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1973-07-19 第71回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十九日(木曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 浅井 美幸君    理事 國場 幸昌君 理事 佐藤 孝行君    理事 床次 徳二君 理事 中村 拓道君    理事 西銘 順治君 理事 安井 吉典君    理事 正森 成二君       北澤 直吉君    田中 龍夫君       竹中 修一君    本名  武君       渡部 一郎君    永末 英一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      坪川 信三君  出席政府委員         防衛施設庁税務         部長      河路  康君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         沖繩開発庁振興         局長      渥美 謙二君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君  委員外出席者         大蔵省理財局国         有財産第二課長 川崎 昭典君         大蔵省銀行局銀         行課長     清水  汪君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 七月十七日  辞任         補欠選任   安里積千代君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   小平  忠君     安里積千代君 同月十九日  辞任         補欠選任   安里積千代君     永末 英一君 同日  辞任         補欠選任   永末 英一君     安里積千代君     ――――――――――――― 七月十六日  沖繩県市町村議会議員年金制度の本土並み遡  及適用に関する陳情書  (第五三二号)  沖繩県軍港湾労働者雇用保障に関する陳情  書(第五三三号)  沖繩県の国道三三一号線の即時開放に関する陳  情書(第五三四号)  那覇軍港返還に関する陳情書  (第五三五号)  沖繩県昭和四十八年産とうきびの最低生産  者価格に関する陳情書  (第六〇七号) 同月十八日  北方領土早期返還に関する陳情書外二件  (第六四一号)  沖繩県昭和四十八年産とうきびの最低生産  者価格に関する陳情書  (第六四二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 浅井美幸

    浅井委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井委員 前回の委員会におきまして、社会、共産・革新共同、公明、民社、四党共同提案で、沖繩住民等が受けた損害補償に関する特別措置法案提案をいたしました。そのことは、当日の提案理由説明で私申し上げましたとおり、筆舌に尽くしがたい、二十数年にわたる米軍沖繩占領下において県民被害を受けています。その被害の広範さあるいはその被害の深さは、はかり知れないものがあるのではないかと思います。ところが政府は、不当にも沖繩返還協定において、ほとんどすべての請求権を放棄したわけであります。したがって、私どもは、これらの措置に対する政府の今日の段階における対応を今日までも強く要求してきたわけですが、なかなかおやりになろうとしない。そこで待ち切れずに、野党提案という形でああいう立法措置が必要であるということで国会に問題を提起した、かような次第であります。  ここに外務省発行の「沖繩返還協定県民生活」という。パンフレットがあります。一九七一年七月。外務省は当時、返還協定の直後において、沖繩県民に対するPRとしてこれを出したものであります。またこの内容は、国会でも数々の場合に政府の正式の態度として表明もしております。  たとえばこの中には、当時の愛知外務大臣が六月二十二日に沖繩を訪問して、返還協定の成立について報告しているわけです。その報告の中にも、こういうことばがあります。「私は、協定を閣議決定致しました際にわざわざ発言機会を得て、「請求権」の問題は今後の沖繩の発展のためにあくまで取り組むべき日本政府の問題であるとして、全閣僚の協力を特に求めておいたのであります。」といっております。坪川大臣も当時は閣僚でなかったかもしれませんけれども、こういうことばはそのまま生きているのではないかと思います。  その年の六月十七日に、佐藤総理大臣協定にサインをした直後の談話がありますが、この中にもこうあります。「また沖繩県民米国に対する請求の問題についてば復帰後国内的にも適切な措置を講ずる方針であります。」、こうはっきり言明されております。ですから、そういうものにかかわらず、適切な措置を講じているようには私ども見受けられないということはたいへん遺憾であります。  そこで、きょうまずお伺いをいたしておきたいのは、全部放棄をしたと私は言いましたけれども、しかし協定四条の第二項及び第三項においては、若干の日本側請求権アメリカ側が認めた規定があるわけです。そこで、協定が成立してからあと、この規定はどのように処理されてきたのかということをまず伺っておきたいと思います。政府としての対応はこれからあとで伺うことにして、アメリカが当然やるべきことの約束があるわけですから、これをどういうふうに処理しているか。時間が十分ありませんから要点をお答えを願いたいと思うのです。  今日まで、この第二項あるいは第三項について、アメリカはどういうふうな措置を講じたか。その実績について、金額とか件数とか、それから正当に権限を与えた職員を置くという規定もございますが、これはいつから何人、どこに駐在をし、どのような仕事をしているのか、まずこの点から伺います。
  4. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 沖繩返還協定四条に基づく請求権処理につきましては、合意議事録に、四条二項の請求権というのはこれこれということで六項目あがっております。それに従いまして処理状況を御説明申し上げたいと思います。  まず第一に、土地に対する損害にかかわる請求権高等弁務官布令第二十号関係収用宣言にかかわる請求権、これは沖繩にあります陸軍工兵隊によって処理されるということになっております。  次に、旧琉球列島米国土地裁判所の管轄に属する請求権は、中断することなく、土地裁判所後任機関により処理されることとなっております。この後任機関につきましては後ほど御説明申し上げたいと存じます。三番目に、外国人請求に関する米国法律に該当する請求権は、引き続き沖繩にあります各軍の外国損害賠償請求委員会によって処理されることになっております。四番目に、労働災害補償に関する米国政府またはその機関の被用者の請求権は、引き続き沖繩にある各軍の人事事務局によって処理されます。  五番目に、審査を求め得るその他の請求権で、いま申し上げました各項目に該当しないものは、那覇にあります米国の総領事館に提出することができる。  六番目に、旧琉球列島米国民政府に対する請求権は、沖繩にある米国陸軍の適当な事務局に継続される請求権とみなす、こういうことでございまして、昨年の九月に、現地当局から四条二項並びに四条三項に関する請求権のある向きは文書をもって提出すべし、こういうことを沖繩県知事を通じまして通告がございまして、沖繩県知事からこの旨が周知いたされております。この通告に対しまして、現地方々から請求権に該当するものとして、現在申し出のございましたものが総額千五百五十万ドルというふうに承知いたしておりまして、現在その請求がそれぞれの機関によって処理されているというふうに承知いたしております。  なお、先ほど触れました旧琉球列島米土地裁判所後任機関に関しましては、かねで早期発足日本側としていろんな機会に要望しておったところでございますが、米側のいろんな事情によりましてその発足が若干おくれまして、先般五月の十七日に、沖繩土地請求権審問委員会というものの設置が正式に発表いたされまして、この審問委員会委員長といたしまして、アイゼンスタインという陸軍の係官が任命されております。したがいまして、従来の旧土地裁判所に関連いたしまする請求につきましては、五月に新しく発表されましたこの機関において処理される、こういうことになっております。
  5. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、すでに請求がこの請求権に基づいて完全に処理されて、補償というふうな措置が講ぜられたというケースは一件もないわけですか。
  6. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 現在米側において手続中というふうに承知いたしております。
  7. 安井吉典

    安井委員 もう復帰後一年以上をすでに経過しているわけです。そういう段階で、少なくも千五百五十万ドル請求があるという段階において、一年たってもほとんど結論が出てないということがどうもふに落ちないような気もするわけであります。この合意議事録四条に関する部分、第三項の「アメリカ合衆国政府は、日本国政府協議して、2の手続を周知させ及びこれが容易に利用されるようにするため必要な措置をとる。」という規定がございますが、これに十分当てはまるような措置はとられているというふうに日本政府は考えておいでですか。
  8. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 昨年の九月の十四日に、沖繩にあります米国陸軍工兵隊事務所から屋良沖繩県知事に対しまして、四条三項に関連する申請を受け付けますという旨の書簡が出てまいりまして、その日にそれに関する新聞発表が行なわれております。四十七年、つまり昨年の十一月の十七日に、沖繩県当局から沖繩米陸軍工兵隊事務所に対しまして、先ほど申し上げました申請が出されまして、米側審査が始められている、こういう状況でございます。
  9. 安井吉典

    安井委員 話があちこちいたしますけれども、この協定四条に「正当に権限を与えた職員琉球諸島及び大東諸島に置くことを許される。」というこの「職員」という規定は、いまいろんな機関が置かれているというふうに御説明がございましたけれども、そのどれに当てはまるわけですか。
  10. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 先ほど答弁申し上げましたように、継続すべき案件によりまして、陸軍工兵隊事務所処理すべきもの、それから土地並びに漁業権に関連いたしまして、先ほど答弁申し上げました土地請求権審問委員会処理すべきものと、いろいろ分かれております。したがいまして、こういうものを含めまして、合衆国の機関というふうに考えておるというふうにおとりいただきたいと存じます。
  11. 安井吉典

    安井委員 重ねて伺いますが、「アメリカ合衆国は、日本国政府との協議のうえ定められる手続に従い」という規定がありますね。両国の協議の上に定められた手続というこの意味は何か成文化されているのですか。
  12. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 第四条に関します合意議事録に、先ほど答弁申し上げました請求権処理の態様が規定されてございます。現在これ以上に特別の規定手続があるわけではございませんで、日本側といたしましては、旧土地裁判所後任機関発足が非常におくれているということに対しまして、かねて米側に対しまして非常に遺憾であり、早急にこの機関発足を促したいということを言ってまいりまして、ようやく五月にこの後任機関発足した、こういう状況でございます。
  13. 安井吉典

    安井委員 「正当に権限を与えた職員」というふうにこの協定の中にはっきり書いたという意味は、私ども当時、何か特定の人物をアメリカのほうが言ってきて、それに日本が許可をするというふうに理解していたような記憶があるわけですが、いまおっしゃるのは、その「正当に権限を与えた職員」というのは、この人がそれであって、この人は違うんだという、その特定する方法とか何かはあるのですか。つまり、そうでないと何をやっているのかわからぬわけですよ、実は。向こうさんがやっていることだからというふうなことになって、県民の切実な要求があっても、一体どのように処理されているのか日本政府は全然わからぬ。私は、そういうような事態を防ぐために、特別にこんな規定をあの協定の中に置いたのではなかったかというふうにいまも思うわけですが、その点どうですか。
  14. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 請求権処理にあたりましては、これは県民方々にきわめて直接的に関係のある重要な問題であるということで、この請求権の対象となるべき沖繩県民方々の実際上の便宜に対して十分配慮する必要がある、そういう基本的な考え方もと日米間で協議をいたしまして、復帰前に行なわれておりました請求権処理手続を、できる限りそのまま踏襲するということが最も実際的でありまた便宜に沿うものである、こういう趣旨で話し合いまして、先ほど申し上げましたような案件について、それぞれ具体的な請求処理に当たってきておる、こういう状況でございます。
  15. 安井吉典

    安井委員 その際に、日本国政府はどういう立場に置かれるわけですかね。いまもこういう仕組みについての御説明があったし、それから請求が千五百五十万ドルになっているという御説明でありますが、日本政府はどういうふうにタッチしていくわけですか。ただ、国会質問があるので問い合わせしたらこういう答えがきたということじゃ困るのです。具体的に県民立場に立って、これは沖繩県民だけじゃない日本国民全体に請求権を持っている人があるわけでありますけれども国民全体の立場に立って、日本国政府が、アメリカがかってな措置に出ないように、特にアメリカはドルで苦しんでいるときですから、あるいは不当な措置に出るかもしれません。そういうような際に、日本国政府としてはタッチする方法はないのですか。現にどういうふうにやっているか、あるいは将来どういうふうにするか、それをひとつ伺います。
  16. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 返還協定四条に基づきまして、請求権処理に関する原則的な合意はできているわけでございますが、これがなるべく迅速に、かつ系統的に処理されることが望ましい、こういう考え方もとに、県民と申しますか、現実請求問題に直接の関係を持つ方々遺漏なく手続を進めることができるということを本旨といたしまして、手続についての周知徹底をはかり、また関係方々から、それぞれ申請が漏れることなく期間内に提出されることをはかってまいったわけでございます。  政府といたしましては、このように具体的な手続軌道に乗りまして、それをもと審査がなるべくすみやかに行なわれ、なるべくすみやかに、請求を申し立てた方々に正当な手続を経て正当な補償が行なわれることを期待しておるわけでございます。
  17. 安井吉典

    安井委員 日本国政府外務大臣が直接行かなくても、たとえば県は親切に窓口になってあげなさいという指導とか、日本側として被害を受けた、つまり請求権を持っていると考える県民アメリカの問題なんだから、こちらはそばから見守っておりますという態度だけでは、私はきちっとした処理はできないのではないかという心配をするものですから、沖繩総合事務局があるんだから、それからまた県庁もあるわけですから、もう少し親切な立場県民アメリカのその折衝に関与――どのような程度かわかりませんよ。それも私はいますぐにどうすればいいということを申し上げているわけではありませんけれども、もっと親切な関与のしかたがありはしないかということです。どうでしょう。
  18. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 請求権処理原則につきましては、返還協定四条日米間の合意が行なわれているところでございます。したがいまして、この原則合意に基づきまして、具体的な手続が進められる、直接請求関係のおありの方々遺漏なく手続が進められるということがまず必要であります。そのために、昨年の九月に現地工兵隊事務所から県当局に対しまして申請提出方の要請があり、これをもとに、県当局から関係方々に周知され、それに基づいて申請書が出て今日審査中でございますし、もう一つ、先ほど答弁申し上げましたように、旧土地裁判所関係につきましては、ようやくこの五月に後任機関発足が見られまして、この申請期間があることでございますから、その期間内に正式の手続を踏まえるということについての指導現地において行なわれておる状況でございます。政府といたしましては、軌道に乗りましたこの手続が順調に進むということを期待しているわけでございます。
  19. 安井吉典

    安井委員 これは六十八国会沖繩特別委員会質問に対する福田外務大臣答弁要旨だけここに書いてありますけれども、「一般請求権は国がこれを処置する、米側協定に従って請求の責めに任ずるものは米側が行なう。」それからあと沖繩県民アメリカという関係でこの問題が処理されると、その間に摩擦が生じやしまいかとの懸念はもっともである。この点は施設庁中心になり、総理府関与して問題の処理に当たるが、責任当局者に伝えて、できる限り善処するようにしたいと考えている。」福田外務大臣答弁です。このとおり何もやってないじゃないですか。防衛施設庁あるいは総理府総務長官もおられますが、福田外務大臣国会答弁があるのですが、一体何をされておるのですか。
  20. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほどからの安井委員の対米請求権の問題は、沖繩県民、いや日本としても非常に重要な案件でございますので、沖繩国会においてもいろいろと論議をかわされたことも知り及んでおるのでございますとともに、先ほどからの御意見を交えての御質問に対しましても、政府といたしましては十分傾聴もいたしておるような次第でございます。したがいまして、開発庁といたしましての立場から申し上げますと、先ほど福田時の外相としての発言のごとく、施設庁において中心になってこれと取り組むという姿勢をはっきり明示されており、具体的な点等においては、開発庁総合事務局において、対米請求権に関する県民相談あるいは受付等は、窓口を開いていわゆる御相談に応ずるという姿でおるような次第でございますので、総理府の本庁におきましての窓口責任官庁は、やはり施設庁という立場で統一した方途でこれに取り組んでおるというようなことでございます。なかなかその処理に当たって困難な問題が出てまいりました場合には、外相意見のごとく、各省庁で連絡を密にして、これに対する対応策をば政府がとるという方針であるとともに、御案内のごとく、六百万の予算をもって現在施設庁においては調査を行なわれておる、こういうような点で、政府といたしましては、こうした重要な問題に対しましては、沖繩国会答弁いたしましたその方針をもって、真摯にこれに対する対応策を講じてまいりたい、こう考えておる次第であります。
  21. 安井吉典

    安井委員 それはあとでもう少し詰めたいと思いますが、ちょうど防衛施設庁の問題になりましたので、沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律第三条の人身損害に対する見舞金支給規定であります。日本政府アメリカに対して県民請求権を一切放棄しながら、これだけが補償ではありませんけれども見舞金という形で規定のある唯一のものです。これは政令も出ているし、予算も組まれて、すでに第一年度、第二年度と経過しているわけですが、昨年度及び本年度の実績、今後の見通し、処理状況、これをひとつ伺います。
  22. 河路康

    河路政府委員 沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律第三条におきます、一九六七年高等弁務官布令第六十号による支給漏れ者に対しましての見舞金支給に対しましては、四十七年度における実績は二百十一名で九千四百三十八万八千二百二十三円の支払いが終わりました。それから四十八年度につきましては、四十七年度に支給できませんでした百七十五名加えまして、四十八年度以降に申請がございました二百十名、合計いたしまして三百八十五人を四十八年度以降で処理する予定になっております。予算につきましては、四十七年度から繰り越しました予算が約一億、四十七年度に成立しました予算が約二千六百万円で、合計一億二千六百万円余で一応処理する予定になっております。もし不足がございましたら、さらに四十九年度で予算要求いたしたいというふうに考えております。
  23. 安井吉典

    安井委員 その分はすでに申請は大部分終わったというふうに見ておられるわけですか。
  24. 河路康

    河路政府委員 見舞金申請の時期は復帰後一年というふうにございまして、一応五月十四日で締め切っております。現在、五月十四日までに申請を受け付けしましたものが、先ほど申し上げました四十八年度では二百十名、四十七年度分の百七十五名を加えまして、合計三百八十五名を今後処理するという予定になっております。
  25. 安井吉典

    安井委員 私が伺っておるのは、一年間の期間で、あと気がついたら私も該当するのであったというふうな申請漏れといいますか、そういうものはないというふうにお考えですか、どうか、そういうことです。
  26. 河路康

    河路政府委員 申請につきましては、沖繩県をはじめ、この申請期間が一年であるということについて、関係者皆さんに十分周知徹底するように、新聞広告をいたしましたり、市町村を通じて皆さん周知徹底方をお願いしておるわけでございますので、私どもといたしましては、五月十四日までには皆さん関係者申請を一応終わったというふうにいま現在は考えています。現在のところ、五月十四日以降に申請を出されてきた方がございませんので、私どもとしてはそう考えておる次第でございます。
  27. 安井吉典

    安井委員 それでは、きょう大臣もお見えでございますから、開発庁長官としてでも、総理府総務長官とされてでも、どちらでもけっこうですが、それからまた関係省庁皆さんもおられるわけですので、伺いたいのは、米軍のいまのわずかながらの補償措置、それから防衛庁関係法律特別措置法に基づく見舞金措置、これの今日までの実績を伺ったわけでありますが、しかし、私は、県民請求権あるいはそれに類するものというのは非常にたくさんあるのではないかというふうな感じ方の上からお尋ねをしているわけでありますけれども一般の人は、アメリカのものとこの二つの口があって、それ以外のものはないのだ、しかし、自分の持っている要求は一体どれに当てはまるのか、あるいはまた、このどちらにも当てはまらない要求なのか、そういうのがわからないでいる面もずいぶんあるのではないかと私は思います。つまり、米軍周知措置を講じたとか、防衛施設庁窓口を開いたとかなんとかいったって、県民人たちは、ものすごい数のそういう要求というものをまだもてあましぎみでいるのじゃないかと思う。そういうものの相談はないですか。  この間の沖繩国会におきましても、総合事務局窓口になって、そういうようなものが全部引き受けて相談相手になっていく、そういうこともいわれているわけでありますが、現実にはどんなふうな処理になっているか。少し具体的に、こういうのがあって、こう処理しているのですというような具体的な話も私は聞きたいわけです。どうでしょう。
  28. 岡田純夫

    岡田政府委員 まず具体的な例といたしまして、講和前の人身損害の未補償者の取り扱いにつきましては、いま防衛施設庁のほうから受け付けた状況なりそれから処理状況報告がございましたが、その中で、防衛施設庁には行きづらいというふうな県民の方もおられるわけなのであって、御指摘のような前国会におけるところの総理府と申しますか、沖繩開発庁の出先の総合事務局におきましても、いわゆるその相談に乗っていくというふうなあれを開きたいということで、そのように実施いたしてまいりました。相談のございましたのは三十件、相談に来られてその中で、なるほど、該当であるということで措置されたものが十四件ということでございます。数からいきますと比較的少ないのでございますけれども総合事務局のほうに親しんで相談に来られたという人はそういう状況でございまして、人身の関係は以上のとおりでございますが、防衛施設局に中心になってもらいながらも、こういう窓口におけるところの相談あるいは連絡といったようなことにつきましては、今後とも協力してまいりたいというふうに考えております。
  29. 安井吉典

    安井委員 そこで、政府側のお答えいただきましたような対応のあり方に対して、私どもは非常に不満なものですから、先般御提案申し上げましたような法律案を準備したわけであります。私はあの法律案の中において、県民のさまざまな要求について、少なくも当然アメリカ法律によって処理すべきもの、そういうようなものくらいはいますぐ処理してもいいのではないかということを前段に置きながら、しかしそんなものでも不十分なので、抜本的な対策として、総理府の中に沖繩関係補償問題調査会を設けて、全面的な請求権放棄に対する補償の問題について検討すべきではないか。いまのアメリカ関係のものも防衛施設庁関係のものも含めて、とてもそんなものでは間に合うわけはないのですから、広く全体の窓口をつくるということくらい、これぐらいのことは私は日本政府として当然やってもいいことではないか。かつて在外資産の問題が非常に大きな政治問題になって、国会が提起して調査会をつくって処理した例がありますね。私は、県民の全部の要求に沿えるか沿えないかは別としても、せめて調査会をつくって、全体の問題への対応をきめていく。あるいはまた、アメリカ向けのものにしても防衛施設庁向けのものにしても、これが窓口になって処理をしてあげる、それくらいのやり方は、県民が当然持っている請求権を、全く県民に無関係に放棄してしまった政府の責任としても、それくらいは私はやってもいいのではないかと思う。これはひとつ大臣から伺いたいと思います。
  30. 坪川信三

    坪川国務大臣 社会党を中心とされました野党各党の共同提案によるところの提案の内容についても、私も大事な問題でございますので、いささか勉強もさせていただいておるわけでございます。その趣旨あるいはその内容、大事な問題三、四点にわたって、適切な御要望のあることも、私は大切な御意見として拝承いたしておるのでございますが、県民の、いや日本人としての非常に重要な問題でありますので、政府といたしましては、先ほど申しました方針で真摯に、しかも親切に、しかもその心情を十分そんたくいたしながら処置をいたしてまいり、具体的な処理につきましては、先ほど岡田政府委員答弁いたしましたように、また外務省政府委員答弁されたような実態でございます。したがって、いまの段階においては、いま施設庁調査をいたされておりますので、その調査の結果等も勘案いたしまして、どうこれから取り組むべきであるかという方途も私も一応考えなきゃならぬ、こういう気持ちは持っておりますけれども、いまの段階においては、先ほど申し上げましたような、現地においては親切に県民の声と訴えを十分に聞き、窓口をもってこれの処理に当たる、そして本土政府におきましては、施設庁中心となってこの問題に真剣に取り組み、また外務省その他と連絡調整をはかりながら、総理府も推進役という立場からこれに対応すべく取り組んでいくという方針で、心情的にはよくわかって、統一した何か一つの、大きいといいますか、機関を設け、あるいは室を設けてこれを一本化すべきであるという御趣旨は十分理解できますし、ごもっともだと思いますけれども、いま申しましたような施設庁調査の終えた段階において、こういう問題も十分ひとつ検討してまいりたい。御趣旨はよく理解しますし、そうした方向で真剣に取り組む覚悟であることを申し上げておきたいと思うわけであります。
  31. 安井吉典

    安井委員 そういう抽象的な御説明は、もういままで何回も何回も、この問題の質疑応答の中で繰り返されたわけなんです。     〔正森委員長代理退席、委員長着席〕 私は、もう具体的に乗り出して政府がおやりにならないんなら、もう国会法律を通すというくらいの――きょうは自民党の議員の皆さんもおられるけれども、あの在外補償の問題も、あれもいろいろこうやっているうちに全党がみんな一緒になって議員提案になったんですよ。私どもは一生懸命に苦労してこういう法律案をつくりました。つくりましたけれども、これから自民党も入っていただくことによって、内容は少しダウンしてもこれはいたしかたないと思いますよ。やはり政府がおやりにならぬのなら国会が、こういうものなら私はコンセンサスができる可能性があるのではないかと思う。それくらいのところまで実は考えているわけですよ。だから、いまいろいろお話がありましたように、いま沖繩ではもう単なるこれだけじゃなしに、戦前あるいは戦中の日本軍による被害あるいは戦争被害、これは、もう恐ろしいほどの深刻さの中に沖繩人たちは置かれたわけですからね。それについての補償もいま大きくわき上がっている段階なんですけれども、せめて米軍のやつぐらいは処理できるという体制でなければ私はいかぬと思う。そういう意味合いで、もう会期も終わりになった段階でありますから、なかなか法案の具体的な処理ということになるとむずかしいかもしらぬが、しかし私は、ごく近い段階にそういうようなところまでいかなければいかぬと思う。しかしすぐにそれにいかなくても、政府の側としても、沖繩開発庁もあるし防衛施設庁も出先を持っているんだし、それから外務省外務省で、もうアメリカのごきげんとりだけの段階じゃないんですから、もっと要求すべきものはきちっと要求していくという態度を堅持して、御処理を願いたいということをひとつ申し上げておきたいわけであります。  先ほどアメリカ局長の言われた各合意議事録の項目ごとの処理機関、ちょっとメモがとれない部分がありますが、あとでメモをお出しください。  それじゃ、もう時間がありませんので簡単にお答えください。石垣飛行場の戦争による日本軍の接収、それの補償がまだ済んでいないという住民要求があることはこの委員会でもかつて取り上げられました。予算委員会の分科会でも取り上げられました。私もこの間行きましたら、またそのお話を承ったわけでありますが、大蔵省のほうでいろいろお調べをいただいているそうでありますから、その調査の現段階における結果についてちょっと御説明をいただいて、それで終わりにしたいと思います。
  32. 川崎昭典

    ○川崎説明員 御指摘のお話は私どもも常々伺っておりまして、現地におきまして一応の調査をいたしました。その結果、買収につきましては、御陳情なり、おっしゃっておられるように代金を払っていないその他のことはございませんで、売買契約で所有権は移転しておるということになっております。しかしながら、当時の事情が事情でございますので、現在私どものほうで管理しております土地につきまして――これは三分の一ぐらいは飛行場になっております。三分の二ぐらいは農耕地でございますが、旧地主の方々から返してくれという御要望が非常に強い。一方では耕作者の方々は、同じ土地とは限りませんけれども、旧地主には返すな、耕作者に売れという御要望が非常に強い。したがいまして、早急な処分ができかねる状況にございますけれども沖繩振興開発とかそういったものがだんだん具体化してまいりまして、土地に関する利用方針というものが打ち出されます暁には、それに沿った処理ができるように、今度は個別に具体的な調査を始めたい、そういうふうな感じを持っておるところであります。
  33. 安井吉典

    安井委員 支払いが銀行凍結という問題は……。
  34. 清水汪

    ○清水説明員 ただいまの代金の一部が、当時の鹿児島興業銀行などの定期預金証書の形で凍結されているという問題があるわけでございますが、この点につきましては、調べましたところ、その後途中の変遷はいろいろございましたけれども昭和三十年代に入りましてから沖繩在住の方々に対しましても――現在この銀行を引き継いでおりますのは鹿児島銀行でございますが、鹿児島銀行から確認されたものについては支払いをするということでやっておりまして、その点はごく最近でも、たとえば昨年からことしにかけてでも約四十件、三十万円ちょっとの支払いが行なわれているという実情でございます。  しかしながら、さらにまだ多少の残高がある。それは銀行のほうでいえば別段預金という形で確認されておるわけでございますので、今後の支払いにつきましてはさらに円滑にいくよう、もし必要な措置があれば、銀行のほうの事情を聞きながら検討していきたい、こういうふうに考えております。
  35. 安井吉典

    安井委員 ちょっと時間超過してすみません。あとにいたします。
  36. 浅井美幸

  37. 國場幸昌

    國場委員 最初に、時間がずいぶんおくれまして、理事といいながらも出席のできなかったことに対しておわびを申し上げます。  質問は重複するかもしれませんが、いま野党連合のもと沖繩請求権補償に対しての問題が質問されましたけれども、私はこの法案が目的とする諸問題、沖繩住民の請求権に対して、今日まで政府はいかように取り組んできたかということに対して、まず、政府の今日までの経過に対して御報告をお願いいたしたいと思います。
  38. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほど安井委員の御質疑に対しましてもお答えいたしておるのでございますが、対米請求権沖繩県民の切な要望、また重要な課題であること、これに対して、沖繩国会政府当局が述べられた方針をわれわれいまの田中内閣といたしましてもこれを堅持いたしながら、これに対して真剣に取り組んでおるような次第でございますが、御承知のとおりに、その取り扱いの担当は施設庁がこれを行なうということで、その内容等の現実の問題の調査を六百万の予算で続けられておる。そして現地総合事務局においては窓口を持ちまして、県民の御要望を十分お聞きいたし、それに対するところの適切な措置を講ずるというような方針現実の上にとっておりまして、政府のほうにおきましては、御承知のとおりに、施設庁中心となり、そして総理府がそれの推進調整役の立場から、外務省その他と連絡をとって、これに対するところの方途を講じておりますし、野党の四党の皆さんも非常に真剣にお取り組みになっての措置法案というものも拝見いたしており、また、自民党・与党におかれましても、これの取り組み方に対する非常に強い御要望等も、けさの自民党の部会においてなされておるということも私は聞き及んでおりますので、そうした立場から、ひとつ真剣に取り組んで、いかなる時点において、いかなる方法においてこれの立法、いわゆる制度上のなにを持つかというようなことは、これからの研究課題として、各党通ずる強い御意見を踏まえながら処理してまいりたい、こういうような方途であり、いまの段階においては、いま申しましたような具体的な処理によってこれを進めておるということで、御理解を願いたいと思うのでございます。
  39. 國場幸昌

    國場委員 この問題に対しましては与党、野党言わずして、現実においての沖繩住民の長年のアメリカの統治下においての被害あるいはまたその他においての諸問題に対しましても、解決せなければいかない問題がたくさんあるわけでございます。ここで長官のいまおっしゃったような姿勢、これを大いに推進していただきたい、こういうようなことでございますが、まあ復帰しまして一年有余、今日に至って多岐にわたる複雑な問題でもありますし、その解決策としては、やはり政府当局としましてもいろいろな困難さもあるとは思いますが、しかし私は、やるというような気がまえをもってやるなればできないことはない、こういうようなことを信ずるわけでございます。  この返還協定の第四条一項では、原則的に放棄した。これは講和条約、安保条約あるいはまた今度の返還協定、かようなるものからの筋を通じましても、請求権に対しての放棄ということはうかがわれるわけでございますが、しかし、日米間においてのわが国としての放棄であって、決してこれは沖繩住民には損失を及ぼさない、返還協定によるところの放棄に対する適正なる補償に対しては、国がかわってこれをやるということは、再三再四にわたっての政府当局の答弁でございまして、ひとしくこれを期待し、復帰したならばこういうような問題が解決されるんだというような期待のもとに、今日まで過ごしてきたわけではございますが、政府立場も理解するといえども、しかし、これが関係するところの住民にはあまり理解されてないというようなことも考えられるわけでございまして、また陳情も受けております。  そこで私は、まず返還協定の第四条二項の後段においてのアメリカ政府を代表する事務所の設置問題、これは返還協定においては、まず読み上げてみますと、「アメリカ合衆国政府は、日本国政府との協議のうえ」、この「協議のうえ」ということに大きくまた私は関心を持つわけでございますが、「定められる手続に従いこの協定の効力発生の日以後そのような請求権を取り扱いかつ解決するため、正当に権限を与えた職員琉球諸島及び大東諸島に置くことを許される。」こういうようなことが書いてあります。  と申しますのは、いわゆる請求権に対して放棄したといえども、第二項の前段においては、これこれに対してはという、合意議事録によって指摘しているところの六つの条件といいましょうか、なにがしるされております。四条に関する合意議事録において、これこれこれはというようなことで、(1)(2)(3)(4)(5)(6)までしるされて詳しくこれは説明されておりますが、問題は、それをやるということに対して、また漏れたものということもあるわけではございます、これを一日も早く解決するというようなことになりますと、さっきも申し上げましたとおり、条約に対してのアメリカの責任、また国内関係におきましての政府沖繩県民との責任においてなすべきもの、これが今日までどのような進展を見ておるか。はたして、その取り扱いについての事務的な処理としましては、どの省がこれを所管しておるものであるか、これに対してお伺いをいたします。外務省がやっておるものであるか、あるいは総理府のほうでやっておられるものであるか、施設庁でやっておられるものであるか。
  40. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 返還協定四条に掲げられております請求権処理の問題につきまして、アメリカとの関係に属する問題につきましては、外務省米側と直接の折衝を行なってまいっております。ただ、現地関係におきましては、実際問題として現地施設局がその面の仕事を担当していただいておる、こういうような状況でございます。
  41. 國場幸昌

    國場委員 施設庁がやっておられるということでございますが、これは、施設庁は本省でやっておるものであるか、また沖繩のほうの施設庁の出先においてやっておられるものであるか、どっちですか。
  42. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 先ほど私の御答弁がちょっと正確を欠いておりましたので、あらためて答弁させていただきたいと思いますが、米側と交渉を要しまする問題につきましては、外務省が担当いたしております。米側と直接の交渉ではございませんけれども、かねて沖繩返還交渉当時から問題になっておりまして、返還協定に基づく請求権の対象にならない問題については施設庁その他で御担当いただいている、こういうことでございます。
  43. 國場幸昌

    國場委員 いずれにしましても、この問題に対しては促進をして、いまこうこういうことでやっているんだというようなことを、地主に対して早く徹底周知させるのが必要だ、こういうことを考えるわけでございます。沖繩住民の気持ちとしましては、いまさっきも申し上げましたとおり、いざこれを実現させるためには、あらゆる角度から、多岐にわたる問題に検討を加えて実現する段取りをいまやっておるのだという御誠意に対しては理解するとともに、しかし、一年たった今日、いまだ何の解決策も見られない、こういうようなことに対して、沖繩関係する請求権を持つ方たちは不満を持っておるわけでございます。  そこで、いま外務省あるいは施設庁、こういうようなことをおっしゃっておるわけでございますが、しかし、実のことを言いますと、これは総理府開発庁がやるべきものだ、それは施設庁のやるべきものだ、こういうような、どこからどこまではどの所管においてなすべきかということに対し、出先のほうとしましては、これは高度な問題であるので各省に関連する、防衛庁でございます施設庁、それから内閣の内閣審議室といいましょうか、それとか、農林関係になりますと農林省だとか、いろいろ多岐にわたってあるのでしょうが、しかし、沖繩から出てきまして各省にまたがってこれを交渉するということにはなかなか困難さがあるので、かようなるものを一括して窓口を一本化していただきたい、こういうことが沖繩関係する方たちの声でございますが、これに対しまして、いま調査段階であるということを理解しつつも、この時期はいつごろになるのでございましょうか。調査段階調査段階といいましても、いつまでも待つわけにはいかないというのが現実でございますれば、これに対するところのお考え、また計画をお聞かせいただきたいと思います。
  44. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほど安井委員からそうした点の要望もされ、また非常に適切な御発言もあったわけでございますが、政府といたしましては、國場委員よく御承知のとおりに、現実の上において何ら放置して、またセクショナリズム的な考えで責任のなすり合いをやっておるというようなことでなくして、受け付けた件数だけでも、さっきも申しましたとおり五百九十六件に及んでいる。この現実をごらんいただきますならば、真剣に親切にこれを受けとめておるという具体的な件数で御理解いただきたい。そして受理いたしましたものの中からも支払いをいたせる件数が二百十一件にも及んでおるというように、決していばって言うのではございませんけれども現実の上において適切な処理をいたしております。  しかし、大事な問題だから窓口を一元化してやってもらいたいというそのお気持ちもよく理解いたします。  また、野党四党による立法の内容についてもよく理解いたしておりますが、そうした現実をいま着実に推進いたしながら、施設庁調査されているそうした点も踏まえまして、これをどうすべきかということは、今後の処理問題として真剣に取り組んでいきたいという方針を、前の安井委員にも述べましたとおりでございますので、いまタイムリミットをどこに置くべきかというようなことで現実処理しつつあるのでございますから、適切有効な方途を講じながら、この問題を一元化する方向で努力をいたしたいとは思いますけれども、いまの現実は申し上げましたような実態で、政府は、これからもなお一そう真摯に取り組んでまいりたいということでございますので、その点ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  45. 國場幸昌

    國場委員 この問題は、やはり利害相反するといいましょうか、政府としましては調査でこれが適正であるということでありましても、地主側のほうではこれは不満であるということで、いろんな問題が今後出てくるのだといろことを感ずるわけでございます。  そこで、承るところによりますと、沖繩県知事を主体にするところの、請求権の解決に対する協議会か何かがあるということを聞いておるわけでございますが、それと政府とのつながり、あるいはまた、いままで要請されたところの手続問題、かような問題がどういうぐあいになっておりますか。沖繩では御承知のとおり、自衛隊というものに対するアレルギーといいましょうか、いろいろな問題がありまして、沖繩側の利害関係にある者が施設庁と直接顔を合わすということに対して、ちょっと行きにくいというような立場にある方たちもおるということを聞いておるわけでございます。その辺のことに対して、スムーズにそれが解決できるようにするためには、やはり沖繩におけるこれに対する促進協議会といいましょうか、そういうのがあるということを聞いておりますが、これはどうなっておりますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  46. 河路康

    河路政府委員 施設庁としましては、当方の那覇局のほうから、沖繩県当局中心とした関係市町村で構成される、沖繩返還協定放棄請求権補償推進協議会が発足したということの情報を聞いただけでありまして、その協議会と何ら接触したことがございませんので、現在どのように働いておられるかという状況につきましては私ども存じておりません。
  47. 國場幸昌

    國場委員 もしその協議会ができましたら、ひとつ政府のほうでもこの機関というものを尊重されまして――と申し上げますのは、これが正しいということは私は申し上げません。調査の結果によっての内容を知るためには、ここにおいて知るよりもそのほうが、やはり調査漏れもあるでしょうし、いろいろな問題が多岐にわたってございますので、そのほうに対してでも意見をよく開陳しまして、よりよい結果がもたらされるように希望するわけでございます。  それから、御案内のとおり、開放地に対しての補償問題でございますが、次から次に整理縮小ということで、これは沖繩返還協定の本会議においてでもできるだけ努力して、不要不急ということは言えないかしれませんが、沖繩の基地の過剰密度、そういうものに対しては解消すべく、県民の意思にこたえて整理縮小していくのだというようなことで、その線に沿って政府も努力され、防衛庁としましても御協力されておるということは理解するといえども、しかし、開放されて、御案内のとおり、米軍の使用中においてはほとんど地形も変化しておる、境界線ははっきりしない。調査と申しましても、これが一年かかるか二年かかるかというような目鼻もつかない。開放されると同時に賃貸料は打ち切られ、それに対して生活の根拠をなすところの方たちがずいぶん困っておるということになりますと、何のために開放されたのであるかということが意味をなさない。たとえ測量はしましても、これがまた復元補償というのがきまらないうちは、変形されたところの構造物の、今日までコンクリート、アスファルトあるいはまた砂利、バラストというようなことで敷き詰められておるところをすぐ利用しろということにしましても、直ちにそれが利用価値ができるわけでもありませんし、私はそれに対して、いま放置されておるところのたとえば本部の飛行場あと、あるいはまた伊江島の飛行場あと、読谷の飛行場あと、最近に開放されたところの那覇の与儀のタンクあと、あるいはまた石川に放置されたところの、いわゆる開放されたところの土地、かなり問題が、返したからいいんじゃないかというようなかっこうのことであるかしれませんが、いまだにそれに対する解決策を見ておらない。いまさっきも承りますと努力しておるといえども、しかし努力が一年かかるか、二年かかるか、三年かかるかと、こういうような時期をいつまでも待って、それではそのきまるときにというわけにはいかないのがやはり地主の立場でございますので、私は、政府そのものがその立場をよく理解しまして、これに対する何とかの形において、たとえ開放されたといにども、開放以前においての使用中の賃貸料に対しては、その額というのが必ずしも、全額ということは理想であるかはしれませんが、しかしその損害に対しての賃貸料に見合うところの補償、それをひとつお考えになっておるかどうか、これに対してのお考え方をお聞かせしていただきたいと思います。
  48. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 沖繩復帰されました後、引き続き安保条約に基づきまして、米軍の使用します施設、区域として提供しておりますものが、復帰後に返還になります場合には、復帰前に米軍によって形質変更されたものを原状を回復する義務につきましても、これは国がそれを負うことになっております。したがって、実施は防衛施設庁が行なうことになっております。そして、通常、返還になりました財産を所有者にお返しいたします場合には、さっそく原状回復の補償等のお話し合いもしなければならぬわけでございますが、本土におきましては、通常、米軍の形質変更が行なわれておりましても、地籍等につきましては十分の資料もございますので、地籍等を画定するための調査等にもさほど期間を要しないのが実情でございます。  また、米軍等が残置しておきました工作物等を、所有者があとこれを使わないから撤去してもらいたいという場合には、これを撤去する作業も防衛施設庁のほうで担当いたします。そういった点を踏まえながら、さらに、そういった工作物も撤去し、地籍も画定した後、それぞれの所有者がもとの状態において使いたい、たとえば、もとの農地の状態において使いたいということになります場合には、農地の状態に復元するための回復補償を、これは金銭の補償で行なうわけでございます。そういったお話し合いをさしていただきまして、一応所有者の方たちが通常常識的な使用収益処分を開始することができるまでの相当期間、この期間は、米軍から返還になりました後も、所有者の方に対しましては、提供中と同様の借料相当額を返還補償に伴います管理費としてお支払いしているわけでございます。これは、本土の場合には、通常原則として三カ月を見ているわけでございます。  ただ沖繩は、御存じのようにたいへんな特性がございまして、地籍の画定等に返還後も相当の時日を要する点がございます。  これらの点を踏まえまして、本土におきますような三カ月の期間に所要の、ただいま御説明申し上げましたような事務を進めるということはおそらく不可能じゃないかと思いますので、沖繩の特性を踏まえてこの管理期間、すなわち借料相当分をお払いする期間というものにつきましては、三カ月の原則にこだわらず、延長することも考えるべきじゃなかろうか、そういうふうに考えております。  ただ地籍の画定につきましては、防衛施設庁だけではなく、あるいは国土調査法に基づきます経済企画庁のお立場、あるいは法務省のお立場また開発庁のお立場もいろいろございます。寄り寄りそういう関係省庁とも御相談しながら、できるだけ早く地籍の画定を行ないたいと思いますが、ただこれが、いわゆる常識的な範囲を越えまして、何年も当事者同士の間の話し合いがつかないということで、解決しないままに借料を引き続き払っていくということは適当でなかろうかと思います。そういった点につきましては、やはり妥当な話し合いをさしていただく要があろうかと思います。原則としては先ほど申し述べたとおりでございます。
  49. 國場幸昌

    國場委員 政府のお考え方はもっともだ、これは一つの大きな進歩であるということを考えるわけでございます。地料も、境界というのを調査して、あとだというようなことがもし考えられてあれば、これはいままで貸地料というのは、一括しまして土地連合会のほうがその地籍は全部持っておりますので、彼らにまかせまして、返したのは一括して幾らだということであれば、それらは調査しましても、黙認耕作地とかそういうものに対しては、これは除外されるでございましょう。事実において支払いすべきが当然だというようなことはやはりわかりますので、これが、それじゃいまおっしゃるようなことが画定した後に計算されるものであるか、あるいはまた本土法の措置によると、三カ月といえども、開放されたときから引き続き三カ月は政府が肩がわりして支払う、目的とするものは、復元が保障されるというようなときまでというのが目的だ、こう思うわけなんです。御案内のとおり、沖繩の基地というのは本土とは違いまして、半永久的な、彼らも沖繩に基地を構築するときは半永久的だということを考えまして、これが返還されるのだから、大体仮設備でやっておけというのとは意味が違うのです。だからずいぶんこれには金もかかることであるし、日にちも要することでもあるし、本土法をもって三カ月だから、沖繩も三カ月だとおっしゃるとおりそういうわけにはいかないということをよく理解するわけでございますので、ひとつこれは地主において、現状としましては上本部あたりには、子供を本土において大学に入れたのが、この土地料が打ち切られて、それで学校も中退しなければいけないという立場にある困る人たちがおるわけですから、早急にその問題は実現すべくお願いしたいと思います。  それで、さかのぼってのこの法の適用ですか、法はないとしましても、いまの計画、この法に対してどうお考えですか。さかのぼって、たとえば三カ年前ということになると、三カ年前からそのとき取っておった軍用地料、それから更新されたところの軍用地料、これは算定基礎になるでございましょうが、そのお考えはいかがでございましょうか。
  50. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ただいまの御指摘の点は、おそらく、復帰前に布令二十号に基づきまして使用しておりました土地返還になった部分に関する問題ではなかろうかと思いますが、この問題につきましては、先ほど来御議論に出ておりますように、返還協定の第四条の二項及び三項に基づきまして、原則としては、米軍土地の復元補償については処理をするというたてまえになっております。ただ、布令二十号あるいは布令六十号等の処理の中身につきましては、先ほど説明申し上げました、防衛施設庁復帰後に処理する返還財産の補償ないし処理の要領と多少中身が違っておるかと承知しております。したがって、米軍との間で所有者がいろいろお話し合いをされて、なお後に問題が残るようなものが出てくるとすれば、これは将来政府側としてもいろいろと検討すべき問題があろうかと思います。今日におきましては、一応原則的に返還協定四条二項、三項の米軍の責任の範囲というふうに解しております。
  51. 國場幸昌

    國場委員 その米軍の責任というのに問題があるわけですよ。いまさっきから申し上げますとおり、日米間においての協定、たとえこれはどうあろうとも、実質に現実を踏まえて、沖繩住民としては政府肩がわりで損失を補償していただきたい。これはいまさっきも申し上げますとおり外務大臣、防衛庁長官あるいは総理府長官の一貫したところの答弁でございますし、それを信じておるわけなんです。だからいままたやり返しで米軍の持つ分野と言われるが、米軍はやりませんよ。開放したものに対してやりませんので、よしんばまたひっかかりがあるものに対しては、政府の責任において調査の結果――これは日米協定というものと実質において沖繩の地主との関係がずれるところもありますので、政府の責任において、現実を踏まえて損失を受けさせないように努力すると同時に、努力はするがアメリカがやらぬからだめですよというようなことのないように、ひとつよろしくお願いします。  それから、近く具志川市において九十六万平方メートル、三十万坪くらいになると思うのですが、これが開放されるんだというようなことで、地主は反対だ。というのは、いまさっきも申し上げましたとおり、復元補償問題に対して、開放されたら即日貸地料が打ち切られる、こういうような目鼻のつくまでは開放するのも反対だ、こういうようなことを新聞は報じております。このいきさつはどうですか。
  52. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ただいま御指摘のところは、おそらく施設、区域の名称で天願通信所になっておるのだろうかと思います。これは一応予定といたしましては、九月十五日に約八十万平米くらいの面積を、部分的ではありますが返還する予定になっております。またそれに関しまして、所有者の方々からそういう御心配なり御要望なりが那覇防衛施設局のほうへ出てまいっておるということも承知いたしております。ただ米軍といたしましては、日米間でいろいろと折衝いたしました結果、部分的と申しましても八十万平米にわたる相当面積を返還するということで、せっかく方針をきめたところでございます。所有者の方々にもその土地を受け取っていただいて、本来の使用収益を得ていただくことがたてまえではなかろうかと思います。ただ地籍の画定につきましては、ほかの沖繩の施設、区域におけると同様の問題でございます。ただ天願につきましては、すでに地籍画定のための作業を開始しておりますので、この点につきましても、できるだけ早く所有者の方々との間に円満に問題を解決して返還補償等の処理を促進したい、そういうふうに考えております。
  53. 國場幸昌

    國場委員 一つ御理解いただきたいことは、なるほど過密な沖繩基地、これはいま本土にも起きておるような問題でございまして、なるだけはこれがないほうがいいというのは、国民がひとしく願うところではあるということを感ずるわけであります。その土地の開放問題にしましても、これは地主あるいは一般考え方としては、地主が直接、間接にそれをもって生活をなされておるところの自分の財産、これは個人財産でございますので、これに対しては理由もあると思います。ところが沖繩の空気としまして、全面的に基地は縮小だという意向よりも、むしろ過激の団体におきましてはこれは撤去だ、これは見解の相違でございますが、私は現実としまして、開放されることに対しては喜ぶといえども、かようなるものが、あと始末が目鼻もつかないうちにただ開放だ、開放だというようなことのないように、いまさっきのこれに対してはこういうお考えを持っておるという、開放されたのに対してでも地主に迷惑をかけない、こういうことをしっかりとひとつ実現していただきまして、理想とするところの不要不急に対しては、一日も早くその問題が解決できるよう希望いたしまして、時間でございますので私の質問を終わります。ありがとうございました。
  54. 浅井美幸

    浅井委員長 以上で質疑は終了いたしました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十七分散会