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1973-05-31 第71回国会 衆議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月三十一日(木曜日)     午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 宇都宮徳馬君    理事 木野 晴夫君 理事 松岡 松平君    理事 森下 元晴君 理事 綿貫 民輔君    理事 久保田鶴松君 理事 芳賀  貢君    理事 庄司 幸助君       菅野和太郎君    濱野 清吾君       吉永 治市君    安宅 常彦君       高田 富之君    田代 文久君       浅井 美幸君    坂井 弘一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      福田 赳夫君  出席政府委員         行政管理庁長官         官房審議官   木下  薫君         行政管理庁長官         官房会計課長  鶴田 輝明君         行政管理庁行政         管理局長    平井 廸郎君         行政管理庁行政         監察局長    大田 宗利君         文部大臣官房会         計課長     三角 哲生君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         林野庁長官   福田 省一君         自治省行政局長 林  忠雄君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局次長   長橋  進君         国土地理院長  南部 三郎君         会計検査院事務         総局第一局参事         官       田代 忠博君         会計検査院事務         総局第四局長  田中  稔君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     竹入 義勝君 同月二十九日  辞任         補欠選任   前尾繁三郎君     中村 梅吉君 同月三十日  辞任         補欠選任   稲葉 誠一君     江田 三郎君 同月三十一日  辞任         補欠選任   篠田 弘作君     吉永 治市君   八木  昇君     安宅 常彦君   竹入 義勝君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   吉永 治市君     篠田 弘作君   安宅 常彦君     八木  昇君   坂井 弘一君     竹入 義勝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十五年度政府関係機関決算書  昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管行政管理庁)〕      ————◇—————
  2. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 これより会議を開きます。  昭和四十五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管行政管理庁について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がございますので、順次これを許します。安宅常彦君。
  3. 安宅常彦

    安宅委員 私は、たいへん古い話なんですけれども、これが非常に重要だと思うので、国有財産処理のしかた、それからこれに伴う各省庁の処理のしかた、この問題について逐次聞いていきまして、ほんとうは最初にやりたいのですが、最後行政管理庁長官の見解を聞いておきたい、こういうことであります。  これは、昭和三十八年の初めに山形県と宮城県の境の蔵王山という山がありますが、その頂上に観光用リフトをつくりたいというので、たくさんのリフトはありますけれども、きわ立ってその中で、山形交通株式会社という会社北都開発という会社とが競願の形になって、この問題がたいへんもめたのです。これは刑事事件にもなりまして、被告である当時の山形営林署署長は、本件に関する分は無罪になりましたけれども、これに関連するやはりリフトの問題で、ちょうどそばにあるのですが、この問題で贈収賄があった、私の記憶が間違いなければ、そういうことで有罪になっておるのです。ところが、無罪になったこの問題も、立法府の立場から司法のほうを批判するのはいかがと常識上思われるかもしれませんが、しかし、最大の皮肉を言えば、たいへん奇異な、いやらしい裁判じゃないかなと、私個人はそう思っているほどの、何か奇々怪々たる判決になっているような気がしてならない、そういう問題がありました。  これはなぜかといいますと、事の発端は、リフトを許可しようと片一方のほうに一生懸命になり、そうして片一方会社のほうはあのやろういやなやつだからというので徹底的に抵抗して、これを許可しないように当時の営林署長、あるいはこれと相談した、法律用語でいえば共犯みたいになるのでしょうか、当時の秋田営林局長、こういう人々が多数の職制の命令系統をもって、いろいろな手練手管を使っているのです。それば使った事実は判決も認めているのです。そういうことがあながち不当だとは思われないというところでさっと逃げているように、私は判決をそう読んでいるのですが、こういう事件があります。その具体的な話をすれば、片一方は、宮城県側にあるから宮城県のほうに話をして、白石営林署連絡をとって、直ちに許可をさせろ。いやなほうは、これは山形県内だということがはっきりわかっているんだけれども明治の中ごろの測量成果をおろすんだということを理由にして林班界を変えてしまったわけですね。で、リフトをつくる予定のところは宮城県と山形県とジグザグになってしまってどうにもならないようなしかけにした。ところが、残念ながらここは林班界営林署が変更しただけにとどまらない地域であって、その林班界は三十九号のあの辺の林班界なんですが、この境目、すなわち七ケ宿町という町と山形県の上山市という町の境界でもあるわけです。ということは、即山形県と宮城県の境界でもあるわけです。ですから、どういう理由であろうと林班界を変えるということは営林署の部内だけでできるものではない、こういうことははっきりしておるのですが、それを強引にやってのけたのです。そのために、いままで平穏であった両方の町と市は、片一方は削られる、片一方はふえる。ふえたところはしめたと思ったでしょうし、削られるほうはこれはたいへんだということになって、決着がつかないのです。こういう問題が、昭和三十九年の末ごろから四十年にかけて、本決算委員会でも国有財産小委員会等で、私そのほかの社会党の委員が徹底的にこれを追及したのでありますけれども、その当時の速記録をいま読み返してみて、うまい表現で言えば、政治というものは非常に遅々たるものだ、悪い表現で言えば、そのために国家の行財政にたいへんなロスを、あるいはそのために倒産した民間の企業にたいへんな迷惑をかけておるものだなということを感じて、いまここを追及しようと思っているのであります。  最初国土地理院にお伺いいたしますが、国土地理院地図昭和四十一年に発行したとあなたのほうはおっしゃっていますが、これはいつ発行になって、実際に外に出たのはいつかも聞きたいのですが、この地図を見ますと、近代国家である日本、なるほど経済大国だなんていばっておりますが、国土面積は、そうアフリカの砂漠じゃあるまいしたいしたことない。そういう国の国土の中で、宮城県と山形県の境界がなくなっちゃっているんですね。びっくりしたんです、それを聞いて。そんなことがあり得るのかどうか。これはしろうとの考えでは奇異な感じを受けるのですが、なぜ記載されていないのか、簡単に答弁していただきたい。
  4. 南部三郎

    南部説明員 お答えいたします。明治四十四年の旧陸地測量部が調製いたしまして、その後何回か修正をしてまいりました五万分の一の地形図では、問題の両自治体境界は入っております。御指摘のように、その後新しく地理院で調製いたしました図面では当該分境界は抜いてございます。その理由は、国土地理院におきまして地図を新しく調製いたします場合には、その境界につきましては必ず関係自治体境界確認をいたしまして、境界確認されたもののみを地図に表示するという内規に従ってそういう措置をいたしている次第でございます。したがいまして、その新しい地図というのが、昭和三十九年に航空写真測量という新しい手法によりまして地図をつくり直します際に、その山形県の上山市並びに宮城県の七ケ宿町にあらためて境界確認をいたしましたところが、問題の部分約二キロにつきましては係争中であるということで、境界確認されませんでしたので、当該分につきましては、新しく発行した図面では境界を抜いたというのが経過でございます。
  5. 安宅常彦

    安宅委員 それではお伺いいたしますが、私の手元には、昭和四十一年の前に、昭和二十八年の応急修正版や、昭和六年の分、明治四十三年の分などがありますけれども、いままで国土地理院というのはただ測量するだけなんですか。そうすると、どうなんでしょうね。区域もちゃんとあなたのほうでは明示してあるのですが、全部照会したのでしょう、そのつど。
  6. 南部三郎

    南部説明員 国土地理院は、地方自治体境界確認して、確認されたものを地図に表示するというのが私どもの仕事でございまして、その境界が、どちらのものであるか、どこにあるべきかというようなことにつきましては、地理院といたしましては全く関係のないことでございますので、私どもといたしましては、先ほどお答えいたしましたように、確認されたものについて地図に表示する、そういうことをいたしているわけでございます。
  7. 安宅常彦

    安宅委員 これは重要なことだと思いますが、きのうあなたのほうの部下の人が来まして、旧陸軍のやっておった当時は照会したかどうかわかりませんという話でしたよ。ただ私どもはそういうままになっていればままにいたしました、こういう話だったのですが、私調べてみたら、全部そのつど照会しています。返事が来た日にちも、私は当時の資料をゆうべ徹夜でひっくり返して見たのです。そうしたら、返事をしています。照会もしています。最終の段階で、あなたのほうでは昭和三十九年に航空写真の新しい方式をやったわけでありますが、三十九年にも照会しているようですね。一月の末、二月一日に七ケ宿の町、上山市から、従来どおりであります。こういう返事が来ておりますね。どうですか。
  8. 南部三郎

    南部説明員 三十八年の九月に七ケ宿町と上山市に地理院から照会いたしております。そして返事七ケ宿町から三十九年の一月、上山市から三十八年の十一月にいただいております。
  9. 安宅常彦

    安宅委員 それで、四十一年にあなたのほうでまた照会をされた。そのときには今度、係争中であるという返事が来ていますね。そうしてその内容について私非常に疑義を持ったのですけれども、三十九年五月ごろから紛争に入りましたという文章だったと思いますが、間違いありませんか。
  10. 南部三郎

    南部説明員 お答えいたします。三十八年九月の照会に対します返事では、七ケ宿町は旧五万分の一のとおりでありますという返事が来ております。それから上山市からの返事では、一部係争中である、紛争があるという文書が参っております。
  11. 安宅常彦

    安宅委員 そんなことないでしょう。上山も従来どおりだと書いてある。私はあとのことを言っているのです。そんなのは間違いだ。
  12. 南部三郎

    南部説明員 三十八年十一月の上山市からの返事をいただきました書類を見ますと「行政区域についての記載事項」というところで町村合併が行なわれたことが一つ記載がございます。それから最後に「刈田郡七ケ宿町との境界県境)について一部分論争があり、その部分について現在のところ未定である。」という書類がまいっております。
  13. 安宅常彦

    安宅委員 それだったらかえっておもしろくなるのですが、私は四十一年の七ケ宿返事を聞いているのです。三十九年五月から紛争中だと書いてあるはずですが、そのとおりですか。
  14. 南部三郎

    南部説明員 お答えします。七ケ宿からいただきましたものにつきましては「さきに作成した地名調書記載事項を下記のとおり訂正します。当町の境界については、昭和四一・八・三一提出の地名調書のうち「行政区域についての記載事項」に記入したとおりでまだ自治大臣裁定がありません。」「記 行政区域についての記載事項」「昭和三十九年五月以降山形上山市との境界の一部分論争があり、現在自治大臣裁定を申請中である。これ以外の境界については最新の国土地理院発行の五万分の一地形図に表示されている境界のとおりである。論争のある境界は附図に示すとおりである。」以上でございます。
  15. 安宅常彦

    安宅委員 そうなりますと、こういうことになるのです。七ケ宿の町では三十九年の一月の返事では従来どおりだと言っているのですよ。五万分の一の地図で間違いありませんと言っているのです。そのときはもうすでにいわゆる県境の問題で山形県内あるいは全国版にも載りました。各新聞はどんどんこれを載せて、かなえがわくような状態になっておったのです。そういう状態だから、上山では、あなたが答弁したことが事実とするならば、一部で論争中だと書いているのはそういうことだと思うのです。ところが、七ケ宿地区では、その次の次の年の一月の返事で三十九年五月から論争があるというのですから、これもまた変な話でありまして、ここの町では気にかけていなかったのです。ところが林野庁が測定をし直して林班界を移動させた。これは論争に加わったほうがいい、言うならば、ごね得みたいな、悪く言えばそういう考え方で出したのだと私は思わざるを得ないのです。昭和三十九年の一月には従来どおりでございます。そのときもうすでに大論争が始まっておるのです。そして四十一年の一月に回答したときに、昭和三十九年からの論争だというのですよ。上山はその前に一部論争があるということをすでに認めているのです。このやり方は非常に不愉快きわまるやり方だと私は思いますが、こういう回答自治省はどう思いますか。論争というのは一緒にやるのじゃないですか。
  16. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 いまこの段階でその当時の論争経過がどういうことであったかということについての判断は私ちょっとつきかねますけれども、御指摘のように、上山市のほうでここに論争があるという認識を持って国土地理院回答を出したのが三十八年十一月だそうでございます。先生のお話によれば、その当時新聞その他で騒がれていたということでございますが、七ケ宿のほうがその問題をそれほど気にかけていなかったというのは御指摘のとおりのことだったろうと思います。山形県のほうで大問題になっておった、それも御指摘のとおりだと思いますけれども、それがいかなるゆえに基づいて、どういう動機でというところまでは私はちょっと想像いたしかねます。
  17. 安宅常彦

    安宅委員 この問題で昭和三十八年以降、もうがたがたになっておるのですね。ただしそれは、林野庁は当時林野庁長官田中さんでしたか、私どもあとから注意されたのですけれども、これは林班界の改定であって、成果をそれにおろしたものであって、紛争には関係ないという意味の答弁をしているのですよ。ですからこの問題は、論争というのは、その解釈の問題、行政管理庁の翼下にある山形行政監察局がこれに対して苦情処理を受けて実態調査に入る、あるいはまた検察庁がみずから動いて、いわゆる蔵王の黒い霧事件といわれたこの問題を手がけた、こういう問題であって、町長が知らないでおった、そういうものじゃありません。そうして国有財産小委員会の閉会中審査のときですから、昭和四十年三月だと思いますが、そのときにはすでに宮城県の知事山形県の知事が、四十年に入ってから二回ほど、この問題で法律に基づかない、何とかならないだろうかという相談をしたという答弁をしています。ですからこれは非常に重要だというので、境界のことですから市町村がぴんと響くはずなのに、あとからのこのこと出ていったのではないかという印象をぬぐいされないのではないかと私は思うのです。こういうことについてあと自治省に対していろいろな質問をいたしますが、これを前提にしてひとつ自治省のほうでは頭の中に入れておいていただきたいと思います。  しかも、私はここで国土地理院に聞きたいのですが、あなたのほうでは測量をなさった。いままで三十九年の一月までは関係ありませんと言っていた。従来どおりだと言っていた。そうすると、この林班界林野庁が、あるいはあなた方が、あるいは自治省が、その他の関係官庁たとえば建設省は道路の関係があるかもしれませんが、あるいはまたリフトを許可するのは運輸省、あるいは公園の関係では厚生省、こういうふうなところに連絡もしないで、いきなり署長権限林班界を変えてしまったという問題が前提になって県境が大騒ぎになったという、言うなれば、国家機関である農林省傘下林野庁地方自治体の境というものを変えていくという独断専行地方自治体への介入、侵害をやった、こういうふうにとられてもしかたがない行為だと私は思うのですが、そういうことをやったために、あっさりあなたのほうではそうかといって、いままでの何十年か、あなた方何回測量したのかわからないけれども、その成果というものをぽんと捨てて、その県境をなくするという態度に出たのでしょうかね。そうすると、月給もらって一体いままで何していたのだ、こういうことになりはしませんかな。
  18. 南部三郎

    南部説明員 先ほどのお答えで申し上げましたが、明治四十四年に旧陸地測量部測量いたしましたのが最初でございまして、そのときにできました五万分の一の地形図は、その後昭和六年、それから昭和二十八年、昭和三十八年と修正をされております。それから、戦後昭和三十年ごろから、昔の測量平板測量で細部の地形図をつくっておりましたが、三十年ごろから航空写真測量によります地図作製という新しい技術が開発されてまいりまして、これが実用化されてまいりまして、地理院におきましては、三十年代から全国の旧陸地測量部時代地図をもとにして修正してまいったものを、空中写真測量による新しい技法で地図をつくるという作業を始めたわけでございます。その一環として、当該地区地図が三十九年に測量を始めたわけでございます。私どもといたしましては、この係争がありましたから、特にこのものをとらまえて突如としてそこだけを修正したということではございませんで、その他の五万分の一の地形図も、空中写真測量による新しい製作に至りますまでは、すべて旧手法による図版修正してまいったものでございます。
  19. 安宅常彦

    安宅委員 林野庁林班界を移動させたからということを基本にして、あなた方は論争が起きたということに奇異の感を覚えないのか。昭和三十九年の一月には従来どおりだと言っておいて、昭和三十九年五月から今度の論争に入ったということについて、何が原因でそういうことになったのかというようなことを考慮に入れ、権限思慮分別も使うことができない立場国土地理院はあるのでしょうか。奇異な感じを受けなかったですか。これは突然なんですよ。
  20. 南部三郎

    南部説明員 境界論争とかその内容とかということは、地理院といたしましては何ら関与する必要もございませんし、私どもはそういうことを常に頭に置いて地図を作製いたしておりません。私どものほうの全国的な地図作製のペースによりまして、たまたまこの地点で三十九年に測量を始めたということでございます。
  21. 安宅常彦

    安宅委員 それでは私は聞きますけれども、この問題に関する刑事裁判にあなたのほうの建設省国土地理院測地部測地第二課長原口昇という者が鑑定書を頼まれて、そうしてりっぱなことを、県境に関して重要な影響力を持つ発言をしております。どうですか。それは何も知らないというような話をしている。黙っていればいい気になって、あなたそういうことをさせておいて、そういう刑事裁判で重要な発言をするような権力を行使していながら、あなたの機構全部としては、私たちはただはかるだけでございますなんてていさいのいいことを言うことができますか。
  22. 南部三郎

    南部説明員 お答えいたします。当時、御指摘原口課長裁判所のほうから鑑定を依頼されまして、原口個人として鑑定に参画したと理解しております。
  23. 安宅常彦

    安宅委員 個人ということがありますか。衆議院議員安宅常彦衆議院議員を除いてもどうにもならないじゃないですか。それは個人だといっても私は個人と思わない。たとえば判決書には明確に肩書きが書いてある。肩書きがちゃんと書いてある。もし何だったら、そういう論争が起きたときに、あなたは知っているのですから、そこまで介入できないのだというあなた国会でりっぱな答弁をするくらいなら、あなた方としては、そういうものに結果的には介入するような結果になるかもしれない鑑定などは断わるのがあなた方の職務国家公務員のそういう職務をやっている人たちのお立場ではないでしょうか。どうなんですか。
  24. 南部三郎

    南部説明員 原口鑑定人鑑定いたしましたのは、林野庁測量成果に基づきまして、林班界現地にどういうふうにおりるか、その場合に、あそこに標石が三つあったそうでございますが、その標石がその測量成果から現地におろした林班界との関係がどうであるかということを鑑定したと私は聞いております。
  25. 安宅常彦

    安宅委員 あなた方は専門家です。その石標のどれを基点にするかによってたいへん面積が変わります。あるいは方向も変わってきます。これは隣の土地をはかろうといったってたいへんです。私はしろうとだってわかる。  それから明治四十何年かの成果をどういうようにおろすかなどというようなこと、これが鑑定の趣旨ですね、林野庁そうやっておるのですから。そうしますと、先ほど言った航空写真がもう出ておる時代にわざわざ明治のものを林野庁が引っぱり出してきてその成果をおろすなどというのはとんでもない。技術が進歩しなかったという表現をあなたがなされた年代。三十年ごろから進んできましたというさっき答弁をしたでしょう。そういう事柄からいうと、たいへん幼稚な、初歩的なと言っても差しつかえない測量成果をどういうように具現化するかということについて参加するということはたいへん危険じゃないですか。二十四号標柱基点にするか、二十八号標柱基点にするか、その他のものを基点にするかによってたいへんな違いが出てくるのですよ。専門家であるあなた方はわかっていなければならないはずだ。どうです。
  26. 南部三郎

    南部説明員 原口鑑定人鑑定いたしましたのは、旧陸地測量部図版の五万分の一にあります自治体境界現地におろした作業ではございません。これは五万分の一に表示されております境界をそのまま現地に再現するということは、測量精度等からいって不可能である、私どもはそういうふうに現在も考えておりますし、その当時も考えておったはずでございます。したがいまして、当時鑑定人鑑定いたしましたことは、国土地理院発行しております五万分の一の地形図県境鑑定したものではございませんで、林野庁林班界にかかわります測量成果現地にどういうふうにおりるか。それと林班界は私どもの関知しない農林省林野庁の問題でございます。
  27. 安宅常彦

    安宅委員 こういう三百代言的な答弁をしてはいけない。さっきは前提として私言っているじゃありませんか。農林省設置法にあるいは林野庁のいろいろな規則に、白石営林署の管轄はどの町、どの町、山形営林署は何々市、何々町、何々村とちゃんと行政区画というものがきまっておるのですよ。いいですか。ですから、その三十九林班界というのはちょうど県境に当たり、七ケ宿町と上山地区との境になった。だからそれをおろして変えてしまえば県境も変わるというような主張を林野庁が一たんしたのです。そんなばかなことはないではないかと言われて発言を訂正したいきさつがある。これは市町村境界が先行し、おのずから県の境がきまる、そしてそれによって林班界がきまるというのが法律の順序だということが明らかになっているのですよ。全然関係のない林班界成果をおろすために行なったのであって、県境をはかるために行ったのではないとは何ごとですか。何ですか、よくそれであなた院長がつとまるな。
  28. 南部三郎

    南部説明員 お答えいたします。地理院市町村境界を認定したりきめたりする法律的な権能は全然持っておりません。繰り返して申し上げますが、地理院は、市町村境界につきましては、関係いたしますその市町村の両者の確認を得て、確認を得たものを地図に表示するというのが地理院の任務でございます。  それと関連いたしまして原口鑑定人鑑定いたしましたことは、林野庁林班界というものと、それから在来関係の二カ市町村間の県境というものの間に差があるというようなことで論争になっておったように聞いておりますが、そのときに林野庁のきめました林班界、これが私ども県境であるというふうに認識はいたしておりません。私どもが認識しております県境といいますものは、あくまで関係市町村の間で確認されたものがその自治体境界でありまして、それが県を異にいたします場合には県境となる。あくまで明治以来一貫してこの方針で地図に表示してまいっておる次第でございます。したがいまして、原口鑑定人鑑定いたしました際にも、これは私の推察でございますけれども地理院の任務から考えまして、林班界をきめたときの林野庁測量成果が出てまいったその付近に標石が三カ所ある、その三カ所の標石林野庁測量成果現地におろしたものの関係がどうなるかということについて鑑定をしたというふうに理解いたしております。
  29. 安宅常彦

    安宅委員 境界をきめる機能がない役所の相当の地位の者が、いいですか、林班界県境市町村界になるはずの地域、論争があるということを知っている地域、こういうところに鑑定を頼まれたときには遠慮をしなければならないような立場が正しいのではないかという質問を私はしているのですよ。   〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕 いいですか、個人で行った、判決には肩書きがちゃんと書いてある、そういう立場裁判に出ています。そのほかに、鑑定しただけでなくて、供述も裁判でしていますね。だから、それはお互いにちょっと気をつけなければならないじゃないですかと、やわらかい質問をしているのですよ。  自治省に伺いますが、林班界というのは先にきめてしまったら自治省は困りませんか。院長は別だと言っているのですが、そういう解釈は成り立ちますか。
  30. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 その辺どうも私、法的にはつまびらかでないと存じますけれども林班界というのは通常営林署の管轄区域をきめる境である。営林署の管轄というのは、それぞれ秋田営林署山形営林署というふうに行政区域を境にそれぞれの管轄区域をきめている。   〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕 そういうと、通常は林班界行政区域と一致するという常識はあると存じます。しかしそれが具体的などの場所で実際に地におろされて、これが林班界である、従来の行政区域ははっきりしていなかった、あるいははっきりしていたが、それが変えられたということで紛争が起こることは非常に困るわけでございますが、常識的に林班界行政区域にするのは、営林署の管轄をきめる境である以上、おっしゃるとおりだと思いますので、そこに問題が起こることは否定できないと思います。しかし市町村なり都道府県なりの境界というのは、自治省のほうが全国津々浦々全部握っているわけではございませんので、通常はその地域の地方団体の、ここが境界だというのがはっきりしている、それが境界でございますので、そこに争いが起これば、やはり林班界のきめ方とかあるいは従来のいきさつその他をケース・バイ・ケースで調べ上げて画定していく以外道がないのではないかと存じます。
  31. 安宅常彦

    安宅委員 行政局長、よく私はわかりませんなんて答弁しないでくださいよ。行政局長というのはそういうことを管轄する局の親分じゃないのですか。財政局長だったら知らないなんていうことを言ってもしかたがないけれども、私の質問、逆にしたらあなたそれに乗っかってきたけれども、本来は市町村の境が基本なんです。それから県の境はおのずからそれできまるということになるでしょう。そうですね。そうしますと、それと違った林班界が境目のところにできたならば、今度農林省設置法なりその他林野庁の分課分掌のいろんな規定でいうならば、営林署の管轄区域はどうなりますか。上山市全部とちょっと越えた分が出てきたら、七ケ宿町のごく一部なんということを別表か何かで書かなければならないことになりはいたしませんか。そんなこと、いま書いてありませんよ。  それから、自治省、全部握ってはいないとおっしゃいましたが、それでは地方交付税やなんか、そういうものの算定規準は、握ってないのにどうして算定できるのですか。
  32. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 地方交付税の算定規準は、国土地理院が発表されました面積で従来やっておるということでございます。
  33. 安宅常彦

    安宅委員 それでは国土地理院が今度境をきめないのですから、どうするのですか。境はわからないと言っているのだ。じゃ、あなた、いまどういうふうにしているのですか。
  34. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは国土地理院のほうに聞いていただくことかもしれませんけれども国土地理院としては各市町村面積をずっと発表しておられます。そこで境界が明らかになった場合に従来のことを訂正なさるように聞いておるわけでございます。ですから、私のほうの財政局としましては、従来、各市町村面積は従来発表されていた国土地理院の数字をもとにして算定しているように聞いております。
  35. 安宅常彦

    安宅委員 おかしいではありませんか。道路の延長その他河川の数やらいろんなものが計数としてはじかれて、あなたのほうでは科学的だと称して地方交付税を交付するのでしょう。従来の分はちょうど同じような結果になったのです。質問と応答が、この前の四十七年の議事録を見たら、そのときは、まだ国土地理院地図がちゃんと境界がありましたから、それでどう、オーケー。きょうはそうはいかない。境がないんだから。昭和四十一年以降ないのです。ここ七、八年はどういう計算をしたのですか。
  36. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 四十一年から境が不分明になっているのは御指摘のとおりでございますが、各市町村面積としては従来の数字が訂正されておりませんので、私のほうはそのまま使わしていただいておるだけでございます。
  37. 安宅常彦

    安宅委員 それじゃ論争があってもかまわないということですね。論争があっても自治省自治省でもとのままやるのだということですね。
  38. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 その論争が決着がつきまして境界が画定され、それによって面積計算が変更されまして数字が変わった場合、交付税の基礎は新しい数字を使うことになると存じます。やや御質問よりも先に申し上げて申しわけありませんが、われわれはその論争の解決を早くしなければならない責任は確かにございます。
  39. 安宅常彦

    安宅委員 境界がないのに交付税を分けようがないじゃないですか。
  40. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 それは、交付税としては従来の数字をそのまま使って分けておる、あるいは便宜的手段かもしれませんが、その数字が訂正された場合に交付税の計算をし直す、こういうことになっておるようでございます。
  41. 安宅常彦

    安宅委員 それでは今度は固定資産税などがありますね。固定資産税はこっちによこせあっちによこせというものだから、法務省に供託しておりますよ。あれは十年だったですか、決着がつかない場合は国庫の所属に帰してしまうというのは。
  42. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 たしか十年でございまして、現在供託されておるのが四十年度分からでございます。五十年になると国庫へという問題が起こってまいります。
  43. 安宅常彦

    安宅委員 それで、自治省がこの問題についてあれからどういう手だてをして解決のために当たっているかということを、資料をきのう要求したら持ってきました。しかし、あれからもう十年近いのです。よくもまあ、企業が一つ倒産をし、これに従事している労働者が相当難儀な目にあい、社長は無一文になり、そうしてあなた方がのほほんとしている間に、地方税として市町村に納入されるべき税金が国庫に帰属してしまう、こういう大きな迷惑を政治の上で行政の上で実際起こしあるいは起こす可能性のある状態において、あなたはどういう認識でこの問題を見ておるのでしょう。
  44. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 基本的には、このような紛争は一日も早く解決することが、関係市町村あるいはおっしゃるようなそこにいろいろ事業をなされている方々のために望ましいことは間違いございません。同時にこれは、町と町さらに県と県の境界問題でございますので、あとでしこりを残さないように、関係者が全部納得する線で解決するということも大事だと思っております。この間やや二律背反、矛盾する点がございますので、拙速をとうとぶか、各関係者の意見を十分突き合わした上で、まあまあこれならがまんできるという、みんなががまんしたところで決着をつけるか、その辺のかね合いの問題でございますが、確かに御指摘のとおり四十年からもう七、八年たっておることは間違いございません。ただその間、この論争に非常に影響を及ぼすような刑事事件あるいは民事事件の訴訟が起こされ、さらに決着をつけたいろいろの段階がございまして、そのたびにそれらに出された資料について両方の県あるいは市町村から次々と意見、要望、見解、補足意見というようなのが提出がございまして、材料が次々と出てまいるという経過を経ましたので、ある期間の間はその刑事事件の決着を見るというふうに待った段階もございます。さらには刑事事件もやっと高裁で決着がつきましたので、昨年の二月にはさらに仙台市におきまして関係者に寄ってもらいまして、もう大体資料も出そろったのだから、ひとつお互いに納得のいく線が出せるのではないかということで会議も持った次第でございます。現在まだ納得のいく線というのが両方から出てまいりませんし、私のほうもそういうたくさんの資料を全部を通じてみまして、どれが最も妥当な解決だという十分な心証も得られないということで今日に至ったようでございます。  心がけといたしましては、いま申し上げました地方税の帰属の問題、あるいはその他いろいろな方の御迷惑を考えて、解決はやはり一日も早からんことを望み、同時に、関係者が大いに寄っていただきまして、まあまあという線をなるべく早く出していただくようにこちらも指導を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  45. 安宅常彦

    安宅委員 自治大臣が両県知事にかわって権限を代行することを決定したのは昭和四十一年の四月でしょう。両方で話し合ってうまくやってもらいたいなんて、あなたまだ言っているんですか。あなたは権限を委譲されたんじゃないですか。
  46. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御指摘のとおりでございます。四十一年に自治大臣が一応きめる権限をまかされまして、その間さっきも申し上げましたように、こういう問題がしこりを残さないために両方で話し合って、できるならばこれでがまんできるまあまあという線を両方の納得の上で出してもらいたいという手続をずっと進めてまいりました。その間七年間もそれだけ言っていたわけではなくて、ただいま申し上げましたように、これに関する刑事事件が起き、それの判決についてもいろいろな資料が出て、それらの資料の一つ一つについてそれぞれの主張が何べんも繰り返されるという形態を経ましたし、裁判の決着を待つことも、両方を納得させるための一つの強力なよすがにもなると考えて、やや二年ほど待っておった時代もございます。そういうことで御指摘のとおり六年、七年、だいぶ長い期間がたっておることはまさにそのとおりでございますが、何とか早くということと、両者が納得して、しこりを残さないというところの調和点を求めようとして今日まで努力してまいった次第でございます。
  47. 安宅常彦

    安宅委員 それでは職務怠慢ですよ。そのために数千万円の借財を残して倒産した、あるいはそのために職を失った人、ただ町長や市長等の領分八万平方メートルでしたか六万平方メートルでしたか、あっちへ行ったこっちへ行ったという問題で、あなた方は自分の権限の範囲内でしか頭がないのでそういうことになるのです。そして交付税の配付はもとのとおりだ。だから私が頭に入れておいていただきたいと言ったのは、七ケ宿という町は論争する気がなかった。いまになって上山市の市長から聞いてみたらどんなことを言うかと思って、半分くらいでどうだと言ったら、先祖代々こうなっておるので御先祖に申しわけないと言ったそうですよ。あべこべの話じゃないかといって笑っておりましたけれども、とにかくそれはそれとして、こういう問題についてあなた方がじんぜん日を送っておる、そして交付税の分配などはもとのとおりやっておる。矛盾だらけの政治というものが横行したら、これはやはり政治不信というものがそのまま出てくるんじゃないか。私は、そういう意味であなた方は早急にこれを解決するように努力すべきだと思うのです。答弁ば要らないです、十年もぶん投げておいてりっぱな顔をされたらこっちは困るから。  あと林野庁長官、あなた方がりっぱなことを言って、その成果をそこはおろしたんだなどと言っているけれども判決を見ても、無罪になっておるが、しさいに判決文を読んでみますと——たとえば川上さんという方が書いた川上日記というものを私は持っておるのです。大学ノートに一年分入っております。この人は林野庁長官まで罵倒しておりますよ。秋田営林局長なんかコチンパンです。あのばかやろうということを書いてある。弱腰で許可するからとか、最後になったら、おれはもっとえらくなるつもりだったけれども、同輩と中佐と中将くらいの差になってしまって、そうしてろくなことにならない年だった。どうも万事がばれてくるし、後半はぱっとしなかったということが書いてある。ばれてくるということが書いてあるということは、何かそういう工作をしたということをみずから認めておることです。五月十一日の日記には、しかもこの人ははっきり林班界はもとのとおりだということを認めた上で、山形交通のリフトでさえも、宮城県のほうだといって許可したのですが、山形県に少し入っておるということを自分で認めておりますよ。こういう川上日記というものがいろいろな政財界の関係者と密議をしたことを書いてある部分や、あるいはまた明らかに山交のリフトを強引に推して、そして北都開発リフトを何とかして許可しないように奮励努力した記録です。こういうものについてはあまり判決は触れていない。しかももっと触れていないのは、あなた方の秋田営林局並びに山形営林署などの原簿をはじめ、経営の計画、そういうものに必要な書類、永久保存の書類までその部分に関してはほとんど全部消されている。なくなっている。つづりから抜けておる。中にはインク消しで消したものまであるなどという証拠がたくさんあるのに、この判決はどういうわけか一つも触れていないのです。あのときのことはあなたは知っているのか知らないのかわかりませんけれども、こういう帳簿がいまでも抜けておるということはお認めになりませんか。
  48. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。昭和三十八、九年ごろのことでございまして、実は昨日、議事録等につきましても目を通したのでございますが、ただいま御指摘の帳簿の関係まではまだ私、調査した経過は聞いておりませんので、よくまた調査してから検討したいと思います。
  49. 安宅常彦

    安宅委員 あそこのめがねをかけた人、だれでしたか。あなた、その訴訟の係ですね。あなた知っているでしょう。三枝さんですね、あなたは。そうでしょう。(福田政府委員「そうです。三枝です」と呼ぶ)あなたはその帳簿が抜けたことを、あれはどうして抜けたかは知りませんけれども、取ったとか証拠隠滅したと言うとかかわりが大き過ぎるから……。ほんとうはそうしたんだろうと思うのですよ、ぼくは。だけれども、そういうものがなくなっている。それから原簿の写しもない。秋田の営林局の原簿の写しはぼくはここに持っています。古い資料を引っくり返してみたら、ありました。これはちゃんともとのままの五万分の一の地図とぴしゃっと合っているのです。秋田の営林局の原簿です。これは五万分の一の分はあります。ところが山形営林署の分の写しがないのです。そしてこの成果を何かおろしたのは、本来ならば測量するのは五年ごとの経営計画に基づいてやるのが基本でしょう。とんでもないときに臨時にやっているということに非常に私どもは——そこで四十年の本委員会でも追及したのです。だけれども原図の問題まで私はあんまり詳しく触れませんでしたが、あるんですよ、両方とも。青森の分もあるのです。国土地理院の前の県境とぴしっと一致しています。ところが検察官の冒頭陳述や論告の要旨、こういうものを見てみますと、全部ないというのです。捜査してもないと書いてある。それはお認めになりますか、どうですか。
  50. 福田省一

    福田政府委員 ただいま申し上げましたように、よく調査いたしましてからお答えしたいと思います。
  51. 安宅常彦

    安宅委員 あの人はそういう問題についてのいろいろな職務をやっている男ですから、知っているはずですよ。あなたがちょっと聞けばわかるじゃないか。そのために出てきたんじゃないか。ごまかすような答弁のカンニングをされちゃ困る。
  52. 福田省一

    福田政府委員 ただいま聞きましたところ、よく正確に記憶していないようでございますので、後刻またよく調べてから検討の上でお答えいたしたいと思います。
  53. 安宅常彦

    安宅委員 では林野庁は、そのときこういうことで調べられた、こういうことで論告があった、冒頭陳述があった、そういうことについて、私がそういうことに触れての質問をすると言ったのに、そういうことは全然調べてこなかったのですか、どうなんですか。
  54. 福田省一

    福田政府委員 たいへん申しわけございませんけれども、林班に関する境界の問題かと思って、その点についての検討をしてきただけでございまして、内容の詳細については、まことに申しわけございませんけれども、ただいま調査不十分でございましたので……。
  55. 安宅常彦

    安宅委員 まだ時間はありますから、大至急秋田の営林局と山形営林署に電話で問い合わせて、あるかないか確認してください。そういうふうに手配をお願いします。
  56. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 林野庁長官、答えることは答えてください。
  57. 福田省一

    福田政府委員 早速調査いたしまして御報告いたします。
  58. 安宅常彦

    安宅委員 それでは長官、もう一つだけあなたに聞いておきますが、このリフトの問題は、もう片方の会社はつぶれてしまったのですから、あなた方の頭の中ではどうということはないかもしれませんが、こっちはたいへんなあれがあるのですよ。そのために数千万円損害を受けた。いま損害賠償の民事裁判がまだ十年延々と続いているのですから、これは重要なんですけれども宮城県で成果をおろしたとか、このリフトをつくるところは、山形交通のリフトの場合は完全に宮城県だと言い、そして北都がつくろうとしたリフト山形県と宮城県の間、ジグザグだというやり方をした。ところがこれを許可した、免許をやったのは、リフトの施設をつくることを免許をやったのは新潟陸運局長ですよ。そして内諾書を与え、正式に今度は国有林を貸付する許可証を与えたのは秋田営林局長です。なぜでしょう。これはどういうわけでしょうか。宮城県の領分だったら青森営林局長じゃないでしょうか。陸運局は仙台の陸運局だと思います。なぜ新潟の局長が許可し、秋田の営林局長がほかの県の国有林を貸す権限を持つに至ったのでしょう。
  59. 福田省一

    福田政府委員 宮城県の側は御指摘のように白石の営林署でございますし、それから山形県の側は山形営林署の管轄になっております。したがいまして、ただいま御指摘の新潟の陸運局の問題と申しますのは、おそらくリフトの使用についての許可の問題だろうと思いますけれども、国有林の貸付につきましては、宮城県側は白石の営林署、それから山形県側は山形営林署、かように考えております。
  60. 安宅常彦

    安宅委員 あなたのほうが林班界を移動させたために山形県だと思っておったら山形県じゃない、宮城県だったという理屈をつけて許可しなかったのですよ。ごたごたしたとかなんとか、もう許可しようじゃないかというので許可した。許可したのが秋田の営林局長はおかしいじゃありませんかと言うのですよ。あなたのほうの林班界は、ここは山形県の領分ではなくて宮城県だ、こう言っているのですからね。どうなんですか、許可する権限があるのですか。
  61. 福田省一

    福田政府委員 両県にまたがる問題でございますれば、秋田営林局と青森営林局の両方にまたがる問題でございますから、片一方だけで許可するということについてはいささか問題があると存じます。したがいまして、これは想像でございますけれども、おそらく秋田営林局と青森営林局とで協議したのではなかろうかと思いますが、この点も十分調査して御返答申し上げたいと思います。
  62. 安宅常彦

    安宅委員 そんなことはありません。これは調査してなんということはない。この前の議事録でもう明確ですよ。いまから調査なんということを言わないでください。昭和四十年の本委員会の議事録に明確に載っている。陸運局も陸運局ですね。宮城県の分だと秋田営林局が言っているのに、新潟陸運局がそれに免許を与えたというのはおかしいじゃありませんか。そういう違法をあなた方が平気でやりながら人々を苦しめているのです。こういうことははっきりしてもらいたい。  では自治省の行政局長に言っておきますが、地方財政計画や交付税の問題やいろいろな意味で、私は、前の地図でやっていますなんというのは違法だと思うのですよ。そんなのはあなた方の恣意の考え方、ほしいままの考え方じゃないですか。県界がわからないのに交付税のはじき方ができると思いますか。そういうことをやること自体が違法ではないですか。地方自治法上重要な問題になるのじゃないですか。林野庁はそういうことを初めて聞いたようなあなた顔をしているけれども、この問題は十年も前に問題になったのに、のほほんとしてそのまま、あのとき指摘をされたことを平気で修正もしようとしない、事後において手続上の変更もしようとしないし、どうせ国会なんか、ギャーギャー言われたってあとはたいしたことはないとお思いなんでしょうね。そういう感覚ではないのですか。それだけは林野庁長官言っておきますよ。
  63. 福田省一

    福田政府委員 御指摘の点につきましては、決して私さように思っているものではございません。重要な問題でもございますし、実は昨晩にわかに勉強を始めたことでもございますので、十分検討してまいりたい、真剣に対処してまいりたい、かように考えております。
  64. 安宅常彦

    安宅委員 私はゆうべ勉強したなんて言いわけを聞きにここに立ったのではありません。ゆうべ勉強したかどうかはあなたの責任です、そんなものは。こういう問題であなた個人を責めるかっこうになるかもしれぬけれども、あなたは林野庁を代表する長官ですよ。あなたの下僚その他はこういう問題を十年間投げておいたという事実は認めなければならないと思うのですが、どうです。
  65. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のとおりでございます。
  66. 安宅常彦

    安宅委員 それから県界あるいは市町村界にわたるような問題について、成果分析であろうと何であろうと、境界が変更を来たすような場合には必ずこれは各省に協議をすることになっておるはずです。そうしてその測定は県境とは関係ないのだという意味のただし書きが、実ははかった本人の報告によって書いてあります。ですから、それをさらに今度は林野庁に報告して、林野庁がそれを承認しなければならないのです。その手続をまだやってないのです、十年たっても。だから各省は非常に困っておるわけです。あなた方がよけいなことをしたために、協議もしないで山形営林署長はかってにそういうことをやって、上局の指示も仰がずやって、報告もしないでおいたために、いまたいへん大きな迷惑を各省庁にかけておるという事実をあなたは承認になりますか。
  67. 福田省一

    福田政府委員 たいへん御迷惑をおかけしております。早急にこの点を検討いたしまして、よく連絡をとりながら対処してまいりたいと思います。
  68. 安宅常彦

    安宅委員 自治省にお伺いいたしますが、林野庁はまだ何もやっていないということがわかりました。あなた方は林野庁とこの問題でいろいろ相談したことがありますか。あるいは判決文やあるいは捜査の過程や、そういうことについて検討したことがありますか。林野庁とそういうことについて、どういうことなんだという協議をしたことがありますか。
  69. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 まことに申しわけございませんが、私行政局に参りましたのが実は昨年でございましたので、いままでこれにタッチしておりませんので、私自身林野庁と相談した記憶はございません。それからさらに、いままでの経過を伺いますと、はっきりしていない境界関係市町村関係県との間でよく煮詰めて、みんなの納得できる線で画定しようという努力をずっと続けてまいりました関係上、私のほうはもっぱら関係市町村関係都道府県と煮詰めておったように経過を見ますと聞いております。直接林野庁と私のほうと相談したことはあまりないように聞いておる次第でございます。
  70. 安宅常彦

    安宅委員 ものごとを解決するためには、足して二で割るような、まんじゅうを半分に割るようなわけにはいかぬですよ。こういう問題は法律的問題でしょう。最終的には地方自治法に準拠した解決のしかたをしなければならないはずですね。あなたのは何かまんじゅうを二つに割って、どちらが多いか目方をはかるような話じゃないですか。林野庁はなぜそういう成果分析をおろさなければならなかったのか、なぜ基本計画の途中でその後も必要としない時期にやったのか。先ほど言ったように、ほかの県のものを権限外の局長がこれを許可するなどのことが事実あったのか、リフトをつくることについて宮城県の土地になっているところを新潟陸運局長が許可を与えたのはなぜか、いろいろなことを全部調査した上で、先ほど一番最初に言ったように、七ケ宿町が論争に参加したというのもずっとあとだということで、すべていろいろな計算をして、較量して、そうして軍配をあげなければならないのがあなたの立場じゃないでしょうか。どうなんですか。林野庁林野庁、あなたのほうも、それをいままで全然話し合ったことはないというのは奇怪千万じゃないですか。
  71. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 自治大臣がその境界を画定する責任を負ったのは確かに四十一年でございます。ほんとうに境界をここだときめる場合には、いまおっしゃったあらゆる事象を検討した上で、心証を得たところできめるべきだと存じますし、事実そういう努力は歴代の事務当局でしてまいったと思います。ただいまおっしゃいましたような林野庁の行政処分のいきさつ、処分権者がどこであったかというようなことは書証資料で調べて、それぞれの市町村がそれぞれの主張の中に出てまいりますので、私たちのほうはそういうことで心証を定める上においては十分な検討は遂げていると思います。ただ、林野庁と直接私のほうの行政当局がその点について詰めたことは、どうも私は記憶ございませんし、いま聞いてみましても過去にはあまりなかった。あるいはもっとそういう点も詰めるべきだったと存じますが、むしろ私のほうは、こういう問題についてはしこりを残してはいけないということで、それぞれの町村、そしてそれぞれの県の主張を主体に聞いて心証を形成するように努力してまいっていると聞いております。
  72. 安宅常彦

    安宅委員 過去のことを聞いておりますとか第三者的な発言をする、そういう立場にはあなたはないと思うのですね。火元は林野庁なんですよ。火事見舞いに火元に行かないみたいなものですね。一番大事なところ、そこと相談をしないで、まあまあ何とかかんとかばかり言っていたって、地方自治法にのっとる解決のしかたではないのではないですかね。
  73. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 現在この問題を解決する責任は、確かにはっきり私の局の所管になりましたわけでございます。御指摘の点十分配意いたしまして、早期かつ円満な解決に努力いたしたいと存じております。
  74. 安宅常彦

    安宅委員 福田さんにお伺いいたしますが、こういうのろまっかしい、まことに奇々怪々な、国土地理院を含めて、特に林野庁の姿勢、こういう問題を行政管理庁の長官たる者は、いま初めて知ったことかもしれませんけれども、初めて知ったならば知ったなりに、重大な関心を持って監察をするとか、その他の手段を講ずべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
  75. 福田赳夫

    福田国務大臣 本件は私はあまり予備知識を持っておらない。お話しのとおりでございます。ただいま安宅委員と各省庁の当局との質疑応答を聞いておりまして、率直な所感を申し上げますと、こういう問題は放置しちゃいかぬ、早く処置しなければいかぬ、こういうふうに存じます。こういうものを放置しますと、不当な行政措置をやらなければならぬとか、あるいは民間にも御迷惑を及ぼすとか、いろいろな問題が起きてきますので、早期解決を要す、こういうのが私の率直な所感でございます。ただいま自治省当局から早期かつ円満な解決をいたす、こういうお話がありますので、私といたしましては、ぜひそうやっていただきたい、かように存ずる次第でございます。
  76. 安宅常彦

    安宅委員 もう十年近くたっておるのですから。ただ期待をするだけですか、長官。何か過去に対する……。
  77. 福田赳夫

    福田国務大臣 行政管理庁といたしましては、直接の所管ではないものですから、これをどうせいこうせいという指揮、そういうことをいたす立場にはございません。しかし、いやしくも行政の一つ一つの問題のことでございまするから、私どもといたしましては、こういうことがきょう提起された、しかも私感じといたしましては、たいへんどうもこれは放置され過ぎておる、そういうことでございます。でありまするから、自治省にもお願いをいたしまして、早期かつ円満な妥結をしてもらいたい、かように考えております。
  78. 安宅常彦

    安宅委員 あとの処置について、今度行政管理庁が少し怠慢だったときはまたやりますから。  あと林野庁。時間も時間ですから……。あなた方の立場というのは、やること、なすこと、こういうことばかりやっておるのじゃないですかね。いままで、ここ一年半くらいの間に、あなた方の問題を二回ほど私は取り上げたが、そのつど営林署長がふっ飛んでいったり何かして、まるでトカゲのしっぽを切るみたいなことで、長官だけのほほんとしておるのは許すことはできないと思う。そういう林野庁として責任を負ってもらわなければならないことがあまりたくさんあり過ぎる。きょうは時間がないので、ひとつ林野庁の外郭団体である林野弘済会、この問題について不届きなことがあるのではないか、こう思いまして、あなたに質問をいたします。  林野弘済会というのは、一体どういう性格のものなんですか。
  79. 福田省一

    福田政府委員 林野弘済会と申しますのは、財団法人になっておりまして、営林局署あるいは林野庁に勤務する職員あるいは退職者あるいはその家族という人たちのいろいろな福利厚生をはかることと、それに付帯したいろいろな仕事をやっている財団法人でございます。
  80. 安宅常彦

    安宅委員 この財団法人は、どれくらいの人を、林野庁を退職した人をかかえたりなさっているのでしょうか。林野庁人たちから聞くと、あなた方の福利厚生に関するいろいろなことを、職員がよくなるようにひとつやろうというものと違って、何かこの弘済会がやるものは案外高いそうですな。だからこの財団法人は案外もうけ過ぎているのじゃないですか。ほんとうはもうけないことになっているのじゃないですか。あれはどれくらいの人を使っているのですか。
  81. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。大体五百人くらいの職員でございまして、その中で、もと林野庁におった職員、二十年なり三十年なりつとめて退官いたします、そういったような人たちが半分近くを占めております。現場でいろいろな仕事をやっておりますので、たとえば売店の売り子だとか、そのほか事務補助だとかいうような人は一般からも採用しておりまして、そういう人たちは大体半分ちょっとというふうな比率になっております。
  82. 安宅常彦

    安宅委員 そうすると、年齢構成は、大体六十でやめた人が半分くらいだから、えらい年寄りばかり多い社会というか財団法人ですね。これは管理職になった人だけ入るのですか。
  83. 福田省一

    福田政府委員 大体いまお話ししましたように、長年営林署なり営林局につとめた人たちが退官して行きますので、どうしてもやはりそういう人たちは高齢者が多いわけでございます。平均しまして五十七、八歳かと思います。中には六十をこした方もおるわけでございますけれども、原則としましては、大体いま申し上げましたように、退官者が多いのでございますが、できるだけ一般からもそういったような人は採用をいたしております。  そこで、いろいろと能率はあがらぬじゃないかという御指摘も受けるわけでございますが、長年つとめた人たちでございますので、そういった人たちをなるべく生かすような方向で仕事をしてもらうように指導をいたしておるところでございます。
  84. 安宅常彦

    安宅委員 もう一つ答えてください。これはいわゆる管理職になった人たちがそこに行く対象ですか。
  85. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。正確に申し上げますと、五百四十五人おります。そこで、林野庁をやめて入っておりますのが二百三十一人でございまして、そのうち元管理職——管理職と申しますのは営林署課長以上でございますが、それが八十一人になっておりまして、約一五%を占めておる、こういう比率になっております。
  86. 安宅常彦

    安宅委員 ところで、この林野弘済会に対していろいろな仕事をあなたのほうではやってもらっているようであります。十二時ちょっと近くなりましたから、たった一つの問題だけ取り上げて、例をあなたにお聞きしたいと思います。  林野庁は林道の緑化工を中心にして、林道新設、修繕などを全国的な規模で林野弘済会に請け負わせている、私はそういうふうに把握していますが、その数量、金額について営林局別に明らかにできますか。大体四十五、四十六、四十七、三年ぐらいのものがわかれば……。
  87. 福田省一

    福田政府委員 大体、御指摘の点につきましては、局別の内訳は手元にございませんけれども、全部まとめまして、四十七年度の実績を申し上げますと、この林道の緑化工は直営直用でやっておりますのが四八%、面積で百二十八ヘクタールでございます。請負でやっておりますのが五二%で百三十九ヘクタールで、その請負のうちで林野弘済会に請け負ってやっていただいておりますのが六十一ヘクタールで、全体の二三%、かようになっております。
  88. 安宅常彦

    安宅委員 請負の分も半分ぐらいということですね。
  89. 福田省一

    福田政府委員 さようでございます。
  90. 安宅常彦

    安宅委員 これは四十七年度ですか。
  91. 福田省一

    福田政府委員 四十七年度の実績でございます。
  92. 安宅常彦

    安宅委員 ところで、これは指名入札、随契、どっちなんですか、そういう場合には。
  93. 福田省一

    福田政府委員 この請負の中で、随意契約でやりますものと指名競争契約でやりますものと、それぞれ法規に基づきまして二種類あるわけでございますが、随意契約で行なっておりますのが七四%ぐらいで指名競争契約で行なっておるものが二六%、これは請負全体についてでございます。
  94. 安宅常彦

    安宅委員 請負全体というのは、緑化工の……。
  95. 福田省一

    福田政府委員 緑化工についての請負でございます。
  96. 安宅常彦

    安宅委員 だから長官、ちょっと私の考えだけれども、非常に特殊な技能を要するというのだったら、これは随意契約になるのじゃないかと思うのです。だれでもやれるから、言うなれば競争入札になるのでしょうね。こうやればわっと出てくるようなものならおれだってできるのだ、早い話が。  ところで、ここの弘済会に請け負ってもらった分は、下請は禁止しておるはずですが、どうなんですか。
  97. 福田省一

    福田政府委員 完全な下請をすることは禁止いたしております。これは弘済会と限らず、一般的に請負についてはさようにいたしております。
  98. 安宅常彦

    安宅委員 完全な請負というのはどういう意味でしょうか。不完全な請負というのはどういうことでしょうか。
  99. 福田省一

    福田政府委員 請負いたさせますところが、その相手方が全部またまるまる下部に請負させる、これが完全という意味でございます。こういうことは禁止いたしております。
  100. 安宅常彦

    安宅委員 ところが弘済会は、自分でやったというのはほとんどないのじゃないですか。全部請負じゃないですか。さらに下請に出しておるのじゃないですか。そういうことをやれるような労働力を大体この会は持っておるのですか。
  101. 福田省一

    福田政府委員 こういう問題につきましては、先般会計検査院からの指摘もございまして、昨年そういう完全な形での、いわゆるトンネル式の請負ということは禁止するように厳重に指導いたしておるところでございますが、弘済会の緑化工につきましても、その請負につきましては、そういう形で厳重にやるように指導はいたしております。   〔安宅委員「長官でなくて、どなたかおりま   せんか」と呼ぶ〕
  102. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 安宅君、発言するときは委員長の許可を求めてください。
  103. 安宅常彦

    安宅委員 おそれ入りました。  その直接の担当者は、きょうどなたか来ておりませんか。あなたは指導しておる、だけれども、わからないということですか。
  104. 福田省一

    福田政府委員 直接の担当者は参っておりませんけれども、もし御指摘のような点が弘済会にあるということでございますれば、さっそく調査をいたしまして、厳重に処置してまいりたい、かように思います。
  105. 安宅常彦

    安宅委員 きのうどういうことかと、あなたのほうでは盛んに聞きに来たのであります。普通、私は教えないのだけれども、あまりうるさいから、高知の管内、それから名古屋の管内などを私が例にとるはずだから、その分は答弁できるようにしておいてくださいと言ってあったはずであります。そのことについて名古屋の分を例にとりますと、名古屋営林局岐阜営林署の緑化工事、これは四十五年、四十六年、四十七年とずっとありますけれども、揖斐電工業というのですか、こういうところに全部いっていますね。一つ残らずいっている。これは肥料散布、緑化工もみな含めて全部そこにいっていますね。あなたのほうでは、私のところに聞きに来た人があそこにいるから何だけれども、そういうことは答弁できるようになって来ているのじゃないですか、どうですか。
  106. 福田省一

    福田政府委員 御指摘の名古屋営林局管内、高知営林局管内については、電話連絡等で一応の情報をとっておりますけれども、よく実態を調査いたしまして、そういう違反するような状態であるならば、さっそく厳重な処置をしたい、かように私考えているところでございます。
  107. 安宅常彦

    安宅委員 私はあまりうるさいからしゃべったのですが、検討いたします、調査いたしますと言われたくなかったからきのう言ったのです。調査いたしますなんということでは時間ばかり食って何もならないじゃないですか。それを認めるか認めないかの問題、それがあるから私はこの問題に関する限りは、名古屋の分と高知の分は質問いたしますとわざわざ言ったのです。検討いたします、連絡をとりまして、もしあったならば厳重になんという。あるから聞いているのです。読みますか。四十五年の角入林道というのですか、これは百四十万円、それから四十六年の同じところ四百十万円、岩子林道を含めてです。それから四十七年は六カ所ほどあります。読めない字ばかり、むずかしい当て字みたいなものばかりで私よくわかりませんけれども、大体その合計が六カ所で二百八十六万九千八百四十一円、全部揖斐電工業というのですか、そういうところにそのままトンネル、こういうことになっています。これ、どう思います。
  108. 福田省一

    福田政府委員 御指摘の点については、ただいま申し上げましたように、電話情報をとったというだけでございますので、たびたび繰り返して申しわけございませんけれども、厳重に、うちには監査課もございますので、調査しまして、その事実がはっきりいたしますれば、さっそくこれは厳重に処置いたします。  なお、その他の問題につきましてもよく調査いたしたい、かように思っております。
  109. 安宅常彦

    安宅委員 時間がありませんから——こういうことは会計法に違反しているのじゃないですか。たとえぽ予算決算及び会計令などがありますね、こういうものに違反しているのじゃないですか。それから下請禁止の契約違反じゃないですか。林野庁は全く放置しているのじゃないですか。放置しておいたら、これはあなたの職務怠慢というか、国家公務員法の違反ですよ、強いことばで言えば。なぜ三年間も四年間も放置しているのですか。実はこれはやめてもらえないかという電話まで私のところにきています。弘済会は認めています。事実あるとするならばなどというそらぞらしい答弁をしないでください。どうですか。会計法の問題、それから下請の問題、禁止しておるのにやっておるのですから、これは契約違反じゃありませんか。どうですか。
  110. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、これは契約違反になりますので、私慎重に対処しなければならぬと考えているところでございますから、御指摘の点を速急に調査しまして、これはさっそく改善措置をとりたい、かように思っております。
  111. 安宅常彦

    安宅委員 おかしいですね。請負工事施工の設備や技術者もいない林野弘済会が、こういうものにどだい指名競争入札に参加する資格があるのですか。ないのじゃないですか。私はそれをさっき言ったわけですよ。それを、実態を知りながら入札に参加させて、そうして今度は契約違反であり、会計法違反でありますから、厳重に調査するなり慎重に調査したら、これはまた十年たつ。たいへんなことだ。慎重じゃないのです、こういうことは。田中内閣じゃないですけれども、なかなか決断と実行ができないようだけれども、ほんとうに決断をしなければならない、こういうものだと私は思います。どうですか。
  112. 福田省一

    福田政府委員 慎重にと申し上げましたのは、決して長くかけるという意味ではございませんので、これは速急に結論を出したいと思います。そういう間違いがあればさっそく是正いたします。
  113. 安宅常彦

    安宅委員 もっと聞きますけれども、私は弘済会を非難したような発言をいたしておりますが、その契約を結ぶ相手方はあなたの下僚であります。林野庁の役人であります。いいですか、このことを忘れないでくださいよ。下請をしているのを知っていて、技術者もいないそういうトンネル会社である弘済会を入札に参加させたこと自体おかしい。そうして契約違反だ、会計法違反だということを知っていながら、情報知っておっていままで放置していたということは重要なことでありませんか。どうですか。
  114. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のとおりでございまして、これは契約の問題でございますから、営林局なり営林署と弘済会の問題でございますので、御指摘のとおりでございます。
  115. 安宅常彦

    安宅委員 いろいろ言いたいことたくさんあります、こういうことは。二〇%ピンはねして、そうして下請業者にやるといううわさもありますね。これも調査してください。これはまるであなたのほうが弘済会にみついでいるみたいなものです。これは直営直用だったらピンはねする必要もない。おじいちゃん方の会社、六十歳からの平均年齢の会社に能率上がると思ってあなた方こういうことを契約させておるのですか。仕事が一人前できると思っておるのですか。できないから請負にする、こういうことになるのじゃないですか。いま私どもは皆さんのいろいろな資料を勉強させてもらっておりますが、事業量などの見通しの試算をあなたのほうでやっておるようですけれども、たとえば製品の生産事業などはたいへん将来縮小しようと思っておるようですね。直営生産量や請負生産量、こういうものは四十八年度から五十七年度までの間にずっと減らしていく、造林事業も減らしていく、そういう林道事業まで減らしていく、こういうような方向に向いておるときに、堂々たる従業員がおって、これらの仕事は林道を切ったときにやることですから、こういうことは。なぜそういうものに回さなければならないのですか。仕事をよこせ、正式の職員にしろと言っている労働者が山ほどあなたの傘下におるときに、なぜこんなものをトンネル会社にやらなければならないのですか。
  116. 福田省一

    福田政府委員 冒頭申し上げましたように、弘済会は退職者が非常に多いわけでございまして、私は、長年つとめておった年寄りの方たちですから、その経験を生かした方向での仕事をやってもらうことが一番望ましいと考えておるわけでございます。そういう意味で、ただいま先生御指摘の単なるトンネル会社であるというような御指摘を皆さんから受けるようなことは、これはやめなければいかぬと思っております。  それから直営直用の問題も、それは地域地域によりまして、確かに労務全般が不足しておる場合もあれば逆の場合もあります。そういったものを判断いたしまして、直営直用もいいものにしていきたいと思っております。  請負につきましても、全面的に否定するわけにはまいらぬと思っております。できるだけこれはいい方向に持っていきたい。それは現地の実情に即してやっていきたいと思います。
  117. 安宅常彦

    安宅委員 何か年寄りを救うようなりっぱなことをおっしゃっておるけれども、あなたのほうの日々雇い入れの職員は、何十年つとめても退職手当ももらえないし、月給も上がらない。日給制だから休んだ日は保障もないような立場に置いて、五、六十でやめたときにその人たちはほとんど救われないで、何かえらくなった人だけが入れるような仕組みになっておる。一番大事な人の待遇をめちゃくちゃにしておいて、それらの人を救う手だてを一つもしておかなくて、長年つとめておる人を救うのは当然ではないかという答弁は私には聞こえませんよ。そういう調子のいい答弁は長官しないでください。  最後に、私はそういう立場から資料要求したいのです。四十七年までの国有林野の売り払いにあたって林野弘済会に調査を委託しておる。その調査費を売り払いの相手側から寄付として弘済会が取っているという事実がある。その件数、金額、その実態、これを営林局別に、過去三年間ぐらいの分をぜひ資料を出してもらいたい。これはひどいじゃありませんか。あなたのほうは委託費出していないでしょう。委託費どこから出しているかというと、注文を受けた業者が寄付という形で出している。これは重要なことですから、ただいま申し上げたことを明らかにした資料をほしい。  それから、過去五カ年間の林業土木コンサルタントに対して委託した林道、治山などの設計の数量、金額、こういうものを営林局別に明らかにしたものを資料として出してほしい。  第三番目は、林野庁の退職者の関連企業等への再就職状況、これはいまあなたが言っているかわいそうな人という中に入ると思うのですが、営林署長以上、これは四十八年四月現在で、実際にその企業に、関連産業、たとえば材木会社だとか、そういうところにおる人ですね。現在就職している人数、氏名を出してもらいたい。それから関連事業という考え方は、ただ弘済会などというのは関連産業だという狭義ではなくて、たとえば秋木だとか、いろいろな木材会社、たくさんあります。そういうところにみんな署長は嘱託だとかなんとかという名目で行っております。私の友だちも実際行っておるから聞いておるのですが、この人数と、それから名前を、退職時の署長以上ですから、その役職名を明らかにしてもらいたい。  第四番目は、過去三カ年間における契約途中で解除した官行造林地について、その土地、場所と件数、これを明らかにした資料を出してもらいたい。私どもの県内にもございまして、昭和の十何年かにあなたのほうで官行造林をやろう、こういうことになって、手入れもしなければならないのにほったらかしておいたものですから、いま十億ぐらいになっておる山林なはずなのに、たった何百万か一千万ぐらいの林にしかならないというので解除した例があります。こういうことをあなた方は一体どういうふうにやってきたのか。そして、仕事ないから人を首切るとかあなた方のほうで言っておるけれども、事実問題、仕事がたくさんあるはずなのに、怠慢をやっておるのじゃないかという、そういう気持ちから私はこの資料を要求いたします。どうですか、出していただけますか。
  118. 福田省一

    福田政府委員 さっそく提出いたします。
  119. 安宅常彦

    安宅委員 最後ですが、管理庁長官にお尋ねしますが、この林野庁の問題について、あなた方のほうでは何か調査をいまやっておられるようですが、だと思います、私の記憶が間違いなければ。したがいまして、こういういろいろな問題でやられる一つの内容として、眼目として、いま若年労働者が林野庁に来ない。そうして山で昔何か短剣みたいなものつっておった帝室林野局の考え方で、そしていなかのおっちゃんは山の木を切りに来いというと、はいなんていつでも来るような感覚で、そしていま処遇をしている。こういう実態で林野庁が将来も続けていくならば、最も近い将来において労働力の確保できなくなるであろう。そして民間に移してみたところが、日本の山は守ることができなくなるであろう。私らはそう思っておるのです。ですから、もっと縮小再生産のほうでなくて、拡大生産のほうに林野庁の仕事を持っていく。いままた内地の木材上がり始めたそうですね。こういう問題を、いろんなことを考えながら、大局的な立場に立って、もっと仕事が大きくできるような、能率的にできるような、そういうふうにしてやることは、まあ直営直用で勤労意欲を非常に増させたやり方でやっていったほうがいいと思うが、そういうものも一つの眼目として、林野庁の行政全般について、いま調査しているのはどういう調査かわかりませんけれども、ただいま申し上げたような調査を一ぺんやってみる気はございませんか。
  120. 福田赳夫

    福田国務大臣 林野庁の仕事は、いま非常な転換期というか重大な時期に来ておると思うのです。つまり内地材の供給という問題、それからその資源を保護育成するという問題、そういう木材供給に関した仕事を主としてやってきておりますが、しかし環境問題というのが非常に大きな問題になってきておるそういう際に、国土の保全、環境の維持、こういう見地から林野庁はもう一つ大きな任務を与えられた。こういうふうに考えておるのです。そういう新しい局面に対しましては、御指摘ありましたように、林野庁といたしましては思いを新たにして、この重大な二つの問題に両方とも取り組んでいかなければならぬ、こういう段階かと思うのです。そこで林野庁といたしましては、いま長期計画を立てまして、そういう問題に取り組む姿勢と、それから具体的な計画、これを検討しておるようでありますが、そういう重大な時期でありますので、行政管理庁といたしましても、いま林野庁の林野行政のあり方というものを監察をする、行政監察を行なう、その監察ができましたならば、行政管理庁といたしましては、いま申し上げました二つの立場を踏まえまして勧告をいたしたい、かように考えております。
  121. 安宅常彦

    安宅委員 長官、幾らことばをうまくやっても、どんな状態になっても環境を保全しなければならないといっても、国内産の木材要るのですから、それを何とかするためには、いまからでもおそくない。戦争でめちゃくちゃになったために回転できなくなってこんなようになるのでしょう。そしてブナ材までも山の奥まで行って、あるいは保安林までみな手をつけなければならぬというばかみたいなことをやっているから環境がおかしくなっているのでしょう。ばんばん造林しなければならない、非常に大きな計画を立てなければならない、そういう時期にあるのです。ところが、そうじゃないでしょう。首を切ってしまうことばかり考えて、中間報告なんか出させたり、いろいろな細工を政府はやっているのですよ。これは田中内閣がこれによってつぶれたら、福田さんこの次だなんて、そんなものじゃないですよ。これは日本の内閣の問題じゃなくて、日本の民族の問題だと思うのですよ。こういう問題ですから、いままでの発想とはまるきり変わった発想を立てなければならない、私そう思います。私の議論は間違っているでしょうか。
  122. 福田赳夫

    福田国務大臣 私はいま安宅さんのおっしゃるようなことを申し上げたつもりなんですがね。いままでは木材の供給またその供給源の育成、こういうことが主たる林野庁の仕事のねらいどころであった、こういうふうに思うのです。しかし、いまわが国全体として生活環境の問題が大きなテーマとなってきておる、これは大きな問題です。そういう際に、自然環境の保護、保全、そういう立場から林野庁は新たなる問題に当面しておる。その新たなる問題を踏まえましてこれからの林野行政には取り組まなければならぬ、こういうふうに考える。また、そういう二つの考え方に立ちまして、林野庁の行政はどうあるべきか、またどういうふうにいま仕事が行なわれているか、こういうことについて、行政管理庁といたしましては、調査し、意見も求めまして勧告をいたしたい、かように考えておる、こういうことを申し上げておるわけです。
  123. 安宅常彦

    安宅委員 その趣旨はわかりました。この間出た林審の中間報告などというのは、私は時代に合わなくなってきていると思います。これはどう思いますか。
  124. 福田赳夫

    福田国務大臣 お話のその答申につきましては、私はまだ精細に読んでおりませんものですから、責任を持ったお答えをいたしがたいのですが、要するに私が考えている点は、林野庁には新たなる重大な任務が加わった、それを踏まえてこれからの林野行政はやらなければならぬ、こういうことでございます。
  125. 安宅常彦

    安宅委員 林野庁長官福田さんも——私どもは社会党として国営分収造林法というものを国今に出しているのです。こういうものは、審議会の中間答申などというものとはまるっきり違って、私が先ほど、私の議論が間違いがないかと言った、そういう構想で出しているものであります。中間答申もお読みになっていないようでありますすから、比較して、いいほうをとって、ぜひ社会党の法案に賛成をするくらいの度量を長官は持つべきだし、林野庁長官なんかはもっと研究しなければならないと思う。よしきた、そういうものを勉強してやろうという気持ちがありますか。二人に答えてもらって終わりにいたします。
  126. 福田省一

    福田政府委員 非常に重要な問題でございまして、ただいま御指摘の林政審議会の中間答申とおっしゃいましたけれども、それも終わりまして、最終答申もいただいておるわけでございます。  そこで、その中の考え方、これは昨年の十二月でございますから、まだ半年たってないのでございますけれども、あの基本的な考え方につきましては、やはりいま行管の長官もおっしゃったようなことも入っておりますし、それから先生御指摘の点も入っております。ただ、具体的にどうそれを実現するかというその手段においては、いろいろまた御批判もあろうかと思いますが、私たちはその答申を尊重いたしまして、鋭意ただいま検討しているところでございます。またこの問題を実現するためには、やはり国内の、特に林業労働に関する問題が中心でもございます。造林を達成するにしましても、やはりそういったことが中心になると思いますので、皆さん方がお出しになっている法案についても十分勉強したいと思っておりますし、あわせてそういったことで一生懸命勉強してまいりたいと考えております。
  127. 福田赳夫

    福田国務大臣 林野庁長官からいま大いに勉強してみたい、こういう話でございますが、その勉強の結果を承りまして、私といたしましても協力をしてまいる、こういう考えでございます。
  128. 安宅常彦

    安宅委員 委員長、これで終わらしていただきますが、私、中間報告という、中間は誤まりであります。訂正しますので、御配慮願いたいと思います。
  129. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 木野晴夫君。
  130. 木野晴夫

    ○木野委員 行政管理庁は、昭和二十七年に昔の行政管理庁、それと経済調査庁の関係の部門を引き継いで現在に至りているわけでありますが、仕事としましては、私の見たところ行政管理局の系統と行政監察局の系統、この二つの分野に分かれるのじゃないかと思うのであります。両方の部門とも非常に重要であると思うのでございますが、時間もございませんので、問題をしぼりましてお尋ねいたしたいと思います。  まず行政管理局の系統の仕事でございますが、いわゆる官庁機構というものがありまして、なかなかこれは強大である。たとえば政治家が出てきましてこういうようにしたいと言いましても、それに対する抵抗が非常にきつい。そうしてまた、いわゆる権限問題といいますか、そういったものがからみまして、レッドテープでくくられてしまうというふうなことであるわけであります。  そこで、能率的にかつ所期の目的を果たすためにどのように機構はあるべきか、こういった仕事をばやっているのが管理局の系統の仕事であると思うのであります。前にも一局を削減するということで大なたをふるわれたのでありますが、一局削減ということにつきましては、これもたしか一回で終わっていると思うのであります。しかしその精神はいまも生きておりまして、行管のほうで何かと見ておると思うのでありますが、パーキンソンの法則にもありますとおり、役人といいますものは、一つの課をつくると係長を二人以上つくる、そうして一人の係長ではわからないようにして、そのために課長があるのだ、そのためにまた部長があるのだ、そのためにまた局長があるのだ、パーキンソンの法則ということもいわれておるのでありますけれども、この行政管理局の関係では、能率をあげてやっていくということが非常に大事であると思うわけであります。  それで端的に伺いますが、月給の支払い、これは人事院規則で月給の支払いは現金によるということで、月給をば一々、一万円札から千円札、五百円札、それから百円の通貨、それから十円、そうして一円玉というふうにやっておりますが、こういったものもこれを小切手でやれば非常に簡便になるのじゃないか。全部がコンピューターでやっておりますから、あとの支払いの段階もやれば非常によくなるのじゃないかと思うのであります。こういった点につきましても、長官の御意見なり、またこれについての考え方を聞きたいと思っておるのであります。  人事院がまだ来ませんので、これは後ほどに譲るといたしまして、また最近は機械化いたしまして、統計その他コンピューターが入ったということでありますが、それだけの人が浮いてくるわけでありますから、減っているのかどうか、そういった点につきましても十分に見ていただきたいと思うのであります。  それとともに、もう一つの系列のほうで申しますと、監察局とあるわけであります。監察といいますと非常にものものしい感じで、何か非違がありますと監察というふうに連想するわけでありますが、監察といいますのはよく見るということではなかろうかと思うのであります。実は行政管理庁の末端で行政相談委員というのを設けておられるわけであります。そういったのとずっとあわせて考えてみますと、行政が円満にいくように、またさらに効率のあがるように、また国民に喜んでもらえるように、こういうために行政監察の大きな仕事があるのじゃないかと思っているわけであります。そうすると、少しこの行政監察というのが名前がものものしいのじゃないかと思うのでありますが、実際申しまして行政監察というところはこういった仕事をしているのだ、そうしてまた地方には行政相談委員というのがおって、行政の点ではこういうようにやっているのだというふうな点のPRが十分にいってない、このように思うのであります。また国民のほうからいたしますと、行政相談委員といいますと、これは何か困ったことがあれば行くと全部片づけてくれるものだ、このように期待しておる。たとえば信号灯がほしいといったときに行ったちゃんとしてくれる、こういうふうに思う。中には物価が上がったから、行ったら相談に乗ってくれるというふうに、それが行政相談だと広く思っている人があるかと思いますが、この行政相談委員の制度、これを活用することが非常に大事ではなかろうかと思うわけであります。  そこで長官にお聞きしたいことは、行政相談委員の制度、これがありますが、どのように考えておられるか。行政監察の仕事というものをどういうふうに考え、そうしてその面におきまして行政相談委員の制度、これをどのように持っていこうとしておるか、そういった点について聞きたいのであります。まず第一は、行政相談委員は現在一体何人おるのか、それからこういった制度をどのように持っていこうとしておるのか、その点から長官にお聞きしたいと思います。
  131. 福田赳夫

    福田国務大臣 第一点は管理局関係のことでございますが、これは行政管理庁とすると一つは管理局の仕事があります。一つは監察局でやっておる仕事がある。それからもう一つは統計の仕事があるわけなんです。行政管理庁全体といたしまして、行政能率を向上する、近代化し合理化する、こういうところに主たる任務があるわけなんです。それをそういう各部局で分担して行なおう、こういうことですが、まず管理局の問題につきましては、定員の管理また機構の問題の所管をする、こういうことになっておるわけであります。それもただいま申し上げましたような趣旨で機構、定員の問題を取り扱う、こういうことです。それから第二の監察局につきましては、各省庁が行政を行なう、つまり法令の執行の状態ですね、それから予算の執行の状態、そういう行政のやり方、これを先ほど申し上げましたような趣旨に沿って監察、調査を行ない、そうしてその妥当でないという点につきましては、これをこういうふうに改むべきであるという意見を付しまして、これを総理並びに関係省庁に勧告を行なう、そういうことでございます。かたがた、ただいま御指摘の相談委員という制度があるわけです。役所によりましては、各省庁自体の苦情処理機関もあるわけなんです。たとえば税務なんかにつきましては、相当充実した苦情処理機構を持っておるわけでございます。ところが、そういう機構を持たないところも多々あるわけでございます。そうすると、その民間の苦情をどういうふうに行政当局に取り次いでいくかということについて一般国民が戸惑うことが多々ある。そういうようなことを主たるねらいといたしまして行政相談委員制度というものがあるわけでございます。行政相談委員は昨年までは三千五百何ぼでございましたが、本年度から増員になりまして、総数が四千五百六十七人になるわけです。この方々が全国に配置されておりまして、国民の苦情を承る。ただ、苦情を承ると申しまするけれども行政管理庁自体には固有の権限はございませんものですから、苦情の問題点はどこであるかという点を解明し、そうしてこれを各省庁に取り次ぎ、またある苦情をこのように処理することが妥当であるというものにつきましてはそのように処理していただく、こういうことにいたしておるのであります。まだどうも御指摘のように相談委員制度というものが普及されていない、周知されておらない、そういう面が非常にあると思うのです。その相談委員制度というものがそのような目的を持ってあるのだという点につきましては、ひとつ大いにPRをいたしたい。同時に、相談委員のところに持っていけばもう全部事が解決するのだということでもありませんから、その点につきましてはまたかたがた配意してまいりたい、かように考えております。
  132. 木野晴夫

    ○木野委員 相談委員制度でありますが、PRをして、大いに国民が困ったときには窓口はここだというふうにしたいということ、これは必要であると思うのでありますが、できたならば、そこへ行きますとある程度解決するというふうにしてやらないと、東京行きの切符はこちらですとずっと連れていって、窓口に行ってここですと言って、あと行きなさい、何番ホームというのじゃなしに、切符を買うところまで行ってやって、窓口の切符のところも改札も一緒に行ってやって、そして汽車の座席にすわらせて、さあ行ってらっしゃいというところまでいくか、そういった点の問題でありますが、国民は、行政相談委員があるということをPRいたしますと、ここへ行けば全部片づくんだ、こう思うわけでありますから、そこはただ案内だというだけでは、私はちょっとまた期待がはずれると思います。これは行政官庁はこうだということで話は話でしょうが、国民としてはそこへ行ったらある程度やっていただけるということでありますから、権限の話としますとそうでありますが、できるだけそこに行ったら片づいたというふうに、行政管理庁においては各官庁とも相談してやっていただきたいと思うわけであります。  そこで、たとえば各市町村では非常にこういった点を考えておりまして、どこかの市役所では、そこへ行きますとすぐやる課といってやってくれる。権限はいろいろ問題があるでしょうけれども、そこへ行ったら全部やるというふうになっておるのも、そういった期待にこたえようということで出たと思うのでありますが、ただいま大臣から話がありましたとおり、どこへ行ったらいいかわからない、これが国民の一番戸惑っておるところであります。どこへ行ったらいいかわからない。少なくとも行政相談委員のこの制度を生かしていただいて、この問題はどこへ行ったらいいんだということ、これはもう最小限度しなければならぬことであります。そしてまたさらに欲を言いましたならば、ある程度片づくというふうに、行政管理庁において各官庁とも連絡をとって、そしてやっていただきたい。そうしないと、行政相談委員の制度が、前年まではずっと三千五百人だった、今度大臣がなられて、そして九百人とって四千五百人になった、さらにPRをしようと言っておるわけでありますが、それだけに受け入れ体制としましては十分やっていただきたい。これが私の希望であります。  そこで行政相談委員でありますが、四千五百人にふやしたと言っておりますが、年とった人ばかりおって、行っても最近の情勢がわからない。そんな制度ができましたか、ないしは、やってくれと言ったら、私はからだが悪くて寝ているんだということでは困るので、こういった人の研修、こういった人の活躍、こういった点について十分に配意してもらいたいと思いますが、この行政相談委員制度ができて、最近相談が、件数といいますか、どういった状態になっておるか、そしてまたそれについて大体のところどのように処理しておるか、そういった傾向について、監察局長でけっこうでありますが、状況をお話し願いたいと思います。
  133. 大田宗利

    ○大田政府委員 お答えいたします。各年度の受付件数を見ますと、四十三年度は大体十一万ぐらいでございます。それから四十四年度、四十五年度、少しずつ増加いたしまして、四十六年度には十三万ぐらいの全国の件数になっております。四十七年度につきましては十三万八千三百件ぐらいでございます。四十七年度につきまして各省別に見ますと、建設省関係が約三万五百件でございます。それから厚生省関係、これが二万三千件でございます。農林省関係は八千八百件ぐらいでございます。  ただいまその処理というお話でございますが、大体十三万件のうちその三六%につきましては、申し出人の大体納得のいく解決をしております。それからそのほかのあれにつきましては、たとえば申し出人の方で法律を知られなかったとか、あるいは思い違いをしておったりとか、いろいろなことがございます。したがいまして、そういう意味でほとんどの方につきましては納得はしていただいておりますけれども、希望どおり大体解決したというのが大体三六%ということになっております。
  134. 木野晴夫

    ○木野委員 件数も十万件をこえて大体定着してきたように思うわけでありますが、今度定員もふえるわけでありますから、こういった件数もまたふえてくるのじゃないか、国民の皆さんも利用するのじゃないかと思うわけであります。それで皆さんのほうで納得いって帰ったということで処理しておりますが、ほんとうに納得して帰ったのか、それともまあ帰ったというのか、そういった点十分に見てやっていただきたい。先ほど大臣にも言いましたが、権限がないだけに、ここは権限がないから帰ってくれということで帰っても納得して帰ったということになりますから、そうじゃなくて、ほんとうに目的を達して帰ったというふうにするためには、ひとつ各官庁との連絡を十分にしてやっていただきたいと思うわけであります。  そういった意味で、私の選挙区でございますが、大阪の湾に沿ってある町でございます。泉佐野という町でありますが、そこの漁業組合で実は起こった問題でございますが、神戸のある運送会社が、阪神地方の工場の廃液をドラムに詰めて、そしてそれを外のほうへ行ってほかすのを、大阪湾の途中でほかしてしまった。だからドラムかんが大阪の湾内に相当数ある。で、漁業組合の連中は一日漁業をいたしましたときに、ドラムかんに網が引っかかった。そこで、みんなあわてて飛び込んでなにしたところ、ドラムが出てきた。何だろうかということであけてみたら、それが毒物であった。そのために入った人が目をけがするとかというふうなことであった。調べてみると、その付近に相当たくさんありそうだ、こういったふうなことがございました。そこで漁業の連中はすぐに水産のほうへかけ込んでいく。ところがどうもそれは水産のほうじゃない。海上保安庁へ行くと、海上保安庁でもない。建設省へ行くと、建設省はどうも海の中はどこの所管かな。そこで環境庁に行けといったら環境庁は、これは撤去するのはまた別の話だ。また漁師のうちには目にけがした人もおる、どうしてくれるんだというふうな問題があるということがございます。  先ほど申しましたどこへ行ったらいいかわからないというのが一つと、それからもう一つは、いいことは権限争いをするんですが、何かむずかしい問題は消極的権限争い、うちの所管じゃないということで取り上げないというふうなことになっておりますので、私は行政管理庁にお願いいたしまして、各役所役所はそれぞれ持ち分はあるのですが、連絡を密にする。何もかも一つにしてしまえというのじゃなくて、各役所役所というのは、これはこれとしまして、そのかわり縦割りの弊害におちいらないように密にする、これが中央におきましても地方におきましても大事なことだと思うわけであります。中央のほうは案外縦割りでいけるわけでありますが、末端に行きますと、たとえば府県だと府県でしなければいけない、特にまた末端の市町村へ行きますと、市町村はこれは農林省だから、これは建設省だからというわけではないので、その市町村としてどうかということであります。そういった意味で一番のなには連絡を密にする、この点を大臣からよく行政管理庁の仕事をやられます場合に十分に徹底するようにしていただきまして、十分にPRする。そのかわりまた、行ったら、互いに連絡をとって国民の要望にこたえる、相談にこたえる、この点を特にお願いいたしたいのでございます。特に最近の行政を見てまいりますと、福祉行政だ、こういうふうになってまいりますと、末端に行きますと、道路の問題にしましても、これは国道だから、これは市道だから、これは県道だからというわけでないのでありまして、道がどうかということでありますから、末端に行きますと全部総合になってきているわけでございます。それで、中央におきまして行政管理の仕事を見られます場合に、特にこの点が大事であると思うのでありますが、その点につきまして大臣の御意見を聞きたいと思います。
  135. 福田赳夫

    福田国務大臣 お話まことに私も同感でございます。縦割り行政というのは、これは近代国家の行政組織とすると、一般的にそういうふうになっているわけでございます。ただ、それに徹しますと、どうしても横の連絡という問題が起こるのでありまして、わが国におきましては他の先進国同様縦割りのシステムでございますが、横の連絡、それにはどうしても特段の配意をしなければならぬ。こういうことから、当面重大な物価につきましては経済企画庁がある、あるいは公害につきましては環境庁ができた、こういうようなことで、これは横割りの行政機構です。今度は国土総合開発庁ということを構想しておる、こういうことでございます。  しかし、なおさらに末端の行政の仕組みとなりますと、中央の仕組みがそのまま末端に行く。末端に行きますと、国民一人一人に末端の役所が接するわけでございます。国民一人から見ますと、ある案件がある、それがいろいろな省に関係する、非常に戸惑われるのじゃないかと思うのです。そういう際に私は、行政管理庁の出先機構というものが非常に重要になってくる、その一部として相談委員の役目、これも重要である、そういうように考えますが、その辺の潤滑剤的な役割りですね、これにつきましては、行政管理庁としては十分配意してまいりましたけれども、今後なおさらにそういう点につきましては気をつけてまいりたい、かように考えます。
  136. 木野晴夫

    ○木野委員 人事院の局長も来ましたから、お尋ねしたいのでありますが、行政監察の仕事なり行政管理庁の仕事が非常に機械化をしたりいろいろして出てきた。そこで給与の計算はコンピューターで計算してやる。ところが封筒に入れるのが一円玉を何枚ということで計算しておる。これを小切手で払ったらどうかということはだれしも考えるところでありますが、この点についてはどういうように考えておりますか。
  137. 長橋進

    ○長橋説明員 お答えいたします。給与の支給事務合理化ということで銀行口座振り込みという要望もございます。いま先生御指摘の小切手払いのことでございますけれども、給与の支給関係としましては、一般職の給与法の三条に現金で支払わなければならないという規定もございますので、それぞれの関係で問題になるわけでございますが、私どもとしましては、現在法律制度上そういうような方法ができるかどうかという観点から技術的検討をしておるという状況でございます。考えておりますのは、小切手払いということでなくて、要するに口座振り込みということになろうかと思いますけれども、その場合に直接現金で支払わなければならぬという規定との関係でございますけれども、そういう点につきましては、時代の方向としてはなるべく事務の合理化という要望が強うございますので、そういう方向に沿いまして検討しております。この場合やはり問題になりますのは、どの程度まで口座振り込み制度が法に抵触することなくできるかということでございまして、考えておりますのは、やはり本人の意思なり希望というものをどうしても無視するわけにはいかぬであろうということが大きな問題であろうと思います。それから現金で支払わなければならぬということにつきましては、給与法の二条で、人事院の権限といたしまして、技術的解釈に必要な事項は人事院規則で定めるということになっておりますので、現金で支払わなければならないということの技術的な解釈という観点から、人事院規則でもってどの程度までできるであろうかということで、目下検討しておる段階でございます。
  138. 木野晴夫

    ○木野委員 私はいま、計算事務を簡便にするという形でいくと、現金払いじゃなくて小切手振り込みにすれば非常に簡単じゃないか、こういうことでなにしておるのでありますが、公務員の給料を払うときに、アメリカでもやはり現金で計算してやっておるのですか。世界各国の公務員の関係はどういうふうにしておるのか。それが一つと、それからたとえば普通の会社で払うときに、労働基準法がありますが、それで払うのだが、そのときには現金でなければいかぬのか、それともどうなっておるのか。それから税金なんかも現金で納めてもいいし、また小切手で納めてもいいのですが、小切手で納めるあれはどういうふうになっておるのか。国税徴収法では金銭をもって納めなければいかぬと書いてありますが、小切手で納めておりますが、あれはどういうことなのか。だから現金、金銭、通貨、こんなような法律がときどき出てくるのでありますが、そういった点についての人事院の考え方。  もう一度言いますと、各国で公務員の給与はみな日本と同じように一円玉を封筒に入れて渡しておるのか。それから現金、金銭、通貨とときどき出てきますが、どう違うのか。それからいま人事院のほうでそれをやめるということでありますが、やめるというそのなにが一つと、それから問題点は一体何なのか。それでやると全部家族に知れるからいやだというのでいけないのか、それとも何かあるのか。そういった点まとめてひとつ……。
  139. 長橋進

    ○長橋説明員 お答えいたします。外国の例につきましては、ただいまちょっと手元に資料を持っておりませんので、つまびらかにいたしかねます。  それから民間関係につきましては、労働基準法の規定ということになりますので、ちょっと私の所管外でございますから、責任あるお答えをいたしかねます。聞くところによりますと、民間におきましては、協約等によりまして口座振り込み制度というものがかなり行なわれておるように聞いております。  それから、私が先ほど申し上げましたのは、国家公務員の給与関係につきましては、支給手続その他一切一般職の給与法、それから人事院規則ということで処理し得る法制になっておるものでございますから、したがいまして、人事院の所管する限りにおきましてそういう手続を講ずれば法律上問題はないのじゃなかろうかという考えを申し上げた次第でございます。  以上でございます。
  140. 木野晴夫

    ○木野委員 あなたのほうは人事院規則でこうなっておるから現金を払っておるのだということなんですが、いますっと給与の支払いを見てみまして、コンピューターを入れて、なにしてこうなっておる。ところが一々封筒に入れて、間違ったらいかぬからまた二、三人で見てやっておる。これは非常に能率が悪いじゃないか、小切手にしたらどうかと言っておるので、あなた方のほうも人事院の給与の関係だとすれば、そういう制度はどうかというときに、まず第一に外国はどうか。人事院も二十年たつのですから、外国はどうかすぐわかることなのです。別に資料を取ってどうということではないので、外国ではどうだというくらいわかるはずだと思う。外国の公務員のことがわからなければ、外国の会社ではこうだと、アタッシェが出ておるのですから、こんなことはすぐわかるのですね。そういうのはひとつ調べていただきたい。  それから民間のほうはどうかというと、民間のほうは、たしか、労働基準法で、これは通貨で払えとなっておる。また労働協約もございましょうけれども、その場合どうするかというのであって、これはまたこれで勉強して、労働省でわかっておるのですから、そこと相談したらいいわけです。実はこうだ、そうするとまた国税のほうではどうなっておるのだ、あるいは金銭——これは金銭じゃない、何とかと読むのだ、有価証券とか——こういったものを勉強して、そうしてやっていただかないと、いま公務員のほうは勉強しておるのだ、外国のことはわからぬ、労働省のほうはこうだというのは、いまこの席上で権限ある説明はできないということで言われたのだと思います。私聞いておるのは、人事院についての権限を聞いておるので、どういった状態かということを聞いておるのですから、その点は労働省のほうで答えるからということではなくて、この問題は人事院としてこう考えておるというならば、実はこうだという事情はわかりませんか。
  141. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 人事院からお答えを申し上げる前に、私どものほうの検討の過程がございますので、それをまずお答えいたしておきます。先生すでに御承知と思いますけれども、行政改革の第二次の計画というのが昭和四十四年七月十一日に閣議決定をされておりまして、その中の検討事項の一つに、事務の民間委託の推進というのがございます。その中身といたしまして、銀行振り込み等による給与支払い事務の合理化という問題を取り上げて検討を始めております。現在までの検討、まだ最終的に終わっておるわけでございませんので、なお今後の検討にまたなければならない部分が多うございますが、実態的な問題といたしまして、民間等の企業におきましては、銀行振り込みをいたします場合に取引銀行等が比較的特定しやすい、かつそれについて一般従業員等がその銀行に口座を持つことについて、問題は比較的少のうございます。ところが公務員の場合におきましては、こういった制度を行ないます場合に、銀行を特定するという問題になりますと、非常にデリケートなむずかしい問題が出てまいります。そこで、公務員の希望するあらゆる金融機関に口座を設けるということになりますと、技術的にも事務的にも、また経費的にも非常に多額のものを要するのではないかというようなところが現在までの状況でございます。今後さらに銀行制度自体がもう少し彼此融通するような制度ができてくるとか、あるいは郵便局をも含めて交換制度が確立してくるとか、そういう問題をも含めて検討いたしませんと、実態的な問題として、いまの段階で直ちにそういう問題に踏み切ることはむずかしいということでございますので、人事院のほうに制度的な御検討をこちらから願ってこれを進めるというところにはまだ至ってない。そういう意味でも人事院のほうでも進んだ検討がなされていないであろうというふうに考えておる次第でございます。
  142. 木野晴夫

    ○木野委員 まあ小切手でなにしたほうが簡便であるというのは、能率化の点から見まして、これをしたらどうかということはだれしも思い当たるもので、こういった点は十分に検討してやっていただきたい。私はこの問題を聞いたときに、なるほど能率はあがるが、実は受け取る個人の感情として、自分でやはり現金をもらったほうが、それが楽しみだという人もありましょうし、だからそういう点も考えてきめていただければいいのでありますが、いろいろな制度をひとつ縦から横から十分に検討して、その上にそういった点も加味してきめていただきたい、こう思うわけであります。機械化をやるときに、そういった点がずっと来ておって、その点がなにしてないという点がありますので、とらえて検討してもらいたい、これが私の気持ちでございます。  時間がございませんので、大臣に繰り返しお願いいたしますが、行政管理庁の仕事は官庁機構の能率をあげる、近代化をやるということであります。国民もひとしくこれを期待しているわけでありますから、どこへ行ったらわかるのだというPRと、それから行ったからには、ある程度連絡を密にしてやっていただくという権限内だけに、ひとつそういった点を考えていただきたいということでございます。  最後に一つお願いいたしますが、先ほどありました行政相談委員でありますが、行政相談委員というのは三千六百人程度から今度九百人ふえたということで、方向としましては非常にけっこうだと思うのでありますが、そしてまた、これをひとつ活用できる人を充てて、やっていただきたいと思うのでありますが、こういった人たちに対する待遇でありますが、待遇はどうなっておるのか。そうしてまたこういった人たちに対して褒賞といいますか、そういった点について何かしてやらなければいかぬのじゃないか。おそらくこういった人たちについては、給与は名誉職的なもの、実費程度だと思うのでありますが、こういった末端の方々が一生懸命そういった国民の相談にこたえられてやるというときには、何か考えてやるということの制度が必要だと思うわけであります。そういった点について、私は特段の御配慮をお願いしたいと思うのでありますが、行政相談委員につきましての大臣の考え方をもう一度聞きまして、質問を終わりたいと思います。
  143. 福田赳夫

    福田国務大臣 行政相談委員についての御所見は、私は全く同感です。ただお恥ずかしい次第なんですが、この重要な役割りをする相談委員でありまするけれども、これに対するお礼があまり十分じゃないのじゃないかと思うのです。実費弁償金ということで年額六千円、そういうふうになっておるわけなんです。もちろんこれは改善をする必要がある、こういうふうに考えておりますが、これは類似の制度がいろいろありまして、たとえば保護司だとか、いろいろな問題があるのです。それとのつり合いとかそういうことで、なかなかてきぱきと改善をされておりませんが、相談委員につきましては、昭和四十八年度は、とにかく人員をふやすというところに重点を置こう、そういうふうに踏み切りをつけまして、人員のほうは要求どおりこれを実現をするということにいたしたわけでございますが、給与のほうはひとつ来年の課題としてこれを進めたい、こういうふうに考えているのです。しかし問題は金ばかりじゃないのです。ただ奉公というような形で非常に重要な仕事をしてくださるところの相談委員に対しまして、国としては感謝の意を表さなければならぬ、気持ちをあらわさなければならぬというふうに存じまして、褒賞制度というものを設けております。長官表彰ですね、これをとり行なう。また春夏とり行ないますところの叙勲ですね、これにつきましても、格段の配意をいたしておるわけでありまするが、まだ欠けるところは、物心の物のほうでありまして、この問題につきましては、これからひとつ改善のために努力をしたい、こういう考えでございます。
  144. 木野晴夫

    ○木野委員 相談委員人たちは、そういった褒賞があるからというのじゃなくて一生懸命にやっておられると思うのでありますが、それに対しまして、何かと考えていただくということを特にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  145. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 庄司幸助君。
  146. 庄司幸助

    ○庄司委員 私はまず第一点として、行政管理庁の長官にお伺いしたいのですが、きょうちょうだいしました「行政監察月報」の百六十三号、この問題で「自然保護に関する行政監察」という御報告をちょうだいしております。先ほど来、午前中にいわゆる山形県の県境の問題でいろいろ御論議がありましたが、この御論議を通じて私が感じた点は、確かに県境の画定というのは、歴史的な経過なりあるいは地元の自治体の意見を十分そんたくして正確に画定すべきだ、この点では異論がないのです。   〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕 ただ、この問題の背景にあります点を私が聞き及んでおりますが、また論議の中でも展開されたわけですが、どうやらいわゆる観光業者あるいは交通関係の業者がロープウエーをつくりたい、そのために山形県側がいわゆる県境問題を出してくるという過程があったようですね。その点で私非常に心配しておりますのは、いま何も宮城県、山形県だけではありませんが、自然破壊がどんどん進んでおる。この問題は行管としても心配されて、こういう報告を出されたのだろうと思うのです。この自然破壊の問題が実はいわゆる観光業者なりあるいは交通業者あるいは国の道路公団、あるいはまた林野庁の伐採、こういう側面から促進されておる、これがあるわけですよ。この報告の中にもその点は述べられているようでありますが、実はこの間蔵王のいわゆる国定公園地域内の自然破壊の状況について、東北経済連合会がこれは東北大の学者やあるいは山形大の学者に委嘱をして調査をさしたわけですが、この報告を見ますと、こういった業者や道路公団による凄惨な自然破壊が行なわれておる。——凄惨なという表現を使っておるのですね。しかもそういう過去の事例があり、現在でもまた縦貫自動車道その他の開通を見込んで、蔵王の国定公園地域内の扇状地帯とか、そういったところを買い占めておる事実があるのですね。これがまた猛烈な自然破壊につながるであろうということは、だれしもおそれている点なんですよ。だから、私は、先ほどいわゆる県境の問題が論議されましたが、その背景に、こういう業者の押せ押せ作戦ですね、業者というのはえてして——えてしてというよりは大部分自然の保護についてほとんど関心を持っていない、こういう背景があるわけですから、いまの県境問題で、単に行政区の境をきめるというだけの配慮だけでは私は足りないのじゃないかと思うのです。蔵王の国定公園地域内の自然をどうやって保護するのかという観点で私は行管が十分監察なりあるいは調査なり進めていかないと、取り返しのつかない破壊を受けるのじゃないか、こう思うのです。この点で私は行管の長官の御所信をひとつ伺いたい。  それから第二点は、やはり林野庁の問題。これも先ほど論議がありましたが、これは全国どこを見ても林野庁がいわゆる皆伐方式をとったわけですね。みな切ってしまう。三百年あるいは五百年くらいの自然のブナ林が見るもむざんな切り倒しを受けている。これはもう宮城県の実例をとってみても、国定公園地域内の栗駒山脈あるいは鬼首あるいは船形山、それから蔵王、この辺がほんとうにひどいのですね。破壊を受けている。これは林野庁がやっているのですよ。しかも、その背景に何があるかといえば、林野庁がこのブナ材を払い下げる相手はだれか、こういうことで探ってまいりますと、必ず出てくるのが大昭和パルプであるとか、十条製紙であるとか、こういったブナ材によって紙をつくって海をどろどろによごしている、こういった業者が動いている。こういう形跡が十分あるのですね。こうなると、林野庁がまるでこういった製紙業者とほんとうに結託して天然のブナ林、三百年もかからないと復旧しないような破壊作業林野庁がやっている、こういうことになると思うのですよ。林野庁の場合、林野庁長官いま御退席になりましたが、何からそういうことが出てくるのかというと、独立採算制があるのだ、これがどこでも言われるわけですね。そうしますと、私は、少なくとも国が自然破壊をやるということは許されることではございませんから、この林野庁の独立採算の問題を解決してあげなければ、これはとうてい解決できないのじゃないか。その点、私は、行管の長官が先ほど御勉強なさるとおっしゃっていましたが、そういう方向での検討ですね、これを進めておられるのかどうか、それから、そういう御決意がおありかどうか、この二点まず伺っておきたいと思います。
  147. 福田赳夫

    福田国務大臣 まず自然破壊の問題でございますが、これは私は目に余るものがあるというふうに痛感しておるのです。私は昨年暮れ、ちょうど総選挙の際、ヘリコプターで全国を回ったのですよ。ヘリコプターの上から見ると、たいへんな惨たんたる状態です。いま凄惨というようなおことばがありましたが、まさに私も同じような感じで、これは思いを新たにしてこの問題の処理に取り組まなければならぬ、こういうふうに考えておったわけでありますが、行政管理庁といたしましては、先般そういう状況について監察をした。そうすると、やはり公園なんかにつきましてはちゃんとした法の整備というものがある。この法がちゃんと守られて執行されておりますれば、これはかなりそういう面につきましては効果があるであろうと思いますが、その法令が法令どおりに動いておらぬ。あるいは許可を要すべき問題が許可なくして破壊が行なわれておるとか、あるいは許可を与えるにいたしましても、その許可基準が妥当でない、こういうような事例が多々ある。ただ、行政管理庁は小さな役所でありますから、全国のそういう状態を一つずつ全部調べて、そうして当否を判定することはできないのです。そこで抜き取りというかそういう形の調査を行ないまして、妥当でなかった点が発見されましたら、そういう妥当でない点に対して是正、またそれに準じて調査しなかった点につきましてもやってもらいたい、こういう要請をいたしておるわけでございまするが、とにかく物価の問題、公害の問題、自然の問題、そういう問題は当面する政治の最大の問題でありますので、行政管理庁としては今後もひとつ鋭意努力したい、こういうふうに考えます。  それから林野庁のあり方につきましては、御指摘のように林野庁は非常に重大な局面に達しておると思うのです。つまりいままでの林野庁行政は国内の木材の需要に対する供給、これを担当するという立場にあったわけです。これが主たる仕事であった。しかしこういう自然破壊というような問題が起きてくる、しかもそれが国有林において行なわれる、こういうような時勢である。そういう際におきましては、どうしてもそういう自然を守る、環境を擁護する、こういう角度に林野庁が大きな努力目標を置かなければならない。いままでは木材の供給を担当するという仕事ばかりでよかったわけでありまするが、しかし自然の破壊をどういうふうに防いでいくか、また自然をさらにさらにきれいにしていく、こういう問題は林野庁としては新しい課題である、こういうふうに考えるのです。そういうことで、木材の供給とそれから自然の保護、こういう二つの問題をこれからとらえて林野行政には取り組まなければならぬだろう、こういうふうに思います。いま林野庁の行政につきましては行政管理庁では監察を行なっておるわけです。この監察もそういう角度から行なう。そうしていろいろ調べてみてはおりますけれども、その二つの点を踏まえまして、林野行政はどうあるべきかということについて意見を具申してみたい、かように考えておるわけなのでございまするが、そういう状態でありますから、独算制という問題は、これはまたひとつ議論になってくると思うのです。しかし、林野庁はやっぱり企業会計でありますから、その企業会計という立場を放棄するわけにはいかぬ。しかし同時に公的な自然愛護という立場もあるわけでありまするから、そういう問題について財政的にどういうふうに取り組むかということにつきましては、財政当局としてもいまのような考え方で対処してはいかぬ、こういうふうに思います。
  148. 庄司幸助

    ○庄司委員 私がなぜこの独算制の問題を問題にするのかといえば、やはりいまの林野庁の企業会計をいわゆる政府のいう健全に維持するためには、どうしても木を切らなければだめだ、これがあるわけですね。またその中から一つ出てくるのは、これはあとで触れますが、いわゆる定員外職員の問題、日々雇用の問題が非常に多い。これはどっちにしても、いま日本の政治、いままでの高度経済成長政策からまさに日本の国土を守る、日本の自然を守っていくという観点に長官もおっしゃるとおり立つとすれば、やはりそういった自然保護がやれるような林野行政にならなければ、これはやれないと思うのですよ。どんなにいじくり回しても、独算制という大網がかぶされて、そのワク内でやれということになれば、当然にやはりいままで残っていた天然自然林ですね、美林です、これをばんばん切っていくという以外にやれないだろうと思うのですよ。その点で私はこの独算制の問題、やはり真剣に検討し直すべきじゃないか、こう考えているのですが、長官、すでに若干の方策あるいは方向なり、もうヘリコプターでも御視察なさって、おありだろうと思うのですが、これはひとつ長官の独算制についての考え方、これをぜひ明らかにしてもらいたい、こう思うのです。
  149. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、林野行政というものはこれは一つの企業としてやっておりますので、企業会計原則というものはこれはあくまでも貫いていってもらいたいと思います。ただ、二つの任務がありまして、一つは公的な環境保存という問題です。そういう問題をどういうふうに取り組むかによっては、林野庁の財力だけではあるいはやっていけないかもしらぬ。そういう際にどういう措置をとるか。国鉄なんかでもいろいろやっておりますね。だから国鉄は独立採算制じゃないのだ、こうは言えないので、やはりこれは国鉄は国鉄として企業経理をちゃんとやっておるわけです。その前提は独立採算です。しかし、公的任務を担当しておるというのでいろいろな国家的援護を与える。林野庁の行政に対してどういうように措置するかという点に対しては、いままでどっちかといえば、私も大蔵大臣を長い間やっておりまして、厳格な意味の林野会計の独立ということにも力を入れてきたわけなんでありますが、やはりこの辺でその考え方は転換をする必要があると思うのです。公的な任務に対しましては、国家が何らかの財政上の調整をはかるべき立場にある。その方法はどうだ。ということになると、これはまた林野庁また財政当局相談して、いろいろな手があるだろうと思いますが、考え方の基本は、少し膠着したいままでのような考え方から切りかえを要する時期に来ておる、こういうふうに考えております。
  150. 庄司幸助

    ○庄司委員 ぜひそういう点で独算制廃止ということに踏み切れないにしても、林野行政の中で持っている自然保護の観点、この面についてはやはり一般会計からの援助なり何なりで自然の保護をやってもらいたい、これは強く要望しておきます。  第二点でございますけれども、これはいわゆる定員外職員の問題です。いま論議いたしました林野庁にしても、いわゆる日々雇用の職員が非常に多い。しかも、日々雇用の職員が白ろう病、これにおかされて、もう悲惨な生活を送っている方が相当ある。これに対しても何らのほとんど保障もないという状況にあるのですよ。しかも、午前中にも出ましたように、そういう中で、林野行政の分野で先ほど述べられたようないわゆるトンネル的な外郭団体が相当ある。そうして、定年後の重要ポストにあった人を養っているということも問題にされたわけです。そういう点で日々雇用の職員の問題、つまり定員外の職員の問題ですね、この問題というのは非常に重要な問題だろうと思うのですよ。特に行政管理庁としては、設置法の趣旨から申しましても、いわゆる行政機関の機構、定員及び運営に関する調査、企画、立案及び勧告を行なうこと、こういう重要な使命を帯びているわけですね。しかし第一線の現場に行くと、なかなかこういった行管の主たる任務である調査であるとかあるいは企画であるとか勧告であるとか、こういう問題は、くつの底から足をかくようなうらみがある、これはもうどこでもいわれておることなんです。その点で私はこの問題、四十六年の五月十三日の参議院内閣委員会でだいぶ長い間討議された問題なんですね。その討議の過程で、文部当局なりあるいは行管の当局が最後のほうで善処するとかあるいは検討するとかおっしゃっていたようでありますが、しかし定員外職員の問題は、依然として解決されていない。それから総定員法が通過する際、全会一致でもって附帯決議がなされておりますね。この附帯決議は次のような事項でありますが、「各行政機関における職員の定員については、行政需要に応じた人員を確保し、」この点私大事だと思うのですね。「行政需要に応じた人員を確保し、職員の労働が過重にならぬよう努めること。」それから三項として、「定員外職員については、その実態について速やかに検討し、定員化を含めて合理的な処遇の改善を図ること。」あと人事院についての注文もついておりますが、これは各省庁並びに特に行管について拘束する決議だろうと思うのですよ。しかしこういった決議がつけられながら、定員外職員の問題点の解決については、私の調査した範囲では、ほとんど何らの解決がされていない。特に文部省関係の大学の問題では、非常に深刻な事態にいまおちいっている、前より悪くなっている、こういう調査の結果もあるわけです。  そこで、これはあとで行管の長官にもお伺いしますが、まず文部省からお伺いしたいと思うのです。  四十六年五月十三日の参議院内閣委員会での文部省の答弁、いろいろ見てみました。その答弁の中でこういう問題が出ております。昭和四十六年東大総長から文部省に対して三点にわたる要請があった。これは安嶋官房長も認めておられるわけですが、その三点というのは次のような点だ。一番目は、現在の非常勤職員の定員化問題ですね。二番目は、定員削減は昭和四十七年度はやらないでもらいたい。三番目は、臨時職員の給与改善である。こういう三点の要請があったのではないかという質問に対してございました。これに対してどういう答弁を安嶋官房長がしたかという点です。この安嶋官房長の答弁を見ますと、こういうふうに答弁されております。  「第一点の定員化の点についてでございますが、」中略しますが「現状そういうものがあるということでございますれば、その臨時職員の従事しておる職務内容、実態を十分大学からお聞きをいたしまして、四十七年度の概算要求の段階におきまして、真に必要と申しますか、そういうものにつきましては、つまり定員化ということではなくて、必要な業務に対応する増員措置をやりたい、」これが第一点です。  それから、第二点については、「教官並びに教育研究に密着する職員の定員の削減につきましては、ぜひ特別な考慮を願いたいということを大臣以下考えておりまして、すでに行政管理庁にもその趣旨のお願いをいたしておるわけでございます。」  それから、第三点については、住居手当なんかを引き合いに出されて「大学側の御要望につきまして、特別な措置といたしまして、遡及をして適用をするという措置を講じております。」こういうことを御答弁になったわけです。なお、そのあといわゆる具体的なこの問題の処理、定員外職員の具体的な問題処理といたしまして、「一般的に問題をどう処理するかということではなくて、具体的に何学部の何学科のどこの定員をどうするかという形で、御相談があれば、これはぜひ耳を傾けて、私どもといたしましても虚心に検討してまいりたい、」そしてさらに「四十七年度の概算要求の段階におきましてしさいに検討いたしたい、」こういうふうに国会に対して答弁されておるわけであります。こういった答弁をされておったわけですから、これは東大の問題でもありますが、東大も東北大も京都大も同じ国立大学でありますから、こういった大学当局からの御要望については当然に解決の一歩を踏み出していなければならない段階じゃないかと思うのです。すでにもう二年たっていますね。ところが、いろいろ資料を見ますと、これは東大に限らず、京都大、東北大あるいは埼玉大、千葉大、多くの大学で深刻な問題になってきている。その点私は第一点としてお伺いしたいのですが、大学における定員外職員について、現在どういう傾向にあって、また実情をどう把握しておられるのか、この昭和四十六年五月十三日の国会でのやりとりがあって、答弁があったあとで、改善されたのかどうか。これをひとつ数字をあげて御答弁をお願いしたいと思うのですが、これが第一点です。
  151. 木田宏

    ○木田政府委員 御指摘がございましたように、四十七年度予算、四十八年度予算もそうでございますが、予算の際には各大学から定員の実情、必要な増員、事業の拡大等、詳細に聴取をいたしまして、大学の意向をくみながら私どもの予算要求を取りまとめ、大蔵当局あるいは行政管理庁と御相談をするわけでございます。それによりまして、逐年事務量の増大に伴います増加すべき定員の拡大には努力をいたしておるわけでありまして、四十六年度二千六十九人の定員増に対しまして、四十七年度は沖繩分を除いて二千百四十、四十八年度は同じく沖繩分を除きまして二千六百三十二というように、業務量の拡大に対します定員の増をいたしてまいりました。  今日、御指摘になりますような非常勤職員の数というのは、四十七年度におきまして、これは四十七年七月一日の実態でございますが、一万七百二十六人ございます。これは四十五年等から比較いたしますと、わずかずつではございますがその数そのものは減少の方向にございます。四十五年は一万九百十四名、四十六年は一万八百九十五名、若干ずつこうした減少はございます。しかしこれは、大学は教育、研究の場でありまして、しかも十分御案内のように、その研究活動というものは一年の間にもかなり弾力的に行なわれるわけでございます。また年間を通して見ましても、年によって研究主題その他によっていろいろな変動のある職場でございまして、そういう関係上、そこに臨時的、季節的な業務あるいは変動する業務量に対応する職として非常勤職員の職があるということは避けられないことでございます。個々の職員が長く在職するかどうかということと、職自体が季節的、臨時的あるいは業務の変動する、恒常的とは違った業務であるということ、コンスタントにあるということとはまた別のことでございまして、国立大学にこうした種類の職員が相当数在職することになるということもまた避けられないことかと考えております。  御指摘をいただきましてから、いろいろな会議の際に、これは前々、昭和三十六年からの定員外職員の常勤化防止という政府の方針に沿いまして、人事管理上、臨時的職員の雇用ということが常勤化しないような注意を払ってまいりました。現実に個々の職場におきましてなお検討しなければならないという実態も一部あることは承知いたしておりますが、一万人の職員の中で六割は一年以内に、また四分の三まではほぼ三年以内に特定の個人にとってみますならば職を去っておるのでございまして、職のあり方から見ますならば、臨時的な職という運営がなされておるものというふうに判断をしておる次第でございます。
  152. 庄司幸助

    ○庄司委員 局長、いまそういう御答弁をなさいましたが、私はそういう点では実態をほとんど見ていないのじゃないかと思うのですよ。たとえば日々雇用の行管の調査によりますと、大学関係は、昭和四十四年現在、七月一日ですが、一万三百九十二人です。そうしていま、これは行管の数字じゃございません、局長の数字で申し上げますが、四十八年五月一日では一万七百二十六人、この官庁統計の数字からいっても、定員外職員はふえているのですよ。しかもこの調査のやり方が、私はさっきくつの裏から足をかく、こう言いましたが、いわゆるくつの裏から足をかくような仕事じゃなくて、一体ほんとうに末端の現場に行って、文部省が現場の声をほんとうに正直に反映したような調査をやっているかといえば、これは私はやっていないだろうと思うのですよ。おやりになったというなら出してもらいますがね。それが証拠には、各大学のいろいろな学部の数字を調べてみました。全部ふえています。定員外職員はふえています。京都大学の理学部の例あるいは埼玉大学の例、東京大学の例、一橋大学の例。たとえば東北大学の理学部の実例を申し上げますが、三十七年四月一日現在は、定員外職員は一人もいなかった。それが四十五年には八十一人になっている。四十七年の四月一日には八十七人になっている。とにかくゼロから八十七ですから、無限大に伸びたということですよ。  それから、先ほど局長が、季節的な変動があるので、定員外職員も避けられない、こうおっしゃったわけでありますが、この常勤的な定員外職員の勤続年数を調べてみました。そうしたら、東北大学の理学部の場合は、去年の四月一日現在で三年以上つとめている人が七人、四年以上が二人、五年以上が四人、六年以上が一人、七年以上が二人、八年以上、九年以上それぞれ二人ずつ、こういうふうに三年以上もつとめているのですね。それから非常勤職員が約二三%占めているのです。三年もつとめ、あるいは七年もつとめれば、これは季節的な変動でやってもらっているとかなんとかいうものじゃないですね。  それで、あとでもし局長御反論があるならば伺いますが、もっと具体的に、同じような定員内の職員の仕事を定員外の職員に何ぼでもやらしている実例が一ぱいありますよ。だからその辺、私は文部省の調査自体がほんとうに愛情を持って——愛情などということばは私はあまり好きじゃありませんが、ほんとうに血の通ったような、現場の声を吸い上げるような調査をなすったのかどうか。あるいは、文部省がそういう調査はやろうとしたんだが、どうも個々の大学の当事者が出してくれなかったのかどうか。その辺どうなんですか。あと何ぼでも資料を出しますよ。だから、どういう調査をおやりになったのですか。
  153. 木田宏

    ○木田政府委員 毎年非常勤職員の実態については、私どもの官房から大学の事務担当者を通じて実態を集めておるところでございまして、大学の関係者が身近に承知しておるところを報告してくるわけでございます。かなりこまかい点まで実態については私どもの担当者の部局で承知をいたしておるわけでございます。  先ほど御指摘がございましたように、昭和四十四年には一万三百二十九人という数でございまして、これが昭和四十七年に一万七百二十六人にふえておるということはございますが、先ほど御答弁を申し上げました際に、昭和四十五年、四十六年と比較をして逐次下がっておるということも申し上げました。私はこの数字が下がっておること自体一部改善のあとがあるというふうにも考えて御説明を申し上げたわけでございますけれども、非常勤職員が少なくなればなるほどいいというふうにも考えません。むしろ臨時的な業務、研究活動の拡大によりまして、こうした変動に対応する業務のポストがふえるという面もあってしかるべきだというふうに思うのであります。ただ、人事管理上の不用意のために、本来のポストにふさわしい職員の人事管理が行なわれていない一面がある。これはいま先生いろいろと御指摘になりましたケースの中にも一部あるだろうというふうに私も認めるものでございますが、これは人事管理上の問題でございまして、ポストといたしましては今後の研究活動、教育活動の複雑拡大に伴いまして、こうしたポストがふえるということも避けられない問題だというふうに考えておる次第でございます。
  154. 庄司幸助

    ○庄司委員 そういう定員外職員のポストが季節的な変動でふえるのもやむを得ないという御答弁があったわけですが、これはほんとうに季節的な変動で定員外職員がふえるとか、あるいは存置されるとか、そういうことならまた別ですよ。しかし実際は、定員でやるべきような仕事が定員外の日々雇用職員でやられているという問題が、具体的にたくさんあるから私は問題提起しているのですよ。  それじゃ申しましょう。たとえば東北大学の図書館の定員外職員の実態について調べてみましたが、これは定員内が五十五名です。定員外が十九名おります。それじゃ定員外職員と定員内職員でどういう仕事の違いがあるんだろう。あなたのおっしゃるいわゆる季節的な変動あるいはいろいろなファクター、日々雇用のほうがいいんだという観点から見て、これはどうしたってうなづけないようなものがたくさんあるのです。たとえば図書館に受け入れ係という職種があります。ここで定員内職員は係長が一名と、それから書類の監査、確認する人が一名、あるいは学部担当、教養学部担当、文学部担当、図書館、本部、学生部担当、教育、経済、選研あるいは科研、速研、通研、非水研、農研、金研、こういう担当の職員が係長を除いて五人おりますよ。ところが定員外職員が二人おります。これは名前を申し上げてもいいですが、相川晶子さんと千葉龍郎さんという方、このお二人はそれぞれ七年二カ月、七年四カ月やっております。しかも相川さんの場合は学部担当をやっていますね。法学部担当をやっています。これはほかの定員内の職員の担当と同じですよ。それから国立学校の差引簿整理、これもほんとうなら定員内の職員でやるべき仕事ですよ。こういうことをやっています。それから千葉さんの場合は寄贈図書の受け入れということでやっています。ほかの和漢書目録の係の方、洋書目録の係の方、具体的の例ば何ほでもあります。こういう人は、あなたのおっしゃるような季節的な変動に当たる人なんですか。こういう人が、このまま放置されて、七年二カ月も、三月三十一日に一ぺんやめさせられて四月一日にまた採用になって、そして給料はほとんど頭打ち状態なんです。しかもこの相川さんの場合なんか、これは私は行管の長官にも聞いてもらいたいのですが、この人のもらった給料を見ますと、四十八年の一月は左の目の静脈血栓があったため体調が悪く、休んだ。一月分千九百八十四円しかもらっていません。二月分も、調子が悪くて五千九百五十二円です。だんなさんがほかの仕事をやって四万四千円ほどもらって、奥さんの千九百八十四円、足して四万六千円ですよ。これで子供さんをかかえて暮らせますか。二月だって同じですよ。四万八千円ぐらいです。この物価騰貴の世の中、七年もつとめてこういう現状があるのです。三月になってやっとまあ何とかかんとか四万三千円くらいもらうようになった。三月三十一日にはもう一ぺんやめてくれ、こういうことなんですよ。こういう実態は何も東北大の図書館の職員だけではなくて、たくさんあるのですよ。宇宙航空研にもあります。生産技術研究所にもありますよ。だから私は、あなた方調査なすったなすったとおっしゃっていますけれども、やはりかゆいところに手の届くような、ほんとうに血の通った調査はなすっていない。まさに事務的、官僚的調査しかやらないんじゃないか。これでは私は学問の発展とかあるいは研究の発展なんというのはとても考えられないと思うのですよ。研究の問題でいっても、研究費をやっているからいいじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、この研究費がどういうふうに使われているか、本来の研究のために使われているかどうかお調べになったことがありますか。この定員外職員に相当流れていますよね。あるいは大学の校費の問題にしても相当流れています。これで大学の本来の研究あるいは教育の機能が十分果たせる、こういうふうにお思いになったら、これは私はふしぎだと思うのですよ。こういう実例があるのですから、私は文部当局がほんとうに日本の学問研究あるいは教育、これを充実されるというならば、この定員外職員の問題をもっと真剣に考えて、ほんとうに現場までおりていって調査する。それからもう一つは現場の声、一番よく聞けるのは、もちろん総長さんからの報告もあるでしょうが、しかし一番よく知っているのは大学の職員組合ですよ。こういう職員組合の声を文部省の皆さん方がほんとうに虚心たんかいに、虚心に調査するとおっしゃっていますから、やはり虚心にとらえて対処していくことが必要じゃないかと思うのですよ。その点どうですかね。
  155. 木田宏

    ○木田政府委員 ただいま御指摘になりました相川さんの具体的なケースとしてはお気の毒だということにも思います。しかし図書館の同じ業務を担当するポストがみんな常勤の職でなければならぬというふうには必ずしも私どもとしては考えてないのでございます。看護業務を担当する者につきましても同様でありまして、定員内の職員で担当する看護業務の部分と定員外の職員で担当する看護業務の部分とがございます。図書館のいろんな業務活動の中にも非常勤的な職員で担当する同じような種類の業務なり定員管理があってしかるべきだというふうに考えるのでございます。ですから、ポストといたしまして定員外職員のポストがあるということと、特定の方が特定のポストに長くおられるということは別に区別して考えられなければなるまいというふうに考えておりまして、人事管理の問題として、いまのように個人的な事情その他を考えながら処理しなければならないものにつきましては、常勤のポストへ繰り入れていく、あるいは配置を変える、こういうような人事管理も考えていかなければならぬところでございます。でございますから、私どもといたしましては、国立学校の定員の増等毎年相当数お願いをいたしておりますが、新たな職員を採用いたします際に、年間約一千名程度、非常勤職員で、長くつとめる意思があって、またその必要があるという方々に対しましては、新たな事務量の増加に対応する常勤のポストへの発令がえをする、こういうこともやっておるのでございます。たまたま特定の方々のところに問題があることは、御指摘の点私どもも考えなければならぬとは思いますけれども、そのことのゆえにすべての定員外職員のポストを常勤化のポストと変える必要がある、こうは考えておりません。また研究費の問題等の御指摘がございましたが、大学の教官が自由に研究活動ができるようにしますために、私どもとしては官庁の予算事務とは別に、大学の教官当たりの積算校費、学生当たりの積算校費等は幅広くいろいろな教育、研究に必要な金に使っていただいていいという運用をいたしておるわけでございます。研究に必要なアシスタントを入れて研究活動をするということも研究の内容でございまして、本来中央官庁等でございますならば、大まかな費目で区分もなしにアシスタントを入れるということは予算上できないことになっておるのでございますが、大学の教育、研究の特性を勘案いたしまして、そうしたことを研究者の判断にゆだねておるわけでございますから、研究費が一部補助者のほうに使われることがありましても、それによって研究活動が収縮する、このようには考えておらないところでございます。
  156. 庄司幸助

    ○庄司委員 局長そういうことをおっしゃいますけれども、たとえば東北大学の理学部の例ですが、化学の講座の内容を見ますと、学科事務には定員内の職員は一人もいない。二人が完全に定員外職員でやっておる。これをほとんど研究費なりあるいは校費という名前かわかりませんけれども、そういうところから出されるのですよ。これは学科事務なんというものは、どこの学科でも定員外職員を置いてやらなければならない状態だし、またやっておるところもあるわけです。また学科事務の中で確かに定員内職員を置いているところもありますが、定員外職員が一名に対して三名もおるような、こういう学科もある。これじゃ本来の研究がその分だけ食われてしまうということになるのですよ。私は、時間がないですから、もうこれ以上追及しませんけれども、この点で私は、四十六年五月十三日の参議院での御答弁にあった「御相談があればこれはぜひ耳を傾けて、私どもといたしましても虚心に検討してまいりたい、」この点もう一ぺんここで確認していただいて、この「御相談」というのはあの日の討論だと、これは学長だけではない、あるいはサポーターの人が言ってもいいという答弁ですから、そういう点ではもっと職員の声も聞いて、ひとつ虚心に検討してもらう、この点もう一ぺん御確認してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  157. 木田宏

    ○木田政府委員 私どもも、大学の実情については詳細に把握しながら毎年毎年の予算の上でその問題の解決につとめていかなければならぬのでございますから、前回も政府委員から御答弁申し上げておりますように、今後とも問題の解決に資するように実態の把握その他についてはつとめてまいりまして、いろいろな御要請に対しては十分耳を傾けていくつもりでございます。  なお、先ほど東北大学理学部の学科の中で定員内職員が教官以外に一人しかいないという学科のあることの御指摘がございました。そのこと自体は、ある一部の学科についてそのことがあるのは私も承知をいたしております。そのとおりだと思います。しかし、多い学科では二十一人も定員内職員を持っておるところもございますし、理学部全体を通しましては二百人ほどの定員内職員を持っておるわけでございます。学部の中でどのような運営をされるかというような点につきましては、学部のほうで実情に合った処置をおとりになってしかるべきではなかろうかというふうにも考えたりいたします。いずれにいたしましても、この問題が特定の個人の方々に人事管理上の問題と相まって問題が残るということは私も十分考えますので、ポストの問題とそれから個々の職員の問題とは区別して人事管理上の適正を期してまいりたい、このように考えております。
  158. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、もう時間も時間ですから、この点に関して行管の長官の御意見だけ伺いたいと思うのですが、先ほども申し上げましたが、附帯決議、いわゆる行政需要に応じた人員を確保する、この点の配慮ですね。だから総定員法のワクでだけものを考えちゃいけないのだ、やはり行政需要があればそれに応じて勘案していくということが私は行管の大事な点だろうと思うのですよ。ところが行管の方のこの日の答弁を見てみますと、第二項の行政需要に応じた人員の確保という点は触れないで、第三点の処遇の改善だけが何か定数外職員の問題点だというような御答弁をなすっているわけですが、これは非常にうまくないと思うのですよ。第二項を無視すれば国会の決議を軽視することになるわけですから、その点で、行管が総定員法の番人だといわれるようなそしりをなくするためにもやはり行政需要の実態に応じた定員の割り振りをやっていく、この点が大事だろうと思うのですね。その点、ひとつ長官の御所信をお伺いしたいと思うのです。
  159. 福田赳夫

    福田国務大臣 行政需要に応じた定員の確保は、これはもうそのとおりにいたします。これは間違いがございませんです。  省庁以下いろいろな行政機構があるわけでありますが、その一つ一つの行政機構はそれぞれみんな目的を持っているのです。その目的、任務を遂行するために人がいる。その人はだれでもいいというわけじゃないので、局でいえば局長あるいは審議官、あるいは課長あるいは一般の事務官、こういうふうにその能力に応じてそれを配置しなければならぬ、こういうことでございます。  ところが、いま文部当局と庄司さんのお話を承っておりますと、定員外の問題がある。大学のようなところにおきましては、定員の外に置いて、その大学の任務遂行のためにそう恒常的な性質を持たない、臨時的というか——臨時というと語弊があるかもしれませんが、恒常的な仕事でないというようなことで定員外で人を使う、こういう場合があるようであります。行政管理庁といたしましては、定員の仕事につきましては責任を持ちます。したがいまして、定員は大学におきましても逐次増員をいたしておる。その増員をどういうふうに現実に埋めるかという問題になりまして、そして定員外の方の中にその大学で与えられた仕事に相応する資格を持った、また能力を持った人がおり、そして所要の手続があるということになりますれば、とにかく定員外で働いておる人に十分ウエートをつけた任用の配意をしなければならないか、こういうふうに考える次第でございます。  とにかく、いま決議第二項の所要の定員はこれを充足しないかのようなお話でございますが、これにつきましては責任を持って充足をするという方針でありまするから、これはひとつそのとおり御了解願います。
  160. 庄司幸助

    ○庄司委員 本会議が始まりますので、これで終わりますけれども、大学のいわゆる定員外職員の問題、これは私は行管としても本腰を入れて調査する必要があると思うのです。これは何も文部省を信頼するとかしないとかじゃなくて、行管として当然の任務上調査をしてもらいたい。そして現場にも足を突っ込んでひとつ調査して、両方突き合わしてみて、やはり職員の意に沿うような方向をぜひ出してもらいたい、こう思うのですが、この点で長官の所信と、それから最後に、いわゆる大学の定数削限の問題、これはもう坂田文部大臣や高見文部大臣も公約されているわけですが、大学の定数削限はやらない、大学については、医学部の常設その他もかかえておりますし、そうでなくとも人が足りないわけですから、この点での定数削減は行なわないで、むしろ大学の定数はもっと積極的に増員するというかまえがあるかないか、この辺ひとつ最後にお伺いしたいと思います。
  161. 福田赳夫

    福田国務大臣 大学の職員につきましては、その定員が毎年ふえておるというふうに承知しておりますが、とにかく新しい大学が最近もずいぶんできておるのです。あるいは学科が増設されるとか、そういうことになっておりますが、その傾向は今後さらに増していくであろう、こういうふうに考えます。そういう際における定員の配置については十分配意してまいりたい、かように考えます。  それから、行管が定員外の問題の監察をしてみたらどうだ、こういうお話でございますが、これはちょっとぐあいが悪いのです。定員につきましては責任を持ちます。先ほど申し上げたとおりであります。しかし定員外の問題は、これは各省庁がその行政の執行の一態様としてやっておる、こういう問題でありまして、定員の問題とはさい然と区別して考えたい、こういうふうに考えておりますので、各省庁が責任を持ってやっておるその仕事の内容の問題でありますから、これは各省庁に調べてもらって、その状況をお聞きをするということにいたしたい、かように考えます。
  162. 庄司幸助

    ○庄司委員 定数削減はやらないか……。
  163. 福田赳夫

    福田国務大臣 定員の削減というような問題ですね、これは一つ一つにつきましてどうするこうする、こういうことは申し上げませんけれども、必要な行政需要は必ず充足するということははっきり申し上げます。
  164. 庄司幸助

    ○庄司委員 では、終わります。
  165. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十九分散会