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1973-06-07 第71回国会 衆議院 運輸委員会商工委員会建設委員会交通安全対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月七日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員   運輸委員会    委員長 井原 岸高君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 守良君    理事 細田 吉藏君 理事 兒玉 末男君    理事 斉藤 正男君 理事 梅田  勝君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       大竹 太郎君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    關谷 勝利君       徳安 實藏君    宮崎 茂一君       綿貫 民輔君    太田 一夫君       金瀬 俊雄君    久保 三郎君       神門至馬夫君    紺野与次郎君       三浦  久君    石田幸四郎君       松本 忠助君    河村  勝君   商工委員会    委員長 浦野 幸男君   理事 稻村佐近四郎君 理事 田中 六助君    理事 羽田野忠文君 理事 山田 久就君    理事 板川 正吾君       越智 伊平君    木部 佳昭君       岡田 哲児君    加藤 清政君       加藤 清二君    上坂  昇君       藤田 高敏君    渡辺 三郎君       野間 友一君    玉置 一徳君   建設委員会    委員長 服部 安司君    理事 村田敬次郎君 理事 渡辺 栄一君    理事 井上 普方君 理事 福岡 義登君    理事 浦井  洋君       梶山 静六君    野中 英二君       廣瀬 正雄君    渡部 恒三君       清水 徳松君    森井 忠良君       渡辺 惣蔵君    瀬崎 博義君       北側 義一君   交通安全対策特別委員会    委員長 久保 三郎君    理事 大竹 太郎君 理事 唐沢俊二郎君    理事 中村 弘海君 理事 野中 英二君    理事 井上  泉君 理事 太田 一夫君    理事 紺野与次郎君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       加藤 六月君    片岡 清一君       佐藤 守良君    斉藤滋与史君       板川 正吾君    野坂 浩賢君       平田 藤吉君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      秋山  進君         中部圏開発整備         本部次長    宮崎鐐二郎君         経済企画政務次         官       橋口  隆君         経済企画庁国民         生活局長    小島 英敏君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         通商産業省企業         局長      山下 英明君         通商産業省重工         業局長     山形 栄治君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 佐伯 博蔵君         中小企業庁次長 森口 八郎君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省海運局長 佐原  亨君         運輸省港湾局長 岡部  保君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 住田 正二君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         運輸省航空局長 内村 信行君  委員外出席者         警察庁交通局参         事官      寺尾  繁君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       小林 育夫君         通商産業省通商         局次長     片山 石郎君         労働省職業安定         局業務指導課長 加藤  孝君         建設省計画局宅         地部宅地開発課         長       吉田 公二君         建設省道路局次         長       中村  清君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         日本国有鉄道常         務理事     加賀谷徳治君         日本国有鉄道常         務理事     阪田 貞之君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君         日本国有鉄道船         舶局長     秋田  豊君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七号)      ————◇—————   〔井原運輸委員長委員長席に着く〕
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより運輸委員会商工委員会建設委員会交通安全対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 井原岸高

    井原委員長 本案に関する提案理由説明は、お手元に配付してあります資料により御了承願うことにし、直ちに質疑に入ります。  この際、御質疑なされる各委員に申し上げます。  関係委員長と協議の上、質疑時間等申し合わせておりますので、何とぞ御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。村田敬次郎君。
  4. 村田敬次郎

    村田委員 私は、国有鉄道関係連合審査に際しまして、運輸商工建設交通安全の連合審査でございますので、総合交通体系という観点から、臨時総合交通問題閣僚懇談会総合交通体系について、また自民党が発表いたしました総合交通対策について、さらに運輸政策審議会総合交通体系に関する答申、新国土建設長期構想、また日本列島改造論等を参照しながら、国有鉄道また海の交通の問題、さらに空輸問題等について、順次質問を申し上げてまいりたいと存じます。  まず、新幹線に関連をいたしてでございますけれども、最近のノーボスチ通信社APNプレスニュースによりますと、ソ連におきましては、「近い将来、時速二百キロの特急モスクワレニングラード間(十月鉄道)を走る。この特急モスクワレニングラードを三時間半で結び、現在の特急アブローラ」の所要時間を一時間半短縮する。」とあります。「時速三百−三百五十キロの旅客用幹線を新設する案も検討されている。モスクワー黒海沿岸がこのような特急最適コースといえよう。すでに約千五百キロにおよぶ路線の予備調査実施された。」「リガ車両工場製のER200の車両設備は、日本の「ひかり」、「こだま」と比べても見劣りしない。車内には自動換気装置が取り付けられ、窓は密封式なので外の騒音を完全にシャットアウトする。」こういう最近のノーボスチ通信社報道があります。  外国鉄道についてその時速を見てみますと、アメリカのニューヨーク−ワシントン間のメトロライナー時速百四十二キロメートル、またイギリス国鉄のロンドン−リバプール間が百二十二キロメートル、西ドイツラインゴールド国鉄がバーゼルーケルン間を百十キロメートル、フランスのパリーツールーズ間が時速百十八キロメートルといったような速度で走っております。  新幹線は現在平均時速百六十三キロで、最高二百キロメートルということを目標としておるというふうに聞いております。かつて新幹線を独自に開発した国鉄は、現在、次のステップとして超高速新幹線開発に取り組んでいると聞いております。この国鉄新幹線につきましては、いわゆるリニアモーター駆動磁気浮上方式によって時速五百キロ運転というようなことで、国鉄が非常に意欲的に開発しているということが伝えられております。このリニアモーター式の超高速新幹線についての現在の国鉄見通しは、私どもはその方式が伝えられておる程度にとどまっておるのでございますが、この点、現在どの程度開発されているのか、またこのリニアモーター式の超高速新幹線実用化見通しについて、国鉄総裁から承りたいと存じます。
  5. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま技術開発中の問題でございまして、非常に技術的な問題が多うございますので、担当の者から御説明させます。
  6. 内田隆滋

    内田説明員 超高速鉄道開発の現状でございますが、現在はリニアモーター、それから浮上推進用超電導磁気浮上装置等の個々の実験を終わりまして、御承知のように昨年の十月、鉄道技術研究所の中に実験線を五百メートルつくりまして、六十キロメートルの程度低速実験をいたしました。六十キロメートルでございます。これによりまして、低速につきましては大体技術的に自信を得ました。  今後の開発の方向でございますが、さらに速度を高めて、高速度における可能性を確認いたすために、本年度、四十八年度に縮尺二分の一の模型実験をいたすために、適当な場所に約七キロメートルの実験線をつくりたいと考えております。これによりまして、高速度における推進と、それから非常に高速度でございますので支持案内方式、そういうものを決定する予定でございます。これがきまりましたらは、大体五十年ごろより実物大の試験をいたしまして、五十二年度ごろに大体実際の模型によって技術可能性について確かめたいと考えております。
  7. 村田敬次郎

    村田委員 このリニアモーター式の超高速新幹線というのは、現在伝えられておるところによりますと、ある種の金属を極低温に冷やすと電気抵抗が極端に減ってたくさんの電流が流れる、この現象を超電導というが、超高速新幹線では、この超電導技術で生み出される強い磁力で車体を軌条から浮上させて走る。このため、新幹線公害といわれる騒音も少ない。超高速新幹線が実現すると、南北約二千数百キロメートルの日本列島を端から端まで一日で往来をし、手軽に用事を済ませることができるようになるということが伝えられておるのでございますが、現在そういったものについての技術的な経過はどういうふうになっておりますか。
  8. 内田隆滋

    内田説明員 ただいま先生がおっしゃられたとおりでございますが、いま問題になっておりますのは、いわゆる推進方式としてリニアモーターを使うわけでございますが、これに誘導型と同期型と二つ種類がございまして、国鉄としては誘導電動機型を主として開発してまいりましたが、最近になりまして同期電動機型の優秀性がわかってまいりましたので、この二つにつきまして今後実験を進めていきたいということでございます。なお超高速の走行中の案内方式ですね。これがなかなかいろいろの方法がございますので、幾つかの方法模型実験でもって検討をしてまいりたいということでございます。それで先生のおっしゃいましたいわゆる超電導方式による磁気浮上型につきましては、もう実験的に自信を持っております。
  9. 村田敬次郎

    村田委員 最近新聞報道されるところによりますと、第二東海道新幹線は五十五年度までには優先建設をしたい。これは現在の車を改良して時速二百六十キロメートルくらいで走ることになるのだけれども、現在国鉄開発中のリニアモーターによる超高速新幹線はこれには間に合わないであろう。しかもこのリニアモーター方式による五百キロ運転を目ざす国鉄技術陣の熱意はきわめて高い。したがって、国鉄としては五十五年までに優先建設をしようとする第二東海道新幹線に、このリニアモーター式を採用したいという気持ちも強いということを書いておるのでございますが、その辺はいかがです。
  10. 内田隆滋

    内田説明員 東海道新幹線行き詰まり年度、これはいろいろございますが、大体五十年度末というふうに考えております。それで国鉄といたしましては、いま申しましたように、いまの開発計画といたしましては五十二年度目標にやっております。したがって、ぜひとも第二東海道新幹線はこの超高速鉄道でやりたいというふうに目下のところは考えております。
  11. 村田敬次郎

    村田委員 そういたしますと、この超高速鉄道についての現在の予算、それから先ほど理事説明をされた実験その他の実施に移す計画の間で、実際には何年ごろにこれが実用に供せられるのか、またこれが供された場合に、先ほど申し上げましたように騒音公害であるとか、そういった問題は非常に少なくなるという予定があるのか。またこのリニアモーター式の超高速鉄道安全性についてはどういうふうに考えておられるか。
  12. 内田隆滋

    内田説明員 先ほどの東海道行き詰まりは、五十年代末でございますので、訂正させていただきます。  超高速鉄道公害の問題でございますが、これは少なくとも現在の方式がレールと車輪の間で発生する音が大部分でございますので、この浮上方式によればそういう音はまず出ないであろうというふうに考えられます。したがって、騒音あるいは振動等公害は相当防げるのではないかというふうに考えます。ただし、速度が五百キロメートルでございますので、これによる風圧その他の音がどの程度になるかは今後の検討問題だというふうに考えております。  それから安全性の問題でございますが、これは先ほども申し述べましたように、いわゆる案内装置の問題、これにつきましては安全に非常に問題がございます。これらの問題につきましては、実験段階では十分自信を持っておりますが、今後模型実験あるいは実物実験を通して安全性を確かめてまいりたいというふうに思っております。それからいわゆるブレーキと申しますか、発進停止事故があった場合ですね。そういうようなものにつきましては、このリニアモーターというのは非常に自由自在でございますので、その点については問題はなかろうかと思います。
  13. 村田敬次郎

    村田委員 重要な問題ですから確認します。  東海道新幹線の現在の行き詰まりは五十年代末である、したがってこのリニアモーター式の新式による第二東海道新幹線というものは実現に移したい、まずそれは昭和六十年ごろである、そういうふうに私は受け取ったわけですが、総裁よろしゅうございますか。
  14. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま申し上げましたのは、いまの私のほうの技術者計画では昭和五十二年度末までには実物大実験装置によりまして一応走ってみるということで、その時点になりまして十分経済計算いたしまして建設可能性を確かめる。五十二年度まではむしろ一つの研究段階でございますから、五十二年度にそれを確かめまして、そうしておおむね数年かかりますので、大体六十年前後というふうに考えておるわけでございます。
  15. 村田敬次郎

    村田委員 したがって第二東海道新幹線については、このリニアモーター方式でいくつもりだという気持ちですね。
  16. 磯崎叡

    磯崎説明員 私どもは、その問題を含めて第二東海道の問題を考えなければいけないというふうに思っております。
  17. 村田敬次郎

    村田委員 この問題については、新谷運輸大臣もたいへんな意欲を燃やしていらっしゃるということを新聞で承りました。当然運輸大臣としても、いま磯崎総裁が答えられたように、第二東海道新幹線リニアモーター方式でいきたいという決心であろうと思いますが、いかがでしょう。
  18. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いま調査線五線について計画を具体的に進めておりますが、その次の段階新幹線をどうするかということはまだきめておりません。したがいまして輸送需要に応じました計画を立てなければならぬと思っておりますが、それまでには情勢が非常に変化すると思います。それらの状況をにらみ合わせまして新しい計画を立てていく。その中に第二東海道新幹線といいますか、あるいは同じようなルートでありますか他のルートを通りますか、そういったことにつきましては、いま運輸省といたしましてはまだ何ら決定をしておりません。これからの問題でございます。  リニアモーターカーの問題でございますが、そういったものが安全に運行されるということが保証されますれば、それを採用していくのが当然であるかと思いますけれども、いまお述べになりましたように、各国とも同様な種類技術開発を盛んにやっておるようでございまして、国鉄も懸命に技術開発をやっておりますが、それらを見合わせまして、どの時点でどういうものが必要になるかということを考えていきたいと思っております。
  19. 村田敬次郎

    村田委員 諸外国状況を見ましても、フランスイギリスアメリカ西ドイツソ連、それぞれリニアモーター推進方式による新しいカーの建設に非常に熱心であるわけであります。そうして、いまの大臣あるいは総裁答弁を見ましても、現在の国鉄新幹線状況それから今後の輸送計画等見合わせながらこのリニアモーターカーを採用する時点が到来すれば、当然これでいくのだという決心であるというふうに承りましたが、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  20. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いまお示しのような御意見に私も同感でございます。
  21. 村田敬次郎

    村田委員 それでは次の質問に参ります。  これは五新幹線ルート選定の問題についてであります。  御承知のように、北海道東北、これは盛岡以北北陸九州長崎の五新幹線ルートについて国鉄鉄道建設公団は六月三日までに現地調査を終え、いよいよ六月四日から具体的なルート選定作業に入り、八月に正式に決定をする方針であるというふうに承っております。これらの五新幹線については、昨年基本計画決定をされておるわけでございますが、その後の進捗状況について国鉄総裁から承りたいと存じます。
  22. 内田隆滋

    内田説明員 昨年の夏以来、国鉄、鉄建公団と共同いたしまして五新幹線調査をいたしてまいりました。ただいまのところはおおむねのデータが集まりつつありまして、これを整理をしておるという段階でございます。
  23. 村田敬次郎

    村田委員 そういう簡単な答弁でなくて、もっと詳しいことを承りたいわけです。もう一部の新聞にも、たとえばそのルート選定とかいろいろな問題にかかっておるということで、「五新幹線は三兆円の巨費を投じ、今年度から着工、五十四年春開業予定。完成すると、すでに開業建設中の東海道山陽東北盛岡以南)、上越の四新幹線と合わせて、札幌−鹿児島をタテ軸に、東京−新潟、東京北陸大阪ヨコ軸に、博多−長崎を支線とした三千五百キロの大動脈が完成する。」基本計画によってこれらの五新幹線については相当詳細なことがすでに伝わっておるわけでありますから、いまのような非常にあいまいもことした答弁では国会の答弁にはならないと思うのです。もっとはっきりと総裁からお答えを願います。
  24. 磯崎叡

    磯崎説明員 先般その問題につきましてある新聞に大きく出ておりましたが、私のほうといたしましては、五新幹線はいずれも地形地質あるいは産業構造上通るルートそのものが非常にむずかしい点が多々ございまして、単なる物理的な検討、これはいまいろいろやっておるわけでございますが、そのほかに産業経済的な検討、いろいろなことをいたさなければいけませんが、私はいまの時点で全く白紙でございますが、このいずれのルートとも新聞雑誌等にございますとおりいろいろ問題がある。いままでは東海、山陽ほとんど通るルートそのものには問題がありませんでしたが、今度はどこを通るかということ自体が、駅でなしにどこを通るかということに非常に問題がございまして、今後慎重に国鉄独自の立場をもって一応検討してまいりたいというふうに考えております。
  25. 村田敬次郎

    村田委員 運輸大臣から調査指示を受けた項目は一体どういうものですか。
  26. 内田隆滋

    内田説明員 大臣から調査指示を受けた項目は、地形地質等に関する事項、それから施設及び車両技術開発、新しい技術開発でございます。それから建設に要する費用の概算、その他必要な事項となっております。
  27. 村田敬次郎

    村田委員 今後のスケジュールについて、たとえば調査報告書提出であるとかあるいは鉄道建設審議会であるとか、そういったものについてのスケジュールについて大要を承りたいと思います。
  28. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、昨年運輸大臣から国有鉄道鉄道建設公団にそれぞれ五新幹線について調査指示しております。これにつきましては、ただいま国鉄のほうから御報告いたしましたように現在調査中でございますが、この両者から報告書が出てまいりますと、運輸省といたしましてはこれを踏まえましていろいろと検討いたしました結果、これを鉄道建設審議会整備計画といたしまして諮問いたします。そうして整備計画答申をいただきますと建設主体決定いたしまして、これに基づきまして国鉄鉄道建設公団がそれぞれ工事実施計画運輸省認可申請を出しまして、これを本年度着工いたしたい、かようなスケジュールでございます。
  29. 村田敬次郎

    村田委員 そういたしますと東北北海道北陸九州新幹線については、基本計画決定が四十七年六月二十九日でございます。それから調査指示が同じく四十七年六月二十九日で、長崎新幹線については基本計画決定がややおくれまして四十七年十二月十二日、それから調査指示が四十八年一月二十六日と承っておるわけです。ことし着工ということでございますけれども、この着工時期についてはいつごろを予定していますか。
  30. 秋富公正

    秋富政府委員 国鉄鉄道建設公団、それぞれ本年度工事費といたしまして五十億ずつ予算には計上いたしておりますが、これには調査報告を待ちまして、ただいま申し上げましたように整備計画決定して、それから工事実施ということになりますので、できるだけ早くと思っておりますが、大体早くても来年の初めごろになる、そういう予定ではないか、かように思っております。
  31. 村田敬次郎

    村田委員 私は中部圏建設計画に早くから参画をしておりますので、一例として北陸新幹線について伺ってみたいと思うのです。  新聞によると、「北陸新幹線は「起点東京都、終点大阪市、主な経過地長野市、富山市付近」」というふうになっております。たとえばこれについて「長野富山を直線で結ぶアルプス縦貫トンネルが工期が長期化するため困難」であるとか、あるいは「高崎−長野間も信越線沿い軽井沢ルートが、千分の十五以上の勾配は走行できない新幹線特殊性から碓氷峠がネックとなり、また、長野原、草津経由群馬ルートも浅間山の噴火の影警もあって一歩後退している。」それから「琵琶湖西回り東回りかで注目されていた富山大阪間も、琵琶湖西岸湖西線沿いルートは変成岩や史跡が多く極めてむずかしいとされている。」というようなことが伝わっておるのでございますが、地点の問題はたいへん微妙ですから、なかなか答えにくい点もあると思います。したがってそういう答えにくい点は私も十分了解しておりますが、こういった報道についての印象と申しますか、御意見を承っておきたいと思います。
  32. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 各方面からこちらを通してくれとか、ここはぜひ寄ってくれとかいうような御陳情がございますことは確かでございます。私どもは、そういった御要望もございますけれども、まず第一に、先ほど政府委員から申し上げましたような点を中心にいたしまして、そういう立場を離れて純粋に技術的な方面あるいは国鉄の経済的な方面から調査をさせておりますので、それが出ました暁にどのルートを通るかということを、これは運輸大臣がいろいろ将来に対する政治的な、政策的な配慮もいたしましてきめまして、これを鉄道建設審議会でございますとか、諮問をするところには諮問をいたしまして、十分各方面の御意見を聞いてきめるわけでございまして、いろいろ報道は出ますけれども、それはそういう関係当局から出した報道ではございませんで、いずれもそういった希望を持っていらっしゃる方々の取材によって出たものと私は考えております。運輸省といたしましては、現在ルートについては全くいま白紙でございます。
  33. 村田敬次郎

    村田委員 この北陸新幹線につきましては、実は中部圏知事会の一致した要望が出ております。そしてこの北陸新幹線建設促進についてできるだけ早くそれをやっていただきたいということは、従来から知事会全体の要望として出ておる。しかもこれは、御承知のように、私これから次の質問で申し上げるつもりでございますが、東京であるとか大阪であるとかそういったいわゆる太平洋ベルト地帯、東海道メガロポリスの地帯というものにかわって、いわゆる北陸日本海時代、北海道日本海時代がこれからやってくるのではないかといったような前提からいえば、北陸新幹線の必要性というのはきわめて高いと思うのでございます。したがって、この北陸新幹線について、大臣としてはいつごろにはこれを完了する見通しであるか、それについて具体的な御意見を承りたいと思います。
  34. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 ただいまの予定では五十三年度に完成、五十四年から開業という予定でございますが、着手いたしまして工事が進みますれば、少しでも早く開業させるように努力をいたします。
  35. 村田敬次郎

    村田委員 路線については、先ほど大臣の御答弁がありましたのですが、中部圏の知事、市長の座談会におきまして、実は関係の知事の間である程度コンセンサスの得られた路線もあるわけです。その一つの具体的な例は、例の琵琶湖の東側を回るか西側を回るかということについてでありますけれども、これについては野崎滋賀県知事は、地元としては米原で交差する湖東コースを望むということを発言をし、桑原愛知県知事も、また平野岐阜県知事らも、中部圏の一体化を強める点から同コースが適当であるということを原則的に支持した。これに対して福井県の中川知事は、福井としては大阪に近いコースがプラスになる面も多いので、湖西コースも含めて柔軟に考えていきたいという意見が一部あったわけでございますが、大勢は米原で現在の新幹線と交わり、湖東を走るコースを推すという形が強いと承っております。それからまた、先ほどお伝えをいたしました最近の新聞報道では、さらに米原経由の琵琶湖東岸ルートと小浜から大阪に至る若狭ルートが残っておって、若狭湾の開発にも役立つ若狭ルートがやや有利と見られるというような見方も出ておるわけでありますが、これについての大臣の所見はいかがですか。
  36. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、まだ調査結果も出ておりません。したがいまして、いまおっしゃった三本のルート、これはいずれがいいかということは全然私はまだ白紙でございまして、調査結果が出ました段階におきまして、十分各方面の御意見も聞きながら決定をしなければならぬと思っております。
  37. 村田敬次郎

    村田委員 その場合に、先ほども大臣は五十三年完成、五十四年開業ということを言われまして、さらに、実際は工事に着手すればもっと早まることもあり得るということを力強く言明をされたわけでありますけれども、これは今後の日本海側の開発とあわせてきわめて重要なことであるからひとつ一日も早くやっていきたいという決意をこの際御表明をいただきたいと思います。
  38. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど申し上げましたように、予定予定でございますけれども工事が進捗いたしますればできるだけ早く開業させるように努力をいたします。
  39. 村田敬次郎

    村田委員 次の問題にまいります。  これは今後の東北あるいは北海道北陸、山陰、九州といったような地域の開発についてでございます。これにつきましては、日本列島改造論の中にも、「これからは工業再配置をテコにした地域開発によって北海道東北北陸、山陰、四国、九州などの各ブロックも経済的な力を持つようになる。これに合わせてブロックの拠点港湾にライナー(定期船)を寄港させるだけの集荷機能を整備し、国際貿易港へと育成すべきである。それは大都市圏にある既成港湾の過密と滞船を解消すると同時に、地方に都市機能を集積し、地域開発をすすめるのに役立つ。日本海では日ソ協力によってウランゲル港の建設がすすめられているが、こんごの日ソ協力の進展によっては、新潟港とウランゲル港を定期航路で結びシベリア鉄道で欧州まで陸送するという構想も成立つであろう。わが国の新幹線鉄道技術をシベリア鉄道に適用できれば、海陸を結ぶ新潟〜モスクワ〜欧州の貨客輸送を大幅にスピードアップすることもできる。」といった考え方が述べられております。  さて、そこで最近非常に話題になっておりますチュメニ油田の開発でありますが、これはチュメ上油田からパイプラインでイルクーツクまで運びまして、そしてナホトカから日本に海送するという構想であると聞いております。それからまたヤクートの天然ガス、このヤクートの天然ガスはナホトカの北にございますオリが港からLNGタンカーで積み出して日本側に運んでくる、こういりたような構想でございまして、日本アメリカソ連の共同開発ということがいわれておるわけであります。  こういうふうにいたしまして、チュメニ油田、ヤクートの天然ガスあるいはウドガンの銅鉱山など、日ソ協力によるシベリア開発が軌道に乗ってくると、裏日本北海道の工業立地が一そう有利になってくるということが指摘をされるのでありまして、日本海時代、北海道時代の到来というものを予言するような感覚というものがあるわけでありますが、その前提として、きょうは通産省からお見えになっておられますが、日ソ貿易のいままでのいわゆるトレンド、それから今後の増大の見通しについて通産省からまず伺っておきたいと思います。
  40. 片山石郎

    ○片山説明員 日ソ貿易は、国の大きさのわりには、従来必ずしもそれほど大きい数字にはなっておりませんでした。しかし、最近着実に増加の過程をたどっておりまして、七二年の対ソ貿易総額は往復で初めて十億ドル台を突破いたしまして、前年比二六%の増となっております。  これを内容的に見ますと、輸出は自動車製造用とか石油化学の工業用といったものの機械器具というのが相当多いわけでありますが、そのほか繊維製品とか鉄鋼というものも増加いたしております。輸入につきましては特に木材、綿花といったものがふえておりまして、そういうことで貿易額といたしまして十億ドルを突破した。従来入超傾向が非常に強かったのでありますけれども、輸出と輸入が相当均衡のラインに達しつつある、こういう状況でございます。  今後は、いまお話しのございましたように、シベリア開発関係のプロジェクトというものが逐次実現の方向に向かっていくということもございまして、今後ますますそういった関係の取引が多くなると思いますし、またソ連経済も着実に伸展しておりまして、経済の発展ということに力を入れておるようでございますので、そういった客観情勢から考えますと、今後の対ソ貿易は相当伸びるであろう、こういうふうに考えております。
  41. 村田敬次郎

    村田委員 そこで、そういった対ソ貿易との関連で、工業再配置構想についてもう一つ前提として承っておきたいのですが、昭和四十五年の北海道のシェアが全国の工業生産額の二・一九%、東北が四・六〇%、北陸が二・四一%、山陰が〇・四九%で、山陽を含めれば九・七九ということになるわけです。九州が五・〇四%、したがって北海道東北北陸、山陰、九州のシェアが一四・七三%というのが昭和四十五年のシェアです。それがいろいろの計画目標としております十二年後、昭和六十年には、傾向数値としては、トレンドを追っていけば全国の一〇%程度になる。しかし、これはいま考えておる国土総合開発構想からいえば望ましくない数字であるので、いわゆる太平洋ベルト地帯、東海道メガロポリス地帯の重視政策をやめて、工業再配置構想をしていくとすれば、いわゆる立地性向というものを、通産省その他政府が勘案をした数字では、これらの地方で全国の三分の一ぐらいの工業出荷額、昭和六十年には出すようにしたいというふうに私は通産省等から承っておるのでございますが、その点は間違いありませんか。
  42. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 いま御披露なさいました数字は「日本列島改造論」の著書に出ておりまして、間違いございません。私どもとしては、去年国会を通りました——ちょうどまる一年前ですが、工業再配置法という法律に基づきまして、過疎、過密両解決策として工場移転を実施してちょうど一年目になっておる次第でございます。
  43. 村田敬次郎

    村田委員 そこで運輸大臣にお伺いしたいのですが、そういうふうなことでこれから日本海、北海道時代というものがやってくるであろう。それが今後の国土開発の大きな目標であろうということについて運輸大臣は了承されますか。
  44. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 日ソ貿易が最近非常にふえてきておることは、通産省からもお答えになったとおりでございます。将来の展望ということは、両国間の経済協力がどのように進むかによってさらにこれは伸展するものと思います。私どもも、それに対応した陸海空の交通関係の施設の整備をしなければならぬということについては、計画もし、いま検討を加えておる次第でございます。
  45. 村田敬次郎

    村田委員 そこで、日本海沿岸の港湾修築計画というのが具体的な問題になってくるわけです。それで調べてみますと、特定重要港湾というのが日本じゅうに十七港ありますが、日本海側に面しておるのはわずか新潟港だけでございます。北海道には室蘭港がございますが、これは日本海側というわけにいきませんので、新潟港だけでございます。それから重要港湾につきましても百港ございますけれども、そのうち裏日本にありますのはわずか二十港であります。こういった現状というのは、いま申し上げたような今後の工場立地性向、それからまた国土総合開発構想からいえば非常に片寄ったものである、そういうふうに考えるわけですが、日本海沿岸の港湾修築計画をどういうふうに考えられますか。
  46. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 特別に日本海沿岸の港を軽視したわけではございませんで、輸送需要に応じたような港湾計画を進めてきたということでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、日ソ間の貿易が拡大してくることは必然でございますから、それに応じた港湾計画をしなければならぬということで検討いたしております。私どものほうでは、閣議の了解を得られれば昭和四十九年度を初年度といたしまして港湾整備五カ年計画をもう一ぺん検討し直しまして、新しく五カ年計画を設定したいと考えでおるのでありまして、その間におきましていまの日本海に面しております重要港湾の施設の整備ということは、当然行なわなければならぬことだと思います。
  47. 村田敬次郎

    村田委員 これからの貿易というのはいわゆる従来とは非常に考え方が違ってきておりまして、従来は自由主義国家における貿易というのがもちろん主体で、現在も主体でありますけれども、今後は、先ほどの工場立地性向からも申し上げましたように、国としてはそういった思想上の対立とかを越えて、共産圏とも協力し合っていかなければならないということがいわれておるわけです。したがって、ソ連あるいは北朝鮮あるいは北ベトナム、あるいはその他の国々とも思想的な対立というものは超克しながら貿易を積み重ねていかなければならないと思うわけでございますが、その際にいわゆる日本海沿岸の港湾修築計画をその工場の立地性向に応じてやっていくということを運輸大臣は言われたわけです。それならば特定重要港湾に現在の重要港湾を引き上げていくとか、あるいは予算上五カ年計画の中でいわゆる日本海側の港についての予算をもっと増していくとか、そういう具体的な計画が当然あっていいはずだと思うのです。これについての御意見はいかがです。
  48. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 現状でまいりますと、いまの港湾施設で海上輸送のほうはまかなっておりまして、現状ではこれで港の設備がないために貿易が阻害されているという事実はございません。しかし問題は将来の問題でございます。将来どう発展するだろうかということを予測しながら将来に対する計画を進めていくことでございますから、その間におきまして物資の海上荷動きの動向というものを見きわめまして、それに対応したような港湾の施設をさせることになるわけでございます。重要港湾の指定でございますとかあるいは特定港湾に上げるとかいうようなことは、その間に自然に考えなければならぬ問題の一つであると思っております。
  49. 村田敬次郎

    村田委員 これについて港湾局長のほうでは、もうすでに現在の予算の配分あるいは現在の五カ年計画の中でいろいろな計画を立てておられるというふうに私は想像するのですけれども、その予算配分にあたっての心がまえと申しますか、あるべき姿と申しますか、そういうことについてどういうふうに思われますか。
  50. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいまの先生の仰せでございますが、現行の五カ年計画では裏日本と申しますか日本海に面したもの、それから北九州地区、いわゆる対馬海峡に面した港湾等を含めまして、約一九%弱の投資配分をいたしております。したがって、これの輸送需要というような意味から申しますと、港湾取り扱い貨物量のシェアという点、これは詳細な数字はまだ出ておりませんですが、ごく荒っぽく申しますと一〇%程度でございます。したがって、この港湾取り扱い貨物量のシェア以上のシェアで現行の五カ年計画でも整備はいたしておる次第でございますが、まだまだこれをさらに上回らせていきたいということで、先ほど大臣答弁申し上げましたように、来年度からできれば五カ年計画を改定いたしまして、その中では相当なウエートをつけていくという考え方を持っております。
  51. 村田敬次郎

    村田委員 たとえば中部圏の港で申しますと、伏木富山、七尾、金沢、敦賀、こういう港があるわけでありますが、こういう重要港湾について、それを重要視して予算を計上していくのだ、今後四十九年度から始まる五カ年計画ではそういったものを重視するのだ、こういうふうに了解していいですか。大臣、いかがです。
  52. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 具体的におあげになりました港湾名、これは別といたしまして、輸送需要を十分満たし得るだけの設備を整えていくということにつきましては、お約束ができます。
  53. 村田敬次郎

    村田委員 別といたしましてというのはどういう意味でしょうか。
  54. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いまおあげになりました港湾を優先的に必ずいたしますということは申し上げかねますと言っているのです。つまり荷物の種類によりましてあるいは輸送ルートによりまして、どの港湾に最重点を置くかということが自然にきまってくるわけでございますから、いずれの港湾も設備をよくするということは当然でございますけれども、おのずから緩急の順序があるということを申し上げたつもりでございます。
  55. 村田敬次郎

    村田委員 いずれにしても、日本海側の港を十分重要視してやっていくという先ほどの港湾局長の御言明のとおり、大臣はそれをコンファームする、こういう意味ですね。
  56. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 そのとおりでございます。
  57. 村田敬次郎

    村田委員 いま日ソ間の海運の現状について調べてみますと、定期航路としては、日本側はジャパン・ナホトカラインというものを通しておる。ソ連側は極東海洋船舶公社というものを通しておりまして、年間双方の航海数二十四航海。寄港地は横浜、名古屋、大阪、神戸関門、それからナホトカとなっておって、将来は舞鶴や新潟にも寄港することになるだろうといわれております。  それから不定期航路の場合は、主要貨物は木材で、四十七年の輸入量は七百二十四万三千立方メートル、こういうふうになっておりますが、その主要揚陸地は青森、秋田、酒田、新潟、直江津、富山、伏木、七尾、敦賀、舞鶴、境、金沢といったふうに非常に日本海側にたくさんあるわけでございます。したがって、今後はひとつ日本海側にその主要なる寄港地をだんだん移していくという方向で御検討願うことが、いまの国の産業立地動向あるいは国土開発状況からいえば必要であると思いますし、また今後、先ほど申しました北朝鮮あるいは北ベトナム、そういったいろいろな方面との貿易についても日本海側を重視していただくことがぜひ必要であろう、こういうふうに私考える次第であります。これについての大臣の総括的な所見を最後にちょっと承っておきます。
  58. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほども申し上げましたように、港湾施設は輸送需要に対応した姿で発展させなければいかぬということは、申すまでもないところでございます。日ソ間の問題を見ますと、いまお話しになりましたように定期船が、これは日ソ通商条約に基づいた両国間の協定によりまして動いておりますが、そのほかに不定期船が相当に動いておることも御承知のとおりでございます。これらのものは今後はますます発展、拡大すると思いますし、それから先ほどお述べになりましたような日ソ間の経済協力が進展いたしますと、いま予想し得ないような物資が流れてくることも考えられます。  それからさらに、ただいま、これは定期船ではないのですけれども、コンテナ輸送が行なわれております。これは日ソ間の貿易ではございませんで、わが国からヨーロッパに参ります雑貨でございますが、これがシベリア鉄道を通りましてコンテナで運ばれておるのでございます。こういったものも、最短ルートでございますから、輸送条件のいかんによりましてはさらにさらにふえてくるということが考えられます。こういった問題につきましては、両方の政府が海運協定をどうするか、内容をどうするかというようなことにつきましては先年来打ち合わせておるところでございまして、早く両方の合意を得て、この両方が満足するような姿でもって海運を運営するようにしなければならぬと考えております。  それから最後にお述べになりました南西のほうの各国との間の交流でございますが、これもいまはほとんどございませんけれども、これからふえてくると思います。それに対応した港湾施設というものはやはり必要であると考えております。
  59. 村田敬次郎

    村田委員 最後の問題は、いま大臣のお述べになりましたコンテナ輸送、いわゆるランドブリッジコンテナ輸送については非常に重要な問題でございますが、この問題につきましてはまた別の機会に御質問をいたしたいと存じます。  最後に、空港問題について質問をいたしたいと思いますが、現在国際空港につきましては、御承知のように東京大阪東京国際、大阪国際、第一種空港がございます。この総合輸送体系ということからいえば当然空港の問題をお伺いしたいわけでございますけれども、現在、関西国際空港について必要性というものが非常に論議をされておるわけであります。私は、この関西国際空港とさらに名古屋国際空港の必要性というものをぜひここで所見を伺いたいのでございますが、たとえば、世界の主要空港においてはロンドンの国際空港、これは千百一ヘクタールあります。それからパリのオルリー空港が千六百ヘクタール、ニューヨークのケネディ空港二千五十ヘクタールあるわけでございますが、これに比べて東京の羽田の国際空港は四百八ヘクタールしかありません。また、大阪国際空港は三百十七ヘクタールしかないわけでありまして、新東京国際空港は千六十五ヘクタール、やっとこれは国際的な広さに達するということでありますが、名古屋国際空港は二百ヘクタールであります。こういった状況から見て、ぜひ日本のような経済の非常に発展をしておる国情においては大阪国際空港なり名古屋国際空港なり、そういったものの設置の必要性というものはきわめて高いと思うわけでございますが、こういう空港についての大臣の所見を伺いたいと思います。
  60. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国際空港は名古屋も国際空港でございますし、福岡も鹿児島も国際空港になっております。これをどう拡張するかという問題でございますが、ただいまは、御承知のように東京の新しい国際空港を成田に設ける計画をいたしておりまして、それを進捗しております。関西につきましては、御承知のようにいま審議会に調査を願っておりまして、その答申が出てき次第計画を実行するという段取りになっておりますが、ただいまのところは国際空港について、少なくとも東西に相当大きな、いまお述べになりました各国に比しまして劣らない程度の設備を持った国際空港を建設しようという努力をいたしております。しかし、いまお述べになったような問題の中には、これは主として旅客を扱うところでございますが、先年来貨物を主として扱うような国際空港が必要じゃないかという御議論が方々から起こっております。私どものほうの運輸政策審議会意見を聞いてみましても、数年後には航空による貨物輸送が大体五百万トンぐらいになるんじゃないかという予想を立てております。そういった点を考えますと、貨物につきましてもこれから航空路というものを考えなければならないし、同時に、空港の整備も考えなければなりません。ただこれにつきましては、現在まだ十分に、どういう程度のものをこしらえるかということは白紙の状態でございまして、これから検討計画をしなければならぬと思っておるのでございますが、現在のところはまだ具体的な計画はございません。
  61. 村田敬次郎

    村田委員 貨物輸送についての、いわゆる航空の持つシェアというものが非常に大きくなってくるであろうということがいわれるわけです。現在は鉄道輸送によるものが、貨物輸送については将来は二〇%ぐらいになるだろう、自動車輸送が三二%であろう、海運と航空とを合わせたものが四九%ぐらいのシェアを占めるということがいわれておりますから、したがって海運、航空問題というのは、こうした総合交通体系という意味からいえば、これはぜひとも私どもは解決しなければならない重要な問題であると思っておるわけです。  ところで、名古屋空港の問題でありますけれども、いま小牧空港における発着回数、そういったものは少ないのです。最近の新聞報道によりますと、台湾機は名古屋空港へ着けたらどうかというような、日中航空協定の交渉打開について運輸省検討しておるといったようなニュースが伝わったのでございますが、これは事実でございますか。
  62. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 私はそういう発表をしたこともございません。日中関係の問題につきましては、外務省が窓口になりまして、双方とも意見を述べ合っておりますが、まだ具体的な交渉はでき上がっておりません。これから本格的な交渉に入るようになるかと思います。
  63. 村田敬次郎

    村田委員 関西国際空港については、私、これを調べてみましたら、住民パワーによる反対というものが相当大きいわけです。関係機関で調査をしていただいたものを見てみますると、賛成が約半分、反対が約半分ということで、これから国際空港の設置について、そういう住民パワーの圧力というものがだんだん強くなっていくということが考えられるわけですが、それに対処される大臣のお考え方はいかがですか。
  64. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 関西のみならず、空港についての拒否反応のようなものは、おそらく騒音関係から出てくるものと思います。私どもは、環境庁が示しております指針値、これを達成することはもちろんでございますが、それ以上にこの航空騒音による住民の方々の被害を最小限度にとどめるために、実は別途に今度は空港周辺における騒音防止のための法律案も提案をしておるわけでございます。しかし、それだけでは足りないと思います。あらゆる方法を講じまして、住民の方々に御迷惑を最小限度にとどめるような方法で、やはり国といたしましては国際空港が必要でございますから、地方自治体とも十分話し合いながら計画を進めていがなければならぬと考えております。
  65. 村田敬次郎

    村田委員 中部圏におきましては、御案内のように、中部経済連合会が実は数年前から国際貨物空港を設置したいという構想を示しておりまして、その一つの候補地として衣浦から西三河に至る海岸の埋め立てはどうか、そういったいろいろな具体的な構想が出ております。また運輸省の方針としては、貨物線の新航空会社を昭和五十年までには設立をしたいというようなこともいわれておるわけでございますが、こういう国際貨物空港についての大臣の所見を承りたいと思います。
  66. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど申し上げましたとおりでありまして、検討中でございますが、具体的にはまだ御披露する程度計画にはなっておりません。真剣に検討いたします。
  67. 村田敬次郎

    村田委員 私は、最初に申し上げましたように総合交通対策という観点から、新幹線の問題、それからまた日本海沿岸あるいは北海道時代というものに対応する海運の問題、それから最後に国際空港の設置の見通しについて伺ったわけであります。  本日はこれで質問を終わります。
  68. 井原岸高

  69. 野中英二

    野中委員 私は、交通安全という立場から、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案に対しまして質問をいたしたいと思います。  まず第一に、交通安全というものがどういうものであろうかということを概略的につかんでおきたい、あるいは交通安全というものを明確にしておきたい、こういう立場から総理府に対して質問を行なっておきたいと思います。  政府においては、今後わが国の進むべき方向は活力ある福祉社会の形成であるとされておりますが、そのような社会では当然人々は文化や自然を求めて大きく流動することであります。そのような国民の活動をささえる一つの手段は交通機関であり、今後交通需要の拡大は必要のものとならざるを得ないと思います。ところで、それによってもたらされる大気汚染、騒音などの交通公害、そして交通事故の増加など、豊かで安定した社会であるべきはずのところに甚大なる被害が発生する危険性を含んでおるのであります。つい先日、五月十九日でありますが、瀬戸内海で四国中央フェリーの「せとうち」が火災を起こし、沈没するという事故が発生し、国民の間に不安の念をもたらしたのは耳新しいところでございます。こうした交通事故に対する不安を一日も早く除去してほしいという声は、日増しに大きくなっておるのであります。また、交通公害といわれるものについては、国民の切実な訴えが日ごろ問題になっていることも周知の事実でございます。そこで政府として交通安全、大気汚染などの交通公害といわれるものに対してどのように取り組むお考えがあるか、将来予想されるであろう交通需要の拡大に打つべき先手に対していかなる具体策があるか、総理府に質問しておきたいと思います。
  70. 秋山進

    ○秋山政府委員 お尋ねのとおり、交通需要の拡大というものは将来当然予想されるところでございます。これに伴いまして、交通事故の増大を抑制する必要があることは御指摘のとおりでございます。交通事故の防止をはかるためには、御案内のように交通環境の整備、交通秩序の確立、さらに交通手段のいわば車両、船舶その他の安全性の確保あるいは人に対する安全対策というものについて総合的な対策を講ずる必要があるわけでございます。このようなことから政府におきましては、昭和四十六年に交通安全対策基本法に基づきます交通安全基本計画を定めまして、四十六年から昭和五十年度までの五カ年に講ずべき交通安全に関する施策の大綱を定めたわけでございます。この基本計画に基づきまして、国の関係行政機関及び地方公共団体においては、交通情勢や地域の実態に応じまして交通の安全に関する施策を具体的に定め、これを強力に推進いたしておるところでございます。
  71. 野中英二

    野中委員 いま秋山交通安全対策室長から明確に交通安全に対する施策というもの、基本計画というようなものを明らかにしていただいたわけでございます。以下、順次質問をいたします。  先般の春闘において動労の主張したものの一つに、保安基準の問題があります。国民の関心事である国鉄運賃値上げについても、国民は、国民に愛される国鉄を熱望しているのであります。愛される国鉄とは安全第一でなければならないと私は考えております。安全にしてサービスの行き届いた国鉄、そうしてその運賃に対してだれが異論を唱える国民がおるでありましょうか。  さて、国鉄は一体、日本交通運輸機関の中でどの程度のシェアを持っておられるのか。輸送人員は昭和四十六年度は一五・九%、六十六億三千九百万人、バスその他を加えまして約三〇%のシェアを持っておられるわけであります。しかるに三十六年度においては約五〇%持っておられたはずであります。なお貨物の輸送は四十六年度は一八%、三十六年度は三七%となっております。もちろん全体量というものの増加してきたということはいえるのでありますが、シェアの低下ということはこれで明確だと思うのであります。そこで、国鉄再建とは、まず低下した旅客、貨物のシェアを回復することにあると私は思うのでありますが、その対策を国鉄総裁にお聞きしたい、こう思うのであります。
  72. 磯崎叡

    磯崎説明員 確かに最近の鉄道輸送のシェアは国内的に見ると落ちております。旅客におきましても貨物におきましても、ほかの交通機関の発達によりまして落ちてきたことは数字の示すとおりでございます。その理由はいろいろございます。詳細は省略いたしますけれども、やはり私どもといたしましては、安全で正確でそして早い交通機関をつくるということが一番大事なことじゃないか。交通機関の生命というものは、やはり安全で正確ということであるというふうに考えます。私どもそれに向かって進まなければならないというふうに考えます。
  73. 野中英二

    野中委員 いま国鉄総裁のほうから、安全で確実である国鉄をつくりたい、こういうことを言っておられましたが、続いて私は保安対策についてお聞きしておきたい。  現在審議されている再建計画は、あくまで財政再建計画あるいは財政再建課題でありますが、保安対策を充実したならば、安心して乗れるところの国鉄、国民から大いに利用され、その果実として私は財政再建がはかれるものであるというふうに考えるのであります。したがって、再建計画の中で保安対策をどのように展開をしていくかということを、もう一度重ねてお聞きをしておきたい、こう思うのです。
  74. 磯崎叡

    磯崎説明員 今般の御審議願っております計画の中における保安対策の問題でありまして、主として設備投資によってこれを行なっていくということが一つの問題点でございますが、在来線に対する総投資額五兆七千億の中で、保安対策あるいは取りかえ投資、取りかえと申しますのは老朽取りかえを含めまして、防災等も全部含めますが、それは一兆三千億でございます。  その内容をごく簡単に申しますと、自動信号、いわゆる人間の信号から自動信号に直す。あるいはいまのATSをさらに進んだATCという、ほぼ機械運転の域に達した運転方式にする、あるいは駅の構内のポイントを電気ポイントにする、あるいは各駅の進路の制御をCTCによって一カ所でやる、その他防災対策あるいは列車火災対策等ございますが、やはり大きな問題は一つ踏切の問題がございます。   〔井原委員長退席、細田委員長代理着席〕 踏切は何と申しましても立体化が第一でございますが、これは建設省のほうといろいろ御相談いたしまして、最近国鉄側の負担が非常に少なくなるようにしていただいております。その意味におきまして、建設予算と相並びまして踏切の立体交差化をぜひ進めてまいりたい。また市街地におきましてはいわゆる連続立体と申しまして、市街地の踏切を除却するという意味で連続的な高架化という、いわゆる連続的な立体化をしてまいりたいということがごくラフな内容でございます。
  75. 野中英二

    野中委員 いま総裁のほうからまず第一点にあげられましたことが、在来線については約五兆七千億、そのうち保安対策あるいは取りかえのための投資額というものは一兆三千億なんでございましょう。そういう答弁がございましたし、なお踏切除却を行なっていきたい、こういうことをおっしゃられたわけでございます。したがって、この踏切の問題から詳細に私のほうは御質問を重ねていきたい、こう思うわけでございます。  国鉄運転事故の中で最も多いものは、何といっても踏切事故でございます。四十七年度は二千五百三十五件の運転事故の中で踏切事故が千八百四十二件となっておりまして、約七三%を占めておるのでございます。したがって、保安対策上踏切事故防止がいかに重要であるかということは再認識賜われるんじゃないか、こう思います。踏切事故の原因の一番多いものは直前横断でございまして、四十六年度は千八百二十九件のうちで千三百三十件となっております。これが七三%になっておるわけでございますが、こういう踏切事故について今後どう対策を練られるか、簡単にお答え願いたい。
  76. 磯崎叡

    磯崎説明員 何と申しましても踏切事故は非常に大きな問題でございまして、国鉄側だけの注意力ではなかなか防げない面もたくさんございます。もちろんドライバー、自動車運転手の御協力も、いろいろな御注意も喚起しなければいけませんが、やはり根本的には設備の問題と存じます。何とかやはり、先ほど申しましたように立体交差をふやすということ、主要道路との平面交差は極力立体交差にする、これは本質的な問題でございますが、全国の踏切を一挙に立体交差にするということはほとんど不可能でございますので、順位をきめ、国道、府県道と主要道路から立体交差をやっていく。同時に、立体交差のできないところにつきましては、踏切の警報機その他遮断機等をつけまして、そうして自動車運転手の注意を喚起するというふうに進んでいかなければなりませんが、現在なお数千のそういう設備のない踏切がございます。これは最近、事故の起こるのはこういう踏切が多うございますが、幅が狭い、あるいは非常に勾配がきついということで、地域住民の御承諾が得られればそういう無理な踏切では極力車両の通行を禁止する。そうして、少し遠くても設備の整った踏切を回ってもらう。そうして設備のない、せいぜい人と耕運機程度が通れる踏切には自動車を入れないというふうな車両禁止措置もぜひとつていただきたい。これは公安委員会なり地方自治体の御協力を得なければできないことでございますが、そういうことによって踏切の数を減らしていく。しかし、残った踏切は設備をよくしていくというふうな方向でもって整備をしてまいりたいと思いますが、詳細につきましてもし御質問がございますれば、担当のほうから詳しく申し上げます。
  77. 野中英二

    野中委員 いま国鉄総裁が数千の踏切とこう言っておられたのでありますが、私のほうの調査によりますと、踏切道の数は四十七年度末で三万二千七十六カ所となっておりますが、どちらがほんとうでございましょうか。ささいなことで恐縮です。
  78. 磯崎叡

    磯崎説明員 失礼いたしました。三万強でございます。
  79. 野中英二

    野中委員 どうもことばじりをつかまえて恐縮でございました。  そこで、事故を起こした踏切は一体どんな踏切が多いのか調査いたしてみますと、四十六年度の千八百二十九件の中で第三種、第四種に属する踏切によるものが千四百四十三件、約七八%を占めておるのであります。この数を見ましても第三種第四種踏切が断然事故の発生率が多い、こういうことが断定できます。そこで、この種の踏切道は今後どの程度改善をはかっていかれるのか、御答弁願いたいと思います。
  80. 篠原良男

    ○篠原説明員 お答え申し上げます。  先生いま御指摘の第四種踏切というのは、昭和四十七年末現在で一万四千八百五十二ございます。そのうち九千六百十は、先ほど総裁が申し上げましたように車禁になっております。何らかの形で車禁、と申しますのは大型車車禁とか小型車車禁とかいろいろございますが、約八四%は車禁といいますか、措置をしてございます。したがいまして残りました一六%の踏切について今後その保安対策を講じていきたい、かように考えております。しかし、先生も御承知かと思いますが、日本の面積とそれから鉄道の密度から大体比較しますと、ベルギーのほうが鉄道の密度は高いのですが、ベルギーでは踏切の間隔が約九百メートルに一カ所でございます。日本国鉄は六百メートルに一カ所でございます。したがいまして、まず四種の踏切につきましては、地元の御協力を得まして極力整理統合をはかっていきたい。数を減らしたい。残りました踏切については一種全遮断で、人だけが通る踏切でも非常に交通量が多い場合には警報機をつける。できましたら高架にしたいのですが、なかなかこういう都市以外の土地については立体交差化がむずかしゅうございますので、一種の全遮断、こういう方向で保安度を強化していきたい、かように考えております。
  81. 野中英二

    野中委員 ただいま施設局長から答弁がございましたけれども、さらに追い打ちをかけるわけではございませんけれども、踏切道改善計画の中で立体交差化あるいは高架化というものをどの程度これから改善をしていくのか、その計画をひとつ提示していただきたい、こう思います。
  82. 篠原良男

    ○篠原説明員 お答え申し上げます。  現在までに立体交差化で踏切を除却してまいりましたのは、一種手動の踏切がなくなりましたのは三百十七でございます。それから三種あるいは四種をなくしております。今後の計画につきましては、現在建設省と協議しております都市計画決定したもの、それから調査費のついたものとございます。個々の都市について、先生、数でございますか。
  83. 野中英二

    野中委員 数、これからどう減らしていくか。
  84. 篠原良男

    ○篠原説明員 ちょっとお待ちください。
  85. 野中英二

    野中委員 答弁がまだ半分のようでございますけれども、こんな計画で、立体交差で減らしていくというような、安全第一をモットーとする国鉄がその計画ができていないで、国鉄運賃を値上げしようなんて考え方が太いとぼくは思うのです。こういうところを明確にしておいてもらいたい。
  86. 篠原良男

    ○篠原説明員 まことに失礼いたしました。ちょっと資料がおくれまして申しわけございません。現在高架化を施工中のものが十一件ございます。高架化の工事延長は五十キロでございまして、これでなくなる踏切の数は百三十二カ所でございます。都市計画決定の手続中のものは三千ございます。高架化の工事延長が十六キロメートルでございます。これによって踏切のなくなる数は四十一ございます。さらに四十八年度、新規に予算を措置して調査費をつけたものが四千ございます。高架化の延長が十八キロございまして、これでなくなる踏切は四十カ所でございます。これ以外に線増のときに一緒に高架化をやりますので、これを足しますと、件数で二十四件になりまして、高架化の工事延長は八十四キロメートルで、これによってなくなる踏切は二百十四カ所、こうなっております。
  87. 野中英二

    野中委員 いま施設局長答弁されましたけれども、私のところで調べたことによりますと、十カ年計画、ですから昭和五十七年度末において全踏切の数が三万二千から二万八千に減る予定でございます。そして、一種踏切が約七五%になるのでありましょうか。そして三種は二%、それから四種踏切が二三%と、こういうことにするんだというやつを私のところへ提示されているのですが……。
  88. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生の御指摘のとおりでございまして、ただいま私が御答弁申し上げましたのは、四十八年度中に工事を施行したもの及びその都市計画決定したもの並びに調査費のついた立体交差について御説明いたしまして、今後十年間の再建十カ年計画の暁に踏切に対してはどういう計画を持っておるのだということにつきましては、高架化、立体交差化によりまして踏切を約二千四百カ所なくそうと思っております。それから統廃合によりまして約二千整理したいと思っております。その結果、一種踏切で残りますのが二万八百、それから車禁をいたしまして、非常に人の交通量の多い踏切、車禁の中で多い踏切が三種、これが六百ぐらい残るだろうと思います。四種が六千三百でございまして、先生のおっしゃるとおり十年後は二万八千というように計画しております。
  89. 野中英二

    野中委員 次の質問に移ります。  その他、信号保安設備などについてお聞きしたいと思いますが、自動化、合理化が進められている中で、これらの施設は現在どの程度自動化されているのか、再建計画でこれらをどこまで自動化する予定なのか、またはどの程度保安度というものを向上さしていくつもりなのか、こういうことを聞いておきたいのでございます。
  90. 阪田貞之

    ○阪田説明員 ただいま人が駅で扱っている個所がまだ約五割余り残っておりまして、将来、この再建計画ができた暁には、非常に交通量の少ない、たとえば一日に十回とか十五回とかを除きまして、そのほかのところは全部信号機を自動信号にいたしまして、あやまちのないものにいたしたいと存じております。それから、自動信号にいたしましたところに、ただいま列車指令と申しまして、これが一つ一つ、列車がああせい、こうせいということを全部駅に話しまして、駅がその指示を受けまして扱っているので、そこのところに連絡間違いとかいろいろございますので、これをCTCと称しまして、いま新幹線のやっているような形にかえてまいりたい。これは同じく主要な線区ほとんど全部、特に少ないところは除きまして、八割まで全部してしまいたいと思っております。  それから、駅で昔よく信号を大きなレバーでからだでやっておりましたのを、これも非常に間違いが多いので、継電、リレーと申しまして電気的に全部ロックして、あやまちのないようなものにしていきたい。これを主要な駅に大半つけてまいりたいと思っております。
  91. 野中英二

    野中委員 いまの答弁を要約いたしますと、自動信号化を昭和五十七年までには八〇%にしていこう、CTC化を八〇%実施したい、継電連動化を八〇%実施したい、こういうことでございますね。こうして自動化を進めてまいります、あるいは踏切を除去してまいります。  ここで最後に総括的に御質問を申し上げるのですが、保安基準についてお聞きしたいのです。  これは国鉄総裁に、組合との約束もあると思いますけれども、再建計画の中で、新たな基準を設けて一そうの保安対策の万全を期する考えがあるかどうか、あるいはもうちょっと具体的に言いますと、省令や部内規則などに盛り込んでいく考えがあるかどうか、これを確かめておきたい。
  92. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうは、保安問題については労使問題以前の問題である、鉄道の真髄の問題であるというふうに考えております。したがいまして、組合からいろいろな意見があればこれを喜んで取り入れまして、そうして私どもの全体の保安対策を総合的なりっぱなものにしてまいりたいと思っております。
  93. 野中英二

    野中委員 総裁の決意をよく確かめておきましたが、その気持ちでしっかり労使以前の問題として保安基準を実施していただきたいと思います。  さて、以上保安対策について御答弁を承ったわけでございますが、再建十カ年計画の中の保安関連投資についてお聞きしたいのでございます。  運賃値上げによる増収見込みも十カ年で八兆円と踏んでおられるようでございますが、それだけに、国民に愛される、安全とサービスをモットーとする国鉄になるためにふさわしい安全対策が必要だろうと存じております。十カ年の工事費を十兆五千億円とされておりますが、保安関連投資をどの程度見込んでおられるのか、これについては先ほど答弁を承りましたけれども、もう一度念を押しておきたい。
  94. 磯崎叡

    磯崎説明員 全体の投資額が、在来線だけで五兆七千億でございますが、その中で一兆三千億を保安関係に投資してまいりたいというふうに考えております。
  95. 野中英二

    野中委員 あと三分になりました。  最後に、運輸大臣にお尋ねして私の質問を終わりたいと思いますが、こうして自動化をやる、あるいは踏切除去をやる、あるいは合理化をやる、近代化をやるという国鉄の熱意はよくわかったわけでございますが、それだけでは安全は期し得ない、やはり人の問題にあろうかと思います。  そこで、国民に信頼される国鉄になるために望みたいことは、先日の四月二十四日の国電暴動と呼ばれる事件の中で、国鉄職員が旅客を扇動し、金銭を強要して分配するという事態が起こりました。これは埼玉県の川口駅でございます。すでに処置はとられたようでございますが、国民は国鉄に対して一そうの不安の念を抱かざるを得ない。したがって、職員の指導、管理をしていくという面で国鉄に手落ちがあったのではなかろうか。国鉄を再建するための一番の早道は、何といっても国民に愛される国鉄になってほしい、あるいは信頼感を持たれる国鉄になってほしい、こう思うわけでございます。そこで国鉄職員に対するこれからの教育をどうやっていかれるか、この辺の明快な御答弁を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。
  96. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄の職員に対する訓練といいますか教育といいますか、いまそういうおことばでございましたが、これは国鉄総裁が担当しておるのでございます。私としましては、先ほど国鉄総裁が申しましたように、人命を預かっている機関でございますから、この安全の問題は国鉄の労使関係、いろいろございましょうが、それ以前の問題であるという国鉄総裁答弁、これはそのとおりであると思います。労使が人命を預かっているのだという責任感を持って、安全に対しましては双方が十分協議をして最善の方法を考えてもらいたい、またそれを必ず実行してもらいたいということを念願しておりますし、そのような方針をもって国鉄に対して指導もしたいと思います。
  97. 野中英二

    野中委員 ありがとうございました。
  98. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 岡田哲児君。
  99. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 まず、原価からお伺いをしたいわけでありますが、発表されました四十六年度の貨物収入二千四百六十七億、原価が四千六百二十億、損益で二千百五十三億、こういうことで赤字が二千百五十三億ございます。旅客は十億の黒字。この原価に対していままでの運輸委員会などで磯崎総裁が、これはむずかしいもので出しにくい、しかもこれは営業方針を前提としたもので運賃問題には直結していない、こういうことを強調されていることは承知をいたしておるところでありますが、ここに発表されております原価四千六百二十億であるということについては間違いないところでございますか、お伺いしたい。
  100. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄の原価につきましては、しばしば御答弁申し上げましたけれども、数字を申し上げますと、新幹線の黒字が千八十八億、在来線の赤字が三千二百三十一億、その中で旅客の赤字が千七十八億、貨物の赤字が二千百五十三億、これには先ほど申しましたような前提がいろいろございます。
  101. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 私のお伺いしておるのは貨物に限って発表されておる数字を申し上げたのでありまして、ここで原価といわれているもの、これについては間違いございませんね。こういうことを確認しているのでありまして、イエスかノーか言っていただければけっこうなんです。
  102. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうの部内の計算によりますさまざまな前提を置いた結果の原価でございます。
  103. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 私の申し上げているのは、先ほども言ったように、さまざまな前提を置いて出しておるが、これはそうですねということをお伺いしているのです。いいですね。  それではその次にお伺いしたいと思いますのは、三十六年度から四十六年度までの十年間のいま申し上げた対比を見るわけでありますが、収入、原価ともに三十六年度を一〇〇といたしますと、四十六年度では収入の面では一二〇、これはプラスが二〇、原価の点においては二三八、一三八もふえているわけであります。収入のほうは非常にわずかでございます。これはまたもろもろの原因があるでしょうが、原価が非常にふえてきているという点についてお伺いをしたいわけであります。問題は、年々の比率をずっと見ていきますと、急速に四十年度ころから上昇しているのであります。一四一、四十二年で一五九、四十三年で一八〇四十四年になりますと二〇二、四十五年で二二三、四十六年で二三八、こういうふうに傾向から見ますと四十年度以降急速に原価が上がってきている。これは一体どういうところに原因があるのかということをお伺いしたいわけであります。
  104. 磯崎叡

    磯崎説明員 これはごらんのとおり貨物原価も上がっておりますが、旅客の原価もやはり同じくらい上がっております。したがって、国鉄全体の原価の上昇でございまして、これは何回も議論がされておりますが、人件費の上昇、資本費の上昇等の問題でございます。特にこれは旅客と比較してごらんくださるとよくわかりますが、旅客のほうは、三十六年度の原価に比較いたしまして四十六年度の原価が約三倍でございます。そういう意味で国鉄全体の原価が上がっているということでございますので、全体の傾向の中で貨物をごらん願いたいというふうに思います。
  105. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 全体の原価が上がっていることも承知しているのです。私は貨物に限ってお伺いしているわけであります。  問題は、収入に対して原価のほうが非常に比較にならないほどあがってきている。とにかくこういうふうに急速に上がっていることは、年々の状態を追えばわかるわけであります。しかし、そこで質問に答えていただいておらぬのですが、四十年度以降急速に伸びているという原因は一体何か、これを聞いているのであります。
  106. 磯崎叡

    磯崎説明員 これは、ごらんのとおり全体の原価が四十年度以降急に伸びています。すなわち、この理由は三十九年度以降における輸送の伸び悩み、これは原価に関係ありませんが、輸送の伸び悩みがあるにがかわらず原価が減らないということは、貨物関係、ことにヤードの非常に大きな職員をかかえておりますが、これの貨物の一トン当たりの所要人員から申しますと、非常にばく大なものでございます。こういう意味の人件費の増がもろに原価にかかってきている、こういうことでございます。
  107. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 どうも答えをいただけないのでありますが、問題は収入が非常にわずかしか上がってきていない。これはやはりよそへ逃げたとかいろいろな理由があるでしょう。そういうことは承知しているのですよ。しかし、そういう前提でありながら原価が上がってきたというのは、何か人件費だけのような強調をされるわけでありますが、私は、そうではないだろう、四十年度以降急速に上がってきたというのは一体何か、これを聞いているのであります。
  108. 磯崎叡

    磯崎説明員 御承知のとおり、四十年度以降は国鉄の投資が相当ふえております。したがいましてこれは旅客も貨物もふえておりますが、資本費をごらんくださるとよくわかります。全体としての資本費の増加でございまして、それを貨物も一部しょっている、こういうことでございます。
  109. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 ようやく投資がふえたということで私も了解をいたします。  そこで話は変わるわけでありますが、東小金井駅、これは一応御説明をしておきますが、昭和三十九年に開設を見ておるのであります。これはあくまで旅客駅として、一般駅として開業したようでありますが、その後日産の自動車工場が進出をいたしてまいりまして、四十一年の七月から構内を改装いたしまして、自動車輸送ができるようにしたわけであります。私はなぜこれを取り上げたのかということをよく御理解いただきたいのでありますが、ここの貨物の全体の八割以上を自動車輸送が占めている。しかもそのほかトヨタなどもあるようでありますが、大半が日産であるという点で一番比較がしやすいというふうに考えまして、このところを申し上げるわけでございます。ここで調べてみて驚くのでありますが、こういうことをいたしました。私が自分の持っている日産の乗用車を当駅から仙台港まで送っていただくと幾らかかるか、そういたしますと三百七十キロですから、一級の等級表と照らし合わせてトム一両一万七千円の運賃となります、こういうことでございます。そのほかこれは関係ありませんが、日通の積み込み、積みおろし料を加えますと二万円かかる。合計三万七千円ないと自動車が送れない。しかし、一方会社側のほうはどうかといいますと、一両に八台積めるということは御存じのようでございますが、これが運賃は四万九千八百円、一台に直しますと六千二百円ということになるわけであります。この積み込みも、もう国鉄には関係ございませんが、大体一日二時間で積み込まれる。この仕事をする労働者が日給で千円の支払いを受けている、大体十人だということでありますから、一万円強ぐらいでこの積み込みがされると思います。大体二十両だそうでありますから千六百台、こういうものが毎日出ていくということになると思います。  そこで、この計算を、いま積み込み料その他をなしにいたしますと、契約をいたしております契約書の割引が二割でございますので、大体一台五千円になるわけであります。大体じゃなしに、五千円になるのであります。何と一万二千円安く一台が運べる、こういうことになるわけであります。  これを問題にしようとしているのではありません。大量輸送でいくのですから、そういうことがあるのだということでしょうから、それはいいといたしまして、問題は、国鉄がこれに対する便宜供与といいますか、どのようなサービスをしているかという点についてでありますが、百六十台駐車できるモータープールがまずございます。それから、機械では固定、自動のトラバーサーが各一台ずつございます。それから専用シートが設備されているのでありますが、これまたモデルチェンジされるたびに、新品に取りかえるというようなことまでいっているようであります。ここで積み込まれた車両は、大宮に一応直行いたしまして、そこで編成をすると、仙台港まで直行専用列車ということになると聞いているわけであります。この東小金井駅の構内の総面積は約三万九千平米でありますが、この三分の二が日産というよりも、自動車輸送のために専門に使われていると私は見るわけであります。  いままで申し上げたモータープールといい、トラバーサーといい、あるいはカバーといい、そういうもの以外に、駅構内の三分の二近くのものが使われて、常時提供されている。機械もこちら持ちである、燃料もこちら持ちである。しかも、いま申し上げたように、割引で五千円ということになるわけであります。  先ほど総裁にお答えをいただいたように、四十年度以降なぜこういうふうになったのかというと、設備投資が相当かかっている。おそらくこういうものになっていると思うのでありますが、それだけの設備投資をしながら、この運賃で一体いけるのかどうか。コストの点はたいへんむずかしいと思うのでありますが、私はこれほどまで——サービスがいかぬというわけじゃないのですよ。国鉄が国民に向かってサービスすることはけっこうでありますが、こういう形のものが国民常識上許されるかどうかと私は思うのであります。さらに言うならば、コスト上から見ましてこれは割れておらぬのか、こういうふうに思うのでありますが、その点を明快にしていただきたいと思っております。
  110. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 鉄道輸送、先生承知のとおり、需要にこたえてやっていく、こういうことでございまして、東小金井におきましてそういう自動車の発送の需要がある、それにこたえていくわけでございます。  モータープールにつきましては、一般の荷物と同じように荷さばき場として提供しなければ、これは送ることはできません。  トラバーサー、これは荷役機械ですが、これも一般の荷主さんと同じように提供しなければ、荷物を運ぶことはできません。  それからシートでございますが、これも無蓋車でものを運ぶ場合には、輸送業者としての鉄道が当然提供しなければならない、こういうことでございます。  しかして運賃でございますが、これはどなたが使おうが、きまった運賃でもってその運賃をいただくわけでございまして、別にその荷主がだれだれであるからということで差を設けているわけではございません。  それから最後に割引の問題でございますが、これでもって元を取っているのかどうか、こういうお話でございますけれども、個々の元手が幾らかかったかという問題は、いろいろ非常にむずかしくて、よく究明できません。しかしながら、鉄道と申しますのは固定的な費用が非常に高うございますが、直接運転するためにかかる経費、追加の経費といいますか変動費といいますか、そういうものが比較的安いわけでございます。したがって、一般的にどのくらいが変動費であるか、こういうものを想定いたしまして、その変動費を償うて余りあるかどうかということが、割引をする際の最低限の一つの目標として一応掲げておるわけでございます。もちろん具体的にそれが幾らであるかということについては、個々の問題で究明がきわめて正確にいかない、いろいろな前提条件がある。こういうことでございます。
  111. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 私は、非常にお答えしよいように、いろいろな前提をよく承知しておる、そういうサービスも大事であるということまで申し上げて言っているつもりなんです。その割引についても、別に一特定の企業にやっているというのではないのです。問題は、個人の発送の場合には日通ということで二万円以上積み込み、積みおろしを払って、しかも運賃が三倍以上。こういう企業の場合には、土地を提供し、車を提供し、シートも提供し、そういうことである。  そこで、先ほど総裁の言ったように、四十年度以降、原価が上がって収入が減っている、こういう現状から見て、その点が一体コストを割っているかどうか、どちらだと、私は聞いているだけでありまして、その途中の経過は何も聞いていないのであります。どちらですか。
  112. 磯崎叡

    磯崎説明員 運賃につきましてはちょっと誤解があるようでございますが、私のほうでは、御承知の八両乗る大きな貨車でございます、あれを特殊な荷主だけに提供しているわけではなく、あの運賃計算型と同じものを新宿から京都に参ります一般の自家用車の運送に使っております。ただし、これは八両まとまりませんといけません。ですから、そういうふうにあの貨車を使うような輸送需要がある方がまとまれば、あれと同じ運賃になります。ただし、割引は別でございます。たとえば北海道は、夏場非常に自動車がたまる。それを秋口になって本州に返してほしいというときには、あの車運車を持っていって八両積めば同じ運賃になります。そういうことでもって、運賃のほうは対人運賃ではないということをはっきり申し上げておきます。  またコスト計算でございますが、先ほど原岡が申しましたように、変動費に、あれは特別な設備投資をいたしております、その設備投資の利子、償却費を見た上で割引をいたしまして、そしてあの部分については原価を償っている、こういう計算をいたしております。
  113. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 その最後のことがちょっと答弁らしいので、ほかのことを言ってくれぬでもいいのです。あまり時間がないから、イエスかノーか程度に言っていただけばけっこうであります。むずかしい変動何とかいうことを言われるわけでありますが、問題は、この運賃では原価は割っていない、こういうことを言ったということでここで確認しておけばいいのですか。
  114. 磯崎叡

    磯崎説明員 運賃の割引につきましては、割引の考え方というものは変動費を償うという、固定した変動費でございますが、変動費プラス、設備投資をした場合には設備投資の償却費、利子を償うということによって、その限度においては、何と申しますか原価を割っていない。そういう変動費をもとにした原価は割っていない、こういうことでございます。
  115. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 非常に理解ができないわけであります。しかし時間もありませんので次に移らしていただきます。  総裁、私に言わせると、四十年度以降、設備投資から、いま言ったようにあらゆる便益を供与しているのだが、おそらくこれはコストが割れているからこういうふうになってきているのじゃないかと実は思うのであります。これは今後運輸委員会で明らかにしていただくようにお願いしておきます。  それから次に、これは運輸大臣にお伺いをしたいと思いますが、普通旅客運賃と料金の推移を、三十五年度から四十五年度までの推移において見てみますと、それぞれ三十五年度を一〇〇といたしますと、四十六年度で運賃のほうは六六・九、料金のほうは三一・一、言うなれば三割以上のものが料金としてとっていることになります。これは旅客であります。それで今度はひるがえって貨物のほうを見ますと——旅客の中でも団体割引だとかその他の割引制度があることは私も承知しております。しかし貨物の側から見ますと割引ばかりで、これが先ほど申し上げた公示がされて、それで局長が契約をしていま割引制度が成立するわけですね。言うなれば、これは非常に極端な言い方でありますが、旅客のほうはきめられている運賃以外に、どんどん国鉄独自というか、運輸大臣の認可に基づいてとってくる料金が三割以上もふえてきている、この十年間比較してですよ。それが貨物のほうは、逆に割引したほうがどんどんふえている、こういう結果に実は統計上なっておるわけであります。法律上のたてまえからいえば、当然国会審議によるものであります。いま言った料金や割引は独自でやられる問題である。よく聞いてみますと、割引は、公示は貨物局長それから直接の契約取引は管理局長、こういうふうになっていると聞いておるのでありますが、これは大臣承知しておりますか。
  116. 秋富公正

    秋富政府委員 これは国有鉄道運賃法に基づきまして、いわゆる第八条の「運賃料金の軽微な変更」、これは国有鉄道が行なうことができる、こういうことでございまして、私どもといたしましては、その報告は受けておりますけれども、個々の問題は国鉄にまかしておるわけでございます。
  117. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 私の申し上げておるのは、これだけかんかんがくがくと運賃でやっている。これがいいか悪いかは別としてまたあとで申し上げますが、いまの法律でいきますと、国会というものを尊重していま審議されているのだが、審議からはずれた国鉄独自といいますか、そういうものでとれるものは、もう十年間見ただけで三割以上もふえてきている。これは旅客料金ですね。貨物のほうは割引がどんどんやられている、こういうことは運輸大臣知っておるのですか。いまの法律で言っているのじゃないのです、運輸大臣に聞いているのです。
  118. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 大体は聞いております。
  119. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 これだけ赤字が出て騒がれているときに、いま申し上げたように……(「すみからすみまで知っているか」と呼ぶ者あり)すみからすみではないのです。これだけ大きなものが国会審議以外にやられている。言うなれば国会軽視ということばまで出るのではないかというふうに思うぐらい、そういう方向、今後ますますそうなっていくのじゃないかというふうに思いますが、その点は、これは時間がありませんから飛ばしますが、私のほうの考え方というのは、運賃決定というのは当然国民の納得というものが非常に大事なんだ。新しい運賃決定をする機関が、おそらく国鉄の独占性というものもくずれてきましたし、公共企業体になってきているというたてまえから、はたして国会で審議するのがいいのかどうか、ここら辺はいろいろありますよ。ありますが、現在は現にやられておるわけですから、その辺を見ながら運輸大臣、今後運賃については消費者といいますか、国民を加えた新しい運賃決定の機構というようなものを考えられておるかどうか。大臣は長いというのが有名なようでありますが、簡単でよろしゅうございますから言ってください。
  120. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 簡単に申します。  旅客、貨物を通じましていろいろ御議論がございました。これは運輸大臣が認可するものもありますし、あるいは国鉄総裁が自分で責任を持ってきめている料金もあると思います。そういったものにつきましては、国会における皆さんの御論議を振り返りまして、国鉄総裁も十分その点については検討をしておると思います。  それから、これは私からお答えするのはあるいは少し出過ぎるかもしれませんが、先ほどお尋ねになりました貨物のほうは割引ばかりで割り増しがちっともないじゃないか、こういうようなお話があったと思いますけれども、その点につきましては、私はさっき申し上げたように大体しか知りませんが、聞いておるところでは、今度フレートライナーなんかが新しいサービスをいたします場合には、それに応じたような運賃の割り増しをいただくというような制度につきまして検討をしておるようでございます。
  121. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 これまた、あまり質問に触れていただいておらないわけでございますが、時間もありませんので、次に移ります。  中小企業庁、いままで私申し上げてきたように、大体現在の国鉄の貨物輸送というものは大企業といいますか、大量輸送というものが本位で非常に手厚い措置がされているが、小口荷主、中小企業関係のそういうものについては、それと比較して非常に差がある。  それから二つ目には、今度の運賃改定のおもなもので貨物運賃の等級圧縮が今度の特徴だと思うのでありますが、自動車、機械などは六・八%、しかしその他については二五・四、二九・二、二九・六というふうに、等級を見ますと上がっているわけであります。中小、小口の関係はおおむねあとの高いほうに属するというふうに思います。  それから第三点は、いままで二千五百ぐらいの駅が五キロごとぐらいにあった。ところが、聞くところによりますと、千ぐらいにして二十一キロごとの駅にしてしまう。こうなりますと、ますます荷主の不便というものが起こってくる。  それから四番目には、少量の貨物、小口扱いが廃止されて小荷物に統合するということが今度提案されているわけでありますが、いままで客車便と称される、旅客列車で輸送されておったいろいろなものが、今度は国鉄はそういうものから撤退をしていく、そういうお客は今度は逃げていくということが起こるわけであります。この関係についても中小企業の関係は相当関係が深いと思うわけであります。  それから五番目には、そうなると当然国鉄は不便で高いし使いにくくなるからトラックだ、こういうことになりますと、いままでの方向からさらにその方向にいくのではないか。そこで、ちょっと調べてみますと、これは本年度でありますが、一トン一キロ当たりトラックが単価九円九十銭、国鉄の場合には四円か五円というふうに発表されておるのでありますが、やはりトラックのほうが高いことは明らかであります。今後ますます高くなるでありましょう。こういう点から見て、トラック輸送に持っていく中小の関係というのは、ますます輸送コストというものがたいへんになってくるのじゃないか。  六番目に、輸送費の点で見ますと、これは当然商品にかければいい、そうなりますと、中小の出す品物については輸送費が全部商品コストにかかってくる。かけられないというようなものは全部倒産してつぶれていかざるを得ない、こういうようなこと。まだいろいろあるでしょうが、こういうふうに考えていきますと、今度の運賃改定をめぐって中小企業、小口荷主というものはたいへんになってくるというふうに私は思うわけでありますし、また物価の関係というものも大きく出てぐると思う。中小企業庁は振興あるいは育成という立場から見まして、今度のこの運賃改定にあたってどのように考え、どのように対処をされようとしているのか、お伺いをしたいわけであります。
  122. 森口八郎

    ○森口政府委員 国鉄貨物運賃の中小企業に与える影響でございますが、私のほうでもいろいろ注目をして見ておったわけでございますが、どういう影警を与えるかということについて、一義的な資料で御説明できないのはまことに遺憾に存じます。ただ、全体的に見ますと、私のほうで中小企業全体の原価を洗っておりますが、その中で運賃の占める割合は、トラック便等の場合も含めまして、一般的には一ないし二%でございます。また全体的に見ますと、先生御指摘のように鉄道便からトラック便への転移が行なわれておりまして、中小企業の鉄道運賃に依存する割合は一般的に減ってきております。こういうような全体的な状況を見ますと、今回の運賃値上げが中小企業に特にきびしいということはないと思うわけでございますが、なお念のために二、三の影響を与えると思われる品目について試算をしてみましたが、あまりたいした影響はあらわれないというように感じるわけでございます。先生がおっしゃいました小口扱いの問題あるいは鉄道貨物からトラックに転移する問題、これは中小企業者の選択の問題でございますが、貨物はドア・ツー・ドア、工場から直接必要とするところへ届けられるという利便がございますので、おっしゃいますように、一がいに九円と四円ないし五円というようなトン当たり経費では比較するわけにはまいらないというように感じるわけでございます。ただ一部にやはり問題の業種があるかと存じますので、こういう業種については、私のほうで、できるだけ生産性を上げ、そういう鉄道運賃値上げを生産性の引き上げの中に吸収するように当該業種を指導また援助してまいりたいというように考えております。
  123. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 時間がちょっと超過をいたしまして、まことに申しわけありません。まだ一つありますが、以上で終わります。
  124. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 渡辺三郎君。
  125. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 時間が非常に少なくなっておりますので、端的に一つないし二つの問題についてお伺いをしたいと思います。あとで国鉄総裁質問を申し上げますが、最初その前提として通産省にお答えをいただきたいと思います。  石炭の輸送に関連し、運賃に関連する問題でありますが、改定案による等級、これは二級になるわけであります。そうしますと石炭の値上げ率は大体二九%になると思いますけれども、こうした場合に一体石炭では今度の運賃改定によってどれだけの負担増になるか、この点をまず最初、数字をあげて明らかにしていただきたいと思います。
  126. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 お答えを申し上げます。  先生おっしゃられますように二九・二%の値上げになりました場合に、四十七年の国内の石炭の国鉄によります輸送量——四十八年度の数字が幾らになるかちょっと正確にわかりませんけれども、大体四十七年と同じと計算いたしますと、石炭業界全体では年間に約十七億円の負担増ということになるわけであります。
  127. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いまの石炭を含めまして、基礎物資でありますところの鉱石類、セメントそれから石灰石、こういった値上げ率と全体の運賃改定による負担増、これはどれだけになりますか。
  128. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 国鉄の輸送費は、先ほど申しましたように約十七億円負担増になるわけでありますが、全体の石炭でありますと、石炭一トン当たり七十円程度の負担ということになるわけでございます。
  129. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 あなた質問を聞いておったかどうかわかりませんが、石炭は運賃改定によって四十七年度十七億円、あるいは四十八年度も大体同じであろう、こういうことを明確に答弁したんですよ。私が聞いたのは、いまの石炭を含めて基礎物資でありますところの鉱石類、セメント、石灰石、こういったものの値上げの率と全体の負担増はどのくらいになるか、こういうことを聞いている。
  130. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 私、石炭だけでございますが、昨年で申し上げますと、原料炭につきましては石炭一トンにつき三百円値上げをいたしまして、一般炭につきましては百五十円の値上げをいたした次第でございます。
  131. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 答弁になっておりませんが、時間がありませんから先に進ませていただきたいと思います。  そこで、さらに通産省にお伺いをしたいわけですが、言うまでもなく、いま石炭産業全体は全くきびしい状況下に置かれております。そのために政府においても、この石炭対策推進のために本年以降相当ばく大な資金を投入する、こういうふうな計画になっていると思うのです。こうした現状の中で三〇%近い運賃値上げ、これを一体通産省としてどのように考え、しかも具体的にどのようにこれに対処をしようとしているのか。あわせて運輸省ないしは国鉄との話し合いが持たれておるとすれば、その関係も一緒に御答弁を願いたいと思います。
  132. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 先生おっしゃられますように、石炭はいろいろきびしい状況にございますので、本年度から第五次石炭対策を推進することにいたしまして、今国会でも法案を通していただいた次第でございまして、本年度総ワク千九十億円の予算を計上させていただいております。その中でいろいろございますが、石炭企業のほうに参ります予算は、いろいろなのを合計いたしますと、約六百二十億円の企業向けの対策がなされることになっておるわけでございます。先ほど申しましたように十七億円の負担増になるわけでございますが、全体といたしまして、石炭対策の立場から見まして特に著しい悪影響を与えることはないのではなかろうかというふうに存じておる次第でございます。
  133. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 十七億円というのではたいしたことはないという考えのようですが、これはあとで私申し上げたいと思う。非常に疑問です。  先ほど御質問申し上げました中で一つ落ちておるのでありますけれども、あなたのいまの答弁を聞きますと、十七億程度だからあまりたいした影響はない、したがって、運賃改定による値上げ分について運輸省ないしは国鉄当局とは何ら具体的な話し合いをやっておらない、このように受け取っていいのですか。確認をしておきたいと思う。
  134. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 業界といたしましてはやはり問題でございますので、いろいろ国鉄当局のほうに御陳情申し上げておる次第でございます。
  135. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そうしますと、この運賃改定によって三〇%近く上がる。金額にして石炭だけで十七億も上がる。国からは別な形で石炭政策としてずいぶん金を出しておるわけですが、そういうふうな全体的なからみの中で国鉄に対して陳情を申し上げておる、この程度で済ましていいのですか。具体的にもっと話は詰めてないのですか。重ねてお伺いしたい。
  136. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 石炭対策全般の問題といたしまして、いろいろ私たちのほうでも検討いたしておる次第でございます。そういうことで(「国鉄運輸省と協議したかと聞いておるのだ」「やらないならやらないでいいのだ」と呼ぶ者あり)全体の中でいろいろ検討いたしておるような次第でございまして……。
  137. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 非常にその点が確信もないし、あいまいだと思うのですよ。ところが昨年の六十八国会において、成立するには至りませんでしたけれども、本質的には今回と同様の値上げ案をめぐる論議の中で、当時の田中通産大臣質問に対してこういうふうに答えているのですよ。いいですか。石炭の輸送費については通産、運輸両当局の問で話し合いを進めておりまして、実質的には上がらないようにいたします。なぜそういう答弁をしたか。これは先ほど私が申し上げましたように、石炭産業がたいへんな危機状態にあって、国から相当の援助資金を受けておる、こういう状態の中で、昨年成立するに至りませんでしたけれども、そういった運賃改定が行なわれればたいへんなことになるのだ。したがって、いま具体的に国鉄当局と業者の間で話し合いを進めておるけれども、必要があれば通産、運輸両当局がこの運賃改定の問題に介入をして、そして実質的に上がらないようにする、こういう答弁を去年やっているのだ。ことしの場合はどうなんですか。それは事情がまるきり変わったのですか。
  138. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 昨年に比べまして、本年度はいわゆる第五次石炭対策の初年度でございますので、たとえば坑道補助金とかいろんな面で対策の積み増しをいたしたわけでございます。昨年と若干事情は違うわけでございますけれども、実際には、国鉄運輸省のほうにもその辺の御配慮をお願いするようにいろいろ申し上げてはおる次第でございますが、私のほうといたしましても第五次石炭対策ということでいろいろな、昨年に比べまして相当大幅な積み増しを石炭対策としていたしておる次第でございます。
  139. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 これは国鉄総裁にお伺いをしたいと思うのでありますが、いま通産省から御答弁をいただきましたが、品類別の全体の改定による運賃の増収率、それからそれぞれの品類別の割引率、こういうふうなものをお出しになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  140. 磯崎叡

    磯崎説明員 品類と申しますとどういうカテゴリーの品類でございますか、ちょっと。
  141. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 たとえば農水産品、それから鉱産品、それから繊維工業品、金属機器工業品、化学工業品、それからその他の工業品、さらにその他、こういうように品類別に分けて割引率を出そう、こういうふうにいろいろ検討しておられるでしょう。それを聞いておるのですよ。
  142. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうは品類でなくて等級でやっておりますので、先生のおっしゃっていることがどのことか私ちょっとわかりませんが、品類と申しますのは私のほうでは正確な統計には使っておりませんで、等級でもってやっております。
  143. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 等級は現行一級から四級まであって、今度は圧縮して三級にする、これはわかっていますよ。あなたのほうでは、これは四月の二十日の運輸委員会でそういう答弁をなさっているじゃないですか。品類別に整理をしようとしているのだ、割引率についてもいますぐにはこの四月二十日現在ではわからないけれども、早急にこれを品類別に——私先ほど申し上げましたいろいろな品類はあなたのほうの答弁ですよ。そういうふうに出ているでしょう。どうですか。
  144. 磯崎叡

    磯崎説明員 割引率と申しますと、さっき先生のおっしゃったのは品類別の増収額がないかというお話でございました。それから品類別の割引率と申しますのは、割引は品目ごとになっておりますので、たとえばいまおっしゃる繊維類と申しましても、中で割引があるかないか、品目で違いますので、繊維類全体として品目として何%という数字は出ないわけでございます。
  145. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 割引率は、それぞれ品目別に割引率が出るということはわかりますよ。わかりますけれども、たとえば繊維に例をとって、繊維工業品とこういうふうになりますと、その中で品目によって割引もいろいろ違う。あるいはないものもある。それを全体に平均するとどのくらいになるか、こういうことをお聞きしているのですが、もしそういう調査資料があなたのほうでまだ準備されてないとすれば、それはけっこうですよ、ないならないとおっしゃっていただきたい。
  146. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 お尋ねのことは、出荷契約トン数つきの営業割引の額の問題じゃないかと思いますが、それは申し上げますが……。   〔「あるじゃないか」「それは質問のしかたが   悪いのだ」と呼び、その他発言する者多し〕
  147. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 御静粛に願います。
  148. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 全体の額で六十六億だ、こういうお話を申し上げたわけでございまして、品類別に申し上げますと、農林水産品、これが三億二千二百万円、それから鉱産品が約七億、それから繊維工業品が十一億、金属機器工業品が十三億、それから化学工業品が六億、その他工業品が四千万、その他八千万ということで、車扱いで四十二億、コンテナで二十四億、合わせて大体六十六億、こういうことでございます。   〔発言する者多し〕
  149. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 御静粛に願います。
  150. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 初めからそういうふうにちゃんとできておるわけですよ。そういう金額まで具体的に出ていないと思いますけれども、これで品目品類別のあれはわかりました。  そこで先ほどの質問に返りまして、石炭に関係して総裁にお伺いをしたいのですが、国鉄とそれから通産省の間で、あるいは石炭の業者とそれから国鉄ないしは運輸省との間で、この割引の問題についてあるいは政策的な措置といいますか、そういう点が具体的に話し合いが進められているのかどうか。もし進められておるとすれば、現状はどういうふうになって、今後またどう進めようとされておるのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  151. 磯崎叡

    磯崎説明員 少し詳しく御説明をさせていただきます。  もちろん、私のほうの今度の運賃問題、石炭業界に相当影響のあることは十分承知いたしております。ただ私のほうと石炭業界とは、昔からいろいろな関係ございますけれども昭和三十六年の運賃を上げました際以来、石炭業界から、いま先生のおっしゃった非常に強い御希望がございまして、たしか三十六年のときは閣議でもって運賃値上げ分だけは当分猶予してほしい。猶予と申しますのは、借金にしてほしいというようなことでもって、ちゃんと保証人を立てまして、たしか五年間の未収金ということで無利子でお貸しをしたことがございます。さらに四十一年の運賃値上げのときも同じことでもって、実に累積、一番最後のときは二十億の石炭未収金というものを私どものほうのバランスシートに載せたことさえございます。その意味で、私どもといたしましては——しかもそれは無利子でございます。御協力できる点について、いままでほんとうに御協力してきたつもりでございます。さらに私どもといたしまして、これはちょっとなんでございますが、昭和四十三年のたしか第二次か第三次だったと思いますが、石炭の値上げをなさいましたときも私、はっきり記憶いたしておりますが、十三億の値上げを石炭合理化審議会の席上で何とかひとつ国鉄はのんでくれということで、私のほうも非常につらい中ではございましたが、率先してと申しますか、まず第一に、それを石炭の炭価の値上がりに応じたというふうなこともございまして、私のほうといたしましては、国鉄財政の許す限り石炭業界にはいままで御協力してきたつもりでございます。しかし今回はどうしてもできません。したがいまして、どうしても石炭業界がそういうことでございますれば、やはり政府でもってめんどうを見ていただくというふうに、国鉄にそれをお持ちくださることは私は今度はどうしてもできない。いままではできるだけいたしましたので、今度はひとつごかんべん願いたいというふうに思います。
  152. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そうすると今回はできない、こういうことです。  それで時間がありませんので、私、総括的に運輸大臣の見解を承りたいと思うのですが、そうしますと、これまでの運輸委員会でも多くの委員から質疑もされ、さらにまた一昨日来の連合審査の中で繰り返し質問が行なわれましたが、今回の運賃改定は、第一には、黒字である旅客運賃については平均二三・二%上げる。それから第二には、赤字である貨物運賃については平均二四・一%上げる。さらに第三には、しかしこの貨物運賃の値上げは平均二四・一%になっておりますが、その内容を見ますと、先ほどもちょっと総裁から答弁がありましたが、現行の四等級制度を三級に圧縮をする。そうした中で、特に現行の一級、すなわち自動車だのあるいはクーラーだのあるいは時計だの冷蔵庫だの工作機械だの、こういう大企業がつくっている製品の運賃については六・八%、七%弱しか上げない。しかし、そのほかはそれぞれ二五%から三〇%近く上げる。そうして、その中でも大企業に対してはいろいろな形での営業割引というものが行なわれている、こういうふうになると思うのですが、その点はどうなんですか。
  153. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 運賃改定の内容について詳細に御検討くださいますればおわかりだと思いますけれども、今度の運賃改定は、旅客と貨物の間でいまお示しのような多少の開きはございますけれども、それを全体総合いたしまして、十カ年間に国鉄の財政を再建しようということでございまして、個々の品目からまいりますと非常にシビアなものも出てくるかと思いますけれども国鉄をこのままの状態で放任いたしますことは、何しろ日本の輸送の大動脈であります国鉄の機能を喪失させるということになりますから、これは何としても今回はこの程度の値上げはさしていただきたいということをお願いをいたしております。  その中で、いまの特に一次産品について、等級制を改正いたします結果ウエートが非常に重くなるということも事実でございます。これについては、おそらく、この案を出しますにつきまして物資官庁、農林省でございますとか通産省でございますとか、そういう方面にも十分御連絡をしていると思いますので、そういった方面におきましてもそれぞれに対策を講じていただいていると思います。私は、言うまでもございませんけれども、こういう貨物運賃につきまして改定をお願いいたしますのは六年目か七年目になるわけでございまして、これにつきましては各産業とも苦しいであろうと思いますけれども、さっき申し上げたような国鉄の機能を失うかどうかというようなせとぎわに立っておるときでございますから、忍んでいただいて、関係各省もそれに御協力いただきたい、こういうたてまえでお願いをしている次第でございます。
  154. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 質問を終わりたいと思いますが、いま大臣から見解を賜わりましたけれども、いずれにしましても四等級の制度を三級に圧縮する。そうしてそれぞれの一級、二級、三級の改定値上げ率というものを見ますと、いわゆる中小零細企業やあるいは一般庶民大衆の生活に直接かかわる運賃の値上げが非常に大幅であって、現在の一、二等級、特に一級、この問題については、繰り返して申し上げますが、六・八%程度しか値上げをしない、貨物に限って私申し上げておるわけですが、こういうところに今回の運賃改定の本質がある、こういうふうに思うわけです。  これで私の質問を終わります。
  155. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 午後一時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ————◇—————    午後一時三十七分開議
  156. 井原岸高

    井原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。福岡義登君。
  157. 福岡義登

    ○福岡委員 政府は、御承知のように、二月の十三日に経済運営の指針といたしまして、経済社会基本計画というものを策定されたのですが、今回提案されております国鉄財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案とこの基本計画との関係を、まず運輸大臣のほうからお伺いしたいと思います。
  158. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 今回の十カ年の長期計画は、もちろん基礎を経済社会基本計画の考え方に置いていることは事実でございまして、内容のいろいろの数字的な見通しにつきましても、大体において経済社会基本計画の線に合わせて計画を立てております。ただ、経済社会基本計画のほうは五年間でございますが、私のほうの再建計画は十カ年でございまして、これは今後五カ年間の経済社会基本計画における考え方を基本にいたしまして、それにできるだけの権威のある数字を用いまして、推計をいたしておるのでございます。
  159. 福岡義登

    ○福岡委員 私もそのように理解をしておるのですが、この経済社会基本計画自体に相当の問題をはちんでおると思うのです。これは国土総合開発法のときに、またじっくり議論をさしていただきたいと思うのですが、まず第一に、この基本計画というものは、今日までの高度経済成長政策の延長でありまして、依然として生産第一主義である。この点を強く私どもは指摘をしておきたいと思うのですが、その個々の諸問題につきましては、申し上げましたように国総法の審議のときに譲らせていただきたいと思うのであります。  ただ、ここで明らかにしたいと思いますのは、三月十四日に産業計画懇談会というのがございまして、これは日本の財界の首脳部が集まって将来の産業構造についていろいろ研究したのでありますが、その提言といいますか、報告書がここにあるわけであります。その一節をちょっと読んでみますと、「われわれの第四章に述べていることがかりにも真実に近いものなら、いま世間に通用しており田中総理の「日本列島改造論」にも引用されているところの“昭和六〇年のGNPを三〇八兆円とみる見方”を基本とする一連の数字は、完全に根拠を失うことになる。これは当面の政策問題としてもきわめて重要な意味をもつことであるから、われわれが第四章に述べるところは間違っているのか、いないのか、責任ある方面の責任ある研究を、これは国民の名において、希望したいと思う。」こういうように述べておるのであります。この産業計画懇談会の中身について一々触れる時間はございませんが、結論だけいま申し上げたわけであります。  そこで、先ほど大臣から御答弁がありました今度の国鉄の財政再建というものは、さきの経済社会基本計画を基礎としておるとおっしゃる。この経済社会基本計画は、列島改造論に根拠を置いておるわけであります。そうしますと、この経済の指針とされる経済社会基本計画というものは、相当再検討を加えなければならぬ要素をはらんでおる。そういうものを基礎にして国鉄の投資をやっていく、あるいは国鉄財政再建をやっていこうということは無理があるのではないかと思うのですが、運輸大臣の見解はどうですか。
  160. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 経済社会基本計画の基礎になっております数字、これは五年間における日本の経済社会の発展の構想を一応持ちまして、それに応じたような施策はこうなきゃならぬということを書いておるのでございます。なるほど当面、経済社会基本計画において予想しておりますような数字を、ある程度上回ったりはずれたりしておるところは若干あると思います。それは事実でございますけれども、私どもは、やはり五カ年間の長い期間におきまして、経済社会基本計画の目途としておるところを達成しようとしておるのでございまして、現在いろいろな要素が出ておりますけれども、それですぐに経済社会基本計画を修正しようということは考えてないのでございまして、極力あの方向で努力もしなければならないし、あの方向に持っていくようにこれから政府もあらゆる施策を集中しようとしておるのでございまして、これは私の担当ではございませんのでこれ以上申し上げるわけにいきませんが、私も経済閣僚懇談会の一員といたしましてはそのように考えておりますことを申し上げておきます。
  161. 福岡義登

    ○福岡委員 運輸大臣のいまのお話ですが、産業計画懇談会が出しておるこの提言といわゆる経済社会基本計画とは、若干の数字の相違じゃないのですね。大きな——あとでまた輸送量その他については具体的に触れますが、ある意味では根本的に発想が違うといってもいいと思うのです。そこで、この経済社会基本計画を策定されました経済企画庁、お見えになっておるでしょう。その点について一体、産業計画懇談会の提言と経済社会基本計画との関係、将来どうやっていこうとしておられるのか。これはもう問題ないのだ、民間のだれかが適当にやっておるのだということで見過ごすわけにはいかないと思うのです。その辺を経済企画庁としてはどう考えられておるか、はっきりしていただきたいと思います。
  162. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 経済社会基本計画におきましては、活力ある福祉社会をつくるということを基本方針にしております。そのために、ただいま仰せがありましたが、産業計画懇談会では産業構造の転換ということを非常に強く主張しております。私どもがこれを策定いたしましたときも、福祉社会の建設のために公害のない産業構造に切りかえていこう、いわば地域集約型の産業に転換をするようにということをかなり織り込んでおりまして、この五年間はこれでやっていけると思います。また、いまお話しのように、公害あるいはその他の必要性からどうしても修正をする場合にはこの見直しをする、そういうこともこの基本計画の方針としてうたってございますから、この計画の期間においても見直し作業ができると考えております。
  163. 福岡義登

    ○福岡委員 この五年間はこれでやっていけるとおっしゃいますが、私はそうじゃないと思うのです。この五年間の政策のとり方というのは非常に大切である、産業構造の転換をはかっていこうというなら、政策的に改めていかなければならないものが相当あるはずであります。しかし、それは初めに申し上げましたように別の機会に議論をしたいと思うのです。  そこで、この中で一つどうしてもはっきりしておかなければならぬのは、輸送量の推定の問題なんです。どういうようになっておるかといいますと、この列島改造からいきますと昭和六十年には、貨物で言いますとおおむね二百億トンという想定がされておる。それから経済社会基本計画によりますと、昭和五十二年における輸送量は九十五億トンと想定されておるわけであります。それを前提にして国鉄の政策なりあるいは財政再建なり投資をやっていこうとしておるわけであります。ところが、この産業計画懇談会はどういう指摘をしておるかといいますと、これも短く結論だけ読んでみるのですが、こう書いておるのです。「われわれが行なった研究とその予測によれば、六〇年までの国内総輸送量は表27のようになり、産業構造変化、交錯輸送と流通改善、および個人消費の変化等の輸送構造変化要因で補正した妥当輸送量は、それぞれ六四、七七、八三億トンで、日本列島改造論に示された数字二〇〇億トンの四〇%にすぎない。」こう書いてあるのです。運輸大臣、いいですか、日本列島改造論の四〇%程度しか輸送量を見込まない、こう書いてある、またそうできるのだと書いてある。そうすると少々の数字の相違じゃないわけです、一〇〇と四〇ですからね。そういう問題を残したままで国鉄の財政再建なり投資をやっていくというのは非常に危険だと思う。その辺どうですか。
  164. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 輸送関係でございますから私からお答え申し上げますが、輸送需要の分量の予測でございますけれども、これまでにいろいろ権威のある数字が方々から出されておりますが、結論は必ずしも一致しておりません。これは経済社会基本計画もそうでありますし、私のほうの諮問機関であります運輸政策審議会でもやはり測定をいたしております。それから国土総合開発計画、ここでも予測いたしております。そういうふうにいろいろの機関がそれぞれの立場でいろいろの前提条件を置いて計算をしておるわけですが、そう非常な大きな開きはございませんけれども、結果が違っておることは事実でございます。今度の再建計画で輸送量を測定いたしましたが、五十七年度における国鉄の輸送量といたしまして、これは運輸委員会でも御説明をしたところでございますが、旅客のほうでは三千二百七十億人キロでございます。貨物のほうでは千四百十億トンキロでございます。これは五十七年度における国鉄の輸送量を予想しておるものでございます。経済社会基本計画はどうなっているかといいますと、これは五十二年度までしか出ておりません。そこですぐにこれを比較するのは適当じゃないかもしれませんが、鉄道輸送量といたしまして、これは国鉄だけじゃありません、私鉄を含んでいるんですが、旅客三千六百七十億人キロ、貨物八百三十億トンキロというふうに五十二年度の予想を出しておるのでございます。これを両方対比してみますと、さっき申し上げたように片方は私鉄も含んでおりまして、五十二年度でございますので、すぐにそれを比較するわけにはまいりませんけれども、いろいろな前提条件は多少違うかもしれませんが、計算の根拠といたしましてこれを採用いたしましても、経済社会基本計画とわれわれのほうのこの十カ年計画において測定をいたしております輸送量は、大体斉合しているというふうに考えておる次第でございます。
  165. 福岡義登

    ○福岡委員 私がいま問題提起をしておりますのは、経済社会基本計画といまおっしゃった運輸省が推定をされておる輸送量は似通っておる。それは私も否定しないのです。問題は、経済社会基本計画と産業計画懇談会が出したものがわずかの相違ならいいけれども、四〇%程度にしかすぎない、こう言っておるわけですからね。倍半分じゃないのです。そういう大きな問題を残しながら交通政策なり国鉄問題を議論するのは非常に危険ではないか。その点はどうなんですか。運輸大臣よりも経済企画庁はどう考えているのですか。
  166. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 産業計画懇談会の提案は非常に有効な提案であると思いますけれども、必ずしも合理的な根拠を持っているとは考えられないのでございます。非常に大事な提案ではございますけれども、われわれ政府で策定をしました経済社会基本計画は非常に綿密な、実情に即した計算をいたしまして、実行可能なものとして提案をしておるのでございます。そういう意味で昭和六十年にはかなりの食い違いがあるかもしれませんけれども、われわれのほうではそういうような将来の展望また現実の状況に照らしまして、このさしあたって五カ年の基本計画は正しい、そういうような確信を抱いております。その中で九十五億トンの貨物輸送量が五十二年に想定されておりまして、四十六年からすれば一・八倍というふうになっているようでありますが、国民総生産、鉱工業の生産の動向、そういうものを考えますと、四十一年から四十六年の貨物輸送量は平均一四%でございますが、四十七年から五十二年までは大体一〇%と鈍化するように見ておりまして、かなり合理的なものではないか、そう考えておる次第でございます。
  167. 福岡義登

    ○福岡委員 では、これ以上この問題は掘り下げませんけれども、ただ言っておきたいのは、私のほうもこの「産業構造の改革」というものについては一定の意見を持っております。しかし、こういう方向にいくべきであるという面も相当この中に入っておると思う。ですから、五十二年の九十五億トンというのは政策的にも幾らか輸送量を減らすことはできるだろう、またそうするべきであるという意見を私どもは持っておるわけですが、それは問題点としてこの程度にとどめまして、次へ進みたいと思うのです。  次は、御承知のように輸送関係の投資がいろいろあるわけであります。大きいのは何といってもいま提案をされております国鉄の十カ年計画で十兆五千億円、それに道路整備第七次五カ年計画の十九兆五千億円。内容的に申し上げますと、新幹線は将来七千キロ、昭和五十二年度経済社会基本計画でいいますと、当面七千キロのうち千九百キロを供用開始する。道路のほうも一万キロの高速自動車道路のうち三千百キロを供用開始する、こういうわけだ。相当大きな投資でありますが、この投資が重複してはいないか。もし重複しておるとすれば、これはむだな投資になるわけであります。私どもは、相当部分これは重複投資であるというように判断をいたしております。私どもの判断とあわせながら新聞論調その他を見ましても、そういうことが強く指摘されておるのであります。ここで一つだけそれを御披露申し上げますと、四十八年三月七日の朝日新聞ですが、論説で「国鉄再建案を考える」というもので書いておるわけです。その中の一節にこういうものがあるわけであります。これは法政大学の力石定一教授が指摘されておるのを朝日新聞が引用しておるわけであります。「交通マヒや自動車公害がひどくなり、自動車輸送を抑える時期が来たことはわかり切ったことだ。この際、政府は道路計画のうち、国土縦貫の高速道路部分の建設は全部削除し、県道や町村道、生活関連道路に限定すべきだ。そうしてこそ、鉄道高速大量輸送という特性が生かされ、自動車輸送との組合せも有効となり、国土全体の発展につながる」こういう指摘もあるのです。だから私どもは第七次道路整備の審議の際にもそういう主張はしたのだが、結果的にそうならなかった。ここでは総合輸送体系というものの立場から考えると、少なくとも重複投資は避けなければいけない、こう思うわけでございます。この十兆五千億円の国鉄の投資、つまり七千キロの新幹線建設計画と一万キロの高速自動車道路の建設計画は重複投資になっていないかどうか。私はなっておると思う。それで、もう時間がありませんから、運輸大臣なり建設省、経済企画庁の見解を結論的に短く言っていただきたい。
  168. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 端的に御答弁申し上げますと、高速道路と新幹線、これは一番並べて考えられる問題だと思いますが、かりにこの二つを並べて考えまして、いまのお話のように重複投資になってないか、つまりむだな投資じゃないか、こういうことかもしれませんけれども、私どもはそういう考え方をしておりません。道路と新幹線のような旅客輸送というものはそれぞれ目的を別にしておりまして、道路のほうは、おそらく中距離以上長距離のほうは旅客輸送にはあまり役に立たないものだろうと思います。もちろん利用される方もあるかもしれませんが、大衆的な大量の公共交通機関としては利用されないだろうと思います。新幹線のほうは、少なくとも中距離及び長距離の旅客輸送にはどうしてもなければならぬものだと考えるのでございます。それぞれの特性がございますから、それぞれの特性を生かして、道路輸送及び鉄道輸送というものをそれぞれ分担しながら、特色を発揮して輸送に当たるという形が総合交通体系の中でも必要であるということがいわれておるのでございまして、私どもはその線に沿ってやっておるのでございます。いま私の所管でございませんから、道路が多過ぎるとか少な過ぎるということは私から申し上げられませんけれども、両方が重複しているかどうかということになりますと、これはお互いに相補って旅客輸送の面で非常に貢献している部分が多いのじゃないかということを考えていることを申し上げておきたいと思います。
  169. 福岡義登

    ○福岡委員 時間の関係で、重複投資問題はこれ以上深く掘り下げられなかったのは残念ですが、結論として、私は重複投資である、また学者その他一般にもそういう強い指摘がされておるということだけ申し上げておきたいと思うのです。  それから鉄道と道路との経済性の関係を同じく同日の朝日新聞が取り上げておるわけであります。これは伊藤善市東京女子大教授が指摘しておるのであります。「高速道路の建設に必要な電力などのエネルギーは、鉄道建設に比べて四倍、自動車で一トンの荷物を運ぶのに必要なエネルギーは鉄道輸送より六倍かかるとの試算」を出しておる、こう書いてあるのですね。重複投資の上にもっていってまた経済性を考えみると、いまの道路政策と鉄道政策というものは、根本的に洗い直されるべき筋合いのものではないか、こう思うが、どうですか。
  170. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 自動車輸送と鉄道輸送の関係についてのお尋ねでございますけれども、重複投資ということについては先ほどお答えいたしましたが、どちらが経済的にいいかどうかというような点を重点に置いての御質問と思いますが、経済性から申しますと、やはりさっき申し上げておりましたようにそれぞれに特色がございますから、たとえば自動車輸送でかりに貨物の問題を取り上げてみまして、非常にこのごろ伸びておりますトラックというようなものを考えましても、長距離の輸送になりますとトラック輸送はどうしても経費が高くなります。これは輸送面から申し上げている。建設面じゃございません。輸送の経費から申し上げているのですが、これに反しまして、貨物輸送で近いところはどうしてもトラック輸送のほうがドア・ツー・ドアで運びますから、このほうが経費も安いということはいえるわけでございます。経済面から見ますと、これは運輸委員会でもたびたび御答弁したのですが、大体の限界点は二百キロくらいのところじゃないかというふうにわれわれ推測をしておりますが、ところが実際面につきましては、なかなかそういうふうに簡単にはいっていないのであります。これは鉄道の持っております経済性のほかにサービス面において変わってきておりますから、このサービス面も加えますと、必ずしも運賃の高い安いだけでは、利用する人たちはそのほうに画一的には流れていかないというのが現状でございまして、結局利用者の選択にまかしておるわけですが、いまのお話の中で考えろとおっしゃるのは、おそらくそういったことがあるのだからもっと基本的に計画を立てて、誘導政策のようなものをもっと強化したらどうか、こういうことを主眼にしてのお尋ねじゃないかと思いますけれども、これについては今後さらに私たち具体的な政策を立ててそういう方向に向かって努力をしたいとは考えておりますけれども、これは外国にありますような、現在行なわれておりますような誘導政策というのはなかなか行なわれにくい。今後の問題にしていただきたいということをお答えしておる次第でございます。
  171. 福岡義登

    ○福岡委員 今後の問題にしていただきたいとおっしゃいますが、これはもうおそきに失しているわけですよ。国鉄財政再建を考えるならば、そういう政策が確定をしなければできないわけでしょう。これは問題点としてひとつ指摘をしておきたいと思います。  次に、機関別輸送量について少しお伺いしたいのですが、この経済社会基本計画なんですが、先ほど大臣がおっしゃったように旅客の数でいきますと五百七十二億人、昭和五十二年の輸送人員はこうなると書いてあるのですね。それから貨物のほうは、先ほど申し上げましたように九十五億トンである。この機関別輸送に分類してあるわけですね。そうすると人のほうは鉄道で三三・九%、自動車で六五・五%輸送する、こう書いてある。ここでは時間がありませんから、旅客のほうは省略して、貨物のほうですね。九十五億トンのうちの九〇・一%は自動車輸送だ、トン数でいきますと。トンキロでいくとまた変わるのですが、しかし自動車が圧倒的に多いことだけは間違いないですね。四四%ですか、鉄道が受け持つのは三・一%しか受け持っていない、こうなっているわけですね。これを見ますと、今後の日本の輸送の主力は自動車にたよっておる、こうなるわけですよ。それが許容されるかどうかという問題を私はお尋ねしたいと思うのであります。この自動車輸送を確保するためには、三千百万台から三千二百万台の保有台数を持たなければいけない、昭和五十二年度に。それだけの自動車をかかえてやっていけるかどうか、運輸大臣どう考えられますか。
  172. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 そういった道路における自動車輸送の将来というものを考え合わせますから、今度の提案では、国鉄の行ないます貨物輸送の姿勢を変えようとしているわけでございまして、今日まで、私が言うまでもございませんが、国鉄の輸送のやはり重点になっておりましたのは旅客でございまして、貨物のほうはどうもおろそかになっておったように思います。この点は国鉄総裁もたびたび言っておるとおりでございまして、そのために貨物を荷主の需要に応じまして輸送する体制が十分ではございません。そういった意味におきまして、国鉄が今度施設も整備をいたしますし、車両も整備をいたしますし、また自動車との一貫輸送を考えまして、利用者が国鉄を利用して貨物を輸送され得るようなサービス面の改善をいたしまして、国鉄のほうにもっとより多くの貨物を吸収していこうということが、一つの十カ年計画における大きなねらいになっておるわけでございまして、現在のところはそこまでいっておりませんから、それを何とかしてこの際に改善しようというのが一つのねらいでございます。
  173. 福岡義登

    ○福岡委員 それじゃお伺いしますが、この十カ年計画が終了する最終年度昭和五十七年度において、国鉄は一体、貨物総輸送量のうちの何%を輸送できると考えておられますか。
  174. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 全体の荷動きが的確に把握されないようでございますので、全体の中のシェアとしては何%だということは、いま的確には申し上げられないというのが実情でございますが、先ほど申し上げましたように、五十七年度におきましては、先ほど申し上げましたような数字は国鉄において確保できるということでございまして、現在のシェアを相当上げ得る、またわれわれも旅客についてシェアを上げますよりも、貨物についてのシェアを上げることを主眼にいたしておりますので、計画といたしましては、そういう数字をもとにして十カ年間の計画を立てております。場合によりまして、ちょっと数字を申し上げましょうか。
  175. 福岡義登

    ○福岡委員 答弁簡単にしてもらわないと、四十五分しかやれないのですから、二時間か三時間やらしてもらえるならこれはいいですが。  ところが、この経済社会基本計画によりますと、国鉄のシェアは下がっているのです。これは少なくとも、さっき言われましたように、綿密に計算をしたものである、こうおっしゃった。昭和四十六年に貨物のシェアは、国鉄は四・七%でしょう。それが五十二年には三・一%に下がるのです、大臣。(「一ぺん下がってまた上がるのだ」と呼ぶ者あり)下がってまた上がるのですか、何かみたいに。そういうでたらめな答弁じゃいけませんよ。
  176. 秋富公正

    秋富政府委員 国鉄の十カ年計画におきましては、最初の五年間、特に最初の三年間におきましては、ただいまの国鉄の輸送サービス改善ができておりませんので輸送量の伸びというものはきわめて低目でございまして、四十八年から五十年の間は毎年の伸び率を三%と、かように……。
  177. 福岡義登

    ○福岡委員 最終的にはシェアは何ぼになるのですか。
  178. 秋富公正

    秋富政府委員 いま申し上げましたように五十七年度におきますシェアというものは、いろいろな経済フレームの関係がございまして、そのときのシェアというものは正確に出ませんが、私どもといたしましては極力鉄道がになう使命というものを拡大していきたい、かように考えております。
  179. 福岡義登

    ○福岡委員 目標ぐらい持たないと……。これだけの基本計画があるのでしょう。大臣はだんだん上がっていくとおっしゃったから、下がっているんじゃないかと言えば、こうこうだとまた別の答弁をする。そういうずさんな計画国鉄は再建できないということを申し上げておきたいのです。  そこで次に別の観点から、自動車輸送が許容できないであろうと思われますのは、自動車の台数がどんどんふえてまいりました。これは野放しですから、どんどんつくれ、つくれ、こういうわけです。ところがそれに道路が追っつかない。過去十カ年間をとってみますと、これはことし一九七三年の道路統計によりますと、いままで六次の道路整備計画をやってきた、道路の資産は三倍になったわけであります。ところが自動車の保有台数は十倍になっている。建設省、お見えになっていると思いますが、第七次道路整備五カ年計画が完了したときに、自動車の保有台数と道路資産のバランスは一体どういうようになるのか、説明していただきたい。
  180. 中村清

    中村説明員 いまお話がございましたように、四十八年度を初年度といたしまして第七次の五カ年計画が発足するわけでございますが、五カ年計画の終了時の昭和五十二年度におきましては、一台当たりの道路資産額でいいますと、大体現在と同程度の水準を維持できるというふうに考えております。
  181. 福岡義登

    ○福岡委員 同程度ということは、もう運輸大臣承知のように、これだけ交通が混雑している、交通事故も公害もものすごい状態である。それで運輸行政をつかさどる運輸大臣としては満足されますか。できないでしょう。ここにも政策が不在であると言わざるを得ないですね。  時間がありませんので一括して申し上げますから、それぞれ答えていただきたいのですが、環境庁は三千二百万台の自動車を——昭和五十二年度には三千二百万台からの自動車になるのだが、公害対策についての責任を持てるかどうかということを言ってもらいたい。  警察庁は、交通事故に対して責任を持てるかどうか、どういう対策を考えておられるか。  通産省は、燃料などの調達が責任を持ってできるかどうか。  労働省にお伺いしたいのは、すでに通運企業ではトラックの運転手が足りないということになっておる。ものすごくトラック、バスの台数がふえるのだが、一体労働省としては——これはある意味では自動車免許証の関係からいえば運輸省にも関係がありますが、運転手は確保できる見通しがあるのかどうか、それぞれ答えていただきたい。
  182. 小林育夫

    小林説明員 ただいまの御質問、非常にむずかしい要素がございます。まず第一には、自動車の伸びというものは、現在地方では非常に伸びておりますけれども、都心部では非常に伸び率が下がっておるということがございます。それから二番目の問題は、台数と大気汚染の関係でございますけれども、現在東京の例をとりますと、毎年九%程度の自動車が伸びておりますけれども、実際の交通量というものは横ばいでございまして、台数の割りには交通量というものはふえておりません。それからその次には、大気汚染と申しますのは、CO、一酸化炭素以外の炭化水素とか窒素酸化物については、これは自動車ももちろん出ますけれども、固定発生源、工場とか事業場とかそういうものとのかね合いできまるものでございまして、そういった意味でこういう要素を総合的に判断いたしませんといけないわけでございますが、そういうことはひとまずおくといたしまして、私どもが考えております自動車の規制と申しますのは、昭和五十年、五十一年におきまして一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素につきまして、それぞれいまの車の十分の一にするということを考えております。したがいまして、そういう単純な計算から申しますと、すべての自動車が十分の一になった暁には十倍になって現在の状態である、非常に簡単に申せばそういうことかと思います。
  183. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 交通事故について自信が持てるかということでございますが、現在大都市におきましては交通の施設、警戒力その他入れまして確保しつつありますし、何としても大都市は押えなければならぬと思います。そうしてふえていくのは地方のほうが多いわけでございますけれども、そうした地方の県につきまして安全施設なりあるいは道路の構造並びにそれらを監視いたします警戒力といったものを、大都市並みに引き上げていくことによって抑止し得るものと考えております。
  184. 山形栄治

    ○山形政府委員 自動車のガソリンの問題でございますけれども、現在、本年度で自動車に使われておりますガソリンが二千六百九十万キロリットルでございます。これは全石油消費量の約一〇%でございます。ちなみにアメリカはこれが三割以上という非常に大きなシェアを占めておりますけれども、これは車が大きいような点が関係するのだと思います。  こんな関係から、現時点におきます将来の見通しといたしましては、石油供給量の全体の伸び等から見ましてガソリンの需要が問題になるということはないのじゃないか、われわれはこう考えております。ただし、御存じのとおり原油をめぐります国際環境が非常にきびしいわけでございますので、御指摘のとおり、ガソリンをなるだけ使わない省ガソリン化の技術開発等は当然やるべきだと思いますが、この辺につきましては、現在総合エネルギー調査会のほうで全体のエネルギー問題の一環として検討を進めようとしておる段階でございます。
  185. 加藤孝

    加藤説明員 私どもの把握しております四十七年度状況では、トラックの運転手というだけではございませんが、自動車の運転手の不足が約十二万人という現状を押えておるわけでございます。この原因は、トラックの運転手についての就業時間が長いとか、賃金その他の労働条件の伸びが、必ずしもほかの産業と比べて特にいいというわけではないというような点にも問題があるかと存じます。今後はこういう運転手の業務につきまして、労働条件の改善、その他この職種につきましてより魅力ある仕事という形での改善がなされない限り、なかなかその労働力の確保は容易ではない、こういうふうに考えます。
  186. 福岡義登

    ○福岡委員 時間があとわずかしかないのですが、運輸大臣、お聞きのとおりであります。自動車中心の輸送をやろうとしてもできない条件が幾つかあるわけで、ここらでもう総合輸送体系というものを明確にされまして、誘導政策をとられる必要がある。行き当たりばったりのこういう交通運輸政策で、われわれは審議に臨むわけにいかない。国鉄財政再建もそういう意味では、洗い直してもらわなければならない、賛成できない。さらにつけ加えますと、このマイカー族なんかも、若い家庭の破壊をしておることも皆さん、運輸大臣も御承知のとおりだと思うのです。全体的に、この交通体系というものを洗い直していただいて、早急にそれを確立をさしていただいた上で、国鉄はいかにあるべきかということを再提案されるように強く望んでおきたいと思います。この国会ではひとつ撤回をされたらどうかということを強く要望しておきたいと思います。  あと時間がありませんので、問題点だけ申し上げて善処を要望しておきたいと思うのですが、踏切対策の問題であります。昭和四十七年度、つまり昨年の四月一日から本年三月三十一日までに千八百七件の踏切事故が発生をいたしております。総裁も御承知のとおりであります。死者は四十六年度に比べて十人ふえて四百七十二人、負傷者は八十三人ふえまして千十二人になっております。これを踏切の種類別に見ますと、一種で四百十二件、全体の二二・八%でありますが、二種はございませんから、三種で六百六十八件の三六・九%、四種の踏切で七百二十七件の四〇・二%であります。合計千八百七件の交通事故になっておるわけであります。そこで、どれだけ道路が立体交差化されているかということを調べてみますと、もとの一級国道では、立体交差になっておるところが九百二十カ所、なってないところが百七十七カ所、一級国道でまだ百七十七カ所も立体交差ができてない。もと二級国道では、さらにそれが大きくて、立体交差ができているのは七百八十二カ所であります。平面交差が六百五あるわけであります。国道を合計いたしますと、千七百二カ所が立体交差になっており、七百八十二カ所が平面交差で、さらにこれを主要地方道まで入れますと、これは主要な市道も含むのでありますが、立体交差になっておるところは八百八十一カ所、平面交差が千三百十カ所あります。総合計いたしますと、立体交差になっておるところが二千五百八十三カ所、平面交差のところが二千九十二カ所もあるわけであります。踏切事故の解決の根本策というのは、何といいましても立体交差にあると私は思う。よその投資をある程度調整をしてでも、踏切事故を防止するために立体交差を急がなければならない。これは建設省と国鉄との関係、両者で協議をしてもらわなければいけないことでありますが、これを促進をしていただきたいということが一つであります。時間がありませんので答弁は要りません。  それから、第二番目は、四種の対策であります。先ほども言いましたように、全体の事故のうちの四〇・二%は四種で発生しておる。これは警報機も何もない踏切なんであります。少なくともここ数年のうちには、四種は解消するという方向で具体的な作業計画を立てていただきたい。  以上、要望いたしまして、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
  187. 井原岸高

    井原委員長 井上泉君。
  188. 井上泉

    井上(泉)委員 天下の悪法であるこういう法律を出す関係か、国鉄総裁はまことに深刻な顔をしてじっと朝からすわっておるわけですが、自信のある法律ならもっと明るい顔ができると思うのです。自信のない法律を出しておるからそういう顔にならざるを得ないと思うわけです。  そこで、国鉄総裁はいわゆる時代の流れに乗ることが非常にじょうずだ、世間にこういう話が伝わっておるわけです。ほんとうにそうだと思います。というのは、昭和四十四年のときの、この国鉄特別措置法ができたときには、赤字路線を廃止しないと国鉄の再建はできない、こういうことで委員会でずいぶん大みえを切って抗弁これつとめたわけですが、今度田中内閣になると赤字路線廃止なんということは考えられない、日本全国新幹線網でやろう、こういって、田中総理にウマを合わして、そうして国鉄総裁の首を守っておる。そうして一方では十一万人の国鉄職員を首切ろうとする、一体その辺の心境の変化はどうですか。赤字路線廃止から、今度赤字路線廃止をやめて、新幹線もやろう、赤字路線も走らす、そういうことに至った心境は一体どういうところにあるのですか。
  189. 磯崎叡

    磯崎説明員 私の個人的な問題につきましてたいへん御忠告、ありがとうございました。  ただいまの御質問でございますが、今度の計画と前回の計画と比較いたしまして、いわゆる新幹線の問題、それから赤字路線の問題二つ変わった点がございます。赤字路線の問題は運輸委員会でもしばしば御答弁申し上げましたが、私はあくまでも赤字路線のうちで——赤字路線と申しません、地方交通路線と申しますが、ローカル交通をやっている鉄道の中でほんとうに鉄道としての使命がなくなったもの、これは皆無ではございません、相当ございます。もちろん細々とやってはおりますけれども、相当数のキロ程で、あると思います。それは私はあくまでも廃止すべきだ、いまでもそういうふうにはっきり思っております。したがって今回の二月二日の閣議了解の中にもその点は入れていただいておりまして、一線といえども廃止してはいかぬということには私は絶対反対でございます。必要でないものはやめるという精神には変わりございません。しかしながら昨年、線名は公にいたしませんでしたけれども、三千四百キロのものをやめるということを前提としての財政措置その他のことを政府からいろいろやっていただくことになっておりましたけれども、その三千四百キロの中で、最近の過疎過密対策で通産省あるいはその他の関係各省が、あるいは工業再配置に使うのだ、あるいは住宅用地に使うのだというふうな相当明確な計画をお出しになっているところがございます。先般の告示等によりますと、ほとんど、私のほうの要らないといった八十三線区のうちの大部分がその再配置計画と申しますかの中に入っております。国として、いままで流れるにまかせた過疎過密問題をここで相当人為的に、大きな政治でこれをもとに戻そう、あるいは過疎過密を解消しようという大きな意図がおありになるときに、それに相当役立つだろう鉄道の、地方交通をつかさどっているローカル線については、これは残さざるを得ないというふうに私は思いました。ただし、いままでは、そう言ってはなんですが、大体流れるがままに過疎過密になってきたと私は思います。それを今度は相当大きな力でこれを解消しようということでございますので、それには御協力すべきだというふうに私は思いました。その点で、原則は曲げないままで、実際の扱い方において率直に申しまして若干後退いたしております。それは率直に私認めます。  それからもう一点、全国新幹線でございます。これは御承知のとおり、前回の案におきましては、十カ年計画中に開業いたすのはいまやっている工事三線だけでございました。現在の調査五線は昭和五十六年度、すなわち昨年の計画の最終年次でございますが、昭和六十年度時点においては工事中であるというふうに御説明申し上げました。その昭和五十六年度工事中であるというものを、二年間繰り上げるということでございます。すなわち五十三年度中につくり上げて五十四年度から開業しよう、こういう話でございます。二年間でございます。先ほど申しました国土の再開発、過疎過密に役立つということならば、この二年間について相当大幅な政府の援助をしていただく、政府の出資をしていただくということがあれば、これは応じてもいいのじゃないかということを考えました。その点が変わったといえば変わった点でございます。  以上御説明申し上げます。
  190. 井上泉

    井上(泉)委員 そういえば、そういうふうにあなたの心境が変わったがために田中首相もあなたを再任をした、私はそう思います。  そこで再任をされたときのあなたと副総裁の記者会見。その記者会見の模様でありますが——きょうは副総裁の出席を要求したのですけれども、副総裁はよそへ行っていないから、どうしても出席できない。総裁を補佐する副総裁がいないということはたいへんじゃないか、こう言ったのですけれども、どうしても来られない、こういうように言うわけです。それじゃ総裁が突然病気で倒れたらどうするか、いやあの総裁はなかなかじょうぶです。しかし機関士や運転士でさえもそういうことがあったじゃないか、だからもし総裁が倒れたときに副総裁がかわって、こう言ったのですけれども調査役の方が出席できない理由を、これつとめましたので、私は副総裁を呼ぶことを省略することにしたのです。  この副総裁の談話に、よく信頼関係が薄れて荒廃した労使間などといわれるが、私は信頼関係よりその前に、現在ある敵対関係の空気の一掃が急務だと考えている。敵対関係が云々とかいろいろ書いてあるわけですが、これは安全運転の面から、国鉄の安全輸送は労使関係以前の問題だというわけです。しかし安全輸送に携わるのは職員であるわけです。その職員とあなたたちの間に敵対関係があるというようなことを副総裁も発言をされるような職場環境というものが国鉄にはあるのかどうか、その点を承りたい。
  191. 磯崎叡

    磯崎説明員 敵対関係ということばは、私は必ずしも適当であると思いません。しかしながら、率直に申しまして、非常にむずかしい感情があるということも事実でございます。したがって、それを解消したいというのが新しい副総裁気持ちだった、こういうように考えます。
  192. 井上泉

    井上(泉)委員 そのむずかしい関係というのはだれがつくったのですか。
  193. 磯崎叡

    磯崎説明員 だれかれということではなしに、やはり私が思いますのは、こういうように企業全体が左前になってまいりますと非常にいろいろ問題が出てまいります。これは民間の企業でも同じだと承っておりますが、全般的に、国鉄昭和三十九年度以来非常に大きな曲がりかどに来て、一年一年財政状態が悪くなっている、世間からは一体何をしているんだといわれる、こういった国鉄を取り巻く客観情勢の中で、われわれも働く連中もそういう気持ちになってきた、そういうふうに思います。
  194. 井上泉

    井上(泉)委員 そういう悪い感情はだれがつくりたというわけでもない、こう言われるわけでありますけれども、結局これは、何十万の職員がおる、そしてその職員の管理職になっているのはごく少数である、その少数のあなたたちのやりよういかんによっては、そういうような職場の環境というものが敵対関係——この副総裁の言ったことが真実かどうか、これはまた後日の機会に尋ねるわけでありますけれども、そういうふうな関係の中へ置かれるということではなしに、やはり実際安全運転を行なっていくためには、そこで働いている職員の日々の家庭環境あるいは職場環境、いろいろなものがよくないと、安全運転というものは確保できないと思うわけであります。  そこであなたにお尋ねするわけですが、国鉄の安全対策は現在万全だと思うのかどうか、簡単にお答え願いたいと思います。
  195. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は私の全責任におきまして極力一〇〇%安全に向かって毎日やっているつもりでございます。
  196. 井上泉

    井上(泉)委員 それじゃ国鉄の安全綱領の第五の項目を、ここでひとつ説明をしてもらいたいと思います。——あなた国鉄に何十年もおるんだから、そらで覚えておるでしょう。安全綱領五項目、五個条の御誓文みたいなものだ。
  197. 阪田貞之

    ○阪田説明員 ちょっと初めに読ましていただきます。「疑わしいときは、手落ちなく考えて、最も安全と認められるみちを採らなければならない。」
  198. 井上泉

    井上(泉)委員 ついでに五項目読んでみてください。
  199. 阪田貞之

    ○阪田説明員 「1安全は、輸送業務の最大の使命である。2安全の確保は、規程の遵守及び執務の厳正から始まり、不断の修練によって築きあげられる。3確認の励行と連絡の徹底は、安全の確保に最も大切である。4安全の確保のためには、職責をこえて一致協力しなければならない。5疑わしいときは、手落ちなく考えて、最も安全と認められるみちを採らなければならない。」
  200. 井上泉

    井上(泉)委員 この安全綱領を順守して——たとえば道路交通法で、車間距離を持ってやっていく場合には、東京なんか渋滞してたいへんなことになるわけですが、現在国鉄の安全運転の規定に従って運転をした場合において、これが順法闘争という名のもとにおいて攻撃を受けておるようなことになっておるように私ども民間人は承知をしているわけですが、それはどうですか。
  201. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 順法闘争の御質問でございますけれども井上(泉)委員「規定を守ったらということですよ、これによって」と呼ぶ)国鉄の仕事は、規定を守って、ダイヤに定められました時間を守り、それから長い間の定着化した現場の作業慣行と申しますか、そういったものによって仕事がなされる。そしてまた、乗務員でいいますと、そういった作業を十分にこなし得るだけのキャリアと資格を持った乗務員を充てておるということでございまして、それを指令によって集団的に故意に正常な業務の運営を乱すという意味でなされるものにつきましては、これは違法な行為だということになりまするし、ただいま先生おっしゃいました安全の問題につきましても、国鉄の場合、ダイヤどおり正常に動いているということが一番安全であるというふうに私は判断しております。
  202. 井上泉

    井上(泉)委員 そのダイヤどおりに動く場合に、疑わしいときは、手落ちなく考えて最も安全と認められる道をとらねばならない。落石事故があって危険だ、こういうときに車をとめる、これは当然差しつかえないことであるし、あるいは踏切に人が入っている、入ってならないところに入っているからひき殺してしまえというわけにはいかない。こういう処置をとることでダイヤのおくれを来たしても、当然のことだと思うわけですが、これはどうですか。
  203. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 そういう不時の条件がありましたら、そういう場合は異常時の措置としてやる二とが当然だと思います。
  204. 井上泉

    井上(泉)委員 五日に鹿児島本線で貨車が競合脱線ということで転覆した。それからきのう六日にはまた「満載タンク車転覆」「コンビナート恐怖の脱線」こう新聞に大きく書かれておるわけですが、これは一体原因はどこにありますか。
  205. 阪田貞之

    ○阪田説明員 貨物の脱線には……(井上(泉)委員二つのことを言ってくれたらいいんですよ」と呼ぶ)いま専門家を直ちに派しまして調査中でございます。  それから、コンビナートのほうは、会社側でございます。
  206. 井上泉

    井上(泉)委員 これは調査中であるということでありまするから、この調査の結果、これはずいぶんやくがかかると思うのですが、総裁どうですか、こういうふうな事故というものは、どういうふうなことが要因であるとお考えになるんですか。
  207. 磯崎叡

    磯崎説明員 鹿児島本線の事故は、俗称競合脱線と申しております。これは非常に世界の鉄道界でもなぞにされておりますけれども、私どもは狩勝でそれを実際にやる線をつくりまして、相当競合脱線の究明をいたしております。相当程度わかってまいりました。結局これは貨車と線路あるいは速度とのいろいろな競合から起こるものだというふうにいわれておりますが、おととい起きた事故につきましては、私まだ詳しくどれが原因であるということはわかりませんが、一応競合脱線ということになっております。
  208. 井上泉

    井上(泉)委員 それからコンビナートの、満載タンク車の転覆について、総裁としての意見を聞きたいと言っている。あなたはけさの新聞を読んでいるのでしょう。あなたの直感的に感じたことを言ってくださいよ。
  209. 阪田貞之

    ○阪田説明員 神奈川臨海のほうは、これは会社でございますが、ただいままで私どもの聞いているところでは、貨車を入れかえている途中のポイントを途中転換したのではないかというふうに聞いております。
  210. 井上泉

    井上(泉)委員 こういうふうな場合に、これがもしタンクが横転をして、そうして軽油が漏れて引火して、火事を起こして人が死んだ場合の過失の責任はどこにあるのですか。
  211. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄の線の中で国鉄職員が運転している最中であれば、これは国鉄の責任でございます。
  212. 井上泉

    井上(泉)委員 国鉄の責任ということは、これは国鉄という一つの機構の責任というても責任は明らかにならぬでしょう。そういう国鉄の責任として認める場合ならば、三河島の事故における今度の最高裁の判決、これは一つの過失致死、過失によって起こった問題に対する刑事罰だと思うわけですが、これに対する国鉄の責任はどうしますか。
  213. 磯崎叡

    磯崎説明員 これは当時の総裁、十河信二氏が道義的な責任をとられました。
  214. 井上泉

    井上(泉)委員 当時の総裁が道義的責任をとられたということで片がつくわけですか。それで、これによって刑事罰を課せられた職員が今日において、これはまだきまったことではないそうですけれども新聞の伝えるところの懲戒免職とかいうようなことをもしやるとするなら、これは十年たった今日この職員にそういう処分をするということなら、同時に十年たっても今日の総裁であるあなたも処分を受けなければいかぬと思うのですが、どうですか。
  215. 磯崎叡

    磯崎説明員 ちょっと先生のおっしゃったこと私よくわかりませんが、その職員は残念ながら個人に過失ありというふうに認められたものであります。したがいまして、その個人の過失責任を刑事責任として問われたというふうに考えます。私の現在の時点における責任問題と、十年前私がその責任者でなかったときの責任問題とはおのずから違ってくるんではなかろうかというふうに考えております。
  216. 井上泉

    井上(泉)委員 確かにその点の責任は、別にあなたはやめよとかいうことではないですよ。現在の総裁であるあなたがとるべき道は、現在の国鉄の職員が刑事罰を受けて、そうして何もこの職員が好きこのんで事故を起こしたわけではない。その当時の事故の模様等についての裁判所における証言の内容とかいろいろなものを見た場合にも、私はこれによって運転士に、職員に刑事罰を課するということがいかに不合理であるかということ、そうしてまた最高裁の判決の中でも、田中裁判官はこれについていろいろ少数意見として申し述べておるわけですが、労働者が職務遂行中における過失に対していわゆる刑事罰を受けるけれども、それに対してまた懲戒、これはあなたが懲戒免職をやるつもりでも何でもなければ別に問題ないわけですけれども、こういうふうな職員を刑事罰も行政罰も両方加えるようなやり方をするということは、あなたの責任を全うすることにならないと私は思います。この際あなたがやるべき責任というものは、むしろこういう職員に対してそういう重い処分というようなことでない処分の——処分というか対処の方法というものがあり得ると思うわけですが、この運転職員の責任に対して最高裁の判決を受けて、それに対してあなたはどうされるおつもりですか。
  217. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は公の場において最高裁の判決を批判する自由を持ちません。私は批判いたしません。今度の事件は非常に不幸にして第一の機関車乗務員の事故と第二の常磐線の下り電車の事故と第三の常磐線上り電車の事故とこの三つが数分の時間をおいて発生したわけでございまして、第一の事故につきましての過失責任、第二の事故につきましての過失責任、これは今回明らかになったわけでございますが、それ以外の第三の上り電車の関係者あるいは三河島あるいは南千住における職員の責任等はすでに高等裁判所で落着したものもございますれば、今回ああいうようになっているものもあります。したがって私どもといたしましては刑事罰を受け、執行猶予もつかないというふうな事態、百数十人の命をなくし数百名のけが人を出したということについての責任は、やはり刑事責任を負った人も負わざるを得ないという意味で、これは法規の適用に従って免職いたします。
  218. 井上泉

    井上(泉)委員 法規の適用によって免職いたします、こういうわけですけれども、これは労働者が業務上過失責任を問われて、そうしてそのことで刑事罰を受けた。刑事罰を受けたから法規の定めるところによって懲戒免職を加えるということは、これはいわゆる労使の関係において、職員の関係において、これはあまりにもあなたは非情なやり方じゃないですか。法規の前にはその非情もやむを得ない、こう言ってしまえばそれまでのことかもしれませんけれども、しかも家族の人たちも、遺族の人たちもいまさら十一年もたった今日こういうふうなことにするということは、ちょっと国鉄としては思い違いではないか、もっと国鉄全体としての安全対策というものをこの際さらに考えてもらわなければならないのじゃないかと思います、こういうことを三河島の遺族会の会長も言っておるわけですが、これは業務上の過失ですから、それが現在業務上の過失というものをやった者だけが責任を問われて、それをやらした、それをやっておるところの企業側の責任、つまり国鉄側に対する刑事罰というものが何にもないでしょう。何にもないから、それは道義的に十河総裁がやめても、だれがやめても生活にかかわりはないでしょう。ところがそういう国鉄職員がここで十何年もたった今日国鉄に首を切られるということは、しかも懲戒免職ということはあまりにも残酷非道なやり方でないか、こう思うわけですが、運輸大臣どうですか、あなたは非常に人情家というが。
  219. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 事件の内容は私もその当時から新聞等で聞いておりますけれども、つぶさにそれを調べたことはございません。そういう職員の懲戒問題のごときは、これは国鉄総裁が管理者の立場においてやる問題でございますから、国鉄総裁は、いまあなたがお述べになったようなことも十分踏まえた上で最後の決心をするものと考えております。
  220. 井上泉

    井上(泉)委員 最後の決心と言われたんですが、そのことは、総裁はいま私、懲戒処分にしたというふうに聞いたんですが、それは間違いだったのですか、どうですか。もう一回言ってください。
  221. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 ただいま総裁がしたと言ったのは、駅の関係者ですが、高裁で服罪したというケースについて過去においてしたということで、今度最高裁で出ました職員につきましてはこれからの問題であります。
  222. 井上泉

    井上(泉)委員 これからの問題であるということは一まだ国鉄当局として、つまり労働者、職員側でない、いわゆる国鉄という企業側にとってのまだ責任を果たす道はあろうと私は思います。そこで企業側としての責任を果たす道は、いま私が言いましたように、国鉄のために一生懸命働いて、今日たまたま事故に遭遇をした。そうしてそのことに対して適切な指導をなさなかったというようなことで刑事罰を受ける。再就職もできぬ。こういうふうな状態の中で、あとへ残ったものがここで懲戒免職とかというようなことをするということは、私はこれから、私が前段に申し上げましたいわゆる国鉄における労使の敵対関係、その敵対関係ということが総裁としては好ましい表現ではないかもしれぬけれども、しかしかなりきつい関係にあるということはお認めになっておるが、そういうきつい関係に対して、これを解くという方向でなしに、よけい激化さすような方向になると思うので、この点については慎重に対処してもらいたいと思うわけですが、総裁の見解を承りたいと思います。
  223. 磯崎叡

    磯崎説明員 私も前後の事情を十分考えて措置をするつもりでございます。
  224. 井上泉

    井上(泉)委員 いま業務上過失傷害を起こした場合の経営者側に対する責任というものは、まあ道交法の場合以外はないでしょう。ないけれども、しかしやはり私は責任はあろうと思います。その人がそこで働いておる以上は。それでそういうふうな法律上企業側に責任がないから、だから企業側はこの判決が出て、そうして運転士だけが刑事処分を受けたということによって涼しい思いをしておられるか——これは涼しい思いか、いわゆる涙をぬぐって首を切るという気持ちかどうか知りませんけれども、結果的には涼しい思いで、最高裁の判決をそのまま職員のいわゆる取り扱いの規定の中に入れようとするのか、いわゆる企業としての責任はどう考えるのか、その点ひとつ今後もあることですから聞いておきたい。
  225. 磯崎叡

    磯崎説明員 おことばではございますが、涼しい思いという御発言は少しきびし過ぎるというふうに私は考えます。私も国鉄の責任者でございまして、一日何千万人の人をお運びいたしております。そういう気持ちでもってこういう私のような仕事はつとまらないと思います。その点、十分私の気持ちも御了承願いたいと思います。
  226. 井上泉

    井上(泉)委員 それは涼しい気持ちということは表現として悪いわけですけれども、やはり気持ちというものが態度にあらわれねば何にもならないでしょう、態度なりあるいは具体的な措置に。それで、そういうふうな職員が長い間国鉄で働いてこられた職員であるし、そうしてこのことが業務上起きた過失である。その過失によって有罪という裁判の判決を受けた。その判決については、それはあなたも抗弁をする、いろいろ批判をすることは差し控えるということは、これはもっともなことでしょう。もっともなことでしょうけれども、やはり企業として、いわゆる企業体としての国鉄が、法律的には免責になるとはいっても、やはりこれは企業としての責任を払う意味においては、これを償う意味においては、やはりこの職員に対する温情ある措置をとるのがほんとうの企業側として私はとるべき道義的な責任だと思うわけですが、これについて総裁どうお考えですか。
  227. 磯崎叡

    磯崎説明員 議論になりますからこれ以上申し上げませんが、企業としての責任を感じることと、実際にその場に当たった職員に対する行政処分をしないということとは、私は全然別個の問題であるというふうに考えます。私は企業としては十分責任を感じております。
  228. 井上泉

    井上(泉)委員 感じでわからぬから、具体的にそれでは企業の責任をどう果たしますか。感じじゃわからぬ、私も神さまでないから。
  229. 磯崎叡

    磯崎説明員 やはり事故の起こりました原因を究明いたしまして、できるだけの対策を立てる、また罹災者に対しましても十分な補償を講じる、これが企業としての対策であるというように考えます。
  230. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは事故の起こった原因を究明するということになれば、早急にここ二、三日の間にこの問題についての処分がなされるというようなことにはならないと承知をしておって間違いないですか。
  231. 磯崎叡

    磯崎説明員 私はそういうことは申しておりません。
  232. 井上泉

    井上(泉)委員 私は企業としての責任を十分心得ておる——心得ておるならそれを具体的に行動に示すのがあたりまえじゃないですか。感じておるけれども具体的に示さないということは口だけということじゃないですか。土佐のことばで「かますに口だけ」ということばがあるが、口だけじゃないですか。これはことばと行動とが一致しない。これは国鉄総裁として資格がないと私は思う。しかし田中首相は資格がありと認めてあなたを再任しておるから、もうあなたにそのことを問う以外に道がないわけですが、企業としての責任を感じておればどうしますか。そのことなんです、具体的に。
  233. 磯崎叡

    磯崎説明員 この事故が起こりましてからすでに十年でございます。十年前のこの事故については私どもなりに徹底的な原因の究明をいたしました。その後相当な金を使いまして事故対策を講じました。たとえば最高裁で問題になっております信号無視の問題あるいは第二の事故である列車防護の問題、これらについては相当徹底的な対策を講じて、人的にも物的にもその後そういう事故がほとんどなくなっております。ただその後そういった種類と違った事故が起きておりますけれども、三河島の事故以来ことに問題になりました列車防護につきましては、たとえば先般の北陸事故におきましても、実際従事した職員が身を挺してまで列車防護したということも残っております。その意味で私どもは労使一体となって、職員と一体となって事故の防止につとめる、これが私の責任だというふうに考えます。
  234. 井上泉

    井上(泉)委員 私はこの三河島の事故の問題についてこれ以上やっておりますと時間がたつので、これは運輸委員の方々あるいはまた交通安全等で引き続いて質疑をいたしたいと思います。  そこで同じ安全運転という面において、よく一人乗務ということで安全上適当かどうかということが論議をされるわけですが、この前特急運転士が東北本線で急死をして、それがたまたま二人乗務であったためにピンチを脱出した。こういうことで救われたわけですが、このことを見て一人乗務というものがいかに危険であるか、こういう感じがしなかったかどうか、総裁
  235. 磯崎叡

    磯崎説明員 乗務員の疾病というのは月に一回くらいございます。そういう場合を防ぐべくエマージェンシーブレーキというものをつけている。これは外国鉄道もみんな最近づけております。これは一分間じっとして何もしなければ自動的に汽車がとまるという設備になっておりますし、またそれと同時にオートマチック・トレーン・ストッパーというものをつけております。これはかりにそういう事態になって信号が赤になればとまるということになっておりまして、この点はそういうものができたからこそ一人乗務に踏み切ったと申しますか、一人乗務の委員会のときにもそういうことが望ましいという委員の諸先生の御意見があって、それを十分参考として実施したわけでございます。
  236. 井上泉

    井上(泉)委員 その一分間でとまるといいましても、一分間といえばかなりの距離になるわけです。そういうことになって一分間の間にとまったとしても、これは過密の都市のいろんな周辺の汽車とか電車とかいうような場合には、一分間という事故は、運転士のいない一分間の状態というものは——新幹線は二人乗っておるかどうか私は十分承知いたしませんけれども、たいへんなことだと思うのです。こういうような事故が起こった場合についても、これは関川国鉄本社運転局長が、「ゆうづる一号」の場合は気分が悪くなってから臨時停車まで間があったから、保安上は全く問題がなかった。かりに一人乗務の運転士が運転中に急死した場合でも、自動停止装置が動いて列車をとめる仕組みになっているから、保安上問題はないと思う。こういうふうに何をしても一つも事故が起こらぬような国鉄の側の意見であるわけですけれども、しかしその意見を、そういうあなた方の見解をしり目に、国鉄の事故というものは今月に入っても新聞の何段抜きで掲載されるような大きな事故でさえ二つも出ておる。これは別に走行中の汽車ではなかったと思うわけですけれども、そういう点から考えても、国鉄の安全対策というものがいかに不十分であるかということを証明をされておると思います。  そこで、これは国鉄そのものとは違うわけですけれども、先般、瀬戸内でタンカーが火災事故を起こして非常な事故につながるような危険性をはらんでおったわけですが、現在、国鉄が宇高連絡船とかあるいは青函連絡船、いろいろあるわけですが、一体、この連絡船の安全というものは十分行なわれておるかどうか、その点を御説明願いたいと思います。
  237. 秋田豊

    ○秋田説明員 お答えいたします。  国鉄の船舶に関しましては、洞爺丸あるいは紫雲丸事故以来、その使命の重大性にかんがみまして、宇高の平水区域におきましては沿海並みの船、それから青函の沿海区域におきましては遠洋並みの船の構造を持った、一級上の安全性の高い船を就航さしておるのであります。それからまた、ただいま瀬戸内のお話もございましたが、消火設備などにつきましても、国際航海をいたします旅客船の標準以上のものを備えておりますし、たとえば機関室なんかに火が起きました場合には、炭酸ガスを発射いたしまして、一ぺんに火を消すというような装置を備えておるようなわけでございます。
  238. 井上泉

    井上(泉)委員 私は高松への宇高の連絡船を利用するわけですが、この宇高の連絡船の場合でも、そういうふうな措置が十分なされておるかどうか、機会を見て実地に調査をしてまた質問をいたしたいと思います。  そこで、きのうの連合審査会で国鉄総裁は、五十五の定年制を変えるつもりはない、こういう答弁をされたということを承知したのですが、事実ですか。
  239. 磯崎叡

    磯崎説明員 事実でございます。
  240. 井上泉

    井上(泉)委員 あなたと職員とはいろいろ立場が違うわけですけれども、あなた自身が考えて、五十五歳になってもう仕事ができない、国鉄の仕事はできない、そういう判断をなされますか。
  241. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は、いままでの慣行的な五十五歳の定年、これは部内では一応確立いたしております。ですから、現時点でできる、できないの問題でなしに、いままでの慣行のとおりやる、こういう意味でございます。
  242. 井上泉

    井上(泉)委員 その慣行がそうであっても、今日、週休二日もいいし、定年制延長もいいこともいわれておる中で、従来の慣行だからといって国鉄の職員を五十五歳でやめてもらうというようなことは、首切り磯崎と人にいわれるほど、あなたはあまりにも薄情じゃないですか。ひとつこの際思い切って、そういうふうな五十五歳の定年とかいうような慣行ではなしに、こんな法律も出したんだから、国鉄職員にもっと安心をして——五十五歳といえば、俗に私どもの社会でいえば世渡り盛り、つまり子供が一番金が要る年齢ですが、この世渡り盛りに失職をするような、そういう不安を与えることのないような国鉄としての措置をとるのが、これが労使関係を円満にし、そして、交通安全輸送というものに心おきなく従事ができる、そういう職場環境というものがつくれると思うわけですが、その点についてもう一度総裁の見解を承りたいと思います。
  243. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま問題になっております週休二日の問題と定年延長の問題、週休二日のほうはいままでいろいろと話し合いいたしまして、そう急にはできないけれども、徐々に勤務時間の短縮という方向に持っていこうということで話をいたしておりますが、定年制のほうはいろいろな事情もありまして、いまの慣行を破るわけにはまいりません。
  244. 井上泉

    井上(泉)委員 あなた、なかなかがんこだね。どうもがんこ過ぎて、だから国鉄がだめになるんですよ。いまの国鉄の職員というものは非常に若年層が少ないわけでしょう。それでこういうふうな新しい機械を国鉄が入れてやっていく中で、やはりいまの先輩職員がおるうちにもっと若い職員を入れて、そうして国鉄のいわゆる運行体制というものが機械を十分こなし得るような労働条件をつくっていかなければならぬと思うのですが、逆に人員を整理して、そして新規採用は五十五歳以上の者がやめたら、やめたあとへ補充をするというふうなやり方というものは、どうしても、国鉄をいわゆる企業として見た場合にも納得がいかないわけですが、なぜもっと若い職員を採用するようなことを考えないのか。  それからさらに、国鉄の職員というものは、一般産業に従事している労働者よりも非常に病気にかかる、つまり罹病率が高いわけですが、この高い原因というものはどこにあるのか。そのことをあなたはこの委員会が終わったあとでも真剣に考えたことがあるかどうか、ひとつ承りたいと思います。
  245. 磯崎叡

    磯崎説明員 確かにいま先生おっしゃったように、若年の人が少ないというのは事実でございます。現在国鉄の職員の平均年齢は約四十歳でございます。これは日本の企業の中で一番老齢化した企業でございます。したがって、たとえ五十五までの定年をそのままにいたしましたとしても、あと十五年間この頭でっかちの形はなくなりません。その意味で、いま先生がまさしくおっしゃった新陳代謝をはからなければならない時代でございます。したがって定年制を延ばせない。そのかわり、毎年やめた人のあとを全然補充しないわけではなしに、数千名の必要な現場の最先端の職については、若い人をとってまいる、このつもりでございます。  それから罹病率のお話でございましたが、私のほうの統計によりますと、国鉄職員、五十五歳でやめますが、その後の生存年数が二十・八二年でございます。約二十年と十ケ月でございます。一般の日本国民の男子の五十五歳以上の平均生存年数は十八・九四年でございます。これは正確な統計から出たものでございまして、国鉄職員のほうが約二年寿命が長うございます。これは正確な統計でございます。これは居住地その他の関係でこうである、仕事の関係ではなくて、むしろ地方に住む人が多いからこうであると、私はこういうふうに思いますが、数字はそういうふうな数字になっております。
  246. 井上泉

    井上(泉)委員 その点につきましては、これは私のほうの資料で説明しておりますと時間がたちますので、これまた後日といたしたいと思いますが、国鉄が走行キロ数もふえた、輸送人員もふえた、それから輸送荷物もふえた、いろいろなものがふえた中で、減るのは人だけ、こういうふうな状態に置くことは、国鉄の安全運転の面から、しかもそのやっておる労働者に対しては荷酷な労働条件の中で、深夜勤務とかあるいは一カ月の中で家へ帰って寝るのはその月の半分しかないとかいうような勤務状態の中に置かれておる労働者の状態を考えた場合に、もっと国鉄労働者に対しては、これは繰り返すようでございますけれども、敵対関係というて副総裁みずから認めるような、そういう状態を解消することが第一番である。それを解消するにはどうするかといえば、やはり国鉄の職員に対して、安心をして働ける場所としての姿を示さなければならぬ、それを国鉄の再建整備とかいうことに名をかって、逆に国鉄を滅ぼしていくような、国鉄を動かしておるのは人間ですから、その職員を滅ぼしていくような、職員の意欲を喪失させるような、こういうような法律を私はむしろ撤回をして、もしあなたが後世に名を残すとするならば、それはやはり国鉄の安全運転の一つの教本なり何なり、あるいは国鉄職員の生活安定のための青写真なり、そういうふうなものを示すことがずっと後世に残るのであって、しかも日本国鉄、国民のための国鉄としての意義を発揮するのです。ある人が言っておる。国民を乗せてやっておる、おれらが運んでやっておる、こういうふうないわゆる国鉄ができた当時の官僚意識の中にあなた自身も位置しておるから、だから国鉄というものに対する国民の態度というものが逆に、今度の運賃値上げに対しても猛烈な反対の世論というものになってわき上がってきておると思うのです。  そこで最後にお尋ねするわけですけれども国鉄の職員の労使関係というものが敵対関係とか——あなたは敵対関係ということを避けておるわけですけれども、具体的に一体どういう点がどうかということを御説明を願っておきたいと思います。そのことは後日のしかるべき会議における私の参考資料になるわけですから、ひとつその点の見解を承っておきたいと思います。
  247. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほども申しましたように、新しい副総裁が敵対関係があるやに見られると申しましたのは、彼は長年外におりました。外から見ているとそういうふうに見えると言ったのでありまして、したがいまして私は中におりまして、そういうことはない、ただきびしいものがある、と申しますのは、やはり管理者と第一線の職員との間意思の疎通が欠けているということだと私は思います。それが相当きびしいという意味で、それが先ほど冒頭に申し上げましたようなことになってあらわれているというふうに思います。先ほどから私個人に対するいろいろな御忠告、たいへんありがたいと思います。
  248. 井上泉

    井上(泉)委員 私は何も個人でないのですよ。国鉄総裁としての磯崎さんに言っておるのだから。これはあなた個人とはほんとうに親密に私はおつき合いをさしていただきたい、こう思っておりますので、その点はひとつ個人をいろいろと言うような意味でおとりにならないようにお願いをしたいと思います。  以上で私の質問は終わります。
  249. 井原岸高

    井原委員長 平田藤吉君。
  250. 平田藤吉

    ○平田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、交通安全特別委員立場から幾つかの質問をいたします。  まず最初に東北新幹線をめぐる問題ですけれども、おとといの連合審査会でわが党の林委員それから中島委員らが質問したのに対して、磯崎総裁は首をかしげておられた。と言いますのは、畑県知事との話し合いの中身については二人でいろいろ話し合ったことでありますからお話しできないという趣旨のことを言いながら首をかしげておられた。畑県知事が東北新幹線の大宮以南の高架化に反対であるという態度を表明されたということについてけげんな顔をしておられたのですけれども、その後、畑県知事に対して総裁は問い合わせをされましたか。
  251. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は連日こちらにおりましたし、終わりますと夜おそくまであしたの勉強をいたしますので、まだ問い合わせいたしておりません。
  252. 平田藤吉

    ○平田委員 たいへん重大な問題だと思うのです。私もこの国会の審議を聞きながら、どうも畑知事との間に内密な約束でもあるかのような印象を与えるものの言い方をしておられる。それだけに問題は重大だと思うのですよ。それほど疑問があるのだったら、畑知事との間で電話ででも話していただくということで話し合って、返事ができるようにされるのが当然だと思うのです。そういう意味で私は畑知事との間で話し合ったポイントについてここでひとつ話していただきたい。
  253. 磯崎叡

    磯崎説明員 先般も申し上げましたとおり、私と知事とでお話ししたことにつきましては、私がこの場で申し上げる筋合いではございません。
  254. 平田藤吉

    ○平田委員 公的な立場で畑知事は国鉄総裁磯崎さんに会われたのですよ。公的な立場で会われたことをなぜ国会で言うことができないのですか。言ってください。
  255. 磯崎叡

    磯崎説明員 たとえ公的なものでありましても、言うべき時期その他の問題がございます。
  256. 平田藤吉

    ○平田委員 公然と話し合われた事柄について、あなたは言えないと言っておる。私はきのう畑知事と話し合ったのですよ。畑知事はこう言ってますよ。公表できないような話は何もない。——いいですか。公表できないような話は何もしてない。はっきり言い切っておりますよ。そうして、三月十日に国鉄総裁と面会した。県からは畑知事とそれから開発部長それから相川浦和市長、一緒に出席した。この話し合いの面会のときに初めて東北新幹線の高架と通勤線の併設案とが出された。その際、畑知事はこう言っておるのです。通勤線をつくるという点では住民にとってみればメリットがある。初めての案なので持ち帰ってできるだけのことはしてみたい。どういうことになりますか住民の意見を聞いてみましょう。その案でいけばいいが、どうですか、検討してみましょう。私としては——つまり知事ですね。私としてはこの問題では意思表明はしないで来ました。それは県知事として当然のことだ。何も秘密の話をしておるわけではないし、約束といえば検討してみるということが約束だ。これ以上のものはない。できるだけのことはしてみたいと言ったことを、高架案を住民に納得させる努力をすると受け取られたとすればたいへんな見当違いだ。初めて示された案を県知事が住民に押しつけることなどできるはずのものではない。面会した翌日、県議会にも報告し、関係市長にも報告した。そうして住民にも伝えられるようにした。その結果住民や関係自治体から、高架に絶対に反対である、全面地下にせよ、こういう強い要求が出た。通勤線は新幹線が通ろうと通るまいと、つくるのがあたりまえである。案のようにはいかなくなった。つまりあなたが示した案ですよ。案のようにはいかなくなった。話してみたが結局だめだった。こういうことですな。県知事はこう言ってますよ。話し合いの中では何の密約もない。公表しても差しつかえない問題だと言って、この内容を話したけれども、事実に反するかどうか言ってごらんなさい。
  257. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は先般来密約があるなどと一言も申したことはございません。ただ私どもといたしましては責任者同士話し合って——内容は言うべき時期がございます。別に秘密だから密約だからということを私は一音も私は言っておりません。その点お間違いないように願います。ただ、私は責任者同士が話し合った内容は申し上げません。先生がいまそれをお聞きになったなら、先生はそうおっしゃるかもしれませんが、私は私なりの判断をしております。しかし、それは時期がございます。したがって、時期の来るまでは申し上げません。
  258. 平田藤吉

    ○平田委員 あなたは盛んに首をかしげていたじゃないか。そんなはずはないというふりをしていたじゃないか。どう見たって何かありそうだという思わせぶりをあなたはやっているのだ。しかも、私はいま畑県知事と話し合った内容について話した。それに相違ないかということを聞いているのですよ。
  259. 磯崎叡

    磯崎説明員 申し上げる筋合いではございません。
  260. 平田藤吉

    ○平田委員 これだけのことをどうなんですかと言っているのだ。それより違ったものは別として、合っているものなら合っていると言ったって別に差しつかえないじゃないですか。話し合ったのは新幹線を高架にしたい、通勤線を併設したい、それでひとつ何とかしてもらえないだろうかという話をした以外に何にも思わせぶりをする筋合いではないのでしょう。
  261. 磯崎叡

    磯崎説明員 私が思わせぶりをしたかどうか、諸先生、皆さんごらんになっています。私は別に思わせぶりをした覚えはございませんが、ただ、あのときそういうことがあったぞということを突然伺ったわけでございます。ですから、びっくりしたわけでございます。
  262. 平田藤吉

    ○平田委員 そんな簡単な話を聞いてびっくりするようじゃ、総裁の再建案も疑われますよ、ほんとうに。何もたまげることはないじゃないですか、あたりまえのことだ。  次に、佐藤運輸政務次官来ていますか、——いないですね。(「大臣がいる」と呼ぶ者あり)大臣がいたって大臣はわからないでしょう。(「失礼じゃないか」と呼ぶ者あり)だって会って話をしてないんだから、わかりっこないじゃないか、おとといそう聞いているんだからだめだよ。——では、わかるかわからぬか聞いてみよう。  畑知事が来たときに、佐藤運輸政務次官が会われた。そして畑知事はこう言っています。通勤線を併設するので、東北新幹線の地下化はこれは構造を変えて高架にしたい、こういう説明をしているというのですが、運輸大臣答えてください、あなたなら答えられるそうだから。
  263. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 具体的なやりとりはよく知りませんが、政務次官からの報告によりますと、いまあなたがお話のようなことが話に出たということでございます。それは報告を受けております。
  264. 平田藤吉

    ○平田委員 この政務次官のものの言い方というのは、これはおととい内田務理事も言っておりました。通勤線を引くようになったのだから、地下へ入れろというのは、今度高架にするのだという、こういう話ですよ。そうじゃないのだ、通勤線はあそこはラッシュのひどいところでどっちにしたって新たに通勤線を引かなければならないところなんですよ。それを何ですか。通勤線を引いてやるから、地下へもぐらせるはずだった新幹線は上へ乗せるのだ、そういうとぼけた話はないでしょう。いずれ東北新幹線問題は引き続いて検討したいと思います。  次に通勤通学問題を中心にして質問します。  都市とその周辺における通勤地獄の状態はひどいものがあります。毎日通勤者は安全を脅やかされながら通勤をしなければならないという状態にあります。私はこの通勤過密地帯を何としても大急ぎで定員に近いところまで持っていくために努力すべきであるというふうに思うわけです。総裁、再建計画において十カ年間に国鉄自体で通勤線の混雑率をどこまで持っていくつもりかお答えを願います。
  265. 磯崎叡

    磯崎説明員 混雑率と申しますのはたぶん何%ということだと存じます。私どもといたしましては一応通勤プロジェクトをできるだけ早くやりまして、二〇〇%というふうに考えております。
  266. 平田藤吉

    ○平田委員 新谷運輸大臣はどうお考えですか。同じことです。
  267. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 二〇〇%ということを国鉄総裁は申しましたが、それはわれわれのほうとしましては最大限といいますか、あるいは最小限といいますか、とにかく何とかしてそれ以下にしようという努力をしたいと思っております。
  268. 平田藤吉

    ○平田委員 定員の二倍ですよ。定員のですよ。貨物のほうでは一体どうなんだといえば、たとえば自動車は二階建てで乗っかっていますよ、整然と。石油やセメントや機械はやんやと詰め込むわけにはいかないでしょう。その上あなたは営業割引だとか私有貨車割引だとか独占資本に対してはたいへんな出血サービスをやっているわけです。赤字、赤字と累積して、何と一兆一千八百十三億円の大赤字をつくり出した。国鉄は三十二年から四十七年の十五年間に五回の運賃値上げをして、旅客運賃は約二倍になっている。この十五年間五回も運賃を値上げしたけれども、結局通勤地獄はますますひどくなってきているというのが現状です。国鉄当局の発表でも通勤時一時間の混雑率の推移は次のようになっております。中央線で新宿−四ツ谷間、三十二年が二三八%であったが、四十六年には二五四%、これは快速です。それから山手の外回りで上野−御徒町間、三十二年には二九七%であったものが、四十六年には二三〇%、ここはだいぶ下がったことになっております。これもだいぶ問題があります。あとで指摘します。東海道線は藤沢−大船間で三十二年が二二九%、四十六年は二七七%、横須賀線は保土谷−横浜間、一九四%から二九八%、同じ年度です。総武線は平井−亀戸間で二四〇%から二六八%、常磐線は三河島−日暮里間で二三四%から二二五%、こころもち下がった。四十六年度は快速の数字です。それから京浜東北南行、上野−御徒町間は三十二年で二六八%、四十二年で二四八%、これもこころもち下がったことにはなっているが、しかし事態はたいして変わりない。この数字も実はどうもここのところ国鉄はこういう調査予算をかけないらしい。かけると都合が悪いらしい。そこで乗客の一人一人を調べるのではなくて、大体ああこれで百名くらいだ、これで千名くらいだという目分量で計算しているらしい。目分量というやつはどうしても我田引水になるものですよ。我田引水の数字でこれなんですよ。ところが、国鉄総裁はたいへん御自慢で、この交通新聞でもってたいへんよくなったとおっしゃっておりますね。これはいつと比べてよくなったのか、どうもわからないのですけれども、昔と比べると悪くなっているのですよ。しかも国鉄は、五方面作戦のうち残るのは東海道線だけだが、東海道線ももうすでに仕事を進めているという立場におります。だから、いま申し上げた五つの方向のうち四方面は大体完了しているのだという立場に立っております。この十五年間を振り返って言えることは、運賃を値上げして、混雑率は一そうひどくなる傾向にある。この事実について、総裁、やはりたいへんよくなったというお考えに変わりはないのですか。
  269. 磯崎叡

    磯崎説明員 私も、ちょっと数字が違いますが、通勤電車に乗っております。私も長く通っております一人の通勤者として、ラッシュアワーに乗っております。ただ、先生承知のとおり、これはどこの国でもそうでございますが、ラッシュアワーというものは、九時なら九時に東京に着く時間のちょっと前というのは、これはどんなことをしても込みます。これは解消できないものでございます。ただ、ラッシュの時間帯をどれだけの幅を広げるかということが一番問題なんでございます。たとえば、東京駅へ八時五十分に着く時間帯は、幾らふやしても全部満員でございます。そういうものなんでございます。そうではなしに、ある一定の幅を持って通勤緩和をすることが一番大事なんでございます。したがって、私は過去数年間、いろいろたくさん例をあげると時間がないとおっしゃるでしょうが、実際やりましたこと、そして私が一乗客としてはだでもって感じておることを申し上げれば、私はよくなったと思っております。  ただ、先ほど先生のお読み上げになった中で、東海道と横須賀線でございますね、これは残念ながら横須賀線の車が十五両になったぐらいで、よくなっておりません。先般も運輸委員会でるる申し上げましたが、これは湘南線と横須賀線を分けなければだめなんでございます。ですから、いま工事をいろいろやっておりますが、なかなか支障があって、進まない。ですから、私は、東海道、横須賀線がよくなっていないことは、これは率直に認めます。これはいまやるべく大いに努力しております。(平田委員「あなたはどこの線に乗っているのだ」と呼ぶ)私は中央線に乗ります。中央線の快速には乗りません。私は、なるべくすいたものという意味で、各駅停車に乗ってまいります。  それから、先生が先ほどお読み上げになった数字で、私のほうから出した資料かと思いますが、一カ所ちょっと抜けておりますのは、総武線でございますね。これは二六八とかおっしゃいましたけれども、御承知のとおり、昨年の七月の幾日でございましたか、東京地下駅ができましたので、これは若干変わっております。これは私どもの差し上げた資料の不備だったかと思いますが、(平田委員「これは昨年の十月だ」と呼ぶ)これは二六八は四十六年の数字になっておりますので、間違いじゃないかと思います。これはもっとよくなっているはずでございます。二一〇か二二〇に下がっております。いまの数字の中の横須賀線と東海道線だけは、私はあえてどうにもならないと申し上げておきます。ですから、ラッシュの幅を延ばす以外にないわけでございます。ですからこれを何とか解決すべく、いまあそこの横浜別線をつくっているわけでございますが、なかなか地元の御協力が得られない。しかし、これを解消しない限り、いまの横須賀線と湘南電車の通勤状態は、残念ながらラッシュのピークにおいてはよくなりません。あとは入場制限をする以外にございません。
  270. 平田藤吉

    ○平田委員 たいへん総裁のお乗りになっている列車はすいているようでございますが、私も通勤電車で通っているのですよ。一例をあげますと、高崎線の朝の列車、これは先ほど申し上げたように、あなた方は目算でやっているからごまかしなんですよ、この数字は。朝の列車をずっと駅で調査したのを出してみたのですが、深谷発が七時四分で、上尾発が七時四十九分になる列車ですけれども、この定員は千六百五十人なんです。ところが上尾を発車するときは、何と五千二百三十一人乗っているのですよ。定員の約三倍半詰め込まれているわけです。それから上尾事件で問題になった列車にしましても、グリーン車つきのツードアの十四両で定員は千百六十人なのに、何と三千九百八十六人も詰め込まれているのです。これも三倍半になります。定員の三倍をこえるとけが人が出るといわれているわけですけれども、とにかくひどい通勤地獄ですよ。  そこで総裁にお聞きしたいのですけれども、この東京の五方面作戦のうち、東海道線の一部を残して四方面は完了したと言うけれども、その結果は、先ほど示したとおりです。若干部分的に、数字で幾らか緩和しておるところもあるかもしれません。また四十六年のことですから、もっとひどくなっておる部分もあるわけです。そこで四方面と高崎線について、現在通勤列車の間へ新しい列車を割り込ませる余地はあるかないか、お聞きします。
  271. 磯崎叡

    磯崎説明員 高崎線全般のお話を申し上げます前に、いま具体的の御質問の点を申し上げます。  私、上尾事件のあと、国会におきまして数回御答弁を申し上げましたが、ちょうどラッシュのまっ最中に回送の電車を使っております、これはすぐやめよということで、即刻車両の発注をいたしまして、四十五両、これはことしの秋にできます。これができますれば、ちょうど先生承知の、急行列車の入っていない短い時間帯に十五両編成の新しい車を入れます。ただ、埼玉県は、高崎線だけ入れますとなかなかこれはむずかしいところで、必ず東北線も一緒にしないといけないところでございます。ですから、高崎線、東北線に一本ずつ入れますと四十五両使います、予備がございますが。ぜひこの車を十五両編成するということで四十五両を即刻発注をいたしまして、間もなくできます。間もなくと言っても、あと半年足らずのうちにできます。そういたしますと、いまの輸送力が一ぱいで、十分だとは私は思いませんが、いまの列車を、短いものをもう少し朝の早い時間にいたします。わりあいにお客さんの少ない時分にいたします。しかしその後ももし列車を入れる余裕があれば、あるいはいま大宮どまりになっておるものもございますが、それを延ばすことができれば、極力やりたいと思っておりますけれども、上野の問題は能力の問題でございます。これは先般、例の問題でしかられましたが、結局その東北線、高崎線の問題は、上野のターミナルステーションのキャパシティーがふえない限りだめなんでございます。したがって、約百億近い金をかけまして、そして上野の小荷物を追い出しまして、相当思い切った改良をやりましたが、いまのところちょっと朝のラッシュに入るのは大体無理かと思いますので、極力キャパシティーの多い三つドアでもって乗降の早い電車を入れたいというふうに考えておる次第でございます。
  272. 平田藤吉

    ○平田委員 そうすると、列車の本数は通勤時にもっと割り込ませることができるというあなたの見解ですか。
  273. 磯崎叡

    磯崎説明員 大体熊谷以南でございますと、朝七時前になるかと思います。それならば多少入るかと思いますが、七時以後については、もう御承知のように、上野駅は、七時半から九時半まで急行列車は一本も入れておりません。全部通勤列車です。ただ、御承知のように、東北と高崎が競合いたしますので、結局上野には受ける力がないということでございます。ですから、朝早い時間帯には入るかというふうに聞いておりますけれども、もちろん七時から七時半、八時というような時間帯にはちょっと無理じゃないかと思います。
  274. 平田藤吉

    ○平田委員 通勤時間帯には入らないということですね。そうだろうと思うのですよ。あぶなくてしようがないですよ。  それから、それじゃ一体車両をいまよりもふやすことができるのか。十五両をもっとふやすことができるのかどうか。またふやす場合に、現在の混雑を緩和するだけの両数をふやせるのかどうかということです。
  275. 磯崎叡

    磯崎説明員 現在、湘南、横須賀も十五両でございますが、十五両以上にいたしますと、踏切を全部いじらなければいけない。あるいは上野のホームも延ばさなければいけないということで、踏切の問題というのは、ほとんどいま不可能でございます。したがって十五両以上に延ばせないけれども、いままだ十五両になっていない電車がございます。これはなるべく早く十五両にいたしたいと思っております。
  276. 平田藤吉

    ○平田委員 多少の手直しはできても、混雑緩和はできないという結論だと思うのです、いまのままでは。そうしますと、初めに言った、混雑率を二倍、二〇〇%と言われておりますが、その程度までに緩和するということなのですけれども、これはできないということになるのじゃないですか。あなた方は、すでに五方面作戦のうち、東海道線の若干を残してあとは完了したと言っているのですから、だとしたら、これ以上緩和はできない。しかも、あなたのほうで若干数字がよくなっているのじゃないですかという話もありましたけれども、あなた方から出た数字は、四十六年しか出ていないのですよ。どういうわけか四十七年の数字はいただけなかったわけです。ここでなるほど幾らか、総武線にしてもこの五、六年前から比べると、混雑のカーブを努力をしてずっと落としてきたことは、私も認めます。あなた方は努力して、幾らか線によっては緩和してきたのは、認めますよ。しかし、だからこれでずっと緩和されていくのですよというわけにはいかないということを、あなたはいま言っているわけですよ。人口は自然増でまだふえるという計画なのです。田中内閣は、ふやす計画なのですから、集中させる計画なのですから。そうしますと、人口が集中してくる、ふえていくということとの関連で考えると、実は十年間にもう計画は終わっちゃったんで、今度はほかへ手をつけるということになると、二〇〇%以下にはこれはなりませんよ。理屈からいえば、そういう理屈になるのですよ。だから、いや、なるのだという理屈があるのだったら、聞かしてください。
  277. 磯崎叡

    磯崎説明員 これは十カ年計画のごくラフな御説明をいたしましたときにも申し上げましたが、いまや私のほうの受け持つべき区間は、五十キロ圏から百キロ圏に伸びております。したがって、この間たまたま第二山手線というお話も出ましたけれども、横浜線とか南武線とか——南武線は大体できております、貨物さえどければいいのですから。横浜線とか相模線あるいは八高線、川越線というのは、五十キロから百キロの間の衛星圏内にある、いわば単線の鉄道でございます。これを極力早く複線電化することによって、首都圏のまわりを取り巻く国鉄線を強化するというのが、今度の東京付近における通勤の大きなポイントでございます。  しかして、東京都区内におきましては、これはやはり地下鉄でございます。いままで五方面作戦をやりましたけれども、これ以上都内で高架鉄道をつくることは、もうほとんど不可能でございます。地下ならば、まだやれます。したがって、政府におかれまして、高速度営団あるいは東京都等にいろいろ命令されて、東京都区内の交通を整備される。それと五十キロ、百キロ圏内の私のほうの線路とうまく有機的に結びつける。かたがた、これは政府のお仕事でございましょうが、いわゆる都市機能を多少でも分散さしていただきたい。丸ノ内、霞が関から、新宿あるいは池袋等に分散させていただきますならば、多少はよくなると私は思っておりますので、その点私のほうの立場から申しますれば、都区内の放射線状に入ってくる線路を、これ以上ふやすことはもうほとんど不可能である。これはやはり都内交通として、別の角度で運輸省でめんどうを見ていただきたい。私のほうはもう少し外側のことをやりたいというのが、今度の通勤計画でございます。
  278. 平田藤吉

    ○平田委員 総裁、私はややこしいことを聞いているのじゃないですよ。あなたが、国鉄自体としてこの通勤線内を二〇〇%に押えたい、こうおっしゃるからいろいろずっと聞いてきた。いろいろ聞いてきたら、二〇〇%に押える手だては持っていないけれども気持ちだけある。これは神頼みですよ。これは実現不可能だ。あなたの話を聞いていると、これは全くできないことだということになるのですよ。二〇〇%にするんなら、するようなことを言ってごらんなさいと私は言っているのですよ。いや、総裁、あなたちゃんと答えなさいよ。
  279. 磯崎叡

    磯崎説明員 二〇〇%にすると申しますのは、もちろん私の計画でございます。それにはたとえば先ほど先生が、おまえのところ、非常によく努力したとおっしゃってくださいましたけれども、総武線あるいはその他の通勤状況はよくなっていると申しますのは、一つの大きな理由は地下鉄の整備がございます。この地下鉄の整備は——地下鉄は私のほうは技術協力はいたしますが、直接にはやりません。毎年出資をしております。私のほうが出資することによってその十倍の金を集めて地下鉄を整備するということでございます。これからの大都市交通を高架鉄道だけでやるというのは意味がないわけでありまして、当然これは地下鉄道と私のほうの出資する地下鉄と混合して一緒に考えるべきだということでございます。
  280. 平田藤吉

    ○平田委員 では、国鉄はこれから地下鉄に取り組むわけですか。
  281. 秋富公正

    秋富政府委員 大都市におきます通勤通学対策といたしましては、現在のシェアにおいても、国鉄、民鉄、地下鉄、こういったものがそれぞれのシェアを分け合ってやっているわけでございます。国鉄といたしましては、先ほどから御説明いたしましたように、大手私鉄にいたしましても五カ年間に七千三百億、地下鉄は一億の工事規模で通勤通学対策をやる予定で、これは全国でございます。
  282. 平田藤吉

    ○平田委員 国鉄としてやっているのか、やらぬのか。
  283. 秋富公正

    秋富政府委員 国鉄も、地下鉄あるいは大都市交通、全部それぞれの機能を分け合っていく考えでございます。
  284. 平田藤吉

    ○平田委員 では、その中に国鉄も加わるというわけですか。つまり地下鉄建設国鉄も加わるというわけですか。
  285. 秋富公正

    秋富政府委員 地下鉄は、帝都高速度交通営団あるいは地方公営企業としていたします。
  286. 平田藤吉

    ○平田委員 関係ないのでしょう。
  287. 秋富公正

    秋富政府委員 地下鉄の出資ということにおきましては国鉄も関係はございますが、機能としてはそれぞれの企業体は別でございます。
  288. 平田藤吉

    ○平田委員 私が最初に聞いたのは、国鉄自体としてどこまでもっていくのですかと聞いているのですよ。うそを言ってはだめですよ。そうやってはいつも国民に、よくなります、よくなります、そのために値上げを認めてくれませんか、みたいなことを言ったって、通ってしまえば、あとは知りません、そんなことを言った覚えはありません、努力はしたのですが、ここまででチョンです、こういうことですよ。だからあなたはそういうものの言い方をしないで、できないならできない、もう現状以上にはとにかく解決のしようがございません、総裁としての資格はありません、と言って、下がったらいいのですよ。  新谷運輸大臣、どうなんです。あなた自身は、二〇〇%以下にするということを言っているのです、国鉄自体で。
  289. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど政府委員から申しましたように、首都圏の通勤対策というものは国鉄だけではございません。国鉄も、私鉄も、地下鉄も、バスもございますから、それらを総合いたしまして、国鉄も自然に混雑率が緩和されるという計画を立てておるわけでございます。でございますから、それぞれの交通機関をもう少しお互いに連絡をとり整備することによりまして、先ほど私が申し上げましたように、できる限り二〇〇%以下にしなければならぬという計画を樹立し、それを実行しようとしておるわけでございます。
  290. 平田藤吉

    ○平田委員 では運輸大臣、具体的に聞きますが、高崎線を緩和するためにどこの私鉄にやらせるのですか。
  291. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 具体的にどこの路線をどうするかということは、国鉄なりあるいは政府委員のほうからお答えさせます。  しかし高崎線については、先ほど来問題になりましたから、私のただいま持っておる見解を申し上げますと、先ほどお述べになりましたような通勤線を新しくつくることも可能であれば、これも考えなければならぬ。  それからもっと全般的に言いますと、いま道路がございますけれども、(平田委員「時間がないから簡単に言ってください」と呼ぶ)あまり要を尽くさないと、またしかられますから、要領だけ申し上げます。道路でも、せっかく関係の機関が連絡をとりまして、近いところはもう少しバス輸送を活発にしようという案を立てまして優先レーンとかいろいろ計画を立てたのでございますけれども、それについてはいろいろ具体的に実行しようとすると障害ができてきております。しかし外国の例を見ましてもそういったことは実行されておるところがたくさんございますから、そういった方面は関係の機関とも十分連絡をして、バス輸送がもしかりに三十キロ、四十キロというスピードでもって輸送ができるようになりますと、これは非常に大きな輸送機関になると思います。いまのままでは障害があってだめでございますけれども、そういった問題についてももっと真剣に正面から取り組もうといっておるのでございます。
  292. 平田藤吉

    ○平田委員 総裁、さっき私が埼玉だということを承知の上で、もっと外郭をというので、川越線を複々線にして改善していくという方途もとりたいというように言っておりますが、川越線については複々線、電化、この要求は今度沿道住民一万人から署名をとってきているのです。こういうものについてもいままで何と答えているかというと、これは赤字線だからできませんというのが言い分なんですよ。そしてそれじゃ赤字線だからできないのかなというと、たとえば高崎線の場合は、御承知のように新幹線、山手線に続く黒字線ですよ。この黒字線のほうはどうしてくれるのだと言うと、国鉄だけではできませんと言うのです。それじゃあなたできない理由は赤字か黒字かにあるのじゃなくて、あなた方自身がとにかく通勤者が利用しているところを何とかしなければならぬということに徹していない、ほんとうにやる気がないということを示している以外の何ものでもないと思うのですよ。私はそういう意味でとにかく川越線沿線住民の要求を全面的に受け入れなければいけないというように思いますし、また高崎線並びに五方面作戦そのもの、これもさっきほめたと言われましたけれども、少しぐらいはいいことをやったならいいと言いますよ。だけれどもだめですよ。あなた少しいいことをやったからいいなと言ったら、あなた方のぼせ上がってそっちはやらないのだから。だからそうではなくて、やはりこの五方面作戦そのものも補強するという対策を立てるのはあたりまえだ、私はそう思うのですよ。それをやらないでおいて、運賃値上げはひとつ認めてくれませんか、こう言ったってそれは通る話じゃないと思うのですよ。ちょうど一万人からの署名を持って川越線の人たちが来ているわけですから川越線について具体的に手だてを講ずる意図があるかどうかはっきりさせてください。
  293. 磯崎叡

    磯崎説明員 私がここで具体的な線につきまして具体的に申し上げますとまたいろいろ問題が起きます。したがいましてこれはすでに衆議院の運輸委員会におきましてどなたかの先生からの御要求で大体今度四千億でどういうことをするのかというお話がございました。そのときにすでに御答弁申し上げております。具体的な線名をなるべくあげないで御答弁申し上げております。したがいましてそれでもってひとつ御了承願いたいというように思うわけでございます。
  294. 平田藤吉

    ○平田委員 とにかく通勤線については、いままで論議になっておりますように、通勤予算だといって組んで、東京駅の新幹線のプラットホームがつくられたのも通勤線でつくったものもあるといわれるくらいなんです。それから田端から隅田川に至る貨車線をつくって、それも通勤を緩和する上では大いに役立っている、こういう話なんです。あの線は貨車はあまり走ってないのですよ、いろいろな交差の関係や何かで。あなた方は理屈を言っているけれども、そんなことはないのですよ、首かしげているけれども。だめですよ。予算にしましても、前回までの予算ですと一七・七%予算を組んでいるのですよ。今度は何ですか、再建計画の六・六%ですよ。本気でやる気があるのかないのか、あなた方が出したこういうものを見ただけでもはっきりすると思うのです。しかもダイヤも、これで貨物本位になっていきますよということをあなた方は説明しているのです。貨物をもっともっとどんどん輸送できるようになりますというように説明しているわけですよ。こういうふうに見てきますと、具体的には現在非常に苦しんでいる通勤者の通勤難、苦しんでいるだけではなくて安全が脅かされている通勤難を打開するための抜本策を持っていない。今度の再建計画にしても、そういうことは考えていない。そうしてほかの面について大いに力を入れようとしているということを示していると思うのです。私はこれだけの時間ではこの問題について詰め切ることはできません、はっきりさせることはできませんので、さらに引き続いてこの問題も検討させていただくことにいたします。  次に、過密ダイヤをめぐる問題についてお聞きしたいわけです。  通勤輸送の緩和をはかってきたというふうに言われますけれども、それはいまも繰り返し言ってきましたが、通勤者の安全を守る、こういう立場から進められているかどうかについてお聞かせ願います。総裁、お願いします。
  295. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほども答弁申しましたとおり、私どもの仕事は安全が中心でございます。
  296. 平田藤吉

    ○平田委員 そこであなた方が通勤緩和をはかってきたという中身を少し検討してみたい。ラッシュ時一時間で見ますと、中央線の新宿−四ツ谷間、先ほどあげました三十二年と四十六年とを比べますと、電車の本数では二十九本から二十八本に一本減っております。しかし車両のほうを見ますと、これは二百四十三両から実に二百八十両にふえているわけです。電車運送を減らして、車両を増結することによって幾らかの緩和をはかった、こういうことがいえると思います。この間の混雑率は二三八%から二五四%とひどくなっているというのが現状です、先ほど申し上げたとおり。ところが山手外回りで見ますと、混雑率は二九七%から二三〇%と下がった。ずいぶん努力したなと思ってずっと見ますと、ここのところにやはり重大な問題があるわけです。まず電車本数を大幅にふやしているわけです。これは三十二年に十六本であったものを四十六年には二十三本にしております。車両数も百二十五両から二百三十両と実に二倍近くになっているわけです。京浜東北線南行きにしましても、電車は十六本から二十四本にふえました。そして車両数も百二十六両から二百四十両。いずれも、列車本数をふやし、一本当たりの車両数をふやすことによって混雑を緩和してきたということがおもな側面として見ることができると思うのです。この点について事実に相違ないかどうか。あなた方の資料だから相違ないと思うのだけれども、確認をしたいと思うのです。簡単に答えてください。
  297. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 間違いないと思います。
  298. 平田藤吉

    ○平田委員 こうした過密ダイヤにしたために電車の間隔は二分から二分三十秒間隔。これが通勤時に非常に多くなっておるわけです。このこと自体が危険を伴っていることは国鉄当局者の間で繰り返し繰り返し指摘されているところです。それは総裁、お認めになりますか。
  299. 磯崎叡

    磯崎説明員 そのヘッドだけをごらんになってそれは危険だというのはきわめて中間省略の議論でございます。たとえば世界で一番ヘッドの短いのはモスクワの地下鉄でございます。これは一分三十秒でございます。その次に日本で一番ヘッドの短いのは小田急の経堂口でございます。これは一分四十秒か五十秒でございます。したがって、二分というのは決して短いものではございません。
  300. 平田藤吉

    ○平田委員 これもまたいまの論議をやりますとえらい長くなるのですよ。それは何でというと、諸施設において全く違った条件のもとで電車を走らせておるのですよ、あなた方は何をやったって。危険きわまりない状態で車を走らせておいて、列車をふやして、安全施設のほうはちょこっとまねごとだけしておいて、それでモスクワがどうだの小田急がどうだのと比べてみても話になりませんよ。これもあとで論議しましょう。あなた方の年鑑の中で、現在の過密ダイヤは危険だ危険だということを繰り返し繰り返し言っているでしょう。私はそれを認めるかと言っているのですよ。読み上げるのに時間がないから省略します。これもあなたのほうからモスクワと小田急の問題が出ましたから、時間をいただいて別に論議することにしましょう。  それからもう一つ安全問題で重視しなければならないのは、いろいろな問題がありますけれども、ゼロ号信号と呼ばれる信号機の問題であります。これは大体ホームの中間ぐらいのところにある信号ですけれども、この信号がない場合とある場合とどういうふうに違うのか、なぜつけたかについて簡単にお答え願います。
  301. 阪田貞之

    ○阪田説明員 信号というのは、ブレーキ距離によっていろいろな距離が変わってまいります。ところが駅のところは客扱いがございますので、中間はある程度走れましても、そのままほっておきますと駅のところで列車がだんごになってしまいます。だんごになってくる列車をうまくさばくには、速度がうんと落ちたときにそのブレーキ距離に合わせて信号機間隔をある程度短くすることによって、先ほどからお話しの非常に高価な設備がそれだけ有効になるわけでございます。
  302. 平田藤吉

    ○平田委員 なかなかいい説明ですよ。つまり、いま私が数字をあげたように、どんどん電車をふやした、レールの上にばっと並べた、エスカレーターに近い状態でもって動かしているのですから間があまりあったんじゃぐあいが悪い。駅の中にとまっていた電車のうしろがゼロ号信号を越えた時点では次の電車が場内に入ってこれるようにする。こういう一ぱい並べた電車が外でだんごにならないように幾らかでも何とかしなきゃならぬというのでこれはつけたものでしょう。こういうものは危険な事態を引き起こすにきまっているのですよ。ですから、従来信号と信号との間には一本しか電車を入れないことになっていた。ところがここへ来て二本電車が入れることにしたところにこのゼロ号信号の秘密と使命があるんだということはいま何とかという人が言ったとおりですよ。そうして事故が起こった、そうすると乗務員の不注意ということになる。お茶ノ水駅事故や日暮里駅事故、ホームの中で起こった事故はいずれもこの信号にかかわり合いがある。すべてがそうだとは申しません。この信号にかかわり合いを持ち、この信号が悪い役割りを果たしつつ事故が起こっているということが言えると思うのです。そういう意味で、私はこの信号はやめるべきだというふうに思うのです。  次にATSの問題について若干お伺いしますけれども、ATS、つまり列車自動停止装置は、いつ、どの事故を契機につけられたか、どんな役割りを果たさせるためにつけたのかについてお答え願います。
  303. 阪田貞之

    ○阪田説明員 昔はこういう装置がございませんでした。ございませんために、いろいろ乗務員が信号を見誤るときに——人間でございますからそういうミスが起きないように何とかしたいというので、一番初めに車内警報機というのをつけました。これは信号が赤の場合には、その前に今度は赤だぞということを教えてくれる警報機でございます。それからさらに、先ほどございました三河島事故が起こりまして、それでもいけないというので、今度は赤だといってまず注意を喚起するわけでございます。それでもなお信号を見誤ることがあった場合には機械的にそれがとまってしまうという装置をつけたのがこのATSと称するものでございます。  ちょっと恐縮でございますが、先ほどあれが非常にあぶないと申されましたが、信号というのは全部ブレーキ処理によってブレーキがとめる範囲内において信号機の間隔をきめるのでございまして、電車はいま性能が非常によろしいので、四十五キロの速度制限から百メートル以内にとまります。前の車両との間は距離はちゃんと百五十メートルとってございますので、そういう点の御心配はございません。
  304. 平田藤吉

    ○平田委員 このATSにしても、あなた方は確認方式といって、このATSが働く直前に確認をしてATSのスイッチを押してはずすことになっている。つまりATSがきかないように指導しているわけですよ。これだってそうしておかないで、一々赤が出るたびにATSでとまっていたんじゃぐあいが悪いというので確認方式というものを採用したわけでしょう。ですから、あなた方は実際に人間の手では避けられないものをこの機械で避けるのだと言っているけれども、実はそうはなってない。先ほど小田急の話が出ましたけれども、小田急はもっとうんと進んでいるんですね。もう前の信号から速度をちゃんと調整してゆるやかになっているんですよペッドが短いとか長いとか言っているけれども、そういうようなかかわり合いを持っているんですよ。ですから私はこういうやり方も——混雑した通勤地獄を緩和するのだといって電車本数をうんとふやす、線路はふえない、こういう状態で今日まで進められてきているのが現状だ。だから緩和されたからいいというものじゃない、中身が問題だ。線路の不足についてはあなた方自身が、国鉄の発行した「線路の増設を」というので、もう極度な限界に来ちゃっているんですよ、線路をふやさないで車両ばかりふやしていると危険ですよということをあなた方自身が発表しているんですよ。こういうものを発表しておいて、そうして差しつかえないのだというようなことを平気で言うわけでしょう。危険だということをあなた方自身が言っているのだから……。一言言っておきますと、この本にはこういうふうに書いてありますよ。三十八年度で見ますと、昭和十一年度に比較して旅客輸送では五・六倍、それから貨物輸送では三・六倍、これに対して線路は一・三倍にしかなってない、こう言っているのですよ。過密ダイヤの実態はあなた方自身が認めて、危険だ危険だと言っている。線路をふやして解決する方向をとる以外に道はない。私はそう考えるわけです。  さて、最後に武蔵野線の問題についてお伺いして、私は質問を終わらせたいと思います。  先日、五月十八日の新聞によりますと、運輸大臣は五月十七日に田中首相と協議の後、再建十カ年計画にかかわりなく、都心を通過する貨物については山手線に乗入れさせないよう、また通勤、通学に使える貨客両用の第二山手線的なものにするなどを目的にしたいわゆる第二山手線について事務当局に対し具体案の検討指示した、と報じております。これは事実ですか。
  305. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 運輸委員会でもお尋ねがありましたので明瞭にしたのですが、私は第二山手線という字を使ったこともございません。また、十カ年計画のワク外でこれを実行するということも言ったことはございません。これは私がいろいろの問題について総理に報告いたしました際に出た話でございますが、運輸委員会におきましては、いまあなたもお述べになっておりますように、大都市、特に首都圏の通勤通学輸送が非常に行き詰まっておる、これを何とかしなければならないということが話に出まして、その際に、私といたしましては先般開通いたしましたが、武蔵野線、これは貨物を中心にして計画をされたものでございますが、今日若干の旅客輸送をいたしておるようでありますけれども、今度はこの首都圏が、先ほどあなたもお話しのように、だんだん広がってまいりまして、少なくとも半径五十キロ圏くらいはどうしても確保する必要があるということはもう言うまでもないところでございます。これがどこまで広がるか、これからの問題でございます。五十キロ圏ということを考えますと、いまの山手線のような循環線だけでは十分でないことは、これはだれの目にも明らかなことでございます。そういう点を考えますと、もう一つ外のほうに何かそういった線ができますと、全部がいま放射状に都内に入っでまいりますが、そういう旅客がさばけて、都心の混雑が非常に緩和されるということは、これはもうしろうとでも考えられることでございますから、私はそういった点にしろうとでありますから、しろうとの考えといたしましては、武蔵野線のようなものを利用いたしまして、そういう五十キロ圏の首都圏を対象にして何かよい環状線のようなものができないだろうか。これには、いろいろあとで聞いたことでございますが、貨物線も計画されておるのが、京葉線のようなものもございます。また南部線等も現在ございます。品鶴線のようなものもございます。いろいろなものが計画されておりますが、それが総合されて十二分の活用がされてないように思います。そういった問題を検討いたしまして、この首都圏の通勤対策に貢献できるように計画を考えてくれということを事務当局に指示したことがございます。そういうような意味で、これは今後の課題でございますけれども、何とかしてそういったよい案ができれば、最小限度の経費でそういった計画を実現させるように努力をしたいということを考えておるのでございます。
  306. 平田藤吉

    ○平田委員 御承知のように、いま新谷運輸大臣も通勤難打開のためにたいへん頭を痛めておられるようです。私もしろうとですから、しろうとなりに考えているわけですけれども、山手線の外回りの環状線ということになれば、いま考えられるのは、やはり武蔵野線だろうと思うのです。一部分客車も走らせております。しかし、当初武蔵野線をつくったときに、第三工事局の岡部工事局長が地元において説明をいたしたのによりますと、一日に一万二千両、七十両編成で上下百六十本、こういう計画なんですね。そうしてさらに、新谷運輸大臣が言われるように、こうずっと外から来る貨車そのものも中へ入れないでさばいていくというような方法はとれないかということになりますと、東海道線が貨物が一日百十二本。それから常磐線が三十三本、中央線が十九本、総武線が三十四本、それから東北線が百十本、この百十本というのは、国鉄当局に要求した数字と大宮で国鉄の関係にお願いして出してもらった数字と三十本ばかり違いがあるのです。大宮で調べたところによりますと百四十一本、こういうことになっております。これは百十本としても、三百八本の列車が外から持ってくると武蔵野線に乗ることになる。これを乗せますと、ヘッドが一日中三分から五分なのですよ。そうしますと、これは客車は入りませんな。客車は入りません。いま入っている客車だって追い出さなければならなくなるに違いないのです。したがって、これは武蔵野線で何とかなるというような性質のものではないということは断言して差しつかえないと思う。だから、運輸大臣なんですから、これくらいなことは目を通していただいて、——何でもいいから案を発表して、こういうようなことだろうというと新聞がでっかく取り上げてくれる。そうすると、じゃやってくれるかというような期待が持てる。そうすると、運賃値上げ法案を通していくのにたいへん——財政再建計画法案ですけれども、これを通していくのにはたいへん都合がいいということになるわけであります。運輸大臣、本気でこんなこと考えておられたのですか。
  307. 井原岸高

    井原委員長 できるだけ簡潔にしてください、時間がありませんから。
  308. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 そういういまお話しのような意味における政治的な意図をもって話したわけでは毛頭ございません。これは私は真剣に取り組んでもらいたいということを事務当局に指示いたしております。
  309. 井原岸高

    井原委員長 時間が来ているので、できるだけ結論を急いでください。
  310. 平田藤吉

    ○平田委員 とにかく混雑率は定員の二倍以内に押える、こういう話といい、ずっと詰めてみると、とてもそうはできませんというのが結論。過密を緩和する話といい、安全だという話といい、いまの武蔵野線物語といい、どれをとってみても運賃値上げ法案を通すためのごまかし、煙幕のような役割りしか果たさないじゃないか、私はそう思う。この不当な運賃値上げ法案を引っ込めるべきだ、撤回すべきだ。そうして国民の要求を取り入れた、大衆の要求を取り入れた案をつくり直してもう一ぺんお出しなさい。それができなかったらやめたらどうですかということ申し上げまして、私の質問を終わります。
  311. 井原岸高

    井原委員長 北側義一君。(発言する者あり)静かにしてください。
  312. 北側義一

    ○北側委員 まず最初に、国鉄総裁にお尋ねしてまいりたいのですが……(発言する者あり)総裁、聞いてくださいよ。御存じのとおり、東京とか大阪、こういう方面におきましては非常なる住宅難で、その実態というのは……(発言する者あり)ちょっと委員長、静かにしてもらってください。
  313. 井原岸高

    井原委員長 静かにしてください。——北側君。
  314. 北側義一

    ○北側委員 もう一度初めからお伺いいたします。   〔発言する者あり〕
  315. 井原岸高

    井原委員長 発言中は不規則な発言はやめてください。
  316. 北側義一

    ○北側委員 やっと静かになりましたので質問をさせていただきます。  国鉄総裁も御存じのとおり、東京大阪等では非常に住宅難が深刻になってきております。その原因というのはやはり用地取得難で、これは絶望的になってきておる。こういうことで私常に思っておるわけでありますが、田中総理は土地の高度利用、こういう面につきまして非常に力を入れまして、全国各地におきまして都市再開発推進しなければならない、かようなことを申しておるわけであります。そこで私考えますのに、国鉄財政を見ましても非常に赤字がふえておる現在におきまして、広い操車場また車庫、また貨物駅、コンテナ置き場等が随所にあるわけです。そういういわゆる上空を高度利用して住宅難の解消、あわせてそれが国鉄の赤字財政に少しでも役立つような方向のために利用していくようなことはできないものか、このようなことを私常に考えておるわけでありますが、それについてどのように考えておられるのか。また何か障害があるとしたらどういう障害があるのか。
  317. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御疑問ごもっともなことだと存じます。二つ方面から御答弁申し上げます。  一つは、先生よくごらんになる駅の上だとか操車場の上、これは実は国鉄法上私のほうが直接あそこでもって、たとえばアパート業を営むことはできないわけでございまして、もしやろうとすれば、あの上空を人に貸しまして、あるいは人に上空権を売りまして、つくってもらうということになります。したがって、よほど下の利用が確定いたしませんと、たとえば上に二十階、三十階の高層建築ができますと、あとで下の模様がえができなくなりますので、初めから下のほうがきちっときまったときに上をやるということで、たとえば汐留にいたしましてもその他の貨物駅にいたしましても、私ども青写真はかいておりますけれども、その経営のしかた、国鉄の発言がどうできるかということについて、実は法律上の規定がいまないわけでございまして、私どもできないたてまえになっております。しかし、これはいずれ駅までゼロ分というような意味で——先生のおっしゃったのはそういう意味だと思いますが、そういう意味の住宅、これは運転業務に支障のない限り駅の上空を解放してやるべきだということで、いま私鉄はそろそろ始めております。そういう方向の仕事ができるように政府にお願いしたいと思っております。これは法律改正を要します。  それからもう一つは、駅に関係ないところで木造住宅がたくさん建っているところがございます。古いバラックが建っておる。これなどもきっとお目にさわることだと思いますが、これもいま極力集約いたしまして鉄筋のアパートにいたしまして、残った土地を売る、あるいはそこへ住宅公団につくってもらうというふうな方法で考えておりまして、いま申し上げました二つ方法で考えております。
  318. 北側義一

    ○北側委員 いま総裁もお答えになりましたとおり、私鉄等ではもうすでに始めておるところもあるわけです。たとえば都営地下鉄につきましても板橋の西台駅、ここらみなやっておりますね。いま総裁が言われましたとおり法律改正を行なわなければならない、こういうことなんです。やはり政府の方針からいいましても私はこれは法律改正すべきではないか、こういう考えを持っております。たとえば日本国有鉄道法第六条に伴うところの、また日本国有鉄道法施行令第一条、ここらの改正が行なわれますとこれができるのじゃないか。私の見たところではそういうところがずいぶんあるわけです。たとえば東京にしましても大阪にしましても、数え上げたら切りがないほど私が知っておる場所だけでもあります。そういう面についてどうですか、運輸大臣国鉄総裁のいまの答弁では、法律改正を行なわなければできない、また私鉄等もやっておりますので、そちらの方向も検討しておるということですが、法律改正をやって、私が先ほど申し上げましたような件について行なうような意思がありますか。どうでしょうか。どのようにお考えか。
  319. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先般もこの投資事業の関係についてお答えをしたのですが、投資事業の中で、非常に古い歴史がありまして、いま現在それが十分に活用せられてない部分もあるというような御質問もありました。そういったものについては再検討いたしますが、新しく投資をいたしまして、そして国鉄自身が営業上非常にプラスになる、利用者も便利になるというものがあれば、これは前向きに検討をいたしたいと思います。
  320. 北側義一

    ○北側委員 大臣、前向きに検討なさるのはけっこうですが、この法律改正という問題が解決できなければ、国鉄のほうでも前向きに検討できない。それを私はお伺いしているのです。
  321. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 前向きに検討いたしますということは、もちろん法律改正が必要とあればやらなければならぬということも含んでのことでございます。
  322. 北側義一

    ○北側委員 また国鉄総裁は、私のいまから質問する問題につきましても先ほど少し答えられたようですが、国鉄のあの官舎についても同じようなことが言えるのじゃないかと思うのです。これは具体的に一ぺん聞いてみたいのですが、大阪府と東京都の両方において官舎の戸数と用地面積、これはどれくらいありますか。
  323. 内田隆滋

    内田説明員 東京地区、これは東京都とは限りませんで東京付近ということですが、官舎が一万四千四百戸でございます。このうち木造が五千二百戸、あとは鉄筋コンクリートでございまして、用地面積は百六十一万平米くらいございます。それから大阪地区は総体で七千四百戸ございまして、そのうち木造が二千四百戸でございます。面積は総体で八十二万平米でございます。
  324. 北側義一

    ○北側委員 この面積を見ましても——私ちょっと調べてみたのです。たとえば東京大阪の一つの団地、小さい団地を対象にして調べてみたのですが、東京の上井草四丁目団地、ここは一千百五平米で十六戸大体一戸当たり六十九・一平米。それから大阪の堺市の原山台団地は二千三百十平米で三十六戸、二戸当たり大体六十二・二平米。このように一戸大体六十平米ないし七十平米の面積で建っておるわけです。ということは、すべてが高層化しておるわけです。ところがこの木造というのは、おそらく二階建て以下だと思うのです。私の知っている場所等もずいぶんありますが、先般国鉄のほうから資料をいただきまして、ちょっと調べてみたのです。そうしますと三つの例がございます。三つの場所を国鉄が持ってこられたわけですが、大阪市阿倍野区松崎町二、二十七戸で用地面積が八千九百平米。天王寺駅まで約五分くらいです。一戸当たりの平米が三百二十六です。東京都北区十条仲原四−八九〇、これは百十八戸ありますけれども、この用地面積が一万四千八百三十五、もより駅が東十条、これが百二十六平米。その次、東京都千代田区飯田橋三丁目十番、三十六戸、用地面積五千五百十二、これはもより駅は飯田橋駅ですが、一戸当たり百五十三、いただいた資料を見ましても非常に広いわけですね。  私は、国鉄の職員の中にもやはり住宅難で非常に困っておられる方がずいぶんおると聞いております。私のほうに相談にお見えになる方もおられます。そういう点も考え合わせてみて、そういう大都会、少なくとも東京大阪あたりにおけるこういう官舎につきましては、他の職員の住宅難を解消するためにもやはり高度利用すべきじゃないかと思うのです。そういう面も前から考えておられるようですが、私は一向に進んでいないような感じを受けておるわけです。他の省庁に比べてみましても、国鉄の職員官舎というのはそういう高度利用がなされておらない、そういううわさを私しょっちゅう聞いております。私いままでずっと住宅関係を真剣にやっておりますので、そういううわさを聞くのですが、早急に施策を練ってやられたらいかがかと思いますが、どうでしょうか。
  325. 磯崎叡

    磯崎説明員 まことにごもっともなお話でございます。実は一昨年から計画的に始めておりまして、四十六年度は集約をいたしまして約十六万平米の用地を生み出しております。  いま御指摘の三カ所、ちょっと具体的に過ぎますけれども、たとえば天王寺の松崎町は売却の予定でございます。大体十億以上に売りたいと思っておりますが、これは非常に住宅地としていいところでありますので、売りたいと思っております。  十条仲原、これはいまおっしゃった高層宿舎をつくりたいと思っております。  飯田橋のほうは、これは関連事業に使いたい。あれはほんとうに町のまん中でございまして、非常にいい場所でありますので、ぜひ関連事業に使いたいということでございます。  いま先生のおっしゃったとおり、いま私どもといたしましては計画的に毎年大体十億ないし二十億、うちの金で足りなければ国鉄共済組合の金を借りまして、それでやるというふうにして、何とか数年内には片づけたいと思っております。ことに非常にバラックの宿舎が多くて目立ちまして、ずいぶんいろいろなことを言われますので、ぜひ進めてまいりたいと思います。
  326. 北側義一

    ○北側委員 それとあわせて、昨年国鉄のほうからわが党の運輸委員提出された資料の中にもそういう問題が含まれておるわけです。というのは、東京都内に二十五カ所、二十万一千七百平米の国鉄所有の遊休地がある、このようなことでした。この国鉄の遊休地については少しは利用化をはかって、利用した場所もあるようでありますが、いまだこの遊休地の利用というものにつきまして、私らの目から見ましても有効活用がされておらない、このように思うわけです。聞くところによりますと、新宿西口の新宿ターミナルビルKKですが、これも遊休地を利用されておると聞いておりますが、この遊休地等もやはりもっと活用すべきではないかと思うのです。そこらについて具体的な考え方、どういう考え方を持っておられるか。
  327. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は昨年この点松本先生からも非常に御注意がございまして、私どものほうも具体的にいま御指摘の二十数件につきまして、一件一件大体計画ができております。すでに売却いたしたものもございます。ただ一時、この間のNHKの問題がございまして、なかなか価格の問題がうるさかったのでちょっと手控えましたけれども、直接必要でないものは全部公開入札で売りたいと思っております。自分で使いますものは使いますけれども。それから原則として、公共団体がほしいとおっしゃれば公共団体にお売りします。しかし、値段からしますれば、公開入札が高うございますから、公開入札で差しつかえないものは公開入札で売る。あるいは私鉄等で連絡施設でぜひほしいというものは私鉄に売却するということで、大体一件一件は省略いたしますが、昨年御指摘いただきましたものについてはおおむね措置済みあるいはもう計画をきめておるという点で、御注意いただきましてたいへんありがとうございました。
  328. 北側義一

    ○北側委員 そういう点につきましては、いままでの私の質問で、国鉄の土地利用の問題、こういう問題を詰めてまいったわけでございますが、時間がないので次に進んでまいります。  次に、新住宅地バス路線開設促進補助制度について伺いたいのですが、最近団地建設などに伴いまして、足の便が悪いので公営にしましても公団にしましても、応募倍数が募集戸数よりも少ない、そういうことが大阪でもあらわれてきております。その原因となるものの一つは、足の便が非常に悪い、だから、住宅難は一向衰えていないのですが、そういう団地に入居したら困るというような考え方で応募なさらない、こういう実態になっております。そこで、こういう問題につきまして運輸省及び建設省は一体どのように対策を今後練って、対処していかれるのか、それを伺いたいと思います。
  329. 小林正興

    小林(正)政府委員 御指摘のとおり東京大阪など大都市周辺の団地の足の確保が現在非常に重大な問題になっておるわけでございます。運輸省におきましては、ニュータウン等の非常に大規模なものについては鉄道新線の建設計画もございますが、その他の数多い団地につきましては、もよりの鉄道駅までのバス路線の開設を促進いたしたいという基本的な考え方でおるわけであります。  その際一番問題になりますのは、団地におきますバス輸送は乗客が朝夕のラッシュ時に非常に集中するということ、また片道輸送であるということ、あるいは道路、駅前広場等の整備が十分でないというようなこともございまして、新たに開発される団地につきまして地元のバス事業者、これは公営であると民営であるとを問いませんが、バス事業者が新規にバス路線を開設することをためらっておるような状況でございます。こういった情勢に対処いたしまして、私どもといたしましては、昭和四十八年度におきまして新しく新住宅地バス路線開設促進の対策を講じたわけでございます。  これの概要は、一つは車両あるいは折り返し施設等、若干の輸送施設につきまして団地開発者が負担するということに加えまして、それでもなお赤字が生ずるというような状況でございますので、その際は国と関係の地方公共団体が折半でもってその赤字部分を負担する、こういう予算措置を講じたわけでございます。現在新年度予算の成立も見ましたので、これの実施要領といいますか、細目について関係省庁間で協議しておる最中でございます。
  330. 北側義一

    ○北側委員 ここで問題になりますのは、私要綱案を見ますと、結局団地開発者が次の施設を負担することになる。すなわち、バスの折り返し場所なんというのは問題ないと思いますが、バス駐車場、乗務員の休憩所、旅客待合所、また所要バス車両、バスの車両まで開発者の負担になってくるわけですね。開発者がそういう負担をして団地建設をやった場合に、入居なさる方にそういう開発者の負担金が家賃としてどうしても振りかわってくるのじゃないか、そういう心配が出てくるわけですね。そこらについてどうでしょうか、建設省のほうは。
  331. 吉田公二

    ○吉田説明員 先ほど運輸省から御答弁がございましたように、新しい住宅地をつくりました場合に、バス輸送が必要であるにもかかわりませず、開発主体とバス事業者とだけでいろいろ話し合いをしてきて、それが非常に難航して交通問題がなかなかうまくいかない、こういうケースが従来にも見られたわけでございまして、建設省のほうといたしましても運輸当局に御協力をお願いいたしまして、幸い今年度からこういった補助制度を設けられることになったわけでございます。従来からもこういった団地関連バスについて開発主体の負担という議論がございまして、開発主体といたしましては、その必要性と申しますか関連の最小限度において負担をするということでやってきたケースもございますが、なかなかそれでも済まないというような経営上のむずかしさが加わってきております状態でございまして、その負担の限度というものをどの辺に考えるか、この辺は、確かにあまり過大になりますと入居者、いわゆる住宅困窮者に対する負担が過重されるわけでございますので、この点についてはどの辺の線にするのが適当であるかということを目下運輸当局と御相談しておりますので、相互に一応均衡されるようなところにおさめてもっていくように御相談申し上げてまいりたい、かように存じております。
  332. 北側義一

    ○北側委員 この問題につきましては、最終入居戸数が千戸、こうなってくるわけですからある程度、そう大きな額にならなければいいが、このように私も考えておるわけです。それが結局そういうバスの車両までが全部入居者の負担になるということは非常に私自身も矛盾を感ずるわけなのです。そこらの問題をよく運輸省建設省煮詰めていただいて妥当な点をひとつ見出していただきたい、このように考えておる次第です。  それからちょうど昨年だと思うのですが、議員立法で成立いたしました都市モノレール整備促進法、これは成立したと思うのですが、都市交通というのはいまもう非常に限界にきているんじゃないかと私思うのです。大阪にしましても、また東京にしましても、ラッシュ時の交通ふくそうというのはこれはたいへんなものです。交通安全の立場から見ましても、やはりここらでいわゆる自動車輸送じゃなくして、そういう議員立法をなされたモノレール整備、ここらをやはり早急にやって、大量輸送とはいかないでしょうが、少なくとも中量輸送ができるわけですから、せっかくつくったこの法案の具体的な進め方、今後の考え方、こういうものについてひとつ運輸大臣に伺いたいと思うのです。
  333. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 本年度調査費を計上しておりまして、いまお話になりましたような点につきまして、これは将来も実行するとなりますと大都市では相当有効に働くんじゃないかという期待を持っておるものですから、企業主体をどうするか、また、どんな運営方法でいくか、やはりどうしても補助でも出さなければいけないかどうか、あらゆる点から検討しようとしております。  具体的には、各都市の状況に応じまして、これは具体的にきめなければいかぬものですから、首都圏とか大阪とかいうふうに限定はしておりませんで、もっと広く有効に利用できるなら、もう少し広く利用する道を考えまして、どうしたらいいかという基本方針をいまきめようとしている際でございます。まだそれが決定しておりません。決定いたしますと、場合によりましては四十九年度予算には若干それに関係する予算が出ることもあるかと思います。
  334. 北側義一

    ○北側委員 きょうの新聞紙上に出ておったのですけれども建設省あたりでは道路整備特別会計のほうからこれに補助金を出して、ぜひともこのモノレール促進法に従ったところのモノレールをつくりたい、このような考えを持っておるようです。そういう面で何とかやはり、たとえばこれは一例でありますが、国鉄の場合でも用地買収——関西方面ではほとんどこれは新線はないのです。ところが、都市のできていくスピードを見ますと、猛烈な勢いで都市周辺部へいま都市が進展していっておるわけです。用地買収するといってもとてもじゃないが坪二十万も三十万もするところで用地買収して、現在の国鉄の赤字のような状況では建設できないと思うのです。やはりこの法律に従ってやっていくと非常に安くついていいのではないか、こういう考えを持っておるわけです。いま大臣がお答えになりましたように、この問題につきましても早急に具体化していくような、せっかく議員立法でつくった以上はこれは活用しなければならぬと思うのです。そういう点ひとつよろしくお願いしたいと思うのです。では、時間が来たようですからこれで終わります。
  335. 井原岸高

    井原委員長 沖本泰幸君。
  336. 沖本泰幸

    ○沖本委員 私の与えられた時間二十分で、二十分の中に入っていると思うのですが、時間がありませんから、二問ほどお伺いしたいと思います。  それですでに各委員からいろんな形で御質問はしてきておるわけですけれども国鉄の赤字路線でいろんな考え方なりが発表されたり要求されたり、こういう中にあるわけです。赤字路線を赤字にかかわらず新しくつくっていく、こういうふうなお考えをお述べになったという点、国鉄総裁がそういうことをおっしゃったということを私たちは新聞紙上でも読んでおりますし、その御発言になった方向というのは、日本列島改造論と関係があるんじゃないかという御質問も出ております。大体、赤字路線という内容は、これは再建計画の中からいくと、それを建設するということは、再建計画には全然合わない考え方であるわけです。それをあえて赤字路線をやっていく。過疎とか過密の間をつないでいく、どうしても措置しなければならないものであるという考えもあるでしょうけれども、あえて国民の前に赤字路線をどうしてもやる。これは以前の総裁のお考えとは、これは百八十度変わった述べ方をしていらっしゃるわけです。この点について、はっきりした定義をしていただいて、それが再建の中にどう組み込まれていくのかという点についてお答え願いたいと思います。
  337. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄総裁からお答えいたしますよりも、私からお答えしたほうが適当だと思いますので、私からお答えします。  先ほども国鉄総裁からは、この問題について昨年と方針が変わりましたということを申したわけでございますが、これは国鉄総裁が変えたのではなくて、政府が変えたのでございまして、いま日本列島改造ということをおっしゃいましたが、もちろんそれにも関連を持つことは当然でございますけれども、過疎地帯における国民の足を守ろうという点からまいりますと、昨年提案いたしましたような方法で、三千四百キロもの地方閑散線を五年間で廃止するんだというようなことをやっておりますと、この過疎地帯の解消というどころではなくて、ますます過疎現象がひどくなってくると思います。でございますから、もちろん、道路によって自動車輸送に転換し得るところはこれは転換するように考えなければなりませんが、その点は昨年の提案と少しも方針は変わっておりません。しかし地元の方は、これはもうどうしても置いてほしいのだ、ほかに方法がないのだというようなところは、運輸大臣が認定をして五カ年間にやめるのだというような、非常に強権的な方法はとらずに、これは実情を見まして、残すべきものは残していこうという方針をきめたわけでございまして、これは政府の方針によりまして、昨年の提案を修正したということでございます。  しかし根本的にいいますと、去年の方針と根本的に違うのかというとそうじゃありません。昨年のように、バスに転換したほうがいいところは転換させます。そうでないところは、赤字を出しましても国鉄線を維持させるという方針でございまして、そのために必要な政府の財政的援助は、全体を通じましていたしております、こういうことを申し上げておる次第でございます。
  338. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そこでその内容が再建計画の中に組み込まれていっている内容の中から出てくるものか、またいま運輸大臣が御説明になったように、政府から別途に赤字線についての財政的な措置が行なわれるのか。これこれこれだけの赤字線は、どうしても十カ年計画の中からやっていこうという形で財政計画が再建計画の中に組み込まれておるのか、再建計画からはみ出てしまって、政府からの要望によって、あるいはいろんな角度を考えながら赤字線を別につくっていく、それに対する費用、いろんな建設資金なり将来に対する赤字というものに対しては別途にまるまる政府が見ていく、こういうことになるのか、でなければ再建計画の中で赤字路線をそのまま組み込んでいくことになれば、その中で運賃の値上げが組み込まれてくるわけですから、そうしますと、いわゆる赤字路線自体は、皆さん方が一番よくおっしゃる、いわゆる利用者による負担であるという形で赤字のほうまで利用者は負担させられるという理論が生まれてくるわけです。そういう理論が生まれないような内容の中で赤字路線が出てくるのか、どういうことなのか、その点に私は疑問を持っているわけです。
  339. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 多少御質問の趣旨を誤解していたように思いますが、私、いま申し上げましたのは、現在ある地方閑散線の問題について申し上げたわけでございますが、沖本先生のおっしゃっているのは、これからつくる新線のことに触れていらっしゃるのじゃないかと思いますので、先ほどのお答えに多少補足してお答え申し上げます。  いわゆるAB線の問題になると思いますが、これにつきましては、いままでは全体の金額が少のうございまして、建設が完了するところまではなかなか時間がかかります。今度は昨年よりもAB線に対する政府の投資といいますか、鉄建公団に対します投資を非常にふやしまして、AB線については政府が財投でもって全額出資をして、政府の資金でまかなおうということにいたしております。結局でき上がったものは国鉄が運営するわけですが、投下資本がほとんどないというような線でございますから経営も楽だということでございます。しかしそれでも運営上赤字が出るかもしれません。赤字が出ました場合には、いまのような全体を見まして全体の赤字を補てんをするという意味におきまして、AB線の赤字もその中で補助をしていくというたてまえをとっておるのでございまして、利用者の方に、これは赤字だから特別の運賃を設定するというようなことはいたすつもりは毛頭ございません。
  340. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いわゆる運賃値上げについてくる議論の中で、三方一両損であるとか、あるいは受益者負担の原則だとか、こういう形の議論が出てくるわけです。そちらのほうはよくそういうことをおっしゃるわけですけれども、赤字線を受益者負担の原則の中でそのまますべての受益者に負担をしいられるということは、同じ原則の中でもものが違うと思います。そういうことですから、この赤字線の内容についてはもっと別途に明らかにしていただいて、国民がまるまる赤字線もかかえ込んだ運賃をしょわなければならない、こういうふうなことは受益者負担の原則の理論からもはみ出た理論である、私はこう考えるわけです。  時間もありませんから、この点十分お考えになっていただいて、新しくおつくりになる赤字線についてはそういうものがほかのほうの影響になったり、あるいは再建計画の中に組み込まれたりするようなことのない内容を明らかにしていただきたい、こういうふうに考えます。  それからもう一点ですけれども、時間がありませんからもう一つになってしまいます。  これは分科会でも絶えず言い続けて、総裁からもいろいろ言われますけれども、はてさて私のほうの松本委員からの御質問もありましたとおり、東京周辺では第二山手線をつくるとか東海道第二新幹線の構想があるとか、これは再建計画の中にあるのかないのかというような内容のものも出てきておるわけです。これは確かに輸送の隘路なり何なりというものを解決するためには新しい構想のものも出てこなければならないわけですね。それがちゃんとした議論なりきちっとした筋道が立って出てくればいいわけですけれども……。私がこれと対象的に申し上げたいのは大阪の城東貨物線の建設に対してですけれども、第三次長期計画の中からはずされてしまって、現在に至るまでずっと——分科会でも総裁のお答えは、ことしになってやっと調査費が出ることになった、だから全然捨てたわけじゃないのだ、こういうことなんですけれども大阪の城東貨物線の電化、客車化、それから全線を全部通してしまうという考え方の中には、明らかに黒字である、黒字が生まれるのだ、こういう内容のものが考えられておるわけです。ですから黒字に対する試算というものをおはじきになって、それでもなおかつおくれておるのかどうなのかという点になるわけですし、地元の負担ということも盛んにおっしゃいますけれども、地元の負担も、国鉄のほうがはっきりとそういう内容を明らかにしていただいて将来に対する見込みが出てくれば地元も考えないことはない、こういうことを言っておるわけです。だから赤字を解消するための再建計画であるという内容のところへスポットを当てて考えていくと、こういうふうな黒字になるという見込みのあるところをそのまま捨ておいての議論というのはおかしいということになってくるわけです。まして新幹線なり何なりというものは膨大な建設費が要る。しかし将来の国鉄があげる利益であり、あるいはそれを利用する人たちの便宜であり、あるいは交通の近代化というような点から考えていくから当然国民も受け入れていくというような考えがずいぶんあるわけです。そういう中にあって、地方だから捨てられているのじゃないか、ただスポットが当てられやすい東京周辺だからことさらにそういうふうにお考えになっているのじゃないか、こういうふうな疑問を全部が持っておるわけです。ですから、再建計画にからめてその点をお考えになっていただいて、そして一億の調査費がついておりますけれども、それに対する青写真なり何なり、将来に向かっての明快な内容をこの際明らかにしていただきたいわけです。
  341. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうは今度の再建計画の中で大阪付近三千億とはっきり書いてございます。いままで東京に少し重点を置き過ぎて大阪をほっておいたことは事実でございます。今度は何とか三千億を大阪に入れます。そしてこれはこの間お約束いたしましたので、その後事務も進めておりますので、担当の理事から一言進捗状況を御説明させまして、今後はもう絶対にお約束どおりにするということをはっきり申し上げます。
  342. 内田隆滋

    内田説明員 ただいま総裁からお話があったとおりでございまして、調査を進めておりまして、調査が済んだ段階大阪市あるいは府と相談いたしまして国家事業に取り上げてもらうという線でまいりたいというように考えております。
  343. 沖本泰幸

    ○沖本委員 あらましのお答えにはなったと思うのですけれども、ここでお願いしておきたいことは、いわゆるこういうところにこういう形でこういうふうに敷いていく、そして考え方が出て具体化していくような内容が話題になり出してから相当年限がたっておる。したがいまして、すでにある城東貨物線のいわゆる国鉄の持っている敷地自体が交通停滞の大きなネックになってきている。したがいまして、いわゆる周辺都市から都心部へ入っていく交通を緩和していくためにも早く高架にしなければならない、そういうような内容が十分あるわけです。運輸大臣はお近くですからよく御存じだと思いますけれども、そういう内容を考えていきますと、こういう形のものになるのだというふうなはっきりした内容を具体的に地元に、それが利用できる範囲の人たちの中にそれを知らしていただいて将来計画を明らかにしていただく、こういうことでなければ、ただこれだけの予算組みをしたから心配するな、これからやっていける、こういうことではなくて、そういうことによって都心なりあるいはドーナツ現象を起こしている過密都市の将来の発展なり、あるいは区画整理なりいろいろな、都市の変革というものに対する内容が変わってくるわけです。そういうものも、やはり国鉄が大きな形で横になってしまってじゃましたりあるいはそれの発展を促進するという形にもなるわけでございますから、そういう点を十分お考えになってやっていただきたい、こう考えるわけです。
  344. 磯崎叡

    磯崎説明員 先日も予算委員会でお約束いたしましたとおり、なるべく早く私どもの青写真をつくりまして、大阪府あるいは関係市に御連絡申し上げて、そしてやはり都市計画でやっていただくところあるいは区画整理でやっていただくところがございますので、そういう具体的な設計の協議に入りたいと思っております。   〔井原委員長退席、細田委員長代理着席〕
  345. 沖本泰幸

    ○沖本委員 もう少し考えを進めまして、モノレール的なお考えもあるのだとか聞いているのですが、その点についてはどうなんですか。
  346. 内田隆滋

    内田説明員 ただいまのところはそのようなことは考えておりません。
  347. 沖本泰幸

    ○沖本委員 以上で終わります。
  348. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 玉置一徳君。
  349. 玉置一徳

    ○玉置委員 時間がございませんので直接質問に入りたいと思います。  累積赤字一兆二千億円、四十七年度の債務の残高が三兆七千億円ですが、しかも出資はわずかに八十九億円、国鉄の財政は全く危機におちいっているといわなければならぬと思いますが、これについて、国鉄総裁並びに政府当局ほどういうようにお考えになっているか、簡単に一言お願いしたいのです。
  350. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 非常な財政的な危機におちいっていることは御承知のとおりでございます。でございますからこれを財政再建いたしますと同時に、国鉄がともすれば失いがちであります国鉄の本来の機能を回復させるために今度の十カ年間の計画を提案をしている次第でございます。
  351. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま大臣がおっしゃったことと同じでございます。
  352. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで大臣にお伺いしたいのですが、異常な危機におちいっている、普通の民間の会社ならば当然破産をしているということだと思います。この原因についても御質問をしたいのですが、時間の関係で避けてまいりますが、累積赤字一兆二千億円、それから負債の残高が三兆七千億円ともなれば、わずかに出資金が八十九億円できょうまでじんぜんとしてやってきた、資産も三兆六、七千億円になるわけであります。それに資本金である出資金がわずかに八十九億円というところに一つの大きな問題があると思います。したがって、これの再建には、将来の工事費十兆五千億円の約一割に値します一兆五千億円を十年間に出資金をふやしていくというようなことじゃなしに、もっとまじめに今度の再建そのものを取り扱うべきじゃないか。四十二年度に御案内のとおり石炭鉱山の会社の経営の負債の肩がわりを一千億円いたしました。四十四年にもう一千億を肩がわりしました。今度また四十八年度に八百億円の肩がわりをしようとしておるわけであります。そういうような観点から考えまして、将来の工事費の中で出資をふやしていくというようなことでは、とうていまじめな態度だとは私は思えないのです。一兆二千億円の累積赤字は普通でいえば政府が肩がわりするのが当然であり、それを将来にわたりましてもかまいませんから、出資をするのが当然だ、私はこう思いますし、それから地方公営企業の赤字再建の立て方にいたしましても、孫利子じゃなしに、利子そのものの補給をしております。なぜこういう差別を政府当局がするのか、私はわからないのですが、大臣の御答弁をいただきたいのです。
  353. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 今度出しておりますのは、長年国鉄の赤字が累積いたしまして、いろいろな角度から検討いたしましても、今度のような政府の援助措置、これがないと再建できないということで、出資を含めまして、あるいはいまそれでは足らぬじゃないかとおっしゃいましたけれども、政府の助成を含めまして、全体といたしまして十カ年間には一人前になれるだろうというようなめどをつけまして出しておるのでございまして、これはいいかげんな気持ちで出しているわけではございません。もちろんこれは政府といたしましてはあらゆる角度から真剣に検討いたしました結果、成案を得て出しておるのでございます。  ただ、この国鉄の赤字の原因の一つといたしまして、今日まで非常に設備投資が多く要求された。それに対応いたしまして、いまお話しのような政府の出資というものが少なくて、むしろ借り入れ金が多かったというようなことは事実でございます。今後そういった問題につきましても、一応われわれの十カ年間の案は立てておりますけれども、輸送事情が非常に変わってくると思います。そういったものにはもちろん目をそむけるわけにはまいりません。国鉄が再建いたしますためには、将来の状況を見ながら最善の方法を考えなければならぬと思っておるのでございまして、今日の案は、われわれはいまのところ、これでいって再建はできるというめどをつけまして、これは真剣に考えて出しておるのでございまして、御了承いただきたいと思います。
  354. 玉置一徳

    ○玉置委員 こういうずさんな形で、国民にわかりにくい再建方策というのは私はあり得ないと思うのです。将来の工事費のうちで資本を出資していく、だから、現に瀕死の状態にあるものの手当てをせずに、将来の工事費の、こういう形になっております。  まず第一点お伺いしたいのですが、新幹線のあれは四兆八千億円になっておりますが、十カ年の予定は、新幹線の利益率は、いまのようないいところだけ走っておるのだった三千億円もの黒字が出ておりますけれども、あるいは博多まで、あるいは仙台ぐらいまでのことはどうか知りませんが、それから延ばせば延ばすほど利益率は下がると思いますし、それに並行して走っておる旧幹線の赤字も非常にばく大なものになるのが今日の現状でございます。なぜこれだけ弱っておる国鉄が、わずかに十分の一ぐらいの国からの助成しかもらわぬで、何もかも、過去のものまでひっくるめて、それで掃除をしろということをいまだもってやらなければならない理屈があるのか。国鉄財政だけ考えてみれば、ここら辺でかんにんしてください、ここから先は五割補助がなかったら、ここから向こうは十割国でやってもらわなければ私のほうはやれませんよというのが私はたてまえだと思う、財政再建という観点からすれば。それに握り金で全部含めて一兆五千億円でごまかしておけ、だからこそ、今後たくさんの、将来三回にわたる運賃値上げをまた想定をしているというような形になるのですよ。国鉄運賃の値上げをしますよ、あと三回さしてもらいますよというようなものを国会に再建案として出すような不始末は、よく審議してくださいといえたものだなあとすら思うのです。だから過去債務はこういたします、将来にわたってはここまではやりますけれども、非常に利益率の下がっていくものだけは国からこうしてもらわなければやれませんぞというのが、私は国民にも理解がしやすいのじゃないかという感じがします。  国鉄総裁にお伺いしたいのですが、新幹線のこれから延びていきますあれで、利益率はどの程度下がっていって、どこから向こうは赤字だということがほぼ言えましたら御説明いただきたいのです。
  355. 磯崎叡

    磯崎説明員 いろいろ計算のしかたがございますが、一応現在やっております工事三線それから調査五線、これが開業いたしました暁、五十二年度開業と五十四年度開業と見ておりますが、その暁には当分の間赤字でございまして、昭和六十年度になりますと、その後は大体よくなるだろうということで、いま先生おっしゃいましたように、それはとても東海道のようにうまくはまいりません。
  356. 玉置一徳

    ○玉置委員 国鉄当局は、地下鉄に対する政府の助成が、四十二年度に一〇・五%だったのが、二年しまして三〇数%になり、今度一挙に六六%に補助率がなっておることを御存じのはずなんです。新幹線を急速にやれということは、これはまた違った国の施策に基づいたものでありますので、その経営責任を負わなければいかぬ国鉄が、それについては、ここから向こうだけは何割の助成をしていただかなければ無理ですということを、言い切らなければうそだと私は思うのです。またぞろ同じことを繰り返した再建策をやり直してこなければならないと思うのですが、そのことをおっしゃったか、あるいはそれはどういうようにお考えになっておるか、当局からお伺いしたいのです。
  357. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま御指摘のように、地下鉄につきましては三十九年までは一〇%の助成でございましたものを、その後五〇%の助成をし、今回から六六%の助成というふうにしたわけでございます。しかし、これは工事がございますので、実際には五〇%助成ということになるわけでございます。  これに対しまして、国鉄に対する助成でございますが、現行の再建計画におきましては、出資はゼロでございます。それを今回の案におきましては、十カ年間に十兆五千億の工事をいたしますとともに、一兆五千億の出資をするというわけでございます。  それからいわゆる工事費の補助でございますが、現行の再建計画におきましては六・五%の工事費補助でございます。これを今回の案におきましては三・五%まで工事費の助成をするというわけでございます。これは出資を合わせますと、三%、正確に申しますと二・九%というほどの工事費の金利でございます。いま政府が助成いたしておりますものといたしましては、これは例のない最高の助成である、かように考えておるわけでございます。
  358. 玉置一徳

    ○玉置委員 最高の助成かもわかりませんけれども、三兆六、七千億円の資産ができ、負債もまた三兆六、七千億円できておる今日、なお八十九億円しか出資ができてなかったというところに財政上非常な荒廃を招いたわけですよ。再建策を国民に提示するんだったら、それはそれでこういたします、今後のことはこういたしましょうというのが当然ですよ、どこでも。今後のことに何もかも含めて、しかもいま申しますように、利益率はこれからぐんぐん下がるわけです。しかもそれと並行しておった在来線はもっと赤字におちいるわけです。そういうことに何らの手当てをせずにこういうものを出して、あと三回にわたって値上げをするということでもって糊塗しようと思っておれば、どえらい値上げの案にならなければ、あるいはいよいよ再建が苦しくならなければならない宿命を今日から、出発点から持っておる。  地下鉄が建設について六六%の補助金をもらい、こっちは一割未満である。そして思い切って新幹線網をふやしていかなければいかぬ国の施策を背負っておる、そういうものがこんなぐらいの助成でやれたらお目にかかりたい、こんな感じがしてしようがないのです。しかも地方軌道、いわゆる私鉄ですが、大都市間の非常にいいところだけを運送しておりましても、しかも国鉄に引き続いていつも値上げをしていっても、あれも赤字なんです。ほかの兼営企業でもってようやく糊塗しておるというのが現状だと思います。ましていわんや、ローカル線の一万キロにわたる不採算線を背負いながら、このことはとうてい不可能に近い仕事じゃないか、こう思うのですが、当局はどうお考えになりますか。
  359. 秋富公正

    秋富政府委員 いま私が今後のことにつきまして申し上げましたが、過去のことについて申しますと、現在の再建計画におきましては、四十三年度末のいわゆる政府管掌債務、約六千億ぐらいでございますが、これだけを十カ年たな上げするということでございましたが、今回の再建計画におきましては、四十七年度末におきます全債務、すなわち政府管掌債務、政府保証債務、それ以外にその他の一般の鉄道債券債務、これも含めまして三兆五千億というものをたな上げするということにしたわけでございます。  それからもう一つ、新幹線につきましては、鉄建公団も新幹線をつぐっておるわけでございますが、これにつきましても、それから今後つくります本四架橋公団につきましても、同じく一五%の出資、そうして工事費補助金を三・五%。こういうことによりまして、今後開業国鉄が払います借料軽減ということにつきましては同じように措置したものでございます。
  360. 玉置一徳

    ○玉置委員 このままやっていって、もしもこの計画のとおりいかなかった場合、運賃値上げをそれだけよけいされるのか、あるいはもっと新しくくふうをなさるのか、あるいは国の助成を求めようとするのか、あるいは今後もう少し様子を見てどのようなくふうをされるのか、当局と大臣の御説明をいただきたいと思います。
  361. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いまの計画では、十カ年間に国鉄の再建をできるという確信を持ちまして、提案をいたしておるわけでございます。その中には、お示しのように、運賃の値上げを三年ごとにいたしますということをいっておるわけでございますが、これは十カ年計画を立てます場合に、そういうことをしていただかないと再建できません、政府もこういたしますということを言っている計画でございます。  この案を通していただきました場合には、それによりまして国鉄が十カ年間の計画をつくりまして持ってまいります。それをもとにいたしまして、私のほうといたしましては政府で閣議決定をしようと思っております。でございますから、いろいろな情勢の変化によりましてそれを単年度でどんどん変えていこうというような計画ではございません。一応閣議で決定いたしまして長期計画を立てるということでございます。しかしながら、それじゃ十カ年間をいま完全に経済情勢、運輸状況を全部見通してそのとおりいくかといわれますと、これは流動的であると思います。もしもそういったような事態が起こりました場合には、その時点におきまして関係閣僚でもって相談をいたしまして、政府の案をまた変えなければならぬ場合も、絶対にないとは私は言い切れません。しかし現在の考え方ではそういう案でいって、大体これは十カ年間に再建できるという確信を持ちまして提案しているということでございます。御質問にお答えできなかったかもしれませんが、大体そういうふうな考え方でもって進んでおります。
  362. 磯崎叡

    磯崎説明員 確かに先生おっしゃったとおり、いろいろこれは問題がたくさんございます。しかし、きわめて短時日につくったものでございませんで、昨年廃案になりましてからほとんど半年以上、相当事務的に詰めて、私自身もタッチしてつくったものでございまして、私は何とかこれでやってまいりたいというふうにいまは思っております。情勢の変化等もございますけれでも、いまはそういう弱気ではなしに、この案でやるだけやってみたいというふうに思っておるわけでございます。
  363. 玉置一徳

    ○玉置委員 私は、工事の助成といったって、新幹線網の今後非常に利益率の低下するところ並びに国の施策のほうが先行しているような場合のやつ——通常の旧線の補強その他のことは助成なしでやるべきでないかというような意味で言っておったわけです。  それから経常経費のほうでも、現に三十六年度に半分の一万キロが千六百億円の赤字を出しておる。将来それが非常によくなるという明るい見通しも少ないというようなものの手当てをどうするのかとか、鉄建がこしらえますAB線は底なしでそのまま置いておくのかというような詰めも、いやもう全部含めて、孫利子三分五厘というようなことになっておるんだろうと思いますけれども、明らかにみんなにわかりやすくなっていない。したがって将来の責任の、これはこう思っておったんだけれども、これはこういう理由でうまくいかなかったという個所限りのあれが非常にわかりにくいというようになっておるところも、今回の再建案が一つの政治的な折衝でできた結果だとは思いますけれども、不分明な点だ、こういうようにやはり思います。繰り返しておってもしようがございません、時間の問題もありますから。  人間の輸送では黒字を出しておるけれども、貨物輸送で大損をしておるんだというように一般にとられております。これは結局競争相手のあることでありますので、なかなか困難な問題があると思うのでありますが、あるいは貨物の公共負担は国の財政から見てもらうとか、そういうようなはっきりしたことがないと、巷間そういうように伝えられるのも無理がないんじゃないかという感じも私はするのですが、これについてどのようにお考えになっておるのか。
  364. 磯崎叡

    磯崎説明員 貨物の赤黒の問題につきましては、ずいぶんいろいろの御議論もございました。私どもといたしましては客貨別の原価というものは非常に出しにくいということでずっとお話ししておりますが、さればといって貨物輸送がいまのままでいいと私は決して思いません。昭和三十年代はほとんど旅客投資ばかりでございまして、貨物投資は旅客投資分の何分の一にすぎません。それが貨物のサービスをおくらし、また荷主からもきらわれたという大きな原因だと思いますので、やはり今後貨物輸送はよほど頭を入れかえて、考え方を変えて、正確な輸送ができるようにしなければいけないというふうに思います。いまむしろ運賃の問題よりも、利用者が言われているのは、国鉄の貨物輸送は不正確だということでございます。いつつくかわからぬ、これが流通コストのやかましいいまの世の中には通用しないというふうにいわれております。したがって、どうしたら正確な輸送ができるかということを頭に置きまして、そうしてコストの安い輸送をするという方向で、思い切った貨物のシステムチェンジをぜひしなければいけないというふうに考えております。
  365. 玉置一徳

    ○玉置委員 大臣にお伺いするのですが、大体こめ新幹線なら新幹線、その他一般の在来線が、東京の非常に高い地価の中で平面だけ使っておるというところに、国鉄だけではなくてこういう事業の一つの非常に赤字に落ち込んでいく無理もないところがあるんじゃないだろうか。一平米何百万というようなところで、汐留駅でござい何でございというふうに、地上面だけしか使えないというところに非常に大きな制約と宿命を持っておるような感じが私はします。そういうような意味では、たとえば新幹線網をせっかくおつくりになるんだったら、なぜ一緒に両側に住民の喜ぶ道路をつけないか。それで、その空間を相当大きな幅にしておいて騒音を防止できるようなくふうがそこにこらされるんじゃないだろうか。どちらにしても、一本の線だけ国土の中に引っぱる、それだけでは私は非常にもったいないんじゃないだろうかという感じがしまして、これは建設省と一緒に、その両側に道路をついでにできるところだけはやってしまうんだ、と同時にあるいはエネルギー資源の非常に問題点でありますパイプラインの敷設をその道路に一緒にしていくんだとか、それを高度に使えるような形のものをくふうしない限り、この国土の地価の上昇しておるときに、わずか三十分に一本ずつ、たとえば新幹線が走る、その上を走っているときは一分間か二分間だというようなことでは私は採算が合わないような形になっていくのは無理ないんじゃないだろうかという感じ、飛行機に比べ自動車に比べてそういうことを考えれば、付帯事業のあり方とかあるいはそういう利用のくふうとかいうことにさらに考えていってもいいんじゃないか。これは国鉄当局のお考えになるべきことであり、しかも私もこの間、周辺にどのくらいの、一階だけをといったらおかしいのだが、地上だけを使っておって、上に高層建築その他を建てられるような利用可能な面積は東京都圏にどれぐらいありますかといって国鉄当局に聞いたことがあるのですが、同時にいま申しましたような利用のしかたをやはり建設省とも相談し通産省とも相談して、十全にその工事費を生かしていくような形をおとりにならぬことには無理だと思うのです。こういう点で国鉄並びに大臣の御所見をお伺いしたいと思うのです。
  366. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 全くごもっともだと思います。国鉄もそういった問題について無関心ではないと思います。しかし今日大都市で一番問題は用地を得るということでございまして、今日になりますと、たとえば新幹線の両側に側道をこしらえようといいましても、これは実際実行はおぼつかないと思うのです。ただ今度計画をし、これから実行するような新幹線工事におきましては、いまお話しのようなことを考えながら、地方の自治団体とも相談をしあるいは建設省とも相談をしながら、そういう措置をとっておるところが現実にございます。  これはいまでもやっておるのでございますが、しかし東京とか大阪のこういうところでいまそれをやろうといいますと、これはたいへんな経費で、これはほとんどやれない。したがって国鉄のほうは、御承知のように東京駅にいたしましても、ほかの駅にいたしましても、新宿にいたしましても、できるだけ地下を有効に使おうという計画をいたしておるのでございまして、これはもっとやったらいいじゃないかという御議論があるかもしれませんが、必要に応じまして国鉄は土地の有効利用、立体的な利用ということについてはずいぶん計画もし、実行もしておる、私はいまそういうふうに評価しておるわけでございます。
  367. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま大臣がおっしゃいましたけれども、今度の岡山以西への新幹線につきましては、約五カ所でございますけれども建設省の非常な御協力を得まして、先生のおっしゃったと全く同じような試みをいたしまして、新幹線をまん中に置きまして両側十メートルずつぐらいの側道をつくる、あるいは場所によっては片一方五メートル、片一方十メートルというふうなことをしまして、私どもは、その下をどうするか、なるべく公共に開放したいという気持ちでおります。そういうことで新幹線と地域との調和ということを今度は具体的にやってみましたが、今後東北その他につきましてはなるべくやはり建設省の御了承を得まして、そういう共同で仕事をするというふうに進めてまいりたいと思っております。  都市付近の空地の問題につきましては、いま大臣がおっしゃったとおりでございまして、いろいろ法律上の制約がございますが、徐々に仕事ができるような体制にさせていただいておりますので、いま小さいところからぼつぼつ始めておりますが、いずれ根本的な問題として、たとえば汐留とか東京とかいう問題に手をつけてまいりたいというふうに思っております。
  368. 玉置一徳

    ○玉置委員 私の時間の都合もございますから詳しくは質問がしにくいのですけれども、要は一般の方々に常にわかりやすいような施策をやっていく。したがって、再建にしろこういうように弱っておるところは弱っておるんだ、だから政府はここまでこうだというようなことにならないと、いつまでたってもはっきりわからないままに、いまのような運賃値上げ反対ということにでくわすのは無理はない、私はこう思うのです。  だからしょっちゅうやはり実際の実態を国民に知らしていくということ、したがってその打つ手も、だれが見ても常識的な、会社の再建策はどうだ、みんな地方公営企業の再建策は、これはほぼパターンがきまっておるわけです。それを赤字も何もほっておいて、将来の工事費の中で、握り金でこうするんだというような形では、この再建案を見ましても、そのあくる年から、その年からかなりの赤字を出さざるを得ない。将来の値上げその他によってずっと向こうでつじつまが合うだろうということになっておるけれども、内閣がいつかわるやらわからない、自民党だけの政府でいつまでいけるやらわからない。そういうことを考えたときに、私はもっとやはりまじめな具体的なものを積み重ねていくという方式でないと、政治的にこれでつじつまは合うんだろうけれども、こんな値上げがいつまでも、数回繰り返されるというようなことは続くもんじゃないとも思うのです。だから、その分はいつも財政でまかなうんですというようなパターンをつくらないと、この案ではなかなか国民が納得しにくいじゃないだろうか。なかなか言いにくいことがあって、一挙に金も出せないから、向こうへ向こうへといって、ほとんどうしろへさかのぼらしていくという再建案というものは、非常に実態が困っておるということすらあらわれにくいということをいわざるを得ないと思う。  そういう意味で、常に国民とともに歩む国鉄でなければ私はいかぬと思う。そういうことで大臣並びに総裁の御所見をお伺いして、時間が参りましたので、終わりたい、こう思うのです。
  369. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 たいへんPRが不足でございますから、そういう点を御指摘になったと思いますが、ごもっともだと思います。しかし、私どもは、おっしゃるようにごく端的に、たとえば線路別に、ここは赤字が出るからこのくらい補助しようとか、閑散線はこうしようというふうに個別的に計算をして出しておりますと、あるいはあなたのおっしゃるように国民がよくわかるとおっしゃるかもしれません。しかし、そういう方法をとりますと、毎年毎年営業成績が変わってくるわけです。毎年毎年変わらなければならぬということになると思います。でございますから、私どもはそういったものを全体包括いたしまして、十カ年間の計画をつくりまして、そのために必要な再建計画、それを立てて、必要な部分は出資にいたしましたり、あるいは財政補助にいたしましたりしたわけでございまして、その内容は決してあなたのおっしゃるようにいいかげんなものでもないし、ふまじめなものでもございません。まああらゆる方法を講じまして正確に、それからいまつかみ得る資料は全部つかんで、それをもとにして立てた計画案でございますから、これはいまとしてはこれ以上のものはできないというくらいにわれわれは考えておるわけでございまして、何ぶんPRが非常にへたでございましたから、そういった点についてお示しのような点が出てくるかと思います。  しかし、もちろん今後もそういった点につきまして、なるべく具体的に国民にわかっていただくような方法は努力しなければならぬと思っておりますが、立てております計画はそういう趣旨で、おっしゃるのと内容は同じことなんですが、ただ個別的にできないというところが、何かしらこれはおかしいぞというお考えをお持ちになる一番の大きな原因じゃないかと思いますので、この点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  370. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま先生がおっしゃいましたように、今度の計画は運賃の値上げと申し、あるいは政府の援助といい、また部内の努力といい、いずれも非常にきびしい、のであるというふうに私は思っております。今後十分国民の御理解を得まして、何とか二十一世紀にふさわしい国鉄に持っていく一つの非常に大きな拠点であるということを認識しながら努力してまいりたいと思っております。
  371. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 以上で、本連合審査会は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十三分散会