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大橋和孝君 特にいま三点をあげて私は
お尋ねをしたんでありますが、やはり
局長のおっしゃいますように、この
就業規則を
適用する上においても
相当考慮をしてやらなきゃならない、もうそうおっしゃるとおりであります。ところが
現地を見てみますとなかなかそうじゃない。結局私はここで第一番目に感じたことは、これはなおったんだから普通と一緒だという
考え方ですね。それはいま
局長も御
指摘になったように、その前に
特別立法があるから、それの
精神をちゃんと反映するように考えていただくならば、運用していただくならばそうはならぬわけでありますね。ところが非常に
会社側はむしろ普通の
就業規則をちらつかせて
休職にする、そうして
あとは二年六ヵ月後には
解雇にこれは
就業規則上なるんだということを打ち出してきて現在悪い
状態にある
人たちが非常に不安な
状態になっておるということはやはりその
精神は没却されていると言わざるを得ぬわけですね。特に私はここで見るのに、
あとからそれについてはいろいろ詳しく
質疑をさしていただきたいと思いますけれ
ども、私が行って実際そういう
人たちを見てきまして、
CO中毒患者というのは
医者の
立場から見ましても、あるいは
症状が固定しているからそういうふうな
治癒認定をした、これはいままで
労災の中でやられていることなんですが、その
症状固定で
認定をしたという範囲以上に、何といいますか、
精神やらあるいは神経やらがおかされているわけです。あるいはまた情緒の不安定だとか、そのときによっていろいろなことが起こってくる、あるいはまた
精神的にも神経的にもいろんな
状態があって、たとえば夫婦の
関係もできないような
状態になっているとか、あるいは時によってはそういう
症状が重くなったり、軽くなったりするとか、あるいはあの人は
運動はできるけれ
ども、考えることはゼロだ、こういうふうなものがいろいろあるわけです。こういうものが、
症状が固定したら、それは
治癒認定という問題もありますけれ
ども、そういうものを含んだら、やはり
CO中毒患者の普通の何といいますか、
状態よりは違うわけですね。それをすぐ
就業規則を引き出すとか、あるいはまた時間がどうだとかやるところに私は非常に問題があるし、いわゆる
経営者がそういうふうなところに持っていくことを、やはり
CO特別立法の
立場からどうチェックするか、こういうことはやはりおりに触れ、時に触れて私はやってもらわなければいかぬ問題だ。特に九年もたって、ずっとその間にはずいぶん
委員会でも無理を言いまして、いろいろ了解をしてもらって、いろいろ取りつけた
経過も私は初めから十分知っているから、ここで申し上げるときにも、そういうことを踏んまえながら、やはりああいう
状態はかわいそうではないか、何のためにあのときに
CO特別立法をこしらえてもらったか、あるいはわれわれも要求してつくったか、こういうことを考えてみましても、やはりそういう
精神は、どこまでも生かしてもらわなければ、あの
特別立法というものを知らぬ間にくずしてしまって、
形骸化さしてしまうということになっては、私は非常に大きな問題ではないかと思います。そういう点で総括的に、やっぱり
CO立法をどうしても具現するためには、相当やはり
労働省のほうで力を入れてもらって、
指導してもらわないと、
会社側にはやはり
企業のあれもありますから、当然そういう方向に進んでいくであろう、そうするとやはり弱いところの
被災者が非常に苦しい目に置かれる、そういう現況を見てまいりまして、私はこれは
ほんとうにたいへんだというふうに思いました。ですから、いまも申しましたように、これに対しては、ひとつ
大臣も
政務次官もお見えになっておりませんから、こういう議論は、
大臣なり
政務次官にきっちりやってもらわなければいかぬと思っているのでございますが、特に
局長さんのほうから
大臣のほうに対して、こういう法の
精神を生かすためにどう
指導するか、どうやっていくかということを、具体的にひとつ考えていただきたい。
これについてこの法をつくったときを振り返って考えてみるならば、いまごろこんなことを議論するのは、そのときの、
立法当時のことを思い出しますと、非常に私は残念に思います。それがどんどんどんどんと行なわれて、
労働省の
指導によって、
被災者がまあま
あという、満点でなくてもまあま
あという
状態に置かれていれば私はあたりまえだと考えるわけですが、私
どもが見ても、
——どういうところがどうだといわれれば全部
指摘します。全部見てきました。そういう点から見ていきますと、
ほんとうに法の
精神というものが踏みにじられてしまっているといっても言い過ぎじゃないと思います。ですから、これはひとつ
労働行政の中で
大臣にもきびしく言っていただくように、この
状況をひとつお伝え願いたい、こういうふうに思うわけです。
それから次に、
万田の
回復訓練所の
状況について申し上げて、特に
労災補償法によるところの
治癒認定にかかわることですが、この
職能訓練中の者及び
終了者は、
治癒認定の
措置にもかかわらず、まだ通常の能力を
回復していない。これが第一点であります。
——ですから、
治癒認定は受けているけれ
ども、なかなかまだそれだけでは、たとえば、
訓練を受けたから正常のあれができるかといえば、私はできないと思うんです。
本人たちは働く意欲はありますけれ
ども、やはり見てみますと、
先ほどちょっと話したように、たとえばピンポンやバトミントンをやっております。
運動をやっておりますが、
運動をやっておるところを見たら、どこが悪いかと思われるような方です。ちょっと話してみたら
記憶がないし、あるいはまた
状況によっては情緒的にも不安定さが出てきて、家族の中にいろんなトラブルがある。あるいはまた、われわれがそれを見ておりましても、手足をふるわしておる、こういうような形で、これを見てみまして、なかなかこれが一年間で
職能訓練、
回復訓練をやって、それが
目的どおりになって、そして
一般の人と同じように働けるかどうか、私は非常に問題があると思います。そういう点を見ましたときに、やはり
回復をしていないものでありますから、これに対してどうするかということも考えていただかなければならぬと思います。
それから、
治癒認定者の中から
症状が悪化したり、
再発をしたり、あるいはまた
肺ガンだとか、あるいはまた
死亡者がふえる、あるいはまた胃ガンも
肝臓ガンも
発生者が非常に目立っている。何人かのうちに何人という人の数も私は聞いてまいりましたが、パーセンテージからいったら非常に多いわけですね。医学的にどういう
関係があるかないかそれは別としまして、そういうふうな
状態があるのでありますから、この
労災補償法におけるところの
治癒認定というものの不十分さ、欠陥さというものが明らかになっているんじゃないか。中にはもう一ぺん
再発を
申請をしている人もたくさんある、こういう
状態でありますからして、
あすこの中でいわゆる
治癒認定そのものに対して私はもう一ぺん考え直してもらわなければいかぬのじゃないか。いま
局長さんの
お話にもありましたように、月に一回ですか何かの
健康診断ということがあるようでございますけれ
ども、私はもっとそれを綿密にやる必要があるんじゃないか。こういう
状態でやはり
本人たちが少し
精神的にも神経的にも
変化があるとすると、普通の人のようにまともな訴えができないかもしれませんけれ
ども、そういう
観点から申しますとこういう問題が非常に起こってくるのではないかというふうに思います。特に
CO中毒による後遺症は
記憶の
喪失から
先ほど申しておるように性格の
変化あるいは情感の
喪失、
機能障害等をはじめとする内部的な
疾患、
精神的な
疾患を主体としておりますから、現行の
労災補償法における
認定は、おもに
内部疾患的な
基準が
中心になっておりますから、いま申したような
内部疾患、
精神疾患にかかわる
認定に対しては、きわめて私は不十分のように思うわけであります。こういう
状態に置かれておりますところの
CO中毒患者、特にいま
あすこで
訓練を受けている
人たちは、
治癒と断定するのには医学的にも不確定の
要素がたくさん残っているんじゃないか。また
余病の
併発それから
再発あるいはまた
死亡という危険がおそらく一生の
間CO患者については続いていくものであろうから、逆に言うならば
長期療養あるいはまたリハビリテーション、あるいは
経過観察あるいは
休業等のこういうことがある程度つきまとってくるんじゃないかと思います。ですから、そういうことを考えてみますと、
状況の
変化に応じて、逐次制度的にやっぱり疑わしいのは
補償するというくらいの
観点、
——いまの
公害の
被災者に関するような
考え方を
適用してもらって、そういう
観点に戻って、そういう
状態に対応していかないと、とてもうまくいかぬのじゃないかというふうに思うわけです。ですから、いまやられているような健康の
調査、
検査、そういうものではとても不十分だというふうに思うわけですが、こういうものについてもう少しこの点で、いま申したように疑わしいのは
補償するくらいの形でやっていただきたい。そういうところにまで突き進めないと、この
CO中毒患者に対してはやはり大きな抜け穴ができてくるんじゃないかと思います。ご存じのように、
公害はこのごろ無
過失賠償責任までやかましくいわれておりますから、当然疑わしいものに対しても
補償されているわけでありますから、いままでの
考え方でなく、
公害病あるいはまた
公害の
被災者というものに対して、そういうふうなところまでいっておりますから、特に
公害なんかとは違いまして、
COなんかは
企業に全
責任があるわけでありますから、もう少しそれは丁重に取り扱うべきじゃないかというようなことから考えますと、非常に冷酷過ぎるんじゃないかというふうに思いますけれ
ども、そういう点をひとつ踏んまえて、その辺のところの御
意見を伺いたいと思います。