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1973-04-09 第71回国会 衆議院 運輸委員会地方行政委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月九日(月曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員   運輸委員会    委員長 井原 岸高君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 孝行君    理事 斉藤 正男君 理事 梅田  勝君       安倍晋太郎君    阿部 喜元君      小此木彦三郎君    大村 襄治君       國場 幸昌君    關谷 勝利君       増岡 博之君    山崎平八郎君       井岡 大治君    太田 一夫君       金瀬 俊雄君    久保 三郎君       紺野与次郎君    三浦  久君       石田幸四郎君    松本 忠助君       河村  勝君   地方行政委員会    委員長 上村千一郎君   理事 小山 省二君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 土井たか子君 理事 山本弥之助君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       小濱 新次君   公害対策並びに環境保全特別委員会    委員長 佐野 憲治君    理事 菅波  茂君 理事 登坂重次郎君    理事 小林 信一君       羽田野忠文君    岩垂寿喜男君       土井たか子君    木下 元二君       岡本 富夫君    小宮 武喜君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省港湾局長 岡部  保君         海上保安庁次長 紅村  武君         建設省河川局次         長       川田 陽吉君         自治省行政局長 林  忠雄君  委員外出席者         運輸省港湾局管         理課長     鈴木  登君         建設省道路局次         長       中村  清君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  港湾法等の一部を改正する法律案内閣提出第  七三号)      ————◇—————   〔井原運輸委員長委員長席に着く〕
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより運輸委員会地方行政委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  港湾法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 井原岸高

    井原委員長 本案についての提案理由説明は、お手元に配付してあります資料により御了承願うことにし、直ちに質疑に入ります。  この際、御質疑なさる各委員に申し上げます。  関係委員長協議の上、質疑時間等申し合わせておりますので、何とぞ御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  4. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 今度の港湾法等の一部を改正する法律案背景について最初に伺っておきたいと思います。  この提案理由の御説明をお聞きしますと「公害防止等港湾環境保全あるいは国土の適正な利用及び均衡ある発展」のために港湾法改正するというふうに指摘されております。この法律案を拝見すると、確かに新しい時代要請、つまり公害対策環境保全という問題にかなり配慮が行なわれているようでありますけれども、しかしどうもその部分以外のところを見ますと、国土総合開発計画の一環として港湾機能を一そう強化していく、つまり日本列島改造論のいわば港湾版であるというふうに理解をしたい気持ちが出てくるわけでありますが、その辺について大臣の率直な見解を承っておきたいと思います。
  5. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 港湾法といわず、いままでのいろいろな公共事業関係法令ごらん願いますと、いずれも国土開発とかあるいは地域開発というようなものに結びつかないものはなかったと思います。今度の港湾法におきましても、昭和二十五年に制定いたしまして、当時は率直に国土開発ということに非常な力点を置いておったことは事実だろうと思いますけれども時代要請からいいまして、それでは足りなくなってきたと思います。  そこで、その目的をもちろん捨てたわけではございませんけれども、今度の改正趣旨は、港湾機能も非常に拡大し多様化してまいりました。いまお話しのように、環境保全というような問題が地域にとっては非常に重大な問題になってまいりましたので、それをどうしても補わなければならぬという意味で、環境保全というようなことを中心にいたしまして改正をしようということになったわけでございます。この改正趣旨が、現内閣の言っております列島改造というような——列島改造というものの内容はまだ具体的でございませんが、そういう趣旨に向かって港湾法も引っぱっていくのだというような意図ではございませんで、提案理由に申し上げましたように、いまの時代の趨勢に応じまして港湾機能を実態に合うように持っていきたいということで改正案を提案しておるわけでございます。
  6. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま列島改造論との関係について、必ずしもそういう結びつきを持っておるものではないという御答弁がありました。ただ私が伺いたいのは、戦後の日本経済発展推移というものを考えてみますと、やはり大資本本位のあるいは中心産業優先主義とか輸出第一主義とか、そういうものによって特徴づけられておるというのはもう周知のとおりであります。そうして昭和二十五年に制定された現行法は、実はこの経済発展推移ときわめて密接な関係を持って存在してきたというふうに言っていいと思うのです。特にいわゆる太平洋ベルト地帯という地域資本と人口が異常な集中を来たしておる。そこから物資の流通に行き詰まりが起き、あるいは需給にアンバランスが生じておる、あるいは公害問題をはじめとするいわゆる都市問題が激化しておる、こういう事実を否定することはできないと思うのであります。たとえば、東京湾とかあるいは大阪湾及び伊勢湾北部の三大港湾地域で、鉄鋼と石油精製と電力などの三業種の工業立地というのは、全国の生産量の何と六〇%を占めておる。こういう実情の中で今後ともこの推移は変わらないだろうというふうにいわれているわけでありますが、そういう中で今後ともますますこの高度経済成長を続けていこう、九%という目標を持ちながらも。そういう状況のもとでどうしてもこの港湾法改正というものが、それらの現実との関係の中で、列島改造論国土総合開発計画という、つまり上からの開発住民不在の政策として、どうも上から押しつけられてくるという懸念を、地域住民や、あるいは現実港湾管理者が持っていることを否定することは、できないと思うのであります。つまり、港湾法の今度の改正というのは、これからの産業活動のいわゆる受けざらとしての港湾開発利用保全、それを基本方針として確認しようとしているのではないだろうか、こんなふうに思いますけれども、その点について、もう一ぺん御意見を伺っておきたいと思います。
  7. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 今後もやはり日本経済は、安定をした形で成長を遂げていく必要があると思います。その意味におきましては、基幹産業に関しまするいろいろの問題、港湾につきましてもそういう設備というものは、これは何かの形でもって充実しないと、そういう基幹産業中心としての日本経済発展というのは望まれないということは、事実でございます。しかし、考えようによりまして、今度の改正法案全体を通じてごらんになりますと、そういうことが起こりまして、あるいはこの港湾関係の、たとえば周辺の方々とか、あるいは港湾関係者そのものに非常な被害といいますか、ことばが強過ぎるかもしれませんが、そういうものが起こるおそれがございますので、そういったものに対しましては、先ほど申しましたように、港湾全体の立て方を少し変えまして、環境の整備とかいうようなものを大いに充実していかないと両立していけない。ただ、いまおっしゃったように、大きな企業港湾設備をする、あとはそれさえ目的を達すればいいのだというわけにはいかないというような点を考えまして、種々配慮してあるつもりでございます。  なお、それらに関連いたしまして、あるいはお話の中には具体的に出ませんでしたが、専用埠頭その他の問題も含まれておるかと思いますが、そういった問題に対しましては、これは利用者である専用事業者負担をしてつくりなさい。なお、それに関連いたしまして、いろいろな問題が起こってまいりますが、これも、たとえば防波堤をつくるとか、しゅんせつをするとかいうようなことにつきましては、単に専用埠頭を持っておる企業者が使うだけではなしに、一般のコモンキャリアも使うのでございますから、それに対しては、専用埠頭使用者に対しまして、相当の負担をかげながら、ある部分公共事業として国も援助をしようというようなことで、その間の調整をはかっておる私どもとしましては、いろいろ港湾につきましては、どんどん情勢が変わっていくものですから、今後におきまして、なお考慮すべき点はたくさんあるかと思います。その点は否定いたしませんが、しかし現在の時点におきまして、このまま、いままでの昭和二十五年の港湾法では、地域の方に対しましても、あるいは港湾利用者に対しましても、非常に被害を及ぼすおそれがあるというので、とりあえず今度の港湾法におきまして、先ほど申し上げたような目的に沿って改善をしようという企てでございます。その点は御了承いただきたいと思います。
  8. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま大臣の御発言をそのまま信頼をするということになるとするならば、改正案の中で、この法律目的の中に、いま大臣が御答弁いただいたような国民の福祉の向上とか、国民経済の健全な発展に寄与するとか、特にこの地域住民の生活安定、これはいろいろな問題があると思うのです。あるいは環境保全立場というものをはっきりなすったらどうですか。その点を、ぼくは、消えてしまっている現実を、やはりこの際少し考え直してほしいものだというふうに思います。この点について伺いたいと思います。
  9. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 運輸委員会におきましても御指摘をいただいた点でございますが、私は、これは御説明申し上げているのですが、これはこじつけではなしに、こういう公共的な公共事業法といいますか、そういう中では、結局それが国全体の発展につながるとか、したがって国民福利につながるというのが、これは当然でございまして、そういった目的を持っていない公共事業関係法律というのはないと思うのです。でございますから、その関係法令を私も調べました。お調べくださればわかりますように、法律によりましては、ある程度そういったことをことばの上でも明示しておる法律もございますし、あるいはそういったことは明示していない法律もございまして、ここでは港湾というのは、そういうような、先ほどお話しのような沿革を持って生まれてきておる、日本国土発展、あるいは産業成長、あるいは国民福利というようなものを目途にして、昭和二十五年以来来ておる法律でございますから、それはもう言うまでもないところでございまして、今度の改正案におきましては、特に力を入れたものは何かといいますと、環境保全ということに力を入れたものですから、具体的にその目的をしぼって、第一条の目的には、あえて、二、三の法律にありますような、そういう一般的、抽象的な、国全体のためにとか、国民全体のためにというような表現を避けたのでございますけれども、これは特に避けたわけではなくて、いままでの一条から——一条をどう改正するかという段階で勘案をして、関係当局とも相談をいたしまして、これで十分わかるということで、いまの一条のような法文になったわけでございます。趣旨はよくわかっておりますけれどもていさい上そうしたらどうか。これも一案だと思います。一案だと思いますが、そうしないと国民福利から離れていくのかということになりますと、公共事業関係法律でございますから、そうではありません。全体がやはりそこにつながっていくのでございますという御説明を申し上げているわけでございまして、そういう趣旨でございますから、これも御意に沿わぬかもしれませんが、一応そういう趣旨立案しておるということを御了承をいただきたいと思います。
  10. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま大臣の御答弁の中で、特に意識して避けたわけではない、私もそうだろうと思うのです。なぜなら、この法律改正背景がそこにあるわけなんですからね。とするならば、ほかの法律にもあるわけですので、それに不安を感ずる人があるとするならば、その不安を解消する意味でも、それほど痛痒を感じないのならば、たとえばわれわれが修正を要求すれば、それを受け入れる用意があるか。痛痒を感じないならば、私は、国民に対して政府の意思をすなおに反映できるように、お答えを願いたいと思います。
  11. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この間も運輸委員会で御答弁をしたのですが、私は、立案者といたしましては、これで十分だ、これで適当ではないかと考えておるところでございますが、国会におきまして、そういうふうな御意見で、そのほうがいいということであれば、別に、修正いたしましても、これは法律案趣旨は変わるわけではございません。でございますから、国会におきまして御決議がございますれば、私どもは、それを謙虚に受け入れる用意はあるということをこの間も申し上げたわけでございまして、しかし立案者としましては、おっしゃるようなことは十分に考えまして、立案当時から考えてやっておりまして、他の公共関係事業法にもやはり同様にそういったことが入っていない、そういうことばが入っていない法律がございます。それについてもどうするのかという問題が出てまいるかと思います。これはひとつ国会の御審議過程において慎重にお考えをいただきたいと思います。
  12. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これはぜひその立場というものを法律の中に明記していただきたい。このことを要請をしておきたいと思います。  次は、これもずいぶん時間がかかったという——議論があるわけでしょうけれども、例の基本方針のことについて一言だけ触れておきたいと思います。  この点については、実はいろいろの意見があるわけであります。たとえば、運輸大臣権限地方自治体自主性地域性を縛るとか、自治権を侵害するのではないか、こういう意見現行法との関連で出されておることば御承知のとおりであります。これに対して、政府は、現行法変化はないというふうに弁明されておられます。それならば、この項目を無理にこの基本方針という形で挿入なさる必要はないのではないだろうか。この点はかなり運輸委員会などで議論になっておるようでありますけれども、やはり私は、港湾計画立案権というのは港湾管理者にあるといういわゆる地方自治法規定をすなおに表現されて、そしてこの法律の中でもその立場を生かしていく、こういう努力をいただきたいと思いますけれども運輸大臣見解を再度承っておきたいと思います。
  13. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この点につきましても運輸委員会でたびたび御指摘がございましたので、お答えが繰り返しになるのですが、仰せのような意図は全くございません。ただわれわれが申しましたのは、港湾というのは地域住民方々、したがって、地方自治体に非常に密接な関係のあることは否定はできませんけれども、同時に港湾機能が国全体の問題あるいは国民全体の問題にも響いてくるわけでございます。そういう点から申しますと、他の公共関係事業法にもございますように、大綱といいますか、大きな指導方針というものはだれかがきめて、そういうものとの調整をはかりながら、地方自治体が具体的な計画をきめていくというたてまえをとるのがよろしいのじゃないかということで、今度のような立案をしたわけでございます。  したがいまして、地方自治団体に対しまして、非常に強い命令権運輸大臣が各港湾具体的計画をどんどん変えたり、あるいは許可がないと地方港湾管理者が身動きができないというようなことは、今度の港湾法全体をごらんになりますとおわかりになりますように、そういったことはございませんで、ただ一般的、抽象的な港湾についての基本的な考え方というものにつきましては、先ほども御指摘になりましたが、日本港湾機能がだんだん多様化し、拡大してきておりますので、そういう中であまりにばらばらになっては困るというような意味で、基本的な考え方は一本で、その上に立って具体的な各港湾計画をおきめになるようにしていただきたい、こういうことで基本方針というものを掲げてあるわけでございます。それがあるからといって、各港湾管理者に対して、具体的に非常な指揮権を強行するというような規定は置いてないはずでございます。したがって、これは自治省とも十分御相談してございますけれども、そういう心配はないということで、いまの案ができ上がっておるわけでございますから、もしそういう御懸念があるといたしますと、運用の問題が主でございましょうが、運用上も皆さんの御意見を反映いたしまして——そういうことはやろうと思ってもできることではございませんけれども、なおその点は十分御意見を反映いたしまして、運用上気をつけていきたいと考えます。
  14. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 運用考えていきたいということでありますけれども、たとえば三条の二の4、5のところについていえば、「運輸大臣は、基本方針を定め、又は変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議し、且つ、港湾審議会意見をきかなければならない。」この「きかなければならない。」——内容を聞かなくてもいいわけですけれども、その辺についても、たとえば港湾審議会協議を経なければならないというような、もうちょっと港湾審議会みたいな機関を尊重していくという立場をおとりになる気持ちはないのかどうか。あるいはその次の「港湾管理者は、基本方針に関し、運輸大臣に対し、意見申し出ることができる。」アクセサリーみたいな形じゃなくて、やはりこの辺でも事前協議ということがきちんと約束されている、こういうようなことになさるおつもりはないのかどうか。そうしないと、現実にそれは大綱をきめるだけであって、こまかいことについてはやるおつもりはないし、急激な変化を要求はしないと言いながら、現実にいま持っている港湾管理者というものの機能とそれからそのことを国が委託している背景というものを考えたときに、もう少し主体的な、自主的な港湾管理者発言力を確保しておきたい、このように思いますけれども、その点について伺いたいと思います。
  15. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 御趣旨は非常にごもっともだと思うのです。われわれ港湾管理者意見を無視するつもりは毛頭ございませんが、ただ港湾管理者は非常にたくさんございまして、各港湾ともそれぞれの目的を持ち、特性を持って動いております。でございますから、いまおっしゃるように、そういう港湾管理者を集めて協議会でもやって何かまとめようといっても、これはなかなかまとまりません。現実の問題だと思います。  でございますから、われわれのほうは法文に書いてございますように、その意見を十分聞きまして、尊重すべき意見は取り入れて、基本方針をつくっていくということにしておるわけでございまして、港湾管理者意見は無視してもいいという意味では書いていないつもりでございますし、そういう運用はしないつもりでございます。  ただ、協議会をつくってみんなで相談してやったらいいじゃないか。これは抽象論としては言えますけれどもばらばらの各港湾管理者、それぞれの目的を持った管理者を集めまして、そして何か基本方針をつくってみろといわれましても、そこでは具体的にはまとまってくるはずはないのでございますから、この点は現実行政の問題としてわれわれも十分考慮いたしましたが、その結果、いま申し上げたような結論になったということで御了承いただきたいと思います。
  16. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 どうも、まとまってくるはずがないという前提で話されたのでは、一体地方港湾管理者というのはどういう権限でどういう窓口を持って発言をしていったらいいのかということについて、かなりちゅうちょせざるを得ないと思うのです。そうではなくて、やはり数が多いことは事実です、しかし数が多いけれども港湾地域性あるいはその地域の主体性、自主性を尊重していく、そういう配慮に立ったときは、もう少し港湾管理者発言権を担保すべきじゃないだろうか、こういうふうに思いますが、その点について、重ねて伺っておきたいと思うのです。  それから、それに関連して、たとえば基本方針の中で「港湾配置機能及び能力に関する基本的な事項」という項目がありますけれども、これを国がきめるわけです。もし国が一方的に港湾機能別に分割することになるならば、その港の背後地立地条件というものが、いわば国の一方的な方針でもって変わらざるを得ないという背景を持っていると思うのです。これは御理解いただけると思うのです。たとえば、合理的と称する港湾配置あるいは機能の押しつけによって、地域住民の生活の基礎を根底から変えてしまう、そういうおそれはあると思うのです。そこから、たとえば町村合併の問題とかあるいは自治法九条の三の境界線変更の問題が事実上進行してくる。議会のチェックというものは、既成事実を追認するという形になっていかざるを得ないような懸念もあると思うのですね。この点について自治省はどんな見解を持っているか、伺っておきたいと思います。
  17. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 お答えいたします。  この港湾法の成立の過程自治省運輸省とは十分の協議を尽くしてまいりました。自治省というのは、いま御指摘のようないろいろな地方団体立場その他について常に関心を持って、その点の立場に立って、法律案をつくる場合には各省と議論するわけでございますので、いま先生の御指摘のような議論は、運輸省との折衝の間で十分尽くされたつもりでございます。そして結論においては、この改正はけっこうではないかということで、運輸省と同じ結論に達したわけでございますが、いま先生指摘のような、町村合併あるいは市町村の境界変更の問題が港湾区域の指定とか港湾計画をお立てになるにあたって問題になる事項でございますけれども、これは地域の事情ないしは地域意見を無視して国が一方的にきめるということはあり得ることもないと思いますから、運輸省でもそういう運用方針をおとりになるはずがない。港湾というのは御指摘のようにあくまでも地方団体とともに育ってきたものであることは間違いございません。と同時に、国全体の経済の動きからして、各港湾がそれぞればらばら機能すべきものでもないこと、これも申し上げるまでもないことでございますので、その間の調和をお考えになりながら運輸省では基本方針をお立てになる。同時に、お立てになるについて意見申し出というものもございますが、意見申し出が単なるから念仏でも何でもなくて、地域実情を無視してはものごとが動かないという立場からいえば、運輸省は必ず十分その意見を参酌していただける。さらに関係行政機関として自治大臣もそういうものの立案とか変更には協議に加わることができるわけでございますから、全体的な運用考えた場合、現在のような規定にすることについては、もちろん自治省としても地方自治立場からは差しつかえはあるまいという結論に達したのが実情でございます。
  18. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それではその次に移ります。これもあるいは委員会議論になっているかもしれませんが、中央、地方港湾審議会の構成、特にいわゆる住民参加の方法みたいなものをどんな形で保証しておられるか。これはまだ構成の議論がどの程度煮詰まっているかわかりませんけれども、この辺のところにも密接な関係がありますので伺っておきたいと思います。
  19. 岡部保

    ○岡部政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御質問、地方港湾審議会意味かと存じます。地方港湾審議会、今度の法律によって新たに明定化いたします予定の審議会でございますが、この審議会の構成メンバーはまだ確としたメンバーをきめたわけではございません。ただ現段階ではっきり申せますことは、港湾計画等におきまして環境問題が非常に問題であるということで、特に地方、いわゆる県当局の環境部局の人、それからいわゆる総合的な意味での見方をするような立場の人、そういう人を必ず入れるようにということは現段階でも考えております。したがって、いわゆる地方の、いろいろな意味での民意を反映するというためにどういうメンバーを選ぶかということは、御意見がございますればそれに従いまして、できる限りのことを指導していきたいという考え方でございます。
  20. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 環境部局の方という、つまり役所の方だけでなくて、やはり一般の市民の代表、漁民も含めて、当然入れると思いますけれども、その辺についても行政指導を願えますか。
  21. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいまの点、私ども先ほど申し忘れましたが、地方の条例で定めることでございますので、もちろん指導するという立場でございますけれども、できる限りそのような線で指導していきたいという考え方でございます。
  22. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 次に移りますが、日本は島国であることは周知の事実ですが、その海岸線というのはいわば国民の貴重な財産だと思います。その意味では国はあくまでもその海岸線の公共性を維持するために御努力をいただかなければならないと思うのです。しかし、現実には埋め立てなどに際して、いわゆる受益者負担ということで海岸線が、さっきも専用埠頭のことでお話があったわけですが、港が私企業に独占されているわけであります。たとえば私、川崎ですけれども、川崎でも市民の税金で造成された工業用地が造成原価の半額以下で実は売却されているのですね。そのときに川崎港の大部分も合わせて売却されてしまっています。それで大型係船岸は八十バース六千五百八十メーターあるのですけれども、臨海工場の専用埠頭というのがほとんどでありまして、公共用のバースというのは七バース千二百メーターしか実はないわけであります。これでは公共的埠頭は決定的に不足してしまうことは当然であります。今後海岸線を私企業に支配されることのないようにすべきだと思います。その意味ではどうしても埋め立てというものに対して、国がもう少し補助をしていくとかめんどうを見ていくとかいうことが必要ではないだろうか。これは埋め立て一般論には私ども反対でありますけれども、いままでの経過から見て、環境汚染のおそれその他の問題が十分に担保できるとすれば、その辺についても意見を承っておきたいと思います。
  23. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいまの先生のお話、確かにこれからの港湾のあるべき姿という意味から申しますと、先生の御説のとおりかと存じます。いわゆるいままでの港湾で、臨海工場と申しますか、装置型の臨海性の工業が非常に大きなウエートを占めておったというために、一つには環境問題等々の問題も起きているわけでございます。したがって、今後むしろいわゆる流通面での港湾というもの、あるいは極端な言い方かもしれませんが、レクリエーション面としての港湾というような新しい見方で港湾考えていかなければいかぬというのは全く事実かと存じます。したがって、今後の埋め立て地の利用というような問題につきましても、この港湾計画の一環といたしまして、そういうような方向に進めていく。ただ、先ほど最後におっしゃいました、埋め立て地に対して国も財政面で援助をするべきではなかろうかという御説については、現段階で埋め立て地の土地造成自体に対しましては、財政資金のあっせんはいたしますけれども、直接の補助というような姿の財政援助というものはいたしておりませんし、今後も、いまのところはそういうふうなものに変えていくという考え方はございません。
  24. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 次に三十八条の二のところの例の届け出のところなのですけれども、一、二、三、四と、こうなっています。一項のところですが、その中でことばが違っているんですね。二、四の中では「建設又は改良」という問題について届け出になっているわけですが、三号の敷地面積がかなり広いと思われる、政令で定める面積以上のものの届け出は「新設又は増設」以外の改良というのは届け出の必要がないことになっています。あとでどう実は改良されたのかわからないということでもありますが、これは大企業企業秘密をかばったのではないだろうかというせんさくを実はしたくなるわけであります。この辺については、法律ことばでありますけれども、他意があるのかないのか、もし他意がないとすれば改良を含めて考えるべきではないかと思いますが、その点の御意見を承りたいと思います。
  25. 岡部保

    ○岡部政府委員 まず三十八条の二の第一項の届け出対象行為につきまして、一号、二号と四号が「建設又は改良」、それから三号が「新設又は増設」となっているという点でございますが、字句といたしましては、建設と新設とはほぼ同様の意義で用いられております。一般的に施設等を新たにつくる場合に使用されている字句だと存じます。そこで、こういう建設と新設というものをなぜ使い分けたかという点につきましては、むしろ既存の法律、いわゆる首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律あるいは今国会に提出されております工場調査法の一部改正法案、いわゆる工場立地法案でございますが、こういうようなところで、工場等をとらえて新設または増設という使い方をいたしております。それから、いわゆる港湾法でいう港湾施設の中では、個々の施設については建設または改良という使い方を従来してきております。したがって新設と建設はほぼ同様の意義で用いられていることばでございますけれども、ここで使い分けをいたしました。それから増設と改良というような意味では若干この字句に違いもあるようでございますが、いずれにいたしましても、いまのようなほかの法律で使っておるというような字句をここに使用させていただいたというのが私ども考え方でございます。したがってそれのことから出ております問題点について特に他意があるという気持ちでは毛頭ございません。
  26. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ちょっと時間がないものですから、省略をいたしまして前に進みますが、分区のところで環境保全港区というのが、これも前の委員会であるいは議論になっているかと思いますけれども、「修景厚生港区」になっているわけです。これは「その景観を整備するとともに、港湾関係者の厚生の増進を図ることを目的とする区域」というように非常に狭くなってしまっているわけであります。これについては、環境庁おられると思いますけれども、あるいは運輸省含めて、どうしてこうなってしまったのか、当然環境保全港区というようなものを考えていいのじゃないだろうかというふうに考えますが、その点について見解を承りたいと思います。
  27. 岡部保

    ○岡部政府委員 運輸省といたしましてお答え申し上げますが、呼び名「修景厚生港区」というのはちょっと聞きなれないことばかと存じますけれども、これも、こういうことばを選びました理由は、特にそう理由があるわけではございません。むしろいわゆる観光港区と申しますか、観光面というのを非常に強く出しますと、たとえば「マリーナ港区」、そういう特殊な意味での区分をするべき問題と、そういうのと非常に混乱をするという考え方で、あまり一般的な広い意味ではまずいのではなかろうか、しかも先生御承知のように、この「修景厚生港区」というのはむしろこれから開発というか、開発をしないで保存しておくべきところだよという感覚が強いものでございますから、それでこういうような字句を使用したということで御了解いただきたいと思います。
  28. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この文も日本語じゃないと思うのです。「修景厚生港区」というのは日本語としてもなじみがない。こういうのはやはり日本語に直すべきです。しかももっと意味のあるものに直すべきです。その点をもう一ぺん伺っておきたいと思うのですが。
  29. 鈴木登

    ○鈴木説明員 ちょっと補足して説明さしていただきます。  実は先生指摘のように、環境保全港区という名称を使うという案もありましたけれども、今回の法改正の主目的が、港湾における環境保全するということでございます。したがいまして、そういう名称を使った場合に特定の港区だけ環境保全を重視をして、それ以外の港区は環境保全を重視しないのかというふうな一つの疑問も出てまいりますので、こういう「修景厚生港区」ということばを使ったわけでございます。  それから「修景厚生港区」という場合には、自然の景観をそのままに保持していくというだけではございませんで、ある程度人間の手を加えるという意味で「修景」ということばを使いまして、それから「厚生」といいますものは、港湾に働きます労働者の皆さんの福利厚生に役立つという意味で「厚生港区」を使ったわけであります。
  30. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 やはりこれは日本語に直さにゃいかぬです。こんなわけのわからぬ名前は実態としてもそぐわない、こんなふうに思います。もう一ぺん検討を願いたいと思うのです。  次に進みますが、港湾の仕事に対する四十三条の「費用の補助」の問題については、いろいろ運輸省は努力なさったということは伺っておりますが、それが「十分の五」はともかくとして、「十分の二・五」というぐあいにたいへんこまかく区切っているわけですが、やはり少ないと思うのですね。財源をもっときちんと確保してやらなければいかぬと思うのです。その意味ではたとえば例のとん譲与税というようなものが一般財源になってしまって、現実には港湾のほうに回ってこないわけですね。だからやはり関税の中から、たとえば目的税としての港湾譲与税とでもいいましょうか、そういう財政を考えるべきだと思うのです。その点についてと補助の問題と二つ承っておきたいと思います。
  31. 岡部保

    ○岡部政府委員 確かにこの環境問題での新たな補助規定を四十三条に設けたわけでございますが、十分の二・五というような、四分の一という非常に低い補助率ではないかという御指摘だと存じます。この点については私どもももっと補助率を高めたいという気持ちは持っております。しかしこれはなぜこういうことに、いわゆる財政当局とのいろいろな折衝の結果こういうふうになったかという点について一応申し上げさせていただきますと、いわゆる陸上のごみ処理施設等、こういう陸上の清掃事業に特にごみ施設でございますが、これが現在四分の一の補助率でございます。これと並びでやらされた。いわゆる海洋性の廃棄物の処理を陸上の廃棄物処理よりも上回らせるというのはおかしいじゃないかというような一つのバランス論から、結局こういうことにおさまってしまったというのが実情でございます。したがって、こういう点について今後とも私どもとしてはできる限り補助率をアップするということに努力してまいりたいと考えております。  また、次のお話のございましたいわゆる特定財源と申しますか、これにつきましては今回の法改正では港湾環境整備負担金という新たな一つの財源をここに法定、明文化したわけでございますけれども、しかしながら御説のとおりでございまして、たとえば特定財源になり得るもので何か関税のようなものが考えられないかというようなこと、これは昔からいろいろ議論のあるところでございまして、私どももずいぶん検討いたしておりますが、なかなか現実には困難なむずかしい問題だと考えております。しかし、これにつきましてはほんとうの意味で前向きに検討いたしておりますし、でき得ればなるべく早い機会にそういう特定財源の財源化ということをしたいというふうに考えております。
  32. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 ちょっと申し上げますが、この港湾管理者港湾をほとんどまかせっきりにして、最小限度の国の補助でいこうなんということは少しもう時代おくれじゃないかと思っておるんです。港湾ばらばら港湾でなくて、やはり国土全体の中でこうあってほしいというようなものになってまいっておりますし、つまり港湾機能というものは昔と比べると非常に変わってきた、多様化してきたというようなことから、国がやはりもう少し国の立場から補助を厚くするということは考えなければいけませんし、港湾の整備の内容につきましても、港湾局長が言いましたように、これは港湾管理者に、いろいろの収入はありますけれども、いままでの沿革的なそういった収入だけであとは自主財源でやれと言いましても、なかなかこれは困難になってきておると思います。  しかし今度はこれをあまり根本的な改定はできませんでしたのは、やはり港湾整備五カ年計画の中で作業をしておるものですから非常に窮屈でございまして、あまり大きな変更ができなかったのですけれども港湾局長申しますように、部分的には若干でも港湾管理者負担を軽減する意味の措置は可能な限り講じてあるつもりでございますが、根本的には、初めに申し上げましたように、もう少しこれに対しては国が国費を出して港湾の整備を進めよう、港湾環境をよくしようということに努力をしてしかるべきじゃないかと考えます。  ことに、環境庁の方もいらっしゃいますが、港湾環境保全というようなことにつきましては、やはりどうしても国がもう少し積極的な姿勢を示さねばいかぬだろうと思います。この点は宿題にしていただきたいと思います。できるだけ近い機会にそういう方向で私も努力をしなければいかぬと思っておりますので、御了解いただきたいと思います。
  33. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 現行法にも、たとえば例の入港料、法律があっても実は適用されていないのですね。船主協会の反対で実現していないわけです。そういう意味ではやはり今度の負担金というような問題を考えていただいても、なかなかむずかしい面が出てくるわけですね。したがって、いま大臣のおっしゃったような努力をぜひしていただきたい。  もう時間がありませんので最後に一言だけ御質問申しておきたいと思うのですが、例の埋め立てに関連する公有水面埋立法の問題でちょっと承っておきたいのです。この法律にいわゆる環境庁の協議権というものが加わったわけで、住民の意思の尊重ということになるわけですが、この中で、たとえば新しい関西空港が事実上困難になるのではないだろうかという評価があります。地元の反対運動もかなり発展をしてきています。これは環境庁に承りたいと思うのですけれども、この公有水面埋立法と新関西空港の問題について、一ぺん承っておきたいと思います。
  34. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 環境庁に対するお尋ねのようでございますが、いまの公有水面埋立法の改正案は提案されましたばかりで、これにつきましてはこれから御審議過程でいろいろな御意見を伺わなければならぬかと思っておるわけでございますが、いまの関西国際空港という具体的な問題についてのお尋ねがございましたので、私からお答えいたします。  この問題は予算委員会でもたびたび御説明申し上げておりますように、いま航空審議会のほうに諮問をいたしておりまして、どの場所にということもまだきまっておりません。どの規模ということもきまっておりません。私どもは場所と規模両方につきまして関西にも国際空港が要るだろう、いまの伊丹ではもうとうてい役に立たないから早く新空港をつくったほうがいいという前提において諮問をしておるわけでございます。したがいまして、これが答申がありまして、どこの場所にどのくらいの規模の空港をこしらえるのがいいかということは運輸省関係各省庁と相談の上できめなければならぬと思いますが、いまお尋ねの環境庁の意見を聞かなければならぬことはもちろんでございまして、ことに環境保全という点からもそうでございますし、騒音対策という点からもそうでございますし、あらゆる点から環境庁と十分に相談をいたしまして、最終的な結論を得るように努力をしなければならぬと思っておりますので、決してこれは環境庁をないがしろにしてわれわれ単独できめるということは少しも考えておりませんから、その点は御了承いただきたいと思います。
  35. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は、まだ質問が余ってしまいましたが、時間がないのでこれで終わります。
  36. 井原岸高

  37. 土井たか子

    ○土井委員 今回の港湾法等の一部を改正する法律案につきまして、いままでもうすでに御質問また御答弁があった問題は重複するかもしれませんが、ひとつ基本的なことをきょうは二、三お尋ねするつもりで質問をただいまから始めたいと思います。  現行の港湾法によりますと、重要港湾港湾計画というのは、港湾管理者が発案いたしまして、国と調整するというたてまえになっておりますね。ところが、今回の改正案を見ますと、まず国のほうが基本方針を定める、そしてこの基本方針に適合した港湾計画、それが問題にされていっているようであります。一体現行法では、まず港湾管理者港湾計画を発案するというふうなたてまえが、今回のように、国がまず基本方針を定めて、これに港湾計画そのものが適合するようにしなければならないというふうに、基本的に姿勢が変わった理由はどの辺にあるのか、まずそれからお尋ねをいたします。なぜこのような改正が必要なのか。
  38. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほどお答えを申し上げておったわけですが、今度の改正法律案は将来にわたって十二分のものとは考えておりませんが、最近の港湾ごらんになりますと、非常に港湾機能というものが拡大されてきておりますし、一方では港湾機能が多様化してきておることは事実でございます。そういった点にかんがみまして、昔のようにただ地域開発であるとか国全体の開発であるとかということだけではなしに、港湾というものの管理、運営あるいは施設整備というようなことに関連いたしましては、やはり時代要請に応じて港湾環境保全というようなことにもっと重点を置いてやってもらわなければならぬという意味から、第一条の目的のところにそれを挿入いたしましたが、これは根本的に変わったというわけではありません。場合によっては、念のためといってもいいでしょう、そういう意味で、いまあるべき港湾の姿というものを第一条に掲げました。そういうことでありますから、港湾方針というものにつきましては、やはり抽象的ではありますけれども、たとえば港湾環境保全については特に重点を置かなければいかぬとか、きれいな港湾にしなければいかぬとか、また法律の中にも書いてありますが、できるだけ緑地帯を設定しなければいかぬとかいうような事柄につきましては、これは各港湾を通じましての抽象的な一般的な方針として運輸大臣関係各省庁の方々協議の上でそういう方針をきめよう、それが基本方針でございます。それがいままでとたてまえが全然変わったようにいまお話がございましたけれども法律面からいきますと、あるいはそうかもしれません。しかし、内容的には、いままでもそういう計画をお出しになった場合には、そういった面で非常に欠けるところがあれば、これは行政指導といいますか、実際上は各港湾管理者運輸省が相談をいたしまして、そういうような港湾ができないように、いま申し上げたような趣旨でもっと港湾が整備されますように話し合いをし、そういう計画にしてもらっているはずでございます。その点は、著しく現在の運輸省港湾管理者である地方自治体との関係を根本的に変えたものではなくて、そういうことを今度は法律の一条を変えて、港湾目的というものについてある程度時代に応じたような港湾整備をさせようという趣旨に変えました機会に、そういう一般的、抽象的なことについては、望ましい港湾の姿というものについての基本的な方針を示して、それに準拠して各港湾がそれぞれ具体的な計画をお立てになるようにということを期待をしている次第でございます。
  39. 土井たか子

    ○土井委員 大臣はしきりに時代要請ということをおっしゃるわけですが、大臣最もよく御承知のとおり、都市港湾というのは、物価であるとか、都市の開発であるとか、廃棄物の処理とか、地域住民に密着した港湾の整備、運営というのを現に迫られておりますね。したがって、港湾自身の計画は、背後の都市と前にある海と一体のものでなければならないことはもう常識だと思うのです。そういう点から考えてきますと、中身は変わらない、しかし、法律のたてまえは、言うように、今度は改正点として三条の二あるいは三条の三なんというのは一つの重要な個所であると私は思うわけでありますが、やはり国の基本方針というのは何より重視されるようになっております。この基本方針というのは、まず地域性を前提としたものでなければ、いま大臣がおっしゃったような時代要請に即応したものにならないのではないか。特に、そこにいま住いをいたしております地域住民と密着した中身を持っていないと、時代要請に即応するものにならないのではないか、これはだれしもが考えるところだと私は思うのです。そこで、国家的な立場においてする調整というものは最終的なものでなければならない、これは基本的なものだと思うのです。先ほど、中身は変わらない、法文は変わったかもしれないと大臣はおっしゃいましたが、これは大臣には釈迦に説法みたいになるかもしれませんけれども行政というものは法律に基づいて行政をやるのでありますから、行政が独走するわけではないのですね。法律があっての行政であります。法律がどう変わるかによって行政の中身も変わってまいります。したがって、今回の三条の二、三条の三という改正の中身は、行政の中身もそれだけ変わるのです。したがいまして、三条の二につきまして少し問題を聞きたいと思うのですけれども、ここにあるところの「運輸大臣は、」「基本方針を定めなければならない。」ですから、運輸大臣お定めになるのでしょう、基本方針は一体何に準拠してお定めになるかということをひとつ伺いたいと思うのです。何に準拠なすって基本方針をお考えになるか、いかがでございますか。
  40. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 おっしゃるように、行政上の指導方針というのが法律に準拠すべきことはもちろんでございます。法律に反したような行政指導はしたこともございませんし、する意思もございません。したがいまして、いまおっしゃるようなことをさらに演繹してまいりますと、先ほど申し上げましたように、いままでは行政指導で個々の港湾に対して一つ一つ意見を述べたり指導をしたりというような事柄ではなしに、今度はこういう三条の二のような規定を置きまして準拠するところを示したということになるのではないかとも思います。この場合は、先ほども申し上げましたように、ここに書いてあるとおりでございまして、「港湾開発利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針」と書いてございまして、これについて、およそ日本港湾はこういったことを考え計画立ててほしいという方針をこれに基づいて示すわけでございます。
  41. 土井たか子

    ○土井委員 それは第三条の二に対する解釈そのものでございまして、その三条の二によってお考えになるところの基本方針は何に準拠して出されるかということなんですよ。つまり一々の港湾開発利用保全開発保全航路の開発等々に関しては、何か国としては基本がなければならない。国の立場においてお考えになるわけでありますから、したがって、これをお考えになる国の準拠するものが何かなければならないはずだと私は思うのであります。それをひとつはっきりとまずお示し願いたいのです。
  42. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 法律的な根拠からいいますと、この第三条の二の一項で運輸大臣にそういう授権行為が行なわれるわけでありますから、この法律に基づきまして、第三条の二第一項に基づいて運輸大臣はこういうことをきめなければならないということになっておりますから、この法律案が通れば、これに基づいてきめるわけでございます。  内容は何かというお尋ねかもしれません。内容のほうは、この第三項に書いてございます。第三条の二の第三項「基本方針は、交通体系の整備、国土の適正な利用及び均衡ある発展並びに国民の福祉の向上のため果たすべき港湾及び開発保全航路の役割を考慮して定めるものとする。」とあるのですから、こういったものを考えて、運輸大臣が第三条の二の第一項によって権限を与えられておるのですから、運輸大臣がきめます、ということです。
  43. 土井たか子

    ○土井委員 それは運輸大臣がおっしゃるとおりだと思います、具体的な問題については。しかし、運輸大臣がこの第三条の二の第三項に定められている中身を問題になさる以前に、やはり国全体において総合的な施策があるはずであります。おそらくは、それを無視して運輸大臣はこういう方針の中身をお考えになるはずはないと思うのです。たとえば、現にある問題を申し上げますと、新全総、いかがでございますか。新全総など全然無視してこういうふうなことについてはお取り組みになるということなのか、どうなのか、その辺はい  かがでございます。
  44. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 考慮すべき問題の一つでございまして、その点は第三項に若干、その新しい国土総合開発というものに触れるような字句がございます。その範囲においては、触れると思います。しかし、この間も運輸委員会でも、お尋ねのようなことがございまして、率直にお答えしたのですが、やはり運輸大臣港湾行政の責任者でございますから、法律に違反するわけにはまいりませんけれども、そういったことについては、法律上、日本港湾全体が整備され、そして日本国民生活及び国民経済発展に寄与するように港湾行政を持っていくという責任を持っておりますから、そういう点を十分考えましてこの基本方針というものについても運輸大臣がきめていこうということでございますが、それについては、基本方針内容がよくわからぬじゃないかというお話が運輸委員会でもございました。それで申し上げたのですが、そういったことについて委員の皆さんからいろいろ御議論のあるところは謙虚に拝聴いたします、そういった点で、取り入れるべき点があれば十分それを取り入れて、この基本方針をつくる場合の参考にさしていただきますということをるる申し上げたのでありまして、法律上のたてまえとしましては、三条の二の一項と三項でもってそれは大体方向はきまっておる。それの内容を具体的にどうするかということだと思いますが、その点につきましては、いま申し上げたように、私は謙虚に考えておりまして、いま私たちのほうでも、案はないことはありません。しかし、この国会における御審議の経過を見まして、そういう基本方針をきめる。きめる場合には、関係各官庁の長とも十分協議をした上できめよう。これは法律に書いてございますから、そのとおりにいたしまして、万間違いのないような方針をきめていきたい、こう思っております。
  45. 土井たか子

    ○土井委員 非常に謙虚に考えるというふうな御答弁でありましたけれども、昨年八月に、実は瀬戸内海全域に赤潮の異常発生がございまして、わけても、あの瀬戸内海の中では最大の漁場というふうに考えられてまいりました兵庫県にあります家島なんかは、ハマチの養殖の大被害を受けたわけであります。そのときに、もはやこれ以上瀬戸内海における築港あるいは港湾計画に伴う埋め立て等々は、この節基本的に考えを改めなければならないのじゃないか、よって来たるべきもの、つまり新全総についても考えを新たにしなければならぬのじゃないかというふうなことをるる、私は公害対策並びに環境保全特別委員会で申し述べまして、そして、時の長官、小山長官も、新全総についてはなるほど再検討の必要があるというふうな御答弁をはっきりされたわけであります。また、御承知のとおり、経済企画庁のほうも、新全総については再検討の作業が進められているようでありますが、運輸大臣とされても、現にこういうふうな方針を、この立案される際に、いまあるところの新全総の中身に抵触するような場合がありといえども敢然としてやはり環境保全ということに重点を置いて、今回の改正案の力点はその辺にあるようでありますから、基本方針をお考えになるのかどうか、その点についてはっきり聞かしておいていただきたいのです。
  46. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 言うまでもございません。関係各省庁の責任者と十分協議いたしまして、そういう環境をさらに悪化するような措置はしないつもりでございます。
  47. 土井たか子

    ○土井委員 ならば、そういうことについてまず、お考えがあるようでありますから、謙虚なお考えもお持ちであるようですから、三条の二の二項に即応いたしまして少し、そういう意味からすればこの条文がこうあってしかるべきではないかという意味を込めた質問をさせていただきます。  まず、第三条の二について運輸大臣基本方針をお定めになる際に、第三条の二の二項では「次に掲げる事項を定めるものとする。」一、二、三号でございますね。それぞれについては、これは運輸大臣がおきめになる節、どういうふうな配慮があるかという、一つは問題であります。今回、公有水面埋立法等についてはこれは別で、まあ改正案用意されつつあるわけでありますが、その中身では、以前に増して、やはり地方自治体の長が許可するのに先立って住民の意思がその中身に反映されるような配慮をされているやに思われる節もあります。地方自治体の長がその計画について許可をするに先立って、住民の意思が反映されるための配慮が一部あるやに思われる節もあります。その中身は、やはり免許の手続についてきびしくなったということと同時に、地元の市町村の意見を聞いて審議するというやり方が現在であるのに対して、今回は知事が出願内容を隣接の都道府県知事にも通知するほか、縦覧制度を設けて利害関係者の意見を求めなければならないという方向に変わるようであります。  今回のこの港湾法の一部改正の、第三条の二を見ますと、運輸大臣がお考えになる基本方針について、それぞれの中身が、いま申し上げたような方策からすれば、いわば縦覧に供するというふうな問題ですね、あるいはもう一つ言うと、公聴会の機会を設けるというふうな方式ですね、こういうふうなことについての配慮がありやなしや、条文からすれば、一向そういう節が見えていないわけでありますが、そういうことについてはどういうふうな御配慮をされる御予定であるかを伺いたいのです。
  48. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 公有水面埋立法の改正案は、先ほども御質問がございまして、これは建設省と相談をして出しておるわけですが、いずれこれは御審議のときに、その具体的な問題については御議論をいただきたいと思いますが、今度の港湾法関係で、いまのお話の公聴会とか縦覧制度とかあるいは委員会制度とか、いろいろなことを考えられるわけですが、具体的なことは政府委員からお答えさせますが、性質が公聴会ということになりますと、これはまあ国会の公聴会も同じようなものでございますけれども、これでは、専門的な各界からの意見を聞きまして、政策を策定をする、それの基礎的な資料にしたいということで開かれるのが公聴会だと思います。いろいろ、地方の方が、たとえば漁民の方が、自分のほうはこういう被害を受けるんだとかいう利害関係者の方々が集まって、そしてそこで公平な立場からその利害関係者の意見を聞いて結論を得ようというのは、これは公聴会の制度をとっていないと思うのです。どこの法律でも。それにはそれのような制度がございます。  ここでは、たとえば地方地方におきます港湾審議会、そういったものの中でいまの利害関係者なんかの意見を聞いて、利害の調節をしながら最終的な結論を出していこうというふうな努力が払われておるのでありまして、何もかも公聴会制度がいいのだというわけには性質上いかないと思うのです。だからそれに応じたようなことは、今度の港湾法でも考えておるのでありまして、そういう地方港湾審議会なんかには関係の人たちが入って、そこでいまのような実情を話し合って結論を得るようにというようなことで運営していくことになることは当然だと思っておるわけです。いまいろいろ具体的なこまかいお話がございましたから、それについての御説明政府委員からさせます。
  49. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいまの先生の御質問に対するお答え大臣の申しましたとおりでございますが、私ども考え方で申しますと、要するに基本方針ということは非常に基本的な全面的なものでございます。いささか内容的に抽象的になるかもしれませんけれども。したがっていま先生のおっしゃいますような問題、これはむしろ港湾計画の具体的に作成されるという過程での問題ではなかろうかという感じを、私は伺っておって感じたわけでございます。この基本方針という考え方はいわゆる「港湾開発利用及び保全の方向に関する事項」等々、三つほど明文化しておりますけれども、いずれにいたしましても非常に個々の港湾計画ではございませんで、全国的な一つの考え方をここで示していこうという考え方でございます。しいて地域性という点で申しますならば、第二号の点については、せいぜい日本全国を十数ブロックに分けたような考え方で、港の個々のたとえば商業港であるとか、あるいは工業港であるとか、そういうものがどういう地域ではどういうふうに全体的には考えるべきではなかろうかというものをいま考えなければ、どうもこの第二号の点はむずかしいのじゃないかという感じがしておりますので、その辺はただいま検討中でございます。  それから第三項につきましては、これは明らかに計画大臣が国の業務としてきめるべき問題でございますので、第三のいわゆる開発保全航路の問題につきましては相当に具体的な問題になるかと存じます。一応いま考えておりますのはそういうような内容でございます。
  50. 土井たか子

    ○土井委員 いま私がお尋ねしたことはむしろ港湾計画じゃなかろうかというふうな御答弁なのですが、港湾計画そのものは基本方針に適合してつくられるわけでありますから、この港湾計画によって基本方針変更させていくということはなかなか困難であろうと思うのですよ。基本方針に基づいて港湾計画考えるわけですからね。したがって港湾計画の段階で、いまおっしゃるようないろいろな配慮というものがたとえございましても、もう一つそのもとにある基本方針の中にそれが生かされていないことは、港湾計画を練る節、十分地域住民意見とか、それから第一それを実行するところの地方自治体意見というものが直接的に生かされるというところに、なかなか配慮というものが欠けてこようと思うのですよ。したがっていま第三条の二の二項について言われました全国をブロック別に分けてというようなことは重大な問題でございます。商業港と考えていくかあるいは貿易港と考えていくか、あるいはいわゆる運輸行政の上でこの港区についてはどういうふうな特徴を考えるかということにつきましてはこれは非常に大きな問題でございますから、その点だけはひとつ青写真がございましたらこれは早急に出していただかなければならぬ、このように考えます。  それから第三条の二の4にありますが、運輸大臣基本方針を定められます場合、また変更されようとするとき、関係行政機関の長に協議をなさる必要がございますね。関係行政機関の長といったっていろいろあると思うのですよ。各省庁のうちで特にどういうふうな省を考えていらっしゃるのか。それからむしろこのことに対して、今回の改正点というものが環境保全のところにある、それからやはり港湾利用目的というものを十全たるものにするというところにあるなら、関係行政機関というものを明示すべきではないかとすら私は思うわけであります。明示ですね。その大臣名を明記する必要があるのではないかとすら思うくらいであります。この中身はどういうところにありますか。
  51. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 役所と機構もいろいろ変わる場合がありますから、明示しておいて、またそのつど変えていくということも方法でございましょうが、ここで考えております関係行政機関の長というのは非常に広いのでございまして、建設省とか環境庁、それから自治省、通産省というふうなものがみな入るつもりでございます。これはさっきもるる御説明いたしましたように、港湾というのがそういう流通機構としても大事なものでございますし、陸海交通のちょうど接点になっておりますから、いろいろな意味で各関係行政に非常に影響が深いわけです。われわれはこれで独善的に処理しようなんという考えは毛頭持ってない、何とかして関係庁が力を合わせまして、そして日本港湾——先生は時世が変わるということはあまり言ってどうかとおっしゃいましたけれども、時世の変化に応じまして、これはそのつど担当の大臣意見を十分聞いた上で、港湾というものをそういう方向へ発展させるようにしなければならぬということを考えておりますから、これは決して独善的な運営をする考えもございませんし、十分に皆さんの意見を聞いて最善の方法をとっていく努力をしようというあらわれでございまして、これは非常に広いというふうにお考えくださってけっこうでございます。
  52. 土井たか子

    ○土井委員 ことばを返すように聞こえるかもしれませんが、範囲が広ければ広いだけ、どうしてもここだけははっきりしておかなければならないというポイントを、ぼやかさないで明確に明示することは、法律の要点としては大事な一つの側面だと思うのです。関係行政機関といったことのために、どこにどういうふうに協議されるのであるかということがむしろぼやけてしまって、今回のこの改正点についてはやはり環境保全というのは明確に打ち込んであるわけですが、その辺が生かされないというそしりを免れないような場合がなきにしもあらずですね。ひとつそこの辺はっきりさせていただきたいと思います。
  53. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 ただいま予定しております関係行政機関の長でございますね、それは明瞭に申し上げておきます。さっきもちょっと御説明いたしましたが、あらためてこういうふうにお受け取りいただきたい。経済企画庁長官、環境庁長官、科学技術庁長官、北海道開発庁長官、沖繩開発庁長官、通産大臣、農林大臣自治大臣、建設大臣、こういったものです。
  54. 土井たか子

    ○土井委員 これは法律での明示はないわけでありますが、何によっておきめになるのですか。
  55. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 政令その他で明示する例もございますけれども、この問題は政令等で明示をしなくとも、港湾法改正案をつくりますについて協議をいたしました各官庁でございますから、これは請議大臣としてもあらわれておりましょうし、関係行政機関の長というのはいま御説明いたしましたような範囲であるということで、政府部内は統  一されております。
  56. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、いまの様子でまいりますと政府部内の申し合わせ事項というふうなものになると思いますね。しかしこれは基本方針を定められるのは運輸大臣の専権事項でありましょうが、しかしながらこれは独善的にやられない。大臣自信にしても独善的には決していたしませんということを明言なさっているわけですから、この辺せめて申し合わせというものにとどまらせずにはっきりさせておく必要が、さらにあるのではなかろうかと思うのであります。えらい形式的なことにこだわるように聞こえるかもしれませんけれども、しかしこの点はやはり大事な問題のあり方だと思うのです。ひとつ政令でこの点をもう一歩はっきりさせておく必要があるというふうにお考えになりませんか。
  57. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 主務大臣と書きまして、関係大臣がそのまま主管の大臣になるということがたくさんございまして、必ずしも政令でそれを全部明示しているとは限りませんけれども、おっしゃる点は考えます。もう一度政府の内部でも政令の段階の立案までにはよく検討いたしまして、間違いのないように処理をいたしたいと思います。
  58. 土井たか子

    ○土井委員 基本方針の中身というのは、その関係行政機関の長との協議が整わなければ、これを決定するわけにはいかないというたてまえというのは、はっきりととっていただかなければまずは困ると思いますね。それでもなおかつ不十分だと私は思うのです。具体的に言うと、さらにこの港湾計画について、「港湾環境の整備及び保全に関する事項その他の基本的な事項に関する運輸省令」というものが問題になってまいりますが、運輸省令ということになると、政令と違いまして、一担当者がこの中身をきめていくわけでありますね。運輸省令でこの計画の中身をお考えになる場合に、いませっかく基本方針でるる配慮なさっているところがどのように生かされていくのか、ひとつその点は、条文に即応して申し上げますと、第三条の三の二項の部分に当たる、あるいは三項の部分にも関係があるということになってこようかと思いますが、ひとつその辺をお聞かせください。
  59. 岡部保

    ○岡部政府委員 第三条の三の港湾計画という条文の第二項で、ここにもございますように、港湾計画というものを港湾管理者がつくられる際の問題点と申しますか、こういうふうに考えるべきだということで書いてございますが、「基本的な事項に関する運輸省令で定める基準に適合したものでなければならない。」、確かに先生の御指摘ございましたように、まず基本方針で大きな一つの方針があり、それの次にこういう計画を、具体的にどういう事項に関する計画を定めるのだというのは第一項での政令の問題でございますが、第二項でその基本的な事項に関する省令というものが一つの基準としてここに明定されるわけでございます。具体的に申しますと、現段階は作業中で、一つの案を検討中でございますが、まだ十分詰まっておりません。ただ一つ、こういう考え方だというのを、極端な例を使って申しますならば、たとえばこういう港湾計画の中で工業港区と申しますか、工業用地において緑地率を一体どのくらいにしたらいいのかというような問題が、省令で一つの基準として出てくるかと存じます。そういうような問題について、私ども運輸省あるいは運輸省港湾局というものが、これだけの考え方で定めていくということはとても不可能でございます。したがって、現実にこのような省令を定める場合におきましても、それぞれ専門的な各省と十分相談をしながら、この省令の原案をつくっていくということが行なわれますし、また行なわなければならないというふうに私は考えております。
  60. 土井たか子

    ○土井委員 相談をしながら行なわなければならない、おっしゃるとおりでありますが、しかしそれは決意のほどの御表明でありまして、法文の上からするとそれはどこからも出てこないわけであります。一体この中身は何によって担保されますか、いまおっしゃったような御決意のほどは。他省と相談をしながらおやりになる、しかしその相談というのは、どういう姿、形において相談をなさるわけでありますか、省令を作成されるにあたってですね。いかがでございます。
  61. 岡部保

    ○岡部政府委員 どうも非常にお答えしにくい問題点でございますが、私の決意をこういう非常に公的な場所で申させていただいたというのは、今後も非常に大きな証拠になるのだと考えております。
  62. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 運輸省令は、形の上で言うと運輸大臣がきめるわけです。その場合に、これは運輸委員会でもいろいろ御議論がありまして、これは新しく法律でもできないようなことを、基準と書いてあって、基準に関する限りは運輸省令でかってにきめられるなどというのは、そういう法律の解釈、運用ということは、これは法理上できるはずはないです。でございますから、運輸省令にまかせてあるということは、きわめて軽微な、あるいは当然は内容考えなければなりませんが、私は、この問題に対してこういうふうに考えております。運輸省令でございますから運輸大臣がきめるわけですけれども、きめる場合に、これは主管大臣としましてやはり行政運用方針というのがございます。そういったものからこれはどこに、たとえば環境庁に関係があるだろうとか、あるいは通産に関係があるだろうとかいうようなものにつきましては、これは十分に協議を遂げませんと、運輸大臣としてもきめられない、あるいは運輸大臣だけできめられるものもあると思うのです。たとえば、いまちょっと事務的に話を聞きましたが、バースをつくった、そんなことはめったにあると思いませんが、場合によってそこから人が海に落ちてしまう、その場合に何かつかまって上がれるようなものをつくっておかなければならぬということは、これは当然のことでありますけれども、そういったことも、これは省令できめるのならそういった中に入りますということを事務当局は言っておりますが、私はこれは、やはりこの法律案が通りましたら、その場合に運輸大臣としましては、問題によりましては法律や政令でできないようなことを運輸省令でやれるはずはないのだし、きわめて軽微なことでございますけれども、それでも関係省庁と十分に連絡した上で、さっき申し上げましたように独善的にならないように処理をする、そういう行政運用方針を持っておりますということを、先般も運輸委員会お答えをしたのです。要するに、行政裁量の問題がありますが、その点は御注意いただく点がありましたら御注意していただいてけっこうなんです。ごもっともの点はそれを尊重して行政運用をいたします。いま申し上げましたような方針で、省令であるから、省令で何でもかってにきめるんじゃないかという御心配は、たてまえ上できませんし、そういうことをするつもりは毛頭ございませんということをお答えしておきます。
  63. 土井たか子

    ○土井委員 大臣、しかし注文であるとか、それからいろいろなことに対しての批判というのは、できてしまってからあと出てくるわけでありまして、これはやはり運輸省令で定める基準に適合して、まず港湾計画というのが定められるということでありますから、まず定められる時点で、十分に自治体の立場なり住民の意思なりが尊重されるようなものでなければならぬということであります。だから、そういう立場から考えていくと、できてしまってから文句を言うんじゃなくて、できる段階で文句が出てこないような計画を練るということが必要でしょうと思います。したがいまして、それからしますと、この運輸省令を作成されるにあたりまして、他の省庁との協議事項であるというようなことを先ほど来の御発言で表示なさっているわけでありますが、何か具体的にそのことを取りきめて、話し合いがいままでにどういう形でなされてきたかということを、ひとつ御説明賜わりたいと思います。環境庁なり自治省なりあるいは建設省なりですね。
  64. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 理屈を言って申しわけありませんが、その前の、大体これは基本計画で一般的、抽象的なことがきまりまして、今度は三条の三によりまして「港湾開発利用及び保全」とか「隣接する地域保全に関する政令で定める」云々とございますね。そういった一般的に他の関係省庁との間でいろいろ協議をしなければならぬような重要な問題につきましては、政令でございますから、閣議できめることになると思います。そういったものでまかなえないようなさらに細部的なものが残りますから、そういったものを省令できめるというたてまえになっておるわけですね、この法律、政令、省令というものの組み立て方が。ですから、その点は省令をつくるときに関係省庁と相談せよといわれても、たてまえ上ちょっとこれは困ると思うのですよ。省令をつくるときに、ほかの大臣の判こがなければ省令で出せないというようなことは困るのです。ですから、そういう範囲のものは、これはさっきから御質問がありました基本計画をつくるときに関係省庁の長と十分に相談いたしますと言っておりますし、政令の段階になると閣議できめることになりますから、関係大臣はもちろん全部これに署名をしなければ政令になりません。ですからそういった段階にならないような軽微なものだというふうにお考えくださってけっこうだと思います。
  65. 土井たか子

    ○土井委員 またそれはこだわるようでありますけれども港湾計画自身は政令に従って考えるわけじゃないのです。基本方針に適合しなければならないという前提で考えるのです。政令に適合するのじゃないですよ。言うまでもなく、この条文に書いてあるとおり、基本方針に適合しなければならないと書いてあります。したがいまして、おおよそ大きなことは政令で、残ったところは省令でとおっしゃられるような向きの御答弁でございますけれども、その省令できめられること自身は、政令に基づいて考えられる省令じゃないわけですから、これは基本方針に基づく省令でありますから、そういう点で私は重視をして、一つはこの質問をさせていただいているわけです。したがいまして、やはりこの省令を作成なさる場合にも、これは重々そごのないように、各省庁との協議事項ということは、先ほど局長からの御答弁ございましたけれども、やはり具体的なちゃんとした覚え書き事項なり何なりとしてこれは明示しておいていただく必要があるのじゃなかろうかと思うのですよ。その辺はどういうことになっていますか。
  66. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 ちょっとこれもこまかい理屈を言って済みませんが、いまのお話ですが、第三条の三をごらんになりますと、カッコしまして「以下「港湾計画」という。」と書いてあるのです。ですから、第二項でいわれる港湾計画というものはここにいわれる、第三条の三の一項にいわれる港湾計画でございますから、無関係なものではないのでございます。  さっき申し上げましたように、基本計画というのは一般的に全体的な計画でございます、しかし重要港湾についてきめようとする事項計画というものはそれがここにいう港湾計画でございます、その港湾計画というものはこういうことでございます、こういうことを言っておるのでございますから、これは決して法文にとらわれて理屈を言うわけではございませんが、そういう趣旨先ほど答弁したつもりでございますから、どうぞひとつ誤解のないようにお願いしたい。
  67. 土井たか子

    ○土井委員 それは確かに港湾計画それ自身が、政令が港湾計画ということになるかもしれませんが、しかしいまここで問題にしております運輸省令というものは、基準をはっきり中身として定めるという省令であるわけです、運輸省令それ自身は。したがいまして、港湾計画はこの基準に適合しなければならないという義務づけがあるわけですから、そういう点から考えるとこの省令というのはなおざりに考えるわけにはいかないのであります。  そこできょうはこれは連合審査の場でありますから、この改正のポイントの一つはやはり環境保全というところにあるわけでありますから、はたして運輸省令を定める場合に、いま御答弁のような、局長の御答弁ですからこれは私も信用しますから、何かあったときにあのときに局長はああ言われたじゃないかということを必ず私は言いますが、しかし環境庁としてはどういうふうにこの問題についていま対処はさろうとしているかというあたりも伺っておく必要があると私は思うのですが、いかがですか。
  68. 船後正道

    ○船後政府委員 ただいま問題になっております第三条の三の第二項の基準でございますが、これは運輸省のほうから御説明がございましたように、内容といたしましてはかなり技術的な問題を含んでおりますので、法令の形式といたしましてはやはり主務省令で定めるのが妥当な内容であろうと考えております。それで省令でございますから、形式的に言えばこれは主務大臣限りで処理するはずでございますが、しかしこの省令が基本方針を受けそれを具体化するものでございますので、当然環境保全あるいは公害の未然防止に関する事項につきましては、その省令策定に際しまして環境庁といたしましても事前に十分の協議を受け参画する、こういうことを申し合わせております。先ほどまた港湾局長もこの席上で明言されたのでございますから、省令のそういった環境保全面の基準の策定につきましては、環境庁といたしましても万全の配慮をしてまいりたい、かように考えております。
  69. 土井たか子

    ○土井委員 その万全の配慮とおっしゃる協議事項には、聞くところによると覚え書きがあるということですが、これは事実であるかどうかひとつお答えいただきたいと思います。
  70. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 そういったことについて両省で、形はよく知りませんが、意思が十分疎通されまして、話し合いができておるということを聞いております。  私さっき申し上げましたのは、省令段階でおっしゃったことは非常に問題だと思うのですね。省令をつくるのに他の省の大臣の判こがないとつくれない、こういうような立て方は、これはいまの法制の上では非常な異例のことで、簡単にはこれは私は容認できません。しかしさっき申し上げましたように、運輸省令をつくるのは運輸大臣権限でございまして、責任でございます。したがってその結果が間違ったほうにいかないようにするためには、いろいろの行政的な配慮をしなければなりません。そういう意味で、必要に応じまして省令といえどもさっき申し上げたように、これは行政措置といたしまして関係の各省の意見を聞いて、異存のないところで取りまとめていこうというような、そういう配慮をいたしておりますということを申し上げておるわけでございまして、省令をつくる場合に、先生おっしゃるように、他の大臣がうんと言わなければ省令もできないのだというようなこと、これを制度として容認しろとおっしゃっても、非常に私はそれは困難だと思います。ただ、そういうふうな配慮を主務大臣といたしましては十分いたしておりますということをさっきからるるお答えを申し上げているのですから、そういうふうな行政的な配慮をいたしますということで御了承いただくほかはないかと思います。
  71. 土井たか子

    ○土井委員 いつも行政的な配慮行政的な配慮というので、耳にたこができるぐらい私たちは聞かされまして、そして事実いろいろな事件になってしまってから、いろいろあのときに行政的な配慮とおっしゃったのはどこにいったのかということを一生懸命あと追いをしなければならないことが山ほどございますから、したがってこのことにたいへんこだわるようでありますけれども、覚え書きがあるかないかということは、一つは質問として聞いてみたわけです。ございますかございませんか、まだそのことについては答えがなかったようであります。
  72. 岡部保

    ○岡部政府委員 覚え書きはございます。
  73. 土井たか子

    ○土井委員 この覚え書きをいただけませんか。これはぜひ提出していただきたいと思うのであります。委員長、これをお願いいたします。
  74. 岡部保

    ○岡部政府委員 委員長の御指示に従わせていただきます。
  75. 土井たか子

    ○土井委員 委員長、いまの覚え書きの提出をお願いいたしたいと思います。おはかりをお願いいたします。
  76. 井原岸高

    井原委員長 追って理事で相談いたします。
  77. 土井たか子

    ○土井委員 さて、時間のほうがもうそろそろ来たようでありますが、あと二問ばかり質問させていただいて終わりたいと思います。  続きまして、これもこまかいようですが、実際問題動き出したら私はやはり大きな問題になるに違いないと思われる節があるのですが、それは第三条の三の、いまの問題に続きまして三項です。重要港湾港湾管理者港湾計画を定めたり変更したりするときには、地方港湾審議会意見を聞かなければならないようになっておりますね。この地方港湾審議会の中に、やはりいままでるる御説明を賜わったような環境保全等々の配慮というものがなければ困ると思うのです。そのことについてもいろいろな行政指導のあり方があるかと考えますが、この地方港湾審議会について何らかのそういう意味での行政指導なり通達なりがあればひとつ教えていただきたいと思います。
  78. 岡部保

    ○岡部政府委員 この法案が成立いたしました暁には、当然そのような行政指導の通達等を出す考え方で具体的に環境面について十分配慮をする人選を行ない得るような条例をつくってもらうように指導をしていく所存でございます。
  79. 土井たか子

    ○土井委員 具体的に言いますと、やはりそのメンバーについてはこういうふうなあり方が好ましいというふうな中身になるわけですか。
  80. 岡部保

    ○岡部政府委員 これはまだこれから考えるところでございますけれども、ただいままで考えておりますところでは、まず一つにはメンバーの問題があるかと存じます。したがいまして、現在考えておりますところでは関係府県の公害関係環境関係の担当部局長をこういうメンバーにするように指導をしたいというような考え方を持っております。
  81. 土井たか子

    ○土井委員 それは行政指導といってもいろいろな方策があると思うのですが、やはり通達という形式でなさる御予定でありますか、どうですか。
  82. 岡部保

    ○岡部政府委員 全くまだきめておりません。ただ局長通達のようなものでやってはどうかという考え方をただいま持っております。
  83. 土井たか子

    ○土井委員 その点も一つは大事なところだと思いますから、ひとつ重々環境保全ということ、それから何よりもこれは住民の意思が中身にはっきり生かされるような方策というものを考えてこの運営に当たってもらわなければ改正にならないと私は思うのです。  さて、時間がきてしまっておりますから、あと一問申し上げたいと思いますが、これはいまの第三条の二や三条の三というのは、この改正案によりますと施行期日は公布の日から施行するということになっておりますね。そこで、いま埋め立て計画あるいは築港計画等々について申請されているものについてはもし改正案が通過をすれば、公布の日から施行ということですから、即刻この改正された新法に従ってお進めになるのでありましょうけれども、そこで一つどうしても申し上げておきたい問題があるわけです。と申しますのは、港湾計画というのはそれだけ一つが一人歩きするわけじゃなくて、やはりそれに伴うところの公有水面等の埋め立てというものがからんで一つの大規模な事業になっているというのが通常であります。いま私が問題として出したいのは、北九州市の例の響灘開発の問題でありますが、北九州の響灘開発の現場に行ってみますと、当初昭和三十五年の十一月に港湾審議会で決定された計画とはずいぶん今度は計画変更がなされまして、たいへんにせっぱ詰まっております。五月に港湾審議会では認可するかどうかということがたいへん問題になるようであります。ところが、あの埋め立て計画変更のよって来たるところをずうっと調べてみますと、これは当初北九州の港湾管理組合が考えられていたところの計画と違いまして、今度は大きく水路を当初の計画のまん中に通すということに従っての計画変更らしいのです。初め考えられていなかった水路を埋め立てのまん中に通すということに従っての計画変更らしいのですね。ところがあの中には運輸省は、——具体的な名前をあげますと、三井アルミナ等に一部の土地の払い下げというごともなすっていらっしゃいますが、現場の埋め立て計画というものは着々と着工されていて進んでいるわけでありますが、その当時に着工を開始した電源開発の芙蓉総合開発という部面が今度計画変更に伴ってたいへんに当初の埋め立て面積よりも面積がふえるという結果になるのですよ。ところが、これは現場に行って聞いてみますと、この港湾局の方の説明ではもうすでにいま着工してしまっている計画については認可がおりているのだから、したがって、計画変更については認可の必要なし、だから幾ら埋め立てを、今度は面積をふやしてやっても計画変更なのだからかまわないという御説明であったわけです。私はこれは後に聞きますと、あれは説明が間違っておったというような取り消し発言のようなものがあったようでありますが、しかし少なくともこれは港湾局の責任ある人の説明でありますから、私はその説明についてるる考えますに、やはり港湾管理、運営、それからさらには、もう一つ言うと運輸省それ自身の政治姿勢というものをやはり地域住民はそういうことを聞いて知るという機会を得るわけでありますから、やはり疑心暗鬼みたいな気持ちになるのは当然だと思うのです。それで今度公有水面の埋め立て法律改正されるということに伴いまして、今回こういうふうな計画変更なんかについては、改正案がもし実行されるということになれば、全面的に洗い直しをやって、そして当初から出直すくらいの気分で取り扱われるかどうか、その辺はっきり伺っておきたいと思うのです。
  84. 岡部保

    ○岡部政府委員 事実関係についてお答えを申し上げます。  まず第一点で、この法律の施行期日の問題でございますが、「この法律は、公布の日から施行する。ただし」というただし書きで、この計画に関する規定は「公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。」というたてまえになっております。したがって、公布の日からすぐに施行ではないという点がございます。  それから第二点の、やはり事実関係で、先ほど先生のおっしゃいましたいわゆる公有水面埋立法にかかわる事案で、設計変更は一切国の認可を必要としないということ、これはこの前も公害特別委員会で御質問があったわけでございますけれども、この点につきましては明らかに誤りでございまして、当初の案件が認可にかかわる問題でありますれば、当然設計変更の場合も大臣の認可を必要とするということでございます。
  85. 土井たか子

    ○土井委員 それでは最後に一言大臣に。こういう設計変更に伴って、また認可を必要としている問題については、食度こういう改正用意される運輸省でありますから、したがって、改正の要点というのは、環境保全というところにあるというのは明々白々たる事実なんですね。そういう点から考えますと、瀬戸内海をはじめとして、いま申し上げたのは響灘の問題でありますが、大体九州沿岸、四国沿岸、それから瀬戸内海等々については、御承知のとおり海水汚濁というのは極度に達しているわけですね。漁業が成り立たないというふうな現実の問題もあります。それからさらには漁業に携わっているといないとにかかわらず、地域住民にとっては自然破壊という切実な問題があります。したがって、この計画なんかについては、いまの環境保全という側面から出直すくらいな気持ちでこれに取り組もうじゃないかというふうな御決意があるかないか、その辺をはっきり聞かしておいてもらいたいと思います。
  86. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 出直すくらいのというお話がございましたが、われわれのほうは法律の許す範囲内におきまして、つまり運輸省権限の及ぶ範囲内におきまして、あとに環境上の障害が起こらないような配慮をしながら法律運用に当たりたいと考えておりますから、いまお話のような点は、極端にまいりますと法律上非常にむずかしい点が出てまいります。法律の許す範囲内におきまして、そういう趣旨が達成できますような配慮をしながら法律運用に当たっていくつもりでございます。
  87. 土井たか子

    ○土井委員 これはもう蛇足になるかもしれませんが、法律というのはやはり国民のためにあるわけでありまして、その辺重々この法律について、法律の許す範囲でとおっしゃいますが、しかし法律に対して基本姿勢というものは、あくまでここに居住している住民をはじめ、国民ということをひとつお忘れなきよう重々お考えをいただきますよう最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  88. 井原岸高

    井原委員長 午後一時から再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時二十分休憩      ————◇—————    午後一時七分開議
  89. 井原岸高

    井原委員長 休憩前に引き続き連合審査会を開きます。  質疑を続行いたします。木下元二君。
  90. 木下元二

    ○木下委員 なるべく質問が重複しないように角度を変えてお尋ねしたいのですが、政府は本法案の提案理由説明におきまして、港湾における公害防止など環境保全をはかることを第一の目的としておる、こういうふうに言われておるわけでありますけれども、そこでお尋ねしたいのは、現在の港湾がどのようなひどい現状にさらされているか、具体例でお答えいただきたいと存じます。
  91. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいま先生おっしゃいましたことで、公害によるたとえば機能が麻痺している港というような問題点で考えてみますと、田子ノ浦港がこれの一つの例になるかと存じます。そこで本港ば昭和四十六年度から港湾公害防止対策事業としてのしゅんせつ事業に着手いたしておりまして、三カ年間、すなわち四十八年度にこれを完了する予定でございます。  他の港湾で、いわゆる公害のために機能が麻痺したというような言い方にぴったり合う港はないかと存じますが、それ以外にも当然公害防止対策事業としていわゆる堆積物の汚泥の処理をしなければならぬというような港が数港あるわけでございます。
  92. 木下元二

    ○木下委員 田子ノ浦港の例を言われたわけでありますが、私はこの問題について幾らか質問したいと存じます。  現在ヘドロ公害のもとになっている製紙会社は富士市で約百二十社あります。ここから出される排水量は一日当たり百八十万トンといわれております。そのうち大手製紙会社、これには大昭和製紙であるとか本州製紙、こういった独占的な製紙大企業を含む十五社があります。これが総排水量のうちの八割を占めて、まさにヘドロ公害の張本人になっております。こうした事実、この田子ノ浦の状況は御存知でしょうか。御存知なければおかしいのでありますが、念のために御存知かどうか、この点だけを伺っておきます。
  93. 岡部保

    ○岡部政府委員 田子ノ浦港の現状が港湾機能が麻痺しておるという実情については存じております。
  94. 木下元二

    ○木下委員 これまでこの田子ノ浦港のヘドロ公害が周辺の住民にたいへんな被害を及ぼしてきたわけであります。特にヘドロ内に含まれております硫化水素ガスが高濃度で周辺に飛散しまして住民被害を与えてきております。たとえば田子ノ浦港の港内でしゅんせつ作業に従事中の作業員十一名が硫化水素のガス中毒によりまして倒れるという事態が起こっております。あるいはそのほかに急性発しんで働けなくなったり失神するという事故が起こっています。吐きけや目まいを訴えた住民も数知れずいるという状況でございます。しかもこうした住民の生命、身体にかかわる被害のほかに被害が出ております。この田子ノ浦周辺の水域というところは、海洋水産物、海洋生物の豊庫として世界的にも著名であります。サクラエビ、サクラダイあるいはメンダコあるいは足を広げると二メートルにもなるといわれるタカアシガニ、こういった貴重な生物が生息しております。これがいまや絶滅の危機に瀕しておるといわれております。それからまた、たまりましたヘドロによりまして港湾機能が麻痺をいたしております。水深は最もひどいところで二メートルばかり、そして干潮時になると水が引きましてヘドロの島がくっきりと浮かび上がる、こういう状況であります。こういう結果、清水港を荷物の積みおろしに使用しておる、こういう状況のようであります。こうした被害実情も御存じでしょうか。
  95. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先生お話しのように、田子ノ浦港においては主としてSSを中心にいたしまして膨大な量のヘドロが堆積しております。そこでお話しのように、硫化水素の発生とか、それから堆積物の流出等によります漁業被害その他の被害が出るということは私ども承知しております。
  96. 木下元二

    ○木下委員 この田子ノ浦港の深刻な状態に対しまして、きょうまで政府は一体どのような対策を講じてきたのか。これまで進めてきました工事内容につきまして、ごく大まかでけっこうですから、簡潔にお答えいただきたいと存じます。
  97. 岡安誠

    ○岡安政府委員 まず田子ノ浦港の汚染の問題に対処するために第一にやりましたことは、先ほど先生がおっしゃいました田子ノ浦港周辺に立地いたしております製紙を主とします企業につきましての排出の規制でございます。これにつきましては、まず旧水質保全法によりまして水質基準を設定をいたしまして排出の規制をする。それからさらに新しい水質汚濁防止法によりまして県が上乗せして排水基準をつくる、そういうことによりましてSSを中心といたします排出物の規制をいたしまして、現状では、過去に比べまして相当程度の排出規制をいたしております。  それからヘドロにつきましては、第一次のしゅんせつを昭和四十六年にいたしまして、十一万トン、これを実施いたしたわけでございますが、第二次につきましては四十七年の四月から五月につきまして約三十二万トンのしゅんせつを実施いたしました。現在第三次のしゅんせつにつきまして計画中でございます。
  98. 木下元二

    ○木下委員 三次のほうのしゅんせつ量は幾らですか。つまりこれからやるということでありますが、現在どの程度ヘドロが残っておるということですか。
  99. 岡安誠

    ○岡安政府委員 しゅんせつを始めます前の田子ノ浦港におきますヘドロの量は約百二十万トンというふうに概算推定をいたしております。第一次、第二次で大体四十三万トン余りのヘドロをしゅんせついたしましたので、残りは約八十七万トン程度のしゅんせつを要するというふうに考えております。
  100. 木下元二

    ○木下委員 十分とはいえませんけれども、前向きの対策でヘドロしゅんせつでは相当な改善がされたように思われます。しかしもとの田子ノ浦港を取り戻すにはまだほど遠いようであります。具体的に質問しますが、この田子ノ浦港のC海域、これは港湾から七百メートル以内の区域でありますが、たとえば昨年八月の調査結果によりますと、COD、化学的酸素要求量について申しますと、環境基準は八PPM以下になっておりますが、これに対して水面では一七・九PPM、水深二メートルのところでは一四・三PPM、こういう状況であります。これを一体いつまでに環境基準までに達成できると考えているのか、この計画があるなら述べていただきたいと存じます。
  101. 岡安誠

    ○岡安政府委員 お話しのとおり田子ノ浦港周辺の環境基準、A水域、B水域、C水域ございますが、一番海岸に近いところに設定されておりますC海域につきましては、特にCODにつきまして現在達成されておらない状態が非常に多いわけでございます。私どもなるべく早く環境基準の達成をいたしたいということで、先ほど申し上げましたように、県の上乗せ条例その他を設定いたしておりまして、相当程度排出汚濁負荷量はカットされているというふうに考えておりますが、何せ、すでに堆積いたしておりますヘドロが相当量ございますので、その影響もあるかと思いますが、現在なお達成するためには若干の年月を要するのじゃないかというふうに考えております。
  102. 木下元二

    ○木下委員 環境庁のほうにさらに伺いたいのでありますが、この田子ノ浦を有名にしましたヘドロ公害、その発生源は、初めに指摘しましたように、製紙などの工場にある。この点は環境庁も認められておるのかどうか伺います。
  103. 岡安誠

    ○岡安政府委員 田子ノ浦港のヘドロの発生原因は、主としてやはり周辺に立地しております製紙工場からの排水だというふうに考えております。
  104. 木下元二

    ○木下委員 そこで、このヘドロ公害を一掃しまして美しい海を取り戻す根本策は、この発生源のところで有害物質、有害廃液の排出をとめることにあります。それが何よりの第一の解決策であります。この点は環境庁はどう考えておられますか。
  105. 岡安誠

    ○岡安政府委員 おっしゃるとおりだと考えております。
  106. 木下元二

    ○木下委員 問題は、この発生源である企業がみずから責任を感じ、対策を講ずることがきわめて重要なわけでありますが、これまで政府はこれらの企業に対してどのような規制と指導をしてきたのでしょうか、また今後どのようにしようとしておるのでしょうか、御説明をいただきたい。
  107. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、さらに多少詳しく申し上げたいと思いますが、発生源に対する施策といたしましては、やはり排出の規制だというふうに考えております。政府といたしましては、まず昭和四十五年十月一日に旧水質保全法によりまして水質基準を告示いたしまして、四十六年七月一日から第一次の規制を行なっております。第一次規制にありましては従来のSSの含有量につきまして六三%がカットされるというようなきびしい基準を設けたわけでございますが、さらに四十七年四月一日から第二次規制を実施いたしまして、この結果によりますと、当初に対比いたしまして七五%のSS量がカットをされる。さらにこれを強化する意味合いから、四十七年六月二十四日から水質汚濁防止法が全面的に適用されたわけでございますが、その上乗せ条例を四十七年七月十一日に設定をし、四十七年の八月一日からこれが実施になっております。その結果、現状におきましては、従来の規制前の汚濁負荷量に対しまして八四%のカットができるというふうに考えておりまして、私どもは今後、さらに状況によりましてはこの規制を強化する方法で進みたい、かように考えております。
  108. 木下元二

    ○木下委員 排出規制が非常に重要であるということを言われたのですが、排出の基準をきめまして排出の規制を行なう。一体排出基準が守られているかどうか、これが一番問題だと思うのですけれども、この点についてはきわめて疑わしいと思うのです。これについてはどういうふうな方法をとっておられるのですか。
  109. 岡安誠

    ○岡安政府委員 水質汚濁防止法によりまして都道府県知事が常時監視するということにいたしておりまして、特に静岡県におきましては、田子ノ浦港周辺の企業につきましては立ち入り調査その他を厳密にいたしております。すでに四十七年四月から四十八年二月までの期間におきまして三百十六件の立ち入り調査をいたしております。ただ、その結果、残念ながらそのすべての企業につきまして基準が守られているということではございませんで、基準違反に対しましての種々の措置がとられております。それを申し上げますと、三百十六件のうち違反件数が六十七件、うち排水の一時停止を命じた件数が八件、改善命令を出した件数が三十四件、それから行政指導を実施いたしたのが二十五件というようなことになっております。
  110. 木下元二

    ○木下委員 ときどき立ち入り検査を行なっていられることはわかりましたが、先ほど言われました水質汚濁防止法による常時監視体制ですね、これが制度上設けられておることも伺ったのですけれども、一体それが実際問題としてどこまで行なわれておるのか、この点はどうですか。
  111. 岡安誠

    ○岡安政府委員 常時監視と申しましても、現状におきましては監視測定のための技術開発その他がおくれておりまして、なかなか常に見るというわけにまいりません。大体月一ぺんというのが常時になっております。ただし、先ほど申しましたように、田子ノ浦港周辺のように問題のところにおきましては、静岡県は先ほど申し上げましたとおり、ほぼ一年間に三百十六件の立ち入りをいたしておりますし、さらに最近におきましては、四十八年三月二十七日に夜間百十八工場の一斉立ち入りというようなことをいたしております。  できるだけの努力をいたしておりますが、問題は、やはり常に排水量並びに質を検定できるような機器の開発が必要でございまして、それができれば、私どもは主要な工場にはこれを排水口に設置させまして、常時監視の実があがるものというふうに考えておりますが、現在その開発を急いでいるというのが現状でございます。
  112. 木下元二

    ○木下委員 いま言われた、常時監視体制というのは月一回だ、これはだれがおきめになっているのですか。
  113. 岡安誠

    ○岡安政府委員 きめているというわけじゃございませんが、指導によりまして、少なくともその程度はやれというような指示をいたしておるわけでございます。
  114. 木下元二

    ○木下委員 月一回というのはあまりにも少ないと思うのです。これは法律が予定しておる常時監視体制とは違うと思うのですよ。常時監視体制というのはもう書いてある字のとおりであります。間断なく監視をする体制、これが常時監視体制であります。先ほど環境庁もお認になりましたように、工場が廃液を流す、その発生源でチェックするということが一番大事だということは言われておるわけでしょう。それをほんとうに実行していく担保になるのはやはり常時監視体制だと思うのです。この常時監視体制をがっちり固めて、これを堅持していくということが私はどうしても必要だと思うのです。これがなければたれ流しが絶え間がない。だから私は、そのような常時監視体制をとる計画はどのようになっておるのか、これが非常に大事だと思うので伺いたい。
  115. 岡安誠

    ○岡安政府委員 おっしゃるとおり、できるだけ濃密に監視をするためには機器による監視以外には方法がないと考えております。そのための問題といたしましては、特に水質等で重要な検定項目でございますBOD、CODにつきましては、これは器械によりましても現在では三日から四日くらいの日にちがなければ検定ができないということになっております。そこで、私どもは、それでは器械に乗りがたいわけでございますので、現在BOD、CODを別の新しいTOD、TOC、そういう新しい項目にこれを変更いたしたい。そういたしますと器械に乗るわけでございますので、器械に乗せることによりまして、器械による常時監視ということの徹底をいたしたい。それでなければ、おっしゃるとおり水質の環境基準なりまた工場の排水につきましての常時監視というものの実をあげることができないというように考えまして、現在その方面に努力いたしておるというのが現状であります。
  116. 木下元二

    ○木下委員 この常時監視体制というのは、先ほども申しましたように公害を発生源でチェックするのにきわめて有効な役割りを果たすわけでありますが、現行法の条項ですら、水質汚濁防止法十五条、この条項すら現実には発動されていないという悲しむべき状況でございます。私は、これはきわめて遺憾なことだと思います。私は、この環境基準を一段ときびしくするとともに、公害防除を真剣に考え現行法をフルに活用するならば、公害をさらにもっときびしく取り締まることができると思います。結局現行法は取り締まれるものでさえ取り締まることができていない。こんなことでは今回の法案で幾ら公害防止施設を取りつけることをうたいましてもあまり効果がないのではないか、こういうように思う次第で、この点を指摘しておきたいと思います。  それから次にお尋ねしたいことは、田子ノ浦でいままでやられました事業について、その費用負担はどうであったかということを伺いたいと思います。
  117. 岡安誠

    ○岡安政府委員 第一次のしゅんせつ事業は、先ほど申し上げましたとおり四十六年四月から五月について十一万立方メートルのしゅんせつをいたしたわけでございまして、その事業費が八億二千万円でございます。そのうち企業負担が七億、県費が八千六百万円、市費が三千三百万円というようになっております。それから第二次のしゅんせつでは、四十七年の四月から五月にかけまして三十二万五千立方メートルのしゅんせつをいたしまして、経費が五億でございます。その負担割合は、企業負担が四億一千万円、国が四千五百万円、県費が三千二百万円、市費が千二百万円ということになっております。第三次計画につきましては、先ほど申し上げましたとおり四十八年の四月以降、八十七万五千立方メートルにつきましてしゅんせつを行なうわけでございまして、その経費が十九億二千万円の予定でございます。そのうち企業負担は、全体の八二%に当たります十五億七千四百万円でございまして、国費が一億七千二百万円、県費が一億二千四百万円、市費が四千八百万円というような予定で実施することといたしております。
  118. 木下元二

    ○木下委員 国が費用を負担したり、県や市が負担する。これは一体なぜ企業のほうに全額負担させることができないんでしょうか。私はこれは原因者は明らかだと思います。  ここに私は田子ノ浦港のヘドロを持ってきております。まるで地獄の底のようなかたまりであります。これの産みの親は、先ほど初めに指摘しましたような大昭和製紙などの企業であります。そのことは明らかだと思うのです。一体なぜ企業以外のところに負担のしわ寄せをしておるのか、これを伺いたい。
  119. 岡安誠

    ○岡安政府委員 田子ノ浦のヘドロの原因は、私ども先生のおっしゃるとおり、主として産業活動に伴うものというふうに考えておりますが、それ以外に家庭排水とか河川から自然に運ばれてきます土砂とか、さらには富士の大沢くずれに伴う土砂その他がございまして、それらの部分等を算定いたしまして控除した結果が八二%の企業負担というふうになったと聞いております。
  120. 木下元二

    ○木下委員 それはどういう計算に基づいてそういう算定をしているのでしょうか。家庭排水などもヘドロのもとになっていると言われるのでしょうか。  そうすると、これは田子ノ浦だけでなく、どこの沿岸、海域でもヘドロが幾らかたまっておるということになるのですけれども、家庭排水が出るとしましても、このヘドロとは関係ないと私は思うのです。家庭排水とかそのほか言われましたけれども、そういうものによって計算をしておると言われるその根拠なり理由をもう少し詳しく言ってほしいと思います。
  121. 岡安誠

    ○岡安政府委員 少量でございましても、家庭排水がヘドロの堆積の原因ではないとは言い切れないというふうに考えております。現に静岡県におきまして計算いたしました根拠をちょっと申し上げますと、過去、先ほど申し上げましたように、産業排水等につきましてはすでに相当のカットをいたしておりますので、それらの規制が加わる前の時点、大体四十五年三月から八月程度の時点ではございますけれども、そのときにおきますSS負荷量の推定といたしましては、約千トンのSSの負荷量が出る。そのうち九百四十トン程度は産業活動に伴うもの、それから家庭下水が十一トン、河川等からの自然流下が十二トン、富士山の大沢くずれ、その他に伴う土砂が五十六トンというふうな計算をいたしております。
  122. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、ほかの地域で、家庭排水でヘドロがたまったということでしゅんせつ工事をなさった例があるのでしょうか。そういうのはないでしょう。このしゅんせつ工事はなぜ必要であったのか。これは言うまでもないことなんです。だから、そのしゅんせつ工事の事業に要する費用は、その原因者に負担をさせるというのが当然であって、これを家庭排水もあるから、家庭のほうにも負担をさせるというのは、私は筋が通らないと思うのですけれども、その点どうですか。
  123. 岡安誠

    ○岡安政府委員 おっしゃるとおり、家庭排水に含まれておりますSSだけによりまして港湾機能が阻害されるというような事態は、おそらく過去においてもなかったし、今後もないと思うわけでございます。ただ問題は、ヘドロのしゅんせつをするわけでございますので、その原因たるヘドロの量というものは一応検討はせざるを得ない。その場合に、非常に少ないシェアでありましても、多少ほかの原因によるものがあれば、それを企業以外のものに負担をさせるということも、あながちこれは不当であるというふうに実は考えていないわけでございます。
  124. 木下元二

    ○木下委員 その点は、私は政府の政治姿勢の問題であろうと思いますので、それ以上質問はいたしませんけれども、はなはだ遺憾なことだと思います。  この田子ノ浦のヘドロ公害を中心にいろいろお尋ねしたわけでありますが、田子ノ浦港の問題というのは、実は日本の公害問題、特に港湾公害の典型的な一つの縮図だと思います。この問題を通じて、政府港湾公害全般に対してどのような姿勢をとってきたか。この姿勢をほんとうに公害をなくす方向に抜本的に変えることが先決だ、こういうふうに思うわけであります。ただ、公害に関する条項を少しばかり取りつくろっても何らの解決にならない。このことを私は指摘しておきたいと存じます。  それから改正案内容を見ますと、公害防止につきましては、公害防止施設などの種類を幾らかふやしたり、それらの費用の負担割合をきめたりするというふうな程度にとどまっております。内容の上から申しますと、運輸大臣の定める基本方針に基づいて港湾及び航路の計画的な開発利用などの体制を確立していくということに比重がかかっております。したがって、この点がこの改正案のおもな内容だ、中心的な内容だ、こういうふうに客観的には理解ができる。この点はこれでいいのでしょうか。私の理解でいいわけですか。
  125. 岡部保

    ○岡部政府委員 この法律のいわゆる改正理由の説明大臣が申し上げましたときにも、るる述べておられるわけでございますけれども改正内容の一つの大きな柱が港湾環境保全をはかるための問題であるということでございます。それ以外にも、港湾計画の問題あるいは航路の問題あるいは港湾施設の安全上の問題等々の問題を取り上げているわけでございまして、その一つの柱が環境問題があるというふうに考えております。
  126. 木下元二

    ○木下委員 この法案の作成の主観的な意図はともかくといたしまして、この法案そのものの内容を客観的に見た場合に、公害防止、公害防止と言われますけれども、それを強調されるのはけっこうですけれども、じゃ公害防止に関してこの改正港湾法の中身はどういうことをきめておるのかということを見た場合に、さっき申しましたように、公害防止施設が幾らか種類がふえている。量はわかりません。質もわかりません。ただ、その名称が幾らか新しいのが出ておるというのと、それからそうした施設の費用の負担割合をきめておる。この程度のことなんです、はっきり言って。  ですから、その意図とか目的とかということは別にしまして、この改正港湾法の中身を客観的に分折した場合には、公害防止というふうなこと、これはないとは申しません。あるでしょう。けれども、やはり中心的な内容、中身になっておるのは、さっきから問題になっております港湾あるいは航路の計画的な開発利用、そういう体制をつくっていくんだというところに重点がある。これは中身を検討すれば明らかだと思うのです。そうでしょう。私の言っていることが間違いであるとすれば、ひとつ御答弁いただきたい。
  127. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 間違いではないと思いますけれども、その重点が、そこに書いてございますように、環境保全ということがございます。港湾環境保全、これはいまおっしゃるような運輸省の所管行政に関する限り、そういう堆積した汚泥のしゅんせつ、埋め立て等につきまして、運輸省もそれに積極的に取り組むんだということの方針を指示したものであると考えておるのであります。もっとも、これは言うまでもないことで御承知のことでございますけれども、こういう堆積した汚泥をどうするかということのほかに、さっき環境庁との間にいろいろ御議論がございましたように、一体発生源をどうするのかとか、その原因の不明なものはどうするのかとか、いろいろ残された問題がたくさんあるわけです。そういったものをいまここでまとめて、港湾法の制定にあたって、すべてそれを処理してしまえとおっしゃっても、これは時間的にもできない。だから、その問題は、環境庁も言っておりますように残した問題ではございますけれども、積極的に取り組んでいくんだという姿勢は環境庁も示しております。  それから、関係の省庁でも、たとえば発生源が通産関係の所管の工場でございました場合には、通産関係が、その工場のいろいろ仕事のしかたについても、そういう原因をこしらえないような努力はもちろんしなければなりませんし、農林省についても同じことであろうと思います。関係の各省にまたがっておりますので、それをただ港湾法の際にここで各省歩調をそろえて一挙に解決しようという、もしそういうふうな御意見であるとすると、もう少し時間をかしていただかないと、その点は完成はしないだろう。われわれは決してこれをほっておるわけじゃございませんが、そういうふうな田子ノ浦港のようなものがあちらこちらに出ておることも事実でございまして、住民はもちろんのこと、水産関係にも大きな被害考えておるということも考えられます。そういった問題は、今後さらに関係各省と歩調をそろえまして、成果のあがるように努力をしつつある際であり、今後も努力をいたします、こういうことをわれわれとしてはこの際は申し上げておかなければならぬと思います。環境庁長官がおられれば、もう少し別な視野からいろいろお答えがあるかと思いますけれども、その環境庁長官のおっしゃるだろうと思うこともつかまえまして、かわって御答弁をしたような次第でございますが、そういうふうにとらえていただきたいと思います。
  128. 木下元二

    ○木下委員 言われることはわかりますが、公害防止のためにあれもやりたい、これもやりたい、たくさんあると思うのです。それは別としまして、私がさっきから伺っておるのは、そういうお考えとは別に、その港湾法改正案の中身にあらわれた問題ですね。その問題として見た場合に、公害対策というのは、ごくわずかな点しか触れられていない。主眼は少なくとも改正案の中身ですよ。これを見た場合には、港湾の長期的なあるいは港湾全体の計画的な開発利用、そういうふうなことを中心にこの内容、中身が展開されておる、そういうとも申しておるのです。結局中身はそうでしょう。
  129. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 それは午前中の御質問に対してもお答えした点に触れるのでありますけれども港湾環境をよりよくしようということになりますと、いまのヘドロのような問題をまずまっ先に解決するのが当然でございましょう。さらに積極的に進んで、緑地帯をこしらえたり、いろんなことをしまして、港湾環境をよくしようというのでございますから、前提条件は、そういった堆積汚泥を早く取り除こうというようなことは、今度の法律案の中にも当然含まれておるのだということで、私はそういうふうに了解しております。その中でいろいろなこまかい規定政府委員から御説明いたしますけれども、いままでからやっておりますけれども、そういう堆積汚泥を早く除去して、港湾をきれいにしよう、これは何年か前から始まっておるのですが、今度は港湾関係港湾管理者の仕事として明瞭にそういったことを指示しておるのでございます。  港湾法改正にあたって、そういったことは副産物で、第一の目的は違うのだろう、こうおっしゃるようですけれども、これはそうじゃなくて、初めに申し上げたように、そういったものは当然含まれないで港湾環境をよくしようたって、これはできるはずないじゃないかと思います。ですから、当然そういった問題は包括されておるというふうにお考えくださってけっこうじゃないかと思います。
  130. 木下元二

    ○木下委員 もうその点については質問をやめますが、結局私が言っておるのは、大臣の胸のうちではなくて、その港湾における公害防止が改正の大きな目的になっておる、こういうふうに言い張っていられるわけでありますが、これは私がさっきから申しておりますように、客観的には内容が伴っていないと思うのです。これはさっき申しましたようなわずかな内容しかないわけでありまして、幾ら目的が公害防止だ、環境保全だということを言われましても、それはまさしく竜頭蛇尾の感じがするわけであります。これはもうまさに客観的には公害防止というのは付随的な補足的な目的だ、そういうふうに理解せざるを得ないと思います。  私は、大臣がそういうふうにあくまで言い張るなら、私もはっきりと申したい、結局これは公害防止を隠れみのにいたしまして、地方自治権を侵害する日本列島改造港湾版を実行しようとするたくらみだ、こういうふうにはっきり申しておきます。  それから次の、別の質問でありますが、大臣に伺いますけれども日本の沿岸水域に機雷がそのまま残っております。残存機雷の現在数はどの程度あるか、御存じでしょうか。
  131. 岡部保

    ○岡部政府委員 防衛庁の資料をもとにいたしましての推定でございますが、昭和四十八年三月三十一日現在、日本周辺海域に、五千五十七個、残存機雷があるであろうと推定されるわけであります。
  132. 木下元二

    ○木下委員 私の調べによりますと、昭和四十年十二月には五千百二十六個あった。それが先ほどお話しによりますと、五千五十七ということで、六十余りしか減っていないのですけれども、そういう状況ですか。
  133. 岡部保

    ○岡部政府委員 さようでございます。
  134. 木下元二

    ○木下委員 残存機雷の処分を、これはどのように行なっておるのでしょうか。これは運輸省であっても、あるいは海上保安庁でもけっこうです。
  135. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 これは所管としましては、そういう残存機雷の処理というのは、おそらく防衛庁の仕事じゃないかと思うのです。ただ、私のほうは、港湾の整備をする、あるいは航路の開発をするというような場合に、直接にそれに障害を起こすようなことがあってはいけませんので、そういう際には、担当の港湾局がそれに関する機雷の処理を防衛庁の援助を受けてやっておるという実情でございます。  これは所管につきましても、どういうふうにしてこれを処理するかというようなことについては、まだ関係法律も出ておりませんし、これはやはり実際上の問題としまして、処理能力のあるものはおそらく防衛庁だろうと思いますから、そういうことで、今まで、法律上の権限とか責任とかということのほかに、実際上の処理能力のあるところで処理をして、国民にあまり大きな被害を及ぼさないようにというようなことでやってきているのが現状だと思うのです。
  136. 木下元二

    ○木下委員 港湾建設局が磁気探査というのを行なって、そして機雷が現にあるということが発覚した場合に、防衛庁がその連絡を受けてこれを除去する、除去の作業は防衛庁が行なっておる、こういうふうに聞いておるわけです。  それから新潟港の場合には、日本物理探鉱株式会社というのがありまして、これに下請をさせて探査の作業、それから発見までをこの民間の会社がやっておる。発見した場合には防衛庁が除去をする、こういうふうに私の調査では出ておりますが、このとおりでしょうか。
  137. 岡部保

    ○岡部政府委員 先ほど大臣が御答弁申し上げました点について若干補足をさせていただきますと、一応自衛隊法と申しますか、海上自衛隊でこういう機雷その他の爆発物を除去し処理するということになっておるわけでございますが、これは現在たとえば磁気に感応する機雷というもの、これを感応させていくというような処理のしかたでございます。したがって、たとえば埋まっております機雷のところへわざわざ磁力線を発して、刺激をしたりして爆発させるというようなことが掃海の方法になっております。ところが、現実には終戦後相当の時間がたっておりますために、海底に沈んでしまって、土中にもぐってしまっているという例があるわけでございます。そこで現在、先ほども申しましたように、港湾建設局でなぜこういう機雷関係の探査をするということが出てきたかと申しますと、しゅんせつ工事をいたします。そういたしますと、従来の自衛隊のやり方の掃海では磁気に感応しない。ところが、海底にもぐっているのがしゅんせつしたためにずっと上に出てくるわけでございます。そこで爆発を起こしたというような例がございます。したがって、これからしゅんせつをしようというところでは何か鉄のかたまりと申しますか、そういうものが埋没していないかどうかというのを調べます。これが磁気探査と呼んでおるものでございます。  いままでやっておりました磁気探査というのは、たいへん変んな話でございますが、先ほど先生のお話にもございましたように、日本では民間の業者が一社だけで、言うなればこれを独占して実施をいたしておりました。したがって、ここに探査を発注せざるを得なかったというのが実情でございます。そういうことではどうもいかぬというので、港湾建設局といたしましてはそういう工事に伴う磁気探査ということが必要でございますので、この機器の開発もしくは磁気探査船も建造していかなければいかぬということで、現在計画中であるわけでございます。先ほどおっしゃいましたように、港湾工事に伴って確かに民間にそういう磁気探査を発注しておるということは事実でございます。
  138. 木下元二

    ○木下委員 昭和四十七年五月二十六日の新潟港内でのしゅんせつ作業中の機雷爆発事故、こういうことがございまして、死者二名、重軽傷者四十四名を出しております大事故を起こしております。その責任をどう感じておられるでしょうか。簡単でけっこうです。
  139. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいまの新潟に起きました事故という点につきましては、私どもの反省をいたしております点が一点ございます。これはすでに国会でも申し上げたとおりでございますが、やはり磁気探査もしくはしゅんせつをいたします事前の磁気探査、それから何か危険なものがあるということで除去いたしました事後の磁気探査、それで完全にクリアになったということを確認してからしゅんせつをするべきであった、そういう点がいささか不注意であったのではないかという責任を痛感いたしておる次第でございます。
  140. 木下元二

    ○木下委員 新潟港及びその周辺では現在どのくらい残存機雷が残っておるという推定をしていますか。
  141. 岡部保

    ○岡部政府委員 やはり防衛庁の資料をもとに申しますと、四十八年三月三十一日現在で約三百七十六個と推定されております。
  142. 木下元二

    ○木下委員 それでは新潟港では具体的にどのように対処してきたのか、探査の結果とその除去について述べていただきたいと存じます。
  143. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいまの御質問、機雷の探査のことかと思いますが、まずここのしゅんせつをいたします際に、事前に磁気探査を十分しなければならないということを私ども港湾局長通達で指示をいたしております。ところが、新潟港は御承知のように毎年毎年河川から流れてきます流出土砂で埋まっております。したがって、この埋没土砂のしゅんせつということで毎年同じような個所を繰り返してしゅんせつをいたしておる事業でございます。したがって、このような場合ですと、まず前年しゅんせつをいたしておれば、またそこを同じような深度までしゅんせつする事業でございますので、あらためて機雷の探査をする必要はないという感覚に立って、あの事業の際に事前の機雷の探査が省略されました。これが一つの原因である、先ほども申しましたように、そこで非常に反省をしなければならぬという点があったわけでございます。したがって、このような同じようなところを何回も繰り返すというしゅんせつにいたしましても、たとえばあれはしゅんせつ個所の一番端でございまして、言うなれば深く掘って、ちょうど斜面になっているところ、しゅんせつをしていない部分と、した部分とのつながりの斜面がございます。そこの辺からころがり落ちたのではないかという推定まであったくらいでございます。結局詳細についてほんとうの事実を確かめるわけにはまいりませんでした。しかし、いずれにいたしましてもそういう危険があるから十分探査を毎回やるようにということを指示いたしました。
  144. 木下元二

    ○木下委員 その探査をやっているのでしょうか。私の調べたところによりますと、これは十数年来やっていないというふうに聞いているのですが。
  145. 岡部保

    ○岡部政府委員 現在は探査をしなければしゅんせつ工事は実施しないというたてまえでやっております。
  146. 木下元二

    ○木下委員 やっておりますか。いつからやっておりますか。もうずっとやっておりますか。
  147. 岡部保

    ○岡部政府委員 最近はずっとやっております。
  148. 木下元二

    ○木下委員 これは運輸省の全港建の労働組合、この労働組合のほうから聞いたところによりますと、ずっとやっていないということですが、これは間違いないですか、確かめておきます。
  149. 岡部保

    ○岡部政府委員 私は第一港湾建設局長からの報告によってやっておると御答弁申し上げております。
  150. 木下元二

    ○木下委員 それではそう伺っておきます。また調査をいたします。  それから、この改正案のどの条文で、政府はこの重大な機雷除去について解決するつもりでしょうか。
  151. 岡部保

    ○岡部政府委員 先ほども実態を御説明申し上げました際に申し上げたわけでございますが、港湾工事の事前調査的作業でございますので、この探査につきましては港湾工事の事業に含ませて考えております。したがって、今回のこの法改正の対象とはなっておりませんで、現行法にございます港湾工事の中に含まれているという解釈をいたしております。
  152. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、現行の港湾法に基づいて機雷の探査処理をやっていたということになると思うのですが、現行法のどの条項に基づいてやっておったのですか。
  153. 岡部保

    ○岡部政府委員 特に現行法港湾工事というものの定義がございますし、さらにその港湾工事で公共の用に供する港湾工事であれば、国の負担もしくは補助の対象になるという条文がございます。この対象につきまして、言うなればしゅんせつ工事ということの中に機雷探査事業が含まれておるというふうに解釈をしていただきたいと存じます。
  154. 木下元二

    ○木下委員 しゅんせつ工事と機雷の探査とちょっと違うように思うんですがね。工事のやり方も、それから質的にも非常に違ったものがあると思うのです。
  155. 岡部保

    ○岡部政府委員 おことばでございますけれども、たとえば一つの岸壁をつくるという工事がございます。その際にそれに付帯するいわゆる準備工的な工事というものがこの岸壁工事の中に含まれるという解釈で、言うなれば、たとえば一つの岸壁工事が一メートル当たり平均どのくらいかかるかというような工事費を出しますときには、そういう付帯工事もこれに含めて考えるわけでございます。そういう意味で、しゅうせつ工事の中に含めて、いわゆる準備工的な仕事であるということで、しょんせつ工事に含めるという意味のことを申し上げたわけでございます。
  156. 木下元二

    ○木下委員 それは、確かにある工事をやる場合に、それに伴ってその機雷の探査をやる、これは当然あると思うのです。それはけっこうですけれども、そうしますと、そのほかに、独自に機雷の探査ということをやっていないわけですか。何かほかの工事があって、それに付随してやるかのような言われ方をするのですが、そういうものではなくて、さっきも言われたように、現在すでに五千からの機雷がいまだにある、これを探査し、処理をするということは非常に私は大事だと思うのですけれども、それについては、それは特別にやろうとされないのですか。
  157. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいまの御質問でございますが、現在、現実港湾関係者として機雷の探査というものを実施いたしますのは、港湾工事に伴うしゅんせつ工事に限定されております。と申しますのは、先生いまおっしゃいましたように、これだけあるのだ、したがって、港湾工事に伴わない、ものでも当然やるべきじゃないかという御説については私も全く賛成でございます。ただ、これにつきまして港湾建設局と申しますか、国の港湾工事をする実施部隊であるか、あるいは港湾管理者であるのか、あるいは自衛隊であるのか等々、いろいろな疑問がございますけれども、その港湾工事に伴うものではなくて、一般的なこういう機雷の探査という問題については、実は私ども港湾管理者の業務としてこういうものを取り上げるべきではなかろうか、ただし、こういうものについては当然相当なシェアを国が負担すべきではなかろうかというようなことで、予算を何とか成立させたいという努力はいたしましたけれども、残念ながら今四十八年度の予算では成立は見られなかったわけでございます。そこで今後ともこういう問題をどういうふうにしていくかというのはもう少し検討し、さらに具体化する方向に進めてまいりたいという考え方を持っております。
  158. 木下元二

    ○木下委員 港湾工事とは別に、この機雷の探査、処理も全面的に一斉にやることが私は必要だと思います。これはいまも運輸省のほうからこれに賛成をしてくださったのですけれども、これは港湾の安全秩序の上からいいましても、あるいはまた船舶の航行の安全の上からいいましても重大な問題であります。しかも、人命にかかわるたいへんな問題であります。この機雷の除去は、私は今度の港湾法改正するならば、当然それに伴ってこの問題もこれに含めるべきだと思うのですけれども、これだけが何か抜けておる。当然これはこういう重大なことを放置するのではなくして、私は一日、一刻も早くこれを処理するためにも、これは今度の港湾法に当然含めて解決をしていくべきだ、こういうふうに思いますが、大臣の所見を伺います。
  159. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この機雷がどの海中にあるかというようなことにつきましては、これは港湾区域内だけじゃないのですね。公海の中にもありますし、港湾区域外にもたくさんあるわけです。港湾局だけじゃなくして、私ども運輸省だけの関係からいきましても、海上保安庁、これはいまおっしゃったような船舶の安全というような点からいきまし七、海上保安庁なんかがやはり関連をしてくる問題でございまして、港湾局の関係だけではないということは言うまでもないことであります。しかしそういったものにつきましては、これは私から御説明するまでもなく御承知のように、こういったのは終戦の処理の一つの問題といたしまして、日本の周辺をきれいにしようという意味——陸上にもあるわけでしょうね。陸上にもまだ砲弾が埋まっておってどうするかという問題、そういった問題につきましては、原則としてこれはその衝に当たっているのが防衛庁だろうと思います。そういったのを、いまお話しのように法制的に制度化して、だれかが責任の所在をはっきりして国費も出してやれ、こういう御趣旨じゃないかと思いますけれども、そこまでくるのにはまだ法制も整わないし、そういう体制が整っていない、実害のあると認められるものについては、私のほうの港湾関係なんかはそういうふうにやっておりますし、また陸上においてもそういう実害のあると思われるところは、これは関係者が具体的には防衛庁の援助を得て行なっているというのが実情でございます。これは根本的には、関係各省非常にたくさんのものが関係してまいりますから、いま申し上げたことはこれは今後の問題としまして、関係閣僚の間でも相談をいたしまして、そして実害を及ぼすようなおそれのあるものについては早くこれを除去するような対策を、これは関係各省のワクを越えまして何か考えたほうがよいと思いますから、その点はひとつ今後の問題として考えさしていただきたいと思いますが、しかし実害のある分は、これは海上保安庁でも、私のほうの関係港湾局でもいま申し上げたように事実やっているのです。港湾局の、つまり港湾区域外の問題なんかは海上保安庁がそういったことを考えて、それで防衛庁に連絡しまして除去している例もございますから、可能な限りやっているわけなんですが、全国で非常にたくさんまだ残っているじゃないか、それをどうするのかというと、これはもうなくなったほうがいいにきまっているのですけれども、実害のないというものまでいま手をつける段階にいっていない。それについては制度化しなければならない、関係の予算もとらなければならない、場合によっては法律も要るかもしれない。そういったことで問題が残されているというふうに御了解いただきたい。
  160. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、この問題については早急に除去できる体制をつくるためにひとつ努力をいただく、このことをお約束していただけますね。
  161. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 そういう方向で関係の閣僚と十分協議をいたしたいと思います。
  162. 木下元二

    ○木下委員 時間が来ましたから終わります。
  163. 井原岸高

    井原委員長 小濱新次君。
  164. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、地方行政立場から、提案された港湾法等の一部を改正する法律案について、運輸大臣並びに港湾局長に端的に、時間の制約を受けておりますので、数点お尋ねをしていきたい、こう思いますので、お願いいたしたいと思います。  まず、港湾局長にお尋ねをしてみたいと思いますが、このたびの改正法案を拝見いたしましていろいろと感ずることがたくさんございます。そしてまた審議の経過においてもいろいろとその問題が指摘されてまいったようであります。いわゆる中央集権化のにおいが強いというこの点の理解がまだできない人たちのこれは声かもしれませんけれども、やはり法案を読んでみるとこういう姿になっている。こういうことですと、これは地方自治権の侵害にならないかどうか、非常に疑問がわいてまいります。この点はやはり重要な問題ですから、一ぺんこれは納得のいくような明快な御答弁を願っておかなければならない問題であろう、こう思いますので、お願いしたいと思います。
  165. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいま先生の御指摘になりました点については、いままで数次にわたって運輸委員会で御議論していただいたところでございますけれども、私ども考え方は、今回の法改正というものは何ら中央集権的な感覚を持ち、あるいは地方自治権の侵害をするというようなものではないという考え方に立っておるわけでございます。と申しますのは、港湾管理という事務は確かに地方公共団体の固有の事務と申しますか、本来地方公共団体の事務であるというふうに考えられることはあると思いますが、このようないずれにいたしましてもある地方公共団体の住民の利害に関する事務の中には、同時にまた他の関係地方公共団体、さらには国民の利害に関するものも多いことは当然だと存じます。したがってこのような場合には、たとえば港湾管理等の地方公共団体の事務につきまして基本方針等の基準を示しまして国の行政の協調をはかることを要請する必要が生ずることは決しておかしいことではないのではなかろうか。ただしもちろんこの要請というものの内容が問題であるとは存じます。したがって内容が合理的である限りは、これは地方自治制度と制度的に矛盾するというふうには考えなくてよいのではなかろうかという私ども考え方でございます。したがいまして、いろいろな法律でもやはりこういうような問題点もございますし、これをもって地方自治権を侵害しておるということではないというふうに考えておる次第でございます。したがって今回の法改正で、どうもことばがへたなので十分御理解いただいたかどうか疑問でございますが、私ども考え方といたしましては、決してこういう、いわゆる中央集権というようなことではなくて、むしろ本来私ども考えております港湾法というのが地方自治の典型的な法律であるというふうに考えてもおりますし、この考え方をちっともそこなうものではないというふうに考えておる次第でございます。
  166. 小濱新次

    ○小濱委員 当然六大港湾あるいはまたその他の港湾からの意見も十分お聞きになられまして、そしてまた尊重もせられてこういう法案ができてきたと私は信じておりますけれども、すべて満足して問題がなくなったとはわれわれは考えておりません。そしてまた満足した内容であるとも考えていないわけです。そういう点である地域といろいろ話し合ってみますと、まっこうから反対をしているという、そういう意見の人があるわけです。あるいはまたある人は、相当意見も尊重していただきましたので、まあ将来の問題としてこの程度ならばという意見の人もある。そういう点で全然御意見を伺わなかった人たちは疑問を持っているわけですね。そういうことから私どもも、これは明快な御答弁をいただいておかなければならないであろう、こういうふうに考えましてお尋ねしたわけでございますが、残念ながらきょうは非常に短い時間の制約を受けておりますので、問題点だけ一つ一つはしょっていきますのでお答えいただきたいと思います。いまの問題についてはこれからもぜひひとつ御努力をお願いしたい、こう思います。  そこで、この港湾法の制定当時のいろいろな確認事項を私も調べてみました。そうしますと、地方自治尊重の精神を基調とした、こういう精神で立法されておりまして、確認事項というのはたくさんございます。きょうはこの問題についてはもう御存じなんですから何も申し上げませんけれども、自治尊重の精神は今回の法改正案は何か無視されているように私どもには思えてならないわけですね。今回は国がこういうきびしい規制をした、将来はこうなるのではないかというような疑いのことばまでも出てきて不安を抱いている、こういう状態であります。したがってこの問題については、やはり港湾計画的な整備というものは港湾地域性というものも十分配慮されていかなければならないものである、そういう立場から考えますと、どうしてもこれは自治尊重ということには考えられないわけでございまして、今回のこの法案が港湾管理者の大幅な後退になるのではないか、こういうふうにも思われてならないわけです。港湾管理者の大幅な後退にならないかどうかという問題について、これも重要な問題でございますので、ひとつ明快な御答弁をお願いをしたい、こう思います。
  167. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいまの御質問でございますが、いわゆる港湾計画のくだりにつきまして、三条の二、三条の三というところで、いろいろ御議論があるところでございます。そこで私ども、どうも以前申し上げたこと等のまた繰り返しになるかと存じますが、現行法で四十八条に港湾計画の審査という項目がございます。ここで、運輸大臣が、各港で港湾管理者がおつくりになった港湾計画というものを提出を求めることができることになっております。またそれを運輸大臣は審査いたしまして、「当該計画が全国の港湾開発のための国の計画に適合しないか、又は当該港湾利用上著しく不適当であると認めるときは、これを変更すべきことを求めることができる。」という条文がございます。さらに、この国の計画に適合し、また不適当でないと認めたときは、この「当該計画の概要を公示する」という四十八条の規定があるわけでございます。この考え方を三条の三というところで港湾計画に移しまして、その中で、いわゆる現行法では「全国の港湾開発のための国の計画に適合しないか、」等々という字句がございますが、これを具体的にどういうふうにしたらいいかというのが三条の二で基本方針というところで定めるという考え方に立った次第でございます。したがいまして、私ども考え方は、先ほども申しましたように、決して港湾管理者意見あるいは意思を無視するものではないということをあえて繰り返して御答弁させていただきたいと存じます。
  168. 小濱新次

    ○小濱委員 法案の条文を見まして疑問視される点がたくさんございますので、どうしてもそういう懸念があらわれてくるわけです。これは前の御質問と同じになりますけれども、どうかそういう点でもっと理解を求めるような機会を大いにつくっていくべきではないのか、こういうふうに考えております。  そこで、今回の改正案では緑地、公園等の環境整備が港湾施設へ組み入れられておりますが、こういうことになりますと、——私もいろいろ調べてみました。全国的に見て、緑地の問題、まだ何カ所も完成してないようでありますけれども、こういう姿ですと、管理者負担増というものが起こってくるのではないか、ひいては地方財政を圧迫する結果となるのではないか、地方財政という問題が非常に問題になってくるわけです。この点はいかがでございましょう。
  169. 岡部保

    ○岡部政府委員 確かに港湾環境整備施設というものが港湾施設に組み入れられてまいりまして、こういうものが今後港湾を整備する管理者負担増になるのではなかろうか、ひいては管理者の財政を圧迫することになるのではないかという御質問でございますが、ある意味では従来とも港湾管理者がこれを実施をされておった向きもあります。そういう意味で比べますれば、むしろそれに対して緑地等を補助対象にしようということでお手助けをしようというつもりが大いにあるわけでございます。ただ現実にはこのような情勢になってきたところで、今後の港湾の施設の整備というときに、環境整備施設というのは非常に重要な問題でございまして、こういう事業量は大きく増加するものと考えられます。したがって、この補助も、国で二分の一の補助はいたしますが、それにも増して、そのもとである管理者の財政負担というのはやはり大きくなるというのは事実だと存じます。したがって、こういうような問題に対しまして、具体的に今回の法改正で入れましたのは、四十三条の五というところに、環境整備負担金の制度を新たに設けたところでございます。しかし、これだけですべて解決するとは私ども考えてはおりません。したがって、これもいままでいろいろ御議論されたところでございますが、たとえば港湾施設整備のための補助率という問題をどういうふうに今後考えていくか、あるいはさらに特定財源等、そういう問題も管理者財政としては考えなければいかぬという点もあるかと存じますので、この辺は率直に、これからもほんとうに検討して、少しでも管理者財政のプラスになるような方向で進めていきたいという考え方でございます。
  170. 小濱新次

    ○小濱委員 港湾管理者の受ける具体的なメリットは端的にいえば何か、お伺いしたいわけですが、先ほどやはり大臣の御答弁を聞いておりましても、非常にいろいろな関係の補助率も低いという話がございました。しかし、それは問題があってそうせざるを得なくてそういう決定を見たわけですから、これはやむを得ないとしても、地方財政がいま非常に緊迫している、やりたい事業もやれない、やらない黒字財政、こういう立場から、今後の港湾整備という立場から、もう少し何とか国の考え方をあたたかく取り入れてもらうような方向づけが必要であろう、こういうふうに私は考えるわけです。  そこで、時間がありませんので、最後にもう一点お尋ねしておきたいことは、港湾管理者の財源対策ということになりますが、先ほどもちょっと出ておりましたが、入港料、この問題についていろいろと御議論をお願いしようと思ったのですが、時間もありませんので私のほうから少し経過をお話しいたしますと、十数年来、この問題については船主会と交渉は続けてきたという実態が出ております。いわゆる、当初から現在に至るまで入港料は取っていない、こういう形、いろいろ洞海湾の問題だとか地方港湾の問題、若干出ておりますが、それはそれといたしまして、運輸省にも相談を申し上げた、こういっておりましたが、いまの結果は出ないというし、将来の見通しも決して明るいとはいえない、こういうわけで、港湾法四十四条二の内容からしてどうしても、「徴収することができる。」という、ここに固執してしまうわけですね。しかしながら、大企業は大株主がやはり船主会を代表しておりまして、こういう人たちがなかなか納得をしてくれませんので今日に至っている、こういう段階になっております。地方財政が危機という立場から、この入港料はがっちり取れるようにしてほしいというのが要望なんですが、この問題についてひとつお考えを聞かしていただき、そしてまた御質問をしたい、こう思います。
  171. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいま御指摘になりました入港料の問題でございますが、先生おっしゃいましたとおりでございまして、入港料の徴収という問題でございますが、特定重要港湾等の一部の港湾においては運輸大臣の認可が必要でございますが、その他の港湾については港湾管理者の自主的判断にまかされておるものでございます。従来から管理者団体と船主の団体との間で入港料の徴収についていろいろ検討されておりますけれども、全国的な規模での徴収についてはまだ話し合いがついておりません。ごく一部の港湾についてのみ徴収されている現状でございます。ちなみに実績を申しますと、昭和四十四年度、四十五年度の実績を持ってきておりますが、徴収いたしております港数はともに三十一港でございます。徴収金額が四十四年度には二億二百万ほどでございます。四十五年度には二億一千六百万ほどの徴収実績でございます。したがいまして、今後の問題といたしまして、この入港料というものをどういうふうに考えていくべきかというような問題、これば当然今後の一つの問題として積極的に検討いたしていかなければならないという考え方を持っておる次第でございます。
  172. 小濱新次

    ○小濱委員 これは申し上げるまでもないことでありますが、最近貿易量の増大という問題から、出入港船舶の激増という問題が起こっておるわけでございます。特に大型化してきて、けさの新聞でも、大手企業が四十万トン各社が発注をしたという記事も載っておりました。大型化したりまた高速化してきた。このため近代的な港湾施設への需要というものが高まってきております。   〔井原運輸委員長退席、上村地方行政委員長着席〕 投資額は著しく増加してきたし、巨額の支出を伴う港湾施設への投資というものが、また自治体の大きな負担になってきているわけでございます。この点は御存じのとおりでありますが、この航路しゅんせつにいたしましても、大型ですから特にしゅんせつを今度しなければなりません。いままでは喫水の問題水深の問題こういう問題がある、ここへきて急激にやらなければならない。またこの補助もいろいろあるようでありますが、五〇%あるいは八〇%まで特にめんどうを見てもらっておるところもあるようでありますが、こういう問題やら、係留浮標、錨鎖、これが、どうも最近大型化してまいりましたので強いものにしなければならぬということですが、なかなかできない、修理に修理を重ねている、こういう状態になっている。こういうことから非常に持ち出しが多くなってまいりましたので、それで財政というものが大きく出てきたわけですが、ここで取れるものは何とかしていただきたいということで入港料という問題が大きく出てきたわけでございます。八大港湾の五百トン以上の船舶の数字、こういうものも出してみました。トン一円にしても六億から入る、あるいは一円五十銭にしても十億近いものが入ってくるという、何とか港湾施設のために使えるような、そういう資源がほしい、こういう立場で心から念願しているのが一つこの入港料の問題でございます。とん税の問題につきましては、先ほどもお話がございましたように一般財源に入ってしまいます。何か港湾のみに使える財源がほしい、こういう立場でございますが、運輸省側としては強力にこの問題をバックアップすべきだ、私はこう考えるわけでございます。道は何とか開いてあげてほしい、こういうふうに心から要望するわけでございますが、この結果が出ませんと、船主会のほうの支払わないことがこれでいいのだというような考え方にこれからぐっと続いていきますと、管理者が不利になる、こういう問題も起こってまいります。そういう立場から、これはどうしても運輸省側としては極力ひとつ先がけて入港料を取ろうという、これはまあ運輸省側の精神じゃございませんが、何とか法律をつくった立場から、あるいはいまげたを預けた立場になっているわけですから、責任は向こうだというんじゃなくして、やはりこちらでできるだけの指導育成というものはすべきではないのか、こういうように考えますので、この点についてもう一ぺんひとつ港湾局長にお尋ねをしたいと思います。
  173. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいまの先生の、港湾管理者の財源に関しての非常にあたたかい御発言でございますので、私も全く賛成でございます。いま一つの実例にお出しになりました入港料という問題でございますが、港湾管理者の現在財源となっております収入としては、係留施設、荷さばき施設などの施設の使用料、それから水域の占用料、入港料等があるわけでございます。それで先ほど申しましたように、入港料というのはごく一部の限られた港で実施しておるというような限定された姿でございます。そこで、これらの料率は港湾管理者である地方公共団体の条例で定めることになっておりますが、実際には必ずしも十分な水準であるとは言えないと私どもも感じております。このために港湾管理者はこれまでも施設使用料などについて段階的にこの料率を改定する、増額していくんだということで、つい先ごろ五大港についての岸壁の使用料の値上げを、大体これは利用者団体も了解をしたという姿で値上げが認められたという姿でございます。このようにいたしまして、入港料についても一つの新しい収入源として折衝をしてきたということは先生の御指摘のとおりでございます。  そこで、私どももう先生のおっしゃるとおりでございまして、今後増加する財政負担というものをどういうふうにこれからまかなっていくように考えるかというあたりで、たとえばいま申しました現在取っておるもののベースアップと申しますか、額をふやしていくという考え方もございますし、それから新しく入港料等を考える、あるいは外国などでございますように、ワーフィッジと称しておりますが、埠頭通過料というような一つの考え方もございます。これはむしろ荷物について料金を取るようなシステムかと思いますが、そういうようないろいろな考え方がございますので、これはまことにここでこういうふうな案でこれから進んでいくんだと申し上げたいところでございますけれども、残念ながらまだそこまで考え方がまとまっておりません。ただ、これは至急に検討しまして、いままでもお約束申し上げておりますいわゆる港湾施設整備のための補助率の改定ともあわせて、こういう財政面の検討というのをなるべく早い機会に考え方をまとめたいということを申し上げて御答弁にさせていただきます。
  174. 小濱新次

    ○小濱委員 御経験深い運輸大臣にひとつ最後にいまの問題についてさらに御意見を伺っておきたいと思いますが、この港湾管理者の財源確保という問題で入港料等港湾利用者からの料金、負担金徴収制度を積極的に検討すべきであると私は考えるわけです。いま港湾局長から御答弁をいただきましたけれども、最後に大臣からこの問題についてのお答えをいただきたいと思います。
  175. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 港湾管理者港湾を維持、管理していきますのに、非常にこのごろ経費の関係で十分にできないということば了承いたしております。それで今度の港湾法改正にあたりましてもそういう問題について財政当局とだいぶ具体的な折衝をしたようでございますが、先ほども御答弁したかと思いますけれども、補助率の引き上げ等につきましては他の公共事業の補助率との均衡などがありまして思うようには結果が出なかったのでございます。私は、補助というのは政府の直接補助というような問題だけではなく自主財源というようなものをやはり考えて安定した財政の基礎の上に立って港湾の管理をしていかれる必要があるのじゃないかと考えておるわけでございますが、この点は港湾の公共性といいますか公共的な要請が非常にふえてきておりますので、その煮からいいましてもそういう措置を国としても考えるべきは当然のことであろうと思っております。したがいまして、この問題につきましては、今日の港湾法の一部改正案を提出いたしました段階におきましては不十分であろうと思っておりますが、今後なるべく早くこの自主財源それから国の補助、そういった問題を含めまして港湾管理者がもう少し自分の港湾について積極的な整備の方針をとれるような財政的基礎を与えるための措置を考えるように努力をしたいと思っております。
  176. 小濱新次

    ○小濱委員 いまのお答えからもう一つ御質問したいと思います。  非常にけっこうな御意見をいただいて、ぜひひとつその問題を早目に実現をしていただきたいと思うわけですけれども、これは運輸大臣としてではなく国務大臣としてお尋ねをしたいと思うのですが、この港湾問題についての財源対策の上から目的税というもの、このお考えをお持ちになっておられるかどうか。こういう形ができ上がっていけば、いまの自主財源あるいはまた国の補助、こういう問題の解決がスムーズにいくような感じを私は受けるわけですが、目的税についてひとつ御意見を聞かしていただきたい。
  177. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど答弁いたしました中にもそういうことを含めて御答弁をしたつもりでございます。おそらく入港料のごとき、これを目的税にして財政基礎を安定しろ、こういう御主張だろうと思いますが、そういった問題を含めまして、方法論はいろいろございましょうと思います、そういった問題を含めて自主財源それから国の補助というようなものをあわせて港湾管理者の財政基礎をもう少し安定させるような方向で検討をいたしますということを申し上げておるのでございまして、そういった問題を含めての御答弁とお考えくだすってけっこうでございます。
  178. 小濱新次

    ○小濱委員 たいへんありがとうございました。
  179. 上村千一郎

    ○上村委員長 小林信一君。
  180. 小林信一

    ○小林(信)委員 私は主として公害関係のほうから御質問を申し上げてまいろうと思っておりますが、大臣の法案の提案理由説明を拝見いたしますと、経済成長には港湾法というものは非常に大きな役割りを果たしてきたけれども、現在の段階ではこれを再検討しなければならない、それは環境整備と申しますか、いわゆる環境公害防止、そういう面から考え直さなければならぬというような御趣旨でこの法案に重点が置かれているようにお伺いしたわけでありますが、私どもも公害の問題に取り組んでおる者としては公害の発生地というと必ず港湾中心としたその周辺がいつも対象になっておる点から考えれば、ほんとうにここに運輸省が力を入れるとすれば非常にうれしいことだと思っております。しかしこの趣旨説明を拝見いたしましても、「国土の適正な利用及び均衡ある発展等、現在、社会的に重大となっている諸問題に対する配慮に欠けるところなしとしません。」まことに消極的な印象を与え、何か役所的な表現に考えられるわけですが、港湾のこの面については国民がもっと積極的なものを要求しておるのじゃないかと思います。  そこで、いままでだってそういう点無関心ではなかったと思うのです。しかしもうくるところまできてしまったのが港湾の実態ではないかと思うのです。なぜああいうふうになったか、その原因をどういうふうに運輸省は把握しておられるのか。まずそこからお聞きしたいと思うのです。
  181. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 わりあいに率直に書いたつもりでおるのでございまして、そういう反省の上に立って今度は港湾法の一部改正案を提案をしているのでございます。もっと率直に申しますれば、もっと早く手をつければよかったのじゃないかということも言われると思います。しかし今日まで、この点については何となく全般的に取り残されたような感じがないことはないという感じがいたしますので、提案理由のところでも私の考え方を率直に述べた次第でございます。しかし過去のことは言ってもしようがないのです。今後の問題としましては、港湾の状況も変わってきておりますし、社会の状況も変わっておりますから、それに対応したような政策を港湾行政においてもとっていかなければならない、こういうことを申し上げたつもりでございまして、その書き方が非常に消極的じゃないかとおしかりを受けるかもしれませんが、気持ちはそういうことでございますから、今後の港湾行政に対する取り組み方を、事情の許す限り積極的な態度でもって臨む方針でございますから、その点は御了承いただきたいと思います。
  182. 小林信一

    ○小林(信)委員 私は別にそこを責めたわけでなく、そういう反省をするからには、いままでどこにその問題点があったんだ、どこを怠っておったんだというその原因を実は大臣からお聞きしたかったわけであります。やはりこれをしっかり明示しなければ、今後の港湾対策というものは出てこないような気がします。  私ども海上保安庁によく御意見を承りますが、あそこはこの公害問題ではよく努力をしておるところで、それが運輸省の管下である以上は私どもよくおやりになっておったと思うのですが、海上保安庁には海上保安庁だけの任務しかございません。必ずしも、港湾を公害防止あるいは環境整備という方向に持っていく機能があそこにはないわけなんで、そういう点をいま私はあらためてお聞きしたいと思うのです。運輸省だけではない、いままで私どもの責めてまいりましたところは、通産省あるいは公害という問題に取り組んでおる環境庁というところに問題点を持っていったわけでありますが、しかしこの法案がそこのところに重点を置かれるとするならば、運輸省では運輸省なりに何か原因というものをつかんでおいでになると思うのですが、その点を大臣で都合が悪ければ局長さんでもかまいませんが、御明示願いたいと思います。
  183. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 港湾について、今日までおくれた具体的な原因は何か、こういうことのようですが、これはまあいろいろな原因が私はあると思います。端的には申し上げられないであろうと思います。  一つのやはり大きな問題は、大体これは中央集権じゃないかという御議論もあるのですけれども港湾管理者というものは地方自治団体の長でございまして、地方自治体の長である県知事がその計画をお立てになり、それに対して国があとう限りの財政的援助を与えるというようなやり方、こういったのがやはり基礎になっておったんじゃなかろうかと私は想像するのですけれども、あるいはこれは間違っているかもしれません、あとで政府委員からもう少し事務的にお話をさせるようにしたいと思いますけれども、とにかくそういうことで今度は決して中央集権になるわじゃございませんけれども、やはり港湾というものを管理運営をしていきます場合に、港湾というものは、これから環境保全というものをしっかりやってもらわなければ困るんだということを目的に書きまして、全国のどの港湾でございましても、そういうことを頭に置いて港湾管理者計画立て実行してもらえるようにしたいというのが今度の法律のねらいでございますから、前向きには非常におっしゃるところに合致していると私は思います。  運輸省の全体としましては、まあ公害の基準をおきめになったりすることは環境庁が主でございますけれども、実施官庁としては運輸省が非常に多いのでございます。単に港湾だけではございません。いまお話しの海上保安庁もそうでございますし、あるいはこのごろやかましい新幹線の騒音公害なんというのも私どもの所管でございますし、そのほか航空騒音もそうでございます。どうも運輸省はこれからあらゆる公害と取り組んでいかなければならぬような運命を持っておるのでございまして、この点につきましてはどの局、どの庁といわず、とにかく運輸省としましては人命の安全ということと、それから公害の防除ということを第一義としてやろうじゃないかということで省全体を引き締めてその方向に向かって努力することにいたしておりますので、個々の問題についていろいろ建設的な御意見がございましたらおっしゃっていただきまして、われわれを啓蒙していただきたい、こう思っておるのでございます。
  184. 岡部保

    ○岡部政府委員 私どもいま先生の御意見に対して現段階で反省いたしておりますことはいろいろあるわけでございます。  ただ、特に問題が非常に大きく出たと申しますのは、これはやはり非常に効果もあったわけでございますけれども、反面非常な環境を破壊するという結果をもたらしたという臨海性工業地帯、臨海の工業地帯というものの発生あるいは推進というものが港湾環境の破壊というものに大きく影響を与えてきたのじゃなかろうかと存じます。いわゆる臨海の工業と臨海性の装置型工業というのがこれは何といいましても経済的原則だけから見れば非常に有利であったわけでございます。したがって日本経済復興に対しても非常な価値をもたらしたわけではございますけれども、その反面これが環境の破壊というものに通じて、しかもいわゆる工業港というものが中心でございますので、そのためにそういう問題が起きてきておるということがたとえば洞海湾、北九州なんかの環境問題というあたりにも明らかに出てきているのじゃなかろうかという感じがいたします。したがって今後の港湾計画あるいは整備の考え方というようなものについては十分環境保全というものをしんにいたしまして考えていかないと、またまたえらい間違いをおかすおそれがあるというようなことを痛感している次第であります。
  185. 小林信一

    ○小林(信)委員 実は大臣もおっしゃったし、局長さんもおっしゃった。たくさんあります。いろいろあります。それを具体的に実は私は聞きたいのですよ。  どうも公害という問題がこの中に取り上げられているけれども、やはりあくまでも地方行政という面からだいぶ中央集権なんということでいじめられたせいか、そんなところに問題を持っていっているようですが、私ども公害という問題に取っ組んでいる者は、そのことももちろんそれから派生して生まれてくる問題ですが、一体その公害でどういうふうにいまよごれておるのか、破壊されておるのか、そういう具体的な問題を、やはり公害を掲げる以上は当局がしっかり掌握しておらなければ私は意味がないと思うのです。何となく、法案をこれからあとずっと見ますと、こういう問題に取り組んでおるということばが非常に少ないのですよ。保全なんということばで表現されておるところがそのことでしょうが、やはりこれは地方行政関係からそうなってくるだろう、これはもう少ししっかり考えを持っていただかなければならない、こう思って質問を申し上げたわけでありますが、一体その港湾の整備、公害を防止したり環境の整備という問題を考えるときに、この御趣旨にのっとって運輸省が担当する分野はどういう範囲と把握されておるか、まずこの点をお聞きしたいと思います。
  186. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほどもそういう点についてお触れになったので多少お答えしたのですが、発生原因からすべて運輸省が担当してやろうといってもできないと思います。たとえば河川を汚染している、その原因は上流の工場排水だ、それを運輸省で担当しろとおっしゃってもできないですね。いま運輸省で担当しておりますのは、港湾及びその周辺における汚泥のしゅんせつとか埋め立てとか、そういったものは直接港湾局のほうで担当しております。それから海洋に流された油その他の汚染、あるいは廃棄物、そういったものについては海上保安庁のほうで担当しておるのでございます。  いまの御質問の趣旨が私、どうもまだよくのみ込めないのですけれども運輸省といたしましては、関係各省と連絡をとりながら——もちろんその発生源をとめてくれないと、これは幾らやっても切りがないことですから、それについてはわれわれも大いに発言をしなければならぬと思っております。現に発言をいたしております。いたしておりますが、公害の根本を防除するのは、おのずから各省の組織法によりまして、他の官庁の所管に属しておるというのでございまして、現在のところは、そういう関係の各庁と連絡をとりながら最も有効な方法をなるべく早く結論を得るように措置をしなければならぬということが、われわれのつとめじゃないかと思っておるのでございます。  運輸省港湾だけ、あるいは海上保安庁が水質汚濁だけというように限定をしておるわけじゃございませんけれども、しかしそれを運輸省がやれるかというと根本ではやれません。やれませんから、そういったものは関係各庁と連絡して一生懸命体制をつくってやろうということで、いまはどうもそれ以上には出られない。願わくは、たとえば環境庁あたりが中心になられまして、そういった問題についての各省の協力体制を早く、政府全体としてしいてもらえるような措置をとっていただければ、もっと進むのじゃないかと私は思います。三木国務大臣もそういう点については非常に意欲的でございまして、私も個人的には、二、三度話をいたしましたが、非常に意欲的に考えておられることは事実でございます。その点の基本的な問題につきましてはまた別の機会にお聞き願いたいと思いますけれども政府も全体としてそういう問題については意欲的に、早く結果を得るように努力をしているということだけは、私から御報告を申し上げておきます。
  187. 小林信一

    ○小林(信)委員 大臣がかみ合わなかったというふうにおっしゃったのですが、私と大臣の話がかみ合わない。私のほうでもかみ合わないと思っておったのですが、それは、私のほうは公害をあくまでも引っぱり込もうとするのが、大臣のほうはあくまでも港湾というような運輸省的な範疇におられるのでかみ合わなかったのですが、いま初めてかみ合ってきた。というのは、大臣のおっしゃるとおり、河川がよごれてくれば、それはみな港湾へ流れ込んでくるわけですよ。あるいは工場の廃棄物はみんな港湾へ出てくるわけです。それがたまってどろがたまってくるわけですからね。そういうものをあなたのところでもって全部責任を負うとなれば、各省がやっていることはでたらめであって、あなたのところだけ一生懸命やったってこれはやはり解決しないわけで、それは話し合いするどころじゃない。いまの通産省あたりが相当厳重な抗議をしなければ、やはりその原因を除去してこなければ、幾ら港湾を整備しようとしたってだめなんです。通産省なんかは一面生産をしろという督励をしなければならぬ面があります。そういうふうなことがありますからどうしても、私どもが見たところでは、十分な世話をやかない。やはり企業のほうがなかなかじょうずですよ。  例を申し上げれば、名古屋港を私ども視察をしたときがございます。新日本製鉄なんというのは企業の先頭に立つところですね。だから、私どもが視察をするときには、工場内を非常に整備して、もう公害なんということは私のところからは絶対に出ません、名古屋港の上空の大気がもし汚染いたしましても、私のところには責任はありません、港湾がどんなにどろがたまっても私のところには責任はありませんと言う。私はその点をたしなめたんですよ。自分のところだけよくなればいいというそんな考え方日本の公害は除去できませんよ、先頭に立つあなた方が、自分のところは整備したけれども、ほかのところが整備されないからこんな状態であるという考え方で公害に取っ組まなければならない、また企業にはそれだけの責任があるということを言ったほどなんです。いろいろデータを見せるときにはなかなかりっぱです。ところがそのあした、港湾の中の実態を調査しようと思って海上保安庁の船へ乗って中を見ました。そうしたら新日本製鉄、きのうは盛んに水をかけておった鉄鉱石——あの粉じんというのは相当公害を起こすわけですね。だから粉じんは絶対に出しませんというその鉱石の山から、赤い煙がどんどんと出ているわけです。それからあとで公明党さんがこの問題から糾明したのですが、私のところの排水は、全部処理場がありまして、そこでもって科学的に処理して、その水はまた還元して工場で使います。ところが公明党さんが調査しましたら、その処理場の下のほうに穴があいていて、その穴から港湾のほうに排水が抜け出るようになっておった。私は真実は知りませんが、そういう話題を聞いたほどです。  そういうふうにまだまだ、公害問題と真剣に取り組んでおるとはいいますけれども、業者はもうけんためには公害問題にはきわめて消極的なんです。そういうものを通産省はかかえているわけでしょう。そこでしっかり取り締まってくれれば、港湾の整備というものも、あなた方が努力すれば努力のしがいがあります。そういう事例を私はいまわずかな時間ですから申し上げることができませんが、大臣のおっしゃったとおり、単に自分の職務だというふうな考え方でもってこの趣旨説明の大事な部面を考えておったのでは、港湾はきれいにならないと私は思う。それこそ各省同じ立場でもって問題を考えるような督励をしなければ、私は解決できないと思うのです。それにしても運輸省が積極的に何かに取り組まなければ、私は各省も動かぬと思うのです。  いまもおっしゃったのですが、港湾のしゅんせつの問題ですね、これはもう相当計画が進んでいるのですか。
  188. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 具体的な港湾のことは政府委員から答弁させますけれども、先年汚泥の堆積しているのを除去しようということで、特にひどい港湾から順次堆積汚泥の埋め立てないししゅんせつを実行しております。四十八年度予算におきましても、この点は配慮をして、六港でございましたか追加いたしまして、ひどいところからそういった処理を具体的に進めようということで実行しております。今後もそういったやり方で——これはまああなたから、公害原因を探求しないで結果だけ追っかけてもだめじゃないかと言われるとそれまでですけれども、現にそういう事実があるのですから、ほっておくわけにいきません。これはわれわれの港湾局の手で最大限の努力をいたしまして、そういう公害被害が除去されるように、さらに二次公害というようなものを避けながら、何とかいい方法で、技術的にもいろいろ考えて、港湾管理者と相談しながら措置を講じていくということで、いま現に努力をしております。先ほど問題になりましたような田子ノ浦港とか先般問題になりました水俣港でありますとか大阪とか水島港とかその他十数カ所、全国でそういう汚泥の処理を進めるようにいま予算的措置も講じました。
  189. 小林信一

    ○小林(信)委員 田子ノ浦のヘドロの問題も、私ども公害対策としてあすこを視察したのはおととしなんです。しかし簡単ではありませんね。そのしゅんせつしたものをどこに捨てるか、それが問題でした。しゅんせつすることは簡単だけれども、それを処理することはなかなかむずかしい。富士川の河原へ持っていってそうして何か土と一緒にまぜ合わせて、将来木を植えれば木が十分育つような状態に置いたらどうか、ところが、なかなかこれが実現できない。依然として私は、進んでいるとおっしゃっておりますけれども、難航しておる状態だと思います。それからいまの水俣港ですね。これも先ごろ三木大臣が必ずやりますと言いました。私はいまの全国の港湾のヘドロしゅんせつの問題について、いまの状況では三木環境庁長官が幾らいばっても、実際これも一つの夢のようなものだと思わざるを得ないのです。それは進んでおるとおっしゃられますけれども、それがもっと進んでいればもっと港湾というものは私はよくなると思うのです。しかしそういうものが運輸省でもどんどん、責任ある問題は自分たちの一つの分野として進める、そういうところに他省、今度は通産省も動いてくる、あるいはほかの省でも動いてくる、環境庁は環境庁でもって積極的に努力するというふうなことが出てくるんではないかと思います。  まあこの機会ですから、大臣がそんなことを知らないということがあるかもしれませんから申し上げますが、油を海に捨てにいきますね。この問題は港湾で一番問題だと思いますよ。ところが昼間捨てるならばヘリコプターを——これだって時間の制約を受けて海上保安庁はやっておるわけですよ。ところが夜捨てますわね。その夜捨てるのをどうして探知するかということで、海上保安庁では苦心をして夜でもそれが探知できる機械をいまつくりつつあります。つくったというふうにも聞いておりますが、そういうふうに海上保安庁苦労はしていますよ。していますけれども、ほかの省が積極的に動いてくるようなそういう情勢をこの港湾法意図してつくられていくようでなければいけない、こういうことを私は強く訴えて、単なる条文に終わらないようにしていただきたいと思うのです。  そこでもう一つ申し上げたいのは、いまのしゅんせつの問題もありますし、あるいはその埋め立ての問題等がございますが、これはおそらく港湾法の中では非常に重視しなければならぬ問題だと思いますが、新しく臨海工業地帯というものをつくる声が全国に計画をされつつあります。ところが、私どもが対象にいたしまして鹿島臨海工業地帯というものを見ました。あれは地元の知事さんもたいへんに、人間と自然との調和を必ずはかってみせますというふうなことを宣言をしておりましたが、結局いま鹿島臨海工業地帯というものは困った存在になりつつあるような状態ですが、臨海工業地帯というふうなものが今後生まれるについて、港湾という面からの責任を負っておられる運輸省としてはどういうふうにお考えになられるのか、そういうものが基本方針で出されるでしょうが、何かそれに対する一つの根拠を私は示していただきたいと思うのです。
  190. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 その問題具体的な問題は別としまして、基本的な方針の問題としては、これから港湾の整備をいたします場合に、目的のところにも書いてあるし、またわれわれが提案理由として説明いたしておりますように、環境保全ということを十分考えようということが一つの骨になっております。環境保全ということの中には、いまおっしゃったような公害の防除ということももちろん入っていると考えておるのでございます。今日まで海岸の埋め立てがずいぶん行なわれまして、これは相当にプラスになった面もあるかと思います。しかしやり方をよほど考えませんと、いまお示しなさったような、かえって弊害が多くなって一般国民には喜んでもらえないというような結果になりかねないと思います。今度は公有水面埋立法の改正案が建設省とわれわれのほうの共同提案で国会に提案されることになっております。この場合に、いま仰せになったようなことが非常に問題になるかと思いますけれども、われわれもその方向には賛成をしておるのでございまして、今後港湾を含めまして公有水面を埋め立てる場合には、やはり環境保全ということを十二分に考慮いたしまして、そして許認可を決定しなければならぬということは言うまでもないところでございまして、この点については環境庁方面からも非常に強い要望が出ておりまして、関係省庁で十分具体的に問題として相談をした上で最終決定をしなければならぬと思っておりますから、この点はあまり将来に対しまして政府が口先だけだというようにお考えにならずに、御安心いただいても私はけっこうじゃないかと思っているのです。私もその方向で努力いたします。
  191. 小林信一

    ○小林(信)委員 私は決して悪口を言っていないのです。建設的に、ほんとに運輸省をいじめるということよりも、公害がなくなるというそのことを非常に期待するものですから、そういう意味でおとりにならないようにお願いしたいと思います。  いま鹿島臨海工業地帯の問題を申しましたが、いままで港湾の中の問題だけでしたが、いわゆる港湾というのはもうわれわれ国民からすれば情緒のあるところだ。港が見える丘だとかあるいは海外の人たちが出入りするところだとかいうことで、一つの情緒の対象になっておるわけです。ところが、いまは公害の対象になっておるということで、この中に計画されております、その港湾環境を美しくする、緑地帯等をつくるというお話でございますが、私はこれはなかなか無理だと思います。もうすでに成り立っておる港湾というものにはなかなか無理なことであります。せめてつくっても小さな芝生地帯、緑地帯をつくるにすぎない。名古屋港でも、私はいまの新日本製鉄に、あなたのところだけでなく、この港全体に対して協力をしなければいけないじゃないかと言ったら、緑地帯をつくるので五万円出しました。それが波らの誇っておる金額でありますよ。業者を説得して、お互いの一つの環境じゃないか、整備しようじゃないかといっても、私はなかなか無理だと思います。  それにつけましても、新しい港湾をつくる場合に、鹿島臨海工業地帯に参りましたときに、一番こんなことでいいのかと思ったのは、通路の問題です。確かにりっぱな港はつくりましたが、その港から出ていく、港へ行く道というものは全然整備されておらない。住宅地帯も昔のまま。これは手をつけるのがなかなか困難かもしれませんが、そういうふうに動かしがたい状態に置いて、そして港だけどんどん竣工していく。それがいままでの港湾の設計だったわけですね。私はそういうところまで運輸省がこの法律を持つからには、自分がやるということはできませんけれども、これは建設省そこ他に働きかけることでしょうが、そういうところまで整備していかなければ、いまさら緑地帯をつくる、そしてその費用を分担をさせるというふうな計画をしても、私はこれをそのままこれでいいんだというふうに受け取れないのです。そういうような点を考慮していただきたい。いただけるのか。こういうことを、われわれ実際公害問題と取り組んできた者としては非常に多く問題を持っておるわけであります。  そこでお伺いいたしますが、第四十三条の五に書いてありますのは、そういう場合に工場あるいは事業場に費用の一部を負担させることができるという法律ですが、その中に公害防止事業費事業者負担法、これは除くと書いてありますが、それとは別個になるとすれば、除いたものは大きな仕事であって、そして実際この条文に盛られておるのは小さい問題というふうなことになるんですか。この二つの関係を明確にしていただきたいと思うのです。
  192. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  ここで公害防止事業費事業者負担法の適用物を除いておりますのは、いわゆる公害防止事業といわれます、しゅんせつのような事業は、公害防止事業費事業者負担法でやるようになっておりますので、そちらのほうで適用さした。そのほかの、これの適用にならないものをここで港湾環境整備負担金のほうで徴収するという制度をとったわけでございます。  具体的に申し上げますと、たとえば港湾管理者が清掃行為を実施いたしますが、その清掃費の一部を負担させるとかあるいは緑地を造成いたしますが、そのための費用の一部を負担させるとか、そういう事業でございます。
  193. 小林信一

    ○小林(信)委員 先ほど私は名古屋港の例を申し上げたが、小さなものをつくるにもなかなか金を集めるのがえらい。それがこんなりっぱに条文に出ているわけですが、もっと大きな、抜本的港湾整備というものを考えるような方向に私は行っていただきたいと思うのです。  そこで、この公害防止事業費事業者負担法、これにのっとって責任を負うのは施行者ということばが出ておりました。そしてそれを除くほうは港湾管理者、こういうふうに責任者が分かれておりますが、この二つはどういう関係になります。
  194. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  港湾法に基づきます港湾管理者が行ないますのと、それから公害防止事業費事業者負担法に基づきます施行者が行ないます場合には、合致する場合がございます。ただ、公害防止事業費事業者負担法のほうは国も施行者になっておりますし、地方公共団体も施行者になっております。港湾法のほうはおもに港湾管理者が施行者になっております。
  195. 小林信一

    ○小林(信)委員 事の大小はあっても、港湾を整備する、環境保全をするということでは一体でなければならぬと思いますが、ただそういう人があるというだけで、その間の関係は別にこの法案では考えておらないわけですか。
  196. 鈴木登

    ○鈴木説明員 すでに港湾法の第二条第七項に「港湾工事」の規定がございます。その中で、公害防止事業とございますが、ここでいっております公害防止事業がそのまま公害防止事業費事業者負担法のほうの適用になってくるわけでございます。
  197. 小林信一

    ○小林(信)委員 この二つのものが存在をして、両方がその機能を十分に発揮しなければ——一つは抜本的に港湾を整備する、片方はよくするというような意味でそれぞれ分担が違ってはおりますけれども、一体にならなければならぬ。この法律ではそういうものが明確に統一して考えられるというものが見当たらないのですが、私は、さっき申しましたように、いかに運輸省ががんばったって港湾をほんとうにこの法案どおりによくするということはできない、他省にも協力をお願いし、あるいは他省に警告を発するという、そういう相互的な関係を密にした場合にこの港湾の新しい修正された法案は生きてくるというように思うのです。いま二つの団体が出てくるわけですが、二つの団体が別個に存在をするというようなことは、これはきわめて形式的なものであって、もっとこれが統一をされるような配慮がなければいけないと思うのです。  そこで、その同じページにございます第四十三条の中の第五項「廃棄物埋立護岸又は海洋性廃棄物処理施設」こういう廃棄物の処理あるいは廃油の処理場というようなものが港湾には必ず設置されなければならないと思うのですが、これの進捗状況はどうですか。
  198. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいま御指摘のございました「廃棄物埋立護岸」第四十三条の第五項の問題でございますが、埋め立て護岸につきましては、これは現在御審議いただいております昭和四十八年度予算案で初めて補助対象に認められたものでございます。したがいまして、四十八年度から東京港、大阪港においてこの廃棄物埋め立て護岸について補助を実施しようという考え方でございます。  それから「海洋性廃棄物処理施設の建設又は改良の港湾工事」これはいわゆる海洋性廃棄物の処理施設と申しまして、廃棄物の焼却施設であるとか廃棄物の破砕施設であるとか、こういうものでございまして、これについても同様四十八年度の予算で初めて予算化が認められたわけでございます。したがいまして、この補助対象として実施するのは四十八年度が初年度で、これから実施をしてまいるということになります。
  199. 小林信一

    ○小林(信)委員 それじゃ、港湾の中の廃棄物を処理する処理場というふうなものは、いままで全然なかったということですか。
  200. 岡部保

    ○岡部政府委員 現在までたとえば横浜港等におきまして、沈んでおりますはしけ等の処理ということで焼却場を横浜市単独で建設をいたしておりました。で、こういうものに対して、当然こういう廃棄物の処理という面から何らか国が財政援助をすべきであるという考えに立ちまして、四十八年度予算の要求に際して初めて要求をいたしたわけでございます。それでようやく認められて、一応いま御審議いただいております予算案の中に含まれておるということでございます。
  201. 小林信一

    ○小林(信)委員 そういうふうにおっしゃると、何かそういうものがなかったというふうになるわけですが、私は、廃油にしても廃棄物にしても、これは必ず各港湾でもってしなければならないことなんで、そしてそれが国の援助があったかなかったか知りませんけれども、つくらなければならないように地方自治体はとにかく迫られておったと思います。しかしその進捗状況というものは残念ながらまだ全国のしなければならないものの半分に達しておらないというふうに聞いておるのです。この法案はまあ新しいものですが、そういうものが設置されるまで地方自治体にまかせておって、それが十分でなかったから廃棄物を海の中に捨てる、あるいは廃油を海上へ出ていって夜こっそり捨てるというふうなことがあったと私は思うのですが、そういうものが運輸省の管下の中でもって幾つかあったと私は思うのですよ。それが先ほど申しましたように運輸省で手が回らなかった、そういう点から、港湾法はただ経済成長のために役立って、かえって公害発生あるいは処理という問題では遺憾な点があったのだということになるのじゃないかと思いますが、そういう点を私どもは厳重に今後この法律をつくる以上考慮していかなければならぬと思うわけであります。とにかくいま御質問申し上げましても、私の質問をしようとした問題については多くの人たちがもう触れておいでになるということを聞きまして、ほんとうにその点は省略をして御質問申し上げたわけでありますが、いまのような公害問題あるいは環境整備ということについてのお考え方では、残念ながら十分この趣旨説明に盛られておるようなものが達成できないんではないかという感を強くして、政府の御検討をお願いしてやまないものです。  以上です。
  202. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いろいろの面から御激励を賜わりましてありがとうございますが、いままで関係の施設の整備か非常におくれておったことは事実だと思います。しかし、今度はこういった問題、いま御指摘のような問題につきましても、四十八年度予算で初めて予算化して積極的に取り組むことになったということは、やはり一つの進歩だと思います。これは今後ともそういう方向で、環境保全整備ということにつきましては力を入れまして、御期待に沿うように政府全体を通じまして努力するようにいたしたいと思います。関係閣僚にもいまお話しの点はよく伝えまして、今後急速にこれらの総合的な対策を講じるようにお互いに努力をしようということを申すつもりでございますから、もう少し時間をいただきたいと思います。
  203. 上村千一郎

    ○上村委員長 岡本富夫君。
  204. 岡本富夫

    ○岡本委員 ただいま議題になっておりますこの法律案について、まず二点指摘をいたしたいと思います。  その一点は、この港湾法等の一部改正法案、これを見ますと、御承知のように五本とか六本の法案が入っておるわけですよ。その中で、港湾法一部改正、それから整備措置法、北海道開発、沖繩振興、こういうのは大体同じようなものだと思いますが、海洋汚染防止法の一部改正まで一緒に入っている。これはまことに便宜主義運輸省として非常に安易な今度の法案の提出であるということを私はまず指摘して、あと運輸委員会の皆さんにやっていただくことにします。  そこで次は、この法案を作成するにあたって、大きな点が抜けておりますのは、昭和四十六年の科学技術庁研究調整局から各省にいっているはずですが、「内海水域の赤潮に関する総合研究報告書」この一番末尾に、埋め立てをするにあたっては、「停滞水域を可及的流動水域と化する技術を開発すること。また、海底や海岸線を著しく変化するような埋立や浚渫工事の施行に当っては、あらかじめ水の流動と富栄養化の点で慎重な計画と細心の対策をたてること。」こういうような中間報告でありますけれども、要するに特に瀬戸内海におきましては、六十年に一ぺんしか水がかわらぬということでありますから、自浄作用というようなものをなくすような埋め立て港湾計画、これはいかぬという報告書というものがすでに出ておるわけです。これは各省に配ったということであります。  あなたのほうで今後出した法律案を見ますと、大体港湾に植林をしたり、廃棄物を処理するところをつくったり、そういうことがある。そんなことでぼくはほんとうに海水が——そこで海洋汚染防止法というのがひっついておるわけでしょう。運輸省は大体海水の汚染を防止するところに力を入れなければいかぬ、陸上のほうはこれはまた環境庁がやりますから。ぼくが環境庁長官に行って話をしますと、運輸省が実施官庁だから副総理でもどうにもしようがないということですね。そういうような考え方。だから、権限がぐあいが悪いというのです。  だから私は、この二点について、まず一点のほうはこれはよろしいが、このあとの海洋汚染——要するに海水の自浄作用を考え法律案になってない、こういうように私は指摘せざるを得ないのですが、その点についてまず大臣から、この法改正にあたって……。
  205. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたように、いわゆる護岸施設、港湾施設に関係いたしますが、海洋の自浄作用を復元する問題、復元すると申しますか、そういうものをこわさないようにするという問題につきましては、全く技術的な御答弁で恐縮でありますけれども、いまの自然の海浜、いわゆるああいう海底の傾斜というものがありまして非常に自浄作用にプラスになっておるという問題がございます。したがいまして、今後の埋め立ての際にも、そういうような護岸の構造という点で相当に研究をしていかなければならないことは確かだと存じます。したがいましてこういう問題につきましては、むしろ技術的な一つの基準と申しまして、これは今回の法改正の五十六条の二というところに「港湾の施設に関する技術上の基準」これはもちろん主として安全問題を非常に中心にいたしておりますけれども、こういう技術的な基準というものに十分織り込んで、こういうたとえば大規模な埋め立てをせざるを得ないというような場合に、そのいわゆる護岸の構造をどういうふうにしていくかというような技術的な基準というものをもう少し厳密に考えていかなければいかぬという考え方でございます。
  206. 岡本富夫

    ○岡本委員 大臣、この港湾法改正にあたってそういうものを織り込んでなければ、結局いまの港湾法と同じことが——見てみなさい。ただ植樹をするとか、ほんとうにこれは何の改正ですか、そう言いたくなる。こんな公害の、要するにいま環境保全というものに一番力を入れなければならぬというわけで、この港湾法の一部改正をやっているのでしょう。私はこれは非常に不満足である。これはひとつ運輸委員会の皆さんで修正するようにお願いしたいと思うのですが、ひとつ大臣から何かあったら。
  207. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 港湾法関係は御承知のように港湾区域の問題でございますが、瀬戸内海全体というわけにはいかないと思いますが、いまおっしゃったようなことは、これはそんないいかげんなことでとおっしゃるかもしれませんけれども、書いてあるのですよ。(岡本委員「どこに書いてあるのですか」と呼ぶ)それは二条の第七項「この法律で「港湾工事」とは、港湾施設を建設し、改良し、維持し、又は復旧する工事及びこれらの工事以外の工事で港湾における汚でいその他公害の原因となる物質のたい積の排除、汚濁水の浄化その他の公害防止のために行なうものをいう。」と書いてありまして、「汚濁水の浄化」というのを入れてあるわけです。ですから、実際予算的にどうとか、各港湾についてどうかということになりますと、これは実際問題として汚濁のひどいところからやっているわけですね。新潟とか大阪とか、そういったところは現にやっておりますけれども、しかしそれはこの港湾法から全然離れたものではなくて、やはり港湾区域に関しては港湾の中の水をよくするということを前々から考えておりますし、今度もそういったものをさらに予算化いたしまして、できるだけおっしゃるような趣旨でもう現に実行しているのだということだけは御認識いただきたいと思います。
  208. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ、この自浄作用を目的とした港湾計画を今後つくるのだと——いまやっていないのですよ。それをこの法案の中に織り込んだと、こういうようにあなたはおっしゃる。それならば申し上げますけれども、この計画を出して、そして運輸省に出てくるわけですね。その届け出を受けて六十日以内にその事業者に対して返事をしなければならぬということになっているのですよ。それまでの間に海水の潮流のあり方やら、そういうのを全部調べられますか。いかがですか。私はこれを見ておったら矛盾したことばかりです。
  209. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  この六十日のきめ方はほあの法律とも関連しておりまして、たとえば公害対策関係法律は大体六十日あるいは三十日というふうな規定をしております。それに合わしたわけでございます。
  210. 岡本富夫

    ○岡本委員 法律というのは、ほかの法律に合わしたらだめなんです。それに、この法律を施行するにあたって、あとえば埋め立てを許可するなら、港湾計画を許可するにあたって出てきた申請に対してそれをチェックするだけの期間はなければこれは困る。これは自治体に行ってごらんなさい。それまでの間に返事しなければならない。それだけの手がない。いろいろ調査できない。非常にやかましくいっておるのです。いいですか。だから私はなぜ瀬戸内海といったかというと、瀬戸内海にも計画はあるだろうと思うのです。全国にたくさんあるのです。その計画に対して、海水の潮流のあれを調べて、自浄作用を持たしていくようにしなければだめだ。あなたはその条文にあるというのですから、あるならばそれだけのきちょっとした調査ができるような期間がなかったら許可できないじゃないですか。
  211. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 非常に法文を機械的にお読みになるように思いますけれども運輸省港湾管理者というものは、これまあ昭和二十五年以来非常に切っても切れぬ関係にあるわけです。運輸省が全然知らないのに突如として申請を出してきて、さあすぐやれという、こういう港湾管理者はまあないと思うのです。ふだんからでも、これは補助してもらいたい、こういう計画でどうでしょうかという技術指導の問題もあり、あるいは補助の問題もありまして、私たちのほうの港湾局に対しましては常に連絡してくれておりますし、われわれのほうも気がつけば各港湾を見まして視察もし、資料を集めまして、いろいろ技術指導を、行政運用の一つの方法として絶えずやっておるということは事実なんです。ですから三十日だ、六十日だとおっしゃいますけれども、いきなり知らないものを三十日以内に返事をよこせ、こんなことを言う港湾管理者はおそらくないと思うのです。もっと港湾管理者運輸省とは密接な関係でございます。したがって、そういったことをおやりになるときには、これはもう前の年からおっしゃって、どうだろうか、これに対してどういうことをしたらいいだろうか、どういう国の援助を受けられるだろうかというようなことにつきましては絶えず御相談があるという前提において法律運用をしなければならぬと思います。そういったことのないように、法律に六十日以内と書いてあるから六十日待っていろ、そんな法律運用は絶対にいたしませんから御安心いただきたい。
  212. 岡本富夫

    ○岡本委員 だから、調べると、届けの前に許可してあったり、そんなことがあるんだ、ほんとに。  それで、特に私は申し上げたいことは、三木環境庁長官が瀬戸内海の環境保全知事会議へ出まして、このときに、内海の新規の埋め立ては全面禁止、それから現在埋め立てをやっておるところ、これも再検討しなければならぬ、こういうように言っています。これはとりもなおさず今までの港湾の埋め立てなんかがいいかげんだったということで、いま瀬戸内海がこうして汚染されてしまった。瀬戸内海だけのことじゃありませんけれども、しかしぼくは、こういった一例をとって言っているわけですが、そこで、新規埋め立てについてはそういった面を注意なさると思うのですが、すでに許可をしているところ、しかしまだやってないところ、こういうところに対して、やはりこの港湾の面から見まして、要するに環境を破壊しちゃいかぬという、海水を汚濁さしてはいかぬという面からチェックする考えはございますか。再検討なさる考えはございますか。
  213. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 三木環境庁長官のおっしゃったことば私がお答えする限りではないのですが……
  214. 岡本富夫

    ○岡本委員 三木さんのことは関係ない。
  215. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いま、三木さんがおっしゃったと言うから、ですから、それについては私からお答えすることは控えたいと思いますが、先ほども他の委員から御質問がございまして、いままで許可をしている、どんどん工事中である、それをもう一ぺんやり直したらどうかというような御意見もございましたが、これは法律的に見ると非常に重大なことになると思います。しかし私ども答えましたのは、そういう場合でございましても、よって来たる公害というものにつきましては最大限の努力をいたしまして、これはそんなことができるかとおっしゃったら、法律上の問題は別といたしまして、実際問題としては指導もいたしますし、勧告もいたしますし、あらゆる方法を講じて公害の被害というものは最小限度になるような、そういう方法によって公害を防除していくようなことは、これはいたしますということを申し上げているんですが、いままで出した許可も全部ストップしてしまえ、もう一ぺん見直すんだ、そういった法律上の問題としてお取り上げになっているとしますれば、これはひとつ三木環境庁長官によく聞いていただきたいと思います。
  216. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ、三木環境庁長官の話は別にします。環境保全会議で長官のそういう話があったということを私は話しているのです。  そこで、実施機関である、主務大臣であるところの運輸大臣は、要するにあなたのほうでこうして法律を一部改正をして出してくるくらいですから、いままで公害除去に対しては、環境保全に対しては非常におくれておった、先ほどそういう御反省があったと思うのです。その反省に対して、すでに許可をしておるけれども、しかしもう一ぺん再チェックして、それでよければいいと思うのです。やはり計画変更をしなければならぬところも出てくるのではないか。私は、その許可を取り消せとか、そういう意味じゃないですよ。まず再チェックする必要があるところがあるのではないか、こういうように私は言っているんですが、いかがですか。
  217. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 港湾行政につきましては、先ほど申し上げましたように港湾管理者運輸省というものは事実上非常に深い関係にございまして、お互いに協力し合うと同時に、お互いに意見を出し合って最善の方法をとってきておると思います。したがいまして私たちのほうからいえば行政指導ともいえますし、事実上の行政的な関係でお互いに話し合うというようなことは決して珍しいことじゃないのでありまして、ですからさっき申し上げましたように、そういった問題に対しましては、これはそういった公害が特にひどいところはおそらく住民の方からもいろいろのコンブレインが出ているに違いありません。そういったものにつきましてはできるだけ、さっきも申し上げたような行政指導の面で公害の最も少ないような方法を選ばせるということについては努力をいたしますということを繰り返して申し上げているわけなんですが、このことは港湾法が出ると出ぬにかかわらずにやらなければならぬことだと思います。ことに港湾法の今度の改正案では環境保全ということを一つの目的に加えまして、それに相当の重点を置いた改正をしようとしておるわけでございますから、いま仰せになったようなことにつきましてはさらに十分力を入れてやらなければならぬことだと考えますので、その点はひとつ信頼をしていただきたいと思います。
  218. 岡本富夫

    ○岡本委員 私、その問題で具体的に一つだけ例をあげておきますが、兵庫県の西宮のほうの海岸の埋め立てですね。これは前の港湾法のこの法律でやっておりますので、もう一度チェックして再検討して話し合いをまずしてもらいたい。これは要求しておきます。  そこで次に、海洋汚染防止法の第四条五項ですが、タンカーの貨物倉から排出されるところのバラスト水、これが一番海水汚濁の原因になっておるのです。これは運輸省令で定める基準に適合する場合は取り締まりの対象にしないというのです。ところが油をくみに行った場合、その同じ船倉の中にバラスト水が入っておる。これを船の底からばあっと抜きまして、そして油を入れるわけでしょう。これで海は全部よごれる。そのときに運輸省で定める基準に適合するということはだれがチェックするのですか。バラスト水が出ておる、その量がどうなっておるかということを。
  219. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 私の承知しておる範囲では、海洋汚染防止法ではそういうバラストの船からの排出ということは禁止されておると思います。つまりタンカーがから船で行きますね。から船で行った場合に、今度は油を積むときにはそのバラストの水を捨てないと油を積めないわけですね。それを禁止しておるのです。原則として禁止しております。それは海洋汚染防止法に書いてあると思います。だから、そういうことをすることが放任されておるのじゃなくて、それは禁止されておるのです。これは取り締まります。海上保安庁のほうで厳重に監視船をこしらえて取り締まっておるのです。そういうふうにお考えくださってけっこうじゃないでしょうか。
  220. 岡本富夫

    ○岡本委員 ところが、あれでしょう。油をくみに来るときにバラスト水を抜く、これを出すな、こう言いますでしょう。出しちゃいかぬ。そしたらその水はどこに出すのか。これは一つは廃油処理場に出すようになっておりますね。ところが廃油処理場を調べますと、ほとんどかんこ鳥が鳴いているところがあるのです。ということは、船がチャーターされていますから、一々廃油処理場へ持っていってやらないのです。下からみんな抜いておる。これは一ぺんよく船長に聞いてみなさい。私よく知っている。全部船長に聞いてみた。しかも、先ほど私が指摘しました第四条の五項に、バラスト水は運輸省の示された基準に適合している場合はこれの取り締まりにならないという一項があるのですから、だから、あなたがそんなものを全然出していない、こうおっしゃるけれども、これは出していますよ。再調査してください。しかも四十六年の十二月一日の公害対策特別委員会におきまして、当時の大石長官がちゃんとそういうふうに答えている。海洋汚染防止法という法律を見ますと、「条文を読んでみますと、船が何ノットかで走っている間は、油が浮いているバラスト水をある量において海洋の中に投棄してもいいということが書いてある。これは私は非常に問題があると思うのですね。」こういうふうに答弁されておるのですよ。
  221. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 岡本先生おっしゃるのは、おそらく瀬戸内海のことをおっしゃっているのではないでしょうか。瀬戸内海を主にしておっしゃっているのでしょうね。そういうことになりますと、これは私も調べてみましたが、非常に特殊の事情があるわけです。普通、バラストを積んで走りますのは、これは船の安全性から来るわけです。ある程度何か積んでいませんと波が高いところでは安全性を害するというのでバラストを積むわけです。瀬戸内海はそんな心配はないのです。これは平水で鏡のようなところから、そんなにバラストを積む心要はないのです。ですから、たとえばあなたは水島の排水処理場のことなんかを言っていらっしゃるのだと思いますけれども、わりあいに少ない、非常に少ない、水島の排水処理場を利用している割合は少ないじゃないか、こういう御意見を承ったこともあるのです。調べてみますと、なるほど少ない。しかし、瀬戸内海で動かしているような沿岸のタンカー、そういったものはバラストを積む必要はないのです。から船で行っているやつが多いのです。ですから、瀬戸内海ではバラスト水の処理の必要のない船が多いということです。外洋では違いますよ。だから、そういったものをもし海中に投棄いたしますと、それは海上保安庁の監視の対象になりまして、これは罰則の適用もあるということでございますが、海上保安庁はそういうことがないかというので瀬戸内海なんかは特に監視を厳重にいたしておりますけれども、それは見えないところで捨てるのが絶対にないと私は申しませんけれども、瀬戸内海の現象としておっしゃるならば、本来がそういうことでございますということを御認識をいただきたい。
  222. 岡本富夫

    ○岡本委員 環境庁大石長官は瀬戸内海だけのことを言ってない。このときは全体の話をしているわけですよ。ですから、瀬戸内海だけのことを言っているわけではない。埋め立てのほうは例として瀬戸内海のことを言ったわけです。話をそらしてはいけませんよ。これが一つ。これをもう一ぺん、あなたは瀬戸内海だけはということで、ほかは流しているということになるわけです。(新谷国務大臣「そうじゃない」と呼ぶ)それは答弁をあとでもらいます。  次はオイルフェンスとそれから油の中和剤、この問題の改正案になっておるわけですが、中和剤は、新潟であの問題が起こったときにこの中和剤を多量に使いまして二次公害を起こした。もう二次公害を起こさないような中和剤がはっきりできたのかどうか、これをひとつもう一ぺん念を押しておきたい。
  223. 原田昇左右

    ○原田政府委員 油中和剤につきましては、二次公害を完全に起こさないかどうかという点につきましては若干いまだに疑問があります。しかしながら、私どもが最近油流出用の処理剤の使用基準というものをきめまして、これに適合しないものは使ってはならぬということにいたしております。すなわち、海産物に対する毒性といたしまして、中和剤が一〇〇PPM以上であっても、スケレトネマというプランクトンがございますが、これを一週間、専門委員会で定める方法で培養して死滅させないことということと、もう一つはヒメダカという小さい魚がございますが、それが三〇〇〇PPM以上の濃度の中和剤であっても、二十四時間たってヒメダカが半分生きていなければならない、こういう基準をまず設けまして、さらに使用に際しましては、使用方法として、火災の発生と人命の危険または財産への重大な損傷が発生し、または発生するおそれがあるときとか、他の方法によって処理が非常に困難な場合で処理剤により処理した場合に海洋環境に与える影響が少ないと認められるときとか、流出油が水産資源の生育関係に重大な影響があるとされた海域では使ってはならないとか、こういうきびしい条件をつけまして使用基準を確立しております。  さらに申しますと、最近では新潟のジュリアナ号当時よりは素性がもう百分の一くらいに減ったものが開発されておるわけでございます。
  224. 岡本富夫

    ○岡本委員 これで終わりますが、まだこの海洋汚染防止法については私たち公害委員会でもう一ぺん詰めますけれども、これはまた二次公害が起こるからというのでアメリカでは使用禁止になったのです。ヨーロッパはちょっと使っていますが。そういったこまかい問題を次にひとつ私のほうの委員会でまた詰めて、もう一ぺん改正をしてもらわなければならぬ、このくらいの決意でおります。  そこで、ぜひ運輸委員会の皆さんにお願いしておきたいことは、まだまだいろいろ問題がございますので、ひとつよく御審議をいただいて、りっぱな法案を通していただくようにお願いしておきまして、私の質問を終わります。
  225. 上村千一郎

    ○上村委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。これにて散会いたします。    午後三時五十三分散会