思います。開発行為というものはどのような基本的な考え方で行なうものであるか。その点、開発行為といいますと、おそらく建設省が一番ウエートが高いのじゃないかと思います。ですから、このことについて大臣考え方が非常に大きく影響するものではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。これまたたいへん大ざっぱな質問でありますが、開発ということについての大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  104. 金丸信

    金丸国務大臣 お答えいたします。  先ほど申しましたように、人口の集中を排除、あるいは産業の分散ということ、そしていま一つは、このあとをどうするのだ、そのままでいいということではなくて、都市の再開発をやらなくちゃならぬ。それには御案内のように、江戸川区のような、ほんとうに平屋建てのスラム街のような状態のところもあるわけですから、こういう問題は、地震、火災等考えてみましてもこのまま放置することはできない。あるいは緑も一つもないというようなことを考えますと、ここに公園をつくらなくちゃならない一。子供の遊び場もつくらなくちゃならない。そしてほんとに住みよい豊かな環境をつくる。まず東京から人口の集中を排除しあるいは産業の集中を排除して分散さして、そして豊かなる都会にしていくことが一つ開発であろうと私は思います。  また一面、それでは今度は分散した工場あるいは集中しておる人口の分散という問題になりますと、地方開発ということも考えなくちゃならぬ。地方開発という問題についてはいろいろの意見があるわけでありますが、これも都会といなかの格差をなくさなければならぬ。一例でございますが、たとえば大きい山がここにある。この山を誠えてあの町に行くのには半日かかる、あるいは四時間もかかる。通勤することもでき得ない。山村で隣の市へ行くのにそのよう状況だから、これは下宿もしなければならない、あるいは勤労者も向こうに移らなくちゃならぬ。そしていなかは三ちゃん農業をやらなくちゃならぬ。こういうようなことで、非常な格差のある生活をしておる。そこで、それではその山に穴をあけて遂道をつくったらその人たちは通えるのか。それは通える。自転車で二十分か三十分で通えるということになりますと、まさにこれは地方の開発でありますし、またいなかから都会に出た勤労者も、いなかのおとうさん、おかあさんあるいはおじいさん、子供と一緒に生活できるような豊かな環境をつくることができる。こういう意味で、都会の開発もいなかの開発も両方あわせてやらなければならぬ。都会は再開発をやらなくちゃならぬ。これは大いに力を入れるべきだと私は考えております。
  105. 清水徳松

    ○清水委員 この開発ということについて、もちろん格差の是正は非常にウエートが高いわけですけれども、考えてみると、この開発によって人間の——抽象論になって申しわけないが——しあわせ、福祉が強められていかなければならない、充実されていかなければならないものであろうと思います。先ほどのわれわれの見解からしても、開発という二とについてもやはり福祉重点ということが大きく一本貫かれていなければならないものであろうと思うわけです。開発によって、われわれの生活のしあわせの原点である空気が濁る、そして水が汚濁され、緑がなくなっていく。そしてまた日光がさえぎられる。開発の行為によってこのようなことがくずされていく、こわされていくということになるならば、真の意味開発にはならぬのではなかろうか。あくまでもこのようなしあわせの原点というものを大切に守りながら開発をしていってこそ、真の開発になるであろうと思うわけでございます。  次に進みますが、この国土総合開発法案の要旨の中にも、全国総合開発計画政府がつくりまして、さらにまた都道府県はそこでの総合開発計画が立てられるようになっておるわけでございます。しかしながらそれについても、われわれと最も身近な関係にある、そうしてわれわれの実態というものをよくつかんでおるところの市町村長の意見というものが、ただ一応意見が聞かれるだけでやはりこの総合開発計画というものが立てられるような、そういう仕組みになっておるわけでございますが、その点についても土地利用基本計画を立てるときと同じように、この市町村の市民、町民、村民の意向というものが十分尊重されるよう計画のされ方が行なわれるのか、この辺のところをひとつお知らせ願いたいと思います。
  106. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 全国総合開発計画をつくります場合に、いままでの国土総合開発法と新しい国土総合開発法との違いは、各都道府県の知事に意見を聞いた上で全体の総合開発計画を決定したいということで、いままでよりも地方の方々の御意見が組み入れられるようにしたものというふうに判断しております。それからさらに都道府県総合開発計画につきましては、先ほどの土地利用計画を立てる場合と同じよう考え方で指導をしてまいりたいと思います。
  107. 清水徳松

    ○清水委員 去る二月二十四日、日本弁護士連合会がつくったわけですけれども、「国民は良好な環境を享有する権利を有する」、それからまた「開発は住民参加で決めなければならない」、こういつたようなことを重点に置きながら次の三つの法律案というものをつくってきて、これを内閣総理大臣以下衆参両院議長に手渡したということが新聞に載っておるわけです。その内容は、一つ環境保全基本法、一つ環境保全計画法、それからまた第三は地域開発の策定に関し住民等の参加を確保する法律、この三つの法律試案が出されておるわけでございます。それを建設省のほうに回されているかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。そのことを建設省のほうで把握しておられるかどうか。
  108. 大津留温

    ○大津留政府委員 私も新聞では拝見しましたけれども、内閣のほうからはまだ回ってきておりません。
  109. 清水徳松

    ○清水委員 特に先ほどの、市町村の実情をよく把握し、そしてその意向というものを尊重しなければいけないのじゃないかという私の要望と関連するものですからこのことについて御質問するわけですが、この三つ目の、地域開発の策定に関し住民等の参加を確保する法律案ですが、これは非常に重要な意味を持つものではなかろうかというふうに思いまして、これはこの基本計画あるいは総合開発計画なりを立てるときの参考にしてもらいたい。われわれとしてもこういったような形でなければならないというふうに思っておるものですから、政府としてもぜひひとつ参考にしてもらいたい。その内容というものは、開発計画について公聴会を開いて、そうしてその市町村において、あるいは県において、こういった計画をやりたいというようなその内容を告示をしてもらって、そうしてその開発というものをやめてもらいたいときには、十分の一以上の連署でもって選管に申し出をする。そうして十分の一に達したときには住民投票をやる。そして反対のほうが過半数に達したときには取りやめをする、そういったような内容のものでございます。これは住民の意思というものを徹底的に尊重をしてもらいたいということを率直に法案の形であらわしたものであろうと思いますが、この辺のことについての御見解をひとつ承りたいと思います。
  110. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いま建設省の官房長がお答えいたしましたように、私どもも新聞で拝見しただけで、内容はまだ拝見しておりませんが、今度の国土総合開発法をつくります際には、できるだけ住民の方々の御意向を反映するような手読をどのような形でつくれば現実的な仕事としてうまく進むことができるかということを検討しておりまして、いまちょっと御指摘いただきましたように、ある一つの案ができましたときに、それをできるだけ多く方に見ていただくということや、そのときに御異存があれば御異存を申し出ていただいて、それに対して公聴会を開くなど、何か住民の意向が少しでも入るような手続をくふうしたいということで検討しております。
  111. 清水徳松

    ○清水委員 実はこういうような質問をする理由というのは、私は埼玉県の武蔵野のたいへん史跡やその他風光明媚なところを選挙地盤にしておるわけでして、したがって、建設あるいは開発という名前でそういったような史跡がむざんにもこわされていくという実例を数多く見ておるわけでございますけれども、しかしながらそれに対してどうも手も足も出ないといったようなことが現在の状況でございます。特に私たちもいま運動を展開しておるわけですけれども、松山城、いわゆる中世紀における史跡として非常に貴重な存在であるといわれるような松山城であるけれども、あれは開発業者の手によってむざんにももうこわされておるという事態があり、またこれは一部は国の指定になっておるわけですけれども、水子貝塚等も道路の建設等によってこわされてしまっておる。農村部においてはこれは直接関係ないかもしらぬけれども、非常にきれいな山や景色のところが無秩序にくずされて砂利をとられておる。そうしてとりっぱなし、穴はあけっぱなしという状態が出ておるわけでございます。いわゆる山砂利といいますか、おか砂利といいますか、そういったようなことが行なわれておるわけでございます。また家の全然建ちそうもないところに遠くから見て宅地が造成されておるのを見て、あんなところに家を建ててどうなるだろうか、建てられるのだろうか、そういった状況が見られておりますが、こういったことはほとんど村民の皆さんとは関係なくどんどん行なわれておるという状況にあるものですから、どうしてもこういったよう状況をなくするためにも、ぜひ市町村のこの開発計画なりあるいは土地利用計画というものを村民の意向を十分に選択しながらやられ、そうして村民がこれではだめだということについては差しとめができるというようなことにしてもらいたいということでこういったような御質問を申し上げておるわけでございます。時間がございませんので、御見解がありましたらよろしく……。
  112. 金丸信

    金丸国務大臣 私は就任の当時から、敗戦間もないころの建設行政というものは、つくればよろしい、何でも建てればよろしい、こういう時代だったと思いますが、そういうことを考えて今日の時点を考えてみますと、そういうわけにはいかない。いわゆる人間尊重という立場で、道路をつくるにしても地域住民の意向も聞き、そうして騒音、交通安全の問題も考えなくてはならぬ、こういうような配慮をしないとすべてのことがいかない。そうでなければ豊かなる地域社会というものはつくれないだろう、こう考えておるわけでございます。先生御心配のようなことはわかりますので、十分ひとつそういうところに配慮してまいりたい、こう考えております。
  113. 清水徳松

    ○清水委員 最後にお伺いをいたしたいと思います。この総合開発法案要旨の中の土地売買の規制のところに除外例があるわけです。市街化区域内の二千平米、それからまた調整区域だろうと思いますが、五千平米、それからまたその他について一万平米、以下の土地については、規制は届け出の必要もないといったようなことになっておるわけでございますが、実際スプロール現象等の一番の大きな原因というものはむしろこういったようなごくこまかいところの開発が積み重なって起こしておるわけでございますから、やはりこの点についても規制が必要じゃなかろうか。もちろん都道府県が条例でもって規制することができるというふうに書いてあるわけでございまするけれども、その点についての行政指導というものはどうなっているであろうか、そういうふうなことについて御見解を伺いたいと思います。
  114. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いま御指摘いただきましたように、おもに大きな土地の買い占め等に対して届け出をさせて取り締まりをしたいということからその法令を練っていったわけでございますが、しかも土地保有税との関係もとりたいというようなことから、大体同じような基準を国土総合開発法の中へ織り込みたいというところで一万平方メートルというふうな基準をつくったわけでございますけれども、御指摘のように、大都市周辺などにありましてはさらに小さいものも届け出たほうがよいかもしれないということも実態上考えられますので、条例に委任いたしまして、知事の判断によってそれよりも小さいものが届け出の義務を課せられるよう措置を講じたいと思っておりまして、特に東京周辺の人口急増地域などではそういったものの条例をつくることが適当な場合が多いのではないかというふうに判断しております。
  115. 清水徳松

    ○清水委員 これに続いての質疑がいろいろあったわけですが、また後の機会に譲りまして、きょうはこれで終わらしていただきます。
  116. 服部安司

  117. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 大臣にお伺いしますが、私は今度、国土総合開発の基本に立って行政を執行するという大臣の所信を承って非常に力強く感じたのでありますが、特にそう申し上げるのは、いま日本の政治の転換期に来ておるわけであります。特に国土の総合開発の問題はまさに転換期でありまして、政府の行政の上でも、国土開発庁がつくられる、国土開発公団が実戦部隊として登場する、諸般の問題が新しく行政の機能の中でも出てまいっております。したがいまして、その推進力であるべきはずの建設行政というものは、単に従来のよう住宅問題とか、あるいは都市問題とか、あるいは土地問題、地価問題、あるいは道路その他の問題というような、きめられたことを実施するという平面的な事業ではなくなったと思うわけであります。したがいまして、経済企画庁はもちろんですが、通産省、建設省、ことにこれからできるであろうまだまぼろしの官庁である国土総合開発庁等を含めた、その機能の中心になって大臣はどういう方向をとっていかれるか。そういう転換期に来ている大臣の所信を伺いたいと思うわけであります。  特にそう申しますのは、歴代の、たとえば国土総合開発の問題であります。新全総が取り上げられた昭和三十七年以降、池田内閣以来、ずいぶん日本の経済の成長の変動の中で大臣は政治家として対処してまいりました。そして特に多くの大臣が半年か一年で消えてなくなった中で、あなたの場合は終始建設委員会を中心にしてこられた。建設行政においてもまた、大臣の任期が短いから、という言いわけはきかないわけであります。建設行政のエキスパートであるはずであると私は尊敬し評価をしておるわけであります。それだけに大臣としての見識のある、国土総合開発の大元締めとしての基本的な姿勢をもう一度伺ってから質問に入りたいと存じます。
  118. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほど先生がお話しになりましたように、私も建設委員会で皆さんのお世話になってまいりまして、建設行政はおぼろげながら承知をいたしておるわけでございますが、いかんせん、大臣になりましたのはまだたって三カ月ということでございますから、大臣の立場ということで考えている考え方と、委員の立場で考えた考え方とまた違う面もあるわけでございますが、どちらにいたしましても、私も池田内閣、佐藤内閣を通し田中内閣になってまいりましたので、その時代の推移というものは十分承知をいたしております。  そこで、わが国の高度成長の結果、経済面では先進国の水準に到達した、その反面に、過密過疎の進行というものが非常に著しい状態に進展してきた。環境の悪化や、国土の利用と国民生活をめぐるいろいろのひずみが顕著になっておりまして、国民福祉の向上を中心とする諸施策の推進が強く要請されるのはもっともであると私は思います。このような認識のもとに、今後の国土総合開発は自然環境の保全に十分留意しながら、国土の広域的利用を促進し、国民すべての安全、快適な生活環境を確保することを基本目標として推進することを考えております。また先ほど来申し上げましたように、私は、都市の再開発また地方の開発、バランスのとれた、そうして格差のない豊かなる環境づくりをするということが私に与えられた使命だ。これを推進することが今日の建設行政の一番の責務ではないか。それには道路をつくることもありましょう。しかしいままでどおり道路をつくる、あるいは住宅をつくる、あるいは堤防をつくる、橋をつくるということばかりでなくて、それ以外で、地方においてはいままでは法律で、たとえていえば橋梁が流れなければつくらないというよう考え方、しかし経済効果からいっても、この橋があればあのすぐ向こうの部落に行くにしても非常に経済効果もある、経済的にも効率が非常に上がる、それが一つ開発であろうと私は思います。そういう意味で、いままで建設省法律的に考えておったことばかりでなくて、何とかひとつこの際新規な仕事もやらなければ国土総合開発ということはでき得ない、こうも考えておるわけでございます。
  119. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 大臣は非常に重要な時期に就任されたと同時に、ある意味では非常に不幸な多難な時期に大臣に就任されたと思うわけです。それは現象的な問題は別としまして、いま国土総合開発の政策を積極的に進めていくのに目標になるべき基準が失われてしまっておるということであります。そのことは、行政的な視点からいきますならば、たとえば昭和三十七年以来六年がかりで策定をしました新全国総合開発計画というものが実は廃棄同様になってしまったわけであります。私は実は新全総策定にあたりまして国土開発議会委員の一人でありましたので、きょうおいでの下河辺さん——すぐれた官僚のホープでありますが、非常に勉強家であります。いろいろ議論もしましたし、話し合いもしましたが、実はせっかく七年がかりでつくられた現実の新全総というものは役に立たなくなってしまった。たいへん失礼な言い方で、ざっくばらんに申しますが、全然予見が間違ったのと、開発政策の方向を誤ったことがこの新全総が廃棄同様の運命に到達せざるを得なかったということだと思うのです。ばく大な国費を投じて、そして調査活動を展開して七年がかりでつくられたのが、わずか三年の寿命で消滅せざるを得なかったということは遺憾しごくだと思うのであります。ということになりますと、大臣がこの新全総を土台にして全国総合開発計画を進められる、建設行政を進められる、その実戦部隊であるということであれば、一つのものの考え方の基準がおのずから出てまいります。間違おうと間違っておるまいと一つの国家的な基準があるはずです。ところがこれが実は、決して下河辺さん個人を非難するのでも何でもありませんが、お役目であったからやむを得なかったことと思いますが、新全総自身が廃棄され——私があえて廃棄ということばを使うのは非常に潜越なことだと思いますが、しかし前年の四十七年十月二十四日に経済企画庁の総合開発局は「新全国総合開発の総点検について」という公式の文書を出されておるわけです。これはかなりの部分で月とスッポンほど違う、と言うのは大げさですけれども、前のものと考え方にかなり相違が出てきておると思うのです。いまもしわれわれが国の総合開発計画それ自身に対する一つのよりどころを求めるとすれば、この「新全国総合開発計画の総点検について」というわずかの文章をたよりにして、そこから日本のこれからの新しい総合開発計画の足がかりを求める以外にないと思っております。しかしそれも実はざっくばらんに言うとこれから二年かからないと成文化されない。一つのものになるにはこれから二年かかるわけです。その二年かかるときには、実は田中総理大臣がおるのか、金丸建設大臣が在籍しておられるか、予見を許さないきびしい時代です。そうすると、建設大臣は何も目標なしにこの荒波を——総合開発計画の非常に多様な、一方では国土開発庁が出現する、一方では通産省は通産省でコンビナート作成に独走する、土地問題は爆発の状態になっているという条件の中で、一つの指針を持たずに大臣がこの荒波を切り抜けていくというのは容易ではないことだと思うのです。同情します。同情しても、二年間何も指針なしにみずから開拓しなければならない。しかし、指針がないわけではなかろうと思うのです。ないわけでなかろうと思いますのは、たぶんあなたは、あなたの同僚であり、総理大臣である、莫逆の友である田中角榮総理の書いたこの日本列島改造計画が、あなたの思想、あなたの政策決定の方向に置きかえられておるのではないか、こう考えますので、一体新全総を失い、あと方向が二年かからなければ基本的な方向が打ち出されないという中で、何を基準にしているのか。田中角榮氏のこの日本列島改造計画を基準にしたものの考え方がいまの政策決定の基準になっておるのではないのかどうか、念のため承りたいと思うのです。
  120. 金丸信

    金丸国務大臣 日本列島改造論という問題につきましては、これは党でも政調で決定をしたことのある問題が大部分この中に入っておるわけでありまして、私はこの考え方で進むことは当然でありますが、しかしその中にもいろいろ取捨選択しなければならない問題もあると思いますし、また、私はいま申し上げるのを失念いたしたわけでございますが、先生もいま御指摘なさったように、いま一番大きな問題は土地問題です。この土地問題を解決せずして何を解決するんだ。建設省がこの土地問題を解決することに最大の努力を払うことは大部分の問題の解決になるんだ、こういう考え方で現在大わらわでこの面で最大の努力をいたしているわけでございます。
  121. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 そこで、これは下河辺さんに承りたいと思います。  ということになりますと、一応新全総の総点検についてという文書を足がかりにして意見を求める以外に道がないと思いますが、この中で過去の新全総の反省を明確にしておられない。国の方向の間違いに対して、主管庁としてもっと自己批判、反省——予見や見通しの誤り、そこから生まれてきた政策手段、方向の誤り、いろいろな今日の混乱を招いたということに対する当然の責任があるべきだと私は思うのですが、それに対する一つの所見をお伺いしたいと思います。
  122. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 総点検のそのいまごらんいただいておりますプリントをつくりました際に、国土総合開発議会におきまして私ども考え方を明らかにしたところでありますけれども渡辺委員は新全総をつくりますときの国総審議会委員であられましたから事情はよくおわかりですし、このたびもまた審議会委員に御就任いただいたわけでありますから、その詳細については国土総合開発議会であらためて御説明さしていただきますが、基本的には、いまお話が出ましたように、昭和四十四年に閣議決定するころの社会的な判断あるいは情勢というものは、今日考えてみて、月とスッポンとおっしゃいましたけれども、非常な差があるというふうに思います。あの当時は、御承知のように全国あげて工業誘致を非常に熱望された県が多かった背景の中でできておりましたし、まだ高度成長下の中でありましたから、その影響を強く受けたものであることは否定し得ないと思います。しかし今日になってみればやはり一つの新しい時代を迎えているということは事実でありまして、新しい時代を迎えてどのように全国計画を書きかえていくかということは今日非常に重大な課題だと思っております。しかも御指摘いただきました点に関しましては、経済成長を低く見積もり過ぎたということについては非常に反省しております。新全国総合開発計画は、御審議いただいたときにおわかりいただましたように、この高度成長率が続くことには相当疑問があるということで、せめて八%成長まで落とそうということで案をつくりましたが、その後も一二、三%の成長が続いたために計画以上の工業開発が進んだということに対して、十分な受け入れ体制をわれわれは用意することができなかったということから、むしろ東京湾その他既成の工業地域の荷重が非常に重くなったということで、既成の工業地帯の環境の悪化ということになりましたし、また、各地方から人口がさらに大都市へ集中してくるという結果を招いてまいりました。そういったあたり、見通しに対して的確さを持っていなかったという御批判、まさにそのとおりであるというふうに考えておりますが、それではこれから将来に向かってどのような見通しをするかということについては、先ほど御指摘いただきましたように、私どもは約二年かけて十分検討したいという慎重さを一方では持っております。しかし、土地問題あるいは環境問題から考えますと、できるだけ早い機会にある一つの指針を持たなければこれからの開発行政の基準が得られないわけでありますから、慎重に最終的に固めるものが二年かかるにいたしましても、できるだけ早い機会に、つまりことしの三月か四月には中間的な方針というものをぜひ持ちたいというふうに考えて、現在過去に向かっての反省を含めての一つの総点検の中間報告をまとめようとしておりまして、いまお持ちのプリントの一番最後にもそのことが書いてございますが、国土総合開発議会で御相談の上、近く中間的な方針というものを持ちたいというふうな作業でおります。
  123. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 いま下河辺さんのおっしゃったこの三枚の文書のうちで、きわ立った特徴、いままでと特徴を異にした文があります。それは前文「総合的政策との関連性」の項目の中で、「国の利害と地域の利害との調整や、開発政策の企画、実施に際しての住民参加のルール等において新しい制度の確立が必要となっている。」初めて住民サイドがここに登場してきたというのが一つのきわ立った特徴であるといえると思います。これを受けて最後の文章の中で、「地域住民の総意を把握するとともに、環境条件などの調査開発環境に及ぼす影響の評価などを事前に実一施し、」そこで「地域住民の総意を把握する」ということばが出てまいっておりますが、これは先ほど清水君に答弁をされた、市町村長に連絡をし、意見を聞くという説明と中身が違うんではあるまいかと私は思うのです。これは住民参加のルールということになりますと、一つの直接民主主義のルールを吸収するという思想内容になるんではあるまいか。いままで都道府県あるいは市町村自身がいろいろ企業となれ合ったり癒着したりしている部分も絶無とはいえないと思うのです。こういう状況の中で、しばしばその行政機関、系統機関としての都道府県とか市町村の段階と、開発の対象である土地の保有者やあるいは地域住民が被害者側に立って独自の行動を起こす場合が、全国至るところに住民運動が起こって抵抗をしておるのが今日の、皆さんの側からいえば、開発が推進されない、意のままに自由にいかない、土地も自由に取得ができない、開発が立ちおくれる、行政がおくれているんだ、こう説明になりますが、しかし地域住民自身にしてみれば、自分の生活の根拠がそこにあるのですから、その自分の生活の根拠を守ろうとするのは当然だ。したがいまして、行政的な機構、機能というものが、今日のように動脈硬化してきておりますと、必ずしも都道府県とか市町村とかいう行政機関、機能の長自身が住民のすべての意識を代表し、住民の公正な利益を代表する能力と条件を持ち合わせているといえない場合があり得ると思います。そこで、そういう状況を救うために、対応するためにここで経済企画庁はあえて「住民参加のルール」云々、こういう文字を入れられたのかどうか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  124. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 そこへ「住民参加のルール」と書きましたのは、やにわに直接民主主義をとろうということで書いたわけではございませんけれども、しかし、いま御指摘になりましたように、どのような形で住民の意向を開発政策の中へ組み入れるかということについては、いろいろなくふう、努力をしてみる必要があるという意味で書いたつもりでございます。法律上の、行政上の手続といたしましては、知事を通じて、あるいは市町村長の意見を通じてということにとどまるかと思いますが、法令に従えばそれだけでよいというふうに判断するということには往々にして間違いを伴う場合があるのではないかという御指摘は、われわれも同感を感ずる面がございます。そのために片方ではアンケート調査をいたしまして住民の御意向を承ろうという考え方一つございます。それからもう一つは、行政上持ちました計画を決定してから住民に公示するという形ではなくて、原案の段階で住民の方々にごらんをいただいて、そして住民の方々がそれぞれについて御意見を陳情あるいは請願という形で出されるということも大いにけっこうではないかということを考えておりますし、また一方では、今日の時代でありますから、情報化社会の中でテレビ、新聞その他を通じていろいろの賛否の報道がなされてまいりますが、そういうものも行政としては十分判断材料の中でその資料を使わしていただこうというようなことで、住民参加のルールを現在の議会制度を中心とした仕組みの中でどのように適切なものにするかということについては広範な努力が要るという意味で、住民参加のルールを考えたいということをそこで書いたわけでございます。
  125. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 そこで具体的な例をあげて所見を承りたいと思います。  それは実は今度の質問をするにあたりまして、私は経済企画庁のこのいまの原本をいろいろ目を通してみました。そして同時に田中角榮氏の日本列島改造計画自身をも目を通してみましたが、全く引き写しのところが発見されたわけです。ということは、これは私も引き写しを発見したというだけでなしに、驚いてしまったわけです。ひやかす意味の驚いたのではないのですよ。ほんとうに肝を冷やして驚いたわけであります。それはなぜかというと、私の北海道でいま大問題になっています、大臣もあるいは局長もお聞き及びだと思いますが、伊達火力発電の問題をめぐりまして環境権訴訟まで起こってたいへんなことになっております。ことに噴火湾の湾岸の伊達市の隣にあります虻田町というのは有名な温泉地帯、洞爺湖を含めた町でありまして、北海道における最高の保養地帯であり、北海道の湘南地帯で、冬でもここだけは雪が降らないという非常に風光明媚な土地なんです。そこで北電が重油専焼の七十万キロワットの火力発電所をつくるということが問題になって、おたくへもだいぶ陳情団が行ったり、責められて、宮崎仁君などはしばしば失言をしたり問題を起こしております。実はその問題を私自身が何べんも折衝したり陳情を受けたりしてまいりましたが、私は正直者ですから、ほんとうに重油専焼の七十万キロワットの火力発電所ができるんだという説明を地域住民から受けてまいりました。だから、亜硫酸ガスを放出するには、できるだけその地帯に亜硫酸ガスが落ちないようにするためにはうんと煙突を高くする、上部に上げて大気の中で亜硫酸ガスを拡散すればいい。北海道ではまだ室蘭の新日鉄の煙突が百八十メートルで最高ですが、それよりも高い二百メートルのやつをつくるから、上部で拡散するから心配ないという説明、北電及び伊達市の市長とか虻田の町長とか、それらの人々の強引な説明で、そして誘致協定を結んでしまったことがいまリコール騒動までいっておるわけです。だから、煙突の高さを高めさえすればいい、二百メートル上げれば周辺二十キロの地点まで流れて、そして上部で拡散してしまうから亜硫酸ガスの被害はない。ないと同様という説明を受けてきたわけです。それでもなおかつ弁護士を含めて百二十何名が集まって環境権訴訟を起こしているというような状態にまで発展しておるのです。ところがとんでもない話なんですね、この経済企画庁の文書によると。正直者はばかをみることになりますが、この一一五ページを見ますとCTSのいわゆる原油基地の図表が出ておるのですね。四年前に出されたこの文書の中に、CTSの全国十七カ所の基地の筆頭に、この七十万キロの重油専焼くの火力発電所をつくるのではなくして、実は石油基地をつくるのだ、原油基地をつくるということになっておるのですね。この表、間違いないでしょうな。その点、場所を指定してちゃんと書いてあるのですから、特段のマークをつけて引用文書を明らかにしておるのだが。住民のコンセンサスも何もなかったのです。これをうのみにして田中角榮氏がここに書いてあるのです。これは問題だと思うのです、もしこれが廃棄された文書であるとすれば。これをよりどころとして田中角榮氏の書いた日本列島改造計画の文書の一四一ページ、この中でこういうふうに石油基地をつくるのだ、こう指定しております。それを見ているうちに驚いたのは、これは国際地理学会——建設省の地理院が責任があるかどうか知りませんけれども、この国土開発計画図という中には特にCTSのところが全部特段のマークをつけて指定しております。そうすると、これはいままで全く私どもでさえ知らなかった、今度質問にあたって文書を点検してみて初めて知ったというのは、私もばかな一人になりますけれども、国民に全然知らせないで、地域住民にも知らせないで、市町村長にも知らせないで、そして七十万キロワットの重油発電所だけをつくるのだという説明。ところが原油の基地をつくるのだという。きょうの質問でこれは大問題になりますよ、その地方は。そこが原油基地の指定地になるということはとんでもないことになります。一体その点についてはどういうように受けとめたらいいのか。これは田中総理大臣も去年の七月の文書でそう主張している。これを正直に受けて立っておるわけですね。住民のコンセンサスはどういうことになるのですか。
  126. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 それは渡辺先生が国土開発議会委員をされていても記憶されないほどのものであるというふうに思っております。つまり、この国土総合開発計画検討いたしました際に参考に使われたということは事実であります。つまり、日本がこれからCTSというものを必要とするのかしないのか、あるいは持つとすれば日本列島のどの辺に持ったらよいかということをディスカッションいたしました際に、工業立地センターという研究機関で立地調査をいたしましたデータを出したものであります。政府といたしましてもそのCTSの配置構想についてはまだ何ら確定しておりません。もしかりに噴火湾にCTSをきめるということになれば、先生にも十分御説明もしなければいけないと思いますが、何よりも知事あるいは地元の市町村の方々の御了解なしにCTSをきめるということは不適切であると考えております。
  127. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 討議の資料としてつくったものが社会的に流されるということはしばしばあり得ると思いますが、そのことがどういうような社会的影響、打撃、波紋を描いておるかということをひとつ配慮しなければならぬと思うのですよ。都市を中心とした土地問題、地価対策の問題が数日来論議されておりますが、こういう文書が出れば出た先からすぐ地価が上がっていくわけなんですね。どこか固定の場所とか地方を指定されると直ちに地価が値上がりをする。それは、値上がりする根拠は、そういう一つのコンビナートに参加しておりますデベロッパー、いわゆる三井、三菱、住友その他の大企業がすでに開発業者として参加をしてきておりますから、そういう人たちがもうここ十年来、公共企業体と一緒になって第三セクターをつくったり何かして不動産業に合法的に介入することの利権を獲得して、手口がわかったから今度は先制攻撃でどんどん先買いをしておるのです。これは町の小さな不動産業者などを取り締まることも大事ですが、根本は、国の政策に癒着して、国の政策を先取りする大不動産業者が日本全土を荒らしておるのですよ。その全土を荒らしておるのは、たとえば最近の傾向を見ますと——これは国税庁が去年の七月一日現在で発表しました。ごらんになっていらっしゃると思いますが、首都を中心にして全国四十七カ所を指定して、相続税や贈与税の基準をつくるために一年間に何%地価が上がったかという調査をしておりますが、これを見ますと、二〇%以上上がったのが十六、二五%以上上がったのが十、二〇%以下が二十、たとえば東京神奈川県における横浜市等だけです。この表を見て、時間がありませんからこまかな都市の名前を言うのは避けたいと思いますが、都市における値上がりは限界にきておる。たとえば横浜の場合を見ると二〇%以下に属するのですが、名古屋も二〇%以下、千葉も札幌も二〇%以下のランクに入っておるのですね。これはもうすでにそういう都市はこれ以上伸びられなくなって、たとえば川崎だとか鎌倉とかその他のわきの土地がどんどん倍率が高まっていっておるという状況で、このことだけでは地価の評定が出ないと思うのですね。地方都市とか地方の町村、農村段階に値上がりがどんどん進行してきておる。こういう状況はどこから発生しておるのかというと、それはみなこの政府関係の流しておるものが地価値上がり奨励運動をやってくれておるのですね。皆さんのほうがぼんぼん文書を出したり、無責任に放言したりするために。値上がりの元祖は田中角榮になるわけですよ。日本列島改造計画そのものが土地の値上がりを誘発し、激発し、爆発させている。元祖は内閣総理大臣の田中角榮である。建設大臣がその二番目である。——これはよけいなことでありますが……。先ほどから都市における土地問題あるいは線引きの問題等を盛んに議論されておりましたが、田中角榮氏の日本列島改造計画をまつまでもなく、おそらく下河辺さんも同じ意見ではないかと思うのですが、ここに指摘しております彼の説によれば、現在、昭和四十五年の日本国土における工場ができておる工業地域は十二万ヘクタールだ、こう書いてありますね。しかし、六十年を目途として生産が四倍にふくれ上がっていく場合、推定されるべき日本国土の工業地域は二十八万ヘクタールになる、こういう想定を立てていますね。これは都市でないのですよ。特に工場、工業地域にそれだけの土地が必要だという、ばく大な土地が指摘されているわけです。現在十二万ヘクタール、十二年後にはこれが二十八万ヘクタールということになりますと、一体その主体になるのはどこだ。あなた方が発表しておりますのを見ますと、たとえば大規模工業基地、コンビナートなどは、私の近くの苫小牧東部開発というのはこれはいまのところ全国随一ですね。これは一万二千ヘクタール。東京都の環状線を新宿から上野から東京駅から品川を回って、環状線の中の土地の一・七倍に相当する土地を一挙にいま造成しておるわけであります。青森のむつ小川原は八千ヘクタール、鹿島臨海工業開発は三千三百ヘクタール、志布志は三千ヘクタール。それから秋田湾、周防灘というのが大規模工業団地に名前をあげておりますね。筑波学園のごときでさえ五千二百ヘクタール。そのほかに中規模団地として千ヘクタールから千五百ヘクタールのものがずっと十幾つ並んでおります。これは皆さんの文書の中から拾った分だけでもそうなのですからね。そうすると、そのたびにこういう地帯がどんどん地価が上がっていく、先がけて上げていくということになるのですが、一体この土地問題、地価問題——いま都市問題だけを論議して、多く都市を中心にして論じますが、このような大規模工業団地、コンビナートが土地問題に対してどういう影響を及ぼしているのか、いまどういう地位にあるのか、条件にあるのかということについて大臣の答弁をわずらわしたいと思います。これは通産大臣の所管かもしらぬが、土地問題を含めてひとつお答えを願いたいと思います。
  128. 金丸信

    金丸国務大臣 土地問題は、投機的な考え方、そういうものも今日土地を非常に騰貴さしておる最大の原因だ、こう私は思っておるのでありますが、それは先生御指摘なさるところも一理あると私も思います。しかし、昨年の金融緩和というような問題がそのような結果にもなっていると思うわけでございますが、そういう土地問題につきましては全くはかり知れないような、大手会社が先生のおっしゃるよう状況で買いだめられておるという問題につきましては、まあ先生のおっしゃることが全部そうだと私は考えられませんが、実際問題としましてあらゆる角度から今後対処していかなくちゃならぬ問題点だろう、こう思っております。   〔委員長退席、渡辺(栄)委員長代理着席〕 すでに苫小牧等の問題等につきましても、私もあそこの港を見せていただきましたが、非常に整備された港ができ上がっております。その周辺でその後いろいろの大手メーカーが土地を取得しておるというような面もあろうかと思いますが、そういう面で土地問題のいわゆる閣僚協議会でその対策要綱をきめた、そういうような線からひとつ大いに放出してもらいたい、こういうようなことも考えておるわけです。まあ、先生のおっしゃることにつきましては、全部が先生のおっしゃるとおりだというわけには私はいかぬと思いますが、そういう面もあるかもしらぬ。ぜひこういうふうに私は望みたいと思います。
  129. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 下河辺総合開発局長に……。
  130. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いま御指摘の点は、率直に言って、開発を担当する者の悩みであります。その理由は、政府やあるいは地方公共団体開発計画を立てる場合に、思いついた段階から公表すべきであるという考え方が一方であると思います。そのために構想をどんどん発表して、いろいろな方の御批判をいただくということを一方ではしたいというふうに考えております。しかし一方では、それをやりますとその間に土地の買い占めであるとか地価の暴騰が起こるということは現実の問題であります。そのために、原案をどんどん公表するという原則をつくりながら、一方で土地が買い占められたり地価が暴騰することを防ぐ手段がいままでなかったことに欠陥があるというふうに考えておりまして、このたび土地対策として、構想中に、あるいは地域開発をきめるまでの間にそういうことがないように、何らか防止措置の法令を整備したいということを考えております。それからもう一つの悩みは、売り手と買い手とございますが、農民の方々が言うように、万一売ることに同意いたしました場合には、その方々の生活の再建を考えますと、できるだけ、土地売買に関して、あるいは生活保障に関して十分なものをしたいという考え方になるのは当然でございます。そして入ってくる企業からそれだけの費用負担をさせたいということを私どもは考えるわけでありまして、そのときには、不当に安い価格売買することをできるだけ避けたいということがございます。そういったあたりをかなり深刻に悩みながら適切な行政を進めたいと思うわけであります。
  131. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 こういう国土総合開発の推進、実施をしていくのに、当然建設省や所管の官庁が実施に責任を負うべきですが、今度の建設行政方向を見ますと、国土総合開発庁ができて、その下に国土総合開発公団というものが出現をするという計画になっておるようでありますが、実施機関の問題で、最近至るところに、府県は府県のたとえば住宅公社とか振興公社とか、それから開発公社というのがあり、いまでは市町村段階までそれぞれできておって、それが一体建設省の、たとえば住宅局なら住宅局とどういう連携があり、指導機能を発揮しておるのか。監督権がどこにあるのか。自治省に監督権があるのかもしれませんが、実際雨後のタケノコのように随所にできていって、気ままにそれぞれ仕事をしておるという状態になってきておりますが、そういう開発の下請機関といいますか、実施機関といいますか、こういうものは規制と指導、あるいは奨励をしておるのか、見解を明らかにしていただきたいと思います。
  132. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 私がお答えするのは妥当かどうかちょっとわかりませんが、今後の国土総合開発なりあるいは地方開発をいろいろ推進していく場合におきまして、その事業の中で公的にやるほうがいい部門、たとえば下水道とか公園だとか、全国的な規模の公共事業、道路その他、そういうようなものが一つ考えられると思います。これは国民の共通の福祉を願うものでございまして、やはり公的主体で行なうことが必要であろうと思います。しかしながら、場合によりましては民間企業なりが進出しやすいような、そういう部面のものもありまして、そういう事業、たとえば鉄道だとか道路だとか、住宅だとかニュータウン建設だとか、そういうような面で、採算もとれるし、民間企業もなじみやすい、しかも民間のよさを活用できるというものがあろうかと思います。そういうものにつきましては、やはり公的ないろいろな指導なり、また計画のもとに、そういう民間が自分の有利さを発揮するということは、今後の国土を有効に使っていくという意味事業を推進するために必要であろうかと思います。しかしながら、先生のおっしゃるような、これが無計画にそういう民間がいろいろな事業を行なうということは困るわけでございます。したがいまして、そのいろいろな方法というのはあろうと思います。その民間がやる事業をどういうふうにワクをはめて指導していくか、いろいろな部面があろうかと思いますけれども一つはやはりマスタープランというようなものを公的につくって、そのマスタープランのもとに事業をやっていくということ。同時にまた指導監督ができやすい組織にしておくということがもう一つ考えられます。いわゆる第三セクターというものがあろうかと存じます。そういう第三セクターというものは公的な出資があって、そうしてまた人員もそういうところから派遣されることもございまして、そういう面を通じまして指導監督がしやすいということがあろうかと思います。そういう場合、もう少し徹底しますと、いろいろな法制上の規制ということも、ものによっては考えなければいけないものも多かろうと思います。現実にたとえば自動車道を民間がつくるという場合もそういう法律がございまして、その法律による規制を受けておるところがあるわけでございます。またその他経営の面におきましても、ものによりましては、たとえば利潤率の問題、料金の問題、いろいろな面で規制が与えられながら民間の事業というものが適正に行なわれるということによりまして、今後の国土総合開発というものが有効に円滑に行なわれていく、官民協力して行なわれていくということになろうかと思います。そういう意味におきまして、ものによってはそういうようなものを十分活用することが必要だろうと思います。しかし、先生のおっしゃったような、そういう規制の面、そういう公共性を十分帯びながら、保持しながら仕事をやっていく必要がございますから、いろいろな形のそういう指導監督、計画に即して仕事をやらせるということが必要になってくるだろうと思います。
  133. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 こういう開発実施機関と称して、公共機関の投資を受けながら、反面民間が参加するという形で、全国で膨大な数字が出てきておりますが、その実態を調査したものはありませんか。
  134. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先生の御質問は第三セクターというようなものだろうかと存じますけれども、一口に第三セクターと申しましても、先生がさっき申されておりましたような地方公社というようなもの、地方団体が出資して民間資本も入れて一緒に仕事を行なっていく、そういうものもそういう一種でございましょう。これは約千四百ばかりあるというふうに聞いておりますが、それは別としまして、その他、公的な資金を入れて民間資本も入れて事業をやるというものが、大小合わせて二百八十ばかりあるというふうに資料で承知いたしておるわけでございます。
  135. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 その資本構成はわかりますか。
  136. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 私どものいまここで手元に持っておる資料では、その中で代表的な大きなものにつきまして十数社ございますが、これもそれぞれプロジェクトごとのセクターによりまして公的機関からの出資が違いますが、大体一五%から六〇%程度までになっております。
  137. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 最近できております大コンビナート工業基地は類例なく第三セクターができ上がっておる。たとえば鹿島臨海工業の場合でも同様ですし、それからむつ小川原の場合は開発センターから株式会社から、あるいは財団法人の受け入れ、三つのトロイカ方式というやつ、三つもそういうものをつくってそれぞれ開発の衝に当たっておる、こういう例がたくさんあります。表面上は国がやっておるように世間では思いますが、実際開発の実施をしておるのはみんな第三セクター、もしくはそれに類似の形のものが代行しておる。そして農民から土地を買い上げるのは地元の市町村にやらせて、そして土地開発、造成その他をすることでまた第四のそこへ基地を求める事業会社に土地を売りつける。そしていろいろな流通機構などについては直接また第五番目の下請会社をつくって、第三セクター自身が出資してまたその下の仕事をやらせる。非常に複雑怪奇な第三セクターをめぐる一貫した一つの独占の組織がつくられて、先ほど下河辺さんが言われておるような住民の総意とか住民の意識とか住民の要望というものをみじんも反映させられない状況になっておる例がたくさんあるわけです。私は、それが日本の開発の実態というのならば実態でもやむを得ませんが、こういう状況でいけばいくほど日本の開発はゆがめられるし、住民の利益が踏みにじられる状況はますます拡大すると考えられますので、特に一つの例を申し上げたいと思います。  これは去年の七月にできました苫小牧東部開発株式会社という第三セクターの例です。これは会社側が発表した資料を摘出しているのですから間違いないつもりでおります。   〔渡辺(栄)委員長代理退席、委員長着席〕 これによると、何しろ一万二千ヘクタールの大土地を対象にした第三セクターが出現して、その授権資本が六十億円でありますが、払い込み資本が三分の一の二十億円。このうちで北海道東北開発公庫等公的機関が半額の十億円出資して、あとの五億円を北海道庁が四億円、あるいは二つの地元の町が合わせて一千万円、苫小牧市が九千万円、それから民間が銀行関係、商社、ほとんど大資本関係あとの半額を埋めるというやり方をしておるのですが、驚いたことにこの会社の社長さんは、個人の名前を出すこともないと思いますが、発起人と称する、指名された発起人二十七名、その二十七名の発起人は一人十万円ずつ出資しておるが、その二十七名の十万円を出資したうちの一人が社長に就任したわけです。十万円の出資金を払い込んで社長のいすに就任した人が、二十億円の大会社を支配する機構になっておるわけです。   〔委員長退席、渡辺(栄)委員長代理着席〕 払い込みは十万円ですよ。金丸大臣でも簡単に出せますが、私でも十万円なら払い込めると思います。十万円の出資金で二十億の、授権資本六十億の、増資すればいいのですから、三十万円でその社長の地位になれることになります。そして、ごく最近調査したところによりますと、その社長の俸給は七十万円だというのです。こういうような化けものみたいな組織がどんどん開発を食い荒しているのですよ。これ、実態調査しておられますか。
  138. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 その会社の概要については承知いたしておりますけれども建設省の仕事として直接関係ございませんので調査いたしたことはございません。
  139. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 だから私はこの席でこれを持ち出しているのです。官庁セクトで、かかわりがたいということなら知らぬことです。自分の監督行政はミスがない限りは、関係ないからみんな知らぬことにして口をぬぐってきておりますが、しかし国土総合開発行政全体の中で、こういう矛盾、こういうでたらめがやはり開発をむしばんで、不信感がどんどん出てきますし、あるいは地域住民の抵抗も起こってきます。それから、いわゆる取り締まりの対象は不動産屋ばかり取り締まっていますが、そういう巨大な、経団連か何かから推薦された、どこかの会社のとうが立った御隠居さんが派遣重役で出てきて——北海道と縁もゆかりもないのですよ、何も関係ない人が突如としてあらわれ来て、そして株主総会に出て社長に就任して、そうしてとたんに七十万という月給をもらって、月に十日間北海道へ行って東京に二十日間住んでいるという話ですから、一日七万になるわけですね、出勤日数からいって。十日出勤して七十万円もらっている。そんなことでわれわれが政治を信用したり開発を信用したり、一般の人が承服するかどうかということです。だから、私はやはり第三セクターというものに対する指導監督をどこかがしなければならないが、そういう行政機能は今度出現する国土開発庁がやるのですか。どこがやるのですか。野放しですか。
  140. 下河辺淳

    ○下河(辺)政府委員 いま御指摘の大規模工業基地をつくるときの第三セクターに限ってお答え申し上げますけれども、コンビナートをつくるときの土地売買は、最終的には企業の土地として企業に帰属するものであります。もちろん公共用地は十分確保いたしますが、生産用地はそれぞれ個別の企業に帰属するものであります。しかし、売買をいたしますとき、農民の方々、その他から農地を買い取りますときには、やはり公的機関がかなり介入して土地売買をしたほうが適切であるということを考えておりまして、その両者をつなぎ合わせるのにいかなる方法が一番賢明であろうかという観点、それからもう一つは、企業に帰属する土地を買いますときの資金はだれの資金でやることが一番適切であるかという観点などから考えますと、公共団体がかなり干渉できます民間資金を使った組織が必要ではないかというようなことから第三セクター論というものが出てまいりまして、北東公庫と公共団体とあわせて五割というもので株主としての発言権を十分有しながら指導してまいりたいということでつくられたものであります。  先ほど十万円というお話がありましたが、これは私の専門ではないのですけれども、技術上の問題ではないかというふうに思いますのには、役員になる方々が、普通の公共団体であれば知事の任命ということで任命権者がいてやることになりますが、株主総会をやります場合に、役員になる方も株主としての発言権を持っておられるほうが株主総会でも運営がうまくいくであろうということから、形式的な株主として扱っていただいたということをいま御指摘いただいたのだろうと思います。本来的にいえば、別に株主権を持っていなくても会社の社長を引き受ける方があればやっていただくことについては問題がないのじゃないかと思いますが、技術上の問題としてそのような扱いをしたというふうに考えております。
  141. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 理論的には局長のおっしゃるとおりで、何も株を持たなくとも株主が支持すれば社長でも何でもなれる、当然だと思いますが、しかし、こういう一番時代の先端をいく、道民、国民が注目しているような代表的な企業だし、すべての人々が注目している中で、だれもが肯定できないような非合理なことが許されていることはいかぬと思うし、やはり合理的な納得されるような方法でなければならない。農民から買い取ったものを受け継いで、用地の造成、宅地開発、工場用地、道路あるいは学校、流通機構その他を整備して、それぞれ分割して処理するのが第三セクターの仕事だという内容のいまお話がありましたが、用地を直接農民から買い取っておりますのは北海道庁の企業局ですよ。企業局が買い取った農地というものは一体どういうやり方でされておるかというと農民から直接買ったのは十二、三件しかない。全部不動産会社を通じて用地の買収を役所がやっているのですよ。役所が農民から直接農地を買い上げるよりも、さっき申したように、こういう計画があるということを全部漏らしますと、みな不動産会社がしゃしゃり込んで農地を買う。買った農地を、不動産会社を間に入れて道の企業局が買い取っている。買い取っているときの責任者である企業局長がこの二十億円の会社の専務取締役になって五十万円の月給が保証されたわけです。いま道議会で大問題になっておる。こういう不合理が許されている。そうしてそれは公的機関が半分出資である。この配当は利子だけ保証される。あとは五割の出資の民間資本が支配する。そうしてかって気ままにやれるということであって、これは民間の単独の会社ではとても対抗できませんよ。最も経済的な優位な条件をかちとっているのがいま現にある。これからどんどん流行するであろうあらゆる工業コンビナートに出現する第三セクターというものが、独占的に最も高度な利潤を追求し得ると思いますね。半額公的資金が導入されているのですからね。公的資金を出しておるほうは、国もどこも監督権がないというのでしょう、現在のところ。少なくとも大臣、そういうことを議論になったことありますか。
  142. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 東苫小牧の会社の問題に関してといいますよりは、大規模工業基地の第三セクター全部について共通的にお話し申し上げたいと思いますが、私どもは、それぞれの地域開発計画というものが定められて、その計画に基づいて第三セクターが仕事を始めるということについての拘束性を第三セクターに持たせるということを指導しなければならないというふうに思っておりまして、第三セクターみずからが利益を追って、かってに地域で仕事をするということは避けるべきであるということで指導しております。そうしてその指導の第一義的な責任を知事に求めておりまして、知事を通じて、国は国の方針を知事に示し、そうしてその方針に従って知事はみずからつくられた計画に基づいて第三セクターを指導するということをしておりまして、それに反して第三セクターが仕事をしようとするときは、国と知事とでその会社に対してしかるべく指導措置をしなければならないというふうに考えております。それから、もちろん他の私企業がその地域に入り込んでくることを排他的にするということをむしろねらっているわけでありまして、他の私企業がみだりにその地域に入り込んで利益をむさぼるということがあってはならないということは、むしろ第三セクターを設立した趣旨の一つであります。しかし、その第三セクターが利益を得て、その利益を当該地域以外のところへ持っていってしまったのでは意味がありませんから、第三セクターというかなり属地性を持った企業を設立して、その地域の中で利益が還元できるようにということをねらっているわけでございます。
  143. 金丸信

    金丸国務大臣 いま下河辺さんの話を聞いておりまして、理路整然としたその説ももっともだと思います。しかし、現実に先生のお話を承ってみると考えさせられるよう問題点があろうと思います。私も十分調査して、その結果によっては関係のところに助言したい、こう考えております。
  144. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 ただいま下河辺さんのお話で、北海道がその監督をする、青森は青森市がむつ小川原を監督する、こういうことを意味しておるのだと思います。たとえばその資金の導入されているもの、青森の場合はこれも北東開発公庫の金、もしくは国の資金が入っておる特殊会社、東北開発株式会社等の資金が入っているわけですね。ですから、その資金は、たとえば北海道の場合も、最初の時点のような北海道開発公庫という単独な金融機構であったなら別ですが、東北を含めた北東開発公庫になっておって、ばく大な政府資金がそれに投入されておる。この場合には複数の府県にまたがっている。東北、北海道——東北七県ですか、だから八県の行政区画にわたっている金融機構ですね。国によってまかなわれている公的機構が特定の地域に金を投入した場合には、これは府県の知事の任務だけではなしに、当然何らかの形で国が指導監督をさるべきだと思うのです。ところがその地域では、都道府県の知事とその地域の住民の間にトラブルが起こったり紛争が起こったり反対が起こったりする場合がありますね。その処理能力を欠如しているような場合——現にいまの北海道の場合には主管者であった企業局長自身がその会社の専務取締に移行してしまって、役所をかわってしまう。ほんとうは監督権を行使しなければいかぬ側、指導監督をしなければいかぬ行政官庁の主たる責任者がその会社に入り込んで、用地買収から何から一切やっている。まだ農村とのトラブルも用地問題で残っているのに、監督行政をしていた最高の責任者がみずからその会社の主管者に入り込む。これでは取り締まり、指導の方法がないですよ。
  145. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 地域開発の仕事でございますから、総合的な監督権を知事に求めるということを私ども原則としてやっております。いま先生が御指摘のような問題が起こった場合、国はそのまま見過ごすわけにはまいりません。したがって、北海道については北海道開発庁、青森については経済企画庁が責任をもって指導いたしたいと思います。
  146. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 御説はごもっともだと思うのです。それが実行されておればいい。私は、北海道の問題をこの神聖なる国会へ持ち込んで、何か自分の選挙区の問題を言っておるようでみっともなくてしようがないのですが、あえて言っているのは、非常に不合理だから言うのです。いま指摘した北海道の土地買収——土地買収といっても一万二千ヘクタールの土地買収ですよ。一町歩や二町歩の線引きだとかなんとかいうような話をしておるのじゃないのです。その一万二千ヘクタールの土地を買収した責任者がその会社の責任者に移行してしまって、いまそれで問題が起こっておる。ところが、開発庁が監督するとおっしゃったが、開発庁の前事務次官をした人物が土地買収に狂奔している。中央の大会社、不動産会社か物産会社の専務取締役という肩書きで乗り込んで、それが土地買収に狂奔しておるのですから、知事も監督できなければどこもできないんですよ。名前を申し上げてもよければ言いますが、公的なところですからそれは申し上げないけれども、そこまで言えばわかるはずだと思う。一体そんなばかげたことがありますか。もう少し良心を持ってもらいたいと思うのです。少なくとも自分が仕上げた仕事に誇りを持ってもらいたいが、退官したら、反対のいままで監督していたほうへ回って、一番知っておりますから、裏を全部知っておりますから、盲点をついて走り回るというようなことで一体監督ができますか。住民が納得いたしますか。そういうことで一体この大事な土地問題や国土開発の問題が解決されるとお思いになっておりますか。そこで、私が大臣に申し上げるように、国がやはり第三セクターを——こういう大土地ですよ。十坪や百坪の土地をどうするというのじゃなくて、日本の運命が変わるかもしれない。地方の運命が変わりますよ。何千という土地を動かして、それが日本の相場をくずしたり高めたりしておるのですから、その地方全域がそれによっていろいろな開発利益、開発不利益を受ける場合が出てくる。にもかかわらず第三セクターに関することは監督はどこもできない。たまさか名前が出れば、その監督官庁の責任者が実は不動産会社の番頭になり下がって走り回ったというのじゃこれは収拾がつかなくなる。いまは第三セクターに対する監督権がないとしても、そういう点について何とかあるべき形に方向づけることについて、もう一ぺん大臣の所信を表明願いたいと思います。
  147. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま私は、うしろにおる官房長に内容調査をひとつしてみてくれという話をしておいたのですが、国民の、ことに最下層の農民を食いものにして、地域社会が不安定な状況になるというようなことについては相当考えなくちゃならぬ問題だ、これは先生のお考えのとおりであります。そこで、この問題の内容も十分に調査して慎重に検討してみたいと思います。
  148. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 意地悪質問をしているようで悪いのですが、ついでにもう一点お伺いしたい。  これだけの膨大な計画ですね。幾ら北海道が広いといいましても、一万二千ヘクタールですから、五、六百人の農民が土地を失ったわけです。そしてその人々はほとんど住んでない。もといた町には全然住んでないと言ってもいいくらいです。みんな札幌とか都市に住んでいる。農民というものは、百姓をやらしておれば農業技術者ですけれども土地から離れた農民というものは何も技術がないのです。食う道がないのです。いままでなら、農家が離農すればふろ屋をやるのと木造のアパートをつくる。どっちかが最も安易に小銭を得る道だったわけですが、このごろマンションになってしまったからアパートを建てることもできない。だから土建業者の下請に行くしかないという運命ですよ。そこで土地を売った人は開発受益者じゃないのですね。全然消されてしまうのです。ところが残された地域、これは苫小牧市、それから厚真町、三川町、早来町と、一市三町につながる大土地です。ところが、先ほど下河辺さんがおっしゃった、住民の意思がどういうふうに大工業地帯を中心としてこれから表明され、調整されていくのかということが全然解決されていないわけですね。しいて解決しておりますというならば、この重役の中に一人だけ苫小牧の市長が平取締役に入っている。しかし苫小牧のほうはむしろ受益者で、被害を受ける、農地を買収されて取られたのは厚真町、早来町であります。そっちのほうは全然重役にも代表者が入っていない。農協の組合長も商工会議所の会頭も町内連合会の会長も、だれ一人この機構に参加しない。全然見ず知らずの人が乗り込んできてやっておるわけですね。地域住民、地域との結びつきがない。膨大な地域なのに、開発利益というものが地域住民に還元されたり、あるいは開発についての発意、これから変わるであろう生活環境に対するいろいろな発言を求めたりするということが全然なされていない。こういうような大型のコンビナートの場合はどこでそういう機能を調整していくのか。あなたは先ほど県に審議会をつくるとかなんとか発言がありましたが、こういう特定の地域、これは苫小牧で北海道だけだからいいのですが、しかし、あるいは場合によると数県にまたがるコンビナートができてくる場合がありますね。そういう地帯があちこちに、熊本と佐賀と福岡がつながったり、あるいは大分と宮崎が対岸の愛媛とつながったり、利益関係が数県に、複数にまたがる場合が随所に出てきますよ。そうすると、府県が単独で、独立して府県の地域内でコンビナートがつくられている場合はそこで知事が中心になって処理していいが、あたかもちょうど第三セクターに対する監督権と同じように、開発地域で被害を受ける者と受益者の調整はどこの機構で一体とるのか。私はやはり国自身が責任をとってくれなければだめだと思うのですが、その点に対して、あなたが主張される、次の新全総の中で織り込もうと努力しておられる住民意識の尊重とか住民参加のルールを開くとかいうのは、具体的にこういう具体例の中でどういうように道を求められようとするのか、所見を承りたいと思います。
  149. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いま二つの問題を御指摘いただいたと思います。  一つは、地域開発におきます第三セクターの役割りでございますが、やはり地域開発は知事が中心となって計画を立て、その計画地域の住民の方の御理解も得られたものであるということが必要であるということは前から申し上げておりますが、その計画を実施する、仕事の一部を担当すべき機関として第三セクターをつくるのであって、第三セクターがみずから自分の好きなことをするためにするということは適当ではないということを考えておりますし、それから、その買収します土地に住んでおられた方々に対する対策も、知事が住民対策という形で対策を整理いたしまして、その対策については知事が責任を背負うべきものもありますし、ものによっては国が担当するものもありますが、その一部はやはり第三セクターに責任を持たせるというふうな、任務の割り振りを地方公共団体がなさる必要があるし、それを私どもとしては指導する必要があるというふうに考えております。  二番目は、二府県にまたがった場合でございます。国土総合開発法検討しております過程で、二府県にまたがる場合には国が直接乗り出して開発を進めるということがいかがかという案をつくって各方面に御説明をした経緯がございます。そして都市計画法その他法令的にもそういう事例がございます。しかし、今日私どもが最終的にまとめようとしておりますのは、二府県にまたがる場合でもまず原則として両県知事の話し合いによって進めるということにしたいと考えておりまして、二府県にまたがったというだけで、国がみずから乗り出していって特定地域を指定して開発をするということは、やはり地域の方々との接触を十分にするという意味ではところどころに欠陥を持つことになりはしないかということから、国がみずから指定するということについてはむしろやめにしまして、二府県間の知事の話し合いを原則としてやっていただきたい。そのやり方については、地方自治法その他の定めによりまして、その両者の協定をしていただくように考えておるわけでございます。
  150. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 この種の機能、第三セクターのような組織は、あるいは公団の場合もあります。みずから国の投資を受けて、あるいは民間の資金を受けている場合もありますが、それが本来の仕事をしながら、もう一つさらに会社をつくっていこう、もう一つ下請の会社に投資してその事業をやる、こういう機構については割り切れないものを感ずるのです。本来の目的目的で第三セクターの任務があるはずなので、半分も税金を使っていながらまたそのほかの会社に投資をする、二重、三重に金をころがしていくような機構がどの企業にもあるらしい。ここではそういう規約の中で、やることができると規定してありますが、しかし随所に出てくると思うのです。実情を調査するとなれば調べますが、そういうことに対する制限とか禁止とか、特殊会社の性格からいってもそれが本来の使命だけに徹する。それがさらに下請の会社を造成したりして、やろうと思ったら何でもやれますからね、企業外の仕事を。レクリエーションからホテルからサービス会社から、やろうと思えば何でもやれるわけです。やろうとしているところもありますね。やっている例もある。道路公団ようにサービス機能をつくったり、いろいろやろうと思えばやれる。しかしそれを第三の企業体がやるのは、入札その他によって権利を獲得してやるのはいいのですが、その会社自身が、公共投資を受けておる会社自身が資金をまた次々と生み出すというようなことになるとどういうことになるのですか。そういうことに対する機能の制限、目的なら目的、納得つくような公明な方向をきちっと示してないから、そういう権限を利用して次々と、いわゆる会社は、不法行為でないから、定款にあるから、やろうと思えば何でもやれるから何でもやっていく。本来の任務、第三セクターというものの地域開発土地の造成、売買等の任務以外のことをやっても、監督権も行き渡らない。これは私企業だからやむを得ないというが、私企業といったって半額国の金が入っているのですからね。その点についてもう一ぺん議論をしてみてもらいたい。今日第三セクターというのは一つの型になってきている。下河辺さんもおわかりであろうと思うが、思いつきの組織ではないですから。開発途上における一つの定型化された機能になってきている。極端にいえば開発機構の一つですよ。   〔渡辺(栄)委員長代理退席、委員長着席〕 それなのに、何もそれに対する制限もなければ指導機構もない。チェックするものが何もない。野放しで、ただ国の金を半分だけ使いっぱなしで、何をやろうとかってだということではおさまらないのではないですか。
  151. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いまの御指摘の点、心配な点がもし表面化すれば非常に大きな問題であります。したがって、そういうことにならないようにどのような努力をするかということはわれわれに課せられた仕事であると思います。そしていま現在できております大規模工業基地の第三セクターについては、ただいまのところは、国と北東公庫と知事の話し合いによって、その会社がそれに反したことをするとは思っておらないために、現在それをきちんとした制度化をしようということにいまのところはしておりません。しかし、いまこうやって御指摘いただきましたように、新しい方式を確立しつつある過渡期でございますから、現在やっております北海道やあるいは東北地方におきます第三セクターの実績あるいはわれわれの経験を通じて、将来もし必要が出てくればそれをあるはっきりしたルールとして制度化する必要もあるかと存じますが、現在のところは現在の体制で指導をするという形でしばらく進めてまいりたいと思います。
  152. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 だいぶ時間もたちましたし、重複する部分もありますから、これで質問を打ち切ります。時間を超過してすみませんでした。
  153. 服部安司

    服部委員長 次回は、来たる七日水曜日午後十二時三十分理事会、午後一時より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十二分散会