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1973-05-10 第71回国会 衆議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月十日(木曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 宇都宮徳馬君    理事 松岡 松平君 理事 森下 元晴君    理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君    理事 芳賀  貢君 理事 庄司 幸助君       荒舩清十郎君    菅野和太郎君       中尾  宏君    濱野 清吾君       吉永 治市君    原   茂君       浅井 美幸君    坂井 弘一君       塚本 三郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    山田 嘉治君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         大蔵省理財局次         長       小幡 琢也君         食糧庁長官   中野 和仁君         水産庁長官   荒勝  巖君         通商産業省繊維         雑貨局長    齋藤 英雄君         建設政務次官  松野 幸泰君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省住宅局長 沢田 光英君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察審議         官       笹倉 三郎君         防衛施設庁施設         部施設取得課長 秋山 房夫君         水産庁生産部長 大場 敏彦君         会計検査院事務         総局第一局長  服部 桂三君         会計検査院事務         総局第四局参事         官       前田 泰男君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     大田 満雄君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     上野 誠朗君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     池田 禎治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度一般会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その2)  昭和四十六年度特別会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その2)  昭和四十六年度特別会計予算総則  第十条に基づく経費増額総調書及  び経費増額調書  昭和四十六年度特別会計予算総則  第十一条に基づく経費増額総調君 (承諾を求  及び各省庁所管経費増額調君  めるの件)  (その2)  昭和四十七年度一般会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その1)  昭和四十七年度特別会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その一)  昭和四十七年度特別会計予算総則  第十条に基づく経費増額総調書及  び各省庁所管経費増額調書(そ  の1)  昭和四十六年度一般会計国庫債務 (承諾を求  負担行為総調君         めるの件)      ————◇—————
  2. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 これより会議を開きます。  昭和四十六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外三件の承諾を求める件、及び昭和四十七年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)外二件の承諾を求めるの件、並びに昭和四十六年度一般会計国庫債務負担行為調書を一括して議題といたします。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 四十六年度並びに四十七年度予備費使用の問題について大蔵大臣に質問します。  その前に大蔵大臣予算執行上の問題についてお尋ねいたしますが、それは、五月八日の閣議において大蔵大臣から、昭和四十八年度公共事業については実施繰り延べを行なうという報告をして、その方針決定したということがいわれておるわけでありますが、四十八年度予算成立直後に決定した事業繰り延べを早々に行なうということについては、これはやはり昭和四十八年度予算そのものに最初から問題があるといわなければならぬわけでありますので、この繰り延べ方針内容についてこの際明らかにしてもらいたいと思います。
  4. 愛知揆一

    愛知国務大臣 毎年度予算編成をいたしまして、これが国会の御審議を経て成立いたしますと、その実施について関係各省協議をいたしまして、具体的に執行方針をきめるというのが通例でございますが、今年度の場合におきまして、上半期において公共事業費等施行の見込みをめどをつくりましたのが、五月八日の閣議報告をいたしまして了解を受けたわけでございます。その考え方は、公共事業費の中でもいろいろございますが、たとえば積雪寒冷地帯といわれておりますが、これは一道、東北六県あるいは北陸四県といったようなものが中心でございますが、そういったようなところにつきましては、例年どおり施行をする、それから生活環境整備というようなものは、これまた年度を平均して行なう、あるいは災害復旧というようなものは緊急を要するものでございますから、そういうものを適切に施行をきめる、自余のものにつきましては、最近の物価その他の状況を見まして、年度内施行の時期を若干調整をすることが適当である、こう考えまして、公共事業費全体について見ますと、契約進捗率、いわば契約ベースで申しますと、上半期における施行状況は五九・六%という程度に相なります。  これは従来の例を御参考に若干申し上げますと、たとえば四十七年度はむしろ年度内でできるだけ繰り上げて促進したほうが適切であるという状況でございましたから、その実績は上半期で七三%をこえておるわけであります。これに比べますと今年度状況は、これを一四%余り下回ることになるわけでございますが、いま申しましたような、特に今年度予算重点と思われますような点につきましては、上半期契約率は七四%ということに相なっております。その他のものをとってみますと、五四・三%でしたかになるわけでございまして、これは予算そのものが適切であるという前提に立って、その施行の時期的な配分について調整を加えた、こういう考え方でございます。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 四十八年度予算内容等については、本院においても予算委員会等中心にして十分論議をしたところでして、特に本年度予算が依然として公共事業重点の、インフレ促進予算であるという点は、当初からこれは問題をあげてきびしく指摘したところであります。しかも、公共事業実施にあたっては、特に事業を行なう場合、必要な資材であるセメントとかあるいはその他の主要な資材についても、大手商社あるいは大企業の商品投機、あるいはまた買い占め等によって、おそらく政府予算の中における公共事業実施単価等についても、実施しがたいような変化がすでに生じておるわけでありますからして、公共事業内容によっては、当然諸般の事情判断して繰り延べるべきものについては繰り延べすることは別に非難するわけではないが、しかし、たとえば農業関係農業基盤整備費実施の問題、あるいはまた北海道中心とする積雪寒冷地帯の、特に夏季施行中心としなければ事業の完全な実行ができないという地域性等については、十分特徴を勘案して、遺憾のないような予算執行をすべきであると思いますが、その点については十分な配慮を行なっておるかどうか、いかがですか。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはまことにごもっともな御指摘でございまして、その点は政府としても十分配慮いたしたつもりでございます。先ほど申し上げましたように、まず積雪寒冷地帯ということばが適切であるかどうかわかりませんけれども、例年予算執行状況や、そうした地域要請にもこたえまして、繰り延べを、他の面におきます場合でも、北海道東北六県、北陸というようなところ、あるいはその他のところでも特に同様の考慮を払わなければならないところにつきましては、十分実施官庁とも相談をいたしまして、これは原則的に申しますと例年どおりというか、あるいはそういった条件にかなうように、施行が順調に行なえるようにという配慮をいたしております。  それから、農業関係について御指摘がございましたが、この点も特に農林省からも強い要請もございましたし、閣議農林大臣からも積極的な意見もございました。大蔵省としても、この点に十分配慮を加えることにいたしました。災害関係は先ほど申しましたとおりでございますが、これらを総合いたしまして計数的に申し上げますと、これらの関係においては例年とさしたる違いはない、こういうことが言えると思います。すなわち、その契約ベースで申します比率から申しましても、上半期にできるだけ重点を置いて施行をする、こういうことに相なるわけでございます。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 特にその中で農業関係の問題ですが、政府が行なっておる米の生産調整は、昭和五十年までを調整期間としておるわけでありまして、この間、農業関係では、休耕田等についてはこの夏季施行中心にして、能率的な圃場整備事業等中心とした土地改良事業を行なっておるわけであります。こういう点は、やはり工事施行上季節的な特徴を持っておるわけでありますからして、こういう点については重ねて言うわけでありますが、特に大蔵省においても実態を踏まえて、この予算の目的なるものが十分効果を達成できるように執行してもらいたいと思いますが、その点はいかがですか。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点も大蔵省としても十分配慮をいたしたつもりでございますけれども、なおよく御承知のように、個所別執行その他については、事務的にいろいろこまかい相談もございますわけですが、そういった相談協議に際しましても、大蔵省としては、いま申しましたような姿勢で積極的に協力をしてまいるつもりでございますし、もともとこういったようなことを展開することが、この時期において非常に必要なことである、これが政策の基本でございますから、先ほど申しましたように、資材その他の関係の値上がりを財政的にさらに拍車をかけるようなことはしたくないという配慮で、年度内調整をいたしたわけでございますから、実態的に政策として特に必要であるというようなところに、こうした影響が及ばないようにすることが、また別個の、非常に大きな配慮の対象でなければならない、こういう気持ちで、今後とも実施計画等については推進してまいりたい、かように考えております。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 次に四十六年、四十七年の予備費使用内容について大蔵大臣お尋ねをいたします。  まず第一は、会計検査院から国会に対しまして昭和四十六年度会計検査報告が提出されておるわけであります。その中で予備費関係の問題といたしましては、国会承諾を受ける手続をとっていないものについて、昭和四十七年度、四十六年度一般会計並びに特別会計件数総額等報告されておるわけでありますが、この報告内容は、すなわち今回政府から承諾を求めておられる予備費使用内容と合致することに相違はないわけでありますが、この中で昭和四十六年度分については、昭和四十七年一月七日から三月二十九日までの分の一般会計並びに特別会計について国会承諾を求めておるわけでありますが、この昭和四十六年に属するものについては、当然国会承諾を受ける手続というものはすみやかに行なうことができたのでないかというふうに考えられるわけでありますが、この点について大蔵大臣からその理由なるものを明らかにしてもらいたいと思うわけであります。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまの御質疑の点につきましては、まず一般的に政府扱い方についてちょっと前提として御説明いたしたいと思います。と申しますのは、予備費使用にかかる国会事後承諾を求めます時期は財政法規定がございますから、次の常会において国会に提出することになっておるわけでございます。そこで、常会は毎年十二月に召集されるのが慣例でございますので、前年度分の一月から三月までにかかるものについては次の常会の開会後直ちに提出する、それから当該年度分については十二月末までの予備費使用決定分について締め切りまして、翌年の二月ころに国会に提出して承諾を求めることにしておる次第でございまして、この前提といいますか、慣行といいますか、これに従って手続をいたしておるわけでございますから、特に四十六年度について特異なやり方をやったわけではない、こういうふうに考えるわけでございます。  四十六年度の分については、九百四十九億四千万円でございますか、これは四十七年の一月七日から三月までの使用額でありますし、また四十七年度の九百五十億二千万円というのは、四十七年の四月十四日から十二月までの使用額でありますが、四十六年度予備費使用調書は四十六年度決算にかかる会計検査院検査報告と同時に国会に提出しておりますし、それから四十七年度予備費使用調書は四十八年二月九日に国会に提出をいたしておる次第でございまして、事実はかくのごとき状況であるという次第でございます。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 いま大蔵大臣の言われる点は、その根拠憲法規定ですね、あるいは会計検査院法規定衆議院規則、さらにまた財政法規定によってこれは正常な手続を行なうことになるわけですが、国の予算執行が四月から始まるいわゆる会計年度ということになっておるし、予備費国会承諾の件については次の常会に提出するということになっておるので、同一会計年度予備費使用承諾が区分されて、一——三月と、翌年度の四——十二月ということになるので、その事情というものは当委員会においても承知しておるところなわけです。ところが、会計検査院会計検査報告には、予備費使用について国会承諾を受ける手続をとっていないものという表示で、これが必ず検査報告事項として報告しなければならぬことになっておるわけです。いま大蔵大臣の言ったようなことであれば、何もわざわざ会計検査院法の二十九条の規定の中に、国会承諾を得ておらないものの件数とか内容というものを述べる必要はないじゃないかということにもなるのですよ。やはりこれは制度上の意義を持っておると思うのでありまして、この際会計検査院のほうから、何のためにこういう報告を記載しなければならぬかという根拠について述べてもらいたいと思います。
  12. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 お答え申し上げます。この規定明治憲法時代からの規定でございまするけれども、先生の御指摘のとおり、若干沿革的なものがあると申し上げなければならないのじゃないかと存じます。と申しますのは、先生、百も御承知でございましょうけれども、結局予備費と申しまするのは、予算を御審議いただきますときにはきわめてあいまいなものである、したがいまして、使用いたしましたあと国会の御承諾を得るということになっておるわけでございます。したがいまして、決算を検査いたします会計検査院といたしましては、結局、国会の御承認を得ないままになっておる予備費使用額がこれだけあるということを国会に申し上げまして、そうして国会のほうの御審議に役立てよう、こういった趣旨でできた規定で、かなり沿革的な理由がある、こう申し上げたいと思うわけでございます。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで大蔵大臣、あなたはそういうことがわかっているのですか。あなたも大蔵官僚出身ですからね。予備費というものは憲法規定によって何であるか、予備費については国会事後承諾を得なければならぬという、やはり承諾議決案件ということになるわけでありますからして、こういう大事な事後承認をわずか半日か一日ぐらいの委員会審議で簡単に、予備費使用大蔵大臣の権限だから、使ってしまったあとは簡単に承諾すればいいではないかというようなものではないと思うのですよ。そうした重要な認識がないと、せっかくの予備費取り扱い等についても形式化してしまうというようなことになるわけです。この点について、特に大蔵大臣としてどういう認識の上に立って予備費使用については政府として取り組んでおるかという点を明らかにしておいてもらいたいと思います。
  14. 愛知揆一

    愛知国務大臣 予備費というものは取り扱いを非常に慎重にやらなければならないものであるということはよく承知いたしております。したがって、予備費支出については、財政法その他の規定するところに従って、予見しがたい事由によるものについて慎重に検討をし、閣議決定を経て支出をして、国会の御承認事後受ける、こういうことについては厳粛に扱っていかなければならないものであると十分承知をいたしております。  同時に、国の行政あるいは財政の需要というようなものも、時代変化とともに非常に多様化し、複雑化してきておるというようなことで、御承知のごとく予算編成にあたりましても、累年予算の規模も多くなることもございますけれども、予備費というものはやはり相当のものを用意しておかなければならないということも現実の問題としてありますので、それらの点も十分考慮いたしまして、慎重に、その具体的な支出については十分検討した上で、国会の御承諾を得られるようなものに限定をしてやるということを十分わきまえて処理をいたしてきておるつもりでございます。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、予備費については、事後承諾であっても国会承諾を要するわけでありますが、かりに衆参両院の中で、たとえば衆議院政府予備費使用に対して承諾ができないという結果が出たような場合には、一体大蔵大臣としてどう対処する考えですか。
  16. 愛知揆一

    愛知国務大臣 予算審議をいただくときに、予備費を含めて御審議をいただいて成立をいたしておるわけでございますが、そのワクの中で、いま申しましたように、政府としても非常に慎重な態度で扱わなければならない、また扱っておるつもりでございますから、御承認を得られないというようなことは事後に非常にこれは大きな政治的責任の問題になろうか、かように考えますが、さようなことが万々ないように十分政府としては御説明できる確信をもって御審議をいただくようにいたすべきものである、かように考えております。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 現在は両院における各党の勢力分野というものが、与党・自民党がいずれも過半数を占めておるわけでありますからして、その限りにおいては、委員会においても本会議においても多数をもつて承諾されるという数の上の判断はそうなるとしても、これは将来にわたってそうであるということにはならぬと思うのですね。ですから、そういう時代というものが近づいてきておるわけですから、今後一そう慎重の上に、予算審議の中で予備費総額というものは国会承認しておるわけでありますからして、使用にあたっては十分慎重な態度で取り組むようにしていくべきだと思いますが、いかがですか。
  18. 愛知揆一

    愛知国務大臣 政治論としての見通しその他の問題はともかくといたしまして、財政当局としては、予算全体が議決をいただいておるものではあるけれども、予備費使用ということについては、特に国会事後承認を得なければならない制約を受けておるものではあるし、また、事柄の性質上、慎重に取り扱わなければならない、これは財政当局というか、行政府として非常に責任のある問題であると思いますから、政党の分野が将来どうなるかというようなことは別としても、行政府としての責任ある立場としては、政界の事情がどうあろうとも、やはり真剣に、十分国会の御審議をいただける、御承諾をいただけるという確信のあるものをもって支出をするという心がまえが非常に必要なことである、かような私は認識を持っております。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、四十六、四十七年度予備費一般会計並びに特別会計のおもなる内容について数点お尋ねをいたします。もちろん予備費支出でありますからして、予見しない災害の発生とか、あるいはまた国際的な人道上の見地からの救援のための予備費支出、われわれが判断してもこれは当然であるというものが全体を通ずると大半を占めておることは明らかにしておきたいと思いますが、特にその中で、この点は問題があるのではないかというような点にしぼって指摘して、明快な説明を得たいと思います。  まず、昭和四十六年度一般会計の中の農林省所管で、昭和四十六年産の自主流通米にかかる米品質改良将励金に要する経費不足額を補うためという理由で、二億二千六百五十三万円が支出されておるわけでありますが、これらは私どもの判断からいうと、当然食糧管理特別会計の中において処理すべきものを、四十六年度に限って一般会計から、しかも予備費から支出をしておるというような点については理解しがたい点があるので、この点を明らかにしてもらいたいと思います。  同じ四十六年度通産省所管でありますが、その中で臨時繊維産業特別対策費として、繊維工業構造改善事業協会過剰設備の買い上げの事業費補助経費として百三十億円、これを予備費から支出しておるわけでありますが、この経過については、アメリカの日本繊維輸出に対する厳重な規制措置等に対応して、国内の繊維産業の経済的な激変を調整緩和するための措置であるということは、内容は理解できるわけでありますが、これらの政策上行なうべきものについては、はたして予備費から安易にこれを支出すべきものであるかどうかという点についても、いささか疑問を感ずるので、この点の内容を明確にしておいてもらいたいと思います。  同じ四十六年度一般会計、これは総理府の中の北海道開発庁関係でありますが、四十六年度の開発庁の支出の中で、退職手当不足を補うために必要な経費として、内容は五件にわたるわけでありますが、いずれも退職者退職手当が当初予算よりも不足を来たしておるので、それを補うための経費ということになっておるわけでありますが、五件で三億四千万、この人件費等の問題については、予見しがたい支出ということになれば、たとえば国の公務員に対する人事院勧告によって、最近は予備費の中で大体五%程度引き上げ分はあらかじめ確保してあるわけでありますけれども、それをもっても足らぬというような場合には、当然これは直近時の補正予算等において処理してきておるわけでありますが、大事な職員の退職手当不足を来たしたというような理由で、予備費から安易に人件費支出するというような点については、安易な方法であるというふうに判断されるので、どういう理由事情でこの点に対しての予備費支出が行なわれたかという点についても明らかにしてもらいたいと思います。  次に、昭和四十七年度一般会計関係ですが、まず農林省所管水産庁関係でありますが、サケマス漁業減船対策費助成として十九億円余が予備費から支出されておるわけであります。これは言うまでもなく、昭和四十七年度の日ソ漁業交渉の結果として、日本側が予定したよりも漁獲量決定が相当減少したというようなことで、サケマス漁業に出漁する漁船等について自主的な減船措置を行なう、これに必要な相互補償に対しての国の助成ということになるわけでありますけれども、こうした国際間の日ソ漁業交渉というのは、これは毎年条約によって行なわれるわけでありますから、相手のある交渉ですからして、日本側だけの期待と主張で、そのとおりの数量がサケマスにおいてもカニにおいても、あるいはニシン等においても確保することができない結果があり得ることは、これは必然であります。そのたびごと予備費から減船措置等に対する助成を行なうというようなことになれば、これは予備費支出ではなくて、やはり国際間の漁業交渉の結果として生ずる減船あるいは収益の減損等について、はたして国家がその損失あるいは減収をカバーすべきものであるかどうかということを十分に検討して、そうして政策的に支出すべきものであるとするならば、条理を明らかにして国が支出を行なうべきであると思いますが、この処置についての大蔵大臣からの説明を得たいと思います。  同じ農林省食糧管理特別会計、四十七年度特別会計予備費から指定銘柄奨励金として百十五億九千八百八十万円、これは指定法人に対する交付ということになっておるわけでありますから、対象は、大事な米の生産者に対する助成ということにはならぬわけです。毎年毎年政府が生産者米価の据え置きを強行しておる、あるいはまた政府が直接買い入れる数量を減少して、食管法のたてまえに反するがごとき自主流通米制度のほうに誘導しておるというような現状に照らした場合に、はたして予備費から指定法人に対してかかる支出を行なう必要があるかどうかという点についても疑問とするところであります。  もう一つは、自主流通米の流通促進奨励金として、同じ食管の予備費から六十八億四千七百万円が支出されておるわけでありますが、この点についても、これは米の販売を行なう指定法人に対する予備費からの支出ということになっておるわけであります。  この二件を合わせますと、百八十四億四千六百万円にのぼるわけでありまして、特に四十六年度においては、一般会計から食管会計の米についての予備費支出を行なっておる。四十七年度においては、予備費を食管特別会計から支出するということは、これはたてまえ論としては差しつかえないとしても、この支出内容についていささか問題があると思いますので、この点についても、この際明確にしておきたいと思います。  以上、おもなる点について二、三提起したわけでありますが、これに対する大蔵大臣からの明快な答弁をお願いします。
  20. 愛知揆一

    愛知国務大臣 四十六年度についてまず三点のお尋ねでございますが、第一点は、四十六年産米の生産者米価が決定されますときに、米の品質の向上と自主流通制度の円滑な推進をはからなければならないということで、自主流通米について支払うことをきめたものでございますが、これは、御案内のように、優良銘柄米の供給促進をはかるということについては、四十六年度予算編成のときにはそこまでは予見いたしていなかった事柄でございまして、こうした目的のために、かつ米価を決定しなければならないという時間的な要素もございますので、一般会計予備費にこの支出のもとを求めたというのが当時の政府態度でございます。  それから第二の繊維対策の百三十億円の問題は、これまた日米間の繊維の交渉というものが、率直に言って期待するような結果に終わらなかった。これに関連して、産地は集中しているし、やはり急速に対策を講じていかなければならないということで、やはり予算編成の当時にはそういった日米交渉の結果が予見はされませんでしたし、かつ急速に必要とするということで、かような支出政府として決定をいたした次第でございます。  それから第三点の、人件費の中の北海道開発庁の退職金の問題でございます。北海道開発庁の四十六年度退職手当支出実績は、三百五十五人分で十一億八千万円であり、既定の予算額八億四千万円を相当超過しておるわけでございますから、それは一体どういうわけかというわけでございますが、これは、退職者の数というよりはむしろ退職者一人当たりの支給額が多かったということが原因のようでございます。  これらに通じて言えるかと思いますことは、財政法の予見しがたい予算不足ということについてでございますけれども、事項も金額もともに予見しがたいということもございますし、事項は予見し得たけれども、その金額については予測が困難であったというものも、この財政法の二十四条は規定していると思われるのでございまして、こういった財政法上の解釈を慎重に検討いたしましてこれらの処置をいたしたいのでございます。  それから、四十七年度の第一の御指摘の点は、水産庁関係サケマス、ニシンその他の国内措置の問題でございますけれども、これまた、お話にもございましたように、日ソの漁業交渉が、当時わがほうが予想した結果にはならなかった、そこで国内の措置を急がなければならないということで、一般会計予備費から支出をすることにいたしたわけでございまして、やはりこれは予備費支出として妥当であると政府としては認めたわけでございます。  それから四十七年度の第二点は、やはり米の問題でございますが、四十七年度の指定銘柄米の奨励金、それから自主流通米の一そうの流通促進のための奨励金、これまた四十七年の産米の米価決定の際に決定されたものでございまして、四十七年度におきましても、ここまでは予算編成のときに予見をしておりませんでしたために、予備費使用ということに相なったものでございます。  総じて芳賀さんの御心配をいただいております点は、このようなものは政策的な経費ではないだろうか、これは予備費の性格上おかしいのではないかという御意見でございますけれども、先ほどもちょっと私も言及いたしたのでございますけれども、予備費使用については、政府としても厳粛に扱わなければならない、その鉄則はあくまで守ります。が、同時に、たとえば対外関係とかあるいは国内のいろいろの点から申しましても、財政に対する需要がきわめて流動的、複雑になっておるこういう状況からいって、ある程度予備費というものは、編成のときには予測しないけれども、何か起こるかもしれないというときに備えて、相当額の予備費は計上しなければならないのが当世の状況ではなかろうかと思います。こういった状況に対処いたしまして、予備費使用ということを厳粛に扱いつつ支出をきめておるわけでございまして、その辺の事情というものもひとつ御理解をいただきたいと思います。  また、今後のやり方等につきましては、国会のこうした御審議を通じていろいろの御意見をいただきますことが、今後の予備費支出にさらに一そうの参考になる、私はこういうふうに考えまして、今後も誤りなき使用方法というものに十分注意をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの諸点に対して、もう少し掘り下げた質問をしたいと思いますが、まず昭和四十六年度農林省支出の四十六年産の自主流通米に関する点ですが、いわゆる自主流通米制度なるものは、昭和四十四年度から発足しておるわけです。ですから、自主流通米制度にのっとって、米質改善等に奨励施策を講ずるということになれば、何もこれは昭和四十六年度に予見しがたい事態ということには全然ならぬわけですね。四十六年度予算編成以降において自主流通米というものを発足させる、それに伴う支出財源として予備費からということであれば、これは理由がつくわけでありますが、四十四年から国民の反対を押し切って政府が一方的に強行しておる自主流通米について、何も予備費から不明朗な支出をする必要はないと思うのですよ。こういう点がはたして予見しがたい予備費からの支出かどうかということになると、これは非常に問題があると思うのですよ。  食糧庁長官も来ておられるので、この際、明らかにしておいてもらいたいと思いますが、前の委員会の保留事項になっておる点が一つある。四月二十四日の当委員会において、丸紅を中心とした米の買い占め、食管法違反の問題等について、丸紅については政府の輸入食糧の代行業務を認めておるので、こういう点については、これは代行業務の指定要綱に照らしても、食糧管理法に違反した場合というようなときには、当然これは代行業者の指定を取り消すということになっておるので、一体これをどうするかという点を委員会においてただしたわけであります。その場合、食糧庁長官並びに農林大臣におかれては、いまこれは捜査が進行中であるので、最終的な裁判の結論を待たなければ、これを処置することができないというようなまことに消極的な答弁をいたしましたので、それはおかしいじゃないか、丸紅の社長自身が、現に食管法違反をやっておる、米の買い占めをやりました、今後やりませんということを言っている以上、何も裁判の最終決定を待たなければ輸入代行の取り消しができないというものではないじゃないかということで、結局、すみやかに委員会の御意思等を尊重して処理しますという、そこまで言っているわけですね。もうだいぶ期日が経過しておるので、この問題についてはどのような行政的な処理をされたか、この際あわせて委員会において明らかにしておいてもらいたいと思います。
  22. 中野和仁

    ○中野政府委員 四十六年産米につきまして品質向上奨励金を自主流通米につけた経緯でございますが、四十五年について品質向上奨励金を一般会計から政府米、それから自主流通米にも出したわけでございますが、四十六年の米価決定の際には、政府米につきましてはそれ相当の部分は全部基本米価に織り込んだわけでございます。そこで、それとの均衡上、自主流通米につきましても、やはり生産対策として良質米促進ということでございますので、あわせて出したという経緯になっておるわけでございまして、農林省といたしましては、やはりこの自主流通米、いろいろ御批判が先ほどあったわけでございますが、良質米の奨励というようなことから、これは存続していくべきであるというふうに考えておるわけでございます。  それから第二点の丸紅に対するいろいろな措置でございます。前回の当委員会で私御答弁申し上げましたのは、ただいま警察当局が捜査中でありますので、その捜査が進みましてどういうふうな結論になるか、それを見た上で措置をいたしたいということを申し上げたわけでございます。前回も申し上げましたが、現在の輸入食糧の買い入れ要綱では、処罰されたときということになっておりますので、それだと非常におそくなる。しかし今回の問題は、そういうおそいのは私自身もよろしくないというふうに思っておりますということを前回申し上げたわけでございます。その後、警察当局の捜査状況を問い合わしてみておるわけでございますが、まだ結論を得ていないようでございます。しかし、前回御批判もございましたし、いろいろ考慮いたしまして、現在は、その後輸入食糧の買い入れにつきまして、米につきましても麦につきましても自粛といいましょうか、実際問題としては食糧庁の入札に参加をさせていないということをすでに措置をいたしております。そして行政措置としてどうするかというのは、やはりその捜査の状況等を見ました上で、結論が出た段階で適正な措置をすべきだということでございます。繰り返して申しますが、その間すでに米、麦につきまして自粛をさせておるということで、現在は買い入れに参加をしていないということでございます。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 大蔵大臣も聞いておられたと思いますが、当委員会において、ただいま私から食糧庁長官にただしたような問題を取り扱っておるわけです。これは大蔵省としても、食管特別会計に基づいた国の管理食糧の輸入等については、本来であれば、これは国家貿易、国の管理貿易であるから、政府自身の業務として直接行なうのが当然だと思うのですよ。しかし、それを輸入商社に選定代行させておるわけでありますから、その代行業者が政府の意思を体して確実的確な業務を行なうことができない欠格条項が発見された場合には、直ちにこれを処理するというのが当然の政府行政責任だと思うわけです。それが要綱の規定によると最終の裁判の判決が出なければ処分できないという、そういう不正業者を擁護するような立場に立った食糧管理行政というものは、決して正しいものではないと思うのです。この点は先般農林大臣にも指摘してありますので、ぜひ会計を所管する大蔵大臣においても、十分留意して、今回の一連のこの米の買い占めの問題、政府の管理物資に対する違反、不正事件等については、政府自身も姿勢を正して、厳格な処断をしてもらいたいと思いますが、その点はいかがですか。
  24. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは、お話しのとおり、法律的その他の問題になりますと、裁判の結審を待たなければならないという問題もあると思いますけれども、財政当局の立場からすれば、御指摘のように、国民からお預かりした金が乱用されるということにもつながるわけでございますから、今回の一連の問題につきましては、私としてはこれは事態を正確に直視して、そして財政当局としてこうした問題に対して処するべき道を、少なくとも今後においては的確に、国民的な御批判を受けないよう、あるいは不正の行為に対してこれを擁護するとか味方をするとか、かりそめにもそういったことがないように措置すべきものであると私は深く心にとめておる次第でございます。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 食糧庁長官にもう一点尋ねますが、昭和四十七年度の食管会計からの予備費支出でありますが、この場合は、先ほど申しましたとおり、指定法人に対する支出ということになっているわけです。何のために指定法人に対して指定銘柄奨励金あるいは自主流通米流通促進奨励金を予備費から支出しなければならぬかという、この理由ですね。
  26. 中野和仁

    ○中野政府委員 四十七年産米につきましては、先ほどお尋ねがありました四十六年産米までの品質向上奨励金というのをやめまして、品質向上といいましょうか、品質の優良なものについて指定銘柄制度というのを四十四年からとっております。それに対しまして、その供給の円滑化をはかるという意味で、奨励措置を講ずるということで、指定銘柄の場合につきまして一俵二百円出すことにしたわけでございますが、これを指定法人を通じてやっておりますのは、米価そのものではございませんので、支払いの便宜ということもありまして、指定法人に一括交付しまして、それを経済連、単協、農家というふうに、通達で農家に支払うようにということで指示をしておるわけでございます。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、指定業者を通じなければ奨励金等が交付できないという理由は何ですか。指定法人ということになれば、農協組織の現在の全農ですね、それから業者団体の全集連ですか、いわゆる米の集荷販売業者を通じなければ、生産者に対して一定の交付金を交付することができないという。どういう理由があるのですか。
  28. 中野和仁

    ○中野政府委員 絶対的に指定法人を通じなければ払えないということは私もないと思いますけれども、先ほど四十七年産米につきまして申し上げましたように、米価そのものではございませんので、いろいろな助成措置を講ずる場合に、よくそういう団体を通じて農家に渡すという手続をとる、それの一環としてやったわけでございます。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 米価でなければ何ですか。米価に関係のないものを食管特別会計から支出する根拠はないじゃないですか。
  30. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほど米価でないと申し上げたのではなくて、基本米価そのものではないということを申し上げたわけでございます。やはり特別会計で出しております。しかも買い入れ費の中に入っておりますので、これは加算金的なものというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 大蔵大臣承知しておるわけですが、最近四年間にわたって政府決定する生産者の基本米価というものは毎年毎年据え置きになっておる。そういうことで一部から政治加算というような指摘もあるが、つかみ金を百億とか二百億支出して、特に政府あるいは与党・自民党においてはこれを米価に換算すると何%引き上げになるというような宣伝につとめております。そういう宣伝をやっておりながら、これは米価ではない、米価には関係がないということを国会の場だけで強弁するのは問題があるのじゃないですか。
  32. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほども申し上げましたように、芳賀先生十分御承知の、いまの生産費所得補償方式によります米価の計算をやりますが、その中に入っていないけれども、やはりこれは加算金的なものでありますから、米価、いわゆる基本米価ではありませんけれども、加算金的な米価の一種というとおかしいわけでございますが、加算金的なものとわれわれは考えておるわけでございます。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 これに関連して大蔵大臣お尋ねしますが、それでは本年四十八年度産米の価格等についてはどういう方針ですか。いま問題として指摘した四十七年と同じような手法で基本米価は据え置きにする、そのほかはつかみで予備費等から一定額を支出してお茶を濁すというような方針かどうか。この際、四十八年度産米についての取り扱い方針について明確にしてもらいたい。
  34. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実はこの点についてはまだ明確に申し上げる段階でございませんで、米価審議会の意見等も徴しまして、これからきめる段階になっております。農林省はもちろんでございますが、政府部内としても各省庁で十分相談をいたしまして態度をきめたい、こう考えております。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 次にサケマス漁業減船補償の問題でございますが、この十九億円というものははたして目的どおり使用されておるかどうか、その流れと、最終的には十九億円というものは漁獲量の減少に伴って自主減船した関係者に対して、完全に交付されておるかどうかというような実態についてはどの程度確認しておるわけですか。
  36. 愛知揆一

    愛知国務大臣 詳細につきましては水産庁から御説明申し上げたほうがよろしいかと思いますが、大蔵省として理解しておりますのは、御承知のように、日ソ交渉の結果からして、自主的に一割の減船実施することになったわけでございます。その減船実施に伴って、関係の業者には何とか助成をしてやらなければなるまいということで、いろいろ慎重に検討いたしました上で予備費使用決定いたしたわけでございますが、その考え方としては、たとえば以西底びき網漁業の減船の場合の国庫助成の例なども考慮いたしまして、残存の漁業者が減船に対して行なう相互補償のために必要な資金の利子負担の軽減をはかるために、十年償還、一年据き置きの系統資金を借り入れた場合に、残存業者の利子負担が三・五%となるように借り入れ利子との差額を所要の割引を行なって、初年度一括払いにするということにいたしまして、その使用額を十九億円余りといたしたものでございます。その結果、国庫助成につきましては、相互補償金の支払いが完了したものから順次支出をいたしまして、四十八年三月末現在で約十八億四千万円が交付済みでございます。こうした対策の結果は所期の成果をあげておるというふうに、また支出しました金額はきわめて適正に使用されておるということを、水産庁から大蔵省としては承知をいたしておるのが現状でございます。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 なおこの点について、水産庁からでもいいですが、北洋サケマス漁業というのは農林大臣の許可漁業になっておるわけですね。そういう権利漁業を自主的であっても減船するということになるわけでありますからして、これは権利の規制に及ぶ問題になるわけであります。だからこういう点は行政的にも内容を明らかにして、再びこの種の問題が起きて行政的に国が一部負担をするというような場合もないわけではありませんからして、そういう場合には、前例が悪いと、あとの問題を取り扱う場合においても弊害が起きるわけでありますからして、それだけにこれは重要な問題だと思うわけです。  そこで、担当の所管の水産庁から、この使用内容というものは政府支出した目的に合致してこれが完全に処理されておるのかどうかというような点について明快にしておいてもらいたいと思うのです。
  38. 大場敏彦

    ○大場説明員 ただいま大蔵大臣からお話がありましたように、水産庁としては、この減船措置に対する財政援助の支払い方につきましては、各団体が自主的に減船者に対してめんどう見る、それに対して政府がいわば低利資金をめんどう見るというような形で、財政措置としては利子補給というような形に実質的にはつながるわけでございますが、そういう措置をとったわけでございます。  その実際の交付のしかたといたしましては、団体は、まず自分の傘下の減船者がある場合に、それに対して団体内部できめた補償措置、補償金を支払う、その受け取った受け取り書を全額全員からとりまして、それを水産庁が確認した上で初めて交付金を交付する、こういう仕組みをとっておりますので、団体から金が流れておる、彼ら自身の内部の金が流れておって、それを現実の個々の減船者が受け取って、それを確認した上で政府が初めて団体に対して一部の援助をする、こういう措置をとっておりますので、財政措置使用目的にはかなっておると私ども承知しております。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、この件については、後刻必要な資料を当委員会に出してもらいたいと思います。  最後になりますが、四十六年の通産省関係臨時繊維産業特別対策費については、これは繊維工業構造改善事業協会政府から事業補助として支出をしておるわけでありますので、当然過剰設備の買い上げ措置等についてもはたして対象になる織機等が完全に確認されて、計画に基づいて百三十億円というものが有効に処理されておるかどうかという点については、支出大蔵省としても十分確認しておると思いますが、その点はいかがですか。
  40. 愛知揆一

    愛知国務大臣 繊維の問題については、先ほど申し上げましたように、率直に言って、わがほうとしては不本意な結果になる、その結果関係の業界にダメージを与えることは最小限度にとどめなければならない、かつ急速に措置しなければならないと考えたわけでございまして、その結果百三十億円でございましたかの予備費支出をお願いしたわけであります。これは急速に、かつしかし真剣に検討いたしました問題でございますから、通産省としては所期の成果をこの予備費支出においてあげ得たものと大蔵省確信いたしておりますが、実施官庁である通産省のほうからも事情をお聞き取り願えればしあわせだと思います。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員 通産省来ておりますか。
  42. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 通産省来ておりません。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、この件は次回の当委員会に詳細な資料を提出しておいてもらいたいと思います。  最後に、北海道開発庁退職手当の問題ですが、先ほど大蔵大臣から説明がありましたが、国の職員の場合、これは公共企業体の職員であっても一般の国の職員であっても、退職者ということになれば、その年度当初において当該年度中にどの程度退職者の該当人員があるか、その該当者に対してはもちろん勤務年数とか諸般の勤務実態というものはわかっておるわけですからして、それは当然優先的には人件費の中に算入済みでなければならぬと思うわけなんですよ。こういうものをみだりに予見しがたかったとか既定予算が非常に足りなかったというようなことは絶対理由にならぬと思うのです。しいて理由とすれば、これは最初からの予算編成上の不手ぎわというか、むしろ編成者において過失があるということをいわなければならぬわけですが、しかし途中で人員整理をするとか、あるいは合理化をするというような事態が生じて、それによって巻き込まれ三百五十五人の退職者が出たということになれば、これはまた事態が違うわけでありますが、その間の事情はどうなっておるわけですか。
  44. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 お答え申し上げます。四十六年度北海道開発庁の退職金に予見せざる事情から不足が生じた点につきましては、先ほど大蔵大臣から御答弁があったとおりでございますが、それをやや補足して申し上げますと、人員につきましては、四十五年度の退職人員は三百四十五人でございますが、四十六年度は三百五十五人で、十人ふえているだけでございまして、人員につきましては予見と非常に狂ったということもございませんし、いま芳賀先生がおっしゃいましたように、当局側において人員整理を非常に強くやったとか、合理化を非常に強化したために人数が非常にふえたというようなことは全くないわけでございます。  ところが、一人当たりの退職金の金額が非常にふえまして、四十五年の一人当たりの退職金は二百三十万四千円でございますが、四十六年度はこれが百万円ほどふえまして、三百三十二万四千円というようなことに相なりました。これが私どもの見込みと非常に狂ったわけでございますが、この事情は、北海道開発庁の職員には、五十九歳以上、一番高い方は七十三歳でございますけれども、そういう高齢者の比率が非常に多くございまして、そういう方たちが四十六年度において非常に大量にやめられたということが原因になりまして、かようなことに相なった次第でございます。
  45. 芳賀貢

    芳賀委員 この際、大蔵大臣に申し上げますが、ただいま私が数点指摘した問題は、全体の四十六年、四十七年度一般会計特別会計の中の、これはと気がついた点だけを数点拾い上げて、内容をただしたのにすぎないわけでありますが、きょうは時間の打ち合わせとの関係もあるので、これだけの問題があって、あとは問題がないというわけではないので、その点は十分留意しておいてもらいたいと思います。
  46. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 庄司幸助君。
  47. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は四十七年度食糧管理特別会計予備費使用と、それから四十六年の食糧管理会計の特別会計、この予備費の問題を主として伺いたいわけであります。時間の関係で、この問題にしぼってお伺いしたいと思いますが、問題はこれだけではないという点だけを前もって申し上げておきます。  そこで、緊急な問題でありますから、予備費の問題に入る前に大蔵大臣にぜひ伺っておきたいという点が一つあるわけですが、政府のいわゆる買い占め制限あるいは減反政策ですね、こういった問題が起きてからいわゆる米の問題に非常に混乱が起きまして、御承知のように、米の買い占めあるいはその他農林水産物の買い占め問題が発生しているわけであります。大蔵大臣も買い占め問題、投機問題については過剰流動性の問題があるという点は国会で御答弁になっているわけですが、この過剰流動性にやはり政府関係の金融機関が拍車を加えているような事例が一つ発覚したわけであります。それは、この間八日の衆議院農林水産委員会でわが党の津川議員が農林大臣にただした問題ですが、その内容は、農林中金あるいは農林漁業金融公庫の資金が大手商社にだいぶ融資されている、たとえば四十四年九月から四十七年の九月までに農林中金、農林漁業金融公庫、ここから三井、三菱、住友、丸紅などの大手商社に融資された金額は長期、短期合わせて四千八百三十二億円となっておる、その中で三井、三菱、住友、丸紅の四社だけで木材購入のため千五百九億円の融資を受けている、それから三井物産が造林事業のためと称して五億円の融資を受けている、こういった資金を商社が商品投機に回したという疑いがあるわけです。農林大臣は、それが商品投機に回されたかどうか、この点について調べると言っておりますが、大蔵大臣は金融の専門家でありますから、過剰流動性、これは何もこの金は投機に回しますから貸してください、この金は別なものに使いますということじゃなくて、やはり全体としてこの過剰流動性が出てきて、それが買い占めに回っていったのだ、こういうふうに思うのですよ。政府機関のこういう金が、しかも農民がほんとうに額に汗して働いてためたお金をこういった大手商社に回している。四千八百億円以上を回して、これが過剰流動性に拍車をかけている。政府機関の金がこういうふうに使われておる。それが直接投機に関係あるなしにかかわらず過剰流動性を促進するような役割をしている。こういう政府機関の融資のあり方について大蔵大臣としてどういうお考えをお持ちなのか、その点伺いたいと思うのです。
  48. 愛知揆一

    愛知国務大臣 こういう問題が国会での論議の対象になるということは、金融機関の監督行政に当たっておる者としては非常に遺憾に存じます。同時に、これはお話しすると時間がかかりますから、なるべく簡潔に申し上げますが、金融機関にもいろいろございますが、いわゆる政府関係機関としては、必ずしもいまおあげになったようなものが直接の政府機関であるとは言えませんけれども、いわゆる系統機関として、農協系統の資金というものが集まり、これを運用するということが本旨であるところの農林中金というようなところが、かりそめにもこういったような批判を受けるということにならないように今後相つとめなければなるまい、こういう考えを持っておる次第でございますが、これは御指摘もありましたが、金にしるしがございませんから、いわゆる商社の過剰手元資金あるいはそれ以外の借り入れ資金というものが、どこから来たものがいたずらをする、悪さをする、不正をやるというところに使われたかということは、これはなかなか分析するとしてもむずかしい問題でございますから、われわれとしては、その基本をただして引き締めていかなければならないわけでございます。したがって、今年初頭以来厳格にきびしくやっております。金融の規制はそうした公庫等がもちろん対象になっており、農林中央金庫等もその対象として厳重に金融の引き締めをやって、過剰流動資金というものは、今日のような為替市場の状況からすれば、一昨年来起こったような対外取引からくるところの過剰流動性が円資金において非常に大きな原動力になって、いろいろ経済情勢に影響を大きく与えるということは今日においてはとまりましたから、過去において吹きだまりましたものがこれ以上悪い影響を与えないように、その根元において引き締めていくということを、この上とも十分監視をしながら続けてまいりたいと思います。  それから同時に、商社活動等に対しては、金融政策だけでは隔靴掻痒の感なきを得ませんから、これは今回の買いだめ売り惜しみの法律をはじめとして、総合的な対策とあわせた成果をねらっていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。先ほど芳賀さんの御質問にもお答えいたしましたが、たとえば政府管理米が、これは常識的に申すわけですけれども、これが代行ということの筋を通して、そしてこれが不当に米自身の買いだめ、売り惜しみというようなことになっているということについては、これはあえて金融だけではなくて、その方面からの総合的な対策をきびしくやっていくことにおいて成果をあげるようにいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  49. 庄司幸助

    ○庄司委員 もう少し具体的にお伺いしますけれども、この農林中金なりあるいは農林漁業公庫の金というのは、性格上は、農民があるいは漁民がいろいろ貯蓄をして、それを農業なり漁業なりを発展させるために使うべき筋合いの金だ、私はこう思うのですが、大蔵大臣、その点どうでございますか。
  50. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは、それぞれの根拠になる法律の第一条にその目的が明定されておるとおりでございまして、それぞれ農業の振興なりあるいは水産業の振興ということを第一義にしておる。しかし、これは必ずしもたとえば零細企業の救済ということだけではなくて、もっと広い範囲になると思いますから、必ずしも大規模、中小規模と規模だけでその性格を限定するわけにはいかないと思います。そして零細の対策ということについては、ただ単に金融機構だけではなくて、あるいは保険制度とか保証制度とか、あるいは直接政府からの補助助成というものが行なわれるわけでありまして、これらと相まって成果をあげる仕組みになっておるわけです。その仕組みが的確に成果をあげるように運営されなければならない。その運営等について御批判のあるような点については、政府としても冒頭に申しましたように非常に遺憾とする点が見受けられますので、これに対しては厳重なきびしい態度で臨まなければならない、こういうふうに考えております。
  51. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、こういった商社に貸し出された金、これが過剰流動性につながる、今後こういう融資のあり方はやめる、金融政策上そういうふうに指導する、こういうふうに伺っていいですか。
  52. 愛知揆一

    愛知国務大臣 過剰流動性につながるということになると、これはまた学問的にもいろいろ議論しなければならないところであると思いますけれども、要は、具体的にいえば商社等が、たとえば政府の管理米の買いだめをするというようなところに使う金が農業系統の金融機関などから出ることを押えるということであれば、断然押えなければならない、こういう態度で臨むべきであると考えます。
  53. 庄司幸助

    ○庄司委員 少しくどいようでありますが、結局丸紅あるいは三井、三菱、こういう商社が商品投機をやって国民のひんしゅくを買い、国会の論議になったことは明確な事実です。そういう商社に対してこういった政府系統の金融機関の農林漁業関係の融資がなされて、金にしるしがありませんから、そういう買い占めに回す資金に余裕を与えたという結果は明白だろうと思うのです。その点で、これはこれ以上やりませんが、こういう特に農林関係、漁業関係は零細な農民、漁民が多いわけです。この零細農漁民が、いま機械化貧乏であるとかこういった問題で、ほんとうにあぶら汗流して苦労しておるわけですから、こういった系統の金は、本来の趣旨に従って、零細だけではないと思いますが。やはり日本の農業なり日本の漁業なりの発展振興のためにもっぱら使ってもらう、決して買い占めに回るような金に回らないように、これはひとつ十分監督していただきたい、この点御要望しておきます。  さて本論に入りますが、第一番目にお伺いしたいのは、四十七年度の食管特別会計自主流通米流通促進奨励金が六十八億円、それから指定銘柄米奨励金百十六億円、合計百八十四億円ほど支出されております。これは予備費から出されておりますね。これに反して、一方では同じ年に農林省一般会計で、この年になって初めて本格的に当初予算で組まれた米の品質向上奨励金、これが補正でもってほとんど削られている。残ったのは一億二千万ほどであります。この米の品質向上奨励金はだいぶ前からついていた予算でありますが、これがほとんど削られた。これは重大な政策転換であるわけです。これは予備費とは関係ありませんが、一方予備費では米の品質向上奨励金と見合うと言うと少し語弊がありますが、そういう指定銘柄米奨励金というだいぶ性格の違う金に変わってきておる。それからもう一つは、自主流通米の流通促進奨励金ですが、これは前からついておりますけれども、この点で、四十七年度の食管特別会計予備費で一つの農政上の重大な政策転換と見られるようなものがついてきておる。これは私は非常に重大な問題だと思うのです。米の品質向上、これは農民も非常に望んでいる問題です。特に冷害が予想されている現在、耐寒、耐冷の、しかも大量にとれる米、これを何とかつくりたいという農民の希望が相当あるわけですね。これはこれなりで予算の性格がもしそのとおりならいいのですが、ところが指定銘柄奨励金となると、私は性格がぐっと変わると思うのですね。いわゆるうまい米、これについては奨励していく。そうしますと、うまい米、愛知さんも宮城県ですから御存じだろうと思いますが、ササニシキであるとか、いろいろあります。ところが、これは耐寒、耐冷性の問題からいくと非常に問題のある米ですね。味は確かにいい。もし気象庁長官が言うとおり冷害がひんぱんに襲うということになれば、これは  一たまりもない性格を持っていますね。こういう品種を奨励すると称して銘柄差をつけていって、一方では青森県や北海道のように、うちのほうの米には銘柄格差が全然つかない、こういう農民間の仲たがいといいますか、こういうものをあおるような性格さえ銘柄格差が持っているわけですね。その点で私は、これはほんとうなら国会審議してもらうべき重大な政策転換じゃないか、こう思うのですよ。こういった政策転換がなされているのが予備費でやられて事後承認に回されてきている、ここに非常に問題があると思うのですね。その点で、予備費でこういう新しい奨励金制度、二種類、これを設けられたのはどういう理由なのか、この辺ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  54. 愛知揆一

    愛知国務大臣 米の政策が四十六年と四十七年と変わったかどうかということ、あるいはそのメリット、デメリットがどうであろうかということについては、別の席で御論議いただきたいし、私も申し上げたいと思いますが、本日の議題である予備費として妥当であるかどうかということについては、申すまでもありませんが、財政法規定している予見しがたい事由に該当するかどうかということであると思います。米価の決定ということに関連して、そしてお話しのように、二種の奨励金を出すということが適当であろう。これは政策的な問題でもありますけれども、同時に環境から申しましても、八月下旬までには米が出回る、そして奨励金を出すとすれば急速に、少なくとも十月までには渡さなければならない、そういう環境においてそういう政策決定をするということは予算編成のときには予見しなかった事実でございますから、米価を決定をし、かつその是非の議論はともかくとして、当時の政府としては、二種の奨励金をこの際支給することが妥当である、こういうふうに認め、かつこれを早急に交付するということの必要を認めた以上は、財政法規定によって予見しがたい事由によって支出決定する、これは国会でも御承認いただけるものと確信をして実行した施策である、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  55. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま大臣は、この二つの奨励金の問題については予見しがたい事由による、こういうふうに申されました。私はその点、予見しがたい事由というのは、これは天災であるとか、地震とかあるいは洪水であるとか、こういったものは予見しがたい、確かにこれは予見しがたい事項です。あるいはまた海外でいろんな災害が起きて、そこに救援物資を送る、これも予見しがたい事由だろうと思うのですよ。しかし事米の問題になりますと、これは果たして予見しがたかったかどうか。具体的に申し上げますと、政府が米審に答申を求めた、それに米審が答える、その間に農民が東京に集中して米価大会をやる、そして政府、自民党のこれまでの米政策についてのいろんな批判、糾弾が行なわれている、そういう間に米審の答申が出て、政府が、どうしよう、五・〇六%で農民がおさまりそうもない、だからそこでつかみ金としてこれだけ、ひとつ銘柄格差でごかんべん願いたい、あるいは自主流通米の奨励金二百円でごかんべん願いたい、こういうかっこうで一種の政策的なつかみ金として閣議決定を経て出されているのじゃないかと思うのですよ。だから、こういった生産者米価引き上げに対する要求が非常に濃厚に存在するということは予見しがたかったことではないと思うのですよ。生産者米価の引き上げ大会というのは毎年やられています。ことしもやられます。これは予見しがたい事情ではないと思うのです。これに対して明確な政策的な見地を持って、米審の答申は一応おくとしても、やはりある程度政府として国会にその政策を提示して予算化して出すのが、私は筋合いじゃないかと思うのですよ。こうやって予備費として出されてまいりますと、この決算委員会で数時間討議されて終わってしまう、こういう結果があるわけですよね。これではやはり国会軽視につながるのじゃないか、私はこう思うのですよ。大臣、その点どうですか。
  56. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほども申しましたが、予見しがたい事由というのは、事柄が予見しがたい場合、金額も予見しがたい場合、あるいはそのいずれかは予見し得たけれどもそのいずれかが予見しがたい、いろいろの場合が財政法規定も読めると思います。それから、たとえば公務員の給与の問題にいたしましても、現在は五%は積んでございますけれども、これもやはりそれでは足りないではないかという御意見も相当あると思いますし、毎年春闘、秋闘があることも、これは予見し得る事態でもございますが、そこをせんじ詰めて御議論いただければ、当時の四十六年の夏あるいは四十七年の夏の時期において、その時点において生産者米価をどうきめるべきか、これに関連して農家の方々の要請にもいかにこたえるべきか、そして米審にも諮問をして、そのときの時点においてこうすることがベストであると政府として選択をし、かつこうやった事由について御説明をすれば御理解をいただけるのである、こういう確信に基づいて政府として実行したわけでございますから、その政策内容についての是非の御批判はいろいろあると思いますけれども、こういう状況下において財源を予備費支出にまったということ、そして八月から十月にかけての米の集荷の時期にできるだけすみやかに奨励金を交付したいという時間的要請から考え合わせて、これは予備費支出について妥当性がない、こう断定されるということについては、私としてはどうもうなずけない御議論である、かように存じます。
  57. 庄司幸助

    ○庄司委員 それならば、少し経過的にその問題を御説明して、私は大臣と少し意見を戦わしたいと思うのです。  昭和四十四年度からいままでの予備費関係をずっと調べてみたわけです。そうしますと、こういうことが明らかになるわけです。昭和四十四年から四十八年の五年間で、こういったいわゆる政治的なつかみ金といわれるような性格の奨励金などが十四種類出ております。金額にしますと七千九百二十六億円ほど、約八千億円、一年間平均千九百億円ぐらいです。これが予備費の約一八%ぐらいを占めておるわけです。目まぐるしく政府の農業政策はいろいろネコの目のように変わるとよく農民が言っておりますが、そういう関係で十四種類も目まぐるしくついたりなくなったり、また新手のものが出てきたりしている。たとえば昭和四十四年、これは自主流通米の制度が導入された時期ですが、この年には稲作特別対策事業費補助金、それから同じく推進指導費補助金、これが新設されております。昭和四十五年になると、減反が開始されて、今度は米生産調整奨励補助金、あるいは米生産調整奨励交付事務取扱交付金とか、あるいは米の品質向上奨励金、こういうものが出されてきております。昭和四十六年になりますと、買い入れ制限が始まるわけですが、この年になると、米の品質向上奨励金、これを当初で〇・七%に減らして計上したのですが、予備費で当初の六十倍ぐらいにふやしている。それから四十七年になりますと、これはもう消費者米価が物統令から解除される時期ですが、この時期になると、自主流通米流通促進奨励金であるとか、指定銘柄米の奨励金であるとか、こういうものが出てきております。  こういったことが、政府の農業政策の展望のなさのために、目まぐるしく出たり入ったり、ついたり消えたり、こうやって予備費から出されてきておる。だから予備費の出し方自体が、非常にその場その場の場当たり的な出し方をしてきているのじゃないか。これは農林関係予備費の一つの特徴だろうと思うのです。こういうネコの目のように変わるような予備費支出でもって政策的な問題がぐるぐる変わっていく。これでは農民はほんとうに鼻をつままれて、右向け、左向け、あっち向け、こっち向けといわれる感じがしてしかたがないと現に宮城県の農民も言っているわけです。政府のこれをやりなさい、あれをやりなさいといろいろなことを言う反対のことをやっていれば間違いないんだというのが農民の声の中にあるのです。だからその辺、農林関係予備費をめぐって、農林政策上の定見のなさ、ほんとうならこれが明確に出て、しかも国会にかけて十分論議してもらう筋合いのものが、こうやって閣議決定予備費として出されているということは、非常に重要な問題だと思うのですがね。大臣、この予備費、これは農林関係予備費だけに限ってでいいのですが、その辺一体どうお考えですか。
  58. 愛知揆一

    愛知国務大臣 一般論として申し上げますれば、先ほどから言っておりますように、財政需要の膨大化、それから非常な複雑さということが、今日われわれに与えられている条件でございますから、どうしても予備費というものに相当のウエートがかかるということは否定することのできない事実であると思います。ただ、その使用については、先ほど申しましたように、厳粛に考えていかなければならない。だからこそ国会事後承認ということが憲法上にも掲げられている。この重大性というものは十二分に認識してかからなければならないと思います。その大前提の中で考えてまいりまして、米の問題はなかなかむずかしい問題である。いまおあげになったような、農家の方々がどういう批評をしているか、あるいはどういう要請をしているか、そしてその結果においてどの程度に満足を表明されているかというようなことは、私もつぶさに私なりに承知しておるつもりでございますが、四十六年度、七年度予備費支出にあたっての政府態度考え方というものは、先ほど来申し上げておるとおりでございまして、私ども政府側としては、非常にむずかしい米価問題に処する道としては、そのとき予備費支出を認めるよりほかによい選択はなかった、こういう確信を持っているわけでございます。ですから、今後の問題として、あるいは農政自体のいろいろの御意見については、先ほども申し上げましたように、また別に大いに御論議をいただきたいところでございますが、予備費支出ということに限定して言えば、私はこれが妥当であったという政府としての確信を持っていることは、繰り返して申し上げるとおりであります。
  59. 庄司幸助

    ○庄司委員 まあ大蔵大臣ですから支出が妥当であったかどうかという点についてお考えになるのだろうと思うのですが、しかし閣僚の一員として、こういう政府の農政の場当たり的な、転々と変わるような政策転換が予備費使用でやられていっている。この予備費については、私はこういうふうに使うべきではないのじゃないか、やはり国会論議に出して、そして国会承認を得て、こういったたとえば銘柄格差の問題にしても、米の品質向上の問題にしても、十分論議して、やはり予算化して出していくのが妥当じゃないかと思うのです。その辺どうですか。
  60. 愛知揆一

    愛知国務大臣 御意見は御意見として十分承っておきます。
  61. 庄司幸助

    ○庄司委員 御意見を承っておくというのは聞きっぱなしになる可能性も多いわけですが、一応それはそれで終わります。  そこで私は、先ほど芳賀委員も触れられたわけでありますが、四十八年度の米価決定にあたって、いままでのような予備費の目まぐるしい変転、こういうことはもう繰り返すべきじゃないと思うのです。だからこの辺で、四十八年産米の米価について明確な考え方、これは米審にもちろん出すわけですが、米審に出す政府考え方、この辺はもうそろそろきめておかなくちゃならない段階だと思うのですよ。何か関係各省と十分協議して出すと言われておりますが、それは大体いつごろの見通しになりますか。
  62. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど芳賀さんにも率直に申し上げましたとおり、今日まだ何とも申し上げられる段階じゃございません。これから米審の問題ももちろんでございますし、諸般の状況を十分考慮に入れて適切な態度を表明したいと思いますけれども、いままだ今日のこの時点で、いついかようにということを申し上げる段階ではございません。
  63. 庄司幸助

    ○庄司委員 もう一つ伺いますが、これは食糧庁長官でもいいのですが、いま言ったようなやりとりを聞いておられたと思いますが、この間も当委員会農林大臣にも質問しましたが、いわゆる米の需給をめぐる動向、つまり今後の気象の状況は明らかになりましたから、それと世界的な食糧不足状況、この辺からいって、ことしの米に対する農林省考え方、買い入れ制限は相変わらずやらなければならないのか、この辺は今度の政府の米審に対する諮問の重要なポイントとなるので伺いたいと思うが、買い入れ制限は相変わらずやるという基本に立って答申を行なうのか。それからもう一つ、生産調整も相変わらず続けるという前提に立って諮問をするのか。それから世界の食糧不足の動向をどう踏まえて諮問するのか。その辺はどうですか。
  64. 中野和仁

    ○中野政府委員 生産調整と買い入れ制限、これは対になっているわけでございます。すでにことしの予算委員会等の御論議でもいろいろ出ましたわけでございますが、農林省といたしましては、二百五万トンの生産調整をやる、それから八百十五万トンの買い入れの予約限度数量をきめる、それをすでに県を通じ町村、農家の段階まで現在行っておるところでございますので、これを撤回するということは考えないつもりでございます。  それから、世界的な穀物の不足状況をどう踏まえるかということでございます。これは、幸い昨年の日本の米につきましては非常に豊作でございまして、当面の需給事情は全然心配はございませんが、やはりそういう事情は絶えず注目をしておきながら、国内の米につきましては完全自給というたてまえで私は進めるべきであるというふうに考えております。
  65. 庄司幸助

    ○庄司委員 長官、それでは四十八年産米について米の保有量、いわゆる備蓄ですが、これはいまの世界の食糧不足状況からいって、何カ月分くらいとすれば十分だというふうに考えますか、その辺。
  66. 中野和仁

    ○中野政府委員 四十八年産米というお尋ねでございますので、これはまだこれから植えつけが始まるところでございます。作いかんに非常によるわけでございます。現在農林省の計画といたしましては、来年の端境期になるわけでございますが、七十五万トンの端境期の持ち越しをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。七十五万トンといいますと、大体一カ月ばかり、もう少しになるかと思いますが、大体その程度でございます。ただ、その時期には四十九年産米を、普通の年でありますれば二百五十万トンすでに政府が買い入れをしておりますので、合わせますと三百数十万トンになるということになるわけでございます。
  67. 庄司幸助

    ○庄司委員 次の問題に移りますが、今度は四十六年食管特別会計予備費の問題です。この予備費が業務勘定以外ほとんどゼロであります。全然使われていない。この問題でお伺いしたいのです。これは買い入れ数量が少なかったため使わなかったのか。この予備費として計上しておいて全然使わなかった、これはどういう意味か、お伺いしたいのであります。
  68. 中野和仁

    ○中野政府委員 御指摘ありましたように、四十六年につきましては業務費につきまして若干の予備費を計上いたしました。計上といいますかお願いいたしたわけでございますが、それ以外につきましては当初予算の範囲内で全部おさまった、こういうことでございます。
  69. 庄司幸助

    ○庄司委員 時間でありますのでこの辺でやめますけれども、私は最後に大蔵大臣あるいは農林当局に強く要望しておきたいのは、先ほど言いましたように、世界的な食糧不足の傾向はもう顕著である。しかもそういう中で目ざとい業者が米の買い占めに狂奔した事実もあります。こういった事態が出てくるのは、日本の農業のあり方の問題についての政府考え方に私は一つ問題があると思うのです。言うならば、日本の農民は、田中首相の列島改造論によりますと、現在就業構造で一六%ぐらいの比率を占めておりますが、それを四%に減らす、つまり農民が多過ぎる、それからいわゆる生産性が日本の農業は低い、その点で生産性を高めるなどといっておりますが、この生産性はなかなか上がるわけがないのですね。そこで政府としては、いわゆる低賃金を維持するために低米価政策をとっていく、そのために外国から買えばいいじゃないか、そういう結果、アメリカやカナダ、その他から小麦をどんどん買ってきている。小麦の自給率はほとんど四%。天ぷらうどんを食ってみて、国産品は何々かと思って計算してみたら、水とネギしか入っていない、こういう状況ですね。こういうかっこうで一体日本人の食糧を今後どうやって確保するのか、私は非常に定見がないんじゃないかと思うのですよ。そして農民の生産者米価引き上げの要求に押されて、いつでも目先のしょっちゅう変わるものは予備費支出でもってそれで政策転換を行なっていく。全く行き当たりばったりの状況なんですね。こういった日本の農業を破壊するような予算の問題、特に予備費のつけ方、こういった政策が強行されているわけですから、こういったものは今後やめて、しかも予備費は党利党略のために使われるべき筋合いのものではありませんから、ぜひ予備費について今後十分考え直していただきたい。特に四十八年産米について、また去年と同じような予備費使用でもってああいうつかみ金的な支出をやる、これはぜひやめるように、そして、日本の農民がほんとうに立てるような予算の組み方をしてもらいたい、この点を強く要望しまして、私の質問を終わらしていただきます。
  70. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 坂井弘一君。
  71. 坂井弘一

    ○坂井委員 簡明率直なる御答弁をお願いしまして、質問に入りたいと思います。  愛知大蔵大臣がお見えでございますが、大蔵大臣はかつて財団法人日本文化住宅協会に関係していらっしゃったようでございますが、今日までのこの協会の事業の経緯あるいはその内容等については御存じでしょうか。
  72. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この協会が設立されたころに、いまはなくなりましたが、当時の岩沢参議院議員から御要請をいただいて、理事の一人になりましたことは事実でございますけれども、その後、官職につきましてやめまして、その後、全然どういうふうになっておるか、実は承知しておりませんでした。昨年の暮れ、大蔵大臣に就任しましてしばらくいたしましてから、本件の訴訟問題等についての経過を事務当局から聞きまして、それからあらためて本件のその後の状況あるいはその間の状況というものを承知をいたしました。
  73. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは、私からあらあら経緯を申し上げます。  この財団法人日本文化住宅協会、設立は昭和二十五年七月の十日でございます。武蔵野市八幡町二丁目十五番七に所在いたしまして、土地が二万三千百八十七坪、建物が三万四千七百九十一坪、これは延べでございます。経緯につきましては、戦後、旧中島飛行機、これは富士産業株式会社の所有でございますが、ここから、戦時補償特別措置法によりまして、国が収納した。したがって、国有財産となった。これがおのおの日にちは違いますが、建物につきましては昭和二十四年十二月二十九日、土地につきましては二十五年六月十九日となっております。その後、昭和二十五年七月の五日ごろ、日本文化住宅協会の設立の申請がなされました。五日後の七月十日に協会設立が許可になっておりまして、それから四カ月後、つまり十一月の八日、日本文化住宅協会と国との間におきまして、売り払い契約が締結されました。金額につきましては、七千九百六十八万三千百四十三円であります。この土地は、四百八十六万余円、建物は七千四百五十万余円、土地の値段につきましては、坪当たり単価約二百十円であります。総計いたしまして、七千九百六十八万三千百四十三円ということであります。  そこで、この代金の支払いにつきましては、第一回の分納金の期日が二十六年二月二十日ときめられておりました。ところが代金の支払いがないというので、その後、同年十二月二十五日に売り払い契約の解除を行ないました。ところで、それを不服といたしまして、協会は国を相手どって訴訟を提起した。それが二十九年五月十八日であります。  その後、一審から最高裁に至るまで、第一審判決におきましては国が勝訴するわけでありますが、高裁から最高裁に至りまして国が敗訴します。したがって、この物件は日本文化住宅協会のものに帰するわけでございますが、文化住宅協会は四十四年十二月十八日、契約当時の金額、十九年後でございますが、七千九百六十八万三千百四十三円を納入いたしまして、土地につきましては四十五年三月三十一日、建物につきましては四十五年五月十四日登記を完了いたしました。  その以前、これは安保条約の規定によりまして、米軍住宅区域として接収されたわけでございますが、ここに駐留いたしておりました米軍が、本年の一月二十五日に横田基地に移転をいたしまして、いまこの土地、建物はそのままの状況で何もございません。米軍はそこには住宅として住んでおりません。そういうあらあらの状況であります。  そこで大臣にお伺いしたいのですが、この売り払い契約の内容でございますが、これはどうあったかということですけれども、あまり詳しく御存じないかもしれませんので、私のほうから申し上げますが、契約の内容につきましては、ここに契約書がございます。これはなかなかお出しいただけなかったので、私のほうから入手いたしました。この中に、第九条「甲は乙が」つまり国は協会が「本契約の義務を履行しないときは無条件で本契約を解除することが出来る」こうなっております。その他数項目ございますが、問題の、特に重要な個所でありますが、つまりそうしたことが契約書の中にきわめて明らかであります。ところが、第一審におきましては、この契約に基づきまして国は勝訴いたしますが、高裁以後国が敗訴した。一体なぜ国が負けたんだろうか。つまり、民法適用の規定により、契約条項に基づいて、第一回の分納金が納まらない、したがって、国は民法の適用の規定によりまして契約解除をした、これは当然の行為だと通常思われます。したがって第一審判決においては国は勝訴。ところが高裁で負け、最高裁で負けた。一体その主因は何であったでしょうか。主因だけ簡単にお答えいただきたい。
  74. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 本件につきまして、最終的に最高裁で敗訴いたしましたおもな理由でございますが、これは四十四年七月四日の最高裁の判決書に理由として書いてございますけれども、実はこの払い下げ物件中に、当時賠償物件として指定されました機械がございまして、この撤去移転が直ちにはできないという事情があったということ、それからもう一つは、この相手方協会の債務不履行、これは第一回の代金支払いを、再三の督促にもかかわらず、しなかったというところに国は契約解除の理由を求めているわけでございますが、これに対しましても、こういった賠償物件があったというような事情、それから、契約解除いたしますときに、通常、国は二、三回の督促だけではしないでもいいのじゃないかというような事情、そういうことからどうも信義誠実の原則に反する、こういうように判断されまして契約解除は無効であるという判決になったわけでございます。
  75. 坂井弘一

    ○坂井委員 つまり、ここに米軍に対する賠償機械が存在した。この賠償機械は動かすことができない、撤去不能であるということ。それから国は突如として他に転用する目的をもって米側にこの物件を引き渡す、こういう行為に出た。それは信義誠実の原則に反するというのが、高裁、最高裁における、いま局長からの答弁もございましたが、理由として、そして結審は国が敗訴した、こういうことであろうと思います。そこで、いまも御説明ございましたが、大蔵省は何回にもわたりまして契約解除をする旨の通知をしております。その記録等につきましてはこちらにございます。えらい念の入った督促でありまして、何回も何回も繰り返す、それに対して協会は応じない、したがって、契約解除をした、この限りにおいては、民法上の行為としてはこの解除は当然過ぎるほどの当然である。しかるに、いま出ましたように、契約できないものを契約した、ここに私は重大なこの問題の今日に至る混乱を起こす原因があった、こう見るわけでございますが、このことについては後ほど触れてまいります。ただ、国が異常なまでに譲歩したということ。これはたとえば井上関東財務局長の証言において、「新規契約でこういう例は(注、解除しないで代金納入を待つこと)私はほとんど記憶がない。」これはたいへんな好意を国は示したということですね。そういう状態で何回も何回も契約不履行なものを猶予してきたという異常な好意を示した。このことは間違いございませんか。
  76. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 契約解除の事前におきまして再三にわたりまして督促いたしまして、その上相手方からいつまで待ってほしいというような陳情もございましたが、これもそのまま認めて期日を指定したわけでございますが、それにもかかわらず納付がなかった、こういうことでございます。
  77. 坂井弘一

    ○坂井委員 それからさらに第一審判決におきまして文化住宅協会が主張しておりますことは、国は協会が基本財産がわずかに百万しかない、つまり、金のない協会であるということを百も承知しておったということが明らかにされております。銀行融資あるいはその他の寄付金とかでもってこの物件の取得の財源に充てなければ、協会自体は金を持たない、そのことも百も承知しておったということでありますが、間違いございませんか。
  78. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 そのとおりでございます。
  79. 坂井弘一

    ○坂井委員 つまり異常なまでの好意を示した。金もない、期限が来て金を払わない、それでも解除しないでずっと何回も来た。非常におかしな状態が続いた。そういう状態の中でなおかつ国が負ける、これは一体なぜなんだろうか。先ほど申しましたように、本来的にこの物件は契約できる状態にはなかった。つまりアメリカに対する賠償機械が存在した。これは指定を受けておる移動できない賠償機械が約三千五百余台ある、そのことを国は知っております。協会も知っておる。当事者間はよく知っておるのです。契約なんかできる状態でないということをわかりつつも契約をした。こんなばかな話は私はないと思うのですけれども、ずばりその辺についてはいかがですか。
  80. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 賠償機械の関係についてちょっと御説明させていただきたいと思いますが、この建物は元中島飛行機株式会社の武蔵野製作所の工場であったわけでございますが、昭和二十一年二月二十日に工場自体が賠償施設に指定されまして、その工場内にありました飛行機製作の機械、四千二十八台あったわけでございますが、これが全部賠償機械に指定されたわけでございます。そこで、昭和二十五年に売買契約を締結いたしますに際しまして、この賠償機械を売買の対象から除外いたしまして、売買契約書の第十一条に規定がございますが、その規定におきまして国とこの機械の管理人、当時は中島飛行機株式会社の後身でございます富士産業株式会社でございますが、国と富士産業株式会社とが、協議いたしまして、「管理保全に万全を期すると共に」機械の移転等は協会の負担において行なう、こういう規定を設けていたわけでございます。その機械が、昭和二十七年四月二十八日に解除になったわけでございますが、それまでの間はこの移転撤去が容易でないことは事実でございますが、契約当時におきまして確かに双方そういうことを了知していたわけでございますが、その判断といいますか、移転撤去がそうむずかしくはないのではないかというように判断したような節がございまして、それが予想に反しまして、これは移転撤去が非常にむずかしいということが後にわかったということが、これは古い話でわかりませんけれども、裁判所の記録などに出ておるわけでございます。そこで、契約にあたりまして、こういった点につきまして何らかの対処のしかたを考慮しておけばよかったのではないかといまから考えますと思う次第でございます。
  81. 坂井弘一

    ○坂井委員 いまそういう言い方をされます。これは指定されておった、そんなことはよく知っておるのです。  それでは申し上げます。協会の林専務理事、この方は元内閣の情報局の情報官であります。つまり政府の高官であります。事情はよく知っております。昭和二十四年——いまはやめておりますが、かつて官庁在勤中この物件を知って、物納さされるであろうということを予測した。そこで払い下げを思い立った。どういう方法を講じたか。つまり財団法人を設立するということであります。先ほど申しましたように、申請からわずか五日目に許可になった。そして日ならずして、数カ月後この契約が締結できた。この場合、協会設立の理事長は岩沢忠恭さん、当時参議院議員、元建設省事務次官であります。ときに愛知大蔵大臣理事に就任された。そこで第一審判決の中に、原告の設立の目的、役員の選定等すべて当時の大蔵省及び建設省首脳部によって慎重に企画選定せられたものであります。きわめて明確であります。設立当時の役員、その時点におきますところの現職または前歴についてお示しいただきたい。
  82. 大津留温

    ○大津留政府委員 設立時の役員の現職または前歴でございますが、理事長の岩沢忠恭さんは、いまお示しのように、元建設省事務次官で、当時は参議院議員でございます。理事愛知揆一先生は、当時参議院議員。中村重喜さんは大和建設株式会社の副社長です。それから、松前重義さん、これは元逓信院総裁でございます。小林秀彌さん、元経済安定本部建築課長。理事の山沢真龍さん、前建設大臣秘書官。理事の林文爾さん、元内閣情報局情報官。監事塚越虎男さん、日本銀行監事。同じく監事甲田勝博さん、これは明確でありません。
  83. 坂井弘一

    ○坂井委員 私ずいぶんおかしいと思いますのは、二十五年七月に協会が設立されました。愛知さんが時の理事であります、自来八年間、つまり昭和三十三年六月まで協会におられた。役員をつとめられた。ところが、岸内閣が誕生いたしましたのが昭和三十三年の六月十二日であります。ときに、当時愛知参議院議員は岸内閣の法務大臣に就任されました。つまり、それを境にしてみますと、それまでは裁判になっておりますから愛知さんは協会の側であります。立場がかわりました。今度は国の側であります。つまり、原告と被告、これが同一人物である。しかし、法務大臣になられた六月十二日に協会をおやめになっていらっしゃる。間違いないでしょうか。
  84. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私の記憶では、もっと前にやめておるはずであると思いますけれども、その的確な証拠物件は持っておりませんから、いまおあげになったそのときには当然やめております。
  85. 坂井弘一

    ○坂井委員 第二審の判決が三十三年の十一月六日にありまして、国が負けましたときのあなたは大臣であります。五カ月前にはたしか協会の理事であった。これはお確かめいただきたいと思うのですが……。これではどうもすっきりしない、納得できないものがある。しかも、この土地、建物がすでに駐留軍に提供すべく昭和二十六年八月、提供物件のリストに載せられてあった。これは契約解除以前です。判決の中に明白であります。この事実に相違ありませんか。
  86. 大津留温

    ○大津留政府委員 恐縮でございますが、もう一回お尋ねをお願いいたします。
  87. 坂井弘一

    ○坂井委員 では申します。つまり、この物件を米軍に提供するということで、提供物件のリストに載せられてあったのは、二十六年の八月ごろである。契約解除の前にすでにリストに載せられてあった。表向きはそれはリストに載せられてあった分であります。正式に閣議決定したのは二十八年の八月四日、それから安保条約の規定により米軍住宅区域として接収されて引き渡されたのが十二月二十三日、こうなっております。いま申しました一連の経緯間違いございませんか。
  88. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 実は、私は契約解除のリストに載せられた時点は存じませんけれども、米軍に提供いたしましたのが昭和二十八年十二月二十三日と存じております。
  89. 坂井弘一

    ○坂井委員 裁判記録をしっかり確認していただきたいと思います。  そこで、国が敗訴したことによりまして、これは先ほど申しましたように協会の所有に帰したわけであります。そうなりますと、その間これは米軍に提供してここを宿舎としたというわけで、国は協会に対して借料を払わなければならない、そういうことになりました。年度別、科目別にいかほどの額を支払おうといたされましたか、お答えいただきたい。
  90. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 米軍に提供いたしましたのは、ただいま申しました二十八年十二月以降でございますけれども、その借料を払うという問題につきましては、実は最高裁の判決が昭和四十四年七月四日にありましてから、その判決に従いまして、協会が国に対しまして売買契約の代金約七千九百万円を昭和四十四年十二月十八日に納付いたしております。国といたしましては、代金の支払いがない以上は引き渡し義務が発生してない。したがいまして、引き渡しの義務が発生しておりますのは昭和四十四年十二月十八日でありますので、それ以降の借料については責任を負いますけれども、それ以前につきましては、民法の原則に従いまして、国は果実を収受できるけれども、相手方に借料を支払う必要はない、そういうことで現在争っておるわけでございまして、その昭和四十四年十二月十八日以降の借料の総額につきましては、防衛施設庁のほうから御答弁申し上げます。
  91. 秋山房夫

    ○秋山説明員 お答えいたします。まず、計上予算の経緯からお話しいたしますけれども……。
  92. 坂井弘一

    ○坂井委員 経緯はけっこう。金額だけ……。
  93. 秋山房夫

    ○秋山説明員 四十四年十二月十八日から昨年年度末までの金額といたしまして約八千六百万、それから四十五年の四月一日からその年度末までの一年間の分約三億二千万、それから四十六年度分といたしまして三億四千万、それから四十七年度分といたしまして約三億五千五百万、そのくらいの額を予定いたしておりました。
  94. 坂井弘一

    ○坂井委員 それぞれ予算科目を教えてください。
  95. 秋山房夫

    ○秋山説明員 お答えいたします。組織、防衛施設庁。項、施設運営等関連諸費。目、提供施設等借料という科目で考えております。
  96. 坂井弘一

    ○坂井委員 四十四年、四十五年もそのとおり間違いございませんか。
  97. 秋山房夫

    ○秋山説明員 失礼いたしました。成立いたしましたのが四十六年度と四十七年度の二カ年度分でございます。
  98. 坂井弘一

    ○坂井委員 では大蔵省にお聞きしますが、四十四年度、四十五年度分はいかなる科目で計上いたしておりますか。
  99. 秋山房夫

    ○秋山説明員 支払い時点におきまして、実行上で実施いたしたいというふうに考えておりまして、もしどうしても捻出できない場合には、予備費等でお願いいたそうか、そういうふうに考えておりました。
  100. 坂井弘一

    ○坂井委員 えたいのわからぬお金ですね。はっきりしない。よろしいでしょう。つまり、予備費でしょう。やむなくということでしょう。つまり、大臣、国が敗訴した、これは重大な問題。さらにそれに対して借料も支払わなければならぬ。これは二重の国損ですね。たいへん遺憾なことだと思いますが、いかがですか。
  101. 愛知揆一

    愛知国務大臣 本件をそもそも契約解除にしたということは、私は政府態度としては当然のことだと思います。したがって、判決についてとやかく申し上ぐべき立場に私はおりませんけれども、残念である、私はさようにあえて申し上げたいと思います。しかし、最高裁の判決もここで確定したわけでございますから、その条件下において善処するより方法はない。どうしたらいいであろうかということについて苦慮いたしておるのが現状でございます。
  102. 坂井弘一

    ○坂井委員 公団のほうについてお伺いしたいのですが、つまり、国民の共有財産であるこの国有財産に対して、さらに国費をもって年々借料を支払わなければならぬ。しかも、そのことがいまだに解決を見ない。これは公団にすでに約百五十億という請求が来ておる。それが解決つかない。これらについて主務大臣として私はまことに遺憾の意を表明してしかるべきであろうと思うが、いかがですか。
  103. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は、いま申し上げましたように、払い下げを受けたが、そもそもがそれに対して第一回から支払いをしていない。そして、それに対しては、当時の当局が手を尽くして督促その他をやったけれども、ついにそういう事情がなかったというので、結果を生まなかったから契約を解除するということは当然であった。これは何としましても、判決のことをとやかく言うわけではございませんが、当局側としては残念であったといわざるを得ないと思います。したがって、今後善処すると申しましたのに対して、どういうふうに具体的に考えるかというお話でございますが、たとえば賃借契約を結ぶとか、やはりこれは協会を相手にしていろいろの折衝をしなければなるまいと思いますし、これらの点につきましては、また具体的にとくと事務当局や関係省の間とも相談をしまして、結論的な態度なりあるいは折衝なりをいたしたい、かように考えております。
  104. 坂井弘一

    ○坂井委員 では立場を変えまして、この協会の内容についてお伺いしたいわけであります。まず、この協会の事業目的は何か。定款ございます。第三条「この協会は文化国家建設の一翼を荷うため、文化都市の建設並びに適切なる土地に文化住宅を建設し又は従来の住宅を改造して、国民の住宅難緩和を図るとともに、国民の福祉厚生並びに育英関係の施設を建設し、以って国民の生活改善と健康増進とに資することを目的とする。」第四条「この協会は前条の目的を達成するために次の事業を行なう。」つまりそうした関係事業が十一項目ございます。これが協会の事業の目的でございます。この協会は事業をしておりますか。どうですか。
  105. 大津留温

    ○大津留政府委員 先ほど来御指摘のような経緯で、今日まで土地の所有権をめぐって訴訟をあるいはそれに関連する訴訟をやってきたというのでありまして、本来の事業は今日まで何ら行なっておりません。
  106. 坂井弘一

    ○坂井委員 本来の事業は今日まで何一つ行なっていない。何一つ仕事はしておりません。  経理内容。この経理内容がきわめてまたおもしろい。銀行借り入れ金、今日まで約十三億。間違いであったら訂正してください。そしてそのお金はほとんど人件費あと事務費だとか事業費だとか需要費だとか諸費だとかいろいろありますが、接待交際費あるいは旅費交通費会議費等々、しかし人件費は約三分の一を占める。こういう経理の内容が収支決算書によって明らかになっております。仕事は何もやっていない。入ってきた金は銀行からの借り入れ金三億数千万使っている。今日まで大体十三億になるかと思います。それが人件費に充てられる。その人件費、役員の給与、現在この協会にはどのような役員がおられて、その人の前歴はどうで、そして給料はいかほど出ておりますか。
  107. 松野幸泰

    ○松野政府委員 設立当時の役員とその給与及び現在の役員とその給与について御説明いたします。
  108. 坂井弘一

    ○坂井委員 現在のだけでけっこうです。
  109. 松野幸泰

    ○松野政府委員 設立当時の役員は、理事長岩田忠恭氏外理事六名と監事二名で、無給でありましたが、現在の役員は、理事長益谷委次外理事十六名、監事二名であり、その給与は、理事長が年俸、月割りに払われますが、百二万円、他の理事のうち有給の理事九名については、九十三万円から三十二万円となっております。定款に定める業務内容は、国民の住宅難緩和をはかるため、宅地及び住宅の賃貸、分譲事業、宅地造成等の事業を行なうこととしております。  過去におけるおもな事業は、グリーンパークあと地の利用計画の立案の検討。最近の経理内容は、先ほど御指摘もありましたが、昭和四十六年度支出金額は約三億五千万であるが、事業収入が皆無であるため、全額借り入れ金に依存しております。
  110. 坂井弘一

    ○坂井委員 建設政務次官、ごもっともらしいことをおっしゃるが、事業はやっていない。計画はある、それはりっぱな計画はありますよ。あるけれども、やっていない。二十三年間事業は何一つやっていないのです。そして、いま申されるような多額な給料が借金によってまかなわれてきた。こんな法人がありますか。行管いらっしゃいますか。行政管理庁はこの種の公益法人についてはしばしば監察をしていらっしゃる。そして指摘もしばしばある。私はいまだかってこれほどでたらめな法人は聞いたこともない、見たこともない。幽霊法人です。しかも先ほどからの経緯で申し上げますとおり、あたかも国盗り物語の現代版を地で行くようなものだ。このようなひどい法人はほかにありましたか。
  111. 笹倉三郎

    ○笹倉説明員 お答えいたします。当庁が四十六年に実施いたしました公益法人の指導監督に関する行政監察におきましては、ただいま御指摘になりました法人につきましては調査をいたしておりません。ところが、ほかの法人につましては、会計経理を適正化する必要が認められるものとか、あるいは業務とか、あるいは財産内容、財産状況の適正化をはかる必要があると認められるものが出ております。それらにつきましては、所管省庁におきまして適切な指導監督並びに運営を強化していただくように勧告いたしております。
  112. 坂井弘一

    ○坂井委員 私が質問している趣旨は、いま申しましたような、つまりこの法人はこの国有地を取得するために設立された法人である、つまり二十三年間事業は何もやっていない。そればかりにしがみついてきたわけです。事業量に比べて人件費がかなり大きい。だから、もっと公益法人としてしっかり仕事をしなさいよと指摘をしている。事業は何もしていない。人件費は全部借り入れ金である。多額な報酬が出ておる。こんな法人はほかにありますかと聞いたのだから、あるならある、なければない、こう答えていただきたい。
  113. 笹倉三郎

    ○笹倉説明員 事業を事実上実施しておりません法人がほかに見られました。
  114. 坂井弘一

    ○坂井委員 事実上事業をやっていないのがこの日本文化住宅協会である。つまり、この種のこのような法人は、幽霊法人は他に例を見ない。ひど過ぎますよ。建設政務次官、この法人に対して監査されますか。
  115. 大津留温

    ○大津留政府委員 先生指摘のように、訴訟の結果、時価にいたしますと百億を優にこえる土地を所有し、またあの場所の国からの使用損料の収入もおそらく何十億になろうかと思われるわけでございます。これだけの国からの財産を取得するに至ったわけでございますので、この土地を有効に利用いたしまして、本来の事業をやってもらいたい。はたして、そういうことができるような体制になっておるか、また従来の経理が妥当であるかどうかということは、この法人を監督いたします建設大臣といたしましてはたいへん重大な問題と考えたのでございます。したがいまして、この武蔵野所在の土地がいよいよこの協会に引き渡される段階になりましたので、実はことしの二月から今日まで、いろいろな観点で監査を行ない、去る三月には建設省の職員六名が三日間にわたりまして協会に行きまして、現地でいろいろな帳簿その他の資料を調査いたしまして、その運営がはたして妥当に行なわれておるか、また今後これだけの事業を行なうのに、やっていける適格性があるかどうかということを監察したわけでございます。その結果につきましては、いろいろ協会に対して照会をいたしておる事項もございますので、最終的な結論はまだ得ておりませんけれども、現在までに監察した結果から申し上げますと、一つは、ただいま御指摘のように、本来の事業をまだやっていないのに有給の役員が多数おりまして、しかも相当高額な給与を得ておる、いずれ相当の財産あるいは損料の支払いがあるということを見越して放漫な態度でそういったものを支出しているという疑いが私自身も抜け切れないのでございます。  また従来の経理の内容を見ましても、この林専務理事個人の借り入れ金と協会自体の借り入れ金とが混淆しているような疑いもなきにしもあらずでございます。そういう点で、国の財産を払い下げを受けて公共的な事業を行ないますためには、やはりそういった経理のしかた、あるいは役員の構成等々につきましても刷新を要する面があるのじゃないかというふうな感じがしております。  なお、この監督、監査は今後続行いたしまして、結論を得ましたならば、それに従って的確な指導を行ないたいというふうに考えております。
  116. 坂井弘一

    ○坂井委員 厳重なる監察をお願いしたいと思いますが、二十五年の契約時が七千九百万そこそこ、十九年後の同じ金額で取得した当時の地価が、坪単価二百十円、現在二十五万、二万三千坪の土地が約四百九十万で取得して、それが今日五十億、膨大なものです。しかも、その上にさらに百五十億という請求を国は受けておる。それがまだ未解決である。そういう状態。ある人をしていわしめれば、あたかもどろぼうに追い銭じゃありませんか。協会の内容等からしまして、いまおっしゃるような、でたらめきわまると思います。住民、国民は絶対にこれは納得できない。武蔵野市の周辺の住民は、ことしの一月に米軍が横田へ引き揚げた、グリーンパーク付近にも国有地がございますが、これらも市へ返還してもらえるのだろう、公園もつくりたい、住宅もつくりたい、こういう話がいま盛んに起こりつつある。こういう事実をこれではどう感じますか。しかも政府は、何とかして住宅困窮者のために、国民の、庶民の住宅地の提供ということを名目として、農地にまでみなし課税をかけて、庶民の住宅は土地がないのに、こんな国有地があるのです。それが今日このまま何にもなされずに、そうして協会のものになって五十億という財産を取得しておる。まだそれに金を出そうとしておる。年々未執行である。一時は予備費を計上した。折り合いがつかない。いつまでこんなことをやりますか。先ほど大蔵大臣は、たとえば賃貸契約等何らかの方法を講じて、こういうことをおっしゃった。ある意味で私は、最高裁まで行った問題でありますから、結審を得た問題であって、それには触れるすべは何一つないとおっしゃるかもしれぬが、たとえば再審という手もある。やはり何らかの努力をして、国民が、都民が、住民が納得するようなそういう姿勢を示さなければ、爆発しますよ。二万三千坪の土地に、かりに公営住宅で標準タイプの中高層五階建て、二DK約一千戸建つ。三千八百五十人住むことができるのですよ。協会はもちろんようやくにして、ここに住宅を建てるんだ、三十三階建ての高層住宅、高級マンションみたいなものだ、六千人収用する、計画ははなはだりっぱであります。これはいつ果てるともわからない。したがって、もう一歩踏み出した、大蔵大臣の住民、国民の側に立った御答弁をひとつ求めたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  117. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は、率直に言って、まことにごもっともな御意見であると思います。何とかひとつ知恵を出して、国民的な立場で納得のできるような解決方法を見出したい、かように考えております。
  118. 坂井弘一

    ○坂井委員 そこで、私はずいぶんこの件について、大急ぎで申し上げたわけでありますけれども、一審、二審、最高裁等の判決記録等については入手いたしております。あるいは法務省の訟務課から出されましたこの記録についても、この経緯についてはかなりつまびらかであります。たんねんに読みました。こういう一連の経緯の中ではなはだしく疑問を持ちますことは、つまり一人二役のまことにおみごとなサル芝居であったということです。  もう一度もとに戻しますけれども、つまり契約できない状態の物件を、国とそれから元政府の役人、高級官僚、国会議員との間において売買契約をなされた。そうして結果的には、この国有地が、先ほども示されたようなそうした官僚、元官僚あるいはまた国会議員、それらを役員とする、また多額な報酬をとる、そういう協会の物件に帰した。一人二役のみごとなサル芝居だと思います。したがって、ここで私が委員長にお願いしたいことは、裁判における一切の記録の提出を求めたいわけでございますが、この件について理事会でひとつ協議をいただきたい。  私の質問を終わります。
  119. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 ただいま参考人として日本住宅公団から総裁南部哲也君、理事大田満雄君及び理事上野誠朗君の御出席を願っております。  なお、参考人からの意見聴取は、委員質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。  それでは、吉永治市君。
  120. 吉永治市

    ○吉永委員 私は、補給金の問題を中心に論議をしてみたいと思います。昭和四十六年一般会計予備費から日本住宅公団に対する補給金として三十億円余が支出されております。この補給金のあり方等について若干の質問を試みます。一問一答的に参りたいのでございますが、時間の関係もございますので、集約的に款項を追って一括して御質問をいたします。御答弁もそのようにお願いをいたします。  その第一番目。日本住宅公団は、昭和四十年度から昭和四十七年度にわたり一般会計より百六十九億円の補給金の交付を受けております。これは御承知のとおりでございます。これによって賃貸住宅入居者の家賃の軽減がはかられている。しかしながら、近年極度の家賃の上昇傾向、これはこの程度の補給金では家賃は値上がりせざるを得ない状況にあると思われる。今後のこれに対する対策、見通しはどうであるか。建設大臣はお見えになっておりませんので、政務次官並びに公団の総裁にお伺いを申し上げます。  その第二点。分譲宅地は原価販売によらずに、若干の利益を見込んで家賃軽減に使用するということが考えられないものかどうか。このことは総裁に御答弁を願います。  第三に、政府が補給金を出しておる賃貸住宅については、入居者の所得の最高限度というものを設ける御意思はないかどうか。住宅公団設立の本旨からいたしまして、できるだけ収入の少ない人をできるだけたくさん入居せしめる。所得の少ない人があとからあとから住宅公団に押しかけてくるというのが現況であります。その状態にありますのに、高額の所得者の人がいつまでも蟠踞するということは、理の自然でもありませんし、また公団設立の趣意にももとるものかと考えます。その点において高額の、ある限度を設けて抑制をするという趣旨がおありかどうか。  その第四点目は、昭和四十七年度末における賃貸住宅は四十四万六千戸に達しておる。これだけ管理戸数が増加すれば、もちろん管理もたいへんでありますし、管理費用もばく大な費用になってくる。したがって利子補給金もふえていく。この際思い切って賃貸住宅の払い下げに踏み切り、大幅な払い下げを考えられないものだろうか。そのような計画がもしおありとするならば、その企画の内容をお聞かせ願いたい。これは大臣と総裁に御答弁を願います。  第五番目は、公団の長期借り入れ金の残高が四十五年度末一兆一千八百億円にのぼっております。その内訳としまして、政府資金が五千八百三十億、民間資金が五千九百八十億にのぼる。年間の利息の支払いだけでも七百二十六億円に達しておる。しかしながら、借り入れの状況は、金利の高い民間資金を先に使用して、政府資金は借り入れ繰り延べ額が多い形となっておる。このことは改善していかなければならないと考えておりますが、いかようなものでありますか。また支払い利息の軽減、家賃の上昇を押えるためにも、政府資金の増額を思い切りはかるべきだと考えておりますが、いかがでございましょう。この点、大臣と総裁にお答えを願います。  以上七点、集約いたしましたが、お答えをお願いします。
  121. 松野幸泰

    ○松野政府委員 両者に御質問がありましたが、私のほうに対する御質問に対してお答えいたします。  第一問の、住宅公団は昭和四十年から四十七年までの一般会計から百六十九億円の利子補給を受けているが、賃貸住宅の家賃上昇の抑制に役立っていないと思われる、公団賃貸住宅の家賃上昇の抑制策はどうか。これに対しましては、建設省といたしましては、地価及び工事費の値上がりによりまして、公団賃貸住宅の家賃は御承知のように年々高騰しているが、その抑制策として従来から、家賃算定のための金利を六・五%から五%に引き下げるための利子補給と、家賃が高額となる面開発市街地住宅に傾斜家賃制度を採用してきた。昭和四十八年度においては、さらに家賃を抑制するため、家賃算定のための金利を〇・三%引き下げて四・七%にするとともに、傾斜家賃制度の適用範囲を一般市街地住宅及び団地高層住宅にまで拡大することとした。   〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕 なお、今後とも国公有地の活用、用地の先行取得の活用及び住宅建設の工業化等を積極的に推進し、建築費の低減をはかることによっても家賃の抑制につとめてまいりたい。  第二問でございますが、政府が利子補給を行なっている公団住宅の入居者について所得最高限度額を定めるべきだという御趣旨でございますが、公団住宅は、住宅の不足の著しい地域において、住宅に困窮する勤労者のために供給されるもので、実際の入居者は大都市の中堅勤労者がほとんどであるが、中には相当高額な所得の勤労者もおります。本来住宅の家賃等はその世帯の収入に見合った適正なものであるべきであるので、公団住宅の入居者の所得上限の設定については、現在住宅宅地審議会に諮問中の、今後の住宅政策の基本的体系における公団住宅の位置づけ等の検討結果を待って処理してまいりたい。  次が、昭和四十七年度末の公団賃貸住宅は四十四万戸にも達しているが、管理能力、管理経費、及び累積する利子差額を考えた場合にも、入居者に払い下げを実施すべきだという御質疑でございますが、都市勤労者の住宅難にかんがみ、公営住宅はもちろん、公団賃貸住宅も必要であることはもちろんであり、今後も賃貸住宅の建設は実施する予定である。その反面、既設賃貸住宅の中には、入居者が長年かわることなく、また今後継続して入居を続けるような例が少なくない。このような住宅はいわば賃貸住宅が持ち家住宅化しており、その居住者も一定期間経過後は所得も向上しておる。このような賃貸住宅については、その居住者が希望する場合に限り、一定の条件で譲渡をすることにより入居者の居住の安定をはかるとともに、住宅建設に要した投下資本を回収することによって新たな賃貸住宅を建設し、その戸数を増加することも方策の一つと考えられる。しかし、既設賃貸住宅の譲渡は実施上種々問題が生ずることも考えられるので、特定の団地について試験的に実施した上、その成果を踏まえて一般に実施する考えでございます。
  122. 南部哲也

    ○南部参考人 お答え申し上げます。家賃の高騰をいかにして抑制するかということにつきましては、公団といたしましても絶えず苦労をいたしておる次第でございまして、昭和四十一年から補給金の制度ができまして、それまでいろいろと出資等がございましたのが、金利差六分五厘の政府資金を使いまして、これを家賃計算上は五%ではじいております。したがいまして一・五%の分につきまして決算補助で補給金をいただくということで現在まで来ておりますが、明年度につきましては、さらに五%を四・七%ということにいたしまして、家賃の引き下げはこれによって千二百円程度引き下がるということになろうと思います。  第二点の、分譲宅地に若干上乗せをして利益を見てはどうかというお説でございますが、現在の建設省令等におきまして公団等に課せられております宅地の分譲につきましても、これは利益を見ることは許されておりません。したがいまして、工業団地の造成団地は別でございますが、一般の宅地の分譲、住宅地の分譲につきましては、利益を上乗せしないで原価でお分けするということで現在まで進んできておる次第でございます。土地が非常に高くなっておりますので、その付近の地価とはちょっと差がございますので、その点を少し考えたらどうだという御意見であろうかと思いますけれども、現在までのところは、そういう制約のもとで公団は仕事をしております。  それから最後の資金の問題でございますが、最近に至りまして、四十六、四十七、四十八年と、政府資金の割合がふえております。民間資金よりも政府資金の割合がふえまして、四十八年度のごときは政府資金が七〇%というふうにふえてまいっております。したがいまして、われわれといたしましても、できるだけ、願わくはこの金利の安いほうの政府資金で仕事をしていくということが望ましいと考えておりますので、そのように努力していきたいと思っております。
  123. 吉永治市

    ○吉永委員 これは公団の範囲を少し逸脱しておるかとも思いますが、けさほどの新聞紙上の建設大臣の談話で見るところによりますると、市街化調整区域の既存のデベロッパー等が持っておるような土地も思い切って開発のワクの中へ入れたい、そのような所信が解明されておるようでございます。このことは、公団の状態からやや逸脱した範囲になりますけれども、将来できるだけ安く勤労者の手元に土地を供給できるというたてまえにおいて私たちは非常に歓迎すべきことだ、要すればこのことは大蔵省中心に建設、自治、その他の各省が寄って、新しい角度から土地政策というものを、市街化区域のみによらずして、調整区域を大幅に政府で取得して、それにしかるべき造成を施して、勤労住民、特に中堅層のまじめな人人に土地を供給する、その大きな国策に沿うものだ、このように考えて拝読したわけでございますが、このことに対しまして、政務次官、いかがのおつもりでございましょう。
  124. 松野幸泰

    ○松野政府委員 御趣旨の点全く同感でございまして一私たちのほうは、いろいろ皆さま方の御理解を得て、強力に推進してまいりたいと思います。
  125. 吉永治市

    ○吉永委員 大蔵大臣もおいでになりましたので、利子補給金の交付のことで若干質問を申し上げます。  昭和四十年度から四十二年度までに交付を受けた利子補給金は六十億円ございます。その間に支出したのは五億円にすぎない。その結果、四十二年末には五十五億円の残がございました。四十三年度以降四十五年度まではこの残分の使用によってまかなわれてきたものであります。このような交付金の使用方法についてどのように考えておられるか、そのことが一つでございます。  また、四十三年度以降の補給金の交付について、従来の予算計上から決算結果に基づくところの方法に改められた理由もそのあたりにあるのじゃなかろうか、このように想像いたしますが、いかがなものでございましょう。この補給金は、四十七年度の場合を申し上げますと、四十七年度一般会計予算の概算要求で十分間に合うものを予備費使用されておる。予備費使用せざるを得なかったというその理由が何であろうか。御承知のように、災害とか、あるいは予見しがたい事態が起きたというような場合に予備費から使用するというのが一応基本の原則であると思いますが、この場合、予備費からどうして簡単に使用なさったか、そのことが第二でございます。   〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕 その前に四十六年の十月の補正予算にどうしてこれを予算として出さなかったか。憲法の基本原則にもとるのじゃないか。このようなことを利子補給の面から大蔵大臣の御説明をいただきたいと存じます。
  126. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ちょっと中座して失礼いたしましたので、前段の御質問はあるいは私、正確に理解できなかったかもしれませんが、住宅公団等の決算の結果を見て、あと予備費から補給金を支出するのは予備費の性格にもとると考えられはしないかというような御趣旨であったと理解いたしまして、一応御答弁申し上げます。  予備費は、御承知のように予見しがたい予算不足に充てるためということになっておるわけでございますが、住宅公団に対する補給金は、借り入れ金等の資金の運用による利息収入相当額等と当該借り入れ金等による支払い利息との差額を決算上の金額の確定を待って補給するものでありまして、その額は七月末の決算確定後初めて確定するものでございますから、当該補給金の支出予備費使用によって措置することは、予備費使用の要件であります予算作成時に予算しがたい予算不足に該当するものである、かように政府としては考えておるわけでございます。それから、四十六年度において予備費で補給金三十億六千百万円、これは四十五年度の利子収支の差額でございますが、これはただいま申しましたように、七月末の決算確定後にはっきりするものでございますので、予備費をもってまかなって問題がない、かように考えたわけでございます。  それから同時に、四十七年度予算に計上するよりも、四十六年度中に支出したほうが公団の経理上も望ましいと考えたことも一つの理由でございます。  その次に、四十六年の補正予算に計上することはどうであったのかという点でございますが、四十六年度の補正予算は、御案内のように景気対策上必要な経費など緊急を要する経費に限って、その当時の財源状況とにらみ合わせて計上を行なったものでございまして、ただいま申し上げた経費につきましては、補正予算のそういった性格上、その当時には計上を見送ったという経緯でございます。  御質問の趣旨を取り違えておりましたら、あらためてまた補足して御答弁申し上げます。
  127. 吉永治市

    ○吉永委員 ただいまの大蔵大臣の御説明で十分了承できます。  論理がいささか飛躍いたしますが、予備費使用について、これは財政法第三十五条第三項ただし書きの規定に基づいて大蔵大臣が認定されるという項目を、別表で三十六カ条にわたって指定をされております。この中に原爆障害者の医療費とか、生活保護費の補助金とか、災害救助費とか、先ほど仰せられましたような予見できない事柄に対する支出の認定権というものが大蔵大臣にまかせられてあるというのが予備費使用の大体眼目であろうかと存じます。  ここで少し飛躍をいたしますが、公害の問題に予備費とからました状態で考えてみたいと考えております。いままで予備費から支出をされました公害の事件等に関しましては、川崎市の生田でございました関東ローム層の事件で科学技術庁の職員たちが災難を受けられて、それに対するいろいろな支弁の処置が予備費から出されたようでございます。さらにイスラエルのテルアビブの飛行場の不慮の事件に対しましての見舞い金も予備費から支出をされたように記憶をしております。この間の裁判で判決が出たようでございますが、飛騨川の例の水害によるところの惨害、バスの事故でございますが、裁判の結果、国の道路管理が悪いということで国が敗訴になった。このことに対しての費用の支弁がどういうことになりますかはよく存じませんが、このことも、あるいは岩手の上空で航空事故がありました、あのことに対してのことも、事柄によっては、また帰趨によっては予備費使用ということもあろうかというようなことも考えるわけでございます。  実は昨日でございますが、水俣の助役さんや総務部長さんたちが私のところに参りました。チッソの会社のあるところでございます。さらにその水俣市周辺の津奈木という町の町長さん、助役さんも一緒でありました。その隣の町の芦北という町、これは熊本県では一番大きな町でございますが、その町の町長さんたちも一緒に見えまして、第三次の認定患者が水俣市だけで三百人から上回るでしょう、津奈木町で二百五、六十名になるでしょう、芦北町で四百名から五百名の間でしょうか、さらに対岸の天草群島等を加えますと、たいへんな数になると思います、こういうようなことを言ってまいっております。御承知のように、公害に関しまして、被害者に対する処置としましては、国として一応万全な処置がとってあられるようでございます。公害防除の事業者負担法によりまして、国が被害者に対するところのいろいろな公、官、民の医療の手帳あるいは医療費の支給等、あるいは公害防止事業団を経て都道府県知事が認定をして、それから被害者に対するところの処置、あるいは公害対策基本法に基づいて、国家のこれに対するいろいろな手当ての処置等に関しまして、特に公害にかかわるところの無過失責任法によって施業者が、事業主体が損害賠償として被害者にとる方法その他のことで、一応万全の処置がとられておるやに考えられます。しかし、現地におりまして、さらに現地の声を聞きますと、このようなことも企業体あるいは被害者を含むところの一体としての国家の恩典、国家の施策というものの一貫性があるかどうかということになると、まことに欠如しておると考える次第でございます。非常になまぬるいおざなりなもので、一応法的の施策がとられておるというだけの印象しか受けない。生きた行政指導というものがなかなかない。このような状態におきまして、国がとっております事業者がこれを負担をするという事業者負担の原則は貫かれなければなりませんけれども、ただいま申し上げましたように、次々と認定患者がふえてこられる、この方法に対しまして、企業体が、この間のように一人に千六百万とか千八百万とか支払っていかれると、企業体も限度が来るのは一応目に見えております。企業を育成するということもまた国の責任であるし、企業に従事しておるところの従業員、その家族というものも三万に近い人数でございます。さらに最も重視しなければならないものは患者でございます。その患者が、もうどん底の状態でうめいておる。これからまた新しい手を差し伸べなければならないという状態でございますが、その患者に対するあたたかい手でさえも、企業体がつぶれてしまったならばどうしようもない。おそらく、このままの状態でいきますならば、チッソの場合あるいは神通川流域の会社、工場等の場合、いずれを考えてみましても、これはいわば会社更生法的な事態、それをとらざるを得ない事態に立ち入るということは、明白な事実でございます。これを、予見し得ない事実か、予見し得る事実か、その認定の根拠は別といたしまして、私はその間に処するところの大きな国家の手というものは、視角を変えまして、新しい手がここに及ばなければならない、このような考え方をするものでございます。  予備費の問題に返りますが、これとの関連におきまして、私は、予備費の中から将来これに支出をできる、そのような制度、そのようなことを大臣お考えになっておるかどうか、その辺のことをお伺い申し上げとうございます。
  128. 愛知揆一

    愛知国務大臣 具体的に水俣の例をあげての御意見でございますけれども、これはなかなか微妙な問題でございまして、あくまで企業側が責任を持つべきものである、そして、企業としては、判決その他に服して、またそれ以外の面に対しましても、十分会社側としては責任を感じて、資金的な手当てもいたしておるので現状と承知いたしておるわけでございまして、この線で解決ができることを私は第一義と考えておるわけでございます。その間に処して、政府としてこれらの補償金が十分支払えるように何らかの意味で援助、指導するということも場合によっては必要かと考えますけれども、同時に、いま御質問の点はさらにもっと広い立場での御質疑であると思いますが、現にこの予備費の問題にいたしましても、いま御指摘のような点は、やはり予見しがたい予算不足に充てるために予備費として相当と認める金額を計上することは、財政法の二十四条でも認めておるところでございます。現に四十八年度におきましては二千三百億円の予備費が計上されております。したがって、特に新しい制度を財政制度の上でつくることは考えないでも、現行の制度のもとにおきましてただいまの御意見のようなことはカバーできるのではないか、こう考えますが、なお、とくとひとつ今後の問題としては検討さしていただきたいと思います。
  129. 吉永治市

    ○吉永委員 現行制度の上で十分勘案できるという大臣の御答弁でございますが、そのことは、企業体が支払い能力の限界に来た、あとはそれをバックアップする銀行等の支援によらざるを得ない、そういうことについて政府として督励なりあるいは援助の処置を講じよう、そういうことばでございましょうか、お伺い申し上げます。
  130. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは企業の自主的な努力によって処理すべき問題でございますけれども、政府として好意的にこれに対する援助、指導ということは、場合によって考えてしかるべきではないか、かように考えております。  それから、いま申しましたように、もっと広い範囲で、たとえば会社自身がもうそれでは立ち行かない、つぶれてしまう、そしてお気の毒な方々に対する救援の措置ができないというようなことをもカバーするような制度が現にあるかということになりますと、現在はそこまではございませんけれども、場合によりましては応急的な措置として何らかの措置が、あるいは予備費支出ということでもカバーできるものがあるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。  さらに、もっと今後の状況を予測しながら備えをつくる必要があるかどうかということについては、さらにとくと検討さしていただきたい、こういう考え方でおる次第でございます。
  131. 吉永治市

    ○吉永委員 大蔵大臣けっこうでございます。  通産省の方々ですが、通産省に繊維の問題で若干お尋ねをしてみたいと思います。  四十二年の七月二十五日に御承知の特定繊維工業構造改善臨時措置法という、別にいいますスクラップ・アンド・ビルドという一つの規制ができました。このことは設備の近代化を根幹とする業界の体質改善ということにその主目的がございましたことは御承知のとおりでございます。その時点から逐次日米間の繊維問題というものが浮揚してまいりましたが、日米の繊維問題がはっきり政治問題化してまいりましたのは四十六年度になってからでございます。アメリカへの繊維の輸出のこのままの現況を見過ごしておったならば、アメリカとしては規制措置に乗り出す、課徴金等を取り立てるというようなアメリカの意思発表によりまして、これに対して日本の業界が自主規制に乗り出してきた。自主規制に乗り出しましたのが大体四十六年の前半であったかと記憶をいたします。自主規制の声明を出しましたのが四十六年の七月一日でございました。これに対して、政府はまた閣議決定をもって、四十六年の五月二十一日にこの自主規制に対する保護の処置を打ち出しました。これがいわばその前半の予備費使用の眼目になったわけでございます。その後半になりまして、御承知の日米繊維がどたんばにぶつかりまして、いわば政府交渉に乗り出さざるを得なくなった。そのあとで御承知のように見切り発車というようなことになりまして、政府間協定が四十六年の十月に調印になったわけでございます。この間に支払われましたところの金額でございまするが、その第一の自主規制のときにおきまして、予備費から補正として六十一億八千三百万円、それから四十七億一千四百万円、合計百八億九千七百万円という金が繊維業界に援助されたわけでございます。さらに四十六年の後期、第二回目に国が政府間協定を結んだという事態において、四十六年の後期に予備費として国家の予算から支出されました金が百三十億でございました。この総計が二百三十八億九千万円になっておるかと存じます。  そこでお尋ねでございまするが、この金を繊維業界にいわゆる積算しながら支払っていった、その積算の根拠、算出の根拠というものがどういう行き方をなさったのか、そのことをひとつお伺い申し上げたい。そのことが一つでございます。  それから、その場合に日本の繊維業界が持っておりました織機が、有籍織機が七十万台あった。無籍織機が十二万台であった。この予備費というものは当然七十万台に対して支払われた、このように解釈をしておりますが、存置されたこれら未処置の無籍織機というものはどうなっておるのか。とりあえずこの二点の問題についてお伺いを申し上げます。
  132. 齋藤英雄

    ○齋藤(英)政府委員 お答え申し上げます。ただいま先生指摘のように、総額約二百三十九億円程度の金が紡機、織機等の買い上げの費用として計上されたわけでございますが、これはいずれも日米間の繊維交渉の結果、ある場合におきましては業界の自主規制、ある場合におきましては政府間協定、こういうものに対しまして対米輸出の規制をしなければいけないという、こういう事態が生じてまいりました。したがいまして、今後繊維産業の構造改善を推進するという観点から、この際抜本的に過剰設備の解消をはかろうということで計上されたわけでございます。それで、この費用は、いずれも繊維産業が非常に市況産業である点がございます。したがいまして、需要減退ということに対しまして緊急に対策を打つ必要がある、あるいはこれによりまして転廃業を余儀なくされる方が出てくるおそれが非常に大きいわけでございますので、その転廃業の円滑化ということをはかる必要がある、こういう観点で緊急に予備費を計上していただきまして、これを支出をいたしたわけでございます。それで、これは一応いま申し上げました事態の緊急性、それから業界の転廃業の見通し、それからそれに伴います設備の買い上げ事業の準備状況、こういうものを勘案をいたしまして積算をいたした次第でございます。  それから第二点の、いわゆるこの買い上げは登録をしております織機を対象にして行なったかどうか、あるいは登録をしていないいわゆる無籍織機といわれておるものに対してはどういうふうにしておるか、こういう御質問でございます。言うまでもなく、織機の買い上げにつきましては、有籍織機を対象に買い上げをいたしております。それから現在無籍織機の問題につきましては、政府からこのような多額の金を支出いたしまして繊維工業の抜本的な構造改善事業を行なっておるわけでありますから、片方登録がない織機があるということにつきましては、これはいろいろ問題がございますので、昨年来いろいろ各方面の御意見を徴しまして対策を進めてまいりまして、一定の条件のもとにこれを有籍化する等の施策を講じてまいったわけでございますが、現在いろいろな事情がございまして、やや基本的にいろいろ考え直さなければいけないという事態になってまいりました。したがいまして、私どもは、片方いわゆる有籍者と申しますか、登録織機を保有しておる方、この立場も考え、片方登録をしていない方、これは零細業者の方もかなりおられますので、そういう方の立場も無視はできない、こういうふうな観点を踏まえまして、両方の観点から対策を進めるべく強力にいま努力をしておる最中でございます。
  133. 吉永治市

    ○吉永委員 基本的に考えた対策を現在立案、企画をしておられるということの御答弁でございますが、四十六年度会計検査院指摘によりますと、返還分の台数百三台、これは認めない。金額にして三千八百万円余りでございますけれども、ここには何かよろしからぬ事態が生じたようでございます。さらに業種転換の希望等入れますと、二百六台というものが過剰支払いというようなことになって、若干この間いろいろ計算上に十分慎重でない点があるのじゃないか、このような世論もちらほら聞こえてまいるような状況でございます。ここで無籍織機を有籍に切りかえるという方法はどのような処置、手段を講じられておるか、お伺いしてみたいと思います。
  134. 齋藤英雄

    ○齋藤(英)政府委員 いま御指摘がございましたように、昭和四十六年度のいわゆる繊維工業構造改善対策費並びに特定繊維産業特別対策費の織機の買い上げをいたしますその一部につきまして適当でない事例があったこと、私ども非常に遺憾であったと存じております。買い上げをいたしました機関は繊維工業構造改善事業協会及び商工組合等でございまして、この買い上げをいたしました機関につきましては、いずれも特別法に基づく法人でございますから、この機関に買い上げを行なわせたということにつきましては、これはそう適正でないということではなかったのではあるまいかと考えますが、先ほどお話もございましたように、いわゆる政府交渉は十月に仮調印をいたしまして、それから閣議決定がございましたのが十二月でございまして、それから年度末までの間、相当短期間に膨大な数の企業につきましてこれを対象にいたしますために、遺憾ながらそういう事態が生じたわけでございます。いずれにいたしましても、いかなる事由にいたしましても、そういう事態が生じましたことは、私どもとしてはまことに遺憾であったと存じております。したがいまして、これにつきましては、早急に関係の構造改善事業協会及び関係の商工組合等、あるいは関係の府県に対しまして、厳重に注意をするように通達をいたしておる次第でございます。  それから、いまお尋ねがございました有籍化の問題でございますけれども、これは、現在いろいろその方法につきまして鋭意努力をしておる最中でございますので、いま少し御猶予をいただきたいと存じております。
  135. 吉永治市

    ○吉永委員 ただいま局長の御説明で、十分いろいろな不明朗な事柄を究明する、さらにまたこれからの処置に万遺憾なきを期するということで、この問題は別の機会に、社会党の芳賀議員からも質疑があっておりますので、以上をもちまして私の質問を終わります。
  136. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員長 これにて質疑は終了いたしました。この際、暫時休憩いたします。    午後二時一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕