○
野村政府委員 ただいまの先生の御
質問の中に、だいぶ誤解があると思いますので、誤解を解いていただきたいと思います。
第一番に、明原丸の事件について二つ問題があるわけであります。
一つは、明原丸が油を流したということは明らかに
海洋汚染防止法違反である。したがいまして、その
責任者を刑事事件に立件をいたしまして、検察庁に送致をして企業の
責任をきびしく追及しておるわけでございます。これは当然でございます。
それからもう
一つは、民事の問題があるわけでございます。千葉県の
漁民の方が明原丸の流した油によって自分たちの
漁場が
汚染をされたということで損害賠償を出しておるという民事の問題でございます。民事の問題につきましては、この問題に限らず、私
ども取り締まり機関としては民事不介入という原則がございます。したがいまして、その民事の案件が目下裁判にかかって公判中であるということで、私
どもは公判の前途に予断を与える
ような
立場からの
意見を述べたり、
説明をしたりするということは厳に差し控えるべきである。これはひとり
漁民と企業との関係だけではございません。すべての場合にそうであるということで、そういう
態度を持ってきているわけでございまして、決して
漁民の味方をしないとかそういうことではございません。
国民全体の奉仕者として進んでおります。
それから、千葉県に
発表したと先生おっしゃいましたが、私
どもは千葉県に
発表したことはございません。それは参議院の
審議の過程におきまして、参議院のある先生から御
質問が繰り返し繰り返しございましたので、私はいま申し上げました
ような二つの
立場から、刑事事件については、私
ども摘発官庁としての
立場から、これも裁判に係争中でございますから、申し上げられることには限度がありましたが、申し上げました。
それから、民事の問題につきましては、いま申し上げました
ように、それは私
どもとしては民事不介入の
立場に立つべきであるということから
答弁を差し控えておったわけでございますが、その中で先生が三つの点についてお聞きになりました。そうして、その取り扱いについて、私は従来の国会で私の前任者その他がお答えしたことについて、すでに一般に
発表されておるといいますか、知れ渡っておる事実については隠すべきことではございませんので、油の流れた量というものは相当大きい量であろうという
ようなこと、それからもう
一つは、油の性質というものがいわゆるC重油であって、これは川崎の油と千葉の油が相当類似性が高いということを申し上げたのと、それから
東京湾の潮流から見て、その川崎の油が千葉に流れるという
可能性はかなりあるのではないかという
ようなことを申し上げたわけで、これは民事裁判の問題で、これがこれから争われるわけでございますから、それを千葉県に渡すとかなんとかいうことは私はいたしておりません。私の
答弁をお聞きになった先生がどの
ようにお扱いになったか、それは私は存じておりません。