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1973-10-09 第71回国会 衆議院 決算委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十月九日(火曜日)     午後一時二十一分開議  出席委員    委員長 宇都宮徳馬君    理事 木野 晴夫君 理事 松岡 松平君    理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君    理事 庄司 幸助君       阿部 喜元君    臼井 莊一君       塩谷 一夫君    小林  進君       松浦 利尚君    田代 文久君       坂井 弘一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 田中伊三次君         大 蔵 大 臣 愛知 揆一君         農 林 大 臣 櫻内 義雄君         通商産業大臣  中曽根康弘君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         警察庁刑事局参         事官      小林  朴君         警察庁刑事局保         安部長     綾田 文義君         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         法務省入国管理         局次長     竹村 照雄君         外務省アジア局         外務参事官   大森 誠一君         外務省経済協力         局長      御巫 清尚君         大蔵省銀行局長 吉田太郎一君         大蔵省国際金融         局長      松川 道哉君         農林大臣官房長         兼農林省農林経         済局長代理   三善 信二君         食糧庁長官   中野 和仁君         通商産業省通商         政策局長    和田 敏信君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         運輸大臣官房観         光部長     中村 大造君         運輸省海運局次         長       山上 孝史君         運輸省航空局次         長       後藤 茂也君         会計検査院事務         総局第一    高橋 保司君         日本輸出入銀行         総裁      澄田  智君         参  考  人         (海外技術協力         事業団理事長) 田付 景一君         参  考  人         (海外経済協力         基金総裁)   大来佐武郎君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   廣瀬 駿二君         参  考  人         (海外経済協力         基金業務第一部         長)      真崎 謙五君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      河野 通一君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 九月二十五日  辞任         補欠選任   中尾  宏君     小沢 辰男君   中村 弘海君     登坂重次郎君   吉永 治市君     中村 拓道君   稲葉 誠一君    米内山義一郎君 同日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     中尾  宏君   登坂重次郎君     中村 弘海君   中村 拓道君     吉永 治市君  米内山義一郎君     稲葉 誠一君 十月九日  辞任         補欠選任   中尾  宏君     阿部 喜元君   中村 弘海君     臼井 莊一君   吉永 治市君     塩谷 一夫君   芳賀  貢君     小林  進君   八木  昇君     松浦 利尚君 同日  辞任         補欠選任   阿部 喜元君     中尾  宏君   臼井 莊一君     中村 弘海君   塩谷 一夫君     吉永 治市君   小林  進君     芳賀  貢君   松浦 利尚君     八木  昇君     ————————————— 九月二十七日  一、昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算    昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算    昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計    算書    昭和四十六年度政府関係機関決算書  二、昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総    計算書  三、昭和四十六年度国有財産無償貸付状況総計    算書  四、歳入歳出の実況に関する件  五、国有財産増減及び現況に関する件  六、政府関係機関の経理に関する件  七、国が資本金出資している法人の会計に関    する件  八、国または公社が直接または間接に補助金、    奨励金助成金等を交付しまたは貸付金、    損失補償等財政援助を与えているものの    会計に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十六年度政府関係機関決算書  昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十六年度国有財産無償貸付状況総計算書  〔総理府所管経済企画庁)、法務省所管、外  務省所管大蔵省所管農林省所管通商産業  省所管〕      ————◇—————
  2. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 これより会議を開きます。  昭和四十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管経済企画庁法務省所管外務省所管大蔵省所管農林省所管及び通商産業省所管について審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。  本件審査のため、本日、参考人として海外技術協力事業団から理事長田付景一君、海外経済協力基金から総裁大佐武郎君、理事廣瀬駿二君、業務第一部長真崎謙五君、日本銀行から副総裁河野通一君の御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、参考人からの意見の聴取は委員質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  4. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 先般の本委員会で、日韓経済協力関係のうち円借款の問題を、ソウル地下鉄車両に限定して質問をいたしました。その結果、委員長指摘に従って私の手元資料が提出をされたわけであります。この資料経済企画庁並びに海外経済協力基金のほうから出された資料でありますが、これによると、この契約に示されている価格は正当な価格であるという理論的な根拠づけをしておるわけであります。特に韓国地下鉄が高い理由としては、直流交流両用方式を採用していること、あるいは新規の地下鉄であるために製品規格の多くを新たに設計しなければならないこと、あるいは車体が大きいこと、寒冷地向けの特別な配慮をしたこと等々が記載をされておるわけであります。  私も技術的にはしろうとでありますから、直接的な担当であります国鉄当局から資料を聴取したわけであります。国鉄から、いま私たちが一番利用しております最新型の車両について、四十七年度の購入価格を提出していただきました。国電一〇三系に使われている購入価格は一台当たり三千三十万五千円であります。それから世界の最高水準をいくといわれておる新幹線、この新幹線に使われておる車両の一台平均価格は八千二十二万五千円であります。しかも、ここで、直流交流両用だからこれは高いんだ、こういう指摘でありますが、現在、国鉄自体交直流電車を使っております。この交直流電車平均価格を、昭和四十六年度の一両平均価格を出していただいたわけでありますが、その数字は二千八百二十九万五千円であります。どこから見ても六千四百万近くの価格というものは出てこないわけであります。  私はこの前指摘をしたのは、こういった資料を聴取したのではなくて、なぜ高いものを売りつけるのか。特に円借款海外経済協力基金を使う場合には、すでにひもつきであります。日本の品物を買えという限定がされておるわけであります。この前指摘をした資料に対して、それは正当なものであるという政府当局資料でありましたから、それ以降、国鉄当局その他を調査した結果は、依然として私の言っておる疑問点は解明されておらないわけであります。この資料は、一体どういう根拠でこういう資料を出すのか。私は、こんな資料を提出してもらうよりも、むしろ高いものを売りつけないという、ほんとう韓国経済援助であるなら、ほんとう韓国の民生安定のために円借款供与というものが行なわれるとするならば、ひもつきでありますから、できるだけ正当な価格韓国経済援助をする、これが原則でなければならぬと思うのです。そういった意味で、私は出された資料について非常に不満であります。私の申し上げておることが、これは国鉄当局技術者その他から調べた資料でありまして、私の疑問点に何らこの資料は答えておらないのであります。  そこで、私はこの際、公正取引委員会事務局長お尋ねをしたいと思うのでありますが、これは特異なケースであり、相手韓国調達庁であるという問題も介在はしておりますが、いずれにしてもひもつきであります。しかも日本連合という形で、競争条件一つも導入されておらない。しかも日本連合が同じ価格で、それぞれのメーカー系列車両会社発注をしておる。現在の法体系の中では非常にむずかしい問題があると思いますが、これから円借款供与に関して、特にひもつきの場合、こういったケースが種類によって——これはたまたま車両でありますが、その他幾つもの問題がたくさん出てくるわけでありますが、こうした問題について、現在公取でお調べになっておるのか、公取のこういった問題についてのお考え方を簡単にまずお聞かせをいただきたいと思うのです。
  6. 吉田太郎一

    吉田説明員 お答え申し上げます。  いま先生おっしゃいましたように、競争によらないで、相手韓国調達庁でございますか、であろうと、不当な高い価格で納入が行なわれる、それがもしそこに話し合い、協定というようなものがあれば、これはいろいろほかにむずかしい問題がございますが、独禁法上問題となる場合があり得るというふうに考えられますので、現在、関係者等から事情を聴取いたして調査をしているところでございます。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ただいま公取事務局長から、調査中でありますということですから、その結果については本委員会にまた日を改めて中間報告なりなんなりを、委員長のほうで御配慮いただきたいというふうに思います。  それでは、さらに質問を続けます。  きょう、各委員手元資料が配付されております。この資料を見ますと、無償供与の場合は競争条件があるわけであります。無償供与の場合には、この資料によりますと、明らかに競争条件介在をいたしております。ところが、円借款供与の場合についてだけは、これを見られるとわかりますように、発注元の名前も掲載されておりません。ただ単にA、B、Cという表現になっておるこの前申し上げたような日本連合という形で行なわれておるわけであります。  この際、通産大臣お尋ねをしておきたいのですが、やはり円借款供与の場合においても、無償供与のように少なくともひもつきでありますから通産行政としては競争条件介在させ、できるだけ安い価格、妥当な価格韓国経済援助をするそういったシステムを確立しなければ、経済援助円借款供与をやってもやっても、逆に韓国国民からは批判を受ける。韓国の政権からはいざ知らず、韓国国民の犠牲をしいるわけでありますから、韓国国民批判をまともにわれわれ日本国民が受けなければならぬということになると私は思う。その点について通産大臣の明確なこれからの行政、特にひもつき円借款供与に対してのお考え方お答えいただきたいと思うのです。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本連合とおっしゃいましたが、日本連合というのは一般プラント輸出の際に、それぞれのメーカーが最も得意な分野で協力し合い、グループとして可及的によい機械を安く供給し得るようにすることを目的としたものでありまして、高い機械を売りつけることを目的としたものではありません。  なお、本件については、標準外決済として輸出貿易管理令の対象ではありますけれども、価格観点からのチェックは行なっておりません。しかしながら本件入札制でありまして、わが国の各業者グループ間の競争もあるので、御指摘のような、高い値段で売りつけるというような事態考えられません。また、相手国立場に立った経済協力の促進という観点から、今後とも御指摘のような事態を招くことのないように、適切な指導は行なってまいりたいと思います。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、公取のほうの調査によって実態が明らかになってくると思うのでありますが、現に商社の方が呼ばれておるそうであります。この前の本委員会において基金総裁は、結局、形の上では入札の形だが、実質的に随意契約で行なわれておるんだ、こういうようなお話もなさいました。さらに、日本連合の中に四社が介入しておることも、三菱が代表幹事契約しておることも明らかであります。ですから、本件のような事態現実に起こっておるということは、私は無視できないと思います。総裁の言われたことがほんとうであって、そういう正しいことが行なわれておらないところに今日のこういう問題が出てきておるわけでありますから、私は、通産大臣のきびしい行政指導をさらにもう一ぺん御返答いただいた上で本質問を打ち切りたいと思います。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 われわれが外国に対して経済協力をやるという場合には、その国の民生、福祉の向上のために協力するという趣旨政府としてはやりたい考えをもって一貫してきているところでございます。もし業者が高値で売りつけてもうけるというような気持ちでやるならば、これは政府考えと違うところでありまして、そういうようなやり方は厳にこれからも大いにチェックしてまいりたいと思います。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、政府の本意でないことが行なわれるところに問題があると思います。ただ金を貸してやればいいという考え方ではなくて、きびしくチェックをしていただきたい、そのことを大臣の最終的な答弁として了解いたしたいと思います。これからこういう問題が二度と起こらないように申し上げておきたいと思うのです。  それからもう一つは、これを見ますと、韓国は完全に資本自由化をいたしております。したがって、一〇〇%進出企業、もっと言うなら日本会社のダミー的な会社が、一〇〇%資本進出をどんどんと行なっておるわけであります。そのことは韓国自体が認めておるわけでありますから、ここでとやかく言う必要はないと思います。しかし、相手方が一〇〇%資本自由化を認めておるということを前提にしたといたしましても、こういったことが無制限に無秩序に行なわれると、私は、韓国民に対して、経済侵略だという印象を与えると思うのです。韓国政府は、それは当然だ、どんどん資本輸出して一〇〇%の新しい会社をどんどん設立してくれという要求がわが政府にあると思う。しかし、逆に裏返して考えると、そういった行き方が無秩序に無計画に行なわれると、これはたいへんな事態を招くと思うのです。これは、本日のこの委員会に出していただきました資料から非常に心配される点でありますから、その点についてもあわせて大臣から明確にお答えをいただいておきたいと思います。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 海外投資につきましては、出資比率等現地政府外資政策の方向に沿って行なわれておることは言うまでもございません。韓国の現在の外資政策の基本は、合弁会社設立を優先的に認めていくという方針のようであります。しかしながら、馬山輸出自由地域に対する投資については、出資比率が一〇〇%のものでも原則的に認めることになっているようであります。  いずれにせよ、わが国対外投資にあたっては投資受け入れ国との協調融和をはかり、その国の経済発展に寄与するように配慮すべきであり、このような観点から政府としても、投資受け入れ国外資政策に沿うよう積極的に企業指導してまいりたいと思っております。  韓国に対する投資案件のうち出資比率一〇〇%の企業のほとんど大部分は、先ほども申し上げた馬山地域において行なわれている投資であり、これらのものを除けば、出資比率一〇〇%のものが特に多いというわけではございません。私の手元にある資料によりますと、昭和四十五年から四十七年度、許可額五十万ドル以上の企業六十三社のうち一〇〇%出資のものは三十九ありまして、そのうち馬山地区が三十五社でございます。日本側が五〇%以下のものが十七社、五一%から九九%のものが七社、こういう数字でございまして、特に一〇〇%のものが多いという数字ではないと思います。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 特に一〇〇%が多いというわけではないと言われましたけれども、数字的にこの資料から見ますと、現実に非常に多くなってきておる。絶対的に多いという意味じゃない。ですから、私がいま大臣質問をしておるのは、無制限に無秩序にこういった事態が現出をしていくとたいへんな問題になる。韓国民自身日本に対してきびしい批判を加える、逆に言うと経済侵略だ、こういった問題が波及的に出てくるのではないか、そのおそれがあるのではないか。無秩序、無計画なこういったものについては、相手国の了解の上だとはいえ、日本の国益に沿わない問題については、やはりきびしく対処していくべきだ、規律ある考え方に立つべきだ、こういうことを指摘をしておるわけです。私の言っておることが間違っておれば、いや、それは必要ないということなら必要ないという御答弁をいただきたいと思うのです。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 松浦委員のお考えには、趣旨には私も同感でございます。前にも申し上げましたように、外国に対して経済協力を行なうという場合に、質及び量において過大になっていくということは、こちらの善意が、あるいは悪意に誤解されるという危険性も出てこないとは限りません。そういう点からも、われわれはその進出内容について大いに検討して、いやしくも誤解を受けることがないように戒めていきたいと思います。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、地下鉄関係の問題については、一応これで質問を終わらせていただきます。  さらに、新たな問題として、実は東シナ海石油資源の開発問題についてたいへん疑問がありますから、その疑問点お答えをいただきたいと思うのであります。  まず、なぜ私がこの問題に疑問を持ったかということについて御説明をしておきたいと思うんです。  それは実は四十八年の四月七日、矢次一夫さんが週刊東洋経済の「日・韓・華連絡委員会設立——「わが戦後記」の二十のところにこういうことを書いておられたわけであります。  「紛争の火種になる大陸棚開発についても、日本側三村起一委員長に、エネルギー関係者に集まってもらって、委員会を作った。韓国、台湾にも同様に、それぞれ別個の委員会を作ってもらい、この連絡も三国の連絡委がとるということにしたんです。そのうえで、尖閣列島のほうは中共を刺激するだろうから、しばらく様子を見ることとし、まずモデル・ケースとして、日韓間の大陸棚を中心に話を進めようということになった。ところが、新聞がガ然といってよいほど、この問題で大騒ぎをし、大きく書き立てるものだから、以来極秘というか、忍者的方法でよきタイミングをとらえつつ話を進め、昨年五月」これは四十七年の五月の意味だと思います。「昨年五月、日韓協常任委員会ソウルで開かれた際、うまいチャンスがあったので、私が政府首脳者に話を持ち込み、これがトントン拍子にまとまったわけですよ。そこでこれを駐韓・後宮日本大使の手に渡して外交ルートに乗せ、帰国後通産省にも話の内容を伝えた。以後はいっさいノータッチですから、」云々。  こういう記事が実は四十八年四月七日の週刊東洋経済に書かれておったわけであります。  私は非常に疑問を持った。矢次一夫さんという人は一体どういう人なのか。この人が一体政府通産省——これは通産省と書いてあるのですよ。当時は中曽根通産大臣であります。通産省あるいは外務省、こういったところに、外交ルートに乗せるように進言をする。韓国に対してもそういうことをする。矢次一夫さんは日韓協力委員会主要メンバーのお一人であります。日韓協力委員会というのは、岸さんが日本の場合会長でありますが、一体どういう役割りをしておられるのか。矢次一夫さんがここで指摘しておるように、こういった政府間で話し合うべき内容にまで介在できるのか、一つの提案に対してこういった進言をやれる立場にこの協力委員会というのはあるのかないのか、その点をひとつまず、通産大臣でなくてもけっこうですから、このことはたいしたことはないということでしょうから、事務局の方でもけっこうです。御答弁いただきたい。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、矢次さんから、そういう石油共同開発に関する問題について、助言を受けたことも、あるいは勧告を受けたことも、報告を受けたこともございません。第一、そういう問題で会ったことはございません。したがって、通産省に関する限りそういうような事態はありません。  また、民間経済団体あるいは有志が、隣国と経済あるいは文化、社会の交流を促進して親善友好をさらに積極的に進めようということで、いろいろ共同委員会や何かをおつくりになっていることはけっこうなことでありまして、そういう点で民間活動が活発になることは、民間外交としてもこれは歓迎すべきことであるだろうと思います。そういうような両方の話し合いの中で両方で気のついたことや、こうやったらいいだろうと考えるようなことを政府進言するということも、これは大事な国民活動一つであって、政府はそういう進言については、これに十分耳を傾けて聞く用意があります。ただ、取捨選択は政府が責任をもって行なわなければならない、そういうように思っております。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま大臣は、矢次一夫さんからそういった話は聞いたこともないし、話したこともない、一般論的には民間経済協力団体政府に対していろいろ進言することはあってよろしい、こういう御説明でありましたが、私はこの点について非常に疑問に思いましたから、いまから一つ一つ質問をいたしますので、それぞれの皆さん方で御答弁をいただきたいと思うのであります。  まず第一点は、この「東支那海海底地質構造と、海水に見られるある種の特徴に就いて」という資料、これは通産省のほうからいただいたのでありますが、昭和四十三年エカフェ東シナ海調査をいたしまして、石油にして二十億トンあるいはそれ以上の数百億トンの石油埋蔵量があるのではないかということがエカフェ調査で明らかになってから、実はこの東シナ海における海底資源の問題が表面化してきたわけであります。  そこで、まず通産省のほうにお尋ねをいたしますが、日本石油開発株式会社がこの東シナ海の海域についての鉱区の出願をいたしております。これは通産からいただいた資料でありますが、昭和四十三年十二月から四十八年に合わせて一万七千二百四十七件出願されております。この昭和四十三年十二月の八千二百七十九件以来これらのものを全部チェックをいたしますと、これは通産省資料でありますから、これらの出願を全部まとめると、優先権のあるのが——優先権があるというのは、この日本石油開発に優先権があるという意味です。優先権があるのは約五千三百キロ平方で次の点を結んだあたりとなります。北緯三十二度四十分から東経百二十七度二十分、二番目が北緯三十度四十六分から東経百二十六度、三番目が北緯二十九度四十分から東経百二十六度四十二分、四番目が北緯二十九度四十分から東経百二十七度四十五分、五番目に北緯三十一度四十七分から東経百二十八度三十三分、六番目に北緯三十二度二十七分から東経百二十八度十八分、こういうことで、その図面はちょうど長崎県の男女群島沖百四十四マイルの地点に当たる四角い地域になる。これは通産省からいただいた日本石油開発株式会社出願についての資料でありますが、この私の手元に来た資料は間違いないかどうか、その点だけお答えをいただきたいと思うのです。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 事務当局より御答弁申し上げますが、その前に、この問題に関する基本的な考え方を私から申し上げてみたいと思います。  日韓大陸だな問題につきましては、昭和四十五年以来法律的な観点から話し合いをやってまいりました。韓国側は大陸だなの主張を持っておったようであります。しかし、わが国のほうでは、大体イギリスが北海で油を掘っておりますけれどもこの間田中総理が行ってその問題についてもいろいろお話しになったのは新聞で御存じのとおりですが、やはりドイツあるいはEC諸国との協力ということを考えて、北海の公海で国際協力で開発をやっておるようでありますし、またアメリカのノーススロープの問題でも、やはり国際的に数カ国の協力でやっておるようであります。で、日本立場といたしまして、そういう国際的な紛争、これは平和的に話し合いで解決するという国是を持っておる国でございますから、韓国側の大陸だなの主張に対して、わがほうがいままで考えてきた一応の中間線というような考え方が対立した場合に、これを両方でよく話し合って、理解し合って話し合いで解決するというやり方は賢明なやり方であって、これは善隣友好を考える両者の生活の知恵であると私は思うのです。そういう意味共同開発ということで話し合いがつけばけっこうなやり方である、中間線付近におけるそういう話し合い問題につきましては。そういうことで、昨年の第六回日韓定期閣僚会議の際に、双方の法律的主張は害さないという立場に立って、現実的な解決方法として共同開発構想を検討しようということで意見が一致して、自来事務的にその詰めをやってきたというのが現在までの立場でございます。  そういう考えからいたしまして、日本列島の周辺に、外国との中間線の近所に資源その他の問題が将来も起きるという場合には、私は話し合いによって解決するという姿勢がやはり好ましいし、賢明なやり方であると思って、この韓国の場合はその一つのテストケースである、そう考えてきたわけです。問題は、その話し合いの内容が不当なものや不合理なものであってはいけないということで、いまその内容につきましては外交交渉でいろいろ詰めをやっておる最中である、こういうふうに御報告を申し上げる次第でございます。  鉱区の問題については、事務当局から御答弁申し上げます。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、はやる気持ちはわかります。質問をする前に大臣がその結論を言われる、その気持ちはよくわかります。しかし、聡明な大臣が、私が事務当局に簡単な鉱区のことの質問をしたのに対して、いまの御答弁をなさったのは、少し——私は大臣ですから何をやってもいいと言われれば、これは別ですけれども、やはり質問お答えをいただきたいというふうに思うのです。大臣のほうから結論だけさっさっと言われて、私の質問は一体——あそこら辺で笑っておるけれども、やはり私は、質問に答えるのが委員会の方式だと思いますね。ですから、事務当局のほうは、もう答えていただかなくてけっこうです。  それじゃ、いま大臣が言われたその結論が妥当なものかどうか、ほんとうにそういう結論で進んでいったのかどうか、その経過についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  先ほど資料が四十三年の十二月、しかも日本石油開発株式会社優先権がある、こういうことはもう通産省資料で明らかでございます。ところが、大臣お尋ねをいたしますが、大臣はウェンデル・フィリップスというアメリカ人を御存じですか。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 名前を聞いたことがございます。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私がこの「フーズ・フー」の資料を翻訳をしてみますと、この人は、いろいろな石油産出国あたりに行っては、まあお金もうけをする、そういった、要するに国際的な何といいますか、外国人ですから、敬意を表してあまり極端なことは言えませんが、いずれにしても外国をまたにかけてもうけることをやる人なんですね。ウェンデル・フィリップスさん。  ところが、先ほど言ったように、エカフェのほうの調査日本石油開発株式会社のほうがこういうふうに出願をした。ところが突然、一九七〇年一月、韓国で海底鉱物資源開発法というものを設立した。そして一九七〇年五月末には、同法に基づいて朝鮮近海から東シナ海にかけて七つの開発指定海域を設定した。そして大体一九七〇年の二月二十七日ごろまでに第六区までの鉱区の指定を終わり、それぞれのアメリカ資本との契約を終わったわけですけれども、第七区については、韓国自身は先ほど言った日本との大陸だなの関係の問題があるので、一応韓国側も実際には保留をしておった。そのことは事務当局の方、わかっておられるでしょう。その点だけについて、ひとつ私の言っていることが間違っているかどうかお答えいただきたい。第七区だけは韓国側はあと回しにした。それは日本の日石が出願をしておるという関係から、日韓の関係があるので、それをストップをかけておった。
  22. 熊谷善二

    ○熊谷説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいました第七鉱区までの鉱区設定を韓国政府が行なったと私どもは承知いたしておりますが、この中で第四鉱区、第五鉱区、第六鉱区、第七鉱区につきまして、日本側の鉱業法に基づきますところの申請と重複をしておるところがあるというふうに承知いたしております。  ただいま先生がおっしゃいました第七鉱区につきまして韓国政府が保留をしたかどうかという点につきましては、詳細は承知をいたしておりません。  以上でございます。
  23. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ私のほうの調べを申し上げておきたいと思うのです。大体第七区というのは、もうほとんど全部日本の日石が出願をした地域に当たるわけです。そこで、先ほど大臣がお話しになりました大陸だなに関する条約、これは日韓ともに当事者国にはなっておらないわけであります。しかし、国際的な常識からいって、二つの国がある場合には隣国との中間線をとる、これが国際法上の取りきめになっておるようであります。これは大陸だな条約第六条一項によって明らかであります。この第七鉱区というのは、ほとんど全部が中間線から日本に入る。そのことは事務当局はお認めになりますか。
  24. 熊谷善二

    ○熊谷説明員 お答えいたします。  大部分が中間線から日本側にということになる点だろうと思います。
  25. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこで日本通産省では、海底鉱物資源開発法が韓国でつくられて、そのとたんに第一区から第六区まで、どんどんどんどんとアメリカの石油資本との契約が始まった、そこで境界の調整に入ろうとしたやさきに、ウェンデル・フィリップスというのが朴大統領に対して許可の申請を出した。そして一九七〇年の九月二十四日に、韓国側はこのウェンデル・フィリップス氏に鉱区権を与えた。どんどんどんどんその海底鉱物資源開発法によって、日本の近海までずっと鉱区の指定を受ける。鉱区の指定を受けるだけなら、向こうが鉱区を設定するだけならいいが、どんどんとアメリカ資本に開発の許可を与えていく。日本政府が、さあ、たいへんだというときに、このウェンデル・フィリップスさんという人が登場して、この個人に韓国の朴大統領が、韓国政府が許可を与えた。そのことはお認めになりますか。その契約が一九七〇年の九月二十四日です。その点は知っておられますか。
  26. 熊谷善二

    ○熊谷説明員 お答えいたします。  当初ウェンデル・フィリップス社一社であったかどうか、私は詳細には実は承知はいたしておりませんが、現在の鉱区権者は、ウェンデル・フィリップス社以外に、さらにユニバーサル・オイルあるいはハミルトン・プラザーズ等々との提携によりますコーリアン・アメリカン・オイルというのがこの第七鉱区につきましての鉱業権者であるというふうに承知をいたしております。
  27. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこで、一九七〇年九月二十四日にフィリップス個人に許可を与えた。翌年、このウェンデル・フィリップス氏という人は、これはいま御指摘になったように、ユニバーサルあるいはタンカー・シップというところに権利を分け与えて、実質的にウェンデル・フィリップスが持っておる権益というものは一〇%にしかすぎない。そしてそれを、いま御指摘があったようにコーリアン・アメリカンという会社設立して、ここの鉱区の探鉱に入る、そういう状態なんでしょう。その点はお認めになりますか。
  28. 熊谷善二

    ○熊谷説明員 お答えいたします。  この重複しております鉱区につきましては、試掘をするといったことにつきましては、日本側におきましても、それからまた韓国側におきましても、地域が重複している点でございますので、行なわれることはないと思いますが、いま先生が御指摘のとおり共同による会社として、韓国側は新会社によりまして体制づくりをやっておるということは承知をいたしております。
  29. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それまでこのウェンデル・フィリップスさんという人が介在をして、この人はこういうことをずっとしてきた人なんですね。ずっといままでもしてきておるので、調べられたらすぐわかる。「フーズ・フー」で調べてもいいし、見られればわかるのです。  ところが問題は、そういうふうにして、大陸だな条約によれば当然わが国の領海に入るべきところに第七鉱区を設定して——先ほど大臣が言ったのは中間線を中心にして両方ですけれども、この第七鉱区については、もう大半が中間線から日本側に入る区域です。そこで、あわてて石油鉱区を調整するための話し合いを、通産省鉱山石炭局開発課総括係長、それから韓国側から韓国の鉱産課長が出席して、一九七二年の二月十二日から十三日にかけて事務レベルの話し合いをなさったでしょう。当時の通産省鉱山石炭局開発課総括係長韓国側は鉱産課長、そしてこの第七鉱区を中心とした鉱区の調整をするその話し合い、事務レベルの話し合いに入ったでしょう。そういう会議、やらなかったですか。
  30. 熊谷善二

    ○熊谷説明員 お答えいたします。  日にちの点につきましてはちょっと確認はいたしかねますが、韓国のこの大陸だなをめぐります鉱区の問題での意見調整につきましては、日本側は、先ほど大臣が申し上げましたように、いわゆる沿岸からの中間線という主張を持っておりましたし、また韓国側は、いわゆる大陸だなの自然に延長するところまでという考え方を持っておりました。両国政府の間の意見がまとまらないという状況でまいっておりましたので、鉱区等につきましての事務レベルでの意見の交換あるいは主張のし合いといったことは、両国の政府当局間において事務的にかなりの期間続けられてきたことは事実でございます。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そのときに開発総括係長と韓国の鉱産課長との間で、できるだけ早い機会に東シナ海の大陸だなに日韓両国の境界線を引くようにしようではないかということが最終的に事務レベルで話し合われたという事実については、お認めになりますか。最終的に日韓両国で、早い機会に境界線を引こうではないか、こういう話し合いが事務レベルの段階で行なわれた——これは事務レベルの話ですからね。そのことについてお認めになりますか。
  32. 熊谷善二

    ○熊谷説明員 お答えいたします。  この境界線問題につきましては、通産省のみならず外務省と一体になりまして、それぞれの国益に関する問題といたしまして、先方と連絡あるいは打ち合わせ、意見交換を今日までやってまいりましたが、詳細については手元資料がございませんので御了承いただきたいと思います。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 詳細についてはまあかんべんしてくれと、こういうことですが、それじゃさらに具体的な事実についてお尋ねをしたいのですが、そのあと、その一九七二年二月のあと五月ごろ、日韓協力委員会が開かれたことについては、通産省は承知しておられますか。
  34. 熊谷善二

    ○熊谷説明員 お答えいたします。  日韓協力委員会は、昨年の七月末に行なわれております。
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 失礼しました。私のミスです。七月末に行なわれておるのですが、そのときに、私が冒頭申し上げた矢次一夫さん、この方もその委員会にメンバーとして参加をしておられたということについては把握しておられるでしょう。
  36. 大森誠一

    ○大森説明員 私どもの持っております資料によりますれば、矢次一夫氏が一応出ておられたというふうに了解しております。
  37. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこで大臣、この矢次一夫さんの言っておることが正確になってくるのです。そのあと一九七二年九月五日、六日と日韓閣僚会議が開かれたことはお認めになりますか。
  38. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昨年初夏のころ日韓経済閣僚会議が開かれて、私も出席いたしました。
  39. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そのときに韓国ロビーといわれる政財界人が、この矢次一夫さんを中心にしていろいろと話し合いがあった。  そこで、さらにお尋ねをしておきたいのですがこの日韓閣僚会談のあと秘密会が開かれておることについては御承知でありますか。その秘密会には大平外務大臣中曽根通産大臣、それから韓国側から金外相が御出席であります。
  40. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この石油共同開発の問題は韓国側はいわゆる自然延長論、大陸だな説を固執しており、日本側は中間線論を固執して、事務レベルでは膠着状態で、どうしても動きがとれなくなった状態であったわけです。それでわがほうは大平外務大臣、われわれ相談をして、いつまでもこういうふうに膠着状態にしておくなら貴重な資源が寝てしまうし、油の問題というものは日本の国家にとっても重要な問題でもある、これを打開しよう、そういうことでわれわれも弾く要請をし、先方も共同開発でいくことがいいだろう、そういう考えを持たれて、そこで朴大統領もそれに賛成されたということが出てきて、それでは、そういう基本的考え方がどういうふうに運用できるか、ひもを解いていくことができるかという相談をしようということで、いまのように、向こうの外務大臣と当方の私と大平さんが話をしました。そして基本的に共同開発の路線でいこうということをそのときに話し合ったと、そういう事実はあります。それ以上のことはございません。
  41. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その事務レベル段階で日韓両国の境界線をなるべく早く引こうではないか、こういう話が進んでおるさなか、日韓協力委員会が七月に開かれ、そして矢次一夫さんが言われたような、そういった共同開発構想というのがこの日韓協力委員会から出されて、そして一九七二年九月五日、六日の日韓閣僚会談における秘密会というものが現存しておったという経緯を見てきますと——いまうわさによると、韓国側で、石油のもうけの三%は政治献金されるのだ、日韓両国の有力政財界人、そういった者を含めて三%の権益というか利益というものが配分されるのだというようなうわさが飛びかっておるのですね。そのこと自身、私が出席して、あるいはどなたかを調べて、いろいろと調査をして確定的に申し上げることはできませんが、そういううわさが飛びかっておることは事実なんです。そういううわさ、三%の上がりを政治献金なり、あるいはどういうことか知りませんが、もらうといううわさが飛んでおるんですが、そこに非常に不明朗なものが介在をしておる。結果は何か正当化されておるようだが、事務レベルの話し合いから急に共同開発に移行した過程で、矢次一夫さんがここで「わが戦後記」の中で言われておることも含めて、これは私の憶測でたいへん申しわけないですが、そういった変なうわさもあることは事実です。そのことは私は確認はしておりませんから、そうでないことを望みたいと思うのです。しかし、表面に出たことについて、ひとつ大臣から、そのことはないということを、私は前提にしたい。そういう三%の上がりなどというのはうわさ程度だということで、私はそのことをここで深くいろいろ追及したい。そのことをここで肯定をするつもりはありません。むしろ否定をする立場で、以下質問をしたいと思うのです。  それは、その共同開発をするということに対して対韓借款供与一億七千万ドルの見返りという問題が議論されたんではないか。共同開発をするそのかわり、日本政府は対韓借款供与一億七千万ドルを見返りとして出す。そのことが政府間レベルですでに話し合われておるんではないか。その点について、これはどなたでもけっこうです、大臣からでもけっこうですが、お答えいただきたいと思います。
  42. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 共同開発の見返りとして一億七千万ドルの借款をやったという事実はありません。これははっきり申し上げておきます。これは昨年の日韓経済閣僚会議を前にして、韓国側と日本側で相談すべきアイテムがちゃんとありまして、そのおのおのについて日本側はどういう態度で臨むかという事前の準備を各省が共同して検討をやり、その前に閣僚でどういう話し合いまで進めるかという話も検討して、そして臨んだのでありまして、石油共同開発という問題はその経済閣僚会議の話の一部であって、その石油共同開発のために一億七千万ドルといまおっしゃったそういう巨額の金を出す、見返りに出す、報償に出す、そういうようなことをやったことは断じてありません。各経済協力事項のアイテム、アイテムについて、その合理性、必要性、日本の能力、そういうものを勘案検討して、アイテムごとにこれは決定したのであります。
  43. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは対韓借款供与一億七千万ドルについては、将来ともにないということですか。そのことだけ独立して質問いたします。その日韓閣僚会談で、まだ交換公文等は最終的には出されておりませんけれども、現実に対韓借款供与一億七千万ドルという数字について議論されたこともないし、今後もそういうことはない、そういうふうに断定的にいまの大臣の御答弁を受け取ってよろしいですか。
  44. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 正確な数字は事務当局から御答弁申し上げますが、各アイテム、アイテムについて先方から要望があり、それに対して当方はその可能性や妥当性を論じ、そして各省からもおのおの代表が行きまして事務的にもいろいろアイテムごとに詰めて、そしてその事務レベルにおける話し合いをある程度進行させ、それを中間的にまとめて当時の共同声明にうたわれたわけであります。事務レベルにおける手続というものは、その後いろいろまだ国内的にもございましょう。それがいまどういう程度の進行状態になっておるか、額においてどうかということを、私はいま正確にここで持っておりません。その点については事務当局から答弁させます。
  45. 御巫清尚

    ○御巫説明員 一億七千万ドルの点についてお答え申し上げますと、一億七千万ドルという、合計した金額が円価であらわされますから、当時の換算レートでドルに直すとそうなったのが、昨年の日韓閣僚会議共同コミュニケの中であらわれました経済協力のアイテムの約束額の総額になるということは確かでございます。  中身を申し上げますと、御承知のとおり、まず第二次の緊急商品援助、これが五千万ドル、それから通信設備改善のための経済協力、これが二千万ドル、それから輸出産業育成のための経済協力、これが二千万ドル、それから最後にセマウル運動の中の挿橋川と申しますものと、界火島と申します場所の二つのプロジェクト並びにその他適当と思われるプロジェクト、それ全体につきまして八千万ドル、この全体の合計が一億七千万ドルということになっております。しかし、これは大臣から御説明がございましたように、その大臣方のお話し合いの前にもう事務的に打ち合わせして、大体きまっておった金額でございます。
  46. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこで、この一億七千万ドルがいま言われた内容であることも事実です。しかし、そのときに日韓共同開発という問題が合意したことも事実です。  そこで、さらに大臣お尋ねをいたしますが、大臣が冒頭言われた中間線は、中間線をはさんで両方に六分四分とか、あるいは五分五分とか、こういったところならこれは別です。第七区については完全に日本の領海です。大陸だなに関する条約からいけば、中間線をとるとすれば一第七鉱区だけは完全に日本の領海という主張のできるところなんですよ。それは共同開発じゃなくて、日本の領海、日本の資源に韓国側が協力する、こういうことに逆になるのじゃないですか。
  47. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本の領海では必ずしもないので、公海であります。公海に関する限りは現在各国がいろいろな主張を持っておって、国際的には国によってみな対立が起こっておる問題であります。そういうような国際紛争の性格を持ってくるこういう問題を未然に防止して、話し合いで解決して、そして資源をお互いに有効に活用し合う体制をつくるというほうが賢明な政策である、私らはそういう考えに立って共同開発に賛成したものであります。
  48. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、先ほど言いましたように、大陸だなに関する条約、これに加盟しておろうがどうしようが、両国間の中間線をとるというのが国際法上の定めなんですね、両方意見が合わない場合は。その中間線から日本側に寄っておる領海であり、公海ですね。それにウェンデル・フィリップスという個人が介在をしてきて、いつの間にかアメリカ資本がその権益を持っておる。そうして日本側との共同開発。しかもその会議において一億七千万ドルの借款が議論されてコミュニケされるということになりますと、一体日本政府は資源を確保するあまり、国際条約その他に定められておる問題点についても大幅に譲歩する、これからもそういうふうにしていくのだ。たまたまこれは韓国だったのですが、それでは今度は中国なんかどうなるのか。極端に言うと、石油資源というものを中心に考えるあまり、日本の国益である国際法上の条約の理論的な根拠にも立たずに、要するにそのことが国益だといって共同開発行為をやる。本来なら日本に占有権があると通産省でも資料を出しておる。その占有権のある日本の鉱区に対して、韓国側がウェンデル・フィリップスの知恵を受けて鉱区を設定する。その問題がこじれてくると、共同開発だという形で、いつの間にか中間線というものを大幅に譲歩して、共同開発というものに進む。それでは一体中国との関係はどうなるのか、中国もそういうふうにするのか、そういった点で私は非常に疑問が残る。  そこで外務省お尋ねしておきたいのですが、これからもそういった海底資源についてはこういったシステムでいくのか。韓国一つの例をつくってしまったのです。かりに、国交回復した中国との関係は一体どうするのか。ただ単に韓国との共同開発だけで問題は済まされないのです。御承知のように尖閣列島の問題も出てきている。こういったものについて外務省はどのように整理をされようとするのか、ひとつ局長のほうからお答えをいただきたいと思います。
  49. 大森誠一

    ○大森説明員 日本韓国との間の問題につきましては、双方の主張が対立したまま解決を見なかったという事情、それからさらに、その間韓国側が一方的に国内措置を進めつつあったという事情、これらの事情にかんがみまして、緊急に実際的な解決をはかるという趣旨から韓国側との話し合いを開始した次第でございます。  私どもといたしましては、特に韓国のような非常に日本に近接している国との間においてこの種の問題が発生したものであって、ほかの国との問題につきましては、現在のところさような問題は生じないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  50. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう私の持ち時間がなくなりましたから、これ以上詳しく質問することができませんけれども、いずれにいたしましても、今度のこの日韓共同開発問題についてはもっとオープンにしてもらいたい。陰にこもり過ぎておる。日韓協力委員会矢次一夫さんがこういうことを公式に「東洋経済」に発表なさっておられる。うわさも飛んでおる。この際、まだ外交交渉の過程ではあるだろうと思うけれども、こういった問題についてはすべてオープンにしてもらいたい。そして、どういう形でどういうふうにして開発をするのかそして利潤はどうなるのか、今後の中間線の問題については日本はどういう立場で臨むのか、そういった問題について、私は国民の前に明確にする必要があると思う。どうもこの経過をたどってみると、経済援助というものも含めて、当然き然たる態度で臨むべき大陸だなの問題についてすらからませてしまっておる。経済行為と外交というものをちゃんぽんにしてしまっておる。しかも、そのちゃんぽんにすることはいいが、国際法上の理論的な筋すらもどこかで間違ってしまっておる。私は、こういった問題について、もう少し外務省通産省もオープンにしていただきたい。その点を強く要望しておきたいと思うのです。  そこで、一体いつ共同開発行為についての全貌を明らかにすることができるのか。日韓共同石油資源開発に関する条約というのですか、そういった条約等を含めて、いつ国民の前にすべてをオープンにできるのか。経費の問題、そういったものについて明確にお答えいただいて、私の時間が来ましたから、質問を終わらしていただきたいと思います。
  51. 大森誠一

    ○大森説明員 ただいま、本件条約につきましては、韓国側との間で細目の詰めの交渉を行なっているところでございます。署名されました際には国会の御承認を求めるべく手続をとる意向でございますので、御承認を仰ぐ段階で詳細を明らかにいたしたい、かように考えております。
  52. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その場合には通産省のエネルギー庁のほうにもお願いをしておきます。この日本石油開発株式会社出願をしてからの経緯ですね。韓国側の鉱区設定してきた経緯、こういったものも含めて、その節は全部明らかにしていただきたい。その点は通産省事務当局、よろしいですか。
  53. 熊谷善二

    ○熊谷説明員 資料につきましては、できるだけ整備いたすつもりでございます。
  54. 松浦利尚

    松浦(利)委員 時間が来ましたから、質問を終わります。
  55. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 委員長から特に申し上げますけれども、この問題は、日本国民的な権益というものがうやむやのうちに、外交交渉の中で妙な結論になるおそれがありますから、ひとつしっかり資料を提供していただきたいと思います。いずれ決算委員会で再び取り上げたいと思います。  小林進君。
  56. 小林進

    小林(進)委員 私に与えられた時間はわずかでございますので、ほんの項目をあげて資料要求する程度にとどまるかと思いますが、関係大臣のほうもひとつ簡潔、要領よくお答えを願いたいと思います。  まずこれは法務大臣、外務大臣両方お尋ねをいたしたいと思いますが、金大中さんの問題を中心にして、国民が対韓国問題に血道をあげるような状態になってきたのでありますが、したがってこれを中心にして、韓国の問題のいろいろの醜悪な事実が国民の前に明らかにされてきたわけであります。対売春の問題、対わいろの問題、対リベートの問題、あるいは覚せい剤の問題等、実に日韓両国の間には、国民の良心や魂を麻痺するようなもろもろの醜悪な問題が出てきております。こういうことを私は深くえぐり出せないのが非常に残念でありますけれども、何しろ時間がないのであります。  順序を追ってひとつ申し上げます。  第一には、やはり金大中氏と韓国政府との関係でございますが、いずれにいたしましても、金大中氏がわが日本の国土から不法な形で拉致をせられていったことは事実であります。その拉致をした者が韓国の公権力に基づくわが主権の侵害であるかどうか、一点そこに疑点が残されておるわけでありますけれども、もはや世人はだれも疑う者がない、韓国の公権力によってわが日本の主権が侵されたと思っておるのでありますけれども、しかし、まだ政府当局韓国だけは、そうでないという疑問点を残しておられる。  その問題はしばらく疑問を残しておいて、かりに韓国政府にあらざる者によってであろうとも、不法な形で日本から金大中氏が拉致せられていったことは事実であります。拉致せられていったその事実の上に、韓国政府が拉致した者と意思の疎通があったかいかんは別にいたしましても、その事実の上に立って韓国政府が現在金大中氏の身柄を拘束していることは事実であります。その身柄を拘束している韓国政府に対してわが日本政府あるいは捜査当局は、当然の日本の主権に基づく捜査権の発動として、不法に拉致せられた金大中氏を捜査の必要上日本政府にひとつ返してもらいたい、この要求は私は正当であると思う。それを韓国政府が返さないことは、一体この事実をあなたは何とお考えになりますか。私をして言わしむれば、これこそ国家主権に基づく日本政府の捜査権を韓国政府が妨害をしていることになるではないか、間接には韓国政府がやはり日本の主権を侵犯していることではないかというふうに私は解釈するのでありますけれども、一体政府当局はどうお考えになりますか。
  57. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 御意見は、私もそのとおりごもっともと思う。ただ、一言申し上げたいと存じますことは、からだが日本におったのが韓国に移されておる、それ自体が問題ではないかというおことばはそのとおり思えるのでありますが、だれが連れていったのか、拉致したのは何びとか、個人か国家機関か、これを明白にいたしませんと主権の侵犯は明白にならぬ、原状回復というものは国際法的には明白にはならぬのであります。その国際法的に何びとの行為であるかということを明白にするために時間がかかっておる。何ぶん関係者が日本にいないものでございますから、捜査当局も非常に骨が折れる、時間がかかるという事情にあることを御了承をいただきたいのであります。
  58. 小林進

    小林(進)委員 法務大臣、私の質問をひとつよく聞いていただきたいと思います。  だれが身柄を持っていったかということは、いまも言うように、それは疑点が残っている。だから、それはいいというのです。しかし、その事実の上に立って、だれが持っていったか知らぬ身柄をいま拘束しているのは韓国政府じゃないか。その事実の上に立って、いま金大中さんの身柄を拘束しているのは韓国政府じゃないですか。そして日本の正当な捜査権というものを妨害している。少なくともわが日本の主権に基づく警察当局の捜査権の発動を妨害しているのも、現在身柄を拘束している韓国政府じゃないか。だから、この現状を正しくすなおに見るならば、韓国政府はわが日本の正当なる捜査権の妨害をしておる。そのわが日本の警察当局の捜査権はどこから出ているかといえば日本の主権から出ているのだから、したがって、その日本の主権を、間接ではあるが韓国政府が妨害しているというこの法的理論は成り立つじゃないか、私はそれを言っているのです。これはあなたも否定できないと思う。これは事実でしょう、捜査権の妨害なんですから。その妨害をしている韓国政府に対して、何で一体日本政府は遠慮をして、その身柄の返還の要求をもっと強くできないのかと私は思う。なぜできないのか、私はそれを要求している。  また繰り返して言いますよ。韓国政府と、拉致していった者がだれだか、その間に意思の疎通があったとは私は言わない、あるいは内面にツーツーがあったとまでは言わないけれども、それはもう明らかな事実だ。あなたの六感は正しいのだけれども、まだ六感論は出さないが、しかし、現実に押えているものは、不法な行為に基づいて連れていった金大中さんをいま拘束しているのは韓国政府なんだ。不法な行為に基づく行為を、現実にそれを活用し利用して、日本政府の正当な捜査権の要求に応じないのは韓国政府なんですから、なぜ一体日本政府としては、その返還の要求を強くできないのか。国辱の問題じゃありませんか。同時に、金大中さんという世界的な人の一つの人権問題じゃありませんか。私は、この政府のへっぴり腰がどこに由来しているのか、それを聞きたいのであります。  巷間伝うるところによれば、どうも韓国の国会等では、日本政府に占領せられること三十六年、その恨み骨髄に達しているときにいまさら日本の主権問題とは何事だという意見があるというのでありますけれども、これこそ私は、実に攻撃の矢面のはずれた牽強付会な詭弁であると思っている。われわれは、それがあるがゆえに日韓のいわゆる国交を回復して、三億ドルの無償、二億ドルの有償、そのほか民間の借款として二千億に近い金を韓国投資しているじゃないですか。わびもしているじゃないですか。それをいまさら、三十六年の恨みをもって金大中さんの問題をすりかえられるなどということになれば、日本政府は実に韓国の強弁の前に腰を抜かしている。日本国民の独立を売るような売国の政府であるとまで言いたいほど、私は悲憤にたえない。もし日本に三十六年の恨みがあるなら、まだ国交回復もしていない北鮮政府が言ってくるならば、われわれは謙虚におわびもいたしましょう。韓国政府からそれをもって金大中事件をすりかえる理由はないと私は思う。  いま少し政府は強く出れないのですか。国民は、現在の政府のやり方、韓国政府のやり方に納得しません。き然とした決意をひとつ私は表明していただきたいと思います。
  59. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 法理論に関する御質問でございますから、私からお答えを申し上げます。  先生仰せのように、返すべきものを返さない、捜査のじゃまになる、捜査権の侵害ではないか、主権の侵害ではないかという御議論は、たいへんよくわかるのでありますが、からだが現在韓国の自宅にあるのは、本来日本にあったものを本人の意思に基づかずして拉致されたのだ、その拉致をだれがしたかということが根本でございます。先生の仰せのように、捜査のじゃまをしておる、捜査権の侵害をしておる、主権の侵害ではないかと言うが、それが主権の侵害という結果を来たすのである、主権の侵害の責任はそのこと自体で韓国にあるということは、国際法上無理ではないか。韓国に責任ありと言うためには、拉致した行為それ自体が韓国政府の職務行為に基づくものであるということの立証が必要になる、これが法理論として当然ではなかろうかと思います。
  60. 小林進

    小林(進)委員 私は、田中さんとはいつも意見が食い違いますから、これ以上は言いませんけれども、繰り返し聞いてくださいよ。不法に拉致したというその事実を活用し利用しているのが現在の韓国政府じゃないかと私は言っているんですよ。その不法な行為をもし不法と正しく認識するならば、一応日本政府に身柄を返して、そうして韓国政府がいま言っているように——金大中さんに被疑がある、あるいは韓国の反共法あるいは治安維持法、法律に対する被疑があるから身柄を拘束していると彼らは言っている。それなら、被疑があるならば、一たん日本政府へ返し、原状に返して、外交交渉に基づいて、金大中さんをあらためて日本政府に身柄を返してくれ、あるいは韓国政府の被疑者であるからと言う、それが外交上の正しい両国間のやりとりでなければならないと私は思っておる。不法に監禁せられた——だれが監禁したかわからぬけれども、韓国政府はおれは知らぬと言いながら、知らない人がやった不法な拉致を活用して、利用してその身柄を拘束して、正当なわが日本の捜査権を妨害をし、じゃまをしているというそのことが、一体国際法上許されるか、独立国家との対等のつき合いの中でそれが許されるかと私は言っているのです。  そこで私は、もうあなたには問いません、警察当局にお尋ねいたしまするけれども、まだわが日本の警察は、この金大中事件に対しては真剣に取り組んでいられると私は思っている。私は、わが日本政府の弱腰の中にも、まだしゃんとしてこの問題に真剣に取り組んでいるのはわが日本の警察当局だけではないかと思っている。実は警察当局に感謝いたしております。現在、一体韓国に対してまだ、この捜査権発動上どうしても金大中氏に日本に来ていただく必要があるからというその要求を続けていられるのかどうか、そして捜査の状況はどこまでいっているのか、将来の見通しはどうか、私はこの点承っておきたいのであります。——警察の方、いられませんければ、そのお答えはあとにひとつ延ばしていただきましょう。  ともかく私は、この問題のみにこだわっているわけにはいきませんから次に行きまするけれども、どうも日本政府はあまりにも弱腰です。あまりにも弱腰だ。不法な行為で拉致せられた者を活用するか利用するかして、韓国政府がその身柄を拘束して日本に返さないという理屈は、国際法上、独立国家との対等のつき合いにおいてそれは許されるべき行為じゃない。それさえも言えないなどということは、いまも言うように、三十六年の恨みに日本政府がおびえているのか、さもなければ、これは巷間のことばでありまするけれども、この新しい韓国政府から、政府の要人の中に勲章をもらったような人たちがいる、あるいはみやげものをもらった——私はあえてわいろとは言いません。たいへんみやげものをもらっている人がたくさんいる。それがみんな与党という政党の実力者の中にたくさんいる。そういう人たちに圧力を加えられて、現内閣の総理大臣や外務大臣が、あるいは通産大臣や法務大臣が、だんだん腰がふらついて、こういう日本国の独立を疑わしめ、民族の誇りを失わせるような腰抜けの外交交渉をやっているのではないか、こういうことを国民は言っているのでございまして、いま少し厳然たる態度をとってもらわなければ、どうしても国民立場ではがまんができないという怒りが国じゅうに充満をいたしておりまするから、私はこの点だけ申し上げておきまして、一そうの政府のひとつ奮起をお願いをいたしておきたいと思うのであります。  いまの警察庁の問題は、ひとつあとで答弁をお願いをすることにいたしまして、次に、私は、これは大蔵省にお伺いいたします。  これは外換銀行の東京支店の不正融資に関する問題でございます。  これは一九七二年の八月五日付の朝鮮日報で、外換銀不正で洪頭取が懲役五年の宣告を受けたことがちゃんと報ぜられております。その後、一九七二年の十月十四日の東亜日報には、同じく韓国の新聞でありますが、「特権層に偏重融資」「財務委外換銀国監で追求」という見出しで、「外換銀行東京支店は日貨で五十億円という巨額を貸し出したが回収の見通しはうすい」という報道がなされているが、この問題については九月の十四日、本委員会で大平外務大臣がこういう答弁をしておられる。「本件と政界との関係を政府の手でただせということでございますか。——承りまして、検討してみたいと思います。」こう答えている。  外務大臣代理いらっしゃいますか。どう一体この問題を検討されたのか。もはや二十有余の日にちが経過しておるのでありまするから、検討の内容について承りたいと思います。
  61. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 外換銀行の在日支店、これは東京と大阪にございますが、一億円以上の融資額を調べてみましたところが、東京支店で十一件、それから大阪支店で十六件ございますが、その総計二十七件で融資額が七十二億千三百万円、こういうことに相なっております。これが四十八年三月末の残高の現状でございます。
  62. 小林進

    小林(進)委員 私は貸し出しの内容を聞いているのではありません。こうやって韓国の新聞にも出、韓国の国会の中でもこの問題で激しく論争せられているその五十億円の貸し出しの問題について、大平外務大臣が、それは日本の政界との結びつきがあるかどうか検討してみましょうという答弁をしているのだから、その検討の結果はどうなったかを外務大臣代理に聞いている。  いま大蔵大臣いらっしゃいますから、私はまたあなたにこの問題について質問しましょう。  大蔵省は当然、韓国の銀行であろうとアメリカの銀行であろうと、日本に支店がある限りは、日本の国内銀行と同じように監査、監督する責任をお持ちになっている。この五十億という金を、これは韓国の国会における金敬仁という人の質問の要旨を借りて言えば、無担保あるいは無抵当でこういう多額の金が貸せられているのではないか、そういう風評があるではないかということで、韓国の国会の中でたいへん問題になっている。これくらい問題になっている問題であるならば、監督権がある大蔵省としては、当然その内容を知っていなければならぬはずであります。この五十億の金がだれに貸され、だれという人に貸して、あるいはどこへその金が投資をされてどういうふうに使われているくらいは、直接の監督官庁たる大蔵省はちゃんと知っていなければならぬはずであります。その五十億、だれに貸したのか、借りた人はその金をどこへ使ったのか、それを私は大蔵大臣お尋ねをいたしているのであります。そのほかの貸し付けの話なんか私は聞いているのじゃないのであります。
  63. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 在日の外国銀行の活動については、ただいまお話しのとおりに、大蔵省としても所要の監査、監督をするのは当然でありますが、そこでいま申しましたように、外換銀行の在日支店の行なっておりますところの融資の状況としては、先ほど申しましたように総額で百三十九億余でありますけれども、そのうち一億円以上のものの合計は二十七件で、残高としては七十二億一千三百万円、これが現状でございます。それからさらに十億円以上の貸し出しというものも点検してみますが、一件、東京支店で十三億円余の貸し出しが、これは今年のきわめて最近の状況で十三億余円の貸し出しがございますが、これが一番大きな貸し出しの現況でございます。
  64. 小林進

    小林(進)委員 限られた時間なのに、大蔵大臣こう同じことばかり繰り返されたら、これは私の時間をただ浪費さしてもらうだけです、あなた。これは私の質問の妨害です。そんなことは聞かぬでよろしいと言っている。  韓国の新聞にも載せられ、韓国の議会にものって問題になっておるこの五十億円のいわゆる不良貸し出しの内容についてお答えを願いたいと私は言っているのです。もはや時間もありませんからいま一回ひとつ、韓国の国会で問題になっている韓国会議録から、速記録から、そして新聞にもちゃんと韓国の新聞の東亜日報にも載っている。しかも、その五十億の貸し出しのために韓国のこの頭取、洪という頭取までが、これは首を切られて懲役五年の宣告を受けている。こういう事実ですから、これをいま一回つまびらかに調査をして資料でひとつ回答してもらいたい。実に監督官庁たる大蔵省が、いかに事韓国のこういうことに対してはまことにずさんであり、ほんとうにそれを放任の形にしておくという、私は残念しごくにたえない。さっそく調査をしていただきたいと思います。  私どもの調査じゃありません。この韓国日報等の新聞によれば、その五十億、東京外換銀行支店の貸し出し先は町井久之さんという方だという。この人は韓国名鄭建永という人だ。その人にこの五十億円の金を融資した、こういうことになっておるのでございますが、一体、町井久之という人はどういう経歴の方なのか。これは大蔵省に聞くべきでありますけれども大蔵大臣では話にならぬ警察庁、お知りならばお聞かせを願いたいと思います。
  65. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 たびたびお答えいたしますが、この外換銀行の在日の支店の貸し出しの対象といたしましては、五十億円以上というものは、調査いたしましたが見当たりません。ございません。しかし、ただいまも御指摘のように、韓国側の報道等もあるようでございますから、さらに、いかなることがそういうことの根拠になっているのか、その点については、できるだけ大蔵省といたしましても点検、調査をいたしたいと思っております。
  66. 小林朴

    小林説明員 町井という人につきましてお答えをいたします。  前に東声会という会がございました。この会はやや暴力的な性格を持っている会でございますけれども、昭和三十九年の取り締まりによりまして——当時警察庁のほうといたしまして、三十八年からたいへん暴力団の取り締まりをやったわけでございますが、組の取り締まり等が行なわれまして、その結果、四十一年の九月にこの会が解散をいたしたわけでございます。その後四十二年の四月になりまして、東声会の会員が、前に会員であったわけでございますけれども、その人方が正業につくというようなことで、この人方が中心になりまして東亜友愛事業組合というものを発足をいたしております。この東亜友愛事業組合は東京に本拠がございまして、現在約千五百名程度の構成員でできておるようでございますけれども、理事長は現在沖田という人でございまして、この町井こと鄭建永という方でありますけれども、これは同組合の名誉会長ということになっておるわけでございます。  以上でございます。
  67. 小林進

    小林(進)委員 先ほどの、警察庁のいまの捜査の現状、韓国に対する請求があるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  68. 山本鎮彦

    ○山本説明員 内閣委員会のほうに出ておりましたので、おくれまして失礼いたしました。  お答えいたします。  金大中事件の捜査については、去る九月五日にこれまでの遺留指紋それから目撃者、こういうものの捜査を結集いたしまして、金東雲一等書記官が本件に関与している疑いが濃いということで任意出頭を求めたわけでございます。これについては、韓国政府のほうで拒否をいたして、実現をされておりません。一方、最も関係の深い、被害者である金大中さん、それから現場におりました梁一東さん、金敬仁さん、この三氏の来日も、外交ルートを通じてお願いをいたしておるという状況でございます。これもまだ実現をされておらない現状でございます。  警察といたしましては、あと残された遺留品の捜査、目撃者の発見、それから逃走ルートの解明あるいはアジトあるいは船、こういうものの捜査を鋭意、捜査員を投入してやっておるわけでございますが、最初述べたような四人の方から直接聞けないという大きなハンディキャップを背負いながら、何とかこれらの困難を乗り越えて真相を解明したいということで、いま一生懸命やっている状況でございます。
  69. 小林進

    小林(進)委員 先ほどから言うように、韓国政府は正当な権限がないのです。不法に拉致せられた、それを利用し、日本の正当な捜査権を妨害しながら身柄を拘束いたしているのであります。私は、日本の捜査当局としても厳重に、身柄の引き渡しは何回でも要求すべきである、国民の名誉にかけても要求すべきであると思います。捜査当局はそれをおやりになっているかどうか、韓国に対して、それを繰り返しておやりになっているかどうか、私はそれをお尋ねしたいのであります。
  70. 山本鎮彦

    ○山本説明員 お答えいたします。  この点は、外務省に再三にわたって要望いたしておる点でございます。
  71. 小林進

    小林(進)委員 ひとつ、さらにひんぱんにやっていただきたいと思います、日本の捜査の権威にも関する問題でありまするから。  そこで私は、町井氏のことに関連して質問を戻しますが、その町井氏が東声会の会長であり、かつて暴力的性格を持ち、一千有余名の組員を擁しておられたという御答弁がございましたが、実はこれについて、週刊誌七月二十日の号にこういう記事が載っている。「夜の東京占領史にまた一ページ追加した「町井久之」という男」こういう見出しで、町井氏が六本木につくった会員制高級クラブハウスのTSK・CCCターミナルビル・オープンレセプションの記事が載っておるのでありますが、ここで町井久之氏は会長としてあいさつをして、「私は韓国人で、世間からは暴力団とかいわれていますが」云々と言っておるのでございますが、その中に平井義一君が談話を載せている。平井義一君は、御承知のとおり、かつて昭和三十年ごろまで私どもと同じ国会議員で、衆議院に籍を置かれた方でございまして、われわれとは知友の間柄でありますが、この平井義一元代議士の談として、町井さんと児玉誉志夫さんとの関係が深くなったのも六〇年の安保改定の当時であった、当時自民党筋の右翼結集の呼びかけがあったころであって、この児玉さんを通じて町井さんは岸信介さんを知り、川島正次郎さんも知った、岸さんは、その後町井さんのパーティーなど、よく顔を出していたからね、云々ということを言っているのであります。岸さんといえば元総理大臣でございまして、政界の元老でありまするが、こういう方がその町井さんのパーティーにもしばしば行かれるというくらいの人物でございまするから、これは日本における相当の実力者ではないかと私は思う。会ったことはございませんが。その人でありまするから、五十億円ぐらいの金を外換銀行あたりが、あれは無利子であるかどうかわかりませんが、融資をされるのもあにむべならんやというふうな感じがするのであります。  ただ、その金の貸し借りが正当な経済ベースで行なわれていることであるならば、何らわれわれが口を出す理由はないのでありまするけれども、どうも韓国ロビー等いわれる中に、非常に国民の疑惑を生んでいる問題が幾つもあるから、私はあえてこれをお尋ねするのであります。  繰り返して申し上げまするけれども、この五十億円貸し借りのために韓国の頭取も首になっておるのでありまするから、しっかりした資料をひとつこれは大蔵省から出していただくことを重ねて申しますと同時に、その東声会というものがいま名前を変えて東亜相互企業株式会社、友愛企業株式会社でございますか、今日の現状は一体どうか。もはやそういう暴力的な心配は一つもないのかどうか。同時に、夜の東京を占領するなどという大げさな見出しもつけられているくらいでございますが、なお夜の東京を支配するようなそういうもろもろの企業をおやりになっているのかどうか。聞くところによれば、この町井さんの企業一つとして、銀座とか湯島に「秘苑」などという韓国の料亭ですかキャバレーですか、そういうのも経営になっている、あるいは「コリヤハウス」などというものもおつくりになっていて、そこにはみめうるわしい韓国の妓生さんあたりが多分にいて、実にきめこまやかなサービス等も行なわれているかというふうに聞いておりまするが、そういう状況をひとつ取り締まり当局から承っておきたいと思うのであります。
  72. 綾田文義

    ○綾田説明員 ただいまの企業全般の問題につきましては、私どもちょっと全貌がわかりませんけれども、警察対象になっております、私どもわかっておる点を御説明申し上げます。  一つは、ただいまお話しの銀座にございます秘苑、これは料亭営業の許可を受けて営業いたしておりますが、これは東亜相互企業株式会社が営業者でございまして、現在二十三名の妓生と日本人ホステス六名が接待業務に当たっておるということでございます。  それから、先生お話しの湯島の秘苑、これは現在は湯島観光株式会社でございますが、この前に城園観光株式会社という会社が、これは飲食店営業でありまして、直接警察の風俗営業の対象にはならないのでございますが、四十七年ごろから経営をやっておりますが、四十七年の初めに、妓生に客の接待をさせて飲食をさせたということで、風俗営業の無許可として警視庁が当時取り締まって、検挙された人は罰金刑に処せられたというふうな事実がございます。  以上、警察の風俗関係はその程度現在判明しております。
  73. 小林進

    小林(進)委員 その湯島の飲食店営業の中で妓生を接待させて、警察でお手入れになったということも、私は情報として取っております。なおしかし、その湯島の飲食店の中にはなかなかこった地下室などもあって、相当政界関係者も出入りをしているなどということも聞いておるのであります。これは、警察は個人の行動の自由を監視する性格のものでもありませんので、お知りにならなければけっこうでございますが、いずれにいたしましても、町井さんという実力者、政界の巨頭と常に交友を結んでいられる方々が、お聞きするところによりますと韓国等にも大きな事業をおやりになっておられまして、町井さんは朴政権から何か相当高級の勲章もおもらいになっておりまするし、これは在日韓国人の要人から聞いた話でございますから確証はつかんでおりませんけれども、町井さんが韓国へおいでになるときには、京城の空港まで朴大統領が自動車を差し向けてお迎えになっているという、非常に朴大統領の御信任も厚い方だということに聞いておる。私は、そういう方々が日本において日韓両国の橋渡しをなし、日韓両国の友善親和のために、あるいは経済を通じ、夜の銀座を通じ、妓生を通じて、そうして両国の友善のためにお尽くしいただくことに対し私は何らけちをつけようとするものではない、けっこうだと思うのでありますが、それがやはり政治と結びついたり、あるいはゆがんだ形で日韓両国に不明朗な交友や経済の関係を結んでいただいては困る、そういう心配から私は御質問をいたしておるわけでございます。  この町井さんは、日韓のかけ橋として対馬海峡を行く関釜フェリー会社の社長をおやりになっているということも承っておるのでありますが、一体この事業の認可は韓国側がやったのか、日本側が許可したのか。もし日本側にこの町井フェリー会社が登録されておるとするならば、どういう内容、どういう形、主管官庁を通じてひとつこれをつまびらかにお聞かせ願いたいと思うのであります。運輸省——いないですか。では政府代表。連帯責任ですから、運輸大臣代理あるいは外務大臣代理でもよろしゅうございますから。——ありませんか。それではこの問題は留保いたしておきます。しかし、運輸省をすぐ呼んでください。だめですよ、呼んでこなければ。  なお、この問題に関連をいたしまして、何か町井さんは今度、いまの下関から済州島を通って韓国に至る新しいフェリー会社の計画もされておるやに聞いておりまするし、なお韓国ロビーに関係をしておりまする日本の大きな実業家が韓国の実業家と一緒になって、近く済州島にレジャーランド建設の構想もお持ちになっているということを聞いておるのでありまするが、この日本と済州島とのフェリーの事業も届け出が出ているのかどうか。これもあわせて私は運輸省にお聞きしていかなければならぬのでありまするが、この済州島の問題に関係をいたしまして、こういう日韓両国の事業家が済州島に観光事業を行なうというもっぱらの評判のある前に、これは日本の運輸省、いわゆる海外技術協力事業団が、先ほども中曽根さんが言われた第五回、第六回の日韓閣僚会議韓国側の要請に基づいて済州島の観光事業の調査をおやりになっている。その調査の結果がどう出たのか。これは運輸省おいでにならなければ、海外技術協力事業団お尋ねをしておきたいと思う。
  74. 田付景一

    ○田付参考人 お答えいたします。  ただいま小林先生おっしゃいましたように、昨年の第六回日韓閣僚会談によりまして済州島に、ことしの七月にわれわれのほうは調査団を出しております。その前にも出しておりますが、今度は第一回のわれわれの調査団の報告によりまして韓国側で計画を立てまして、その計画について日本側がどういうふうに効果を測定するか、そういったようなことをひとつ見てもらいたいという要望がございましたので、この七月に調査団を出しております。  この調査団は、大体運輸省その他関係方面の方々と相談をいたしまして、第一回の調査団の一部の人が加わって出ております。これが七月一ぱいに調査を大体完了いたしまして、いま帰っておりまして、その報告をつくっております。  この調査団が参りまして、済州島の観光それから開発ということに対しまして、やや将来の見通しについて韓国側と日本側との意見に相違がございますために、いまのところまだはっきりした報告ができ上がらない。そこで、お互いに話し合いをしながら十月末ないしは十一月ごろに大体報告がまとまるんじゃないかと思いますが、そうしましたときには、一たん韓国へ参りまして、もう一ぺん相談した上で本報告をつくる、こういうふうになっております。
  75. 小林進

    小林(進)委員 その済州島観光開発計画に基づく調査報告というのは、これは運輸省を含んで、いまあなたが言われたとおりだ。海外技術協力事業団の名前で報告せられた、その報告内容を見ると、まず第一の「済州島の観光地としての評価、将来性」「観光としての魅力」という項目に何が書いてあるか。西帰浦のホテルにはカジノが許可され外国人旅行者に営業を行なっており、その他妓生パーティやナイトクラブの施設を備えたホテルもある、といって、観光としての評価の中で、一生懸命にあなたはカジノというばくちを宣伝をしている。外国人のためにナイトクラブや妓生のパーティーがあるのだから、これは観光地の資源として価値があるということを繰り返しいっておられるのです。国民の税金で、国民のお金で国の役人がいわゆるよその国の観光地の調査に行って、妓生の報告とは一体何ですか。ふまじめもはなはだしいじゃないですか、あなた。しかも、あなた方のこの調査書を見れば、観光とは女を買うことであり、ばくちをすることであると言わんばかりの内容が中心になってこの報告書ができ上がっている。しかも最後へいって、その報告書の結論として——これはあなた方の調査書の七五ページだ。その中の「国際観光振興方針」という中に、まず条件として五つの項目をあげて、その第三には、外国人観光客に対して入管の手続を簡易にしなさい飲食などに対する減免税措置を講じなさいという項目を掲げるとともに、その次には、済州島の市内に観光客用のレストランやナイトクラブやナイトライフが可能な施設を整備する必要がある。——私は、ナイトライフということばを初めて聞いた。ナイトライフとは一体何だ。妓生を充実し、ばくち場を充実し、そして夜を昼にかえて遊興堕落の歓楽街をつくるというのがナイトライフだ。これは初めて運輸省観光課と海外技術協力事業団がつくり出した新しい用語でありますけれども、こういうふまじめなことを日韓協力の名のもとにやられていたのでは、これは両国の民族に対する重大な侮辱であります。こんなことで両国の発展や融和がはかられますか、あなた。まじめさがひとつもないじゃありませんか。私は時間がないけれども、こういうような済州島の観光調査報告書などさっそく撤回していただきたい。国の恥です、こんなものは。あらためて健全な娯楽、健全ないわゆる観光を中心とした報告書に書きかえてもらうことを私は要求する。  そこで、出てくるのがナイトライフでありますけれども、そのナイトライフの一環として出てくるのが、いわゆる政府の奨励している売春と覚せい剤の問題であります。いまこの日本から韓国へ行く旅行者は、昨年は十八万人だ。ことしはもう十月に達せないうちに五十万人に達しているというのです。その五十万人のうちの八割ないし九割まず九割は全部男子だというのです。御婦人その他は一割弱だ。その九割の男はほとんど妓生と遊ぶことを目的としているというのだ。そして団体を組んで、あるいは十万円とか十二万円とか経費を組んで韓国へ行く団体には、ちゃんと、妓生を買いますという料金が公然とその費用の中に組み込まれている。こういう恥ずかしい団体旅行、個人旅行が、今日わが日本において行なわれている。しかも、日本人旅行者が韓国のホテルに泊まりますと、そのホテルには、売春を目的にした妓生が公々然と出入りをしているというのだな。これはすなわち韓国政府によって、いわゆる妓生がホテルに出入りして売春をすることを公然と許されている。  何で一体これをやるか。いわゆる外貨の獲得のために売春政策を公然と朴政権は許している。これはふまじめきわまる話でありますけれども、なぜ一体、こういう外客のために売春を許しているのかといえば、日本のいわゆる対韓国経済侵略政策だ。日本がおためごかしに企業進出して、韓国経済の植民地化するようにみんな不当な経済進出をしている。借金はふえる。利息はふえる。韓国は、日本経済進出に伴う利息を払うだけでも借金政策に次ぐ借金政策。その借金政策を解決するために、いわゆるいたいけな韓国のおとめをいけにえにして、もとでのかからない売春でもって日本経済進出の金利をかせぐ以外にないというのが、韓国の学生、ソウルの学生を中心とする韓国知識人や一般人の風評になっている。  こういうことを繰り返して行なっているのでございますが、その中にも、言いたくない、言いたくないが、われわれの仲間の国会議員が同じくホテルへ行って妓生を持ち込んで、韓国におけるホテルの中でもこのホテルだけは国際ホテルで、ここだけは妓生を入れないのだから、あなたは妓生を連れ込むのはやめてくれと言ったら、何だ、おれは日本の国会議員だ、おれは韓国の生殺与奪の権を握っている実力者の国会議員だ、そんなことを言うのかと言って暴れて、次の日にはとうとうそのホテルの支配人があやまりに行ったという、実際われわれ自身、同僚の代議士と、自分自身が身の縮まるような、そういう恥ずかしいことが行なわれているのでございますが、韓国の問題は別として、せめて私は日本の名誉のために、政府自体、こういう恥ずかしい観光旅行を少しチェックしたり制限をしたりして、日本民族の名誉を保つような施策を講ぜられる意見があるかどうか、私は承っておきたいのであります。  大蔵大臣、為替管理法につながりますから、ひとつあなた、やってください。
  76. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 貴重な御意見を拝聴いたしました。まあ経済協力というものには、いまさら申すまでもなくいろいろの方法があるわけでございますけれども、終局的には日本国民の負担になることが多いわけでございますから、そういう点に十分留意いたしまして、ただいま示唆していただきましたようなことのないように、財政当局としては十分の配慮をいたしたいと思います。
  77. 小林進

    小林(進)委員 私は、日本の旅客が韓国において恥ずかしい行為をしているということを申し上げた。  反対に、今度は日本の国内だ。特に東京を中心にして何が行なわれているかといえば、先ほどから申し上げておる妓生という職業の方々がわが日本へ押し寄せてきて、そうして巷間伝わるところにおいては、あれは売春行為を行なっているというのが一般の風評でありますが、その妓生が一体わが日本にどういう形で入ってきて、どうして一体サービス、接待業に携わっているのかどうか、私はこれをお尋ねをいたしたいのでありまするが、時間も迫っておりまするから、私が若干知る程度をつけ加えますと、妓生がわが日本に入ってくるその名目は、いわゆる芸能人の名目で入ってくる。出入国管理令第一章第四条の中の第九号でございますか、芸能人として入ってくる。その芸能人の名目で入ってくる妓生の入管は、すでに今日まで交代すること十七回。しかも芸能人として入ってくる者は、一回の滞在期間は二カ月だ。一回書きかえて四カ月に引き延ばして、四カ月目には必ず帰っていく。それがいわゆる銀座の秘苑、先ほどは十三名とおっしゃったが、あるいは湯島あるいはコリヤハウス、コリヤ・タカナワ、そういうところにいて、しかも売春禁止法違反を犯して売春行為を行なっているというのでありますが、こういう人たちが入ってくる入管法の手続の問題あるいは売春禁止法の違反になるかならないかの問題は、それぞれ関係官庁から私は承っておきたいと思うのであります。
  78. 竹村照雄

    ○竹村説明員 いわゆる妓生の入国問題についてお答えいたします。  韓国人妓生でわが国に正式に入国しておりますのは、民族舞踊の紹介等を目的とする芸能人ということで、出入国管理令第四条第一項第九号の在留資格で入国を許可しております。現在全国に七十名おりまして、秘苑など六カ所の韓国の料理店で働いております。これらの妓生の在留期間は六十日で上陸を許可されますが、当局といたしましては、これらの者に対する期間更新の許可は一回だけに限るということでやっております。  なお、一口に妓生といいましても、最近、特に先生御指摘のように、韓国の地において伝えられているような売春問題のようなことがいろいろいわれておりますけれども、まあそれぞれ程度がございましょう。私ども、受け入れる場合におきましては、それぞれ身元のそういった点についての十分な考慮を払って、間違いのないような配慮はいたしております。したがって、申請者側も、これらの妓生の身分事項はもとより、これらを受け入れた場合の公演計画とか稼働計画、契約内容、そういったものも全部提出しておりまして、われわれとしてはそれらも審査した上で許可をしております。  なお、一回の期間更新は許しておりますけれども、この期間更新の際には、在留目的に沿った活動をしておるかどうかというようなことも、各地方入管におきまして実態調査をしてやっておるという次第でございます。
  79. 小林進

    小林(進)委員 通産大臣の時間はあとで残しておきますから。  いまの妓生の問題についてお伺いします。  いわゆる芸能人として、民族舞踊あるいは民族の歌謡を持つ芸能人を入れるとおっしゃるが、現実には歌一つ知らない、踊り一つ知らない、酒をつぐことも知らない、そういう人たちがたくさんまじって入っているのが現実だと見えまするが、入管のほうでは現実に手続をされたというのでございまするけれども、あなたは一々、ほんとうに芸能人としてのそういう芸術、技能を持っているかどうかお調べになったかどうか。だれもそれをまともには考えておりません。それが一つ。  それからいま一つ。これは日銀にお伺いいたしまするけれども、一般の観光客であればこれはそれでよろしいけれども、芸能人と銘打つからには日本銀行の為替管理に関するオファーが必要なはずであります。帰るときには、幾ら働いて幾らの金を持って帰るか。それがちゃんとあるはずでありまするから、私は入管には、いま申し上げますように、もはや十七回も妓生が出たり入ったりしているんだ。その中には芸能人というのも恥ずかしい、歌一つ知らない、踊り一つ知らない者がたくさんまじっていることも事実であります。そのことをいま少しつぶさに調査をして、書類をもって御報告を願いたい。  それから日本銀行には、十七回延べ何百人の妓生が入って帰っているんだから、そのつど一体幾らの金を持って帰ったのか。それもいまお答えいただくと同時に、あとから書類をもってひとつ正確にお聞かせを願いたいと思う。これは決して芸能や芸術で働いた金ではない。韓国の女性が日本へ来て、いわゆる恥ずかしい、日本のエコノミックアニマルかセックスアニマルか知らぬけれども、そこにいたいけな女が貞操をささげて働いた金であることに、これは間違いないのでありまするから、その点もひとつ日本銀行から、つぶさに私はお聞かせを願いたい。
  80. 河野通一

    河野参考人 お答え申し上げます。  外国人で適法に日本へ入ってこられた旅行者あるいは短期滞在者が日本から通貨を持ち出すことにつきましては、外国為替管理法関係の許可事務を、政府の委任を受けて日本銀行で取り扱っております。しかしながら、御案内のように、最近の国際化、自由化の進展によりまして、適法に日本に入ってきた方々が日本でいわゆる収入を得た、その収入を得たものを外国——これは韓国人に限りません、どこの外国人でも同じですが、持ち帰られることにつきましては、形の上では許可制度は残っておりますけれども、自由化の進展によりまして、原則として自動認可、つまり事実上自由に持ち帰ることになっております。したがいまして、特殊の例はありますけれども、大体どういう形でそれが持ち出され、どの程度の金額になっているか、何人そういう方がおられるかは、私どもとしては、自動認可でございますからよく承知いたしておりません。
  81. 小林進

    小林(進)委員 委員長もお聞きになっておるとおりでございまして、いやしくも観光客であろうと芸能人であろうと、日本へ入ってくるときには、フィリピン人であろうとタイ人であろうと、いやアメリカ人であろうとも、入管は厳重で、入国の目的以外の行為をした場合にはいささかも容赦しないで、きちっきちっと取り締まっているじゃないですか。これが日本の取り締まりの姿勢なんだ。それが事韓国に関する限り、どういう因縁があるのか、どういう力が働いておるのか、こういう歌一つ知らない者が芸能人の名目で入ってくる。しかも、聞くところによれば、芸能人のビザだけではない、あるいは一般の観光のビザでも入ってきて、なおかつ、いわゆる酒席にはべってサービスをしている者があると私は聞いている。あるはずであります。そういう両方の形で入ってきて、そして自由放任、入国の目的とは全くかけ離れたあらゆる恥ずかしいことをしていながら、これを取り締まろうという形が何にもでき上がっていない。この点は、私は取り締まり当局の警察にも言いたいところであります。実に寛大であります。日本韓国の間には、こういう恥ずかしいことが、民族の魂をゆさぶるようなこぎたないことが一番寛大に行なわれているというこの事実は、日韓両国の将来のために決してためにならないということを私は申し上げたいのでありまして、どうかひとつ——いまだってそのとおりだ。自由認可で、幾ら持ってお帰りになっても自由でございます。——私は、そんな寛大なことが、オファーという制度がある中で行なわれておるとは夢にも考えていなかった。日本銀行もこうやって寛大でいらっしゃる。まるで日本韓国の、何と言いましょうか、無法地帯といってよろしいのだ。そういう日韓関係をいま改めてもらわなければ、日本の将来にも韓国の将来にもたいへんなことになる。  いま韓国の学生は、命をかけて騒いでいるじゃありませんか。日本の学生が校内でデモをやっているデモと違うのです。警察機動隊を前にして、税金どろぼう帰れなどと言っておおらかなデモをやっているのと、韓国のデモは違うのだ。彼らは、校内でデモをやっているだけでも、捕えられたら、あれは死刑になる、無期刑になるのだ、十年の懲役になるのだ。韓国の暗黒政治、軍国政治、ファッショの政治の中で、そのデモをやる学生は一身を投げ捨てて、命を投げ捨ててやっている。そのデモをやっている学生の決死の決議の中に何といっているのだ。決議の第一項には、対日従属を清算し、国民の生存を保障し得る自立経済体制を確立せよ。いま日本経済進出のために、また韓国は再び属国にならんとしているではないか、学生はこう叫んでいる。しかも決議のその五項目か六項目に何といっているか。韓国の女性を性欲の対象にする日本の観光客を拒絶せよ、と彼らは叫んでいるんだ。韓国は、日本国民のセックスの便所じゃないんだ、吐き場所じゃないんだ。こう学生は叫んでいるが、これは学生が代表する韓国三千万国民の声ですよ。こういうような事実をそのままにしておいて、こういうでたらめな援助をしたりあるいは売春をしたり、買ったりしている。  いま一つ申し上げまするけれども、いまわが日本にも覚せい剤が日に月に発展して、もはや全国的にこの覚せい剤がびまんをしてしまった。みんな、若者たちやあるいは壮年の魂を奪っている。その覚せい剤が一体どこから密輸されてきているのでありますか。これは警察にお聞きしましょうか。厚生省の麻薬課でもよろしい。いまのわが日本の覚せい剤、麻薬のびまんの状況、実に民族の魂を失うところまで、おそろしくびまんしている。その点、実際、密輸の根源は全部韓国じゃありませんか。簡単に答えてください。
  82. 綾田文義

    ○綾田説明員 覚せい剤はほとんど韓国から従来は参っておったわけですが、最近において東南アジア等からも密輸入されておるものがあります。麻薬は主として東南アジア方面から日本に密輸されております。
  83. 小林進

    小林(進)委員 そういう韓国から入ってくる麻薬のルート、売春のルート、これは両民族を不幸にするだけでありまするから、いま少ししゃんとして厳重に取り締まっていただきたいと私は思います。  次に、私はこれも実は申し上げたくないことでありまするけれども、両国の永遠の親善のためにやはり言わなければならぬと思うのでありますけれども、最近の週刊誌に、例の大森実氏と中川一郎氏が三時間にわたる対談をしたという記事が載っている。その中に、中川氏の属する青嵐会が五百万、三百万、百万の金をもらって、その五百万、三百万、百万の格差をつけられた分配方法に不満が生じて内輪げんかを生じたという話を大森氏が持ち出した。これは確信がある実際の話だと彼は言っている。確信があるかないか、それじゃひとつ裁判で争おうじゃないか、よろしい、裁判で争おう、こういうことで終わっているのであります。  こういう問題は、自民党とか社会党とか公明党、共産党の問題ではない。国会議員としての共通の名誉の問題であります。でありまするから、私は大森氏に電話をかけた。国会議員共通の問題として君はこういうことを言っているが、ほんとうに確信があるのか、私自身も侮辱を感ずるぞと言ったら、私は確信がある、裁判で訴えられることを私は待っているのだ、こういうことを言っているのであります。しかし、それ以上は、私ども野党の身としてはどうにもならない。そういう青嵐会に所属する——これはいまの政府、閣僚であります。これは総理大臣にお聞きするのが一番いいわけでありますが、総理大臣おいでになりませんから、自民党所属の閣僚の筆頭は、今日お見えになるところ愛知さんが筆頭でございましょうから、ひとつ政府、党を代表して、こういう問題について、国会議員全員の名誉のためにきちっとしたひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  84. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私は、いまおあげになった週刊誌は読んでおりませんけれども、いまお話しになったようなことがわが国の国会議員にはありようとは思いません。
  85. 小林進

    小林(進)委員 どうかこの場だけで終わらぬように、われわれが胸を張って全国で、そんなばかな話はないのだということを誇らかに言えるような実証を、政府の責任でひとつお示しをいただきたいと思います。  これから通産大臣にお願いしようと思いましたが、経済問題に移ろうと思いましたが、通産大臣お見えになりませんから、私は農林大臣経済問題でお尋ねいたします。  それは、農林省を通じて韓国日本の米を——あれは現物で返還をしてもらうという約束のものと、長期で延べ払いの形で、金で返してもらうという二つのワクで米をお出しになっております。いま私の資料によりますと、概算いたしまして六百億円に該当する金額であります。日本は現品を韓国に貸し付ける。韓国政府はその借りたものを韓国の住民に売る。そしてウォンという現金で回収する。その金額は日本の円に換算をいたしまして六百億円以上になる。まあウォンにすれば千億ウォンでございましょう。その金が韓国内部においてどういう形に使われておるのか、どういう形に使うような条件を付されてその金を融通されているのか、お伺いをいたしておきたいと思うのであります。
  86. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 いま金額を申されましたが、私の手元ではその金額が明確に確認されておりませんが、貸し付け方式で六十三万三千トン、延べ払い方式で七十五万トン及びKP援助で約七千トンの、合計約百三十九万トンの輸出取りきめが昭和四十四年以来行なわれておるわけであります。輸出された日本米は、韓国政府の責任において、搗精した上、代行機関を通じて販売業者に売却されておる状況だと聞いております。売却代金は一たん糧穀管理特別会計に入金した上、借款管理特別会計に繰り入れられた後、会計全体の中で財政投融資に使用されている模様でございます。  以上でございます。
  87. 小林進

    小林(進)委員 おっしゃるとおりでございまして、四十四年三月三十三万三千トン、四十五年二月が三十万トン、大体これで両方合わせて三百億円、これが現物償還の約束です。それから延べ払い輸出の条件の問題が、四十六年二月十五万トン約七十二億円、四十六年の五月二十五万トン、百十九億円、同八月二十万トン九十四億円、それからことしの八月二十三日十五万トン、約七十六億円、これを概算いたしますと六百億円前後になります。もちろん正確ではございません。概算でありまするが六百億円前後になる。私どもはかつてアメリカからガリオア、エロア、いろいろな援助を受けたときには厳格なワクをはめられて、それはちゃんと正しく使われるように、明瞭に使用されるようになったのでありますけれども、いま韓国におきますると、これが韓国住民に現金化されたそのあとが非常にあいまいもこに使われておる。それが朴政権のセマウル運動にもはね返って、農村復興運動をしておるけれども、農民はせっかく——こういう高級官僚の腐敗を知っているような状態の中で、ばかばかしくて、セマウル運動にも協力することができないといっているのです。日本のこの米の貸し付けを非常に恨んでいるというふうな情報がひんぱんに入ってまいりますものですから、あえて私は質問いたしたわけであります。  特に私は通産大臣質問は残しますけれども、時間が来ているようでございまするから先を急ぎます。  いま一つ私は、ここで重大問題としてお尋ねをいたしたいことは、先ほどからしばしば出てまいりました岸元総理大臣であります。最近韓国へ行かれて帰ってまいりまして、そしてそのおことばの中に、金大中さんの事件は金大中さんの事件、それとこれとは別だから、閣僚会議は早急に開くべきであるということを田中総理大臣にも進言する云々のことをいわれておるのでありまするけれども、私どもはその真相はわからぬけれども、新聞紙上でこれを拝見いたしまして、同じく国会議員として実に肝が冷えるような気持ちになった。金大中さんという、まさに一人の人権に関する、生命、身体に危険を及ぼすか、あるいは日本の主権が侵害せられて日本の民族の名誉がどうなるかというこの重大問題で、国民があげて、朝となく晩となく、新聞となくテレビとなく、この金大中事件に注目、集中しているさなかに、これはたいした問題じゃない、それとこれとは別個にして、早く閣僚会議を開いて、援助すべきものは援助して、金を貸すべきものは金をというのは、これが私は日本の同じく国会議員としての立場にある者の発言かと思ったら、涙が流れた。この問題を、一体責任ある政府の閣僚としてどうお考えになるか、まずこれから承っておきましょう。
  88. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私からお答えすることが適当であるかどうかわかりませんが、総理が近く帰られますが、それから直ちに閣僚会議が開かれるというような状況ではないように私は見受けておる次第でございます。
  89. 小林進

    小林(進)委員 約束の時間のようでございますが、いま一問で、通産大臣に対する質問は留保いたしまして終わりたいと思いますが、この岸発言にも相匹敵するような重大な問題がいま一つあります。  それは、同じくこの金大中さん事件に国民がこれほど心配をしているさなかに、国民の顔に冷水を浴びせるような恥知らずのことが韓国側から発表せられた。それは何かというと、四十八年九月の六日であります。韓国の重化学工業推進委員会というのが発表したのであります。それによりますると、韓国の光陽に建設を予定されている二つの大規模な石油コンビナート計画に三井グループが六億八千万ドルを投資したいと申請をしたということであります。同委員会によりますと、三井グループは、韓国政府が認可してくれ次第、グループ内の石油化学三社による投資会社をつくり上げる、こう言っているのであります。一方、三菱グループはすでにこの計画に、韓国企業と合弁で四億五千万ドルを投資したいということで、これも申請をしているというのであります。三井グループは、年産三十五万トンのナフサ工場のほか七工場建設の予定である。三菱グループの窓口になっている三菱商事は、これからも積極的に韓国と話し合いを進める方針であると言っておる。  われわれがいま、主権侵害と言い、金大中さんの生命、身体をどう守るかという基本人権の問題で狂奔しているさなかに、日本を代表する三井、三菱というこの財界が、いわゆる自己の利益のためには、国も民族も、国民の憂いも名誉も売って顧みないという、まことにユダヤ的な行為じゃなかろうかと、私は悲憤慷慨にたえないのであります。  かつて、いまも名をあげた三井のドル買い事件というのがあったことがある。日本の民族がドルを解禁するかどうかで運命をかけているさなかに、国家の方針と逆に走って大きくドルを買って、それがついに第二次世界大戦に突入する大きな原因をつくり上げたことは、皆さん御承知のとおりであります。  現在、民族問題で国民がこれほど憂えているさなかに、国民のほうに土足を向けて、韓国政府と一生懸命に共同合弁会社をつくる、あるいは六億、十億の資本投資して自己の利益のために一生懸命に会談を続けているというがごときは、一体国民感情で許されることかどうか、私はこの問題についても、ひとつ政府を代表して愛知大蔵大臣の至厳なる答弁を伺っておきたいと思うのであります。
  90. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この二つの話がその後も両国の当事者の間で進められているとは、私は承知しておりません。当時新聞等にあらわれましたときの私の聴取しておるところでは、かねて、こういうふうな問題が起こる前からこういうふうな計画があった、それがたまたまこういう事件のあとで報道に載ったようなことから、まことにただいま御指摘がありましたようなおかしな、奇異な受け取られ方をしたというのが事実ではなかろうかと考えております。いま現に進行中というようなことは、そういう点から申しましてもないように私は承知しておりますが、なお十分それらの点につきましては配慮をいたすべきことは当然かと思っております。
  91. 小林進

    小林(進)委員 運輸省がお見えになったようでありますから、先ほどの質問に対して運輸省の答弁をいただきたい。あわせて海外技術協力事業団、こういう恥ずかしいような報告書を撤回される意思があるかどうか、お尋ねをしておきたい。
  92. 中村大造

    中村説明員 お答え申し上げます。  済州島の観光並びに空港問題についての調査報告につきましては、主として、済州島がきわめて風光明媚で四季の変化に富んでおるところでございまして、観光魅力も非常にあるということで、韓国政府のこの地区の開発についての技術協力の依頼に基づきまして調査をいたしておるわけでございます。したがいまして、報告書の内容につきましては、まだ最終的に結論を出しておるわけではございませんけれども、要するに、済州島が韓国の人々並びに外国人にとりまして快適な、健康なレクリエーションの場として開発されるように、そういうふうな方向でいろいろ技術協力をするというたてまえで調査をいたしておるというふうに承知いたしておるわけでございます。
  93. 小林進

    小林(進)委員 フェリーの問題……。
  94. 中村大造

    中村説明員 フェリーの許可につきましては、私、実は観光部長でございまして、その所掌ではございませんので、責任ある御答弁を申し上げかねます。
  95. 田付景一

    ○田付参考人 ただいまの報告書は一応とにかく韓国に出しておりまして、それに基づいてさらに第二次の調査団をやっておりまして、これが本格的なマスタープランを研究しておりますので、いまのおっしゃいましたことを十分検討して、向こう側とも話ししながら報告書をつくりたい、こう思っております。
  96. 小林進

    小林(進)委員 時間もありませんし、通産大臣がおいでになりませんので、通産大臣と輸銀、基金、経企庁、そういう問題はまたあらためて後ほど質問さしていただくことにいたしまして、一応私の質問を終わりたいと思います。たいへんありがとうございました。
  97. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 庄司幸助君。
  98. 庄司幸助

    ○庄司委員 私も、前の小林委員と同じく、韓国の観光開発問題について日本側の態度、この問題についてお伺いしたいと思うわけです。  まず、事業団の理事長にお伺いしますけれども先ほど小林委員からも御指摘があったわけですがいわゆる済州島観光開発の魅力という点で、妓生パーティーであるとかナイトライフというものを取り上げられた御趣旨は一体どこにあったのか。これは、日本の観光行政あるいは対外協力についての基本姿勢の中にやはりこういう点があるのじゃないか、私はこういうふうに思うのですね。あるからこそこういうふうに出てくる。その辺、まず理事長からひとつお伺いしたいと思うのです。
  99. 田付景一

    ○田付参考人 私のほうは、観光事業といたしまして、あるいはその開発事業といたしまして、単に魅力ある観光というだけでなくして、開発として、道路の開発とかあるいは空港の設備あるいは港湾の開発といったようなものも、この観光の調査報告の中に入っております。ただいまの妓生のお話とかいうのは、これはいまたまたま済州島の中においてそういうホテルがあったり、それからそういう観光場所もあるということを一応われわれのほうの報告として出しておるわけでございまして、われわれの主たる目的としては、やはり観光するためにはそこの自然を生かすなり、あるいは道路をよくするなり、あるいは宿泊設備つまりホテルなどもよくしなければならぬというようなことを一応主として書いておりまして、それと同時に、やはり観光でございますので魅力的な点がなければならない、そういう意味で、単に風景ばかりでなく、ある意味での楽しみというものもなくてはならぬのじゃないかというような意見を述べておるわけでございます。
  100. 庄司幸助

    ○庄司委員 だから、私が言いたいのは、確かに風景とか道路とか空港とかは観光の一つの要素でしょう。しかし、いわゆる魅力の一つとしてナイトライフ——小林委員の御発言だと売春だとはっきりおっしゃっておりますから、こういう売春、それからカジノというのは賭博でしょう。それから酒も飲ませる。そうなると、日本でいままで世俗に言われてきた、飲む、打つ、買うの三拍子がそろっているんじゃないですか。こういうことを、韓国、朝鮮民族の感情も考慮しないで、一体なぜこういうふうにぬけぬけと書くのだ。私は、この気持ち、わからないのですよ。だから、あなたとして、これは書いて当然だと思っていらっしゃるのか、それともこれは悪いことを書いた、いまになっては悔いているというお気持ちなのか、その辺ひとつ明確にお答え願いたいと思うのです。
  101. 田付景一

    ○田付参考人 先ほど申しましたように、決してわれわれのほうが、妓生だとかあるいはそういう賭博の場所をつくれとかいうようなことを書いてあるわけではなくて、済州島の中にそういうのが行なわれているホテルもあるという事実を書いてあるわけでございますので、その点、ひとつ誤解のないようにお願いいたします。
  102. 庄司幸助

    ○庄司委員 それなら、さっきも出ましたが、七五ページ「国際観光振興方針」、これはあなた方のですが、ここでこう書いていますよ。「前節で述べたような観光開発構想に基づいた開発を行なうとともに、国際観光客誘致のためには、次の諸点を考える必要があろう。」——いまから考える必要があろう。それで、西帰浦にはこういう妓生パーティーをやる会場やカジノがある、しかし向かい側の済州市にはない。五番目にこう書いてあります。「済州市は済州国際空港を控え、国際観光ルートの拠点となるので、西帰浦とゝもに、市内に外人観光客用のレストランやナイト・ライフが可能な施設の整備が必要となろう。」こういっているのですよ。だから、あなたのいまの答弁だと、西帰浦には現在現存している、これを書いただけだ、こう言っていますけど、しかし、あとの方針としては、これを済州市にもつくりなさいといっているのですよ。だから、これは明らかにあなた方が意欲的に、こういう売春行為を含むいわゆるナイトライフ、何のことかわかりませんけど、夜の生活という意味ですか、ナイトライフの施設を充実しろ、はっきりいっているんですよ。これは調査団の結論なんです。こういう結論をお出しになる心理が私はわからないんですよ。これが韓国朝鮮の民族の感情をまさにさかなでしているような、朝鮮民族からいえばまさに国辱ものの方針を日本政府当局が押しつけてきたのだ、これはこういう結論になるのです。いまだにこういう点で何の反省もないのかどうか、私ははっきりここで御答弁を願いたいと思うのです。
  103. 田付景一

    ○田付参考人 先生もおっしゃったように、私も実はナイトライフというのははっきりわからないのでございますが、いまおっしゃったようにもしそういうような解釈でございましたら、われわれとしてはそういうナイトライフを考えているわけではございませんので、その意味では、今度の調査団並びに調査団の団員とともにそういうことはしないようにしたい、こう思っております。
  104. 庄司幸助

    ○庄司委員 時間のこともありますから、あまりこの問題でやりとりしたくないのですが、わからないと、こうおっしゃっていますよね。しかし、ここにちゃんと文章として「西帰浦とゝもに」、こうありますよ。そうすると、西帰浦のくだりを見ると妓生パーティーやナイトクラブの施設、明確ですよ。だからその点、私は、あなたが遁辞をここで言うのじゃなくて、こういう報告を出したことについて明確に反省してもらいたい。これはほんとうに朝鮮民族に対する大きな侮辱ですよ。その点、この場で私は反省の意を明確に表していただきたいと思うのですが、どうですか。
  105. 田付景一

    ○田付参考人 いまのそういう意味でございましたら、全く反省いたします。
  106. 庄司幸助

    ○庄司委員 では、運輸省の観光部長さんに今度はお伺いします。  この調査団には運輸省の観光部の課員が参加されておるようであります。堀木常雄さんという、観光施設を総括する方で、運輸省大臣官房観光部計画課補佐官であります。この方が参加されております。あとは空港関係の航空局関係です。だから、航空局関係はナイトライフとは関係ないだろうと思いますけれどもね。一体、この運輸省の観光部の課員を派遣されたわけでありますから、この方も共同の責任で作成したこの調査報告書でありますから、運輸省の観光部として、国際観光にはどうしてもこういうナイトライフ、あるいは売春行為、飲む、打つ、買う、これが三拍子そろわないと観光の要素が一つ抜ける、こういうお考えでいらっしゃるのかどうか、これもひとつ明確にしてもらいたいと思うのです。  なお、ちなみに、私は非常に朝鮮の方にとって侮辱的だと思うのは、あなた方が国会に報告された「観光の状況に関する年次報告」、観光白書、これには一言もそういうことは触れておりません。日本の国内観光の問題ではそういうことを全然いっていませんよ。実際はたくさんあるのですよ。さっき出てきた東京のような事例もあるわけです。日本国内ではこういうふうな取りすました、りっぱなことをおっしゃっておいて、それで韓国向けの調査報告書にはこういうくだりを麗々しく述べられる。こういう課員をあなた方はかかえられておられるわけですよ。こういう点について、あなた方はどういう御反省をなすっていらっしゃいますか。
  107. 中村大造

    中村説明員 お答え申し上げます。  確かに当調査団には運輸省の観光部から職員を派遣いたしております。したがいまして、その調査団で報告書の作成をいたしたわけでございますから、その内容につきましては責任の一端を負っておるということは当然でございます。  ただいま御指摘のナイトライフ云々の字句でございますけれども、確かにそのことばが、先ほどから非常に問題になっておりますような、いわゆる非常に忌まわしい実態を備えたものであるというふうに認識をされる表現でありますれば、そういう表現をあの報告書の中に用いたことはあるいは誤解を招くということは、私も痛感いたしておるわけでございます。したがいまして、これから韓国側の計画につきまして、その計画をさらに評価いたしまして最終的な報告を出す段階になるのだろうと思いますけれども、ただいまの先生の御指摘を十分肝に銘じまして、本来日本政府として考えておりますことは、済州島が、先ほども申し上げましたように、健全な、主として戸外のレクリエーションを行ない得る場を建設するためにわれわれが協力をしているのだという認識に立ってやっておるわけでございますから、その趣旨が徹底されますように、さらに私といたしましても指導をいたしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  108. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま部長が、ナイトライフというのがそういう意味にとられますならばなどと、ならばこうだ、こう言っているわけでしょう。私はことばじりをつかまえるわけじゃないですが、やはりこういう点は率直に反省してもらいたいと思うのです。国の方針としてはまあそういうことがないんだというおことばもあったわけですが、しかし、やはりこの調査報告書を見る限り、私はやはり、このいわゆるかいらい政権のもと、あるいはこの植民地下にある場所、こういうところが共通して、あなた方、そういうナイトライフの問題、カジノの問題を取り上げておられるのです、この報告の中で。たとえば、いま言ってみますよ、いいですか、これはこういうくだりにあるのです。済州島の観光地としての評価の中で、旅行先としての韓国隣接地域の比較をやっておられます。その三〇ページから三一ページ、二ページにかけて、香港、台湾、沖繩、ハワイ、韓国、グアム、この六つを比較しておられるわけです。ところがこの中で、いわゆるナイトライフ、カジノ、この問題に魅力があるという、この指摘をしている部分が香港なんですね、一つは。香港には「ナイトライフ、マカオのカジノ等の魅力のあること。」これが特徴だというのですね。「各地域の特色を概観すれば、次のようにまとめられよう。」香港には「ナイトライフ、マカオのカジノの魅力のあること。」台湾には「ナイトライフの魅力が大きいこと。」韓国には「ナイトライフ、カジノ等の魅力のあること。」何も済州島だけの問題じゃないのですよ、これは。韓国全体をそういう魅力のある地域だ、こう述べておるのですね。たいへん御評価なすっているわけですよ。  こういう評価をする精神的な構造は一体どこにあるんだ。やはり私は、この精神的な構造の中にこういう評価が出てくる根源があると思うのですよ。だから、その点、私は政府全体、特に外務省、あなたのほうの、いままですまして見ておられたけれども、外務省所管ですよ、事業団は。外務省日韓閣僚会議の結論に基づいて派遣した調査団なんです、これは。国費を使って……。こういう認識を外務省が持っておられる、こういうふうに外国から受け取られてもやむを得ない表現なんです、これは。その点私は、観光部長とそれから肝心かなめの外務省経済協力局長さん、こういう精神構造を、まあお持ちになっていればこれはたいへんな問題ですが、これはやはり全面、いまからでもおそくありませんから、あの項目は全部削除する、これを韓国に対して率直に申し入れて、これを削除する決意が必要だろうと思うのですが、その辺どうですか。お二人、ひとつお答え願います。
  109. 御巫清尚

    ○御巫説明員 先ほど田付理事長からもお答え申し上げましたとおり、現在なお済州島の観光開発につきましての最終的な報告書を取りまとめ中の段階にございますので、そういう際には、御指摘のような点、ふまじめな点につきましては大いに反省を加えて修正をしてまいりたいというふうに存じております。
  110. 庄司幸助

    ○庄司委員 いまからの第二次か何かわかりませんが、それで修正するというのではなくて、私が言っているのは、これは公式の文書としてもう韓国に渡っているんですね。これがまだいまのところ韓国の国会でも問題になっておらないようですがね。韓国の新聞でも問題になっておらないようですが、これは問題になったらたいへんなことですよ。まさに日本外務省が派遣した調査団が、朝鮮の方々にとっては国辱的なことを評価させている、こういうことになるのです。ですから、あやまちを改むるにはばかることなかれということばがありますから、これが問題になる前に、やはり率直に、ああいう報告書を書いたのは当方の手落ちであったということで訂正の申し入れをする。それぐらい私は必要だろうと思うのです。その辺どうですか。
  111. 御巫清尚

    ○御巫説明員 お手元資料にもございますように、本件調査報告書は調査団の報告でございまして、海外経済協力事業団から発行したものでございますが、こういう点が非常にふまじめであるというふうな御指摘でもございますので、御指摘の線で私どものほうでさらに検討を加えてみたいと思います。
  112. 庄司幸助

    ○庄司委員 済州島の問題特にナイトライフの問題はこれだけにしておきますがね。  それから、きょう外務大臣出ていらっしゃいませんので、これはあとで外務大臣にもお伺いしますが、いわゆる日本の観光客の態度の問題ですね。これについて韓国の、朴政権は一応おきますが、韓国一般の市民の方々や学生の方々がどういうふうにとらえておられるか、これを外務省、つかんでおられますか。つかんでおられたら、ひとつどういうふうなとらえ方をしているのか。日本人の観光客の問題について、韓国人が歓迎しているのか、あるいは反発を感じているのか、この辺の調査をなすっていると思いますから、それをひとつお答え願いたいと思うのです。
  113. 大森誠一

    ○大森説明員 日本の観光客の一部の方の韓国においての行状で非常に望ましからぬ面があるという点につきまして韓国の一部の方々に非常に不満があるという点については、私どもも認識している次第でございまして、わが国から韓国へ観光で行かれる方々がわが国民としての矜持を持って行動されることを、私どもとして切に希望している次第でございます。
  114. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは小林委員からも先ほど出た問題ですが、ほんとうに死をかけて戦っている韓国の学生の決議の中にも入っているわけですね。あなたは一部の方からとおっしゃいましたが、これが一部なのか大部分なのかは、だいぶ開きがありますよ。私はいろいろ調べました。韓国の新聞も見ました。それから韓国の国会の報告も見ました。決してあなたが言うように一部の方ではないのですね。相当部分の方が、日本の観光客のナイトライフの問題については反感を持っている。これは明確なんです。何なら、韓国の国会の報告をあなた方が取り寄せてごらんになったらいいと思うんですよ。それから、韓国の新聞が毎日出ておりますから、あるいはテレビ、これにも数限りないくらい出てくるのですね。まさに国辱ものだ。学生のデモ隊のシュプレヒコールの中で、妓生観光は民族精神を堕落させる、こう言っているのですよ。韓国の民族精神を堕落させている。これが日本の観光のやり方なんだ。こういうことを野放しにやらしておいていいのかどうかということです。朴政権がどんなに腐敗堕落しているか、私は知りませんが、あるいは海外資金を目当てにこういうことをやらしているのかどうかわかりませんけれども、少なくとも韓国の相当部分の方がこうやって、民族精神の堕落を日本人によってやられていると受けとめられている。これは外務省、たいへんな問題ですよ。だから、これは大臣がいれば、あとで大臣からも明確に答弁をお願いしたいのですが、あなたは経済協力局長ですから、日本の対韓経済協力が進む中でこういう事態がどんどん発生しているわけですから、その点、一体、これはすぐにやめさせる、こういう態度、決意がおありなのかどうか、これをひとつ伺います。
  115. 御巫清尚

    ○御巫説明員 韓国のみならず、日本経済協力を行なっております開発途上国におきまして、その現場におきます日本人の諸種の活動がその国民にとって不愉快なものであったり、あるいは非難すべきものであったりするようなことがないように極力戒めてまいりたいというのが、私どものとっております方針でございますので、そういう意味におきまして、すでに日本国内におきましても、財界等に呼びかけていろいろな行動の基準をつくっていただいたり、いろいろしてそういう点の規制をはかってまいる、こういう努力は今後もなお続けて、御指摘のようなことが行なわれないようにできるだけ規制を続けていきたいと思っております。
  116. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、大蔵大臣、何かお急ぎのようですから、まあいまの関係は、警察関係やその他また続けますけれども、大蔵大臣に一言だけ私お伺いしたいのは、日韓定期閣僚会議の中で日本がテークノートをした部分ですね。七六年までで韓国経済の自立を達成する、それ以後はいわゆる民間投資に切りかえていくんだ、こういう一節があります。それに日本政府はテークノートした、こう書かれてあります。  そこで、韓国のいわゆる重化学工業化計画ですね。これは一九八一年までに約百億ドル近くの外資や借款を入れていく、こういう韓国側の計画であります。まあ政府関係の経済協力は一応七六年であるいは打ち切られるかもしれません。かもといっています、これは。しかし、民間ベースでは投資なりあるいは延べ払いなりでどんどん進んでいく。そういった場合、輸銀の関係のワクがだんだん拡大していくんじゃないかと思うんですよ。そうすると、当然輸銀の側からあるいは財界の側から、輸銀の資金についてのワクの拡大の要望が出てくる論理的な結論になるわけですが、金大中事件以来いろいろ国内で論議がし尽くされるぐらいされておりますが、その原因の一つとしてやはり対韓経済協力が、韓国の人々からいうと隷属化につながっている、われわれからいうと韓国に対する経済進出がひど過ぎる、こういう憂慮がされているわけですが、この輸銀のワクの拡大ですねだいぶ先の話でありますが、こういうことが要望されても、いまの日本の世論の動向や韓国の世論の動向からいって、もうこれ以上輸銀は使わせないというような御決意があるかどうか、この点だけ、大蔵大臣いらっしゃる間に聞いておきます。
  117. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 輸銀の計画は国別に、この国とはどうする、この国とはどうするという角度から今後とも計画すべきものではない、これが基本的な考え方でございます。で、日本として、外国との関係において、日本の国益の上からいってもプロジェクトを中心に合理的で両国のためになる、こういうものについては、必要に応じて輸銀の融資あるいは投資考えるということが計画の基本であると思います。それから、たとえば海外経済協力基金の組織もございますし、民間のそのときどきにおける経済余力と申しますか、そういうこともございましょうし、そのいろいろの状況を総合的に判断して計画すべきものである、かように考えております。  それから韓国との関係は、率直に言って、現在の状況はまことに両国にとって不幸な状況にございます。そういう環境の中で、先ほども申し上げましたように閣僚会議も、最近、いつ開かれるかというめどがちょっとつきかねるような状況にあるわけでありますけれども、そもそも両国の関係から申しましても、こういう不幸な事態はなるべくすみやかに解消して、そして本来の正常な協力関係に戻ることが望ましいと私は考えております。したがって、そういう環境の中で日韓両方の協力関係をどういうベースでどういうふうに考えていくかということをじっくり検討すべきものであって、韓国に対しては何千億のワクで輸銀でやってもらうというふうな角度から考えるべきものではない、これが私は基本であると考えております。  なお、御質問から離れるかと思いますが、実は他の面におきましても、輸銀については、今後経済協力あるいは日本自体のためにも要請されるような資金量というものが相当大きくなる可能性がありそうでございますから、全体を総合的に見て、やはり地域的にも十分の考慮をしていかなければなるまい、こういうふうに考えております。
  118. 庄司幸助

    ○庄司委員 大蔵大臣にもう一問だけお願いしますが、いままでのこの決算委員会での論議、これはまだ大蔵大臣、きょう初めてでございますからおわかりにならないだろうと思いますが、やはり日本の対韓経済協力が、最近どうも民間ベースがどんどん入っていく、投資もふえていっている。このごろじゃ馬山なんかはほとんど一〇〇%日本投資である。これが韓国の方々のいわゆる感情を非常に刺激している。隷属になる、こういうとらえ方をしている方が相当あるわけですね。全部とは言いませんよ。そういう際あえて——いま日本国内でも、非常に資金需要が窮屈であります。特に中小企業なんかは非常に窮屈です。そういう状態も考えないで、輸銀の対韓向けの企業ベースでの進出がどんどん多い、それに輸銀もついていくようになる。こうなると、日本国民感情からいっても、特に中小企業の方々なんかはやはりおもしろからぬ感情を持っていると思うのですよ。輸銀で回すぐらいの金があるならば、なぜわれわれにもう少し潤沢な資金を回してもらえないのか。しかもその資金源は、御承知のとおり零細な積み立て金やあるいは国民の税金ですから、やはりこの辺の配分の適正ははかっていく必要があると思うのですね。ですから私は、八一年度百億ドルをオーバーするような韓国のああいう重化学工業計画、これがいざ出てきて、どんどんどんどん進展するようになったらたいへんだろう、こう思っているのですね。私はこの輸銀の問題、老婆心ながらいまから心配しているわけです。その辺で大蔵大臣から、そう野放しに、韓国の要請に従って日本企業進出する、それに輸銀もつられていく、こういうことはさせないという一言をやはり当委員会で表明していただく必要があるんじゃないか、こう思うので質問しているわけです。その点どうですか。
  119. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そもそも経済協力は、相手方が好ましい環境にあることにおいてその成果をあげるものであると思いますから、先方の国民感情を刺激するような状況にあるものについて無理押しに強行すべきものでないということは申すまでもないところでありまして、こういう点は、韓国の場合に限らず、日本としては非常に警戒し、配慮していかなければならぬところであると思います。  それから第二に、先ほど申し上げましたように、輸銀というものは国の予算計画等とは違いますから、国別にワクを設けて云々というような考え方ではございませんで、双方のためになる合理的なプロジェクトを中心にして考える。それから同時に、日本もこういうふうな立場になりましたから、グローバルに十分の配慮をいたしまして、地域別にも相当の配慮をしなければならない。  それから、輸銀の活動の分野が新しく拡大を予想される、これは国内の中小企業との関係を十分留意せよ、これはまことにごもっともであります。輸銀自身も、昨年あるいは一昨年あたりから、財投の対象として中小企業に分けられるようなものがそのほうにとられてはいけないということを配慮いたしまして、その道はほとんどふさいでおるわけで、今後とも中小企業等にたとえば財投関係などで配分をする場合には、十二分にその点は考えていきたい。  それから、韓国についてはもうやるなということをここで言明せよとおっしゃるのは少し無理であって、そういうふうには申し上げられませんが、しかし、いま申しましたような基本的な態度で、十分合理的で、しかも先方が国民的に好ましい環境で受け入れてくれるようなもの、こういうふうな角度で協力をいたすべきものである、かように考える次第でございます。
  120. 庄司幸助

    ○庄司委員 じゃ、大蔵大臣もお帰りになってけっこうですから。  それで、さっきの続きに移りますが、警察庁にひとつ伺いたいのですが、先ほど小林委員から質問のあった例の銀座、湯島、この辺の何か秘苑という料亭ですね、これも私も小耳にはさんでいるわけです。これが小林委員のおっしゃるとおり、もし売春行為につながっているとすれば、当然売春防止法ですか、これに従って厳重な処断をしなくちゃならない、こう思うわけですが、その辺の観点調査を進めておられるのかどうか、あるいは調査なすったことがあるのかどうか、これをひとつ伺っておきます。
  121. 綾田文義

    ○綾田説明員 売春犯罪につきましては警察は強い姿勢で臨んでいるわけでございますが、御承知のように、売春犯罪の場合には、捜査の方法あるいは立証問題その他でかなりむずかしい点もあるわけでございます。現在のところ、銀座にございます秘苑、それから湯島にございますが、湯島のは飲食店でございますけれども、そういうものにつきましては、捜査に着手できるというふうな情報は、いまのところまだ把握いたしておりません。
  122. 庄司幸助

    ○庄司委員 じゃ、それはそれだけにしておきます。  次に、これは通産も関係してまいりますので、済州島の観光開発の問題で、私はひとつ観点を変えてお伺いしたいわけですが、この点で、どうも国際興業がこの済州島開発に関与しているという話を聞いているのですが、その辺、通産当局はお調べになったことがあるかどうか、事務局でいいですから、ひとつお答え願いたいと思います。
  123. 和田敏信

    ○和田説明員 現在までのところ、そのような情報には接しておりません。
  124. 庄司幸助

    ○庄司委員 じゃ、申し上げましょう。  それは国際興業の社長さんかあるいは会長さんか、職名はわかりませんが、小佐野賢治さんという方がいらっしゃいます。この方がいわゆる大韓航空、この会社の株を相当程度取得されたという資料を私は一つ持っておりますが、この点については担当の当局はつかんでおられますか。だれでもいいですから……。
  125. 後藤茂也

    ○後藤説明員 お答えいたします。  小佐野賢治氏個人が大韓航空の株主であるということは事実として承知しております。
  126. 庄司幸助

    ○庄司委員 何株、それから金額にしてどれぐらい所持しておられるか。
  127. 後藤茂也

    ○後藤説明員 お答えいたします。  遺憾ながらその詳細のデータについては、ただいま私は承知しておりません。
  128. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは朝日新聞の昨年の七月十二日の紙面でありますが、「大韓航空の株式三〇%」「国際興業が取得へ」と書いてあります。この点について具体的な数字、この新聞報道でありますが、これは御承知ですか。
  129. 後藤茂也

    ○後藤説明員 先生がただいま御引用になりました新聞記事あるいはそのほかのことにつきましても、小佐野氏の持ち株の株数なり比率なり金額なり、そういったことにつきましては、ただいま詳細なるデータを持ち合わせておりません。
  130. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、これはあとで御調査の上、資料としてひとつ出していただきたいと思います。  それからもう一つお伺いしたいのは、これはおそらく通産関係になるかと思いますが、日本開発という会社、これについてはどういう会社なのか、それから株主の関係、どういう系統の会社なのか。私の伺ったところによると、日本信販の子会社である。日本信販は三和銀行が筆頭株主でありますが、会頭は村野さんですね。この日本開発、これについて何か御存じの点があったらお聞かせ願いたいと思うのです。
  131. 和田敏信

    ○和田説明員 遺憾ながら日本開発に関しましては、何ら承知いたしておりません。
  132. 庄司幸助

    ○庄司委員 それじゃ私から申し上げましょう。  日本開発株式会社設立昭和三十一年の四月三十日。沿革は、三十一年の四月、日本信用販売株式会社の不動産部門を分離し、資本金六百二十五万円で株式会社日本信用販売不動産部を設立。三十六年一月、信販コーポラスと改称。そして四十三年現商号に至っている。この大株主の名簿がありますが、日本信販が相当の株を持っている。  実はこの日本開発が大韓航空と提携して日韓共同で済州島開発をやる、こういう日本経済新聞の記事が出ております。これによりますと、会社の名前は韓日観光開発だ。これは近く認可される見通しだと、五月二十九日の時点で出ております。この会社韓国政府のいわゆる済州島観光開発計画の中核になるといわれている。第一期工事として百五十億円を投じて、済州市と、さっきのナイトライフのですね、それから西帰浦といいますかここに二つのホテルを建設するほか、カジノ、ゴルフ場、フィッシング場、こういうものをつくる千五百万平米をもうすでに確保している、こういわれております。  こうしますと、国際興業、これは岩手県あたりで相当問題を起こした会社です。それから、たいへん失礼でありますが、田中総理とも小佐野さんはきわめて親しい間柄だ、こういわれている会社です。この国際興業が大韓航空と提携して空路を受け持っていく。あるいは先ほど名前の出た済州島と釜山間のカーフェリー、この辺もあるいは手をかけるかもしれない。  空や海の面は、そうやって国際興業関係が提携してやる。それから陸の面は、先ほど言った日本開発、これがやはり大韓航空と提携をして進めていく。こうなると、先ほど来問題になったいわゆる済州島の観光開発、外務省調査団を派遣してつくり上げたああいう開発計画、長期構想、この線に乗って、やはり日本のこういったいわゆる運送業界の雄といわれている国際興業やあるいは土地開発関係で活躍しているといわれている日本開発がやはり済州島をねらっているんじゃないか、こう韓国の方々からとられても、これはやむを得ない問題だ。そういう中で、この韓国国民の感情をさかなでするようなナイトライフの問題や妓生パーティーの問題が取り上げられていく。これはやはり先般来当委員会で問題になっている日本資本の無原則的な、資本の論理に従った進出が進めば進むほど、やはり私は対韓経済協力の問題がさらに韓国国民の感情を刺激していく、こういうことになりはしないかと思うのですが、この辺で、いまの国際興業と大韓航空との関係あるいは日本開発と大韓航空の関係、大韓航空の背後には、これは非常に大きな、朴大統領ときわめて密接な財閥がくっついている、こういう関係もあるようですから、この辺何ら憂慮されておらないのかどうか。これはひとつ、企業指導をなすっておる通産大臣やあるいは外務省経済協力局長あたり、お二方からお答え願いたいと思うのです。
  133. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 企業の活動は自由でありまして、日本にある法規あるいは韓国にある法規の範囲内において資本やあるいは経営を行なったり参加するということは、われわれのほうの現在の経済体制では自由に行なわれるような体制になっておるわけであります。したがいまして、いまのような航空路あるいは観光開発等についても、いまのような範囲内において行なわれるものであるならば、われわれはいろいろ規制するということはできない情勢であります。しかし、おのずとこれは企業倫理あるいは国家間の何と申しますか、お互いに尊敬を失わないような行動を律する倫理的基準というものは、当然これはあることは好ましいことでありまして、そういう面において両国国民が永久に友好親善を保持していけるような配慮をやるということは、やはり必要であると思っております。  いまいろいろお話を承りましたが、いまお聞きした範囲内において、私らはこれをとがめだてするような問題はないと思いますけれども、しかし将来にわたりまして、そういう点についてはわれわれも関心を持って、両国の企業国民が友好親善を永久に維持していけるようなおのおのの自律的な反省力を持った行動をとるように指導してまいりたい、そういうように思います。
  134. 御巫清尚

    ○御巫説明員 済州島の観光開発につきまして政府が今日まで関与しておりますところは、先ほど来、田付理事長からも御説明申し上げましたるとおり、一昨年の閣僚会議のコミュニケに基づきましてその基礎的な調査をして、さらに韓国側がつくりました計画について、それについてのアドバイスをするという程度に現在まではとどまっておりまして、今後韓国側が政府に対してどういうふうな要請を出してくるかにつきましては、まだ私どもとしては何ら把握しておらないところでございますので、今後どういうふうになってまいりますかは、いままでの調査の結果を韓国側と相談しながらつくり上げるということ以外には、まだ詳細はよくわからない次第でございます。  しかし、先ほど通産大臣からもお答えになりましたとおり、こういう天然の非常にきれいな場所を開発して、健全な両国国民のレクリエーションのために使えるような場所にするということのかげにあまり好ましくないようないろいろなことが含まれることがないように、今後とも注意してまいりたいというふうに存じております。
  135. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで、実はいまの済州島の問題でこれは「韓国産業経済動向」という韓国産業経済研究所の発表した資料でありますが、先ほど千五百万平米が確保されていると私言いましたが、この土地の値段、これが韓国政府の地価公示に——これは韓国の問題だと言われればそれまでですが、これに基づいて基準地価告示をやったわけですね。「同基準価格は、公共施設用地を買収するとき買収価格基準となり、土地を収用するときは補償額の算定基準となる」この地価が標準となって売買が行なわれていく。  土地収用と買収はまた別でありますが、それが済州島の場合きわめて低廉なんですね。韓国自体が、土地の値段は日本ほど上がってはいないと思いますが、たとえば、いわゆる観光開発の一番拠点になる済州市、ここの宅地は、邦貨に換算すると一坪二万一千七百円です。これは最高の場所ですね。最低の場所の宅地は五百四十二円五十銭なんです、これは済州市ではありませんが。それから、たんぼは何ぼだ。たんぼ、これは田の字が書いてありますが、向こうの場合、畑だかたんぼだかわかりませんが、これが最高で六千六百五十円で、最低は百四十円だ。それから「水の下に田」と書いたのが、これがほんとう日本のたんぼだろうと思いますが、これは西帰邑というところで八百七十五円、これが最高。最低が三百二十九円。それから林野に至っては、最高が千四百円で、最低はたったの十四円なんですね。  だから、先ほど言った日本企業進出が、幾ら韓国企業と提携したからといって、こうやって日本で土地を買い尽くして、今度は韓国へ行ってまた土地を買いまくる。韓国の農民や市民を苦しめる問題になっていく。今度は、買いあさりが進めばまた上がるという関係も出るだろうと思いますが、これは両国人民の友好感情からいってきわめて好ましくないような事態がやはり進展するおそれがあると思うのですよ。通産大臣企業進出は自由だとおっしゃっていますが、やはり両国人民の友好感情を刺激しない、阻害しないという観点からいくと、こういう実態があるということも含めて、私は、韓国の観光開発事業に対する日本企業の協力問題は、やはり政府が相当チェックしていく必要があるのじゃないかと思うのですが、その点、まず外務省、どうですか。
  136. 御巫清尚

    ○御巫説明員 先ほども申し上げましたとおり、政府が現在関与しておりますことは限られておりますし、いま先生御指摘の地価等についての知識も私はあまり存じておりませんでしたが、確かに、企業進出していく際にそういう地価の値上がりとかなんとかいうことが起こらないように留意していくということは、必要なことであろうかと存じます。
  137. 庄司幸助

    ○庄司委員 通産大臣、どうでしょうね、その辺。先ほどあなたは、企業進出企業活動は全く自由だ、こうおっしゃったんですが、やはりこういった韓国の地価をあおったり、あるいは安い土地を買い占めるような行為が進みつつあるという、この実態ですね、この辺相当注意してかからなくちゃならない問題だろうと思うのですが、こういう現実が進んでいるのですから、そういう具体的な問題についてどうお考えになっているか、ぜひお聞かせ願いたいと思うのです。
  138. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはり両国国民が永久に友好親善が維持できるような配慮をして企業進出も行なう社会的責任を持っておると私は思うのです。企業の対外事業活動の行動指針というのを経済団体がつくりまして、これを励行するということを私のところに言ってまいりまして、われわれもそれを激励して、それが実行されているかどうか、海外の機関を通じても監視させておるところでございますが、韓国の場合におきましても、地元の国民のひんしゅくを買うような、あるいは地元の人々に多大な迷惑をおかけするような形の企業進出ということは、これはわれわれとしても厳に戒めなければならぬ、そういう考えを持って指導してまいりたいと思います。
  139. 庄司幸助

    ○庄司委員 それじゃ、これは、もうあまり時間もありませんからくどくは言いませんが、いま済州島に起きている事態ですね、これはひとつお調べになって、やはり通産省のそういう点での指導性をぜひ発揮して、内容チェックするなり、調査の上でこれは不適当だと思われるような面があれば押えてもらいたいと思うのです。  次に、通産大臣に最後にお伺いしますが、いわゆる韓国の重化学工業計画ですね。これは先ほど来問題になっておりますが、六月五日には韓国の企画院の長官もいらっしゃって、日本側の財界人二百人くらい集めて説明をやっております。この事実は御存じですか。
  140. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 財界人を集めて説明したということは、いま初めてお聞きいたしました。
  141. 庄司幸助

    ○庄司委員 これはことしの六月五日に、日韓経済協会、これで、この企画院の長官並びにその関係の方々がいらして、長官自体は御出席になったかどうかわかりませんが、この全貌を説明しています。この全貌が説明されるや、やはり財界の動きがあわただしくなったという話があるのです。この重化学工業計画というのは、先ほど来再々述べられているように、非常に膨大なものです。しかも韓国のいわゆる外資導入その他含めて百億ドルをこすといわれている計画ですが、この中の鉄鋼の問題をひとつ私はお伺いしたいと思うのです  この浦項の第二期拡張だけで約一億三千五百万ドルの資金協力を求められている。それからさらに、浦項の第三期拡張までいくには外資が六億四千万ドル要るだろう、要求するだろう、こういわれているのです。その上に第二総合製鉄所、これを洛東江かどこかにつくるらしいのですが、これには七億四千六百万ドルの外資が当てにされているわけです。この外資を受けるためには日本の大企業投資あるいは借款を受けるしかないだろうと思うのです。そういう点からいくと、ますます日本の大企業韓国経済の根幹部分を握っていく韓国ソウルの学生が十月二日あるいは十月五日に命をかけてデモをやったわけですが、その中でいわれていることは、韓国経済日本経済に隷属する、これを非常に憂慮して一つはあのデモになったわけですが、こういう韓国の計画があって企業進出は自由だというたてまえでどんどん野放しにやられていった場合は、日本の大企業韓国経済の心臓部まで握ってしまう、こういうことになりかねないのではないかと思うのです。  その点、私は通産大臣に、大局的な見地から見て、日本企業立場だけでなくて、やはり日本と朝鮮民族の永遠の友好、この立場から見て、こういった韓国の重化学工業計画に対して、政府がこれをどう見るのか。これは当然、いつ開かれるかわかりませんが、第七回日韓定期閣僚会議で問題になると思います。やはりこういう点で政府が明確な見解をこの辺で打ち出しておかないとたいへんな問題になるんじゃないかと思うのです。これは鉄鋼だけの問題を申し上げたのですが、石油の問題もあります。時間がありませんから言いません。それから電子工業の問題もあります。造船の問題もあります。化学の問題もあります。それから非鉄金属の問題もあります。ほんとう日本と朝鮮民族の永遠の友好関係を維持することは、こういう野放しの企業進出ではとうていはかれない。この辺で明確な政府の見解をいま打ち出しておく必要があるのじゃないか、こう思うのですがその辺、通産大臣から最後に御答弁をお願いして終わりたいと思います。
  142. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 韓国がその主権の範囲内において自分の国の立国を考え経済発展の青写真をおつくりになるということは、韓国の政治家の当然の国家的責任であるかもしれません。そういう見地からおやりになることについて、われわれが外国から、とやかく批判がましいことを申し上げることは適当でないと思います。  ただ、一般的にいわれれば、やはり産業というものを発展させるためにはバランスのとれた産業発展が好ましいと一般的には言えるだろうと思います。農業あるいは中小企業、下請産業、そういう足腰のしっかりした上に重化学工業化というものが行なわれるということがバランスのとれたやり方で、重化学工業化をあまりに急いで、大きな設備をぼんぼんつくるという国が発展途上国にありましたけれども、それらの国々も反省期に入っているという例を私たちは知っております。  一般的に見て、一般論としてはそういうことが言えると思いますが、韓国の問題につきましては、韓国の皆さんがそういうこともお考えの上青写真なり五カ年計画をおつくりであると思いますから、私たちはここでとやかく申し上げることは差し控えたいと思います。  ただ、日本企業進出する、経済協力をするという場合には、これは国交上の問題も考えなければなりませんので、前にも申し上げましたように、相手の国々からわれわれの善意が誤解を受けるようなことが行なわれるということは、これは差し控えるように、注意深くやる必要がある、そういうように思うわけであります。日本企業が出ていくという場合には、もし大がかりな仕事である場合には国家資金に関係してくる部分が発生してくると思います。そういう部分については、やはりわれわれはこれを権限をもちましてチェックして、適当ならざるものについては適当ならざるものと判断をしてこれを処理する、そういう考えでいきたいと思っております。
  143. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  144. 宇都宮徳馬

  145. 小林進

    小林(進)委員 限られた時間でございますので、簡単に質問を申し上げたいと思いますが、通産大臣は、九月の十九日でございますか、対韓経済援助は事件解決まで凍結するとの強い姿勢を固めているというようなことが報ぜられていたのでありますが、その後の御心境はいかがでございますか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  146. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 対韓経済援助を凍結すると発言したことは私はありません。私が申し上げましたのは、援助打ち切りをやれ、強く御発言がございましたので、私はそういう不幸な事件が起きないことを希望する、しかし、もし万一、国家主権が侵犯されているというようなことが現実にはっきり出てくる場合には、まことに残念であるけれども、そういう場合には外交当局と相談をし、閣議レベルでその問題も含めて検討することになりましょう、そういうふうにお答えしたので、凍結するということは申してありません。
  147. 小林進

    小林(進)委員 どうも金大中事件が起きてからの当初の通産大臣の発言が、だんだんだんだん、ネコのシャッポじゃないけれども、後退をし、軟化をされているというのが世間一般の見方でございますが、私はそんなことはないぞと言ったのでありますけれども、いまの御発言を聞いて、なるほどこれは後退したなという感じを深めたわけであります。  私見を述べることは別にいたしまして、いまひとつ通産大臣にお伺いしておきたいことは、同じ九月十九日であります、この決算委員会で、対韓援助は実を結び、歓迎されておる、不正や忌まわしいことは断じてないというような御発言があったと聞いておりますが、この点、間違いがないか承っておきたいと思います。
  148. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 対韓援助に不正はない、そういうことは私は申し上げたように思います。
  149. 小林進

    小林(進)委員 先ほどもお話がございましたとおり、この軍事的ファッショ、弾圧の中で、いま韓国ソウル大学の学生が決死の覚悟で立ち上がっておる、これはもう燎原の火のようにいま延びて、他の大学にもこれは波及していって、だんだん大きくなりつつあるといっておるのでありますが、その学生たちがまさに決死的にやっておるスローガンの中心は何か。いま韓国に最大の害悪を与えておるものは二つある。一つ日本経済力の進出一つはアメリカの軍事力、この二つが韓国を今日のこの悲惨な状態におとしいれているのだということで、韓国の学生を中心にする世論は、あの弾圧の中で、日本の忌まわしい——私はあえて言います。忌まわしい経済進出に心からなる怒りを感じている。それをあなたは、わが日本の対韓援助には、経済進出もあわせて不正はないとぬけぬけと言っていらっしゃるのでありまするが、それならばそのことについて、私は、時間がありませんからちょっと読み上げて、この内容にうそがあるか、ひとつお聞かせ願いたい。  多くの日本企業は、相次ぐ技術更新と過当競争で時代おくれになったり、廃物化した過剰生産施設を民間の援助といった形で韓国に輸出し、始末しようとした。その典型は東洋レーヨンの合成繊維工場、日本パルプ工業の肥料工場、チッソの塩化ビニール工場などである。しかし、まさにスクラップされんばかりであった人絹工場を輸入して設立された合成繊維の工場は、たちまち銀行管理のもとに置かれた。日本から旧式のカーバイド、アセチレンの設備を輸入して設立した大韓プラスチック、共栄化学の生産コストは、一トンにつき五百ドルにもついた。国際的な生産コストは二百三十ドルで、その二倍以上にもなる。これらとんでもない取引が行なわれた裏には、日本会社にもうけがあったのはもちろん、韓国につきものの汚職がそこにある。日本の貿易商社から得たニュースとして報道しておるところによれば、韓国政府から事業の認可を受けるには政治寄金として総事業費の三、四%、さらに韓国財界の実力者にリベートとしてその四%を支出しなければならない。事業は借款によってほとんどまかなわれておるので、合計して借款の八%がわいろに使われていることになる。これでは事業が成功するわけがないじゃないかといって明確に報道せられておるのであります。これに対する通産大臣の所見を承りたいと思います。
  150. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その記事がどういう記事で、どこから出ているか、私、承知しておりませんが、そういう不正な事実はないと私は信じております。
  151. 小林進

    小林(進)委員 韓国のこの経済援助問題こそ黒い霧におおわれて、あるいはおみやげの形で、リベートの形で、わいろの形で百鬼夜行しておるというのが、これはもう韓国に関係する一般の商社の共通した意見であります。ただ、ニュースソースを申し上げるということは、またKCIAなどににらまれてたいへんな被害者を生じますから、私どもはそのニュースソースを申し上げることはやめますけれども、通産大臣はそんなことをぬけぬけとおっしゃるところに、大臣の人となり、大臣の人格、大臣の経歴に私どもは非常に不信を抱かざるを得ない。あなたが腹の底から言われていると私は信じられない。そういうことを平気で言う人だということに、私はあなたに不信感を持たざるを得ない。  時間がありませんから、問題を中心に言いますけれども、日本企業をはじめとして、韓国には不実企業というものが問題になっております。この不実企業の問題について、私はまず資料要求をいたしましょう。これは通産省か大蔵省か外務省の管轄か、知りませんが、みんなおいでになると思いますから、関係官庁で責任を持って出していただきたいと思います。  第一は、昭和四十四年五月、青瓦台不実企業整備班、もちろん韓国政府であります。この整備班が韓国進出している企業について鉄鋼、PVC、自動車、合板など八業種について調査をし、整理をした。その結果、三十七企業体を不実企業として認定をした。その中に日本の大手商社を窓口としているものが多いということが、韓国のこの企業整備班の中で報告されているのであります。この資料は、もちろん日本政府はお持ちになっていると思いますから、これを資料としてひとつ提出をしていただきたい。その中には三菱商事の仁川製鉄所二十五億ウォンの赤字、トーメンの韓国アルミ十五億ウォンの赤字、日商岩井の赤字が十億ウォン云々ということが、韓国調査の中に載せられております。  いま一つ資料要求いたします。  これは昭和四十六年七月であります。企業合理化委員会というものが同じく韓国政府の中に設置せられ、そして同年の九月、銀行管理企業体の整理に着手し、同年九月韓国財務部は、銀行管理企業体は五十八法人あり、そのうち整理対象は二十六法人であると発表した。いわゆる不実企業は二十六あると発表した。その中にも日本の大手商社が窓口になっているものが非常に多いということが、いわゆる合理化委員会調査報告の中にも載っているのであります。これもひとつ資料として、当然日本政府はお持ちになっていると思いまするから、これを出していただきたいと思います。  その中に、例を申し上げますれば仁川の三菱製鉄所はもちろん、日商岩井、韓永工業、トーメンの韓国アルミ、三井物産の都南毛紡と韓国肥料、三菱商事の造船公社、豊田通商の新進自動車、丸紅の韓国電気冶金と大元製紙等が全部赤字で不実企業であるということがこの中に記載されておるのでありますから、この資料をひとつ出していただきたい。  第三の資料要求をいたします。  それは三井物産が韓国の駐日某大使のために、その大使が在日中、三井系の邸宅を別荘に提供しておられたそうであります。それは一体どこにその別荘を提供されたのか、もちろん日本政府は御存じのはずでありまするから、これもひとつ資料として提供していただきたい。  第四番目は、これは韓国第三次経済開発五カ年計画調査団というものが編成せられて、団長には高島という経済企画庁の次官が、これは韓国のいまの企業調査に行かれたはずであります。もちろん調査資料はでき上がっております。これは経済企画庁でございましょう。これも資料としてひとつ提出されることを要求いたします。  で、これらの要求の中に載っている不実企業内容の一、二をひとつ私は通産大臣——これは通産大臣ばかりじゃございません。こういう企業投資や融資については通産省、大蔵省、経済企画庁から輸銀等、これは慎重に協議をされて、そして融資、投資をおやりになっているはずでありまするから、各省もみな関連したことでありまするから、同様に私は御質問しているというふうに考えて、それぞれ分担事項をお答え願いたいと思うのでありまするが、第一はトーメンであります。トーメンの韓国アルミについて五百九十二万ドルの使途が行くえ不明になっているという問題であります。  これは、トーメンの投資による韓国アルミが失敗して不実企業になりました。表面の原因は、電力の少ない韓国で電力を多く使うアルミ工場をつくろうとしたところに企業の失敗の原因があるという表面の理由がつけられておりますが、実はその真相は、いわゆるトーメンであります、日立製作であります、昭和電工という三つの日本の大企業が一千三百四十八万ドルを投資いたしまして、そして韓国の蔚山でいわゆる電解の設備工場をつくって年間一万五千トンのアルミを生産するという計画を実施いたしました。そのときに、それを受けた韓国のいわゆるアルミ会社の社長である張永鳳さんが実際の工場に投資した額は七百五十六万ドル、すなわち日本投資した一千三百四十八万ドルのうちの七百五十六万ドルを投資したにすぎない。あとの五百九十二万ドルは使途が行くえ不明になってしまっている。これが韓国の国会で問題になって騒いだその結果、使途不明金は六十万ドルにすぎないという擬装でそれをごまかそうとしたけれども、ごまかし切れないで、韓国の国会で大問題になった。韓国の国会で大問題になったのでありまするから、日本政府がその内容を御存じないわけがないのであります。一体その真相がどうなっているのか、私はこれをひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。
  152. 和田敏信

    ○和田説明員 先生御指摘資料関係に関しましては、当決算委員会に、決算委員の御指示によりまして二回にわたり資料は提出申し上げております。  先生御指摘の第二番目の四十六年の資料は、すでに提出済みではなかろうかと思います。第一回提出済みの末尾の不実企業に関する分がそれではなかろうかと思う次第であります。  四十四年の資料は現在持っておりませんので、調査をさしていただきたいと思っております。  それから第三番目に御指摘の三井物産の件に関しましては、聞いておりませんので、これは調査をさしていただきます。  第四番目の高島調査団に関しましては、外務省が派遣をいたしたミッションでございますが、関係各省とも相談をいたしまして、当決算委員会への……
  153. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 資料の問題はあとでまとめますから、最後の質問に答えてください。
  154. 和田敏信

    ○和田説明員 最後のトーメン、アルミ、日立、昭和電工に関する件に関しましては、ただいまのところ資料を持ち合わしておりませんので、後刻調査をいたしましてその結果を当決算委員会に御報告さしていただきたい、かように思っております。
  155. 小林進

    小林(進)委員 私は、これ一事をもっても、先ほども通産大臣はおかしな融資はないなどと言われておるけれども、日本韓国に対する融資がいかにずさんなものであるか、その調査がいかにずさんなものであるか、この一事でも明らかだと思う。韓国の国会の中で大問題を起こしている。日本投資をした金の五百有余万ドルが行くえ不明になって、どこへ行ったか、そういう韓国の国会でも大騒ぎになっているその問題を、その金を投資をした日本政府がいまなお調査資料もできていない。私の質問に応じ、これから調査資料をととのえて、それから出しましょうなどという、これが一体まじめな行政の運営であると言えますか。トーメンであろうと韓国アルミであろうと日商であろうと、その金は輸銀を通じあるいは基金を通じて、国民の税金です。国民の納めた預貯金です。なおしかも、こうして融資をしている金は、われわれの商業ベースよりは全部安い利息で貸しておる。その安い利息を全部、われわれ国民が税金でカバーしておる。まともに投資をした金がまともに輸銀に返り、基金に返ってきたとしても、その間に国民は税金で相当大きな利子を負担し、あるいはその他の面で犠牲を払っている。その国民の財産、国民の貯金、国民の税金をこういう形で投資して、せっかく韓国国民のしあわせと発展のために使おうというその金が、途中で行くえ不明になってなくなっているのを、それはわれ関せずで調査もしないで、国会の中で追及されてから初めてこれを調べましょうという、そんな無責任な政治がどこにありますか。通産大臣、あなたは不正はないとおっしゃったけれども、こんなことはそれでいいのですか。いま一回あなたの意見を聞かせてください。
  156. 澄田智

    ○澄田説明員 通産大臣お答えの前に、私から輸出入銀行として承知いたしておるところをお答えさせていただきたいと思います。  本件につきましては、輸出入銀行の輸出金融、すなわち輸出延べ払いに対する金融ということで行なわれまして、そして輸出契約に基づきましてトーメンと韓国アルミ工業との間で契約が結ばれております。契約金額は御指摘のとおりでございます。これに基づきまして韓国当局の輸入承認、それから日本政府の輸出承認を得まして、四十三年の六月から船積みが開始されております。五十二回にわたって、それぞれ必要な設備機械類が船積みをされたわけでありますが、四十四年の九月にはプラン十の組み立てが完了いたしまして、年産一万五千トンの性能テストを経ておりまして、この確認もエンジニアリングの会社であります昭和電工によってされておるわけでございます。そして同年秋から商業運転に入っている、こういうふうに承知いたしております。したがいまして、輸出延べ払い金融の資金を使いまして輸出せられたものは、これは当初の計画どおりの設備能力として完成されて稼動に入っているということは確認しておられるわけでございまして、そういう意味におきまして、その金の相当な部分に当たるものがどうなったかわからなくなっているという点については、日本側の輸出の船積みないしこれが韓国におきます建設、稼働という段階を通じて見ます限りにおいては、私どもはどういうことか理解ができない、かように存じております。
  157. 小林進

    小林(進)委員 あなたは理解ができないとおっしゃったわけです。それでいいのです。そういう国民の税金を使いながら、日本の港を出るまでの形さえ整っておれば、あとはその先がどうなっていようと、私どもはどうも理解に苦しむ、関知しないということで責任をのがれているというのが日本行政の実態ですよ。しかし、そんなことでは、韓国国民もたまらなければ、日本国民もたまらない。その結果が不実企業になった。あるいは韓国の銀行がそれを保証する、韓国政府がそれを保証して、あなた方が立てかえている金を向こうが払ってくるとすれば、それは韓国の税金です。韓国国民がその不実企業、倒れた企業のために泣かされる。もしまた皆さん方の資金の回収が、韓国企業が倒れたということで、韓国政府がモラトリアムを実施するかあるいは不払いということになれば、これはその金を使われた日本国民がみな泣かなければならぬ。いずれにしても、こういう不良の企業を出すということは、韓国国民が泣くか日本国民が泣くか、いずれかが被害に泣かなければならないという現状なんです。理解に苦しむとかその先は知りませんなどということで簡単に処理できる問題ではないということを、私はまず感じてもらわなければいかぬ。  なお続けて言いますけれども、三菱商事の仁川製鉄もどうですか。これも、韓国側の総資本に対し自己資金は六・六%ときわめて少ない借款で、ために借款の金利がかさみ、このままでは償還が困難だということを指摘されていた。そしてこれは、仁川重工業といまの仁川製鉄と合併して、製鉄と重工業との関連企業を一本化すべきだということの報告がなされているのでありますけれどもその真相を追及していくと、どうも投資金の半額近くが投資されていなくて、途中で消えてなくなっている。これはとうとう四十五年の十二月に解散をいたしておるのでありますけれども、こういう問題についても、通産大臣は主管ですから、もちろん御存じになっていると思う。何で一体これを解散しておるのですか。もし最初から解散の予定があったとすれば、私は、通産省をはじめ輸銀を含めた関係官庁の調査が非常にずさんであると言わなければならぬ。国民の税金を貸し付けるのです。日本企業に貸し付けようと、形は韓国に行ってそれが事業に化けようと、もしその調査や貸し付けがいま少し責任ある体制でなされていたら、こんなばかなことができるはずがないじゃないですか。どうですか、この問題も。もう時間が来ましたから、答弁を抜きにして文書でこの問題の資料を提出いただくことにいたしましょうか。  もう約束された時間は終わりましたから、私は、残念ですけれども、なおもこういう問題は幾つかあるわけでありますけれども、追及していくひまもありません。読み上げて資料の提出をお願いすることにいたします。  三井物産の……
  158. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 小林委員に申し上げますが、資料理事会として要求してあります。したのもありまするから、重複するといけませんから、資料要求を一応理事会に一任していただけませんか。
  159. 小林進

    小林(進)委員 それでは資料要求理事会に一任を……
  160. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 あなたの資料のうち、要求したものもございます。それからすでに来ているものもあります。重複するものもありますから、理事会に御一任願いたいと思います。
  161. 小林進

    小林(進)委員 それではそのようにひとつお願いをいたしまして、私の質問は、結論を申し上げます。  通産大臣は非常にりっぱなことをおっしゃいましたが、不実企業といって、日本国民の税金を持っていったその企業が、いわゆる融資であろうと投資であろうとあるいは韓国との合弁の形であろうと、あるいは海外基金を通じていこうと、私は率直に申し上げて、韓国の住民や大衆の喜ぶ方向にちっとも使われていないと言えます。私は、それは断言してもよろしいと思います。その証拠に、ソウルの町の中にあるいは地下鉄はできたかもしれぬ、しかし、できたそのソウルに、いわば貧民窟にもひとしいような、その地下鉄に乗れないような国民、住宅が半分以上を占めているという、貧富の差の激しさであります。だから、ソウル国民も、学生をもって象徴する韓国の住民も日本経済援助こそは、いわゆる日本の政界あるいは韓国の実力者、韓国の政界、財界人の一部を潤しているだけであって、むしろ韓国人に対して迷惑しごくだといっております。金烏等の工業学校をおつくりになりました。数億ドルの金を日本は融資されました。韓国国民は、何ですか、これは、朴大統領の郷里の選挙運動の資金ではないか。あるいは何とかという橋をおつくりになりました。そんな橋は韓国経済には一つも必要ない。日本投資をし融資をする事業に、一つ一つ韓国の住民の恨みがはね返ってきております。私は、いま少しまじめにこの問題を考えていただきたいと思います。  以上申し上げて私の質問を終わることにいたしますが、最後に、運輸省には例の町井氏経営のフェリー企業内容設立等をお伺いしておりますので、その点お答えいただきたいと思います。どっちがどうでもよろしゅうございますから、通産大臣と運輸省と両方答弁をお願いしまして、私の質問を終わります。
  162. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 海外特に隣国に対する経済協力につきましては、隣国の国民から感謝されるような公正で妥当な経済協力をわれわれはやらなければならぬと思っております。  不実企業の問題につきましては、はなはだ遺憾な事態でございまして、これは前にも御答弁申し上げましたが、見込み違いとかあるいは景気が変動したとかいろいろな条件もあって経営が思わしくなくなったようなものもあると思います。われわれはそういう経験にかんがみまして、今後とも慎重にやっていきたいと思っております。
  163. 山上孝史

    ○山上説明員 関釜フェリー株式会社の概要について申し上げます。  この会社は、代表者は、代表取締役社長入谷豊州、それからもう一人代表取締役副社長入谷拓次郎でございます。設立は四十四年の六月二十一日主たる事務所は下関市観音崎町一七の九でございます。  それからこの事業は、海上運送法による対外旅客定期航路事業でございますので、海上運送法の十九条の四の規定に基づきまして、届け出を四十五年の六月十二日付で行なっております。  資本金は二億一千六百万円、おもな株主は日本郵船、川崎汽船、関西汽船、商船三井等、海運関係の方々でございます。  運航開始は四十五年の六月からでございます。使用の船舶は一隻ありまして、総トン数は三千八百トン、航行区域は沿海区域でございます。定員は五百七十八名で、週に三往復運航いたしております。  輸送の実績について申し上げます。  四十五年度は、旅客につきましては一万八百七十八人、乗用車は千五百九十一両、コンテナ五百五十五個、これを下関から釜山向けに輸送しております。逆の方向で釜山から下関まで、同じく旅客は一万一千六十八人、乗用車は千三百八両、コンテナは五百三十七個でございます。  四十六年度の実績を申し上げます。下関から釜山向けには、旅客は一万九千八百四十三人、乗用車は三千三百七十四両、コンテナは千六百七十四個、反対方向で旅客が二万八百七十二人、乗用車が三千二百七十八両、コンテナが千六百九十一個であります。  四十七年度の実績について申し上げます。下関から釜山向けが、旅客が二万五千五百八十四人、乗用車が四千百三十八両、コンテナが三千四十四庫、それから逆の方向で旅客が二万六千三百十九人、乗用車が四千百七十四両、コンテナが三千五十七個でございます。  決算の状況について申し上げますと、四十六年度末までの決算は、累積赤字で一億二千八百万円でありました。それが四十六年度、単年度で十万五千円の黒字に転移をいたしまして、四十七年度の決算では三千八百万円の黒字でございます。  以上が関釜フェリー株式会社についての概要でございます。
  164. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十八分散会