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1973-07-12 第71回国会 衆議院 決算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十二日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 宇都宮徳馬君    理事 大石 武一君 理事 木野 晴夫君    理事 松岡 松平君 理事 森下 元晴君    理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君    理事 芳賀  貢君 理事 庄司 幸助君       荒舩清十郎君    奥田 敬和君       菅野和太郎君    高鳥  修君       竹内 黎一君    竹中 修一君       中尾  宏君    中村 弘海君       濱野 清吾君    吉永 治市君       高田 富之君    原   茂君       八木  昇君    田代 文久君       山原健二郎君    浅井 美幸君       坂井 弘一君    和田 耕作君  出席国務大臣         内閣総理大臣  田中 角榮君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君         法 務 大 臣 田中伊三次君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 愛知 揆一君         文 部 大 臣 奥野 誠亮君         厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君         農 林 大 臣 櫻内 義雄君         通商産業大 臣 中曽根康弘君         郵 政 大 臣 久野 忠治君         労 働 大 臣 加藤常太郎君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       江崎 真澄君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      坪川 信三君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      福田 赳夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      前田佳都男君  出席政府委員         内閣官房長官 山下 元利君         内閣参事官兼内         閣総理大臣官房         会計課長    國塚 武平君         内閣法制局長官 吉國 一郎君         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         職員局長    中村  博君         総理府総務副長         官      小宮山重四郎君         内閣総理大臣官         房広報室長兼内         閣官房内閣広報         室長      斎藤 一郎君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         警察庁長官官房         会計課長    室城 庸之君         行政管理庁長官         官房会計課長  鶴田 輝明君         防衛政務次官  箕輪  登君         防衛庁経理局長 小田村四郎君         経済企画政務次         官       橋口  隆君         経済企画庁長官         官房会計課長  白井 和徳君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         科学技術政務次         官       伊藤宗一郎君         科学技術庁長官         官房会計課長  高須 儼明君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         環境政務次官  坂本三十次君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         法務政務次官  野呂 恭一君         法務大臣官房会         計課長     住吉 君彦君         大蔵政務次官  山本 幸雄君         大蔵省主計局次         長       田中  敬君         大蔵省理財局次         長       小幡 琢也君         文部政務次官  河野 洋平君         文部大臣官房会         計課長     三角 哲生君         文部省管理局長 安嶋  彌君         厚生政務次官  山口 敏夫君         厚生大臣官房会         計課長     木暮 保成君         農林大臣官房長 三善 信二君         農林大臣官房経         理課長     石田貞二郎君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         食糧庁長官   中野 和仁君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   荒勝  巖君         通商産業大臣官         房長      和田 敏信君         通商産業大臣官         房会計課長   岸田 文武君         通商産業省企業         局参事官    三枝 英夫君         通商産業省公害         保安局長    林 信太郎君         運輸政務次官  佐藤 文生君         気象庁長官   高橋浩一郎君         郵政省経理局長 浅見 喜作君         労働政務次官  葉梨 信行君         建設政務次官  松野 幸泰君         建設省河川局次         長       川田 陽吉君         建設省住宅局長 沢田 光英君         自治政務次官  武藤 嘉文君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君  委員外出席者         印 刷 局 長 上月 重雄君         文部省大学学術         局学術課長   七田 基弘君         通商産業省通商         局次長     大石 敏朗君         通商産業省公益         事業局業務課長 田中誠一郎君         通商産業省公益         事業局水力課長 吉田 方明君         気象庁観測部長 木村 耕三君         会計検査院長  白木 康進君         会計検査院事務         総局次長    鎌田 英夫君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員異動 七月十一日  辞任         補欠選任   稲葉 誠一君    米内山義一郎君同日  辞任         補欠選任  米内山義一郎君     稲葉 誠一君 同月十二日  辞任         補欠選任   石田 博英君     高鳥  修君   菅野和太郎君     竹内 黎一君   田村  元君     竹中 修一君   濱野 清吾君     奥田 敬和君   田代 文久君     山原健二郎君   池田 禎治君     和田 耕作君 同日  辞任         補欠選任   奥田 敬和君     濱野 清吾君   高鳥  修君     石田 博英君   竹内 黎一君     菅野和太郎君   竹中 修一君     田村  元君   山原健二郎君     田代 文久君   和田 耕作君     池田 禎治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十五年度政府関係機関決算書  昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書      ————◇—————
  2. 宇都宮徳馬

    ○字都宮委員長 これより会議を開きます。  昭和四十五年度決算外二件を一括して議題といたします。  御承知のごとく、これら各件は第六十八回国会に提出され、本委員会に付託されました。自来第七十一回国会の今日まで長時間にわたり、予算が効率的に使用されたかどうかを中心といたしまして審査をしてまいりましたが、去る七月五日、各省別所管審査を終了いたしました。  本日は、これより各件について締めくくり総括質疑を行ないます。  なお、質疑をなさる各委員に申し上げます。質疑時間は理事会での申し合わせの範囲内でお願いを申し上げます。したがって、答弁もなるべく簡潔にお願い申し上げます。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。木野晴夫君。
  3. 木野晴夫

    木野委員 四十五年度の決算につきまして、各省ごとにはそのつど質疑をいたしましたが、締めくくり総括して質問いたしたいと思います。  私は、各省にまたがる問題といたしまして一番大きな問題の一つは、綱紀粛正の問題ではなかろうかと思うのであります。  実は、先般もイギリス経済評論家の本でございますが、読んでおりますと、この小さいイギリスの国がいままで大をなしておったのは何であるかということから問題を発しまして、イギリスが小さい島国にかかわらず今日まで大をなしてきたのは経済力であるということを申しておりました。そしてさらにまた突っ込んで申しまして、その基盤をなしておるのは何であるかといいますと、国民性である、そうして、よく働くということではドイツに負けるかもしれない、しかしながら、イギリス国民の誇り得るものは、公共のために自分を奉仕する、公共的精神が非常に強い、これが今日のイギリスの大をなしてきたゆえんであるということを書いておりまして、国民モラルと申しますか、それが一番大事であるということに触れておったのを思い出すのであります。  また、今日のインフレ問題は非常に大きな問題でありますが、この問題を考えてみまするときに、物価問題、土地問題、いろいろございますが、実は一番憂慮いたしておりますのは、このインフレの波に日本国民全体が、あるいは投機に走り、あるいは営利第一になる、そういったことになってしまってはいけない、この点をおそれておるのでありますが、実はそういった国民の資質といいますか、国民公共的精神といいますか、そういったものは非常に国の将来を左右するものであると私は思うのであります。したがいまして、国民全体にモラル高揚と申しますか、これにつきまして今日ほど要求されておる時期はないと思うのでございます。そういった点から考えますことは、公務員といいますものはこういった国民モラル高揚の場合にその先頭に立っておらなければならぬと思うのでありますが、はたしてそうであるかどうか。こういった点からながめてまいりますと、実は新聞でも、最近大蔵省におきましては殖産住宅問題にからんで大蔵事務官がそれに連座する、また少し前には科学技術庁の一職員非行事件にひっかかるというふうなことがございまして、国民としましても、綱紀がたるんでおるのじゃないか、こういうふうなことで相当きびしい非難の目が向けられておると思うのであります。私は、先ほど申しました国の将来といいますものはモラル高揚が一番大事であると思いまして、さらにまたその一番範をたれると申しますか、率先してそういった立場にあると思うのが公務員だと思いますので、この点から公務員綱紀粛正問題について政府の考え方を聞きたいと思うのであります。  人事院総裁もおられますので、最近五年なら五年区切りまして、五年間におきますところの国家公務員非行事件は、件数で申しますとどういった傾向をたどっておるのか、それからまたその傾向を通じて見ましてどういったことが総裁として言われるのか、またどういった点をこれから注意しなければならぬと思っておるのか、この点についてまずお聞きしたいと思います。
  4. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お答え申し上げます。まず、この数字の面を最初に申し上げたいと思いますけれども、過去五年間の件数を調べてみますと、非常に変動が著しいのでありますけれども、この中に一番変動の大きな要素となって入ってまいりますのが例の違法な職員団体活動でございます。これはもう年によって違います。これをのけて大量観察的に申し上げますと、そう大きな変化はないというふうにまず申し上げさしていただきたいと思いますが、総件数で申しますと、昭和四十三年が八千三百四十八件、四十四年が一万三千五百二十六件、それから四十五年が一万一千百八十二件、四十六年が二万五千七十七件、それから最近の四十七年が三万七千三百二十六件というふうに、たいへん変動が大きくなっています。その中で先ほど申しました違法な職員団体活動によるものが四十三年で六千百九十九件、四十四年で一万一千六百八十件、四十五年が九千二百三十五件、四十六年が二万二千六百三十二件、四十七年が三万五千十四件、先ほど申し上げましたように非常に上下の幅がございます。  そのほかに一般服務関係の面から申しますと、一々年次は省略いたしますが、四十三年から順序に申しますというと、初めは四八九、それから四四八、五二〇、九八三、それから四十七年が八五二、八百五十二件というふうになっております。  それから公金、官物収受取り扱い関係で申しますと、四十三年が二百七十四件、その次が二百七十五件、四十五年が二百五十二件、四十六年が二百三十四件、四十七年が二百十九件。  それから一般業務処理関係で申しますと、四十三年が四百二十五件、四十四年三百二十八件、四十五年が三百七件、四十六年が三百五十七件、四十七年が二百七十件。  それからいわゆる汚職関係収賄あるいは横領に当たるもの、これは便宜一緒収賄横領合わせて申し上げますが、四十三年が四百十七件、四十四年が三百三十件、四十五年が三百十八件、四十六年が二百八十九件、四十七年が二百七十六件でございます。  その他、給与とか任用の手続関係違法原因といたしますも生れが四十三年が百十九件、四十四年で七十四件、四十五年で六十七件、四十六年が百十六件、四十七年で百五十二件。  一般非行関係、これが四十三年が三百二十九件、四十四年が二百九十九件、四十五年が三百七十五件、四十六年が三百八十二件、四十七年が四百七十五件。  それから監督責任を追及されましたものが、四十三年で九十六件、四十四年が九十二件、四十五年が百八件、四十六年が八十四件、四十七年が六十八件でございます。  たいへんあらましの分類でございますけれども、これは通観いたしますと、先ほど申しましたように違法な職員団体活動関係のものは年によって非常に違う。それ以外について見ますと、一般非行の中にわれわれ入れております自動車の関係等による交通事犯、これは一般社会情勢をそのまま反映しておるかとも思いますけれども、その処分が漸次ふえつつあるということを申し上げることはできます。しかし、その他については、大体横ばいあるいは減少の関係にございます。特に横領でありますとか収賄などの汚職関係そのものに該当いたしますものは、幸いにして数字から申しますと年々減ってまいっておりまして、昭和四十三年の四百十七件から、昭和四十七年には二百七十六件というふうになっておるわけでございます。これらの関係をにらみ合わせながら、私どもかねがね考えておりますところは、木野委員冒頭におっしゃいましたこれはまことに御同感でございます。私ども立場から申しまして、非常に卑近な発想でございますけれども、私ども給与改善その他公務員諸君の利益の保護につとめておるわけでございます。しかし、公務員に対する待遇改善は、国民の皆さまの御理解、御支持がなければたいへんやりにくいことであります。現実に私どもそう考えております。要するに、公務員に対する国民各位の全面的な御信頼があって初めてわれわれの仕事も非常にやりやすいということを根本的に考えておるわけであります。したがいまして、私どもたとえば各省人事主任官の集まりなどの際にも特に私が発言を求めまして、いわゆる綱紀粛正その他特にこの点については厳重に御留意を願いたいということを申し上げておるわけであります。幸いにして、いまの数字から申しますと、そうふえてはおりませんけれども一般国民各位公務員に対してどういう感触を持っているか、私個人としては、新聞投書欄その他のすみずみまでしょっちゅう地方版に至るまで目を通しております。なるほどこういうことはいけない。たとえば汚職に至らない程度のものでありましても、その人の奉仕の精神なり使命観について一そう綱紀粛正はもちろんのこと、国民の御信頼を得るようにあるべきだという気持ちで臨んでおるわけでございます。
  5. 木野晴夫

    木野委員 私は汚職関係中心に話を進めていきたいと思いますが、先ほど人事院総裁から、数字としては漸減の傾向にあるということがございましたが、しかしながら国民全体から見ましたときに、それではだんだんよくなってきているかと申しますと、そうではなくして、先ほど申し上げましたインフレの状態にある、生活はやりにくい、何か一つ事件がありますと、役人もこうしているじゃないかということで、国民全体から見ましたときには、非常に公務員綱紀がゆるんでいるのじゃないか、たるんでおるのじゃないか、こういった見方ではなかろうかと思うわけであります。数字としましては減ってきておりまして、この点は私も、ただいまの話を聞きまして、多少総裁気持ちを一にいたしておるわけでございます。しかしながら、国民の率直な意見を申しますと、事件にならなくとも、実はまだこんなのがある、まだたるんでおる、また一つ事件がありますと、それ見ろ、そうじゃないか、こういうふうなことじゃなかろうかと思うのでございまして、これにつきましてはしっかりとやっていただきたい。そのためには、もちろん給与の点もありましょうし、その他人事院所管の点もありましょうし、また後ほど申し上げますが、仕事やり方その他につきましてもあると思うのでございまして、この点につきましては順次質問していきたいと思う次第でございますが、全体といたしましては、私は綱紀はそれでは横ばいないしは多少よくなっていると言えないのじゃないか、こう思う次第であります。それで事件が出てまいりまして、そんなことは知らなかったということでショックを受けているという事案が多いのでありますが、一つ事件が載りますと、それは事の大小を問わず、役所といたしましても非常に影響もありましょうし、また実は国民自体といたしましても、ああそうであったかということで、非常に役所に対する信頼を失う事件が多いのでありますが、たとえて申しますと、科学技術庁のほうで一職員民間団体から金をば収賄しておったというようなこと、ないしは、これは大蔵省、かたいので有名でありますが、その大蔵省証券局関係汚職があった、かねがね十分注意しておったのだがということでありますが、出てまいりますと、非常に役所全体に対する信用も傷つけますし、また非常に国民にも悪い影響を与えておると思うのであります。最近ありました事件は、科学技術庁大蔵省、この二件が大きく出ておりますが、それぞれの省庁におきましてこの件についてどういうふうに考えておるか、またどういうふうに対策を練ったか、この点について聞きたいと思います。新聞では、甘さをば反省して、さっそく綱紀粛正するということを言っておりますが、それじゃどのように考え、どのように手を打ったか、この点について科学技術庁それから大蔵省責任ある答弁を願いたいと思います。
  6. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)政府委員 木野先生御指摘のとおり、今回の事件は、かねて注意はしておったものの、発生をしてみますと、事の重大さから見ましてまことに遺憾のきわみでございます。さらに、いまもお話がございましたように、国政なり行政全体に対する不信感を増したという点からも、まことに残念でございまして、われわれ役所としては、この場を通じて国民各位に深くおわびを申し上げたい気持ちでおります。したがって、今後こういう不祥事が絶対に起こることのないように、厳重に措置してまいり、また今後もその態度を持続していくわけでございますけれども、とりあえずの措置といたしましては、さっそく長官通達で、全職員に対して綱紀粛正につきまして厳重なる指示をいたしました。  また、六月二十日と七月一日には、同一職務の在任期間が長かった課長補佐級職員人事異動を行ない、また部屋の模様なども配置がえをいたしまして、監督が十分にできますように措置を進めております。さらに、今後当事者はもとより、事件捜査が終了した段階において、監督者責任も十二分に明らかにしてまいりたいと考えております。  本人の処分につきましては、言うまでもなく、目下捜査段階でもございますので、とりあえず原子力庶務室長を解職し、六月の八日付では休職といたしておりますけれども捜査の一応の取り調べが終了した段階で同人の処分もやるつもりでおります。  以上、お答え申し上げました。
  7. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 ただいまいろいろお話が出ておりますように、こういう事件が起きましたことは、大蔵省のような経済に非常に関連があり、業者に接触をする機会の多い役所として、国民行政につなぐ信頼といった意味からも、非常に遺憾に存ずるわけでありまして、今後将来に向かってこういう事案が起きないように、十二分に戒心をいたしましていきたいと思っておるわけでございます。  大蔵省としましては、ただいま科学技術庁のほうからお答えがありましたように、大臣の命を受けまして、一段と部内綱紀粛正をはかるように通達をいたしました。しかし、行政組織の中でこういうことが起きますにつきましては、一つ部内のそういう職場モラルを高めなければならない。由来、証券局は、証券局員になった以上は、原則として有価証券の売買には手を出してはいけないという固いモラルを確立してきたつもりでありましたけれども、今回の事件は、そういう意味では非常に残念であります。そういう点を今回は証券局内におきまして一段と徹底させるように努力をいたします。  さらに、同じ職場に長く置くということは好ましいことではありませんので、この該当しました証券監査官も、証券監査官仕事はそれぞれ職種で分担をいたしておりますが、その職種をいろいろ変えることもやります。それからさらに、たった一人の人が仕事をしておって、ほかの人がうかがい知ることができないというシステムは、これは避けなければならないので、そういうチェックシステムを一段と強化をいたします。この証券監査官の場合も、一組三人でやっておった、そのちょうどまん中に位する人でありますから、その人の上に首席の証券監査官がおる、その上にまた総括課長補佐がおる、あるいはその上に課長がいる、こういうふうにいろいろとチェックをやっておるわけですけれども、そのチェックシステムを一段と強化してまいりたいと思っておるわけでございます。  さらに、そういう行政組織内の仕事運び方の上のみならず、今回起きましたのは、第二部に新しく上場しようという会社に関連して、その会社の増資に関連して起きた事案でございますので、そういう新たに上場しようとする場合のやり方、たとえば親引けの問題、あるいは上場いたします場合の上場基準の問題、あるいは上場をいたしました際の初めての価格形成やり方、あるいは浮動株式をよけい出すという場合の実際のやり方、そういうものについて制度的にもいまいろいろ検討いたしておりまして、こういう事案の起きない方向でそういう制度の改正、改善につとめていきたい、こう考えておる次第でございます。
  8. 木野晴夫

    木野委員 いま科学技術庁、それから大蔵省から答弁がありましたが、非行事件をできるだけ防止したいという点から従来からも各省庁それぞれ努力している点は認められるわけであります。しかしながら、考えてみますと、やはり甘かった点があるのじゃないかと思うわけであります。私は一がいにきついばかりがいいというわけではありませんが、国民の目から見ますと、役所といいますのは非常に風当たりの強いところで、少しでもそういった非行がありますと、全部が全部ではないかということで、国民役所の間の信頼関係がくずれるわけでありますから、汚職につきましては一件でも起こしたらいかぬ、こういうことから必要以上にきびしさを増してやっていただきたいと思うわけであります。いつもこういった事件がありますと、それぞれ対策を練り反省しているわけでありますが、台風が忘れるころに来るのと同じように、忘れる前にこういった事件がまた次に起こるのが現状であります。そういった意味で、この非行防止のために、特に幹部の方は率先して範を示すとともに、二度と起こさないという態度でやっていただきたいと思うわけであります。そういった意味から、先ほど申しました非行をなくするということ、より以上に、この際、国民役所関係信頼感をつなぎ、また最近のようなこういったインフレの状態において気分的に非常に荒れ果てたところがありますから、そういったときにモラルをふるい起こすという意味からひとつとらえていただいて、内閣においては、そういった役所全体の取りまとめでありますから、その点について一段の努力を願いたいと思うのであります。内閣官房においてこの点についてどのような手を打たれたか、お伺いしたいと思います。
  9. 山下元利

    ○山下(元)政府委員 国民モラル高揚し、特に公務員はそういった点において率先して当たらねばならないという先ほどの御指摘は、まことにそのとおりでございます。われわれといたしましても、随時閣議決定等におきまして公務員の服務規律の確立には一段と努力しておりますけれども、このたびまことに遺憾な事件が起こりましたことは遺憾のきわみでございます。ただいま科学技術庁大蔵省からそれぞれ答弁がございましたけれども、内閣におきましても、この公務員の服務規律の確立のために、さらに注意の喚起をあらゆる機会においてつとめたい、かように考えている次第でございます。
  10. 木野晴夫

    木野委員 政府全体としまして綱紀粛正と申しますか、もっと積極的に士気の高揚をはかるという意味で努力を願いたいと思うわけであります。  それから、いろいろ決算委員会各省議論してまいりましたときに問題となりまして、こういった役所綱紀を非常にふるい起こすというためから見ましても、こういった制度はやめていきたいと思う点、これは実は各省ごとに多少ございましたが、経済企画庁におきまして、民間の職員をば部員ということで仕事をしてもらっている、これは一体どういうように考えるかということで、各委員から突っ込んだ質問がございまして、また企画庁の長官は、別の席上でございますが、これにつきましては廃止、縮小を前提として根本的に勉強したいということを言っておられましたが、この問題につきまして経済企画庁ではどのように考え、またどのようにその検討を加えたか、それを聞きたいと思います。  それから、ちょうど人事院総裁もおられます、また内閣の人事院局長も来ておりますから、この問題は経済企画庁だけに限らず、もしこういった問題がありますれば、根本的に検討するということであろうかと思いますが、どのように考えているか、それぞれの答弁を願います。
  11. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 ただいまの部員の問題でございますが、これは当委員会におきましても、また衆参両院の内閣委員会においても御質疑がございましたように、いろいろ問題がございますので、廃止の方向で検討をする、こういう方針をきめておるのでございます。  そこで問題は、一挙にこれを廃止するということになりますと、御承知のように経済企画庁は小人数の上に、部員が民間の企業から六十一名、公団、公社等から三十二名来ておりまして、総計九十三名おりまして、これを一挙に廃止するということになると、非常に行政機能にも支障を来たすわけでございますから、いまはわれわれのほうでもその取り扱いについては非常に苦慮しておるところでございます。さしあたりましては、この各部局において事務の調整あるいは整理等、そういうことも含めて考えております。また、さしあたって一番疑惑を持たれておりますのは、特定企業に関係のある仕事をさせるということに問題がございますから、関連のないところへ所属がえをするとか、そういう問題もいま部内で検討をいたしております。  問題は、これは経済企画庁だけではなく、大蔵省や通産省にも関連する問題でございますから、やはりこういうような部員というものの身分を明らかにする、そうして任用の方法あるいは給与等についても、これをはっきりさせることが必要でございますから、これにつきましては行政管理庁あるいは総理府の人事局、また人事院等ともよく相談をいたしまして、そうしてこれからの方向をきめてまいりたいと考えております。そういうことでございます。
  12. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私どもの完全な所管事項かどうかは別といたしまして、私ども立場からいまのお尋ねの問題について考えておりますところを申し上げさせていただきたいと思います。  公務員をやめた者が民間私企業に転出する、いわゆる世にいう天下り問題の御追及をしょっちゅう受けておりまして、そのときに従来出ておったお話は、役所から行くばかりではなしに、むしろ民間からどんどん役所に入れるべきではないかという声が相当強かったわけであります。その意味から申しまして、これがきれいな形で行なわれるならば、私は決して悪いことではないと思います。やっぱりお互いに、こちらから民間に行くことも人材の活用でございますし、民間の人材に役所に入ってもらって、国家、社会のために貢献してもらうということ自体も私はりっぱなことだと思います。いま御指摘になりましたような問題をいろいろ拝見しておりますと、その辺のけじめというものがどうもまだはっきりしてないためにいろいろなトラブルが起こるのじゃないか、したがいまして、はっきりした身分のもとに登用していただく、それでまた管理者側としても世の批判を受けることがないような体制のもとにこれをしっかり引き締めていただくということが、きわめて常識的なお答えになりますけれども、ポイントじゃないかと考えております。
  13. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 ただいま経済企画庁あるいは人事院総裁のほうからお答えになりましたと全く同じことでございます。考えを同じくいたしておりまして、具体的には、総理府、人事院、行政管理庁が中心になりまして、いま佐藤総裁からお話がありましたように、原則として好ましくない形は廃止するけれども、必要なものにつきましては、任用の関係あるいは給与等もはっきりいたしまして、正規のルートに乗せて、弊害のないような運用をしていきたい、こういう角度で各省庁ともただいま打ち合わせをしております。具体的にその方途を立ててまいりたいと考えております。
  14. 木野晴夫

    木野委員 この問題が当委員会に出ましたときに、私聞いておりまして感じましたことは、各役所役所それぞれいままでの経過もあり、また立場もあると思います。しかしながら、従来からのいきさつだからというようなことではこの問題は解決しない。また実は人が足らぬからこうやっておるのだということも理由にならない。根本的にやはり考える必要があるのじゃないかと思うわけでありまして、今回は経済企画庁の問題を一例としてあげましたが、内閣、また人事院におきましても検討するということで、この点はひとつ早急に検討をしていただきたいと思うわけであります。そうしてこの問題を検討いたします場合に、ただいま経済企画庁のほうから、弊害がないように考えるのだということで手を打つという話がありました。そういった弊害がないところに使うのだという話がありました。それとともに、人事院総裁から、民間のそういった非常に働き盛りのところをば従来経済企画庁とかそういった役所では使っておって、非常に効果をあげておった、天下りの問題が出るが、逆にその場合に民間の知識をばもっと活用すべきではないか、きちんとしたルートをきめてやることについては賛成だという話がございました。私も、現在の官庁機構を考えてみまして、とったからには、それがずっといってしまうというのじゃなくて、そういった行き方も一つの考え方であると思うわけであります。その場合にはやはり内閣なり人事院がきちんとしたルートをきめて、それについては特別任用といいますか、そういった制度も考えて、そうしてそれに入ったからには、十分にその人たちの能力を発揮するとともに、また秘密保持その他につきましては十分にルールを守ってもらう、そういったルールをつくるということもこれまたこの問題の解決に非常にけっこうかと思うわけでありまして、この問題につきましては、実は問題提起がございましたが、従来であったならば、どうにもできぬからこのままというふうなことになっておったかと思うのでありますが、どうかひとつ根本的に考えていただきたいと思うわけであります。そうして、経済企画庁の長官が、廃止または減少を含めて、とにかく根本的に考えるのだということでありますが、考え方、それでけっこうでありますが、ひとつ内閣におきまして、また人事院におきまして、この問題をきちんとやっていただきたいと思うわけであります。それとともに、この非行の問題その他の問題をずっと見ておりましたときに、仕事自体に無理がかかっておったのでは、職員に幾らきっちりやれといったって、あまりきついことも言えない、こう思うのでありまして、仕事全体につきましてもやはりするものはきちっとするということが必要じゃなかろうかと思います。このことは、予算とか定員とか、そういった問題もありますし、また、実は私、自治省の関係で議論したのでありますが、超過負担問題というのがあるわけであります。これは昭和四十六年に一体国の補助事業はどうなっておるのかということで調べたところ、国のほうで補助事業の単価を見ておりますが、それが実情にそぐわない。また、国のほうで補助事業の対象面積その他事業対象率をば一応組んでおりますが、実情はそれ以上の仕事をしておる。そういった場合に、その差額が超過負担となってきておる。これが地方公共団体の負担を増し、赤字を増している原因である。この超過負担を解消してもらいたいという要望がございまして、四十六年度につきましては、四十八、四十九とこの二年で解消するということになっておりますが、こういったことでは、私は、先ほど申しました仕事をしろと言っておりましても、仕事がこういうようなことでは平仄が合わないわけでありまして、こういった点につきましては、私は、仕事の面におきましてもやはりきちっとするものはきちっとする、行政の無理はかけない、こういったことでやってもらわなければいかぬと思うのでありますが、ちょうど大蔵政務次官おられますから、この超過負担の問題、これにつきましてどういうふうに考えておられるか、大蔵省の見解を聞きたいと思います。
  15. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 御説のように、この超過負担の問題は、国と地方公共団体の財源という観点から言いましても、なるべく早くその解消をすべきものであろうと思うのです。ただ、そういうことを国家財政のほうでいろいろ考えてまいりますが、同時にまた、最近は単価がいろいろ上がってくるというような事情もございまして、なかなかその辺のスピードといいますか、あるいは両方の呼吸といいますか、そういうもののかみ合わない点があるのでありまして、今後そういう問題につきましては、いまおっしゃいますように、計画的にこういう超過負担の解消をはかっていきたいと考えるわけでございます。
  16. 木野晴夫

    木野委員 超過負担の問題は、四十六年度につきましては、調べてみた結果、こういった超過負担の部分がある。単価と対象率について見受けられる。その分については、ほんとういいますと四十六年度についてさっそく補正すべきでありましょうけれども、これを四十八と四十九の二年間で直そうということでありますが、実はそういたしますと、最近また物価が上がっておりますから、四十八年度でとってみますと、またそれが出てきておると思うわけであります。だからいわゆる超過負担を解消したとたんに、次の超過負担が出ておるというのでございますが、私はこの問題取り上げました職員にしっかりやれ、そうして士気を高揚してやれといっておりますが、やっている仕事がこういった無理を覚悟で無理をしているというようなことでは、職員の士気もあがらないと思うわけでありまして、そういった意味からも実はとらえたのでありますが、この問題は地方財政全体から見て非常に大きな問題であります。繰り返しお尋ねいたしますが、この超過負担の問題が、私最近の物価の高騰から見てみまして、また次の問題として起こってきておると思うわけであります。これにつきまして大蔵省はどのように考えるか。取り組まれておると思いますが、四十六年度の分についてはこういうことになっておる。しかし最近またおくれたと思いますが、これについてはどういうように考えているか、重ねてお伺いいたします。
  17. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 そもそも補助の対象になった場合に、初めは得てして補助をとにかく対象にしてくれということから始まりまして、比較的低い補助率あるいは補助対象率あるいは起債充当率、そういうもので発足をするものですから、その差がなかなか詰まらないということがあるわけであります。先ほどお話し申し上げましたように、物価が上がっていく、単価が上がっていくということとかけっこになるということは、確かにお話しのことはございます。ただ、国家財政の立場から、なるべくそれを追っかけて合致させるということでございますけれども、そこのところがなかなかかみ合わないということがございます。根本的には、地方公共団体のいわゆる地方財政における財源の確保という問題ともつながるわけでございますが、お話しの点は来年度あるいは五十年度と、いまお話しの計画的な進め方もあることでございますので、今後の予算編成の上において考えてまいりたいと考えるわけでございます。
  18. 木野晴夫

    木野委員 私は、きょうは網紀粛正の点からずっと考えていろいろ質問していたわけでありますが、国民との間の信頼をつなぐということでありまして、そのために、国民は一体何を考えているのだ、何を要望しているのだ、それにこたえるかどうかという点に役所のあり方があるのではないかと思うわけであります。そういった意味から、国民のニーズというものをずっと見てまいりますと、たとえば物価の問題といいますときに、物価はこれは農林省だ、農林省のほうだけやっておればいいのだ、この問題はこれは通産省だ、だからこれは通産省がやっておればいいのだ、いや物価は経済企画庁だ、いや経済企画庁は物価はやるが、しかし金融は大蔵省だ、こういうことでぐるぐる回っておったのでは、国民の要望にこたえられない。そういった意味からいきますと、当面いたします物価の問題というのは、ほんとうに各役所共通の関連する問題でありまして、そういった意味でどの役所ということは別といたしまして、そういった物価問題につきましては、総合といいますものが非常に要求されておると思うのであります。また、いや、最近の問題ではこれと並んで土地の問題だ、住宅の問題だといったときに、住宅は建設省だ、土地はこれも建設省だ、建設省の中で住宅局だ、計画局だというのではおさまらないのでありまして、国民の言っております住宅問題といいますものは、あるいは土地の問題であり、また家の問題であり、またその購入する資金の問題であるわけであります。購入する資金の問題といったときに、これはすぐに財政、金融全体にもからむ問題でありますし、またこれが現在のインフレのこういった状態でどのように金融政策を持っていくか、ローンの問題をどのように取り扱うのか、すべてからんでくるわけでありますが、私は、今日の国民の要望の点からいきますと、総合調整といいますことが非常に大事なことで、このことが果たせなかったならば、きちんとしております、うちの部分はちゃんとしました、非行もありません、能率をあげて一生懸命やっておりますといいましても、それでは国民信頼をつなぐゆえんにならぬと思うのであります。たとえばこのことばエネルギーの問題についても同じであります。そこで、こういったものがいまの国民の要求であり、またそれに応ずるのが役所のあり方であろうと思うのでありますが、この点につきまして総合調整といいますものを積極的にはかる必要がある。それとともに、そういった国民の窓口、そういったものについて積極的にまたPRする必要があると思うのであります。  各官庁につきまして、それぞれ物価なり、土地なり、エネルギー問題なり聞いたらいいわけでありますが、時間もございませんので、繰り返し申しますが、国民政府との信頼をつなぐ、そのためには国民の要望にこたえる。国民の要望といいますものは、いま申し上げた問題について申し上げましても、どの役所というのじゃなくして、総合したものでありますから、この点につきまして特段の努力を願いたいわけでありますが、全体を代表しまして内閣の御意見を聞きたいと思います。
  19. 山下元利

    ○山下(元)政府委員 物価、土地、住宅等、昨今の経済現象等は、いま御指摘のとおり、行政にまさに総合性を要求されることになっております。国民のニーズにこたえて、国民政府との間の信頼関係をつなぐためには、やはり行政の総合調整の機能を一段と積極化する必要があると思いますので、御指摘の方向でさらに努力したいと思っております。特に国民に対する物価問題についての情報提供等につきましては、現在物価対策閣僚協議会も開かれておりまして、その重点項目の一つとして取り上げて、いろいろの情報提供をするようにいたしておりますけれども、そうしたことも踏まえまして、政府国民との間の信頼関係をつなぐようにさらに努力いたしたいと考えております。
  20. 木野晴夫

    木野委員 物価につきまして経済企画庁にお聞きしたいと思います。  物価の問題は、農林水産物については農林省、工業生産物につきましては通産省というふうに、それぞれの役所で見ておるようであります。しかしながら、経済企画庁は、先ほど内閣から話がありましたが、物価閣僚懇談会、それを受けまして取りまとめするのでありますが、そういった意味で物価につきましては経済企画庁が相当主導権を握って総合調整力を発揮してもらいたいと私は思うのであります。物価局ができておりますが、新聞紙上では、これは物価の取り締まりの局だ、物価局長というのは、物価はここへ頼んだらいいんだというふうに理解しておるようでありますが、実情は、農林水産物については農林省、こういうことになっておるのか、それともここへ来たらもう全部ここへまかしておけ、こういう局であるのか。役所の組織その他いろいろありますから、その辺は問題もありましょうけれども、しかし先ほど申しました国民の期待といいますものは、こういった局ができておるからには、ここへ行ったらもう全部いいんだ、こう思っておる次第であります。そういうふうになることを希望しておる一員でありますが、経済企画庁は物価問題についてどのように取り組み、またこの総合という点についてどのように努力し、また今度できました物価局をどのように考えておるか、その点について政務次官の答弁をお願いします。
  21. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 御承知のように、物価政策というのは非常に多方面の政策を総合的に運用することが至当であろうと思います。財政金融政策をはじめとして、貿易為替政策あるいは産業政策等、総合的な対策を講ずる必要があるわけでございます。したがって、各省に非常に所管がまたがるわけでございまして、それを各省は、こう言ってはなんでございますが、おのおの所管の行政にとらわれがちでございますので、国民経済的な、あるいは国民生活の安定という立場から、従来経済企画庁がこれを総合調整してまいったのでございます。そこで、残念ながら、ただ経済企画庁にはそれだけの権限もなければ、あまり予算もいままでございませんでしたので、今度はこの国会経済企画庁設置法の改正案を提出いたしまして、新たに、各省にまたがる物価行政につきまして、必要な資料を徴集したり、あるいは場合によっては勧告をする、また、必要があれば内閣総理大臣に意見具申をして、そうして内閣法による総理大臣の指揮監督権の発動を求める、こういったような権限が与えられるように法を改正したのでございます。そうして同時に、その全体の事務を取り扱うところとして物価局を設置したのでございまして、これから物価局がそういう事務担当の局として、政府全体の取りまとめの窓口になる、そういうことで運営をしてまいるつもりでございます。ただ、物価局ができたからといって、もうすぐそれで何もかもここへ聞けばわかるというのは困難でございまして、やはり農林水産物資については農林省、繊維製品やその他の工業製品については通産省、あるいは財政、金融については大蔵省、それぞれの各省の役割りがございますから、それを総合的な見地から調整いたしまして、必要なところの省と十分相談をして、それが混乱をしないように運営をされるようにつとめてまいるのが物価局の仕事ではないか、こう考えております。  また、ただいま内閣の副長官からもお話がございましたように、国民に対して物価情勢についての情報を提供することは非常に必要でございますので、これは経済企画庁が中心となり、内閣とも相談をいたしまして、十分国民の皆さん方にも納得のいくようにしたい。また個々の陳情につきましては、各省に行くと同時に、経済企画庁の物価局にどんどん陳情していただけば、それを今度は各省に連絡をいたしまして、十分皆さん方にも納得のいくような説明を申し上げたい、こう考えておる次第でございます。
  22. 木野晴夫

    木野委員 私は、本日は綱紀粛正ということをとらえまして、各省にいろいろ質疑をしたわけでございますが、先ほど申しましたとおり、一番大事なのは国民公共的精神、これがすべてのものの基礎をなしておると思うのであります。そういった意味でその先頭に立つものとして国家公務員の士気の高揚というものが非常に大事であると思うわけでございます。ただいま各省でそれぞれ綱紀粛正をはかるということでございますが、私はさらに申しますと、国民の期待しておりますものは、役所についてこのようなことを期待している、それを十二分に果たすことによって初めてできるわけでありますから、綱紀粛正、またさらに全体の士気の高揚、これは当然のことでありますとともに、こういった行政のあり方につきましても、ひとつ無理な行政のないように、そしてまた総合調整を十分に発揮して国民の要望にこたえられるように特段の努力をさらに積まれることをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  23. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 原茂君。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 総務長官、時間がないのをわざわざおいでいただきましたが、約束が約束ですから……。  いままで科学技術庁あるいは文部省、建設省等を中心に地震の問題をいろいろとお聞きをしてまいりました。つい先ごろ、測地学審議会か六月二十九日、中央防災会議が七月六日ですか、閣議後に開かれたと聞きましたが、その申し合わせ事項に従ってお伺いをしたいと思ったのですが、いま副長官からこれをちょうだいしまして、こまかい内容をいま見たところであります。  そこで、時間がないそうですから長官に先にお伺いしたいのは、およそ地震の問題ということに関しては、わが国の政治問題としては社会的に最も重要な問題こう考える必要がある。その意味では地震に関する予知あるいは防災というものに対する国家的な機関の一元化が是が非でもなければいけないと考えておりますのに、この間の測地学審議会の建議を中心の中央防災会議におきましても、文部省と科学技術庁に主点を置くという程度のことしか考えていない。ずいぶん古くからこのことを言ってまいったわけでありますが、依然として完全な行政命令権を持つような一元化ができていない。そういう機関は総理府なら総理府に置いてぴちっとやるなり、この間の審議会の建議を見ましても、いまだにこの点が明瞭にならない。前よりは少し進んだというニュアンスで書かれておりますけれども、一元化とは言えない。これは非常に心もとないという感じがいたします。一元化を完全にやって非常に強い行政的な命令権を持つセンターを是が非でもつくる必要があると思いますが、この機会にそれをぜひやっていただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  25. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 ただいま内閣委員会において災害補償の法案の審議で、たいへん大事な当委員会に失礼いたしましたことを、まずもってお許し賜わりたいと思うのでございます。  いま原委員御指摘になりました地震予知の一元化、すなわち地震予知の推進体制を一元化すべしということは、私は非常に重要な問題であろうと考えておるのであります。最近とかく地震に対する国民の不安感、こうした点を洞察するのに、政府といたしましては、事人命につながり国家の財産につながる最も重要な地震に関連するこれらの体制、研究対応策ということは全く重大なことであり、政府は緊急にこれに対するところの見解をともにいたしながら取り組むべきであるということを強く痛感いたしたような次第でございますので、過般防災会議も開催いたしまして、事務局長がお配りいたしましたような内容の申し合わせをいたしたようなわけでございます。まず、地震予知のために必要な各種の研究観測の実施体制については、各省庁及び大学の固有の研究観測活動と密接な関連がありますので、従来からこれらを分担している各省庁及び大学が引き続きそれぞれの分担に応じて実施することが適当であると考えるのであります。問題は、これら各機関の研究観測活動と総合的見地から調整推進し、これら各機関の研究観測資料を常時注視いたしながら、これに総合的な判断を与えるための体制が必要であろうと思うのであります。この点については、御承知のとおり、従来は各機構の提供する情報を交換し、これに基づき地震の予知に関する総合的判断を行なうために、各機関の研究者からなる地震予知連絡会が随時開催されているところでありますが、地震予知に関する研究は相当程度進み、地震予知の実用化についてかなり明確な見通しを立てることができるようになったといわれている現段階において、現在の地震予知連絡会のように、非常勤で、しかも調整権限を持たないような体制では、必ずしも十分でないとの指摘が各方面からなされているようなわけでございます。そこで、七月六日の中央防災会議において、地震予知の実用化を促進するため、このような体制の整備についても積極的に取り組むことといたしまして、必要な体制の検討を科学技術庁及び文部省を中心として関係省庁と行なうよう申し合わせをいたしましたので、私といたしましては、時期来たれり、いよいよ本格的にこの問題に対する政府が一体化した姿で対応策を取り組むべきであるという、原委員御指摘のとおりの気持ちを持って、このきびしい大事な問題に積極的に政府といたしましては取り組む考えであることだけははっきりと表明申し上げ、また御理解と御指導を賜わりたい、こう考えておるのであります。  以上でございます。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 いま長官もおっしゃったように、地震予知連絡会はほんとうに何か片手間の感じがするわけであります。もちろん調整権、命令権、そんなものはありません。これをそのままにしておきながら文部省、科学技術庁中心に推進をしていこうという考えは従来と軌を一にしている。決していままで問題になっている一元化、強力な機関の設置ということにはならないわけですから、したがって予知連絡会の改組をするなり、思い切ってここに行政的な命令権、指導権、こういうものを与えるなりというような改組をするか、あるいはこれを含めた何か別途の機関をつくらない限り従来と全然変わらない。いまこうしている間にも、この地震に関する限りはどうなるかわからない。この間の根室の地震のごときは、ある程度は科学的に推論したその答えが出た。いつということがわからなかっただけで、場所と大きさにおいては、まずまずよくやったと思うほどに、ある程度わかっていたわけであります。あれと全く同じ程度の危険な確率が遠州灘沖にあるということを学者はもう明言している。いまこうしている間にも、あるいはこの東京のま下で何か起きるかもしれないということも多少の不安がある。何か南関東の活断層はそうじゃないということになったそうですが、いずれにしてももう起きたらたいへんなことになるということ。遠州灘で起きて、東海道新幹線なりあるいは東名高速道路などに影響を及ぼしたときには、おそらくあの地帯の工業神経は麻痺してしまって大問題になるであろうことは間違いない。南関東に大地震が起きたというようなときには、何といってもここは日本の中枢ですから、ここで百万、二百万の人が死んだというだけではなくて、これによって国家の機能が麻痺をするという日本全体の大問題が起きるというようなことを考えますと、いままでと同じような旧態依然とした考え方でこの間の中央防災会議がその点に対して思い切って踏み切っていないことはたいへん不満なんであります。  そこで、総務長官にどうしても来ていただきたかったのは、この点は責任を持って、ただこれは申し合わせですから、やはり新しい予算をつくる前段としては、この新しい機構に思い切って手をつけていただくようなことを、ここではっきりと決意をお述べいただきたいのであります。これじゃだめです。こんなことでは何回言ってもだめなんです。もし問題があったらどうなさいますか。国全体の大問題になるわけです。ということを考えますと、この一元化ということ、強力な機関の設置ということは焦眉の急なんであります。いまようよう予算の概算要求その他の折衝の始まるときですから、これも含めて、この機構に関しては総務長官責任を持って推進していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  27. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 原委員のまことに力強いといいますか憂えた立場に立っての御指摘、御叱正、また力強きおことば、ほんとうに私も深く感謝いたしながらいま傾聴いたしておるような次第でございまして、過般の防災会議におきましても、いま原委員御指摘になりましたような問題も、田中総理もみずから指摘されまして、早急にそうした問題に取り組むべきである。私自身のことを申し上げて失礼でございますが、五年前に建設大臣をいたしました当時、直ちに墨田、江東というような、ああした昔の被服廠あとを中心とした地区を見て回りまして、都市河川ひとつ見ましても、どぶ川のようになって、直ちに消防体制に使われないという都市河川を見ましたり、あるいは水道と水防対策の上からいう水洗でございますか、それの完備がとても行き届いていないという問題もう一つは大きい一つの公園防火壁を持った避難の場所、これの施設の何ら手の尽くされていないことを憂えまして、東京都にも指示をいたした思い出がございます。筑波学園の、御承知のとおりの、政府機関が四十幾ついくそのあと地は、全部住宅を建てたりということも大事ではございますけれども、あの当時、これらのあと地利用は、公園と防火壁を完備した避難場所をつくるということが、平時においては緑豊かな都民の運動、保養の地にいたすとともに、そうした不慮の災害が勃発いたしましたときには、とうとい都民の命を守る場をつくるべきであるというような気持ちを持っており、かくあるべきであると私は考えておりますので、ただいま移転計画が実施されつつある現実を踏まえながら、そうした方向に建設省、東京都を通じて、そうした配慮と指導をいたしたい、こういうような気持ちもいたしておるような次第でございます。  したがいまして、政府としては、いま原委員が御指摘になりましたような立場から、われわれの首府東京都の防災地震対策には、万全を期する意欲を持った、責任、倫理感を持った気持ちで取り組みたい、こう考えておりますので、九月一日の防災デー等の問題につきましても、先日総理府の幹部会のときにも、防災デーのあり方という問題等について、都民の協力とPRあるいは人心安定策というようなあらゆるものを含めて、ひとつ新たなる機軸を出してくれということを担当に指示いたしておる気持ちも私はここにございますので、全く同感でございます。したがって、小宮山副長官中心とする事務局において、そうした体制を早急に立てながら、また幸いにいたしまして、科学技術庁もそうした考え方から、いま現に取り組みの足取りを発せられたという状態でもございますので、科学技術庁長官、文部大臣、消防庁、警察当局等、連絡を密にいたしながら、この厳粛な問題には、積極的に取り組んでいく方針であり、当然な政治の課題であるということを表明申し上げて、御了解をいただきたい、こう考えております。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 あともう一つだけお伺いしたい。  その前に、いまの地震予知連絡会もそのままにはしておかない、必ず何らかのてこ入れをして一元的な、予知に関する行政的な命令権まで持たした機関にするという決意をぜひひとつおっしゃっていただきたい。そういう約束がないと、何年たってもいつもぐらぐら同じことを言っている。総務長官のおっしゃることはよくわかります。気持ちはわかりますが、やはり具体的にそういった予知連絡会を強化をしていく、命令権を与えていく、あるいはそれを中心に予知連絡、防災に関しては全体的な国の最も強力なセンターとしての力を与えるということをおっしゃっていただきませんと、どうも総務長官に帰ってもらっては困るような気がする。  それから、ついでにもう一点お伺いしたいのは、予算の問題です。この間、新聞などによりますと、地震予知に関しては百五十億、それから火山噴火の予知連絡に関しては十五億、計百六十五億という予算で、いままでの第二次計画から見ると、今度の第三次五カ年計画は約四倍だというようなことが、ちょっと見られました。そのことが防災会議あるいは測地学審議会の建議の中にあって、きちっと内閣として承認を与えているのか。これでも少な過ぎると思いますが、ぜひ百六十五億が完全に実現できるように責任を持っていただきたいと思いますが、そういう論議が行なわれ、それが確認をされているかどうか、実行していただけるかどうか。
  29. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 百六十五億に及ぶところの審議会の答申の内容は当然である、私はこういうような気持ちもいたしており、過般の中央防災会議の会長である田中総理も、財政当局に対して思い切った措置を講ずべきであるという指示もいたしていただいており、また私たちの担当総理府といたしましても、そうした問題にはひとつ真剣に取り組んでいく。ただ連絡会議の問題につきまして、学者グループの一つの観点からくる文部省の立場、また科学技術庁行政上から考えておられる立場、それぞれ正当な理由はある、私はこう見ております。しかし、そうした正当な理由ではありますけれども、やはりいま御指摘になったような一元化こそ、国政のこの重要な課題である問題の解決のためには、私は好ましい姿でなかろうか、こう考えておりますので、私はそうした配慮をいたしながら、こうした省庁との連絡調整をいたしつつ、原委員御指摘になりました点を積極的に取り組んでまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 総務長官にいてもらいたいけれども、やむを得ませんから、どうぞ。  そこで、副長官中心にもう少しこまかい問題をお伺いしてまいるのですが、いま長官からも話のありましたように、田中総理も防災会議において相当力を入れた発言があったようです。必要があれば補正予算を組んでもというような発言があったそうですが、この点は真相はどうでしょう。もしそういう発言があったとするなら、何のために補正予算を組んでまで、こう言ったのかをお知らせ願いたい。
  31. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 補正予算については、総理は発言しておりません。総務長官から発言がございまして、地震予知の問題で、整備その他については緊急を要する問題であるから、これについては補正予算をもっても充当しようという考え方でございます。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 そのくらいの決意があるのはたいへんありがたいし、事実、それをやる必要があるだろうと思いますが、時間の都合で、こまかいそういう問題には入れません。  そこで、もう一点お伺いしたいのは、いま上野で中国の出土文物展が開かれております。そこに中国の羅さんほか三人の代表が来られて記者会見をしたときに、いろいろな話をされた中の一つに、地震考古ということばが出てきた。考古学といわゆる地震科学と組み合わせて、一つの考古学そのものを科学体系に位置づけていこう、こういうような発想のもとに地震考古というようなことばが出てきている、これ見ましたか。
  33. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 存じ上げておりません。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 忙しいから……。私はこの地震考古ということばを見まして、何を考古というのかを調べましたら、結局、中国のあの大陸の中で、三千年以来の記録なりいろいろ残っている碑その他を調べまして、この土地にはこの程度の地震があったということを非常に困難をおかしながら収集をして、そうして現在では千年ぐらい前からのたいへん貴重な地震の記録というものが中国では考古学の追求の上から出てきている。それで、これを参考にして、たとえば大きな住宅なり大きな工場をつくろう、土地の開発をやろうというようなときには、その過去のデータというものを中心にして、ここはことによると百年、百五十年たつと地震があるかもしれない、どうも過去これだけ大きな地震があったから耐震構造を十分考えなければいけない、配慮をして建築をやろうじゃないかというようなことで実はやっているわけですね。日本の地震予知に関しましても、たとえばいまの地震考古という点からいうと、北京などは、ずっと調べてみると、百五十年くらいに一回相当大きな地震が起きているということが発見されて、過去四回そういう地震があったということが、この地震考古という話の中からやはり出てくるのですね。これが非常に参考にされて、いま北京の都市建設というものは常に耐震構造というものを考えているようです。百五十年置きにあったから、いつごろまたあるだろうという前提で、あってもいいようないわゆる構造上の配慮をするというようなことをやっているわけですね。  日本の場合に、地震予知というのは非常に大事なんですが、地震予知が前を向いたり、ショルツ理論を取り入れたり、いろいろあすの地震が、わが国のプレートの移動による地殻の変動が起きているから、いつごろどこに大きな地震が起きるだろうというようなことを盛んにいま追求する予知というのは、これは確かに絶対必要な学問であり、研究だと思うのです。同時に、日本ではやはりこの中国の地震考古ではないが、過去のいわゆる大中小の地震をよく調べて、そういう分布図をつくった上で、それをやはり現代に、及ばずながら先を見て、科学的に全部数字とデータを中心にして、地震がいつどこに起きるかを心配すると同時に、もう一つ過去のこまかいデータというものを参考にして、今日的な都市建設なりわれわれの生活の中にそれを取り入れていくというような配慮と国民に対するPRが必要ではないかと思うのですが、そういう点がもちろんこれには入っていませんが、どうでしょう。そういうことが論議されたことはあるでしょうか、あるいは現在どうなっているかおわかりですか。
  35. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 地震予知については日本はやはり先進国であろうと思います。中国と違って多発地帯であり、歴史的には相当詳しくデータが出ておりますし、あとこれについては気象庁長官からもお答えいただきたいと思いますけれども、最近地震予知については実用化の問題いわゆる光波測定とか、あるいは地殻のひずみ等々についての技術的な進歩が出てまいりましたので、ある程度の地震予知ができるようになった。たとえば先ほど先生が申しましたような根室沖などは、そういう意味で地震が出るだろうということは、これはいままで長いこと地震がなかったのでございまして、そのためにも地元では避難訓練などをやりまして、たいへん効果を及ぼしております。これは学説等いろいろありますけれども、私たちとしては科学的にいわゆる科学技術庁、文部省、横の線をフルに使って、的確な測値あるいは光波測定などをやって、住民にある程度知らせるというようなことをしておきたい。それで、先ほど総務長官からもお話がありましたが、そういう反面、避難訓練も徹底してやらなければいけないというようなことで考えておるわけでございます。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 いま地震考古で言ったことは、そのデータをもう一度見直して正確なものにして、過去のあれも相当残っているようです、あまり古いものはないようですけれども、そうして現在の国民生活の中に必要な対策というものを取り入れていくことが必要だろう。先だけを考えていろいろ論議したり対策を考えるということは、これは大事なんですが、現在のわれわれのどんどん国民生活の発展している地域の中にやはり過去のデータを考えて、この場所ではいわゆるM七までは覚悟して耐震構造をしなければいけないぞ、そうでない建築は許さないというところの配慮と指導が政治の場において行なわれる必要があるのじゃないか。中国のやっておりますことを範として現在に生かすということも取り入れるべきだと思いますが、これはいまのお話でけっこうですが、どうかひとつ十分にそういった配慮を今後行ないながら、地震というものを考えたときに、予知と同時に、温故知新ではございませんが、過去のきちっとしたデータをもう一度読み直して、積み上げて、そのデータの上に現在における国民生活に必要なアドバイスをしていく、行政指導もするというようなことが行なわれる必要があるだろうということを言っているわけですから、十分にお考えをいただいて、今後の行政指導に生かしていただくように配慮いただきたい。  特に中央防災会議が終わり、予算編成期に入っておるわけですから、できるなら副長官のいままでのきめのこまかい手腕をひとつ発揮してもらって、大至急そういった面が行政の面に生きてくるような発言をされ、それが実施されるように努力をお願いしたい、こう思うわけであります。  いま、わが国は地震予知に関する限りは諸外国に比べて進歩している、こう自負されていましたが、確かに、私も一面そのことに反対ではありません。反対ではありませんが、しかし、先ほども申し上げたようなショルツ博士の理論などは、これから地震予知の定型化、何かこう一つの型にきまってくるような感じがするほどにその面ではおくれを日本がとったといっては恐縮ですが、ある先生に言わせると、あの東大地震研で、ばかげた、まるで開店休業みたいなことを三年間もやっていなければ、データは十分あるのだから、日本だっておそらくやろうと思えばショルツ理論に相当するものは出せたはずだ、こう言ってくやしがっている学者もおります。事ほどさように全機能が有効に作用していれば、あのような博士の理論にも匹敵できるものが日本でできていたかもしれない。しかし、たとえば予知という点から言いますと、中国あたりは地震は必ず予知できるという前提に立って及ばずながら努力している。そうしてあぶなっかしいあやまちもあったりいろいろしていますが、とにかく予報を出しているのです。アメリカでもこの間カリフォルニアの研究所が出したかどうか知りませんが、ホリスターあたりにマグニチュード五ないし五・五という地震が二週間以内に起きるという予報を大胆に出すのですね。日本の場合は非常に何かびくびくして一ある程度びくびくしてよほど慎重でないと、人心が非常に動揺しますから、問題ではあろうと思うのですが、しかしずばりと予報するようなことを、いまのようにいつということが言えないならそれでけっこうですが、ただ、学者の研究した成果として何かの論文に、あるいは予知連絡会議で話し合いがされたときに、根室に近く起きるぞといったようなことが、国民はあまり知らないのです。あとになってみると、おれたちがちゃんと言ったとおりじゃないか、こう言っているのです。しかし、実際に根室を中心の東北、北海道の関係地方自治体と中央との防災連絡会議等があって、そこでは話し合ってちゃんとやっているのだというかもしれませんが、国民的なPRになっていないのですね。私は、予知連絡会議に集まっているそうそうたる頭脳は、相当の自信を持って、予知に対する確信を深め始めていると思うのですが、しかし、第三次計画が五年後に終了した段階でようやくにある程度の大きさと場所は言えるだろう、しかし、いつということは依然として言えないという程度なのですが、これは実は、昭和四十一年の三月十三日ですか、私が科学技術振興特別委員会委員長をやっているときに、初めて地震に関する決議をやったのですね。そのやった当時、四十一年ですよ、四十一年にもそんなことを言っているのです。その後何回聞いても同じようなことで、たいした変化はない。しかし、アメリカなり中国なりが予報を大胆に出すというようなことも、ある時期が来たら日本でも学者に思い切って度胸を出してもらって、それを総理府あたりが、あるいは科学技術庁なり文部省と相談するようにいまは結果的になるのですが、大胆に、この場所にこの程度のものか——過去ありました遠州灘なんかはっきり言えると思いますね。過去ずっとやってきますと、なるほど百二十年前の一番最近から見て遠州灘、百五十年にしても三十年たったらえらいのが起きるぞということは時期的な問題であって、ある程度過去のデータからいえば推論ができるのです。だから、時期は言えないまでも大きなものが起きますよという行政指導がほんとうに遠州灘中心の静岡県、愛知県の県民、住民全体にPRできるように、先にそのことがある程度知らされて、腹がまえができて、あるかもしれぬそうだ。そこで、地方自治体を通じての避難訓練なり、避難の場所を、先ほど長官が言ったように、東京都で土地をどうするというような問題があるでしょう。同じようなことがいま全国至るところに、強化観測地域になっているような場所に関して、あるいはこれに準ずるような特定地域に指定されている場所に関しては、私は大至急に国家的ないわゆる決定の上に住民に十分知らして、そうして事前の避難場所、避難訓練、心の準備というようなことをさせるようなことも、地震予知というものが、ただ、象牙の塔の中で研究されて、五年たったら大体言えるだろうなんて、そんなばかなことを言っていないで、過去ずっと長い間のデータもあるのですから、したがって、ここは起きる場所になっている、いつだかわからないが起きる場所になっているのだ、起きたら大きいぞ、遠州灘なんか起きた場合にはマグニチュード七以下ではないということを学者は指摘していますね。おそらく八以上だろうということを言っています。ということになりますと、起きたときにあわてたのではたいへんなのですから、その前の訓練というのは非常に大事だし、地方自治体のそういう避難場所の設定なり見積もりなんということは常時配慮をしていく必要があるだろう。そのことができるためには、為政者だけが考えてもだめなので、国家の権威のある機関が予知、非常にばく然たる予知でもけっこうだから、この地域に対しては思い切って知らせるということが私は必要だと思うのです。どうでしょう。
  37. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 先生の御意見同感でございまして、私も、今回の根室半島沖地震で、先ほど申しましたように退避訓練が非常にうまくいっておった、そういう地域については、退避訓練を徹底させる必要があるので、近いうち中央防災会議の幹事会を開きまして、その研究体制を警察が大体まとめておりますので、その方向で動いております。大都市については、別途また研究会を開くということで、いま方向だけきめて、近いうちにまたどういうふうなやり方でやるか、決定していきたいと思います。  あと、先生のいろいろな地震の問題については、気象庁長官がおりますので、私は専門家でございませんので、そのほうからお答えさしていただきたいと思います。
  38. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 ただいま先生が、地震災害の防止に関しまして、いろいろ非常に重要な点を指摘されたと思うのであります。日本の過去の地震の資料につきましては、すでに関東大震災のあと、あるいはその前の明治の大地震のときにも、いろいろそういうことが問題になっておりまして、昔からの材料がかなり詳しく調べてございます。そういう材料を解析いたしまして、このぐらいの大地震がこれで何回起きるか、そういうような調査ができておりますので、そういうものをやはり生かしていく必要があるかと思うわけでございます。  それからもう一つ、地震の予知の問題もさることながら、この辺ではこれくらいの地震が起こるということの標準をきめまして、たとえば建物やなんかの強さをそれに耐える状態にする必要がある、そういう点も非常に重要なことかと思うのであります。この点につきましては、なくなられました河角先生が、この付近では百年に一回はこれくらいの地震が起きるというような過去のデータを整理されましてつくられたのがありますが、実はその材料が建築基準法に盛られておりまして、そういう意味ではある程度の対策が進んでおるのではないかと思うのであります。ただ、そういった面が一般国民の方に十分徹底しているかどうかということになりますと、そういう点はやはり問題がございますので、そういった点をもうちょっとPRする必要があるかと思うわけでございます。  それからもう一つは、そういう個々の建物についてはできておるわけでございますが、これは私見のようなことでございますけれども、都市全体としての体制、こういったものについてのいろいろな配置や何かの問題について考えていくという点が、これから非常に重要な点ではないか、こう思っておるわけでございます。もちろん地震の予知につきましては、大きさと場所と時刻、この三つの要素が重要でございますが、残念ながらその時刻につきましてはまだ現在のところではよくわからない。ただ、大きさとそれから場所につきましては、過去の統計をとりますと、ある程度の見当はつくわけでございまして、現在の段階では、それを基礎にしてまず対策を立てるということが必要であり、さらに時間の精度をよくするということが、これからの地震予知の研究の中心問題になるかと思うわけでございます。これにつきましては、アメリカでも、先ほど先生がおっしゃいましたようにかなり研究が進んでおりまして、ある程度いく見込みが出てきてはおりますけれども、やはりこれは研究の結果を見ませんと、はっきりそうなるとは言えないと思うのですけれども、やはりそういった方向に前進いたしまして、そうしていつ起こるということがわかれば、それを大胆に発表いたしまして防災に役立たせることが必要ではないか、こう思っておる次第でございます。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 高橋さんのお話ですが、河角先生の発言されたのも、関東大震災六十九年説みたいなものが中心で、しかもいまの萩原さんあたりに言わせますと、とてもじゃないがあの説には納得できないというようなことで、六十九年説なんというものはいまあまり取り上げないでいいということになっているようですが、しかしあの当時、関東大震災を中心に河角先生おっしゃったので、いまお話しのように、建築基準法にちゃんと入っておるというが、建築基準法の内容というものは、違った地域によって地震の過去のデータと、これからの予知的な研究から、全国的に地域別に建築基準法の中にこれが入っているのですか。
  40. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 そうでございます。ただ、場所によりましてその強さが違うわけでございますから、あるエリアをきめまして、この範囲ではこれぐらい、この範囲ではこれぐらいというふうに分けて、大体基準法にきまっております。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 それは私は寡聞にして、調べてみないとわからないのですが、たぶんその地震というものは、過去のデータと予知的な見解が含まれて、日本全国をちゃんと分布をきめて、この地域は建築基準法の耐震度はこのくらいというようなものが入っているようには私は思わないのですが、これは私の不勉強かもしれません。非常に興味がありますから調べてみます。いま高橋さんも、思いますとおっしゃっていましたから、ほんとうの確信はないんじゃないかと思いますが、私も調べてみますから、もう一度お調べ願いたい。確かに必要だと思います。そのようなことは住民自身がしょせんはみずから守る以外にないわけであります、災害があったときには。他力本願で守ろうといっても不可能なんです。ということになりますと、先ほど言ったように、せっかくそこまでの配慮がされているならば、分布図もはっきり示して、過去のデータがこうだ、したがって予知的にいつごろとは言えないが、あればこんな大きなものがこの地方はあるよということをもっと国民にPRできるようなことを、単に学者先生方や気象庁や関係官庁だけで話し合いをしている段階ではないということをぜひ小宮山さん十分配慮していただきたいと思うわけであります。  そこで、この間の測地学審議会の建議の裏にある問題の一つとして、東大地震研が、先ほどちょっと触れたように、開店休業といっては語弊がありますが、あの所長さんに言わせると、いや麻痺状態じゃないんだ、少なくとも必要なデータは各研究所から集めて、そういうものだけは、ちゃんと仕事らしいことをしているから麻痺状態ではないんだということが新聞に出ていました。しかし仄聞するのに、おそらくもう御存じだろうと思うのですが、このままでほうっておくと——東大地震研という日本の地震予知に関する、あるいは地震に対する研究に関してはたいへん重要な役割りを果たしている、ある意味では、センターといっては恐縮ですが、いままで非常に中枢的な役割りを果たしてきた東大地震研というものが、今度の第三次計画においては、当てにならないから当てにしない。これは文部省に言わせると、もちろん新規予算なんか全然認めない、どだい大蔵省がうんと言わないだろう、こんなものは当てにしないんだということを言い切っている状況だと聞くのですが、この真相をひとつ聞かしてもらいたい。  ついでに微生物の応用の何か研究所がありましたね。あのことも一緒に……。
  42. 七田基弘

    ○七田説明員 お答えいたします。ただいま原先生から御質問がございましたように、東京大学の地震学研究所、それから応用微生物研究所、この二つが昭和四十五年以来紛争状態の中にあるわけでございます。特に、この地震予知関係で問題になりますのが地震学研究所でございますが、この地震研におきましては、いまお話がございましたように、現在地震予知関係の観測拠点でございます観測所がございますが、そういうものにおきますデータは一応全部とれておるようでございます。しかし助教授以上の方がかなり多数まだ所内にお入りになれないというようなことがございますが、実際に所内に入っております助手以下の方々との事実上のいろいろな連絡はとっておるようでございます。それならば頭脳が十分に活用できておるかという面につきましては、かなり消極的に考えざるを得ないだろうというような気がしております。  したがいまして、第三次の地震予知計画におきましては、測地学審議会の建議におきましては、一応地震研は、これを当てにしないと先生がおっしゃいましたけれども、その観測の能力は期待いたしますけれども、それ以上に、従来のように第二次地震予知計画までにございましたように、その中心的な役割りを果たすということは期待しないということで、第三次予知計画は、その他の大学、たとえば北海道大学、東北大学、それから東大の理学部、京都大学の地震学の関係者の方がその部分を補って、それだけの決意を持ってこれを推進していこうということで第三次予知計画がまとまったわけでございます。  それで、現在地震研の内部におきましては、所長、教授と組合とのいろいろな話し合いが行なわれておるようでございます。私どもの印象といたしましては、この三年間にわたります紛争というのは、かなりやはりしこりがあるのではないだろうか。したがいまして、この地震研が再度戦線に復帰といいますか、地震予知研究に復帰できるということにはやはりある程度の時間が必要ではないだろうかというように考えております。文部省といたしましても、単に手をこまねいておるわけではございませんで、東京大学とも常時連絡などいたしまして、いろいろアドバイスもいたし、情報も聞いておるわけでございますけれども、第三次の地震予知計画もできたわけでございますし、さらに地震研の問題、東京大学におきます地震研究の体制の問題につきまして、測地学審議会にさらに御検討いただくとともに、それを踏まえて地震研にも対処していきたいというふうに考えております。  応微研の問題でございますが、応微研の問題につきましては先般判決がございまして、その結果を応微研の執行部のほうでは見ていたようでございますので、私ども今後その動き方を見て、また東大とも連絡をとりつつ、なるべく早い紛争解決に努力いたしたいというふうに考えております。  それから、先ほど先生から地震学の考古資料のお話がございました。気象庁の長官からもお話がございましたけれども、第三次の地震予知計画におきましては、大日本地震史料とか貴重な資料がございますので、これも保存し、それから一般に交付できるような手段をとるべきことを建議いたしております。  以上でございます。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 大事な地震研の頭脳を当てにしない、たいへん大胆な度胸のいいことを、やらざるを得なくてやったんだろうと思いますが、ほんとうに作用しないのなら、当てにしないじゃなくて予算も断ち切ったらいいじゃないですか。応微研なんかは廃止しようなんということになるんじゃないですか。あんまりがたがたしているとそういうことになりませんか。東大地震研だって、これは世間で俗にいう労使の紛争ですね。教授と学生間の問題じゃないのですね。ということになりますと、いまのような態度でいって、ずっと第三次五カ年計画中も戦線に復帰しないで、とにかく遊んでいたって何したって月給はもらえるんだ、ボーナスはもらえるんだということで、ぬくぬくしてやしないでしょうけれども、現在のように予知に関する予算がどうのこうの言っているときに、あれだけの頭脳にどのくらい払っているか知りませんが、年間の必要経費だけはびしっとやりながら、なおかつ当てにしないまま、いずれ復帰するのを待っているみたいなばかなことは、そんなゆとりはいまないと思うので、もっと積極的にこの問題の解決に文部省として責任を持って乗り出すべきである。しいて言うなら、文部省は責任を負うべきだと思うのです。第三次計画の中に大事な予知の頭脳艇ある地震研というものを、当てにしないと言わんばかりのこんなばかな処遇をしてやっていかざるを得ない。北大だ、東北大だ、京大だなんというところを中心にやっていこう、それはけっこうですが、しかし頭脳的にいったら、あそこの頭脳というのはやはり貴重な頭脳があるわけですから、文部省としては責任を持ってとにかく早く問題の解決をさせる。文部省の意気込みなりやり方は、片手間にやっているような感じがしてならないのですが、その点どうでしょうね。時間がありませんから簡単に、もう一ぺん……。それから、応微研なんか廃止する決意を持っているのじゃないでしょうね。どうですか。
  44. 七田基弘

    ○七田説明員 ただいま御質問の件でございますが、大学につきましては大学の自治といいますか、学問の自由という点がございますので、この点で私どもも、先生御指摘のように若干煮え切らないような形といいますか、そういうような感じになる点があるかもしれません。しかし私どもといたしましては、第三次の地震予知計画も出ましたことで、これからこの地震研の紛争解決にもできる限り積極的な手を打っていきたいというように考えております。  それから応微研の廃止の問題がございましたけれども、これもやはり大学の自治の問題がございまして、東京大学からそういうなればまた別でございますけれども、いま私どもとしては、できる限りそれが研究機能を持ち得るように最大限の努力をいたしたいということでございます。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 いずれにしても、応微研にしろ地震研にしろ、いまのような機能が麻痺状態にあるということは文部省の責任です。これは至急に活用できて十分に生きた仕事のできるように、必要な機能の中に能力が動員できるようにという責任を果たしていただくようにやっていただきたい。私こまかい問題をもう少し言ってみたいのですが、またちょっと提案もしたいのですが、提案をする時間もありません。いずれまた別の機会に、このことは文部省の責任を果たしていただいた上で論議をしてみたいと思うのです。  それから最後にお伺いしたいのは、今度は、おかげでということはありませんが、火山噴火の予知に関する連絡会をつくってみたりして、ひとつ思い切ってこれに対する予算づけをしてやっていこうということになりましたが、そこで、時間がありませんので簡単に、浅間山、伊豆大島、桜島、もう一つどこでしたか、四火山が常時観測をしているところになっていましたね。そこの現在の動向と今後の見通し。浅間山もいまだいぶ静かになったといいますが、これからの見通しとしては、予知ではありませんが、まずまず先日のようなああいう大きな噴火はもうないということになるのか、そういう見通しを四火山に関してお聞きをする。それから、この間の西之島沖における噴火の問題がありましたが、これは一体今後どういうふうになると見通しておられるのか、調査の結果。それから、ついきのうかおとといですか、活動火山の周辺における何とかいう法律が衆議院で通過いたしましたが、一体このような火山があの法律との関連でやはり即刻生きた政治として手当てがされていくようになるのかどうかもあわせて、これは小宮山さんでいいのですが、お伺いしたい。
  46. 木村耕三

    ○木村説明員 火山の現況についてお答えいたします。桜島は六月一日に四回爆発いたしまして、そのうちの一つは非常に大きくて、噴煙が五千メートル上空まで出まして、火山れきが飛び、負傷者が出たほどの爆発をいたしました。その後も六月の中旬に鹿児島市に灰が降ったりするような爆発が続いておりますけれども、現在は少し穏やかになっております。  それから浅間山でございますが、これは五月二十四日に一カ月ぶりに噴火いたしまして、その後しばらく五月のうちは活動しておりましたけれども、最近は穏やかになりまして、地震回数も減少して小康状態にあると思います。  その次に阿蘇山でありますけれども、阿蘇山は六月五日から火山灰が火口壁や火口渕に積もるほど多くなりました。六月の半ばごろには火口周辺一帯にかなり積もりまして、その活動は現在も続いております。  伊豆大島は現在活発な活動はしておりません。  今後の見通しでありますけれども、桜島、それから阿蘇、浅間、ともに一年くらい続くのが常態でありまして、ときには二年、三年と小康、それから活動ということを繰り返しながらやっているというのがいままでの経験によると癖でございますので、現在小康状態ではありますが、今後も活動する時期があるものとして警戒を続けております。  それから西之島でございますが、これはわれわれのほうでも担当者が海上保安庁の飛行機に乗って見に行きましたけれども、何ぶん海の中でございますので観測のしようがございません。で、今後の動向は、われわれ科学的には知ることができません。  以上でございます。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、副長官、きょう私がいろいろお願いしたことは特に真剣に取り上げて、こうなったということを議場でまた報告を受けるように期待して、終わります。  どうもありがとうございました。
  48. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 八木昇君。
  49. 八木昇

    ○八木(昇)委員 政府の広報活動について若干の質問をいたしたいと思うのですが、事柄の性質上、ぜひ関係大臣の御出席を得たいと思っていたのですが、非常に残念に思っております。いずれまた将来、機会を得て大臣にも質問したいと考えております。  そこで、政府の行なう広報活動の基本的なあり方というものについて、総理府並びに内閣官房においてはどのように認識をしておられるかということを冒頭に伺いたいと思うのです。というのは、戦前のお互いの苦い経験によりまして、戦後の、今日の民主的な憲法のもとにおいては、私は政府の行なう広報活動というのは、まあ表現が適切かどうかわかりませんが、いわば行政広報、政府各省行政をやっていくについて必要な国民へのお知らせという立場に立った広報のやり方、こういうものに限定せられておる、かように理解をいたしておるのです。何となれば、政府の広報活動は行政各部がそれぞれ行なう、こういう形態に今日までなっておることからもそのことは言える、かように考えておるのですが、その点、どのように認識をしておられるでしょうか。
  50. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 先生のおっしゃるとおりで、戦前の翼賛会のような、世論をつくったりあるいは権力的な広報ではなくて、行政広報でございます。国民政府の施策あるいは法律等を告知し、その行政が円満に施行できるように、またその国民の声を反映した政治ができるようなための行政広報だと考えております。
  51. 山下元利

    ○山下(元)政府委員 いま総理府からもお答えがございましたが、やはり政府の施策というものを国民にわかりやすく、公正に、しかも適時に知っていただくために広報活動をすることは、政府行政活動といたしましても当然の責務であると考えておるわけでございまして、その範囲内におきまして私どもは適時適切な広報をいたす所存でございまして、いま先生の御指摘のように、戦前のある種の形のようなものはただいまのところ全然考えておるわけではございません。
  52. 八木昇

    ○八木(昇)委員 その点は、ことばの上ではそのようにおっしゃるだろうとは思っておりました。しかし正規のこの決算委員会の場でそのような御答弁をいただくことは非常に重要なことだと思いますので、あえて質問をしたわけです。今後の具体的な広報の実施の内容を通じて、私どもは常に十分の注目を払っていきたい、かように考えておるわけでございます。  そうだとするならば、いま御答弁になったようなことだとするなら、特に今回すでに本年度の予算も決定しており、その予算は当然内閣の予算と総理府の予算とは全然別でございますから、総理府のほうにしか広報関係の予算もないのに、あえてこの時期にことさら内閣広報室というものを新設して、非常に無理な形で従来の総理府広報室長と新設の内閣広報室長は兼務、それのみならず、すべての総理府広報室の職員四十数名が、いずれも内閣の広報室の業務と兼務するなどというようなことをやったその意味、必要性、こういうものがどう考えてみても、われわれは理解しがたいわけなんですよ。何らかの格別の意味が当然そこにあらねばならないと思うのですが、本日は昭和四十五年度の決算の審議をしておるわけですから、昭和四十五年度当時の広報のあり方について、具体的に何かふぐあいがあったのでしょうか。そうして、そのことは今回のような措置によって解消されるとでもいうのでしょうか。時間がございませんから、簡単に例の一つでもあげて説明をしてくれませんか。
  53. 山下元利

    ○山下(元)政府委員 従来とも総理府のほうの広報室がございまして広報をいたしておりますけれども、総理府は各省と同じレベルでその広報をいたしておるわけでございますが、特に昨今物価の問題にいたしましても、土地対策の問題にいたしましても、関係各省に非常に関連するところが多いわけでございます。かねがね縦割り行政のあり方ということについて私ども考えておりましたけれども、そうしたことが広報にも出ておりますので、たとえばいま物価については情報を提供しようといたしましても、こうしたことによって関係各省の間の縦割りの弊が目につく、そこで実は広報をもっとじょうずに行なうようにしたい、そしてまた逆に内容に穴があいてはならないということで、積極的、消極的にこの内容にうまく穴のあかないように広報をしたいという趣旨でこのたび内閣広報室というものをつくりまして、そうした点についての注意を払いまして広報をいたしたいということで、これは決してことさらに一元化しようということではなくて、そういう趣旨に出るものでございます。
  54. 八木昇

    ○八木(昇)委員 いまのような説明では、われわれはとうてい納得することができませんが、従来と全然仕事の内容というものについては変化がない。総理府広報室の従来行なっておった業務の一部を引き揚げて内閣の広報室のほうへ持っていくというものにすぎないというような形をとっておるらしゅうございますが、私どもはとうてい納得がいかないのです。というのは、今度のこの措置について、新聞や週刊誌等もいろいろ取り上げておるのですが、私が持っておるのはある週刊誌ですけれども、従来の総理府広報室の某幹部自体が今回の措置はどうも納得がいかぬということを言っております。そして結局するところ、今回のこのような措置のねらいというのは、今日まで行政広報を主としてやっていたのを、政府の意図やあるいは政府の政策までをも含めたところの、多分に政治広報的なものにしようという意図だと思うというようなことを語っておるのですが、そういう報道記事なんです。すんなりとこう事態をながめて、それが真相であろうとわれわれは理解するわけです。しかも週刊誌といいましても、総理府広報室の某幹部と言っておる以上は、これは間違いないと思いますね。どなたであるか知りませんけれども、そのようなことを言っておることには間違いない。そしていろいろな事情について通じておる人の発言ですから、この点どうお思いになりますか。
  55. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 総理府の某幹部がそういうことを言ったと私は聞いておりませんけれども、総理府の職員の中で審議室や官房の総務、人事、会計というのは、内閣の官房、人事、会計、総務をやっておりまして、いわゆる二枚看板でございます。最近の事情を見まして、先ほど官房副長官の話がありましたように、非常に複雑多岐、また緊急を要する問題、また各省間で緊急に連絡しなければいけない問題、広報活動を見ておりますと、そういう意味でもいままでてんでんばらばらに各省でやっておったものを、統合的に国民にこういう状況ですよということを知らせる行政広報というものを能率的に効果的に行なう必要がございます。そういうようなことで内閣に広報室を置いた。先ほど総理府の某幹部がそういうことを言ったということは私も聞いておりませんし、いまそういう週刊誌に載ったということを初めて聞きましたけれども、私はそういうことを言う者があったとは信じておりません。
  56. 八木昇

    ○八木(昇)委員 その辺のやりとりは省きます。  ところで、いま申し上げましたように、冒頭政府の姿勢を言われましたので、その点はひとつ十分に責任を持って今後の運営に当たっていただきたいと考えます。  そこで、私は、本日の質問がほんの二日くらい前に知らされましたので、ほんとうは昭和四十五年度時の政府の刊行物と昨今の政府の刊行物とを具体的に比較対照して質問をしたいという気持ちなんでございますけれども、それだけの準備の時間がございませんので非常に遺憾なんですが、そこで、ごく最近の総理府から出しております「時の動き」これを三、四冊見てきたのです。四月一日号、四月十五日号、五月十五日号、六月一日号、これを見ますと、いまの御答弁と全然趣が変わってきておるという印象を受けますね。といいますのは、この四月一日号を見ますと、対談「円切上げと日本経済」、「人材確保法案のあらまし」、「筑波大学の構想」、これが四月一日号の全部と言っていいです。それから四月十五日号、対談「健保法改正のねらい」、これが大体四月十五日号の中心です。それから五月十五日号、「物価はどうなる」「土地対策関係法案のあらまし」、この二つが中心です。それから六月一日号はもう文字どおり全部と言っていいです。「国鉄再建への道」というのと「新構想の筑波大学」この筑波大学というのは毎月出ておるのです。この二つがすべてです。これは行政広報という皆さんの考え方からしますと、おかしいのじゃないですか。従来、総理府の所管のもとにあってすらも、このような傾向になってきておる。しかしながら、また総理府の主管であるうちは、一種の行政広報という立場が曲がりなりにも貫かれると思うのですけれども、内閣直属という形になりますと、それはもう大いに政治広報、こういうことになるのじゃありませんか。こういう国民の血税を使って、大量に製作されておる、政府が直接発行する冊子が、世論を二分していま論議されておる法案の審議過程において、続々としてこれでもかこれでもかという形で出される姿は、正当だとお思いになりますか。
  57. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 政府が行なわんとする施策、または政府が提出する法律について、今後政府がこういうことをいたします、こういうことの法律を提案してということでございますので、これは完全に行政広報であり、私たちのやらなければならないものだと考えております。
  58. 八木昇

    ○八木(昇)委員 そういう内容じゃありませんね。これは従来、昭和四十五年当時どうだったでしょうか。それは私もよくわからないのですけれども政府国会へ提出した法案のごく客観的な説明みたようなのがときに出るということは、それはあったかもしれませんが、もともとこの冊子そのものは、現に政府が行なっておる行政事項の具体的ないろいろな事柄を、冊子を通じて国民に知らせる、周知させる、もともとそういうものであるべきです。ですから、国会政府が提出して、いま審議中の法案というものが、これらの冊子の中心部分、主力をなすということは、どう考えてもおかしいでしょう。そういうように私としては考えるのですが、その点、お考えをもう少しく率直に述べてくれませんか。
  59. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 政府がこれからやろうとすることを率直に、そういう冊子を通して国民に知っていただく、御理解を求めるということで、いろいろな解説を出しておるということでございまして、私は、国民に知っていただくということがたいへん重要である、ただ単に批判だけでなくて、政府の真意を知っていただくということで、こういう活動を今後ともやらなければいけないと感じておるものでございます。
  60. 八木昇

    ○八木(昇)委員 そうすれば一つ提案をいたしますが、これは政府の発行しておる冊子であっても、筑波大学法案に対して、各党はそれぞれこのような考えを持っておる、あるいは政府の提出しております法案に対して.野党各党かあるいは野党のどの党は、それに対する対策の法案を出しておるとかいうような場合、前者の場合も後者の場合も、そういう野党側の主張やその他を載せるということも、ときとして必要ではないかと思います。この場で政府に言ってもどうしようもないかもしれませんが、本来は議会広報というようなものを出して、そういった審議中の法案を国民に内容を知らせたいというのなら、今日マスコミがこれだけ報道をしておるときに、はたして議会広報をつくるとしても、どういう報道のしかたをするかは、それはもっと検討もしてみなければならぬかと思いますけれども、そういう議会広報ということも考えないわけでもないですが、ともかく政府が審議中の法案についてこれだけ大量に国民に宣伝するというのなら、これは対する野党側の考え方も載せるべきじゃないですか。何も政府の手で野党側の考え方をまとめなくともいいですから、それだけの作業ができないというなら、各党のほうへ持ってこられれば、それぞれ政策審議会から全部出します。そういうお考えはありませんか。
  61. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 各党の主張を入れますと、これこそ政治広報になります。政府といたしましては、やはり公正に国民に告知することが任務でございますので、そういう意思はございません。
  62. 八木昇

    ○八木(昇)委員 そうしますと、今後もこういった形は積極的にやっていくというお考えですか。
  63. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 政府は、今後とも公正に、政府がやらんとする施策を大ぜいの方に知っていただくことに努力をする所存でございます。
  64. 八木昇

    ○八木(昇)委員 その点は私は非常に問題だと思います。その点は今後ともおりに触れて問題にしていきたい、かように考えますが、この際要望として、かりにそういったことを政府のほうでも国民に向かっていろいろ印刷物で出すとしても、ごく客観的なその内容の説明、こういうような形にとどめるべきであって、反対運動というようなものを意識して、これに対抗して次々にそういった印刷物で出すというあり方がないように、これは厳に御注意いただきたい、かように考えるわけであります。  そこで、政府はいろいろな広報活動について民間に委託をしておりますが、それについても前から常に相当問題になっておるのです。いろいろと私ども聞かされますし、また事実、私一部を調べてみましても、きわめて遺憾な感じを持つのが多いのです。この際、時間の関係もありますから、本日広報センターというものについて若干の質問をしたいと思います。  この日本広報センターというのは、どういう仕事をやっておるのか。私が聞いたところでは、総理府関係仕事だけしかやっていない。ほかには何もやっていないようでございます。それで、この日本広報センターの定款第五条によりますと、一から六までこの広報センターの事業が書いてございますが、一の「放送番組の制作及び提供」、二の「短編映画の制作及び提供」、この二つをやっておるだけだ。この二つもすべて政府の総理府の仕事を受けてやる。このこと以外には全然何もやっていないようである。そして事業の三「出版物の刊行」、四「講演会及び座談会の開催」云々、五、六、これは全くやっていないと聞いておりますが、そうでしょうか。
  65. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 お尋ねの件は、政府仕事がもっぱら広報センターの仕事の実態でございます。
  66. 八木昇

    ○八木(昇)委員 そこで、これは昭和四十五年当時もすでに相当の金額の委託を政府から受けております。それからまた昭和四十七年度について見ましても、政府、総理府からの日本広報センターの収入は二億四千八百九十六万円に達しております。ほぼ二億五千万円に達しておるわけです。  そこで、この日本広報センターというのは何人の職員でやっておるのですか。そしてそれぞれの職員はどういう経歴の人でしょうか。昭和四十五年当時と現在……。
  67. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 お尋ねの昭和四十五年度のものはただいまちょっと手元にございませんが、現在は従業員は九名でございます。
  68. 八木昇

    ○八木(昇)委員 どういう経歴の人ですか、その九名の人は。そしてその九名は何をやっているのですか。
  69. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 それぞれの名前は承知しておりますが、経歴までちょっと承知いたしておりません。
  70. 八木昇

    ○八木(昇)委員 年間二億何千万円もの仕事を請負わせておるところが、私の調べたところでは、去年は職員わずか七名、本年度九名。そしていまの答弁では経歴もよくわからないなどということではどうも話になりませんな。それで、この人たちは月給は幾らくらいもらっておるのですか。
  71. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 理事長が二十一万円の月給だそうでございますが、その他の職員については個々に承知しておりません。
  72. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それはあなた御自身は御承知でなくても、事務当局わかっているでしょう。理事長は専従役員じゃないのでしょう。では私が申し上げますが、昭和四十七年度を調べましたが、職員七名、人件費の支出は千八百九十三万円、この千八百九十三万円というのは職員七名のうちの五名について、残り二名の分は支出する費目が違っております。五名については管理費と称するのから出ておりますし、残りの二名は制限目的支出、収支計算書の中身も通常と違って非常に複雑な形になっておりますが、それは別といたしまして、これは補助職員だからという形のようですが、五人の専従職員の分が千八百九十三万円、これから計算しますと、ボーナスも年にかりに五カ月か六カ月として、月給が平均二十万円を上回ると思いますが、どうですか。
  73. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ほぼただいま御指摘のとおりでございますが、五人の人件費は、御発言中にございました千八百九十三万じゃなくて、そのうちの人件費五人分というのは千四百八十六万円でございます。あと制限目的から出ておるのは御指摘の数字でございます。したがって、それを七人で割れば、ほぼ御指摘に近いか幾らか減ると思います。
  74. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それは私間違いました。千四百八十六万円が五人分、これを五で割りますと、一人年間平均三百万、こういうことになると思います。それで、これは専務理事一名、事務局長一名、事務局次長一名、企画部一名、総務部二名、業務連絡部一名、これで計七名、こういうわけですね。私ども考えまして、これはたいへんな優遇である、かように考えるのですが、この人々は一体何をやっておるのですか。どういうことが仕事なんですか。要するに事務屋さんでございましょう。
  75. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 先ほど来お尋ねがございました日本広報センターは、いろいろな審議会だとか、それからまた制作に関しての委員会のようなものがございまして、そこへいろいろ報道関係局長局次長、部長、そういう方が参画して、専門的な立場から広報センターの基本的な編成事務をやっておるようでございます。その下にあって、現実にその方針に従って広報に用いる資料を制作するという制作屋でございます。
  76. 八木昇

    ○八木(昇)委員 制作屋じゃないでしょう。それは答弁が全然間違っていると思いますよ。広報センターの企画審議会というのがありますね。企画審議会は、各テレビ会社の編成局長、報道局長、そういうような地位の人がほとんどのようですね。それから同時に、日本広報センターの制作委員会というのがあります。これは各テレビ会社の編成局、報道局の局次長、部長クラスのようですね。こういうのが審議をするわけですね。そして実際の制作は全部民間のテレビ会社がやるんでしょう。そしていまの七名ないし九名の人というのは事務屋さんでしょう。
  77. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいま先生のほうがお詳しゅうございましたが、審議会とそれから制作委員会がございまして、それぞれそこには報道関係局長、あるいは制作委員会では次長クラス、部長クラスの人が相談をして審議をし制作をするということでございますが、それを受けていよいよそのものを具体的に実現する、そういう意味で、あるいは企画を含めて事務も伴ってまいりますが、事務、企画、そういうものをやる専門の従業員という意味でございます。
  78. 八木昇

    ○八木(昇)委員 そしてこの広報センターの理事、監事、その中に理事とか専務理事とかおります。それから理事長、会長、それから評議員という制度がありますが、理事長は藤井丙午さんですね。そしてその藤井丙午さんは「今週の日本」というこれまた総理府の仕事を一手にやっているところの社長でもあるわけですね。そして有名な財界人です。それから評議員がまた財界人です。渋沢秀雄、安西浩、五島昇、福島慎太郎、植村甲午郎、こういう評議員十一氏、これはほとんど全部財界人、こういうことになっておりますが、質問をしておりますと時間が足りないから、そういうような内容を申し上げたのですが、要するに、こういう財界人、専門家でも何でもないこういうような者に政府仕事を委託させて、そしてそれの仕事以外には全然やってないのが日本広報センターである。そうして、先ほども私が申し上げましたが、企画審議会や制作委員会がときに持たれるだけであって、制作の仕事は全部民間のテレビ会社がやる、こういうわけですね。したがいまして、総理府からの収入が二億四千八百九十六万円昭和四十七年度にありましても、制作費支出にそれが出され、その大部分が全部民間のテレビ会社に支出される。非常に素朴に考えてばかげた組織だと私ども思うのですが、これは専門家はテレビ会社が専門家です。もし何らかの意見を聞いたり、それから政府のテレビ広報について何らかの諮問をしたいというなら、それについては幾らでも方法がある。ましてや、こういう広報センターというものは全部幹部が財界人で、全くしろうとである。しかも公正を欠く。人事からいえば財界人一辺倒というもので、あなたは就任早々でありますけれども、一体適切であるとお思いになりますか。こういうのをおやめになったらどうですか。そして、テレビ広報についてのいろいろな意見は、マスコミ関係の専門家やその他から徴せられてけっこうでしょう。その意見を徴せられる場合には若干の謝礼等もお出しになってけっこうでしょうが、そうして民間のテレビ会社に制作をさせればいいわけなんで、どうですか。
  79. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいま御指摘のように、この団体は財界の有名人が役員に名を連ねておるのでありますが、一方、実際の仕事をしておる段階では、先ほどお尋ねの職員の大部分はやはり報道関係の出身の方などがございまして、そういった意味で、この団体が先ほど御引用になりました定款の四条にもございますように、公共的な事業、施策の内容を諸団体の協力を得て、国の内外に効果的に伝え、そうしてその理解によって、わが国の民主主義の健全な発展と国際的な評価を高めることに寄与するのだということをうたっておりまして、これを利用することが広報室において専門の人間を用いてやることよりも効果があるという判断に立っておるのでございますが、先ほど来御指摘のように、この団体だけでなくて、そのほかいろいろな広報専門のいわゆる広告業者もございますし、あるいはまた私どものいろいろな広報のあり方について御提案のような各方面の意見を聞いて、そうして実行していくということを考えてみたいと思っております。
  80. 八木昇

    ○八木(昇)委員 この問題については、また将来も繰り返し巻き返し質問を続けてやっていきたいと思っておりますから、本日のところは留保しておきますが、どう考えてもこれは国費のむだ使いですね。そういうトンネルを設ける必要は公平に考えてない。しかもきわめて不明朗であって、そうして片寄っておる。そしてこの報道関係の人々も、へたをするとマスコミ関係の幹部におもしろくないひもがつく、そういう結果にもなりかねない危険性を持っている。そういう意味において、かような不明朗なものは廃止せよということをこの際は主張しておきます。  そこで、今度は防衛庁の関係の方にお伺いをいたしたいと思いますが、これは昨年十一月の予算委員会でわが党の安井代議士がちょっと質問をしたのです。私からも要望をしまして質問をしてもらったのですが、昭和四十七年の十月から十三回にわたって、毎週一回フジテレビで放映されましたところの「祭りをつくる人々」というのがございました。これはスポンサーは綜合警備保障株式会社ですか、そういうタイトルが出て、そうして報道されたものでございますけれども、これの制作費、それからこの警備保障会社が払った電波料、これもおわかりであれば、そうして制作費の大部分もしくは全部と私どもは理解しておりますが、それに当たる千七百万円を防衛庁がお出しになったということは予算委員会でお認めになっておる。それは事実かどうか、その辺のところを簡単に御説明願いたい。
  81. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 お答え申し上げます。御指摘のとおり、昨年の十月から十二月まで、十三回にわたりまして、一回十五分の番組でフジテレビ外六局、全部で合計七局のテレビ放送におきまして「祭りをつくる人々」という番組が放映されております。この番組の全体の企画をいたしましたのは、民間企業でございますところの株式会社電通でございます。提供は、御質問のとおり綜合警備保障株式会社がスポンサーとなっております。この番組を制作いたしましたのはフジテレビでございまして、防衛庁はこれに協力をいたしておるわけでございます。  この制作に関します経緯について御説明申し上げますと、自衛隊といたしましては、全国各地で催されます各種の伝統的行事に対しまして協力的な支援を行ないまして、地域住民……(八木(昇)委員「発言中ですが、あと七、八分しかありませんから、いま私が聞いた点を答えて下さい」と呼ぶ)それでは簡単に申し上げます。  そういうことで、電通から、教養番組として全国における伝統的行事を紹介したい、同時に自衛隊員がこれに協力を行なっておりますので、その協力、支援の状況も織り込みたいという提案が防衛庁に対してございまして、防衛庁といたしましては、これが自衛隊員と一般国民との親近感を深めるという意味で非常に有効である、こういう判断をいたしましてこれに協力いたしたわけでございます。  負担金額でございますけれども、御質問のとおり、この番組は自衛隊の広報番組として非常に適切であるという判断のもとに、制作費として一千七百五十万円を負担いたしております。  なお、電波料は、これは提供会社の支払いでございますので、私どもとして直接に存じておりません。ただ、この七局の公表されました、つまり時間テーブルによります料金で算出いたしますと、約千七百万円になりますが、これは割引制度もあるようでございますし、また電通と各局との話し合い、商議、ネゴシエーションによるものでございますので、実際どれだけ綜合警備保障会社が支払いをしたかということについては存じておらない次第でございます。
  82. 八木昇

    ○八木(昇)委員 いまの御説明を聞いても非常に遺憾に思うのですが、大体民間の株式会社がテレビにばく大な金を出してなぜスポンサーになるかといえば、その社を宣伝するためでしょう。そしてその番組の提供者は、綜合警備保障株式会社提供という字幕が出されて、そうして、この場合の支出は警備保障会社が、千数百万円の金を投じてそれだけの価値に値する、こう考えて自分の社を宣伝しているわけでしょう。それに、そういうテレビ放映に、制作費千七百五十万円はまるまる国民の血税を出し、綜合警備保障会社の宣伝の手助けをしてやる、こういうことは許されますか。もともと何のために警備保障会社がそういう金を使ってテレビ宣伝をするのですか。みずからの社の宣伝のためでしょう。しかもそれに警備保障株式会社提供、防衛庁協力というタイトルが出ておるのでしょう。そうしますと、警備保障会社という会社の性格上、これは政府のしかも防衛庁がこれを非常に強く支持しておる、協力をしておる、こういうことになれば、この会社としては警備保障会社なんですから、非常に権威がありますね。それを権威づけてやるということになる。また事実この警備保障会社の従業員は警察官あがりあるいは自衛官あがりという人が相当多いとも聞いておりますが、今日どうお思いでございますか。すでに過ぎ去ったことでありますけれども、正当であったとお思いになるか、正当でなかったとお思いになるか、あるいはその中間であるか。それから、今後も、ことしもまたそういったテレビ企画が防衛庁にあるようでありますから、将来そういった問題を起こさないようになっていきたいというお考えをお持ちなのかどうか、これは端的に答えてください。
  83. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 簡単に答えてください。
  84. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 ただいま申し上げましたとおり、防衛庁といたしましては、この番組の放映されます内容に着目いたしまして、これは自衛隊と一般国民との親近感を深めるために非常に有効である、非常に効果の高いものである、こういう判断をいたしまして、その制作費を負担したわけでございます。したがいまして、そういう意味におきまして自衛隊が協力をしたということを画面にも出してほしいという申し入れをいたしまして、これを画面に出していただいたわけでございます。  そのときの電波料の負担者がどの会社になるかということにつきましては、これはこの企画をいたしました電通会社がきめられることでございますので、そのことによりまして綜合警備会社と防衛庁とが何か癒着しておるというような誤解を招く心配はない、したがって、昨年このような支出をいたしましたことは決して不当なことではない、こういう判断をいたしております。  なお、今後こういうようなことがあり得るかどうかということにつきましては、これはまたそのような企画があるかどうかという問題になるわけでございますので、まだわからないと申しますか、今後の問題であろうかと思っております。
  85. 八木昇

    ○八木(昇)委員 その企画の内容云々じゃないのですよ、政治的には。何々化粧品株式会社提供、厚生省協力なんというようなテレビがあっていいんですか。いまのような答弁は許されません。営利会社でしょう、この保障会社は。そうでしょう。その点について内閣官房としてはどうですか。
  86. 山下元利

    ○山下(元)政府委員 具体的な計画について、それぞれの場合において判断すべきものであると思うわけでございまして、すべての場合に一般会社の宣伝に役所が協力する形はどこまでが適当であるかは、慎重に判断しなければならないと考えておりますが、ただいまの防衛庁の答弁につきましては、この事案については適切なものと判断したものと考えております。
  87. 八木昇

    ○八木(昇)委員 これできようはとめておきます。あと二点、次元の違う問題ですが、一括質問しまして、そのお答えをいただいて終わりたいと思います。  一つは、総理府の広報関係の予算と決算、予算については昭和四十五年から四十八年まで、決算については昭和四十五年、六年、七年——七年はまだぴしゃっと締めてないでしょうが、それを見てみまして感じましたことは、いずれも昭和四十五年から四十七年まで、国会で成立した当初予算が毎年中途で減額補正されておりますね。どうも政府広報についてはふんだんな予算が与えられておって使い切れない。その年においてどういう冊子をどういうふうに発行し、どうするこうするということは、当初予算のときにちゃんと予定されてきまっておるわけです。たとえば建設省あたりのように、本年度これだけの用地買収をする予定でいたものが、いろいろな事情で用地買収ができないので減額補正するなどというようなものと、これは性格が違う。広報予算なんというものはぴしゃっと予定が立つはずなんだ。それが毎年減額補正されているというのは、これはどういうわけかということ、これも簡単に御説明をいただきたい。  それからもう一つは、私はこういう政府関係の刊行物の印刷関係をちょっと調べておりまして気づいたのでここで質問をするのですが、各省が出しております白書類ですね、これらは全部大蔵省印刷局で印刷をしておるわけでございます。ところが、通産省の通商白書、農林省の三日書、農業白書、林業白書、漁業白書、この四つに限ってのみは大蔵省印刷局の印刷でなくて外注になっておりますね。これはどういう理由か。外注されると結局割り高になると思います。それから、白書などは各省の資料費等である程度買い上げておるわけですが、会計検査院は、一体このような外注というものについてどのように思っているか。前段の質問は大蔵省のほうで、後段のほうば会計検査院のほうで御答弁をいただきたい。  私があえてこれを申し上げますのは、いまさら申し上げるまでもなく御承知だと思いますが、「政府刊行物の普及の強化について」というので昭和三十一年十一月二日に閣議了解されておりまして、その中ではっきりと「政府刊行物の印刷発行については、各省庁は大蔵省印刷局を活用するものとする。」という決定がすでになされており、さらにそれを受けまして昭和三十八年の十月二十四日の各省事務次官会議におきましても、いまの昭和三十一年閣議了解事項に定められたところにより、白書類の印刷発行については特に大蔵省の印刷局を活用するものとするということを申し合わせをしておるのですが、にもかかわらず今日に至っておるというのはどういうわけでしょうか。
  88. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 最初お尋ねの広報予算が減額補正されておる理由でございますが、事業内容によって多少違うと思うのでございますが、基本的には補正財源確保のために予算節減をするということは閣議決定に基ずく政府の方針でございますので、広報関係予算もこれに従って予算を削減しておる。総理府のほかの予算についても同様のことが見られるのでございまして、これは補正財源、補正予算を組むつどそういう政府の説明があるところだと存じます。
  89. 上月重雄

    ○上月説明員 いまの通商白書その他につきましての御答弁を申し上げますが、御指摘のように、昭和三十一年の閣議了解によりまして、いわゆる白書類は大蔵省印刷局でできるだけ発行印刷をやるように、こういう御指示を得ておりまして、それをもとにいたしまして私どもといたしましては各省に協力方を要請しておりまして、おおむねその効果をあげておるのでございますが、いまおっしゃいました通産省と農林省の合計四つの白書につきましては、私どもとしましてはずいぶんと協力の要請をしてきておりますけれども、いまだにその協力を得ておらない、こういう実情でございます。私どもとしましては、あくまで要請をする、こういう立場でございまして、なぜかということにつきましては御説明する立場にないわけでございますが、今後ともこの両省に対しまして協力を要請していきたい、かように考えております。
  90. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 ただいま先生御指摘の通産省その他の白書、これが外注されているのが適当であるかどうか、こういう御質問でございます。私ども当然その個々の発注につきましては、その所管の局課におきまして検査いたしておるわけでございますが、いまなぜそういう四つの白書が外注されておるかという点は、にわかの御質問で、ちょっと私もよくつまびらかでございませんので、帰りまして十分その理由を調査しまして、また機会かございましたならば御説明申し上げたいと思います。ただ仄聞するところによりますと、印刷局もその仕事の繁閑によりまして、忙しいときに必ずしも全部受け付けられないというようなことを私過去に聞いたことがあるわけでございますが、ただいま先生御指摘の点はそういうこととちょっと性質が異なるのではないかと思いますので、なお十分調査をいたしたいと思うわけでございます。
  91. 三善信二

    ○三善政府委員 農林省の農業白書、漁業白書、林業白書、これは外注いたしております。と申しますのは、たとえば農業白書で申し上げますと、これは農政審議会にかけまして、それで答申を得て国会に提出いたします。農政審議会で審議します場合に、これは相当何回も修正します。国会へ大体三月三十一日まで提出いたします場合に、期間的に農政審議会を経て国会へ提出するのに時間が非常に短い。したがってその途中で修正したり、版を組みましても修正するとかしょっちゅうやっておりますので、その関係から実は三十八年以来最初から統計協会等に発注をしてやっております。それから、これは非常に部数を多く刷りまして、農業団体とか農業者とか、農林行政の普及をこれを中心にやっておりますので、そういうほかの市販の部数もまた実は統計協会でやっておるわけでございます。そういう単価等につきましても、その点予算で認められた国会提出分につきましては、わりあい安くなっているというふうに私は考えております。そういういろいろな当初の経緯もございますので、現在までやはり外注でやっているという実情でございます。その点ひとつ御了承願いたいと思っております。
  92. 八木昇

    ○八木(昇)委員 終わります。
  93. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 山原健二郎君。
  94. 山原健二郎

    ○山原委員 私の質問は二つです。一つは電力料金の値上げ申請に関する問題です。もう一つはダム建設の計画変更について、その二つでございますが、通産大臣途中で出られるそうですから、最初に電力料金の問題について伺います。  六月十九日、二十日と四国電力、そして関西電力相次いで電気料金の値上げを申請してまいっておりますが、その電力料金の値上げ率は、一般家庭用などの電灯が一二・五七%、産業用などの電力が二六・九六%、平均二一・五四%、これが八月十五日実施、九月徴収ということで申請が出されているわけでございますが、前にも一度大臣にお伺いしたことがあるのですけれども、申請が出た場合には慎重に取り扱いたいという御回答をいただいておるわけですけれども、実際に今日出てきた段階でどういうふうに通産省としてお受けとめになっておるか、またこれに対してどういう対処をされるか、その方針について伺いたいのです。
  95. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いま申請が出てまいりましたので、法規等に基づきまして厳重な審査をやっております。いろいろな原価の内容その他についても、コンピューター等も使いまして精査をしておりまして、その上公聴会を開いて、その公聴会による意見も聴取した上で通産省としての考え方を決定したい、こう考えておる段階であります。
  96. 山原健二郎

    ○山原委員 四電に引き続いて関西電力が、これはセットみたいな形で出ておりますが、引き続いてこの四国電力をトップバッターにしまして、北海道あるいは北陸等も来年には値上げを申請するということで、これは国民生活にとってきわめて重大な問題でありますし、四国四県の場合にはほとんどの県議会も反対決議をする、あるいは商工会議所等も反対決議をするというような、まさに電気料金をめぐりまして非常に大きな政治問題化しておるわけです。  その中で値上げの理由は何かということが四電側から発表されておりますが、その一つは燃料費の高騰、二番目は電源立地難に伴う発電所建設費の上昇、三番目は公害対策費の増加など発電コストアップから生ずる経営難だ、こう言っているのですね。ところが、この三つの理由というのは全国九電力すべてに当てはまる問題でございまして、必ずしも四国電力あるいは関西電力のみがこの影響を受けるものではないわけですね。三つともどこも受けている。燃料の高騰にしましてもそうですし、電源の立地難の問題もそうですし、公害対策の問題もそうですから、そういう点では四国電力あるいは関西電力が今日出してきたというこの理由、これはこの三つだけでは説明がつかないと思うのですが、これについてはどういうふうにお考えになっていますか。
  97. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 四国電力、関西電力は約十九年間値上げをやりませんで、その間に以上のようないろいろな価格が騰貴いたしまして耐えられなくなった、そういう理由のようであります。ほかの電力会社昭和三十五、六年ごろに上げたのもございます。十九年間持ちこたえたというのが限界に来た、そういう理由のようであります。
  98. 山原健二郎

    ○山原委員 今回の料金の値上げの結果としまして、一キロワットについて電灯の場合が現在は十一円七十七銭です。これが十三円二十五銭。それから電力の場合が現在五円が六円三十四銭となるのだそうです。しかもこれは、これで大体三年間くらいは持つだろうということを社長が発表しておりまして、三年たてばまた値上げをしなければならぬという予防線がすでに張られておる値上げなんですね。  それで、少しこまかくなりますけれども、電灯、電力というふうに分けているのですが、大口電力あるいは特約、これがどうなっておるかということなんですが、これについて事務当局のほうでわかっておりましたらお答えをいただきたいのです。
  99. 田中誠一郎

    田中説明員 四国電力の、おもに産業用でございますが、大口電力につきましては現行が三円七十六銭九厘でございまして、それがいま出ておりますところの申請によりますと、四円八十五銭、二八・六七%の改定率ということでございます。  特約につきましては、供給規程料金にならいまして検討するということでございまして、目下検討しておりますので、検討結果が出ましたところで、企業秘密にわたらない範囲内におきまして先生に御報告申し上げたい、かように考えております。
  100. 山原健二郎

    ○山原委員 この特約の問題ですけれども、これはいつも問題になって、ここを私ども幾ら質問をしても不明部分になるわけです。たとえば香川県の坂出番ノ洲にある三菱化成に対する特約による電気料金が四円七銭というふうなことも聞くわけですが、これはまだその数字は出ていないわけですか。また、たとえば四国電力の場合、この特約をしておる会社というのは幾つあるのですか。
  101. 田中誠一郎

    田中説明員 特約につきましては、現在検討中でございまして、数字はまだ出ておりませんが、先生御質問の特約の需要家がどれくらいかといういまはっきりした数字を持っておりませんので、後ほどまた御報告申し上げたいと思います。
  102. 山原健二郎

    ○山原委員 どうもそのあたりがいつもぼやけておりまして、これは四国の住民も全くわからないというようなところです。四国電力の配当金は一割をもうずっと続けておるわけですから、幾ら経営難といわれても、配当金の面から見るならば経営難ということが一般の住民にはどうもぴんと来ないわけですね。そういう問題を含めまして、どうもこの電気料金値上げの問題については不明部分が非常にあるわけです。それはきょうは時間がございませんから申し上げませんが、いま大臣の言われました公聴会も開かれるということで、この七月十六日に香川県の県庁ホールにおいて公聴会が行なわれるわけですが、これはもちろん電気事業法施行規則第九十条に基づいて行なわれるわけですけれども新聞を見ますと、ずいぶん公述人あるいは傍聴者の数が多いそうです。新聞によれば、殺到しておるという、異常な状態といいますか、それだけ関心が高いとも言えますが、現在これに希望しておる人は大体どれくらいおるか、それからその中で賛成者、反対の意見概要を述べておる者はどれだけおるか、また反対者の中にはどういう反対理由を述べておるか、その辺わかりましたら、現在の集計でけっこうですから、お答えいただきたいのです。
  103. 田中誠一郎

    田中説明員 四国電力の公聴会は、先生御指摘のとおり十六日高松で行なわれますが、私どものところに参りました陳述者の希望総数は八百九十七人でございます。そのうち、これは賛成と申しましても大部分が条件つき賛成でございますが、七百四十九件か条件つき賛成でございまして、百三件が反対であります。  反対の理由といたしましては、要約いたしますと、現在の物価高騰のおりから電気料金の改定につきましては好ましくない、また現在の料金改定の理由については問題があるという点がそのおおむねの意見かと思われます。
  104. 山原健二郎

    ○山原委員 異常なほどの公述人の応募状況ですね。八百九十七〜空してその中で賛成者七百四十九名、反対者百三名。電気料金を値上げするということに対して賛成をする者が七百四十九名も公述人として応募しておるというこの事態、これ自体全く異常な姿だと私は思うのです。この公聴会を開く理由は、住民のさまざまな意見を公正な立場でお聞きになりたいというのが通産省の考え方だろうと思うのですね。ところが、この数字にあらわれてきておりますように、これは作為があるのです。四国電力が通産省の行なわんとする公聴会に対して、実はこういう文書を流しているのです。これは営業所等を通じまして数百名の公述人の組織を行なう、しかも公述人があらかじめ通産省に提出をしなければならない意見の概要見本というのを流しているのです。  時間がありませんから、それを読み上げてみます。「意見の概要」これは要旨でありますけれども、まず第一番に「電気料金の値上げは諸物価の値上りの原因になると思います」二、「昭和二十九年以来値上げしていないので、諸物価、人件費の高騰からして今回の値上げはやむをえないと思います。」「今回の値上げは家庭用よりも産業用が大きくはなっていますが、それでも家庭用電気料は産業用よりも高いので、家庭用の値上げ巾を小さくして欲しいと思います」こういう見本が営業所を通じて流されているわけです。これは巧妙な公聴会対策を組織しているわけですね。そしてその冒頭には、四国電力の経理内容がよくわかりませんが、聞くところによると、という前文がつきまして、私はいま要旨を読み上げたわけですけれども、頭から賛成していないのですよ。しかし第二項目にありますように、実に巧妙な形で、昭和二十九年以来値上げしていないので、諸物価、人件費の高騰からして今回の値上げはやむを得ないと思いますという、これは賛成者になっているわけですね。こういうことが行なわれて、はたして公正な公聴会ができるか。公聴会の人数からいうならば賛成者は多いのだという形になってしまう。しかも該当企業がこういうことをやることははたして好ましいことであるかどうか。これは関西電力の場合も行なわれると思いますし、また他の企業の場合にも公聴会が行なわれると思いますが、これこそまさに通産省が考えている公正な民意を聞きたいということには反する企業側の行為だと思うのですが、この点について大臣の見解を伺っておきたいのです。
  105. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そういう事実があるということを、私らまだ報告に接しておりません。かりに、もし万一そういう作為的なことがあるとすれば、それは適当な行為ではありません。
  106. 山原健二郎

    ○山原委員 正常な形で見まして、八百九十七人の公述人希望者がおって、その中に七百四十九人の賛成者がおる、反対者は百三名。今回の物価高の中で電気料金値上げをしてもらいたいなどという賛成者がこれほど多数不作為的に出てくるなどということは、これは考えられないことなんですね。ここには明らかに作為がある。そういうふうにはお考えになりませんか。
  107. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そういう報告にまだ接しておりませんものですから、事実を調べてみませんと何ともお答えできませんが、ともかく作為が行なわれるというようなことは正しい公聴会とは言えないと思います。
  108. 山原健二郎

    ○山原委員 大きな企業の場合は、あらゆるさまざまな力あるいは組織というものを持っておりますので、しかもこれは該当企業ですからね。それが全四国的に営業所を通じてこういうことをやられますと、これは全く公正な意見を聞くことができないという結果になります。しかも四国電力の場合は、その中から抽出をされまして意見発表者が決定をしますと、その方に対しては謝礼、旅費手当を出すともいわれております。これは私は確認していません。そういうことは、まあうわさをされておるわけでございますが、おそらくあり得ることだと思うのです。いままで四国電力が行なってきたさまざまな行為を考えてみましても、あり得ると私は思っています。しかしこれは不正確ですから、その点は私はここで申し上げませんけれども、もう一度お伺いしますが、そういうことは好ましくないことだ、してはならないことだという点を大臣の口から私は確認をしておきたいのです。そうしないと、せっかく公聴会をお開きになりましても、それが公正な立場で行なわれないということになりますと、これはますます住民の疑惑を大きくするばかりでございますし、またそんなことが関西電力の場合にも引き続いて行なわれるということになったらたいへんでございますから、この点についてはお調べになるということですが、もしそういうことがあったとするならば、これは厳重に警告をしていただきたいと思うのですが、その点いかがですか。
  109. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先ほど来申し上げますように、作為が行なわれるようなことがあったら、それは正しい公聴会とは言えませんから、事実を調査いたしまして、もし万一そのようなことがあれば注意をいたします。
  110. 山原健二郎

    ○山原委員 こういう中で現在約百名の方が公述人として通産省のほうから決定をされておると思うのです。この方々につきましてとやかく言うつもりはありませんけれども、大体業界の社長さんとか、それから関係企業あるいは市会議員の方とか、議員関係ですね、国会議員も一人入っておりますが。こういう人選というのは、公述希望者の中から人選するということはきわめて困難なことだと思うのですが、大体どういう基準でやっておられるのですか。一般の住民といいますか、そういう人々がほんとうに入って、そして意見を述べるというようなことになるのですか。その人選の基準といいますか、それを私伺っておきたいのです。
  111. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 住民の大多数の意見が代表されるような、そしてあまねく住民の世論が表明されるような、そういう代表者としてふさわしいような公述人を選ぶことが適当であると思って、そういうような基準でやっていると思います。  具体的には政府委員から答弁させます。
  112. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょっと政府答弁の前に。この人選の場合、たとえば賛成、反対という意見概要、それからまた中立的なものもあるかもしれませんが、この場合はどうかわかりませんけれども、そういった点はあんばいをしておるわけですか、どうですか。
  113. 田中誠一郎

    田中説明員 今回の公聴会につきましては、申し出者の中からできるだけ広い階層にわたりまして意見がお聞きできるように、あるいは申し出者の中から賛否の分布がなるべく選定に反映するようにという原則で選定しておるわけであります。具体的には、陳述者の割り当てにつきまして、各百名の半数、したがいまして五十人を賛成、反対の均等割りといたしまして、残りを届け出者数に応じて比例割りをするという形にしております。具体的な指名にあたりましては、地方公共団体なり学識経験者なりを優先いたしまして、あと団体なり企業、個人というのを抽せんで分けるという形でやっておりまして、指名にあたりましては、公益事業局の中に委員会をつくりまして、公正な形で選定するというやり方をやっております。
  114. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、百人のうち五十人までは、半分は均等割りにして、あとは比例配分ということになるわけでしょう。そうすると、これは明らかに八百九十七名の公述希望者、その中で七百四十九対百三ということになりますと、これは賛成者が多いのですよ。だから、この七月の十六日に高松にある香川県庁ホールで行なわれる公聴会というのは、これは賛成者が多いのですよ。実際はそうなるのです。賛成者、反対者の数からいうならば、四国の住民の過半数が賛成をしておるということになるのですね。これではほんとうに公聴会の意味は私はないと思うのですよ。だからそこに作為がある。これは否定できないのです、こうなってくると。この数字を見て、ちょっと私、いまも課長から発表を聞きまして驚いたわけですけれども、県議会ですよ、それぞれの県を代表する県議会においでも、ほとんど満場一致で決定しておる、あるいは商工会議所まで反対をしておる、それから中小企業者の場合も反対しておるという状態の中で、八百九十七名のうち七百四十九名という圧倒的多数が賛成をするなどというのが出てくること自体、正常な感覚で考えるならば、これは全くおかしい話なんです。それで公聴会の意見はこうだったというふうにされますと、これはほんとうに、私も四国の出身でありますけれども、全く耐えがたい気持ちなんですよ。だから、こういうところに企業の横暴というのがあるのですよ。これをほんとうに見きわめる通産省の鋭い感覚というもの、奥深い住民の心に触れるという感覚がなければ、公聴会をやっても私は意味ないと思う。そこらもはっきりさしていただきたいと思うのですよ。通産大臣はその事実を聞いていないということで答弁をあいまいにされておりますけれども、そういうことがないような手を絶対に私は打っていただきたいということを、もう一度大臣の見解を伺っておいて、この問題は終わりたいと思います。
  115. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 公聴会は、住民の世論が公正に反映された適切な公聴会でなければならぬと思います。そういう公聴会が開かれるようによく注意をいたします。
  116. 山原健二郎

    ○山原委員 次の問題に入ります。  四国の開発は吉野川の開発にあるということばがございまして、吉野川といいますと、石鎚山から端を発しまして高知県を通り、そして徳島県、そして紀伊水道へ流れる四国最大の川であります。その吉野川に早明浦ダムが建設されまして、現在すでに操業が始まっているわけであります。この早明浦ダム建設という広大な事業、それに伴いましてこの高知県の受けるただ一つの利益ということで、早明浦ダム完成の同時期に高知に対する分水が決定をしておったわけです。これはずいぶん長期間にわたって論議をされてまいったわけでございますが、ところが一向にこの問題が進まない。それが二転、三転をするという事態が起こりまして、そして最後には、昭和四十五年五月十三日、ここで秘密協定が結ばれるわけです。この秘密協定は約一年間秘密にされておりまして、昭和四十六年の九月の高知県議会においてついに発覚をするという事態が起こりまして、そしてたいへんな衝撃を与えるわけでございます。その経過をちょっと簡単に申し上げてみたいと思います。  これは、昭和四十一年七月の高知県議会におきまして、まず一点は、早明浦ダムの完成の時期と同時に高知分水を必ず完成させる、二、分担金は県がかぶらないということで、賛成多数をもって早明浦ダム建設が始まったわけであります。ところが、当初の計画としましては、早明浦ダムに流れる瀬戸川、地蔵寺川にダムを建設をし、地蔵寺で六万六千五百キロワット、鏡川第一発電所で一万二千五百キロワットを発電し、同時に高知市の都市、工業用水に毎秒一・二三トン、最大六トンの水を鏡川に分水するというものであったのです。しかし、ダム建設予定地の地盤が悪いこと、発電コストなどの関係から、当初の第一次案、第二次案、そして今回の第三次案となって変化をしてきております。この第三次案というのは、ただいま私が申し上げましたものですが、これが第三次案によりますと、瀬戸川、地蔵寺川に取水堤を設け、導水トンネルによって鏡村穴川に落とし、最大三千四百キロワットの発電を行なうとともに、鏡ダムを下池とする二十万キロワットの揚水発電所を建設しようとする計画に変化しました。この案は、昭和四十五年五月十三日、県知事と大内四電社長の間に取りかわされた確認書や覚え書きでございますが、昭和四十六年九月県議会で明らかにされた秘密協定と呼ばれるものです。この協定には、現在の国会議員であります高見三郎氏、廣瀬正雄氏、古賀雷四郎氏などの衆参議員が立ち会い人として名前を連ねておるわけです。  こういう秘密協定が昭和四十六年九月に明らかになりまして、先ほど申しましたように非常な衝撃を与えたわけです。この協定によって現在、計画が進められようといたしておるわけでございます。このことを御承知でしょうか。これは通産省、建設省、お見えになっておりますか。
  117. 川田陽吉

    ○川田政府委員 直接の所管官庁は通産省でございますが、一応、早明浦ダムに関連する事項といたしまして、私どももただいま先生が御指摘になられましたような事実はあるというふうに考えております。
  118. 山原健二郎

    ○山原委員 この確認書、覚え書き、了解事項という秘密協定の内容ですね。これが実は四国電力側の利益を全く保障したものになっておりまして、そのために県民の間に大きな疑惑が生じているわけです。  それを少し内容を発表してみますと、この確認事項についての了解事項第二項というのがございますが、これによりますと「県は鏡ダムを下池とする揚水発電所の運転に支障のないよう鏡ダムを運用するとともに、揚水発電にともなう地元対策が生じたときは、四電と協議して解決するものとする」、さらに第五項では「共同事業および揚水発電事業の円滑な推進をはかるため県は、用地取得、補償問題、工事用道路及びその他の施設整備などについて、全面的な協力を行うものとする」、また、覚え書き事項についての了解事項がございますが、これによりますと「負担金の肩替りについては、四国電力株式会社が鏡ダムを下池として使用する見返りとして行うものである」、こういうふうな確認書、覚え書き、了解事項というのが出ておるわけでございます。  これは全く当初の計画、すなわち高知県側が早明浦ダム建設を認めたときとは全く異質なものに変化をしておるわけでございまして、第一、二十万キロワットの発電所ができるなどということはもう県民にとっては全くの衝撃、しかも高知県が十六億円の金を使って高知市のすぐ上手につくりましたところの鏡ダムというものを下池にするというわけでしょう。下池にして揚水発電をして二十万キロワットの穴川発電所をつくる。揚水というのは、このダムの水をあげて、そしてこれで発電をするということになるわけです。そうすると、この高知県が十六億円かけてつくった鏡ダムというのは、これはまさに四国電力の私物になってしまうという、そういう問題も含んでいるわけです。こんなことが一部の連中によってかってに秘密で協定され、そしてそれが一年間も隠され、そしてそれがたまたま明らかにされる。しかもそのような非民主的な状態の中のこの計画というものが依然として実行されようとしておる。こういう事態がはたして正しいことなのかどうか。住民の間にさまざまな不安やあるいは疑惑が生ずるのは当然のことでございまして、私は全く好ましくないことが起こったものだと思っておるのですが、これにつきまして、いま建設省として、また通産省としましてどういうお考えなのか、この際伺っておきたいのです。
  119. 吉田方明

    ○吉田説明員 吉野川の水資源基本計画は、昭和四十二年に作成されまして、その際高知分水事業を含む計画で、それは先ほど先生が申されました地蔵寺川発電所、それから鏡川第一発電所といった計画で計画が立てられておりました。その後、高知分水事業関連の発電計画につきまして再検討が加えられまして、先ほど先生がおっしゃいました地質の問題等がございまして、原計画を遂行することが経済的に不可能であるということになりまして、計画を変更いたしました。それで、その際できましたのが穴川発電所三千四百キロワットという計画でございまして、同時に高知市の水道用水として毎秒〇・七三立方メートル、高知県の工業用水として毎秒〇・五立方メートル、合わせて一・二三立方メートルの都市用水に充てるという計画ができたわけでございます。なお、その際その計画は確定はしておりませんが、同時に既設鏡ダムを利用した揚水発電計画も検討の対象とされておりまして、鏡ダムの揚水計画が遂行されるということを前提にこの計画が確定しております。
  120. 山原健二郎

    ○山原委員 地盤が悪かったり、いろいろ工事上の差しつかえが出たりする場合も私はあると思います。だから計画変更を一切してはならぬなどという硬直した気持ちで申し上げておるのではありませんけれども、しかし、かなり大きな国の計画として発表して、そしてこれが高知県におけるただ一つのメリットだということで宣伝をしてきて、その中で早明浦ダム建設、三百何十戸が湖底に沈むという状態です。しかも早明浦ダムによって何一ついいことないのです。吉野川というきれいな水ですね、これは御承知のようにすぐ下のほうには徳島県山城町の大歩危、小歩危という景勝地がございます。きれいな川であるからこそここは全国的にも有名な観光地になっておったのですが、いま全く濁った川が流れて、もう子供たちは吉野川では下流徳島県にわたって水泳もできないという状態が出てまいりますね。しかも乱暴な早明浦ダム工事のために、大川村という村がつぶれるわけですけれども、その村の新しく造成されました土地、役場のあるところ、郵便局のあるところなどにも根元のところから亀裂が生ずるというような状態まで起こって、惨たんたる姿になっているわけですね。それで、そのただ一つの効果として、高知分水というものがございましたけれども、それが早明浦ダム完成と同時に分水が行なわれるのだという宣伝のもとに行なわれてきましたが、理由はあるにしろ、その辺はやはり公然と、ぐあいが悪くなったのだとか、あるいは地盤が悪くなってできないのだとかいうことを言って、だからそれに対してはこういう計画変更するのだということがなぜオープンで話し合いされないのか。四国電力あるいは県知事あるいはその関係衆参両議員ですね、こんな者が秘密協定結んで、そして県民には一年間隠す、しかもそれが発覚しなかったら何年間隠されておるかわからぬという、そんな非民主的なことがこの世の中で行なわれてはたまらぬと私は思うのですが、そういう状態ですね。  それからもう一つの問題は、鏡ダムというのが大体二百十九万トンの有効貯水量を持っております。その上に、上池、穴川ダムというものができるわけです。この有効貯水量は百八十万トンです。そうしてこれはいままで鏡川というのが利水あるいは治水のために使われるということでできたわけですけれども、今度、夜、鏡川の水を揚水していくわけですね。夜中に大体百八十万トンの水を取る可能性があるわけです。そうすると結局いつも鏡ダムというのはからっぽにしておかなければならぬという状態、からっぽにすればまたぐあいが悪いということで貯水しておかなければならぬ。そうすると、これは全く発電のためのダムに切りかえられてしまいまして、実際に治水のダムということにはならない。この覚え書きの中にもありますけれども、ダム優先の思想というのははっきり揚水発電に支障がないように鏡ダムを運用するということで、鏡ダムというものは性格ががらっと一変するわけですね。しかも現在でもこの鏡ダムの少しの操作の誤りによって高知市が浸水するという大事件が発生しかねない。またしばしばそういう浸水問題が起こるというような状態の中で、こんな都市のしかも県都のすぐそばにあるダムの性格を発電用に切りかえるなどということが県民の合意なしにできることなのか。そういうところに私は非常に大きな問題を感じております。これがまず第一点。  それからもう一つは、瀬戸川、地蔵寺川の問題ですが、瀬戸川の水につきましては毎秒〇・七三トン、日量六万三千トン取るということです。これはあまり支障はないといわれておりますけれども、地蔵寺川の水は毎秒〇・二五トン、日量二万一千六百トン、これを取水するというのですけれども、この地蔵寺川というところは、その周辺に優秀な水田地帯があるわけですね。これも一番うまい相川米などという米ができるところでありますけれども、その農民、この水を利用しておる者に対しては一かけらの相談もなくしてこの毎秒〇・二五トンを取水するということが決定をされておるわけです。これもたいへんなことだと思います。だから、この水をおそらく高知市の工業用水として使われるのだろうと思いますが、実は高知市の工業用水というのは、現在ありますところの鏡川——地図を持っておられると思いますから——ほかの方にはおわかりにくいと思うのでございますけれども、鏡川の水、六トンを取っているのです。その中で現在工業用として使っておるのは四トンです。二トンはたれ流しなのです。太平洋にたれ流しておるわけですね。ですから工業用水はあるのです。その上に地蔵寺川の水、毎秒〇・二五トン、日量二万一千六百トン、これを取る必要はない、要らないのです、こんなものは。だから、この地蔵寺川流域の農民たちがこれから先、水田の問題あるいはその他農耕をやるためにも必要な水。こんなものわざわざ不必要なんです。工業用水のために取る必要はないというのが第二点でございます。この点についてどうお考えでしょうか。  もう一つは揚水発電の問題です。揚水発電というのは、水はどうなるか。水を夜中に引き揚げるわけですから、これはもう攪拌をして水が濁ってしまう。いまでも鏡川の水は昔日の面影はなくなっておりますけれども、その上にさらにそういうことが起こるのではないかということですね。そんなことが全く知らない間に決定をされて、そういう不安が出てきておりますから、鏡村というところは現在それは賛成しがたいということで皆さんが言っておられるのですが、これらについて建設省の見解を伺っておきましょう。
  121. 川田陽吉

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。まず鏡ダムの治水機能の問題でございますが、私どもといたしましては、かりに揚水発電の下池として使うという計画があがってまいりました際におきましても、現在の治水機能をそこなわないということを前提とした措置を考えなければいけない、これは当然のことだと思っております。したがいまして、治水機能をいささかでも失うというというようなことは、ただいま私どもは考えておりません。  それから地蔵寺川の農業水利との調整問題でございますが、発電用水と農業水利の調整という問題は、新たな水利権の付与の場合に当然考えなければならない事柄でございまして、その点、慎重に手続を進める必要があると考えております。知事がその場合に調整の立場に立つということになるわけでございますが、いまのところ、鏡川揚水発電の話は、建設省段階としてはまだ正式には一度も聞いておりませんが、そういう心がまえでやるべきであると考えております。  それから揚水発電に伴う水質汚濁の問題につきましては、これも同じく水利権許可の際には十分配慮しなければならない問題でございまして、そういった点につきまして通産省の発電側と設計上の問題、またやり方の問題等詳しく打ち合わせをやりまして、水質汚濁を生じないということをたてまえとして審査等をやっていきたいと考えております。
  122. 山原健二郎

    ○山原委員 この揚水発電所の鏡ダム、いわゆる下池ダムですが、その鏡ダム操作規則というのを見ますと、こういうふうになるのです。八月一日から九月二十三日までの間、これは台風シーズンです。この台風シーズン、ここはダムの有効貯水量は先ほど申しましたように二百十九万トンです。一方上池になりますところの穴川ダムが有効貯水量は百八十万トンですね。そうしますと、夜間に二百十九万トンの鏡ダムから約百八十万トン近い水をくみ上げるとしますと、下池の鏡ダムはほとんどからになってしまうおそれがあります。そういう計画になっているのです。そうすると、台風シーズンであっても、発電のためにはからにならないように、余分な水をためておかなければならぬ。そうしますと、いま再度申し上げますけれども、この秘密協定の中には揚水発電に支障のないように鏡ダムを運用する、こういうのがありますから、結局穴川というダム発電所の発電の運用のためには、鏡ダムの水を台風時においても貯水をしておかなければならない。これは絶えずこの水を必要とするわけですが、ダムの発電所の運用のためには、発電所の有効な発電のためにはこれはためておかなければならない。だから、結局洪水期、台風時における鏡ダムというものが発電のために操作される。だから治水のためには矛盾した形態をとるわけですね。治水のためには、洪水時にはからにしておかなければならない。しかし、発電のためにはその時期であっても相当の貯水をしておかなければ発電を有効にすることはできない。一つの河川に二つの性格を持ったもの、治水と発電という相反するものがここに存在するということになりますと、結局いままでの経験ですと、私もダムの問題ではずいぶん苦労してきておるのですが、これはいわゆる企業側の発電のほうが力が強いのです。しかも、操作をするのは発電所側ですね。ゲートの水を揚げるかどうかということは、発電所側が実権を握っていますから、しかも住民はこれを監視する体制は全くありませんし、夜中にどうされようともわからない。これがしばしば洪水を起こす原因になっておるわけなんです。そういう点から考えますと、私は鏡ダムの性格はこれで変わったなというふうに思うのです。だから、ほんとうになぜ住民に対して十分な相談をしてやらないのか、こういう指導体制ではだめだということを感じておるわけでございます。現在考えてみますと、この秘密協定によってだれが利益を受け、だれが損害を受けたかといいますと、これから先予想される問題としては、四国電力はどれだけの利益を受けたか。まず二十万キロワット揚水発電というものを握ったわけです。二十万キロワットなんというものは、いままで出てきたこともない。せいぜい六万キロワットの発電所をつくるのだというのが計画でございましたから、とたんに二十万キロワットの揚水発電を握るわけですね。しかも、その揚水発電のために国の費用をとって、これで分水計画を四国電力がやる、こういう巧妙な資金操作が行なわれるわけです。これが第一点。  第二点は、鏡ダムを下池として、これが四国電力によってまさに四国電力の池、私物化、こういうことを秘密協定は許している。  三番目に、四国電力にとっては揚水発電という形態をとりますから、わざわざ大きな金をかけてダムをつくる必要はないのです。だから揚水発電という形態で費用が不要のままこの鏡川、そして瀬戸、地蔵寺の水を使うことができる。この三つの構想が四国電力によってせしめられたということなんです。住民の側から見ますとどういうことになるかといいますと、住民のほうは利益は何一つありません。まず第一番に、揚水発電のために鏡ダムの水位は大体五メートルから六メートル上下するわけです。水が吸い上げられる、また蓄積される、また吸い上げられる。計算によりますと、大体五メートルないし六メートルの水位の変化があるわけでございます。そうしますと、ダムの水位の変化というものはこれはたいへんなことなんです。護岸が崩壊するというのは、皆さんもよく知っておると思います。私たちも経験してきたところです。五メートルないし六メートルという水位の常時変化ということが起こりますと、護岸がどんどん崩壊していく、こういう危険な事態が起こります。二番目に濁水の問題があります。これはいまお話がありましたように、この濁水の点についてはそういう心配がないようにする、こう言われますけれども、まず第一番に、これは高知市の上水なんです。そこか汚濁するというと——汚濁しないという意見もありますが、現在の揚水発電のもとで、神奈川県の城山ダムなどは揚水発電だけれども汚濁はしない、それも通産省のほうからお聞きをしました。そういうこともあると思います。しかし岡山県の新成羽揚水発電の場合には実際に汚濁しています。現実に見てきておるわけでありますが、そういう汚濁問題も起こります。しかも上水、そうして水泳とか、またここは有名なアユの産地でありますけれども、アユもとれないという淡水漁業の問題も起こってまいります。三番目に、地蔵寺川の水がとられるという問題が起こりますね。早明浦ダムというものでたった一つのメリットだといわれた高知分水がこういう形で変化してきて、残るのは住民に対する不安、被害が残される。それは一方四国電力にとってみると、突然大きなダムがわがものになってしまう。揚水発電二十万キロワットという発電所を握る。これはだれが考えてもこんなばかなことはないですよ。だから計画変更する場合には、ほんとうに住民や地方自治体の意見を十分に聞く、あるいは議会というものもあるわけですから、議会の論議も呼び起こして、その中でいずれが正しいか、そういうことが行なわれないと、民主政治はまさに死滅をするわけです。私はこの点については強く憤激をいたしておるわけでございますけれども、まだ計画は最終決定ではないといわれますが、この点については十分住民の声を聞くとかいうような手だてを講じていただかなければならないということを申し上げたいと思うのですが、これについての見解を承っておきたいのです。
  123. 吉田方明

    ○吉田説明員 おっしゃるとおり鏡川揚水発電計画は純揚水の計画でありまして、類似なものとしましては、先ほどおっしゃいました神奈川県営の相模川にあります城山発電所あるいは関西電力が淀川に持っております喜撰山の揚水発電所と全く似たものでございます。したがってこれは深夜軽負荷時に揚水しまして、昼間のピーク時に運転するという計画であります。まずその下池となります鏡川の既設のダムヘの影響ということでございますが、これは基本的な考え方として、鏡川の目的をそこなわない、従来持っている機能をそこなわないということを前提にして計画は立てられております。また今度の計画でございますが、計画それ自体は実はまだ電源開発計画に正式に組み込まれておりません。したがってその建設は今後の問題になってくるわけでございます。もしこれが所要の手続を経て建設省と協議の結果差しつかえないということになりましたならば、通産省といたしましては、四国電力を指導いたしまして、いま申しました濁水対策、護岸対策、そういったものについて十分配慮したいと思います。護岸対策につきましては、城山あるいは喜撰山、この場合はいずれも問題が起きておりません。濁水問題につきましては、特に取水口、放水口の設計を広くして、流速をおそくするというようなこと、その場合、十分なモデルテストを行なって、水理実験を行ない、濁水を起こすような攪拌現象を起こさないようにする、そういったようなことで指導して、着工にあたっては十分そういうことの遺憾のないような形でやっていきたいと考えております。ただし、もう一度申し上げますが、この計画自身は、まだ正式に認められてない段階でございまして、まだ計画検討の段階でございます。
  124. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、あと一分三十秒ぐらいありますから……。私がいま申し上げましたことは、やはり企業の問題と住民の問題で、二つの問題を取り上げたわけです。公聴会の問題、そして今度のダム建設の計画変更の問題ですが、ダム建設の問題につきましては、今後計画の問題まだ煮詰まった最終的結論でもないと思いますし、またこの問題については、私も取り上げていきたいと思いますが、こういう私がきょう五十分の間で申し上げましたことについて、建設省、通産省の政務次官、それぞれお見えになっておりますが、私は、ほんとうに公明正大な立場で、こういう問題は、たとえばダムの計画変更をするとかいうような場合は、その行き詰まった原因を明らかにして、そしてこういうことになっておるのだからどうにも間に合わないとか、あるいはできないのでこういうふうに変更していきたいという案が示され、それに対する住民の意向が反映できるような、そういう民主的手続をとるということが、この大企業優先とかいわれる疑惑をなくする道だと思うのです。その意味で、この二つの問題を本日私は取り上げたわけですが、私の質問を聞いておりまして、どういう感想をお持ちになったか、簡単に伺っておきたいのです。それで私の質問を終わります。
  125. 松野幸泰

    ○松野政府委員 いろいろ御高説を拝聴いたしましたが、われわれも検討しなければならない点が多々あると考えますので、十分関係筋と検討いたしまして、御趣旨の点を加味して、善処したいと考えております。
  126. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 この際、午後三時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後二時三十二分休憩      ————◇—————    午後三時三十八分開議
  127. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより内閣総理大臣に対する質疑を行ないます。芳賀貢君。
  128. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際、田中総理大臣にお尋ねいたします。  当委員会としては、本日ようやく昭和四十五年度の決算の最終的な締めくくりを行なうことになったわけでありますが、この際、田中内閣出現以来ちょうど満一年ですからして、決算委員会総括とあわせて、田中内閣一年間の功罪といいますか業績なるものについて、総理から反省をこめて主要な点を述べてもらいたいと思うのです。
  129. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 私も内閣組織以来ちょうど一年ということでございますが、国際的にも国内的にも激動の一年であった、こう考えております。  国際的には、御承知のとおり四半世紀余の間にたいへんな困難な状態を続けてまいりました東西の問題も、いよいよ話し合いが行なわれるということが現実になったわけでございます。それは、東西ドイツが話し合いをし、また独ソの間に条約が結ばれる、日本も東ドイツを承認するということになったわけでございます。南北ベトナム問題もようやくパリ会談で決着を見て、この決定をもととしてこれを定着させなければならないという、まあ人類の悲願ともいうべきものがようやく実現の運びになったということであります。また、南北朝鮮の問題も、二分されておる南北が赤十字を通じて話し合いを進めてきたわけでございますが、しかし国連のオブザーバーとしての招聘があれば南北両鮮ともこれにこたえて出席をするというような機運にあります。日中間においても、懸案の国交回復というか、国交の正常化が行なわれたわけでございまして、考えてみると歴史的な一年であるということは申し上げるまでもないことでございます。  国内においては、二十七、八年の戦後を顧みますと、口では敗戦経済、自立経済、国際経済へと三段飛びをしたということが言われておったわけでありますが、現実の問題としては、この一年間がほんとうに国際経済への突入ということが具体的な問題となってあらわれてまいったという感じがいたすわけであります。それは、御承知のドルの切り下げによる円の切り上げ、それから日ならずして円をフロートにしなければならないという状態、一年半の間に三百六十円のレートは二百六十五円に下がったわけでございます。これがまるかぶりになれば、どんな状態であっても三〇%というような切り上げに耐えられるという状態はたいへんな困難な問題でございます。特に中小企業や零細企業というものを主体にしておる日本、よくもまあ一年半の間に三〇%の切り上げに耐えて対米輸出三五%を維持できるというような状態になったということは、これはやはり国民が開放経済に対して努力をした成果でありますし、国会の承認を得ながら各般の施策が功を奏したことは事実であります。その結果、物価問題その他の問題が起こってきたことも事実でございますが、しかしこれは、アメリカや先進工業国のような物価問題ではないわけでございますので、これに対する処方せんは当然考えられるということで、去年の下半期から公定歩合の引き上げその他適切な手段を講じておるわけでございます。  国の内外とも激動の一年であったと思いますが、問題はあるにしても、総体的な評価として見る場合には、日本はこの激動に耐えながら、国際収支の改善も行ない、対米収支は思い切った改善が行なわれ、しかも中小零細企業の倒産、将棋倒しの倒産というようなおそれがあったわけでありますが、これも食いとめ得たわけでございます。しかしその過程において、金融の緩和その他で土地の問題とか、物価の値上がりとか、いろんな問題が起こっておることもまた事実でございますが、そういう問題に対してはこれから具体的な政策をとっていくということでございまして、先進工業国、また南の開発途上国、いずれもが難問をかかえておる現状に徴して、日本人の英知と、日本人の努力と、日本人のバイタリティーということを前提にして考える場合、とにかく一年間激動の中を通り越してきたということに対しては、国民にもそれなりの評価がいただけるものだと考えておるのであります。
  130. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま総理の述べられたのは、過去一年間の国際情勢の変化並びに国内の政治、経済の動きを客観的に述べたにすぎぬと思うわけです。一国の行政の最高責任者として、自分は国民の期待をになって、外交問題についてはどのように取り組んだとか、あるいは国内の物価問題食糧問題あるいは木材問題、公害問題、土地問題等国民生活に最も関係のある、あるいは国民経済の発展に不可欠な政治課題に対してどのような成果をあげ、またどのような失政をもたらしたかというような点を、むしろ率直にこの機会に決算書の形で述べてもらいたかったわけでありますが、いまのは全く客観的に動きをながめたにすぎないというふうに受けとめたことは、これはまことに遺憾であります。  そこで、私ども田中内閣一年間のまず政治姿勢を基調にして行政の動きを見ると、どうも特徴的な問題としては、経済秩序が破壊の方向に向かっておるじゃないか。同じ長年にわたる自民党内閣の中においても、田中内閣になってから日本の経済秩序というものはなかなか維持されておらない、むしろ破壊の方向に向かっておるということは、これは国民ひとしく批判しておるところであります。  もう一つの問題は、国民的な風潮というか、あるいは政治の基調をなす政府行政責任というものにどうも社会正義が欠如しておる、社会正義の意識が低下しておるという点がやはり特徴的に見受けられるわけであります。私が思うに、このことは結局田中内閣の体質から発散する体臭ではないかというふうにも考えておるわけでありますが、その点は総理として厳粛に反省されて、どう考えていますか。
  131. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 それは、あなたと立場が違うわけでございまして、私はそう考えておらないのです。国際的な激動に対して各国とも影響を受けておるのであります。先ほど述べたとおり、私は評論家的な発言をしておりません。アメリカはドルの三〇%の切り下げを行ない、物価や賃金の凍結をしなければならない、なお、その中でインフレは恒常的な状態であるということは事実なんです。アメリカの大統領は、これに対してドラスチックな施策をやっておるじゃありませんか。また西ドイツも、十年間に六回もマルクの切り上げをやって、まだ切り上げがあるかもしらぬという状態であります。イギリス、フランス、イタリアにおいても同じことであります。フランスにおいては、史上最高八%の公定歩合を維持しなければならないという状態であることは事実であります。イタリアは増税を行なっておるのが現状でございます。日本も例外ではなかった。しかも中小企業や零細企業というものをほんとうにかかえておる日本としては、同じようにより以上な影響を受けるにもかかわらず、施策は国会の御理解を得て適切にやったから、倒産も行なわれないでおったじゃありませんかと、こうちゃんと事実を述べておるのであります。だから、これは高く評価さるべきだと私は思うのです。ですから、外国では全部、日本の経済成長力、国際競争力を評価をしております。ですからその結果、過程において物価の問題が起こってきた、土地の問題が起こってきた、都市の過密問題も起こってきたということに対しては、適切な処方せんをとっております。その一つとしては、これはインフレ的なものにしないために、またスタグフレーションというような先進工業国のようにしないためには、公定歩合の引き上げ、窓口規制、いろいろなことを現にやっております。これは申し述べれば時間の制約がありますから——でございますか、画期的な国土総合開発法案、これは十年前では考えられなかったような法律、自民党ではとても考えられない法律であって、社会情勢を前提とするから法制局も私権の制限やむを得ず、こう認めたこの種の法律を提案しておりますし、売り惜しみ、買い占めの法律もすべて出しておるのでございますから、処方せんはちゃんと出しております。各国に対して遜色はない、こういうことを申し上げておるのでございまして、評論家的な言辞を弄しておるわけではありません。明確に申し上げております。
  132. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の求めたのは、田中内閣一年間の決算書なるものはどうですかと言っておるわけです。決算書ですから、議論を吹っかけて無理やりに納得させなければならぬというものではないでしょう、総理から見て。われわれがながめて、これは収支の状態が非常に均衡がとれている、なかなか経営に努力したということをわれわれが判断するわけであって、つまらぬ決算書を出した提出者が、宣伝をした議論を吹っかけても、これはなかなかすなおに受け取るわけにはいかぬということになるのですよ。  それでは、たとえば大手商社等を中心にして、全国的な土地買い占めの問題、あるいは長年の食管法で維持されなければならぬ米の大量な買い占め、一連の空前の食管違反の事件、あるいはごく最近では殖産住宅の社長が中心になった空前の脱税、このことを支持した一部の官僚もおるというような、何を取り上げても、これでりっぱである、よくやりましたということは、国民立場から見ると、なかなかいい点数をあげることはできないと思うのですよ。もちろん、この一年間に、昨年の十一月の衆議院の解散、総選挙、過半数を得られて続けて内閣を担当しておるわけでありますが、しかし、一年間の田中内閣の業績というものは、日に日に国民信頼度を低下さしておるということは、これは否定することができないと思うのですよ。ごく最近の七月早々の世論調査等によっても、これだけを確実なものとして判断するわけではありませんが、とにかく国民の中で田中内閣を支持するという支持率というものは二一%に低下しておる、支持しない者は実に六一%というような、こういう世論調査の結果も出ておるわけでありますから、これを見でも、一年間にこれほど国民信頼あるいは支持が急激に低下するということは、何らかの理由というものがその底流をなしておらなければこういうことにはならぬと思うわけであります。この点を私は謙虚に総理に反省を求め、これから国民信頼を基礎にした大衆政治家としての路線をぜひ進んでもらいたいと思うわけであります。  その次にお尋ねしたいのは、これは後刻、当委員会決算についての議決の中にも出てくるわけでありますが、当委員会においては、今年度予算執行上の問題として、昭和四十六年並びに四十七年の両年度にわたる予備費の使用についての決算上の審議を行なったわけであります。その審議の中において、この予備費は、憲法八十七条の規定によって、政府として予算計上の際に全く予見することのできなかった経費についてのみ予備費を使用することができるということになっておるわけでありますが、決算委員会の審議の結果を経て、どうも政策費として計上すべきもの、あるいはまた当初予算に計上することができなかったものであっても、当然次の機会の補正予算等において計上して、正当な支出を行なうべきものについても、安易に予備費の使用によってこれを済ましておるというような件が実は数件あるわけであります。この点は、当委員会においても、財政担当の愛知大蔵大臣に対しましては、具体的な問題をあげて厳重に政府の反省を求めたわけでありますが、しかし、これについても、やはり内閣の長としての田中総理のこれに対する所見を明らかにしておいてもらいたいと思います。
  133. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 予備費の使用については、御承知のとおり、予見しがたい事態が起こった場合にのみ予備費が使用さるべきであるということはもうそのとおりでございまして、予備費は厳密に法律の精神を踏まえて支出さるべきことは御指摘のとおりでございます。しかし、私もまだ詳細は聞いておりませんが、この政策経費として盛らなければならないものということは、きっと災害の問題とかその他の対策費用だと思いますが、中小企業に対する問題等も含んでおると思いますが、そういう問題が一切予見しがたきものという事項の中に入らないということかどうか。総選挙の費用などは、その事態によって、解散が行なわれれば、いつ解散が行なわれるかわからないことでありますから、当然、予備費の使用が認められるわけでございますし、とにかく国会開会中であれば、予備費ということについては、これはもう非常に厳密な、国会の意思をそんたくしながらということでございますが、いわゆる国際的な波動によって国内対策を急がなければならない、これは災害と同じものだと思うのです。外部から来る災害であります。国民の権利が制約をされ、国民が被害を受けるという場合の予備費の使用……(芳賀委員「総理、簡潔に言ってください」と呼ぶ)この問題、重要な問題でしてね。ですから、特にこれからもベトナムに対する援助費用というような問題が考えられるわけです。そういうものが政策経費であって、これは一切国会の議決を経なければ予備費としての支出はまかりならぬというものではなかろうと私は思います。これは原則は、厳密に予備費は法律にのっとって支出せられるべきでありますが、国民の利益を守る、国のつとめを果たす、人道上の問題であり、国民の生命、財産の問題である、これは災害と同じような問題であるという考え方で予備費の支出が行なわれたわけでありますが、これは政策経費である、予算に盛られれば款項をちゃんとあらためてやるべきである、こういう御所論だろうと思いますが、いずれにしても政府が法律に背反するようなことはこれからも一切行なわないということは変わりございませんが、しかし予備費というものを、予見しがたい状態ということに対しては、国会が常時開会ということであれば別でございますが、国会は会期制度をとっておるという事実に徴しまして、予備費というものがどういうふうに理解をされ、ワクをはめられなければならぬか、これは無制限なものであるとは思っておりません。思っておりませんが、しかし災害の費用が当然予備費でもって支出をできるのだということであれば、外的な災害というものに対して、中小企業対策を行ない、いろいろなものを行なうものが法律に背反するとは考えておらないわけです。これは大蔵大臣どういうふうに答弁したか私はまださだかに報告を受けておりませんから、いま一般論を述べたわけでございますが、国会で法律違反であると指摘されるような予備費の支出は厳に慎まなければならぬ、やってはならないということはそのとおり考えています。
  134. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま申し上げた予備費の使用の疑点のある問題については、これは担当の大蔵大臣に対して当委員会として詳細に指摘をしておるわけです。それをあなたが全然報告を得ていないから、全く的違いなことを言っておるわけなんですよ。決算委員会としては、国会としては、予備費の使用については、これは厳正に憲法八十七条の規定に基づいて、予見しがたい費用の支出に限定した使用を行なうべきであるということを厳格に指摘をしておるわけだが、総理大臣として一体どう考えておるかということを聞いたわけなんです。  そこで具体的にそれでは問題を一つ出しますが、昭和四十五年に、時の総理大臣佐藤榮作氏が、日本の政府を代表して国連の二十五周年記念総会に出席しておるわけです。この出席のための経費というものは、実は決算上予備費で支出しておるわけですよ。国連の二十五周年記念総会かあるということは、予見しがたい総会の開催ではないわけです。当然一国を代表して総理大臣が国連総会に出席するということになれば、突発的な問題のごとく扱って、そうしてこれを予備費から充当するというようなやり方は厳に戒むべきであるというふうに考えるわけです。たまたま本年も国会終了直後に田中首相は訪米されるわけです。政府を代表してニクソンと両国の首脳会談に臨むわけであります。また、期日は未定でありますが、秋にはモスクワ訪問も日程に入っておる。それではこういうような総理大臣の外交上必要な国外出張等については、当然今年度の当初予算等においてあらかじめ経費というものは計上されておるというふうにわれわれは考えておるわけでありますが、現実の問題としてこの点は予算計上についてはどうなっておりますか。
  135. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 国連の二十五回記念総会の問題は過去の問題でございますが、これは御承知のように国連総会が毎年ある、二十五回の総会が記念総会というかっこうになったということは前から予見していたことでありますが、御承知のように、こうした会議には通例は外務大臣あるいはこれに準ずるような者が政府の代表として出ておりますから、それに所要の経費はあらかじめ外務省所管の経費に編成されておりますが、特に総理大臣が国際情勢の中で二十五回総会には出ることが日本の国益にとってよろしいという政策的な決定によりまして、予算編成後に出席がきまったわけでございますから、さような場合には予見しがたい事項として予備費から内閣の責任において支出をする、そうして事後において国会に御報告をするということは、たてまえとしても一向支障のないことである、かように考えております。  それから今後におきましても、流動的な世界情勢の中において適時適切な日本政府としての首脳の行動ということ等につきましては、それが現実にきまりました時点において所要の経費を予備費から計上する、支出をするということは、これは編成の当時には予見し得なかった事実でございますから、予備費を支出して一向差しつかえないことである、当然これは事後においては国会に御報告をする、こういうことにいたしたいと考えておるわけであります。
  136. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、先ほど言いました、来たるべき田中総理の訪米の問題あるいは訪ソの問題等の経費は再び予備費から支出しなければならぬということですか。
  137. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まだ予備費支出ということについては具体的の問題としては考えておりませんけれども、そういう必要性があり得る、かように考えております。
  138. 芳賀貢

    ○芳賀委員 田中総理の首脳外交というのは、予算編成が一月に行なわれておるわけですからして、その当時これは日程にのっておるわけですよ。そうである以上は、それに伴う経費というものは当然必要額を計上するというのが予算編成上の定石だと思うわけです。かりそめにも一国の総理大臣が正式に外国に出かけるわけでありますからして、何も予見しがたい、考えていなかったのに突然行ってきますというような、そういう不見識なものではないと思うわけですね。この点はぜひ注意してもらいたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、当委員会でしばしば問題にいたしました民間の大企業から会社職員を、会社側から見ればこれは政府機関に出向さしておるということになるかもしれぬが、こういうような実例が目に余るわけであります。この点については、先日、政府の人事行政を担当する坪川総理府総務長官に対しましても、このような事態というものは人事行政をつかさどる総務長官立場から、一体どのように判断しておるか、どういうような官制上の処遇でこれらの民間の職員を受け入れておるか、あるいはどういうような公務員としての使命感を与えて、そうして政府行政機関の、たとえ補助的なものであっても、どういう仕事を担当させておるかというような点については、便宜主義でなくて、やはり総理府の担当者としての人事行政をつかさどる立場から、当委員会に対して明確に、従来の経過と政府としての統一的な判断、今後の取り扱いをどうするかという点については、総務長官からすみやかにその処置の経過を報告してもらいたいということを指摘しておるわけでありますが、いまだにその報告がないわけです。これは当然総理大臣としても重大な関心のあることでありますからして、この際この点を明確にしておいてもらいたいと思います。
  139. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 重要な御指摘でございまして、政府も検討を続けておるところでございます。これは、新憲法になってから、御承知の占領軍政策の中で、特に官僚機構が国民に君臨するというようなことから離れて、国民とともにある官僚機構でなければならない、特に戦後の混乱期におきましては、専門的な知識を入れるためにも高い視野と広範な立場から人材を得なければならないということで、御承知の三権の外にあったような人事院とかそれから経済安定本部とかいうようなものが存在をしたわけでございます。いま、もちろん三権の中に入っておることは当然でございますが、そのころは国会でも、この機関は四権じゃないか、こう言われたことは御承知のとおりでございます。そういう中で各民間から官庁に人が出向してきたということがずっと今日まで続いておるわけでございますが、今日の状態ではまた別な角度から民間との交流も行なう必要がある。これは実際ものを知らなければならない官庁が、そうではなく、民間へ出てから初めて民間の実情がわかったということではなく、民間というものとの交流は行なうべきである、それが新しい意味行政機関である、こういう要請もあるわけでございます。その過程においてあなたがいま指摘されたような問題がございます。また政府機関の間にもあるのです。これは、いままでは大蔵省から輸銀に出向する場合には、大蔵省を退職していくわけでございますが、これは退職金が通算されないとか勤務期間がどうであるとか以上にめんどうな問題があるわけでありまして、これはある意味においては統一的な解釈を行なえるような、そうでなければ人事の交流が行なわれないということになります。だから、そういう意味でも、広い視野をつちかうためにも人事の交流は行なわなければいかぬ、制度は完ぺきにしなければならぬということで、いま検討中なわけでございます。一部は年金の問題その他いろいろ整理をされましたが、いま残っておる一番の問題は、民間から来た者が民間の給与を受けながら行政機関、監督機関、管理機関におるということに対して、不明確さはおおうべくもないので、これを何とかしなければいかぬ、これは御指摘のとおりでございます。ですからやはり身分というものは、これは官庁におるわけであります、行政に携わっておるわけでありますから、国家公務員、地方公務員としての明確な身分と給与体系の中に組み入れるということに踏み切らざるを得ない。これはもうおそいというおしかりもあるでしょうが、これはそういう歴史があったことをひとつ御理解いただいて、今度の御発言もございますし、これは当然、発言がなくてもやらなければならぬ問題でありますから、そうしなければならない。つまり民間に出ていく人も逆にあるわけでございますから、そうしなければ行政の実情がうとくなるという、国民の利益を守るという立場からも避けがたいものでもありますし、今度は地方との交流もやらなければならない場合、一体身分の問題がどうなるのかという問題がございます。また、地方事務官制度を廃止せよという強い要請もあるわけでありますから、(芳賀委員「簡潔に」と呼ぶ)こういう問題と全部あわせまして、できるだけ早くこの問題には結論を出したい、こう思います。  ただ、ここで一言申し上げておきますのは、制度を確立することによって交流が全部とまってしまうということになりますと、政策効果の面から問題があるということでありますので、そこらをひとつ理解していただきまして、御発言にこたえるように政府も努力をいたします。
  140. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 参議院の内閣委員会に出席いたしまして、おそくなりましたことをおわびいたしたいと思います。  いま総理もお答えになられましたごとく、行政の運営の公正中立をはかる意味においても、疑惑の生じ得るようなことのなきよう最善の配慮もいたしてまいりたい。とともに、ただいま総理府の人事局におきまして、また人事院、行政管理庁とも十分連絡をいたしまして、これに対する方向をどうすべきであるか、やはりいまお話ありましたような立場で、ひとつこれに対する政府の統一的な態度を検討、協議を続けておりますので、御期待の線に沿うよう最善の努力を申し上げたい、こう考えておることを表明申し上げて、御理解願いたいと思います。
  141. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いまの総務長官答弁は、六月二十八日の当委員会におけるこの問題についての発言と相当違うわけなんですよ。具体的な事例をあげで、これは一体内閣の責任において、しかも政府の人事行政を担当する総理府総務長官として、このような問題を明快に処理すべきではないか、悪弊を断つという立場に立ってこれを処理すべきではないかということに対して、まことに同様に考えています、早急に政府としての方針を取りまとめて、委員会に結果を報告しますということをあなたは約束されておるわけです。ただ、やはりこの種の問題は、政治判断で処理する問題ではないと思うのですよ。一体行政府としてあるべき人事はどうかという基本に立って、これは処理すべき問題でしょう。一方においては、政府の高級官僚が退職の際に大企業等にいわゆる天下りをしておるというような点が、国会においても、国民からも指摘されておる。今度は、逆に最も癒着の深い大企業を中心として、政府職員として会社から出向を認めておる。上からと会社側からの両面からやはり因果関係というものが濃くなると思うわけですね。たとえば、総理の言われたような、一部情報交換というような利点があるとしても、大所高所から見た場合に、かかる人事というものは抜本的にこれは是正すべき問題だと思うのですよ。もし現在、そういう形で会社から人を得なければ政府行政機構の中で適格者がいないということであれば、さらに広く人材を求めて——何もこういう問題については、定員法の制限に拘束される必要はないと思うのですよ。行政を十分に進めるために人材をふやす必要がある、確保する必要があるということになれば、それに対応する行政措置というものが、これはできると思うのですね。ぜひこの際、総理の責任において、これは長年の慣習であるとしても、やはり姿勢を正す、ガラス張りの行政をやるという面から見ても、この変則人事については抜本的な改善をする、悪弊を断つということで臨むべきであると思いますが、その点、総理から明確にしてもらいたいと思います。
  142. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 あなたの言われること、非常によくわかるのですが、これは長い習慣であった。今日制度上の問題として二つか三つ考えられるわけです。これは人を得るということであれば、出向ということではなく、退職をして、それで政府が採用をして、身分と給与をはっきりすることが一番明確であります。それから、そうでなければ、いまの出向形式をとりますけれども、身分と給与というものは明確にして、公務員法の適用というものは、これはもう当然受けるということで考える。もう一つは、一切そういうことをやめるということになります。あなたの言うように、第三案の、一切やめるということで姿勢を正すべきだということでございますが、これは官庁というものが民間から遊離をするという危険性が一つありますし、もう一つは、非常にテンポの早い、高密度の社会というものに対応する行政ということで、人事の交流をするということは、必ずしも悪いことではないとして、先進国においては認められておるわけでございます。ただ、日本においては、経済安定本部等に人材が必要であったというような惰性が今日まで続いておって、身分や給与というものは会社の出向のままでおりながら行政権を行使しておるじゃないか、しかも現実に行政権を行使しておりながら、それに対しては、補完的な仕事しかやっておりません、こう言っておるところにあいまいさがあるのだと御指摘になっているわけですから、これはいまここで私が、一切そういう制度をやめますということを申し上げるには、なかなかこれはやはり新しい行政、ほんとうに国民に開かれる行政——旧憲法時代のような行政機構という観念でとらえると、それはもう間違いを起こしやすいということでございますが、これは国家公務員法も適用されておるわけでありますし、国会でもって一々指摘をされるわけですし、だからそういう現実的な要請というものも十分考えながら、結論を出さなければならぬ問題である。これはひとつ理解をしていただきたい。しかしこれは、だらだらしまして、何年かもうこのままにしておくということでは、これは責任が果たせないわけですから、何らかの結論を出しますから、それまでひとつお待ちをいただきたい。
  143. 芳賀貢

    ○芳賀委員 総理、このぐらいのことは決断と実行でやれると思うのですね。的はずれの成果のあがらぬことだけ思いつきで決断、実行と言っても、これは全然実現しないわけですから、これは人事行政上の問題ですから、やる気になればできるのですよ。それでなくても、従来自民党の政府は財界主導型の受け身の政治をやっておるということを、定説としてこれは指摘されておるわけですから、この辺から、実行でき得るものから逐次改善するということで進めてもらいたいと思います。  その次にお尋ねしたいのは、今日国民が一番心配しておるのは、これからの食糧の安定的な確保というものを、いまの政府責任で、はたして実行してもらえるだろうかどうかという点なわけです。従来は、国内の生産性を政策的に政府が低下さして、不足する農産物については、外国からこれを輸入すれば供給の心配はない、確保できるという安易な考えで政策を進めてきたわけでありますが、現在では、国内的にも、あるいは国際的に見ても、食糧の不足時代に入ったと言っても差しつかえないと思うのですよ。これは一年か二年の異常現象であるから、それを越せば心配はないというものではないわけですね。これは国連の食糧農業機構であるFAOのしばしばの言明等を見ても、明らかになっておるわけですからして、いままでのように、金を出せば安い食糧が幾らでも外国から輸入できるというような考えを捨てて、もういまでは幾ら金を積んでも必要な食糧を満度に外国から買いつけることはできないわけです。そうなれば、一億七百万人の国民の食糧の確保をどうするか、その具体的な実行方策は一つしかないと思うわけですよ。結局、自分の国の農業に重点を置いて、農業生産を高度に拡大して、自給度を高める中において、あとう限りの食糧供給を国の政治の中で責任を持って進める、こういうことになると思うわけです。  そういう意味において、最近の政府の、一番大事な食糧管理制度の運用の状態を見ても、政府自身が、食糧管理法という法律は現存しておるが、毎年のように政令、省令の改正を行なって、いまでは食管法というものは全く空洞化しておる、形骸化したと言っても差しつかえないと思うのですよ。この間隙を縫って、先ほど言いました丸紅を中心とした米の大量買い占め、あるいは全国的な食糧管理法の違反事件、こういうものが頻発しておりますから、まず第一には、国民が必要とするこれからの食糧の確保を、食糧管理制度を通じてどのように運用、実行するかということは、政治の面から見ても非常に重要な点であります。これに対しては総理大臣におかれましても、しばしばの機会を通じて、農業政策、食糧政策の根本的な転換が必要であることを唱えておられますので、この際、具体的に総理の方針といいますか所見を明らかにしてもらいたいと思います。
  144. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 食糧が長期的な視野に立って不足であるということは理解いたしております。今世紀末、三十七億の地球上の人類が七十億をこせば、主食と水が不足であろうということは、すでに六、七年前から国連の学者が指摘しておるわけでございますから、その意味においては食糧は過剰のような状態ではないということは、もう長期的展望に立って当然だと思います。それからまた、去年からことしにかけて気候その他の地形、地勢上の制約から、国内だけではなく、国際的にも食糧が非常に不足になったということも事実でございます。  でございますので、日本も、食糧は生命の源泉でございますから、食糧の自給体制を確立しなければならぬことは、もう言うを待ちません。そういう意味で主食である米に対しては一〇〇%確保いたしておるわけでございますが、その他米に次ぐところの大豆とかいろいろな問題から考えると、大豆などは九〇%に近い外国依存度を持っておるわけでございます。そういう意味で何とかして自給度をもう少し上げなければいかぬ、こういう問題は確かにございます。しかし、日本の持つ地形、地勢、気候上の制約から考えまして、どうしても日本ですべてを自給するということには、なかなかむずかしい問題もございます。また、安い品物を安定的に供給しなければならぬという面もあるわけでございます。そういう意味で自給度を高めなければならないもの、一〇〇%自給しなければならないもの、まあこの程度はどんなに国際的な不況や国際的な不作が起こっても国民には迷惑をかけないという程度の責任を持った備蓄とか、備蓄に類する国内の増産体制をとらなければならぬことは当然でございます。  そこにまたもう一つありますのは、南北問題という国際分業の問題があるわけでありまして、主要工業国はなるべく工業製品をつくり、経済ラウンドでもきめてありますように、一次産品しかつくれない地帯の低開発国からは農産品を買うべきである。そうしなければ世界の平和が維持できないのだという根本問題もあるわけでございます。そういう国際情勢を踏まえながら、国際協力もしながら、しかし国民に安定的、良質、低廉な食糧を絶対確保するという責めを負わなければならぬというのが政府責任だ、こう理解をしております。
  145. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで食管制度の関係でありますが、この際政策転換をするということになれば、まず第一には、ことしで四年間、米の生産調整を進めてきておるわけでありますから、この作付制限を当然取りやめるということにしなければならぬと思うわけです、そうしなければ生産の拡大が進まぬわけですから。その次は、政府の食管負担を避けるために自主流通米制度を強行されておるわけでありますが、食糧が不足状態に入ると、過度の余裕は生じないということになれば、自主流通米制度は米の過剰時代の一つの手法として採用したわけでありますから、当然食管法の本義にこれを戻して、農民が生産したものについては全量国が適正な価格を決定して買い入れをする、全面的な国家管理を進めるということでなければならぬと思うわけです。  それから、いま総理が触れられました備蓄制度の問題についても、もう端境期には余裕米がほとんどないというような状態になっておるわけでありますから、たとえば三百万トンの端境期の備蓄が必要であるとしても、一年や二年でそれだけの備蓄を実行することはできないと思うのです。またわが国の近隣諸国においても、韓国にしてもパキスタンにしても、インドシナにしても、バングラデシュにしても、近隣諸国、東南アジア諸国において、米食民族といわれる諸国においても、もうほとんど米が不足しておるわけです。韓国においても持続的に年間六十万トンぐらいは供給してもらいたい、あるいは米の主産国のビルマ、タイにおいても食糧事情が不安になって、米の国外輸出はしないという規制を打ち出しておるわけです。  だから、一方においては、国民生活安定のための備蓄制度を確立する。一方においては、日本において最も高度の生産性を持っておる米作等については、やはり十分な生産を遂げて、そして国際信義の上から、近隣の食糧不足国に対しては援助の形も込めて余裕食糧の提供をする。そしてわが国において努力してもどうしても不足な農産物等については、国際協力の中でわがほうに輸出をしてもらう。いままでのように政府の御用学者が唱えておる食糧生産の国際分業というような間違った角度からでなくて、世界諸国民の食糧確保については、国際連帯の立場に立って、それぞれの国が最大の食糧の生産、農業発展の努力をするということでなければならぬと思うわけであります。そういう意味において、この備蓄制度、あるいはまた消費者米価については物統令を昨年適用除外したわけでありますが、消費者米価の安定のためには、当然一日も早く物統令の適用を復活させることも必要になると思うわけであります。  もう一つは、現在行なっておる事前売り渡しの予約制度でありますが、これを現在政府においては、この予約申し込みに対しましても事前に政府のほうから予約の制限割り当てをしておるわけです。だから政府に対して直接売り渡しあるいは自主流通米を含めた申し込みをしようとしても、それ以前に政府のほうから予約米の数量制限が事前割り当てになっておるわけでありますからして、そこに昨年においても余り米の問題それを有利に処分するためにやみ売りの問題とか、これに便乗した大手商社の大量買い占めというような問題が生じておるわけです。ですから食糧政策の転換を行なうということになれば、まず農業政策の基本である食糧管理制度というものを法律の目的、精神に合致した行政運営をやるということが当然なことになると思いますが、この点に対して、総理のいままで機会あるごとに主張されたような点は、いま私の述べた点にも部分的には合致しておる点があるわけです。ただ演説をした、議論をしただけで実行が伴わぬということになれば、これは空理空論に終わるわけでありますからして、この際、四十八年度生産者米価の決定に先立って、国の食糧管理制度のあり方、政策の転換について勇気のある実行をされるときだと思いますが、その点はいかがですか。
  146. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 食管制度は御承知のとおり総動員法の中でも残っておる数少ないものの一つでございます。それだけ国民の生命の源泉である主食は国が責任を持たなければならぬということで食管制度が維持されておることは当然でございます。しかし当初の食管制度というのは量的な確保ということで作られたということは事実でございますが、時の推移によって、国民は量的な拡大のみならず質的な要求を入れてきておるということもまた事実でございます。そういう意味で、この量的な面から確保しなければならない食糧同時に国民の要請、嗜好にかなった質的なものを提供しなければならないように食管法が運営されるということは当然の帰結だと思うのです。そういう意味で食管法に対しては、食管法を堅持しながら自主流通米制度をとったわけでございまして、これは国民の要請する方向で食管法が運営されていると理解すべきであって、これを改める必要はない、こう考えておるわけであります。その中でいろんな買い占めその他が起こったということでございますが、これらは遺憾なことでございまして、これらは当然措置し得るのでございますし、違法行為に対しては司直の手にゆだねられておるわけでございますし、こういう問題に対しては、遺憾な問題であり、再び起きないように十分行政的配慮をするということで尽きると思います。  それからもう一つ新しい問題は、長期的な展望と国際的な波動によって起こる食糧の不安定を起こしてはならないということで備蓄制度を考えなければならないという問題と、近隣諸国の食糧不足に対して日本が当然負わなければならない国際的な任務という面から、どの程度の備蓄か必要であるかということに尽きると思うのです。これは無制限に農民のつくる米というものを全量買い入れるという考え方だけをとっていくと、それは安全性という面からいうと非常に完ぺきでございますが、国民はその負担をしなければならない。国民の税金で負担をするわけでございますから、そういう両面をやはり見ていただかなければならぬわけでございます。そういう意味で自主流通米制度や、それから減反制度、予約制度、いろんなものが国民に理解をされて協力が願われたわけでございます。ですから米というものは現在国民に食糧の不足を与えるというような懸念はないように十分配慮しております。これは五十万トン端境期に対しては手持ち米を持ち、来年度二十五万トンというふうな計算をしておりますが、ことしはそうもいかぬかもしらぬというふうな状況も確かにございます。しかし、きょうこのごろの天気のよさで不作はないだろう、こういうような見通しも立っておるわけでございます。ですから、ことしの予約というものは確かに予約の限度数量を越すものがあっても、これは全量買い入れるようになるでございましょう、こう農林委員会でも述べたわけでございます。では、来年度以降幾らつくってもこれは全部買い上げるのだということにはならぬわけでございまして、そこらは国際情勢、近隣諸国の要請、備蓄の状態というようなものも十分考えながら、やはり農民の意欲、農民の安心感というものも前提にしながら、そうして国損も来たさないように、それで、どうしても飼料が不足になれば、五十万トンあの安い価格でもって飼料を提供することによって物価政策も行なえる、そういう各般のことを考えてやはり来年、再来年度の長期的な米の政策というものはひとつ考えていかなければならないと思うのです。これはもうあなたは専門家ですから、あなたの御意見も十分承りますが、無制限に買い入れて、たんぼは全部つくって、そうして五百万トンでも一千万トンでも備蓄するのだ、三年間たったらそれは全部飼料にしてもしょうがないのだということは、やはり国の財政とか国民の利益を守るという面から考えると、適切な財政運営とは言えないわけでございますから、そこらのあんばいというところをひとつ十分考えていただく。もう農民というのは国の宝でございますから、そういう意味では私も農民を大事にするというのは人後に落ちません。私も百姓の子で、八十二歳の母親がいま農民で登録しておるのですから、そういう意味ではもうほんとうによくわかるのです。ですから農民の生産意欲というものをほんとうになくしないようにどういうふうな合理的なものがつくられるか、こういうことがまじめに考えられてしかるべきであるということで、今年度は私は農民の協力は得られる、こう思っております。来年度以降に対しては、十分御意見も拝聴しながら、国際情勢も見ながら合理的なものを生み出してまいりたい、こういうことでひとつ理解をいただきたい。
  147. 芳賀貢

    ○芳賀委員 どうも総理は選挙の応援等に行くとなかなか歯切れのいいことを言っているわけですけれども国会に戻るといまの答弁のように全く不得要領というか、どこを向いて発言しておるかわからぬような内容をできるだけ時間をかけて答弁をされておるわけですね。だから、真剣に農政を担当しておる櫻内農林大臣の場合においても、田中内閣のもとにおいて農政はこうやりますということを自信を持って言えないんですよ。総理が選挙応援に行っているときはそれに合わしたようなことを国会で農林大臣は言っておる。国会に戻るといまのような答弁に終わるわけですから、一体何を総理が考えて食糧政策の転換をやるか迷うわけですね。各国務大臣におかれてもそのとおりだと思うのです。  私は、先般、内閣官房所管の決算審査の場合に、あなたの直系の二階堂長官に対して、どうもいまの田中内閣は、国民に言わせるとこれは浪花節内閣である、田中総理を中心にして両翼には橋本幹事長それから二階堂官房長官、どうもお三人を見ても、何か浪花節調で、落ちはあるが政策の一貫性というものはどうしてもないではないか、この点は老婆心ながら申し上げるが十分注意してもらいたいということを言いましたが、あなたも私も言うまでもなくお互い貧農のせがれですから、政治的立場は違うが、農業、食糧問題に対する認識はそう変わりがないというふうに信頼して申し上げておるわけであります。  そこで一点、具体的な点をお尋ねしますが、今年度生産者米価決定についての価格上の基本方針、さらにまた米審の開催期日、あるいは総理裁断によると思いますが、米価決定の予定期日等については日程がもう用意されておると思うわけです。この点について、総理自身あるいは担当の農林大臣でもよろしいですから、ことしの生産者米価決定についてのできるだけ具体的な方針について明らかにしてもらいたい。
  148. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 言わずもがなでございますが、私は農民のところへ行って適当な話なんかしておりません。私は農民を説得して、事実はこうである、だから農村は心のふるさとであり、民族の魂の安息所である、農民は大事にしなければならぬ、しかしそうかといって、米が余ってそれを食管でもってすべてまかなうという制度の中にあるのだから、米が余って社会保障ができないようでは困るので、バランスをとりながら考えなければいかぬ、農業所得というものは、アメリカのように、とにかく大きな規模でやれるような地形、地勢上の状態にないのだから、農業所得の六三%までが農外所得であり、青森においては五割三分までが出かせぎに出ておる、こういうことをなくするためには、農業だけということではなく、やはり列島改造が必要なのだ、こう説いているのであって、私はいいかげんな話なんか全然しておりません。浪花節的だというのはどういうことかわかりませんが、私は数字田中といわれるほど数字を根拠にしているわけでございまして、浪花節には数字がないということを念のために申し上げておきます。  それから米価の問題は、これはあなたも御承知のとおりでございますが、八月の一日それから二日、まあ三日に及ぶかもしらぬ。四日までかかっても、これは慎重に審議しなければならぬことでございます。法律に基づいて、米審の審議を経てから政府が最終的な態度をきめるわけでございますが、その精神は食管法に基づいておることは当然でございますし、これはもう生産費所得補償方式ということと経済情勢その他明示されておる条件を十分勘案をしながら、生産農民が納得するような、また納得し得るような合理的な米価を決定しなければならないということでございます。私はアメリカの旅程がいまかりにたっているわけでございますが、少なくとも私が内閣として責任を持って、米価は内閣全体できめようというふうに慎重な配慮をしているわけでございます。
  149. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで米価決定ですが、これは食糧管理法第三条第二項の規定で、いま総理の言われた生産費所得補償方式できめることになっておるが、最近は政府の毎年の米価決定にあたっての大事な算定方式が、毎年毎年変更になっておるわけです。なぜ一貫性のある算定方式を用いないかというと、一貫性のある方式を用いた場合においては、米価決定の際に一年間の物価の上昇あるいは農業労働の賃金評価における労賃の上昇、そういうものが当然米価算定に反映することになっておるので、そうなれば当然年率一〇%ないし一五%くらいは上がるということになるわけです。これを押えるためには、どうしても毎年算定方式を変更しなければ据え置き米価が計算できないということがありまして、毎年のように据え置きのための算定方式が用いられておるわけであります。そこで、ことし適正米価をきめるということになれば、一番大事な尺度である算定方式をことしも変えて据え置きにするのかという問題。過去の実例から言いますと、昭和四十二年産米の決定までは、やや食管法の精神に基づいた算定方式が行なわれてきておるわけです。そこで昨年七月の下旬に米価決定になったわけでありますが、あなたの直系の足立篤郎君が農林大臣であります。七月二十七日の農林水産委員会において私はこの問題を指摘いたしまして、われわれが見て妥当な算定方式といわれた昭和四十二年の算定方式を四十七年度産米決定に用いた場合においては、六十キロ一俵の価がどうなるかということをただしたわけであります。これに対して足立農林大臣は、食糧庁長官の亀長君をして、四十二年算定方式を用いた場合には、六十キロ一俵の米価は一万三千百円になるということを委員会において言明しておるわけです。たまたまことし生産者団体の要求米価なるものは、六十キロ当たり一万三千百円を要求に掲げておるわけであります。偶然の符合か知れませんが、政府が昨年四十二年算定方式を用いた場合には一万三千百円になる。これを一年おくれた本年度米価要求に掲げておるわけでありますから、総理としても、この点は米価決定の場合の重要な資料として十分勘案される必要があると思うわけであります。すでに今年度になりまして四十八年度の食管法に定められておる麦価の決定、これは前年対比一四%、さらにまた大豆、なたねの不足払い法に基づいたなたねの価格決定についても、これは昨年に対して一四%の引き上げになっておるわけであります。だから単年度計算だけで昨年の政府米価六十キロ当たり八千九百円の基準米価に対して、麦並びになたね同様に農業の総合パリティを主体にして一四%上昇ということになれば、昨年の算定方式を用いましても、当然これは六十キロ当たり一万円台ということになるわけであります。しかしその場合は、過去四年間の据え置き分というものは除外されておるわけでありますから、ことしの決定については、食管法第三条第二項に示しておる正しい米価の算定方式というものをこの際田中内閣のもとにおいてぜひ実行すべきでないかというふうに考えるわけですが、その点はどうですか。
  150. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 先ほどから申し述べておりますとおり、食管法の精神に基づき、米審の審議を経て慎重かつ公正な米価の決定につとめてまいりたい、こう考えます。いろいろ御指摘がございました貴重な御意見は十分拝聴いたしました。
  151. 芳賀貢

    ○芳賀委員 きょうは約束の時間がありまして、持ち時間を総理にだいぶ食われてしまったわけですから、あとの土地問題とかあるいは北方領土返還の問題、国連の海洋法会議予備会議に臨む政府の態度等については次の機会に譲ることにしますが、もう一点米価に関連してお尋ねしたいのは、毎年農林省から米をはじめ農産物の生産費調査の結果というものが公表されるわけであります。ところが従来は米価決定の時期、米審開催の時期が不同でありますが、いつの場合でも米審開催直前にならなければ米の前年の生産費調査というものが公表されないという、まことに奇態な現象があるわけです。当然定期的に公表すべきものが、政治的に悪用されて、米審が開かれなければ前年の米の生産費調査というものが公表されない。こういう弊害というものは取り除き、統計の持つ中立性といいますか、政策的な余地を残さないで、厳格な適正な統計というものがつくられなければ意味がないわけであります。この点が一点と、もう一つは、農産物の各種生産費調査を行なう場合において、当然米をはじめ農産物の生産に投下された農業従事者の自家労働というものは、たとえば十アール当たり何十時間投下したというふうなことがわかるわけですが、その場合の、雇用関係に置かれておらない農業の自家労働というものは、当然従来の慣行からいっても、米価決定の場合においても、他産業のこれに見合う労働賃金というものをもって自家労働を評価がえするということになっておるわけであります。ところが、農産物の生産費調査にあたりましては、この大事な生産の根源をなす農家の自家労働の評価というものが、毎年農村における臨時日雇い労働賃金というものを農業労働の評価がえに当てておるわけです。これは不当であるということをわれわれ長年の間委員会等を通じまして指摘をしておるわけでありますが、言を左右にして、いまだにこれが根本的な改善をされておらぬ。これが農林省において改善不可能であるとすれば、この際、行政管理庁においては、政府の統計事務というものを統括して、以前は統計基準局というものがありましたが、これは行政機構の縮小によって行管局の中に置かれておるわけです。こういう点については、労働省の勤労統計でありましても、あるいは農林省の自家労働の統計にしても、やはり政府として厳密な統一的な取り扱いというものが必要になるわけであります。この点は行管長官福田大臣からでもいいですが、福田さんも昭和三十六年当時には二年間農林大臣を担当して、大蔵官僚出身であるが、なかなか農政には効果的な取り組みをしているというわれわれかつて点数をつけたこともあるわけですからして、当然大事な米価決定あるいは農産物価格をきめる場合の基本をなす農業自家労働の賃金評価等について、政府の統一的な見解というものをこの際明らかにしておいてもらいたいと思います。この二点を質問しまして、きょうの質問は終わることにします。
  152. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは御安心を願いたいのですが、米価算定にあたりましては、ただいまの臨時賃金、日雇い賃金は用いません。これは全国平均の労働省統計、これを使うわけです。  ただ、一般の統計ということになりますと、これはずっと長い間の歴史がある。そこで地方の賃金を使う、つまり農村で普及している賃金を使う。これをある時点で変えると……(芳賀委員「臨時日雇い労賃を使っておるのは適正かどうかということを聞いておる」と呼ぶ)これは適正なんです。(芳賀委員「どうしてですか」と呼ぶ)つまり地方で普及されておる賃金を使う、これが日雇い賃金じゃないか、こういう判定なんです。しかし、それはいろいろ議論もあるかもしらぬ。あるかもしらぬが、議論があるにしましても、とにかく長い間使っておる。それをある時点で変えましたということになると一体どうなるか、統計の意味がない。それからくだものにしましても野菜にしましても、みんな農村の日雇い賃金を使っておる、こういうのでありますから、これは横をにらみ、また時間をにらんで、そしてそれを政策の参考にする、統計からするとこれはそういうことになるのです。どうもそれを米価算定に使うんじゃないかというのですが、そうじゃない。米価算定は労働省の工業労働者の賃金を使っておる。これはもう政策的にそうしておるわけであります。統計というよりは政策基準である、こういう御理解、御安心を願いたい、こういうふうに存じます。
  153. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 芳賀君に申し上げます。所定の時間が参りました。
  154. 芳賀貢

    ○芳賀委員 一点で終わります。これは福田さん、聞き捨てならぬですよ。十年、二十年あるいは経営者の場合には三十年も、生涯を農業生産にかけておる人たちのとうとい農業労働の評価というものを、まことに不安定な、日々雇われる農村における日雇い労働賃金というものを、生産費調査の上において農家の自家労働に当てはめるのが当然である、行政府として何ら疑点を持たないようなそういう態度というものは、そこに長年にわたる農民圧迫の歴史があるわけなんですよ。米価決定の場合には、食管の規定に基づいて、日雇い労賃ではなくて、他産業の製造工業の平均労働賃金をもって米生産農家の自家労働を評価するということは、これはもう子供でもわかっておることなんですよ。しかし、大事な生産費の調査をする場合においてどうして——農村においては、大事な農業労働さえも日雇いではなくて出かせぎに出ておるわけです。結果的に農村の労働が不足しておる。それで臨時的な農業労働はどこが給源かというと、結局農村における勤労者の婦人たちが貴重な労働を協力的に提供して、それが統計上から見ても農業日雇い労賃という、そういう賃金上の形成をしておるわけです。これがあたりまえだということになれば、たとえば公務員にしても、産業労働者の賃金というものを、それでは日雇い労働賃金というものが基本になるべきである、こういう時代逆行の論拠にもなりかねぬですよ。私はそういうばかなことを聞いておるわけではない。十年、二十年常時農業労働に従事しておる貴重な農業の自家労働、これは雇用関係に置かれていないわけですからして、当然他産業の適正な労働賃金に見合った農業労働の評価をする以外に方法はないのですよ。その場合、給料取りのかあちゃんたちの臨時的な労賃というものを採用するのが従来のしきたりである、それが当然であるというようなことをあえて公言するということになれば、これは田中内閣の農業に対する政治姿勢をわれわれは疑わざるを得ないわけです。この点はぜひ総理から見解を明らかにしてもらいたい。
  155. 福田赳夫

    福田国務大臣 統計というものは、なぜ統計をつくるか、これは申し上げるまでもございませんが、長い間の数字を通じてのいろいろ社会現象の動きをとらえる、こういうことなんです。ですから、長い間の一つの一貫性というものがなければならぬ。それをある時点で、その統計のとり方を変えるということは非常に大きな問題なんです。それから同時にほかのほう、時間的要素のほかのほうの類似の物資の生産費がどうなっておるか、こういうとらえ方もしなければならぬ。くだものにつきましてもそういうふうにしておる。野菜につきましてもそういうふうにしておる。  そこで、生産費統計というものは過去において生産費がどういうふうにかかったか、こういうことをとらえようとするわけでありますが、その過去において生産費が幾らかかったかという労働賃金のとらえ方、これになりますと、その地方において普通の労働に支払われるところの労働賃金、それをとらえなければならぬのじゃないか、こういうことになる。農家の人が農閑期に他産業へ行って、そうして取ってくる賃金、これは生産費とは考えない、こういうふうに申し上げておるわけなんです。ただ、芳賀さんのおっしゃるような御議論があることは承知しております。議論はありましょう。ありましょうけれども、統計であるということを考えまするときに、それはやはりそういうことで理解されなければならぬじゃないか。しかし、米価算定にあたってそういう考え方はとらないのです。御承知のとおりです。ほんとうに農家の労働費というものを他産業の賃金を農村における賃金に置きかえて評価しなければならぬ、こういうことでやるわけでありますから、この辺は御心配ないようにお願いしたい、こう申し上げておるわけなんです。
  156. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 いま福田国務大臣述べたとおり、生産費の調査というものは、これは実際に行なわれておる賃金というもので実態を明らかにするということであって、これはこういう賃金をとるわけにはまいらぬわけです。これは実際に支払われておるもの、ただ、その中で、家族や農業者の賃金を日雇い労働者と同じような基準で考えることはおかしいんじゃないかということは、その一点に対しては理解できますが、実際の生産費ということになると、現に支払われておるものが日雇い労働者を使われておるわけでありますから、調査としての数字は別な数字をとるわけにはいかないということは、これは御理解いただけると思うのです。ただ、米価算定に使われるものは、これは今度経済情勢とか他の産業の工業労働者の平均賃金というものを使って計算をされるわけでありますから、ここには矛盾はない、こう理解していただきたいと思うのです。  それから、生産費調査というのがおくれておるのはどういうことかといったら、農産物というものが多種多様であって、これを十分把握するには時間がかかるということと、これを受け持っておる行政機関の時期別の問題とか、いろいろな問題があるようです。ことしおくれておるのは、この三年に一ぺんずつやる利息の問題とかその他経費の問題等、特別な調査が重なっておるということでございます。なるべく正確なものをつかむにはぎりぎり一ぱいまでやらなければいかぬ。ぎりぎり一ぱいまでやるということは、どうも米審が始まる前にならなければ、故意に延ばしておるのじゃないかという、こういう批判が生まれる。そこらの調整ということがやはりむずかしいのだと思います。真実を把握しなければならない、的確な把握が必要である、しかもスピーディーでなければいかぬ。こういうところでございまして、政府も苦慮しているわけでございますから、その間の事情は御理解を賜わりたい。
  157. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 今週中には取りまとめて、来週には発表ができると思います。
  158. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの農家の自家労働の評価がえの議論は保留して、本日はこれで閉じておきます。
  159. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 庄司幸助君。
  160. 庄司幸助

    ○庄司委員 四十五年来の決算審議を終わるにあたって、私は、歴代自民党政府の取り続けた農業政策、特に四十五年度以降取り続けた生産調整の政策あるいは生産者米価の据え置き政策、それから外国農産物依存の政策、こういった政策がどれだけ日本の農民を苦しめ、また、日本の農業を荒廃に導いてきたか、その点を若干具体例をあげてまず御指摘申し上げて、さらにはこれに対する農民のなまの声も少し総理に聞いてもらいたいと思うのです。そういう点御指摘したいと思うのです。  実は九日に、宮城県の農業危機突破要求米価実現宮城県大会、こういうものが持たれたわけであります。愛知大蔵大臣は地元ではありましたが、当日御出席はありませんが、御伝言があったそうでありますが、農業危機突破という点が主題についているのが、ことしの米価大会の特徴じゃなかろうかと思うのです。その中で若干御紹介申し上げますけれども、当日一万人の参会者を前にして、婦人の代表がこういうことを言われているわけです。はち巻きをしていたわけですが、このはち巻きも五割値上がりした、物価値上げや生活のための出かせぎが、私たちの農民の暮らしを苦しめておる、そうして例をあげたわけですが、たとえば宮城県の河南町というところがございますが、ここで三人の子供をかかえたおとうさんとおかあさんが二人とも出かせぎ、そのるすをおばあさんが預かっていたわけですが、このおばあさんが出かけた中で火事が起きて、子供さんが三人とも焼け死んだ。当然両親のうちだれかでもおれば、死なさなくて済んだ問題なんですね。この問題を涙ながらに訴えていたわけです。これはことしの二月のことでありますが、どれだけ出かせぎというものが農民の命を脅かしているか、このことを一つの事例として申し上げたいと思うのです。  それからもう一つは、これは宮城県の統計にもあるわけですが、農村婦人の健康がいま非常にそこなわれつつある。これは統計の数字であるわけです。たとえば高血圧の患者がふえている、腰痛症がふえている、それから低比重の血液保持者がふえている、こういう深刻な事態を農業普及課が分析したわけです。これは米どころの宮城県でさえもこういう状況があるのですね。  それからもう一つは、家庭の崩壊が始まっているという問題なんですね。これは場所や名前は一切申し上げませんが、出かせぎのるす中に、その奥さんが、おじいさんの子供を生んだ、こういうことまで出ているわけですよ。農家の子供さんの教育の問題、これも非常に憂慮すべき状況にある。教育が、おかあさんが満足にできない、こういう状況が起きているわけです。その婦人代表は、その一端を述べたわけです。  それから農協のある組合長、これはおそらくどちらかといえば保守党の系統の方の声だろうと思いますが、こういうことを言っています。政府は札束さえ出せば食糧は買えるというやり方をしている。食糧の自給どころか、一週間に宮城県産米と同じ量の穀物の輸入をしている。これはたいへん失礼でありますが、本人の声ですからね。こんな田中内閣にはやめてもらって、新しい政府をつくらなければならない、こうまで述べているのですね。  それから青年代表が立ちましたが、この青年がこう言っています。現在の農政は、おれたち青年から希望を奪い、乱開発などを進めて、農民を土地から追い出そうとしている。こんな自民党と農政には黙っていられない。いままで十年間、農民の米価要求は一度も実現していないが、ことしこそ総力をあげて戦っていく。こういう決意を表明しているわけですね。  それで、私は総理にひとつ農民がよんだ出かせぎの歌というのをここで御紹介したいのです。「生む生まぬ心定まらぬ妻を説き生めと定めて出かせぎに来し」「農道の補修もせずに遠くきて名神高速道路の人夫となれり」「ためらいもなくとつぎ来て一生をつれそう妻はいけにえのごとく」こういう歌をよんでおられるわけですね。その点で、私は総理に率直にお伺いしたいわけですが、総理は、ただいまもおっしゃいましたが、しばしば、みずから農民の子だ、こうおっしゃっております。それから、農民は国の宝だ、いまもおっしゃったわけです。こういった農民の声が、宮城県だけじゃなくて、秋田であろうと青森であろうと、北海道であろうと、あるいは中国地方であろうと九州であろうと、至るところこういう声が現実に存在しているだろうと思うのですよ。一連のこれまでの政府・自民党が取り続けてこられた農業に対する施策に関して批判の声があがっている。この農民に対して、少なくとも申しわけなかったとすなおに一ぺんあやまっていただきたいと思うのですよ。宮城県では、おととしの凍霜害があった際、農家のおしゅうとさんとお嫁さんが相次いで借金を苦にして入水自殺をやっているのです。五人もあの凍霜害で死んでいます。それから、昭和四十二年の前までは米つくれ米つくれとしりをたたかれてきて、中には極端な例は、高利貸しからまで金を借りて開田をやった農家がいるわけですね。それが、政府の施策の転換によって破産、倒産する、こういう状況に追い込まれているわけです。そういう点で、これまで取り続けてこられた農政施策についてやはり深刻な反省を一ぺんやった上で出直さないと、反省抜きの糊塗策をやっていたのじゃうまくないだろう。この点について私は総理の率直な御所信をお伺いしたいと思います。
  161. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 農政に対しては、自民党政府は可能な限り最大の努力をやってきた、こう考えております。これからもまた全精力を傾けてまいりたい、こう考えます。これはやはり、一面から見ますと、確かにあなたが指摘されるような面がございます。これはございますが、日本の農業というものは、明治初年、百年前には九〇%の一次産業人口でございました。ちょうど百年間で一五%になったわけでございます。(庄司委員「それはきのうも伺いました」と呼ぶ)そういう事実をきのう聞いて、また言わなければならないような御質問をされるというところに私が理解していただけないということになるわけでございます。ですから、そういうことで百年間で一五%までなったが、しかし実際において先進工業国はどうかというと、アメリカは四・四%であり、しかもEC十カ国の平均は六%である。アメリカは日本の百倍の規模を持っておっても政府が余剰農産物を買い上げなければならないというような状態であるということは事実でございます。ですから、日本はこのような気候、地勢、地形上の制約を受けておって、しかも百年間に九〇%から一五%まで減ってきながら、少なくとも二次産業や三次産業の就労者よりもいままで低い収入しか確保されなかったということは事実でございます。事実でございますが、しかしその一五%という状態においても、米については過剰生産が行なわれるという状態であり、一面においては農民の生活を確保しなければならないということが一つあります。もう一つは、国民に対して低廉、良質、安定的な食糧を確保しなければならない。その二つの政策を調整するにはどうするかというと、食管制度のように税金でまかなうということになるわけでございます。  ですから、この三つの面から考えて、国民の利益を守り、農民の利益をどう守るかということを議論していただかないと、これはどうにもならぬわけでございます。国民の税金で調整するものにも限度がある、安い食糧は国民に提供しなければならない、かといって農民にしわ寄せをすべきではない、農民に対してはどうしても最上の農政をやらなければいかぬということで、全力をあげてやってきたことは事実でございます。三毛作、五毛作をやれる南方において餓死者が出るというときに、日本は少なくとも現在の状態において、九〇%でも飯が足らなかったものが、それから人間は三倍にふえて、そうして一五%に減っても主食は余るようになったということは、農政が確かに成功してきたことは事実でございます。ですから、その社会的な一面だけをとらえてすべての農政であると批判することは、評価することは当たらないと私は思うのです。  ただ、七反歩とか六反歩でしょう。私のところも一町歩百姓でございましたが、いま三反半か四反しかやっていません。しかし、実際において働くのは年に二カ月でしょう。そういう状況から考えると、ことしはこの間発表されていましたように、ようやく農家収入の平均も二百十万円になった。普通、大学を出て東京へ来ておる二次産業、三次産業の平均収入を上回った。ただしその内訳を見ると六三%までが農外収入である、こういうことを指摘しているわけでございます。ですからこの事実を分析して、そうして適地適作ということもやらなければいかぬし、現実的に十二カ月のうち二カ月だけ働いて、そうして十二カ月全部工業や第三次産業に従事している人と同じような生活が維持できるというわけじゃないわけです。そうすれば農家収入を安定的に確保しなければいかぬ。それにはあなたがいまお読みになったように、出かせぎをして親子半年間別れなければいかぬ、夫婦生活もできない、この事実は厳然たる事実なんで、そうすれば職場を提供しなければならないというために列島改造論をちゃんと提供しているのです。なぜ御反対になるのですか。私はどんな政党が考えてもそれは当然のことだと思うのですよ。そうでなければ出かせぎに出ざるを得ないじゃありませんか。米では十二カ月働かない、二カ月しか働けないのです。そうすれば十カ月間他に仕事を求めなければいかぬ。そうしてわらじをつくることもできない、なわをなうこともできない、かますも要らない、炭を焼こうとすれば炭は要らぬということになれば、結局他に職を求めざるを得ない。そうすればとにかく地元の公共事業に出るしかないじゃありませんか。  私は、そういう意味で、あなたが指摘されるような、そういう人情味のない農政をやってきたと思っていませんよ。そうじゃなく、少なくとも農業の収穫も上がってきたし、農業というものもだんだんと生活レベルが上がってきた。しかし、二〇%も伸びるような、二次産業や三次産業のように月給が上がることに比べると、どうしても農村というものは均衡がとれない。だから、農民の一部が言っていることはわかりますよ。勤労者は二〇%ずつ上がっているけれども、三十年働いて一体家ができるか、七町歩、八町歩、二千坪、三千坪の土地ができるかどうか、われわれは最後に土地を売れば、それは確かに退職料というものは、ある程度二次産業や三次産業に比べても収入は多いかもしれぬが、それは父祖伝来の土地である、そこから離れがたいという一つの制約を持っているのだ、だからこの現状に徴して、この土地を守りながら、食糧生産という大きな任務を果たしながら、他にわれわれが十二カ月働いて日本の水準と同じ以上の収入を得られるような社会的環境を与えよ、というのが私は農民の真の声だと思いますよ。そうでなくて、六反歩や一町歩で、年率二〇%ずつ上がるような二次産業や三次産業の収益と同じものを得られるといったら、米は二年か三年には倍にならなければいかぬじゃありませんか。そういう事実を、あなたはその面だけをとらえてお述べになったから、私はそういう意味じゃなく、私も、あなたが言われるような農政が日本の国でもって無条件にとられるなら、それはとりますよ。ですから、そういうことでいままで精一ぱい努力を続けてきたということだけは理解いただきたい。
  162. 庄司幸助

    ○庄司委員 どうも総理の答弁、何か演説会に来ているようですよ。これは記者団からもこの間あなたは指摘されたでしょう、きょうは記者会見だ、あなたの講演会じゃないんだと。それは総理の立場をお述べになるのは差しつかえありませんけれども、ちょっと長過ぎますよ。  それで、いま総理が米の問題一つ言ったわけですが、私は何も米だけが日本農業だと言っているわけじゃないのですよ。なぜ農家が米に集中するのかといえば、米だけが一応の食管制度があって、その中で生産者米価がある程度価格補償がされてきた。だから米に集中するのですよ。あなたは今度は青森発言で、休耕をやめて転作を奨励する。転作を奨励するといっても、やはり何に転作したらいいかということになれば、生産費を償うもの、そういうものに転作する、これは当然だと思うのですよ。この転作についての補償、その目安は何かあるのですか。いわゆる価格を十分補償できるような、そういう転作の目安、これをお持ちなんですか。
  163. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 それは、日本でいま不足しているものがあるわけです。第一肉が不足しているでしょう。それから酪農製品だって、これは国民の嗜好が変わってきて、国民の健康保持の上からいえば、体質改善からいえば、酪農製品過剰だとは言えないと思うのです。それから果樹も、これから国民の嗜好に合うような果樹をつくらなければいかぬ。しかも南北に長い日本列島でございますから、これは雪の降るところで牛を飼えといっても飼えないわけです。ですから適地適作ということをやっているわけでございます。北海道でもって酪農をやったり、それから大豆をやってもらったりということでございまして、そういう大きな意味の適地適作ということは言えるわけ一ございます。まあ一気に農作業を済ませ、余力を他の分野に投入するということも考えられます。そういう者が米をつくるというものを転作を奨励するのだから、もちろん青森県がリンゴに転作すれば確かに米よりも収穫もいい。長野県でリンゴに転作をすればいいし、新潟県でナシに転作をすれば米よりも収穫があがる。収穫があがれば自動的にやるのです。米よりも収穫が少ないというとなかなか転作はできないわけです。ですからみんな小口になってしまうということになりますから、これは少なくとも国民が必要とするものを確保するという立場から、転作に対しては合理的な転作をやってもらうようにしなければならぬし、そのためには斯界の権威あるいろいろな方々の勉強に待って、政府は誤りなきを期さなければならないということでございます。しかし農地面積が多くて、とにかく転作もしない、全部米だけやる、とにかく千万トンも食管がよけい買わなければならぬということになれば、これはおのずから制限になるのですから、それならもう少し、宅地も不足であるし、工場も移さなければならぬ、移ることによって農家に出かせぎをしないで就業の機会を与えるということにもなるわけでございますから、そういう意味ではもう少しほかのものとの調整も考えて、農家もよくなる、お互いもよくなるというものをあわせて考えることが必要だと思うのです。  そうではなく、農政というものを、反別は幾らでもふやしていくのだ、年来の反別は全部米を植える。米を植えようとしたら、米よりもいいものを植えなければいかぬ。いいものだけはないから、その差額補償をしなさいということだけでは解決できない問題なんです。ですから、そういう問題を広範に考えるのが、農政でもあるし、農政という一つの面からだけ考えられないので、より広範な合理的な国民的な経済国民的な利便、国民的な幸福という面から調整が行なわれて初めて完ぺきな農村政策、農林漁業政策ができるのだ、こう考えます。
  164. 庄司幸助

    ○庄司委員 総理はいま転作の対象として、肉であるとか酪農であるとか、あるいは果樹をあげられた。ぼくらも適地適作は当然だろうと思うのです。何も山のてっぺんまで米をつくらなくたって済むわけですから。問題は、適地適作をやろうとしても価格の問題で障害があると私は言っているわけですよ。肉、酪農、果樹あるいはまた大豆、こういうものについても、それなら具体的に価格の補償をどうやっていくのか。そこで取りつけられないと——それだけではありませんけれども、それが一つ中心ですから、これがないと農民は安心して転作できぬだろうと思うんですよ。これをどうするのかですね。  それから、何かさっき総理は、あなたの列島改造論にある余り地農業論みたいなあれですね、その一端をちらっと披瀝されましたが、それはそれできょうは論じませんから、転作にあたっての価格の補償ですね、この点どうされるのか、少し具体的に御答弁願いたいのですよ。
  165. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 牛乳には不足払い制度をやっておりますし、それから肉には事業団をつくっておりますし、なたねやそういうものには不足払いもやっておりますし、これはいろいろなことをやっているわけです。そういうものだけで必ずしも完ぺきであると考えておりません。おりませんから、時代の推移に適合するような制度の改正やいろいろなことをやっているわけでございます。  しかし現実の問題としまして、あなたはきょうはこれに触れないということでございますが、触れなくちゃ解決しないのです。実際いって日本の農業というものが、一五%のものが一体五%になるのか、六%のときEC十カ国平均になるのか、一一%でとどまるのかというようなことは、国土の総合利用というものとお互いの国民の負担すべき分野というもので合理的にちゃんと形成されていくんです。それが自然にまかされておると非常に悲惨な状態が起こるわけでございますから、おのずから計画性を持ってやらなければならないということでありましょう。ですから、青森の農民が、農家収入の六三%までが副業収入であり、数の上でしかも農家全体の五三%が出かせぎである、この事実に目をおおうてどうしようもないのですよ。ですから今度青森県では、私のほうではあんまり生産調整は強くやりません、と同時に、青森県の知事は、開田費用を別に補助金を出すといっても、青森県はそれにはこたえないで、農業というものに対しては割り当てよりもはるかに多く、一〇〇%をこす休耕をやっているわけです。これはやはり農民の一つの願いの姿なんですよ。農民が何を期待しているのかということを考えないで、農民は生まれながらにして農民だから、君たちはとにかくその土地を守って何かつくれということでは、政治にならないわけです。  ですから、私は農民の考え方もくみ上げて、それでやっぱりやっていかなければならぬ。これだけ毎日毎日議論してやってきているものを、一面において、価格政策だけで農民に対する完ぺきな農政ができるとは考えておりません。
  166. 庄司幸助

    ○庄司委員 それじゃちょっと角度を変えて伺いますが、あなたの列島改造論、私も五百円出して買いました。だいぶ読みました。これであなた、これは個人の見解だろうとは思うのですが、「国民経済全体からみても、主要な食糧については、八〇%程度の自給率を維持することが必要である。」これは一七三ページに述べてありますよ。八〇%の自給率にする、これはたいへんな仕事ですよ。農民が土地を、余り地をどんどん工場や宅地に転化して、しかもあなたのおっしゃるように出かせぎ、あるいは遠くではなくて近くの工場で働けばいいというような点だけ追っていっても、八〇%の自給率を達成するなんというのは夢みたいなことですよ。だから私が言うのは、やはり自給率を達成するためにも、またその裏づけの転作ですね、これをやるためにも、転作をやるための価格補償ですね、これをやはりがっちりつくらないとだめだ。これは私じゃなくて、農民の声なんですよ。あなたは私が農家の一面だけ見ていると、こうおっしゃっていますがね、さっぱり反省もありませんけれども、とにかくそういう点で私は具体的な答弁、あなたの御説教はいいですから、具体的な答弁を伺いたいのですよ。それなら、この大豆の価格についてはどうですか、きのうも指摘されましたが。
  167. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 それは八〇%という一つの理想的姿を述べたわけでございます。五十七年度には農林省の計画においても肉八〇%、こういうことを言っておるわけでありまして、何でもかんでも人間の口に入るものは全部、農産物はすべて八〇%までできるものでないということは、これは気候上の制約もありますから、当然そこは分けてお考えいただけると思うわけでございます。  それから大豆の問題でございますが、大豆はこれは生産者に対して所得補償をやれということでございまして、大豆は一二%ぐらいを目標にしておるわけでございますが、これは八〇%にしろといっても、日本でとても大豆が八〇%できるわけばないと思いますし、しかも国民に安く安定的なものを提供しなければならないという反面を考えますと、少なくとも一二%、きのうも述べましたとおり、これは一二%というものが確保されれば、少なくともこれから長期的な計画栽培とか計画輸入とかというものに踏み切らざるを得ない。そういうことになれば、アメリカ側からいままで九〇%以上入れているという大豆をもう少し落とせるかもしらぬ。そうすれば、国内でもって大豆をつくれといっても、価格補償をやっても、それはなかなか五〇%、七〇%つくれるものではない。こういうことでありますし、私たちが子供のときは、たんぼのあぜにはみな豆を植えたものでして、自分の食う豆は全部やったのですが、このごろ百姓が豆を植えないのです。あぜに何で豆を植えないんだというと、豆なんかめんどうくさい、こういう考え方もあるわけですな。ですからそういう意味で、豆というものが必ずしも一二%以上に上げられるかどうかという現実も直視しなければならぬと思うのですよ。ですから一二%というのは、きのうも答えたように、どんな場合でも八月、九月という二カ月間というものを何とか持ちこたえなければならないという国際的な状態が起こっても、それが備蓄になるというような立場で大豆は考えなければいけないでしょうというすなおな考えを述べたわけでございます。大豆の価格というものがほんとうに差額補償になっておるかどうかという問題は、私はいますぐさだかにお答えできません。農林大臣数字を持っているでしょうから、農林大臣から答えさせます。
  168. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 六十キログラムについての昭和四十六年の基準価格を申し上げますと、これが五千四百四十円になっておるのでございます。これはその当時の価格決定時の推定生産費五千百十五円というものを推定いたしまして、そうして決定をされたものでございます。また四十七年につきましては、御承知の五千八百円、こういうことになっておりますが、これは価格決定時の推定生産費は五千六百七十五円でございまして、いずれもその当時の情勢の上では妥当な価格を決定しておるのであります。ただ御批判がございまするのは、昭和四十六年は冷害でございましたがために、結果的には六千八百五円ということになりましたので、これが御批判の対象になっております。四十七年につきましての実績はいまだ出ておらない、こういうことで、以上御参考に申し上げる次第であります。
  169. 庄司幸助

    ○庄司委員 そんなかっこうの数字を述べてくれと私は言ったんじゃないですよ。大豆の価格補償ですね、とにかく農民は一万円出してもらえばつくる、こう言っているのですよ。そいつを出さない。しかも生産費を割るような基準価格しか設定していない。だから大豆を増産するにしろ、現在の四%を一二%まで上げる、こうおっしゃっておるのですから、差額の八%上げるといったって、ここをやはり解決しないとだめだというのですよ。いま総理大臣、何かトイレに行かれたようですから、これは農林大臣答えてください。
  170. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 これはどうも御質問、私のほうが解せないですね。これから明年の分はちゃんとそろばんはじいて基準価格を出そう、その場合にはいま過去の例を申し上げたように、価格決定時の一応の推定生産費をやるのですから、その生産費を下回るような価格は出しませんという意味合いも、当然あなたも御了承できるように御説明申し上げておるのだから、したがってことしは十月ごろにきめるでありましょう、そのときには過去の事例にのっとりまして、農家として十分採算の合うようにそのときには決定をする。しかしあなたのほうから当然過去において生産費を割ったじゃないかという御質問があるであろうと推定したから、それは昭和四十六年においては冷害という事実があって、その推定生産費を上回る生産費になりましたということを申し上げたわけであります。
  171. 庄司幸助

    ○庄司委員 次に私は、生産者米価の問題で、くどいようでありますが、伺います。  実は宮城県の米価大会で米対の本部長がこういうことを言っているのです。田中さんはコシヒカリの本場の新潟県出身である、この方が総理大臣だ、それから愛知さんはササニシキの本場の宮城県出身で大蔵大臣だ、総理と大蔵がそろっているからには、われわれの要求である四八%アップ、これは当然かなえられるだろう、こういうふうに期待してもいいだろう。こういうふうに期待しているわけですよね。私も、当然農民団体の四八%要求の正当性、これは認めるにやぶさかじゃないのですよ。とにかく三年間も据え置かれて、今度、伝えられるところによると七%に三%色をつけて、自民党がやったやったとまた宣伝するんじゃないかなんて農民は言っているわけですから、そうするとこれは一〇%ぐらいですよ。その点簡潔に、この農民団体の四八%の要求、これは正当だと思うかあるいは不当だと思うか、総理大臣、大蔵大臣、この点簡潔に一言でいいですからひとつ答えてください。
  172. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 気持ちはよく理解できるところでございますが、私だけできめられるわけではないわけでございます。これはもう法律がございまして、法律の精神を踏まえて、米審の御審議をいただいて、最終的には政府責任をもって決定をするということで御理解を賜わりたい。
  173. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は、この米審に対する諮問、これは政府が大体これぐらいにしたらどうだろうという諮問をなさるわけでしょう。その諮問する態度が、一体四八%について妥当か不当か、この判断をしなくちゃならないだろうと思うのですよ。だからもうそろそろ計算もできているだろうと思うのですが、その辺で四八%に近い線なのか一〇%に近い線なのか、ひとつ農林大臣でもいいですから答えてもらいたいと思うのです。
  174. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 現在まだ正直に申し上げまして諮問の案はきめておりません。したがいまして、先ほど来総理が申し上げまするように、生産者米価については決定のしかたは原則論に終始しておるわけでございます。
  175. 庄司幸助

    ○庄司委員 それからもう一つ伺いたいのは、私は何も生産者米価をどんどん上げればいいというだけのことを言っているのではないのですよ。やはり生産者米価を引き下げることだって可能だろうと思うのですよ。それは何かといえば、生産者米価の基礎になる物価であるとか賃金——賃金は別として、生産用の資材ですね、これがどんどん高騰するわけでしょう。この辺を引き下げる努力ですね、これは当然やるべきだろうと思うのですよ。そうすれば、あなたの言っている国民の税金が少なくて済むわけですから。その点でたとえば硫安なんかの例をとりますと、内地の日本の農民が六百円以上で買っているものが何か輸出価格は四百円台だ、こういう話も聞いているのですね。だいぶ格差がある。だからこういった農業用の資材をもっと下げるような手、これは当然総理考える必要があると思うのです。それからもう一つは、金利の問題であるとか、それから日通のいわゆる食管の輸送や保管の問題ですね、この辺の民主化の問題も考える必要があると思うのですよ。その点ひとつ伺っておきたいと思うのです。
  176. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 保管の問題その他はまた消費流通経費でございますから、生産農民とは関係ないわけでございますが、いわゆる機材、肥料、そういうものを安定的なものにしなければならぬ、それは御指摘のとおりでございます。
  177. 庄司幸助

    ○庄司委員 時間も迫ってきましたので、私は、PCBと水銀汚染の問題で一言だけ伺っておきたいのは、いわゆる安全策準をきめる際、これがはたして妥当な基準かどうか、科学的に見て検証に耐え得る基準かどうか、その点でやはり万人を納得させるような基準をつくらなければならないと思うのですね。その場合、せっかく日本学術会議なんかもあるわけですから、学術会議のメンバーも招集するとか、それからもう一つは、漁民が納得できるような、漁民の推薦するような科学者、  これもやはり参加させる必要があると思うのですよ。私は原子力発電所のいろんな論争を聞いていますと、漁民の不信は、どうも政府や県当局が呼んだ学者に一方的に説明させるものだから、なかなか納得しない。だから漁民が要望するような学者、推薦する学者、あるいは日本学術会議のほうの学者とか、そういう声を集めて、そうして発表もやはり公に発表する、そしてみんなが納得するような基準をつくらなくちゃならないと思うのですよ。そうでないと、この間のように十二匹が何十匹にはね上がったりしておかしなかっこうになるわけですから、それを急いでおやりになる決意がおありになるか、参加させるかどうか。  もう一つは補償の問題です。やはり納得のいかないのは、いわゆる緊急融資というかっこうで補償にかえているという問題ですね。これは漁民も魚屋さんも納得していないわけですよ。だからこれはやはり融資じゃなくて政府が立てかえて補償する、そして加害者が明確になったら、そこから取って政府に納めればいい、こういう原則に立つ必要があると思うのです。  それから第三点はたれ流しの問題これは厳重に規制するとは言っておりますが、しかしまだあいまいな点があるわけですよ。だから流しているような工場については、これ以上やってもらっちゃ困る、操業停止ですね、これはやはり明確に要求すべきだろうと思うのですが、その点。  もう一つありますが、実は検査体制の問題です。最近、水銀については非常に短時間でやれるような機械も開発されつつあると聞いておりますが、PCBについては、これはどこかの委員会で私は指摘したのですが、実際県の衛生試験所その他でやっておりますのを見ておりますと、一検体二週間ぐらいかかっているのですよ。二週間もかかったのでは、魚は売れなくなりますね。その点で検査体制を万全にする問題それを含めてひとつお答え願いたいと思うのです。
  178. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 公害問題に対して、厳重な排水基準をきめなければならぬということは当然なことでございまして、いま環境庁が基準をつくって厳重にやっております。この基準は、少なくとも先進工業国、日本と同じような状態にある国よりもきびしいものであるということは事実でございます。この基準をきめるのに漁民その他を参加させようといっても、しろうとでございまして、科学的なものでございまして、これは万全な対策をとってきめておるわけです。しかもこれは日本と同じような状態より以上に汚染されておると指摘されるようなものよりもはるかに高い数値でもって厳重な規制をしておるというならば、それをもって妥当とすべきである、こう私は考えております。  それからもう一つは、PCBや水銀汚染があった場合の補償問題でございますが、これは原因者負担が原則でございますから、原因者がきまるまでの間は融資制度をとっておる。国民の税金でもって一時立てかえよという議論もありますが、これは少なくとも三分の利息ということでもって一時、原因者がわかるまではこれは立てかえておるわけでございますが、そういう制度でもって融資制度、これはやはり国の税金を使うべきものではなく、そうすることが正しいと思います。見つからなかった場合どうするかということになりますが、その人の犠牲によって全部払われるということになれば、これはたいへんでございますが、そういうことも顧慮しながら慎重な配慮を続けておるわけでありまして、いまの状態でもって立てかえて払うということよりも、これは融資の制度でもって、最終的には原因者が負担をするということが国民の金を預かっておる政府の当然のつとめだろう。これは法律でもあって、個人災害に対しては何万円を限度にして政府は補償をすることができるという意思の決定でもあればできることでございますが、そうでない限りにおいて安易に国民の金を使えるものではない。これはやはり原因者の探求に全力を傾ける、原因者に負担せしむる、その間つなぎ融資はするということが当然だと思います。  それから検査体制を十分にしろ、これはそうなんです。どこかの大学だけでもって特定の学者がこれはどうだということでもっていいわけじゃないんです。同時に政府だけでいいわけはないんで、これはやはり国際的な学者も入ってもらったり、英知を傾けた公害学会というような、そういうだれでもやはり納得する、日本人の科学水準、技術水準をもってはこれ以上はない、だれでもが納得するような機関がつくられることが望ましい、私はそういうことを考えております。これは政府機関が御用機関になる、こういうことを言われるならば、民間と学界と一緒になってつくればいいのでして、だからそういう問題に対しては十分検討してまいりたいと思います。  それから、たれ流しをしておるおそれのあるものは操業停止をしろということでございますが、これはたれ流しができないようにいまやっているわけです。これは厳重にやっているわけです。たれ流しをすれば、それは処罰があるわけでございますから、これは制度上は完備をしておりますので、検査体制とか現場検証というものを厳重にやるということをもって足ると思います。しかも、このPCB等は代替品ができれば当然代替品に転化しておりますし、日本コンデンサ工業などは操業を停止じゃなくて会社をやめたわけでございますから、そういう意味で、おそれがあるということをもって操業停止をする、そこに家族もあるし従業員もおるわけでございますから、それは制度の上で完ぺきを期すということが限度である。限度であるということは完ぺきな措置をするということであって、人命の損傷、人命の被害というものに対しては、これを食いとめるために全力を傾けるということで御理解をいただきたい。
  179. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 庄司君、時間がだいぶ経過しております。
  180. 庄司幸助

    ○庄司委員 これで終わりますが、私は一言総理に対して、いままでとってこられた農政について厳重な反省を加えて、日本農民の負託にこたえられたい。  それから水銀、PCBの問題については、たれ流しの責任は、これまで放置した政府責任が重大でありますから、その点を十分戒心してやられるように要望して終わります。
  181. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 坂井弘一君。
  182. 坂井弘一

    ○坂井委員 最初に、御答弁は簡明にお願いしたいことを申し上げまして質問に入ります。  沖繩海洋博の会場となります本部半島、これの開発のために、その推進母体としまして、官民共同出資によります株式会社本部開発公社、これは仮称でございますが、これを設立いたしまして、いわゆる第三セクター方式によりますわが国初の本格的なリゾート開発を進めよう、こういう計画で今日まで来たわけでございますけれども、どうやらこの開発公社の設立が非常に危ぶまれておる、難航しております。事実、六月沖繩県議会におきましても、いわゆる第三セクター方式の是非をめぐりまして、どうもこれが結論が出ない、そういう状態でございます。  そこで、まず第一にお尋ねしておきたいと思いますことは、この本部開発公社なるものの資本構成、それから人事組織、とのあらましをひとつ簡単に御説明いただきたいと思います。
  183. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 五十年に予定いたしております海洋博に対しましては、政府といたしましては、ただいまあらゆる面からその成功を期しながら万全の策を講じておるような次第でございますが、その海洋博の現地におけるところの本部半島一帯をば、いわゆる内外とも五百万の観客を期待いたしての大事業でもございますので、その辺一帯に対するところの環境の保全また福祉の整備等に対して万全を期したい。そうした点から、下水道事業、あるいは屎尿処理、あるいはホテル、あるいはクリーニングというような観光的な施設を十分いたさなければならぬとともに、沖繩のあの特殊的な海洋の亜熱帯地帯としての、いわゆるリゾートゾーンとしての沖繩の未来像をつくり上げる意味から、やはり高度な立場で財政投資その他に万全を期してまいりたい、こういうような方向でおるわけでございますが、屋良知事のほうの沖繩県当局におきましては、そうした時点を踏まえながら、第三セクター、開発公社という構想でその計画が推進されてまいったのでございますが、沖繩県議会におけるところの、各政党間におけるところのこの問題に対する考え方というものがあながち一致もいたしておらない立場から、屋良知事は第三セクターとしての計画推進にはいささか変更を来たさなければならないというような事態になったことの報告と情報を受けておるのでございます。したがって、私といたしましては、屋良知事の上京を待ちながら、県当局の構想というもの、これからの取り組む方途等について十分考えを聞いた上で、政府といたしましては、財政計画その他に対する援助方向とも、十分、屋良知事の意図する方策を基礎にいたしまして、これに取り組み、また指導的に行政上万遺憾なきを期したい、こう考えておる次第であります。
  184. 坂井弘一

    ○坂井委員 いま設立しようとしてまいりました北部開発公社あるいは本部開発公社といいますか、この資本構成、それから人事組織、これを聞いているわけです。簡単にまず資本構成にしぼってお聞きしますが、つまり北部開発公社に出資を申し込んでおる企業名、それから申し込み出資額、これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  185. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 沖繩の海洋博自体の事業といたしましては、(坂井委員「申し込みをしている企業があるわけでしょう」と呼ぶ)それに関連いたしましては、正確を期す意味において政府委員から、(坂井委員「関連はけっこうです。質問の趣旨だけ簡単に御答弁いただければけっこうです」と呼ぶ)事務当局から答弁いたさせます。
  186. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 お答え申し上げます。沖繩本部開発公社の問題につきましては、いろいろ県内地元におきましても案が時々刻々変わってきてございまして、当初われわれのほうで県の要請を受けまして、本土側の出資のあっせんであるとかあるいは財政投融資面での協力体制、こういうようなところで協力を申し上げておりましたことしの春以降、それぐらいの現時点におきましては、これも非常に不確定な要素でございますが含めまして、県としましては二年度にわたりまして二億、それから地元の三市町村で三億程度、それから沖繩の地元財界で三ないし四億、それから本土の財界からの、われわれのあっせんいたしました感触からいきますと、いろいろ弾力的な不確定な要素がありますけれども十億見当、十五億ないし二十億見当の出資でこれを構成しようというような運びになってきておりましたが、御承知のとおり、現地側でいろいろむずかしい情勢もございまして、だいぶ本土側の出資意欲と申しますのも落ちてくるというようなこともございまして、現時点では、その明確な計画というのは、むしろ県当局でいま株式会社形態以外のものを含めまして、いろいろ検討中であるということでございます。
  187. 坂井弘一

    ○坂井委員 質問の趣旨に対して正確に答弁してください。つまり出資を申し込んだ企業名と出資金額を明らかにしてもらいたいという質問です。何という答弁ですか、それは。そんなことは聞いてない。では聞きますが、出資を申し込んだ会社はつかんでいますか、つかんでないか、イエスかノーか、どっちか。
  188. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 お答え申し上げます。地元の県で発表した、正式な発表であるかどうか、新聞面で拝見した数字ということでは、先ほど申し上げましたような数カ月前の時点の数字でございますが、その申し上げましたような数字になってございます。それから本土側の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、出資確約というところまでまだ事態が行っておりませんので、具体的な個々の会社名につきまして申し上げる段階にはないというふうに判断しております。
  189. 坂井弘一

    ○坂井委員 なぜ通産省は——私は出資を申し込んだ企業名を明らかにしてもらいたいと言っているんだ。確定していない。確定していないのは当然ですよ、出資を申し込んでいるだけの段階なんだ。それがなぜ言えないのですか。四十七年の十二月の二十六日に沖繩県知事から通産大臣、それから沖繩開発庁長官、それから大蔵大臣にあてまして、北部開発公社を早急に設立するために本土企業の取りまとめをお願いしたいという文書が来ているはずなんだ。それに基づいて本土企業を取りまとめたはずなんだ、通産省は。沖繩県に行けばそれが出ていますよ。あなた方がおっしゃらないなら私が言いましょう。三十六社。三和銀行、住友銀行、第一勧業銀行、東海銀行、三菱銀行、住友信託銀行、三菱信託、住友生命、東京海上火災、安田海上、伊藤忠商事、住友商事、トーメン、日商岩井、三井物産、三井不動産、三菱商事、三菱地所、沖繩総合開発、沖繩日誠総業、太平洋興発、日新海洋開発、三菱開発、大林組、五洋建設、大和ハウス工業、東洋建設、日本テトラポット、川崎製鉄、新日本製鉄、東京プレス工業、日本鋼管、近畿日本鉄道、近畿ツーリスト、王子製紙、東海海洋開発、以上三十六社申し込みをした事実がありますか、ありませんか。
  190. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 その中の全部ではございませんが、私どもの準備に一応本土側のそういう出資者のグループの取りまとめに当たっております人たちから、ただいま先生のおっしゃいましたような企業の全部ではございませんけれども、大体このくらいの金額は可能であるというような申し込みを受けてございます。ただしこれはまだ正式な確約という段階にはなっておらぬわけでございます。
  191. 坂井弘一

    ○坂井委員 あくまでも申し込み企業名については逃げようとなさる。これは総理、あとでよくお聞きいただきたいのですけれども、通産省がみずから取りまとめを県知事から依頼されて取りまとめをして、にもかかわらず——私は何もこれはきまったとは言っているわけじゃないのです。申し込みをした企業はどこですか、こう聞いている。それすらもはっきりしない。これは何かといいますと、つまり本部半島において本土企業、大手資本あるいは商社、これらが土地の買い占めに狂奔している事実があります。あるいは沖繩の企業もこれに入っている、多量の土地の買い占めに動いた事実を指摘します。  そこで、なぜ沖繩県議会において紛糾したかといいますと、この種のいわゆる第三セクター方式によりますと、そうした民間企業、大手企業が土地の買い占めをやる。土地の買い占めをやった大手企業の全くの隠れみのとして公社が利用される。そしてせっかくの公社ができても主導権は企業に握られる。ここに反対の第一の根本的な理由があるわけなんです。だから反発を買って、せっかくこの公社を設立して、そしてこの機会に沖繩の今日までのあのいわゆる基地依存経済から自立経済に立て直していこう、脱却をしていこう、そのために海洋博覧会というものが一つの大きな起点をなすものである。沖繩あげてこの沖繩県全体の、とりわけ北部、本部半島においてそうした自立経済のための開発を進めようというこれは総意であるわけです。だからこそ公社を設立して早くやりたい、にもかかわらずできないというところは、いま言ったような企業がこれに介在する、膨大な土地の買い占めに狂奔しておる。これはちょうど鹿島開発あるいはむつ・小川原開発、これと並ぶ大規模の開発であります。同じように第三セクター、こういう方式でやろう。この第三セクター方式というものがいま言ったようにはなはだ疑問視をされてきておる、これは事実です。つまり地方公共団体や住民の意向が反映されない。したがって、いま沖繩県議会においてもこれが上程されないままで、公社ができないという、そういう事態を迎えておる。第三セクター方式がだめならば、財団法人の形態をとるかあるいは特殊法人の形態をとるか、それともまた別の形態をとるか、いずれにしてもこれはやはり政府に対して強力な財政の援助を求めておる。したがって政府はこの際出資をしたらどうか。そういう形で入って、国をあげて、政府をあげてこの問題に取り組む、こういうかまえが必要だと私は思うのですけれども、総理、いかがですか。
  192. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 私もこの内容はよく理解しておりませんが、あなたのいまお話を聞いておりまして、よくわかりました。これは第三セクター方式も一つの方式である、政府が出資することも一つの方式である。もっと地元民を納得させるということであれば、沖繩県の開発公社をつくってやればいいのですから、幾らでも方法はあるわけです。そして二十億ぐらいのものを沖繩が県債を発行する、資金運用部でもって引き受けてくださいという手もあるわけです。ですから、まるまる政府がやるということよりも、これは沖繩県がほんとうに県民を主体にしてやるなら、沖繩県県開発公社をつくればいいわけです。そして沖繩の地元資本、地場資本として集められるものは五億とか三億しかないから、県も二億出すといっておるのですから、そうすれば、地元で三億だったら三億集めれば、あと残り十五億県債を発行いたします、これは公社債でもけっこうなんです。それで政府でもってこれをめんどう見てくださいということになれば、これはいいと思うのですよ。大阪などでやるときには、財界全部でもって金を集めて寄付をさせたわけですから、沖繩というものは財界も応援をするということでしたが、なかなか大阪のようにはいかないということで、政府が主体になってやっておるわけです。大阪万博は全然民間団体が主体になってやって、そして黒字を出したということで、黒字の処分を考えておるわけですから、そういう面から考えて、沖繩にはとてもそういう状態はないので、民間ではやれない、施設は全部政府がつくる、こういうことでやっておるわけです。小さい金でありません。関連施設を入れれば千二百億、これも全部入れれば千七百億にもなろう、こういう投資を政府自身がやっておるのでありますから、あとは地元が納得するということであるなら、これは公社制度だからけっこうです。これは言わずもがなでございますが、国総法がもしいまあれば、これば沖繩の知事がすぐそこを指定して、特定地域に指定すれば、だれが買っておろうが移動も禁止できますし、全部できるわけでございますので、できればひとつ御理解のほどをお願いしたい。
  193. 坂井弘一

    ○坂井委員 これは総理まだ認識不足なんですよ。だから私は、買い占めの実態を明らかにしましょうと申しましたから、追い追い明らかにしていきたいと思いますけれども、とにかくいまのような簡単なものじゃないのです。第三セクター方式はもう完全に暗礁に乗り上げた。したがって政府が何らかの形で出資しなければおさまりがつかない、発足できないという事態を迎えておる。もし出資をするということになれば、やはり法律と予算が伴わなければならぬ。つまり特別法をつくるというぐらいのかまえがなければできませんね。できませんが、それぐらいのかまえがなければ公社はできませんよ。三月議会においても流れたのです。六月議会には必ずこれは提案できる、こう言ってきたのが提案できない。七月の二十日で議会が切れるのです。海洋博までは六百日しかない。これはできないということですよ。その辺の深刻な認識がまだおありでないようですね。で、その問題はまた後に実態をあかす中でひとつ総理の決断をお願いしたいと思うのですが、その前に、本部半島のこうした大規模な開発にあたって開発計画を立てておるのがいわゆる財団法人余暇開発センター、これが海洋博協会から四十七年度に三千百二十三万円の予算でもって委託を受けまして計画を進めてきました。ところが、公社ができないために四十八年度の事業はいまストップしておるのです。そのために常勤の研究員二人、それから非常勤研究員二十人がほかのプロジェクトに転向しております。一切事業はストップの状態です。それからもう一つ、沖繩振興開発金融公庫、ここから四十八年度に予定いたしました融資額が十一億組んでおる。公社ができないためにこの融資もできないのですね。もし公社ができなければこの融資はどうなりますか。他に流用なさいますか、いかがですか。
  194. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 本部半島のあの地帯における三町村の土地の売買が成立いたしたという面積は二千三百万平米、こう聞き及んでおりますが、御承知のとおりに最近の本部地区におけるところの土地の高騰あるいはこうした土地の売買というものは落ちつきを見せておりまして、平常な状態を取り戻しておるというような事態でございますので、われわれといたしましては、いわゆる土地の合理的な利用計画、あるいはそれをもって土地の安定をはかりながら、土地利用の規制あるいは土地税制等、公共用地の取得という問題につきましては、御承知のとおりに本年度より三年間に三十二億をもって公共用地の取得を急いでおるということで、屋良知事も初年度の十億に対する候補地の取得にいま計画的に急いでおるというような時点でもございますので、そうした点を勘案しまして、屋良知事はこれに対するところの具体的な措置をやがて沖繩開発庁にも持ってこられ、その上に立って私は私なりの考えで指示もいたしたいと思いますので、いま直ちに開発公庫から融資いたす問題について結論を出すのはまだ早い、こう考えております。
  195. 坂井弘一

    ○坂井委員 では買い占めの実態をつかんでいらっしゃるかどうか。地域名をしぼってお尋ねいたします。  本部町、名護市、今帰仁村、この三カ所の買い占めの実態を掌握なさっていらっしゃいますか。
  196. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 先ほど申しましたように三町村において二千三百万平米、具体的なことにつきましては政府委員から答弁させます。
  197. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 最近現地の法務局系統で調べたものでございますけれども、ただいま大臣から答えられましたように、本部の三市町村につきまして二千三百万平米の取得がなされております。内訳は、名護市が約千二百万平米、それから本部町が約六百二十万平米、それから今帰仁村で五百三十七万平米、一応把握した状況はそういうことでございます。
  198. 坂井弘一

    ○坂井委員 では伺いますが、企業名はつかんでいらっしゃいますか。
  199. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 個々の問題につきましては、総合事務局のほうで現在調査中でございます。アウトラインをつかんでおるのが実情でございます。
  200. 坂井弘一

    ○坂井委員 つかんでいらっしゃらないのでわからないのですね。では、私のほうで調査いたしました資料に基づいて申し上げます。  本部町におきましては、浪速冷凍機工業あるいは国連土地あるいは大都リッチランド、伊藤忠商事等々、企業が四十九社人っております。それから名護市におきましては、沖繩総合開発、日軽不動産、東京プレス等々、企業は総数五十三社、個人も多数ございますが、省略いたします。今帰仁村におきましては、エスイーデー株式会社、丸紅飼料、京浜急行等々、企業は合計三十社。  そのうちの例を総理に御認識いただきたいので地図をつくってまいりました。これがいま指摘した名護市、この赤まるで囲んだところです。これは名護市全域ですね。いま赤で囲んでいるところが最近におきますところの企業の買い占めた土地なんです。これだけで見て、全体の比率からしてかなりな部分が買い占められたということは御認識いただけると思う。この買い占めのあり方に問題があるのです。これを指摘して、どうするかということを決断を求めたいと思います。  その前に、非常に関係のあるのは先ほど言いました財団法人余暇開発センター、この余暇開発センターの出損メンバー、これが企業が四十八社、代表的ないわゆる大手企業、商社、銀行、鉄鋼関係等々が名前を連ねておりますが、この財団法人余暇開発センターに公社あるいは県は依頼をして、ここで基本計画を策定して、それを実施するのがこの公社なんです。ところが、いま言いました余暇開発センターの出損メンバー四十八社中十九社が先ほど私が名前をあげました三十六社の中に出資の申し込みをしているのです。どういう企業かといいますと、王子製紙、三和銀行、新日本製鉄、住友銀行、第一勧業銀行、三菱銀行、大林組、川崎製鉄、近畿日本鉄道、住友信託、東海銀行、日商岩井、三井物産、三菱商事、三菱信託、伊藤忠商事、住友商事、トーメン、日本鋼管。つまり余暇開発センターと開発公社は全く同体みたいなものです。これは日本株式会社ともいわれるような、そういう構成なんです。この理事長さんは元通産事務次官でありました佐橋さん、日本株式会社の沖繩版みたいな形態になっておるということですね。これをまず頭に入れておいていただきたい。  そこで伺いますが、やがて設立されるであろうといわれますこの北部開発公社に対して出資を申し込んでいる企業がございますが、その企業が土地の買い占めをしている事実があります。政府は御存じでしょうか。
  201. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 私からのお答えをしまして、もし補足があれば別にいたしますが、これは余暇開発センターというものは通産省がつくったわけでございます。通産省の発案でもってこういうことになったわけですが、これは出資を求めるということになれば、出資が可能なものから頭からずっと金を出してもらうということでございますから、これはそういうことになると思います。ですから佐橋君が、この新しい分野に全精力を傾けておることは、私は高く評価しておるわけでございます。その余暇開発センターにどういうふうな調査を命じたのか、その間の事情は承知いたしません。いたしませんが、沖繩の万博あと地というものが国民のレクリエーションの場であり、余暇利用の一つのメッカとするのだということになれば、余暇開発センターに一つの研究調査を委嘱をするということもゆえなしとしないと思います。  それからもう一つ、あなたは沖繩公社に企業側が出資を申し込んだような前提でお話しになっておりますが、そうではなく、これは沖繩の県知事から政府に対して要請があり、そして万博担当の通産省に取りまとめをしなさいということで、沖繩の担当大臣である通産省の所管のものとして通産省が各企業に対して出資を求めておるということでありますから、ですから、そういうことでもって、ときあたかも余暇センターに出資をしておる企業と同じようなものに当たったらお出しをしましょうということになったのが私は事実だと思います。まあしかし、その背景には、その申し込んでいる者の中には地元に土地を保有しておらぬ者もおりますが、保有しておる者もおるじゃないか、こういうことになると、まあそこに問題はあると思いますよ。ですから、そういう事実なら、私はもう開発公社に本土からの出資など求めないで、沖繩だけでもっておつくりになるということが一番いいと思うんですよ。これは政府としてはとにかく二百二十億の投資と、沖繩縦貫道路四百三十億、電電通信設備二百七十億、一般公共事業四百九十六億、約千五百億の金をかけて、五十年の沖繩の海洋博の完成ということに努力をしておるわけですから、しかも沖繩開発公社にはもうすでに十一億の金も用意しておる、みんなしておるのですからね。沖繩というものがやはり二十億というもの、この公社は県の公社でもいいじゃありませんか。そうして県は二億出すと言っておるのですから、おつくりになって、そして金繰りなら資金運用部でもとにかく県債を引き受けてくれということならばいますぐでも片づく問題でして、私はそういうふうに合理的に進めるほうが一番海洋博を沖繩県民の手でという有終の美をなせるものだと思いますが、そうじゃないでしょうか。
  202. 坂井弘一

    ○坂井委員 県は二億出すと最初から言っているのです。市町村も三億出すんです。それでできないのです。こういう第三セクター方式によれば、むつ・小川原あるいはまたあの鹿島の開発の二の舞いを踏むであろう。つまりそれまでに商社が多量の土地を買い占めしておる、そういう商社がここに入ってくる、そういうことに対して反発をしておるわけです。だから私はさっき言いましたが、たとえば確かに通産省が出資を依頼した沖繩総合開発株式会社、この会社がどういうことをやっておるか。昭和四十六年十月八日から四十七年五月の三十一日にかけまして名護市及び今帰仁村で六十六万平方メートル、二十万坪、これだけ取得したわけです。それで四十七年の十一月の二十五日に臨時株主総会において、国定公園内公園事業に関する件を議題として、承認、可決になっておる。これは何の事業をするかというと、この国定公園の中にリゾートホテルをつくる、レストランをつくる、レクリエーション施設をつくる、それから分譲する、こういう案なんです。金はないのです。事業資金は八十四億九百万円、しかし県、市の助成を含める、その調達方法は全額借り入れです。それでもって沖繩県に対して公園事業執行認可申請書を出した。認可にならないんです。これはこのまま土地を持っている。この会社が公社に出資の申し込みをしておる。これは政府のほうから依頼をしたのかもしれません。待っているのです、いま。こういうような形のものがほかにもありますよ。伊藤忠商事、日軽不動産、沖繩日誠総業、東京プレス、これが出資の申し込みをしておる。すでに土地を持っている。値段はどうかというと、坪当たり一ドルで買ったのが五ドル、十ドル、一番ひどいのは百ドル程度、百倍になっているのです。そしてその土地はどうかというと、山林原野、畑、農地。安い値段で農家は買われた。何にもしないでそのまま放置しておる。中には、やっておるところは、乱開発をやってめんめんかってな施設をつくっておる。こういう現状ではならぬから、公社をつくって、総合的に広域的に整備をして秩序のある開発をしよう、こうでしょう。その公社がいま言ったように、総理は県が二億出すというんだからそれでいいじゃないかと言われるが、実はそれができない状態になっている。これができなければ海洋博そのものも失敗するじゃありませんか。総理はいまおっしゃる新全国総合開発計画によって沖繩を本格的に開発しようと思うならば、これは当然その計画に基づいて公社を設立して、そして推進していこうというのですから、これは沖繩でやったらいいじゃありませんかというような、あなたまかせのようなそういう態度ではなくして、現実にいま沖繩県議会において公社ができないような事態になっておるとするならば、それに対してやはり何らか国として積極的な対策なり援助なり指導なり、そういうことを考えていくべきだと思うのです、現実に困っておるのですから。これはただ単に沖繩が困るだけじゃない、全体が困る。国家的な行事である、ないしは国際的な行事であります。特に沖繩の現状を考えるときに、二十七年間長い間異民族の支配下に置かれてきた。戦火でもって破壊されて、その間隠忍自重、多大の犠牲、そしてそういう中を耐え忍んで今日まできたわけです。本土との格差もたいへん大きい。そういう中で、その破壊の上に、さらに農地を買い占めて乱開発をやって、さらに破壊を生む、こういうような形を今日まで野放しに放置する法はない。少なくとももっと積極的に政府は沖繩に対してあたたかい、そして実のある行政の指導と同時にやはり財政的な援助をして、そして海洋博を成功せしめ、その間沖繩の自主経済が成り立つような生活環境の基盤を含めてこれを推進していこう、こういうかまえこそ大事だから私はいま申し上げているわけです。何も土地買い占めそのこうな方向の事業が推進できないじゃありませんか。だから何らかの手を打つべきじゃありませんか。こういう趣旨でもって質問しているわけでありますから、その点について最後に総理のひとつ明快な決断をお願いしまして、質問を終わりたいと思います。
  203. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 坂井さんの言われることはよくわかりますよ。あなたの言う案も一面でございますが、しかし政府は千五百億になんなんとする国民の税金を投資しているのですから、そういうこともひとつ理解していただかなければならない。しかもこれは沖繩が第三セクター方式でもってやろうというのも一つの案でございましたが、それはいまのように同じ人がダブっておるということになれば、事実はこちらから要請したものであっても、これは島民を納得せしむる、県民を納得せしむることにならぬかもしれません。そうすれば別な方式をとらざるを得ません。そうすれば、あなたの言う政府が幾らか出資をしてつくるということも一つの案でしょうし、それだけじゃなくても、沖繩が二十億の金を、沖繩が県公社をつくってやってもいいじゃありませんか。そしてその金繰りは幾らでも道があるのです。資金運用部で引き受けてもいいのです。という方法もあるのですが、それさえもしないで、すべてが政府におんぶだというのも、国民立場に立つと、やはり考えなければならぬ問題だと思うのです。公社ができても、いまの状態では時価で買わなければならないのです。それは非常にたいへんな問題になる。しかし国土総合開発法ができますと、これは県知事が特定地域に指定すればいいのですから、そうすれば買った値段でもって買い取り請求権がちゃんとあるような法律にできているのですから、問題はこの国総法が成立することが前提なんですよ。これは全部片づくのです。買い占めした者はみんな手をあげてしまうのですから。ですからそれがまず問題であって、その次にはまあ二十億ぐらいの、その程度の公社をつくる、そんなことはできる話でして、これは屋良さんがきょうのあれがございましたら、必ずきっと何かいい知恵を持ってこられると思いますよ。これができないと政府も困るのです。ですからやっぱり地元が主体性を持ってやってもらわなければいかぬ、地方自治だもの。そういうことでやはり政府が何をすべきであるかということを県民の代表から要請してもらって、それに対して政府が調整案を出していくということでないと、政府があわ食って出しますよというわけにはいかないと思うのですよ、いま政府の出資を要請してきておらぬのですから。こういう問題に対してはひとつ急いで沖繩県当局が結論を出されることが望ましい、こう考えております。
  204. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わりますけれども、時間がなかったのではなはだ残念であります。この買い占めの実態行為につきましては、具体的になお掘り下げて、別の機会においてこの内容を明らかにしていきたい、そういう中で政府の対策を迫りたい、こう思いますので、本日はこれで終わります。
  205. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 お約束でございますから、内閣総理大臣には退席を願うことにいたします。  これにて、昭和四十五年度決算外二件についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  206. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 昭和四十五年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、各位のお手元に配付いたしております。  これより議決案を朗読いたします。    議決案   昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算、同年度特別会計歳入歳出決算、同年度国税収納金整理資金受払計算書及び同年度政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。   本院は、毎年度決算の審議に際し、予算の効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実があがっていない点があるのはまことに遺憾である。  (一) 昭和四十五年度決算審査の結果、予算の効率的使用等、所期の成果が十分達成されていないと思われる事項が見受けられる。   左の事項は、そのおもな事例であるが、政府はこれらについて、特に留意して適切な措置をとり、次の常会のはじめに、本院にその結果を報告すべきである。   (1) 経済企画庁その他の省庁において、民間企業の職員を、給与を支払わず公務に従事させているが、かかる変則的人事は、法的に問題があるばかりでなく、国と特定企業との関係に疑惑をもたれることにもなるので、政府はその是正をはかるべきである。   (2) 原子力発電所の設置に関しては、安全性や環境問題等に対する不安が広がっているが、温排水の影響等に関する国の調査研究は、発電所建設認可の進捗に比べ進度が緩慢であるばかりでなく、その計画や予算も総合性に欠けるきらいがある。    政府は、調査研究を促進し、原子力発電所をめぐる不安の早期解消をはかるべきである。   (3) 予備費の使用について、政府は、今後いっそう慎重を期し、とくに政策的経費についてはできるだけ予算に計上し、国会の議決を経るようつとむべきである。   (4) 国有財産の処分方法等が適当でない事例がある。    すなわち、その一は、土地収用法によって収用した国有財産を買受権を有する旧所有者に無断で他に売払い、旧所有者に不利益を与えたものである。    政府は、この種国有財産の総点検を行なうとともに、その処分にあたっては細心の注意を払う必要がある。    その二は、国有財産の売買契約にかかる  訴訟で、国が敗訴し、時価より著しく低廉な契約時の価格による処分が有効となったうえ、その財産を使用していた国が多額の借料を要求されるにいたった。   政府は、このような事例にかんがみ、国有財産の処分については、国損を招かざるよう格段に慎重な取扱いをなすべきである。  (5) 国立大学において歳出予算執行権限を与えられていない教官等が研究用試薬等を業者に直接納入させ、事後に予算執行担当者がこれを適宜とりまとめて代金を支払っていた法令無視の事例がある。   政府は会計法令の趣旨を関係者に十分徹底させるなどして、経理の適正化をはかるべきである。  (6) 私学振興財団の行う私立大学等経常費補助は年々拡充されてきているが、医・歯学部等における寄附金などいまだに過大な父兄負担があとをたたないほか、その補助金の経理が適正でない事例がある。   政府は、私学の役割と経営の実情にかんがみ、補助の充実をはかるとともに財団に対する指導を適切に行うなどして、補助金経理の適正を期すべきである。  (7) 民間社会福祉施設のうちには、職員、とくに経験者の確保が難しくなっていたり、職員の労働過重を招いているものや、その施設が十分に活用されていないものがあるほか、資金難に苦しんでいるものもある。   政府は、国庫負担金の改善をはかるほか、民間社会福祉施設に対する指導と援助を強化し、その活動を促進すべきである。  (8) 食糧管理制度をめぐっては、最近モチ米の違法売買事件政府米価の逆ざや悪用事件などの不祥事が発生している。これらの事件は、食糧管理制度運用の間げきに乗じて起きたもので、その誘因は度量なる政・省令の改正や財政措置等によって制度の内容が変化してきたところにあるとみられる。   政府は、かかる不祥事の防止を含めて食糧管理制度の有効適切な運用をはかるべきである。  (9) 国庫補助負担事業にかかる地方公共団体の超過負担については、計画的に解消措置が進められているが、まだ相当額の超過負担を余儀なくされているうえ、最近においては、物価の上昇等によって負担が再び拡大するおそれも出てきている。    政府は、引続き補助単価等を実情に合うよう改善し、国と地方との財政秩序の確立をはかるべきである。  (二) 昭和四十五年度決算検査報告において、会計検査院が指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。   政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、行政管理庁の勧告等を尊重して制度、機構の改正整備をはかり、綱紀粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。  (三) 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。  (四) 会計検査院は、独立性の保持と検査機能の充実につとめるほか、職員の受検機関への再就職に関し、検査の公正を疑われることのないよう注意する必要がある。  政府は、今後予算の作成並びに執行に当っては、本院の決算審議の経過と結果を十分に考慮して、財政運営の健全化をはかり、もって国民の信託にこたえるべきである。     —————————————
  207. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がございますので、順次これを許します。綿貫民輔君。
  208. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま委員長提案の昭和四十五年度決算の議決案に賛成の意を表するものであります。  昭和四十五年度決算は、昨年三月本委員会に付託され、委員会においては、同年五月以来、各省庁及び政府関係機関等につき、国会が議決した予算がいかに執行されたかを中心として、順次審議を続けてまいり、その間、是正改善を必要とする事項については、質疑を通じてそのつど政府当局に善処を求めてまいりましたが、ただいま提案の議決案に示されたとおり、予算が効率的に使用されず、所期の成果が十分達成されていないと思われる事項が見受けられたことはまことに遺憾であります。これらは、特に重要な指摘であり、政府は、誠意をもってその改善に努力されるよう要望いたします。  次に、会計検査院の指摘による不当事項についても、百四十六件、十二億円余にのぼる指摘があり、依然としてそのあとを断たないのはまことに残念であります。政府に一そうの善処を望むものであります。  また、会計検査院は、今後さらに検査の厳正を期し、機能の拡充強化にも努力してもらいたいと思います。  わが党は、本議決案に賛成いたすものでありますが、本委員会における審議の経過、内容をも十分に考慮して、今後の行政運営にあたり、国民の負託にこたえるよう努力していただきたいのであります。  最後に、公務員綱紀粛正について一言申し添えておきたいと存じます。わが党は、このことに関しては、これまで再三政府に注意を促してきたところでありますが、最近、また、科学技術庁大蔵省等の職員不祥事件が発生しております。申すまでもなく、公務員の姿勢の乱れは、国の損失につながるばかりでなく、行政の不信をも招くことになりますので、政府においては、公務員の不正防止につき格段の努力を払われるよう特に強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  209. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 芳賀貢君。
  210. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は日本社会党を代表して、ただいま委員長から提案されました昭和四十五年度決算議決案に対し、反対の意見を表明するものであります。  すなわち、議決案の内容につきましては、第一項に掲げる昭和四十五年度決算審査の結果といたしまして、政府において予算の効率的な執行上あるいは予算の執行が所期の成果を十分達成していないという点につきましては、おもな実例として指摘を行っておるわけでありますが、政府委員会の指摘に対して、国会の意思として次の常会の初めに本院にその結果を報告すべきことは当然のことであります。ただ、この指摘事項については、九項目の事例をあげた指摘事項でありますので、これをもって指摘すべき事項は他にないということにはならないわけであります。その内容といたしましては、先ほど質疑の中で総理大臣に指摘いたしました民間企業から政府機関に対しまして民間会社職員を出向させるような変則な人事については、特に政府と民間企業との癒着等についても国民の疑惑を増すことになるわけでありますからして、この点について根本的な人事行政上の刷新をはかることは当然であります。  第二の、原子力発電所の設置に関しては、その安全性や環境保全の問題等について十分な調査と国民不安を除去するために努力することは当然のことであります。  第三の、予備費の使用については、この点は、憲法においても、予備費の使用については国会の承諾を必要とするという議決案件になっておることにかんがみましても、最近の政府の予備費使用の実態については、予算に計上し、あるいは補正予算に計上して政策実行に当たるべき問題についても安易に予備費使用に依存しておるような、こういう間違った予算執行の態度については当然根本的に姿勢を改めて、国会の議決を経るように努力すべき点もまた当然であります。  第四の、国有財産の処分方法の適正化の問題についても、当委員会においてしばしば実例をあげて指摘したところでありますので、今後、国有財産というものがあくまでも国民の財産であるというところに留意して、根本的な国有財産の管理運営に当たるべきであります。  第五番目の、国立大学における予算執行の権限と適正な執行の問題等についても、政府としてこれらの指導あるいは適正な管理について幾多欠ける点がありますので、かかる点については再びこのような事態がないように、経理の適正化等について十分な指導をはかるべきところであります。  六番目の、私学振興財団の政府の助成を受けて行なう事業あるいは運営の内容等についても、幾多適正を欠く点があることは言うまでもありませんので、今後政府としては、私学の持つ文教政策上の重要な役割りから見ましても、補助の充実をはかることは当然でありますけれども、今後政府から支出された補助金の経理の適正化については責任をもって政府が運営に当たるべきであるということは当然であります。  七番目の、民間における社会福祉施設の充実、発展の問題等については、今国会においても社会保障の発展というものが国会の論議の中心になっておったことにかんがみまして、本来は国の責任で行なうべき社会福祉等を一部民間がかわって担当しておるという実態にもかんがみまして、今後国庫負担の増額はもちろんでありますが、適正に民間の社会福祉事業あるいはその施設が拡充強化されるように、政府として十分な配慮と予算確保等につとむべきことはけだし当然であります。  八番目の、食糧管理制度の適正な運用の問題については、本年になりましてから、大手商社の丸紅を中心といたしまして、一連の米の買い占め事件あるいは全国的な食糧管理法の違反事件というものが発生しておることは御承知のとおりであります。しかもこの事態の発生というものが、政府の食糧管理制度の運用上の間隙に乗じて不祥事態が発生しておるというような誘因にかんがみまして、政府としては厳重に食糧管理法の目的と精神を体して、食管制度の有効適切な運用をはかるべきことは当然であります。  九番目の、国庫補助負担事業にかかる地方公共団体の超過負担の解消の問題等についても、地方公共団体の持つ重要な使命というものを政府においても認識して、今後補助単価の引き上げ等については、財政秩序を確立する立場の上に立って改善を行なうべきであると思うわけであります。  以上は委員会において十分に審査を尽くした指摘事項ということになっておるので、この点について社会党としては決して異議を主張するものではありません。  第二項の、昭和四十五年度決算検査報告につきましては、憲法九十条の規定に基づきまして会計検査院が決算の結果を検査して、この内容の適正を確認するということになっておるわけでありますけれども、四十五年度の会計検査院の検査の結果を見ましても、不当事項として指摘されました事項は百四十六件、金額にして十二億六千六百五十万円に及んでおり、これらは政府の予算執行上毎年不当指摘をされておるにもかかわらず、予算執行上の改善の実があがらないことはまことに遺憾にたえないところであります。政府としては、これらの指摘事項については、その原因というものを十分明らかにして、今後制度の刷新、行政機構の整備等をはかり、特に行政担当の立場にある政府職員に対しても、綱紀粛正して、再びかかる不当事項の発生がないように万全を期すべきであります。  さて、議決案の第三項でありますが、「決算のうち、前記以外の事項については異議がない。」と述べられておりますけれども、この点は、当委員会各省決算審査の経過においても明らかなとおり、指摘事項としての九項目に限定して、それ以外は異議がない、不当の支出がないというふうには決しかねるわけであります。したがって、日本社会党といたしましては、この議決案のうち第三項の「前記以外の事項については異議がない。」という点については決して同意を表明するわけにはまいらないわけであります。  最後に、昭和四十五年度の予算の成立の経過を見ましても、私ども社会党といたしましては、四十五年度予算案の審議の経過の中で政府提案の予算案に対しましては基本的に理由をあげて反対した立場におきましても、昭和四十五年度決算については、これを是認することに反対するものであります。  以上、私は四十五年度決算の議決案に対しまして反対の主たる理由を明らかにして、討論を終わるものであります。(拍手)
  211. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 庄司幸助君。
  212. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、昭和四十五年度決算に関し反対の討論を行なうものであります。  反対の第一の理由は、わが党が昭和四十五年度の予算審議の際に指摘したように、この決算国民の要求に対立した政府の反国民的、反民主的政策、大企業本位、対米従属を基本とする軍国主義の全面復活を目ざす昭和四十五年度予算の執行となっている点であります。  軍事費が自衛隊発足以来最高の増加率を示し、日米共同声明に基づくアメリカのアジア侵略政策に直接加担し、独占資本のアジア進出を目ざすベトナム、ラオスなどへの経済援助の名による対外進出費は、昭和四十四年度に比べ巨額の出費となっております。  また建設公債の名による赤字公債の発行は、大企業にばく大な利益を保障した反面、国民の税負担を高め、インフレーションを激化させております。幹線自動車道路、空港整備、港湾整備など、高度経済成長を推し進める産業基盤の整備のための産業関連投資は拡大され、特別会計へ一般会計からの繰り入れもふやしております。  米の生産調整対策費によって米の減反を押しつけ、食管制度改悪の布石とし、離農促進を進め、四十五年度からの第二次農業構造改善事業は自由化への道を開き、日本の農業の破壊をさらに推し進めたのであります。この点、本日の委員会において田中総理に対しても指摘したわけでありますが、何らの反省もありません。  また国民の生活と健康については、社会保障費のある程度の増加も医療費の増加によって国が当然負担すべき費用、つまり当然増に伴うものがほとんどであります。公共事業関係費は、大企業のための高度経済成長を保障する道路建設などが中心で、環境衛生関係費は、清掃事業費の増加率の減少に見られるように、大きく犠牲にされております。また公害の発生による国民の被害の救済よりも大企業の公害の防止保障に対する資金の援助に重点が置かれたのであります。  教育関係について言うならば、新構想大学設立の調査研究費など、中教審の結果と相まって反動的な教育改革の具体化が最重点項目として支出されたのであります。  沖繩援助費の増額は、沖繩の米軍基地機能の維持のための肩がわり援助であり、本土の独占資本の進出と沖繩の大資本のための産業基盤の整備のためのものであり、真に県民の要求にこたえるための文教、社会福祉施策への援助とはならなかったのであります。  反対の第二の理由は、財政民主主義の立場から容認できない点があるということであります。  財政不足の口実による巨額の赤字公債の発行は、インフレーションを激化させるのみならず、財政法の民主主義的な条項の根本趣旨に反するものであります。また、あらかじめ予測できるもので当然当初予算に組み、あるいは補正予算で十分国会で審議すべきものまで予備費で支出をいたし、国会に事後承諾を求める傾向が顕著になっております。このようなやり方は、予算審議を通じて国策を監視、決定する国会の審議権を踏みにじるものであり、容認できるものではありません。  なお、本委員会の指摘事項は当然のことでありますが、これ以外異議がないとする議決案は、上述した点があることにもかんがみ、容認できないものであります。  以上で日本共産党・革新共同を代表しての私の討論を終わります。(拍手)
  213. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 坂井弘一君。
  214. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は、公明党を代表して、昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算外三件の議決案に対して反対の意を表明するものであります。  すなわち、議決案は第一項において、国の決算として当然適切な措置をとられてしかるべき諸事項であります。したがって、政府は特に留意してこれら諸事項に対して国民が理解のできる措置をとられるならば私も賛成であります。政府の誠実な実行を強く要望いたします。  第二項におきましては、会計検査院が指摘した不当事項についてでありますが、政府は厳にみずからを戒めなければなりません。再びかかる事態を生ぜしめるならば、政府に対する国民の不信はさらに高まるでありましょう。したがって「本院もこれを不当と認める。」については私も同感であります。しかしながら、会計検査院の検査は抽出検査に過ぎないのであります。そうした未検査の中にも不当事項は、あとでも申し述べますとおり、山積されていると考えられます。政府はこれらの多くの事項によく目を見開き、国民の前に明らかにし、信を得なければなりません。したがって、これら以外にも多くの不当事項があると考えられるわけでありますから、それらに対する政府の明確なる態度を明示すべきであります。  第三項につきましては、「決算のうち、前記以外の事項については異議がない。」という点については、四十五年度決算審議が終了しても、限られた審議日程の中においては十分審議したとは言えず、かつ異議を表明しなければならないものが数多くあります。ちなみにその一例として海外移住政策の問題がございます。それは、海外移住事業団の中南米における直営の移住地から移住者が転住し、行くえがわからないものが五戸につき二戸あるという割合で、同事業団も政府もこうした実態は全く把握できていないという無責任さであります。また、政府が同事業団に購入させた移住地の中で、農耕に適さない不良地の総面積は一万一千八百余ヘクタール、ほかに売れないものが七千百余ヘクタールもありまして、これらに対し根本的な対策は全く立っていません。さらに三十五年の最盛時には八千三百八十六人もあった移住者が、四十五年にはわずかに六百二十九人となり、毎年減少の傾向にあります。こういった実態は移住を希望する人たちが安心をして移住できないことを如実に物語っているのでありまして、抜本的な移住政策の立て直しを迫られているのであります。  こうしたことをはじめ多数の不当事項が指摘されると考えられるのでありまして、「異議がない。」ということに対しましては、とうてい妥当とは言えません。  次に第四項につきましては、会計検査院の根本的原則をうたったものでありますから賛成でありますが、特に政府に対し、政府が会計検査院の独立性を侵すことのないよう常に留意することを要望いたしておきたいと思います。  以上、私の意見を申し述べましたが、最後に政府に対し、従来からの決算軽視の風潮を断ち切り、決算審議を重視して、謙虚に国民の前にすべての事項を明らかにしなければ、国の決算は承認できないことを強く申し述べまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
  215. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算、、昭和四十五年度特別会計歳入歳出決算昭和四十五年度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十五年度政府関係機関決算書を議決案のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  216. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 起立多数。よって、議決案のとおり決しました。  次に、昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書の両件について討論に入るのでございますが、別に討論の申し出もございませんので、これより順次採決いたします。  まず、昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算書は、是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  217. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 起立多数。よって、本件は是認すべきものと決しました。  次に、昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書は、是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  218. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 起立多数。よって、本件は是認すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  220. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。まず、愛知大蔵大臣
  221. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま御決議の各件につきましては、政府といたしましては、これを尊重し、各省、各庁と密に連絡をいたしまして、遺憾なきを期してまいりたい、かように存じます。  なお、予備費につきましては、内閣の責任で使用されるものでありますことから、政府といたしましては、その節度ある使用について常に留意しているところであり、乱に流れないように措置しているところでありますが、今後とも一そう慎重に取り扱ってまいりたいと存じます。  また、国有財産の処分方法等につきましては、政府といたしまして、十分その御趣旨を尊重いたしまして、今後善処いたす所存でございます。(拍手)
  222. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 次に、坪川総理府総務長官。
  223. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 ただいま決議されました御趣旨にのっとり、各省庁の実態を調査しつつ、人事院、行政管理庁等関係省庁と十分協議いたしまして、決議の御趣旨に十分体したいと存じておる次第であります。(拍手)
  224. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 次に、小坂経済企画庁長官
  225. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 ただいまの御決議のうち当庁のいわゆる部員制度の問題につきましては、御趣旨に沿うよう最善の努力をいたす所存であります。(拍手)
  226. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 次に、三木環境庁長官
  227. 三木武夫

    ○三木国務大臣 ただいま御決議のありました原子力発電所の温排水の影響等に関する調査研究の促進に関する事項については、決議の趣旨に沿って善処いたします。(拍手)
  228. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 次に、前田科学技術庁長官
  229. 前田佳都男

    ○前田国務大臣 温排水問題の重要性にかんがみ、本議決の趣旨に沿って、今後も環境庁を中心といたしまして温排水の影響調査を鋭意進め、実効ある温排水規制の推進ができるようにつとめてまいりたいと思います。(拍手)
  230. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 次に、中曽根通商産業大臣。
  231. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 原子力発電の温排水の科学研究推進につきましては、御趣旨に沿って大いに努力をいたします。(拍手)
  232. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 次に、櫻内農林大臣
  233. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま御決議のありました農林省所管関係の事項につきましては、御指摘の点に十分留意し、適切な運用をはかってまいる所存でございます。(拍手)
  234. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 次に、奥野文部大臣
  235. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 ただいま御指摘いただきました文部省所管の事項につきましては、議決の趣旨に沿うよう今後一そう指導監督の徹底をはかり、遺憾なきを期してまいりたいと存じます。(拍手)
  236. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 次に、江崎自治大臣
  237. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ただいま御決議になりました事項につきましては、自治省といたしましても、御趣旨を十分尊重いたしまして、今後一そう改善に努力いたします。(拍手)
  238. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 次に、齋藤厚生大臣
  239. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 ただいま御決議のありました民間社会福祉施設に関する事項につきましては、今後とも十分留意し、なお一そう適切な措置を講ずるよう善処してまいる所存でございます。(拍手)
  240. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。  次に、会計検査院長から発言を求めます。白木会計検査院長
  241. 白木康進

    ○白木会計検査院長 公正な検査を執行して国民の期待にこたえることは私どもの念願としておることでございますが、ただいまの当委員会の決議案の中で会計検査院につきまして言及されました点については、当然のことでありますけれども、今後十分気をつけてまいります。(拍手)
  242. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時六分散会