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石野委員 だとするならば、やっぱりその
安全性を配慮するための
対策というものが、
原子力発電基地における最大の課題だと思う。そういう
立場で対処しなければいけないだろうと思う。
長官も御存じのように、これは
長官じゃなくても、だれだってわかることだが、発電所ができてしまってから発電をするなと言ったってとめるわけにはいかないでしょう。だから
原子力発電については、少なくともきのうの
参考人も言っているように、たとえば
廃棄物はどうするのだとか、再
処理工場はどうするのだ、そういう方策も何もないままでどんどんやっていく。特に炉については、ECCSのような問題で非常に問題が大きいものがあるのだ。それらの問題についてもまだ未解決のものがある。いろいろ雑多な問題の解決を要するものがあるのにもかかわらず、
産業界は次から次へと今後どんどん
開発をするというようなことをやっていることはけしからぬという
意見がきのうあったわけです。
政府に
政策がないのかということまで言われているわけですよ。私は、やはりこの
段階で、
科学技術庁長官は特に
原子力委員長として、こういう問題について明確な
態度をとらなければいけないと思うのですよ。
私は、
あとでまたこの法案については、これは商工委員会でやるわけですから、そこで論議をさしてもらいますけれども、しかし
科学技術委員会としても、この問題は、法案
自体はわれわれには
要請はないけれども、われわれはこの内容についてはたいへんな問題があると思うのです。だから、当然ここで論議しますけれども、しかし、いずれにしましても、
長官の
原子力基本法に基づいておる
原子力政策という
観点が、私から見るとどうも信頼が置けないのだ。だからそういう点で、
長官はもう少し
原子力基本法に基づく
原子力政策についての確信ある
態度をとってほしいと思う。これは要望しておきます。
そこで、きのうの委員会の中で、特に放射能障害については
参考人の
立場でみな
観点が違いました。
政府側に立って、
政府側と言っては悪いのですけれども、
政府機関に
関係している
方々とそうでない
方々との
観点は違ったけれども、しかし、
ローマ会議でも言われているように、放射能における微量な線量被曝というものについての危険というものは、これはやはりわが国においても同じような
観点から見るべきだろうと思うのですよ。
そこで私は、
長官にこれははっきりした
態度を聞きたいのですけれども、
安全審査がいろいろ行なわれてきて、安全はだいじょうぶですよ、こう言われた。言われたけれども、その後いろいろな
観点から見て、どうもそのままではよくないというようなことから、
長官はこの前、再
処理工場については無
公害の状態にまで持っていきたいという
発言をしたわけですよ。この無
公害まで持っていこうということをことさらに言わしたものは、
水俣裁判の結果だったと思います。
水俣裁判と
原子力災害の問題は同次元では
考えられませんけれども、しかし、少なくとも再
処理工場の問題で
安全審査委員会が出しておる
結論について、私たちはこのままこれを容認しておっていいかどうかが問題だと思うのですよ。たとえば
安全審査委員会は再
処理工場についての
結論をどのように出しているかといえば、それはいわゆる包括する
結論としては、「本再
処理施設の設置に係る
安全性は、十分
確保し得るものと認める。」これが審査結果なんですよ。ところ、が、ずっと審査の内容を、少なくとも私たちが持っている
資料だけで見てみまして、「放射性
廃棄物の処分とその周辺に対する影響」の
段階ではこういうように書いている。これは全部読んでいると時間がなにしますが、気体
廃棄物については、「一日当り〇・七トンで年間三百日
処理すると仮定した場合、一日当り約八千キュリーである。」こういうように言っているわけですよ。これは常に言っているように、クリプトンなどが出るわけでしょう。それらの放射性物質、そういうものが出て、そしていろいろ「「原子炉安全解析のための気象手引」を参考にして計算した結果、最大の濃度があらわれる地点は主排気筒から約二キロメートルの地点であり、その地点における被ばく線量は、全身に対し三二ミリレム毎年、甲状腺(成人)に対し〇・〇三ミリレム毎年となり、法令に定める周辺監視区域外における許容被ばく線量五〇〇ミリレム毎年に比して十分低い。」こういうような見方をしております。これは気体からくるものなんです。
ところが、今度は液体の問題でいきますと、液体問題では、一日に〇・七トンで三百日
処理した場合は、そこからの年間に放出される放射性物質の量は二百六十キュリー以下であって云々と、こうあります。
そういう問題をずっと集計してまいりますと、その液体から出てくる被曝線量は、海岸線に出ていきますから、海岸線に出ていって、海岸でいろいろなモだとか海産物から体内に入ってくるもの、あるいは海水浴なんかによって身体被曝をするもの、外的に被曝をするもの、そういうものをずっとこの量だけで集計してみましても、全部集計すると年間約五〇ミリレム以上になってくるのです。それでも、その個々のものではだいじょうぶだ、だいじょうぶだ、こう規定している。
その後、アメリカの
原子力委員会の許容量がやはり百分の一ということになってまいりました。年間五ミリレムという形になってくる。
日本がもしその年間五ミリレムを採用すれば、これはもう明らかにこの地域住民はたいへんな被曝線量にさらされることになってくるのですよ。こういう実情が出てくれば、審査委員会のこの
結論をもってして再
処理工場を設置するということになると、われわれはこういう危険をあえて承知の上で再
処理工場の操業を認めなければならなくなってくるのです。
周辺地域住民がどんなに心配するかということは、
長官自身おわかりになるだろうと思うのですよ。もし
長官がこの問題についてこれでいいと言うならば、再
処理工場が操業したときにあすこへ家を建てられて、
長官はあすこへお住まいになってくださったらいいのです。たいへんなことだと思うのです。場合によったら私は、自治体の諸君と相談して別荘でもつくって、各電力会社の社長さん連中を全部あすこへずっと置くようにしますよ。そういうふうにして居住していただくといいと思うのですよ。これはこのまま放置できるものではないと思うのです。当然、四十四年三月二十五日に判決を下したところの再
処理施設
安全審査専門部会の
結論について再検討すべきじゃないだろうかと私は思いますが、
長官はどう思いますか。