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1973-04-25 第71回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月二十五日(水曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 浅井 美幸君    理事 佐藤 孝行君 理事 床次 徳二君    理事 西銘 順治君 理事 上原 康助君       小渕 恵三君    竹中 修一君       中川 一郎君    本名  武君       寺前  巖君    渡部 一郎君       安里積千代君    瀬長亀次郎君  出席政府委員         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         沖繩開発庁振興         局長      渥美 謙二君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君  委員外出席者         水産庁漁政部長 増満 二郎君         労働省職業安定         局業務指導課長 加藤  孝君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   正森 成二君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     正森 成二君 同日  理事森成二君同日委員辞任につき、その補欠  として正森成二君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  沖繩問題に関する件      ————◇—————
  2. 浅井美幸

    浅井委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 まず最初外務省にお尋ねしたいのですが、去る四月十二日に金武ブルービーチで起きた事件に対して、最近米側は、公務中の事件だということで、第一次の裁判権行使したいという正式な申し入れを行なったということが報道されております。それは事実なのか、また、それに対して外務省としてどういう報告を受けたのか、あるいはどういう対処策を持っておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  4. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 先般金武村のブルービーチで起きました戦車による事故につきまして、先週四月の十九日に米側から現地司法当局に対しまして、この事件公務中に起きた事件であり、米側として裁判権行使するという通報があったということを、司法当局から私ども連絡を受けております。したがいまして、今後の措置につきましては、司法当局と相談しながら対処していくということを考えております。
  5. 上原康助

    上原委員 そういたしますと、司法当局に第一次裁判権行使をしたいという米側申し入れがあったという報告を受けているだけで、外交交渉レベルでこの問題に対してどう対処していくかということについての、政府側のお話し合いというのは持たれていないわけですか。四月十九日といいますと、かれこれ一週間の期間が経過しておりますが、そこいらのいきさつについて御説明をいただきたいと思います。
  6. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 一次裁判権行使につきましては、先週末に、米側のその意向が明らかにされた旨を司法当局から私ども伺っているわけでございますが、私どもといたしましては、裁判権の問題につきましては地位協定定めがあるわけでございますし、この規定に従った適正な措置がとられるということが当然前提となっているわけでございます。  そこで政府といたしましては、裁判権の問題につきましては、ただいま申し上げましたとおり、地位協定定めに従って行なわれるということでございますが、今後このような不祥事件再発防止ということにつきまして、政府として米側に対しまして、いろいろな形で善後策それから対処策、これを申し入れてきたわけでございますが、現地米側といたしましては、今後の予防措置の一環として、採草、採木のための演習場立ち入りの許可については、今後新たに部内規則定めて、このような不祥事件再発防止に全力を尽くしていくという旨を通告してまいってきているわけでございます。
  7. 上原康助

    上原委員 この問題についてはこれまで二、三回いろいろお尋ねをしてまいりました。その間政府は、きわめて重大な問題であるので、裁判権の問題を含めて慎重に対処していきたい、外務大臣もそういう御答弁をしておられたと思うのです。いまの局長の御答弁によりますと、地位協定定めに、裁判権行使についてはよるのだ、従うのだというような御見解ですが、特に政府が重要と認めるものについては、第一次裁判権日本側に譲渡せよ、よこせという要求申し入れアメリカ側にできると思うのです、地位協定上。そういうお考えはないわけですか。
  8. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 御指摘のとおりに、地位協定十七条三項(C)という規定によりますと、「第一次の権利を有する国の当局は、他方の国がその権利放棄を特に重要であると認めた場合において、その他方の国の当局から要請があつたときは、その要請好意的考慮を払わなければならない。」という規定があるわけでございます。この「特に重要であると認めた場合において、」という規定があるわけでございますが、従来、日米双方とも権利放棄について相手側要請したという事例はないわけでございまして、今回の場合に、この重要であると認めて権利放棄要求するのかどうかということにつきましては、これは、司法当局意向を十分承知した上で対処しなければいけない問題であるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  9. 上原康助

    上原委員 どうもいまの御答弁に納得しかねる面があるのですが、内閣委員会でしたか、私最初にこの問題を取り上げた際にも、第一次裁判権行使についてはアメリカ側行使する可能性が強いということは、当初から政府はそういう態度を、見解を持っておられたのですが、やはりこの事件の経緯あるいは復帰後の沖繩基地問題等関連考えました場合に、特に重要と認められるものとわれわれは思うわけですね。事、裁判権の問題について外交交渉を積極的に進めるべき外務省が、単に司法当局にまかすというようなことは、国民生命尊重という立場からきわめて重要な問題だと思うのです。したがって、いま県の議会においてもあるいは多くの県民から、裁判権日本にまかすべきだという強い要求が出ていることも御存じだと思うのです。そういう政治的なあるいは復帰後のいろんな事情等も含め、国民感情等考えた場合に、裁判権は当然日本行使をする姿勢でこの問題に対処をしていくべきだと思うのですが、あくまで地位協定の範疇、地位協定定められたとおりにやるということですか。
  10. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 裁判の問題はきわめて重要な問題でございますから、この観点から、司法当局のきわめて厳正なる判断もとに、私ども対処しなければいけないと考えておるわけでございまして、地位協定定められた規定に従って対処するということもまた当然のことであります。
  11. 上原康助

    上原委員 警察庁来ていますか。——それじゃ、あと少し確かめておきたいのですが、米側公務中であるという認定をした根拠はどういうあれですか。
  12. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 公務中であると米側認定しておりますのは、私ども承知しております限りにおきまして、四月八日から十四日までという演習期間定め、その演習期間戦車による演習を行なっておったということからいたしまして、当該事件公務中に発生したものである、こういう立場をとっておるというふうに承知しております。
  13. 上原康助

    上原委員 その公務中であるという認定書といいますか、証拠というのは、司法当局には正式に提示されているのですか。
  14. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 具体的にどういうことをいってまいったかということについて、私、現在つまびらかにいたしておりませんけれども米側として、現地司法当局に対しまして公務中の事故である、こういうことをいってきたというふうに伺っているわけであります。
  15. 上原康助

    上原委員 先ほどから強調しましたように、一人の国民生命むざんにも戦車でひき殺された、そういう事件に対して、米側が、公務中であるということで第一次裁判権行使したいということを正式に司法当局に通告しておるにもかかわらず、そのことさえも外務省がまだ十分掌握をしていない。大きな問題だと思うのですよ。そこに外務省の対米従属性姿勢というものが浮き彫りにされたような気がするのですが、ほんとうに一人の国民生命ということに対して、もっと公平な裁判行使せしめる、あるいは国民生命、財産を保護していくという政治姿勢があるならば、こういう事情については迅速、的確に、米側が提出した資料等も取り寄せるのが外務省のお仕事じゃないかと思うのですが、その点は、その必要性はないとお考えなんですか。
  16. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 事件が発生いたしまして以後、私どもといたしましては、米側と密接な連絡をとりながら、いかなる状況においてこの事故が発生したのかということについては、米側からの通報に接しております。その状況によりますと、演習中、いわば味方側相手側というかっこうに相対峙した戦車が、訓練演習中に、相手側におったアメリカの一下士官が、こちら側の戦車被害を受けてなくなられた御婦人の近くに接近しているということを認め、たいへんだというふうに叫んでその戦車をとめようとしたけれども間に合わなかった、こういう状況において、今回の不幸な事件が起きたというふうに承知しているわけでございますが、このように、演習中に発生した事故ということで、公務性がきわめて強いということは、当初から米側連絡承知しておったわけであります。  そこで、とうとい人命が失われたということにつきましては、私どももまことに残念かつ遺憾なことに考えますけれども裁判権行使ということは、きわめて厳正かつ重要なことでございますので、これは地位協定に基づいて適正な措置がとられなければなりませんし、その点につきましては、司法当局のきわめて厳正な判断というものを私ども尊重するという立場にあるわけであります。
  17. 上原康助

    上原委員 そういたしますと、確認をしておきたいんですが、外務省は、最初にちょっと指摘しましたように、あくまで裁判権については地位協定定めに従う、また、米側に第一次裁判権放棄をしてもらいたいという申し入れをする気持ちも姿勢もないということですか。
  18. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 繰り返して申し上げておりますように、地位協定規定に違反した措置は当然とる考えはありませんし、また、とれないわけであります。  しからば、地位協定規定に従って何ができるかということになりますと、この点につきましては、米側は、第一次裁判権行使という意図を正式に司法当局に表明してきているわけでありますから、それを受けての、わがほう司法当局判断を尊重して対処しなければいけない、こういうことになるわけであります。
  19. 上原康助

    上原委員 重ねて強く要求しておきたいのですが、司法当局判断待ちということでなくして、政府として、裁判権行使については日本側にまかせという申し入れをやろうと思えば、地位協定上もできるわけですから、やる意思があるかどうかの問題だと思うのです。そのように裁判権行使についても、外務省として取り組んでいかれるように要求しておきたいと思います。  そこで、これとの関連で、防衛施設庁補償問題その他についていろいろ調査なりやっておられるかと思うのですが、防衛施設庁段階では、このブルービーチで起きた戦車事件は、どういう取り扱いをしておられるのか、御説明いただきたいと思います。
  20. 高松敬治

    高松政府委員 防衛施設庁といたしましては、もちろん事故が発生いたしました際に、警察または米軍当局と緊密な連絡をとって、これの真相の把握につとめるということがまず第一でございます。  それから第二には、米側に対して、これの事故原因の究明、それから演習上の安全管理の確保、それから再発防止対策というふうなものについて、ライアン少将あるいはフライバーグ准将に対して、銅崎那覇施設局長からいろいろ申し入れをいたしております。  問題は、補償の問題があと施設庁の所管として出てまいるわけでございますが、これにつきましては、米側警察当局と緊密な連絡をとりながら、まずその事実関係を明らかにするということが最も大切なことでございます。現在、これについていろいろ事実の把握につとめるということで努力をしているというのが実際でございます。
  21. 上原康助

    上原委員 どうも政府は、外務省にしても、施設庁にしても、この事件に対して、残念ながらきわめて消極的なことしか現段階までやっていないことをあらためて遺憾に思うし、政府の怠慢を追及せざるを得ないのですが、事実関係、事実関係とおっしゃるんですが、四月の十二日から今日まで約二週間にもならんとしているわけです。当然いまのように、第一次裁判権アメリカ側行使をするとなると、裁判そのものも公平に行なわれるのか、きわめてわれわれ疑問を持つのです。さらに、それと関連する補償の問題にしても、当然政府がもっと積極的に一人の生命に対しての責任というものを感じてやらなければいけないと思うのです。具体的にはまだ事実関係、そういうものは明らかになっていないわけです。いつごろまでには皆さんがおっしゃる事実関係というのははっきりするんですか。
  22. 高松敬治

    高松政府委員 これは、当初警察でいろいろ調べたことがございます。それから、現在は米軍中心になって調べているようでございますけれども、そういうことについての調べの結果というものを総合して判断しなければ、私どもは事実関係というものははっきりしないと思います。また事実、現在もそういう点について必ずしも全部がはっきりわかっているわけではない。それらは日を追って次第に明らかにされていくであろうと思いますけれども、そういう点についていつまでとおっしゃられても、私自身もその点についていつまでという明言はできないと思いますが、取り調べの進行に従って事実関係が明確になっていく、それに従って私どももそれに対応する補償というものを考えてまいらねばならぬ、かように思っているわけでございます。
  23. 上原康助

    上原委員 司法当局が来てないのであれですが、そうしますと、補償問題と裁判関係はどうなるのですか。裁判が確定するまで補償問題も事実関係も明らかにならないということになるのですか。そのかね合いはどういうふうにお考えですか。
  24. 高松敬治

    高松政府委員 非常にむずかしい問題があれば、あるいは裁判の結果を待つという場合もあるかと思います。しかし、そこまでいかなくても、裁判の結果ということでなくてもその事実はある程度まではっきりしてくる。たとえば過失度合い、あるいは双方過失という場合も考えられなくはありません。それから、被害者のほうには過失は全くなかったのかもしれません。両方の捜査を通してやっていって、双方過失度合いなり何なりというものが明らかになってくれば、補償その他の問題というものは当然決定されてくる。必ずしも裁判の結果を待つ必要はないと私は思いますが、ただ、たいへんむずかしいことが争点になっているというふうなことになれば、あるいは裁判の結果を待たなければはっきりしない、こういう場合も出てくるかと考えます。
  25. 上原康助

    上原委員 この事件裁判権の問題あるいは補償問題、基地立ち入りの問題とも関連して、これからもいろんな面に発展をしていく可能性が強いと思うのです。  そこで、きょうはこれ以上触れませんが、先ほど外務省当局にも強く要求をいたしましたように、施設庁を含めてこの件に対してもっと真剣に取り組んでいただきたいと思うのです。  先ほどアメリカ局長のお話では、裁判の件については地位協定にまかせてあと再発防止対策をやるんだということを強調しておられたんですが、この種の事件が起きるたびに再発防止対策というものは強調されてきているのです。事例をあげるまでもなく、基地が存在するがゆえに県民の命が失われてきている、犠牲にされてきている事例は数多く出ているわけですね。そういう点も含めて、また裁判権の問題も含めて、また残念ながら、この種の事件が起きるたびに補償問題ということも持ち出さざるを得ないわけですが、幾ら金を積んでみたって人間の生命にはかえられないのですよ。かといって、またそれに対する適正な補償をやらないという道理もないわけですから、そこいらを含めて、政府が早急に前向きに取り組んでいかれることをあらためて要求をしておきたいと思うのです。  それで、実はきょうは基地労働者暫定出勤停止、いわゆる基地内の労組活動なり基本労務契約に基づく制裁行為についていろいろお尋ねしたかったのですが、何か承ると労務部長がそういう件を含めて沖繩現地に行かれているようで、私もあとで知ってたいへん残念なんですが、その点はいずれかの機会に譲るとしまして、前から問題になっております軍港湾の件について、その後どういう対策をやってこられたか、現在はどういう状態になっているのか。各省連絡会議設置をして取り組むということはせんだっての委員会で確約をしていただいたわけですから、その点についての政府立場というものを明らかにしていただきたいと思います。
  26. 岡田純夫

    岡田政府委員 さっそく東京関係省庁連絡会議を設け、それから現地でも対策本部を設けましてやってまいったことは御承知だと思いますが、最初の第一回のときに企業内の配置転換を進めるあるいは見舞い金支給すべきものには直ちに支給する。その他当然のことながら、おやめになった場合の離職者対策として、振興法によるところの特別な措置をできるだけ弾力的と申しますか、円滑に進めるような配慮をするというふうなことをきめまして、その後三回にわたりまして、労働省中心にして関係省庁協議いたしてまいりました。最近は四月の十八日に第四回目の東京での連絡会議を開催いたしました。  並行しまして県のほうとしては、いろいろ問題もあろうが、とりあえず米側に直接雇用をするようにしてもらいたいというふうな要望を知事名で出されておりまして、その経過を見守る必要があるということでありましたが、外務省を通じて米側回答が参りました段階では、必ずしも直接雇用について触れておらなかったというようなことでもありましたので、県のほうとしては、重ねて、直接雇用をする気があるのかないのかというふうな回答を求めて、実はその回答が、昨日と聞いておりますが参りました。間接雇用のほうは現在の労管の体制からいって無理ではないかというような米側判断も含めて回答がございました。したがいまして、今後さらにそういうふうな前提に対する評価を含みながら、現地の県のほうの見解等も聞き、関係省庁の間でさっそく協議をしてまいるというふうになると思います。これは御承知関係でございます。  沖繩開発庁といたしましては、現地総合事務局がございますので、なおいろいろと現地の情報をつかみまして、たとえば昨日も、例の労働基準法に基づきますところの不足分と申しますか九日分の支給というものも、これは実は前から問題でございましたが、やはり支給されるものは支給すべきであるというふうな労働関係向きの御希望もあって、さっそくこの額を支給するという手配をとろうとしております。その他、失業保険金支給事務等も、関係向きとよく連絡をとりながら説明会を催し、支給事務を進める、こういうことでございます。とにかく今後あらゆる機会におきましてさらに問題を煮詰めてまいりたい、こういう状況でございます。
  27. 上原康助

    上原委員 少しだけ質問をするつもりが、やっている間に時間がたってしまっているのですが、そうしますと、設置された連絡会議窓口開発庁になっているんですか。私が前の委員会で提案をしているのは、当面、軍港湾労働者の問題が緊急なんでその解決に当たれということと、長い間懸案になっている旧四種雇用員の諸問題を解決をしていくのに、どうしても関係省庁窓口というものがはっきりしなかったので、それを明らかにしていくと同時に、政府全体で横の連絡をとりながら、旧四種雇用員の問題を解決していかなければいけないんだということで、ああいう連絡会議というものを設置をするということになったわけですが、これからもいろいろ問題がでてきますので、窓口開発庁になったという理解でいいですか。
  28. 岡田純夫

    岡田政府委員 この件は最初から、労働大臣の御答弁それから沖繩開発庁長官の御答弁でも、関係省庁寄り合いながら、労働省中心になって検討してまいるということになっておりまして、現に労働省中心になって、関係五者集まりまして調査しておるということでございますので、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  29. 上原康助

    上原委員 窓口労働省ですね。
  30. 岡田純夫

    岡田政府委員 そのように了解いたしております。
  31. 上原康助

    上原委員 労働省来ておりますか。i労働省、いいですね、窓口労働省ということで。
  32. 加藤孝

    加藤説明員 窓口という意味にもいろいろあろうかと思いますが、私ども承知しております意味は、連絡会議を呼びかけ、招集をしたりするのは労働省がやりましょう、こういうことでやっておる、こういうことでございます。
  33. 上原康助

    上原委員 そこで、先ほど開発庁の御答弁では、直接雇用間接雇用も不可能だという回答が、米側から外務省を通してきたんだということですが、アメリカ側が直接雇用間接雇用もできないと言った理由は、どういうことですか。   〔委員長退席西銘委員長代理着席
  34. 岡田純夫

    岡田政府委員 先ほど私の申し上げましたところを訂正させていただきますが、米側から回答がございましたのは、県の副知事あてでございます。
  35. 上原康助

    上原委員 外務省は、この件については、米側との話し合いは持たれなかったのですか。
  36. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ただいま説明がありました各省連絡会議外務省も参加いたしておりますが、この連絡会議で、四月五日付で、沖繩県の副知事から沖繩米陸軍基地司令官あての文書に対する米側回答が、なかなか出てこないというふうな事情を踏まえまして、米側と話をしてもらいたいというのがその会議での要請でありまして、それをもとに、外務省としては、副知事希望に沿った米側回答を至急出してもらいたいという折衝をしたわけでありまして、それに対しまして、十二日付で基地司令官から宮里副知事あてに、間接雇用は困るという返事が参り、その返事が、直接雇用の問題についてははっきり答えておらなかったものですから、重ねてその点の回答をまた促した、こういうかっこうであります。   〔西銘委員長代理退席委員長着席
  37. 上原康助

    上原委員 そのいきさつについては、私もいろいろ説明を受けたんですが、最近の状況は、アメリカ側はやはり新しい請負業者を募りたいという態度がほぼはっきりしてきているということなんですね。したがって、せんだっての委員会でも申し上げましたように、運送事業法に基づいた業者の選定という、それに契約に応ずる業者が出るかどうかという問題なんですね。ですから、旧四種雇用員の問題というのは、やはり契約内容そのものを改定をさしていくということを、政府としても強くアメリカ側申し入れなければ、私は、入札を募っても、なかなか応ずる業者がいないと思うのです、いまの状態からして。その点に対して、時間がありませんので、関係連絡会議で話し合って、窓口はどこであろうがいいわけですが、どうしてもアメリカ側との交渉事項になりますから、外務省もその点についてはぜひお骨折りをいただきたいと思うのです。その御用意があるかどうかですね。  それと、やはり新しい業者を募ってみても、千八十四名の労働者が全員雇用されるという状況にないというのは、これは諸般の事情からはっきりしているのですから、何名継続雇用できるのか、何名が解雇——もう現在も解雇されているわけですが、継続的に失業状態になっていくのか、そういうものも含めて、早急にこの関係連絡会議で話し合って、聞くところによりますと、五月の十日前後がめどということも承っているのですが、そのあたりの事情についてはまだつかんでいらっしゃらないのですが、あくまで契約内容を改定させていくということをアメリカ側申し入れてもらわぬと解決しないと思うのです。その点について、外務省なりあるいは労働省なりの御意見を聞かせていただきたいと思います。
  38. 加藤孝

    加藤説明員 いまおっしゃいますように、五月十日から入札に応ずるようにという話がきておると聞いております。そこで、今後の問題は、まさに御指摘のように、そういう請負業者が出てくるかどうかということでございまして、いわばその請負業者が出てくるような情勢づくりといいますか、そういう条件づくりを進めることが、今後の各省連絡会議での一番の大きな問題でございましょうし、それから、これは連絡会議という形を待たずとも沖繩県のほうにも、具体的にそういう港運業者にその辺の接触を始める、あるいは軍港湾労組のほうからは、全員継続雇用しろということをはじめとしまして、それから労働条件はいままでの労働条件を下回らないというような申し入れなどきておりますので、そういった情勢の中で、一刻も早く請負業者が出てくるような条件づくりというのが、やはり一番大きな問題になろうかと思っております。特に私ども連絡会議の場でも議論しております問題は、軍港湾労組のほうの御要望は、そういう場合にいままでの労働条件を下回らないということを強く希望しておられる。港運業者がいわば新しく引き受けようというような形できます場合に、結局、従来の國場組が請け負っておりましたような形でございますれば、それはなかなか労働条件を従来どおり保つことはむずかしいという問題がございまして、そういう意味で、いわば米軍に対して落札をする港運業者が、どういう入札条件、どういう条件で契約を請け負うかということが一番根本になってこようかと思います。その辺につきましても、連絡会議のほうで、特に運輸省など中心にしまして、その辺の対策は今後検討していきたい、こう考えております。
  39. 上原康助

    上原委員 時間がありませんから、外務省ですね、この契約内容の改定については、やはり外務省が積極的に米側と話し合わなければいかないわけですよ。請負の中身を変えないで、旧四種雇用員の問題解決というのはおぼつかないのですよ。せめてそういうことに対してはもっと積極的に話し合いをしてください。これは要望いたします。  それと同時に、前の委員会で、新しい業者については、港湾運送事業法に基づいた免許の認定を受けている業者がなるんだということを運輸省ははっきり言っておりますから、そういうかね合いを出すと、やはり条件も上げなければいかなくなると思うのですよ。そういう中身まで含めてこの点は検討していただきたいと思います。外務省、その御用意がございますか。
  40. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 沖繩の陸軍の基地司令官から沖繩県の副知事あての書簡で明らかになりましたところによりますと、米側といたしましては、港湾労務の特殊性という点から見て、直接雇用間接雇用も困る、こういう回答であり、そこで次の計画として、いま労働省から御説明がありましたように、五月上旬に請負業者による入札を米側としては予定しておる、こういうことでございますが、いま御指摘がございました点を含めまして、連絡協議会で各省ともよく御相談しながら取り組んでまいりたいと思います。
  41. 上原康助

    上原委員 これは、全員の継続雇用ということあるいは労働条件を下げないというのは、これは労働者の基本的な要求ですから、組合側の立場も理解できないわけではありません。ですが、どうしても解決しなければいかない段階にきておりますから、どれだけ雇用を継続していけるのか、どういう中身になるのかということは、あくまで政治的な、行政的な意味での解決が迫られているわけですから、ひとつぜひ、せっかく連絡会議設置していただいたのですから、その機能が実を結ぶように、早急に軍港湾労働者のかかえている問題、要求解決していただくようにあらためて要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  42. 浅井美幸

    浅井委員長 次に、瀬長亀次郎君。
  43. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に防衛庁にお聞きしたいのですが、恩納村の山火事、演習による山火事の損害賠償請求が、防衛施設庁に来ておると思いますが、この点御存じですか。
  44. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 おそらくキャンプ・ハンセンの演習場内の森林の火事のことを御指摘になっているのだろうと思いますが、この問題につきましては、昨年山火事が起きまして以来、那覇防衛施設局におきまして現地調査いたしまして、所要の補償を要するものにつきましては、現在手続を進めておるところでございます。
  45. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 恩納村長から出されておるのは、昨年の十月五日に発生した在日米軍のマリーン演習場より発生した火災に対する立木の補償の問題ですが、額は百二十七万九千円余りです。この問題につきまして、那覇施設局だと思いますが、この立木については六〇年に、いわゆる土地賃貸借権についてという布告に基づいて、いわゆる地上物件、これは全部アメリカの所有になっている。だから、日本政府として損害を賠償するわけにいかぬというふうなことをいわれたようですが、それは事実ですか。
  46. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 御指摘のように、復帰前に、米軍との間に恩納村が賃貸借契約を結んでおるわけでございますが、その際に、そのキャンプ・ハンセンの中にありますところの立木につきましては、ここに契約書の文言で、一定の地上物件における所有権その他一切の権利を合衆国に譲渡しということばがございまして、立木等がこの中に含まれて、この賃貸借契約をやりましたときに、地上にあります立木につきましては、一切アメリカ側はこれを買収したという形になっておりまして、この契約書が現在残っているわけでございます。  そこで、那覇防衛施設局におきましては、これらの立木はすでにその時点において適当なる対価を支払うことによって買収された、そういうふうな経緯に解せられます。  ただ、ただいま御指摘のありました補償を要します場所につきましては、それはその当時買収の対象になってなかった森林、立木でございまして、これが同時に焼失しておりますので、その部分に関しましては補償の手続を進めたわけでございます。なお、この契約関係します立木につきましては、さらに過去の経緯等を那覇防衛施設局において現在も調査を続けておる状況でございます。
  47. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 政府の解釈は、布令、布告はまだ生きておるという解釈なんですか。というのは、この地上物件をアメリカにやるんだとかいうことは、一九六二年三月一日改正ですが布令二十号、賃借権の取得について、これに基づいて地主は主席と契約をする。さらに主席がアメリカ契約するということが、この布令二十号の趣旨なんです。  復帰後、五月十五日以降は、布令、布告は全部廃止されて、御承知のように日本国憲法が適用されておる。そうなりますと、これは無効なんですね。そういう無効になったものを取り上げて、すでに地上物件は六〇年に全部譲渡したからとかいうことを理由に、正当な要求である損害の補償についてやらないということはどういうことなんですか。
  48. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 仰せのとおり、布令二十号そのものは生きているわけじゃございません。しかしながら、その当時、布令二十号に基づきまして賃貸借契約を土地に関して行なった場合に、立木に関してはこれを買収したという事実があるわけでございます。その買収の結果移りましたところの所有権そのものは、復帰後といえども生きていると解釈せざるを得ないわけであります。したがって、その立木を正当な対価を払って米軍が買収したという形で、復帰後、立木の財産の所有権そのものは米軍にある、そういう解釈でこれを一応処理せざるを得ないという立場をとったわけでございます。
  49. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 その立木の所有権はアメリカにある。火災が起こって焼かれたその損害の補償は全然やらない。ところで焼かれた場合なくなりますね。また芽を出して立木ができ上がる場合も、依然としてその恩納村の公有地、民有地もありますが、そうなりますと、演習が続く限り火災が起こらないという保証はないわけです。恩納村ではいつまでも、この地上物件、立木の火災による、あるいは演習で爆弾を撃ち込んではげ山になるのですが、そういう場合には泣き寝入りしなければならないという解釈ですか。
  50. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 この時点におきまして、買収の対象になりました立木そのものの所有権はアメリカに移ったと解しているわけでございますが、御指摘のように、その後自然木等の育っていく状態もございましょうし、あるいはまた、そういう演習場の土地の荒廃によりまして、当然生育するであろう立木等が生育できないというような問題もございましょう。そういった点につきましては、今後の問題として、演習場を提供しております政府立場として、那覇防衛施設局におきましては、十分こういった問題を取り上げていくという点は、当然その立場をとらざるを得ないと思います。御指摘の昨年十月の火災で焼失いたしました立木そのものにつきましては、いまのような過去の事実があるという点で、一応補償の対象にすることはむずかしいのではなかろうかということで、恩納村のほうにもお話しした次第でございます。なお、過去のこの買収の経緯等につきまして、さらに那覇局といたしましては現在も調査を続けている次第でございます。
  51. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 具体的に出されている百二十七万九千円ですが、日本政府は、これは補償できないという解釈ですか。アメリカが火災によってこれだけの損害を与えている。この損害の調査は、沖繩県農林水産部が科学的に調査して出されたのが百二十七万九千百七十一円。これは、契約してアメリカに所有権が移っているから、もうこれに対する補償はできないというふうな解釈に立っているんですか。
  52. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、キャンプ・ハンセンの昨年十月焼失いたしました森林のうちで、かつて布令二十号に基づきまして賃貸借契約をした際に、地上物件として買収したものと、それからそういう買収の対象になっていなかった部分と両方あるわけでございますが、その買収の対象になっていなかった部分の立木の焼失につきましては、当然補償すべきであるというたてまえで、御指摘のような補償額で補償をするという手続を進めているわけでございます。
  53. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この点については時間がありませんので保留しますが、いずれにしても布令、布告に基づいて強制的にやられた契約なんです、この布令二十号というやつで。これがいま無効になって、日本国憲法が適用された段階で、このような形の解釈は成り立たないと私は見ておるわけなんですが、これについて後ほどいろいろ質問をすることにして保留します。  次に、外務省にお聞きしたいんですが、「講和発効時より復帰までの米軍使用のための立入禁止及び操業制限等による漁業損失補償について陳情」が沖繩県漁業協同組合連合会その他二団体ですか、外務省にすでに出ていると思いますが、これについてアメリカ局長、出ておりますか。
  54. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 地元関係者からの陳情書をちょうだいいたしております。
  55. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは補償額は三百八十一億五千二百万円余りになっております。関係の、すなわち損失を受けた組合員数が五千百四人。この点につきましては、要求したが、アメリカは、補償金を受ける権利があったとしても、今回の場合の請求は対日平和条約第十九条に基づいて請求権は放棄されておるので、君たちには払うわけにいかぬというふうな観点に立って、アメリカ現地における土地裁判はすでに拒否をしておる。そこで、これの要求としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊の水面の使用に伴う漁船の操業制限等に関する法律、これによって日本政府補償してほしいということなんですが、他府県でこの法律に基づいてそういう補償をされた額は総額幾らぐらいになっていますか。
  56. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 手元にちょっと資料を持ち合わせておりませんので、調べさしていただきたいと思います。
  57. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この点は次の委員会までに資料で出してほしいと思います。当然他府県においては、この法律に基づきまして補償されております。したがいまして、沖繩県漁業協同組合連合会並びに沖繩地区漁業協同組合長会、さらに漁業損害補償獲得協議会、この三団体の代表が来て、それですでに四十七年三月十三日に外務省アメリカ局長にも会ったということを言っております。したがいまして、この問題について、まだ何ら解決の糸口はついていないのかどうか、この点を明らかにしてほしいと思います。
  58. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 漁業補償の問題につきましては、御指摘のとおり、沖繩返還協定第四条において、日本側米側に対する請求権放棄ということを一般的にいうと同時に、第二項において、正規の補償は、米側はいま申した一般的な請求権の放棄の中には正規の請求権は含まれておらないということをいっておるわけでございまして、漁業補償の問題につきましては、かねて復帰前に漁業補償を取り扱っておった土地裁判所の後任機関が、米側においてこれを処理するという一般的な約束になっておりましたものが、その後米側事情によりまして、後任機関の発足がおくれておりますけれども、近々に発足できるというふうに承知しております。したがいまして、その正規の請求の対象になりますものは、四条二項によって取り扱われる対象になるわけでございますが、それ以外の問題につきまして、いま御指摘の地位協定関連する国内法との関係でいかなる取り扱いが行なわれるのか、この点については慎重に検討を必要とする問題であろう、こういうふうに考えております。
  59. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは農林省も関係していますか、水産庁。この陳情は農林省にもいったということを言っておりました。
  60. 増満二郎

    増満説明員 水産庁のほうにも地元の団体から、講和発効後復帰までの漁業補償の問題についてお話がございました。で、水産庁といたしましては、ただいまもお話がございましたように、一次的には米国が処理すべき問題でございますが、米側のほうの処理がおくれておりますので、今後とも関係省庁と十分協議をしながら前向き対処していきたい、かように思っております。
  61. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は、復帰前の琉球立法院議会があった時分から数回にわたって取り上げられて要請もしましたが、いま申し上げましたように、アメリカは一貫して対日平和条約第十九条に基づいてこういった請求権を日本放棄したのだという立場で、アメリカの土地裁判所も最後にこれを拒否したという経過があります。ですから、これは外務省と農林省で連絡をとり合われながら、この要求にこたえるべく努力してほしいと思いますが、アメリカ局長どうですか。
  62. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 復帰前から懸案になっておりました訴願十七件の中で、一件は御指摘のとおりに棄却という措置がとられ、その後残りの十六件については未審理のままでございますが、いま水産庁から御答弁がありましたように、この問題については水産庁をはじめ関係各省と打ち合わせて対処していきたいというふうに考えております。
  63. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩県議会は四月二十日と二十一日臨時県会を開きまして、初日の二十日に「米軍戦車による日本人れき殺事件に関する意見書」と、さらに「軍港湾労働者雇用保障に関する意見書」、この二つを全会一致で決議して、きのう五名が県会を代表して政府に陣情隊が来ております。いずれ関係各省に会うと思いますが、非常に重視しなければならないのは、「米軍戦車による日本人れき殺事件に関する意見書」の中で、これは与野党全会一致なんです。全会一致でこのような形の決議が行なわれたことは初めてなんです。「昭和四十八年四月十二日金武村のブルービーチ内で日本婦人が演習中の米軍戦車によってれき殺された事件は、県内外に大きな衝撃を与えている。」ということを前置きして、「この事件は、県民生命を全く無視した人道上絶対に許すことのできないものである。われわれは、復帰後なお膨大な基地が存続し、県民の強い要求である基地撤去や政府の約束した本土並み基地の整理縮小さえなされないままに今度の事件が発生したことを重視し、この悲惨な事故の根源が米軍基地の存在にあることに厳重に抗議する。」いま申し上げましたように、自民党県本、いわゆる沖繩の自民党の選出議員も含めて、このような形で全会一致で強い抗議をすると同時に、次に「沖繩基地がある限り将来もこのような事件が起こることは必至であるので、基地の態様について再検討を求めるとともに、日本国憲法の下に県民の基本的人権が保障され、生命、身体、財産の安全が確保されるべく政府の責任により早急に解決するよう次のとおり強く要求する。」として、しかも非常に強い文句になっておりますが、四項目にわたって要求が出されております。  一番目は「日米地位協定による米側の第一次裁判権放棄させ、ただちに日本側裁判権を移すこと」、二番目に「被害者の遺族に対して完全な補償を行なうこと」、第三番目に「今後危険な米軍演習は一切行なわしめないこと」、四番目に「米軍の責任の所在を明らかにし、かかる事件が再び起こらないよう適切な対策を講ずること」、これが決議の要求になっております。この要求は県議会の決議でありますから、沖繩県民全体の要求として見なければなりません。これに対しまして、たとえば、基地がある限りこのようなことが起こらない保証はないと強く抗議もしておるし、日本国憲法下において沖繩県民が日本国民としてほんとうに人権が保障され、生命、身体、財産の安全を確保されるように政府は責任をもって対処してほしいということを書いてあるのですね。  二十三日に外務省で日米運用協議会ですか、持たれたと思いますが、いまの四つの要求に対して、これは当然の要求だとわれわれは思うのですが、外務省としてはこの四つの要求を、何々はいれられる、何々はどうも現在のところむずかしいといったようなことがあれば、お答え願いたいと思います。
  64. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ただいま御指摘のございました四つの点につきまして、まず裁判権の問題でございますが、先ほど上原委員の御質問に対して御答弁いたしましたように、裁判権放棄につきましては、地位協定規定に従って措置されるべきものというふうに基本的に考えておりまして、さらに、その裁判権放棄を求めるべきだ、こういう考え方に対しましては、司法当局判断を尊重して、これに基づいて対処していきたい、こういうのが私ども考え方でございます。  補償の問題につきましては、先ほど施設庁の長官から御答弁がありましたとおりでございます。  また、演習をやめるという問題につきましては、米軍に対しまして施設、区域を地位協定規定に基づいて提供いたしております政府としては、演習中止を申し入れ立場にないわけであります。  ただ、演習を行なうにあたりまして、安全の確保が大事であるということは当然でございまして、先般来申し上げておりますように、再発防止に対しまして、米側に善処方を要求しておりましたところが、海兵隊といたしましては、採草、採木のための演習場への立ち入り許可について、部内規則を新たに設けて安全の確保を期するということを言ってまいったわけでございます。具体的には、四項目ばかりございますが、いずれにしましても、立ち入りを許可いたします際にも、できる限り安全を確保するために、戦車、装甲車、キャタピラー等、こういう重車両による訓練はやらないとか、既存の道路以外の場所を使用する場合には、米軍の先導員が車両を誘導するとか、いろいろな安全措置部内規則できめているわけでございます。  こういう状況でございますので、この意見書に対しましては、政府としてそういうふうな考え方で対処せざるを得ない、こういう状況でございます。
  65. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これについてはどうですか。「この悲惨な事故の根源が米軍基地の存在にあることに厳重に抗議する。」これは沖繩百万の県民を代表しての抗議になっている。こういった悲惨な事故アメリカ基地があるからだ、だから、これについては政府は、基地撤去は安保条約を堅持するというたてまえ上できないと思うのだが、縮小、整理の問題は一体どうなるのか、非常に関心があるのです。このような悲惨な事故の根源が米軍基地の存在にあることに厳重に抗議する、これは他府県では見られないような、二十七年にわたるアメリカの占領支配の中での日本国民としての屈辱の問題なんです。このような屈辱をしいられて、殺されても裁判権はない、生命の安全を脅かされてもどうすることもできない、復帰したらもう少しはよくなるだろうと思っていたのが、よくなるどころか、このようなことが頻発する、これが基地の存在なんだ、これが県議会の全会一致の決議なんです。ですから、裁判権の問題にしろ、演習の問題にしろ、もう少し独立国日本政府としてアメリカに強い姿勢要求し、責任のありかを追及する姿勢はとれないものか。運用協議会とかいうものは、基地問題についてこういったことを言うような場所ではないのか。その点について、もっと真剣に、沖繩に住んでいる日本国民生命、身体、財産の安全のために考えてほしいというのが県議会の一致した意見なんですね。外務省としてこれに対する意見があれば述べてください。
  66. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 沖繩の施設、区域の整理統合の問題につきましては、一月の安保協議委員会の際に、那覇周辺の施設、区域の移転ということについて原則的な合意を見ておりますけれども、その際の発表文にもございますように、日米間で今後とも在日米軍基地の整理統合の方向で協議、検討を続けていくということになっておりまして、二十三日に開かれました第一回の安保運用協議会の場合におきましても、日本側で施設、区域の整理統合の問題を提起いたしました。種々討議の結果、日米双方として特に沖繩に重点を置いて、在日米軍施設、区域の目的、役割り、土地の使用状況、こういうものについて再検討しようということについて話がいままとまったわけでございまして、今後、この方向で具体的な作業をどういうふうに進めていくかということを、日米間で相談しながら進めていく、こういうことになっているわけでございまして、政府といたしましては、沖繩の施設、区域の整理統合の問題について、十分その重要性を認識して、その問題に取り組んでいるということを申し上げたいと思います。
  67. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、再三にわたって申し上げますが、もう少しアメリカの家来人にならないで、日本国民を代表する政府でありますから、真剣に、命の問題、財産の問題、安全の問題は考えてほしいと思います。  次に、県議会で決議したのは、「軍港湾労働者雇用保障に関する意見書」なんです。これもやはり基地があるために起こった問題として、県議会全会一致で決議をして、その中で、前文は省きますが、要求として「すみやかに業者を選定し、原則として全港湾組合員を全員継続雇用すること。」二番目に「退職金は間接雇用並みに支給すること。」三番目に「旧四種労働者にも駐留軍関係離職者等臨時措置法を適用すること。」四番目に「契約内容の抜本的改善を図ること。」これは一に関連しております。  この四つの要請政府に強く要求するとして来ておりますが、この前、労働大臣もこれに対して積極的に努力するんだということを言われ、連絡会議も持たれたというのですが、この四つの要求について、労働省、何か答え得る内容を持っていますか。
  68. 加藤孝

    加藤説明員 実は、いま先生のお話、きょう午後、労働省で陳情団の方とお会いをすることにしておるわけでございまして、いま要望されております問題、まさに旧四種問題の連絡会議におきまして、いろいろ検討をしておる問題でございますが、率直に申しまして、なかなかむずかしい問題でございます。まず、この業者の選定問題につきましては、これは、先ほど上原先生のご質問にお答えしましたように、まず業者が入札してくるような条件づくりというものが進められませんとやはりなかなか業者の選定は進まない、これは、四番目の契約内容の改善問題ということと密接に関連する問題と存じます。それから全員継続雇用しろ、こういう問題でございますが、現在軍港湾での雇用量が、伝えられますところでは三、四百人程度ぐらいの仕事量しかない、こういうようなこともございますので、軍港湾への全員雇用という形は、現実としては非常にむずかしい問題ではないだろうか、そういう意味で、民港湾のほうが海洋博の関係等非常に人手不足で困っておられるというような事情もあるようでございますので、やはりそういうようなところへの雇用も含めまして、できるだけ全員の方が就職といいますか、就労の場が見つかるように、いわば民港も含めた形での雇用ということしかなかなかむずかしいのではないか、こういうふうに考えられます。  それから、退職金を間接雇用並みに支給しろ、この退職金の問題につきましては、これはまさに請負をした業者が支払う問題でございましてあれですが、ただ、そういう退職金を支払い得るような、そういう米軍との請負条件といいますか、契約条件といいますか、そこにひとつ、契約条件、請負条件の改善という面での努力が今後必要になってくるのではないか、こう考えるわけでございます。  それから、旧四種にも駐留軍関係離職者等臨時措置法を適用しろ、こういう問題につきましては、旧四種につきましては、沖繩振興開発法の中におきまして、こういう沖繩におきます旧四種の方々に対しましては、三年間の就職促進手当、具体的には、最高額でいいますと毎月四万円強でございますが、そういった金額を三年間支給しながら、その間、再就職のための職業訓練あるいは職場適応訓練、それからそのほか移転資金とか、各種の給付をしながら、あるいは最後に雇用奨励金といった各種の再就職のための援護措置を講じながらやっていく、こういったものがまさに旧四種の方に適用される形で用意がされておる問題でございます。その離職対策につきましては、まさにこの沖繩振興開発特別措置法の中で措置をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  69. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この県議会の要求の中での三、駐留軍関係離職者等臨時措置法の適用の問題だけは、何とかめどがつきそうだというふうに解釈していいのですか。
  70. 加藤孝

    加藤説明員 いま申し上げましたのは、旧四種の方には、この駐留軍離職者臨時措置法と全く同じ離職者対策規定しております沖繩振興開発特別措置法がございますので、それによって離職者対策はやらしていただきます、こういうことでございまして、駐留軍離職者臨時措置法の適用は考えられない、こういうことでございます。
  71. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは次に質問しようと思って用意しておりますが、現に基地内に四種がいるのです。特免業者といっているのです。床屋さんがおるとか、洗濯屋さんがおるとか、そういったのが約七千五百人いる。特に床屋さんはいま全体で二百五十人くらいおりますが、アメリカ請負業者もとで働かされているので、日本労働基準法で見てすらたいへん悲惨な生活を送っている。いつ首切られるかわからないし、さらに労働は強化されておるし、一人あたり散髪料金は九十五セント、復帰前に九十五セントだったものがいまも九十五セント、三百六十円でなしにもう二百五十円くらいの換算になっている。それだけでも生活ができないような状態に追い込まれている。これは港湾労働者と同じような状態になりつつあるということなのですが、こういった問題についてまとめていわゆる連絡協議会というのですか、これで検討されるつもりですか、この点明らかにしてください。
  72. 加藤孝

    加藤説明員 こういう契約条件がなかなか改定をされないというような、この基地内の特免業者の問題につきまして、旧四種問題連絡会議でも議論をしておるところでございますが、率直に申し上げまして、この契約内容の改善そのものは米軍業者、こういう関係、あるいはORE対業者、こういうような関係がございまして、なかなかむずかしい問題がございますが、防衛施設庁のルートでその辺のところを何とかできないか、こういうようなことを検討しておる、こういう段階でございます。
  73. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは「基地内で初の散髪スト、生活保障せよ、特免・従業員が総決起」ということで、特免業者基地内でストを起こし、総決起大会を開いたのは初めてなんですよ。それだけに、沖繩に住む日本労働者の生活の問題、権利の問題、もう賃金は生活を保障することはない。だんだん物価は値上がりする一方であり、さらにドルと円の交換は二百六十円くらいになっているにかかわらず、相変わらず九十五セントもらって、それで九十五セントを基地内で円にかえる、そういった状態の者が沖繩に七千人余りもいるというこの事実。これは、いまの軍港湾労働者千八十二名と同じような運命をたどりつつあるだけに、労働省中心とした労働行政からも抜本的な解決策をとらなくちゃいかないと思うのです。お聞きしますが、この前、連絡協議会は窓口はいま労働省だと言っておりましたが、窓口というのか、あるいは集めるための世話役であるのか、いずれにしても、労働省が労働行政の中心にならぬといかぬでしょう。それで何べん開かれたのか、いつ開かれたのか、結論がどう出たのか、これをあなたで説明できますか。
  74. 加藤孝

    加藤説明員 先生から御指摘いただきまして、連絡会議設置をいたしまして、四回開いておるわけでございます。日にちはちょっとあとでまた申し上げますが、四回の中で議論をしてまいりました問題は、この國場組の解雇問題というものについて、それから旧四種問題ということで、沖繩の全軍労の委員長それから全港湾の副委員長、そういう方たちからのいろいろな要望、いま先生御指摘の問題も含めまして御要望がございまして、そういった問題について各省意見の交換をし、検討を続けておるわけでございますが、率直に言いましてなかなかいずれもむずかしい問題だということで、実は具体的に解決策という形でまだ出てきておるものはないわけでございます。そういう意味におきましては、今後またこの沖繩の港湾問題をはじめといたしまして、旧四種問題を何とか一つでも前進できるような方途はないかということで、さらに検討を続けていきたいと思います。
  75. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたのでこれでやめますが、この軍港湾労働者の仕事の問題、生活の問題、権利の問題などが非常に切迫しておるからこそ県議会では取り上げられておる。と同時に、いま申し上げましたような同じ生活状態の中に置かれておる基地内の特免業者の第四種、これはあわせて連絡協議会で討議して、早急に解決策をつくってもらわないと、むずかしいからどうもということではどうにもならぬと思うのですよ。むずかしいから持ち込んでくるのですよ。何も自分たちでやれる問題をわざわざ、日航運賃だけで往復で五万円かかるのですよ。県議会もむずかしくなければ来ません。むずかしいものを政府がやってくれるだろう、またやらなければならぬ義務がある、だから要求しているので、この点をむずかしいとか言わないで、一体いつごろまでに解決策をとるのか、はっきりさせてほしいと思うのです。もうそこまで火がついておるのですよ。
  76. 加藤孝

    加藤説明員 お答えいたします前に、先ほど離職者対策としては、駐留軍離職者臨時措置法と沖繩振興開発特別措置法と同じものだ、こういうことを申し上げましたけれども、まさに離職者対策としては同じものでございますが、あえてつけ加えさせていただきますと、駐留軍離職者臨時措置法におきましては、退職時に特別給付金というものが出るという点が違っておるということを、あえてちょっと御参考までに申し上げさせていただきます。  それから、ただいまのいつごろまでに結論を出すか。実は各省ほんとうに真剣にこの問題は何とかならぬかということで、それぞれの所管の行政の中でやっておるのでございますけれども、まあむずかしい問題だから持ち込まれたということでございますが、まさにほんとうにむずかしい問題でございまして、それぞれの行政の所管の中で、それぞれ何か道はないかということで奮闘しておりますが、いつまでにという形で、いまこの段階で申し上げられるような情勢には、率直に申しましてないわけでございます。  なお、今後いろいろ検討してまいりたいと思います。
  77. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう時間ですからやめますが、一つ要望しておきます。  現在県議会代表が来ておられますが、あなた方労働省窓口というのですか、世話役でしょう。あした開けますか。緊急に関係各省連絡協議会を開いて、この問題についてむずかしいのではっきりさせてほしいと思いますが、これについて御答弁をお願いして私のきょうの質問を終わります。
  78. 加藤孝

    加藤説明員 旧四種連絡会議窓口といいますか、その呼びかけ役としましては、その会議を開くべく呼びかけはしたいと存じますが、国会の開会中でもございまして、なかなか率直に申しまして各省そろわないものでございますので、呼びかけの努力はいたしますが、必ずあした開けるということをここで確約を申し上げるわけにはまいりません。ただ、努力はいたします。
  79. 浅井美幸

    浅井委員長 以上で質疑は終了いたしましたが、アメリカ局長から発言を求められておりますので、これを許します。
  80. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 委員長のお許しを得まして、前回の委員会で私の発言した答弁を訂正させていただきたいと存じます。  前回の委員会におきまして、上原委員の御質問に対しまして、私、講和前人身補償というふうに申し上げましたけれども、これは、講和後人身補償というふうに御訂正いただきたいと存じます。      ————◇—————
  81. 浅井美幸

    浅井委員長 この際、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  委員の異動に伴い、理事一名が欠員になっております。これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 浅井美幸

    浅井委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に正森成二君を指名いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会