運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-04-18 第71回国会 衆議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月十八日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 守良君    理事 細田 吉藏君 理事 兒玉 末男君    理事 斉藤 正男君 理事 梅田  勝君      小此木彦三郎君    大竹 太郎君       唐沢俊二郎君    國場 幸昌君       關谷 勝利君    徳安 實藏君       宮崎 茂一君    井岡 大治君       太田 一夫君    金瀬 俊雄君       久保 三郎君    神門至馬夫君       紺野与次郎君    石田幸四郎君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      別府 正夫君         運輸省海運局長 佐原  亨君         運輸省船員局長 丸居 幹一君         運輸省港湾局長 岡部  保君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         海上保安庁長官 野村 一彦君  委員外出席者         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(バス事業に関する問題)  海運に関する件(カーフェリーに関する問題  等)  航空に関する件(南西航空に関する問題)      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 沖繩復帰しまして、来たる五月十五日にはすでに一年の期間になんなんとしております。私の本日の質問というのは、沖繩問題にしぼって政府当局の、沖繩問題に対しての運輸関係をお尋ねするわけでございます。本委員会重要法案を控えるこの場においてはなはだ申しわけないとは思いますが、しかし目前に控える海洋博、あるいはまた二十八年間の断絶により沖繩海運陸運ともに立ちおくれておりまして、一日も早く本土並み復帰したその喜びを県民に与えるという意味においてでも、格差是正、立ちおくれたところのあらゆる諸問題に対し、政府の施策によってこれが県民にひとしく享受できるようにということで、いまから沖繩問題に対し、陸運海運ともにお尋ねをしていきたい思います。  まず最初に、沖繩本土との海運に対してでございますが、御案内のとおり沖繩航路は、戦前においては政府指定事業としまして大阪商船が独占的な航路を持ち、それに対する政府助成策があり、県民地域住民に対しての恩恵を受けておったわけでございます。戦後に至っては、これが内航船という措置によりまして離島航路に対しては、本島を主体にする宮古八重山、その所属するところの離島に対しては、離島航路に対しての特典を得ておるわけではございます。しかし、定期から見ました場合に内航航路離島航路というようなことになっておりますが、沖繩は内航航路指定されたがゆえに、本土においては四国九州北海道に限定されており、沖繩は内航のほうにしましても、離島航路恩恵を受けておらないというのが事実でございます。さっきも申し上げましたとおり、本島宮古八重山に隣接、所属するところの離島に対しては離島航路政府の援助がなされておるわけでございますが、御案内のとおり九州に対しては関門トンネルがありますし、四国におきましては連絡船がありますし、北海道においてでも青函トンネルもいま進行中でありますし、また連絡船もあるわけです。四国は近く三つの大橋もできるというようなことで、国のそれに対する助成策としては膨大なるいわゆる政府恩恵を受けておるわけでございます。ひとり沖繩が、内航航路という定義からしますと、政府助成策というのを適用する項目がないことを私は残念に思うわけでございます。政府にお伺いしたいのは、どうして沖繩九州四国北海道と差別的な扱いがされたかということでございます。私は、鉄道がないのでそういうふうになっておるんだとかいろいろ理由があるとは思いますが、しかし国民はひとしく国の恩恵を受けるという憲法の第十四条でありましたでしょうか、その地域そのもののいかんを問わずその恩恵に浴するということでなくては公平を欠くということにもなるのでありますので、その点に対して内航にした、その理由に対して政府見解をお聞かせいただきたいことをお願いします。
  4. 佐原亨

    佐原政府委員 先生御存じのように、本土沖繩の間は東京から、阪神から、さらに鹿児島から、大きく分けましてこの三つ航路がございまして、それぞれ複数会社複数の隻数でやっております。内航になったということは、本土復帰の結果、当然そういうことになるわけでございますが、沖繩だから離島航路補助対象からはずれておるということではなしに、現在離島航路補助のたてまえといたしましては、国民生活最低線と申しますか、それが唯一の交通手段である場合、それを維持するべく補助をする、こういうたてまえになっておりますので、複数会社経営に参加しております場合には補助ができない補助要綱のたてまえから、そういうことになっております。ただ、将来の問題といたしまして、この離島問題、それではたしていいのかどうかという問題はございますので、この点は離島航路対策ということで抜本的に検討を開始いたしたいと思っておりますが、現段階におきましては、そういった離島航路補助要綱のたてまえから沖繩の場合には補助対象にならない、こういう仕組みになっておる次第でございます。
  5. 國場幸昌

    國場委員 二つ以上の企業競合しておる沖繩航路に対しては補助できないという規定要綱によってそれがなされておるということでございますが、私は、二つ以上ということに対して政府としましては行政指導というのが、それではいま復帰後一年になるわけでございますが、いかような行政指導をなしておられるか、その点に対してお伺いいたします。
  6. 佐原亨

    佐原政府委員 先生のおっしゃいます行政指導意味が、あるいは複数会社統合して一社にしろ、こういう御質問であろうかと思いますが、一応沖繩メーン航路はかなり乗客もございますし、民間経営でもって一応まかなえるという判断に立っております。その場合、でき得べくんば一社よりも複数にいたしまして、それぞれ公正なる競争をさせながらサービスの向上をはかるというほうがよりベターである、このように考えておるような次第でございます。
  7. 國場幸昌

    國場委員 おっしゃることはよくわかるわけなんですが、ただ一社にしろとか二社にしろとか、かようなることでは、会社会社としてのやはり市町村合併とかいろいろ理想のあることはあるといえども、その会社会社に対しては立場があるわけでございます。そうしますと、理想とする住民福祉のためにはやはり指定を受けるということになりますと、これは公益事業ということに形は変わると思いますので、それに対しての政府助成策、こういうことになるということを考えるわけでございます。そこで私は、同じ企業に対して二社というようなことが基本的にということをいまおっしゃっておりますが、それじゃ二社にしましても、合理的に地域住民に対して便宜をはかり、地域住民福祉のためにやるには政府としてはかようなる助成策をするので、それに対してひとつ政府政策とする行政指導に対して協力してもらいたい、こういうことでなくてはいかない、こういうことを考えるわけであります。  そこで、いまおっしゃる二社にしぼって今後検討していくというようなことでございますが、検討検討と時期的に一年にならんとしているが、それに対しての基本方針、これは、政府としては助成策はいかようなことで育成をするかと同時に、御案内のとおり、旅客にしまして飛行機が七、船舶は三、七対三というような割合のいまの利用度であるというようなことも承っております。政府としましては業者に対して今日までいかような指導をされたのかどうか、その点に対してお聞かせをお願いします。
  8. 佐原亨

    佐原政府委員 本土沖繩の間に就航しております会社は、先生先ほど申されました元OSK、現在の関西汽船であります。それから鹿児島からは大島運輸照国郵船、いずれをとりましても旅客船業者といたしましては大手と申しますか、少なくとも零細業者の部類には属さない業者でございますので、一応民間ベースでもって本土沖繩間海上ルートは維持できる、このように考えております。したがいまして、一応政府といたしましては一般的な安全に対する監督指導、これなどは極力やっておりますけれども、その経営問題につきまして特にこれといった行政指導を、たとえば二社を一社にするとか、そのような意味での行政指導は現在のところは行なっておりません。ただ、先ほど申しましたように離島問題一般論といたしまして、国鉄の恩恵を受けない離島住民に対して現状制度でいいかどうかという問題は、確かに先住御指摘のとおりございますので、この点につきましては、現在抜本的に何か考えを打ち出そうということで検討を始めつつある、こういう段階でございます。
  9. 國場幸昌

    國場委員 そこで、政府の姿勢というのがはっきりと業者に対して通ずることなくしてでは、企業側としましてもやはり基本的ないまの競合であって、企業競合というのはむだの設備投資をするし、これは会社のみならず国家も損失を受けるわけでございますので、秩序あるところの本土沖繩航路に対しましてはひとつ行政指導をしていただきたい、これをお願いするわけでございます。  目前に控えて私承るところによりますと、カーフェリー増船計画、これに対して審議会ももうすでに済んで、これをどうするのだということの最後詰めに至っておるということを承っております。沖繩復帰前においての復帰経過措置によるみなし規定は、琉球政府時代においてのあらゆる法案、また企業に対しての許可、かようなるものに対してはそれを日本法に従っての法令とみなす、こういうようなみなし規定になっておるわけでございます。そこで琉球海運有村海運、この二社に対しては琉球政府時代カーフェリー建造許可を与えられて、それを両社ともみなし規定をもってこの資格を認める、有効であるということでやったというようなことでありますが、いまだにその就航の許可が出ておらないし、建造許可も一社のほうではまだ審議会の答申といえども出てない。そこで、この審議会というのが、復帰特別措置法ということから考えました場合には、沖繩においても、琉球政府という不自然ながらも一国並み行政の中で、やはり審議会があったわけなんです。この審議会を通して琉球政府はこれを許可したわけでございますので、みなし規定の趣旨からしますと、そのまま復帰後においては、同じ日本政府許可したものとみなすというようなみなし規定にこれが準ずるのではないか、こういうようなことを考えるわけでございますが、いかがなものですか。それに対しての御見解をお聞かせしていただきたいと思います。
  10. 佐原亨

    佐原政府委員 ただいま先生申されました琉球政府当時の建造許可はそのまま日本政府許可になるとみなす、こういうお話でございましたけれども復帰関係の政令におきまして、旅客船の場合には法律上当然みなすことにはなっておりません、法律的にはでございます。あらためまして日本本土に適用があった海上運送法の免許をとる、こういうのが法律上の扱いになっております。ただ、道義的には琉球政府建造許可したものを全く無視することはできないと思いますので、そういった見地から現在運輸審議会に対して諮問をいたしまして、公聴会も終わりまして、先生のおっしゃるような最後詰めに入っております。琉球政府建造許可を道義上全然無視するという気持ちはございませんけれども法律的には必ず日本政府のおろした許可と同等になるということにはなっておりませんので、その点だけお断わりいたしますけれども先生の申されるような線で最後の努力をいたしておりますので、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。
  11. 國場幸昌

    國場委員 おっしゃるなにで大体期限をきめまして、三カ月以内とかあるいは六カ月以内とかですね、それに対して本土政府日本政府移行に際してはその企業は再申請許可を得る、こういうようなことになっているのもよく存じております。だがしかし、私はことにお願いしたいのは、被害者意識で申し入れるわけではありませんが、本土に帰るについて二十八年間の断絶による立ちおくれ、しかも企業としましても、いまどおりの企業が営めるようにという素朴な県民企業に対しての意欲というものをよくおくみいただきまして、でき得る範囲においての御協力を賜わりますよう、この点に対してはお願いをしておきます。  次はバス企業問題に対してでございますが、バス企業というのは、いまさっき船舶企業にしましても一緒のことでずいぶん混乱をしておるし、まさに破産寸前に至っておるというのが沖繩バス企業実態でございます。申すまでもなく二カ年後に控えるところの海洋博もありますし、のみならずこのバス企業に対しては組合の力もずいぶん強くございまして、いま沖繩バス企業は、御案内のとおり本島に五社、その他にたぶん十三社であったと記憶しますが、所有台数が八百八十二台ですか、この企業はほとんどが資本金に対しての膨大なる赤字をかかえ、退職積み立て金とかそういうものは全然一銭もなくして、これに対するいわゆる経営というのは、いままさにピンチに至っておるわけでございます。私が申すまでもなく、三億五千四百万の資本金に対して七億六千一百万という赤字をかかえてきておる。しかもそれには退職積み立て金というのは一銭も含まれていない。おそらくことしに至ると、退職積み立て金も勘案しますと十五億くらいの赤字になるであろうということを言っております。  ここで問題になるのがいわゆる運賃問題でございます。運賃に対しては二カ年ごとにこれを更新するというようなことを承っておりますが、またかようなることに対しまして、復帰後において申請がなされておるのかどうか、この点に対してお伺いをしたいと思います。
  12. 小林正興

    小林(正)政府委員 現在沖繩バス事業経営が非常に困難をきわめておるということは先生指摘のとおりでございますが、具体的な運賃改定申請はまだ出ていないようでございます。
  13. 國場幸昌

    國場委員 まず詳しく内容を私が言うまでもなく、沖繩離島においてのバス台数あるいは本島においても、全部合わせますと八百八十二台ということの報告を受けております。そこで、一番問題料金問題でございますが、料金問題に対しては、本土に比較しますと九州だけにおいてでも四四・〇一%、こういうような運賃になっておるわけでありまして、乗車運賃を上げることによってしか再興の道はない。たとえば運賃表からしまして、福岡が八円六十銭に対して沖繩のほうが四円十九銭ですね。それで九州の三十三社を平均しますと、この平均運賃が九円五十三銭、これに対して四円十九銭、こうなっておりますね。それで、このような運賃ではどうにもできない。今日まで再三において運賃値上げの件をなにしましたが、復帰段階においてやったら物価をつり上げる問題だということでこれが阻止された。まさにピンチに至り、四十七年度予算に対してでもいろいろな整備統合、かようなる問題政府指導すると同時に、せっかく予算も組んだわけではございますが、会社内容が全部一様ではなくして、企業においての財政等問題運営に対しての資金の問題とか、かようなるものでせっかくの予算もこれを全然消化することなくして今日に至っておる、こういうようなことでございます。漏れ聞きするところによりますと、申請は四月、今月一ぱいには出すのだというようなことがあるようでございます。それに対して政府としては、いま沖繩本島に五社あるものをどういうようなぐあいに合理化していくか。それで九州においてのせめての平均運賃、私はこういうようなことを考えております。統合しなければ育成に対しての措置はしないよ、こういうようなことじゃなくして、彼らは彼らとしての理解の上に立った統合でなくてはいけないので、とりあえずは乗車運賃に対しての九州並み平均までは認めてやる。これが九州の半分にも足らないという四円に対して九円五十銭、半分にも足らない、大体四七%。そういうようなことであって、これをもって統合せなかったら運賃検討は加えないよということじゃなくして、まず、統合行政指導する前に、普通並み運賃だけには上げておいてもらいたい。それによって各会社のほうでは、これでも成り立たないならばわれわれはこれ以上政府に要求もできないので、ぜひ理解の上に立って、近代化、合理化するためには経費の節減、かようなるものも政府のなすべきことに対してはわれわれも、業者としても、いやしくも公益事業をするのであればやはり政府行政指導に基づいて協力して、それでも成り立たないというようなことになると、そのときにおいては、政府としましても指導のしかたにおいても彼らは力を持つということになりますので、かようなる方法でやっていただきたいということを希望するわけでございますが、昨年の予算から見ましても、一本化しろ、一本化できなければ政府は何もやらぬよということの全く独善的な指導方法では、これはいかないだろうと思うのです。だからそれに対する運賃申請のことに対して、いまさっき私が申し上げましたとおり、政府はまず九州並み運賃だけはとりあえず認めてやる。一本化しなければ認める何ものもないのだということでは、これはいかないのだろうと思うのです。かようなる事態であればこれに対する政府としての育成策、これをひとつお願いしたいわけなんですが、いかがなものでしょうか。その件に対して……。
  14. 小林正興

    小林(正)政府委員 ただいま御指摘のございました沖繩バス経営が非常に苦しい。そこで運賃問題が近く申請がなされるという御指摘でございますが、私ども統合とか集約とかというような問題運賃問題とは、もちろん関連はございますけれども、各経営を維持するために適正な運賃を取るというようなことは、これは当然前提でございます。本土を含めまして全国的に新しい補助制度を立てましたが、それもすべて運賃政策前提の上に、運賃政策ではどうしてもまかないきれないという部分が路線によってはあるというようなことで、運賃政策とあわせて新しい補助政策を四十七年度からとったわけでございます。その補助政策をとる際に、本土もそうでございますが、集約統合というようなものを前提として、企業基盤を確立した上で補助政策を打ち出そうということで、ブロックごと集約問題が出ておるわけでございます。沖繩について集約問題が非常に顕著に出ましたのは、復帰前に、琉球政府時代でございますが、本島の御指摘の五社のバス事業者集約統合の自主的な機運があるというようなことを沖繩開発庁あるいは私ども調査団でもつかみまして、したがって、四十七年度予算におきましては、本土と全く同じ集約維持補助というようなものとして、ただいま先生お話しのありました一億円という補助金を組んだわけでございます。しかしながら、復帰後現在の実態は、自主的な統合ということはなかなか困難であるというふうに聞いております。したがって、四十八年度予算におきましては、沖繩実態にふさわしいような予算を組むべきだというようなことで、本土ではいわば特例になるような、車両購入費補助というようなものを中心に約五千万の予算を現在組んでございます。これは、四十七年度予算というものは、ご承知のとおり四十七年の復帰前かなり前に組まれた予算でございますので、御指摘のとおり実績と予算とは相当な差額が出たわけでございますが、四十八年度については実効のあがるような補助政策を立てておるということでございます。  それから運賃問題については、その前提になるわけでございますが、当然適正な運賃ということは沖繩に限らず本土全般にあるかと思いますが、これは運賃問題として申請が出ますれば、当然実態をよく把握いたしまして、適正な率に改定をするということについてはやぶさかではないということでございます。  先ほど先生指摘のような九州運賃率が同じというようなことについては、これはできないわけでございますけれども沖繩実態、所要の計算をいたしまして適正な運賃率改定したいと思うわけでございます。
  15. 國場幸昌

    國場委員 意識的に九州と同じようなことはできないがということに私は抵抗を感ずるわけなんです。と申しますのは、物価にしましても、いま宮崎のほうなんかは沖繩よりもはるかに賃金も安い、物価も安い、こういうことをいわれておりますが、もっと九州よりも上がるかもしれませんよ。だから九州並みにはできないのだというようなことを、まっこうからこういうような潜在意識を持ってやっておるのでは困ると思うのですよ。だから、成り立つようにしてもらいたい、こういうようなことでございますので、いまバスの寿命、耐用年限、こういうことから考えました場合に、いわゆる八百台のうち九〇%以上が七年以上の古バスが動いておるのです。はなはだしいやつは十五年になるというのがあるのですよ。ですから、私は、これは右側左側通行という問題で便乗するわけではありませんけれども、事実のところ言いますと、沖繩バス事業はもう復帰前に早く右側左側に切りかえてもらいたい、こういうことを切に願望しておるわけです。その理由の一つは、もう自己再建ではどうにもできない、回転ももうどうにもできないのだ。合併合併といわれましても、その内容を含んでもし合併した場合にこの赤字をだれが背負うかということになりますと、これがおそろしくてどうにもできない。いまさっき申し上げましたように、三億五千万に対して七億六千万という、現在退職積み立て金も何も見ないで、昨年度における決算はもうすでに資本金の二倍の赤字をかかえておる。それをもし統合しまして離職者退職金を与えるということになると、やはり十億余りの赤字をかかえておるということなんです。ことしに至ってますます賃金は高くなってきておりまして、この賃金の比較も参考までに申し上げますと、全国的な平均からしますと、運転手給料とか職員の給料とか賞与の割りとか、これはほとんどが全部本土並みにやっておるわけです。ところが、企業者に対してはやはり公共料金、こういうことを言っては失礼かもしれませんが、いまの鉄道運賃みたいにして——鉄道国家がやっておるから何とかかんとかやっていけるかもしれませんが、公益企業としてのことからいいますと、これはとても再興はむずかしいわけなんです。だから政府は、抜本的な対策をやらなければこの問題は、さっき申し上げましたとおり解決できません。沖繩バス耐用年限は五カ年でございます。本土では何か三年ということを聞いております。ところが十五年になるバスがいま動いておるということなんか考えました場合に、しかもこれの九〇%以上が大体七年以上のおんぼろバスが動いておるというような現状でございます。だから私は、第一にともかく公共料金といえば響くのは民衆に負担がかかるのだ、こういうことをよく聞くわけではございますが、しかし。道路運送法第八条の第二項、これには、私が言うまでもなく、運輸大臣は、運賃及び料金の認可をしようとするときには、左の基準によってしなければならないというので、「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且か、適正な利潤を含むものであること。」、こういうようなことをうたっておるわけです。公益事業だからといって、これが企業というものに適正なる利潤というのを保証しないわけにはいかないということは運送法にもありますとおりでございますので、ひとつ、いまさっきの局長さんのお話では、九州並みにはできませんがということをおっしゃっておりますが、私はこれに対しては、いまさっきも申し上げましたとおり、もう一歩下がって、本土実態を把握しまして、それで適正なる運賃をきめていただきたい。その見解に対して……。
  16. 小林正興

    小林(正)政府委員 運賃申請が出ました場合に、当然計算をいたして出すわけでございまして、先ほど九州並みにできないと私申し上げたわけではなくて、九州と同じにするというような査定方式がございませんで、それぞれ九州九州四国四国沖繩沖繩で計算いたしまして、結果的に賃率が出るものでございますので、そういった意味では九州並みにするようなお約束はできない、こういう意味でございます。  それから、車齢の問題につきましては、ただいま御指摘のとおり沖繩バスが非常に車齢が古い、これは大きな問題であろうと思います。そこで、先ほどもちょっと助成で申し上げましたが、車両購入費補助、それからもう一つは、切りかえと事柄、動機は別でございますが、実質的には右左側切りかえに関連いたしまして、新しいバスに、特に車両が古い場合には改装がなかなかきかないというふうに技術的に聞いておりますので、新しい車にその際はかえていく。それに対しての補償または助成というようなものについて現在検討中でございます。
  17. 國場幸昌

    國場委員 沖繩は、御案内のとおり四十五の有人島がございます。そこで、沖繩本島で五社、離島のほうで約七十路線、十社あるわけですね。このいわゆる路線補助というのがございますが、この路線補助も、昨年一億七千万であったでしょうか予算に組まれておりましたが、その点に対しても、十三名よりか幾らか少ない客でからバスを動かすときにこの路線補助というのが適用されるとかいうことがございまして、せっかく路線補助をしたといえども、これもまだ全然未消化で沖繩には適用しない。こういうようなことで、絵にかいたもちみたいなかっこうになっちゃって、御承知のとおり四十五の有人島といえども、その学校のスクールバス、かようなものに対しては時間を設けまして、いつでもそれに即応すべしということであれば、この十三名という基準に必ず達しろということになりますと、これはもう適用を受けるところは一線もないのだ、こういうようなことをいっております。それに対して、路線補助というものの性格、沖繩に対しては特別措置法もあるし、また一県に四十五という有人島があるということから考えました場合に、離島に対しての特別なる配慮はできないものでしょうかということを考えるわけなんですが、それに対するお考え方いかがでございましょうか。
  18. 小林正興

    小林(正)政府委員 助成の問題につきましては、昭和四十六年度まで、沖繩復帰前は、本土におきましても離島または辺地における欠損補助、それから車両購入費補助という制度はあったわけでございます。それが、沖繩復帰を控えまして、本土におきましても従来の補助制度では非常に弱体であるというようなことで、昭和四十七年度分から非常に抜本的な対策として、ブロックごとにある程度の集約をいたしまして、その上で手厚い補助をしよう、こういう新しい制度本土は切りかえたわけでございます。その当時、先ほども申し上げましたが、沖繩復帰前におきましても本土の新しい政策沖繩本島においても適用できる、そういう情勢ができつつあるというふうに私ども聞いておりましたので、四十七年度予算においては本土並みの方式を適用することといたしまして、一億円の予算を組んだわけでございます。しかしながら、復帰後の実態は、先ほど来御指摘のありましたとおり、本島における五社の自主的集約ということがなかなか進まないということがはっきりいたしたわけでございます。そこで、四十八年度予算の編成におきましては、本土において新しくとった方式をそのまま沖繩に今後も適用することについては現状においては非常に無理がある、つまり集約統合前提とするような補助政策は無理である、こういうようなことから、従来本土にありましたいわゆる従来方式と申しますか、そういうようなものを沖繩に適用するのが一番いいのではないか。先生指摘のような離島辺地補助、こういうことで四十八年度はひとつやろう、こういうことでございます。当時言っておりましたいわゆる本土並みというものが適用できるということで四十七年度は考えましたけれども、実行上非常に無理があったということで、四十八年度は、沖繩実態にふさわしいような補助制度として五千万円を計上しておるわけでございます。
  19. 國場幸昌

    國場委員 いまの考え方に対して非常に感謝を申し上げます。ぜひそうしていただきたいことを希望する。  それで離島十社が七十両ある、こういうことですが、この離島対策に対して、沖繩はもちろん離島でありますが、さっきの航路問題にしましても沖繩本島宮古八重山を主体とする離島ですね。この離島に十社、七十両あるわけなんですが、これがまた一つの会社みたいな形態をなしておるわけなんですよ。これに対して今後どういうぐあいな政策をお持ちであるか、簡単にお考えをお聞きして、時間がありませんので……。
  20. 小林正興

    小林(正)政府委員 先ほど来本土における新しい方式を集約前提とすると申し上げましたが、その際のブロックのとり方といたしまして、離島は対象地域から別になっておるわけであります。したがって、一般的に申しますと、離島において十社あるというものはもともと集約統合の対象にならない、それ自体が一つのブロックである。したがって新しい手厚い方式を適用できるわけなんです。四十七年度に予算が全部消化できなかったという先生の御指摘でございましても、たとえば伊江島のバスとか与那国島のバスというようなことについては、新しい本土の方式がそのまま適用されるわけでございまして、沖繩本島とかただいま御指摘宮古島のように、一島の中に数社ある場合に本土の新方式は適用しがたい、そういったことでございますので、そういった一島に数社あるような島につきましても、従来本土離島辺地バスといってやっておった補助方式を沖繩には適用しよう、こういうことでございます。
  21. 國場幸昌

    國場委員 ずいぶん詳しいデータを持っておるわけなんですが、時間がございませんので、いわゆる右側左側通行の切りかえという問題、これは重要な問題なんですが、自治省、運輸省、それから総理府の沖繩開発庁ですね、こういう三者合議の上でなさねばいかぬという問題で、いままでの私の各省に対しての質問、あるいはまた直接に会っていろいろただしておりますが、どうも意見がまちまちで、これではたして——警察庁に言わせますと、来年の八月、九月、海洋博を一年後に控えて切りかえるのだ。また総理府としましては、沖繩県民の要望にこたえて、これは来年の八月、九月と言わず、沖繩県民がそのほうがいいということであれば復帰後においてでもいいよというようなこともある。しかし、すでに建設省のほうでは、縦貫道路とか高速道路に対しての沖繩海洋博に備える交通信号機、こういうものに対しては予算化されておるわけなんです。沖繩側としましては、大体自治省の意向に従いまして来年切りかえるというようなことで、トラックとかあるいはまたその他の乗用車とか、これは右ハンドルにすでに変えつつあるわけです。ひとりバスのほうはそういうわけにはいかない。昇降口の問題があるし、その点に対して運輸省としまして、警察庁としましても、切りかえるのは困難があるといえどもいつかはやらなければいかぬ。強行してやるならそれもよかろうが、しかし、裏づけするところの補償問題はどうするのかということが一番問題になるわけです。さっきも申し上げましたとおり、バス企業としては自分の力ではどうにもできないから、その切りかえを機会にできるだけ政府の力にすがってやろう、また期待、依頼心も強いわけなんです。その点に対しまして、各関連するところの自治省あるいは開発庁、あるいは主務省である運輸省としましていかなるお考えをお持ちでありますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  22. 小林正興

    小林(正)政府委員 右左側の切りかえにつきましては、すでにご承知のとおり、沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律で、昭和五十年五月十五日以降六カ月以内に政令で指定するということになっておるわけでございますが、ただいま御指摘のとおり、沖繩海洋博が五十年二月から行なわれるということもございまして、切りかえの時期をそれ以前にすべきであるというような意見が警察庁を中心に出ております。したがって、この繰り上げ実施というようなことについて政府部内で現在検討中でございます。これは当然警察あるいは沖繩開発庁の所管の問題でございますが、運輸省といたしましては、この切りかえに伴って御指摘バスのハンドル位置の変更と、とびらの変更ということが絶対的に必要になってくる事項でございます。したがって、右左側切りかえに伴って絶対的に必要になりますただいまの構造改造の問題については、何らかの形で国が助成すべきである、こういう基本的な考えを持っております。  そして現在検討いたしておりますのは、先ほど来御説明がございました車齢も非常に古いというようなことで、ごく新しい車齢については構造改造も可能であるけれども、全般的に申し上げますと廃止代替させなければならない、こういう考え方を持っております。その際にどういう補助が合理的に可能であるかということについて検討をいたしておりますけれども、これは切りかえの時期と技術的な切りかえ方式とが関連してくるものでございますので、その時期をいかにするかという政府部内の検討と、また運輸省としましてはそれと並行しまして、補助助成の考え方というものを政府部内の検討会にいま出しておりまして、関係省庁間で現在詰めておる段階でございます。いずれにいたしましても、切りかえの時期に間に合うように私どもとしては助成措置を確定いたしたい、こう思っております。
  23. 國場幸昌

    國場委員 くどいようですが、これは検討中でばいけないわけなんです。と申しますのは、御承知のとおり道は、設計する際において、カーブにおいて左ハンドル、右ハンドル、右側通行、左側通行によってやはり傾斜に対して勾配を持たすとか、技術的にも遠心力の関係がいろいろありまして違うわけです。信号機にしましてもしかりなんです。信号機に対しての、交通すべてにおいての予算はすでに予算化されておるわけなんです。だからそれが検討中、検討中であって、政府の方針がこれだということがきまらぬがゆえに、この前沖繩に行きましたら、婦人連合会のほうから反対だ、それから一般のなににしましても、これはアメリカ車両——国際的にもカーフェリーもできてくると、車の持ち込みもあるだろうから、早くこれを徹底させなかったらたいへんなことになる。いま県民も動揺しているわけなんです、政府の方針がはっきりときまらぬがゆえに。だからこういうような段階でありますので、これは一分、一時間、一日も猶予できないようにいま切迫しておるわけなんです。だから自治省あるいは警察庁、運輸省、この三者の合議がなされて、この方法でいくのだということを一日も早く新聞にでも発表しまして、県民の腹がまえをきめてもらわなかったら、これはたいへんなことになるのですよ。どうですか、それに対してはいつまでにその手順を踏んで公表できるということを——わかりますか。私はいままでの質問、これは地方行政委員会のほうでもやりました。また開発庁にしましても大臣、局長にも会って話しておりますが、いま皆さま方の御意見は全部まちまちになっておるのですよ。意見の統一がなされていない。そうしますと、いま検討中、検討中ではこれは絶対に済まされる問題ではないのですよ。くどいようですが、いかがですか。いつまでにこの合議が済まされて、来年の九月には切りかえるんだ、それに対して、また手順としてはこういうことで、混乱が起きないようにやるのだというような基本方針をいつまでに公表することができるか、これに対して、くどいようですがひとつ見解をお願いいたします。
  24. 小林正興

    小林(正)政府委員 切りかえの問題についての運輸省の態度でございますけれども、運輸省といたしましてはこの切りかえが、いつ切りかえられるか早くはっきりするということがきわめて必要である。それに伴う、先ほど来申し上げました、直接的にはバスの構造改造の問題がございますので、早くきめてほしい、こういう意見を前提といたしまして関係省庁でやっておるわけでございますが、この切りかえの時期の問題については、先ほどもちょっと触れましたが、すでに沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律で五十年五月十五日以降六カ月以内に政令で指定する日ということに現在の体制でなっておるわけです。したがって法律で定まっておる五十年五月以降に切りかえるということはすでに明示されておるわけでございますが、現在それをどの程度繰り上げることがいいか、ということについて、関係省といたしましては、沖繩開発庁とかあるいは警察庁とか、そういった関係方面で協議をいたしておるわけです。運輸省としてはそれの切りかえの主務官庁ではございますが、それに対しまして、当然関係官庁といたしましてその会議に積極的に出て、先ほど来申し上げましたバスの切りかえという絶対的に必要な問題があるので、この問題について早急に政府部内で検討の結果切りかえ時期をきめるべきであるという意見を積極的に出しておるわけでございます。そういうことで、こういった問題もなるべく近く早急にきまるかと思いますが、そういう意見で関係方面に折衝いたしておりますので、先生の御指摘のような趣旨に沿っているかと思うわけでございます。
  25. 國場幸昌

    國場委員 よろしくお願いいたします。これはもうゆるがせにできない問題なんです。政府のほうが一致したところの見解を公表しないうちは、沖繩のほうでも各業者、また一般住民、この問題はみんな動揺しておるのですよ。この前、総理府長官が行きまして、総理府長官は、県民の意思を無視することなくして県民の意思に従います、こういうようなことをはっきりおっしゃったのです。ところが私は二カ年前に地方行政委員会で、この問題に対してはずいぶん問題があるということで——御承知のとおり、世界あまたの国があるといえども、イギリスと日本だけが左側通行している。やはり時代の流れというものに対しては、地球も狭くなってきたし、右側通行に——沖繩だけは離島だから、やはり四、五年の間は検討して、今後の推移によってこれを検討したらどうですかということであったが、しかし経過措置としては三年以内にこれを絶対に切りかえる、こういうようなことになりました。これがまた最近に至っては、県民の意思を尊重するというようなことで、政府のほうがふらふらしておったのでは、これはとんでもないことになる。日本の政府は、窓口というのがみんな各省とも、何というか、悪くいえばなわ張りというのでしょうか、これがあって、なかなかある問題の意見の統一ができないということをよく言われておりますが、しかしそれではいけないと思います。私のほうはこの係だからこれ以外には知らないよということであると、向こうは向こうの権限を主張するし、また開発庁は開発庁の権限を主張するし……。この前総理府長官のお供をして沖繩へ行ったのです。そこで各種団体との集まりの中で、この問題は重要な問題だから、ひとつこうしてもらいたいというような希望があったわけなんです。こうしてもらいたいというのは、海洋博が済んであとにこの切りかえをやっていただきたいというのが、婦人連合会の会長、各事業団体からこれを言ってきた。バス協会のほうでは早く切りかえてもらいたい、こういうことの希望があります。そこで私は率直に言いました。いまから二カ年前に地方行政委員会において、私は、こういうようなことで世界の流れというのもこうであるから、幸いに離島だから、アメリカにはフィジー諸島において国際条約の関係があるからということが理論であるが、しかし事実こういうことがありますというようなことでやったが、これは警察局長のほうで押し切られまして、委員がそういうようなことを言っても——しかし、基本方針として三年以内には切りかえます、やむを得ない。それであれば右側左側に対して事前になさねばいけない問題は、バス問題から舗装問題——これは全部記録に残っておりますから、私はあえてこれを言うわけなんですが、かようなることで現在までの流れはきておるわけなんです。ところがあれから約二カ年たった今日において、まだ意見の……
  26. 井原岸高

    井原委員長 國場君、予定の時間ですから、できるだけ結論を急いでください。
  27. 國場幸昌

    國場委員 意見の統一が見られないということに対して、私はまことに残念だと思うのです。でありますので、ひとつその点を御配慮されまして、これは県民のみならず、再来年行なわれる海洋博に対しても、その設備の前提条件として一番重要な問題ですから、これをひとつなにしていただきたい。あと一分ですから、あまりよけいなことをしゃべったとは思うのですが、いま野党のほうから、いいからとおっしゃるので、一分だけ。  この前にもお願いいたしましたが、これは大臣のほうで、航空運輸関係ですので、実はぜひ早急にやらにゃいけない問題でありますが、南西航空の格納庫、七百坪、これがなければ——復帰三カ月以内に申請し、その許可をもらわにゃいけないという航空事業に対しての免許がまだおりていないわけなんです。それに対しての格納庫の敷地、これが全然きまらないということで、この前にも質問しましたが、いまだにこれがきまっていない。それがこの前、海岸ばたにやったらどうだ、滑走路を越して海岸といいますと、これがどうにもできないということで、幸いにしまして沖繩島内においての民間仮ターミナルがあるのです。そのターミナルの敷地内に続いて七百坪あるので、そこのほうが将来においてでも島内航空のいわゆる発着地としての待機所になるということで、そこにしていただけませんでしょうかということでございましたので、いまだにこういう資格、設備基準というものに支障がありまして免許がおりていないということでございますが、これは全く企業者の責任ではなくして、飛行場を管理するところの問題でございますので、運輸省のほうにおきましてもその格納庫の敷地は便宜をはかっていただきたい。図面もここにございますので、後日またなにしますから、どうぞひとつよろしくお願いします。  時間も切れましてまことに申しわけないとは思いますが、しかし、あまり質問するのが多くてなんでありますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。それでは大臣ひとつ……。
  28. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 先ほど自動車局長お話しになりました切りかえの問題でございますが、これは私も聞いております。これは沖繩開発庁が中心になりまして、警察庁とか私のほうとか大蔵省その他関係省庁の間で協議しておりますが、私のほうの態度は、先ほど局長が言ったとおりです。これは促進したほうがいい。それから海洋博には、私の見解ではおそらく非常に自動車もふえますから、内地からも熟練をした運転者が向こうへ行くだろう、カーフェリーに乗ってもいくだろう、そういうことを考えますと、安全の見地からいいますとなるべく早く、切りかえるものなら切りかえたほうがいい。それには、しかし法律改正をしなければならぬ、そういう改正が必要なわけであります。そういう点をめぐりましていろいろ関係各省の間で、そんなに急がぬでもいいじゃないかというものと早くやろうというものと、なかなか意見が一致しないということで今日になっておりまして、あなたのおっしゃった補償の問題とかそういった問題は、もうきまっておるわけです。ただ、時期をいつにするかということでまだ結論が出ないということでございますから、私のほうから沖繩開発庁に促進いたしまして、早くいずれかに決着がつくように計らいたいと思いますから、その点御了承いただきたい。  それから南西航空問題は、この間航空局長がお答えしましたとおりです。別にそれを故意におくらしておるわけでもございませんが、やはり航空のほうは安全が第一でございますから、それに適合するかどうかということが中心でございまして、その点について現地でも非常に精力的に交渉といいますか、話を進めておるのだと思います。ですから、その点さえ解決すれば、問題はごく簡単に済むんじゃないかと思いますから、そういうふうに御了承いただきたい。
  29. 國場幸昌

    國場委員 どうもありがとうございました。
  30. 井原岸高

    井原委員長 久保三郎君。
  31. 久保三郎

    ○久保(三)委員 限られた時間でありますし、詰められた時間だから簡単に一つだけお伺いしたい。  それは具体的な問題としては、苫小牧港におけるところのカーフェリー問題を中心にしてお尋ねするわけであります。  そこでまず第一に、カーフェリーが先般の港湾法の審議のときにも一応話題になりましたが、カーフェリーの認可というか許可、こういうものについての基本方針は何であるのかということですね。統計等を見ますると、だんだんふえていくのです。これは当然かもしれませんが、多くなっていく。多くなっていった結果としてどうなるか。いろいろな問題が出ると思うのです。そこでカーフェリーをこれから、いままでもそうなんですが、認可する基準の一番大きな柱というのは何だろう。これをお聞きしたい。
  32. 佐原亨

    佐原政府委員 大きな柱と申しますと二点に尽きると思います。第一は、その免許によりまして供給が需要を上回らないこと、供給過剰にならないこと、これが一つ。それだけの裏づけの需要があるということが、まず一つでございます。それからあとは、係留施設その他その運航に安全上支障がないこと。この二つが大きな柱であると思います。
  33. 久保三郎

    ○久保(三)委員 その二つの柱のうちで、どっちに一番重みをかけますか。
  34. 佐原亨

    佐原政府委員 フィフティー・フィフティーだと思います。
  35. 久保三郎

    ○久保(三)委員 大臣にお聞きしますが、大臣の所信表明ではフィフティー・フィフティーに重みをかけるということは絶対に言っておらぬ。また世間も、国民全体も、いまそういう解釈では承知をしないと思うのです。いまやすべての問題といったらたいへん語弊があるけれども、交通だけに限ってみても、安全や公害のワク内で問題を処理するというのが、当面する交通政策の基本的な方針だと思うのでありますが、運輸大臣いかがでしょう。
  36. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 すべての交通機関について、私が先般来申しておりますように安全を保持するということは一番大事な問題であると思います。しかし、事業によりまして、いま局長が申しましたように、それを同じような比重で、パーセンテージではかってみろといわれましても、立場が違いますから、同じように考えることは私は無理だと思いますが、いまのカーフェリーごときは、これは免許事業でございまして、免許をいたします場合には、その事業が国民の交通機関として国民の福利に役立つようにという見地からいたしまして、そういう事業があまりに過当競争をやりまして、両方とも共倒れになってしまって、かえって国民の福利を害するというような結果にならないようにということは、免許事業の性質上、これは当然考えるべき問題でございまして、局長はフィフティー・フィフティーと言いましたが、私はこれは次元の違った問題で、両方とも大切な問題でございますが、いま申し上げたような意味で、これは安全はどうしても守ってもらわなければならぬ。しかし、それについて事業によって違いますけれども、いろいろの見地からその事業が国民の福利に役立つような経営をさせるということも、これも忘れてはならぬ問題であるというふうに考えております。
  37. 久保三郎

    ○久保(三)委員 私は、この安全と需給の問題は次元の違った問題だとは考えていないのであります。これは同じだと思うのです。同じ次元だと思うのですね。交通を、輸送をどうするかという問題でありますから、同じ次元の中で考えていく。その同じ次元の中で考えていって、比重はどうかといったら、やはり安全だということなんですね。これは安全を忘れてそのワクをはずして、需給が、いわゆる需要があるからこれをやろうというふうなことでやったのでは、いままさに都市交通におけるところの自動車のように、どうにもならなくなっていくことは当然だと思うのですね。  そこで、時間がないから具体的に入りますが、苫小牧港を中心としたカーフェリーの今後の扱いはどうするのかということです。いま新しい申請も出て、この四月からあるいは八月からも新しく就航するものがある。現に就航しているのは二つある。これは私から申し上げるまでもなく、日本沿海フェリーあるいは太平洋沿岸フェリー、こういう二つがあるんだが、これはみんなシフトして入港、出港している。というのは、苫小牧港は、鹿島港の先べんをつけた港でありまして、掘り割り港であります。掘り割り港であって、カーフェリーのバースは一番奥にある。中の航路は、ご承知のようにそんなに広くない。しかも苫小牧港は、最近港湾の出入りが数多くなってきている。そこへもってきて同じ時間に大体出港、入港するようになる。だから、片方の船はどうしてもシフトしなければならぬというような状態。ところが、シフトする場所はどうかというと、掘り込み港でありますから、いわゆる港湾内におけるところの錨泊地がない。港外で錨泊する。しかもこれは北海道の港でありますから、天候もそういい状態にはならない。そういうところへもってきて、時間帯を間違えば非常に事故が多い。ところがいま二隻でもってそういう状態を繰り返しているのに、さらにこれをふやしていく。ご承知のように八戸−苫小牧間のシルバー、あるいは大阪でありますか名古屋−東京間におけるところの新東日本フェリー、こういうものも新しく許可しようとしている。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 そのほかに、先ほど言った日本沿海フェリーあるいは太平洋沿岸カーフェリー、この二社はそれぞれ四月あるいは八月に増便をしようというのですね。こういうことで、はたしてうまく苫小牧港の中で操船ができるのかどうか、現地ではたいへんな騒ぎになっている。このことを海運局長は知っておられますかどうですか。
  38. 佐原亨

    佐原政府委員 苫小牧を中心にしたフェリーの現状でございますが、先生ただいま御指摘のとおり、日本沿海フェリー、これが三隻で日発でやっております。それから太平洋沿岸フェリーが現在は一隻でございますが、この七月から二隻にふやしまして、二日に一便、隔日運航、そのほかにシルバーフェリー、新東日本フェリーが免許になっておりますけれども、時間帯の関係から申しますと、シルバーフェリーと新東日本フェリーは夕刻以後苫小牧港に発着いたしますし、それから日本沿海フェリーと太平洋沿岸フェリーのほうは朝発着いたします。したがいまして、時間帯で残りの二社はうんとずれておりますので、埠頭が重複するといいますのは結局日本沿海フェリーと太平洋フェリー、この二社の船舶になるかと思います。この件につきましては、現地でいろいろ関係機関相談した結果、いろいろ安全対策を立てながら調整をはかったつもりでございますが、ごく最近時点に至りまして、全日本海員組合のほうから、若干安全上支障ありというようなクレームが出てまいりました。関係者で目下協議を始めておる、こういう段階でございます。
  39. 久保三郎

    ○久保(三)委員 海上保安庁長官にお尋ねしますが、この免許の際には、長官には海運局長から合議というか、協議があるのですか。
  40. 野村一彦

    ○野村政府委員 その現地を管轄しております地方海運局長から、私どもの同じ対応する管区本部長に意見の照会がございます。
  41. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それでは現状並びにいま海運局長が申し述べたような免許のしかた、時間帯がずれるからという話でありますが、われわれが知っている範囲ではそんなにずれない。そういう港に対して安全が保たれると思っていらっしゃるのですか。
  42. 野村一彦

    ○野村政府委員 地方海運局長から管区本部長に対しまして照会があります場合に、私どもが回答いたします場合には、もっぱら航行の安全上の見地から回答するわけでございます。この苫小牧の場合におきましても、こういうことはやってはいけない、それからこういうことならば、こういう条件のもとにやっても特に安全上問題はないというような事項につきまして、たとえばいま先生のおっしゃいました時間帯について、こういう時間上の間隔をとりなさいということ、それから当然のことでございますけれども、たとえば苫小牧の場合は信号所がございまして、五百トン以上の船は出入港について一船一船信号をしてチェックをいたしておりまして、その信号に従うこと、それから風雨、波浪並びに霧の状態、そういう場合における航行安全上の具体的な基準を定めること、そういうようなことを含めまして、特に苫小牧の場合におきましては関係の両社、現在のところ両社ですが、ふえれば四社になるわけですが、そういう関係のフェリー会社それから港湾管理者、それに海運局の支局長、私どものほうの海上保安署長——これが港長を兼務しておるわけですが、こういうものが連絡調整協議会をつくりまして、そして具体的な安全性の保持、そういうスケジュールの調整等については、会社のいろいろの調整の指導をする、こういうことで条件つきと申しますか、こういうのでいけないこと、それからこういう条件が守られるならば安全が保たれるということを回答をいたしております。
  43. 久保三郎

    ○久保(三)委員 重ねてお尋ねしますが、その調整がつけばというが、先ほど言ったように港外に停泊するというか、投錨してシフトしている。そういうものによって時間の調整をいまでもやっている。これからそれが多くなるのですね。そういうことに適している港とはわれわれは見ていないというのが現地の状況なんですね。私も最近の現地は見ておりませんが、前に見たときにもそうだった。しかも大型だ。あなたがおっしゃるとおり、信号所があって交通整理するほどのいわゆる航路の狭さ、港のふくそう、そういう中に大型カーフェリーをそんなふうに入れていいかどうかといったら、たいへん疑問があると思うのですね。だからお聞きしたいのは、いわゆる港外においてシフトが可能であるという状態にある港であるのかどうか、いかがですか。
  44. 野村一彦

    ○野村政府委員 二つの観点があると思います。  これを利用する時間帯から見ますと、Aというフェリーが一たん岸壁に着きまして、乗客及び貨物をおろして、そして港外に出ていく。そのあとに次のBというフェリーが来る。こういうふうに逐次間隔を——私ども指導ではいま一時間の間隔をもってやっておるわけでございますが、現在日本沿海フェリーが一番早朝に入って、そして出ていく、それからその次に太平洋沿海フェリーが入ってきます、そしてそのあとに今度はまた日本沿海フェリーの船が入ってくる、こういう状況になっておるわけでございますが、この時間帯からいいますと、先ほど海運局長が言いましたように、一時間の間隔をもってシフトをするということは、これは可能でございます。  それから港外にこれが錨泊をするということにつきましては、御指摘のように港の状況から見てやむを得ないことかと思いますが、この場合につきましても、錨泊する場合、それからたとえば毎秒十五メートル以上の風が吹いた場合、あるいはうねりが一五以上になった場合、その他視界が一マイル以内になった場合、それぞれの安全基準といいますか、励行すべきルールを指導いたしましてきめさせまして、そしてそれを守っているという現状におきましては——もちろんそういうことをしないで、着岸をしたままで離発着ができれば一番いいわけでありますが、安全上の、直ちにこれが事故につながるほどの危険ではないというふうに現在判断いたしておるわけでございます。
  45. 久保三郎

    ○久保(三)委員 最後お話では、安全上に直ちにつながる問題ではないというのですが、そうすると安心してよろしいというのですか。ことばじりをとらえるようでありますが、いかがですか。
  46. 野村一彦

    ○野村政府委員 私どもが定めましたその指導要領というもの、また先ほどの協議会できめられました事項を守って、そしてこれを厳守してやっていただければ、直ちにそれが事故につながるような、そういう不安感はないということで——もちろん着岸したままの状態でおれば一番いいわけでございますけれども、それができませんので、先ほど申し上げましたようなルールを守れば不安はないというふうに考えております。
  47. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いずれにしても、汽車にしても飛行機にしても、そう定時に発着ができるはずのものではないのですね。一番正確なのが汽車、あるいは最近では飛行機、その次には船といって——船のほうは、そう簡単に定時にというわけには、長距離の場合にはいかないと私は思っているのです。しかも荒天の場合などは、どんな取りきめをしているのだかわかりませんけれども、どこへ待避したらいいか。港外へ錨泊していい——安全についてどんな規則をおつくりになっているのかわかりませんが、大型のカーフェリーが一般の貨物船と同じように扱われていいんだろうか。そこに安全に対するところの観念が私は薄いと思うのですね。  海運局長に重ねて聞きますが、先ほどあなたが言ったフィフティー・フィフティーは運輸大臣は誤りだと言ったが、そのとおりだと私は思うのだが、これからのカーフェリーがすべて——これはカーフェリーばかりじゃありませんけれども、交通需要に応じて無制限に、必要があれば免許していこうという、そういう姿勢であっていいと思うわけには私はまいりません。しかも無理をすれば何とかなるというようなことで許可する時代ではもはやないと私は思うのですね。責任はだれが負いますか。ついこの間も、新聞によりますれば、このカーフェリーを引くところのタグボートが何か小型の船と衝突して、けがとか死んだとかいう話が出ているのですね。そういう問題カーフェリーの中に出てきている。まだたった二社、しかも二船、これから、もうことしの八月になると大型カーフェリーが七隻入ってくるのですね。そういう場合に、申請さえあって需要があれば何でも許可するという態度が私は変だと思うのですね。それでやりくりすれば何とか入るだろうから、もういま時間を守って、需要に応じられて営業が続けられるという企業はどこにもありませんよ。五分でも十分でも早く着くように競争の市場が、いわゆる交通市場のメカニズムになっているのです。そんなことは、私から言うまでもなく御承知のとおりだと思うのですね。そんなものを規制できるはずだったら交通事故なんかありませんよ。はっきり言って。今後どういうふうになさるのですか。これからの、こういう免許に対してどういうふうな方針ですか、苫小牧ばかりじゃなくて。
  48. 佐原亨

    佐原政府委員 大臣からもお答えいたしましたように、安全を無視しての交通機関というのはあり得ませんので、免許に際しましても当然その安全問題は十分慎重に検討いたしましてから免許する方針で従来もやっておりましたし、今後もやるつもりでございます。当該苫小牧のいまの二社の場合も、免許に際しましては港湾管理者あるいは港長等の意見も照会いたしまして、その返事を待っていろいろな条件を付して免許しております。ただいま申しましたように、現在は二社の四隻でやっておりますが、少し時間がたちますと四社八隻になるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、これから出てまいります二社は夕方の発着になりまして、時間帯的にかなりずれておりますので、埠頭の競合という問題だけに着目いたしますと、現状のように沿海フェリーと太平洋フェリーの二社の船が競合する、したがって二社の船がシフトする、こういうことになるわけであります。さらに、苫小牧につきましてはいろいろ申請が出ておりますけれども現状の港湾事情等から判断いたしまして、現在以上新たに免許をおろす気持ちは現時点ではございません。港湾整備を待ちまして将来の問題として考えておる次第でございます。
  49. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまは認可して八月までの予定は立っておるのでしょう。それまでは認可したのでしょう。
  50. 佐原亨

    佐原政府委員 繰り返しますが、現在まで認可いたしましたのは、日本沿海フェリー、これが三隻でございます。それから太平洋フェリーが、現在一隻でございますけれども、この七月で二隻になります。したがいまして朝方苫小牧に発着する便はこの二社の五隻。片方は日発で毎日発着をいたします。片方は隔日でございますので、二日に一ぺん発着いたします。二日に一ぺん競合という現象が起こる、こういうことでございます。それから残りのシルバーフェリー、これは免許済みでございますけれども、近々一隻が入ります。これは先ほど申しましたように夕方の発着時刻になっております。それから新東日本フェリー、これは将来二隻になりますけれども、夕方発着いたしまして、このシルバーと新東日本は時間帯の調整がついておりまして、シフトする必要がないようなダイヤに組まれておるわけでございます。したがいまして、将来は八隻になりますけれども、お尋ねのような埠頭の競合問題といたしましては、あくまでも日本沿海フェリーと太平洋フェリーの二社の問題である。これ以外に出ております申請は、当分港湾事情を勘案して新たに免許をおろす気持ちは現時点ではございません。こういうことでございます。
  51. 久保三郎

    ○久保(三)委員 港湾局長にお尋ねいたしますが、苫小牧港はまだ完成してないと思うのですね。いま問題になっておる苫小牧港のカーフェリーのバースの問題、このバースをふやす予定なりあるいは航路を拡幅し、しゅんせつする、そういう作業はおやりになっておると思うのでありますが、いまお話が出ましたようなそれぞれの会社の大型カーフェリーの免許については、もちろん合議があって承諾されたと思うのでありますが、安全性についてあなたはどういうふうに考えられていますか。
  52. 岡部保

    ○岡部政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの安全性につきましての問題、これは先ほども海運局長海上保安庁長官の申し上げたとおりでございます。ただいま先生お話にございました現段階で港湾施設が十分であるかどうかという点については、私ども必ずしも十分ではないと考えております。したがって現在カーフェリーが使っておりますバース、これは暫定的な使用でございます。それで、港湾管理者の計画で、現在まだオーソライズされた計画にはなっておりませんが、近々これを申し上げたいと思っております。  港湾管理者の計画におきましては、新たに別のところに二バース、バースをつくるということを計画いたしまして、でき得れば、四十九年度一ぱいまでに二バースを完成する。そこでいまの暫定バースからそちらへカーフェリーの使用地域を移すということを現在計画中でございます。
  53. 久保三郎

    ○久保(三)委員 重ねて伺いますが、二バースを増設して現在位置より移すというのでありますが、それはいまある現在のバースよりは奥になるのですか、手前になるのですか。
  54. 岡部保

    ○岡部政府委員 港口から考えますと、現在の暫定使用いたしておりますバースよりも若干港口に近いほうになります。と申しますのは、現在使っておりますのか、石炭埠頭として整備いたしました四バースあるわけでございます。それの第三バースの半分と、第四バースにかかってのバースを使用しておりますが、その石炭埠頭の一番外側の先端部分に新たにつくろうということを考えております。
  55. 久保三郎

    ○久保(三)委員 若干の近さでありまして、若干というからあまり近くなるわけではなさそうでありますね。  それと同時に、もう一つは、苫小牧港というのは、これから一般の船舶の出入りが多くなると思うのですね。そういうところに客やあるいは車を積んだ、しかも大型のカーフェリーがたくさん入ってくるのは、たいへん危険だと私は思うのですね。しかも、さっき言ったように航路が一定されていて、信号が操作されているような港内では、一船が入っていれば、これは出てくるまで港外で予泊しなければならぬ。これはだれが何と言おうとも、どんな方法をとろうとも、非常に危険であることは間違いないと思うのですね。そんな問題を含めて考えれば、私は別の仕事がありますのでやめるほかありませんが、これはもう一ぺん考え直す、点検し直す必要があると思うのです。もちろん、てまえが属している交通安全特別委員会でもこれは調査します。そういうでたらめな免許が許されていいはずはありません。しかもいま、聞くところによると第三者である行政管理庁長官、そういうものの手元で、もう調査しているそうでありますから、せめて政府部内のそういう監察機関からの報告を待って、これは処理する必要があると思うのです。しかし、それは別にすすめるわけじゃありません。いま幾つか起きている問題についての解決方法をとらぬ限りは、これは船員組合は乗船拒否をしますよ。そうなった場合に、だれが責任をとるのか。狭い港で錨泊地もない、そういうところに大型のカーフェリーを無理に押し込もう、需要があるからやろう、そうなった場合、だれが責任をとるのですか。海運局長、もう一ぺんこれは答弁してもらいたい。どういうふうな措置を考えているのか。
  56. 佐原亨

    佐原政府委員 何回も同じことをお答えするようでございますが、免許をするに際しましては、現地の港長、港湾管理者の意見を十分聞きまして、条件つきではございますけれども、安全上支障なしという判断のもとに免許をいたす。確かに、二バースができましてそのシフトを行なわずに済めば、それが一番理想的でございますけれども現状におきましては物理的にそれが不可能である。片やこういうようなものに免許をすることはいけないとおっしゃいますけれども、この北海道本土とのフェリーは、もう一カ月ぐらい前から予約満席のような状態でございまして、これも一がいに無視できません。したがいまして、きめられた条件を十二分に守りまして、安全対策上万全の配慮を行ないながら運航を続けてまいりたい、このように考えております。
  57. 久保三郎

    ○久保(三)委員 地元の港長その他の意見も聞いて承諾したと言うが、運輸省が認可したからやむを得ずわれわれはやっておるのだという話が地元にはあるのですよ。聞いていますか。もちろんわからぬでしょう。これは上のほうできめられたのだ。それをほんとうの声を聞かないで、上のほうで判こを押せばみんな自動的にきめられていく、そういう仕組みの問題だと、私は、一つは思います。  それからもう一つ、一カ月か二カ月前から満席だと言うから、満席ならおそらくもっと運ぶのにどうしたらいいのか。総合交通体系というもの、そういうものの中で解決するのが総合交通政策なんですよ。団体募集をして、二カ月も三カ月も前から満席にしておる、そういう実態についても調べてみたことがありますか。  それから北海道へ行くのには、カーフェリーだけが輸送機関じゃないんじゃないか。これからカーフェリーだけに乗ろうとする人は、いわゆる選好にまかせて、その好みにまかせて輸送するなんという時代じゃもうありませんよ。それじゃ安全じゃない。そこらを考えて、もう少し考え直してもらいたいと私は思うのです。  私は、きょう質問したのは、事故が起きることを予知しながらものを言わぬでいたのでは責任がとれないだろうと思うので、皆さんにも申し上げておるのです。運輸大臣、いかがですか。これからの免許のあり方、これからの需要と供給との関係はどうあるのか。いままでの御答弁のようなことでは、私はどうも納得しかねる。いかがでしょうか。総合交通政策というものはちっとも生きてもこないし、作文だけに終わってもいけないし、何にもないと同じだから、具体的に運輸省が、きのう与党のどなたかの質問にもあったように、具体的な政策を一つでも出したらどうですかと言うのです。そういう意味で、私はあなたに御答弁を求めたいと思うのです。
  58. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 総合交通体系は、われわれもその路線を守っているつもりでございますが、昨日もちょっと申し上げましたが、船で行きたいという人を、いや、あなたは船に乗っちゃいけません、汽車に乗りなさいと言うわけにもまいらない。でございますから、船に乗る方については、乗るような理由があると思いますから、なるべくその利用者の希望に沿って交通機関を整備していくのが、これは本筋だろうと思っております。ただ、いまお話しのように、安全を害してまでそういう航路への就航船をふやすというようなことにつきましては、これは考えなければなりません。もちろんそういったことは、運輸省においてもいままでもやっていないと思います。今後もそういったことはやらせません。しかし、いまの具体的な問題については、私は苫小牧の港というものは知りませんが、いま地図で見ました。第一に、航路筋の幅がどうだろうかという問題が一つある。またバースの余地がどうかということもございます。それから港外の錨地がどうかということもございます。こういった問題は、きわめて常識的に、だれが見ても判断できる問題が多いのでございまして、そんなに日本海運は歴史のない海運ではございませんから、外国におきましても、いろいろな港がございますが、そういった港でも安全に運航されてきておりますから、そういう常識はずれの許可を運輸省がしておるとは私は考えません。局長が申しますように、このカーフェリー許可をいたしますときには、やはりそれが安全運航されるということを考えつつ、そういう輸送需要にできるだけ対応するようにという両方の見地から許可をしておるものと考えておるのでございます。  なお、苫小牧につきましては、私はよく事情を知りませんから、今後よく調べてみます。調べてみますが、御懸念のないような方向でこれを処理しなければならないことはもちろんでございます。ただ、今日までやってまいりました処置は、御心配のような点は十分考えて、こういう条件、こういうやり方を守ればそれはだいじょうぶであるという前提のもとにやっておるに違いございません。この点は、そういう条件を関係者が十分守りますようにこれからも十分指導いたしまして、御心配のないようにしたいと思います。
  59. 久保三郎

    ○久保(三)委員 大臣のお話は至って常識的にお答えいただいたので、これはわかりました。  海運局長にもう一ぺん最後お話ししますが、事態は深刻な事態のようにわれわれはとっておる。あなたのほうの海運もきっと調査に行ったでしょう。行ってないのかな。行ってなければ行ったほうがいいですよ。あらためてこれからの運営について、これはやはりあなたが許可するかしないかの中心だから御調査いただいて再検討する必要があるし、海上保安庁長官は他から与えられたことだからやむを得ずということじゃなくて、これは積極的に問題を処理しなければならない立場だと私は思うのです。お二人から再検討の用意があるかどうかお聞きしたい。
  60. 佐原亨

    佐原政府委員 すでに免許いたしました件は、何回も繰り返して申しわけございませんけれども、現地の意見を十分聞いて、一応安全と判断して免許いたしたつもりでございます。ただ、全日海からのクレームが出ていることも事実でございますので、物理的な限界はございますけれども、もしその限界の中で改善すべき余地があるならば、これからさっそく取り上げて改善いたしたい。その意味で現在、また関係者が集まって協議を始めさせております。まだ現地までは行っておりませんけれども、なるべくそういった線で善処いたしたいと考えております。
  61. 野村一彦

    ○野村政府委員 海上保安庁はもっぱら安全の見地からこの問題に取り組んでおるわけでございまして、先ほど申し上げましたような対策を講ずれば、現状において不安はないという考えを持っております。  今後の推移につきましては、先ほど申し上げました協議会におけるいろいろな具体的な問題の処理の過程におきまして、海上保安庁の安全保持上の立場からの意見を申し述べながら安全運航が確保されるようにやっていきたい、かように考えております。
  62. 久保三郎

    ○久保(三)委員 以上で質問を終わりますけれども最後に保安庁長官に、この問題とは違いますが、一言申し上げておきたいのです。  それは海上交通安全法がいよいよ実施になりますね。この海上交通安全法の審議の最中にもいろいろ問題が提起されました。しかし、結論としてこの海上交通安全法ができたそもそもの原因は、船が大型化して大型船が多くなってきたということから出発したと思っていいと思うのです。だから、どうしてもその法律の中心はそれが中心になってきておる。この鹿島灘近海においてもそうですよ。近海をずっと大型船が通る、そこに漁船がたくさん出ている、だからそこで漁船が衝突させられる、あるいはひき逃げはおかの話でありますが、当て逃げというかそういうものまで出てくる騒ぎなんです。だからこれは、どこまでも船の航行の安全と人命の安全というかそういうものを基礎にしてやるべき筋合いでありますから、大型船の航行を安全にするのではないという、もとからの出方はそうであっても、実際の運営はそうでないというふうに考えてぜひ運用してほしいし、いまの苫小牧港の問題にしても、人間と荷物とはどっちが一番優先するか、私が言うまでもありませんね。そういうものを基本にしてこの航路指定あるいは航行の指定をすべきだと私は考えているわけです。これは当然な話であります。どうかそういう意味でこの問題も再検討されるように要望して、私の時間が来ましたのでやめます。  以上です。
  63. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 紺野与次郎君。
  64. 紺野与次郎

    ○紺野委員 第一に丸居船員局長にお聞きしますが、三月七日の当委員会において、久保委員とそれから河村委員の質問に対して、あなたは船員法六十七条の、いわゆる臨時の必要に基づく時間外労働の問題について答えております。それは船長が、その場合に公法上の立場と管理者的な立場と二つあるということを言っておりますが、これはきわめて重大な内容を含んでいると思います。問題があると思います。一体この管理者的な立場とは何なのか、そして船員法で船長が公法上の立場以外の管理者の立場ということで、はっきりとことばで書かれているところがどこにあるか、これをはっきり示してほしいのです。
  65. 丸居幹一

    丸居政府委員 船員法で管理者的立場の問題として特に書かれておるというのは、いま次々と見つからないのでありますが、ちょっと記憶にありますのは、五十五条なんかはそうじゃないかと思います。  それから、条文としては私はそれだけしか思い浮かばないのでありますけれども、船を運航いたします場合に、船舶の安全についての関係のものはやはり船長の公法上の立場に属するものじゃないかと思いますが、船はやはり船を航行する目的というものがあるわけでございますから、それは船長が船舶所有者の代理者的な立場に立って、管理者的立場の船長として運航するものがあるように思います。そういうものがやはり管理者的立場としての船長の立場でないかというふうに思います。
  66. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それは全くでたらめな解釈だと思います。あなたはことばが見当たらないでしょう。船員法の中に、はっきりと管理者的な立場ということを書いているところが実際上ないのです。法制局長官がおりますね。——別府第四部長ですね。この点についてどうですか。
  67. 別府正夫

    ○別府政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま船員局長が三月七日でございますか、久保委員の御質問に対してお答えした中に、船長の公法上の権限というものと、それから管理者的立場にある船長の目的というものと二つ考えられると思うということを言われたのに対して、紺野委員から、管理者的立場ということが船員法上書いてあるかという御質問があったと思いますが、管理者的立場というものを明示的に書いたところはございません。管理者的立場という用語を用いたところはございません。
  68. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから明瞭に船員法の中では、船長の立場というのは第二章で書かれているところの公法上の立場であって、いわゆる船舶所有者の代理だとかこういうことを軽々しく船員局長は言っているけれども、それは全く船員法に書いてないことをかってに拡張解釈しているのだ。そういうことをあなたは認めますか。
  69. 丸居幹一

    丸居政府委員 ただ、さっきもお答えいたしましたように、船は船舶の安全だけのために運航しておるのじゃありませんで、やはり物を運ぶ、それから運んだことに対して相手から報酬を得るといったことも含めて船を運航しておるのでございまして、そういうときに、船長は船舶所有者の代理人的な立場に立ってやっておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、私はたくさんは思い浮かびませんけれども、船員法の中にも、さっき申し上げましたように、第五十五条に、船長は船舶所有者の代理人としての立場で給料その他を支払っていくという一条もございますので、船員法そのものの条文の中にも、この五十五条はそういった条文であるというふうに思います。
  70. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それもあなたのかってな解釈であって、はっきりとこれは公法上でいわれているところの安全な航海に必要な船の機械の状態あるいは人的な状態、こういうものが保障されて、そうして安全運航が行なわれるようにというそのことの保障として、それは船長の立場で安全運航のために絶対必要なものとして船員に給料が支払われる場合には確実に船長が渡す、自分がやれない場合には職員がやるということを見届けるということであって、あくまでもこれは船会社の代理としてやっているのではないということをはっきりしなければならないと思うのです。その点、明らかに船舶代表者の立場であるというふうに不当にあなたが解釈を拡大している。これは法を誤るものだということです。どうですか。
  71. 丸居幹一

    丸居政府委員 第五十五条は、「船長は、海員の給料その他の報酬が船内において支払われるときは、直接海員にこれを手渡さなければならない。」というふうに書いてあります。これはあくまでも船舶所有者、当然雇用主である船舶所有者が支払うべきものを、代理人的立場から船長がこれを支払うという規定だというふうに思います。
  72. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それは、船長の権限はあくまでも第二章の中で書かれているところの規定ですね。それがはっきりといっている。いわゆる船員の職務権限は公法上のものであるということと、船長の権限は法律に基づいて直接に船長に与えられたもの、つまり、独立不覊のものであるということと、さらにこういうことをいっています。この権限は、海上航行という特殊な状態において「人命、船舶若しくは積荷の安全を図る」という公益を確保するために定められたもので、船舶所有者、荷主などの意思に左右されることは許されるべきものではないというふうにはっきりいっているのであって、あくまでも船長の立場は、船と人命と積み荷の安全をはかる公益上の確保という点からして、やはり独自の立場でそのことを監督しているのであって、決して船舶の代表者という立場で拡張解釈は許されるものではないということです。  それから、今度はそのほかの点について聞きます。  それはこの間の三月七日のときにも問題になりましたけれども、六十七条で船長が時間外労働をやらせる場合の、いわゆる臨時の労働というもの、これがつまり船舶代表者の立場として、そうして命令するようなそういう内容のものというものをあなたは主張しているわけですけれども、それは具体的にはどういうことですか。
  73. 丸居幹一

    丸居政府委員 二つ質問があったように思いますが、船長が公法上の立場からやるもので、船舶所有者の命令のきかない船長の立場があるじゃないかというお話でございましたが、それはそういう規定が船員法第二章に明定してございます。これは先生のおっしゃるとおりでございます。  それから、いわゆる船舶所有者の代理人的な立場から船長は六十七条でもって発する命令があるのかということでございますが、それは荷役のときなどはその代表的なものだというふうに思います。
  74. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それについて、六十七条の臨時の時間外労働ということについて、青函連絡船の渡島丸懲戒解雇事件で、札幌高裁でこういう判決を下しているわけですね。それは「船員法第六十七条にいう船長が時間外労働を命ずる臨時の必要があるときとは、過重労働を強要さるべきではない労働者の基本的な権利にかんがみ、船舶航行の安全保持上必要と認められるときと限定して解するのが相当である」ということを裁判ではっきりいっておるわけだ。でありますから、不当にこれを拡大解釈して荷役まで持っていくというようなことは、明らかに間違いであるというふうに思います。これはどうですか。
  75. 丸居幹一

    丸居政府委員 私もその判決の理由書を読みましたのですが、その点につきましては私たちは違った感じを持っております。これは上告中でございますので、いずれ最高裁で正しい結論が出ると思います。
  76. 紺野与次郎

    ○紺野委員 臨時の時間外労働について、あなたはそれ以外のことについてはどういうふうな時間外労働を考えているのですか。
  77. 丸居幹一

    丸居政府委員 荷役の場合もありましょうし、それから機関部で機関の修理をするような場合もあるいはあるのじゃないかと思います。それから事務部の職員あたりの問題もあるように思います。霧中航行あたりはどっちかというと公法的な船長の立場に属するかもしれませんが、さっき言いました三つ問題、そういうものがいまちよっと頭に浮かぶ船長の後者の立場における問題じゃないかというように思います。
  78. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それは非常にあいまいな態度で、一番重要な点についてきわめてあいまいな、しかも船会社、荷主に対する非常に利益を守るようなかってな解釈の立場に立っているのじゃないかというように思います。この十四条の二という、船長のいわゆる固有の権限というか任務等を規定しているところの中ではっきりと幾つかのケースをあげているわけですけれども、この中で異常な天候の場合、それから機械の故障、それからそのほか海象、地象、そういうものに重大な異変があった場合に、やはりいろいろのことをしなければならないというふうに書いてあるわけですね。ですから、このいわゆる海象及び地象というのはどういう場合をさすか。異常な地象とか海象ですね、これはどういうことですか。
  79. 丸居幹一

    丸居政府委員 海象のほうの代表的なものは、たとえば津波が起こるとかいうふうな問題じゃないかと思います。それから地象でございますが、これは浅瀬が海図等から見ると変化しておるというふうな場合ではないかというふうに思います。
  80. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから航海をやる場合の異常な状態、天候の上でも風が強く吹く、あるいは潮流の関係等々で異常な状態に遭遇する、あるいは暗礁、浅瀬等々がある地帯、そういう場合に安全に船を運航する任務をやはり船長は持っているわけです。そういう場合に、固有の船長の権限において時間外労働というものをきめるというふうに札幌高裁の裁判の場合にも考えているし、前の若狭船員局長の場合にもそう考えている。法全体をすなおに見ていけば、ちゃんとこういうところに六十七条の内容そのものが明文化されて入っておると思います。それについて、ほとんどあなた方は明白にこのことをしておらないということですね。そうしてそれ以外に荷役とか何か、こういうところにはみ出していくというのはたいへんな法に対する違反である、違反の解釈であると思います。
  81. 丸居幹一

    丸居政府委員 この前にも久保先生それから河村先生のときもお答えしたのでございますけれども、六十七条の解釈というものを、われわれはかってに解釈するというよりは、船員法全体をながめてみまして、六十七条の解釈というものが安全だけに限るという解釈をすると、解釈法上おかしいという点があります。そこで六十七条というものは、やはり安全だけに限らないのだということを申し上げたのです。ただ、安全だけに限らないのだというと、どんなに船員を酷使してもいいということになるのかというお話がございましたので、私は、船員法というものは船員の保護の立場に立った法律だからそういう解釈にはなりません、船長の臨時の必要という判断はあくまでも客観的に是認されるごときものでなければならぬ、そこが船員法に書いてある六十七条の一つの特徴であるというふうに申し上げた次第であります。
  82. 紺野与次郎

    ○紺野委員 その点でこの前の答弁の中に、六十八条との関係で六十七条が——六十八条はつまり船、人命それから積荷の安全をはかるために緊急を要する場合、あるいは遭難船とぶつかった場合とか、そういうふうに書かれておるから、だから六十七条の場合には荷役とかその他の問題意味しているのだというふうに、大体管理者としての立場から六十七条は書かれているということを答弁で言っているのです。しかし、その荷役という問題はもともとどこでやるのですか。港ですか、それとも航行中ですか。
  83. 丸居幹一

    丸居政府委員 航行中に荷物を締め直すというような場合もあるかと思いますけれども、一般に荷役ということばの意味するものは港だと思います。
  84. 紺野与次郎

    ○紺野委員 港には港湾労働というものがあるのです。ですから、停泊中において港湾の労働というものは主として港湾労働者がやる。もちろん船でやらないというわけじゃありませんけれども、時間外労働とかそういう大きなものはやはり港湾労働者がやる。そういうふうに当然なるのでありまして、無理に停泊中に時間外労働のほうまで荷役をどんどん延ばしていくというふうにするのは、船長としての立場というのではなくて、船会社の立場を代表して労働者に対して過重な労働を押しつけるというふうになって、そういう点で船員法の、つまり二十四時間船の中に拘束されておる海員の人間性を守るという点から、大きく逸脱していっておるものだということです。そういう点での時間外労働の最近の調査、そういう報告が送られてきておるのですけれども、そういう資料はあなたのほうに届いておりますか。
  85. 丸居幹一

    丸居政府委員 先生のおっしゃるとおりに、港湾に入った場合の船の荷役というものは、港湾労働者が荷役するということでございます。ただ、船員側に何も仕事がないのかということでございますが、たとえば商社との打ち合わせとかあるいは積みつけについての監督とかいったものがございますので、私が港湾における荷役作業と申しましたのはそういう意味でございます。自分で荷役する場合というのは、あるいは比較的少ないかもしれません。  それから、あとのほうのお尋ねでございますが、オーバータイムについて調べたことがございます。実例でございますけれども、在来船の地中海航路を走っております郵船の「加賀丸」というのを調べたことがございます。これは土曜、日曜のオーバータイムを除いたものでございますが、それ以外のいわゆる酷使に値するものはないだろうかという調査でございますので、たとえば土曜、日曜等は船に乗っておりますから、一日に何時間か労働いたしましても同じ船の中に乗っておりますので、たいした酷使に値しないのではないだろうか。そこで、むしろウイークデーに当然自分たちが一つの仕事をして、そしてまた余分に仕事をする場合に酷使になりはしないだろうかということに着目しまして調べました。そういたしますと、甲板部の職員では月に大体十五から十六時間、甲板部員で十時間程度、機関部の職員で十・五時間、機関部員で四時間、事務部の事務長は五時間、部員が二十七時間、事務部員はだいぶ多いようでありますけれども、二十七時間でございます。  それからもう一つ、これは郵船のタンカーでありますが、これを調べました。同じような条件でございますが、甲板部の職員が二十四・五時間、部員が十五時間、機関部職員が二十六・五時間、部員が十四・五時間、事務部が十八時間といったような結果でございます。
  86. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それはわれわれが実際に海員組合の方々からもらっておる調査表と非常な違いがあるということです。内航タンカーの一つの例によりますと、航海士たち、つまり職員の方々、これは百三十一時間、八十一時間あるいは八十六時間、甲板手が百五時間、九十九時間、百五時間、こういう時間外労働が非常に多くなっておるということです。それから外航のタンカー船の実例でありますけれども、一カ月間の総労働時間二百七十時間のうち七十時間、これは全部平均したもの、航海士の方でございますけれども、やはり七十時間です。そしてこういうばく大な時間外労働、これが荷役がおもなんです。荷役がおもで、それと関連する書類の作成というふうなことになっているのですね。そういう点から見て、やはり船員局長が荷役のほうにまでこの船長の権限というものを拡張するということは、あの船員法全体を見て、そういう管理者としての立場、そういう船長ということは一つもありません。明らかに第二章で書かれているところの公法上の航行を安全にする、そういう独自の権限を持った船長という立場での、やはり公法上の船長の立場から見た時間外労働ということに限定してあの法全体ができている。そこを逸脱すれば、船員法の根本であるところの海上労働の特殊なああいう拘束された労働というものを守る前提がくずれてしまう。現にくずれている。あなたはこういうわれわれが調べたようなあれを避けて、そして自分の都合のいいようなものだけを持ってきて、そしてわれわれあるいは船員に対して不利な立場を強化しようとしているのではないか。どうですか、私が出したこういう事実を認めますか。
  87. 丸居幹一

    丸居政府委員 私は内航のほうはまだ調査しておりませんので、それはいまから調査してみないとわからぬのですが、そもそも六十七条という問題が起こった一番大きな原因が郵船の問題であったように聞いておりますので、特に郵船の欧州航路あたりに問題がないかというので、郵船の船等について、特に欧州航路の船について重点的に調査したことは事実でございます。それから公法上の、安全上の問題だけに六十七条は限るべきじゃないかというふうにおっしゃっておりますけれども、確かに船員法六十条以下、時間外労働について制約の規定がずっとあるわけでございますね。確かに船員法というのは、超過労働あるいは酷使労働にならぬようにという配慮のためにこういうものがあるのでございます。ただそれだけでいきますと、少し労働時間の延長をすれば、港湾労働者もその日のうちに予定されておるものが荷役ができてしまう、みんな遠いところに行っているときに、日本にぼつぼつ帰りたいような郷愁にとらわれている、監督する者がそこで少し監督しておれば荷役が済んでしまうというような場合も、そういう超過勤務労働ができないということになりますと、これは非常に不合理なことになるわけです。そこで六十七条というものを設けまして、そしてそういったいままでの制限規定があるのに対して、六十七条で船長が臨時の必要があると認める場合というので、その船長が船における最高指揮者としての良識を信じて、船長の臨時の必要というものを一つ認めて、客観的に是認されるような場合にはそういうものを許していこうという規定をこの六十七条に設けたのでございますので、六十七条の規定そのものが安全以外に適用がないのだということになりますと、これは陸上の法規と違いまして、ほかに三六協定のような規定もございませんので、そういうものが一切認められぬということになると非常に不合理なわけです。六十七条でそれを認めることによって、それを救済していこうというのが六十七条の規定でございます。ただ先ほど来繰り返して申し上げるようでございますけれども、これがどんなにでも酷使することが許される条文かというと、そうでないことは繰り返し申し上げておるとおりでありまして、その点については船長というものは十分配慮すべきものだと思います。
  88. 紺野与次郎

    ○紺野委員 憲法十八条はどういうことをいっているのか、言ってください。
  89. 丸居幹一

    丸居政府委員 憲法十八条は、「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」という規定でございます。
  90. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうでしょう。去年の日本海員組合のあの長期にわたるストライキが、何を中心としてあれほど長期にわたって戦われたか。これは人間性の回復——いま船内労働が、あなたが指導するようなやり方で、公的な船長が持つ権限、つまり船舶、荷物、人命、そういうことについての滞りのない安全な運航をやるために必要な、先ほど私が言いましたところの気象あるいは海象及び地象のいろいろの異常に対して十分に安全な臨時の労働をやるということを保証しながら、それ以外にこういう拘束されたところの苦役を加重させることになるようなことは禁止するという規定がこの六十七条だということなんです。あなたがそれをはずしたために、どれほど多くの海上労働が人間性を失うようなことになってしまったか。例の時間外労働が、あまりに多くなったために死んでしまった事件が起きております。そういうようなことをこれからは許さない。やはり憲法の十八条によって船員法を見直し、その立場からあらためてやはり員基を出してもらうということを強く要求して、海員があれだけの戦いをやったのです。だから単に、あなた方が考えているようななまやさしい誤りじゃないのだということなんです。逸脱じゃないんだということなんです。そういう点について、いまの海上労働の実情に即して、この六十七条の、いま言いました拡大解釈、管理者としての立場からというこういうことを撤回するように要求します。
  91. 丸居幹一

    丸居政府委員 先生のおっしゃるように、六十七条というものを拡大解釈するということは、私はよくないことだと思います。何べんも言っておりますように、あくまでも臨時の判断というものは客観的に是認されるものでなければならぬというふうに思います。その点においてわれわれの行政指導が足りないということがあるとすれば、そういう点に今後力を入れて、労務監査等もそういう点を中心にして労務監査をするようにしたいというふうに思っておりまして、この間久保先生、河村先生にもお約束いたしましたように、その点について労務官等の監査に間違いがないように、趣旨が十分よくわかるように通達を出したいというふうには思っております。ただ憲法十八条の問題に直接関係があるようなことを言われると、全くわれわれ監督不足のように思われるのでありますけれども、その問題については、この問題が起こって非常に心配いたしまして、実は労働基準課長を船に派遣いたしまして、船員の皆さんからいろいろ聞いてきたのでございますけれども、時間外労働についての皆さん方の認識というのは、ここで先生が御質問なさっているような認識とは非常に違っておりまして、実は時間外労働で聞きに来たんだというと、どういうことですかというふうな反響が実態でございます。そうして一等航海士から聞いた話でございますけれども、一等航海士といいますのは、大体超過勤務手当をつける立場にある人でございますけれども、その方あたりの話によりますと、いかに公平に時間外労働をさすかということで苦労をいたしておりますという話あたりが聞けた話であります。船員には申告制度というのがあって、そういう憲法違反のようなひどい酷使をされておれば、私は申告していただきたいと思うのです。もし申告があれば、私たちはその船に労務官を派遣いたしまして、徹底してそういう憲法に違反するような酷使が行なわれている船主に対しましては十分指導監督し、改革をさすだけの心づもりは十分持っております。  先ほど来申し上げますように、船員法というのはあくまでも船員保護の法律でございますから、その保護の法律に書いてある六十七条が反対に解釈されるということは許されることではないと思います。ですから、もし申告があれば、私は直ちに労務官を派遣いたしまして十分監督をするつもりでおります。
  92. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 紺野君にちょっと申し上げますが、申し合わせの時間でございますので、結論をお急ぎ願います。
  93. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いまの答弁によっても明らかなように、札幌高裁のあの判決がはっきりといっているように、六十七条はやはり船の安全、荷物の安全、人命の安全のために船長がやるべきそういう時間外労働なんだということを判決でいっているのに、あなたはそれに抵抗している、反対している。明らかにこれは、憲法にあなたはさからっているのです。そしてまた、いま出しましたあなたの例を実際にわれわれが調べてみて、いま航海士の方が百三十一時間の残業によって、本給が八万六千円、それに対して時間外労働で得た金が八万七千円、こういうふうな事態にひん曲がってしまって、そして時間外労働へと実際上給料の上からも追い込むというふうになってしまっている。だからそのことが一番法の中心問題からばずれてしまっているのであって、一人か二人かあなたは行って調査したと言うけれども、船員組合のほうから言えば、どこに来たのか全然われわれにはわからないというふうに、あなたはほんとうにわずかしか見ていない。   〔発言する者あり〕
  94. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 御静粛に願います。
  95. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから多くの実例に基づいて、そうして組合がたくさんの要求をまとめて昨年あれほどの海員の闘争をやったわけでありますから、それは事実によってもう抵抗しておる、事実によってこのことを改めてほしいということを言っておるわけでありますから、個々の声でそれと違うような、一見現象的に見ればそういうように思えるようなことでもって、誤ったそういうやり方を合理化することはできない。裁判所もそのことを認めておらないし、憲法も認めておらないし、条文によるこの全体の法体系は、あなたの言うようなことを許しておることばが一言もないということです。そういう点で私は、新谷運輸大臣があらためてこのことについて大臣の立場でどういうふうに考えられるか、このことを質問を保留いたしまして……。(「調子が悪くなると保留にする」と呼ぶ者あり)調子は大いにいい。
  96. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる二十日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午後一時五分散会