運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-06-05 第71回国会 衆議院 運輸委員会地方行政委員会大蔵委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月五日(火曜日)     午前十時三分開議  出席委員   運輸委員会    委員長 井原 岸高君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 孝行君    理事 佐藤 守良君 理事 細田 吉藏君    理事 兒玉 末男君 理事 斉藤 正男君    理事 梅田  勝君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       大竹 太郎君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    徳安 實藏君       西村 英一君    宮崎 茂一君       綿貫 民輔君    太田 一夫君       金瀬 俊雄君    久保 三郎君       神門至馬夫君    紺野与次郎君       三浦  久君    石田幸四郎君       松本 忠助君    河村  勝君   地方行政委員会    委員長 上村千一郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君   理事 中山 利生君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 山本弥之助君 理事 吉田 法晴君    理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    島田 安夫君       渡辺 紘三君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    土井たか子君       多田 光雄君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君   大蔵委員会    委員長 鴨田 宗一君    理事 大村 襄治君 理事 松本 十郎君    理事 阿部 助哉君       宇野 宗佑君    越智 通雄君       小泉純一郎君    毛利 松平君       佐藤 観樹君    堀  昌雄君       村山 喜一君    山田 耻目君       増本 一彦君    竹本 孫一君   公害対策並びに環境保全特別委員会    委員長 佐野 憲治君    理事 林  義郎君 理事 島本 虎三君    理事 中島 武敏君       小澤 太郎君    田中  覚君       戸井田三郎君    松本 十郎君       村田敬次郎君    阿部未喜男君       岩垂寿喜男君    土井たか子君       木下 元二君    岡本 富夫君       坂口  力君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 愛知 揆一君         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    小島 英敏君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         大蔵省主計局次         長       吉瀬 維哉君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         運輸省航空局長 内村 信行君         労働政務次官  葉梨 信行君         建設省住宅局長 沢田 光英君         自治政務次官  武藤 嘉文君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正知君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         日本国有鉄道常         務理事     加賀谷徳治君         参  考  人         (日本放送協会         営業総局技術部         長)      白木 末喜君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七号)      ————◇—————   〔井原運輸委員長委員長席に着く〕
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより運輸委員会地方行政委員会大蔵委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 井原岸高

    井原委員長 本案に関する提案理由説明はお手元に配付してあります資料により御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  この際、御質疑なされる各委員に申し上げます。関係委員長と協議の上、質疑時間等申し合わせておりますので、何とぞ御協力お願い申し上げます。なお、政府当局答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。中山利生君。
  4. 中山利生

    中山(利)委員 国有鉄道運賃法並びに日本国有鉄道財政再建特別措置法に関連をいたしまして御質問をしたいと思います。  この問題はすでに担当の運輸委員会審議が尽くされていると思いますが、本日は連合審査のトップでもございますので、一応運輸当局並びに国鉄当局から簡単でけっこうでございますから、御説明をいただきたいと思います。
  5. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この両法案につきましては、運輸委員会でも種々の角度から御議論をいただきまして、私どももこれに対しまして誠心誠意われわれの考えておるところを申し上げて、今日に至っておるのでございますが、いまの国鉄現状にかんがみまして、この問題につきましては、論議を尽くしていただきまして、早く結論を得ていただいて、さらに前進できますようにしていただきたいということを心から希望しておる次第でございます。
  6. 中山利生

    中山(利)委員 一通り御所信をと思ったのですが、すでに論議もなされ、所信の表明も行なわれておる。私のほうにも資料をいただいておりますので、それでは質問に入りたいと思います。  私は地方行政委員の立場から御質問申し上げるわけでございますけれども、その前に一通り今度の計画あるいは再建案につきまして簡単に御質問を申し上げたいと思います。  今度の再建の一番の目標が三つ掲げられております。都市間の高速大量輸送、それから大都市通勤通学輸送、それから長距離大量高速貨物輸送というようなことが掲げられております。この問題は現在行なわれております国鉄再建計画の中でも取り上げられているわけでありますが、これは一応挫折をした。そしてここに新たに非常に大胆な再建計画が樹立されたわけでありますけれども、これは現在政局の最大の焦点となっております過疎過密の解消、あるいは流通問題、そういうことから考えましても、たいへん重要な意義を持っておると思うのであります。また、この計画の策定につきましては、運輸当局並びに国鉄当局におきましてもかなり緻密な御計画を立てられたことと思います。しかし、私毎日茨城県から常磐線を使って国会通勤をしておる一人の通勤者の目から見ましても、在来のいろいろな経過、それと現実の問題それから通勤をしておりまして身近に感じております問題等、この計画は確かに非常に整った、また一面におきましては旅客、貨物運賃計画的な値上げというものが含まれている。現代におきましては非常に勇気のある計画ではないのか。しかもこのような計画をなされるからには、国民的な要望である、こういう交通通信網整備、特に国鉄輸送というものの整備というものは、たいへんな国民的な関心事であると思うわけでございますが、この十年間の計画におきまして、特に大都市周辺通勤通学輸送というものがどのような計画で行なわれていくか。たとえば首都圏におきましても、各都道府県のいわゆる開発ブームあるいは住宅団地の造成、これは非常な急速な進展を示しておるわけでありまして、私ども茨城県におきましても、研究学園都市建設その他で東京都の通勤通学関係輸送需要というものは、これから急速に伸びていくのではないかというふうに思われるわけでありますが、これらの開発計画と今度の国鉄再建計画とのかみ合わせといいますか、これが一体そういう需要にこの計画で間に合うのかどうか、そういうことを含めまして、国鉄のほうからひとつお話をいただきたい。
  7. 磯崎叡

    磯崎説明員 首都圏通勤の問題の改善につきましては、都市交通審議会需要予測一つのポイントといたしまして、それによりまして首都圏における各府県別輸送増加要請を検討いたしました。それを基礎にいたしまして、すでに昭和四十四年から、あるいは一部は昭和四十年から首都圏のいわゆる五方面通勤緩和ということをやっております。この五方面と申しますのは、こまかくなりますけれども、一応東京に入ってまいります五つの放射線がございますが、東海道線それから中央線それから東北線それから常磐線それから総武線、この五つ東京に放射状に入ってまいりますが、この五つにつきまして、かつて大正時代以後放置されておりました複線複々線にする、あるいは複々線をさらに一本ふやすというふうな、根本的な線路増設ということをいたしまして、同時に列車の長さをふやすというふうな方法によりまして、現在におきましては、五方面作戦のうち、一応四つの方面だけは一段落いたしましたが、今度は主として首都圏のもう一つ外側輸送でございます。いわゆる周辺地域の路線の複線化をこれからやらなければいけないというふうに考えております。また列車を長くする、あるいはホームを延伸するというようなこまかいことなどを含めまして、今度の十カ年計画におきましては、東京付近で約四千億、大阪付近で三千億という、合計約七千億の通勤輸送改善をしてまいるつもりでございます。
  8. 中山利生

    中山(利)委員 そうしますと、ただいま御質問申し上げたいろいろな計画と、将来、少なくとも十年間に予想される輸送需要というものは、対応した計画を立てておる〇十年後にはそういうものを十分に吸収し得るという御計画でございますか。
  9. 磯崎叡

    磯崎説明員 一応十年後の姿といたしましては、一つの計算でございますけれども、ラッシュのピークの一時間、これは約二〇〇%という、そう楽な輸送とは申せませんが、一時間のほんとうのピークを約二〇〇%以下におさめるということを一つの基準にして作業をいたしました。
  10. 中山利生

    中山(利)委員 いろいろお伺いしたいと思いますが、私に与えられた時間が非常に短いものですから、簡単にあと二、主点お伺いしたいと思います。  今度の計画の中で、いわゆる新幹線網、この構想がいろいろ発表されておるわけであります。きのうの新聞にもある程度計画が出ておったようでありますが、今度の十年計画の中では、この新幹線網というのはどの程度取り上げられて、含まれておるのかということをお伺いしたい。
  11. 秋富公正

    秋富政府委員 現在工事中の山陽新幹線、それから東北、上越、成田、この新幹線が現在工事中でございますが、山陽新幹線、これは四十九年の完成予定でございます。それからいま工事中の三新幹線は、五十一年度末完成予定でございます。それから現在調査中の五新幹線がございますが、これは五十三年度末完成する予定でございます。そういたしますと、五十三年度末に三千五百キロの新幹線が開業する、こういう状態になります。  なお、その後も引き続きまして大体三千五百キロの予定工事をさらに追加していく、そうして昭和六十年においては、七千キロの新幹線が開業する、こういう予定計画いたしております。
  12. 中山利生

    中山(利)委員 そうしますと、この計画の中では、どこからどこまで、たとえば工事中のものにしても、これはもちろん数字的にあるわけでございますが、財政再建計画進捗状況に見合わして、最後のほうは工事をしていく。最初のほうは、計画はもちろんあると思いますが、そういうことになるわけでございますか。
  13. 秋富公正

    秋富政府委員 山陽新幹線は博多までは四十九年の暮れに完成する予定にいたしております。  それからただいま工事中の三新幹線は、五十一年度末に完成するようにいたしております。  それから現在調査中の五新幹線は、五十三年度末に完成するように、これは国鉄鉄道建設公団、それぞれで長期計画を策定しておるわけでございます。(中山(利)委員「それで全部ですか」と呼ぶ)  それから将来これはどこにするか未定でございますが、さらに三千五百キロ工事を引き続いて行なう、こういう予定でございます。
  14. 中山利生

    中山(利)委員 もう一つお伺いしたいのは、地方閑散線の問題でございますが、国鉄には二つ性格がある。一つは、企業体として採算を考えながら経営を行なっていく。もう一つは、やはり公共性の高い一つの施設として、国民に対するサービスあるいは経済の進展というようなものを行なっていくという二つ考え方があるわけでございますが、私は、今度の計画の中で、そういうものがある程度はっきり分けて考えられているように感じておりますけれども、その中で、やはり地方閑散線の問題というのは、非常に大きな、地方にとっては死命を制するような重要問題であろうかと思います。  従来、この閑散線のうち、自動車輸送に転換できるものは転換をしていくというような御方針であったようでありますが、この点につきましては、いかがでございましょうか。
  15. 秋富公正

    秋富政府委員 昨年の国会におきまして御審議いただきました案におきましては、約三千四百キロ、五カ年間に運輸大臣が認定をいたしまして廃止する。これは先生の御指摘のように、いわゆる地域におきます実情あるいは代替交通機関、こういうことできめてやるという御方針でございましたが、これは昨年の国会におきましていろいろと御審議をいただきまして、その御意見も十分尊重いたしまして、今回は、そういった、頭から認定していくという形はやめまして、従来、国鉄がいたしておりましたように、やはり代替交通機関整備されまして、それで輸送量が確保できる、あるいは積雪地域にもあたらない、こういったところにつきましては、地元十分話し合いをいたしながら廃止を進めていく、こういう点におきましては、従来と方針は変わっておりません。
  16. 中山利生

    中山(利)委員 詳しくお伺いしたいわけでございますが、とにかく時間がありませんので、ただいまの御質問いたしました都市間高速大量輸送それから大都市通勤輸送あるいは中長距離大量高速輸送、この三つは確かにたいへん重要な、基本的な問題であって、これを一日も早く解決をしていただきたいわけでありますけれども、しかしこの三つはそれぞれお互いに矛盾を含んでおる。片方増強しようと思えば、片方犠牲になるという因果関係にあるだろうと思います。私ども通勤をしている間に、まあ通勤帯のまっ最中ではありませんけれども、多少ずれた時間に、急行、特急あたりにその時間帯をぶった切られてしまうというような、通勤者のストレスを倍増するようなダイヤが現在あるわけでございますが、そういう問題を含めて、ひとつこれからもきめのこまかい運営をやっていただきたいとお願いしておくわけでございます。  それから、地方財政のほうで御質問をしたいと思いますが、その第一は、国鉄利用債の問題でございます。従来から日本鉄建公団債券について、地方団体によるお引き受けないしあっせんが求められております。この利用債の現況、現在どの程度利用債をやっておられるかおわかりになりますか。
  17. 磯崎叡

    磯崎説明員 利用債昭和二十九年度からできた制度でございますけれども現在千三百十五億、本日時点で残額がございます。本年度の予算におきましては二百五十億、それから四十七年度予算におきましても二百五十億でございます。  以上でございます。
  18. 中山利生

    中山(利)委員 この利用債引き受けないしあっせんにつきましては、鉄道建設あるいは改良につきまして、地元からの要請等もあるやに聞いておりますけれども、しかし、その発行条件、利率がほかの債券と比べまして非常に悪条件である。勢い、地方市町村あっせんするにしても、引き受けをするにいたしましても、その利子補給というようなことで、事実上地方市町村がこれを引き受けざるを得ないという状態にあるわけでございます。この利用債につきまして、今度の計画の中でどのようにお考えになっておられるか、お伺いしたい。
  19. 小林正興

    小林説明員 利用債発行条件お話でございますが、これは先ほど総裁が申し上げましたように、二十九年から創設されまして、その間現在までに四回の改定を見ております。  先生承知のとおり、利用債性格は、その地域につきまして非常に直接的に、密接な関係を有し、また便益の関係が非常に強いという工事、あるいは御希望の非常に強い工事につきまして実施してきました関係上、一般市場金利趨勢等と必ずしも一致して変動しておりません。またお引き受け願うにあたりましては、工事の内容あるいは地元の御希望等も、十分工事関係につきまして御相談しつつ今日にまいっておるわけでございまして、決して無理じいしたつもりはないわけでございます。発足以来の沿革もございます。そういった一般に公募する債券と違いまして、そういう利用債性格上、ただいまのようなほかの債券の利回りに比べますと、やや低位になっている、かような次第でございますが、今後新幹線等利用債につきましては、これは巨額の資金を必要といたします関係上、地方公共団体にもごあっせん願う等、地方にいろいろ御負担願うことも考えております。これは非常にまとまって、一つ地域に集中してお引き受けをいただくこともあろうかと存じますので、その点につきましては現在まだきまっておりませんが、十分そういった点を考慮に入れまして、関係当局と御相談しつつ実情に沿うようなものにしてまいりたい、かように考えているような次第でございます。
  20. 中山利生

    中山(利)委員 現在自治省並びにわれわれ地方行政委員会等におきましても、地方財政の確立というような意味で、なるべくこれ以上の負担をかけてもらいたくないというような考え方でおるわけでありますが、特にただいまお話のありました新幹線工事に対する地方債引き受けということは、新幹線の持つ、国家的プロジェクトという性格から考えましても、理解ができないわけでございます。今後これを改正するなり、条件を緩和するなり、そういうお考えがあるかどうか。
  21. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま御指摘でございますが、新幹線につきましては政府としても大幅の出資をいたしておりますし、またその金利につきましても三・五%までの助成をするというふうに、たいへん大幅にやっております。また財政資金も大幅に投入しておる状態でございますが、現在の全国新幹線鉄道整備法におきましても、御承知のとおり、第十三条において「地方公共団体は、新幹線鉄道当該地方開発発展及び住民生活の向上に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道に関し、その建設のため必要な資金についての援助、その建設に要する土地の取得のあっせんその他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」とございまして、私たちといたしましては、ただいま小林常務理事が申しました、いわゆる地元におきますいろいろなこともございますが、やはり資金の確保ということはたいへん重要なことでございますので、ぜひ地方におきましても御協力を  いただきたい、かように考えております。
  22. 中山利生

    中山(利)委員 改正するなり条件を緩和するお考えは、いまのところないという御答弁だと思いますが、これにつきましては、去る六月一日の地方行政委員会において地方交付税法の一部改正案を可決するに際しまして、与野党五党一致附帯決議を付しまして、この中で「国鉄利用債、国の委託費等、ほんらい地方団体負担すべきでない経費を地方団体に求める事態が未だにあとを断たないが、国と地方団体財政負担秩序を乱すことのないように措置すること。」という条項が入っておるわけでございます。  これについてのお考えをお聞きしたいわけでありますが、その前に武藤自治政務次官がお見えになっておりますので、自治省の御見解をお伺いしたいと思います。
  23. 武藤嘉文

    武藤政府委員 先ほど来いろいろ御議論がございます利用債の問題でございますが、これはいま中山先生もおっしゃいましたように、この間の地方交付税法改正案に伴います附帯決議にもございまして、われわれ自治省といたしましては、十分その趣旨を尊重してまいる、こういうことを申し上げておるわけであります。その点からいたしましても、いまの国鉄の御希望とはいささか違うので恐縮でございますけれども地方公共団体の現在の財政状況からいたしまして、なかなか利用債引き受けるという余裕もございませんし、また今日まであっせんしておりますが、そのあっせんにおいても、先ほど来御議論がございますように、利用債レート国鉄が直接金融機関お願いをしておられる債券レートが違うものでございますから、そういう点におきましても、今日現在においても地方自治体がその負担をしておる、こういうような現状でございます。それでも、たとえばその地方電化の場合、その特定の市町村住民がプラスになるというような場合はこれはやむを得ないので、私どもあっせんをしなければならぬと思いますが、新幹線のようなものは先ほど来御議論がございますような性格からいたしまして、これは新幹線利用債地方公共団体引き受けるということは、従来の東海道あるいは山陽新幹線と同様今後においてもたいへんむずかしい問題であると考えております。
  24. 中山利生

    中山(利)委員 運輸大臣お願いします。
  25. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど来国鉄、それから政府委員から御説明をしたとおりでございますが、私どもはもちろん財投でもってこういう建設資金の大部分はまかなわなければならぬとは思っておりますが、若干部分はやはり自己資金を必要とするわけでございまして、そういう場合にはこの利用債制度がございますものですから、その地方開発等との非常に密接な線増あるいは電化等につきましては地方利用債お願いをするということが必要になってきておるのでありまして、今日いろいろ議論がございますけれども、そういうことも十分するから何とかして早くそういう設備の改善をやってほしいという御要望のほうがむしろ強いわけでございます。決して無理やりに押しつけて利用債地方お願いをしているというようなことはないと考えております。  新幹線に関しましてはお説のような御意見もあることはごもっともでございますけれども新幹線整備をする場合の特別法がございます。そこにも政府委員から申しましたように、ある程度地方団体におきましても資金源につきまして積極的な援助をしてほしいということを明定しておりますので、これは程度を越えるといけませんけれども、ある程度のことはやはり地方にもお願いをして、われわれもできるだけの配慮をし、努力はいたしますけれども、ある部分地方にもお願いをするようなことになっておるのでございまして、この方針は決して無理をしてはいけませんが、無理にならぬ限度におきまして地方と話し合いながら円滑に処理をしてきておりますし、今後もそういうような方針で臨みたいと思っております。
  26. 中山利生

    中山(利)委員 大臣のお気持ちはよくわかりましたが、現実にたとえば債券の問題ばかりでなくて、駅舎の建築あるはその他につきまして地元負担を強要するというと語弊がありますけれども地元負担がなければ改善ができないというような事例が多々あると私どもは承っているわけでございます。今後のこの計画の実施にあたりましてはそういうところをひとつきめこまかく地元要望に対するサービスというものをお願いしたいというふうに思います。  時間がございませんので、まだ二、三、市町村納付金の問題その他お伺いしたいことがあったわけでございますが、この程度でやめておきますが、先ほど冒頭にも申し上げましたように、国民あるいは特に国鉄利用者、通勤者というものが今度の国鉄再建というものにつきまして持っております期待というものは非常に大きいのではないかと思います。しかも落語でいいますと三方一両損というような財政再建計画でございます。これはあくまでも落語にありましたような一時しのぎのものであってはならない。十年間に必ずこれだけのものはやって、これだけの国民や利用者に負担をかけるけれども、これだけのサービスもできるのだというようなことを信念を持ってひとつ実行をしていただきたい。しかもこれも一日おくれればそれだけ弊害が多くなるわけでございまして、先ほど大臣がおっしゃったように、一日も早く、百の議論よりも一つの実行ということもあります。この成果というものは十年後に評価されるべきものだろうと思います。軽々の批判はできないと思いますけれども、それだけに運輸当局国鉄当局のしっかりした腰の入った実行というものを要望したいわけでございます。と同時に、一般国民あるいは利用者に対する今度の計画のPR徹底というものをひとつ期していただきたい。  時間がございませんので十分にいろいろお伺いすることができませんでしたが、このことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  27. 井原岸高

    井原委員長 越智通雄君。
  28. 越智通雄

    ○越智(通)委員 私はきょうここでこの国鉄の運賃を引き上げるという話、そしてそれによって国鉄の財政をいかに再建していくかという話につきましては、私も都市から選出されておりますので、そうした都市に住む者がこの問題をどのように受けとめているかということを率直にお伺いしてみたい。  国鉄総裁も運輸大臣も春以来の国鉄の運輸の問題につきましていろいろと御苦労されていらっしゃることはよくわかるのでございますが、やはり庶民はこの問題を非常に深刻に受けとめている。私の言うことは越智の言うことではなくて、私を支持してくれた九万人の人の気持ちを代表して言っているつもりでございますので、真剣に答えていただきたいと思うわけであります。  今回の値上げは国鉄の赤字によって出てきた。その国鉄がなぜ赤字が出るかということについて後ほどゆっくり聞きたいと思うのですが、最初に経済企画庁お見えでございますか。——やはりいまわれわれ庶民の最大の関心はずいぶん物価が上がっておるのにまたここで追い打ちをかけたら一体どんなことになるのだろうか、そこが最大の問題だと思います。先般来のこの問題についてのお話というか答えの中に、戦前に比べて国鉄の運賃はそんなに上がっておらぬ、ほかはもっと上がっておる、こういう言い方があるのですが、戦前というのは何か昭和九年から十一年。私は実は幼稚園に行っておりまして、そのころのことは知らないわけです。大体昭和九年ごろの日本の経済の構造と今日の構造が違っているので、物価は、当時から見て消費者物価は六百倍だ、卸売り物価は四百倍だ、だけれども運賃のほうは三百倍だ、そういう説明はわれわれにはなかなか納得できない。東京都民の七割は昭和生まれでございます。私より若いのでございます。私も昭和の初めですが、非常にそういう説明では納得できない。むしろ今日この時点において国鉄の運賃を引き上げたら物価に対してどういう影響があるか、物価の番人といわれておる経済企画庁はその問題について一体どのように考えておるか。  私はそこで一、二のことを申し上げたいのですが、消費者物価指数の中には貨物運賃の引き上げはたしか組み込まれてないはずです。貨物の運賃も二五%上げる、旅客のほうも二二%ですが、その貨物の分がどうはね返ってくるのだ、どういう計算をしたのだ、あるいは実際にこれを上げますと私鉄へどういう影響があると見ているのか。いまキロ当たりが国鉄が四円ちょっと、遠距離はぼくらあまり関係ないものですから六百キロ未満で大いにけっこうですが、四円二十銭くらいが五円十銭くらいに上がるのだと思いますが、私鉄は四円台でございます。その一円からの差が出てくることについて私鉄がはたして黙っているだろうか。ないしは今回の計画で非常に気になりますことは、将来の運賃の値上げが予約されております。五十一年、五十四年に一五%ずつですか、その先の五十七年に一〇%か何か将来の値上げが予約されているということはそうした消費者の心理にどのような影響を与えるか。それをも織り込んでこの値上げはだいじょうぶだというならば、その政府のお考えを、時間もございませんので、簡単明瞭に庶民の耳にわかりやすいようにお答えいただきたいと思う次第であります。
  29. 小島英敏

    ○小島政府委員 おっしゃいますように戦前比較というものは、これは一つの参考にすぎないと思いますし、非常に資本集約的な産業であれば労働賃金のウエートが少のうございますから、戦前に比べれば倍率が少なくて済むし、労働集約的なものであれば当然倍率が高くなるということがございますので、一つの参考にすぎないと思います。  国鉄運賃の消費者物価に対する影響は、おっしゃるように旅客だけしかウエート上は算定されておりませんので、この分だけがいわゆる直接的な影響でございますけれども、今回の値上げに伴う分が平年度ベースで約〇・三四%と計算されております。それから貨物運賃のほうは、したがいまして間接的にどれだけ影響するかということを計算するわけでございますけれども、これは手法といたしましては産業連関表を使いまして、各物資の中の運賃のウエートというものがございますから、これが間接的効果を含めてどのくらいになるかということを計算するわけでございますけれども、計算の結果は平年度ベースといたしまして約〇・〇九%ということになっております。  このほかにやはり心理的な影響というものがあると思います。ただ、これはなかなか計算のしようがございませんので計算しておらないわけでございますが、一つには、やはり便乗値上げというものの中には、国鉄の運賃が上がりますと、これを理由にして上げるということが確かにございますけれども、ものによっては、国鉄運賃の値上げがなければ、やはり諸経費の値上がりによりいついつより値上げしますというところを、運賃などが上がりますと、それを一つの言いわけに使うという傾向も無視できないと思います。  それからもう一つの問題は私鉄の問題でございますけれども、これは昨年の七月に運輸省に申請が出されておりますが、まだ運輸省から協議を受けていないわけでございまして、企画庁といたしましては協議のあった段階で経営収支状況等を十分に調べまして、それから物価に対する影響も十分配慮いたしまして、改定の要否、つまり必要であるか必要でないかという点も含めまして慎重に取り扱ってまいりたいと思いますが、何ぶんにもいま物価情勢がなかなか重要な時期でございますので、十分慎重に考えてまいりたいと思います。  それから将来の問題につきましては、四回の値上げが予定されておりますけれども、これは一つの目安にすぎないわけでございまして、私どもといたしましては、そのときどきの物価情勢というものを十分に考慮に入れて、その段階で考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  30. 越智通雄

    ○越智(通)委員 ただいまの御答弁、はたしてほんとうにそれなりにすんなりと庶民の胸に入るかどうかということは非常にむずかしい点があると思います。今後ともよくみんなと議論していきたい、非常にいろいろ問題を含んでいる点だと思います。  次に、国鉄の赤字のことについて運輸省並びに国鉄当局にお伺いしたいのですが、私どもの地区には非常に私鉄が走っておりまして、私鉄と国鉄さんと非常に差がある。大体国鉄さんは荷物を頼むとずいぶんおくれることがある。私鉄なんかは、族客が主ですけれども、通学、通勤の定期なんかもずいぶん安い。よく例にあげられるのは新宿−小田原ですけれども、倍違う。やはりそういう点から、国鉄は赤字赤字というけれども、何とかもうちょっと赤字が出ないようにできないのだろうか。磯崎総裁はずいぶん長年国鉄にいらした方で、ほんとうにすみからすみまで御存じだろうし、またほんとうに昨今の国鉄の苦悩をしょってこられた方だと思うのですけれども、私どもの立場からいえば、私鉄と比べた場合に国鉄のやり方にもっといろいろな手がないか。今回の八千億からあるといわれる累積赤字、あるいはこれからの収支をしさいに拝見いたしますと、結局は人件費の上昇をまかなうための運賃値上げということになるわけでございます。そういたしますと、現在いる四十五万人の国鉄職員がはたしてほんとうに必要なのか。なるほどこれから十一万減らすと書いてある。減らすと書いてあるけれども、本来こういうものは、日本人の中におけるレジャーの普及等を考えますと、旅行する人も多くなってきたのですから、そうした人たちのいわば営業成績の上昇の中で人件費のアップをまかなうべきではないか、生産性の範囲に見合う範囲で人件費の上昇を考えるべきではないか、このように思うわけですが、一体過去十年間なら十年間どのように生産性が上がってきて、また今後その範囲内で人件費を——何もレベルという意味じゃなくて総数ですから、人数の問題も含めましてどのように考えているか、国鉄総裁の御意見を伺いたいと思います。
  31. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄のいわゆる生産性でございますが、いろいろ見方があると思いますが、収入に対する見方になりますと、その収入の運賃のベースが非常に違いますので、一応私どものほうでは、換算客貨車キロという変なことばでございますけれども、世界各国共通のやり方でもって生産性を見ております。それでもって見ますと、昭和三十五年と昭和四十五年とでは一三〇、三割のアップでございまして、残念ながら決して高いとは申せないと思います。今度の計画におきましては、四十七年度と五十七年度で二三二という予定でございます。これは一人当たりの働き高でございますが、生産性から申しますと、いま一兆以上の収入をあげている企業が日本に私どものほうと電電公社と、それからきのう公にされました新日鉄、トヨタ、日産とございます。その中で民間会社は十万以下と思いますが、私どものほうは四十数万、電電公社も二十七、八万ということで、同じ収入に比較して圧倒的に人数が多いということは明らかでございます。これは労働集約産業でございますのである程度やむを得ないとは言いながら、やはり近代化、合理化をしていけばおのずから人が減ってくるということで、今回は何とかいままで減らしました分三万三千を入れまして十一万人を減らしてまいりたいというふうに思います。そういたしますと二三二ということで、よその国に比べましてもそう見劣りするものではないというふうに思っております。  それから、いわゆる私鉄との比較でございますが、これは私のほうから申しますとちょっと問題があるかと思いますが、やはり都市付近の私鉄は、私のほうで言えばこの付近の仕事だけをしておるわけでございまして、やはり地方私鉄と比較いたしませんと——私のほうは、東京付近の収入でもって東京付近以外の北海道とか九州とか、あるいは四国の赤字をカバーしなくちゃいかぬという意味で、この付近の方々に地方の方々の輸送の赤字をしょっていただいているということも一つの大きな原因でございます。したがって私鉄との比較はなかなか単純にはいかないというふうに思っております。
  32. 越智通雄

    ○越智(通)委員 人数の問題はやはり私鉄との関係においてはまだまだ考慮していただく余地があるのではないかというふうに思うわけでございます。ことに、いまのお話しの十一万人の減でございますけれども、すでにやった三万三千を含めてということになりますと、大体四十五万人いたら普通は自然減粍というのが毎年相当%あるのじゃないか。そうすると十一万人というのは自然減粍の範囲内でしかやらないということになると、一番心配することは、新しいのをとらなくて自然に——ことばは悪いけれども消えていく人を待っていたら、だんだん人間の年齢構成が頭でっかちになってしまって、キノコ型というか逆三角形型というか、こういう労働集約的な企業は本来普通の三角形型、要するに底辺のほうが広くなければ採算が合わないはずだと思うのです。そういう点について将来計画を入れて一体年齢構成別にどういうかっこうになっており、それをどういうふうに持っていこうと思っているのか、あるいは、もしおわかりならば、ほかの私鉄その他が一体どのような人間構成になっているか、お答えいただきたいと思います。
  33. 磯崎叡

    磯崎説明員 確かにいまの国鉄の人員構成は頭でっかちでございます。平均年齢が四十歳でございますから、四十歳以上の者が約半分いるということでございまして、一般企業に比較いたしますと非常に老齢であるということはいなめない事実でございますが、これはいろいろ戦争中あるいは戦後の問題がございまして、——詳しくなりますから省略いたしますが、私どもといたしましても今度の人員削減につきましては、いわゆる首を切るという積極的な方法はもう絶対できないと思っております。したがって、いま先生のお示しのとおり年間約八千から一万以上減ってまいりますので、それを極力埋めない。しかし、かと申しましても、現場の若い連中でなければできない仕事がたくさんございます。こういうものを、必要な、やむを得ない、あるいは技術温存というようなものを含めまして若干減ったもののうちの数分の一をとるというふうな方法によりまして自然に人間を減らしていく。しかし相当大幅な配置転換をしなければいけません。そういう意味で数万の配置転換もすでにいたしておりますが、いまの人間のやりくりの範囲内で、しかも出血をしないで何とかいい形にしていきたいと思っております。いま四十歳でございますので、十年たってもまだ五十歳でございます。しかしそのあと五年たちますとぐっと若くなってまいります。したがってあと十年はやはり毎年毎年老齢化してまいります。これは首を切らない以上絶対にやむを得ない方法ではないかと思っておりますが、これを前提といたしましてやはり若い連中を入れるということも考えなければいけないし、全体の人員構成を、十年ないし十五年後にはいまおっしゃったような大体三角形のような形に持っていきたいという考え方でございます。
  34. 越智通雄

    ○越智(通)委員 いまの総裁の話を聞いていて、正直な話、ちょっと心配になるのです。お医者さんとか乗り物の運転手さんというのは、命を預けているわけでありますから、だんだん年をとってきて、そう言っては悪いが目がかすんできた人が運転しているのでは、こっちはこわくてしようがない。やはりそういう点は国鉄職員のための国鉄ではなくて、国民のための国鉄なんですから……。日本国有鉄道というのは職員のためのものではないと私は思うから、そういう点について大胆に人間を入れかえるくらいのことをしてもらわないと、幸いにいままでは各乗り物の中で国鉄は一番安全率が高い、要するに事故が少ないと思っておりますけれども、今後そうしたら事故が多くなってしまうことも十分考えられるし、人件費の上昇も今後の十年間相当こわいなという感じを私はいまいなめないわけです。にもかかわらず、昨今話を聞いていると、国鉄の週休二日制だなんという話を聞くことがあるのですが、大体町の中小企業のおやじさんに言わせると、週休二日制をやられたらたまらぬという声があることは事実なんです。たいへん大きい声があるわけです。国鉄まで、そういう人件費の増高で困っているまっ最中に、時間短縮だか五日制だか知らないが、もっと休むんだ——それは五十になればもっと休みがほしいかもしれないけれども、そういうことではやはり国鉄の財政再建はむずかしいのではないか。一体時間短縮、週休二日制というのはいまの計画に入っているのですか、入っていないのですか。もし入っていないとすれば、もしそういう事態になったときにはまたさらにどのくらい財政負担をしなければならないのですか。その点について教えていただきたい。
  35. 磯崎叡

    磯崎説明員 いわゆる週休二日制の問題あるいは定年の延長等、とうとうたるいまの世の中の風潮ではございますが、私のほうといたしましてはいま先生のおっしゃったように非常に大問題でございます。かりに二時間短縮いたしますと二万人要ります。いわゆるほかのように圧縮ができませんのでどうしても交代制になりますから、休みがふえれば人がふえるというのはあたりまえのことでございます。現在私のほうは約四十五時間でございます。これを四十三時間にいたしますと二万人ふえざるを得ない。二日制にすればさらに二万人前後人がふえるということで、これはとてもたいへんなことでございます。したがって私のほうといたしましては全般的な近代化、合理化のラインを見きわめた上でやってまいりたいと思っておりますが、一部昨年組合ともいろいろ話もいたしまして、きわめて徐々にこの問題を解決していきたい。公務員などは非常にいろいろ話が出ているようでございますが、私のほうはやはりことしの秋ごろから少しずつやってまいりたい。ごく少しずついわゆる合理化なり、さっきおっしゃった自然減耗の趨勢を見ながら、総人員がふえないように、全体の十一万人削減に影響を来たさないようにやってまいりたい。したがって相当な年月がかかるというふうに思っておりますが、しかしスタートはことしの秋、四十八年度の下半期ぐらいから少しずつ職種によってやってまいりたいというふうに思っております。
  36. 越智通雄

    ○越智(通)委員 そうすると、いまのお話ですと、ちょっぴりずつやることはいまの計画に入っているのだ、ちょっぴりずつならば、その計画に載っかっている四回の運賃値上げのスケジュールといいますか、それは変わらないのだという考えに聞いておいてよろしいわけですね。——そうしますと、そういう中で非常におかしなことも聞くわけです。いなかへ行きますと、国鉄の職員が市町村の議員になっている。東京では区議会議員というのですが、区議会議員ではあまりいないみたいなんですけれども、いなかに行くと市町村の議員になっている、こういう話を聞くわけです。私たちから見れば何か給料の二重取りみたいに聞こえるのですけれども、一体どのくらいそういう人たちがいて、どういう取り扱いになっているのか、その点についてはっきり教えていただきたいと思います。
  37. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄職員で市町村、いわゆる東京都の特別区を含みますが、市町村議員と兼職しておりますのは約千名おります。党派別は省略いたしますが、千名おります。この千名の法律上の問題でございますが、これは国鉄法の第二十条の第一号というのがございます。この二十条の一号では地方公共団体の議会の議員である者は国鉄の職員になれないというふうな規定がございます。それを二十六条でもって、ただし書きと申しますか、若干それの緩和規定を設けておりまして、いまの「第二十条第一号に該当する者は、職員であることができない。但し、市町村の議会の議員である者で総裁の承認を得たものについては、この限りでない。」ということでございまして、いまの約千名につきましては一応総裁の承認を得てやらしております。ただしその中でも、たとえば駅長とか助役とか、一人一職である者は許可いたしません。それから市議会の議長になったりあるいは委員会の委員長になるという場合には、話をいたしまして、非常にそちらに取られる時間が多いということになりますれば、これはやめてもらうということもございます。ただし一般の議員でございますれば——非常に最近地方公共団体でも、あるいは外国へ出張するとかあるいは議会の日数がふえるとかいろいろございますが、私のほうでは相当厳格に、公職、公の職という制度でもって、市町村の仕事をした際には公職扱いと申しまして給料をやらない、そして出勤簿をきちっと整理するという制度にいたしておりますし、大体の慣例は、自分の持っております有給休暇を先に使います。有給休暇がなくなりますと公職で扱っているということでございまして、私、勤務だけは厳正にやらしておるつもりでございますが、総裁の承認そのものに一つ問題があると思いますけれども、一応特別な場合以外は承認するということでやっております。
  38. 越智通雄

    ○越智(通)委員 法律に書いてございますから、それに従ってやっているということだと思うのですけれども、そこにやはりその法律そのままでいいのかという問題が一つ残ると思います。三公社通じての問題だと思いますし、またいきさつもいろいろあってのことだと思いますけれども考えてみれば、市議会議員がよくて県会議員が悪いんだとか、全く妙な話だという気がいたします。またそういう人たちが国鉄につとめるというのは、その市町村を動かさないという考え方で、実際は人間の異動がほとんどできてないからそういうことになるのじゃないか。要するに自分は国鉄につとめたのじゃない、何とか県の国鉄につとめて、よそへ行かされるということを考えてないからそういうことが成立するのであって、本来人間を効率的に使うという意味だったら、東北の人間を九州に持っていって使ったっていいはずだ、その人の力量に最もふさわしいところにどんどん動かして使うということを考えるべきだと思うのですよ。非常に固定しているからそういう問題があるのじゃないか。運輸大臣、この法律の条項、二十六条について今後どのように検討するお考えがあるかないか、一言伺いたいと思います。
  39. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この問題の取り扱いについては国鉄総裁も御説明したとおりでありまして、国鉄の職員でありますから国鉄の仕事に従事しておるわけでございまして、その仕事にできるだけ支障のないような方法で兼職を認めておるということでございます。将来の問題につきましては、国鉄だけではございません。他の公共企業体にも関係のある問題でございまして、これは電電公社の法律あるいは国鉄の法律ができました当初からいろいろの経緯を経まして今日に至っておることは御承知のとおりでございます。国鉄、公共企業体の職員のこういった兼職をどうするかということは前々から論議のあるところでございまして、担当の大臣も真剣にこれを検討してくれております。私どももその協議を受けておることは事実でございますが、しかしこの問題につきましては非常に複雑な問題がございますので、これらにつきましては今後関係各省とも連絡をとりながら慎重に前向きで検討しよう、こういうことになっておるのでございまして、まだ結論は出ておりません。
  40. 越智通雄

    ○越智(通)委員 ただいままでで、国鉄はどうしてこんなに赤字ができるんだということについての庶民の率直な疑問というか、感じ方を申し上げたわけですが、もしそれだけの赤字が出るとするならば、運賃を上げずして、あるいは運賃の上げ幅を縮めて、その赤字を他でまかなう道があるのかないのか、それに対して十分なる努力をしてもらっているのかどうか、その点について伺いたいと思うわけです。  国鉄は、明治以来たいへんに大きな国家投資が行なわれてきたと思うわけです。その投資によりましていろいろなりっぱな財産を持っているのじゃないか。その財産が十分に活用されているのかどうか、そこが私どもの一番知りたいところでありまして、国鉄当局は現在売却可能あるいは用途を変更して効率的に使うことが可能な資産をどのくらい持っているか、またそれに伴ってどのくらいの営業外収益と申しましょうか、そうしたものをあげているか、正確にお教え願いたいと思います。
  41. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄が現在所有しております総面積は六億六千七百万平米、約琵琶湖ぐらいの大きさでございます。その中で、いま実際事業に供しておりますものが二千二百万平米ございます。このうちでいろいろ具体的に事業計画を持っていて使いたいというものが三百三十万平米でございます。現時点において一応事業計画がないものが千五百万平米、ちょっと端数がございませんが、千五百万平米でございます。その他貸し付けが若干ございまして、全体で二千二百万平米でございますが、いま私どもはこの千五百万平米を毎年極力売ることにいたしております。いままで、年によって非常に違いますが、昨年あたりはこれ以外でございますが、八百万平米売りまして、平均いたしますと三百万平米ぐらい毎年売っております。いままではこれを年間大体二十億ぐらいしか売っておりませんでしたが、昨年あたりから急激にピッチを上げまして、四十七年度ではちょうど百億の売却をいたしました。  ただ、売り先は大体市町村でございますので、そう高くは買ってもらえませんで、まあまあ普通の値段より少し安いということになりますが、最近はだいぶんめんどうを見てもらっておりますが、大体市町村にお売りいたしております。  こういうようなことにいたしまして、今度の計画では、十年間で千二百億というものを資産充当という名前でもってこの中に入れております。  そのほか、いわゆる構内営業とかその他のいろいろな諸般の鉄道施設を利用しているものにつきましては、実は昨年運賃を上げていただくと思いましたので、運賃値上げと同じくらい使用料を全部上げてしまいました。広告料だとか用地使用料というものを全部上げまして、これらの収入が約二百億ぐらい毎年ございます。  以上申しましたとおり、いろいろ不用地その他の活用も考えておりますが、いままで非常にいろいろな法律上の制約がございまして、なかなか法律的にできない問題がございましたが、最近いろいろ法律改正、政令改正等で多少の付帯事業的なものもやらしていただくようになりましたので、極力そういう方面において活用してまいりたい。私どものほうで使う道のないものはどんどん売ってしまいたいというふうに思っておるわけでございます。ただ、たとえば東京駅の付近だとか、ああいうところになりますと、国鉄だけで簡単に処分できるものではございませんし、国全体の問題あるいは都の問題といろいろございます。そういう意味でその地域の再開発の問題ともからめて考えなければならない。場所が非常にいい場所にございますので、そういう意味で地元の府県とも御相談いたしまして、極力公共的な目的に合った、再開発に役立つような、しかも国鉄の旅客に利便を供し得るような方向でこれを利用してまいりたいというふうに思っております。いままで非常に制約されておりまして、非常におそまきでございましたけれども、ぼつぼつ去年ぐらいから始めさしていただいておるわけでございまして、そういういわゆる営業外の問題につきましても、私ども事業局という局を設けまして、もっぱらそれのほうを専門にやらしておるというふうなことで、少しずつそういう角度のことをやり始めまして、今度の問題につきましては徐々に取り組んでまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  42. 越智通雄

    ○越智(通)委員 いまの国鉄の営業外収益をあげるという点につきましては、三十九年に国鉄が赤字に転落以来いわれていたことなんですけれども、いまのお話ですと、今日まであんまり手放してないみたいな感じがいたします。手放すだけがいいことじゃないので、利用して収益があればいいわけです。何も売却に限ったことでありませんけれども、その点について、ほかの私鉄等は、線路を敷く、それだけのたいへん多くの人間が乗降するということに目をつけてそこから収益をあげている。その収益でもって、人を運ぶというむずかしい作業のコストを、何と申しますか薄めているという営業形態に比べまして、その点が国鉄にはやはり欠けているんじゃないか、ないしは弱いんじゃないかという気がしてしょうがない。総裁はじめいろいろ御努力なされているということですけれども、その中でやはり気になるのは、いまのお話にもありましたけれども、売却する場合にどうしても安くなってしまうというのは、私どもにとってふに落ちない。貸す場合には、最近は非常に値上がりしてきたということは聞いております。しかしほんとうにそういうものは、何と申しますかコマーシャルベースで、売るにしても貸すにしても何にしても、やってもらわないと、結局そのしわ寄せが運賃にきているんじゃないか。われわれに言わせると、総裁にもう一ぺん、どういう基準で値段をきめていらっしゃるのか、売るにしても貸すにしても、その考え方をお伺いしたいと思います。
  43. 磯崎叡

    磯崎説明員 売る場合には、私のほうの、専門家をお願いしました土地等の評価委員会、大体不動産関係の専門家三者ないし四者で構成いたしました委員会がございまして、そこでもっていろいろ評価してもらっております。ただ、先ほど申しましたように、市町村にお売りする場合、たとえば道路敷に使う場合には八割減にするとかいうふうな一つのルールがございまして、純粋に公共用にお使いになる場合にはこれを安くする。大体八割ないし九割引きというのがいままでの慣例でございますが、純粋道路に使う場合以外はなるべくコマーシャルベースでやっております。
  44. 越智通雄

    ○越智(通)委員 時間が来たそうなので、最後に前向きの話をひとつ伺いたいと思うのですが、人件費が上がるから運賃を上げてカバーするというだけじゃなくて、いまのような営業外収益をあげるということも含めて、国鉄の何か新しいビジョンですね。私はしろうと目で東京駅を見ると、れんがづくりの二階だか三階だか、明治生まれの人、にはなつかしく思われるかもしれないけれども、われわれから見ると、どうしてあんなところにあんな非効率的な建て物が建っているのだろうと思います。皇居の前だから高い建て物は建ててはいかぬという世の中ではないらしくて、あの近所では高い建て物が建つのですから、そういう点から東京駅のこっち側、何口というか知りませんが、あそこらも近代化するとか、あるいは方々にある貨車駅とかその他を高層化するなり集約化するなり、そうしたかっこうで合理化をする新しいビジョンがあれば、総裁から伺わしていただきたいと思います。
  45. 磯崎叡

    磯崎説明員 たとえば東京駅あるいは汐留等、非常に都民の目に立つところが立体的に利用されていないというお話は始終伺いますが、たとえば東京駅について申しますと、あれをどうするかということは国全体としての非常に大きな問題でございますし、もちろん一部の方々に独占させるわけにまいりません。やはり公共的に使いたいということと、それからできた場合のあとの運営が、やはり一部の方々に運営されては困る。国なり公共的な角度から運営できるようにしたいということで、いろいろ考えていることもございますが、もうちょっと財政状態がよくなりませんと、金を出しませんと発言権がございませんので、そういう意味で、何とか利用をしてまいりたい。汐留などにつきましても、できれば高層建築にいたしまして上のほうをアパートにするというような青写真は実はたくさん書いてございますが、先立つものなどがいろいろ問題がございまして実行できないのが残念でございます。極力前向きにそういうことをやってまいりたいというふうに思っております。
  46. 井原岸高

    井原委員長 林義郎君。
  47. 林義郎

    ○林(義)委員 国鉄運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案審議にあたりまして、私は、国鉄御当局及び運輸大臣に公害及びこれに関連する問題につきまして若干の質問を行ないます。  最初に騒音公害、振動公害でございますが、新幹線公害について苦情が一体いまどのくらい出てきておるのか。数字を把握しておられると思いますから、現在ありますところの東海道新幹線山陽新幹線、それから建設中の山陽新幹線東北新幹線、それぞれに分けて数字をお持ちでございましたら、各県別にどういうふうな苦情が出ているのか御説明いただきたいと思います。
  48. 内田隆滋

    ○内田説明員 ただいままでに苦情が出てきました件数は、東海道新幹線が二百四十九件、山陽新幹線が二十四件、既設のものを合わせますと二百七十三件でございます。  それから建設中のものにつきましては、山陽新幹線が七件、東北新幹線が二十二件、計二十九件となっております。
  49. 林義郎

    ○林(義)委員 県別はありませんか。
  50. 内田隆滋

    ○内田説明員 県別では東京都が六件、神奈川県が三十八件それから静岡県が八十件、愛知県が五十件、岐阜県が九件、滋賀県が三十六件、京都府が十一件、大阪府が十九件、計二百四十九件でございます。  山陽新幹線の新大阪−岡山間、これは兵庫県が十九件、岡山県が五件、計二十四件でございます。それから山陽新幹線の岡山−博多間、これが広島県が三件、山口県が二件、福岡県が二件。これは件数は少のうございますが、地方自治団体からの申し入れがおもでございます。合計七件。  それから東北新幹線が、東京都が六件、埼玉県が九県、茨城県が二件、栃木県が一件、福島県が一件、宮城県が二件、岩手県が一件、計二十二件でございます。
  51. 林義郎

    ○林(義)委員 いわゆる新幹線の騒音公害につきましては、現在暫定基準がつくられております。私の聞いておりますところでは、航空機騒音につきましてはWECPNLというのが八十五ホン、新幹線につきましてはピーク時におきまして八十ホン、こういうふうに聞いておりますけれども、これから新幹線の騒音問題というのはますます問題になってきますし、特に新しい線路ができますとそれに伴っていろいろな問題が出てくると思うのでありますけれども、これにつきまして、環境庁当局のほうでは現在の暫定基準をはっきりした環境基準に指定せられる考え方があるのか、また、されるならば大体いつごろおつくりになるのか、お答えをいただきたいと思います。
  52. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 お答えいたします。  新幹線騒音にかかわる環境基準は、私ども、人の健康を保護して生活環境を保全する見地に立ってきめたいと考えておりますが、新幹線騒音の評価の方法、それから住民に及ぼす影響などについてなお調査検討すべき問題が残されておりますので、今後中央公害対策審議会において、これらの点を含めて新幹線騒音にかかわる環境基準について審議されることになっております。この結論を待って環境基準を設定したいと考えております。
  53. 林義郎

    ○林(義)委員 国鉄並びに運輸省当局にお尋ねいたしますが、先ほど数字的にお話がございましたように、方々でたいへんな苦情が出ている問題であります。具体的に、やはりまず第一に騒音の音源対策、音を出すのですから音をとめる対策というのをやらなければならない、それからそのほか、新幹線の走っているところと住居地の間に空間をたくさんつくるとかいうようなものもやらなければならない、いろいろなものがあると思いますが、いまどういうことをやっておられるのか、と同時に、どのくらいの費用を使ってやっておられるのか、概略御説明いただきたいと思います。
  54. 内田隆滋

    ○内田説明員 お答えいたします。  昨年十二月に環境庁から騒音に対しまして勧告が出ました。それに対しまして、私のほうとしては概略次のようなことをやろうとしております。  まず東海道新幹線でございますが、これは御承知のように三十九年度に完成いたしまして、当時は音の問題が非常に、まあ無神経といいますか、現在のようにやかましくございませんでした。したがって音に対してあまり技術的に考慮しないでつくりました関係上、非常に音が高くなっております。この問題の一つは、盛り土区間あるいは高架橋区間にいわゆる防音壁、これは高さが大体二メーターぐらいのコンクリートの壁でございますが、そういうものをつくることによりまして、現在の音が八十ホンないし九十ホンございますのが大体八十ホン以下にできます。したがって、この防音壁を必要なところは全線にわたってつくるということを計画しております。  それから一番問題なのは鉄のけたでございます。これが非常に音が高うございまして、九十ホンないし百ホンというような音を出しておるわけでございます。この鉄のけたの中に二種類ございます。一つは、鉄のけたの上に俗に言いますとたなをつくりまして、その上にいわゆるバラストを置きまして軌道を敷設する。いわゆる有道床鉄けたと申しておりますが、このほうは音がわりあいに小そうございますので、これに対しましては鉄のけたの下側に遮音壁を設置するとか、あるいは両側に高架橋と同じような防音壁をつくれば相当の効果がございまして、八十ホンちょっと出るぐらいのところまでに音をコントロールできますので、この工事をやってまいりたいと思います。  それから無道床、いわゆるバラストのないけた、これが一番問題でございまして、これは、あるものにつきましては有道床鉄けたに交換をします。しかし全部のものができませんので、できないものにつきましては、いまから技術開発をやってまいりまして音をコントロールできるようにいたしたいと思います。  それ以外に、軌道を、いま五十五キロのレールを使っておりますが、これを六十キロにすることによって音は非常に下がる。その他いろいろ、バラストマットと申しまして道床の下にゴムのマットを敷くことによりまして振動騒音にも非常に効果があるということはわかっておりますので、これも逐次やってまいりたい。   〔井原委員長退席、細田委員長代理着席〕 あるいはいわゆる波状摩耗と申しましてレールに一定の規則的な波ができますと、これは音に非常に関係がある。あるいは車両のタイヤ、いわゆる車輪にフラットと称しましてきずができますと、音が高くなる、そういうようなものを管理するというようなことをやってまいりたいと思います。以上のことをこの十カ年間で五百五十五億かけて新幹線をやってまいりたいと思います。家屋稠密地区につきましては、約三カ年でこれをやるわけであります。
  55. 林義郎

    ○林(義)委員 いま御答弁の中にいみじくもありましたけれども東海道新幹線についてはまだあまり公害がなかった、問題が起こってなかった。やはりこれからつくられるところの山陽新幹線東北新幹線につきましては、この辺についても十分な御配慮をいただきたいし、いままでやられたところの公害防止、いろいろな事業がございますが、この事業をもちろんやっていただかなければなりませんと同時に、やはり公害対策について一番考えなければならないのは、新しい技術の開発であります。そういった意味で、新しい技術開発について国鉄当局、どういうふうなことをやっていられるのかということが一つと、それから、岡山以西につきましては、新しい対策を何か考えておられるのか、いま御説明あった点だけなのか、その点について簡単に御答弁いただきたいと思います。
  56. 内田隆滋

    ○内田説明員 騒音振動の問題につきましては、われわれとしては避けて通るわけにまいりませんので、国鉄の技術の総力をあげてこれが解決に向かっております。  現在、考えております新しい技術といたしましては、防音壁の高さをかげんすることによって音をコントロールする。現在は二メートルとしておりますが、これをさらに高くする。さらに、音を制御するためにいわゆる吸音板、これをつけることを考えております。また、防音壁の距離、列車との離れでございますが、これを変えることによって非常に音に効果がございますのでこれらのことについても勉強をして成果をあげております。なお、山陽新幹線につきましては、東海道と違いまして、全部コンクリートのけたを使っておりますが、これらのけたの構造あるいは高架橋の構造等、基礎等を強くすることによって、騒音振動防止の効果をあげるようにしております。そのほか、構造物そのものの下部を遮音することによって、近いところの音のコントロールをするというようなものも有効な開発をしております。そのほか、車両関係、レール関係、レールにつきましては、いまのいわゆる波状摩耗をなくすために、レールの削正車というようなものも検討をしております。総じていまのところ非常に目新しいというものはございませんけれども、じみちな研究開発を続けていって、大阪−岡山間よりはもっと静かな新幹線にいたしたいと思っております。
  57. 林義郎

    ○林(義)委員 騒音対策につきましては、これからの新しい問題でありますから、十分にやっていただきたいのですが、騒音問題というのは、言うならば列車が走ることに伴って起きるところの住民に対する悪影響であります。私は、この際、申し上げたいのですが、列車が走らないことによるところの住民に対する悪影響がある。不作為の問題があると思います。それは、国鉄のストの問題であります。本年に入りましてから、国鉄労働組合と動力車労働組合のいわゆる順法闘争が繰り返されております。特に、国電区間におきましては、多くの通勤者がたいへんな迷惑をこうむっていることは事実であります。生鮮食料品をはじめとして、各種生活必需物資の輸送が混乱し、そのために物価も値上がりするというような現象も出てくる。送り主ばかりではない。一般消費者もたいへんな損害を受けているというのは事実であります。本年に入りましても、いわゆる順法闘争が二月八日から十日までのスト権奪還闘争、二月十八日から三月二日までの合理化反対闘争、三月五日から三月十七日までの運転保安闘争、四月十六日から十七日までの年金制度改善要求闘争、四月二十四日から二十八日までのいわゆる春闘の五日間闘争が行なわれまして、その延べ日数は二十六日というふうに聞いております。  私は、こういった状態によりまして、いわゆる上尾事件というようなものあるいは四月二十四日の国電各駅における暴動となったというふうに考えるわけであります。私はこの辺、お尋ねしたいのですが、新聞等でいわれておりますが、順法闘争というのはどういう目的で、またどういうふうにして行なわれているのか、この際、明らかにしていただきたい。そのような闘争がことしに入って何回も行なわれております。申し上げたとおりであります。こういったものに対しまして当局は一体どのように対処していくのか、この点につきまして少し時間をかけて聞きたいと思うのであります。  順法闘争、順法闘争といっておりますが、私はどうも順法闘争というのは非常におかしな表現だと思うのです。一体これは違法な行為なのか適法な行為なのか、その辺をはっきり国鉄総裁から言っていただきたい。一般国民もその辺よくわからないと思うので、明確にしておく必要が私はあると思います。この辺は、一体どこまでやれるのか、いろいろな境界があると思います。その辺についての御説明をいただきたいと思います。
  58. 磯崎叡

    磯崎説明員 ことしになりましてからも、いま先生指摘のとおり数回にわたりまして輸送の混乱が生じまして、通勤者の大多数の方々はもとより、多数の国民に御迷惑をかけまして、まことに申しわけないと思っております。  いわゆる順法闘争と申しますのはいろいろ内容がございまして、後ほど詳しく御説明させますけれども、順法という名前は法律に従うということでございますが、私のほうから見ればこれは違法闘争でございます。これははっきり申し上げます。  もう少し詳しい内容を御説明させていただきます。
  59. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 ただいま総裁から御説明簡単にありましたが、国鉄列車の運行は、元来運転諸規程、それから運転のダイヤ、それからこれまで慣行的に定着化している作業基準といいますか、そういったようなものによって行なわれるということでございまして、また、その作業基準を十分にこなし得るようなキャリアなりあるいは一定の資格を持った者を乗務員として充てているということでございますから、ダイヤどおり動くということはあたりまえのことなんでございます。それにもかかわらず、いわゆる順法闘争という指令が出ますと、そういう規定を都合のいいように一方的に解釈いたしまして組合員に指令し、集団的、組織的に通常の作業方法とか作業基準、そういったようなものによらない行動をする、そして業務の正常な運営を阻害するというような行為をやることでございまして、順法闘争とはいっておりますが、順法という名をかりまして、闘争の合法化を装っているということになるわけでございまして、もとより国鉄の場合は、スト、サボタージュ、そういった一切の争議行為は禁止されておりますので、これは明らかに違法行為であるというふうに考えておる次第でございます。  なお、具体的にどういうふうにやるかということにつきましては、時間もかかりますので、省略させていただきますが、これにつきまして、いろいろだだいま先生からあげられました本年に入ってからの闘争、確かに延べにして二十六日ぐらいやったことは事実でございます。そういった点につきまして、これは春闘のような賃金問題というような経済問題もございますが、いろいろ政治問題、そういったものがはさまりまして、残念ながら国民に迷惑をかけるといったような事態をしばしば生じたということは非常に遺憾に思っておるわけでございますが、もとより違法行為でございますので、こちらから、そういった事態にならないようにということは再三再四申し入れをする、あるいはまたそれを実際に行なう個々の職員に対しまして、現場機関においてあらゆる手を尽くしてそういった行動はしないようにということで常にやっておるというのが実情でございます。  それからもう一つは、やはり問題の早期解消というようなことも私どもはかっておるわけでございますが、しかし政治問題その他になりますとなかなかそれがむずかしい。それから賃金問題なんかにつきましても、今年は各方面の御理解を得まして私鉄並みの有額回答といいますか、そういったようなことをやりまして、その以降につきましてはスト権のないかわりにあります公労委といったような手続を踏んでいったのですが、残念ながらなかなか土俵にのぼってこないというようなこともございまして、いろいろ闘争が行なわれたというような事態があるわけでございます。その点につきましても今後とも私ども労使の関係のいい慣行をつくっていくということにつきまして、これからもなお努力してまいりたいと思います。
  60. 林義郎

    ○林(義)委員 国民のほうから見ますと、国鉄というのは時刻表どおりに動いてもらうのが当然のことであります。それが順法という名のもとに非常におくれるということでは国民としては非常に困るわけです。単に鉄道を走らせて乗ってもらえばよろしいというのではないのであります。国民は十一時三十一分に乗ったならば汽車が着く。そのことを信頼して駅に行く。また信頼していろいろな行動をするわけでありますから、そのとおりに動かしてもらわなければならない。たとえば運転速度が四十五キロという形で走るというのがあります。そのときに、いろいろな安全の問題であるとかなんとかということで二十キロで走るというようなことになれば、もしそれが二十キロで走ることによって目的の土地に着かなければサボタージュか何かだと私は思うのです。そういったことにつきまして日常の業務でありますから、私ははっきりとした業務命令を出してもらったほうがいいと思うのです。国鉄はだれのためにあるのか。これだけの財政を使うということは国民のためにあるわけでありますから、国民の期待に沿うような運営をしていかなければならない、当然のことであります。そういった意味で一体どういうふうなことでダイヤどおりに動くということを確保しているのか。いまのお話ではいろいろな命令を出したり注意をしたとかいろいろおっしゃいますが、必ずしも私ははっきりしていないと思うのです。時間が実はあまりないようでありますから、私はそのお答えと同時に、一つの御提案をしておきたいと思うのですが、ATSであるとかいろいろな技術的な問題が進歩してきております。コンピューターの時代であります。私はコンピューターによっていろいろな運転士の行動を制御するということは当然できるだろうと思うのです。新しい技術を使っていけば、単に口でどうだこうだといって命令してこまかいここのところまで何分で行けということでなくて、コンピューターによってどのくらいサボったかということは全部はっきりわかるのじゃないかと思うのです。いろいろな機械装置ができるだろうと思うのであります。そういったことについて、私は国鉄当局としての御検討をしておいていただきたい。車のほうでもタコグラフというのがあります。こういった形でどのくらい走ったか、みなわかるのであります。そういったことですからその辺はいまやっておられないのじゃないかと思うのです。その辺について、積極的な姿勢をおとりになっていただきたい。この辺につきまして国鉄総裁はどういうふうにお考えになりますか。
  61. 磯崎叡

    磯崎説明員 たとえば今日現在はほとんど全列車がダイヤどおりに走っております。したがいまして、走らせる気持ちになれば走ることができることは、きょういま時点の状況を見ますれば、全国全部ダイヤどおりに走っております。一部事故等があれば別でございますけれども。ですからほんとうにやる気があればきっといまのような状態になるわけでございますので、どうしたら四十数万の職員がそうなるかということについての私は私なりの考え方を持っていなければいけないと思っておりますが、これは過去のいろいろないきさつもございますが、やはりここでもって職員の諸君にわれわれの仕事はこういう仕事だということをもう一ぺんよく認識してもらって、ほんとうに国民の奉仕者であるという気持ちにどうやったらなるか。そのかわり経済的な裏づけはできるだけするという形で、私はこの問題を職員の問題として進めていかなければいけないというふうに思います。  それからお話の機械化の問題でございますが、現在でもかりに無人運転をやろうと思えば、できないことはございませんが、やはり、たくさんのお客さんを乗せて走るのでありますから、ある程度の人間の注意力は要るという意味であります。私はマン・マシン・システム、人間と機械のコンビネーションでなるべく人間の注意力と判断力は減らしていきますけれども、やはり最後にここならここ、この場所にとめるということは人間にやらせたらいいのじゃないかと思いますので、その間マン・マシン・システムをうまく活用いたしまして、できるだけ機械化、近代化いたしますが、やはり人間の良識、人間の良知に負わなければならないところは人間がやるべきであるというふうな形でもっていま実はいわゆるATSのもう一つ進んだATCという運転方式を検討しておりますが、その際にも人間を乗せないということではなくて、やはり乗せて良識ある人間に最終判断はやらせるというふうな考え方でいきたいというふうに思っております。
  62. 林義郎

    ○林(義)委員 私は汽車を全部コンピューターで走らせるというのではありませんが、やはり無人にしなければならぬ問題が出てくるという現実があります。しかもそれによって国民がたいへんに迷惑をしているということも事実であります。したがいましてそういったものに対する対策として平素動かさなくてもいいと思いますけれども、そういったようなときがあったらはっきりとこの運転士はサボタージュをしているとか、そうでないということがわかるようにやっておかなければならないと思うのであります。いま国鉄総裁おっしゃるように、きょう現在きちっと走っております。私もきょう汽車で東京駅に着きました。ぴたりそのとおりに着くのであります。それは確かであります。しかしそれが通常の人間の善意に信頼する問題でないところに私は一番問題があると思うのであります。そういったことを私はやっていただきたい。  運輸大臣に最後にひとつお願いをしたいのでありますけれども新幹線問題、騒音問題あるいは先ほどの順法ストの問題いろいろ問題があると思うのです。国鉄がいままでいわれたところの公共性の問題、広い意味の国鉄の社会的責任の問題があるわけであります。経済学でいいますと、外部不経済の問題をやはり内部化していかなければならない問題がたくさんあるように思うのであります。こういったものにつきまして現在は総合原価主義という形で国鉄かやっておられますけれども、私はその問題につきましても一体これからどういうふうに考えていくのか、総合交通体系の問題と一緒になって私は考えていく問題があるだろうと思うのであります。私は単に不経済のほうばかり申しましたけれども、外部経済の問題だってあるわけであります。国鉄ができ、新幹線ができることによってその地域が非常に富んでいく、また国鉄がつくことによってその地域が非常に潤ってくることもあるわけです。そういったものの外部経済、外部不経済の問題をすべてを含めた対策を立てていかなければならない。この辺につきまして大臣どういうふうにお考えになりますか。これをどういうふうな形で国鉄の中に入れていくか、あるいは全体の交通体系の中でどういうふうにされるのか、この辺についての御所信を承って私の質問を終わりたいと思います。
  63. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 おっしゃる点はごもっともでございまして、いままでの惰性だけで動いておるのでは解決はしないと思います。でございますから、財政再建の道を今度のこの法律案によって講じていただきますと同時に、直ちに財政問題ではございませんけれども、こういった当面のどんどん移り変わっていく世の中に対しまして、運輸省も国鉄もこれに対応するような姿勢が必要だと思います。いまのお話のいろいろな問題もこれに尽きると思いますが、いままでのただ惰性で動いているというのではなしに、新しい将来というものを見ながらひとつ思い切った内部の改革もやり、発想もこれを実現化いたしまして、新しい国鉄を生むようにみんなでこれは努力をしなければならぬ、そういう気持ちで私は対処したいと思っております。
  64. 林義郎

    ○林(義)委員 ありがとうございました。
  65. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 山本弥之助君。
  66. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私は国鉄運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案に関連いたしまして、主として過疎地域の交通政策につきまして質問いたしたいと思います。  まず第一に、運輸大臣にお聞きしたいのでありますが、この法案の趣旨説明におきまして「過密過疎の解消、国土の総合的開発のための中核的交通機関として将来にわたってその使命の遂行が強く期待されるところであります。」という文章がありますが、今回の十カ年計画におきまして、過密対策につきましてはある程度十分配慮をしておるというふうな印象を受けるわけでありますけれども、過疎対策につきましては昨年の十カ年計画との経緯から考えてみましても、運輸省及び国鉄におきましてどの程度までこの問題につきまして今日の足を守るという重要な問題に取り組む姿勢を持っておられるのか、これは私ども過疎地域におります者にとりましては、重要な問題であるわけであります。大臣の過疎の解消ということについて、国鉄がどういう役割りを果たしていくのか。そのお考えをまずお聞きいたしたいと思います。
  67. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 過疎問題の解決につきましては、いろいろな問題が並行して考えられなければならぬことは言うまでもございませんが、その中の非常に大きな問題の一つとして、交通問題があると存じます。過密地帯でも同様でございますけれども、過疎状況を解消しようと思いますと、やはり地域開発のためには交通問題が先頭に立っていかなければならぬことは、申し上げるまでもございません。  国鉄といたしましても、従来この過疎問題を軽視しておったわけではないと思いますけれども、何しろ財政状態が非常に悪いものでございますから、昨年提案をいたしました国鉄再建法におきましては、多少——今日こういうことばを使っていかがかと思いますが、多少乱暴な提案があったのではないかと思います。運輸大臣が認定をいたしまして、三千四百キロというようなものを一応想定して、そういう閑散線の整理を五年ぐらいでやろう、こういうことを提案をいたしました。しかし、これは運輸委員会でも再々御説明を申し上げたのですけれども運輸大臣がそういうことを認定いたしまして、地域の状況もあまり考慮に入れないで、こういったことを押しつけてやるようなかっこうは非常にまずい、こういったことについて委員の方々からも、昨年は非常に御注意があったと聞いております。  でございますから、今後の提案におきましては、方針は変わりありませんけれども、この点は具体的に変えたのでございます。やはりいまお話しになりましたように、国鉄は一方では全国の交通ネットワークの中心機関でございます。それから、他の交通機関ではやれないような、非常に赤字を出しますけれども、どうしても地方の最後の足は守っていかなければならぬという場合には、採算の問題を度外視いたしましても、国鉄が足を守ることだけはやっていかなければならぬという観点から、地方閑散線の整理の問題につきましては、いま申し上げたような方針を多少変えました。しかし、むしろバス輸送にしたほうが、住民の利益のためにも適当であるというようなところもないことはございません。そういったところは、住民の方々とよく御相談をして、バス輸送に変えることも考えております。しかし、距離が相当長いところでございますとか、あるいはそんなに列車回数もたくさんなくてもいいのだというところにつきましては、やはり国鉄が存続したほうが地域のためにはよいというところもあると思いますので、これは具体的にきめるのでございますけれども、非常に綿密に調べました上で、地方住民の足を守るためには、そういう閑散線もやはり維持しなければならぬという前提に立ちまして、そういったものについての赤字が出るでしょうから、それは個々の閑散線については具体的に補助等のことは考えておりませんが、全体といたしまして国鉄のそういったことによって生じる赤字については、昨年と比べまして相当思い切って政府も助成するというような方針をとったのでございます。そういうことで、今後も続けていかなければならぬと思っております。
  68. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 過疎対策という国鉄の使命を十分積極的に御認識の上、この文章が出てきた。昨年の文章、私、詳しく見ませんでしたので、昨年も同じような文章になっておったかどうかわかりませんけれども、ただいまのお話を聞きますと、わざわざここに文章を入れたということの積極的な意義があったのじゃないかと思うのですけれども、昨年の閑散線の、一応三千四百キロですか、整理なさる。それは過疎地帯の府県、市町村負担においてこの問題を解決をつける。いわば国鉄は逃げ腰の体制であったわけであります。今回はむしろ積極的に、過疎の問題については国鉄がより以上に、従来よりも重要な使命を果たされて、過去に先行的に国鉄が過疎地帯の輸送について重要な役割りを果たしてこられたことに思いをいたされまして、さらに積極的に何らかの措置考えられるというふうに、私どもは了解したいのでありますけれども、ただいまの大臣の弁解ですと、いわば過疎地帯がなくならない限りは過疎は解消しないというような考え方に立って国鉄を運営していくということは、多少消極的に後退したということによって過疎地帯の対策が打ち出されるというようなことしか考えられぬのです。過密のほうは、大都市を結びつけるという新幹線整備、それに関連して大きな見出しで大部市圏の輸送整備ということも、特にこれは今回の十兆五千億の中には増額になってあらわれておるわけであります。しかし過疎対策としては、むしろ従来の姿勢が多少後退したということによって過疎問題を解決つけるのだという。しかも方針は変わらない。これは大臣が言われておりますように、今回の決定された要綱によりますと、地方の道路の事情だとか地域実情だとか、代替交通機関の状況等を考慮して地元の同意を得てということになっております。しかし運輸省並びに国鉄考え方は、積極的に行なうということは、閑散線をできればなくしていきたいというふうに私どもは受け取るわけでありますが、もう少し積極的な意味はないわけでございますか。あるいは財源の関係でこの問題は前進しないわけでありますが、運賃でも上げてもらえばもっと過疎の問題は積極的にやりますぞというような心がまえでもおありになるのかどうなのか。重ねてお聞かせ願いたいと思います。
  69. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 地方閑散線の問題について御答弁を申し上げましたが、これを消極的とおとりになりますか、積極的とおとりになりますか、それは受け取り方でございまして、私どもは過疎地帯の解消のために、地域開発のためには、さっき申し上げましたように、やはり交通路線が確保されないと地方開発に結びつかないということで、これは多少積極的な意味を持ちまして方針を変えたと思っております。これはしかしお尋ねになかったかと思いましたのでお答えいたしませんでしたが、同じような問題で、御承知の鉄建公団にやらしておりますAB線の問題がございます。これはいろいろ御批判があると思いますけれども、やはりいまお話しになったような点を考慮に入れまして、昨年は二百億でございましたが、今度は三百三十億に予算のほうもふやしました。なぜかと申しますと、いままでのようなやり方でやっておりますと、なかなか経済効果があがってこないわけです。毎年毎年、ほんとうにわずかな予算をつけまして十年も十五年もかかるということでは、過疎地帯の解消に役立とうと思いましても、非常に効果が薄い。もう少し思い切って重点的にAB線の整備をいたしまして経済効果をあげようというようなことから、今度はこの運用の方針も変える、多少前進さして変えていくつもりでおるわけでございます。そういった点をお考えになりますと、国鉄が非常に赤字で苦しんでおりますから、過疎地帯に新しい路線をどんどん引っぱっていくことは、実際問題としてはこれはなかなか困難なことでございますけれども、その中でやはり政府が大いに助成をいたしまして、適当だと思うような路線に対しましては積極的に建設を進めようという意図がこれによってもあらわれておることを御了承いただきたいと思います。
  70. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 多少前進的な御答弁をいただいたわけでありますが、そういたしますと、閑散線の転換については積極的にというふうに要綱にはございますけれども、これは前回との行きがかりもあるのでこういう文章になったので、運輸大臣のお考えといたしましては、今後閑散線の運行については、国鉄が責任を持ってその閑散線がほんとうに地域住民のために実際の効果を発揮できるように他の政策と相まって育成をはかり、閑散線がほんとうに地域に役立つ交通体系の中で効果を発揮できるということにむしろ積極的に運輸省は考えていくんだというふうに了解してよろしゅうございますか。
  71. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 正直に申しまして、ことばの使い方は非常にむずかしいと思います。しかし、先ほど御説明を申し上げましたような限度におきましてこれは積極的に考えているというふうにおとりくださってけっこうでございます。決してなおざりにしているわけではございませんで、現在の閑散線に対しましても、新しくつくりますAB線に対しましても、これはもちろん限度がございます。何をおいてもというわけにはまいりませんけれども、いま申し上げたような限度においては、運輸省も国鉄もこれに対しまして積極的な姿勢を持って対応していきたいということは事実でございますから、そのように御了解いただきたいと思います。
  72. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 磯崎総裁はさらに国鉄を背負っていかれる重責におつきになったと思うのでありますが、かつては盛岡にも若いときに勤務されたようであります。私どもは非常に理解のある総裁だというふうに考えておったわけでありますが、今回、いま運輸大臣答弁をいただきまして、私ども過疎地域住民の福祉について非常に関心を持ち、これを何とかしなければならないと考えております者にとりまして、国鉄にさらに考えを、大臣と同じように過疎線の問題、あるいは閑散線の問題について積極的な姿勢でこの線が生きるというようなことについての御決意を承りたいと思います。
  73. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま大臣もおっしゃいましたが、私どももいわゆる過疎地域の交通の中で、やはり鉄道でなければならない部分とそうでなくていい部分とがあることは明らかだと思います。したがって、現在の私どもの持っております閑散線区の中で、ほんとうにもう鉄道としての役に立たなくなったものも率直に申しましてあると思います。これはやはりやめていくべきだと思いますが、そうでなくて、例を出せば非常に恐縮でございますが、たとえば四国を循環する鉄道だとか、あるいは三陸海岸を縦断する鉄道だとか、これは過疎地帯であっても日本の大きな交通の動脈をなすものであるというふうに私は考えます。したがって、これらの整備をいままでのように総花式にたくさんの線を一度にやるということでなしになるべく重点的に早くつくり上げる、そうして早く過疎地域の役に立たせるというふうにしていただきたいということをかねがねお願いしておりましたけれども、今度はそういう方向になるということを伺っております。あまり方々で盲腸線のようなものがたくさんできることはきわめて望ましくございませんが、将来とも日本の過疎地域をしょって立つような鉄道については一日も早くでき上がる、そしてそれを運営していくということが一番問題の解決じゃないかというふうに考えております。
  74. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ただいま運輸大臣に引き続きまして総裁からもお考えを聞いたわけでありますが、そういたしますと、閑散線におきましてやはり国鉄方針といたしまして無人駅だとかあるいは貨物駅をなくすとか、こういったことが積極的に進められておるわけですね。私はこういう問題を今後の過疎対策からいいましても、もうすべて国のおやりになっていることは過密過疎ということを言っておられるのですけれども、過密についてはいろいろ御配慮をなさっておられる、しかし過疎の問題につきましては、これはいろいろ過疎対策の特別法も私ども地方行政委員会におきまして、数年前でしたか、議員立法でつくったのでありますけれども、しかし、政府のおやりになることは登記所の廃止あるいは国有林野の合理化の問題等、過疎の対策とはうらはらな政策が進められておる。閑散線の問題もやはり他の政策、これら国有林の活用あるいは環境保全に関連しての快適な地域整備、それから大資本に吸収されないような観光地の整備とか、そういったことをやっていかなければならない。ことに、あまり進んでおりませんけれども、集落の再編成にいたしましても、できるだけ地域住民が快適な環境のもとに交通機関を利用して他の地域との交通に支障のない態勢をとっていくというようなことから言いましても、私は思い切っていま国があらゆる角度から対策を講じなければならぬと思うのであります。そのためには、この閑散線の経費は私はたいしたことはないと思うのですが、無人駅をつくったり、あるいは貨物の集約をやるということは、過疎地域を全国的に十分それぞれの地域を今後均衡のある住みよい地域にするためにも、それらの経費は合理化からいってもまことに微々たるものじゃないか、むしろ貨物駅も充実をする、無人駅もそこのところが十分利用されるようなその地域の発展にあらゆる施策を集中されてこそ初めて過疎問題は解決する、こう思うのであります。これはどのくらいの経費なのか。そういうわずかな過疎地域の無人駅をふやし、あるいは貨物の集約をするということによって経費が節減するのかお聞かせ願うと同時に、これは私が運輸大臣にもお聞きしたのはそうなんですが、前向きに、むしろ過疎をほんとうに政策によって解消するというたてまえをとる以上は、国鉄が赤字だからといっても、これは出資をふやせばいいのです。わずか一兆五千億の出資をいまごろ自民党はじまんたらしく言っておられますけれども、もっと早くからどんどん出資をふやされることによって鉄道が国の根幹的な交通機関としての使命を果たしてきて、国鉄総裁がそんなに苦しまなくても済んだのじゃないかと思うのですけれども、そういう意味において、将来にわたりまして、私はそういった小手先の合理化では過疎問題は解決つかない、過疎線も生かすことができない、かように思いますが、総裁、どういうふうにお考えになりますか。
  75. 磯崎叡

    磯崎説明員 出資の問題でございますが、これはたとえば鉄道を建設する場合、いわゆる過疎線の建設はもう全部政府資金でやっておりますので、私のほうは数年前から利子と償却費は払わないということで、それだけは非常に経費上の軽減になっておるわけでございます。  それから、それでももちろん赤字でございます。したがいまして、私どもといたしましては、過疎地域なり輸送量が少ない地域はもっと手軽な鉄道というものを考えなければいけないというふうに考えます。東海道線でも過疎地域でも同じ鉄道輸送というものはあり得ないので、輸送量が違いますればやはり手軽な輸送になってくる。バス輸送と似たような鉄道、もっともっと駅もふやす、そのかわり人もいないという簡単な、簡易な交通機関が過疎地域に必要ではないかというふうに私は考えます。そういう意味で私は過疎地域の経営を合理化するにあたりましては、駅をつくるところにはつくりなさい、しかし、どの駅にも人がいるということはとても重たくてだめだ、何か交通機関としての性格を少し変えて考えるべきだというふうに考えますし、また貨物を一々やりますと、分岐駅でもって非常に時間がかかる、実にそのために三日ぐらいかかってしまう、これでは最近の農産品でも水産品でもかえって速達というあれからおくれるという意味で、もっと早い輸送のできる地域に大きな集約駅をつくるというかっこうでもって、やはり過疎地域の鉄道は過疎地域なりの運営をする。これはもっと手軽な、ちょうどバスと同じような感じでもって運営してもらう。それで、貨物はああいう重ったらしい貨物列車はやらないで、コンテナあるいはジャンクションまで持っていくというすっきりした形の過疎地域の鉄道輸送をすべきだ、私は将来の問題としてはそういうふうに考えております。
  76. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 総裁のおっしゃることはわからないわけではないわけなんです。ただ、過疎地域を今後育成していくという政府方針からいえば、お話しのようにそういった集約的な交通体系に乗れない地域、それらの物資の問題は、それでなくても、全国でも所得平均の低い地域住民がみずからの負担におきまして集約駅に貨物を運ばなければならない、こういう問題が出てくるわけですね。そういうものの生活を向上させ、それがさらにある程度までいろいろ近代的な施設を利用することによって経営の成り立つような体制になった暁には、当然それらの問題も問題になると思うのです。それをいきなりそういう地域に及ぼすことに問題があると私は思うのですよ。これはさらに無人駅なり貨物の集約化がどんどん進んでいくと思うのであります。その過程におきまして十分御検討願いたいと思います。この問題を話しておりますと、時間もたつと思いますのでこの程度にとどめておきますが、私どもその点は強く要望しておきたいと思います。  次に私どものいわゆる過疎地域、これはかつては複線電化をおくればせながら私どもは運動し、複線電化ができ上がり、さらにおくれまして東北新幹線、その他新潟に参る上越新幹線ですか、成田はちょっと問題があるにしても成田新幹線というふうに、東海道線から地方に重点を置いて新幹線が進められておるということは私ども賛成をいたしておるわけであります。  ただ問題は、私二つあると思いますが、一つは、すでに質問があったと思いますが、東海道新幹線のときには利用公債は地元の府県を中心にいたしまして負担をしていない。かつて乏しい財政で私どもは民衆駅の問題について利用公債を引き受けたこともあります。しかし、これはその地域に限られた問題であります。駅の改築の順番等もありましょうけれども、今日国の十年計画といたしまして、新幹線を中心に国鉄整備をはかっていこうということが一つ方針になっているわけですね。その中でおくればせながら東北新幹線というものが着工になった。そういうときに、全国平均からいたしましてもむしろ財政支出でも低い東北地方に利用公債を持たせるということは、私どもどうも納得がいかない。前回におきましても、この点は自治省はおそらく反対だろうと思いますし、現実にまた持っていないと思うのでありますが、いわば希望していないということだろうと思うのです。この希望していないということに対して、さらに利用公債をあらゆる方法で——これは地元が誘致運動をやっている関係からいいますと、何かおくれるんではないか、期待しておる五十年度なら五十年度に完成しないのではないかという不安がある。そういういわば受け身のところに、積極的に新幹線を中心に今後十カ年計画を推進していくということであれば、当然そういう財政支出の低い地方公共団体を中心に、利用公債にいつまでもこだわっておるということはおかしいと思うのであります。これは改められてはどうかと思うのでありますが、これは自治省の政務次官と運輸省、国鉄から御答弁願いたいと思います。  もう一つは、東海道新幹線はいろいろ私鉄の関係もあり、それから新幹線整備に関連いたしまして、大都市圏の輸送通勤通学をはじめといたしまして、これらの問題があわせて整備される体制にあると思うのですが、たとえば東北新幹線完成をした場合に、そういった地元通勤通学列車、これらの問題をどういうふうにお考えになっておるか。これらの問題は相当ダイヤの変更によりまして、これは方針でありますところの、そういった在来線は貨物の輸送ということに重点を置いて改良し、それらのほうに充当するというふうに御説明になっておると思うのでありますけれども、こういった大都市をかかえております東海道線、山陽線より多少趣が違うと私は思うのであります。それらの地域新幹線を利用できないところの旅客輸送についてどうお考えになっておるか。  しかも今回、十年間に料金は四回も値上がりするようでありますけれども新幹線はそれらを基準にいたしまして、国鉄総裁は運輸大臣の承認を受けて、国会審議とは離れて決定になると思うのでありますが、新幹線完成した暁には従来の料金のおそらく倍になるだろうと思うのです。その倍になったのがさらにどんどん運賃の値上がりという問題につながっていくわけであります。  しかも、在来線の活用ということが新幹線を中心にダイヤを組まれるということになりますと、その沿線の住民負担の増、あるいはそれに関連する地方新幹線との関連も、負担は増高するが、いわば東京との距離は非常に短くなるが、利用しようと思う列車が非常に不便になる。盛岡からちょっと国鉄を利用いたしまして雫石へ行くとか、あるいは一ノ関との間の中間の駅に行くとかいうような場合には非常に不便になるのじゃないかと思うのであります。料金のからみと関連いたしまして、東海道線の大部市圏以外のこういった地域の旅客輸送についてどういうふうにお考えになっておりますか、国鉄総裁からお聞かせ願いたいと思います。
  77. 秋富公正

    秋富政府委員 最初に利用債の問題につきましてお答え申し上げます。  この問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、新幹線鉄道整備法の第十三条におきましても、地方におきます開発利益あるいは利便の増進、こういった意味におきまして財政上の問題、資金上の問題土地の問題、こういった問題について地方協力につとめる、こういった規定がございまして、私たちといたしましては、新幹線鉄道予定どおりすみやかに完成したいと思っておるわけでございます。これにつきましては、先ほども申しましたように大幅な国の出資、あるいは財政資金も投入いたしておりますが、それ以外に自己調達資金、これが今後のいろいろな金融情勢によりまして、たとえば関連会社、あるいは国鉄の共済組合、あるいはいろいろな金融機関、こういったところからも自己調達資金を調達いたしておりますが、地域開発という意味におきまして地方の方々にも利用債を持っていただきまして、工事をいたすための資金の確保につとめたい、こういいう意味におきまして今後もぜひ地元の御協力をいただきたい、かように考えております。  それから新幹線ができることによりまして他の地域輸送はどうなるかという問題につきまして、私たちといたしましては、新幹線を五十七年までに七千キロ工事いたしまして、六十年までには完成する予定でございますが、これとともに複線電化につきましても今後強力にいたしまして、五十七年度までに電化につきましては約一万キロ、すなわち全国鉄の約半分でございます。それから複線にいたしましても七千キロ、すなわち全国国鉄の三分の一を複線化いたします。こういうことによりまして、新幹線と他の在来線のネットワークを緊密にいたしまして、国土全体の開発につとめる、かような計画をいたしておるものでございます。
  78. 武藤嘉文

    武藤政府委員 利用債の問題についてお答えをさせていただきます。  先ほどもお答えをいたしたのでございますけれども、私ども利用債——いまお話ごさいましたように、新幹線においても資金援助その他についても協力しろという法律があるではないかというお話でございますけれども、また一面からいたしますと、地方財政法第二条におきましてやはり国が少なくとも地方団体に非常な財政的な負担を与えてはいけない、こういうことがはっきりうたってあるわけでございまして、この点を受けて、この間も地方行政委員会において附帯決議がなされ、私どもそれを尊重するというお約束をいたしたわけでございます。そのたてまえからいたしまして、利用債についての考え方といたしましては、たとえば駅前の広場をきれいにするとか、あるいは駅舎を改築するとか、あるいは立体交差にするとか直接その地域住民にプラスになるような問題ならば、これは私どもできる限り地方自治体の財政状況と見合いながら引き受けていただく、あるいは地方自治体があっせんをしてその地方金融機関引き受けていただく、こういうような形は積極的にお手伝いをしなければならないと思いますけれども、少なくとも地方財政を圧迫するようなことはできないわけでございますし、いわんや新幹線の問題になりますと必ずしもその地域に直接の利益という形よりは、新幹線の場合はやはり国家的な見地からおやりになるわけでございますので、そういう問題にまで地方自治体に負担をさせる、あるいはあっせんをさせるということは好ましくないというのが私ども考え方でございます。
  79. 磯崎叡

    磯崎説明員 新幹線利用債問題につきましてはいま運輸省、自治省の中でいろいろ話をしていただいているところでございますので、私どもとしてもできるだけ地方のほうにも筋の通る限りで応援していただきたいという気持ちは変わりございません。  それから新幹線ができた暁の在来線の使い方でございますが、これは東海道でごらんくださるとおわかりになりますように、主として地方ローカル輸送に使います。たとえば通勤輸送あるいはその他のデータイムの輸送ということに使いまして、たとえば東海道線では新幹線ができたために、朝七時半から九時半までは通勤列車以外に一切入らない。これが五分間隔に入るようになりましたのは、これはまさに新幹線ができまして、そちらに急行、特急を全部持っていったからあれができたわけでございますが、盛岡なら盛岡、仙台なら仙台につきましても、それぞれローカルの通勤がございまして、いまでも若干朝の通勤時間帯に急行が入っていると思いますが、将来それらが要らなくなりますので、やはり極力在来線はローカル輸送を中心としたものあるいは快速輸送というものに直していきたいと思います。それから貨物は時間帯が違います。大体深夜でございまして、貨物とは競合いたしませんので、新幹線ができることによりましてローカル輸送も相当よくなるというふうに考えていただいて大体けっこうだと思います。
  80. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 まことにけっこうなようなお話を承っておるわけでありますが、急に新幹線になることによりまして運賃も倍になるわけでありますから、それらの点、いま総裁の言われたこと、現実通勤通学あるいはローカル線としての活用の問題を十分念頭に置いて、合理化とかなんとかというようなことで地域住民がますます困らないような配慮を十分お願いいたしたいと思います。  なお利用公債の問題は、自治省のほうははっきり御答弁があったわけでありますが、東海道線で利用公債を持たさなかったのを東北本線の新幹線には持ってもらいたいというようなことは、今日の地方自治体の財政状態考えない状況だと私は思うのであります。  一面、おそらく公害の委員会からも問題があると思いますし、また従来すでに質問があったと思いますが、東北新幹線の沿線の市長がそのためにわざわざ会をつくりまして、共同して国鉄に強く要望しておりますのは騒音対策なんですね。これも国鉄の今日の技術、また安全だとか公害だとかあるいはその他についての予算を組んでおるということからいいますと、地元住民を代表しての市長の要望である少なくとも騒音は七十ホン以下にしてほしいというようなことは技術的に解決をして、おくればせにできる新幹線に対して地元要望に十分こたえていただく、これをぜひお願いいたしたい。東海道よりもむしろ人口の希薄なところだから、多少騒音などは問題でなくて協力したらよかろうということでは——私は今日の国鉄の技術からすれば、解決をして地元の期待にこたえるという体制をとってほしいというふうに考えますので、これは強く要望しておきます。  時間がございませんので……。新幹線あるいは過疎閑散線と関連いたしまして、今日東北地方におきまして重要な問題になっておりますのは過疎バスの問題です。これはいろいろいままで運輸省といたしましても前進はしてきております。確かに補助金にいたしましても前進はいたしておると思います。しかし、民間の——公営企業の場合は別でありますが、これは別に私ども党といたしましてもこの点の国の対処方について強く要望しておるわけであります。いま前進をいたしております四十八年度の予算措置からいいましても、おそらく民間バス会社は積極的に路線の廃止に踏み切っていくのではないか。補助金をもらっても、それは十分赤字を解消するものではない、しかもましてや利潤につながらない問題であるわけであります。これはどんどん廃止路線が出てくるのではないか。これをどういう体制をとるか。あるいは会社の統合によって、統合した会社に対して助成をさらに強めていくというようなこともありましょうけれども、これは根本的にどういう対策を講じていけばいいか、路線を間引くということは先ほどの閑散線以上にバス路線は重要な問題だろうと思うのであります。そこで私はある程度まで公的一元化というような体制を進めなければいけない。私の出身県の岩手県等におきましても、県が中心になって進めておりますけれども、これは模索時代ですね。いずれ結論が出るのじゃないかと思いますけれども、しかしこれは積極的にお考えになりませんと、民間バス会社ではどんどん路線を廃止をしていくような状態が急激にふえていくのじゃないか。そういう状態にならない以前に対策を講ずるべきである。ことに所得の低いところがそういうことで無理に自家用車を持って、農家の負担あるいは地域住民負担で、しかも自動車公害というようなことも出てくるということが大都市から地方に及ぶ、交通事故も地方がふえていって危険状態にあることは十分御承知だろうと思いますが、安全対策と同時にそういった過疎バスの機構をさらにどうするかということを積極的にやるべきじゃないかと思うのであります。その点を簡単にお聞かせ願いまして私のほうの吉田氏に関連質問を願うことにしております。時間をそのほうにさいていただきますので、御答弁願いたいと思います。
  81. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 過疎地のバスの問題につきましては、御承知のように昭和四十七年度から多少予算をとりまして、これは自治省とも相談をいたしますけれども、国も補助をし、地方の公共団体も補助をいたしまして、市町村が経営いたしますような場合には車両購入費のある部分を補助するとかあるいは路線の維持費を補助するとかいうような制度を始めたわけでありますが、非常に各地からそれについての要望がふえておりますので、四十八年度予算におきましては大体二七〇%くらいの増加をさせまして、いまのところは、これによりまして、当面出てきております地方のそういう過疎地におけるバス運行にまあまあ差しつかえない程度の運営をしてもらっておるわけでございますが、将来の問題につきましては、これはもう少し掘り下げて検討する必要があるのじゃないかと私も考えております。ことにそういった補助をしていったりしましても、どうしても経営が困難なところが出てくると思いますが、これはその地方の問題でございますから、府県とかそういう地方団体との関係も生じてまいります。そういったところはさらに相談をいたしまして、特別に必要なものにつきましてはさらに援助のしかたをもう少し強化していかないといけないのじゃないかとも考えておりまして、これは新年度における一つの課題として考えておる次第でございます。
  82. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 関連質問を許します。吉田法晴君。
  83. 吉田法晴

    ○吉田委員 時間がございませんから、答弁は簡潔、要領よくお願いをいたしたいと思います。運輸大臣国鉄総裁にお伺いをいたします。  私は、国鉄公共性維持のためには国費をいまよりも思い切って出して、国鉄の持っております矛盾——人の運賃は黒字で、赤字が出ておるのは大量輸送の大企業のつくります製品の運賃が安いからだと聞いております。その矛盾を労働者と地域住民にしわ寄せする、いわゆる合理化政策というものはやめられるべきだ、少なくとも再検討さるべきだと思いますが、具体的な例をあげてお尋ねをいたします。  最近門司鉄道管理局からもらいました駅業務の変更についてという文書を見ますと、門司港それから苅田駅、行橋駅について貨物扱いをやめることが提案されております。門司港がどういう経済的な、あるいは地理的な位置にあるかということを私は申し上げません。これからの日中貿易あるいは産炭地の振興の点からいっても、港と九州縦貫道路とは結びつけられなければならぬと思うのであります。また運輸省からいいましても、門司港の運輸省における取り扱い、あるいは苅田港の重要港湾等の指定等の面からいって、そこの駅で貨物を取り扱わなくなるということは、国鉄がいわば港湾行政との関係を全くなくすことだと思うのでありますが、これらの点について運輸省の見解を承りたい。  それから苅田、行橋については、ごく最近日豊線の複線化電化ということで、さっきから問題になっております公債を地元負担させながら、五年を出ずしてそこの貨物取り扱いはやめるというのは何としても納得のいかない問題でございます。  公共性の維持のためには国費をもっと出すべきだと言いましたが、北九州と福岡との間の交通、運輸の問題については、これは独自に道路のための公社をつくったりしておりますが、北九州でも政令指定都市になって、東戸畑駅、あるいはいまは西小倉駅の新設あるいは復活が進められておりますが、これらの費用を全部地元負担させようとしております。東京や大阪について環状線の中の駅を地元負担してつくったということは私は聞きません。この北九州と福岡の交通を緩和するためには、国鉄の側からしても複々線にし、そして駅をふやす等のことはされなければならぬと思うのでありますが、こういう点についてどういうぐあいに考えられますか。  時間がないから一ぺんにお尋ねいたしますが、産炭地振興は法律もできましたけれども国鉄の側からは、先ほど山本さんからも指摘がございましたけれども閑散線ということでこれをやめようとしたり、それから著しく列車の発車数が削減をされまして、ほとんど全面にわたって廃止しようといたしました動きを、昨年、一昨年と、地元町村あるいは地元住民、あるいは関係者の強い陳情によって、ある程度留保することができましたけれども、先ほど申し上げましたような日豊線の駅業務省略という国鉄合理化の中で、さらに無人化や荷物の取り扱い省略やらが進められようとしております。この駅業務の取り扱いの点についての筑豊地帯の各線路の省略具体案を見ますと、その点が特に感ぜられるところでありますが、むしろ、いままで北九州の大企業、製鉄や化学産業に従属をしておりました中小企業が技術協同化をして、九州にも高い技術の産業をつくろう、あるいは新設しようとしておる中で、港と産炭地を結ぶ交通の問題があらためて話題にのぼってきたりしております。造船や自動車産業等も九州の将来的な中心的な産業だと考えられて、その進出も話題にのぼったりしております。それと産炭地を結びつける方策等についても、いま少なくとも工業再配置・産炭地振興事業団等では考えられておるけれども国鉄の側では全然考えられておらぬ。これは私は産炭地振興事業団法というのが法律である以上、運輸省として無関心であってはならないと思うのであります。これについては、先ほど申し上げました産炭地の線路の業務の省略化でなしに、具体的に産炭地を結ぶあるいは全体的な九州一体化の中での産炭地振興を進める中での国鉄の役割りというものを考えなければならぬ段階だと思います。これについて運輸大臣国鉄総裁、どういうぐあいに考えられるか承りたいと思います。
  84. 磯崎叡

    磯崎説明員 実はその問題きのうよく伺っておりませんでしたので、詳しい話は担当のほうからでお許し願いたいと思いますが、北九州の石炭の斜陽化に伴うその後の問題、いま先生の御指摘の産炭地振興の問題と私のほうの輸送の問題でございますが、私のほうもいろいろ九州につきましても、あるいは先ほどのお話のローカル線の廃止の問題等の中に入っておるものもございますが、これらも考え直しておることは先生も御承知のとおりでございます。ただ現在やっております駅の仕事のやり方等につきましては、私先ほど御答弁申しましたとおり、もっと簡素なものにしたい、そして旅客輸送は、ちょうどバスのようなかっこうで鉄道を利用してもらいたいというふうな考え方から、そこに御提案したような門司鉄道局の考え方が出ているわけでございます。  それから港と産炭地の直結の問題これは現に私のほうも、いま御指摘の苅田、戸畑、若松、全部ほとんど、ことに戸畑、若松につきましてはペンペングサがはえてしまいまして、実にその後始末に困っておることは御承知のとおりでございます。今後産炭地と港の間にどういうふうな輸送、物の流れが起きるか。いま先生おっしゃった下請業者が新しい技術開発なり何なりをして、そういうものが今後起こり得る可能性があるかどうかにつきましてはこれからの問題ではないかというぐあいに考えます。もしそういうものが大量輸送を必要であるような場合には、若松でも戸畑でも活用いたしたいと私は思っております。実はいままでのところそういう見込みがないということで、その二港並びに苅田港につきましては若干の石炭が残っておりますが、この問題も今後の問題として、この苅田港自身の問題も考えていかなければいかぬだろう、門司港につきましても、相当門司港の性格も変わってきておりますし、そういう意味で現地でもって具体案を立てたんだというぐあいに考えます。  もしお許しを得ますれば、担当の理事から御説明さしたいと思います。
  85. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 駅の体制の問題につきましてはいま総裁から申し上げたとおりでございますけれども、具体的に申し上げますと、たとえば門司港につきましては様子が非常に変わりまして、荷物の発送トン数もずっと落ちているわけでございます。したがいまして、私の手元の資料によりますと、一日当たり五十トンというように非常に少なくなっておるわけでございますが、しかし、これは利用されておるわけでございまして、個々の荷物の動きに応じてどのような変更をするかということを中心に地元の荷主さんに話をする。それから苅田港につきましては、一日に四百九十五トンと手元の資料になっておりますけれども、これは専用側線扱いがございますが、その側線扱いをそのまま残すということで、実際に利用されている方をどのように扱っていくか。あるいは行橋につきましては一日七十五トン、これにつきましても先ほど申し上げたとおりのことでございまして、個々の荷物の動きにつきまして御相談申し上げ、それからまた地元市町村と御相談して、できるだけ御不便のないようなやりくりをするという形で、先ほど総裁が申し上げたようなことで進めさせていただきたい、こういうつもりでおります。  それから筑豊地区の列車のダイヤ、四十七年三月十五日、これは非常に減りましたということでございますが、これもいま手元に資料がございませんけれども、お客さんの需要によってかなり落としたわけでございますけれども、これもこちらの考えと違いまして御不便がございましたので、地元と御相談してかなりの数復活さしていただきまして、いまやっておるわけでございます。
  86. 吉田法晴

    ○吉田委員 時間かございませんので、答弁は不満でございますし、質問を継続したいのですけれども、政策的に政府としては産炭地振興あるいは九州の発展のために統一的な施策を講ぜられることを要望し、いまの合理化政策に対する批判を申し上げることで終わりたいと思います。
  87. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 山田耻目君。
  88. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 大蔵大臣、お時間がないようなので順序として先にお尋ねするわけですが、そのあと運輸大臣なりあるいは労働企画、お願いいたしたいと思います。  大臣国鉄の財政が非常に窮迫をしておりますことば御存じのとおりです。こうした状態が起こり始めたのは今日急なことではございませんで、国鉄の会計監査報告書、あるいは国鉄に対して昭和三十二年以来再建計画を、国としてその措置を行なうようなことなどしてきたわけでありますが、今日ここまで国鉄状態が悪化してまいりまして、何となく従来のような小手先で、あるいはマンネリ化した再建方策というものであるならば救済できない。昭和三十二年の第一次五カ年計画から昭和四十六年まで四回にわたって再建計画を出したわけですが、どれもこれもみんな途中でくずれてしまった。今回財政整備十カ年計画を出してきておるわけですけれども、出し方の金額、発想については若干の差異は見られます、特に利子補給等についてはその意味で私は若干の前進を認めます、あるいは出資金についても認めるわけでありますけれども、こうしたものではとうてい追っついていかない、そういう基礎的条件国鉄は備えている。こういう立場から大蔵大臣においでいただいたわけでありますが、端的に言いまして、国鉄の経営というのは独立採算制でございますね。いわゆる国鉄の収入によって原則的には経営を維持している。その財源の中心は運賃である。昭和二十三年に制定されました運賃法を見ましても、運賃は「原価を償うものである」、これが運賃法の第一条の第二項ですね。一体この運賃で原価を償うものとして客貨の運賃にどう振り分けるか、これが技術的にむずかしい、共通性があるのだということを国鉄総裁も過去に何回か答弁され  ている。  私は話題をちょっと変えてみますけれども、この間、大蔵大臣と伊東光晴教授とのテレビ対談を私は見ておりまして、まあ最近の経済の構造というのは大きく変わってきたし、この状態の中で物価上昇というのは避けがたい必然性を持つ、その一つの促進剤としてイコールフッティングの問題が取り上げられております。私は、国鉄というのが資本主義社会における平等な競争原理の上に立って、運賃法の第一条第二項の公正であるべきもの、このことと相関的にあわせて考えてみるならば、国鉄は線路を敷く土地もてまえが買わなくちゃならぬ、線路も自分が敷かなくちゃならぬ、管理も自分がしなくちゃならぬ。それに引き比べて競争の相手である道路は、バスは、トラックは、この五カ年で十九兆五千億もかけて国がつくっている。飛行機のほうは、これまた国や地方自治体が金を出して飛行場をつくってある。そうしてそこに払う航空料金というものは——最近着陸料がふえてきました。昭和四十四年で着陸料は三十億です。飛行場の管理費が三十一億。この着陸料は飛行場の管理費にも相当いたしません。だからもちろん航空料金というのは、こうした飛行場の造成費、土地、こういうものとは無関係です。港の船だってそうでございましょう。港湾はみんな国がめんどうを見てやる。ひとり平等な競争原理に立つべき国鉄がてまえで土地を買い、てまえで線路を敷きなさい、こういう一つの競争原理の状態というものでは、少なくともこのような高度な経済発展を遂げてきたわが国の社会では適合できない、こういう一つの気持ちを私は持つわけです。  大蔵大臣、時間がございませんので私の意見を先に述べますけれども、いまの国鉄の運賃法の中で、原価を償うもの、第二項にあると冒頭申しましたが、そのうちで土地とか線路とか建物とか、いわゆる固定資産に属するもの、こうしたものは、競争原理を求めるその立場が片一方と、そうして片一方では原価を償うことができないから総合原価主義というものをとるわけです。客貨に振り分けることができないから、総合原価主義をとる。そこに今日の幾つかの混迷が発生をしてきておる。だから、この際、思い切って国鉄にもいま申し上げた土地とか建物、線路とかいうもの、下部構造とかりに私は名づけます。この下部構造の資本に対しては国が全額出資をする。上部構造である列車とか自動車とかそこに積んで走るお客さんとか荷物とか、こういうものを独立採算制で見る、こういたしますと、最近とみに、いろいろな要件はございますけれども、客貨の輸送量のシェアが減ってきております。こういうものに対置して国鉄経営というものがこれからどういう安定度を示していくかという大事なかぎがそこにあるように思うわけです。この国鉄の固定資産部分に相当するいまの下部構造に対して国は資本金を一兆五千億程度ふやしたい、昭和四十八年には千五百億程度になりましたけれども、しかし、新幹線の増設については国が金を貸してやりましょう。ただ成田は若干違うようです。公団に移っておるようであります。そうした建設費を含めて十兆五千億をこの再建十カ年計画の中には国は貸してやろう。これはしょせん国鉄が将来背負っていく宿命の負債です。これをかかえたまま財政再建十カ年計画を進めるということは、いまのイコールフッティングの問題、平等な競争原理の立場から見て、私は国鉄は斜陽の一途をたどるものと見ております。ここらあたりでこういう十カ年計画の財政措置をなさるよりか、思い切って下部構造に対して国が長期計画を立てて全額出資をする、こういう立場をおとりになる用意はないかどうか、あるいはそういうお考えがあるのかないのか、検討する必要があると思うか、ないと思うか、そこらあたりについてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  89. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 山田委員のお考えも私、非常に興味深く伺っておるところでございます。つまり、山田さんのおことばで言うと下部機構は全額国でやるべきである、そして、上部についての運営は独立採算でやったらどうであろうか、一口に言うとそういう御意見。もう一つは、国鉄が現在ではもう独占交通企業体ではないということにもお触れになっているように思われます。その点も私はごもっともだと思います。そもそもが、長い間にわたって国鉄というものがわが国の陸上交通の大動脈であった、そして独占的な地位を堅持していた。ところがこれがその後、昭和三十年ごろからと思いますけれども、急激にモータリゼーションという時代になって、欧米並みになってきた、それだけに、国鉄のあり方というものが非常に困難さを増してきた、こういうふうに私も考えるわけでございます。そこで、しからばいまお話しのような考え方でやったらどうかということになるわけでしょうけれども、そう簡単には私はならないと思うのでありまして、そこの間に今回の十年計画というものはずいぶんいろいろの角度から検討いたしまして、数字的に申し上げることは省略いたしますけれども、相当の程度に国の財政的な負担もいたします、国鉄でも合理化を十分やってもらう、しかし同時に、国鉄というものがやはり広範な受益者があるわけでございますから、これまた受益者の負担という点から考えましても、運賃収入というものを相当のところまでは負担していただきたい、まあ簡単に言えば三方損で、しかも従来から見れば、国としての年度の予算の上からいいましても、それから財投を含めての財政投資の面から申しましても、あるいはお触れいただきましたけれども、摩耗率の補給というような点からいたしましても、ずいぶんくふうをこらしまして、いわば三方損とでも申しましょうか、国、ということは全国民でございますが、全国民、それから国鉄自身、それから受益者、利用者の立場、この三方から改めてまいりまして、十年間でりっぱな姿にしていきたい。そのためには国が一番多くの、国民全体が負担をすることもやむを得ない、こういうことで再建計画に対しては財政当局といたしましても、まあぎりぎりのところまで御協力を申し上げることにいたした次第でございます。
  90. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 いつものおっしゃり方でありますけれども、しかしいまの再建計画、過去と比べて国としての財政支出がふえてきておることは私も認めます。ただ問題は、昭和三十八、九年ごろからおかしくなりまして、九年から赤字に落ちていったのですけれども、少なくともそのころいまのような措置をなさっていたらこの状態にはならなかったろう、これはもうほとんどの人が口をそろえて言っていることばなんですよ。ただ、それができなかった。少なくともそのころの論戦ではやはり私が申しておるような議論はあったわけです。いまになって、国鉄が全く気息えんえんの状態になっていて、いまこの手を打たれただけでは私は不足だと申しておるのです。企画庁もお見えになっておりますから、それは後ほどいろいろと十カ年計画の財政見通しなどを明らかにしていきたいと思いますけれども、いまインフレの進行期の中に入ってきました。これはけさの新聞のあなたの談話を見ましても、国債の依存率を一五%以下におさめたい、こういう私は方向も見ておりますけれども、いまのようなインフレ進行の状態の中で十年間でこの一つの計面が維特できるか。できないですよ。そういう状態をあなた自身も若干は承知しておられて、ただ三方損の中の受益者負担の分だけを何とか通そうとする意図というものがあるのではないか。あとの国のやつはまたそのときに何とかつじつまを合わせる、こういうふうなことが国民に不信感を与えてはいけませんから、私は国としてやり得るだけの大幅な一歩踏み出しというのは、三十九年当時になることをいまやるのではなくて、思い切った下部構造に対する国の出資の方向を明確にして年次計画をお立てになっていただきたいということを申し上げたわけでございますけれども、あなたのお時間もないようなので、私はこれの問題はまた場をあらためてあなたとお話をすることがあろうと思いますのでこの程度にしておきます。  いま一つは、運賃法第五条の中に、定期旅客の割引は百分の五十をこえてはならないとなっておるわけです。ところがいまの国鉄輸送状態を見てまいりますと、金のもうかるようなお客さんはたいていバスとか飛行機とかにとられていくわけですね。そうして国鉄輸送というのは大体一般通勤で五三・一%、通学で八一・二%の割引をする、こういう旅客を昭和四十六年でどれくらい輸送いたしたかというと、七十億弱の輸送をしておりますね。その七十億弱の国鉄の旅客輸送の中で六七%、四十四億人を占めておるのがこうした割引のお客さんです。このほうは減ってきません。むしろ正当な旅客運賃をもらっているお客さんは減ってくるわけです。私いろいろとこうした問題について、もうかなりたちますけれども、外国などを見て回りました。一体どのようにしてこうした国鉄の運賃割引というのは——通学に対しては八〇%をこえて八九%というような形でございます。一般旅客のほうは五三・一%も割引をしておる。これを独立採算制というたてまえを通して、全部国鉄負担しなさい、こういうのがいまの制度ですね。だから輸送旅客の六割七分は割引のお客さんでその八割をこえる通学の割引、五割三分をこえる通勤の割引のその分は国鉄負担をしなさい、こういうことが私はなかなかものさしが合わないような気がします。ただ、日本の場合はいまの通学に対しては奨学制度の薄い日本として私はこの割引を別に否定はいたしません。けっこうだと思う。通勤の割引のほうは、全体で三十億九千九百万人いま輸送しています。約四七、八%になります。この通勤の運賃の負担は九四%、この三十億九千九百万の九割四分が企業で支払っております。この分をなぜ国鉄負担をするのか。私は、最近の日本のインフレ進行の中で生計費の異常な上昇を見て生活が苦しかろう、だからこれも割引をしてあげて生活の安定をささえてあげる。それはそれなら意味がありますけれども、いま九四%が企業の負担です。一体こういう状態をなぜ独立採算制の国鉄が負わなくちゃならぬのか。ちょっと私ここにおもしろい数字があるのですけれども、大体国鉄昭和四十六年度の損益勘定の収支で累積赤字が四十七年にかなりふえてまいりまして、一兆二千億近くなってまいります。そうして昭和四十六年の国鉄の損益の赤字が二千七百億くらいです。ところがこの通勤通学の国鉄負担した割引が二千十三億です。大体損益勘定の赤とほぼ匹敵をしております。いまそういう状態でございますから、こういう通勤通学のような金額は割引はもちろん私はけっこうだと思いますけれども、これを公共負担として受けとめて国でこの分を見てあげる。これが諸外国の鉄道には非常に多いわけです。こういう公共負担を全体の国の支出で下部構造をまかなうということを将来にわたってまだまだ議論をなさるという一つ状態であるならば、いまのような通勤通学の国鉄が負うべき負担分は国でめんどうを見てあげましょう、こういうふうな検討はできないものでございましょうか。
  91. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 割引料金問題は特に財政当局としては非常に関心の大きな問題でございまして、たとえばいまも御指摘がございましたが、九〇%以上は通勤料金は企業が負担しているようでございますから、そういう点についてはまず企業で負担をしてもらうということもひとつ考えていい筋合いのものではなかろうかと私は思います。それから国鉄の経営改善ということからひとつ申しますならば、その他の割引料金についても考えていただきたい点もございますけれども、それはいままだ申し上げる時期ではないかと思います。あわせてそういった割引料金は全部公的な負担にすべきであるという御意見は承っておきますけれども、にわかにここでさよういたしましょう、検討いたしましょうというところまでは考えておりません。
  92. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 大蔵大臣、また大蔵委員会のほうですることにしまして、きょうはお忙しいようですから失礼いたします。ありがとうございました。  運輸大臣、いまのお話をお聞きになりまして、私はいままでも議論があったと思いますけれども運輸大臣国鉄の主体的な官庁の役割りを果たしておられるわけですから、いま私が申したようないわゆる固定資産部分の下部構造に対しては、これは当然借り入れ金でまかなうのでなくて、国でまかなうべきである、こういう一つの立場に立ってこの十カ年計画に対して手を入れていただく、あるいはそういうふうな一つ要請をなお運輸大臣としても述べていただく、こういうふうなことは毛頭お考えでございませんか。いかがでございますか。
  93. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど来大蔵大臣との質疑応答を承っておりまして、あなたのおっしゃる一番基本になっております交通機関におけるイコールフッティングの御議論、これが基本になっていると思いますが、私もいま研究をしておりまして、理論的に申しますと、このイコールフッティング論というのは相当これは考えなければならない問題であることは言うまでもないのでございますが、ただ現実の政策の面でこれをすぐに取り入れようといたしましてもなかなか困難な問題が多いことは御承知のとおりでございまして、大都市の交通にいたしましても、そういった場合にこのイコールフッティング論をそのまま理論的に推し進めていきますということは非常に困難であるということが考えられるのでございます。しかしおっしゃった御趣旨はよくわかります。大蔵大臣も申しましたように、これは傾聴に値する御議論であると私も考えておるのでございますが、しかし現実の問題として、いまの国鉄の財政状態、この現実の問題についてこの議論を当てはめてまいるといたしますと、これは従来長い間の経過がございまして、その上に立って国鉄の財政再建考えようとしている際でありますから、いまそういった問題について洗いざらいこれを制度的にもやり直せということになりましても、これは実際なかなか困難な問題と思います。私の希望といたしましては、これは主管大臣でございますから言うまでもないことでございますけれども、今日の国鉄の財政状態は、いまお話しにありましたように、もうほんとうに壊滅寸前の状態といってもいいくらい財政の赤字のためになすべきこともできなくて、機能がだんだん喪失しようとしているという状態にあるように考えるのでございます。それでありますから、とにかく出しております十カ年計画につきまして、これは今後考えるべきいろいろな問題が中に含まれておると思いますけれども、こういった方向で十カ年間の長期再建計画をスタートさしていただきたい。そうして、その中でこれからも運輸構造の問題あるは日本全体の社会構造の問題、いろいろ変化があると思います。そういった中で、いまのお話しのような点を正面から受けとめまして、それを政策的にどういうふうにして具現していくかということにつきまして、真剣に考えていかなければならぬ、私はいまそういうふうに考えておるのでございまして、そのために提案につきまして、これを基本的にこの際変えたらどうかという御意見だと思いますけれども、これを進行しております間において十分尊重し、検討していきたい、このように考える次第でございます。
  94. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 イコールフッティングの問題については、将来大きな議論になりますし、ただ研究するということを述べられましたけれども、私はいまの時点の国鉄を踏まえての話をしておるわけでございまして、やはり子供が縁側から落ちて出血して泣きよるのを、なぜ落ちたかという議論をして、その議論ばかりしているうちに子供が死んだ、こういうことになったんじゃ意味がございませんから、そうした問題については、いまのこの十カ年計画というものは全くの机上プランなんですよ。いまからずっと議論を広げていきたいと思いますけれども、何しろ時間がございませんから多くは述べませんが、これは大臣も主管大臣として、関係各省に向かってほんとうに国鉄の抜本的な、あるべき安定方向についてはすみやかに御努力をお願いしたいと思うのです。  それから、磯崎総裁に聞くわけでありますが、三十二年の第一次五カ年計画以来、みんな中途はんぱで、途中で挫折したわけですね。一体この主因は何ですか。
  95. 磯崎叡

    磯崎説明員 三十二年度から三十二、三十六、それから四十、四十四と四回の長期計画がございました。三十二年、三十六年までは長期計画と申しますより、むしろ設備投資計画でございました。御承知のとおり、ちょうど日本の三十年代の経済の伸びが非常に大きいときでございまして、私のほうの計画がその経済の伸びに伴わなかった。設備投資をしても、いつも慢性的な輸送力不足でやっていけなかったということで、三十二年、三十六年は計画を四年間で変えまして、さらに新しい投資計画にしたわけでございまして、むしろ三十二年、三十六年の長期計画の早期改廃は、日本の経済の伸びにどうやって国鉄輸送力を合わせるかというための改定でございました。  ところが、四十三年と四十四年につきましては、全く状況が違ってまいりました。と申しますのは、三十九年から赤字に転落し、以後坂の上から石がころがり落ちるように、急激に赤字になってきたということでございまして、したがって、四十年度、四十四年度の二つ計画はむしろ経費のアンバランス、収支が償わなかったというために、むしろ財政再建的な角度から計画を変えざるを得なかったという意味でございまして、その意味で一番大きな原因は輸送の伸びがとまったということ、すなわち三十九年以後、鉄道輸送力はほとんど伸びなかったということ、収入があがらないということ、それからそれまでの利子の負担が大きくなったということ、並びに人件費が予想以上にふえた。これらが相競合して、四十年度の第三次長期計画並びに四十四年度の財政再建計画は中途で改定せざるを得なかった、こういうことでございます。
  96. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 労働省、お見えでございますか。——いまの磯崎さんのお話の中に、収入が伸びなかったということ、かてて加えて人件費が異常な高騰をしたということですが、国鉄の労働者の賃金、異常に高いかどうか。いわゆる年齢別ラスパイレス算出方式に基づく賃金の状態を、全産業と比較をしてひとつ述べていただきたいと思います。
  97. 葉梨信行

    ○葉梨政府委員 お答え申し上げます。  昭和四十六年の賃金構造基本統計調査によりますと、同年六月におきます国鉄の男子労働者の所定内賃金は七万三百円でございまして、これは規模千人以上の製造業の男子労働者の所定内賃金七万三千百円と比較をいたしまして約四%低くなっております。  さらにかりに製造業の年齢別の労働者構成を国有鉄道の年齢別構成に合わせて計算いたしますとこれがいま先生がおっしゃいましたラスパイレス方式でございますが、製造業の賃金は八万六千七百円となりまして、国鉄を約二二%上回ることになります。しかし国鉄の場合には、調査時期の六月までには同年のベースアップ分七千七百八十五円及び定昇分千九百九十五円、合計九千七百八十円が含まれておりません。この分を含めますと、国鉄は八万百円になります。厳密に申しますと、さらに年齢別構成のほかに学歴別の構成の差も考慮する必要がございまして、国鉄に合わせまして製造業を計算してみますと、ほぼひとしい、こういう結果が出ております。
  98. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 ほぼひとしいというのは、答弁としてはおかしいので、〇・二%違うでしょうが。(「宿舎を入れると、なるのだ」と呼ぶ者あり)宿舎というのは、全部ないよ。何を言っているのだ。だから、国鉄の人件費が異常に高騰したといいながら、全国の千人規模以上の全産業の平均より下である。これは国鉄の経営者として誇りになることばじゃないのです。国鉄法の二十八条には、職員の給与は、生計費並びに国家公務員、民間の企業の賃金、こうしたものを十分参酌してきめろと書いてある。先ほど来与党の人たちの質問に対して——国鉄の労働者が、赤字なるがゆえにということで過酷な労働強化を押しつけられたり、長時間労働をしいられたり、週休二日制をするなという意見に対して、非常にふんまんやる方のない気持ちを持っていることは、私はむべなるかなと思う。そういう人たちがいろいろな条件からのがれ去ろうとして賃上げ要求をする。しかしそれに対しては、スト権は禁止である。カニのつめをもぎ、足も半分くらいもいで、さあ、一人前に働け、もっともっと働きなさいというやり方は、私は国鉄労働者に向けていく労働政策であってはならぬと思う。そういうことについては触れようとせずに、やった行為に対してのみ触れるというやり方は、将来国鉄が労使ともにほんとうに信頼のきずなにしっかりと結ばれて国鉄再建に立ち上がっていくという基礎条件を失っている。私は、三十二年以降四回にわたってやられた再建計画というものが人件費の高騰によってくずれ去ったというものの見方はやめていただきたい。まだ人並みになっていないのです。労働時間もまだ長い。私は、この状態をこれ以上続けさしていくということを、将来国鉄の幹部は考えていただきたい、こういう気持ちを申し上げたわけですが、なぜ五カ年計画がくずれていったかというのは、経済の見通し、財政の見通しを誤ったからですよ。今回の十カ年計画も私はやはりくずれると思います。見通しというものを誤っておるからくずれる。経済企画庁、お見えになっていると思いますけれども、この国鉄の十カ年計画というものの財政見通しなり、経済見通しの根拠をなしたものは経済社会基本計画ですね。この経済社会基本計画はいつ出されたのか、企画庁にお伺いいたしたいと思います。
  99. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 経済社会基本計画につきましては、前回の四十五年の新経済社会発展計画策定後の情勢が非常に動きましたので、全面的に計画の改定が必要であるということで、約一年半ほど前から作業にかかっておったわけでございますが、昨年八月諮問が行なわれまして、本年二月に経済審議会の答申があり、閣議決定が行なわれたわけでございます。二月十三日でございます。
  100. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 四十五年四月の経済動向を基礎としてつくられた経済社会基本計画です。時間がないのでまた私の意見になっていきますけれども、この国鉄再建十カ年計画を基礎づけたこの経済なり財政の動向という中で、特にこの基本計画が明らかにした物価の問題を見てみたいと思うのですが、卸売り物価は二・三%上昇と見ています。そうして一般消費動向は四・九%の上昇です。一体これが、いま私たちがこの十カ年計画審議しておるさなかに当てはまる根拠であるのかどうか。この一つの動向というのは最近の日銀の傾向を見てもおわかりでございましょう。去年の卸売り物価は八・五%上昇と、これは明確になりました。先月、五月の卸売り物価の前年月対比を見ても、一二・三%の上昇です。こういう一つの上昇過程というのが、さっきも大蔵大臣に申し上げましたように、けさの新聞ではどうしようもないインフレにはまり込んでいく、だから大蔵大臣としては国債の依存率を一五%以下に落としたい。各財界の意見も出ておりました。各財界の意見はこもごもでございますけれども、インフレ傾向を否定した財界は一人もおられません。こういう状態に入っていく日本のこれからのインフレは、片側では不況時の中でも物価が上昇するというスタグフレーションを起こす、こういうことすら予言しておる人もおります。こういう状態の中で、しかも四十五年四月をとり、卸売り物価二・三%と見、一般消費動向四・九%と見てつくったこの十カ年計画というものが今日当てはまるだろうか、審議に値するだろうか、私は疑惑を持ちますよ。運輸大臣いかがでございますか。
  101. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 当面この物価騰貴の状況は関係機関から発表しているとおりでございます。私どものほうは、長期計画を立てます場合に、やはりそういったものを総合いたしまして、やはり将来の経済成長率でございますとか、物価の騰貴率でございますとかいうようなものを一応基礎にしなければなりません。それには、この計画を立てましたときにはいまお示しのように経済社会基本計画をもとにいたしまして、あれは五年間でございますが、そのあとはそれをもとにいたしまして推計をいたしておるわけでございますが、経済社会基本計画をもとにして立てたことは事実でございます。いまのお話はその基礎がゆらいでいるじゃないか、こういうお話でございます。現在の状況を見ますと私もそういうふうに感じます。ただ、私のほうはこの十カ年計画を立てておりますので、その間、これは経済企画庁が立てましたように非常になだらかに、毎年九・何%の上昇でありますとか十・何%の上昇でありますということが非常に機械的に、規則的に行なわれるとは初めから考えておりません。それで上がったり下がったりするかもしれませんが、全体といたしまして十カ年の間にはこの程度になるであろうということを、一応現在の状態では経済社会基本計画をもとにして算定をしたのが今度の十カ年計画でございますから、もう少しこの動向につきまして私たちはこれを見守って、そうしてこの十カ年計画というものについて考慮を加えなければならぬ、こう思っておるわけでございまして、現在のところ経済企画庁もいままでの物価の動向によりましてこの基本計画を変えようという考え方はまだ持ってないようでございますから、そういったものとの調整をとりながら今後の問題に対処していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  102. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 どうも古い証文を振りかざして  一生懸命力んでいる李承晩みたいな答弁になって……(発言する者あり)  私は国鉄十カ年計画という生きた現実を踏まえるのにもうくずれた前提を持ってこられて、いまこれしかないからこれでやって将来また手直しをしていくのだということでは、三方一両損の国民の側から見たら納得できないですよ、ほんとうに国鉄が安定してすばらしい国鉄になってくれることを願う国民の期待というものは消えていくわけですから……。だけれども、あなた方は運賃だけは上げますよ、そうして六七%の定期旅客は国もめんどう見ません、皆さんがめんどうを見てください、こういうやり方で赤字、黒字論議をされたのでは国鉄再建ということにはなりませんよ。  私は、企画庁がお見えになっておるからもう一度お尋ねしますが、経済企画庁の生活局長お見えでございますか。——あなたのほうの直接の所属ではないかと思いますけれども、経済研究所がございますね。この経済研究所の古賀誠さんという方が去年の十一月ごろお出しになりましたこの論文を見ますと、いわゆる経済の動向の変化、そうして生活水準の変化、こういういろいろな詳しい国が発行したデータを基礎に論文をお書きになっております。それがたまたま国鉄の職員に当てはまるわけですが、五十五歳の定年でこの人がおやめになる、そうして七十二歳の平均寿命まで生きていく、子供はいない、夫婦だけで生活を営むのにどれだけのお金が要るか、この試算を見ますと、五十五歳でおやめになって七十二歳の十七年間生きていくのに一億八千四百二十九万のお金が要るわけです。五十五歳で退職時に一億三百九十七万要るわけです。それだけ持っていなくては五十五歳でやめた人は生きていけない。これは経済の片側から見ていけば急激に膨張していくインフレというものをしっかりと踏まえて出しているわけです。これは下村博士の論文も微細に分析されながらできておるわけですけれども、こういう一つの同じ企画庁の中からお出しになった論文というものを国民生活局長、お認めになるお気持ちでございますか、いかがですか。
  103. 小島英敏

    ○小島政府委員 おっしゃいますように、定年後の寿命一ぱい及び自分が死にましたあと奥さんの死ぬまで金利生活をまかなおうと思いますと、やはり非常に膨大な元本が必要になってくるということはおっしゃるとおりだと思います。私どもといたしましては、そういう制度を何とか変えていくということが基本ではないか。ですから、私もよく言うのですけれども、奥さんが死んだあとで膨大な元金が残っても何にもならないわけで、ほんとうはやはり奥さんが死ぬときに元本をくずしていってちょうどなくなるのが一番合理的だと思うのですが、実際にはなかなかそうはまいりませんので、やはり年金というものを極力拡充していくということと、それからいま変額年金ということを私ども盛んに言っておりますけれども、物価に対してスライドした形のいわゆる変額年金という制度、これは役所の年金のほうはだんだんそういうことになってまいっておりますけれども、なかなか民間の保険会社のほうはまだそういう制度が十分でございませんので、この辺やはり民間と公的なものと協力しながら、カバーしていくということが非常に必要であると思っております。
  104. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 私は別に年金の問題を聞こうと思ったわけではないのですが、ただ国鉄再建十カ年計画の中に、昭和四十四年からでございますか十一万人の減員をしていく、きょう質問もありましたが、この十一万人を自然減耗で減員をさしていく、これが今日やられておる減員の姿でありますけれども、このまま推し進めていくと大体五十二年ごろには三十五万という人間になりますね。三十五万の国鉄の職員で、退職しておる者が大体三十五万です。いま二十二万何がしでしょうか。現役三十五万、退職者三十五万という一対一の比較です。私は国鉄再建十カ年計画というのは国民の経済安定に即してあげる貴重な要件と、国鉄の従業員が安心をして働ける職場をつくってあげる、こういう要件、この国民的なものと、一生懸命働いておる職員とのこの二つ一つになって私はやはり安定していくものでなければならぬと思うけれども、いまのような問題点にも多くの疑念があるわけです。ましてや、基本の計画の基礎になりました経済の動向あるいは物価の動向というのは、すでに今日の社会では通用しない資料をもとにされておった。こういうことを考えていきますと、私が申し上げたように、二、三年したらまた消えていく机上のプランに終わってしまうのではないか、こういう懸念が非常に強まるわけです。  したがいまして、私が申し上げた国の出資金の増大、それのみによって新線の建設、特に田中総理の言われる列島改造論に不可欠のものである交通ネットワーク、そこに建設をされていく鉄道だけは、下部構造に対しては一切国が支出をしていく、出資をしていく、この原則だけはしっかり貫いていかれないと、この十カ年計画はほんとうに画餅に帰するという気がしてなりません。私は最後にそれらについて運輸大臣答弁を伺って、非常に時間が足らなくて残念ですけれども終わりたいと思います。
  105. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 非常に各方面から示唆に富んだ御意見をいただきまして、ありがとう存じます。  いまお話しのような点は、われわれも今後考えるべき問題であろうと思います。先ほども申し上げましたが、私どもは何回か長期計画を出しまして、終期を経ないでまた改定を繰り返してまいりました。今度もそういうことにならないようにと思って努力をしておるのでございますが、経済情勢は非常に流動的でございますから、いま出しましたものが十年間、いま考えておりますような方向で動くとは私たちも考えておりません。したがいまして、その変化に応じました対応策というものは当然その時点その時点で考えなければならぬことでございます。  ことに、最後にお話しになりましたような政府出資の問題、一応いま一兆五千億という数字を出しておりまして、ただいまの試算によりますと、こういうふうな出資あるいは政府の助成、利子の補給、そういったものを総合いたしますと、十カ年先には財政の再建ができて、国鉄の機能が回復できるだろうという希望を私たちは持ちながらいま提案をいたしておるわけでございますが、将来事情が変化し、あるいは輸送の構造がだんだん変わってくるというようなことに対しましては、もちろんその時点におきまして考慮をいたしまして、計画につきましてもそれに対応したような姿勢をもって臨まなければならぬということは言うまでもないところでございます。そういう考えを持っておりますので、ひとつ御了承くださいまして、この上とも御協力お願いいたします。
  106. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 本会議終了後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時二十八分休憩      ————◇—————    午後二時十八分開議
  107. 井原岸高

    井原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土井たか子君。
  108. 土井たか子

    ○土井委員 きょう私は、公害対策あるいは環境保全というふうな観点から御質問をさせていただくわけですが、何しろ時間が四十五分しかござやませんので、こまかい数字であるとかあるいは細部にわたる検討は、一切きょうは差し控えたいと思います。基本的なところでひとつ御質問をさせていただきますから、イエス、ノーをはっきりと、そして意のあるところをあまり時間をかけないで、端的にお答えをいただくことをあらかじめ要望しまして、質問に入りたいと思います。  運輸大臣国鉄再建計画も含めまして基本的に運輸省さらに国鉄としてあるべき姿、これはよく国民に対してのサービスを問題になさいますが、この中身は能率性——能率性と言うといろいろあると思うのです。スピードアップをはかることであるとか、大量輸送をさらに進めるということに重点を置くという問題であるとか、あるいは合理化、いろいろ業務の促進を考えるという問題、そういう能率性という問題と片や安全性と申しますか、公害防止も含めて安全性という問題と、一体いずれに重きを置いて、再建計画を含めて国鉄のあるべき姿というものをお考えになっていらっしゃるか、そこをまず承りたいと思います。
  109. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄に限りませず、交通機関というものは人命を預かって運送をする役目を持っておるものでございます。したがいまして、私は、国鉄だけではなしに自動車についても航空機につきましても船につきましても、人命を預かっている以上安全が第一でありますということをいつも申し上げておるわけでございます。したがいまして、安全第一でやっていかなければなりませんが、そのために、たとえば国鉄にいたしましても他の交通機関にいたしましても、サービス面がおろそかになってはいけないということはもとよりでございますが、しかし安全第一という意味は、多少経営上に問題が生じてまいりましても安全第一で守ってもらいたい、こういう意味で私は各機関に対して要望しております。
  110. 土井たか子

    ○土井委員 安全第一のためならば、したがって経費をどれだけかけることもやぶさかでないというふうな意味もその中には含まれていると、私はまず確認をさせていただいてようございますね。
  111. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 人命に危害が及ぼされるようなおそれのある問題につきましては、多少経費をかけましてもそれを守っていくのが当然のことであります。
  112. 土井たか子

    ○土井委員 それは国鉄並びに輸送機関を利用する側に立って考えたら、当然のことだと思うのです。ところが、国鉄や交通機関が通過をする、あるいは通過予定地になる周辺についてはどういうふうなお考えをいまお持ちでいらっしゃいますか。
  113. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 御質問の趣旨がよくわかりませんので、もう少し具体的にお述べいただきたい。
  114. 土井たか子

    ○土井委員 それでは本論に入りましょう。  きょうは国鉄についての問題でありますから、他の交通機関一般についてはひとつ割愛をして国鉄、特に国鉄の中でもいま国鉄の通過する周辺、あるいは国鉄が将来ここに敷設されて通過するであろうと考えられる予定地周辺についての問題にしぼって、ひとつ質問を続行いたします。そういうことから考えていくと、国鉄の中でもいろいろあるわけですが、私は特に環境保全あるいは公害対策という側面からすると、どうしても考えていただきたいのは新幹線の問題であります。既設のものも含めまして、これから予定されております全国網についても、この問題についてはお考えを十分に持っていただかなければならないわけでありますが、昭和四十三年第五十八国会で騒音規制法が問題になりました。そのときに厚生省のほうは、新幹線の騒音の防止対策について騒音規制法の中に含めて考えるべきだという案を出されたようであります。ところが、それに対しまして運輸省の意見は、新幹線に対する騒音の防止対策を除外するということでありました。しかし考えてみますと、昭和四十三年当時は公害対策基本法の一条の二項で、経済の発展との調和を保ちつつ公害に対しても対策を講ずるということが法上認められていたときでありますから、したがいまして、五十八国会の議事録を私手元に持っておりますが、読んでみますと、やはり国鉄当局とされては環境の保全の問題と経済発展の調和、この二つをかみ合わせながらやっていかなければならぬというのが公害基本法の精神であるというふうに考えておるわけだから、いまその点からすると、この国鉄新幹線の騒音防止対策については、そう急に騒音規制法に含めて考えるというところにまで踏み切れないというふうな御趣旨なのであります。これが五十八国会のできごとです。当時からもうすでに東海道新幹線について、さらには山陽新幹線が開通することを予定されている地域の方々も含めて、騒音についてはもうこれ以上ごめんであるという声が非常に強くなっていた当時であります。  引き続きまして今度は昭和四十五年、六十四国会、この国会は言うまでもありません、いわゆる公害国会であります。公害対策を中心に置いた国会であります。この国会ではこの騒音の問題について騒音規制法が改正をされたわけでありますが、残念ながらこのときにも騒音規制法の法律の中には、新幹線の騒音対策をはじめ鉄道の騒音対策については具体化されませんでした。ところが、これは忘れていただいたら困ると思うのであります。附帯決議がございまして、その附帯決議の中に一と書いて、こういうふうに明記してある。「鉄道軌道特に、新幹線による騒音については、今後鉄道営業法等関係法令中に騒音防止を図るべき旨を明らかにするようその改正を図る外、」云々と書いてあるわけであります。  お尋ねをいたしますが、昭和四十五年のこの六十四国会以後、鉄道営業法等関係法令中に騒音防止をはかる旨を明らかにする改正を運輸省としてはなすったかどうか、これについてまずお尋ねをいたします。
  115. 秋富公正

    秋富政府委員 昭和四十五年にそういった附帯決議がございましたので、新幹線鉄道建設規定におきまして、省令でございますが、直ちにその後に騒音防止のことにつきまして改正をいたしました。
  116. 土井たか子

    ○土井委員 全国新幹線鉄道整備法という法律においてはいかがでございますか。
  117. 秋富公正

    秋富政府委員 法律でございませんで、いわゆる新幹線建設規定、省令でございますが、それにおきまして防音についての措置を講ずるように規定をいたしました。
  118. 土井たか子

    ○土井委員 規定よりも、やはり日本は法治国家でありますから、法の体系から考えますと、それ以前に鉄道関係の法令においては、やはりこういうふうな附帯決議があった以上基本的に考えていただかなければならない法律があると思うのです。法律の中身にはこの点がどのようにはかられましたか、それをお尋ねいたします。
  119. 秋富公正

    秋富政府委員 私、省令と申しましたが、その根拠法は鉄道営業法に基づくものでございます。
  120. 土井たか子

    ○土井委員 営業法の何条の何項にどういうふうに明記してありますか。
  121. 秋富公正

    秋富政府委員 鉄道営業法に基づくものでございますが、新幹線鉄道構造規則、これにおきまして、ただいま申しました保安の問題、いわゆる騒音の問題につきまして改正いたしたわけでございます。
  122. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、それが現に守られていない証拠に、騒音に対して対策を早く講じてほしいという声が強くあるわけです。いかがです。そのことについては、なおいろいろ御意見をお聞きするという時間的余裕がございませんから、その法律に基づいてこれを実施する努力をしなければならないということだけは、まず御確認いただきたいと思います。よろしゅうございますね。  最近、環境庁のほうから四十六年九月二十七日、中央公害対策審議会に対して諮問があって、四十七年十二月十九日にこれに対して中公審のほうから長官に対する答申があって、明けて二十日に長官から運輸大臣に対しての勧告がなされ、そうしてことし、四十八年になって二月十五日に大臣からの報告があったわけでありますが、この中にいうところの騒音規制、これは八十ホンに押えていくということであります。東海道新幹線にいては三年という期間をこの報告の中には出していらっしゃるわけでありますが、ただそれは、過密地帯であるとか騒音対策を早急に講じなければならないところから手をつけていって三年間というふうな御趣旨のようでありますけれども、しかし三年ということになってまいりますと、いまその激甚地区で悩んでいる人たちは、一体三年間のどこらあたりで私たちは問題にしてもらえるのだろうかというふうなことが、やはり現実の問題としては気にかかるわけであります。一応三年ということをお出しになりましたが、三年の中身について、具体的にどこの地域については向こうどれくらいの期間にどういうふうにやりたいというふうなお考えを聞かしていただきたいと思うのですが、それについての青写真なり、もう一つ言うと青写真を発表なさるなり、そういう御用意がおありになるかどうか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  123. 内田隆滋

    ○内田説明員 ただいまの環境庁の勧告に基づきまして、国鉄といたしましては今後の国鉄計画の中で何をやるべきかということを明らかにしております。その中でもって、先生がおっしゃいましたように、三カ年間でいわゆる基準値の八十ホンを達するべく努力するということでございます。これにつきましては、いま具体的に四十八年度の予算の中で実施の計画を立てておりますが、まあ騒音と申しましても程度の差がございまして、その一番環境といいますか、騒音のきびしいところからやっていく。例を申しますと、たとえば名古屋地区とか大阪の密集地区というようなところ、あるいは東京付近というようなものをあげまして、三カ年間で終了するということでございます。
  124. 土井たか子

    ○土井委員 それはもうお答えになっていないのです。それを存じた上で私はお伺いをしております。三年間という期間がここで報告書の中に出てきておるわけでありますから、その中身について、住民から考えたら私たちは一体いつ問題にしてもらえるんだという問題が出てくるじゃありませんかということをお尋ねしているのです。だからそれに従って、どの地域については向こう半年以内にこうやりたい、どの地域については向こう一年の間にこうやりたい、どの地域についてはちょっと待っていただきたい、二年先になりますよ、というふうな青写真があってしかるべきではないかということを申し上げているのです。三年の間に何とかいたしますという報告を出せばそれで済んだ問題じゃ決してありません。問題は、地域住民がどうしてもらえるかということを常に念頭に置いていただきたいわけでありますから、このことについて青写真がおありになるか、そしてその青写真を公表する御用意がおありになるかどうかということをお伺いしているのでありまして、これは再度繰り返し繰り返しやっていると時間のむだでありますから、その辺は質問に応じたお答えをぜひいただきたいと思うのであります。
  125. 内田隆滋

    ○内田説明員 山陽新幹線につきましては、今後一年間に問題のあるところは全部やります。  それからいま、東海道新幹線につきましては本年度やるべきところははっきりわかっておりますが、その次の部分につきましては今後明らかにして、もし必要があれば御報告いたしたいと思います。
  126. 土井たか子

    ○土井委員 では、あれはもうアトランダムに三年ということをお出しになったのでありますか。私は、ある程度計画なり予測を立てて三年という数字が出てきておると思うのであります。したがって、その中身については、今年度ははっきりしているが、来年度についてはなお検討していくということじゃ、これはちょっとおぼつかない。ひとつその辺について検討していただいて、そして青写真を早急に出していただきたいと思います。それはお願いいたしますよ。ようございますね。——委員長、それじゃお願いします。  こういうことばかりに時間をかけているわけにはいきません。しかし、いま問題になっている八十ホンというのは、中公審を経て、そして環境庁の長官から運輸大臣に出されましたその勧告、報告、いずれも御承知のとおり暫定基準です。本基準がいつ出るのか、これまた気にかかる話であります。  環境庁にひとつお尋ねしたいと思いますが、暫定基準について、本基準というものをさらにお出しになる御用意がおありのはずだと思うのでありますが まずおありになるかならないかということ、それから、もし本基準を出すということであるならば、それは四十八年内であるか、四十八年度内であるかあるいはそれ以後になるかというあたりをひとつここではっきりお出し願いたいと思います。
  127. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 お答えいたします。  新幹線にかかる環境基準に関しましては、目下航空機の環境基準の設定を急いでおりますが、それができ次第、引き続き新幹線のほうの環境基準の設定の作業に入るつもりでございます。  ただ、航空機の場合には外国文献その他いろいろ資料がございますが、新幹線の場合は、わが国の資料、いままで国鉄当局のやってきました資料のほかに、住民サイドのいろいろな影響の調査をいま続けて環境庁サイドでやっておりますので、それらの成績を見た上で結論を出したいと思っておりますので、現在この年内にできるか、あるいは年を越すかというきちんとしたお約束がいま私の段階で申し上げられませんが、できるだけ早く設定する準備をいたしたいと思います。
  128. 土井たか子

    ○土井委員 これはまたはっきりしない御答弁でありますが、いつもこういうふうな質問をするたびに、できるだけ早くとか、可及的すみやかにとか、ひとつ慎重に検討させていただいてという御答弁がきまり文句のように返ってくるわけであります。環境庁、このあたりもう一つ、これは新幹線公害が続く限り、新たに全国網新幹線をあっちこっちへ建設していくについても、みんないままでの東海道新幹線のありさまを見ます、あるいは山陽新幹線のありさまを見ます、そしてその付近の住民の方々がどういうふうな生活をしていらっしゃるかというのを見ますね。したがいまして、これはやはりそこで問題になっていることが今後もまた繰り返し行なわれるであろうという心配のもとに、この新しいルートを考えられている予定地の方々というのはおだやかじゃないと思うのです。最近出ましたこの公害白書、環境庁から出ました「四十七年度 公害の状況に関する年次報告」を見ましても、その二四六ページには「新幹線騒音」というのがあって、そうしてそこの部分にこういうふうに書いてある。「新幹線騒音は良好な生活環境を破壊し地域住民の福祉向上に反するものであるとして建設反対の声がもち上っている。」と、ちゃんと公害白書に書いてあるのです。こういう観点から見ましても、何としてもこの騒音についての本基準というものはやはり早い機会につくっていただかなければならないと私は思います。いつまでも暫定基準ではこれは困る。こういうことについて再度お尋ねしますが、ひとつこのあたりで考えておることを出してくださいよ。いかがですか。
  129. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 おっしゃるお気持ち、十分拝聴いたしました。ただ、評価方法等が非常にむずかしゅうございます。したがって、間欠の衝撃音という新しい航空機とこの新幹線と同じように取り扱ってよろしいのか、どういうふうな評価方法をもってこれをやるべきかという学者の非常な御意見がございますので、私どものいまやっております調査結果をあわせて、できるだけ早くやらさしていただきます。
  130. 土井たか子

    ○土井委員 これについては押し問答をやっていてもしようがないと思います。これはひとつ環境庁のほうが、もう総力を傾けるくらいのつもりで、急いでほんとうに真剣に取り組んでやっていただきたいと思うのですね。  そこでひとつ、この本基準がやがて出るようでありますから、いまの暫定基準についても本基準についても、問題になるところの基準値ということについて確認しておきたい点が一点ございます。いまの暫定基準では八十ホンというのが出ております。ところがこの公害白書によって数値を見てまいりますと、高架橋の場合で防音壁をつくりましても七十六ホンから八十九ボンにまで、この騒音の範囲というものは広いわけであります。したがいまして、いま八十ホンとおっしゃるのは最高値を問題になすっているのか、平均値を問題になすっているのか、そこのところがちょっと聞きたいわけであります。そこをはっきりしておいていただかないと、あとあと——これは八十ホンになれば、あるいは本基準よりもっときびしい基準になります。これは予測にかたくありませんけれども、しかしやはりそれに対する対策ですね。国鉄もそれなりに努力を払っていらっしゃる側面は私は認めるにやぶさかではございませんけれども、しかし、この基準値をどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということに従って、やはり対策の中身も相当違ってこようかと思いますので、この点はっきりさしておきたいと思うのです。いかがですか。
  131. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 新幹線の騒音測定に用いました単位でございますが、これは住居等の用に供されておる建物から原則として一メートル離れた場所において、その建物の存する側の線路を連続して通過する六本の列車の走行に伴って発生する騒音について行ないまして、その最大レベルの算術平均を求めることによって測定値としております。ピークレベルの六つの平均値の形でありますが、暫定基準で示しましたのは、前述の測定で何とか八十に押えるということで暫定基準を出しました。環境基準というものは、やはり暫定基準よりも平均的には少し下がるのが常識的かと思いますが、それらにつきましては、先ほど言いました評価方法のとり方によってまたどういう——ホンという表現にするかあるいは飛行機と同じようにWECPNLというような単位を使うか、それぞれによってまた比較の問題が出てまいりますので、いま私の口から八十ホンにしたらどうかという一般的な表現は使えませんが、環境基準の求め方はそういう方向で進めたいと思っております。
  132. 土井たか子

    ○土井委員 国鉄のほうは、この問題についてはどういうふうな態度で臨まれる用意がありますか。いかがです。
  133. 内田隆滋

    ○内田説明員 ただいまの環境庁のほうから示された基準を守るべく努力しております。
  134. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、これは八十ホンといいましても、場合によると新幹線通過時に八十ホンをこえるという事情もあるわけでありますね。平均値ということでありましょうから、一言で言うと。そうしてしかもこの公害白書を見ますとずいぶん開きがありますよ、基準値についても低いところと高いところの間で。したがいまして、これをどのように考えるかということは非常に大きな今後の課題だと思うわけであります。環境庁とされては、この問題は相変わらず、これは六本の走行する騒音についてこの騒音値を求められた、平均を出すことによって、おそらくは本基準に対しても基準を問題にされようというお考えで、いまいらっしゃるわけでありますか。
  135. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 暫定基準を出しましたときの測定のしかたは、先ほど申しましたピークレベルを用いたということでございますが、今度の基準をつくるに際して、先ほど来申しておりますように暫定基準にとりましたようなその方法でいいのかどうか。たとえば住民サイドのほうの被害率と申しますか、そういった因子を十分に取り入れるために、そういうあらわし方でなしに、ちょうどいま航空機で使っております一日の本数を全部合わせた総量並びに——航空機の場合は、夜一機飛ぶと昼間の十回分に相当するというような計算法がございます。それらをこの新幹線に当てはめるかどうか、この点が非常にむずかしいものでございますから、現在その八十ホンというものを土台として、それにプラスアルファあるいはマイナスどのくらいというような形で環境基準の評価方法にはすぐならないと思います。この辺の検討をいまやっておりますので、環境基準のきまり方ということになりますと、暫定基準よりも平均的には私は低くなるのが当然だとは思いますが、いまの八十ホンを中心としてどのくらい低くなるかどうかということは、評価方法がきまった上で比較の数字が出てくると思います。
  136. 土井たか子

    ○土井委員 それは今後検討をさらに重ねられる問題らしゅうございますが、素朴な住民からいたしますと、こういう基準値というものが出ると、必ず騒音の中身というものは基準値以下でなければならない。どういう場合においても基準値以下でなければならないというのが一般考え方のようであります。したがいまして、今回のこの運輸省から出ました報告を見て、それならば、どの新幹線についても八十ホン以下で走るのだなというふうに一般住民からすると見ておるようでありますから、そこのところが少しちぐはぐになってまいりますと、そういう意味からいってもやはりそういう不信を買うもとになるような危険性もはらみますので、ひとつその点は率直に誤解を招かないような説明なり、また誤解を招かないような対策、方法なりをやはり地元住民に対してそのつど講じていただきたい、こういうことをやはり申し上げたいと思うのであります。今回出ました八十ホンに対しての理解についてもなかなか一定していないようであります。住民の中には平均値だと理解している住民もあるかと思えば、これは最高値が八十ホンだというふうに理解しておる人もあるようでありますから、そういう点からしますと、これについては統一した考え方というものを運輸省なり国鉄なりは、地元住民の方々についてもやはり納得していただけるような説明をそのつどやっていただかなければ困ると思うのであります。この点は報告書の中から、また現に騒音対策について講じていらっしゃるわけでありますから、基本的なこととして、ひとつはっきりさせておいていただかなければならない問題点としてあるようであります。  ほかに私は、日照権の問題やそれから振動の問題等々について——これは第二次公害、第三公害というふうに申し上げていいと思うのであります。たとえば日照権などについては、騒音対策のためにつくられる防音壁を一メートルから二メートルにしたばかりに日照についての問題が出てくる、あるいは高架式に路線を工事なさるというために、地上を走るよりもあるいは地下を走るよりも、こういった第二次公害の問題がいろいろ出てくるというふうなことが他にもあるわけでありますが、これはいずれ機会をあらためて公害対策並びに環境保全特別委員会のほうへ国鉄の方にひとつお出向きをいただいて、中身についてはもっと時間をかけて具体的に質問をし、また御答弁いただきたいと思っております。  きょうは時間の制約がありますから、あと二つばかりどうしても確めておかなければならない問題がございます。  まず一つは、ことしの三月に国鉄の動力車労組のほうから危険白書というのが出ました。これはまずまっ先に大臣のほうに、一体その国鉄再建計画についても何を基準にお考えになるかということを聞いたのはそのあたりからでありますが、この危険白書というのが出まして、その中には東海道新幹線についていろいろ出ているわけであります。たとえば土砂くずれの問題であるとか、立地条件がその線路近辺に国道が建設されることのために変化をしたという問題等々いろいろ出ておるわけでありますが、その中の一つに、橋梁が危険であるという問題が一つ大きくクロズーアップされております。問題の個所は三島−静岡間、日本一の橋梁といわれる富士川にかけられておる千三百七十三メートルのあの新幹線の鉄橋であります。危険白書を見ますと、中身は砂利採取によって橋脚基礎が六メートル露出しておるという事実であります。すでにこの富士川の鉄橋については、四十二年からこの方再々砂利採取ということが禁止されてまいりまして、そうして四十三年には、富士川橋梁が付近の砂利乱掘をしたことのために橋脚をささえる川底が下がって危険であるということで、この砂利取り禁止を建設省のほうに申し入れたという事実がございます。いまあの固定橋脚十七メートルのうち約十メートル以上埋まっていないと、地震や洪水のときに二百十キロの高速をささえられないという事実もはっきり述べられておるわけでありますから、そういう点からしましてひとつお尋ねしたい問題が出てきておるわけであります。これはもうすでによく御承知のことと存じますが、この五月に——四十三年に砂利採取法が制定されまして、砂利採取に対しての規制がずいぶん加えられるようになりました。そうして富士川につきましても、この砂利採取法からすると、ずいぶん以前に比べてきつい規制で、砂利がそうそうむちゃくちゃに取れないことになったわけであります。ところが今回、また内閣総理大臣のほうの発案によりまして、最近砂利というものがたいへんに少なくなってきている、ところが新幹線や高速道路建設などにはコンクートの需要が増すわけでありますから、どうしても砂利の需要はウナギ登りである、そこであらためて富士川もその中に入りますけれども、全国で十河川、この河川砂利採取に対して、取ってよろしいということになったようであります。富士川は御承知のとおりに、上流の砂利を採取しただけでも下流のほうに対して影響は大きいということは、もはや言うまでもございません。この砂利が少なくなることによって、当然川底も低下する、水位も下がる、橋げたの基礎が浮いてくる危険な状態になる、これは次々起こってくるところの現象であります。この問題について、いま国鉄当局としてはどういうふうな手を打とうとなさっているか、また現にお打ちになったかということをひとつお尋ねしたいわけであります。
  137. 磯崎叡

    磯崎説明員 先般動労が危険白書というものを出しましたけれども、私どもといたしましては、何と申しましても安全が私どもの商売でございます。したがって、そういうことがもしあれば、もちろんあらゆる最高の技術を用いましてチェックしているはずでございますが、念のために担当者から詳しく御説明させます。
  138. 内田隆滋

    ○内田説明員 新幹線の保守の問題につきましては、常に見回りをいたしておりまして、もしそのようなものがありますれば直ちに補修するということをいたしております。現在、そのような事実については聞いておりませんが、もしそういうようなものがございますれば、直ちにじゃかご等で防護をいたしたいと思っております。しかし、いまのところ危険なものはないと考えております。
  139. 土井たか子

    ○土井委員 いまのところ危険なものはない、私はいまの御答弁を聞いていて、非常に寒い思いがいたします。事故というのは起こってしまってからではおそいのですね。そうして、富士川の鉄橋については、もうすでに先ほど申し上げたとおりです。四十三年以後、砂利採取がこれ以上続くとあぶない、あぶないというふうに一般の人がよく知っている場所であります。その場所について、今回また砂利採取について内閣総理大臣の命によって解禁ということになったわけでありますから、したがいまして、いまだいじょうぶだ、だいじょうぶだとおっしゃっているその姿勢というのは、非常に寒いと私はいわなければならないわけであります。将来にわたってもこれでだいじょうぶだということをいまやっていただかなければ困るわけであります。そういう点から言いまして、富士川については、かつて砂利の採取に対して、これはやめていただきたいということを申し入れられた、当時の建設省に対する国鉄の申し入れ、あの意味が一体どこにあったかと、私はいまの御答弁を伺っていて申し上げたくなるわけであります。今回のこの砂利採取に対する解禁ということに対して、国鉄としては黙って見過ごしてよいとお考えでありますか。富士川に対しては、これは絶対責任が持ってるとおっしゃられるのでありますか。その点いかがです。
  140. 内田隆滋

    ○内田説明員 砂利の採掘ということは、橋梁の構造に対して重大な影響がございます。したがって、もし危険があるということであれば、再度建設省に厳重に申し入れをいたします。
  141. 土井たか子

    ○土井委員 もし危険があるということであるならばというお答えは、それは解せないのであります。それじゃ何のために、かつて建設省に対して砂利採取はやめていただきたいということを申し入れられたのでありますか。そうして今回の砂利採取に対して、上流で解禁ということに対しては黙っていられるわけでありますが、それならば、それだけ当時に比べるとだいじょうぶだという、根底から基礎工事そのものが国鉄としては責任の持てる、あそこに対しては補強がなされていなければならないはずであります。しかし、聞くところによりますと、あれ以後別に富士川の橋梁に対しての基本的な補強工事というものがなされたということを聞かない。この問題に対してはいかがですか。もう一度御答弁を願います。
  142. 内田隆滋

    ○内田説明員 採掘の場所はどの場所であるかということが、いまのところはっきりいたしておりませんので、正確なことは申し上げられませんが、下流側に砂利採取の場所があると洪水時その他で非常に危険でございますので、場所その他をよくチェックいたしまして、厳重な注意をいたしたいと思います。
  143. 土井たか子

    ○土井委員 これは下流はもとより——下流がそういうことであるなら直接であります。しかし、上流の砂利採取についても、この下流に及ぼす影響が大きいということを地質学者ももうすでにはっきり言っているのですよ。したがいまして、富士川のどの部分でどれだけ取られるかということがまだはっきりしないから、その点をはっきりさせてから答弁をさしていただきたいという御答弁、どうもこれまた寒いといわざるを得ないのであります。基本的にどうも富士川について砂利坪取は認められてないはずだという前提から出発して、この安全性の確認ということについては一〇〇%責任が持てないと私は言いたいわけであります。いかがですか、はっきりこのことについて責任を持ってくださいますね。そして具体的にどういうふうにしたいかということを、ひとつここではっきりさせておいていただきたいと思います。
  144. 内田隆滋

    ○内田説明員 私としては、新幹線の構造物に対しまして万全の保守をしていると確信を持っております。ただ、先生指摘のような事実について直接聞いておりませんので、この点につきまして取り調べをいたしまして、後刻御報告をいたします。
  145. 土井たか子

    ○土井委員 くどいようですが、万全の責任を持っているとおっしゃる。そのおことばからすると、どうも相前後矛盾しておるように思います。あとは、そういう事情について聞いていないから、ひとつ取り調べて、それから対策をひとつ考えたいというお態度です。全部についての全責任を持つというふうなことであるならば、すでにこの砂利採取に対して内閣総理大臣から、また富士川をはじめ十河川について解禁が出たというその段階で、事実については調査が進められておっていいはずであります。また事実について確認をされておっていいはずでありますが、この点まだ御存じないらしい。ひとつこれから調べてみてというふうな御答弁でありますから、これは責任の持ち方についても万全を期するというふうな点からするとずいぶん欠けるところがあるのじゃないか。——笑いごとじゃないです。笑いごとじゃないですよ。私たちは、しょっちゅう国鉄あるいは新幹線を利用いたしますが、新幹線に乗って、あっちこっち利用している途次、やはりそういうことを考えます。安全だろうか、だいじょうぶだろうかということを考えますよ。そういう点からしますと、いまそれはだいじょうぶです、安全性の確認については全責任を持って臨んでおりますとおっしゃる。そのおことばからすれば、先ほど来の御答弁というのはまことに心さびしい。したがいまして、これは何ぼ押し問答をしてみてもむだなようでありますから、早急にひとつ事情について確認をしていただきまして、そしてその上でどういうふうに対処するかということもはっきりと知らしていただきたいと思います。国鉄総裁よろしゅうございますね。そのことについては、ひとつ口頭でなしに文書でちょうだいできますか。これまた委員長にひとつお願いいたします。
  146. 磯崎叡

    磯崎説明員 承知いたしました。
  147. 土井たか子

    ○土井委員 さらにもう一つあります。時間一ぱいでこれはお尋ねをしたいと思います。  全国新幹線網、その中でいま路線が問題になっている東北新幹線についてであります。東北新幹線については特に大宮−赤羽の問題が、ずいぶん以前に考えられていた予定の工法と変わりまして、地下方式をやめて全線高架式にするという提案が運輸省から出されました。これは三月段階の話であります。運輸大臣、これは確認させていただいてようございますか。
  148. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 政府委員から御答弁させます。
  149. 秋富公正

    秋富政府委員 先般、埼玉県知事それから地元市長さん、区長さんが見えましたときに、一つ考え方といたしまして、いわゆるそういった通勤線の新設を新幹線と併設して考えることも一つ考え方という点で申し上げたわけでございます。
  150. 土井たか子

    ○土井委員 通勤新線と併設するということを、いわば俗なことばでいうと、取引に使われるのもこれはおかしな話だと思うのであります。本来、あれは地下方式ということでお考えになっていた部分、さらにはそうなっていない部分についても、住民の方々は、あそこは住宅密集地でありますから、高架式でなくて地下式をということを要望として持っていられたということは、御存じのはずであります。  この問題か後に高架式になる理由を聞いてみますと、沿線は十年間に一メートルもの激しい地盤沈下を起こしている場所が多いから、したがって地下方式をとるのにはふさわしくない個所であるという理由らしゅうございます。しかし、考えてみますと、これは新幹線が通過している場所を考えていただきたいのです、大都市、産業都市、過密地帯。新幹線が通過する場所あるいは駅がつくられる場所、全国網について申しますと、およそそういう個所でございましょう。そういう個所をとにかくネットワークとして結ぶというところに、新幹線構想の中心課題があるんじゃなかろうかと私は思う。そういう点からしますと、地盤沈下という問題は、確かに埼玉県はいま南のほうからずっと地盤沈下が北上いたしております。そうして荒川周辺のみならず、大体地盤の沈下の地域は広がっていっております。しかし、これは埼玉県下一地域に問題にされる問題じゃなくて、地下水のくみ上げ等々によって、地盤沈下という現象は産業都市、人口過密地帯、いずれの地域についても考えておかなければならない基本的な問題でございましょう。どうして今回のこの地域についてだけ、特に地盤沈下がはなはだしいので、ひとつ地下方式は見合わせて、高架式にしたいということをお申し出になったのか。その点については、技術面はけっこうであります。シールド方式とかオープンカット方式とかいろいろお述べになるかもしれませんけれども、そんなことはけっこうであります。しかし、端的に言うと、これは経済効率の問題じゃないかと私は思います。しかも、運輸省はこういうことについて提案をなすった、地元のほうでは、この提案どおりこれでよろしいとはおっしゃっておりません。まだなおかつ地域に起こるところの——すでに東海道新幹線を見、山陽新幹線を見ると、こういう公害が起こるべくして起こるであろうということをお考えになる方は、高架式はごめんだとはっきりおっしゃっておりますよ。どうしても地下方式でやらなければならないということが問題になってくる。  そこで私は、早くもこの三月段階で運輸省は、そういうふうに通勤新線というものを併設してやるから高架式を認めなさいという態度でこの問題を非常にゴリ押しに押されるのかと思っておりましたら、この五月十一日の運輸委員会で斉藤正男委員の、赤羽付近を通過する際に星美学園のキャンパスを通ることになる、これはけしからぬじゃないかというふうな質問に対しまして、国鉄当局のほうからは、赤羽地区については新幹線工事について運輸省の認可をいただいておりますが、地元にはまだ正式にルートの発表をいたしておりませんという始まりで、しかしながら、そういう学園のキャンパスを通る場合にも地下で音がしないように考えるからだいじょうぶだという意味の御答弁であります。さすれば、これは三月段階できまったがごとくに見える、この地下方式を断念されたように見える運輸省さんの考え方と、いまここの答弁の中に出てきた国鉄側のものの考え方は、まだ一つになっていないように思うわけであります。一体どっちがほんとうであって、どういう態度で国鉄は臨もうとなさっているのか、その辺をもう一度明らかにしていただきたいわけでございます。
  151. 磯崎叡

    磯崎説明員 東北新幹線のルート、特に埼玉県並びに東京都の北区については、いろいろ問題があることは事実でございます。その星美学園のほうは、これは地下でございます。元来、あそこは高台にございます。御承知のとおり星美学園は高いところでございまして、その下を通るか通らぬかという問題でございます。元来、北区については、たとえ高架でいこうともあそこは地下で通らざるを得ない、非常に高いところでございますので、そういう問題でございます。あそこの学校は、地下を通られることも困るというふうにいま言っておるように私は聞いております。  それから、荒川の向こうの問題でございますが、これはいまちょうどいろいろ話が進行中でございまして、非常にデリケートでございますが、私どもといたしましては、三月十日に知事にお目にかかりました直後に、あの上尾の事件かあったわけでございます。いわば埼玉県の通勤問題というのは、本来あの線がなくても、東京の地下鉄を川を渡って高架で埼玉県下に延ばす、こういう案もあったわけでございます。したがって、それを頭に置きながら——東北だけならば問題はないのでございますが、たまたま北陸の問題が一緒に出てまいりました。したがって、大宮以南の東北線と北陸線とが同じ線路を走ることは線路容量からいって不可能だということで、大宮から以南は、東北と上越、北陸を分けなければいけない、こういう事情に差し迫ってきたわけでございます。すなわち初めの案をつくりましたときは東北線だけの案でございましたが、その後調査線がふえまして、そして北陸その他が出てまいりましたので、もう大宮以南を両方の線路でもって共用できないから、新幹線二つつくらなくちゃいけない。それならば片方は在来線の上に乗せて、片方は在来線の旅客列車を裏に回すということによりまして、かたがた通勤輸送の緩和もできるということで考えたわけでございまして、それならば私どもとしては、本来的に高架でやるべきだという考え方であったわけでございます。
  152. 土井たか子

    ○土井委員 いま在来線とおっしゃった、その中身はすでに高架式でありますか。いま在来線とおっしゃっている中には、たとえば武蔵野線なんかは貨物の引き込み線、大宮かいわいは、総裁のほうがよく御承知だと思いますが、地下方式を一部とっておりますね。そういう点から考えまして、これはやはり問題は経済的効率ではないのです。公害防止のためにどれだけ懸命に努力をするかという問題、それから安全性の確保ということにどれだけ努力をするかという問題。冒頭運輸大臣が安全性の確認こそまず第一だということをおっしゃったことからすれば、どこまでもこれははっきりさしていただきたい問題であります。したがいまして、高架方式がいいか地下方式がいいか、これは経済効率の上から考えられるべき問題ではなくて、やはりいま申し上げた安全性の確認ということと、公害を防止していくということと、この二側面を決してお忘れなきように。この大宮線の問題でも赤羽−大宮間をどういうふうに取り扱うかということについても、ひとつお考えをもとに戻して、考え直していただくくらいの態度で取り扱っていただきたい問題だと思うのであります。  特に私がこういうことをことさら申し上げるのには、この同じ五月十一日の運輸委員会での斉藤委員質問に対しまして、国鉄当局側ほ答弁の中に、新幹線東京から新大阪間三時間十分というこのスピードをスピードダウンすれば、あるいは騒音に対しても振動に対しても、中身をもっともっと押えていくことができるじゃないかという趣旨のこの質問に対しまして、こういう答弁があります。「やはり東京−大阪間を新幹線を御利用になっているたくさんの方々に、三時間十分のサービスをいたすということは、日本の経済のために非常に大事なことではないかというふうにわれわれは考えております。」日本の経済のために非常に大事なことであるからスピードはアップして走らなければならない、こういう姿勢でもって私は、万事これからの新幹線計画なりあるいは新線の増設なりをお考えいただいたら困ると思うのであります。そういう点から、いま東北新幹線の大宮−赤羽間の問題についてももう一度問題をもとに戻して、地元住民の方々の要求を何よりも大事に、しかもその中身は安全性の確認と公害防止ということで貫くというこの意味から地下方式というものを全然考えていないわけではないか、あるいは地下方式というのを考えるのにやぶさかではないか、その辺をもう一度確認させていただいて、私きょうは質問を終わりたいと思います。
  153. 磯崎叡

    磯崎説明員 先生のおっしゃいました安全の問題と公害の問題とは必ずしも両立しない場合がございます。安全サイドから申しますれば、地下より高架のほうが安全であること、これははっきりいたしております。しかし、そういう問題ではなくて、おっしゃったことは鉄道と環境との調和という問題だと思います。私どもは、いままでもっぱら鉄道技術ばかりをやってまいったわけでございますけれども、いまや鉄道と環境の調和という全然違った次元、しかも鉄道を超越した次元というものがあるということははっきりいたしております。したがって、私どもの技術者は、いま鉄道の本来の姿というものは環境と調和することを前提としてこれからの鉄道を考えるのだという考え方に相当急角度に変わってきております。思いまどろっこいこともあると思いますが、私どもはわれわれ技術者の良心にかけまして、そう遠くない期間にわりあいに静かで早い鉄道をつくるということもわれわれの目標でございます。いまの大宮付近の問題につきましても、いろいろ先ほど申しましたとおり、ちょうどいまデリケートな段階でございますので、私としては何事も申し上げられませんが、私はあくまでも三月十日にいろいろ知事さんとお話しした線でコンセンサスを得ていただきたいという気持ちでございます。
  154. 土井たか子

    ○土井委員 それはいま私が質問させていただいたことに対する具体的な答弁にはなっていないのであります。地下方式ということを全くお考えにならないか、それともやはり考えることにやぶさかではないか、それについてはやはりもう一度努力して考えなければならないとお思いであるか、その辺はいかがでありますか。
  155. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま申し上げましたとおり、この問題は三月十日に知事と私とじかにお目にかかりまして、そして先ほど先生のおっしゃったラインに沿って極力地元のコンセンサスを得ていただきたい、また得るように努力しようというふうなお話もございました。そういうことがいま進行中でございます。いろいろ難行苦行がおありのようでございますが、進行しておりますので、いまここで私が三月十日にお互いに話し合ったことを変えるということを申し上げるわけにはまいりません。
  156. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、最後に一言だけ確認をいたしておきますが、地元の自治体の側が了承なさらない限り、このいまの方法によるところの建設は強行なさらない、こういうことでありますね。
  157. 磯崎叡

    磯崎説明員 もちろん公共団体の中の土地を通りますし、いろいろお世話にもなることでありますので、そういう点の御了解を得られない限りは工事はやりたくてもやれないということであると私どもは思います。
  158. 土井たか子

    ○土井委員 これで終わります。   〔井原運輸委員長退席、上村地方行政委員長着席〕
  159. 上村千一郎

    ○上村委員長 林百郎君。
  160. 林百郎

    ○林(百)委員 私は地方行政委員といたしまして、国鉄地方自治体との関係について二、三、国鉄当局並びに運輸大臣質問をしたいと思います。  その一つは、国鉄の路線決定のあり方がはなはだ非民主的な事例が多いということであります。一つの例を申しますと、たとえば中央東線、これはもうあらかじめ調査をするように国鉄へも言ってありますので、調査してあると思います。また国鉄でも十分認識を持っておられると思いますが、中央東線の岡谷線と塩尻駅の間にトンネルを設ける、こういう路線発表が昭和四十年四月ごろ行なわれまして、それ以来地元の部落から九年間にわたって反対の意思表示がありましてこれが実施されておらないわけでありますが、そもそもこの中央東線の岡谷駅−塩尻間にトンネルを設けるということが出ましたのは、昭和三十九年に内陸唯一の新産都市として指定されました諏訪・松本の新産都市、これと国鉄の第三次計画の一環として生まれてきたわけであります。  国鉄は当初上諏訪−塩尻間の複線の短絡化を計画して三つの案を示しまして、諏訪、上下伊那関係市町村の対立を、いまになって見ますとあおるような策を弄したと言っても過言ではないような態度をとりました。その結果、岡谷市当局としては国鉄利用債の十億をも引き受けまして、そして反対のある地区は通過させないでトンネルをつくるということを市長が地元民に示して、そうしてトンネルを掘さくすることを一応岡谷市の市長としては承諾したわけであります。ところが、その後その案がまたもとへ戻りまして、いま反対しておる両部落を通過するという案にまた戻ったために市長の公約が破れてしまい、その後、昭和四十三年の十二月八日には、反対の熾烈が地元国鉄国会議員、県知事、市長の五者の間で、国鉄計画路線を白紙に戻して全面的に再検討する、第二は、今後国鉄地元住民との話し合いによって問題を解決する、第三には、国鉄は話し合いをするには国鉄案には固執しない、第四には、県と市は国鉄案支持の立場をやめて中立的立場に立って窓口となる、こういう合意を五者の間でしたわけであります。国会議員も立ち会って行なわれました。  このように地元に激しい反対があるというのは、当該市の中で最も人口が稠密な地域あるいは山と川にはさまれた非常に狭い地域に現線の複線、あるいは新しい諏塩トンネルに基づく複線、あるいは高速自動車道路が通ることによって部落全体が蒸発してしまうというような問題もあってこのような激しい反対が起きてきたわけであります。  国鉄は五者会談で、白紙に戻ってフランクな立場で反対する地元の人たちと話し合いをするということを一たん約束をしたわけでありますけれども、しかし、その後依然として住民に対して夜間戸別訪問をするとか、あるいは手紙の戦術を設けるとか、あるいは新産都市会議などによって市への圧力等を加えて、白紙に戻りフランクな立場で地元の皆さんと話し合って納得の上で行なうというルールが守られていないわけであります。その後昭和四十六年十月五日、これは国会の中で、当時の国鉄本社の内田建設局長地元の人たちと国会議員との間で、国鉄案を一方的に押しつけるようなことはしない、地元と対等の立場で話し合う、国鉄は土地収用法を強行するようなこともしない、こういう約束もしたわけであります。  これらが問題でありますが、こういうように国鉄は表面ではフランクに話し合いをする、あるいは地元と対等の立場で話し合いをする、こういうことを繰り返して九年間たってきたのであります。ところが、ことしの二月二十六日に長野県知事に対して長野工事事務所の所長の服部氏が突如として、三月七日から土地収用法の十一条によって強制の立ち入り調査をするという通告をしてきたわけであります。そればかりでなく、最悪の場合には機動隊の出動も考慮する、こういうことを言明して、従来国会議員が立ち会い、あるいは地方自治体が立ち会って、国鉄と反対しておる地元民との間で円満な処理をするというこのルールを全く無視した強硬態度に出てきた、こういうことを国鉄当局は——鉄道行政についてはあとでまた運輸大臣にお聞きすることにして、まず国鉄当局にお尋ねしましょう。国鉄当局はこういうことを知っておるのでしょうか。最悪の場合には機動隊まで出動して強行の調査、測量をするというようなことを、工事事務所の所長が言明したという事実を知っておりますか。
  161. 磯崎叡

    磯崎説明員 塩嶺峠の問題は、この問題で先生にも何べんもお目にかかっておりますし、長い間、地元御出身の各先生方超党派でこの問題につきましてごあっせん願ったことにつきましてはありがたく御礼を申し上げます。しかるに、今日まで約十年かかってまだ解決しないということは、われわれとしては決して無理をしてないという証拠ではないかというふうに私は思っております。ただ、いま先生の御指摘の機動隊云々の問題につきましては、言った言わないの問題もあるようでありますが、もし何でしたら担当の内田常務からもう少し詳しく事情を御説明いたさせられると思います。
  162. 林百郎

    ○林(百)委員 時間の関係がありますから、いきさつはもうあなたが知っている、内田常務は私とも立ち会っているから知っているはずであります。そうすると、国鉄としては機動隊まで出動して土地収用のための事前測量をする、あるいはこれを強行するという方針ではなくて、どこまでも話し合いで行なうという方針は変わらないのですか。それを確認しておきたいと思うのです。
  163. 内田隆滋

    ○内田説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  164. 林百郎

    ○林(百)委員 これが地方自治体に関連をしてくるということは、この三月七日に土地収用法の第十一条によって強制立ち入り測量をするという通告を県知事にしまして、続いて十二条に基づいて岡谷市長に対して測量の通知をしてきたわけですが、これには仮処分による測量の停止等の申請がありまして、三回にわたって裁判所から書類の訂正などを受けたわけでありますが、しかし、いまもって測量するために立ち入ることを必要とする個所も人名も記載のないような通知が岡谷市の市長に持っていかれているわけですけれども、ここで問題にしたいことは、このように地元民が反対しておるそこの市長に、土地収用法の十二条によって立ち入りの調査を通知する、こういうことをしますと、市長はこれを五日以内に公告をしなければならないということになっておるわけですね。これは御存じのとおりだと思うのです。ところが、地方自治体の首長としては、住民が非常に強い反対をしているにもかかわらず、国鉄がこういうゴリ押しをすればこれを公告しなければならない。あたかも土地収用法に基づく執達吏の役割りを地方自治体の首長がしなければならない。これはもう地域住民から選出された首長の民主的な立場が、国鉄のゴリ押しのために全くじゅうりんされてしまうわけなんですね。こういう国鉄の非民主的な路線決定のために、地域住民が選出した地方自治体の首長に国鉄の執達吏の役割りを果たさせるような公告を五日以内にしなければならない。ところがもう少し詳しく申しますと、実はこのとき議会を開きまして、市長としてはこのことを議会にはかっていたわけでございます。ところが五日という期限が迫ってくるわけですから、議会は非常に白熱化した論議がかわされている。どうしても五日以内に公告しなければならないということで、市長はやむを得ず、トイレに行くといって議会の席をはずして、そうしてそこにあらかじめ打ち合わせておいた市の吏員に国鉄から持ってきた立ち入り調査の書類の公告を命じている。このことがあとで問題になりまして市議会を愚弄するものじゃないかとか、あるいは市民を愚弄するものじゃないかとか、市長がトイレに行くといってだまかして開かれている市議会の席をはずして国鉄の公告をしなければならないというような市長の立場は、全く地方自治の精神をじゅうりんするものじゃないか、こういう非難を受けているわけなんですよ。しかし、市長にしてこの立場に追いやったのは、地元民が九年間も反対しているにもかかわらず、国鉄が何らこれについて誠実を持って再検討する——口ではそう言ったって、全然その実証がないわけなんですから、そういう路線の決定の方法で一体いいのかどうか、これについてお聞きしたいと思うのです。そうして地方自治体をこのように国鉄の手先にしてしまっている、市長をしてトイレに行くとまで議会を欺いて、国鉄のために公告しなければならないような立場に追いやることがいいとお考えになるのかどうか。今後いろいろの場合路線の決定の問題が起きてくると思いますが、こういう点について私は国鉄当局、それからこれは国鉄の行政にも関することでありますから、大臣にもひとつ見解をただしておきたい、こういうように思うわけです。
  165. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 具体的な事情につきましてはよく存じませんので、国鉄当局からお答えをすると思います。しかし私ども国鉄をして新幹線、あるいはその他の路線でもそうでございますが、これを建設しようといたしますことは、結局国全体の発展のためということもございますが、やはり一方から言いまして地域の発展ということにも関連いたしますし、地域住民の利益になるということにもつながってくると思いますから、そういう新線の建設について計画を進めるわけでございます。その場合に、御承知のように関係者の間からはいろいろな意見が出てまいります。中には、一つの町でも反対と賛成と二つに分かれてしまって困っているような事態もないことはございません。そういう場合に、これは形式論かもしれませんけれども、ほんとうにこの地域の多数の方々が賛成かどうかということを判定いたしますのは地方自治体でございます。地方自治体を窓口といたしまして、私どもはその地域意見を取りまとめてもらうというのが通例行なっているところでございます。したがいまして、地方自治体の方々が反対であるということにつきましては、私たちはそれを強行いたしまして、何でもかんでも無理やりに建設しようというような意図は持っておりませんし、そういうことはまた実際できるはずもないと考えております。いろいろのケースについていろいろな事態が起こるかもしれませんが、基本的には私どもはそういう考え方で進んでまいりましたし、今後におきましても地方自治体とは十分密接な連携をとり、そうして地域のためにもプラスになるような建設計画を進めていくように努力をしなければならぬことは既定方針でありまして、その点は御了解いただきたいと思います。
  166. 林百郎

    ○林(百)委員 私がいま問題にしておりますのは、直接路線が引かれる地域、取りこわされる家屋が六十数戸、七十戸近くですか、それから人口にして約四千人くらいの地域ですが、この地域で反対が強いということで、国鉄工事事務所長が機動隊を導入するということについて、昭和四十八年三月十四日、岡谷市議会の決議としてこういう決議が行なわれていますが、これはあなたの先ほどの自治体の意向は尊重するという立場から、運輸大臣はあくまでこの立場を尊重されるかどうか、確認をしておきたいと思います。その決議は、「中央東線諏塩トンネル問題は、八年の長い経過の中で、最近国鉄が土地の測量通知を岡谷市の橋原、三沢地域に通知してきました。ところが、長野工事事務所長は、機動隊を要請導入等の談話を発表されたと伝えられております。このことは、地区住民はもとより、岡谷市民は多大の不安と危惧にかられております。この解決のためには、双方十分な話し合いをなし、不当な行為、機動隊の導入等は回避されるよう要望します。以上決議する。」という決議がなされています。先ほどの運輸大臣答弁からいって当然この精神は守られるものである、こういうように考えますがどうかということと、具体的に路線の設定、トンネルの掘さくについては、直接その犠牲をこうむる地域住民の人たちの納得の上に行なわれる。その納得なくしては行なわない。要するに、強制収用を適用するあるいは機動隊を導入するというような強権の発動はしないということがここで約束できるかどうか、答弁願いたいと思います。
  167. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 地方自治体の御意見は尊重しなければ実行できないと思います。その意味では先ほど申し上げたとおりでございます。  それから関係地方住民との関係でございますが、地方自治体がそういう結論をお出しになるにつきましては、やはり地方自治体も責任を負ってもらわなければ困ると思うのであります。でありますから、もしかりに——かりの話です。かりに地方自治体でこういう路線で決定をしてしかるべきだ、こういう結論が出ました場合に、なお地方住民の方で、しかしうちの土地はどうしても出すことは困る、ここを通っては困る、こういう意見が出るかもしれません。そういう場合にはやはり地方自治体も責任を負っていただきまして、関係住民の方々には納得のできるような方法をもってその建設計画を進めていくというような方法をとるというのが通例でございまして、この点は地方自治体の意見を尊重いたしますけれども地方自治体におかれましても十分その責任を持ってもらいたい、私はそう思っております。
  168. 林百郎

    ○林(百)委員 同じような問題が実は東北新幹線路線計画について、現に東京都で行なわれておりますから、この点についてもお尋ねしておきたいと思うのです。  東京都では東北新幹線の路線計画について——これは同僚委員から若干関連するような質問もありましたけれども、私は路線決定の民主的な態度という観点からお聞きしたいと思うわけです。これは千代田区をはじめ北区、台東区、荒川区、板橋区など、猛烈な反対運動が起きていることは運輸大臣も御承知だと思います。現在依然として事態は進展しておりません。この事態の解決のために、大臣国鉄総裁は一体どういう方針をこれからとっていく考えなのか、まずその点をお聞きしておきたいと思います。(発言する者あり)委員長、この不規則なやじはとめてください。私は、やじする限り質問いたしません。不謹慎です。
  169. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほどの塩嶺の問題でもそうでございますけれども、塩嶺のときは、先生承知のとおり、初め下諏訪から分けるという案もあったわけです。そうしたらどうしても岡谷から分けてくれというので、岡谷に話をしてああいうことになった。私も多少地元の御意見を聞きまして岡谷市にしたのです。どうしても岡谷からとおっしゃったものですから……。(発言する者あり、林(百)委員委員長、不規則発言をとめてください。だめです。ああいう不規則発言をしている限り質問ができませんよ。答弁が聞こえないのです」と呼ぶ)ですから、下諏訪から分けると申しますと、岡谷の責任者の方に私じかにお目にかかりました際、下諏訪から分けられては困るから、ぜひ岡谷から分けてくれ、こういうお話でございました。もう七、八年前でございます。それじゃ岡谷にいたしますといっていろいろ地元意見を聞いて岡谷にしますと、今度は岡谷が困るという。地元意見を聞けとおっしゃいましても、地元の御意見も変わることがございます。そういう意味でなかなかむずかしいわけでありまして、塩嶺の問題は今後ともひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  それから東京の問題でございますが、これはもう少し時間をかけなければいけないというふうに思っております。東北新幹線、先ほども午前中にある先生から御質問ございましたが、やはり東北の方々は、東北新幹線によって東北に黎明がくるのだという御意向をお持ちのことは確かでございます。それをどうしても東京につなげなければいけない。東北新幹線東海道新幹線を結ぶということは、これはいわば東北の方々の夢のように思うのでございます。これはどうしても私は実現いたしたいと思います。これは国鉄だけのかってな車の運用がどうということではなしに、東北東海道を直結するということは、やはり新幹線の大きな意義であるというふうに存じます。したがいまして、私はどうしても東北新幹線東海道新幹線を結びたいという気持ちには変わりございません。しかしそれには、私のほうの技術者に申しましていろいろ案をつくらせましたが、やはりいま御提示している案以外にないと私は考えます。したがって、これを御納得のいくまで私としては十分地元に御紹介し、御納得のいくように努力するという以外には私の進むべき道はないというふうに考えます。
  170. 林百郎

    ○林(百)委員 国鉄側の一応の熱意は、それは総裁の答弁でわかりますけれども、しかし、直接路線を敷かれることによって犠牲になる地域の人たちがその国鉄の熱意とは反対の態度をとっている限り、民主的にその人たちの意見を十分くみ取って、その人たちと調整をした路線決定をするのが民主的な態度じゃないかと思うのです。いま聞いていますと、総裁の情熱だけは聞かされておりますけれども、しかし、いま反対している人たちの意見をどのように今後くみ取っていくかということについての具体的な答弁がないわけですね。  具体的にお聞きしますが、東京都北区の議会から「東北・上越・北陸新幹線準備工事に関する緊急意見書」が提出されておることは御存じだと思います。この中で「東京駅−田端駅間の準備工事をただちに停止し、北区の承諾なしには工事をしないこと」、それに「現在計画の再検討をただちに行なうこと」、この要望が北区の議会から議会の意見書として出ているわけですね。先ほど運輸大臣は、地方自治体の意向は十分尊重する、地方自治体の意向を無視しては国鉄の路線決定遂行はできません、こう言っている限り、この北区の意見を取り入れざるを得ないと思いますけれども、これについてはどうお考えになりますか。
  171. 内田隆滋

    ○内田説明員 この点につきましては、先ほどの御質問に総裁から御答弁がございましたけれども、この工事はすでに運輸省の御認可をいただいておりますし、国鉄としては新幹線を五十二年の春までにつくる義務がございます。そういう意味で基本的なルートの問題あるいは地元との設計協議その他御要望、それらの問題については十分地元お話し合いをしてやってまいりたいと思いますが、工期に制限がございますので、いわゆる国鉄の用地内の工事については、ある程度のものは進めさせていただきたいと思うわけでございます。
  172. 林百郎

    ○林(百)委員 このことは北区だけでなくて、千代田区からも同様の区議会の意見書が出ておるわけですが、これを見ますと、やはり工事計画地域住民要望するように変更してもらいたいという要望が出ているわけですね。世界で最大の過密都市である東京都に国鉄のほうの計画だけで新幹線を通過させようとするならば、その地域の人たちがこぞってそれに対して批判的な態度をとるのは当然だと思うのですよ。土地の余裕があり、空間的な余裕があるところならば別として、もう世界で類例のないような過密都市になっている東京の都内に新幹線を設けるというのですから、これはむしろ反対するほうがあたりまえだと思うのですね。そこで沿線の住民の間では、生活環境や教育環境が著しく破壊されるという理由で反対の運動も起きていますし、また地方自治体では自主的な部市計画や町づくりに重大な支障を来たす、こういうことで国鉄のやり方について強い批判が起きているわけですね。  そこで、路線を決定する前に、反対が起きてどうにも手のつかなくなる前に関係住民地方自治体の意見を徴して、そして路線を決定する、こういう方法を国鉄としてはとる考えはないのかどうか。ことに東京都のような人口稠密地域ではあらかじめそういう手だてを講じなければ、反対が起きるほうが当然だと思うのですよ。それを一方的に上のほうで路線をきめて発表する。発表した以上は、国鉄のメンツにかけても変更はできないのだといって押しつけるだけだという態度では、これからの路線の新設は私は非常な大きな抵抗を受けると思います。そういうあらかじめ路線決定の前に自治体や関係住民意見を聞く、少なくとも公聴会なりを開いて路線を決定をする、こういうような態度が正しい態度だと思いますが、こういう考えがあるかどうか、お聞きしておきたいと思うのです。
  173. 磯崎叡

    磯崎説明員 先生お話しの趣旨は私よくわかっておりますが、ただ実際問題として、私ども路線の具体的なルートを決定する場合には、相当いろいろな角度からしかるべき方々の御意見を徴したり、またいろいろな一般的な御意見を徴したりしておるつもりでございます。ただ、それを形にあらわすということがなかなかむずかしい問題でございまして、地元住民の方々、各ルート別、地区別の御意見等をそんたくいたしまして しかもこれは単にそれだけできまるべきものでなくて、カーブの問題勾配の問題その他技術的なさまざまの問題当然これらを考えなければいけませんので、そういうことを総合的にきめるわけでございまして、いままでも全然無視してやったということではなしに、やはりあらゆる角度から地元の方々の御意向をそんたくしておるつもりでおりますので、今後ともなるべくそういう線に沿ってやっていきたいと思います。
  174. 林百郎

    ○林(百)委員 するつもりでありますという程度で済む問題じゃないわけなんですね。だから、私のほうから具体的な案を提案しているわけですから、少なくとも公聴会等を開いて関係住民意見を聞く、こういう手だてくらいはとるということはここで答弁できませんか。もしできないとすれば、私はこの問題は留保して、また適当なときに国鉄の態度について根本的に問いただしたいと思います。これは地方自治の自治権に関する重要な問題にからんできますから、公聴会を開くということが確答できるかできないか。できないとすれば、私はこの問題は留保して、次の質問に移らざるを得ません、時間の問題がいまここで論議になっていますから。できないならできないで……。
  175. 磯崎叡

    磯崎説明員 その問題はこの席では確答できません。
  176. 林百郎

    ○林(百)委員 できないという以上、私はこの質問は留保して、適当なときにまた徹底的に地方自治体と国鉄との路線のあり方について質問いたしたいと思います。  最後に、時間がありませんが、これは自民党の中山委員質問されたのですけれども利用債の問題です。これは地方自治体が現に持っている額が千三百十五億というのですか、あるいは地方自治体があっせんをした額の残高が千三百十五億というのですか、この点はっきりさしていただきたい。
  177. 小林正興

    小林説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいました一千三百十五億といいますのは、利用債といたしましてお引き受けをいただいております総額でございます。この中で自治体は幾ら持っているかという御趣旨のお尋ねかと思いますが、先生承知のとおり、利用債はおおむねその利用債お引き受け願うにつきまして各地域地元におかれまして期成同盟会等が中心になって、責任ある方が中心になられましてお引き受けを願っておるわけでございまして、その中の構成メンバーがどういう形になっておるか、また一たんお引き受け願った利用債がどういう形で現存しておるか、これは手放してお売りになっておる面もあるやに仄聞をいたしておりますが、そういった意味で、現在高自治体の分幾らかということについては、国鉄におきましてはつまびらかにいたさないところでございます。
  178. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、その利用債利子補給、あるいは価格差補給もあると思いますが、これは総額幾らになっておるのですか。ここ数年間わかった数字を出してください。
  179. 小林正興

    小林説明員 ただいまお尋ねの利子補給と申されましたのは、おそらく期成会等においてお引き受け願った利用債を処分されるという場合に、そこに金融状況なりあるいはその当該団体と金融機関との関係等、いろいろバラエティーはあると思いますけれども、利差を生ずる場合の損失の補てんの問題かと思いますけれども、この点につきましては、期成会とそれぞれケース・バイ・ケースにおける具体的な内容の問題でありまして、国鉄のほうではこれはわからないわけでございます。
  180. 林百郎

    ○林(百)委員 それははなはだ無責任な話です。利用債の現在高はわかっておるけれども、その利子補給が幾ら関係者からなされておるかということを把握しておらないということは、利用債を自治体に引き受けさせるけれどもあとのことは国鉄は知りませんということと同じことになるのじゃないですか。あなたの答弁の前に自治省からお聞きしますが、こういう無責任な——私はこの点についても質問を留保したいと思いますが、そういう無責任な態度で言われたのでは自治体がたいへん迷惑ですよ。  それではもう一つだけ聞いておきます。いま審議されておるこの十カ年計画の中で、あなた方は一体利用債を幾らと見込んでおるのですか。
  181. 小林正興

    小林説明員 節単に答弁させていただきますが、十年間で十兆五千億の投資を予定させていただいておりますが、その中で資金源といたしまして、それぞれ財投で幾らあるいは特別債で幾ら、利用債で幾らということにつきましては、各年度別の予算といたしまして国会で御審議を賜わる問題でございまして、その一つ一つの内容、利用債幾らということについては明確になっておりません。
  182. 林百郎

    ○林(百)委員 これは委員長地方行政委員長でよくおわかりだと思いますが、地方自治体の財政にとって非常に重要な影響力を持つ国鉄利用債が、わかっておるのは現在高だけで、利子補給がどうなされておるのか、あるいはこの十カ年計画の中で一体幾ら国鉄は見込んでおるのだろうかということを説明できないということであれば、少なくとも地方行政委員会を代表しておる私としては、その答弁では納得できません。私は、この点はもっと突っ込んだ質問をしなければならない。しかも利用債自身について、国鉄自治省とは見解の相違があるということはあなたも御承知運輸大臣も十分御承知のはずですよ。それほど重大な責任のある利用債についてこんないいかげんな答弁だけで、地方行政を代表する委員として引っ込むわけにはいきません。  それで、念のために自治省の森岡審議官に聞きますが、この国鉄利用債というものが地方自治体の財政の現状からいって親しめるものであるかどうか、従来自治省としては国鉄に対してどういう態度をとってきたかということをここで説明願いたいと思います。
  183. 森岡敞

    ○森岡政府委員 鉄道利用債地方公共団体引き受け、あるいはあっせんをいたしますことにつきましては、非常に問題があるということで、昭和三十年代から運輸省国鉄自治省との間でいろいろ論議を尽くしてまいりました。その結果、私ども自治省といたしましては、利用債引き受けまたあっせん地方公共団体が行なうのは、その債券の発行によって行なわれます工事と、それから地域におきます受益とがきわめて明瞭なものに限定すべきである。具体的に申しますれば、駅前広場の整備でありますとか、あるいは駅舎の改築、立体交差、こういうふうなものに限定をして引き受けないしはあっせんに御協力をする。しかし、全国的な交通のネットワークを形成するような鉄道整備についてまで利用債引き受けさせるということは、やめていただきたいということでずっと通してまいったわけであります。かたがた、いま御指摘のように地方公共団体引き受けないしはあっせんを求めております利用債条件というものが、非常に関連会社あるいは共済組合、他の一般金融機関お引き受けになっておりますものと比べて悪うございます。利率がそういうふうに悪いということは、お話しのような地方公共団体が財政負担を誘発するということにこれは当然ならざるを得ないわけであります。そういう意味合いで利用債条件についても、できるだけ一般の情勢に合うような改善をしてもらいたいということをかねがね申し入れておるところでございます。と同時に、先ほど申しましたように、地元の受益が明瞭なものに限定し、それ以外の一般的な鉄道網の整備、特に新幹線鉄道網の整備のようなものについてはこれは適当ではない、かように考えております。
  184. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんから、森岡審議官、そこでいいです。  そうすると、単に新幹線の通過をするというだけの地方自治体に新幹線利用債を持たせるということは、自治省としてはこれは親しめないものだ、こういうようにお考えになりますか。
  185. 森岡敞

    ○森岡政府委員 新幹線の駅がどういうふうな地域にどういう形でできるかということは、これからの問題でございます。駅のできる、できないという問題とは別に、午前中もお話がございましたように、東海道、山陽、それぞれ利用債引き受けを求めていないわけでありますから、それと同じように東北新幹線などについても御措置願いたい、かような気持ちを自治省としては強く持っておるわけであります。
  186. 林百郎

    ○林(百)委員 時間が参りましたから。そういう状態なのだそうです、運輸大臣。したがって、地方自治体としては国鉄利用債に親しめないもの、もっとも議員立法で、新幹線についてある程度協力しろというような条項のあることは私も知っております。それはさっき自治省のいうように、直接それと利害関係を持つ自治体は別として、単に新幹線が通過していくというだけで、そこから何ら利益をこうむることのない自治体が利用債を持たなければならないということはあり得ないと思うのですよ。しかし、いずれにしましても、もう現在の利用債利子補給、あるいは価格差補給が幾らなされているか、あるいは十年計画の中で大体国鉄としては自己調達資金の中で利用債をどのくらいと見るか、あるいはそれをどういう形で利用債を消化するかという具体的な答弁がなくてはこれはわれわれとしては承服できませんので、この問題は後日質問をまた運輸大臣なり国鉄なりにいたします。このことをはっきり申し上げて、私の質問を終わります。運輸大臣答弁があったらしてください。私は再びこのことは、繰り返して申しますが、再質問することを留保して、私の質問を終わります。運輸大臣、一言答弁あったらしてください。
  187. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 大体におきまして、自治省から御答弁されたような趣旨で動いておることは事実でございます。ただ、議員立法とおっしゃいましたが、新幹線整備のための法律でございますから、この法律の規定をどういうふうに解釈、運用するかということは、今後の運輸省及び自治省の間の問題であろうと思っております。
  188. 上村千一郎

    ○上村委員長 中島武敏君。
  189. 中島武敏

    ○中島委員 新幹線のもたらす騒音、振動、日照その他公害問題はきわめて重大な問題であります。東海道新幹線山陽新幹線には、新幹線公害に反対する大きな運動が起きております。またこれから敷かれる予定東北、上越、北陸新幹線の通過地帯でも、新幹線の現在計画に反対する大きな運動が起きております。  そこで東北新幹線についてお伺いいたしたいと思います。  三月十日、佐藤運輸政務次官が畑埼玉県知事、小林東京北区長らに東北新幹線の大宮以南は上野部分を除き高架にする、この条件地元がのめば、東北新幹線通勤線を併設してもよいと提案をされております。これに対してわが党の平田議員が、四月十二日の交通対策特別委員会で、通勤線は「新幹線を敷くからこれと抱き合わせにすべきだという性格のものではない」、通勤線の問題と新幹線の問題とは切り離して考えなければならないという質問に対しまして、運輸大臣は、「方向としてはおっしゃったとおりに考えております。何も新幹線通勤列車を抱き合わせのように考えているわけじゃございません。」と答えておられます。ところが五月十四日、国鉄東京第三工事局長が北区長らに説明しました内容、手渡した計画図には、東北新幹線と抱き合わせで通勤線をつくるとなっております。しかもこのときの話では、全線高架通過を認めるなら、通勤新線の併設、赤羽駅のかさ上げを考えます、こういうふうに言っておられます。  そこでお伺いしたいのですが、大臣国会答弁されたことと、国鉄が実際に行なっていることはたいへん違うわけであります。これは一体どういうわけか、この点を運輸大臣にまず最初にお伺いをいたします。
  190. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 その問題については一応の報告を受けておりますが、具体的な交渉の内容についてはよく存じません。いまおっしゃったことは、おそらく事実であるだろうと思います。私が国会答弁いたしましたことは方針でございまして、その方針には変わりはございません。いまお話しになりました中で、抱き合わせとおっしゃいましたが、抱き合わせということの意味がよくわかりません。これにつきましては新幹線と並んで、上尾のような事件があったりいたしましたので、あそこにもこういう通勤の路線が必要ではないかというようなことから、そういう話が出たんではないかと私思いますけれども、しかし新幹線をつくるから、一方で反対に対価としてという意味でしょうか、そういう意味で通勤路線をつくりますとかつくりませんとかいうようなことは、これは異質の問題でございますからね。これは別の政策が一本になるということは、これはあり得ることだと思いますけれども、それがいかにも反対給付のような形で交渉されているというようには私は承知していないのでございます。
  191. 中島武敏

    ○中島委員 私が申し上げたことは事実であります。  そこで、それじゃお尋ねしたいのですけれども大臣のいまの答弁では、これは新幹線通勤線を敷くということは異質の問題だ、こういうふうに非常にはっきりおっしゃった。しかし、実際には国鉄当局のほうでは、そういうふうな説明を、私が先ほど申し上げたような説明をしているわけであります。そこでお尋ねしたいのですけれども、それじゃ大臣方針国鉄が臨むのであるとするならば、国鉄当局はいままで言ってきた説明を取り消されますか。
  192. 磯崎叡

    磯崎説明員 現地の末端でどういう御説明をしたか、どちらが先でどちらがあとかということは私はつまびらかにいたしませんが、事の起こりは、先ほども土井先生に申し上げましたとおり、東北新幹線だけならば現在の大宮以南はおおむね現在線に——腹づけということばは鉄道用語でございますが、現在線に腹づけして高架で大体持ってきて、それを赤羽から入れるという案でございました。ところが、それは東北新幹線の路線選定をしたときでございましたが、その後御承知のとおり北陸の問題が非常に急速に出てまいりまして、そしてこれを五十四年までにつくれということになりましたので、結局これはどうしても上越新幹線に入れざるを得ないということで、そういたしますと大宮以南は東北線と上越、北陸線を一本の線路に乗せることは不可能でございます。したがって、本来の計画ならば新幹線を二複線にして大宮から東京まで持ってくるわけでございますが、これはあまりにも能がないじゃないか、それならばせっかくつくったばかりではございますが、大宮以南にいま三複線と申しまして三本複線がございます。そのうちの一つをつぶしてそこに新幹線を走らして、そのうちの一つの、いま急行電車が走っているのを外へ振って、そして新しい通勤地帯を開発して、それと新幹線の、今度の北陸、上越のほうになりますが、それを併設するのが一番いいじゃないかということになったわけでございまして、言い方によりましては——それは私は代償的な意味で言うのではなしに、新幹線複々線が通られては、これは迷惑だと思います。したがって一本は現在線に乗せてしまう、そのかわり現在線が足りなくなるから、その分を新幹線と一緒にして別なところを通す、これが最もいい案ではないか。新幹線二つに分けてしまう、しかしそのかわり片方に、東北の現在線のほうから電車線をこっちに持ってくるという案が一番いいじゃないかということで考えましたもので、これは運輸省のサゼスチョンもございました。  したがいまして私どもといたしましては、どちらが先でどちらがあとということでなくて、たとえばいまの埼玉県の上尾事件ではございませんが、埼玉県の県南というのはどうしてもいまの通勤電車では足りないという問題も一つございます。これは御承知のとおり、東京の地下鉄を川を越して埼玉県内を高架で浦和くらいまで持っていこう、あるいは熊谷まで持っていこうという案があったほどでございます。これも高架でございます。それでかたがた北区というところは、御承知のとおりあの浮間地区その他は非常に交通の不便なところでございます。もう御承知のとおりでございます。北区は非常に鉄道が片寄っておりまして、しかもその鉄道が赤羽駅でもって地平でもって北区を二つに分けている。三分の一と三分の二に分けている。いわば鉄道のために北区の発展が非常に阻害されているとまでいわれております。その意味で浮間地区、いままで全く交通のない、赤羽駅までバスで二十分、三十分かかるというこの浮間地区をそれでは一緒に通勤圏内に入れるべきじゃないかという考え方が起こるのは、われわれ交通屋として当然だと思います。したがいまして、さっき申しました埼玉県の事情並びに北区の事情、それをくんで考えますと、両方を高架にして赤羽へ入れるというのがルートとして一番自然なんじゃないか。かたがたさっき先生質問の赤羽駅のかさ上げの問題これは何もいまに始まったことではございません。前からの問題でございます。先ほど申しましたとおり赤羽駅のために北区の発展が阻害されている、あれが東西の交通を遮断している、これを何とかして上げてくれという話は前からでございます。これをこの際一緒にやろうじゃないか。私どもといたしましては北区に対して相当雄大な計画を立てたつもりでございまして、どちらが先、どちらがあとというような次元の問題ではなくて、私どもなりに、北区あるいは埼玉県南の交通を緩和するためにどうしたらいいかという純粋な気持ちから出たわけでございまして、現場の末端がどっちが先、どっちがあとと申しましたとすれば、これは誤りでございまして、私どもはもっと純粋な気持ちでもって、いままで御不便をかけておった北区の特殊な浮間地区等について何か御便宜をはかれないかというささやかな気持ちから出たものでございまして、その点末端の表現が悪ければおわび申し上げます。
  193. 中島武敏

    ○中島委員 いま総裁のほうから、現地でどういう説明をしたか知らないという、私が聞いておりますといささか無責任とも聞こえるような答弁でもありますけれども、それじゃはっきり確認をさしていただきたいと思うのです。現地では——現地といいますか東京第三工事局のほうでは、もうきわめてはっきりと、全線高架で通過を認めるならば通勤新線を併設するとか赤羽駅のかさ上げを行なう、このことを考えてよろしい、こういうふうに言っておるわけであります。これは、認めるならばということですから、もう明らかに取引条件、はっきり言ってしまえば取引条件であります。そうではなくて、いま総裁が言ったように取引条件ではなくて、全く別個な問題として通勤線を敷くのだというのが総裁の答弁でありますね。全く別個の問題として敷くのだということを確認してもよろしゅうございますか。
  194. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点は少し専門的になって恐縮でございますが、全く別個とおっしゃいますと——通動線を敷くためには、御承知のとおり現在の赤羽−大宮間の三複線がございます。あの三複線の一本を新幹線に使うわけでございます。多少その線路の幅を広げますが、あの電車線のうちの一本を新幹線に使う。そのかわり電車線を外に振ってそれを通勤に使うわけでございます。そういう意味で、全く別個とおっしゃると、非常に話がこんがらかっておりますから……。
  195. 中島武敏

    ○中島委員 つまり取引条件ではない。
  196. 磯崎叡

    磯崎説明員 そういうことです。私がさっき申し上げたのは、そういう取引条件などという——私どもは非常にけちくさい人間だとお思いになるかもしれませんが、もう少し私どもとしても交通屋として、埼玉県南の問題これも私どもしょっちゅう伺っておりますし、北区の方々や先生からもしょっちゅう北区の交通について伺っております。そういう意味で、やはり私どもなりの地域の交通を便利にするという立場からやっているわけでございます。
  197. 中島武敏

    ○中島委員 それでは、現地では実際どうなっているかといいますと、新幹線予定地から少し離れたところの人たちは、通勤線ができるのだったら新幹線をのんでもいいじゃないかというふうにして、意見がだんだんばらばらになるというような傾向もあるわけです。つまりそういう取引条件としての通勤線ということを国鉄当局のほうで説明されたことが基因しているわけですね。そうではないのだということをはっきり確認した上で、もう一つお伺いいたします。  私が国鉄通勤線の具体的計画資料を五月十五日に要求いたしました。これに対して、赤羽−大宮間、新幹線ルートに併設した通勤線を検討中であるが、まだ具体的な成案を得ていないという答えが返ってまいりました。しかし国鉄は、五月二十一日には北、板橋の都議会議員に対して、戸田−赤羽間に一ないし二カ所の駅をつくる、こういうふうに言っております。また五月二十六日の板橋区議会に対しても同じことを言っております。検討中で何ら具体的なことがきまってもいないというのに、戸田−赤羽間に駅ができるというふうなことを言ってよろしいものでありますか、また言うことができるものでしょうか。
  198. 磯崎叡

    磯崎説明員 もちろん北区のどこを通るかということがきまっているわけではございませんし、またどこを通すという案が——ことにあそこは道路の非常に複雑なところでございますので、そう簡単にきめられる問題でなく、これは当然都市計画と一緒あるいは区画整理と一緒でなければできない問題だというふうに考えております。したがいまして、どこへ駅をつくるということは現段階ではきめられるわけではございませんが、先ほど申しましたとおり、私どもとしては、あの交通の不便な北区を何か便利にしなくてはいかぬという気持ちからいえば、あの付近に駅が必要だということば、これはもう申さないまでもおわかりくださっていることだと私は思います。したがってそういうことを申したことが——一つ二つかという問題などはもちろん関係ございませんが、通勤線をつくるということは、やはりあの交通不便なところを便利にしたいという私どもの気持ちでございますので、それには駅がなければできないわけでございます。そういう意味で申したのだというふうに思います。二つと申したとすれば、これは越権行為でございますけれども、駅が必要だということは、これは先生御推測のとおりでございます。
  199. 中島武敏

    ○中島委員 まだ幾つ駅ができるとかそういうことがきまっているわけではもちろんないわけでありますね。また最終決定をしているわけでもないということを確認いたしまして、なお関連してお尋ねいたします。  五月十四日、国鉄東京第三工事局長東京北区長らに対して説明した中に、星美学園は地下を通過すると説明されたようであります。先ほど総裁もそういうふうに言っておられましたけれども、これは間違いないかどうか、質問いたします。
  200. 内田隆滋

    ○内田説明員 地元に提案いたしましたルートではそのようになっております。
  201. 中島武敏

    ○中島委員 この問題に関してなんですが、六月二日に第三工事局長が北区の区長や正副議長その他の人たちに対して、この問題について説明を行ない、図面を渡しておられます。私ははなはだ妙なことだと思っているのです。といいますのは、この星美学園というのの下、線路の走っているところ、ここは海抜六メートル、星美学園は海抜二十メートルであります。つまり地上から十四メートルなんです。先ほど総裁は別の方に言われたように、高台にあるというふうに言われた。それはそのとおりなんです。しかし、それは地上から十四メートルという高さであります。ところが、説明によりますと、トンネルの高さが九メートル必要だ、その上にトンネルと地上との間に三メートル必要だということで説明があったわけです。そうしますと、合わせますと十二メートルですね。そうすると、地上から幾らのところに線路が敷かれるかということになりますと、これは二メートルのところに線路が敷かれなければならないということになります。ところが、予定されているあの地図によりましてこれを調べてみますと、俗称板橋踏切というふうにいうのですけれども、ここの板橋踏切のあたりから西側に湾曲をして星美学園のほうに向かうわけです。この線路の高さが地上十四メートルであります。そこで、その踏切から星美学園までどれぐらいの距離があるか、約二百メートルであります。ところが国鉄建設規程によりますと、新幹線の勾配は千分の十五、特別な場合は千分の二十五ということになっているわけであります。幾ら下がることができるか。かりに千分の二十五という場合を適用したとしても、五メートルしか下がることはできないわけであります。これでどうして地下通過ができますか。
  202. 内田隆滋

    ○内田説明員 私のほうの概略の設計によりますと、大体地下三メートル、さらに勾配を突っ込みますと六メートルぐらいまでいくようなことになっております。しかし、御承知のように、これはいまの概略設計でございまして、実際には精密に測量をいたしてみませんとどういうことになるかわからないと思います。この点については多少の誤差が出てくると思いますので、できるだけ早急に測量だけをさしていただきたいというふうに考えております。
  203. 中島武敏

    ○中島委員 これは多少の誤差どころじゃないですよ。それはもうだれが考えたって、あの地域の状況を知っている人は、通れるものじゃないということがはっきりしているのです。私、いま数字を申し上げましたけれども、そういうことをいって地下通過をするのだから、学校には障害を及ぼさないのだというふうに説明されていらっしゃる。星美学園のほうからは何回も陳情書が出ている。私は、これが解明されない限りは、いまの御説明ではとても納得するわけにはいかないのです。これはどういうことですか、私はとてもこれは現実の問題として納得できませんね。  お聞き及びのとおりなんです。この問題について、私は質問を保留する以外にないのです。同時に、この連合審査に対して十分納得のいく御説明をいただきたいと思うのです。このことをひとつ委員長お願いしたいと思います。いままで言われてきていること、まるきりこれは、とてもじゃないけれども、地下を通過できるなんという状態じゃないのですから、おはかりいただきたいと思うのです。
  204. 内田隆滋

    ○内田説明員 ただいま私のほうの設計しておる図面では、十分地下を通れる計算になっております。たぶん精査いたしましてもそう間違いはないというふうに思います。しかし、これは精査さしていただきませんと正確なことは申し上げられませんので、現地の測量をさしていただきたいと思います。
  205. 中島武敏

    ○中島委員 これは測量なんということを認めろというお話で問題を解していらっしゃるのですけれども、私はちょっと性質が違うと思いますね。ほんとうにこれはだれでも気がつく問題なんです。測量の図面にはちゃんと通れるようになっているというのですけれども、その図面はよっぽどのものですよ。よっぽどのものだというのは、ずいぶん間違っていると私は思います。精査をするしないなんという以前の問題です。そういう点ではもっとはっきりした——かえって逆に測量をさしていただきたい、敷きたいのだ、新幹線をどうしても通したいのだ、こういう話じゃなくて、やはりもっとその図面について自己点検をされて、それではっきりした答弁をいただかなければ、これはちょっと納得できるような性質のものじゃないのです。そういう点では私は委員長お願いしますけれども、はっきりした、もっと私どもが納得できる答弁お願い申し上げたいと思います。
  206. 内田隆滋

    ○内田説明員 この点につきましては、私のほうは技術的には自信がございますけれども、正確な図面をとらしていただきたいと思います。なお、現在持っている図面については先生のほうにお見せしてもけっこうだと思います。
  207. 中島武敏

    ○中島委員 同じ答弁を繰り返されているのですけれども、とてもそれは納得できないものなんです。そういう点では、委員長、はっきりもっと、いま何回も同じ答弁をされておりますから、そうじゃなくて、しっかりした答弁をいただきたいと思うのです。おはかりいただきたいと思います。   〔「時間が超過している」と呼ぶ者あり〕
  208. 上村千一郎

    ○上村委員長 時間が参っておりますから、その点は……。
  209. 中島武敏

    ○中島委員 私は重ねて委員長に、はっきりした答弁ができるように、理事会のほうでおはかりいただきたいということをお願い申し上げます。よろしいでしょうか。——なお、この問題とまた非常に密接に関係していることについて、時間もほんとうに超過しているようでありますから、私最後にこれ一つだけで終わりにいたします。  やはりこの問題と全く同じなんですが、五月十四日に、国鉄第三工事局のほうで、新幹線は住宅密集地を避けて公共施設と工場街を抜けることを配慮して考えた、こういうふうに答弁されている。これがもし事実だとすれば、私は公共施設、そこを通すのだ、これはどういうことだろうと思います。公共施設は学校であります、保育所であります。こういうところはどうなってもかまわないという考え方で言われたものかどうか、これははっきり説明していただきたいと思うのです。
  210. 内田隆滋

    ○内田説明員 ルートの選定につきましては、なるべく公共施設、学校等は避けるというのが原則でございます。しかし、非常な密集地帯の場合には、それはそれなりの防音設備あるいは振動防止設備等あらゆる技術を駆使いたしまして、現在の設備に支障のないようにして通さしていただくということでまいらざるを得ない場合がございます。
  211. 中島武敏

    ○中島委員 これは先ほどの答弁にも、総裁でしたか、あったと思いますけれども、やはり新幹線を通すという場合に、環境との調和ということを強調していらっしゃったと私は思うのです。しかし、実際にはこれは環境との調和どころか、環境を破壊するということになるわけであります。この点、単にことばで環境との調和ということを言うのではなくて、もっとほんとうに環境との調和ができるようにしなければならない。もしできないという場合にはやってもいいんだということではないと思うのです。そうじゃなくて、やはりその点ではやらない、もっと検討するということは必要だということを要求して、私の質問を終わります。
  212. 上村千一郎

    ○上村委員長 小川新一郎君。
  213. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、埼玉県に住んでおりますが、新幹線は埼玉県でいま重大問題になっておりまして、先ほどから同じような御質問がありますけれども、あえてお尋ねする次第であります。   〔上村委員長退席、細田委員長代理着席〕  御存じのとおり、埼玉は上尾事件等々、非常に人口急増地帯でございます。通勤問題で国鉄はどのような御計画があるのか、まずお聞きしたいのでございますが、現在大宮から東京まで三複線というのはよく存じております。そこで新しい通勤対策を盛り込んだ通勤新線というものはいまお考えなんですか。
  214. 磯崎叡

    磯崎説明員 現時点におきましては、先ほど来問題になっております問題を別にいたしますれば、新しい問題はいまございません。先ほど来問題になっている例の新幹線との併設ルートの問題だけでございますが、あとは現時点ではございません。
  215. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、新幹線の問題を切り離して、埼玉県知事から要求があり、埼玉県住民から要求があれば新線はつくっていただけますか。
  216. 磯崎叡

    磯崎説明員 それは先生承知のとおり、鉄道敷設法の問題がございます。現在の線を移設するならば私のほうでできますけれども、全然それと関連なしに新設ということになりますと、鉄道敷設法の別表を改定しなければなりませんので、これは国会の御審議事項になると思います。
  217. 小川新一郎

    小川(新)委員 総裁の御見解を承りたいのですが、その国会のという問題は別にして、必要と認めますか、認めませんか。
  218. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は私も埼玉県の県南の通勤輸送に非常に関心を持っております。ただ、あそこを三複線にいたしまして以来、あとはちょっと手がつかないというのが実情でございまして、むしろ私は、先ほどちょっと申しましたが、東京都の地下鉄、営団でございますか、これを延ばして熊谷あたりでもって相互乗り入れと申しますか、営団の五号線と総武線、中央線とやっております相互に乗り入れるシステムでございますが、これをやって、あるいは熊谷ぐらいからまっすぐ、もういまの大宮その他を通らないで、熊谷あるいは上尾付近から地下鉄を通します。あの辺では高架になると思いますが、ちょうど五号線と同じような形でもって、いわゆる私のほうの経営でなくて——私のほうの経営ですと法律改正の問題がありますので、そうではなしに、非常にいい例は地下鉄の五号線でございますが、あれと同じシステムで高崎線の途中から分けて、そして都内へ持ってくるというのが一つの方法であるし、それから東北線の東側のほうはいまもう一本地下鉄が赤羽の先でとまるようになっておりますが、それを延ばして、そして東北線と結ぶかあるいは東武と結んでもいいと思いますが、そういう形でもって東北線の両側に新しい国鉄あるいは私鉄、地下鉄、営団あるいは都営との相互乗り入れ路線をつくるのが一番いいんじゃないか、そういう考えを持っております。
  219. 小川新一郎

    小川(新)委員 六月五日現在の新幹線、特に埼玉県内の問題でお尋ねいたしますけれども計画については今後変更がございませんか。
  220. 磯崎叡

    磯崎説明員 先般三月十日に埼玉県知事が運輸大臣のところに見えまして、運輸省からの一つの案が出ましたので、それを持って私のところへお見えになりまして、そのとき私といたしましては、一つのいい考え方であると思いますので、ひとつ地元のコンセンサスを得ていただきますならば、私はこれでもってやりましょうというお約束をしてございます。したがってそれを変更する意思はございません。
  221. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、埼玉県は御存じのとおり、赤羽から渡って埼玉県を通過の場合は地下ということでございましたね。その地下ということで私ども新幹線設置に賛成しておったのでございますが、地下にもぐってというのが急遽高架ということになりましたので、新幹線騒害、環境破壊、住民が非常に本問題に対して注目してまいりまして、与野、浦和、戸田以南で反対決議が議会でされました。実は昨日畑知事が、この問題について反対の方々に対する所信を、ある集会で述べました。そのときに、いままでは地下で埼玉県内を通過するということであったけれども、今回高架になった、三月十日に知事があなたのほうへ申し入れたいろいろな条項の中で、通勤新線とからめて、この問題について新しくボールを投げ返さなければならない。投げ返すということは、考え直さなければならない。要するに、地下にもぐってくるというやつが上へ上がってくることについては考え直さなければならないということを表明されておりますが、総裁、この問題についてどうお考えですか。
  222. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は私はそのお話はいま初めて伺いました。三月十日からすでに約三カ月たっておりますし、三月十日の運輸省の案で私どもひとつやってみましょうというふうに話をしましたのは、すぐ翌日新聞に出ております。したがって、三カ月たって今日というのは、ちょっと私はおかしいと思うのでございますが、先生おっしゃるなら間違いないと思いますが、私はいま突然伺いましたので、ちょっと御返答いたしかねる次第でございます。
  223. 小川新一郎

    小川(新)委員 読んでみますと「「住民の反対の声がこれだけ高まって来ている以上、国鉄側から投げられたボール(三月十日の高架方式案)を投げかえす(再検討をさせる)」と述べ、高架式新幹線の返上を初めて明らかにした。これによりあす六日に開かれる県新幹線対策協議会(会長、畑知事)で、大宮以南について、高架方式の再検討を打ち出すことが確定的となり、新幹線問題は長期化の様相を呈してきた。」というふうに新聞は報じております。私は畑さんに先ほど電話をかけて聞きました。一体この問題については知事はどうお考えなのか。これについては、高架については反対である、あくまでも所期の計画であるところの地下をもぐって県内を通過させてもらいたい。そのときに、私が先ほど言った、先ほど事務局の方と御相談したときに通勤新線の問題が出てきたわけです。これは国鉄総裁、コンセンサスを得るということは、要するに地元意見を尊重するということでございますが、話し合いの場を議会制民主主義の立場の中からとってみても、当然知事もしくは住民が反対している問題については、なかなかコンセンサスが得られないのじゃないかと思います。その場合国鉄としてはどういう態度をおとりになっていくのですか。
  224. 磯崎叡

    磯崎説明員 三月十日におきます知事と私との話は、これは二人きりでありますので、その話の内容を申し上げるわけにまいりませんが、私といたしましてはこれを、どちらが言い出したというようなことでなくて、まあ大体こういうところでというふうに、率直に申しまして私は感じました。したがっていまのお話、先ほど昼めしのときに下の者から聞いて、そんなばかなことはないと申したくらいでございますが、埼玉の新聞に出ているという話でございます。私は突然のことで、ちょっと知事と三月十日にお目にかかったことを思い出しつつも、いま御返答を、それだからどうするという次の時点についていますぐここで御回答申し上げるだけの……。   〔小川(新)委員、新聞を示す〕
  225. 磯崎叡

    磯崎説明員 これは埼玉の新聞でございますので、私読んでおりませんので……。(「知事は約束していないと言っているよ」と呼ぶ者あり)ですから、私は知事との間にどういう話をしたか、そういうことは一切言いません。これはもうお互いの紳士の約束でございます。申しませんが、私は何とかひとつこれでもってコンセンサスを得ようじゃないですかというような話で、非常に前向きで問題が進展するだろうという信念を持ったことは事実でございます。したがいまして、いまの段階ですぐそれを拝見してどうこうということを申し上げられませんが、私はあくまでもあの案でもう少し考えていただけないかということを強く考えております。
  226. 小川新一郎

    小川(新)委員 こういうふうに事態がだんだん変わってまいりまして、この原因はやはり国鉄さん、要するにあなたさんのほうで、最初地下にもぐるといったやつをなぜ高架にするようになっちゃったんですか。
  227. 内田隆滋

    ○内田説明員 この点につきましては、先ほどもお話が出ておりましたが、埼玉県の地盤沈下が激しいということ、埼玉県全体の通勤輸送ということから考えまして、あの付近に通勤線を一本引くということにいたしますと停車場等をつくらなければならない。停車場をつくるということになりますと、国鉄の停車場は編成長が大きく、それから追い越し設備等をつくる関係で相当幅が大きく、また規模が大きくなります。そういうようなことを考えますと、通勤線は事実上高架でいかざるを得ないということでございまして、通勤線を高架でいけば、振動、騒音等を考えてもわれわれが今後の対策をすれば、新幹線も同じ高架でいって地域の破壊につながらないではないか、むしろ開発等のメリットもあるということで、両方とも高架ということでお願いをいたしたわけでございます。
  228. 小川新一郎

    小川(新)委員 新谷運輸大臣にちょっとお尋ねいたしますが、そういたしますと、まだきのうのことですから、知事さんが表明したことについてはいま国鉄総裁は何とも御返事できないと申しております。知事は非常なかたい決意を持って、住民の立場に立って、あくまでも新幹線を通すならば地下にもぐってもらわなければならないと言っておるのですが、これはどうしても住民サイドに立ってものを考えるときに、私どもはそれを推さざるを得ないのですが、運輸大臣としてはこの変更を再変更する考えはございませんか、どうです。
  229. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 埼玉県知事との話し合いには、私は国会のほうにおりましたものですから直接にはお会いしなかったわけです。国鉄総裁から御報告したような実態であったと思います。しかし埼玉県知事が、いま新聞をお読みになりましたように反対だとかいう話でございますけれども、これにはやはり埼玉県知事として、地元のいろいろな要望を受け入れてそういう態度をとっておられるのだと思います。しかし、一方からいいますと、国鉄の側からいいますとやはり工法の問題つまり工事方法の問題、いろいろの条件が重なり合いまして国鉄総裁が申し上げたようなことを埼玉県知事にお話ししたのじゃないかと私は思うのです。単に工事費が安くなるとかそのほうが工事が楽であるとかいうような安易なことではないと思います。でございますから、両方ともにこれは相当の理由があってここまで来ているんだと思いますから、私はそう急に結論をお急ぎにならずに、もっと双方で十二分な話し合いをしていただきまして、そうしてどちらの方法になるにしても、両方がそういうことであればこういうふうにいたしましようというので両方が納得できるような結論を見出すように、まだまだ努力をしていただかなければならぬと思います。
  230. 小川新一郎

    小川(新)委員 私も総裁と知事との会見はいたんではないからわかりませんし、紳士協定ということですから、ここでどんなことを言ったかということを言えなんてやぼなことば申しませんが、新聞によると知事はこう言っておるのです。「「先の上尾事件で本県の通勤難問題は極限にきていることがはっきりした。通勤新線との抱き合わせの高架方式案に知事として賛成した覚えはない。新幹線の抱き合わせが住民反対にあっている以上、通勤線問題は別個に考えたい」と語り、」通勤新線と新幹線の高架の問題とは別個に切り離して考えるべきであるということを新聞では表明しておりますね。そうなりますと、結局これは私はまた平行線になってしまうと思うのです。そこでもしも話がどうしてもつかない場合、大臣、知事と話し合いの場を持ちますか。
  231. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 こういう問題について主管大臣地元地方団体と直接に交渉するようなことはあまり例がなかったと思いますが、しかし事態によりましてはあえて辞するわけではございませんで、私が出まして解決の糸口が見出せるようでございましたら、いつでもお話し合いをする用意はございます。
  232. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、その話し合いがついてコンセンサスが得られない間は、強制立ち入り検査とか測量とかくい打ちとか、そういった実質的なことはやらないんでしょうね。これはどうなんですか。
  233. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 工事の進め方あるいは土地の買収のしかた、そういった具体的な問題については私はよく存じませんけれども、しかし地方自治体がこぞって反対しておるところに、その反対を押し切って工事ができるはずはございませんから、これはやはり両方でコンセンサスが得られることを前提にしてやらなければならぬということは、先ほども申し上げたとおりでございます。
  234. 小川新一郎

    小川(新)委員 総裁、そういたしますとこの話し合いの過程の中において、当然埼玉県知事としては、上尾事件のような県内の人口急増地帯の問題をかかえておる通勤問題について、通勤新線の問題を取り上げると思うのです。これはキャッチボールじゃないが、ボールを投げ返してくると思うのです。その場合、新幹線が上のほうを通る高架にすることを条件として——埼玉県知事がどうしても地下にもぐることに固執して高架にすることに反対をし続けたと仮定したならば、あなたは、抱き合わせといま言われているような問題ではないということを私は認識しておりますが、その問題についてはまさか取り消すようなことばないでしょうね。どうですか。
  235. 磯崎叡

    磯崎説明員 私はあくまで三月十日に知事とお目にかかって、私の部屋までおいでくだすったわけです。私の部屋でお話ししまして、私のほうには立ち合い人もちゃんとおります。知事さんのほうにもおられます。それを翌日埼玉県側で新聞発表なさったというふうな事実等から申しまして、私は知事さんのいろいろお立場があると思います。したがって、私はあの節、私と知事さんとお話ししたことについての私の印象は全く変わっていないというふうに思いますので、いま先生非常にいろいろむずかしい事態を想定なすって御質問なさいましたが、私はそういう事態が起こらないということを確信いたしておりますが、ただ先ほど申しましたとおり、埼玉県内の輸送問題はいずれにしても何とかしなければならない事態にあることは確かでございますので、私はかねがねからいわゆる地下鉄五号線方式をぜひやるべきだということを主張しておりますので、それとこの問題とどう考えるかなどは、もう少し運輸省御当局の御判断にまかせていく以外にない。いまの先生の御質問には、ちょっと仮定のことでございますし、せっかく知事と私との紳士的なお話しで進んでおりますので、それは破らないでそのまま進展するという信念と確信を私は持っております。
  236. 小川新一郎

    小川(新)委員 これはあくまで、私は新幹線ももちろん必要である、より以上必要なのは通勤対策の通勤新線の問題ですね。そういう問題を、やはり総裁の立場から私は素朴に質問しておる。特に私は運輸委員でもないし、交通安全対策特別委員会の委員でもないのです。地方行政の委員としての立場から、私はあえてきょうはこの問題を提起しておる。知事の味方とかなんとかでなくて、地方行政委員会という一つの職責の中から判断してものごとをお尋ねしておりますので、まことに失礼な言い方かもしれませんし、御無礼かと思いますけれども、あえてお尋ねしたいのは、そういった地方行政体の問題地方自治の問題からいっていま必要な埼玉県の通勤対策の新線の問題をあえて私は言っているのであって、これはぜひとも決意を聞きたいですな。これは大臣の決意を聞きたいですな。
  237. 秋富公正

    秋富政府委員 埼玉県におきます通勤輸送につきましては、重大な問題だと私たちも考えているわけでございます。三月に埼玉県の知事が見えましたときも、いわゆる新幹線を、東北新幹線と上越新幹線、あるいはこれと北陸新幹線が一本になりますと、従来の考え東北と上越一本ということではとてもできないので二本に、その場合には地元とされては二つを同時に工事していただきたい、こういう御要望もあったわけでございます。そういたしますと、先ほど総裁が申しましたように、従来の三つ複線新幹線に使うということになりますと、在来線をはずして別に新幹線を併設するということによって一つ通勤対策を講ずる。これをさらに延ばしていくという問題も一つの重要な通勤対策と考えておるわけでございますが、これ以外といたしましては、いわゆる都営六号線を埼玉県のほうに延ばしていくという問題につきましては、これは埼玉県側がいわゆる埼玉県についての投資、こういった問題についてどういう御意向であるかということが、まだ御意向が出ておりませんのでございますが、これはちょうど千葉県側に都営十号線を延ばしていく問題と同じような問題でございまして、こういった形とか、またそれ以外の営団の地下鉄といったような問題と総合的にいろいろだだいま検討中でございます。
  238. 小川新一郎

    小川(新)委員 ちょっと問題をすりかえちゃってほかへ発展させちゃっているのですけれども、私が聞いているのはあくまでも新線のことで聞いていたわけです。  そこで総裁、一言でけっこうです、地下方式は絶対やらないで、埼玉県を通過の場合は高架方式にする決意は変わりありませんか。
  239. 磯崎叡

    磯崎説明員 それに変わりございません。
  240. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、この問題については、はっきり三点の問題が浮き彫りになりましたので質問を終わらしていただきます。  次に、沖繩の問題なんですが、沖繩には国鉄が入っておりませんが、国鉄の敷設の計画は沖繩県にはございますか。
  241. 秋富公正

    秋富政府委員 これは、四十六年におきましても、沖繩返還の際にもいろいろと議論された問題でございます。沖繩におきまして陸上交通機関をいかに持っていくかということでございますが、沖繩の地勢あるいは人口の分布状況から見ますと、非常に道路も整備されておりますので、鉄道をあらためて敷く必要はない。むしろ敷くとすればモノレールがどうか。モノレールの問題につきましては現在いろいろと調査、検討中でございます。
  242. 小川新一郎

    小川(新)委員 じゃモノレールは敷いていただけるのですね。
  243. 秋富公正

    秋富政府委員 モノレールにつきましても、海洋博のときにいろいろと空港からの問題も検討されたわけでございますが、このときも地勢の問題あるいは河川との関係、こういった問題それからもう一つはいわゆる採算制の問題等ございまして、敷くというふうにきまったものではなくて、なお引き続き検討中でございます。
  244. 小川新一郎

    小川(新)委員 それじゃ敷かないのと同じじゃないですか。国鉄は敷かない、モノレールは敷かない。モノレールでは荷物は運べませんし、いろいろな問題がありますが、それじゃあまりにも沖繩の人がかわいそうだと思います。どうか利用度についてはっきりした計画を、磯崎国鉄総裁、新幹線から少し頭を転換して、この辺はいかがですか。
  245. 磯崎叡

    磯崎説明員 沖繩には戦前、御承知のとおり沖繩県営の鉄道がございました。私も行ったことございますが、道路がどこまで行き詰まるか、人口がどういうふうに集中するか、もう少しそういう点勉強さしていただきたいと思いますが、いままで沖繩のこと、実は直接関係なかったものであまり勉強しておりませんでしたが、少し勉強さしていただきたいと思います。
  246. 小川新一郎

    小川(新)委員 こういう重大な内地の問題だけに頭を熱くしてないで、やはり沖繩海洋博もあるし、沖繩県民の、百万人もおられますね、こういった方々のためにもひとつ御奮起いただきたい。  もう一つお尋ねして終わらせていただきますが、埼玉県の新幹線問題等々について、利用債、交付金、これらは反対しておる都道府県または公共団体から何が何でも取るものなのかどうか。特に埼玉県のようにいま重大な問題を控えているときに、新幹線に関する利用債とか交付金については、これはもしも県が払わない、買わないと言ったらば国鉄はゴリ押しをするのですか、それとも事情を察して引き下がるのですか、どっちですか。
  247. 磯崎叡

    磯崎説明員 利用債の問題は先ほどからずいぶん問題になりましたが、私のほうとしてはできるだけお願いいたします。しかし、持たないとおっしゃる方に持たせるわけにもまいりませんので、できるだけ御説明いたしまして、少しでも御援助願いたいということはお願いするつもりでございます。
  248. 小川新一郎

    小川(新)委員 ではこれで終わらしていただきますが、もう一ぺん確認いたしておきますと、埼玉県内通過の新幹線は、国鉄側は絶対地下にはもぐらせないで高架にする。それから知事が反対した場合には、この問題はコンセンサスを得るまでは絶対に実力行使をしない。三点目は、話がこじれた場合には新谷運輸大臣みずから話し合いに応ずる、それから県民の大きな意向のもとに立つ。それからもう一つは、通勤新線については絶対に切り離して考える、こう私は理解いたしました。何か御不満な点や、私の質問に対して文句がありましたら御答弁いただいて、私は時間が来ましたから終わらしていただきます。
  249. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまのお話の初めのほうはけっこうでございます。最後の問題は、私るる申し上げましたとおり、片っぽうの現在線に新幹線を載せるから現在線を移すということが事の起こりでございますので、その点はやはり埼玉県内の問題としては地下鉄の延伸問題等、全般的に総合的に考えなければいかぬ、そういうふうに思っております。
  250. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 岡本富夫君。
  251. 岡本富夫

    ○岡本委員 まず新幹線騒音公害、新幹線公害につきまして、お尋ねいたします。  かつて山陽新幹線を敷設するにつきまして、そこを通るところの当該の市長と国鉄工事局長との間に取りかわしました覚え書きがありますが、この覚え書きの実行について、これは国鉄総裁が責任をもって実行するのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいのです。
  252. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうの正式な機関が正式な権限に基づきまして締結いたしました協定につきましては、私は実施の責任を負いますが、なお内容につきまして、もし御説明させていただけますならば、経過を担当者から御説明させます。
  253. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、山陽新幹線を敷設するにあたって、これはあなたのほうの日本国有鉄道山陽新幹線工事局長、当時は佐藤さんになっております。そして西宮市長さんとの間に取りかわした覚え書きの中に、その別紙に「「騒音については、屋外でピーク値七十五ホン〜八十ホン、振動については側道の外側において、振動速度〇・三ミリ程度」等の数値は、従来の鉄道あるいはその他の交通機関を含めての数値に比べて、相当の改善に努めようとしているものであります。」というようにはっきりと覚え書きに出ております。ところが事実現在八十五ホン、九十あるいは九十一、こういうようなホンが出ておるわけであります。あるいはまた振動につきましては〇・三ミリ、これは昭和四十七年の七月十五日、西宮市で測定したのでありますが、〇・三七、〇・七八、あるいはまた〇・八二、こういうような数値が出ております。中には一ミリですか、こういうような数値も出ておりますが、これについてこの最初の覚え書きをかわしたときのお約束と違うんではないか。これで非常に住民が毎日毎日のこの新幹線の騒音について苦しんでおるわけでありますが、この点について私は国鉄総裁がこの覚え書きを、あなたがほんとうに実行する責任があるというんであれば、この覚え書きをかわすときにおいてすでに、できないことを覚え書きの中に入れたのではないか、こうも考えられるわけであります。それについてひとつどういう考え方か……。
  254. 内田隆滋

    ○内田説明員 西宮市長と確かにそのような覚え書きを結んでおります。その中で、われわれは努力目標としてそういう数字をあげておりますわけでございますが、騒音の問題につきましては環境庁の御指導によりまして、今後一年の間に八十ホン以下にいたしたい。それから振動の問題につきましては、誠意をもって実損補償をしてまいりたいということで今後やってまいりたいと思います。
  255. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで私は最初に、「当局の目標としている」と書いてありますけれども、これには相当疑義があると思うのです。なぜかならば、当時の吉村工事局次長、この人が住民の皆さんに五十ホンを基準に置いて、多くて七十ホン、これくらいのところに押えるんだというような説明もしているのです。この吉村さんがかわってしまって、今度佐藤さんに、今度はまた小林さんにと前任者がかわってしまっておるわけですね。当時のことはちゃんとテープにとってありますけれども、こういうのは、もう考えてみると最初からいいかげんな約束であったんではないか。ここに「当局の目標としている」と書いてありますが、ここらが各市議会あるいは地方自治体でいろいろやったときに、このピーク時において七十五ホンから八十ホン、それまでに押えられる、こういうような考え方で皆さんが協力したということなんですね。ですから、今後新幹線を敷設するにあたって、いろいろ当該の地方自治体の長あるいはまた住民の皆さんと話をするときと、いよいよできてからとこういう差が出てくる。それがもう引いてしまったからしかたがない。これから、今後努力しますということでは、これでは非常に国鉄に対する不信感があるわけです。したがって私は、この問題が解決しなければ、おそらくこれから七千キロですか、あるいは九千キロといわれているようなこういうものが、市街地においてはとても実行不可能ではないか。要するに、だましてはだめですよ、はっきり言えば。環境庁が八十ホンを出したということで、これからそれに向かって努力します、こういうことですが、では振動のほうはどうですか。これは総裁、あなた先ほどこの覚え書きについて責任を持つと言ったのですから、いかがですか。
  256. 磯崎叡

    磯崎説明員 こまかい技術的な内容は答弁させますが、私のほうの責任者がやったことにつきましては、私はあくまでも責任を負います。
  257. 内田隆滋

    ○内田説明員 振動につきましては、山陽新幹線につきましては構造物の基礎あるいは構造物自体を相当がっちりつくりましたので、大体所期の目的を達していると思います。しかし地質の関係でどうしても——それが〇・三ミリ・パー秒程度ではほとんど人体に影響はないというふうに考えられます。しかし、大きい振動があるところにつきましては誠意をもちまして、これはなかなかあとで直すというわけにまいらない問題でございますので、実損補償その他でまいりたいというふうに考えます。
  258. 岡本富夫

    ○岡本委員 五月の二十四日、二十五日と二日間尼崎市が調査した、この結果を見ましても、側道のはたで開通時が〇・五一だった。振動ですよ。それがすでにいまでは四十八年の五月二十四日に調べると〇・七になっている。それからもう一カ所調べますと、〇・四九であったところが一・二になっている。こういうことで最近は、最初国鉄がお約束した〇・三ミリがこういうように二倍から四倍にふえている。また騒音も二から三ホン開通時に比べて高くなっている。こういうことで国鉄が努力している、努力していると言いますけれども、結局今度はふえているのですね。まあいろいろな問題でふえたのだろうと思いますけれども。いろいろな問題というとおかしいけれども一つはやっぱり速度の問題だろうと思うのですね。たとえば北食満、ここでは〇・四九だったのが、このときはスピードが百九十二キロですか、これが二百四キロになって、一・二になっているのです。現在の行き方からすると、引いてしまったらもうしかたがない。どんどん敷設して開通したらもうしかたがないのだというような、最初の約束と非常に違うということを考えますと、これは国鉄の欺瞞性と申しますか、これをどうしても住民の皆さんは、ほんとうに国鉄が最初の契約どおりやるのかどうか、これは国民の皆さんは非常に不信を持っております。そこでどんどんとあっちこっちから調査に見えるわけですが、住民の皆さんはこうだああだ、これはもう各市議会、与野党を通じた市議会がみなこういうふうに言っているわけですから、これはやはり最初の約束どおりきちっとしなければ、今後の新幹線については相当住民の反対があると思うのです。  そこで対策として、私はこれは一つスピードの調整をやはりやらなければならぬと思うのです。もう一つ、この新幹線法では何かスピードが二百だとかということでありますけれども、この点をもう一ぺん検討していただかなければならぬ。  もう一つは、当地に前の佐々木運輸大臣が見えた。このときに住民の皆さんがやかましく言ったときに、市街地には側道、そこに植樹をして緩衝地帯をつくる、そういうふうにいたしますから、ひとつ皆さんの対策をしばらく待ってください、こういうふうな発言をしてお帰りになっているんです。で、皆さん待っているんです。これについての運輸大臣新谷さん、これは前の運輸大臣ですが、あなたはやはり引き継いでいらっしゃるんだから、前に言ったことだからわからぬなどと言わずに、この点について現地の住民の皆さんにどういう説明ができるか。これをひとつ教えてもらいたいんです。いかがですか。
  259. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 新幹線の公害問題につきましては、具体的にその土地の状況によってやり方はいろいろ変わってくると思うのです。おっしゃるように側道をつけたほうがいい、あるいはつけなければならないというような場所もございましょうし、もう側道をつける余地のないところもあると思います。そういったところにつきましては、国鉄から具体的に御必要があれば御説明すると思いますが、何といっても車輪とレールとの摩擦から生ずる騒音が主でございますから、それに対しましてあらゆる技術開発をいま国鉄は一生懸命でやっております。現にその効果もだいぶあらわれてきた面もございます。そういったものを動員いたしまして、具体的にその土地に適当な対策を講じていかなければならぬと思います。私はいまお話しになりました尼崎でございますか、その点は具体的には引き継ぎを受けておりませんけれども、それは大臣か引き継ぎを受ける受けないにかかわらず、国鉄といたしましては、そういったことについては当然正面から取り組んでいかなければならない問題でございますから、具体的に尼崎の地区がどうなっているかということは国鉄から御説明させますけれども、ただ単にそこだけではございませんで、全体を通じまして環境庁の基準を少なくとも守っていけるように、早くその指針値に達するようにという努力をしておりまして、技術的にできるところはそれでよろしゅうございますし、そうでないところはいまおっしゃったような緩衡地帯をこしらえる、場合によりましては、側道だけではなしに、あるいはもう少し広く土地を何かの方法で買い求めて、そこに音を遮蔽するような建物を建てるとかいろいろなことが考えられるわけでございますが、これは一がいに申し上げるわけにいかないと思うのです。その土地に適したような方法で、騒音被害を最小限度にするようなくふうを、多少これは経費がかかりましてもやってもらいたい、私はそういうふうに指導しておるつもりでございます。具体的な尼崎の問題でございますが、これは国鉄のほうから答えさせます。
  260. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほどの工事局長の示した数字でございますが、もちろん私は、これは単なる努力目標だというような方便的なことを申し上げるべきではないというふうに思っております。工事局長も、もちろん技術者の良心にかけてもそこまで持っていきたいという気持ちを率直にあらわしたものであって、もしそれが全くできないことを言ったとすれば、これは先生のおっしゃったように、よその地域新幹線建設にかえって妨害になるわけでございます。そういう意味で、私はいま本社の人間も、すべての人間がその方向に従ってあらゆる努力をして、技術者の良心に恥じない考え方からその問題をやっていくという確信を持っております。  また、いまの植樹の問題でございますが、これも先ほどの日照権の問題その他がすぐ出てまいります。たぶんこれは騒音対策としての植樹だろうと思いますが、またすぐこれは日が照らないとかいうことになると思いますので、そういう問題も……(岡本委員「植樹は日当たりには関係ないでしょう」と呼ぶ)関係なければ別でございますけれども、そういう方法も含めまして、大臣がおっしゃったからどうこういうことでなしに、少なくともその数値に達するようにあらゆる技術的な努力をしてまいりたいと思っております。  また、最近は非常に防音材あるいは吸音材、制振材、いろいろな新しい技術の分野がどんどん開発されております。したがって、もうほんとうに日進月歩にそういういろいろな材料が進んでおりますので、私はそう長い期間でなくてお約束の数値に達し得るというふうに考えておりますが、私のほうの技術者は、口だけでなしにほんとうにまじめにこの問題について取り組んでいるということを私からはっきり申し上げます。
  261. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間が迫ってまいりましたが、ちょっと具体例があります。これは新幹線をつくる工事のときに破損した家屋、あるいはまたその後新幹線の振動あるいは騒音によって破損された家屋、これに対するところの対策、これはひとつ早急にやっていただきたい。西宮から神戸にずっと行っている六甲トンネルがありますが、このトンネルの上に家が建っている。これが傾いたり亀裂したりして非常に困っているわけですが、これに対して国鉄に言うと、それは私のほうの関係ではないのだというようなあまりはっきりしたあれでなかったのですけれども、大阪府の建築士会の調査報告、これが少し長期にわたって検査をしたところが、やはり新幹線工事のときの原因によってそのトンネルの上の家が傾いているのだ、あるいは亀裂しているのだという結果が出ているわけですが、これに対してここに住んでいる住民の皆さんの満足いく対策を講じていただけるかどうか、これが一つ。  それからもう一つは、騒音のために移転をしたいという移転希望者の土地家屋の買い取り、これが二つ目。三つ目は電波障害、これによって非常にみな不便を感じておるわけですが、そこで国鉄は結局共聴アンテナですかをつくりましたけれども、まだまだ電波障害でテレビが見えない、これではしかたがないからNHKに対する不払い運動を起こそうというようなことでいま考えているわけです。  この三点について、あなたのほうで確たる答弁をしていただきたいと思うのです。
  262. 内田隆滋

    ○内田説明員 一般の問題につきましては、いま申しましたように誠意をもって損害補償してまいりたい。  それから六甲トンネルの上の家屋の問題でございます。これは先生のおっしゃるとおり、どうも新幹線の影響だろうという結輪が出ておりますので、私のほうといたしましては注入その他をいたしまして地盤を固めると同時に、家屋の損害につきましては誠意をもってこれを直すということでまいりたいと思います。  それからテレビの障害につきましては、見えないということでございますが、この点につきましては私のほうは専門家でございませんので、NHKのほうと相談いたしまして、見えるように改善をするようお願いいたしたいと思っております。  それから移転希望につきましては、目下のところは、現在の注入とそれから家屋の修繕ということでやらしていただきたいというふうに考えております。(岡本委員「それ以外の移転希望者は」と呼ぶ)沿線のですか。これにつきましては、環境庁の基準がございますように、私のほうとしてはまず音源対策を三年以内でやる。山陽新幹線につきましては一年以内でやるわけです。なおかつ基準値の八十五ホンに達しないものにつきましては、防音工その他をやります。なおそれでも目的を達しないというものにつきましては、移転補償ということを考えたいというふうに考えております。
  263. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間になりましたから、あと大臣、こういうように国鉄が、振動なんかもまだ振動の基因はきまってない。これは環境庁から聞こうと思ったのですが、先に聞きましたから。まだきまってないのですけども、すでにこの覚え書きの中に〇・三ミリとちゃんと出ておるわけですよ。そうすると住民の皆さんは、〇・三ミリというのはどのくらいのあれだというふうにいろいろはかってきて、じゃ、このくらいだということで賛成した。また土地の買収、あれに対しても協力した。ところがいよいよこうなってみると四倍、もっとひどいものもありますけれども、だから非常に国鉄に対して不信を持っておるし、また同時にノイローゼやいろいろ病気が出ておるわけです。ですから、やはり完全に覚え書きどおりにやるという姿勢をひとつあなたのほうで指導していただかなければならぬ。これをひとつ強く要求いたしまして、きょうは終わります。どうもありがとうございました。
  264. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 折小野良一君。
  265. 折小野良一

    ○折小野委員 国鉄のほうでいろいろと工事をやります場合に、国鉄としてはいわゆる指定業者に工事を出しておられますね。その指定業者の選定の基準、これはどういうことになっておりますか。
  266. 内田隆滋

    ○内田説明員 国鉄における請負業者の選定の基準でございますが、まず欠格条件の審査をいたします。これはいろいろございますが、一つには、建設業法による認可を得ておる者、それから禁治産者、準禁治産者の宣告を受けていない者等々がございますが、これは省略いたします。  そこで国鉄において請負業を申し込む者につきましての資格でございますが、これは国鉄の総裁の諮問機関でございます請負業者資格及び指名審議会というところでもって方針を決定していただきまして、そのとおりやっておるわけでございます。概略その中身を申し上げますと、まず請負業者の資格は二つの基準できめております。一つは、建設業法によります中央建設審議会で定めました工事施行能力の審査基準というのがございます。これは中身はその請負会社の完成工事高、職員数、営業年数、自己資本、あるいは流動資本の比率、自己資本比率等々の要素、これは公表されているものによって基準を定めるということと、もう一つは、国鉄は御承知のように列車の運行中に工事をやらなければならないという非常に高度の技術と経験を要する工事が多うございますので、国鉄工事の経験というものを工事の契約高ということであらわし、あるいはそこに働いている職員の国鉄における経験の程度というようなものを別途審査をいたしまして、この二つから資格を定めておるわけでございます。資格は隔年、二年に一ぺんずつ、この総裁の諮問機関でございます審議会の議を経て資格を新しく与えるという形になっております。それで資格の中身は、工事種類別、予定価格の金額別、施工地域別、それから鉄道の特異の工事、いわゆる列車運転中の工事をできるかどうかというような種類に応じまして資格を与えております。  以上でございます。
  267. 折小野良一

    ○折小野委員 鉄道の工事は特殊な工事が多いのだと思います。そしてまた、いまお話しのように、それにたえ得る一定の資格を要すると、こういうことになっておりますようですが、しかしそれは、その工事工事によってそういう条件をつけてあるのではなかろうかと思いますが、あらかじめそういうような業者を指定しておくということの特別な理由、こういうものがありましたら教えていただきたいと思います。
  268. 内田隆滋

    ○内田説明員 先生指摘のとおり、国鉄のそういう運転あるいはお客さんの通行等に全然関係のない工事は、いわゆるオープンでやっておるわけでございます。しかし、大部分工事は何らかの形で国鉄の運行あるいはお客さんの通行等に支障があるために、それらの経験のある業者にやっていただいて旅客の安全を期するということでございます。
  269. 折小野良一

    ○折小野委員 各地に国鉄の職員のOBの方が中心になっております請負会社がございますね。もちろんその中には国鉄で働いておられた専門の技術屋さんが入っておられるのですからたいへん適当であろうというふうに考えるわけでございますが、しかし一面、そういうような性格の業者が常に指定業者としておるということは、国民の目から見まして悪い意味の国鉄一家、こういうような目で見ないとも限らないわけでございます。そういう点につきましては、この業者の選定について特別な御配慮をなさっておりますのかどうか、お伺いいたします。
  270. 内田隆滋

    ○内田説明員 先生の御指摘は、地方にあります各鉄工業のことをさしておられると思います。御承知のように、との各鉄工業のおい立ちは、戦争中にいわゆる爆撃が非常に激しく、またほかの業者が鉄道工事を顧みないときに国鉄工事の専門の請負業者として誕生したものでありまして、自来戦争中は、国鉄の運行に非常な協力をし、終戦後はいわゆる疲弊した国鉄の復興に尽力してまいったわけでございます。その非常な特色といたしますところは、いわゆる軌道保守あるいは軌道工事、それから線路内の工作物の工事というようなものを非常にたくさんやっております。最近では、御承知のようにいわゆる経営合理化の面でそういうような工事につきましてはいわゆる修繕工事、保守工事の大型のものはすべて外注ということになっておりますので、いわば役務契約の一種的な工事をやっておるわけでございます。そのほか、いわゆる事故あるいは災害のときには、直ちに国鉄の職員と同様に出動するというようなことでございます。御承知のように、これらの基本になっておりますものは国鉄の運転、営業というようなものに直接関係する工事、そういうものに対して非常な経験と技術力を有しておりますので、非常な特殊な工事をやってもらっておるということでございます。しかし、それらの工事を除きまして、各資格を持っている業者と公平に扱っておるということでございます。
  271. 折小野良一

    ○折小野委員 国鉄にはいろいろな事情があろうかということはわかりますが、政府一般工事の入札の方法につきましては原則として一般競争入札、さらにやむを得ない場合には指名競争入札、特別な工事につきましては随意契約をすることができる、これがやはり原則だと考えております。もちろん先ほど来いろいろとお話があったように、国鉄工事は特殊な工事が多いということではございますが 特別に、一般のこのような工事入札の方法と違った指定業者による入札、その指定業者がもっともっと多いということになれば、はたから考えましてもそう問題はなかろうと思うのですが、それが非常に数が少ないということ、こういう点から一般でいろいろと疑惑が持たれる、こういう面があるわけでございます。国鉄としましてはそういう面を従来考えられたことがあるのか、あるいは今後ともやはりそういうふうな現在のような状態でやっていくことがいいとお考えになっておるのか、あるいは多少なりそれを改善しようというふうにお考えになるならば、どういう点を改善しようとお考えになっておるのか、そういう点をお聞かせをいただきたいと思います。
  272. 内田隆滋

    ○内田説明員 国鉄としてももちろん数多い業者に公平にやっていただくということを望んでおるわけでございますけれども、やはり、列車の運行、旅客の安全に直接影響のある工事が多いものですから、これはお客さんの生命、財産に直接関係がございますので、そういう意味ではわれわれが信頼できる請負業者にやっていただくということが、国民の皆さまにとって一番正しいことだと思います。ただし、われわれは、それだから決して門戸を閉ざしているわけではございませんので、十年、二十年という経過の中で相当の変遷もありますし、業者もふえてまいっておりますので、今後国鉄工事が十分できる業者を育成して、数をふやしてまいりたいというふうに考えております。
  273. 折小野良一

    ○折小野委員 実は私自身にも経験があるわけですが、国鉄のホームにあります上屋が腐朽してしまった。地元の町としましてはぜひそれを復旧してもらいたい、こういう要望をしたところが、国鉄では、なかなか予算がないからそれはできない。しかし、地域住民希望も非常に高いということで、それならそれは地元で持ちますから、こういうお約束ができた。ところがその地元で持つという駅の上屋を、今度はやはり国鉄の指定業者でなければできない、こういうようなお話でございました。しかし、こういう工事一般の業者でもできるのだということで、多少国鉄に対しては無理をして、一般競争入札で市のほうでその工事をやって現物を国鉄のほうで受け取っていただく、こういうようなかっこうをとったわけでございます。結果からいたしますと、国鉄の当初の見積もりからいたしますと二割以上安くてそれはできた。もちろん国鉄のほうにもいろいろ見てもらいましたし、今日まで十年から経過いたしておりますが、特別その工事が悪かったということでもございません。こういうような面から見ますと、先ほどはオープンの仕事については一般工事業者も入れるというお話でございましたが、もっともっと一般の業者を入れて安くていいものをつくる、こういう点につきましては、国鉄自身のお考えによってもっと改善する余地があるのじゃなかろうかというふうに私は考えるわけでございます。特に一部の指定業者につきましては、これは事実かどうか確認まではいたしておりませんが、ただ話として聞いたことは間違いないのでございますが、国鉄工事は四割はもうけさせていただきます、しかしそのうちの二割はお返しをしなければなりません、こういうことをその関係の業者は言っておるわけです。そういうようなことが、事実かどうかは別としてあるということになりますならば、今後特に再建をやっていかなければならない国鉄にとっては非常に重要な問題だ、またこういう面の基本的な姿勢が改まらない限りは、国鉄再建は言うべくして困難だ、こういうふうに私ども考えております。こういう面についてひとつ総裁の御見解を承っておきたいと思います。
  274. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄工事がとかく一部の業者に流れやすいというお話でございますが、レールに直結した工事はなかなか一般の人はできません。と同時に水害、事故、天災等の場合に、さっと言えばさっと飛び出してくれる人がいなければ困るわけでございまして、そういう連中は日ごろからそういう人夫を持っておくということがありませんと、うちの人数だけではそういう弾力性のあることができませんので、そういう意味で、戦争中も戦後も同じような使い方をしている業者が少しあることは事実でございます。しかし、またそれがありませんと災害等の場合に間に合わない、あるいは事故の場合に困るということでございます。しかし、だからといって先生お話のように、四割もうかるというようなことがあったとすれば全く言語道断でございまして、何ならばその年月日と場所を後ほど伺いに参りますので、ぜひ教えていただきたいと思います。これは全く言語道断で考えられないことだと存じますが、これは私どもの名誉に関しますので、後ほど伺いに参りますので、ぜひ教えていただきたいと思います。しかし、いやしくもそういうお話が出ること自身がやはり李下に冠を正さずと申しますので、十分そういう点留意いたしましてやってまいりたいと思います。たいへん御忠告ありがとうございました。
  275. 折小野良一

    ○折小野委員 運輸大臣にちょっとお伺いしておきますが、さっき申し上げましたように、政府一般の契約は、原則が一般競争入札でありまして指名競争入札あるいは随意契約というふうにあるわけでございますが、国鉄については、御存じのような入札方法をやっておるということにつきましては別に差しつかえないのでありますか。その点について特別な御指導その他があるのでございますか。その点お伺いいたします。
  276. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 工事の種類によって政府としてはいろいろ考え方を変えていると思います。たとえば道路のように、土木事業などは一般に開放されてもできる仕事の一つではないでしょうか。ただ、国鉄にもございますし、たとえばNHKとかあるいは電電公社とか非常に電気関係で高い程度の技術を要するような問題は、だれにやらしてもいいというわけにはいかないだろうと思います。そういったものにつきましては、法律関係はそういう道が開かれていると思いますから、その法律の範囲内におきまして、これも特定のものであってはいけないのですが、なるべくその範囲内において広く一般から入札を出して、そして質のいい安いものに委託させるというのが通例だろうと思います。
  277. 折小野良一

    ○折小野委員 次に、先ほど来国鉄関係の、特に新幹線に関するいろいろな公害の問題が出ました。また最近、この問題はいろいろと世論をわかしておる問題でございます。この新幹線の騒音、振動、日照あるいは電波障害等もございますか、いろいろな問題につきまして、これに対する対策は当然講じなければならないし、あるいは場合によっては、いろいろな補償とかそういうような問題が出てこようと思います。これにつきましては、政府のほうも十分な対策をとっていくということになっておるやに伺っておるわけでございますが、こういう公害対策の面について、政府といたしましては十分積極的にこれに対処する、こういう姿勢で取り組んでおいでになるということは間違いございませんですね。
  278. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 各種の公害に対しまして、お話しのように、非常にこのごろ一般国民の方々から御希望がございまして、もっともでございますから、積極的に取り組んでいることは事実でございます。ただ、中には法制が整備されたのもございますし、まだ法制について検討中のものもございまして、まだ制度といたしましては完備はしておりません。したがいまして、いろいろな公害に対しまして、それに対して原因者がどういう責任を負うか、あるいは国がどういう補償をしなければならぬかというようなことにつきましては、各種の公害につきまして、環境庁を中心にいたしましてただいま各省で検討中の問題が相当たくさんございます。これもそんなに長くなく、近いうちに結論が出ると期待しております。
  279. 折小野良一

    ○折小野委員 新幹線を中心にいたしまして、いろいろと問題が出てまいっております。たまたま環境週間でもございますが、こういう問題についての世人の関心も非常に高まっておるわけであります。ところが、従来はそれなら公害はなかったかといいますと、決して従来なかったわけじゃございません。ただ従来は、お国の国鉄がやることであるから、まあまあ、がまんをしなければということで来たのが実情であろうと思っております。従来、特に機関庫周辺におきましてはい煙の被害、こういうものが続いておるわけであります。ところが、従来は、補償を要求するとかあるいは特別な対策を要求するとか、こういうものがあまりなくて今日に至っておるのであります。ところが、最近のように、片一方で公害論議が非常に大きくなり、またこれに対して政府も何らかの対策を講ずる、あるいは補償を出す、こういうようなことになってまいりますと、いままで眠っていた子供も目をさますということになってまいりまして、われわれも今日までいろいろな被害を受けてきたのだ、こういうことになってまいるわけでございます。すでにそういうような面から、ばい煙に対する公害の補償なり対策なり、こういうのを要求する、こういうのがあちこちに出てきつつあるわけでございますが、これに対しましてはいままでのところ、大体それぞれの地方においては、そういうような補償とか対策は別にいままでやってきたことはないということで押えられてきておるのですが、最近はなかなかそれが押えられなくなってきておるというのが実情でございます。こういうような面についても今後政府としてお取り上げになっていくのか、あるいはそれをそのまま放置しておこう、あるいはいままでないからということで従来どおりに押えていこうとされるのか、こういう面についてのお考えをひとつお聞かせをいただきたい。
  280. 磯崎叡

    磯崎説明員 直接私のほうのお話でございますから、私から御答弁申し上げます。  ただいまのお話、たしか延岡のお話ではないかと思います。私のほうといたしましても、騒音の音源対策ではございませんが、やはりもとを切るというのが一番大事だと思いまして、実は御承知かと存じますが、機関庫のボイラーを全部重油だきに直しました。また機関庫で煙を出しましたので、この集中ばい煙に対しまして煙突を高くするということもことしの三月に実施いたしました。また、ことしの六月から、間もなくでございますが、延岡、南延岡の入れかえ機関車、これがしょっちゅうあそこにいて煙を出しますので、これは二両をディーゼル機関車に直します。こういう対策のほかに、御承知のとおり、来年の四月から日豊本線は、おかげさまで全部電化いたしますので、こうすれば一応なくなります。あの延岡の浜町公害対策委員会というところから、四十二年度以降六年間の農作物補償で二千八百万円払えというお話がございました。私ども局長もお目にかかっておりますけれども、なかなかこの被害と機関庫のばい煙との直接の因果関係が結ばれませんので、やはりこういう問題は、やむを得ず第三者機関におまかせする以外にないと存じておりますが、私のほうは、なるべくこういうことが起こらないように、根本的なばい煙対策としてもう煙を出さないということを主にいたしてやってまいりたいと存じますし、まあこの二千八百万円の問題につきましては、これはなかなか事実関係がはっきりいたしません。四十二年からの問題でございまして、その付近にもばい煙が多少あるというようなお話もございますので、やはりこれを公平な第三者に、争いということで御判断を顧うという形に持ってまいりたいというふうに存じております。
  281. 折小野良一

    ○折小野委員 まあこの問題は、私の地元にもある問題ではありますが、これは私の地元だけの特殊な問題ではないと思います。特に最近のように新幹線問題等が大きく出れば出るほど、過去のそういう問題が浮かび上がってくる、こういうことになってまいっておりますので、こういう面につきましても、やはりはっきりした対策をとっていっていただきたい。また、従来やったことがないからということだけでなしに、事実関係を明らかにするというような、具体的な誠意のある対策をとってやっていただくことが必要なことではなかろうかというふうに考えております。これはそういう点でお願いをいたします。  ただ、こういうような公害問題というのが、結局今後の国鉄にとりましてやはり避けて通ることのできない問題になってきたわけであります。今日、これから十年間の再建計画がいろいろ立てられておりますが、はたしてこういうものの中で今後対処しなければならないであろう、こういう公害対策というものが十分組み込まれておるのかどうか。あるいは今後予想される、こういう公害対策というものが非常に大きくなってまいりますならば、再建対策というものをもっと考え直さなければならないようなことになってくるのじゃないか。その辺を私でもは憂慮するわけであります。そういう点については、現在総裁としてのお見通しとしてどういうふうにお考えになっておりますか。
  282. 磯崎叡

    磯崎説明員 お説のとおり、今後の鉄道というものは、やはりそういう環境との調和をはからなければやっていけなくなると思います。今後新幹線を全国に七千キロ敷くという以上、やはり地元からも十分納得される鉄道を敷くということがわれわれの使命だというふうに考えます。したがいまして、避けて通るという気持ちは毛頭ございません。むしろ土俵の上で四つに取り組んでおるというような気持ちでおります。私どものほうの技術者も、騒音とか振動は必ずしも専門家ではございません。大体鉄道プロパーの技術の専門家でございますので、そういう専門技術を十分拝借いたしまして、また、日本の一流の学者の方々の意見も伺うべくその専門の委員会も実はつくっております。そういう方面で、私のほうの専門でないほうの意見も十分いれさせていただきまして、いわゆる二十一世紀にふさわしい、静かな、そうして速い鉄道をつくってまいりたいというように思っております。  ただ、最後に一つ申し上げておきたいことは、幸い私どもの公害は、いわゆる大気汚染的なものではございません。それは非常に私はしあわせだと思っております。したがって、端的に申しますれば、ある程度民家から離れればそれでいいという、わりあいに単純な公害だと私は思っております。したがって、今度の岡山以西の新幹線につきましては、約五カ所のところで建設省あるいは県と御相談いたしまして、道路のまん中と申しますか、あるいはその側道をできれば県道、市道にしていただくというような形で、都市計画なり都市の区画整理と総合的に新幹線を引くことによって、おのずから緩衝地帯ができるというようなことも、今度五カ所ほどで実施いたしております。そういうことによりまして、十メートルか十五メートルありますれば音が非常に減る、また振動も減るということでございますので、ほんとうならばそういう総合的な見地から根本的に公害の根を断つ。そして、鉄道自体としては音源対策をするということになれば、そう本質的に、大気汚染のようなむずかしい問題ではないと確信いたしております。そういう方向で、今後政府の御支援を得ながら、何とかりっぱな二十一世紀の鉄道をつくってまいりたいというのが、私どもの気持ちでございます。
  283. 折小野良一

    ○折小野委員 時間もございませんので、最後に一つお伺いします。  再建を控えております国鉄がいわゆる国民に愛される国鉄ということで、サービスについての配慮をいろいろとしておられることは、たいへんけっこうなことだと思います。  ところで、最近東京都内の国電に冷房車を取りつける、こういうことでございます。しかし、現在の国鉄現状から考えて、はたして都内の国電に冷房車をつけることが、まずなすべきサービスであるのか。あるいはあのラッシュ時の混乱を緩和する、こういう点にこそ、もっと金も力もつぎ込んでいくべきじゃなかろうか、こういうような面を感ずるわけでございます。それはいなかの駅で、夏になったら麦茶を出すというくらいのサービスはたいして金もかかりませんし、これはけっこうなことだと思いますが、こういう点でサービスの本質と申しますか、あるいはどういう点に特に国民の期待に沿ったサービスがあるのか、こういう点は十分お考えになる必要があるのじゃなかろうかということを感ずるわけでございます。具体的にはいま冷房車の例を申しあげましたが、これは一般的な問題だと思いますので、その点についてのお考えを承って、私の質問を終わりたいと思います。
  284. 磯崎叡

    磯崎説明員 けさほども大臣から申しあげましたが、やはり私のほうの仕事は、安全で正確な輸送を提供することが最大のサービスであるというふうに考えております。したがいまして、今後とも事故のない、しかも正確な、時間どうりまじめに動く鉄道をつくることが一番大事なサービスだというふうに考えます。しかしラッシュ時、非常にいかんともしがたい混雑の場合には、せめて冷房ぐらいでもってサービスをしなければいかぬということでやったわけでございまして、これは私のほうの単なる気持ちの一つのあらわれでございまして、そう本質的なものだと思っておりませんし、やはり本質的な、安全で正確な輸送を提供することが一番のサービスの根本であるということを忘れてはいけないというふうに思う次第でございます。
  285. 折小野良一

    ○折小野委員 いずれにいたしましても、国鉄再建のために最も大切なことは、私は国鉄当局のこれに取り組む姿勢であろうと思います。そういう面から二、三の御質問を申しあげました。  以上で終わります。ありがとうございました。
  286. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 以上で、本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時四十四分散会