○石野
委員 私は、ウラン燃料を確保するためにわれわれの努力が、やはり二国間
協定とか何かで、資源も足りないことですから、その確保に努力するということを多といたしますけれ
ども、同時にまた、ウラン物質を確保するということとまた
濃縮ウランを確保することとちょっと違いますから、したがってやはり
濃縮ウランの問題については自主性を、もっともっと自主
開発の問題を推進しなければいけないということを前々から主張しているわけです。この
協定はいつの場合でもその自主性を阻害するというふうにわれわれは見ておる。そういうものであってはいけないというふうに
考えておりますが、また同時にこういうような形で
原子力の炉を設置していくにあたっては安全性の問題を他面では真剣に
考えねばならぬ。いま
局長が言われたように、ずいぶん慎重に
考えているとは言うけれ
ども、実は過去十数年来にわたっての
日本の
原子力の行政の中では、それは他国に比して決してそんなに慎重であるとは実をいいますと言えないですよ。私はやはり原子炉の安全性の問題については、最近では安全性の問題は炉自身の問題もありますけれ
ども、それ以上にやはり炉とその周辺地におけるところの人口との距離の問題にかかってきておる。だから距離が、実際に住民のたくさんおる地域と炉との間の距離が遠ければそれは案外安全性の確保率というのは多いのですが、しかしそれがもし非常に接近している場合になると安全性というものは非常に危険な方向に向いていくわけですね。
十分な調査ではありませんけれ
ども、私自身そういう意味での調査を私は私なりに調査しておりますが、これはあとで見てもらってもいいんだけれ
ども、実際一キロ以内に住民がゼロだというのは
日本の場合でいきますと、五つの場所しかないのですね。十一あるうちで五つしかありません。六つがみんな一キロ以内にたくさんの人が住んでいるのです。
アメリカの場合でいきますと、私の調べたのは全部よう調べておりませんが、大体大きいもので二十一のうちの三分の一、まあ三分の二がそういうところでない。それからその他のところで比較しましても、二十三のうち十六までは一キロ以内はゼロだ、こういう形になるのです。とにかく五キロ以内のところで一万人、こういうような一万人の人口がどれだけおるだろうか、こういうふうに見てまいりますと、スウェーデンでは
一つ、西独で二つありますが、イギリスで
一つ、
アメリカでは一カ所しかない。インディアンポイント一カ所しかない。
日本でいきますと、東海、島根だとか浜岡なんというようなところはぴったりはまってしまうのですね。今度十キロ以内で一万人というようなところを見てまいりますと、十一カ所のうち十一カ所全部
日本の場合はそれにはまってしまいます。よそのところではそうじゃないのですよ。ですから私は、安全性の問題については努力をしていると言うけれ
ども、
日本の場合は決してそんなに誇るべき安全確保の体制をとっているとは思えない。
そこでもう
一つ、今度は地域別に炉の設置状態を見てまいりますと、もう総花的にあいているところはどこへも炉をつくるという
情勢になっている。だからもしこれがいま金属公害で問題になっているような事態が原子炉で出てきたとしたら、
日本海のぐるりはほとんど
原子力公害を受けるようになってしまうだろうというそういう心配さえも実はしているわけですよ。それからのことの裏づけになるものが、この
濃縮ウラン炉を買い入れるために
アメリカと結んできたいままでの日米
原子力協定であったといえるのですね。それで今度は幾らかゆるやかになるとしましても、現在
協定というのは結局ウラン燃料を入れようとすれば炉を買わなければならぬということになっていたわけなんですね、炉とくっついておったわけですから。こういうような
原子力行政というものをやっていくことについて私は
原子力の安全性の問題からいって非常に大きな疑義を持つわけなんで、
局長の答弁に対しては私はやはりなかなか賛成できにくい。賛成できないというだけでなくて、現実にいま、たとえば美浜の炉のごときはもう明らかに所定の発電能力も持ち得ないというような事情にあるのに、なぜ炉ばかりふやしていくんだ。これは
原子力行政上再考を要する問題じゃなかろうか。これは
原子力局と通産省とにひとつ
意見を聞きたいのですが。