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1973-03-06 第71回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月六日(火曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 守良君    理事 細田 吉藏君 理事 兒玉 末男君    理事 斉藤 正男君 理事 梅田  勝君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       大竹 太郎君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    關谷 勝利君       渡海元三郎君    徳安 實藏君       西村 英一君    山村新治郎君       綿貫 民輔君    井岡 大治君       太田 一夫君    金瀬 俊雄君       久保 三郎君    神門至馬夫君       紺野与次郎君    田代 文久君       石田幸四郎君    松本 忠助君       河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         水産庁次長   安福 数夫君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省海運局長 佐原  亨君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省船員局長 丸居 幹一君         運輸省港湾局長 岡部  保君         運輸省航空局次         長       寺井 久美君         海上保安庁長官 野村 一彦君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質管理課長 山村 勝美君         環境庁水質保全         局水質規制課長 太田 耕二君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   紺野与次郎君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     紺野与次郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  港湾法等の一部を改正する法律案内閣提出第  七三号)      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  港湾法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。紺野与次郎君。
  3. 紺野与次郎

    紺野委員 今度の港湾法改正の問題を検討するにあたって、二月十三日の閣議において決定された経済社会基本計画、これで今後の貨物輸送の全体の計画がどうなっているかということについて、最初に御質問したいと思います。  ちょうど二月十三日は円の変動相場制移行の日でありまして、そういう事態を全然見通さないで決定された経済社会基本計画でありますけれども、この計画の中で五年間、四十八年から五十二年まで経済成長率をどういうふうに見ているのかどうか。  それからこれによって特に貿易収支の赤字、黒字をどういうふうに見ているのかどうか。それと関連して貨物輸送量が全体として現在の四十八年度の現状からどれだけの増大を見越しているのかどうかということについて、最初大臣から御説明願いたいと思います。
  4. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 経済社会基本計画についての資料は多分お手元に出ていると思いますが、いろいろの点について御質問がありましたが、あと政府委員から数字については御説明すると思いますが、大体だけ答えます。  これは貨物のほうでまいりますと、ごく大ざっぱの数字ですが、これに書いてありますように、輸出が一億八百万トン、輸入が十億三百万トンというようなものが基礎になっておるようでございます。国際収支関係におきましては、大体今後三カ年程度収支バランスを得るようにというような考え方基礎になって組みたてられておるというふうに考えております。
  5. 紺野与次郎

    紺野委員 経済成長率、これは九・四%ですね。四十七年度の成長率実質九・二%ですね。名目では一四・五%といわれておりますけれども、これは最近新聞で発表された推定を含んでいるわけですけれども実質九・二%。これに対して、この経済社会基本計画は九・四%なんですね。そうすると、いままで高度成長高度成長といって、それ自体がいまやたいへん批判の対象になっているわけですけれども、依然としてやはり高度成長計画になっている。去年の実績で九・二%、これから毎年五カ年にわたって平均が九・四%でありますから、成長率はやはり高度成長を続けるそういう計画にこれは基づいているということがいえます。この点自体が、すでにそういう高度成長第一主義でやっていけば円の切り上げが何度でも繰り返されるような、そういう経済構造になっているということで批判を受けている問題であります。  それから、その高度成長の結果として、いま大臣収支バランスを得るようにと言っておりますけれども、この計画によりますと、五十二年度の黒字は百二十四億ドルの黒字を出すようになっている。去年の黒字は九十億ドルです。そういう点から見て、やはり高度成長第一主義的な経済社会基本計画に基づいてこの港湾政策というものが決定、たくまれているのではないか、目ざされているのではないかというふうに考えられますけれども、この点はどうですか。
  6. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 経済社会基本計画につきましては、運輸省ももちろん関係がございますが、これがどういうふうにして策定され、どういう計算によってこういう数字が出たかにつきましては、経企庁長官あるいは関係局長を呼びますから、政府委員から詳しく御説明をさせたいと思います。  私、さっきも申し上げましたのは、この基本計画におきましても、大体いまお示しのような数字考えておりますけれども、いままでのような体制で、ただ、経済成長一本やりでいくのではなく、再々予算委員会でも総理あるいは経企庁長官からも御説明しておりますように、今度は経済成長一本やりではなく、社会福祉重点にして組み立てた計画であるというのが骨子でございまして、そういう方向でこの計画は組み立てられており、いろいろのそれに基づいて出てくる政策もそういう方向で、この政策の実施に当たろうという努力を政府はしておるわけでございます。
  7. 紺野与次郎

    紺野委員 港湾局長にお聞きしますけれども、四十八年から五十二年までの五年間に全体の貨物輸送量、そしてその中で港湾関係で内航海運が運ぶものと見られている貨物輸送の割合、それはどういうふうに考えておりますか。
  8. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 貨物推定輸送量は、先ほど申し上げましたように輸出でもって一億八百万トン、輸入が十億三百万トンと想定しておるようでございますが、そのうち内航海運に関しましては、いわゆるフェリーによるものを除きまして六億五千万トンと試算をされております。これは四十六年度に比べますと大体二倍程度になるという試算でございます。
  9. 紺野与次郎

    紺野委員 そういうかなり大きな経済成長率を見込み、またそれに基づいて一そう大きな黒字を出すような、基本計画に基づいてかなりばく大な貨物輸送量の内航海運によってそれを消化していくという計画が、この港湾法の改定の基礎にあると思います。やはり高度成長的な性格を持っている。政府のほうでは社会福祉的なものを重点にしているというふうにいっていますけれども、第二の問題として、そうではない、これはやはり高度成長のための、かなり抜本的な高度成長を目ざした港湾政策ではなかろうかという疑いがきわめて濃厚でありまして、その点について今度は具体的にお聞きしたいと思います。  それはこの第一章の中に、いままでと違ったものが持ち込まれた。第一章において、いままでとの性格がまるきり変わってしまったようになっているのではなかろうかというふうに思われます。その第一の点は第一条ですね。第一条の目的というところで、きわめて抽象的でありますけれども、「この法律は、交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため、」云々というふうに書いております。そのために航路開発保全等々を含めて新しくいっているわけですけれども、やはり国土の適正な利用、この点に国土政策としてあらためて港湾というものを位置づけして、そして今後のいわゆる日本列島改造的な国土計画に基づいて港湾の位置づけをして、これを開発するということを目的としてこれがつくられたのではないか、第一はそういう点ですね。最初の第一条の目的という、この点について御説明をしていただきたいと思います。
  10. 岡部保

    岡部政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の仰せのございました第一条、目的改正でございますが、まず大臣提案理由で御説明を申し上げましたし、いままでの御質問でもお答え申し上げておりましたのですが、現行港湾法、これの第一条の目的規定にもございますように、昭和二十五年に制定されましたこの港湾法という法律の成立の経過がいろいろあるわけでございます。と申しますのは、大正年間以来港湾法という一つの基本的な法律をつくらなければいかぬということで、当時は内務省であったかと存じますが、ずいぶんいろいろと議論があったわけでございます。ところが、どうも港湾管理というものがどういう姿であるべきかというあたりが非常にいろいろな問題がございまして、そこで昭和二十五年にこの法律が制定されましたときに、港湾のほんとうの責任者である港湾管理者設立するということに非常にウエートが置かれたわけでございます。したがって、現行港湾法の第一条の目的をながめますと「港湾管理者設立による港湾開発利用及び管理の方法を定めることを目的とする。」というこの管理者設立ということが非常に大きなウエートであった。ところがその後港湾管理者制度というものも、この新しい現行法でございますけれども、新しく制定されました港湾法というものになじんでまいりまして、それぞれの地方公共団体あるいはごく一部港務局、ごく一部には一部事務組合というような地方公共団体中心とした港湾管理者というものが、非常に根をおろして、もうこういうもので港湾というものは進めていくべきだという考え方に非常になじんできた。  そこで問題は、それでは現在もどういう港湾管理者設立というものが中心でいいのかどうかというあたりが問題であるかと思います。そこで、制定後二十三年間にわたりまして港湾管理体制拡充強化というものがはかられたわけでございますが、現在全国で九百六十三港に港湾管理者設立されております。そしてその管理運営に当たっておるわけでございます。ところが、最近の港湾管理運営の問題だけではなくて港湾で一番問題になるのは、しばしば申し上げておりますように、今後の開発をしていく上での環境問題であるとかあるいは確かに先生がおっしゃいましたように、全国的な一つ配置計画と申しますか、国土利用計画と申しますか、そういうような考え方から出た港湾適正配置、そういうようなものが非常に問題になる。したがって、今回その点を配慮した港湾法改正が必要となったわけでございまして、そのような趣旨十分法律上に反映させるとともに、今後の港湾行政の指針にもならしめるために目的規定をこのように変えたわけでございます。したがいまして、やはり先ほど先生が最後におっしゃいました国土計画というか、そういう国土全般的な面での港湾のあり方というものもこの目的に入っているだろうという御指摘でございましたが、それは明らかに入っております。やはり港湾というものは国土の一翼をになうものであるという考え方から、国土の適正な利用と均衡ある発展に資するために港湾というものが大いに効果がなければいけないんだという考え方はもう明らかに持っておりますが、目的を非常に大幅に改正したというところは、むしろ現行法目的がどうもそぐわないという考え方から変えたというふうに御了解いただきたいと思います。
  11. 紺野与次郎

    紺野委員 いま答弁があったわけですけれども、そういう点で国土計画というものとの関連のもとでこれが問題になってきているという点がやはり明らかになったと思います。  それで第三条ですけれども、第一章の中で第三条の二及び主が付加されております。全く新しくここに創設されております。この三条の二と三で関連して御質問をいたしますけれども、これをいま言いましたところの国土計画の一環としてとらえている証拠といたしまして、これによれば全く従来と性格が異なって、運輸大臣政府港湾政策港湾開発利用保全並びに開発保全航路開発に関する基本方針を定めなければならない、こういうふうに一躍、従来の自治権を尊重するたてまえで行なわれておったところの昭和二十五年以来の伝統的な港湾法性格を一変して、運輸大臣政府が全権を持って基本的な方針を握る。それを以下の点で基本方針を定めなければならないといって具体的にいっているわけですが、そのことについてお聞きしたいわけなんです。  つまり第三条の二の基本方針「一 港湾開発利用及び保全方向に関する事項」その次は「港湾配置機能及び能力に関する基本的な事項」三は「開発保全航路配置その他開発に関する基本的な事項」これは全く国土開発の観点から新しく出てきたところの基本方針でありまして、これについて、第一の「港湾開発利用及び保全方向」というものはどういうことか、具体的な例をあげて説明していただきたい。
  12. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 大体の考え方についてまず申し上げまして、あと政府委員から説明させます。  運輸大臣がきめようとします基本方針といいますものは、これは全国輸送体系の中で、全国的な視野に立って港湾全体についての方向づけをしようとするものでありまして、港湾管理者の権限をこれで縮小しようとか侵そうというような意思は全くないのであります。この法律規定にもございますように、基本方針を策定するにつきましても、港湾管理者から運輸大臣意見を申し出ることができるようになっておりまして、港湾管理者意見基本方針の策定にあたりましても十分に反映し得るように組み立てられておるのでございます。で、なお各港湾についての具体的な港湾計画というものは、これはもちろん港湾管理者がきめまして運輸大臣のところに提出することになっておるわけであります。  で、運輸大臣がこの基本方針をきめるといいますのは、やはり全国的な視野に立っての各港湾機能を有効に発揮せしめるように、大所高所から非常に大ざっぱな方向づけをしようという意味でこういう規定を置いたのでありまして、この点は誤解のないようにお考えをいただきたいと思います。  具体的な問題につきましては政府委員から答弁をさせます。
  13. 岡部保

    岡部政府委員 では具体的な問題点といたしまして、第三条の二で運輸大臣が定めます基本方針というものの内容について御説明を申し上げます。  この第三条の二の二項に「基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。」として、いま先生指摘のございました三点、一号から三号までの項目が出ておるわけでございます。  まず第一号でございますが「港湾開発利用及び保全方向に関する事項」これはまず基本的に大臣がただいま申しましたように、非常に基本的な問題国としてマクロ的に見るという問題がこの「基本的な事項」という、基本的というところにあらわれているわけでございますが、まず第一号の「港湾開発利用及び保全方向に関する事項」というのは一体何を言おうとしているのかという点について、いささか具体的に言わせていただきます。これはマクロ的に、港湾のいわゆる種類別と申しますか、流通港湾であったりあるいはレクリエーション港湾であったりあるいは工業港であったりというようないろいろな港湾の分類される別はございますが、こういうものに対してのマクロ的必要量と申しますか、こういうものを長期的な視点でここに掲げるべきではなかろうか。したがって、たとえば外国貿易貨物輸送量がどのくらいあり、内国、いわゆる内航海運輸送量がどのくらいある。そういうようなことから、マクロ的に申しまして、こういう港湾、商港的な港湾としては、全国でこのくらいの取り扱い貨物量をこなすべく整備する必要があるぞ、あるいは最近のレクリエーションの需要の増大にかんがみて、レクリエーション港湾というのはこのくらいのことを考える必要があるぞというような一つのマクロ的な港湾必要量というものをここで考えたいということが第一点でございます。  次に第二号のところで、「港湾配置機能及び能力に関する基本的な事項」というところがございます。ここで配置というような字句を使っておりますので、非常に個々の港をここで指定すると申しますか、計画を規制するのではなかろうかというお考えをお持ちいただくかと存じます。しかし、私ども考えておるのはそういう意味では決してございませんので、いわゆる物流港湾であるならば、その港それぞれの港湾管理者が自分の港を計画する際に、たとえば一体どういう原単位考えたらよいか、あるいはどういう位置を選んだらよいのか。たとえば物流ネットワーク、いわゆる陸送、陸上輸送交通ネットワークというものまで含めましての考え方、あるいはたとえば地域開発、それこそ先ほど先生のお話ございました国土計画ベースになっておるではないかとおっしゃいましたが、全くそのとおりでございまして、地域開発計画あるいは国土全体の計画、こういうものが一体どういう方向であるか、それによって港を考えるときには一体どういう原単位で港の計画、設計をしたらいいんだろうかというような点のベースになるようなものをここにあらわしていきたい。したがって、それぞれの国土総合開発計画であるとかあるいは首都圏整備計画であるとかあるいは近畿圏整備計画等々のそういう特殊な地域開発計画があります。そういうものが一つ前提である。そこにここの第二号であらわされるような一つの、そういう港であるならば基本的にどういうことを原単位として考えていくべきだ、あるいは配置をするとすればこういうことを参考にして考えるべきであるというようなマクロ的な考え方をここに述べなければならない。  ところが、第三号、「開発保全航路配置その他開発に関する基本的な事項」この点だけは違います。これは明らかに後ほどの条項でも出てまいりますように、航路計画というものはむしろ国が立てるべきである。したがって、「開発保全航路配置その他の開発に関する基本的な事項」と同じような字句を使っておりますが、この問題につきましては国がどういう航路開発保全航路として定め、どういう整備をしていくというような国の意思というものが非常に強く反映された、言うなれば個々航路計画のもう少し大まかな感じのものがここであらわされるであろうということは当然の考え方であると考えております。したがって、私ども考えておりますのは、いま申しましたように開発保全航路というのが、国がこの計画を定めていくんだ、方針もきめていくんだということで比較的具体的な問題がからんでくるわけでございますが、現実には先ほど大臣も申しましたように、航路においてさえもそれに十分関連の深い港湾管理者の御意見というものは当然承っていくつもりでおりますし、まして第一号、第二号にございます港湾の問題につきましては、第三条の三の港湾計画というところでごらんいただきましておわかりになりますように、この港湾計画立案者というものはあくまでも港湾管理者であるということで、従来、現行法で申しますれば第四十八条に「港湾計画審査」という条項がございました。四十八条のこの「港湾計画審査」というところで、個々港湾管理者計画をおつくりになるのが前提である。ところが、運輸大臣は、一般交通の利便の増進に資するため必要があると認めるときは、重要港湾港湾管理者に対し、この計画提出を求めることができる。そしてその計画審査して、全国港湾開発のための国の計画に適合しないか、または当該港湾利用上著しく不適当であると認めるときは、これを変更すべきことを求めることができるというのが四十八条にございます。これと全く同じ考え方で、ただいわゆる計画法的な体系と申しますか、ここでまず国の基本方針というものがあって、それを受けて港湾計画というのを重要港湾港湾管理者がつくるんだということで、第三条の三という条文でいわゆる計画手続規定をここではっきりあらわしたというのが今回の法改正趣旨でございます。
  14. 紺野与次郎

    紺野委員 いまの答弁によりましてもきわめて明白なことは、やはり政府が大きくマクロ的に港湾配置あるいは種類というものをいわゆる工業配置計画とかあるいは工業の新しい開発計画とかあるいは百万都市計画とか、こういうもの全体のいわゆる列島改造論といわれているものと関連して、港湾配置あるいは開発計画を基本的に政府の手でそれは定める。従来の港湾管理者はその基本方針に基づいて、しかもそれを政令及び省令という形で、あと三条の三で詳しくいってあるわけですけれども、やはり基本的な政府政策に基づいて、それから出ることはできない。現に管理者がそういう基本方針に基づいて計画を立てていくとしても、やはりこれを基本方針に基づいて審査をして、それでそれに合わない、その目的に合致していないと見た場合には、三条の三の六項で変更を求めるということになっているわけですね。ですから、港湾管理者が自主的にそういうことをやるんだということは、実はこの法律体系からいえば全くそれは従属したものであって、基本的にはやはり政府の大きな港湾政策の実現がここに確立されたというふうになっていると思います。それはどうですか。
  15. 岡部保

    岡部政府委員 いま先生のおっしゃいました確かに三条の三の港湾計画というものが、運輸大臣が各港湾管理者がつくった計画というものの提出を得まして、それで国の基本方針等々に適合しておるかどうかというような意味で、これを変更すべきことを求めることができるという条文が第項号にあるわけでございます。これは先ほども申しましたように、現行法の第四十八条の「港湾計画審査」というくだりで行なっております事務と全く同じことを非常に計画法的にここにかっこうをつけ直しましてあらわしたということでございまして、現行法やり方とそれから今回の改正やり方と少なくも港湾計画に関しては何ら変えておりませんし、しかもいわゆる地方自治権と申しますか、港湾法で非常にほかにちょっと例を見ないほど地方自治を尊重いたしておりますが、そういう考え方はここで何らいじっておらぬということを、私ども考えておる次第でございます。
  16. 紺野与次郎

    紺野委員 それは違っていると思います。それは第三条の一項ですね。この三条の二の大臣基本方針に基づいてすぐ受けて立つ三条の三は第一番にこういっています。「重要港湾港湾管理者は、港湾開発利用及び保全並びに港湾に隣接する地域保全に関する政令で定める事項に関する計画を定めなければならない。」というふうにいっているわけでありますから、そして「港湾計画は、基本方針に適合し、且つ、港湾取扱可能貨物量その他の能力に関する事項、」云々というふうにちゃんと政令できめた基準に適合するようにというふうにこの三条二を受けて、政令及び省令によってきめられた方向港湾管理者計画を立てるということになっておりますから、そういう点でももう大きな制約が基本的なところでやはりある。そうしてその計画を具体的につくった場合でも、大臣がその変更を求める、こういうふうになっておりますから、やはりいままでとは違っている。自治権というものはここで全くじゅうりんされているというふうにいって差しつかえないと思います。もう一度答弁を願います。
  17. 岡部保

    岡部政府委員 どうも繰り返しになるようでまことに恐縮でございますけれども、ただいまの先生の御指摘ございましたたとえば第三条の三の第一項で港湾管理者計画を定める際に「政令で定める事項に関する計画」という言い方をしておる。また第二項のほうで、省令で定める基準に従って云々というような点がある。これが現行法の四十八条によります計画云々というのと違う。したがって、これは地方自治的な感覚をずっと弱めたものであるという御主張でございますけれども、私どもはそうは思っておりません。  と申しますのは、港湾計画に定めるべき事項、たとえばここで「政令で定める事項に関する計画」というこの内容は、一体どういうことを考えておるのかと申しますと、まず港湾の将来の方向であるとかあるいは将来の性格、いわゆる港湾開発利用保全並びに港湾に隣接する地域保全に関する基本的な事項といたしまして、まず当該港湾の将来の方向性格などを港湾計画に定めるべきであろう。  第二に、港湾における輸送需要、その他の需要の見通しに関する事項、いわゆる港湾取り扱い貨物量が自分の港で一体何年にどのくらいのトン数になるであろう、乗降客数はどのくらいになるであろう、入港船舶の船型と数量等、こういうものの予測はどんなであろうかというような問題であります。  第三番目には、港湾施設の整備量と配置に関する事項、いわゆる港湾の平面的ないろいろな計画でございます。  それから第四番目に、港湾における環境の保全の目標に関する事項、これは環境保全の問題でございまして、どういう目標で環境を保全するかというような点。  それから第五番目には、港湾における用地造成の規模と利用に関する事項。  六番目は、隣接する地域における環境の評価に関する事項、いわゆる環境アセスメントの問題並びにその環境の保全に関する事項、そういうようなものをこの港湾計画というものでは考えなければいけないのですよ、そういうものが、港湾計画の内容になるのですというようなことを政令で定めよう、ところが現実に申しますれば、現在中央にございます港湾審議会で重要港湾港湾計画を審議いたしておりますが、そういうときにすでにこれとほとんど同じような港湾計画書というものをつくられてそれを審議していただいておるということで、これははっきりと手続規定としてこういうものをここに述べたということでございまして、現実の問題と別にそうかけ離れたものにしているというつもりではございません。
  18. 紺野与次郎

    紺野委員 その頭にいつも「基本方針に適合し、」と書いてある。これは三条の三の二項のところです。また変更を求める場合にもやはり基本方針に適合するというふうに言っているわけで、あくまでもこの基本的なマクロ的な政府意思というものをやはり貫徹しているというふうに見るべきで、それを言わないでただ形だけ入れるというだけでは不十分だと思います。違うと思います。  なお時間がありませんから、具体的にこの基本方針の問題でありますけれども、今度国土開発全体をやる政府の役所もできるわけなんですが、その基本になっている田中首相の「日本列島改造論」によりますと、非常に大がかりに具体的にいわれている点を見ますと、六十年度を予想した列島改造論では、一兆三千二百億トンキロの貨物を予想し、その半分の五〇%を内航海運にゆだねる、陸上輸送も六千六百億トンキロを消化するというふうな計画を言っております。これは全くマクロ的な基本方針であります。そしてその中で特にどういう港湾をつくるかということについて工業港——これは地方に大規模な工業港湾を先行的に建設するということをうたっております。そしてこれは鹿島港のような原型がすでにできておりますけれども、そういう工業港というものを全国的に先行的に建設するということを政策としてうたっております。そしてさらにまた流通港湾の建設ということもうたっている。これは今度の経済社会基本計画の中で、運輸政策の中で特に力点を置いて流通港湾の建設ということをうたっております。それと国際貿易港としても新しく建設をする必要がある。あるいは石油のパイプライン等々も建設するとかいろいろ大ぶろしきを広げております。明らかに膨大な新しい港湾開発を予定しているわけでありますけれども、こういう点でどこにどういう工業港を建設するか、あるいは流通港湾を建設するかというふうなそういうマクロ的な設定は具体的に計画はどうなんですか。
  19. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたたとえば流通港湾であるとかあるいは大規模工業基地に伴う港湾であるとか、そういうようなものの具体的な配置計画というものをどういうふうに考えておるかという御質問でございますけれども、私ども先ほど先生もおっしゃいました港湾の施設をこれからも相当整備しなければいかぬだろう、しかもそれは先行的にやらなければいかぬ。その問題をどういうふうにこれから考えていくかというような意味での御質問かと思いますが、たとえば大規模工業基地というものが一体どういう姿でどういうものになるべきかというような点につきまして、たとえば私ども港湾局の立場、あるいは運輸省だけの立場でこれをここで申し上げるというのは、私は言い過ぎではないかという気がいたします。従来までの一つの筋といたしましては新全国総合開発計画というものがございました。したがって、これの一つの国として固めました基本計画というものの筋でものを考えていく、これがわれわれの与えられたむしろ一つの与件であるとさえ考えております。ただ現段階といたしましてはいろいろ環境問題であったり、そういうような点で新全国総合開発計画自体のいわゆる総点検作業というものに現在入っておる段階でございます。したがって、このような問題点については私ども今後の、いわゆる大規模工業基地というものを考える際に、一体どういう配置でどういうふうに考えていったらいいかというのは、経済企画庁等に十分相談をいたしてきめていかなければならない。従来の考え方で申しますれば、たとえば苫小牧の東港であるとか、あるいはこれは港はまだ全然できておりませんし、手をつけておりませんが、むつ小川原地域に大規模の工業港考えるとか等々のことを考えましたり、あるいは流通港湾といたしまして、たとえば極端なことを申しますと、北関東の出入り口として東京湾を貨物の出入の口にしたくない。非常に過密な東京湾を利用しないで、むしろ北関東の関東東側の海岸、言うなれば茨城県の港湾というものを何らか整備すべきではなかろうかとか、そういうようないろいろな具体的な構想は持っております。ただ、現実に具体的にそういうものの計画と申しますのは大体五カ年計画、いわゆる港湾整備五カ年計画というものをつくっておりますが、この五カ年計画ぐらいの見通しの範囲内で取り上げるべきものをこれの計画として取り上げていくというようなやり方をしておる次第でございます。
  20. 紺野与次郎

    紺野委員 そういう点でかなり具体的に出てきたと思いますけれども、そういうことを現地の県民、そういうものの意向を十分に考えて、たとえばそういうことについては困るという現地の運動があるというような場合、十分にそれを考慮してやるのかどうか。天下り的にそこに問題を提起して、住民の反対を押し切ってまでそれをやるというふうなものかどうか、この点ちょっと。
  21. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの先生の御質問、私どもとしては地域の意向というものを十分伺った上でのこういう計画、あるいは実施に移っておるということを考えておるわけでございます。ただなぜそういうことを申し上げたかと申しますと、先ほども申しましたように、港湾計画立案者港湾管理者であり、実施をいたします実施者の中心港湾管理者である。したがって、港湾管理者というものは、普通の港でございますればその地域地方公共団体管理者でございます。したがって、この地方公共団体というものが、その地域意思を代表しているものであるという考え方で、先ほど申し上げたように地域の意向を十分くみとって実施しておる。したがって、そういう御意思地方公共団体になければ、これは港にも全然なりませんし、計画もできなければ実施もできないというたてまえでございます。ただ、これは先生のおことばの言外に含まれておると思いますが、いわゆる地域住民の声というものと、地方公共団体の声というものとの関連の問題は、私確かにあると存じます。ただ、私どもとしてはやはり一つのルールというものを持って、地方公共団体の声が地域住民の声であるというふうに理解せざるを得ませんし、またそういう筋道で今後もやっていかずばなるまいという考え方でございます。
  22. 紺野与次郎

    紺野委員 それについてはやはり中央直結の地方自治体というふうになっている場合は、あなた方がそういったことに当たるかもしらぬが、住民がだんだん地方自治体に対して大きな発言権を持つようにもなり、また地域住民の声が大きな比重を持つ場合には事態は変わるし、それを十分に考慮に入れなければならない、これは考慮に入れるということだと思います。これについては北関東新港の計画問題についてきょうは時間がありませんけれども、私どものほうとしてはこの計画がほんとうにそういう点で適切かどうかということについてあと質問したいと思います。  さてもう一つ、時間がありませんけれども質問したいことは、つまりこういう流通港湾あるいは工業港湾を建設するという場合の事業体ですね。よくいう第三セクターとかいろいろありますけれども、そういう事業体はどういうふうに考えておりますか。
  23. 岡部保

    岡部政府委員 まず現在どうなっておるかということから申し上げさせていただきます。  港湾の建設主体と申しますか、建設をしていくという段階と、それから港湾ができ上がりましてそれを管理運営していくという段階と二つに分けて考えますと、管理運営していくというときの主体というのはあくまでも港湾法に基づく港湾管理者である。したがって、現実に地方公共団体中心人物である。ただし、その港の中に一部港湾管理者以外のものが建設し所有しておる施設があるということを否定するものではないわけでございます。  そこで、それでは一体港湾の建設というのをどういうものがやっておるかという点について申しますと、いわゆる民間施設、これは民間の資金で民間の企業がお持ちになる。ただし、これは港湾管理者がほんとうにそこに持たせてもいいという場合に限定されております。言うなれば、港湾管理者の許可を得なければ、こういうところに港を私人が持つことば全くできないという考え方でございます。そうすると、公共港湾施設の建設主体と申しますと、まず一つには港湾管理者がみずから行なう。それから次には、港湾管理者との協議が整った場合において運輸大臣がみずからこの建設をすることができることになっております。これはいわゆる直轄事業と呼んでおるものでございます。  それから京浜及び阪神の外貿埠頭公団という公団がございます。これは東京、横浜港、いわゆる東京湾におきます外貿埠頭施設あるいは大阪湾におきます、現実には大阪港、神戸港の中の外貿埠頭施設に関する限りは公団が建設をいたして、そのまま所有し管理をしていくという筋書きがございます。  さらにコンテナ埠頭会社という、これは特許会社でございますが、名古屋港、四日市港においてコンテナ埠頭会社という、いわゆる私人でございますが、特にこれに対しては財政面での援助をして、いわゆる外貿埠頭公団に準ずるものとしての扱いをしておる会社がございます。  それからフェリー埠頭公社というのがございます。これはいわゆる地方公共団体のつくられる公社で、フェリー埠頭を建設させておるというような例があるわけでございます。  以上現実に建設し、あとのほうの公団それからコンテナ会社、フェリー埠頭公社、こういうものはその建設しました施設に関する限りは管理者でもあるということであくまで発言権を持っておるわけでございます。  そこで、いまお話がございましたように、今後の港湾として比較的大規模な港湾を建設する場合に一体どうやったらいいのだ、どういうことを考えておるかという点につきまして、これはまことに申しわけございませんが、いささかお答えにならないお答えをさせていただきたいと存じます。  と申しますのは、大規模な港湾整備というものは非常にばく大な資金を要するわけでございます。そこでこれを公的な資金だけにたより得るのかどうか、いわゆる財政資金のみにたより得るのかどうかという点には非常に疑問がございます。かと申しまして、港湾である以上、あくまでも公的な立場というものを失ってしまうような、全くプライベートなものでつくるべきではないと私は思います。そこの辺が問題点でございまして、やはり受益者に受益の限度において負担をさせるとか、これはたとえば鹿島港などでは港湾整備を公共事業で実施しながらも、相当に受益者の受益の限度における負担というものをとっております。そういうような費用の一部を負担させる受益者負担の制度、あるいは先ほど先生がちょっとおっしゃいました第三セクター、これはいわゆる公的な立場と私的な立場との中間的なものをつくっていくということ、これは私の感じではほんとうの意味の第三セクターというのは、現実にまだわが国にほんとうに根をおろしているようには思っておりません。ただ、こういうものもやはり今後の問題としては考えていかなければならないのではないか。ただ、この辺については非常に議論のあるところでございますし、私ども自身がいろいろ議論をしながら、なかなか結論に達しておりません。したがって、今後の問題としてこれは検討をさせていただきたいと、まことに申しわけないことでございますが、あえてここで申し上げておく次第でございます。
  24. 紺野与次郎

    紺野委員 いま説明にありました外貿埠頭公団ですね。東京港にそれが行なわれた。この地図で青いところですね。コンテナ埠頭及び外貿コンテナ埠頭、この辺の一番いいところが外貿埠頭公団によって建設され、かつその使用がほとんどそういう大企業の手に移っている。川崎汽船、大阪商船三井船舶、それから日本郵船、ジャパンライン、山下新日本汽船、こういうふうな大手がほとんどこの外貿埠頭公団の埠頭を独占するようになっているわけですけれども、そういうことでもしやるとすれば、この港湾法によってつくられる新しい港湾というものは、結局港湾の私企業化になり、結局大企業が独占する。工業港についても、ほとんどそこで出資する受益者というのは大衆じゃありません。大企業です。その大企業がその埠頭をあるいは港湾区域を独占するとか、こういう船会社の大きいところが独占するということになって、実質的にはますます港湾が自治体から離れる。それは外貿埠頭公団及び鹿島港を建設した緊急措置法、こういうものによって端緒的にはあらわれておったものでございますけれども、いままでの御説明から受ける感じは、それを全面的に港湾法の中で生かして、体系的にそういうふうにしてしまうのではないか、そういうことでありまして、これについてはまことに重大である。これは一見穏健な顔をして出てまいりましたけれども、うしろに隠れている内容は非常に広大な大政策が背後にありますし、国土政策がある。この点について今後十分に国民とともに解明をしなければならないと思うわけであります。  以上をもって質問を終わります。
  25. 井原岸高

  26. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 港湾法の細部にわたります質問の前に、関係がございますから若干お伺いをいたします。  まず、三重県の津松阪港の問題でございますが、これは四十七年に重要港湾に指定をされておるわけであります。ところが地元のいわゆる漁業組合との漁業補償の問題が解決のつかないままに今日に至っておるわけでありますが、まずその進行状況についてわかりましたら、お答えを願いたいと思います。
  27. 岡部保

    岡部政府委員 津松阪港の問題でございますが、ただいま先生おっしゃいましたように漁業補償の解決を見ておりません。したがって、現在ございます港湾の防波堤の外の工事というものには、まだ手を出せないというのが実態でございます。
  28. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 津松阪港の進行状況については港湾局長さんからお話があったとおりでございますけれども昭和四十七年の十一月におきましては、この津松阪港から名古屋港を経て東京港に至るまでフェリーの就航を予定して、フジフェリーKKという会社が船の建造をいたしておるわけであります。たしか七千六百トンの船が二隻、このように聞いておりますが、しかしながらそういった進行状況にありますので、このフジフェリーはこの建造船二隻を他に転売してしまった、こういう状況にいまなっているはずであります。こういう見通しのつかない問題に対していわゆる船舶建造の許可をいとも簡単に与えているわけでありますけれども、ここら辺の基準というのは一体どういうふうになっているわけですか。
  29. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 ただいま先生のお話のように、昨年五月に私どもフジフェリーの免許がおりましたあと、順調にいくものというふうな解釈のもとに許可をおろしております。  建造許可の基準といたしましては、まず第一に、その航路の開設が運輸大臣から認められまして、しかも尾の建造いたします当該造船所が、非常に安全性の必要な船でございますので、十分な技術を持ってこれを安全に建造できるという審査をいたしまして許可いたしたわけでございますが、不幸にいたしましてその後、津松阪港の建設がおくれるということでございました。そこで、たまたま当該造船所に大洋フェリーというところから同種の船舶の建造の申請がございまして、海運局とよく相談、協議いたしまして、船主を変えて建造を続けまして、大洋フェリーでその当該船舶二隻は使用されるということにいたしたわけでございます。
  30. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この船舶建造の許可につきましては、そう大きな問題じゃない。しかし港の建設が十分予測できない段階でこういうものを許可するということは、いろいろな問題に波及していると私は思うわけです。三月二日の新聞によりますれば、三光汽船が船主になって五十八隻の輸出船が建造許可になるかならないか、輸出をしてもいいかどうかという問題で大もめにもめておるじゃないですか。総額八億ドルといいますから、これは大へんな金額でございます。もし建造許可がおりなければ、これを建造しつつあるところの造船所は大打撃を受けるでありましょうし、建造許可を与えて輸出を許可すればヨーロッパの船舶料、用船料、、そういうものが大混乱を来たす。いわゆる円の再切り上げの問題が盛んに議論されているさなかにあって、またまた日本は貿易問題において非常な圧迫をこうむるというようなことになりかねない。そういうような周囲の状況を全く考えずにこういうような問題について許可が与えられているように思えてしかたがないわけでありますが、まず、この三光汽船が裏の船主になって五十八隻の建造をし続けていると思うのですけれども、これの進行状況はいま一体どうなっていますか。
  31. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 三光汽船の輸出船の建造問題についてのお尋ねだと思いますが、簡単に要領をお答えいたします。  この問題は、ただいま御指摘になりましたように五十六隻、一隻八万トンのタンカーの建造許可の申請が出されておるのでございますが、海運政策から申しますと、御承知のような船舶建造についての調整法でございますとか海上運送法でありますとか、それぞれの規定がございますが、これは日本の海運の健全な発展に支障を来たさないというような方針が守られる限りはこれを許可するという方向法律そのものは書かれていることは御承知のとおりでございます。しかし、船舶の建造許可にあたりまして私どもが一番心配しておりますことは、いまちょっとお触れになりましたが、OECDにおける各国の反響が一時非常に高かったことは事実でございますが、しかし、その後の情勢を見ますと、OECDでいろいろ三光汽船のやり方について、むしろ造船所側のほうが、本来ヨーロッパで使われるべき船が日本で建造されて、でき上がったらまたそれをヨーロッパに持っていって使うということについてのいろいろな意見があったようでございましたが、その後海運の状況がだいぶ変わりまして、ヨーロッパの造船所におきましても受注が非常に多くなりまして、現在のところは、その当時心配されておりましたようなヨーロッパの造船所に非常に大きな打撃を与えるというような点がなくなってきたものでありますから、この点からいいますとOECDの空気も非常に平静になってきたと考えておるのであります。しかし、これは日本の海運政策そのものよりも、むしろ今後日本海運に対しましてヨーロッパの海運国が非常に圧力を加えるかどうかということにかかっておるのでありまして、この点は造船許可にあたりましてはそこまで考えなくてもいいんじゃないかと思いますが、ただ一つわれわれのほうでいま非常に注意をして見ておりますのは、三光汽船の売船によりまして外国に輸出します場合のサブチャーターの場合の用船料の問題でございました。これが一応出されております資料によりますと非常に低いように見えます。そういうことになりますと、世界のタンカー市況のみならず日本船につきましても影響が大きいだろうというようなことを考えまして、いま、詳細に説明を求めております。いろんな資料を出させまして、その結果によりましてこの可否をきめようということで、いま慎重に調査中でございます。
  32. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この用船料の問題についていま調査中だということでございますが、調査結果がわかりましたら、ひとつ御報告をいただきたい、こう思います。  さらにまた、この三光汽船の用船料は当然建造費の問題がからんでくると思います。この建造費についても多分にダンピング受注ではないかというようなことも話題になっているわけですが、運輸省ではどういう見解をお持ちですか。もしダンピング受注ではないというようなことであれば、他の問題との比較においての御答弁もしくはその資料を賜わりたい、こう思います。
  33. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 三光汽船がかかわります五十六隻の船舶の船価についてでございますけれども、この種の船舶の船価と比較いたしまして特に船価が安いということはございません。平均値を申し上げますと、三光汽船のかかわります船舶は、デッドウエート当たり大体四万四百円から四万七千五百円でございます。一方同種の船舶の他の国内船等を見ますと三万七千円から五万三千九百円でございまして、上限のほうは低うございますが、下限よりもなお高いというようなところにございます。
  34. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 個々の問題についてさらに検討を進めなければならないのですが、いずれにしましても船舶の建造許可、これを出すか出さないかというのが一番の問題の焦点になるわけです。出せば出したで問題になるでしょうし、出さなければ出さないで国内的にも大きな問題になる。これは一体どういう方向で処理されようとしていますか、運輸大臣に伺います。
  35. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 船舶建造についての法規がございますが、これでは、こういう申請がありました場合に、先ほども申し上げましたが、非常に日本の船舶、海運業に重大な支障がないということでございますれば許可をしなければならぬということになると思います。私どもは主管官庁として日本の海運、造船業を守っていくという責任がございますけれども、しかしいたずらに法規をたてにいたしまして職権を越えていろいろの企業のやり方に対しましてそれを押えていくというようなことについては、これは考えなければならぬと思いますが、たまたまいまの問題は、先ほど申し上げましたように、低用船料ということで、それがどういうふうに日本海運に影響を与えるかというようなことについてなお検討の余地がございますので、その点を検討いたしました上で、もしそれが日本海運の発展について支障ないというような方法が考えられるならば、もちろんこの許可について十分考えなければならぬと思いますし、そういうような点につきましては、今後三光汽船とも、資料をとりながら実態についてよく話し合いをいたしまして、究極的には日本の海運、造船にプラスになるような方向でこれを処理していかなければならぬと考えておるのでありまして、いま簡単に右か左かというようにお尋ねになりましても、いまその状況を調査中でございますから、ちょっと簡単には右か左かというような意味でのお答えはいたしにくいということでございます。
  36. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この五十八隻の建造許可の問題が確かに問題になりましょうけれども、現実にはどの程度進行しているのですか。これは船舶局長、建造進行状況。
  37. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 現在は全く手をつけておりません。
  38. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この辺の問題は慎重に扱ってもらいたいと思うのですが、先ほどの松阪のフジフェリーの状況も申し上げましたけれども、いずれにいたしましてももう少し、この建造許可についてはどんな場合においても慎重にしなければならぬということが一つの事例としてあがっておるわけです。この問題については多分にずさんであったということを認めますか。
  39. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 港湾建設の進行の事情につきまして調査不十分であると存じます。今後は十分に慎重に進めたいと存じます。
  40. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは本題のほうに入る都合もございますので、この問題はこの程度にとどめておきます。  港湾法の一部改正一つの経過の中におきまして、第六十三国会におきまして重要港湾港湾管理者がコンテナ埠頭を民間事業者に整備させる場合、その資金を民間業者に無利子で貸し付けた場合、国はその貸し付け金額の範囲内の金額を無利子で当該港湾管理者に貸し付けることができるとする、こういうような一部の改正が行なわれてきたわけですが、これは現実に無利子で貸し付けている例がございますか。
  41. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまおっしゃいました、コンテナ埠頭整備資金の貸し付け制度の問題だと存じますが、この制度は先生おっしゃいましたように港湾法の第五十五条の七という規定を新たに、かつて改正をしていただきまして、これによって四十五年度予算から発足した制度でございます。それで、民間のコンテナ埠頭建設に対しまして港湾管理者を通じて建設資金の一部を国が貸し付ける制度であるわけでございます。  蛇足かもしれませんが、この制度の概要を御説明いたしますと、国が貸し付ける資金の割合はこの埠頭を建設いたします建設費の一〇%に当たる資金を無利子で貸し付けることにいたしております。それからさらに、建設資金の三〇%に当たる額を財投資金から貸し付けることにいたしております。またこのほかに、港湾管理者が建設資金の一〇%に当たる資金を当該民間事業者に出資するととにいたしております。残りの資金については民間資金によってまかなわれるわけでございますが、いままで申しましたのが五〇%に当たりますので、残りの五〇%のうち一〇%が民間の企業に対する出資金である。それから四〇%が市中借り入れの金であるというふうに御理解いただきたいと存じます。  そこで、昭和四十五年度にこの制度が発足いたしましてから事業が実施されてまいりましたのは、コンテナに関する限り名古屋港と四日市港、二港だけでございます。名古屋港ではすでに二バースの暫定供用を昭和四十七年の十一月、昨年の十一月から暫定的に供用を開始いたしております。それから四日市港におきましてもバースの暫定供用が四十七年度末に始まることといたしております。そこで、いま申しましたそういう名古屋港における問題と四日市港における問題でございますが、この事業主体と申しますものは、名古屋港におきましては、名古屋コンテナ埠頭株式会社、四日市港におきましては四日市コンテナ埠頭株式会社という名称の会社でございます。それぞれの港湾管理者と、外航関係の主要の船会社でございますが、それが出資をした会社ですでに実現し、そのつくりました埠頭も暫定供用の段階に立ち至っているということでございます。
  42. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは次の問題に移りまして、港湾環境の整備の問題についてお伺いしますが、四十八年度の港湾環境整備事業が百三十三億六千五十五万五千円になっております。この計画内容は一体どうなっておりますか。特に三十七億五千二百五十万が補助と出ておるわけでございますが、この中の緑地整備事業についてはどの程度の事業計画と補助率になっておるかお知らせをいただきたいと思うのです。
  43. 岡部保

    岡部政府委員 一応ただいまの環境整備事業の計画、それから事業費の内訳等について御説明を申し上げますと、いま先生のおっしゃいましたとおりでございまして、港湾環境整備事業として昭和四十八年度、現在御審議をいただいております予算案の中に、新たに港湾における廃棄物処理施設の整備、それから緑地等の整備を行なう場合の補助事業として実施をすることにいたしておるところでございます。これに要する金額についてはただいま先生の御指摘があった数字のとおりでございます。  そこで、まず第一に廃棄物処理施設の整備でございますが、廃棄物処理施設と申しましてもいろいろあるわけでございますが、いわゆるごみ戦争で、これは東京港、大阪港に限定されますが……。(石田(幸)委員「緑地のほうです」と呼ぶ)緑地のほうでございますか。それでは廃棄物処理施設の整備は省略させていただきまして、緑地の整備という問題について御説明を申し上げます。  この緑地、これも新しく認められました制度でございますが、いわゆる臨港地区の緑地率というものが非常に低いために、どうも港湾整備の面で、いささか環境整備という面で欠けておるところがあるんじゃなかろうかという反省がこの姿にあらわれたわけでございます。そこでまず昭和四十八年度は秋田、木更津、東京、名古屋、大阪、堺、泉北、神戸、徳山下松等、もう少しこまごまとしたものはございますが、このような港での実施を予定いたしておりまして、金額につきましてはまだ予算案全体のあれがございますので、御審議中でございますので、個々の問題はまだ割り当てをいたしておりません。したがって、金額についてはちょっとここで発言するのをお許しいただきたいのでございますが、いまのような港について、大体各港、港湾管理者の御要望のはっきりしております港については大体御要望に沿えるような事業を実施するというつもりでおります。ただ、問題は補助率でございまして、国庫補助事業として取り上げましたが、一応二分の一の補助率で実施をいたしますが、用地費等のいわゆる用地取得という問題については三分の一である。これはいわゆる都市公園等の補助率と合わされたためにこのような補助率になったわけでございますが、そういうような率で実施をするという考え方でございます。
  44. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 まだ予算が審議中であるから正確な割り当てをしていないというお話でございますが、これでは十分な審議ができないわけでございまして、いままでの慣習等もありましょうから一応やむを得ないといたしますが、それでは一体今回の取得の緑地面積は総体ではどの程度になっておるのですか。
  45. 岡部保

    岡部政府委員 まことに申しわけございませんが、具体的に面積の点、ただいま私、資料を持っておりませんのでごかんべんいただきたいと存じます。と申しますのは、実は要求の段階で各港湾管理者からいろいろ御要望が出たわけでございますが、初めての補助のケースでございますので、現在もう一度全部御要望の個所をチェックしている最中でございます。港湾管理者と全部御相談してはっきりしたものに仕立て上げていく。各港別の予算の配分という問題もその作業ができ上がったところで考えていこうという考え方でありますために、ちょっとただいま資料がありませんので、お許しをいただきたいと思います。
  46. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この緑地の問題は、港湾の環境整備の中の一つのポイントになる問題でございまして、先ほど港湾局長さんは、大体要求されたところの御要望どおりになるのではないかとおっしゃったけれども、その実態はわからぬ、これは審議になりませんね。そこら辺の問題、試算の段階ではありましょうけれども、この要求を出してもらわないと、この問題の審議はできませんね。  委員長にお願いしますが、この問題については質問を留保さしていただきます。資料が出た段階でもう一度質問させていただく、このようにお取り扱いをお願いしたいと思います。
  47. 井原岸高

    井原委員長 了承いたしました。
  48. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、やむを得ませんので、次へ進みます。  港湾事業の全体の補助率の問題でございますが、横浜、神戸は過去において国営港であった、そのためかたいへん補助率が高い、このように見られておるわけでありますが、他の事例との比較において、たとえば東京港あるいは名古屋港、そういった比較においてどの程度になっているのか、お示しをいただきたいと思います。
  49. 岡部保

    岡部政府委員 港湾法規定がございますが、重要港湾のうちで外貿、外国貿易の上で非常に重要な港湾というものを特定重要港湾と指定をいたしております。その特定重要港湾におきましては、いわゆる外国貿易のための港湾施設というものにつきましては、いわゆる外郭施設から係留施設まで七五%まで国が負担することができるという仕組みでございます。そこで、このような特例がございまして、これが実際に適用されて七五%の高率負担を適用されておるのは、先ほど先生の御指摘のございましたような、横浜、神戸、それから関門、下関、門司、このような港でございます。これは港湾法が制定されましたときの過渡的な問題もいささかございまして、従来、国営港であって全額国でやっておったというところに対してそういう特例を設けたのがこの実態であるかと存じます。ところが、何と申しましても、法律ができましての姿から申しますれば、東京港であったりあるいは名古屋港であったり、清水港であったりこういうようなところで、同じ特定重要港湾であり、こういう外国貿易のための施設をやるときに、そういう港とのバランスがとれないというのはおかしいじゃないか。現実には、従来はそういう横浜、神戸以外の港では五〇%の国の負担率で実施をしておったわけでございます。七五と五〇というところにアンバランスがあるということで、これはおかしいというので、いろいろ財政当局とも相談をいたしまして、現在ではこういう港についての同じような施設は同じ七五%まではいっておりませんが、六〇%で実施をするというところまではこぎつけたわけでございます。残念ながら全くのバランスがとれたという姿にはなっておりません。ただ最近、先ほど申しました非常に高率であった横浜港、神戸港におきましての新しい外国貿易のための施設というものは、先ほどの御質問にもございましたような外貿埠頭公団の公団事業が主体になってしまいましたために、現実には七五%の事業というのはほとんどなくなってしまったというのが実情ではございます。
  50. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 港湾局長さんの答弁の中にも出てきましたけれども、私は清水港の例を若干あげたいのですが、これはいわゆる特定重要港湾の指定を受けております。外国貿易も多少あるわけですね。ところがこれは工業整備特定地域の適用外になっております。そのために清水市の——これは国、県、市というふうに三者の事業負担になっておりまして、最近の状況を見ますと、これは国が六〇%、県が二八%、市が一二%となっておりますけれども、たいへんに清水市の一般会計予算を圧迫しているのではないかというふうに思われます。たとえば四十二年度からあげますと、四十二年度で二億五千四百二十万円、四十三年度で二億九千七十万円、四十四年度で三億六千七百九十万円、四十五年度で三億九千七百七十万円、四十六年度に至りますと四億八千九十万円、四十七年度ですと五億四千七百六十万円、四十八年度予算では、補正等を加えると六億円をこすだろう、こういうふうにいわれておるわけです。この六億の市の財政負担は、市税収入が四十七年度たしか五十七億七千万円でございますから、ざっと一〇%をこすような状況になってきておるわけです。それに対して、市に入るところの特別トン税は、逆に四十三年度をピークにして減りつつある。四十三年度で二億をこしておったのが、四十五年度では一億七千四百七十万円、四十七年度においては一億五千数百万円程度のものであろう、こういう状況になっているわけです。しかも清水港の使用状況を見ておりますと、これは先ほど紺野委員からのいろいろな質疑もございましたけれども、東京港とかあるいは横浜、神戸等、名古屋もそうでありますが、特定業者といいましても、これはいわゆる運輸関係の特定業者でございますから、これが相当数入っておりますからやむを得ないと思います。しかし清水の場合は、いろいろな会社をつくっておりますけれども、ほとんどこれは同一企業体と見られるような、そういう特定業者ですよ。そういう特定業者のためにこういうような国の税金の使い方、しかもさの補助率の問題からたいへん市財政を圧迫しているということは、市民感情からいっても非常にこれはまずいのではないか、こう思う。なおかつ、特定重要港湾であるからさらに事を進めなければならないというのであれば、市財政を圧迫するような、市民に負担をかけざるを得ないような、そういう状況を排除することはできませんか。清水港といいますとたいへん重要であるから特定重要港湾に指定されていると思うのですけれども、東海道メガロポリスの状況から考えてみても、これが少なくなるということは考えられない、さらにそのウエートが大きくなってくると思う。そうすると、ますます市民の負担が大きくなるというふうに考えられるわけですが、地方財政法の問題からいきますれば、ある地域においては国と県のみの負担であって、市町村には負担をかけてはならない、こういうような保護を受けているところもあるわけでしょう。そこら辺との違いがどうもすっきりしない、明確でない、こういうふうに思うのですけれども、この点の御答弁を願いたい。
  51. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの先生の御指摘、まことにごもっともな御指摘だと私も思います。現実に清水港が非常に重要である、しかもこれからも伸びる港であるという考え方は、私も変わっておりません。したがって、こういう港の整備をするという意味で、先ほども申しましたように、一つの、たとえば港湾法でここまでの上限の負担をし得るという規定がありながら、まだ上限一ぱいの負担をしてきていない。これははっきり申しますれば、われわれの財政当局に対する態度がいささか甘かったというか、弱かったということで、反省しなければならぬと思っております。  したがって、今後の問題といたしましては、ただいまいろいろ御指摘ございましたが、たとえば地財法での新産・工特あるいは産炭地域の場合と、そうでない場合との違いとか、あるいは地域別に、たとえば後進地域開発であるとか、そういういわゆる補助率の上のせという問題もございますが、どうも清水港に関する限りは、少なくとも港湾法体系での——ほかの要因ではなくて、港湾自体の問題としての一つバランスということから考えなきゃいかぬ問題だと私は考えております。したがって、これは今回の法律——この前もしかられたのでございますが、今回の法律改正には、新しい環境整備問題で新しく追加したという事業の補助率の追加はございましたが、従来の補助率体系のいわゆる見直しというのは、残念ながら今回の法律改正までに間に合いませんでした。これはなるべく早い機会にもう一度全体の体系として考えまして、できる限りおことばに沿うような努力を私はするつもりでございます。
  52. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 港湾局長さんの答弁は、非常に前向きでございましたので了といたしますが、運輸大臣にひとつこの問題に対しての所見を承っておきたいと思います。
  53. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 清水港の具体的な事情につきましては、あまり詳細はよく存じませんが、港湾局長が申しましたように、こういう問題につきましては、まだ港湾法自体もいろいろ考えなければならぬ点を残しておりまして、ことに日本の経済事情、社会事情が非常に急に変化をしております中でございますから、今度の港湾法改正が、これはもちろん最終的なものではなくて、事態に応じまして関係の法令等につきましても再検討いたしまして、いま御指摘のような点につきましては、可及的早くこれを解決するように努力をしたい、私もさように考えております。
  54. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは次の問題に移ります。  港湾のしゅんせつ問題について、若干お伺いをしたいわけでありますが、今回の法律改正の中にもありますように、港湾の公害防止対策事業としまして、公害対策事業としてのしゅんせつ、これについては、いわゆる国の補助があるわけですね。ところが一般の維持しゅんせつについては、国の補助が全くない、こういう状況になっております。私は選挙区が名古屋ですから、名古屋の状況について知っておるのですが、こういう例からひとつお伺いをするわけでありますが、昨年の夏ごろ、集中豪雨によりまして、名古屋港には、特に庄内川河口は非常に激しく土砂が流入をいたして金城埠頭の周辺が極端に浅くなってしまった。そのために船が入れない。やむを得ずしゅんせつを行なった。こういうような状況であります。こういうような状況については、いわゆる公害対策事業として、国や県、市の助成があると思うのでございますけれども、名古屋港の場合、庄内川の河口というのはいろいろ特殊事情があるわけです。上流に瀬戸とか土岐とか、そういういわゆる陶器の産出地を控えておりますので、そういう関係上、非常に土砂の流入が多い。これは何十年来の問題でございますけれども、こういう問題を考えてみれば、いま流に言えば、これは公害の一環だと私は思うのです。名古屋港の場合には、年間に、そういう集中豪雨がなくとも約三十万立米、この程度の流入があるだろうと見込まれておるわけです。そういうような状況から、非常に問題がございまして、名古屋港の九号地あたりにも石油基地があるのですが、こういうところを使っておる会社では、やむを得ず、自分たちで特定業者を使って、どこかへ運搬しておる、こういうような状況になっております。私は、この港湾のしゅんせつ工事というのは、非常に大事な問題だと思うのです。ですから、港湾のそういった維持のためのしゅんせつも、当然これは国の補助の対象になってしかるべきじゃないか。最近は、特にいろんな問題があるわけですよ。東京湾にしても、あるいは大阪湾にしましても、いわゆる化学物質のいろんな流入もございますし、これは積極的にやらないといかぬですね。そういった意味で、基本的にこの問題についてどうお考えになるか。御答弁をお願いしたいと思います。
  55. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま御指摘ございました庄内川の河口問題、いわゆる港湾と河川とがつながっておるところで起きる問題の極端な例だと私は思っております。確かにお説のとおり、庄内川の河口で、ちょっと集中豪雨がございますと、非常な埋没がある。昨年もそのために金城埠頭あるいはその対岸の西四区でございますか、五区でございますか、埠頭が非常に困ったというような例がございました。  それでいままでなぜその維持しゅんせつというものを補助対象にしていなかったかという点については、これはあえて繰り返し申し上げる必要もないかと存じますけれども、いわゆる港湾管理者管理をしておるということで、その維持の仕事というのは、本来管理者がまるまる自分でやったらどうか。そのかわり新しい仕事をする、これはとても地方財政じゃ無理だろうから、そこでひとつ国が助成しようというたてまえが現在の港湾法体系であると存じます。それで、そこの辺になりますと、たとえば地方財政、いわゆる港湾管理者財政の問題として考えてみますと、一つのいわゆる管理経費、一般の事務費等を含めた管理経費と、施設の使用料で上がってまいります収入ととんとんであるか、あるいは若干赤字である、したがって、それ以上、そういういろんな償却分があるとか、そういう維持経費であるとか、そういうものにはなかなか手が出せないというおそれがございます。したがって、やはり相当にいろいろの問題をいわゆる地方財政の問題として考えるべきじゃなかろうか。どうも港湾法体系として取り上げますと、一つの筋道で、先ほど申しましたような筋でいきそうな感じがいたします。したがって、もう少し地方財政、港湾管理者の財政の問題として取り上げたい。ただ現実に、すぐには公共土木施設の災害復旧事業ということで、集中豪雨等のときには、これを国庫補助の、しかも高率の補助の対象にして、現在までこなしてきたというのが実情でございます。
  56. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間がありませんので、それでは結論を急ぎますけれども、名古屋港の場合は、このしゅんせつ事業には積極的じゃないのですよ。まあ積極的でないから、私は、国のほうからもう少しびしびし指導してもらいたいと思っておるわけですが、なぜ積極的でないかといいますと、その一つの理由としては、現在名古屋港の中に流れておる堀川、その堀川の中からかなりの有害物質が流入していることはもうはっきりしておるのです。ところがしゅんせつ事業をやりますと一時的に港湾の水が濁るのです。そうすると水質保全法の関係がございまして、どうしても数値が高くなってしまう。きわめて幼稚な考え方なんですけれども、そのために積極的にしない。ところがしゅんせつ事業をしっかりやって有害物質を港の中から摘出しなきゃならぬわけです。私はそう思う。そういうようなわけで、水質保全法というのは実は漁業との関係があるのですけれども、御存じのとおり伊勢湾の特に名古屋湾の近辺は漁業交渉が済んでおるわけですね。こういうわけでやりたがらないのです。もう一点は、名古屋港近辺にはしゅんせつされた汚泥を捨てるところがもうなくなっているわけです。だから管理者としては、その土砂や汚泥をあげるにあげられないし、埋めるところがないものですから、やむを得ず目をつぶって積極的にやらない。こういうようなのがいま現状なわけです。確かに港湾法体系からいけばそういう問題があると思います。しかし、港湾法体系と申しましても、十年前、十五年前とは状況が全然違ってきているわけですね。ですから、従来の維持しゅんせつというもののこれは公害的な部分も非常に強くなっておる。この問題はどこで分けるかといったら分けられないでしょう。ですから、やはりそういった意味で、名古屋港の管理者にも積極的に指導してもらいたいし、やはり維持しゅんせつについても国の積極的な助成を望む理由はそこにあるわけです。局長さん、簡単にひとつ……。
  57. 岡部保

    岡部政府委員 全体の体系として、どうも先ほど申しました一つ体系をくずすということよりは、むしろ個々の問題で、たとえばそういう土の捨て場の問題をどういうふうに処理するか、それに対してどういう援助ができるか、あるいはそういういやな堆積物の除去、これは当然公害対策事業として補助対象になりますし、そういうようなことをあわせてさしあたりの問題としては考えさせていただきます。さらに、先ほど申しましたように、今後の問題としてひとつ検討させていただきます。
  58. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 東京湾、大阪湾等の問題についてもお尋ねをしたかったのでございますが、時間がありませんから先を急ぎます。  いずれにしても運輸大臣にお願いしますけれども、こういう基礎的な工事というものは、特にしゅんせつ事業というのは港湾の死命を決する問題でございますので、ひとつ積極的に名古屋港の管理者に対して指導をしていただきたい、これはひとつお願いしておきます。  それから次の問題といたしまして、廃油施設の問題についてお伺いをいたします。これも時間がありませんから、ほんとうは海運関係でどの程度の廃油が出て処理能力がというような問題もありますが、この問題は次に譲りまして、環境庁に来てもらっておりますので、廃油の問題について関連してお伺いをしておきます。  現在、廃油再生業につきましては、町の中でやっているケースがありますね。ガソリンスタンド等の廃油を採取して——非常な廃油のたれ流し状況というのは各所で出ておったはずです。名古屋市でもこういう例がありました。それからたいへんな悪臭公害が発生をしておったわけです。これを取り締まることができない。悪臭防止法の適用というものはまだ地域指定がなされていないから発動してないでしょう。結局、この問題を取り締まるためには水質汚濁防止法で取り締まる以外にないわけです。ところがこれは一日の排出量が五十トン以上という規定がございまして、名古屋市緑区大高町に丸全油化という会社がございますけれども、これは警察の手入れが行なわれました。その警察の手入れの根拠はいわゆる油だけの廃棄である。そういう面からの取り締まりなんですね。水質汚濁防止法では取り締まりができない。ところがこれは裁判になると警察が勝つか負けるかまだきまっておらぬのだ、へたをすれば負けるかもしれない。そういうようなたいへんな悪臭と、それから米の中に油が入っちゃって、米粒の中に油が一条すうっと混入するというような状況もこれは惹起した問題なんです。たいへんな問題なんです。そういった意味で——時間がありませんから急ぎますが、この五十トン以上という排出基準をもう少し大幅に引き下げられませんか。
  59. 太田耕二

    太田説明員 お答えいたします。  確かに水質汚濁防止法に基づきまして規制がかかりますのは、全国一律の基準の適用対象といたしましては排出量五十トンということでございます。それで五十トンにいたしましたいきさつでございますが、これは五十トンということになりますと大体九五%がカバーされる。非常に零細な中小企業を対象にする場合、その処置方法等いろいろ問題がございますので、一応汚濁防止法できめました場合には五十トンということにいたしたわけでございます。  先生がただいま御指摘の丸全油化の問題でございますが、これは調査の結果確かに排出量が十四トンというふうに聞いております。それでこの法律の施行の問題につきましては、実は法律のたてまえからいきまして政令都市である名古屋市に委任しておるわけでございます。私どもは、それが不十分である場合にはその地方公共団体を通して指導するという形に現在のところはなっております。  それで現状につきましては、先生御承知かとは思いますけれども、その排出基準である五PPM、この五PPMの油分と申しますのは、実は先ほど申し上げましたとおり五十トン以上の排出量を出しているところだけにかかるわけでございますけれども、加圧式油分離槽を実はつい最近、二月二十三日に名古屋市の指導によりましてつくらせまして、現在は国の排出基準である油分の五PPMを順守するようにようやくなったわけでございます。  それから、先生の、もっと下げたらどうかという問題につきましては、実は影響するところがきわめて多うございますので、現実にそういった問題が起こる場合につきましては上乗せ基準を県もしくは市のほうに指導するという状況で現在参っております。
  60. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 改善された状況は私も知ってます。しかし油分の排出量は最高六百二十九PPM出ていたんですよ。こういうような状況が町のまん中で起こったらいかぬのです。そういった意味で申し上げているので、課長さんでは十分な結論をお出しになることはむずかしいかと思いますけれども、ひとつ前向きに検討してもらいたいと思うのです。  それから次の問題でお伺いします。  港湾の環境保全の問題について廃船処理の問題をうたっているわけでありますが、これは一体どんな状況で行なわれているか御存じですか。もう時間がありませんから私は結論を言います。たとえば名古屋港では——これはどこの港でもそういう形式が多いのだと思うのですけれども、設備というのは何もないんですね。そこら辺の土手の上に廃船を引き揚げて油をひっかけて焼いておるというようなきわめてお粗末な状況ですよ。これは資料を見ますと何カ所かの港では廃船処理の施設を持っているようでございますけれども、今後これはどのように指導されますか。簡単にお願いします。
  61. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま御指摘のございましたように非常にわずかな港でございます。はっきり申しますれば横浜港と大阪港だけが沈廃船の処理施設を持っていると言い得ます。したがって、今後こういう沈廃船の処理施設に対しては、補助の道ができましたので、今後ともこういうものに対して補助をいたしまして、各港の整備をしたいという考え方でございます。
  62. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この問題に関連をしまして、今後はモーターボートの免許制の問題が出ているわけであります。モーターボートをもし処分をする場合、何かの原因で破損をいたしまして使用不可能になった場合、当然陸上に引き揚げて処分をすべきでありますが、この処分方法が明確になっているかどうか、この問題をお伺いします。  それから、もし海に不法投棄された場合に、これはプラスチックですから木材と違って腐るわけでもない。おそらく浅いところに捨てられると思います。非常な危険性がある。こういう問題で、やはり所有者を明確にする対策をとっておられるかどうか。もし不法投棄された場合にどんな取り締まりをするのか、こういう問題が関連して一点。  それから第二点としまして、モーターボートによる海上の人身事故あるいは対物事故、こういうような問題が予想されます。レジャーブームですから、モーターボートはどんどんふえます。そういう状況から当然人身事故対策が必要です。いわゆるペーパードライバーが多くなって、事故を起こしたときに損害補償ができないというようなことも十分に予測される。こういう問題は一体どのようにしていらっしゃいますか。
  63. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 まず廃棄の問題それから所有者の確認の問題でございますが、ただいま私どもの持っております船舶安全法におきましては、モーターボートの大部分は安全基準の外にありますが、今国会におきまして、安全法の一部改正によりまして、これらのモーターボートの安全を確保するという見地から、検査対象に入れたいということで御審議をいただくような予定にいたしております。この中におきましてモーターボートも当然に検査の対象になってくるわけでございますが、その検査をいたすということの中で、ただいま先生のお話は登録制度、こういうものがどういうふうになるのだろうかというふうなことでございます。これら非常に多い船舶の登録をするということは事務的にも非常に困難でございますので、登録制度と同等の効果を得ますために、検査を行ないますとともに、検査番号、検査証、そういうものを船舶につけまして、このモーターボートはどういう人のものであるかということを識別できるようにいたしたい。言いかえますれば、登録制度と同等の効果を発揮するような処置をいたしたいというふうに考えております。その面におきまして、今後従来よりも投棄その他の面は非常に規制されていくものと考えております。
  64. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 何だかはっきりしませんね。いままでの木造沈船におきましても、そういうエンジン等機関をおろしてしまうのです。それで船の名前も消してしまう。だから所有者がわからなくて、結局その管理者を処分をしなければならないということでしょう。モーターボートの場合は、実際問題として、ではどうするのですか。
  65. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 従来はモーターボートは野放しであったわけでございます。それが従来よりもよくなるであろうということでございますので、御了解いただきたいと思います。
  66. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういうわけにはいかないのでありまして、これは簡単に名前を消せるような状態じゃだめだということなんですよ。やはり刻印を押すとか、かなり明確な処置をしないと沈船処理——ができなくなりますよ。
  67. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 自動車に準じましたような明確な識別ができるようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  68. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 自動車に準じた識別といいますけれども、自動車はプレートでしょう。一体どうするのですか。さっぱりわかりませんよ、あなたの答弁。もう一ぺんひとつ御答弁願いたいですね。
  69. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 検査番号がはっきりいたしますし、その検査証を装着いたしますし、検査簿もちゃんと私のほうで持っておりますので、この船がどこの船だということははっきりわかると私ども現在思っておるわけです。
  70. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 検査証というのは書類でしょう。船舶の中にどういうふうにつけるのですか。
  71. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いまのモーターボートに関しましては非常にこのごろふえてまいりまして、おっしゃるように人身に関するような問題も起こってきておりますので、それに対処いたしまして、この方法論についてはいま政府委員からいろいろお話しいたしましたが、問題はまだもっと慎重に考えなければならぬ点が多いと思います。とにかく船舶安全法の上で、構造上危険のないようなものにしようということで、小型船舶に対しましても、ごく簡易な方法でございますけれども、適正な安全の検査をするという制度を採用しよう。そしてまた、船員局長からお答えいたしませんが、ごく簡単な試験でございますが、海員免状のごく軽度の試験をいたしまして、そういう免状を与えて、そういった人が一応この船の安全ということを考えながら操縦するような制度を今度確立しようということで、関係法律案をこの国会に提案をしているのでありまして、やり方の問題、それからいまおっしゃったような識別の問題、そういったことにつきましては大型の船舶とは同じようにはいかぬだろうと思います。そういった点につきましては施行細則以下で手続上実際に合うように検討し、そういう方法を考えていかなければならぬと思っております。
  72. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その問題は今後の問題にしまして、ではモーターボートによる海上の人身事故等が起こった場合にどうされますか。免許証その他といいましても、陸上においてだって、ある程度の安全を見込んでの免許証の交付でしょう。しかし、現実はどんどん交通事故が起こっているわけでしょう。そういった意味で、当然モーターボートを使う期間というものは夏が中心になるわけでありまして、私もあっちこっち見ておりますけれども、海水浴場あたりで水上スキーもやっております。また海水浴場の中へモーターボートが飛び込んでくるという場合もしばしばあるじゃないですか。そこら辺のモーターボート屋から借りて、免許があるからといって乗って人身事故を起こしたら、だれがこれを補償するのですか。ここら辺に対する御見解をひとつ承りたい。
  73. 丸居幹一

    丸居政府委員 ただいま先生指摘のとおり、モーターボートもだいぶふえてまいっておりまして、事故も起こっていることは確かでございます。それでいままでのことでございますけれども、ただいままで起こした人身事故についてどういうふうに処置しておるかということでございますが、これは大体示談で全部解決しておるという報告を受けております。しかし、だんだんとこれが普及してまいりますと、なかなか示談で済まぬようなケースも起こってくるだろうというふうに思いますので、なるべく保険をかけるような勧奨をしていきたいというふうに考えております。そういうことをただいま考えておるところでございます。
  74. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 保険をかけるといって、これはモーターボートの所有者が保険をかけるわけですか。
  75. 丸居幹一

    丸居政府委員 そのとおりでございます。
  76. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これはひとつ大臣にも御答弁をいただきたいと思いますけれども、自動車の場合はそういうことになっておりますからけっこうでございますが、自動車の場合ですら、いわゆるペーパードライバーが事故を起こしたときには、たいへんな民事問題が起こるわけですよ。当然そこら辺等を予測して、モーターボートの交通安全に伴ういろいろな施策は進めていかなければならないはずであります。これは強制賠償保険、いわゆる自賠償の対象になればいいのですけれども、船の場合は、他の帆船との問題もありますので、そういう制度にはなじみにくいと思います。しかし、これをやっておかないと、たとえば死亡事故が起きたという場合に、ペーパードライバーだったらこれは払いようがないでしょう。では一体、現在私も海難防止の問題でいろいろ調べておりますけれども、小さい船の場合は、いわゆるさかなを取る船ですらその従業員に対する保険いういものは船員保険もかけなければなりませんし、生命保険をかけるというのは大手の会社しかしていないんです。実際なぜできないかといったら、とてもそれだけの経済的余裕がなくてできないというのだ。おそらく貸しボート屋さんなんということになりますと、二十台、三十台持つでしょう。その全体の保険をボート屋さんがかけるといってもこれは任意ですからね。とてもかけるなんというそういう良心的なボート屋さんばかりではなかろうと私は思います。こういう問題が多発したら一体どうなさいますか。
  77. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど船員局長から御説明いたしましたように、いまのところは、モータボートについては大体二万円ぐらいの保険料で千万円ぐらいの限度の保険をつけて、それがだんだん普及しているということを聞いておりますけれども、いまおっしゃったようにいろいろな問題考えますと、どうもどれは任意でほっておくわけにはいかないような事態にだんだんなってきていると思います。自動車の話がありましたが、自賠償のような、そういう考え方の保険というものもあるいは考えなければならぬかもしれませんが、この間から私も当局といろいろと話し合っておるのですが、このモーターボートを出す区域、海域でございますね。その海水浴客が一ぱいいるところにそういうモーターボートで突っ込んでくるような可能性のあるような運航をさせるということも、これはやはり考えなければならぬと思うのですね。陸上で非常に人通りの多いところへ自動車がどんどん入ってくるというようなことについても、これは危険を招くもとでございますから、海面におきましても、何かやはりそういう警察というと誤弊があるかもしれませんが、そういう海域の使用のしかたなんかにつきましても、何らか方法はないだろうかというようなこともあわせて考えようじゃないかという提案をしておりまして、まだ結論を得ておりません。得ておりませんが、お話しのように、これはほっておけない問題でございますから、至急に調査検討を進めてまいりたいと思います。
  78. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間ももう終わりでございますから、この問題はこの程度にしますが、いずれにしてもいま申し上げたような方向をきちっとしませんと、モーターボーしの免許を与えても何にもならない。それだけで安全は確保されない、そういうふうに私は思います。したがって、できれば今国会中にそれらの強制といかなくても強力な指導はするのだというような、保険をかける方向で強力に指導するのだというような基本線だけは明確にしてもらいたい、こう思いますがいかがでしょう。今国会中あたりそういう方向は出ますか。
  79. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 できるだけ急いで対策を検討いたしまして、実行のできる部分から逐次実行に移していく、こういう態度でいきたいと思います。
  80. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最後に一問だけ、もう時間がありませんので申し上げますが、この法律案に関する資料の十五ページの問題ですが、これは「その他」のところの(ハ)の問題になりますが、「運輸大臣は、二以上の港湾について広域的かつ総合的な見地からこれらの開発利用及び保全を図る必要があると認めるときは、関係港湾管理者に対し、港湾計画の作成等重要な事項について相互に連絡調整を図るための協議会の設置を勧告することができることとする。」こういうようにございます。東京湾におきましては、東京、横浜、川崎、千葉、大阪湾においては大阪、堺、神戸、姫路、伊勢湾については名古屋、四日市、こういうふうなところが予想されるわけでございますが、どのような協議会を予測していらっしゃるのか。  それから一括してお尋ねしますが、こういうような協議会をつくりましても、ある程度予算措置がないとなかなかこれはむずかしい。いわゆるそれぞれの県なり市、そういうところからある程度予算を吸い上げて事務局を設置して推進をするとか、あるいは湾全体にかかわる問題は相互にそういった工事費を出し合って国の助成を受けながらやっていく。この程度まで進めていかないと十分な推進力とはならないと私は思うのですが、この二点について承りたいと思います。
  81. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの連絡協議会に関しましては、大体私ども考えていること先生のおっしゃったとおりであると思います。  それで、まず実際にどういうことを事務として協議をするのだというようなことで、私ども考えておりますのでは、まず港湾計画を策定する場合お互いに調整をしなければいかぬという問題、それからそれと関連ございますが、各港間での何と申しますか、機能分担と申しますか、そういうものの調整をお互いにしていこうじゃないか。それから特に非常に問題だと思いますのは環境保全対策の問題、これはどうしても広域的に考えないと、一港でやってもさっぱり効果が上がらぬという問題がございます。それから港湾のオペレーションのほうに入りますけれども港湾利用の手続等で、これは各港に順々に入っては出て、入っては出てとという矛盾がございます。そういうような港湾利用の手続の簡略化であるとかあるいは共同の情報処理のセンターとまでいえるかどうかわかりませんが、そういうようなことをやっていこうじゃないかということが議題になるかと思います。そこで、確かにこれだけのことをやります以上いろんな予算が要るわけでございます。これに対してはさしあたりの問題として、これは私どもこういうことをおやりになったほうがいいですよという運輸大臣の勧告権までにとどめておりまして、こういう協議会というものはあくまで管理者自身がお互いに御相談なすってやってください。必要あってそういう財政面の援助をしなければいかぬということになりますれば、その段階で考えるという考え方でございます。
  82. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最後に、運輸大臣に御要望申し上げておくわけでございますが、こういうようにいま港湾関係は広域行政がたいへん行なわれなければならない状況になってきているわけでございます。特に、太平洋沿岸におきましては、たとえば愛知県だけでもこの四、五年の間に蒲郡港が発足をしまして、さらに豊橋の先の渥美半島のほうにもこういう大規模な港湾の建設が予定されているわけです。確かに必要性というものはあると思いますけれども、多分に地域エゴ的なことも多いわけです。やはり港湾というのはそういう多数の船舶が出入りをいたしますので、いまのしゅんせつ工事等の問題も出てまいりますし、そういう環境保全のための水質汚濁の問題も出てまいりますし、いろんな問題がからんでくるわけです。ですから、もう少し整理をしていただいて、拡充すべきところは強力に拡充をする。少々のところは不便を忍んでも、これは自然環境のほうに向けるのだというような行政指導をしていただかないと、太平洋岸はこれはオール汚濁された、そういう港湾を持つことになりはせぬかというふうにたいへんに心配をいたしておりますので、さらに問題がたくさんある港湾問題でございますので、十分なひとつ国の行政指導並びに財政措置を御要望申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。
  83. 井原岸高

    井原委員長 この際、午後二時から再開することとし、暫時休憩をいたします。    午後零時五十分休憩      ————◇—————    午後二時五分開議
  84. 井原岸高

    井原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河村勝君。
  85. 河村勝

    ○河村委員 今度の港湾法改正におきまして、港湾の環境保全それから廃棄物処理、そういうものについての施設の整備というのが一つの大きなテーマになっておりますが、そこで国が一部の補助ができるということになっておって、これが法案の中身を見ますと、公害防止のための環境整備施設については十分の五以内、それから廃棄物埋め立ての護岸、それから廃棄物処理施設、こういうものについては十分の二・五以内ということになっておりますが、具体的には一体これをどの程度補助をしてやっていこう、そういう構想がおありだったら、まず先にそれを伺います。
  86. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま先生の御指摘ございましたように、「十分の五以内」あるいは「十分の二・五以内」というような表現を使っておりますが、「十分の二・五以内」という表現をいたしておりますものにつきましては、すべて十分の二・五で実施をいたしたいという考え方でございます。それから十分の五の問題でございますが、環境整備施設の、埠頭の緑地のようなもの、この場合に緑地をつくるということは「十分の五以内」という、十分の五で実施をいたすつもりでございます。ただ、それの用地関係、用地費につきましては、三分の一の補助をいたすという考え方で実施をするべく財政当局とも話が大体ついて、現在御審議いただいております予算の中に織り込んであるわけでございます。
  87. 河村勝

    ○河村委員 そうすると環境保全のほうの緑地はわかりましたが、そのほかの廃棄物の埋め立て護岸、そのほかの公害防止施設、こういうものについてはまだきまっておらない、こういうことですね。
  88. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの緑地と申しましたいわゆる港湾環境整備施設でございますとか、緑地の問題以外に、廃棄物の処理施設、これにはいわゆる廃棄物の埋め立て護岸、廃棄物の焼却施設あるいは破砕施設等の廃棄物の処理施設があるわけでございますが、こういうものにつきましては十分の二・五の補助率で実施をするという考え方でございます。
  89. 河村勝

    ○河村委員 ところで、法の四十三条の五で港湾の環境整備保全のための負担金の規定がありますね。そこで、周辺区域の工場、事業場、そういうものに対して、政令で定める基準に従ってその費用の一部を負担させるという規定があります。これについてはどういうふうに考えておりますか。
  90. 岡部保

    岡部政府委員 この法律案の四十三条の五で港湾環境整備負担金というものを新たに徴収し得るような仕組みにいたしておるわけでございますが、この負担金と申します性格が、いわゆる原因者負担的な感覚と、それからある意味では受益者負担的な感覚と、両方現実の問題としてはからんでおるものと私ども考えております。と申しますのは、いわゆる環境をよごすもとをつくったという意味での原因者と、それから、そういう環境を整備してもらったことによって非常に環境がよくなったということでその益を受けるという両方の意味があるかと思います。  そこで、確かに先生のいまお話ございましたように、環境整備の問題でいろいろ他の、たとえば陸上の清掃の問題であるとかいうようなものとのいろいろなバランスがございまして、十分の五であるとかあるいは十分の二・五であるとか、そういうような補助率の一つの新しい姿が出てきたわけでございますけれども、現実に港湾管理者財政として見ますと、こういう新しい仕事を管理者がしなければならない。そこで、国が幾ら二分の一出すにせよあるいは四分の一出してくれるにせよ、その残りの二分の一なり四分の三は管理者が持たなければならない。したがって、明らかに管理者財政としての負担がふえるということには事実なるわけでございます。そこで、そういうことについて管理者としても、こういう環境整備であるから別に費用を惜しむわけではないけれども、やはりそういうものに対して受益者であるとかあるいは原因者であるとかいうような者がいるならば、そこから金を取るという道がないかということが管理者の希望でもあり、私ども考え方でもあったということで、ここに新しく港湾環境整備負担金というものを港湾管理者が徴収し得るような規定を設けた次第でございます。
  91. 河村勝

    ○河村委員 私が伺っているのは、その規定を設けたことは法案を見ればわかるんですか、ただ、「政令で定める基準に従い、」ということになっておりますね。だから、法案が通ってからもちろん政令をつくるのでありますが、実際政令をつくる場合に、どういう内容を盛るつもりでおるかということを伺ったんです。
  92. 岡部保

    岡部政府委員 この政令で定める基準は、もちろんこれから法律が通りましてから政令を定めるわけでございますけれども、ただいま私ども考えておりますごく概要でございますが、この事業者が負担する費用の範囲、負担割合、負担する事業者の範囲等の基準を定めるという考え方でございますが、まず港湾環境整備負担金として事業者が負担する費用の範囲とその負担割合というものが問題であるかと思います。これについては具体的にはいま検討している最中でございます。ただ、一つの例を申しますれば、たとえばこういう港湾区域内の水域でありますとか、その水域に隣接する水域でございますとか、そういうところの汚染を除去するというための工事に要した費用のたとえば二分の一であるとか三分の一であるとかいうような一つの基準を設けようという考え方等をいま現在検討している最中でございます。  それから、港湾環境整備負担金を負担する者はどういう者であるかということでございますが、これも現在いろいろ検討いたしておりますが、たとえば当該港湾の臨港地区内に立地する工場または事業場でございまして、あまり小規模なものは除くというような一つ考え方があるのではなかろうか。その他、当然いろいろな港湾関係の企業がございますので、そういうところをどこまで及ぼすかというのをただいまいろいろ検討している最中でございます。  それから、港湾環境整備負担金の全体としての割合がきまれば当然額がきまってくるというようなところで、いわゆる負担金を課せられる者の負担するべき能力と申しますか、そういうようなもので、あるいはその中で負担率が変わってくるのではないかという問題もございます。そこの辺まだ成案を得ておりませんけれども、ただいま検討している最中でございます。
  93. 河村勝

    ○河村委員 私が伺いたいのは、大づかみな構想として、たとえば国で二分の一負担するものについてはあとの二分の一は原因者、受益者負担でいくのか、それでもってかかる費用の全部をカバーする、だから国が十分の二・五カバーするものについては十分の七・五を事業者負担、そういうような考え方であるのかどうかということをお聞きしたい。
  94. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま私ども考えておりますごく荒っぽい考え方でございますが、いわゆる環境整備のための工事でございますから、国が費用を負担する場合と一部補助する場合と補助しない場合とございます。そこで、いずれにいたしましても、国が補助する場合は、その国が補助する金額を差し引いた残り、しない場合にはその全体の金額でございますが、それを大体管理者とこういう関係の事業者とで半分に割るような考え方はどうであろうかというような考え方でございます。
  95. 河村勝

    ○河村委員 これは大臣に伺いたいのですけれども、公害防止関係法律の一般的な考え方としまして、新しいコンビナートなどをつくるような場合に、緑地関係なんかは国が半分負担する、半分は原因者負担だと私は記憶していますが、大体全般的に、環境保全、公害防止関係のこういうものというのは、原因者負担がたてまえなんですね。それで公園のようなものができて、一般大衆も利用できるというような緑地なんかについてはまあ半分くらい持つというような考え方ではないかと思うのです。ですから、私がいま伺っておりますことは、国がどれだけ出すのか、それの残りはやはり原因者負担というようなたてまえでいくべきではないのかという意味のことを聞きたかったのです。そういう考え方でいくべきものではありませんか。大臣、いかがですか。
  96. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いまお話しになったのは、これは一般原則といいますか、むしろ社会通念としてもそういう方式をとっているのが多いと思います。したがいまして、この原因者のまいた公害であるということが非常に明確であるものにつきましては、大体お話のようにしなければならぬと思いますけれども、非常に不明確でありまして、それがはたして原因者だけのものであるかどうかというものにつきましては、これはいろいろの具体的な事例によって配慮をしなければならぬではないかと思います。  それから最後にお話しのように、それが地域の、各港湾管理者としての地方自治体の発展にもつながっていくようなもの、地域住民にも非常に関係の深い、そういうふうな港湾をよくするというような方向考えられているような施設につきましては、局長が申しましたように、これは内容によりまして国庫の負担率をきめ、やはり地方自治体にも若干負担してもらうというのが筋ではないかと思います。
  97. 河村勝

    ○河村委員 大臣のおっしゃることは間違っているのですね。原因者負担が明らかなものは、これは国も出さないのですよ。全原因者負担です。ですから、当初から緑地なんかの場合は、半分は国が見ましょう、一般の大衆にも役に立つのだから、残りは原因者負担だ、こういう考え方なんですね。ですから、そういう場合のことを言っているのではなしに、国がある程度一般的な公共目的に役立つものだからということで、国が十分の五なり十分の二・五なり負担するわけでしょう。そうすれば、その残りは原因者負担がたてまえであるべきではないのか、そういうことを言っているのです。いかがですか。
  98. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 わかりました。多少御質問趣旨考え違いしておりました。いまのような、そういう設例で行きますと、河村先生おっしゃるように、原因者が負担すべきだ、これはまあ常識だと思います。
  99. 河村勝

    ○河村委員 ですから、まだ政令の中身はきめてないというお話だから、これからの問題になりましょうけれども、単純に国が補助した残りの部分を公共団体とその事業場、工場が折半して負担するなどというような、そういういいかげんな考えでは、私はいけないのではないかと思う。その点、港湾局長は折半するという構想だと言いましたけれども、その点は、もう一ぺん考え直すべきであると思いますが、いかがですか。
  100. 岡部保

    岡部政府委員 私、先ほど申しました、折半にするべきであるという考え方は、変わっていないのでございます。と言いますのは、いわゆる公害が生じて、それに公害対策事業であるということであれば、全く先生のおっしゃるとおりのPPPの原則である。港湾で、たとえば緑地のようなもの、あるいは廃棄物の処理施設というような問題、これはむしろこれから廃棄物が出てくる事前の、あらかじめやるような感じの施設、これを港湾でやろうというのが主体になるかと存じます。したがって、明らかに港湾でも、たとえば公害対策事業としての事業を実施いたしております。これにつきましては、全くPPPの原則で、一体どこまで事業者が負担するべきであるかというようなことを、地方の公害の対策審議会によってきめていただいて、それに基づいて実施の負担割合をきめるというようなやり方をいたしております。したがって、むしろそれの予防措置というか、事前にそういう備えをするのだというような考え方でありますので、いまのような負担のしかたが適当ではないかというふうに、いま検討している最中だということを申し上げたわけです。
  101. 河村勝

    ○河村委員 しかし、一般的には、公園緑地をつくる場合には、要するに公共負担が半分、受益者負担が半分なんですよ。そうすると、この場合、半分国が出すわけですね、あなたの説明によれば。そうすれば、半分は受益者負担というのが常識じゃないのですか。これは国といわず公共団体といわず、要するに公共負担が半分であれば、半分が受益者負担なんですよ、一般は。そうじゃありませんか。
  102. 岡部保

    岡部政府委員 まことに申しわけございませんが、いま先生のおっしゃいました意味が、ちょっとよくわからなかったのですが、要するに公共負担がどのくらいの率であるかという問題と、それからその公共負担という中で、国と地方公共団体がどういうふうに持つか、さらに公共負担以外のやつは民間資金が出るであろうというような意味であるかと思いましたのですが、いわゆる公園等におきまして、必ずしもそういうあれではございませんし、たとえば都市公園のようなものをやります際に、補助率が三分の一で、それから用地費等については三分の一であるという、全く港湾の緑地で考えましたような補助率でございます。そうして、それ以外のむしろ地方公共団体が負担しておるというようなかっこうでございますし、そこの辺を、どういう意味でおっしゃられましたか、話が聞き取れませんでしたので……。
  103. 河村勝

    ○河村委員 一般の都市公園のことを言っているのじゃないのです。新しい公害を発生するような地域整備する場合、コンビナートのようなもの、そういう場合のことをぼくは言ったのです。ですから、一般の都市公園のことを言ったのではありません。まあしかし、この問題は、ここでもって最後までの結論は出ないと思います。もう一ぺん検討しておいてください。私の言ったのは、あるいは間違っていたかもしれません。  それから、今度の法案でもって、港湾管理者の業務として、港湾区域の廃船除去、その他水域の清掃、汚染防除、こんなものに対して、施設としては、海洋清掃船建造費を国でめんどうを見るようですね。そのほかの運営費、これはどういう収入でまかなうことを前提としてやっておりますか。
  104. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま御指摘がございましたのは、二つの分類ができるかと思います。いま最後におっしゃいましたような、国が海洋の汚染防除のために清掃船等を建造するというものでございますが、こういうものの運営にあたりましては、当然国費でまかなうべきであるという考え方で、これは実は現在御審議をいただいております四十八年度予算では建造費だけが含まれておりまして、四十八年度中にこれは建造できまして、四十九年度から運営をするということで、運営費につきましては、四十九年度の予算から考えていただくという考え方で、私ども予算のほうはタッチしておるわけでございます。  それから港湾管理者の業務として、港内清掃であるとか、そういうようなものを見たわけでございますが、この清掃、たとえば清掃船の建造補助でありますとか、あるいは清掃事業自体の補助でございますとか、そういう面で国が助成するべきであるという考え方に、私ども予算要求の時点で、立ったわけでございます。  そこで、予算要求をいたしまして、いろいろと財政当局と折衝をいたしたのですが、残念ながらこれはものにすることができなかったというのが実情でございます。その理由といたしましては、いわゆる陸上の清掃事業というものとのバランスが主体で、これは残念ながらものにいたすことができませんでした。  そこで、こういうことで、実際に港湾管理者が実施していただく際には、当然港湾管理者財政において運営の費用を支出していくということは、あるいはその管理者は財政が裕福じゃございません、むしろ赤字でございますが、そのものに対しての負担がさらに付加されるという点については、私どもまことに残念に存じておるところであります。
  105. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、清掃船をつくった場合には、その清掃船を動かす費用だけは国がめんどうを見て、あと港湾財政の収入でまかなう。こういうことですか。
  106. 岡部保

    岡部政府委員 ちょっと私の説明がはっきりしなかった点があったかと思いますが、港湾区域内の海面の清掃、これに対しては、一切国が補助はいたしておりません。したがって、そこで使う、港湾管理者が建造いたすべき清掃船であるとか、あるいはその清掃船を使っての清掃行為であるとか、こういうことに対しては、一切国は補助ができない仕組みでございます。  それから港湾区域の外側の一般の海洋と申しますか、そこの清掃につきましては、国が全額国費で清掃船も建造いたしますし、四十九年度以降は、これの清掃船の運営費というものは、当然国費をもってまかなうという考え方でございます。
  107. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、今度清掃船建造費八億四千万円がついておるのは、港湾区域外のものであって、港湾そのものの中のものではない、こういうことですね。
  108. 岡部保

    岡部政府委員 さようでございます。
  109. 河村勝

    ○河村委員 そこで、港湾財政そのものについてちょっと伺いたいのですけれども、いま重要港湾を一応一つの独立の企業と考えて、重要港湾であれば施設整備費そのものは国と公共団体で全部見るわけですね。そうしますと、あとは運営費と管理費と償却費と利子だけですか。一応それだけに限って見た場合に、収入対支出の割合というのは一体どのくらいになるのですか。
  110. 岡部保

    岡部政府委員 ここに持ってきております資料で、昭和四十四年度のいわゆる経常費用の収入、支出の対比でございますが、四十四年度におきましては施設使用料収入が百三億円に対しまして経常費用というのは百六十億円、したがって、費用を収入で割りますれば一・五五という非常な赤字でございます。それから、昭和四十五年度において施設使用料収入が百二十七億円に対して経常費用が百八十八億円、したがって、いまのような比率をとりますと、一・四八でございます。一・五五から一・四八、要するに施設使用料のふえのほうが若干大きくて、少しずつ改善はされておりますけれども、いわゆる施設使用料というものでこういう一般管理費をまかなおう、経常費用をまかなおうという考え方から申しますと、まだまだ赤字であるということがはっきり申せるかと存じます。
  111. 河村勝

    ○河村委員 こうして港湾法改正になりましていろいろな仕事がふえていくわけですけれども、今後ともまただんだんと仕事がふえると思うのですが、これからの港湾財政の考え方として、大体このくらいの見当のバランスで、あとは企業的にはものを考えずに、一般企業体や地方自治団体の一般会計とか何かからの補てんで済ましていく、そういう考え方で進んでおられるのか、それとも、今後ある程度独立採算的に考えるのか、それについての考え方はどう考えておるのですか。
  112. 岡部保

    岡部政府委員 先ほど申しました数字は八大港の数字であるということをちょっと申し上げるのを忘れましたので、つけ加えさせていただきます。  いまおっしゃいました問題点、私どもとしては何とかとんとんと申しますか、独立採算的なものに持っていきたいという考え方でございます。  そこで、たとえば港湾施設の使用料の値上げという問題も現実の問題としていろいろいま関係の業界といわゆる港湾管理者との間で折衝が持たれ、また大体の線が出ておりますが、これとてもまだ十分だとは考えておりません。また、さらにいわゆる港湾管理者の財源措置として一体どういうふうに考えたらいいかという点について、これはたとえば施設の使用料だけではなくて、施設を通行するたとえば貨物に対して何らか使用料——使用料と申しますか、通行料と申しますか、そういうものが取れないか。これは外国にはそういう例がございます。そういうようないろいろな財源の面の考え方はございます。したがいまして、少なくとも管理者財政に対してはもう少し考えなければいかぬということで、今回のこの段階ではまだ成案を得ておりませんけれども、これはなるべく早い機会に検討いたしまして、管理者財政をもっとプラスにするように考えていきたいという考え方でございます。
  113. 河村勝

    ○河村委員 次に、今回の改正で初めて入った港湾管理者の協議会ですね、二つ以上の港を持つ場合の協議会、これについては先ほども議論がありましたが、これが新しくできたについては広域的な管理整備計画、そうしたものが必要になってきたということが原因であることはよくわかります。特に、東京湾、大阪湾はおそらくこの協議会程度のものではとうていやっていけない時期に来ているのではないかと思いますが、一応必要と認めた場合に勧告をするという程度のことになっておりますね。実際にはこれができるような話し合いができておるのかどうか、その点伺います。
  114. 岡部保

    岡部政府委員 現実の問題といたしましては、東京湾で、たとえば東京港、横浜港、川崎港等におきましては、こういう協議会を港湾管理者自体が持つべきではないかという考え方事務当局として持っておるようでございます。これはいわゆる管理者として、もう完全に境を接しておるような港になっておりますし、いろいろな意味でこういうものを持つべきではなかろうかという感じを持っております。  それから大阪湾につきまして、これはたとえば大阪湾にポートオーソリティーをつくるべきであるというような地元財界の動き、これがもうずいぶんになりますが、五年以上も昔から、あるいは十年近くなるかと思いますが、そういうことをとるべきであるというような動きがございまして、これに対応して港湾管理者として一体どういうふうに考えていったらいいかということで、これも現実の問題としては協議会のようなものを考えるほかないのではなかろうかというようなことが出ております。  それから、伊勢湾、たとえば名古屋港と四日市港の関係でございますが、ここにおきましては、やはり名古屋の財界等は大伊勢湾港に脱皮すべきであるという考え方を持っておられますが、まだどうも伊勢湾におきましては名古屋港、四日市港の港湾管理者である管理組合の事務当局の考え方というのはここまで進んでいないのではなかろうかというような感じがいたします。  実情としては、場所によって非常に段階がございますが、いずれにいたしましても、こういう方向で現実の問題として協議会を国がこういうところには勧告すべきではなかろうかというような面に対して受け入れて、こういう考え方で進んでいこうという港湾管理者かあることは事実でございます。
  115. 河村勝

    ○河村委員 ポートオーソリティーということになりますと、これは陸上施設の管理といったものは警察権まで持つくらいのものがあるので、すぐさま日本に適用するのはむずかしいかもしれませんが、しかし、二つ以上の港を持つ一種のポートオーソリティー的なもの、これは現行法でもできるわけですね。その点はどうなんですか。
  116. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま現行法で、二つ以上の地方公共団体一つのものをつくって港湾管理者になっておるというのが一部事務組合で例がすでにあるわけでございます。  それからもう一つは、今度勧告するといういわゆる協議会、この制度は現行法地方自治法においてこういう協議会の制度は明らかにすでにつくられております。したがって、特に港湾法でこういう協議会制度を特定のもあとしてあげなくてもできないことではございません。しかし、ここであげましたのは、いわゆるそういうような考え方を進めるべきであるというような感覚からあえて港湾法にも重複するかもしれないけれども、特にこういう港湾問題で協議会制度を設けるべきであるという考え方をここに織り込んだわけでございます。
  117. 河村勝

    ○河村委員 自主的にできるものをわざわざ法文化するなら、この際むしろ本格的なポートオーソリティー的なものを法文化して、とにかくそういうふうに誘導してしていくというような法改正をすべきではないかと思いますが、そこまで踏み切れない理由はどういうわけですか。
  118. 岡部保

    岡部政府委員 私自身個人的に申しますればそういう一つやり方があると思います。ただ、そこにどうしても踏み切れなかったというのはあまりにも現実問題として、現在そういうポートオーソリティーというものをつくるべきだというような考え方に立ったといたしましても、現実にはとてもすぐにはできるものではない、それよりもまずもう一つ前の段階をもう少し考え方をはっきり法文上に明定していく必要があるんじゃなかろうか、その上で、これは言うなれば次善の策であるけれども、これがほんとうのいまの段階でやるべきことではなかろうかというふうに踏み切ったためでございます。
  119. 河村勝

    ○河村委員 四国の新居浜港務局ですか、新居浜、西条、二つの港を管理する港務局ができていますね。あれはどういう動機あるいは経過で生まれたものですか。
  120. 岡部保

    岡部政府委員 新居浜港につきましては、御承知のように住友系のいわゆる非常に昔できた工業港でございます。そこであそこの新居浜港の港湾施設と申しますもの、これはほとんど住友系の傘下の工場、会社が持っておる施設であったわけでございます。ところが、現実にはそういうプライベートの一つの港であるということでありまするならば、この港湾法とはどうもそぐわない問題であるはずであります。ところが現実には公共的な問題がもちろん入ってまいります。船にとっては私の港も公の港もございませんし、現実には海上保安庁の安全行政であるとか等々すべていわゆる公的な港と同じようなことをしていただかなければならぬ。そういうことであるならば、むしろ公的な立場の港というかっこうにするべきではなかろうか。そこで地元の市がいろいろ中心になりまして、いままでそういう現実の港の管理であったあそこの企業者群に対してどういうかっこうでいくかということで、そういう特殊な発生的な経過があったためにああいう港務局というかっこうをとったということになっております。
  121. 河村勝

    ○河村委員 日本の場合には大臣、特に関係官庁の出先もやたらと多くて、外国の船なんかもずいぶん迷惑している向きもたくさんあるし、おまけに一つの港の中に港がたくさんあるという点においても外国に比べても多いほうですね。ですから、当然もっと早くポートオーソリティー的なものが考えられてしかるべきであったんですね。今回すぐにいけないというお話でありますけれども、ぜひともこの問題はこれっきりにせずに、前向きに進めていっていただきたい、これは要望だけしておきます。  それから今度の法案と直接関係がありませんけれども、ことしの予算を見ておりますと、港湾整備五カ年計画の一部で、東京湾口の整備予算が入っております。その中に、昭和四十六年から五十年にかけて、事業費三百二十億で問題の第三海堡を撤去をして、水深二十三メートルにするというように書いてありますが、これはどういうような段取りで進められる予定になっておるのか、それをお聞かせいただきたい。
  122. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま東京湾口航路整備ということで五カ年計画にも載せまして、現実の現地における工事というのにはまだ残念ながら着手いたしておりませんが、これの考え方、どういう工事をするかと申しますと、第三海堡を撤去いたしまして、あそこをいわゆる大型船が何ら差しつかえなく通れるような航路にしてしまう。それからその次の段階として、第一海堡と第二海堡の間に新しい航路を設定するというような考え方でございます。それでまずその仕事のうちで先生のおっしゃいました第三海屋の撤去という問題が先に行なわれるべき工事だと存じます。そこで現在あそこに関係のございます漁業権者、漁業組合といろいろ折衝中でございます。これで漁業補償の問題が片づきますればまずその工事に着手をいたしたいということで、予算面ではすでに事業費を予算に計上いたしておりますが、現実の問題としてはまだ手をつけていないというのが実情でございます。
  123. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと四十六年から五十年の間に撤去をすることになっておるけれども、実際はまだまるきりめどがつかない、こういうことですか。
  124. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまも申しました漁業補償の問題でございますが、第三海堡に関しましてはいつまでということをここで、はっきりはちょっと申せませんけれども、そう遠くなく何とか片づけるつもりでただいま鋭意いたしております。したがって、四十八年度以降の事業として着工できるという考え方でいたしておりますので、これは手をつけ始めればそれほど時間はかからないで実施できるという考え方で、第三海堡については始めれば何とかものにできるのではないかという考え方でございます。
  125. 河村勝

    ○河村委員 始めればできるにきまっているので、全然手をつけないでおって始めればできるというのはずいぶん無責任な答弁であります。たまたまこの前小此木委員提出を求めた資料を見ますと、東京湾横断道路というのが建設省の計画の中に入っておるのですね。これは私は新聞だけしか知りませんが、この第三海堡を足場に使って、橋脚置き場に使ってやるように聞いておりますが、これとの関連でだめだというようなことはないのですね。
  126. 岡部保

    岡部政府委員 もう何年になりますか、だいぶ昔でございますけれども、港口の横断架橋という問題が話に出始めたころでございますが、第三海堡を当方は撤去するべきである、あそこは海難事故が起こってしようがないということを申し上げておったところが、たいへんしかられたことがございました。それはいま先生のおっしゃったとおりで、あの第三海堡は橋脚にするのだ、あるいは橋脚にできないにしても、あそこを工事の拠点にして使うから除去してはならぬという話がございました。ただしこれは具体的に話を詰めてまいりますと、いまのそういうような価値のあるものでは第三海堡はございません。したがって現段階としては、全くそれとは無縁のものとして考えております。
  127. 河村勝

    ○河村委員 これはけさもらった資料ですよ。建設省道路局、だから運輸省じゃありませんがね。ですけれども、国会に提出した正規の資料で、それに東京湾横断道路というのがちゃんと棒が引っぱってありますよ。だからこの点は、あなたのほうではいま自信のありそうなお話だったけれども、同時に、いつ着工ができるかあてがないようなお話でもあるので、もう一ぺんこれは役所として確かめる必要があると思いますね。  海上保安庁に伺いますが、最近でもこの浦賀水道の事故というのは従前と変わらないで、あるいはそれ以上起こっているはずですね。一体、いま長い間の懸案であるここの第三海堡が撤去できないと、航路の上下を分離する完全なものができないかもしれないけれども、これは一体どのような形でいま行なわれ、あるいはこれからやるつもりになっておりますか。
  128. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  浦賀水道を中心といたします東京湾の交通のふくそう状況は依然としてきわめてふくそうをきわめておる状態でございます。私どもとしましては、昨年国会でお認めいただきました海上交通安全法を施行する準備をいたしておりますが、これが本年の七月一日から施行されることになっております。それで、あの付近のことについて申し上げますと、東京湾が海上交通安全法の適用海域になっておりまして、その中で浦賀水道航路というものを設ける。その幅といたしましては、港のほうに入っていく東側の航路とそれから出ていく西側を通る航路、その幅を両方合わせまして一番長いところが千七百五十メートル、それから一番狭いところが千四百メートルで、それが曲がりまして浦賀水道から中ノ瀬航路につながるわけでございます。いま問題の第三海堡といいますのは、実はいま考えております、実質的にはもう決定しておりますが、浦賀水道航路のちょうど外側にございます。それで、航路周辺海域というものを航路の外側に約二百メートルの幅で設けるわけですが、その航路周辺海域の中にあるわけでございますので、航路そのものの障害にはならない。そういうことで、私どもが海上交通安全法を施行するについては現在でも格別の支障はございませんが、これが撤去されるということになれば、海上交通の安全上はなおけっこうだ、こういうようなことでございます。
  129. 河村勝

    ○河村委員 それは航路が支障にならないのはあたりまえじゃないか。支障にならないような航路をつくるから支障にならないんでしょう。ですから、この第三海屋が撤去されなければ、ほんとうの意味での航路分離はできないはずだと思います。大臣、この第三海屋の撤去の問題というのはずいぶん古い話ですが、予算が計上されたからいよいよ私は実現するのかと思って期待を持って質問をしたのです。そうしたらどうも港湾局長の話を聞くと、手をつけ始めればすぐできるでしょうというような話で、いつ手をつけるかもわからないような状態ですね。これはいただいた、港湾のこれからの伸びですね。出入貨物の伸びからいっても、ほんとうは緊急を要するのですね。事務当局にまかせるのでなしに、これはむしろ政治問題だと思いますよ。ほんとうに、これはせっかく予算がついているのに、いつまでも寝かしておくなんというようなことでなしに、ひとつ政治力を発揮してやってもらいたいと思いますが、大臣どうですか。
  130. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 お話しのように第三海堡の問題はずいぶん古い昔からの懸案でございまして、いま港湾局長から御説明いたしましたように、予算がやっとついた。それで、着手ができるという段階になっておりますけれども、予算面はそうですけれども、実際の問題としましては漁業の関係が非常に大きな問題でございまして、これはやはり農林省とよほど緊密に連絡して解決してやりませんと、漁民の方がこれによって非常に大きな打撃を受けますから、この点が一番の障害になるんじゃなかろうかと思います。  それから、私は技術のほうはわかりませんけれども、やはりあの辺は非常に船舶の通行がふくそうしておりますので、海堡を除くための工事をいたします場合に、よほどその工事のしかたを考えませんと、一般の航行船舶の安全を阻害するような結果になりかねないと考えます。この点につきましても、おっしゃるように予算がついたし、前からの懸案でございますから、これはひとつこの際に非常な前進をさせるように、私も関係大臣とも話し合いまして解決に努力をしなければならぬと思っておるのでございます。
  131. 河村勝

    ○河村委員 こういう機をのがしたら、幾ら待ったからといってできるものでもありませんからね。ぜひやってほしいと思います。  次に、船舶従事員の福祉関係の施設のことについてひとつお伺いをいたします。  これも前々からの問題なのでありますけれども、今度の法改正以前から法十二条の十二号に「船舶乗組員又は港湾労務者の休泊所等これらの者の福利厚生を増進するための施設を設置し、又は管理すること。」というのが港湾管理者の業務の一つになっておるわけですね。国としてこういう業務を法律の上に載っけておるけれども、実際は国では何にも金を出してやっておらないというのが今日までの経過ですね。どうせやる気がないんなら法律に載せておくのもおかしいし、一体どういうつもりでおられるのか、それをひとつお伺いいたします。
  132. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまのお話でございますが、港湾管理者の業務であり、港湾施設であるという考え方、これは別に国が補助をする、しないということではございませんで、港湾管理者は本来こういうものをやるべきであるという問題であるかと思います。したがって、ここの法律にこういうものが載っておるということは別におかしいことではございません。ただいま先生がおっしゃいましたように、こういう福利厚生施設に対して、たとえばこれは港湾の面だけで申し上げますが、港湾の面からこういうたとえば国の補助制度であるとかなんとかできておりません。これはまことに残念でございます。それで現実の問題といたしまして、むしろ港湾管理者がほんとうにみずからいろいろ整備をしてくださっておるというのが実情でございます。そういう点はどうも私どもの力の及ばざることを申しわけないと思うところでございますけれども、これから今後の問題といたしまして、でき得ればなるべくこういうものに対して手を伸ばしていきたいという考え方を持っております。
  133. 河村勝

    ○河村委員 港湾労務者のほうには荷役のトン当たり幾らというような財源があって、それをこうした施設をつくる費用に充てておるというふうに聞いておりますが、陸のほうにあって海のほうにないというのは、何か特別な理由があるのですか。
  134. 丸居幹一

    丸居政府委員 船員のほうには船員保険のほうで納めましてそして船員保険で、たとえば宿泊施設をするとかいった厚生関係をやることになっておりますので、多少陸のほうと違う形にはなっておりますけれども、結果はほぼ同じような姿だと思います。
  135. 河村勝

    ○河村委員 船員保険といったって保険は陸にもあるのでその点は同じですけれどもね。別にあれですか、港湾労務者なんかの場合に特別に荷役料その他の中から何%というものをそういうものに振り向ける、そういうものはないですね。
  136. 岡部保

    岡部政府委員 港湾福利厚生協会が行ないます港湾労働福祉センターあるいは労働者住宅の建設等の原資といたしまして、港湾運送の運賃料金にトン当たり三円の福利厚生分担金を付加いたしまして、それを拠出しておるということがございます。
  137. 河村勝

    ○河村委員 いま港湾局長のほうがよく知っているじゃないですか。トン三円ですか、そうしたものがあるわけですね。そして片一方はやっておる。同じ条文で両方並べておいて、片一方はそうしたものが何にもないというのは何か特別な理由がありますか。
  138. 丸居幹一

    丸居政府委員 おっしゃるとおり、船員のほうにはそのものはございません。そのかわりに、陸のほうにはたしか船員保険関係のようなものがないということで、結果は同じようなことになっておるというふうに了解しておるのでございます。
  139. 河村勝

    ○河村委員 船のほうでいま問題になっておりますのは、最近、港での停泊日数が非常に少なくなって、そこでこの間、海洋婦人会ですかの人たちが大臣のところに行きましたが、あのときでもおわかりのように、みんな従来と違って、家へ帰らずに奥さんのほうがその港に来てだんなさまと会うというような時期になってきているわけですね。ですから、陸以上にそうしたレクリエーション施設を含めた休養施設、そういうものが必要になってきているわけで、いままではほとんどが宿泊施設だけですね。そうした新しい時代に対応するような施設というものはいまはない。だから、この際、何らかの方法でそういうものを促進すべきではないかという意味でお聞きしているんです。大臣、ひとつ考えをお聞かせをいただきたい。
  140. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この問題は、いままで海上労働というのは特殊性がございますので、国費だけではなしにいろいろな関係団体があると思います。そういったのが、それぞれの立場、立場で、中には重複するようなのもございますけれども、今日までそういう設備を整えてきたのが実情だと思います。これを今度国のほうで全部持ってやれという意味ではないと思いますけれども、主管庁としましては、いままで非常にそういう骨を折ってくださったような団体等との連絡をはかりまして、もし現在の設備で足りない場合は、拡充していかないと、だいぶ船の運航の体制も変わってきておることはよくわかりますので、それに応じたような設備の整備ということをやらなければならぬと思います。それには、いま申し上げたように、関係団体に呼びかけまして、どこまでそれができるか、そういったことを具体的に各港ごとに詰めてみる必要があるんじゃないかと考えております。
  141. 河村勝

    ○河村委員 時間もないようですから、二つばかり、こまかい具体的な問題を伺っておきたいと思います。  一つは施設、埠頭ですね。特に、鹿島のような新しい荷主別に埠頭が並んでいるところで、みんな岸壁までそれぞれの領域に金網のさくを張ってしまって、岸壁まで仕分けてしまっている。そこへ船を係留する場合にも、係留さくを、その網を越えて張ることができない。このために非常に不安定であって、安全に影響があるということを聞いておりますが、一体こういうものは、土地と土地との境目に網を張るのは自由かもしれないけれども、こういう公共的に使われる埠頭の部面、何メートルかくらいはあけておかなければ非常に危険であると思うのですが、そういう実態にあることを御存じですか。
  142. 岡部保

    岡部政府委員 鹿島港におきまして現実に先生の御指摘のようなことがあるということは私どもも存じております。で、港湾管理者に対しまして、あそこは茨城県が港湾管理者でございますが、これをどういうふうな意味で改善をはかるか。これはやはりそれぞれの工場の警備と申しますか、セキュリティーをよくするということでああいう金網を張る、へいをつくるというのをいかぬとは言えませんけれども、いまおっしゃったような現実の問題非常に大きな問題だと私ども思いますので、これを何とか改善するようにということで管理者に対して話をいたしております。
  143. 河村勝

    ○河村委員 管理者に対して話をしておられるということでありますが、これは命令はできないのですか。埠頭部面についてはそういう指示権、命令権というようなものはないわけですか。
  144. 岡部保

    岡部政府委員 現在、こういうふうにせいといって命令をすることはできないと思います。しかし、港湾管理者が実際上の問題としていまのようなことでそれぞれの工場に対して要請をして現実に、解決をしていくという方法をとっていただきたいということで、ただいま要請をしているところでございます。
  145. 河村勝

    ○河村委員 今度の法改正で、港湾については新しい技術基準をつくって、それに適合しないものは認めないというような法文が入っていますが、こういうのは明らかにそういう技術基準に含まれるものではないのですか。
  146. 岡部保

    岡部政府委員 そのように解釈いたしております。したがって、今後こういう技術基準というものでの指導という際に、そういう問題も当然取り入れる考え方でございます。  それからもう一つ、ついでのことに申させていただきますと、四十五条の三という新しい条文で「滞船の場合における要請」でございますが、船込みをしたというようなときに、たとえば現在の鹿島港でございますと、沖にバース待ちをしておる船がおる。ところが自分の入るべきバースは一ぱいである。それで港口で待っいるわけでございますが、そういう場合に天気が悪くなったというようなときには、他の会社のバースにこれをつけさせてやってくれというような要請を港湾管理者がすることができるように措置をいたしております。これもそういう意味での——これはちょっと直接のあれとは違いますけれども、同じような感覚の問題としてここに新しい条文をつくったわけでございます。
  147. 河村勝

    ○河村委員 法律が通らないからできないということでなしに、早急に片づけてもらいたいと思います。  それからもう一つ、水の問題であります。これは特に北九州で問題になっているようでありますが、船に給水、特に清水ですね、給水する場合、埠頭の給水せんが非常に古いものが多くて、どうもそこのところがきたならしくて、ミミズは入らぬかもしらぬが、とにかく汚染されて非常に衛生上危険である。言うけれども、なかなかその給水せんにそういう汚物が入らぬようにするという対策ができないで困っておるというようなことを聞いておりますが、その点御承知であるか。御承知であればどうするつもりであるか。
  148. 岡部保

    岡部政府委員 申しわけございませんがい私そういうことは聞いておりませんでした。
  149. 河村勝

    ○河村委員 その具体的事実を知らなくても、一般的に古い埠頭は給水せんもみな古いですから、給水せんのあるようなところに水がたまってしまって、おおいもあまりないというようなのがあるようですが、一般的にそういう事実があることもあまり御承知ないですか。
  150. 岡部保

    岡部政府委員 まことに申しわけございませんが、一般的にあることも存じませんでした。
  151. 河村勝

    ○河村委員 問題になっているのですから、すぐ調査をして、そして早急に問題を解決していただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  152. 井原岸高

    井原委員長 井岡大治君。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕
  153. 井岡大治

    ○井岡委員 近年産業の降昌というか異常な発展で、いままでのような港湾に対する考え方、こういうものは私は概念として変わってきたのではないか、こういうように思うわけです。もちろん、そのためにこそ今度の改正案が出されたのだろうと思いますが、私はここで非常にもの足りない感じがするわけです。と申しまするのは、港湾は国民経済と切っても切れない関係にあることは、これは私が申し上げるまでもございません。ところが、これは前の法案がそうであったからこういうような意味でお書きになったのか、それとも「交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展」、こういうことでお逃げになっておるのかどうかわかりませんけれども、少なくとも私は、国民経済と、あるいはわが国の産業と切っても切れない関係にあるということであれば、当然この目的の中に国民の福祉あるいは公共、こういうことが入ってしかるべきだと考えますが、この点いかがですか。
  154. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 趣旨は仰せのとおりだと思います。ただ、法文のていさいの上でそういうことばを使っておりませんけれども港湾局長からもるる御説明を申し上げておりますように、いままでの港湾法目的を多少変えまして、今度は環境保全とか、全国的な立場から見ての港湾適正配置というようなことを目的といたしまして、この第一条の規定のしかたを変えたのでございます。ここに具体的に国民の福祉というような字を入れたほうがよかったのではないかというような御趣旨かと思いますが、その点は全く私もそう思いますが、ただ、書いてございますように、交通の発達をはかったり、あるいは国土の適正な利用、均衡のある発展というようなことは、これは国民の福祉ということをむしろ具体的にあらわしたものと考えておるのでございまして、これらの問題が総合されまして、港湾の本来の使命が達成できるような形になりますことは、それがすぐに国民の福祉につながってくるものだ、こういうふうに考えてまいりますと、あえてここに国民の福祉ということを入れませんでも、それを読みかえたような意味で、いま申し上げたような国土全体の発展をはかりまして、それを国民の福祉につなげていくのだ、それがやはり港湾一つ目的なんだ、こういうふうにお考えいただければ非常にけっこうだと思うので、私はそういうふうに考えてしかるべきじゃないか、こう思っております。
  155. 井岡大治

    ○井岡委員 非常に回りくどい御答弁で、ちょっとわかりにくいのです。どの法律を見ても第一条の目的で、これが目的です、こういうことが明らかになっておるのが、いわゆる事業法であり、あるいは福祉法であり、この種の法律なんです。それを「交通の発達及び国土の適正」というようにいって、それがひいては国民の福祉なのだ、こういうような言い方は、私は、これはおよそ大臣ともあろう人が答弁をすることばじゃないと思うのです。私は法律というものは、国民が見てさっとわかるようなものが、これがほんとうの法律だと思うのですよ。法律はむずかしく書いて、国民にわかりにくいようにしておくのが法律だといわれるのなら、私は、それでけっこうだと思うのです。このことを入れて、国民の福祉、公共、こういうようにして、そうして国民の福祉をやるのだ、こういうように書いたって、一つも私はおかしくないし、それが本来の目的と違うのですか。この点もう一回聞きますよ。そんなむちゃ言わぬようにしてください。
  156. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いまお話のようなことを端的に書きますと、あるいはそういうことばを入れたほうがよりはっきりと表現されるということになるかもしれません。しかし現在の法律——いろいろな法律がございますけれども、ほとんどすべての法律と言っていいぐらい、交通体系なんかで出てまいります法律というものは、これはおそらく全部の法律が、やはり社会の発展あるいは国民の福祉を増進するというものにつながらないものはないと思いますけれども、それを一つ一つ念を入れまして、国民の福祉というものを全部入れているかというと、必ずしもそうじゃございません。でございますから、この法律の直接の目的とするところはこういうところでございますということを書いて、それがすなわち言いかえますと、国民の福祉につながっていくのだというような表現のしかたも、これは法文のていさい上はあり得ることだし、現行法のほかの法でも、やはりそういったことをそういった規定のしかたをしておるものがたくさんある。でございますから、御趣旨は御注意としてありがたくお受けいたしますけれども、このていさいでそこに国民の福祉を書いていないから、国民の福祉を忘れたのじゃないか、港湾の運営、管理につきまして国民の福祉と離れたような運営をするのではないかということでございますと、そうではございませんで、先ほど来申し上げておりますように、また第二条以下に詳しく書いてございますように、やはり港湾行政中心にして、社会、経済の発展もはかるし、それが国民の福祉につながるように管理、運営をさせるのだというふうにお考えいただければありがたいのでございます。
  157. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、その大臣の言われておることを否定するのじゃないのです。ですから、最初に、「交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため、」ここにお逃げになっておるのじゃないかと思うけれどもとこう言っておる。しかし、これをやって、このために国民の福祉をさらに増進をするのだということのほうが、より国民にはわかりやすいではないか。決して法律それ自体は、みんな国民の福祉でないものはない。それはそのとおりです。ですけれども、少なくともこういう事業法あるいは管理法というものについては、より明確にしておくことのほうが、私は大事だと思うのです。そういう意味で、これをたとえばこういうように、「この法律は、交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため、港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに、」航路開発及び保全、そして国民の福祉に寄与することを目的とする、こういうように書いても、決して差しつかえない、こう思うのです。話はわかったからとこういうのじゃなくて、審議をしておるときには、話はわかるけれども、——ところが法律というのは一度変えたら、何年かこれでやっていかれるわけですね。それともこれは次に変える、こうおっしゃるのですか。この点いかがですか。
  158. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 法律でございますから、そうたびたび変えられるとは思いません。しかし、先ほど来いろいろ御意見が出ておりますように、港湾行政というものにつきましても、残された問題がたくさんございます。そういった問題に、今度は正面から取り組んでまいるつもりでございますから、これは長い間このままでほっておこうという考えもございませんが、しかし、いつということになりますと、おっしゃるとおり、そんなにたびたび変えられるものではございません。そういう意味におきまして、先生の言われるような、端的な表現をしておいたほうが、国民が理解しやすいではないかというお考えはよくわかります。その点については私も反対しているわけじゃないのです。そういう書き方も一つの書き方だと思います。ただ、これは弁解のようになりますけれども、申し上げている趣旨は、こういうふうに書いておりますことも、国民の福祉を決して忘れているものではない。そういうふうな港湾機能をいままではただ港湾管理運営ということだけを主にしておりましたが、今度はもっと港湾というものを国民生活に密着したものにしよう、地域住民との関係も深くしようということで、いろいろな新しい設備も計画をし、予算も取っておるわけでございます。そういう意味におきましては、そういうことを端的に表現しなくともこういうふうな表現でも結局は、それは前の法律に比べますと、国民の福祉というものにもっと深くつながっている内容のものだということを申し上げているわけでございまして、その点はどちらがいいとかどちらが悪いとかいうことは私は申しませんが、先生がおっしゃるような書き方をすれば端的に表現できます。しかし、私の申し上げているようなこの書き方でも、国民の福祉を忘れたものでない。これは内容を見なければわからぬからその点は問題かもしれませんが、内容的に見ますと、前の書き方よりももっともっと国民の福祉というものに密接につながった港湾管理運営をさせようというのがこの趣旨であるということもわかっていただけるのではないかということを申し上げているわけでございますから、この点は立案者意思もひとつ御了解をいただきたいと思います。
  159. 井岡大治

    ○井岡委員 立案者の御意思は私は理解しないでもないわけなんです。しかし、ここは私たちが将来国民に対する法律という名のもとに指針を与えるところなんですね。そうだとすると、私は新谷大臣がいつまでも、おやりになっているなら、ここで話はわかりましたと言うのですよ。ところが、何代か過ぎてきますと、その条文によって国民全体を律していくのが為政者であり、行政官である、こういうように考えてくると、より明確にしておくことのほうが親切ではないのか。また、そのことのほうが港湾管理者としても、たとえばいままで港湾管理だけをゆだねておったために、港湾にたくさんなコンビナートをつくった。これを拒否することができなかった。そのために、いま公害などが起こって各地で騒いでいる、こういう実態じゃないですか。そういうことを考えてみると、それらを勘案して今度は法改正をやるのだ、こういうお話でしょうけれども、少なくとも私は何代かあるいは何年か先にこのままであったとすると、やはりこれを拡大解釈をして、そうして問題を提起するような場合がないとも限りません。ですから、この際明らかにしたほうがいいのではないか。だから、法案の作成をされた御努力それ自体については感謝はしますけれども、われわれにも修正権はあるわけですから、あなたがよしわかったと言えば、みんな与党の方とも話し合ってこれは修正しますよ。これはいかがです。
  160. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 第一条の修正の御意見のように拝聴いたしましたが、立案者といたしましては、その内容はただいま申し上げたような趣旨で、十分国民の方々にもこの国会における審議を通じましてわかっていただいていると思いますから、修正の御意見に対しましては、私のほうはにわかに賛成するわけにはまいりませんが、これは国会の問題でございますから、皆さんの御討議の結果、これは修正すべきである、修正をしたほうがいいのだということであれば、政府当局といたしましてはそれに対していいとか悪いとかいうことを公に申し上げる筋合いではないと思いますから、御討議の結果御結論をお出しくださいましたらけっこうでございます。
  161. 井岡大治

    ○井岡委員 じゃ、港湾局長に聞きますが、最初あなた方がこの要綱をつくったときにはこれは入っていたのです。これが除かれた理由を聞かしてください。
  162. 岡部保

    岡部政府委員 確かに私ども原案の原案といいうような段階でこういう字句が入っておったことは事実でございます。そうしていろいろ法制局の審査を受けまして、いろいろ協議した段階ではこれが省かれたわけでございます。といいますその理由は、法律によっていろいろそういうものを書いてあるものは確かにある。しかし、むしろ大げさにいうよりも、ほんとうに直接目的をぴしっと書いたほうがいいのじゃないかという感覚が非常に強くて、こういうように修正したというのが事実でございます。
  163. 井岡大治

    ○井岡委員 ですから私は、この法律は、国民の福祉、それだけを書けと言っているのじゃないのです。あなた方の言われることをずっと並べて、そうしてこのことによって国民の福祉を増進するんだ、こういうようにしたほうがいいんじゃないですか、こう言っているわけです。ですから、あなた方の言っておいでになることが全部だめで、私のだけがいいのだ、こういうことを言っておるわけじゃない。このように考えてもらわないと、あなたや大臣が言われたように、法律をより明確にして、こういうことで国民の福祉を増進するのだと言ってやらないと、先ほど申し上げたように、いま各地でいろいろな問題が起こっておる。この問題を整理する意味でも、こういう国民の福祉に反するようなことはわれわれは認めませんよ、港湾行政を担当するわれわれとしては認めませんよ、こう言ってやるほうがいいのじゃないか。そうでないと、国民経済の発展ということで、いまわが国が、大臣などがたいへんな苦労をされておるところなんでしょう。だから、福祉というものが各項目に分かれているからというのではなく、目的はそうなんですよ。こういうように明らかにしたほうがより私は明確だ、こう思うのです。この点申し上げて、大臣立案者ですから、おまえら直すのなら直したらいいよ、こういうような御意見のようでございますけれども、私はそうじゃないと思うのです。そうか、こういうことでおとりになることのほうがより私はすなおだ、こう思います。  次にいきます。「基本方針」のところでいろいろ言っておいでになるわけですが、従来は港湾管理者港湾のすべてを握っておったわけですね。  それを大臣のほうが基方方針を先に策定をして、そうしてこれをやる、こういうようになっているわけです。ただ港湾管理者が異議を申し出られるのは、「港湾管理者は、基本方針に関し、運輸大臣に対し、意見を申し出ることができる。」これと第四のその先に、「行政機関の長に協議し、且つ、港湾審議会の意見をきかなければならない。」この二つになったわけですが、私はその意見を申し出ることができる、この意見を申し出た者がどういうようになるのか、この点をお伺いしておきたいのです。
  164. 岡部保

    岡部政府委員 この基本方針と申しますものの考え方、これは本日午前中にも御説明申し上げたところでございますが、このよう基本方針を国として、基本的な、全国的なものということで、運輸大臣がこういうものを立てる。ところがけさほども申しましたように、国全体としての一つネットワーク、あるいはフレームであるという考え方から、それぞれの港湾考え方を大きくまとめまして、それから個々の港が計画を立てます際に、どういうふうに立てていくかということで、たとえば、原単位がどういうふうなことになるかというような問題に結びつくような基本的な事項ということををここで基本方針としてまとめるわけでございます。ところがそういう際に、けさほども申しましたが、紺野先生の御質問にございましたように、いわゆる国土計画と申しますか、全国のいわゆる新全総であったりあるいは首都圏整備計画であったり等々のこういう一つ地域開発計画がございます。そういう計画考え方からこういうものが出てくる。それから港湾本来としてのこういう考え方が出てくるというものがこの基本方針であるかと思うわけでございます。ところが、そういうものに対して港湾管理者個々港湾管理者でありましても自分のところはそういう考え方ではないはずだ、こういう考え方なんだという、そういう地域の問題についても港湾管理者としていろいろな御発言があり得る。そういうような感覚でここで「基本方針に関し、運輸大臣に対し、意見を申し出ることができる。」という条項がここにはっきりうたわれておる次第でございます。  また、その前の第四項には、「関係行政機関の長に協議し、且つ、港湾審議会の意見をきかなければならない。」という、これもつのしばりがかかっておるわけでございます。関係行政機関の長に協議するという意味では明らかに、たとえば環境問題とかいうことで、環境庁の長官というものがどういう考え方を持っておられるか、あるいは工業等の配置の問題で、通産大臣が通産行政上どういう考え方を持っておられるか、あるいは国土の、たとえば道路の問題であったり、河川の問題であったりというようなことで、建設大臣がどういう考え方を持っておられるかというような御協議になると思います。また、港湾審議会という専門家の審議会の意見を聞きまして、これの議を経て固めていく。そういう際に、本来でしたら港湾管理者に対してもこれはひとつ協議をすると申しますか、意見を求めてやるというのがやはりこういうもののバランスといいますか、こういう法律考え方としてはそうあるべきだと私どもも思っておりました。ただ現実に申しますと、千弱の港湾管理者全国設立されております。したがって、千の港湾管理者にこれを一々意見を聴取するというようなことではこれはたいへんなことでございます。したがって、現実に問題といたしましては、意見を徴して何とかするとかいうような、どうも表現は現実離れをしてしまうということで、ここで意見を申し出ることができるという規定にいたした次第でございます。したがって、私どもその考え方、いわゆるこれの法律の精神としては、ほんとうに関係のある港湾管理者考え方というものは十分取り入れるというつもりを持っております。したがって、けさほどもいろいろ御心配のございました国が非常に突っ走って、せっかくいままでの地方自治的な感覚であった港湾法の精神、いわゆる港湾管理者港湾計画に対する絶対権というものを非常に侵すのではないかという点については、私どもむしろそういう考え方が、港湾でいえば憲法のようなものでございまして、これを侵すつもりは決してございません。むしろこういうことを生かすという考え方で、しかも現実にどういうふうに表現していったらいいかということで、こういうような表現になったという点を御了解いただきたいと思います。
  165. 井岡大治

    ○井岡委員 法律としては全国的、一般的なものですからこういうことになろうかと考えますが、ただこれだけでは少し足らないのではないか。たとえば重要港湾などの場合は、港湾管理者意見というものをかなり大幅にいれなければいけない。したがって、重要港湾の場合などはこの協議会の中に入れる、あるいは協議会までに意見を出さす、こういうような何か考え方というかシステムというか、そういうものがこれではちょっと見当たらないような気がするのです。一般的な意見として、基本方針に関し大臣意見を申し述べることができる、だからここで言えるじゃないかということは、重要港湾の場合は都市計画と重大な影響があるわけですよ。したがって、これらの問題をどう取り扱うのか、この点についてお聞かせ願いたいと思う。
  166. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの御説、いわゆる港湾管理者といって一般的な問題でなくて、むしろ重要港湾港湾管理者というふうに限定して、何かもう少し強い規定が入らないかという御意見だと思いますが、私ども考え方では、法文上はこういう形にさせていただいて、ほんとうにどういう管理者であっても意見を申し出ることができるというかっこうにさせていただいて、現実の問題として、いまおっしゃったような重要港湾管理者意見というものは、たとえば私ども重要港湾以上の港湾管理者会議を開いていろいろ行政指導あるいは意見を聞くというような場も持っておりますし、また現実にこういう問題について、これは絶えず基本方針をつくるわけじゃございませんから、非常に限定された字句の問題でございますから、そういうときに事前にこういう重要港湾管理者とは現実にはいろいろ相談するということは十分できることでございます。したがってむしろ事実としてはそういう処理をしていきたいということをあえて申し上げさしていただきたいと思います。
  167. 井岡大治

    ○井岡委員 事実行為として従来もやってきたことであるから将来もやるんだ、こういうお話でございますが、それなどは事実行為という一つの認定だけでおやりになるのか、それとも省令なりあるいは政令なりでおきめになるのか、この点はいかがです。
  168. 岡部保

    岡部政府委員 特に政令省令できめるというようなことをいたすつもりはありませんが、事実行為として実施していきたいという考えでございます。
  169. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで大臣に定義の問題で少し聞きたいと思うのですが、定義の中にいろいろ書いてあるわけなんですが、定義の十四のところ、「港湾管理用移動施設、清掃船、通船その他の港湾管理のための移動施設」こう書いてあるわけですが、これはなぜ清掃だけを特筆して書かれたのですか。   〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕
  170. 岡部保

    岡部政府委員 ここに掲げましたもの、いわゆる港湾管理用の移動施設ということで、一つの例示として、「清掃船、通船、その他の港湾管理のための移動施設」という例示で二つほどあがっておるわけでございます。まあいろいろなこういう管理用の移動施設というのがございます。ただどうもこれ、いろいろな例を考えてみたわけでございますが、どうも通船という感覚あるいは環境問題に直接結びつくということで特殊な機能を持っているということで清掃船という一つの例示というものをあげたわけでありまして、これ以外にもたとえど公害を監視する船であるとか等々、いろいろあると思います。ただそういうものは、どうもその船自体が特別な機能を持っているということではないんじゃないか。いろんな意味に使われる。したがって、そういう特殊な、何か持っているようなものを例示しようということで、ここに清掃船と通船というような例示がございましたので、これ以外にも工事用の作業船みたいなものも入ってくるかと存じますし、いろいろあるわけでございますが、一つの例としてこういうものをあげたという意味でございます。
  171. 井岡大治

    ○井岡委員 例としてあげたということですが、この港湾法律改正が先ほど大臣から非常に懇切丁寧に御説明をいただいたわけですが、そうだとすると、公害をたれ流しているような、これを監視する船、あるいは先般の新潟港で油を流したとき、消防船がなかった、そういうことでたいへんなにした、こういうようなものは私は一般的な立場からいうと、先ほど言うように、通船ということで、たとえば重要港湾とそれから漁港か避難港かわからぬような、一律にものを考えて言うわけではないけれども、少なくとも般的な問題の中で通船ということばでなくて公害の監視船あるいは消防船、重要港湾などはもうこれは義務づけていいのじゃないか、こういうように思うわけですが、その点いかがですか。
  172. 岡部保

    岡部政府委員 これは必ずしもこうでなければいけないという強いあれではございません。ただ例として先ほど申し上げましたように、特殊な船であるということを前提にしてなるべく数少なく選んだということが実情であろうかと存じます。また公害監視用の船といいますと、港湾管理者のものであるものと、それから同じようなもので、たとえば海上保安庁の持つべきものであるとかいうものとの区別とが、これは現実には当然あるわけでございますから現実に区別されるわけでございますけれども、例としてはあまり書いてわかりにくくなるのじゃないかというような配慮も働いたことも事実でございます。
  173. 井岡大治

    ○井岡委員 では海上保安庁に聞きますが、海上保安庁は重要港湾には必ず管区がありますか。
  174. 野村一彦

    ○野村政府委員 重要港湾には海上保安本部または海上保安部両方あるところがございますが、全部海上保安庁の官署がございます。
  175. 井岡大治

    ○井岡委員 本部はあるけれども、それはその海上保安部の区域、管区、それを巡視しているんでしょう。重要港湾などは毎日たくさんな船が入ってくるわけです。たとえば新潟の場合あなた方のほうは非常におくれてたいへんなことになったわけなんです。ですから、今度は港湾局長ですよ、いまお聞きのとおり、管区というのは広い範囲ですよね。ですから重要港湾などは、必ず移動する場合、これを持ちなさい、消防船を持ちなさい、こういう指導があってしかるべきじゃないのか。こういう意味から単に通船ということにしておくのでなくて、明らかにしておいたほうがより正確ではないのか、指導がしやすいのではないか、こういうように思うのですがいかがです。
  176. 岡部保

    岡部政府委員 どうも私ども考え方は先ほど申しましたとおりでございまして、確かにそういうようにはっきりここに明定しておくほうが、一つの例示だけでございますけれども、例でもはっきりしていいんじゃないかという御説に対しては、私決して否定をするものではございません。ただ、要するに例示でございますので、極端なことを言えば、一体何を入れて何を落とすかという議論になってくると思いますから、比較的無難なというと変な誤弊がございますが、ものだけに限定したのが原案であるということでございます。
  177. 井岡大治

    ○井岡委員 無難なところでおさまればいいんですよ。現実に新潟ではそのためにたいへんな被害を受けているわけなんです。避難港とかあるいは漁港のちょっと上のというようなところまでそれに義務づけろ、こういう必要はないと私は思うのです。これは海上保安庁におまかせしていいと思うのですが、しかし少なくとも東京湾あるいは大阪、名古屋、横浜、こういうような大さなところはぜひこれは持ちなさい、こういうようにしておいたほうがどういうんですか、一番危険な状態を底辺にしてものを判断をするのが安全じゃないんですか。平均的なところでこれだったらだいじょうぶだろう、こういうんじゃいけないと思うのです。一番危険なところに底辺を置いて、そして安全を考えていく、こういう考え方のほうがよりベタ——だと私は思うのですが、この点いかがです。
  178. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまのどういうふうに整備していくかという意味での御意見、全く私も賛成でございます。当然そういう姿でいくべきだと思います。したがってたとえば最近港湾管理者で、備えつけのタグボートでも消防艇としての機能を持たせるようにしたり、そういうようなことは現実にいたしております。したがって、現実の問題としてはもう全く御説のとおりだと思いますので、私ども今後とも十分そういう筋で進めていくつもりでございます。
  179. 井岡大治

    ○井岡委員 そして最後の八項のところで、「その構造の保全及び船舶の航行の安全のため必要な施設を含むものとし、その区域は、政令で定める。」これは安全区域ですか、いわゆる港湾区域、これはどういうことですか。
  180. 岡部保

    岡部政府委員 いまおっしゃいましたのは、第八項の開発保全航路の問題と存じますが、いわゆる港湾区域と河川区域以外の水域においての云々ということで、いわゆる港湾区域それから河川区域以外の水面にあります航路であって、しかもその航路機能を十分確保するために開発及び保全に関する工事を必要とする航路という限定をしておるところでございます。それでそういう航路で構造の保全及び船舶の航行の安全のために必要な施設を含むという限定をしております。これで河川区域を特に除外するという問題が前提としてまず出てまいりますが、これはいわゆる河川の適正利用一つ考え方としては、いわゆる船舶交通の確保の問題というのも河川の工事の中に入り得るわけでございます。したがって、港湾と河川というものは、そういう意味では航路意味で別扱いにしてもいいのではないかということで、これを除外したということでございます。
  181. 井岡大治

    ○井岡委員 わが国の大きな港は川を利用してつくっておるのが非常に多いわけです。そういう意味で河川と区別をしたんだ、こういうことだろうと思うのですが、船舶の場合、ある一定の大きなトン数を持っているものは、この港湾区域としてしゅんせつをしていく、こういうことも可能かと考えるわけですが、そうでない船の場合は、河川のところも走るわけですよ。そこで問題が起こる。こういう場合はどういうようになさるんです。わかりやすく言うと、よそのことを言って間違ったらいけませんから、私は大阪の問題を言いますが、あの大阪の安治川口、あすこは小さいのも大きいのも一ぱいになって、並んでいるわけなんです。ただ、言われるように、大阪港は大きな船はしゅんせつをして、そこへ入ってくるようになっている。ところが、二百トン、三百トンの船はそんなにしなくとも通れるわけですよ。そこらの問題について、もう少し——ここを通ったらいかぬというような表示をするのか、しないのか、この点どうなんです。
  182. 岡部保

    岡部政府委員 いまの大阪港の安治川筋の例でございますけれども、ああいう場合、現実の問題としては港湾として使われておる区域と河川区域とが明らかにダブっておる場所でございます。したがって、これは港湾法のたてまえあるいは港湾管理者としての航行のための安全な措置というものを、現実に改良事業もいたしておりますし、それからまた、そこに航路標識を必要とするということならばそういう措置ができるというたてまえでございます。したがって、現実の問題といたしまして、日本での河川区域をはずすということは、これはまず、河口港では河川区域と港湾区域がダブっておりますから港湾区域を除外すればそれだけで済むという感じがいたします。それで、むしろこれでほんとうに残るところは河川区域と湖でございます。そういうところの、一体これがどうなるんだというような問題があるかと存じます。それで、現実問題としては、日本でこういう航行を安全にするための航路をちゃんと考えなければいかぬ、開発保全しなければならないという航路は、一番大きな琵琶湖においても特にいまのところはございません。したがって、まずこの河川区域を除くということで、いま先生の御心配のような問題は別にないのではないかという感じが現実問題としてしております。
  183. 井岡大治

    ○井岡委員 港湾管理者がこれらの問題について十分注意をしている、また運輸当局も十分そこらの問題については配慮している、こういうことですから問題はないんじゃないか、こういうようなお話でございますが、私は、ここの問題は非常に微妙な問題がございますから、かなり適切な処置を講じておかないと、これだけひんぱんになってきた海上保安という立場から考えて、これは全然何でもないんだということにはならぬと思うのです。現実に起こっている問題ですからね。ぶつけたりなにしている問題はかなりひんぱんに起こっている問題ですから、河川区域を除外するというのであれば、かなり河川区域それ自体にも規制をしてやらなければいかぬ、こう思うのです。ただ、これは建設省のことだからということで逃げないようにひとつお願いしたいと思うのです。  そこで問題は、先ほどの基本計画の問題にもう一ぺん触れますが、とにかく海岸線というようなものは住民の財産です。あるいは都市の財産です。そこで、基本計画を立てるときに十分にその港湾管理者意見というものを聞かないと、むやみやたらに、極端な例をいうと四日市、それから鹿島、それから大阪の堺港から泉北港、あそこあたり、そこから西へ行って水島からあの方面は全くつぶしてしまったわけですよ。これは先ほど言うように、港湾計画基本計画を立てるときに、いままでなおざりにしておった結果がこういうようになったと、こう思うのです。ですから私は、少なくともこういう住民の財産、国民の財産というものを保全をしようとして今回の法改正をされるというのであれば、ここのところをもう少し私は、単に意見を聞くというだけでなしに、実質行為だけでなしに、もっと何か強いものがあっていいんじゃないか、こういうような気がするわけですけれども、これはいま言われたように決して自治権なり住民の意思というものを葬り去らないのだ、こういうことでございますから、この点特に重ねてお願いをし、今後新しい海外線におけるコンビナートあるいはこれを重大な変更をする場合については関係側と十分相談をする、こういうことでございますが、港湾行政を担当している皆さんとしての立場からの御意見をひとつ伺っておきたい、こう思うのです。
  184. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま井岡先生のおっしゃいました問題は、私は非常に重要な問題だと存じます。これからほんとうにいわゆる大規模工業基地と申しますか、そういう新しいコンビナートというような問題で、港湾計画上こういうようなのが問題になってまいりますが、その際にいわゆる環境問題というのを非常にウエートを大きく見て、どうしていくのかということを当然港湾サイドでも考えていかなければいかぬ。したがって、そういう環境保全に対する基本的な姿勢、方針というものは、やはり港湾法の第三条の二にございます港湾開発利用及び保全に関する基本方針というものの中にも明らかにうたわれなければならないのではなかろうかという感じで私ども考えておる次第でございます。
  185. 井岡大治

    ○井岡委員 考えなければならぬということですし、その点を十分考えている、こういうことでございますから、これ以上追及しようとは思いませんけれども、私はいままであまりにもこれが、だれが無定見だったというような、だれを責めるとかそういう気持ちでなしに、少しみんなは、こうできたらしようがない、こういう気持があったように思うのです。たとえば四日市のあの許可をするときに、私はやったらだめですよ、こう言ったことがあるわけですが、いや、しかしという、こういう話で結局やってしまった。ところがああいうふうにいかれて、御存じのとおり四日市の海というのは全く何にも住むような状態じゃありません。しかも目をあけていること自体が痛いというような状態です。したがって、この計画を立てるとき、将来も石油パイプを敷設するようなことがないとも限りません。しかしその場合、やはり十分考えてやらないと、自然の破壊というだけでなしに、住めなくなってしまうのではないか、あるいはそのために港それ自体機能を失ってしまうことがあるのではないか、こういうように思うのです。そういう点で、ぜひこの点を重ねてお願いをしておきたい、こう思います。  そして、その次にお尋ねをしたいのは、係留の問題でございますが、係留の問題は、これはいまどこの港も係留施設というのが非常に不足をしている。このことをお認めになりますか。
  186. 岡部保

    岡部政府委員 どこの港湾におきましても、相変わらず滞船の実績が非常に多いということは、明らかに施設もまだ不足であるということをあらわしておるものと思います。
  187. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、この係留の問題で、「港湾管理者は、多数の船舶が入港したため、係留施設の不足により当該港湾の円滑な運営が著しく阻害されていると認めるときは、港湾管理者以外の係留施設を管理する者に対し、当該係留施設をできる限り広く入港船舶に利用させるよう」にしたい、こういうことだと思うのです。こういうことで書かれたのだろうと思うのです。ここに「要請」ということばが使ってあるわけです。私は、これは憲法の私有財産制の問題から来る問題かとも思いますが、しかし少なくとも係留施設が不足して、片方は、専用埠頭は余っている、こういう場合、何らかの処置をとるのに、単に要請だけということでなしに、方法があるのじゃないか、こういうように思うのですが、この点、従来どういう慣行があったか、ひとつお聞かせを願いたいと思うのです。
  188. 岡部保

    岡部政府委員 従来このようなケースで、一つ法律論議のときで問題になりましたのは、外貿埠頭公団法の制定のときに問題になったわけでございます。やはり港湾管理者管理する中で、別の人格で、しかも相当な強固なる基盤を持った人格の者がこういう施設を持つ、そういうときに港湾管理者としては当然その要請をできるかできないかというような議論がございました。これはもう当然こういうような場合には、港湾管理者が全体を見ておる立場でございますから、要請ができるのだという考え方でございます。あとこの点につきましては、事実上こういう例はなきにしもあらずでございますが、現実にこういうものに対して強権を発動できるかどうかということになりますと、やはり私権の制限という問題がからむということで、一応こういう要請という姿にこの法案はとどめておるということでございます。
  189. 井岡大治

    ○井岡委員 その外貿埠頭のときにそういう問題があった。それに対してはどういうような処置をとられたのですか。
  190. 岡部保

    岡部政府委員 外貿埠頭公団の持っております施設に対しましても、こういう船込みの事態でやる場合には、港湾管理者として、実際にこれを他の船に利用させるように要請することができるということにしようということで措置をいたしておるわけでございます。
  191. 井岡大治

    ○井岡委員 要請しようということは、私は先ほど申し上げましたように、これは私権の侵害ということで「要請」という文字を使われたのだろうと思うのですが、そこで私は、先ほど大臣に言った、公共ということばを使わないかと言ったのは、そこなんですよ。第一条に公共ということばを使っておれば、私権の制限ができるはずですよ。ですから、ここに公共ということばを入れなさい、入れておると、ここに命ずることができるとか、何とかもうちょっと強いことばが出るわけですよ。そうしないと、実際問題として、話をした、けられた、どうにもならぬ、こういうことでは、十分な機能を果たすことができない。だから、私は、ここでもう一度戻りますけれども、公共ということばをここになぜ入れないかと言ったのはそこなんです。大臣、どう思いますか。
  192. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 私の申し上げたことは、先ほどのとおりでございますが、公共という字を入れたり、あるいは国民の福祉という字を入れる、これは同じような意味だと思いますけれども趣旨はそういう趣旨でございます。ここに公共の利益とか国民の福祉という字を第一条に入れたら、初めてそこに要請が命令というようなことに変え得る。いまの第一条の字句ではそういうことは入り得ないのだということは、法律解釈として、私はそういうふうにかたくお考えになる必要はないかと存じます。  それで、四十何条かの条文でございますが、港湾局長からるる御説明いたしましたように、この問題は、私権の制限とかなんとかということよりも、そういう外貿埠頭公団のごとき、一応ある目的を持って施設をしておるものですから、これはやはり港湾管理者におきまして、施設を管理しておる者が、全体の港湾の運営上、そういった要請を出せば、これはよほどの理由がないと断わられるはずがないであります。ですから、法文に入れたからできる、法文に入れないからできないということではなく、これは実際の港湾の全体の運営から考えますと、絶えずそういった関係機関がお互いに協議をし、そして協力をしながら一つ港湾機能を最高度に発揮するというのがお互いの義務でございましょうから、そういう運営をしてもらうことを期待しながら、こういう「要請」という字を入れたものと私は考えておる次第でございます。
  193. 井岡大治

    ○井岡委員 まあ私は、いろんな陳情書なり要望書を持っておりますが、この機能をもっと十分に果たすためには、単に要望ということでなしに、公共埠頭における公共原則の弾力的な運営をする必要から、その方途を講じていただきたい。これはどういうことかといって、私は十大港の陳情者、この人たちにみんな聞きました。そうすると、やはりこれは単に要請をするというだけでは、私たちが要請をしても、幾つかの理屈をつけて、なかなか応じてくれない。ですから、何とかもう少し強い表現にならないものだろうか。こういう答えがほとんどでございました。したがって、命ずるという表現が適当でないというのであれば、何かもうちょっと強い字句があってしかるべきではないか、こういうように私は思うのですが、いま、さてこの字をどういう字にするか、こう言われれば、私自身もちょっと困りますけれども、とにかく要請だけでは少しいかないのじゃないか、こういうことを言われておるわけです。ですから、この点いかがですか。
  194. 岡部保

    岡部政府委員 この点につきまして、前々からお話し申し上げておりますが、要請というのを次の段階でもう少し強い表現にするということになりますと、当然私権の制限ということになり、それの何らか保障の措置をどういうふうにするかという問題に発展するわけでございます。その辺の問題、これは現実に法制局ともいろいろ相談をいたしました。いまの段階でそこまで考えると、その表現方法にしてもいろいろ問題がございまして、はっきり申しますれば、この成案を得るに至らなかった。まず「要請」という——非常にイージーゴーイングな言い方で恐縮なのでございますけれども、現在全くこういうものの根拠がないのに、ここで要請権だけでも少なくとも港湾管理者に与えると申しますかはっきりさせるということで一歩前進させよう。これからの状態で、ほんとうにこういう問題がまだまだあるということで、それこそ公共のためにこれではまだ足りないということであれば、次の段階でほんとうにとことんまで考えなければいかぬという感じが私の偽らざるただいまの感じ方でございます。
  195. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、最後に環境保全の問題で、先に海上保安庁にお聞きしますが、たとえば工場からどんどん流している、こういうものについて海上保安庁は摘発することができるだろうと思うのですが、できますね。
  196. 野村一彦

    ○野村政府委員 海上における犯罪の防止及びこれの捜査ということでございますので、工場からの廃液、排水等が海上に出ました現場を確認すれば、当然私のほうで摘発できます。
  197. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、この法律は一般的な法律ですから海上保安庁が常に巡視をしているわけではないわけですが、港湾管理者は、毎日見ているわけですから、そういうことで、港湾管理者が環境保全のためにこういうようにしてもらったらどうか、この基本計画を立てて、こういうようにしてもらったらどうか、こういう発言権というか意見、発言権というような大げさなものではないにしても、とにかくこうやってもらわなければ困る、こういうような意見基本計画の中で言える、こういうことでございますけれども、流してやっているもの、それは港湾管理者としてはとめることができない。これに何とかの処置が講じられるような考え方というか、何かありますか。
  198. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまのお話でございますが、港湾管理者は現実には地方公共団体でございます。したがって、たとえば公害部局が同じ公共団体にあるというような問題、あるいは都市計画の担当者であったりというようないわゆる地方公共団体という立場での問題が非常に多いものでございますから、現段階では現実にはそういう同じ地方公共団体あるいは同位の、同じレベルの地方公共団体との協議というようなかっこうで絶えず連絡をしているのが実態でございます。したがって、特に特別な権限を何か与えるというようなところまでこの法律では措置できなかったわけでございますけれども、まず現実の問題としては、そう問題はないのじゃないかという感じを私は持っております。
  199. 井岡大治

    ○井岡委員 最後に、環境庁水質管理課長にお尋ねをします。  最近どこでもよごれてしまっている。特にこのよごれている原因が廃液あるいは河川から流れてくるものばかりなんですが、これに対しての規制、水質の管理をするためにどのような処置をとられようとしているのか、この点をお伺いしたいと思います。
  200. 山村勝美

    山村説明員 水質汚濁防止法の一般論になろうかと存じますが、現在の水質汚濁防止対策は、港湾も含めましてまず水域ごとに環境基準を設定いたしまして、それを行政目標としていろいろな対策を講じていく。その大きな柱がただいま御指摘になりましたような排水の規制でございます。そのほか、下水道の整備でありますとか、先ほど来出ておりますような清掃の話でありますとか、ヘドロのしゅんせつでありますとかいろいろな対策があろうかと存じます。排水の規制につきましては、現在総理府令によりまして、一律的に——ナショナルミニマムというような言い方もしておりますけれども、北海道の端でも大都市のまん中でも律に守るべき基準というものを設定いたしております。もし港湾あるいは人口の集中しております河川等で非常によごれているような水域につきましては、都道府県条例よりきびしい基準をつくることができる、かようになっておりまして、大阪を含めまして主要な県はすべて上乗せ基準を現在持っております。したがいまして、それが守られることによって水質の汚濁を防止していくということが第一でございます。  それで、大都市地区を見ますと、汚濁の原因の半分が実は一般家庭でございまして、この対策は各戸に処理をさせるということは不可能でございますので、いわゆる公共下水道等の整備によって一括的に取りまとめて処理をするという手段によらざるを得ないというのが現状でございます。下水道の整備につきましては、御承知のとおり現在やっと市街地の二五%という普及率でございまして、まだまだ一般家庭の汚濁がカットされていないというのが現状でございます。  なお、処理につきましてもいろいろ問題があろうかと存じますが、それらを含めて今後十分指導し、処理の強化をはかっていくという考えでおります。
  201. 井岡大治

    ○井岡委員 水質保全をするためは、下水の二次処理だけでなしに、三次処理を考えなければ、ほんとうの意味における水質保全にはならないと私は思うのです。環境庁でそういう考え方を持っていまおやりになっているかどうか、この点お伺いしておきます。
  202. 山村勝美

    山村説明員 考えております。下水道等については、都市局と相談いたしまして、問題水域をわれわれ提示いたしましてへこの地域については三次処理をやってくれというようなことを申し出る等相談してやっております。
  203. 井岡大治

    ○井岡委員 これで終わりますけれども、私は先ほど申し上げましたように、お話しの点については理解できないこともございません。しかし、少なくとも問題が将来に及ぶ問題でございますから、私たちは別な考えを持っておることだけ申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  204. 井原岸高

    井原委員長 金瀬俊雄君。
  205. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私はお許しをいただきまして、二月二十七日に提案されました港湾法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。  この法律案改正は昨年の六月に国会を通過してことしの七月一日から施行されることになっている先ほどお話しがございました海上交通安全法とも深い関連がございますので、その点に触れながら大臣の所見をお尋ねいたします。  運輸大臣は、たびたび法律改正することについて、その重点を公害防止、港湾の環境保全、特に現在社会的に重大な問題となっている多くの課題を解決するために配慮をしたと説明していますが、法の運用が適切であり、しかもすべての国民がその生活を守るために、より効果的に平等に正しくこの法が施行されることを願って、幾つかの点について大臣にお尋ねします。  第一点は、先月の二十七日の当委員会で、新東京国際空港について論議がございました。空港の問題について私ども運輸大臣との間には考え方に大きな開きがあります。きょうは港湾行政についてのみ質問すると取りきめがあるようでございますので、その点については別の機会をつくっていただくことにいたしまして、私は港湾行政関係のある鹿島港から成田空港に対する油の輸送について、先日大臣説明では明確でありませんので、さらに詳しくお願いいたします。  鹿島港は鹿島開発計画では石油の精製事業しか計画されていないはずですが、単に鹿島港に航空用燃料を揚げて成田空港に輸送する流通基地として使用することは他の法律との関連において問題があると思われますが、大臣の見解はいかがでございましょうか。
  206. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この新東京国際空港の問題で一番ネックになっておりますのは、言うまでもなく航空機の燃料の輸送問題でございます。端的に申しますと、パイプラインの問題でございますが、これはいろいろな事情によりまして本格的なパイプラインの敷設が非常に難航いたしておりまして、今日まだ具体的にその解決の十分なめどが立っておりません。しかし、一方、空港の施設は大体においてでき上がりつつございます。大体本年度末をもってターミナルビルもでき上がるということでございます。したがいまして、羽田における航空機の混雑を防ぎまして、航空の安全を確保いたします意味からいいますと、新東京国際空港、成田空港の開設を急ぐのは当然であろうと思いますが、いま言ったような事情で非常に当初の計画が難航しておりますので、暫定的な航空機燃料の輸送方法を考えざるを得ないのでございます。その場合に、いまお示しのような鹿島港から他の方法によりまして、これは陸上輸送でありますが、陸上輸送によって成田まで航空機燃料を運びまして、それからパイプラインで空港に運ぶというような暫定案が考えられまして、これがいま非常に有力な案として推進されておるわけでございます。鹿島港に関するいろいろの法律上の問題につきましては、政府部内におきまして関係省庁の間で打ち合わせをいたしておりまして、鹿島港は絶対に利用できないという問題ではないというふうに考えておりまして、これにつきましてはもちろん法律の許す範囲におきまして、こういうルートで運ぶことができれば成田空港の開設が早まりますから、そういう方向関係省庁打ち合わせながらいま努力をしておる際でございます。
  207. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いま運輸省考えている計画に地元の茨城県当局は賛成しているでしょうか、どうでしょうか。
  208. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 茨城県知事とも接触をいたしております。これにはいろいろの条件がございます。その条件が達成されれば県知事もこれに反対はないということを間接的でございますが承っておるのでございまして、そういう条件を満たすべくいま努力をしておる際でございます。
  209. 金瀬俊雄

    金瀬委員 羽田の航空機の燃料は現在シェル、日石、出光、三社が中心に国際線に給油しているという話がございますが、これは事実ですか。
  210. 寺井久美

    ○寺井政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の三社のほかにまだ数社ございます。ただ御指摘の三社がおもなところであるということでございます。
  211. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この三社が同じように成田空港に給油するということになると、出光は御存じのように千葉に工場がございますし、そこから運ぶことになる。シェルは鹿島港から運ぶとすると、日石は横浜に工場がございますが、その油は鹿島港を通過して成田に運ぶということになりますか、その点お伺いします。
  212. 寺井久美

    ○寺井政府委員 最終的に油会社がどのような輸送経路で輸送するかということはまだきまっておりませんが、おそらくただいま御指摘のようなルートになるかと存じます。
  213. 金瀬俊雄

    金瀬委員 シェルは市川の港から油を揚げる計画であるというようなことがいま巷間に伝えられています。そうした場合、パイプラインの通過地域が首都圏の都市区域であるが、この点については地元の意向というものをいれなくていいかどうか、その点についてお伺いします。
  214. 寺井久美

    ○寺井政府委員 ただいま市川で揚げるというお話でございましたが、市川で揚げるという計画は聞いておりません。鹿島が京葉かどちらかになると思っております。
  215. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この点につきましては、また空港の問題が法案として出てまいりますので、そのときにお尋ねすることにいたしまして、次に港湾行政についてお伺いいたします。  港湾行政は、地方自治がわりあいに尊重されていままできたわけでございます。今度の改正では、運輸大臣に権限が非常に強化されている部面がございます。今後行政の面で、地方自治団体やあるいは港湾管理者との関係がむずかしくなってくるような点も出てくるわけですが、その点についてはどういうふうに処置していくか。また権限が強くなっても、資金助成の面あるいは補助金はいままでと同じでそう増加しておりません。そうした点について、道路とか河川と同じように補助率を上げる計画はないか。簡単に申しますと、口ばかり出して金は出さないというような行政にならないというような保証があるかどうか、その点についてお伺いします。
  216. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 港湾行政がある意味における転換期に来ておりまして、今度の法律改正をお願いをしているわけでございます。仰せのように、そういう計画を進めます上で、運輸大臣がやはり全国的に港湾について基本的な方針をきめまして、これは具体的なものじゃございませんが、それに基づいて、具体的に各港湾管理者が、それぞれの港湾についての計画をきめていくというようなシステムをとることは、これは当然かと考えます。そういう意味で、運輸大臣の権限がいかにも各港湾につきまして、具体的に非常に強くなったというような印象をお持ちになるかもしれませんが、今度の港湾法を全部通読してごらんになりますとそういうことにはなっておりません。先ほど来も質疑応答がございましたように、運輸大臣港湾管理者との関係はいままでとたいして違いはないのでありまして、港湾そのものにつきましては港湾管理者が全責任を持ち、具体的計画を立てて、そうして運輸大臣にそれを届けてくれるというようなことになっておるのでございます。もちろん言うまでもありませんが、今日までの日本の港湾は、大体地方自治体を中心として発達してまいりました。その沿革の上に立っての港湾行政でございますから、その根本をゆるがすようなことになりますと、これは港湾行政もうまくまいりませんし、港湾の設備の改良もうまくいくはずもございません。そういう点は今度の港湾法改正になりましても十分考慮した点でございまして、御心配のようなことはないと考えております。
  217. 金瀬俊雄

    金瀬委員 運輸大臣は公害防止と環境の保全に力を入れ運輸行政を推進すると言っておりますが、海のことは陸とか空と違ってまだ国民によく知られていないということが考えられます。特に海の交通においてもまた陸の交通や空と同じように危険が一ぱいございます。公害にしてもいま陸や空と同じような状態であるわけですが、これは大臣認めますか。
  218. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 海をきれいにしよう、これはもういまの国民の声だと思います。ことにわが国で一番国民になじみの深い東京湾でございますとか瀬戸内でございますとか伊勢湾とか、そういう内海における港湾が結果として非常によごれてきております。これを何とかしなければならぬというのは国民の全体の声だと思います。しかしこの海水の汚濁を防止しよう、あるいは汚濁の原因になるいろいろ公害を防止していこうというような制度ができましたのは近年でございまして、私どもはこの法制のもとにおきまして、いま海の水をきれいにするための防除措置につきましてあらゆる努力を払っておる際でございます。しかし、結果的に言いますと、私はこれではまだ足りないと思います。あるいは新しい法制を必要とするかもしれません。あるいはもっと予算措置が必要となるかもしれません。こういう問題は一挙にしてなかなか、数十年の沿革の上に築き上げられた汚染でございますから、一挙にはこれはできないことは御承知のとおりでございます。今後におきましても、私どもは、国内においてはそういう監視体制それから防除体制というものを強化しながら、海の水でございますから、やはり一方では国際的な協力が必要でございます。そういった国際的協力もはかりながら、お互いに各国が協力をして総力をあげて海をきれいにするということについて最大限の努力を絶えずしていかなければならぬと考えておるのでございまして、現状で満足しておるものではございません。今後もさらにいい方法を考えまして、前進を続けたいと思います。
  219. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまの現状では、海は物を捨てる場所と思って平気で物を捨てております。それから油を流したり汚水を流したりしております。このままでは海の公害というのはますます悪化いたしてまいります。たとえば東京湾、伊勢湾、瀬戸内海その他の海域のよごれというのは、船舶から流すものあるいは都市下水によるものあるいは工場から出る排水によるもの、これらが主でございますが、この取り締まりを十分に行なわれていないのではないか。今後強力に進める必要があり、単に運輸省だけでは十分な効果をあげることができないわけでございますが、その点各官庁とかあるいは関係府県とかそうしたところとの連絡とか、あるいは緊密な情報の方法とかそうしたことについて運輸省では具体的に何か考えておりましたら示していただきたい、さように考えております。
  220. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 ただいまの問題はお話しのとおりでございますが、運輸省だけではできません。しかし運輸省といたしましては、今度の予算にも新しく盛っておりますように、あらゆる手段を講じまして可能な限りいまおっしゃったような内水の汚染をもとへ戻すための努力をいたしておりますが、関係の各省の協力を得ないと、どうしてもこれは運輸省の力だけではできない部分がたくさんございます。これにつきましては、御承知のように環境庁が中心になりまして環境関係の各省と始終協議をしておりまして、これは全体まとまった結論が出ませんでも、一つ一つの結論が出ました場合には、実行可能なものからどんどん実行に移していくということで、関係各省もそれに協力をしておる次第でございます。
  221. 金瀬俊雄

    金瀬委員 最近東京湾とか瀬戸内海、伊勢港、そうしたところのよごれは非常にひどくなって、特に内湾の具とか魚とかノリの生産物に非常に大きな被害が出てきております。その上近ごろはポリエチレンとかビニールの袋、そうしたものがたくさん海に捨てられております。そうしたものが漁船のスクリューとかそうしたものにからまりまして非常な被害が出ております。またそうしたものが下へ沈んでいきますと酸素が吸収できませんので貝類が死滅するというような状況が各地で出てきております。たとえばカーフェリーから物を捨てるとかあるいは海岸を物捨て場と考えてどんどん海に物を捨てるというようなことがございますが、そうしたものを防止するための具体的なことがございましたらお聞かせ願いたいと考えております。
  222. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  私ども海上保安庁といたしましては、特に現場を取り締まる立場から、先ほど大臣も答えられましたように、まず船舶による油の汚濁、これを防止するように指導するとともに、陸上からの工場あるいは家庭のごみ、工場の排水等が流れ出るものを防止するということを関係の機関に強く要請をいたしておるわけでございます。これは先生御案内のように水質汚濁防止法あるいは清掃法、そういうものを励行していただくということを要請するとともに、私ども自身としても船及び飛行機を効率的に動かすことによって、関係機関から情報を提供していただくあるいは一般の方に委嘱をいたしましたモニターから情報をいただくということで、現場でできるだけそれを押える。それから発生源はこれを防止する、関係官庁の御協力を得て、両方相まってやっていきたいということで現にやっております。
  223. 金瀬俊雄

    金瀬委員 港湾局長質問申し上げますが、最近港湾内に停泊しておる船舶から廃油とかごみとかそうしたものが港湾の中に投棄されますが、そのために港内のよごれが非常にひどくなっていることを局長は御存じだと思いますが、この対策についての何か具体策がこの法案の中であったら示していただきたい、かように考えます。
  224. 岡部保

    岡部政府委員 今回の提案の港湾法改正におきましても、いろいろな手だては行なっておるわけでございます。たとえばいまおっしゃいましたような港内の海面の清掃というようなものを港湾管理者の業務として命じまして、港湾管理者がこういうことにつとめることといたしましたし、またこれは港湾法改正ではございませんが、今回の港湾法改正法律案の、海洋汚染防止法の改正におきまして、いわゆるオイルフェンス等の油防除資材の備えつけを関係者に義務づけいたしました。そういう問題がございます。さらに港湾区域外の海洋の汚染防除というものに対して、国、いわゆる運輸大臣はこれを責任を持ってやるんだというようなことで現実に予算化もいたしておりますが、こういうようなほうに運輸省が乗り出したということもこの問題の中にあるわけでございます。ただ、いま申しました問題で残念なことは、先ほども質問にお答え申し上げたのでありますが、港湾管理者が行なう港湾区域内の清掃事業というものに対する補助というものを実現し得なかった。このことはまことに残念に思っております。これがもう一つそこまでいっていたならば、まず相当な効果があがったであろうと思うのでございますが、その点が残念ながら今回の予算に何にも繊り込み得なかったという点が、この港湾法改正の中にもそういうところを繊り込めなかったという結果を来たしておる点がございます。
  225. 金瀬俊雄

    金瀬委員 その問題について二、三点お伺いをいたしますが、港の中に入ってくる川がございます。その川が非常によごれておった場合、港に入ってくる、海岸に入るときには捨て水になるわけですね、途中までは公水であっても。そうした場合、捨て水そのものが非常に汚濁しておった場合は、港が非常によごされるわけですが、そうしたものの取り締まりとかあるいはそうしたものに対する管理とかは港湾局が受け持ちますか、それとも建設省ですか、あるいは保安庁ですか、どこが取り締まりに当たりますか、この問題。
  226. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまのお話でございますが、まず河川から流れ込んでくる、その河川自体の問題、これは水質保全法によって、河川のいわゆる環境保全行政という意味で、これは県が担当しておるところでございます。そこで、今度それが出てまいりまして、いわゆる水質汚染防止の意味での海面になる、今度は河川のほうから出る問題でございますから、そういう水質保全行政上の問題であるということで、県がいわゆる環境保全行政の一環として直接の担当をしておるというようなかっこうでございます。
  227. 金瀬俊雄

    金瀬委員 たとえば、千葉の港がございますね。千葉港の中に港があって川があるわけです。港湾区域の中にそうすると都川からどんどん流れてきますね。そうすると、これは途中までは建設省の所管ですね、川の公水のところまでは。それが港に入れば捨て水になるわけでしょう。その捨て水というのは港湾局の所管になるわけですね、港の中に入ってしまえば。そうしたものの処理というのは、この法律によれば今後港湾管理者が処理することになるわけですね。そういうわけですか。
  228. 岡部保

    岡部政府委員 まず水質がどういう水質であるか。この水質の汚染源を押えなければいかぬというような意味で、先ほど水質保全法の話を申し上げたわけでございます。ところが現実にもう出てきておる。それで、たとえば港内にその水が出てきまして滞積しておる。そういうようなものをどうしなければいかぬかという、むしろそういう結果によって、汚染されたものを除去するという問題は、当然私ども港湾の分野でこれからやらなければいかぬという考え方でございます。したがって、港湾管理者がこういうものを何らか除去するということで、そこで先ほど申しましたように、そういうものを除去するという行為に対して、たとえば助成ができたら非常に効果があったであろう、それが今回の予算では認められなかったという点を申し上げたわけでございます。
  229. 金瀬俊雄

    金瀬委員 その点について、これは大臣に要望しておきますが、港内の清掃船に対する政府の強力な助成というのがなければ、今後港内というのはそうきれいにすることは非常に困難だ、さように考えております。また業界の中にはこういう声がございます。港の中に停泊している多くの船は、自分のところから出すごみを焼却場へ持っていくとかあるいは捨てる場所へ持っていくというのを非常にいやがって、夜中にそうっと港の中にみんな捨ててしまう。で、夜ですからそう取り締まりもできない、そういうような状況にいまあるわけですが、そうした場合、清掃船が回ってそうしたものを集めて一定の場所へ持っていくというような清掃業務ができれば、非常に港というのはきれいになります。ところが、いまの清掃船というのは、清港会とかいろいろな協会があってそうしたものをやっております。しかし非常に予算が不足と申しますか、ほとんど赤字になってしまうので、開店休業ということで、清掃船というのはどの港でも動いてないというのが実態ではないか、そういうふうに考えますが、その清掃船に対する強力な補助とかあるいは清掃船が集めてきたいろいろなごみを、母船と申しますか、大きな清掃船に入れて、そして海の上で焼却するなり完全な処理をするというふうなことができればたいへんいいじゃないか。いわゆる港から出ていって焼却施設まで持っていって、揚げてそこで焼却するというのは、たいへん時間もかかるし、またそこまで持っていく費用というのがたいへんかかるわけなんですが、そうしたことに対する運輸省の今後の方針についてお尋ねしたいと思います。
  230. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 今度の予算要求で運輸省がいろいろな予算を要求いたしました。その中で、この清掃船とおっしゃるのもいろいろな清掃船があると思いますが、今度の予算では、たとえば瀬戸内とかあるいは東京湾とか、そういう内海におきます油の汚濁が非常に激しいところ、そういったところで浮遊しているような油を集めましたり清掃して回るような、あるいは瀬戸内海なんかはごみが多いものですから、そのごみを集めて回るような船、そういったようなものを新造することにいたしまして、そういった予算は一応要求して通ったのですが、いまおっしゃったのは、たぶん港の中で、陸上のごみを集めて回るような、そういう船のことを言っていらっしゃるんじゃないかと思うのですが、それも港湾管理者がやればいいのだというふうにほっておくわけにもいかないので、運輸省としましては、四十八年度予算要求のときにそういったものを提案をいたしまして予算要求をしたのですけれども、そこまでは予算がつかなかったという実情らしいです。ですからまた四十九年度予算の要求のときは、そういったものも含めまして、港湾管理者のやるべきこと、それから運輸省のやるべきこと、そういったことについて十分協議をいたしました上で、関係の予算をあらためて要求をしよう、こういうたてまえでおります。
  231. 金瀬俊雄

    金瀬委員 大臣から御答弁がございましたが、ぜひともこの予算については強力に折衝していただきまして、実現するように努力していただきたい、さように考えます。  いま、御存じのように港湾の売り込みの時代である、さようにいわれております。世界のどこの国でも港を美しくするということに力を入れております。と同時に、港の宣伝というのにも力を入れております。いま国鉄の駅に宣伝のために写真がたくさん出ております。日本の再発見ということでございますが、この写真だけは国鉄も非常に評判がいいようでございます。港湾局では海をきれいにするために、海の美化運動と申しますか、そうしたことについて国民運動を起こすような気持ちがあるかどうか、その点について運輸大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  232. 原田昇左右

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  港湾をきれいにする関係といたしまして、私どもは海をきれいにするための記念日をつくっております。この場合、昨年やりましたのですが、六月の海洋汚染防止法の全面施行を契機といたしまして、海の週間というものを設けまして海をきれいにする運動を全国的にやったわけでございます。ことしもまた同様の週間を設定いたすことにいたしております。その際各種の行事を企画いたしておりまして、海事思想の普及とあわせまして、海をきれいにする運動を全国的に展開する。また一方海上保安庁の指導、取り締まり体制を強化いたしまして、海をよごす者についての違反の絶滅に努力してまいりたい、こう考えております。
  233. 金瀬俊雄

    金瀬委員 海をきれいにする運動に対する予算というのはどのくらいでございますか。たいへん一生懸命にやると言っておりますが。
  234. 原田昇左右

    ○原田政府委員 政府の予算はわずかなものでございますが、民間にも協力を仰ぎまして、たとえば船舶振興会から昨年の例で申し上げますと約三千万円程度拠出していただいておりまして、その運動を展開したわけでございます。
  235. 金瀬俊雄

    金瀬委員 国の予算はどのくらいあるかということを聞いておるわけです。
  236. 原田昇左右

    ○原田政府委員 国の予算として特にこのためにとったものはございませんが、各局から若干拠出いたしまして、一般的な広報宣伝の費用を計上いたしたわけでございます。
  237. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまの答弁ですと、結局海を美化するための国民運動を興こす予算というのは、海の記念日というのがあるけれども、予算はないということであろうかと存じますが、この問題についてはいろいろ寄せ集めればあるということでございますので、この次のときまでにどこのところにこういう予算で盛ってあるとか、そうしたことを明確に出していただきたいと思います。その問題については答弁あとでしていただきますので、問題を保留します。  その次の問題でございますが、今度の法案の中で海に関係した人たちに対して、油害防止のためにオイルフェンスとかその他の資材を備えつける、義務づけがしてございます。運輸省考えているオイルフェンスとはどんなものか、またどういうふうに取り扱うか、その点についてお伺いいたします。
  238. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの御質問でございますが、オイルフェンスの備蓄を義務づけるということで、海洋汚染防止法の一部改正というところにあるわけでございますが、先生よく御承知でございますので、これの機能とか効果等については特にあれをいたしませんが、私ども考え方としては、大体波高が二メートルまでは有効なオイルフェンスにいたしたいという考え方。それから風速十ないし十五メートル、潮流が二ノットまでは使用できるということを私ども考えております。  それから、これは現実の問題として取り扱いが非常に簡単で、格納に場所をとらないという条件があるかと存じます。それから接合が容易である、あるいは破損が局部で食いとめられる、こういう問題があるわけでございます。そこでこのようなことで現実にはいろいろな型、たとえば膨張型、空気が中に入りましたものでありますとか、あるいはエアカーテン式のものまで、大きく分けて数種類のものがございます。現在私ども考えておりますものとしては、いわゆる中に空気を入れます膨張型でございますか、そのオイルフェンスで先ほど申しましたような性質を持たせるということで、これはまだ必ずしも自信があるということではございませんが、このくらいの性能は持たせるようにということで考えております。
  239. 金瀬俊雄

    金瀬委員 オイルフェンスというのは、いま港湾局で考えているようなものは、ちょっと風が吹けばもうほとんど使えない。油をとめるということは、ほとんど不可能に近いものであって、ほんとうの意味のオイルフェンスというのは、シーバースその他で浮沈式というので、使わないときは沈む、使うときには浮かび上がってくるというので、波の上から何センチか高く出るものでなければ使えないということを、一般に海の業者は言っていますが、船に備えつけるというようなものは、結局たいして役に立たないものを備えつけるのじゃないか、そう思いますが、これはほんとうに役に立ちますか。これは全く役に立たないと言っていますよ。これはいままで成功した例がないですよ。
  240. 岡部保

    岡部政府委員 いま申しました意味をちょっと誤解されたのじゃないかと思いますが、実は今回の義務づけたということが、まずたとえばシーバースを持っておりますそういうシーバースの施設の管理者である者に備えつける義務を与えた。それからオイルタンクを持っているような、いわゆる石油屋さんでございますが、そういう者にそういうものを持ちなさい。それからオイルタンカーを持っている船舶の人に持ちなさい。いま申し上げましたたとえば膨張式の問題であるとか、あるいはそれを浮沈式で沈めておいて、ちょうどシーバースのまわりにやっと浮かせて守る。しかも、あれは本体から下にべろが出て相当に安定するというような構造になっております。そういうようなものを持たせなければいかぬ。いまおっしゃいましたたとえば船舶に備えつけさせておるものが現実になかなか動かないという点は私も聞いております。その点は改良しなければいかぬという感じを持っております。
  241. 金瀬俊雄

    金瀬委員 オイルフェンスというのは船がとまっておって油を揚げるときに、油を揚げる前に張る。油を揚げる途中の事故を防止するために張るのですよ。だからそれを持って回って船に積んでおいて航行中に油を流したら、オイルフェンスを張っているひまはないでしょう。そうでしょう。船というものは走っているのですから、東京湾を走りながらオイルフェンスをまわりにやりながら走っているならいいでしょうけれども、油というものを流してしまっても船は何メートルか走るでしょう。ですから、このオイルフェンスというものは船に備えつけておくものじゃなくて、港に備えつけておいて、船が油を持ってきたらすぐまわりにやるというものでなければ効果はないわけでしょう。走っている船がやるわけにはいかないでしょう。だから、港湾局の考え方が私ども考え方と実際面でちょと違います。  それからもう一つは、中和剤を備えつけるとありますね。これはどんな中和剤を備えつけますか。
  242. 原田昇左右

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  中和剤についきしては本年四十七年度の科学技術庁の特調費をいただきまして、運輸省中心になって関係機関で一つの使用基準というものを設けました。その使用基準に合格する中和剤を使うということになっております。
  243. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いま中和剤というものは油を凝固させて海の下へ沈めてしまうかあるいは拡散してしまうか、どちらかしかないわけですね。そうでしょう。そのどちらとも第二次公害というものがあって魚とか貝とかノリに対して被害を与えるのですよ。漁民はこの中和剤は絶対に使わないでくれと言っているわけです。そうなってくると、この中和剤というものは瀬戸内海とか伊勢湾とか東京湾では使えない。どこでこの中和剤を使うか、備えつけておるのはたとえば太平洋のまん中で使うのかどこで使うのかということをお尋ねします。
  244. 原田昇左右

    ○原田政府委員 中和剤の基準につきましては水産関係の権威者も集めまして、二次公害をできるだけ起こさないようなものという基準ができております。そしてさらにその使用にあたりましては、非常に二次公害を起こすおそれのあるところではできるだけ避けて使うということにするように処理要領ができております。
  245. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまの答弁だと魚とか貝類とかノリとかそうしたものがたくさんあって第二次公害が出そうな地域では使わない、その他の地域で使うということですが、その他の地域というのはどういうところを指さすのか。また中和剤というのは日本の国では、これは外国でもそうであろうかと思いますが、完全なものは絶対にまだできていなはずですよ。これははっきり科学者が言っている。あなたは完全なものができているような話だけれども、できておったら、データとかそうしたものをここではっきり出していただきたい、かように考えます。
  246. 原田昇左右

    ○原田政府委員 「流出油用処理剤の使用基準」というものについて、かなり膨大な基準になっておりますので、後ほど資料としてお出ししたいと思いますが、かいつまんで申し上げますと、処理剤による二次的な影響を防止することを目的としております。  第一の「使用方法」として、「処理剤は、次のいずれかに刻当する場合を除き、使用してはならない。」ということになっておりまして、その第一は、「火災の発生等による人命の危険または財産への重大な損害が発生し、または発生するおそれがあるとき。」第二は、「他の方法による処理が非常に困難な場合であって、処理剤により、または処理剤を併用して処理した方が海洋環境に与える影響が少ないと認められるとき。」ということになっております。
  247. 金瀬俊雄

    金瀬委員 一般に学者の間で、中和剤を使うと海のバクテリアを殺す、またほかの海の生産物にもたいへん被害が出るということは、はっきりいわれております。だからそういうことは絶対ないというような資料がありましたら次の機会に出していただきたいと思います。この問題については保留いたします。  それから次に、運輸大臣質問申し上げますが、油が流れたときには中和剤を使うとか、そういうことよりも、まずその油を早いスピードで回収するというのが一番大事な仕事ですが、いまアメリカあたりで非常に強力な回収船ができたというような話が出ております。これはロッキードという会社でつくって成功したという話がありまして、大量に廃液を回収する、船の中で水と油を処理するような設備も備えつけてあるというようなことを聞いておりますが、そういうことについて運輸省で検討したことがありましたら御答弁をお願いします。
  248. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 一番しろうとからお答えすることになるわけですが、いまのような海面に出ておる油を吸い取るとか、あるいは中和剤をまいて凝結させるとか、あるいはオイルフェンスで油が外に拡散しないようにするとか、これはいずれもいま開発段階にあるのじゃないかと思います。運輸省のほうでも、まだ技術は未熟かもしれませんが、いろいろな機関と連絡をいたしまして、海の状況によりまして吸い上げられる場合もあるし、オイルフェンスでもってまとめて、そうしてその上で吸い上げるとか、いろいろな状況によってやり方が違うようでございます。私も就任しましてからまだ二カ月ほどしかたちませんけれども、その間に幾つかそういう問題が起こりまして、そのたびにこういった場合にはどうすればいいかということをしろうとながら検討してみたのです。その結果、おっしゃるように、世界的にそういう海面をよごしているような油をどうしたらいいかということについての的確な処理方法、それについてのあるいは装置あるいは薬というようなものがまだ開発されてない段階じゃないかと思います。これはわれわれのほうとしましても、世界各国のそういう問題についての取り組み方、それから技術開発の状況、そういったものを絶えず見ながら、採用できるものは多少経費がかかりましてもどんどん採用するような方向考えなければならぬと思っておるのですが、一応はいまおっしゃたようなオイルフェンスにしましても、これは実用化しているのです、瀬戸内だけじゃなしに外洋でも。先般も島根沖で油が流れましたね。あのときもオイルフェンスをだいぶ使って外に流れていくのを防止したのです。そういう例がございまして、これはだんだん技術も間発され高度になっていくと思いますから、これはまだその段階にいってない、世界各国がその段階にいってないのですが、今後の努力と宿題ということにしておいて、われわれにも研究の余地を与えていただきたいと思います。
  249. 金瀬俊雄

    金瀬委員 大臣のこの問題に対するきわめて強い熱意に対しまして心から敬意を表します。ひとつ大いに努力して廃油の処置とかあるいは流れ出た油の処置とかそうしたものについては港湾をきれいにするためにがんばっていただきたい、さように考えております。  次に、海上交通安全法が昨年の六月十六日に国会を通過して、いよいよ本年の七月一日に施行されることになったことについて、海上保安庁長官をはじめ関係の方々に御質問申し上げます。  この法律が国会を通過する際に、衆議院においても参議院においても大体同じ趣旨の附帯決議がつけられています。海上保安庁長官はこの決議を尊重する気があるかどうか、その点についてお伺いします。
  250. 野村一彦

    ○野村政府委員 法案が成立するに際しまして、衆参両院から附帯決議がついておりますことは先生指摘のとおりでございます。われわれはこの線に沿ってこれの実現のために十分努力をするつもりでございます。
  251. 金瀬俊雄

    金瀬委員 もし尊重するとすれば、この法案が通過してからすでに八カ月を経過しています。いよいよこの七月から実施されるわけですが、いままでにあなたはこの附帯決議についてどんな処置をとってきたか、またどう取り扱うように部下なりあるいは関係方面に連絡をしたか。この六カ条についてあなたのとった処置をお伺いします。
  252. 野村一彦

    ○野村政府委員 まず、この法案が成立いたしましたのは昨年の国会でございますが、これが施行されるのは、先生御案内のように、ことしの七月一日でございます。これを施行いたしますために必要なものは政令及び省令をつくるということでございまして、附帯決議にございますように、関係者の意見を尊重してこの政令及び省令を制定するということでございます。これにつきましては、昨年の十月五日以来運輸大臣の諮問機関でございますところの海上安全船員教育審議会の中に海上安全部会を設けまして、そこで関係委員のほかに特別委員あるいは漁業関係専門委員の方、そういう方を委嘱いたしまして五回にわたって中央で会議をいたしました。そこで政省令の内容となるべき事項の諮問をし、御答申をいただきました。なおそれと並行しまして各関係の管区本部、三、四、五 六という管区本部にこの適用海域になります対象の漁業関係の各代表の方あるいは海運関係関係者に集まっていただきまして説明会を開催いたしまして、そして十分現地の意見をくみ入れながら、それを政省令等の内容となるべき事項、つまり答申の中に織り込んでいただくという措置をいたしました。なおこの間水産庁のほうとは常時意見を交換しまして、そこで大方の意見の一致をいただきましたので、昨年の十二月中旬であったかと思いますが、大臣あてに答申が出まして、そしてその答申に基づいて政令が制定されました。省令は近い将来、もう十日以内くらいでできると思いますが、ただいまはこの答申に基づいて省令を案文化しておるという段階でございます。それが第一点でございます。  それから第二点につきましては、この答申にございますように、旅客船の安全問題でございますが、これは附帯決議にございます旅客船の安全問題でございます。これについては運輸省におきましては、すでにこの海上交通安全法案の準備をします段階におきまして、省議の決定をもちまして、昭和四十六年度末に御承知のような安全対策を取りまとめて、これを強力に推進するということになっておりまして、海運局、船舶局、船員局、それに港湾局、私どもの海上保安庁が緊密な連絡をとりまして旅客船の基準航路の設定あるいは基準速力の指導というような海難防止の指導をやりますと同時に、また必要に応じて乗客を含む訓練をやるような実施の要綱を指導をいたしております。  さらに、海運局と協議をいたしまして、旅客船業者に対しまして運行のマニュアルを作成するということで、これも標準的なマニュアルをすでにつくって、各社にこれに基づいた具体的なマニュアルをつくるという指導をやっております。  そのほかの点につきまして、私ども海上保安庁だけの所掌を越えますようないわゆる内海航行の制限問題とかあるいは補償問題とか、あるいは加害者を含む損害の救済の問題等につきましては、運輸省令の全省的な立場からあるいは事項によりましては関係各省との協調を得て、政府ベースでまとめていただかなければならないという問題がありますので、それらにつきましては、また現在それぞれやっておりますが、官房で取りまとめております事項につきましては後ほど官房のほうから説明をいたすことになろうかと思います。
  253. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたのいまのお話ですと、官庁関係とかそうしたところだけでいろいろ協議をしたという話ですが、関係の漁民に対する話をいま全然出しませんわね。だけれども、海上交通安全法が制定されても、東京湾とか伊勢湾とか瀬戸内海で現在漁業をやっておる人たちはいままでどおり営めるような所要の措置をするということになっています。漁業の生産にこれから先、その法案を適用することによって生産活動に支障が生じたとか、あるいは制限が加えられるとか、そうなった場合にはこれはどこで補償しますか。
  254. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  まず第一点、関係の官庁とだけ話をしたというふうにおとりになったとすれば、あるいは私の説明が悪かったか、あるいは先生誤解なさったと思いますが、そうではございませんで、海上安全船員教育審議会で海上安全部会をつくりましたときには、学識経験者を含む一般の委員がおられます。そのほかに、新たに漁業関係者がもうすでに三人おられますが、そのほかにさらに七人の漁業関係者、その七人のうちの六人は東京湾、伊勢湾、それから瀬戸内海の三地区、そういうところのそれぞれの漁業組合長あるいはこれに準ずる方々でございます。そういう現に漁労をやっておられる組合長あるいはそれに準ずる方々に御参加をいただいて、そして先ほど言いました中央の審議会の専門委員として審議をしていただいたということでございまして、まずそういう審議会自体としてそういう協議をやっております。  それから、その次は、先ほど申し上げましたように、東京湾、伊勢湾、及び瀬戸内海に管轄区域を持っております第三、第四、第五、第六各管区本部の関係保安部の地区におきまして、それぞれ数回にわたって、いま言いました代表者のほかに、さらにその代表者が集められる漁民の方、多いところではもう百人くらいの方が集まっておりますが、そういう方々が集まられた席上に県の水産関係の方々あるいは一部水産庁本庁の方も出られ、私どもの出先も出まして、先ほど言いました海上交通安全法の政令及び省令の内容となるべき事項航路の幅とか長さとかあるいは適用除外海域とかあるいは適用海域とか、そういう問題についてつぶさに審議をいたしております。その結果につきましては、十分その代表の方々が取りまとめてまた審議会において発言をされるというふうに、地元の協議会とそれから中央の審議会とがほぼ二週間おきぐらいに開かれました。その間には、地方でそういう現実の漁民の方のなまの声を聞いた意見を反映して代表の方が持ってこられるという方法でやっておりますので、その点につきましては、私どもは十分代表の方あるいは代表の方を通ずる漁民の方のなまの意見を聞いた、こういうふうに考えております。それが第一点でございます。  それから第二点の制限の結果でありますが、先生御案内のように、現在これらの海域におきましては船舶の交通がふくそういたしております。また同時に漁船の操業も行なわれております。したがいまして、これらの海域は、言うなれば漁業の操業とそれから船舶の航行というものが共存共栄と申しますか、両々相まってそれぞれの業務をやっておるわけでございますが、この船の安全を確保すると同時に漁船の安全な操業ができるようにという、いわば両方が多少ずつ譲り合って、そうして海上の安全をはかるというのがこの法律目的でございます。したがいまして、この法律交通警察法規というようなものでございますので、その範囲において漁船の操業の安全と一般船舶の航行の安全が両立するようなルールをきめた。その中で双方が多少ずつ譲り合う、こういう内容のものでございます。したがいまして、私どもこれが円満に施行されて、そうして両方が共存共栄の実をあげていくようにということを期待しておるわけでございます。
  255. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この法案が審議中に海上保安庁と水産庁で現場の意見とかをそう聞かないうちにいろいろと了解事項ということで確認された文書が出ていますが、長官、これは知っておりますか。
  256. 野村一彦

    ○野村政府委員 先生の御指摘の文書がどういう文書か知りませんが、私どもはこの法案が昨年閣議決定されて提出をされるときに、水産庁と海事保安庁あるいは運輸省と農林省とが法律の解釈といいますか運用に関する意見の調整をして、そうしてそれを確認した文書はございます。そういうものでございまして、私どもはこの法律を取りきめるにあたって、従来よく関係の省間でやりますところの法律の解釈、適用に関する意見の調整というものはございますが、先生の御指摘の文書がどういうものか、これはひとつ拝見さしていただいた上でお答えしたいと思います。
  257. 金瀬俊雄

    金瀬委員 「海上交通安全法関係省令について」ということで、海上保安庁と水産庁だけで了解事項ということで確認されて何カ条か書かれております。これは全然漁民の意思とかをあなたのほうで受け入れてつくったものでないということがわかるわけです。それからもう一つ、引き続いて「海事交通安全法に関する覚書」というのを海上保安庁長官の手塚さんと水産庁長官の太田さんの間で取りきめられております。これは三月二十三日に取りきめられております。ありますね。これを取りきめてしまってから各県の水産部の担当課長を呼んで説明して、相当非難を受けて混乱状態におちいったということをあなた知っておりますか。
  258. 野村一彦

    ○野村政府委員 私は当時海上保安庁におりませんでしたから、海上保安庁に参りましてから重要法案の制定のいきさつを当事者につぶさに聞いたわけでございます。先ほども申し上げましたように、この法律を制定するにあたって、制定の途中から一番関係の深い水産庁とはいろいろ法律の制定のしかた、解釈、それから運用の問題等について意見交換をいたしました。しかし、水産庁はもちろん水産行政をやっておられますので、いろいろ漁民の意向もあらかじめくんでやられたことと思いますが、私どもは、そういうものを踏まえて国会の御審議をいただいたわけでございまして、決して現場の意見を聞かなかったというようなことではないと思います。
  259. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは、国会の審議の途中で、国会議員が現場を調査する前にこれをつくったものが一つある。国会議員が法案を審議する前にすでに覚え書きとか確認とかいうものを出している。審議の最中に法案を通過させるために木更津とか方々へ行って公聴会を開く前にこれをつくっている。はっきり日にちも書いてある。だから、もしあなたが私の言うことがうそだと思ったら——おたくのほうで出した文書、二つともそう書いてある。だから、あなたは前の長官のやったことだからわからないということであれば、十分調査してこの次の委員会までに出していただきたい。
  260. 野村一彦

    ○野村政府委員 先生の御指摘の文書、後刻拝見いたしますが、海上交通安全に関しましては、すべてにわたってそうでございますが、国会の御審議を得て成立さしていただいた法案がすべてに優先するわけでございます。したがいまして、海上交通安全につきましては、海上交通安全法そのものがすべてに優先するわけでございますが、もしその取りきめとかなんとかの中にこれに矛盾するものがあれば、その部分についてはもちろんそれは働かないわけでございますから、私どもとしてはそれは矛盾しないものだと考えております。法案の精神をくんだものでございます。法案の審議の過程においてそういうような御意見が随所に出て、そしてそれを踏まえた御議論がなされた上で法案が成立をした、かように私ども考えております。
  261. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この問題については少なくともあなた方が水産庁と一緒になって、いろいろとこの法案を審議して、この法案を取り扱うについて通過する前にお互いに確認し合って、覚え書きとか確認の書類を出したものです。これは間違いない。これは日付も書いてありますよ。あなたのほうでそういう考えであれば、この次のときまでによく実態を調査して知らしていただきたい、さように考えます。  それから運輸大臣に御質問申し上げますが、海面の使用について、巨大船の航行権と従来からそこに持っておる漁業権、特に知事が代行して行なっている許可権というのがございます・そうしたものとどういうふうに調節するかということがいま現場では非常に問題になっております。その理由は、先ほど保安庁長官は各漁協の組合長なり組合の幹部なり、少なくとも組合長ぐらいだけは徹底しておるという話でございましたが、漁協組合長に聞いてみても、こういう法案が通ったということを全然知らない人がおります。富津とかあの辺の漁協組合は完全に知らないわけであります。組合長を集めて聞いたのだからと言うが、千葉県の漁連の会長、神奈川県の漁連の会長を呼んで話を聞いただけで、漁連の会長はおつかなくて話を下までおろしていない。こういうことをやれば反発されるから全然話していない。  それから、東京湾をはじめ伊勢湾、瀬戸内海、そうした重工業地帯に入ってくる巨大船が年々だんだん増加してくるけれども、それに対してこの法案の附帯決議では、近い将来これを規制すると書いてある。入ってくる船を規制する。規制するということは船をたくさん入れないという意味だ。この規制というのは船の数を制限するということなのか、大きさを制限するということなのか、どちらをあなたは考えておるのか。
  262. 野村一彦

    ○野村政府委員 まず第一点の先生の御指摘にお答えいたしますが、組合長の意見だけしか聞いておらないとおっしゃるのは、実はそうではございませんので、誤解を解いていただきたいと思います。私どもはだれの話を聞きたいとか、だれしか出てきてはいけないということは申しておりませんので、直接管轄いたしております三管区の本部におきましては、とにかく百人以上の人が集まって会合を開いておりますので、そのときにはどなたでもおいでになってけっこうだということで話をしておりますので、その点についてはひとつ誤解を解いていただきたいと思います。それが第一点でございます。  第二点の航行の規制の問題でございますが、これは私どもといたしましては、海上交通安全法の中にすでにありますように、巨大船が入港をする場合には通行時間のあらかじめの通報というようなことをやります。そして漁船の操業を保護するための操業時間との関係で入港時間をおくらすとか、そういう調整という意味のいわゆる航行の規制を行なうわけでございますし、さらにいろいろな面で航路航行義務、あるいは横断禁止というような義務を課することによって航行を規制いたしますが、その入港そのものを全面的に禁止するとかいうことにつきましては、附帯決議の中にもありますように、いかゆる工業立地の問題、パイプラインとかシーバースの整備、そういうものの進捗状況に応じて漸次前向きに規制を強化する方向で検討するというのが趣旨でございます。したがいまして、私どもは先ほど申し上げましたように御決議の趣旨を尊重してやってまいる所存でございますが、現段階におきましてはできるだけ航行の制限を行なう、あるいは入港の時間の通報を受けて、それに対していろいろと進路警戒船をつけるとか、あるいはタグボートを準備させるとか、あるいはスピードを制限させるとか、そういうような航行の規制をもって対処するという考えで進んでおるわけでございます。
  263. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまの答弁で漁協の組合員に話を聞いた、意見を聞いたという話ですが、あなたは東京湾の中にどのくらい漁民がいるかということを知っておると思います、海上保安庁長官だから。どのくらいいるか、ちょっと答弁してください。
  264. 野村一彦

    ○野村政府委員 漁民の正確な人数は私は覚えておりませんけれども、とにかく漁業協同組合の数は非常に多い、これはいろいろの漁種ごとにたくさんあるというふうに私も存じております。数は存じておりませんけれども、とにかく各地区ごとにあるいは漁種ごとに非常にたくさんの組合がある。したがって、それに属される組合員の数は非常に多いだろうということは私もよく存じております。
  265. 金瀬俊雄

    金瀬委員 百人くらい集まったという話ですが、百人くらい集まった場所、どういう話をして何時間くらいで終わったか。そうした会合が何カ所くらい持たれたか。これは問題を保留しておきますので、あとで調査して報告していただきたい、さように考えております。それで、東京湾の漁民は大体一万六千人以上おるわけです。  それから質問がまだたくさんございますが、この次の機会にやることにしまして、巨大船の航行について、その情報を出漁船にどういう方法で知らせるかという問題ですが、こうした対象漁船全船に対して情報周知用の無電機を無料で配るということを考えておるかどうか。大きな船が入ってくるからよけなさいということを漁民に伝える方法ですね。無電機をどういうふうに配付するか。
  266. 野村一彦

    ○野村政府委員 巨大船の出入港の情報伝達の方法でございますが、私ども考えておりますのは、当該港を管轄いたします海上安部、あるいは海事保安部の航路管制官というものができまして、その航路管制官が管制所を通じて現場において操業しておられる漁船の方々に連絡をする。その方法といたしましては、一つは航行管制所から見えるようなところに電光掲示板的なものを設けまして、そこで信号するという方法、それからもう一つはボディートーキーと申しますか、あれをもって出漁している漁船の責任者といいますか、そこの中心的な方に連絡する。その方が船に連絡するということ。それから一つは、私どもの巡視船を常時一隻そこに張りつけまして、そして私どもの通信所と巡視船との間で連絡して、巡視船から連絡をするという方法、あらゆる方法を講じたい。また、漁業組合サイドでも指導船というものをチャーターされて、その予算も私ども確保しておりますが、チャーターされて、それが自主的な指導連絡をされる、こういう方法をもって両者の円滑な連絡をはかることを実施いたす準備をしております。
  267. 金瀬俊雄

    金瀬委員 まだ質問がだいぶ残っておりますが、次の機会に譲ることにしまして、最後に、先ほど問題になった点について御質問申し上げます。  船舶の航路を確保するために第三海堡の撤去あるいは第一海堡、第二海堡の間の航路の新設をするという話がございました。しかも港湾局長あるいは運輸大臣、きわめて簡単にできるような話をしておったように聞いておりますが、この漁場は御存じのように内湾の漁民にとってきわめて重大な関心を持った漁場でございます。これは場合によりますと成田闘争、あるいはそれ以上の大きな闘争になる危険性を含んだ問題です。なぜかといえば、あそこは漁民に残された最後の漁場でございます。第三海堡はともかくとして、航路を新設するということについては非常に大きな問題になるのではないか、このように考えております。そうしたわけですから、皆さん方が五カ年計画を立ててもなかなか実施に踏み切れなかったというのは、私の考えではそこにあるのではないかと思うのです。今後に対して皆さん方がどういう対策で臨んでいくのか、この問題については内湾漁民の死活問題である、さように考えておりますので、今後これに対する対策について、局長なり大臣の明確な御答弁をお願いいたします。
  268. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど申し上げましたのは、私もあの航路の開さくがそう簡単にいくということを申し上げたわけではございません。船の航行からいいますと、これは非常に長い間の懸案でございまして、何とかして早く第三海堡を開さくして航路を新設したという考えでございますけれども、一番問題なのは漁業の問題でございますということを申し上げたのでありまして、非常に重大な問題でございますから、おくれておるという点を私も十分認識しておりますので、その点を誤解のないようにお願いしたいと思います。
  269. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この問題につきましては非常に問題が多いためにおくれておるというのが事実だと思います。第三海堡についてはいま折衝が行なわれておるようでありますが、一海堡と二海屋ということについてはまだ計画だけで、説明会も全然開かれておりませんし、漁業補償交渉というのが全然ないはずでございます。ですから、三百二十億の予算があるといっても、それを使うというような段階にいまないのじゃないか、さように考えております。漁業組合に対する問題、特に今度の海上交通安全法とうらはらとなってこうしたものができるということについては漁民は重大関心を持っております。この問題につきましてはあとでまた質問いたすことにしまして、きょうは、時間が来たようでございますので、これで失礼いたします。どうもありがとうございました。
  270. 井原岸高

    井原委員長 本日は、この程度にとどめ、次回は明七日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会