運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-03-27 第71回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月二十七日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 守良君    理事 細田 吉藏君 理事 兒玉 末男君    理事 斉藤 正男君 理事 梅田  勝君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       大竹 太郎君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    渡海元三郎君       西村 英一君    山村新治郎君       綿貫 民輔君    井岡 大治君       太田 一夫君    金瀬 俊雄君       久保 三郎君    神門至馬夫君       紺野与次郎君    三浦  久君       松本 忠助君    河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         運輸省港湾局長 岡部  保君         海上保安庁長官 野村 一彦君  委員外出席者         環境庁水質保全         局企画課長   松田豊三郎君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 三月二十六日 東九州新幹線早期実現に関する請願吉田法  晴君紹介)(第一七一六号)  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案反対等に関  する請願梅田勝紹介)(第一八一三号)  同(瀬崎博義紹介)(第一八一四号)  同(中川利三郎紹介)(第一八一五号)  同(林百郎君紹介)(第一八一六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  港湾法等の一部を改正する法律案内閣提出第  七三号)      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  港湾法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。三浦久君。
  3. 三浦久

    三浦委員 大臣、私は港湾法改正法案に対する基本的な性格について御質問をいたしたいと思います。  現行法改正案は第一条の目的規定が大きく変わっておりますけれども現行法並び改正法とも港湾管理者地方公共団体だというふうに承ってよろしいでしょうか。
  4. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 港湾管理者現実にもそうでございますし、われわれも今度の改正法案におきましては港湾管理者地方自治団体であるというその方向は、別に今度の改正案でも変えておる趣旨ではございません。
  5. 三浦久

    三浦委員 そうであるとするならば、なぜ第一条の目的から港湾管理者とその権限に見合う規定を取りはずして、単に他の輸送機関との有機的な結合のための手段だけに法の目的を変えようとしているのか、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  6. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 これは今度の改正法律案の全体を通じてよくごらん願いますと、この改正の本来の趣旨がわかると思うのでございます。  申し上げるまでもなく、港湾法は非常に古い法律でございまして、昭和二十五年の制定にかかっておるものでございまして、その当時は、言うまでもありませんが、港湾管理は国とか地方公共団体、民間が適宜に行なうという状況であったのでございます。したがって、その当時におきましては港湾管理者という港湾管理一元的主体を設けるということに非常な重点が置かれておったと考えるのでございます。したがいまして、従来の港湾法目的も「港湾管理者設立による港湾開発利用及び管理の方法を定める」というふうになっておったのでありますが、最近ではこの港湾機能というものはだんだん変わってきておりまして、今度の港湾法改正案にもございますように、たとえばシーバースのようなもの、マリーナのようなものというような、事実上港湾施設港湾区域外に建設せられる事例が相当出てまいりました。また港湾区域外航路につきましても、法律にも書いてございますように、従来は予算措置によってのみ運輸大臣が建設、改良を進めてまいりましたが、年々予算規模も多くなりまして、また航路しゅんせつ後の適正な維持保全に対する要請も強まってまいりましたので、今回の改正案におきましては航路開発保全に関する制度も取り入れたのでございます。  このように今回の改正案内容とするところは、従来の港湾管理についての基本的な方針を別にこれで変えようとするものではありませんが、港湾機能がこういうふうに拡大してまいりましたので、実態に合うような港湾法改正をはかったのであります。したがいまして、この第一条の目的条項字句修正をいたしておりますことは、港湾管理者である地方自治体権限侵害するという意図はもちろんありませんし、それを縮小するという考え方も全然ない。その点は従来同様であるというふうにお考えを願いたいと思いますし、全体を通じてごらん願いますと、いま説明で申し上げましたような趣旨が全体を通じて流れておると思います。
  7. 三浦久

    三浦委員 管理の基本的な方針には何らの変更もないのだ、こういうお話ですね。それであれば、目的からなぜ管理者管理という点を抹殺してしまうのか。もしか大臣のようなお考えであれば、港湾管理者による管理というものに、もう一つその運用の実際の過程の中で出てきた新しい目的を追加すればそれでいいのではないかというふうに考えられますね。この点はいかがですか。
  8. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの大臣の御答弁にもございましたように、結局私ども何ら考え方を変えているものではございません。したがって先生のおっしゃったように、この目的をどういうふうに表現したらいいかという点については確かに議論のあるところだと存じます。ただ、私ども先ほど大臣が申しましたように「港湾管理者設立による」云々という字句、これがほんとう昭和二十五年のこの法制定のときの目的に入ったわけでございますけれども、このときにはそれまでいろいろとそれこそ大正年間から港湾法というものを何らかつくらなければいかぬといってずいぶん議論をされたのでございますけれども、なかなかそれができなかった。それまでにはたとえば地方公共団体であったりあるいは国であったりあるいは一部私企業であったり、そういうようなものが実質上の管理者であったわけでございますけれども、ただ管理者設立というところが非常に問題であった。そこをこの法制定のときに強く出したというのが経過でございまして、これを管理者が云々するということは当然のことであるという考え方から、今回の目的からむしろ省かれているというふうに御了解いただきたいと存ずる次第でございます。
  9. 三浦久

    三浦委員 だから、管理者管理というのはそのままにしておくのだと言いながら、目的から管理者管理という条項を全部削除してしまって、そして別な目的を入れる、これで目的は変わっていないのだと言っても、それは客観的な事実と違うじゃないか、こういう疑惑が出てくるのは当然だと思うのですね。  それで、「港湾法の一部を改正する法律案に対する要望書」というのが六大港湾都市協議会の名前で出ておることを知っておりますか。
  10. 岡部保

    岡部政府委員 話は聞いております。
  11. 三浦久

    三浦委員 この要望書によれば、まず、「この法律は、港湾管理者による港湾の秩序ある整備と適正な運営を図ることにより、交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展に寄与することを目的とする」というふうに修正してほしい、こういう意見が出ておりますが、これについてはどういうふうにお考えですか。
  12. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまのお話でございますが、いわゆる六大港と申しますか、大港湾管理者のほうからそういう御意見があることは伺っております。現実に私の部屋に来られましていろいろお話をしたわけでございますが、現実の問題として、港湾管理権、いわゆる港湾ほんとう管理というものが管理者からたとえば国に吸い上げられる、中央集権をされるということが問題なのだということで、こういう表現にしてくれないかという話なんです。私どもは、先ほども申しましたように、何らそういうことを考えていないで、確かにこの目的表現というものがどうであるかにしましても、現実にこの法律内容をごらんいただければおわかりになるように、全くそういうことは考えていないということで、一応私のところでは御了解をいただいたというふうに私は解釈をいたしております。
  13. 三浦久

    三浦委員 運輸大臣港湾局長は、この港湾管理者による管理権を国が吸い上げる、こんなことは考えていないのだ、いままでの港湾管理者権限はそのままにしているのだ、従来と一つも変わっていない、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども、私はどうも納得がいかない。たとえば、第一条の目的から、港湾管理者による管理という、そういう根本的な理念というものを条文上は完全に抹殺しているわけですね。そうすると、いかに港湾管理者権限はそのままにしているのだと言っても、これはやはり港湾管理者権限に大きな制約を加えようとしているのではないか、こういう疑惑を持つのはあたりまえであります。私も、政府は口では港湾管理者権限に何らの規制を加えてないのだと言いながらも、自治体港湾管理権というものを事実上、政府が奪い取って、そして自治体の仕事というものを運輸大臣の下請にしてしまう、そして、日本列島改造という独占資本のための高度成長土台づくりをしようとしているのじゃないか、こういうふうに疑わざるを得ないのでありますけれども、その点について、再度答弁を願いたいと思います。
  14. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほどもるる御説明を申し上げましたように、この港湾法についての権限を与えられております主管大臣といたしましては、そのような考えは毛頭持っておりませんということを御説明を申し上げたのでございまして、その港湾法の今度の改正案につきましても、内容を逐一ごらんになりますとわかりますように、国が港湾管理者権限ないしその機能を吸い上げて、港湾管理者である地方自治体権限を弱めようというような意図を持っておる条文は一切ないと私は考えておるのであります。ただ、さっき申し上げましたように、港湾機能がだんだん拡大し、変わってきておりますので、それに対応した港湾というものの目的実態に合わして規定をしたというだけでございますから、その点の御懸念はないようにお願いしたいと思います。私は、その点は主管大臣といたしまして、そういう考えは毛頭ありませんということを再度申し上げておきます。
  15. 三浦久

    三浦委員 それではお尋ねしたいと思うのですが、改正案によれば、まず「運輸大臣は、港湾開発利用及び保全並びに開発保全航路開発に関する基本方針を定め」、そして港湾管理者港湾計画というのは、この基本方針運輸省令で定める基準に適合しなければならないというふうになっています。そして運輸大臣は、その港湾計画がこの基本方針に合致しないとき、または運輸大臣自身が不適当と認めるときは、管理者変更を求めることができるというふうにありますが、これはそのとおりなんでしょう。
  16. 岡部保

    岡部政府委員 いま先生のおっしゃいましたとおりでございます。
  17. 三浦久

    三浦委員 これは港湾管理者権限に対する重大な規制であり、地方自治権に対する侵害だというふうに考えますが、どういうふうにお考えですか。
  18. 岡部保

    岡部政府委員 私どもはそういうふうに考えておりません。と申します理由について申し上げますけれども、この第三条の二で、基本方針というものを運輸大臣がつくるということを確かにこれは条文ではっきり明定いたしておりますが、この基本方針において「港湾開発利用及び保全方向に関する事項」でありますとかあるいは「港湾配置機能及び能力に関する基本的な事項」という、言うなれば、第三条の二の二項一号、二号の事項につきまして、これはこの前たしか御質問のございましたときに御説明申し上げたわけでございますが、基本的な全国的なものを考えるということに、私どもはこれの内容として考えておるわけであります。  そこで、三条の三で港湾計画というものはあくまでも港湾管理者である地方公共団体がみずからの意思でおつくりになる。そこで、それでは三条の三の第六項で、運輸大臣がこういうような際に、たとえば基本方針または計画基準というものに適合していないと認めるときには、これを変更すべきことを求めることができるという点、これが、言うなれば地方でつくる計画に対する一つ侵害ではないかという御説かと思いますが、私ども決してそうは考えておりませんで、これは現行法で四十八条に「港湾計画の審査」という条文がございます。これは今回前のほうに三条の二、三条の三というところで計画という章を設けましたので、そちらに全部回した。結果としては四十八条というのは今回の改正法では削除をするという条文でございますが、この計画現行法におきましても、運輸大臣がそれぞれの港湾計画というものを、重要港湾港湾管理者に対して計画提出を求めることができるのだ。それから「運輸大臣は、前項の計画を審査し、当該計画全国港湾開発のための国の計画に適合しないか、又は当該港湾利用上著しく不適当であると認めるときは、これを変更すべきことを求めることができる。」という条文でございます。これが、全く姿、形は変わっておりますが、全くこの思想をそのまま取り入れておる。したがって基本計画というものが新しくはっきりここに明文化されたという違いだけでございます。
  19. 三浦久

    三浦委員 現行法の第四十八条と改正法の第三条の三というのは明白に異なっているんですね。港湾局長はいま四十八条の趣旨をただ成文化しただけなんだ、整備しただけなんだ、こういうお話ですけれども、全然精神が違っていると思います。たとえば、四十八条というのは、条文にもありますとおりに、「一般交通の利便の増進に資するため必要がある」ときは、計画提出を求めることができるというふうになっているわけであります。これは、あくまでも港湾開発利用保全という管理権というのは、第一義的には港湾管理者にある。国は、ただ国家的な観点から、その調整という立場をとることになっているわけです。ですから、これは、あくまでも港湾管理者の自主的な運営というものが前提になっていると思います。ところが、改正案というのは、最初から国が基本方針というものをつくり、さらに省令基準をつくる、港湾計画というのは最初からこれらに適合しなければならないというわけでありますから、第一義的には、港湾管理権というのは国にあり、現在の港湾管理者は、国の方針に従って運営する義務だけを負っているということになって、港湾管理に対する港湾管理者自主性を発揮する道というのは、ほとんどなくなってしまうのではないかというふうに考えられるわけであります。そういう観点からいっても、これは重大な自治権侵害だというふうに思いますけれども、どうですか。
  20. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまのお話でございますが、私は決して、今回のものが自治権侵害しておるというような考え方に立っておるとは判断しておりません。いま先生がおっしゃいましたように、確かに、港湾計画現行法での四十八条と、それからこの新しい第三条の三という条文組み立て方と申しますか、そういうものが、そういう点で違いがあるというのは事実でございます。ただ、現実考えまして、これだけ港湾の地域的ないろいろな相互関係等考えますと、当然それぞれの港湾というものが、一つ地域計画であったり、あるいはそういうような計画というものを尊重しながら計画を立てるという問題は、はっきり最近の傾向として出てきておると思います。それが地方自治権侵害であるというならばいざ知らず、私はそういうものではないと思っております。あくまでも地方意思によって、それぞれの港湾管理者意思によって、港湾計画は立てる。ただ、自分の港の置かれておる環境というものを尊重して、どういうふうに計画を立てていくのだというところに、港湾計画管理者としての計画の立て方があるのであって、それが全く自由を失ったものでは絶対にないわけでございます。したがって、私はそういう自治権侵害であるとは思っておりません。
  21. 三浦久

    三浦委員 しかし、最初から港湾計画を立てるときに、基本方針に合致しなければならない。さらに省令で定める基準にも合致しなければならない。さらに運輸大臣が著しく不適当でないと認めなければならない。この三つの関門を通過しなければ、港湾計画というものが承認されないようになっているわけでしょう。これは港湾管理者の自主的な運営というものに対する重大な制約だというのは、だれが見たって明らかじゃないですか。  それで、私は聞きたいのですが、港湾計画基本方針に適合しないで、変更を求められる場合というのは、どういう場合を想定しているのか。たとえば、港湾開発についてはどうか、港湾利用についてはどういうことを考えているか、港湾保全についてはどういうことを考えているか。港湾配置機能能力、それぞれについて、基本計画港湾計画とが食い違い、そして運輸大臣変更を求めることができる、その具体的な事例というものを説明していただきたいと思います。
  22. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの三条の三の第六項によって、その変更を求めることができるという条文の具体的な内容と申しますか、どういう場合にどういうふうになるのかという点について、これは非常に、部分的には抽象的な問題がございますので、的確に、具体的にそれぞれについてということは、私は、なかなかお答えしにくい点をあらかじめ御了解いただきたいと存じますが、まず、いわゆる基本方針における「港湾開発利用及び保全方向に関する事項」というものにこの計画が反しておるのではないかというような考え方、これはどういう考え方かと申しますと、いわゆる基本的な全国的なものとして、こういう基本方針というものを考えております。したがって、全国のすべての港湾管理者が、言うなれば、ひとしくこういうものに配慮しなければならないというような基本的事項がここの項目としてあがってくるかと思っております。たとえば、いわゆる港湾機能が非常に多様化してくる、そういうものに対する対応というものは、港湾計画上十分考えなければいけませんよ、あるいは環境問題を十分注意をしなければいかぬ、あるいは安全問題という問題を十分注意をしなければならないという問題、あるいは地域住民の意識の尊重というもの、こういうような非常に一般的な抽象的な言い方になりますが、そういう問題点、あるいは港湾としての問題としては、広域的な管理というものを促進しなければいかぬのじゃないかとか、あるいは港湾施設、経営の考え方をどういうふうに持っていったらいいかというような問題点もあろうかと思います。  そういうような管理にせよ、あるいは開発にせよ等々いろいろの問題がございますが、そういうものに反するかどうかという点でございますから、これは現実全国的な一つの基本的な問題に対して、非常に反する計画が出てくるということは、実態的には、私はあまりないのじゃないかという感じがいたします。そうすると、第二項の第二号の「港湾配置機能及び能力に関する基本的な事項」、ここの問題と個々計画というものがどういうふうに相反する点が出てくるかという問題であるかと存じます。  そこで、第二項の第二号の「港湾配置機能及び能力に関する基本的な事項」というところで、どういうふうに私ども考えておるかと申しますと、これはこの前も申しましたように、港湾機能別に大きく分けてみる必要があるのではなかろうか。たとえば商港でありますとか、あるいは工業港でありますとか、あるいはレクリエーション港湾でありますとか、そういうようなものに分類して考えてみる。そこで全国ベースで、商港であるならば、商業港湾のいわゆる貿易量といいますか、港湾取り扱い貨物量なり、そういうものの長期の一つ見通しがある。これはどういうふうな分類をするべきかまでは存じませんが、全国一本ではあまり意味がない。これをせいぜい全国を十ブロックであるとか、あるいは十五ブロックであるとか、そういうブロック別にブレークダウンをしたような感じのところまでは、私ども一つ見通しというものを考えなければいかぬのじゃないかという考え方を持っております。そこでそういう中で、港湾整備の基本的な方向について必要最小限度方向を示そうということで、極端なことを申しますれば、東京湾であるとか、大阪湾であるとか、そういう過密地域の湾内にこれ以上工業、いわゆる重化学工業用地というものを造成したりということは避けるべきではなかろうか。これが一つ工業港——今後の東京湾地区であったり、あるいは大阪湾地区であったりするところに対する一つ方向であるかと思います。そういうような方向に対して、東京港であったり、あるいは神戸港であったり、そういうような個々の港が計画をおつくりになるというときにいやそんなことを言ったって、おれのところはこういう工業用地を造成するのだ、ここにこういう工場を持ってくるのだというような一つ考え方について、それは東京湾一つのこれからの開発方向として、あるいは工業港配置の問題として、これは望ましくない、したがって、そういう点については、もう少し考え直していただいたほうがいいのじゃないでしょうかということを要請することができるというのが、この具体的な内容ではないかと私は思っておるわけでございます。これは一つの例だけでまことに恐縮でございますが、大体そういうような考え方で、各港湾管理者の自由を束縛して、こういうふうに国の思うとおりにやらせようということは、私どもは決して考えているわけではないということをあえてつけ加えさせていただきます。
  23. 三浦久

    三浦委員 口で言っていることと全然違うのですね。地方自治権侵害ではないんだ、管理権について制約をするものではないんだと言いながら、説明を聞いていると制約をしているじゃないですか。たとえばある港湾管理者自分のところの港湾工業港にしようとか商港にしよう、レクリエーション港にしようというように計画を立てた、ところが国の計画といいますか、基本方針によれば、あなたのところはそういう港をつくってもらっちゃ困るのだということで変更を求めることができるというのですから、これは非常に大きな制約でしょう。どっちの立場が正しいかは別として非常に大きな制約になることは間違いがないのですね。いま地方自治法では港湾管理者港湾管理についてどういうふうに規定しているか御存じですか、答弁してください。——私が言いたいのは、港湾管理というのは自治体固有事務になっているのではないかということなんです。その点御答弁いただきたいと思います。——条文は第二条の三項の四ですよ。——いつ答弁するのですか。もうだいぶ時間が過ぎていますけれども、持ち時間がなくなってしまいますよ。
  24. 岡部保

    岡部政府委員 まことに答弁がおそくなって申しわけございませんでした。港湾施設等の設置もしくは管理等の業務というのは地方公共団体である港湾管理者固有事務であるというふうに考えております。
  25. 三浦久

    三浦委員 地方公共団体固有事務であるということを認めておきながら、港湾管理者がここにこういう港をつくろうというたときに、それはいけませんというふうに運輸大臣が言えるというのが今度の改正法でしょう。そうするとこれは地方自治権に対する重大な侵害だというふうに私はどうしても思わざるを得ないわけですね。たとえば、いまの改正法では、まるで港湾管理者管理権というものがなくなってしまって、運輸大臣港湾開発利用計画をする権利というものがあるというふうに理解できるのですが、この点どうですか、もう一度確かめておきたい。
  26. 岡部保

    岡部政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生のおっしゃいましたように港湾管理者権限を国が、言うなれば地方公共団体権限を一切奪ったというような考え方に立っているこの法律改正であるという意味かと思いますが、私どもどうもそういうふうには全く考えておりません。確かに国が、たとえば、今後の港湾整備でありますとか、あるいは管理でありますとか、そういうものに対しての一つ基準を設けて、こういうのに沿っていってくださいよ、もしもそれに沿わなかったらこれを是正させるという権限を持つならばいざ知らず、これはあくまでもすべてが要請権を大臣が持っているというだけでございます。「求めることができる。」という条文でございまして、いわゆる国が要請できる、それはそういうことを絶対に訂正させるのだというような命令権ではまずないという考え方、さらにそういう国の基準方向に対する一つ基準というものまでつくることがいかぬということになればこれは別の問題でございます。ただ私どもはそこまでは国としての一つ考え方でいいのではなかろうかというような考え方に立っておるということでございます。
  27. 三浦久

    三浦委員 そうすると、変更を求めることができるというのは勧告をすることができるということと同じ意味なのですか。
  28. 岡部保

    岡部政府委員 いまおっしゃいましたのはどういう意味でございましょうか、ちょっと……。
  29. 三浦久

    三浦委員 港湾計画基本方針に適合しない場合には運輸大臣港湾計画変更を求めることができる、こういうことですね。その求めることができるというのは勧告をすることができるという意味かというふうに聞いているのです。命令じゃないとあなたはおっしゃる……。
  30. 岡部保

    岡部政府委員 これは変更しなければならないといって命令権を発動するということではなくて、むしろ勧告といいますと、いわゆる法律でいう勧告権であるのかどうかというあたり、私、残念ながらちょっとここでお答えできません。しかし、いずれにいたしましても、「求めることができる。」という一つの要請をここであらわしているということであって、これがあくまでも地方公共団体がいやだというのを是正できるものではないというふうに私は解釈をいたしております。
  31. 三浦久

    三浦委員 そうすると、勧告と同じ意味じゃないですか。どうですか、はっきりしてください。一番重要なところですよ。勧告と同じなら勧告とはっきりしたらいいと思うのですね。
  32. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの「勧告」とそれから「求めることができる。」という意味で、法律的にどう違うかというのは私ここで明らかにできませんが、法律上の効果としては全く同じことかと存じます。
  33. 三浦久

    三浦委員 それはちょっとおかしいんだな。この改正案の中にあなたたち「勧告」ということばを使っているのがあるんですよ。たとえば、五十条の二ですね。これは港湾管理者の協議会の設置に対する勧告です。それはちゃんと「勧告」ということばを使っていますよ。それから五十一条でも「関係地方公共団体に対し勧告することができる。」と「勧告」ということばを使っているんです。「求めることができる。」というのと「勧告することができる。」ということばはちゃんと使い分けているわけだから、法律的な効果というものもちゃんと違うはずでしょう。同じなら同じに字句は統一すべきではないですか。いかがですか。——答弁できないのですか。
  34. 岡部保

    岡部政府委員 先ほど申しましたように、たとえば求めて実質上これが聞き入れられなかった場合にどうしようもない、勧告をして、それで実効を担保するあれは全然ないという点でのいわゆる法律上の効果というものは全く同じだと考えております。
  35. 三浦久

    三浦委員 それならなぜ片一方では「勧告」ということばを使い、片一方の条文では「求めることができる。」というふうに使っているんですか。
  36. 岡部保

    岡部政府委員 まず「求めることができる。」という字句を使いました理由は、先ほど申しましたように、現行法の四十八条を移した、あの四十八条の考え方をそのまま踏襲したということで、字句も同じような表現を使ったわけでございます。
  37. 三浦久

    三浦委員 まず港湾管理というのが地方自治体固有事務になっているということは、これは憲法上の要請だと思います。憲法の第九十二条に「地方公共團體の組織及び運営に閲する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」九十四条では「地方公共團體は、その財産を管理し、事務を虚理し、及び行政を執行する」ということが規定されているわけですね。この地方自治の本旨に基づいて、地方自治法でもって港湾管理というのが地方公共団体固有事務になっておる。そうすると、地方自治の本旨に基づいて、地方公共団体固有事務になっているこの事務を遂行させるにあたって、国の支配というものは最小限度にとどめなければならないというふうに思いますけれども、この点はいかがお考えですか。
  38. 岡部保

    岡部政府委員 その点につきましては、私全く同意見でございます。
  39. 三浦久

    三浦委員 そうすると、港湾管理という地方自治体固有事務、これを行なうにあたって、先ほど申しましたように基本方針をつくってワクをはめる。省令基準でもってまたワクをはめる。さらに運輸大臣考え方でもってワクをはめる。三重にワクをはめて管理を行なわせるということが国の支配を最小限度にとどめ、管理者の自主的な運営を最大限に保障したやり方というふうに言えるのかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  40. 岡部保

    岡部政府委員 先ほどから申しておりますように、私どもとしては国として一つの筋道だけはつけたいという考え方、その感覚だけでございますので、そういう意味では、これで最小限であるというふうに理解しております。
  41. 三浦久

    三浦委員 どうもちょっと答弁納得いかぬのですよ。たとえば、先ほど港湾局長は四十八条と三条の三というのは同じ趣旨だと言った。しかし、私の追及に対してはそれはお説のとおりに趣旨は違うのだ、こういうことも言われておる。ですから、四十八条よりも今度の改正法案のほうが規制を強化しておるということははっきりしておるんですね。それでも港湾管理者自主性について最大限の尊重をしておるというふうに言い張るというのは私は詭弁だと思うのです。私は、この点についての政府答弁はどうしても納得がいきません。地方自治を所管している自治大臣の出席を求め、自治大臣からこの点についての見解を私はお聞きしたいと思うのです。ですから、この点についての質問は留保したいと思いますので、委員長においてしかるべく善処していただきたい、このことを要望して、次の質問に移りたいと思います。  改正法の五十条の二に「港湾管理者を異にする二以上の港湾について」「相互に連絡調整を図るため、」「協議会を設けるべきことを勧告することができる。」こういうふうにありますけれども、これは数年来政府が言ってきた広域港湾管理者構想、これが一見後退して勧告という形をとっております。しかし、いままでの論議でも明らかなように目的変更してきておる。また、運輸大臣開発利用保全権限を持つということを前提にすると、この改正というのは広域港湾管理者構想への布石であり、将来は広域港湾管理者構想を、法改正を行なってでも強行しようというふうにわれわれはうかがえるわけですが、将来そういう広域港湾管理者というものを制定をして、それに港湾管理をやらせる、こういうことをお考えになっているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  42. 岡部保

    岡部政府委員 将来のことでございますので、これは何ともここで的確な御返事はできないわけでございますけれども、私どもの現段階での考え方をはっきり申し上げさせていただきますならば、将来、たとえば東京湾というもので一つの港として港湾管理者というものが設立されるということであれば、そういうほうが望ましいというふうに私ども考えております。したがって、将来広域港湾一つの港になっていくということが決して悪い方向であるとは考えておりません。
  43. 三浦久

    三浦委員 次に、公害対策に関連してお尋ねをしたいと思います。  富山の伏木港では昨年の七月からしゅんせつ作業がストップしています。これは小矢部川の河口や上流にある十条製紙、中越パルプ、日本重化学工業等の工場排水が原因で、しゅんせつの土砂にカドミウムや水銀や砒素等の有害物質が高濃度に含まれていたことが判明したことから、地元の新港漁協が、漁獲量が減り、漁業に非常に大きな影響がある、こういうことでしゅんせつ土砂の海洋投棄に反対していることが原因だというふうに聞いておりますけれども、この問題についてのいままでの経過と実情を御報告をしていただきたいと思います。
  44. 岡部保

    岡部政府委員 先に、工事がどういう状態であるかという実情について御説明申し上げます。  伏木港では、現在昭和四十七年度の予算にかかわります埋没しゅんせつ事業というものが中止されております。ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございまして、これは河口を港としておりますので、どうしても上流から土砂が流れてまいりますので、毎年これを相当量、埋没を防ぐためのしゅんせつをしなければならないという事業を、港湾改修事業として実施しておりますが、現段階でこれの土捨ての方法、場所等の問題から、地域の漁民等の了解を得られないということで、現在工事を中止しております。
  45. 三浦久

    三浦委員 そうすると、運輸省が持っている黒姫丸とか佐渡号とか、しゅんせつ船がありますね。これはいま遊んでいるのですか。
  46. 岡部保

    岡部政府委員 本日確かめてきておりませんので、確として申し上げられませんが、まず遊んでおると存じます。
  47. 三浦久

    三浦委員 労働者はどうしているのですか。
  48. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまのお話の労働者、いわゆる国の職員としての身分を持っております連中でございますので、これは当然……。(「連中とは何だ」と呼ぶ者あり)職員でございますので、したがってこれは遊ぶという問題ではございませんで、現実にこれは私つまびらかにしておりませんから申せませんが、たとえばいわゆる常態外の勤務であるとか、そのようなことで何か仕事をしておるというふうに私は考えております。
  49. 三浦久

    三浦委員 私は、あなたの考えを聞いているのじゃなくて、実情はどうかということを聞いているのですよ。わからなければわからない、あとで調べるというふうにはっきり答えていただいたほうがいいですね。
  50. 岡部保

    岡部政府委員 さっそく調べまして、後ほど御返答申し上げます。
  51. 三浦久

    三浦委員 いま、伏木港の使用状況はどうなっておりますか。
  52. 岡部保

    岡部政府委員 ちょうとおっしゃった意味がよくわかりませんですけれども、現在伏木港の使用状況、要するに浅くなっておるということのためにどれだけの障害が出ているかという意味かと存じますけれども、現段階で、伏木港が浅くなっておるのは事実でございます。そのために現実に船が入港できなくなったというような事例ではございませんけれども、もう少し放置されますと、現実に船の入港を拒否しなければならなくなるおそれが非常にあります。したがって、なるべく早く埋没しゅんせつ事業を開始したいというところでございます。
  53. 三浦久

    三浦委員 伏木港の隣にある港に荷物をおろして、足を軽くして、それから伏木港に入ってくるというような状況になっているのじゃないですか。
  54. 岡部保

    岡部政府委員 その点につきましては、私存じません。
  55. 三浦久

    三浦委員 そうすると、港湾局長答弁によると、黒姫丸とか佐渡号という国の財産は遊んでおるということですね。これは維持費もかかるし、たいへん国費の乱費だと思うのですよ。それからまた、港の将来も、このままでは使用が不可能になるという状態になる、こういうことですね。なぜいままでこういうことを放置していたのかということがまず一つの疑問として頭に浮かんできます。私は、この公害の原因である工場排水というようなものを発生源で規制をしていく、またしゅんせつを漁業に影響を及ぼさないような方法で行なう、そうして漁民の納得のいく方法で行なわれるということ、このことが非常に大切なことだと思います。この点について運輸大臣、どういうふうに対策を講じられるつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  56. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 実情をよく調査いたしました上でお答えをいたしたいと思います。
  57. 三浦久

    三浦委員 昨年の七月から全然しゅんせつが行なわれていないのですよ。そうして国の財産であるしゅんせつ船も遊んでおるわけですよ。国費が乱費されているのですよ。また漁民が非常に大きな不安を抱いておるわけです。港ももうすぐ使えなくなるという状況なんです。それについてこれから調査をして答弁するというのでは、少しのんびりし過ぎやしないでしょうか。私は早急に対策を立てるべきだということを強く要望しておきたいと思います。  きょうは環境庁から企画課長さんがお見えになっておるようですが、松田企画課長さんどうですか、どういうふうに対策を講じられるつもりですか。
  58. 松田豊三郎

    ○松田説明員 この港湾の事業の実施につきましては、運輸省と富山県でございますが、両方でいま配慮されておるわけでございます。われわれ環境庁といたしましては、土砂の排出をいたします場合の基準でございます。その基準を担当しておるわけでございます。現在は、富山伏木港のしゅんせつ予定の土砂につきましては、われわれの調査、それから富山県の調査によりますと、重金属類の含有あるいはその汚染の程度と申しますか、それは、大体まあ、しゅんせつに特別の配慮をする必要のない程度というふうに判断しておるわけでございますけれども、なお県から実情をよく聞きまして、さらに必要がございますればわれわれといたしましても調査をいたしまして、万全の措置を講じてまいりたい、このように考えておるわけでございます。ただ、海洋汚染防止法上許される排出方法と申しましても、漁業との調整というのはもちろん必要でございまして、そういう点につきましては十分な調整がはかられるべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
  59. 三浦久

    三浦委員 環境庁自身はしゅんせつに支障ない程度の汚染度だというふうに考えておる、しかし処置については万全を期したいという。具体的にはどういうことを考えているのですか。
  60. 松田豊三郎

    ○松田説明員 要するに重金属類が特に含まれております場合には、海洋投棄は禁止するとか、あるいは埋め立ての場合には完全な遮断をしなければならないとかいうふうな基準になっているわけでございますが、富山伏木港の場合におきましては、数次にわたりまして二十数地点の含有量の調査等がなされておりますけれども、現段階でわれわれといたしましてはこれがそういうふうな特別な有害物質扱い、有害廃棄物扱いをする必要はない程度、こういうふうに考えているわけでございますが、実際の投棄はそれではどこへ投棄してもよろしいかということになりますと、その投棄の具体的な問題につきましては、漁業あるいは漁業権の問題もありますでしょうし、その他海洋の利用という点もございますので、そういう点との調整が十分はかられるのは当然であろう、こういうふうに考えているわけでございます。これは実際面でそういうふうに御配慮がなさるべきだと考えているわけでございます。
  61. 三浦久

    三浦委員 漁民はいままでヘドロが網にひっかかるとか、また重金属類が海底土砂にたくさん含まれているということが発表される、そのことによってとった魚が売れない。だから、あの港にはそういう有害物質を含む海底土砂はないのだ、こういう状態をつくり出してほしいというふうに願っているわけですね。それに対していまのお話では何らの対策が講じられないということだと思うのです。  今度の改正案というのは港湾の環境整備保全に重点が置かれたというふうに政府が主張していますけれども、それじゃ今度の改正案でこの問題をどういうふうに処理することができるのか、お伺いしたいと思います。
  62. 岡部保

    岡部政府委員 具体的な点について申し上げますと、ただいまのような伏木港におきまして、これは環境庁のいわゆる環境行政の問題でございますが、公害の対策事業としてこのヘドロのしゅんせつを実施するべきであるということになれば、これは公害対策事業として実施をすることが可能である、港湾関係の公共事業の一環として、公害対策事業としてヘドロしゅんせつを実施することは可能であるということがございます。  それ以外に、こういうような環境整備問題について今後この港湾法においてどういう措置がとり得るのかという問題、これはすでにこういうような公害を出しております問題については、今回の改正法によって十分な措置がとれるという自信はいささか私はございません。ただ今後の問題として、港湾の臨港地区におきまして、こういうような公害源になるような行為というものを港湾管理者港湾管理立場からも規制できるというようなことを、今回の法改正に織り込んでいる次第でございます。
  63. 三浦久

    三浦委員 昭和四十五年から四十六年にかけて港湾建設局が全国の主要な港について海水汚濁の調査をしたと思いますが、その結果はわかっておりますか。
  64. 岡部保

    岡部政府委員 結果はわかっております。
  65. 三浦久

    三浦委員 その資料はお出しいただけますか。
  66. 岡部保

    岡部政府委員 資料として提出いたさせていただきます。
  67. 三浦久

    三浦委員 港湾水域の汚染の最大の原因というのは、河川よりの工場排水その他の汚染水の流入だというふうに私思います。その防除のためには、河川管理者に対しての一定の発言権を港湾管理者に与える必要があるというふうに私思います。しかし、いまの改正法による公害対策ではその点何ら触れられていない。そしてまたこういう有害物質を除去するという点についての有効適切な手段も今度の改正法の中には盛り込まれていないということなんですね。そうすると、公害対策というようなことを前面に押し出してこの法改正を進めようとしていますけれども、しかしそれはほんの隠れみのにすぎないのであって、結局法の性格を変え、港湾管理権というものを運輸大臣の手に一手に握ってしまう、そういう道を開くための法改正だというふうに私は考えざるを得ないわけでございます。そういう意味で私は、地方自治の本旨というものをよく理解し、これを最大限に保障をし、港湾管理者の自主的な管理権というものを尊重し、そうして公害についても根本的な解決策を見出せるようにこの法の改正をすべきだというふうに考えます。私はこの点を強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  68. 井原岸高

  69. 神門至馬夫

    ○神門委員 最初に海洋汚染関係について海上保安庁長官質問いたします。  先日本委員会質問いたしました、島根半島における大量排出油による汚染、その調査のその後の経過について御説明願いたい。
  70. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  先日の島根沖で発生いたしました流出油事件でございますが、二月十二日にこれを発見いたしまして、そして二月二十二日までの間、巡視船三十五隻、航空機十機、これは延べでございますが、行って浮流油状況調査、県庁への通報、油の処理等を実施いたしました。  また県のほうにおかれましても、十九日までに漁船延べ二十五隻、漁業監視船七隻、地元民千四百五十九名を動員され、さらに十六日以降陸上自衛隊に災害派遣を要請されました結果、十七日から十九日までの三日間に延べ二百八十名の陸上自衛隊員が派遣されまして、沿岸漂着油の処理に当たったわけでございます。その結果、浮流油二十九キロリットル、漂着油百三キロリットルを回収いたしまして、油の除去作業は終了いたしたわけでございます。  なお、前回先生から御質問がございましたが、この原因等につきまして調査をいたしました。これは私どもの境海上保安部ほか関係の保安部署が協力をいたしまして情報を集めました結果、事件の起こりましたそれ以前に島根半島の沖を通った船が大体九十隻ある。これは内船、外船あるわけでございます。そのうち重油などの輸送に従事しておった船二十九隻について投棄の事実についての捜査をいたしました。それからさらに輸送した油と漂着した油との同一性、これは科学的な分析確認をいたしますとともに、今度一方、陸上におきます重油などを貯蔵いたしておりますタンクで最近内部の清掃をした事業所はないかということを調査いたしました。  現在におきましては、その当時の九十隻のうちの一部の船舶については、これは外国船もございますから、まだ捜査を終了いたしておりません。したがいまして、その犯人と目されます船舶を現在の段階においてはまだ確定をするに至っていない、こういう状況でございます。
  71. 神門至馬夫

    ○神門委員 処置についてはいろいろなされたようでありますが、まあ時間がありませんから……。その内容につきましても質問をしたいと思いますけれども、そのように海洋汚染について新しく法律が定められ、その全体の体系としては、原因者を追及してそれに補償措置等をさせる、こういう補償関係については一本筋が通っております。しかしいまのように原因者を発見することができない、いわゆる加害者を発見することができない、こういうような場合に、問題は監視体制がいかにあるかということに非常な大きなウエートがある。いわゆる法律目的も予防することにあると思います。それは具体的には監視体制にあると思うのですが、今日までに、海上保安庁の年報も見ましたけれども、全体の発見件数、油汚染の発見件数と検挙件数、これを御説明願いたいと思います。
  72. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  昭和四十七暦年でございますが、暦年の油の汚染の状況を申し上げますと、私どもで確認をいたしました件数、これは全国で二千二百八十三件でございます。このうちいわゆる犯罪に該当するものという心証を得まして検挙をいたしましたのが千百七十七件、かようになっております。
  73. 神門至馬夫

    ○神門委員 非常に率はいいのですが、あなたのほうから出されております「海上保安の現況」につきましては、四十六年度のものにつきましてはそういうような数字が出ておりませんね。検挙件数はわずかになっておりますね。発生件数と、その数字の違いはどうなりますか。どちらがほんとうですか。
  74. 野村一彦

    ○野村政府委員 私がただいまお答えしましたのは暦年、四十七年の数字でございまして、先生ごらんになっておるのは四十七年の「海上保安の現況」でございますので、四十六年の数字であると思います。その違いでございます。
  75. 神門至馬夫

    ○神門委員 この数字によりますと、船舶からの油排出禁止違反としては、検挙されたものは四十六年では七十五件でしかないのですよ。そして発生件数というのは千件以上ある。たいへんな違いですね。これは何かあなたのほうが違いになっておるのじゃないですか。
  76. 野村一彦

    ○野村政府委員 先生の御指摘の数字は「海上保安の現況」の百二十二ページにありますことだと思いますが、これはいわゆる海上公害事犯としていろいろな種類があるわけでございますが、御指摘の七十五件といいますのはいわゆる海水油濁防止法の違反は四十六年に七十五件検挙をいたしております。そのほかに港則法違反とか廃棄物処理法の違反、それから都道府県の漁業調整規則の違反、そういう他の法令の海上における違反ということによって海洋汚染の件数がございまして、そこで全体では四十六年は検挙件数は七百一件になっております。そのうちの七十五件が海水油濁防止法の違反でございます。  なおちなみに、海水汚濁防止法が全面的に海洋汚染防止法に吸収されまして強化されておりますが、私が先ほど申し上げましたのは四十七年の数字で、先生の御指摘のは四十六年の海水汚濁防止法の違反、こういうことでございます。
  77. 神門至馬夫

    ○神門委員 私のほうもよく勉強しておりませんのでちょっと食い違いがあるようでありますが、問題はそういう監視体制を強化することが予防措置にもなるし、原因者を発見さして、その事後処理をなさしめることにもなる。この相関関係というのは非常に大切な問題になります。そういうことでこの具体的に起きました島根半島あるいはそれを管轄する保安部あるいは海上保安庁関係に対して具体的な、いわゆる漁船に追い越される監視艇ということを、そこの責任者が言っておるのですが、こういうようなことのないような処置というものはなされたと思いますが、この点いかがでございますか。
  78. 野村一彦

    ○野村政府委員 私ども、日本海の沿岸、これは東北のほうは秋田海上保安部から西南のほうは仙崎の海上保安部まででございますが、ここにおきまして巡視船十四隻、巡視艇二十六隻、航空機一機をもちまして、これは海洋の汚染監視だけではございません、海洋の汚染監視を含めまして海上保安業務をやっておるわけでございますが、この巡視船のうちの約半分といいますものは二十年以上前に建造された船が多くて非常に性能が悪い、スピードもおそいということは、先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもはこれの代替建造をしてこれが性能の向上をはかるということで毎年予算を要求いたしまして、ある程度の代替建造が行なわれております。四十八年度の予算でお願いしておりますのは、その中で日本海に新しい巡視艇を三隻ほど配置しようというようなことを考えておるわけでございます。なお航空機につきましても、日本海側をいま直ちに増強するわけにはまいりませんが、高性能の航空機を張りつけまして、哨戒範囲を広めるというようなことによってカバーしていきたい。このことは今後ともなお努力をしたいと思っております。
  79. 神門至馬夫

    ○神門委員 そのような点は将来の展望ですが、具体的に事件が起きたのですから直ちに処置をされるべきだと思います。その点につきましてはこの改正法案の関連とはちょっと離れますから、またの機会にいたします。  今度、運輸省設置法の一部改正がございます。この中に、港湾局と港湾建設局も、この油汚染の排除、防除ということばを使っておりますが、このことと、これまで決定になりました海洋汚染防止法によるところの全体の政府の責任官庁といいますか、責任庁は、海上保安庁が全体に排出された場合にはこの防除任務を行なう、こういうふうになっております。この島根半島の事件のときにも、被害者である島根県と、この法律に基づくところの海上保安部とが、いろいろと前に出ることをためらって二日も三日も議論し合ったということも新聞記事に大々的に報道されておる。こういうふうになわ張りが重なって、いいときには前に出るが、やっかいなときにはお互いにしり込みをするという悪いくせがある。今度運輸省設置法でこうやって新しく港湾局あるいは港湾建設局にもこの防除に関する責任を持たした。これと海上保安庁との関連、なわ張りと申しますか、責任のなわ張り、これがまたおまえだ、おれだということで、このような三日も四日も議論されて手おくれになるという可能性が、簡単な条文でありますが、起こりはしないかと、この事実から心配するのですが、その点についてのお考えを、港湾局長及び海上保安庁長官のほうから御説明願いたいと思います。
  80. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  私どもの海上保安庁といたしましても、海洋汚染防止法に基づきまして、海洋汚染の防止に関与しておるわけでございますが、私どもはいわゆる海上における法令の励行あるいは治安の維持ということが、一つの大きな任務でございます。したがいまして、私どもの任務もまず海洋汚染防止法の関係について申し上げますと、三十九条の規定に基づきまして、大量の油が流出された場合には、それの原因者、すなわち船の船長とかあるいは施設管理者に、応急の措置をとらなければならない義務が発生するわけでございます。また、こういう応急措置によっても十分な防除ができないときは、船舶の所有者あるいは施設の設置者等に必要な義務が課せられておりまして、それを励行させる。つまり大量の油の流出があった場合には、応急的に原因者あるいはそれを管理する責任者に対して、いわゆる警察行政の一環として防除を措置させるということでございますし、さらにそれでもなお不十分であります場合には、四十一条の規定にございますように、海上保安庁がみずから、あるいは他の業者といいますか、そういうものをして応急の防除をやらせる。そしてその費用をあとで請求するというふうに、私どもの義務はあくまでも、海上の警備、救難がそうでありますように、海上におけるこういう汚染を監視して防止すると同時に、もし起こった場合にはこれを応急に、とりあえずその急場を救って、その対応策を講じるという現業機関であります。  また、私どもの理解している範囲では、港湾法改正で今回港湾局が考えられておられるのは、具体的な事実行為として計画を立てて、あらかじめ港湾の汚染度等を調査された上に、国の事業として事実行為としてその汚染されているものを清浄化する。非常に卑近なたとえで恐縮でございますが、たとえば、道路等におきます清掃局と申しますか、そういうような事業が今回港湾局が考えられておる事業だと思います。私どもはこれに関して、警察ないし消防の立場からのそういうものの応急的な除去、こういうことであろうと思います。
  81. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま海上保安庁長官お話のとおりでございまして、私どもの今回の法改正によりまして港湾局あるいは地方港湾建設局の所掌に海上の汚染の防除に関する事業の実施に関することが加えられるわけでございます。  この考え方、さしあたりの具体的な問題といたしましては、昭和四十八年度の、現在御審議いただいております予算の中で、私ども港湾区域の外側の海上の清掃事業に従事するための清掃船、それからやはり港湾区域外の海面におきます流出油の油回収船というものの建造を、四十八年度で実施したい。そして四十九年度以降、これの清掃を実施していきたいというようなことを考えておりますので、したがって、こういう問題を具体的に実施していくという考え方でございます。
  82. 神門至馬夫

    ○神門委員 港湾法の一部改正についての質問に入ります。先ほど質問に続いて質問を続けたほうがよくわかろうと思いますので入りたいと思うのでありますが、いわゆる求める論と勧告論というのが非常に激しく戦わされて、港湾局長答弁が何となくふやふやになってしまったというふうに私のほうでは感じました。(発言する者あり)これはふやふやでなしに、うやむやだということでありますが、まさにそのとおりだと思います。そこで、そういうような答弁でなしに、港湾法等の一部を改正する法律案関係資料の中の大臣がお読みになった説明書の中に、明確にこう書いてあるのです。これは三ページです。「港湾管理者の作成する港湾計画は、この基本方針に適合するほか、一定の基準に適合したものでなければならないことといたしております。」まさに明確にこの第三条二項、三項関係を御説明になっておる。「また、そのような港湾計画を調査審議させるため、地方港湾審議会の制度を新設することといたしております。」というのは、その基本方針及び基準三条関係でいうならば省令あるいは政令、そのような中で適合したものでなければならないというこの前提があっての地方審議会になっている。旧四十八条の「求める」、これも大体勧告と同じようなものだ、いわゆる「求める」の解釈がそうであるならば、今度三条にありますところの「求める」も同じことだということになれば、前は大臣地方公共団体管理者に対して勧告することしかできなかった、これが今度は絶対的にこの基本方針に適合する範囲内、政令、省令できめる範囲内にしか港湾計画を立てることができなくした。こういうふうに明確に大臣説明書の中に書いておいでになりますが、この点との関連はいかがですか。
  83. 岡部保

    岡部政府委員 先ほど議論の繰り返しになりますが、確かに大臣の提案理由説明の中に、この基本方針に適合し、それから一定の基準に適合したものでなければならないこととしておるという説明がございます。いまおっしゃいましたように基本方針というものがあり、それから計画基準というものがあり、それに基づいてと申しますか、それと方針が合うような計画をつくるのだ。そういうものが要するに個々港湾計画の自由度をものすごく制限してしまうというふうに考えるか、あるいはその問題の、どうも表現がむずかしいのですが、港湾計画ほんとうに必要な自由度というものを、基本的な感覚で基本方針なり計画基準というものが押えてしまうのかという問題であるかと思うのです。私ども考え方は、ほんとう港湾計画というものを個々港湾管理者がおつくりになる、そういうときに一番自由度を持っていなければならない問題というものは、決してこれで押えてしまうものではない。要するに、その地域の一つの特性なり何かというもの、これは本来港湾管理者もお考えになるべきことであるし、この基本方針でもかかってくる問題であるというふうに私ども解釈をいたしておるところでございます。したがって大臣のおっしゃったような、これに適合しなければならないというのは、その当然な一つ方向であるというふうに私どもは解釈しているわけでございます。(「法制局に相談しろ」と呼ぶ者あり)
  84. 神門至馬夫

    ○神門委員 これは法制局の問題ではなしに、運輸大臣が基本的な問題としての提案説明をしておいでになることであって、法制局に相談する前に、これはわからぬまま言ったのだ、よってこれは誤りであるというならば、ここで率直に訂正されるべきだ。これでは、いま港湾局長がおっしゃっておるような、いわゆる地方自治体の自由権、裁量権、自主性、あるいは地方自治法の理念というものが大幅にそのまま継続されているということの説明になっていない。条文解釈はいろいろと理屈をつけて、曲げてこうすることができますが、この説明書に関する限り、そのような余地は全くないわけです。これをいま港湾局長がおっしゃったようないわゆる管理者である公共団体がその環境条件等を考え、あるいは都市計画等を前提とした上での港湾計画そのものが優先するのだといういわゆる現行法改正しようとする第四十八条の理念そのものであるならば、一定の基準に適合したものでなければならないあるいは基本方針に適合するほか、こういう一重二重のこのワク内においてしかこの港湾管理者の作成する港湾計画はしてはならないと明確に書いてあるのです。それはあなたのいまの御説明のような内容とはなり得ない。
  85. 岡部保

    岡部政府委員 どうも私のことばがへたなためにはなはだわかりにくい答弁をして恐縮なんでございますけれども、要するに、先ほど申しましたように港湾管理者の自由裁量と申しますか、ほんとう港湾管理者としての自由度を確保しなければならぬという問題点と、それからここでいう一つ方向というもの、これとの方向が非常に違うかどうかというあたりが私は問題点だろうという感じがいたします。それで、私先ほども申しましたように、考え方では、要するに一つ港湾管理者として、港湾計画を立て、港湾管理していくという方針を立てていくというときの自由裁量で、こういう範囲があるという問題と、それからここでいうこの基本方針に適合して、一定の基準に適合したものでなければいかぬのだという問題と、これは何ら相反する問題ではない。要するに、そっちの方向で自由裁量して考えていくべき港湾計画なんだという考え方で、私は何ら差しつかえないという言い方をしたわけです。
  86. 神門至馬夫

    ○神門委員 そういうことになれば、この法改正のおもないわゆる目玉は、この第三条にある。こういうふうに一貫して説明になっている。しかし、それは計画法的にこれまでなされたことを整理したもののことだ、議事録を見ますと、だれかの質問港湾局長はこういうふうに言っておいでになる。こういうただ手続的なことに対して、いままでの管理者主体の港湾計画そのものが政府基本方針のワク内におさめられるという方向に変質をしたことは明らかではないのですか。
  87. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど港湾局長答弁を聞いておりまして、いま御指摘の問題につきまして——先ほど三浦先生からいろいろ御質問があったその問題とも関連すると思いますが、たとえば、これは法文の字句解釈の問題にも関連いたしますが、「勧告」という字を使っているではないか、一方では「求める」と書いてあるではないか、それとどう違うのだということ。これは私も幾つかの法律に関係いたしましたが、その内容は同じようなことでありましても、そこへ書く場合に書き方が「求める」と書いたり「勧告」と書いたりするというような場合が間々あると思います。しかし、これは政府としての有権的な解釈をいたすのにはちょっと早計でございますから、この点は法制局とも相談をいたしまして、有権的な解釈を確立いたしまして、次の機会にはこの点について明確にお答えをするようにしたほうがよいのではないかと思います。  先ほど港湾局長のいろいろな説明を聞いておりまして、内容的には私はそのとおりだと思いますけれども、形式的な解釈になりますと、多少答弁が不明瞭な点があったようにも私聞きましたので、この点は次の機会までによく相談いたしました上で確定的な解釈をしていきたいと思います。  それから内容的な問題でございますけれども先ほど三浦先生の御質問に対してお答えいたしましたように、この港湾法におきましては、私たちこれで港湾管理者である地方自治体考え方あるいは港湾管理についての権限というものを弱めようというような意図は全くないのでありまして、先ほど申し上げましたように、港湾機能というものがだんだんと、いままでのような一つ港湾、その中で自分港湾の安全さえ確保していればいいのだというようなことではなしに、機能が拡充してまいりましたので、それに応じたような港湾法改正をいま提案しておるような次第でございまして、三条の三に書いてありますようないろいろな事柄、これにつきましては先ほど港湾局長がるる御答弁を申し上げておりますように、これは個々港湾について非常に具体的な計画をきめたり基準を示したりということではございませんで、一般に全体の港湾を見まして、それに応じて港湾というものはこういうふうなところでこういうふうにしなければならぬとか、あるいは港湾によりましてある程度の緑地帯のようなものを確保しなければならぬとかいったような基準を、ここに書いてありますように、こまかなことですが、運輸省令できめるというようなことになっておるわけでございます。それによって港湾管理者が非常に管理者としての権限を束縛されたりあるいはそれによっていままでの港湾管理者立場が非常に弱体化するというようなことは考えてもおりませんし、そういうことになることは避けなければならないと思っておる次第でございます。  内容的には先ほど来局長から申し上げたとおりに御理解をいただきたいと思いますが、ただ形式論としていろいろな問題起こっておりますので、この点はもう少し時間をいただきましたら、この次の機会にその点は解明できるように措置をしてまいりたいと思います。
  88. 神門至馬夫

    ○神門委員 法制局の説明を受けられるのだったら、この中に「申し出ることができる。」という新しい文章ができておりますね。三条の二の五項「港湾管理者は、基本方針に関し、運輸大臣に対し、意見を申し出ることができる。」「求める」「勧告」「申し出る」これはリズムとしては「求める」よりか「勧告」が薄く、さらに「申し出る」が薄い、こういうふうに私らリズムとしてはとるのですが、このような使い分け、これもひとつついでにいまの「勧告」「求める」の解釈と一緒に、この「申し出る」との違いはどこにあるかということを聞いておいていただきたいと思います。  それから大臣の御答弁ですが、そのように一切これまでの管理者のいわゆる管理主体、自主性というものを侵害しないという理念は今次改正法においても一貫して通っておるのだ、こういうたてまえであるならば、あなたの御説明の中の、基本方針及び基準に適合したものでなければならないのだ、ワクをはめてその中にしか自主性がないのだ、それを受けての管理計画港湾計画ということ、そういうものではこの法律はないのだ、こういうことはやはり変更されないとこの説明書はあなたのいまの御答弁と食い違います、この点いかがですか。
  89. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 その点については、私は食い違っておるとは考えていないのでありますが、極端な例を申しましても、港湾というのはいろいろの船が入り、いろいろの荷物を陸揚げし、あるいは積んで、地域開発にも役に立つし、国土の開発にも役に立つというようなことをねらっておる流通機関の一つであると思いますけれども、その場合に大事なことは、やはり安全を確保していくというようなことが一番重要視されなければならぬと思うのですね。港湾管理者はまさかそういったことについて安全性を無視したような港湾計画というものはつくらないだろうと思うのです、常識的に。しかし、そういったことは一般的には——これは極端な例ですが、極端な例を申し上げますと、やはり港湾というものはそういう交通体系の中でこういう仕事をするのだから、こういうような機能は失わないようにしなければいかぬじゃないかというようなことは、これはわかり切ったことでありますけれども基本方針としてはあげておかなければならぬだろうと思うのでありますが、そういう意味で、本来港湾管理者港湾を経営していくという場合に、非常に大きな束縛を受けて、自分がこの港湾はこういうふうな方法で、こういうふうな構想で経営したいのだと考えておるにかかわらず、それを運輸大臣が、自分考え方でそれはいかぬからこうしなさいというようなことを申すような考えはないということを申し上げておるのでありまして、そこの点は一般的に抽象的にどの港湾でもおよそこういった港湾については、こういった基準を守ってもらいたいのだというようなことを書くのでありまして、いわば当然といえば当然かもしれませんけれども、こういうふうなことを、いろいろな港湾ができて、あるいは隣接港湾もあるし、特殊の港湾もございますから、そういったものをおしなべて、そういうふうな一般的な守るべき準則といいますか、そういう考え方というものを述べようというのがこの基本方針であって、運輸省令できめようという基準であるというふうにお考え願いますと、私がさっきから申し上げておりますことも御理解願えるかと思います。
  90. 神門至馬夫

    ○神門委員 大臣は参議院のほうへおいでになっておりましたから、前の御答弁とちょっと空白があるように思います。これは港湾局長答弁の議事録を見ましても、現行法目的が現状にそぐわない、それは環境問題が第一だ、第二が国土の利用計画との関連の港湾の適正配置だ、こういう二つの条項がこの現行法目的が現状にそぐわない重要な課題だ、こういうふうにおっしゃる。あなたのおっしゃるように安全第一の云々、港をどうしてこうしてというような小さい問題ではなしに、いわゆるマクロの立場に立って、将来基本方針を立てるのだというそのためには改正法三条の二にありますところの特に二項の二号ですね。「港湾配置機能及び能力に関する基本的な事項」これがまさに最大の問題になる、こういうふうに思うのですよ。そうすると、いま大臣の御答弁になりましたような趣旨とはずいぶん違った、これはあなたのおっしゃることはまさに港湾計画主体者であるそのものが日常的に考えているようなミクロ的な中においてもまだミクロ的なものなんです。ですから、いまこのような基本方針というのは、私時間がないからはしょって申しますと、これまで五次にわたる五カ年計画が策定されてまいりましたね。五カ年計画そのものがミクロ的立場であって、常にいわゆるあと追いの状態になる。そして単年度でこれを切り上げて、また五カ年を待たずに新しい計画を策定せざるを得ないという今日のいわゆる内航海運あるいは外航海運の予想以上の貨物の扱い量によってその計画変更を見ておる、このようなものと、もう一つは、そのように集中的に都市に海陸の接点が八大港、六大港というふうに集中いたしますと、都市計画といたしましても環境条件をたいへんに悪くしてしまう。だからこれは国土開発という、まさにそのとおりだということを港湾局長は力んでおっしゃっておりますし、この説明書の中にもそういうようなことをおっしゃっておいでになるわけですね。そういう立場でのこの基本方針だとするならば、いまのそのような基本方針のワク内でしか港湾管理者港湾計画を立ててはならないという、このことになる、いわゆる非常に大きなマクロ的な立場での範囲は制肘されるのだ。この新しい改正法の法体系は、いまの大臣のような答弁ではなしに、壮大な構想のもとに、そのワク内は持ってもらわねばならないのだという、これは議事録を見れば明確に港湾局長答弁の中には出ておると思うのですよ。その点いかがですか。
  91. 岡部保

    岡部政府委員 いま先生お話ございました点につきまして、私以前に御答弁申し上げておりますし、全くそういう考え方でございます。それでいま大臣の御答弁にもありましたように、要するに基本方針というものが確かに三条の二の二項の第一号の感覚を中心に大臣が御説明なさいましたから、確かに先生のおっしゃるような御指摘があったんだと思います。二号のほう、先ほどもちょっと御答弁申し上げたわけでございますけれども、二号のあたりで一体どこまで管理者の自由裁量に国の考え方というのはぶつかってくるのかというあたりがほんとう問題点だと思います。それでこれが全然重ならないというものでは、私は、たてまえ上ないと思います。ただ、たとえば先ほど一つの例を申し上げたのですが、東京湾であるとか大阪湾であるとか、そういう過密の地域の一つのクローズされた湾内に今後たとえば工業港つくりたいという管理者がおるとすれば、それはわがほうの考え方基本方針では、そういうところよりは別なところにするべきではなかろうかというようなことが一つ基本方針として出てくる。それに対して管理者が、それを自分考えの自由を束縛するものであるというふうに考えられるならば、確かにそういう問題は私は事実として出ると思います。ただ、現実の問題といたしましては、そういう問題、管理者のほうが逆に言えばむしろ地域的な感覚が強い立場でございますから、そういうことがまずあり得ないだろうということで、同じ方向になるのではなかろうかということを私は先ほども申し上げたわけでございます。
  92. 神門至馬夫

    ○神門委員 そういう精神論的なものでは説明できましょう。しかし法体系としては、そのような善意を期待しながら条文化して、そしてこの改正法三条の二あるいは三条の三等をつくったものだと、こういうふうにおっしゃっておるけれども法律論としては確かに管理者権限を、運輸大臣基本方針のワク内に縛った、ワクを設けた、いわゆるさっきの求める論じゃありませんけれども、第四十八条の条文は、御承知のとおりですが、こうなっておるのですよ。四十八条の二項に「運輸大臣は、前項の計画を審査し、当該計画全国港湾開発のための国の計画に適合しないか、又は当該港湾利用上著しく不適当であると認めるときは、これを変更すべきことを求めることができる。」勧告することができるという。著しくどうこうというときには、そういう解釈は別として非常に弱い立場。ところが大臣説明になりました今次現行法改正というのについては、基本方針のワク内、省令のワク内においてのみ港湾管理者はやるんだ、こういう説明をもって第三条の二、三が生まれている、第二条三項の説明がなされている。これは精神論は別として、法律論としては、解釈論としてはもう全く変わらないということは、あなたのほうで答弁されるのに汗が出やしませんか。無理な解釈になりやしませんか。
  93. 岡部保

    岡部政府委員 私は決して汗が出るわけではございませんで、ほんとう法律論で、どうも先ほどだいぶお粗末な面が出ましたのでまことに申しわけないのでございますけれども、法解釈としてこういう点があるという点は、私は決して否定するものじゃございません。ただ現実の問題として、決してそういうことをするためのこういう法体系ではないということで、私は決してそういうことではないんだと申し上げておるわけでございます。
  94. 神門至馬夫

    ○神門委員 それは、ないんだないんだということで、全然説明にはなっていないんですよ。  それであなたの議事録を見ますと「いわゆる地方自治権と申しますか、港湾法で非常にほかにちょっと例を見ないほど地方自治を尊重いたしておりますが、そういう考え方はここで何らいじっておらぬということを、私ども考えておる次第でございます。」こういうことをおっしゃっておる。そのことを繰り返しておいでになる。他に例を見ないほど港湾法地方自治というものを認め過ぎているという。これを返せば、そこに国土総合開発的なものがネックになっておる。ある意味において中央集権的にして、基本方針を全体的、全国立場に立って運輸大臣が設定する中で、それぞれ地域セクトの出るであろう港湾建設なり開発なり配置というものを、チェックしていきたい、率直に言って、こういう真意があなたのほうにはあるのじゃないのですか。
  95. 岡部保

    岡部政府委員 どうもいまのお話で、そういうことを考えておる意味では全然ございません。と申しますのは、先ほども申しましたように、要するに地方自治権と申しますか、その港湾管理者権限というものを従来どおりの筋で考えておる。それでたとえばほかの法律に類を見ないほど地方自治的な考え方であるというのは、港湾というものが非常にポイントであるからという一つの理屈はございますけれども、たとえば道路であったり河川であったり、これは明らかに同じような公物管理的な法律であったわけでございますけれども、明らかに国有国営の思想が一部というか、だいぶんに入っておるわけでございます。そういうもので、あるいは港湾管理でも戦前は、横浜港、神戸港、門司港のごとく国有港、国営港の思想があったわけでございます。それをこの法律で、一切国の管理ではない、地方港湾管理者が、地方公共団体港湾管理者になっておやりになるのですよということで進んできた。そういう意味では私は地方自治の精神を非常に重んじている法律だという考え方でございますし、しかもいまなおそういう考え方で私どもは今後ともやっていきたいという考え方でございます。
  96. 神門至馬夫

    ○神門委員 二十五年に港湾法ができまして、二十六年に移管されている。その当時はまことに民主主義の黄金時代ですね。そういうときの精神と今日とは、世情も大きく変わってきている。そこに当然生まれてくるでありましょうし、そのときの説明の中にありますように、経済基盤の強化がまず第一の目的であった、こういうふうな一つの基本的な問題がある。今度は国土の総合開発が主要な目的になっておる。まあ言うならば、外貨獲得第一主義の段階から収支均衡を今日の政治の第一課題にせざるを得なくなったというような、いろいろな変更も生まれている。たとえば内航、外航、これらもすべて、そういうような変化の中で、今日的目的に対応しない。このようなものも、ただ形式的に港湾の形態とか規模ということではなしに、総合国土開発計画の中に位置づけされるというのが当然だろうと思う。当然であるとするならば、それの全体的な指示に立つところの運輸大臣が、その立場に立つ国が、責任を持ってそれらの配置開発なり規模等、あるいは機能等を決定していく、これが当然であり、当然であるとするならば、それは必然的に二十六年移管当時の客観条件とは違って、これは運輸大臣のほうに権限を集中していかなければそれらのものができないという問題がここに生まれる必然性が、歴史的にいっても、今日の経済あるいは政治情勢からいっても、私はあるのじゃないかというふうに思うのですが、大臣いかがですか。
  97. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国土の総合開発という点から申しますと、非常にいろいろの、港湾もそうでありますし、そのほかの公共的な施設につきましても、考え直さなければならぬという点が出てきていることは確かでございますが、今度のこの港湾法改正にあたりまして、そういう国土の総合開発というような観点からこの港湾法の一部改正案を提案しているわけではないのでございます。でございますから、先ほど来申し上げておりますように、そういったことは運輸省といたしましても、日本の港湾全体を見まして、全体的に港湾配置でありますとか、各港湾にそれぞれ有機的に活動してもらうというような意味におきまして、港湾全体を通じての基本的な考え方というものは示したほうがいいということを考えているだけの話でございます。それ以上に、こういうふうに国土を、こういうふうな新産都市ができるからこの港湾を、こうしなければならぬというようなことを運輸省できめまして、それを港湾管理者に押しつけようなんという考え方は、持っていないのでございます。その点は非常に、何といいますか、国土総合開発という観点だけから見ますともの足りない点もあるかもしれませんが、今度の私たちの考え方としましては、そういう点ではなくて、それは個々港湾を対象にしない、全体的な港湾配置とか、あるいは各港湾の相互関係、有機的な活動をしてもらうというような意味における基本的な考え方を示すというにとどまりまして、その点は何度も申し上げましたが、いままで申し上げたような趣旨港湾管理者権限なり働きというものを、この港湾法の一部改正案によって縮小したり、それを変更しようという考え方はございませんということを、重ねて申し上げておきます。
  98. 神門至馬夫

    ○神門委員 それは重大問題ですね。この説明書の第一に「港湾法は、昭和二十五年という」——一ページですよ。第一の冒頭に書いてあるのです、基本的な問題が。「しかしながら、港湾法は、昭和二十五年という経済基盤の強化に主力を置いた時代に制定された法律でありますので、公害防止等港湾の環境の保全あるいは国土の適正な利用及び均衡ある発展等、現在、社会的に重大となっている諸問題に対する配慮に欠けるところなしとしません。」これが基本になってすべてが生まれている。そして港湾局長はこういうことを説明になっている。「国土計画がベースになっておるではないかとおっしゃいましたが、全くそのとおりでございまして、地域開発計画あるいは国土全体の計画、こういうものが一体どういう方向であるか、それによって港を考えるときには一体どういう原単位で港の計画、設計をしたらいいんだろうかというような点のベースになるようなものをここにあらわしていきたい。」これは大臣港湾局長とは全く反対の答弁になっておる。「したがって、それぞれの国土総合開発計画であるとかあるいは首都圏整備計画であるとかあるいは近畿圏整備計画等々のそういう特殊な地域開発計画があります。そういうものが一つの前提である。そこにここの第二号であらわされるような一つの、そういう港であるならば基本的にどういうことを原単位として考えていくべきだ、あるいは配置をするとすればこういうことを参考にして考えるべきであるというようなマクロ的な考え方をここに述べなければならない。」こう答弁しているのであります。ところが大臣はまるきり反対の、国土総合開発計画というようなものは全く考えてない、こうおっしゃる。いまの答弁は議事録において明確でありますが、一体どうなっているんですか、これは。
  99. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 ことばが足りなかったかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、日本の港湾全体を見まして港湾配置でございますとか、各港湾との間の有機的な関係とかいうようなものにつきまして、この港湾法の一部改正案によって運輸大臣がそういうふうな基本方針をきめよう、こういうことは先ほど申し上げたとおりでございますけれども先ほどお尋ねの趣旨が、国土総合開発計画に沿って各港湾機能を、この港湾は背後地がこうなっているからこういうふうにすべきだというような考え方できめていくのじゃないかというように私はとったものですから、個々港湾につきまして新産都市がどうであるとか何であるとかいうようなことを個々考えまして、それで各港湾個々計画というものを運輸大臣がきめていこうとか、それの指針を示そうとかいうことではありませんということを申し上げたかったのでございます。  しかし、およそ港湾配置をどういうふうにしていくか、東京湾のごときあるいは瀬戸内のごとき、それぞれたくさんの港湾が並んでおりますが、そういった港湾機能をそれぞれ発揮してもらうためにはどういうふうな考え方でいったらいいだろうかというようなことにつきましては、それぞれの港湾管理者を拘束する意味ではなくて、全体的な考え方としてこうあってほしいということをきめようというのでありまして、それはしかし一方から申しますと地域開発にもつながってくるでございましょうし、あるいは国土総合開発にもつながってくるだろうと思います。しかし、それが主たる目的ではなくて、そういう目的を持って計画をきめようということは考えてはおりませんということを申し上げたわけでございまして、あるいはその点はことばが少し足りなかったかもしれませんが、あらためてそういった点についてお答えをいたしましたので、それで御了承いただきたいと考えております。
  100. 神門至馬夫

    ○神門委員 それはやはり、ことばをとったらきりがありませんけれども、明確に国土総合開発という——たとえば、日本列島改造諭が評判が悪くなったから、日本列島改造論に従ってこの問題は国土の適正な利用及び均衡ある発展といっているものじゃないのだと大臣は言いたいのじゃないかと思うのですよ。しかし国土の適正な利用及び均衡ある発展というのは、本来政府の任務じゃないのですか。その任務を放棄して適正な港湾等の配置を、あるいは工業港にいたしましても、あるいは物流港にいたしましても、それをするということを考えない運輸大臣だとするならば、運輸大臣は要らぬのじゃないですか。なぜその点をあなたのほうは否定をされるのですか。それに基づくところの基本方針というものは当然あってしかるべきじゃないですか。それがいわゆる行政というものじゃないですか。
  101. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 港湾だけではなしに、私たちのほうであずかっております運輸行政、先般もここで御質問があったと思いますけれども、そういったのがすべて国土の開発につながらないか、国民の福利につながらないかと申しますと、これはもちろんつながることは言うまでもないのでありますが、ここでいま問題にしておられますのが、運輸省で今度やろうという基本計画とは一体何だ、それから運輸省令で定めようという基準というのは一体何だ、こういうことが主体でございますので、私はそれに答えまして、それはそういう国土の総合開発を推進するためにこの基本計画をきめるというわけではございませんということを申し上げているわけでございまして、それが国土の開発にも地域の開発にも国民の福利にもつながらないようなものでありますと、これは公共事業でありまして、そういう公共事業は考えられないといってもいいのじゃないかと思うのです。それは関係がないことはございません。関係ないことはありませんが、基本計画を定める基本的な方針としましてはそれを目標としてやるのではありませんということを申し上げているのでございまして、この点はあるいは聞き方が悪いのかもしれませんが、私はさっきからそういう意味で御答弁を申し上げている次第でございます。
  102. 神門至馬夫

    ○神門委員 答弁が何かわからぬような答弁ばかりですから、ひとつこの文書になりました説明書、これまでの議事録、港湾局長と本日の大臣答弁との食い違い、これは議事録で明確になりますから、ひとつその点を調整をして次に答弁をしてください。これは保留をしておきます。委員長、よろしゅうございますか。  そこで次の質問に移りますが、その先に大臣にちょっと質問しておきます。  あなたのほうから出されております提案理由の説明に基づいてこれから質問をしてもよろしゅうございますか。まずその点を大臣にお尋ねしておきます。
  103. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 私がここで申し上げた、その点でお答えできる範囲でお答えいたしますから、どうぞ御質問願いたいと思います。
  104. 神門至馬夫

    ○神門委員 「国土の適正な利用及び均衡ある発展等、」という——いま港湾局長とその問題に関して反対の答弁がなされて、次の質問を一体どういう前提でしたらいいか、ちょっと迷うておるのですが、一応この説明理由に書いてあることを前提に質問をする以外にはないだろう。  そこで、そういうふうにこの三条の二の二項に基づいて、国土の総合開発というマクロ的ビジョンに基づいて配置開発、その機能をきめる、それはやはり五カ年計画というような短い期間、いわゆる有限的な期間におけるミクロ的な視野ではどうしても予想以上の取り扱い貨物量によって追いつかなくなる。だから計画を壮大なものにしていこう、いわゆる十五年先、二十年先に間に合うようなものにしていこう、こういうような考え方がございますか。
  105. 岡部保

    岡部政府委員 いまの先生お話でございますが、基本方針で、何か十五年なり二十年なりの長い、ロングレンジの計画をつくるのかという御質問かと思いましたのですが、私ども考え方では、基本方針考え方は、先生のおっしゃるとおり少し先をながめて、どういう方向へ持っていったらいいかということで、これが十五年を考えるのか、あるいは二十年を考えるのか、この辺は別に具体的にぴしっとしたものではないと思いますけれども、そういうロングレンジのものだと思います。ただ、それが計画ではない、一つ方向であるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  106. 神門至馬夫

    ○神門委員 その場合に、今日までの、日本の戦前の場合は軍事的、戦略的三大港を中心に開発された。戦後の場合は高度経済成長なり独占を育成するために六大港から八大港になって拠点港の開発になってきた。いまこれは港湾局長説明によると、全国的にそのような集中せずに国土総合開発観点配置したい、こういうようなお考えなんですね。そしてまた総理大臣が施政方針演説、あるいはその後予算委員会等の答弁の中で言っておりますのは、今日日本の政治の最大の課題、政府の任務は、いわゆる貿易収支の均衡をはかること、円問題についての対策を何とか善処することだ、こういうふうに言っておいでになる。いわゆる外貨獲得の時代から、いまはその均衡を保つ時代に大きく変わってきた。そういう中から必然的に重要港湾等の位置づけも変わってくるのじゃないか。そうするとこの位置づけと四十二条あるいは四十三条、四十四条ですかの費用の負担助成、それの関連ですね。これはたいへん問題が出やしませんか。ところがいま港湾局長がおっしゃるように、将来計画をもって五年たてばまたバースを一万トンから二万トンに変えなければならぬようになるという見通しでなしに、先行投資をしなければならぬ、先行投資そのものはいいけれども、その間における維持費というものはたいへん膨大なものになる。そうすると、今日の貧弱な公共団体、地方自治体等においてはその負担能力がない、こういうような問題が出てくると、この四十二条、三条、四条というような負担の率ですね、あるいはそれに対する特別措置的なもの、これらのものは、むしろ今日この港湾法そのものを改正されるとするならば、これは一緒に改正されないと、あなた方の言っておられるところを前提としても、その目的に反しはしませんか。
  107. 岡部保

    岡部政府委員 いまの御質問でございますが、いわゆる港湾の補助体系というものをこの法律改正の際に考え直すべきではなかろうかという御意見に対しては、私全く賛成でございます。ただ、まことに申しわけなかったのでございますが、今回の改正に間に合いませんでした。と申しますのは、現実にこれはそれぞれの港湾管理者立場もありますし、またそれぞれの港湾管理者ではありませんが、地元の地方公共団体というような関係もございますし、いろいろな意味がございまして、これは私の非常に個人的な考え方と言うといけないのかもしれませんけれども、こういうものを再検討するという作業を始めておりますが、今回の法律改正には間に合わなかった。次回またお願いするチャンスにこの補助率体系というものをもう一度見直すということは、私ぜひさせていただきたいと考えております。
  108. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうすると、この問題につきましては、確かに片ちんばで、片方は中央集権的な権限ほど強めて、片方の予算的な四十二条、三条、四条、このものをそのままにしておくことは、いわゆる権限ほど強化して、予算的なものが何らない。そうすると、そこに私たちが質問する焦点が、地方自治体いわゆる管理者権限を弱める中で中央集権権限ほど取っておけばよろしいという運輸省なりの意思があるのじゃないか、こういうような推測が成り立つわけなんです。成り立つわけなんですが、ちょっと時間がありませんし、他にも質問があるようでありますから、法制局の見解等の保留があります、その続きに、いま港湾局長も、これは片方の足があって片方の足がないようなものだというような表現の重大発言がありましたから、これを次の機会に質問を留保して終わりたいと思います。
  109. 井原岸高

    井原委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕