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1973-06-19 第71回国会 衆議院 決算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月十九日(火曜日)     午前十時二十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 森下 元晴君    理事 木野 晴夫君 理事 久保田鶴松君    理事 庄司 幸助君       荒舩清十郎君    近藤 鉄雄君       中尾  宏君    中村 弘海君       濱野 清吾君    森  美秀君       高田 富之君    原   茂君       田代 文久君    坂井 弘一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      前田佳都男君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     進   淳君         科学技術庁長官         官房         会 計 課 長 高須 儼明君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         科学技術庁原子         力局長     成田 壽治君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         警察庁警備局         警備調査官   渡辺 善門君         環境庁水質保全         局水質規制課長 太田 耕二君         水産庁調査研究         部長      松下 友成君         通商産業省公益         事業局技術長  和田 文夫君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         国土地理院参事         官       檀原  毅君         会計検査院事務         総局第一局長  高橋 保司君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 六月十九日  辞任         補欠選任   石田 博英君     森  美秀君   篠田 弘作君     中村 弘海君   田村  元君     近藤 鉄雄君  橋本登美三郎君     中尾  宏君   竹入 義勝君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     田村  元君   中尾  宏君    橋本登美三郎君   中村 弘海君     篠田 弘作君   森  美秀君     石田 博英君   坂井 弘一君     竹入 義勝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十五年度政府関係機関決算書  昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管科学技術庁)〕      ————◇—————
  2. 森下元晴

    森下委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため、委員長の指名により私が委員長の職務を行ないます。  昭和四十五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管科学技術庁について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
  3. 原茂

    ○原(茂)委員 前に四月の二十八日でしたか、地震の問題で参考人意見陳述を受けたことがございました。当時長官もおいでになったわけですが、十七日に北海道東北地方地震がございました。これに関連して、二、三問題をお伺いしたあと政府としてのこれに対する基本的な考え方をもう一度お尋ねしたい。こう思うわけであります。  地震が終わりましたあと被曝線量基準の問題についてお伺いをする予定ですから、御準備をお願いしたいと思います。  いまここへ参りましたら資料をちょうだいいたしましたので、大体わかりましたが、新聞で報道されておりますような被害状況だと思いますし、この数字はあまり変わっていないように思いますが、これに対する対策が、予算の面でもあるいは具体的な地方自治の上でも手当てができたと思いますが、その点をまず最初に、これは警察庁から出した資料ですが、どなたでもけっこうですから、お伺いしておきたい。
  4. 渡辺善門

    渡辺説明員 お答えいたします。まず、被害状況でありますが、被害北海道東南部太平洋沿岸、ことに根室釧路の両市を中心に発生しておりまして、警察で把握した六月十八日現在の被害状況は次のとおりであります。  人の被害でありますが、重傷二、軽傷二十四、計二十六名となっております。なお、重傷者二名につきましては、いずれも根室市内でありまして、うち一名は避難途中倒れてきた木材が当たり、下腿部を骨折したもの、他の一名は家から飛び出した際アキレス腱を切ったものであります。  家屋の被害でありますが、全壊二、床上浸水八十九、床下浸水百八十六、計二百七十七棟となっております。  次に、警察措置でありますが、北海道警察におきましては、地震発生直後の午後一時、道本部をはじめ釧路方面本部太平洋沿岸警察署警備体制を確立しまして、七百九十二名の警備部隊を迅速に被災地に投入し、関係機関と協力し、被災者救出交通規制など被害拡大防止につとめるとともに、被害調査警備警戒等に当たりました。  さらに、午後一時六分津波警報発令とともに、危険区域住民に対する広報と避難誘導を積極的に行ない、被害防止に万全を期したのであります。  この結果、根室市、厚岸町、浜中町、浦幌町など沿岸自主避難を含めまして一千二十八世帯、五千六百名が避難し、被害を免れている状況であります。  以上がこのたびの地震被害状況警察措置であります。
  5. 原茂

    ○原(茂)委員 これに対する、まだまだ予備費その他支出するほどの状態ではないと思いますが、必要な医療なり、あるいはそれらに関連した予算の措置なり、そういうものはもう十全に行なわれているのかどうかを、いまお伺いしましたので、これをひとつ関係者からお伺いする。  それからいまの渡辺さんにちょっとお伺いしたいのですが、今月十七日の午後に起きたあの地震で、七百数十名の出動のもとに防災体制あるいは被害対策等をやったわけですが、あの大きな自身にしては被害が少なくて、その面でもたいへん効果があったように思います。同時に、皆さんばかりの努力でなくて、事前に地震に対する予報的なあるいは予知的な何かがあったために住民の心の準備ができていたということなのか、いや、偶然被害が少なかっただけなんだということなのでしょうか。それが一つ。  それから、少なくとも根室に関する限りは、相当前から大きな地震警告学者からあったわけです。これはあとでお伺いしますが、とにもかくにもそういう警告のあったことを中心に、警察庁あるいは北海道警察なりあるいは地方自治体なりが協議をして、とにかくその警告のもとにある種の体制をつくりつつあった、あるいは準備をしていたということがあったかどうか。二点分けて、前の予算の問題あるいはその手当ての問題をひとつ先にお伺いする。
  6. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答え申し上げます。ただいま警察のほうから一般被害について報告がございましたが、公共土木施設その他の被害をまず初めに御報告申し上げますと、道路損壊は国道四十四号線、道道あるいは地方道、そういったものを合わせまして三十六カ所の損壊がございます。それからがけくずれが一カ所。それから鉄道施設でございますが、これの被害が七カ所等となっております。  それで公共土木被害状況でございますが、現在関係省庁調査中でございますけれども、約七億の被害ということになっております。今回の地震に関しまして、政府側といたしましては、昨日緊急に関係省庁連絡会議を開きまして、中央防災会議事務局長である総理府小宮山総務長官をその団長といたしまして、関係十二省庁がただいま現地に飛んでおります。昨日の晩現地に参りました。この調査団によりまして詳しい調査をいたしまして、必要な対策をとるということにいたしております。  なお、公共土木等被害等につきましては、関係省庁におきまして査定をするわけでございますが、これにつきましても建設省におきましては、ほかのことで北海道災害査定官がたまたまおりましたので、それを急遽現地に回しております。それから農林省あるいは運輸省等施設につきましても、ただいま小宮山長官調査団担当防災課長あるいは計画課長等が随行しておりますので、それとの連絡をとりながら緊急の査定等を  行なおうということにいたしております。  なお、道路につきましては擁護壁等をつくりまして、片側通行、一方通行でございますが、一車線の確保ということにいたしております。  それから幸い電気等につきましては二、三十分の停電で復旧しております。  それから水道でございますが、根室市で一部断水等がありまして、タンク車で運んでおりますが、おおむね回復に向かっております。  それから鉄道でございますが、これは根室線、標津線の二線が不通でございますが、本日中には復旧するという予定でございます。  以上が公共土木等被害と、それに対する対策、あるいは政府全体の地震に対する対策でございます。
  7. 渡辺善門

    渡辺説明員 ただいま先生からお話ございましたように、当地域は、警察といたしましては、大震災の重点地域といたしまして、警備体制の確立につとめているところでございます。北海道警察におきましては、六月の五日に今回の被災地におきまして津波予報訓練避難訓練を実施いたしております。このために非常に適確警察活動を遂行することができたというように聞いております。なお昭和四十三年の五月十六日に発生いたしました十勝沖地震が、約一カ月間の長期間にわたりまして約三百回の余震があったというようなことから、北海道警察におきましては、近く地震の再発もあるというように考えまして、これに備えまして被災者救出避難誘導など、被害拡大防止のための迅速適確初動措置を遂行し得る体制を確立している状況にあります。  以上でございます。
  8. 原茂

    ○原(茂)委員 杉岡さんに先にお伺いしますが、金額は七億円で、非常にこの種の大きな地震にしては少なかった。慶賀にたえないわけです。しかし人心を早く安定させるためにも、被害程度でいつも論じているのですが、災害救助法適用というものをやるべきではないかと思うのですが、  いかがですか。
  9. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答え申し上げます。災害救助法につきましては、これは厚生省が所管しておりますが、これは公共団体都道府県知事判断をいたします。これは法律基準がございまして、基準といたしましては、ある一定の戸数ということになっておりますが、さらに多数の人の人命等に損傷を与えるおそれがあるというようなことも弾力的に運用でできるわけでございます。そういったことで災害救助法適用されるわけでございますが、今回の災害につきましては、北海道のほうから厚生省に入った連絡によれば、災害救助法適用は必要ないということで、災害救助法は事実発動いたしておりません。
  10. 原茂

    ○原(茂)委員 災害救助法は、いまおっしゃったとおりいろいろな基準があるものですから、したがって自治体の知事にしても、まあこの程度のものでいったって、とてもじゃないが受け付けてもらえない。こういう基準というものがあるために、必要としないのじゃない、必要とするのだけれども、その申請をしないという習慣がついているわけです。今後のこともあるのですが、総理府立場で、地震関係してこの種の災害があったときには、その被害規模、内容、基準のいかんを問わず、災害救助法適用申請されるならこれに応ずるという姿勢がないと、現在のように基準基準でもってびしっときまっていますと、初めから地方自治体は何も言ってこない。ところが災害救助法適用ということは、単に財政的に地方自治体を潤すだけじゃないのです。たいへん人心を安定せしめ、しかも被害地域住民の側からいうと、何かはんとうに国家にたよったという感じになるわけです。したがって、災害救助法という法律のある限り、わずかに基準にはずれたから、基準に全然合わないからというだけでこの適用、非適用を考えているいまの法律運用というものは私はあやまちだと思う。しかも、あとでお伺いしますが、いまは地震がこれで終わったという状況ではない。北海道東北に関する限りまだまだエネルギーが余っている。少なくともマグニチュード八以上のものが起きるんじゃないかと学者は予想していた。それが七・二、七・三、したがって、蓄積されたものがいつ放出するかわからないという状況で、住民の側では非常に内心不安を感じているわけです。しかも今回の地震に関しては余震が同じ大きさで起きている、数時間たった後に。しかも七回、八回というゆり返しも来ているというような状況で、まだこれでだいじょうぶだという安心感がない。精神的な安心感を与えるためにも、総理府がこの種の問題に関する災害救助法というものを、単に基準だけで従来やってきたそれを墨守しないで、進んで人心安定、ほんとうに政治をたよれるという感じ地域住民に与える意味からも、この災害救助法という法律のある限りは、申請があればこれに応ずるという姿勢が私は必要だと思うのですが、いかがでしょうか。もし責任ある答弁ができないようでしたら、国務大臣としての前田長官からお答えをいただきたい。
  11. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答え申し上げます。ただいま先生のおっしゃっましたように、大災害があった場合に人心を安定するということは非常に必要なことだと考えております。厚生省とわれわれ災害調整をいたす立場でいろいろな会議もいたしておるわけでございますが、厚生省のほうも最近は災害救助法をなるべく弾力的に運用しようという方針でございます。これにつきまして、風水害の問題あるいは地震、その他どんな場合にそういう人心安定的な見地から災害救助法を発動するか、いろいろと運用面があろうかと思いますので、早急に厚生省担当と十分話し合って検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員 くどく申し上げませんが、検討の上、災害救助法というものの住民に与える効用というものを、この種の不安な状態が起きたときに考えていただくことをぜひひとつやっていただきたい。  それから渡辺さんにお答えいただきましたのでお伺いするのですが、いまお話しのような、北海道警察で六月五日に津波予想等を立てながら避難訓練等を行なった。したがって、その前提としては、学者のいうこの地方において地震があるという前提でいろいろ考えたり訓練をされた。一体その話が、警察庁なり北海道警察がアクションを起こす動機となるためには、手続として、新聞なんかで学者意見を聞いたのですか、あるいは見たのですか。正式にどういう機関からこういう危険があるという通知があったからやったのか。お伺いしたいのは、昭和四十五年にたしかここは観測地域指定をされていると思うのです。その観測地域指定をされてからもう三年たつわけですが、三年たつ間に、地震予知という立場からいうなら、マグニチュード七以上のものを予知できると自信をもって予知連絡会萩原先生などがこの問もおっしゃっておりますが、今回七・二ないし七・三、したがって、強震というのですか、とにかく五という大きな地震になったわけですけれども、ごく最近危険があるよという通知が正式な機関からあったのですかどうですか、参考にお伺いしたい。
  13. 渡辺善門

    渡辺説明員 正式に最近あったということは聞いておりませんが、警察庁管区あるいは都道府県段階におきましてそれぞれ警察には災害対策部会がございますので、関係者が寄りまして、その席で学者などの意見をいろいろお伺いして、それに基づいて重点地域指定し、対策検討をし、警備体制を確立するというような形で進めております。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 ここで、気象庁国土地理院からも来ているようですから、地震課長に先にお伺いしますが、今回の地震とつい先ごろ発表になりました南関東大活断層、これとの関係はあると憶測をなさいますか、それともこの関係はない、三つ目にはわからない、そういうどちらかの簡単な……。
  15. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。地震と申しますのは、いまおっしゃいました活断層活動の一形態が地震でございまして、そういう意味では密接な関係がもちろんあるわけでございます。いまおっしゃいました、最近話題になりました関東地方活断層らしきものとの関連でございますが、もし関東地方活断層らしきものがほんとうにそうであったとしても、距離も離れておりますし、今回の根室沖地震とは関係ないと存じます。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 その点についてもう一声お伺いしたいのですが、ないと思います、それがほんとうにないとかあるとかいうのがわかるのはいつごろなのかをお伺いしたい。
  17. 末広重二

    末広説明員 地震は起きた場所にございます断層関係があるわけでございまして、関東地方にあります断層、あるいはあるかもしれない断層根室沖地震とは直接関係ございません。これははっきり申し上げられると思います。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 末広さんだいぶはっきり言っていただいたので安心したのですが、ないと言い切った学者はどうもいないのです。いま課長さんはないとおっしゃるのですが、第一、大活断層であるかどうかも疑問だ、ましてそれと関係があるかどうかわからないというのが、私の聞いた範囲では大かた先生意見なんです。それはたいへん参考になりますし、そうであれば究明のしかたが非常に楽ですから、それでけっこうだと思いますが、そこで、課長御存じだろうと思いますが、例の東大地震研力武先生がこの間参考人として衆議院へ来られたときおっしゃっていたわけです。この人が、要約すると、こんなことを言っているわけです。根室が網走などと比較すると数十年間に数十センチという異常沈下をしており、北海道東部東北の方向に縮んでいることが今日まで観測されてきた、これは御存じだろうと思いますが、根室沖地震マグニチュード程度を予測しており、まだエネルギーは相当残されていると考えたほうがいい、こう言っているのです。この場合、今後地震がまだありそうだという予言ですが、そういう根室沖中心地震というものがまだありそうだというふうに課長さんもお考えかどうか。あるとすれば、マグニチュード八以上のものがあると思っていたのに、七・二ないし七・三程度のものだった場合に、これからあるとすれば、またマグニチュード八以上のものが予想されるということになるのでしょうか。この二点についてひとつ……。
  19. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。いま先生が御引用なさいましたマグニチュード七・二という数字についてでございますが、気象庁津波警報地震発生後二十分以内にしなければならないという義務を負っておるわけでございまして、文字どおり一秒を争って仕事をしなければなりません。この七・二という数字はそのために非常に緊急にきめた地震の柄、大きさでございます。その後われわれはもっと資料を集めまして、正確にほんとうのこの地震規模をきめなければならないわけでございまして、これはいまの予測でございますが、七・二というのはどうも少し数字が小さ過ぎたようでございまして、ほんとう規模はもう少し大きくなるのではないかと予想しております。よしんばこれがたとえば七・五とか七・六になった場合に、それでははたしてエネルギーが全部出切ってしまったのか、まだ残っているかということはたいへんむずかしい問題でございまして、おそらくこの地方の今後の地震活動の推移を見、また国土地理院のなさる地殻変動観測をあわせて、はたして御破算になったものか、あるいはまだ残っているかを十分に検討しなければならないと思っております。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 そのことも先にお伺いしておかないと枝葉にそれますからお伺いしますが、今後その検討をなさる機関はどこなんですか。そうして最終的な結論を出す機関は一体どこだと思えばいいのですか。
  21. 末広重二

    末広説明員 ただいまの日本内外地震活動に関する監視と申しますか情報交換は、御承知の地震予知連絡会でやっておりまして、これが来月早々開かれます。あらゆるデータを集めまして、大学、関係省庁の方々の間で御検討願いまして、今後どういう方法でこの地方地震後の観測上のあと始末をするかということは、この席上で十分に検討され、その方針がきまると存じます。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 およそ地震が起きて、まだあるかもしれないという発表をしておいて、予知連絡会が最終的な判断をするんだと言っておきながら、来月の初めにその会議を持って、いままでのデータを集めて、というのんびりした状態がどうしても気になるのですよ、いつもそうなんですが。少なくともこの種の地震が起きたときに間髪を入れず英知を集めて、まだ残りがあってあぶない、こういうんだったら、それに対する集中的な調査を行ない——時間的に間に合わないといえばそれまでですけれども、来月の初めに予知連絡会を持って、そこでまた相談するんだというような、地震が引き続きあるかもしれないという発表あとの国の態度としてはおよそ納得できないのです。きょう何か連絡会会議があるんだそうですね。で、きょうは根室のことはあまり関係ないんだ、来月初めに根室あとの問題を論議するんだ、こんなことはおよそ住民の輿望にこたえる地震研究者立場ではない。関係機関としてはもっと的確に早急に集中的に、この種の問題があったら、あとまたほかのところに起きるかもしれませんが、やるべきではないかと思うのです。どうですか。
  23. 末広重二

    末広説明員 たいへん御叱正をいただいて恐縮に存ずる次第でございますが、大きな地震が起きたあと、何と申しますか、またすぐ大きな地震が続発するか、それとも一応おさまるかということは、余震活動監視で一応の目安が立つわけでございまして、これは地震発生後すぐ気象庁の特別な地震計の倍率を上げるといったようなことでいま観測をしておりまして、いままで得た状況では、余震の減りぐあいは順調なようでございます。たとえば根室で確かに同じような震度の地震が起きましたが、これは余震は必ずしも本震と同じ場所に起こるわけではないわけでございまして、地震の柄が小さくても、陸地に近づきますと根室は同じようにゆれることもあり得ると思いますが、余震の減りぐあいは順調でございますので、その点では一応の安心というか、普通の大地震あとの経過をたどっていると思っております。  この予知連絡会の開催につきましては、事務局のございます国土地理院の方にお答えいただきたいと思います。
  24. 檀原毅

    檀原説明員 ただいま末広地震課長から、地殻余震のことについてお話がありましたが、地震予知連絡会といたしましては、来月第二十回を開く、これは定例でございますが、そこまで何もしないということではございませんで、いろいろそのときの検討資料、そういったものを集めております。たとえば私たちのところで申しますと、先ほど力武先生お話がございましたが、あそこが六十年間ずっと沈下を続けている、それから内陸のほうに引っ込んで、一応そういうことを急遽はかりまして、それが回復していれば、ある程度今後の地震について目安がつく。ですから、そういったことをやって、まず水準測量をやりまして、連絡会にはさしあたって暫定的な資料が出る予定でやっております。そのほかいろいろな資料を集めまして連絡会で正式に検討する予定であります。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 では、ついでに檀原さんに先にお伺いしますが、いまのところある程度わかりました。しかし不満足です。まだくふうをすればもっと早急に集中的に検討する方法があるだろう、また、しなければいけないと思っていますが、それをいま論ずる時間はありません。ここでお伺いしたいのは、四月二十六日に、御存じだろうと思いますが、萩原さんもおいでいただいて、参考人招致委員会が開かれたわけです。その委員会の席上で、先ほど申し上げたように、七以上のものは予知ができる段階に参りました、こう言っていましたが、今度は、いまお話を聞くと七・二よりももっと大きかったのじゃないか、五か六かもしれない、こういうお話ですが、であればあるほどに、予知連絡会としてはこの根室沖の十七日の地震に関して何らかの予知に類する情報の的確な提供その他をおやりになったかどうか。
  26. 檀原毅

    檀原説明員 お答え申し上げます。私もこの前萩原先生参考人としてお話しされたのを拝聴しておりましたが、先生がおっしゃったのは、いま七以上とおっしゃったのじゃなくて、これから第三次長期計画が始まりまして、そこでこまかな網を張りめぐらす、そういった暁には七までいくであろうということをお話しされたと思います。それでさしあたって、かなり八に近いような地震でないといまつかまらない、あるいは小さな六ぐらいの地震ですと偶然つかまるというような大きな網でございますけれども、これはそうも言っておられませんので、いろいろ検討はしております。で、今回の根室沖地震でございますが、これは何しろ陸地から五十キロくらい離れておりまして、この震央もそのうち正確になると思いますが、あそこで七・二程度ですと、円にしまして半径二十五キロくらいの範囲内、それが地殻変動とかいったものに響いてくると思います。したがって、今回のは、まあいろいろ地殻変動その他手を尽くしていたのでありますが、前兆らしきものが見つからなかった。したがって、特別に警告あるいは発表というものはなかったわけでありますが、これはすでに三年前に特定地域指定しておりますので、その意味では、ある程度地元の方の準備はできていたのではないかと思われます。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 四十五年に特定地域指定したから住民準備できていたろうなんて、住民はそれほどこの種の問題に詳細な勉強をさせられていないわけですから、それほど住民をたよられてはいけないと私は思うのです。ですが、いまおっしゃったように、第三次の計画以後、これから数年たたないとまだまだ七以上のものも的確には予知できない、なるほど萩原先生たちはそう言ったのかもしれませんね。私の記憶違いかもしれませんが、ことほどさようにわが国の、あるいは世界的にもそうでしょうが、地震予知というのはむずかしいようです。しかし、かといって放任できるわけの問題ではない。したがって、もっと急速に予知のできるような国家的な施設なり人員の集合なり、そういう体制を整える必要があるだろうと思いますが、これはまあ別途の問題で、この間も大臣にお話ししたのですが、これからまた大臣を中心に考えていただくようにします。そこで、いまの力武教授なんですが、この方は、たとえば根室沖あるいは遠州灘に大地震が起こるかもしれない、そのおそれがあるということを前からもだいぶ力説をされ、この間衆議院に来られたときにも、それに類した、北海道の東部、根室あるいは釧路付近はどうも危険がかなりあります、あなたもおいでになったのならお聞きになったと思いますが、そういう話がありました。あるいはまたこういう地域では重点的に早く災害対策を立てなければいけないのだ、これが前提お話しになっておられると思いますが、そういうようなことまで言われている。地震の多発地域とされる北海道と三陸地域の海底中の、根室沖だけがまだ明治二十七年か何かから大きな地震がない、九十九年空白の状態になっているからどうも近くあぶないぞ、こういうようなことまでおっしゃっておいでになるわけです。私は、この力武先生のお説が力武先生個人の立場発表されてきたのか、こういうことが地震予知連絡会でぴちっと討議されて、なるほどそうだとかそうではないとか、ここに疑問があるのだとかという討議がされていたののか。地震予知連絡会というものが、この力武先生の研究した成果なのか学説か意見か知りませんが、こういうものが出たときに、これをもとに地震予知連絡会はまともに討議して、やはりこの先生のおっしゃるように地震予知連絡会としては結論をちゃんと出しておいでになったのか、全然そういう機関で討議をしないで力武先生のお説が今回たまたま当たったのか。当たったというと語弊があるかもしれませんが、ぴたりと当たったような気がするのですが、とにもかくにもたいへん貴重な意見だと思います。いまお聞きしますと、七以上のものもなかなか数年後でなければ的確に予知はできない、確かにそうでしょう。そういう状況の中で、力武先生は、先生個人にお伺いするわけじゃないからわかりませんが、何らかの根拠を得て、数回というか、機会あるごとに警告を発せられるような発言をされてまいりました。これと地震予知連絡会との関係はどうなのか。連絡会ととしこのことを討議されて、それに対してイエス、ノーはないでしょうが、何か疑義があったりなかったり、いや、結論としては同じだということになったのか、この点をひとつお伺いします。
  28. 檀原毅

    檀原説明員 お答え申し上げます。力武先生の御見解というものは、これはまあその限界がたいへんむずかしいのでございますけれども、連絡会ではなま情報がおもに集められ、交換されます。それで、その解釈というのがまたいろいろあるのでございますが、そういったなま情報、たとえば北海道あるいは御前崎付近、そういったところで地面が長い間沈下していたとか、あるいは内陸のほうに押し込められていたとか、そういったデータをどういうふうに解釈するかということになりますと、これは学者の個々の見解が入ってくるのはやむを得ないと思います。力武先生お話は、プレートがもぐり込んでいく、それの理論をある程度いれておりまして、ある程度というのは、もぐり始めのときにこちらのほうで小さな地震があった、そういうものが起きてから何年後にこちらに来るというような、そういった先生独自の見解が入ってきておりますので、それを連絡会の統一見解として採用しているわけではございません。力武先生もしょっちゅうおっしゃるのですけれども、連絡会は学術学会ではないということでありまして、ある程度なまの資料をフリーに交換して、解釈は皆さん御自由にやっていただく。それで解釈も、重要な問題、たとえば地震予知とか、そういった問題につながる場合には、これは連絡会としてはやはり統一見解を出さなければいけないと思っております。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 実態はそうだろうというふうにわかるわけですけれども、これも改めなければいけないと思うのです。  先ほど杉岡さんのお話だったと思いますが、最終的には地震予知連絡会発表するのだ、そう言われると、何か地震に関する限り国家の最高の機関のように思う地震予知連絡会、しかもこれは意見の交換の場所なんだ、何かを決定する場所ではないんだ、端的に言うとそういう仲よしクラブみたいな感じを与えるような答弁がおありになる。どうも、もうちょっとツーカーで、ぴんと地震に関する限りは地震予知連絡会が国家的な非常に権威のある機関なんだ、一元的に統一された機関なんだ、まあこれはまたあとの問題ですが、こういうことにどうしてもならなければいけないということを痛感するわけです。  そこでもう一歩進んで力武先生のお説を中心にお伺いするのですが、根室沖地震に関する限りは、何か先生発表されたことがある程度的中したというような感じをしろうととしては受けます。その先生が、遠州灘に関しては、安政元年ですか、以来ずっと今日までない、したがってある意味では根室以上に心配しているのだ、危険だと思うのだ、こう言っているのですが、この遠州灘は、まあ根室と遠州灘とを比べてどっちがどうのという言い方ではないのですが、新幹線あるいは浜岡原子力発電所にしろ、ほんとうに七以上、八以上の地震があそこで起きようものなら、これはたいへん。十分対策はしているといっても、まだまだ学問上からも研究上からも未知の問題をかかえている原子力発電のごとき大きなものの存在という意味では、遠州灘に大きな地震が起きるということになりますと、浜岡の問題などもたいへん心配されますし、あるいは新幹線等も大混乱を起こすというようなことを考えると、根室に負けずに心配だと言われるが、遠州灘付近における今後の予知的な立場で、やはり力武先生と同じように心配だとお考えになっているのかどうか。先ほど言われたように、いや、その心配はありません、断層との問題ではっきり末広さんのおっしゃったようなことになるのか、この点をひとついま予知絡連会の立場でお答え願いたい。
  30. 檀原毅

    檀原説明員 お答えいたします。遠州灘は、いま先生がおっしゃるように、私たちもそういった過去の地震の歴史、それから最近の地殻活動、そういったものから、あそこはかなり重要視しておりまして、したがって、あそこは特定観測地域指定してはありますけれども、事実上はかなり観測強化地域に近い観測体制をしきつつあります。  それで、地震予知ということは、やはり場所と大きさと位置と三拍子そろわないといけないわけでありまして、その場所というのは大まかに言いますと、あの程度の広さということはわかりますが、どのくらいの大きさで、それがいつ起こるのか、これが非常にむずかしいわけであります。そういった点で非常に未知の分野がございますので、その点は十分お察しくださると御了解いただけると思うのでありますが、私たちも一生懸命にやっておりますけれども、直ちにその答えが出るというわけには現在はまいっておりません。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 いまお聞きのとおりなんですが、渡辺さん、警察庁立場で、やはりこれもないとは断定できないし、相当危険だという前提観測を続けているというのですが、先ほど、北海道警察との話し合いなどで事前の準備がだいぶできていたようですが、いま私が申し上げたような、遠州灘中心で七・五、八などというような大きな地震が相当危険があるといったときに、その防災、避難というような体制に関してはもちろん、そのほかのいろいろな問題もありますけれども、いまからもう準備をされているのでしょうか。特に地方自治体との打ち合わせ等が非常に必要になりますし、そういう面で、一体そういう立場でもお考えになっているかどうか、あわせて両者ともお伺いする。
  32. 渡辺善門

    渡辺説明員 お答えいたします。遠州灘の地域につきましても、警察庁といたしまして、先ほどの根室沖の場合と同じように、過去のデータとか、あるいは関係省庁地方自治体、それから学者先生方というような方の御意見を聞きまして指定しておりまして、特別重点を置きまして関係機関と協力して諸対策を進めているという状況にございます。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、ついでにお伺いするのですが、いま問題になっている建設中の浜岡の原発の地震対策なんかもやはり論議の対象になっていますか。そういうことも話し合う対象にしていますか。
  34. 渡辺善門

    渡辺説明員 お答えいたします。浜岡の原子力発電の問題につきましては、私は具体的に詳細には聞いておりません。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 遠州灘の地震というものを考えたときには、いろいろなものを考える中の一つに、やはり原発というものを考える必要がありますから、これはもっと具体的に科学技術庁とも打ち合わせながら対策を考えておかないと、現在ではこれでいいという状況にまだなっていない。したがって、建設するほうはだいじょうぶだとおっしゃっているのですが、なかなか問題がまだありますので、そういう点ではまだ十分な調査もできていない。いろいろな条件がありますから、ひとつそれも配慮して打ち合わせをしておく必要があるだろう、こう思います。  そこで、これも予知連絡会へお伺したほうがいいのか、気象庁からお答えいただいたほうがいいのかもしれませんが、過去にM七以上の地震があって、その後百年近く空白状態になっているというのはまだほかにもあるのです。当時の地震状況を調べてみると、まだまだエネルギーが完全に放出されていない状況のままに今日に至っておるということになると、どうも周期的に相当の危険があるのじゃないかという地域に、青森、秋田の県境がある。それから琵琶湖周辺がある。それから長野県北部、新潟県南西部がある。四つ目に島根県の東部がある。五つ目に、安芸灘と伊予灘がある。こういう定説になっているわけでありますが、一体、いまここも予知連絡会等で検討しているのでしょうか。やはり周期的に見て、あるいは当時の地震規模から見て、蓄積されたエネルギーの放出される状態からの地震というものが危険だというふうに予想される地域だとお思いになっているのか、どんな検討をしているのかをこの五カ所についてお伺いする。
  36. 檀原毅

    檀原説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘いただきました五つの個所でございますが、これはすでにいずれも特定観測地域になっておりまして、そこで観測の期間を縮めるとか、あるいは網をこまかにするとか、あるいは別系統の観測手段を入れるとか、いろいろ手を尽くしてはかっております。これを指定したときには、いま先生もおっしゃいましたように、過去に大きな地震があって最近長い間起こっていないというような、ある程度統計的な考え方が入っているのでありますが、私たちの現在の連絡会で考えております予知手段というものは、機械でいろいろなものをはかって、計測と申しておりますが、そういう計測でつかまった前兆をもって地震予知に結びつけよう、たとえば地殻変動がどういうふうに変わっていくとか、地震活動がどういうふうに変わるとか、そういった面でいろいろ検討を加えております。こういう点、現在はまだ総合的にこの場所地震が近づいたとかあるいは数年以内と言えるようなところがいまのところございませんので、ある程度変動らしいものが見つかっているところもございますが、そういうところはまた期間を縮めるとか、そういうことをしまして、その異常が本物であるかどうか、そういったことを確かめているというのが現況でございます。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 ついでにその変動らしいものが見つかっているという、その変動の内容と場所をちょっと言ってみてください。
  38. 檀原毅

    檀原説明員 現在南関東の例で申し上げますと、地殻変動のうち上下変動で一つ異常が見つかると、その異常が地震につながるかどうかはまだわからないということで、水平変動とかいろいろな手を尽くして、地震につながるかどうかということを確かめるわけでございます。それで、現在らしいと申し上げましたのは、水準測量の上下変動で多少その異常性らしいものが出ている、これは滋賀県でございます。これは前回の地震予知連絡会検討されまして、新聞、報道関係にもお話はしてあります。ただし、その一種類でございますから、これに水平変動の観測を加えまして、ひずみがどのくらいたまっているかとか、そういったことは今後検討しなければならないということでございます。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 これは大臣に最後に申し上げるのですが、いまお話を聞いたように、それから前からも申し上げているように、何といってもこの種の問題が起こったら集中的に国家の総力をあげていく、それでなくとも日本全体が危険と申しますか、始終ゆれているような状態なんですから、わが国で地震に関する限りはやはり統一的な力ある機関というものがなければいけないと思うのです。そういうものを早急に、前からお話ししているように、つくることを、大臣としては前に努力はするとおっしゃっていましたが、その後どうでしょう、それが少しでも進展するようになっているでしょうか。たとえばですが、これはほかの総理府でお答えになるのか、ここ数年の地震に関する予算というもの全体を年別に調べてみました。こんなものは非常に微増ですよ。それで来年はそういう一挙には統一された機関はできないまでも、地震に関しては国家的にもう少し思い切った予算づけを行なって、もっと活発な活動のできるようにしたいというような考え方が、まだ来年度の予算編成の時期じゃないからといえばそれまでですが、決意としてはもっと大きな予算づけというものを、少なくとも申請が三十億あったものを十億にばっさり削るなんて、三十億全部認めたって、まだ学者中心のこの種の要求というのは非常に内輪過ぎて、私どもから見るとこれでいいのだろうかと思うような要求しかしていないわけですから、要求全部を認めるようなことがあってしかるべきだと思うので、そういうことも一歩一歩前進するためには、大臣なら大臣が中心で、決意をして、閣議でやはりそういう思想をつくってもらわないとだめだと思うのですが、その点を二つに分けて、決意を一ぺんお伺いしたい。
  40. 前田佳都男

    ○前田国務大臣 地震予知並びに地震予知に対する体制の拡充の問題につきましては、先般の四月の科学技術特別委員会の公聴会の席上におきましても、原先生からたいへん熱意をこめて御指摘をいただきましたことを、私よく覚えております。そうして私はその翌日にも運輸大臣並びに建設大臣、総理府総務長官にも委員会、公聴会の様子、原先生の御意見というものをよくお伝えをいたしました。いろいろそういうことの御報告は省略をいたしますけれども、とにかくこの地震予知についての一元的な体制を考えるということは、先生の御指摘のとおりこれは必要じゃないかという考えのもとに、私いろいろな関係の向きにも話はいたしておりますが、正確に地震予知を行なうというためには、先生御承知のとおり地殻の変動の精密な観測データ、それから地震観測データ、この二つのデータを集積することが必要であると思うのです。この集積につきましては、前者につきましては国土地理院中心になってやるわけでございます。また後者につきましては気象庁及び大学等においてやるわけでございます。現段階では各省庁でこれらの整備をとにかく拡充していくことが必要であるということに考えております。そうしてこれらの機関によって得られましたデータを常時総合的に判断する体制の必要、これが一元化の問題でございますが、その必要性につきましては、目下測地学審議会という審議会がございますが、この測地学審議会におきましてその体制についても審議せられておる段階でございまして、この審議というものの検討の結果も見て、私はこの一元化についての結論を出したいというふうに考えているわけでございます。  なお、この予算の点でございますが、別に来年度予算をどうしよう、どういうテーマについてはどれだけというふうな段取りを実はまだいたしておりません。しかし、けさも私運輸大臣並びに関係閣僚と、実はこの問題は特に閣議の議題にはなっておりませんでしたけれども、私は実はこれは相当予算的にも拡充すべきじゃないかということを話をいたしまして、関係閣僚も全く同意を表されておるということを御報告申し上げたいと思います。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がありませんので、あと別の委員会被曝線量の問題を取り上げさせてもらいたいと思います。局長、来てもらって申しわけなかったのですが……。  そこで最後に、地震に関して私の考えていることを一言だけ申し上げたいのですが、何といっても、何億年という長い時間をかけて地殻がわずかに変動をする、それをとらえながら地震予知なり防災対策をとにかくやってくれとわれわれは要求している。その立場から言うと、わが国の地震に関する勉強の度合いなり予知への努力の内容なりは、私はたいへん評価していいのだろうと思うのです。決してだめだとか未熟だとか言えないのじゃないか。そんなことをおこがましく言っているのじゃなくて、心底から地球全体のごくわずかがすごい長い年月かかって移動する、そういうものに関するメスを入れながら、この小さな日本の部分に関する地震というものを取り上げていくという点では、たいへんじみちな、しかも根気の要るむずかしい仕事をよくここまでやってこられたという意味では、予知連絡会先生方にしても何にしても、私は全部は知りませんが、国際的ないろいろな先生方の説を見たり聞いたり実績を調べてみても、日本というものはやはりたいしたものだという感じを実は少なからず持っています。したがって、私がいつも地震のことを言うのは、激励する意味ですから、もっと早くしろうとの私たちがこうあってほしいということに答える方法を、国の立場で真剣にやろうと思えば、まだあれもこれもやることがある。学者先生にまかせっきりじゃないでしょうけれども、やはり先生中心のこの種のじみちな、たいへんよくやってきたその勉強の成果を、もっと効果的に国の立場住民のために利用できるようにするためにも、もうちょっと国家全体が力を入れて、政治の面における大臣方を中心の考え方がもっと改まっていくなら、もっともっと成果があがるだろうという期待から、いつでも激励の意味でものを申し上げているわけです。時間がありませんから、ほんとうにすっ飛ばしてものを言ったのですが、地震に関する限りはまたこれからもお願いをするつもりですが、どうか激励をする意味だということを間違えずに、ひとつ国の立場で力を集中していく、効果的に地震予知と防災ができるということを真剣に考えていく、いままでもやったでしょうが、まだわれわれの側から言うともの足りない、こういう意味ですから、その点を御理解おきをいただきたい。  では、これで終わります。
  42. 森下元晴

    森下委員長代理 庄司幸助君。
  43. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は原子力発電所の問題、特に環境に対する影響の問題、その中でもとりわけ温排水の問題についてお伺いしたいと思うわけです。  最初にお伺いしたいのは、原子力発電所建設の非常に膨大な計画があると思うのですが、念のため現在運転中のもの、それから認可されて建設中のもの、それから申請を受けて目下審査中のもの、四番目には各電力が目下計画中のもの、これについてそれぞれ何カ所、それから何基、総発電量が幾らなのか、これをひとつお知らせ願いたいと思うのです。
  44. 成田壽治

    ○成田政府委員 現在運転中の原子力発電所は五基ございまして、出力合計で百八十二万三千キロワットでございます。  それから建設中、これは政府の認可をもらいまして電力会社が発電所の建設をやっておりますのが十七基ありまして、出力合計で千三百六十五万キロワットでございます。  それから現在電力会社から申請がありまして、政府において安全審査等審査中のものが、東京電力の福島第二の第一号炉百十万キロワット、これが原子力委員会の安全審査会で安全審査中であります。  それから、将来の計画としましては、これは各社いろいろ計画を持っておるようでありますが、まだ電調審にもかかっておらない状態で、政府としての計画にはまだあがっておらないのであります。  それで、政府の計画としましては、これはマクロ的な計画でございますが、去年の六月、原子力委員会が原子力開発利用長期計画をつくった際の見通しでございますが、昭和五十五年度が三千二百万キロワット、昭和六十年度が六千万キロワット、これはマクロ的な見通しでございまして、これがどの地点に何基入るかという具体化にはまだ至っておらない原子力委員会の長期見通しでございます。
  45. 庄司幸助

    ○庄司委員 重ねてお伺いいたしますが、原子力開発利用長期計画で、いま昭和六十年度までは申されましたが、昭和六十五年度一億キロワット、それから七十五年度二億二千万キロワット、こういうふうに伺っておりますが、この点どうなんですか。
  46. 成田壽治

    ○成田政府委員 昨年つくりました原子力委員会の長期計画におきましては、昭和六十年度六千万キロワット、昭和六十五年度原子力発電が一億キロワットという見通しを持っておりますが、昭和七十年度以降につきましては、これは政府の見通しはないのでありまして、いろいろなエネルギー関係の団体とかあるいは業界等の計画としてはいろいろ出ておりますけれども、原子力委員会並びに政府としては、六十年度六千万、六十五年度一億キロワット、この二つでございます。
  47. 庄司幸助

    ○庄司委員 それじゃ七十五年度の分についてはさておくとして、これからの原子力発電所が出す温排水、この総量は一秒間単位で、五十五年度、六十年度、六十五年度それぞれどれくらいになりますか。これをお答え願います。
  48. 成田壽治

    ○成田政府委員 トータルでこれは計算しないといけませんのですが、大体現在の原子力発電の場合は、百万キロワットで一秒間で六十トン、百万キロの規模で一秒間六十トンということであります。これが六千万キロワットあるいは一億キロワット、掛け算をやりますと出てまいるのでありますが、これは現在熱効率がかなり悪いので、温排水がかなり多く出ているということで今後の向上によってまた少なくなると思います。
  49. 庄司幸助

    ○庄司委員 私、計算機を持っておりませんので、三千二百万キロワットで幾ら、六千万キロワットで幾ら、一億で幾ら、これをお答え願います。
  50. 成田壽治

    ○成田政府委員 昭和六十年度の六千万キロの場合はセコンド当たり三千六百トン、六十五年度の一億キロワットの場合は六千トンという、これは機械的な計算でございますが、そうなります。
  51. 庄司幸助

    ○庄司委員 これはわかり切っていることですが、念のために伺っておきますが、これらの原子力発電所の設置個所、これは全部海岸ですね。
  52. 成田壽治

    ○成田政府委員 アメリカやドイツ、ヨーロッパ等においては、河川に沿う原子力発電所が非常に多数あるのでありますが、日本におきましては、いままでのところ、全部海岸でございます。
  53. 庄司幸助

    ○庄司委員 そこで、一つ私指摘しておきたいのは、昨年の六月一日に原子力委員会が出された原子力開発利用長期計画、この八一ページにこういうことが書いてあります。「今後予測される原子力発電規模の増大や使用済燃料の再処理工場の建設等原子力開発利用の進展に伴い、放射性廃棄物が大量に発生する見とおしであり、これに伴い環境に放出される放射性物質の量が増大することも予想される。」これは放射性物質の問題でありますが、「また、原子力発電規模の増大に伴い放出される温排水が周辺海域に与えるかもしれない影響が問題となることも考えられる。とくに、国土が狭隘で、人口密度が高く、海洋資源への依存度の大きいわが国の自然的、社会的諸条件を考慮すると、」云々とありまして、「それ相応に入念な環境保全への諸対策が強く要請されるところである。」そのページの一番下のほうに「温排水の影響に対して適切に対処するなど、環境保全に対する社会的要請に十分応ずることが必要である。」こういうふうに述べられております。  さらに八八ページを見ますと、原子力発電が使用する冷却水量が多い、沿岸漁業に非常に甚大な影響を及ぼす、そういうことを述べたあと、「しかし温排水に関する知見は十分でないので、これに関する調査研究を積極的にすすめる必要がある。」さらに「生態系について事前に十分な調査研究をすすめる」あるいは「魚類の再生産や漁場の形成に悪影響を及ぼさないよう十分なる配慮が施されなければならない。」こういうふうに原子力委員会では述べております。  そこでお伺いしたいのは、こういった必要性をお認めになって公表されたわけですから、温排水の拡散とか、あるいは漁業に及ぼす影響であるとか、あるいは海底動植物に対する影響であるとか、そういったものについての調査あるいは研究の現状はどうなのか。それから、御調査になっていらっしゃるのだろうと思いますから、そこからどういう点が問題点として出てきているのか。この点、ひとつ各省庁にお伺いしたいと思うのです。まず水質を規制される環境庁のほう——まだ来ておりませんか。それでは御当主の原子力委員会ですね、一番言い出したわけですから、原子力委員会としてどうなのか、これをひとつお知らせ願いたいと思うのです。
  54. 成田壽治

    ○成田政府委員 環境庁の方が参ると、詳しく御説明があると思いますが、いま温排水関係予算は、四十八年度予算において大体九千万くらいついて、各省にわたっていろいろな研究をやっておるわけでございます。たとえば拡散の方式がどうなるかとか、あるいは生物、魚などに及ぼす影響がどうであるかとか、あるいは温排水の利用の方法について、どういう効果があって、どういう問題があるかというような、いろいろ各方面に分かれて、科学技術庁、環境庁、通産省あるいは水産庁と分かれてやっております。科学技術庁関係としましては、四十八年度八千八百万のうちで大体四千二百万くらいを科学技術庁の原子力予算で取ってまいりまして、これは一つは水産庁に、原子力施設の排水の分布、拡散の状況調査を百六十万程度予算でございますが、やってもらっております。それから水産資源保護協会という財団法人がありますが、ここに委託しまして、温排水の利用の研究、これは四年か五年にわたって東海に大きな水槽をつくって、原子力発電所から出てまいりますところの温排水によっていろいろな魚を飼い、その影響等を見ている状態でございますが、水産資源保護協会による温排水の利用のこれに毎年四千万ほど出しておるのでございます。いろいろ分布、拡散の問題、それから温排水を利用して魚等を飼ってどういう影響があるかということを現在調査中でございます。
  55. 庄司幸助

    ○庄司委員 温排水の分布、拡散を百六十万円の予算でおやりになっている。あと四千二百万円のうちの大部分は、温排水の利用ということで、アワビだとかホタテであるとか、一定の温排水だけで飼育するということに四千万円も金をかけておりますが、肝心の大部分を占めている漁場に対する影響についての分布、拡散の調査がたった百六十万円だ。これじゃ私は話にならないのじゃないかと思うのですよ。この百六十万円で何をおやりになっているのですか。分布、拡散の調査のどういう点をおやりになっているのですか。
  56. 成田壽治

    ○成田政府委員 百六十万は科学技術庁関係予算だけでありまして、これは特定の地域を考えまして影響調査をやっておるのでございます。このほか残りの五千万程度は全部基準をつくるための環境庁の基礎調査、拡散関係予算でありまして、むしろそっちのほうが非常に膨大な予算だと思います。環境庁の方が見えておりますので、そちらから……。
  57. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、環境庁の方お見えになっておりますので伺います。いまお見えになったのでわからないと思いますから、この排水問題についての調査研究、この現状、それから調査研究の結果出てきたいまの原子力発電所の問題点、これをお調べになっているのならひとつお願いしたいのです。
  58. 太田耕二

    ○太田説明員 ただいまの御質問でございますが、環境庁といたしましては、通産省、水産庁、科学技術庁連絡をとりまして、実は四十六年度から調査研究をやっているわけでございます。  四十六年度は二百五十万の予算で、これは水産資源保護協会に委託したのですが、東京電力の姉崎火力発電所におきます温排水の拡散調査、それから昨年度、四十七年度でございますが、これは環境庁といたしましては、関西電力の美浜、東電の姉崎、関西電力の高砂、これはまたおのおの航空写真なものですから、しかるべきところに依頼いたしまして、八百五十三万円でございますが、赤外線航空写真による温排水の表面拡散調査、それからこれも環境庁の予算でございますが、三百八十万で都道府県にいま調査依頼をいたしまして、排出事業場の実態調査をやったわけでございます。四十六、四十七年度、特に四十七年度の赤外線航空写真による温排水の拡散調査関係につきましては、一応の資料が出ておるわけでございますが、都道府県の排出事業場の実態調査につきましては、まだ最終的にまとまっておりませんので、まとまり次第また御必要に応じて御報告さしていただきたいと思います。  四十七年度につきましては、ただいま申し上げました環境庁のほかに通産省、水産庁、科学技術庁——科学技術庁関係科学技術庁のほうからいろいろ御報告があったと思いますが、通産省のほうでも調査船による温排水の立体拡散調査に八百三十八万円かけております。それから水産庁はここにお見えになるようでありますけれども、水産庁も生物に対する影響調査を四十七年度に調査しているわけでございます。  四十八年度、本年度も、実はこれら各省と連絡をとりまして、私ども承知しておりますのは、各省庁合わせて八千七百万円の予算でもって、シミュレーションによる温排水の拡散理論解析、それから水理模型による拡散実験等、各省各省その持ち分に応じていろいろ調査することといたしておるわけでございます。  それで、先生の第二の質問の調査結果の関係でございますが、私ども昭和四十七年度にやりました調査結果によりまして東京電力の姉崎、関西電力の美浜、高砂、そういったところの航空写真をとったというふうに申し上げましたが、それによりまして拡散面積並びに温度差、そういったものが一応把握できたわけでございます。環境庁といたしましては、それらの拡散状況並びに現在水産庁のほうで継続的にやっております魚介類に対する影響の結果を踏まえまして、どれだけ影響があるかということでもって、その研究の成果の状況を見ながら温排水の拡散の基準をきめるべく、目下検討中なわけであります。
  59. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは四十七年一月の環境庁の文書ですが、「温排水の現状と問題点」というのがございますね。これによりますと、たとえば「海産魚は〇・一度の識別能力があり、一定水域の魚種の変化、回遊魚の回遊路の変更による漁場の消滅又は移動、卵や稚魚の孵化率低下による漁獲高の減少が予想される」こういうのが一つあります。それからもう一つは、ノリの問題について非常に影響がある、こういう御報告を私、手に持っておりますが、こういう非常に大きな問題がありながら、いまの御答弁を聞きますと、環境庁としてはせいぜい航空写真ですね。この航空写真の結論もまだ出てないようです。しかもこの航空写真の問題点をいいますと、これは赤外線写真ですから、比較的表層にある海水の温度による熱量の変化、これはとらえるだろうと思うのですが、少し深いところへ行くと温度の変化なんかはつかめない問題点があるのじゃないか。深いところへは行かないのだなんて一方的にきめつけた理論もあるようですが、そんなこともないという理論もあるのですよ。だからそういう点で、原子力発電所がどんどん設置される、あるいは建設中である、しかも将来膨大な計画もあるという中で、この分野の研究というのは非常におくれていると私は思うのですよ。  そこで水産庁に伺いますが、水産庁はこういう委託調査費や何かを受けてどういう調査をなさり、その結果漁業に対してどういう影響があるか、これについての調査結論なりあるいは中間報告なり、これは出ておりますか。
  60. 太田耕二

    ○太田説明員 ただいま先生お話で、環境庁のやっておりますのは赤外線航空写真でございますから、表面だけの調査では実際問題として不適当ではなかろうかというふうな御趣旨の御質問がございましたが、環境庁では、実は赤外線で写真をとりまして、表面だけでございます。これはおっしゃるとおりでございます。そこで通産省のほうで一方、調査船を出しまして、立体的に、温度の影響のある深さまでの調査をやっておるわけでございまして、環境庁といたしましては、そういった表面の広がりを航空写真で瞬間的と申しますか、とらえるやり方と、通産省のほうで調査船を出しまして実際の深いところまで調べるやり方と、それから、これから御質問になられるかと思いますが、水産庁のほうでの魚介に対する影響、これらを実は踏まえまして基準をつくろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  61. 松下友成

    ○松下説明員 水産庁の行なっております温排水の漁業への影響調査でございますが、大きく分けまして、一番目といたしまして温排水の生物に与える影響の調査でございますが、これは四十七年度には東海区水産研究所が中心となりまして、これに日本海区水産研究所、福井県水産試験場の協力を得まして、主として浦底湾、美浜湾を中心といたしまして、潮間帯生物におきます卵、稚仔、プランクトン、底棲動物などの分布と、その変化、それから卵、稚仔、プランクトンの温排水に伴う減耗の影響、そういった点につきまして調査を進めてまいったわけでございます。予算額は約三百二十万でございます。  昭和四十八年度は、四十七年度の計画を引き続き実施いたしますとともに、新たに三重県の尾鷲、これは原子力発電ではございませんで火力でございますが、これの温排水の影響の調査をさらに加えまして、主として魚介類、海藻類が温度の変化によってどのような影響を受けるかという問題と、温度の変化が卵、稚仔、プランクトン等に与える影響につきまして実験的に検討を実施したいといことでございまして、この調査には、先ほど申し上げました東海区水産研究所、日本海区水産研究所がそれから福井県の水産試験場のほかに三重県の水産試験場、それから下関にございます水産大学校等の協力をいただいております。予算額は約九百六十万円でございます。  それから第二の問題といたしまして原子力施設の温排水の分布、拡散に関します研究でございますが、この点につきましては、敦賀の浦底湾におきます加入海水量、それから温排水の沖合いへの広がりにつきまして、拡散機構、特に熱収支についての検討を行なう予定にしておりまして、四十八年度約百五十万でございまして、これは主として東海区水産研究所が実施する予定になっております。  それで調査の結果でございますけれども、温排水の水産生物に与える影響と申しますと、非常に複雑でございまして、地域の条件、またそこに棲息しております生物の種類によって非常に変化がございますので、なかなか簡単に結論が出しにくいというような状況でございます。今後さらに関係省庁とも協力をしながら調査を促進してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  62. 庄司幸助

    ○庄司委員 簡単に結論が出ないということですね。  それで、科学技術庁の特に原子力委員会関係にお伺いしたいのですが、昨年の二月、環境安全専門部会が設立されて分科会がそれぞれ持たれたようですが、その中で温排水分科会あるいは環境放射能分科会、こういった分科会が持たれておるようですが、この分科会の結論なりあるいは中間報告、これは出ておりますか。
  63. 成田壽治

    ○成田政府委員 原子力委員会の下に環境安全専門部会をつくりまして、その中に温排水分科会という分科会をつくって、いろいろ温排水の問題を検討してまいっております。考え方としましては、原子力発電に伴う温排水問題、これは環境問題として非常に重要な問題であるので、この問題と十分取り組んでいくべきである。そしてアメリカ等と違いまして、日本では熱公害といいますか温排水の排出の基準というのがまだできておりませんので、この基準を早くつくるための事前のいろいろな調査をやる必要がある。たとえば先ほど御説明ありましたような拡散の理論とか、あるいは生物、水産物に対する影響とか、環境一般に対する影響、いろんな問題、そういう一般的な調査項目についての検討、それから今度個々の発電所の申請がある場合にはどういう具体的な調査項目をとるべきであるかというような検討も行なって、まだ最終的な答申、結論に至っておりませんが、中間報告書的なものは出しております。これは通産省等にもいろいろ見てもらって、今後個々の発電所の場合のいろんな温排水等の環境報告、環境関連の資料等はこういう形での調査項目が必要であるというような点について中間報告的に出しております。
  64. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、原子力発電所が膨大な計画を持ち、現在でも操業中のものが相当ある、建設中のものも相当ある。そういう中で実際審査が行なわれ、認可されつつあるわけですが、この場合、環境の安全についての、安全だとか安全でないとか、漁業に対して影響があるとかないとか、そういうものを結論を出す機関は一体どこなんですか。科学技術庁関係なのか、水産庁なのか、通産省なのか、その点どうなんですか。
  65. 成田壽治

    ○成田政府委員 原子力発電所の申請審査につきましては、原子力委員会なり科学技術庁は、原子炉の安全という見地から、安全審査会をつくって、そこでいろいろ検討をやっておるわけであります。それで、ただ原子炉が安全であるだけの問題じゃなくて、これは関係の府県とか地元の了解、地元の考えがどうであるかという問題も十分参酌しまして、そうして原子力委員会としての結論を出しておりますが、その際、温排水等の環境問題、これも地元にとっては重要な問題でありますが、先ほど言いましたように、日本ではまだ排出の基準、温度の基準というのができておりませんので、原子炉の安全と同じような安全であるかどうかという基準審査ということはできない状態でありまして、むしろ実態的に当事者とどの程度話し合いが進んでおるか、あるいは話し合いの見込みがあるかというような点を直接の監督官庁である通産省等に聞いて、そして原子炉規制法等の許可基準に合致している場合は、総理大臣に対して委員会としては許可を答申しているわけでございます。そういう意味で環境に対して安全であるかどうかというのを、法律的な基準がまだできておらない段階でありますので、実態調査を十分やってもらっているという状況でございます。
  66. 庄司幸助

    ○庄司委員 基準の問題については、あとで伺って明快な答弁を求めますが、いまの御答弁だと、基準の審査がまだできていないから、結局通産に頼んで状況の審査をやって、ばく然とした判断で認可している。きわめて非科学的なやり方だと私は思うのです。  そこで、通産にお伺いしたいのですが、通産は電気事業法の四十一条に基づいてやるわけですね。通産のほうではこういった環境問題、特に温排水問題についてどういう体制を持っておられるのか。何かことしの二月に環境顧問会の準備会みたいなものをおつくりになったようですが、一体どういう基準でどういう項目で判断するのか、この辺何か御審議なすっているのですか、その点ひとつ…。
  67. 和田文夫

    ○和田説明員 原子力発電所をつくりますときに、さっきからお話が出ましたが、まず電源開発調整審議会、いろいろな関係各省あるいは学識経験者等も入っておりますが、そこで国土の総合的な開発、利用あるいは環境の保全というような、あるいは電力の需給問題ももちろんでございますが、そういうものを踏まえまして、またさらに地元の都道府県等の意見参考に聞きまして、電源開発調整審議会でまず政府の基本計画に組み入れるわけでございます。その次に、先生おっしゃいました電気事業法のいろいろな許可、これは八条でございますが、電気事業法八条に基づきます許可申請が出てまいります。そこで、その時点においてわれわれは、まあ過去からだんだん体制を強化しつつありますが、さっき言われましたような環境に対する審査体制というものを許可のときにいろいろ考えまして、それであと先生おっしゃいました四十一条の認可のときには、これは具体的な工事の計画の認可でございますので、そういう許可のときに示された考え方に合ったとおりの工事がなされるかどうかというような点をチェックいたしております。  それから温排水につきましては、さっきからいろいろ御答弁がありましたように、現在基準がございませんので、われわれとしては、できるだけ影響を少なくしよう、そういう方針のもとに、いろんな現在の技術でとり得る対策を講じております。これは発電地点の実情によって個々にはいろいろ異なる点がありますが、たとえて申し上げますと、深層取水、これは深いところから取水するわけでございまして、そうすると温度が上昇しても、深いところの水は表面に比べて比較的低いわけでございますので、表面の温度上昇はそれだけ減ずる。あるいは排水口の設計等におきまして、早く拡散するような排水口の設計、あるいは場合によりましては復水器のバイパス等の施設も設置いたしまして、そういうことを講じまして温排水の影響をできるだけ少なくしたい、こういうふうなことで審査をいたしております。  それから、先生さっきおっしゃいました環境顧問準備会の話でございます。これはおっしゃるように二月に準備会を発足いたしまして、どういう項目をチェックしたら環境審査がいままでよりはより十分にできるかということで、いろいろ先生方の御意見も伺っておりまして、できるだけ早く準備会じゃなしにほんとうの顧問会を発足さしたい、こういうふうに考えております。
  68. 庄司幸助

    ○庄司委員 いろいろ伺いましたが、結局温排水問題については、調査もまだ非常に不十分だし、初期の段階ですね。それから基準もない。やっと始まっただけということになりますね。その点で私は長官に明確にお答え願いたいのですが、水産庁にしろ通産省にしろ環境庁にしろ、基準がなくてどうも困っているのだ、こういう話なんですよ。この温排水の基準にしてもアメリカの資料、これは環境庁からちょうだいした資料ですが、各州とも持っていますね。りっぱかどうかわかりませんが、各州とも基準を持っています。この水産国日本で、日本人の重要なたん白資源の供給源である海洋、これにどんどん膨大な量の温排水が排出されるわけです。たとえば二億キロなんという話もあるわけです、これは政府レベルでないにしても。そうすると、大体利根川百本分くらいの温排水が流される。これはもういま早急に基準を設定しなければたいへんな問題になると思うんですよ。放射能の危険性の問題もありますけれども、この基準ですね、これは大体いつごろまでをめどに設定なされるお考えなのか、それからどういう観点で基準を設定するのか、その辺ひとつ御答弁願いたいと思うのです。
  69. 前田佳都男

    ○前田国務大臣 温排水の問題につきましては、庄司先生御指摘のとおり大事な問題でございまして、われわれは、先ほど局長からも御説明いたしましたように、原子力委員会の環境安全専門部会というものを設け、その下に温排水分科会というものを設けまして、そうして調査検討すべき項目、一般的な問題あるいは特定の場合というふうに分けて、そのアイテムをきめて、それぞれ通産省あるいは環境庁にもお願いしておりますことは先生も御承知のとおりでございます。ただ、その基準を早くつくるべきじゃないかという先生の御指摘でございますが、私のほうも基準をすみやかにつくってもらいたいと思って環境庁と折衝中であります。いまの見通しでは、四十九年末を目途にというところまでの話し合いが実はできておるわけでございまして、すみやかにこの基準をつくるように環境庁に働きかけようという段階でございます。
  70. 庄司幸助

    ○庄司委員 その点長官の話はわかりました。それじゃ環境庁のほうの準備はどうですか。
  71. 太田耕二

    ○太田説明員 環境庁のほうのきめる体制と申しますか、そのめどと申しますか、おおよそのめどは科学技術庁長官の御答弁にございました方向で非常に急ぎつつあるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、実は四十六年度から調査が始まりましたばかりで、四十七年度の調査結果を最終的にまとめつつありまして、その補足を四十八年度中にやりまして、その先四十九年度をめどということで考えておるわけでございます。  私ども、三木長官のほうからも早くやれというふうな指示を実はいただいておりますので、関係各省、すなわち通産省、水産庁のほう、科学技術庁のほうとデータを交換し合いながらきめていきたい、かように考えておる次第でございます。
  72. 庄司幸助

    ○庄司委員 それはそれでけっこうですが、先ほど御説明願ったこの予算、たとえば環境庁は航空写真をとる、通産省は調査船を出す。複雑な海流とかあるいは風の関係もあります。それから季節的な変化もあります。それから潮の干満による変化もありますよ。私は、これくらいの予算では、十分な規制基準をつくるような、科学的な検証に耐えるような基準の根拠は出ないのじゃないかというような気がするのですよ。とにかく八百万やそこら、調査船を一回出せばおしまいになるような予算ですよ。  その点私は長官にお伺いしたいのですが、四十九年度末を目途におつくりになるとすれば、こういった調査費では話にならないのじゃないか、こう思うのですよ。四十九年度末を目途におつくりになるとすれば、私は、やはり補正を組むなり何かして相当大幅な増額をやらなくちゃならないと思うのですが、その点どうですか。
  73. 前田佳都男

    ○前田国務大臣 ただいまの御指摘の予算の点につきましては、十分すみやかにその目的を達することができまするようにいろいろと配意を加えたいというように考えております。
  74. 庄司幸助

    ○庄司委員 基準の問題はそれで一応終わります。  そこで、お伺いしたいのは、そういった基準がつくられつつある、それから現状の分析や調査はまだ不十分だということになりますから、そうすると、これまで認可された分ですね、これは環境問題、特に温排水の問題についての検討がきわめて不十分で、ほとんど何ら結論も出ないまま、科学的な検証に耐えられないようなまま認可されているわけですね。  これは昨年の十二月八日、原子炉安全専門審査会部会長の内田秀雄さんが学術会議でのシンポジウムでも御発言なさっていますね。環境への影響、漁業による影響について十分な調査研究もしないで原子力発電所建設が進められていることを認める発言をなさっています。これはあなたのほうの内部の方の発言ですよ。この点長官、この内田秀雄さんの御発言はお認めになりますか。
  75. 成田壽治

    ○成田政府委員 原子炉安全審査会、これは原子炉の安全問題の審査を所管とする委員会でありまして、温排水問題の所管にはなっておらないわけでございます。しかし、温排水につきましては、先ほど言いましたように、まだ法的な基準ができておりませんので、原子炉安全審査会のように立地基準等に照らして十分審査するようなかっこうではやっておらない、そういう状態です。基準ができました場合には、それにマッチしているかどうか十分慎重な検討をやることになると思いますが、現在基準ができておらない段階では、原子炉の安全と環境の調査というのは非常に違った扱いになっておるわけであります。従来許可する場合も、原子炉の安全に関しては非常に慎重な検討、半年とか一年とか非常に長い期間にわたって検討をやっておりますが、温排水問題については、これはわれわれは県知事等の意見も聞いて、当事者間による話し合いを期待して処置しているわけでございます。
  76. 庄司幸助

    ○庄司委員 所管が違うとかなんとかおっしゃっていますけれども、私が伺ったのは、原子炉安全専門審査会の部会長の内田秀雄さんが心配されている御発言、環境への影響、漁業による影響について十分な調査研究もしないで原子力発電所建設が進められている、こういう御発言をなすっているのですから、こういう発言があったということを認めるかどうか伺ったのですよ。
  77. 成田壽治

    ○成田政府委員 表現は私も正確ではありませんが、そういう御発言もあったと思います。ただ、それはやはり原子炉の安全と同じように温排水等についても早く基準ができることを望んでいるというふうな意味でもあるのじゃないかというふうに考えます。
  78. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、これまで認可されたものについて、こういった調査がなされていないのにかかわらず認可されて、漁民との間に相当の意見の食い違いがあって、原子力発電所の設置については漁民の反対運動がもう全国至るところに広がっていますよ。だから漁民が心配しているのは、まあいまは原子力の火がともる時代だ、これは一般的にはだれでも認めるわけですが、問題は、原子力発電所が放出する温排水についての国の調査研究、それから基準、これらが何ら進まないままどんどんと原発が認可されていっている、ここに非常に大きな問題があると思うのですね。だから、いままでのこのやりとりを通して、温排水については非常に心配だ、これはまあお認めになっているわけですよ。だから調査しているわけですね。心配だと言いながら、いままで認可した分についてはどうなんだ、こう聞かれた場合、これは一向差しつかえないんだ、こうは私は言い切れないと思うのですね。だからそうなると、いままで認可された分についてやはりもう一ぺん洗い直す必要があるんじゃないかと私は思うのですよ。これは、この間浜岡の原発二号炉の問題について通産省の環境審査結果が許可後ひそかに書き直されていた、これが参議院で明らかになったわけですが、それはそれでお認めになったわけですよ。お認めになったのだが、この程度のことなら漁業補償で地元漁民の協力が得られ、解決できる、金で解決できるのじゃないか、こういう御発言もあったのですよ。また、担当の原子力委員が初めてその事実を知った、そういう答弁をしておいて、そのあとで再審査の必要はない、こうおっしゃっているのですね。だからマスコミでは、こういうことを言いながら金で解決しようとしている、これほど漁民をばかにした話はない、こういうふうに憤慨しているわけですね。だから私はその点で、いままで認可されたものについて、紛争がある場所が相当あります。浜岡もそうです。それから女川の原発もそうです。それから伊方の問題もそうです。その点、長官、やはり謙虚に反省して、この前のあれに固執しないで、洗い直して謙虚な態度に出られる、これが私は大事な点だと思うのですよ。洗い直した上で、ほんとうに漁民の納得の得られるような説得ができるならそれで進む、科学的な論証に耐えるような根拠があるならそれでもいいでしょう。しかし、やはり科学的な論証となれば、学界の論争の試練は経なければならないわけですね。その点、とりあえず、とにかくいままで認可されたものについて、この環境問題からいって、もう一ぺん洗い直してみる、この考えございませんか、長官
  79. 前田佳都男

    ○前田国務大臣 温排水の問題について庄司先生からいろいろ御指摘をいただきました点、温排水については慎重に対処すべき問題であるということは、私は全く同感でございます。ただ、従来、許可された発電所についてどうかというふうなお考えでございますが、もちろん現在まだ、先ほど申しましたように、温排水の法的な許容基準というのはございません。すみやかにつくるべきであるということは先ほどもお答えしたとおりでございますが、しかし、さればといって、現在までいいかげんなことで原子力委員会がこれを許可した、安易に許可したとも私、思えないのでございまして、この女川発電所につきましても、地元の知事、地元当局、県当局の十分な了解を得てこれを許可したというふうに私は考えておるわけでございます。
  80. 庄司幸助

    ○庄司委員 長官は、地元の了解を得たという場合、知事とか市町村長、これをあげられました。それなら、私、女川の問題について申し上げますが、これはたしか昭和四十二年だったと思いますが、東北電力から県知事を通して、女川の小屋取という部落に原発をつくりたい、これが町議会の全員協議会にかけられたわけです。ところが、全員協議会というのは何も議会の正式の機関じゃございません。法的にはあれはただ話し合いというだけの場ですよ。そして、この全員協議会が、原発の何たるか、そういうものについて何ら審査も話し合いもしないで、町有の船に飛び乗ってそのまま現地へ行って、原子力の火がともる世の中だ、固定資産税がふえる、地域開発になる、こういうことで説得に即日行っているわけですよ。そうして、今度は電力は電力で、バス何台か借り切って、地元のじいさま、ばあさまをバスに乗っけて東海村へ行って、帰りは常磐ハワイアンセンターのおふろに入れて、そしてこの東海村で何かえらい先生が白衣を着て時計みたいなものではかったからだいじょうぶなんだろう、こういうことであの説得工作に当たっているのですよ。これは、全国至るところそういうやり方がやられていることは、私はだいぶ知っていますよ。これがいわゆる長官の言っている地元の了解というものの中身なんです。それから、長官の言っている地元とは、県知事であり市町村長である、この態度がやはりこれまでの紛争を生んできた一つの原因だろうと思うのですよ。その辺の経過は長官一体御存じですか。そしてまた地元というのは県知事であり市町村長だ、長の名のつく者だけが地元だ、こういうお考えをいまでもお持ちなんですか。
  81. 前田佳都男

    ○前田国務大臣 その女川発電所の設置申請の段階におけるいま先生御指摘の事実を私は全然存じておりません。  また、地元の知事意見を聞くだけでは不十分ではないかという御見解でございますが、そういう考え方もあるかと思います。しかし、私は、選挙によって選ばれまして、県民の意思を、知事はやはり県の代表者として、代表者ということばはふさわしいかどうか知りませんけれども、やはり県の意見というものは県知事に聞くのが正しいのではないかという考え方を持っておるわけでございます。
  82. 庄司幸助

    ○庄司委員 ここでその問題で水かけ論争を何ぼやっても始まらないとは思いますが、しかし、地元住民が確かに選挙で選んでおります。選んでおりますが、何もかにも白紙委任しているわけではないでしょう。町長だってそうですよ。選挙のときに原子力発電所をおれは引っぱってくるのだというような公約なんか何一つやっていませんよ。これはどちらも明確です。それが新たに原子力発電所の問題が降ってわいたように知事から説得工作がなされている。ここに私はやはり民主主義の問題として大事な問題があると思うのですよ。これは論争はしませんけれども、その辺十分長官が頭に入れておかないと、原発設置についての論争なり紛争が絶え間がないだろうと思うのですよ。だからその点で、やはり原発の設置によって影響を受ける地元の住民やあるいは産業界、漁業とか農業とか、こういう方々の意見を十分聞いていく、この点長官どうですか。まあこれまでの場合でも、これからの場合でも、やはりそういう前向きの態度に立たれることが大事だと思うのですが、その点どうお考えですか。
  83. 前田佳都男

    ○前田国務大臣 地元の声という意味におきまして、知事並びに市町村長以外の者にも多く聞くべきではないかという御意見でございますが、私そういう考え方もあると思います。ただ、どの範囲にどういうふうに聞くべきであるかという点もなかなかむずかしい問題でありまして、従来とも法律的には関係知事意見を聞くということが電源開発促進法の電調審の第何条かに載っておるかと思います。しかしそのほかに、事実上地元の市町村長とか、そういう方面の意見を従来は聞いておったと私は思うのであります。それ以外にまたこういうところも聞いたらいいではないか、ああいうところも聞いたらいいではないかという先生の御指摘かと思うのでありますが、これは聞けば聞くほどできるだけ多く聞かなければならぬという問題もございまして、その辺はある程度集約しなければしようがないのではないかと思いまして、現在まで知事意見を聞いておる、県当局の意見を聞いておるのでございます。ただ、今後、私のほうで公聴会開催要領というふうなものを先般もつくりまして、地元のなまの声を聞こうかという、そういう考え方をもって公聴会という体制をいま進めておることは先生も御承知のとおりだと思うのでございます。しかし私は、従来のやり方が全部みなまずかったのじゃないかというふうにも考えておりません。
  84. 庄司幸助

    ○庄司委員 確かに公聴会も一つの方法だろうと思います。ところが、公聴会についてはたいへんきびしい条件がついておる。先ほどお話がありましたが、この「「公聴会開催要領」によると、原子力委が「必要と認める場合」に限り公聴会を開く」、必要と認める場合は何々かというと、一番目が大型炉の設置だ。これは大型炉というのは何百万だか、百万だかわかりませんが。それから新型炉の設置だ。それから三番目は原子炉の集中化地域である。四番目は地元知事から要請があった場合だ。地元知事が原発を引っぱりたい引っぱりたいと宿屋の客引きみたいな根性になっている場合もありますから、そういう人が要請しないケースも出てくるのです。それからいままでのようなケースはなかなか乗りにくいという条件です。それからもう一つ、この公聴会を開く回数や何かについて、何か新聞報道ですが、一つの原発について公聴会は一回だ、日数も一日か二日だ、こういう限定がある。それから、公開はするのだけれども、意見を述べたい人はあらかじめ意見陳述書を提出しろ、そして原子力委員会のきめた時間内に陳述を終了する、こういう条件がついております。私は一時間くらいあなたと温排水の問題だけでこうやっても、まだなかなか結論が出ないのですよ。そうすると一日一回、しかも一日ないし二日だけしかやらない、しかも陳述書を提出して原子力委員会が取捨選択する、そうして、しかも原子力委員会のきめた時間内だけでやらなくちゃいけな噴こうなれば、十分私は地元の意見が尽くされたとは言えないだろうと思うのです。科学者意見においてはこれはなおさらです。その点で、公聴会の開催要領をもう一ぺん検討を加えられて、住民代表あるいは漁民の代表とか、そういう人も入れるようにする、それから意見の述べっぱなしではわかりませんから、もう少し幅を広げて、質疑応答の形式もある程度採用するとか、そういうことにする必要があると思うのです。それが改善すべき点の第一点です。  それから開くべき場合の問題、この四つの条件にしぼられておりますが、これは住民から要請があった場合、これも一つやはり加えていただきたい。そういう改善をやらないと、公聴会というのはほんとうに形式だけになっちゃって、依然として漁民の不満は消えない、反対闘争が広がる、こういうことになると思うのですよ。こういう反対闘争の中で、いわゆるゲバ棒、ヘルメット組などがこのごろしきりに出没するようになってきているわけです。そうして機動隊が導入される。いままで平和な漁村で暮らしている漁民の中にそういう事態までが起きてきたんじゃたいへんなんです。その辺で公聴会の改善、いま私が一応提案のような形で申し上げましたが、その点どのように受けとめられ、改善されるかどうか。長官、その点お答え願いたいと思います。
  85. 前田佳都男

    ○前田国務大臣 公聴会の開催要領についての先生の御指摘でございますが、いろいろおっしゃいましたが、簡単にいうと、官製の、われわれのほうで主導型の公聴会じゃないか、あるいはまた形式的な公聴会じゃないかというふうなことに尽きると思うのでありますが、私たちの意図するところは、とにかくなまの声を秩序正しくお伺いしたい、そういう趣意で公聴会というものを今度始めるわけでございまして、あるいは庄司先生あれもいかぬじゃないか、これもいかぬじゃないか、いろいろ御指摘があると思うのでございますが、私たちは相当慎重にこれは検討いたしまして、公聴会というものに踏み切ったのでありまして、私は、まだ先生は不十分じゃないかという御指摘もあるかと思いますけれども、とにかくこうしてなまの声を聞こうということに踏み切った、一歩でも半歩でも何センチでも前進したということを私は認めていただきたいと思うわけでございます。
  86. 庄司幸助

    ○庄司委員 一歩前進は認めますよ。ただ、もう一歩前進しろ、こういうことなんですよ。そうすればよくなる。ほんとうになまの声を平静のうちに秩序正しく生かせる。その点きょうは結論は出ないにしても要請しておきます。やはり数段と改善してもらいたい。浜岡二号炉の場合、これはだいぶ地元で問題になっているのですよ。それから女川の場合も地元ではまだほとんど未解決です。それから岩内なんかは今後の問題になりますが、それから福島の沿岸、これなんかはべらぼうですよ、長官。あの狭い海域に、いかに政治的な空気がが薄いからといっても、東北電力と東京電力で、通産省からきのう伺ったら、あの狭い区域に千二百八十万キロの発電計画を持っているのですよ。べらぼうな話です。そういう点もありますので、私は浜岡の二号炉、それから宮城県の女川の場合なんかは、ここでせめて、これはどちらも認可済みですが、もう一ぺん公聴会を開いて十分地元の意見を聞いてもらう。この点長官どうです。
  87. 前田佳都男

    ○前田国務大臣 私たちがいま考えておりまする公聴会は、原子炉安全審査会が調査審議するにあたりまして、当該公聴会におきまして陳述された意見参考とすることができる時期に開催することにしておりますので、この二つの県については公聴会を開催する意図はございません。
  88. 庄司幸助

    ○庄司委員 だからだめなんだと思うのです。それなら長官伺いましょう。環境安全の問題について、きょうの新聞を見ますと、前田長官がこういうふうに述べておられますよ。海洋汚染、水産関係の専門家五人程度で環境審査専門グループをつくって、通産、水産、環境庁などから提出させた環境問題についての報告書を十分審査してもらって、その結果を基礎にして原子炉設置が妥当かどうかを審査したい。さらにあなたの談話として「原子力委が関係省庁調査結果をもとに、一段高いところから独自の判断をするためには環境専門家グループはぜひ必要。今後は公聴会で地元の意見を聞き、専門家グループに十分検討してもらって、原子炉の環境審査にも力を入れていきたい」こういうふうにおっしゃっています。こういうふうにおっしゃるような趣旨があるならば、いままで全然環境審査もしないでやってきて、しかもそれがもとで紛争が起きているような、紛争というと語弊がありますが、地元民の了解が得られないような場所、これについては私はもう一ぺん洗い直す、この精神からいったら当然だろうと思うのです。いままでの分はいいのだ、これからの分だけやる。これじゃさっぱり科学的でも何でもないじゃないですか。科学の精神からいったら、いままでの分もこれからの分も同じですよ。その点で、私は、あなたがこういう方針できめられたことが正式に議会に報告できるのかどうか、報告してもらいたいと思うのですよ。それと同時に、いま言った精神からいったら、当然いままでの問題についても、この立場から安全審査をやり直して洗い直す、この態度が私は科学者の良心だろうと思うのですよ。長官は、私は科学者じゃない、政治家だとおっしゃるかもしれませんが、しかし、科学技術庁という名がつく限りには、やはり科学の精神は私は十分尊重しなければいけないと思うのですよ。その点、御答弁をお願いしたいと思うのです。
  89. 前田佳都男

    ○前田国務大臣 ただいま御指摘の記事は、たしかけさの新聞であったかど存じます。私、急いで参りました関係上、自分の写真をちょっと見ただけでございまして、まだ内容を詳しく実は読んでいないのでございます。  いま先生にお伺いしたところによりますと、これは公聴会開催要領というものをきめるにあたりまして、環境問題、ことに温排水の問題等につきましては、先刻来も私並びに局長からも御答弁いたしましたように、環境安全専門部会というのが原子炉委員会にあるわけでございます。その下に温排水分科会というのがございまして、そうして中間報告で御報告いたしましたような項目につきまして、通産省あるいは環境庁に一般的な基準あるいは特別の調査等をお願いして、そしてその調査を、原子力委員会自体はそういう機能を持っていないわけでありますから、そういうふうな調査書をもらいましても、原子力委員会も地元の知事とかそういう方面の了解というか意見を聞いて従来まできめておったわけでございます。その意味におきまして、高い独自な判断ということば自体がおおそれたことばじゃないかと実は自分でも思っておるわけであります。独自な判断と私言うた覚えはないのでありますが、とにかく独自な判断といわれておりますが、高い立場といいますのは、別に原子力委員会が各省庁に対して、一段上、高いのでありますというおおそれた考え方を持っておりません。しかし、原子力委員会設置法のたしか五条であったと思いますが、その法律に基づきまして、関係行政機関資料の提出を求めることができるという条項があるわけでございます。その条項に基づきまして、通産省とかその他の省庁にもお願いし、そうしてそういうものをちょうだいして、原子力委員会に原子炉安全審査会という機関まで持っておりますから、これはもう自信を持ってやれるわけなんです。ところが、環境問題については、実際、通産省にお願いして、その調査報告を実は求めておるわけでございます。それは信頼するに足るものでありますが、あるいは地元の意見等もそれにあわせて聞いて判断を下すという意味において、ちょっと高いといいますか、判断するという意味において、たしかまだ読んでおりませんけれども、高い何か独自な判断といいましょうか、そういう意味に、これは別にこのとおりに言うたわけではございませんけれども、そういう意味だと思います。しからば、これは将来の姿勢としてよろしいとあるいは先生おっしっるかどうか私知りませんけれども、これまでのものはどうだというお尋ねかと思います。しかし、これまでも別に確かに環境庁のいう、いわゆる四十九年度末に設定目標の環境基準はございません。しかし従来においても、私の長官の当時じゃありませんけれども、いいかげんな審査をしていると私は思わないのです。それは科学的で、いろいろな研究所とかそういうものを動員してやったかどうかは知りません。しかし私は、実は女川等についても聞いたのでありますが、地元の知事ですか、県当局にも十分了解を得て、この問題についてもその了解の上にこれは許可したのだというふうに聞いております。したがいまして、これを再び公聴会を聞くとか、そういうつもりはございません。
  90. 庄司幸助

    ○庄司委員 時間もあれですから、これで最後にしますが、いま長官おっしゃった、地元の了解を得て知事判断したのだというようなお話ですが、それならば地元の肝心かなめの漁協、漁協は反対していますよ。それから隣の町の雄勝の漁協も反対しています。知事判断する場合、地元の漁民の意見を聞かないで判断して、漁民が反対しているという事態は一体どう思いますか。これはまさに私は民主主義に反する問題だろうと思うのですよ。  それからもう一つは、やはり前の問題ですが、これは前の長官立場をそんたくされておっしゃっているのでしょうが、しかし新たにこういう環境問題が必要になってきたのだという認識はあるわけでしょう。新たにというか、新たに強くですね、前もなかったわけじゃないかもしれませんが。非常に強い姿勢があるわけですよ、長官のいまの新聞記事の問題にしても、あるいはこれまで論議してきた問題にしても。やはり科学的に見て当然必要なんだ、そうすれば前の問題だって、その観点から一ぺん洗い直してみるのが、ほんとう住民なり漁民なりも安心を得られることにつながると思うのですよ。もう認可してしまったのだから、これは問題外だ、黙っていろというのでは、いつまでたっても漁民の反対運動は続きますよ。こういう話を地元の女川なり浜岡なりで聞いたら、漁民はおこりますよ、長官。その点で私は最後に、長官にもう一ぺんその点考え直して答弁していただきたい。これをお伺いして、私の質問を終わりにします。
  91. 前田佳都男

    ○前田国務大臣 ただいま庄司先生お尋ねの点でございますが、具体的な問題も含んでおるようでありますので、その点は政府委員からも答弁をさしていただきたいと思います。
  92. 成田壽治

    ○成田政府委員 女川の発電所につきましては、昭和四十五年十二月に政府が許可をしておりまして、許可内容等、十分な要件を満たして許可しております。その後、漁業組合の反対等によって工事が全然やれないという、非常に遺憾な状態にありますが、これにつきましても、県知事があっせんに入って、まだ一部の漁協の反対もあるようですが、かなり好転しておると聞いております。とにかく当事者による話し合いによる成立を期待しておるのであります。  それから、従来許可した分について洗い直す必要があるかどうかという問題につきましては、先ほど長官言われましたように、従来の許可については、十分な法律的な要件を満たして許可しておりますので、洗い直すという必要はないと思います。今後については、公聴会等によってその一環として環境の調査につきましても取り組んでいく方針でございます。
  93. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、この問題は何ぼ言ってもあなた方の態度が変わりません。今後とも私はこの問題は徹底的に追及する。この次もありますから、具体的な問題でもう少しやりますから、その点私は長官に強く要望したいのは、科学技術庁長官ですから、科学者の良心に立ってものごとを判断して、漁民の心配やその他を全力をあげて解決していく、そういう点での洗い直しや公聴会のやり方、この改善の問題については強く要望して私の発言を終わります。
  94. 森下元晴

    森下委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会