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1972-11-09 第70回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十一月九日(木曜日)    午後零時五十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        久次米健太郎君     理 事                 寺本 広作君                 柴立 芳文君                 占部 秀男君                 河田 賢治君     委 員                 片山 正英君                 高橋 邦雄君                 玉置 猛夫君                 中津井 真君                 若林 正武君                 小谷  守君                 杉原 一雄君                 上林繁次郎君                 中沢伊登子君    国務大臣        自 治 大 臣  福田  一君        国 務 大 臣  木村 武雄君    政府委員        警察庁警備局長  山本 鎮彦君        建設省道路局長  高橋国一郎君        自治政務次官  三ツ林弥太郎君        自治省行政局長  皆川 迪夫君        自治省財政局長  鎌田 要人君        自治省税務局長 佐々木喜久治君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        自治省財政局財        政課長      土屋 佳照君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十七年度分地方交付税特例等に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○地方行政改革に関する調査  (米軍戦車輸送問題に関する件)     —————————————
  2. 久次米健太郎

    委員長久次米健太郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  昭和四十七年度分地方交付税特例等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。福田自治大臣
  3. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま議題となりました昭和四十七年度分地方交付税特例等に関する法律の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  今回、政府におきましては、人事院の勧告に基づき、本年四月一日から国家公務員給与改定を実施することといたしましたが、これに伴い、地方団体が国に準じて地方公務員給与改定を実施する場合における一般財源所要額を付与するため、普通交付税の額の算定に用いる単位費用を改定することとしたいのであります。  また、今回の補正予算による地方交付税増加額は、六百五十六億円でありますが、地方税収入についても増収が見込まれますので、給与改定等財源におおむね四百六十五億円程度を充て、さらに本年度における災害の多発の状況等にかんがみ、特別交付税の増額に百二十六億円程度を充てることとし、差し引き六十五億円は、本年度分地方交付税借り入れ金減額に充て、明年度における借り入れ金償還額減額をはかることとしたいのであります。  以上が、昭和四十七年度分地方交付税特例等に関する法律の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 久次米健太郎

    委員長久次米健太郎君) 本案に対する審査は後刻に譲ります。     —————————————
  5. 久次米健太郎

    委員長久次米健太郎君) 次に、地方行政改革に関する調査のうち、米軍戦車輸送問題に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 占部秀男

    占部秀男君 横浜戦車輸送問題ですが、昨夜からけさの未明にかけて、アメリカ軍戦車輸送に伴って警察機動隊大衆団体との間で相当な混乱があった、こういうことを聞いておるんですが、その状況について御報告願いたい。
  7. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 昨日の午前十時、米軍は八日、九日にかけてM48戦車二十六台を相模総合補給廠からノースピアに搬送する、こういうことで警備方要請を受けたんです。ところで、M48戦車搬送については、極左暴力集団並びに政党、民主団体などが当日は約八千名を動員して、こぞって実力阻止をやるというようなことが伝わったものですから、そのための混乱が相当予想されたのであります。それで、これに対して万全を期さなければならない、こういうような騒ぎの中で人命を傷つけたり、それからいろいろなものに傷害を与えたりするとたいへんだと、こういうわけで警視庁と関東管機機動隊などの支援団神奈川県に派遣いたしまして、約五千人の警察官を動員して警備に当たったのであります。  搬送は、八日の午後十時から開始されましたが、これの阻止をしようとする勢力は、相模総合補給廠前及び村雨橋周辺ですわり込みをやったり、あるいは物件車両などで阻止線を設けるなど、違法行為を繰り返して妨害したのであります。これが規制に当たった警察官に対しては、角材だとか竹ざをなどによる殴打などの暴力的行為を加えたので、警察官がそのために三十四名が負傷いたしまして、一般人六人が負傷したと、こういうふうな状況であります。
  8. 占部秀男

    占部秀男君 これでだいぶ大衆団体人たちが検束されておる、こういうようなお話ですが、その結果をひとつ。
  9. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 百十八名検挙されております。そのうち九名は女であります。それから百十七名は現行犯逮捕です。一名は任意であります。罪種別内訳は、軽犯が二名、公務執行妨害が三十二名、それから公安条例道路交通法違反で一名、道路交通法違反威力業務妨害が五名、往来妨害道路交通法違反が七十八名、こういうことになっております。そうして内容を見ますると極左が七十四名、社会党系が一名、それから不明が四十三名と、こういうことになっております。
  10. 占部秀男

    占部秀男君 公務執行妨害その他の違法行為をしたので排除したと、こういうわけですが、警備方についてはどこから要請があったわけですか。
  11. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 神奈川県に対して要請があったから本部で応援したと、こういうことです。ちょっと待ってください、間違うといけませんから。——米軍から要請があったと、こういうことです。
  12. 占部秀男

    占部秀男君 まあ米軍であろうがどこであろうが、要請があったとしてもですね、やはり警察出動するにはそれだけの状況判断があると思うのですが、この点はどういうふうな状況判断をされて出動されたか、その点をひとつ伺いたい。
  13. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) それは、搬送計画に対する非常な反対運動があると、そうしてそれがたいへん数の多い抗議行動を行なうことを計画しておったと、特に極左暴力集団系の学生は、ほんとうに大量に動員して、過激な阻止行動を行なう不穏な動向があったのであります。その結果、道路交通混乱だとか、それから雑踏による不測事態の発生も予測される。第三者であります一般人に対してたいへんなことが起きればおそろしいことだとこういうようなことも考えられましたので、警察といたしましては、国民の生命及び財産の保護その他公安維持に当たる責務に基づきまして——これは警察法二条であります——必要な警察措置をとるために、機動隊出動させて警備に当たったものであります。
  14. 占部秀男

    占部秀男君 反対運動人たちが大量動員しているので、不測事態の発生しないようにと、こういうふうな趣旨出動されたと、一言でいえばですね、そういうお話ですが、警察法第二条によりますと、警察責務が御存じのように書かれておる。私は今度のこの警察官出動は、違法の——違法と言ったって、大衆団体が違法じゃなくて、むしろアメリカ軍その他が違法の行動をとっていると、それに対して援護するためのいわば出動とも見られる節があって、これは警察権の乱用じゃないかと、こういうふうに思うわけです。というのは、警察法第二条には、「その責務の遂行に当っては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない」、かように書かれておるわけでありますが、今度の事件は、そもそも道路管理者である横浜飛鳥田市長許可をしないのに、業者が橋を補強した、あるいは修理したとそういうようなところに端を発しているわけでありますから、したがって、そういうふうな違法な行動をとった場合に警察が出ていくというのはおかしいじゃないかと私は思うのですが、その点はいかがでございますか。
  15. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) この道路法上の問題なんですけれどもね。飛鳥田市長からお話のような話があったんですが、建設省としてそのことを協議した結果、それは該当しないと飛鳥田君の言われましたのは三十二条なんですけれども、こちらのほうで協議いたしました結果、道路法第二十四条ただし書き規定によって、道路管理者承認を要しないものだと、こういうような考えでお断わりしたのであります。詳しいことは道路局長からお答えいたします。
  16. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、飛鳥田君が出したこの業者に対する原状回復命令建設省は取り消されたということを聞いておるのですが、それは道路法二十四条に根拠を置いてさようなことをされたのか、あるいはまた、その他の法律根拠を置いてそうされたのかお伺いしたい。
  17. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 二十四条です。
  18. 占部秀男

    占部秀男君 二十四条でいいんですか。
  19. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 道路には、交通の用に供するという本来的な用途のほかに、道路構造または交通支障を及ぼすおそれのあります工作物物件施設、たとえばポストであるとか、電柱であるとか、そういうものを継続して使用する、こういう場合にそれを道路占用といっております。  今回の場合のM48型戦車搬送に関しまして、米軍村雨橋千鳥橋に使った覆工板の敷設は、その意味からしまして、道路構造の保全及び交通危険防止をはかる見地から行なわれたものでございまして、決して道路構造または交通支障を及ぼすような、たとえばポストであるとか、そういうようなものではございませんので、したがってこれは道路占用に当たらないんだということが前提になっております。したがいまして、市のほうからは道路法三十二条に基づく占用許可だと、こういうふうに言っておりますけれども、それはそういうような物件ではございませんので、三十二条が該当しないんだというふうにわれわれは考えておるわけでございます。これは明らかに道路法上は二十四条の道路管理者以外の者が行なう道路維持でございます。しかも、道路構造影響を与えないような道路維持に該当するものでございますから、これは道路法二十四条のただし書き規定によりまして、これは道路管理者以外の者が道路管理者承認を要しないで実施できるというふうに解釈されております。したがいまして、先ほど横浜市が、三十二条の占用許可を求めずに業者が覆工板を置いたことは違法であるから撤去せよというふうに命令を出したことにつきまして、これは法解釈を誤っておるからということで、建設大臣が七十五条によりまして撤回させるように命令したわけでございます。
  20. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると二十四条の「道路管理者以外の者の行う工事」、そのもとを受けて、施行令には「道路管理者以外の者の行う軽易な道路維持」、第三条にそういうようなものがありますが、それでさように考えたと、そういうわけですか。
  21. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) そのとおりでございます。道路法施行令の三条には、「法第二十四条但書に規定する道路維持で政令で定める軽易なものは、道路の損傷を防止するために必要な砂利又は土砂局部的補充その他道路構造影響を与えない道路維持とする。」と書いてございまして、これに該当いたすものでございます。
  22. 占部秀男

    占部秀男君 そうするとこれはまあ一般的な質問なんですが、この軽易でないものは、これは道路管理者許可を得なくちゃならぬと、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  23. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) そのとおりでございます。
  24. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、問題は、補修したそれが軽易であるかどうかということにも一つ問題点があると思うんですが、これはわれわれ建築あるいは土木のほうの専門家じゃないんでわかりませんけれども、常識的に見て、制限量の倍もあるような戦車を通す工事が軽易な工事かどうかという点は私は非常に疑問があるんじゃないかと思うんです。たとえば、この省令の中に書いてありますように、「必要な砂利又は土砂局部的補充その他」としてあるのだが、この「その他」というやつは、やはり砂利または土砂の局部的な補充と、それに程度——軽易な程度は同じような問題を私は言っておるんであろうと思うのですよ。二倍も三倍もするような重量のものをやるためには、その構造を相当しっかりしなくちゃこれはできないわけですから、そのこと自体は、形の上では構造その他に影響を与えていないかもしれぬけれども、実質的にはこれは大きな修理じゃないかと、かように思うのですが、この軽易な程度は、どの程度が軽易になるのかお伺いしたいんですよ。
  25. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 砂利またはその他の材料というふうに書いておりまして、軽易な範囲というのは明確には定めておりませんけれども、たとえば、砂利がよくてアスファルトが悪いとか、あるいは鉄板を置いたほうが悪いとかいう具体的なことはきまっておりません。ただ、われわれが考えますことは、道路構造影響を及ぼすような施設をした場合には、これは軽易と言いがたい。たとえば、舗装を厚くするとか、それはもう取りはずすことはできませんから、構造を厚くするとか、あるいは橋のけたを補強するとか、たとえば、横げたを挿入するとか、あるいは主げたにつきましてもカバープレートといいますか、増設、つけ加えるというふうに、構造そのものをつけ加えるものについては軽易と申せないと思いますが、取りはずしが可能でございまして、しかも短期間にある区間を補修した場合にはこれは軽易というふうにわれわれ考えております。つまり道路構造影響を及ぼすものかどうかによってきまるというふうに考えております。
  26. 占部秀男

    占部秀男君 道路構造影響を及ぼすかどうかといっても、現実問題としては道路のあった橋、まあ道路の場合は橋ですか、橋そのものに補強したわけでしょう、つけ加えられたものがあるわけでしょう、原形だけじゃないでしょう。そうした場合に、重量が二倍以上のものをやるのに、砂利土砂程度のものをそれに積んだからといってもこれはどうなるもんじゃないので、やはり取りはずしができるかできないかは別として、大きな補修をしたということは事実じゃありませんか。これは水かけ論になるかもしれませんけれども、どうですか。
  27. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 先ほど申し上げましたように、道路構造影響を及ぼすような施設は、これは軽易と申し上げられませんが、影響を及ぼさない場合には、これは軽易というぐあいにわれわれは解釈いたしております。したがいまして、それがアスファルトであろうと鉄であろうと、簡単に取りはずしができて影響を及ぼさないものは軽易というぐあいに考えております。
  28. 占部秀男

    占部秀男君 どうもその議論には納得できない。今後こういう問題はたびたび私は起こると思うんですね。あっちこっちでこれは一般的な問題としてたいへんな問題になるわけですが、きょうは予算委員会大臣がすぐ行かなければならぬというので、私は質問をそれ以上深く入りません、次の機会にしたいと思いますから。  そこで、もう一つお尋ねをしておきたいのは、この留置された者は、これは今後どういうことになりますか。
  29. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) その行為内容によると思いますね。まあ調べた結果、非常に罪の重い者はそれ相当の待遇を受けなければならないだろうし、それから軽い人なんか即座に帰したっていいんじゃないでしょうかね。そう解釈しておりますね。
  30. 占部秀男

    占部秀男君 最後に一点だけ、大臣のざっくばらんな考えというか、気持ちをお伺いしたいんですが、今度のような問題が起こったそもそもの原因というか、遠因というか、それはいわゆる問題になった車両制限令を一方的に変えたというところからこうした問題が起こっておるわけです。あれを一方的に変えなければ、こうした問題が起こり得るはずはないわけなんです。それを起こしたのは、やはり建設省がああいう形をとったからです。ぼくは、公安委員長としてよりは建設大臣として、大臣はこれに対して責任を感ずべきじゃないか。これは単にこれ一回だけじゃなくて、相模原の場合も今後また続くわけですね。おそらくよそでもこれに類似の問題が起きてきたら、これは国民的なたいへんな問題になってくる、基地の重大な問題になってくると思うのですが、その制限令を一方的に改正をしたためにこういう問題が起こるのであって、大臣は相当重大な責任を負うべきだと私は思うんですが、その点いかがですか。
  31. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 緊急のものは除外する、というように変えるか変えないかというときには、ほんとう考えたんですよ。しかし、考えた結果、やっぱりそういうようなものは抜いたほうがよろしいと、こういう判断に立って改正をやったんであります。  どういう点で考えたかといいますると、最初は、重車両が通る場合には、道路管理者に届け出ればよかったんですけれども、そういうことをやっておりますると道路がいろいろな点で破損する危険がある、そういうわけで取り締まるために管理者許可制にしたんですが、ところがああいうような事件ができてしまった。私は、許可制の中で円満に事を運ぶ方法がないかどうかと思いまして、あらゆる角度から、あらゆる方面とも折衝してみたんですけれども、なかなかその道を発見することができなかったんです。それでまあやむを得ずに改正を行なってやったと。施行されて——四月ですから、それが半年もたたないうちに改正するなんということは朝令暮改にひとしい。朝令暮改はいい政治じゃありませんから、何で一体四月に改正するときにもっと考えなかったんだろうかと思いましたが、それはしようがありません、それだけは。そういうわけであのときには改正に踏み切ったのでありまして、その踏み切った結果、特に米側に対する、日米合同委員会ですか、日米合同委員会というもののいままでの動きを見ておりますると、非難されるものがたくさんあったんじゃないかと私は思いますよ。  私なんかもそういう点においては非常に言いたいことがたくさんあったんです。改正のときに、下に小委員会というものをつくって、その小委員会には建設省のほうからも参加することになったものですから、非常にまあ建設省意見を発言させるには都合のいい場所ができたと思いましたんです。そしてそれは事実都合が非常によくなっております。  それから、そういうことを契機にいたしまして、このごろ少し、私、外務省がよくなったと思っております。この前も外務大臣が将来のことについて意見を発表いたしましたけれども、あれだけでも私は前進したと思っております。そして、飛鳥田君が道路法のいまの欠点を発見されて、あそこでああいう態度に出られたことは私は別な面で、道路とか何かというんじゃなくて、別な面で非常に貢献したんだと私は見ております。そういう点で、いろいろなことを考えて、踏み切ったほうがいいと、こう思いまして私は踏み切るようにしたんでありますが、喜んで踏み切ったんではほんとうはありません。何とか話し合いで、こんなことは話し合いでできないものかどうか、こんなことすらも話し合いでできないなんということはさびしいことであると思っております。それはこの問題ができましたときにも、飛鳥田君と電話でも話をしましたし、きのうも辻原君の好意で電話で話をいたしましたけれども、あらゆる角度から見て、こういうような類似問題がかりに起きたといたしますれば、ほんとうに配慮しながらやっていきたいと、こういうように考えております。
  32. 占部秀男

    占部秀男君 なぜ私がそういう聞き方をしたかというと、今後の、いま大臣が言われた将来の問題、これに関連があるからなんです。これは大臣の御答弁じゃなくてけっこうなんですが、警察庁のほうへ聞きたいんですが、戦車搬送は今度で終わるわけじゃなくて、これから二回、三回とずうっとあるわけですね。そのたんびにこういう事態が起こるのか起こらないのか、それに対する情勢判断はどうなっておりますか。
  33. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) いまのところ、聞いているところでは、まあ今晩また搬送するのでございますが、それで当分ないというふうに聞いております。まあいま現在相模補給廠には修理済み戦車は一応ないというふうに聞いております。
  34. 占部秀男

    占部秀男君 私の言うのは、相模補給廠修理済み戦車があるかないかと聞くんじゃなくて、今晩またあると言えば、今晩また騒ぎが起こりますね、見通しとして。起こらないとは言えないと思う。かりにその次に、一ヵ月か二ヵ月かわからぬけれども、また騒ぎが起こってくる、おそらくこういう繰り返しになると思う。そこでぼくは、大臣に、あなたの責任考えたらどうかということを言ったのは、そういう事態を繰り返さないようにするためにはどうしたらいいか。これをやはり公安委員長あるいは建設大臣、いわゆる車両制限令改正された大臣としても、これは総理大臣の問題になるかもしれませんが、真剣に考えるべきじゃないか。それをするためには、アメリカ軍に今後は戦車搬送はしないんだと、この前も政府とわれわれ社会党と話をしたときにも、そういうようなことで官房長官二枚舌を使ったと言ってだいぶ問題になりましたけれども、アメリカ軍にその問題を交渉して、それをとめさせるのがぼくは建設大臣であり公安委員長としてのあなたの責任を果たしたということになるんじゃないかと、こう思ったものですからお伺いしたんですが、最後にその一点だけお伺いしたい。
  35. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 村雨橋とか千鳥橋のような橋を補強して、そして戦車のようなものですねを搬送しなければならないということは、これが最後じゃないかと思います。それ以外に、軽いやつはもっともっとあるんですよ。ほんとうにありますよ。これはやっぱり騒ぎなしでいけると思います。そしてこれは早く私出てもらいたいと思っておるんですよ。というのは外務省が、補給廠の機能の縮小と、それから使わなくなった場所は返還すると、こういうような話し合いを進めております、それは取りつけておりますから。やっぱりあそこにアメリカのものがおりますると、なかなかそこまでいかないでしょう。そうですから私は、問題になるのはこれだと思いますが、あとは問題にならないものでありますから、それは早く出したほうがいいと、こういう考えなんであります。それで、今後の問題は、全く不愉快なことなんですよ、ほんとうのことを言いますと不愉快なことなんです。今晩のことで、これが最後だと、こういうように考えております。あと外務省を思い切って突っつきまして諸般の問題を早く解決さしたいと、こういう考えております。
  36. 占部秀男

    占部秀男君 希望だけ申し上げておきます。  これが最後かどうか、それはそうなってみなくちゃわからないんですが、大臣、そのままそうです、それじゃよろしゅうございますというわけにはいかない。ただ、私さっき保留した点については、大臣予算委員会に行かれるのでこれ以上申し上げません。次の機会にその点もう少し掘り下げて聞きたい、こう思います。
  37. 久次米健太郎

    委員長久次米健太郎君) 本件に対する調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  38. 久次米健太郎

    委員長久次米健太郎君) 昭和四十七年度分地方交付税特例等に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  39. 占部秀男

    占部秀男君 この交付税特例の問題ですが、自治省としては、今度の地方公務員の給与引き上げの総額はおよそどのくらいであると見込んでおりますか、その点をお伺いいたします。
  40. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) お答え申し上げます。  今般の給与改定につきまして、国家公務員と同じやり方で、すなわち国家公務員に準じて給与改定を行なうということになりますというと、総額で二千八百億必要になるわけでございます。そのうちの千九百八十億は、当初地方財政計画の際に御説明申し上げましたように、すでに措置済みでございます。したがいまして、差し引き八百二十億というものを措置をしなければならない。その中で交付団体——交付税をもらっておりますところの交付団体で六百二十億、それから不交付団体で二百億、こういう内訳でございます。
  41. 占部秀男

    占部秀男君 そうしますと今度の法律改正単位費用が変わってきておるわけですね。これは、あれですか、ほとんどというよりは、全部といっていいんじゃないかと思うんですが、給与の増額に伴う単位費用改正だ、これだけだというふうに考えてよろしゅうございますか。
  42. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) 給与改定に伴いまする増加需要額と、それから節約を交付団体、不交付団体合わせまして百六十五億を地方団体にお願いをいたしたい。それに伴いまする、これは単位費用の逆に減になっていると思います。お手元の資料の「その他の行政費」で減が立っておりますのはその関係でございます。
  43. 占部秀男

    占部秀男君 そこが問題なんですよ。この法律案では、この六十五億というものを借り入れ金減額に充てようとしておるわけでしょう。いま節約を百六十五億しろと言ったって、いまの地方団体は財政的になかなかこれは困難なんですよ。特にぼくなんかあんなの賛成じゃないけれども、田中さんの列島改造論かなんか知らぬけれども、公共事業をふやすということで、そして今度は起債をするわけでしょう、三千五百億か。いま困っている上に、またこの問題で起債もしなきゃならぬというような、ますます地方財政は苦しくなってくることは目に見えているんですよ。そのときに百六十五億ですか、これを節約しろと言ったって、そんなことなかなかこれはできない。せめて六十五億だけは、この節約分をカバーするのに使うのが私は当然だと思うのです。何も六十五億だけを今度は形式的に借り入れ金減額に充てると、借り入れ金減額させていますと、自治省としてはこうやっているんですという形をとらなくてもいいんじゃないか。そういう形をつくるよりは実際に地方財政が困っておる現状をカバーしていくのが今度の交付税特例、いわゆる特例じゃないかと、こう思うんですが、その点いかがですか。
  44. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) そのようなお考えも当然はあろうと思います。ただ、国、地方を通じまして、国家公務員あるいは地方公務員給与改定にあたりましてとりました基本的な考え方といたしましては、一つは、やはり給与改定財源というものを捻出いたしますのに、一方におきまして交付税、あるいは地方団体の場合でございますれば地方税の増というものを見込まれる。他方におきまして、やはりみずからの経費の中で努力をして捻出をする。こういうことを基本的な考え方といたしておるわけでございまして、国の場合でございますというと、国家公務員給与改定財源を捻出いたしますのに八%の物件費の節約を当初に加えて行なう、こういうことにいたしておるわけでございます。地方団体におきましても、この地方財政計画あるいは全体的な地方財政が苦しいことはもちろん同様であるわけでございますけれども、その中で、さらに百六十五億の節約というものをお願いすることによりまして、残りの所要財源というものは交付税で措置をすると、こういうことにいたした次第でございます。
  45. 占部秀男

    占部秀男君 それがぼくがおかしいというんです。国のあり方と地方のあり方とは違うんですよ。確かにあなたが言われるように、国は給与財源のために八%節約した、だから地方も節約しろ、まあ平面的にいえば、これはバランスをとったような言い方になっているかもしれません。しかし、地方の事務・事業の実態からいうとそれは大きな間違いじゃないかと私は思うのです。というのは、いま政府自体が、社会資本が充実していない、今後社会資本を充実しなきゃいかぬ。その社会資本の中の公共的な施設、公共的な物件の大部分といっていいほど地方の仕事でしょう。実際は地方の仕事でしょう。その地方の仕事がどうなっているかというと、やはり学校にしろ、あるいはまた保育所にしろ、託児所にしろ足りない足りないで困っているのです。だから国の場合と地方の場合とは違うんですよ。だから、国の場合は八%の節約をしたとしても、地方の場合は節約をさせないようにしていかなくちゃならぬ。節約はどこがするか、事務・事業を切る以外に節約ができないじゃありませんか、そういうことは自治省のぼくはとるべき態度ではないと、こう思うのですけれども、これは最後質問ですからひとつとっくり納得のいくように説明していただきたい。
  46. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) ちょっと私、説明が不十分でございまして、失礼を申し上げたのでありますが、この節約の対象につきましては、これはいままでもそうでございますけれども、地方団体の仕事は御指摘のとおり地域住民に密着をする仕事が非常に多いわけでございますから、そういう事務・事業費というものに割り込む、こういう意味での節約はいままでいたしたことはございません。今般の場合におきましても、節約の対象にいたしておりますのは、いわば身の回りの経費といいますか、内輪の経費と申しますか、物件費あるいは旅費、あるいは維持修繕費、こういうものでございまして、維持補修費の場合におきましても、たとえば土木関係の維持補修、こういうものは当然節約の対象から外にはずす、こういうことでございまして、地域住民に対するサービスというものにいささかも欠けるところがないようにと、その点は十分配慮いたしておるつもりでございます。要するに、身の回りの経費と申しますか、物件費あるいは旅費、あるいは維持補修費、そういったものにつきましてはやはり苦しい中で最大限の節約というものをやっていただく。また、私ども、この節約の率を適用するにあたりましては、実行可能な額というものを精査をいたして百六十五億という額を出したつもりでございまして、繰り返して申し上げますけれども、地域住民のサービスに関係をするそういったところでの経費の節減というものは毛頭考えておらないということでございます。
  47. 占部秀男

    占部秀男君 ぼくはこれ以上議論をしようとは思いませんけれども、自治省考えておられる——そうしたことは思っておりませんと、思っておらないのは私も当然だと思うのです。ところが、実際に下へ行って見ると、局長の言われたようなことにはなかなかならない面が率直にいってあるのです。こまかく話をすればまた問題が出ますけれども、きょうはまあ私だけやるわけじゃないから、これでとめておきますが、いずれにしても、事務・事業に影響のないようにとあなた言われても、物件費を節約すれば、それ自体大なり小なり事務・事業に影響をする。正面づらでは、あなたのほうへあるいは報告したところでは事務・事業は縮小していないかもしれないけれども、実際上はそういうことをやっているところが相当あるんですよ。だからぼくはこういうことを言うのですけれども、きょうはこれは答弁していただかなくてけっこうです。  私の質問はこれで終わります。
  48. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 この法案の問題点、いま占部委員が言われた点、この点が私も非常に問題じゃないかというふうに考えておるわけですよ。そこで、ほんとう自治省は百六十五億の節約ができると、こう考えているのかという問題です。基本的な問題でございます。百六十五億ほんとうに節約できるのか。大体この四十七年度の当初予算を組むとき洗いざらい出しているわけですね、地方自治体は。それで余裕なんか何にもないのですよ、実際は。その中から、一応理屈の上では、これとこれとこういうものを節約しろということをあなたは言っているけれども、実際にそんなことができるかどうか。いまの地方自治体の実情からいってできるとほんとう考えているのか。やはりだいぶ無理があると腹のうちでは——その辺のところですな、それをどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  49. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) やや事務的にこまかい話にわたりまして恐縮でございますが、ただいま先生御指摘のとおり、ことしの地方財政計画は、当初一兆円と申し上げ、あるいは最終的には八千億という財源不足の中でいわば四苦八苦してつくった財政計画でございます。ただ問題は、その中で、たとえば物件費なりあるいは維持補修費、こういったものにつきましては、私どもできるだけ経費の効率的な使用というものをお願いをいたしたいというふうに考えておるわけでございまして、その中でやはり節約可能なもの、国といたしましては八%と申しておるわけでございますが、地方財政の場合におきましては、そのような状況もございまして、節約率というものはそれよりも低くなっておるわけでございますが、そういたしましたのは、物件費の場合でございますというと、先ほど申しました、たとえば民生、衛生、教育、そういったことにかかわりまする物件費というものは節約対象外に置く、あるいは維持補修費等でございますというと、やはり土木関係の維持補修というものは節約の対象外に置く。こういうことにいたしまして、たとえば紙を買う、あるいは鉛筆を買う、あるいはとじひもを買う、こういったような式の経費、こういったようなものでございますとか、あるいは旅費あるいは維持補修、こういったものでございまして、全体を通じて申し上げますというと、節約対象になっておりまする経費に対しまして六・一%、国の場合は八%でございますが、六・一%にとどめておるわけでございま一〇ただいま申し上げましたような節約対象額全体で二千七百十一億あるわけでございますが、その中でこの程度の節約というものは無理なく行なえるのではないだろうか、こういう考え方に基づいておる次第でございます。
  50. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これは、私も詳しく一つ一つ調べてそれでお尋ねするわけじゃないので、どれがどのくらい減って、どれがどのくらいふえてくるのだということはわからぬわけです。だけれども、これはごく常識的な考え方かもしれないけれども、たとえば東京周辺の都市を考えてみたとき、非常にこれは人口の増も激しい。それで、それに伴って事務量にしても何にしても非常に増大してくるわけです。ですから、言うならば当初にそういった予算を考えてみても、それがその後にだんだんだんだんとそれでは間に合わなくなってきてしまうというようなのが、そういう姿がぼくは実情じゃないかと思うのです。そういう中で、あなたは、こういう部分は何とか節約できるのじゃないかと言うけれども、もしそれができたとしても、そのほかの面でまたいわゆる仕事の内容が増大してくるという、こういった面も考えられる。そんなことを考えますと、これはほんとうに百六十五億の節約ができるのだろうか。もしできなかった場合には、地方公共団体は、国のほうはとにかく、そういったことを見込んで三百七十億しか給与改定分としてはいかないんですから、それだけいわゆるしょい込むということになるわけです。そうなった場合どうするか。もしそういう現象が起きた場合、その場合どういうふうにおやりになるんですか、その点の考え方をひとつ。
  51. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) いま私が申し上げましたような節約の考え方に基づきまして、したがいまして、ある意味におきまして、まさに文具その他の消耗品等を中心にいたしました節約でございますから、私はこの程度の節約ができないはずはないだろう、こういうふうに考えておる次第でございます。もし、そういう節約ができなかった場合にはどうなるのだということでございますが、これに対しては、はなはだおことばを返して恐縮でございますが、これはどうせマクロ、全体——地方財政計画上の節約でございますから、私どもといたしましては全体的な観察に基づきまして、そういう節約というものを、無理なような節約というものは断じて行なわせられない、そういう判断で行なっているわけでございます。  それから、もう一つついでに申し上げますというと、問題がちょっと離れるわけでございますが、今度の給与改定財源の計算をいたします場合に、もう一つ法人関係税の自然増収というものを織り込んでおるわけでございます。この法人関係税の自然増収、国税が二千五十億ございますので、地方団体の場合には、従来の経験上では、比率から申しますと千二十五億程度の自然増収というものが見込める。その中で三百三十億程度のものを給与改定財源に使い、それから四百億程度のものを、公共事業の追加に伴いまして地方負担の増というものに使っている。全部実は法人関係税の自然増収というものも使い切っておらない。計画上は使い切っておらないということもございまして、個々の団体それぞれの態様によって違うと思うのでございますけれども、この節約プラス法人関係税そのほかの税につきましても若干の自然増収が景気の回復によりまして見込める状況にありますので、全体といたしまして、地方団体の財政運営にこの程度の節約でございますれば、そう無理がかかるということはないのではないだろうかというふうに私ども考えておる次第でございます。
  52. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 あなたのほうで、無理がないというふに、こういうふうにきめている以上、これ以上突っ込んでみたところで意見が行き違うだけだと思います。私はそういう心配があるんじゃないか。実際に私も地方公共団体の長とお会いしていろいろと話し合ってもまいりました。そういう中で感ずるのは、いま申し上げたように、節約分なんといっても、これははっきりこうだといって出てくるものではない。言うならば政府が、自治省が精神的なものを考えているのじゃないか、こういうような感じがするわけです。それでは結局は地方公共団体がそのことによって苦しまなければならぬ、それを心配するあまりにいまのような点をお尋ねしたわけなんですね。これ以上聞きますと、また聞いてもこれは意見のすれ違いばっかりで結論が出ないと思います。  そこで六十五億、いわゆる返済分です。これについてもいま占部委員から話がありましたけれども、六十五億をほんとうならばそのまま地方公共団体に、三二%のうちなんですから上げればいいと私は思います。初めに申し上げましたように、ことしの当初予算を組むにしても四苦八苦なんですから、ですから、そういう中で六十五億を当然これは地方公共団体に交付すべきである、こう私は思うんです。それを来年度返済百四十億、その返済分としてこの六十五億はいわゆる返済すると、こういうふうにした根拠といいますか、なぜそういう措置をしなければならないのかということですね、その辺ひとつ。
  53. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) ことし、この補正予算によりまして、地方交付税が六百五十六億の自然増が出ましたことは御案内のとおりでございます。で、ただいま申し上げましたような経過をたどりまして、給与改定財源といたしまして三百七十億、それからこれは交付税の仕組みに伴うものでございますけれども、当初の交付税の算定におきまして、下から積み上げました交付税の各団体ごとの所要額、これにつきまして、交付税の総額が足りないために調整をいたしまして減額をいたしましたものが九十五億ございます。この九十五億は、こ際、自然増を得ました機会に戻す、地方団体にそれぞれのものを付与する。こういうことで、まず普通交付税で四百六十五億円をとることにいたしたわけでございます。それで、その次でございますが、本来ならば六百五十六億円の中の六%、これが特別交付税、すなわち三十九億が特別交付税に回るわけでございますが、ことしの当初の財政対策におきまして、税が伸びない。交付税は、おかげさまで千六百億の借り入れと千五十億の特例交付金、これによりましてまあかろうじて平年度並みの伸びを維持できたわけでございますが、それにいたしましても、税の伸びが少のうございますので、普通交付税の伸び、すなわち基準財政需要というものが、この伸びが非常に低くなったわけでございます。そこで、いまの千五十億と千六百億の特例措置の中からは特別交付税を一文もとらなかったわけでございます。でありますから、当初の自然増の千四百六十億に見合いまする分の六%、これと、それから沖繩分の四百六十五億のもとになっておりまする三百六十五億でございましたか、それの六%分、合わせましてこの特別交付税といたしましては、本土分で八十億の増、それから沖繩分で二十七億の増と、こういう非常に特交の伸びが少ないという状態であったわけでございまして、私ども、ことしこういうふうに災害が多発をしておるときでございますので、この本土分八十億余りの自然増収では、特別交付税の自然増ではとてもまかなえないという感じがございました。例年並みの特別交付税の伸び、すなわち一六・九%でございますが、そこまではどうしてもこの際に特別交付税をとりたいということで、三十九億に八十億余りのものを加えまして、百二十六億を特交でとったわけであります。そうしますというと、差し引き六十五億というものが残ります。この六十五億につきましては、来年度に繰り越して、来年度の分として使うかどうかという問題があったわけでございますが、私どもといたしましては、ことし千六百億借りる中から六十五億だけ減らして借りる。そういたしますというと、来年この償還計画で百四十億返すものが七十五億返せば足りるじゃないか。そうなりますというと、来年も引き続きまして、ことしと同じようなやはり財政の苦しさというものが予測をできるわけでございますので、この際、できるだけ来年の地方財政の荷を軽くしたほうがいいんじゃないか。こういう判断に立ちまして、六十五億を来年に繰り越して使うということをいたしませんで、このことしの千六百億をそれだけ減額をして借りる。それによって結果的には来年の地方財政の荷を軽くすると、こういうふうに考えた次第でございます。
  54. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ、むずかしいことはあまりわからぬですけれども、あなたの話を聞いていると、来年も相当苦しいだろうと、だからその苦しみ、その負担を軽減する意味でも、いま六十五億返さしておいたほうがいいだろう、これは親心だと、こういうようなふうに聞こえるのですけれどもね。私どもそれは来年のことを言えば鬼が笑うというけれども、来年苦しいだろうという、いま苦しいんじゃないですか、いま。一応計算の上であなたの言ったようなことが成り立つかもしれぬけれども、現実には相当地方公共団体というものは苦しいわけです。その現実を踏まえての考え方ではないんじゃないか、現実に即さない私は考え方じゃないかというふうに思うわけです。  そこで、それではこの「公共事業追加実施に伴う地方費に対する措置」です。これに移りますがね。これはいわゆるその見込み額は三千四百億というのですね。これに対してどう対処するかというと、「公共事業および地方単独事業の追加支出に伴う地方費の増(三千四百億円)については、地方税の自然増収と地方債によってまかなうこととし、これに伴い地方債二千九百五十四億円を追加し、その約七割について政府資金(二千百億円)を充当するものとする」。と、こういうわけですね。これは追加分ですよ、公共事業追加実施、こういうふうに金かかるんです、これにまた。それを起債でやれ。また、先ほどあなたが言ったように、法人税の増、そういった点から考えても、それが千何百億と言いましたね、あるんだと。だけれども、起債はまたこれだけ起こさなければいけないというふうに、そこに注ぎ込まなければいけない。ですから、そういった実情を考えた場合に、これは六十五億というものは、それはあなたのほうで計算すればそういうことになるかもしれないけれども、その実情、こういう実情からいって当然六十五億というものはこの際地方公共団体に交付すべきである、こう私思うわけです。  そこで、この追加事業について起債をこれだけ認めようというわけですけれども、この起債を認めるのはいいけれども、地方公共団体、これから先ほんとうにどうなっていきますか、起債起債で。これについて、起債ということについてどういう見通しを立てていらっしゃるのか。私は少なくともこの東京周辺の都市ですね、これらの人口増、これはたいへんなもんです。で、これらの都市では相当な起債をかかえておりますよ。大体百億はくだらないんじゃないですか。それで金利なんていうことを考えると、百億が百五十億にもなるという。それからまたなお、たとえば公社の関係だとか、そういった機関での借り入れ、そういったものを全部含めますとこれはたいへんなもんですよ。そこで、いわゆる起債についての、ただ起債起債と言っているけれども、今後このまま心配ないのかどうか、行き先が。その点の見通し、ひとつ聞かしていただきたい。
  55. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) 地方債を次から次にこう負担をさしていいのかという御懸念、私はごもっともかと思う次第でございます。ただ、私、率直に申しまして、この地方団体の公債費、一般財源の中に占めておりまする公債費の推移、あるいは財政の中での地方債に対しまする依存度、こういうものを見ておりまして、従来やはりこれだけ生活関連社会資本というものの整備が急がれて、しかもそのためにこれから地方団体が仕事をやっていかなければならない。こういうもとにおきまして、地方債に対する依存度というものは、地方財政全体としてはもっと高めていくべきだと、またそれだけの余力があるという判断をいたしておる次第でございます。  と申しますのは、この一つの、まあこれは仮定を置いての試算になるわけでございますが、四十六年度までは、この公債費につきましてはある程度の実績が出ておるわけでございます。それから四十七年度におきましては、ことしになりまして追加をいたしておるわけでございまして、それに伴いまして後年度の負担というものが計算上できる。それからそのほかに、財政計画外に大体三千億から四千億くらいのいわゆるワク外債というものを発行いたしております。こういったものも織り込みまして、それから四十八年度は、現在二兆五千億余りの地方債計画というものを大蔵省とこれから詰めてまいりたいと思っておるわけでございます。それにやはり従来の大体実績に基づきまするワク外債というものを含めまして、四十八年度以降は、その四十八年度の要求計画額プラス、ワク外債、これの一五%伸びくらいで毎年地方債の規模というものはふくらんでいくだろう。これはかなり大きなオーダーの数字になるわけでございますが、その場合に元利償還というものが一般財源に及ぼす影響はどういう姿、形になっていくであろうかということを試算いたしてみたわけでございます。これは地方におきまして、結局一般財源でございますから、今後税がどれだけ伸びるであろうか、あるいは交付税がどれだけ伸びるであろうか、こういう推定をしなければならないわけでございます。これの基礎になりますのが経済の成長率というものをどれだけに見るかということで、一応名目一三%の場合、それから一五%の場合、あるいはもっと低い、名目で一〇%の場合、三通りの一応試算をしてみたわけでございます。そうしますというと、大体ピークになりますところの昭和五十五年度で、成長率が一三%の場合でございますと、公債費率——一般財源に占めます公債の元利償還の費用というものの占めます割合が一一・四%、あるいは成長率を名目一五%と見ますというと九・六%、一番低い、名目一〇%という場合におきまして一四%。こういうことでございまして、いまこの非常に大きな伸びをかけました地方債の発行というものを前提にいたしましても、地方財政全体といたしましては、この程度の公債費率というものであるならば、財政運営に支障を生ずるということは全体としてはないのではないだろうか。  ただ、問題は、三千の団体を一本にいたしましてのこれは計算でございますので、ただいま御指摘になりましたように、大都市周辺の人口急増市町村、こういったところの公債費率、個々の団体の公債費率ということになりますというと、これは非常に高くなっているところもあれば低くなっているところもある。そういうことでございまして、この個別の団体に対しまする公債費率というものにつきましては、これは高くならないような、まあ大体私ども二〇%をこすということは絶対に避けたい、一五%から二〇%、こういったところにどんなに高い場合でもとどめたいという感じを持っておるわけでございますけれども、そういことがございまして、ただいま御指摘になりました人口急増市町村等におきましては、別途来年度の人口急増市町村の公益・公共的な施設に対する国の補助負担率のかさ上げ、こういったものを内容にいたしました特別措置というものもあわせ考えながら、そういう公債費の負担の重圧というものを避けてまいりたい。あるいはまた財政力の弱い地方の都市、あるいは町村等でございますれば、地方債を抱かせるよりも交付税というものでまかないたい。どうしても地方債を抱かせなきゃならない場合におきましては、政府資金というものをできるだけ充当してまいりたい。まあこういうそれぞれの団体の財政力あるいは償還財源能力というものに応じまして、きめのこまかい措置をあわせて考えてまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。繰り返しになりますが、地方財政全体といたしましては、もっと地方債の活用ということを考える余地があるのではないだろうか。また、そういうものに耐えられるだけの力というものは、ただいま申し上げました数字等によりましても耐えられる、こういう判断をいたしている次第でございます。
  56. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、いまの話ですと、地方債というのは、今後の経済の見通し等を考えた場合、まだまだ地方公共団体には余力がある。したがって起債についても、もっともっと増ワクしても、これは地方公共団体として十分やっていけるのだ、こういう結論になりますか。
  57. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) 地方財政全体といたしましては、おっしゃいますようなことになろうかと思います。
  58. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、私は心配するのですけれどもね。あなたは、経済の今後の成長等を加味して、そしてこの程度までは起債はだいじょうぶだろう、こういうことを言われているわけです。そこで私は、実情というものを見誤ってはこれはたいへんなことだと思う。御承知のように、学校一つつくるにしても、その基準単価の問題にしても、あるいはまた東京周辺の都市においては、土地を買うにしてもこれがとてもお話にならぬわけです。ですから、そういう方面の公共用地の取得についてだって、これはもうたいへんな金がなければできないわけです。そういうことを一つ一つ取り上げて考えた場合、これはただあなたの言うように、そろばんづくで簡単に解決できる問題ではない。その辺を私はもっともっと、いわゆる自治省としてはその実情というものを真剣にもっと見詰めていかなければならない、そういう必要があるのじゃないか、こう思います。そういった点について、いまあなたの言われることについて、そういう点を十分配慮していくべきであるということを私は申し上げておきたいと思います。  そこで、最後一つだけお聞きしておきたいのですけれどもね。百二十六億円は、これは特別交付税ですね。これの配分基準といいますか、これは全国的に各地方公共団体に配分するわけですけれども、この配分基準というものはどういうことになっているのですか。
  59. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) 特別交付税の算定につきましては、たとへば災害等の場合でございますというと、その年の地方団体におきまする公共災害の災害復旧事業費の一%でございますか、そういうものを基準にとりますとか、あるいは災害のために不幸にしてなくなられた方がある、そういう方に対しまして一人当たり、ことしは上げるつもりでおりますけれども、従来でございますというと二万六千円でございましたか、そういうこまかい基準をつくりまして積み上げて計算をいたしているわけでございまして、こまかい点につきましては担当の課長のほうから説明をさせたいと思います。一応ルールをつくって算定をいたしているということでございます。
  60. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) たとえば算定方法といたしましては、特別交付税の額といたしまして、小学校あるいは中学校の冬季分校が設置をされたといった場合に、係数を乗じて計算をするとか、あるいはいまの小、中学校の複式学級があるとか、あるいは特別な病院に要する経費がよけいにあるとか、あるいは炭鉱離職者の緊急就労対策事業等に要する経費とか、そういった種類がございまして、かなり項目が多いわけでございますが、いろいろそれぞれの団体の特別な事情に応じまして基準を設け、率を乗じて、ルール計算という形で計算を積み上げておるわけでございます。
  61. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これを深く私はお尋ねしようとは思いません。そこで、この百二十六億の特別交付税ですが、これは相当幅が広い——まあ、いい意味での幅が広いという面もありますけれども、悪い意味での幅が広いというのですか、こういう面もあると思うのです。これは政治折衝による面が、非常にそういう面が強いのじゃないかというような感じがするのですが、そういうことはありませんか。
  62. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) 特別交付税は、今年度の場合でございますれば千四百億余りという大きな額になっておるわけでございまして、これの配分につきましては、私どももちろん、この特別交付税はご案内のとおり、普通交付税を算定いたしました後に生じました災害でございますとか、その他の突発事態に伴う緊急な財政需要をまかなう、あるいはこの普通交付税で画一的な算定をいたしておるわけでございますので、その画一的な算定に乗り切らないものについて、特別な事情を考慮して配分をするということに相なっておるわけでございますが、できるだけこれをルール化したい。ルール化することによりまして、大体大部分のものはこの配分をする。こうしますとお互いに、俗なことばで申しますというと恨みっこはないわけでございます。ただ、これは私ども全知全能でございませんので、ある程度の最終的なやはり調整というものは達観によらざるを得ないものがあることは事実でございます。ただ、その点につきましては、いま申しましたように、できるだけルール化できるものはルール化することによりまして、そういう恣意におちいるということのないようにみずから戒めて配分をいたしている、こういう次第でございます。
  63. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 最後に、いまあなたがルール化ということを口にしましたけれども、私はそれが大事なことじゃないかと思うのですよ。実際に災害を受けてほんとうに困っておるというところにこのいわゆる特別交付金が生かされるならば、これはもう何も言うことはない。しかし、そこに不公平が起きてくるというようなことがあってはこれはならぬと私は思います。ですから、そういった問題が往々にしてあるんだというような声を聞くわけです。そういう声を聞くということはこれはうまくないと私は思う。そこで、できることならば、そういう不公平の生じないように、ほんとうに困っているところに国が配慮する。金が困っているところには十分届くのだというやはりシステムにしなければいけないし、またそういう一つのルールというものが私は必要じゃないかと、こう思うわけですね。ですから、そういう意味でひとつルール化ということについては真剣に考えてみたらいいんじゃないか、こういうふうに思います。  以上で私の質問を終わります。
  64. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほど来、お二人の委員からいろいろ御質問がありました。ことほどさように地方財政は苦しいんですし、そうしてまたたいへん重要な問題でございますので、私はまず来年度の地方財政の見通しとその対策についてお伺いをしておきたいと思います。  来年度の地方財政の状況は、国の経済見通しや減税規模、あるいは財政政策や公共事業費等の予算規模がまだ明らかになっておりませんので、いまの段階でははっきり御説明を願うわけにはいかないかと思います。しかし、そう厳密な予測ができないとしても、来年度の地方財政が容易ならない状況にあるということは、いまもお話にあったとおりでございます。現在、生活基盤整備のための公共事業費の必要性が強く要望され、財政需要が高まっているわけです。したがって、来年度の地方財政計画も相当大規模なものが期待され、十五兆円以上というお話も出ているわけですけれども、計画規模の伸び率をかりに本年度並みの二一%増としても、その規模は十四兆二千億になるわけです。この十四兆二千億のうちの地方交付税の占める割合を本年度並みの二二%とすると、その額は約三兆円になるわけです。そうすると、地方交付税の総額の基礎となる三税、これが今年度の当初見込みより二〇%伸びたとしても二兆六千億にしかなりません。すなわち、地方交付税財源は差し引き四千億円も不足をするということになるわけです。しかも本年度地方交付税は、基準財政需要額を削って地方債に回したものが三千五百億円もあるわけですから、両方足しますと七千五百億円も財源が不足をするということになるわけです。そこで地方財政計画全体から見た財源不足額はもっと大きくなると思うわけです。そこで現行の交付税制度の仕組みの中だけから見ても、ごく荒い見方ですけれども、相当の一般財源の不足を生ずことが大体わかるわけでございます。来年度も当然地方交付税の総額の特例が必要になってくると思いますけれども、その場合に、本年度のように地方交付税率には全然手をつけないということは、これはとうてい許されないと思います。そこで、地方交付税率の引き上げについて強い態度をもって臨むべきだと思いますが、その点いかがでございますか。
  65. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) 来年度の地方財政の見通し、ただいま御指摘のとおりのことでございまして、まだ不確定な要素が多いということでございまして、私ども幾つも前提を置いていろいろな試算を内部的にはやっておるわけでございますけれども、はっきりしたことにもちろんならないわけでございます。ただ、全体といたしまして、ことしの一月からの経済の回復の足取りは、新聞その他の報道によりましても明らかなように非常に速い、しかも確実に回復の足取りをたどっておるようでございまして、先般、今般の補正予算に関連いたしまして、経済企画庁がことしの経済見通しの改定試算をやりました結果におきましても、名目でことしは一四・八%、実質で九・五%程度、こういうことのようでございます。したがいまして、こういう伸びのままで来年度、四十八年度の経済が推移をしてくれるということでございますれば、ことし、四十七年度に比べますというと、地方税の伸びあるいは地方交付税の伸びというものにつきましても、ことしよりは何がしかの増収というものが見込める。ただ問題は、今後の景気の見通し、通貨問題等もからんでまいるわけでございますけれども、経済自身の見通しがいまのところまだきわめて流動的でございますし、また国税、地方税の規模あるいは明年度におきまする歳出規模、こういったものをきめてまいりますところの条件というものが、まだいまは何もきまっておらない。こういうことでございますので、非常に荒っぽい試算になるわけでございますけれども、御指摘のとおり、ある程度地方税なり交付税なりの自然増収というものが見込めるにいたしましても、明年度の財政ご全体といたしましては、ことしと同じような財政の苦しさというものが続くのではないだろうかということを私ども考え判断をいたしておる次第でございます。  したがいまして、その場合に、明年度の地方財政対策としてどのようなことを考えるかということになりますというと、これはやはり基本的には地方交付税の総額というのをどのように確保するか。ことし千五十億の臨時特例交付金あるいは最終的には千五百三十五億になるわけでございますが、交付税特別会計の資金運用部からの借り入れ、こういう措置を講じて切り抜けてまいったわけでございますけれども、状況のいかんによりましては、やはり交付税率の引き上げを含む交付税の総額の確保ということについてこれは当然取り組んでまいらなきゃならない。あるいはまた地方税源の増強ということにつきましても、本来の御意見がございますところの都市税源の充実等を中心にいたしまして、やはり積極的に取り組んでまいらなきゃならないであろう。あるいはまた地方債におきましても、政府資金によりますところの起債ワクの拡充あるいは償還条件等の貸し付け条件の改善、こういったものを総合的に講じまして、来年度の地方財政の運営に支障のないようにしてまいらなきゃならないだろうというように考えておる次度でございまして、幸い、この点につきましては、地方制度調査会、政府の税制調査会、こういったところでの御論議の対象にもなっておることでございますので、その辺の答申の結論等も伺いながら、総合的な財政政策というものをこれは何が何でも講じてまいらなければ地方財政が回っていかないわけでございますので、その点につきましては、大臣以下私ども決意を固めておる次第でございます。   〔委員長退席、理事寺本広作君着席〕
  66. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 次から次からいろんな陳情をいただきますので、地方都市から。不良住宅の改良事業だとか、下水道とか、いろんなことでやってきますので、ほんとうに腹をくくって確保していただきたいと思います。  それでは次に、今度は、きょうのこの議題ではございますけれども、地方公務員の給与制度ですね。これは国に準じて行なわなければならないということは従来からの自治省の指導でございますが、最近大都市あるいは周辺の市町村では、若年労働力の不足から人材を集めるのにたいへん苦労をしておられるようでございます。自治省の指導どおりにやっていたら民間企業にみんなとられてしまう、こういうことでどうにもならないということで、たいへん苦しい状況に追い込まれているところがあるように聞いております。たとえば、去る十月の二十八日の毎日新聞の記事にもありましたように、そのような状況が報道されておりますが、その内容はごらんになられましたでしょうか。公務員の定昇期間を短縮するということで相当大きな記事が載っておりました。年に二回もべースアップをする、人材確保に市長さんの裁量でやっておられる、こういうことに対して自治省では給与に不均衡ができるから待ったをかけた。こういうような記事でございますけれども、あるいは埼玉県内にこういうような問題があったということが報道されているわけですが、こういうふうにたいへん人材の確保に苦労をされているようでございますが、現在の一般通念がよいか悪いかは問題がありましょうけれども、一般には国家公務員より市町村公務員のほうが魅力がないと、こういうふうにされているわけですね。そういった市町村に若い人に入ってもらって活躍していただくためには、やはり給与が民間に比べてひけをとらないものでなくてはならないと思うわけです。一たん市町村の職員となった若い人がやめていくという事例は少なくはありません。ただ一律に国に準じてやれというのがよいのか悪いのか、現在反省すべき時期にきていると思いますけれども、自治省の見解はどうなんでございましょうか。
  67. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 地方公務員の給与決定につきましては、いまお話のありましたように、国家公務員の給与というものを一つの参考にするということになっておるわけでございまして、これがまあ地方団体、数多くありますので、お話のようになかなか実際問題としてはむずかしい点もあろうかと思います。ただ、御承知のように、同じ国家公務員でありましても、大都市周辺に勤務する者についてはいわゆる調整手当というのを支給しておるわけでございまして、地方団体についても、そういう地域の地方団体にあっては調整手当を支給する。これは甲地の高いところであれば、管理職手当とかあるいは扶養手当を含めまして本俸の八%の調整手当を出しておるわけでございます。こういうことによっておおむね均衡がとれておるのではないかというように私どもは判断をしておるわけでございますが、お話のように、最近若年労働力の採用がむずかしいという事情もあるようでございます。そういう点につきましては初任給の調整手当というものがあるわけでございますけれども、これを若干弾力的に運用してもいいんじゃないかというようなことになりまして、実は先般自治省のほうから各地方団体にそういう通牒を出したわけでございまして、ただ、いまお話のありました一斉昇給短縮という形の給与のきめ方については、私たちはどうもこれは給与水準としておかしいのではないかという考えを従来から持っておるわけでありまして、いまでもその考えは変えておらないのでございます。
  68. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうお思いになるのは当然かと思いますけれども、それくらいやっぱり若い人が得にくいと、こういうことでございますのでね、ひとつその人材確保のためにも、そうしていい地方公務員が来るようにも、十分給与や何かについても配慮していただきたい、このように思うわけです。  そこで、地方公務員に婦人の方が最近相当進出されております。義務教育の職員の場合は女の先生のほうが多いということはよく御承知のとおりです。一般的な見方もそういうふうになっているわけですけれども、従来、男の職場とされていたところにも、どんどん婦人がこのごろ活躍をしておることも御承知のとおりでございます。婦人警官とか交通巡視員などは従来からよく知られておりますけれども、最近はまた消防職員にも婦人が採用されております。これは消防行政の中で予防行政が重要な地位を占めてきたことによるものだと思います。こうやって見てきますと、従来からある窓口等の事務をはじめ、最近重要視されてまいりました公害監視あるいは食品衛生管理、こういったような事務などがやっぱり婦人の職場として適当なものではないかと思います。そこで大いに婦人の労働力を活用すべきではないかと思いますが、しかし、たとえば食品衛生監視員の不足は前から何回も指摘をされてきたところであります。まあこれは厚生省関係ですけれども、そうして近年のいわゆる食品公害とか不良食品横行の取り締まりに対して、どの地方からも食品衛生監視員のようなものをもっと増員をしてほしい、こういう要望がたいへん出てきておるわけですね。ところが、この食品衛生監視員というのは、男の方がやればせいぜい保健所長どまり、まあこういう地位しか与えられない。そうして、しかもその資格に獣医の資格が要ったりお医者さんの資格が要ったり、あるいは薬剤師、栄養士、こういうような資格が必要だとされておりますものですから、絶対数がどうしても不足をしている、こういうことでございます。ですから、何とかしてこういうところに女性をもっともっと採用し、女性によいその再教育の場も与えて、こういうところに女性に働いていただくような方法も考えてみる必要があるのじゃなかろうか、こんなふうに思うわけでございます。  そこで、地方公務員に対する婦人の進出の概況、あるいは自治省のこれに対する考え方というものについて御見解を伺いたいと思います。
  69. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) いまお話のございましたように、公務員の職場に婦人がどんどんと進出をしてくるということ、私はこれはまあ西欧の先進諸国の経過から見ましても、当然そういう傾向になってくるだろうと思います。で、地方団体におきましても、それぞれ婦人に適当な部門についてはそういう気持ちで採用をいたしているのだろうと思います。私、いまここに数字を持っておりませんが、地方公務員における女性の比率というものは、一般の民間企業よりはちょっと多くなっておったんではないかと思います。お話にありました食品衛生監視員というようなものにつきましても、ある部面については婦人に適した職場じゃないだろうかというような気がするわけでございますが、ただ食品衛生監視員は、立ち入り検査をしまして、場合によってはかなり強い態度で廃棄処分も求めなければならぬというようなこともございまして、現場の意見としましては、なかなか採用しにくいんだと、こういうようなことも伺っております。しかし、その中でもいろんな部門があるだろうと思いますので、そういう部門についてはなるべくそういう適材適所という考え方で職員を採用していく。で、給与の問題につきましては、お話のように、こういう専門職についてはまだ不十分じゃないかという御意見もございます。そこで、まあ今回も、実はそういう専門職についてはもう少し弾力的に、一定の職務内容に応じた職名等をつけて改善をする、措置をすることもいいんじゃないかと、こういう意味で地方団体にも最近通達を出したところでございます。
  70. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 実は、これはきのう私のところに来た手紙でございますけれども、最近、各都道府県に生活センターというのができましたね。ここでいろいろ女性たちが勉強しているわけですけれども、そういうところからは、どこに行っても、食品衛生監視員の数をふやしてほしいほしいという要望が出てまいります。これは要望しただけでは解決のつかない問題でございますが、結局はこの職も資格や待遇があまり魅力がない。先ほど申しましたように、男の方がなってもせいぜい保健所長どまりだと、こういうようなことで魅力があまりない。せっかく人数をふやしても、人数はふやすんだけれどもそれになり手がない。こういうことですから、これからさらに、こういうところで働く人を私どもはぜひとも確保してほしいわけですけれども、婦人にもいろいろ労働力を出してもらわなくちゃいけませんけれども、そういういろんな面で、自治省としてもこれからいろんな人を確保するために大いに努力をしていただきたいと、このように思うわけでございます。  そこで、最後にお伺いしておきたいのは、大都市に対する税源の付与については、この委員会においてはもとより、衆議院の地方行政委員会においても何回も決議をしたり、政府の善処を求めてまいりましたけれども、来年度は必ず実現されることを期待しておりますが、ぜひともこれは私たちの期待を裏切らないようにひとつがんばっていただきたいと思いますが、大臣はいらっしゃいませんが、ひとつ決意のほどをお伺いいたします。
  71. 三ツ林弥太郎

    政府委員三ツ林弥太郎君) いまお話地方団体に対する財政の強化という問題でございますが、もちろん地方団体の行政需要というものがこれからだんだんふえてまいりますし、ことにこの過密の周辺等におきましては、住民福祉の関係の下水だとか、お話のようなことがどんどんありますので、衆議院と、またこちらでも決議されておりますので、その決議の線に従って努力をいたしたいと、かように考えております。   〔理事寺本広作君退席、委員長着席〕
  72. 河田賢治

    ○河田賢治君 地方公務員の給与問題につきまして伺いたいと思います。  今度、自治省のほうで、「地方公務員の給与制度等の適性化について」という文書を九月の二十九日に都道府県知事や人事委員会委員長あてにお出しになっておりますが、こういうのはこれまで、給与の改定というのは毎年のようにあるわけでございますが、これは大体毎年お出しになっているんですか、これは初めてですか、最近の傾向をお伺いします。
  73. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) いまお話のございました、ことしの九月の二十五日に出しました通牒は、実はここ数年来地方公務員の給与のあり方について、自治大臣の諮問機関として、最初は地方公務員給与問題研究会というところで、これは四十三年からでございまするが検討していただきたいわけでございます。二年ばかりこの研究会で検討をいたしました結果、基本についてはそういまの制度に問題はないようだけれども、細部の給与制度あるいは給与水準については、さらに専門の委員会をつくって検討したほうがいいだろう。こういう答申をいただいたものですから、実は昭和四十五年の九月から地方公務員給与問題専門調査研究会というのをつくりまして、ここで二年間かかりましていろいろ御検討いただいたわけでございます。その答申がこの八月四日にございましたので、それを受けましてこの通達を出したわけでございます。
  74. 河田賢治

    ○河田賢治君 この問題についてまたあとで聞きたいと思いますが、今度人事院の勧告で国家公務員の給与が四月実施ということになるわけなんですが、自治省としては、この人事院勧告を基準にして地方の公務員も準用してもらいたいという趣旨なんですが、いまこの都道府県あるいは特定の大都市、あるいはまたそれに近いような都市でも、国家公務員以上の給与を取っているような自治体が、大体平均にするか、あるいは高給者のほうのグループで考えるか、いずれにしましても、どのくらいあるんでしょうか。
  75. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 去年の調査でございますけれども——これはちょっと古い資料で恐縮でてざいますが、四十三年の給与調査、実態調査の結果によりますと、大体国を一〇〇とした場合に、都道府県の給与水準は一〇八・一、それから六大市が一二四、一般の市は一〇七・九というようにかなり高くなっておる状況でございます。
  76. 河田賢治

    ○河田賢治君 そこで、この人事院勧告自体なんですが、これは人事院に聞くことがいいと思いますけれども、あまり時間がありませんから省きますけれども、人事院勧告についても、この国家公務員の諸君が労働組合をつくって、それに対する批判をされておるわけですね。そうしてまた政府自身の、たとえば労働省その他ですね、賃金についてもいろんな統計の取り方によりまして違います。それから労働の再生産のために必要な生計費というものを求める場合でも、総理府でも出しておりますし、それからまたいろいろ関係官庁も出しておるわけなんですから、それぞれ若干違いますけれども、人事院勧告そのものについても相当やはりいま国家公務員からも、給与の実施期間は別として、非常に民間企業と差があるということで、かなりこれに対する批判がされておるわけですね。自治省としてはどういうふうにお考えですか、なかなかこれは言いにくいかもしれませんけれども。
  77. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 自治省としましては、法律のたてまえ上、やはり国家公務員の給与水準というものを地方公務員一つの給与水準に考えていきたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。ただこれは従来から、この終戦後の給与制度ができる前から、現実に自治体の中の、特に都市を中心にした地域におきましては、かなり国よりも高いという事情もございまして、そういう沿革的な事情と、先ほどお話にありましたような職員の採用問題というようなことにからみまして、実際上若干高いところが出ておるということでございますが、私どもとしましては、それが相当な理由のあるものであるならば、ある程度のものはやむを得ないと思うのですが、中には極端に高いものもある、それがしかも一斉昇短というようなことで行なわれることは好ましくないという立場から指導をしておるわけでございます。
  78. 河田賢治

    ○河田賢治君 大体、最近の大会社と、それから中小企業と零細企業、これはいろいろな差がありまして、特に日本の産業構造からいいますと、やはり中小企業以下は大資本の下請的な存在が多いわけですね。しかも日本では生計あるいは賃金の給与水準のどこを見るかというのは今後大きな問題だと思うわけですが、またこれを早くきめぬと、日本の産業自体も、また労働者の生活あるいは生計というものも非常に不安があると思うのです。御承知のように、ドルがどんどんたまったといいましても、労働者の賃金水準というのは非常に低いところがあるわけですが、現に初任給にしましても、今度の人事院勧告におきましても、高卒で三万七千円か、それくらいですね。ところが、大企業で、これは「東洋経済」がこの七月の水準で調べたのでは、高卒が十八歳で四万四千何ぼと。そうするとここで六、七千円差ができる、今度の実施する人事院勧告とあわせましても。それから大学卒になりますと、二十二歳でこれは五万五千七百円ということになっている。そうしますと、今度の人事院勧告をいれましても四万ちょっとしかなっておりません。ここでは一万数千円の差が出ている。また今度の平均の三十九歳で約九万五千円ですか、人事院勧告によりますと。これはもう「東洋経済」で、五百人以上の従業員のところで、資本金が五億以上ですけれども、大学卒三十歳で大体九万二千円ですね。相当開きが出ているわけですね。もちろんこの差の低いほうをとれば、これは国家公務員のほうがいいとか、経団連あたりがしょっちゅうそういうことを言って、人員の削減や給与をできるだけ出さぬようにしろと申しますけれども、日本の社会政策が御承知のように最低賃金制一つとっていない。形ばかり地方でやっておりますけれども、それなんかもほんの申しわけ程度であって、零細な業者あるいは人を使っているところの最低賃金というものは全く体をなしていないです。だから、こういうところの水準を引き上げることが日本の労働省にしましても、どこにしましても、やはり上げていかなければならない。そうしますと、国家公務員にしろ、地方公務員にしましても、給与水準をとるというときに、何も下のほうを寄せ集めてこれでがまんをしろという態度はよくないと思うのです。  私は、国家公務員にしろ、地方公務員にしましても、これは一定の労力を提供して、そして住民にサービスする機関なんですから、やはり相当の人員を集め、そうしてまた相当の給与を与え、もちろん給与の体系については、何といいますか年功序列賃金というのは非常な矛盾を持っております。そうかといって、能力で、どんどん能力がある者は上へ出すということにもかなり問題があろうと思います。だからその辺の給与の内容というものは相当考えなければなりませんけれども、全般としては低い。したがって、こういうところで国あるいは地方の公務員も、一定のその社会における生活水準の給与を出していく。そして、おくれたところを引き上げさせるように行政指導なり、あるいはそれぞれの各官庁あるいは地方でもそういう仕事をやるべきだと思うわけです。ですから、こういう点で私は、地方公務員の給与を民間と比べましても、特に初任給を、いま労働力が足らぬというので相当上げるところがありますけれども、しかし全体としては四万円にも達しないような、大学を出て四万一千円とか四万二千円くらいしか出さないというような低い水準では、これはほんとうに私は人材を集め、また日本の新しい社会を築いていくというためには、これではよくないと、こう思っておるわけです。  さて、そこで、そういう点から今度の報告書の、さっき申しました地方に出されました問題で、報告書は御承知のとおり、わたりの実態、一職一等級、これの原則に反して放置すると給与制度の崩壊を招くというようなことが答申されたり、あるいは、一斉昇給は給与の高位平準化の傾向を助長し、職員の給与水準を、あるべき姿から乖離させるものであり、厳に戒めなければならない、こういうようなことを非常に心配されて報告書の中に盛られております。この通達でも、今度は中のほうで出されましたが、通達によりますと、やはり給与を適正化するための措置として、「地方公務員の給与を適正化するため、特に、次の事項に留意して所要の措置を講ずることが必要である」というので、わたりもいわゆる「標準的な職務区分によらない等給に格付けを行なうことおよび実質的にわたりと同一の結果となる構造の給料表を用いることは、職務給の原則に反するものであり、かかる措置を行なっている地方公共団体はすみやかに給与を正常化するための措置を講ずるものとすること。」とあるいはまた「昇給期間の短縮の措置をとるととのないよう厳に留意すること。」というようなことが、今度通達に出されておるわけですね。  私は、このわたりの問題も、これは非常にむちゃくちゃなことをやればそれは大きな弊害がありますけれども、しかしいまの給与体系がいろんなことをして、とにかく新しく入った人がある程度高額を取りますと、その二、三年前に入った人は非常に低くなっておる、こういうこともあるんですね。一定の年限がたって一級ずつ上がるわけですから、そういう部内の俸給表を持ってやっておりましてもかなり不公平な結果を招く。そこで、わたり等も現にこれまで行なってきたと思うんですが、だからそういうものはある程度国は地方自治体を少々大目に見てやっていくべきだと、こう思うんですよ。第一、地方公務員の給与をきめるのは、これは地方の自治体が、人事委員会がこれを出してそしてやるわけでしょう。地方公務員法にはちゃんとそういうことが書いてあるんですよ。二十四条ですね。だから、自治省は上級機関でありましてもこれに対してあまり干渉がましいことを私はなすべきじゃないと思う。これは参考のためだとおっしゃるかもしれません。人事院勧告そのものは参考にしてきめてもらいたいと。けれども、ここにこういうことを書かれますと、非常におくれたところの地方自治体は——まあ自治省のことをそう思っていないようなところは、こんなことは無視して実行するでしょうけれども、しかしそうでないところは、やはりこれを重んじて、そうして縛られて仕事をしていく、その結果サービスもあまりよくならぬということになれば、これはとんでもないことだ。だから、地方自治体の自主性というものを自治省は十分認めて、これは法律によっているんですから、そして白書も行政的にいいところの例を出していく。人員が少数で、しかも十分住民にサービスしているところは給与も相当出しているんです。そういうところがうまくいっているなら、そういうところを、白書の中であまり一般的なことを書かぬで、できるだけそういういい例を並べて、あるいは悪いところ悪いものを出して、そして白書の中にやはり十分今日の日本の地方自治体のいろいろなあり方を示していく、そしてそのいいところをみんなに学ばしていくような、そういう報告をなさったほうがいいと思うんです。  したがって、そういう点から考えましても、私はこの今度出されました通達が——それは参考のためにと、あるいは行政的な指導にすぎないとかおっしゃいますけれども、こういうあまりこまかいことまでどんどん出されると、私はたいへんな自治省のいわゆる地方自治に対する侵害になりはしないか、こういう疑いを持つわけです。この点ひとつお聞きしたいと思うんです。
  79. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) もちろん、お話にありましたように、地方公務員の給与は労使間においていろいろな折衝の過程を経て決定をされておるわけでございます。自治省として、この交渉の過程の中に直接的にいろいろな干渉をするとかいう気持ちは毛頭ないわけでございます。ただ、地方団体がそういう交渉を通じて給与を決定する際にも、やはり法律のたてまえにのっとってきめるべきことは当然でございまして、そういう意味で法律趣旨、仕組みというものを私のほうから通知をする。こういう取り扱いにしておるわけでございまして、特に昇給短縮あるいはわたり等につきましては、このたびの専門調査研究会におきましてもそういう指摘がありましたので、この点について一そうの留意をいただきたい、こういう意味で通達を出したわけでございます。
  80. 河田賢治

    ○河田賢治君 それは、諮問機関に入っておられる先生方は、できるだけ自治省の意を体してお書きになっているんですから、あまりあんなものを重視する必要はないと思うんですよ。むしろやっぱり下で働いている者から意見を集めるならこれは賛成ですよ。そうでなくても、このごろの学者とかなんとかいうのはずいぶんおかしいのがたくさんおりますからね。あまり政府機関に協力ばかりするような学者を集めましてもこれはいい答案にならぬと思う。ところが国のほうは、私も詳しくは調べておりませんけれども、地方公務員給与に対して、わたりの運用、これが原則を破っていると非難しているわけですけれども、国自身が次のようなことをしている。従来、四十三年までは八等級採用者、一般係員について職務内容が変わらないのに自動的に六等級——主任または特に高度の知識を必要とする職務——まで昇給させていた、これはわたりじゃない、こういうお考えなんですね。現にこの結果、四十三年以後新たに主任職を設けた、国のほうは。そして役職の乱設、乱発を強め、五等級への昇給者をずっと激増さしておる。その実際の数字字からいいましても、昭和三十七年に五等級が三万六千五百九十九人ですか、一六・二%です。四十七年になりますと、これが七万五千で、パーセンテージを見ますと三〇・一%になるのですね。七等級はどうかというと七万六千五百八十一人、これは三三・九%。ところが、これが四万六千九百九十一人で、これは三三・九%から一八・六%に下がっちゃっている。だから、これで見ますと、何ですよ、三十七年は係長一人に対して一般の職員が五人だと、家来が五人おったんですね。ところが四十七年になりますと、係長、主任一人について一・七六なんです。二人にも満たないんです、家来が。——家来というとおかしいが。それほど役職がふえちゃったんですよ。だから、結局、こういう点について、なるほど等級では何ですけれども、やっぱりそういう役職をつけて、主任とかなんとかいうものをつけて、そしてわたりと実質上ひとしいことをやっている、国は。地方自治体のほうはそうはたくさん主任だとか係長をつくるわけにいきませんわね、単純な労務もありますから。けれども、国のほう自身がこういうことをやって、実質上わたりにひとしいことをやっているわけですから、自治省が表面だけを見て、今度は地方のほうへまじめにやれといって押しつけるのはちょっと私は納得ができぬわけですね。やはりこういう国のやり方も長所はまねまして、自治省は、こういう裏もあるぞというくらいの親切を出して指導するほうが、かえってスムーズにいくのではないかというふうに思います。  いずれにしましてもこの給与問題は、いろいろいま地方財政の非常に困難なときですから、なるほど公務員がよけい取って仕事もしなければいろいろな問題が起こります。しかし、地方自治体が、いまだんだんと住民の自治意識が高まってきております。だから、この間東京都の都議会ですか、交際費がよけい出ているといって、とうとう議長から副議長、事務局長、全部やめましたね。ああいうふうに問題があれば一般都民の批判というもは非常に強くなる。だから給与問題でも、住民は、非常にたくさん取っておるといって、それに伴った仕事がなければ、地方自治体のほうでも、職員の仕事のあり方あるいは給与等についても、住民の自治意識が高まるにつれて私は批判が出ると思うので、あまり給与が高いとか低いとか自治省のほうでそう心配せぬでも、こういう住民の自治意識を高めるようなそういう仕事をどんどん激励するならば、そう給与問題、少々の乱高下がありましても、これはだんだん是正されると思うのです。  そういう点で、私は、いま国家公務員の問題もからめてやったのですが、現在の地方公務員の給与、あるいは国家公務員も同じでございますけれども、とにかく給与に対しては一定の水準を確保して、先ほど、今度の地方自治体でのいろいろな節約の問題が出ておりましたが、これも同様にからむのですけれども、このほうは他の同僚委員が話されましたので、私は触れませんけれども、それと同様に、給与問題もある程度の今日の過渡期には、少々の地方地方の異なったあり方があってもいいのじゃないか。それで、その中からいいものを自治省が紹介もし、能率的ないいものをまた地方自治体にも学ばせていく、そうしてこれがだんだん平準化すれば、そこで自然とあまり無理なしに事態は前進するものと思うわけです。そういう点で私は、きょうこの地方公務員の問題をそういう立場から述べたわけなんですが、とにかく自治省も、地方自治体に対するあまりこまかい何といいますか基準を設けたり何かせずに、地方自治体が、地方自治体らしく運用されるという面に重点を置いて私は指導を改めてもらいたい、またそういう方向を大いに重視してもらいたい、こう思うわけです。  以上をもって終わります。
  81. 久次米健太郎

    委員長久次米健太郎君) 本案に対する本日の審査はこの程度にとどめます。  次回の委員会は、来たる十三日、月曜日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十六分散会      —————・—————