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1973-06-14 第71回国会 衆議院 決算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月十四日(木曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 宇都宮徳馬君    理事 松岡 松平君 理事 森下 元晴君    理事 綿貫 民輔君 理事 庄司 幸助君       荒舩清十郎君    中尾  宏君       中村 弘海君    吉永 治市君       稲葉 誠一君    高田 富之君       原   茂君    土橋 一吉君       坂井 弘一君  出席政府委員         大蔵省理財局次         長       小幡 琢也君  委員外出席者         法務大臣官房訟         務部長     貞家 克己君         建設大臣官房文         書課長     小林 幸雄君         会計検査院長  白木 康進君         会計検査院事務         総局次長    鎌田 英夫君         会計検査院事務         総局第一局長  高橋 保司君         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君         会計検査院事務         総局第二局参事         官       榎本 哲弥君         会計検査院事務         総局第二局参事         官       立花 寛英君         最高裁判所事務         総長      安村 和雄君         最高裁判所事務         総局総務局長  田宮 重男君         最高裁判所事務         総局人事局長  矢口 洪一君         最高裁判所事務         総局経理局長  大内 恒夫君         最高裁判所事務         総局民事局長兼         最高裁判所事務         総局行政局長  西村 宏一君         最高裁判所事務         総局刑事局長  牧  圭次君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員異動 六月十四日  辞任         補欠選任   篠田 弘作君     中尾  宏君   中村 梅吉君     中村 弘海君  橋本登美三郎君     吉永 治市君   江田 三郎君     稲葉 誠一君   田代 文久君     土橋 一吉君   竹入 義勝君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   中尾  宏君     篠田 弘作君   中村 弘海君     中村 梅吉君   吉永 治市君    橋本登美三郎君   稲葉 誠一君     江田 三郎君   土橋 一吉君     田代 文久君   坂井 弘一君     竹入 義勝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十五年度政府関係機関決算書  昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (裁判所所管会計検査院所管)      ————◇—————
  2. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 これより会議を開きます。  昭和四十五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、裁判所所管及び会計検査院所管について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
  3. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 最初に、この前外務省の所管のときに決算委員長にたいへん失礼を申し上げました。おわびいたしたいと思います。  裁判所はなかなかわかりにくいのですが、私が最初にお聞きしたいのは、裁判所職員書記官事務官というふうに分かれておるわけですが、そこで、書記官には調整が一六%ですかつくのに、事務官にはその調整がつかない。このことの理由というか、現状はどういうふうになっておるか、今後事務官にも調整をつけたいというふうな気持ちがあるかどうか、こういう点についてお聞かせ願いたいと思います。
  4. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 稲葉委員指摘のように、裁判所書記官には一六%の調整がついておりますが、裁判所事務官には調整がついていないわけでございます。この俸給額調整と申しますのは、その職務が複雑困難であり、またきわめて特殊性があるという場合に、一般俸給表そのままを適用いたしました場合には、必ずしも十分にその職務責任にふさわしい報酬に当たらないといった場合におきまして、俸給額調整をいたしまして、結果におきまして職務責任にふさわしい俸給を支給するというたてまえに相なっておるわけでございます。そこで、裁判所書記官事務官を比べてみますと、書記官は御承知のとおり法廷に立ち会いまして、裁判官に準ずる重要な職責を遂行いたしておるわけでございます。しかし、裁判所事務官ということに相なりますと、これはいわゆる裁判所の行ないます固有事務というものをその陰にありまして助けていく仕事でございまして、各省庁におきましても、それぞれの固有事務を遂行しておられる職員と、それをアシストされる庶務的な仕事をやっておられる職員というふうに分かれており、各省庁における庶務的な仕事をやっておられる職員裁判所における庶務的な仕事をやっております事務官、これを比べますと、必ずしもそこに職務特殊性といったものを見出しにくいという点があるわけでございます。そういった観点から、裁判所仕事重要性というものを明白に浮き彫りにいたしております書記官には調整をいたしておりますけれども事務官にまでその調整を及ぼすということは、現在の給与体系のたてまえから、いささか困難ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  5. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 事務官でも調整をつけておるものはあるわけですか。私が聞いた範囲では、たとえば法廷警備員というのがいるというのですね。これは事務官だというのですが、それは何か調整を受けている。どういう仕事をするのかよくわかりませんが、調整を受けているのだ、こういうことですね。ところが同じ法廷の中で廷吏さんがおられる。いま廷吏という名前を使うのですかどういう名前を使うのですか、そういう人たちは同じように警備仕事もやっている。ところがそれに対しては調整がない。この前ぼくはある裁判所へ行って、始まる前に廷吏さんといろいろ話をしておったのですが、盛んに廷吏さんはそういうことを言うわけですね。自分の前にいろいろな人が飛び上がってきてあぶないときがある。警備員もやるけれども廷吏さんも一生懸命になってつかまえたりなんかするのだ。ところが、片方だけ同じ事務官調整がついていて、自分のほうはついてないのだということを盛んに、別に訴えたわけじゃありませんけれども、そういう話をしておったのです。これはどういうふうなわけですか。あるいは私が前に言った事実、警備員の場合、事務官調整がついているというのは間違いなんですか。
  6. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 稲葉委員指摘のように、警備員は現在八%の調整を受けておりますが、廷吏には調整がございません。これは結局のところ、いま御指摘の身を挺してそういった法廷秩序を守るということの仕事の内容に、いささかの相違があるということに由来するものではなかろうかというふうに考えております。警備員は、そういった身を挺して法廷秩序裁判長の命を受けて守っていくということが一〇〇%の職務でございます。これに対しまして廷吏は、法廷に欠くべからざる重要な職責を有するものではございますけれども廷吏全体から見てまいりますと、民事法廷にも廷吏が存在するわけでございまして、民事法廷ではほとんどそういったような問題も起こっていないということでございますし、また俗に申されます荒れる法廷といったようなものも、法廷全体の数から見てまいりますと、ごくわずかなものでございます。そういったことで、廷吏警備員と同様の意味において調整額を支給するということは、先ほど申し述べました本来定められております職務責任という関係から困難であるということでございます。しかし、もちろん廷吏仕事が重要であるということは、私ども年来力説してまいっておるところでございまして、そういったことは本来の職務の等級、級別定数と申しますが、具体的にはそういったものでより高い級別定数をお認めいただいて、そういった級別定数の高い級、号俸を受けることによって、その職務の適正な評価をしていきたい、結局適正な待遇をいたしていきたい、このように考えております。
  7. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 警備員というのは身分事務官なわけですか。それで何人くらいいて、どういうふうなことをやるのか。聞きますと、どうもどこの裁判所に所属しているのかよくわかりませんけれども、各地で公安事件法廷なんかあると東京から派遣するのですか。何か見なれない屈強な人がいるものだから、こんな人見たことないなと思っていると、何か東京から来た警備員だという。柔道やっているのか剣道やっているのか知りませんけれども、非常にがんじょうなのがよくいるのですけれども、全部で何人くらいいるのですか。身分はどういうふうになっているのですか。
  8. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 警備員は、身分裁判所事務官ということでございます。現在二百名足らずの警備員がおりますが、ただいまも申し上げましたように、警備を要する事件というものは、全国一律にコンスタントにあるというわけのものではございませんし、そういった警備を担当する職員というような方を裁判所といたしましてもそう多くしていくことが望ましいとは必ずしも限らないわけでございます。そこで、現在おります警備員を機動的に運用するという方針をとっておりまして、高等裁判所所在地地方裁判所に固めて置いておきまして、その高等裁判所管内裁判所警備を要する事件があります場合には派遣して警備に当たらせる、そういう方式をとっておるわけでございます。
  9. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それは裁判所の人の中から選んだのですか、あるいは新たに募集してやっているわけですか。それから訓練というのは何をやっているのですか。私の聞いた範囲では、柔道主要科目で、柔道ばかりやっているとは言わぬけれども、非常に柔道を中心にやっているという話をよく聞くのですが、何をやっているのですか。どんな人が多いのですか。
  10. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 警備員の給源でございますが、裁判所の中から警備員として職務を命じておるものも若干名ございますが、大部分は外部からの採用でございます。外部から採用いたします内訳は、正確な数をただいまちょっと記憶いたしておりませんが、六、七割は一般会社員と申しますかそういったような方、あるいは消防等の御経歴のある方、これが少数加わっておるのではないかというふうに考えております。また、かつて警察官であった方あるいは自衛隊員であった方も若干名存在するように記憶いたしております。仕事は、法廷が荒れました場合におきまして、これを円満に裁判長の命に従って取り静めるというのが最大の任務でございますので、そういった関係上、職務として傍聴人等に対する規制をどのように円滑に行なうかというようなことについての研究と申しますか、そういったことは日ごろいたしておるわけでございます。別に柔道正科として勤務時間中にやらせる、そんなようなことまで考えておるわけではございませんが、そういった警備員人選等の際に、できるだけりっぱな体格の人たちを選ぶということを心がけておりますので、余暇等にそういうことをレクリエーションとしていたしておるということもあり得るのじゃないかと考えております。
  11. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 書記官の人がよく簡易裁判所庶務課長になりますね。こういう場合は書記官身分を持ったままで事務官という形、兼務のようなかっこうになるのですか。どうもそこら辺のところがよくわからないのです。それで待遇は、何か一六%の調整がなくなって、庶務課長になって管理職手当がついて、結局そのほうが待遇がいいということになるのですか。何か書記官身分を持ったままでなるということをちょっと私も聞いたのですけれども……。
  12. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 稲葉委員も御承知のように、簡易裁判所等職員の数が非常に少のうございますので、簡易裁判所庶務課長等は、原則として書記官庶務課長兼務するという形でございます。したがいまして、書記官としての調整は当然持っておるままで兼務庶務課長仕事をやる、こういうことに相なります。乙号支部等になりますと、むしろ原則は逆になるわけでございまして、かなり組織が大きくなってまいりますので、庶務課長本務、ただやはり不時の令状事務とか、いろいろな問題がございますので、書記官兼務させる、こういうふうな扱いが乙号支部等では行なわれておるわけでございます。
  13. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、書記官の人が簡裁庶務課長になると、簡裁庶務課長というのは普通どの程度の管理職手当がつくわけですか。普通の書記官よりも待遇がよくなるわけですか。そこでみんな簡裁庶務課長になりたがるのかな。どういうことになっているのですか。
  14. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 管理職手当といたしましては、組織から申しまして一番小さい組織でございますので、庶務課長の場合には一〇%の管理職手当でございます。ただ、管理職手当を一〇%もらう場合には、書記官のほうとしての号俸調整が半分になりますので、一〇%と八%、一八%ということに相なります。書記官そのものだけでございますと一六%でございます。そのほうが少しよくなるということであろうかと思います。
  15. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 その簡裁庶務課長になるのには、どういう人を選ぶわけですか。一般的な話だけれども、私の聞きたいのは、いわゆる裁判所に非常に忠実な人ですね。それで仕事がよくできる、というほどのこともないかもわかりませんが、いずれにしても、たとえば全司法に入っていて組合活動をやっているというような人、こういう人が庶務課長になった例というのはほとんど見ないですね。何かそういうふうなことが——全司法の行き方がいいか悪いか、これは議論のあることかもわかりませんけれども、これはここでの議論じゃないが、いずれにしてもそういう組合活動をやっていると庶務課長になんかなれないようですね。たいてい受付窓口にいるんじゃないですか、全司法の人は、幹部の人は。そうじゃないのかな。
  16. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 私ども職員組合でございます全司法職員組合、これに所属しておるからと申しまして必ずそういうのは受付窓口に置く、そういうわけのものではございません。別に、職員組合に属しておるかどうかというようなことによっての差別はいたしておりません。ただ、主任書記官にいたしましても、主任書記官の中からさらに優秀な管理的能力をも持っておられるような方を庶務課長にいたしておるわけでございますが、そういった方は、やはり全体の職員の中でも勤務成績のきわめて優秀な方ということに相なりますので、そういう条件に合致しておられる方である限りは、組合に入っておられるか、入っておられないか、そういうことによって区別するということはいたしてないわけでございます。
  17. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 私の聞くのは全司法組合に入っているかどうかということじゃなくて、全司法組合幹部だと、いま言う庶務課長なんかにはしないんじゃないんですか。しているのは、それはきわめて例外的にはあるかもしれませんけれどもほんとうに少ないんじゃないですか。だから、いわゆる体制に忠実だというか何というかな、ことばはどういうことばが正しいか、そういうふうな忠実というかな、そういう人の中から選ばれるのであって、いまのそうした日本の体制に批判的な人というか、そういうたとえば全司法なら全司法幹部というのは、庶務課長になったのは全体の中でどの程度ありますか。私の見ている範囲ではほとんどないような気がする。
  18. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 ただいま正確な数字を持ち合わせておりませんので、数字的にはお答えすることはちょっといたしかねますけれども、先ほど申し上げましたように、組合に入っておるかどうかということによる差別ということは考えておりませんので、組合支部等委員長、副委員長書記長というようなことをやっておる方でございましても、これは仕事のほうができなければだめでございますけれども書記官としての職務にきわめて優良であって、しかも、管理的な能力を持っておるというふうに認められます者につきましては、これを庶務課長にするということについては、いささかも疑念を持っていないつもりでございます。
  19. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、簡裁庶務課長になるのは書記官からでないとなれないのですか。事務官からではなれないのですか。
  20. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 庶務課長事務官からはなれないというものではございません。事務官でも庶務課長にしてもちろん差しつかえないわけでございます。ただ、御承知のように、簡易裁判所は大都会の、東京都内にあります簡易裁判所とは少し別でございますが、通常簡易裁判所と申しますのは、仕事は必ずしもそう多くはないけれども、いろいろな地域的な便宜、地域の住民の便宜といったようなことを考えまして、全国五百七十五カ所も置かれておるものでございます。勢い一つ一つの独立の簡易裁判所というのは、仕事全体として見ますとそう忙しくはございませんけれども、場合によってはいろいろなことをやらなければいけないという場合が出てくるわけでございます。そういうことでございますので、庶務課長仕事もやり、また書記官仕事も主としてやれるという方を配置することが望ましいということでございまして、そういう関係から書記官の有資格者をもってこれに当て、両方を兼務させるという方向をとっておるわけでございます。
  21. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 簡易裁判所は、いま言われたように忙しいところと忙しくないところとの差が激しいわけですよ。民事のほうで訴訟物が三十万円までなってきた。こうなってくると、評価証明は、田畑の場合は非常に低いですね。そういう関係で相当の土地の事件、境界の事件はほとんど簡裁にかかる。簡裁にかかるから控訴の率が多くなるという意味でもないけれども、とにかく控訴率が多いわけです、事件によりますけれども。そこで簡裁のいま言った庶務課長なり主任書記官とかになるために、そこからの人を選ばないで、いわゆる俗にいう飛ばすというのか、栄転なんだから飛ばすというのは当たらないにしても、転勤をさせるわけですね。これはここ二、三年特にそれが激しいのじゃないでしょうか。たとえば私のいる宇都宮からは、主任書記官になるために長野県の上田に行くとか、それから浦和だとか福島県へ行くとか、ずいぶん遠くへ行きますね。逆に新潟から来たり大宮あたりから来て、しかも大宮という離れたところから朝五時ごろ起きて宇都宮まで通ってくる、あるいは東京から通ってくる。そういうふうな形でないと主任書記官になれないというふうにどうもなっているようですね。何で主任書記官になるために、そこのところから選ばないで、そんな遠くへやったり、また遠くから持ってくるというような行き方をとっているのですか。近来二、三年これが特に激しいのじゃないですか。
  22. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のように、激しいとまで言えるかどうかは別といたしまして、近時かなりの人事異動が行なわれておることは事実でございます。と申しますのは、やはり主任書記官というのは、裁判部における課長に当たるわけでございまして、これは重要なポストであるわけでございます。私どもといたしましては、そのポストポストにその時点における最も適任者を当てていきたいということを念願しておるわけでございます。稲葉委員も御承知いただけると思いますが、欠員を生ずるといったようなことは、あらかじめ予測することはなかなか困難でございますし、また必ずしもそういった職員の昇進というようなことにマッチするような欠員というものができてくるとは限らないわけでございます。そういった場合に、やはり主任書記官ポスト欠員が生じますと、これを埋めていくのは、やはりその時点における最優秀の人材をもって埋めていかなければならない。必ずしもそういった優秀の人材のおるところに欠員が生ずるとは限らないというふうになってまいるわけでございまして、ことに裁判所書記官は、戦後大量に採用いたしまして、制度はおいおい整ってまいったわけでございますが、ある程度いわゆる中ぶくれといったような現象がございますので、そういった方の中から適任者を最も適所に当てていくということを念願いたします場合に、勢い地方裁判所あるいは家庭裁判所間の異動ということを行なわざるを得ないという状況が出てまいるわけでございます。そのほかにも、あまり職員がずっと十年、二十年と一カ所におりますと、やはりこれはそれ自体うんでくるということもございますし、また別の官庁、別の役所の経験をするということも、その職員の成長のために必要なことでもあるということでもございます。そういったことから、近時主任書記官等に昇任いたします場合の異動というのがかなりひんぴんと行なわれておるという現状でございます。もちろん、そういったことによるマイナスの面、ただいま御指摘のような遠くに通わなければいけないといったような問題とか、そういったものが出てくることも十分承知いたしております。先ほど来申し上げました職員適正配置、それはひいては裁判の適正迅速な運営ということに重要なことでございますので、そういった職員適正配置と、それによる職員の不利益と申しますか、これを十分勘案いたしまして、その接点において今後の人事異動等を行なっていきたいと念願しておるわけでございます。
  23. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 朝五時ごろ起きて通うのです。たいへんなことですね。東京から一たん地方主任で出すときに、二年なら二年で東京へ戻す。それが言うことを聞かないと、戻ったときに上に上がれないというのか、東京書記官が一たん地方へ出て主任をやって、そうして帰ってきてからでないと今度主任になれないのですか、そういう約束で行くらしいですね。それを断わると今度主任になれないらしい、東京では。それで一たん地方に出て、帰ったときにすぐ東京地裁主任書記官になれないので、一たん簡裁へ入るのですか、簡裁がプールみたいになって一ぱい入って、あくのを待っているらしいですね。実際問題としてはそうらしいですけれども、それはそれとして、あまり転勤が激しい。昔はそんなに転勤はなかったはずですが、何かそこらに特別の意図があるのじゃないかと考えるのです。それはそれとして、いま裁判官が非常に足りないわけですよ。それははっきりとした現象になってあらわれてきているわけですが、最高裁の中で、裁判をやらない裁判官というのがずいぶんいるというふうに聞いているのです。ここに並んでいらっしゃる方も裁判をやらない裁判官だと思うのですけれども、まずこれは経理局長にお聞きするのですが、経理局長というのは、あなたも裁判官でいらっしゃるわけですけれども、なぜ経理局長裁判官でなければならないのですか。これはほんとう行政職行政をやるのですから、裁判官でなくていいわけで、あなたは民事の畑の方か、刑事の畑の方か存じませんけれども、おそらく最優秀な裁判官だと思うのです。もったいないじゃないですか。裁判官が足りないのですから、現場へ帰ってどんどん裁判をやっていただく。司法試験経理試験があるのかどうかしりませんけれども、なぜ経理局長裁判官でなければならないのですか、これはちょっとわからないです。いわんや、経理局の中に主計課とか営繕課とか、いろいろな課があるわけでしょう。営繕課長というのは裁判官であったのを裁判官でなくしたのですか。だんだん変わってきたようですけれども経理局長あるいは経理局の中の課長、そういう者が、判事が何人ぐらいいるのか、どうしてそれが裁判官でなければならないのか、そこら辺の理由をちょっと御説明願いたいのです。
  24. 大内恒夫

    ○大内最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。現在、最高裁判所経理局におきましては、私をはじめ裁判官課長になっております者が二名ございまして、一人は総務課長、もう一人は主計課長でございます。そのほかに監査課長でございますとか、用度課長、厚生管理官あるいは営繕課長というようなポストがございまして、それらはいずれも事務官営繕課長の場合におきましては技官がそれに当てられている、こういうふうになっております。  そこで、どういうわけで裁判官経理局のそうしたポストを若干占めているかというお尋ねでございます。これは、私が承知しております限りでお答えを申し上げますと、経理と申しましても、その中におきましては、予算の編成あるいは折衝、それからその適切なる実行というものがございます。たとえば、こまかいことで恐縮でございますが、庁舎を建設いたすにつきましても、他の行政官庁と違った問題も出てきております。裁判に必要なる法廷あるいは裁判官の部屋、会議室その他職員の部屋、つまり裁判の使命あるいは機能というものを十分に果たすということが必要でございます。その他予算のいろいろの面につきましても、こういう事項が裁判に必要な経費である、あるいはまた、現場の裁判官あるいは書記官のほうから、裁判に必要な予算としてこういうことが考えられるじゃないか、こういうことをやはり十分に企画して、計画をして予算をつくるべきである、かような声も会同その他の機会にしばしばあがりまして、そういうものを取りまとめて予算の編成をしたり、あるいはそれを十分に大蔵省その他の方面に説明するというふうなことも必要でございます。そうした関係から、現段階におきまして経理局長でございますとか主計課長、総務課長という者が裁判官をもって当てられている、そういういきさつ、現状になっておるものと私としては考えておる次第でございます。
  25. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 何かあまり積極的な理由でもないと思うのです。ちょっとおかしいと思うのですよ。もとは経理局のいまの厚生管理官、これまで裁判官がやっていたでしょう。厚生管理官がなぜ裁判官でなければならないのですかね。裁判官裁判するのが天職なんですから、どうもそれはおかしいです。ちょっと理解できませんね。経理局長主計課長や総務課長裁判官でなければならないという積極的な理由はないように思うのですね。  事務総長にお尋ねするのですが、最高裁判所の中で、裁判官であって裁判をやってない人は全部で何人ぐらいいるわけですか。
  26. 安村和雄

    ○安村最高裁判所長官代理者 三十九名ございます。
  27. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 その三十九名の方というのは、おそらくこれは裁判官としては非常に優秀な人ですね。いわゆるエリートコースというか、これは潮見さんの本によく書いてあるわけですけれども裁判官としても非常に優秀な人が入っていますね。各部署ごとに一応概要を説明してもらいたいと思います。各局長ごとでもいいけれども、三十九名も、どうしてそんなに裁判をやらない裁判官が最高裁に必要なんですか。半分ぐらいは現場に帰してもいいのじゃないですか。局付なんという人もいるでしょう。局付なんというのは何をやっているかよくわかりませんけれども、おそらく翻訳でしょう。翻訳ばかりでもないだろうけれども、翻訳をおもにやっているのじゃないですか。そんなにまでして——  少なくとも学校の成績なり司法試験の成績なり任官試験の成績が非常にいい人です。その人たちをどうして三十九名も最高裁にとめておかなければならないか。現場が裁判官が足りなくて困っているわけですから、もっと現場に帰すようなくふう、考え方をすべきじゃないか、こう思うのですが、この点はどうでしょうか。
  28. 田宮重男

    ○田宮最高裁判所長官代理者 稲葉先生御指摘の点、まことにごもっともだと思うわけでございますが、司法行政と申しますのは、一般行政、福祉行政といったようなものと異なりまして、もっぱら内部行政でございます。これはいまさら申すまでもございませんが、司法行政は、裁判を適正迅速に、かつ円滑にならしめるために、それに対していわばハウスキーピング的サービスということになるのが司法行政でございます。司法行政は直接裁判というものに関係し、もしくは間接的にも裁判に影響を及ぼすといったような面が非常に多いと思いますので、裁判権の適正な行使という面を考えますと、やはりその司法行政面においてはあくまでも慎重でなければならないといったような大前提があろうかと思います。  そうしまして、その司法行政とはそれでは具体的にはどういうことかと申しますと、一番はっきりいたしておりますのは、憲法で認められた規則制定権でございます。この規則を制定するということは、直接裁判の手続等に関連する重要なものでございますので、こうした規則の企画、立案といったようなことにつきましては、やはり事務官というよりは、裁判を現に経験してきた者がこれに当たるということが、裁判の内容等にも十分通じているということで、そこで正しい規則が立案されるのではないか、そういった面もございます。その他、やはりサービスでございますので、これは裁判をするために必要な裁判官の資料等の収集、それから作成といったような仕事もあるわけでございますが、こういった問題もやはり裁判官並びに裁判のためにどういうふうな資料が現在必要とされているか、このような資料を作成することによって裁判の適正迅速に資するかといったような判断、これもまたやはり裁判官の経験者がやったほうがよろしいというふうな点もあろうかと思うわけでございます。その他、先ほど経理局長も申しましたように、単に会計と申しましても、これもまたその経理内容いかんによっては直接間接に裁判に影響を及ぼすといったような面を考えますと、やはり必要最小限度裁判官の経験者が司法行政に当たるということが、ひいては裁判の適正迅速に資するということになろうかと思いますので、現在のところ、最小限度この程度の裁判官司法行政に携わるということはやむを得ないのではなかろうかと思うわけでございます。もっとも、御指摘のように、これをなるべく少なくするという方向に考えるべきことはもちろんでございますので、一般事務官にまかせられる面はできるだけまかすという方向でやってまいりまして、その結果が現在の三十九名ということになっておるのでございます。実は三月ごろまでは四十一名おったのでございますが、このうち二名を減らしまして、現在では三十九名になっておるのが現状でございます。  以上でございます。
  29. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それはある程度必要なことはわかりますけれども、三十九名がどうしても必要だという合理的な理由にはならないと思うのですが、あとで資料として、各局別に、何人ぐらいどういう役職でいるのかということを出していただきたいと思うのです。  それから、たとえば各高裁の事務局長というのは、裁判所法では事務官をもって当てることになっているんでしょう。条文ではそれが原則になっているんでしょう。それが各高裁の事務局長、ほとんど判事でしょう。これなんかは法のたてまえからいうと、本末転倒ではないのですか。これはいまどうなっていますか。
  30. 田宮重男

    ○田宮最高裁判所長官代理者 御指摘のように、高裁の事務局長は現在八人おりますが、いずれも裁判官の資格を持っております。まずこうした司法行政に携わる裁判官というものは何によってきめられておるかと申しますと、これは最高裁のその旨の規則がございまして、最高裁判所が指定するところの職種については裁判官をもって当てることができるということになっておりまして、高裁の事務局長は一応そうした最高裁判所の指定を受けた職種ということになっております。一応そういうふうに裁判官をもって当てることができると指定されておりますが、それが現実にそれでは必ず裁判官をもって当てなければいけないということでないことはもちろんでございます。しかしながら、現実には裁判官が高裁の事務局長をやっておるわけでございますが、これはやはり高等裁判所の長官は認証官でございますので、認証官を補佐して高等裁判所としての職務をやるということになります。  ところで高等裁判所職務でございますが、高等裁判所としてやる司法行政職務というのは、単に高等裁判所内部だけのことではございませんで、それぞれ管内の地方裁判所、またさらにその下の簡易裁判所のことに関してまでいろいろな業務があるわけでございます。それからまた高等裁判所独自で規制を制定するということも可能なわけでございます。御承知のように、高等裁判所準則といったような訴訟手続に関する重要な準則をつくっておるのもその一つのあらわれでございます。そういった意味から申しまして、やはり高等裁判所で行なうところの司法行政というものも、裁判に直接間接に関係のある面がかなり多いということから申しまして、高等裁判所事務局長裁判官をもって当てるということが適当であろうというふうに考えるわけです。  なお、高等裁判所は、管内の一定の限られた範囲ではございますけれども、人事それから会計といった面も担当しておる実情でございます。
  31. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 私の聞きたいところは、最高裁なりあるいは高裁の事務局長というか、これは判事として非常に優秀な方ですね。そういう人たち裁判をやらないで行政事務をやっているわけですね。だんだん裁判官としての技術といってはあれですけれども、スポイルされているんじゃないか、こう思うのです。法務省へも裁判官がずいぶん行っていますね。裁判官出身の人が法務省に来て、そして法案を通してくれなんて廊下なんかうろうろしている人がいるわけですが、そんなことは裁判官のやる仕事じゃないと思うのです。裁判官はやはり本来の裁判をやるところに一つの天職がある。そういうふうに裁判をやらない裁判官が相当いるから、現場では非常に忙しくてしようがないわけですね。  そこで、一つの問題は、たとえば公害の問題あるいは環境権の問題であって仮処分が出る。これはなかなか現行の法律の中では権利そのものがまだ固定しているわけではありませんから、むずかしいと思いますけれども、やはり口頭弁論を開き、相手の言うことも聞かなければならないと思うのですが、結局そういうようなことも次々に起きてくるし、そういうことに非常にウエートをとられてきます。だからそういう公害関係裁判、仮処分にしても相当おくれるという結果が出てきておるんじゃないか、こう思うのです。公害関係裁判の仮処分が非常におくれるというか、いろいろなことの資料やなんかは法務委員会でやりたい、こう思うのですけれども、いずれにしてもそういう関係裁判の遅延が一つできる。  それから、所長が裁判官としての員数に入っているわけですね。所長は裁判をやるわけではありません。やる人も多少はおられますけれども、おられても、きわめて少ない範囲仕事しかやらない。こういうことのために、所長は一人として割り当てられるけれども、おそらく〇・五までいかない割合しか仕事がない。このことのためにほかの裁判官に過重な割り当てがきて、事件がどんどんおくれる、こういうことが出てきておるので、所長の場合やはり定員とは別な形で、ぼくは所長が必要かどうかどうも疑問なんですけれども、かりに各地裁の所長が必要ならば、それはまた判事の定員とは別な形にして定員をきめる、何かこういう行き方をとっていかなければ、重要な裁判がおくれるということになるんじゃないか、こういうように思うわけです。  そこで、裁判官全体をどうやって今後ふやしていくかということについての最高裁側の考えをお聞きをしまして、時間がなくなってしまいましたから、それだけできょうは私の質問を終わります。どうやって今後裁判官をふやしていこうとするのか、それについてのお考えをお聞かせ願いたい、こう思います。
  32. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 裁判官の充員というのは非常にむずかしい問題でございます。御承知のように重要な職責でございますので、やはりりっぱな方でなければいけない、これが何と申しましても第一の要件ではなかろうかというふうに考えます。ただ中央ですわっておればそれでいいというものではございません。裁判というのは、全国至るところで問題が起こりました場合に、しかも等質の裁判官がそこにいて直ちに事件を解決するというシステムをとらざるを得ないものでございます。そこに相当な人数の裁判官の必要というものが出てまいります。人数を多くする必要、それから質を落とさないでこれを充足しておく必要というものは、ある意味では矛盾する要求でございまして、この二つの必要性というものを満たす範囲内において問題を解決していかなければいけないというのが私どもの使命でございます。戦前と比べまして、戦後司法研修所が発足いたしまして、すでに二十五期の修習を終わっておりますが、その間見てまいりますと、百名をこえる裁判官を採用いたしましたのは一期あるだけでございまして、それ以外は大体八十人から七十人というような採用人員ということに相なっておるわけでございます。過去の例から見てまいりますと、これは法務委員会等でも御質問にお答えしたことがあったかと思いますが、七十釜別後という数字がこれまでの私どもの最大限の努力というものであったわけでございます。それで安住するわけではございませんけれども、以上申し上げましたような裁判官の必要性、しかもその質を落とさない必要性ということを考えてまいりますと、なかなかむずかしい問題でございまして、国会等におきましてもそういった点について、待遇とかいろいろな面におきまして常々御配慮をいただいておるところもそこにあるのではなかろうかというふうにいま考えておるわけでございます。  さしあたりの問題でございますが、やはり裁判重要性というようなことを説きますとともに、一時言われておりました司法のいろいろの問題というようなものについての一般の理解を深めまして、そういったことはなくて、やはり裁判所というところは伸び伸びと思ったとおりの裁判のできるところであるといったようなことにつきましての修習生諸君等の理解も深めてまいりまして、裁判官をさらに充実していくという点で努力をいたしたいと考えております。
  33. 宇都宮徳馬

  34. 土橋一吉

    土橋委員 私は、本委員会において発言をさしていただくことを非常に心から喜んでおるものであります。委員長におかれましてもこの発言の保障のために一そうの御尽力、御協力を賜わりますよう前もってお願いを申し上げます。  きょうの東京新聞に、六月の十四日でございますが、「目にあまる公金乱費」という題で、「疑惑の文化住宅協会」という題で書いておるのであります。そして「「監査報告書」で明るみに」という題で、「カラ出張、料亭会議……」「有力証拠 警視庁 徹底追及へ」こういうことで、概略はこういうことになっております。「財団法人「日本文化住宅協会」(益谷秀次理事長、東京都千代田区永田町二ノ四ノ二、秀和溜池ビル内)の黒い疑惑を調べている警視庁捜査二課は十三日「役員の給与はなれ合い。公金の使い方もあまりにずさんすぎ、一般企業では背任横領に当たる」と同協会役員の一人が内部から“告発”した監査報告書を入手した。乱脈な経理を鋭くえぐったこの報告書はさる四十六年にまとめられたが、なぜか協会の理事会などでは公表されずにぎりつぶされたまま。同課はこの報告書の内容を検討して、同協会の経理内容を解明、これを突破口に黒い疑惑に徹底的なメスを入れる方針だ。」こういう冒頭の内容で、きょうの東京新聞に益谷秀次理事長のことが出ておるわけです。  そこで、この問題に関連して本委員会において、前に坂井委員から二回ほどいろいろ御質問がございまして、私もその内容を一応拝見をいたしております。でありますから、この日本文化住宅協会というものが、どういう趣旨で、どのような定款をもって、いつごろ制定され、そしてそれがどのような事業をやりながら今日に至ったか。今日はこういうふうに新聞にも書いてありますように、また坂井委員が過日この委員会においていろいろお話がございましたように、目に余る乱脈状態を続けておるのであります。これに対して、簡単でよろしいですから、建設省の幹部の皆さんに、こういう非常に内容のいかがわしい、あるいは幽霊財団法人ともいうべきものの解散をすることができないかどうか。簡単に、できるかできないかだけ答えていただきたいと思います。
  35. 小林幸雄

    ○小林説明員 お答えいたします。解散を監督権を行使しまして命ずることは非常に困難だと思います。
  36. 土橋一吉

    土橋委員 それは、業務の内容が定款の規定やあるいはその他のいわゆる内容と違ったことをやったというような実績がなければ公益法人としての存在を消すことはできない、こういう意味でしょうか。簡単でいいですから。
  37. 小林幸雄

    ○小林説明員 御意見のとおりでございます。
  38. 土橋一吉

    土橋委員 この問題は非常に複雑な内容を持っておりまして、すでに本委員会においてもお話があったと思いますが、昭和二十五年の七月、財団法人日本文化住宅協会が設立をしましたときの名簿をちょっと参考までに申し上げたいと思います。  敬称を略しまして、理事長は岩沢忠恭、参議院議員でございました。この方は御承知のように建設省事務次官をしておりました。理事として、愛知揆一、これは当時、前の銀行局長として参議院に入っておったかどうか、ちょっとそこははっきりしませんが、現在の大蔵大臣愛知揆一さんです。中村重喜、これは大和建設の取締役副社長でございます。松前重義、これは元逓信院総裁で、ついせんだってまで衆議院議員をしておられた方です。小林秀彌さん、この方は元経済安定本部建築課長さんをやっておりました。同じく理事の山沢真龍さん、これは前建設大臣秘書官をしている方であります。それから林文爾さん、この方は前北国産業取締役社長、元内閣情報局情報官、これが理事の方々であります。監事は、塚越虎男、日本銀行監事でございます。それから甲田勝博さん、こういう方が監事として、いま申し上げますように、二十五年の七月十日に設立の内容をいたしております。これは東京都知事の認可が当時必要でございまして、認可も公益法人として受けておるのであります。  現在の理事はいろいろかわりまして、いまは岩沢忠恭さんがなくなられまして、益谷秀次さんが理事長です。専務理事が林文爾さん、それから同じく山沢真龍さん、それから秋葉好雄、宮本愛三郎、小田拓三、山内勝、小林秀彌、小鍛冶芳二、この方は三井不動産総務部付の方であります。この方々が常務理事でございます。そして理事として、益谷充、松前重義、相川久雄、細川勇五郎、高橋政知、原平助、監事は原昭邦という方がやっております。途中いろいろかわったと思いますが、この新聞にも出ておりますように、私は非常に乱脈な限りを尽くしておるということをまず冒頭申し上げたいと思うのでございます。  そしてこれが調査経過としましては、御承知のように経過の内容について申し上げたほうがいいと存じますので、時間もそうたくさんございませんが、かいつまんで私の記憶のあるところを、この訴訟の資料によって証人の尋問などから推察をいたしましてお話し申し上げますと、大まかに申しますと、昭和二十四年ごろ林文爾さんが金沢の三竹旅館というところで、中島飛行機会社の後身である富士産業の取締役をしておった小口さんという方とたまたま旅館で一緒になった。そこで、いま物納の問題で富士産業は約四億数千万円の物納をしなければならぬ、それは戦時臨時的な税制の規定によってさようなことがきた、何とかならぬものだろうか。ところが中島飛行機工場のあとは御承知のとおり富士産業が受けておりますけれども、いわゆるじゅうたん爆撃を受けまして、そしてたいへんな状態で、とてもじゃないが関東財務局はそれを物納の対象にすることはできないということをいわれて非常に困っておるのだという話が出まして、林文爾さんが、それじゃ私が骨を折ってあげましょうというようなことで、大体二十四年の暮れごろから御本人もいろいろ鹿島組の幹部とか、あるいは建築の専門家とか、いろいろな人を帯同してそこを調査いたしました。そしてこれは大体いけるというふうに価格を踏まれたようでございます。つまり当時の、これはあとでわかったことですが、三井不動産の江戸英雄さんの関係の豊さんという三井不動産の幹部級の方が、当時の証言によりますと、大体原価が土地が約二万三千坪ばかり、それから建物は四万とか五万という高いものでございましたので、坪数はそれよりずっと多くなっております。価格は大体五億円か六億円するだろうということを値を踏んでおられました。したがって林文爾さんは、そういうことを十分いろいろ研究され、世間のことについては非常に詳しい方でございますので、いろいろの角度から研究されたと思います。そこで、その調査を終わりまして、当時ポツダム宣言の規定によるいわゆる日本の機械類あるいは軍需工場にあるものなんかは御承知のように賠償的な機械として当時の賠償庁、これが東京都知事と一緒になって管理をするという形をとっておったわけであります。ところが、これはアメリカのいわゆる民政部、東京、神奈川方面の民政部の指導のもとにそれらが行なわれておるという事情でございました。ですから林さんはここに賠償の機械が約四千台近くあるということは十分御承知でございました。またこれがその当時の二十四年ごろでは移転ができるかどうかというようなことについてもかなり研究をされておったと推定ができるわけであります。そして林さんという方は、たいへん器用な方でございまして、一内閣の情報官であったにもかかわりませず、これがいわゆる興業銀行の部屋で富士産業の社長の野口さんという方と会見をしまして、そうしてそこで、私が責任を持って物納させましょうということで、野口社長も手に余っておったのです。それは三鷹工場、それから田無工場、それから浅川工場などの問題があったわけで、一つの問題は、三鷹工場のうしろにいま国際基督教大学ができておりますが、そういうような機械を集めたり分散したり、いろいろなことを大体知っておられたと推定ができるわけであります。この林文爾さんを中心に山沢さんという人、これは当時益谷建設大臣の秘書官をしておられまして、これは新日本製鉄の要するに業務部長をしておった男でございます。この方が中心になって、いま読み上げたような方々、いわゆる愛知さんだとか中村さんだとか松前さんだとか、あるいは岩沢参議院議員、これらを要するに幹部として財団を発足させて、一方においては関東財務局にいろいろ交渉されました。その中に、ふしぎなことには、当時たしか大蔵大臣をしておられました池田勇人氏のいわゆる秘書官というので大平正芳という人がおります。この人に相談を持ちかけたところ、それは気の毒だ、そうして千二百世帯の六千人の住宅をつくることはいまわが国の政策としては非常に正しいことだ、大いにやりなさい、私も骨を折ってあげましょうというようなことで、いろいろ骨を折られたといわれておるわけであります。ここにおいて秘書官というものが池田さんにもお話しになったようでございますが、いずれにしても行為が一体国家のどういう官職の地位としての行政行為であるのか、この点が非常に疑問であるわけです。そこで、この林さんと山沢さんを中心にいたしまして、そうして秘書官をしておられた大平正芳さんが人選をやったわけです。それは建設省関係と大蔵省関係人材をここに入れようということで、最初、このいただいた資料にはございませんが、これは意識的に落としておるわけですが、この中には山際元日銀総裁が官職で何もしておられないので山際さんを入れておられる。これは建設省は私に間違った報告をしておるわけでございますけれども、この中に山際さんが入っておるわけです。山際さんは御承知の有名な日銀総裁にあとでなられた方です。そういう方、及び建設省からは当時事務次官をしておって、そうして参議院に出られた岩沢忠恭さんが入っておられるわけです。それから同じく建設大臣の秘書官をしておられた山沢真龍さん、それから大蔵省関係は銀行局長をしておりました愛知揆一さん、この方々が入って、そうして非常に多彩な幹部を中心に、これがいま申し上げましたような定款の規定やいろいろなものによって文化住宅を建設するのだというので発足いたしまして、そうして片一方においては、林さんと山沢さんの御奮闘によりまして、ついにこれが物納ができるようになったわけです。それで大体二十四年の終わりから二十五年の当初にこれが物納が成功いたしまして、価格は大体いま申し上げるように六億程度の価格のものであったといわれておりますが、これが大体約八千万の価格前後で物納のカタに大蔵省の関財に入ったわけであります。ところが続いて、この物納を払い下げをしてもらうということで、林さんをはじめとして愛知さんや、あるいはその他松前さんとか岩沢さん、これは建設省の元幹部でございますが、こういう方がいろいろ奔走いたしまして、そうしてたしか二十五年の秋口ごろにこれが払い下げになったわけです。そのときの条件は、これはまた奇怪なことでございますが、調べた内容をいろいろ見ますと、大体一億一千万円くらいで払い下げしようということを当時大蔵省並びに関財は考えておったのですけれども、林文爾さんの奮闘によって、これが約七千九百何十万、八千万足らずで払い下げになっておるわけです。このこと自身が大蔵省にとって一関東財務局長だけの権限で、一億一千万に見積もったものが八千万とかあるいは七千万というそんな膨大な金を下げて一体えてかってにできるものかどうか。当時私は国会議員でございまして、給料は二万八千円でございました。当時一般給与体系なんか大体六千円ベース前後でございました。したがいまして、当時の金としてこの八千万円近い金を集めるということは容易なわざじゃございません。ところが、この文化住宅という財団は資金がたった百二万円しかないわけですよ。それで岩沢忠恭さんを理事長としてこれはやっているわけですね、いま申し上げるように。大蔵省へ返す金約八千万近くあるわけです。そしてその第一期分を二十六年の二月二十日に納入する、これは約二千万ばかりです。次の一千万は同じ二十六年の三月三十一日に納める、あと残りは二十七年あるいは二十八年の三月三十一日にそれぞれ大体約二千五百万ずつ納める、こういうことで約八千万ばかりの金の決済をつけるということになっておったようでございます。これは文書で明確でございます。ところがこの財団法人は、いま申し上げたように公益法人でありながら資金はたった百万円。そして当時この人たちが考えておったことは、住宅金融公庫ができたから、そこで大体八割くらい借りていこう、あとの大体二千万前後は寄付によっていきましょう、こういう目算を一応立てておられたようでございます、いろいろの証言から見ますと。ところが賠償の機械がそこにすわっておった。これは動かすことがなかなか困難だということで、資金繰りがつかなくなってきた。千葉銀行、帝国銀行その他の信用組合など多方面にわたって金策をしたけれども、金は一向集まらない。したがって、二十六年の二月二十日にも第一回分の約二千万円の金を払うことができない。続いて三月三十一日にも一千万円の第二期分の金を払うことができない。じんぜんとして日を暮らして、結論としては、大体二十六年の十月ごろになって、やいのやいの催促をしたけれども、金が集まってこない。そこで、この人たちはどういうことをおやりになったかというと、再びまた大平正芳さんのところへ泣き込んで、信用のできる資本家は大体江戸英雄さんだ、当時井上義海という方が関財局長をしておりましたが、これに会ってもらって少し延期してもらおうじゃないかということで、山沢専務理事と林文爾専務理事、そして大平正芳さんがくっついて江戸英雄さんのところへ行って面通しをしたわけです。そして、ひとつたいへん困っておるから何とか融資をしていただきたい、こういうことがやはり記録にはっきりしておるわけですね。これは大体二十六年の十月前後であったと思います。  そこで井上関財局長は、あなたが保証してくださるなら私たちは少しお待ちしましょうということで、十一月ごろまで待ったわけであります。一向金を払いそうにない。納入していない。そこで業を煮やして、御承知のようにいろいろ催促もやったわけです。それでこの書類を見ますと、この人たちは二十数回延期方を申し入れて、関財局へ、あるいは大平正芳さんやその他の幹部に接触をしておるわけです。しかし依然として金は集まらない。どうか待っていただきたいということでやってきたわけです。ところが、江戸英雄さんがこつ然としてあらわれましてから、ある程度関財はこれを認めまして、たしか期限を十一月の二十日ころであったと記憶しておりますが、そこまで待ったわけだ。それでもまだ金ができてこない。江戸さんは御承知のように三井不動産の幹部でございました。この人のあとの証言から見ると、当時三井不動産はそんな金を出す余裕はなかったのだ、特にアパートを建てるとかそういう建築をやることについて、三井不動産はそんな金を出すことはできない、こういうことをあとの証言において言われているわけだ。にもかかわらず、江戸英雄さんは、いま申し上げたように大平正芳氏のあっせんによって、林文爾さんと山沢それがしに面接をして、わざわざ関東財務局の井上義海さんのところへ行っておるわけです。そして払う気はないけれども自分が顔を出しておけば何とか延ばしてくれるだろうという甘い考えを持っておったと推定ができるのであります。ところが十二月になっても金を払わない。井上関財局長は、再三の催促をしたけれども金を払わないというので、いわゆる民法の五百四十条及び四十一条の規定によって契約解除の通知を発したわけです。この通知は十二月二十五日に出しておるわけです。ところが、二十五日をこえまして、この法人の事務所を移転しておったわけです。山沢さんという人は、どこか江戸川の方面に事務所を移転しておったけれども、肝心かなめの関財局や大蔵当局に事務所移転の通知を出してなかった。それまでは銀座のほうで営業しておった形をとっておったわけです。ところがこの郵便物は、いろいろ回ってまいりまして、結局返ってしまった。関財局に一月八日の日に返りました。名あて人がわからないということで返ってしまった。そこでまた関財局は、あわててそれをさらに封筒に入れて、今度は岩沢忠恭参議院議員の官舎に送ったわけです。つまり議員会館に送ったわけです。ところがここに赤尾という秘書がいて、それを見たけれども、これはおれのほうに関係はないと考えたらしくて、そのまままた山沢氏のところに転送してしまった。転送しててんでんばらばらになって、翌年の二月八日にわかったということを言っておるわけであります。当時私は全逓の委員長として、郵便物が通常送達でどういう状態にあったかよく知っておるのであります。これが一月八日に参議院に行っている。この点はあとで清瀬大先生とか岡村玄治先生とか本間喜一郎先生などの弁護人を立てて、高裁において、これは正当な契約解除の到達主義がとれないという判決を下しておるわけです。これは法務省の方にも聞いていただきたいのだが、こういうことが一体まかり通るのかどうか。これが第一点であります。  次の点は、二十七年の一月二十日から国会は開かれておったわけです。そうして岩沢参議院議員は二十日、二十一日、二十二日、二十三日、二月一日、二日、三日、九日まで参議院の中で議員活動をしておったことは証明されておるわけです。ところが、いまお話をしますように、岩沢さんが見たというのは実は二月の八日であったというふうに言っておるわけです。ところが御本人はあとの証言では、私は九日、十日ごろはいなかったのだ、広島に行っておったのだ、こういう証言をしておる個所もあるわけです。ところが三井不動産は二月の七日に融資をしておるわけだ。つまり一月の八日にこれが関財局に返っていって、それをまた再び今度参議院会館に送ったところが、その赤尾という秘書が、これは参議院議員の岩沢理事長の受けるものではないと思って山沢さんのところに送った。それが日にちから推定いたしまして、十四、五日ごろ山沢さんのところに行ったと推定できる。山沢さんたちは、それまでは関財局に毎日のように出入りしておった人なんです。したがって、この郵便物を見たときに、これはたいへんだ、契約解除だといってあわてなければならない人が、二月の八日になって岩沢参議院議員が来て、実は契約解除になったのだ、帝国銀行には七日に約二千万の金を入れたのだ、こういうことが問題の中心になっているわけですよ。こんな見え透いたことが——しかもあとで参議院議員の岩沢さんは、読んでみると、私は九日、十日は旅行しておったということをあるところで証言しておられるわけです。こういうことについて当時の関財の皆さん、大蔵省は知っておったかどうか。私が申し上げるように、裁判では、これは到達主義をとれないという高裁や最高裁の判決が出ておるわけだ。それで国会のキーを預かるところのカウンター事務の人とか、そういう人を証人にあげて喚問しておるのですが、そういうことについてはいわゆる国会法上の公務じゃないからして、個人の、千葉かどこかに住んでおられた岩沢さんの家に届けなければ正当な郵便物の送達にはならないというような解釈を下しておるのであります。いま大体申し上げたような点について関財局どうです。私の記憶違いもあるけれども、大まかに言ってこういう事実を認めるかどうか。簡単にイエスかノーか答えていただきたい。
  39. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 ただいま御指摘がありました事実につきましては、基本的な事項につきましてはおおむねそのようになっております。
  40. 土橋一吉

    土橋委員 そうしますと、日にちその他については多少の私の思い違いがあるかもしれないけれども、基本的にはいまのお話の概要は大体あなたはお認めになりますね。イエスかノーで答えていただきたい。
  41. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 問題がいろいろございますが、先生の主観にわたる部分がございますし、またこれは裁判で争われた問題でございまして、訴訟記録にいろいろ残っておりますが、訴訟の段階におきましても、一審の判決、それから二審の判決、最高裁の差し戻し審の判決、それから上告審の判決、いろいろございまして、必ずしも一様じゃございません。ただ先生のおっしゃるのはどの部分についてか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  42. 土橋一吉

    土橋委員 私はいままで申し上げましたことを一つの段階として、大体大まかにそれは多少の行き違いその他あるかもしれないが、基本的には大体そういう方向だったということをあなたは最初おっしゃいましたから、それでいいです。  次の問題は裁判の問題です。これは法務省や裁判所の方にぜひ御答弁をいただきたいと思うのです。あなたは第一審とおっしゃるけれども東京簡易裁判所へいわゆる調停の申請をしたのです。この中にいろんな経過はちゃんと書いてありますが、簡易裁判所に調停を申請いたしましたところ、結局調停を申請したところの協会側は負けてしまったのです。これは飯島という裁判官が調停しております。これは事実を克明に調べて、それで民法第一条の規定と民法五百四十一条の規定から見て適法な解除であるということを決定しておるのであります。そしてまた、この請求をしておる協会側の要求は約三分の一程度しか認めることができない、こういう非常に正しい調停を出しておるわけであります。続いて東京地裁にまたこの問題を訴えました。東京地裁も大体その基本的な方針の裁判をやっておるわけであります。ところが当時の愛知参議院議員が、たしか三十六年の六月十二日だったと思いますが、法務大臣に就任をしておる前後、この問題が東京高裁にかかっているわけです。きのうまでこの文化団体の、いわゆる財団法人の理事をしておった愛知揆一さんが、たしかこれは池田内閣のことだったと記憶しておりますが、一躍法務大臣になられた。そうなってくると、また弁護士の先生の陣容が一新したわけです。協会側は先ほど申し上げた清瀬一郎先生、これは衆議院の議長もしておられました、わが法曹界においては第一人者と多くの方が仰せになっている方です。岡村玄治先生、この方も私の記憶では確かに有名な法律家あるいは有名な裁判官であったように記憶しております。とにかく民法学者としては有名な方であったように私は記憶しております。本間喜一郎先生、これまた裁判所、法曹関係のそうそうたる人で、事務総長か事務長か、そういうことをやっておられました。こういう弁護士の先生を並べて、そして契約のどこを追及したかというと、これはここのあらゆる書類によってはっきりしておりますけれども、これは随意契約だ、本来国有財産を払い下げをしたときには公開入札をするのが原則であるけれども、公益法人で、しかも池田大蔵大臣等のお声がかりもあるし、愛知揆一さんのそういう関係もあるし、益谷先生が顧問をやっておる財団法人であるから、とにかく——しかも契約内容は、ここに十一カ条の条文、約束がございます。この約束の中に書いてない事項を、会計法の規定やあるいはまた予算決算に関するそういう諸規定の問題を一つの例としまして、これが要するに随意契約であるからして、これは公共性を持ったものだ、その第四条の約束の規定に従った使用目的を直ちにしなければならないということが入っているのだ、だからこれはかってに民法上の単なる譲渡契約と見て問題解決してはならない、そういう論旨を展開いたしまして、しかも公共的な仕事をやるところのいわゆる公共財団であるということをたてにとりまして、この有名な先生方は、この随意契約の解除は無効であるというような趣旨のいわば決定をしておるわけです。最高裁においてもそれと同じような、原審高等裁判所と多少違った観点ですが、やはり基本的には大体そういう方針で裁判を却下しております。そしてこれが再び東京高裁へ舞い戻って、東京高裁でもほぼ同じような趣旨のもとで証人喚問あるいは裁判官の誘導的な証人尋問その他行なわれまして、結局正当な東京簡易裁判所の調停の決定とか、あるいは東京地方裁判所の判決をくつがえして——当時は益谷さんは衆議院議長をしておられたかもわからない、時期的にはそこまではっきり言うことはできませんけれども。それで愛知さんも法務大臣か重要な官職についておったと思うのです。そうするうちに大平正芳さんが外務大臣になる。こういうように、要するに自民党の幹部諸君があげて政府の要路に立たれ、しかも弁護士の先生方はいま申し上げたような一流といわれるすぐった方々を並べて、そうして尋問のしかた、証人の誘導的な質問なんか全く言語に絶するようなことをやっておるわけです。この内容はここにすべて出ています。特に私が遺憾に思うのは、関東財務局の井上義海氏に対する尋問なんかはひどいものですよ。法務関係の方がごらんになれば、この裁判官は一体正しいものの考え方でこういうことを聞いておるのかどうか。井上元関財局長に対しましてこういうことまで言っておる。あなたはめくら判を押しているのじゃないか。証人に呼んだ者にこういうことまでずけずけ言っている。そうしてとにかくこの財団法人が必ず勝利をするように、そういう関係を全部契約の解除という一点にしぼって、あるいは契約解除の到達というところだけに問題をしぼって判決をしておる。こういうまことにはだ寒いような判決をしておるのであります。御承知のようにこの間協会側が訴訟を提起して、グリーンパークの返還問題として八王子地裁において十二億円の請求権を認めさせた。この訴訟は、予備的な保全のことをやるということで国が負けました。国は法務大臣を担当者として、一番初めは加藤鎮五郎さん、牧野良三さん、あるいは愛知揆一さんも法務大臣をやっておるわけですね。そういう方々全部いながらこういうような裁判が行なわれる。そのやり方について私は非常に疑問を持っておるわけです。時間が十分ございません、あと八分くらいしかございませんから、詳しく聞くことはできませんけれども、これはまことに重大な問題なんです。つまり、一つは、きょうの新聞にも書いてありますが、この日本文化住宅協会という協会自身の内部においても非常にいかがわしいことがある。それは個々の証言によってはっきりしておりますように、江戸英雄さんという人が、この関東財務局の井上局長に会う前に、もう林文爾さんに金を貸しておるわけです。十分その間はツーツーで通っておるわけです。しかも毛並みのいい三井不動産の江戸さんに紹介してもらってありがたいというような証言も、この林文爾さんは行なっておるのであります。つまり、三井不動産がこのグリーンパークを乗っ取るために、今日においても御承知のように一億何千万の金を三井不動産は正式に貸しておるということが新聞にも出ております。そしてその面通しをする前から林文爾さんと江戸英雄さんの間には約五十万円の貸借関係がある。続いて七十万円の貸借関係がある。そういうのが全部ここに資料にあがっておるわけであります。この公益財団法人内部のここに書いてありますようないかがわしい問題と、いま一つは、自由民主党の閣僚諸君、高級官僚諸君と密着をして、癒着をして、そうしてあの混乱時期における、昭和二十四年から二十五年、二十六年、そして朝鮮戦争が起こった、賠償機械はいよいよ解除する方向に向かってきた、そして日米安全保障条約を結ぶという段階になってアメリカ軍の宿舎になったという関係が起こってきているわけで、そういう中でいわゆる自由民主党出身の高級的な政府の幹部諸君と高級官僚が一体となって、黒い霧の中でこの問題を政府の行政行為としてやったのか、要するに個人的な私情においてそれを認めたのか、こういうことがきわめてあいまいな状態において、これがあたかも政府の、池田大蔵大臣の言動であるかのように、あるいは秘書官の、要するに大平正芳君の言動であるかのように、そうしてここに協会の幹部がずらっと、先ほど申し述べましたような有名人を並べておるわけです。  第三番目の問題は、この裁判のやり方であります。いま申しましたように、東京簡易裁判所の飯島さんですか、この調停裁判官は非常にりっぱです。その決定の内容を見ても、われわれほんとうにうなずけるものを持っております。また第一審の裁判も非常にりっぱです。これは五百四十一条の規定によって当然解除する。ところが高裁のところへ行ってから、協会の諸君は動かすことのできないところの賠償の機械があったということを中心に論争を進めておるわけです。これはこの契約の第八条と九条、十一条の規定から見て、十一条にはっきりそういうことを言っておるわけなんです。そのことはあることは十分予定の上で払い下げをしてもらったはずであるのに、それがあったから融資がつかなかった、これがあったから要するに資金繰りができなかった、こういう方向へ言質を変えてきておるわけです。これは井上証言によってきわめて明瞭でございます。そうして高裁やあるいは差し戻しの東京高裁においては、それを是として認めているわけです。こんなばかばかしいことが一体裁判官において許されるかどうか。つまり裁判のやり方は、御承知のように三鷹事件、松川事件あるいは青梅事件、さらにはメーデー事件とか辰野、菅生事件、白鳥事件に見られるように、当時の裁判官が——私は裁判官の皆さんは非常にまじめだと思います。大多数の裁判官はきわめて適正な裁判をしておられると思いますけれども、この刑事事件に見られまするようなことがこの民事事件の——いわゆる日本文化住宅協会は刑事事件の松川事件と同じような黒い霧なんです。つまり諏訪メモを隠しておったわけですね。あるいは白鳥事件における、幌見峠におけるぴかっと光ったたま、これはもう一年半も雪の土砂の中に埋まっておったたまがぴかぴかしておった。そういうものを要するに取り上げて、これは村上国治氏がここで鉄砲の試射をしたのだ、こういうでたらめな基礎の上に判決をした。この刑事裁判と同じようなのがこの日本文化住宅協会の民事裁判の内容であります。私は法務省や裁判官の皆さんが、こういうことは一体はたして正しいのかどうか。刑事事件だけではありませんよ、民事事件でもこういうことをやっておるわけです。これは私は非常に遺憾に思います。これについては、経過は先ほどあなたはちょっと言われましたけれども、こういう経過は多くの方は知っておるのかどうか。簡単に、知っておる、あるいは知らないと答えていただければけっこうでございます。
  43. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 先生いろいろなことを多岐にわたっておっしゃいますので、私どもとしましても、古い話でありますので、ずれておることもありますし、また聞きましても、関係者がおりませんでわからぬこともございます。したがいまして、私どもとしては、事実関係を認められる部分もございますし、認められない部分もございます。
  44. 土橋一吉

    土橋委員 小幡さん、私はあなたがいままで非常な努力をされましてあのA地区、B地区、C地区を武蔵野市民の要求に従って一応地元の人にこれを返還するように努力をされたことに対して感謝いたしております。しかしながら、このグリーンパークの問題は、あなたがいま仰せのようなお話ではこれは事済まないのです。あなたのほうで責任をもって訴訟を提起し、再審の請求をすべきではございませんか。いま申し上げたようなことはこの書類によって——あなたがわからないというなら、私どもでは青柳法務担当委員にお願いし、最高裁の速記録も全部ございますから、資料がたくさんありますから、これを貸してあげますから、これをよく読んで、あなたのほうで再審の請求をしなさい。こんなインチキな財団法人に対して当時の価格で、いま申し上げますと六億近い財産である。この金が支払うことができないであって、しかも七億円もするものを建てようとするわけだ。寄付金の内容なんか見るならば、床屋さんとか、ふろ屋さんとか、飲食店とか、理容院とか、こういうところから当時の金にして五千万もの寄付金を募ろうとしておるのであります。いかにインチキであるか。先ほど申し上げた国家公務員、国会議員が二万八千円しかもらっていない時代に、五千万円の大金を、食堂であるとか、おふろ屋さんとか、あるいはクリーニング屋さんとか、共同入浴場であるとか、そういうところの人が権利金として一体払えるのかどうか。こんなずさんなでたらめなことが、当時の東京都知事も悪いけれども、引き継いだ建設省も、こんなずさんな計画をしていることが、いかにこれはインチキであるか、一発屋であるかということは明白ではございませんか。しかもこのアメリカ軍の賠償指定の物件が、御承知のように二十七年ごろから解除になった。これはサンフランシスコ条約によって日本がいよいよ独立体制をとるその前に朝鮮戦争が起こっておる。二十五年の六月二十五日朝鮮戦争が起こった。ここで賠償の問題やこの機械の問題が非常にゆるんできたわけです。そこで三井は、いま申し上げた二十七年の二月ごろになって初めて、これは投じても損はない。価格は大体いま申し上げるようなことです。そのときの土地の値段が一坪百四十円ですよ。その価格は約一千万円です。そして建物は使えるという建物で、その価格は大体六千万円前後であったと記憶しておりますが、あの当時三多摩地方において坪百四十円なんという土地はございませんよ。どんなところに行ったってございませんよ。そういう評価のもとで八千万という値をつけておるのです。こういうインチキなでたらめな文化住宅協会の存立を認めてはならない。またあなたがほんとうにこの問題について国有財産としてこれを確保して——今日国民がすべてそういう問題について関心を持っているのです。ですから、私は大蔵省が資料がないというなら、人がかわったというなら、資料は私のほうで見せてあげます。最高裁にも資料はそろっているはずだ。これを見て、再審の請求をして、このでたらめな裁判をくつがえさなければならないと思います。あなたはそういう勇気がございますか。やる気はございますか。
  45. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 私も先生のお持ちになっております訴訟記録は全部読んで存じております。ただ、事は行政裁判関係でございます。この部分については私は存じませんものですから知らないと申し上げたわけでございまして、再審の問題につきましては、これは法務省のほうからお答え申し上げます。
  46. 土橋一吉

    土橋委員 法務省どう考えておりますか。
  47. 貞家克己

    貞家説明員 再審の問題でございますが、その前に、私ども国を当事者とする訴訟を担当いたしております者といたしましては、国側の主張が終局的に認められませんでしたことはきわめて残念でございますが、しかしながら、謙虚にいま振り返って判決を熟読いたしますと、確かに判決によりましていろいろニュアンスは異なりますが、最終的な上告審の基礎となりました差し戻し後の控訴審等におきましても、いろいろの証人が出ておりますが、その供述を全面的に信用した、一方的に証言を信用したというようなことでは決してございませんで、かなり慎重に各証言の間の矛盾、そごというものも考慮された上の判決であるように見受けられるわけでありまして、謙虚に考えますと、上級審の裁判が出ました以上、その法律解釈と事実認定につきましては、当事者たる国といたしましては、十分にこれを尊重しなければならないというふうに考えておるわけでございます。もちろん再審の事由があります場合には再審をすべきことが、これまた私どもの義務であると考えるのでございます。  いま再審の関係につきましてこまかい法律論をいたしておりますと、かなり長時間を要しますので省略いたしますが、再審と申しますのは、何と申しましても一たん確定した裁判を、その効力をくつがえすという例外的な制度でございます。したがいまして、法律の規定によりまして再審事由、つまり再審の訴えを起こすことができる要件、それから再審の訴えを起こすことができる期間というような点につきましては非常に厳重な制約が課せられているわけでございます。したがいまして、現段階の資料その他によりましては、再審の訴えを起こすということは、困難ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  48. 土橋一吉

    土橋委員 たいへんどうも申しわけありませんが、もう一点だけ。  建設省で私のほうへよこした資料は、なぜ山際正道君を落としたのか。一体、こんなずさんなものをよこして、建設省、君は良心に恥じないのか、こんな資料を出しておいて。
  49. 小林幸雄

    ○小林説明員 お手元にお届けしました資料は、理事長、常務理事理事、監事と、こういう役員についての御要求であると思いまして、そういう資料を差し上げたわけでございますが、そのほかに顧問として益谷秀次さん、それから常任顧問として山際正道さん、これが入っております。私どものほうでは、理事長以下監事までの名簿というふうに心得まして出したわけでございます。特に故意に落としたわけではございません。
  50. 土橋一吉

    土橋委員 そういうでたらめはいけませんよ。これはあとで追加しておきなさい。
  51. 小林幸雄

    ○小林説明員 承知しました。
  52. 土橋一吉

    土橋委員 私はいまのような答弁では納得できません。したがって、この決算委員会においてこの問題の決着をつけるまで、私は、時間も来ましたので、それぞれの意見は保留いたしまして、次回にまた機会を見てこれを御質問し、やっていきたいと思うのであります。これは国家の重要な問題であります。しかも、財産をかすめ取ろうというような一群の諸君が、いま申し上げたような高級官僚あるいは大臣あるいは日銀総裁、そういう諸君が寄ってたかって貴重な財産を食いつぶそうというようなことは断じて許すことはできない。したがって、これは直ちに解散をさせ、そして訴訟を起こして国有財産に返還するよう私は要求します。この問題が実現するまで、本委員会において私はあらゆる資料から皆さんに追及もするし、質問もするし、決意のほどを聞くことを保留して、私の質問を終わる次第でございます。
  53. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 綿貫民輔君。
  54. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 私は、縦割り行政の欠陥を正し、財政の効率的運用をはかる中で、この決算委員会の重要性というものを非常に強く認識してまいった一人であります。中でも、独立した機関としての会計検査院は、この趣旨にのっとり、国民の期待する会計検査院であることがまず第一に望まれると思うわけであります。  この意味で、年ごとに膨脹する予算と、各省の機構の複雑化の中で、現状ではたして理想的な検査体制ができるかどうか。特に、最近は科学技術の進歩はまことに目ざましいものがあるわけでありまして、これに対処するには、科学的、専門的知識を持っておる技術職員を確保する必要があるようにも思うわけでありますけれども、会計検査院の立場としてどういうふうにお考えであるか、お伺いしたいと思います。     〔委員長退席、森下委員長代理着席〕
  55. 白木康進

    ○白木会計検査院長 私ども、財政の規模の増大、それから質的にも非常に複雑化しておる現状に対しまして、会計検査院の職責を全うするために、いまの綿貫委員の御趣旨に沿うよう全力をあげておるわけでございます。特に、御指摘の技術関係の検査につきましては、御案内のとおり、最近国が所管する高度の技術を駆使する研究所あるいは実施機関、それからまた各省庁における行政内容についても高度の技術が逐次採用されてまいっておるわけでございまして、当然こういったものは多額の国費を使用するという観点から、私どもも技術面の検査には特に意を用いておるわけでございます。  御承知のとおり、会計検査院は本来的に申しますと、事務官庁と申しますか、専門的な技術職員を多数設置するというたてまえにはなっておらぬわけでございますけれども、ただいまのような事情から、特に技術職員を研修その他によって知識を高める、それからできるだけ技術系の学校を出た職員も採用する、さらに専門的な技術関係の検査の必要に応ずるために、ここ数年来技術専門官という制度を設けまして、現在わずかに一名程度が認められておる程度でございますけれども、これも実施面に相当役立てておるわけでございます。全体といたしまして、なお今後とも技術検査の面について私どもはいろいろな努力を払うわけでございますが、会計検査の面で、会計検査院の職責を全うする上に特に不十分な状態であるというようなことはございません。十分にそういう面においても職責を果たしておるつもりでございますが、今後ともなおその面について意を用いてまいりたいと考えております。
  56. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 検査院制度は明治時代に国会が開設されてからずっとあるわけでございますが、現在総定員法というようなことで、定員ということを非常に役所別にやかましくいわれておりますけれども、こう行政機構が膨大になる中で、明治時代から検査院における職員の数というものはどのように推移をしてきておるのか、お知らせを願いたいと思います。
  57. 白木康進

    ○白木会計検査院長 旧憲法、旧会計検査院法時代におきましては三、四百名程度の規模で推移したわけでございますが、戦後、二十二年に新しい会計検査院法が施行されまして、検査院の組織等も大きく改編されたわけでございます。その際に千二百名程度に一挙に増員をいたしまして、その後若干の増減はございますが、ほぼ院法改正当時の定数を維持して現在に至っておる状況でございます。
  58. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 先ほども申し上げましたように、現在のこの行政機構の複雑化やまた膨大化する中で、この現在の変わらない定数で今後も適正な検査ができるかどうか。そういう意味におきまして、たとえば専門委員制を使うとか、あるいはコンサルタントを用いるとかいうような、日ごろ見のがされがちなような微細な問題にまでもひとつ視野を広げて検査する必要があると思うわけでありまして、こういう制度の活用ということをお考えであるかどうか、これについてお伺いしたいと思います。
  59. 白木康進

    ○白木会計検査院長 御指摘の点まことにごもっともでございますが、顧問制度につきましては、旧院法時代からその規定がございまして、現在においても制度としてはあるわけでございますが、先ほど来御指摘のように、技術と申しましても、非常に分野が専門化され細分化されてまいっておりまして、その全部に応ずるためには非常に多数の顧問委嘱というようなことも必要になるわけでございますが、従来から顧問制度を部分的に採用しました経験から見ましても、どうも特定の分野について顧問を設けるということが必ずしも私どもの意図に沿わない面もございまして、現在は顧問制度は全然活用しておりません。そのかわり、これは院法にも規定がございますが、政府部内におきましても各省でそれぞれ専門的な研究所等がございまして、高度の設備、あるいは技術者を擁しておるところも多数あるわけでございまして、私どもでは、まあ所管関係もございますけれども、検査上われわれの手に余るような面につきましては、こういった国の機関を活用することを従来から相当ひんぱんにやっておるわけでございまして、大きな効果をあげておるわけでございますが、なお御指摘の点は、今後とももっといまの定数の不足を補うという点からも検討してまいりたいと考えております。
  60. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ぜひそのような弾力性のある検査体制というものについてくふうを願いたいというふうに思う次第であります。  ところで、決算報告に関しましてお尋ねいたしたいと思いますが、政府の報告書は六〇〇ページにも及ぶ膨大なもので、しかも数字の羅列ということで、全く国民にとってはわかりにくい報告書というそしりを免れないわけであります。これについて、もっと大局的な立場から、国民のサイドに立った報告書というようなものに改めるべきだという声もあるわけでありまして、こういうことについてどういうふうにお考えであるかお伺いしたいと思います。
  61. 白木康進

    ○白木会計検査院長 御指摘まことにごもっともでございまして、従来からもそういう御批判をいただいておりますし、私どもとしましても、われわれが一年間総力をあげて実施した検査の結果というものを通じて国の予算執行の状況というものをできるだけ国民に広く理解していただくということは、これはもう常に心がけておるわけでございますが、何ぶんにも検査報告が、法律の規定に基づきまして必要記載事項等が限定されておりますし、その内容も予算執行の結果に対する批判、場合によっては、受け取りようによっては責任追及というような性格も持っております関係上、どうも政府一般で出されております白書というようなところまでくだけることがなかなかむずかしい状況でございまして、そこで、私どもとしましては、内閣を通じて国会に提出されます検査報告書とは別に、検査概要といういわばダイジェスト版のようなものをもう十数年来作成いたしまして、これもかなりな部数になっておりますが、できるだけ一般に予算執行の内容を知っていただくための配慮をいたしておるわけでございます。
  62. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ただいまのいろいろのそういうこともよく存じておりますけれども、やはり是は是、非は非、そういう立場から検査院としてはいろいろと検査をやっておられるわけでありますから、そういうものについてなるべく国民にわかりやすいような、しかもこれを単なる一部の人だけではなしに、国民にもよく理解できるような形で今後とも発表していただくような努力をしていただきたいと思います。  次に、具体的な内容に触れてみたいと思うわけでありますが、年ごとに不当事項の件数が、また金額もふえてまいっておりますが、指摘されておりますけれども、その中には事前に防止できるものもかなり多いと思われるわけであります。  一例をあげますと、最近急激にふえております交通安全対策費というのがあります。四十六年度で二十三市町村が指摘を受けております。指摘を受けた大部分は、対象工事の区別に関して問題が指摘されておるわけでありますが、最近住民の要望の多い改良工事の防護さくやミラーの設置などでありますけれども、交付金と補助金の指導の通達が非常にあいまいである、そういう点から指摘を受けておる面もあると思うわけであります。こういう点で自治省あるいはその他関係各省との間がうまくいっておるのかどうか、こういう点について会計検査院はどのようにお考えであるかお伺いしたいと思います。
  63. 白木康進

    ○白木会計検査院長 交通安全対策関係の補助事業につきましては、ただいま御指摘のような点がございまして、これももうここ数年来毎年かなり手広く検査を実施しておるわけでございます。問題となっておりますものは、この交付基準と実施する側の実施のやり方がぴったりいっていないというような点が主でございますが、その交付基準そのものにつきましては、これは交通安全対策に対する主務省の考え方、それから実施する地方公共団体等の行政面あるいは財政面の実情等を考慮して主務省でおきめになるわけでございまして、この点についていろいろ問題もあるようでございますけれども、私どもとしては、やはりこれはその内容についてとやかく言うということはなかなかむずかしいわけでございまして、基準とそぐわない点の事実を指摘して全体としての改善をはかっていただくというようなことでやってきておるわけでございますが、毎年こういった事態が非常に多いということにつきましては、ただいま綿貫委員指摘のような、全体としての考え方もわれわれとして検討してみる必要があるのじゃないか、これはもう同感でございます。今後そういう点も留意して実施したいと思います。
  64. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ぜひそのようにしていただきたいと思うわけであります。  ところで、逆の面で一つお伺いいたしたいと思いますが、昨年暮れの木材の値上がりのために、私の富山県のある町で文化財の建て直し予算を文化庁からいただいたわけでありますが、予算不足ということで現在ストップしたままであります。いろいろと地方自治体の場合でありますと、このごろ単価が低いために超過負担という問題が非常に大きな問題になっておりますが、これは個人の場合でありまして、ストップしたままになっておるわけであります。従来から文部省の単価の計算は非常にきびし過ぎるということもいわれておるわけでありますが、特に予算途中の単価の大幅な変動について、会計検査院としても何らかの指導を指摘される必要があるのじゃないかと思うのでありますが、こういう点についてお伺いをしたいと思います。
  65. 白木康進

    ○白木会計検査院長 補助単価の問題につきましては、従来からもたびたび当委員会においても論議があるわけでございまして、補助目的の達成という点から見て、これが非常に重大な問題があることはそのとおりでございます。実際問題といたしまして、最近の、たとえば資材が非常に値上がりしておるというような関係は、これは御承知のように、予算は一年前に編成されるわけでございまして、予算編成当時と実際に補助金が交付される時期との時間的ズレというようなものもございますけれども、それ以上に、予算単価が全体として必ずしも実情に即さない、そのために地方公共団体等にたてまえに反するような財政負担をしいる結果になるというようなことは、もう実際問題としては当然考えられるわけでございますけれども、これは補助行政あるいは補助金の財政面の処理、こういったものの根本に関することでございまして、個々の問題とは別にやはり処理され検討さるべき問題だと存じます。したがいまして、会計検査院としては、ただいま御指摘のような実情を十分承知はいたしておりますけれども、これについて、そのこと自体について一般論として政府側に意見を申し述べるというところまでは私どもは至っていないわけでございます。
  66. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 私は検査院の機能については十分承知をいたしておりませんが、ただいまのようなことは検査院としてのワク外だ、こういう御発言ですか。
  67. 白木康進

    ○白木会計検査院長 結論的に申しまして、補助金をせっかく交付しながらその目的を達していない結果になる、あるいは地方財政法その他の関係から筋の通らない財政負担を与える、補助団体に対して負担をかけるというようなことが法律的、財政的に具体的問題となる場合には、これはケース・バイ・ケースでございますけれども、われわれとして当然成規の検査の立場で処理しなければならないと思いますが、ただいま私が申し上げました補助行政一般のたてまえに関することにつきましては、これはちょっと会計検査院として政府に直接ものを言うという立場にはないということを御了解願いたいと存じます。
  68. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 三十六条に改善意見の表示というのがありますが、検査の結果、法令、制度、行政について改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官庁その他の責任者に対し改善意見を表示することができるというように書いてあります。非常に多岐にわたるという意味で、各役所が別にということは無理だと思いますけれども、この拡張解釈のような意味で、やはりただいまのような問題は堂々と政府に対してものを言ってほしいというのがわれわれの考えであります。これについてひとつ決意をお伺いしたいと思うわけであります。
  69. 白木康進

    ○白木会計検査院長 御指摘のとおり院法三十六条の行政、制度に対する改善意見は、かなり広範な権限が法律によって与えられているわけでございます。ただいまの補助単価の問題等も、広い意味におきましては当然この中に入るわけでございます。重ねて申し上げますが、この三十六条の規定を発動するという場合におきましても、われわれはやはり実際の会計検査の結果に基づく事実に基づきまして、具体的にこういう不合理がある、こういう法令上の無理があるというような事実に立脚した意見でなくてはならぬことは当然であろうと思います。そういう点から、それではさらに国は一体どういうふうな補助のたてまえをとり、どういうふうな財政措置を講ずべきかということになりますと、これは法令的にもこうでなくちゃならぬという面が一方的には必ずしも出てこない、こういった実質的な面で発動するに至っていないということでございまして、ただいまのような問題が本質的に三十六条のらち外である、こういう趣旨ではございません。したがいまして、いまの補助単価の問題につきましては、これはもう各省所管について十分検討いたしております。御承知かと思いますが、私どもでは検査の結果に基づきまして、毎年大蔵省の主計官と私どものそれぞれの所管の担当課長が長時間検査結果を持ち寄って、意見を聞き、あるいは意見を申し述べるという機会を持っておりまして、その際に補助単価の問題等については常に触れておるようでございます。実際問題としてわれわれとしても何とか不合理の是正ということについては努力を払っておるという実情でございますので、御了承願いた  いと思います。
  70. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ただいまの問題に関しましては、地方自治体などは超過負担の増加に対しましてややあきらめムードといいましょうか、陰では不平を言いながら大勢に順じていくというような形でありますが、ただいま取り上げました個人の問題あたりは、これは泣き寝入りというような形にもなりかねないわけでありまして、やはり政治不信にもつながるわけであります。こういう補助単価の問題にはみな気がつきながら、なかなか触れたがらない。これについて公正な立場にある検査院として、先ほどの趣旨を体して、その辺を誘導されるなりあるいは勧告されるなり、そういうことをぜひ国民のためにやっていただきたいということを強く希望する次第であります。  最後に、会計検査院の機能が有効に働くために内部監査も非常に重要だと思われるわけでありますが、会計検査院と内部監査の関連についてどのようにお考えになっておるか。また国際会議等もときどきおやりになっておるのでありますが、これらを通じて、諸外国においてはどのような行政の適正化につとめておるのか、これについてもあわせてお伺いをいたしたいと思います。
  71. 白木康進

    ○白木会計検査院長 内部監査の点につきましては、会計検査院も常時大きな関心を持っておるわけでございまして、特に政府の出資団体等におきまして実際に内部監査を問題にした事例が多いわけでございます。もちろん会計検査と内部監査は本質的に違うわけでございますが、内部監査がしっかりいっておるということは、経理秩序維持のために一つの前提といたしましてわれわれも当然関心を持つわけでございます。いろいろな財政的の理由等によって非常に内部監査機構が弱いというところについては、私どもで会計検査の結果こういった不当事例から見て強化の必要があるという場合には、これは積極的に改善意見等によって機構の強化を求め、現にその結果強化された事例も少なくございません。今後ともその点については従来どおり実施してまいりたいと思っております。  それから国際会議のことについていまちょっとお触れいただいたわけでございますが、数年前に東京におきまして日本国主催で会計検査機関の会議を実施したわけでございますが、その後もこの会議におきましては日本の会計検査院はかなり指導的立場を持たされておりますし、その検査活動についても各国会計検査院から相当高く評価されております。そこでいろいろな議題が討議され、いろいろな検査資料が持ち寄られるわけでございますが、もちろんその結果、私どももそれによって裨益される面も少なくございませんし、特に最近のように予算の効率的使用という面にウエートを置くというような点は、多分に従来の各国の検査制度にヒントを得たような面も多いわけでございます。しかし、全般的に見ましては、各国でやはり日本の会計検査院の水準というものを高く評価しておりまして、われわれはむしろ後進国の検査制度についてアドバイスを求められることが多いというような状態でございます。今後ともこの面については大きな立場で協力してまいりたいと考えております。
  72. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ただいまの院長のお話しのように、日本のレベルが非常に高いということでありますが、しかし行政機構も冒頭に申し上げましたようにますます複雑多岐になり、膨大になっておるわけでございますから、機構をさらに整備をされまして、ただいままで申し上げましたような点を参酌されまして、今後とも会計検査院の中立性と厳正さを貫いていただくように強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  73. 森下元晴

    ○森下委員長代理 庄司幸助君。
  74. 庄司幸助

    ○庄司委員 会計検査院にお伺いしたいのでありますが、まず第一点は、歳出決算の伸びについて私調べたわけでありますが、昭和三十七年度対比で見ますと、これは四十七年度の当初予算でありますが、一般会計が四四八、つまり四倍半くらいですね。それから特別会計が三四九、それから政府関係機関が三七四、平均で三九〇の伸び率を示しております。約四倍であります。これに対しまして会計検査院の定数ですね、定数と言っていいかどうかわかりませんが、員数は三十七年度が千百七十七名、四十七年度で千百九十六名、つまり十九名しかふえていない。このうち調査官の数について見ますと、三十七年度が五百十九名あったわけですが、四十七年度は六百十九名で、これは百名ほどふえております。しかし反面、調査官以外の数となりますと、三十七年度が六百五十八名だったものが、四十七年度は五百七十七名、つまり八十一名減っているわけです。結局、検査官はふやしたが、ほかの事務系統であるとかその他を八十一名減らした、結局差し引きで十九名しかふえていない、こういう計数になるわけですね。そうすると、これを見まして私感ずるのは、歳出決算がとにかく四倍にもなっている。それに対して会計検査院の職員数が十九名、ですから一%ぐらいしかふえていない。これで会計検査院の機能が十分果たせるのかどうか。あとでいろいろ事例も申し上げますが、その他の計数を見ますと、やはり会計検査院の検査機能が低下してきているような節があるわけですよ。この点検査院長としてどのようにお考えになっておられるのか、これで十分だとお思いなのか。さっきの御答弁ですと、何か十分でございますというような御返事でございましたが、私はちょっとおかしいと思うのですよ。その辺ひとつ検査院長の明快な御答弁を賜わりたいと思うのです。
  75. 白木康進

    ○白木会計検査院長 会計検査院の現在の定数はこれで十分というふうに私先ほど申し上げたようには覚えておりませんが、それはともかくといたしまして、現在十分であるとは毛頭考えておりません。現にここ数年来、本年度、四十八年度予算についてもそうでありますが、ぎりぎりにしぼった五十数名の増員要求も出しております。ただ一般的に申しまして、会計検査院というような機構は一体どれだけの定数がどうしても必要であるかという根拠というものは非常にむずかしいわけでございまして、現業の職員等の場合と違いまして、まあ逆に申しますと、こういった一つの事務機構、ことに経理の監査機構というようなものは、与えられた機構でできるだけの仕事をする、こういう見方もあるいはできるかもしれぬと思いますが、ただ、わが国の会計検査院は、検査の結果でその歳入歳出予算の全体を確認するという職責を負わされておるわけでございます。したがいまして、この職責を遂行し得ないようなことであれば、これは重大な問題でございますが、そのためにわれわれとしては、いかにして現陣容をもって一応この法律の要請する決算の確認の責任を果たすことができるかということに日夜努力をしておるわけでございます。先ほど来御指摘の予算規模、財政規模は非常にふえております。これはもう御指摘のとおりでございまして、この中には貨幣価値の変動に基づくノミナルな計数の増加ということもあろうかと思いますが、私ども検査いたしておりましても、実質的に行政内容が規模の面でも質的にも相当拡大されてきており、当然従来の検査密度なり検査レベルを維持するには増員が必要である、これはもうおっしゃるまでもないことでございます。ただ、国の全般的な立場から、公務員の定数というものをできるだけ圧縮し切り詰めるという基本的な方針がここ数年来とられておりまして、先ほども申し上げましたように、現業職員あるいは技術職員というようなものをたてまえとしない事務官庁であります会計検査院で増員というものが実際問題としては非常にむずかしいことで、結論的に申し上げますと、各省で定員の年次計画による削減が行なわれておるわけでございますが、会計検査院だけは特に実質的にその削減がなされないような状態で、いわば現状を維持しておる。それから質的な向上ということにつきましては、検査制度について、人の面あるいは経費の面で財政当局から相当の理解を得まして、職員の研修——定数の不足を質で補えるものはできるだけ質で補っていくという配慮もして現在に至っておるようなわけでございます。
  76. 庄司幸助

    ○庄司委員 それではもう一つ伺いますが、これもこの計数によりますと、三十七年対比で、要検査個所数が三十七年が甲乙合わせて三万五千四十五カ所、四十七年で四万七百一カ所ですね。つまり五千六百五十六カ所ふえているのですね。これに対して、私は検査院の実績をいろいろ調べてみましたが、この検査の個所数は、三十七年は二千八百十七カ所調べておりました。調べた実績ですね。ところが四十七年になっても二千八百九十一カ所、わずかに大体七十カ所ふえたぐらいです。  それから、この検査の施行率ですね、要検査個所数とさっきの検査実績の比率でありますが、これは甲乙合わせて三十七年は八・〇%だった。四十七年は七・一%にもう減ってきております。それから、これは性格もあるんでしょうが、乙のほうだけで見ますと、三・一%だったものが二・〇%に減ってきておる、こういう数字があります。  それからもう一つ、不当事項の指摘件数ですね。これを見ますと、三十七年が五百七十九件あったのです。大体こういった数字は昭和四十一年までは続いておりますが、それ以後がたっと下がって、四十五年には百五十三件、それから四十七年には百九十九件、不当件数が非常に減ってきておる。これは検査院のにらみがきいて各省庁が自粛したといわれればそれまででありますが、しかし最近のいろいろの汚職とか不正、腐敗ですね、新聞紙上をにぎわしておりますものを見ておりますと、かなり不当事項件数が、そうがたがたと減るはずはないだろうと私は思うのですよ。  それから、調査官の数と検査個所数の対比をやりますと、一人当たり昭和三十七年は六十六件あった、四十七年は六十五・七件ですね。大体一人頭は六十六件ぐらいでずっと終始している。こういうふうに見えます。しかし先ほど院長もおっしゃったようにいわゆる貨幣価値の増大によるものだけではなくて、いわゆる日本列島改造論であるとかあるいは新全総とか、こういった質的な増大が最近は非常に多いと思うのですよ。そうすると、調査個所だけじゃなくて、調査すべき件数は相当伸びているんだろうと私は思うのですよ。だから、その点で明らかに会計検査院の人員が不足している。依然として十九名しかふえておらないわけですから、それを部内でやりくりして、調査官の数はふやして一般職員の数は減らす、こういうやりくりをしてかろうじてやっているわけです。だからその辺、私がいろいろ不当事項、不当件数の問題とか、あるいは要調査件数の問題とか、こう申し上げたわけですが、明らかに会計検査院の人数がいまの国家予算の規模を十分カバーするだけの人数になっていない。これでは私は、会計検査院が独立した機関として、国の決算を全面的に監査して国民の信託にこたえるということにはならないだろうと思うのですよ。その辺会計検査院長、さっきと若干重複するかもしれませんが、もう少し具体的になったわけですから、もうちょっと具体的にあなたの所信と、それから一体どれだけ人数が必要なのか、先ほど五十数名要求したとおっしゃっていますが、私は五十数名くらいでは話にならないと思うのですよ。大体ほんとうに国民の信託にこたえられる規模となれば、どれくらい必要なのか、これをひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。
  77. 白木康進

    ○白木会計検査院長 あと先になりますが、五十数名というのは、実際はもっともっとほしいわけでございますけれども、国の財政方針その他も踏まえまして、ぎりぎり必要なものを出したことは前回申し上げたとおりでございますが、全体として検査の施行率なり浸透率が幾らか減っておるということは、これはもう事実でございます。これは検査のやり方にも多少関係がございますけれども、やはり検査対象に対して手が回りかねるという面があることは、これはもういなめない事実でございます。これについては、今後とも予算要求等におきまして増員についてはなお全幅の努力を払うつもりでございます。  この検査実施面で従来と若干変わってまいっておりますのは、これは程度の問題でございますけれども、施行率の低下ということとも関連しまして、俗なことばで申しますと、できるだけねらい撃ちと申しますか、重点的な検査を実施するというようなことで、全体として経理が一体どの程度の状態であるかということの把握には特に意を用いておるわけでございます。多少施行率は下がっておりますけれども、それからまた指摘件数の増減は、これは最近の事例から申しますと、補助金の経理の面が、かなり私どもの検査の効果と申しますか、そういう面もありますし、またこれに対応して主務省あるいは補助団体等の改善の努力が実を結んだ面もございますが、非常に大きな件数を占める補助金の経理でかなり増減があるということであります。私どもは必ずしも件数だけで全体を判断しておるわけではございませんが、実質的に経理の状態というものを把握しまして、そうして先ほど来庄司委員指摘の決算検査の負託にこたえる、その義務を遂行するのに不十分な点がないように特に意を用いておるわけでございます。
  78. 庄司幸助

    ○庄司委員 いまの院長のお答え、先ほどから伺っておりますと、私一つ重大な問題があるような感じがするのです。先ほど五十数名の要求をお出しになったんだが、なかなか通らないようですが、これはどれだけ必要かの根拠がむずかしいという御説明もあります。私、検査院長のお考えの中にちょっと重要な問題が含まれているというのは、やはりこの与えられた機構でできるだけ仕事をする。それから職員の数の問題では、国の全般的な立場で公務員の圧縮が行なわれている、これは行政の面で行なわれております。それから、ただいまの御答弁でも、やはり国のほうなんかをおもんぱかって、つまり行政、政府のほうをおもんぱかって、もっとほしいのが出しかねているというふうにおっしゃっているわけですね。これは私は、会計検査院の独立の問題ですね、内閣に対して独立の地位を有する会計検査院法の第一条の問題とやはり重大な関係があると思うのですよ。この点で財政法の第十九条では、内閣は、国会、裁判所及び会計検査院の歳出見積もりを、五十名なら五十名の要求をお出しになって、減額した場合は、その詳細を歳入歳出予算に付記するとともに、国会が会計検査院にかかる歳出額を修正する場合における必要な財源についても明記しなければならない。明らかに私は、内閣から独立した会計検査院がこの国会で予算の承認を得る場合は、内閣が不当に会計検査院の要求を削減しないように、国会で復活できるように、こういう十九条の項目を設けているのだと思うのですよ。その点、私はいま御答弁を聞いていますと、どうも国のほうの都合をおもんぱかって要求を出しかねているとか、そういうおことばがときどき見受けられたわけですが、あるいは公務員の圧縮の問題とかですね。会計検査院の独立という観点からだったら、しかもあなたがお認めになっているように、会計検査院がいまのこの予算規模あるいは質の面で拡大している、これを全面的にカバーし、国民の信託にこたえるためだったら、堂々と院長が予算要求をして、政府が削ったならば国会でその点を明らかにする、そして復活させる、この立場に立つのが私は当然じゃないかと思うのですよ。その点、院長、少しこの独立の立場が薄れかかっているような感じがするんですが、これはひとつ明確にあなたのお立場から答えてもらいたいと思うのですよ、第一条の立場から。
  79. 白木康進

    ○白木会計検査院長 会計検査院が独立機関として憲法、法律の使命を全うしなければならぬことは、これはもう御指摘をまつまでもないことでございます。ただ、先ほど来、私が申し上げましたことが、かなり事務的に申し上げましたので、あるいはことばが足りなかったかと思いますが、会計検査院もやはり広い意味におきまして国の行政機関の一つでございます。行政機関と申しますと多少語弊があるかと思いますが、司法機関、立法機関、行政機関というようなかりに大分けをしました場合には、これは行政権に属する。それよりも、やはりこれが国の一つの機関であるということで、基本的に国の方針というものとは別個に行動するような立場にはないことは、これは御了解  いただけると思います。  独立機関と申しますのは、この会計検査院が職責を遂行するのに、政府等によってその使命の達成が不合理に妨げられる場合に、それを保障する規定であるということは、これはもう私どもが申し上げるまでもないことでございまして、財政法十九条の規定等ももちろんそういう見地に立っておると思います。したがいまして、先ほど来申し上げますように、私どもは、たとえばだんだんに検査の人手の不足の程度が大きくなってきておる、そこで増員の要求を出しておりますが、これも先ほど申し上げましたように、現在われわれが、一応国の方針というものは、国の機関の一つとして、これはわれわれだけが別個に一人歩きをするということはできないわけでございまして、その方針をわれわれは一応是認いたしまして、ただ、先ほど来申し上げますように、会計検査院がいまの機構をもっては歳入歳出決算の確認の重責を全うできないという事態に、われわれがそう判断する事態に至りましたならば、これは当然に財政法十九条の発動ということも考えるわけでございますけれども、現在、先ほど来申しますように、われわれとしていまの機構でとにかくやれるだけのことはやる、また一方において財政当局に対して増員の要求は毎年毎年要求し続ける、この立場をとっておるわけでございます。決して独立機関としての意識があいまいになっておるとか、あるいはそういう方針を放棄しておるとか、そういうことでは全然ないことを御了承願いたいと思います。
  80. 庄司幸助

    ○庄司委員 この問題であまり論争したくはないのですが、ただどうも、国の機関だとおっしゃっておりますが、内閣の機関じゃないのだということを私は明確にしたいと思うのですよ。内閣の機関では、これは会計検査院の機能は発揮できませんからね。ただ予算の査定だけは内閣がやるということですからね。だからその点で私は、検査機能をやはり国民の信託にこたえるために十分なくらい、当然私は内閣の意向やその他を勘案することなしに、独立にやはり要求していいのではないかと思うのですよ。それがいまの会計検査院長のお話だと、どうも国と内閣がごっちゃになっておるようですが、やはり行政の都合とか財政上の都合とか、この辺への気がねというと語弊がありますが、思いやりといいますか、この辺がどうも多過ぎるのではないか、俗なことばで言えば遠慮が多過ぎる。これでは私は会計検査院が十分な機能を果たせないと思うので、ぜひその点は、会計検査院法の第一条の精神から、内閣の従属機関じゃないのだ、ただ、裁判所や国会とはまた違う一つの独立機関である、この立場をぜひ堅持してもらいたい。この点どうでしょうか。
  81. 白木康進

    ○白木会計検査院長 私の申し方があるいはまずかったかと思いますが、内閣に対して独立の地位を有することは会計検査院法第一条の明記するところでございまして、私どももちろん職責遂行の基本としておる姿勢でございます。先ほど申し上げましたのは、広い意味において会計検査院といえども国の機関である、だから会計検査院だけが、いかに内閣に独立しておるからといって、一人かってなことはできない、という常識的な意味で申し上げたわけでございます。  そこで、実際問題としまして、院法第一条の内閣に対する独立ということが多少でもそこなわれるという事態があったかと申しますと、これはございません。またいまの財政法十九条のような立場も、これは先ほど来申し上げますように、たとえばわれわれといたしましても、これは各省の場合に予算定員が十分に効果を発揮してない冗員があるといったような場合には、やはり国の予算の効率的使用という面から、むしろ冗員は減らすべきであるというような立場もとるべき職責にあるわけでございますが、同じような見方でわれわれとしても、会計検査院といえどもできるだけ少ない人員で職責を果たすと申しますか最大の効果をあげると申しますか、そういうことをやっていこうという趣旨も先刻来るる申し上げたわけでございまして、政府の方針に従って、それに遠慮して増員要求のほこ先が鈍っておる、こういうことでない点はひとつ御了解願いたいと思います。
  82. 庄司幸助

    ○庄司委員 くどいようで申しわけありませんが、やはり会計検査院長が御自分でお認めになったように、五十数名という一つの具体的な数字があるわけですよ。それからあとからの御答弁では、五十数名だけではない、もっともっとほしいのだという御答弁をなすっていますね。これが実現できかねている次第があるわけですね。だからその点、私はそれならこういう聞き方をしますが、来年度の概算要求で何名御要求になる御意向ですか、増員は。
  83. 白木康進

    ○白木会計検査院長 増員要求の財政当局に対する基本的な方針は、これは変わらないと思いますが、四十九年度予算についてはまだ具体的な策定の段階に至っておりません。
  84. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、五十数名という具体的な数字は出ておりますから、これを切れることはないと了解していいですか。
  85. 白木康進

    ○白木会計検査院長 さように御了解願っていいと思います。
  86. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで次に移りますが、それならば、いま会計検査院長が第一条の精神はいままでも守ってきたし、これからも守るとおっしゃるので、これまで私は四十八年度の概算要求額と予算額の比較表をおたくのほうからちょうだいしておりますが、これですと、会計検査院の概算要求額全額について言えば、予算額は若干上回ってついております。しかしこれは、いわゆる職員の基本給であるとか、あるいは旅費が法改正によって上がったため自然増としてふえた分がプラスになった。しかし今度は別な面の職員旅費の請求が五百万円ほど削られたり、あるいは庁費が約一億円ほど削られたり査定を受けているわけですね。この場合私は、検査院長が——これは今度の国会に大蔵省から出ておりませんから、復活財源を示して。とすると、検査院長がこれでいいのだと御了承になったとしか考えられないのですよ。それで伺いたいのは、四十八年度はそのとおりでございますが、四十七年度であるとか、ずっと三十七年までさかのぼってこの概算要求額といわゆる決定予算額、この比較対照したこれと同じような形式のものを資料として当委員会に出していただきたいと思うのですよ。これは委員長からもお取り計らい願いたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  87. 白木康進

    ○白木会計検査院長 ただいまの資料はできるだけ早く調製して差し上げたいと思います。
  88. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで、これは資料を見ないとわかりませんが、これまでの予算折衝の中で会計検査院が要求を出して、それが査定されて、国会に復活財源を明示して大蔵省が出したという事例はございますか。
  89. 白木康進

    ○白木会計検査院長 現在までそういう事実はございません。
  90. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは私は、会計検査院長が第一条の精神を御尊重になる、それから十九条も重々御承知だとおっしゃっていながら、全然そういう事例がなかったということになれば、やはり会計検査院の独立性がどうもみずから薄められてきたような感じがするのですよ。これはこれ以上やりますと水かけ論になりますから、これで切り上げますけれども、ぜひこれからは会計検査院は胸をはって国民の信託にこたえるという態度をひとつ堅持していただきたいことを強く要望しておきます。  次に移りますが、これは時間があれば、あとから少しゆっくり論じたいのでありますが、会計検査院の独立の問題で任命の問題があるのですね。これは国会の承認を得て、内閣総理大臣が検査官を任命する。三名ですね。こういう条項がありますが、この任命は内閣総理大臣が任命する。それから検査官の実際の人選について言えば、検討委員会があって、それから人事原案ができて、両院議長にはかるようなかっこうになっておったと思うのですが、いままで原案はどうも内閣が出しているわけですね。これは私は第一条に照らしてもおかしいんじゃないかと思うのですよ。会計面での独立性と同時に、こういう人事面での独立性が、ここで若干内閣の意向が入ってくる。これではやはり独立性が疑われる問題になると思うのですが、この辺御検討になっていくようなお気持ちがおありかどうか、その点簡潔でいいですから。
  91. 白木康進

    ○白木会計検査院長 検査官の任命につきまして会計検査院がイニシアチブをとる立場にないことは御指摘のとおりでございます。すべて内閣で人選等が行なわれ、国会の承認を得て内閣の任命ということになっておるわけでございます。ただ、このことが独立機関としての会計検査院の職責遂行上現案がいいかどうかという点につきましては、これは会計検査院のみならず他の独立機関にもあるいは似たような事情もあろうかと思いますが、私自身もこれは制度として問題の根幹に触れるものと考えております。ただ、現在の状態で会計検査院長であります私がこの席でこれについてとやかく御批判を申し上げることはひとつごかんべん願いたいと存じます。     〔森下委員長代理退席、委員長着席〕
  92. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで私は、この独立性の問題と関連してもう一点伺いたいのは天下りの問題なんです。これはおたくからちょうだいした四十八年六月十四付の資料ですが、会計検査院の局長以上で公団、公庫等に転出した者の調べがあります。日本住宅公団の監事上村照昌さん、これは当時事務総長ですね。それから住宅金融公庫の監事が樺山糾夫さん、当時第二局長、それから雇用促進事業団井上鼎さん、第二局長。それから先般来当委員会で坂井委員が問題にされた海外移住事業団、ここにも参考人で御出席になりましたが、理事をなさっている斉藤実さん、この方は第一局長ですね。あるいは宇宙開発事業団の監事の鈴木治久さん、それからいま運輸委員会で相当問題になっております日本鉄道建設公団の監事の宇ノ澤智雄さん、事務総長。これもまた問題になった京浜外貿埠頭公団の監事の増山辰夫さん、第四局長。あるいは住宅金融公庫副総裁の小熊孝次さん、事務総局の次長さん、日本中央競馬会の顧問の斎藤信雄さん、こういうふうにいわゆる世間でいえば天下り転出をなさっているわけですよ。私はこういう話も聞いたのですが、きょうは名前を出しません。ある議会の機関に会計検査院からいらした方がいる。会計検査院から調査に来られると、その方が必ず立ち会って大体雑談で終わってしまうという。まあうわさにしておきましょう。そういううわさも聞いているのです。そうすると、いま問題になっている海外移住事業団だとか鉄建公団であるとか、あるいは問題になっているいないは別にして、住宅公団であるとか、住宅金融公庫であるとか、中央競馬会であるとか、こういうところで会計検査院のおえら方が監事をなさっている。そこへ会計検査院の現職の方が検査に行かれた場合、やはりどうしても先輩、後輩の関係もありますから、会計検査に少し遠慮が出てくる、これは人情ですね。また世間ではそう思いがちなんです。これは誤解を招く問題になるのですね。だからといって、私は他の政府の省庁と比べると会計検査院の天下りはあまりないと思います。まして下級職制の場合は非常に気の毒なくらい使い道がない。定年後の職にも困る。そういう点の同情は私はずいぶんあります。しかしこういう世間の誤解を招くような天下り人事をやっていたのでは、会計検査院が国民から疑惑の目をもって見られる一端になる。この点でどうなさるのか。私は定年退職後の生活の道を世話するななどとは一言も言いません。むしろ世話してあげてもらいたい。しかしこういう疑惑を生むようなことをやってはいけない。この点ひとつ会計検査院長の所信を伺いたい。これが第一点です。  それからもう一つは、やはりこういう面から独立性がそこなわれるのではないか。これは政府のお世話にならなくちゃならないのです。検査院長さんや事務総長さんが、今度この事務総長がやめ、局長がやめるから、何かいい口がないかと政府に頭を下げていかなくちゃならないのです、政府のほうが権限を持っているのですから。これでは会計検査院の独立性がその面から疑われてくると思うのですが、その点どうなさるのか、これをひとつ伺っておきたいと思うのです。
  93. 白木康進

    ○白木会計検査院長 現在私ども幹部職員が公団の監事等に転出しておる点は、先ほど来御指摘のとおりでございますが、この慣行と申しますか、やり方が必ずしもいいとは私も考えておりません。ただ、会計検査院も、人事管理の面につきましては、一般職の公務員として国家公務員法あるいは人事院規則その他の一般の人事管理の基準に従って採用から退任までの人事管理を行なっておるわけでございまして、やはり各省とそう違った扱いは非常にやりにくい状態でございます。一方におきまして、ある程度の年齢で退職することもやむを得ないということになりますと、個人の生活の面等もございますが、最小限度、各、国の出資機関のいわば内部監査機構の責任者ということであれば、これは執行責任を持つ理事等と違いまして、会計検査院における従来の経験とかそういったものも活用できるでありましょうし、また先ほど来御指摘のような別の事情にも一応対応できるということで実施してまいっておるわけでございます。  ただ、そういうことのために厳正なる検査の執行がそこなわれるということでありますれば、これはゆゆしい問題でございまして、私はそういうことはないとここで申し上げていいと思いますが、不当事項あるいは改善事項等は、私どもから現に監事として出向しております団体等について毎年かなり指摘されております。またいろいろな陳情の代表という形で私どものところに見える監事もありますが、それに対してはやはり会計検査院の本来の立場で処理するということできておるわけでございまして、その点の御懸念はごもっともでございますけれども、われわれとしては、そういうことのために検査の厳正がそこなわれることがないよう十分に留意しておる次第でございます。
  94. 庄司幸助

    ○庄司委員 ついこの間、海外移住事業団の理事をなさっておる斉藤実さん、この人が参考人に呼ばれて、坂井委員からいろいろ御質問を受けたわけです。その中で、海外移住事業団が、国の金をもらいながら南米の移住地の問題についてきわめてずさんなやり方をやっている、こういうことがわかったのですよ。そうすると、会計検査院がそういった事項について検査に参った場合、やはり疑惑の目で見られるような事態があり得るのじゃないか、そういうふうに誤解を受けてくるわけですよ。いまは誤解とだけ言っておきます。だから、この問題は独立性の問題とからんで、この人をどこかに世話してくれと政府に頭を下げていかなくちゃならぬのですから、この辺はひとつ厳正にやっていただきたいと思うのです。これは御要望だけしておきます。  次に私伺いたいのは、会計検査院がやっておりますいわゆる計算証明規則による簡易証明の問題です。これは、四十六年度の決算額で七十二億一千七十万円簡易証明でやってくれという要求がありまして、それに対して六十五億八千四百十四万円お認めになった。それから四十五年度について言いますと、五十六億円に対して五十六億円ほど認めている。この五十六億円のうち、この間警察庁の決算でやったわけですが、約半分、二十五億六千八百万円、警察庁の捜査費が全額——全額ですよ、簡易証明によって検査を受けている。そうすると警察庁の決算、これがあなた方が扱っている簡易証明の半分以上、こうなります。これは私は非常に問題があると思うのですよ。捜査費でも、いわゆる協力者に謝礼を渡した、情報提供者に謝礼を渡した、こういう問題でなかなか本人の名前を出せないと警察が押し通すという事例もそれはありますよ。しかし二十六億円近くの捜査費全額を簡易証明で要求してくる警察庁の態度に会計検査院は全然抵抗していないのじゃないか。明らかにすべきものは当然明らかにして、成規の手続で検査を受けろとなぜ言えないのですか。
  95. 白木康進

    ○白木会計検査院長 簡易証明という現在の計算証明の取り扱いにつきまして庄司委員多少誤解をしておられるのじゃないかと思いますが、簡易証明は成規の証明をまけてやるという性質のものではございません。会計検査院法の規定によりまして、計算書と証拠書類は全部われわれが検査の資料として提示を受ける大原則があるわけでございますが、それを物理的に証明上所管庁から私のところに送付して持ってくる、あるいは手元に置いておいてわれわれが実地検査に行った場合に例外なくわれわれの検査の提示にすべて応ずる、こういう違いはありますけれども、これは先ほどちょっと御指摘のようなケースもありますし、いろいろな事情から簡易証明という形で物理的に会計検査院に持ち運ぶことを猶予しておるという事態でございます。  そこで、警察庁の捜査費でございますが、これは御承知のように費目として一本に、予算科目としての最終科目、細分科目でございます目の一目に全体が掲示されているわけでございまして、これをさらに内容別に細分して証明させるという技術的な問題もいろいろあるように聞いております。全体としてそういう簡易証明というものが、私どもとしてはいわば現地で実際に見て検査を遂行するというたてまえをとっておる関係上、一応総括して捜査費を簡易証明の取り扱いにしておるという点につきましては、別に警察の要求にわれわれが屈服しておるとか、そういう関係では毛頭ございませんので、この点御了解いただきたいと思います。
  96. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは伺いますが、警察庁については、毎年要検査個所数中何カ所やっておられますか。
  97. 白木康進

    ○白木会計検査院長 ただいま主管の局長が参っておりますので、お答えできますかどうか、局長から答弁させます。
  98. 立花寛英

    ○立花会計検査院説明員 ただいま主管局長が社会労働委員会に出席いたしておりますので、私かわってお答えさせていただきます。  ただいま御質問の警察庁の捜査費に関する実地検査でございますけれども、ただいま院長から説明いたしましたように、原則といたしましては検査証明……。
  99. 庄司幸助

    ○庄司委員 要検査個所何カ所、そのうち何カ所やっているか。
  100. 立花寛英

    ○立花会計検査院説明員 警察庁の分はもちろん毎年必ず参ります。それから各県の都道府県警察本部、これにつきましては、年度によって多少増減はございますけれども、大体におきまして、比率にいたしまして受検個所の二割程度は実地検査をいたします。
  101. 庄司幸助

    ○庄司委員 時間もありませんからこれで終わりますが、私は警察庁の捜査費についていろいろ聞いているわけですが、たとえば捜査費が部内の警部が転任する際のせんべつに使われたり、これは明らかに不当な支出ですよ。あるいは会計検査院長も御存じだと思いますが、背叛社事件で警視庁の間々田という警部補があの爆弾製造犯人に十一万円も渡した、こういう事例も出ているわけですよ。それからもう一つ事例があります。これはこの間も申し上げましたが、自分が情報提供者と吐きけを催すくらい酒を飲んでいるような捜査のやり方をやっているのですよ。そのほか何々警部渡しとかこういうものが、その後の使途が全然わからないという問題があるのですよ。あるいはレクリエーションに使ってしまったなんていうのもあるのですよ。こういうものについて、私は、会計検査院が検査なすった形跡がどうもないような気がするのです。警察庁については不当事項の指摘がほとんどないのですね。この点、警察庁の捜査費の決算についてもっと徹底的に調査してもらわないと、国民の血税がそういうふうな使われ方をしているという疑いがあるわけですから、これは院長、ひとつ徹底的におやりになる決意があるかどうか伺って、私の質問を終わりたいと思うのです。
  102. 白木康進

    ○白木会計検査院長 捜査経費の検査は、先ほど来申し上げましたように、実地検査の際に、実際の書類なりあるいは取り扱い者の口頭の説明によって検査を実施しておるわけでございますが、その眼目といたしましては、捜査目的以外の経費に使用された事実はないか、あるいは正当な債主に渡っておるかどうか、こういったことを主たる観点に検査をしておると思っております。ただいま御指摘のような点は、私事実関係が具体的にちょっとわかりません。場合によっては捜査目的を逸脱するようなものも、お話しの点にはあるようにもお聞きいたしましたが、この点については、なお事実問題として、いま担当の局長がほかの委員会に出席しておりますので、場合によっては後日御説明申し上げると思いますが、簡易証明であるから検査の程度が軽くなる、そういうたてまえは絶対にとっておりませんので、もし御指摘のようなことがあれば、これはまことにまずいわけでございまして、今後とも捜査費用以外の目的に使用されたかどうかという点については特に厳重な検査を実施するよう担当者にも申し伝える所存でございます。
  103. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  104. 宇都宮徳馬

  105. 坂井弘一

    坂井委員 国有財産の売り払いあるいはまた貸し付け等その処分のあり方、さらには米軍に提供いたしました国有財産、それがその後解除されまして、解除されたあとの処分のあり方等々につきましては幾多の問題点がございます。そこで、本日は会計検査院並びに大蔵省に対して若干の質問をいたしまして、そのあと一括して資料の提出を要求したいと思います。  まず会計検査院にお尋ねいたしますが、私は当決算委員会におきまして、過去二回にわたりまして、財団法人日本文化住宅協会に関する国有地の払い下げ事案につきまして、その経緯並びに今日かかえておりますところのさまざまな問題点につきまして指摘しながら、質疑を進めてまいりました。その経緯につきましては会計検査院も十分御承知のことかと思います。そこで、まず一点お伺いしておきたいことは、国がこの財団法人日本文化住宅協会に対して国有財産の売り払いを無効にいたしました。つまり契約不履行であるということをもって契約解除をした。このことは関係法令、売買契約書から見て適切な処置であったのかどうか。さらにはまた、売買契約書の内容につきまして不備な点がなかったかどうか。会計検査院はこれをどう見ておられるか、まずお伺いいたしたいと思います。
  106. 白木康進

    ○白木会計検査院長 日本文化住宅協会に対する国有地の払い下げは、非常に古い事実でございまして、私その内容を詳細承知しておりませんので、担当の局長から具体的に御説明申し上げます。
  107. 高橋保司

    ○高橋会計検査院説明員 ただいまの先生のお話でございますが、日本文化住宅協会と大蔵省との間に取りかわされた、二十五年でございますけれども、その契約につきまして、二十六年の暮れですか、契約の解除権を行使したということが関係法令、売買契約書から見て適切な処置であったかどうかという御質問でございますが、この事案につきましては、二十七年以来ですか、二十七年から四十四年の長きに至りまして東京地方裁判所東京高等裁判所、最後に最高裁まで争って、その処置が不適切であったということで、解除権の行使が間違っておったという判決が出たような次第でありますが、こういうような結果に徴すれば、売買契約書の内容ということよりも解除権を行使したという点に問題があったというふうに解されるわけでございまして、結果論でございますが、判決の結果から考えますれば、そういう解除権の行使は間違っておったという結論がはっきり出た種類のものではないかと考えます。  それから、売買契約書の内容に不備な点が見受けられたかということでございますが、その内容につきまして詳細に細部にわたって検討すれば、あるいは別の見解もあろうかと思いますが、本件に関する限りにおきまして、売買契約書に特に不備な点があったという見解は持っておりません。
  108. 坂井弘一

    坂井委員 そのまま承っておきます。  次に、財政法第四十二条に歳出予算の事故繰り越しの規定がございます。そこで、この繰り越しの定義及び大蔵省所管の書面、実地検査は一体どのようにされているのか、つまり繰り越しの内容について照会を発したり意見を述べたりしたことは、かつてそういう事例はあったかなかったか、一般論として会計検査院にお尋ねします。
  109. 白木康進

    ○白木会計検査院長 繰り越しの財政処理全般に関しましては、大蔵省につきまして主として主契約の締め切り等の機会におきましても、大蔵省本省の会計実地検査の場合におきましても、事情を聴取いたしまして、全体的な説明を受けておりますが、大蔵省に対して繰り越しの財政処理について照会等を発した事実はございません。  なお補足して申し上げますが、各所管官庁におきまして財政法四十二条の規定に基づく事故繰り越しの事案に該当するものにつきまして、はたして財政法の構成要件を満たした適正な繰り越し処理であったかどうかということについての検査も、もちろん各所管にわたって実施しておりまして、これについては従来から質問、照会等をした事実はございます。
  110. 坂井弘一

    坂井委員 では具体的な事例としてお尋ねしたいと思いますが、財団法人日本文化住宅協会に対するいわゆる借料がございます。経緯については御存じのとおりだと思いますので省略いたしたいと思いますが、この借料につきましては、昭和四十四年度分が八千六百三十三万三千円、四十五年度分として三億二千六十二万六千円、これは予備費で支出しようとした、そういう経緯がございます。正確には、秋山さんの説明によれば、「支払い時点におきまして、実行上で実施いたしたいというふうに考えておりまして、もしどうしても捻出できない場合には、予備費等でお願いいたそうか、そういうふうに考えておりました。」ということでありまして、これはきわめてあいまいもことした、予算と言えるかどうかわかりませんが、このことにつきましてはさておくといたしましても、四十六年度といたしまして三億四千十六万八千円、四十七年度といたしまして三億五千五百七十万五千円、これはいずれも防衛施設庁予算で計上をいたしておりました。ところが金額上協会との折り合いがつかない。これも経緯はずいぶんございますが、省略いたします。つまり折り合いがつかない。そのためにそれぞれ次年度に繰り越しているわけであります。ことに四十六年度分は繰り越しの再繰り越し、これはできない。したがって不用額となっておる。このような繰り越しは財政法上はたして妥当と言えるかどうか、会計検査院の見解を伺っておきたいと思います。
  111. 榎本哲弥

    ○榎本会計検査院説明員 ただいま坂井委員から御質問ありましたとおりでございまして、本件住宅協会に対する借料につきまして、御指摘のとおり四十五年度の一億四千万が四十六年度に予算明許で繰り越されます。四十六年度で不用、さらに四十六年度におきまして三億四千万が同じように四十七年度に繰り越されまして、四十七年度不用、四十七年度に成立しました三億五千万、これも現在四十八年度に明許繰り越し、こういう手続が踏まれております。これは委員のおっしゃるとおりでございます。  ところで、考えてみまするに、これは御承知のように財政法十四条の三によりまして、「歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由に基き年度内にその支出を終らない見込のあるものについては、予め国会の議決を経て、翌年度に繰り越して使用することができる。」この規定がございます。したがいまして、これは丙号の予算にあるのでございますが、繰り越し明許につきまして防衛施設庁の事項の中に、施設運営等関連諸費、これは一応繰り越し明許が認められておりまして、その事由といたしまして、事業の性質上その実施に相当の期間を要し、かつ事業が本年度内に終わらないものであり、引き続き実施する必要があるものであって、本件の場合は、補償処理が困難である、すなわち、賃貸借契約におきまして価格の折り合いがどうしてもできない、そういったことで補償処理ができない、そういうことでやむを得ず繰り越し、さらに不用額というふうなことが繰り返されているようでございます。これは坂井委員のおっしゃるとおり、こういうことが繰り返されることにつきましては、われわれも十分関心を持っておりまして、一日も早くこの問題が解決するように十分調査検討を加えたい、こういうふうに考えております。
  112. 坂井弘一

    坂井委員 重ねてお尋ねしたいと思いますが、つまり数年にわたりまして相当な額が執行されないということになりますと、少なくとも予算の効率的な執行の原則には反する、私はそう思うのですが、その点についての御所見はいかがでしょうか。
  113. 榎本哲弥

    ○榎本会計検査院説明員 予算の手続といたしましては、先ほども申しましたように、財政法十四条の三による正当な手続が踏まれております。しかし、おっしゃいますように、予算がこのように再三再四繰り越され、不用額とされることは決して財政法上歓迎するものでございませんので、われわれとしては十分これを調査検討いたしまして、一刻も早く軌道に乗り、予算が効率的に使用されるというふうになるように促進方を続ける、こういうふうに考えております。
  114. 坂井弘一

    坂井委員 承知いたしました。  国有林野事業特別会計等の国有財産、これを米軍に提供しております。これは国有財産法第十五条で、異なる会計間は有償として整理することになっているはずだと思います。ところで、昭和四十年度から防衛施設庁予算に約一千三百万計上して各特別会計に支払っておりますが、三十九年度以前の分は支払われていないようであります。そこで、同一条件のものを全く異なる取り扱いをした場合、財政処理上これが適切な処置とは思われないわけでありますが、御所見いかがでしょうか。
  115. 榎本哲弥

    ○榎本会計検査院説明員 本件についてお答えいたします。これは先生のおっしゃるとおりでございまして、昭和二十七年の法律百十号による日本国とアメリカ合衆国との間の安保条約第三条に基づく行政協定の実施に伴う国有財産の管理に関する法律の第六条並びに国有財産法の第十五条に基づきまして、当然有償であるべきでございますので、昭和三十四年の九月二十二日に会計検査院で、当時第二局長は保岡でございましたが、会計検査院事務総局第二局長より、当時調達庁と言っておりましたので、調達庁の次長に対しまして公文書で照会をいたしております。その後、調達庁といたしましても、現在は施設庁でございますが、直ちに改善をいたすべくいろいろ努力をしておりますが、なかなか予算の執行上に、予算の概算要求をしておるのでございますが、なかなか認めてもらうというわけにまいりませんで、結局先生のおっしゃるように三十九年度までは無償でやる、こういう事態になっております。確かにおっしゃいましたように、予算の執行において二分されているということは好ましくございませんので、先ほど来申しましたように、本院の局長名をもって照会をし、是正させたい、こういうふうに考えております。
  116. 坂井弘一

    坂井委員 次いで大蔵省にお尋ねいたしますが、米軍に提供している国有財産は、国有財産台帳上一体どのように整理されておりますか、お尋ねいたしたい。
  117. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 提供財産は、国有財産台帳上は、その台帳の用途欄に在日米軍使用という表示をするということになっております。
  118. 坂井弘一

    坂井委員 それでは提供解除になった国有財産の管理の方法あるいは利用計画及びその方針等についてはいかがでしょうか。
  119. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 米軍に提供されております財産が返還になりました場合には、とりあえずは防衛施設庁のほうで一カ月間以内管理いたしまして、一カ月たちましてから大蔵省のほうに引き継がれるわけでございますので、それ以後は大蔵省としましては、普通財産として一般の財産と同様に管理する。それからその自後の返還財産の利用計画ないし方針の問題でございますが、この問題につきましては、現在大規模なものにつきましては、国有財産中央審議会に返還財産処理小委員会というものを設けまして、慎重に検討する。特に学識経験者の方、それから地元の意向を十分尊重するように地元の団体の意見を聞く機会を持つとかいろいろいたしまして、できるだけ公用、公共用に優先的に充てるようにしたい、こういうふうに考えております。
  120. 坂井弘一

    坂井委員 いま申されました国有財産中央審議会、ここで処分することが決定した事案につきましては、売買契約を締結いたしまして、国の歳入予算の確保につとめるべきだと思います。ところが、中央審議会で処分決定しながら何年間も放置してあるという事例がございます。売買契約を締結する見込みのないようなものは白紙に還元するとか、あるいはほかに適切な措置を講ずべきだ、こう思われるわけでございますが、いかがでございましょうか。
  121. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 従来国有財産中央審議会で売り払いの方針を決定いたしましたものにつきまして、私どものほうでも調べてみますと、長期間未処理となっている事案が若干見受けられるわけでございます。その原因を調べてみますと、大部分は地方公共団体等の公共機関に売り払いするとか、あるいは無償貸し付け、公園として無償貸し付けするとか、いろいろ相手方の意向もいれまして計画を決定したわけでございますけれども、その後の相手方の事業計画、特に予算の問題あるいは資金調達の問題、それから場合によりましては、情勢が変化いたしまして、むしろほかのほうにその施設を持っていきたい、あるいは地方公共団体以外におきましては、特に売り払い価格の折衝におきまして当初の予定と違っていたということでなかなか契約に至らない、こういった実情でございます。したがいまして、私どものほうといたしましても、こういった状態で放置することは好ましくないということで、いま整理いたしまして、何年かたっているものはもうその方針決定を無効にする、白紙に戻しまして、あらためて計画を決定する、こういうふうなことで、そういう未処理の事案の処理促進をはかりたい、かように考えております。
  122. 坂井弘一

    坂井委員 さらには、この地方自治体に国有財産を貸し付ける、地方自治体に対しまして公園用地として貸し付ける、それをさらに民間に転貸ししている、そういう事例がございます。これは私は明らかに違法行為であると思う。したがって、国有財産法、同施行令、普通財産取扱規則、それから貸し付けに関する通達等、それぞれの関係条文を明示して、ひとつ御説明願いたいわけです。
  123. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 国が公園の用途に供するために地方団体に無償貸し付けいたしました財産につきまして、相手方が民間にそれを有償で貸し付けている事例があるのではないかという御指摘でございますが、この問題につきましては、大きく二つに分かれまして、一つは純粋な不法占拠、すでに民間がその都市公園に、不法に占拠して住宅を建てた、それに住まっている、こういった事例、これにつきましては、おそらく不法占拠でございますから、地方団体といたしましては、できるだけ占有を排除したいということでつとめておりまして、おそらく有償で貸し付けるということはないと思います。  もう一つの事例は、地方公共団体が都市公園の中に公園施設と認められるものに使用許可をしている、これは有償になるわけでございます。その内容でございますけれども、確かに公園施設と認められるかどうかという判断において、いろいろ意見の相違があるものもございますが、建設省のほうとしましては、都市公園法で、公園施設であれば公園の中に置くことを認めることはやむを得ない。したがいまして、それが公園施設に該当するかどうかということになろうかと思います。公園施設になるということになりますると、地方公共団体といたしましても、それはやはり使用を認めざるを得ない、そういうことになるのではないかと思います。
  124. 坂井弘一

    坂井委員 私が指摘しておる問題は、具体例をあげておりませんが、有償で転貸しをしたり、非常に好ましくない状態でそこが使用されておる。たとえばそこにホテルが建つ、それは有償で貸し付けておる。つまりそのようなことを言っているわけでありますが、きょうはそのことについて議論する時間がございません。大蔵省に対して資料の要求をいたしたいと思います。  昭和四十七年度末現在、米軍に提供している国有財産を各財務局別に一件ごとに所在地、口座名、数量、提供年月日等。これがまず一つ。  次に、昭和四十八年六月一日現在、提供解除物件を各財務局別に、土地、建物等について一件ごとに所在地、口座名、数量、解除年月日、利用計画等。  次に、昭和四十三年度から四十七年度までの五カ年間の国有財産地方審議会で処分決定した事案を、各財務局別に売り払い、交換、貸し付け、所管がえ等に区分して、一件ごとにその所在地、相手方、数量、随意、指名契約別の適用法令条文、審議会決定年月日、払い下げ申請年月日、契約年月日、申請の理由、用途指定の有無等。  次に、旧第二大蔵ビルを第一勧業銀行。旧気象庁あと地を国家公務員共済組合連合会、日本セメント株式会社。また海上保安庁旧水路部あと地、それぞれを処分しておりますが、売買または交換契約書、払い下げ申請書、資金、事業計画書等。  次に、昭和三十九年度から昭和四十八年六月一日まで、国有財産地方審議会で処分決定して、いまだに売買契約をしていないものの物件所在地、口座名、相手方、数量、随意、指名契約、審議会決定年月日。  次に、国が買い戻し請求権を認めて民有地を買収した事例。これは私は、前に鹿島の問題で指摘をいたしました。昭和四十七年六月一日の当委員会で審議いたしました。そこで、この件につきまして、全国的にかかる事例の総点検をすることになっておりましたが、出ました資料は、いと簡単な総括的なもので、審議の対象にはなりません。したがって、その結果につきまして、各財務局別に、一件ごとに地主名、所在地、数量、買収年月日、期限の年月日等。  次に、昭和四十三年から四十七年度までの五カ年間に予決令第百二条の四第一項四号ロによって、有利随意契約によって処分した土地、建物を各財務局別に、相手方、数量、払い下げ申請年月日、国有財産地方審議会決定年月日。売買契約年月日、評価価格、有利の割り増し率、割り増しによる売買価格、払い下げの理由。用途指定の有無等。  次に、国家公務員共済組合連合会に国有財産を貸し付けている土地の所在地、数量、借料、利用状況、貸し付け年月日等。  以上の資料の要求をいたします。よろしくお取り計らいをいただきたいと思います。
  125. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 できるだけ御趣旨に沿うようにこれから調査いたしますけれども、何ぶん膨大な資料でございますので、しばらく時間をいただきたいと思います。
  126. 坂井弘一

    坂井委員 まことに膨大な資料の要求をいたしました。これは前段申し上げましたように、具体的な一つ一つの事例につきまして、当決算委員会等におきましても、今日までしばしば事例をあげて、その内容の究明等をいたしてまいりました。しかしながら、これはきわめて一部分的なことでございまして、とうていその全貌、実態をつかむには至らないというのが、これが実情でございます。かの財団法人日本文化住宅協会にかかる件もその中の一事例にすぎないと私は見ております。こういう中で、今日のこの国有財産の売り払い、貸し付け、あるいはまた前段申し上げましたように、米軍に提供し、解除になり、それがその後どういう経路で、どういう方法によって処分されていくかというようなことにつきましては、はなはだしく疑問がございます。したがって、そうした国有財産のあり方一切について、当委員会の決算審議に足るだけの資料を私は要求したわけでございますが、ただ、きわめて膨大な資料でもございますので、これには相当な時日を要する。人も要るでしょう。そのことは容易に理解できます。したがって、ここで大蔵省にお願いいたしたいことは、こうした国有財産の総点検と申しますか、実態調査と申しますか、この調査にあたって大蔵省部内において、調査のための対策本部と申しますか、調査の本部を設けてやるくらいのかまえをしなければ、これは先ほど申しましたように、ただ出ましても、おざなりな資料にすぎないという結果に終わるのではないかということを心配いたします。  大蔵省に再度お願いしたいわけでございますが、そうした調査のための機関を大蔵省部内に設ける御意思がございますか、いかがでしょう。
  127. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 国有財産の総点検につきましては、実は四十七年度来大蔵省でやっているわけでございますが、先生の御指摘のような、そのための特別の機関をつくるかどうかにつきましては、担当の課の拡充、増設、いろいろな方法があろうかと思いますので、その辺の問題につきましては、今後積極的に検討することにしたいと考えております。
  128. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 坂井弘一君に申し上げます。  膨大な資料でありますので、当決算委員会の理事会において協議いたしまして、正式に要求したいと思います。そしてこの理事会において要求いたしました場合には、大蔵省においては全力をあげて提出をお願いしたいと思います。
  129. 坂井弘一

    坂井委員 委員長のお取り計らいを了承いたします。よろしく理事会においてはかられるようにお願いをいたしまして、質問を終わります。
  130. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十二分散会