運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-02-28 第71回国会 衆議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年二月二十八日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 藤井 勝志君    理事 石井  一君 理事 小坂徳三郎君    理事 福永 一臣君 理事 岡田 春夫君    理事 堂森 芳夫君 理事 金子 満広君       加藤 紘一君    竹内 黎一君       深谷 隆司君    保岡 興治君       石野 久男君    河上 民雄君       三宅 正一君    大久保直彦君       渡部 一郎君    瀬良亀次郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         防衛施設庁総務         部長      河路  康君         沖繩開発政務次         官       稲嶺 一郎君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省経済局長 宮崎 弘道君         外務省条約局長 高島 益郎君         外務省国際連合         局長      影井 梅夫君         水産庁次長   安福 数夫君         通商産業省企業         局参事官    三枝 英夫君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局環境衛生課長 加地 夏雄君         厚生省援護局援         護課長     入江  慧君         運輸大臣官房参         事官      佐藤 久衛君         運輸省海運局参         事官      見角 修二君         建設省道路局有         料道路課長   高橋  力君         外務委員会調査         室長      亀倉 四郎君     ————————————— 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   河上 民雄君     枝村 要作君 同日  辞任         補欠選任   枝村 要作君     河上 民雄君 同月二十八日  辞任         補欠選任   石原慎太郎君     保岡 興治君 同日  辞任         補欠選任   保岡 興治君     石原慎太郎君     ————————————— 二月二十三日  日朝両国関係正常化の促進に関する請願(梶山  静六君紹介)(第二四六号)  世界連邦建設の決議に関する請願天野光晴君  紹介)(第三四三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨  時措置法案内閣提出第二八号)      ————◇—————
  2. 藤井勝志

    藤井委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会の件についておはかりいたします。  本委員会において審査中の沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案について、沖繩及び北方問題に関する特別委員会から連合審査会を開会したい旨の申し入れがあります。これを受諾し、連合審査会を開会するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤井勝志

    藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、連合審査会開会日時につきましては、沖繩及び北方問題に関する特別委員長協議の上決定いたしたいと存じます。      ————◇—————
  4. 藤井勝志

    藤井委員長 次に、沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。保岡興治君。
  5. 保岡興治

    保岡委員 いよいよ沖繩海洋博もあと七百三十余日で開催さ航るという運びになりました。今日までその準備に当たってこられた関係各位の御努力と御熱意に心から敬意と感謝を申し上げる次第であります。  現在、世界各国でその英知と技術を駆使して海洋資源開発海洋空間の利用に積極的に取り組んでおり、海洋開発に対する関心はいやが上にも高まりつつあります。また一方ではすさまじい産業開発によって海洋汚染、病める海の現象が人類に大きな問題を投げかげている今日、世界でも初めての国際海洋博がわが日本で、しかも日本復帰間もない沖繩で開かれることは非常に意義深いものがあるわけであります。この沖繩海洋博が海に秘められている人類にとっての可能性、そのテーマにある海、その望ましい未来への一大飛躍台としての成果をあげるように、さらにわが国唯一亜熱帯地域として特色を持っており、すばらしい自然の宝庫であるところの新生沖繩県並びに鹿児島県の奄美群島からなるいわゆる琉球弧と称される一連島々の今後の積極的な開発ないし観光産業の発展に大いに役立ってほしいものと心から念ずる次第であります。私たちはこの意義ある海洋博をぜひとも成功さしていただきたいのでありまして、そのような観点から若干の質問をいたしたいと思うのであります。  まず本件法案につき質問をいたします。  先年行なおれました大阪の万博においても、本件法案と同趣旨政府代表を選任して万博を成功させておりますけれども外務省におかれましては、その任務にかんがみ、いかなる点に重点を置いて人選をなさるおつもりであるか、その任務を遂行するについては、どのような配慮をしていくおつもりでおられるか、その所信を外務大臣に伺っておきたいのであります。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 海洋博の企てにつきまして御鞭撻をいただきまして感謝します。  お尋ね政府代表人選でございますが、この政府代表沖繩国際海洋博に関して日本国政府代表して行動するものでございます。その任務は、国際博覧会条約及び一般規則に基づき、わが国政府の対外的な約束の履行を保障することでございまして、海洋博覧会準備運営にとりまして、きわめて重要性を持つ官職であると思います。政府としては、そういう趣旨にかんがみまして、外国との交渉外国要人接受等に十分の経験を持ち、かつ沖繩に関して深い理解を有する人材を本政府代表に任命いたしたいと考えております。
  7. 保岡興治

    保岡委員 大臣のお話を伺って、この海洋博がますます成功するようにさらに積極的な御配慮をしていただきたいと心から念ずる次第であります。  次に、米軍基地との関連について伺いたいと思うのでありますけれども奄美海洋博を成功させるためには、開催期間中に、現在のところ約五百万人の観客が予想されておりまして、また本土から沖繩に来る観客の数は実数にして百七十万というように予想されております。そういうことで観客輸送対策ということが、この海洋博を成功させるための非常に重要なポイントになると思いますけれども、そのためには、空輸によるメーン空港として重要性を帯びてくるであろうと思われる那覇空港使用あるいはその整備がなされていかなければならないわけでありますけれども海洋博開催期日まで同空港整備できるようにするためには、ここに現在置かれておるところの那覇海軍航空施設撤去が必要であると思われるわけであります。その点について米軍といかなる交渉になっておるか、撤去の見込みがついておるかどうかについて、外務大臣に伺いたいのであります。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおり、海洋博に参加される方々輸送するメインルートは、どうしても那覇空港になると思います。那覇空港につきましては、沖繩返還に際しまして、これを完全に民間空港に開放するという方針のもとで折衝を続けてまいったのでありますが、御指摘のように、那覇空港にいま残存いたしておりますP3等の移転をしなければならぬわけでございまして、そのことにつきまして、一月二十三日の安保協議委員会におきまして日米間で協議いたしました結果、原則として日米間の合意を見たわけでございます。したがって、P3を嘉手納に移転する、それに関連  いたしまして普天間の飛行場も改修するという一連のもくろみがあるわけでございます。  お尋ねのこれをいつまでに完了するつもりかということでございますが、これはいまから日米間で具体的に細目を詰めまして、日米合同委員会合意を得て施行に移って完成させなければならぬわけでございまして、四十八年度にとりあえず三十八億円の繰り越し予算をもってこれに当たることにいたしておりますけれども、この全体がいつまでに完了するかということにつきまして、確たる具体的スケジュールをいま申し上げることができないのはたいへん残念に思います。しかし、私どもの大まかな見当といたしまして、明後年の三月、博覧会開催されるまでには何とかこのことを仕上げたいというつもりで、日米交渉に当たるつもりでございます。もっとも、それが万一完全に完了しなくても、那覇空港博覧会向け方々輸送支障があるかと言われるならば、絶対的に支障があるとは思わないわけでございまして、一応間に合うこととは思いますけれども、できたらその期間までに何とか仕上げなければならぬというつもりで、いまから鋭意折衝に当たるつもりでございます。
  9. 保岡興治

    保岡委員 大臣も御指摘のとおり、メイン空港として非常に重要な意味を持つ那覇空港でありますから、大臣の予想が当たるようにさらに御努力を重ねて、いろいろくふうをしていただければと思う次第であります。  さらに、空港についてもう一カ所、伊江空港会場近くにあるわけでありますが、これについて政府のほうでも、約五億円の予算措置を講じて、YSII型の飛行機が離着陸できるように整備をする計画があります。これによってYS機使用して鹿児島から奄美島々、そして会場を結ぶコース、あるいは沖繩の離島と会場間を結ぶコースが完成されまして、観客輸送対策としても非常に大きな意味を持ってくることと思います。開催中多数を予想される観客をさばくためには、やはり宿泊その他を分散するということも大事でありまして、YS小型機による会場周辺輸送対策が立っていないと、そのような分散もできないわけでありますし、ポスト海洋博沖繩離島あるいは近海の奄美群島の調和のとれた総合的な開発のためにも、やはりこの伊江空港開催中には使用できるということはきわめて重要なことであろうと思うわけであります。この伊江島には、現在通信用のアンテナ四基がまだのこっておりますし、西端の部分には地上、水域からなる対空地射爆撃場上空訓練空域などがありまして、開催期間中あるいは準備期間中に事故があったり、あるいは射爆撃が行なわれておる最中にそこの空港で乗りおりしなければならない、あるいは使用ができないということになると、非常にたいへんであろうと思われるわけであります。そういった点から伊江空港米軍基地との調整が重要であります。その点についてどのような調整が進んでいるか、その御努力の内容を大臣からお聞かせいただければ幸でございます。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのように、伊江島の旧飛行場を修復いたしまして補助空港といたしましての機能を持たしたいという希望が沖繩県側からもございます。また、そのことは博覧会運営にとりまして大切なことであると承知いたしておりますが、いま御指摘のように、伊江島には大きな射爆場がありまして、そういうことが可能かどうかということにつきまして日米間の折衝にゆだねられておるわけでございます。この仕事をいまから折衝にかかるわけでございまして、たいへん困難な仕事ではないかと私は思いますけれども、鋭意当たってみたいと考えております。したがって、まだいまこのめどにつきまして国会を通じてお答え申し上げられる段階でないことは、御了解いただきたいと思います。
  11. 保岡興治

    保岡委員 さらに、沖繩本島における陸路の輸送コースを確保するために、道路事業をいろいろ計画しているわけでありますが、その点についても、一部がキャンプ・ハンセン内を通過する等のいろいろな基地との接触が出ております。あるいは国道五十八号線の拡幅についても同様でありますし、石川‐名護間縦貫道路などにも問題が出てまいります。かような点についても折衝を重ねていただきたいと思いますし、また用水を確保するための河川水道事業のための多目的ダム、あるいは福地ダム導水路建設等についてもやはり基地との調整が必要であります。  このように、沖繩で行なわれる今度の海洋博を成功させる大きなポイント米軍基地との接触による調整を必要とする点がありますので、さらに外務省におかれましても、大臣におかれましても、この点について鋭意努力をいただきまして、海洋博無事成功裏に成功させていただけるように格段の御努力をお願い申し上げる次第です。道路事業についてといまの河川水道事業について何か具体的な調整努力がなされているようでしたらその点について伺いたいのであります。
  12. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 海洋博関連いたしまして、沖繩にあります米軍施設区域との調整の問題が若干出てまいりますが、この問題につきましては、たとえば道路に関しましては縦貫道路でありますとか、あるいは国道五十八号線の拡幅の問題でございますとか、こういう問題につきまして現地において米側と具体的な折衝をいたしておりまして、米側もこの点につきましては日本側事情を十分承知いたしております。したがいまして、海洋博関係におきまして、これらの米軍施設区域との調整の問題については十分な配慮を重ねてまいりたい、こういうふうに考えております。  河川問題等につきましても、たとえばダム関係、こういうことにつきましても現地におきまして具体的な米側との折衝を続けております。
  13. 保岡興治

    保岡委員 いま局長のほうから御説明のあった御努力をさらに続けて、先ほどお願い申し上げたように海洋博成功裏に終わるように念ずるものであります。  なお若干の質問政府委員にしたいと思うのでありますけれども、午後のほうに続行させていただきたいと思います。これにて質問を終了いたします。
  14. 藤井勝志

  15. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣にまずお尋ねいたしますが、一昨年、一九七一年の十一月十七日というのはどんな日か御記憶でございましょうか。何か意地の悪いようなことですがお尋ねしておきたいと思います。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 沖繩返還協定採決になった日だと思います。
  17. 堂森芳夫

    堂森委員 そのとおりであります。一昨年の十一月十七日というのは沖繩返還協定が異常な姿で採決された日である、こう思うのであります。私も委員の一人でありましたが、あの委員会の経過、強行採決状況はいまでも私よく覚えておるのであります。私も委員の一人であります。私はまだ一言半句も質問しないうちに、かなりの人が発言をしていない非常に早い時期に強行採決が行なわれたのであります。そしてあのような採決が行なわれたところに、私はやはり沖繩返還協定について今日いろいろな議論が出てくるという大きな原因もそこにあると思うのです。詳細なもっと掘り下げた審議がいろいろな人たちからなされるひまもなかったということもあると思うのです。もっとさらにまたいろいろ沖繩返還協定関連して基地等の問題で地位協定の問題がいろいろとまた関連して議論対象になってくる。こういうことも改定安保条約のときに地位協定なんというのはほとんど審議なかったのです。これは大平大臣も御記憶だと思うのです。強行採決をやってしまいまして、ほとんど議論対象にもならずにしまって、そうして強行採決が行なわれた。この一昨年の十一月十七日沖繩返還協定強行採決を行なったときの総理大臣はもちろん佐藤さんでありました。そうして幹事長田中総理大臣でございました。当時の幹事長であった田中さんは総理大臣である。そうして外務大臣大平さんはこの田中さんの有力なる僚友としてのメンバーとして、そうして田中内閣をおつくりになった。これは天下周知のことであります。で、あなたが外務大臣をやっておいでになる、こういう事態でありますが、あなたは外務大臣としてああいうような強行採決が行なわれたことに対して、現在どういうような感想をお持ちになっておられるでしょうか、率直にひとつお答えをまず願っておきたい、こう思います。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 沖繩施政権返還ということ自体につきましては、与野党を通じまして反対する方は一人もいないと私は確信します。問題はそれにからまるいろいろ条件についてなかなかコンセンサスが得られない状況であったと思うのであります。賛否それぞれの主張が十分それなりの理由があるわけでありまして、一がいにこれを簡単に論評し去ることは私は不謹慎だと思います。  ただ強行採決という姿において敢行せざるを得なかったということにつきましては、決してしあわせな事態であったと私は思わないのでありまして、そうせざるを得なかった政府与党側にもいろいろな言い分があったと思いまするし、反対された方々にも言い分があったと思うのであります。したがって私の心境といたしましては、沖繩返還なりました今日、今後その善後措置をたんねんに講じていく道程におきまして、そういう過程を十分頭に置きながら懸命に対処していかなければならないといま存じております。
  19. 堂森芳夫

    堂森委員 それは強行採決を行なわれなくたってそういう態度でいかれることは当然であると思うのでありますが、では大平外務大臣は、ああいうような姿で採決が行なわれたという原因は、さっき、原因をどう思うかというようなことを、あまり率直には御答弁にならぬようでありましたが、しつこいようですが、もう一ぺん、どういうわけでああいうふうになっていったのか、もう一度御答弁願いたい、こう思います。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 これは根本的には、日本安全保障体制につきましての態度の相違に源を発しておることであると思うのでありまするし、沖繩返還関連いたしまして、そのこととあわせて、核抜き本土並み返還が貫かれておるかどうかというような点についての評価の問題があったと思います。
  21. 堂森芳夫

    堂森委員 あなたの御答弁は、ことばをかえれば、野党の諸君は日米安全保障条約に賛成しない立場をとっておる、それから与党日米安全保障体制というものを推進するのだ、こういう立場に立っておるからやむを得ないんだ、こういうような御答弁のように思うんですが、そうであるならば、なおもっと野党側議論というもの、質疑というものに対して時間をかすということが当然ではないかと思うのでありますが、いかがでございましょう。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 それは国会運営のやり方の問題でございまして、十分論議を尽くしまして、みんなが納得ずくで、それじゃひとつ採決に移ろうかというような姿が一番望ましいと思うのでありまして、尽くすべき論議は残るくまなく尽くしていくということが望ましいと思いまして、強行採決なんというものは原則的に望しいものでないということは、議会人の一人として私もそう考えております。  具体的に、一昨年の十一月十七日の事態そのものにつきましては、当時私は国会運営責任者でございませんでしたから、論評は差し控えさせていただきたいと思います。
  23. 堂森芳夫

    堂森委員 私はこういうことを、あらためてあなたに所見を伺っておるのは、今回上程されておる沖繩海洋博法案審議に際して、沖繩返還協定の際の審議に十分時間がかされなかったから、いろいろな問題の論議がたくさん残っておる。そういう意味で、政府に反省を求めるという意味で、また、私の質疑を展開する上に、もう一ぺんわれわれはそういうことを念頭に置いて、今後の国会運営のあり方についても考えなければならぬ、こういう意味お尋ねしておるのであります。  そこで、この間のあなたへの質問のときに、私はお尋ねをしました。沖繩返還協定審議の際に、当時の外務大臣であった愛知現在大蔵大臣折衝には当たったわけですが、審議の際には、最終的には福田外務大臣の際に協定審議された、こういうことでありまして、当時の福田外務大臣は、いま保岡議員お尋ねになったように、那覇空港沖繩返還協定の一大目玉商品であって、返還と同時に、どんなにおそくても二、三カ月以内には那覇空港は完全な姿で戻ってくるんだ、しかし、その後政府はだんだん変わってきまして、年内にというような答弁に後退していったことは事実でありますが、返還協定審議の際には、あたかも即刻返ってくるような答弁に終始しておりました。この間の、先週の委員会で、私からもまたこのことについてあなたに聞きました。そうすると、あなたは、日米合同委員会協議委員会等でいろいろと厳重に折衝しておるので、五十年三月の海洋博までにはこれが返るように鋭意交渉をしておる、こういう御答弁。いまもそういう御答弁であったと思うのですが、もうちょっと詳しく、ただ、五十年の三月に返ってくる、それはたいへんな政府食言でございますよ。国会において、即刻返るとか二、三カ月以内に返るというのが、まだこれから二年も返らぬというようなことになるということはたいへんな、政府は政治的な責任があると思うのですが、もう少し詳しく、現在政府はほんとうにいつこれが返るか。返ったって、この飛行場は大修理を加えなければ、これからますます離着陸の頻度がうんと多くなるというようなことももちろん考えなければいけませんし、運輸省は何か三十億かの予算でビルを建てて、そして、これを飛行場における施設として使うというような計画があったが、これもできないというようなこともいわれておる。いろいろなことがありますが、もう少し詳しく計画を、あるいは大臣が重要な点をお答えになって——局長からでもけっこうでございます。
  24. 大平正芳

    大平国務大臣 福田外務大臣が、沖繩空港返還というのは沖繩返還目玉商品であるとおっしゃった、それはそのとおりだと思います。で、これはできるだけ早く、間を置かずにやるつもりだということの意味の言明があられたということは承知いたしておりますが、これは堂森さんも御承知のように、事柄の場合はまず原則的に合意するということが第一にありまして、それを具体的に実行いたしまして、いつそれが完了するかという問題と二つあると思うのでございまして、福田さんがおっしゃったのは、日米間のこの合意は早く取りつけなければいかぬという趣旨に言われたものと私は了解するのであります。と申しますのは、あなたも御承知のとおり、あそこにはP3もおりますし、海兵隊の一部もおるわけでございますから、これはどいてもらわなければならぬわけでございますが、それがすぐ即刻できるはずのものではないのでありまして、一つには米軍同意が要るし、米軍との同意に基づきまして、その移転が実行されねばなりませんし、移転するにつきましては移転先がきまらなければなりませんし、その一連仕事があるわけでございますから、それには相当な時間が要るわけでございますので、政府が大きく食言したというおとがめでございますけれども、これから私もできるだけ正確にことばを使うつもりでございますけれども、若干舌足らずであったという感じはいたしますけれども、決してうそをついておるわけではないということはあなたも御了承をいただきたいと思うのでございます。  それからもう一つのことは、福田さんがやられておった当時、P3をどこに移転するかということにつきまして一つ計画はありたわけでございますけれども現地事情日本側事情がございましてそれを変えてもらったわけでございまして、それをこちら側の都合によって変えてもらって、そのことについて向こうの同意を得るまでこれもずいぶん手間がかかったわけでございまして、正確に言うとことしの一月二十三日の安保協議委員会でこの改定案が初めて同意をされたわけでございます。したがって、私どもこの合意に基づきましてこれから作業を始めてまいるつもりでございまして、いま保岡さんの御質問にもありましたが、一応海洋博までをめどにいたしまして鋭意やってみるということでございますが、ここもまた食言になったらいかぬから、私は先ほども申し上げたものでございますが、そのときに万一一部の作業がおくれておりましても海洋博支障が起こるようなことはないようにしたいということまで申し上げておるわけでございまして、もうこっちも枯れしばが燃える思いで一生懸命やっておるわけでございますので、そのあたりはひとつ私どもの熱意のほどもおくみ取りをいただきたいと思います。
  25. 堂森芳夫

    堂森委員 食言でないとおっしゃってもそれは食言ですよ、あなた。即刻とか二、三カ月のうちに戻るというのが二年も戻らぬというのは、そんなものは責任はのがれられぬですよ、あなた。そうじゃないですか。幾ら大平外務大臣がおっしゃることでもそれはちょっと受け取れませんよ、二年先になるとかわからぬというようなこと。  そこで、ちょっとこの問題に関連してもう少し聞いておきたいのですが、きのうの新聞ですか、見ますると、この前予算委員会で楢崎君が那覇空港移転関連して、嘉手納であるとか、あるいは岩国、三沢、玉突き状の軍事基地のいろんな問題に関連して、三沢、岩国の軍事基地の兵舎の改築等に関して予算が十億計上されておる。そういうことは、あなたも、これは地位協定二十四条ですかの解釈でやったんだ、これは確かに楢崎君が指摘されたように初めてのケースではあるが、しかしきのうの新聞等もいろんな報道をしておりますが、これは合法的なんで、何も地位協定に違反するものではない、安保条約に違反するものではない、これはあたりまえの行為であるというような返答を資料として国会に、予算委員会に出すのだ、こう書いてありました。私は政府のそういう解釈はどうしても納得できないのですが、私は頭が悪いのかもしらぬが、もう一ぺん御説明願いたいと思うのです。
  26. 大平正芳

    大平国務大臣 根本の問題は、われわれが安保条約の運営上よるべき基準は、堂森委員も御承知のとおりの地位協定によってやるべきことをやり、やってならないことはやってならない、この原則ははずしてないわけでございます。で、楢崎さんと私どもとの間の見解の相違はその解釈の相違なんでございます。今度十億円を四十八年度予算で計上いたしまして、岩国と三沢に所要の施設をしてアメリカ軍に提供するということはそもそもやってならないことじゃないかという解釈でございますが、私どもはそうでないので、本来日本が措置すべきことであろうという理解で進んでおるわけでございますが、ただ楢崎さんも御指摘のように既往の老朽施設を改築して提供するというようなことは過去においてなかったのでございます。なかったことが初めて出てきたから、これは地位協定を非常にリベラルに解釈してアメリカの意を迎えておるんじゃなかろうかという点をついてこられたわけなんでございますけれども、私どもこれに対して二つのことを御理解いただきたいと思いますのは、まず安保条約が締結されてずいぶん長くたちまして、アメリカに提供してある施設が年月が経過するに従いまして老朽化して使用にたえないという事態に初めてなったわけでございまして、そういうケースとしてはいままでなかったことが出てきたということでございますが、しかし地位協定を厳格にいろいろ研究して私どもはやはりこれは日本側の負担でやるべきことであるという理解で出発しておるということでございます。  第二点は、しかしアメリカ側が、おれのほうでやるからもう君のほうで心配せぬでいいよということも地位協定上は認められておるのであります。アメリカ側が、いやおれのほうでつくるんだということもアメリカの権能としてはできるわけでございます。つまりアメリカが施設しておったこと、日本側施設すべきこと、そういったことが事柄の種類の性質として同じ性質のものがあるわけでございます。で、今度のように日本の要請に基づきましていろいろなことを、基地の整理、縮小に伴いましてアメリカに要請してやっていただいておく場合、このことを実行するにはアメリカの同意を得なければやれないわけでございますから、私どもといたしましては、そういう日本側地位協定上やるべきことである、で、いままではアメリカがやっておったこと、アメリカもやってもいい、日本もやってもいいという、そういう性質のもので、これは日本がやってくれないかといってきた場合に、こちらからお願いして、いろいろ代替施設をやりくりをしていくわけでございますから、公平の原則上日本がごめんどうを見よう、で、それは地位協定上違反でない、そうすることによってわれわれが計画しておる基地の整理、縮小というものは実を結ぶのである、われわれが受ける国益はそのほうが大きいのだという判断でやっておるわけでございまして、あくまでもそういう解釈上の問題とそれからこの事業、基地の整理、縮小計画を何とか実行するためには踏み越えなければならない道であるという点に対する御理解の程度と、そういう違いであると私は思っております。
  27. 堂森芳夫

    堂森委員 すでに予算委員会その他で何回もおそらくあなたに質疑があったと思うのです。私は、この外務委員会でいままでそういう論議がそうたくさんあったとは思わないのですが、しかし、従来内閣委員会あるいは沖特等でいろいろ議論がされてきて、そういうことはなかったわけですね。たとえば従来、滑走路を延長するとか兵舎を修理するとか、いろいろなそういうものは、いままで全部日本が負担したことはないでしょう。あるのですか。ないという答弁をずっと内閣委員会、沖特委員会等でやられておりますよ。ありましたか、いままで。たまたま古くなって、改築の時期がいま来たから改築するんだ、それはやはりおかしいのじゃありませんか。滑走路の延長だとか、これはやはり修理じゃないでしょうか。あるいは他の兵舎の修理等も、改築だから日本は出すんだ、修理だから出さぬ、そういう理屈は私はないと思います。ということは、これはやはり大きな前例になっていくと思うのです。これからはもう向こうがいえば、アメリカ側が要求すればいろいろな出費は無制限に出していかなければ——無制限というと語弊があるかもしらぬが、そういう場合だって想定しなければいかぬ。たとえば大臣承知のように、旧安保条約の行政協定に軍費の負担というものがございましたね。極言すればそういうものの復活だということも私はいえると思うのですよ。旧安保条約の行政協定に規定されておった軍費の負担というものが復活したみたいなこと、そういう道をあなたは開いておるという解釈も私はできると思うのでありますが、いかがでございますか。どこに歯どめがございますか。やはり楢崎君が絶えず予算委員会等でも主張しておるように、歯どめはないと思うのですが、いかがでしょう。
  28. 大平正芳

    大平国務大臣 旧行政協定のときには防衛分担金というのがあったわけでございますが、新しい地位協定になりましてそれがなくなった。だから地位協定は旧行政協定と違った性質のものになっておるかというとそうではなくて、私ども地位協定をそういう意味に解釈していないのでございまして、非常に厳格に地位協定の文言に即して運営しておるつもりでございます。  それからアメリカがやるべきことと、日本がやるべきこととのけじめがどこにあるのかということでございますが、地位協定のでき上がり方それ自体がはっきりしていないのでございまして、同じことでアメリカがやっていいこともあれば日本がやっていいこともあるわけでございまして、その間に地位協定のでき上がりが完全にけじめがついていないのであります。しかし、大まかなことをいいますと、たとえば建物を日本が提供して、ペンキを塗ったり何かする小修繕、それからそのメンテナンス、そういったことはアメリカがするという仕組みは、いいかえればそういう小さいことは日本はやらないということはいえると思うのでございます。しかし、いままでの運営の実績をずっと見ていますと、あなたも御理解いただけるように、大体日本側の要請でやってきているのです。外の騒音がやかましいからこういう施設をせよ云々、こういう汚水が出るからここはこういうことをしろという、いろいろなほとんどの事項は、日本側の地元の要請というものを踏まえてやっておるケースが非常に多いのでございますが、今度私どもが問題にいたしておりますのは、政府のポリシーの問題として沖繩本土を通じまして基地をうんと整理、縮小しようという、それに原則的にアメリカも同意しておったわけでございます。したがってそういたすためには、アメリカの立場は軍の機能はできるだけ落とさないようにやりたいということ。だからそうすると、これをどこかにまとめてくれないかということになりますと、日本側が頼んでアメリカが欲しないのにやってもらわなければならぬ性質のものでございますので、私が先ほど申しましたように、公平の原則からいって地位協定上認められるのでございますならば、日本が必要な経費を負担してでもこれは遂行すべき値打ちのある政策であろうというような判断でお願いしておるわけでございます。しかしそれがために地位協定を曲げてまで解釈しようということは毛頭考えていないわけでございまして、地位協定を曲げるなどということは考えておりません。ただ時間の経過で風雪にさらされて老朽になるという事実がいままでなかったという、それが岩国のケースで初めて出てきたということ、これは物理的なことでございまして、地位協定を曲げて解釈するということとは私は全然別だと思っております。
  29. 堂森芳夫

    堂森委員 ことばじりをとらえるようですが、小さいことは向こうにあれして大きいことはこっちがやるんだというような、それはたいへんなことですよ。これはやはりアメリカ側からの二十四条のリベラルな解釈をしてくれろという要求に日本政府が屈服して、そうしてこういうことになったということであって、これは私は重大な問題だと思うのですよ。これからの基地の整理、縮小をやっていくためには、負担はどんどんわが政府がやっていかねばならぬ、そしてこれが今後大きな負担になっていくという道を開いたことはもう明らかでありまして、これは重大な問題だ、こう私は思うのであります。あなたの御答弁は納得できぬ、こう思うのです。  そこで付随して聞いておきたいのですが、局長でけっこうですが、地位協定に付随した合意された議事録の第三条にいろいろなことの規定がございましょう。4はいいとして、1、2、3、5、6、いろいろな項目がありますが、これらのことをやるときの経費はどこが持つということになるのですか。アメリカですか、日本ですか。
  30. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 地位協定に付属しております合意議事録の第三条に六項目ございます。ただいまそのうちの一、2、3、5、6、こういう御指摘がございましたけれども、ここにあがっております項目につきましては米側がこの措置をとることができる。しかも「この協定の目的を遂行するのに必要な限度において、」こういう条件がついておりまして、したがいまして、米側はこういう措置をとることが許容されているわけでございます。そこで米側がここにあがっておりますいろいろな事業、工事、こういうことを自分の発意でこの規定に基づいて行ないます場合には、当然これは米側が経費を負担すべきものでございます。
  31. 堂森芳夫

    堂森委員 もう一ぺん聞きますが、わが政府は全然負担することはない、こういうことですね。
  32. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 私ただいま御答弁いたしましたように、ここにあがっております事業を米側が自分の発意において、自分の責任においていたします場合には、日本政府と直接関係なしに米側が経費を負担するものである、こういうことを申しておるのでございます。
  33. 堂森芳夫

    堂森委員 その点はそのとおりだと思うのです。  そこで、この前も局長にちょっと質問した。時間がなかったのですがね。従来から政府那覇空港のアメリカ側の使用についての法的の規定ですか、根拠ですか、それは滑走路や誘導路は地位協定の二4(b)である、それからアメリカの海軍部隊の使っておる兵舎その他の施設は二4(a)に相当する、こういうふうに言われましたね。それでいいんですか。
  34. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 滑走路の使用につきまして、地位協定二条4項(b)に基づく共同使用であることはそのとおりでございますけれども那覇空港地域に米海軍が使用いたしております施設区域は二条1項(a)に基づいて提供された施設区域でございまして、二条4項(a)ではございません。
  35. 堂森芳夫

    堂森委員 そこで、あなたの答弁のように、滑走路や誘導路は二4(b)である。そうすると、これはかって中曽根防衛庁長官のころですか、内閣委員会等でも答弁をされたんです。二4(b)という条項によってアメリカ側が使うそういう施設はこれはもう短時間なんだ。たとえば、少なくとも一年のうちの半分ぐらい以下でないとこれは使うということはないんだとか、まあいろんな規定をしておるのですが、これからまだ二年も、大平外務大臣答弁のように、五十年の三月には返るようにいま折衝をしておる。それは早くなるかもしれませんが、去年からすでに九カ月、返還時から九カ月たってきた、約一年である。これから二年というと、三年間も使うというようなものが二4(b)の規定にそれは当てはめていいのですか、いかがでございますか。
  36. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 昭和四十六年の二月に、改府は地位協定二条4項(b)の問題につきまして統一の見解を国会のほうへ提出してございます。その際に、政府側統一見解といたしまして、施設区域使用の実情に即して、一応次のような四つの形態が考えられるであろうということを申しまして、まず第一に「年間何日以内というように日数を限定して使用を認めるもの。」第二番目に「日本側調整の上、そのつど期間を区切って使用を認めるもの。」第三番目といたしまして「米軍の専用する施設区域への出入のつど使用を認めるもの。」第四番目としまして、「その他、右に準じて何らかの形で使用期間が限定されるもの。」この四つをあげてございますけれども、那覇海軍の航空施設の場合には、所要の代替施設が建設されるまでの間という形で期間を限っておりまして、ただいま申し上げました統一見解の四、すなわち二の場合の日米間の調整によって期間を限る、そういう措置に準じた措置としてこれを考えております。
  37. 堂森芳夫

    堂森委員 そうすると、準じてといって、そういう解釈で長期間にわたって使用していいのですか。私はそんなことは許されぬと思うんですよ。どうですか。もう一ぺん御答弁願います。そういう解釈はごまかしですよ、あなた。
  38. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 二条4項(b)は一定の期間を限って使用すべき施設区域というふうに規定してございまして、それを実態に即して適用いたします場合に、ただいま御答弁申し上げましたように、第二の形によります日米間の調整により期間を限る、これに準じたものとして考えているわけでございます。したがって無制限にということじゃございませんで、代替施設の提供ができるときまで、こういうふうに期間を区切っているわけでございます。
  39. 堂森芳夫

    堂森委員 それはあなた、非常な詭弁ですよ。それは時間がありませんから、私の時間が大臣と十五分ぐらいですから、またあらためてそれはします。  そこで話を戻しまして私、大平外務大臣に聞きたいのですが、ベトナム戦争が終結の段階にきておる、そしてただいまパリで平和を保障するための会議が行なわれておる、そしてインドシナ半島が、いろいろ紆余曲折はございましょうが、和平の方向にどんどん進みつつあるということは、これはもう明らかな事実であります。それから先般キッシンジャー氏がまた北京を訪問しまして、そうして米中の共同声明も発表されたりしまして、すでに外交関係が確立、もう国交が回復する、こういつていい状況にまで進んできておる、こういうことがいえると思うのでありまして、台湾とアメリカは一九五四年に相互防衛条約を結んでおりますが、そして現在八千数百名の駐留軍がおる、アメリカの軍隊がおる、これが近く二、三千名くらいに減っていくような話し合いができておるというふうに私は聞いておるのでありますが、これは極東における状況のたいへんに大きな変化であることは明らかなことであります。  そこで、沖繩の現状というものは当然極東の大きな状況の変化に応じて、沖繩におけるアメリカの軍の状況というものは、これをもっと縮小の方向に持っていくという考え方を持つのが当然ではないだろうか、こう思うのでありますが、大平外務大臣はアメリカ側に対して沖繩における駐留軍というものについてどういう考え方を持っておられるのか、そしてどういう交渉、私の言いたいことは縮小する方向に交渉を持っていくべきだと思うのでありますが、大平大臣はどういうふうにお考えでございますか、どういう交渉をしていこうとお思いでございますか、聞いておきたいと思います。
  40. 大平正芳

    大平国務大臣 政府のいまの立場は、安保条約はこれを引き続き維持してまいるという立場をとっております。しかしながら米軍の在日基地というものにつきましては、これを安保条約の目的をそこなわない範囲においてできるだけ整理縮小していきたいと考えております。とりわけ沖繩におきましては、御案内のように本土よりも広い基地を擁しておるわけでございまして、沖繩の今後の開発を考える場合におきましても、基地の存在というのは大きな重荷としてのしかかっておると思うのであります。したがって、昨年一月のサンクレメンテにおける日米首脳会談におきましても、沖繩施設区域を安保条約の目的に沿いつつ整理、統合するという方針は日米首脳間で了解されております。また去る一月二十三日に東京で行なわれました安保協議委員会におきましても、施設区域の整理、統合につきまして日米間で今後検討、討議を進めることで合意を見ております。その第一歩といたしまして、今回那覇市及びその周辺地域の施設移転、あと地の返還について日米間で合意を見たわけでございます。これはあくまでも第一歩でございまして、これから引き続きそういう方向に、漸次整理、縮小の方向に努力を重ねてまいる所存でございます。
  41. 堂森芳夫

    堂森委員 私は外務大臣に特に要望をしたいのです。ベトナムの状況、それから米中関係等から、こういう時期にこそもっと強く沖繩におけるアメリカ軍の縮小についてこんな絶好のチャンス、機会はないし、また当然要求すべき問題である、こう思うのでありまして、強い態度をもって臨んでもらいたいということをこの機会に要求をしておきたい、こう思うのでありますが、もう一度ちょっと御答弁願いたい。
  42. 大平正芳

    大平国務大臣 鋭意努力をしてまいるつもりです。
  43. 堂森芳夫

    堂森委員 そこで、返還協定関連をしまして、三億二千万ドルのアメリカ側に渡す金額についての取りきめがございます。これは五年間で支払うということになっております。それから一億ドルはすでに支払ってしまっておる。ことしの六月から四回に分けて二億二千万ドル、四等分すると五千五百万ドルずつですか支払うことになっておるが、政府はこれを一括して支払うというような要求を向こうから来る場合があると思っておられるのですか、あるいはそういうことはないと思っておられるのですか、まず承っておきたいと思います。ガリオア、エロアの問題の先例もありますので、聞いておきたい。
  44. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいままでのところそういう要請を受けておりませんから、いま政府の姿勢は協定に書かれたとおり年次別に払っていく計画でございます。
  45. 堂森芳夫

    堂森委員 どうも答弁としてはそうなるでしょうが、仮定論の場合は答弁できぬということになるかもしれませんが、そういう要求があった場合には応ずるのですか。もう一ぺん伺っておきたい。
  46. 大平正芳

    大平国務大臣 そういうことがございましたらよく検討をしなければいかぬと思います。
  47. 堂森芳夫

    堂森委員 そこで、この法案等につきましては事務当局からいろいろと、午後また私に時間がございますので聞きたいと思いますが、協定をもう一、二聞いておきたいと思います。他のことは午後聞きます。  返還協定の第四条、三項で、復元補償費については協定審議のおりもいろいろ当時から議論されました。琉球政府からの申請額が四百三十万ドルであるとか、あるいはまた一千万ドルはあるんだとかいろいろな議論が、当時私委員として委員会で聞いておりましたが、そういう議論がございました。この条文によると、過去に支払った分と均衡を失しないように米側が自発的支払いを行なうことになっておるわけです。  そこで復帰後米側によるこの支払いの現状というものは、ほんとうにそういう条文のように円滑に、しかも公正に行なわれてきておるかということもあわせて承っておきたい、こう思います。局長でけっこうです。
  48. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 沖繩返還協定第四条三項に基づきますいわゆる復元補償の問題につきましては、アメリカ側はこの問題を処理する機関といたしまして、沖繩にあります米国陸軍工兵隊事務所を指定いたしまして、この事務所から昨年の九月十四日付で沖繩県屋良知事に対しまして、四条三項に基づきまする自発的支払いの申請を受け付ける旨を書簡をもって通告いたしまして、同日付で右に関する新聞発表を行なっております。その後これに対しまして沖繩県当局から、昨年の十一月十七日付で工兵隊事務所に対しまして、この申請とそれから布令二十号に基づきまする申請、講和後の補償関係の申請と合わせまして、合計約一千五百五十万ドルの金額にのぼります申請が出されておりまして、米側におきまして審査が始められた状況でございます。
  49. 堂森芳夫

    堂森委員 そうすると、まだその審査が行なわれておる途中であって、詳細はまだわからぬわけですね、現状は。
  50. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、申請として出されておりますものの中に、講和前の損害に対します分と、布令二十号の対象となっております講和後の損害と、この二つが一緒に申請されております関係上、米側としましては、その仕分け等の審査、評価の作業というものにまだかなりの時間がかかるだろう、こういうことを言っておるようでございまして、具体的なことにつきましてはまだわかっておりません。
  51. 堂森芳夫

    堂森委員 それではまたいずれ後ほどそうしたことは機会もございますから、そのときに尋ねたいと思います。  もう時間もあと数分でありますので、私、外務大臣に要望的な意味お尋ねをしておきたい、こう思うのです。きょうは海洋博の法律の審議でありますが、あなたは担当の大臣ではありません。通産大臣が担当の大臣でありまして、最高の責任者になっておる、こういうことでありますが、あなたは国務大臣でもあるし、また有力な閣僚でもありますから、私は、この海洋博というものが行なわれるに至ったいろいろな動機、それからこれからいろいろな多くの問題点があるというようなことがあると思うのです。そこで、私きのうも担当の通産省の人からいろいろ事情も聞いてみたのです。そうしますと、五百万人の人が海洋博に入場するであろうという構想になるそうです。そして、百万人の人が日本の内地から、あるいは北海道から、全土から集まるだろう、沖繩以外から入る邦人が百万人は来るだろう、それから、外国のそういう客は十万人くらいは予定をしておるのだ、そして大体五百万人の人が全体で入場するであろう、もちろん延べでいきますからあれでありましょう。大体そう見ておる、こういうことであります。そして、沖繩では今日地価がたいへんな値上がりをしておるそうです。何かひどいところになると三百倍になっておるという話であります。特に海洋博が行なわれるという地域の中心部だけではないようでありまして、全域にわたって地価が暴騰しておるそうです。もちろんこれはいま国会でも大きな政治問題になってきておることはもう当然であります。この地価の問題もたいへんでありましょう。それから、百万人の人の入ってくるということになると、一体ホテルというものがはたして間に合うかどうか。あるいはまた亜熱帯の沖繩でありますから、いろいろな保健上の問題等も、これは問題はないだろうか。たとえば病院の施設であるとか、あるいは保健衛生の、ただ病気になったときという以外の多くの問題をかかえておるということも大きな問題であります。私は大平大臣に閣僚として大いに聞いてもらいたいと思うのですが、私、東京オリンピックのときにも、当時の建設大臣であった河野一郎さんにも委員会で一時間くらい演説をして要求したのです。それはどういうことをしてくれと言ったかというと、グリーンハイツでも何でもいいから、とにかく東京の今後あるべき町のモデルをつくるという意味で、新しいタウンをつくって、これをホテルその他に仕立てて、そして将来これは庶民向けの住宅地帯として、今後あるべき東京の、ニュー東京というようなものをつくるような絶好のチャンスであるから、それをあなたは建設大臣として主張すべきである、こういうことを強く言ったことがあります。河野さんは、それはあなたの考えはいい考えだけれども、おれ一人ではなかなかそんなことはできるわけはないと言って逃げられてしまったのです。沖繩海洋博をやる、そして百万の人が来れば、たちまちにして宿泊所がなくなることは明らかであります。しかし、ホテルを建てて間に合わせたとしても、今度は海洋博が済んだら、ホテルはもちろん営業としてペイしないような状態になっていくであろうということも想像ができる。だから、私は沖繩で今度海洋博をやるとするならば、今後のあるべき沖繩における新しいタウンというものを今度こそひとつつくる、レジャーの地帯をつくるとか、変な、東洋のモナコみたいなものをつくってもらってはたまらぬと思うのでありまして、そういうほんとうに沖繩人たち、戦争で内地の者とは違った意味で、大きな苦労をなさった人たちに報いるためにも、ほんとうに新しい沖繩をつくるというモデルとして、私は、政府は当然やっていくべきである、こう思うのであります。いろいろな計画は書いたもので読みましてわかっておりますけれども、そういうような構想がないのを私は非常に遺憾に思うのであります。大平外務大臣はもちろん担当の最高責任者大臣ではありませんが、そういうことを閣僚として大いに主張してもらって、実行してもらうように私は要望しまして、あなたへの質問を終わります。答弁がありましたら答弁願っておきます。
  52. 大平正芳

    大平国務大臣 事は沖繩の今後の復興、今後の開発計画上考えなければならぬ一つポイントであると拝聴いたしたわけでございます。ひとり海洋博運営ばかりではなく、長い展望に立ちまして、示唆されたようなことにつきまして、政府としても深甚な配慮を加えていかなければならぬ問題であると思います。担当国務大臣等にはその旨よくお伝えしておきます。
  53. 藤井勝志

    藤井委員長 金子満広君。
  54. 金子満広

    ○金子(満)委員 沖繩海洋博をやるということと、どんな方向でやるかということは、もちろん関連はありますが、別の問題であります。どんな方法でもやりさえすればいいものだということでないことは明らかだと思うのであります。そこで、六十八国会でわが党の米原委員が、五つの問題を出しております。繰り返しになりますが、念のために申し上げますと、第一に、この沖繩海洋博というのは、資本主義国、社会主義国、新興独立国を問わず、すべての国に対して博覧会へ招聘状を出してもらいたいということでございます。一部の国を排除するようなことをしないでもらいたい、これが第一の問題で出ています。第二は、主催国や参加する国、ことに大国が大国の権威を印象づけようとしたり、植民地主義の鼓吹などを持ち込まないようにしてもらいたい。  第三に、各国が対等の原則で参加し、その運営を民主化していただきたい。  第四は、すべての参加国がその経済、産業、文化、科学技術のすぐれた伝統と新しい成果を展示して、これによって諸国民の海洋科学技術の向上と友好関係の増進に役立つものにしなければならないということ。  最後に第五に、海洋博が一握りの大資本家の利益を中心とした事業となったり、国民、特に開催地域沖繩の住民や自治体に重い負担を押しつけるようなものであってはならない。こういうことを申し上げたわけでありますが、若干の問題について、外務大臣質問をしたいと思うのです。  まず最初の招聘の問題ですが、海洋博協会からも基本理念として出ておるわけですが、「平和的な国際協力のもとに、海洋の望ましい未来を求めて」云々、こういうことが明白になっているわけであります。そこで、配られましたこのプリントの中に招聘の問題については出ておるわけですが、その基準がここにあります。国としては三つ分類があり、最後に一つ国際機関が入っているようでありますが、政府としてはどういうような方法で招聘をするか、国交のない国についてはどういう立場で望むか、この点についてまず最初にお伺いしたいと思います。
  55. 大平正芳

    大平国務大臣 できるだけ幅広く招請すべきであるという点につきましては、私も替成でございます。招請につきましては、国際博覧会条約の第五条の規定によりまして、外交上の経路を通じて行なうこととされております。これに準拠いたしまして、わが国は、昨年十月三十一日の閣議決定に従いまして、わが国と国交関係のある百四十カ国並びにわが国が加盟しておる国際機関三十四に対しまして、わが国在外公館を通じまして参加招請状を発出いたしました。  国交のない国に対してどうするかということでございますが、「外交上の経路を通じて、」とあるわけでございまして、外交上の経路がない国に対しましては、遺憾ながら招請状を発出する道がないという現状でございます。
  56. 金子満広

    ○金子(満)委員 確かに国際博覧会に関する条約の中では、外交上の経路を通じて行なうということが出ております。その点に限ってはそうでありますが、六十八国会のときも、この条約の事務局の見解とすれば、主催国が判断して行なうということになっておるわけで、したがって、日本が全く自主的な立場で、たとえば朝鮮民主主義人民共和国、ベトナム民主共和国あるいはドイツ民主共和国、これらの国々に対して招聘を行なうという方法を講じてもしかるべきだ。そうであってこそ、この基本理念にいわれる「平和的な国際協力」ということが真に生かされるわけだし、ましてアジアの海洋ということになり、沖繩の占める位置、日本の占める位置から見ても、積極的に前向きに断固としてこれはやるべきである。経路というのは自然にはできないので、つくらなければできないのだ。こういう点で、外務大臣、前向きで積極的にやる意思があるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  57. 大平正芳

    大平国務大臣 過去の先例を調べてみますと、先般の日本において開かれました万博はもとよりでございますけれども、ブラッセルやモントリオールで開かれた博覧会等の例を見ましても、主催国と国交がない国が招請された事例はございません。もとより、これから二年先のことでございますので、その間にわが国と国交を結ぶ段取りになりますれば、そのつど招請状を発出いたしたいと思いますけれども、この原則を破りまして、日本のほうで進んでいま国交のない国に対して招待状を発出するかどうか、そういう意思があるかどうかというお尋ねでございますが、まだそこまでの踏み切りはついておりません。
  58. 金子満広

    ○金子(満)委員 原則ということについては先ほど申し上げたのですが、国際事務局でも主催国が決定するということは統一して出ているわけだし、先例ということでいきますと、大体未来はないのですよ、昔のほうばかり考えて。だれかがどこで先例は破らなければならぬし、破ることがまた新しい先例をつくっていく、これが進歩ということだと思うのです。そういう意味で、もう一度外務大臣にお聞きしたいのですが、先例がそうだからいまのところそれをやる意思は全くないということですか、どうですか。その点を伺いたいと思います。
  59. 大平正芳

    大平国務大臣 卒然とお尋ねを受けますと、はいそういたしますと言うわけにもまいりませんが、検討してみたいと思います。
  60. 金子満広

    ○金子(満)委員 まあ検討するということでありますから、当然それはうしろ向きでなくて前向きであろうというように解釈してよろしいですか。その点。
  61. 大平正芳

    大平国務大臣 国会答弁でございますので、あいまいなことは言えません。検討するということで御承知いただきます。
  62. 金子満広

    ○金子(満)委員 まあそういう答弁であれば、納得するわけにはいきませんけれども、やむを得ないわけで、別の機会に、連合審査のおりにでもまた詰めていきたいと思います。  それからこの招聘に関するもう一つの問題を、私はいまこのプリントの中で見てこの点どうかと思ってお伺いするわけでありますが、南アフリカ共和国の問題であります。これはもう御承知のように国連で、南アフリカ政府がとっている人種差別の問題についてはいろいろな制裁が総会のたびごとに決定をされておるわけです。スポーツの問題においても物議をかもす経過があります。こういう点で国連に加盟している日本としては、この南アフリカ共和国政府の人種差別の問題と、海洋博に招待するという問題は別だという解釈をされるか、関連があるかどうか、どういう措置をとっていきたいか、いろいろ問題が起こった場合どうするか、この点を考えているかどうかです。考えているとすれば、どんな内容のものを考えているか、お伺いしたいと思います。
  63. 宮崎弘道

    ○宮崎(弘)政府委員 南アフリカ国政府のとっております政策につきましては、国連その他の場でいろいろ論議があることは御指摘のとおりでございます。ただ、この海洋博につきましては、先般の大阪の万国博の場合と同様、外交の経路を通じて招請ができるすべての国を招請するという方針で、南アフリカ共和国に対しましても招請状を出しております。南アフリカ共和国がこの招請状に基づきましてはたして海洋博に参加するかどうかはいまだ何らの回答に接しておりません。ちなみに万国博の場合には招請状を発出いたしましたけれども、結局参加しなかったわけでございます。先方からのいずれかの意思が明らかになりました段階におきましてこれに伴う必要な措置を検討する予定でございます。
  64. 金子満広

    ○金子(満)委員 これはもう蛇足でありますが、御承知のように国連総会でも日本は名ざしで、この南アフリカ共和国政府に対する貿易その他で非難を受けているわけであります。こういう中で大阪の万博のときには結果として出なかったということであって、日本政府の意思は招待をする以上出てほしいという意思表示になっているんだと思うのです。いまの答弁でありますと、返答があった段階で考えるということ、これは非常に無責任な考え方で、何か一定の事態が起こったら考えるということ、しかし、日本政府の意思表示というのは招待をする、する以上来てほしいということの要請になるわけですね。なるべく来ないでほしいけれども、かっこうつかないから手紙だけは出しておきます。物議をかもさないように来ないでほしいという意味ではもちろんないと思うのですね。そういう点でこれは国際問題でありますから、緻密に、綿密に計画、方針は立てていかなければならぬだろうと思うのです。そうでないと、かえってそのことが新しい矛盾を生むんではないか、こういう点についてもう一度お伺いしたいと思います。来た段階で判断するということは、断わるのか断わらないのか、この辺をもう一度お伺いしたいと思います。
  65. 宮崎弘道

    ○宮崎(弘)政府委員 政府といたしまして招待状を発出いたしました以上、先方から来るという意思表示があった場合には、これを断わることはできないと思います。ただ先法が参加するかどうかの意思表示は私どもとしましてはなるべく前広にもらいたいと思っておりますので、まだ二年の歳月がございますし、その段階におきまして所要の措置を考究するということで、時間的余裕があると期待いたしております。
  66. 金子満広

    ○金子(満)委員 それでは次の問題に移らしていただきますが、六十八国会では附帯決議がついているわけですね。そこで特に沖繩の県民に対して過度な負担がかからないようにという意味の附帯決議が出ています。極力沖繩県の地元負担の軽減につとめること、こういうことで満場一致この附帯決議はきまっているわけですが、今度の予算の総ワク、それから歳入の内容について概略を説明していただきたいと思います。
  67. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 お答え申し上げます。  まず予算につきましては、三年間にわたります全体計画といたしまして海上の建設関係、これが総額三百六十億円ということになってございます。この中身は博覧会協会が実際の準備運営に当たるわけでございますが、百五十億のこれは補助金ということになっております。それから政府出展につきましては二百十億円、これは全額政府の出展ということで政府予算でやるということでございます。もちろんこれ以外に運営費というものがあるわけでございますが、これは実際上四十九年度ないし五十年度の問題となりますので、これは詰まってございません。  それから海洋博開催関連いたしまして必要となります公共関連事業関係、これは昨年の十月六日の海洋博閣僚協議会におきまして総額千百九十二億を大体のめどといたしまして御了解を得まして、それに基づきまして四十八年度、四十九年度実施予算が組まれるということで現在関係各省にそれぞればらされた形で要求案として出されてございます。その際に公共関連事業の中の相当部分は政府の直営の直轄事業ないしは補助事業でありましても、一〇〇%補助というのが大約でございまして、地元負担の額の推定は大体千百九十二億の中で三十四億くらいというところでございます。  以上でございます。
  68. 金子満広

    ○金子(満)委員 いろいろの寄付金とか、参加費用ですね、この寄付金はどのような内容でどのような額を見積もっておりますか。
  69. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 寄付金につきましては協会の関係が中心になるわけでざざいますが、先ほど申し上げました政府予算としての協会に対する補助金百五十億以外に、協会として寄付金を含めまして他のいろいろな財源に依存する分野、これが七十億、合わせまして二百二十億の建設規模ということで当たるということでございます。それ以外に運営費、これが百十億ございます。したがいまして、合わせまして三百三十億が運営費を含めまして協会全体の事業規模ということでいまの資金計画は立ててございますが、これは実はまだ財務委員会等の最終的な了承ということは取りつけてございませんので、その辺の予算上の要求のデータとしての積算でございます。その七十億なり百十億の運営費、これの財源といたしましては、地元の県あたりに十六億、それからそれ以外に財界からの寄付、これを二十五億見当予定いたします。それからさらに特定財源等、これはいろいろな公営事業の関係からの寄付金とか、いろいろ想定されますし、それからさらに協会独自のいろいろな財源といたしまして、もちろん四十七億という大きなものは、これは入場料収入そのほか売店等のスペースにつきまして業者に営業参加料として取るような費用とか、あるいは駐車場を設けたときの費用とか、いろいろございますが、そういったものを含めまして財源を確保したいということになってございます。
  70. 金子満広

    ○金子(満)委員 いま伺った数字で沖繩県の負担が三十四億円、いまの経済状態から見て物価上昇率はかなり高いと見なければならぬと思います。物価が上昇した場合でも沖繩県民の負担というのはこれ以上上げないか、それともスライドして上げる意思があるのか、その点についてもお伺いしておきたいと思います。
  71. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 先ほど御説明いたしました公共事業関連の地元負担、これは三十四億という線で極力押えられるように、まかなえられるように対処したいというふうに考えてございます。
  72. 金子満広

    ○金子(満)委員 それは金額で押えて事業を減らすという意味も含めてですか。同じ事業は計画どおりにやる、余分にかかったものは政府負担なりして地元負担にはさせない、こういうことで理解してよろしいですか。
  73. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 御指摘のように、まだこれから海洋博の事業というものは始まるわけでございますが、そのほかの公共関連事業というような問題との関係で、建設費関係が相当上がっておるというゆゆしい事態でわれわれも非常に心配しておりまして、これにつきましては早期に、海洋博の推進本部というものをきめてございますが、その中ですでに施設部会というのを発足して、その辺の資材の需要量、労務の需要量等いろいろ調べまして、対策を至急に講ずるというような形で考えてございますが、全体の工事期間が、何といいましてもあと二年ということでございますので、また一方、この開催期日というのが迫ってきてございますし、物理的に絶対に不可能というような形が出れば、海洋博開催の最初から入っておる計画であっても、若干の変更ということは行なわれざるを得ない。その場合に、縮小ということも一部にはあるいは出てくることもあろうかと存じます。
  74. 金子満広

    ○金子(満)委員 沖繩県の負担する三十四億円を含めて、この問題は連合審査でも、同僚の議員または無所属の瀬長議員からも質問されるかとも思いますので、この点はこのままにして、次の問題を質問したいと思うのです。  もう天下周知の事実でありますが、この海洋博を目ざして、沖繩で土地投機をねらった買い占めがやられている、こういう状態の中で、政府はその事実を知っているのかいないのか。もし知っているとすれば、どのような効果的な措置をとっているのかいないのか、この点について大臣から伺いたいと思います。
  75. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 話が通産省の海洋博担当大臣としての立場、事務局といたしましてお答え申し上げたいと存じます。  確かに最近の、これは沖繩だけでもございません。全国的な土地の値上がり、これは非常にゆゆしい事態でございまして、昨年の本部半島の会場用地の取得自体からすでにこの事実は情報として、それからまた現地に行っての調査結果等を考えまして、十分知っておりまして、何とか早く対策を講じなければいかぬということはございましたが、強権的に——強権というのは非常にあれでございますが、権限的にこれを明確に規制するという手段はない。したがいまして、県あるいは関係する、特に本部の町でございますが、地元の協力体制というものを積極的にとっていただくということで、いろいろとお話し合いを進めまして、少なくとも会場用地に関しましてはそういう体制がとれまして、当初の県の提示価格を若干上回る程度で、一応、会場用地の取得につきましては九五%程度の確保ということはこぎつけたわけでございまして、三月末までには残りの県内の居住者等を地主といたします方々との交渉も一段落して、着工が完全にできるという体制に入り得る見通しでございます。  この辺につきまして、通産省といたしましては、企業局長名をもちまして、屋良知事あてにも、用地の取得につきまして、高騰した値段につきまして、できるだけ地元とそういった協調体制のもとに、当初の予定価格をあまり大幅に出て周辺地価をさらに引き上げるというようなことのないよう、非常に厳重にひとつ交渉に当たってほしいという趣旨の通達を出しました。これは昨年の秋でございますが、それ以来それをベースに交渉を進めまして、ただいま、先ほど申し上げましたような成果を得ておるということでございます。
  76. 金子満広

    ○金子(満)委員 にもかかわらず、どんどん上がっておることは疑いのない事実です。またどんどん買い占めが行なわれておることも事実だと思うのです。これを効果的な規制というものを、先ほどは強権ということばが適当かどうかはわからないという意味で出されましたけれども、しかし、何らかの措置をとらなければ、沖繩海洋博で一もうけしてやろうということが意識的にやられているという事実を、われわれ見て見ぬふりをするわけにはいかぬと思うのです。そういう上からも、単なる指導でなくて、今後この種の問題について何らかの効果的な規制をする、こういうようなことについてお伺いしたいわけですが、考えておるかどうか。ただ、言ってはみるけれども、それは屋良さんのほうで適当にやる以外にもうないんだ、政府側としては望むところではないけれども、法的に何も規制できないからいたし方ないというので、事実上は放任するか、この問題についてお伺いしたいと思うのです。
  77. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 決して放任をしてよろしいという問題ではないと存じます。今後の問題といたしましても、かねてから県あるいは本部町につきましては、条例で何らかこれに関する、たとえば自然公園地域を拡大してその地域を対象にするとか、あるいは県として、その辺の諸般の情勢上踏み切りがなかなかむずかしいとすれば、本部町の条例でそういった地域の利用計画等につきまして制限が加えられるような対象をつくるというようなお話をいろいろ進めてございまして、本部町でもその辺につきましては、委員会等ではすでに通過して、あと議会としての議決を待つというような形になってございます。  それからさらに、きょうは沖繩開発庁のほうの御所管のことと存じますけれども、今後の海洋博関連以外の沖繩全域にわたりまして、やはり公共用地の確保が阻害されてはいけないということで、実は土地開発基金を設置するということで、三十二億円を今後三年間計画ぐらいで措置いたしまして、その国費は一応決定してございますが、四十八年度としてとりあえず十億というような金額が予定されてございます。それによりまして、沖繩県に土地開発の公社というようなものの設置がいま進んでおるわけでございます。それを通じまして、少なくとも沖繩県域におきます必要な公共用地等の確保に県みずからが積極的に乗り出してやれるような財源的バック、それから機構的なバックと組織というようなものの整備がはかられていくというふうに考えてございます。
  78. 金子満広

    ○金子(満)委員 では、次の問題について質問をしたいと思いますが、入場予定数というのは、もちろん予定ですから正確なことは言えませんけれども、三百六十万といわれ五百万といわれているのですが、沖繩県からどのくらい、国外からどのくらい、そして全国からどのぐらいと、概算はどのように見積もりをされているか、お伺いしたいと思います。
  79. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 こういう種類の行事に関しまして見積もりを正確に立てる、それは非常にむずかしいわけでございます。ただ、しかし、あらゆるものを計画を進めるにあたりまして、これは一度立てたものを絶対に変更しないということじゃなくて、常時新しい情勢を踏まえながらいろいろ検討を加えるという前提で、やはり一応の目標というものは確立していかなければいかぬと思っておりますが、現在限りにおきまして五百万という想定を立てました際の内訳といたしましては、これは延べ人員として五百万でございますが、本土から三百二十万、それから外国から三十万、沖繩本島で百四十五万、それから沖繩の離島から四万というような想定でございます。これはそれぞれ延べで一人の方が二回ずつ入場されるという前提になっておりますので、実数値はこの半分というような前提で組んでございます。
  80. 金子満広

    ○金子(満)委員 沖繩には安保条約に基づいて米軍基地がたくさんあることはもう天下周知の事実です。そこで、軍事基地の中で海洋博がやられるというこの事態をわれわれは見ないわけにいかぬと思うのですね。先ほどもそれぞれの委員から質問がありましたが、たとえば那覇の空港をどうするんだ。一部確かに米軍が使っておる。先ほどのアメリカ局長答弁でも期間は区切ってあるというけれども、幾日という区切りはもちろんないわけで、海洋博までにこの那覇の空港は全部完全に返還できるのかできないのか、この点についてひとつお伺いしたいと思うのです。
  81. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 先ほど大臣からも御答弁ございましたように、昭和五十年の三月に海洋博が開かれるということを十分念頭に置きまして、今後米側といろんな調整を進めてまいりたい、こういうふうに考えておりますけれども、P3をとにかく那覇空港から移転させましてそれを嘉手納に収容する作業、これになるべく早く取りかかりたいと存じておりますけれども、四十八年度につきましては、四十八年度中の作業能力というふうな点から見ましても、どうしても四十九年度にかかるということもまたやむを得ないというふうな予想をいたしておりますし、そういう諸般の事情を踏まえて、しかも五十年三月の海洋博ということを十分念頭に置いてものごとを進めていきたいというのが実情でございます。
  82. 金子満広

    ○金子(満)委員 先ほど入場予定者との関連質問しようとしていまお伺いしたわけですが、たとえば沖繩県以外の日本全土から百六十万、これは実数で百六十万ということになりますと、あの狭い地域にとにかくこれが行くわけです。飛行機と船を使う以外に行けないわけです。嘉手納の空軍基地を開放すればこれは問題は大部分解決つきますよ。しかしそういう意思は当然政府はまだ持ってないだろうと私は思うわけで、こういう中でたとえば百六十万人を運ぶために一日に日割り計算したってばく大な数字になるのです。それが那覇の空港一つは使う。もう一つは港を使わなければならぬ。船だ。そうすると那覇の港もこれはまたアメリカの関係が出てくるわけです。こういう点について交通上の問題でどのような措置をとろうとしているのか、いまのままで収容できると考えているのかどうか、この点を担当の係の方からお伺いしたいと思います。
  83. 佐藤久衛

    佐藤説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘海洋博開催時におきますところの本土とそれから沖繩との間の観客輸送をどうするか、こういうことでございますが、これにつきましてまず航空関係につきましては、先ほど外務省のほうから御答弁がございましたように、那覇空港整備をいたします。ただしこれにつきましては、本格的な整備返還の時期との関係がございまして間に合いませんので、暫定的な整備をいたしまして受け入れ体制をつくる、こういうことでやっております。そういたしまして機材関係につきましては、新しいジャンボジェットあるいはまたエアバスというふうなものを投入いたしますと同時に、臨時便の増発というふうなことをやりまして、輸送体制を整備いたしたい。  また海運の問題につきましては、新造船の投入あるいはまた既存航路の運航回数の増加、それから現在九州あるいは本州のほうから奄美大島までの航路がございます。それを沖繩本島まで延伸する、こういうような形で輸送対策に万全を期したい、かように考えております。
  84. 金子満広

    ○金子(満)委員 それから空港や港はそうでありますが、ダブルで入って数えて五百万となると、半年間ですから、あの沖繩本島の中の交通をどうするのだということですね。一日平均してとにかく二万五千人から以上になるのじゃないかといま概算で思います。それをバスで運ぶ以外に方法は大部分はないと思うんですね。自家用車というものがありますけれども、大部分はバスだ。そうすると二万五千人を五十人乗りのバスで運んでどういう状態になるのだ、これはえらいことだと思うのです。道路の状態から見ても、バスをどうやるかということから見ても、これは決して簡単なことじゃない、相当の混雑が予想される、これはしろうとでも考えられるわけですが、そういう沖繩本島の中における交通問題についてどのような対策を講じているか、この点もお伺いしたいと思います。
  85. 佐藤久衛

    佐藤説明員 会場のございます本部地区と空港あるいは那覇港との間の連絡につきましては、一つは現在ございますバスを増強いたしまして対処するつもりでございますが、現状の点から考えますと、沖繩のバス事業者の資力その他の事情からいたしまして全部沖繩だけでまかうということはできませんので、バス輸送につきましては本土から相当数の大型バスを応援に出したい、こういうふうなことでいま計画している最中でございます。と同時にバスだけでもなお輸送の経路が多少狭いんじゃないか、こういうこともございますので、会場那覇空港との間につきまして船による輸送ということも考えることにいたしております。と同時に、本土からの観客は相当大きな数でございますので、会場に近く建設されますところの渡久地新港あるいはまた運天港に直接船を入れるというふうな方法等も検討いたしたい、かように考えております。
  86. 金子満広

    ○金子(満)委員 時間がもうなくなってしまいましたが、それでは最後に、結局いろいろお聞きして、交通上の問題でも設営上の問題でも一番大きな障害になっておるのは米軍基地だということはもう明らかだと思うのです。海洋博自体が、先ほども基本理念という形で発表されている中で、平和的な国際協力という名目になっているのですね。実際には非平和的な軍事基地の圧迫を受けている。この事態はおおうべくもない事実だと思うのです。こういう点で那覇空港の全面的な完全な返還はもちろんのこと、道路についても、施設についても、港についても、アメリカ側に対してき然として要求していかなければならぬと思うのです。そういうことでなくて、何とかしてアメリカのいまやっている政策のワクの中であの基地の、部分的な基地以外のところでうまくこれをやろうとしても、これはこそくな手段に終わってしまう。こういう意味で、アメリカ政府に対して、基地問題についても、その他の施設や具体的な諸問題についても要求をしてやっていく、こういうことを最後に申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
  87. 藤井勝志

  88. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 一九七五年に予定されております海洋博開催につきましては、その準備の日程等も決して十分過ぎるほどのことでもありませんし、またいまいろいろ質問がありましたように、かなり多難ないろいろな問題をかかえて、これからその開催に全力をあげなければならない段階に入っているわけでございますが、日本世界有数の海洋国であり、また沖繩返還という歴史的な事実等とも相まって、この海洋博を何としても成功させたい、こういう気持ちでおるわけでございますが、この海洋博開催の意義につきまして、あらためて大臣からお伺いしておきたいと思います。
  89. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘がありましたように、多くの国に御参加いただきまして、世界の諸国民が海洋の利用、開発、保全並びに海洋文化等の各分野におきまして達成してまいりました成果を展示することによりまして、海洋に関する人類の関心と認識を深めて、海洋開発と望ましい海洋環境の創造に貢献する。これはすでに法律にもうたわれているとおりでございまして、わが国がスポンサーいたしましてそういうことをやりますことは、わが国の国際的な責任を果たす一つの方途であると考えて、あらゆる機能を動員いたしまして、その成功を希求いたしたいものと考えております。
  90. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 そこで本日いただきました資料を拝見しますと、すでに百四十カ国に対して参加招請状を発送してある、また関係国際機関三十四機関に対して招請を呼びかけておる、参加を呼びかけておるということでございますが、その後今日までの経緯はどうなっておるのか。参加意思表明のあった国はどの程度あるのか、また拒否した国はあるのか等について、まず現状の問題についてお伺いをしておきたいと思います。
  91. 宮崎弘道

    ○宮崎(弘)政府委員 昨年の十月の閣議決定に基づきまして招請をいたしましたわけでございますが、現在までに正式に参加の回答を行ないました国はボリビア、それから国際機関といたしましては世界保健機構、WHOのみでございます。当方の招請に対しまして好意的に検討中であるという回答に接しております国は、米国、ソ連、カナダ、フランス、イタリア、ポルトガルでございます。それから不参加の回答に接しております国は、ブータン、トンガ、イラク、ボツワナ、マラウイ、ザンビア、ルワンダ、それから国際機関といたしましては、国連の世界食糧計画、WFP、それから政府間海事協議機関、IMCO、イムコと申しますが、それから国際民間航空機関、ICAO、国際労働機関、ILOでございます。  なお、政府代表をはじめといたしまして関係者が今後各国を歴訪いたしまして、参加勧誘活動をすでに開始しております。今後一そう積極的な活動を行なってまいる予定でございます。
  92. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 大臣も御承知のように、この種の特別博は一九六一年にイタリアで開催され、また六八年にアメリカで開催されておりまして、約二十カ国程度は参加をいたしておるわけでございますが、先ほど大臣の御発言があった世界初めての海洋博日本開催するにあたりまして、大体どの程度の国々の参加を見込んでおられるのか。またその返答のタイムリミットはどの辺に置いておられるのか。この点について簡単にお願いしたいと思います。
  93. 宮崎弘道

    ○宮崎(弘)政府委員 先生御指摘のとおり、特別博の場合は前例を見ましても一般博、たとえば大阪の万国博のごとき一般博に比べまして、参加国の数が少なくなるのはやむを得ないと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、今後とも各国に対しまして参加の勧誘をはかっていく予定でございます。数は今後の成り行きによりまして、できるだけ多くの国を参加させたいというふうに考えております。  参加の意思表示のタイムリミットも、特別博の場合は一般博の場合よりも比較的何と申しますか、実際上参加決定しましてから参加に至ります期間が短くて済むものでございますから、必ずしもデッドラインを設けずに、可能な限り参加勧誘活動を続けていく予定でございます。
  94. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 ちょっといまの御答弁は、クラスターの設置ですとかパビリオンの設置等については、あらかじめ何カ国くらいがどんな内容をもって参加するかということが事前に判明しませんと、非常に準備もしにくいのじゃないかと思うのですが、いまの答弁ではちょっとあいまいな点がずいぶんありますけれども、それはそれとしまして、きょうこの資料を初めていただたいのですが、通産省の方に伺いたいのですけれども、これは二月の八日にできておって、約二十日間日にちがたっているわけですね。いままでどういうところにこの資料を配っておられますか。
  95. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 お手元にございます資料は、関係資料としまして四十八年二月八日通産省ということで、予算あるいは事業の実施体制あるいは出展参加招請、要するに最近におきます事実を列記したあと、委員会等の委員の名簿というようなことであろうかと存じますけれども、この資料は海洋博の推進対策本部を一月三十一日に設置いたしまして、そのあとその本部の中に施設部会を設置いたしまして、そのときに、二月八日でございますが、第一回会合を開きまして、そのときの資料ということでございます。このほかこの資料はいろいろ関係各省あるいは協会等におきましても使用してございます。
  96. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 御注意申し上げておきますけれども、百四十カ国のいろいろな仕訳がしてございますね。この中で第三番目の「わが国が実館も兼轄公館も設置しておらず、わが国にもそれらを設置していない国(十四カ国)」と記載のある中で、中華人民共和国がこの範疇に入れられておりますけれども、これは間違いですな。
  97. 宮崎弘道

    ○宮崎(弘)政府委員 これは、本件につきまして閣議決定を行ないましたときにはいまだ北京に実館が設置されていなかったので、おそらくその資料がそのまま踏襲されたわけだと推測いたします。現在はもちろん中華人民共和国は実館が設置されている国に属するべきものでございます。
  98. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 くどいこと言いませんけれども、二月八日の時点までにはすでに両国における大使館のあれが行なわれているわけですから、こういった点もやはり注意したほうがいいのじゃないかと思います。  先ほど大臣の御答弁の中で、北ベトナム、東独並びに朝鮮民主主義人民共和国等の参加招請についても鋭意検討したいという御発言があって、たいへんけっこうなことだと思いますが、この、きょういただいた資料の中では、いまの関係国際機関の最後のところで、「今後わが国が国交を結ぶ外国政府およびわが国が加盟する国際機関に対しては、その都度招請状を発出することとなる。」というただし書きがございます。これは先般政府から、ベトナム民主共和国を正式に近い将来承認する旨の御意思の表明がございましたが、当然海洋博開催前にこの承認が行なわれれば、自動的に招請状は発送されるなり何らかのコンタクトを持つというふうに理解してよろしいかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  99. 大平正芳

    大平国務大臣 国交が樹立いたしますと、そのつど参加招請状を出すという態度をきめているわけでございまして、遅滞なくやってまいるつもりでございます。
  100. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 東独についても同ケースと判断をしてよろしいわけでございますね。
  101. 大平正芳

    大平国務大臣 さようでございます。
  102. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 問題は北朝鮮、いわゆる朝鮮民主主義人民共和国でございますけれども、御承知のようにいまもう南北統一のきざしもすでに顕著になっており、また国連への同時加盟というような事態も当然近い将来予測ができる。私たち日本といたしましてもこの際、先ほど大臣の御答弁の中で、さらに政治的に検討を加えていただきたいと思うのですけれども、朝鮮民主主義人民共和国に対して、この際思いきった対策といいますか政策をとることが、私は現在の朝鮮問題に関連して、やはり日本としてなすべきかなり適時なときでもありますし、また日本がアメリカのいわゆる対朝鮮外交の追随をしないためにも、ここでこの種の海洋博という、こうしたきわめて平和的な舞台に朝鮮民主主義人民共和国を招請するということが、新しい先例として開かれてもいいのではないか、このように思うわけでございますが、そうしたいわゆる緊張緩和、または平和への努力日本の自主外交として積極的にやるべきであるという考え方を私は持っておるわけでございますけれども、そういう基本的な姿勢についての大臣の御見解を承りたいと思います。
  103. 大平正芳

    大平国務大臣 東独につきましては御案内のように三月七日からモスコーで国交樹立の交渉を始めるわけでございます。ベトナムにつきましてはその前提として、まず先方との接触を持つことを企てておるわけでございます。それぞれの国柄、それぞれの国の置かれた条件が違っておりまして、なかなか一律にまいりませんけれども、私どもといたしましては具体的な事情に即しまして、国交樹立に至らない段階におきましても接触の拡大をはかってまいらなければならぬということを考えておりまして、北朝鮮に対しましても御案内のように漸進的に接触の範囲を広げてまいる措置を講じておりますことは大久保さんも御承知のとおりでございます。これをどういう段階でさらに歩々を進めてまいるかということにつきましてはいろいろな点を判断しながら配慮していかなければならぬと思いますので、この海洋博開催を契機として、ひとつもう一歩踏み出してみるかどうかというような点につきまして、にわかにいま私が肯定的なお答えができる用意はないのでございますが、漸次接触の範囲を拡大していくという方向で考慮しておるということで御承知をいただきたいと思います。
  104. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 もう大臣は十二分に御承知のように、今秋の国連総会におきましてはいわゆる朝鮮問題に関する国連決議等が、また南北同時加盟というような問題が国連総会での大きな議題になる、このことはもう十中八、九間違いないことだと思いますけれども、私はそうした事態にかんがみて、近い将来また、キッシンジャーかだれか知りませんけれども韓国かいわゆる朝鮮民主主義人民共和国に飛んで、にわかにアメリカと朝鮮との国交が開かれる、そうした事態にまた日本が中国と同じようなパターンでそれをまた追随するようなことは、近隣の日本としては何としてもそういう姿勢は避けるべきではないか、何としてもここでやはり自主外交の、本来の日本外交の主体性というものを明確にすべきではないかという強い意見を持っております。いま大臣から御発言がございましたので、これ以上は申しませんけれども、私は日本の朝鮮政策に一つの大きなきっかけといいますか、これに海洋博というものは絶好な材料ではないか。こういう平和的ないわゆる近隣の、お隣の朝鮮に海洋博の参加を呼びかけて、この際日本はアジアの緊張緩和また平和への促進のイニシアチブをとるべきではないか、こういう考えを持っておりますので、この点もお含みの上でさらに今後検討を続けていただきたいことを重ねて要求しておきます。  時間があと十分しかありませんので、いろいろお伺いしたいことがあるのですけれども、先ほど通産省のほうから、本土から参加するのは百六十万でございますか、それから本土経由で海洋博に参加する、いわゆる外国からのお客さまが十万、またダイレクトで沖繩に入る方が五万というような計画をお持ちだというふうに伺ったのですが、百七十万のいわゆる参加者を想定した場合に、まあ六カ月間の開催日で日割りで頭数を割りますと、一日約一万人の海洋博参加ということで、いわゆる本土から空路なり海路を使って沖繩へ入るわけでございます。この空と海とのいわゆるバランスですね、これはどの程度に見込んでおられるのでしょうか。
  105. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 沖繩に対します本土からの輸送の現状及び海洋博開催時までのいろいろな整備状況等勘案いたしまして、七対三の比率で、空路が七割、そのほか海路が三割、こういうような前提で考えてございます。
  106. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 七対三という想定は、私もいまの時点でそうじゃないという確固たる根拠があるわけではないのですけれども、このスピード時代に船で二日もかかって沖繩へ行くということをどの程度の人が認めるかということになりますと、私は、むしろ七対三どころか八対二ぐらいの割りで空路を希望する方が多いのではないか、そういうことを思うわけでございます。現在東京並びに大阪から、また鹿児島から沖繩に飛んでおります定期便を全部合わせましても、その輸送の能力といいますか、キャパシティーは二千五百名前後だと思うのですね。そうすると、七割としましても七千人の方を向こうへ送り届けるためには、現在の定期便の三倍のフライトが用意されないと、この海洋博のいわゆる通産省がお立てになった原案とはほど遠い実態になってしまうのではないか。先ほど那覇空港の暫定的な、エプロンか何か直すのですか、そういったお話もあるように伺いましたけれども、しかし、そんな暫定的なもので現在の定期フライトの三倍もの便がはたして確保できるのだろうかという問題が一つございます。それとあわせて伊江島空港を使うようなお話もありましたけれども、あの伊江島の近海というのは非常に波が高くて、伊江島に着いて、それからこちらへ渡ってくる船の便があすこはすぐ欠航になるのですね。そうしたことも配慮して、伊江島の空路開設、整備という問題はあまり大きな期待はできないのではないか。そういうことを考えますと、那覇空港に対して全面的な改装並びにジャンボが一日に何便も離着陸できるような体制を整えなければ、この百七十万の参加プランというものも空論に終わってしまうのではないかという危惧を持つのですけれども、その点に対して運輸省のほうから、現状はいかがでございますか。
  107. 佐藤久衛

    佐藤説明員 お答え申し上げます。  まず那覇空港整備でございますが、これにつきましては滑走路並びに誘導路の改良工事、それから現在の空港の東側の中央部に新しいターミナルを建設する予定でございましたが、これは米軍との関係がございますので、空港の北側の埋め立てをやっておる地域がございます、そこに暫定的なターミナルビルとエプロン、駐車場等を建設する予定でございます。  なお、御指摘の増便に対処いたしまして、はたして那覇空港がまかなえるかどうかということでございますが、問題は駐機場でございます。現在駐機場の数が五つでございますが、これを先ほど申し上げました整備計画では十三というふうな形で整備いたしたい、こういうふうに考えてございます。
  108. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 あわせて伺っておきますけれども空港並びに港から海洋博開催地までの陸上の輸送につきまして、国道三百三十一号線はかなり主要な部分を占めているかどうか、その点だけ伺っておきます。
  109. 佐藤久衛

    佐藤説明員 三百三十一号線につきましては、私どもは、これは将来こちらのほうに返還になるというふうな予定を聞いておるわけでございますが、これは空港の東側のほうを通っておる道でございます。したがいまして、直接使いますのは三百三十二号線のほうでございます。これは御承知のように、空港の少し先までが片側一車線でございます。したがいまして、私どもといたしましては、大型バスを運行いたしまして観客輸送をやるわけでございますけれども、かりに三百三十一号線というふうなものが海洋博開催の時期に間に合いまして、それがターミナルの中央部のほうに連絡するようなルートができますれば、私どもとしまして、たとえば一方交通のルートというふうなものも考えてみたい、こういうふうな希望は持っております。
  110. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 ここで大臣にお伺いしたいのですけれども、過日の日米安保協議委員会において、その第七項で、いわゆる那覇空港返還並びに国道三百三十一号線の一般開放という問題がうたわれておるわけでございますけれども、しかし、問題は、沖繩返還の前国会審議を通じて、あのときの政府の御答弁は、返還と同時に那覇空港は全面返還されるのだ、またおそくとも二、三カ月中にはそういうふうな事態になるのだという答弁を私も聞いておりますし、そういう意味からいえば、この一月二十三日かの取りきめは大幅な退歩といわざるを得ない。はたしてこの那覇空港返還に伴う対応条件が海洋博開催までにできるだろうかという新しい危惧をいま持っておる現状でございます。これは那覇空港が全面返還されるに必要な対応条件を日本側責任において満たした段階において那覇空港日本に全面返還になる。しかし、いまもお聞きになっておられるように、この海洋博を成功させるためには、那覇空港が、米軍との共同使用ではなくて、全面返還の段階でもし準備ができれば、これは相当、予定した百七十万の輸送についても円滑な輸送ができるのではないかと思うのです。しかし、現状ではこの問題は、通産省も運輸省も苦慮されておるようでございますが、私は、客観的に見ていまむずかしい段階に来ておる、そういう意味からも、何としても海洋博開催までにはこの対応条件を整えて那覇空港返還されるべきであるという主張を持つわけでございますが、この対応条件の整備等について、大臣は、一九七五年の三月では実際に準備その他はできないわけですが、大体どの程度の目安を持っておられるのか、簡単でけっこうですから伺わしていただきたいと思います。
  111. 大平正芳

    大平国務大臣 明後年の三月を一応のめどとして、それまでに関連した施設を整えてということをわれわれは願っておるわけでございますが、御指摘のように、那覇空港開放に関連した工事の各案件の原則はきまったけれども、具体的な折衝をこれから精力的にやらなければいかぬわけでございまして、予算的措置もとりあえず四十八年度分だけやってあるわけでございますけれども、四十九年、五十年にかけてそれができないとまた要求もできないような事態でございますので、もう完全に明後年の三月までにはやりとりがあるというきまりのいいことを言っておいて、それができなかったらまた食言ではないかということになりますので、私としてはそのために最善の努力をいたします。しかし多少残りましても、海洋の乗客の運行に支障がないようにはどうしてもしておかなければいかぬし、それはできるのではないか。多少工事が残っておりまして、乗客から見た場合に不愉快な部分が完全に払拭されるというようにし  たいと思いますけれども、完全に払拭できるという自信がまだ持てないのでございますけれども、鋭意やってまいりまして、目標にこぎつけるように努力をいたしますというお約束だけは申し上げられると思います。
  112. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 時間もありませんのでこれで終わりたいと思いますが、先ほど堂森委員の御質問に対して、大臣はちょっと舌足らずであったというような御答弁がございましたけれども、一昨年の沖繩国会等での政府答弁から見ますに、これは舌足らずということで済む問題ではなくて、これはやはり大食言に属する事項だと思います。ただ、いま鋭意努力されるという御答弁でございましたが、海洋博開催までに那覇空港の円滑な運用のためにも返還努力をされることを重ねて要望いたしますとともに、最後にアメリカ局長に伺っておきたいのでありますが、この三百三十一号線の一般開放のためのいわゆる「暫定的安全措置の完了」ということがここにうたわれておるわけでございますが、この暫定的安全措置ということは一体どういうことを意味しておるのか、またアメリカ側からはどういうことが要望されておるのか、それに対して日本側の見解はどうなのか、もしアメリカ側の要望を受けるとなると、どのぐらい金がかかるものなのか、その予算措置はどうなっておるのか、その点だけ最後に御答弁いただいて、この三百三十一号線が一般交通のために開放される見通しはあるのかないのか、この点もあわせて御答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  113. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 沖繩返還の時点におきましては、米側との了解は、日本政府が所要の安全施設を設けた上一般交通の用に供されるということでございまして、当時は三百三十一号線が那覇空港北東にございまする米軍の空軍並びに海軍補助施設の中を通っておりました関係で、米側から安全施設に関しましていろいろの要求が出てまいっておりました。  しかし、一月二十三日の安保協議委員会におきましてその地区の返還ということにつきまして原則的な合意ができましたものですから、当該道路部分につきまして設けまする安全施設につきまして、従来の米側の要求からはだいぶ下がってまいりまして、現在フェンスを設けること、信号を設けること、あるいは歩道橋を設けること、こういうふうなことにつきまして具体的に米側調整をはかっております。したがいまして、この調整が終わりました段階におきまして、また所要の歩道橋等の工事が整いました段階において、一般開放されるということでございます。
  114. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 きょうは時間がありませんので、あとの質問は留保させていただきます。
  115. 藤井勝志

    藤井委員長 午後二時に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後一時十四分休憩      ————◇—————    午後二時五分開議
  116. 藤井勝志

    藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。保岡興治君。
  117. 保岡興治

    保岡委員 午前中に引き続いて質問をしたいと思います。  先年大阪で行なわれた万国博は非常に成功であったといわれておりますけれども、また一方予想外の多数の入場者で混乱が生じたりあるいは万博料金といったような物価高の現象が論議を呼んでおります。このときの轍を踏まないために伺いたいのでありますけれども、現在開催期間中六カ月の入場者予想が五百万人程度とされております。また本土から入ってくるお客の数は百七十万人というふうにいわれておりますけれども、現在海洋博準備にあたっている立場にある方々の一部には、それほど多数の観客は来ないだろうという見方をしておられる方もあるかに聞いております。また一方では復帰間もない沖繩会場になっておる関係で、珍しさや沖繩独特の亜熱帯性の特色を有する観光ということに興味を持って来られる方、あるいは五十年代の余暇利用水準の向上や教育熱心の父兄が多い日本でありますし、いろいろ好奇心の旺盛なわれわれの国民でありますから、多数の者が見に行くだろうと予想されることや、いろいろな点から観客が未曽有にふえると予想する向きもあるわけであります。いずれにしても、観客というものをできるだけ早い機会に正確に把握するという努力をしないことには自信をもって準備もすることができないだろうと思うのでありますけれども、この入場者予想についてどのような策を講じておられるか、万全の策を期しておられるかどうか、その点についてまず通産省にお伺いしたいのであります。
  118. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 お答え申し上げます。  海洋博観客の見通しでございますが、当初は三百六、七十万くらいではないかという見通しでございましたが、昨年の九月ごろアンケート調査等をいろいろやった時点におきまして、むしろそれよりも大幅に上回りましたような数字が出てまいりまして、いずれがさだかであるか。これはあくまでもこういう行事につきましての予想の問題でございますので、非常にむずかしいところでございます。  そこで海洋博協会の中で観客対策委員会というのが十月にそういったアンケート調査に基づきまして見通しを立てたところ、五百万という数字が一応ございます。それをベースにいろいろな事業の規模を設定して考えてきたというのが現状でございます。もちろんこういう見通しでございますので、その後の準備の進捗状況あるいは輸送力その他の整備状況等にもよりまして、適当なタイミングを設けながら引き続き調査を進めて、所要の修正を加えるということは必要であろうかと存じます。総理府の世論調査あたりにおきましても、ことしの一月二十四日、二月七日に実施しまして三月末に結果が出る予定になっております調査が、一番いい最近の時点におきまして期待される結果が出ようかと存じます。  いずれにいたしましても、沖繩の場合には万博のときと異なりまして、海を隔てた、東京から千六百キロというところでございますし、関連公共事業等で相当整備をやるという前提でございましても、やはり実際に行きたいないしは行き得るという予想、調査面の数字とそれから実際に輸送能力等の面で制約される要素と、この辺のかね合いが非常にむずかしいところでございまして、先ほども申し上げましたように一部には一千万人をこえるというような予想のあれもございます。この辺は非常にむずかしい問題でございます。われわれはそういうようなのを低目に押えまして、一応五百万というような想定をいたした次第でございます。その中身につきましては、本土から三百二十万、それから外国から三十万、沖繩本島から百四十五万、沖繩の離島から四万というようなことで見通しを立ててございます。これはあくまでも延べ人数でございますので、実数にいたしますと大体一人の方が二回ぐらい現地を見るであろうということで半分ぐらいの見当に一応なるという前提で考えておる次第でございます。
  119. 保岡興治

    保岡委員 いま政府委員のほうから一千万人と予想する方もおられるという話がありましたけれども、実際にそうなるかもしれないのであります。  そこで、同様に述べられた点でありますけれども輸送能力の点からは制約があるのでということで、大体数が未曽有にふえるということまで考えられないというような趣旨の御発言もありましたけれども、そうなってきますと、行きたくても行けないというような人がたくさん出てくるというようなこともありますので、なお観客輸送については万全の対策を立ててあらゆる把握の方法をくふうして正確な人数に対応したところの海洋博にしていただきたいと思う次第でございます。  ところで、このように多数の観客が訪れる可能性があるわけでありますけれども万博のときは会場に非常に多くの方が混乱をしまして、動く歩道の事故があったり、あるいは休憩施設の不足から新聞紙を通路に敷いてすわるお客さんが多くなったりして混雑するというような点が出ていたり、あるいはガードマンその他会場整理の人的な対策あるいは看護婦等の救急医療対策、こういったものが多少不足していたかに聞いておるわけでありますけれども、そういう点について通産省においてどのような対策を講じておられるか、伺いたいのであります。
  120. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 お答え申し上げます。  今度の海洋博につきましては、会場計画の設定が一番重要な問題でございまして、昨年の十月に会場計画委員会におきまして第一次マスタープランを策定いたした次第でございますが、現在それをさらに新しくきまりました予算の規模に見合いまして、第二次と申しますか、実際の実施計画という形での検討をこの四月の上旬ぐらいまでに決定していくということで鋭意作業中でございます。  海洋博そのものは、今回の構想の一つの大きな柱といたしまして、やはり自然に触れていくということが大きな命題でございまして、狭い敷地の中に展示館が林立するというようなことは極力避けるということで全体が海浜公園という形で伸び伸びと整備するということで考えてございます。したがいまして、入場者が当時万博は全体で六千万という入場者がございましたが、今回は面積こそ三分の一でございますけれども、建屋面積等の関係、それと海浜公園という非常にゆとりのある全体的な配置のしかたでそのような先例にならないような配慮ということは十分考えていく所存でございます。  また救急施設その他につきましては、この会場計画の中に十分織り込んで対処策を考えることにいたしてございます。
  121. 保岡興治

    保岡委員 開催場所が沖繩という亜熱帯地域に属しておりまして、冷房施設その他いろいろな設備が必要になると思いますが、用水という点が今度の海洋博では非常に重要であると思います。また電気の利用ということもかなり多くなってくると思いますが、最近科学万能の時代で技術の非常に進んでいる時代でありますけれども、新幹線の自動装置のミス等不測の事態の生ずるおそれも十分予想されるわけでありまして、そういう点の対策に万全を期さなければならないと思いますが、その点についての通産省の対策を伺いたいのであります。
  122. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました会場計画の中で、当然沖繩の地域は亜熱帯地域でございますので、各展示館すべて冷房を完全にやるという前提で計画が組まれ予算も計上されてございます。この冷房費等につきましては、今回は特別博でございまして、外国の正式参加国に対するスペースの提供の際にはその料金の中に冷房費は当然前提として織り込まれた価格できめていくというようなことで検討中でございます。  それから場内の交通等につきましても、海洋博の基本構想の段階で新規性ということが一ついわれてございまして、この辺を日本の現在持っておるそういう新しい交通システムのひな形と申しまか、というようなもので実現をできたらということで、これもまた三月末くらいまでの間に結論を出すべくいろいろ検討をしてございます。いずれにしましても会場内の観客動線が混乱を来たさないような配慮ということは十分考えてまいりたいと思っております。
  123. 保岡興治

    保岡委員 事故対策に何か具体的な対策を立てておられるか、その点について補足的に御説明を願いたいと思います。
  124. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 お答え申し上げます。  事故対策といたしましては、先ほど御説明申し上げましたように救急的な医療施設等の問題と同時に……
  125. 保岡興治

    保岡委員 質問趣旨はそういう意味じゃなくて、用水、電気等の利用施設設備について事故が生じて電気が消えてしまったりあるいは用水の点で不便が生じたり、そういう可能性はないかという意味の事故でございます。
  126. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 答え申し上げます。  当然この会場関係につきましての公共施設いわゆるユーティリティー関係の設備につきましては、海洋博運営本部そのもの、あるいは各展示館、非常に重大な関係がございますので、現在施設全体につきましてのそういうユーティリティーの関係の専任の専門家を要請いたしまして計画を練っている最中でございます。その際に相当の大きな容量のものとして不測の事態あるいは不側の事故を生じないような配慮を当然やっていく前提でございます。  また、会場に浮かばせる予定のアクアポリス等につきましては自家発も同時に整備して不測の事態が生じないようにという配慮で考えてございます。
  127. 保岡興治

    保岡委員 会場には当然食堂やあるいは自動販売機等を通じて食事あるいはそういった食べもの類の販売をすると思うのであります。またいろいろなみやげ品その他の販売もあるかもしれませんが、そういったものが万博の場合に非常に質が悪かったりあるいは料金が高かったりして不評を買ったという点もあるわけであります。物価高の今日でありまして、物価の問題は政治的な大きな課題でありますが、この会場内の料金が他の物価にはね返るような結果がないように、低廉な料金でこういったものが享受できるような指導をしていただきたいと思うのでありますが、そういった意味での対策がどのようになっておるか、通産省の所信を伺いたいのであります。
  128. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 会場内におきます食堂、売店等につきましては、その関係の特別規則というのをつくりまして、これは来たる四月及び六月の委員会及びBIEの委員会及び理事会に正式にはかってきめるということになってございますが、その際にこの料金の設定につきましては万博の例を参考にいたしますと同時に、沖繩現地の情勢に合わせまして、現地の中小企業者層が十分参画できるような方向でいろいろ現在検討を進めてございます。またそれと同時に、そういう料金面でコストへのはね返りということで、できるだけ引き上げにならないような方向を考えると同時に、必要な材料類の確保につきましては、生鮮食品対策等が一番問題であろうかと存じますので、この辺につきましても、やはり沖繩で自給率がかなり低いというようなこと、あるいは季節的にいろいろ問題が生ずるということもございますので、この一月三十一日に政府部内に設置いたしました海洋博推進対策本部の中に物価対策本部というものを近く設置いたしまして、当面の値上がり問題に対する対策、それからさらに先行きのそういった実際の運営自体に入ったときのいろいろな諸対策、これを十分に検討していく、早急に実施対策としてそれぞれの関係省ほかに御協力をいただいてやっていこうということでいま鋭意検討中でございます。
  129. 保岡興治

    保岡委員 次に、多数の観客が来た場合の宿泊施設の問題についてお尋ねしたいと思います。  現在でも沖繩復帰後沖繩に流入する観光客の数は激増しておりまして、私たちが聞いておるところによると、客室が足りないで常時ホテルは満員、三人くらいの相部屋で一人四千円というような宿泊料金が常識的になっておるという話を聞いておるわけでありますが、現在ですらこういう状態でありますから、これから先、かりにホテルの施設の建造が進むにしても、海洋博開催期間中並びにその前後には多数の観客のための宿泊施設が足りなくなるということが予想されるわけであります。そこでその対策について伺いたいわけでありますけれども、何と申しましても、やはり安い宿泊料金で観客が泊まれる施設というものが大事であろうかと思います。世論調査の結果を見ても、海洋博を見に行きたいという者のうちの三〇%近くは国民宿舎とかユースホステルというような、そういった廉価な料金の簡易宿泊を希望しておるというような事実もございます。そういった観点、そして宿泊料金を廉価に押えていくことをリードするために、国家による宿舎の提供ということにも十分努力をしていかなければならないと思うのでありますけれども、その点についての通産省の対策をお伺いしたいのであります。
  130. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 まことに問題点の御指摘として承っておきますが、海洋博の宿泊対策、これが一番実は頭の痛い問題でございます。大体先ほどの五百万人の入場者という前提で考えますと、平均であれば一万ちょっとでございますが、ピーク時三万くらいというのはどうしても考えなければなりません。それに応じましての宿泊態勢というのを一応考えていきませんと不測の事態が生じますので、現在沖繩で存在いたします既存の施設それから建設中もしくは現在計画中の宿泊施設、これを利用することによりまして、一つの想定といたしましては約一万八千人の一日当たりの宿泊量、これは確保できる見通しでございます。これは主として中、南部で現実に進行しておる建設中の案件及び計画中の案件に基づきました調査でございます。しかし中、南部だけでございますと、これは会場に見に行ってまた帰ってくるということで、いわゆる輸送の動線に相当重い負担を及ぼすことになりますので、どうしてもやはり本部の会場の近辺に相当量の宿泊施設を確保する必要があるということで、一万三千泊ぐらいの能力のあるホテル、ペンションを中心に整備をすべきであるという前提で現在準備を進めるということにいたしてございます。その際に、ただいま御指摘のようにできるだけ安く、快適な宿泊の条件というのをそろえる必要がございます。  現在通産省が一応予想しておりますあれといたしましては、ホテルあるいは大型のアパート形式で保養所向けあるいは社宅向けに分譲できるようなコンドミニアムというような性質の宿泊施設がございますが、この辺でいま申し上げました一万二、三千というような需要に対して約半分に近い五千五百、それから。ペンション形式という二十人見当の規模で、たとえば地元で離職した方あるいは新しく雇用機会を持ちたい方々等が経営し得るようなペンションというような性質のもの、これ  で五千泊くらい。それからそのほかに現在琉球銀行そのほかでいろいろ民宿の計画も融資対象その他に乗せるということで進んでおりますが、それで千五百泊くらい、合わせて一万二千ないしそれ以上というような形での整備ということを一応考えておるようでございます。このためには、これが個別に土地の取得等に走ずり回るというような形で乱開発というようなことになりますと、高騰ということでまたコストにはね返ってくるということになりますので、この辺いま鋭意準備に当たっておるわけでございますが、県及び関係する三市町村を中心にいたしまして、地元財界及び本土の財界の支援体制ということで本部開発公社というような第三セクター的なものをつくりまして、そこで用地の造成、ユーティリティーの造成等をあわせてやりまして、それでそういった民間企業中心の宿泊施設の建設に間に合わせるという配慮をいたすことによりまして、コストそのものを全体的に引き下げ、かつそういった統一的な手当てをし、分譲の際にいろいろ諸条件をつけるというような形での整備、統一ある整備ということを期したいと考えておる次第でございます。
  131. 保岡興治

    保岡委員 ただいまの対策を聞いて非常に心強く思ったわけでありますけれども、そのように多くの施設を国がつくっていくと、あとをどうするかという問題についても非常に問題が出てくるために計画が全部行なわれるかどうか、そういう点を危惧するものであります。そういった意味から、やはりこの本部の半島、会場周辺だけではなくて付近の交通機関を充実して宿泊を分散させる。たとえば現在与論島から会場までは船で一時間でありまして、那覇から二時間かかるのの半分であります。また沖永良部からやはり船で本部の会場まで二時間かかりまして、沖氷良部島と那覇とは等距離にあるわけであります。そういった観点から付近の沖繩離島も含めてその間の交通機関を充実することによって宿泊を分散していくというやり方も一つの方法であろうと思います。またその往復時間が多少かかり過ぎて困るということであれば伊江島空港整備して、それが基地関係使用可能になれば与論島から飛行機で参りますとわずか十分足らずで着くところでありますし、あるいは沖永良部島、徳之島、奄美からもかなり近いところに会場はあるわけであります。そういったことで、沖繩周辺に無理にたくさんの——ポスト海洋博のことを心配しないで、いろいろ宿泊施設を充実する道もあろうかと思いますので、その点について今後留意していただきたいと思うのでありますが、その点について通産省のお考えを伺っておきたいと思うわけであります。
  132. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 海洋博の宿泊施設関係としまして、通産省を中心に関係各省といろいろ御相談申し上げております。計画内容は、先ほど申し上げましたような形でございまして、それ以外に、沖繩県としましての離島関係、あるいは奄美群島等、近在にございます景色のすぐれた観光地等で、海洋博の帰り、あるいは行きに一つのルートとしていろいろ観客がふえる、ないしはそれによってまた沖繩海洋博そのものの一つの宿泊の基地になるということができれば、それは非常に望ましいことでございます。ただ、その関係につきまして海洋博関連事業として一環的にやるということには、どこまでが一体関連であるかという点で非常に問題もございまして、そこまでは現在の計画では考えてないわけでございます。ただ、それはたとえば奄美群島につきますと、これは鹿児島県あたりで、鹿児島観客をさらに奄美に延ばす、それから海洋博の機会にはさらに沖繩へというような構想もあるいは検討されているのかもしれませんが、その辺、県と、どういう計画をお持ちか、今後さらに詰めさしていただきたいというように考えておるわけでございます。
  133. 保岡興治

    保岡委員 国民宿舎あるいは青年の家、キャンプ場といった問題については、厚生省の直接の所管であろうと思いますが、厚生省のほうではそういった奄美列島も含めて、沖繩の離島その他の周辺の宿泊施設をこの際に充実する、先取りして充実するというお考えがあるか、その点を厚生省に伺いたいのであります。
  134. 加地夏雄

    ○加地説明員 いま御質問ございました国民宿舎、ユースホステル、こういった問題は、旅館業法という形では厚生省実はあれをいたしておりますけれども、個々のそういった問題につきましては、それぞれの関係官庁に分かれておりまして、厚生省でいまやっておりますのは、旅館では、一つは国民旅館というのがございます。それから民宿は普通旅館業法の旅館であるとか、あるいは簡易宿泊所、こういった形になっておりますので、厚生省関係で申し上げますならば、これは当然環境衛生金融公庫の融資の対象になっているわけでございます。特に沖繩の問題で申し上げれば、これは沖繩振興開発公庫という形であれされておりますけれども、御質問奄美について、厚生省関係で特別に融資措置を講ずるかという御質問でございますけれども、これは当然いま申し上げた環衛公庫の融資の中で従来からもやっておりますし、今後もそういう系列の融資はやっていくということでございます。
  135. 保岡興治

    保岡委員 その融資をする際に、やはり海洋博沖繩で二年後に行なわれるというようなこと、あるいは先ほど通産省でも言っておられたように、一つの観光の基地あるいは宿泊の基地になる可能性もあるわけで、そういった点の特別な事情配慮していただけるかどうか、その点についての姿勢を伺っておきたいのであります。
  136. 加地夏雄

    ○加地説明員 海洋博関係の宿泊施設の確保の対策の問題としまして、先ほど御質問がございましたし、同時にそれについて通産省から御回答があったわけでございますが、海洋博のための宿泊施設の総合的な関連ということで考えていく場合には、通産省も、先ほど御答弁がございましたけれども、十分御相談をしていきたいと考えております。現在では、格別そういう意味では、先ほどの答弁のような形で、私ども海洋博の宿泊設備の関連ということでは考えていないわけでございます。
  137. 保岡興治

    保岡委員 復帰後間もない沖繩で今度海洋博が行なわれる意義、あるいはこの亜熱帯性地域の選ばれた意義ということについては、いままで過疎地域で何ら日の当たらない場所であったところを、その特色を生かして開発していこうという大きな意義があるわけであります。また、それが国民に健康保養というか、日本独特の地域の観光を葬しんでもらって、国民全体のためにもしようという大きな目的があるわけでありますから、ぜひ総合的に考えていただいて、ポスト海洋博のこの地域の発展を確保するためにも、それに資するためにも、事前から十分総合的な配慮関係省がしていただくように、要望しておきたいと思うわけであります。  次に、観客輸送対策に移りますけれども本土からの観客は、現在実数で百七十万人ぐらいと推定されております。本土から沖繩への観客輸送コースとしては、行き帰りとも本土沖繩直行コースと、片道はそのような直行コースをとるけれども、往復どちらかは、鹿児島に至る途中の奄美大島の島伝いに観光を楽しみながら、往路の道順を途中を利用して観光を楽しむ、廉価に観光を楽しむというコースも十分考えられるわけであります。先ほどから申し上げるとおり、これが宿泊施設の分散、ポスト海洋博のこの地域の開発ということに大きく資するわけでありますから、そういった意味からも、この鹿児島沖繩の島伝いのコースというものが重要であろうかと思いますが、その点に限って御質問を申し上げてみたいと思います。  現在奄美航路は、沖繩まで延びている路線もありますけれども鹿児島県の最南端の与論島で折り返している船が大部分であります。そのような船の路線を、海洋博の前後並びに期間中に、沖繩本島の運天港あるいは会場近くの渡久地港、那覇港等に航路を延長されるお考えがあるか、その点について……。  もう一点、当然予想される船舶による輸送のための新造船、あるいは他の航路からの配船等によって増便をする際に、もし需要があればそれに応じて奄美群島にその船を寄港させることを考えておられるかどうか。  以上二点について、運輸省に伺いたいのであります。
  138. 見角修二

    ○見角説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘がございましたように、海洋橋期間中の本土沖繩間の海上輸送量それ自身が非常に膨大になることが予測されますし、また、ただいま御指摘がございましたように、海洋博に行く途中あるいは帰りに奄美群島に寄っていく、あるいは先ほどの宿舎の分散問題等も含めまして、海上輸送のルートの設定につきましては、いまの御趣旨のような方向で検討いたしております。先ほどお話がございました、現在与論島どまりになっております鹿児島奄美ルートにつきましても、海洋博期間中につきましては、臨時に沖繩へ延航させるということも、指導によってしていきたいと思っております。さらに、海洋博見物に合わせまして、なおそれでも足らない輸送力の問題につきましては、今後新規免許航路その他臨時配船等の運航ルートにつきましても、奄美の各島の寄港についても前向きに検討してまいりたい、かように考えております。  なお、御指摘ございました渡久地、運天港の寄港の問題につきましても、それぞれの港の受け入れ体制も計画によって整うという予定もございますので、その港の受け入れ体制と合わせまして弾力的に渡久地港、運天港の寄港も考えたい、かように考えております。
  139. 保岡興治

    保岡委員 たいへん適切な御処置を予想されておられるようでありがたく思う次第でございます。  なお、飛行機による輸送についてもいま申し上げたと同じようなことがいえるのでありますけれども、現在、奄美航路にとどまっておる航路を期間中さらに那覇空港あるいは会場近くの伊江空港YS機の就航を延長すること、あるいは増便をしてこのコースをさらに充実すること、これも需要に応じて大事なことだろうと思うのでありますが、この点について同様の質問運輸省の航空関係政府委員にお願いをしたいと思います。
  140. 佐藤久衛

    佐藤説明員 お答えを申し上げます。  海洋博観客の大部分は、おそらくは本土沖繩の間の直行という形をとる場合があろうかと思います。現在のところ、奄美大島、徳之島にYS11を投入しておるわけでございますけれども、先ほどから先生も御指摘のように、海洋博開催を契機といたしまして、奄美諸島への観光客が増加する、こういうふうなことも考えられますので、このような事情と需要の動向を勘案いたしまして、たとえば現在の機種をさらにキャパシティーの大きい大型機に変更するとか、あるいはまた路線の延長とか、そういうふうな問題につきましても将来の問題として検討させていただきたい、かように思っております。
  141. 保岡興治

    保岡委員 確かに直行コースが主になることはもちろんでありますが、しかしながら、先ほどから申し上げているとおり、途中を観光を楽しみながら行こうという方もかなり多いかと思うのであります。途中の利用でありますから運賃もそれだけ格安になるという意味で、商社あたりで観客の観光コースと合わせたパッケージというようなものを設定して売り出せばかなりの需要も予想されるわけでありまして、そういう観点から単に補助的な意味あるいは観光ルートとしてのみならず輸送コースとしてもかなり重要になってくることが考えられますので、その重要性を十分認識していまお答えになったとおりの姿勢をさらに積極的にしていただきたいと考える次第であります。  次に、いま私が質問の途中いろいろ述べてまいりましたとおり、大体この沖繩海洋博というものは沖繩復帰を記念いたしましてその記念行事の一環として発足しておる事情もありまして、沖繩を中心にそのいろいろな準備が進められているようであります。それ自身たいへん意義のあることでありますが、しかしながら奄美大島という一連の群島がそのすぐ北のほうにありまして、沖繩の宮古島あるいは石垣島と会場との距離に比べますとはるかに奄美大島の各諸島のほうが距離的にも近く、同じような気候、風土あるいは亜熱帯性の特色を有している地域であります。しかも観光のいろいろな施設についても、東洋一の鐘乳洞がある沖永良部あるいはその他いろいろな史蹟もあるわけでありまして、決して沖繩にまさるとも劣らない特色を備えているわけであります。しかも全国総合開発計画の中においても、沖繩開発構想を入れるための一部改定にその沖繩開発構想の末尾に奄美大島も位置づけされておるのでありまして、その内容については、沖繩開発にあたっては、沖繩と地理的、歴史的、経済的に密接な関連を持つ奄美群島についても、今後とも産業の振興と社会生活水準の格差是正をはかる必要がある、特にそのすぐれた自然環境の保全をはかり、また根幹となる道路空港、港湾等の施設整備をはかるなどによりその開発振興を強力に推進するという位置づけもなされておるわけであります。そういうことで奄美諸島も単に行政区画が沖繩に入っていない、鹿児島県の一部であるということから、この海洋博のいろいろの準備あるいはポスト海洋博の観点からのいろいろの配慮等において目を向けられていないのではないだろうかという懸念を地元が持っているかに聞いているわけであります。  確かに先ほどから述べてまいりましたとおり、この奄美群島も利用すれば、かえって会場に近い有利な条件も備えておるし、亜熱帯性の気候その他からいって全く同様で、同じような開発をしていかなければならない地域でございますので、ぜひ一体的にポスト海洋博の観点あるいは海洋博における位置づけというものもしていただきたいと思うわけであります。  そういった観点から若干の質問をしたいと思うのでありますけれども、このような重要な奄美大島の位置づけからすれば、海洋博協会のメンバーの理事として地元の意見その他を述べる代表者であるところの、地元の事情に明るい理事の一人ぐらいの参加はあってしかるべきであるというふうに考えるのでありますが、その点について通産省の御意見をお伺いしたいのであります。
  142. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、現在の海洋博理事の中には、地理的条件から九州地区との関連というのは将来とも非常に密接になるという前提、また、なければいろいろの問題が出てくるという前提で、九州商工会議所連合会の会長の赤羽さんと、鹿児島の商工会議所会頭の岩崎さんを理事として御参加いただいてございます。特に岩崎さんにつきましては鹿児島の商工会議所の会頭でございますので、そちらから御意見が反映していただけるという前提でわれわれとしては考えておったということでございます。  ただいまのさらに追加云々の問題につきましては、これは海洋博、特に沖繩ということでスタートした問題でございますので、協会の内部の問題その他の地区のいわゆる代表的な意味で出ておられる方々との関連等いろいろ問題がございますので、この点につきましては協会等と十分御相談させていただきたいと思います。
  143. 保岡興治

    保岡委員 確かに御指摘のとおり九州の代表あるいは鹿児島の商工会議所の会頭が理事の一員として入っているのでありますけれども鹿児島県における奄美大島というのは鹿児島県の中でも特殊地域でありまして、その特殊な点が沖繩と共通なんであります。そういった意味から、また非常に近いという条件、先ほど申し上げたような重要な位置づけからして、やはり積極的にじかに地元と海洋博開催とが結ばれていくということが必要であろうかと思いますので、鹿児島県の代表が抽象的に一人入っているのでなくて、具体的な地元の意向を十分体して、協力のできる、そして海洋博を調和のとれたすばらしい成功裏に終わらせるための一助として、その点を今後も十分検討していただきたいと思うのであります。  また、沖繩県には沖繩県全市町村連絡協議会や、沖繩の県民運動の母体として海洋博を成功させる会というような、沖繩県あげてのいろいろな協賛団体もあるわけでありますが、このようなものについてもぜひ奄美大島からも参加させていただいて、みんなで同じ共通の地域の発展のために海洋博を成功させるようにさせていただければと思う次第でありますが、その点についての通産省の御意見を伺いたいのであります。
  144. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 昨年暮れも押し詰まりました二十一日でございますか、沖繩に、現地海洋博に対する空気を全面的に盛り上げるということで、各層にわたります海洋博を成功させる会というものが結成された次第でございます。会長は沖繩県知事屋良さんが御就任でございまして、メンバーとしましては、沖繩におきます経済界、文化団体、各市町村等から構成されてございます。この問題につきましては、沖繩県にも確かめてみましたが、メンバーとして他県の方が入り得るかどうか、この点は制度的には別に否定されてはございません。ただ、沖繩県で行なわれます海洋博ということで、推進体制を全県的につくるということにようやくこぎつけたという情勢もございまして、なかなかその辺で、奄美代表の参加につきまして沖繩県で直ちにこれを受け入れていいかどうかということにつきましては、また個別の問題として今後検討してまいりたいということでございまして、いま関係者間で——相当やはり地元という、何といいますか、まず第一に沖繩県というあれもあろうと思いますし、なかなかその辺での意見の統一ということができますのには若干時間がかかるのじゃなかろうかと思っておりますが、この点につきましても個別に検討させていただきたいと思います。
  145. 保岡興治

    保岡委員 御説明もっともでありますが、しかしながら、協力体制に入るのはできるだけ早く入らないと、その協力もスムーズにいきませんし、なおかつ沖繩県が単に行政区画を固守してセクショナリズムにおちいっておるというふうには決して考えられないので、ぜひ参加の意義を強調していただいて、みんなで協力のできる体制を御指導いただきたいと思うのであります。  次に、この海洋博を成功させるために、関連公共土木事業の予算として一千二百億くらい考えられておるということでありますけれども、また観光関連事業の融資条件等も沖繩はかなり優遇措置が講じられておるということを聞いております。そういった観点から、この範疇を奄美大島まで及ぼすことができるかどうか、ぜびそうしていただきたいと思うのでありますが、その点について関係政府委員の方に伺いたいのであります。もし直接の担当の方がおらなければ、通産省に、海洋博主催者の立場からの、主務官庁からの御意見でも伺いたいと思います。
  146. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 沖繩の復帰の一環といたしまして、非常にたくさんの施策がとられたわけでございますが、やはりこれは沖繩の復帰が二十七年間よりおくれたという大きな事実に基づくものでございまして、その適用範囲というのはやはり沖繩を最大の焦点としてとらえたことであろうと思います。したがいまして、沖繩振興開発金融公庫の融資対象、これはいま私の知識として、域外にまで及ぼし得るかどうか、これはちょっと確答いたしかねる次第でございますが、おそらくこれはただいま申し上げましたような趣旨で、沖繩に全力投入ということでの機関として設立された趣旨であろうと存じますので、ちょっと論理的には域外にまで及ぼすということはできないのではないかというふうに考えられます。
  147. 保岡興治

    保岡委員 一応御所見として伺っておきます。しかしながら、沖繩が確かに二十七年という長い年月他の民族に支配されておったという状況に非常に同情しなければならない、手厚い保護、埋め合わせをしていかなければならないという観点から、大きな政府によるいろいろなバックアップがされておるのは御承知のとおりであります。しかしながら、奄美大島自身も戦後八年間米軍に占領されておりまして、行政空白を生じて返還を受けております。その後復興事業あるいは振興事業等の特別な措置法の制定によって、今日まで復興、振興がはかられてきておるわけであります。しかしながら、当時の国の財政能力というのは非常に微々たるものでありまして、現在の沖繩に対する強力なバックアップに比べれば取るに足らないような内容のものでありました。また予算も五年間でセットでもらうために、毎年の予算の伸びに応じた予算を獲得することができない、あるいは内容に硬直化が生ずるというようなことがありまして、その復興、振興もたいへん効果をあげているのでありますが、さらに満足な状態ではないということが言えるのであります。そういうことで、沖繩の場合は軍事的な基地の機能があったものですから、米軍もそれなりに社会資本の投資もしておる。しかも、日本がその基地の安定を得るために民生安定の努力もしてきておる。日政援助金その他の多大の援助も受けておる、現在さらに大きなバックアップも受けておるという状態であります。そこで、この地域は、同じ地域でありまして、鹿児島県においては特異な、特性が沖繩と共通する、そして距離的にも歴史的にも経済的にも密接な関連のある地域であることは、先ほどの新全総にはっきり記されておるとおりでありまして、そういったこの地域の調和的な発展のためには、もっと奄美大島の位置づけというものを沖繩との関連において皆さんに認識してもらって、あらゆる機会に調和のとれた発展を指向していただきたいと思うわけであります。  そのようなことをお願い申し上げまして、海洋博の成功をお祈りいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  148. 藤井勝志

  149. 堂森芳夫

    堂森委員 午前中の質問に引き続きまして、政府当局に、海洋博関連をしまして沖繩基地問題についてもう少し質問をしておきたい、こう思います。  たびたび委員諸君からも発言がございましたように、那覇空港はなかなか返ってこない、こういうことであります。そこでP3の基地を嘉手納に移して、そして普天間の基地等の修理、あるいは岩国、三沢の基地の修理、いろいろなこととの関連でいろいろな予算が要るわけでございますが、そうしますと、先般予算委員会でも、三億二千万ドルの返還時のああいう協定の支払いとは別に、六千五百万ドルの何か密約があるのではないかどうかというような質疑も行なわれました。しかし、冠、麦のときの審議の過程等を聞いておりましても、実相はよく把握できませんでした。そこで、局長に聞いておきたいのですが、那覇空港が返ってくるについて、そして完全に返ってくるその代償としていろいろな事柄が行なわれる。基地の整理統合化、縮小化、いろいろ行なわれる、整理が行なわれるということについて、予算的な点は一体どういうふうになる見込みであるか。昨年四十七年度の予算にすでに計上されておりながら使わずに、ことしになっておるということがございましょう。三十八億くらいですか。嘉手納の基地の修理費等の予算が使われずに、また繰り越しになってことし使う。これは一体どうなっているかわからぬ。とにかく那覇空港が返ってくるについて、関連をしてどれくらいの予算というものが必要であるのか、一応めどはあると思うのであります。全然わからぬのか、これから話し合いをしていくのか、その点まず承っておきたい、こう思います。
  150. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 昨年の春の国会におきまして那覇空港返還の問題が論議されました段階におきまして、政府側といたしましては、P3を那覇から移転させるにあたりましては、普天間を移転先と考えまして、それから関連の部隊等を一部嘉手納へ動かす、こういうふうな考え方のもとに一応予算の要求をいたしまして、当時普天間並びに嘉手納合わせまして約三十八億円という予算をお願いいたした経緯がございます。しかしながら、その後御承知のような経緯で今日に至っておりますけれども、今回、一月二十三日の日米協議委員会におきまして、原則的な合意を見ましたのは、P3を那覇空港から嘉手納へ動かすということであり、それに関連して普天間を代替飛行場として整備する、こういうことでございまして、それに必要な予算といたしましては、四十七年度におきまして計上されております三十八億円を四十八年度に繰り越して使用させてもらおう、こういうことを一応財政当局と話し合ってまいっております。この点につきましてはけさほども答弁申し上げましたように、三十八億円という予算の繰り越しを一応予定いたしておりますけれども、当初考えておりました普天間という移転先を嘉手納へ変えることに伴いまして、いろいろまた行程が変わってまいります。したがいまして、今後米側と具体的な作業につきまして調整をいたしました上で、最終的な計画が決定されるわけでございまして、三十八億円ではおそらく足らないであろうという程度の見当はついておりますけれども、総額どの程度のものになりますかということにつきましては、今後具体的な工事内容を固めた上で初めて確定してまいる、こういうことでございます。
  151. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいまの答弁でありますが、非常に予算委員会で問題になった返還時の三億二千万ドルの支払い以外には何も話はなかった、こういうことでございますか。今度のことはその後出てきたという。そのときからこれはあったのですか。
  152. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 返還協定第七条に、三億二千万ドルの支払いがうたわれておりますけれども、今回米側と原則的な合意を見まして作業を進めてまいりますP3の那覇からの移転に要します経費は、三億二千万ドルとは全く関係ございません。
  153. 堂森芳夫

    堂森委員 一昨年の沖特の委員会で、当時の福田外務大臣は、P3が具体的にどこに移転するのかということが基本的にきまっていないで、精細な見積りをすることはできませんが、したがって補正予算に計上することができなかったのであるが、大体二千万ドル以下である、こう踏んでおりますと答弁しております。局長どうですか。
  154. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 昨年の段階におきまして、P3を普天間へ移転するという作業を考えました段階におきまして、普天間におよそ二十六、七億円、関連いたします嘉手納の作業を約十一億円、合わせまして三十八億円ということを四十七年度予算でお願いしたわけでございます。昨年の四月初めに、暫定予算が組まれます段階におきまして、この暫定予算に、P3の移転に必要とします経費を計上していただけるかどうかということについて、いろいろな検討が加えられた経緯はございますけれども、当時におきましては暫定予算にはこの金額は計上されなかったわけでございます。
  155. 堂森芳夫

    堂森委員 六十七国会の沖特で二千万ドル以下である、こうあります。そのときには普天間へ行くP3は嘉手納という構想はないのですよ。そして、もっとコースは簡単だったと思うのです。こんな複雑な事情にならなかった。そのときでも二千万ドル以下というから、千万ドルも五百万ドルも以下は以下ですけれども、二千万ドル以下といえば近いもの、こういう判定じゃないでしょうか。それが三十八億円でまだいいというからあれですけれども、だいぶ違うのじゃないですか。まるで人の金だからいいかげんでいいような、そんな無責任な積算ではいかぬじゃないですか。
  156. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 昨年の春に、P3の移転先が検討されました段階におきましては、P3を那覇空港から普天間へ動かす、それに関連いたしまして、普天間にありますKC130という給油機を別の場所へまた動かすというふうな、一連の作業が考えられたわけでありますけれども、その作業の対象となります普天間の格納庫その他をそのまま使用するという前提で推算をいたしまして、当時普天間関係が二十六、七億円ということでありましたけれども、今回は普天間をP3の移転先として考えることをやめた関係上、嘉手納に全く新しくP3収容のための施設を提供ということになりますので、昨年考えました工事よりはだいぶ大きい工事になるであろうということが一応見当つくわけでございまして、そういう見地から三十八億円ではおさまることはむずかしいであろう、こういうことを申し上げているわけでございます。
  157. 堂森芳夫

    堂森委員 だから、その三十八億円というのも腰だめの予算であって、正確な予算ではなかった。そうじゃないですか。
  158. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 四十七年度予算に計上いたしておりました三十八億円につきましては、米側と話し合いまして、ある程度の工事の内容を概算いたしておりましたけれども、今回は原則的な合意だけでございまして、内容につきましては、今後日米間で調整を要する問題でございます。したがいまして、四十八年度予算におきましては、四十七年度予算として計上されておりましたものを繰り越し使用ということをお願いしておるわけでございまして、四十八年度に関します限りは三十八億円という繰り越し額以上を出るわけにはまいらないわけでございます。
  159. 堂森芳夫

    堂森委員 あなたの答弁で経緯はわかってきました。そうでしょう。この六十七国会、八国会のころにはP3の基地は嘉手納に行くということはきまってなかった。そのころ全然そんなものはないのですよ。それでも三十八億でやると、こうしておりながら、今度は嘉手納に基地の拡張をやるんだ。すると、もっと巨額の金がまたプラスされてくる。これはあたりまえですよ。しかるに、この予算の要求、計上は三十八億の繰り越しだけになってきておる。理屈が合わぬですよ。まるで、腰だめの予算を出しているだけであって、あとは米側との交渉次第でないとわからぬのだ、こういう非常に何というか全く粗雑な交渉のやり方をしてきておる。こういうところに問題がある、こう思うのでありますが、じゃ、局長は幾ら聞いても密約はないと言うでしょうが、三億二千万ドルの支払い以外に六千五百万ドルの、いろんな基地の整理、縮小についてそういうものがあるんだと、こう言われても否定のしようがないというふうに思うが、いかがですか。そういうことは絶対ないのですか、話も出なかったのか。答弁書を読むとみんなそう書いてありますけれども、ほんとうにそうなんですか。
  160. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 六千五百万ドルの密約があるだろう、こういう御指摘でございますけれども、この件につきましては、昨年の国会におきまして当時政府側から御説明いたしておりますように、沖繩交渉の過程におきまして、米側から、施設区域の整理、統合を進めるに当たって必要なされる代替施設の経費は、地位協定に従って日本側に負担してもらうことになるけれども、その金額が当時の見積もりとしておよそ六千五百万ドルと見られるという説明があったことは確かでございます。しかしながら、これは限度のある数字とか、日本側米側と約束したとか、そういうことではございませんで、当時米側との間に一応の見積もりとしてそういう数字が出たという性質の数字でございます。
  161. 堂森芳夫

    堂森委員 そうすると、いまのそのような答弁は、以前にもたしか福田外務大臣当時もしていると思うのです。ただ、交渉の経過の間で、約束はしておりませんが、先方からは六千五百万ドルくらいの費用、予算を必要とするようなことになるのではないかという話があって、こっちはそうかというような聞きおくというような姿であったが、まあそう簡単なものではないと思うのですが、約束まではしておりませんが話は出たのだ、こういうような答弁があったように私速記録で読んだように思うのですが、そういう話があったと、こういう了解をしていいわけですね。
  162. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 先ほども答弁申し上げましたように、返還交渉の過程におきまして、米側として施設区域の整理、統合に要する経費の一応の見積もりとして、六千五百万ドルという数字が出たことは確かでございます。しかし、これは密約とかあるいは日米間で約束されたとか、そういう性質のものでないということは政府側がたびたび御答弁申し上げておるとおりでございます。
  163. 堂森芳夫

    堂森委員 まあ返還協定関連して一、二聞いておきたいと思うのです。  午前中の委員会でも、復元補償費についてはお聞きしましてあなたから答弁がありましたから、これはいいでしょう。まだいま、一千万ドルをこえる補償費についてアメリカ当局が審査をやっておるところでございますと、こういうことでしたから、審査中ですからどうにもなりません。  そこで、返還協定の四条2項では、米軍の施政下で現地法令によって認められた県民の請求権は、アメリカが沖繩に事務所を置いて解決していくことになっておると、こう書いてあるのですね。それで、沖繩返還後この種の請求権というものはどのように具体的に解決されつつあるのか、御答弁を願っておきたい、こう思います。
  164. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 返還協定四条2項の請求権の処理につきましては、土地に対する損害にかかる請求権と高等弁務官布令第二十号関係の収用宣告にかかる請求権は、沖繩にありまする陸軍工兵隊によって処理されております。また、旧琉球列島米国土地裁判所の管轄に属します請求権は、中断することなく、土地裁判所の後任機関により処理されるということになっておりまして、目下その機関の設立の準備が急がれているところでございます。また、外国人の請求に関する米国の法律に該当する請求権は、引き続き沖繩にありまする各軍の外国損害賠償請求委員会、これによって処理されることになっております。また、労働者の災害補償に関する米国政府またはその機関の被用者の請求権は、引き続いて沖繩にありまする各軍の人事事務局によって処理されております。それから審査を求め得るその他の請求権で、いままで申し上げました各項目に該当しませんものは、那覇にあります米国の総領事館に対して提出することができるようになっております。それから、旧琉球列島米国民政府に対する請求権につきましては、沖繩にありまする米国陸軍の適当な事務局がこれを処理する、こういうことになっておるわけでございます。
  165. 堂森芳夫

    堂森委員 それはそういうふうになっておるということはわかりますが、現実に、沖繩人たちのそうした請求権というものは公正に、具体的によく行なわれるような現況にありますかと、こういうことをお聞きしたわけです。理屈はそうでありましょう。
  166. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ただいま御答弁申し上げました中の土地裁判所に関連する請求権の処理につきましては、米側の内部の事情によりまして、土地裁判所の後任の機関の決定がおくれておりますけれども、この点につきましては累次米側に対して督促いたしておりまして、きわめて近い機会に後任機関が任命される、こういうふうに承知いたしております。
  167. 堂森芳夫

    堂森委員 講和前の人身損害補償漏れの人員は現在幾らくらいあるのでございますか。
  168. 河路康

    河路政府委員 講和前の見舞い金支給所要額は、昭和四十七年度におきましては、三百八十名分として二億三千三百三十万五千円を計上しております。
  169. 堂森芳夫

    堂森委員 では、引き続いて聞きますが、昨年五月の復帰後、見舞い金支給は円滑に行なわれつつあるのですか。もう一ぺん聞いておきたいと思います。
  170. 河路康

    河路政府委員 本年二月二十七日現在で支払いを完了したものは四十二名、支給済み額が二千四百十八万六千三百三十五円となっております。  なお、近く四十一名分、金額にいたしまして二千百六十六万三千六百八十円を支給する予定でございます。なお、今後処理を必要とするものについては、支給手続の促進をはかり、早期に処理したいと考えております。
  171. 堂森芳夫

    堂森委員 もちろん御答弁のとおりですが、こういうような補償漏れの人たちというのは調査が非常にむずかしいと思うのですね。それで、これからも新しく証人等があらわれたり、いろいろな事情でわかってくるというものも相当あるのではないかと思うのですが、施設庁ではこういう点についてどのような見通しを持っておられるのでしょうか。まだまだどんどんたくさんの人が出るのだろうか、あるいは大体終わりに近づいておるのだろうかとか、何かそういう見通しをお持ちでございましょうか。
  172. 河路康

    河路政府委員 その後に新規に該当者の申し出がございましたものが現在六十八名判明いたしましたので、昭和四十八年度の予算におきまして、その所要経費として二千六百二十四万六千円を計上しております。
  173. 堂森芳夫

    堂森委員 これからも新しいいろいろな補償すべき事案といいますか、そういうものは出てくるということは当然考えられることだと思うのであります。厳重に今後もそういう意味努力してもらわなければならぬ、こう思うのであります。  そこで、時間がありませんので、この講和前の人身補償の見舞い金の問題と関連しまして、当時の軍の行動、判断等によって起きた事件があったのですね。たとえば久米島事件、鹿山兵曹長の事件あるいは渡嘉敷の赤松大尉事件、その他各地にああいう、戦時でありますからいろいろな不祥事件があったと思うのです。こういう方面の犠牲者で、そのまま泣き寝入りといいますか、あるいは遺族からの請求もなかったのか、あるいはいろいろ事情がわからなくなったとか、いろいろな場合があると思うのですが、こういう方面に対して、遺族に対して政府はどのような措置をとっておるのか、とってきたのか、これは従来から、総務長官、沖繩開発庁のほうが主として衝に当たってきたと思うのでありますが、もちろん援護法との関係からいえば、厚生省と関係は大いにあると思うのですが、どんなふうな事情にあるか御答弁を願いたいと思います。
  174. 岡田純夫

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問の中で一番典型的なものは久米島の事件であると思います。この問題につきましては各委員会でいろいろ御質問がございまして、慎重に調査してなるべくすみやかに方針を立てたい、こう申し上げておったわけであります。その心は、要するにこういう不幸な事件でありますために十分沖繩人たちの心を心として慎重にしなければならぬという趣旨からであったわけでございますが、私どもも現在県ともよく協議いたしまして把握いたしておりますのは、二十名の方方の中で、八名につきましては従来から厚生省で措置しており、戦傷病者戦没者遺族等援護法による措置でありますとか、あるいは恩給法あるいはさらに三十七年に閣議決定によりまして見舞い金を差し上げております。そういうふうな措置によって八名までは措置できたのでございますけれども、その余の方については、日本国籍を持っておられない方であるとか、あるいは戸籍に記載されておらないというような方が残っておられまして、しかしながら遺族と認められる方が出てきたならば直ちに従来と同様に公平な予算措置をとりますということを県のほうといわば約束しておるわけでございます。要するに従来の方と同様に、そういう方が出てきたならば公平に措置いたしたい。しかしながら、現状といたしましては、その八名以外の方については、そういうような事情によってきわめてむずかしい状態にございます。  それから、なおそれ以外にあちらこちらにも同様なことがあったようでございますけれども、その余の数カ所において行なわれました事件につきましては久米島ほどはっきりいたさない、よく県のほうとお話し合いいたしまして把握いたしたいとつとめておりましたし、またおりますけれども、それらの久米島以外の地域についても援護法等の措置によりまして、把握できた方は厚生省のほうでは措置申し上げておるわけです。それらの方々もそれ以上詳しくはお話しになりたがらないといったような問題もございまして、なかなか当時の事情あるいは遺族と認められる方の把握ということはきわめて困難になっている。久米島につきましては、繰り返すようでございますけれども、はっきりいたしておりまして、出てこられたならば措置いたすということで心がけております。  以上でございます。
  175. 堂森芳夫

    堂森委員 いまの答弁の中で、犠牲者の遺族ではあるが日本に国籍がないからできない、それは具体的にどんな場合ですか。
  176. 岡田純夫

    岡田政府委員 お名前等も、その近所の人たちことばによりまして、その限りにおいてわかっておりますけれども、いまここでは、資料がございますけれども、一般論として申し上げますと、要するに、いまならば韓国といいましょうか北鮮と申しましょうか、朝鮮国籍の方ということでございます。被害にあった方が朝鮮国籍であるということでございます。
  177. 堂森芳夫

    堂森委員 もう少し聞きます。そうしますと、御本人は他国人であった、しかし、その細君は沖繩の人であった、こういう場合ですか。どうなんですか。
  178. 岡田純夫

    岡田政府委員 具体的には、谷川家というところでございまして、御主人の昇という人は朝鮮国籍でございますし、その家族のうち、子供さんは全部朝鮮国籍である。ただ奥さんだけが日本国籍を持っておって、その方については措置済みである、従来の援護措置を講じた、こういうことになっております。
  179. 堂森芳夫

    堂森委員 さっきも申されましたように、久米島の事件ですか、答弁の中で、久米島の事件は非常にはっきりしておるが、ほかのほうははっきりしない事件が多いんだ、それで援護等のやり方もたいへんむずかしいんだ、国家がどう補償するかということについても、したがってたいへんなむずかしい問題である、こういうふうな答弁のようでございます。しかし沖繩には、ああいうような戦争末期の事情でございましたから、私は、まだたくさん他にもあるのじゃないか、こういうふうに思いまして、政府は、ただしゃくし定木な判断ではなしに、もっと念を入れたような調査をもって、そして、できる限りの援護をはかっていくというような努力をしてもらいたいということを要望したい、こう思うのであります。  そこで、時間がもうだんだんありませんから、先を急いでいきますが、海没地に関する補償の問題ですね。これはアメリカ局長だと思うのですが、海没地の問題の解決に関する交換公文がありますが、復帰後、この問題は円滑に解決されておるのかどうか、この点についてまず伺っておきたいと思います。
  180. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 海没地の問題につきましては、ただいま御指摘ございました交換公文によりまして、アメリカの政府施政権を行使しております間に保有しておりました埋め立て地を処分することによって解決することになりまして、その実施につきまして日米政府間で協議いたしました結果、那覇軍港内にあります埋め立て地を海没地と一坪対一坪の等積交換を行ない、さらに那覇軍港内にあります六百坪を地主の共用分として追加提供するということで、昭和四十六年の五月にすでに解決を見ております。
  181. 堂森芳夫

    堂森委員 この返還協定が締結されたころには、那覇軍港の分しかわかっていなかったんでしょう。ところが、その後関係の市町村が八カ村——井川条約局長答弁しておりますよ。資料を見ますと、関係市町村八カ村、地域としては二十三地域、海没面積は二十三万坪をこえる膨大なものになっておる。請求金額は七百四十三万ドルをこえる金額となっておる。筆数でいけば三百九十一というのが、この当時政府が受け取った琉球政府の調査だから、交換公文においては那覇軍港だけしか記されていないが、その後たくさんの大きな地域についての申請がある、琉球政府はそういうことを調査しておる、こういうことになっておりますが、これらの分等についてはその後どうなっておるのですか、承っておきたいと思います。
  182. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 返還協定を締結するにあたりまして、海没地の問題を含め、沖繩県の請求の実態をできる限り把握することにつとめたわけでございますけれども協定締結の当時までは、海没地の対象として実情がはっきりしておりましたのは那覇軍港内にありましたものだけだったものでございますから、返還協定対象となっておりますのは、先ほど御指摘の交換公文のものに限られておりますけれども、その後の調査によりまして、那覇軍港以外におきましても海没地があったという状況がわかってまいりましたので、この問題については国内官庁において実情調査の上で対処していただくということになっておるわけでございます。
  183. 堂森芳夫

    堂森委員 局長、もう一ぺん聞きますが、なっておるということはわかっていますが、現在はどういう状況に進行していますか。もうかなり完了しておるのですか。政府答弁だけでも二十三万坪以上のものが請求が出てきておる。それの補償はどうなっておるのですか。
  184. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 昭和四十六年の十一月になりまして琉球政府から関係市町村の調査に基づくという資料を提出してまいりまして、その調査によりますと、八カ村二十三地域二十三万一千三百八十九・六坪、こういう数字があがっておるわけでございますけれども、この地域につきまして具体的に海没の原因、海没の時期等いろいろ調査を必要とする事項もございまして、それらの点を含めまして、国内関係官庁におきましていま検討をしておるという状況だというふうに私ども承知いたしております。
  185. 堂森芳夫

    堂森委員 もうずいぶん古い話じゃないでしょうかね。そんなに調査にかかるのですか。それはよくわからぬからそういう答弁じゃないのですか。あなた、ずいぶん古いことですよ。いまの答弁にもありましたが、六十七国会の当時すでに沖繩、琉球政府から日本政府に連絡があった。それを当時の井川条約局長が沖特におきまして答弁していますよ。そして、まだそれが目下調査中である、それはあまりにスローじゃないですかね。補償というものとしてはあまりにのんきじゃないでしょうか。だから、もっと正確な——政府としてのあるべき姿としては不親切だと思いますから、答弁をもう一ぺん次の機会にでも留保いたしまして、もう少し詳しく、ただいま詳しく調査中ということで逃げずに、次の機会にでもまた答弁をしてもらいたい、こう思いますが、どうですか。
  186. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 この問題は対米交渉の問題でございませんので、国内官庁のほうで処理していただくように外務省としてはお願いしているわけでございます。
  187. 岡田純夫

    岡田政府委員 海没地の中で那覇港以外のものがあるということを私ども聞いております。しかしそういう問題のみならず、いろいろ国内にはさらに、当時の、いまアメリカ局長が言われたような問題がございますので、防衛施設庁のほうで調査妻も計上されておりますのでまず調査をしていただいて、しかしながら防衛施設庁の所管外の問題もあるいは出てくるかもしれませんので、そこら辺のところをよく関係省庁間で相談してやってまいりたい、こういうことでございます。
  188. 堂森芳夫

    堂森委員 私いまちょっと思い違いしておったのですが、開発庁が中心になるということで処理していくべきものでしょう。
  189. 岡田純夫

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  いま申し上げましたのは、防衛施設庁のほうにそういうふうなものの調査費を計上されておりますので、調査していただきまして、調査されている中でいろいろと経過的に問題が出てまいります、それは防衛施設庁で処理される。管轄外の問題も出てくるかもしれませんので、その際はよく関係省庁間で相談に応じてまいりたい、こういうふうに沖繩開発庁としては承知いたしておるわけでございます。
  190. 堂森芳夫

    堂森委員 でありますから、沖繩返還後のそうした沖繩関連したいろいろな行政は非常に複雑になっておると思うのですよ。関係官庁が連絡を密にされまして、やはりそうした補償問題等は早く処理しなければならぬということを、開発庁を代表して来ておられるのですから、そういうふうな方向に持っていくように私は要望しておきたい、こう思うのです。  そこで、時間がございませんから海洋博について質問をしていきたい、こう思うのです。  海洋博は——通産省の人来ておりますね。わかったようなことなんですが、海洋博開催の目的は簡単にいうとどういうことでございますか、あなたから一ぺんあらためて聞いておきたいと思います。
  191. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 海洋博の意義と申しますか、目的でございますが、一九六〇年代、これは米国あるいはソ連の、いわゆる宇宙に新しい技術をもって挑戦したというようなことがいわれておりますが、七〇年代、これはむしろ海という方向に相当新しい技術なり人類との接触の深まりが進むのではないか。海洋開発という面、あるいは開発のもたらす汚染、海が汚れるという面、これを人類の進歩の中で、海洋のまだ眠っておる資源、これ等を開発しながらうまく自然との調和をはかって望ましい海と人類とのかかわり合いを保っていく、こういうようなことが大きな課題になるのじゃなかろうかということからの発想で、そういう海との接触というものは人類始まって以来非常に長い歴史を持っておるのでございます。それで世界で初めての国際博、特に海というものをテーマに掲げました特別博として開催することに意味が非常に深い。しかもその場合に、ちょうどこの話が具体的に進行し始めたときに沖繩の復帰問題等ありまして、沖繩日本亜熱帯地域に属し、かつその周辺海域は非常に透明であり、景観もよろしいということで、沖繩復帰記念事業としてこれをやる。しかもそれによりまして、二十七年のおくれを取り戻し得るような相当大規模な公共関連事業投資等もできます。それからさらに施設そのものもあと利用ということで、これを機軸に特に沖繩本島の中でもおくれております北部の開発に大きく役立て得るような拠点ができる、こういったところをねらいまして、この海洋博というものを開催することになった次第でございます。
  192. 堂森芳夫

    堂森委員 そういうあなたのいまの答弁で、私はもちろんそうだと思うのですが、私はやはり海洋博の大きな目的の一つは、あなたのほうでつくっておる宣伝文にも書いておるように、将来人類が望ましいものとして、最も好ましいあるべき姿の海洋というものはこうあるべきだ、こういうようなことでもう一度全人類で海をこうしようじゃないか、こういうふうにしていこうではないか、開発ということも大事であるが、同時にきれいな、美しいそして望ましい海というものをしっかり守っていこうじゃないかということも、同時に開発だけではなしにきれいな海というものをわれわれが守っていこう、こういうことが一つの大きな目的であろうと思うのです。  そこで、われわれ大阪に万博を持ちました。今度はまた海洋博沖繩に持つ、この万博海洋博とは違うことはわかりますが、どういう点が違うのか、目的が違うのか。それからいろいろな点でこういうことが大いに違うんだ、こういうようなことについて、それからまた陳列館というものをどんなふうに持っていくのか、そういう点について万博と比較していろんな説明を私に教えてもらいたいと思うのですが、御答弁願いたい、こう思います。
  193. 宮崎弘道

    ○宮崎(弘)政府委員 大阪の万博と今度の海洋博とはまず第一に規模におきましても前者のほうが大きいということが言えます。大阪万博の規模は敷地にいたしまして約三百五十一ヘクタールに対しまして、沖繩海洋博は海上部分を含めまして約百ヘクタールでございます。  それから第二に、大阪万博では各国政府が原則といたしまして自己の陳列館を設けたのに対しまして、沖繩海洋博では参加国は自己の政府陳列館を設けないことになっております。これは御参考までに、いわゆる国際博覧会条約上、大阪博覧会は一般博覧会海洋博は特別博覧会に分類されておりますことからも生じておるわけでございます。このような分類に伴いまして若干の取り扱い方の相違がございます。  それから最後に、大阪万博は御案内のとおり「人類の進歩と調和」というテーマのもとに広範な分野における人類活動の成果を展示したのに対しまして、沖繩海洋博は「海—その望ましい未来」というテーマのもとに海洋開発という特定の分野に焦点を合わせて展示した点等が相違のおもなものでございます。
  194. 堂森芳夫

    堂森委員 いま経済局長からの答弁でよくわかるのですが、今度の海洋博に、さっき保岡さんからも御質問があったと思うのですが、どれくらいの入場者があって、本土は、わが国内から、沖繩以外からどれくらいの人が来て、外国人がどれくらい入ってきてというようなことについて、もちろん予想を立てておられると思うのですが、それも答弁を願いたいと思います。
  195. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 海洋博観客予想でございますが、アンケート調査等を何回かやりまして、いろいろの幅の大きい予測数値というのが出てきておるわけでございますが、目下のところでは延べ数にいたしまして五百万人という想定を立ててございます。その内訳といたしましては、延べ数で本土から三百五十万、それから沖繩本島から百四十五万、それから離島から五万、それから外国からという関係で想定いたしてございます。これはあくまでも延べ数でございますので、一人が二回にわたって入場するという前提がございますので、実数値でいきますと約半分ということで想定をいたしてございます。
  196. 堂森芳夫

    堂森委員 私、午前中の質問でも外務大臣にも閣僚の一人として要望しておいたのですが、ホテルの点、さっき保岡さんからも御質問がありましたから重複を避けますが、特に亜熱帯の地域である沖繩においては保健対策、したがって医療体制とかいろんな問題でやはり多くの心配な点はあると思うのですが、この点についての構想、そしてそれに対する施策というようなものについて答弁を願いたいと思います。
  197. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 ただいま申し上げましたような五百万、実数値にいたしましても約その半分程度という大量の観客期間中参るわけでございますので、先生御指摘のとおり衛生面、医療面、救急施設面、この辺につきましては最大限の配慮を払っていかなければならない考えでございます。協会の会場建設等の中身といたしましては、そういった救急施設につきましては十分の配慮をとる、また大ぜいの観客が殺到いたしますので、そういう予想のもとに会場内の観客の動線配置というようなところも事故等が起こらないような配慮というもので十分たっぷりした余裕のある配置をとるという前提で考えてございます。  またこの辺で相当の宿泊施設整備というようなこともございますので、本部町及び協会の会場内、及び設立予想を、準備を諸施設でいま進めておりますが、県市町村等を中心とします第三セクターでのホテルなど、いろいろな宿泊施設の用地造成ないし公共施設整備、この面で十分そういった衛生面の水、排水あるいは汚物処理といったことの整備をやるという前提で、もちろん計画に織り込んで考えてございます。
  198. 堂森芳夫

    堂森委員 病人が、あまり好ましいことでないですが、やはり出る。亜熱帯ですから、たとえば日射病が出るとかいろいろなことがあると思うんですよ。しかし、沖繩に近代的なりっぱな病院というものございますか。あなたは現地をよく御承知ですか。私は知っておるつもりですが、医療設備等はどうされるのですか。
  199. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 沖繩に現在本上の有数の病院に匹敵するような大病院というものがないということは私も承知いたしてございます。そこで先ほども申し上げましたように、救急的なあれとしましてはもちろん会場内の問題、それからまた別途地元の市町村等にもいろいろな病院の施設整備、県にも計画がございます。その面で財源的な問題が一番心配でございますので、別途その財源の調達についていろいろ現在検討を進めておる最中でございます。
  200. 堂森芳夫

    堂森委員 いいじゃないですか、こういう機会に医療施設等がりっぱになることはいいことですから、どんどんと近代的な医療施設をつくるように、あなた検討中だなんて言わずに、やるようにそれは実現に努力してもらう義務がありますですよ。私強く要求しておきます。  それから現在、これは全国的な問題ですが、土地の値段、地価が非常な暴騰をしておる。これはもう現在どこへ行ってもそうですね。田中内閣日本列島改造論というか政策というかそれの唯一の産物が地価の暴騰なんですよね。おそらく沖繩でもいろいろな新聞に書かれているように場所によっては地価が何百倍にも上がっておる。そういうふうに沖繩においても特に海洋博目当ての投機的な土地の買いあさりが盛んに行なわれておる、こうもいわれておるのですが、そこで会場に必要な土地は現在のところどれくらい確保ができておるのですか、予定どおりできるのですか。あるいはいまどれくらいできておるのか、これを承っておきたい。
  201. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 お答えを申し上げます。  海洋博会場用地の確保状況でございますが、この点につきましては、昨年の八月末から地元沖繩当局と地元代表との間の本格的な交渉が進められまして、二月二十七日現在でございますが、会場予定地におきます地主の方の人数は三百七十二人ということになっておりまして、それとの契約でございますが、現在九五%ということで進行してございます。残っておる未契約のほうは十八件でございます。その用地の取得予定面積は二十五万八千坪でございますが、契約済みが二十四万二千ということでございまして、契約率といたしましては九三・八%とという進行状況でございます。  沖繩県につきまして、二十七日現在の報告によりますと、残っております大きな課題は、建物、農作物等の補償契約のほうでございまして、これはまず用地の契約のほうが先行いたしまして一月五日から入ったばかりでございます。したがいまして、そういった物件補償等、移転補償等につきましては、八百件のうち現在まで百五十六件が解決したという状況でございます。しかしこれは非常に難航しておるということではございませんで、契約そのものがむずかしいということはございませんで、立木であるとかあるいは農作物等の種類が非常に千差万別でございまして、その辺の評価額の査定等これが複雑であるということで、技術的な見地からのおくれというふうに報告を受けてございます。それから先ほど申し上げました十八件の未契約案件でございますが、その地主のほとんどは海外あるいは県外の在住者でございまして、これとも接触をひんぱんに重ねてございますので、これらを含めまして三月中には契約を完了できる見通しということでいま鋭意努力をしていただいておるという現状でございます。
  202. 堂森芳夫

    堂森委員 会場の土地の確保が九〇%以上進んでおる、こういうことでありますが、土地はほとんど買うのですか借りるのですか。その辺はどうなんですか。
  203. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 これは沖繩県が地元の地主から買う、直接買収ということでございます。
  204. 堂森芳夫

    堂森委員 そして海洋博覧会のほうで借りる、こういうことですね。
  205. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 お答え申し上げます。  県で取得しました県有地となったものにつきましては、海洋博協会に引き渡しを受けまして、所有権はもちろん県のままでございますが、それを協会が会場建設として造成するということでございます。
  206. 堂森芳夫

    堂森委員 借り賃は払わないのですね。
  207. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 借り賃は払う形にはなってございません。一切の造成費は協会、一部地元負担というような点もございますけれども、これはほんの七%程度でございまして、国費及び協会の調達する資金でやるということでございます。
  208. 堂森芳夫

    堂森委員 そこで、大阪の万博のときも非常に問題になったんですが、博覧会が済んだあとをどういうふうにするのかという問題、さっき保岡委員も触れておられましたが、もらいましたいろいろなパンフレットを見ておりますと、何かレジャーの地域としてこれを使っていこうというふうな構想があると書いてありますが、どういう構想があるのですか。
  209. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 海洋博のあと利用、これは土地及びその上に建てました建物そのほか諸施設を含めてでございますが、この海洋博では、そういう海洋博そのものの基本構想を協会の中で専門の各学識経験者等にお集まりいただきまして練ってきめた際にも、一つの大きな柱といたしまして恒久性、それが一時のお祭り騒ぎに終わらずに、あとあとまでも、沖繩県の地元を中心としまして、沖繩県全体ひいては日本全国民に効果的に利用されるということを前提に考えるということでございます。したがいまして、会場を建設いたします際にも恒久施設を非常に多く考える。この辺が万博とだいぶ違う点であります。万博の際には御承知のとおり外国館はほとんど撤去されたわけでございますが、今回は、先ほど万博と特別博の違いということで外務省のほうからお答えがございましたように、外国の公式の参加者に対しましては、日本側で建物を用意して、その中のスペースを貸すという形でございます。したがいまして、その中で、もちろん仮設のものもございますが、相当部分は後々までも使える形での恒久施設ということになります。それから政府出展で予定されておりますような水族館、海浜公園あるいはアクアポリスとかそのほかのいろいろな目玉になる展示物、これはすべて恒久施設として後々までこれを使うという前提でございます。全体のあと利用計画はそういった形で有効に使えるような形での配慮で現在第二次の実施計画、最終的なあれを練っているわけでございますが、最終的に県の所有地、それからそういった海洋博協会がつくった施設、それを含めましての全体の計画というものの最終確定は、まだあと利用についてはございません。いま寄り寄り、どういう形のものが一番望ましいか、またこれは沖繩の地元の人にまず第一に優先的にほんとうに効果的に利用されるような形でなければならないという配慮で実はいまいろいろ検討を進めているわけでございますが、お手元に差し上げてございますPR等では、その点につきまして東洋でもあるいは世界でも有数のリゾートゾーンとしてこの地域を、会場用地を中軸といたしましておいおい拡大するという形によりましてつくっていこう。そのための中核体としまして第三セクターというような方式で統一的な整備ということで乱開発を防ぎながら、かつコストを安くしながらこれを育て上げていったらどうかという構想で本部開発構想というのが一応出ているわけでございます。ただこの本部開発構想はまだ中途はんぱなもので、最終的にそれでいこうというような形で意見の統一を見たものではございませんで、また政府がかってにつくって、本土側でかってにつくってこれを押しつけているということでもございませんで、実は本部町あるいは沖繩県でそういったことが当然心配されますし、従来からいかなるあり方がよろしいかいろいろ荒いデッサンはあったわけでございますが、それを県の依頼を受けまして、余暇開発センターにおきまして第一期、第二期、第三期にわたります六十年目標のレジャー、リゾートゾーンとしての開発構想を一つの案としてまとめたものとして御披露されているということでございます。
  210. 堂森芳夫

    堂森委員 もちろん地域の開発という一般論からいっても中央政府あるいは中央できめたものを地方に押しつけていくという姿であってはならぬ。あくまでも地域の人たちの意思というものが強くその地域の開発に大きく加わっていく、こういう方法をとらなければならぬことは当然であります。しかも土地は沖繩県が買い上げるものである。それを使うというようなことからいきまして、不健全なそういうレジャーの姿に広くなっていくというようなことは現に当然これは慎まなければならぬことであります。これは私が言うまでもないことだと思うのであります。  そこで私はさらにもう一、二点聞いておきたいのでありますが、この海洋博に関する資料をきのう見ておったのですが、国道、県道が非常な整備が行なわれるので島内の輸送が充実されていくのだ、こういう宣伝が強く書かれておるのを見ました。たとえば国道の五十八号線だとかあるいは三百二十九号線の拡張整備が進められると、こうも書いてありました。ただ、沖繩国道は内地と違いましてアメリカの軍が開発した道路でありますから、アメリカ軍の基地をぐるぐるっと縦横に走っておる国道もあるはずだと思うのであります。それからまた内地の国道と違いまして、今度国道になるこうした路線も、土地はやはり私有地が相当あるというふうに聞いておるのですが、アメリカ軍とのいろいろな交渉、それから私有地である土地の上を走っておる道路の地主との交渉だとか、そういう面でのいろいろな事務的な手続といいますか、そういうものは円滑にいっておるのでありましょうか。建設省、だれか来ておられたら答弁を願いたいと思います。
  211. 高橋力

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問の点、海洋博までに整備を考えております各路線につきまして、現在調査設計等の準備を進めると同時に、用地の買収等につきましても沖繩県並びに地元公共団体等の協力を得まして進めておる段階でございます。特に海洋博開催までに整備を急ぐ路線のうち、国道五十八号線並びに国道三百二十九号線が重要な路線になるのでございますが、国道五十八号線につきましても関係各省庁の御協力を得まして、米軍との具体的な折衝に現在入っておる状況でございます。また国道三百二十九号線につきましては、これと並行いたしまして北部縦貫道路計画が現在進行中でございます。旧道の三百二十九号線につきましては、部落の中を通りておりますので、これらの個所につきましては交通安全対策を十分やっていきたい。また縦貫道路につきましては、すでに昨年十二月二日、全線にわたりましてルートを発表いたしております。また、米軍基地内につきましても、ルートの調査、中心ぐいの測設、ボーリング等すでに終えまして、現在全線にわたって具体的な設計を進めておる段階でございます。特にこの用地の取得につきましては、日本道路公団から沖繩県に全面委託をお願いいたしまして、さらに地元市町村の協力を得まして、現在この交渉に入る準備を進めておる段階でございます。今後四十八年度の予算確定を待って具体的に用地の契約に入るわけでございますが、ただいまのところ地元の協力を得て順調に進んでおるというふうに考えております。
  212. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいまの答弁で、各それぞれの責任官庁と協力して、米軍とも交渉しておる、それから公団を通じて県によって地元の地主との間の折衝も順調に進んでおる、こういうふうに理解をしていいですね。そして必ず今度の海洋博にはりっぱな国道が、輸送の充実として宣伝されておるようになるのだ、こういう理解をしていいということですか。もう一ぺん答弁願っておきます。
  213. 高橋力

    ○高橋説明員 ただいまのところ四十八年度予算の確定を待って具体的に個々に用地の契約に入る準備をしておる段階でございます。個々の折衝の過程でいろいろ問題が全然ないとは申しませんが、非常に地元の協力体制が固まってきておるというふうに私ども理解いたしております。
  214. 堂森芳夫

    堂森委員 時間がありませんから……。経済局長おられますね。この法律の条文について一、二聞いておきたいのです。  法律第三条に「代表は、沖繩国際海洋博覧会に関し、条約の定めるところにより、日本国政府代表し、その約束の履行を保障することを任務とする。」こう書いておるのですが、「約束」というのはどういう事柄を含んでおるのか説明をしてもらいたいと思います。
  215. 宮崎弘道

    ○宮崎(弘)政府委員 この法案第三条に掲げられております「約束」のおもなものは次のとおりでございます。  まず、博覧会準備開催運営に関しまして予算措置その他を含めます措置を準備する等必要な措置を講ずること、第二に、博覧会用の物品の一定の範囲内での免税輸入措置を講ずること、つまり再輸出ということを条件といたしました免税の輸入措置、第三に博覧会用物品の運送上の便宜の供与、こういうようなものが約束のおもな内容の例示であります。
  216. 堂森芳夫

    堂森委員 第四条に「関係各省庁の長は、代表任務に関し、必要な措置をとるものとする。」これはどういうことでございますか。
  217. 宮崎弘道

    ○宮崎(弘)政府委員 法案四条の「必要な措置」と申しますと、たとえばいま申し上げましたような、三条に関連して御説明いたしましたような博覧会準備開催運営に関しいろいろ措置をとること、それから博覧会準備開催運営に関し沖繩国際海洋博覧会協会の監督を行なうこと、それから免税輸入の問題、運送上の便宜の供与等等の措置でございますが、これらの措置は内容的に、たとえば通産大臣であるとかあるいは大蔵大臣その他関係省庁の長がその権限のもとに具体的な措置をとる必要がございます。そこでこの法案第四条の規定を設けまして、それぞれの国内の関係省庁がそれぞれの権限に基づく必要な措置を講じ得るということを規定いたした次第でございます。
  218. 堂森芳夫

    堂森委員 海洋博は、われわれが望ましいと考えるような、海洋を保存していこうということが大きな目標である、こういう説明であり、そのとおりだと思うのでありますが、これは海洋博と直接は関係はありませんことですが、昨年の十一月にロンドンで開催されました国連主催の海洋投棄規制条約会議というものがございます。わが国はこの条約に仮調印をしておるのでありますが、これは昨年の六月のストックホルムで開かれた国連人間環境会議の決議に基づいて行なわれた公害追放の国際協力の第一弾として議題になった条約会議であった、こう思うのです。日本はこれに仮調印をしておるわけですね。わが日本の国はいつごろこれを正式に調印するようになるのか、しないのか、どうして仮調印したままになっておるのか。条約局長いらっしゃいますから、答弁を願いたいと思います。
  219. 高島益郎

    ○高島政府委員 海洋の汚染防止につきましては、いままで国連その他の主催のもとに、油による汚濁の防止をはじめといたしまして、先生御指摘の昨年ロンドンで採択されました海洋投棄規制条約がございます。この海洋投棄規制条約は、正式に申しますと廃棄物及びその他の物質の投棄による海洋汚染の防止に関する条約ということでございまして、昨年、わがほうもこの条約作成にあたりましては積極的に参加いたしまして、最終的には調印はいたしませんでしたけれども、これは全く手続上の理由によりまして調印をできませんでしたわけでございますが、これはわがほうとしてその内容について何ら不満のあるものではなくて、できるだけ近い将来に調印し、かつ国会の御承認を得た上で批准をしたい、こう考えております。
  220. 堂森芳夫

    堂森委員 わかりました。そのようにすべきだと私思うのでありますが、その答弁でけっこうであります。  外務省経済局監修の「経済と外交」七二年六月号、これをせんだって読んでおりまして、政府は国連に海底国際管理条約案というものを提出した、こう書いてあります。この条約案の要旨と、それからこの国連の海底平和利用委員会ではどういうふうに日本から出した条約案というものが取り上げられておるのか、どう処理されておるのか、大体でいいですから、答弁を願いたい、こう思うのであります。
  221. 高島益郎

    ○高島政府委員 先生がいま御指摘になりました海底開発に関する条約案と申しますのは、来年の四月から行なわれます国連主催の海洋法会議の一環をなすアイテムの、いわゆる海底開発に関しまする国際管理につきまして、各国がいろいろな条約案の構想を示しております。日本もその一環として、一昨年十一月、国連にわがほうの案を提案いたしまして、各国の審議対象にいたしておりますが、現在アメリカ、イギリス、フランス、ソ連を含めまして、各国から多数のそのような趣旨の国際管理に関します条約案が出ておりまして、これをまとめまして、現在来年の海洋法会議に備えての各国連の委員会でこれを審査しておる段階でございます。  わがほうの大体の案は、二つ趣旨がございまして、一つは、海底開発を管理するための国際機構にどのようなことをさせるかということにつきまして、資源の探査、それから開発のライセンスを発給し、また各種料金及び利権料を各国から徴収し、その一部を開発途上国の開発に充当する権限を付与する、これが一つの大きな項目でございまして、他の項目はこの国際機構の組織でございまするけれども、この組織といたしまして、総会、理事会それから仲裁裁判所及び事務局を設け、特に受益国については、開発に参加する国の利益を正当に反映させるという見地から一部を常任理事国とするというような構想に基づきまして、要するに海底の資源をいわゆる後進国のために世界の共同資産として利用するという構想に基づきまして、そういう国際管理の案を提示している−わけでございます。
  222. 堂森芳夫

    堂森委員 それでわかりましたが、海洋開発というようなものは、これは実際は今後の大きな人類の課題だと思うのであります。海洋開発というものはとても一国でなし得るものではない。これこそインターナショナルの強い連携のもとに、そして各種のいろいろな機関が一緒になって、各国が協力して行なっていかねばならぬ問題である、これはもう当然だと思うのであります。そこで、今度の海洋博について招請状をいろいろな国際機関に出しておると思うのであります。この出した機関の中でどのような機関が顕著な業績をあげているような機関であるかというようなことについて、局長から御答弁を願っておきたい、こう思うのです。
  223. 宮崎弘道

    ○宮崎(弘)政府委員 海洋関係につきましていろいろ討議をしております国際機関は非常に多岐にわたっておりまして、たとえば漁業関係の場合はそれぞれいろいろな漁業関係会議がございます。その数も十ほどあるわけでございますが、そのほかに一般的な開発の問題であるとかあるいは交通の問題であるとかあるいは通信の問題であるとか、それぞれの国際機関がそれぞれ何らかのかっこうで海洋に関係してまいっております。  このうちどの機関が特に顕著な活動をしているかということにつきましては、それぞれの分野によって異なるかと存じます。
  224. 堂森芳夫

    堂森委員 しからばわが国と最も協力して海洋開発について協力しておる国あるいは今後協力していこうとする国はどういう国でありましょうか。また、ことばを変えて言いますと、たとえば日米間ではどうか、あるいは日本とドイツの間ではどうか、あるいはまた隣の国の一番近いのは韓国でありますが、韓国との間ではどうかというようなことも同時にできるならば答弁を願っておきたい、こう思います。
  225. 宮崎弘道

    ○宮崎(弘)政府委員 海洋開発関係につきまして、その全体といたしまして非常に私どもが注目いたしておりますのは、先ほど条約局長からも申し上げました海洋法に関します国連の会議でございます。これは海洋の開発から利用その他いろんな問題につきまして非常に多くの問題を取り上げて、その基本的な条約をつくろうということでございます。たとえば漁業関係につきましては日米間にも、あるいは日米加の間にも、その他北太平洋の漁業条約が特定の魚種の問題についてございますし、あるいは日韓とか日ソとかそれぞれ漁業問題について協定ないしは条約がございまして、その運用といたしまして随時それらの国と連絡をとっているわけでございます。海運等につきましては、また別途別の国際機関あるいは二国間の国際協定が存在いたしております。
  226. 堂森芳夫

    堂森委員 もっと詳細に聞きたいのですけれども、時間ももうおそうなりましたから終わりにしていきたい、こう思うのでありますが、水産庁の方、来ておられますね。昨年のストックホルムの国連の人間環境会議におきまして、捕鯨はこれを十年間凍結すべきである、こういうような決議案が採択されました。しかし一方また、ロンドンの捕鯨に関する国際委員会ですかでは、このようなシビアな決議案というものは無理であるとして否決されました。従来どおり鯨の捕獲操業を続けられるということになった。その結果、しかし日本の捕獲量は南極洋で前年の二〇%減、北太平洋では三〇%減ということにきまった、こういわれておるのであります。それから本年は六月ですか、ロンドンでまた捕鯨の会議があるということでありますが、もちろん鯨の肉はわれわれ日本人が食べる肉の全体としては非常に少量のようなものであるようであります。何か全体の一〇%にも当たらぬ、われわれ日本人がとる肉の量の一〇%以下にしか当たらない。しかしそれにしても鯨の肉というものはかなり安いというわけで重要な食肉として利用されておるのでありますが、しかしだんだんと今後捕鯨はきびしく国際的にも規制されていくようになるというふうに考えられるのでありますが、水産庁はわが国における今後の捕鯨についての見通しはどう思っておられるのでしょうか。きょうちょうど海洋博にちなんで聞いておきたい、こういうわけでお尋ねするわけです。
  227. 安福数夫

    ○安福政府委員 お答えいたします。  昨年の六月の上旬にストックホルムの人間環境会議におきまして、今後十年間の期間に限りまして商業捕鯨を全面的に禁止しろ、こういう勧告が採択されたわけでございます。引き続いて、先ほど御指摘になりましたロンドンでの捕鯨委員会におきまして、これは科学的な根拠がないという点で、そういう勧告について退けがあったわけでございますけれども世界の鯨資源につきましては、かつて先ほど潤沢ではないということは事実でございます。あるいは鯨の種類によりましてはかなりピンチであるということで、全面的な捕獲禁止をしているというのはございます。現在捕鯨委員会では、ナガスクジラそれからヒゲ類、それからマッコウクジラ、こういった種類についてはまだ捕獲は認められているわけでありますけれども、資源の推移その他をわれわれ自身ずっと見ているわけでございますけれども、今後さらにそういう資源的な調査研究は熱心に詰めまして、そういう資源の推移を十分見た上で、科学的な永続的な鯨の資源が利用できる、そういう態度でこの捕鯨問題にわれわれは取り組みたい、このように思っておるわけでございます。  ただ世界の世論としましては、かなり鯨についてシビアな線がございます。これにつきましては、われわれ自身のそういった科学的な根拠についてのPRその他われわれの立場なりそういったものを理解願う、そういう活動をわれわれとしても日本立場としてやっていくということも必要であろうと思いますけれども、そういう資源の研究なりそういった問題を、捕鯨委員会の場でわれわれ自身十分検討して、慎重に今後の捕鯨対策を講じてまいりたい、このように考えております。
  228. 堂森芳夫

    堂森委員 もう時間がおそくなりましたから終わりますが、水産庁、重ねて聞いておきますが、これからも日本の水産庁としては、捕鯨は続けていっていいんだ、それで鯨という水産資源、海の資源はなくなっていくということはないんだ、こういう考え方でございますか。
  229. 安福数夫

    ○安福政府委員 御承知だと思いますけれども、現在、ニューヨークで野生動植物等に関する条約という条約締結を目ざします会議が持たれているわけでございます。その中でも鯨の問題についてかなりの議論があったわけでございます。その最終的な、結論的なものはまだ出ておりませんけれども、その中でも、ただいま申し上げました捕鯨委員会での一つの結論、鯨についてはそういったものにまかそう。したがいまして、捕鯨委員会において禁止されておる鯨については、その条約においても禁止されるだろう、こういう見通しがあるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、資源自身がある程度下降カーブを描いているということは事実でございます。したがいまして、これ以上資源に圧力を加える、そういう捕鯨は好ましくないだろう、こういう態度で、今後とも科学的な調査、研究を十分積み上げまして、その上に立った捕鯨を永続的にわれわれとしては続けてまいりたい、またでき得るだろう、こういう考えで水産庁おるわけでございます。
  230. 堂森芳夫

    堂森委員 終わります。
  231. 藤井勝志

    藤井委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十分散会