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1973-05-31 第71回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月三十一日(木曜日)    午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 石野 久男君    理事 藤波 孝生君 理事 藤本 孝雄君    理事 粟山 ひで君 理事 原   茂君    理事 瀬崎 博義君       稻葉  修君    加藤 陽三君       湊  徹郎君    井上 普方君       山原健二郎君    近江巳記夫君       北側 義一君    内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      前田佳都男君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     進   淳君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         科学技術庁原子         力局長     成田 壽治君  委員外出席者         原子力委員会委         員       山田太三郎君         原子力委員会委         員       武藤俊之助君         通商産業省公益         事業局技術長  和田 文夫君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長) 村田  浩君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(原子力開発に関  する問題)      ————◇—————
  2. 石野久男

    石野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  原子力開発に関する問題調査のため、本日、日本原子力研究所理事長村田浩君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石野久男

    石野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 石野久男

    石野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  5. 井上普方

    井上(普)委員 先般来参考人の諸先生方をお呼びいたしまして、原子力発電所の安全につきましていろいろ質疑がかわされたのは御承知のとおりであります。したがいまして、きょうは、それから以後私の感ずるままを少しく思いつくままに御質問をしてまいりたいと思います。  まず第一に、先般の委員会におきまして、大臣は、すなわち原子力委員長は、資料につきましては、アメリカ原子力委員会発表に見合うだけの資料日本においても発表すると、こう申されました。このことは間違いございませんでしょうか。
  6. 前田佳都男

    前田国務大臣 さようでございます。
  7. 井上普方

    井上(普)委員 そこで、アメリカ原子力委員会アメリカ安全審査委員会議事録発表しておる場合、日本安全審査委員会議事録発表なさいますね。
  8. 前田佳都男

    前田国務大臣 この問題は前にもお答えをいたしたと思いますが、安全審査会におきまして議事録と申しましょうか、論議の要点といいましょうか、論争の要領、そういうところについては発表をいたしたいと思います。ただ、井上先生にも私からお答えしたと思うのでありますが、Aの委員がこう言いました、Bの委員がこう言いましたという、そういうことは発表をしかねますということを申し上げたつもりでございます。
  9. 井上普方

    井上(普)委員 原子力委員長、話が違うじゃありませんか。アメリカと見合うものは出すとあなたはっきりおっしゃっておるんだ。いまもおっしゃった。であるならば、アメリカ原子力委員会議事録発表しておるのであれば当然発表すべきじゃないですか、どうなんです。
  10. 前田佳都男

    前田国務大臣 その点は実態において同じという意味でありまして、Aの委員がどう言うた、Bがどう言うたということは、それはかえって安全審査会の自由に、心証に基づいて討議するということに、ほんとう安全審査会の機能を発揮するためにも言わないという意味は前にも申し上げたつもりでございます。
  11. 井上普方

    井上(普)委員 アメリカで自由に発表されるものが、なぜ日本で自由に発表されないのでしょうか。しかも科学というものは、反対があり、その中で学術的な討議が行なわれてこそ初めて進歩というものがあり得る。私も先般申し上げた。科学技術庁というのは科学進歩のために大いに力を尽くすためにある役所なんです。その役所の中において、論議をかわす、反対論を封ずるがごとき、すなわち在野学者には全然知らされないようなことがあってはならないと私は思うのであります。そういう意味合いにおいて、あなた方は議事録をとっておるのですか、どうなんですか。
  12. 成田壽治

    成田政府委員 日本安全審査会議事録はとっておらないのであります。アメリカにおきましても、アメリカのACRS、安全審査会、この議事録発表されていないと聞いております。
  13. 井上普方

    井上(普)委員 いずれそれは、私ども在野学者諸君から十分聞きまして、ともかくアメリカ並みの、議事録があるならばそれを発表していただきたい、こう思うのであります。しかし、原子力委員長、あなた方いま議事録とっていないんですか。ほんとうにとっていないんですか。どうなんです。いままで安全審査委員会議事録はとっていないんですか。どうなんですか。
  14. 成田壽治

    成田政府委員 安全審査会の詳細な議事録はとっておらないのであります。
  15. 井上普方

    井上(普)委員 詳細なる議事録というのはどういうことなんです。どの程度議事録ならとっておるんです。議事録はとっておらないという、あなたのことばは違うのだから。議事録はとっておらないと言うし、いまは詳細なる議事録はとっておらないと言う。どうなんです。
  16. 成田壽治

    成田政府委員 議事録はとっておらないのであります。
  17. 井上普方

    井上(普)委員 そこで私、先般来科学技術庁から出されております原子力委員会月報なるものを見てまいったのであります。そうしますとどうもふしぎなことを発見いたしました。この点についてお伺いいたしたいのであります。  すなわち、昨年の十一月十七日に、四国電力伊方発電所安全審査につきまして安全審査会が開催せられ、答申がなされております。ところが、この十一という月報、十一月の月報には、原子炉設置について、ということが書かれておるのでありますが、その後に至りまして、ことしの二月号でございましたかにこういうことが書かれておるのであります。局長持っておいでですか。すなわち、それによりますと、四十七年十二月一日十九時から二十時三十分にわたりまして、原子力委員会臨時会議が開かれておる。議題といたしましては、「四国電力株式会社伊方発電所原子炉設置については、四六回原子力委員会において許可して差支えないと判断し、内閣総理大臣答申したがその後安全審査に関し一部不当とされているむきもあり、原子炉安全専門審査会意見も参酌し、その対処について審議し、井上委員長代理談話発表することとした。(上記の議事概要は、十二月号に掲載されるべきものでしたが、編集上の手違いで抜けておりましたので、追加しました。)」こう書いてあります。大臣、これを読んでいただきたい。なぜこういうことをなさるのか。  そこで、問題は二つあると思う。議事概要がそこにあるということを発表しておるのであります。いま原子力局長は、議事録もとっておらないと明言されました。一体どうなんです。それはうそを書いているのですか。どうなんです。
  18. 成田壽治

    成田政府委員 この「原子力委員会月報」というのは、原子力委員会会議議事録を載せておるのでありまして、安全審査……
  19. 井上普方

    井上(普)委員 わかりました。それでは、安全審査会のは全然とっておらないとまだおっしゃるのですね。よろしゅうございますね、大臣。  それでは、私ここにこういうのを持っている。これは、ことしの三月出されました「四国電力株式会社伊方発電所設置に係る原子炉安全専門審査会第八十六部会及び各グループの議事要旨」というものを私は手に入れております。これはどうなんです。議事要旨というものが出てきている、これはどうなんです。これはどういう意味でどこに出したのです。お伺いしたい。
  20. 成田壽治

    成田政府委員 安全審査会は、各先生の自由公正な審査を確保するため、議事録はとっておらないのであります。議事概要というのは、審査項目をまとめたものでありまして、議事要旨的なものは、審査項目結果について、これはメモして書いております。
  21. 井上普方

    井上(普)委員 あなた方とお話しする場合には、一つ一つことばについての定義から始めなければいかぬのですね。まことにもってそのときそのときの言いのがれにすぎないと思うのです。大臣、どうです。あなたのほうで議事録はとってない。再三にわたってお伺いすると、詳細なる議事録はとってないということばになる。全然とっておらぬのかと言ったら、とっておらぬと言う。突き出されると、議事要旨的なものは持っているのだ、こう言う。どうなんです。ここで私どもが、ここは検察庁でもどこでもないのです。われわれ、いかにして国政を大事にするかということを考えなければならない。一つ一つことばのあげ足とりを私はいたしたくはございません。しかしながら、いまの科学技術庁の態度というものは、何と申しますか、一つ一つことば定義から始めなければならないような答弁に終始しておるのであります。すなわち、言いかえますならば、国民をその場その場でごまかしておるような答弁と受け取っても差しつかえないような答弁にともかく終始しておると思うのですが、大臣どうでございますか。
  22. 前田佳都男

    前田国務大臣 お答えをいたします。  井上先生から御指摘のとおり、ことば食い違いと申しましょうか、先生のお考え意味とわれわれの考え意味とあるいは違ったかと思いますが、そういう食い違いというものは、同じ日本語でありますから、私はそう食い違いというものはないのじゃないかと実は思っております。しかし、私たちは、これははっきり申します。別に瞞着するとかごまかすとか、そういう意図は全然持っていないということだけはひとつ御理解をいただきたいと思うのであります。  それから議事録——私もその議事録をどうしてとっておるかなにしませんけれども議事録というのは、別に国会速記のようなそういう議事録というものはとっていない。どうせ安全審査会をやる以上は、どんな論点があったということぐらいはメモしておかなければいかぬという意味で、そういう論点メモ程度意味議事録といいましょうか、その記録はあって、それを出したのじゃないかと考えております。
  23. 井上普方

    井上(普)委員 そこで話が違ってくる。記録というものはとられておる。各人各人発言要旨については記録されておるはずだ。大臣、いままではとっておらぬと言う。ところが、公の文書にして、これはどこへ出したのか知りませんが、どこへ出したのですか、これは。ともかく議事要旨というものが出されておる。
  24. 成田壽治

    成田政府委員 その資料は、おそらく国会要請がありまして、そして要旨としてまとめて提出した資料だったと思います。
  25. 井上普方

    井上(普)委員 あなた方との話のときには、おそらくやパハップスなんということばはやめましょうや。かっちりかっちりしたことばでいきましょう。どんな資料で出したのですか。
  26. 成田壽治

    成田政府委員 国会要請によりまして、項目別にまとめて出した資料でございます。
  27. 井上普方

    井上(普)委員 そこで私はお伺いしたいのであります。これからこの問題だけについてひとつお伺いしていきたい。  十一月十七日の原子力委員会報告というのが出されておりますね。四国電力の「伊方発電所原子炉設置に係る安全性について」答申がなされておるのであります。それと、実は私が拝見いたしましたこれとは内容が違うのであります。項目の配置の順序も違う。これは国会用議事要旨だからそうだといえばそれはそれで終わり。しかしながら、ともかくこの出されておる議事要旨については内容が違うのです。これはどういうことなんですか。すなわち、原子炉安全専門審査会答申、これにつきましては、第一番に、地震についての事柄についてはまことに簡単に解決されておるのであります。ところが、この問題につきましては、地元において非常な不安がある。したがってでございましょう、この検討内容検討結果及び根拠というのが今度は出てくるのであります、この議事概要によりますと。どうです、原子力局長大臣にこれを一応お渡しなさいよ。いかにあなた方がおかしげなものを出されておるか、対比してひとつ討論しましょうや。
  28. 成田壽治

    成田政府委員 資料は持ち合わせておりませんので、いま取り寄せております。
  29. 井上普方

    井上(普)委員 私は、大臣原子力委員長に、いかに安全審査会報告議事内容と違うかというところをお示ししたいので、ともかくその資料が来るまで中断さしていただきたいと思います。
  30. 石野久男

    石野委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止
  31. 石野久男

    石野委員長 速記を始めてください。
  32. 井上普方

    井上(普)委員 それでは私は、この問題はともかく資料が来るまでしばらく待ち合わせたいと思います。  そこで、先般来も、実は大臣の御答弁の中に、なぜ議事録を公開しないんだというお話の中に、商業秘密をともかく保つためだと、こうおっしゃった。なるほどな、いいことばがあるなあと私は感心いたしたのであります。しかし商業秘密というものは、原子力基本法本旨からいきまして、民族が得た知識というものは世界各国公表をするんだ。すなわち、これは日本民族が過去三回にわたる原爆の被爆を受けた唯一の国民である、そういう人類的な大所の考え方から、日本人の頭でもって考えられた成果というものは、世界にともかく公表するんだという趣旨であろうと私は思うのであります。そこに商業秘密というものが入ってくる余地は私はあり得ないと思うのです。ところがあなた方は、盛んに商業秘密商業秘密とおっしゃる。まことにもって原子力基本法本旨というものをはき違えた行き方であるといわなければならないと思うのであります。この点について大臣は依然として商業秘密のことを強調されますか、どうでございます。
  33. 前田佳都男

    前田国務大臣 商業秘密といいますと、何か企業寄りといいましょうか、企業ベースでものごとを考えておるというふうに、非常に感じの悪い表現だと私自体も考えております。そういう意味じゃなくて、たとえば特許申請前の問題であるというふうな秘密につきましては、特許法というものがあるたてまえ上、どうしてもその技術というものを保護しなければいけない、そういう意味においてその点は公開しないというふうに私は解釈をしておるわけでありまして、先生の御指摘のように、商業秘密といいますと、何か企業ベースに巻き込まれておるような、私も感じが悪いような気がするのです。だけれども、そういう意味ではございません。
  34. 井上普方

    井上(普)委員 それで、大体発明せられて、考えられて、特許申請するまでにどのくらいかかるのです。大臣、どれくらいの期間が必要だと思っているのです。これは常識的に話をしましょうや。
  35. 前田佳都男

    前田国務大臣 私、その点、どの程度かかるかということは具体的に、まあ事件というか案件にもよりましょうし、どの程度かかるかということは、私ここで申し上げにくいと思います。
  36. 井上普方

    井上(普)委員 商業秘密、あなたのおっしゃる特許申請以前ということになればそれが問題になるんじゃないですか。一つ成果があがった、その成果に対して特許をとる、特許をとるについては、一体その成果があがってから特許申請までですよ、特許許可というのは三年、四年あとなんですから、しかも特許申請すれば、その効力御存じのとおり発生するのですから、そうしますと、一体特許申請するまでの間にどれくらいかかるのだろうか。あなたがそうおっしゃるなら、どれくらいかかるかということを、これは常識的に検討してみる必要があるのじゃないですか。あなたたち調べなければならないのじゃないですか。それをもって商業秘密といって秘密にしておくことは、どっちを大事にするかといわざるを得ない、あなたの姿勢そのものが。一体、成果があがってから特許申請するまでにどれくらいの時日が要るのか。ここらあたり、あなた方調べておいて、そして申請するまでの間の秘密がございますからというのでありましたら、一体どれくらいかかるのであろうかと、それじゃ、申請すればその企業秘密というものはなくなるのだから、すぐに公表しなければならない。いまの原子力委員会のやり方といいますのは、みそもくそも一緒じゃないですか、どうなんです。
  37. 前田佳都男

    前田国務大臣 私は、やはり特許法という法律があるゆえんのものは、そういう新しい技術というものを開発した場合、その発明者に対してそれを保護してあげる、そういう趣旨から出ておることは先生も御承知のとおりでありまして、その点、確かに申請が非常にたくさんありまして、必ずしもスムーズに、申請してすぐ半年でぱっと許可になったということはそれはございません。ある程度の時期はかかっておりますけれども、しかし私は、特許制度というものがあるゆえんのものは、やはり技術を研究し、それを開発した者を守ってあげるという制度だと思いますので、それは特許になれば当然公表になるわけでありますから、その点で特に先生誤解のないように願いたいと思うのでございます。
  38. 井上普方

    井上(普)委員 あなた、特許特許とおっしゃいますが、特許制度を知らないのじゃないですか。特許というのは、申請を出して、まあこのごろでございましたら二年から二年半かからなければ特許許可が出ません。しかし、申請したことによって、一日でも早ければ、その特許というものは許可が出たときに権利は遡及して発効するんですよ。そういうこと御存じないのですか。知らないんですか。知らずに、特許申請前であるから何とかかんとか、そんなんで、あなたの言う商業秘密なんというものの根拠は全くないじゃありませんか。おかしいじゃありませんか。大臣、あなたの言っておること一つ一つ私はことばじりを取り上げるのじゃないけれども特許というものは、申請すれば許可が出たときに遡及して権利が及ぶんですよ。申請すればすぐに発表するのがこれが普通ではありませんか。特に原子力基本法というようなものがある以上はやらなければならない事柄なんだ。そうするならば、成果があがってから申請までに一体どれくらい時間がかかるだろうというのを、あなたはお調べになった上での御発言であるならば私は了とします、いまのお話は。しかし、それをやらずに、お調べにならずに、ともかく特許があるからというようなことで御発言になるのは、まことにもって軽率きわまりないし、かつまた御勉強が足らない。ただ役人の言いなりになった御答弁であるといわざるを得ないのです。大臣の御感想を承りたい。
  39. 前田佳都男

    前田国務大臣 いろいろ不勉強という御指摘をいただきまして、それは私が至らぬのかもしれません。しかし先生、公開の原則ということはあくまでも鉄則であって、守らなくちゃいけません。それはよくわかっている。しかし、特許法なら特許法というものがあるゆえんのものは、やはりその面においても保護をしてあげるということも必要でありまして、別に何もかも企業秘密でみんなわれわれ隠していこうというのじゃないのです。その点だけはどうぞひとつ。具体的に私は実際どの程度秘密があるかということを聞いてみましたけれども、それはたいしたものでもないと思います。
  40. 井上普方

    井上(普)委員 大体率直な御答弁が出てまいった。御勉強も不足のようです。特許特許と言うけれども、たいした秘密がない、たいしたものではない、あなたが調べてみたけれどもたいしたことないとおっしゃるなら──私は特許制度というものは守らなければならぬと思うのです。でありますから申しておるのです。しかし、申請すればあとでは効力が発生するのですから、それまでの間のどれくらいかかるんだというようなことで申請したかどうか。しかもそれはおおよそ申請しなければ人にわかるようなものではないと思います。ましていわんや、この間うち、私新聞を見てびっくりしたのでありますが、おたくの原子力局庶務室長さんは、何か業者から金を取って、女につぎ込んだ金が何千万円に及ぶというような話を承った。私は盗人というのはいつの世の中にもあるもんだ、たいしたことはないわい、実はこう思っておったのであります。しかし、原子力委員会というものは、いままで一生懸命企業秘密企業秘密といって、その業績を学界にまでも発表しない現状、その中にあって、業者に金を出させて遊興しておるような役人がおる。一体どこに役所秘密が守れるんだろうか。少なくとも役所にはその特許以前の資料なんというのは出てきているでしょう。しかも原子局庶務室長庶務室といいましたら原子力局の中で最も重要なポイントを押えておるところなんだ。それが業者から金をもらって女遊びしている。役所が一生懸命にわれわれに、すなわち国会にあるいは国民に対して、企業秘密企業秘密と言ってきたことが、一体どこにそれが守られるのだろうか。役所の中ですでに、相手方に何でも渡そうと思ったら渡せるような体制にあるのじゃないですか、大臣国民には知らされるべきですよ。業者に、相手方に渡せるような、競争相手に渡せるような体制があるんじゃないですか。どうなんです。
  41. 前田佳都男

    前田国務大臣 ただいま井上先生から御指摘原子力局課長補佐の松田という者の行為は、まことにけしからぬ行為でありまして、公務員全体の奉仕者として私は不届きしごくであると考える。この一人の悪党のために、科学技術庁といいましょうか、われわれの役所が非常に汚染されたといいましょうか、実にけしからぬというように私ども非常に憤慨をし、実はその翌日も全庁員を集めまして、私は、訓示というとそんなことは何にやるかというようにお考えになるかもしれませんが、とにかく訓示もし、私は非常にきびしい、厳粛な姿勢で行政に臨むべきであるということを厳重に注意をしたわけでございます。しかし、原子力局のうちにこういう不届き者がおるからというて、あとの者が全部悪党でありますというわけではございませんので、これはほんとうにこういうけしからぬやつがおったわけでありまして、私はひとつ厳重にこいつを処罰してもらいたいと思って、いまその司直の取り調べを実は待っておる姿でございます。
  42. 井上普方

    井上(普)委員 私はそんなことを言っているのじゃないんですよ。私は何も個人を責めているのじゃない。いいですか。あなた方はいつも、企業秘密だといって、原子力委員会には機密のものがたくさんあるんだといって、われわれに対してもなかなか資料は出さぬじゃありませんか。あるいはまた、他の学者、民間の学者に対しましてもほかの資料を出そうとしないじゃありませんか。ところが、金をもらえばこういうように渡すやつが内部におるんだ。資料を渡したかどうか知りませんけれども、ともかく業者から遊興の金を出さしているのでしょう。当然反対給付があってしかるべきと思います。その反対給付というものも、これは役所秘密に関するものを渡したからこういうことになっているのでしょう。そうでなければ反対給付はもらえないのでしょう。私はそういうことを指摘しなければならない。でありますから、あまり企業秘密企業秘密というようなことはおよしなさいと私は言うのです。足元からこんなのが出てきているじゃないですか。それよりも、日本の学術の進歩のために、論争すべき資料というものはどんどんお出しなさい。それがまた原子力基本法の精神でもあるのではありませんか。ともかくあなた方にすれば、一人の不届き者が出てけしからぬという感じで見られるかもしれません。私らは違う。少なくとも私は、これはあなた方にすればすぐに管理体制とかなんとかいうことを言うかもしれぬけれども、それも必要でしょう。しかし、それよりもまず役所の中に秘密をなくすることじゃありませんか。そして国民に公開することじゃありませんか。一言言えば、企業秘密であると言って、大臣がいつもともかくくさいものにふたをしようとする、発表しまいとする、ここに問題があるのじゃないかと私は感ずるのですが、大臣、いかがでございますか。
  43. 前田佳都男

    前田国務大臣 この松田課長補佐の問題でございますが、これはただいま取り調べ官庁において厳重に取り調べられておるわけでございまして、私はどういう事犯があったのかまだつまびらかにはいたしておりません。しかし、私はおそらく──これは私には断言はできませんけれども、特に役所資料を渡すとか、それによって反対給付でどういうことをするとか、そういうことが公開の原則との関連においてどういうふうにあったかということを、私は現在のところそういうことは信じておりませんけれども、とにかくいま厳重に調べておりますので、その調査の結果を待ってこれを処断したい、こういうように考えます。  それから、企業秘密の問題でございますが、企業秘密というと、企業のために何かくさいものにふたをすると先生もいまおっしゃったのですが、くさいものにふたをするような考えは毛頭ございません。公開の原則というものは、これは原子力基本法で厳とした規則でございますから、この規則を守っていくという点は、私は信念に変わりはございません。
  44. 井上普方

    井上(普)委員 私は処断しろとかなんとかというようなことを言っているのじゃない。役所全体がともかく原子力基本法にのっとって姿勢を正せということを言っているのです。  もう資料は来ましたか。十五分たったよ。私は一時間半ということでございますので、時間をしぼらされてまことに不本意なのであります。議事録をあなた方はとっておる。少なくとも議事要旨というものはとっておる。それはいままで発表しておりません。これはどういうようないきさつでもって出てきたのか聞いてみますと、国会から要求があったから出したのだ、議事要旨というので出されてきた。でございますので、これは月報を見ましても、先ほど何かおかしなことを書いてございましたな。それじゃ月報のほうからいこう。「安全審査に関し一部不当とされているむきもあり、原子炉安全専門審査会意見も参酌し、その対処について審議し、井上委員長代理談話発表することとした。」と、わざわざことしの二月号に、一九七三年の二月号に、十一月に決定したことを遡及してこういうようなことをやったのは、一体どういうわけなんです。委員長、どうなんです。
  45. 成田壽治

    成田政府委員 非常に申しわけないのでありますが、その件については、月報の編集上のミスがあって、あとから補正等をしたケースだったと思います。
  46. 井上普方

    井上(普)委員 カッコにはそう書いてあります。これを出すために発表をおくらしたのじゃないですか。
  47. 成田壽治

    成田政府委員 毛頭そういうようなことはないと考えます。
  48. 井上普方

    井上(普)委員 これは手続上のミスによるということが書いてあります。十二月号に掲載されるべきものでしたが、編集上の手違いで抜けておりましたので、追加しました、こう書いてある。そして二月号に出ているのです。十二月、一月を飛ばしているのです。そしてこれが出されたのが三月です。おかしいじゃありませんか。これを編集上の手続のミスだけで済ませると思いますか。しかも内容は、十一月の安全審査委員会発表とこの議事要旨とは違う。議事要旨は、一つあげますと、地震の問題、地質の問題について十分な調査をしてない。報告書には書いてございません。この安全審査委員会には十分な記載が載っておらぬ。あとから追加したものを検討結果及び根拠として出されておるのじゃないのでしょうか。すなわち、この伊方の原子力発電所設置位置の大体五キロから六キロに、日本でも有名な中央構造線という断層があるのであります。それについての検討が、十一月二十七日の報告には何ら記載されてない。貸してあげましょうか。これには記載されてないのです。原子炉安全審査委員会審査報告には出されてないのです。ところが議事要旨によりますとそれが出てくるのであります。これは、この編集上の手続のところでいっております「安全審査に関し一部不当とされているむきもあり」これでしょう。この「一部不当とされているむきもあり」これは何なんです。これは科学技術庁月報ですよ。この「不当とされているむきもあり」という、これは何のことなんですか。
  49. 成田壽治

    成田政府委員 井上委員長代理の談話のときに指摘した問題は、おそらく取水問題が非常に地元等で問題がありまして、そのとき頭にありましたのは取水問題だったと思います。
  50. 井上普方

    井上(普)委員 あなたの、だったと思いますは、私は問題にしない。取水問題についても私はあとで質問しようと思う。報告書と違うのだ。このあとあとの手続とは違ってきている。この点についてはあと指摘したい。  ともかく、この原子炉安全審査委員会発表せられた答申には、中央構造線につきましては一言も触れていない。ところが、国会でもこのことが問題になったのでございましょう。議事要旨についてはそのことが述べられておるのであります。しかも、それも議事要旨にも書かれておるのであります。すなわち、検討結果及び根拠にも書かれておるのであります。ところが、これは三月に発表したものにはあるのですよ。十一月に発表したものにはないのですよ。安全審査委員会あとからこれを追加したのじゃないかと私は疑うのであります。でございますので、一体、安全審査委員会が一たん結論を出したあとで追加ということをやっているのですか。大臣、どうなんです。一たん安全審査会答申を出したあとで、また追加の答申を出すということはあり得るのですか。これはどうなんです。
  51. 前田佳都男

    前田国務大臣 安全審査会できめたことをもう一ぺん追加答申ということは、私が知っておる程度ではございません。過去にあったかどうか、それは知りませんけれども……。
  52. 井上普方

    井上(普)委員 あってはならない事柄なんであります。でありますから、この月報も三カ月、四カ月ごまかしてあとにする、いいですか、さらにはまた、この発表せられました──どういう経路で発表せられたか知りませんけれども、この検討結果には安全審査委員会報告書にないことを載せたのが三月であります。委員長、私、こういうようなやり方を見ておりますと、原子力委員会の運営のしかたあるいは安全審査委員会の運営のしかたにつきまして大きな疑問を持たざるを得ないのであります、この一事をもってしましても。でありまするから、少なくとも昨年の十一月十七日に開かれました原子力委員会の安全専門審査会の答申に基づく会議における議事内容につきまして、公開せられることを強く要求いたしたいと思うのであります。委員長において適当なお取り計らいを願いたいと思います。
  53. 石野久男

    石野委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止
  54. 石野久男

    石野委員長 速記を起こしてください。  では私からちょっと話しますが、ただいま井上委員から要請のありました件について、政府のほうからひとつそれにこたえるような御回答をいただきたいと思いますから、どなたか……。
  55. 成田壽治

    成田政府委員 安全審査会報告と、国会要請で担当者のメモをもとにしてつくりました議事要旨との食い違っている点については、どうして食い違ったかということを、はっきりしたデータを早急につくって提出いたします。
  56. 井上普方

    井上(普)委員 私はデータを要求しているのじゃない。この十一月十七日に開かれた安全審査会議事要旨、あなたのほうで持っておるという議事要旨、メモをひとつ全部ありのまま出していただきたい。そのことを強く要求するのですが、大臣どうです。
  57. 前田佳都男

    前田国務大臣 とにかく十一月のその資料──資料といいましょうか、いま先生指摘のそれと、三月のその出したのの食い違いが、にわかにそこをつくろって修繕工事をやったというふうな、そういうふうな御疑問だと思いますが、まことにそれはおかしな話でありまして、そういう点を解明するために、その安全審査会の議事の要旨というようなものを出してその点を解明したいと考えます。
  58. 井上普方

    井上(普)委員 ともかくメモをひとつ、手を加えないでそのまま出していただきたい。あなたのほうはメモがあるとおっしゃるんだから、そのメモを手を加えずにそのままコピーしてわれわれのところに提出することを強く要求いたしたいと思います。  私がこのように申しますのは、実に原子力委員会のあり方そのものについて、先般来公聴会におきましてもはっきりいたしましたし、ともかくいかに国民の目をごまかすか──ごまかすと言いますと語弊がございますので取り消しましょう。国民の目にかからないようにするかというところで、学術資料すらも出さない現在の原子力委員会のあり方に対して、原子力基本法の精神を逸脱しておるものであると私はいわなければならないと思うのであります。したがってこのようなことを言わざるを得ない。人間がやったことでございますので、これは必ずぼろが出てまいります。その一例がこれなんです。  ここにあなた方が出してきている、国会資料か何か知りませんけれども、出してきているのを見ると違う。違うところが三点あります。私らはしろうとでございますけれども、対照して見ると違うのが三点出てくる。どこだといいますと、水の問題についてでもあります。この水の問題につきましても、後ほどゆっくり時間をかけて質問いたしたいと思いますので、委員長におきましては、次の機会に発言の機会を得さしていただくようお願いいたしておきたいと思います。  ともあれ、このように私どもから、国民の目からいたしますならば、非常にこの原子力委員会のあり方、私は国民の代表としてあえて申し上げる。ともかく国民の目をおおおう、おおおうとしておるのが、行政がやられておるのが原子力委員会のやり方であるといわざるを得ないのであります。  そこで、国民に対してそういうことはないんだという証拠を示すために、あるいはまた、原子力発電所というような、考え方によったならば非常に危険なと申しますか、住民にとっては不安な要素を与えておるこの原子力発電所設置する場合には、地元住民の意向というものを参酌しなければいかぬ。そうしてまた、これを説得し納得さすだけの努力をなさらなければならないと思うのであります。すなわち、その方法といたしましては、公聴会であったはずであります。この点につきましては、わが党が長年にわたってこの主張を続けてきた。去年の五月ですか、私ども、この委員会におきまして、初めて公聴会の設置をお約束いただいた。しかし公聴会のその手続、方法を拝見いたしましたときに、はなはだもって不本意なやり方だ。依然として原子力委員会国民には知らしめずという姿勢がありありとうかがわれるのであります。そしてまた、そのきめ方にいたしましても、先般も申し上げましたように、何と申しますか、五月の二十二日でしたか、このつくったのは。ところが、五月の何日でしたか——この公聴会の基準をきめたのは五月二十二日だったでしょう。五月二十二日です。私のほうが記憶がいいじゃないか。ともかくそれはいいけれども、私がここでそのときに質問いたしたのであります。静岡県の浜岡の原子力発電所安全審査の結論をやがて出すんじゃないか、それよりも公聴会をやったらどうか、公聴会はこの五月中につくるとおっしゃっているんだからやったらどうかと言いましても、あなた方はその公聴会にはかけるかかけぬかわかりませんなんということを言って、安全審査委員会の独立性を尊重しましてなんということを申しながら、この公聴会の規則ができる前にともかく安全審査会報告をつくってしまったのであります。あのとき私はここで質問したのです。公聴会の原案を五月中につくる、それまではひとつ浜岡のは公聴会にかけなさい、そこまで、あなたのほうで国民の意思を聞くのであれば、やりなさいということを要求いたしました。ところが、公聴会のやり方にいたしましても、はなはだもって不十分なやり方をやっておられます。この点につきましては、あと委員が質問いたしますので私は触れませんけれども、ともかく原子力委員会のいままでのやり方というものは、国民の目にさらされることを極力おそれるということに終始しておる姿勢を強く指摘しておきたいと思います。特に公聴会の原案なんかも、住民の意思というものは全然表面に出てきていないこのやり方に対しましては、大きな不満があり、昨年の公聴会を設置すると言った趣旨と大いに隔たっておることを強く指摘し、私はあの公聴会の規定を見まして、大きな不満を持っておることを表明いたしまして、関連質問がございますので、私はこの程度で終えたいと思います。
  59. 石野久男

    石野委員長 原茂君。
  60. 原茂

    ○原(茂)委員 いま井上委員質疑を伺っていまして、安全専門審査会の議事録要旨程度のものがメモをされているというのは、これはちょっと重大な問題じゃないかと思います。もしいままでが要旨程度のメモであるとするならば、自今、国会委員会の審議におけると同じような速記をつけてでも詳細な議事録をとっておくべきだと思うのですね。少なくとも審査会の委員先生方というのは、国民安全性に関しては重大な責任を負っているわけですから、何か問題が起きたときに審査内容というものがやはり究極的には問題になってくるわけです。何を基準にして許認可を行なったのかということがやはり責任ある体制としては当然のことだと思うのですね。そういうときに、要旨程度のメモが審査会にあるというのでは、これほど国家的に重要な、国民の安全がそれにたよっているといってもいいくらいのものですから、やはり速記録をつくって、自今きちっと詳細な議事録というものを整備しておくことが必要だと思いますけれども、長官どうですか。
  61. 前田佳都男

    前田国務大臣 ただいま原先生指摘のとおり、原子炉安全性につきまして、最も権威のあるべき原力炉安全審査会のその討議の内容というものは、詳細に記録にとどめておくべきものだと思います。その点は先生の御指摘のとおりでございます。この点はその討議の内容をできるだけ詳しく記録にしておきたいというような姿勢をとりたいと思います。
  62. 原茂

    ○原(茂)委員 くどいようですが、たいと思うとかどう思うのじゃなくて、これだけは長官の責任で詳細な速記録をとどめますというふうに言い切っていただかないといけないと思います。
  63. 前田佳都男

    前田国務大臣 その点は原先生、ちょっと歯切れが悪いようでありますけれども、実は、実際この審査会というものを開いておりますと、自由な討議をするために、どうも発言は、やはり気にしながらやるような場合が多いようでありまして、かえって十分の討議ができない、あまり詳細にずっととると。それで、つくるにしても、議事の要約的な、そういうものを記録にとどめたいというふうに考えます。これは別に公開の原則に反するとか、いや、そういうものをごまかそうとかクローズドしてしまうとか、そういう意味じゃなくて、どうもかえって、自由な討議をやってもらうために、ずっとみんな言うことを書いておりますと、やはり自由に発言を実際しない場合が多いんだそうでありまして、実際の面からそういうふうに、しかし大事なことでありますから、その要点はよくメモしておきたい。そういう点は先生の御趣旨を体しつつ、ちょっと歯切れが悪いんでありますが、その点は御了承願います。
  64. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がもったいないので、これだけで終始できないのですけれども、歯切れが悪い。たとえばこの委員会で、長官も、そんな考えで、速記をとっているからどうも自由にものが言えない感じでしょうか。少なくとも責任ある立場の者が、どんなフリートーキングをしようとも、少なくともそこには哲学もあり、政治家なら当然あるでしょう。そういう信念に基づいてものを言っているはずなので、これは速記がないからいいやというので、この間の議長さんじゃないけれども、ふわふわとあんなことを言っちゃうなんということになると、これは少し常識外の問題なんですね。やはりこれは、速記があるないにかかわらず、責任ある立場で、しかも国家最高の安全審査を行なう機関の委員であれば、むしろ自分の発言に責任を持つ意味からも、速記のあることをおそらく待望しているんじゃないか。  要旨なんかのまとめ方も、これほどむずかしい重要な問題に関して、なかなかニュアンスの違いが出てきますから、それをあとでああ言った、こう言ったと言ったときに、要旨のメモがあるからそれを見た、これは問題がそこでかえって逆に発生する。したがって、問題をぴしっと処理するという委員会の性格上からいっても当然だし、国家国民に対する最高の責任を負うという立場からも速記は必要だし、それから委員先生方の立場からいっても、そういうことに関しては自分の発言には全面的な、大げさにいえば命を賭してまでの責任を痛感しながらものを言ってもらうというのでなければいけないと思うのですね。ということになると、いまのような、速記があるとどうもものが自由に言えそうもないような、そういうしんしゃくが長官にある限り、これは長官の思想の問題です。  そうでなくて、いまくどく繰り返してもしようがないのですが、委員会におけるわれわれの発言にしたところで、当然責任をみずから負って発言をしているわけですから、その発言にして不当なことがあれば懲罰にかかるわけです。そのことをぴしっと承知の上で、おのれの良心にかけ、責任を負っているわけですから、そこに速記があるからものがどうも自由に言えそうもない学者なんというのは、学者の何か冗談話をしているなら速記は要らないのですが、国家に関する安全の最高の責任を負っている者が発言するのに、そういうしんしゃくがあるはずがないし、長官のその思想がよくない、こう思いますから、これは言い切っていただかなければいけないと思います。
  65. 前田佳都男

    前田国務大臣 たいへん重大な御質問でありまして、よくわかるのでございます。しかし安全審査会の運営は、この審査会にまかす必要がある、自主的に運営をしてもらうということが必要でありまして、真理のためには千万人といえどもわれ行かんというような気概があることが必要だと思います。しかし実際は、審査会というものが自由にほんとうに自分の思うままといいましょうか、発言をしようと思う場合、いろいろ制約がある──制約があると言っては言い過ぎかもしれませんが、かえって審査会としての本来の自主的な審査機能というものをそこなうようになるのじゃないかという意味で、その趣旨は別にそれを隠してしまうとか、あるいはどうしようという意味じゃ決してないのであります。その本来の審査会の機能といいますか、それを発揮させるために、私はかえってそういう一々の発言を全部一言一句みな書くよりも、そういう議論、論争の要点というものを記録することのほうがよいと考えまして、決して他意はございませんので、その点御了承願います。
  66. 原茂

    ○原(茂)委員 これは実はほかの問題に触れていきたいと思いますので、きょうは一応とどめますけれども、この問題だけで次の委員会に、いま井上委員もおそらく釈然としていないと思いますし、私は非常に事柄が重要だと思いますので、これはもう少し詰めて、大臣から、その間にお考えおきをいただいて──常識的に考えましても、これほど国家国民の安全を、最高の責任を負って許認可の衝に当たろうとする委員会ですから、これが速記があるからものが自由に言えないというような考え方、その長官の思想をまず直して、そして長官が厳命を下す、速記をとりなさいということでなければいけないと思いますので、それに関してだけひとつ次回の委員会で長官にももう一度御意見を聞きますから、長官もひとつ十分に検討をしてきていただく。私もまたほかの例をあげながら、そういうばかげた考え方はよくないという立場で主張をしてまいります。長官にも考えていただくということで、きょうはちょっとほかに移らしていただきますから、この問題は次回にペンディングにしておきます。
  67. 前田佳都男

    前田国務大臣 別に先生の御趣旨に反論する意味ではございませんけれども、長く技術的な見地からそういう問題にタッチしておりまする元原子力局長も来ておりますので、その感触をひとつ補足して説明させていただきたいと思います。
  68. 原茂

    ○原(茂)委員 いま感触を聞いちゃうとまたものを言いたくなって時間がなくなってしまうので、感触はこの次に一緒に出て説明していただきます。  二つ目に、これは時間もありませんので簡潔な答弁をいただきながら、あと要求する資料をお出しいただくということにしたいと思います。  一つは美浜の問題です。蒸気発生器、それから燃料棒等の故障の起きたことはすでに御存じで、その手当てを、いわゆる何十という細管に対する盲せんを張って、詰めて、ようやく少し出力を下げながら運転をしているというような、しかも定期検査というのが五月で終わる予定のものが、七月上旬までこの状態だとかかるだろう。去年の十二月の検査をやったときに、一応これでだいじょうぶだ、こう言ったものが、また非常に数多くの事故が発生する、その危険を非常に痛感して、現地では相当の問題になっている。これに対する手当てをいまされているわけですが、これの現状をひとつ簡単に。  それから二つ目に、大洗の、もうすでに御存じだと思うのですが、排水のためてありますタンクが水漏れをいま出している。これは相当、中レベルではなくて濃縮されたものですから、これがタンクからじかに土地にしみ込んでいるわけですから、これの影響というのは非常に大きなものを予想していいと思うので、これが一体どうなっているのだろうか。この二つに、これは資料を要求するほうに重点を置きますから、簡単に一応の現状の説明と答弁をお願いします。
  69. 成田壽治

    成田政府委員 関西電力の美浜発電所、PWRの配管のヘアクラックの問題、これはかねてからいろいろ調査をやって、そして実際調べましたらかなりの本数に達しておりまして、いま定検の場合に取りかえをやり、また他の点についてもそういう問題がないか、厳重な調査をやらしております。あぶないものはひとつ早急に取りかえるということで安全確保に万全を期してやりたいと思っております。  原研の大洗の排水の監視ポンドからの水漏れ事件につきましては、これは二月十八日にポンドの貯槽の水位が下がったので、その後何か原因があるのじゃないかと調査しましたら、これが微量でありますが、全量で五・五立方メートル程度の廃液が漏れておるということがわかったのであります。われわれが聞きましたのは、五月二十二日に役所としては聞きまして、それで早急に、われわれは原研に対しては、何かあったらすぐ連絡せい、そして地元の不安感のないように公表するということをたてまえにとっておりますが、残念ながら五月二十二日に聞きまして、即刻新聞に発表したわけでございます。詳細は原研の村田さんのほうから……。
  70. 村田浩

    村田参考人 ただいまの大洗の排水監視タンクからの漏洩でございますけれども、これは大洗にございます材料試験炉などで出てまいりました低レベルの廃液を廃棄物処理場で処理いたしまして、そしてその放射性の濃度を規制値以下に十分下げましてからそれを海洋に出しておるわけでございますが、その海洋に出します前に、海岸のところに地下にコンクリートのタンクを設けまして、そのタンクにもう一ぺん受け入れて、そこでさらに濃度の再チェックをいたし、それから放出するという、こういう施設の中の最後の排水監視ポンドからの漏洩でございます。  したがいまして、先ほど御質問ございましたけれども、濃縮されたものではなくてむしろ非常に希釈されている、その濃度で申しますと、すでに廃棄物処理場を離れますときに許容値の十分の一以下になっておるものでございます。事実こういう漏洩がございましたときに、そのあと測定してはおりますけれども、それも同じ値でございますので、濃いものが漏出したというようなことではございません。そういうこともございまして、監督官庁への御報告などが少し手間どったわけでございます。  と申しますのは、このタンクは海岸の砂地に地下に構造されておりまして、コンクリート製の四角いタンクでございますけれども、そのうち張りにグラスファイバー入りのポリエステルの樹脂を吹きつけて、まあ水どめをしてございます。使いましてからは約五年でございますけれども、当初私ども考えましたのは、ほかの実例から見て十年くらいは持つだろうと思っておりました。ところが、五年くらいでこういう現象が起こったものですから、はたしてそれが実際の漏出なのか、それとも測定装置、これは地下に埋めてございますので遠隔水位指示計を使って見るわけでございますが、そのほうの故障か、そういった点つまびらかでなかったので、何日間もかかりまして、その入っておりました排水を別のタンクに移し、普通の水を入れて、そして時間をかけて水位の動きを見るとか、非常に慎重な測定を繰り返しておりまして、そういうことのために非常に手間どったわけでございます。いよいよ四月の半ばになりましてから、これはどうもやはり漏っているらしいということで地下槽をあけまして、もちろん排水タンクをからにいたしまして検査いたしたところが、タンクのうち張りのグラスファイバ一入りのポリエステル樹脂の一部に浮き上がっているようなところが発見されました。したがいまして、やはりここから漏出したんだなということで、さっそくその補修にかかるようにいたしておるわけでございます。その時点で役所のほうに、いわゆる従来申します事故という範囲には入らないと思いますけれども、最近の放射能管理の重要な問題もございまして、御報告いたすと同時に発表したわけでございます。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 濃度は私の調査粗漏かもしれません。申しわけありませんでしたが、いずれにしても、この種の問題が起きる技術的な欠陥というものは、やはりここで問われなければいけないと思います。十分注意していただきます。  なお、この問題と美浜の問題を含めまして、まあ美浜がおもですが、次のものを私ども調査の必要がございますので、資料として要求をしたいと思いますので、委員長も御承知願いたいのです。  第一は、実態報告を文書でお出しいただきたい。第二は、写真による説明をちょうだいをしたい。第三は、原因について詳細に文書で御報告願いたい。第四は、それに対するそのときそのときの処置の内容について文書によって御提示をいただきたい。第五には、蒸気発生器の点検あるいは修理を行なっている作業員あるいは技術者等に何ミリレム程度の放射線の被曝があったかということを調査しているはずですから、これを文書で各人別にお出しをいただく。それから第六には、蒸気発生器や燃料部に関しての、建設許可以前に行なった安全専門審査会の審査内容、これがあると、出てきた事故との対比によって審査会の勤務評定が可能になります。ということの目的のために第六のものも要求をする。  この六点に関する資料の御提出をしかも大至急にちょうだいしたいのであります。この件に関しては、要求としては五日程度でほしいのですが、可能かどうかの御返事をいただいておきたいと思います。
  72. 成田壽治

    成田政府委員 通産省とも相談してなるたけ早急に提出したいと思いますが、五日でできるかどうか、通産省等と相談して検討いたしますが、できるだけ早く……。
  73. 原茂

    ○原(茂)委員 いまそこで相談できませんか。
  74. 石野久男

    石野委員長 ではちょっと速記をとめてください。     〔速記中止
  75. 石野久男

    石野委員長 速記を始めてください。
  76. 和田文夫

    ○和田説明員 詳細調べてみないと、あと何日ぐらいでできるかちょっとあれでございますが、できるだけ早く提出いたしたいと思います。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 委員長、これはきょうのうちにいつできるか委員長まで御返事をとっていただきたい。希望は五日間、これを目途にひとつきょうのうちに御返事をとっていただく、これをお願いします。  それから最後に、ついこの間浜岡の許可問題がありましたが、現地の議会なり漁協関係などは、少なくとも自分の意見が聴取された後にこの問題の取り扱いがあるだろうと考えていたのに、何ら現地の関係機関の一番重要な方々の意見の聴取を行なわないままに二号炉の許可をおろすというようなことが行なわれたわけです。  ということに関連をいたしまして、なぜ一体そういうことがされたのかを御答弁いただきたいのですが、社会党の立場でさきに発表されました公聴会の要領ですね、これは長官十分ごらんになっていると思いますからここで内容は申し上げませんが、いまいただいたのです、これはわざわざ取り寄せていただきました。ごらんになっていると思うのです。私は、総括的にこれを見まして、ちょうど明治憲法下のわが国の軍隊が、何かこう下万民の意見を聴取するというような公聴会、まあおそらく今日の民主主義下における公聴会としては、およそ一方的な、何のためにこれはやるんだろうと考えられるような内容であるというふうに実は受け取りました。したがって、この種の公聴会でも、とにかくわれわれの要求に対して公聴会を持ったということ、こういう要項をつくってやるんだといったことに対しては感謝します。いいことだと思います。だが、その内容に至っては、あまりにおっかなびっくり、おずおず、何を心配し何をおそれているのか知りませんが、あっちもこっちもふさぐのですね。ふさいで、公聴会に参考人を呼んでももう自由にものを言わせない、言いたいことがあるなら先にちゃんと文書で通告しておけ、その範囲でものを言え。そうして、たとえば関係人、企業側、政府側が何か説明をしてもそれに対する質疑応答が自由にできない。しかもその内容の公開がどうなっているんだか、おそらく公開をしないというような感じなんですね。この公聴会の委員会に対しての報告と、委員会がそれを受けてから何かを結論づけたその交渉だけはすることになっているのですね。その間は憶測以外できない。詳細に書いてないということもありますが、全部当たっているかどうかは別ですよ。別ですが、概括的に言うなら、前段申し上げたように、これはおよそ民主憲法下の公聴会にはなっていない。やらないよりはいいけれども、これはすこぶる閉鎖的であるというふうに考えまして、日本社会党として正式に公聴会要項に対して批判をし、われわれはこういうことを要求するというものをつくりましたので、これをひとついまはお聞きをいただいておくだけで、やがて次の委員会でこの問題を中心に論議をもう一度繰り返します。いまはどんな考え、どういう批判をしているかということと、それのうらはらとして、わが党はこうすべきであると考えていることを申し上げます。  政府の公聴会要項をつくりました方針のねらいを、われわれは次のように類推をいたします。その一つは、対象が原子炉だけであって、核燃料再処理工場、廃棄物貯蔵施設等が除外されているのではないかという感じがいたします。  二つ目、開催するかどうかの決定権は原子力委員会と知事だけが持っている。住民の要求があっても開かれる保障がないのではないか。  三つ目、意見陳述者は地元利害関係者に限定されて、全国民的問題にもかかわらず発言者はあらかじめ制約されている。さらに弁護士や科学者などが住民の意見を代理する権利を奪われているように思う。  第四、公聴会参加者は意見を一方的に陳述するだけであって、質疑応答は許されていない。また、政府、原子力委員会設置者は、住民側の問いに対して答える義務は何ら課せられておらず、企業側の一方的宣伝活動の場となり、挙証責任が不在であると思うのです。  第五、意見陳述者の指定は委員会が一方的にきめ、陳述者の事前選択権を握っている。また、人数や時間をあらかじめ機械的に制限することによって、公聴会で出された問題の推移とは別に、委員会が公聴会をコントロールし支配することができる仕組みになっていると思うのです。  六つ、意見陳述者はあらかじめ陳述意見要旨を提出することになっているが、それによって発言内容に初めからワクをはめられ、制約されるおそれがあると思うのです。  七つ、陳述された意見についての検討結果は委員会の決定後に初めて公表され、したがって公聴会は委員会検討内容について何らかかわり合いを持てない一方的なものとなっている。  最後に、陳述された意見に対する原子力委員会と安全専門審査会の検討経違内容速記録)は公開されないのではないかというふうに、われわれの立場からの公聴会に対する批判を行ないました。  われわれはこれに対して、次のようにすべきであるという方針を持っておりますので、これもお聞きをいただいた上で次回の討議の参考にひとつしていただきたい。  以上のように、原子力委員会のきめた公聴会は、きわめて非民主的、強権的なものであり、安全にかかわる諸問題を未解決のまま、わずかに形式的に意見陳述させることによって、形を整え、建設許可を強行しようとする意図の見えすいた内容である。  社会党は、政府、原子力委員会に公聴会要領の白紙撤回を要求し、以下の要件を満たす内容に全面的につくり直すことを要求するとともに、政府、原子力委員会が上記のペテンと思えるような公聴会を強行することについてはあくまで反対をし、拒否する方針である。  さらに、以下の要件を満たした住民主体の民主的公聴会を開催し、その結論が出るまでは、すべての原子力発電所及び核燃料再処理施設の建設と運転開始を凍結することを重ねて要求し、そのための運動を一そう強力に推進したいと考えている。  その一、原子力発電所及び核燃料再処理施設の建設中または計画中の場所で、すべての炉及び施設について知事の判断にかかわりなく公聴会を開催すること。  要求の二つ目、住民の推薦する科学者や弁護士などを陳述者として認めること。  三つ目、陳述人が提起した問題に対する原子力委員会及び原子炉安全専門審査会及び再処理施設安全審査専門部会の検討経過は速記録によって全部公開し、その内容を公聴会審査の対象とする。  次は、問題点が解明され、住民の納得がいくまで十分に討論することを保障し、あらかじめ公聴会の回数、時間、人数等の制約は設けない。  最後に、建設または運転開始の可否の最終結論は、この公聴会後に住民がきめることを保障する。  こういう立場で、われわれは公聴会の内容を改めていただく要求をこれからしてまいりたいと思います。このことを中心にやがて次の委員会で先ほどの問題とあわせて、わが党の各委員から十分な意見聴取を行ない、皆さんの御検討と賛同をいただくようにしたいと考えているわけです。  したがって、いまの浜岡の問題だけなぜ地元住民の意思を十分聞かないで許可したかだけの御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  78. 前田佳都男

    前田国務大臣 ただいま公聴会のあり方等につきまして、いろいろ貴重な御意見を拝聴いたしました。この点につきましては、この次の委員会でずっといろいろ御意見を拝聴することになると思います。  浜岡の問題でございますが、この公聴会の設置のわれわれの意図は、結局内閣総理大臣から原子炉許可の基準の適用について諮問を受けた場合で、必要と認めるときということに相なっております。そうして、開催の時期でございますが、原子炉安全審査会調査審議するにあたりまして、当該公聴会におきまして陳述された意見を参考とすることができる時期に開催されなければならないということにきめてあるわけでございます。したがいまして、この浜岡につきましては、安全審査会答申が十二日に実はされたわけでございます。したがって、時期的にもうすでに安全審査会が終わっておりますので、公聴会は開催しないということにしたわけでございます。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 これも時間がありませんから残念ですが、そう突っ込んで意見を申し上げられないのですけれども井上委員もそうですが、各委員から、この問題に関しては、公聴会の要求をすると同時に、十分に公聴会に準ずるいわゆる地元の意見聴取、これを参考にするように、くどいように要求をし続けてきた問題です。それを、十二日に答申が出たからというので、これをまるで公聴会というものができる前に、やろうとすることを要項をきめる前に、ばかばかっとやったような印象でやるべき性質のものではないと思うのです。少なくとも地元のいわゆる該当する機関の十分な意見聴取の後でなければ、こういうことをやらないというために公聴会という問題も起きてくるわけです。公聴会もまだ決定していない、その前だった、答申が出ちゃった、だからやるのだということで済む問題ではありませんので、総理大臣申請をしたわけですね、申請をして総理大臣がオーケーをしてから正式のものになるのかどうか知りませんが、そこのところを聞かしていただいて、とにかく総理大臣申請はしても、まだまだ地元住民の意見の聴取が終わらない限り、ディスカスが終わらない限りは一正式に建設の許可はすべきではないという立場でわれわれは皆さんに要求をし続けてまいりますから、ひとつ総理大臣申請をしたということと、総理大臣がこれから何かやった、そこにどのぐらいの期間があるのか、それだけひとつ答えていただきます。
  80. 成田壽治

    成田政府委員 原子力委員会から総理大臣に対して答申が出てから大体四、五日ぐらいで総理大臣許可を出しております。そして直接申請者に交付することになっております。
  81. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。それに対する対策はまた別にやることにいたします。
  82. 石野久男

    石野委員長 この際、委員長から政府にお願いしておきますが、原委員から要請された資料の件につきましては、ぜひひとつ原委員の御要請にこたえられるように努力するようお願いしておきます。  次に、瀬崎博義君。
  83. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 すでにきめられた浜岡の原子力発電所安全審査については、かけ込み審査ではないかといういろいろな疑惑が出ているところへ、一昨日原子力委員会が実質的に設置許可をしたということで、さらに疑惑を深めざるを得ないような結果になって、住民の方々もたいへん心配をされるという事態に今日なっております。  私も二十六日の日に現地を訪れて、関係官庁とも会いましたし、住民の方にも会ったし、現地の電力会社にも会った。そういう点からひとつ大臣に、特に住民の方々が納得できるような答弁を親切にお願いしたいと思うのです。  まず第一点は、一号炉の設置と二号炉の設置との関係についてなんですけれども、私ども感じでもそういう疑惑を持つのだけれども原子力委員会として浜岡原発一号炉の設置許可を行なった際、二号炉建設についてあらかじめ承知していたのか、全然そういうことは関知していなかったのか、どうですか。
  84. 成田壽治

    成田政府委員 浜岡第一号炉の審査のときに、二号炉の建設については、計画としては聞いておると思いますが、それは会社の計画として聞いておるところであります。
  85. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、そういうことを政府が知っていたということは、当然一号炉の許可の範囲の中に、二号炉がつくられるという条件というものを含んでいた、こういう理解になるわけですか。
  86. 成田壽治

    成田政府委員 安全審査その他は一号炉だけについての審査でありまして、二号炉まで含んだ審査、そういう申請内容になっておりませんので、一号炉だけの審査であります。ただ、土地の広さその他から、会社としては二号炉の計画があるということを聞いているだけでございます。
  87. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると、敷地等については、そういう計画は含まれているということを暗に聞いておったけれども、実際つくられるもの、建設されるものについては、あくまでもそれは一号機を対象にしたものだ、そういうことであったわけですか。
  88. 成田壽治

    成田政府委員 そのとおりでございます。
  89. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、現在現地で建設中の一号機に関して、放水口とか排気塔とか希ガスホールドアップの装置建家、さらに完成を見ている送電線等々は、これはいずれも一号、二号兼用じゃないですか。となりますと、一号炉のときのこの審査の対象になっている設計の中には、一部二号炉のものも入っていたということになるんじゃないですか。そういうことについては政府はどうですか。
  90. 成田壽治

    成田政府委員 ものによっては相当規模を大きくとりまして、二号の場合にも使えるものも、これは港湾施設とかいろいろな施設も同様だと思います。そういう意味で、機械装置等についてもそういうものはあると思いますが、それが安全であるかどうかという問題については、そういう見地から審査しておりますので、決して二号炉の設置内容とする許可ではなくて、安全であるかどうかという見地からの申請でありますので、審査内容は一号炉だけを対象にしてやったということでございます。
  91. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だから、結局一部分の装置については、二号炉を前提にしたような装置を認めておきながら、しかし現実の審査は、一号炉に対してだけしか行なっておらない。だから、環境放射能とか温排水の影響等については、どうですか、二号炉もちゃんとつくられることを前提にして考えていましたか。
  92. 成田壽治

    成田政府委員 放射能の審査あるいは環境、温排水の問題等は、一号炉だけを対象にして検討して許可を出したわけであります。それで、二号炉が出てまいって初めて一号と二号との両方を合わせた形で審査し、検討したのであります。
  93. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすれば、結局一号炉についてだけ出している、これは四十五年か六年だったかの許可条件というのは、変わってくるわけですか。
  94. 成田壽治

    成田政府委員 一号炉に対する許可条件は変わらず、二号炉に対するいろいろな許可内容、条件等として出てくるわけでございます。
  95. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さらに、これはもう原子力委員会かあるいは通産省か、政府側も見ているらしいので、現地をよく承知していると思うのですが、御承知でなければこの写真を差し上げてもいいです。これは現在の一号炉建家のすぐ東隣に、こういう一号炉の建物がすっぽり入るような大きな穴が掘ってある。なぜこういう大きな穴をわざわざ掘る必要があるのですか。
  96. 和田文夫

    ○和田説明員 原子力発電所の詳細な設計を行なうにあたりましては、たとえば岩盤の特性でございますとか、そういうものが必要になってまいりますので、そういう資料を得るための調査に伴う工事は、発電所の建設に先立って必要なものであります。これについては許認可を要しないということになっております。おそらく二号炉の計画を進める上でこういう調査工事をやっておるものと思います。
  97. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は許認可の問題を言っておるのじゃなくて、現にそういうふうな大きな穴がいま掘られてある。これは何を目的にしてああいう穴が掘られているのかということを聞いているわけなんです。
  98. 和田文夫

    ○和田説明員 二号炉の建設計画の詳細設計の資料を得るための工事というふうにわれわれは考えております。
  99. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 中電側の説明によれば、結局地盤というものを調査するためには通常のボーリングでは足りない、ああいう形にしなければならないんだ、こういうことなんですが、そういう理解なんですか。
  100. 和田文夫

    ○和田説明員 そのとおりでございます。
  101. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だとすれば、それほど大がかりに穴を掘らなければ、ほんとうに耐震性等も含めて原子炉設置できるような地盤であるのかどうかということが判断できないくらい大がかりなんです。ですから、逆に言うならば、それほど慎重を要する地質の調査であるならば、これが不可能という場合も十分あり得る、そういうことを予想して穴を掘っておかないといかぬと思うのですが、掘れば必ずそこに建てられるのだという前提がこれはあっていいものなんですか。
  102. 和田文夫

    ○和田説明員 安全審査のための資料を得るための調査といたしましては、たとえば先生がおっしゃるような、そんなに全面的に掘らなくても横穴を掘ってある程度確かめることが場合によってはできると思いますが、詳細設計を行なうにあたりましては、大がかりな試さく工事をしないと、なかなか岩盤の決定、特に原子力の場合は、そういう耐震性等に非常に考慮を払いますので、そういうものが十分にできないというのが実情でございます。
  103. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これをもし掘った結果、地盤がだめだったということになった場合には、埋め戻さなければならないのでしょう。その写真を見てもらうとわかるように、その掘ったばく大な土は一体どこに持っていったのですか。まわりに全然ありませんね。掘った土はどこに持っていったのですか。
  104. 和田文夫

    ○和田説明員 掘った土をどこに持ってまいったか、私、現在の段階で、もちろん詳細に知りませんが、もし二号炉の設置許可にならない場合は、これは当然埋め戻す措置を講ずるはずでございます。
  105. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは長官にお聞きしたいのです。いまの写真もごらんいただきたいのです。先ほど申し上げましたように、現在一号機の建設が行なわれているにもかかわらず、その放水口、排気塔、希ガスホールドアップ装置建家あるいは送電線等々は全部二号機にも使えるようにつくられているのです。いま申し上げました二号機建設予定地には大きな穴が掘ってあって、掘った土は全部どこかに運んであって、これは埋め戻すといったらたいへんなんです。ですから、これはどう理屈をつけられましても、通常常識のある人が見れば、事前着工していると見られてもしかたがないと思うのです。大臣、そういうふうに常識的に御判断いただけませんか。ひとつ大臣、そういう現地の事情を想像してお答えいただきたいと思います。
  106. 前田佳都男

    前田国務大臣 いろいろ瀬崎先生から、この写真の御指摘の点、そのほかいろいろ御指摘の点がございまして、もしその事前着手、原子力委員会の決定というか、そういうものをきめる前にそういうことをやっておるとすれば、これはもってのほかでありまして、私たちも承知できないと思います。そんなことは私はないというふうにかたく信じております。そういうことはないと思いますけれども、もしそういうことだとすればけしからぬことだというふうに考えております。
  107. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 現に現地に行かれて、いまの建設の状況を見られたら、全然何の先入観なしに行っても、あっ、これはもう二号炉の建設をあらかじめやっているなという感じを受けますよ。ですから、もしそうでないと大臣が言い切られるならば、そうでないと言い切れるような裏づけをしていただきませんと、住民としてはおそらく納得いかないと思うんですね。ですから、そのためには、たとえば中部電力があれだけの大穴を掘らして土をどこかに運ばしてしまった。そういう工事業者との間の請負契約等があるはずなんで、そういうものを原子力委員会でぜひ取ってもらって、われわれのほうに回していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  108. 前田佳都男

    前田国務大臣 その点につきましては、政府委員から答弁させていただきたいと思います。
  109. 成田壽治

    成田政府委員 土木のための請負契約を原子力委員会で取って調べるということは、従来例もなかったので、これはまあ行政の問題として考えたいと思いますが、通産とも相談して、いま提出できるとか等結論は言えないのでありますが、通産省と相談して——これはむしろ工事の着工であれば通産の所管だと思いますので、これは相談してお答えしたいと思います。
  110. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 相談できるようにわざわざ来てもらっているのですから、相談して答えてください。しかもいま大臣は、もしもそういうことが事前着工だったらはなはだけしからぬことだとおっしゃっているわけなんです。だから、事前着工だったらそれこそけしからぬのだし、そうでないことを信ずるとおっしゃるのですから、その裏づけ資料として出していただきたい。
  111. 和田文夫

    ○和田説明員 われわれの仄聞しておりますところでは、現在、先生のおっしゃるような掘さく部分は二号機の建家の必要面積の約四分の一につきまして深さ十メートル程度行なっておる。二号機が本格的にやり出しますときの全掘さく量に対して約六分の一だ、こういうように聞いております。  おっしゃるような契約の問題につきましては、これは当事者間の私契約の問題でありますので、いま直ちに出せるというお答えはできないかと思います。
  112. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう資料か何か出てこなければ、これが事前着工なのか、それとも事前着工でないのかという判断が、実際問題としてできない状態なんだ。だから、少なくともこれは、原子力委員会としてはそういうことを資料として取り寄せる権限もあるし、委員会で要求されれば、それは当然やらなくちゃいかぬでしょう。局長どうです。
  113. 成田壽治

    成田政府委員 先ほども言いましたように、原子力委員会の問題よりは行政府の問題、しかも工事のサイドでありますので、まあ厳密に言いますと通産の問題だというふうに考えております。
  114. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 たとえ通産の問題であっても、通産からそれを出させなければ、こういう正式の申請書がついてなくちゃいけない書類だと思うのです。でないと、これが事前着工かそうでないかというふうな明確な判断はしにくいでしょう。現に穴だけの問題じゃなしに、いま申し上げましたように、装置の一部もいわゆる兼用ということになっている。ですから、そういう意味ではこれは誤解を生んであたりまえ。これで誤解しなければしないほうの人がおかしいと私は思う。ですから、そういう意味では住民の納得を得る必要上最低限の資料としてそういうものは出してもらいたい。再度答弁を求めます。
  115. 成田壽治

    成田政府委員 その資料を出せるかどうか、もうちょっと検討してお答えしたいと思います。しかし、申請書には工事状況は記載されておらないので、従来そういう資料原子力委員会審査資料としてとった例はないのであります。
  116. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だからこそ、なおさら今日時点でもう二号炉が事前着工だから、一号機のときにすでに二号機はもう前提なんだということであっては、それこそ何のための安全審査かわからなくなってくる。非常に形式的なものなんだ。そういう点で要求しているのですよ。返事はひとつきょうじゅうにお願いしたいと思います。そうひまの要る問題じゃないと思う。  きょうこの浜岡原子力発電所の中電側の正式の許可申請書やあるいはそれに対する原子炉安全専門審査会報告についてもらっているので、詳細に見るわけにいかないのだけれども、これで見ますと、一号機の申請が出て、これが四十五年五月、それから四十七年三月に原子炉施設の変更という形の申請が出て、そして同年九月に二号炉増設という申請になって、そして最後九月に原子炉施設の変更、こういう形で出ている。となると、これはどうなんですか。なしくずしに一号機に始まって、一、二号全体としての申請にずっと発展していっているのですか。
  117. 成田壽治

    成田政府委員 原子炉等規制法の体系では、二号炉をつくるのも、一号炉は原子炉設置許可申請、二号炉は設置変更の申請という形になるわけであります。したがって、今度の場合、二号炉につきましては、中部電力浜岡原子力発電所原子炉設置変更の申請書という形をとっております。
  118. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 こうなってくると、ますますわれわれは疑惑を感ぜざるを得ないわけなんだ。初めに五十四万キロワット出力の小さいものを小出しにしておいて、これに増設、増設という形、つまり変更で大きくしていくということになれば全体として非常に大きなものになる。初めの一号機だけの審査とは比べものにならない厳密なものがその場合要求されると思う。そうでしょう。この点について、昨年六月の静岡県議会で竹山知事は脇県会議員の質問にこう答えています。私の知る限り、三号以下の問題というものは一切聞いておりません。また浜岡の原子力の将来の問題は聞いてないのですから、この聞いていないことに対する御返事する必要を感じておりません。こうとも言い切っている。政府はどうです。この三号炉、四号炉の建設がさらにこのあと続くと聞いているのですか、承知しているのですか、全然そういうことはないと、この際言い切れるのですか。
  119. 成田壽治

    成田政府委員 浜岡発電所の三号炉、四号炉については、科学技術庁としては何ら聞いておらないのであります。
  120. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ところが、私が栗田代議士らと一緒に二十六日静岡県庁で中部電力の幹部と会った際に、中部電力の柴田常務は三、四号機建設の計画はないが、願望は持っているという、政治家以上の政治的発言をやっておるわけなんだ。これではおそらく住民、国民はただでは済まないと思うのです。当然、こうなったら安全審査がそういうものが前提に行なわれているのか、全体計画は一体どうなっているのか、これは当然聞かざるを得なくなってくる。私たちは聞いていないでは済まない問題だ。さて、こういう柴田常務の発言に対しては、大臣はどういう判断を下されますか。
  121. 前田佳都男

    前田国務大臣 その柴田常務が発言されたことにつきまして、私具体的にどういう趣旨でどういう根拠で言っておるのか、実はいま先生に初めて聞くわけでございまして、そういう願望というか、まだ願望程度であって、具体的に役所のほうへ言うてきて初めてわれわれはわかるわけでございますので、お話はそれについて聞いておりません。
  122. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 地元の方々に聞くと、二号機も同じことらしいのです。一号機のときには、知事も、町当局も、だれも二号機のことは聞いていない、そんな計画はない、こう言い切っていたのが、今度のようなこういうかけ込み審査で二号炉が一号炉の隣につくられるようになってきた。そうでしょう。そうして、もっぱらこれは一号機のときに二号機は前提になっているのだ、こういう話ですよ。そうして、いままた、この中部電力の常務ですからね、言った人が。これが計画はないが、願望はあるとこう言った以上、この点は私は一度確かめてもらわないと、今回の安全審査自身の根底も違ってくるのじゃないかと思うのです。長官、いかがでしょう。
  123. 前田佳都男

    前田国務大臣 それはその人の考えておることでございまして、将来のことを一々おまえはどういうふうに考えておるかということを聞いても、現在の時点ではこうでありますという答弁をすると思いますし、現在のこの審査自体にはそれは関係なく、現在出てきておるものでもってやっていくということで、それから先どういうことを考えておるかということは、ちょっとわれわれも、別に逃げる意味じゃないですよ、別に逃げる意味じゃないですけれども、やはり出てきた資料をもとにして審査するという段階にいたしておるわけであります。その点、別に他意はございません。
  124. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 政府、特に一番監督官庁になるべきあなたがそういう姿勢では、ますますもってこれは不安が広がるのです。  これは、私も伝え聞くところだけですから、別に中電が言ったわけじゃないですから、何とも確言はようしませんけれども、こういう話もあるのですね。三、四号炉の場合はそれぞれ出力が百十万キロワット、さらにそのあとに五、六、七、八号炉までの計画もあるのじゃないか。それらはそれぞれ電気出力百五十万キロワット、これもそれはほんとうにないかもしれないけれども、いままでのいきさつや、先ほど申し上げた中電幹部の発言などを総合すれば、ひょっとしたらこういうことはあり得るのじゃないかということになるでしょう。もしこういうことが現実化すれば、安全審査というものは、まずその全体について審査して一号、二号と許可していかないと、一号、二号をそれぞれ単独のものとして許可して、でき上がったら集中化して大きなものになっちゃった、これでは全く主客転倒してくる。本来転倒になるでしょう。その点では、一応この点について一度はっきりと、これは安全審査の基準になる問題なんだから、中電の幹部の発言に対して、政府のほうで責任のある回答をとってもらいたいと思うのです。いかがでしょう。
  125. 前田佳都男

    前田国務大臣 それは中電の幹部がどういう意図で──幹部にもいろいろあると思いますし、それからまた、一から八つまでつくるとか、いろいろなことを言うておるかもしれませんけれども、そういうことを一々取り上げて、それを心配して一々聞いておるということを、役所としてはそこまでの必要といいましょうか、それは先生にどういう趣旨で言ったのか私も知りませんけれども、単なる放言である場合もあるかもしれませんし、それまでに電調審でございますか、電源開発の立地計画も審議するわけでございますから、その段階において初めて具体的に出てくるわけでして、そのときになって初めてこれは海のものとか山のものとかはっきりするわけでございますから、現在は単なるうわさであるとか、そういう話だけでそういうものを一々──別に逃げる意味じゃありませんけれども役所としては取り上げるということはいたしたくないというわけでございます。
  126. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私がお願いしているのは、発言があったことは事実なんです。しかもこれが安全審査に幾ら増設されようと関係のない問題だったらいいのだけれども、こういうふうに大型化、集中化するということになれば、そもそも一号機からの安全審査基準というものはよほどきびしいものにならざるを得なくなってくるという意味審査基準に影響する問題だから、一応そういうアウトラインを承知した上で、そのうちの一号機なんだ、二号機なんだという審査にならざるを得ない、そういう計画があるとすれば。だから、そういう点を一度事務的にでもいいから確かめてほしい、こういうふうにお願いしているわけなんです、局長。
  127. 成田壽治

    成田政府委員 原子炉安全審査は、具体的な計画をもとにして安全であるかどうかという検討をやっておるのでありまして、具体的な計画のないものによって審査することはかえって非常に危険なことでありまして、具体的な計画になって初めて審査の対象になるのであります。したがいまして、安全確保という見地からしますと、従来のように一号炉については一号炉だけの審査をやり、二号炉のときは一号炉を含めました環境放射能等の検討をやる、そういうやり方のほうが安全確保上望ましいというふうに考えております。
  128. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それは全く逆ですよ。それは専門家でなくてもわかると思うのですよ。広田安全専門審査会長も、この間五月九日の日に同じ趣旨のことを答えている。申請が出たものに対して、そのサイトに安全が確保できるかどうかを審議するだけだ、こう言っている。だから、予定があれば、確かに集中されるという全体をまず想定しておいて、そしてそれが一号と二号でとまったということになるなら、確かに安全上非常に余裕を残していることになるけれども、逆に一号は一号だけ、二号のときには一、二号だけで、そしてこれにずんずんふえていった場合には、これは集中化ということにあとでなるわけでしょう、事後の現象として。つまり、事後承諾を押しつけるようなかっこうになる。ですから、成田局長の、ほんとうに安全だというふうにしていこうと思えば、まず全体の計画をよく承知しておいて、それの一部分一つ一つ審査していけばいい。これが当然じゃないかと思う、ほんとうに安全を考えるなら。ですから、そういう点で私の問いに答えてください。とにかく一応そういう発言があったんだから、事務的にでもいいから、中部電力に対してその真意をただしてほしい、こう言っているわけなんです。
  129. 成田壽治

    成田政府委員 仮定の話として五号、六号の場合は、一号から六号までの全体の放射能、環境影響等を審査し、非常に厳重になっていくのでありまして、われわれは従来の審査方針は安全確保上適当であるというふうに思っております。  それから、会社の発言を事務的にどういう意味発言されたかという点は、即刻調べまして御報告したいと思います。
  130. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 次に、使用済み核燃料物質及び放射性廃棄物の処理なんですけれども、この安全専門審査会の報告で見る限りでは、たとえば固体廃棄物については当面使用済みのものをタンクに貯蔵する、こういうことが書いてあるだけで、なお、これらを最終的に処分する場合は関係官庁の承認を受けることとしていると書いてあるということは、今度の安全審査の対象外に廃棄物処理がなっている、こういうことなんですか。
  131. 成田壽治

    成田政府委員 固体廃棄物は、これは各発電所ともそうでありますが、構内に最も安全が確保される形で貯蔵タンクに貯蔵することにしております。これを最終的にどう処分するかというのは、いろいろ技術的な問題等もありまして、まだ研究開発の過程にありまして、これはその最終処分の方法がきまった場合に、安全基準をつくって当然きめるわけでありますが、いまのところは、各発電所とも、またこれは外国の例もそうでございますが、固体廃棄物については、ドラムかん詰めにして、そして貯蔵タンクに十分安全な形が保証されるという形で保管させておるのであります。これが一番安全な方法ということにいまはなっておるわけでございます。
  132. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この点も、この間九日の日に学者の方々から指摘があって、その計画が明確にあるんならいいけれども、全然政府がそれを持ってないんじゃないか、たまる一方じゃないか、いずれはこれは問題になるにきまっておる。そういうこともはっきり見通しをつけないで、つまり、原子力発電という全体系についての見通しを持たないで商業化を進める、それを認めていくということはたいへん問題なんだ、こういう指摘があった。その具体的な例に浜岡はなってくるのです。ですから、これで安全だということにはならない。将来に問題を残しておることは報告自身が認めておるわけなんですから。この点についてはもうちょっと明確に、いつまでもためておけるものじゃないんだから、どうするんだということをここで計画を出されないと納得できないんじゃないですか。
  133. 成田壽治

    成田政府委員 この固体廃棄物の処理をどうするかというのは、日本はもちろん、世界各国ともいま非常に鋭意検討中でありまして、現在、世界で三千万キロほど原子力発電所が動いておりますが、いずれの場合も貯蔵してやっておるわけであります。  ただ、この処理の研究開発は早急にやらぬといけませんので、去年つくりました原子力委員会の長期計画におきましても、低レベルのものは五十年の初めごろ、その他は五十年代とかいろいろ計画をうたっておりまして、それに沿って早急に解決していくべく鋭意研究開発を進めているところであります。ただ、これは日本だけの問題でなくて、世界各国とも同じような問題に取り組んで、そして国際会議等でもこの問題に真剣に取り組んでいるわけでございます。
  134. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは一種の公害たれ流しの変形ですね。さらに、使用済み燃料はどうするのですか。これは報告を見ますと書いてありませんね。
  135. 成田壽治

    成田政府委員 使用済み燃料は、これも保管しておりますが、将来再処理工場が国内でできた場合は、再処理工場で処理してもらって、そしてウランとかプラトニウム等の燃料を再生産するというかっこう。もしも日本の工場ができない、あるいは能力的に足りない場合は、外国へ持っていって再処理を依頼するという場合も当然考えられるわけでございます。
  136. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それは東海へ持っていくなり外国へ持っていくなりする場合の経路はどうなんですか。
  137. 成田壽治

    成田政府委員 まだ東海の再処理工場ができておりませんのでそういうケースはないのでありますが、ただ、イギリスへ東海の炉の使用済み燃料を持っていった例、あるいは研究炉の場合外国へ持っていった例がありますが、おそらく船によって安全な形で再処理工場へ運ぶのが一般的な形と思います。
  138. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だから、その船は、どこから積み出すんですかということを聞いているんです。書いてない。
  139. 成田壽治

    成田政府委員 その船をどこから出すかというのは、おそらく発電所の構内から出る形の場合が多いんじゃないかと思います。  それから、輸送等につきましては、原子炉等規制法による放射性物質車両運搬規則等の関係法令もありまして、安全は十分確保されるような形になっております。ただ、これは運転段階の問題で、いまどういう港からどういうコースをたどってどこへ持っていくかというのは、いま具体的な計画はないのであります。
  140. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それが違うのです。中電は初めこう言った。御前崎港を予定している。それじゃそれは御前崎町の了解をとっているのかと言ったら、いやそれは公式な見解じゃないんだと言って、結局、湯川という原子力室部長の個人的見解という形にすりかえた。しかし、この御前崎港を使わざるを得ないだろう、こういう見解なんです。こういうことが全然、原子力委員会の今度の許可するにあたっての審査の中に入ってないでしょう。これは抜けているのですか、どうですか。
  141. 成田壽治

    成田政府委員 使用済み燃料がどういうコースをたどっていくかというのは、いまのところ具体的なあれがありませんので、今度の対象には入っておらない。これは許可審査内容にはなっておらないのであります。
  142. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると、今度の審査内容というものは、すべて全体についての許可ではなしに、部分的には審査から残されているところもある、こういうふうに理解されますね、規制法との関係でいうなら。
  143. 成田壽治

    成田政府委員 先ほど言いましたように、輸送等については規制法の安全基準がありまして、それに従って行なわれることになっておりますので、設置許可の際にはその審査は必要でないというふうに考えております。
  144. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると、今後その輸送について問題が生じた場合には、現に設置許可はしておっても運転はできないということになりますね。
  145. 成田壽治

    成田政府委員 使用済み燃料の輸送、搬出ができないということであって、まあ構内に安全な形で管理している場合は運転はできるんではないだろうかというふうに考えます。
  146. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 局長がだろうかと考えるだけの話だな、これは。  次に水利の問題。これは中電側の説明によっても、またこの申請によっても、大体新野川の伏流水を取水する、こうなっている。私が聞いたところでは、一号炉が一日千トン、二号炉で一日千三百トンということだけれども、この報告等を見れば、最大取水が一日で両方合わせて二千トンということのようです。どっちにしろこれはたいへんな量で、新野川というのは、現地を見られたらわかるけれども、そう大きな川ではないのです。きて、この取水について現地との了解はどういうふうになっておりますか。
  147. 和田文夫

    ○和田説明員 おっしゃるように新野川の河川の横の地下水をとる計画になっております。地元関係者との間に協議が成立しているということをわれわれは聞いておりますし、浜岡町当局からも聞いております。
  148. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その協議が成立している内容、これが文書になっているらしい。らしいという発言を、なぜこの電力会社がそういう点をあいまいにするのかわからないけれども、浜岡原子力建設所の山田という次長が答えているわけなんです。だから、国のほうへ要請されれば、現地の土地改良組合と中電との間にかわされている協定内容はわかるでしょう、こういうことなんです。それを出してもらえますか。
  149. 和田文夫

    ○和田説明員 われわれといたしましては、その取水計画が確実で地元に迷惑をかけないという点について会社の計画を検討し、それからさらに町当局に確認しておりますので、そのいわゆる相手方との契約書まではとっておりません。
  150. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だからそれをとってくださいと言っていることと、きのう、私招きもしないのだけれどもわざわざ通産省から説明に来られた方の話では、この伏流水の取水によって付近の住民の井戸水だとか農業用水にどういう影響が出るか等について、目下通産省のほうで調査しているのだ、こういう話なんですが、どういうところまで調査が進んでいるのですか。それと、そういう資料を取り寄せてほしいということと二点答えてください。
  151. 和田文夫

    ○和田説明員 調査といたしましては、マクロ的な調査といたしまして新野川流域の雨量でございますとか、それによる浸透係数を考えたいわゆる地下水的な総量、これが現在とっている量にまたさらに発電所の必要とする約二千トン・パー・デーのものをまかなうのに十分であるかどうかというマクロ的な調査と、それから実際問題としてその地下水をとる予定のところから水をとりまして付近の水位にほとんど悪影響がないという調査もすでに現実にやっております。
  152. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 現実にやっている調査は、何か試験的な井戸を掘ったりして調べているのだというのだけれども、現地のどこでどういうふうにやっているのですかということを聞いておるわけです。
  153. 和田文夫

    ○和田説明員 河口から、ちょっとキロメートルを忘れましたが、何キロか上流地点でとることになっておりますが、そこの地点で現実に毎日三千トンあるいは六千トンというような試験をいたしまして、それで水位に悪影響がないということを確認いたしております。
  154. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ、その資料は、通産省がやったのですから、出ますね。
  155. 和田文夫

    ○和田説明員 これは通産省がやった実験じゃございませんで、中部電力あるいは関係者が立ち合いのもとにやったものだと思います。
  156. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 きのう来られた方がそこにいらっしゃいますね。どなたですか。あなた、通産省がやっている、公益事業局でやっているのだとおっしゃいましたね、きのう。いかがですか。
  157. 和田文夫

    ○和田説明員 実際のいわゆる現地での実験は通産省がやったわけじゃございませんが、おそらくきのう説明に伺った者は、そういう結果を踏まえまして、それからさっき申し上げたマクロ的な検討も含めまして通産省で調査検討をしている、こういうふうなつもりでお答えしたのだろうと思います。
  158. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃ、とにかくそういうデータを基礎にして検討するのは通産省であることに間違いないのだから、その検討結果については、あるいは現在検討中の経過については報告は出せますね。出してください。
  159. 和田文夫

    ○和田説明員 その検討経過、検討結果、お出しいたします。
  160. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 二号炉設置による温排水の影響については、これは通産省で計算して原子力委員会資料を出したのだ、こういうふうに通産省側から説明を聞いたのですが、それはいつ出したのですか、また、その計算の方式はどういうやり方をしておったか、大体二号炉の温排水の影響は、どの範囲にどの程度の温度上昇で影響を与えるのか、簡単に答えてほしい。
  161. 和田文夫

    ○和田説明員 通産省でいろいろな資料をもとに検討いたしまして、二十九日に原子力委員会のほうに報告しております。大体の検討結果は一号機と二号機あわせまして毎秒約八十トンの温排水の量になりますが、それでいろいろな式の計数を変えて安全サイドをとりまして、放水口から約千五百メートルくらいが二度C程度の温度上昇になる、こういうことでございます。
  162. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 聞けば和田式で計算したとかいう話なんですが、とにかくそれは時間もないし、あと資料を出してください。  そうすると、原子力委員会としては、二十九日に温排水に関するデータを受け取って、二十九日に設置許可、これはそんな簡単に原子力委員会の立場で判断のできるものなんですか。
  163. 成田壽治

    成田政府委員 原子力委員会が温排水等の環境についての通産省の調査結果の説明を聞きましたのは、二十二日と二十九日の二回にわたって説明を聞いたわけでございます。
  164. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 通産省は二十九日にデータを出したと言っている、あなたのほうは二十二日にも聞いている、こう言っている。食い違いがあるじゃないですか。
  165. 和田文夫

    ○和田説明員 まことに申しわけないことをいたしましたが、最終的な報告を二十九日にいたしたということで、二十二日、一週間前にも概略の報告をいたしました。
  166. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 どっちにしろ最終的なデータを受け取ったのは二十九日で、その二十九日の原子力委員会設置許可を出している。こういうことをすること自身が、ほんとうに身の入った安全審査になっているかどうかということを住民が疑問に思う要素になるんじゃないかと思うのです。長官、こういうことをどう考えられますか。
  167. 前田佳都男

    前田国務大臣 確かに、日取りの点から言いますと、私もただいま通産省の説明員から二十九日だということを聞きまして、二十九日に受け取って、二十九日にその場ですぐ決定する、そんなばかなことがあるかと言うて私も実はおこって、いま横の局長にも言ったのです。確かに二十二日にそれは実質的には来ております。それは私も聞いております。それをいま二十九日と言ったので、何でまたそんなことを言うたんだと実は私も言ったのですが、いずれにしましても先生、それは決して安易に通産省の調査をそのままよろしいでしょうというてやったわけでは全然ございません。それは別に、私特に弁明、弁護をする意味ではございませんけれども、従来は、通産省がこういう方面をやっておりますが、その関係者の意見も従来は正式に聞かずに実質的に聞いておったのです。正式に聞いたというふうなこともなく行なっておったようであります。しかし今回は、正式にそういう調書といいましょうか、その報告書も取りまして、そうしてしたわけでありまして、その点、従来に比べてわずかの前進といえばわずかじゃないかというお考えかもしれませんけれども、その点も前進したわけでございます。  それから通産省も、ただ通産省自体の考えに基づいて適当に調査したというのじゃなくて、どういう点を調査しろということを、調査のアイテムといいましょうか、項目といいましょうか、それを原子力委員会に環境・安全専門部会というのがございますが、そこにさらにまた温排水分科会というのがございまして、その分科会で、こういうものを調べなさいという幾つかの項目がございます。その項目について通産省に要求をし、それに基づいて通産省が報告をしたわけでありまして、その点も、ただかっこうだけつけてぱっぱっとやってしまったというのではないという点だけは、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  168. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私はこの点は政治家として大臣にお願いしておきたいのです。二十二日に概要を聞いておったかわからないけれども、そういうことは言いわけとしては成り立っても、外部の住民に対しては通用しないです。正式に報告として原子力委員会が受け付けている日付けは二十九日。通常の政治家だったら、やはり住民への配慮をするならば、そういう正式のデータが出た時点の委員会から一回くらいずらして結論を出すくらいの配慮があってしかるべきだと私は思うのです。しかも、よしんば二十二日にしたところで、漁業に重大な影響を及ぼす問題でしょう。住民にこの結果をどう考えるかというようなことを聞く余裕はとうていないですよ。そうでしょう。第一、温排水の影響について現地住民、漁業関係者等の話し合い、了解はいつやっているのですか。
  169. 和田文夫

    ○和田説明員 さっきから申し上げているような温排水の影響につきましては、もちろんいろいろな手段を講じまして実行可能な限り影響を小さくする、こういう方策をとっておりますが、関係漁業組合におきましては、各地の既設の原子力発電所等について調査検討を行ないまして、一号機でもうすでに協定が成立しておりますので、二号機につきましてもこれを受け入れる方向で協議が進んでいるということを、県当局あるいは浜岡町当局あたりから私のほうは聞いております。
  170. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そんなおかしな話はないじゃないですか。二号機の温排水の影響がどうなるかという最終的なデータが二十九日に出ているのですよ。そのデータのない時点で、どういうものを根拠に住民の納得が取りつけられるのですか。私はふしぎですね、そういうことで事足れりとするのは。  時間がないからこの問題はおいて、次に住民の同意が得られているかどうかという問題に進みます。  これは、この間五月九日の委員会で、政府側として、実際に町議会でも現時点での反対決議をしているような場合の原子力発電の建設に対する態度を、ひとつこれは次官から態度を表明してほしいという私の質問に対して、伊藤次官がこういうように答えられました。「地域住民の御理解をいただくこととあわせまして、さらには公聴会等の開催等を通じまして、地元住民あるいは町議会あるいはその他の公共団体の御意思等十二分に体しながら、設置許可を進めていくつもりでございまして、決して地元民の完全なる理解や協力なしにこれらの設置許可をしないつもりでございますので、御了解いただきたいと思います。」こういう正式答弁が長官にかわって出ているのです。  さて、この浜岡の原発に対する住民の同意、了解というものはどういう形で取りつけているのですか。
  171. 成田壽治

    成田政府委員 浜岡の発電所につきましては、地元の了解がどういう状態になっておるかというのは、通産省を通し、また科学技術庁も直接に県あるいは関係市町村長に尋ねて、その点の了解を得て、そして進めてきたわけでございます。
  172. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 伊藤次官の答弁はそうじゃないですよ。町議会とか公共団体の御意思等十分に体し、地元民の完全なる理解と、こうなっているのですよ。その「完全なる理解」というものは、じゃ一体何によって証明するのか。その資料を出してくれませんか。
  173. 前田佳都男

    前田国務大臣 伊藤君が完全なる理解と言う、完全というものの解釈のしようでございますが、先生承知のとおり、現在は原子力発電の立地をきめるにあたりましては、電源開発基本計画にのせるわけでございますね。そのときに、電調審の段階で関係知事の意見を聴取することになっております。、そのほかに、もちろん実質的には町長とか、あるいはそういうものの意見を聞くこともございます。しかし、法的には関係知事の意見を聞くということが地元の意見を正式に聞く場合ということになっておりまして、関係知事の意見を聞いて、その知事が了承しておるという場合は、それで完全というか、知事の意見は必ずしも完全じゃないじゃないか、知事は住民の意思に反してそういう意見を言うじゃないかという解釈もあるかもしれませんけれども、われわれは知事というものがとにかく選挙によって選ばれた、民衆というかその県の代表であるという意味において——それは法規的にです、そういう御意見を聞いて、そうして処置しておるという意味でございます。しかし、そのほかに、自主的に地元の意見を聞く、あるいは町長さんに会ったりして聞く場合が実質的にはございます。
  174. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 くどいようですけれども、伊藤次官のそこの部分、もう一ペん言いますと、決して知事が代弁していいとは言ってないのです。「地元民の完全なる理解や協力」と、こうなっている。地元民が知事であるはずないでしょう。まずここをはっきりさせておいてください。これは何と言われましても、それが本委員会での政府を代表する答弁であったのですから。この点について、現在の浜岡町の完全なる地元民の理解はとうてい得られていないということを、私現地に行って知っているわけなんですから、この点についていま一度確かめる方法は講じてほしい。この点について御回答いただきたいことと、それでは、知事の同意が得られていると言われるけれども、知事のいまおっしゃった電調審への意見書の中でこうなっているのです。  まず第一に、地元浜岡町では、これは町議会の秘密会議だったらしいのですけれども、この点については「安全性をさらに確認するとともに」という条件が入っている。「高度な幅広い視野に立って、前向きの姿勢検討し、住民の動向をにらみあわせてなるべく早い機会に結論を出したい。」であって、「出した」とはなっていない。これが地元の町議会の正式の態度で、これ以後この態度に変更はないわけなんです。これをよりどころにして知事は、「一方地元関係町としては、漁業関係者等を含めて組織した浜岡原子力発電所安全等対策協議会の中で協議し、地元浜岡町ならびに漁業者の意向を勘案のうえ結論を出したいとしている。」という、地元の状況を認めた上で、そういう条件の上に立って電源開発基本計画に組み入れること自体には異議はないと言っているのであって、原子炉安全審査の場合に、これで全部やってくれとは一言もこの中に書いてないのです。ですから私は、時間もないらしいので、一言そういう状態に地元は置かれているのだということと、あなた方の代表者が委員会答弁されたこととをにらみ合わされて、ひとつここは大臣の賢明なる御発言を得たいと思います。
  175. 前田佳都男

    前田国務大臣 その伊藤君の発言でございますが、地元民の理解というのは、結局地元を代表する──地元民はよけいおられるわけでございまして、それで地元民を代表して、やはり法的には関係知事といいましょうか、静岡県知事の御意見を拝聴する。その御意見の拝聴は、いまの先生の御指摘によれば、電調審の段階だけじゃないか、あとはやっておりませんよというふうな御指摘だと思いますけれども、その点につきましては、私みずからはいたしておりませんけれども、事務当局においてもその点は十分アプローチをしておるはずでございます。その点は政府委員から御答弁いたさせます。
  176. 成田壽治

    成田政府委員 県当局の見解につきましても、電調審の段階だけでなくて、その後数回にわたっていろいろ地元の情勢等について聞いて、了解をとっております。
  177. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 二十六日、県の平野企画調整部長と会ったときに、初めは公聴会などはあまり関知しないというふうな態度だったけれども、もしもほんとうに政府が公聴会を制度化するということをきめているのなら、一度それを確かめて善処したいというふうな話をしていたのです。何か連絡がありましたか。
  178. 成田壽治

    成田政府委員 県の企画調整部長は、私は直接に連絡がないのでありますが、規制課長との話は行なわれておるはずであります。私は副知事と連絡をとって、了解をとっております。  公聴会については、そういう話が企画部長からあったというふうにわれわれは聞いておらないのであります。
  179. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さらに、この問題については、五月二十一日付で日本学者会議からも原子力委員会に申し入れが出ているでしょう。私、写しはあるのですが、ごらんになっていなかったら、あとで見てください。まずこれに対してきちっと回答する必要があるということと、その中に、一昨年八月二十五日、原子力発電の安全性に関する申し入れ公開質問書、これについて原子力委員会が答えていないということも指摘されているのです。ですから、ひとつこの場で、ぜひそういうものに誠意をもって文書で回答してもらいたいと思うのですが、回答しますかどうか、答えてもらいます。
  180. 成田壽治

    成田政府委員 日本学者会議からは、しばしば原子力委員会あてにいろいろな要望が出ております。われわれもその内容については検討しておりますが、ただ、従来は書面をもってこれに回答をしてないのでありまして、ただ、科学者会議の代表の方が学術会議の原子力関係のメンバーに入っておりまして、原子力委員会と学術会議とは定例的に四半期に一ぺん等、いろいろな問題についてお話し合いをしてもらっておりまして、その場を通して、科学者会議等の見解に対する答えも実質的になされておるので、文書によっての回答は、従来もしておらないし、また、科学者会議から文書でくれという要請もありませんので、そういう形で返事をしているので適当なのではないかというふうに考えております。
  181. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 最後に、いまずっと経過についてこちらもいろいろ質問をしたし、お答えもあった。これを客観的に見ていただくならば、ずいぶんと今度の許可にあたっては無理な内容が含まれていて、これで住民が完全に納得すること自体が無理だというふうに、おそらく考えられるのじゃないかと思うのです。若干資料も要求しているから、そういうものが出た上で、これはやはり何としても善処をされたいと思うのです、特に住民の意見というものについて。同時に、何せきょうこの場で、しかもこれは公式の浜岡原発に関する中電の申請書類や、あるいはそれに対する安全審査会報告書をもらっただけで、私ども目を十分通すことができない。こういう点を専門の学者ともどもよく検討して、さらに個々に具体的な資料を要求すれば、これは局長も五月九日に答弁していることだから、出しますね。御要請があった場合、どの範囲まで提供できるか、具体的に検討してそのつどお答えしたいというふうに言っているから、具体的にわれわれがいまもらっている申請書のこの部分の裏づけの資料を出せというふうな要求をした場合には、具体的に、出す出さないとか、あるいは出せない場合にはその出せない理由とか、そういうものは答えますね。
  182. 成田壽治

    成田政府委員 申請書、付属資料その他いろいろな資料がありますが、極力御要求があれば出すようにしたいと思いますが、先ほども議論になっております企業機密、これは厳密な意味で、決して企業側が隠したいというのが企業機密ではないのでありまして、厳密な意味企業機密にわたるものはこれは出せないというたてまえでありますが、それ以外のものにつきましては極力提出したいと思っております。
  183. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だから、そういう企業機密と判断するかどうかということも含めてわれわれは具体的に、要求したときには論議する、そういう今後出てきた資料等も含め、浜岡原発についてはさらにわれわれも専門学者意見を求めながら、徹底して、こちらとしてもほんとう審査の過程が自主、民主、公開の原則のもとで行なわれたかどうか検討したいと思うけれども、先ほども言いましたように、大臣においても、非常に無理のある審査であることに間違いないので、住民の意見も聞かれて善処されることを要望して私の質問を終わります。
  184. 石野久男

    石野委員長 次に、近江巳記夫君。
  185. 近江巳記夫

    ○近江委員 この公聴会の開催につきましては、国会でわれわれがそのことを強く要望しまして、一応そういう基本的な考え方なりが示されたわけです。そういう点で一歩前進であるということで喜んでおったわけです。特に具体的に、私自身も浜岡の二号炉の問題については、この許可をおろすまでに当然公聴会を開くべきである、このことを強く私は大臣にも申しておりました。ところが、この二十九日、このように決定をした。なぜ公聴会を開かずにこういう形をとったのですか。
  186. 前田佳都男

    前田国務大臣 公聴会の開催につきましては、原子炉規制法二十四条二項に基づきまして、内閣総理大臣から原子炉許可の基準の適用について諮問を受けた場合で、必要と認めるときということに相なっておりまして、開催の時期につきましては、原子炉安全審査会調査、審議するにあたりまして、当該公聴会において陳述された意見を参考とすることができる時期に開催されなければならないというふうにわれわれは実は公聴会のあり方を考えております。したがいまして、浜岡の安全審査会答申がたしか十二日にされたわけでございまして、その意味におきまして、この私たちの意図しておる公聴会とは、時期的にもちょうど審査会が済んだあとであるという関係もこれありまして、こういうふうにいたしたわけでございます。別に逃げ込みといいましょうか、かけ込み答申をしたというわけではないというふうに思っております。
  187. 近江巳記夫

    ○近江委員 かけ込みでないと言ったって、これは国民の目にはかけ込みということに映っているわけですよ。必要と認めるときに公聴会を開くと定める。原子炉が大型化、集中化する場合、新型炉を採用する場合、または地元知事から要請のある場合等の基本的なそれを出しているわけですが、浜岡の場合は、何回も指摘してまいりましたが、集中化するわけでしょう。したがって、あとあとこれは非常に大きな問題をはらんでおるわけです。時期的に公聴会を開く時期でなかった、そんなことは通用しませんよ。これは絶対にかけ込みですよ。そういうことをやるからよけい国民の理解と協力が得られなくなるのです。これは堂々とやるべきなんですよ。こういう点について大臣の反省はないのですか、原子力委員会がそういう態度をとったことについて。
  188. 前田佳都男

    前田国務大臣 たいへんきびしい御指摘でございますが、私は、この原子力委員会におきまして公聴会という制度を発足さしたということにつきましては、これは二年前からいろいろいわれておりましたけれども、実際はなかなか能率はあがっておりませんでした。これを今回踏み切るには、実は相当な、決して私自慢じゃございませんけれども、まあ決断で、こういうふうに公聴会の制度に踏み切ったわけでございまして、わずか、ほんとうに一歩前進どころか一センチ前進じゃないかというふうにお考えになると思います。不満足であり、内容を改善すべきじゃないかというふうにお考えになると思いますけれども、とにかく理解と協力を得るためにこういうふうな公聴会の制度をきめたわけでございまして、その場合といたしまして、いま先生の御指摘のように、在来のものに比べまして著しく大きい場合、また在来のものに比べまして新しいファクター、要素が多い場合、あるいは集中化の場合とか、それ以外に、そういうものに該当しないでも、とにかく関係都道府県知事から開催の要求があって、そして自然環境、社会環境から見て、公聴会を開く十分な理由があると認める場合ということで実はカバーしておるわけでございまして、私はこれの場合にその浜岡の場合は該当しないのじゃないかと思っておるわけでございます。
  189. 近江巳記夫

    ○近江委員 大体この基本方針自体も問題があるわけですよ。こういうようなワクにはめてしまって、これに当てはまらなければだめである、こういう行き方自体がおかしいのですよ。だから私たちは、この原発の設置については、どの設置場所であり、また新たに基数をふやすことにつきましても、公聴会は漏れなくやるようにと、このぐらいの強力な申し出もわれわれはしておるわけです。実際、環境の問題につきましても、これは非常に疑問点が残っていますよ。あれだけ注目を浴びておった浜岡の問題につきまして、こういう形は著しく国民の不信を買っております。こういう一つの指針を出して、どういう形で科学技術庁が運営していくだろうか、われわれは原子力委員会のそういう姿勢というものを見ておったんです。今回の件では全く裏切られましたよ、これは。私はこの公聴会の問題につきまして今後さらに煮詰めていきたいと思いますが、いずれにしても、今回とった原子力委員会姿勢というものは、大きく国民の不信を買っております。この点はひとつ十分な反省をしていただきたいと思うのです。  それで、私はきょうは、いま関西で非常に問題になっております、原子力研究所の大阪研究所の問題についてお伺いしたいと思います。  日本原子力研究所大阪研究所の問題でありますが、今回この研究施設の増設工事が行なわれまして、地元でも非常に強い反対の声も上がってきておるわけです。今回の増設工事の内容についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  190. 村田浩

    村田参考人 ただいま近江先生御質問ございました大阪研究所の研究施設の増設工事のことでございますが、その内容は、私ども高線量率加速器と呼んでおります電子線加速器の設置にかかわる工事でございます。  実は、この大阪研究所では、これまでに放射線源といたしまして、コバルト60の密封線源を二つと、それから小型のバンデグラーフ型の加速器を一つ、これだけ持ちまして過去約十五年ばかり勉強してまいっておるわけでございますが、研究自体の発展に伴いまして、さらに当研究所の目的でございます応用放射線化学の基礎的研究を進めるために新たに電子線加速器が必要であるということから、かねてその予算化につきまして政府にお願いいたしておったわけでありますが、幸い四十七年度予算でこの設置にかかわる予算が認められたわけでございます。  そこで、昨年四月からさっそくこの計画の具体化に取りかかりまして、加速器それ自体につきましては、昨年の七月以降、さらにその付属設備等々につきまして発注手続を終えまして、ことしの二月までには加速関係の注文はすべて終えたわけであります。  一方、この加速器を入れます建家、これは現地の構内につくらなければならないわけでございますが、この建家につきましては、昨年の十月二十七日に寝屋川市を通じまして建築確認申請をいたしました。昨年の暮れ、十二月二十三日付で大阪府のほうの建築確認の許可をいただいたわけでございます。  そこで、さっそくことしの一月十日から現地におきまして加速器を入れる建家の建設工事に取りかかったわけでございます。この建家は、鉄筋コンクリート平屋建て一部二階建てで、床面積は三百八十三平米程度のものでございます。しかしながら、この大阪研究所といたしましては、この数年の間特に、後ほど申し上げる機会があればと思いますが、この原子力研究所が昭和四十二年に引き継ぎましてから行ないます初めての設備の増強でございますので、関係者みな十分張り切ってこの工事に取りかかったわけでございますが、コンクリートの入手の問題その他のこともございまして、少しく工事を急ぎたいということから、三月の下旬でございましたか、夜間にもこの建家の建築工事を進めるというようなことをいたしましたところ、騒音その他ございまして、周辺の住民の方から苦情申し入れがあったわけでございます。  私どもも、いささかそういった点につきましてのまわりの方々への御説明なり御了解を得るのに不十分な点もございました。大いに反省いたしまして、さっそく四月の二十日には建築工事を取りやめまして、そして住民の方々に、増設いたします電子線加速器の説明、特に安全性の説明、さらにこういった研究施設をもってどういう研究をこの研究所でいたすかということなどにつきましてよくお話し申し上げ、御説明申し上げて御理解をいただきたい、こう思いましていろいろ努力いたしているわけでございますが、この周辺の方々の中には、やはりそういったような設備に対する不安といいますか、そういったものを持たれる方もございますので、そういった方々にさらに繰り返して十分に御納得いくように、御理解いただけるようにいたしたいということで、目下努力をいたしている次第でございます。
  191. 近江巳記夫

    ○近江委員 ところで、周辺は御承知のように非常に密集地帯です。御承知のように四千戸あるわけですよ。団地があるわけです。そばですよ。その中に原研八千坪があるわけです。しかもこの工事の着手にあたって、近所に対しては、狭いので増設します、工事中はお騒がせします、エトセトラ。建物は平屋建てです。十三メートルといえば普通建物でいけば三階ないし四階ですよ。平屋建てです。それで違うじゃないか、こう言われたら、大きな機械を設置します、そういう姿勢をとるから、一体何を置くんだろうか、そういう疑惑も出てくるんですよ。こういう増設工事一つを見ても、私は原研の姿勢、ひいては科学技術庁の原子力行政に対する姿勢というものがうかがわれるのじゃないかと思うのです。いま副理事長から、そうしたまずかった点のお話もあったわけですが、こういう点について反省はないのですか、もう一度お伺いします。
  192. 村田浩

    村田参考人 ただいま先生の御指摘のとおり、私どもも状況をその後現地から聞きまして、最近のような情勢で、かつまた周辺の住宅の状況と申しますものが、当研究所が十五年前に発足しましたころに比べると非常に変わっておるわけです。この長年の間、新しい施設をそこへ増設するというようなこともなかったためでございましょうが、その情勢の変化に対応して、周辺の方々に事前にもっとよく、内容その他目的なども十分御説明いただく努力は、やはりいま考えましていたすべきであったと思います。その点深く反省しておるところでございます。
  193. 近江巳記夫

    ○近江委員 ここに私は写真を持ってきておりますが、長官にもこれは見ていただきたいと思うのです。こういう密集地域に研究施設があるのですよ。敷地もへいも何もしていないわけですよ。これは航空写真です。ちょっとお貸ししますから……。  こういう密集地域に研究所がある。確かに十六年前は、これはもうほんとうに山林であったわけです。しかし十六年後の今日、もう全然状況が一変してきているわけです。それにもかかわらず、配慮のないそういう姿勢をとっておる。しかも、その危険性というものをみんなが非常に心配しているわけです。こういう問題について原研としてはどう考えているのですか。また、大臣にもひとつお伺いしたいと思うのです。
  194. 村田浩

    村田参考人 原子力平和利用の一環として放射線の利用というものが非常に大事なものであるということは、もう十分御承知のとおりでございますが、私ども原子力研究所といたしましても、放射線利用の重要な一環である放射線化学の勉強というものをぜひしっかり進めまして、放射線の利用からまいります成果というものが、国民の生活の充実向上というものへ直接具体的に役立つように、できるだけ効率的に研究を進めてまいらねばならないと思っているわけでございます。  御案内のとおり、放射線を化学反応へ利用いたしますにつきまして、その原理は、要するに化学反応促進のために、たとえば非常な超高圧とか超高温とか、あるいは重金属の触媒を使うとか、いろいろ行なわれておりますが、そういったものからくる公害ということも最近問題になっておるようでございますが、そういったものにかわりまして、放射線を使ってそうして新しい化学物質をつくり出す、あるいは性質のよりよいものをつくり出すということは、非常に有用な仕事であると私ども確信しておるわけであります。幸い、関西地区は京都大学、大阪大学はじめ、放射線化学関係の非常にすぐれた学者の方がたくさんおられます。研究者もたくさんおられます。現に私どもの大阪研究所のほうへもそういったえらい先生方、りっぱな先生の方々に来ていただきまして、あるいは所長をお願いしております桜田先生もそうでございますが、そのほか客員研究員あるいは技術相談役ということで五、六名の先生方も常時来て指導していただいておるわけであります。そういったことは、放射線化学の今後の推進のために非常に大事なことであり、有用なことでございますので、私どもとしては、ぜひそういった大事な研究を、地元の方にも安全問題その他でよく御理解いただきながら進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  195. 前田佳都男

    前田国務大臣 ただいま近江先生から御指摘の件ですね、この写真も拝見をいたしまして、相当・密集地帯であるということもよくわかりました。いま村田理事長からも御説明申しましたように、関西地区の原研の果たしておる役割りというものは非常に大きい役割りを果たしております。しかし、まず第一は安全ということであります。十分安心していただけるように、安全を守るようにいろいろな施設を講ずるように、その辺私からも原研に対してよく指導していきたい、かように思っております。
  196. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回のこの装置の設置によりますと、結局オゾンの発生であるとか窒素酸化物等の発生も、これは当然考えられるわけです。御承知のようにこれはオキシダントに変化する、こういうことで光化学スモッグの大きな原因にもなっておるわけですね。そういうようなことも一つ出てきておる。しかも、ここでは非常に大きなコバルトを使っていますね。コバルトはここでは二千キュリーと千三百キュリーを使っているわけです。数字としてはかなり大きいわけですね。ただ抽象的に、付近の人に安心してもらうようにします、それだけではだめなんですよ。いままでこういうような放射性物質を扱っておるところにつきまして、かなりの事故だって起きているわけですよ。そうでしょう。少なくとも最近十年間の事故で何件あったのですか。一ぺん年度別に言ってください。紛失等の事故あるいは汚染等の事故ですね。
  197. 成田壽治

    成田政府委員 RI関係の最近十年間の事故でございますが、三十五年は二件届け出があり、三十六年が四件でございます。三十七年が二件、それから三十八年が一件、四十年が一件、四十二年が一件、四十五年が二件、これは紛失の場合でございます。  それから、汚染の事故でございますが、三十六年が一件、三十七年が二件、四十年が一件、四十二年が二件でございます。四十七年におきまして三件の事故、四十八年においては三件の事故が紛失、汚染、その他によりまして出ております。
  198. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、こういう装置が完全であるといっても、やはり人為的な操作の間違いで事故を起こしたり紛失したり、そういうことも現実に起きているわけですね。最近といいますか、四十七年度を見ましても、四十七年の四月十九日、原研、廃液が漏出しておりますね。バルブの不完全。四十七年の十月十七日、日本アイソトープ協会、運送中に紛失しております。四十七年の十一月十四日、原研、ラジオアイソトープ輸送容器がもともと汚染していたため、トラックの荷台が汚染した。四十八年一月十六日、東京大学アイソトープ総合センター管理区域内でのぼやが発生した。四十八年三月八日、シンロイヒ株式会社、運送途中の紛失、現在調査中。四十八年五月十七日、北海道大学医学部付属病院、紛失したけれども三日後に発見した。こういうように、それでは安心かというと、こういうことを見ますと、全然これは安心じゃないわけですよ。だからみな心配するわけです。今回のその装置でも、オゾンなり窒素酸化物なり、あるいはまた当たればエックス線だって出るでしょう、そうでしょう。これは、もしもの事故がありますときにはやはり人体に影響があるわけですよ。少なくともそういう増設工事等をすることについて、平家建てである、そう言いながら、しかも十三メートルもあるような異様な建物を建てていく。そういうことが全部これは不信につながっていっているわけですよ。そういう点に対して、これは絶対に安全であるということがいえるのですか。
  199. 村田浩

    村田参考人 住民の方々の不信を買ったといたしますと、その点申しわけないのでありますけれども、この研究所といたしましては、先ほど申し上げましたように、まる十五年の歴史がございますが、その間に、ただいま先生が御指摘のような放射線関係での事故は一件も起こっておりません。また、現在高線量率加速器、電子線加速器ができましても、この研究所からは一切いわゆる放射性廃棄物は出てまいりません。したがいまして、結局ここに持っております設備、つまりコバルト60そのものの貯蔵、保管、それからこの加速器の運転に伴いますところの御指摘のオゾンあるいは窒素酸化物、あるいは二次的に発生いたします、これは大体電子線の約一%ぐらいと見ておりますが、そういったエックス線が建家の外に出ないように厳重に規制をする、安全管理をする、そういうことは当然でございまして、たとえばオゾンにつきましても、今度の設備には活性炭の装置をつけてございまして、発生しましたオゾンあるいは窒素酸化物はすべてこの活性炭の装置を通って外部に放出される。その外部に放出されるときの濃度は〇・〇一PPMでございまして、オゾンについてのはっきりした規制値はございませんけれども、これまで労働省の労働基準局の安全衛生部の審査委員会などから勧告として出ております数値の十分の一以下でございますし、また、窒素酸化物につきましても、大阪府の府の基準に定めてありますものの約十分の一以内にとどめるようにいたしてございます。また、コバルト60などの装置は、これもドライ式の方法でございまして、ペンシル型のコバルト60線源はステンレススチールの二重のかんの中に密封されておりまして、これが常時は鉛の容器の中に納められ、その鉛の容器は厚いコンクリートでつくりました部屋の中に保管してあるわけでございます。使用いたしますときには、この部屋の中には立ち入ることはできませんけれども、その照射室は壁の厚さが六十センチから一メートル五寸センチに及ぶ重コンクリートの壁を使いまして、室外にそういった放射線源のあるために居住できないような線量になることを防止しているわけでございます。この電子線加速器につきましても、電子線加速器を入れます部屋の壁のところで現在の規制値であります三十ミリレム・パー・ウイーク、その量になるようになっております。したがって、この建物から近いところでその敷地の周辺までは十三メートルばかりございますが、その場所におきましては、通常のバックグラウンドと変わらない線量になっておるわけでございます。したがいまして、放射線障害等々のそういう安全管理につきましては、もちろんわれわれますます今後努力いたしますけれども、私どもの計画、管理の状況から見まして、皆さん方にそういう意味でのほんとう意味の心配をされることはないと私どもは確信しておりますし、また、そのようにやってまいらなければならないと思っております。
  200. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま成田局長が私の質問に対してお答えになったこういう事故例を見ましても、運搬であるとか、保管であるとか、照射であるとか、やはりそういう事故があるわけですよ。こういう安全性ということについては、本委員会においても機会あるたびにやかましく申し上げておるわけです。こういうことがあるということ自体、何ぽ心配ありませんと言ったって、やはり心配があるわけですよ。安全性ということについてこういう事故が起きておることについて、大臣はどう思うのですか。こんな事故があって、住民に安心しなさい──裏づけがないじゃないですか、これは。その点についてはどう反省されていますか。
  201. 前田佳都男

    前田国務大臣 この大阪の問題につきましては、ただいま村田理事長からるる御説明申したとおりでございますが、とにかく、先ほど成田君が御説明いたしましたように、運搬、保管その他の過程においていろいろ事故があるということ、まことに私も残念に思っております。これの防止のために鋭意努力をしなければいけないと思って一生懸命取り組んでおるわけでございますが、なかなか先生指摘のようにそう万全にはいっていない場合もあるわけでございまして、さらにこの点は、先生の御指摘を体して、安全性の確保のために極力措置を講じていきたい、ということを申しますと、何か話が抽象的じゃないかという御指摘をまた受けると思うのでございますが、きょうは抽象的に一応考え方をお答え申し上げておきたいと思う次第でございます。
  202. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、この原研もまた長官も、安全性については十二分に配慮をして措置を講じると、このようにおっしゃっているわけですが、十六年前と比べますと、この写真でもごらんのように、そこに四千世帯あるのですよ。四千世帯の団地のどまん中にぽんと八千坪の研究所があるのです。こういう人口密集地に危険な放射線を扱う研究所があるということ自体、これは環境政策上におきまして私は問題が非常に大きいと思うのです。この点、どのように感じておられますか。これは副理事長と長官にお伺いしたいと思うのです。
  203. 村田浩

    村田参考人 先ほど先生お話しございましたように、この研究所が当時日本放射線高分子研究協会という形でスタートしました昭和三十三年当時は、一面何もないような状況でございましたそうで、わずかに同志社中学か何かがあったということだったようであります。当時のことを引き続きずっと見てきております桜田先生に伺ってみましても、いわば研究所はあの地区における草分け的存在であったということであります。昭和四十一年でございましたか、それまで研究所、当時放高協と申しておりましたが、約二万坪余りの敷地を持っておったわけでありますが、地元の大阪府の住宅供給公社あたりからの御要望もございまして、現在研究所の裏側の高台になっております地区でございますが、そこを一万坪余り府の住宅計画に協力するようなことで売却いたしております。したがいまして、結果的に、そのために非常に周辺に家がどんどん建ってしまったということになりまして、いまになりますと、そのために少し住宅密集地のまん中にあるじゃないかという御指摘を受けるような形になったわけで残念でございますけれども、しかし、私どもとしましては、あそこにございますところの研究施設、新しい加速器を含めまして、約八千三百坪ばかりございますこの敷地の中で十分安全に管理できるという確信のもとにやっておるつもりでございまして、施設の大きさ、安全性と敷地の広さという関係から見まして、ぜひあそこでりっぱな研究を続けてまいりたい、こう思っておるわけであります。
  204. 近江巳記夫

    ○近江委員 現行法では、この放射性物質の取り扱い規制につきまして、管理であるとかあるいは施設、器具等多くの定めがあるわけですけれども、周囲の環境については定めておらないわけですね。この法規制を見ますと、「使用施設は、地くずれ及び浸水のおそれの少ない場所に設ける」、こうなっているわけですね。環境についてはそれ以外には定めてないわけです。ところが、こういう人口の密集地域におきましてこれだけのコバルトも使っておるわけでありますし、こういう点につきましては、今後は当然取り扱い量の大きいところについては何らかの規制が必要じゃないかと思うのです。こういう環境の問題については科学技術庁考えてないのですか、どうですか。
  205. 成田壽治

    成田政府委員 法令上確かに環境関係は、放射線障害防止法施行令第十二条にある「使用施設は、地くずれ及び浸水のおそれの少ない場所に設けること。」と、この規定しかないのでありますが、ただ、環境に、周囲に対する放射能とかあるいはその他の影響については、障害防止法の基準規定以下に押えるように厳重に管理をやっております。また、コバルト60の輸送についても運搬基準がありまして、安全上問題ないようにいろいろなたてまえになっております。ただ、周囲の環境、人口が非常に密集してくるとか、そういう問題については、つくりましたときは、先ほど話がありましたように非常に住宅のないところにつくったが、その後の住宅化によって非常に稠密になってきたというような事態等もありまして、法律的に一がいにこれを規制するということはなかなかできない問題ではないだろうか。むしろ内部における原子力施設の安全を十分に守らせて、極力周辺には出る量、レベルをうんと少なくする。それからもう一つは、また周囲に対して、今度の原研の大阪研も説明その他が十分でなかった点もあったようで、周囲の理解を得るように、周囲の人との関係等においてももっと綿密に親切にやっていくべきじゃないか、そういう運営面での改善等も十分考えるべき問題だと思います。
  206. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回のこういうようないわば配慮のない工事着工の件がありまして、それからさらに増設であるとか増強計画が非常に心配されているわけです。今後の計画についてどう考えているのですか。
  207. 成田壽治

    成田政府委員 大阪研の施設の強化、今度の問題の、ことし完成すると思いますが、その後の増設その他については、われわれは原研からまだ具体的な計画を聞いておらないのであります。
  208. 近江巳記夫

    ○近江委員 じゃ原研の副理事長にお伺いします。
  209. 村田浩

    村田参考人 放射線化学が今後どういうふうに発展してまいりますか、これはいろいろ見方はあろうかと思いますけれども、私どもとしましては、大阪研の持つ使命あるいはその役割り等からしまして、現在建設中の電子線加速器よりさらに何かまた新しいものを増設するという計画は持っておりません。
  210. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしても、大阪研究所はこういうような人口密集地の中にある。こんな人口密集地の中にある施設なんてどこもないわけですよ。そういう点で、どうしても必要な施設であり研究であると、このように副理事長もおっしゃっておるわけですが、そうであればどこかもっといい場所へ、そういう人口密集地じゃない場所へもう移転すべきじゃないかと思うのですけれども、今後の大阪研究所等についてどういう考え方をなさっているのか。それについてひとつお伺いしたいと思います。
  211. 村田浩

    村田参考人 繰り返して申し上げますように、安全の問題につきましては、私ども十二分に自信を持っております。まあ地元の方々がこれではたして十分御了解いただけるかどうか、今後のことではございますけれども、これまで大阪でやってまいりました放射線化学の基礎研究の重要性、さらに今後の重要性、それからまた、あの場所におきまして関西地区の研究者あるいは学者の方々等からの御協力をいただく場としての位置づけその他からしまして、これを移転するということは考えておらないわけでございます。
  212. 近江巳記夫

    ○近江委員 しかし、いまのようなそういう原研の態度であれば、住民の理解も協力も私は得ることはできないと思うのですよ。ああいう工事のやり方であるとか、いままでのそういう姿勢を見ておって、幾ら安全性がもう心配ないからとかそういうようなことであっても、なかなか住民の不信感というものは解けないと思うのですね。しかも移転は考えない。工事だっていまストップしたままでしょう。こういう大きな問題になりながら、私は非常に努力が足らないと思いますし、将来の移転とかそういうことも含めて、さらに将来計画について真剣に考えるべきじゃないですか。もう一度お伺いします。
  213. 村田浩

    村田参考人 現在まだ住民の方々といろいろ話し合いを進めておる段階でございますが、私どもとしましては、冒頭に申し上げましたように、新しい施設を設ける、開始するにあたりまして、いろいろ事前の御了解をいただく、あるいは御説明を申し上げ、意義を十分納得していただく、こういう努力の足らなかったことは反省いたしておるわけでございまして、その意味におきましても、今後住民の方々の御協力を得たい。そのためには、まず安全性ということについて、私どもが幾らこう口で申し上げても、信用ならぬということでございましたならば、たとえばその周辺の監視設備というようなことを考えまして、地域の方ともどもその点については十分監視できる体制ということも考えられると思いますし、また、八千三百坪ばかりございますが、建家はそのうち約六百坪余りでございまして、まだ使っておらぬ土地もございますが、そういった土地を緑地化するとか、あの辺は、写真で見るとわかりますように、非常に団地になって住宅が密集しておりますので、いわば緑地化してまいるとか、樹木の少ないところでございますから、木を植えて憩いの場にするとか、そういったようなことをひとつぜひ今後積極的に考えて御相談申し上げていきたいと考えております。
  214. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしましても、住民の不安というものは、従来こういう施設に対する事故等も起きておりますし、それはぬぐうことはできないと私は思うのです。そういう点につきまして、何回もくどいようですけれども、あれだけの密集地でもありますし、将来の移転とかそういうこともお含めになって、そしてこうした住民の要望に対してもこたえ、しかもまた、今後そうした研究を進めていける体制等も考慮していただきたいと思うのです。この点を強く要望申し上げて私の質問を終わりたいと思うわけですが、最後に副理事長と長官の今後の抱負と決意を聞かせていただいて、私の質問を終わりたいと思うのです。
  215. 村田浩

    村田参考人 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、大阪研究所は、過去十五年余りのこれまでの歴史で、わが国の中においてももちろんでありますが、国際的にも非常に高い研究業績をあげております。一例を申し上げますと、現在フランスとわが国との間で放射線化学の研究協力協定を持っておりますが、その中でも非常にりっぱな業績を大阪研から出しまして、フランス側からも高く評価されております。フランスのほうからとわがほうから研究者の交流というようなことも進められてきたことがございます。  そういう次第でございまして、せっかくここでこれまでやってまいりましたそういう業績というものを、歴史というものをさらに高めて、そして、そういう研究の成果というものができるだけ多く、できるだけ早く国民の皆さんのお役に立つように、安全のうちにそういうふうに持っていくように、一切の放射性物質を出さないように管理しながらそういうふうに持っていくという努力を続けてまいりたいと考えております。
  216. 前田佳都男

    前田国務大臣 先ほど来近江先生と私のほうの政府委員並びに参考人との問答を聞いておりましたが、とにかく、いずれにいたしましても、御指摘の地区は、この写真で見まするとおり非常な密集地帯に相なっております関係上、環境保全といいますか、そのためには特に力点を置かなければいけない、力を入れなければいけないというふうに考えております。従来でも、私は別に安易に考えておったとは思いませんけれども、今後は一そう御指摘の点も伺いまするので、この点につきましては極力御意思を体して、たとえばいま村田理事長が申しましたように、あるいは緑地化を考えるとかいろいろ憩いの場所を考えるとか、いろいろそういうことも含めまして安心していただけるように、そういう措置をとるようにいろいろ私も考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  217. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。      ————◇—————
  218. 石野久男

    石野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  環境科学技術に関する問題調査のため、参考人を招致し、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 石野久男

    石野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選、出頭の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 石野久男

    石野委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、来たる六月六日午後一時理事会、一時十五分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十一分散会