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1973-05-09 第71回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月九日(水曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 宇都宮徳馬君    理事 木野 晴夫君 理事 森下 元晴君    理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君    理事 芳賀  貢君 理事 庄司 幸助君       荒舩清十郎君    中村 弘海君       濱野 清吾君    吉永 治市君       高田 富之君    原   茂君       田代 文久君    浅井 美幸君       坂井 弘一君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 江崎 真澄君  出席政府委員         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         厚生省医務局長 滝沢  正君         自治政務次官  武藤 嘉文君         自治大臣官房会         計課長     紀埜 孝典君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省財政局長 鎌田 要人君  委員外出席者         運輸省港湾局管         理課長     鈴木  登君         自治大臣官房企         画室長     横手  正君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本  武君         自治省財政局公         営企業第一課長 柴田 啓次君         会計検査院事務         総局第一局長  服部 桂三君         会計検査院事務         総局第五局長  中村 祐三君         公営企業金融公         庫総裁     荻田  保君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   中尾  宏君     佐々木秀世君   中村 弘海君     高見 三郎君   吉永 治市君     小山 長規君 同日  辞任         補欠選任   小山 長規君     吉永 治市君   佐々木秀世君     中尾  宏君   高見 三郎君     中村 弘海君 五月九日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     折小野良一君 同日  辞任         補欠選任   折小野良一君     池田 禎治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十五年度政府関係機関決算書  昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (自治省所管公営企業金融公庫)      ————◇—————
  2. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  昭和四十六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外三件、昭和四十七年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)外二件の審査のため、日本住宅公団から参考人として関係者出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人出頭の日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 昭和四十五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、自治省所管及び公営企業金融公庫について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がございますので、順次これを許します。木野晴夫君。
  6. 木野晴夫

    木野委員 私は、四十五年度決算のうち自治省関係につきまして、若干の質疑をいたしたいと思うのでございます。  この問題をいたします場合に、会計検査院決算指摘事項是正事項各省いろいろあるのでございますが、自治省としましては四十五年度もなしと、ずっとないわけでございます。しかしながら、検査院の見ております部門といいますのは、検査院という非常に限定せられた面から見ておるのでありまして、私としましてこの際質問いたしたいことは、自治省仕事としましては地方公共団体、府県なりまた数多くある市町村、これが健全であるか、また住民ニードにこたえて十分にやっているか、そういった点が自治省としましてはどうかという点ではなかろうかと思いますので、少し範囲を広げて質問をいたしたいと思うのでございます。  それで、国の財政地方財政というものを見てまいりますと、たとえば本年度予算事項で申しますと、国の財政規模は十四兆二千八百四十億円、それに対しまして、それでは地方財政幾らであるか、これまで十四兆幾らである、こう発表になっておりますが、ダブりがございますから、これを減らしてまいりますと、大体形としましては国のほうは十四兆何がし、それに対しまして地方公共団体地方財政としてはぐっと減りまして八兆何がし、こういうふうな形をとるのではなかろうかと思います。一般の方々は、だから国が二、地方が一というふうに見ておると思うのでありますが、しかしながら、御承知のとおり所得税法人税、酒税、こういった三税の三二%は地方交付税として渡しておりますし、その他すべての仕事も、あるいは補助金としてやるわけでありますから、仕事としましては、私は国の活動する分野よりも実際は地方公共団体の果たしておる仕事が多い、このように思うのでありますが、まず第一、少しこまかくなりますから財政局長にお聞きしたいのでありますが、ことしの傾向で言いますと、国はこれだけの予算だ、地方財政としてはこれだけの規模だとなっておるが、いろいろ移しかえると、それはどの程度になっておるか。それと同じように四十五年で申しますと、どの程度規模でどの程度関係になっているか。実際移しかえるとこうなっておるのだという点を、概数でけっこうでありますから答えていただきたいと思います。
  7. 鎌田要人

    鎌田政府委員 お答え申し上げます。四十八年度におきましては、国は一般会計予算、それから地方財政計画規模でございますが、御案内のとおり、国の財政規模が十四兆二千八百四十億、地方財政計画規模が十四兆五千五百十億円でございます。それに基づきまして、ただいま御指摘になりましたように、国は地方に対しまして交付税その他の支出金を出しております。地方団体は国に対しまして直轄事業分担金等を出しておりますので、これを差し引き勘定いたしまして、実質規模に置き直しますと、国が八兆二千四百十五億、地方が十四兆二千三百十八億ということでございまして、国が三六・七%、地方が六三・三%でございまして、おおむね一対二、国一に対して地方が二、こういう関係に相なります。  なお、昭和四十五年度決算規模で申し上げますというと、国の財政規模が八兆五千九十三億、地方財政規模が九兆八千百四十九億。同様の操作をいたしますと、実質規模におきましては国が四兆五千九十四億、地方が九兆六千八百八十七億でございまして、この比率は三一・八%対六八・二%、約一対二の割合です。おそらく四十八年度最終ベースでもこれと同じような形になるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  8. 木野晴夫

    木野委員 このように地方財政の果たしておる実際の仕事といいますのは、国一、それに対しまして地方二というふうに、非常に規模も大きくて、またそれだけに大事であると私は思うので、そういった点について自治省におきましてはもっとしっかりとやってもらいたいと思うわけであります。  それで、四十五年を考えてみますと、ちょうど一九七〇年代に入った、これからは内政の年だとというふうなスローガンで発足したと思います。この傾向はこれからも非常に強いように思うわけであります。そういった場合に、福祉だとか内政中心、そういったことが問題になってまいりますと、地方公共団体で果たす仕事が非常に多くなってくる。国のほうでこうだと画一的にきめるよりも、むしろ地方公共団体中心にしていくべき仕事が多いのじゃなかろうかと思うのであります。それで自治省においてもそういった点を十分に認識してやっていくということが非常に大事であると思うのでありますが、このときの地方財政を見てまいりますと、昭和四十三年、四十四年、四十五年は実は地方財政のほうから国に金を貸しておる。地方財政が金が余ったといいますのは、実はこの三カ年だけでありますが、最近また非常に悪くなってきております。実はそのときに金をば国に貸しておるわけなんです。私は、地方財政がいいときもあれば悪いときもある、いろいろあると思うのでありますが、こういったことを制度的に考えて、国から三税の三二%受けておるわけでありますが、それを余ったら地方財政でプールしておいて、地方財政のほうでそれをやっておる。もちろんそれが余って貸すというときには三二%のうちでどうするかという問題がありますから、それは自治省としては問題だから妥協したと思いますが、この三二%三税でもらっておる。これはいいとしておいて、余ったときに国に預けるというふうなことではなしに、たとえば地方財政全体としてそれを受ける構想を考えるとか、これはいま金がありませんから、こんなことはちょっとないと思いますが、そういうふうに、国との関係においても、特に問を置いた、自主性を持った運営をはかるというふうな考え方も必要であろうし、また先ほど申しました地方公共団体地方住民ニードにこたえるという、こういうことを言ってまいりますと、ちょうどこの時分から都市化傾向というものが非常に強くなってきておるわけであります。私、実は人口急増地帯対策関係仕事をいたしておりますが、四十年に比べて四十五年はどうだというふうなことから人口急増を取り上げておりますが、三十五年くらいからこの傾向が非常に強くなってきておると思うのであります。そうしてこの傾向はますます強くなってくると考えるが、この都市化傾向に対しまして、自治省においてはどのように考えておるか、また地方財政としてどのように対応すべきであると考えておるか、ちょうど政務次官来ておられますから、この点についての考え方を伺いたいと思います。
  9. 武藤嘉文

    武藤政府委員 いま御指摘の、まず過去の問題でございますけれども、たぶん御指摘の点は、交付税の勘定の中にありまして当然配分されるべきものを、地方財政が豊かであるからということで、そのまま国に貸した、これはけしからぬじゃないかという御指摘だと思います。この点につきましては私も同感でございまして、やはり当然配分すべきものは各地方自治体に配分をいたしまして、そうしてそこで地方自治体が、それが余ってくれば財政法に基づいて積み立て金をするなり、あるいは地方債の過去の分を早く返すなり、あるいはそれを翌年に繰り越して、それを一般財源としてより住民要求にこたえるなり、こういうことをすればもっとよかったのではないかと私は思っております。  いずれにいたしましても、それを引きまして、今後の問題、これはいまお話しのとおりで、逆に地方のほうがいまの状態は非常に苦しいわけでございまして、今後はそういうような形にはなかなかならないだろうと思います。しかしながら、地方財政健全化方向をたどることは当然自治省として考えなければならないことでございまして、従来から地方税法の問題におきましても、いろいろと税制を考えまして、あるいは道路財源といたしましては、自動車取得税あるいは自動車重量税、こういうものを創設いたしましたり、あるいは地方市町村財政をしっかりするために、昭和四十五年度法人税が一・七五%、いま問題になっておりますけれども、上がりました分に見合った分は全部市町村に回したとか、いろいろそういうことをやったり、あるいは四十八年度は、御承知のとおり固定資産税のいわゆる評価がえに伴いまして評価額に応じて固定資産税を課税する、こういうことを最終五十年度にはやりたいと、この三年間で計画をいたしております。これなども市町村財源を何とか確保したい、こういう考え方から進めております。あるいは来年度に問題が起きてくると思いますけれども、いま御指摘大都市におきましては都市整備税あるいは事業所税、いろいろのことばでいわれておりますけれども、何らかの新しい大都市財政にこたえるためにわれわれは税を考えなければならない、こう考えております。そういう税の面での財源確保とともに、やはりいま御指摘のように、大都市においては非常な勢いで人口が増加してまいっておりますし、この過密化に伴いまして社会資本充実が当然要求されておるところでございます。この点につきましては、先生もたいへん御努力をいただきました義務教育施設整備事業国庫負担率の問題などは、校舎の補助率を昨年二分の一に引き上げました分を、今度は引き続いて三分の二まで引き上げるということになりましたし、これはほんとう先生の御努力でございまして、われわれたいへん感謝いたしておりますけれども、それ以外あるいは下水道、廃棄物処理施設都市公園等都市生活環境施設、こういったような国庫補助金のいわゆるかさ上げ、拡充というような問題はいま随時毎年毎年やっておるわけでございます。あるいはそれ以外におきましても、普通交付税あるいは地方債につきましても、都市における生活環境関連施設整備につきましては、交付税の中におきましも算定基準で本年度もいろいろ是正をいたしておるところでございます。今後ともそういう方向におきましてより一そう地方税それから交付税地方債国庫補助金、こういうもののバランスを考えながら、実際にそれぞれの都市がその都市実態に応じていろいろの社会資本充実をしていただく上の財源確保をわれわれはぜひ考えていきたい、こう思っておる次第でございます。
  10. 木野晴夫

    木野委員 自治省考え方をただいま承りまして、方向としてはそういった方向で御努力願いたいと思うのでありますが、第一の点につきましてもう少し申し上げますと、実は税金といいますものは経済対策としてどういう役割りを果たすのかというふうなことで、いまの物価問題その他全体的な問題とからんで、たとえば法人税の増徴ということが来年度考えられる、ないしは法人税を増徴いたしましたときに、経済安定に資するためにある程度ワクを持たせる、またその税収を受けざらとしましてワクを持った運営をするというふうなことが新聞に載っておったような気がするのであります。そういった場合に、三税を受けての地方財政としてどのようにそれに対応するかということが問題になってくるわけでございます。法人税がふえたからそのままくれと言ったときに、いや、これはこういう経済情勢がくるので地方財政には昔のままの率でございますというような話になるのか、いろいろあると思うのでありますが、私は、この三二%は皆さんの御努力によって取ったわけでありますから、これはひとつ大事にしていただくのとともに、先ほど申しました地方財政としましては非常に大きな役割りを果たしておるのだから、これにつきましてどのように考えていくかということで、いろいろ制度として、仕組みとしても考えておいていただきたい、このように思うのが第一点の質問でございます。  第二点につきまして、政務次官から最近の情勢なり自治省としましての努力のあとを話されたわけでありますが、一言に申しまして超過負担解消ということを聞くわけであります。この超過負担解消、これが地方財政の一番の大きな問題であり、自治省の抱えておる一番大きな問題であると思うのであります。いまこのようにしたという話がございましたが、それでははたして超過負担の問題は解消したのか、自治省のほうで四十六年度事業について四十七年度に調べて、四十八、四十九の二年で解消いたします、四十八年度は現にこのようにいたしました、こういうことであるわけでありますが、現に私の手元には、セメントがこれだけ上がってこうだというのが出ておりますから、解決したとたん次の問題がまた始まっておるというふうなことであります。超過負担解消につきましては前にも一回したことがあると思うのでありますが、今回の解消でこと足れりじゃなしに、今回の問題に手をつけたとたんに——まだ少しも解決してない、手をつけたとたんに次の問題がもう大きく出ているというような状態でありますから、この点については、ただいまの、こうした、けっこうですということでは私は終わらないと思う。この点、財政局長がずっと見ておられますから、超過負担解消、これについてどういうふうに考えておるか、局長の話から聞きたいと思います。
  11. 鎌田要人

    鎌田政府委員 超過負担解消という問題は、ある意味におきましては非常に古くかつ新しい問題でございまして、結局四十五年度に、四十二、四十三と実態調査をやりまして、四、五、六、三年度間で、事業規模で大体千二百億くらいだったと思いますが、超過負担解消を行なってまいりました。ところが毎年毎年の各省事務事業、これの補助単価というものが物価値上がりに即応しない、そういう面がございます。あるいはまた補助基準というものにおきまして、地方団体の現実にやっております仕事の中で対象外に置かれるものがある。単価差対象差数量差、こう申しておるわけでございますが、そういうものの相乗という形で超過負担が起こってまいっておるということでございまして、四十七年度に私ども関係各省庁との間で、超過負担が非常に大きい、言われておりますところの義務教育施設あるいは警察施設警察庁舎あるいは保育所公営住宅、こういった四つの施設につきまして、共同の目で実態調査を行ないました、その実態調査の結果に基づきまして、中にはある程度主観的な問題もあろうかと思いますけれども、いわゆる地方団体が地元の要望に基づきましてある程度施行が、一口にデラックスと申しておりますけれども、そういうものもある。そういうものを除外いたしまして、大体超過負担の率といたしまして三〇%、そのうちの九%程度のものは一応そういったものとしての対象外に置きまして、残りの二一%相当分について、四十八年度事業につきまして、超過負担を四十八、九と両年度でやる、これはただいま御指摘になりました超過負担解消の問題でございます。これによりまして、私ども超過負担解消につきまして、かなりの解決を見た、こういう気持ちでおったわけでございますが、そのとたんに、ただいま御指摘になりましたように、非常な物価騰貴、こういう事態に差しかかったわけでございます。もちろん、毎年の予算単価におきましては、年々の物価騰貴に応ずる是正というものも行なわれておるわけでございますけれども、今回のセメント木材等中心といたします物価騰貴はそれをはるかに上回るものがある、こういうことでございまして、私どもといたしましては、公共事業等施行をある程度繰り延べる、地方団体におきましても、それに対応した措置をとることによりまして、ある程度物価の上昇、一時期に事業が集中することに伴います物価騰貴ということに対して水をかけるということを一方で行ないますと同時に、災害復旧でございますとか、あるいは積雪寒冷地帯でございますとか、あるいは学校、住宅等生活環境施設でございますと、ほっておけない、こういうものにつきましては、ある程度高い値上がりの中であえてやらなければならない、こういう問題があるわけでございまして、これにつきましては、その分を予算単価是正をしないということで地方団体施行を押しつけるということになりますと、せっかくの超過負担解消がたちまち足元からくずれる、こういうことに相なるわけでございますので、私どもといたしましては、所管各省、あるいは所管各省を通じまして大蔵省との間で、この問題についてどういう是正をしてもらうか、地方団体にその差額というものを押しつけるということのないような措置を厳にとってもらいたいということを申し入れをいたして、現在、話し合いを進めておる最中でございます。
  12. 木野晴夫

    木野委員 この超過負担の問題は、あなた方考えている以上に深刻な問題があるわけでありまして、いま局長から話がありましたが、単価の問題、これも四十八年度に、建築で申しますと、坪十四万、こういうことで是正したというわけでありますが、地方公共団体のほうでは、十四万でできると思いますかというふうな話もあるわけであります。国会の審議におきまして、一体これはできると思うのかといって、自治省なりまた大蔵省なりが答えに困っておるというのが現状であります。また、補助対象率も、全部をするのじゃなしに、そのうちから適当なところを選んで限定しておるわけでありまして、これにつきましても、超過負担という形で地方公共団体におおいかぶさっておるわけであります。また、土地が非常に騰貴してくるといいますと、その土地の手当てのための補助金は出るのか、また起債の対象になるのか、いろいろ問題はあるわけでありますが、従来は、そういった点につきまして、それじゃ、困っておるだろうからできるだけのことをやりましょう、これだけではどうですかというような観念じゃなしに、みな切っておったというのが常態でありますので、この問題はほんとうに真剣に考えていただきたいと思うわけであります。  この超過負担の問題が解決するときが地方財政のよくなるときであり、土台ができたときだと思うわけであります。これが続いておる限り、私は、自治省行政としては平均以下だと思うわけであります。財政局長のほうから、古くて新しい問題と言いましたが、古い問題であるというふうになるように特段の努力をお願いしたいと思うわけであります。  時間もございませんが、地方公共団体人たちから聞きます問題に、公営企業が非常に悪いのだ、病院それから交通、こういったのが非常に悪いのだ、もうどこも赤字だということを聞くわけであります。それで、そういった問題につきまして、自治省関係、それから公営企業金融公庫とありますから、その辺の関係を聞きたいと思うのであります。  公営企業金融公庫から出ております書類を見てみますと、延べ払いはないと書いてあるのですが、これはその融資対象が内容が非常に健全で、そして延べ払いももちろんないというのならけっこうでありますが、公営企業の面から金を貸して、それはちゃんと回収になっていますという書類があるのですが、だからといって私はうまくいっているというわけにいかぬのです。公営企業対象と申しますといろいろあるわけでありますが、特に病院地方交通企業が悪いといわれておるわけであります。公営企業金融公庫においては私はそういったところに金を貸しておると思うのでありますが、返済がきちんきちんといっているからという報告がありますが、実はこういったことだけではいけないので、ほんとう地方公共団体公営企業とともに実はたいへんなんだということで御心配願わなければいけないと思うのであります。公営企業のうちで一番悪いのは病院地方交通公営企業だとよくいわれておりますが、それの四十五年のどきの赤字はどのくらいあったのか、それから最近の傾向としてどういうことが言えるのか、財政局長から最近の情勢を聞きたいと思います。
  13. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十五年というお尋ねがございましたが、四十六年度決算が最近まとまっておりますので、新しい数字でございますので、それで申し上げたいと思いますが、地方公営企業は全般的に経営状況が悪化いたしておるわけでございます。なかんずく交通事業病院事業、この二つの経営が悪化いたしております。交通事業でございますと、全事業の約七割の事業が営業収益の一一二%、倍以上の赤字をかかえております。千二百九十二億円という累積不良債務をかかえておるわけでございます。また病院は、全事業の約六割の事業が営業収益の一四・二%に当たる三百九十九億円の累積不良債務を有しておる、こういうことでございまして、いわゆる総収益対総事業費率、百円元をかけましてどれだけの上がりがあったかというもので見ますと、交通事業が百円元をかけまして七十七円しか収益がない、あるいは病院事業でございますと、百円元をかけまして九十四円三十銭しか上がりがない、こういう経営の状況でございます。
  14. 木野晴夫

    木野委員 病院につきましては、厚生年金、国民年金の還元融資でやっているわけでありますが、交通企業その他につきまして、上水を含めていろいろあるわけでありますが、それにつきましては公営企業金融公庫というものが設けられていることは私も承知しております。  それで、公営企業金融公庫の総裁も来ておられますので、若干の質問をいたしたいのであります。昭和三十年の初めごろにこれができたわけでありますが、そのときには、東京とか大阪とか神戸とか名古屋とか、そういった裕福な団体は起債を自分で発行しなさい、ところがそうでない府県ないし市町村は、発行するといってもたいへんでしょう、だからそれにつきましては政府保証をして、そして公営企業金融公庫で集めて、それでその金をまかなうということで発足したと思うのであります。しかしながら、発行し得るのは、そのときに内容のよかったものでありまして、いろいろ幾多の変遷があると思うのであります。この前私は書類を見てみましたら、それ以外の府県でも、また大都市でも、その後事情が変化しまして、自分のところでそういったものを発行するよりも、公営企業金融公庫で、政府保証債で発行して、それで仕事をやりたいということで取り入れておりますが、まず第一点に聞きたいのは、昔、債券発行主体としてあった、そういったところ、それと現在なにしておりますこれの調整をどういうふうにするのか、行く行くはどういうふうに持っていきたいのか、そんな構想があれば、それが聞きたいのが第一点。  それから、公営企業は非常に公益的なものでありますから、利子を安くしてくれということで、最近では競輪、競馬とか、そういったほうから納付金として受けまして、利子を安くしているということも私ども見ておりますが、やはり低利で、かつ条件のいい金を貸してほしい、これが公営企業を再建する意味からも必要だからという要求は、私は非常に強いと思うのであります。そこで問題は、そのためには良質の原資を取ってくるということでありますが、それにつきまして、現在政府の出資と、それから政府保証債と、それから共済組合、そういった縁故関係のほうから取っておるのと、それからさっき申しましたギャンブル関係から金を取っておるわけでありますが、公営企業金融公庫の総裁として、私はこの公営企業を立て直すという意味から、良質の原資を持ってくる、そのためにどこら辺に重点を置いてやっていきたい、またやっていこうとしておるのか、この二点をまず聞きたいと思います。申し上げますと、公営企業金融公庫は三十二年にできた。その後幾多の変遷があって、現在まで来ておるわけでありますが、どういうふうに持っていこうとしておるのか。  それから第二点は、非常に低利の、条件のいい融資をしてくれという要望が強いと思うのでありますが、そういった場合、私は問題は融資だと思うので、これのどういった点が問題で、どういった点をどういうふうに努力しているのか、そこであります。
  15. 荻田保

    ○荻田説明員 お答え申し上げます。第一点でございますが、お述べになりましたとおり、当初はいわゆる市場公募債の発行ができる団体につきましては公庫の融資を認めませんでした。これはやはりそういうところにおいても要求がございますので、四十一年度から横浜市、京都市及び兵庫県、これはわずかでございますが、加わりまして、さらに四十七年度に神戸市が加わりまして、そのようになっておりますことは、この傾向をむしろ推し進めるべきであって、市場公募団体といえどもわれわれの金を借りることができるようにするというのがやはりいいのじゃないか。もちろん市場公募を直接できる力があるのでございますから、これも大いに活用する必要があると思いますけれども、あわせて公庫資金の併用も考えたらいいのではないか、かように思います。現に市場公募団体などはことしからふえることになりました。こういうところは、従来どおり公庫資金を貸すわけでございます。そのような並行でもってやっていくのがいいのではないか、こう考えております。  それから第二の良質の資金ということでございますが、おっしゃいますとおりでございますが、ただ、わが公庫の性格といたしまして、いわゆる債券を発行するというのが主たる資金源でございます。このうち政保債と縁故債とございますが、縁故債のほうはどうしても共済組合の資金の積み立てということによって制約されておりまして、限度がございます。したがいまして、残りは政保債の発行の増額に持っていかなければならないわけでございます。したがいまして、われわれとしましてはこれを増額することに今後とも努力していきたい、こう考えております。ただ、われわれ公庫の性格といたしましては、債券を発行したものをなまの利率でもって貸すということがたてまえになっております。したがいまして、かなり高くなっております。それを薄めるためには、政策的に別に補給する、こういうことでございまして、御承知と思いまするけれども、いわゆる上水道、下水道、工業用水道、この三つの水道関係、この市場公募及び借りかえ債につきましては、競馬、競輪等のいわゆる納付金によってこれを薄める、さらに先ほど申し上げましたうちの公営企業借りかえ債を除きました他の上水道等につきましては、政府から補給金をいただきまして、これによって薄める、こういう態度をとっております。やはりわれわれとしましては、資金源がそのようにどうしてもなまの発行方法になるわけでございますので、それを公庫としてなるべく低利に貸すとしましても、そのような薄めるための特別の補給が必要だ、この意味におきまして、国庫補給金の範囲の拡大をする、それから競馬等の納付金は、これはいずれ将来の問題でございますけれども、〇・五でございますのを一%に上げる、このような方法を講じていって、なるべく低利にいたしまして地方の要望にこたえたい、こう考えております。
  16. 木野晴夫

    木野委員 私は、公庫の総裁、それから自治省に申し上げたいのは、地方公営企業が非常に困っておる、そうしてそういった地方公営企業に対して金融公庫がある。発足はそういったものでできておりますが、ひとつこの際、事情も変わってきておるわけでありますから、いろいろ考えて、対応できるように育てていくようにしたい、こう思っておるわけであります。  それで、いま申し上げました原資の点につきましても、努力願って、当面の要望にこたえるとともに、いろいろこれから地方財政の中において役割りを果たす重要なものとなってきますので、いろいろ業務のやり方その他につきましても対応できるようにやっていただきたい。たとえば上水の金を貸すというときに、自治省の許可がなくて金融公庫が貸しておってもおかしなわけであります。金融公庫のほうで貸すときに、貸してしまって、こっちはおりなかったら困るわけであります。そういった関係をどういうふうにしていくのか、どのように権限を渡すのかとか、いまいろいろあるわけでありますが、よく検討して、そうして公庫が地方財政の中で十分に役割りを果たせるようにやっていただきたい。これが公庫の研究課題ではなかろうかと考えるわけでありますから、申し上げておきたいと思います。  その次に、一点だけお聞きしたいのは、公社というのが昔からあったわけであります。各地方に参りますと、公社というものがございまして、公社といいますのは、これは地方公共団体が出資をしておる、ないしは大部分持っておるというものでありますが、公社というのがありまして、公社だったら自治省の監督下にないものだから自由にやれるというようなことで、公社というものが昔ちょっちょっとあったわけでありますが、最近公社というのが非常にたくさん出てまいりまして、どこへ行きましても公社というのが出るわけでありますが、この公社につきまして、自治省のほうの考え方を整理してお聞きしたいと思うわけであります。これは最近非常にふえてきておりますが、公社の概数、どのくらいになっておるか。それから最近公社がふえたのはどういった傾向によってふえているのか。私は、土地公有、公有地の拡大、ああいうものにからんでのものが多いと思うのでありますが、最近の公社の数と、それからふえておるのは、それではどういった傾向でふえておるのだということと、それから、時間がございませんので、公社制度について自治省はどのように考えておるのか。利点はこういった点が利点だ、この点が問題点だ、このように考えておるのだ、それをまとめて担当の方にお聞きして、あと政務次官にお聞きする、こういうふうにしたいと思います。
  17. 横手正

    ○横手説明員 お答えいたします。まず最初に、地方公社の数の面でございますが、昨年の十月一日の調査によりますと、県、市町村合わせまして千九百八十六公社がございます。その中で最も多いのが開発関係でございまして九百八十、その他は農林水産関係あるいは観光関係、こういったものになっております。最近特に公社の数がふえてまいっておりますが、これはもっぱら公共用地等の先行取得のために、資金面で民間資金の導入をはかってまいりたいというような、地方団体の創意くふうというような考え方からしまして公社がふえてまいっておる、こういうような状況でございます。  また、公社に対する考え方でございまするが、地方団体がこうした公社を設けましたには、公社にそれなりのメリットがあったという点がございます。それは民間資金の導入がはかりやすいというようなこと、あるいは事業の執行が非常に弾力的、合理的にできる、こういったような面があるわけでございます。ただ、一方に問題点もございまして、とかく設立団体の監督が行き届きかねるとか、設立団体との関連で責任体制がはっきりしないというような面があるわけでございます。私どもとしては、公社の中で最も主流を占めておるといいますか、多数を占めております土地開発関係につきましては、御承知のように、公法人としての土地開発公社、こういった仕組みを設けることにしまして、監督面につきましても十分規制するような措置を講じてまいっていきたいと思うわけでございます。
  18. 木野晴夫

    木野委員 いまの民間の金を借りる、そういったものについての自治省なり府県なりの監督といいますか、それはどうなっていますか。
  19. 横手正

    ○横手説明員 監督の面でございますが、公法人であります土地開発公社あるいは住宅供給公社、地方道路公社、こうしたものはそれぞれの各法律によりまして監督、規制の措置が講ぜられることになっております。そのほか一般的には、地方自治法の規定によりまして、設立団体の長は必要な報告を求め、あるいは実地に調査しまして、必要によっては必要な措置を講ずることができる、こういう仕組みになっておるわけでございます。
  20. 木野晴夫

    木野委員 いま公社の最近の趨勢と問題点を聞いたわけでありますが、いまもお答えにありましたように、公社だったら民間からの資金も借りられるし、そうして非常に機動性を持てるというふうな点がプラスじゃなかろうかと思うわけでありますが、公有地の拡大の法律に基づきまして開発公社中心で来ておるのが事実でございます。そうして、私が聞きますと、あれでもまだ窮屈なんだ、土地を買うといたしましても、学校用地に将来何するのだということでは買うことはできない、もうある程度きまってしまわないと買うことができないので、もっと機動性を持たすようにやれという要望があるわけでございます。私は、機動性というのは公社制度のいいところだと思うのでありますが、しかしながら、一方ルーズに失しますと、これまたあとでしりぬぐいをしなければいかぬ、こうなってくるわけでありますから、一つのルールが要ると思うわけでございます。この制度は活用よろしきを得れば非常にいい制度だと思うのでありますが、むしろ活用の面においてはもっと活用できるようにしてやったらいいのじゃないか。また場合によっては、民間で資金を融通するのだからというのではなくて、自治省のほうでもいろいろまたこれをあっせんしてやることも必要だと思うのであります。それとともに、いま承りますと千九百八十ある、こういうことでありますから、一体どんなものがあるのかということで、また承知しておらなければいかぬ点もあると思うのであります。認可のときにやっているじゃないかというのも一つの理由でありますが、運営状況を知っているということも大事でありますから、これについて自治省としましても——一応のむずかしいことを言えというのじゃないのです。わかっておるというふうに何かルール的なものがあっていいのじゃないかと思うわけでありますが、その必要を感ずるわけでありまして、政務次官にこの点についてのお答えを聞いておきたいと思います。
  21. 武藤嘉文

    武藤政府委員 いまお話しの千九百八十六あるということの中でございますが、これは開発関係が九百八十、農林水産関係で二百六十八、観光関係で百九、住宅関係が百五、こういう内訳でございます。その中で、先ほど室長からもお話がございましたように、土地開発公社だとか、あるいは住宅供給公社だとか道路公社だとか、こういうものは法律に基づきまして監督を受けておるわけでございますが、それ以外のものにつきましては大体都道府県知事が一般的な監督をしておるわけでございます。私ども自治省といたしましては、やはり都道府県知事が監督をしておられるわけでございますので、その自主性を尊重いたしておるつもりでございます。しかしながら、万が一にも何か問題があれば、これは地方自治法に基づいて適時われわれが指導しなければならないのじゃないかと思っております。と同時に、今後の方向といたしましては、特にいま公有地拡大推進法の改正案も国会に上程をさせていただきまして、御審議を願うことになっておるわけでございますけれども、その中にもございますように、従来と違いまして、今度は都市計画地域におきましては、従来は市街化区域でなければ対象にならなかったのでございますが、今度は調整区域であろうとも、とにかく都市計画区域の中のものはどこでも公有地として買える、こういうこともお願いしたいと思っておりますし、また、いわゆる代替地といたしまして、理由がつくならば、できるだけいま御指摘のようなことも含めてどんどん買っていきたい、こういう方向で今度の法案の改正をお願いしておるわけでございます。そういうようなことで、われわれはできる限り公有地をより多く確保することが現在のような土地実態からいたしますとたいへん大切なことではないかと思いまして、できるだけそういう方向で進めていきたい、こういうつもりでおります。
  22. 木野晴夫

    木野委員 時間が来ましたので質問を終わりますが、地方財政といいますのが非常に大きな役割りを果たしておるのだということでございます。それとともに、どんどん世の中は変わってまいりますから、それに対応して先手先手でいかないと、いつまでたっても地方財政はよくならない、こうなりますから、ひとつそういった点を十分にお考え願いたい。特に超過負担の問題といいますものは、ほんとうに解決したと思ったとたんからもうすでに次の問題が始まっているというような状態でありますから、ひとつこれをばよほどがんばってやっていただきたい。このことを要望しまして私の質疑を終わります。
  23. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 高田富之君。
  24. 高田富之

    ○高田委員 かつてこの委員会でも数年前に公明党の小川さんが取り上げたこともあるわけでありますが、私、きょうは千葉県の埋め立てに関する公営事業のあり方というもの、とにかくあまり例のない大規模なものでありますし、始められました当時の社会情勢とは情勢も非常に異なってきておりますので、この種の大きな埋め立て事業というようなものにつきましては、あらゆる角度から国家的見地に立って再検討をし、相当綿密な監査というようなことをやらなければならない段階にきているということを痛感いたしますので、大臣お見えになりましたら、それらの基本的な点についての御見解を承りたい、こう思っておるのですが、その前に事務当局の皆さんに二、三お聞きしておきたいと思います。  まず第一に伺いたいのは、最近大きな問題になっております公害の問題について、東京湾の汚染状況、それから今回の東京湾埋め立て、そしてここに重化学工業が密集しております。これらの点からの公害その他もろもろの公害、最近公害病なども出ているそうであります。これらの点について環境庁のほうから、大まかに、最近のデータに基づきましてその状況を簡単でけっこうですから御報告をいただきたいと思います。
  25. 岡安誠

    ○岡安政府委員 まず東京湾の状態につきまして御説明申し上げたいと思います。東京湾はやはり海水の出入りが相当悪いということもございまして、相当よごれております。ただ、その水質は季節によりまして相当差異がございます。春とか夏とか秋とか、冬はほぼ良好な状態にあるというふうに見ておりますが、特に夏は非常によごれておりまして、CODで申しますと、五ないし一〇PPM程度というような状態でございます。私どもとしましては、現在その対策としまして、四十六年の五月に環境基準を設定をいたしまして、その維持、達成につとめているところでございます。  千葉県におきましては、四十六年の十二月に一律基準を上回ります上乗せ排水基準を設定をいたしまして、排水規制の強化をいたしておるのでございますが、さらに個々の企業との間におきまして、公害防止協定の締結、さらにその強化等をはかっておりまして、それらの総合的な施策によりまして水質の保全というものの確保をはかっておる次第でございます。
  26. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 千葉県の五井・姉崎地区等の鉄鋼石油コンビナートによる大気汚染の現状と対策を簡単に申し上げます。  その地域の状況は、硫黄酸化物で見てみますと、一応毎年継続測定を行なっております。その測定局二十三局の結果から見ますと、四十六年度におきましては、年平均率で〇・〇二二PPMになっておりましたのが、四十七年度の上半期でございますが、平均値はさらに低くなりまして〇・〇一八PPMになりました。だんだんと規制の効果があらわれてはおりますが、しかし、四月二十六日に中央公害対策審議会から答申されて、近く設定予定をしております新しい環境基準と比較した場合には、なおもう少し改善を要することが考えられますので、新しくできます環境基準を達成目標に排出規制の一そうの強化をはかっていく所存でございます。
  27. 高田富之

    ○高田委員 数年前、たしか五、六年前だと思うのですが、建設省で発表されまして、いまのままの状態でいけば、千葉市、市原市周辺は二十年後には人間が住めなくなるだろうということを発表したことがあるそうですが、そういうことがございましたか。——建設省いないようですからいいです。  いずれにいたしましても、公害問題が最近特にひどくなりまして、沿岸の住民の間に、最近になりましてからいろいろな形の公害に対する運動が起こっておるようであります。最近干がたをつくる会なんというものもできて、運動が始まっているそうです。ああいう大規模な、七十キロにわたるほとんど沿岸全部を埋め立ててしまったのですから、いまのような状況下になりまして、あらためて非常に大きな反省が起こっていると見ていいと思うのですね。こういう状況であり、また東京湾の汚染の状況も、いまもお話がございましたし、昨日ですか本会議で環境庁長官も言われましたように、瀬戸内海の汚染を除去して、きれいな瀬戸内海にするためには、ちょっとやそっとの対策ではもうどうしようもない、部分的対策ではだめだ、総合的な非常に強力な施策を断固としてやらなければならぬし、それをやるつもりだというような力強いお話があった。東京湾はおそらくそれにはるかにまさるものじゃないかと私は思うのですが、そういう点から言いましても、埋め立ての問題につきまして相当思い切った反省、抜本的な考え直しをやって対処しなければならぬというふうに思うわけであります。  そこで、そういうようなことが大きく問題になりますと同時に、現在同県でやっております開発庁の会計というものはべらぼうに大きなものでありまして、一般会計予算にほとんど匹敵するほどの一千何百億というような年間予算で、五千億くらいの金が年間動かされておりますし、開発庁関係で職員も千人余り、千二百人ですか、そういうような膨大な世帯で埋め立てその他の造成事業をやっておるわけです。これは地方自治体といいながら、全く本業のほうの行政事務よりもその企業体の維持運営のほうへ相当頭を使い、何かしなければならぬような事態——埋め立てを方々終わったかあるいは状況変化でこれ以上あまりやってはいかぬということになりますと、その開発庁の仕事の大体八割は埋め立てでしょうから、一千人に余る職員をかかえ、膨大な企業体になってしまっておるものを一体どうしたらいいかという問題、そうなりますと、勢い企業体の維持のために無理しても仕事をさがさなければならぬ、何とかしてやらなければならぬ、そういう事態にもなるのじゃないかと思うのであります。そういう点から言いまして、会計の内容というようなものは相当厳密に国で見ていかなければならぬと思うが、この膨大な資金を動かしてやっております、普通いえば不動産業みたいなものですが、そういうものの中身について、自治省としてあるいは会計検査院として、埋め立ての認可をした運輸省として、どういう監査をどの程度やっておるのか。いままでの制度でやれる範囲ということになるのでしょうが、それでいいのかどうかということですが、どういうことをどの程度押えておりますか。たとえばどういうふうに土地をつくって、それをどういうふうに利用して、どういう価格でどこへどれだけ売ってというようなことを監査しておるのですか、どうですか。
  28. 鎌田要人

    鎌田政府委員 自治省といたしましては、御案内のとおり地方自治法の規定あるいは地方財政法の規定、こういうものによりまして、全般的に地方自治体の行財政運営についての助言、勧告あるいは財務監視、こういう権能があるわけでございますけれども、具体的なそれぞれの団体が、たとえばいまお述べになりましたような膨大な資金あるいは人というものを使って事業をやっておる、これは自治体の権能として自治体において行なわれるわけでございますので、それの内容の監査あるいはその他の業務の全般の執行、こういうものにつきましては、当該自治体の議会あるいは監査委員、こういったところの監視、監査というものにゆだねる、こういうことが基本でございまして、自治省といたしまして千葉県の臨海開発事業に対しまして監査をした、こういう事例はございません。
  29. 高田富之

    ○高田委員 言うまでもないのですが、いま地価がどんどん上がっておる。なぜ上がるか。要するに土地というものは新たに生産できないもので、きまった場所にきまった土地があるだけで、需要がふえれば値が上がるというわけですね。ところが、土地をつくる仕事をいまやっておるわけですね。ないから高くなっておるものを実はつくっておるわけですから、これは膨大な利益を生むことは、常識的に考えて当然わかるわけです。膨大な利益のあがる土地をつくり出すという特殊な仕事をやっておるのです。しかしこれは公営企業ですから、企業体としてはもうけてはならぬという原則があるわけですね。そうすると、そのもうかるはずのものをつくり出すのに、もうけずにつくり出しているのですから、それを利用しておる者の受ける利益というものはどう考えてもばく大なものにならざるを得ないのですね。こういうことについては国は監査しないし、地方自治体にまかせておるということなんですが、これだけ大規模な、しかも影響するところ、さっきの公害問題じゃありませんが、実に国家的見地から厳重規制を加えなければならぬいまの社会情勢の中で、この種の事業が野放しであるということは、私はたいへんなことじゃないかと思うのです。  これはまだほんとうに調査しておるわけじゃないのですが、二、三ちょっと目につきましたことにつきまして実は事務当局の御説明を伺っておきたいと私は思うのです。たくさんあります中の千葉中央地区の埋め立て事業、これだけちょっと例にとってみたいと思うのです。まだほかのほうはあまりよく調査しておりません。ちょっと見ましたところ、すぐ目についたのでございますが、この千葉中央地区の造成につきましては、御承知のとおり特殊な契約がありまして、でき上がった土地の三分の一が県のもの、三分の二が三井不動産のもの、しかもそれは土地で分けるのじゃなくて、できた土地の中の持ち分で分けるというわけですから、共有地みたいなものですが、そういうような契約でやっておるわけでございます。ここで六百十ヘクタールの造成をやりまして、これは全部造成が済んでおるのです。そこで、これはまだ一部売却してないところがありますが、見込みはちゃんとついておるわけでありますので見込み額までを入れますと、売り上げ額が三百二十四億、こういうふうに出ておるわけでございます。  ところで、この千葉中央地区という一地区だけを、いまの特殊な契約もございますので、ちょっと見たわけでございますが、この造成によって、一緒に組んでやっております三井不動産はどれだけの利益をあげたのですか。
  30. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。この件につきましては、私ども関知しておりません。
  31. 高田富之

    ○高田委員 この間資料をお願いしましたところ、あなたのほうで、自治省で県のほうから調査をされまして資料をつくって私の手元へいただいておるわけでございますが、これによりまして御説明を求めましたところ、自治省の担当官の方のお話によりますと、県で三十億の利益があった。これは数字でここに出ております。つまり造成費が二百九十四億、売り上げが三百二十四億で、三十億もうかりました、こう言っておるのです。そうすると、必然的にその倍の六十億が三井不動産の利益でございますという御説明を私は受けたわけでございます。それは間違いないですね。
  32. 柴田啓次

    ○柴田説明員 千葉港中央地区の埋め立て総事業費の見込み額が、県の企業会計といたしまして二百九十四億四千万でございます。それに対しまして見込み得る収益が三百二十四億六千六百万というふうになっております。したがいまして、千葉港中央地区だけ取り上げますと、県の埋め立て事業としては三十億利益があがっておるということでございます。ただ、これが直ちに三井不動産のほうがこの倍の利益があるかどうかということについては、私どもつまびらかにしておりません。
  33. 高田富之

    ○高田委員 ところが、監査報告というのが県のほうで出ているのですが、県会議員さんに聞いてみましたところ、県会議員の質問に対しまして県知事は、六十億の利益が三井不動産にありましたと県会で答弁しているそうです。だからこれは間違いないのでしょうが、ただ、報告書を正式に出しております臨海地域土地造成整備事業会計を見ますと、どうも九十億よりうんと出ちゃうのですね。こういうことは私は相当厳密に国で見ておかなければいかぬと痛感しておるのですが、これは御説明ができますか。できたら御説明していただきたいのですが、いまの九十億の利益というのはどこから計算しているかといいますと、これなんですね。千葉県臨海地域土地造成整備事業会計の報告書のほうに出ている。売り上げを合計するとそうなるんですよ。見込み額を入れましてちゃんとそうなるのです。ほぼ合うのです。ところが、ここで造成されました土地が別の会計、千葉県都市開発事業会計へ売られている分がたくさんあるのです。それでこの千葉県都市開発事業会計の報告書を見ますと、一番初めのほうに、こっちの会計から移された、二十万平米余りの土地を千葉県臨海地域土地造成整備事業管理者から譲り受けたとなっております。一部無償で譲り受けたのと有償のとありまして、こうなっているのですね。こっちの土地がこっちへ移って、以下ずっと分譲したとなっているのですが、こっちのほうにはこっちへ渡したとは書いてないのですよ。どこを見てもないのです。こっちの売ったのだけ合計しますとそうなっているのですが、こっちへ持っていったのと売ったのを入れますともっと大きいものになっちゃうんですね。これはどういうわけでこういう会計へ移したのか。それはわかりますか。どういうことなんですか。
  34. 柴田啓次

    ○柴田説明員 千葉港中央地区は非常に都市的に多目的な利用が可能な土地であったように聞いております。そこで千葉県といたしましては、臨海地域整備事業と新都市開発事業とが協力してこの整備を進めるという考え方で、臨海土地造成整備事業でできた土地の一部を都市開発事業のほうに所管がえをするということをやったわけでございます。その契約を昭和四十四年の四月一日に結んでおりますが、当該契約によりますと、千葉県の臨海工業地帯で取得することとなります土地七万四千三百七十一平方メートル及び十一万七千三十平方メートル及び公園用地六千六百十二平方メートルを都市開発局のほうに移すということにしております。その都市開発局へ移す総量約十九万平米ほどの土地でございますが、このうちの十三万八千五百九平米につきましては、八億八千七百十五万五千円の金額を都市開発会計のほうから臨海土地会計のほうがもらっております。したがいまして、それが事業収益にのっているわけでございます。五万九千五百四平米につきましては無償で都市開発会計へ渡すというふうにいたしているわけでございます。その都市開発会計は、その土地を、たとえば赤十字会館とか中小企業会館とか、そういうようないわば業務センターとしての建物の底地に使っているようでございます。
  35. 高田富之

    ○高田委員 いまちょっとよく聞き取れなかったのですが、そうしますと、こっちの会計からこっちの会計へ移しました土地は、造成計画の中では公共用地になっていた部分ですか、売却予定地になっていた部分ですか。
  36. 柴田啓次

    ○柴田説明員 大半は売却予定地になっていた部分というふうに伺っております。
  37. 高田富之

    ○高田委員 そうすると、売却予定地はさっき言いましたように共有地なんですね。三分の二は三井不動産、三分の一は県のものなんですね。そういう共有地を所管がえをしたというふうにこれは見ていいんですか。
  38. 柴田啓次

    ○柴田説明員 三十八年に結びました三井不動産と千葉県の間の契約では、御指摘のように、原則として土地は共有というような感じに相なっておるのでございます。ただその後、県議会の御承認をいただきまして、千葉県のほうでは、四十四年三月三十一日に商業用地及び住宅用地の分譲に関する協定書というのを三井不動産と県との問で結んだようでございます。  その協定書によりますと、県が直接当該埋め立てによって生じた土地のうち十一万七千三十平方メートルを取得する、それから乙が、乙と申しますのは三井不動産でございますが、三井不動産が二十三万四千五十九平方メートルを取得するというようなことに相なっておるのでございます。この契約に従いまして、千葉県あるいは三井不動産が直接土地そのものを単独の所有にした、そういう部分があるようでございます。これはいわば商業用地、住宅用地でございますので、全般的な埋め立て地の処分は、公害防止あるいは企業の選定その他の観点から千葉県が三井不動産と協議をしてやるという基本的な協定になっておりますので、商業用地、住宅用地につきましては、県としてはそこで新都市開発を行ないたい、あるいは三井不動産としてもそこで総合的なデベロッパーとしての自分の直接の利用をしたい、そういうような意向に基づいてこういう協定が結ばれたやに伺っております。
  39. 高田富之

    ○高田委員 そうしますと、ここにあります二十万平米というものの中にいま県独自で持つ土地十一万幾らというのが入っておる。そうすると、残りの九万ばかりは共有の土地、こういうことですか。
  40. 柴田啓次

    ○柴田説明員 お答えいたします。先ほど新都市開発局へ移しました土地のうちほぼ十九万平米の内訳として申し上げましたのは、いま御説明申し上げました十一万七千三十平米、それから公園用地でございます六千六百十二平米、そのほかに七万四千三百七十一平米というのがあるわけでございます。そこで御質問の趣旨は、十一万七千三十平米については、なるほどそういう協定があればそのとおりかもしらぬけれども、残りの部分については、共有地がどうして県の専有になったのか、県の単独の所有になったのかというふうなお尋ねのように伺ったわけでございますが、最初の基本協定の第三条というのを見ますと、土地をそれぞれ県が三分の一、三井が三分の二持つという一応の原則が立てられている、ただ、別に定める期日までは土地を共有にして、売り上げの三の二を三井、それから三分の一を県がもらう、こういうような仕組みになっているようでございます。ですから、特別の契約を結ばなくても、ものによりましては県が直接所有をする道があるいはあったのじゃないかというふうに思っているのでございますが、その辺のところは残念ながらつまびらかでございません。
  41. 高田富之

    ○高田委員 そうすると、あくまでこれは共有地は含まれてない、所管がえしたものは県のものを所管がえした、こういうことですね。
  42. 柴田啓次

    ○柴田説明員 さように存じております。
  43. 高田富之

    ○高田委員 そうじゃないのですよ。その分譲したのは、すぐ次に出ていますが、これだけ譲り受けている。これだけ分譲した。分譲したのを見ますと、県単独のものと、共有のものは三分の一しかここへ入っていないのです。売った額はその三倍のものを売っているのです。その協定を私は資料として出してもらいたいのです。つまり三井不動産と共有というのが協定でしたけれども、例外のものがあるわけだ。土地で分けちゃったやつがある。土地で分けるというのは別の協定がなければできないはずですね。基本協定にはないのだから、別の協定を結んで、そこでどれだけの土地を県のものとして確保し、三井不動産のものとして確保したのか。それは協定並びにそれに基づいて行なわれた処分でわかるわけですから、それをひとつ調べて報告してもらいたいのです。  そこで、こっちの会計で売った分の合計、これに出ているのでわかるのですが、こっちの会計へ移しておいて売ったやつと、両方売ったのを合計しますと、売り上げ額が、私が計算したので多少違うかもしれませんが、これから出しておるので大体間違いないと思う。これから拾いますと、各年度で、こっちの別会計のほうで売ったものと本来の埋め立て会計のほうで売ったものを両方足しますと、面積にして二十六万七千平米になります。したがって、これの売却予定地よりは多いのです。県の報告してきた売却予定地よりも多い。金額もずっと多くなりまして、売り上げ総額、これはもちろん三井の分も含めた金額ですが、五百六十三億八千九百七十万、こうなるのです。ですから概算利益が百三十四億、百四十億くらいあるのじゃないか。三井不動産のほうでも九十億ないし百億くらいは利益として取っているのではないか。ですからその点が、どうしてこういうふうに所管がえをして売って——その所管がえして売ったものはこっちの会計のほうの売り上げの報告には要するに出ていないのです。それだけ除いている。ですから造成して幾らに売れたかということを私はつかみたかったのです。これを見たのではわからないのです、両方の会計を見ないと。こういうようなことで、何か非常にわけのわからないところもありますので、しかも一企業に百億からの利益を与えたというので、これは県会でも皆さんからいろいろの角度で質問されて、いや六十億ですという答弁を県がしたというのですが、いや、どうも六十億ではなさそうだ、もっとあるんじゃないか、あそこの三十七階のビルディングはあれでできたんだということが千葉県民の間ではささやかれている、こういう状況なんですね。だからこういうのを、県でやっているのだからというわけにはいかない。しかも公営企業ですから、相当ばく大な土地を売ったって一々県議会の承認は要らないのですね。こういう大事業をどんどん県がやっておって、それでしかも民間企業と結託してやっているという形ですから、これはもう私はたいへんな問題のように思います。しかもこれはまだこの一地区の話なんですけれども、これからちょっと調べてみたいと思っているのですけれども、そのほかの浦安地区、京葉港の工事、これらになりますともっとばく大です。厳密な計算をしてみませんけれども、京成電鉄と三井不動産、この二つがおもな関係になっているところで、両方の合計ではおそらく四、五百億の利益があがるのじゃないかという感じがいたします。そういう計算ができるのですが、たいへんなことなんですね。ですから、ぜひこういう問題については詳細に監視をし、検討をし、そして指導し、間違っているところは修正する、そうしなければならぬということを痛感するわけでございます。  いまの御説明の、この会計を分けたことについての表面上の理由というのはわかりますけれども、しかしはたしてそういうふうに別会計へ持っていく必要があるのかということ、これが大体問題ですね。別会計にわざわざ持っていって売らなくたって、その会計でやれるのですね。これはそうでしょう。なぜ移したかというようなことは全然わかりませんか。
  44. 柴田啓次

    ○柴田説明員 先ほども御説明申し上げましたように、都市的な整備というものを都市開発局でやる、それから、土地造成というのを臨海土地造成の担当部門でやる、両方が相まって、非常に千葉市の市街に近い都市的な利用の可能なところであるから、両方が力を合わせてやる、こういう御趣旨であったように伺っております。  それから、先ほどのお話でございますが、先ほども御説明申し上げましたように、都市開発局へ移した土地の一部は八億八千七百万臨海土地会計としてすでに収益しております。ですから、両方を足しますと、ダブルの計算に相なる場合もあるわけでございます。
  45. 高田富之

    ○高田委員 それは、この報告書のどこにありますか。四十四年度都市開発事業会計のほうにはあるんですよ、受け入れたほうには。ところが、同じ四十四年度の臨海土地造成会計のほうにはどこを見てもないですね。ありますか。
  46. 柴田啓次

    ○柴田説明員 その資料は私拝見しておりません。
  47. 高田富之

    ○高田委員 ないですよ。その点、もう少し調べてください、これが県に報告されている正式の報告ですから。こっちの受けたほうにはあるのですからね。出たほうはないというのは何としてもわからない。これはお調べ願いたいのです。  それから、さっき御説明のありました、特殊契約で例外的に土地で分けてしまったというやつですね、これもぜひひとつ調べていただきたい。そして、なぜそれをしたのかということも、ちょっとふに落ちないのですよ。どうしてそういう例外のものを設けたのかということはちょっとわからないんです。この理由も、これは相当突き詰めて明白にしておいていただきたい。  それからもう一つは、この千葉県で、二月でしたか、ごく最近に出ました「千葉県の開発」というのですが、この資料の中に京葉臨海地域土地造成計画表というのがございまして、その千葉中央港というところを見ますと、県からあなたのほうへ取り寄せられました資料、また他の資料全部見てもそうです、この決算報告書を見てもそうですが、造成計画は六百十ヘクタールなんですね。これは全部そうです。ところが、これだけは、百六十ヘクタールのほかに、別口として中央地区で二十三ヘクタール別にありまして、それも一〇〇%工事が済んだ、こうなっております。これはどういうことなんですか。これだけ違うんですね。わかりませんか。これも調べてください。どうも六百十ヘクタール以上に何かありそうな感じがしてしようがないんですよ。たまたまこれを見ましたら、別のが二十三出てきましたから、おやっと思ったんです。ですから、さっきの移した二十ヘクタールというのも、どこから移したか、これは相当綿密に調べてみる必要があると思うのです。このどの部分を持っていったのか。これを見ると、おまけが二十三ヘクタールついておりますね。そういう意味で、何かどうも、ちょっと見てわからない。これをひとつぜひお調べいただきたいと思います。  いずれにしましても、この別会計で売ったのと合わせますと、さっき言ったような面積になってしまうんです。面積自体も、この県でよこしたものよりも、売ったほうがずっと多いわけです。そうなりますと、これは用途別で公共用地が百七十一ヘクタール、売却用地が四百三十九ヘクタールとこうなって、六百十になっているのですが、もしこれ以上のものが売却されているとすれば、公共用地が減っているのではないか、百七十一ではなくなっているのではないか、あるいはこっちにあるように、別口でこのほかに二十なり三十なりあるのではないか。いずれにしてもこの数字は正確な数字でない、公共用地が百七十一現在あるはずがない、こういうことをいわざるを得ないのです。これは県がこの間つくってきた数字ですから、この数字が違うというのはちょっと問題なんですよ。ですから、ぜひその点を正確にお調べいただいて、あとで資料として出していただきたいと思います。
  48. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。実は、先生指摘の二十三万平米といいますのは、同じ中央地区でございますけれども、最初御指摘の六百十一万八千平米は、三十九年七月に大臣認可をやったものでございますが、あとから御指摘のありました二十三万平米といいますのは、四十二年の四月に、いわば港湾用地が中心でございますが、そういうもののためにあらためて事後認可申請がありまして認可いたしたものでございます。したがいまして、いわゆる中央地区のものと、名称は一緒でございますが、別件でございます。
  49. 高田富之

    ○高田委員 そうすると、こっちの県の報告の六百十の公共用地、売却用地という内訳の、これはこれで正しいのだ、こういうわけですか。
  50. 鈴木登

    ○鈴木説明員 はい。
  51. 高田富之

    ○高田委員 そうすると、いまの二十三というのは工事が全部済んで進捗してしまっておるわけですが、これはこういう報告に加えなくていいのですか。どこにも出てこないのです。
  52. 鈴木登

    ○鈴木説明員 いま私がお答え申し上げました六百十一万八千平米と申しますのは、三十九年度にもうすでに運輸大臣が認可いたしまして、これもすでに完成済みでございますが、工業用地、港湾用地、住宅用地、商業用地、その他の用地を主力としてつくったものでございます。それから、あとから御指摘いただきました二十三万平方といいますのは、四十二年に埋め立ての認可をいたしまして、おもに鉄道用地とか、野積み場とか、あるいは上屋用地、倉庫用地として事後別件として埋め立て申請が来たものでございます。それが一緒にそこに表示されておるのだと思います。
  53. 高田富之

    ○高田委員 別件であることはわかりましたけれども、報告書の中には、当然しかし、この千葉港中央地区で造成した土地なんですから、それは公共用地であれば別件のものも完成してしまっているのですから入れて、それで公共用地もこれだけふえたというふうにしませんと、初めてこれに出ているんですね。どこを見てもほかに何にもないんです。決算報告書にも何にもない。造成した土地の報告がないというのは、これもおかしいです。どうもふに落ちない。だから勘ぐりたくなってしまって、このほかにまだ土地があるのではないか、こういうことになってしまう。ところが、そういうことは監査するからでき上がったときの検査でないはずだとは言われますけれども、いずれにしましても、そういう数字がこういう解説書みたいなところにだけ出てきて、決算報告書には全然出てきてないというのはやはりふに落ちません。どういうのか、その点はもう少し明快に調べておいていただきたいと思います。
  54. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      ————◇—————    午後零時五分開議
  55. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。高田富之君。
  56. 高田富之

    ○高田委員 大臣のお見えになる前に、事務当局との間で千葉の臨海地域土地造成事業、埋め立て事業につきましての会計上の若干の疑点につきましていろいろお話を伺ったのですが、要するに、私はこれは大きな問題じゃないかなと思いますことは、千葉県のような一地方自治体が、年間予算にほぼ匹敵するくらいの大きな予算を組みまして開発庁というものをつくり、そして数千億円の金を年間動かしまして、七十キロにわたる膨大な海岸の埋め立てをやり、千人以上の職員をかかえてやっておる。しかも、それに対して一体どういうふうに土地を売り、幾らくらいに売り、その収支がどうなっているかというようなことをはじめ、それ以上また大きな東京湾のあり方というような点から、いろいろな点から、相当国家的な見地からの監督というものが厳重に行なわれないと、たいへんなことじゃないか。地方自治体行政よりもその事業の維持ということに追いまくられてくるのじゃないか。一千人からの職員をかかえており、いまでも一千億円以上の未償還の地方債をかかえておるわけです。あとからあとから仕事を見つけていかない限りどうにもならぬだろうというような事態、こういうことでありますので、この種の一定規模以上の大規模な、こういう特に土地造成というような仕事地方でやる場合、しかも国の金もつぎ込まれておるわけですから、そういうものに対する監査のあり方がいまのようなことで一体いいのかどうか。先ほど来いろいろ伺いましたが、関係各省あるいは会計検査院等におきましても、そういう総合的な企業体でありますので、監査はしてないということなんですね、してないとおっしゃいますから。私はこれはちょっと監査を見まして、県会議員の諸君ともお話ししてみまして、県会で質問したことを調べてみますと、なるほどわからない。どうもわけがわからない。県はなるほどあまり金をもうけていないけれども、一緒に組んで仕事をやっておる三井不動産では、県会における報告では中央港地区だけで六十億円もうけたと言っておるが、どうもそうじゃなさそうだ。別の計算をしてみると、九十億から百億もうかっているのじゃないかということもいわれる。さらにまた他の地区の京葉港あるいは浦安地区というようなところを見ますと、京成なり三井不動産と二社くらいでおそらく四、五百億を下らない利益があるのじゃないか、こういうふうなことを、どうも国の全然目の届かない企業体として地方自治体がやっているということ自体まことに不自然きわまる。しかもいまは公害問題が最近になりましてからほんとうに大問題になりつつある。干がたをつくれというような会までできて運動が始まっているというような事態でございますから、この上ともいまのような形で進めるということには相当問題があろうと思いますので、これの会計経理の徹底的な監査。それからそういう民間企業に不当に膨大な利益を与えるようなやり方はよくないと思います。むしろ県なら県が適正な利益を得て、それを県民にいろいろな方法で還元していくというような方向に指導すべきではないかというようなことを実は考えるわけであります。その点につきまして監査のあり方、それから今後のこの事業の持っていき方、そういうことについての一つの基本的なお考えを承っておきたい、こう思うのであります。
  57. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 たいへん時間がおくれまして恐縮でございました。  御指摘の点でありまするが、私も実は御質問要旨を承って、その後部内で説明を聞いたという程度でありまするが、今後の資金監査のあり方いかん、こういう御質問であります。御承知のように、県には監査委員の制度もございます。それから県が出資しておる開発公社の経理内容については、県議会がタッチすることも当然あるわけでございまして、そういうものが第一義的には県費の支出の行くえを的確にとらえる、こういうことであろうというふうに思います。自治省といたしましては、この問題がなければ、監査委員会の承認を認めていくという形になるわけでございます。  それから、どうせもうすでに議論があったと思いまするが、国費等に関しましては、これは会計検査院なり、所管省がその行くえを積極的に捕捉する、こういう仕組みになっておる。いま御指摘のような、こういう大きな場合に、このままでいいのかという点につきましては、今後具体的な問題として、私ども自治省においても、関係各省庁と十分連絡をとりまして、検討することにいたしたいと思いますが、何といいましても、県の、これは自治体としての問題でありますから、もしその金の行くえ等について不明のものがあったり、また不明朗な点があるということになるならば、これは正規の監査委員会が問題にして、指摘をする、あるいは県議会が調査委員会などをつくって、それに積極的に介入するというようなことがなされるのが従来のあり方であろう。またそういう形が尊重されることが、地方自治体運営上必要なことではなかろうかというふうに思います。  しかし、結論的に申しますならば、今後こういった取り扱いの金額も大きい、しかもまた不明確な部分が多いということが事実でありまするならば、今後の問題として十分検討はいたしたいと考えます。
  58. 高田富之

    ○高田委員 地方自治体本来の行政面ではなるべく自主性を持たせていく、自主財源も豊富にし、行政を上からあまりワクをはめないということは、自治体の本旨にのっとってけっこうだと思います。しかし、この種の、一種の不動産事業地方自治体がやるという形のものについては、これは別途厳格に、国家的見地から規制を加える必要がある。この点ははっきり分離して処置をすべきだと私は思うのです。  いま申しましたように、かってに巨大企業と組みまして、そこで何百億という利益を得せしめる。これはそうだと思うのですけれども、さっきも申し上げましたように、もちろん土地は製造ができない商品だからこそ、需給関係でどんどん値が上がる。その製造できない商品をつくるという仕事ですから、つくっておいて、公営企業だからといってもうけずに渡せば、これは受けたほうの利益はばく大なものです、話にならないです。私の友人でありますが、ある県会議員は「利権の海」という本を書きまして、非常に心配してこういうことを熱心に調べておるのですが、何しろいまの法律では、ばく大な土地をどこかに何十億かでぽんと売った、売ったあとからごっそりたくさんの書類を監査委員会に持ってくるだけで、売る前の監査は県としてはできない、これらも問題だというのですね。やはり県民の財産を売る場合には、これは公営企業だからといって、どんなにでっかい取引をしても、一向に事前の県の議決も必要としないというのもおかしい。これだけ事業が巨大化してきますと、これは問題だというわけです。その点はいかがでしょうか。
  59. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 現在、地方公共団体、特に県の健全性というものを私どもはまず前提に置いておるわけであります。県が全額出資をしたいわゆる開発公社が不正を働く、県民のためにならない、むしろ県民の利益に反するような行為をするということはないものである、こういう前提から私ども行政措置が始まるわけでありますが、いま御指摘のように、過度に不明朗なものがあったり、また取引額等においても非常に多いというようなことについてどうするかという問題は、これは非常に問題が複雑でして、いまにわかに歯切れよく、直ちに監査体制を国においてつくりますとか、これはなかなか言い切れぬものも確かにあるわけです。それはそれなりに地方自治体としてのチェック機関もあるわけですから、まずその自主性に待つというのが第一義でなかろうかと思います。  しかし今後の問題として、開発公社を自治省としても奨励をいたしております。これは、公有地確保のためにも、また県民のほんとうの利益を確保する上からも、公的な機関であるならば、乱開発を行なったり住民の利益に反するような開発行為はあるまい、これもそういう前提で奨励をいたしておるようなわけでありますから、これらの規制については、関係省庁と十分連絡を密にいたしまして検討を加えたいと考えます。
  60. 高田富之

    ○高田委員 一般会計の問題であれば、県でもって、あれはたしか一件七千万円ですか、それ以上のものは事前にあれがあります。公営企業だからといって、その何十倍のものであっても相談しなくてもいい、それは制度的にどうでしょう。これはそのままでいいものでしょうか。改正する必要があるか。私は改正したほうがいいと思いますが、いかがでしょう。
  61. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは、それじゃ金額をどこで線を引くかとか、そういう点がなかなか微妙な問題であろうかと思います。県の開発公社というのは、繰り返すようでありますが、県民のために乱開発はしない、むしろ県民のために積極的にプラスになる開発行為を行なってくれる、そういう前提にあるものですから、いままでは比較的自主的な機関にその監査追及等をまかせてきたというのが実情でありますが、だんだん金額も大きくなり、問題も多いという御指摘でありますので、これらについては今後の問題として結論を得るようにいたしてまいりたいと考えます。
  62. 高田富之

    ○高田委員 それから、これももちろん関係があることなんですが、つくった土地を売りますね。千葉中央だとかその他二、三のところは違う方法らしいのですが、全般的に海のうちに売っちゃって、造成する前に予納金を取って造成しているのですね。結局、原価販売みたいなものですね。公社は公営企業としてはあまりもうけていない。全部、かかった経費ぐらいで渡してしまう。そういうような形ですから、そのできたものが、ほんとうに当初の計画どおり、計画期間内に建設して稼働してきちっとやっているかどうかを監査すること、これはきわめて大事なんですね。せっかくそういうただみたいにして渡したところが、いつになっても何もつくらない。調べてみたら、どこかで膨大な金を借りる担保に入れて、よそのほうに土地を買っているということになったらたいへんですね。いま、そういうふうなことで売り渡された土地が、契約書にちゃんとあるいつ幾日着工、いつ幾日までに完成見込み、そういうことが実行されていない部分というものが相当ありますか、どうですか。どなたか、事務当局わかりますか。契約書には、いつ幾日着工して、いつ幾日には、竣工の予定でございますといって、条件にして県から買っているわけです。ところが、それが一向に果たされていない。調べてみたら、土地がどこかに担保にいっちゃっていた、何にもしていない、こういうのがたくさんありますか、どうですか。事務当局でお調べになりませんか。
  63. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。埋め立ての認可が済みましたあとは、埋め立ての条件を付してあります場合にはわかりますが、それ以外の場合にはわかりかねますのでちょっとその点は私ども把握しておりません。
  64. 高田富之

    ○高田委員 これもぜひ調べる必要があると思うのですよ。これは一つの例なんですけれども、ここにあります契約書を見ますと、これは日本不動産証券株式会社というところへ千葉県と三井不動産で売ったわけです。全部土地が千葉県と三井不動産が共有ですから、それを売ったわけですよ。その売った土地についてはちゃんと条件が付してございまして、建物は鉄筋コンクリートでどうで、地下が一階で地上が十階で、面積が二千四百平米、建築延べ面積二万四千八百平米、使用区分が一階が何でとずっと全部内容がありまして、着工は昭和四十七年六月末、完成が昭和四十八年八月末、こういうふうにちゃんとなっているのです。ところが、こんなものはありはしないのですよ。何もできていないのです。担保に入って金を借りて、またどこかで何かやっているのです。これはほんのちょっと話に出たから、たまたまこれだけ調べてみたのです。ですから、これは全般的に調べてみる必要があるのじゃないかという感じを実は持っているのですが……。
  65. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これ高田さん、どうでしょう。いま私も事務当局と話し合いをしたことでありまするが、そういう御指摘のようであれば、非常に経営が放漫ですね。不正はないまでも、少なくとも疑惑を持たれる可能性もありますね。もしそうだとするならば、監査委員会の中には当然県会議員も入っているはずですね。したがいまして、その人にまず県議会が責任追及をする、そして場合によれば県議会で調査会のようなものをつくる、こういうこともあるのじゃないでしょうか。そうして、やはり地方自治体ですから、まず自主的に地方自治体としてのあらゆるチェック機関で調査をしてくれるということが何といっても第一義だと思うのです。しかし、ここで正式に問題になりました以上は、私ども自治省としても、御指摘の部分については近く御返事ができるように十分真相に触れまして調査をする、こういうことに締めくくらせていただいたらどうかと思いまするが、いかがなものがありましょうか。
  66. 高田富之

    ○高田委員 ぜひとも調査をしていただきたいのですが、私、ちょっと県会議員の諸君と話しているうちに承ったのですが、かつて数年前に会計検査院のほうの道路関係の方だと思うのですが、道路の関係で調査されたときに、関連性があるということで相当深く突っ込んだ調査を、実際の聞き込みや何かもおやりになったらしいのです。そういうことでかなりセンセーションを起こしたらしいのですが、これはしかし正式の権限よりも外にはみ出た関連的に聞いたことらしいのですね。いま正式のあれによると、何か国の金を、運用部の資金なら資金の入っている部面だけしか調査しないのだそうですね。そういうこともいかがかと思うのですけれども、全体の一部分に国の金が入っておっても、全体を調べなければしようがないのじゃないかという感じが実はするのですね。この種の大きな仕事は、こっちのほうをちょこっと調べる、こっちはこっちでちょこっとやるということでなく、総合的に調べなければだめですよ。特に県会でもときどき質問が出たり何かするのは、民間企業に不当に膨大な利益を得させているのじゃないかということがしばしば問題になっているのです。一体その土地をどういう手続で売っているのか、だれかが口をきいたらひょっとそっちへ行っちゃったというような何かわからぬけれども処分方法というのは、一体公正に行なわれているものなのかどうなのか。とにかく原価が二万円。現在でも二万かそこらで埋め立てができるんですね。埋め立てというものは安いものなんですね。ところが、いい部分になりますと坪五十万ぐらいになるんですね。坪二万円かそこらのものが五十万円ぐらいで売れるんですね。それを公営企業だからといってもうけずに渡すということになりますと、これはただごとじゃないですよ。そういう経理内容のことが一つ。  もう一つは、事業を始められましたころは、とにかく工場誘致ということが国策にも沿い、住民も喜んだという時代でしょうけれども、いまはまさに公害反対で、このごろになってだいぶ公害反対の市民運動が起こっているそうですね。あの付近も四日市の何倍という公害だそうですね、あの付近は石油コンビナートの膨大なあれですから。そういうようなこともありますので、これからは何とかしてできればこれ以上の埋め立てはストップしちゃう、しかも、埋め立て地でまだ利用されてないところは利用の方法を変えるか何かこれは構想を一変してやらなければいかぬ。東京湾をきれいにするとか、あの沿岸地帯に干がたをつくれという運動が起こっているそうですが、全く当然だと思うのですが、相当構想を新たにして対処しなければならない。私が心配するのは、あれだけ大きな企業体になりますと、企業体自体の存続をはからざるを得ないと思うのです。存続のためには無理にも仕事を見つけなければならないんですよ。自転車操業をしなければいけない。ですから、これは何とか国が総合的な大きな見地から見て、これをどう処理していくか、どう方向転換させていくか、あるいは縮小させるとか、これはいまにしてよほど抜本的な大きな見地からの指導をしなければ今後たいへんな問題になると私は心配するのです。ですから、そういう見地からひとつおっしゃられるように総合的な厳正な調査を、できるだけ地方自治体のほうの監査も生かされながら、国で指導して早急に徹底した調査をひとつお願いしたいと思うのです。
  67. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御趣旨の点、よく理解いたしました。
  68. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  69. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 速記を始めてください。  芳賀貢君。
  70. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際、自治省所管決算に関連して自治大臣にお尋ねします。  まず第一に、政治資金規正法に基づく第十二条の規定で、政党ないし協会、団体は毎年の六月末、十二月末までの上半期、下半期の収支状況等については報告をする、これを自治大臣は省令に基づいて期日までに官報に公表するということになっておるわけです。そこで、時間の関係もあるので、ごく最近時の点についてお尋ねいたします。  ことしの一月十二日付の官報には、昭和四十七年の上半期分の政党に対する政治資金の届け出が行なわれた分について公表されておるわけでありまして、この内容の主たる点についてこの際当委員会に説明してもらいたい。
  71. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ちょっと事務当局から……。
  72. 山本武

    ○山本説明員 それでは私からお答え申し上げます。昭和四十七年の上期の収支報告書の概況でございますが、昭和四十七年の六月三十日現在の届け出団体数は千七百五十一団体でございます。これにつきまして上期分として収支報告書を提出しました団体数は一千二団体でございます。この点、報告書の提出率を考えてみますと、五七・二%の政治団体が報告書を提出してございます。この報告書の提出状況の推移を見ますと、これは政党その他の政治団体の御協力によりまして、年々提出率は向上しております。たとえば四十四年上期におきましては四六・九%であったものが、逐次向上いたしまして、先ほど申し上げましたように四十七年上期では五七・二%に達しております。しかしながら、まだ全部の団体が提出するに至っておりませんので、事務当局といたしましては、すべての団体が提出期日までに提出されるよういろいろと御依頼なり御指導を申し上げている次第でございます。  その次に収支の概況について申し上げますと、四十七年上期におきましての収入総額は百四十八億三千百三十一万四千円でございます。これを前年同期に比較いたしますと、約七十三億一千六百七十六万円の減に相なっております。  次に、収入総額の百四十八億三千百三十一万四千円のうち寄付の総額を見ますと、二十五億三千八百三十三万八千円と相なっております。したがって、収入総額に占める寄付の割合をとってみますと、一七%が寄付ということの状況に相なります。  その次に支出状況を申し上げますと、支出の総額は百四十億九千四百九十四万一千円と相なっております。これを四十六年上期と比較いたしますと、八十六億七千七十一万一千円の減に相なっております。  収支の全体の概況は以上申し上げたとおりでございます。  なお、五大政党の収支状況を御参考までに申し上げますと、四十七年上期におきましては、共産党が二十一億九千五百二十七万五千円、うち寄付総額が六千四百四十万七千円、自由民主党が十八億九千八百二十三万二千円の収入で、寄付総額が十億四千万、公明党が収入総額十六億四千七十九万四千円、寄付総額ゼロでございます。次に、社会党が収入総額二億六百七十三万五千円、寄付総額一千七百十万六千円、民社党が収入総額一億八千七百八十六万一千円、寄付総額一億一千三十五万一千円という状況でございます。  簡単でございますが、概況御報告申し上げました。
  73. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際、参考までに四十六年の上期の各政党との比較について説明してもらいたい、前年同期ですね。
  74. 山本武

    ○山本説明員 お答え申し上げます。四十六年上期の収入と支出についての各政党別の概況でございますが、日本共産党、収入二十一億三千五百五十四万三千円、支出二十一億一千七百十六万円、次に自由民主党本部、収入五十八億八千八百五十六万七千円、支出五十九億一千九百六十三万六千円、次が公明党、収入十三億九千九百九十万六千円、支出十四億八千九百六十万九千円、次が日本社会党中央本部、収入二億八千六百四十五万六千円、支出二億八千九百七十五万六千円、民社党、収入二億六千八百五十二万四千円、支出二億四千四百十二万六千円、以上でございます。
  75. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、この中で特に気のつくことは、自民党におかれては、四十六年上期には五十八億八千八百万円、四十七年上期においては十八億九千八百二十万円ということになっておるわけですから、ちょうど一年の間に三十九億九千万円、政党としての収入ないし寄付が減少しておるということになる。これは従前から見てまことに異常な状態でありますが、その原因が何であるかということをわれわれも関心を持って検討した結果、政党に対する寄付あるいは収入というものが減少した反面、俗に言う自民党内部における主要な各派閥、これらの収益というものが急増しておるということが明白になっておるわけですが、この際、同じ政治資金規正法によって届け出がなされておるわけでありますからして、この際、自民党内部における主要な派閥といわれる会派のそれぞれの合計額について明快な説明をしてもらいたいと思います。
  76. 山本武

    ○山本説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘の自由民主党なりあるいは政党の派閥についての寄付の状況の御質問でございますが、実は、私どものほうといたしますと、どの政治団体がどの政党の派閥かという点は、政治資金規正法上出てまいりませんので、全体を総計いたしました数字というのはちょっと責任をもってお答えできかねるかと思います。したがいまして、もし上位何団体、たとえば寄付総額が大きい政治団体というものはどういうふうなものかという点については、これは国民の前に公表しておりますのでお答えできますが、たとえばある一つの政党について、派閥の収入合計あるいは寄付の総額が幾らという点はちょっとお答えいたしかねます。御了承いただきたいと思います。
  77. 芳賀貢

    ○芳賀委員 担当の自治大臣もおられるので、それでは私のほうから率直に申しますが、ことしの一月十二日の全国の主要な新聞あるいは当時テレビ等においてもこれは発表になっておるわけです。これを根拠にして私のほうから参考までに申しますと、自民党内部の大きな派閥といわれる中で、収入、寄付金の大きいほうから申しますと、まず大平派については六億八千六百万円、田中首相の率いる田中派においては六億六千八百万円、福田派においては五億二千七百万円、三木派においては四億二千八百万円、中曽根派においては二億九千三百万円、この五大派閥を合計いたしますと実に二十六億円ということになるわけであります。これらの派閥における四十六年度上期の状態に比較いたしますと、多いのは三・三倍、二・七倍、平均いたしましても二倍以上に派閥による政治資金の収入額が増加しておるわけでありまして、こういう点は江崎大臣におかれても、特に異常な内部事情の変化についてお気づきであると思うわけです。  そこでお尋ねしたいのは、こういう傾向というものが、はたしていまの政治資金規正法の目的とする方向にこれは合致しているものであるかどうか。政党本位の政治活動というもの、国民の意思の上に正常に行なわれる政治活動が民主的に発展されるというところに、政治資金規正法の大きな目的と精神があると思うわけです。ですから同一政党内において、しかも長期的に政権を担当しておる政党の中において、有力者が中心となって形成する派閥のほうにむしろ政治資金を吸収して、本来的な活動をしなければならぬ政党に対する国民各層の寄付あるいはその政党の独自の収入というものは激減しておるというような点については、これは歴代の内閣のもとにおいては、こういう現象は生じなかったわけでありますが、この際、江崎大臣から率直にこれに対する判断と見解を述べてもらいたいと思います。
  78. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の政治資金の問題は、過去にもいろいろ問題がございまして、三回にわたって国会の審議をわずらわした。しかしどうも個人本位の選挙をそのままにして、このままでは政治資金規制の問題もなかなかむずかしいといったような議論が展開されて、三べん廃案になって今日に至ったわけでございます。いまの金額が公正妥当に使われておるかどうかという点については、使途の一々について私も承知いたしませんので、それに言及する資格を持ちませんが、一口に言えることは、何といっても政治資金というものは、今後の選挙制度の改正とにらみ合わせて、もっと政党本位に戦われる選挙、金のかからない選挙、こういうことが望ましい、またそれが原則にならなければならぬということを考えます。田中総理も、できるだけ近い機会に政治資金規正法についてはそういった過去論議された欠点を極力消化して、そして理想的な政党本位の金のかからない選挙の戦われるような形で制度の改正も行ないたい、一方においては政治資金規制も考えたい、こういう考え方予算委員会その他で示しております。私も全く同感に考えて、目下鋭意検討をいたしておるというのが実情でございます。  そこで、御質問の点でありますが、これはアメリカ等においても同様のことが言われまして、たとえば一つの団体が受ける資金の金額というものに過去において政治資金の規制を設けたわけであります。限度を設けたわけでございます。そういたしましたところ、幾つも後援団体をつくるということで、あるいは政党が外郭団体、またその類似団体をつくるというようなことで、せっかく限度は設けたが、これが守られなかったというような実情もございます。したがって、現在、自民党及びそこに大きな派閥というような形で政治資金が求められておるという形は決して望ましいことじゃありません。出すほうとしても、自民党一本で済むものならば、それが一番理想的でしょうし、また形もいいと思いますが、人本位の選挙というようなことがこういうような後援団体の形成ということにもつながっておると思いますので、政治の、選挙制度の問題等々とからみ合わせまして、今後この政治資金の規正法を国会の審議の場にお出しする場合は、過去のそういった弊害を極力消化することのできるように十分検討の成果を得たいというふうに思っております。
  79. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、政治資金の制度上の問題であります。現在の法律においても、その第三条に政党、協会その他の団体についての定義が下されておるわけでありますが、この場合、それでは自民党内部の派閥なるものは、この第三条にいうところの政党、協会その他の団体、そのいずれに属するものであるか、自治大臣としてはどう判断されておりますか。
  80. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 いま御指摘の点では、協会その他の団体、これに属すると思います。そして一口に派閥と言っておりますが、それぞれの名称等で御理解願えますように、いわゆる政策研究の団体、こういう形をとっておるように思っております。
  81. 芳賀貢

    ○芳賀委員 江崎さんの場合は五大派閥には入っていなくて、中間派といわれておるわけですが、ただ問題は、協会ないしその他の団体にしても、その目的は特定の政党を支持するあるいは反対するということが協会あるいは団体の政治活動の目的なわけです。ところが、一党を率いる、あるいはまた国の政治の最高責任にあるたとえば田中派のような場合は、特定の政党を支持するとか反対するという協会、団体ということに規定すれば、これはまことに奇妙な立場になるのじゃないかと思うのですよ。
  82. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 この法律において、「協会その他の団体とは、政党以外の団体で政治上の主義若しくは施策を支持し、」というような意味で、私、この条文に合致するように思うわけですが、いかがでしょう。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから私の言うとおりでしょう。協会とか団体というものは、これは固有の政党でない。ないが、その協会ないし団体は政治活動を行なうわけですから、その活動というものは特定の政党を支持する。支持というのは、もちろんその党の政策というものを中心にして支持するということは間違いないのですよ。支持する場合、政党の政策は何でもいい、名前が気に入ったから支持するなんということはあり得ないと思うのです。支持しない活動をする場合も、これは目的に入っておるわけですが一そういう場合、政権を担当しておる自民党の中にこういう多くの派閥があって、自民党よりも多くの政治資金を受けておる、そうしてその中で政党支持の活動をやっておるなんというのは、まことにこれは前時代的なものじゃないかと思うのです。そこに、長い国会の歴史の中で、いまの政治資金規正法というものを根本的に改革しなければならぬ、しかも政党本位のものに改革しなければいけない、そうして選挙をやる場合においても金のかからない公明な選挙や政治活動ができるようにしなければならぬということで、議論は歴史的に長いわけです。ところが、それが法律制度の改正の中でなかなか具現されないというところに問題があるわけです。たとえば、ことしの一月二十七日に、特別国会の休会明け冒頭において田中総理が国会において総理として初めての施政方針演説を行なったわけです。われわれもこれに耳を傾けておったわけですが、ふしぎなことには、この総理の施政演説、政権を担当して初めての特別国会における施政演説の中に、一番大事な政治姿勢の問題、政治姿勢に対する反省あるいは主張や指針というものが片りんも触れられていないわけです。同じ自民党でも歴代内閣の首相は、実行するしないにかかわらず、一応は政治姿勢あるいは大きな問題となっておる政治資金規正法の問題等には触れておるわけです。取り組む意思だけは表明してきたわけですが、今度の田中首相の場合にはそれに全然触れてないのですね。そこに私は問題があると思うのですよ。どう思いますか。
  84. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは私、ことさらに軽視しておるからものを言わなかったというものではないと思うのです。これは私も直接田中首相に聞いた話ではありませんが、ある新聞に、ちょうどいま芳賀さんがおっしゃるような質問を新聞記者がしておるのに答えて、政治家というものは、特に政党政治家たるものは、選挙制度の問題、資金の問題、そういったすべてをひっくるめて、常時民主政治が円滑に成長するようにいつでも考えておるものだ、こういうものであるから、時間の限られた施政方針演説では自分はとりたてて述べなかった、こう答えておるわけなんです。その後、予算委員会等において、選挙法は改正するのか、政治資金規正法はどうするのかというのに答えて、これは佐藤内閣当時から二カ年間にわたって第七次選挙制度審議会が第三者的立場から日本の民主政治のよりよき発展をはかって答申をした、今度は報告書といっておりますが、そういうものがあるから、そういうものを十分参考にして選挙制度を改正します、政治資金規正法も出します、こういうふうに答えておるわけでありまして、総理も、政党政治家として、この選挙制度及び政治資金の問題については絶えず深い関心を持っておる。これは私ごとに及んで恐縮でございますが、私、自治大臣に就任いたしましたときに辞令を交付されます。そのときに三つの辞令をもらいまして、もう一つは、君、選挙制度審議会から答申が出ておるから、選挙の改正という非常に重要な問題がある、この問題と積極的に取り組んでもらいたいということを就任のときに言われたわけでありまして、そういう点から言いましても、総理が選挙制度及び政治資金規正法等々についてないがしろにしておるというふうには考えられないというふうに思っております。
  85. 芳賀貢

    ○芳賀委員 江崎大臣としては田中総理に任命されたわけですから、もとより忠誠を励んでおると思うのです。しかし、あなたが就任の際テレビであいさつされて、総理からこういうふうに言われたという中にも、政治資金の問題とか選挙制度をどうするとかいうことは、あまりうれしくて忘れて述べられなかったというふうに考えるわけです。しかし、そういうものじゃないと思うのですよ。日本列島改造論を宣伝して、大きな声を議場内で張り上げておれば一国の宰相としてつとまるというものではないと思うのです。常時政治の最高責任者としての反省と方向というものがないから、会期末間近になって唐突に、今度は選挙制度の改正をやるとか、二、三日前ようやく担当の自治大臣に、政治資金規正法の改正をおまえさん会期末までにやれというようなことを言っても、いかに名敏な江崎大臣としても、そう一夜づけに何でもやりますというわけにいかぬと思うのですよ。そうじゃないですか。
  86. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 政治資金規制の問題につきましては、これは私も自治大臣に就任いたしましてから、終始行政局長とかあるいは選挙部長などといろいろ議論をしておりますし、自治省自治省としての一つの考え方も持っております。  それからすでに選挙調査会等からも、政治資金規制という形ではありませんが、過去のものを含めればもうすでにそういったものも出ておるわけでございますから、これは実情に即していつでも出せる形を常時検討しておるというわけでございます。  ただ、一両日前の話は、これは自民党の選挙調査会委員長の松野頼三君を呼んで、まだ政治資金規制についての党側の意見がまとまっていないようだから、すみやかにまとめてくれ。これは党内事情を申して恐縮でございますが、小委員長に渡海元三郎君、元の自治大臣がこれに携わっておりまして、目下鋭意党議をまとめておる、こういうわけでございます。私どもはその党議だけでもなりませんので、党議の動向、それからまた各党のいままでの国会を通じての議論の存するところ、また政治資金についての選挙制度審議会等の意見を参酌して、十分時宜に適したものに、また民主政治発達のために貢献できるようなものをつくり上げてもらいたいというわけで、鋭意努力をしておるというわけでございます。
  87. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、昨日からけさにかけては、田中首相が号令をかけて進めてきた選挙制度の改正についても、もう会期末までには間に合わない、あるいは世論のきびしさ等にある程度反省したかどうかわからぬが、とにかくこの特別国会においては間に合わぬというような一つあきらめの区切りをつけたということが伝えられておるわけであります。いままで政府・自民党において作業された内容について私は論及する考えはないが、少なくても現行の選挙制度を根本的に改革するということになれば、お互いに長い間議会制民主主義を擁護、発展させるために努力してきた間柄でありますからして、やはり主権者である国民の意思を国政に余すところなく議会の構成あるいは議席を通じて反映させるためには、現行制度をどのように改善したらいいか、もちろん各党間においても十分な検討がなされ、最終的には国民全体の合意が得られるような形の改革、改正でなければならぬと思うわけです。ところが、五月一日の中央新聞の世論調査等によると、まず第一には、田中内閣を支持すると言えるものが国民全体の二七%しかいません。支持しないと断言する国民が四〇%をこえておるというような状態ですね。あるいはまた各党別には、自民党でもやむを得ぬ、積極、消極の差はあっても一応支持すると表明した国民が全体の四六%程度。いずれを見ても、政権を担当して十カ月足らずしてこのように国民の信を失った内閣というものはないと思うのですよ。私の記憶によると、昭和三十五年に安保の強行採決をした岸内閣がその後に退陣したときは、ちょうど国民の支持が二七%に下がっておったわけですね。二七%で退陣した。それから、政権担当の一番の記録をくつった佐藤総理の退陣間ぎわにおいては、支持率が二二%。今度の田中内閣は一年足らぬのに岸内閣の場合と同じところまできちゃった。だからもう前例に徴すると、ここまで下がった場合には政権を投げ出す、あるいは退陣するというのが、自民党内閣や政府の中においても、一つのめどになっておるというふうに考えるわけです。それを今度は何とか巻き返さなければならぬ、四〇%台の自民党に対する支持で、議席だけは七〇%以上確保するようにするにはどうするかというような、そういう目的の上に立った選挙制度の改悪あるいは区割りというものは、これは国会の中における数が両院過半数だから強引にやればやれぬことはないというようなことを考えてみても、賢明な国民全体がこれを見た場合に、一体今度の自民党、田中内閣が考えておる選挙制度の全面的な改正の意図というものはどこにあるか、こういうことはやはり正しい国民の批判というものは結論をつけておるわけです。しかも一説には、自民党の危機感、それはつまり日本の資本主義経済の支配力を握っておる財界においても同じような危機感を持つわけですが、財界の有力筋から田中首相に対して、この際選挙制度を改正する以外に自民党の長期政権を維持する道はないのではないかというような強い進言あるいは鞭撻もあったというふうに実は伝えられておるわけであります。まあしかし、国民世論、あるいは、会期末ぎりぎりということであきらめたといっても、率直な反省の上に立って、こういう無謀な制度の改正とか、議会制民主主義に逆行するようなやり方はあやまりであったという謙虚な反省の上に立って今回断念したというのであれば、これはまた了とする点もあるわけです。この際はもうどうしようもない、また出直すかというようなことでは、ますますいまの田中内閣の国民の信頼を低下させることになると私どもは考えておるわけです。この点に対して江崎さんの率直な、あなたの政治信念に基づいた見解のほうを私は求めるわけです。まあ田中総理に任命された大臣ということになれば、自己の信念や所信をなかなか披瀝しがたいかもしれませんが、お互いに大衆政治家として二十数年やってきておるわけですから、この際、この機会に江崎さんのほんとうの信ずるところを披瀝してもらいたいと思います。
  88. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 自民党が党利党略のために選挙制度を改正しようと企図しておる、これはそういうことは全然ございません。私ももとより田中首相に新しい制度ですから任命される形になっておりまするが、やはり自治大臣という職責に任じておりまする以上は、日本の民主主義政治をどう伸長させていくか、これが根本でなければならぬと思います。今後といえどもそういう心がまえで当然この選挙法の問題とは取り組んでまいるというつもりでございます。  そこで、今度の改正の意図はどこから出たのかと申しますると、先ほどもちょっと申し上げましたように、二年間の研究の成果を選挙制度審議会が報告書の形でまとめられて昨年の十二月二十日に提出をされたわけでございます。これは総理の諮問機関ですから、総理のもとに報告書が届けられた。その報告書の内容に基づいて、自民党においてはこの会期の当初から、要するに新しく選挙によって出てきた議員の間におきまして、自民党としてやはり選挙調査会、そういう部内の調査会がつくられ、これに松野頼三君が委員長になられて、そうして検討をしてきたということであって、これは突然唐突に自民党の都合のいいような制度を検討したというていのものでは断じてございません。選挙制度審議会の第三者機関による民主政治を伸ばしていくためには、この方法がベストではないかもしれぬが、現在のあり方よりはベターであるという研究の成果に基づいて党側で検討がなされてきた、それと並行して、私ども自治省においてもこの報告を参考にしながら検討をしておるというのが今日の段階でございます。別にまだ選挙制度の改正をやらないときめたわけではございません。むしろきのう私ども総理とも話し合いをいたしたことでありまするが、選挙制度の改正は行なう、その方向は報告書の線を十分参酌しながら実現させていきたいということを確認したわけでございます。ただ、新聞等に出ておりまするように、区割りというものは、現在の中選挙区を小選挙区にするということになりますると、これは公正を期する上からいって、自治省がやるとかあるいは政府の機関がこれをやるということより、選挙制度審議会のメンバーとして御苦心なすった関心の深いそれぞれの各界を代表する方にお願いをして、これは七、八名といっておりますが、その程度の方にお願いをして、公正な第三者的な区割りをしていただくこと、がよかろう、そういうことになりますと、もう会期は余すところ十日程度でございます。その間に区割りから一切がっさいどうぞもう一週間で片づけてくださいということは、これは引き受けていただく方にも失礼になりましょうから、多少おくれることもあり得る。とにかくお引き受けになった方が、いや一週間でだいじょうぶだ、ひとつやってみようとおっしゃればこれはまた別問題でございます。だから、そのあたりの動向を見きわめながら今後どう対処するか、これはひとつ慎重に検討しようじゃないか、こういうことになった。これが新聞記事になっておるというのが実情でございます。
  89. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう点は、院内にも選挙制度特別委員会というものがあるわけだから、その辺でやられたらいいと思うのです。私は田中内閣としての政治姿勢の問題、それに立った一体選挙制度の改正をどう考えておるかということを率直に尋ねたわけであります。いま大臣が言われたとおり、もう特別国会の会期は残すところ十日ですから、なかなか法案は通らぬでしょう。百数十件の法案が三十件も通らぬときだから、もっと国民に去年の選挙を通じて公約した問題、これをこの特別国会を通じてできるだけ実行するということが、いまの内閣の最大の責務だと思うわけです。その大事な責務を捨てて、国民の全然振り向きもしないような選挙制度の改正なんかに時間を費やすというのは、これは率直に言ってナンセンスだと思うのです。  あと、きょうは実は選挙関係でありますから、去年の十一月行なわれた総選挙について国が支出した経費の問題とか、つまり予備費から支出された一般会計の使用総調書等についても、明日これは大蔵大臣の出席を求めて四十六年の使用総調書の2と四十七年の同じ1の審査をすることになっておるので、時間があればあらかじめその点についても質問したいと用意しておったのですが、申し合わせの時間が来ましたので、この問題については、また明日の当委員会において十分な審査を行なうことにして、きょうはこれでとどめておきます。
  90. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 庄司幸助君。
  91. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は、地方自治体病院の経営の問題について、特に時間の関係上救急病院の問題について若干御質問したいわけであります。  この間お配りいただきました「地方財政の状況」、これを見ますと、地方自治体公営企業である病院事業、この当年度純損益が約百九十三億円、なおこの累積欠損金が五百三十五億円くらいになっております。その中で不良債務が三百九十八億円余、こういうふうになっておりますが、この点でお伺いしたいのは、病院事業のいわゆる赤字の原因、これはどの辺にあるのか、この辺まず伺っておきたいと思います。
  92. 鎌田要人

    鎌田政府委員 自治体病院の経営の赤字の一番の原因は、何と申しましても、私は社会保険診療報酬にあろうと思います。社会保険診療報酬がやはり病院事業実態に見合って適時適切に改定が行なわれておらない、これが一つの大きな原因であろうと思います。御参考までに申し上げますと、この料金収入の中でたとえば職員の給与費の占める割合を申し上げますと六三・七%でございます。六三・七%を占めておりますところの職員の給与費が、前年に比べまして、平均給与で申し上げますと一六・八%、給与費総額でございますと二一・五%ふえておる。それに対しまして肝心の料金収入、これが一二%しかふえておらない。これは端的に自治体病院の経営悪化の状況を示しておると思います。  それから第二の問題といたしましては、ただいまの職員給与費の問題に関連するわけでございますけれども、どうしても医師を確保しなければならない、あるいは看護婦を確保しなければならない、あるいはお医者さんなり看護婦さんなりに定着をしていただくためには給与の改善というものに努力をしなければならない、こういうことで給与費の増高が著しい、この問題がございます。またそれだけの給与の改善を行ないましても、お医者さんが来てくれない、そのために、せっかくベッドを持っておりましても、診療科目というものが開店休業である、こういうことがある。あるいは看護婦さんがおらないものでありますから、ベッドも結局あいたままで使えない。こういう病院としての稼働力といいますか生産性といいますか、というものが非常に落ちてきておる。  それからもう一つは、自治体病院の場合でございますと、どうしても病床が二百床以下あるいは百床以下の小規模病院が多うございます。小規模病院でございますから、どうしても経営が苦しい、こういうことがあろうかと思います。  それから第四点といたしましては、やはり病院自身の経営努力というものについてやや欠けると見受けられるところがある。これは俗にわれわれ仲間うちで申すわけでございますけれども、開業医で倒産をしたという話は聞かないわけでありますが、自治体病院というのは先ほど申しましたように六割が赤字だ、こういうことでございまして、その辺のところに、いま申しました原因のほかに、やはり経営努力の足らざるところがあるのではないだろうか。  最後に、病院の適正配置、あるいはその適正配置せられた病院のそれぞれの機能の発揮、こういった面につきまして、これは広い意味での国民全体の医療システムの問題になると思いますけれども、そういう面でなお努力すべきところがあるのではないか。小規模病院をたくさん持っておる自治体がございます。そういうところにおきましては、ある程度病院の地域的な適正配置というものも考えていただく必要があるのじゃないだろうか。  大要以上のような点を私この病院の経営悪化の原因として指摘できるかと思います。
  93. 庄司幸助

    ○庄司委員 その不良債務、これが三百九十八億円出ておりますが、この不良債務というのはどういう点で不良なのか、その点簡単にひとつ。
  94. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは公営企業の会計用語でございまして、要するに流動資産マイナス流動負債ということでございます。大局的、概観的に申し上げますと、要するに償却前赤字というものにほぼ見合う、こういうふうにお考えいただいたらいいのではないだろうかというふうに思います。
  95. 庄司幸助

    ○庄司委員 大体その点はわかりましたが、その点で第一番目にあげられた診療報酬の改正、この点は、厚生省いらしていると思いますが、厚生省当局ではどのようなお考えでいらっしゃるのか、この点ひとつ具体的にお願いします。
  96. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 診療報酬の問題は厚生省の中の保険局の担当ではございますが、いま自治省からもお答えがございましたように、われわれ医務局として医療行政のほうを担当いたしておりまして、われわれの立場からも同様診療報酬の適正化ということにつきまして希望いたしておるわけでございます。ただ、診療報酬は、中央社会保険医療協議会がございまして、これは医療担当者、それから支払い側、公益委員の三者構成になっていて、これがただいまかなり精力的に審議を進めておるわけでございます。そして診療側から、病院その他の人件費のアップ等に伴います経営の苦しい事情を訴えまして、ただいま中医協においてはこれを中心にいたしまして診療報酬の改定について御審議願っていると承知いたしておるわけでございます。
  97. 庄司幸助

    ○庄司委員 この「地方財政の状況」を見ますと、いま財政局長がおっしゃったような理由とあわせて、この対策として「最近の地方財政傾向と課題」、まあ一つの対策だろうと思いますが、高度医療、特殊医療に対する財政措置の拡充等の対策が必要だ、こう述べてございます。この点で私は、地方公立病院がいま負っておりますことは救急病院の問題、救急体制の問題、これが一つの非常な悩みの種になっている。特に赤字の原因になっている。これはあとで具体的な数字を申し上げますが、その点で救急告示病院、これは昭和三十九年度から始められた制度ですが、これの現在の数と、それから救急医療の件数、それから救急業務をやったことによる経営状況、これが経営にどういうふうに響いているのか。それから救急医療からくるいわゆる赤字の累積は一体どれくらいになっているものか。この辺、ひとつ厚生省当局にお答え願いたいと思うのです。
  98. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 いろいろ御質問がございましたが、消防法の定めができましてから、厚生省といたしましては救急告示病院というものを告示いたしたわけでございます。  この性格につきましては、救急医療の性格上、救急告示病院の備えている要件として、かなり一般的ではございますが、まず相当の外科的な治療のできる医師が常時診療に従事しておる条件を持っておる、それから手術室その他麻酔器だとかエックス線装置だとか、いわゆる病院として一般的ではございますけれども、救急告示病院になるためにはそういう必要がある、それから救急隊による搬送に便利である、あまり不便であっては困る、こういうような条件をもちまして、都道府県知事に医療機関側から申請していただくという形になって、告示をすることになっております。  それによって告示されました病院の数は、三十九年の八月一日現在では病院、診療所合わせまして千百八十二カ所でございましたが、四十七年の四月一日現在の資料では四千七百三十七ということになっております。  それから患者の問題でございますけれども、これは消防庁の四十六年の資料ですが、救急の出場件数としては九十九万件という数字が出ております。それから、それに伴いまして搬送した人員は九十五万人。三十九年のときの数字を申しますと、救急の出場件数が三十一万件、救急の搬送人員が二十七万人、それが九十五万人に約三倍以上に伸びているわけでございます。この中で、交通事故による出場件数は九十九万件のうちの二十八万件、それから交通事故による搬送人員は九十五万人のうち三十一万人、こういう数字が出ておるわけでございます。  それから財政上の問題でございます。お尋ねの趣旨は、そのようにして告示をされて、あとの病院運営にどういう影響を与えているかということでございますけれども、実はこの点につきましては具体的な数字をとった資料はございません。また救急医療の実態が、かなり個人あるいは公的によって、たとえば自賠法などの請求は点数もそれぞれ地域によって定めをしまして、たとえば国立や公的な病院ではほとんどが診療報酬の一点単価十円ということで請求いたすことにしておりますけれども、地域によっては、都会地などでは医師会その他が相談して定めた点数で、一点を十五円と計算して自賠法に基づく交通事故の診療請求をするというような実態もございまして、これを一般診療と区分けしたこまかい実態の調査はございませんので、先生の御要望の数字を具体的にお答えする資料がございませんけれども一般的には、これらの救急告示病院については、みずから申請していただくという形をとり、先ほど御説明しましたような病院としてかなり一般的に備えている機能というものを条件にしておりますので、当時お申し出いただくという条件の性格もございまして、補助金等のものは出しておりません。その後の救急センター等の設置という目的を定めた特定のセンターの設置には、補助金を出して計画的に整備するということをいたしております。
  99. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま御答弁あったわけですが、非常に搬送件数がふえている。これは救急病院の必要性を十分に感ぜさせる数字だろうと思うのですよ。実態的にいっても、実際交通事故のほかに、いわゆる夜間、休日の診療体制がないというので、救急指定病院に対してどんどん持ち込まれる、これが実態だろうと思うのですよ。その結果、救急告示を受けた病院が経営的に非常に苦しくなっている。特に自治体病院で苦しいという実態があるわけですね。その状況を私は一つの病院の実例で申し上げますけれども、いま厚生省は、これは赤字のはじき方といいますか、あるいは経営の分析の状況がつかめないだろうと思うのですが、これは非常に複雑なんですね。つまり、一般診療部門と救急部門とをどうたてわけをつけたらいいか、これがむずかしい。しかし、むずかしいからといって、これはほうっておけばどんどん赤字要因に転化する。私は非常に重要な問題じゃないかと思うのですよ。その点で、これはこれまで私どもがだいぶ問題にしてきたのですが、いわゆる一般診療部門の黒字の面を救急部門で赤字に転化される。こういう典型的な事例が一つあるのですね。これはよくお調べになったと私も感服しているのですが、いろいろな手法で分析をしたわけです。  これは仙台の市立病院の事例ですが、救急部門だけの収益、この計算のしかたはありますけれども、約一億二千八百万円ですね。ところが、これに対してかかった費用は二億一千六百万円余です。当期の純損失が救急部門だけで八千八百万円余になっているのですね。これがいわゆる病院経営自体を悪化して、一般会計からのつぎ込みその他をやってもなかなか解消できない。その結果として、心ならずも差額ベッドをやはりふやしてみたりするような傾向も出てきている。こういうことになりますと、私はいわゆる市民の一般的な医療までが圧迫されてくるという結果になると思うのですよ。その点で、先ほど医務局長のお話だと、告示病院は、これは申請に基づいてやってもらっているんだ。つまり、自発的にやらしてくれといわれたからやらしているのだというようなニュアンスがあるのですが、実態は、県の衛生部がほんとうに三顧の礼を踏んで、何べんもお願いに行って引き受けてもらっているという実態があるのですよ。結局住民のいろいろの御要望にこたえてやっている。この事実は御認識いただけると思うのですが、そういう実態に対して、これまで自治省関係あるいは厚生省関係でどのような援助をしてきたのか、これはひとつそれぞれお答え願いたいと思うのです。
  100. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私どものほうの自治体病院関係で申し上げますと、救急医療関係におきましては、何と申しましてもベッドを常時あけておかなければならない、それからお医者さんなり看護婦さんなりを当直をさせる、あるいは常時待機させておかなければならない、こういう面での増高経費というものを一定の基準によってはじきまして、これは一般会計が負担をすべきものだ、その二分の一を特別交付税で見る、こういうことでございまして、四十七年度の特別交付税の配分におきましては八億ちょっとになりますけれども、それをそれぞれの病院をかかえておりますところの自治体に配分をしておる、こういうことでございます。
  101. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先生ただいま仙台の市立病院の例を引かれまして、私ももちろんこの分析そのものを云々する基本的な判断材料も持っておりませんし、一億二千八百万あるいは二億一千六百万、この差が八千八百万、これが救急部門で出てくるとなりますと、これはたいへん重大な問題だと思うわけでございます。まあ公的病院というものの中に国立とそれから自治体関係、それともう一つ、医療法の公的病院の中に、日赤、済生会、農協関係病院、それから北海道の社協の関係病院、この四つを加えて公的病院としているわけでございますが、四十八年度、この自治体、国立を除いた日赤、済生会、農協等の病院に対して、救急であるとか、僻地医療であるとか、あるいはガン対策というような政策的な特殊の医療のため不採算あるいは高度の設備をしなければならない、こういうものに対しまして赤字を出している病院が、二百五十カ所ぐらいの先ほど申し上げた団体の病院の中で、約半分以下でございますが百二十カ所くらいの、赤字であってなおかつそういう部門を担当しているというようなものに、非常にわずかではございますが二億八千八百万円という、初めてわれわれの厚生省としては公的病院に対する助成金が用意できたわけでございます。この問題を今後、公的病院の特定な医療を担当していただくものに対してどういうふうにしてこれを援助していくかということにつきましては、自治体病院については自治省のお考えもございますし、また公的につきましては私のほうもわずかではございますがそういう糸口をつけた、国立はみずからの施設でございますから、これはそれの運営を責任をもってやる必要がございますし、そのようなことで、先生は救急を例に引かれましたが、一般的な意味の公的病院の特殊な使命を果たすために生ずる赤字の問題につきましては、これはやはり関係各省十分協議いたしまして、私たちの立場からも積極的な助成策を講ずる必要があるということが一般の御意見でもあり、また政府部内としても当然検討すべき事項であると私は思っておりますので、なお、この救急その他の問題について、もし分析が可能であれば、先生の例示されたような内容について各病院実態を調べまして、いま申し上げたような政府全体としての対策について検討していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  102. 庄司幸助

    ○庄司委員 大臣おられないようですが、自治省から伺っていきます。今年度約八億円の特別交付税をつけたと言われるのですが、これは厚生省の資料なんですが、「地方公共団体立の救急病院・診療所に対する特別交付税の交付」というのがあるのです。これの四十七年度で見ますと、いわゆるAクラス病院で二百四十万円、Bクラスが百九十万円、Cクラスが百三十万円、こういうふうになっていますね。これで財政局長さんがこういうふうに特交をつけたと言われておりますが、これでは焼け石に水じゃないかと思う。あるいは俗なことばで言いますと、二階から目薬程度のきき目しかないんじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点どういうふうにお考えですか。
  103. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この自治体病院の建設なり、あるいは維持補修あるいは運営、こういったものに対しまして、一般会計がどういうかかわり合いを持って、それに対して交付税でどういう財源措置をしてまいるかというのは非常にむずかしい問題でございますけれども、私ども公営企業法の立場から一応割り切っておりますのは、ただいまの救倉医療なりあるいは看護婦の養成なりあるいは高度特殊医療、こういったようなものについては、ある程度自治体病院のいわゆる病院企業としての役割りじゃなくて、むしろ自治体としての本来の行政上の一環をなすべき面がある、あるいは病院企業の内容をなすものでありましても、能率的な経営を行なってもこういうものについて赤字が出ることは目に見えておる、そういったものをピックアップいたしまして、病院事業全体に対する特交の措置といたしましては、そのほかに四十七年度の特別交付税におきまして百七億、それからそのほか普通交付税で約七十億余り見ておるわけでございまして、その中の一環として区分をすれば、救急医療部門として計算をしておるのが八億である、こういうことでございまして、百七十六億あるいは特別交付税だけで百七億という額は、これはそう二階から目薬というほどの額でもないのではないだろうかというふうに私ども考えておる次第でございます。
  104. 庄司幸助

    ○庄司委員 私が二階から目薬と言ったのは、実際、現実に地方自治体病院で救急部門を引き受けているという病院、こういうところの赤字が非常に目立っている、しかも病院の従業員からいいますと、相当の超過労働をやっているわけですね。それでなおかつ経営が苦しいということになれば、八億円つけたから、あるいはほかの地方交付税を入れて何十億になったといったって、やはり苦しさには変わりないわけですからね。その辺、抜本的にやはり対策をとっていかないと、地方自治体病院経営がますます苦しくなっていく。それはひいてはやはり交通事故もどんどんふえておりますから、その対策もおくれてくる。あるいは夜間、休日の診療体制の面で非常な犠牲をもってやっている、そういう病院の熱意にもこたえられないのじゃないか。ですから、私は、こういった程度じゃなくて、思い切った措置を講じてあげないと、いずれは地方自治体病院は、とてもじゃないが救急病院は引き受けられない、どこかよそさんに回してくれということが出てくると心配しているのですよ。その辺、これはひとつ大臣もいらっしゃるので、思い切った措置をどのようにおとりになるか、少し御答弁願いたいと思うのです。
  105. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 財政局長が申し上げましたように、救急医療の部門等々については八億円の措置をしたわけでありまするが、これが必ずしも私も十分だとは思っておりません。しかし、今後やはり診療報酬の是正の問題、これなどが解決いたしますると、地方の自治体病院としても、よほど根本的に立ち直る一つの要素になるというふうに考えておりますが、一般会計でめんどうを見なければならぬ部門、高度医療とか特殊医療とか、いまおっしゃるような救急医療、救急病院の任務の遂行の問題等々には、やはりそれ相応の措置を国がする、これは福祉を意図する田中内閣としては、当然やっていかなければならぬ問題ですから、大いにひとつこれは前向きで検討して、今後増額できるように大蔵省側とも具体的に話し合っていきたい、もとより厚生省その他関係省庁との連絡を密にしながら、こういった問題の解決に資したいというふうに考えます。
  106. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで厚生省に伺いますが、救急病院等を定める省令、これは昭和三十九年二月二十日のものですね。これを見ますと、基準がございますね。これは「医療について相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。」二十四時間ですね。それから二番目には、「手術室、麻酔器、エックス線装置、輸血及び輸液のための設備その他前号の医療を行なうために必要な施設」、それから三番目は、玄関のことまで書いてありますね。それから四番目は、優先的に使用できるベッドを用意しろ、こういう条件ですね。この条件で特別交付税算定基準が出されておるようです。何をやれば一点とか三点とか、あの基準でいきますと、それからこの省令でいきますと、実際いまの特別交付税のAランクの病院に二百四十万円、こんなちっぽけな金で、ほんとうに麻酔器一台だって用意するのもたいへんだろうと私は思うのですよ。まして医師を二十四時間、常時配置するとなれば、交代要員を含めても三人ぐらい必要だ、あるいは看護婦、放射線技師あるいは麻酔科の医師、こういうことになったのでは、とてもじゃないが、あの交付税算定基準二百四十万円じゃ、むしろ引き受けないほうがいいのじゃないか、こうなってきますよ。しかし、自治体病院ですから、これは泣く泣くやらなければならない、こうなります。その点では、これは私が県会議員の当時、厚生省に参りまして、補助金を出さないのはけしからぬじゃないか、だいぶ苦情を申し上げた覚えがあるのですよ。ところが、大蔵省が何かいつでも予算を請求するとゼロ査定で困ったものですという御回答をいただいたのですが、その辺、これまで救急病院に対する補助ですね、この点で予算請求をなさったのか、なさらなかったのか、またそれに対する大蔵省の態度はどうだったのか、これをひとつお答えいただきたい。
  107. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 実は結論を申し上げますと、正式な要求までに持ち込むことのできない複雑さと申しますか、どういう仕組みをもって補助金の算定をしたらいいかということは、各施設の態様が非常にまちまちであります。しかしながら、ある県によっては、まず救急医療に必要なベッドを算定して、一ベッドに一日何千円という単純計算でこれを助成しておるというふうな仕組みをとっておるところがあるやに聞いておるのですけれども、そういうようなことも踏み切れば、それも一つの考え方かもしれませんけれども、いずれにしても、われわれが第三者を納得させるような予算要求、救急のための設備あるいは運営上の病院に対する負担をかけている部分をどう算出するか、しかし医療機関でございますから、先ほど来診療報酬そのものの問題が問題になっておりますが、やはり医療に伴う収入もございます。それらの点を兼ね合わせまして、まして公的なものと私的なものと、国立病院にはいろいろございます。そういう公私に対する補助の問題も含めまして、いわゆる救急医療の不採算という部門にどういうような予算要求のしかたを持ち込んでいくかということ自体に、われわれの基礎的な資料なり基礎的な考え方が非常に確立しにくいという問題がございまして、公式にこの問題を踏み切った例はございません。ただ、しかしながら、わが国の救急医療を担当するためにかなり公的な場合に不採算の問題がある。私的の場合には、場合によっては先ほど来申し上げますように、一点十円というものを地域の協定によって十五円に計算しておるというようなことによって不採算をできるだけなくすというような形をとっておるところもございます。そうしますと、公私を問わず補助を出しますと、場合によっては私的医療機関のそのような収入のとり方に対しても何か規制をした上でないと補助を出せないというような問題も出てまいりましょうし、いずれにいたしましても、公私両方に担当していただいておるわが国全体の救急医療の医療機関に対する運営費の補助という問題については、方式の上に非常に悩みがある。気持ちは持っておりましても、あるいは試算的にはいろいろやってみましたけれども、その点について最終的な踏み切りができていない、こういう実態でございます。
  108. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは私、医務局長にあとで仙台市立病院計算の実例、これは非常に貴重だし、また参考になると思いますから、差し上げますから、これに基づいてひとつ大蔵省に折衝するような資料をぜひ早急につくってもらいたいと思うのですよ。そうやって大蔵省にこういった救急病院に対する制度的な補助をぜひ与えてもらいたいと思うのですが、その点どうですか。
  109. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 ぜひ資料はいただきまして、またわれわれの立場で資料を見ないうちにそういうことを申し上げるのはどうかと思いますが、いろいろ資料に対する一つの評価はできると思いますので、その評価の問題も先生にも率直に意見を申し上げて、参考になるものがあればこれも参考にさせていただきたいというふうに思っております。
  110. 庄司幸助

    ○庄司委員 私がもう一つ厚生省当局に伺いたいのは、いわゆる救急センターですね、これには補助金を出しておる、それから国立病院は当然に国のものですからおやりになっているというお話を伺いましたが、国立病院で救急センターをおやりになっているところは現在何カ所ありますか。
  111. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 全国では救急センターは百五十三カ所用意いたしておりまして、国立はそのうち三十八カ所担当いたしております。
  112. 庄司幸助

    ○庄司委員 国立病院全体でいま何ぼありますか。
  113. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 九十四カ所でございます。そのうち救急の告示を受けているのが八十でございまして、十四は病院の性格上ちょっとまだ救急医療を担当するに無理なところ、たとえば温泉病院のようなところ、こういうものは除いておりますが、八十。そのうちの三十八がセンターになっております。
  114. 庄司幸助

    ○庄司委員 そのセンターの問題で一つ重大な問題があると私は思うのですが、実は国立仙台病院がセンター病院に指定されて、四十七年度から予算がついてきた。ところが調べてみましたら、確かに建物とか設備は国が持つ、しかし医者と看護婦、それから技師やその他事務員、これは地方自治体が持てということになっているのですよ。建物は一回建てれば当分もつわけですね。しかも一億かそこらかければできるのです。ところが、いわゆる人件費、これが地方自治体持ちというのは私は少しおかしいのじゃないかと思うのです。国がセンターをやっておいて、人件費は地方自治体が持て、これは国と地方自治体行政分野からいっても合理的でないのじゃないか。しかも仙台の場合、私報告を受けましたが、医者が三名、看護婦が十九名、看護助手が二名、放射線技師が二名、事務員が一名、合計二十七名ですね。県当局はこれに対して六千百万円の今年度からの当初予算を六月議会に出す、こう言っておりますが、六千百万円ずつ毎年負担する、国立病院がつくるセンターに県が六千百万円金を出すというのはおかしいんじゃないですか。これはあらためて人件費も全部国が持つというふうにできませんか。
  115. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 この問題につきましては、実は交通事故が非常に急増しておる状態にかんがみまして、先ほどお話しの仙台市立病院はございますけれども、県の立場でやはり救急センターのようなものを構想しましたように承っております。その場合、国立の仙台病院と協力し合って、そしてかなり中心になってむずかしい脳外科などをやれるようなセンターを設けることが必要ではなかろうか、こういう話し合いの上で、一応この建物、設備について約一億かけまして、設計の上ではかなり一般的な病院にはないプラスした部門を救急医療のために用意したものが大体ことしの九月にでき上がります。  先生指摘の二十七名は、現在二十五名でございますが、予定が二十七名でございます。そこへ国立の病院からもセンターのほうに約二十八名の人間をお互い出し合ってやろう、こういうことで、すでに県の職員につきましては、国立仙台病院に参りまして、一応研修、訓練ということで仕事をしております。  先生指摘の、やがては国立に肩がわりすべきだということについては、結論としてはその方向でやりたいと思います。ただ、この問題につきましては、県との話し合いもございまして、県が一応センターを設置するという、県の要望と国の機能とをあわせて協力し合った地域医療の一つの姿ではありますけれども、地域医療計画としての一つのあり方を示したわけでございますが、やはり先生指摘のように、国立が将来この職員の分については逐次肩がわりするという方向は、当然考えなければならぬ方向であるというふうに思っております。
  116. 庄司幸助

    ○庄司委員 時間も来たようですが、最後に私は大臣にこれはぜひお願いをしておきたいのですが、こういった実態、いまお聞き及びのとおりでありますが、国は国の分野で当然のことをやってもらう、同時に地方自治体の場合はいまの財政状況からいってなかなか困難がある、この点で、きょうは救急病院だけにしますけれども、当面これだけでも赤字にならないような措置をぜひ国で講じてほしい。最後に大臣の決意をひとつ聞かしてもらって終わりたいと思うのです。
  117. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 救急病院はその性格からいって非常な役割りを果たしているわけです。したがって、それを引き受けた病院が引き受けたことによって赤字になるというような事態はやはり解消しなければならぬと思います。政府としても十分ひとつ前向きで取り組んでまいりたいと思います。
  118. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時五十九分休憩      ————◇—————    午後三時三十四分開議
  119. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のためおくれますので、私が委員長の指名により委員長の職務を行ないます。  坂井弘一君。
  120. 坂井弘一

    ○坂井委員 交通反則金、これを財源としますところのいわゆる交通安全対策特別交付金、これについて伺いたいわけでございます。  まず、この特別交付金の使途でございますね。概略この特別交付金はいかなるところに使われておるのかについてひとつ御説明願いたい。
  121. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御質問の、交通事故防止を効果的に果たしていくために交通安全対策特別交付金という制度ができ上がったわけでございます。今日、交通安全対策は緊急を要する課題でありまするばかりか、文化国家とかりそめにも名づけられる日本において、依然として交通事故による死亡、傷害が多いということは、何としてもこれは排除しなければならぬ大問題であるというふうに私ども考えております。交通安全の特別交付につきましては、地方団体が単独で交通安全施設整備する上に必要な財源、その一部に役立つように設けられた制度であります。それだけに私ども自治省といたしましては、事故防止に最も効果的な施設整備のためにこの特別交付金が円滑に充当されまするように十分目を配って指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  122. 坂井弘一

    ○坂井委員 ただいま大臣から御説明ございましたが、この交通安全対策特別交付金、これはこの交付金に関する政令及び道路交通法の附則の七項において、この政令に定める道路交通安全施設の費用に充てる、それでもっていまの交通安全対策を大臣御説明のとおり推進する、こういうことに相なっているようでございまして、従来建設省あるいは警察庁によるところの交通安全施設整備五カ年計画が別途ございます。これがございますが、この交通安全施設整備事業計画予算を見ますと、なお十分ではない。そういう中でこの交通反則金を財源とするところの交通安全対策特別交付金というものが、ある意味におきましては、交通安全対策のために相当大きなウエートを占めておる。ところで、この特別交付金でもって、いま申しますところの警察庁あるいは建設省予算によります交通安全施設整備事業計画、この計画に充当する、カバーする、こういうことがあっては相ならぬと思うわけです。つまりいま大臣申されたとおり、地方公共団体が単独に行なう交通安全、これに充てるのだ、こういう趣旨であります。  したがって私お伺いしたいことは、この交付金が政令で定められた事業以外のものに使われた例があるのではないかということなんです。その点についてはいかがでしょう。
  123. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ただいま先生指摘になりました点でございますが、実はこの特別交付金の使途につきまして、私ども常に本来の使途に充てるように指導いたしておるわけでございますが、この対象になっておらないたとえば警察官の人形の模型がございますが、そういうものの購入に充てておる、あるいはこの特別交付金は御案内のとおり、たとえばガードレール等の安全施設をつくる、その安全施設は道路の改築工事に付帯いたしまして一体となってつくる場合は、これは本来道路の工事の中でまかなわれるべきものでございます。既設の道路のあとからつくる、こういう場合にはしてもよろしい、こういうことになっておるわけでございますが、それをいまの改築に付帯して行なうものに充てておる、こういうようなことで、いわゆる目的外、本来の充当すべき目的外に充てておる、こういう事例がございます。
  124. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、その問題はあとで触れるといたしまして、この特別交付金の予算上の扱い、これはどうなっているでしょうか。
  125. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは一般財源ということでございます。
  126. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、先ほどの問題でございますけれども、つまり充ててはならないところに使ったということで、会計検査院指摘いたしておりますね。これを見ますと、これは抜き取り検査をやったようでありますけれども指摘を受けた団体が二十三あるようでありますが、トータルを見ますと、総事業費が八千二十二万二千円でございますか、これに対しまして、指摘額が二千三百三十八万一千円、こうなっております。そういたしますと、妥当と思われるこの額が差し引きいたしまして五千六百八十四万一千円、こういうことに相なると思います。そういたしますと、つまり一千百七十一万九千円、これが他へ流用された、こういう形に相なろうかと思うのですけれども、そういうことになりますと、いまこれは一般財源一般会計予算でございますので、流用の額をこれだけでちょっと計算いたしましても約一七%でございます。そうすると、一般財源一般会計予算で一七%も流用されるというようなことは私はほかには例がないんじゃないかと思うわけですが、その辺についてはどういう御認識を持っていらっしゃるのか、ひとつお答えいただきたい。
  127. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十七年度で特別交付金交付額が八十五億ございますが、この八十五億の配分の実情を見ておりますと、たとえば五万円で足を切っておるわけでございますが、五万円以上十万円未満、こういうところが二百十五町村、千五百八十七万金額にしてあるわけでございます。これは実は私ども検討しまして、足切り額を上げなければならないと思っておるわけでございますが、たとえば七万円、十万円と五万円の間の七万円という金がある町村に入った。そうしますと、この金を一体どう使ったらいいか。充てる目的といたしましては、交通信号機でございましたり、ガードレールでございましたり、あるいは歩道橋でございましたり、歩道でございましたり、そういうものですと、これはとてもはしにも棒にもかからないような金額でございます。これで買える金額ということになりますと、交通標識あるいはカーブミラー、こういったようなものになる。それで今度はまたいまの県道なり国道なりにそういう施設をかりにつくるということになりますと、また道路管理者との関係がある。こういうことで、どうも金額がある程度零細なものでございますから、町村としても使いあぐねておる、こういうところがやっぱりどうしてもあるのじゃないか。したがいまして、いまの警察官の張りぼての人形を買うとか、そういうようなことになったり、あるいは昔私これを最初手がけましたのですけれども、そのころは児童の交通教室、こういったものの教材に充てるとか、そういうようなことでやっておられたことがございまして、やはり問題になったことがあるわけでございます。そこで、こういう問題が出てくる一つとしては、ある程度やはり足切りの幅を上げまして、まとまった金として使えるような配分をすべきではないだろうか、私どもそういうことでこの問題を解決してまいりたい。いま検討をせっかくいたしているところでございます。
  128. 坂井弘一

    ○坂井委員 確かに地方公共団体ではこの交付金の使い方についてたいへん困っておるというのが実情なようであります。いま御説明のとおりであります。  そこで、先ほどの道交法に戻りますが、この附則七項におきまして、つまりこれは単独事業である、こうきめられているわけですね。そういたしますと、地方自治体が自治体の自主財源でもって一つのまとまった交通安全対策を進めたい、そうした場合にこの交付金をそれに充ててよろしいかどうか、つまりその辺の迷いがあると思うのですよ。そのことについては自治省でお認めになっていらっしゃるのか、あるいはまた現実にどのような行政指導なりをなさっていらっしゃるのか、それをひとつお伺いして進めていきたい。
  129. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御案内のとおり、この特別交付金が創設されました趣旨、ゆえんのものは、やはり交通事故が多発する、そこでそういう痛ましい交通の惨禍から地域住民を守ってやる、そのために直接必要な施設というものを緊急に整備するのだ、そのための財源として反則金を充てるのだ、こういう考え方でございますがゆえに、対象施設といたしましては、先ほど申し上げましたような直接身体の安全というものを守るために必要な施設、こういうものに限定をいたしまして、それと同時にいまの地方の単独事業、こういうことで、そういう意味におきましてはぎりぎりの限度が救急自動車まで、こういうことで対象というものをきびしく制限をいたしておるところでございます。  そこで、いま私ども、建設なりあるいは警察庁なり、こういったところと会合を持ちまして、ひとつ検討会を催したいと思っておりますのですけれども、先ほど申しましたような金額の多寡の問題ともからむわけでございますが、現在市町村なり県なりでいま充てておる施設のほかに、どういう施設というものに充てる、あるいは施設の新設だけではなくて維持改良的なものにまで充てたほうがいいのじゃないか、こういった議論等も、それぞれの所管省におきまして地方の声も聞いておられるようでございますので、そういうところと相談をしながら、できますれば政令の改正にできるだけ早く取り組みたい、こういうことをいま考えているところでございます。
  130. 坂井弘一

    ○坂井委員 お伺いしたいのですけれども、つまり地方自治体財源にこの交付金をプラスいたしまして、そして事業を行なうということはお認めになっていらっしゃるわけですか。
  131. 鎌田要人

    鎌田政府委員 考え方といたしましては、いまの五カ年計画に基づきますところの事業というものがございます。この事業の中には御存じのとおり補助事業もあれば単独事業もある。単独事業でございますれば、この交付金というものを充てられるわけでございます。したがいまして、いまの五カ年計画に基づきまして国が補助をつけてやるものと、それから当該自治体の単独事業、これをセットにいたしまして総合的な交通安全施設整備事業をやられるという場合には、その中の単独事業の分でこれの充当されるものについては当然これを使ってもよろしい、こういうことは申し上げていいと思います。
  132. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、いまのような意味は、いわゆる継ぎ足し単独ということでお認めになっていらっしゃる、こういうことになりますか。
  133. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いま私が申し上げましたのは、そこまでこまかく詰めてのことではございませんで、この部分は国の補助を受けて行なう事業としてやります、この部分はプロパーの単独事業としてやります、それに充てられるのです、こういう意味で申し上げたのですけれども、問題は、いまの継ぎ足し単独ということになりますと、結局補助事業超過負担の面と、これにもいつも申し上げておりますような単価差数量差対象差というのがあるのですけれども、それと継ぎ足し単独の限界を、そういうものともう少しはっきりさしたところでないとちょっとお答えしかねると思います。
  134. 坂井弘一

    ○坂井委員 私はそれをなぜ申し上げるかというと、地方自治体では使い方に対して神経を使っておるわけです。そこで継ぎ足し単独的なものも行なわれておる、これが現実です。そこで、そうであるならば、それを自治省としてはお認めになるのか、あるいはそれをいま認めるについてはやはり非常に疑義があるので、なお詰めた上でなければそのことに対する是非ということはいま直ちにまだ結論を得ていないのだとおっしゃるならばそうだし、つまり現実の問題から、これはそういう点でそこに非常に不明確なものが、せっかくのこの反則金が地方自治体に交付されながら、いまのようなところで迷いがある、そのことに対していま少し明快な回答を与えていただきたいということなんです。
  135. 鎌田要人

    鎌田政府委員 非常に歯切れが悪うございますのは、実は継ぎ足し単独というものの考え方が非常に微妙と申しますか、あいまいなところがある。かりに交通信号機を五つつくれということで補助金を薄まきやられる、こういうことになりまして、それの足らざる分が継ぎ足し単独だということになりますと、超過負担を是認するということになる。これは私どもといたしましては、やはり常に決算委員会においても御指摘をいただいておりますような、超過負担を是認するような形で継ぎ足し単独を認めるというのは非常につらいものでございますので、その点についてはもう少し私どもといたしましても考え方を統一をいたしたい。いわゆる継ぎ足し単独というものが補助金の薄まきの上に乗っかるもので、いわゆる超過負担分に相当するものである、それにこれを充ててもいいということになりますと、ちょっと私ども財政秩序を守るという面から見ては問題があるということなのでございます。
  136. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣に御答弁いただく前に、いま局長からそういう御説明があったわけでございますけれども、この種のことに対していろいろ検査をなさっていらっしゃる会計検査院はいかなる見解をお持ちでございましょうか。つまり継ぎ足し単独というものの形が現実に行なわれておるようでございますけれども、これらについて、これをお認めになるか、あるいはまたそうではなくして、別途こういう方法がより妥当であるとかいうような見解をお持ちであろうと思いますので、ひとつお答えいただきたい。
  137. 服部桂三

    ○服部会計検査院説明員 お答え申し上げます。ただいまの御質問の、いわゆる継ぎ足し単独でございますが、この点につきましては、自治省当局からもただいま御答弁ございましたように、実際私たちの検査の場合でもよくぶつかる問題でございます。しかし、私たちの検査の立場としましては、一応そういったものは問題点としてあげてまいりまして、そのあとで自治省当局とよく打ち合わせをいたしまして、そして両者の意見の同意をまちまして、しかるべき処置をしておるわけでございます。もっとも中には非常に明白な場合もございます。一つの例を申し上げますと、たとえば国庫補助事業で歩道延長百十メートル、その事業費が百万円としました場合に、その申請が、かりに査定の段階で歩道延長百メートル、また事業費が九十万円、そういうふうにはっきりと切られましたような場合には、その場合にはやはりその切られた部分の単独事業による施設というものが、これは区分がはっきりいたしますので、こういった場合はその分に対しまして特別交付金の対象にしてもいいのじゃないか、こういった場合は言えるのじゃないかと思います。
  138. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣、この額が非常に大きいわけですよ。四十三年から交通反則金制度が発足したわけでございますが、四十三年度を見ますと、歳入予算額が百二億三千七百三十七万九千円、これは途中からでございますが、これに対する収納済み額が七十一億四千二百余万円。四十四年度になりますと、歳入予算額が百十七億三千九百万余、これに対して収納済み額が百二十一億五千七百万。四十五年度は百十八億一千七百万に対して百七十四億三千五百万。四十六年度が百三十三億に対しまして二百二十五億四千万。四十七年度は二百五十九億六千万に対しまして二百七十五億一千七百万。これは出納整理期間を除いております。いずれにしましても年々膨大な額にのぼっておる。これが一般財源。これが道交法の附則できめられたものでございますね。  そこで、先ほどの質問に移るわけでございますけれども、つまり地方自治体が安心してより効果の出るような、そういう安全施設に充当しなければ意味をなさないわけであります。非常に混乱しておるということですよ。そこで、いまの継ぎ足し単独という名前がいいかどうか、これは別としまして、つまりそれらしい形のものが一方では行なわれておると思えば、また一方では会計検査院からこれはまかりならぬ、こういう使い方は妥当ではないという指摘がなされるのも先ほど申しましたように数あるというようなことでありまして、これらに対しまして自治省としても統一見解を出されるということも私は必要性を感ずるわけであります。大臣ひとつこの点について御見解を聞かしていただきたい。
  139. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは、御質問の御趣旨のとおり、もっとわかりやすく地方自治体を指導する必要があると思います。こういう金額が年々ふえることは、それだけ反則者が多いというわけですから芳しくありませんが、しかしそれが交通安全対策に使われるというところに非常な妙味と救いがあるわけですね。ですから、これが交通安全対策上の施設として有効に使用されるように、たとえば十万都市ならば、たとえば三万以下の町村であるならばといったように、いろいろの場合で一つのモデルをつくって、こういうことをして非常に効果をあげておる、これは奨励すべきだというようなことがあるはずだと思うのですね。したがって、こういうものに使う場合はよろしいが、これはぐあいが悪いといったような、いわば交通安全対策施設にこの金を使用する手引きのような、わかりやすいものを市町村に送る。これは県に送って県がまた徹底するという形になりましょうか、いずれにしろそういう形で具体的指導ができるように今後努力をしてまいりたいと思います。十分検討いたします。
  140. 坂井弘一

    ○坂井委員 それからこの反則金制度そのもの、これは私、制度に触れるつもりはございませんが、つまり本来的には反則金じゃなくて行政罰でいいのではないかというような意見も一部一方にはあるのですね一そういう中からこの制度が発足した。行政罰にしても入ってくる金は同じじゃないかというのがその主たる理由なようであります。ただ、この反則金を払わなければ罰金にするというのでは、地獄のさたも金次第という論法と全く同じでありまして、その辺から、どうも反則金に対しては、これだけ膨大な額が年々、必ずしも喜ぶべきことではございません、まさに悲しむべきことだと思うのですが、ここ四、五年のうちに一千億に達するのではないかというようなことをいわれておる向きもあるようです。ですから、そういうような反則金がほんとう交通安全のために、いま大臣のおっしゃるとおり非常に効果あらしめたということでなければ、まさに意味がないと思うわけですね。同時に、いまのような形でおりますと、どうも安易な形になりがちである。しかも事故の起こるところはどこが多いかといいますと、国道が御承知のとおり非常に多い。そういたしますと、事故がたくさん起こった自治体はたくさん反則金が入ってくる。入ってくるのだけれども、この反則金の使い方に非常に苦慮しておる。また一方、事故の少ないところは反則金が少ない。五万円くらいの町村もあるわけですね。これでは使い道がないです。また非常に混乱を起こしておるというようなことでございますので、その辺もあわせて、この反則金の交付の基準等についても、さらにひとつ御検討されたほうがよろしいのではなかろうかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  141. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 それは重要な御指摘でして、私どもも全く御質問を同感に存じて聞いております。したがって、具体的にどうするか、どう措置するか等々については、十分ひとつ検討いた.しまして、いま御質問の趣旨が徹底するようにいたしたいと思います。
  142. 坂井弘一

    ○坂井委員 よく御検討、またそうした趣旨に向かって徹底したいという大臣の御答弁でございますが、それでけっこうだと思います。  なお、この道交法の附則だけでこれだけの大きな一般財源としての反則金が入ってくるわけですが、どうもその辺はもう少し整備したほうがいいのじゃなかろうかという感じも持つわけですけれども、附則でだけでもいいじゃないか、ことさらそのことについてとやかく言うわけではございませんが、やはり形の上からいきますと、これもいささか、これほど大きな額にしてわずかに附則というのもいかがであろうかという感じも実は持つわけですが、その辺についてはいかがでしょう。
  143. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 まあこれは附則という形になっておりますが、附則であっても法律であることには間違いはないというわけです。御指摘の御趣旨はよくわかります。今後の問題として検討はいたしますが、附則であるから権威がないというていのものではないわけでございますので、それで効果を発揮しておるわけでありまするが、おっしゃるように、だんだん金額が多くなると、これは決して喜ばしいことじゃございませんが、よく御趣旨の存する点については、意味はわかりまするので、検討してまいりたいと考えております。
  144. 坂井弘一

    ○坂井委員 あとこまかい指摘等の事項がございますけれども、大筋といたしましては、この制度そのものにつきまして、あるいはまたこの交付等につきまして十分検討し、前向きに対処していくということでございますので、本日は、質問をこの程度にとどめておきたいと思います。  ありがとうございました。
  145. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 この御指摘は、特に交通安全という非常に重要な問題ですし、金額もだんだんかさんできておりまするから、これは御納得のいくように結論を出しまして、そしてまた御連絡をするばかりか、全国にも徹底するようにしたい、御質問の趣旨が生きるようにいたしたい、かように考えます。
  146. 坂井弘一

    ○坂井委員 了解しました。
  147. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 折小野良一君。
  148. 折小野良一

    ○折小野委員 私は、契約と入札制度、そういう面につきまして二、三質問をいたしたいと思います。  先ほどからお話がありましたように、地方自治が扱います財政投資といいますか、これは非常に大きな額を占めておるわけでございます。したがって、これが正しく使われるということ、効果的に使われるということ、これは非常に大切なことであろうというふうに考えておるわけでございます。そういうような意味から、契約ないし入札というものが公正にかつ効率的に行なわれる、こういうことを私ども最も期待をいたします。しかしながら、従来の実態を見ておりますと、こういう面につきまして自治省はあまり関心をお持ちでないのじゃなかろうか、こういうような気がいたします。行政的な指導、そういうような面におきましても後手に回っておる面が非常に多いように考えるわけです。もちろん実際の事業は、あるいは建設省であるとか、あるいは農林省であるとか、文部省であるとか、そういうようなほかの省庁で直接指導して行なわれる、こういうことが多いわけでございますので、そういう面に関心を持たれるような機会に接する機会もあまりに少ないのじゃないか、こういうふうには考えますが、しかし入札あるいは契約が公正に行なわれることによりまして、いわゆる財源の効率的な使い方、したがって、行財政を通じた行政の運用、こういう面の効果があがるかあがらないか、こういう面に非常に大きな影響を来たす問題である、こういうふうに私どもは考えております。こういう点につきまして、一般的に自治省としてどういうふうにお考えになっておるのか、その点を一応お尋ねをしておきたいと思います。
  149. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の点は、やはり自治省としても十分配慮しなければならぬ問題だと思います。地方自治法の上から申しますると、一般競争入札を原則とするというわけですが、政令の要件に該当する場合には、指名競争入札、一般の競争入札以外の方法によって契約を締結する、これもできるようになっておるわけであります。大部分の地方公共団体におきましては、よく言われることですが、地元の企業を優先させてもらいたい、地元の企業をかわいがってもらいたいというような要請が地元から出てくる。それからまた工事の安全とか確実に完成させるというようなことから、その規模に応じて工事の請負業者自体の規模も変わってくるというようなことから、完全競争入札ということでなくて、やはり指名入札に現実的にはなるというものを認めていかないわけにはまいらぬのではないか、これはやはりやむを得ない一つの地方公共団体としての実情であろうというふうに私ども考えます。御指摘のように、公共事業一つを取り上げてみましても、農林関係、建設関係、いろんな省に分かれまして、多岐にわたるわけでありまするが、自治省自体として、地方公共団体の姿勢はこうあるべきだということについては、十分やはり指導と適切な配慮をこれに加えていくことは必要であるというふうに思います。
  150. 折小野良一

    ○折小野委員 契約並びに入札の制度につきましては、自治法で明らかに規定がなされておるわけです。二百三十四条に「契約の締結」という条項がございまして、これによって公正な契約を結ぶということが出ております。その中で従来いわゆる請負入札、こういうような場合におきましては、一定の予定価格、普通引き札といっておりますが、それを入れまして、それ以下の最低の者に落札をさせる、こういう制度であった時代が長く続きました。しかし実際、その時代におきましても、地方公共団体の中におきましてはその予定価格を下回るさらに一定の基準を置きまして、それを上回る最低のもの、こういうものを落札者に指名をする、こういうようなことが現実に行なわれておったわけであります。ところが制度の面からいきますと、これは違法である。しかし現実には行なわれておった。そういう状態が長い問続いておりました。その後、例の皇居のある建物を建築するにつきまして、結局この法に基づまして、あるいは悪用するということもあったかもしれません、悪用というほどでなくても利用しようという気持ちはあったかもしれませんが、いわゆる一円で入札をした、こういうようなのが問題になりまして、そしてこの条文、この条項の改正が行なわれた。すなわち三項にただし書きというものをつけられまして、従来実際自治体がやっておりました予定価格を下回る最低ということでなしに、予定価格を下回るある程度に線を引く、こういうことがよろしい、こういうようなことになりまして、一円で入札をするというようなそういう非常識といいますか、そういうような面は防げるという形になったわけであります。しかし、そういうような改正をやられますまでには、いわば違法な実際の運用というのが長い間続いてまいったわけであります。  ところで、ただいまのは請負の場合なんですが、最近これに関連をいたしまして、物を売る場合につきまして、例のNHK本館の入札というものがございました。これも世間の非常に大きな関心を引いたわけでございますが、しかしあれはNHKでありますから、NHKの規則がどういう規則になっているか、それは知りません。そしてまたそれは別にわれわれの立場としてどうこう言う問題ではないかもしれませんが、もしあれをある自治体がやった、自治体がやった行為がああいう結果になったということでありますならば、これはまた大きな問題になったでございましょうが、しかしそれはいまの制度からいえば正しいのだということになったはずでございます。今日土地問題が非常にやかましい、地価の高騰がいろいろな面で国民の関心を引いておる、こういうような時期にああいう問題があったといたしますならば、当然自治省としてもいろいろとお考えになければならないはずであります。特にそれが自治体の行為としてああいうことがあったといたしますならば、当然お考えになってしかるべきだ、こういうふうに考えるわけでございます。しかし、これにつきましては、現在のところまだ自治省として具体的な動きというものは私ども聞いておりません。そういう面を考えた上でのことであろうと思うのでございますが、東京の近郊のある市におきまして、これは東京から大体三十分くらいのところにあります近郊衛星都市でございます。したがって最近の土地ブームが非常に激しい地域でございます。そういう地域におきまして、少しでも安くてりっぱな住宅を住民に提供しよう、こういう善意あるいは積極的な気持、そういう気持ちから、その市が持っております都市計画の保留地、これを一般に売り出した。しかしその場所からいきますと、通常坪当たり四十万から七十万する、こういうふうにいわれておる土地だそうでございますので、できるだけ安く住民に提供したい、そしてまたいまの土地値上がりブームに対して何とかこれを鎮静させるような方法をとりたい、こういうことで一生懸命検討した結果、最高限をつけた、そうして入札をやった。その結果落札した人は、市価からいたしますと二分の一ないし三分の一という安い価格で土地を取得することができた。もちろんこれにはその問題ばかりじゃなしに、そのほかのいろいろな問題が出てまいっておるわけでございますが、その方法というのは、その市長さんとしては現在の地価高騰の実情というものをいろいろ考えまして、何とか市民のためにということで一生懸命考えて、そういう方法をやられたことだと思うのでございます。しかしその方法はこの法律、自治法の二百三十四条からいたしますと違法である、こういうふうにいわざるを得ないというふうに考えるのでございますが、自治省としてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  151. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御指摘のとおり、これをこういうふうにされた市長さんのお気持ちはまことによくわかりますし、現在これだけの土地ブームの間において、普通の値段で売り出せば、おそらくハゲタカの群がるごとく不動産業者は食いつくと思います。お気持ちはわかります。確かに先生のおっしゃるとおり、この条文からいえば、市長さん個人の財産でなくて市民の財産ですから、売るときは最高の値段で売れという趣旨からいえば、違法の疑いは確かにある。私どものほうも、あれを新聞で承知しまして、興味をもってというとおかしいけれども、これを十分研究しなければならぬと思って、いま一生懸命研究しておりますが、現在の条項では違法の疑いが確かにあるといわざるを得ないのです。
  152. 折小野良一

    ○折小野委員 もしこれが違法であるということになりますと、あの入札というものが無効であるのかどうか、あるいはそういう面について自治省として何らか方法をとろうとされておるのか。そういう点、現実にいまどういうふうにしようとされておるのですか。
  153. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 個々の地方団体の行なった事柄について一つ一つ口をはさむつもりは毛頭ないのでございます。現在、行為が違法の疑いがあると私申し上げたのは、何とか、その市長さんの気持ちもよくわかりますので、読めるか読めないかということをさらに突っ込んだ研究をするつもりでございます。  それから市長さんがおやりになろうとしたことは、これはいろいろ方法はございます。たとえば、あのときに安い公営住宅を建てて貸してやる方法もございましょうし、あるいはその値段をきめておいて抽せんか何かでやれば財務規程ではいけるかもしれません。入札という方法をとりながら、ああいう最高価格を制限して、しかもそれを公表しなかったということがこの条項に対しておかしいわけでございますから、現在直ちにあの入札が無効になって売買が無効になるとは思っておりませんけれども、今後同じような趣旨のための措置をおとりになるについては、これは埼玉県の地方課ともよく相談しまして、そういうふうな疑いのないような方法を何とか講じさせていきたい、そういうふうに考えております。
  154. 折小野良一

    ○折小野委員 行為そのものにつきましては、ただいま御意見のようなことが一応いわれると思うのでございますが、しかし市長さんの気持ちとしては、いま御答弁もございましたように、たいへん善意であり、しかもその熱意にあふれておる、こういうようなことでございますし、今日の社会の情勢、特に土地値上がりというような点から考えますと、法的には一応違法な疑いがあったといたしましても、何とかそういうような行為を是認したい、あるいはそういうような行為が違法ということでなしに行なわれるような方法をとるべきじゃないか、こういうふうに考えるわけです。この前の皇居の入札の場合には、一円というのは非常識じゃないかということで、入れた人が辞退したということで結果的には問題は片づきました。しかし、今度の場合には、違法のおそれがあるということになってまいりますと、その辺はなかなかむずかしいと思いますし、それだけにまた自治省としてもいろいろとあるいは御指導その他なされる必要があるんじゃなかろうか。もちろん地方自治体がやったことだといえばそれまでかもしれませんけれども、しかしこれは自治省において当然いろいろ指導していかれなければならない、自治法に明らかに規定をされておる、そういうことであるわけです。しかも現在の社会情勢というものも考えていかなければならない。この辺非常にむずかしい問題があろうと思います。しかしまた、その市におきましては、もっとまだ保留地が残っているのだ、だから、次々にそれを売り出したいのだ、こういうような予定でおられるわけでございます。ですから、こういう点については早急に方法を講ずべきであるというふうに考えます。その中で、特にお尋ねしたいのは、どういう方向にこの問題を処理していこうとされておるのか、その点を特にお伺いをしておきたいと思います。
  155. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 なお残った保留地がございまして、市としてはぜひ何らかの形でそういう地価の暴騰するのを防ぐ施策をしたいという気持ちはまだ十分お持ちのようでございます。今後今度と同じような方法をとると違法の疑いがありますし、これを受け取った人が転売でもしてしまえば、これは当然市に入るべき利益が個人の利益になるというような意味で非常に欠陥のある方法ではないかと思いますので、なお少し研究させていただきまして、埼玉の地方課ともよく相談をして、今後同じような目的を達成するための施策はどうあるべきかを検討しつつ、くだんの市によく指導してもらうようにしたい。現在まだ具体的な方法はございません。私どもまだ研究不十分でございます。
  156. 折小野良一

    ○折小野委員 さっき申し上げました公共の建物の入札のことがありまして、その後二百三十四条の改正が行なわれました。今回の事態をいろいろと検討をいたしまして、さらにこの条項の改正ということは考えられないのか。一つの考え方といたしまして、請負の場合について一つの線を引くということを認めよう、こういうただし書きがつけられた。今度は物を売る場合においても、特別の場合において一定の制限を設ける、こういうこともいいじゃないか、こういう方向の改正ということは考えられませんか。
  157. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 一般的には現在の法律の規定は合理性があると思うのです。市長さんの個人の財産ではなくて、市の財産ですから、市民に利益をもたらすという現在の原則は動かすべきものではない。ただ、これと全く違った地価抑制という別の政策目的をもってこういう財産処分をしようとする場合に、そういう場合には今度の方法がいいとは思いませんけれども、今度はそれにかわる欠陥のないような方法を、私もいま直ちに改正案を持っているわけじゃございませんけれども、そういう法規の改正というものは常に検討しなければならないと思っております。現在の法規の範囲内で、そういう欠陥のない方法とすれば、先ほどもちょっと申しましたけれども、一定の価格はもう公示してしまって、希望者、特に市民だけに限って、しかも転売その他のことをしないような条件をつけた上で、抽せんで売却するというような方法でもとれば、これは法規の範囲内で同じような目的は達成できるかもしれません。これも一つの案だという気もしておるのです。
  158. 折小野良一

    ○折小野委員 事態は非常に複雑でございますし、出てきた問題も、ただいま私が申し上げたような問題だけでなしに、そのほかにもいろいろな問題がたくさん出てまいっておるようでございますから、早急にあるいは一方的にいろいろな解決をつけるということはなかなかできないかとは思います。しかし、事は違法のおそれがあるということでございますので、そういう点を十分配慮していただいて、早急な措置をやっていただく、こういうことが特に必要なことだと思います。  それから、一番最初に申し上げましたように、こういうような法律の規定がちゃんとあるにもかかわらず、実態というものとこの法の運用というものとがぴったりうまく運営されておる、そういうことがないのじゃないか。そうして、また、いろいろな面を改正しようとする場合には、何らかの問題があって、そうしていわゆるあと追い的に問題が処理される、こういうことが多い、こういうふうに感ずるわけでございます。したがって、こういうような問題につきましては十分関心を持っていただき、そうしてまたそれぞれの時代の趨勢と申しますか、そういうものを判断をして、そうして制度の運営実態に即するように御考慮いただく、こういうようなことが特に大切であろうと私ども考えております。  さらに、この契約並びに入札の制度につきましてはいろいろと問題があろうかと思いますが、入札をいたします場合に、普通引き札といっております予定価格というものをきめる。この予定価格の上か下かというようなことできまるわけでございますが、普通価格というものは一定の単価の積み上げ、こういうことで決定をいたします。ある一つの事業をいたします場合に、それが国の場合でございますならば、地方公共団体の場合もそれに準じておると思いますが、建設省がきめております基準単価あるいは標準価格と申しますか、そういうものを積算いたしまして一つの工事費というものをきめる。そしてそれでいろいろと計画を立てていく。予算を計上いたします場合にも、おそらくはそういうものをもって予算を計上いたしますでしょう。そしてまた国が公共事業を認証するというような場合の事業費というものも、やはりそういうものが基準になってまいりますでしょう。そうしますと、予定価格を入れるという場合にも、これは別個の基準ではなしに、大体同じような基準で出てくるわけでございます。予定価格というのは一応入札が終わるまでは秘密にされておるわけでございますけれども、その前の段階における予算あるいは建設省の基準単価、こういうものは公表されております。したがって、予定価格は大体その道の専門家であるならば推定がされるということなんでございます。この辺もう少し入札を公正にするための何らかの方法と申しますか、そういうものがないものかどうか。自治省として何かお考えになっておるような点はありませんでしょうか。
  159. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 確かにその予定価格がどの辺であるかというのを推定することが入札に参加した業者の腕のように現在考えられておる。この予定価格というのは、ある程度の推測はつきます。予算単価上とか、あるいは地方段階においては予算書の付記に相当不必要な分まで内訳を載せてしまうということで、ある程度推定がつくわけであります。それで実際入札に移る段階で、そういったあらゆるものを考慮してそのときの入札価格をきめて、そこに文書として持っているということでありますが、そういう状況が入札が不公平になる原因になっておるとは私たち思ってないのであります。そのときのセメント予算のときより値上がりしたとか、その他いろいろな情勢を考えなければならない。そして大体この辺で落ちるだろうということで、入札の段階で初めて意思決定しますから、大体のところは推定できるとしても、必ずしも業者のほうでも一目瞭然というふうなことでもございません。それをめぐって業者の間で競争がされるわけでありまして、このこと自体が欠陥というふうには考えておりません。したがって、予定価格の制度を変えるということについては現在考えておりません。
  160. 折小野良一

    ○折小野委員 それに関連いたしますが、先ほど自治大臣もおっしゃったように、入札の方法に一般競争入札とか指名競争入札、あるいは随意契約というようなものがございます。原則は一般競争入札ということでございまして、一般競争入札の原則をもってすれば、予定価格について、いま私が申し上げたような事情にあったとしましても、予定価格が漏れるに近い状態は現実にはあまり出てこない。しかし、一般競争入札を制度の上では原則としておりながら、実際は指名競争入札というのがほとんど全部なわけなんです。その指名競争入札というのが実際上の原則みたいな形になっておる実情におきまして、各地においていわゆる土建協会とかいろいろな組織ができておるわけであります。もちろんそれぞれの組織はいわゆる民主的な組織ということでございますから、それができておることについてとやかく言う筋合いはもちろんないわけでございます。それがそれぞれの立場で十分な活動をすればいいのでございますが、そういう組織が結局談合の場所になる。それぞれがわずかな差でありましても、予定価格に最も近いようにということで公正な競争をするならいい。ところが、実際は指名競争入札でございますから、特定の業者というのがほとんどきまっておる。それは当然それぞれの地域の土建協会に全部加入しておる。したがって、そこでは具体的に工事費をこまかに計算をして出そうということよりも、むしろ各業者がそれぞれの力関係で工事がとれるように操作を行なう。もちろん談合というのはいけないことにはなっておるが、それはまあ表向きのことであって、実際はそれが行なわれておる、こういうことになっておるわけです。これは結局予定価格がそういうようなことであるというのと、制度の趣旨にもかかわらず指名競争入札が現実の原則みたいなことになっておる、こういうところからきておるわけであります。そういうことが結局は入札の公正を阻害をする。場合によってはせっかくの国民の税金がほんとうに効率的に使われない、そういうような結果をもたらす場合もなきにしもあらずというようなことになっておるわけでございます。こういう点につきましては、私は、自治省あたり、むしろ直接の関係者でないからなおさらいろいろと関心をもって検討をし、あるいは指導をし、あるいは制度について十分な配慮を加えるという適当な立場であろうかと思うのでございます。そういうような点について従来どういうふうなお考えを持っておられたのか、あるいはどういう立場をとろうとしておられるのか、そういう点、ちょっとお尋ねをしてみたいと思います。
  161. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 確かに御指摘のような事実ないしはものによっては弊害というようなのがあることは否定できない面もあると思っております。  ただ、地方団体が工事を請け負わす場合には、やはりその工事を完全なものに仕上げるという意味では、業者の工事能力とか信用能力というものに着目せざるを得ないと思いますので、これをすべて一般競争入札原則に戻れという指導は、はたしてほんとう地方団体あるいは住民のためになるのか、やはり多少疑問を持っておりまして、どうも大きな複雑な工事であればあるほど、現在のいわゆる例外である指名競争入札に地方団体が走るのもある程度やむを得ない面もあるのではないか。ところが、自然そうなりますと、御指摘のように談合ということが生じやすいということも重々承知しておるわけでございます。したがって、それらのことがないように、常にどういうふうに法規を改正すべきか、あるいはどういうふうな指導をすべきかについて、研究は怠らないつもりでございますけれども、現在の方法にかわる、よりそういう公正さを保てるような、しかも工事の完全が期せられるような具体案というものは残念ながら実は現在持ち合わせておりませんので、談合でやるようなことがないようにということで常に指導はやっております。現在の法規の改正についての方向は現在まだ持ち合わせておらない、これが実情でございます。
  162. 折小野良一

    ○折小野委員 一般競争入札が現在のところは制度上の原則でございますが、それに沿うようにやらせようという気はないというお考えでございます。また実態といたしましても、もうすでに今日一般競争入札というようなことはむしろ特定の場合以外にはほとんど行なわれないわけで、指名競争入札がもう実際の原則になっておる。またそうせざるを得ないという実態を私どもは認めていかざるを得ないのじゃないか。だから、そういう立場に立って、いろいろな不公正といいますか、そういう面が起こらないような配慮を加えていく、そういうことのほうが大切なんじゃないか。そういう面からいたしますと、むしろ制度よりは現実のほうが先に先に進んでまいりますので、そういう点を自治省でも十分御承知を願って考慮していただきたい、こういうふうに考えるわけなんです。  それから、実際問題といたしましては入札の方法にいろいろとございます。そしてまた、その入札の方法いかんによりますと、行政上の効果をあげるというような面があり、あるいはまた地域の発展と申しますか、そういうような面にもいろいろと影響を及ぼすというものがあるわけでございます。たとえば一つの大きな工事があります場合に、主体工事とそうでない工事があるわけであります。たとえば建築という場合におきまして、電気があり、あるいは衛生、給排水があり、あるいは畳建具がある、こういうようなことになってまいりました場合に、それぞれやはり業者というものがおるわけでございます。そういうようないろいろな業者が地域におって初めて地域のいろいろな仕事というのが進んでまいるわけでございます。そうした場合に、そういうものを一括して入札にかけるのか、あるいは分離してかけるのか、あるいは分離もどの程度に分離するか、こういうことによりまして非常に影響するところが違ってまいっております。たとえば公営住宅等の場合におきまして、ある県におきましては、主体工事と電気、給排水それから畳建具まで全部分離するというところもあります。ところが、中には畳建具は主体工事の中に入れてしまう、こういうようなやり方をやっておるところがあります。こういうようなやり方をやっておるところにおきましては、結局、実際はそうであるかどうかはわかりませんが、畳建具業界におきましては、主体工事の業者からピンはねされておるのだ、われわれが直接工事を受けるならばもっと安くやれるのだ、あるいはそれによってもっとわれわれの利益も確保できるのだ、こういうようなこと等もあるわけでございます。したがって、それぞれの地域の実情とかいろいろな問題がございますが、こういう面は国民なべてそれぞれの職によって生きておるわけなんでございますから、そういう点も実際の行政運営上考慮する、こういうような指導をされてはいかがかと考えるのですが、いかがでございますか。
  163. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 専門家でないので、詳しいその調査についての自信はございませんけれども、一括して渡す場合の長所としては、そこに全部責任を負わし、将来の責任追及問題についても楽であるし、あるいは全体の中で融通性がきくから全体が安く上がるという面もあるというように聞いております。  反面、今度は全く裏返しに、その欠陥としては、一体として受け取った業者が、これは必ず下請業者に出すわけでありますけれども、自分の必要な取り分はさっさととってしまって下請に渡すとか、非常に苦しい条件で渡す、つまり下のほうからしぼり取るとか、あるいはリベートとか、そういうような面があるわけであります。それぞれ長短がございますし、総合して一体どっちがいいのかということは非常に判断しにくい面があります。  この点に関しては、私のほうはまさにその地域の実情に合わせて、それぞれの地域なり市町村長さんが判断されるところにゆだねるしか手がないように現在思っております。一括は悪いと一ぺんにきめつけられるかどうかということについて、現在としてはまだ十分自信を持っておりませんので、地域におまかせしておる状態でございます。
  164. 折小野良一

    ○折小野委員 さらに、今度は国がいろいろな事業をそれぞれの地域で行なうという場合もございます。大体国が行ないます事業は大きい事業です。大体団体が大きくなればなるほどその事業も大きくなるわけでございますが、その大きな事業を一括して出すのか、あるいは分割して出すのか、これはまた地域によって非常に大きく利害が関連をしてまいります。もちろん分割できない仕事もございますから、分割できない仕事を無理して分割する必要はないのでございます。たとえば道路ということでありますならば、それが一キロあるならば、結局五百メートルずつ二つに普通の場合分けられるはずでございます。そういうような形によって分割するというと、これはそれによって地域の業者がそれに参加できるか、あるいは中央の大手業者だけがその工事を取っていってしまうか、こういうようなことに関連をしてまいります。地域、特に過疎地域あたりにおきましては、公共事業が出るということは非常にありがたいことでございますし、またそういうものが出なければ地域の経済というものもますます困るような状態になってまいります。そういうような実情を踏まえて考えますと、分割できるものにつきましては、やはり地域の実情に応じ分割をし、それぞれの地域の実態を配慮した行政のやり方というものを考慮する必要があるのではないか。もちろん自治省自身でそういう工事をおやりになるということはあまりございませんが、他の省庁との連絡その他におきまして配慮をしていただく、こういうような点は地域にとってはたいへん必要なことではないか。特に過疎地域等につきましてはそういうことを痛感いたすわけでございます。そういう点について自治省としてどういうふうにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  165. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 実は国の公共事業の現実の出し方について、私のほうは関係省庁からも直接相談を受けたこともございませんし、それからそういう地域の、たとえば小さい業者にありがたいようになるような分割の発注というようなことについては、その公共事業を実際におやりになる府県、この辺が常に配慮しておられることと存じておりますので、直接に私のほうから建設省なりあるいは府県なりに発注のしかたについて指導したということはいままでもございませんでしたけれども、御指摘のようなことは府県、市町村としても常に考えなければならないことであり、同時にそれは自治行政のほうをいろいろ技術的な指導その他をする私のほうも考えなければならないことでありますので、今後そういうことができる機会にはよく心がけたい、そう考えておる次第でございます。
  166. 折小野良一

    ○折小野委員 現在、地方行政の中で過密過疎というのがいろいろ問題になっておるわけなんでございますが、特にその中の過疎対策というような問題につきましては、非常に地域にとって関心の高い問題なんです。せっかく道路をつくってくれる、あるいはいろいろな事業をやってくれる、しかしその上がりは全部中央へ持っていかれてしまうというようなことになってまいりますと、過疎地域はますます過疎に拍車がかかるということになってまいります。もちろん分割ができないならば何も申さないわけなんでございますが、分割ができるものを一時的な利便によって一括して入札に付する、こういうような例が多く、場合によって地域で分割して入札することを要望いたしましても、なかなか受け入れてもらえない、こういうような実態もあるように聞いております。こういうような点につきましては、ひとつ自治省あたりから、それぞれの地域の実態を考慮して各省庁との横の連絡というものをとっていただく、こういうことをひとつお願いをいたしたいと思います。  また、それに関連をいたしまして工事の関係、案外過疎の地域においては関心が高いわけなんでございますが、たとえば現在過疎の地域においては出かせぎというのが問題になっております。その理由をいろいろ聞いてみますと、やはり過疎地域においては、公共事業がありましても日当二千円か三千円、ところがそれが大都会に行きますと五千円、六千円もらえる。そうなると必然的に都会に行かざるを得ない、こういうようなことでございます。そういう点等から考えますと、この工事の積算基礎、そういうもので、頭から、過疎地域においては二千円だ三千円だ、あるいは大都市においては五千円だ六千円だ、そういうようなきめ方というものが過疎とか出かせぎに拍車をかけておる、こういうような点もあるわけでございます。実際問題として、いなかのほうでは賃金が安くて、都会ではなかなか人が集まらないということがあるから、これはやむを得ない点ではあろうと思いますが、これが一つの大きな出かせぎの原因である、こういう点もお考えいただきまして、一何とかその辺の配慮というものがあっていいのじゃなかろうかということを考えるわけなんですが、いかがでございますか。
  167. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 予算の積算あるいは交付税の積算その他について、そういう御指摘の点、やはりよく配慮いたしたいと存じます。
  168. 折小野良一

    ○折小野委員 あと一つお尋ねをいたします。  いろいろな事業がそれぞれの時期に行なわれるのでございますが、たしかきのうでございますか、閣議で、ことしの前半期の契約を少し押えて下半期にやる、こういう決定がなされました。こういうことは、結局公共事業の執行その他が景気の変動その他に非常に大きく影響をする、こういうことなのでございますから、普通の状態で考えますと、多くの公共事業というのは秋から先に行なわれる、こういう場合が非常に多いわけであります。   〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕 そうしますと、年間を通じてみますと、ある時期にかたまる、その時期にかたまることによって、たとえばセメント値上がりする、あるいは鉄鋼が値上がりする、木材が値上がりする、労務が不足する、こういうようないろいろな現象が出てまいります。そのことがインフレに拍車をかけるというような面もありましょう。また一面に地方の行財政を不健全なものにしていく、あるいは非効率的なものにしていく、こういうような結果になっておるという点も非常に多いわけでございます。それぞれの地方団体は、その地方団体だけで全国的ないろんな情勢を判断することはできません。したがって、こういう面につきましては、それぞれ地方団体の責任でやっておることではございますが、やはり全国的な立場からのいろいろな情報というものを十分提供していただいて、そうして地方公共団体自身としても安い価格で十分効果のある仕事ができるように、そしてまた全国的な面におきましても、インフレを激化させるとか、あるいはいろいろな資材の値上がりを来たすとか、そういうようなことのないようにいろいろな配慮がなされていくべきである、そういうような面の情報提供なり指導なり、こういう面を特に実施をお願いをいたしたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  169. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 公共事業等事業施行見込みといいますか、弾力的に措置をするということで閣議決定をいたしました。自治省としても、当然地方公共団体事業については同じように弾力的に指導をしてまいりたい、こういう考え方に立っておるわけであります。いま折小野さん、御意見を交えての御質問でありましたが、おっしゃるとおりだと思うのです。地方の実情を十分自治省側がキャッチしまして、そして文部省なりあるいは建設省なり、それぞれの関係省庁に連絡をとり合っていく。やはり問題を選別するときに一番大事な点は、その事業の緩急度だと思います。現在はただでさえセメント不足である、鉄鋼が異常な値上がりをしておるというような場面でございます。一時的に事業が集中すれば、これがまた当然それらに拍車をかけて値上がりを招来する、これは好ましくございません。したがって多少延ばしていいような性質のものは延ばしていく。災害復旧など、この夏の増水期を控えてどうしてもやらなければならぬものはもうその限りじゃない。そのあたりを相当きめこまかく情報をキャッチして、関係各省庁と連絡を密にしていくということは、これはやはり自治省として大事な点であろうというふうに存じます。御指摘の点等十分留意いたしまして、問題を処置したいと思います。
  170. 折小野良一

    ○折小野委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  171. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員長 次回は、明十日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会