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1973-05-10 第71回国会 衆議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月十日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 守良君    理事 細田 吉藏君 理事 兒玉 末男君    理事 斉藤 正男君 理事 梅田  勝君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       大竹 太郎君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    關谷 勝利君       徳安 實藏君    宮崎 茂一君       綿貫 民輔君    井岡 大治君       太田 一夫君    久保 三郎君       神門至馬夫君    紺野与次郎君       石田幸四郎君    松本 忠助君       河村  勝君  委員外出席者         参  考  人         (成城大学経済         学部教授)   岡田  清君         参  考  人         (日本労働組合         総評議会幹事) 福田  勝君         参  考  人         (早稲田大学社         会科学部講師) 鈴木 順一君         参  考  人         (全国消費者団         体連絡会代表幹         事)      工藤 芳郎君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七号)      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日御出席願いました参考人は、成城大学経済学部教授岡田清君、日本労働組合評議会幹事福田勝君、早稲田大学社会科学部講師鈴木順一君、全国消費者団体連絡会代表幹事工藤芳郎君、以上四名の方々でございます。  この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席いただきましてまことにありがとうございました。本案についてそれぞれ忌憚のない御意見を承りまして、審査の参考にいたしたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げますが、岡田参考人福田参考人鈴木参考人工藤参考人順序で御意見をお一人十五分程度に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  それでは、岡田参考人からお願いいたします。岡田参考人
  3. 岡田清

    岡田参考人 ただいま御紹介いただきました成城大学岡田でございます。ただいまから国鉄運賃法並びに財政再建特別措置法の一部改正に関する件について、参考人として御意見を申し上げます。  まず初めに、本案件につきまして全面的に賛成であるということを申し上げておきたいと思います。  以下、時間の許します限り御意見を申し上げてみたいと思いますが、全体を三つに分けまして、第一点は国鉄財政から見た問題点、あるいはそういうふうな観点からお話をしてみたい。それから第二点は、わが国交通体系に関して国鉄がいかなる役割りを果たすべきであるか、この点についても御意見を申し上げてみたい。それから最後でありますが、将来の国鉄財政あり方あるいは公共企業体としての国鉄あり方について、特にイギリス国有企業白書参考にしながらお話を申し上げてみたい。以上三点について本案件に関する賛成意見を申し上げる、こういう予定でございます。  第一点でございますが、御承知のように国鉄財政赤字に転換いたしましたのは昭和三十九年であります。その後年々赤字を繰り返しまして、過去の累積債務多額にのぼるというだけではなくて、さらに多額累積赤字をかかえている。これの理由一体何であるかということにつきましては、二つほど考えることができます。  その第一点は、国鉄の外部的な理由国鉄を取り巻きます経済環境というものが国鉄に必ずしも有利でなかった。これをさらに分けてみますると、これは一つには交通体系上の問題、それからもう一つの問題は、御承知のように都市化が進行いたしまして、過密過疎の問題が非常に深刻になった。いわば地域経済構造が大きく変わった、こういうふうに考えております。中でも新しい交通機関発展、それと同時に過密過疎、この二つが非常に深刻に響いてきた。それが最も典型的にあらわれましたのが貨物輸送である、こういうふうに考えております。したがいまして、問題は、こういうふうな現在の国鉄が持っております体質と申しますか、あるいは国鉄の内部的な状況を外部的な環境にいかに合わせていくか、このことが最も大きな課題ではないか、こういうふうに考えます。  したがいまして、第二点といたしまして、もし国鉄が将来ともわが国交通体系に占める役割りを考えるとするならば、現段階では非常に多額投資を必要とする。このことをまず申し上げておきたい。したがいまして、国鉄の戦後の発展過程をたどってまいりますると、大体第二世代まで現在まで終わりまして、おそらくこれから第三世代に入ろうとしている。この時期は国鉄財政だけではなくて、日本交通体系にとっても非常に重要な意味を持っている。そういうふうな過渡的な状況にあるということをまず最初に指摘しておきたい。これが第一点であります。  第二点といたしましては、それでは一体交通体系に対して国鉄はいかなる役割りを果たすべきであるか。この点につきましてはいろいろ議論はございまするけれども、大きく分けまして二つの論点があろうかと思います。  第一点は、御承知のように都市間高速交通体系に対して国民的な要請が非常に強い。国鉄は現在いままでの財政を立て直すことによって、都市間の高速交通体系の確立に向かうべきである、このことは現在国民的な要請になっている、こういうふうに認識いたしております。  それから、その交通体系に果たす役割り一つといたしましては、大都市通勤輸送でありまするが、大都市通勤輸送は第三次長期計画によって飛躍的に改善はいたしましたけれども、なおかつまだ改善すべき余地がある。その意味でもしわが国交通体系に対して、都市間の高速交通体系と、それから大都市通勤輸送、この二つのものに対して大きな責任あるいは義務のようなものを果たしていくということになってまいりますると、国鉄は現在多額投資を必要としている。その意味で、御承知のように交通体系全体の中では四つの交通機関がございますが、こういうふうなものを交通体系多様化と呼んでおりまするけれども交通体系多様化する過程の中で適正にいま国鉄を位置づけるとするならば、その責任は非常に大きい、こういうふうに感じているわけであります。  そういう意味で現在置かれております国鉄現状を考えてみますると、貨物輸送にいたしましてもあるいは旅客輸送にいたしましても決して十分だとはいえない。十分でないという意味は、第一番目には量的に不足しているという意味と、それから質的に必ずしも十分ではない。他の交通機関に十分対応できない、こういう問題をかかえているというふうに判断いたしますので、まあここしばらくの間思い切った投資を行なうことによってその適正なる義務責任を果たすようにつとめるべきである、こういうふうに考えてまいりますると、現行法体系の中では当面直ちに運賃改正を行なうことによって、それによってわが国交通体系に果たす役割りというものを国民に十分知らして、そうすることによって国鉄役割りというものを将来に向かって進めるべきである、こういうのが基本的な前提条件であります。そういう理由運賃法並びに財政再建促進特別措置法の一部改正について全面的に賛成であるというふうに申し上げたわけであります。  それでは現在国鉄が持っております矛盾点あるいは問題点と申しますか、これを公共企業体というものの性格に関連して第三番目に申し上げてみたいと思います。  御承知のように国鉄昭和二十三年の法律によって公共企業体に移行したわけでありまするが、先ほど言いましたように昭和三十九年までは何とか公共性というものと独立採算制というものを調和させてきたわけであります。その調和がくずれてまいりましたのが昭和三十九年以降のことである。くしくもちょうど新幹線が開通いたしましたときと全く同じであったということは歴史上の皮肉であろうというふうに感じておりますが、ちょうど新幹線の開通によって国鉄自体の夜明けを迎えると同時に、また赤字化への方向に向かってきた。このことに思いをいたしますると、公共企業体という問題についてさらに十分な検討を要するのではないか。これは単に制度を直ちに改変するということでは決してございませんけれども、少なくとも現在企業性をできるだけ出すことによって、しかも公共性を果たすという使命を昭和三十九年まで果たしてきたという事実を踏まえて、今後の国鉄あり方というものについてもうちょっと十分な国民的審議を行なうべきである。これは御承知のように、イギリス国有企業の例をちょっとあげてまいりますと、第一番目には立法府公企業関係、第二点は政府公企業関係、それから第三点は国民公企業関係、この三点について十分なる審議を繰り返しているわけであります。一九六一年にも白書が出ておりまするし、一九六七年にもまた白書が出ておるわけであります。こういうことで十数年のオーダーにわたって国有企業体あるいは国有企業というものに対して十分な検討を繰り返してきた。この事実をわれわれは非常に重視したいわけであります。そういう意味で、現在のわが国国鉄において問題になりますことは、この点を将来とも五年あるいはそれ以上の時限にわたって十分な検討をしていただきたい。そういう意味で、第一番目にどうみてもやはり立法府公企業関係政府公企業関係論について十分な審議が今後とも続けられるべきであるということであります。  そういうことでありますので、直ちにこれは運賃値上げ問題とからめて議論することは間違いである。なぜかといいますと、御承知のように国民的な世論の中で意見がまっ二つに分かれているわけであります。第一の意見は、言うまでもなく、政府金額補助でもって国鉄財政再建に当たるべきである、こういう意見が一部にあります。それから第二の意見は、できるだけ国鉄独立採算制を維持して企業性を高めることによって経営能率をあげるべきである、こういうふうな意見があります。こういうふうに二極分離的に意見が分かれているときに、これをどういうふうに解決していくかという問題は、たいへんおこがましい言い方でありますが、私は立法府責任であるというふうに感じております。  そういうことでございますので、それではこの点をどういうふうに解決していくかといった場合に、独立採算制そのものを全面的に無視することはもちろんできません。したがって全額政府補助によってこれをカバーすべきであるという見解はとるに足りない議論である。少なくともイギリス国有企業白書をずっと考えてまいりますと、その点で非常に強く十数年にわたって悩んできた。この段に至って、運賃法改正の時期にあたって、この問題を審議することなくして——国有企業体の位置づけを十分にやることが重要であることは、十数年来のイギリスの経験から明らかなとおりであります。  こういうことを一応踏まえまして、では現段階でなし得ることは何であるか、つまり短期的な問題と長期的な問題を分離することによって、短期的には、現在は独立採算制という法律条件のもとにある以上はこれを維持するような方向国民的な合意を求めるべきであるというのが私の基本的な見解であります。その意味で、運賃法並びに財政再建促進特別措置法の一部改正については全面的な賛成と言いましたのは、そういう意味が含まっているというふうに御理解いただきたいわけであります。  そこで次に問題になりますのは、それでは向こう十年間の財政再建促進特別措置法についてどういうふうに考えるか、これがはたして公共企業体あり方と抵触するのかしないのかという点でありますが、この点におきましては、原案として出されております措置法改正案はかなりの程度確度の高い妥当性を持っている。そういう意味で、暫定的にあるいは基本的には、現在の段階ではこの一部改正案賛成できる内容であるというふうに理解いたしておりますので、先ほど言いましたように全面的に賛成というふうに申し上げたわけであります。  こういうことで、長期にわたって、あるいは五年、十年の歳月をかけて公共部門全体のあり方、つまり公企業、単に国鉄問題だけではありませんで、公共部門国民に果たす役割り、立法、政治との関係を全面的に検討していただきたい、こういうことをお願いいたしまして、短期的な解決策としては今回の案しか方法はあり得ないというふうに考えていることを申し上げて、私の意見にかえます。  以上でございます。(拍手)
  4. 井原岸高

    井原委員長 ありがとうございました。  次に、福田参考人にお願いいたします。
  5. 福田勝

    福田参考人 私は総評の幹事をしておる福田でございます。今回国会に提出されております国鉄運賃法及び国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部改正法案に対しまして反対立場から参考意見を述べたいと思います。  私が反対する理由としては、大きく分けて三つございます。  一つは、国鉄運賃値上げ国鉄利用者負担を増加させるだけでなく諸物価値上げ便乗値上げ誘発をして、インフレ物価高騰にあえいでいる勤労国民家計を大きく圧迫すると考えるからであります。国鉄本社が最近PR用にいろいろパンフレットを発行いたしておりますが、その中にこういう数字が実は出ておるわけであります。今回の運賃改定家計に占めるアップは一世帯当たり百四十九円で〇・二%、消費者物価への影響は〇・四三%である、こういう数字が出されておるのであります。この数字というのは総理府の家計調査物価指数からとったものだと思いますけれども、実はだれが考えてみても、こんなわずかな金額ではない、こういうふうにみんなが思っておるわけです。たとえば私自身の例をとってみましても、大船から通勤をいたしておりますが、大船から東京までの定期代が三カ月で一万四千円、今回三割上がりますと千四百円の負担になるわけですね。そのほかに、日常国鉄を利用いたしておりますから、たとえば私自身の例をとってみても、実はこの負担の十倍以上かかっているということになるのですね。いろんな勤労者人たちから、私どもこういう調査機関を持ちませんから、いろんな形で聞いておりますけれども負担増が百四十幾らなんということをだれも信用するのはいない。そこで、こういう数字というものは、これは全平均なりそういうものからとった機械的な数字にすぎないということが言えると思うのです。それから特に重要なのは、この国鉄運賃が諸物価値上げ誘発をし便乗値上げ誘発する、こういう意味におきましては、私は実は国鉄運賃と米というのは横綱ではないかと思うのです。現に私鉄の例をとってみても、いま私鉄は、昨年の七月に二七%の申請をいたしておりますが、国鉄運賃値上げされるとすぐこれは、政府はこの運賃を許可するつもりのようです。このことを一つとってみても、単に国鉄運賃値上げだけではないということが実はわかると思うのであります。  それから、今回の運賃値上げは、申すまでもなく十年間に四回の値上げの第一回目であるということであります。そうして昨日も国鉄当局のほうから説明があったようでありますが、四回の値上げによって旅客貨物ともに二倍以上に十年後にはなるということになりますと、今回は第一回目であるという意味におきまして、私どもは特に今回の値上げを重視をし、絶対反対立場を申し上げておきたいのであります。  さらにまた、いま物価問題というのは言うまでもなく国民最大関心事であります。最近朝日新聞なり読売新聞が相次いで世論調査の結果を発表いたしておるのでありますが、その中の共通した特色は、田中内閣支持率が発足当時から見ると半分以下に急激に減っているということであります。それからもう一つは、国民の不満の最大の問題は、実は物価問題にあるということであります。このようにインフレなり物価高、そこへもってきて大手商社買い占め等に対しまして国民の怒りが燃え立っているというふうに私ども思うのであります。ところが、政府が先月発表いたしました物価対策の七項目なるものを読んでみましても、実はその中で公共料金に何ら手を触れていない。しかし公共料金というのは、これは国民日常生活に最も重要な料金であるから公共料金といっているのでありますし、そうしてまた、政府が直接また間接にその決定に関与している料金だと思うのです。したがって、この公共料金こそは、政府が本気になってこれを抑制しようとすればできる料金であります。現在のような物価高騰の中で、また世論調査の中にあらわれているように、国民最大多数が最も望んでいるものがこの物価抑制にあるということが明確になっている以上、そうしてまた政府が最も手をつけることができるのはこの公共料金の問題であるというふうに考えてくると、公共料金、特に国鉄運賃については直ちにこの値上げを中止することこそ、物価値上げ対策田中内閣がいうならば、最もこれが正しい方向ではないか。こういう国鉄運賃抑制もしないで物価値上げ対策をやっているんだということをいっても、国民はだれも信用しないのではないか、このことを特に強調をいたしておきたいと思うのであります。  第二番目には、今回の運賃値上げとともに、国鉄財政再建十カ年計画の中で国鉄労働者に対する首切り合理化計画一体のものとして出されているということであります。  国鉄財政再建十カ年計画は、いわゆる三方一両損と言われて、国の援助運賃改定あるいはまた国鉄自体合理化三つ財源としているようでありますが、国の財源といっても結局は国民のふところから出る資金でありますから、これは国民国鉄労働者の犠牲による再建計画である、こういうふうに私どもは言わざるを得ないと思うのであります。過去の幾つかの長期計画再建計画が出されてまいりましたが、これらはすべて運賃値上げ国鉄労働者合理化、これをおもな内容として打ち出されてきたものでありますが、今回は特に十一万人の削減というものがはっきり打ち出されているのであります。そのほかにも地方閑散線の撤去や無人駅の実施などが含まれておりまして、すでにこれらについてはいろいろな面で地域住民から反対の声が上がっているところであります。  この国鉄職員の十一万の削減というのは、本来から言うならば、もう十万ふやすべきである。事業量の増大によって、ふやすべきであるものを十一万削減するわけですから、私どもは二十一万の削減ではないか、こういうふうに見ているわけであります。国鉄業務量は三十年を一〇〇にいたしますと、四十六年は一八〇に増加をいたしております。ところが人員は三十年当時の四十五万とほとんど変わらず、四十一年をピークにして減少し続け、四十六年には前年より一万人も実は減少している現状であります。私は、この国鉄交通産業のようなこういう産業では、本来人員削減などの合理化というのはなじまないのではないかと思うのです。  その理由は、一つは安全を第一とする産業であるということと、きわめて労働集約的な、人数が多数要る。それで合理化には実は限度があると思うのです。たとえば、乗務員の二人制の問題をとってみても、これは一人よりも二人が安全であることは、だれが見ても明らかなのであります。そしてまたこの二人を一人にしてみても、実は人数の面から言うと、これは国鉄当局の答えられておる数字でありますが、六千四百人、わずか八十億の金があれば、これは二人にすることができる、労働組合の要求をかなえることができるというふうに、国鉄当局でさえ答えておられるわけであります。わずかに八十億であります。そのことでもってどれだけ国民の安全を保つことができるかということを指摘しておきたいと思うのであります。昨年だけの例を見ても、たとえば北陸トンネルなり幾つかの事故が起こっておりまして、機関士運転士五人の死亡、乗客九百名に及ぶ死傷者が実は出されているのであります。また組合側調査でも危険個所は三千七百二十一カ所、乗務員注意力事故を未然に防止した実績は、昨年一カ年で四千四百七十五件というふうに実は発表になっております。このような危険な状態であります上に、さらにまた事業を拡大して、逆に国鉄職員削減をするということは、実はこれは単に国鉄労働者首切り労働強化になるだけではなくして、国民交通の安全、国民の命をも奪うことになるのではないかということを、実は私ども一番心配をしているのであります。このことを第二点として強く訴えておきたいと思います。  第三点としては、今回の運賃改定なり財政再建十カ年計画内容について納得できない点がたくさんある、幾つかあるということであります。時間もありませんので、詳しく申し上げるあれはございませんけれども、一、二指摘をしておきたいと思います。  それは国民がだれが考えてみても、発表になっているように、旅客で黒字、貨物赤字なのになぜ同様に値上げをするのかという疑問であります。数字につきましてはすでに発表になっておりますから省略させていただきたいと思いますけれども、たとえば新幹線のごときは営業係数五四というふうに発表になっておる。また在来線でも幹線系は一〇〇でありまして、地方線赤字になっておる。ところが貨物の場合の営業係数は、平均いたしましても一八七という数字でありまして、貨物原価の約半分で運んでいるという発表になっているのであります。総合原価主義と称しまして、今回、旅客貨物もほぼ同様な形で一斉に値上げするというのは、この国鉄当局発表した内容からしてもどうしても不合理ではないか、これは国民すべて指摘をしておるところであります。  さらにまた、貨物につきましても、今回の貨物値上げについては自動車なり機械などの貨物が七%、米麦なり生鮮食料品などの日常物資が三〇%近く上がるということでありまして、結果としては、大企業の荷物を優先をしておるのではないかというふうにも指摘をしておきたいのであります。したがって、よく受益者負担ということがいわれておるのでありますけれども、こういうことから考えてみると、ほんとう意味受益者とは一体だれなのか。国民利用者でありますけれども受益者ではないのではないか、ほんとう意味受益者というのは大企業なのではないかというふうに、実は貨物の例からも指摘せざるを得ないのであります。  次にまた、独立採算公共性矛盾についてであります。このことを一番強く指摘をしておきたいのでありますが、もし、独立採算ということをいわれるならば、それでは赤字線なりこういうものを一体撤去したらどうなのですかと言わざるを得ないし、公共性重点を置くならば、国がもっと援助をすべきであるというふうに考えるわけであります。一体、どちらに重点を置くのか。われわれは、公共性重点を置いて、国民の足としての国鉄を伸ばしていただきたいと思うのであります。現に、この新再建十カ年計画によっても、実は赤字が減るのかと思ったら、ますます赤字がふえるという内容が結果として出されているところであります。このような新再建十カ年計画というのは、一般企業であればとうてい許されるべきではないというふうに思うわけであります。この公共性独立採算の問題についてでありますが、私はこういうふうに思うわけであります。それは、政府国鉄当局は、この独立採算であるということを盛んにPRいたしまして、そして国民に対しては運賃値上げせざるを得ないんだ、あるいはまた、国鉄労働者に対しましては、合理化をしなければいかぬ、人員削減しなければいかぬという手段に、この独立採算というのを使っているように思うのです。ところが一方、国鉄公共性につきましては、やはり国鉄は公共のものであるからということで、政治路線もつくらなければいかぬし、それから公共負担もしなければいかぬ、それから政策割引もやらなければいかぬということを一方でやっておられるわけであります。うまいぐあいに公共性独立採算制というものを使い分けをしてPRをしておられるように感じられてならないのであります。  国鉄独立採算でやっていけないということは、三十年の国鉄経営調査会の答申、三十八年の国鉄諮問委員会の答申によってもすでにもう出されているところでありまして、政策割引や公共負担によって赤字が将来さらに生じてくるから、これについては政府が当然負担すべきだということを、これらの委員会の答申ではすでに指摘されているところなのでありまして、今日の赤字事態というものは、すでに十数年前から強く指摘されてきたところなのであります。したがって、私どもは今後、ほんとう国鉄が、国鉄法第二条の、商事会社ではなくして国民の足としての公共性を保っていくためには、たとえば、同じ独立採算をやっていくにしても、東京都の総合交通対策会議がことしの一月に提言をいたしておりますように、固定施設なり諸設備は公共財源で、運営費は料金によってまかなっていくんだというようなことが行なわれるならば、国鉄赤字を出さなくとも十分にやっていけるというふうに思います。そしてまた、国の財政援助というものをもっともっとふやすべきだと思います。私はいままで米の問題を若干やってまいりましたが、たとえば食管関係でいいますと、食管特別会計に国は毎年五千億から三千億の金を負担をしてまいっております。ところが、今回の国鉄値上げによる増収というのはわずかに千八百五十五億であります。わずかにと申し上げたい。というのは、十四兆二千億の予算の中で、わずかに一%程度なんですね。たとえば米に対しては毎年三千億、四千億の金をそう問題もなく出している。国鉄に対しては千八百億ぐらいの金になると、すぐ運賃値上げをやらざるを得ないというのは、国民の目から見てもどうしてもわかりかねる。そしてそれくらいの金がないのかといえば、膨大な金を政府財源として持っているわけでございます。ですからこの点は、国がもっと国鉄に対して財政援助すべきだと思います。  くしくも磯崎総裁は、ことし一月に私どもが申し入れに行きました際、運輸省の同じ内容の中でも、空港については八、港湾に対しては五、国鉄は一だということを言っておられたわけであります。八、五、一である。空港なり港湾は大部分はこれは国がつくる、そして会社がこれを利用しているわけでありますが、国鉄は線路も駅も全部国鉄自身がつくらなければいかぬということを嘆いておられましたけれども、このことを一つもって見ても、国の国鉄に対する援助というものが頭からやはり少ないのだ。そして先ほど言いました公共性独立採算制をうまく利用して、国民国鉄労働者に対する犠牲をしいてきた、こういうふうに私どもは考えるわけであります。  以上、幾つかの点を申し上げましたが、昨年この国鉄運賃法並びに国鉄財政再建促進特別措置法の一部改正法案は廃案になった法律案であります。この廃案になった法律案が、ほとんど手も加えられずに同じような内容で国会に提出をされているということは、きわめて遺憾に私どもは考えるわけであります。  以上申し上げましたような理由によりまして、ことしもどうかひとつこの法律案が廃案になりますように強く希望いたしまして、私の参考意見を終わりたいと思います。(拍手)
  6. 井原岸高

    井原委員長 ありがとうございました。  次に、鈴木参考人にお願いいたします。
  7. 鈴木順一

    鈴木参考人 早稲田大学の鈴木でございます。  私は交通経済を専攻する一学徒といたしまして、国有鉄道運賃法日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部改正案に基本的に賛成立場から意見を申し述べようと思います。  私の論点を整理いたしますと、経済政策、交通政策、運賃政策の三つの点になります。  第一点の経済政策の視点から考えてみますと、国の助成、国鉄合理化運賃改定というこの三本の柱で国鉄財政再建しようという今回提案されておりますこの考えは、言ってみればまことに常識的でございますけれども、同時に最もオーソドックスな経済政策だと考えます。  御存じのように、われわれは経済の仕組みといたしまして、経済行為を営む主体として企業家計というものを考えて、衣食住とか、それから移動という財やサービスの需要と供給、それから土地、労働、資本、技術というような生産要素の需要と供給をめぐって、両者の間にやりとりがあると考えるわけであります。経済学の教科書の第一ページに書いてあるようなことを申し上げて恐縮でございますけれども、昔はこの両者に自由にやらせておけば、おのずとそこに調和が保たれると考えておりましたけれども、現在では第三の主体として国というものを考え、国はレフェリーであると同時に、国みずからも経済活動の中に介入するという仕組みでございます。このいわゆる混合経済体制におきまして、国、企業家計、二の三者のやりとりは常に利害が一致するわけのものではございません。たとえばわれわれ家計で考えてみますと、税金をもっと安くしてほしいという希望がございますし、公共投資と社会保障費をふやして、さらには物価を安定させてほしいという希望を持っております。しかしこの三つを同時に満たすということは、よく考えてみますと、ちょうど大相撲で全員が勝ち越しを願うようなものでございまして、無理でございます。結局は経済政策というのは、妥協の産物といわれているように、あちら立てればこちら立たずとわれわれのよく申しておりますことをそのまま三者の分担の間にバランスをとった妥協をどういうふうに考えるかということは尽きるのではないかと私は考えております。  今回の場合も、まず国の助成を考えてみますと、これはかなりふえていることを、私は評価いたします。欲を言えば切りがありませんけれども、国の財政の全体の中で考えればやむを得ないのであろうと思います。また国鉄企業努力について、私の見るところでは、日本国有鉄道法という法律に縛られている中で、やれそうなことはみんなやっているんじゃないだろうかというふうに思います。よく国鉄の経営姿勢が問題にされますけれども、たとえば一般企業であれば、生産性の向上ということは、これはもう自明の理となっておりますけれども、鉄道というそのサービスの性格上、新幹線を除きますと、どうしても労働集約型産業であることを免れませんから、そこにおのずから限度のあることを、これは認めないわけにはいかないと思います。  それから家計の分担について考えようと思いますけれども家計では、一般の財やサービスを購入する際に、品質のよいものであればよけい払うことを当然と考えております。もちろんそれが安ければ安いに越したことはございませんけれども、一方でいいものが安い、安過ぎますと、そこに浪費が起こりまして、その供給が需要に追いつかない、かえって不便を受ける、かえって高くつくということを、われわれは日常の経験で知っております。これは経済学的にも筋道のつくことでございますけれども、価格が需要と供給を調整する役割りをしておりますから、われわれはいつでもほしいときにほしい品が入手できるわけでございます。それと同様に、運賃も価格の機能を果たさなければ、結局は混雑で苦しむわけでございます。運賃だけが経済の原則から例外であることはできないと私は思います。また最近の所得の向上から考えて、あるいは特にマイカーに対する支出とかレジャー支出とかと比較勘案いたしますと、今回の値上げ幅は消化できると考えます。これは私の家計の実感でもございます。公共料金問題は、一服でみんなを満足させるような万能を発揮するような妙薬はないとかねがね思っております。三者の主張がバランスをとって勘案されながら、妥協点を見出した方策しかない。この意味で、この三本柱の再建策というものを、私は妥当だと思うわけでございます。  第二に、交通政策の視点から考えてみます。  鉄道が経営難に苦しんでおります姿は、世界共通の現象でございます。これにはいろいろな理由がございますが、最大理由は、個人用の交通手段が普及いたしまして、それまでわれわれの共同利用の足をささえておりました公衆交通機関の経営の基盤が危うくなったということであると私は考えております。われわれ、海外の交通政策を関心を持ってながめておりますと、欧米先進国でのこうした現象は、日本の一歩も二歩も先を行っていることに気がつきます。そこでとられております対策というものは、大体三つぐらいに要約できまして、鉄道企業の経営自主化、公共補助運賃に価格としての機能を持たせることに尽きるように思います。これは日本と国情が違いますから、外国でやっておることをそのまままねする必要はちっともございません。特に公共補助の考え方につきまして、海外では赤字ローカル線の営業に対する補償であるとか、通勤輸送に対する補償であるとか、個別に補償するという考え方がございます。今回提案されているような利子補給による総合的な補助という考え方とは、その点で対照的でございます。この個別補償がいいのか、総合的な補償がいいのかという点は、いろいろ問題が考えられまして、個別補償では時期的補助がずれるので、どうしても赤字がふえ、持たないという問題がございます。それから総合的な補助はあらかじめ見込みで補助をいたしますから、企業の経営努力がはっきりしなくなるのじゃないか、そういう難点も考えられます。今回の場合は、国の助成によって国鉄財政力をつけるという点が重点に置かれて考えられているように思いますので、利子補給による総合補助が現実的であると私は考えます。  今回の再建計画によりますと、十年後には、国鉄がとにかく企業として収益費用が対応してやっていける姿になるわけでございます。私は、国鉄を再び国のまるがかえにしてしまうのではなくて、この線を推し進めていくことが大事であると考えているものでございます。  第三に、運賃政策の視点から考えてみます。  現在は、運賃制度自体が、考え方が非常に大きくゆらいでいるときでございます。その一つに、交通サービスは公共財だから、市場機構で適切に供給できないから、政府が税金でやれという議論がございますけれども、これは公共財とは何かという概念をがっちり固める必要がありまして、私は、これには安易に同調できないものを感じております。  それからもう一つは、公共運送人、コモンキャリアという英語を公共運送人と訳しておりますが、一般運送人ということでございますが、われわれが運賃を払えば運んでくれる運送人でございますね。その責任をどう考えるかという問題でございます。伝統的なたてまえでは、その公共運送人に、鉄道のように地域独占を認めて、そしてそのかわりいろいろ義務を負わせております。しかし独占を認めますので、その弊害を防ぐ意味で、利用者が不当な取り扱いを受けない、ぼられないようにということで、料金を、運賃を規制するという考え方がとられてきたわけでございます。私は、これは非常に消極的な考え、消極的な規制だというふうに考えます。独占が事実上、自動車の普及によって崩壊しているわけでございますから、本来なら規制はもはやもっとゆるやかでしかるべきだと考えますけれども、現在は、むしろこの料金に対する、運賃に対する規制が物価上昇抑制の手段として、積極的なものとして使われているところに、交通企業が経営難を訴えている一つの大きな理由があると考えます。したがって、抑制には、当然国の助成というもう一つの積極的な施策が付随して考えられてこそ、公共運送人としての責任を果たさせていくために積極的に考えられる必要があるというふうに思っております。  最後に、交通サービスは、純粋な私的財である。要するにわれわれは金を払って、乗りものを利用して、自分の商売を営むのだから、それは純粋な私的消費なんだというふうに考えまして、これを全部利用者負担でやるべきだという非常に割り切った考え方がございます。しかし現実には、決してそういうふうにすっきりといかないと私は思います。シビルミニマムという考え方が出てきておることが示しますように、そういう問題をわれわれはいまどういうふうに考えるかというふうに迫られておるわけでありまして、したがって、この意味からも、公共補助国鉄合理化利用者負担という三本柱の考え方が妥当であるというふうに思っているわけでございます。(拍手)
  8. 井原岸高

    井原委員長 ありがとうございました。  次に、工藤参考人にお願いをいたします。
  9. 工藤芳郎

    工藤参考人 全国消費者団体連絡会代表の工藤でございます。  私は、国鉄運賃法改正財政再建特別措置法の一部改正というものに対して反対をするということで参考人として意見を述べたいと思います。  御存じのように、最近の国民生活の実態というものは、土地の買い占め、繊維あるいは国民の主食であるお米あるいは大豆、こういったものの大手商社の買い占めなどによって非常に限りない不安と圧迫に脅かされております。このような時期に国鉄運賃値上げをしようということは、国民生活にとっては最も大きな打撃を受けるわけであります。言うまでもなく、昭和三十年代に入りましてからでも、昭和三十二年、三十六年、四十一年、四十三年、四十四年と、すでにそういう値上げがされておりますけれども、この年の実態を見てみますと、昭和三十二年には私鉄、航空運賃、公団住宅の共益費、健康保険料、ふろ代。三十六年のときには私鉄、医療費、郵便料金、電気料金、大学授業料、公営住宅の家賃、牛乳、みそ、しょうゆ。昭和四十一年には私鉄、郵便料金、配給米、私立大学の授業料。四十三年には私鉄、タクシー、通運料金、公営交通料金、酒、ビール、たばこ、電話設備料金昭和四十四年のときには私鉄、地下鉄、通運、水道、電報、電話、米、塩、小麦、ふろ代。このように国鉄運賃値上げが行なわれましたときには特にひどく、このように国民生活に重要にかかわるような物価値上げをされておるわけであります。学者の皆さん方や政府の当局では〇・〇三二%だというようなミクロ的な数字をお出しになりますけれども、事実見ておわかりのように国鉄運賃値上げというものが国民生活に非常に重要にかかわり合っているということが言えるわけであります。  今回の値上げの問題を具体的に数字で見てみますと、たとえばこれは杉並区の主婦の方、私どもの消団連に加盟をしております主婦の方が御計算をされました。これは杉浦さんという御家庭でございますが、だんなさんが五十歳、奥さんが四十六歳、長女が二十一歳、長男が十八歳、四人家族でありますが、今回の運賃値上げ家計に及ぼす影響を計算してみますと、大手町の会社に勤務しておりますだんなさんの通勤定期、西荻窪駅から東京駅間が現在二千五百二十円が三千六百円に上がりますから千八十円、つまり四二・九%の大幅な値上がりになります。大学に通う長女の方が、通学定期が西荻窪駅からお茶の水駅間、現行の千三十円が千二百六十円、二百三十円、つまり二二・三%上がる。高校に通う長男の通学定期が西荻窪駅から立川駅間、千四十円の現行が千二百七十円と二百三十円、つまり二二・三%と、それぞれ二〇%以上も値上がりするわけであります。そのほか奥さんが買いものに行くというようなことになりますと、この家庭はもっと支出がかさんでいく。計算をしてみますと、現実に一カ月の支出が国鉄運賃だけで千六百五十円、つまり三二%の支出増になる、こういう計算が実は出ておるわけであります。このような例はいろいろなところに見ることができるおけでありまして、国鉄運賃の直接そして間接的に及ぼす国民生活への影響というものははかり知れないものがあるということを私は冒頭に申し上げたいと思うわけであります。  同時に、このような現状の中で国鉄を利用している現状一体どうなのかということでございます。これは運輸白書等によって数字が非常に明確に出ております。四十六年の運輸白書を見ますと、労働科学研究所の調査が出ておる。往復の通勤電車に二時間ゆられると四百九カロリーが消耗されるということを言っております。普通の非常に楽な労働をされる方でも一日の消費量は、カロリー計算でいきますと七百五十カロリーから八百五十カロリーぐらいのカロリーの消耗がある。現在のこの状況の中で計算をしてみますと、おとうふが値上がりをしております。安いところでもいま五十円はいたしますけれども、おとうふは一丁四十グラムでありますがこれが四十カロリー、ですから四百九カロリーを補給するとしますと、おとうふは十丁食べなければならない。つまり五百円の支出をしなければならない。山盛り一ぱいの御飯が二百六十六カロリーでありますから、これは一ぱい半食べなければならない。山盛り一ぱいの御飯はビール一本、お酒一本に匹敵しますから、そういう勘定になります。毎晩晩酌——晩酌がいやな方はしょうがありませんけれども、それだけのカロリーを補わなければならない。  こういうふうに考えてみましても、利用から見ましても国民生活に与える影響というものは相当なものがある。〇・〇三二%などというものはどういうふうな根拠で出したのか——根拠を聞いてみてもしょうがありませんけれども国民の実態から見たときにはそのようであろうと思います。国会議員の諸先生方もこの点については御異論がないというふうに私は確信をしておるわけでありますが、このような状況の中で、さらに通勤ラッシュの問題も見てまいりたいと思います。  これは再三運輸白書等でやはり公表されておりますが、横須賀線の横浜−保土ケ谷間の二九八%を筆頭にしまして、山手線あるいは中央線、中央線の場合は、東京−高尾間、このような区間ではたいへんなラッシュであります。二五〇%をこえる部分が大部分になっております。つまり新聞は読めない、雑誌なら読めるというのが二五〇%の程度であります。電車がゆれるたびにからだが斜めになって身動きもできない、三〇〇%になりますと物理的な限界に近く、ガラスなどが割れるのだ、こういうふうなことも運輸白書に述べてありますけれども、そういう現状であります。まさに決死の覚悟で朝に夕にみんなが通勤をしている、こういう現状でございます。  最初に申し上げましたのが国民生活の実態とでも申し上げますか、国鉄運賃値上げ問題とからんでの状況でございます。  次に、私は、今回の値上げ理由について納得ができない点が幾つかありますので申し上げたいと思います。  一つは、値上げをする理由が、国鉄から運輸省に出された「運賃改訂申請理由」というのがありますけれども、これを見ると、結論として、国鉄の経営状態が悪化の一途をたどっているということになっておる。その理由は、経済社会の変動と輸送構造の変化に伴って、輸送近代化の努力にもかかわらず全体としての収入が伸び悩んでいる、人件費、利子負担などの経費が予想以上に増大した、その結果さきの再建計画は予期どおりの成果をおさめ得ず経営状態が悪化をした、こういうふうになっておるわけであります。その前段は、国民の期待されるような鉄道に発展するために国鉄財政の健全化をはからなければならぬというふうになっておるわけであります。  一方、今回の三月八日の本会議での公明党の石田先生の質問に対する田中総理の答えを見てみますと、「政府は、今度の対策で赤字解消だけをやろうとしておるのではありません。赤字解消も一つの目標ではございますが、長期の視野に立って、国有鉄道が国民生活確保のために果たさなければならない公益性を確保するために、ぜひとも必要な施策として今次提案を行なっておることを理解していただきたいと思うのであります。」こういうくだりがあるわけであります。私ども国鉄の経営が非常に悪化をしている、赤字が膨大にあるのだ、だから値上げをしなければならぬのだということを一昨年あるいは昨年、今日まで耳にたこができるほど国鉄当局関係者から聞かされてまいりました。そのためにほんとう国鉄赤字なのか、その赤字一体どうして発生したのかということをまじめに考えてきたわけであります。ところが一方においては、運賃値上げ国鉄赤字解消ということだけが目的じゃないのだ、将来のことについても計画があるからこれもあわせてやるのだ、そこが私は非常に明確にしなければならない。将来の問題と関係はありますけれども、現在の赤字解消というものをせんがために国鉄運賃値上げをするんだ、するんだ、こういうことが非常に強調されておる。消費者団体などは非常にまじめにこの問題について取り組んでおる。どうして赤字が発生したんだろうかというようなことを考えてみる。ところが一方では、将来の計画あるいは将来の先行投資といいますか、そういうものに対する設備資金が要る。だから値上げをするんだというようなことで、現在の問題と将来の問題とが混同されて議論をされてまいりますと、非常にわれわれとしては迷うわけです。惑わされるわけであります。  将来の問題についてはそれではどういうことなのか。これも、この前の本会議を私傍聴いたしましたが、田中総理はこう述べられております。昭和六十年度における国民生活が必要とする貨物の量は一兆億トンキロをはるかにこえる。そうすれば、いま国鉄でもって運び得るものはわずか六百億トンキロしかないではないか。ですから、先ほど申し上げたように、内国海運のシェア四〇%を五〇%にしても、残りの五千億トンキロは何によって運ばなければならないかというようなことを述べられ、さらに陸運だけで運ぶとすれば二千万台の車を必要とする。しかし、昭和六十年度における交通労働者で確保できるものはわずか三百五十万人だ。だから国鉄の輸送力を増強しなければならないんだ、こういうことを言われておるわけでありますが、昭和六十年度のあるべき姿ということを政府関係者の皆さんがどうお考えになっておるのか、われわれには明確に提示されておりません。同時にこの背景にあるのは、おそらくは日本列島改造論といったようなものとも深い関係があるのではないかと思いますけれども、この種の前提とされる問題点は、まだ国民的なコンセンサスが得られたわけではないと私は思います。そういう国民的に十分討議もされない問題を前提にして、仮定にして、国鉄の将来のビジョンをつくり上げている、こういうところに私は非常に無理があるんではないかと思うわけであります。この問題が現在の赤字問題と一緒にされて論議をされておる、これは私は非常に不幸なことだと思います。  そのような意味で、値上げ理由が明確でないと私が申し上げたのは、将来の問題ということについては、国民生活あるいは国家の全体の建設をどうやっていくかということについては、もっと国民に明確なビジョンを提示して、そして国民的なコンセンサスが得られなければならない。その上で国鉄を位置づけていく。つまり交通問題だけでいいますと、俗にいう総合交通体系ということにもなりましょうけれども、そういった基本的な問題を抜きにした仮定論の上に立って、国鉄再建計画やビジョンが出されておるのではないかというように思うわけであります。  次は、一応国鉄の経営状態が悪化をしたということを国鉄当局はいわれておりますので、私はこの問題について、その悪化した原因というものはどこにあるかということについて意見を述べてみたいと思います。  第一は、先ほども言われましたように、国鉄の経営が悪化いたしましたのは昭和四十年度からでありますけれども、この一つの原因は、それまで昭和三十年代の半ばごろから行なわれましたいわゆる高度経済成長政策というものとやはり関係があるというふうに思います。昭和二十四年に独立採算制として、また公共企業体として出発をいたしました国鉄は、当時の公労法によって出発したわけでありますけれども、それまではとにかく独立独歩で歩いてきた。それが昭和三十年代になって、しかも後半になってだんだん財政状況が苦しくなってきたということでありますが、これは基本的には独立採算制によって国が財政補助をしなかった、支出をしなかったということに問題がありますし、同時に昭和三十年代の後半から行なわれました高度経済成長政策の中での東京、大阪、名古屋圏を中心とした大工業基地、そういったところに対する輸送力の増強計画が、第一次五カ年計画から第三次までありましたように、膨大に行なわれてきた。そういったような輸送力の増強、特に貨物を中心とした輸送力の増強計画に対して独立採算制がこたえきれなかったということが、やはり赤字の原因ではないかと思います。  第二の問題は、大企業貨物優先ということが盛んにいわれております。同時に、裏を返せば、旅客収支については黒字なんだ、貨物収支については赤字なんだ、こういったことがいまや昨年から今日に至るまで国民世論の中で非常に浸透をしてまいりました。ことしの二月二十七日の梅田議員の質問によりましても、磯崎総裁から旅客収支は十億の黒字なのだということが新聞に発表されましたが、これによっても多くの国民旅客は黒字じゃないかということで、今回の旅客運賃値上げについては少なくとも納得がいかないという点で盛り上がっております。同時に一昨日の委員会でも、紺野議員の質問によりますと、それが郵便列車あるいは新聞、雑誌を運ぶ列車等の関係から見ましても、さらに三百六十一億の赤字をそういった貨物が持っておるので、合わせて純粋の旅客の収支は三百七十一億だというようなことが明らかになりました。そういうようなことから見て、少なくとも旅客運賃値上げというものについては、原価主義をとるにしても、われわれとしては納得ができないということが一つであります。  同時に、裏を返しますと、大企業貨物といわれるような運賃の割引率は相当なものであります。たとえば自動車の例でありますが、昨年も申し上げましたけれども、日産の自動車を中央線の東小金井から仙台まで普通の人が運びますと、一台について一万七千二百十円。ところが日産自動車が運びますと二四%以上の割引がありまして、わずか四千七百円で運ぶことができる。こういったような例も現在ではもう多くの国民に知れ渡っております。これを国鉄当局に尋ねてみますと、国鉄運賃法の八条によって、「全体として日本国有鉄道の総収入に著しい影響を及ぼすことがない運賃又は料金の軽微な変更は、日本国有鉄道がこれを行うことができる。」として、本来の法律事項である国鉄運賃法の改定に対して例外を設けてあるのだ、こういうことをいわれるわけでありますけれども、私はこれは法の違反ではないかと思います。つまり「運賃又は料金の軽微な変更」ということだけが許されることになっておるわけであります。昔の大本営の発表で、よくわがほうの損害は若干であるとか軽微であるとかいわれたわけでありますか、これは辞典を引いてみましても、若干とか軽微とかいうのは数%ということであります。自動車の場合は二四・何%、こういう割引は軽微な変更とは言うことはできないわけでありますから、これは全く占奪行為であり越権行為である。国会で審議をしなければならない問題を国鉄当局がかってにやっているということで、運輸委員会の先生方は、ぜひとも国鉄当局をおしかりをいただきたいのでございます。こういったような意味で、大企業貨物の割引というものは、その他にも石油の一五%などたくさんあります。これは一つには、さらに法のたてまえからいいましても、第一条の二項の原価を償うものでなければならないという意味での原価主義にも反しておるということをいわなければならないと思います。原価を割るということをしておきながら、一方では旅客運賃値上げをするというようなことは、全く納得がいかない点でございます。  この問題で原価主義との関係を見てみますと、先ほどもどなたかが言われておりましたけれども受益者負担ということが出てまいります。国鉄受益者負担独立採算制をとっておるということでありますけれども、私は受益者負担という問題が非常にいま乱用されて使っておられるのではないかと思います。これはたとえば道路法の六十一条、旧都市計画法の六条二項などにもありますけれども、本来の受益者負担というものを財政学者などに尋ねてみますと、その事業から特別の利益を受ける者に対し、その利益を受ける限度に応じて事業経費の一部を負担させるものというのが学者先生方の定義でございます。その事業から特別の利益を受ける者ということであります。典型的なのは、たとえば地下鉄を通す。その地域の土地が非常に暴騰をするという場合には、開発利益者といいますけれども、こういったようなことを受益者負担というのが本来の姿であると思います。ところがこれがだんだん乱用されまして、利用者はすべて受益者になるのだというほうに拡大解釈をされていやしないだろうかと思うわけであります。これで迷惑を受けるのは私たち利用者でありますから、どうぞそういうことのないようにお願いをしたいものでございます。つまり受益者負担の中には、同時に応益の原則というものがくっついておるわけです。田中総理のおことばをかりましても、応分の負担というわけですが、これは応益の原則ということでありますが、特別の利益を受けるものがその限度に応じてということでありますから、しからばその特別の利益を受けているのはだれなんだというふうに見てまいりますと、先ほど申し上げましたように、大企業貨物で割引を受けておるというような方は、特別の利益を受けておる方の一部であるといわなければなりません。こういった方々が、受益者負担ということで御負担をいただく分についてはかまわないわけでありますけれども通勤ラッシュにゆられて、そうして朝晩の危険を感じておるような私たちがこの受益者に仕立て上げられることについてはまことにごめんこうむる次第でございます。  次に私は、財政再建との関係について御意見を申し上げたいと思います。  財政再建をされるということでありますから、国民的な感情から申し上げますと、現在の一兆二千億に及ぶような累積赤字がどれくらい減るんだろうか、あるいは三兆八千億にのぼるような借入金、四十七年度単年度で二千九十九億、一日当たり五億七千五百万も支払っておるような利息の支払い、こういった現状がどれくらい縮小されるんだろうかというふうに国民は率直に期待をするわけでございます。五億七千五百万といいますと、東京の近郊では小学校が二つ三つも建つようなお金でございますが、こういったものを毎日国鉄が支払っておる、こういうように聞くときに、国民は身の毛のよだつような思いがするわけでありますけれども、こういう現状財政再建計画によってどうなるんだというふうにほんとうに心配をしております。  国鉄総裁にお会いいたしました消費者団体が聞きました。ところが総裁のおっしゃるには、いや、これは十年後には、この一兆二千億の累積赤字はさらに一兆五千億ふえて二兆七千億になるんです、あるいは借入金も三兆八千億がさらにふえて十兆円をオーバーするんです、こういうふうに言われるわけです。こういうふうに言われますと、国民はだれもそれが財政再建計画ですかというふうに理解を示そうとすることはできません。何が何でもこれは常識的に無理でございます。どのような高度な便法を用いられようとも、この点については国民は納得がいかないと思います。特にこれを御推薦される皆さん方についてお聞きしたいわけでありますけれども、こういう点は国鉄財政再建という財政再建するという用語にも私は問題があるのではないか。財政検討するということはわかりますけれども財政再建するということにはならないのじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。  さて、このような状況の中で、国鉄運賃値上げ法案が昨年六十八通常国会で廃案になりましたけれども、昨年から今日までの間に、いま私が申し上げましたような幾つかの問題点を含めまして、広範な国民が、国会の審議を通じて、外に発表される資料等によってだんだん理解と関心を深めてまいりました。その結果、たとえば地方議会の数でいいますと、昨年は四十の議会が反対決議をしたのでございますけれども、ことしは二百四十五の地方議会が反対決議をしております。東京あるいは京都、福岡、神奈川、石川といったような都府県段階をはじめ、主要な都市であります川崎市、北九州市、神戸市、大阪市、こういったようなところがやはり反対決議をしております。国民の全体の有権者の数からいいますと、圧倒的多数の人たちがこの反対の意思表示をしている。詳しくは、いずれ消費者団体から資料を出しますけれども、多くの方々が反対決議をしておる。さらに、日本生活協同組合連合会だとかあるいは婦人団体だとか、公団住宅自治会協議会だとか、そういったようなところの反対の署名も続々と上がっておるような現状でございます。このように、圧倒的な国民の方々が、昨年も廃案になり、そして多くの問題点を持っておる、国会では、皆さん方毎日御審議をいただいたと思いますけれども、まだまだ国民はこれについて理解を示しておらない、しかも先ほど申し上げましたように、長期日本列島改造論といったような、そういう国の運命を左右するといったような問題ともからんだこのような国鉄運賃値上げ問題については、なお十分御検討いただきまして、国民的な合意が得られるような段階にまで審議をお進めいただきたいと思います。現状の中では、国民はいま申し上げましたように、反対の意思は圧倒的に多いということを申し上げておきたいと思います。(拍手)
  10. 井原岸高

    井原委員長 ありがとうございました。  以上で、参考人からの御意見の開陳は終わりました。  この際、十分後に再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      ————◇—————    午前十一時五十七分開議
  11. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人に対する質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。宮崎茂一君。
  12. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 ただいま参考人から非常に貴重な御意見を承ったわけでございます。私は、これにつきまして若干の御質問をいたしたいと思うわけでございます。  いままで述べられました御意見の大部分と申しますか、似たような御意見が、当委員会におきまして、私ども運輸委員政府国鉄との間にかわされたわけでございます。私も一応存じておりますが、まず福田参考人工藤参考人に共通の問題がございますのでお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  国鉄の今回の運賃値上げにつきまして、値上げ率がこれは定期、個々の問題につきまして比率が高いという問題と、それからまた非常にほかの物価値上げ誘発するおそれがある、したがってこの点につきましては値上げ反対である、こういうような共通の御意見かと思うわけでございます。私ども国鉄再建をはかるためには、そしてまた国鉄運賃も上げなければならないと思っておりますが、ほかの物価に対しまして非常に国鉄運賃値上げが高いというふうに聞こえたわけでございます。御承知のようにこの前、ストのあとに国鉄の従業員、労働者その他の給与も上がったわけでございますが、その上昇率を私ちょっと忘れましたが、どのくらいかひとつ福田参考人、総評の御専門家でございますからお教え願います。そうしてまた、今後この人件費と申しますか、労働者の賃金のアップというものはどの程度総評のほうでは見込んでおられるのか、この点について御説明をお願いしたいと思うわけでございます。
  13. 福田勝

    福田参考人 ただいま宮崎議員から御質問のありました、一つ国鉄値上げが高い、他の物価に対して高いように聞こえた、こういうふうに言っておられるわけでございますが、他の物価に対する比較で申し上げておるわけではないのです。国鉄運賃値上げそのものが、非常に公共性を持っておるこの問題を上げるということは、国民生活に、たとえば一〇%上げたからいい、二三%だから悪いというふうに私どもも申し上げておるわけではないのです。国鉄運賃を上げること、そのことが家計を非常に圧迫するし、他の物価値上げ誘発するんだということを先ほど申し上げたわけであります。  それから二つ目に言われました国鉄職員のベースアップの率でございますが、発表になっているのは、私の手元にあります数字から申し上げますと一万四千八百一円、定期昇給を加えましての額であります。二八・五六%という数字がついこの間の調停、いま仲裁に出されている数字である、こういうふうに私どもは聞いておるところであります。
  14. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 賃金の上昇は、これは私どもが豊かになる上において今後やはり毎年期待しなければならないと思うわけでございますが、今後の——私が申し上げたいのは、つまり国鉄は十カ年間の再建計画をつくっているわけでございますので、今後十カ年間、総評のほうとしてどの程度の賃金の上昇ということをお考えになっているか、こういうことをお聞きしているわけでございます。
  15. 福田勝

    福田参考人 十カ年間の数字というのは、これは宮崎さんのほうもお考えになればわかりますが、今後十年後にわれわれはどれだけになるべきかという数字はいま出てこない。というのは、われわれの賃上げというのはあくまで生活を向上させるということで、たとえば家計調査などをしてみましても、最近は五万円、四万円ベースアップしろという調査要求がたくさん出ているのです。しかし、組合側は五万円要求しているわけではございません。ことしは御承知のとおり平均二万円程度の要求であります。ですから、そういう点から考えましても、たとえば物価がどれくらい上がって、そうしてまた、われわれがどういう生活が最低必要かというところから編み出されるわけですから、もし政府のほうで物価を全然お上げにならないということが、はっきりした前提がわかるならば、十年後の賃上げもこれくらいはほしいという数字は出てまいります。しかし、いまのような物価上昇のもとではことしは二万円であるかもしれない、来年は三万円になるかもしれない。あるいは、もっと物価が上がってくるような状況になればもっと上げなければいかぬということになりますから、十年後に一体幾らわれわれが必要かというのは、いまちょっとその点は出てこないわけなんです。この点をひとつ御了承いただきたいと思うわけです。
  16. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 福田参考人に重ねてお尋ねをいたしますが、政府の経済政策が出ております、五カ年のですね。御存じでございましょうか。
  17. 福田勝

    福田参考人 ここへ、手元へ数字を持っておりませんので、ある程度読んではおりますけれども、詳しくは私の頭に入っておりません。
  18. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 私が申し上げたいのは、大体自由主義経済におきまして、物価というのは、消費者物価が四%とか五%とか値上げの目標が、値上げと申しますか、これは経済全体から考えてどの程度という予測をしているわけでございます。その予測に立った先ほどの賃金の上昇ということが、福田参考人の口からどの程度というふうにお答え願いたいと思っておったわけでございますが、その辺はまだ御検討になっておられませんか。福田参考人はいま非常に経済が変動しているから、毎年毎年、今度は二万円アップだ、今度は三万円アップだ、こういうようなお話でございますけれども、全体の日本経済の中から交通労働者の賃金というのはこのぐらいあるべきだ、こういったようなお考えなり、そういったような試算なり、あるいはまたそういうものは全然お持ちではないかどうか、重ねてお伺いいたします。
  19. 福田勝

    福田参考人 この問題は、実は交通労働者だけの問題じゃなくして、交通労働者の生計費、賃金というものも、全体の産業労働者の中でどうなのかということとも比較しながらこれは当然やるべきでございますし、いま言われました十年後にわれわれの賃金を一体幾らにすべきかという算定は、まだいたしてはおりません。  それから物価の問題で先生に特に留意願いたいと思いますのは、政府のほうは五号とか六%という数字をあげておりますけれども、実は私ども、たとえば主婦の会等で家計調査なんかいたしております。そういう調査結果を見ますと、大体この二倍から三倍ぐらいが負担増になって実は出ているわけであります。詳しくは今後、私どもも生計費等の調査について分析をし、また指数も出したいと思っておりますけれども、この五%とかあるいは六%という数字は、実は私ども国民全体についてもいろいろ低いと思いますし、特に勤労世帯にとってはたいへんこれは低い数字でありまして、実態はこういうような数字ではないということも、先生のほうにひとつ御指摘をしておきたいと思うのです。
  20. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 私は、経済企画庁が政府全体として消費者物価が幾ら、これはそういう家計の、一主婦の非常にこまかい範囲の物価をお取り上げになって、物価上昇が五%ぐらいじゃないとおっしゃいますが、これはやはり私ども国民生活全体の中で、そういう調査をする機関を信頼したいと思うわけでございます。  その辺はなにいたしまして先に進みますが、国鉄運賃が最近まで、非常に戦前に比べて据え置かれておるという議論があるわけでございます。つまり私どもが戦前、九−十一年のあのころ、戦争の影響のないころに比べて、国鉄運賃はほかの物価に比べて非常に安いんじゃないかという議論がございます。そしてまた、国鉄からもそのような資料が出ております。今回の値上げをいたしましても、国鉄旅客運賃は三百二十七倍、貨物が四百倍、それに比べましてはがきが六百六十七倍、理髪代が千四百七十五倍、あるいは米は六百六十倍、こういうふうにほかの物価に比べて非常に上げ方が少なかったんだ。もちろんこれは、やはり国民生活に影響するからというようなことで毎回毎回押えられてきた結果ではございますけれども、このようなことをやはり経済全体の中で、このようなアンバランスをいつまででも放置しておっていいものかどうか、今回の値上げは、私は年率一二・三%と国鉄値上げは聞いております。また国鉄労働者国鉄職員の方々の値上げが、先ほどお話しのように一六%を上回るという話でございます。したがいまして、国民全体の賃金の上昇というようなものも、もっともっとあるいは十数%上がるんじゃないかと思うわけでございますが、そういたしますと、所得の中に占める運賃の割合というものはたいしていまよりは大きくならないんじゃないか、こういうふうに思うのですが、ほかの物価との関係をいつまでも押えておいていいかどうか、あるいはまた全体の中で非常に家計が苦しいとおっしゃいますけれども、収入の中で国鉄運賃の占める割合、こういったものはふえないんじゃないか。逆に減っていくんじゃない・か。むしろ先ほどどなたかお話がございましたが、混雑する国鉄を避けて私どもタクシーに乗るとか、ほかの高い交通機関を使うというふうになるのではないかと思いますが、これにつきましてどのような見解を持っておられますか。これは福田先生でなくとも、工藤先生も何か同じような御意見でございましたので、どちらからでもお答え願いたいと思います。
  21. 工藤芳郎

    工藤参考人 いま御比較されました他の物価との比較というもの、あるいは戦前からの比較というものをなさいましたけれども国鉄が他の物価値上げ率に比べて低いから値上げをされるんだという御議論でもしあるとするならば、私は賛成をしかねるわけであります。公共性を持っている国鉄運賃とすれば、安ければ安いほどいいわけでありますから、また国民生活というものはそういう国鉄運賃体系といいますか、従来の全体の物価の中での位置づけといいますか、そういったようなもので生活習慣ができておるわけでありますから、いまになって、このときにあたって国鉄運賃が他の物価に比較すると非常に値上げ率が低かったんだというふうにおっしゃることは、国民生活に非常に混乱を招くものだというふうに思います。ですから、全体の生活の中で占める位置づけというものは、先ほど数字を申し上げましたとおりで、国鉄運賃だけをとってみても、高いところでは定期運賃で四二・数%も上がるというふうなのが現状でありますから、これは値上げとしては決して低いとはいえないと思いますし、またこの値上げが及ぼす経済的、直接的な効果は先ほど申し上げましたとおりでありますけれども、その心理的効果とでもいいますか、社会的な不安とでもいいますか、政治家の皆さん方でありますから、この辺はぜひとも鋭い御洞察をいただきたいわけでありますけれども国民的混乱を招くといいますか、つまり他の諸物価が値上がりをしておらないのに国鉄運賃だけが論じられるというならまだしもでありますけれども、その他の物価が相次ぎとどまるところを知らないというような現状の中で、公共料金だけはやはり国会で審議をする法律事項でありますから、この問題だけはやはりとどめていただきたいというのが私たちの強い要望であります。その他の問題についてももちろん押えていただきたいわけでありますけれども、現在の社会体制のもとでは、いろいろな企業の秘密というようなことの理由によって経営状況も明らかにされませんし、物価の値上がりというものあるいは商品の買い占めというものがとどまるところを知らないわけでありますけれども、少なくとも公共料金についてはまず押えていただきたい、こういうことでございます。
  22. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 ただいまのお話のように、国民生活に不安を与えないようにというようなことで、前年もこの国鉄の問題が議論になりましたし、また国会でただいま私ども一生懸命審議をしている最中でございますから、またどうぞその点につきましてはひとつ御安心願いたいと思うわけでございます。  それから何かいまのお話を聞きますと、ある日突如ぱっと上げたというような印象を受けるのでございますが、前々からこうしなければならない、あるいはまた今後十カ年間、先ほどもお話がございましたが、こういう自由主義経済のもとで十年先にどうするということは賃金は言えないというようなお話がございましたが、今回の案につきましては、十年先までこの程度値上げでございますというふうな前もって予告と申しますか、大体の大ざっぱなスケジュールというものを発表しているわけでございます。もちろんこれはそのときの、今後の国鉄経営の努力とかあるいはまた物価の問題その他によって、多少はまた変わるのかもしれないと私個人では思うわけでございますけれども、一応の目安としてこの程度上がるわけでございます、こういうことをお示ししているわけですね。ですから、それにつきまして、やはりいまお話しのようないつ上がるかわからないというような不安じゃなくて、国鉄というのは大体こういうふうにしなければ再建が立たないのだということでございますから、その点については不安はないのじゃないかと思いますが、ただ公共性だから上げちゃいかぬというような議論には、私賛成できないわけでございます。いわゆる独立採算公共性という問題が、工藤先生でしたかどなたかございましたが、公共性というのは、公共だから全部国庫支出というようなことではないと思うのでございます。ですから、前の一点につきましては御答弁は要らないと思いますが、今度は少し変わりまして、公共性だから全部国が負担しろ、国費だというようなお考えなのか、その辺のこと、独立採算との関連ですね。これは私ちょっとどちらの先生だったか忘れましたが、福田さんかどっちかと思いますが、公共性独立採算というようなことでそのように受け取ったわけでございます。独立採算というのは、たとえば私鉄みたいに完全に自分で出資して自分の企業内でやる、普通の会社経営だ、公共性というのは全部国だ、このようなお考えなのか、その辺をひとつお願いいたしたい。これは福田さんですかね。
  23. 福田勝

    福田参考人 先ほど私申し上げましたのが、若干舌足らずで先生に誤解を与えたかと思いますが、私が先ほど申しましたのは、国鉄というのは実は独立採算ということを盛んにいっておられるけれども、本来これは国民の足としてたいへん公共性がある事業じゃないか。だからこそ日本国有鉄道というふうにいっているのではないかということなんです。したがって、独立採算制を主張を強固にやられると、それじゃ赤字路線なりそれから割引問題なり、それなりにいろいろ公共的な負担を公共機関であるためにやっておられる、こういうものをみんなやめなければいかぬ。こういうものをやめれば確かにこれは独立採算になります。しかし、こういうことはできないはずなんです。国鉄である以上できない。そうすれば、この公共性の持つ公共負担なり政策割引なりいろいろやらざるを得ないという立場を、ここのところは国が負担するのは当然なんじゃなかろうかということを実は申し上げているのです。たとえば営業係数二〇〇〇あるいは三〇〇〇からの線も、地域住民のためにどうしてもつくらなければいかぬというのであれば、これは当然国が負担すべきものなのではないか。在来線なんかそういう線が多いわけですね。そういうところも全部ひっくるめまして、これは赤字だから、だから上げろということになりますと、これは独立採算という原則を持ち込んでくる。そうすると、公共性というものは一体どうなるのか、こういうことを申し上げたわけであります。  そこで解決策として、たとえばことしの一月に東京都で、先ほど言いましたように、上のほう、運営のほうの費用は料金決定でまかなうけれども、下のほうは、施設等の設備の問題は国なり公共団体が持つというようなことも一つの方法ではないか、そうすれば国鉄赤字問題というものは解消するのではないかというようなことを申し上げたので、たいへん舌足らずの点があって誤解を与えたと思いますが、私の申し上げたのはそういうことでございます。
  24. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 御承知のように、国鉄以外に専売とかいろいろな公共企業体がございます。それからまた、国、公共団体のやっております有料道路というものもございます。有料道路につきましては公共性がある。だれでも車を持っている人は、金を払えば走れるわけでございます。そういう公共性があったからといって、全部国が税金でまかなうとか、そういうことにはならないと私は思うわけでございます。公共性は担保しながら独立採算をそのままきちっとやっていくという企業も現にございます、有料道路その他については。ですから、そういうことで私は、公共性があるからということで全額出せということには賛成しかねる。そういった意味で政策的なものもあるし、あるいはまた、おっしゃるような地方ローカル線もございますので、国がこれから国鉄再建に国費をつぎ込もうとしておるわけでございます。ですが、福田参考人は大体どの程度、国の今後の十カ年間の助成はどの程度あるということを御存じでしょうか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  25. 福田勝

    福田参考人 先生のほうから公共性があっても独立採算やっておる、それはそのとおりでございまして、たとえば有料道路のごときは、これは料金が取れるということを前提にして道路を引いておるわけですから、料金が取れなくてやれないようなところは有料道路にもともとならないわけでありますから、こういう点はあまり例にもならないかと思うのです。専売なんかは、御承知のように三千億ぐらいですか、国へむしろ納付をするという公共企業体でございますから、これも例にはあまりなりません。国鉄の場合は、御承知のように、これは先生もよく御存じの上におっしゃっておることと思いますけれども、あの山の中につけてどうしてもこれは採算がとれない、とれないことを承知の上でも、やはり地域住民のためにはどうしてもつくらなければいかぬ、こういう線がたくさんあります。私鉄にもそういう部面があるわけですが、特に国鉄の場合は採算がとれるようととれまいと、そこに住民が住んでおる以上は、住民のためにはどうしてもやらなければいかぬ、こういうようなことがございますね。ですから、もともと——先ほど私国鉄と米と申しましたが、こういうものは基礎的な物資である料金でございますから、公共性を持っておるすべてのもののうちの最も公共性のあるものが国鉄料金ではなかろうか。したがって、実は公共性ということを追求してまいりまして、どうしてもやはり、そういう部面では赤字路線なりそういうものは出てくると思うのですね。その部面をひっくるめて、国鉄全体の独立採算をやれとかということになってまいりますと、独立採算でやるならば、一体公共性の問題はどうなるのかという二律背反のような形に実はなってくる。その解決策として私は申し上げたわけです。  それから国の助成は、十カ年の中で三兆五千億くらいの助成があるというふうに承っておりますけれども一体今後国がどれだけ助成したらいいかどうかということについては、私ども今後やはり、今回の法案を一時たな上げして、一カ年間くらい国民の代表等も入れてじっくり練っていただきたい、そういうふうに主張しているわけです。幾らがいいかということは、私専門家ではございませんし、すぐには申し上げることができないわけであります。
  26. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 私は、国の助成につきましては、いまのお話のように三兆六千二百億、そのほかに新幹線その他につきまして財投で十兆五千億という助成を国はしているんだ、これからやる計画だということを申し上げておるわけでございまして、その辺の御認識があったかどうかということをお尋ねしただけでございます。  それから、ほかの公共施設に対しまして、何か航空八、港湾五とか鉄道一とかいうようなお話がございましたが、これもう少し、どういう御意見なのか、国鉄のほうでそう言われたというお話でございますが、ひとつもう少し深く御説明願いたいと思います。
  27. 福田勝

    福田参考人 実はことしの一月であったと思いますが、私どもは消費者団体の皆さんと一緒に国鉄総裁にお会いした際に、磯崎総裁の口から実ははっきり言われたことでありまして、八、五、一と、私ども何の数字かと思っていたら、同じ運輸省の所管でありながら、航空関係と港湾と国鉄に対する国の助成が実はそういう比率になっておる、これはまことに残念であるということを磯崎総裁が言っておられたことでありまして、国の援助の比率というふうに私どもは承っておるわけであります。したがって、私どもそのとき皮肉を申し上げたのですが、国鉄当局というのは何というまた力のないところじゃないか、だから、せめて港湾並みの五くらい国の助成をとれば、たちどころに赤字解消するじゃないかと言ったら、全くそのとおりだということでございまして、これは同じ国の政策として、同じ運輸省の中にありながら八、五、一ということを総裁言われるのは国民としてもまことにふかしぎである、こういうふうに私どもは思っておるわけであります。
  28. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 それにつきましては私は別な意見を持っておるわけでございますが、何か時間が来ているようでございますので……。私の意見を申し上げますと、そういう国費とおっしゃいますけれども、その裏には、たとえば自動車、道路についていいますと、ガソリン税とかそういったようないわゆる受益者負担的なものが相当ある。そういうことで交通機関全体を見渡しまして、いわゆるイコールフッティングというような理論もございますが、そういった見地から今回の国鉄の助成ということを考えますと、そうあまり離れていない。それからまた交通機関というのは、これはそのときどきの投資ではなくて、明治以来いままで国がどの程度投資してきたか、いわゆる資産という問題になると思うのです。ですから、その点につきましては、私はあなたとは異なった見解を持っております。国鉄総裁またそうおっしゃったとすれば、これも私は相当な論争の余地があると思いますが、きょうはその点を論争するわけではございませんので、この辺でおいておきます。  それからいま一つ、お二方につきましては、旅客は黒字で貨物赤字だということでございまして、したがって貨物を上げて旅客はもう上げぬでもいいじゃないかというような御趣旨だったと思うわけでございますが、この前、私国会でこの議論を聞いておりますと、新幹線について一千何百億かの黒字があるのだ。そういたしますと十億の黒字というのは、新幹線を除けばやはり千七百六十億くらいですか、その程度赤字になるのだ、こういうようなことでございますが、その点はどういうふうに——それでもまだ貨物運賃だけを上げるというような主張なのかどうか、その辺をお伺いしたい。これはお二方同じような御意見でございますが、どちらからでもけっこうでございます。
  29. 工藤芳郎

    工藤参考人 御承知のように、旅客貨物の収支は、昭和三十五年から四十年の公表数字がありました。これを見ますと、旅客が二千九百二億の黒字、貨物が千六百三億の赤字。どういうわけか四十一年以降は公表しないわけですね。この辺にも一つ問題があるわけですが、その後国会の質問等を通じて明らかになったところによりますと、四十五年度が、旅客が四百三十七億の黒字、貨物が千八百三十二億の赤字。それから四十六年度は、先ほど申し上げましたように、おそらく当局はこれは訂正して発表なさるのでしょうけれども旅客は三百七十一億の黒字というふうにわれわれは理解をしたいわけでありますが、これは昨年の七月八日にも四十五年度の数字については国鉄の常務理事が新聞記者会見をしておりますし、明白なわけでありますが、貨物値上げするのかしないのかという御質問でございますね。どうしてこういうふうに原価を割るような状況で今日まで、貨物運賃について運用をされてきたか。これはなぜならば、国鉄経営の状態が悪化をしている、赤字なんだというふうに当局のほうでおっしゃるものですから、われわれとしては、それじゃ赤字の原因を見てみようということの一つとして、貨物旅客収支を調べてみたところ、貨物赤字になっておる、こういうことなんですね。だからわれわれは、物価値上げ反対立場でありますから、貨物運賃を上げてくれということを要求しているのではありません。ただ、どうして原価を割るような形で運用してきたのか、これは公平の原則にかなわないじゃないかということを強く指摘したいわけであります。その上で国鉄当局が、貨物運賃はやはり原価は割らないという制度にするというのであれば、私たちは特にそれに対して反対をするわけではありませんけれども、どうしてそういう特定の貨物については、ひどいのは二十数%というような割引をなさるのか、原価を割ってやるというような方法をとられておるのか。ということは、赤字だというものですから、そういうふうに私たちはまず御指摘を申し上げなければならぬ。原価を割るような方法をとることはないのじゃないか。原価主義にも反するのじゃないか。先ほど申し上げたとおりでございます。
  30. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 そういたしますと、コスト主義というようなことでございますので、貨物のほうはコストをうんと割っているのだから、コスト主義にまでひとつ値上げしても万やむを得ないというような御意見だと承って、よろしゅうございますか。
  31. 工藤芳郎

    工藤参考人 これは国鉄運賃法原価主義というのをうたってあるわけですから、原価を償うということは、これは当然のことだと思います。これをいままでそういうふうにしていったことがすでに問題なんでありますし、赤字の原因である。この前、明らかになりましたように、四十六年度でも六十六億に達するというふうになっておるわけですから、そういうことは、やはりわれわれとしては納得できない。つまりただすべきところをただして、李下に冠を正していただいて、その上で今後どうするかということでありますから、値上げをされるというのであれば、原価を償う、法に違反をしないということであれば、私たちは特に反対するわけではありません。
  32. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 これにつきましては、いろいろこの席で国鉄当局から説明もございました。なかなか旅客貨物のコストの分離ということはむずかしいとか、あるいはまた、貨物運賃を急に上げるというようなことは全体の収入の上から非常に困るのじゃないか、かえってこれが国民生活の物価上昇その他につながるのじゃないか、いろいろな議論がございました。  まあ時間もないようでございますので、先のほうに進めさしていただきたいと思うわけでございますが、福田さんから定員の削減の問題がございまして、これは事業が拡大をいたしますと、もうちょっとふやすのが当然じゃないかというような御意見だったと思いますが、御承知のように、国鉄合理化ということでこの案を国鉄当局政府は出しておるわけでございますが、これにつきまして何か具体的な、もう少し深い御見解ですか、そういったものがございますれば——国鉄事業の問題について、どの程度の規模とか、あるいはまたどの程度増大すべきか、そういった問題があれば、御見解をお示し願いたいと思うわけでございます。
  33. 福田勝

    福田参考人 定員の削減につきまして先ほど申し上げましたのは、当然事業量に応じて定員がふえるというのは、これはどこの産業でも当然のことかと思うのです。特に交通産業のように、労働集約的で非常に人員削減がむずかしいといいますか、それがすぐ安全問題に波及するような産業では、定員を合理化するといっても、石油産業なんかのようなああいう形のものはちょっとできないのではないかということからいいますと、事業量が伸びたことに応じてやはり人数がふえていくというのは、これは常識ではなかろうか、こういうふうに私どもは見ているわけであります。そういう推定としてこのような形で事業が伸びていけば、十年後には約十万ほどふえるのが当然ではないかというふうに、組合側のほうである程度の推定をしておるだけで、したがってこれはあくまで私どもの推定でございまして、それに逆に減らされるというところがまた——現状維持ならいざ知らず、事業はふえているにもかかわらず、逆に十一万も減らすということが再建計画の中にはっきり打ち出されておりますから、こういう点についてはまことにこれは不当である、このことは、国鉄削減だけじゃなくして安全の問題にかかわる問題であるということを先ほど来、実は強調したわけであります。
  34. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 それではひとつ観点を変えまして鈴木参考人岡田参考人か、どちらかと思いますが、国の全体の交通体系の問題でございますが、これにつきましてお話があったようでございます。今後、やはり国鉄といたしまして、この全体の日本の輸送体系の中で大都市間の旅客輸送とか、大都市通勤輸送とか、あるいは中長距離の貨物輸送、こういったものを担当するような役割りが考えられるわけでございますが、これと貨物運賃の問題ですか、これはどういうふうにお考えになるのか。私は、日本の地形、地理的な関連から申し上げまして、西独とかフランスあたりとだいぶ違うわけでございます。海運というものがそこに介在をしてまいり、たとえば瀬戸内海ですと、至るところに港がある。海上輸送とプラス道路輸送というようなことが考えられるわけでございますが、貨物運賃値上げという問題と、こういったほかの輸送との競合と申しますか、競争と申しますか、そういった問題についてどのようなお考えを持っておられますか。将来どういうふうになるのか。その辺のことをお尋ねいたしたいと思うわけでございます。
  35. 岡田清

    岡田参考人 いまの御質問は、他の交通機関国鉄貨物輸送についてどういうふうに考えるのかという御質問であったかと思いますが、この観点につきましては、二つほど論ずることができるかと思います。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕  第一点は、両者を適正に競争させることによって、マーケットの力によってその両者の調整をとっていく、これが第一点であります。  第二番目の方法は、これは両者の間に何らかの調整政策を適用することによって、大量交通機関なりあるいは国土計画なりに調和を保たせしめるような、そういう政策を導入することによって行なうという政策があるかと思います。いまのところは、貨物運賃というものと関連してまいりますると、もちろんこれは国会できめられるわけでありまするけれども企業体の内部にもう少し自由を与えるような運賃政策が望ましいのではないか。そうして国鉄全体としての収支が均衡することがたてまえになっておりますので、その線から大きくはずれることのないように、つまり企業体の内部的な問題については、もう少し国鉄に自由が与えられていいというふうに判断いたします。
  36. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 先ほど貨物運賃の問題が出ましたので、これを一挙に上げる、たとえば、いまのその原価がどうかわかりませんけれどもほんとう原価がはっきりしておるかとかわからないのですが、一・八倍、八割増しとか、そういうふうに上げた場合に——御承知のように、日本産業の中心というのは、ほとんど全部は海岸地帯にあるわけですね。ですから、海運のほうに転換していくのじゃなかろうか。そうすると国鉄再建と申しますか、貨物収入というのは、急激に上げますと減るのじゃなかろうかというような心配を持つわけでございますが、その点につきましてはいかがでしょうか。国鉄としては、なるべく貨物収入も全体として上げたいという気持ちがあるのだろうと思うのです。ところが急激に上げると海運に取られる、またサービスをよくしないと自動車に食われてしまうというようなことでございまして、これから国鉄は近代化していき、そしてまた、フレートライナーその他で海陸一貫した輸送もほんとうはしなければならぬと思うのです。その辺につきまして、運賃とのからみでお考え、御所見を承りたいと思います。
  37. 岡田清

    岡田参考人 いまのお話にございましたように、私も先生の御意見に全面的に賛成でございまして、実はいまのまま運賃を過度に上げてまいりますと、現在の国鉄状況から考えますと、大量、定型的な貨物はおそらく海運のほうに流れてしまうであろう。さらに雑貨輸送その他につきましては、おそらく自動車輸送のほうに流れてしまうであろう。言いかえますと、その辺の考慮なしに運賃を機械的に上げることについては若干問題がある。したがって、旅客貨物との関係論を論じて、一方がコストを負担しているとかしていないとかいうことからその問題を論ずることは、あまりにも実態を無視することになりはしないか、こういう危惧の念を抱いているわけであります。
  38. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 もう一つ、最後に一点だけお伺いいたしたいと思います。  先ほど申し上げましたように、私ども日本は経済成長をこれからもしなければならないわけでございます。したがいまして、輸送機関全体として果たさなければならない責務は非常に大きいわけでございます。国鉄はその中心的な存在であるわけです。したがいまして、どうしてもこれは再建し、そしてまた健全になってもらわなければならないと思うわけです。そのほかにいろいろな交通機関がございます。私鉄がございます、あるいはまた道路輸送、あるいは海上輸送、あるいは最近ではパイプラインの輸送、日本全体を考えますと今後もいろいろ新しい輸送機関が発展することと思うわけでございますが、これに対しますところの財政援助の問題、これは先ほど来当委員会におきましても非常に議論になっているわけです。それにつきまして先ほどお説を拝聴したようでございますが、最終的にひとつ今後の日本の輸送体系というものと国の援助ということ、そしてまた国鉄公共企業体でございますので、一面国鉄の労使の方々が一本化して、ひとつ公共的な使命と申しますか、日本の輸送問題の中核になっていただくわけでございますから、努力していただかなければならないと思います。こういった点につきまして日本全体の立場から、輸送機関に対する国の助成措置といったものは今後どういうふうにあるべきか。国鉄問題についてでもよろしゅうございますが、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  39. 岡田清

    岡田参考人 いまの御指摘問題点は、先ほどの八、五、一ということにも若干からんでくる問題かと思います。これは普通イコールフッティング論というふうにいわれておりますけれども、現実には非常に困難な側面が多分にございまして、われわれ計測いたしましてどこまでイコールフッティングであって、どこまで競争させるかというふうな整理が非常にむずかしゅうございます。たとえば港湾一つとりましても、港湾の中で防波堤のように都市生活を守るためには不可欠のもの、これを海運ですべて負担させるということはなかなか困難でございます。そういう一例をとりましても、いわばわれわれの専門用語でいいますと公共財といっておりますが、ここら辺を十分に検討した上で、そこでなおかつ公共負担のある余地があれば、これについてはやはり公共負担を入れるべきである。しかしながら、あくまでもこれは各企業といいますか、あるいは国鉄でいいますると独立採算という原則は捨てるべきではないということをあらためて強調しておきたいわけであります。私の手元にありますイギリスの資料を見ましても、コマーシャルエフィシェンシー、商業的な効率ということと公共性とは、結局は同じことになるのだということをはっきりと実は訴えているわけであります。このことを無視して、法律を無視するような経営におちいらないように十分に御留意いただきたい、こういうふうに考えております。
  40. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 それでは時間も来たようでございますので、私の質問はこれで終わります。
  41. 井原岸高

    井原委員長 太田一夫君。
  42. 太田一夫

    ○太田委員 私は、早稲田の鈴木講師にお尋ねを申し上げます。時間が少ないのでありますから、二、三点お尋ねをいたします。  最初に、経済政策の点からおっしゃった御意見でありますが、三本の今度の財政再建の方針というのはオーソドックスでけっこうだという御意見の中に、当然運賃値上げ分、国民の犠牲という点については、わが身に引き比べてあなたは、この値上げの幅というのは、言うならば値上げがあっても、定期運賃にしても、一般旅客運賃にしても、貨物にしても、あるいはそれがどのようにその他の料金にはね返ろうとも、そういうことは実感から消化できる、こうおっしゃいました。言うならば、あなたの所得水準から消化できるということであろうと聞いておったのでありますが、実は国民的な視野から見ますとこれが一番痛い点であります。すでにどなたかもおっしゃったのでありますが、東京−大阪間を往復すると、やがて七千円よけい出さなければならない。それから三十キロ圏くらいの通勤をすると三倍近い値上がりになります。これは五千五百円から六千円くらい負担が増になる。こういうような点から考えまして、これはえらいことだ。しかもそれは十年で終わらない。十年でこの値上げが終わるという保証がないのです。十兆円をこえる大負債を持ちました国鉄は、さらに五千キロくらいの新幹線をも完成させなければならないというような事態を十年先にまだ持っておるわけです。そうすると四兆円か五兆円というのは、新幹線だけでも資金需要がそのとき待ちかまえておるという点からいって、十年先を考えてみたところで国民はもうたいへんなことだといっておるときに、あなたの実感から消化できるというお話ですが、これは具体的に一般国民の気持ちを考えて、国民の皆さんはできない人もあるかもしれない、たとえば労働者諸君はお困りかもしれない、ある程度これくらいの水準以上の所得の者には消化できるのだ、こういうふうに御説明いただくとよくわかるのでありますが、何かその具体的なお考えはおありでしょうか、この点をひとつ。
  43. 鈴木順一

    鈴木参考人 実感を申し上げましたためにたいへんなあれでございましたが、私大阪によく参りますけれども、そのたびに四千百三十円払います。しかし、かつて昭和三十九年までは特急を使いましても、当時のこだまを使いましても七時間五十分でございましたか、それの切符を買うために、当時は二週間前からの発売でございましたけれども、その二週間前の日に、朝起きて一番電車で東京駅へかけつけてこだまの切符を買った経験が何度もございますが、いまは行けば、自由席であればすぐ大阪へ行ける、そして文字どおり日帰りできる、ほんとうにそういう実感を日ごろ抱いておりますので、私はついそのことを申し上げたわけでございます。確かに、国民みんな一様に新幹線にといいますか、所得が一様に高くなっているわけではございませんで、低所得の方もいらっしゃるわけでございますから、その辺は統計的に数字を整えて申し上げるべきでございますけれども、その準備がございませんでしたので、私は実感から——そこで、その前にマイカーの支出とかレジャー支出とか、われわれ、このほうに対しては惜しげもなくというか、そういうふうにやっているのが一般のサラリーマンの傾向ではないだろうか。そういうものをやっておりますわけでございますから、運賃が高くなりますと、われわれはそれに対して、これを払うべきか払うべからざるかということは、その交通機関を利用することによって得られる効用と常に比較して、払う犠牲とコストと得られるメリットとを常に引き比べて考える、これがわれわれ経済学で考える人間の普通の行動でございます。  で、十年先にはたいへんな金額になるという御引用でございまして、私どもそれだけを見ますと何かたいへんな金額のように思いますけれども、一方で、十年先にわれわれの所得がたぶん、われわれがいま十年前に考えていたとは全く違うベースに到達しておりますように、たぶん十年先にもなるであろう。そういうときに、時間価値というものは現在よりも以上に高まるであろうと私は期待しております。  そういう点から私は考え方を申し述べたわけでございまして、統計的な裏づけなしに申し上げましたことはたいへん軽率でございましたけれども、偽らざるところを申し上げたわけでございますので……。
  44. 太田一夫

    ○太田委員 さすがに早稲田の先生ですね。あなたには反省があるのですから、私はそれで承っておきますよね。  それでは、あなたの論述の中にシビルミニマムということばが出てきましたね。やはり運賃政策という中では、この料金というのは物価にはね返るし影響するんだから、ブレーキはかけなければならないんだ、そういうお気持ちから、シビルミニマムの観点から考えるところは考えなければならぬという、そういうお気持ちを持ちつつこの三本柱は妥当でありというようなことをお話しなさった。そこでいまのお話を、実際一番いい点だけをあれしておりますと、あなたの説はうなずける。その点はそうなんです。だけれども、あなたのクラスの生活の人は困らないけれども、大阪へ早く行けるから、日帰りの講義ができるから七千円ぐらい高くなったってかまわないというのと、子供を抱いた奥さんが七千円よけい出すのとは違うんですよ。  それから、給料が十年後先に何倍になるかという所得の問題でも、これは所得がもっと明らかになっておればよろしい、この裏づけに政府のほうから。それがないから、みんなインフレーションがますます高まるんだろうと警戒しておる、このこと。  それから、十年後にはやっていける姿になるという、交通政策の点からおっしゃいました。国のまるがかえはまずいという点から、利子補給は現実的だ、こういうことをおっしゃいましたね。利子補給、いいんですよ、そのとおりに。実際、利子を、借り入れ金、旧債を全部たな上げしてしまったらばりっと解決するんですよ。それからもう一つ貨物運賃の問題がありますけれども、その利子という点に限定すれば、旧債の利子をたな上げすればいいんですよ。それができておらぬところに問題がある。償還をしなければならぬでしょう。全部旧債たな上げじゃない。償還を中に含んでおりますので私ども心配しておるのです。十年後十兆九千億の大借金でございますね。それでまたさらに何兆円かの新幹線投資をやらなければならない。そういう点からいって、減価償却などは、また十年、十一年後先になると、これはできなくなるだろうと思うのですよ。  そこで時間がありませんから、具体的な先生の御見解を聞きたいのですが、それは、十年後先に突如として、本計画によりますと、黒字になりますけれども、私は、よっぽど交通政策を明らかにして鉄道の持つ分野が確立されない限り、十年後先に黒字にはならぬと思うのですよ。というのは、四十四年以来の四年間の収入見込み額、予算収入と実際の収入のズレを計算してみますと、四十四年で百三十八億円の見込み違いがある。一・二%少ないのです。四十五年は百二十四億で一・一%、四十六年五百三億、四・五%、四十七年度は九百八十億、八・〇%収入がずれているんです。もしそんなことがあったとするなら、これはもう全然償却ができないということになります。償却後また赤なんです、十年後先に。利子の補給の点に着目していただいたのは、政府に対してものを言う手がかりを教えていただいたわけでありがたいのでありますが、思い切って財政援助をしない限り、まるがかえじゃないのですよ。少なくとも十年後に真に収支とんとんになるためにも、これは思い切った財政措置を国が講じない限り、国民の犠牲は大きいかしれませんが、労働者の犠牲は大きいかしれませんが、国鉄はそれでも立ち直らない、こういうことを感ずるのですが、その点についての御見解いかがでしょう。
  45. 鈴木順一

    鈴木参考人 私も、ある面では、いま御質問者のお考えにたいへん共感を覚えるのでございます。しかし、十年後の問題を議論いたします場合に、私ども交通経済を勉強しておりまして、よく需要予測などをいたしますけれども、これはほんとうにむずかしい。手元がちょっと狂えば、先へ行って大きく狂うという苦い経験をしょっちゅう繰り返しております。したがいまして、いま国鉄が描いておられる十年後の先の姿というのは、やはりこれは先ほど岡田教授もおっしゃいましたけれども、非常に確度が高い、私どもの目で見てもそう思いますので、私はこれをそのまま認めるわけでございます。もっと国が金を出せばいいということも、先ほど私、意見の中で欲を言えば切りがないと申しましたのはそこでございます。しかし、これは国鉄だけが国の中のサービス機関ではございませんで、そのほかいろいろなものがあるわけでございまして、交通政策の立場から考えても、やはりこれは企業性をはっきりさせる、そして企業として自分の足で立っていけるように財政力をつけてやるんだということが現実的であろうというふうに考えておるわけでございまして、もちろん、金のなる木がございまして幾らでも使える、あるいは使い道がいろいろ変えられるのならば、私は、そういう御意見もけっこうな御意見だろうと思っております。
  46. 太田一夫

    ○太田委員 金のなる木がないと、もうそれ以上やれないということになるとお手あげでございますね、国鉄再建というのは。国鉄再建といいますが、もう一回あらためて所感を承りますが、あなたのお感じです。赤字は何が原因で赤字になったかといえば、第一は、膨大な借り入れ金の利子負担の増大でしょう。利子負担の圧迫でしょう。いわゆる借り入れ金の利子。それから第二は、先ほどから議論になっております貨物運賃の非常な赤字ですね。これが赤字の二大原因でございます。私はそう思うのです。これ以外にはちょっといろいろなことありますけれども、それはだれが見たって、あの大きな設備投資、膨大な借金政策によって資金を投入したということは、これは赤字最大なる原因ですよ。それは新幹線政策、在来線というのは赤字になってきたってこれはやりますが、これは一卵性双生児のようなもので、片方だけ切るわけにはいかないんですよ。片方切りますと、片方悪くなるのですよ。だから新幹線は黒字だから、新幹線在来線と分けて、在来線赤字赤字だから、在来線旅客は赤だから旅客も赤だという理屈ではなくて、これは一緒にすればいい。旅客旅客で十億の黒字なら十億の黒字、そのとおりだと思うのですよ。あとはほとんど貨物なんですよ。貨物運賃と、膨大な借り入れ金の圧迫が赤字の原因だということになったら、その抜本的な対策を考えなければいかぬ。このことだけは間違いないと思うのですが、これに対して教授の御意見を承りたい。
  47. 鈴木順一

    鈴木参考人 私は教授ではございませんで、かけ出しの講師でございまして、たいへん未熟でございまして、お返事に、お答えになるかどうかわかりませんけれども、膨大な投資が行なわれているわけでございます。特に貨物が問題になっているわけでございますけれども、私も、三十年代に貨物投資がおくれたということが今日の貨物の苦境を招いている原因であろうと思っております。しかし、その貨物投資がいま徐々にではございますけれども実を結びつつあるように思います。特にこれはよくいわれる議論でございますけれども貨物投資というのは懐妊期間が非常に長いわけでございますから、これがやがて実を生み出すわけでございますから、私はその点はあまり心配しなくていいんじゃないだろうか。私は全然企業経営の経験ございませんので、借金なんて聞いただけで身ぶるいいたすほうでございますけれども企業が拡大しているならばいいんじゃないだろうかというふうに私は単純に考えます。それから、赤字の原因が借り入れなんだからそれをきれいにすればいい、してやるべきだという御意見だろうと思いますけれども、私は先ほどから申し上げておりますような意見で、私はそれは望ましいかもしれないけれども現実的ではないという考え方でございます。
  48. 太田一夫

    ○太田委員 先生は交通政策という点も確立しなければならないし、その観点から見てもある程度妥当だとおっしゃる。その交通政策の中に貨物政策、貨物の輸送というのは流通機構に対する御見解があろうと思うのですね。私は貨物運賃というのは、国鉄できまった貨物運賃表の運賃どおりにほとんどのものは送られているんじゃないですよ。それは、半分ぐらい値引きして実際上は行なわれているのです。そのために先ほどからおっしゃるように大企業べったりの貨物輸送が、四十六年度二千百五十三億の赤字をつくった、こういうわけなのです。これは四十年来どんどん三けたの五百億、六百億、七百億からたちまちに四十三年度にくると一千億をこえる赤字になっちゃったんです。それがどんどんふえまして、四十六年度は二千百五十三億、何ともならない。そこで、交通政策を承りたいが時間がありません。しかし、貨物運賃赤字というものは何とかしなければならぬものだというのはあなたも同意見でしょうね。それだけ承っておきます。
  49. 鈴木順一

    鈴木参考人 私は社会科学を勉強しております一学徒でございますので、人さまのおつくりになった資料をそのままうのみにすることは決していたしませんで、いつでも疑いの眼で見ることにいたしておりまして、貨物原価の構成という問題につきましては、これは私は少しいろいろ調べなければならない問題がたくさんあるように考えております。貨物赤字を何とかしなければいけないじゃないかということについて、おまえの意見は同じだろうというお尋ねでございますが、まさにそうでございます。ただその貨物赤字をどうするかということについて、私は少し角度の違う立場から、国鉄という公衆輸送機関、だれでも利用できる輸送機関、これを公共輸送機関と申しますと、非常に公共性議論と混同いたしますので、私はだれでも利用できるという意味で公衆電話、公衆浴場と同じように、公衆輸送機関と考えたほうがはっきりすると思いますのでそういうことばをあえて使わしていただきますけれども、国の基幹となって動いてくれる、人を運び、物を運んでくれる公衆輸送機関が、いつでもわれわれの手近なところにあって使えるということが基本的な交通政策のかぎだ、そういうふうに考えております。貨物輸送につきましても、いまトラックがあり、先ほどの御質問者にもございましたけれども、海運がございますし、航空貨物というものもあります。航空旅客貨物どちらも大きな問題になってきておりますが、私はエネルギーとかあるいは労働力とかそういう問題から考えて、近代化された鉄道貨物輸送というものが、近い将来もう少し見直されるときがくるんじゃないだろうか。そうなれば、いま古い体質から新しい体質にかわるために、鶏でいえば卵の生み方がちょっと落ちたような時期だろうと私は思うのですけれども、そういう時期が来ればまたこの問題は違った角度で考えられるのではないだろうか、そういうふうに考えているわけであります。
  50. 井原岸高

  51. 神門至馬夫

    ○神門委員 さっそく岡田参考人にお伺いいたします。  たいへん貴重な御意見を拝聴いたしましたが、先日も多くの公述人の方がおいでになりまして、この原案に賛成の御意見が出ました。しかし岡田参考人のように、全面的にこの改正案賛成だおっしゃった方は初めてなのでございます。非常に自信を持ってお教えいただきましてまことにありがたいと思うのでありますが、しかし若干論理に矛盾があるのじゃないか、こういう点を私、聞いたわけであります。特にこの運賃値上げ問題と公共企業体のいわゆる制度的なそのもの、それを同時にセットで論議をすることそのものにはやはり私は異論があるのだ、こういうふうにさっきおっしゃっておられたように思います。イギリスの例をとっても、十五年間もいろいろと経営に悩んできて、そして今日の制度が確立をされた。日本の場合においてもそれらの問題については、立法府ということばをお使いになりましたが、いわゆる国会に責任がある、こういうような公共企業体としての企業性公共性、あるいは独立採算性と公共負担とになると思うのでありますが、制度的問題というのは。それらの問題については当面切り離して、そしてこの運賃値上げ問題についてここで論議をし、私はそれに賛成をする、こういうふうにおっしゃっておるのでありますが、私は実はそれは逆ではないかというふうに考えるのであります。  岡田参考人にお尋ねいたしますが、イギリスが十五年間かかって悩み抜いたというふうにおっしゃっておりますが、日本の国有鉄道はいつごろからこの公共企業体という性格論について深い悩みを持って、これが立法府である国会にその経営主体である日本国有鉄道等から出されたかを御承知でございますか。
  52. 岡田清

    岡田参考人 いま二つ問題点があったか思いますが、公共企業体論と運賃論の運賃の問題の関係の前後関係矛盾しているのではないか、これが第一点。第二点は、国有鉄道において、公共企業体論の論議がいつごろから行なわれてきたかということ、二番目はそうであったかと思います。  第一点につきましては、先ほど申し上げましたように、当面の運賃改正問題というのは、今度の法案に関連する運賃改正問題については全面的に賛成である。しかしながら運賃問題について公共企業体立法府がどれぐらい介入すべきであるか、あるいは政府がどれぐらい介入すべきであるかというふうな問題についてイギリスでは十分な審議を尽くしているというのが現状であります。そういう状況でありますので、現行法のたてまえからは運賃論と公共企業体論を分けることは一向に差しつかえない。ただし先ほど言いましたように、これを分けて、長期にわたってわが国公共部門あり方ということはぜひ御審議をいただきたい、こういうふうに申し上げたわけであります。  第二番目の問題でありますが、公共企業体論というもののあり方につきましては、国鉄は御承知のように昭和二十三年の法律ででき上がっています。その間においてどういう形で議論されたかということでありまするが、運賃改正という部分的な問題だけにつきましては、たとえば公共性論という形で実体論としては論議されたかと思いますが、立法府において制度面として論議されたことはないというふうに判断いたしております。
  53. 神門至馬夫

    ○神門委員 そこに、岡田参考人が断定をされる大きな間違いがあるわけです。これは公労法のおい立ち、三十七年に今井さんが過去のおい立ちについて書いておいでになりますが、公共企業体そのものの性格論よりか労務対策として、労働対策としての公労法が生まれた、こういうふうないきさつがありますから、必然的に公共企業体企業性公共性というものが確立しないまま出発いたしております。その悩みは当然まず第一に経営責任を持つ国鉄がこの問題を出している。これは具体的に非常に有名な答申書があるのでありますが、まず昭和三十一年の一月に日本国有鉄道調査会の答申なるものが出されております。それで御承知のように、三十二年から第一次五カ年計画は始まります。これが途中で四年で終わって、三十六年に第二次、昭和四十年に七年計画が始まり、途中でまた四年で終わって、第四次、昭和四十四年に始まったのでありますが、御承知のように日本国有鉄道法をごらんになりますと、国鉄の予算はすべて国の予算の承認を得なければなりませんね。この五カ年計画なり三十一年の答申というふうなものが出されて、それはすでに国会でその公共性なるものについては論議されております。ずっときて、三十年から申しますとすでに十七年に及ぶ。さらに三十九年からいみじくも新幹線が発足して、その年から赤字になったとこうおっしゃった。その前の三十八年六月に有名なあの国鉄経営に関する諮問委員会の答申が生まれております。ここで明確にこの独立採算制と、そして公共負担の問題、企業性公共性の問題については、まさにこの宝ともいうべき国鉄の将来の展望を見出している。そして今日の状態になるであろうという試算がそのときに行なわれたのでありますが、昭和四十五年をもって二兆四千億の借り入れ金になるだろう、こういうふうに予測をしておりますが、それを上回って実際は、昭和四十五年に二兆六千三十七億の借り入れ金になった。そして赤字は五千六百五十四億に及ぶ。このような具体的な数字等をあげて、早くから論議をされてきて今日なおかつその公共企業体の経営論、いわゆる独立採算制とのその合理的基準、このようなものが今日なおかつ確立してないのは事実でありますが、十五年間たってようやくなし遂げたイギリス論、今日十七年、十八年たってまだ議論されて、そのようなものが、いわゆる合理的な基準が確立されていないこの日本の国有鉄道、この違いはあるといたしましても、あなたの、そのようなものが国鉄において論議をされてないという前提でのあなたの論理の立て方そのものが、あのような断定的な、本改正案に対して全面的に賛成するというような間違ったおことばになったのではないか。いかがでございますか。
  54. 岡田清

    岡田参考人 いま申し上げましたことにつきまして矛盾があるのではないかということでございますが、部分的に、実体論としては、先ほどお話しのように、論議は十分といいますか、かなり尽くされている。しかし平行線として、原理原則として法文という形で確立されているといいますか、いま現段階において確立されているものは、あくまでも原価原則であります。原価を償うという原則、つまり法律を、あくまでもそれを適正に解釈するのであれば、総括原価を償うべきであるという側面があります。その一方で、実体論として、赤字が出たんで部分的に利子補給その他で行政的な側面からこれに対して行なわれている。つまり法律の立法論と実体論との間のギャップが誤解を生んだかと思いますが、立法論という立場から見ますと部分修正、つまり部分審議は行なわれているけれども公共企業体論の全面的な改定というところにはいっていない。つまり部分的な論議あるいは部分的な審議はかなり尽くされてきているというふうに感じております。したがいましてこれから公共企業体論というものを立法府との関係についてさらに審議をお願いしたいという意味で申し上げたわけであります。
  55. 神門至馬夫

    ○神門委員 いまおっしゃっていることは、前はないとおっしゃる。今度は部分的にそういう論議はされたとおっしゃる。その辺に非常に違った点があると思いますが、そうではなしに、根本的に議論はされている、しかし結果としてその制度化が確立されてないということなのであります。ひとつこの辺を間違えないように……。それならば、十八年間たって確立されないから、それはそのままにして原案に、とりあえず運賃を上げることは全面的に賛成だというこの論理というものがはたしてつながるかどうか、私は、たいへんその辺に論理の矛盾がありはしないかと、こう思うわけです。それはよろしゅうございます。しかしあなたは原価計算主義で云々ということをおっしゃっている。運賃法第一条にそう書いてあります。しかし先日おいでになりました賛成論者の田上教授、この方がおっしゃっているのは、第一条は廃止すべきだ、すでに四つの原則はすべて矛盾し尽くしておる——原価主義と言っておりません。いまあなたは、この日本の地勢上、地形上内国海運に依拠する割合というものが非常に強い、それはやはり原価を割っている日本国有鉄道の貨物運賃については原価主義よりか競争主義によってこれはやらざるを得ないだろうとおっしゃる。あなたのいまおっしゃるのは原価主義一本論であります。この辺についても、この運賃賛成論を全面的にというような、この言い方というものは、やっぱり賛成であるけれども、条件つきだということに、前の論理にしてもいまの論理にしても、なるのではないんですか。
  56. 岡田清

    岡田参考人 いまのお話でございますが、原価主義ということと競争論との関係で、御承知のように競争論というのは過度に流れてしまうと交通サービスは非常に差別化しやすい、こういう性格がございますので、公共規制が入ります。公共規制とそれから競争原理との関係論というものが非常に重要なわけで、そういうことで考えてまいりますと、原価というのはわれわれ国民でも比較的たよりになる。一番有力な資料であります。この資料というものを無視して、原価から離れて、過度に離れた運賃形成をやることは、これは国民に対する大きな、何といいますか、あんまりことばはよくないのですけれども、へたをするとごまかしとも限らない。したがって、原価から離れるということを全面的に否定するわけではありませんけれども、それでは部分的に離れたときにこれをどう考えるか。つまりそこで公共性論が出てまいります。そういう意味で、申し上げましたことの論点は三つに関連するかと思います。  第一の論点は、一つ企業体の中で貨物でも採算をとれ、旅客でも採算をとれというように企業体の内部まで介入していって、そこまで運賃形成について立法府で御議論されるのが適切であるかどうかという点につきましては、私は適切でないと判断いたしております。  それから第二点でありますが、企業体全体としての採算はとるべきであるという点につきましては、これはできるだけやはりとるべきである。しかしながら、実体論として、そういうことは経済現象に合わせていかなければいけませんので、実体論として補助が入ることはあり得るというふうに判断いたしております。そういうことで、もし全面補助ということでありますと、国全体の財政国鉄財政も一緒にして収支をとれということにつながっていくかと思いますが、そういうふうには私は考えない。つまり公共企業体である以上は、これはやはり採算主義をできるだけ貫く方向で考えてもらいたい。そのことは即原価主義に密着することにつながっていくんだ。そういう意味で先ほどあえてイギリスの例を出しましたのはそこに実は理由があるわけであります。コマーシャルエフィシェンシーというのは公共性につながっていくんだというふうに申し上げたわけであります。
  57. 神門至馬夫

    ○神門委員 そういう抽象的な論理はよくこちらでやっておるわけでありまして、だから問題はこの原案そのものというふうなものが絶対賛成だ、そのような全体の一つの制度的なもののないその上において、この旅客貨物のパーセンテージそのものまで、これがどこによってそのような数字が出てくるのか、これはなかなか政府なり国鉄当局の答弁としてもむずかしいところなんですね。ですから、その辺の問題はあなたの表現としては、やはり政治家が言うならばともかくも、学者先生ですから、政治家的な発言ということと、私らがお教え願うこととは非常に違ってくるように私は期待するからあえてそのように申し上げるわけであります。  また、その運賃の問題についても、総合交通的な問題についてもそうでありますが、先ほどの、ここに日本国有鉄道の監査報告がございますけれども、そのような競争的な相手であります八、五、三とか七、五、三とかよくいわれることば、そのような投資率にいたしましても、相当国鉄に対する国の投資金額が違います。これは今度の場合におきましても、いみじくもことしから同じように出発する道路五カ年計画は五年間に十九兆五千億、ことし出発する国鉄の倍の十カ年計画投資額十兆五千億、倍半分であります。そのような全体の総合交通体系、そういうようなものを考える、あるいは港湾等の一つ投資の問題を考える、それは全体の中からやはりこの運賃そのものを値上げをして、将来への日本の経済をになっていかねばならぬというビジョンのもとにその数字は確立されるべきものだ。きのうもその点を運輸大臣に御質問しましたところが、残念ながら建設大臣とそのような相談をしていない、いまからでもおそくないと言われたが、これは建設大臣とひとつ相談をして、あるいは関係各大臣と相談をして、三十六年の十二月にできました総合交通政策を実のあるようなものにしたい、こういうようにおっしゃっている。まだ十分でないところに生まれておるこの問題についてではあるけれども、ひとつ大局的な観点に立って考えるのであるからという、こういうふうな政府答弁であります。その辺が、やはり非常にいろいろ意見はありましょう。意見はありましょうけれども、学者先生のお話として、絶対ということばが二回も出るわけですね。この貨物運賃に対する内航海運との問題で、絶対あなたの御意見賛成でございますというような、どうもその辺が、ことばじりをつかまえるようでありますけれども、確かにこの問題は重要な問題であります。そういうような総合交通政策全体の中から判断をされて、そしていまの運賃値上げ率というものがなおかつ妥当であると絶対に思われた根拠というものはどの辺にございますか。
  58. 岡田清

    岡田参考人 全面的に賛成と、こういうふうに申し上げたわけでございますが、交通体系論の立場から考えます場合に、短期的な考え方と、それから長期的な考え方があろうかと思います。そこで、現在国鉄にとって必要であることは、できるだけ現在の体制から競争力のつくような、つまりサービスの競争にうちかつことのできるような近代化政策をやることこそ最も重要ではないか、そういうふうな論理を立ててまいりますると、今回の法案がそういうことにどこまでかなうか、こういう観点からやはり今回の法案を考えることになってまいります。したがって、前回廃案になったわけでありまするが、それよりもさらに政府補助ももちろんふえている、運賃値上げはこの前のとおりだということで考えてまいりますと、将来の国鉄投資に対して意欲的な方向を打ち出されているという意味において全面的に賛成であるというふうに申し上げたわけであります。
  59. 神門至馬夫

    ○神門委員 もう時間がないようでありますから終わりますが、その点につきましても参考に言っておきますが、今度の、去年とことしの変わった中で、新規投資、いわゆる新幹線投資増額が一兆九千三百億、昨年のものよりかふえております。ことし政府が去年よりかふやします出資金及び助成金は、一兆八千三百億、去年と比べたことしの投資増額に及ばないのであります。でありますから、そのワクが大きくなったから賛成だと言われる賛成論そのものも、この数字の上からいっても私は矛盾がある、こういうふうに感じますが、時間が来ましたから終わります。たいへん失礼なことを申し上げましてどうも相済みません。ありがとうございました。
  60. 井原岸高

    井原委員長 梅田勝君。
  61. 梅田勝

    ○梅田委員 参考人の方々から貴重な意見を賜わりましたことを、まずお礼申し上げたいと思います。  私は日本共産党・革新共同を代表いたしまして、参考人の方々から次のような点をお伺いしたいと思います。  それは、本委員会におきまして国鉄関係法は十分審議を深めておる途中でありますが、国民の皆さんが国鉄運賃値上げについて、あるいは国鉄財政再建についていろいろ疑問を持っておられます。私は幾つか要約いたしますと、次の四つの点ではないかと思うのです。一つは、政府はこの物価高にかかわらず、なぜ政府の手で規制できる公共料金を引き上げるのか、これはわからぬ。二つには、そういう赤字赤字だといっている国鉄がなぜ今後十カ年に十兆五千億円も投じて大工事をやるのか、そういう必要がはたしてあるのか。さらに第三には、そのような大工事をやるからには、国鉄赤字赤字だといっているけれどもほんとう赤字ではないのではないか、もうかっているんではないかというような問題。さらに第四には、運賃値上げをしなくても国鉄財政再建は可能ではないか、そういう方策はないものか。私どもはこの四つの国民の皆さま方の疑問に答えていく必要があるわけであります。そこで参考人の方々から、そういった率直な疑問に対してどのような御見解を持っておられるかということを、これからお尋ねしていきたいと思います。  そこでまず第一の問題でありますが、それはいわゆる企業性公共性にかかわる問題として、いろいろ参考人の方々から御意見が出ました。  そこで、私はまず鈴木参考人にお伺いをいたしますが、価格というものが需要と供給の関係によって出てくる、そして価格というものがその調整の役割りを果たすという問題、それに対して国が介入する場合もあるということをおっしゃいました。そこでまず前提として、いま起こっておりますような物価値上がり、この原因についてどのようにお考えになっているかをお聞きしたいと思うのであります。
  62. 鈴木順一

    鈴木参考人 一言で申し上げれば、供給を需要がオーバーしているから物価が上がっているんだというふうに私は考えております。
  63. 梅田勝

    ○梅田委員 いまそのようにおっしゃいましたけれども、現在物価が高騰をしておりますのは、単に需要と供給の関係だけでないと私は思うのですね。たとえばインフレというものがあります。これはどのように先生は御解釈なさっておりますか。   〔発言する者あり〕
  64. 井原岸高

    井原委員長 お静かに願います。
  65. 鈴木順一

    鈴木参考人 インフレはなぜ起こっているのかという理論でございますけれども、私の知識では、これは物と金のバランスがくずれて、物価の継続的な上昇がインフレーションだ。要するに、インフレというもとのことばをただせば、水ぶくれという意味だそうでございまして、私は、いま金がだぶついているからだというふうに考えております。
  66. 梅田勝

    ○梅田委員 お金がだぶついているのがインフレ一つの重要な要因だということでございますね。つまり、昭和四十六年の通貨供給量は、平日残高におきまして、前年と比べますと二三・七%の増加を見ております。これは非常に異常でありましてその間におけるいわゆる国民総生産の水準をはるかにオーバーしている。だから、実際に流通関係に必要な通貨の量を上回って出ているというところからいわゆる買い占め問題等も出てくるということで、物価の上昇というものは、いわば政府の金融政策によってどんどん起こっている。この事実はお認めになるわけですね。
  67. 鈴木順一

    鈴木参考人 そういうように単純に割り切れない問題でございます。私はそう考えます。
  68. 梅田勝

    ○梅田委員 この議論はどんどんやれば果てしなく続くと思いますが、私どもは、物価の値上がりする要因として、やはり第一には、公共料金をどんどん引き上げるという政府物価政策、それから二つには、独占価格ですね、独占大企業におきましては、生産性が幾ら上昇いたしましても独占的な価格を維持していく、あるいは逆に値上げをしていく、こういう問題が野放しになっている、さらに三つには、いま言いましたように、流通に必要な通貨の量を上回ってどんどん出されているというところに基本的な問題がある、さらに四つ目に、先生がおっしゃったような需要と供給の関係が出てまいりますが、しかしその場合におきましても、そういうような状態が発生してくる国の基本的な経済政策、いわゆる基本的な政治姿勢というものが要因にあると思います。そういう点を解決しませんと現在の物価高というものを押えることができないというのが、私どもの考えでございますが、こういう点については、総合的に考えてみて、どうでございますか。
  69. 鈴木順一

    鈴木参考人 原因とか理由の考え方につきましては、御質問者と経済学の考え方の立場がいささか違っておりますので、どこまで行っても平行線だと思います。しかし最後の、金融政策、財政政策をしっかりしなければいかぬじゃないかという点にはまさに同感でございます。
  70. 梅田勝

    ○梅田委員 あなたが先ほど言われました、公共性ということを考えて国が運賃政策に介入する条件というのはどういう場合を考えておられますか。
  71. 鈴木順一

    鈴木参考人 これは先ほどの意見の中で申し上げましたように、交通サービスというものを純粋に私的な消費財サービスであるというふうに考えますと、われわれがそれの生産に必要とした価値を全部負担しなければいけないという考え方になってまいりまして、非常に割り切れた考え方になるわけでございますけれども、しかし現実には、日常生活に必要不可欠ないろいろな交通サービスがあって、これはわれわれ市民として不可欠なんだから国がもっと考えるべきであるというふうに、だんだんわれわれの考え方がいま変わってきているわけでございます。そういうことをやはり交通政策の立場でも考えなければいけない。それをどう考えるかということでございます。  その場合に、いま申し上げたように割り切ってしまう考え方は、一体われわれの日常生活に不可欠な輸送サービスというのは何なのかということを線を引いてまいろうといたしますと、とめどがないわけでございますね。通勤通学輸送ということについては、抽象的にはわれわれ合意ができるように思います。しかし、それでは昼間買いものに行くときはどうなのかとか、レクリエーションに行くときにはどうなのかというところまでなってきてしまうわけでございまして、そういうものを市民がきめるべきだという。これまたもう一つの割り切り方がございます。しかし、私はそのどちらにもくみしない。まあ経済政策というものが妥協の産物だということを最初に申し上げましたけれども、私はそれを考えていくのが交通政策だというふうに考えておりまして、どこに線を引くかということは、これは一がいに言えないというふうに思っております。  それはいまどこまでをどう考えているのかということは、具体的な問題について考えなければいけないというふうに、まだ抽象的にしか私自身は考えておりません。
  72. 梅田勝

    ○梅田委員 国民が必要としている交通サービスを提供する、そこに国鉄公共企業体としての使命がある。こういうことになりますと、たとえばその場合の線の引き方に非常に問題があるとおっしゃいましたが、先ほど工藤参考人が、今回の運賃値上げの問題あるいは再建計画によって、いろいろ地方線合理化貨物線の合理化等が行なわれるということで、昨年は四十五自治体、ことしは二百四十五の非常に膨大な人口を擁している自治体から反対意見書が出てきております。公共企業体としての国鉄が今度のような再建案を出してくる、値上げ案を出してくるということについて、鈴木参考人は基本的に賛成ということで、無条件賛成ではないようでありますけれども、こういう地方自治体が反対しているという事実についてどのようにお考えになりますか。
  73. 鈴木順一

    鈴木参考人 それはそういう意思表示が行なわれているというふうに受け取るべきであるというふうに考えます。  それから現在問題になっております運賃値上げは、意見の中で申し上げましたように、国鉄のサービスを供給していくそのおもやを、いまつぶれかかっているおもやをとにかく建て直そうという、そういう考え方でございますから、私はそれは基本的に賛成であって、早く立ち直って、自分の足でどんどん歩いてくれて、先ほど申しましたような公衆輸送機関としてわれわれの望ましいサービスをどんどん供給してほしいものだというふうに考えているわけでございます。
  74. 梅田勝

    ○梅田委員 地方自治体が決議を上げてきているということはよくよくのことでございまして、ただ意見が述べられておるにすぎないというような、そういう傍観的な御意見は少し困るわけでありますが、いま申されました国鉄財政が屋台骨がぐらついて倒れかけている。だから、たいへんだから必要な応分の値上げもやむを得ないというようなことだろうと思いますけれども、その前提が私どもに言わせますと、間違っているんじゃないか。といいますと、国鉄財政というのは、いろいろ経営分析をやりますと、たとえば減価償却を非常に大きく見積もってやっている、あるいは独占の大企業に対して非常に大きなサービスを提供している、いわゆる割引をやっている、さらに膨大な金利の支払い、この三つによって国鉄財政内容には大きな問題があるというように私どもは考えておるわけであります。  そういう状況で、先ほど先生は公共輸送機関というものはだれでも利用できる機関だということをおっしゃいました。運賃論も申されましたけれども、その利用できる公共的な輸送機関という考え方から、当然だれに対しましても平等な運賃体系というものがくっついてあるんじゃないかと思います。  そこでひとつ具体例で申し上げて先生の御意見を承りたいわけでありますが、自動車を東小金井から仙台港その他七カ所、合計八カ所の地域に送ります場合に、五万二百トン以上をこえました場合には、二割四分の割引をやるということになっております。これは東京西鉄道管理局長の名前で公告がされておるものでございます。  そこで先生にお伺いしますが、この辺の地域におきまして五万二百トン以上の自動車を輸送するような企業というものは一体どういう企業でございましょうか。御意見を承りたいと思います。
  75. 鈴木順一

    鈴木参考人 ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんでしたのでもう一度……。
  76. 梅田勝

    ○梅田委員 参考人でございますから、詳しいことは御存じないかもしれませんが、これは日産の自動車がそれを使っております。これは結局五万トン以上の輸送をやっているのは日産自動車しかない、そうしますと、先ほど先生が言われた、だれでも利用できる機関、だれでもが運用できるような営業割引というものになりますと、これは非常に差別になるんじゃないでしょうか。どうですか。
  77. 鈴木順一

    鈴木参考人 私に日産の名前を言わせようという御質問だったということはよくわかりました。  チーパー・バイ・ダーズン、一ダースまとめれば安くなるというのが世の中の原則でございまして、私はこれは運賃にも当然当てはまる問題だろうと思います。それで八台二段積みにしてまとめて送れば安くなる。お得意さんとして定時的に出荷してくれるというのは輸送機関にとってはこれはたいへんな効率的な輸送ができるわけでございますから、その辺割引が行なわれる。これは日産が大資本だというふうにお考えでございますが、日産もだれでも利用できるというそのだれでもの一人と考えていいんじゃないかと思います。
  78. 梅田勝

    ○梅田委員 中小企業はその条件には入らないのです。それだけの車をつくっているところはないんだ。ですから、これは特定の大企業に対して、現在貨物運賃が全体として赤字で困っておるのに、その上、割引をしているということは国民が納得できない。そういう点で明快な御答弁を期待したかったわけです。そういう点で工藤さんはどのようにお考えでしょうか、お伺いします。
  79. 工藤芳郎

    工藤参考人 貨物運賃の割引については、自動車は国鉄当局に尋ねますと、昨年の秋までは二四・八%の割引をしておったのだ、最近は一七%だ、これはトヨタの例でありますが、こういうことを言っております。あるいは石油の場合は一五%の割引をしている。これは先ほど私が申し上げましたように、非常に疑問なのは、法的なたてまえから言いますと、やはり八条の問題ですね。軽微な変更ということになるのかどうなのか。その割引をするにしても、どうして国会で、法律事項なんですから、国鉄運賃法の精神によって、なぜ国会でこれを論議してそういうことをやらないのか。なぜ管理局単位でそういうことが行なわれているのか、この辺は私は非常に疑問に思うわけです。ですから、割引そのものということをもしやるとしても、手続的にはやはり問題があるのじゃないか。少なくとも法律事項ですから、なぜこの場で、国会の場で論議をしていただかなかったのかということを先ほど申し上げたわけであります。  その他の貨物の割引というものは、実を言うと、国鉄当局にいろいろ資料を消費者団体としても求めておりますけれども、出していただけないわけですね。ですから、わかった範囲では日産自動車やトヨタの例がはっきりしておりますけれども、あるいは石油の例もはっきりしましたけれども、その他については資料を出していただかないものですから、はっきりしませんけれども、少なくとも運賃法八条というものと、それから原価主義による一条、これとの関係から見て、原価を割ってやるということについては、やはり国会の審議を経ないでやるということについては違法なことであるというふうに考えております。
  80. 梅田勝

    ○梅田委員 いまも工藤参考人がおっしゃいましたが、一般国民国鉄に対して資料を要求をいたしましても出さない。私どもが国会の場で要求をしても国鉄当局は資料を出さない。特に大企業の実態についてこれがプライバシーなどと称して出さないということは重大な問題だと思います。  そういう点でさらに皆さん方にお聞きしたいことがあるのでありますけれども、時間がございませんので、私の質問は以上で終わります。
  81. 井原岸高

    井原委員長 松本忠助君。
  82. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 四人の参考人の方々たいへん長時間にわたりまして御苦労をかけております。  私で終わりでございますので、まず第一点でございますが、新幹線の問題についてお伺いいたしたいわけでございます。  御承知のことと思いますが、国鉄発展によりますところの四十六年度の客貨別の営業実績によりますと、千八十八億という利益を新幹線はあげております。そこで今後もこういったすばらしい成績をあげられることと私期待しておるわけでありますが、この十カ年間の再建期間中には工事三線とそれから調査五線いずれも建設が完了いたしまして運行が始まるわけでございます。そうなってまいりました場合に、新幹線について収益がプラスになるか、マイナスになるか、この点をもう数字をあげる必要はございません、マイナスになるか、プラスになるかということ、この点について四人の参考人に伺いたい。  第二点といたしまして、いわゆる新幹線公害というものが言われております。騒音、振動、電波障害等々ございますが、こういうものに対しまして通過する地点の住民の方々から反対運動が各所に起きているわけですが、こうした住民の反対運動に対してはどのように受けとめられますか、四人の先生方にお伺いいたしたいわけでございます。簡単でけっこうでございます。逐次立っていただきまして、ひとつお願いいたしたいと思います。
  83. 岡田清

    岡田参考人 新幹線について、向こう十年間にまあうまくいくのかというふうなお話でございますが、新幹線の採算性が、いままでの例から言いますと、非常に高い。それから、大都市交通体系の一環を形成しておりますので、プラスマイナスは非常に順調にプラスのほうに作用するであろう、これが第一点に対するお答えであります。  それから、騒音問題をどういうふうに受けとめるかということでありますが、騒音問題を——もちろん騒音をなくす方向でさらに部内での御研究をお願いしたい、これが第一点。第二点は、もしやむを得ず、まあ七十ホンとかいわれておりまするけれども、その数字はわかりませんが、いま用意しておりませんけれども、その騒音に対して、もし必要があれば、補償措置その他のことは、将来の課題として十分に検討されるべきである、こういうふうに考えております。
  84. 福田勝

    福田参考人 私は、現在の新幹線は、確かに原価の半分ぐらいの黒字ですが、工事三線なり調査五線がはたしてプラスなのかどうかについては、たいへん疑問があるというふうに思います。  それから、新幹線の公害問題については、当然、反対運動について、私どもは住民が納得した上で工事が行なわれるように主張していきたい、こういうふうに思います。  そしてまた、私ども新幹線そのものがほんとうに必要なのかどうかということについては再検討すべきだと思うのです。このことは、そういう立場であります。
  85. 鈴木順一

    鈴木参考人 プラスマイナスを考えるのに、期間をとらなければいけませんので、つくった年にプラスになるということは決してあり得ないわけでございまして、五年、十年、十五年、二十年とれば、将来は必ずプラスになることは明らかでございます。  反対運動につきまして、私は、国鉄はいまレールから一歩も外に出られませんけれども、線路の両側に緩衝地帯をとれるように、あるいはどうしてもそこを立ちのきたいという人には立ちのかせてあげるように、あるいはそこにどうしても踏みとどまるという人のためには防音工事をしてあげられるように国鉄にそういうふうにしてあげればいいじゃないかというふうに思っております。
  86. 工藤芳郎

    工藤参考人 新幹線につきましては、昭和三十九年の十月に開業しまして、四十六年度末までにあげた収入が九千七百二十三億、経費二千四百五十一億を引いた利益が七千二百七十二億、これから減価償却や利子などを引いてもまだ三千八百四十二億もの純利益をあげておるわけです。東海道新幹線の建設費が総額三千八百億ですから、十分もとはとっております。営業係数は、この前発表されましたように、四六ということでありますが、現在の新幹線について考えてみますと、私どもが計算したところによりますと、一両に大体二十八人乗れば採算がとれる、こういうことでありますから、ばく大に高い運賃を取っておるというところにこの利益があがるわけでありますから、将来ともこういうことでいくのかどうか、そしてまた、このようにもうけておるのに今度の運賃値上げをしようというのはもってのほかだというふうに、私たちは、少なくとも新幹線については考えておるわけです。  将来建設される新幹線については、東北あるいは上越新幹線等について考えてみますと、東京−大阪間のようなぐあいに、はたして需要度があるがどうか。これはこの前経済企画庁長官の小坂先生にもお尋ねいたしましたが、非常に疑問であるということを言われておりますので、私どももその通りだと思います。ですからこの割合でもうけが、収入があがるのだという前提で先行投資をいたしますと、非常に危険であるというふうに考えております。  それから公害の問題であります。特にこれは埼玉県の熊谷−大宮地域にたいへんな公害問題が起こっております。公害問題が起こるというよりも、新幹線反対の運動が起きております。  一つは、埼玉県の大宮団地という団地がありますが、百二十世帯であります。これを突っ切って新幹線が通るのだ、団地の住民は全部追い出されてしまうというような問題があるわけでありますが、これは将来起こる公害として絶対反対ということで運動が進められ、埼玉県下では相当な運動が起こっておるように聞いております。  それからなお、現在の既設の新幹線につきましても、名古屋方面で相当問題が起きておる。八十ホンというのは百メートル離れているところでも、この音を消すためにはドアの厚さを五十センチにしなければ消音ができないというふうなことが科学的に立証されておるような現状でありますので、こういうことは補償するかどうかという問題よりも、現在すでにそういう問題が起きておるのでありますから、新しい線の建設についてはどうあるべきか、これは今回の運輸審議会の答申においてさえも、新設する場合は既存の計画も含めて慎重にやってほしいということでありますから、この点は皆さん御専門家でありますから十分御検討いただきたいと思うわけであります。  既存のものについてはどうするか。これは補償の問題もありますけれども、やはりこれは周辺の立ちのきの問題とかたいへんな問題が起きると思いますが、住民のコンセンサスが十分得られるように御配慮をいただきたいと思います。
  87. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それではもう一点だけお尋ねいたします。  岡田先生にお伺いいたしますが、先ほど鈴木先生の御意見の中に、再建計画が進みますと十年後には企業としてやっていける姿になる、この線を押し進める、こういうふうな御意見がございました。  そこで岡田先生に伺いたいのは、十年後に確かに償却後の欠損が、一兆四千億、現在のものを入れますと二兆六千億くらいになってきます。五十七年度の、単年度では黒字でございますが、その後はどうなるかというと、この黒字が五十八年以降続くのか続かないのか、この点です。それは先生のお見通しを伺わせていただけばよろしい。五十八年度以降黒字が続くのか続かないのか。  それから、かりにその後は値上げをするような形をとらなくても済むものかどうか。  この二点だけ先生にお伺いすればけっこう、簡単でけっこうでございます。
  88. 岡田清

    岡田参考人 十年後までの予測は正しいかということと、それからそのあとについてどうかという話であったかと思いますが、御承知のように予測技術の面でいまとり得る最大限の努力をした結果で、現在の計画を承認したいという意味でありまして、まず十年後くらいまではこれでいけるだろうというふうな見通しを立てております。  それから十年たったあとで、採算がそれまでとれるかどうかという点につきましては、私がそこでちょうど、あすから株が上がるのか下がるのかというふうに聞かれましても答えられないと同じように、お答えするわけにまいりませんけれども、ただ言えますことは、それではそういう場合にどういうことを考えるべきであるか。たとえば地域経済構造は地方に分散する、そういう条件のもとではどうかということの制約条件つきでありますれば、私がいま考えております国土構造その他の方向が満たされる限り、可能性は十分にあるというふうに判断いたしております。
  89. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ありがとうございました。
  90. 井原岸高

    井原委員長 本日はこれにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位にお礼を申し上げます。  本日は御多用中のところ当委員会に御出席をいただきまして、貴重な御意見をお述べをいただいたこと、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。  次回は明十一日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十九分散会