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1973-07-04 第71回国会 衆議院 運輸委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月四日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 孝行君    理事 佐藤 守良君 理事 細田 吉藏君    理事 斉藤 正男君 理事 梅田  勝君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    國場 幸昌君       關谷 勝利君    徳安 實藏君       宮崎 茂一君    綿貫 民輔君       太田 一夫君    金瀬 俊雄君       神門至馬夫君    三浦  久君       石田幸四郎君    河村  勝君  出席政府委員         通商産業省公害         保安局参事官  田中 芳秋君         運輸政務次官  佐藤 文生君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省港湾局長 岡部  保君         運輸省航空局長 内村 信行君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君         海上保安庁長官 野村 一彦君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質規制課長 太田 耕二君         大蔵省主計局主         計官      藤仲 貞一君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 岡部 祥治君         水産庁研究開発         部漁場保全課長 前田  優君         運輸省航空局飛         行場部東京国         際空港課長   松木 洋三君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 七月二日  国鉄運賃値上げ反対等に関する請願(庄司幸助  君紹介)(第八〇六四号)  同(中路雅弘紹介)(第八〇六五号)  同(野間友一紹介)(第八〇六六号)  同(浦井洋紹介)(第八一一七号)  同(林百郎君紹介)(第八一一八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  航空に関する件(新東京国際空港に関する問題  等)  海上保安に関する件(海洋汚染防止に関する  問題)      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  航空及び海上保安に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。金瀬俊雄君。
  3. 金瀬俊雄

    金瀬委員 委員長から与えられました時間が少ないようでございますので、簡単に御質問申し上げますので、答弁のほうもひとつ的確に簡単にお願いしたい、さように考えております。  最初に、いま大きな問題になっております海洋汚染のことについて御質問申し上げます。  海上保安庁は、海洋汚染のことについては環境庁とともにその取り締まりの総元締めである、さように聞いておりますが、さように解釈してよろしゅうございますか。
  4. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 海上保安庁は、海上における汚染に対して緊急な措置をする任務がございます。したがって、長期的に海上汚染に対し措置をするというのは、各省いろいろまたがっておりますけれども海上保安庁責任としては、緊急に措置する、こういうのが海上保安庁の当面の任務でございます。
  5. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私は、この前、運輸次官見えになりませんでしたが、この前の港湾法審議の際に、海洋汚染のことについては、強力に行なって、海を美しくしたりあるいはきれいにすることについて質問しました。そのとき大臣は、このことについては熱意をもってやるということを約束しました。その約束後、大臣かあるいは運輸省がどんな行政的な措置をとったか、具体的にお示し願いたい、さように考えます。
  6. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 海上保安庁は、航空機の整備なりあるいは船舶整備をいたしまして、油汚染に対して緊急の措置ができるようなフェンスの充実とかいったような問題について一歩前進したよう整備をやりながら、一方では港湾法改正をお願いいたしまして、港湾法改正の中にございます環境整備、特に海水汚染については港湾法の一部改正によっていままでにない対策を進めておるし、あるいは埋め立て法の一部改正で、いままでの埋め立て基準というものをより以上に厳正にいたしまして、運輸、建設、環境庁、こういうぐあいに連係を持ちながら御審議を願い、それが先般衆議院を通過いたしました。こういうようなことで、海水汚染に対する各省連係、それから運輸省内におけるいろいろな懸案事項について前向きに検討いたしておるわけでございます。
  7. 金瀬俊雄

    金瀬委員 次官、私は海上保安庁というのは、油が流れ出したとか事故が起きたときにだけ応急処置をとるということでなくて、ふだんからそういうものが流れ出さないよう予防措置をとるとかあるいは常に調査するとかあるいは監視するとか、そうしたことを含めての大きな義務があるのじゃないか、さように考えています。それから法的にもそれが可能であるというふうに考えていますが、海上保安庁はこの七月一日から海上交通安全法というのを実施することになって、漁場から漁民を追い出すということになったわけです。しかしそれと同時に、今度は不十分な取り締まりのために、海洋汚染ということで漁民に非常な打撃を与えている。だから私ども漁民の側からしますと、海上保安庁のやっておることは、漁民にとっては、あるいは海洋汚染防止ということについては非常に役立っておるというふうには考えられない。むしろその取り締まりとかそうしたことが非常にルーズであって、不十分でないかというような声が一般にだいぶあるわけです。そのことについてきょうはまだ長官見えになっておりませんが、これは大きな政治問題でございますので、ひとつ海上保安庁としてはそうした方面に十分に注意するように、ひとつ政務次官のほうから話していただきたい、かように考えております。  時間がないようでございますので、先に進みます。六月二十四日の厚生省発表で、日本人のほとんど全部の人が大きなショックを受けました。ショック内容は、おとな一人が一週間に食べられるものは小アジにして十二匹、イカで中型二はいちょっとということですから、これは魚を食うなということと同じでございます。この発表の結果、安全な魚、食べても全然からだに被害を及ぼさないものまで売れなくなりました。だから漁業者加工業者あるいは小売り業者流通業者はいま全く失業状態と申しますか、休業の状態にございます。このことが長く続きますと、業者にとっては死活問題ということになってくるわけです。そのために全国各地でいま海洋汚染についての抗議集会とか、それから補償を要求する大会が開かれています。きょうは特に魚屋さんが東京に一万人も集まって、大会が開かれるということでございます。厚生省は反響があまり大きいのでびっくりして、あわてて訂正をしました。訂正したけれども、一たん植えつけられた魚への国民不安感と申しますか、そうしたものは説明だけではぬぐい去ることがなかなか困難です。そのために魚というのはすべてが水銀を持っている可能性がある、食べないにこしたことはないというよう国民的な感情がございます。  そうした点について私は御質問申し上げますが、第一点は漁業者に対する再起のための対策あるいは補償対策というのは、海が汚染されたためにそういう結果が出てきたとすれば、だれが補償責任を負うのか。海上保安庁なのか、水産庁なのか、環境庁なのか。これはどこがその補償の対象になるか、それについて運輸省の見解があったらお示し願いたい、さように考えております。
  8. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 お答えいたします。  海水汚染のために最近魚類に悪影響を及ぼしているということで、厚生省は先般〇・四PPM以下の水銀保有量、こういうものの一定の安全の安全の基準を立てまして、そして国民大衆にそのPPMというものは何かという理解を求めるために、わかりやすくテレビあるいは新聞を通じて説明をしておるわけであります。  そこで海の汚染原因がはっきりしているもの、発生者がはっきりしているものは発生者がその責任を負うべきである。ところが非常に複雑な内容で、発生原因が不明な被害というものが出た場合においては、これは各省連絡を持ちながら責任をとっていくべきであろう、こういうぐあいに基本的に私は考えておるわけであります。したがって海水汚染は、廃液による汚染、それから都市あるいは農村におけるところの下水の不完備によるたれ流しのための汚染、あるいは廃油ボール等に見られるところのタンカーから漏洩する汚染、その他いまの全然焼却できないようポリ塩化ビフェニル、そういったものが雨水にまじって海水に落ちたために赤潮の発生源になる、こういったようないろいろ複雑な原因がありまして、それによって発生原因者がだれであるかということがつかめないような場合においては、国の段階各省責任のもとにおいて責任を果たすべきである、私はこういうぐあいに基本的に考えているわけであります。
  9. 金瀬俊雄

    金瀬委員 厚生省発表したことについて、海上保安庁あるいは水産庁厚生省のほうから事前連絡を受けておったかどうか。ああいうことを発表するということの連絡を受けておったのかどうなのか。あるいは厚生省が単独で、てまえがってに発表したものなのかどうなのか、その点についてお答え願います。
  10. 野村一彦

    野村政府委員 海上保安庁としては事前連絡は受けておりません。
  11. 前田優

    前田説明員 水産庁でございますが、厚生省が二十四日に基準発表いたしますことにつきましては、基準につきましては事前連絡は受けております。ただその後の、先ほど先生おっしゃいました十二匹云々の問題につきましては、連絡はいただいておりません。
  12. 太田耕二

    太田説明員 環境庁はその基準事前発表は受けております。
  13. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、厚生省発表したことによって漁民が受けた大きな打撃ということについては、水産庁環境庁連絡を受けておったのだから同罪と考えてよろしゅうございますね。それはだいじょうぶですね。
  14. 前田優

    前田説明員 お答えいたします。  基準発表いたしますのは、これは平均〇・四PPMといいますのは、純学問的な基礎に基づきまして算出された数字でございます。したがいまして、それによって漁業者が大きな被害を受けたとは考えられないわけです。
  15. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたはいま漁業者被害を受けたと考えられないと言っていますね。厚生省発表被害を受けていませんか。
  16. 前田優

    前田説明員 ただいま私が申し上げましたのは、基準について申し上げたわけでございます。〇・四PPMという基準について申し上げたわけでございます。
  17. 金瀬俊雄

    金瀬委員 水産庁はこの前のときも言いのがれですよ。言いのがれですが、少なくとも水産庁というのは漁民立場に立ってものを考える必要があるんですよ。そうでしょう。漁民を守るほうなんです。ところがあなたのほうが、少なくとも厚生省から連絡があって発表するということがわかれば、どういう内容発表するかということを前もって連絡をとって、水産庁としては、発表のしかたについて、汚染地域でない、いわゆる食べても安全な魚まで被害を受けるよう発表のしかたでないように考慮するように申し込むことができる立場にあったわけだ、そうでしょう。そういうことを怠っておって、知りませんでしたとか、あるいは水銀保有量基準とかそういうことだけは聞いていますが、あとは聞かないというよう態度は、水産行政上そういうことは許すことはできないと思うのですよ、はっきりいえば。あなたはとにかく漁民を守る立場だ。それが、厚生省発表責任がないということを、同じ政府の中で働いている人として、そういうことは責任のがれだと思うのですけれども、どうですか。
  18. 前田優

    前田説明員 第三水俣病が武内先生によって発表されまして以降、いわゆる有明海八代海等、そういう海域につきましては、とった魚も全然売れない状態だったわけです。したがって私どものほうといたしましても、厚生省に対しましてできるだけ早く安全基準をつくってくれ、そうしませんと、有明海全域あるいは八代海全域の魚も全然売れない状態だということで、厚生省に対しましていろいろとその点をお願いしてまいったわけでございます。基準につきましては、厚生省でいろいろ学者を集めて検討された結果、暫定基準をお出しになったわけです。それに伴いまして、いわゆる健康を守るというような意味でのわかりやすい注釈を厚生省がおつけになったわけでございまして、これらの点について厚生省との間の連絡不十分だったことは申しわけないと思います。
  19. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私の言っているのは、有明とか水俣とか、そういうところの地域からとれた魚のことを言っているわけじゃないのですよ。少なくとも、海洋汚染されてない地域からとれる魚まで被害を受けたとか、あるいはそういうものであろうというふうにいわれておる、そのことについて、水産庁は少なくとも厚生省がああいうことを発表したらすぐ、そのあとでもけっこうですよ、水産庁立場から、あの魚はこういう地域からとれる魚のことであって、そうでないところのものはだいじょうぶだとかなんとか、あなたのほうは発表する義務もあると思うし、責任もあると思うのですよ。あなたのところは何もやってないでしょう、何かやりましたか。
  20. 前田優

    前田説明員 別に弁解するつもりは毛頭ございませんが、実は水銀につきましては、厚生省の前の基準がいわゆる一PPMということでございまして、一PPM以下の水域についての調査データというのが非常に少ないわけでございます。したがいまして、今回出されました〇・四PPMということを基準にいたしまして大至急調査をやりませんと、調査の裏づけなくして、どこどこの魚は安全だという言い方をいたしますと、かえって不信を買うという心配がございましたものですから、それも業者のためにも決してなるわけじゃないという判断をいたしまして、急いで調査をいたしまして、だめなところはだめ、いいところはいいということで、消費者の不安をなくしていこうという考え方で、ただいま鋭意努力しておる最中でございます。
  21. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたは水産庁でしょう。水産庁だったら、ふだんから、厚生省がやる前に、魚というのは少なくともあなた方が責任を持たなければいけないのですよ。だから、魚の検査というのは水産試験場もあるし、みなあるのだから、自分で調査して、こういう魚だけは絶対だいじょうぶだというよう基準があるわけだ、あなたのほうで。魚まで厚生省に一切めんどう見てもらうのはおかしい、あなたの考え方がおかしいのだ。厚生省にいわれてから調査するとか、厚生省に頼んで調査するという考え方自身おかしいと思うんだよ。おかしくないですか。
  22. 前田優

    前田説明員 先ほど来申し上げております、〇・四PPMという基準にいたしましても、食品衛生法に準じた基準でございまして、こと食品につきますいわゆる人間のからだに害があるかないかという問題につきましては、厚生省が従来から所掌いたしまして基準をきめられて、その基準に基づきまして水産庁はいわゆる漁業者立場に立ちまして、ここでとった魚はどうなのかという調査とか指導はやっているわけでございます。
  23. 金瀬俊雄

    金瀬委員 水産庁態度というのは私は前のときからもおかしいと思っている。あなた方はおかしいですよ。少なくとも水産大学もあるし水産試験場もあるし、いまとっている魚がどういう状態のものであるかということはふだん十分に調査すべきですよ。厚生省発表が間違っていれば、あなたのほうは間違っているじゃないかとか、全部はそうじゃない、こういうところのものはだいじょうぶだぐらいの水産庁の所見を発表するぐらいの研究もしなければいけないし、調査もしなければいけないと思うのですよ。あなたのほうは何もやってないということだ。そういうことはまずいと思いますよ。そういうよう水産庁では、これは漁民の味方でも何でもないということだよ。もちろん、汚染されている魚もあります。そういうものが売られるということは非常に危険だから、そういうのは防止しなければならないのは、それはもちろんですよ。しかし同時に、だいじょうぶな魚はとって売るようにしなければならないということは考えなければいけない。そのことについては水産庁責任があるはずです。だから十分ふだんから公害とかそういうことについては水産庁は——では、いまの答弁だと何も考えてないということになるわけだ。それはやはり水産試験場とか水産大学研究しているわけだから、私は当然相当な資料もあるし調査もしておるし、やっておるのじゃないかと考えていましたが、あなたの答弁だとやってないということになると、これはたいへんな問題になる。十分その点については反省してほしい、かように考えております。
  24. 井原岸高

    井原委員長 関連質問について加藤六月君かた……。
  25. 加藤六月

    加藤(六)委員 課長、いまの金瀬さんの質問で、私のところへも町長さんから親展で来ておるのです。その親展で来ておる内容というのを読みますと、先般の例の厚生省発表に伴う問題について、一PPMが〇・四PPMに下げられた。その際、汚染区域内容発表せられた。実際あとから調査したら、あれは新聞が書いたので、汚染区域発表はしてないということなんだけれども新聞には出た。出て、この波張崎というのがある、こういうことで、全国の六地域のうちの一つを出してきた。そうしてその発表した基準というのはどこのものを基準にしておるかというと、昭和四十五年十一月のその周辺でとれた魚を基準にしておるという。ところが、私に来たこの岡山県児島郡東児町長井上奎二という、親展のあれで泣いてきているのは、町が努力してその町内にあった工場に対して、水銀使用は四十五年十二月からやめてもらっておるのです。公害防止立場からぴしゃりやめてもらっておる。その周辺には最近そういう水銀を含んだ魚も何も一切いなくなっておる。ところがそのとき厚生省当局発表した数字というのは、昭和四十五年十一月のものでございますから、そのときのものにはあったのでございます、こういう言い方をしておる。ところが現在、その工場もそこの水銀使用は一切やめておるし、いうならば、その周辺でとれる魚はきれいな魚ですよ。ところが四十五年のその当時の資料をもって発表せられたら、その時分には確かにあるのです。ということで、この町をはじめそこら辺の漁民というものは非常なショックを受けた。これは東児町のものか、東児町の魚なら市場が揚げさせない、こうくるのですね。さらにこれは魚を持ってやらなければいかぬ、いろいろな問題が起こるというので、町長さんは三億円前後の補償問題が起こって泣いておるのです、でたらめな発表で。これは私は、いままで水産庁のそういうものに対しての総点検あるいは資料整備という点、なかなかむずかしかったと思う。しかし、今後水産庁が総点検をやりましょう、そうしてはっきりした汚染区域というのをきめていきましょう、そうしてそれに対しては水産庁も農林省も、あるいは運輸省も建設省も、環境庁厚生省も一本になって汚染区域に対するいろいろな措置をやろうと重い腰を本格的に上げてもらって、いま必死で作業してもらっておる点は認める。しかしいま金瀬議員から質問があったように、過去の古いデータ発表して、住民、漁民あるいは地域の自治体の町長さん方に非常な混乱と御迷惑をかけておるのです。こういう問題に対しては政府ははっきりした態度を示してもらわなければ、単に国民が魚を食べられなくなった、あるいは漁業あるいは流通機構あるいは小売り店皆さん方に迷惑をかけた以上の大きな混乱をしゃあしゃあとして政府当局がやって、それに対しての弁解も申しわけも何も一切していないという状態で、これは私のところへ来た町長さんの苦しい立場を訴えてきておるのですが、これと同じことはあちこちで私は起こっておると思うのです。これは許しがたい政府内部における不一致、不行動、そしてまた古いデータによって行なっておるというこういう態度は、厳に私は注意してもらわなくてはならないと思うわけです。これは課長を責めるのじゃありません。課長だけじゃなしに政府全体がひとつこの問題については真剣に取り組んで、先般来やってもらっておる基本対策緊急対策というものを一刻も早くしかも必死の立場でやってもらわなくてはならないわけです。そこら辺についてひとつ、まあ課長意見を伺うのはどうかと思いますけれども、こういう問題が現実に起こっておるので、ひとつ意見を聞かしておいていただきたいと思います。
  26. 前田優

    前田説明員 お答えいたします。  この問題につきましては、先ほど先生おっしゃいましたよう発表時点におきまして場所等政府側からことばで出した例はなかったわけでございます。いろいろと報道関係の方々も過去のデータを拾われまして、あのときに私どもテレビで見たわけでありますが、いろいろと図解説明ような形で報道されたことは事実でございます。したがいまして、一たん発表されますとこれを取り消すのはなかなか容易でございませんものですから、できればとにかく緊急に一日も早く調査をいたしまして、ここはだいじょうぶという発表をいたしますことが、現在の時点においては最善の方法かと思うわけでございます。  そういうことで、先般来環境庁を中心といたしまして、各省庁連携のもとに急いでやるということで、もうすでに現地におきましてはサンプリングを始めておるというような状況でございますので、その点御了承いただきたいと思うわけでございますが、先ほど金瀬先生からの御質問にもありましたように、水産庁自体におきましてもいろいろな分析の器具またはいままで魚体に含まれる重金属の一般的な調査というものが非常に欠けていたということにつきましては私どもも深く反省しているわけでございまして、できるだけ早く予算措置等を講じまして、これに対する対処のしかたをしてまいりたい、このように考えております。
  27. 金瀬俊雄

    金瀬委員 海上保安庁に御質問申し上げます。  いまの段階で、この地域汚染海域である、この地域汚染されていないということ、海上保安庁日本全国巡視船を回して見ているわけですよ。この地域は絶対だいじょうぶだ、この地域は検査する必要がある、この地域は絶対だめだ、三段階ぐらいに分けてあなたのほうでいろいろ海域のことについていま発表することができるよう統計資料とか調査資料とかそうしたものを持っているかどうか、またその資料に基づいて厚生省とか水産庁と協議したことがあるのかどうか、その点についてお伺いします。
  28. 野村一彦

    野村政府委員 私のほうが海洋調査をやっておりますのは二つの観点からやっております。一つ取り締まり観点から、具体的に油が海上に流れたりあるいは工場排水廃液等海上に流れた場合に、それを監視して取り締まるという一つ一つの起きている現象を具体的に追って、これを取り締まるという取り締まり業務一つでございます。  それからもう一つは、私どもの所掌の中に水路部というのがございまして、これは全般の海洋を利用し、開発する上においての気象、海象調査ということをやっておりますが、その海象調査の一環として、海洋調査をやっております。これは計画的に船を出しましてやっておりますが、これはたとえば海洋汚染防止法できめられました汚染物質あるいは廃棄物投棄海域というものが法律に基づく政令できまっております。その海面の調査をやるというふうにこれは年次計画で計画的にやっておりまして、一般的にたとえば魚とかそういうものがこの海域で安全であるとか安全でないということは、私どもとしてはいたしておりません。
  29. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは先ほど次官からお話がございましたが、海洋汚染最大原因工場排水それから都市下水船舶からの不法投棄、河川からの汚水の流入、こうしたのが最大原因であるという話がございました。そうなってまいりますと、海洋汚染というのを取り締まったり調査したり指導したり監視したりするというのは総合的な関係が出てくるわけです。海上保安庁あるいは環境庁、通産省、港湾局、厚生省水産庁、こうしたものが総合的に関連しながら情報を交換したり共同調査したり検査したりあるいは監視をしたりしなければ海洋汚染防止する、公害防止するということは困難だと思うのです。そうなってくると、国にいま総合的なそうしたことを行なう体制があるのかどうか。あるとすれば、それを主管する省はどこなのか、それについて御答弁をお願いします。
  30. 太田耕二

    太田説明員 お答えいたします。  水質汚濁防止法によりまして、各公共用水域並びに排水口の調査は、原則として環境庁が都道府県を通じてこれを実施しておるわけでございます。ただし、たとえば重要港湾それから一級河川等につきましては、おのおの運輸省、建設省から数字をいただくなりいたしまして、私どもでそれは取りまとめている次第でございます。
  31. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは先ほど政務次官からお話がございましたが、国のほうでひとつ、いま言ったような関係各省庁で緊密な連絡をとると同時に、対策を立てていただきまして、いまのような魚を食べればどんな魚を食べてもあぶないというような感情を国民が持っているわけですが、それがこういう魚はだいじょうぶだ、こういうものは危険だ、こういう魚はこの程度ならだいじょうぶだとかいう基準を早くつくらないと、このままだと漁師が一切まいってしまうということになります。ひとつその点については十分な対策を国で立てていただきたい、さように考えております。  私どもの千葉県の例をとってみても、富津から外のところを内湾といっていますが、内湾とか外房とか銚子とか九十九里とか、そうしたところは漁業地帯でございますが、いまではほとんど火が消えたようになって、全然魚はあげてこないし、あげたものも売れないという状況になっています。そういう状況ですから、全国的にもそうしたところがたくさんあるのじゃないかと思いますが、ひとつこれはなるべく早く対策を立てていただきたい、さように要望いたします。  もう一つは、このまま捨てておきますと、銚子あたりでは乗り組み員が漁業に対して、もうこれ以上船に乗っていてもだめじゃないか、希望を持てない、とれた魚が売れないのならやめてしまおうということで乗り組み員が逃げ始めたというような状況も出ています。そういうわけですから、なるべく早く対策を立ててほしい、さように考えています。  それから厚生省質問しますが、昔から日本人というのは魚を大体副食にして生きてきたし、それによって栄養分をとってきたわけですが、いまのような状況になると根本的にそれが否定されることになるわけですが、魚より高い肉類に転換するということになると非常に高いものを買うということで、家庭生活の破壊ということにもつながってくるわけですが、それに対して厚生省はどういう対策を立てているか、御答弁願いたいと思います。
  32. 岡部保

    岡部説明員 魚介類の水銀に対します許容基準といいますか、規制値といいますか、これにつきましては第三水俣病の報告以来いろいろな問題がございまして、早急にその判断基準をつくるということで、今回策定いたしたわけでございますが、それに対します発表というものが若干誤解がございまして、すべてがこういう規制値以下であったとしても、これだけ食べられるのだというつもりでございましたのですが、若干の誤解を生みましてたいへん御迷惑をかけております。  それでただいま御指摘のございましたように、他の地域におきます魚介類というものは安全であるということをデータ的にとらえまして、早急にこれらの特定の汚染地域以外の魚につきましては安全であるというデータをつくるべく、ただいま水産庁などとも十分連絡をとりながら、そういう対策を講じておる最中でございます。
  33. 金瀬俊雄

    金瀬委員 時間がたいへんございませんので先に進みますが、少なくとも厚生省のあの発表によって漁民が受けている大きなショックというのを、一日も早く立ち直らせるために、健全な魚と申しますか、だいじょうぶな魚はこういうものであるという基準を早くつくってくれるようにお願いいたします。近ごろ国会の中のすし屋でも売れ行きが非常に下がったと言っている、これは事実です。  それから瀬戸内海では、新聞の報道によると、汚染企業と申しますか、公害企業に対して漁民排水口をふさぐとかそういうことで実力行使に出たということがございます。いま千葉県でも水銀を使っている工場に対して操業をやめろというよう漁民大会がきょう開かれています。そういうことに対して、海上保安庁は、漁民がそういう行動をとった場合にどういう処置をするか、ひとつ御答弁願います。
  34. 野村一彦

    野村政府委員 たとえば新居浜で先般そういう漁業者の方と公害源となっている企業との間の紛争がございました。また最近でも各地でございましたが、私どもとしては結局海上においてそういう漁民の方がデモをされる場合には、これは港内にありますれば港則法によって届け出を出していただいて、正々としたデモをやっていただく。私どもはその場合に巡視艇等を出しまして海難事故等が起こらないようにそれを警戒するということでございます。そしてその企業と関係のない一般の船舶の交通等の妨害にならないようにやっていただくということとともに、これはたとえば地元の市長さんとか町長さんとかそういう方が企業と漁民の間に立って、その紛争の円満な処理をしていただく。現場ではいま申し上げましたような秩序あるデモをしていただく。一般の他の関係のない船の交通の妨害をしないようにということで指導をいたしておる次第でございます。
  35. 金瀬俊雄

    金瀬委員 海上保安庁というのは漁民にとって味方であるかどうかということで、自分たちの味方ではない、あれは企業の味方だ、だから海が汚染されてもそう取り締まりをやらない。排水を流しているのをいままでとめようとしなかった。だからこんなに海がよごれたのだ。海上保安庁というのはそういう権限を持っているんだから、きたない水を海に流すことをとめる権限があるのじゃないかと漁民は考えている。率直にそう考えている。ところが漁民を取り締まることだけでそういうことをあまりやらぬということで、海上保安庁はもう少し熱心に海洋汚染防止をやってもらわなければ困るという声が非常に強いのです。  一つの例としてこういうことが週刊朝日に出ています。読みましたか、長官。四日市で公害企業の摘発に非常に熱心だった田尻という課長さんが左遷されたと書いてある。これに書いてある記事はほんとうかどうか。事実かどうか。読んでみましょうか。こういうことが書いてある。「当時の保利官房長官が、海上保安庁長官に直接異動を指示した」それで左遷されたと書いてある。これは週刊朝日です。これが事実かどうか。これをちょっと……。
  36. 野村一彦

    野村政府委員 田尻宗昭君という人が四日市の海上保安部の警備救難課長から田辺海上保安部の警備救難課長にその時点でかわったということは事実でございます。ただそれについては非常に誤解があると思います。たとえば海上保安部といいますと全国に非常に数多くあるわけでございますが、その中で、ある海上保安部の警備救難課長から他の海上保安部の警備救難課長になった。警備救難課長というのは警備と救難と公害の監視取り締まりというようなことを中心とした業務をしているわけでございます。四日市の海上保安部というのは陸上、海上の人員あわせて五十人くらい、巡視艇二隻、消防艇が一隻ということで、きわめて小規模の海上保安部でございますが、田辺海上保安部は陸上、海上合わせて人員が百五十人、船も四百五十トン型、三百五十トン型おのおの一隻ずつ持っておりまして、ランクとしては田辺海上保安部のほうが上でございます。したがいまして、あえて栄転とは言いませんが、左遷ではないということははっきりしております。  それから海上保安部長クラスの異動につきましては、私どもの内規によりまして、海上保安庁の人事は私が全部持っておりまして、部内で委任をいたしておりますけれども、地方の海上保安部長クラスの人事につきましては本庁の総務部長が所管をいたしております。したがいまして、外部からいろいろの御要望等があっても、それによって左右されるということはございません。その点ははっきり申し上げます。
  37. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは長官、週刊朝日に出ておることは間違いだということですね。そうでしょう。週刊朝日がうそを書いたということですね、あなたの話では。そう考えてよろしゅうございますか。
  38. 野村一彦

    野村政府委員 全部の記事をひっくるめてどうということはなかなかお答えがむずかしいのでありますが、結局私がいま申し上げたようなことが真相でございますので、誤解なりそういう点があるのではないかというふうに考えております。
  39. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは週刊朝日のこれを書いた記者が誤解しているとすれば、誤解を解くようなことをするのか、あるいはそのまま捨てておくのか、あなたの考えはどうか。これを見ると明らかに「左遷」と書いてある。その最後のほうに、官房長官から海上保安庁長官に直接異動させるように指示したとちゃんと書いてある。これを見ると公害企業を擁護するという政府の姿勢なりそういうことがはっきり出ているわけだ。摘発した人を左遷させるということは、公害企業を擁護するとしかわれわれの立場からすると考えられないわけだ。ただし、あなたがこれは週刊朝日が間違っているということであれば、朝日に厳重抗議すると同時に、この記事を取り消させる必要がある。国民はみんなそう思っているよ。はっきり海上保安庁があまり摘発すればこういうふうに上のほうからどんどん左遷されて飛ばされてしまうから、海上保安庁の役人は積極的に公害企業を取り締まることができないのだというふうに考えてしまう。そうでしょう。それに対してあなたはそういうことは絶対ないのだという証拠を見せるとすれば、週刊朝日に対して抗議を申し込むなり、記事を訂正させるなり何かしなければならない。一般の国民は、この人を含めて——今度東京都へ来るようになった田尻さん自身が非常に怒りを込めて語ったという。田尻さんは少なくとも栄転されたとは思っていないでしょう。そういうことを考えると、どっちの解釈が正しいか。それは、これを読んだ国民が考えることであるけれども、あなたのほんとうの気持ちを言ってみてくれませんか。
  40. 野村一彦

    野村政府委員 国会の各委員会におきまして本件につきましては数回御質問がございました。したがいまして、私はいま申し上げたようなことをそのつどお答えしてまいったわけでございまして、私がいままでお答えしたことが私としては最も真実であると確信をいたしております。また、私ども取り締まり官庁でございますから、その公害発生源となる会社等に対して遠慮することは何もございません。したがいまして、公害発生源であることが明らかである企業に対しては、もちろんその責任を追及するということをやっておるわけでございまして、その企業を擁護するということは全然私どもはやるべきことではございませんし、そういうことは一切いたしておりませんので、御安心願いたいと思います。
  41. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それは保安庁長官、あなたは口でそういうことを言うけれども、明原丸の事件のときには明らかに東亜燃料なり明治海運なり——明原丸の事故の際にとった態度というのは、私どもはじめ漁民というのは、あなた方の態度漁民の味方である、国民の側に立っているということを考えていません。それと同時に、私どもの衆議院の運輸委員会審議の際に、あなたのほうは話さなかったけれども、参議院の運輸委員会審議のときに、新しい問題として三つ出してきておりますよ。新しい問題を三つ出してきて、三つを文書にして千葉県側に渡していますね。いままでそれは隠しておったことである、あなたのほうで。それは流れ出した油の量、それから油の質、それから気象条件、海洋条件、そうしたものを文書にして出したでしょう。それはいいですよ。出すことは出さないことよりいいことだけれども、それもあなたのほうに、できる限り追及されなければ漁民のためになるようなことですら隠してしまうという態度があるのだよ。そういう態度というのは、これは許すべき態度じゃない、私どもはそう考えています。それは、海上保安庁というのはやはり公正な立場でものをやることが大事であって、あなた方のやっていることは、やはり週刊朝日に書いてあることが私は正しい、そういうふうに考えます。これは個人的な私の考えだから、はっきり言いますが……。
  42. 野村一彦

    野村政府委員 ただいまの先生の御質問の中に、だいぶ誤解があると思いますので、誤解を解いていただきたいと思います。  第一番に、明原丸の事件について二つ問題があるわけであります。  一つは、明原丸が油を流したということは明らかに海洋汚染防止法違反である。したがいまして、その責任者を刑事事件に立件をいたしまして、検察庁に送致をして企業の責任をきびしく追及しておるわけでございます。これは当然でございます。  それからもう一つは、民事の問題があるわけでございます。千葉県の漁民の方が明原丸の流した油によって自分たちの漁場汚染をされたということで損害賠償を出しておるという民事の問題でございます。民事の問題につきましては、この問題に限らず、私ども取り締まり機関としては民事不介入という原則がございます。したがいまして、その民事の案件が目下裁判にかかって公判中であるということで、私どもは公判の前途に予断を与えるよう立場からの意見を述べたり、説明をしたりするということは厳に差し控えるべきである。これはひとり漁民と企業との関係だけではございません。すべての場合にそうであるということで、そういう態度を持ってきているわけでございまして、決して漁民の味方をしないとかそういうことではございません。国民全体の奉仕者として進んでおります。  それから、千葉県に発表したと先生おっしゃいましたが、私どもは千葉県に発表したことはございません。それは参議院の審議の過程におきまして、参議院のある先生から御質問が繰り返し繰り返しございましたので、私はいま申し上げましたような二つの立場から、刑事事件については、私ども摘発官庁としての立場から、これも裁判に係争中でございますから、申し上げられることには限度がありましたが、申し上げました。  それから、民事の問題につきましては、いま申し上げましたように、それは私どもとしては民事不介入の立場に立つべきであるということから答弁を差し控えておったわけでございますが、その中で先生が三つの点についてお聞きになりました。そうして、その取り扱いについて、私は従来の国会で私の前任者その他がお答えしたことについて、すでに一般に発表されておるといいますか、知れ渡っておる事実については隠すべきことではございませんので、油の流れた量というものは相当大きい量であろうというようなこと、それからもう一つは、油の性質というものがいわゆるC重油であって、これは川崎の油と千葉の油が相当類似性が高いということを申し上げたのと、それから東京湾の潮流から見て、その川崎の油が千葉に流れるという可能性はかなりあるのではないかというようなことを申し上げたわけで、これは民事裁判の問題で、これがこれから争われるわけでございますから、それを千葉県に渡すとかなんとかいうことは私はいたしておりません。私の答弁をお聞きになった先生がどのようにお扱いになったか、それは私は存じておりません。
  43. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この東京湾の汚染、特に油の流出の問題。これは今後いまのよう東京湾に入ってくる船が多くなっている場合、また起こるということも考えられますので、その際にまた質問することといたしまして、時間がございませんので、前に進ましていただきまして、成田空港のことについてお尋ねします。  運輸大臣は七月一日に成田空港を視察して、そのあとで記者会見をしました。今後の方針として次の三点を話しをしたということが新聞に載っております。  第一点は、暫定パイプライン工事は地主からの承諾がとれれば、国の安全基準がきまらなくても始める。基準以下の工事はすぐやり直しをさせる、第二点が飛行コースはほぼ結論が出ているが、防衛庁と現地との間に安全性の確保のための調整が残っておるので、公表の段階ではない。第三点は、第二期工事は緊急性があり、一期工事が完成したからではおそいので、公団はできるところからやってほしいと要望した。  以上三点でございますが、この記事に間違いございませんか。
  44. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 間違いないと思います。
  45. 金瀬俊雄

    金瀬委員 間違いないとすれば、私はこの発表された三点に関連する問題だけにしぼって、まず第一にパイプラインのことについてお伺いします。  パイプラインの建設で何といっても住民が一番不安に感じていることは安全性の問題です。油の事故によって火災とか地下水汚染とかが起こると、地元の住民に非常な被害が出るわけでございます。特に成田というような人口密集地域をパイプラインが通りますから、事故が起こると人命、財産が火災等の発生によって非常な被害を受ける。また地下水汚染というのは、地元の人たちはくみ上げた地下水を水道の水に使っておりますから、非常な被害を受けるということになります。そうした意味で、私は安全性ということにしぼって御質問を申し上げます。  第一点は、国が正式にきめた技術基準がまだ告示されていない段階で空港公団はパイプの埋設工事を行なうということであるから、当然国の基準にかわる技術基準というのを公団独自で持っていなければならないはずでございます。そうしたものがあるかどうかということについて御答弁をお願いします。
  46. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 パイプラインの事業法がきまる前から公団といたしましてはパイプラインの工事を始めておりましたので、それなりに基準を持っておったというのが現在までの状況でございます。
  47. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうしますと、公団がいままでやってきたパイプの埋設工事というのは、すべてその基準によってやってきたというふうに考えてよろしゅうございますか。
  48. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私はそのように考えております。
  49. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それは、ここにございますが、これでございますね。読みましょうか。「新東京国際空港航空機給油施設パイプライン工事標準仕様書」これはあなたのほうで出したものだよ。
  50. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 公団におきましては航空機給油施設建設実施細則というものを設けまして、それに基づいていまの仕様書ができておるものと存じます。
  51. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これ、違うかい。
  52. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 その一部でございます。
  53. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これはそうでしょう。これはあなたのほうが出したものだね。
  54. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 公団が出しております。
  55. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでけっこうです。  それで、あなたのほうはそれに基づいてすべてをやっておるというふうに考えていいわけですね。
  56. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 そのとおりでございます。
  57. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、この公団の仕様書によると、溶接部分のエックス線検査では、その方法は管内に線源を配置する一重壁単影像法というのですか、というものを採用しておる。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 それを原則としておる、となっていますね。そうすると、その原則を適用しなくてもいいというところは、構造上、そうした撮影法をとることができない場所だ、できる場所はみんなそういう方法をとっておるというふうに考えてよろしゅうございますか。
  58. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私はあまり細部の技術的なことは存じませんので明確なお答えはできかねますけれども、私の聞いておりますところでは、その管の審査には、外部から見る方法と内部から見る方法と二通りあるわけで、それで内部から見るのはいいんだけれども、場合によって管の細いところとかそういった場合に困難な場合には、これは外部から見ることもありますという程度のことを私、聞いております。
  59. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたのほうの出した仕様書の中に、公団の出した仕様書ですよ、これはもちろんあなたのほうの監督を受けて出した仕様書の中で、その中には、外からとるという場合において、中からとることはできないような、構造上そういうものがある場合に限りと書いてあるのですよ。限りとはっきり書いてある。あなたのほうで出した基準ですよ。だから、外からとるということはよほどでなければやらないということなんですよ。それから、それについて東大の奥村教授もこの公団の出しているこれに基づいて工事をやるべきである。そしてそうしたことでやることが望ましいということをはっきり書いてある。そうすると、公団は工事をやる場合にはこれに基づいてやらなければならない。また運輸省はそれを監督する立場にあるわけですよ。だから、それが守られているかどうかということについてはあなたのほうで自信があるかどうか、守られていると思っているかどうか。それをちょっとお答え願いたい。
  60. 原田昇左右

    ○原田政府委員 ただいま公団で実施しておる検査方法について詳細を私、存じませんですが、要するに外部線源方式によるエックス線検査をやるか内部線源方式でエックス線検査をやるかという問題であろうと思いますので、私から一般的にお答えいたしますと、外部線源方式の場合はできるだけ避けて、内部線源方式ができるものはやりたいというのが私ども基準の上の一般原則でございます。  ただ、内部線源方式が望ましいことは事実でございますけれども、実際上小さい口径のパイプの場合は内部にエックス線の装置を入れてやることは事実上不可能であります。そこで、そういう場合には外部線源方式をとらざるを得ないわけでございまして、その場合どうも安全上不十分じゃないかという御指摘があろかと思いますが、これについては十分細心の注意を払ってやれば、非常に熟練した者がやればある程度カバーできるということが一つと、それからもう一つは耐圧検査を非常にきびしくする。たとえば二・五倍というような耐圧検査をやることによりまして、小さい口径あるいはどうしても内部にエックス線装置を入れられない場合はそれをもってかえるというようなやり方でやるべきではないかというように考えております。したがって、この方法で、こういうよう考え方で公団を指導するのが適当であろうと考えております。
  61. 金瀬俊雄

    金瀬委員 細いものは外側からとるほかに方法がないということでしょう。あなた、どれくらいの太さのパイプを公団は使っている。公団のパイプはそんな細いのですか。
  62. 原田昇左右

    ○原田政府委員 三十五センチ口径でございます。
  63. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この基準によれば、このとおりやれるはずなんですよ。それで、私どもこれは東大へ行って聞いてきたのです。何センチまでとれるか。三十センチ以下はとるのが困難だけれども、三十五センチ、四十センチは楽にとれますとはっきり答弁している。そうすると、あなたの言っていることはうそになる。航空局長がそんな人をだますような、細長いのはできない。細いも太いもないじゃないか。三十五センチと初めからきまっているものじゃないか。そういうばかなことをあなた、答弁していて、おかしいのじゃないですか。
  64. 原田昇左右

    ○原田政府委員 私、専門家でございませんが、直管の場合でなくて曲管、曲がったところでございますと、三十五センチでもちょっと不可能ではないかという感じがいたします。
  65. 金瀬俊雄

    金瀬委員 だから、あなたのは、細いのはとれないと言ったでしょう。曲がったところというのは、成田のパイプラインで曲がったところというのは、そんな何カ所もないですよ。大体まっすぐですよ。曲がった場所は、構造上曲がった場所はとれない。とれない場所はとらなくてもいいけれども、普通の場所は全部中からとるのがほんとうだと書いてある。あなた、ごまかしちゃだめだよ。
  66. 原田昇左右

    ○原田政府委員 いま、まっすぐな場合が多いとおっしゃいましたけれども、曲がる場合がかなり多いわけです。つまり横断する場合とかいろいろございますので、細部に行きますとかなり曲がった個所が多い。それからバッファーで、金瀬先生かなり段差の場合、地震の場合等非常に問題があろうという御指摘がありますので、そういう場合はバッファーとして、かなり曲がった曲管を現場に埋めましてバッファーにするわけです。そういう場合も曲がったケースは幾らもあり得ると考えます。
  67. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなた、詭弁を弄しちゃいかぬよ。いいですか。曲がっている場所とまっすぐの場所では、まっすぐのほうが多いのですから。曲がっている場所のほうが多いのかね。成田に油を持っていくのに、こういうふうに曲がっているのかね。そういうふうに曲がって油を送るの。そんな何カ所も曲げて送るのですか。
  68. 原田昇左右

    ○原田政府委員 たいへん口べたで誤解を生じたようで恐縮でございますが、曲がったほうが多いとかまっすぐな場合が多いとかということではございませんで、曲がるケースもあり得るので、その場合、曲がったときに事実上装置を入れるのが非常に困難になるのではあるまいか、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  69. 金瀬俊雄

    金瀬委員 だから、初めから構造上で無理な場所までそういう方法をとれと言っているわけではなくて、曲がっている場所とかあるいは両方からつないできて細くなってしまって機械を入れられない場所だってあるのですよ。そういう場所までとれと言っているわけじゃないのですよ。いいですか。だけれども、そうでない場所はほとんどやれるわけです。そういうことについて質問をしているのに、あなたは曲がったことばかり話をしているから、話が曲がっていく。  それで、いまあなたのほうで工事をやっていて、いま公団でやっておる工事の方法はこの基準に合っているかどうかということについてだけはっきり答えていただきたい。もし合っていないとするならば、そんなものやり直す気があるかどうか、そのことについて運輸次官からひとつ御答弁を願いたい。
  70. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 パイプラインの工事について、私は安全性をやはり一番大切にしなければならぬということで、奥村教援とこの問題について私は直接相談いたしました。それから空港公団の直接の担当者を呼びまして、具体的に三者で話し合いをいたしました。そこで、いまその基準に示しておる内部にエックス線の発生源を入れて、それから外部から写真をとる方法、これは一番理想であります。したがって、直径一メートル以上のそういうような大きなパイプラインなんかというのは当然そういうことは可能であります。そこで奥村教授とよく相談いたしまして、直径三十五センチ、しかも長さ十一メートルのパイプラインの工事である。それを結び合わせる。そこでこれを内部からとるのが理想であるが、外部から完全にするためにはどうなんだろう。こういう場合に技術的に非常にむずかしいからどうなんだろう。奥村教授と相談したら、それまでは、外部から一カ所でなしに、何カ所もとりなさい、そしてそのとったフィルムは公団以外の第三者の専門家に見せて的確なる合格点を得るべきである、こういう指導を私は受けました。したがって、奥村教授のそういう指導を私は公団がとるべきであるということで、その担当官を呼びまして調べましたら、ほとんどそういう方法でやっております。したがって、外部からやっていることも何カ所かはやりました。しかし、そういったようなことで外部からとることが何カ所であれば大体間違いのない結果が出るであろうという奥村教授のサゼスチョンもございましたので、現在はそういうことが大部分のところで行なわれているという現況であります。したがってとったフィルムが一カ所の溶接場所で何カ所もございますから、外からとるわけでございます。それからあらゆる角度でとったフィルムが残っておりますので、現在私は、公団にそのフィルムを毎回専門家に点検させなさい、その結果を一カ所ごとに運輸省に報告しなさい、こういう指示を与えたのがことしの二月でございます。したがって逐次上がってきておりました結果、いまなお、これが悪いという結果の報告を受けておりません。確かに、先生の言う基準というものは理想であります。その理想に少しでも近づくことは努力いたしますけれども、外側から何カ所もとって、そのとったフィルムを完全に保管して、それを専門家の第三者に見せた判定の結果、現在まで不合格点が出ておりませんので、私は十分安全性は保持されるということだけは確信をもってお答えできると思います。
  71. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは公団というか運輸省が監督もしているわけで、自分でつくった仕様書というものをみずからが破って、みずからがそれを改めて何カ所も写せばいいとかなんとかいう理屈をつけて、これを破ってやろうということは許せない行為だと思うのです。それでは最初の答弁とだいぶ違うと思うのです。  それから管のまわりを方々からぐるっと囲んでやるでしょう。二重に写る、こっちから見るのと向こう側と。そういうことを考えると、中に入れてやるのがほんとうだということは、だれが考えてもそうだと思うのです。ところが、いま公団でやっている工事というのはそういう工法でやっていない。これはどちらが正しいとか正しくないということよりも、ほんとうにどぢらが安全であるかどうかということについてもう一度確めてみる必要があるのですよ。  東大の奥村教授ですか、この人が皆さん方のほうでやっている何か安全基準をつくる部会の会長をやっていますね。そういう人たちの意見を聞くと同時に、広くそういう専門の人たちの意見を聞いて、もう一回この問題については討議して、正しいほうの方向で決定していただきたい。最後まで、この問題の安全性ということについて、パイプラインが通る地域の人たちは、どういう方法で竣工検査が終わったかということについて不安を持つのです。この点について、もしだめだったら、全部やり直してほしいというふうに考えております。それでもしだめな場合は、全部やり直す気があるかどうか、政務次官からお答え願いたいと思います。
  72. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 奥村教授と話し合ったのは、そういったような御意見もありましたので、奥村教授とお会いいたしまして、具体的にその問題を話し合った結果、結論だけ申し上げますと、奥村教授としては、パイプラインそのものの溶接のそういうやり方、それから検査のしかた、パイプラインの材質そのもの、そういうものについては完全に確立しておる、これははっきり言っていただきました。ただ、問題は工事の施行上、基準どおりにやっているかどうか、そこに問題点があるんだから、政務次官責任を持って工事の施行規則というものを十分監視しながらやる体制だけはとるべきである、そういう貴重な御意見をいただきましたので、もしも工事の施行上安全基準に反するような工事の施行方法が見つかった場合においてはこれをやり直しさせましょうというのがいまの運輸省態度でございます。  したがいまして、先生のそういう御意見も、内部からとるということは、これはもう十分なやり方でございますが、撮影の方法については、問題の基準が、やはり同じよう基準もいただいておりますけれども、先生の御意見も十分考えた結果、出ておるところのフィルム等についてはこれは十分再審査をさせておりますし、それから欠点部分が出たときは当然やり直しをさせます。しかし、いままでのところ、フィルム再調査の結果、不適格であるということは出ておらないということだけははっきり申し上げていいのではないか、こう思います。
  73. 金瀬俊雄

    金瀬委員 佐藤政務次官が千葉県知事に五月ころ会ったときに、工事のやり直しをやらなければならない個所があると知らされた、それから埋め戻しに山の砂を使うのがたてまえであるのに、掘った土をそのまま使ったから、土圧が違ってきて危険なところがあったといわれております。そういうことをあなたが知事に話されておる、そういうことはありますか。
  74. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 千葉県知事とお会いしたときに、千葉県知事にパイプラインの安全性の問題についてお話をいたしましたことは事実であります。そこで、私が自身で運輸省の原局のほうでいろいろなデータを集めました結果、十カ所くらいどうもおかしいデータが出ているなというようなところもありましたので、工事施行者を一人一人呼びまして、そして具体的にこの個所はどうなっているのか、山砂のところに大きな石ころが入っているじゃないか、石ころがあるとパイプラインに当たってきずを与える、五年、十年先にそこからまた破損の原因になるのではないか、完全に山砂によって囲むということになっているのだから、それが石ころが入っているということはどうだと聞いたところが、その石ころを取り除いて、そして完全な山砂で囲んでおりますという実際の工事施行者からの報告も受けております。したがって十数カ所について一つ一つ私が点検をいたしました結果、ほとんど完全に工事のやり直しをしながら完成をしておる、こういうぐあいに報告を受けておりますので、私はそれを信じたい、こういうぐあいに思っております。
  75. 金瀬俊雄

    金瀬委員 稲毛の海岸埋め立て地の工事をやった場所ですが、陥没が起きたりひびが入ったり、いろいろなことが起きておる、これをやり直しをする話し合いになっておるというように聞いておりますが、どういうやり直しでありますか、稲毛の海岸ですね。これはやり直すとみんな言っていますが……。
  76. 松木洋三

    ○松木説明員 お答えいたします。  先生御指摘の個所は稲毛海岸の埋め立て地の埋設個所だと存じます。写真等によりますと、この工事途中にパイプラインの埋設個所のそばの道路の舗装個所がひびが入っておるということだと思うのでございますが、これはあの地区の工法が、埋め立て地で水けを呼びやすいところでございますから、工法上のウエルポイントと申すそうでございますが、水けを取りながら埋設をしていくという工法をとっておるようでございます。したがいまして、水けを取っておる間にまわりの地盤が締まってきて、その関係でひび割れが出た、こういうことでございまして、ひび割れ自体は地盤沈下ではないわけでございます。したがって道路の舗装は工事終了後そのひび割れ個所を舗装し直しておる、こういうことでございます。
  77. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それはあなたいいかげんなことを言ってはいかぬよ。この埋め立て地というのは、ウエルポイントというのは工事をやりながら水を吸い上げて外へ出す工事ですよ。海で塩水のときは幾らポンプを使ってやったって、海水がどんどん入ってくるのですよ。幾ら言ったってだめだよ。それは一般の陸上の話ですよ、そういうものをやって水がとれるというのは。そういうことで公団の工事をやられたらたまらないですよ。それから、埋め立て地の中というのは、山砂をやったら吸ってしまうのですよ。一般のこういうところは山砂をやれば締まるが、埋め立てをやったあとは海岸線だから浸透して、水が入ってくるのですよ。そういうものを調査せずに工事というものがやられているのですよ。そういうことは悪いとわかったらやり直すべきだ。工事をやるときはいいでしょう、水を出してやるから。しかし、あとですぐ山砂というのは海水が入ってきてだめになる。そういうことは常識だよ、普通の人の。そういうことも知らないで工事をやっておるということは、あなた方がもう少しパイプラインというようなことについては相当研究する必要がある。あなたの答弁は違っているよ。それはしろうとに話すことだよ。全く全然パイプのこととかなんとかわからない人に話すことだよ。工事やるときに水を出してやればあとだいじょうぶだなんて、現場へ行って見てみなさいよ。この問題についてはあと佐藤政務次官が現場へ行って、現場を調査して、現場の人たちとよく話し合って最終的な結論を出すということですから、このことについては質問を保留しておきます。  最後にパイプの工事のことについて、予算が最初は四十四億円だったというふうに聞いております。いまどのくらいかかるということになっているか、ちょっとそれを教えてくれませんか、当初の予算に比べて。
  78. 松木洋三

    ○松木説明員 現在千葉市内の四・四キロのいわゆる水道道路と申しております部分が工事中断をいたしておりますが、その部分を除きまして工事が完全に終了いたしておりませんので概算でございますが、大体八十億円くらいと予想されております。
  79. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、当初あなた方が考えた当時の四十四億円から比べると、約二倍の工事費が使われるということになるわけですが、とのことについてはこれは大蔵省は認めていますか。
  80. 藤仲貞一

    藤仲説明員 お答えいたします。  パイプラインの建設費のことでございますけれども、建設期間が予定よりおくれておりますこと、あるいはまた一部路線の変更を余儀なくされるおそれがあること、そういういろいろな要因がございますので、工事費全体が増加することはこれはやむを得ないと考えております。ただ、現在本格パイプラインにつきましては、最終的に全路線というものが確定しておらない現状でございまして、そういう状況でございますので、これが最終的に全工事費が幾らになるかということは、まだ検討中の段階でございます。
  81. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまの大蔵省の話ですと、パイプラインが総体的にはどのくらいかかるかということについては、まだ最終的な決定をしていないということですが、今後この問題について安全性を強めていけば、だんだん工事費というのはかかってくると思うのですよ。だから、そういうことについて大蔵省が認めるということであれば、それは安全性がより高められることであるから、それはそれで差しつかえないと思いますが、私は最後に政務次官一つ要望しておきます。佐藤政務次官は、パイプラインの工事のことについてはきわめて熱心に、精力的に努力していただいて、そのことについては心から敬意を表する次第ですが、何といっても安全性の確保ということは人の命に関することでございますので、一そうひとつ対策を協議していただきまして、いま私が申し上げましたように、まだ検査の方法とかその他工事の方法とか不十分なところが、先ほどの答弁でございますと十カ所ぐらい指摘したという話でございますが、そうした中で問題の起こる個所が私は相当出てくるんじゃないかと思います。なぜかというと、安全性の基準ということがだいぶ変わってきておりますから、そうしたことについて工事をやり直すことによって、住民の不安感というものをなくするという方向で、ひとつより以上の御努力と御研究を心からお願い申し上げます。  なお質問は、成田空港の関係で騒音とかその他のことについて準備してまいりましたが、与えられた時間がなくなりましたので、これで終わらしていただきますが、次回にパイプラインの問題、騒音の問題あるいは空港をめぐる税金の問題、そうしたことについてひとつ質問をさせていただきまして、いろいろと討議したい、さように考えておりますのでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  82. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 神門至馬夫君
  83. 神門至馬夫

    ○神門委員 神門です。時間がありませんので簡潔にお答えいただきたいと思います。  去る三月八日の衆議院予算委員会の第一分科会で、わが党の楢崎議員が質問をいたしました、在日米軍が要求している訓練空域新設の問題についてでありますが、特にその中で明確にされなかった問題等について質問いたします。  まず端的に質問いたしますが、だれがいつどのような訓練空域をどういう手続で要求したのか。
  84. 金井洋

    ○金井政府委員 米軍の訓練空域につきましては、日米合同委員会の下に航空分科委員会というものがございます。その航空分科委員会が四十七年九月一日に開かれまして、米軍も訓練空域がほしいということで申し入れがあったわけでございます。これは正式には外務省を通じて、もちろん運輸省も通じておりますけれども、外務省、運輸省、米軍との協議の席上で、米軍からそういう意向が伝えられました。
  85. 神門至馬夫

    ○神門委員 そのように米軍から訓練空域をほしいという要求をし、それに日本の政府が対応しなければならない根拠となる根拠法ですね、その法律は何かありますか。
  86. 金井洋

    ○金井政府委員 これは私どもが外務省から聞いておりますのは、地位協定の第六条によって米軍は使用訓練空域を要求する権限があるというふうに聞いております。
  87. 神門至馬夫

    ○神門委員 その米軍が安保条約六条、それに関連する地位協定六条の権利行為として、この訓練空域を要求をしてきたということですが、それは雫石の事故以来の変化と申しますか、その辺の関連があると思いますので、その関連をひとつ説明してください。
  88. 金井洋

    ○金井政府委員 御指摘のように、四十六年に雫石で衝突事故がございまして、四十六年八月七日に総理府の交通安全対策室が中心になりまして、緊急対策要綱というものをつくりました。緊急対策要綱の趣旨は、民間機と自衛隊の訓練機と分離するというのが目的でございます。そしてその衝突事故が起こるまでは、自衛隊あるいは米軍の訓練というものは有視界飛行で、極端にいえばどこの空域ででも訓練ができたわけです。しかし、それでは衝突は防げないということで、訓練は訓練空域でやれというような趣旨の緊急対策要綱をつくりました。したがってそれに基づいて自衛隊もそれから米軍もそれぞれ訓練空域がほしいという要望があったわけでございますけれども、当時としては、一応自衛隊用の訓練空域をつくって、米軍はとりあえず自衛隊と共同使用していただきたいということで了解をとっておったわけでございますけれども、昨年の九月にあらためて、それだけじゃ不足だから米軍専用の空域もほしいという意志表示がございました。
  89. 神門至馬夫

    ○神門委員 四十六年の七月に雫石における事故があって、昨年の九月までは自衝隊の訓練空域を一緒に使用させていた、こういうことですが、その雫石の事故の直後に緊急要綱ができて、それに基づいて訓練空域が、日本の上空を自由に飛び、かってに使うことができなくなったという直後に、もう米軍からの要請があっているのじゃないですか。
  90. 金井洋

    ○金井政府委員 米軍は米軍独自の訓練空域をほしいという要望は、確かに四十六年からございました。しかし、四十七年の九月に十カ所の場所を指定して、あらためて要求があったということでございます。
  91. 神門至馬夫

    ○神門委員 十カ所でございますね。
  92. 金井洋

    ○金井政府委員 十カ所とそれから一カ所、自衛隊の訓練空域と続いている分を修正する、それを入れますと十一カ所ですけれども、場所としては十カ所です。
  93. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうすると、雫石事故の直後にできた緊急要綱に基づいて、航空自衛隊の訓練空域がその直後に設定をされ、それを米軍及び自衛隊の両軍で利用していた。それには訓練空域及び制限空域というふうなものがございますね。まあ制限空域は、これは以前からあったのですが、そうすると、今回の十一カ所というのはそれにプラスしてふやされる、そうして今度米軍から要求されている十一カ所は、十カ所といまの修正空域ですね、合わせてこの十一カ所はやはり同じよう航空自衛隊も一緒になって訓練空域に使用するものだ、こういうふうになるわけですか。
  94. 金井洋

    ○金井政府委員 自衛隊が当初要求してきたものは、低高度について十四カ所、そのうち九カ所設定しました。それから高高度につきましては十六カ所要求しまして、十一カ所自衛隊用のものをつくりました。その時点で米軍も専用のものを要求していたのですが、空域も十分にございませんので、自衛隊のものをとりあえず自衛隊と共同で使ってくれという協力要請をしました。今度、昨年九月において米軍から要請の十カ所は米軍専用でございまして、米軍がそれをつくった暁に自衛隊と共同して使うかどうかということは、それは米軍と防衛庁との話し合いによってきまるのではないかと思いますけれども、私どもとしては、限られたスペースなので、できるだけ共同使用ということは、一応運輸省としては喜ばしいというふうに考えております。
  95. 神門至馬夫

    ○神門委員 共同使用するかどうかということは運輸省を離れて外務省と米軍、あるいは米軍と航空自衛隊、その間で専決的に行なわれる事項と考えてよろしいわけですか。
  96. 金井洋

    ○金井政府委員 そのように考えております。
  97. 神門至馬夫

    ○神門委員 そういうような要請が来て、昨年の九月と申しますと、そろそろ一年が来るわけですが、この三月の予算委員会分科会における審議答弁等を通じてみましても、ワーキンググループで作業にあたっている、そして空域がいいかどうかということを詰める段階になっております、こういうふうに御答弁になっておりますが、今日の作業の進行状況、これについてお答え願いたいと思います。
  98. 金井洋

    ○金井政府委員 まだ検討中でございます。
  99. 神門至馬夫

    ○神門委員 今日検討中ということでありますが、先日、外務省のほうでこの問題を聞いてみますと、相当急いでいる、こういう状況下にありまして、それらの作業というものが十一カ所、全部とも対象にして検討されていて、検討の中で問題になっているもの、約一年かかってですね、どういうような問題が特にあがっておりますか。
  100. 金井洋

    ○金井政府委員 自衛隊用であろうが米軍であろうが、訓練空域を設定するにあたっての私どもの基本方針は、民間機の安全に支障のない範囲内において設定するというのが基本方針でございます。したがって、米軍が出した十カ所の中で、航空交通が非常にふくそうしておるところはあと回しにしまして、可能性がありそうなところから順番に検討しておるわけです。それは大体二カ所ぐらいありますけれども、まだその二カ所についてさえ結論が得られておりません。
  101. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうすると、運輸省としては、十一カ所の要求に対して特に二カ所ぐらいが総論として可能性があるのではないかという大局観点に立って、九カ所というのは全然手をつけてない、二カ所において、いわゆる予算委員会で御答弁になったように、詰めておるけれども、これについてはまだ結論が出てない、こういうふうに、分離して考えればそういう作業状況である、こういうことでございますか。
  102. 金井洋

    ○金井政府委員 先ほど、可能性のあるものから順番にと言いましたけれども、ちょっとことばが足りませんでした。可能性があるものと、プラス、米軍が優先順位をつけて希望しておる順番を取り入れまして検討しております。それが二カ所でございます。
  103. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうすると、その二カ所は民航路のそれと考えて安全を守るという度合いから十一カ所の中で二カ所を選別されたのか、あるいは米軍のほうの要望の順位の一、二という、その順番によって二カ所というまずスポットを当てられたのか、この辺についてはいかがですか。
  104. 金井洋

    ○金井政府委員 これは両方でございまして、米軍もそれはもちろん優先順位がありますけれども、米軍の専門家も大体この辺は訓練空域が設定可能かどうかという判断を下す能力があります。したがってそういう可能性のある空域で、しかも優先順位が高いもの、これは米軍の基地にあまり遠くないところということで、おのずから場所が大体選定される。これはもちろん米軍にも専門家がおりますので、そういうことで可能性の問題と優先順位の問題と双方をかみ合わせて二カ所を選定して検討しておるということでございます。
  105. 神門至馬夫

    ○神門委員 今日、いわゆる安保体制とか安保論、いろいろ議論されております。そういう問題にふえんする時間もないし、今日そのつもりもないわけですが、いまの雫石そのものは、氷山の一角としての、今日ふくそうする民間航空路の危機状態をまざまざと知らし、それまでにも警告をされていたのですが、あのような大きな犠牲によって緊急要綱ができ、そしていまの訓練空域をきめて、その中に訓練飛行を一時閉じ込める、これは一つの前進でありますが、しかし、この十一カ所の内容というものを見てみますと、相当民間航路と重複をしているところがございますね。それらの個所については、まあ私らがしろうとなりに考える判断としてはたいへん危険な状態になる、いわゆるいろいろの、特に気象の激変との対応というのが飛行機は弱い、そういうことで触れるような場合、雫石の二の舞いを演ずるという危険性を感ずるわけです。予算委員会においてもその点は出されております。運輸省としては、第一に民間航路の安全第一主義をとるのだ、こういうふうにいまおっしゃっておる。そうすると、十一カ所の要求に対して全部ノーと答えられる場合もあり得ると考えてよろしいですか。
  106. 金井洋

    ○金井政府委員 先ほど可能性の順位あるいは優先順位から二カ所と申し上げましたけれども、まだそれすら検討中でございますので、まだノーかイエスかということについては見当をつけることもできない状態、要するにまだ検討中でございまして、ノーかどうかということも言えません。
  107. 神門至馬夫

    ○神門委員 重ねてその点について質問しますが、民間航路の安全が脅かされるような訓練空域が、たとえば平面空域でゼロになるとか、あるいは気象の激変地域である、こういうような場合には当然運輸省の判断でそれをもおかして要請を受けるというようなことは絶対にないのだと、この辺の基本は確認してよろしゅうございますか。
  108. 金井洋

    ○金井政府委員 先ほど申し上げましたように、民間機の安全に支障のない範囲内で訓練空域を設定するというのが基本方針でございます。それは今後も変わりません。
  109. 神門至馬夫

    ○神門委員 四十六年の七月の雫石事故、その直後に航空自衛隊の訓練空域が相当広範囲にわたって設定をされております。今日までそれを利用して米空軍も訓練をしていた、こういうことですが、それをさらに十一カ所、修正が一カ所ありますから十カ所といたしましても、その十カ所の空域を設けるということは航空管制なりいわゆる管制の一元化、運輸省が一元化していこうというような方向に相当その後いろいろの協定なり覚え書きが航空自衝隊との間で結ばれておりますね。そういうような精神からいっても、これをふやさないことが民間航路の安全のために望ましいことである、こういうことについては運輸省としても確認してよろしゅうございますか。
  110. 金井洋

    ○金井政府委員 要するに、民間機の安全に支障がない範囲内で訓練空域を設定することが可能であれば、訓練空域がふえるということは必ずしもすぐ危険だということにはならないと思います。ただ民間機の安全が犠牲になるとかあるいは民間機の空域が削減されるとか、そういうことは当初からわがほうは考えておりませんので、繰り返しますけれども、民間機の安全に支障のない範囲内においてもし訓練空域を設定することが可能ならば訓練空域を設定したいというように考えております。
  111. 神門至馬夫

    ○神門委員 その点についてはさらに質問を重ねませんが、三月八日の予算委員会第一分科会において楢崎議員が「いま具体的に詰めが行なわれておるのは島根沖の関係ですか。」こういう質問をいたしております。金井政府委員のほうから、それの質問に対して、「先ほども申し上げましたように、訓練空域の設定が可能かどうかということは、米軍から出されました時点から全部同じように検討しております。ただ、検討の順序としまして、可能性が高いものから順番に検討しようということで取り上げましたのが島根県の沖合いでございます。そのほかのものについてもまだ現在検討中でございます。」こういうふうに答弁をなさっておるわけですが、これは議事録を私そのまま読んだわけで、もちろん今日においてもその答弁内容には変わりございませんね。
  112. 金井洋

    ○金井政府委員 変更はございません。
  113. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうすると、検討の順序として「可能性が高いものから順番に検討しようということで取り上げましたのが島根県の沖合いでございます。」これは、いまるる原則なり今日的作業状況をお述べになりました観点に立って、どういう意味で可能性が島根県沖合いが一番強いのか。
  114. 金井洋

    ○金井政府委員 航空路等の数が少ないということが第一の理由でございます。
  115. 神門至馬夫

    ○神門委員 航空路の数については確かに少ないと思いますが、しかしここには日航の大韓航空路線というのですか正式には、これが一本ございますね。そして基幹的な航空路になっている。全くそれを抱くようにした範囲内に訓練空域が要求される。ですから、その危険度ということになってくると、いまおっしゃるように、航空路が少ないかどうかということが、あなたのこれまで御説明になりました安全度をはかる基準になる、こういうことですか。
  116. 金井洋

    ○金井政府委員 緊急対策要綱の趣旨は、民間機と自衛隊の訓練機、米軍も含めまして、訓練機と完全に分離するということでございます。分離する方法としまして、平面的に分離する方法と、それから高度を分けて、一万メートルから上は訓練、一万メートルから下は民間機というふうに高度を分けて空域を分離する方法、それから、午前中は民間機、午後は訓練に使ってもよろしいというふうに、時間的に分ける、こういう三つの分離の方法がありますが、そういう三つの分離の方法を考えますと、確かに大阪から釜山に通ずる航空路がございまして、その航空路は日本航空と大韓航空が使っております。ただし、そのほかの羽田周辺とかあるいは豊後水道上空とかというところに比べますと、航空路の数もその航空路を使用する航空機の数も非常に少ないので、平面的、時間的、高度的な分離、どれかの分離の方法を考えることによって、もっと繁忙な空域よりも可能性が高いという趣旨でございます。ただ数が少ないから、それを犠牲にして、安全は考えなくてもいいということではなくて、ただいま申し上げました三つの分離の方法を適用することによって可能性が高いのではないかということでございます。
  117. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうすると、あなたの場合は、片一方は十事故を起こす可能性があれば九のほうをとる、こういう意味ですね。
  118. 金井洋

    ○金井政府委員 そういうことではございませんで、その三つの分離の方法をとるといいましても、民間機の安全は絶対に確保されるということが前提でございます。この基本方針は変わりません。ただ、非常にこんで便数も多く、航空路もふくそうしておるところですと、平面的な分離も時間的な分離も高度的な分離も、ちょっと考えただけでは可能性がないわけでございます。ただ、便数が非常に少なければ、そういう民間機の安全を前提としまして、分離の方法が可能性が高いということはいえるわけです。
  119. 神門至馬夫

    ○神門委員 一点にしぼって、さらにこの問題について質問をいたしますが、そうしますと、この要求のありました、R、Rlという符号ですが、このアルファベットの訓練空域はどのようなものであり、そして大韓航空路はどのような高度とどのような距離に要求が来ているのか、それを具体的にちょっと御説明願いたいと思います。
  120. 金井洋

    ○金井政府委員 訓練空域の距離は、島根県の海岸から、近いところは五十キロ、遠いところは二百キロくらいにわたって米軍の当初の要求は大阪から釜山に通ずる航空路を含んで要求されております。その航空路は大体二万フィートから二万三千フィートの高度で民間機が飛んでおりますので、そういう民間機に支障がない方法が可能であるかどうかということで検討しておることは先ほどからお答えしておるとおりでございます。
  121. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうすると高度において交差しやしませんか。いま私らが資料として持っておるものは、R1地域あるいはRという地域については三千メートル以上ですね。ですからそれから上を全部訓練空域として要求されておる。そうすると大阪から釜山に対する航路そのものとクロスする、こういうようなことになってくるわけですね。いわゆる抱いてしまうのですから、あなたのおっしゃるような、それはそれなりに一つの時間と距離を置くということになるのですが、しかしその基準に九キロを周囲に置いたとしても、その中にこの航空路そのものを訓練空域が全体で包んでしまう、こういうふうなことになってくるわけですね。その点についての安全度というものはどうですか。
  122. 金井洋

    ○金井政府委員 抱いてしまうというか、民間機がトンネルみたいなところを通るという案もありました。しかしそうするかどうかということ、そういうことを含めまして安全に支障がないかどうかということで検討しておるわけで、いま申し上げましたようなトンネルの中を民間機が通るようなことになってしまうということはまだ何一つきまっておりません。
  123. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうすると、そういうものを含めてこの結論が出るまでには、何年か何十年かわかりませんが、まだ相当な期間がかかると判断してよろしゅうございますか。
  124. 金井洋

    ○金井政府委員 少なくも一カ月程度で結論が出るというふうには考えておりません。まだ当分検討しなければならないというふうに考えております。
  125. 神門至馬夫

    ○神門委員 一カ月で結論が出るということになれば、もう詰めができておるということでしょう一カ月で結論が出るとすればそれはたいへんな問題だと思いますが、それはどうですか。全然言われないことはないと思うのです。
  126. 金井洋

    ○金井政府委員 一カ月と申しましたのは、何十年とか何年とかいうことに対比する一つの表現でありまして、一、二カ月という程度で表現させていただいたわけでございます。別に一カ月以内に結論を出すというようにはきめておりません。
  127. 神門至馬夫

    ○神門委員 その辺については言いづらい点もあると思いますが、いまのところわれわれの判断では少なくとも一年や二年で結論が出る問題ではない。あなたのおっしゃるすべての説明段階から聞けば、それを一カ月というふうにずいぶん低々高度の訓練空域を対象にされたように思うので、そういうようなことがあってはならないというふうに考えるわけですが、その点はおきます。  四十五年十月二日に、衝撃波によって島根県に被害が起きて、国からもこれに対して見舞い金を出す、県、関係自治体からも見舞い金を出す、こういうような問題が起きているのを御承知ですか。しかもその問題についてはいろいろもめましたけれども原因者不明ということで終わっておるわけです。原因者不明というようなこと自体が運輸省で全くわからない。連日のように衝撃波を落として地域住民の問題になっていった。たまたまこれが十月二日に衝撃波になってそのよう被害が生まれた、こういうようなことなんですが、このような問題が運輸省としては今日まで全然把握をされてなかったのか、その事実は御承知であったのか、この点についてお尋ねします。
  128. 金井洋

    ○金井政府委員 四十五年十月に衝撃波による被害があったということは私どもとしては新聞その他のことで承知しておる程度でございます。先ほども申し上げましたように、雫石の衝突事故が起こるまでは自衛隊も米軍の訓練機もどこの区域でも有視界飛行によって訓練することができたわけです。したがって四十五年十月ごろの衝撃波の問題というのは、おそらく有視界飛行で、米軍か自衛隊かどちらかわかりませんけれども、許された範囲内で訓練をしておったのではないかと思います。したがってそういう有視界飛行による訓練の場合には、運輸省航空交通管制の指示を受ける必要はございませんので、私どもとしてはどこからどこへ飛んで行ってどういうことをしたのかということをつかむすべはなかったわけでございます。
  129. 神門至馬夫

    ○神門委員 その辺については、いろいろ言いたいこともありますが、一応おいて、外務省のほうに先日地元の上京団が来ましたときの尋ねには、岩国の米軍が能登半島沖の、先ほどおっしゃっておる四十六年に設定になった訓練空域に向かう途中、海上に出るまではマッハに切りかえてはならぬとやかましく要望しておったにもかかわらず、その当時、陸上においてマッハに切りかえるために落とした衝撃波で、こういうよう説明があって、その上京陳情団は帰りましてその発表をしていま県会で二、三日前に相当な問題になっておる、原因者不明というようなことで国から見舞い金が出ること自体もおかしいし、くしくもその人たちが来たときに、そういう経路を経ますとちょうど大田市の上空を通る、そこでそういう衝撃波を落としておるということがわかって、非常に不信の念を持って帰り、県議会でも、県からあるいは自治体から負担した見舞い金は米軍から戻してもらうべきだ、こういう問題がいま持ち上がっております。これは運輸省では適切でないと思いますから、またの機会に尋ねたいと思いますが、そのときに、またいまのように日航だけの対象ではなしに、民間航空路だけの対象ではなしに、先ほど魚の問題が公害汚染の問題で出ておりましたが、その辺一帯が唯一の底引き漁場で非常な豊庫なんです。それ全体に対していま漁民が県庁に押しかける等の問題を起こしておる。公害厚生省からレッテルを張られて食えない、売れないということで問題を起こしておる。その上に今度はとれないことになるのではないかという心配を持っておる。そういうことについては全然御配慮にならぬのか、あるいはそのような事故が過去にあって相当問題になったのに、法律上の根拠ではなしに、行政上関係自治体、県なり市町村に連絡をとるとか、こういうよう措置をとることが、このような経過から見て望ましいと思うのでありますが、運輸省としてはその結論、作業上の過程としてそのような手続を踏まれる考えはないか。これはひとつ政務次官のほうから、政治的問題でありますから。
  130. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 運輸大臣には島根県の漁民の方からも反対の陳情が出ております。そこでいまの先生のお尋ねでございますが、運輸省としてはそういったような問題について漁民に与える影響が見られる場合においては、これは私は看過すべきでないと思います。したがってそういったような問題については、やはり他の省と連絡をとりながら、運輸省としてはこういうことをやりましたということで地方自治体を通じてあるいは陳情があった漁民に直接やるような行政姿勢というものはあるべきだと私は思います。ところが率直に、私は政務次官でない立場、国会議員として申し上げますと、そういう欠けた点がやはり行政の中に多いように私は思います、政務次官になってから。したがってそういったよう地域住民からのいろいろな運輸省に関係した問題について意見が出た場合においては、率直にそれの調査なり他省との連携なりの上で結論を出して、地方自治体に連絡をとるという姿勢だけはとっていく、私はこういうぐあいに考えております。
  131. 神門至馬夫

    ○神門委員 時間が来ましたから、最後にもう一つ要望しておきますが、いま積極的な姿勢を次官のほうから示してもらいまして、実はそのことを非常に素朴な気持ちで期待をしておるわけです。法律的に強要するというふうな気持ち、これももちろんありましょうが、島根県の議会でも、ことしの二月にそのような過去の経過がございますがゆえに、その訓練空域が及ぼす影響等を非常に心配をしておるわけです。陸地の住民、海上漁民、この双方が直接的には関心を持って、いわゆる民間航路という行政上の——運輸省といたしましては、責任者として関心をお持ちになる。それ以上に住民は、その直接ふりかかった今日までの災難がまた起きはしないかということで、この県議会でも問題になって決議をしています。それから知事のほうからも、運輸大臣あてに、ことしの五月にその反対の意思の要求書が出ておるのであります。  あらためてもう一ぺんお願いしておきますが、決定をした際はと、こういうお話がございましたが、そうではなしに、決定に至る過程に、担当の技術部長のところに私もお伺いいたしまして、非常に善意でいろいろと作業をお進めになる、このことについては敬意を表しますが、その過程ででも一応関係陳情団体と申しますか、自治体等に、やはり国の考え方運輸省考え方というものを示して打診をする、こういうような今後の作業方向と申しましょうか、それについてのお約束をここで確認していただきたいと思いますが、次官、いかがでございますか。
  132. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 航路の決定、あるいはその航路の決定が民間航路の決定あるいはそれが自衛隊の訓練空域あるいは米軍の訓練空域——これは非常に微妙な問題でございますから、当然私は、地域の方に、結論が出る前にでも、大体こういうような方向にいきますよといって相談をするのは当然だと思います。これはこういうぐあいになりましたよといって、ぽんと突き放すような政治はやめるべきだ、こういうふうに思っておりますので、いま先生の言われたよう考え方というものは、当然運輸省としてはとっていきたい、こう思います。
  133. 神門至馬夫

    ○神門委員 これで質問を終わります。
  134. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 次回は、来たる十一日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十三分散会