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1973-04-20 第71回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月二十日(金曜日)    午後一時五分開議  出席委員    委員長 浅井 美幸君    理事 國場 幸昌君 理事 床次 徳二君    理事 中村 拓道君 理事 西銘 順治君    理事 上原 康助君 理事 安井 吉典君    理事 正森 成二君       小渕 恵三君    本名  武君       楢崎弥之助君    渡部 一郎君       安里積千代君    瀬長亀次郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      坪川 信三君  出席政府委員         総理府恩給局長 平川 幸藏君         防衛施設庁総務         部長      河路  康君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         沖繩開発庁振興         局長      渥美 謙二君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省条約局長 高島 益郎君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   小林  朴君         法務省刑事局刑         事課長     根岸 重治君         大蔵省関税局企         画課長     米山 武政君         文部省大学学術         局医学教育課長 齋藤 諦淳君         厚生省医務局総         務課長     山高 章夫君         厚生省年金局年         金課長     幸田 正孝君         水産庁生産部海         洋第二課長   恩田 幸雄君         通商産業省鉱山         石炭局石油開発         課長      豊島  格君         自治省行政局公         務員部福利課長 佐野 政一君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 三月三十日  北方領土の早期返還に関する陳情書  (第一八二号)  那覇市内与儀所在国有地小学校用地として無  償譲渡に関する陳情書  (第二一八号)  沖繩電力株式会社旧社屋の無償払下げに関する  陳情書(第二一九号)  沖繩県金武保養院等存続に関する陳情書  (第二五五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 浅井美幸

    浅井委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 長官は、去る三月二十九日の本委員会において私の質問お答えをなされて、沖繩におけるところの物価高により困難を来たしておる沖繩事情、または予算の未執行問題等に、政府職員を派遣して、調査の結果を見まして措置をするというようなおことばを承っております。その後の調査結果と措置に対しまして、報告の結果が出てきたであろうか、どうか。出ましたら、それに対する措置はいかような考えがありますか、御所見を伺いたいと思います。
  4. 坪川信三

    坪川国務大臣 國場委員指摘のとおり、私が沖繩現地に参りまして痛感いたしましたことは、物価の上昇の激しいこと、それによる公共事業推進、あるいは海洋博関連事業推進等に大きい障害を与えておる事実を踏まえまして、最も重要なる工事等における単価の問題について、建設省連絡調整お願いいたしまして、そして建設省のほうも調査官を派遣していただきまして、それらに対する調査結果の報告も受けているようなわけでございます。  その結果の報告を簡明に申し上げますならば、沖繩においては、補助金交付申請事務また工事の設計、積算事務等について、本土制度に不なれなために、工事発注に際して必ずしも実情にそぐわない面もあった模様であります。そうした実勢に見合いました資材あるいは価格、その他の問題について十分検討することなどの指導をしてきた旨の報告があったわけでございます。この報告をわれわれ期待いたしながら、今後とも引き続き沖繩特殊性を十分加味いたしまして、請負工事の契約が行ない得るよう配慮し、また指導もいたしてまいりたいという考えでございます。
  5. 國場幸昌

    國場委員 よくわかりました。長官もよく努力されておるということを承知でございますが、しかし、この問題はずいぶんむずかしい問題でございまして、相当な腹がまえといいましょうか、これは長官幾ら誠意をもってやろうとしても、やはり金庫番である大蔵省のほうがどういうような反応を示すものであるか、あるいはまた、一番問題になっておる資材の問題、労務の問題、かようなる問題で前途にいろいろ困難さがあるということでございます。  海洋博仕事というのは、御案内のとおりまだ着手もしておりません。ところが、沖繩県民の声というのは、海洋博がきたから物価が上がったのだというように、いわゆる海洋博物価高責任を負わさんとする。それに延期しなければいけないというような説も出ておるような今日において、私が考えまするのには、御案内のとおり、本土におきましても一般においての過剰流動性とか、承りますと、必要以上の、約六兆円という余剰の日銀券が出回ったがために、今日これを回収して物価の安定をはかると同時に、社会不安をなくする、こういうようなことであると私は考えるわけでございますが、しかし、いまさっきも申し上げましたとおり、海洋博によって沖繩物価がずいぶん高騰しておるのだ、海洋博仕事はまだ全然始まっておりません。だからそれを見ましても、海洋博がたけなわになってきて、事実において労働賃金も上がる、あるいはまた資材不足するということであれば別なんですが、しかし何もまだ——海洋博に対しての仕事民間投資によるホテルが二、三カ所いま着手しておるだけであって、セメントの不足にしましても労務不足にしましても、一般においての投資がそれだけふえてきておるということは事実でございます。しかし、私が総理府長官お願いしたいのは、海洋博の影響を受けて沖繩物価が全面的に騰貴したのだというようなことは、これはいまの段階としては当たらない、こういうことを考えるわけであります。しかし世論というのはおそろしいもので、事実そうでなくてもそうだといえばそうだそうだ、こういうことになるのは事実でございます。その点に対して、担当大臣としましてこれに対する措置一つの実態というものをよく県民のほうにも、あるいはまた各種団体——いま延期してやったほうがいいんだとか、こういうことで、海洋博の今後においての進行に対してブレーキがかかるようなことがあってはいけませんので、その点もよくひとつ御教示していただきたいということを希望するわけでございます。  それから問題がたくさんありますが、時間が迫っておりますので……。  ショッピング観光といわれた沖繩において、本土経済変動により、せっかく沖繩の立ちおくれの格差是正のためということで、制度化されたところの沖繩復帰に伴う特別措置法、これがいまさっきも大臣がおっしゃったとおり、事務のふなれであるとかいろいろな問題がかさみまして、しかし特別措置法というのは、御案内のとおり時限立法でございまして、大体五カ年以内には本土並み制度化をするように、諸税制問題であろうが物価問題であろうが、段階的にこれがジョイントするようになっておるのは御案内のとおりでございます。ところが、たとえば税制問題にしますと、昨年五月十五日、昨年きりで本土並みになるんだというような、税制とかその他においてもそれにちなむところの本土並みの法令で特別措置はしておるのだというにしては、わずか六カ月やそこらやりまして、沖繩には特別措置法をしたのだ、こういうようなことで、特別措置によってあるいは振興開発法に従って、沖繩の立ちおくれの格差是正のためだと、こういうことで、その趣旨はよくわかるが、事務のふなれのために、四十七年度予算設備投資に対しては三十何%しか進捗してないとか、あるいは特別に制度化されたところの開発金融公庫に対しての融資問題、これは昨年百五十億も余っておるというようなことを見ました場合に、この特別措置法というのは、極端に言って、そう言っては語弊があるかもしれませんが、悪いものは先行しまして——案内のとおり沖繩は低物価政策をもって今日まで制度化してきた、不自然ながらも、一国並み行政の中で琉球政府がやってきたわけであります。その中では、やはり収入に見合うところの支出、物価問題にしましても税制にしましても、やはり特別なる低物価政策をやっておりましたが、いまさっきも申し上げましたとおり、特別措置法をやったといえども、これは時限的に自然に五カ年でジョイントされるわけで、どちらかといいますと悪いほうのものは先行して、特典を与えるべきところの特別措置法によるものが、事務の不行き届きとかあるいは能力とか、かようなる問題で、そういうような恩恵に浴してないという批判もまた強いわけなんです。  そこで私は、沖繩はいま産業といいましても、企業誘致だといっても、復帰して一年にならんとしておりますが、そう進んでおるわけでもないし、ただ一つたよるべきものは、沖繩に対してのショッピング観光、これを魅力として、今日まで特別措置法によって大体五カ年を基準にしてやってきておりますけれども、いまさっきも申し上げましたとおり、日本経済変動によって貿易の自由化というようなことに——規制品目とかあるいは関税によって、それで国内産業を育成するということでやっておりましたところのものが、ほとんど自由化に向かいつつあるというような今日、沖繩ショッピング観光というものの魅力が失われつつある。私は特別措置法趣旨からしますと、この本土経済変動によって、いまみたいな輸入品に対しての問題、いわゆる税率をダウンさせるということになりますと、それにスライドするところの沖繩においての特別措置法に対してのいわゆる税制品目、これもスライドして、目的とするところのショッピング観光、これを特別措置法で五カ年間、沖繩のこういう企業が打撃を受けないように期待するわけですが、これは大蔵省の御見解を承りたいと思います。
  6. 米山武政

    米山説明員 ただいまの先生の御意見に対しましてお答えをさせていただきます。  御承知のように、この間の復帰に伴う特別措置法に基づきまして、ショッピングをして、その品物を持って県外観光客が出る場合に、税関において、復帰後の国内関税物品税を合計した額と、復帰前の沖繩物品税関税等の額との差額税関において戻税するという措置がとられておることは先生指摘のとおりでございます。これは非常に順調にやられているわけでございますが、いま先生指摘のように、その後、昨年の十一月二十二日から関税が一律二〇%引き下げになりました。それから、現在御審議いただいておりますように物品税改正、これも引き下げが中心になります改正がいま検討されているわけでございます。そうしますと、その引き下げによりまして戻税率が変わってくる。これをどうするかというふうな御指摘であろうと思います。  簡単に一例を申しますと、香水に例をとりますと、復帰前の沖繩税率は一〇%でございました。復帰に伴いまして国内関税が一五%、それから物品税が一〇%。物品税関税を込めたものに対して一〇%になりますので、単純に課さないで、結局二六・五%になるわけでございまして、この差額の一六・五%を返していたわけでございますが、関税が一五%が一二%になりましたので、この戻税率は減りました。物品税もその他のものにつきまして、現在いろいろ引き下げが行なわれる予定でございます。そうした問題に対しましていろいろ御意見がございましたので、観光戻税制度が設けられまして一年もたたないうちに、政府の施策によってこれが税率が下がるのは適当ではないんじゃないかというふうな御意見もございますので、私どもはこの点を十分考慮いたしまして、戻税率をできるだけ、復帰時にこの制度が設けられたときと同じような戻税率にするように現在検討しております。これは、きょうの閣議でその改正の政令は一応決定していただきましたので、この実施につきまして十分配意してまいりたいと思います。
  7. 國場幸昌

    國場委員 時間の制限がありますので、聞きたいこともたくさんあるのですが、前に進みます。  総理府長官市町村議員年金問題でございますが、これは御案内のように、昭和四十年九月、当時の琉球政府によって国民共済組合法が立法されまして、昭和四十五年七月一日から、各県並み市町村議員身分保障が確立されておるのは御案内のとおりでございますが、一方本土におきましては、昭和三十七年の十二月一日から発足しておりまして、沖繩との断絶期間格差七年余りになっておるわけでございます。特に、その間に年金適用期間である十二年以上在職しておる者で退職した者は、戦後の混乱期の最中、米軍沖繩統治の中で、沖繩の再建と市町村自治の発展のために大きく貢献してきた方々であります。そういうような市町村建設のための基礎を築いた方々、これらの人々に対して、昭和三十七年に遡及して年金を適用させるべしというような返還時においての熱烈なる陳情もあったわけではございますが、いまだにこのめどがついてないというのが現状でございますので、それに対して、こういうような漏れた方たちに対して、ぜひひとつ恩恵が受けられるように御配慮していただきたいということをお願いするわけでございます。それに対しまして、いかような措置をなされようとするものであるか、またこれに対しての御所見はどうでありますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 佐野政一

    佐野説明員 ただいまの御質問お答え申し上げます。  地方議会議員年金制度につきましては、これは国会議員互助年金制度に準じまして設けたものでございますが、たてまえ上、地方議会議員掛け金を拠出いたしまして、それを財源といたしまして給付を行なうようにいたしておるわけでございます。その給付は、都道府県、市町村議会議員ごとに、一つずつの共済会を設けまして行なっておるわけでございます。  ただ、その掛け金でございますが、この制度施行当初、報酬月額の百分の五、現在は報酬月額の百分の九を掛け金として拠出しておるわけでございます。そうした地方議会議員負担能力あるいは議員共済会財政事情等がございまして、地方議会議員年金制度におきましては、この制度施行の日でございます昭和三十七年の十二月一日以後におやめになった人から退職年金を支給する、こういうことにいたしておりまして、それ以前におやめになった人については、年金は支給しないという取り扱いをしてきておるわけです。  復帰前の沖繩県地方議会議員年金制度でございますが、ただいま先生指摘ございましたように、四十五年の七月一日にこの制度ができまして、四十四年の七月一日以後におやめになった人で在職十二年以上の方、こういう方に退職年金を支給するという制度ができておりますが、四十四年の七月一日前におやめになった人については、本土と同様、年金を支給していないわけでございます。そうした点で、沖繩復帰に伴うところの経過措置といたしまして、沖繩地方議会議員年金制度取り扱い状況を考慮いたしまして、経過措置を設けておるわけでございますが、ただ、いま御指摘ございましたような、三十七年の十二月一日にさかのぼって年金を支給するということになりますと、この制度をつくったときのたてまえからしてどうだろうかという感じはしておるわけでございます。ただ、私どもといたしましては、沖繩特殊事情というものを考慮して、どのように配意すべきかという点でいまいろいろと検討しておるわけでございます。沖繩県の県、市町村議会のほうからも、こうした御要望がございまして、それについて対象人員がどの程度あるのか、それによって支給すべき金額がどの程度になるか、その費用というものをどうしたらいいか。この費用については、本来は各地方議会議員の拠出した掛け金によってまかなうたてまえにしておりますので、そこらの点を考慮いたしまして、いま検討いたしております。
  9. 國場幸昌

    國場委員 よくわかりました。ぜひひとつよろしくお願いを申し上げます。  それから復元補償問題についてでございます。これは施設庁かというようなことでございますが、しかし管轄がまだはっきりしてないというようなことで、総務長官にもこの問題はお聞かせをして、これに対してお感じの点あるいは所見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。  復元補償問題については、今日まで軍用地等基地整理縮小によって、伊江島、読谷、上本部、石川、この前返されました那覇与儀にしましても、この施設等開放はされたが、地主は依然としてこれを使用することはできない。といいますのは、昨年度も、その問題に対しましては返還当時から問題になっておるわけなんですが、それはやはり測量をしてないので、個人個人の持ち分に対しての境界線というのが全然わからない。アメリカさんのほうで上陸の際にブルドーザーで一斉に引きならしたものですから、境界線がわからない。境界線がわかるようにするには、やはり測量をしなければいけないけれども費用とかあるいはまた目鼻のつかぬうちに返還されたというようなことで、そこにはそれに対してのいろいろの設備があったわけでございますので、直ちにそれを利用することもできない。それで地料は打ち切られたというようなかっこうで、これは一体だれがそれを始末してやるかといわれておるところの復元補償問題、これが一番重要な問題でございますが、これは外務大臣にもう一回ただしまして——返還協定第四条の第二項後段のほうに、アメリカ政府を代表する事務局職員を配置して、それに対しては解決していくのだ、こういうようなことはうたわれております。ところが、これは国際的な日米関係の問題でございまして、沖繩県民としましては、やはり復帰したのだから、これは日米間の政府においてこういうような諸問題は解決してもらいたい。いままで十件近いところのあらゆる請求権の訴訟問題が起きておるわけなんです。  私が申し上げたいことは、いままで沖繩県民アメリカ施政権下にあって、請求権の問題もいろいろとごたごたを起こしても解決できない。返還協定においては一切の請求権が放棄になっておりますので、アメリカはそれに対してはタッチしないということになるでありましょうが、しかし、それに対して、この事務局がどう動いておるのか、あるいはそれに対しては外務大臣も、日米間においての日本側請求権は放棄したといえども沖繩県民に対しては損失を与えない、調査の結果、必要とあれば、立法してでも沖繩住民請求権に対しては補償してあげましょう、こういうことは議事録にもなまなまとまだあるわけなんです。ところがそれが一年近くにならんとするのに、まだ一向進んでないわけなんです。それに対して沖繩側でずいぶん催促しましても、開発庁がやるのかあるいはまた防衛施設庁がやるのか、担当する主務省もまだきまってないというようなことで、これに対してぜひ総務長官沖繩県民のたっての頼み、お願いですから、これに対してひとつ御協力をし、当然これは国の責任においてやらにゃいかない問題でございますので、ひとつ見解をお聞かせをしていただきたいと思います。
  10. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました問題でございますが、私も過般沖繩現地に参りまして、ちょうど海洋博予定地の付近の飛行場返還された、その飛行場滑走路のところまで行きまして、もと地主であった代表の方々にもお会いをいたしまして、いま御指摘になりました同様な趣旨によっての陳情も受けたような次第でございますので、沖繩の土地問題、沖繩の土地問題に関連するいろいろの地形変動、あるいは爆撃その他によっての地形の不明、土地台帳の不明あるいはいろいろの点から、こういう問題の溢路の多いことをつぶさに私も見てまいったようなわけでございます。そうした点から、帰りまして関係責任局長にも、強くこれらに対する推進を指示いたしてまいっておるような次第でございます。  開発庁といたしましては、國場委員承知のとおりに、本年度三千万近い予算をもって、これに対する調査も遂行いたしておりますが、どうもこれだけで終わりそうな見込みもないというような状況でもございますので、私は、さらにもっと積極的に予算配慮もいたしましてこれに取り組む覚悟でございます。きょうちょうどアメリカ局長も見えておられますから、そうした点も、外務省また施設庁その他と連絡を密にいたしながら、私どものほうでは調整推進役としてこれに処してまいりたい、こう考えております。  詳しい点は政府委員から答弁を願います。
  11. 國場幸昌

    國場委員 政府委員のほうにはあとで私お伺いします。たくさん問題がありまして、時間の制限がありまして、あと三分でございますから取り急ぎます。  御案内のとおり、復帰以前から沖繩医療施設に対しては医者看護婦、あらゆる面において立ちおくれ、普通の本土の平均からしますと約三分の一のお医者さんしかおらない、こういうことで、いまだにこの問題に対しては全然前進はございません。  そこで、厚生省、来ておられますか。私はきょうはしぼって、救急病院の問題、この救急措置に対して、いま御案内のとおり、具志川中部病院、ああいうところに、夜の夜中交通事故というときに、他に自営の病院があるといえども、これは全然受け付けない。夜になりましても、事故が起きたら四十キロ余りもあるところの具志川、そこへ行く。途中において貴重なとうとい命を落とした人も数多くあるわけでございます。そこでいま一番問題になるのは、そこに新聞の切り抜きもございますが、もう時間もございませんので、これに対してのお返事をいただいて私は質問やめるわけですが、救急病院ですね、これをどうしようとするのか。赤ちゃんにしましても、ごらんのとおり、写真をこういうぐあいになにして新聞は大きく報道しております。これなんかは子供さんの疫痢といいましょうか、病名は引きつけする病気ですね。その引きつけする病気で、実に八時間もあっちこっち引っぱり回されまして——私の子供も引きつけをやったことがあるわけなんです。ところが、それは即時において注射をして安心させると、がたがたふるえて引きつけするのを手当てさえやればまたもとに返って、いま大学を出ておりますが、なおるものなんですよ。ところが、八時間も五時間もこういうぐあいに引っぱり回されて、それでとうとい人命を落とす。交通事故においてでも、いままで何名かそういうことで人命を落としたということがたくさんあるわけなんです。だから、本土に返って、かようなる問題に対してでもずいぶん県民としては期待をしておるわけなんですが、しかし、どっちかと言うたら、悪くはなってもよくはなってはいないというような今日の状況なんです。とうとい人命の問題でありますれば、これに対するところの措置を、いかようなことであってもこれはやってのけなければいけない、避けて通るわけにはいきません。だから、その点に対しまして私は詳しく、どういうようなお考えであるか、いままでどういうような措置をやってきたか、あるいはまた今後はどういう政策を持つか、こういう資料も全部持っておりますが、時間がございませんので、ただそれだけを聞いて、簡単な何かそれに対する答えがありましたらけっこうだと思いますが、しかし時間がございませんので、後日お伺いしますから、ひとついま申し上げましたとおりのことに対してはよろしくお願いします。以上をもちまして私の質問を終わります。
  12. 浅井美幸

    浅井委員長 西銘順治君。
  13. 西銘順治

    ○西銘委員 復帰いたしましてからここにようやく一年目、五月十五日を迎えることになるわけであります。この時点に立って過去を振り返ってみまして、あらためて沖繩開発庁の設置の目的、また支分部局として設置されました沖繩総合事務局の設置、その目的があらためて問い直されている時期にきていると思うのであります。  御案内のとおり、米軍統治の時代におきましては現地に弁務官府がございまして、あらゆる問題が即座に解決され、解決されないまでにいたしましても、いち早くその決定を見ているわけであります。沖繩開発庁設置法第八条の規定によりまして、その支分部局として、沖繩総合事務局が置かれることになったわけであります。その設置の目的は、沖繩復帰して四十七県の一県になったとき、ブロックごとに地方農政局あるいは地方陸運局、海運局等々ございまして、そういった県民の不便を解消するために、総合事務局が設置されたと思うのであります。  ところが、素朴な県民感情からいたしますと、本来であれば現地で解決された問題が、県庁を通じ、さらに総合事務局を通じて迂回されて、便宜が供与されていないという感じを抱くのでございますが、その点、総合事務局が設置の目的に沿って運営されておられるかどうか、この点をお聞きしたいのであります。
  14. 坪川信三

    坪川国務大臣 過般、私が参りまして、沖繩の県当局の御意見、また沖繩総合事務局局長はじめ幹部の意見等を総合いたしまして考えましたことは、ちょうど内地におけるいわゆる通産省の支局があるごとく、郵政省の地方郵政局があるごとく、また鉄道の管理局があるがごとく、それぞれの中央とつながる地方の管理事務を扱っている局と、そして沖繩自体の振興開発をいたす事務と、ちょうど、こういうような地方の県庁と、いま申し上げましたような中央の官庁のいわゆる連絡調整機関とが一緒の屋根のもとにおいて、沖繩という特殊な立場にある開発を、開発基本計画に基づいて推進をしていくという機構体制であるということを私は言って、内地のこうした立場と同じだな、こういう解釈をいたしながら、関係事務責任者と話を進めてまいったのでございまして、その調整役は、何といってもいまおります吉岡事務局長が調整責任者にならなければならぬ、こういうことで、私は、吉岡事務局長に強く、今後のこうした運営に対しましても配慮を持ちながら指示もしてまいったようなわけでございまして、要は、事業は人なりといいますけれども行政も私は人なりだと思うのでございます。その事務局長の人というものによって、適切な総合調整連絡の遺憾なきを期して、そして沖繩振興開発法にのっとって、それを推進していく大黒柱になるべきであるぞということを私は吉岡君に指示もしてまいり、そして県の知事に対しましても、総合事務局と県当局との連絡というものがどういうところにあるか、また溢路がどこに生じておるかというようなことも適切に私は聞き、また、それに対する私の所感も申し上げてきたというようなことでございますので、復帰ちょうどもう一年になろうとするとき、いわゆるこの半年ほどは、そうした二十七年間不幸な異民族のもとにあった沖繩が、日本と同じような体制の事務系統の中に入ってきますと、やはり半年、一年というものはふなれな点も多かったことはやむを得ません。したがって、これからはもう内地同様なそうした立場で、中央官庁の主務大臣も、そうした配慮で沖繩の特異性を見ながら、私が中央でのいわゆるまとめ役になっていくというような姿で、ひとつ沖繩開発の機構との関連事務に関しては、いま申しましたような気持ちで、やはり私は私なりの人間として中央においての連絡調整をはかり、吉岡君は吉岡君としての人間性を持った姿で、ひとつ沖繩開発の大黒柱になるようにということを指示しておるような次第でございます。
  15. 西銘順治

    ○西銘委員 長官の熱意のほどはうかがえるわけでございますが、沖繩開発庁を設置し、また、その支分部局として総合事務局を置いたのも、結局は、二十数年の間に本土との間に埋めることのできない格差ができた、この格差を是正して、県民生活の向上をはかろう、福利増進をはかろうというのが設置の意義だった、目的だったと思うのであります。  しかしながら、設置法の規定を見ますと、たとえば許認可の権限にいたしましても、長官がほとんど持っておられない。総合事務局長も、農政あるいは通産行政に関する特に許認可の権限に関する限り、主務大臣の指揮監督を受けなければならないということになっておるわけでございます。  私は、復帰してよかった、一日も早く格差を是正するという実をあげるためには、現在各省大臣、主務大臣が持っておるところの権限の一部を移譲して、積極的に沖繩経済の振興、社会の開発に関するいわゆる総合調整という本来の目的を達成しようとすることになれば、もっと権限を移譲して、総合事務局を強化していく必要があるのじゃないか。県民の素朴な感情でございますが、あれはアパートであって全然血のつながりがないじゃないか。たとえば農政の問題にしても水産の問題にしても、一体長官はどれだけの権限を持っておるか、そういうところに不満があるわけであります。もちろん国の総合施策の全般にわたって沖繩問題が解決されなければならないことは当然でございますが、沖繩開発庁を置いたり、総合事務局を置いた意義が、何とかして権限を強化しない限り、薄れたような感がするのでありますが、これらに対する長官所見をお聞きしたいと思います。
  16. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になる心情あるいはそのお気持ち、また実際上のそうした問題点も出てきておる、そういうようなことは、私もよく認識をともにする一員でございます。ただ、さっきも申しましたように、まだ復帰一年の段階でもございますので、そうした点についてもう少し様子を見ながら、実態に即してこうした点はやはり検討を加えなければならぬ。おっしゃったとおり、主務大臣としての権限、許認可の問題、すべてにおいて各省庁にまたがっておることからくる系統事務の能率増進ができ得ないとか、あるいはまだほんとうに認識していない所管の大臣がそうした権限を持つことが、かえって沖繩開発なり発展の上にはマイナスになるのではないかというような点も、私みずからやはり同じような感を持っておるような次第でございます。  したがいまして、こういうような点につきましては、もう少し行政の推移を見ながら、前向きの姿勢で注視しながら、その上で、私は、やはり機構改革なりあるいはそうした点をもう少し改めていくべきであるという気持ちは一緒でございます。私は、一年間の実態というものを踏まえながら、ここ新たなる第二年目の中にあって、そういう問題にひとつ前向きの姿勢で検討を加えながら取り組んで、漸進的にこれに対処したい、こういう気持ちであることを御理解願いたいと思います。
  17. 西銘順治

    ○西銘委員 これは現地新聞の報ずるところでございますが、最近沖繩総合事務局政府出先機関の職場で、ステッカーをめぐって当局と組合との対立が非常に激しくなっているわけであります。私は、この問題を労使の問題、労働条件の改善の問題という立場から見るのではなくして、御案内のとおり、沖繩復帰いたしました際に琉球政府職員を引き継ぎました。総合事務局の中で、東京の関係各省庁から派遣されて働いている方々と、現地で採用された元琉球政府職員との間がうまくかみ合っていないのではないか。これはもちろん、県庁職員にいたしましても、総合事務局に採用された元琉球政府職員にいたしましても、この一年間で本土の行財政制度になれるということは容易なことではございません。懇切な指導、切磋琢磨することによって、行政の実をあげることができると思うのでございますが、何かしら、沖繩側で採用された職員のコンプレックスの問題等にもつながっておると思うのでございますが、その点、長官所見をお伺いしたいと思います。
  18. 坪川信三

    坪川国務大臣 御心配になる点、私も沖繩現地に行く前から想像しておりまして、行きまして直ちに関係各省庁の幹部職員全員を集めて、そうした点について私は私なりの感じを持って、諸君とともに話し合ったわけでございます。要は、さっきも申しましたとおり、行政は人なり、その行政は人なりの中にあって一番重要なことは和である。お互いが理解し合うということ、ことにいわゆる離れました沖繩、そして二十七年の立ちおくれというものを考えたときに、ほんとうにその衝に当たる行政官というものの任の重いことを思うときに、その基礎は何といっても職員の和である、こう思うのでございます。ことに内地から来られた職員また家族間の和、あるいは現地職員とまた東京から来た職員の和、こういうようなことは、昔私は北京の大使館につとめたことがございますが、ああいう離れた土地に行けば行くほど、一つは人間の親近感も深くなるとともに、非常に不和になったならばまことに不幸な事態が出てくるというようなことから、私は、それを行く前から心配いたしましたので、この間行っておりますときに、関係省庁の全幹部職員を集めて、そういうような点まで私はこまかく触れながら、職員のこうした問題に関して、私も私なりの感じをもって彼ら職員と話し、しかつめらしい訓示じゃございませんが、私としての考えを述べて、職員の和と能率、事務刷新のために精進してくれるようお願いもいたしておりますので、今後も私は監督の責任者として、そうしたきめこまやかな、人間性を持った、理解と愛情の上に立った、こうした点の配慮を人事面にも考えてまいりたい、こう考えております。
  19. 西銘順治

    ○西銘委員 沖繩問題イコール基地問題といっても過言ではないと思うのであります。沖繩経済社会開発を進めていくために、当面どうしても基地整理をしなければなりません。この件につきましては、防衛庁を中心とし、さらに外務省の努力によって前進はいたしておりますが、総理府として、沖繩経済社会開発計画を進める中で、主体性を持って、どの基地をいつまでに縮小してもらいたいという計画があるのかないのか。もっぱら防衛庁まかせであり、外務省まかせであるのか。その点もお伺いしたいのであります。
  20. 坪川信三

    坪川国務大臣 前の委員会でも申しましたごとく、沖繩開発の推進の上において一番重要な問題は基地の問題である。その基地の整理縮小ということが最も重要なことである。安保を堅持している政府の立場からいいましたならば、少なくとも基地の整理縮小、基地の撤廃、撤去ということばと、私どもが述べている整理縮小、屋良知事の言われることと私たちの表現は違いますが、帰するところは一つである、こういうような気持ちで取り組んでおるわけでございまして、閣議の場においても、あるいは個々の場においても、外務大臣あるいは防衛庁長官等を通じながら、これに対する積極的な整理縮小の促進に、あらゆる場を通じて述べてもおり要求もしており、ここで年次計画というようなことはできませんけれども日米議会の場において積極的に進められているということも事実でございますので、その点はひとつ御理解と御信頼を願いたい、こう思います。
  21. 西銘順治

    ○西銘委員 長官の熱意のほどはわかりました。関係各省庁の主務大臣が、沖繩問題に対して、それぞれの分野から立場から、強力に推進されていることは高く評価するのでございますが、何と申しましても、沖繩開発庁長官が中心となって、各般の問題について指導性を持って、長官みずから分担されている分野も非常に多くて、御苦労とは思いますが、沖繩問題一つ一つについて、各省大臣にまかせるというのではなくて、総合調整という立場から積極的に介入していただいて、復帰の際における格差の是正ということを一日も早く進めていただきたいということを要望いたしまして、長官に対する質問を終わりたいと思います。  次に、カツオ、マグロはえなわ漁業の件についてお伺いしたいのでございます。  質問の第一点は、近海カツオ、マグロ漁業の操業区域を甲区、乙区に分けておるわけでございますが、この甲区、乙区に分類しておるその基準と申しますか、根拠となる法規は何であるか、お示しをいただきたいと思うのであります。
  22. 恩田幸雄

    ○恩田説明員 近海カツオ、マグロ漁業の操業区域を甲と乙に分けている根拠でございますが、近海カツオ、マグロの操業区域につきましては、漁業法第六十五条の規定に基づきます指定漁業の許可及び取締り等に関する省令第六十三条の二によって、操業区域を限定しております。それからさらにその中で、漁業法五十八条の規定に基きます近海カツオ、マグロ漁業の許可の公示にあたりまして、特に区域を甲区域と乙区域とに分けまして、隻数の公示をいたし、それに基づいて許可をいたしておる次第でございます。
  23. 西銘順治

    ○西銘委員 沖繩本土復帰した際、いまの甲区、乙区に分けてそれぞれの漁船がその海区を決定されたわけでございますが、それを決定するまでの経緯はどうであったのか、これは沖繩県庁が指導権をとったのか。いわゆる八度以南に実際出漁しておる実績があるにもかかわらず、それが全然勘案されていないということを現地から聞いておるのであります。その経緯について、簡単に御説明願いたいと思うのであります。
  24. 恩田幸雄

    ○恩田説明員 復帰にあたりまして、先ほど申し上げました甲と乙との区域がございますもので、本土側と同じような取り扱いにいたしたわけでございます。その際に、一応琉球政府におきまして許可船の漁業実態を十分把握していただいた上で、復帰当時に航行能力が十分でありまして、かつ甲海域で操業した実績のある船舶については、これを甲海域でやるようにいたしました。水産庁は、沖繩県からの申し入れによりまして、各船ごとに操業区域の決定を行なった次第でございます。
  25. 西銘順治

    ○西銘委員 この乙海区、甲海区を侵犯した場合に罰則はございますか。またその罰則を実際に適用したことはありますか。その二点についてお聞きいたしたいと思います。
  26. 恩田幸雄

    ○恩田説明員 乙の許可を受けた船が甲の海域に出ました場合には、一応操業区域の違反ということになりまして、漁業法六十一条の違反に相なることになります。  これに対します罰則といたしましては、三年以下の懲役または二十万円以下の罰金ということになっております。
  27. 西銘順治

    ○西銘委員 懲役を科したことはあるのですか。
  28. 恩田幸雄

    ○恩田説明員 一応この司法処分につきましては、全部海上保安庁を通してやっておりまして、現在のところ、私どものほうでは直接それを確認いたしておりません。ただ、従来、私どものほうに海上保安庁から一部書類が参りまして、それによりますと、若干の例はあるようでございます。
  29. 西銘順治

    ○西銘委員 最後に、沖繩におけるカツオ、マグロ漁業の振興策と申しますか、それについて長官からお聞きできれば一番いいのですけれども、できなければ水産庁関係からお答えいただきたいと思います。もちろん何といっても、漁業の振興は港湾の整備でございまして、漁港につきましても、たいへん配慮をいただいて、基盤は着々できているわけでございます。しかしながら、まだ施設に対する助成につきましても十分——十分の十というふうに補助率等にいたしましても最大の考慮が払われておりますが、機能施設、冷蔵冷凍関係設備に至っては、ほとんどこれは取り上げられてない。しかも、海洋万博を控えまして、期間内に五百万人来島するということになりますると、一カ月間で沖繩県全体の要するに百万人分の魚介類、生鮮食料を保存しなければならない。そういうことで、現地漁業組合等からも、冷凍冷蔵施設に対する要求が非常に強いと思うのでありますが、これに対する当局の施策と申しますか、対策があるのかないのか、お聞きしたいのであります。
  30. 恩田幸雄

    ○恩田説明員 一般の冷蔵庫につきましては、私のほうで本日、資料は用意しておりませんのでございますが、カツオ、マグロに限ってお答えいたしたいと思います。  沖繩のカツオ、マグロの漁獲量が全漁獲量の七〇%を占めておりまして、非常に重要な漁業でございますので、これが振興にあたりましては、水産庁としても鋭意努力しているところでございます。特に、農林大臣が定めました三年間の振興計画によって、カツオ、マグロの振興をはかりたいということで、漁船の建造、省力機器の導入等について特に振興策を講じておりますほか、沖繩の特別事情といたしまして、負債の肩がわりについて独自の優遇策を講じておる次第でございます。このほか、税制上につきましてもいろいろの優遇策を講じております。
  31. 西銘順治

    ○西銘委員 水産庁当局に対してお願いしたいことは、漁港関係は九九%、一〇〇%近く現地からの要望が取り上げられまして、十分の十というきわめて高い助成をいただいておるわけでございますが、特に、二年後に控えた海洋国際博における生鮮食料品等の保存の点で、もう少し冷凍冷蔵等の機能施設について御検討いただいて、積極的な施策を講じてくれるように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  32. 浅井美幸

    浅井委員長 次に、上原康助君。
  33. 上原康助

    ○上原委員 きょうは、沖繩の医療行政についてちょっとお尋ねをしたいと思います。先ほども同僚委員のほうから少しお触れになっておったのですが、復帰後の沖繩の医療行政が非常に混乱しているという点については、政府もわかっておられるかと思うのです。そこで、なぜこのような医療行政の混乱というものが起きたのか、その原因をどう把握しておられるのか、その点について、厚生省なりあるいは開発庁として御答弁を求めたいと思います。
  34. 山高章夫

    ○山高説明員 御答弁いたします。  沖繩の医療行政が混乱している原因をどう把握しているかという御質問でございますが、沖繩で一番私ども大きな問題であると思いますのは、やはり医師、看護婦不足の問題ではないかと思っております。それで、沖繩の医療行政を今後どう進めるかという点の中心になるのも、やはり医師、看護婦不足問題の解決というところにあるのじゃないかというぐあいに把握しております。
  35. 上原康助

    ○上原委員 御承知のように、昨年五月の十五日復帰になりまして、従来の那覇病院が琉大の付属病院に移管されております。そこで文部省が来ておられると思うのですが、琉大付属病院の現在の陣容ですね、復帰時点で医師あるいは看護婦、医療従事者を含めて、どれだけ国に移管されたのか、その点について説明いただきたいと思います。
  36. 山高章夫

    ○山高説明員 文部省の御所管でございますけれども、琉球大学の付属病院につきましては、職員の総数が二百八十人で、現在二百六十七人。復帰当時のことについては、私どもただいま資料を持ち合わせておりませんので、文部省のほうから御答弁いただくことになりますが、現在は二百八十の定員で、二百六十七の現在員というふうに把握しております。
  37. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 昭和四十七年度に琉球大学付属病院として二百八十人の予算定員を得まして、現在、一月一日現在で二百六十七人の現員がおるわけでございます。  そのうち、おもな内訳を申しますと、病院関係の教官が三十人、看護婦関係が百六人、こういう状態になっております。
  38. 上原康助

    ○上原委員 琉大付属病院が地域医療をやめた理由は何ですか。
  39. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 大学付属病院ということで、教育研究並びに診療というこの三つの事項を行なわなければならない、その考え方で将来、四百人に人員を整備したい、こう考えておるわけでございます。  なお、その時点におきまして、従来の通常の病院とは異なった機能を大学病院というものは持っておるというために、地域医療について若干手薄になるわけでございます。この点については、地域医療部というものを設けまして、そこで地域医療について配慮したい、このように考えておるわけでございます。
  40. 上原康助

    ○上原委員 地域医療について具体的にどう配慮したのですか。それと、いま最初の御答弁でも、沖繩の医療行政が行き詰まっているといいますか、混乱している大きな原因というのは、医師、看護婦不足なんだ、その点はもう一般常識となっているわけですね。そうであるならば、琉大の付属病院として国が医師なり看護婦なりを引き取るという場合は、当然それだけの穴があくということは、皆さん、復帰段階で検討しなかったのですか。そのことが、那覇南部地域における地域医療、救急医療が全くなされない、人命まで落としているこの現状というもの、そのことは、文部省も厚生省ももっと私は真剣に考えるべきだと思う、同時に開発庁も。そういうことに対してのお話し合いなり、穴があく場合に、それを具体的に補てんしていく地域医療体制、救急医療体制というものをどう考えておったのか、全然検討しなかったのか、もう少し具体的に説明してください。
  41. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 地域医療部といたしましては、現在琉球大学の付属病院としましてはわずかに二名の人員しかいない、こういう状態になっております。この点につきましては、大学病院ということになりまして、各診療科をそれぞれそろえて教育研究を行なわなければならない。それに対しましては大学としては、全体として従来の那覇病院よりも人員の規模を相当多くしておりますけれども、やはりそういう大学病院の通常の業務を遂行するために、従来のように地域医療に重点を置くということができない、こういう現状になっておる次第でございます。
  42. 上原康助

    ○上原委員 それを具体的に解決していく、改善策を講じていくという方針もお持ちでないのですか。また、那覇病院が琉大の付属病院になったということについて、厚生省は文部省との協議といいますか、話し合いというのは全然持たれなかったのですか。
  43. 山高章夫

    ○山高説明員 御答弁申し上げます。  先ほども申し上げましたように、沖繩の医療問題は非常に重要な問題でございまして、私ども非常に問題意識を持っておるところでございます。特に沖繩の地域医療の点につきましては、病院不足、医師が不足看護婦不足ということでございますので、また、特に最近救急医療が著しく問題になってきておりますので、そういう点にかんがみまして、文部省と十分御協議して、大学の付属病院にも地域医療の一部をお願いしたいというぐあいに要望いたすつもりでございます。
  44. 上原康助

    ○上原委員 大学側は、いわゆる硫大付属病院になっている那覇病院に、地域医療あるいは救急医療もさせるという方針を持っているのですか。また、そういう指示なりを現地にやっているのですか。
  45. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 先ほど申しました地域医療部は医師の定員が二人でございますが、ほかに看護婦の定員も二人で、それにしましてもわずか四人でやっておるわけでございます。その段階では、伝染病患者であるとかそういう者の収容が非常にむずかしい、こういうことでございまして、大学に移管する際には、県立の那覇病院が再発足した時点で、同病院でもその旧那覇病院で収容される、こういう方針をお聞きしておりました。そういう意味で大学といたしましてはこの程度の地域医療部になった、こういう事情があるわけでございます。  それから救急医療につきましては、大学病院特殊性からいいまして、二次的に非常に重症な救急患者であるとかそういう者を中心に受け入れていきたい、このように考えておるわけでございますけれども、この点については地元と十分話し合いをして、地元の全体の救急医療体制の中で、大学病院特殊性を発揮しながら協力していくように、こういう指示をいたして、目下いろいろ検討を重ねていただいておるところでございます。
  46. 上原康助

    ○上原委員 どうも答弁があまり納得できないのですが、そんなことじゃないんですよ。二人しか医師がいない、看護婦不足しているということぐらいはこっちもわかっているんです。そうだから、それをどう解決をしていくかというお尋ねをしているのです。  それでちょっと厚生省に伺うのですが、看護婦が一日に扱う患者の人数というのはどうなっているのか、あるいは看護婦さんが夜勤をするのは月に何時間なのか、そういった面について、本土沖繩との比較なりがありましたら、答弁をしていただきたいと思います。
  47. 山高章夫

    ○山高説明員 ただいまの点につきましては、本土沖繩との比較はございません。
  48. 上原康助

    ○上原委員 沖繩の実情については、調査なり資料を持っていられるのですか。
  49. 山高章夫

    ○山高説明員 沖繩の実情については、遺憾ながら十分な資料は持ち合わせてございません。ただ、看護婦の勤務の体制につきましては、ほぼ本土と同じような勤務体系をとっているところでございます。
  50. 上原康助

    ○上原委員 では本土状況はどうなっているか、説明してください。
  51. 山高章夫

    ○山高説明員 本土の場合には、先ほど看護婦の夜勤時間その他のお話がございましたが、これにつきましては、実は昭和四十年に、国立病院の労働組合が人事院に労働条件の改善につきまして判定を申請したわけでございます。その判定によりますと、一看護単位二人夜勤、夜勤回数は月おおむね八回という線に近づくようにしろという判定をいただいております。現在本土では、その線に沿うように努力しているところでございます。
  52. 上原康助

    ○上原委員 政府の医療行政に対する姿勢がいみじくも明らかにされたようなものですが、沖繩看護婦不足、医師不足が問題だということをおわかりになりながら、そういう看護婦の実態なり勤務体制等についても全然調査をしていないということは、きわめて遺憾なことだと思うのです。  そこで、では現在どの程度の看護婦沖繩不足しているのか。もちろん本土でも看護婦不足看護婦さんの勤務の問題、労働条件などいろいろ問題があります。この点はきょうは触れませんが、一般論としてどれだけ看護婦不足なのか、その点についてはおわかりいただいているのですか。
  53. 山高章夫

    ○山高説明員 御答弁申し上げます。  沖繩におきましては、現在看護婦の就業者が千六十六名おりまして、人口十万対にしますと一一一・一人であります。本土よりかなり低い水準にございます。
  54. 上原康助

    ○上原委員 では今後、この看護婦不足を県だけにまかすおつもりなんですか。やはり国の厚生行政の立場でやっていかなければいけない問題でしょう。最初に指摘しましたように、琉大の付属病院である那覇病院、一名新那覇病院と言われているのですが、そこにも医師をもっと増員する、あるいは看護婦を増員していく、そういうことで、地域医療体制、救急医療体制というものをとらなければいけないと思うのです。この点についての具体策はお持ちでないのですか。国のほうにも現地のほうからいろいろ要望が出ているわけでしょう。
  55. 山高章夫

    ○山高説明員 沖繩看護婦の養成の関係でございますが、昭和四十七年度では、看護婦の一学年定員が三百八十名、総定員で八百名ございましたが、四十八年度は増員を見まして、四百二十五名、総定員で九百九十五名になっております。  なお将来の点でございますが、もちろん県内市町村あるいは県内の医師会等で、看護婦の養成所の設置をお願いするようにいたしておりますけれども、国も当然看護婦の養成所は設置しなければならないということで、四十九年度以降何とかものにしたいと検討している次第でございます。
  56. 上原康助

    ○上原委員 どうも気の長い話で、四十九年までいまの状態ではいかないわけですよ。たとえば沖繩の赤十字病院看護婦をもっとふやしてもらいたい、あるいは医師を派遣してもらいたいというようなこととか、本土にある済生会病院ですか、こういうところに対しても、県側の厚生部あたりから要望が出ているわけでしょう。人口の半分以上、五十万以上が那覇南部に占めているわけですよ。その地域に全然救急医療ができないというのは、本土でそういう例がありますか。先ほどの話にもありましたように、那覇から三十キロも離れた中部の具志川市まで救急患者を運ぶ、そこも手一ぱいでどうにもならない、こういう状態は何としても緊急に解決をしなければいかない問題だと思うのです。大臣、その点について、先ほどいろいろ心情論をお述べになっていたのですが、実際にこういうことさえ解決できないところに、復帰後の沖繩県民の不満、いろいろの問題があるのです。これは担当大臣として、厚生省並びに文部省とも話し合って、少なくとも国が取り上げた、復帰時点において那覇病院から取り上げた医師の数、看護婦数については、当然それだけは国が責任を持って補てんすべきだと私は思うのです。先ほどあった琉大付属病院、通称新那覇病院復帰時点で移った医師の数は、私の資料では三十八名、看護婦要員が百四十六名、これだけ医師、看護婦さんからとられたわけだから、ますます大きな穴があいてしまった。その補てんは、国の医療行政の立場で、あなたが中心になってやらないといかないと思うのですよ。どうなさいますか。
  57. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほどから上原議員と厚生事務当局との質疑の応答の内容を聞き及んでおりまして、過般沖繩に参りまして、医療行政の不完備並びに看護婦等の不足、また救急体制の不備等を強く指摘され要望されたと同じ内容が、さらにまだ消極的な実態というものを聞きまして、私も非常に憂慮の感を深くいたしておるような次第でございます。もっともっと、厚生省あるいは文部省等を通じまして、これらに対するところの積極的な整備、ことに人間の命に関する重要な問題の業務が非常に不備な点であることを思いますときに、私も責任大臣といたしまして、非常に責任の重きを痛感いたしております。全く同感でございまして、私は、いよいよ予算編成の時期にもなってまいりましたので、厚生大臣あるいは文部大臣等を通じまして、強く要望もいたしてまいりたいということを、強くお約束申し上げておきたいと思います。非常に重要なことだと思います。
  58. 上原康助

    ○上原委員 いま担当大臣で、前向きの御答弁と、またこの問題を解決なさるために約束するという決意が表明されたのですが、やはり復帰でいろいろ問題があります。私たちは、社会保障、医療行政等につきましては、復帰すればかなりよくなるであろうという期待を、私たちだけじゃなくして、百万県民も持っておったと思うのです。ところが残念ながら、ごらんのとおり。ですから、このことは場合によっては、予備費の支出をしても緊急に財政的な手当てをすべきものもあると思うのです。あるいは長期的には看護婦の養成、医師の確保ということもやらなければいけませんし、そのことを開発庁長官が中心になって、厚生省、文部省とも話し合って、国体までにそれを解決してください。いまの状態では、国体を開いても、万一救急患者が出た場合どうしますか。さらに海洋博に向けて、 いろいろ問題が出ておる中で、こういうお粗末な医療体制で一体海洋博も乗り切れると思うのですか。そういったことなどもあわせて、ぜひ十分な対策を講じていただきたいと思います。大臣、その点よろしいですね。念を押す意味で……。
  59. 坪川信三

    坪川国務大臣 昨年また本年にかけまして、復帰後の沖繩の医療行政に対しまして、非常に緊急な問題といたしまして、看護学校あるいは救急センターというような必要に迫られた重要な問題については、御承知のとおりに、適切な措置予算上、昨年度は講じておるようなわけでございます。したがって、いま御指摘になりました点等を含めまして、四十九年度の予算編成に際しましては、先ほど申し上げましたお約束をぜひ果たしたい、私はこう思っております。いまの時点におけるところの予備費支出、予備費からの支出に伴う諸般の手当ての問題につきましては、一度よく検討いたしてまいりたい、こう思っております。
  60. 上原康助

    ○上原委員 これは、事人命にかかわる問題ですから、課題ですから、そういうことと予算問題を含めて、十分御検討をいただきたいと思うのです。看護婦不足の問題にしても、確かに看護学校に充てる予算をふやした、そういう面も評価をいたしますが、先ほどの御答弁もありましたように、おそらくいまの看護婦数は千六十五名でしょう。本土並みという基準で考えると、少なくとも二千五百名おらなければいかぬ。不足が五百名以上です。これも、現段階においてそういう状態なんですね。ですから、将来の医療行政まで考えた場合には、もっと計画を立てた方向での看護婦の養成、あるいは医師確保というものをはからなければいかないと思うのです。  さらに、救急医療の施設問題にいたしましても、類似県と比較した資料を参考までに申し上げておきたいのですが、鳥取県が総数で十一カ所、島根県九つ、徳島県二十七、香川県四十一、高知県二十五、佐賀県が三十八。これが一般病院で、それぞれ十、八、二十七、三十五、十七、十三、沖繩は一カ所だけ、こういう救急医療。中部病院一カ所だけがいま救急医療を受け付けているわけでしょう。こういう類似県と比較してみても、いかに貧弱な医療行政体制であるかということも、政府みずからも調査をし、実態をおつかみになってやらなければいかない問題だと思うのです。これは何も県だけの責任じゃないですよ。長い間アメリカの異民族支配の中で、軍事優先政策の中で、こういう格差というものが生まれてきた。復帰をしたら当然国がこういうことぐらいはやってあげるのが、私は、先ほど長官がおっしゃった県民の労苦に報いる政治のあり方じゃないかと思うのです。これはもう県民にとっては耐えられないいまの医療行政のお粗末な状態ですので、県側とも十分御検討、話し合いをしていただいて、早急に開発庁厚生省が中心になって解決していく、厚生省もその用意がありますね。
  61. 山高章夫

    ○山高説明員 実は五月の十五日に沖繩県の厚生部と沖繩県の医療行政全般、特に県の計画についてこれを聞いて、私どものほうと県と調整してそれを実施していこうという予定にいたしておりますので、先生のおっしゃるとおりいたしたいと思います。
  62. 上原康助

    ○上原委員 これは時間かけてはいかない問題ですから、ぜひ文部省も、先ほど消極的な御発言でしたが、関係者で話し合って、救急医療あるいは地域医療、そして医療行政全般について御検討いただきたいと思います。  時間がありませんのであと二点ばかり聞きたいのですが、例の福祉年金で無拠出の福祉年金制度なんですが、この点について政府は、沖繩の無拠出福祉年金についてどういう対策をとってこられたのか、まず説明をしていただきたいと思うのです。
  63. 幸田正孝

    ○幸田説明員 お答えを申し上げます。  沖繩県におきましては、昭和四十二年度から老齢福祉年金昭和四十三年から障害福祉年金及び母子福祉年金といったような制度がすでに実施をされておりまして、これにつきましては、復帰前に、本土援助というかっこうでの援助をいたしておるわけでございます。昨年の復帰に際しましては、沖繩のこのような福祉年金の権利を、それぞれ本土の法律のそれぞれの権利として承継をいたす、こういうことによりまして、現在福祉年金は全く本土並みの額、あるいは所得制限につきましても本土並みでございますが、そういったようなかっこうで支給をされておる、こういう状況でございます。
  64. 上原康助

    ○上原委員 該当者は何名いるのですか。
  65. 幸田正孝

    ○幸田説明員 本年三月末で申し上げますと、老齢福祉年金関係は四万三千九百十五人でございます。それから障害福祉年金が三千百二十五人でございます。母子福祉年金が二千七百十四人、そのほかに準母子福祉年金が十四人でございまして、合計いたしまして約五万人ということになっております。
  66. 上原康助

    ○上原委員 やはり大体五万人いるわけです。それでお尋ねしたいことは、御承知のように、本土昭和三十四年十一月から無拠出福祉年金が適用され、沖繩の場合は昭和四十二年の七月から発足しているわけですね。八年の格差があるんです。これは先ほど説明も受けたんですが、沖繩復帰に伴う特別措置法で継承するということになったので、遡及することはできないのだという御説明ですが、これは大臣にもぜひ聞いていただきたいのですが、事無拠出のやつなんですね。しかも福祉年金、老齢年金、母子、準母子、障害年金なんです。こういうことは無拠出のことでありますから、国の政治姿勢いかんによっては、本土と同じように昭和三十四年にさかのぼって適用できると思うのです。もし沖繩アメリカ施政権下にないならば、当然、昭和三十四年からこの五万人近い該当者は年金恩恵を受けられるのですよ。そういうものまで差別をするということは私は当たらないと思うのです。ぜひご検討していただきたいと思うのですが、その御用意がありますか。
  67. 幸田正孝

    ○幸田説明員 福祉年金は、先生案内のとおり、一定の所得水準以下の者につきまして、高齢者あるいは母子家庭、心身障害者というものを対象にいたしまして、その生活の実態に着目いたしまして、その福祉を高めるために給付をされておるものでございます。すでに相当期間を経過しておりました時期にさかのぼって、これに相当する給付を行なうということは、こういった福祉年金制度趣旨からいたしまして、私どもいかがなものかと思っているわけでございます。  さらにつけ加えて申し上げますならば、すでに相当期間を経過いたしておりますために、その当時の状況がどうであったか。福祉年金の場合におきましては所得状況一つの要件になりますし、あるいは障害福祉年金になりますと、廃疾の状況がどうであったか、あるいは母子福祉年金になりますと、生計維持関係がどうであったかといったような技術的な問題もございます。すでに死亡いたしております方もおられると思いますし、あるいはそういった要件に該当しない方もおられるということでございますので、そういった技術的な観点から見ましても、さかのぼることについては私どもとしては困難であろう、かように考えているわけでございます。
  68. 上原康助

    ○上原委員 きょうは時間がありませんからあとでまた議論いたしますが、そういう事務的な答弁じゃいかないのですよ、それは。それは調べればわかることであって、やる意思があるかないかなんですよ。大臣、それを御検討いただきたいと思うのです。終わります。
  69. 床次徳二

    ○床次委員長代理 安井吉典君。
  70. 安井吉典

    ○安井委員 あと五、六分ありますから、その間にちょっと伺いますが、まずこれは文部省でも厚生省でもいいんですが、大学付属病院が救急医療を扱わないというそういう仕組みはいつごろからですか。
  71. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 特に救急患者を扱わないというそういう仕組みはございませんで、具体的に救急患者がある場合には、その時宜に応じて、各病院とも、大学付属病院も扱っておるわけでございます。
  72. 安井吉典

    ○安井委員 いま、ほかの大学ではちゃんと扱っているわけですね。
  73. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 大学によっては扱っておりますし、また大学によっては扱っていない大学もございます。
  74. 安井吉典

    ○安井委員 そうすると、いまの沖繩のこの病院は、初めの計画は扱わせるつもりだったんですか、扱わせないつもりだったんですか。
  75. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 現在も、十二月あるいは一月、二月も若干の救急患者を受け付けて具体的に治療しております。そういう意味では大学病院といえども二次的に、非常に重症の患者であるとか、そういうものの救急には応じる、そういう体制は方針としては考えておるわけであります。
  76. 安井吉典

    ○安井委員 大臣、これは政府として考えていただかなければいかぬですね。これはもう重大な、政府沖繩県民をだましたりあるいは国会をだましたということになると思うのですよ。つまり、従来から琉球政府立の病院があって、いわゆる県立病院として地域病院があったわけですから、だから大学付属病院にこれがなれば、そのことによって地域病院としての充実もできて、救急なんというのもこれはもう当然のこととして、そんなことはだれも考えていなかったと思う。だから県立病院やめ大学付属病院にしたわけですよ。だから政府は、県立病院をつぶして大学付属病院にすることによって沖繩の地域医療を含めて、それから救急ももちろんですよ。そういうものは強化するんだということで、この間の沖繩国会で、このような県立病院をなくしてこれをつくるという提案をなすって、われわれもそういうかまえでこの問題を見ていたわけです。県民もそういう思いでいたわけですよ。それが現実になってみたら、県立病院はつぶれたが大学付属病院になった。しかし医学部がいつできるのかわからない。そういうふうな状態のままに放置している。つまり、県民は充実できるのだと思っていたものを、頭からその期待を裏切ったというこの責任は、私は非常に重大だと思う。ですから、これは政府に対して、まあ短い時間ですから、私は選択を迫りたい。だから沖繩のあの医大、大学付属病院は、全国ほかでは救急医療は扱わない、そういう慣行かシステムかしらぬが、そういうものがあっても、それを従来の県立病院と同じように扱わせるか、さもなければ政府責任において新しく県立病院をおつくりなさいよ。あるいは那覇市立病院でもいいし、国立病院をつくってもいいですよ。もう少し教育病院の性格と一般の地域病院の性格というものを——あの当時そこまで分析していたのかどうかしらぬが、県民は、一つのものにしてしまうということは強化されることだと思っていた。そうでないんですからね。だから、教育病院は教育病院としてきちっとやりなさいよ、そのかわり、地域の中核的な医療病院を、国立でも県立でも市立でもいいから、きっちりつくるべきだと思うのです。そのどちらかの選択を来年度予算でするように、いま政府は決意すべきだ。  もう一つは、医学部を、これは佐藤総理が行ったときからの約束なんですから、どんなことがあってもつくるということ。これは、来年度すぐつくることができるかどうかわからぬが、少なくとも昭和五十年度には完成するというふうなこと。  前半の部分と医学部の設置の問題とありますが、ひとつお答えください。
  77. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほどからの上原委員並びに安井委員の、沖繩県民にとっては生命につながる重要な問題の御質疑、また、それに対処する政府の、文部省あるいは厚生省の答弁内容を思うときに、私自身も非常に感をともにするという気持ちを深くいたしておりますので、いま最後に御指摘になりました二つの問題については、政府もあげてひとつ取り組みたい。  ことに医学部の問題につきましては、御承知のとおりに、文部省のこの一、二年の方針であるような、来年はどこどこと、四つほどのなにを去年もきめ、ことしもきめていくという中にあって、私はいつも文部当局にも申し上げ、お願いしておることは、沖繩は別個に考えてくれ。私の記憶では、今後八つ開設しなければならぬということだが、沖繩は立場が違うのであるから、この中に含めて、年次計画の一番最後などに持っていってもらっては困る、やはり沖繩は、別個に医学部の設置というものを考えてもらいたいということを文部当局にも強くお願いいたしておるのでございまして、そうした立場で推進してまいりたい。  いまの前段のお話についても全く同様でございまして、沖繩はそうした特異な立場にあるのでございますから、それを一定の定木の中に入れてのはかり方をして、それに当たるなんということは、これはもう官僚の一番悪い考え方である、こう思いますので、もっと高度な政治的な立場で、これをぜひとも推進してまいりたいと思っております。
  78. 安井吉典

    ○安井委員 時間ですからこれで終わりますが、来年度の予算で、大学付属病院を地域病院的なものに使うのか、あるいは地域病院を新しくきちっとしたものをつくるのか、その選択について、次回必ずお答えいただきたいし、医学部の問題についても、次の委員会のときにもう一度これを持ち出しますので、そのときまでに文部大臣、厚生大臣等と意見を統一しておいていただいて、お答えいただけるようにお願いしたいと思います。
  79. 床次徳二

    ○床次委員長代理 瀬長亀次郎君。
  80. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 海洋博について二、三点お聞きしたいと思いますが、万博関係の歴史で、一ぺんきまってから延期あるいは中止になった実例を御存じですか。この点、大臣でなくてもいいと思いますので、政府委員からお答え願います。
  81. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 延期という例はないようでございます。したがいまして、もし延期しなければならないような場合には、一ぺん中止しまして、また再申請する、こういう形で解決するのだそうでございますが、中止のほうは一つか二つ前例があったと思います。延期はないと聞いております。
  82. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 延期が一つありますね。一九一五年開催予定であった大英帝国博覧会、これが戦争の結果、九年間延期されて二四年に行なわれておる。この実例はありますが、いずれにしても海洋博は、きまったから延期もできぬということは、万博の歴史を見ても明らかであります。  これに関連いたしまして長官にお聞きしたいのは、地元では、特に経済だけではなくて、社会、労働、教育、文化各方面にわたって、この海洋博予定どおりやられるとたいへんなことになるという声がいま相当出ております。この場合、政府としては、こういう延期、再検討という問題が当面いかに出ても、それを押して強行する腹であるのか。基本的な問題でありますので、長官から御答弁をお願いしたいと思います。
  83. 坪川信三

    坪川国務大臣 民主政治の要諦は、瀬長委員に申し上げるまでもなく、反対の主張に対しましても耳を傾けて聞くということだと私は考えておるのであります。したがいまして、海洋博に対するところの反対というものが何ゆえに起きつつあるか、また起きている実態というものはどこにあるかということも、私は謙虚に聞きおくべきであるという気持ちを持って、絶えずこれに対する声を聞き及んでおり、沖繩の二つの新聞紙上を通じても聞き、また沖繩御出身の国会議員各位の御意見を、党派を越えて聞いておる気持ちもここにあるような次第でございますが、それらの方々の声を聞くとともに、県の責任者である知事がこれに対してどう取り組んでおられるか、どう実態を把握されておるか、これが一番大事なことではなかろうかと思うのであります。  ところが、これに関連いたしまして、過般来、屋良知事も非常に積極的なお気持ちで取り組んでおられる。副知事も過般の県会か何かを通じて、あくまでも海洋博推進する不動のかまえであるという声明を出されておる。私は、これをやはり信頼すべきであると思います。瀬長委員のお気持ちはよくわかりますが、一方的な問題だけを根拠にして取り上げられておるのではなかろうか、とは思わないのでございますが、どうもそういうような点も印象づけられておるということで、ひとつお許し願いたい、こう思っております。
  84. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 一方的であるかどうかは、質問に答えてもらえばわかります。海洋博誘致運動の中で、最初は南部、すなわち糸満、知念海岸を中心としてやれという誘致運動があって、さらにいま海洋博の会場に予定されておる名護、本部、今帰仁、こういった国頭の町村長も誘致の手を打って、北部にいよいよ海洋博に向かってやることになりましたが、その地元からすでに延期さらに内容の再検討を要求する声が出ておる。しかも、この誘致決定までの経過は長官御存じであると思いますので、別にお答え願わなくてもいいですが、本部町、実に深刻な財政危機になっております。  特に海洋博に関連した上下水道工事の特別会計、これを見ますと、四十八年度が自己資金五千五百万円余り、起債五億七千九百万円余り、さらに五十年海洋博を目ざして、四十九年度、これでいくとすれば自己資金一億二千七百万余り、起債四億八千九百万円余り。この両年度合わせると自己資金が一億八千三百万円余りですが、起債が何と十億六千九百万円余りになっている。当事者に返済の当てはあるかと聞きましたら、ありません、国と関係団体がたよりであります、こういう返事を本部町当局がもう言うていたわけであります。さらに名護市長は、四月の七日に記者会見をやりまして、生活破壊につながっていくこの海洋博は延期、再検討すべきであるということを市長の名前で出し、内容も出ております。  いま一方的であるかないかと言われましたが、本部町長は自民党の町長さんです。ちっとも一方的じゃない。たとえ私が革新的だといっても、一方的に取り上げているということではありませんね。そういった、海洋博が開かれる地元からこれが出ておる。  さらに教育労働者の中からは、デメリットがあまりに大き過ぎる、七件にわたってこれを指摘して、同じく海洋博絶対反対というのじゃなしに、これを延期して、そして内容を検討してデメリットを少なくするかなくして、ほんとうに沖繩振興開発の起爆剤とかということになればいいと思うのだが、いまの状態では起爆剤どころか、いま申し上げました経済のみならず社会面でも、さらに労働、文化、教育、文化財まで破壊してしまう、こういった内容で、いま起爆剤よりは、むしろ各面にわたり置かれた爆発物が一ぺんに爆発するような状態という受け取り方が、海洋博工事が進めば進むほどその進行上でこう言っておる。こういう中で一方的な見解だという取り扱い、受け取り方については、大臣としての答弁としては受け取れないと思うのです。したがって、もし県知事が、たとえばそういったような具体的な事実があがってくる、どうもむずかしいというふうなことになると延期または延期を含む再検討の余地があるかどうか、もう一ぺんはっきりお答え願います。
  85. 坪川信三

    坪川国務大臣 これは先ほども申しましたように、あなたも申されましたように、沖繩開発の起爆剤であり、沖繩の今後の跳躍台になるほどまでの国家的な行事として、国があげて期待もいたし、またこれを推進すべきである、しかも沖繩自体がこれを計画され、要望されて発足しておることを考えるときに、われわれは沖繩現地と一体になって進むべきである。しかも中国の新たなる見えました廖承志さんまでが、中曽根通産大臣に対して、沖繩海洋博をひとつ、ともどもに成功せしめようじゃありませんかと言っているほどまで、自由主義国家も共産陣営の国家もあげてこれに対する支援体制が整えられてある。そして、国際的にもそうした期待感を持っておるということになりつつあることを考えるときに、いま現地の知事がそうしたものに対する今後の見通しの変更をされた場合に、大臣はどう考えるかということを、予測の上に立って、仮定の上に立って私がそれを答えるなんて、そんな不見識なことは私はよしたいと思っております。あくまでもいま申しました線で進むことを期待もいたしておる、こういうことで御理解願いたいと思います。
  86. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、いま本部町の例を出しましたが、この海洋博関連で、たとえば起債が両年度合わせて十億六千九百四十万円と予想している。これは本部町では返済可能ではない。こういった場合に、海洋博があっちこっちも賛成だ、中国も賛成だ、どこも賛成だといって、現地沖繩の住民は、そのためにあらゆる面で重圧を受けて苦しまなければいかぬという事態を起こさせてはならぬ。これは大臣もそのとおりだと考えておられると思うのですよ。苦しむなら苦しめということは考えておらぬでしょう。  そこで、この本部町の起債、これは名護もあります。名護も、起債もするがどうにもできぬから、ギャンブル、競輪、これを計画している。競輪は、国の政策としてこれ以上競輪を許さぬという政策になっておる。さらに、県は三十四億あるいは六億といわれておる負担をしなければならぬのを、金がありません、自己資金がないから、そこで富くじ協会ですか、それに沖繩県が加入したいということで県議会に提起したら拒否されました。否決されました。そういうふうな競輪事業を興さなければ自治体の財政はもたない、さらに県の財政ももたないというふうな状況がいま進行中なんです。これに対しまして、あの不健全な、国としてもこれ以上許可しない方針である競輪などを考えないでもいいような、あるいは富くじなどということに期待もかけないような方向で、国がその予算措置をする、財政も持つという考えがあるのかどうか、これははっきりさしてほしいと思う。数字ももう具体的にあらわれています。
  87. 坪川信三

    坪川国務大臣 瀬長委員の地元本部町、その他名護市などの実態というものを御説明になって、そうした議論をお進めになられることもよく理解し、それを否定するようなものではございません。私は、あくまでも海洋博の上においてのデメリットを、沖繩開発のほうにしわ寄せすべきものではないというのが、いつも申し上げている私の態度でございます。したがって、沖繩海洋博沖繩の振興に影響を与えまして、その計画が非常に大きい阻害を与えるというようなことは絶対に避けてまいりたい、こう考えておるような次第であります。  いま申されました問題につきましては、私はやはり沖繩の屋良知事の御要望を十分承って、その上で開発庁としての進むべき今後の沖繩開発の方向の裏づけをいたすだけの予算配慮は、十分ひとつ来年度の予算編成に際しましても、現地の知事の要望が、知事の話が、私はやはり沖繩九十五万を代表する意見である、こういうような気持ちを持ちながらひとつ真剣に取り組んでまいりたい。瀬長委員のやはり県民を代表される意見意見として尊重もいたしてまいりたい、こう考えておりますが、具体的な問題になりますと、私は、十分県当局の意向を踏まえて、予算の編成の取り組みに資したい、こう考えております。
  88. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 では個々にお聞きいたしますが、去る沖繩の県議会で、いま申し上げましたように、全国の富くじ協会に沖繩が加盟するという議案は否決されました。これが否決されましたら次の県議会にまた出すようなことを聞いておりますが、これも否決されますと、いよいよ三十四億県から出すという予算予定がなくなります。その場合、政府は県が自己負担しなければならなかった三十億円余りのこの金額を国で補償するかどうか。もう県議会でどうなるかという見通しはついています。県議会で可決されなければこの金が出てきません。いま申し上げました本部町自体が本部町につくるのです。名護と関係します。これがこのくらい多額な起債、十億円以上となりますと、本部町の財政から考えますと五、六カ年分の起債をやらなくちゃいかぬ。この起債はさせないでも、また名護、本部あたりで計画している競輪、これをさせないでも、十分、この海洋博に関連する事業費は地元に負担させないで、国が負担するんだといったことをお約束できますかどうか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  89. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 ただいまの本部につきましての起債の十何億という数字は、ちょっと私どもよくわからないのでございますけれども、私どもの見込みでは、海洋博関連事業といたしまして約七億五千万ぐらいの町負担が要るんじゃないか。その中で非常に大きなものが下水道でございます。これは海洋博の会場と同じように、一緒に使う施設でございますので、この負担を協会とどういうふうにアロケーションしてまいるか、なるべく協会のほうで相応の負担をしていただいて、町負担を減らしていただきたいというふうに現在折衝中でございます。  また、施工も下水道センターというところにお願いしてありますので、このセンターの立てかえ払いというような方法も考えられますし、この七億五千万の町負担を、この範囲でまたさらにできるだけ軽減いたしてまいりたい、かように考えております。残りは、まあさしあたりは起債ということで処理をしていくことになると思いますが、水道とか下水とかそういう種類の事業でございますので、これは料金といったようなもので将来回収されていくべきものであるというふうに考えております。
  90. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの本部町の問題でありますが、本部町自体がその起債、負債は水道料金ではどうにもならないという見通しをもう持っているわけなんです。この場合、全体的に見て地元の負担があまり大き過ぎて、むしろ誘致運動をしたんだが、いまとなってはここでやらなかったほうがいいという、そういった声が町自体から出ているということが問題なんです。そのために私聞いておるわけなんですが、沖繩県民の福祉の向上あるいは経済振興の立場からやられたこの海洋博が、こういった矛盾が出ているという問題、向こうの本部町の係も言っているように、これは国と関係団体しかたよれぬというそういった問題と、さらにもう一つ、前に申し上げました富くじの問題なんです。これは見通しももうないのですよ、長官。あれは県議会が決議しなければ加入できないし、加入できなければ三十億余り海洋博関係の事業費は県が持つといわれても持ち得ないのです。その場合どうされるか、これは長官お答え願いたいと思います。
  91. 坪川信三

    坪川国務大臣 あくまでも私は先ほど申しましたように、沖繩海洋博推進することによって、沖繩振興開発に大きな支障を来たすということは絶対に避けるべきである、またデメリットは十分に押えて、そのデメリットのなきような立場でひとつ沖繩海洋博を進めてまいりたい、こう考えておるような次第であります。だから、いまの宝くじあるいはそうしたギャンブル等の問題については、私まだ聞き及んでおりませんが、そうした点の結果がいかなる姿で出てくるか、あるいはそれがどういうような影響を与えるか、また、実際に行って真相というものも十分ひとつよく把握してまいりたい、こう考えております。
  92. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま長官の答弁の中で、富くじや競輪の問題、初めて聞くようなことをおっしゃっていましたが、これは新聞でも取り上げられているし、県と関係市町村がいま一番頭を悩ましておるのです。沖繩県民がそういった賭博的な事業によって、それからあがる財源を資金にして、海洋博の基礎固めをしなくちゃいかぬというところまできているので、私、御承知だと思って聞いたわけなんです。そういったようなひっかかりが進むに従って、海洋博に及ぼす影響——もちろん物価問題、資材、労働、そういったこともありますが、そういうふうな非常にきびしい情勢が日がたつにつれて進行中なんですね。この宝くじ協会ですか富くじ協会ですか、そこに加入できないとすれば、当然のことながら県知事はあなたのところへ来るはずなのです。どうしたらいいでしょうかという場合に、何とかしろ、おれは知らぬということでは、せっかくの海洋博が成功しないわけです。だから、事実をお調べになった上でお答え願いたいと申し上げたいのですが、事実は調べぬでももうはっきりしているのだ。そういった問題を含めまして、時間がきましたので締めますが、いま申し上げましたように、経済問題から社会、労働、さらに教育、文化、各面に至って、沖繩振興開発の起爆剤ではなくて、それを吹っ飛ばすようなこの海洋博の関連事業であるということが、総括して県のほうで意見が出る場合には、延期その他も含めて再検討をされるというお気持ちはありますか。
  93. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほども申し上げたとおり、仮定、予想の上に立っての答弁は、いまの段階では私は申し上げるべきではない、こう思っております。
  94. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう時間がきましたので、あと一つ繰り返して申し上げますが、宝くじで、県がこれを当てにして出そうとした三十億円余り海洋博関連事業、これは仮定ではなくて、一ぺんは県議会で否決されました。この場合もう仮定ではないのです。どうしますか、この三十億。
  95. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 宝くじの問題は、県の財政の問題になるかと思います。いろいろ海洋博の会場関係で、地元の協力を期待をしているわけでございまして、そういうことが県財政をお苦しめすることになるということは好ましくありませんので、宝くじ協会に加入していただいて、その分配金を沖繩県に配分を受けたらどうだ、こういったような考え方から、いろいろ県のほうとも御相談があったようでございます。そして、県の予算案でございますか、それに出されまして、否決されたという事実は承知いたしております。これにつきまして、今後県がどういうふうにお考えになっていくのか、まだ私ども詳しく御報告は承っておりません。
  96. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がまいりましたので、一応これで海洋博関係は終わることにします。
  97. 安井吉典

    ○安井委員長代理 次に西銘順治君。
  98. 西銘順治

    ○西銘委員 講和発効時より復帰までの米軍使用のための立ち入り禁止、及び操業制限等による漁業の損失補償についてお尋ねいたします。  この漁業補償の件は、昭和三十七年十一月十二日、当時のアメリカ政府土地裁判所に提訴されておりまして、件数が十七件ありました。補償金額にいたしまして約千七百万ドル計上されておるのであります。提訴後、十年になんなんとしているわけでございますが、その間、決着を見ましたのはただ一件だけでございます。原判決、上訴審判決ともに提訴を棄却するとの判決でありました。その理由の一つとして、アメリカ当局は、対日平和条約十九条に基づいて請求権は放棄された、こういうふうにいたしておるのでございますが、御案内のとおり、返還協定第四条二項におきましては、権限を与えられた係官が現地におって、引き続きこれらの請求権等を解決するということになっておりますが、この処理について、どういうふうになっておるのか、はたして権限を与えられた機関が設置されたのかどうか、聞きたいのであります。
  99. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、返還協定第四条二項に関係いたします請求権の処理の問題につきましては、昭和四十六年に地元のほうから資料が提出されまして、具体的に十七件の訴願が行なわれたということは、ただいま御指摘があったとおりでございます。そこで、請求権の処理の手続につきましては、沖繩県民方々の実際上の便宜等を十分考慮して、日米間で協議いたしました結果、米側は、復帰前に行なわれていた請求権の処理手続をできる限りそのまま踏襲することが、最も現実的かつ実効的である、こういう見地に立って具体的な請求の衝に当たってまいっているわけでありまして、ただ、具体的な訴願がございました、復帰前において米国の土地裁判所の管轄に属しておりました請求権だけにつきましては、米側の内部事情によりまして、処理を行なうべき機関の設立がおくれておりますけれども、わがほうから米側に対しまして再三督促をしてまいったところでございます。米側におきましても準備を進めておりまして、この後任機関の具体案を固めて、近日中にこれが発足するだろう、こういうふうに承知しているわけでございます。
  100. 西銘順治

    ○西銘委員 これは、昨年アメリカに行きましたときに、ジョンソン次官とお会いいたしまして、この返還協定第四条第二項に基づく請求権の処理について、早く権限を与えられた者を派遣して、早急に処理してもらいたいということで要望いたしましたところ、日本課長は、関係省庁と十分協議をして早急に派遣する、権威ある者を置いて事案を処理するという答弁があったのでございます。あれから一年になんなんとするわけでございますが、いまだにこれが解決を見ておりません。政府当局の努力によって、近々置かれることになっておりますが、そういたしますと、今度置かれる係官は、土地裁判所に提訴された案件の処理だけに当たるわけでございますか。その他請求権についてはいろいろな態様が考慮されるわけでありますが、その他の請求権についてはどこで処理するのか、お伺いしたいのであります。
  101. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 返還協定第四条二項、並びに返還協定に伴います合意議事録の四条二項に関連いたします問題としまして、数項目上がっておりますが、そのうち、ただいま、一番最初に御指摘のございました、復帰前の米軍の土地裁判所にかかわります請求権の問題につきまして、土地裁判所の後任の機関となるべき組織が、米側の内部事情によりましておくれておったわけでございますが、これはきわめて近々に、国防長官もとに土地請求権審問委員というものが設けられて、復帰前の土地裁判所と同様の手続によりまして衝に当たるという案で、準備が進められているというふうに承知いたしております。  なお、四条二項に関連いたします請求権といたしましては、土地に対する損害にかかわる請求権及び高等弁務官布令第二十号関係の収用宣告に関する請求権というものがございまして、これは陸軍の工兵部隊によって処理されます。  また、旧琉球列島米国土地裁判所の管轄に属する請求権は、中断することなく、ただいま申し上げた土地裁判所の後任機関によって処理されることになるわけであります。  三番目に、外国人の請求に関する米国の法律に該当する請求権は、引き続き沖繩にある各軍の外国損害賠償請求委員会によって処理されます。  また労働災害補償に関する米国政府またはその機関の被用者の請求権は、引き続いて沖繩にある各軍の人事事務局によって処理されます。  審査を求め得るその他の請求権で、いま申し上げましたような各項目に該当いたしませんものは、那覇にあります米国総領事館に提出して処理されることになります。  また、旧琉球列島米国民政府に対する請求権は、沖繩にあります米国陸軍の適当な事務局に係属されるべき請求権とみなす。また、復帰前に処理手続が確定されていた請求権につきましては、同じ手続が復帰後も必要な修正を経て適用される、こういうことになっておるわけでございます。
  102. 西銘順治

    ○西銘委員 最後に、外務大臣に一点だけお聞きしたいのでありますが、従来の審理状況からいたしまして、十七件のうち判決があったのはたった一件であります。その一件もゼロ回答、権限なし、対日講和条約十九条で放棄されておるというようなことになっておりまして、現地では、この問題の処理をたいへん急いでいるわけでございますが、同様、これらの請求権が土地裁判所をはじめ、関係各所において審理されていい結論が出ない場合、これが読谷漁協に対する回答と同じように、権限なし、ゼロ回答となった場合に——特に漁業補償に限って申し上げますと、国内においては、国内法でこれが保障されているわけであります。また去る沖繩国会におきましても、そういうもろもろの請求権について、本土が肩がわりするという外務大臣からの回答があったわけでございますが、一日も早く裁判の判決を出させる、そしてその結論が出次第、国内法によってこれを処理するという方向でやっていただきたいと思うのでありますが、これに対する大臣の御見解を賜わりたいのであります。
  103. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いま政府委員からお答えいたしましたように、各種の補償を処理する機関があり、またそのないものにつきましては、その設定を急いでおるわけでございまして、     〔安井委員長代理退席、上原委員長代理着席〕 仰せのように、これらの機関によりまして早急に問題が処理されるように、われわれといたしましても、側面的にアメリカ側に働きかけてまいることを怠ってはならないと考えております。そして、それらの機関がどういう判断を下すか、それをよく踏まえた上で、いま仰せになりましたこれではたして満足すべきものであるかどうか、本土との均衡において、なお考えなければならぬものがあるかないか、それは十分検討させていただきたいと思います。
  104. 西銘順治

    ○西銘委員 現地では裁判の決着がつかないものですから、早くこれを国内法で処理してもらいたいということを強く要望いたしておりますし、また、政府の一貫した施策からいたしましても、これは一応裁判にかかっておるので、裁判の決着がつかないというと国内法では処理できない、たいへん時間のかかる事案になってまいりまして、現地側としてはたいへん困っているわけでございます。  それで、大臣お願いいたしたいことは、一日も早く、現地において権限の与えられたものが結論を出すようにしていただいて、出した結論に対して、もしそれが現地側の要望するような方向で解決されないということであれば、国内法によってこれを処理するという基本をひとつ貫いていただきたいということを強く要望し、お願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  105. 上原康助

    ○上原委員長代理 安井吉典君。
  106. 安井吉典

    ○安井委員 四月十二日、沖繩県金武村のブルービーチで米軍戦車に安富祖ウシさんがひき殺されたという事件、これにつきましては、本院も外務、内閣等の各委員会で取り上げておりますけれども沖繩問題を主たる任務とするこの委員会の立場からも若干お尋ねをし、政府のそれに対する取り組みを伺っておきたいと思います。  各委員会におきまして政府のほうは、事件の真相を究明することが先決であるという御答弁を繰り返してこられているわけであります。勘定してみますときょうで九日目になるわけでございますが、全体的な経過等は、短い時間での質問でございますからもうけっこうです。当面何が一番問題になっているのかという焦点について、外務省並びに警察庁から御答弁をいただきたいと思います。
  107. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 先般来、政府側が御答弁申し上げておりますように、事件の真相を正確に把握することがまず第一であるという見地に立ちまして、関係省の協力を得ながらこの問題に取り組んでいるわけでございますが、この問題につきまして、現在、現地の司法当局が犯罪として立件できるかどうか、その観点からの取り調べを続けておるというふうに承知いたしております。日米双方において、本件が犯罪として認められた場合におきます裁判権の管轄の問題につきましては、地位協定第十七条三項の規定に従って処理されることになりますけれども、現在までに明らかになりました事実関係にかんがみますと、本件は公務中に発生した可能性が非常に強いわけでありますし、また、米側よりも公務証明書が提出されておるということでありますので、その限りに関しましては、第一次裁判権は米側が行使するということになろうかと思っておりますけれども、いずれにしましても、現地司法当局の取り調べの結果を待つということでございます。
  108. 小林朴

    ○小林説明員 この前に、現地の実況見分それから解剖等、それから米軍側の調べが十三日でございますが、それ以降、住民側でございますけれども、当時演習場に入っておられた人その他の関係者九名ばかりの調べを一応終わりまして、現在この住民関係者の立ち会いを得まして、現場に基づいて調書と現場とを突き合わせて、その当時の状況を聞いたわけでございます。現在問題になりまのは、先ほどもちょっと答弁が出たようでございますけれども、米側の意思表示と申しますか、裁判権をどちらで行使するかということがはっきりすることが一つの問題かというふうに考えております。
  109. 安井吉典

    ○安井委員 いずれにしても現在まだ真相の究明中ということでありますが、日本側の警察の捜査と米側の捜査とがきちっと合えばいいですが、それの行き違いか生ずるというようなことはありませんか。
  110. 小林朴

    ○小林説明員 お答えいたします。  ただいままでの状況では、私どもは、米側からは十三日に一日事情を聞いておるわけでございます。その限りにおきましては、特に供述が食い違っておるという状況は出ておりません。これからまだ少し米側につきまして、米側の協力を得て事情を聞いてみなければわかりませんけれども、まわりからの固めは、私のほうは一応終わっておるという状況でございます。
  111. 安井吉典

    ○安井委員 日本の警察は、その問題を生じた米軍の兵士に当たっているわけじゃないでしょう。ですから、米側は米側独自の調査が行なわれているし、こちらはこちらの捜査が行なわれていますね。その接点をどういうふうに求めるのですか。
  112. 小林朴

    ○小林説明員 要するに、米側の裁判権が行使されるということになりますと、私どものほうは、捜査をいたしましても、それにつきまして二次的な裁判権の行使という限りにおいて資料を把握するということになるわけでございます。あとは相互の協力関係ということになりますので、その辺のところであるいは話し合いを持つということになろうかとは思いますけれども、事実的には、捜査は、一次裁判権と二次裁判権との形で、並行するというようなことになるんではなかろうかと思います。
  113. 安井吉典

    ○安井委員 その捜査の段階において、もしも米側が一次裁判権を放棄したと仮定した場合に、それ以後は日本側にもし裁判権が移ったら、現在の捜査の状況をそのまま継続することで、仮定した場合ですけれども、今後の日本の裁判を、法廷を維持し得るというふうにお考えですか。
  114. 小林朴

    ○小林説明員 私どものほうは、先ほども申しましたように、米軍の調べにつきましては十三日、一日だけしかやっておりませんので、まだ全部の調書の作成が終わっておりませんから、そういうものにつきましては、今後、最終的には調べをやっていかなければならないかと思いますが、現在までの状況で裁判にたえられるような証拠固めが終わったというわけではございません。
  115. 安井吉典

    ○安井委員 米側のほうは、なに、これは公務中の問題でたいしたことないんだ、ひかれたほうが悪いんだといったような考え方でいるんじゃないかと思う。確かめたわけじゃございませんけれどもね。いま伺った限りにおいては、きちっとした、日本の警察がやっている以上の取り組みをしているというふうにも思えない、どうもそういう印象を私受けるわけであります。現在までの調査では、米軍が犯罪を犯したというふうにはっきり言いかねるような、犯罪を犯したとも犯さないとも言いにくいような状況だということでありますが、いまの段階では、この席ではこれ以上深く入った答弁をいただけるような状況ではないのですか。
  116. 小林朴

    ○小林説明員 まことに申しわけないのでございますけれども、捜査中でございまして、全部の事情がわからないと、どうも途中のことを言いまして、予断を抱かせるような形になっても申しわけないと思いますので、差し控えさしていただきたいと思います。
  117. 安井吉典

    ○安井委員 まだ別の機会がありますから、きょうはその捜査の内容については私もそれ以上追及はいたしませんが、これは外務大臣に聞いていただきたいわけでありますけれども、私は、ここでやはり微妙な国民感情というものがあるのではないかと思います。特に、沖繩県民にとって、復帰とは何ぞやという問いかけを相変わらずいたしているような状況で、決して復帰は本物になっていないわけであります。米軍はそのまま相変わらず大いばりをして走り回っている、こういうわけであります。そしてまた、日本の領土の中で起きた事件に、なぜ日本の裁判権や警察権が及ばないのかというじれったさ、これは沖繩県民のみならず、日本全体の国民の心情ではないかと思います。  それからいまも触れましたが、どうもアメリカの兵隊自身も、沖繩という土地がアメリカから日本に施政権が変わったということをまだきちっと認識しているところまでいってないんじゃないか。彼らの心情をどうもそういうふうに推しはか  れるような気がするわけです。もちろんちゃんと理解をしている人もいるが、相変わらず敗戦国日本を占領しているんだという、そういう意識のほうが強い人たちもいるのではないか。そういうような気がいたします。そこへ起きたこの事件でありますから、私はむしろ、米側は、今後の日米友好関係を継続していくという上からも、裁判権を放棄して、もうこの問題はひとつ日本で裁判をやってくださいと、そういう態度に出てくるほうが今日の全体的ないろいろな動きにとって適切なのではなかろうか、そういう気がするわけです。  そこで、地位協定十七条の3項(C)に「第一次の権利を有する国は、裁判権を行使しないことに決定したときは、できる限りすみやかに他方の国の当局にその旨を通告しなければならない。第一次の権利を有する国の当局は、他方の国がその権利の放棄を特に重要であると認めた場合において、その他方の国の当局から要請があったときは、その要請に好意的考慮を払わなければならない。」とあります。ですから私は、今度のこの事件についても、結論はどうなるか、これははっきりした捜査の進みの中からでなければとらえることはできないかもしれませんけれども、しかし、アメリカに第一次の裁判の権利を放棄して、ひとつ日本にまかせてくれませんか、こういう要求をするということが、この際日本政府として適切なとるべき道ではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  118. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 地位協定十七条三項(C)についてただいま御言及がございましたけれども、先ほど来、警察当局から御答弁ございますように、本件につきましては、なお事実関係の正確な把握につとめている状況でございますので、第一次裁判権を米側が行使するのかどうかということも含めまして、政府としては、もう少し事態の真相を明らかにした上で考えたいということでございまして、十七条三項(C)に基づいた措置をとるということは、いまの段階では考えておりません。
  119. 安井吉典

    ○安井委員 法務省の考え方はありますか。
  120. 根岸重治

    ○根岸説明員 ただいま外務省からお答えになりましたところでございますが、放棄要請といいますのは、特にその放棄することを重要であると認める特別な事由がある場合になされることになっておりますので、はたして本件がそれに該当するかどうかということにつきましても、必ずしも一がいに該当すると言い得ない面もございますので、全部の事案の真相が明らかになった段階で、慎重に検討したいというふうに考えております。
  121. 安井吉典

    ○安井委員 大臣から直接お答えをいただかなければならぬと思うのですが、私が最初に申し上げましたように、今日の沖繩復帰の現状から考えて、権利の放棄を特に重要であると認めるか認めないかというのは、これは日本政府の判断であります。要請する、その要請に対して、アメリカがこたえるかこたえないかは向こうがきめるのですけれども、要請するかしないかは日本政府です。やはり、復帰というものをまだ本気に受けとめることができない沖繩県民にこたえるためにも、私は日本政府として決断すべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  122. 大平正芳

    ○大平国務大臣 当初に御指摘がございましたように、本件につきましては、他の委員会におきましても、御追及がありましたことでございます。そのとき、私といたしましては、とうとい生命を失ったことでございまして、事柄はきわめて重大であるということが第一でございます。また、それだけに、これに対してどう処置するかにつきましては、余すところなく、事態の真相を究明した上で処置しなければならない案件であるということを申し上げたのでございます。  安井さんの言われるように、沖繩県民もとよりでございますけれども日本国民全体が注視しておることでございます。政府がこれに対してどのような措置をとつてまいるかということにつきましては、誤りないことを、しかも事の性格にかんがみまして、周到な措置を講じてまいっておるということが、一般の国民に御認識いただくような筋道において措置してまいらなければならぬと思うのでございまして、切々と訴えられる気持ちも、われわれはよく理解できるわけでございますが、それだけに、間然するところなく事態をきわめ尽くして、誤りないことをやらせていただきたいと存じておりますので、いま政府委員から御答弁申し上げたような段階でございますので、真相の把握につとめて、それを踏まえた上で、ひとつじっくり考えさせていただきたいと思います。
  123. 安井吉典

    ○安井委員 いま大平さんは、重大な事態だ、こうおっしゃった。重大なら、権利の放棄を特に重要と認めた場合は、日本政府は裁判権をこっちへくださいという請求をする権利がある、こう書いてあるわけですから、それほど重大にお考えになっているのかどうか。私は、この規定にあまり注目を払っていないということは、あまり重要でないと政府考えているんじゃないか、逆にこう言いたいくらいです。田中内閣は人気下がりほうだいの現状ですから、ひとつここでばっと、ちゃんと安保の地位協定にあるわけですから。ひとつ裁判はおれにまかせておけと、こう一発やったらどうでしょうか。それで人気挽回策をやれと私言うのじゃありませんけれども、これは冗談ですがね。ほんとうのところ、私は日米安保条約そのものの本質が問われている、沖繩復帰というものが本物になってないというこの際、そういう御判断をすべきだと思う。いま慎重に検討するということを大平さんらしく回りくどくおっしゃったが、その検討事項の中に、この十七条の三項(C)の規定も入っているんだということに理解してもよろしゅうございますか。
  124. 大平正芳

    ○大平国務大臣 まあ財産権の処理自体も周到でなければならぬわけでございますが、事、生命でございまして、事柄はきわめてシリアスであるという意味で申し上げたわけでございます。これをどのように処置してまいるかは、いま日米信頼関係並びにそれを具象化いたしました取りきめを踏まえ、また真実を踏まえた上で、誤りのない措置を講じていくことが、国民の御理解をいただける道ではないかと思うわけでございまして、一内閣の人気というようなことを念頭に置いてやるべき性質のものではないと思います。
  125. 安井吉典

    ○安井委員 これから検討をされる中に、この規定のことも、当然これは地位協定に基づく話し合いになるわけですからね、入っているのか入ってないのかということをやりとりしていても時間がありませんから、私は、まあ当然政府として、今日の段階の重要な検討事項としてやってほしいということだけ、ひとつ強く要求しておきたいと思います。  そこで、こういうふうな事件が起きるのも、沖繩におそろしいほどの基地がそのまま残っているということにあるのだということは、共通の理解ではないかと思います。三月六日のこの委員会で、上原委員が沖繩基地の縮小の問題について質問したのに対して、大平外務大臣は、基地整理縮小を進めるため計画を立てて順次取り組む、こういう御答弁をなさっていられます。私もここにいました。ところが四月四日の報道によりますと、米大使館当局の言明として、日本政府から沖繩の基地整理統合計画の具体的な提案はないという報道がなされています。いままで幾度も幾度も政府は国会並びに国民に対して、縮小に真剣に取り組むのだ、こうおっしゃっているわけでありますが、外務大臣の言明とアメリカ側のこういう話と、一体どうなっているのか、こう言いたいくらいでありますが、その上原委員に対するこの前の御答弁はその後どうなっていますか。
  126. 大平正芳

    ○大平国務大臣 日本政府で計画を出してアメリカに提示いたしたとは言ってないわけでございます。私ども今後沖繩並びに本土を通じまして、基地の整理、縮小ということにつきまして日米双方で協議いたしまして進めていこうじゃないかという原則的な合意があるというのがいまの時点における状態でございます。この状態を踏まえた上で、日本政府としてはこれからこれについて段取りをつけていかなければいかぬと思うのであります。しかし、それは日本だけの一人相撲でできるわけではございませんので、日米間で協議の場をひんぱんに持って、その彼我の間の意思疎通をはかりながら進めてまいらなければならぬと考えております。したがって、近く日米双方で安保運用協議会なるものを開きますので、その場におきましてこの協議の進め方をどうするか、そうして今後基地問題、基地の整理、縮小というような問題について、どのように取り組んでいくかというようなことをまず話し合ってみたいと考えておるわけでございます。上原さんにお答えいたしました計画を立ててという意味は、そういう段取りを逐次つくり上げつつ進めてまいるという意味でございまして、すでに私ども一つの計画を持っておって、アメリカに提示してあるという意味ではないわけでございます。
  127. 安井吉典

    ○安井委員 ずいぶん気長な御答弁のように私は思うのですがね。一方アメリカの動きは、たとえば今月の初めに社会党の沖繩基地調査団が参りました際、嘉手納並びに普天間の基地司令官は、那覇空港P3移転の計画がないというふうな説明をしている。これは一月の日米合意事項とまるきり違うわけであります。あるいは新聞に伝えるところによりますと、リチャードソン国防長官の年次国防報告の内容等も、ポストベトナムの情勢が落ちつくまでは一年間現状凍結だというふうな言い方があったり、あるいは沖繩基地は、目に見える信頼性ある抑止力の証拠として大事なところだと述べたという。これらは、アメリカ沖繩基地に対する執着の強さというものを私は如実に物語っていると思います。ですから、あまりのんびりしたかまえではいかぬのじゃないか。よほどかたい決意で政府は臨んでいかなければ、なかなか基地縮小などということはできないんじゃないかという印象を私は受けるわけであります。  そこで、いま安保運用協議会の初会合が、これはいつですか、近くあるというふうな報道やら、さらにまた安全保障に関する事務レベル協議も、八回目の会議は五月の末ですか、というふうなことも伝えられているようでありますが、のんびりしたお話じゃなしに、こういう際にやはりもっときちっとした態度で具体的な計画を提示して、これだけ返してほしい、これだけ縮小してくれ、こういう形でやはり要求をお出しにならぬとなかなかうまくないんじゃないか、こう思うのですが重ねて伺います。
  128. 大平正芳

    ○大平国務大臣 きちんとした態度でやれという——いつもきちんとした態度でおるわけなんです。それで私が先ほど申しましたように、これは日本政府の計画だけでできる相談ではないので、先方の理解と協力を得なければなりませんので、一番有効な手順を頭に置いていかなければならぬわけで、安井さんのおっしゃるように実効をあげなければならぬわけでございますので、その辺はわれわれも乏しいながらくふういたしまして、実効をあげてまいるようにしなければならぬと思うのであります。     〔上原委員長代理退席、委員長着席〕 本土におきましては当初の基地が漸次縮小整理の段取りになってまいったわけでございますけれども沖繩の場合は去年復帰したばかりでございまして、いま仰せのような、非常に異常な状態にあることはわれわれもよく承知しているわけでございまして、またあれだけの基地を構築したアメリカでございますから、あなたがおっしゃるように、これに相当の執着をお持ちになることも想像にかたくないわけでございますだけに、どうすれば一番実効的な道行きかということにつきましては私ども鋭意くふういたしまして進めてまいるつもりでございますので、そのあたりは御理解いただくばかりでなく、御鞭撻をいただきたいと思います。
  129. 安井吉典

    ○安井委員 そうしますと、基地縮小を要求する計画あるいはリストというのはまだできてないんですね。
  130. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 具体的なリストというものはまだできておりませんけれども大臣から御答弁ございましたように、沖繩を含めます日本全体の米軍の施設、区域の整理統合の方向につきまして、米側と基本的な話し合いはかねてやっておるわけでございます。今後も具体的に運用協議会あるいは安保事務レベルのいろいろな場を使いまして話を進めてまいりたい、こういう考えを持っております。
  131. 安井吉典

    ○安井委員 そうしますと、まだできてないので、これからどうするかということを、これから話をするということですね。いままで三月六日の答弁を新聞やテレビで見た人は、何かもうすっかりできていて、政府が話しているんだと思っているのですよ。そうじゃないのですね。その点をはっきりしてください。
  132. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 一月二十三日の安保協議会あとで発表されました共同発表にもございますように、沖繩那覇空港の完全返還は基本的な合意を見ているわけでございますし、その点は、先ほどP3に関連して現地司令官がそんなことはないと言ったということは、これはどういう文脈において言われたのか私ども承知いたしませんけれども、事実に反していることは明らかでございます。また同じ共同発表の中に、日本にあります米軍の施設、区域の整理統合について今後とも日米間で協議を進め、その方向で努力をするということについてもうたわれているわけでございまして、この基本的な合意に沿いまして、日米それぞれにおいて内部作業を進めていることは当然でございますし、日本側といたしましては、内部作業の結果を踏まえまして、米側と具体的な話を進めていくということでございまして、いまリスト云々という具体的なことにつきまして、私はそのようなことをまだ申し上げる段階でないということを申し上げたかったわけであります。
  133. 安井吉典

    ○安井委員 時間がなくなりましたからもうこれで終わりますが、やはりあまり失望させるような言い方はなさらないで、そういう答弁をしなくてもいいように——向こう側の態度もあるしむずかしい問題だと思いますよ。私はよくわかる。それだけに、もっときちっとした態度で臨んでいただきたいということを最後に申し上げて、終わります。
  134. 浅井美幸

    浅井委員長 次に、國場幸昌君。
  135. 國場幸昌

    國場委員 本日は、私は、わが国のエネルギー資源の問題を解決するため、国益のために、尖閣列島の豊富に埋蔵されておるという石油資源の開発に対し、今後領有権の問題あるいは大陸だなの問題、外務省にまつわる問題がずいぶん大きいのでございますから、私はその点に対して質問をしたいと思います。  まあ石油資源は、これは言うまでもなく、わが国は約二億三千万トンといわれておる消費量に対して、たったの一二%、すなわちアラビア石油の中近東におけるわが民族資本によって開発されておるものを合わしてでも、いま先ほどの一二%しか採掘できないということがいわれておるわけでございます。  そこで、この大陸だなの問題について、私は、まず最初にすっきりとさせなきゃいかぬ問題は領有権の問題です。御案内のとおり、歴史的に見ました場合に、これは何もいまごろ中華民国政府とかあるいは中華人民共和国とか、かようなる国から云々される何ものでもないということといえども、しかし、石油資源が豊富であるというようなことから、中華民国におきましても、中華人民共和国におきましても、尖閣列島は互いにわが領土であるとか、あるいは大陸だな問題がいろいろいわれておるわけでございますが、そこで私は、この領有権問題に対しまして率直に申し上げますと、日中正常化のときに、田中総理は、外務大臣がそのことをよく御存じでしょうが、尖閣問題には深入りせずということをおっしゃった。これは去る九月二十八日の日中声明によっても、久方ぶりに日中国交が回復されたが、田中首相がこの十月一日、東京都下小平市のゴルフ場において、居合わせた記者団に対しまして、日中首脳会談について懇談、それを原文のまま読んでみます。  その中で、出発前から注目されていた尖閣列島問題についても話し合った事実を明らかにした。共同通信によると、田中首相の話は次のとおりでございます。「周首相との会談で私の方から「尖閣列島の領有問題をはっきりさせたい」と持出したが、周首相は「ここで議論するのはやめましょう。地図にものっていないし、石油が出るので問題になったというわけですがね」と正面から議論するのを避けた。」こういうことを書いております。  そこで、またこれはそれとはうらはらで、尖閣列島問題に対しての台湾、すなわち中華民国政府並びに中華人民共和国おのおのが、しかし、これは日中正常化の場においては避けましょう。この避けましょうということに対して含みがあるのかどうか、疑うことはいかない、それはまともに受けましょうということでもいいかもしれませんが、しかし、これは領有権問題と大陸だな問題とからんで、この豊富に目の前にぶら下がっておるという石油開発に対しまして、早急にこれを解決することなくしてでは、せっかくのそれだけの宝も手を出すことができない。  ことに、申し上げるまでもなく、わが国の石油の需要というのは、一九八〇年に至ると約五億トンから六億トンを使用するんだ、しかも、その石油資源というのは、あと三十年をして世界の埋蔵量約二千億トンといわれておるようでございますが、この二千億トンというのが底をつくと、こういうようなことでございますので、私は大臣にお聞きしたいことは、この尖閣列島問題に対してのまず領有権問題、これはいきさつは、歴史を見ましてでも、たとえば鹿児島が、中華民国やあるいは中華人民共和国の領土であるということで向こうが主張した場合に、言うまでもなく、そんなものは問題にすることは必要ない、こういうようなことも前の福田外務大臣はおっしゃっておりました。そういうような姿勢をもって今後、領有権というものに対しては確信を持って相手に対して立ち向かう。しかも、これが歴史以来、明治十二年から始まりまして下関条約、いわゆる日清戦争の平和条約の中においてでも、全然この問題に対しては条約の話の中にも入ってこなかった。しかも地図においてでも、明治二十六年ですか、判然と日本の領土であるというようなことが地図にも出ておるというようなことでありますが、かようなる問題からしました場合に、外務大臣としましては、ことにこの台湾問題に対しましては、言うまでもなく日中正常化によって国交は絶えておるということでありますと、この問題は、やはり台湾、中華民国政府のほうからも強く、いざ採掘するんだということになると抵抗が来るんだということが予想されるわけなんです。  そこで、日中問題は正常化して、相互の理解の上に立って、それじゃという話し合いもできるかしれませんが、中華民国すなわち台湾政府との交渉をいかような方法でやっていけるのか。一方通告をもって、すぐそれを押し切るということではたしていけるものであろうかということも、私は不安を持つわけなんです。  そこで、その中華民国政府に対しての外交的な解決せにゃいかない問題、あるいはまた、さっきの中華人民共和国に対して、その問題を今後話すことなくして、これが石油開発に対して着手できるものであるかどうかということ、かようなる問題からしました場合に、外交的にからんでくる問題がまことにそのウエートにおいては大きいということを考えるわけでございますが、外務大臣としてはいかようなお考えをお持ちであるか、御所見を賜わりたいのであります。
  136. 高島益郎

    ○高島政府委員 尖閣諸島の領有権問題につきましては、昨年の国会以来、政府側から再々その所見を述べておりますけれども、これは明治二十八年一月十四日の閣議決定以来、法的にもまた歴史的にも、明らかに日本の領有権のもとにある沖繩の一部でございます。このことは、国会を通じて再々確認しておりますので、ここであらためて詳しく申し上げる必要はないと確信しておりますが、ただ先生の御指摘の尖閣列島周辺の石油資源開発問題につきましては、これはやはり大陸だなの問題といたしまして、領有権の問題とは別個に、この大陸だなの範囲が国際法上いまどういう範囲のものであるかということにつきまして、ことしの十一月から来年にかけまして、国際連合主催のもとに開かれます国連の海洋法に関する会議で、いろいろな意見調整して最終的にきまるという段階にございますので、そういう会議の結果を見た上でなければ、この尖閣列島周辺の大陸だなにつきましても、どの範囲から以内が日本のものであって、どの範囲から越えた部分がどこの国の管轄下にあるかという問題については、いま直ちに結論を下し得ない、そういう状況でございますので、尖閣列島周辺の資源開発問題につきましては、やはり日本独自でもっていま直ちに開発に着手するということは、国際法上非常に問題があろうかと思います。その前に、隣の国でありますところの中華人民共和国との間でどうしても話をつけなければなりません。つけますにあたりましては、国連の海洋法会議の結論を待った上で、その原則に基づいた上で、公正に両国間で合意を見た上で話をつける、そういう方法が一番妥当ではないかというふうに考えております。
  137. 國場幸昌

    國場委員 御案内のとおり、わが国は日中正常化によって、二つの中国を認めないということになっておる姿勢をもって、いま日中問題はやっておるということはよく理解しておりますが、しかし現実に厳然として中華民国、台湾がある。しかもこれが宜蘭県の中に属するというようなことを声明しておるし、またこの大陸だな問題につきましても、国際会議においてというようなことで言われておりますが、相互の国家間の利益によって、それをただ中華人民共和国との間の話し合いだけで押し切ることができるかどうか、そこは大きな問題だと私は思うわけでございます。  そこでその問題に対して、それじゃ中華民国、台湾政府のほうには話し合いはしなくてもよろし  いというようなことのお考えであるかどうか。
  138. 高島益郎

    ○高島政府委員 先生案内のとおり、昨年九月二十九日以降は、いわゆる中華民国との間には、わがほう政府といたしましては関係ございませんので、いかような方法によりましても外交上の関係を持つ、あるいは外交上の交渉をするということは不可能でございます。したがいまして、中国との関係においては、日本政府といたしましてはもっぱら中華人民共和国政府との間でのみ話をすることができる。それ以外のいかなる政府とも話をすることは不可能であるというのが現状でございます。
  139. 國場幸昌

    國場委員 それでは中華民国、台湾がもしそれにさからって、そこで事業に着手せんとするときに、兵力、武力をもって自分の権益を守るのだというようなことに出てきたときに、どういう方法で解決するかというようなことは、ただこれはできないのでありますでは済まされる問題じゃない。  といいますのは、尖閣列島の領有権もしくは石油の採掘権、これを放棄するということであれば別としまして、わが国として世界の国際的な石油事情を見ましたときに、このエネルギーに対してのわが国の資源の貧弱さ、これはもう話になりません。だから私が申し上げたいことは、年々二五%程度の価格アップというようなことを今後は見込まなければいけない——アメリカにおいても、自分の国内においての石炭あるいは石油というものはできるだけ備蓄をしよう、その備蓄をしようというのが、アメリカにおいてはやはりまあ八十年は維持できるということを言われております。わが国は、いま備蓄量にしましても四十日、三十五日そこそこ。石油が入ってこなかったらこれだけの工業がほとんどストップするというような状況なんです。だからそういうことから考えましても、いま盛んにいわれておるところの東シナ海の大陸だなの開発によって、これがいわゆる日本の石油エネルギー資源のできるだけの確保だ、これは、もう日本の生命をかけてでも採掘しなければいけないというような事態に至ることは、火を見るよりも明らかなんです。私は、この問題は、いままで領有権も主張しなかったような中華民国、台湾がこれにからんで主権をもの言いをするということから見ても、いかに重視しているかということを考えるわけなんです。それに対して、私は、そういうことをおっしゃるのもいろいろ立場もありますから、この段階において責めはしませんが、しかしこれに対しては、わが国としましては一番重要な問題だと思うのです。  そこで、またこれに関連する問題なんですが、それでは領海というのは国際法から見ました場合には、昔は大砲の距離が大体三海里ですか、満潮時のときに届きよったから領海は三海里だと。しかし最近に至っては、各国ともこれは国際会議において定義そのものを十二海里説を唱える、三十海里説を唱える、こういうことでありますが、いまの大砲の距離は、陸上から打ち上げますと、海上に向かって自分の領土を防備するため十二海里は飛ぶから十二海里だ、こういうことが書いてあるのを私は覚えております。これは余談ではありますが、その領海とは十二海里かあるいは三十海里かあるいは三海里か。こういうことに対してはいわゆる定義づけをすることができるかどうか。その点をお伺いしたい。
  140. 高島益郎

    ○高島政府委員 一九五八年と六〇年に国連で非常に大きな海洋法会議が開かれて、領海の幅員の問題をきめるために各国が非常に努力したわけでございますけれども、結局合意に達しませんで、伝統的な立場をとっております日本はじめ西欧諸国のような三海里説の国と、主としてソ連圏をはじめ開発途上国の主張でございますけれども、十二海里の立場、さらに最近は非常に広範な二百海里等の主張をする国もごく一部にございますけれども、国連での結論が出なかったために、このような非常な混乱を生じております。  そこで先ほど申しましたように、今年末から来年の四月、五月にかけまして開かれます第三回の国連の海洋法会議でもって、この領海の幅員をはっきりきめようということになっておりまして、現状では大体十二海里にまとめようという線が非常に強うございます。日本もその線に乗っていまのところまとめたいというふうに思っております。  ただ、領海についてはそういうふうに今度の会議でまとまるだろうという見通しがついておりますけれども、領海の先の海洋の水域につきましていろいろ議論がございまして、非常にむずかしい問題がございます。  余談でございますけれども、特にいわゆる経済水域というような主張がございまして、その領海の先の二百海里に至る非常に広範な水域におきまして、水中あるいは水底のあらゆる生物、非生物資源一切が、その沿岸国に属するという主張を大半の開発途上国が主張しておりまして、この立場と若干の先進国の立場との調整が非常に困難でございますような現状になっております。
  141. 國場幸昌

    國場委員 この大陸だなと領土、領有権、いわゆる領有権との優先について——この問題は名実ともにわが国古来の領土としての尖閣列島、これはまず領土権はわれわれとしてはいかなる方法をとっても、主権のあるわが国としては、これはだれがもの言いをしても、それに厳然と立ち向かわなければいけないということでやっておりますが、その大陸だなの、いまおっしゃるような国際会議において十二海里というのが尖閣列島の四島、この島々に対して領有権はあるが、しかし大陸だなから延びてきたところのそのたなの上に尖閣列島がすわっておる、こういうことになりますと、これは、領有権と大陸だなの定義の中で、どちらが優先するわけですか。
  142. 高島益郎

    ○高島政府委員 大陸だなと申しますのは、陸地から引き続いて海底に延びております、いわゆる水中にありますたな状の陸地についての、沿岸国の管轄権を申しておるわけでございます。  尖閣列島について申し上げますと、尖閣列島そのものとその周辺の領海、これは当然日本の領有する部分でございます。その先の部分に大陸だながどの程度あるかという問題でございまして、この点についての範囲が、いま国際連合を中心にして非常に議論されておる問題であるということを申し上げたわけでございます。したがいまして、繰り返しますけれども、島と、その島の周辺の領海は、どんなことがあっても日本の領有する部分であって、これをいかように処置しようと日本のかってである、そういう部分でございます。その先の部分の海域、その海域の下にあります海底の資源、これについてだれが管轄権を持つかということが、いわゆる大陸だなの問題でございます。
  143. 國場幸昌

    國場委員 海底といえども、定義としましては、世界の大陸だなは平均して大体百二十メートルぐらいのところで深海にわたっては七分ぐらいの傾斜を持っているのが普通である。それから、二百メートルといわず、地下資源の開発が可能なる地域まではいわゆる大陸だなだ、こういうようなこともいわれておるようでありますが、そういう理論というものも前提条件になるでありましょうから、その問題と領有権の問題。それから、いま局長さんのおっしゃるのは、大陸だなの上にたとえ乗っかっておるにしても、または領有権のある十二海里の海域にしても、大陸だなからきた地下資源に対しては今後問題になる、こういうことですね。
  144. 高島益郎

    ○高島政府委員 先生の御質問趣旨、よくわかりませんが、中華人民共和国に属しまする東シナ海大陸だな、これがどの範囲まで延びますか、私は詳しく存じませんけれども、いまの先生の御指摘は、東シナ海大陸だなの上に尖閣列島が乗っているという関係にあるので、尖閣列島に属する大陸だなというのはどの範囲のものかという御質問かと思います。実はこの点について、先ほどから申しておりますように、国連主催の海洋法会議で非常に大きな問題になっております。こういう範囲画定の問題については、国連の海洋法会議での結論を見ないうちは、わがほうとしてははつきりした立場をとることができないということでございます。
  145. 國場幸昌

    國場委員 では、採掘の問題に対しましてはさっき御説明がありましたので、まあそのほうはそれで受けるとしまして、その先の見通しはなかなか困難さがあるというようなことを痛感するわけでございます。その問題に対してはやはり勇気をもって——これはいろいろな問題が横たわっておるのでというふうなことで引っ込みがちである、といっては語弊があるかもしれませんが、しかしこれは急を要するものでございます。でありますので、この問題に対しましては、この大陸だなに石油があるということは、アメリカ沖繩統治時代に空からも陸からもものすごい調査をされて、これは、あたかも中近東の油田と大体見合ったような埋蔵量と性格を持っておる油田であるということをいわれております。それをわが国の東海大学の海底専門のほうで調査して、間違いなしと大鼓判を押しておるわけなんですが、これだけの資源、宝がぶら下っておって、しかも自分の領土の中にあってこれに手を出せないというような、何といいましょうかね、歯がゆさというのでしょうか、そういうことがありますので、外交に関する限りにおいては、ひとつ勇気をもってこの道をあけていただきたいということを希望するわけなんです。  それから、一点だけ通産省にお聞きしたいのですが、いまの開発問題ですね。これは琉球政府時代に、地元のほうから何百件という申請が出ておるのであります。それがいざ着手するということになると、そういう国内問題といえども、それの先願権というのですか、何かそういうようなものがあるのでしょうか。これに対してはどういうような考え方をお持ちですか。
  146. 豊島格

    ○豊島説明員 お答え申し上げます。  現在三社から相当の出願が行なわれておりまして、目下慎重に検討いたしております。鉱業法を前提とすれば、出願に瑕疵がなければ、当然先願したものに許可されるということでございます。ただ、先ほど来御質問がございましたように、この地域につきましては、境界線が中国との間ではっきりしておりませんので、この問題が円満に解決するのを待って許可することになる、このように思っております。
  147. 浅井美幸

    浅井委員長 この際、國場君に申し上げますが、申し合わせの時間がきておりますので、結論を急いでください。
  148. 國場幸昌

    國場委員 それでは、最後に一言だけ大臣に伺いたいと思います。  さっき西銘委員あるいはまた安井委員のほうからも請求権問題についてお話がありましたが、現にいままで、復帰段階に至るまででも、訴訟されたところの土地問題、請求権問題は十件近くに達し、いまだに解決を見ていないということでございます。私は、再三再四、返還協定の場合にも、この問題は沖繩県民アメリカとが論争しても解決できるものではないということを申し上げた。外務大臣は、愛知外務大臣にしましても福田外務大臣にしましても、請求権の放棄に対しては、日米間の取りきめによるところの国の放棄であって、沖繩県民に対しては損失を与えないと言われておる。これは、とてもりっぱだと思って期待をしておるわけなんですがね。ところが、いまだに何ら進んでいない。さっきのお話によりますと、沖繩に米連絡事務所があるからと言っておりますが、それは沖繩の人とかち合わしていままでどおりやるという意味ですか。返還協定第四条二項の備考欄に事務所を設けるということがありますが、私がお願いしたいのは、かような問題をいつまでも放置しておいたら沖繩県民の不満を買う。しかもこの問題に対しては、御案内のとおり、基地が縮小整理されつつあるという中で、土地が地主返還されても、事実において使用料は全部とまる。それに対して、その土地は利用できない。だから、それはどんなにしてでも、沖繩県民に対しての補償は国費をもってやる、必要とあらば立法もしましょうというようなことで、何回にもわたって答弁を得たのでありますが、いまだにその問題は進捗していない。でありますので、この問題に対しては、立法の必要ということに対しましても、またアメリカに対しましても、かようなる事情もとで、西銘先生のほうからもよく言われておりましたが、その姿勢をもってこれを解決していただきたい。これをひとつ希望いたしまして、もう時間でございますので、私のお願いとそれから考え方を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  149. 大平正芳

    ○大平国務大臣 請求権の処理を急げという御趣旨でございまして、日米間の沖繩返還に伴います協議では、沖繩県民の便宜を考えて、従来のアメリカ側がやっておった請求手続はできるだけそのまま踏襲したほうが実効があがる、現実的であろうというような見地に立って、いまのような進め方をやっておると私も承知いたしておるわけでございます。しかし、それがはかばかしくいかぬということで、西銘先生からも國場先生からも御指摘があったわけでございまして、まずそれを第一段階として急がせまして、その結果を踏まえた上で皆さんの御要望にこたえるように、日本政府として何をしたらいいか、そういうことについてせっかく努力をさせていただきたいと思います。
  150. 國場幸昌

    國場委員 ありがとうございました。
  151. 浅井美幸

    浅井委員長 次に、上原康助君。
  152. 上原康助

    ○上原委員 時間がわずかしかありませんから一、二点だけまとめてお尋ねしたいのですが、きょう与党委員の方々からもいろいろ請求権問題が出されて、非常に強い要求があり、御意見が出ておりますし、それだけ県民のこの問題に対する関心の深さ、高さというものが御理解いただけるかと思うのですが、そこで、私もいずれこれをまとめてお尋ねしたいので準備をいま進めておるわけですが、先ほどアメリカ局長の御答弁がいろいろあったのですが、具体的にお伺いしてみたいと思うのです。  いわゆる沖繩返還協定その他関連法案を審議をする過程で、通称愛知十項目といわれておる請求権のあれが出ておったと思うのです。その愛知十項目は、それじゃ具体的にどう処理していこうとするのか、項目ごとにぜひ御説明いただきたいのですが、先ほどは何か軍用地問題に関してのみ処理をする、日米間で話し合いをしているというような印象を受けたのですが、沖繩国会を通して議論をされた愛知十項目というものの具体的な処理というのはどうなっているのか、御答弁を求めます。  時間がありませんので、じゃ私のほうから申し上げますから、どういうふうにしているのか説明していただきたいのです。  まず一つは、講和前の人身損害に関するもので、講和前補償から漏れたものの取り扱いですね、これはどうなっているのか。二番目に軍用地復元補償、これは協定四条二項との関係あるいは合意議事録四条に関する面、従来の布令二十号との関係、協定四条三項との関係があると思うのです。三点目に、米軍による漁業操業の制限等に伴う損失の補償、これは先ほど西銘さんのほうからも具体例を出したのですが、これは米側が処理するのか、あるいは米側が却下したものについては日本側がどう処理していくのか、一つ一つ具体的にあげていただかないとわかりませんのでぜひ教えていただきたいのです。四点目に、軍用地の接収に伴う通損補償の問題、五点目に、軍用地借賃増額請求、これもほとんど却下されている。六点目に、米軍による入り会い制限に伴う損失の補償は、これはもう全然政府見解というものが出されてないんです。この取り扱いは一体どうするのか。復帰前のやつです。七点目に、講和後の人身損害に関する補償、これも協定の四条二項、合意議事録との関係があります。八番目に、つぶれ地補償の件、これは一応調査費とかそういうものは出ているんですが、つぶれ地補償については具体的に進んでいないと思うのですね。この取り扱いは一体外務省施設庁はどうなさっているのか。九点目に、海没地の補償問題、これも米国側がやるのか日本側がやるのかですね。そして十番目に基地公害に関する補償ということ。これがいわゆる沖繩返還協定沖繩国会で議論をされた請求権問題との関連において愛知さん、当時外務大臣御自身が、沖繩請求権を類別するとこういうもろもろのものがあるんだという議論だったと思うのですね。いま私があげた事柄について、現段階で処理されているもの、アメリカ側と話し合っているもの。そして日本側が処理すべきものとアメリカ側が処理すべきもの、まとめて答えていただきたいと思うのです。
  153. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 十項目につきまして御質問がございましたけれども、そのうちアメリカ関係、対米交渉を必要とする問題につきまして御答弁申し上げたいと思います。  まず講和前の人身補償につきましては、外国人の請求に関する米国の法律に該当する請求権ということで、これは復帰前に引き続きまして、沖繩各軍の外国人損害賠償請求委員会によって処理されることになります。  軍用地復元補償の問題につきましては、四条二項にかかわりますものと四条三項にかかわりますものとございまするけれども、四条三項にかかわるものにつきましては、昨年の九月に米側から沖繩県知事に対しまして、請求権の要求方要請がございまして、これに基づきまして、沖繩県の知事から米側に対しまして十一月に要求額をまとめたものの提示があったというふうに承知いたしております。  米軍によりまする漁業補償の問題につきましては四条二項の問題でございますが、これは旧琉球列島土地裁判所の管轄に属する問題でございまして、この請求権につきましては復帰により中断することなく、土地裁判所の後任機関により処理されることとなっておりますけれども、まことに残念なことに、この土地裁判所の後任機関の発足がおくれておりまして、先ほど別の議員に答弁申し上げましたように、この後任機関の発足方を重ねて米側に強く要請いたしておりまして、近々これが発足できるということを期待いたしております。  借賃、通損補償並びに入り会い権の問題、それからつぶれ地の問題、これらにつきましては、事実関係調査関係国内官庁で急いでいるというふうに承知しております。  また海没地につきましては、那覇軍港関係のものにつきまして、復帰前の五月十日に等積交換というかっこうで当該関係者に代替地の提供という措置がとられたわけでございますが、その後また新しい海没地の問題が出ておりますので、この問題につきましては関係当局において検討をいただいておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  154. 上原康助

    ○上原委員 いま漏れたのもあるんですが、要するにこれだけ多くの未処理の請求権が残されているわけです。ですから大臣、目は閉じておっても聞いておっていただきたいんですが、もう沖繩返還されて一年近くなるわけですよ。特に軍用地の問題、基地問題から起きた、いわゆるアメリカ施政権下においての対日講和条約で、そこまで議論やりませんが、当然アメリカ側がやるべきかあるいはやらないものについては、日本政府がやるべきだと思うのです。そういう議論はもうこれまで何回かやってきたわけですよ。先ほど國場さんもおっしゃったように、必要なものについては法律行為でもやるんだということは、佐藤前総理自体が言っておりますよ、会議録を見ても。そのことが現段階まで処理されていないということに対する関係県民の不満というものは、これは根強いものがある。それが高すればやはり政治不信になり、政府不信になってくるわけですから、外交条項であると同時に、政府部内で処理しなければいかない問題ですから、大臣の決意のほどをぜひ明らかにしていただきたいと思うのです。
  155. 大平正芳

    ○大平国務大臣 先ほども西銘先生國場先生お答えいたしましたとおり、いま日米間で合意を見まして、それが実際的であり、現実的であるという配慮のもとに、きめられた手順をまず通していただきたいと思うのであります。それはたいへんおくれておるようでありますけれども、督促いたしまして早めなければならぬと思うのでありまして、まずそれを通していただいたあとで、それからまた、そのうちには政府で当然やらなければならぬものもいま御指摘の中にあるようでございますし、いまきめられた手順に従ってやるべきものは早急に取り上げてやるように、督促いたします。と同時に全体の仕上がりを見まして、考えなければならぬことがございまするならば、政府として当然検討しなければならぬと考えておりまして、仰せのようにできるだけ急がしていきたいと思います。
  156. 上原康助

    ○上原委員 約束の時間ですから、もの足りないですけれどもこれだけで……。
  157. 浅井美幸

  158. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 米軍戦車にひき殺された事件についてお伺いしたいと思いますが、その前に、きのうの夕刊で、「【ワシントン十八日AP=共同】カリフォルニア州選出のスターク米下院議員は十八日夜、下院での演説で「未確認の報告によれば、米国は沖繩から海兵隊をカンボジアに派遣しつつある」と述べた。」この報告沖繩に派遣されている米国法律家協会の調査団からのものだということで報道されていますが、アメリカ側から何かそういった情報受けておられますか。
  159. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 米側からは具体的に何の通報にも接しておりませんけれども、その新聞記事に関連いたしまして、米当局は直ちに、その事実がないと否定したと承知しております。
  160. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私がそのことをお尋ねしたのは、実は戦車でひき殺した事件はこの米海兵隊であります。いわゆる第三海兵師団、これに所属する戦車部隊が轢殺したわけですが、私十六日に現地に行きました。行きました結果は、どうもいろいろな報道であらわれたのと違って、草むらに隠れていたの、わからぬでひき殺したのといったようないろいろありますが草むらはないし、事実ここで殺されたという地点は草むらはないわけなんです。そこで、いやこれは調査隊が草を引き倒してこうなったんだといっておりましたが、この草を起こしても二尺足らずであります。ここで両方から戦車が、一方から二台、あと一方から三台やってきて、そのうしろに歩兵部隊が空砲を発射しながらやってきた。よく見えるところなのであります。ですからこの事件は、すでに九日間に至るまでにまだはっきりしないで、殺したいわゆる犯人の氏名、これは警察のほうからお答え願いないのですが、おわかりですか。わかったらその氏名を発表してほしいと思います。
  161. 小林朴

    ○小林説明員 問題の事故を起こしました戦車に乗っておりまして指揮をしておりましたのがスキャネロ少尉——これはかたかなで書いてありますが、ちょっと私わかりませんが、そういう少尉の方が乗り組みの指揮官、それから操縦をやっておりましたのがスウォード兵長、それにもう一人乗っておりまして、これがリード軍曹という、三人でございます。
  162. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この海兵隊、沖繩では殺し屋部隊と言っているのですが、五九年ごろ、やはり同じ金武で六十歳ぐらいのおばあちゃんがたま拾いをやっているところを小銃で撃ち殺して、そのときにアメリカの発表はイノシシに間違えて発砲したんだということでした。さらに復帰後、栄野川さんがやはり基地内でライフルで撃ち殺される事件、これも第三海兵師団、今度の場合も同じなのです。したがって、アジアの平和を守るんだとかなんとかいいながら、ベトナム、ラオスをはじめとしてインドシナ、人民参加を破壊し撃ち殺しているだけではなくて、日本国民を撃ち殺しているので、これはやはり殺人部隊だといったような声がどんどん起こりまして、きょう沖繩県議会は野党、与党意見が一致して臨時県議会を開いております、この事件で。  そこでお伺いしたいのは、県民の一番の要求は、もう二度、三度、四度、幾らでも起こっているが、またとこのようなことを起こさない保障はあるのかということを政府に、最も強い叫びなのです。もう起こしませんと何べん言ったかわからない。この生命の安全、これを保障する方途は何か、これは大平外務大臣の口からぜひ御答弁願いたいと思います。
  163. 大平正芳

    ○大平国務大臣 先ほどからの本件につきましてお答え申し上げておるとおり、本件の処理は周到にいたさなければならぬと考えております。そのことによって、この事件の前後の処理をしなければなりませんと同時に、そのことを通じて、将来の要望に役立つようにしなければならぬと考えておるわけでございまして、政府としては、周到適正な処置をとってまいりたいと考えております。
  164. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 具体的には、起こさない保障は、まず当面演習はやめよ、これなのです。ところが二、三日演習をやめたかと思うと再び演習をやるんだという通知が県に来て——きょう知事は南米から帰ったわけであります。副知事のところに来て、非常に困っているのです。同じ戦車部隊がまた演習を始める。これに基地撤去その他は別として、まず演習をやめよという県民の一致した声、これに対する対策はありますか。
  165. 大平正芳

    ○大平国務大臣 提供いたしました施設は、米軍がそれを使用する権能を持っておるわけでございまして、私どもとして演習をやめろという立場にないことは、瀬長さんも御承知のとおりでございます。
  166. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうなりますと、県民の生命と安全を守るためのほんとうの最低の要求、せめて演習くらいはもうやめてもらわないと、不安でどうにもならぬ。そのために自民党を含めて、沖繩県議会一致して、きょうそのことで県議会を開いておるのであります。これが安保条約があって基地を提供しているのであるからもうしかたがありません。殺されようがあるいは傷を受けようがどうにもならぬということになるのですね。再びまたこのようなことが起こらない保障はないわけですからね。
  167. 大平正芳

    ○大平国務大臣 白米間の取りきめというものは厳正に守っていかなければいかぬ立場にあると思います。しかし同時に、これが日本の国民の立場に立ちまして、その協力と了解のもとで運営されるような状況をつくり出してまいるべく努力するのが、われわれの立場であろうと思うのでありまして、そういう立場から全力をあげてまいりたいと思います。
  168. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いままでの御答弁を聞いてもわかりますように、日本アメリカを裁判することすらできない。裁判権はない。地位協定十七条によって、公務中である場合には第一次裁判権はアメリカにあるのだというふうな、屈辱的なしかも危険な安保条約であり、地位協定である。これはせめて裁判権くらいは日本国民で持ちたい。すなわち、真の独立国民でありたいというのは国民の要求だと私思うのですよ。いま起こった、実に日本で戦車にひき殺されたというのは初めてだと思うのです。いい機会だと思うので、これを持ち出して対米折衝して、そして演習をやめるとか——基地の縮小整理とかいう美しいことばを使っておりますが、事実上安保条約を堅持するということになって、地位協定も守らなければいかぬことになるとすれば、結局のところ、再びこのような残虐な事件が起こらない保障というのはないということになると思うのですが、どうなのですか。演習を向こうがやるといえば、もうとめるわけにはいかぬということになっているのですか、外務大臣、どんなものですか。
  169. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私は、政府の立場におきまして、国会で御批准になりました安保条約並びに関連取りきめを忠実に実行する責任を持っておるわけでございまして、その域を出ることは許されないわけでございます。このワク内におきまして、この運営をできるだけ円滑にやるということに全力をあげておるわけでございますし、今後も全力をあげる立場にあるということは、もう私からるる申し上げるまでもなく、瀬長さん重々御承知のことと拝察します。
  170. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これで非常にはっきりしたのは、これは殺されてもどうされても、いまの安保条約堅持の立場からいくとどうにもならぬといったような、実に安保条約そのものがいかに危険で、日本国民に対する屈辱的な条約であるか。さらに日米沖繩協定の二条以下もそうだということがわかりましたが、具体的にもう一点お聞きしたいのです。  たしかこの前、参議院で星野議員の質問に対し、遺家族に対する補償金ですが、二百万ないし三百万くらい、そのうち二五%は日本政府が払うのだといったような答弁がありましたが、これは事実でしょうか。
  171. 河路康

    河路政府委員 そのように御答弁申し上げました。
  172. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そこで七〇年九月、沖繩南部の糸満市で、これは戦車ではなくて乗っておるジープでひき殺して即死なんです。これは金城トヨさんという当時五十一歳、ひき殺したのは無罪、これが例のコザ事件の直接の発端をなした事件なんです。この遺族に対して支払われた賠償金は、あの当時のドルで一万七千七十四ドル五十三セントなんです。三百六十円換算で約六百十五万円です。これに対してこの政府の発表、二百万ないし三百万、二五%は日本政府が払うのだといったような報道は、どういう反響を与えておるのかと申し上げますと、アメリカの全面占領下ですらこれだけをかちとったのだ。これは命を金と換算することではありませんが、あのとき非常に怒りが全島に燃え上がっていました。ひき殺した、無罪、それでアメリカはたいへんなやろうだ。私、そういうことばを使っていますが、それ以上の表現をしております。  そこでお聞きしたいのは、二百万、三百万、かりに三百万ということになると、この金城トヨさんを殺した事件に対する賠償金の半分ですね。二百万で三分の一。復帰後、遺族に対する補償はこういう形でされるのかということなんですが、やはりこの件についてもしようがない、がまんしろということになるのですか。
  173. 河路康

    河路政府委員 先日御答弁申し上げたのは、現在まだ事件の実態がはっきりしておりませんので、たとえばということで、御本人が一応無職であるというふうなことを想定しまして、従来の例によって計算をいたしますれば大体そのくらいになるということを申し上げましたので、本人の補償額の算定につきましては御説明申し上げましたけれども、死亡者が将来において得べかりし利益の喪失に対する補償として、平均収入日額を基礎としてホフマン方式により算定するもので、さらにこのほかに適正な遺族葬祭料、遺族慰謝料及び財産補償を加算するものということになっておりますので、今後御本人がどれだけの収入を得ておられたかということの調査を待ちませんと、正確な数字は申し上げられないということでございます。
  174. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題につきまして、いわゆる対米折衝で、現にアメリカが殺した。もちろん地位協定その他によって裁判権の問題などもあるわけでありますが、この前私、那覇にあるアメリカの領事館まで行きましたが、沖繩においてこういった事件が起こるたびに、司令官の口から再びこのような事件を起こさないために軍紀をきびしくやります、これはまず最初に言います。それから補償金につきましては要求額、要求どおりあげます、この二件はいつでも司令官の口から出ております。ところが時期がたち、熱がさめますと、補償金の問題などは要求額が払われたためしはないし、さらにアメリカは非常に値切ってきます。しかし、やはりこういった一万七千ドルも払わなくちゃいかぬという状況になったのは、ホフマン方式その他はもちろん連中も言っております。言っておりますが、政治情勢、この怒りが高まる度合いによって金額も違うというふうなことは、沖繩の占領支配の中での解放運動の中で現に出ておりますが、こういった問題などは外務省としてアメリカに何か折衝するような窓口その他あるのですか。
  175. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 このような不祥事が起きますたびに、政府といたしましては、米側に対しまして、再発の防止並びにそれがための軍紀の厳正維持ということについて、たびたび申し入れているわけでございまして、そのつど、米側といたしましては非常に遺憾であり、再発防止のために全力を尽くすということは申しておったわけでございます。そこへ今回の事件が起きましたあくる日、インガソル大使は外務大臣をたずねてまいりまして、まことに申しわけないという遺憾の意を表明いたしました際に、外務大臣から、日本側としても非常に遺憾であり、今後この種の不祥事件の再発を防止するために、日米協力して善後策並びに再発防止のための予防措置について協力していきたいということを申し入れ、インガソル大使は米側としてもまことにそのとおり心得ており、全力を尽くして日本側とも協力していきたい、こういうことを申しておるわけでございます。したがいまして、一般的に申しますと、米側といたしまして、この種の不祥事件につきまして、再発防止のために全力を尽くしたいという気持ちを持っておることは明らかだとは思いますけれども、今後とも、政府としてはそのような方向で努力していきたいと考えておるわけでございます。  なお、補償の問題につきましては、いろいろなケースが想定されると思いますけれども、今回の事故につきましては、まだ正確な事態の把握ができておりませんし、裁判権がいかなる形で行使されるかということについてもはっきりしたことがわからない状況でございますので、具体的にいかなる補償がいかなる形で行なわれるかということにつきましては、さらに事実関係が確かめられた上で具体的に固められていく、そういう性質のものであるというふうに考えております。
  176. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間があと三分しかありませんので、最後に大平大臣考え方をお聞きしたいのですが、安保条約を堅持する立場にあるからやはりやむを得ぬじゃないか——ではないが、何とか努力をされるというわけですが、この事件が非常にいい契機になっておると思うので、せめて裁判権は第一次、第二次といわず、ここは独立している日本だといわれておるだけに、いわれておる真の独立国家であれば、何も裁判権など他国にやるということはないと思いますが、こういった関連する協定を、せめて裁判権は日本が持つといったような方向での安保条約やあるいはそういった地位協定などへの検討——対米折衝で検討するということはできないものですか、どうなんです。
  177. 大平正芳

    ○大平国務大臣 安保条約とかあるいはNATO条約機構なんかのいう、集団安全保障のたてまえをとっておる場合におきまして同様の規定があるわけでございます。これは大きな国策の問題といたしまして、こういう条約上のワク組みを持つことが、全体として平和と安全に寄与するというたてまえを踏まえて、われわれはその円滑な運営に腐心いたしておるわけでございます。これをどのように、その一部におきまして、あるいは部分的な改定をするというようなことは、問題がたいへん重大な問題になると思うのでございまして、現行のワク組みの中で、私どもは最善を尽くさなければならぬのじゃないかと私は考えております。あなたの御提案ということにつきましては、瀬長さんの御提案として拝聴いたしておきたいと思います。
  178. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 終わります。
  179. 浅井美幸

    浅井委員長 以上で質疑は全部終了いたしました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時八分散会