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1972-11-07 第70回国会 衆議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十一月七日(火曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 坪川 信三君    理事 小澤 太郎君 理事 久野 忠治君    理事 倉成  正君 理事 小平 久雄君    理事 田中 正巳君 理事 阪上安太郎君    理事 辻原 弘市君 理事 鈴切 康雄君    理事 小平  忠君       相川 勝六君    荒木萬壽夫君       江崎 真澄君    小川 半次君       大坪 保雄君    大野 市郎君       北澤 直吉君    草野一郎平君       瀬戸山三男君    田中 龍夫君       辻  寛一君    中野 四郎君       中村 弘海君    瀬尾 弘吉君       西村 直己君    根本龍太郎君       野田 卯一君    浜田 幸一君       藤田 義光君    松浦周太郎君       森田重次郎君    山村治郎君       綿貫 民輔君    安宅 常彦君       石橋 政嗣君    小林  進君       楢崎弥之助君    西宮  弘君       原   茂君    細谷 治嘉君       安井 吉典君    有島 重武君       小濱 新次君    二見 伸明君       正木 良明君    西田 八郎君       和田 春生君    谷口善太郎君       松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  田中 角榮君         国 務 大 臣 三木 武夫君         法 務 大 臣 郡  祐一君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 植木庚子郎君         文 部 大 臣 稻葉  修君         厚 生 大 臣 塩見 俊二君         農 林 大 臣 足立 篤郎君         通商産業大臣         科学技術庁長官 中曽根康弘君         郵 政 大 臣 三池  信君         労 働 大 臣 田村  元君         建 設 大 臣         国家公安委員会         委員長     木村 武雄君         自 治 大 臣         北海道開発庁長         官       福田  一君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      二階堂 進君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      本名  武君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      濱野 清吾君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増原 恵吉君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      有田 喜一君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小山 長規君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房審議室長   亘理  彰君         総理府人事局長 宮崎 清文君         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         宮内庁次長   瓜生 順良君         防衛庁参事官  大西誠一郎君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       田代 一正君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁経理局長 小田村四郎君         防衛庁装備局長 黒部  穣君         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         経済企画庁国民         生活局長    小島 英敏君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         経済企画庁調査         局長      宮崎  勇君         科学技術庁長官         官房長     進   淳君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         科学技術庁原子         力局長     成田 壽治君         沖繩開発庁振興         局長      渥美 謙二君         外務省アジア局         長       吉田 健三君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省欧亜局長 大和田 渉君         外務省条約局長 高島 益郎君         大蔵省主計局長 相澤 英之君         大蔵省主税局長 高木 文雄君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省管理局長 安嶋  彌君         厚生省年金局長 横田 陽吉君         社会保険庁年金         保険部長    八木 哲夫君         農林大臣官房長 三善 信二君         農林省農林経済         局長      内村 良英君         農林省農政局長 荒勝  巖君         農林省農地局長 小沼  勇君         農林省蚕糸園芸         局長      池田 正範君         食糧庁長官   中野 和仁君         水産庁長官   太田 康二君         通商産業省重工         業局長     山形 栄治君         通商産業省公益         事業局長    井上  保君         運輸省海運局長 佐原  亨君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省船員局長 丸居 幹一君         運輸省港湾局長 岡部  保君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君         労働省労働基準         局長      渡邊 健二君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省道路局長 高橋国一郎君         自治省行政局長 皆川 迪夫君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         会計検査院長  白木 康進君         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ―――――――――――――委員の異動 十一月七日  辞任         補欠選任   愛知 揆一君     浜田 幸一君   赤澤 正道君     山村治郎君   奥野 誠亮君     中村 弘海君   川崎 秀二君     綿貫 民輔君   細谷 治嘉君     石橋 政嗣君   田中 昭二君     小濱 新次君   正木 良明君     二見 伸明君   佐々木良作君     西田 八郎君 同日  辞任         補欠選任   中村 弘海君     奥野 誠亮君   浜田 幸一君     愛知 揆一君   山村治郎君     赤澤 正道君   綿貫 民輔君     川崎 秀二君   石橋 政嗣君     細谷 治嘉君   小濱 新次君     田中 昭二君   二見 伸明君     正木 良明君     ――――――――――――― 十一月六日  昭和四十八年度予算編成に関する陳情書  (第九八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計補正予算(第1号)  昭和四十七年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和四十七年度政府関係機関補正予算(機第1  号)      ――――◇―――――
  2. 坪川信三

    坪川委員長 これより会議開きます。  昭和四十七年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十七年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十七年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。和田春生君。
  3. 和田春生

    和田(春)委員 本日は、当面の問題に関して具体的な点を取り上げて、田中内閣政治姿勢、あるいはそれに対応する具体的対策というものをただしたいと考えておりますが、よくいわれておりますように、その国の選挙制度あり方政治の形をきめる、こういうふうにいわれておるわけであります。ところで、最近、日本選挙制度の中にいろいろな問題がたくさんありますけれども、とりわけ有権者議員定数アンバランスということが、非常に大きな問題になってきているわけでございます。この点については、私自身毎国会予算委員会等で追及をしてきたわけでございますが、そのつど総理をはじめ各大臣は、至急に是正しなければならない必要性は認める、アンバランスは不都合であるという趣旨の意見を表明しながら、一向にこれが改善の具体策がとられておりません。むしろ選挙制度関係審議機関結論を待ってというふうに、これを隠れみのに利用いたしまして、政府は具体的な定数アンバランス是正についてその仕事をサボってきたと言っても過言ではないわけであります。  後ほど具体的な数字をあげましていろいろとお伺いをいたしたいと思いますが、まず最初に田中総理に、現在の定数のはなはだしいアンバランスというものが日本議会政治をゆがめているかいないか、そういう点について所見をお伺いいたしたいと思います。
  4. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 定数アンバランスがあることは御指摘のとおりでございますが、そのアンバランスそのものによって民主政治がゆがめられておるかどうかという問題は、問題をお問いになるとさだかにお答えはできないわけでございます。定数是正ということがある意味で必要であるということは、これはよくわかりますが、各国にも例のあることでございまして、これは選挙制度区制、総定数、一切の問題と関係があるわけでございます。いまの中選挙制度というのは明治から非常に長いこと九〇%以上、九十何%も現行制度でございますが、定数は戦後の人口移動都市への集中という現象から起こったアンバランスでございます。そういう意味選挙制度審議会で御審議をいただいておるわけでありますが、これが簡単にきまるものであるならば、これはもっと簡単にきまっていると思うのです。しかしこれは各国でもいろいろな問題がございますとおり非常に検討を要する問題であるということで、その結論を得ないまま今日になっておるわけでございますから、御質問に真正面からお答えにならないかもわかりませんが、しかし、いまのままでいいとは思いませんので、いずれしかるべく是正はされなければならない、こう考えます。
  5. 和田春生

    和田(春)委員 いまの総理の御答弁、たいへん歯切れが悪いわけですけれども、たとえば現在自民党は、その後欠けた議員の方々もおられるために三百議席を割っておりますけれども、前回総選挙の直後におきまして三百二の議席を占めておりまして、国会内の絶対多数が自民党によって占められておったわけであります。近く解散、総選挙が行なわれるわけでありまして、そのときに自民党が過半数を割れば、これはまた話は別になってまいりますけれども、現在のところでは、その絶対多数というものができ上がっている。総理は、別に定数アンバランスそのもの民主政治をゆがめているというふうには即断はできないというような意味のことを話されたわけですけれども、ここに具体的な数字があるわけです。  最近の調査によりますと、衆議院議員一人当たり有権者数は十五万百五十八人という形になっておるわけです、小数点以下の扱い方によって一人ぐらいは違いますけれども。そこで、三分の一偏差プラスマイナス、こういう形で議員一人当たり有権者数をはじき出しますと、プラスのほうでは、つまり多いほうでは二十万二百十一人、マイナス、少ないほうでは十万百五人、こういう勘定になるわけであります。その三分の一偏差プラス以上、つまり上下開きが倍よりも多く開くという上のほうと下のほう、こういう点をとってみまして、有権者議員数というものを考えてみますと、議員一人当たり二十万二百十一人以上の選挙区が全国で十九ある。その定数は七十五人であります。その中で、自民党当選者は三十三人であります。当選率四四%という形になっているわけであります。ところが、一人当たり有権者数十万百五人未満、ここでは選挙区が十七ある。定数は六十二人で、自民党当選者は四十四人、七一%の一当選率を出しているわけであります。しかも、いま言った三分の一偏差プラスいたしまして、それをオーバーする選挙区の有権者は、驚くなかれ二千三万七千百三十五人ある。議員一人当たり有権者十万百五人以下の選挙区では、有権者総数がわずかの五百八十三万八千六百四十八人である。二千万をこえる有権者を代表する議員の数が七十五人、五百八十万そこそこの有権者を代表する議員数が六十二人、これは非常に大きなアンバランスになっているわけです。  さらに五分の一偏差で、つまり有権者全体の比率によって三つに定数を割る。そうすると、一人当たり十八万百九十人以上の選挙区は二十七ある。ここの有権者数は二千五百九十六万八千九百九十九人、約二千六百万人ある。それを代表する議員の数が百六人です。よく聞いておいてください。そして五分の一偏差マイナス議員一人当たり有権者十二万百二十六人未満選挙区は四十八。そこの有権者は千九百四十一万人。それを代表する議員は百八十五人になる。二千六百万を代表する議員が百六人で、千九百万を代表する議員数が百八十五人だ、こういう形になっている。  そして、この三分位でそれぞれ見ますと、一番多い三分位のところでは自民党当選者は四十八人、当選率四五%、中間において二百人中百十七人、五八%、一番少ないところで百八十五人の定員自民党当選者百三十七人、七四%の当選率を出しておる。そういうものを総合して結果的に四百九十一人中三百二人、六二%、三分の二近い議席を占めているという形になっている。ある意味でいけば、現在の自民党の三百という絶対多数は、こういう定数アンバランスの上に成り立っているということが、具体的な事実の上からはっきり言えると思うのです。もし現在と同じ当選率であるとして、定数を、ぴったり平均数ではいきませんけれども、少なくとも上下開き倍程度是正をするとするならば、いまの自民党の絶対多数という基礎は、当選率がかりに同じであるとしても、かなり大きくくずれざるを得ない。  そういう点を考えますと、いまの議会の構成の分野というものは、有権者意思というものを正しく反映をしておらぬ。もちろん、選挙には投票方法定員選挙の仕組みも、いろいろあると思う。こういう点を考えた場合に、党利党略から離れて、やはり有権者の意向というものを完全にではなくても、ほぼ正確に反映するような議員定数にしないと、国民意思を正確に民主政治の上に反映することは私はできないと思うのです。明文規定にはないかもわからないが、こういう形では実質的には憲法違反だと言ってもいい。国民の、有権者の権利に重みがあるわけです。特に、議員一人当たり有権者が一番多いところでは三十九万二千三百七十九人、一番少ないところではわずかの七万九千二百十七人、結局人口の多いところの国民の一票の重みは、少ないところの人の五分の一しかない。こういう問題はすみやかに私は是正すべきだと思います。もちろん解散、総選挙が目前に予定されているいま、ここで直ちに法律改正を提案しろというような、できない相談を持ちかける気持ちはございませんけれども、次の総選挙において結果がどうなるかわかりません。自民党田中さんの内閣がそのまま続くかどうかはやってみなくちゃわからぬわけです。しかし、少なくとも現職の総理大臣として、与党総裁として、こういう事実を前にして、もう少し主権者たる国民意思を尊重するという意味で、明確な意思を表示をしていただきたいと思います。田中総理所見をお伺いしたい。
  6. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 政府がものを申し上げておりますとおり、いま選挙制度審議会で御審議をいただいておりますし、いま答申に対して取りまとめをお願いしておる段階でございます。なぜこのように、長い問題でありながらこの定数問題が片づかないかというのは、先ほど述べたとおり、総定員の問題とか、選挙制度の問題とか、いろいろの問題とかみ合っておるからでございます。いまの選挙制度そのものはもう八十年も続いておるわけでございますし、その中で、制度そのものは中選挙制度というものがその大半を占めておりますから、日本の実情に合う一つの、もう定着をしたものだと言ってもいいと思います。  その中で、定数アンバランスは戦後の人口移動という特別な事由に基づいて起こっておる現象でございますが、これをただあなたの言うとおり、全く四・八倍、五倍近いところもあるのですから、一対五で一体いいのかということを指摘されれば、それでいいとは思いませんから、是正は必要だと思います、こう申し上げております。しかし、これは各国でも議論されておりますとおり、非常にむずかしい問題であるということも、学問的にも御承知いただけると思うのです。これは選挙民を頭からずっととってくる選挙方法ではなく、地域の利益代表という制度も加味されておることは当然でございます。だから、選挙民定数にそのまま比例をしておる制度をとっておるのは、イギリスなどはそうでございますが、その後いろいろな欠陥も生じておるわけでありまして、そういう欠陥から考えてみて、地方の特色を生かすにはどうするか、国土の面積や将来の状態を加味するにはどうするかということも、議論をされておることも事実でございまして、どうもそう簡単に、数字だけでもって割り切るというわけにいかないのです。  ですから、東京の人と比べて北海道のある区は、人間が三分の一なのか五分の一なのかという単純な理論ではいかないわけであります。ですから、これは国民生活そのものを考えておりますと、いまの北海道とか東北は非常に有権者は少ないのですが、現実的には寄留をして都会へ出ておるというような人もたくさんございまして、実質的には生活の本拠は都会であっても、心の中で、やはり人生を通じてほとんどがその出生地であるというような面もございまして、なかなかこれは、われわれがただ、いますぐ結論を出せる問題ではないわけでございます。特に、政府がやると、自分の好きなようにやったということも言われるおそれもありますから、これはやはり学識経験者の御意見の決定を待つということで、もうしばらくかすに時をもってしていただきたい。
  7. 和田春生

    和田(春)委員 いろいろむずかしい問題があるから、簡単にはいかないという総理お答えですけれども、やればやる機会が幾らでもあったのに、選挙制度審議会からも参議院の定数是正衆議院定数是正等答申が出て、意見が具申されているにかかわらず、やらずにほうってきたのは、いままでの自民党歴代内閣ではないですか。国会ではやらなくてはならぬ、こういう意思を表示しながら、実際にやってきていない。  そこで、もう少し具体的な例を引きたいと思うのですけれども、たとえば、これは私の選挙区のことを言って恐縮ですが、これは日本一のマンモス選挙区、有権者が百八十三万六千人おる。定数わずか五人です。ところが、田中総理、あなたの住んでいらっしゃる新潟県は、有権者が百六十二万四千人、二十万人少ないけれども、十五人議員定数があるわけです。それから茨城県、これは橋本幹事長のいらっしゃる選挙区、有権者百五十万九千人、議員定数十二名。群馬県は、総理総裁の座を争われた福田さん、中曽根さんもいらっしゃるが、百十六万人、定数十人。鹿児島県、そこにいらっしゃる二階堂官房長官選挙区でありますが、有権者百六万三千人で十人。徳島県、三木総理選挙区で、有権者五十六万五千人で五人の定数。どうも与党実力者の方は、言うなれば過疎県を代表している。悪口を言う評論家に言わせると、現在の内閣実力者与党実力者は二・三区型政治家である。一区というのは大体県庁の所在地で、非常に人口がふえる、二区、三区というのは非常に人口の少ないところだというようなことも言う人がおるわけです。これは私が言っているわけではありませんけれども……。  そういうようなことがいろいろ関係をして、どうもこういう具体的な改正に勇気をお持ちではないのではないかという気がするわけです。数字だけでは簡単に割り切れぬとおっしゃいます。そのとおりです。私も、有権者に完全に比例しておれとは言ってません。少なくとも、多いところと少ないところの差が倍くらいはしかたないだろう。倍くらいにしてみても、先ほど数字をあげたように、あんなに大きなひずみがあるということを言っているわけです。  そこで総理は、数字だけでは簡単にいかないということをおっしゃいましたので、これは担当大臣にお伺いをいたしたいと思うのですけれども、いまの衆議院定数の根拠はどういうふうになっているのでしょうか、自治大臣
  8. 福田一

    福田国務大臣 一応、過去の定数実績というものを、その後一、二変えたことはございますけれども、大体中選挙区制をとりましたときの数を基準にして、そして今日までそれを基礎にしてやってまいっておると思っております。
  9. 和田春生

    和田(春)委員 自治大臣、よく御存じがなければ申し上げたいと思うのですけれども、現在の中選挙制は大正十四年の法律第四十七号です。大正十四年です。そして一区は三人から五人までの中選挙区。その場合に、総理は先ほど、人数ばかりで割り切るわけにいかぬとおっしゃいましたけれども、人口十三万人程度につき議員一人、選挙区百二十二、議員総数四面六十六と定められたのが、そもそも現在の中選挙区の出発でございます。  戦後、戦争中にも疎開をいたしました。そこで、昭和二十二年に法律の第四十三号によって改正をされ、選挙区が百十七、議員定数は同様四百六十六。そのときにもいろいろ議論がございましたが、議事録を調べてみますと、現在は議員一人につき十七万程度に変化をしておるけれども、当分これでいこう、こういうことにされております。しかも、御承知のようにこの選挙定員については、五年ごとの国勢調査の結果によって是正することを例とする、つまり、それが普通のあり方である、こういうふうにきめられているにかかわらず、人口急増地区東京の一区、五区、六区について新しく八、九、十区を設けた、名古屋の一区に六区を設けた、大阪の一区に六区を設けた、わずかにそれだけのことが部分的に改正をされ、その後沖繩の五人をプラスして四百九十一人になったという経緯なのです。  そうすると、総理は先ほど、数字だけでは割り切れないと言うけれども、そもそもこれが出発したときに、一つ選挙区の定数を三人ないし五人にする、この制度がいいか悪いかは別ですが、しかし、大正十四年以来この制度でやってきた。選挙制度改正のものは一応おきますけれども、やはり人口割り、こういうことを基準にして定数をはじき出している。そして戦後に定数是正した。ところが、それは疎開によって地方にいっぱいおって、東京のまん中なんかまだ焼け野原のときにきめたわけなんですね。田中総理の列島改造論の一つの根拠にもなっておりますけれども、国土の一%のところに三〇%の人口が集中してきているというふうな変化が起きた。列島改造で変えるかどうかはあとからただしますけれども、現状を前提にした場合に一番問題があるのは、過疎県もあるけれども、この過密地域に問題があるのじゃないですか。人間がたくさんおる。税金は一ぱい払っておる。見返りは非常に少ない。そういう場合に、数だけで割り切れと言っているのではないけれども、こういうアンバランスはすみやかに是正するということでなければ、私は、主権者たる国民意思議会に民主的に反映することはできないと思うのです。  そこで、自治大臣にもう一度、そういう選挙制度の淵源にさかのぼって、いまの制度というものが合理的か不合理か、担当大臣として所見をただしたいと思います。
  10. 福田一

    福田国務大臣 お説のように、アンバランスができておることは事実でございます。そこで、いままでにも一、二定数是正をいたしたことがありますし、現在また非常なアンバランスができておりますので、何とか定数是正を考えなければいけないのではないかという意見があることも、十分承知をいたしておるところでございます。  したがいまして、将来においてはそういう問題を取り上げて、定数是正の問題も考えなければならない時期が——時期といいますか、いまは、先ほど仰せになったようにその時期としては適当ではございませんけれども、将来はそういうことも考えなければならない。しかし、先ほど総理もお話がございましたように、選挙制度審議会におきまして、選挙制度自体のあり方、もちろんそういう定数の問題等も含めて、いまの分では少ないから、もう少し全体として増加してはどうかというようなこともこれあり、そういう問題を諮問をいたしておる段階でございます。したがいまして、その結果等を見まして、われわれとしては、いま御意見がございました定数是正の問題を選挙制度自体の問題と関連しながら考えていく必要がある。もちろん、事態が選挙制度を変えられない場合でも、定数是正の問題を切り離して考えるということも、われわれとしては考えなければならない問題の一つである、こういうふうに考えているわけでございます。
  11. 和田春生

    和田(春)委員 確かに選挙の仕組みは、自治大臣もおっしゃるように定数だけではありません。あるいは中選挙区がいいのか小選挙がいいのか、比例代表制か両制度のかみ合わせかと、いろいろな議論があると思います。しかし、それができないからといって、定数是正をそれに籍旧して延ばすということは、私は許されないと思う、多少のアンバランスはいいけれども。そうすれば、結局何もかも悪い問題をひっくるめて先へ延ばすことになるわけであります。  また、議員定数にしても、日本国会議員定数をふやすことは困るという意見も一方にあります。しかし、決して私は多過ぎるとは思いません。現にイギリス下院の議員定数は六百三十人と定められている。人口約五千五百万人。西ドイツ連邦議会議員定数は四百九十六人、人口が約五千八百万。これは六七年人口、ちょっと資料が古いのですが、約六千万。フランス下院が四百八十二人、人口約五千万。イタリア下院は六百三十人、人口は約五千五百万。こういう形でありますから、一億の人口を持つ日本議員定数四百九十一人というものは、国際的に比べてみて決して多過ぎるものではないと思うのです。ふやすことにちゅうちょする必要はないと思う。いたずらに国民の負担をふやすことは困りますけれども、人口がふえているわけですから、より正確に民意を反映するというためには、無制限にはいきませんけれども、ある程度ふやすことを考えても、私は差しつかえないと思うのです。  そういう点で、選挙制度改正の問題はいろいろありますけれども、なかなかこれは利害がからんでうまくいかないという面もあろうかと思います。同時に、選挙が近づいてきますと、これは議員心理というものがありますから、各党のやはりかけ引きもありますから、残念なことですけれども、国会でそうスムーズに議論ができない。  そこで、田中総理にお伺いをします。今度の選挙の結果はどうなるかわかりませんけれども、かりに、選挙の結果田中内閣が続いたとした場合——私たちは御退陣願おうと思っているわけですが、それはまあ選挙の問題ですから別でありますが、続いた場合に、この選挙の済んだ直後から、選挙制度審議会審議も促進されるでしょうが、政府として積極的に、むしろそういうものを是正するということに取り組む、また与党の第一党の総裁として、こういう問題について責任をもって早目にきちんとやっておく、そして次の選挙のときに、選挙まぎわにこういう議論をしなくても済むようにやる、そういう努力をお約束願えるでしょうか。
  12. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 選挙後ではなく、現に諮問をいたしておるわけでございます。それで、現在選挙制度審議会では取りまとめの状況に入っておるわけでございますから、この答申を待ちたい。これはもう政府が当然の政治姿勢としなければならないことを御理解賜わりたい。  それから選挙区制の問題、総定員の問題、いろいろな問題はございますけれども、定数アンバランスがあることは私も理解をいたしておりますし、アンバランスを何らかの是正をしなければならないということも承知をいたしておりますので、答申を待って処置をいたしたいということで御理解を賜わりたい。
  13. 和田春生

    和田(春)委員 いま諮問をしているということをお伺いしているわけじゃない。いままで何度も諮問をしている。選挙制度審議会から、たとえば参議院の定数是正についてもちゃんと答申があったのです。佐藤総理は、そういうものを答申を待って処置したいとおっしゃった。自民党内閣、結局それはたな上げになった。だから、選挙制度審議会に諮問をするということをお伺いしているのじゃなくて、審議を促進すると同時に、そういう点についてはいままでも答えが出ているわけですが、また新しい答えが出るでしょう。直ちに取り上げて政府としても取り組む、与党としても取り組むという姿勢があるかどうかという、政府並びに与党の姿勢について、総理総裁である田中総理にお伺いしているわけです。
  14. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 定数問題を含めて審議会に諮問をしておるわけでございますが、諮問だけではなく、自民党としても政府としても、十分定数の問題に対しては勉強をしてまいります。
  15. 和田春生

    和田(春)委員 どうもなかなかあいまいで、決断と実行の田中総理らしく、やると言われないところには非常に不満な点がございますけれども、この問題ばかりであまり時間を費やしても他の問題に進めませんので、次の問題に移りたいと思います。  そこで私が伺いたいのは、総裁選挙に臨む、国民に対する公約のようにお出しになった総理の列島改造論、さらに衆参両院における代表質問並びに本委員会におきます質問に対しましても、列島改造論を振りかざしまして、それによっていろいろな問題を解決するということを総理はおっしゃっているわけです。いままで取り上げられた問題との重複は避けたいと思いますが、昭和四十七年度の年次経済報告、いわゆる経済白書が出ているわけであります。これは、ことしの八月一日、田中内閣が成立後発表された政府の文書でございますけれども、この三〇八ページから三〇九ページにかけて、「成長と福祉の乖離を経済の動きに即してみると、次の三点が指摘できよう。」こういうふうに表現をされてありまして、ここにはたいへんいいことが書いてありました。われわれ民社党が言い続けてきたことと同じようなことが活字になって書いてあるわけであります。これは総理として御承知だと思います。  ところが一方、総裁選挙の前に、当時はまだ総理ではございませんでしたが、田中さんから贈呈をいただきました列島改造論を当時読ましていただきましたけれども、この成長と福祉の乖離という問題に関する触れ合いというものは、ほとんどないように考えられる。どうも全体の論調を通してみると、ここの経済白書に指摘されていることと総理のお書きになっている日本列島改造論との間に乖離があるように思うのです、成長と福祉の乖離ではなくて。この点について、列島改造論をお書きになったときに、一体この経済白書に指摘されている成長と福祉の乖離の三点について、総理の意識の中に十分にあってお書きになったものかどうかをまずお聞きをいたしまして、あとの質問を続けたいと思います。
  16. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 白書の中の乖離三項目は、その当時はまだできておらない白書でございますから、それと合うように列島改造を書いたわけではありません。東海道というのはいま壁にぶつかっております。一つの転換期を求められておる事態に対処して、この事態を解明するときに、列島改造ということを行なうことによって、新しい処方せんを書くことによってまだまだ日本の成長は伸びる、また、成長が伸びるだけではなく、成長を前提として、不十分であった生活環境の整備、社会福祉の充実への計画的な進歩を遂げなければならない、また、それは遂げ得ると、こう書いたのでございまして、この白書の中の三項目とは相反するものでは全然なく、精神的にも根本的な考え方としては全く同じものである、こう考えていただきたいと思います。
  17. 和田春生

    和田(春)委員 いま総理からそういうお答えがございましたけれども、この経済白書を全部読むのは省略をいたしたいと思いますけれども、総理も、また閣僚の各位も御承知のように、成長と福祉が乖離をしてきたということは、一体どこに原因があるのかということについて、「第一は、市場メカニズムそのものの限界である。」ということを指摘しているわけです。つまり、市場メカニズムの限界によって、経済は成長しても、そこで元気に活動してもうける機会のある者はいいけれども、そうでない者は取り残されていった。それは自動的に救済されるわけではない。結局、「福祉向上の観点からみると資源配分の面でも所得分配の面でも、市場メカニズムには限界のあることを認識する必要がある。」と、こういうふうに第一で結んでいる。第二には、わが国の経済成長や社会的変化があまりに急速に進んだために、その市場メカニズムの限界が特に露呈されやすくなった。そうして、「生活環境の悪化や生活保障の不安定化をもたらした」こういうふうに断定している。第三には、このような市場メカニズムの限界が露呈されているにもかかわらず、政策面からの対応がおくれておった。そこで、「現実には企業活動を活発にし成長を高めようとする各種の政策措置を内包したものであって、資源配分や所得分配も成長との結びつきの強いものとならざるを得なかった。」こういうような「三つの要因は、相互に関連しつつ、わが国における福祉の立遅れを大きなものとし、反成長意識の高まりの実体的な背景となった」と、こういうふうに経済白書は指摘しているわけです。これは全く私はいいことが書いてあると思うのですね。  ところが、本院におきます質疑を通じて総理の御答弁を伺っておりますと、成長が福祉を生むんだ、福祉が成長を生むんだ、そういうふうに非常に強気に、わが党の春日委員長、佐々木書記長等の質問に対してもお答えになっているわけであります。しかし、経済白書が問題にしているのは、成長が福祉を生まなかった。完全に生まなかったとはいっておりませんけれども、福祉との乖離を大きくした、市場メカニズムの限界がある、成長政策というものが市場メカニズムの限界と結びついて、そういうギャップを大きくして、それに対する政策的な対応面がおくれておったということを指摘している。  そういたしますと、列島改造論、こういう形で、これは他の同僚委員からもしばしば指摘されましたけれども、昭和六十年までに、これは一つの想定した数字でありますが、国民総生産では四十五年基準に比べて四・二倍、工業出荷額でも四倍、貨物輸送量も四倍、石油精製四倍、石油化学四倍、こういうようないわゆる成長路線というものを想定して、ほんとうに福祉というものは保障されるかどうだろうか、こういう問題があるわけであります。  そこで、この経済白書が出ない先に改造論をお書きになったということを先ほどおっしゃったわけですけれども、いまこの機会に立ってみれば、根本的にそういう点をもう一ぺん立ちどまって再検討してみる、どうやって国民福祉を実現するかということを、列島改造論にこだわらずに考え直されるお気持ちがあるかどうかをお伺いしたいと思います。
  18. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 列島改造のあるなしにかかわらず、福祉は増進をはかっていかなければならないということは当然でございます。しかし、実際的にこれから内容を充実せしめ、先進工業国の現在の福祉水準より以上なものを、理想的なものをつくろうとすれば、ある程度の成長というものを全然無視して、成長はすべてとまってもいいのだ、福祉はできるのだということではない。成長というものと福祉が調和するところに、新しい、日本的な、理想的な福祉実現への道があるのだ、これは間違いでは絶対ないと思うのです。  ですから、いまの状態で福祉政策を続けるということを考えてみますと、この過度に集中しておる状態の中で、理想的なものをつくるということは、なかなか障害もございます。ですから、福祉というのは制度だけが完ぺきになるということではないわけでございます。生活環境が整備されるということが大前提でなければならないということを考えますと、列島改造論ということを行なえば、より合理的な福祉の実現もはかり得る、こう理解をいたしております。
  19. 和田春生

    和田(春)委員 この問題は、あまりやっておっても抽象的な議論のやりとりになると思いますが、総理の顔の動きを拝見いたしておりますと、列島改造論についても、そのまま強気に押し通すということではなくて、いろいろ考えるところありというふうにうかがえましたので、その程度にいたしておきまして、具体的に列島改造論の中身に関連することでお伺いしたいと思うのです。  やはりこれは総理の公約として出ているわけでございますから、実施をされてくるときにえらい問題を引き起こして、あとで、そんなはずではなかったとなると困るわけです。いままで土地の問題とかあるいは公害の問題とか、そういうことについてはいろいろ出されましたけれども、海の問題が一度もこの列島改造論については出ておらない。わが国は四面海であります。海洋国日本でありまして、海を忘れて日本の生存はないわけで、その面からちょっとお伺いをいたしたいと思うのです。  ところで私は、これは非常に遺憾の意を表明しておきたいのですけれども、前から、きょうは特に列島改造論に関係する日本の国土開発、そういうようなものについては、海運や海の問題を中心にお伺いをするということを通告しているにかかわらず、本日は佐々木運輸大臣がここにおらないわけです。お伺いするところによると、列車事故の現場に行かれたそうでありますけれども、列車事故は、昨日の朝早く、夜中に起きているわけです。ほんとうなら、すぐすっ飛んでいって、夕方ぐらいのこの衆議院委員会には戻ってきて、おれの目で確かめたことはこうだという報告があってしかるべきであるのに、緊急質問があってから行かれるというのは、まことに残念であります。  運輸大臣の答弁すべき点については、それぞれ関係の方から答弁をお願いすることにいたしたいと思うのですけれども、これは三百兆円という国民総生産は一つの見通しであるというふうに書いてありますけれども、それはできるし、それだけの力を持っている。きのうの質疑を通じてみましても、決して架空の数字ではない、これはやろうと思えばできることだ、こういうふうに総理はおっしゃっているわけです。  ところで、この中で膨大する輸送量につきまして、こういうふうにいっているわけです。大体三百兆円経済というものを前提にすると、そのときのわが国の国内の貨物輸送量というものは、大体一兆三千二百億トンキロである、その半分を内航海運に持ってもらう、半分は陸上輸送する、こういうふうにはっきりここに書いてあるわけです。その半分を内航海運で輸送させるということについて、どういうふうにするかという数字がないわけでございますけれども、これはまず最初に、運輸大臣がおりませんから政府委員でよろしゅうございますけれども、四十六年度の内航海運における輸送トンキロ、それからそれの国内輸送に占めるシェアについて説明をしていただきたいと思います。数字をお聞きします。
  20. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 ちょっとここで申し上げておきたいのでございますが、私が列島改造論をものしたときは、まだ内閣の首班ではなかったわけでございまして、個人的な著書でございます。政治家でございますから、長期的展望に立って国民に、みずからの現に逢着しておる現実を直視して、これに対する改革の方策を国民の前に明らかにしなければならないということでございます。それで私は、その後内閣を組織したわけでございますが、私の個人的な著書の前段になるものは、自由民主党という政府与党の党議を経た都市政策という名における政策の決定がございます。それを四、五年たってまたあらためてわかりやすく平明に書いたわけであります。  それで、内閣ができましてからも依然として自由民主党内閣でございますし、自由民主党の政策綱領というものの上に政策が行なわれるということは当然のことでございます。そういう意味で考えてみますと、私が考えた列島改造という方向というものは、これは誤りではないという感じでございます。誤りではない。ただ、具体的な問題というものに対しては、一つのテーマを提供して、これをたたき台にして国民皆さんの英知によってこれを方向づけていただく。具体的な政策は国民的英知を集めて万全を期さなければならないということでありまして、一つのテーマでありまして、この一兆三千二百億トンキロというのは、三百四兆円、三百兆円国民総生産を前提として試算をすればということでございまして、いまこれを確定数字として、運輸省その他がこれに対して政策を持っているということではないわけでありますから、そこはひとつ誤解のないようにしていただきたい。  私が申し上げるのは、現に内国海運の貨物輸送に対するシェアは四〇%でありますので、これを五〇%にしよう、五〇%にしてもあとの残りがまだたいへんである、そのたいへんであるからということを言うためには、海運のシェアをきめないと次の数字が確定しないので、そういう書き方をしたということを理解をいただきたい。
  21. 和田春生

    和田(春)委員 私も、これはいま総理のおっしゃったとおりの読み方をしているわけです。ですから、三百兆円経済というものを是認した上に立ってお聞きするのではなくて、それが一つの、何といいますか、構想であるということを前提にしても、わが国の国民経済あるいは国民生活、そういうものの中における海と海運の位置づけというものについて、一体どれだけ政府が認識を持っていらっしゃるかということを、実はお伺いしたいわけなんです。  そこで、いま総理もおっしゃったように、三百兆円経済ということを前提にすると一兆三千二百億トンキロである、その半分を内航海運に分担してもらう、残り半分を陸でやる、そういうところから、九千キロ以上の新幹線、あるいは一万キロの高速自動車道路、七千五百キロですかのパイプライン、こういう数字がずっと出てきているわけですね。ですから、これが三百兆円が二百兆円経済でも、内航海運で半分を持たせるということがくずれれば、陸上の輸送計画というものも全部狂ってくることになる。  そこで、内航海運がこれだけ持てるかどうかということについていま少し、何も三百兆円経済を絶対とするものではなくてお伺いしたいと思うので、現在における四十六年度の内航海運の輸送実績とシェアを、まずお伺いしているわけです。
  22. 佐原亨

    ○佐原政府委員 お答えいたします。  昭和四十六年度の内航海運が受け持ちましたところの輸送トンキロでございますが、実績から申しますと千二百八十九億トンキロでございます。四十六年度は、景気後退の影響を受けまして、前年度四十五年度よりはこの数字が若干低下しておりますが、一年前の非常に景気がよかった四十五年度の数字から申しますと千四百二十五億トンキロ、シェアから申しますと、丸くしまして約四〇%、こういう数字でございます。
  23. 和田春生

    和田(春)委員 シェアからいけば約四〇%というわけですけれども、運輸省の出した数字によると、四割を切った、三八・八%へと減退したとちゃんと書いてある。四割ないのです。  そこで、かりに総理のおっしゃるような意味で、これが六千六百億トンキロ、こういうふうにふえるという数字を頭に描いていくと、内航海運の輸送量は、四十六年度に比べて五・一二倍運ばなくてはいけない、五倍以上運ばなくてはいけないということになるわけです。  そこで、少し専門的な数字を運輸省にお伺いしたいと思うのですが、四十六年度を一〇〇として、つまり内航海運の輸送量を五〇〇と見た場合に、デッドウエートでいけばこれは比例してきますが、あとの船舶建造と関連がありますので、総トン数で一体どれぐらいふえる、どれぐらいになるとお考えですか。これは見通しの問題でありますから、そうこまかく言っていただかなくてもけっこうです。
  24. 佐原亨

    ○佐原政府委員 四十七年の三月三十一日現在の内航海運の船腹量でございますが、現在、グロストンで申しまして約三百七十万トンございます。これが約五倍ということになります。この場合に、グロストンとデッドウエートの換算率が多少変わってくるかと思いますが、非常に単純に考えますと、これの約五倍の船腹が必要であろうか。ただ、輸送距離その他の修正もございますので、非常に厳密な点につきましてはまだ計算してございませんが、輸送キロがもし変わらないとすればこの五倍の船腹が要る、こういうことでございます。
  25. 和田春生

    和田(春)委員 グロストンでは、単純に考えて約五倍にはならないと私は思うのです。そんなにふえません。通常いままでは、在来船の場合には、大体一グロストンで一・六ないし一・七デッドウエート、こういう換算ですけれども、今日では、グロストンに対してデッドウエートが三倍というような船もできているわけでございますから、グロストンはそこまで伸びないと見ていいと思うのですけれども、私が試算したところによると、輸送距離の問題も含め、あるいは合理化によるスピードアップという問題も考慮に入れまして、大体輸送量を五倍にすると船腹量で約四倍ふやさなくてはいけない。これは貨物船の場合に約四倍になる。それから油送船の場合に約三・六倍、まあそういうような形でふやしていかなくてはいけないと思うんです。  そこで、もう一つ運輸省にお伺いしておきたいのは、これは海運局長でも船員局長でもいいんですが、もしそれだけ船腹がふえたとすると、動かす船員が要るわけです。どれぐらい船員の数が必要になるか、お伺いをしたいと思います。
  26. 丸居幹一

    丸居政府委員 いま、内航海運だけに限って申しますと、約十万人程度の船員がおるわけでございますが、まあ、四倍になったからといって四倍の船員が要るとはいまのところは考えられません。船腹そのものも大きくなっていく、だろうと思いますので、まあそれの二倍半とか三倍ぐらいの船員が必要になるという理屈になるんじゃないかと思います。
  27. 和田春生

    和田(春)委員 これは非常に重要な問題なんですが、外洋を航行する大型タンカーのように、船舶を非常に大型一化して乗り組み員を少なくするということは、内航海運はできないわけです。   〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕 大体見当をつけて言いますと、いまはあいまいな御返事でしたけれども、技術革新で大体二五%ぐらいレスできる。こういうふうに考えてみまして、スピードアップその他を考慮に入れますと、かりに内航船腹量が三倍になる、そうすると、現在三千グロストン未満のいわゆる船員、これは船員法の適用船員でありますけれども、七万九千六百二十九名というふうに運輸省の四十五年四月一日現在の統計に出ております。この数字をかりに使うと、算術計算をすれば約二十四万。しかし、技術革新その他のレスを見ると十八万程度ではないか。四倍になると二十四万程度、五倍になれば三十万人程度の内航海運の船員がなければこれだけの船腹を動かすことは私は不可能だと思う。もっとも飛躍的な技術革新ができて、内航の船舶を全部一ぺんに変えてしまうという形になれば別です。しかし、それは現在の日本の状況から考えられない。一体、それだけの船員を確保する見通しがあるのかどうか、船員局長にお伺いしたいと思う。
  28. 丸居幹一

    丸居政府委員 船員はただいま、外航につきましても内航につきましても余剰ぎみでございますが、先生のおっしゃるとおりに、将来はこれはまた多量に養成しなきゃならぬという事態になると私は思います。  そこで、養成が可能であるかということでございますが、船員の養成教育機関といたしましては、運輸省には海員学校、海技大学、文部省には商船大学、高等商船、水産大学等含めまして、それから民間の養成機関、たとえば船舶職員養成協会、中国船舶職員養成協会、関門海技協会、こういったものを全部寄せて、その養成能力を調べてみますと、小型船分を含めますと現在約八万人ぐらいでございますが、この中の小型船というのは、先生のいまおっしゃっておるものに入らないと思いますので、それを除きますと、フルに動員すれば年間約二万人程度の養成が可能ではないだろうかというふうに思います。  しかし、まあこの中には漁船のほうへ流れるものもございますので、ただいまの養成機関をもってしては、この需要はまかない切れないだろう。さっき申し上げましたような、運輸省所管の養成機関であるとかいったようなものの強化をはかっていく必要はあろうかと思いますが、まあ六十年度まではだいぶまだ余裕もございますので、これらの強化をはかれば、やれぬものではないような気がいたします。
  29. 和田春生

    和田(春)委員 船員局長、全く不勉強だ。そういうことを言っているから、どうにもならぬことになる。養成の問題じゃないのですよ。  現在、日本の海運政策が外航に片寄っておる。内航はほとんどやりっぱなしにされている。総理も御存じのとおりですよ。非常に内航事情は苦しい。賃金水準も低い。船の生活をしながら、陸上に比べて労働環境も悪い。そこで、商船大学や商船高等専門学校は関係ないのです、この内航には。それは全部外航に行くのですよ。内航向けに乙種、丙種の免状を持った人、あるいはそういう船員を養成して巣立っていっても、内航にはこれは就職しない。外航に行くわけです。たまたま内航に就職しても、どんどんどんどん外航に引っぱっていかれる。あるいは内航海運の状況に絶望して陸上のほうにどんどん転職をしていく。そういう形で、いまの内航船腹量を維持するにさえ船員不足で、四苦八苦しているというのが内航海運の現状なんです。それを、養成すれば何とかいくだろうなんて、養成の問題じゃないのですよ。内航海運の体質を根本的に改善をする、そういう点に政府がもっと積極的にやらねばいかぬわけなんです。  これは運輸大臣にお伺いしようと思ったのですけれども、運輸大臣はおりません。したがって、どうしても総理ないしは大蔵大臣にお伺いをしなくてはならぬのですが、もし列島改造論の三百兆円経済というものがそのままではないにしても、総理の言われるように成長によって福祉を生み出すんだ、やはりある程度それを進めていかなければいかぬということを頭に置いて考えてみても、いまのような内航海運の現状で置いておいたら、にっちもさっちもいかなくなる。陸上はますます過密になる。貨物の輸送にも渋滞が起きるわけです。しかし、列島改造論の中でも、内航海運に半分を持ってもらうというだけで、ほかではたいへんたくさん数字が出ますけれども、どこをめくっても海運関係数字は出てこない。これでは、海の国として私はうまくいかないと思う。  そういう意味で、ほんとうに国民経済というものをスムーズに考えるという場合に、しかも過密な狭い国土の陸上を考えた場合に、海というものをどうするかということを考えざるを得ない。しかも海洋汚染の問題、交通安全の問題、海岸線を保全するという問題、人類に残されたたった一つの海というものをよりよき環境に守っていこう、海が悪くなれば陸におる人間もだめになる、そうすると、当然海の面においても私は限界が出てくると思う。そうそう船さえふやせればいいというわけじゃありません。現に瀬戸内海でも東京湾でも超過密状態にある。これ以上めちゃめちゃにふやすということにはいろいろ出題がある。  また、港湾を建設するという場合も、外航のようにどこかにシーバースをつくるというわけにいかない。あっちこっちに、内航海運の輸送量をふやそうと思えば、港湾を建設しなければならない。それに対する投資というものは非常にばく大なものが要る、そして限界が出てくるというような形になると、やはり成長が福祉を生むということだけではなしに、いろいろな面から考えて、当然われわれは一定の限界というものを頭に置きながら、その中で日本人がいかに生きていくか、あるいは日本人にとって大切な、かけがえのない海というものをどういうふうにきれいに保っていくか、さらにまた陸の過密を解消するためには、海運に対する政策というものについても、特に内航海運に重点を向けながら、根本的に政府の姿勢を考え直す時期に来ていると思うのです。そういう点について、ひとつ総理の御所見を承りたいと思います。
  30. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 一〇%ずつコンスタントに成長するとすれば三百四兆円になる、その場合の国内の貨物輸送量は一兆三千二百億トンキロになります、こういうふうにやっておりますが、いま御指摘があったように、これが八%経済であっても、六%経済であっても、五%経済であっても、荷物量がふえることは事実でございます。ですから、四〇%の内国海運で運んでおるものを五〇%に上げなければいかぬというのは、最小限の要求なんです。その次のほうの、あと残った六千六百億トンキロはどうして運ぶという段を読んでみると、なるほど海運に重点を置かなければいかぬのだなということがよく理解できると思うのです。  なぜならば、残りの六千六百億トンキロに対しては、現在の国有鉄道が運べる総量は年間六有徳トンキロでありますから、残っているものの六千六百億トンキロは、国鉄の運ぶ力の十一倍残っているわけです。ですから、そのためには、現在の国鉄の幹線を電化をしたり、複線化をしたり、新幹線をやったり、道路輸送をしなければということですが、この道路輸送をするといったらどうなるかというと、二千七百万台も計算上は車が必要になります。二千七百万台に対応する数字は、六十年の交通労働者の限界は三百五十万人でありますから、第一、二千七百万人の運転手が確保できない。ですから、そういうことになると、日本の内国海運ということを本格的に考えざるを得ないと、こう述べておるわけでございますから、これは方向としては絶対間違いないと思うのであります。  ですから、鉄道が遠距離逓減をやっていることなど実におかしいと思うのです。それから遠いところは、海運に助成をしながら海運で荷物を運ぶ。重いもの、遠いところは海運が一番いいはずであります。それから鉄道は中距離輸送になる。貨物は近距離輸送になる。現に西ドイツはそういうことをしております。ですから、トラックに関しては、日本の十倍以上も税金を取っておる。誘導する誘導税制を使っているわけであります。そうしなければ、日本の十三年後といいますが、十年後も、五年後もどうにもならない。もしそれを解決しなければ、コストアップになって物価はウナギ登りに上がるという、事実の数字で出ておるわけでありますから、そういうことを解決するには、やはり内国海運のシェアを五〇%にどうしても上げざるを得ない。そのためには海運助成策というものを相当やらなければいかぬ。  そのためにどうするかというと、今度のトン税に関して、これは自動車の税金ではありますが、鉄道を建設するために、また自動車のターミナルをつくる資金に、海運助成にも使うということでないと、車自身の運行ができなくなる。こういうことでありまして、いままでのような海運策ではなく、いかなる場合でも私は五〇%というのは、海運国日本としては当然とるべきことであって、四〇%が三八%に下がっているというようなことで、日本の国内貨物をさばけるはずはない。だから少なくとも、いかなる状態においても五〇%の貨物は海運でやるんだという前提をつくって、それに対応するような組織をつくり、制度をつくっていく、こういうことだと思います。
  31. 和田春生

    和田(春)委員 この問題については、たいへん明確な総理の御答弁を得たわけですけれども、税制の問題等はこれは別にしておきまして、やはり列島改造のあるなしにかかわらず、海運において少なくとも五〇%の輸送シェアというものを持たないと、日本の場合にはうまくいかない。しかも、長距離ほど海運に有利である。そういう意味で、五〇%のシェアを確保するために海運政策を抜本的に考えなくてはいけないという明言を得たわけでございまして、これはひとつ、ぜひその点については具体的な施策を今後講じていただきたいということを、この際には要望いたしまして、本件についての質問は一応終わることにいたしたいと思います。  次に、今度は海から陸に上がってくるわけですけれども、過密過疎が非常に大きな問題になっているわけですが、現在の過密問題の中心は、何といっても私は東京だと思うのです。人口が一千万人をこえるというようなべらぼうもないことになってきた。ところで、この東京の問題の解決について、過密都市の一般的な問題として、総理は工場追い出しということを言っておられます。過密過疎の同時解決において、工場を追い出して地方に分散をする、そして日本の国土を総合的に活用しようという、そういう意味方法論とかいろいろな問題については、私は議論があると思うのです。   〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、現在の過密と過疎を同時に解決するような方策を講じたいという発想そのものについては、私は決して間違っておらないと思いますし、何らかの手を打たなくてはならない時期に来ているという意味では、総理の列島改造論も、全部をまるまる承認するわけにはいきませんが、そこのところについては一つの着想だと思います。しかし、東京問題を考えた場合に、一体工場追い出しで解決をするでしょうか。その点ひとつ総理のお考えを伺いたいと思います。
  32. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 工場追い出しだけでもって解決をしますか、ということでありますが、解決はしないと思います。しないと思いますが、東京を中心にした地域にある工場というものは、当然これから公害基準がきびしくなりますから、排出基準がきびしくなりますから、公害投資をせざるを得ないのです。もっと突き詰めて言いますと、いま工場地帯において七〇%、八〇%というような倉庫を含めて建蔽率が許されておるというようなところは、これは公害の総排出量の規制が行なわれますと、また新しい工場法等ができますと、どうしても建蔽率はいまの何分の一かに減らさなければならない、こういうふうに考えます。そうしますと、公害ということでどうしても新しい投資が必要なわけであります。新しい投資が必要であるならば、その投資を過密の中でやるよりも、もっと水のある、土地の安い、労働力、一次産業との労働調整が可能な、そういう地域に新幹線や高速道路や港湾をつくってやることによって誘導することのほうが、よりメリットが大きいという計算は簡単にできるわけでありますから、そういう意味で、締め出すということではなくとも、当然必要な公害投資を行なうための移動ということは考えられるわけでありますから、誘導政策は必要である、こう考えております。  東京は千百万——あなたも東京選挙区であります。千百万といいますが、実際は東京というのは三千万人おるわけです。東京という行政区画の中には千百万しかおりませんが、日本橋のまん中にある道路元標にコンパスの軸を置いて半径百キロで円をかくと、法律でいう首都圏というのであります。ここには三千百万の人がおるわけであります。この人たちが、ほとんど東京というものとの行政区画とは別に経済活動をしているというところに、非常な困難が起こっておるわけでありまして、その意味で、東京、首都圏というものをこれ以上に広げるということになったら、首都圏において公害の調整が可能なのかという問題にぶつかってくるんじゃないかと思いますから、やはりいまあるものは別にしても、これ以上増設をさせない。それは住居地域内において工場の増設を認めないということと同じことを東京のほとんど全区で考えなければならないような事態は、少なくともすぐそこまできておるというふうに考えます。
  33. 和田春生

    和田(春)委員 私は、工場を追い出すということばは悪いのですが、追い出し、追い出しと言っているので、そのことばに従ったのですけれども、それだけで解決するかということをお伺いしたのじゃない。ここにいろいろ調査した数字があるわけですけれども、東京になぜ過密が起こったかということについて、結局それは工場があるからではなくて、いわゆる管理中枢機能がすべて東京にある。政治だけではなく、経済の面においても、教育、情報、あらゆる面で管理中枢機能が東京に集中しているということが問題なんですね。  たとえば、企業の本社の数でいっても、全国のうちの四九%が東京に集中している。これは中小企業は一応別にしておりますけれども……。さらにまた、出版機能というような形になると、大体八七%ぐらい東京に集中している。政府の行政官庁、関係のありますところは地方にも幾つかは出先がありますけれども、ほとんど東京である。国会はもちろん一〇〇%東京に集中しておる。そして、いま首都圏三千万ということを総理おっしゃったけれども、東京で働いている人、つまり住んでいる人というのではなくて働いている人という面から見れば、ふえている割合は、ホワイトカラー四百六十六人に対してブルーカラー百人という計算になっている。つまり、そういう中枢管理機構に関連を持っている人が五百人ふえているけれども、工場や生産で働いている人といえば百人だ、こういう割合なんですね。  そうすると、公害の問題は、東京に工場があろうが地方に行こうが、地方に行ったら公害たれ流しでいいというわけにいかないわけですから、いずれにしても、積極的に投資をやり公害防止をやらなくちゃいけない。結局、東京問題を解決するということは、工場じゃなくて中枢管理機能をそこへ持っていくということが根本じゃないか。そうすれば一ぺんに解決をする。一ぺんと言ったら大げさかもわからぬけれども、非常に大きな部面が解決できる。  さらに、田中総理お得意のビルを高層化をすると言われます。確かに高層化をすれば道路面積等はふえるでしょう。あるいは公園をつくれるかもわからない。しかし、そのビルの中に勤務する人は超過密状態になるわけですから、水の問題から、電気の問題から、あるいは廃棄物の問題から、その人たちが一ぺんに出てきたときの交通問題から、過密という問題は高層化によっては解決しないわけです。上空から見た都市の面積にあき地ができるというだけであって、高層化することによって、より大きな部分的な超過密状態というものができますから、東京のかかえている問題は解決をしないと思う。  そうすると、私は、一番いいことは国会がどこかへ行くことだと思う。これはお手盛りで決議をすればできるわけです。東京におらんならぬということはありません。選挙区は全国から全部選ばれているわけです。したがって、このことについては政府あるいは与党の多数党がイニシアチブをとって、真剣にみずからの問題として、まず隗より始めよだ。国会東京からよそに移すことを考えようではないか、そういうことを検討する時期に来ていると思います。  次には中央官庁です。教育機関、東大はあれほど大騒ぎをして大山鳴動ネズミ一匹、改革ができない。なぜできないか。キャンパスの面積が狭いからだ。ふざけたことを言ってはいけないと思うんですね。もし学校の面積が少なくて改革がうまいぐあいにいかないというなら、こんな東京におることはないので、なぜ東大をよそに移そうということを文部省も東大も考えないのか。これも隗より始めよだ。研究機関あるいは情報機関等、そういうものを東京から移していく、そういうことがやはり過密問題の解消にとって、いま非常に重要なポイントになってきていると私は思う。  具体的な問題を論じ出しますと、これはなかなか短い時間で議論できませんが、そういう考え方を根本的に総理としてお認めになりますか、なりませんか。あるいは検討に値するかどうかを端的にお伺いしたい。
  34. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 全く御指摘のとおりであります。政治の中心地、文化の中心地、教育の中心地、しかもそれが生産と消費が直結をしておるということになれば、これはもう巨大化するのであります。ですから、首都及び県庁の所在地に人口が集中をしておるのは、そういうことによるものでございます。ですから、これはもうほんとうにどうにもならなくなれば、いま御指摘になったような処置をする以外にありません。一回集まったものはなかなか疎開はできないのです。  これは中国に重慶というのがございますが、重慶は戦前百万になったわけです。百万になってから首都は移りましたが、百万になったものは依然として現在でも百万以上を維持しておる。これはもう全世界どこの都市においても、一ぺん集まったものはなかなか半分にはならない。これはもう砂漠の中の都市でもなければ、ほんとうに集まったものはなかなか減らぬということであります。  ですから、これ以上ふやさぬということにしなければならぬわけであります。それでペイしないという経済上の理由で、いまあるものが出ていく場合には、誘導政策をとるということで列島改造論を出しているわけです、これ以上どうしても入らないようにと。そうすると、いまおる人をどうするかということになると、立体化や何かを行なうことによって道路面積を三倍にする。そうすれば地震が来ても、財産は守れなくとも生命は守れる、こういう最小限の措置はとれるじゃないかということを指摘しているわけであります。  しかし、一番手っとり早いのは、行政都市を取り出して別につくるということだと思う。それをやったのは、アメリカはニューヨークと別にワシントン特別市をつくったということで明らかであります。もう一つは、ブラジリアは、新しくつくるほうがしごく効率的であるということで、建設が完成するまでは非常にたいへんなロスがございましたが、飛行機を使ってブラジリア通勤をやっておるということは、古家の改造には、金は、新しくつくるよりも何倍もかかるということを、そのままそういうことで実行しているのはブラジリアである。だから、日本にも遷都論があります。それから、まず国会を移せ。国会を移すというのは、北海道から十年おきに移してもいいじゃないかというような議論もございます。二十年遷都論もあります。  そういう意味で、ほんとうに災害の上や何かでどうにもならないというような事態が来れば、またそういう事態が来るおそれが多分にありますので、いまあなたが御指摘されたような問題と、いまから積極的に取り組んでおくということは必要だと思います。  しかし、国会を移すにしても何をするにしても、国民的合意が必要でございますから、時間がかかりますので、やはり議論を出して常に勉強しておく。遷都をする場合、国会を移す場合どうだといって、建設省に全国を調べさせたこともあります、十年くらい前だと思いますが。一千万坪以上、千百万坪程度のものを全国十カ所ないし十一カ所ぐらい調査をしたこともございます。これはうまくすればそのまま国立大学の移転の用地にもなるということで、北海道から九州までに至る地域を調査をしたこともありますので、こういう問題は、国民的課題として常に勉強しなければならぬ問題だと思います。
  35. 和田春生

    和田(春)委員 総理はいま、これ以上入らぬようにするということをしばしば強調されたわけですね。しかし、いままでおっしゃっておったことは、むしろ過密のところは分散をして、過密過疎を同時に解決をするということをおっしゃっておった。東京はもうどうにもならぬところにきていると思うのですよ。  それからまた、いまのお話ですと遷都論という、そこまで思い切って言うかどうかは別として、国会の移転等につきましてもかなり御検討になっていらっしゃるようでございますから、私はここで一々申し上げることは省略いたしますけれども、国民世論と言いますが、私は正直なことを言って、国会を移すことは国民世論にあまり関係はないと思うのです。あるいは中央官庁をどこかへ移すということにつきましても、それはむしろ外にあるんではなくて、中に問題があると思うのです。それは決意の問題じゃないでしょうか、やるという気になれば。しかも、これはそう大きな利害関係というものは生じてこない。  問題は、どこへ持っていくかということにはいろいろ議論があるでしょう。それは都市政策から交通、運輸、いろいろな面についても問題がありますけれども、私は、どうにもならなくなってから考えるんではなくて、いまから具体的な問題を、それこそ各方面の合意のもとにつくるという点に取り組まないと、うまくないのじゃないかという感じがいたします。同時に、こういう問題を実行していくというような考え方の上に立って、今後の国民生活と国土開発の問題を総合的に検討していくべき時期に来ているんではないか、そういうふうに思います。ぜひそういう点で今後、これは政府に注文をつけるだけではなくて、われわれも含めてそういう問題を検討したい。  財源措置については、やりようによっていろいろ違いますけれども、いろいろ専門家の意見を聞きましても、万博とオリンピックを一つずつやるくらいの感じでいけば、それは可能であるというふうにも言われているわけでありまして、現在の国民経済の実力からいけば、その程度のことをやることは決して困難なことではない。それによって問題を解決すればいいんではないかということを、申し上げておきたいと思うのです。  それと関連しまして、最近、皇居の問題についていろいろな議論が出てきているように思います。東京は非常に空気が悪いわけです。そして大東京のまん中にあれだけのスペースが皇居によって占拠をされておる。なるほど百年前の、明治になったときには、いわゆる大政奉還、江戸城のあとに皇居を置いた、東京日本のキャピタルであるというふうに、意味があったと思いますけれども、今日こういう条件の悪いところに皇居をそのまま置き続けるということが、一体ほんとうにいいことかどうなのか。これは、私は天皇制の論議と結びつけているわけではないのであります。現在の憲法並びに天皇の位置と天皇の御一家の状況、そして国民の問題、東京の都民生活の問題、いろいろなことを考えた場合に、これこそもっといいところに移っていただく。そして、いわば機能として、現在の皇居に備えているものを一部残してもいいのですけれども、あるいは風光の点においても、あるいは空気の面においても、いろいろな面でよりよいところに移すということも取り上げて検討しなければ、住んでいる人口だけで千一百万、首都圏三千万、東京問題解決という面においてこれを全然度外視をするということは、問題があるのじゃないか。そういう点について、総理はどうお考えになっていますか。
  36. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 皇居につきましては、まず両陛下の御健康のために、このような公害のところが一体いいのかどうかという問題が論じられておるわけでございますが、いまの状態からいいますと、空気浄化装置等も十分つけてございますし、いま御健康に影響があるというような状態にはないわけでございます。特に皇居の問題は、中央官庁との関係、それから在外公館との関係がございます。そういう意味で、皇居ということになると、在外公館との関係をどうするかという問題もございますので、いまの状態で、皇居を移転をするというような状態にはありません。  ですから、御質問に対しまして公式には、皇居は環境を整備し空気浄化などの設備を十分にいたしておりますので、移転など考えておりませんと、こう申し上げざるを得ないわけでございますが、実際において東京というものが、住むには、健康には、適当な環境を長く保持するというにはだんだん困難な状態になります。そういう意味で、都市の大改造というものが必要であるというふうに考えます。  いままで、皇居がもし移転をされたら、東京都のために活用できるのじゃないかということを一部考えた人もあるようでございますが、私は、東京都の改造政策を進める場合でも、皇居が移転されるされないは全然別にしまして、それは緑地として、この程度以上の緑地、何倍もの緑地を必要とする、何十倍という緑地を必要とする東京でございますので、皇居というものが他のものに転用されるということは全くないということでございまして、皇居の移転の問題が議論をされる場合には、両陛下の御健康、生活環境というものを、われわれが完ぺきなままで守りおおせるだろうかという立場から考えておるのが実態でございます。  でございますので、国会の移転、中央官衙の移転、行政都市というものも議論をいま始めておるという状態でありながら、皇居の移転云々というところまでにはまだ全く至っておりませんし、いま政府も考えておりません。
  37. 和田春生

    和田(春)委員 いまここで明確なお答えを求めることは無理かとも思います。ただ、私が言っているのは、皇居を移転したあとを何か転用してやれ、そういう考え方からではないわけでございます。たとえば国会を移す、関連して中央官庁を移す、そういう場合に、この東京の中心部一帯に、たとえば中央官庁の建物は全部こわしてしまって、そこのところに植樹をして、将来の森林公園に変えていくということもできるでしょう。国会議事堂の建物くらいは、憲政記念館か何かで一つくらい博物館的に残していいかもわかりませんけれども、そういう全体の東京の問題を——出て行く者だけがいい目になればいいというわけではないわけです。残っている人たちに対しても考えなくちゃいけないという場合に、そういうような国会の移転、中央官庁の移転、中枢管理機構の移転を考えた場合に、現在の皇居の所在というものも全部ひっくるめて、総合的に東京問題を解決するということは当然必要でありますし、同時に、天皇家御一家の環境問題ということも含めましてそれは検討すべきではないか。  これは、いま遠いことのようですけれども、そのうちそのうちと言っているうちに、にっちもさっちもいかなくなって考えるというのでは手おくれでありますから、そういう意味では、それくらいの大きな構想を持つ必要があるのではないか。もう七十歳をこえた総理の場合は無理ですけれども、五十代初期の総理のときに一あと七十代まで田中さんがいつまでもおやりになるという意味じゃないのですよ。やはり未来が多く残っている、そういうときに未来を考えるということはやはり若者の特権ですから。やはり五十代は政治家としては若いと思いますよ。将来を見ながら考えるという点について、もっと大きな構想をお持ちいただきたいという意味で申し上げたわけであります。  私の質問時間もだいぶ残り短くなりまして、税制の問題について突き詰めてやりたいと思いましたけれども、これはこの臨時国会の問題にはなりません。来年度税制改正で明年の、いわゆる通常国会において論議の焦点になると思いますので、その際、再び議席を得ましたならばこれは取り上げるという形で、きょうはおいておきまして、老齢年金制の問題についても、同僚西田議員があとから詳しく質問をする予定になっておりますので、重複を避けたいと思います。  最後に一つだけ、これは私がこの国会で何回も取り上げた問題ですからお伺いをしたいと思うのですが、それは週休二日制の問題であります。事は小さいようで決して小さいことはございません。これは日本人の生活態度にも関係する問題である。そういう点で再三にわたってこの国会で取り上げてまいりました。いままでの政府の答弁は、総理からは明確な答弁が全然ないわけです。労働大臣からは、やや前向きのごとき意向をほのめかしながら、各関係官庁と相談の上慎重にやりたいという御答弁。総務長官に至ると、公務員から先に休むなどということはよろしくない、公務員は先憂後楽であって、国民が全部週休二日がとれるようになるまで、公務員が休むとか銀行がやるということは問題であるというふうな形でございまして、どうも政府意思統一ができていないわけです。  私は、この問題は、最近ではなくて十数年前から、いわゆる労働運動のリーダーをしておるときから主張してまいりました。それは週休二日制をすみやかに実現しなくてはいけない、そのためには隗より始めよで、まず公務員から始めるべきだ、地方公務員がそれにならうべきだ、産業界では銀行がまっ先にやるべきだということを、十何年前から主張している。  それは理由があるのです。みんながやってからといっても、日本のお役所やあるいは銀行の体制や産業界の状況を考えた場合に、銀行が休んでいないのに中小企業が週休二日をやって、お金を借りに行ってごらんなさい、どんな扱いを受けるかということは火を見るよりも明らかであります。お役所が休んでないときに、やはり多くのところが休んでいるという形になればどういうことが起きるかということは、それはもうはっきりしているわけであります。  結局、土曜半ドン制というものが、いいか悪いかは別として、これはやはり役所から始まっているわけです。いいことなんだから役所から始めなさい。問題は窓口サービスの問題だけです。これは私は切り離して考えろということをこの国会でも何度も言ってきたわけです。中央官庁が土曜日と日曜日に休んだからといって、文句を言う国民はほとんどいないはずです。銀行も土曜、日曜が休みだということがはっきりわかっておれば、そういうような金融に関する対処のしかたがあるわけです。小口の問題については、無人の貸し出し機械なりいろいろな自動化の設備を導入すればよろしい。  問題は、末端における市民の日常生活に関するサービスの問題です。そういう問題については、公務員や地方公務員自体は、土、日曜をゆっくりみんな休むけれども、サービス業務としては、盆、正月、暮れもなく動いている列車だってあるわけですから、ある程度の時間を窓口事務に関してだけは開いておく。それは交代制でそういうサービスを受け付けて、一般の市民の日常生活に不便をかけないような配慮をするという形になれば、公務員、地方公務員が休むことはけっこうだと思う。学校の教員しかりです。いまは先生方非常に忙しい。土曜日、日曜日ゆっくり休むことによって、一日は自分の休養に充て、一日は学習指導等について静かに考えるという時間が求められる。そうでなければなかなかうまくいかない。  そういう点を考えますと、まず公務員、地方公務員、学校の教員、銀行、これがまっ先切って週休二日制を実現すべきである。そしてそれに対応するように仕組みを変えていく。これは先に楽をするのではなくて、日本人が余暇を持って人間の生き方をよくしていくという面に先べんをつけるという点では、私は好ましい方向だと思う。そういう見地に立って、この際あらためて労働大臣、総務長官、そして最後に総理の御所見を承りたい、こういうふうに考えます。
  38. 田村元

    田村国務大臣 週休二日制につきましては、私どもじみながら今日まで進めてまいりました。ようやく国民の御意思もその方向に定着してきたという判断をいたしましたので、労働者生活ビジョン懇談会に諮問をいたしました。これは労働大臣の私的諮問機関であります。そして先般、十月三十日に中間報告をいただいたわけであります。  この中間報告は非常にきめこまかいものでありまして、たいへん前向きかつ現実的でありました。私どもこの中間報告を尊重しながら、強力に進めていきたいと思っております。  そこで、いまおっしゃった銀行と公務員の問題でありますが、この中間報告は金融機関につきましては、「すでに世界の主要六十数カ国において土曜閉店制が定着している金融機関においては、業種ごとの足なみを揃えることにより、閉店日を増加させるための準備を進め、利用者の便宜のための措置を講じつつ、速かに土曜閉店制の実施に踏みきることは可能であり、また妥当」であるということをいっております。でありますから、もちろん顧客に対する一これは産業経済界の全般にわたりますから影響は大きゅうございますけれども、その配慮、準備をしつつ、すみやかに土曜閉店制に踏み切ることは好ましいことである。労働省としては、これを強く進めていきたいというふうに思っております。  ただ問題は、市中銀行のみにとどまらず、でき得べくんば金融機関全体が足並みをそろえてもらうことは好ましいことであると考えております。またやるのにやりやすいというふうに思っております。  それから公務員でございますが、公務員の場合は、この中間報告は、「両三年内には何らかの週休二日制の適用を受ける労働者の比率は、民間産業の労働者全体の半ばを超えることが予想される。官公庁についても、これと対応し、その時期には、何らかの週休二日制の導入に踏みきり、その段階的実施を図っていくことが適当と考える。」と訴えております。  私どもとしては、公務員については非常に微妙な問題がありますので、慎重に検討いたしております。それは、先ほどおっしゃったように、いわゆる先憂後楽の思想というものを公務員は持たなければならぬ、これは一つの考え方であり、公務員の基本的な考え方の問題であります。特にちまたにおいて、いまなおお役所仕事であるとか親方日の丸であるとかいうことばが口の端にのぼっておりますときだけに、慎重に考えなければなりませんが、同時に、今度は裏返してものを言えば、公務員、いわゆる官庁先行型でないと週休二日制のスピードが鈍るわけです。おっしゃったとおりであります。官庁とか銀行がまず踏み切ることによって、週休二日制の定着がスピードアップする、これは当然のことであります。  特に、官庁の中にも郵便局であるとか、とりわけ小中高等学校なんかの学校があります。これは夏休み、春休み、冬休み等もございます。また同時に今度は、土曜日におとうさん休んでも子供の学校があるということになれば、余暇を楽しむことにはならないという問題もあります。これをどのようにするか、そういうことの検討をいたしますと、大体この答申が訴えております両三年、いわゆる二、三年というのは、現実問題としていろいろな準備をしていくのに妥当な年数ではなかろうかという考えを持っておりますが、両三年といっても、三年より二年がいいのであって、これをなるべくスピードアップすることはいいことである。でありますから、いま申し上げましたような考え方の上に立ちまして、私ども鋭意努力して、一日も早く労働者の週休二日制が将来完全に定着していくことに向かって、万全の措置をとっていきたい、このように考えております。
  39. 本名武

    ○本名国務大臣 ただいま労働大臣からお話がありましたとおり、私も実は週休二日制については賛成をいたしております。つとめて早い機会に、今日の日本の経済、生活、社会状況からいたしまして、また国際的ないろいろな進展状況からいたしましても、当然であると考えております。  ただ、先ほどのお話に、私が何か全く消極的であるとかという御意見がありましたが……(和田(春)委員「いままでの総務長官」と呼ぶ)わかりました。前長官のことには触れません。おそらく前長官もいろいろな角度から検討してそうおっしゃったと思いますが、実は正直申し上げまして、私にもいろいろ考えがございます。  それは、まず第一に、国家公務員法によりますところの、公務員の勤務条件に関する情勢適応の原則があります。これは、国民の皆さんの意思を代表して国会においてそれぞれ御決定いただくことになっております。ここに一つの問題があると同時に、つとめてこの国会の御発意が、この週休二日制に踏み切られることを私は期待いたしているものでございます。  それから先憂後楽のお話がございましたが、やはり国民感情を無視することには——私は、やはりそう性急に断行すべきではないような気持ちもいたします。と申しますことは、やはり国民生活の中に、あるいは国民の、中小企業をはじめとして国家公務員以外のそれぞれの産業、経済に携わる方々の中にもそれぞれ、先ほど窓口のお話がありましたが、窓口以外にもいろいろな問題が横たわっている。したがって、その上に立って、国民感情がはたしてすなおに、私どもが考えますように理解していただけるかどうかということもございます。そういうようなことを考えますと、やはり私は、国家公務員以外の、客観的なと申しますか、国家公務員以外の態勢を、政府も努力し、また国民の皆さまにも理解と御協力いただいて態勢をつくり上げた上に、ぜひこれは実行すべきである。したがって、そういう態勢をわれわれの責任においていまつくるべく、またわれわれの責任でなすべきことを、関係各省庁といろいろ打ち合わせをして進めているという現況でございます。したがって、一日も早く国民の皆さま方が、各界各層の方々がこれに御協力、御理解をいただける態勢を至急おつくりいただくことを待って、実行に移したいというふうに考えております。
  40. 和田春生

    和田(春)委員 時間が参りましたので、一言総理にお願いし、所信を伺いたいと思うのですが、いま労働大臣、総務長官、それぞれきわめて前向きな積極的な意思を表明されました。ただ、国会の発議を期待するという本名長官のお話でございますけれども、これは野党側では週休二日制の早期実施に反対している者は一人もいないのです。したがって問題は、多数を占めている与党の問題であります。さらに国民の理解ということを言われますけれども、これを官庁が率先やることについて、いろいろなことで意図を誤解して言っている人もおりますけれども、私が接触した範囲内においては、この問題をずっといろいろなところで聞いて歩いているが、それはいかぬと言う人は、よほどのへそ曲がりで少数おりますけれども、おりません。結局いままで、国民の理解ということが週休二日制実施をおくらせる口実にされてきたのではないかという気持ちすらするわけであります。思い切ってやればよろしいわけであります。そういう点でひとつ総理の所信を一言お伺いして、私の質問を終わることにいたしたいと思います。
  41. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 週休二日制は、主要工業国を含めて世界の流れになっておると思います。この流れの中で、日本もできるだけ早く週休二日が実現できるように、いま努力をしておるわけでございます。  ただ、日本には中小企業、零細企業という特異な面がございますので、こういう大きな面との調整ということは当然考えなければならぬ問題でございます。だれでも休養、勉強ができる日が一日よけいになる、これは反対はないわけであります。しかし、これをただしゃくし定木にやっていけないということは、理想を追うことにきゅうきゅうであってつまずくようなことがあってはならないということで、国民的な成熟を待たなければいかぬということが、両三年という表現になっておると思うわけであります。とにかく週休二日といっているのに日曜日も休めない、こういうこと自体が第一おかしいのでございまして、日曜日休まぬで、日曜日勉強しないでこれはやれるわけありません。ほんとうにまず日曜日休む、土曜日は午後から休む、それから週休二日制、ものにはやはり段階がある、こういうことで、理想と現実というものと調和をとっていかなければならぬ、こう思います。
  42. 坪川信三

    坪川委員長 以上で和田君の質疑は終了いたしました。  この際、去る二日の石橋政嗣君の質疑に関し、政府より発言を求められております。これを許します。増原防衛庁長官
  43. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 去る二日の当委員会におきまして猶予をいただいておりました、わが国の戦闘機の爆撃装置についての政府見解を申し述べます。  わが国の防衛力として保有すべき装備は、憲法上の制約により、わが国の自衛のために必要最小限度のものに限られることは言うまでもない。  三次防に基づく新要撃戦闘機、FXの選定にかかわる国会の論議、これは四十三年十月二十二日、衆議院内閣委員会でございます。において増田防衛庁長官が、将来選ぶべき戦闘機、FXには爆撃装置を施さないと答弁したのは、当時選定を予定していたFXは、要撃戦闘を任務とするものであるが、ある程度行動半径の長いもの、これは、要撃戦闘上は滞空時間が長いということで利点があるのでありますが、行動半径の長いものを選定することとしていたので、爆撃装置を施すことによって他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるようなものとの誤解を生じかねないとの配慮のもとに、同装置を施さない旨を申し述べたものと考える。  四次防で整備する新支援戦闘機FST2改は、わが国土及び沿岸海域において、わが国の防衛に必要な支援戦闘を実施することを主目的とする戦闘機であるので、この任務を効率的に遂行するために必要な器材として、爆撃装置をつけることにしている。しかしながら、同機の行動半径は短く、他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるおそれを生ずるようなものではない。  以上でございます。
  44. 坪川信三

    坪川委員長 石橋政嗣君の保留分の質疑を許します。石橋君。
  45. 石橋政嗣

    石橋委員 要するに、いま政府の統一見解が述べられたわけでございますが、佐藤内閣時代、増田長官の国会における説明とは明らかに私は食い違いがあると思います。今度の見解は、要は足の長さなんだ。航続距離、行動半径が長いものに爆撃装置をつければ憲法違反になるけれども、航続距離、行動半径の短いものならば攻撃的な兵器というふうにいうわけにはいかない、だから許されるのだ、こういう論法だと思うわけですが、そのとおりですね。
  46. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 概略的に申して、そのとおりでございます。
  47. 石橋政嗣

    石橋委員 そういうふうに解釈が拡大されるということの危険性を、私は第一に指摘しておるわけですが、この問題はあとで総理と、私ちょっとやりとりしてみたいと思うわけです。  そこでいまの論法ですが、はたして納得がいくのか。聞いておられる国民の皆さん方にいたしましても納得ができるのか。というのは、それじゃどこまでが許されるのかということなんですよ。足が長ければいけない、短ければよろしい、その長いか短いかという尺度ですね、どこに置くつもりなんですか。何キロ以上ならば攻撃的な兵器になるから憲法上許されない、何キロ以内であるならば、これは足が短いんだから攻撃的な兵器というには当たらない、許される、その限界は一体どこなんですか。
  48. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 わが国の防衛力、自衛力は、たびたび申し上げまするように、専守防衛、自衛防衛を目的とするものでございます。したがいまして、このたび問題になりまする支援戦闘機につきましても、わが国の地理的条件に基づきまして、周辺海域あるいは上着陸地点等における支援の戦闘機として動くわけでございまするが、そうした場合のわが国の地理的条件から考えまして、周辺諸国のいわゆる基地に届くということが、一つのわれわれが考えなければならぬ距離である。  せんだっても申し上げましたが、T2改はほとんどこの基地をたたくというふうな足を持たないと申し上げたいのですが、そういう意味で、周辺諸国の基地に大体届かないというものは、距離の短いものは、いわゆる許されるもの。周辺諸国の領海、領空深く入っていけるものは、許容されざる足の長さ。もとより、おっしゃいまするように、何百何十キロが境であるかということは明確に出ないわけでございまするが、地理的条件を考えますれば、この大体の見当は出るわけでありまして、そういう意味を厳格に、もとよりわれわれは解釈をいたしまして、明確に距離の出ないものをそこで使っていくという、そういう拡大的に解釈するというような態度は、もとより絶対にとらないという考え方でございます。
  49. 石橋政嗣

    石橋委員 それじゃ私のほうから具体的にお聞きします。F4ファントムには爆撃装置はつけられないという解釈をとったわけですね。これをつければ、明らかに攻撃的な兵器といわれてもやむを得ない、だからこれは憲法上持てないという判断が下って、爆撃装置がつけられなかったわけです。今度のFST2改には、まあ足が短いからつけてもよろしい、こういうことになった。  そこで、大体航続距離、行動半径というものの数字が出てくるわけですよ、ある程度。ファントムは大体行動半径は四百ノーチカルマイルというふうに理解していいのですか。今度のFST2改は、それに対して三百ノーチカルマイル、こういうふうに数字をまず押えてみたいと思うのですが、その点、間違いありませんか。
  50. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 いま読み上げましたこの見解にも書いておきましたが、いわゆるファントムを採用しまする際は、御承知のように、要撃戦闘機として採用をいたしたわけでございます。そうして、申されましたように行動半径四百ノーチカルマイルというものを考えまして、他国に攻撃的、侵略的脅威を与えるものとの誤解を生じかねないとの配慮のもとに装置をはずした、こういうふうに申し上げておるわけでございます。  いまの行動半径は、一応これは飛び方があるわけでございますが、一応の基準は、ファントム四百ノーチカルマイル、新支援戦闘機三百ノーチカルマイルというふうに考えていただいていいと思います。
  51. 石橋政嗣

    石橋委員 四百ノーチカルマイル以上の行動半径を持つものについては足が長いと判定して、これに爆撃装置をつけることは憲法違反、三百ノーチカルマイルならば足が短いと判定して、これに爆撃装置をつけても憲法の許容する範囲、こういう新解釈がここで初めて出てきたわけですが、しからば、この三百ノーチカルマイルといいますけれども、この足の短さというものはいろんなことで補うことができるわけなんです。  たとえば、北ならば北海道の北端に基地をかまえてそこから飛び立つとか、西ならば九州、南ならば沖繩の突端に基地をかまえて、そして行動を起こすとかいうことになれば十分にカバーできる。そういう面で足の短さをカバーすることができるというのが第一。それから、第二は装備ですね。一体どの程度の装備をした場合に三百ノーチカルマイルという数字が出てくるのですか。たとえば爆弾にいたしましても、五百ポンド弾爆を最大十二発積めるわけですね、今度のFST2改は。標準が八発といわれているわけです。そういうものをどの程度積んだ場合は、行動半径三百ノーチカルマイルなんですか。多少減らせばうんと伸びるんじゃないですか。そういうふうな装備を制限することによって足を長くするということが可能になってきます。これが第二。それから第三は、補助タンクがつけられるのです。爆弾をちょっとはずして、かわりに補助タンクを二つつける、こういう形で足を伸ばすこともできます。それから給油という方法があります。これで足を伸ばすこともできます。  そういう形で足を伸ばした場合は、これは違憲なんですか、合憲なんですか。
  52. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 F4Eを採用する場合の見解について、先ほど読み上げましたものにも書いておきましたように、「他国に侵略的・攻撃的脅威を与えるようなものとの誤解を生じかねないとの配慮のもとに、」と申し上げたのでございます。このものは、憲法違反であるというふうに明確に解釈をしたというのではございません。「誤解を生じかねない」ということで、誤解を避ける。そうしてまた一つこの要点は、これは要撃戦闘機として採用をするということでありまするので、爆撃装置をはずすということは目的上一向差しつかえないということもあってはずしておるわけでございます。  そうして御質問の点、仰せのとおり足を補う手というものはもとよりいろいろあるわけでございます。そういういろいろの手を使って足を伸ばすことはできますけれども、これは支援戦闘機として使うことをわれわれは考えておるわけでございまして、そういういろいろ特殊の手を用いて足を伸ばして、いわゆる爆撃機としての性能を発揮させようということは決して考えておらないということでございまして、この支援戦闘機の一応の三百ノーチカルマイルというのは、搭載爆弾八個の場合でございます。
  53. 石橋政嗣

    石橋委員 私がいま三つの条件を指摘した、これだけでも、足の短い長いで限界を設けるなんということがいかにむちゃであり、無理であるかということが、何人にも私はわかると思うのですよ。固定できないのですから、三百ノーチカルマイル、四百ノーチカルマイルといったって。それを伸ばすことができるわけなんですからね、方法によって。私の思いつくだけで、しろうとが思いつくだけでも三つの条件がぱっと思い浮かぶのです。地理的にカバーする方法、装備の面でカバーする、給油の面でカバーする。ぐんと伸びます。それを、標準を自分で設けて、爆弾を八発載っけただけ、その場合三百ノーチカルマイルの行動半径、その場合、これは攻撃的な兵器には当たらない。むちゃですよ、そんな。こじつけとしか言えない。  それから、ちょっとまた戻りまして、「他国に侵略的・攻撃的脅威を与えるようなものとの誤解を生じかねないとの配慮」でやったんだ。少し、憲法違反か合憲かという問題からまたすりかえようとしておりますが、そうなりますとまた問題ですよ、これは。攻撃的な兵器は持てませんと、この間総理も確認しているじゃないですか、ここで。攻撃的な兵器としては持てないという解釈じゃないんだと、また切りかえようとするのですか。すりかえようとなさるのですか。どうなんです、その辺は。私は、だから念のために田中総理に、攻撃的な兵器は憲法上持てるのですかと聞いている。そして攻撃的な兵器は何ぞやということでずっと発展さしてきたのに、また振り出しに戻させるつもりですか。ちょっとその辺確かめておきます。
  54. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 石橋委員よく御承知のように、具体的に爆撃装置が問題になりましたのは、FXを選定する際の問題でございます。その際にも政府側から答弁をそれぞれ申し上げてあるわけでございまして、攻撃的兵器というものは、しからばどういうものであるかという御質問に対して、当時の政府側として申し上げましたのは、明瞭な攻撃的兵器といえるもの、たとえばICBMであるとかIRBMというようなもの、あるいは長距離爆撃機というふうなものは攻撃的兵器であります。そうして、当時FX選定の際に、一応名前の出ておりましたF105あるいはF111というふうなものは、これは航続距離として二千海里、三千海里というふうなものを持っておる、爆弾搭載量も相当多いというふうなことで、こういうものはやはり攻撃的兵器でございますという言い方をしておるわけでございます。御承知のとおりでございます。  F4E、このファントム、四百ノーチカルマイルというものが出ましたときに、これは爆撃装置をつければ明瞭に攻撃的兵器となり、憲法上違反であるからこれはやめますというお答えは、たしかしていないように思うわけでございます。そのときの考え方は、いま見解として申し上げましたように、四百ノーチカルマイルという相当に足の長いものであり、爆撃装置をつけることによって攻撃的、侵略的兵器と受け取られかねない、誤解を生じかねないおそれがある。また一方、ファントムは要撃戦闘機として使うことでありまして、爆撃装置を必要としないということもあって、爆撃装置をつけないというふうに申し上げた、こういうことでございます。
  55. 石橋政嗣

    石橋委員 この点は、増田さんの発言の中にはっきりと、F86Fが「爆撃投下訓練をやっておる、これは合憲、合法であるということを私はここで言ったのにすぎないのでございまして、それを拡張いたしまして数千キロも飛び得るようなものに爆撃装置を施してやることができるかというあなたの御質問がございましたときに、」云々と、合憲、合法ということばを使っているのですよ。しかし私、時間が限られておりますので、この問題、これ以上あなたとのやりとりは控えます。  総理にお尋ねをしたいと思うのですが、総理もいまの私と防衛庁長官の質疑応答を聞いておられて、しろうととして何かすっと割り切れないものを感じるんじゃないかと思うのです。非常に明快にわかりますか、いまの話で。結局、足の長いものならばいけないが、足の短いものならいい。その長さの測定はむずかしいのですよ。そうおっしゃるけれども、簡単に言うけれどもですね。どの時点ではかるかによって、足の長さは何ぼでも動くのです。動くものを、かってに爆弾は八発積んだときなんというようなことで自分で標準をきめておいて、そして三百ノーチカルマイルしか行動できないからこれはいいんですなんて言ったって、これを三百五十にも四百にもできるのですよ。やろうと思えばもっとできるのです、給油でもすれば。だから、どだいそういう解釈は無理なんです。これが一つ。あなたは率直にこの統一見解というものに、どういうお感じを持たれたかということをまず聞きたい。  それから二番目に、私が一番重要視したいのは、いままで常にそうなんですけれども、防衛庁のほうで、ユニホームのほうで既成事実をまずつくる。それに対してシビルや政治家、あなた方が憲法解釈のワクを拡大して合理化していく。この姿勢を問題にしたいのですよ。今度のFST2改にしたって、ほんとうに政治家は何にも知らされていなかったと私は思う。いかにも練習機をつくるのだ、超音速の高等練習機をつくるのだというふうに言われ、説明されてきている。そうかなあ、それは要るだろう、だんだん実戦機も速くなってきているのだから、練習機も速くする必要があるだろうな、お互いしろうとだからそう思って、そうかそうかというわけでオーケーしたら、何の、一ほんとうのねらいはFST2改、対地支援機、いまのF86がやっておるやつを今度はカバーする、新しく更新する新機種がほしいというのが本命であったというのがあとになってわかる。最初は知らさない。F86が結局昭和四十八年でなくなっちゃう、その後継機としてFST2改というものを考えておる。しかし、それをストレートに出さないで、T2というものをまっ正面に出してきて、これで既成事実を積み重ねている。そのうち本音を出す。そうすると、あわてて政治家が、いや、それもいいんだ。この間、佐藤内閣のときにはいかぬと言ったが、まあいい、憲法上も問題ない、そう言って合理化して助けてやる。この姿勢のほうを私は問題にしたいと思うのですよ。そんなことでいいんですか。まだ救いがあるのです、政治家が指導してこうせいと言ってやってるなら。救いがあるのですよ。シビルも政治家も何にも知らぬうちに事実のほうが先行して、あとであなた方が一生懸命時間をかけて作文して合理化することの、この姿勢に私は問題があると言っておるのです。この点についての感想が二つ目。その辺からまずちょっとお聞きしましょう。二つ、総理
  56. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 あなたの述べられることもよく理解はできます。理解できますが、どうもそういう面だけでもって合憲かどうかということを議論していくと、いろいろなことが言い得ると思います。  ただ問題は、日本の持つ自衛の装備というものは全くこれは受け身のものであって、憲法で攻撃的なものは一切やらないのだ、やってならないのだということが大前提にあるのだということでありまして、日本でいま保有しておるもの、保有しようとしておる兵器というものは、全く防衛ということだけの任務遂行のために保持し、つくられるものだ。それで、相手が科学や技術の発達がだんだんとしてまいりますから、まあ防衛力というものは相対的なものだと申し述べておるわけでありますが、そうしてくると、それを防御するというものの性能もだんだんよくなってまいらなければ、防衛の任務を果たすことはできなくなります。そうすると、その性能がよくなってくると、これは防御のためにつくられたものだ、また専守防衛を目的としてつくっておって、絶対に攻撃をするという考えはないことは理解できても、性能上攻撃の兵器に転用し得るではないかという議論が起こってまいります。そのときには、こちらが攻撃はいたしません、こういう大前提が一番重要だと思うのです。そして日本の持っている兵器が確実に防御を目的とするものであって、そしてそれは性能がだんだんとよくなってきておるけれども、これは攻撃を目途にしてつくられたものではないのだということで、他の国々に非常に危険性なり圧迫感を与えないということでなければならないわけであります。  ですから、あなたがいま言われること、私はあなたよりもうんとしろうとでありますが、しかし、実際において搭載の限界が十二発というのを、普通からいうと、限界一ぱい積んで絶えず渡洋爆撃をやって自由に帰ってくる、しかも、それはそれを目的につくられたものであるならば、これはもう攻撃兵器であることは間違いありませんが、十二発を二発にして空中で給油もやれば、相当な距離も爆撃できるじゃないかという考え方は、確かにそういう考え方はわかります。わかりますけれども、それでは攻撃のメリットはないのです。それは全然ないのです。もうそんなことをやっているうちにやっつけられちゃうのです。それは技術的にはそういうことは言い得ると思いますが、やはりその意味では、本土の近くに上陸をしようとするおそれのある艦船の上陸を拒否するために、艦船爆撃のためにつくられたT2改というもの、しかも三百海里であるということならば、これは攻撃兵器ではなく防御兵器である、しかも、他国に脅威を与えない兵器である、こう認定できるのじゃないですか。私も、ほんとうにこまかい議論に専門的にずっと入ってまいると、それは確かに防御兵器でもあるが攻撃も可能であるということはあると思うのですよ。あるが、しかし、攻撃はしない、攻撃を目的としてつくられたものではない、こういうことなんですから、そういう意味でT2改は防御的な兵器であり、憲法で認められるものである、こういうふうに御理解できませんか。私はそう思います。
  57. 坪川信三

    坪川委員長 石橋君に申し上げますが、持ち時間が来ておりますので、どうかよろしく……。
  58. 石橋政嗣

    石橋委員 私もなるべく早く終わりたいと思うのですが、総理自身も自分で何を言っておるかわからぬのじゃないかと思うのですよ。実際にベトナムで給油してやっているのですよ。何か給油しておったら、その間にやられそうな気がするかもしれませんけれども、現代の戦争においても給油してやっているわけなんですよ、アメリカは。何もおかしな話じゃないわけなんです。  しかし、私が言いたいのは、さっき申し上げたように、主として二項めなんです。政治家の指導で事が進んでいるのじゃない。あなた方が信念をもって指示をして、そしてユニホームを動かしているのだったら、まだ私はこんなに心配しませんよ。既成事実のほうが先に進んでおって、あなた方はしりふき専門ですよ。  そのことに関連して、それでは最後に具体的にお聞きしておきますが、そこで盛んに江崎さんやじっておりますけれども、ことしの通常国会で、佐藤総理も江崎長官も厳然と、あの沖繩へ自衛隊が物資を搬入した問題について、処分をしますと言っている。何だったら、思い起こすようにもう一回読み上げてもいい。内部部局だけじゃなくて、航空自衛隊の関係者に対して厳重に処置をすると、何度も言っているのです。どのような処置が行なわれたか。私はシビルのほうは知っております。次官以下更迭されたことも知っております。肝心のもう一つ、航空自衛隊関係者ということばを何度も使っているのですが、この処分がどのように行なわれたか、聞いておきましょう。
  59. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 念のためにいまはっきりさせておりましたので、失礼をしました。  ユニホームは、空幕長を長官の注意処分にいたしました。その他の処分に及びませんでしたのは、当時、初めに御承知のように空幕、いわゆるユニホームのほうで独断専行をしたのではないかというふうに考えて申し上げておりましたのですが、内局のしかるべき部門との連絡があったということが調査の結果わかりましたので、ユニホームをそういう意味において処分をするということは、空幕長の注意処分以外は行なわなかったということでございます。
  60. 石橋政嗣

    石橋委員 おかしなことをおっしゃるものです。その程度のことは、あのときの経過の中でも説明されておるのです。それでもなおかつ、総理大臣も江崎防衛庁長官も、明らかにこう申しているのです。いいですか、これは佐藤総理ですが、「部内的な問題で譴責等の処分はいたしましたが、これで全部が終了したというものではございません。私はしばらく時間をかしていただいて、そうして必要なる処置をそのうちにする。」こう申しているのですよ。それから江崎さんは、同じように、「内部部局及び航空自衛隊の関係者に対しては、厳重な訓戒等の措置をとることといたしました。」「なお、適当な時期を選んで内部部局及び自衛隊関係者の人事を刷新し、文民統制の実をあげ、」云々と。しかも前提に佐藤総理は、「ただいままでのところ文民統制、十分できている、かように申し上げかねておる。」こうまで言っているのですよ。皆さん方は、その点でも、いまになってまたシビルに全部の責任をおっつけて、何とかここを切り抜けようとなさっておりますけれども、ほんとうのところは制服に手をつけきらないのでしょう。これだけ国会で責任あることを言っておって、やれないじゃないですか。譴責などは、国会で報告したときにすでに行なっているのですよ。それだけでは済みませんと、国会国民に向かってそう言った以上は、かりに間違っておったってそのとおりやるということが、政治家には必要なんじゃないですか。一時的に国会を切り抜けるために適当なことを言っておいて、あとユニホームにしりをまくられたら黙ってほっ放しておく。(発言する者あり)事実そうじゃないですか。佐藤さんも、残念ながらいままでのところ文民統制、十分できている、かように申し上げかねておると、はっきりそのときおっしゃっているのです。私はこのことを重視したいのです。国防会議議員をちょっとふやしたようなことで、何でシビリアンコントロールができますか。ユニホームの諸君が何しようと、それは合理化をして、一生懸命、いや、これは間違いない、間違いない。処分すると言っても、突き上げられたらすぐに撤回する。どこにシビリアンコントロールがあるかということを言っているのですよ。もっと真剣に考えるべき問題です、これは。与野党でやり合うような問題じゃないのです。私たちの立場からいえば、田中さんの論法でいけば、こんな論議をする必要はないのですよ。本会議で、非武装中立の政党なんか相手にする必要ないようなことをおっしゃったが、私たちは、それをわれわれの政策として一応持っておるけれども、それをおいて、踏み込んで、あなたたちの立場に立って議論しているのです。その姿勢をわれわれもとっているのです。真剣に考えなさい。こんなことでいいのか。処分一つしきらないじゃないですか、国会でしますと言っておいて。  そういう点で私は、国防会議議員をふやす、失礼だけれども、官房長官や国家公安委員長科学技術庁長官が国防会議に入ったぐらいで、シビリアンコントロールが強化されるなんてナンセンスですよ。何ほどこれが強化されますか。そんなことよりも、あなた方が実際にユニホームの人事権を握ったらどうです。トルーマンがマッカーサー、第二次大戦の英雄をばっさり首切ったような、そういう統制力、指導力をあなたたちが持っておればいいのです。アメリカでは国会が人事権を持っているのです。そこまで日本でいかないというならば、せめて国防会議でユニホームの最高首脳の人事権を完全に握ったらどうですか。そのことについての感想を聞きまして、私はきょうはこれで終わります。総理
  61. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 文民統制の実をあげなければならないということに対しては、私もそのとおり考えております。そのためには、部内に対する防衛庁長官または内閣の機能の整備もさることでございますし、また国会において国防委員会もしくは安全保障委員会のごときものを早急に設置をしていただいて、制度上アメリカの国会が人事権を持つということのようにいかなくとも、もちろん三権が分かれておる状態でございますからそうはできなくとも、ただいまのような活発な御議論をしていただくことによって国民の理解を求め、実質的にシビリアンコントロールが強化をされるような方向をぜひお考えをいただきたい、こう思います。政府がなすべきことに対しては、政府も十分その責めを果たしてまいりたい、こう存じます。
  62. 坪川信三

    坪川委員長 これにて石橋君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  63. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ただいまの石橋書記長の質問に開運した部分から入りたいと思います。  FST2改の目的は、たとえば近海の敵艦船を攻撃するという答弁をなさいました。近海とは公海も含みますか。
  64. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 わが国を防衛する、いわゆる自衛権の発動としての防衛でございまするので、攻撃の態様に即しまして、わが国に武力攻撃があるという態様がはっきりしている場合には、わが領空、領海のみでなく、周辺の公海においても防衛のための行動をするということでございます。
  65. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは、国防白書で出されております一つの防衛構想です。田中総理は、四次防は国防白書とは関係ないという答弁を、本会議の成田委員長に対してなさいました。公海、いわゆる洋上撃破作戦、その構想は依然として捨てていない。つまり制海権、航空優勢の考え方は捨てていないじゃないですか。そうでしょう。  あなたは戦略守勢ということばを使われた。田中総理は専守防衛と戦略守勢はことばとしては同じだと言われた。専守防衛ということばは防衛の英語辞典にありますか。戦略守勢ということばは防衛の英語辞典にありますか。ことばとしては総理は同じだとおっしゃったが、どうですか。
  66. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 戦略守勢、専守防衛ということばが英語の辞典にあるかどうか、まことに恐縮ですが、私、よく存じません。
  67. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでいいです。ことばとしては同じだと言うなら、辞典にきちっとそういう根拠があって総理大臣はおっしゃるのだったらいいのですが、抽象的にそんなことを言っちゃいけませんよ。専守防衛ということばは辞典にはない。戦略守勢というのはあるのです。どういうことかというと、それは、あなたが防衛庁長官に就任なさってすぐ、朝日新聞と記者会見をなさいました。その中で、戦略守勢のことばの意味を言われました。私はそれが正しいと思う。それが正しい。いいですか、あなたはどういうことを言われたか、もう一ぺん思い出してください、あなたのことばですから。「自衛隊が戦略的意味で攻勢に出ることはあり得ない。しかし、個々の戦闘では機先を制して敵を攻撃するのは当然のことだ。敵が攻めてくることがはっきりしているとき、実際に攻撃されるまで待っていられない。大体専守防衛という言い方は間違いで、戦略守勢ということなんだ。」これは、私がかつて問題にいたしました先制的な自衛権発動の構想です。専守防衛と違いますよ。専門的なことばとしても違うのです。つまり、これは制海権、航空優勢の思想なんです。そうでしょう。  そういう防衛構想とFST2改が結びつくのです。いいですか、石橋書記長は足の点で、あるいは装備の点で問題になさいましたが、私は防衛構想との点で問題にしたいのです。洋上の撃破作戦というこの作戦構想、これは明らかに外国に対して脅威を与えますよ。私はそれを指摘しておきます。あなた方はいわゆる中曽根防衛構想を捨てていない。捨てていないから——中曽根さんそこにおられますが、私は中曽根当時の長官とやり合ったから覚えておる。中曽根さんはこうおっしゃったのですよ。三次防までは単なる装備計画である。しかし、今後は防衛構想に基づく装備でなくてはいけない。その防衛構想は、長期の、十年間ぐらいの構想にしたい。その前半の五年を新防衛力整備計画としたい。最初は四次防とは言わなかった。いいですか、そうして出てきたのが、新鋭兵器といわれるT2であり、FST2改であり、RF4Eであり、C1なんですよ。もしそうでなかったら、これらの中曽根防衛構想、つまり洋上撃破作戦と結びついた新鋭兵器は、中曽根防衛構想を御破算にするのだったら、新鋭兵器と四次防の構想との関係はどうなるのですか。説明がつきますか。単なる三次防の延長だと総理はおっしゃいましたけれども、説明がつきますか、総理大臣。単なる三次防の延長とおっしゃる四次防の防衛構想と、新鋭兵器との関係について説明してください。
  68. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 一応私からお答えをさしていただきたいと思います。  防衛庁原案におきまする防衛計画は、いまあなたのおっしゃったとおり十年ぐらいの構想をもって、その中の五年としてのいわゆる新防衛整備計画ということであったことも御指摘のとおりでございます。それが、昨年の夏以来の諸般の情勢の変化にもかんがみまして、四次防を策定をする経過の段階で、御承知のように、本年の二月七日でございましたか、国防会議におきまして、いわゆる防衛庁の原案ともいうべき構想はこれを取りやめまして、四次防の基本方針をきめられました。  御承知のとおりでございまして、これは三次防の延長として考えていく。その場合に、いわゆる原案で考えられておりましたような、T2及びT2改、あるいはC1というふうなものが出てまいりましたのは、これはやはり、だんだん装備が命数に近くなりまして更改をする時期に達しておる、更改の際には、やはり新しい科学技術の発達に伴う性能のいいものをもってこれを交代していくということが適当であるという考え方のもとで、列挙されましたような、いわゆる性能のよろしい新しいものを交代のものとして使うということでございました。そういう意味において、これは三次防の延長ということであるというふうに御理解を願いたいと思います。
  69. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そんなことをあとでこじつけているのですよ。中曽根防衛構想に基づいて新鋭機種が選ばれた。ところが、中曽根防衛構想が御破算になって、三次防の単なる延長といいながら、中曽根防衛構想と結びついた新鋭機種だけはひとり歩きしているのです。いいですか。  それで私は総理大臣に言っておきたいのです。あなたは本会議場で、わが党の成田委員長の質問に答えて、安全保障は観念論ではだめだとおっしゃいましたね。そしてあなたは、都合のいいところだけ数字を並べて具体的におっしゃった。それは私は賛成です。観念論で防衛論争をしてはいけない。そこで注意しておきますが、この前、石橋書記長の質問のとき、春になったら着物を何とかかんとか。何ですか、これは。そういうすりかえた例で防衛を論争してはいけませんよ。戸締まり論とか、そういう心情論で防衛を論争するのが一番悪いのですよ。一番観念的なんです。それは注意してください。私も賛成ですから、具体的な資料でいまからお伺いをしたいと思います。  結局、四次防は単なる三次防の延長じゃないのです。いいですか、今度決定された四次防の内容を見てみますと、例の八千トン級のDLHだけは落とされた。しかし三機のヘリ護衛艦は復活しておる。量的にはやや減らされておりますけれども、さっき言ったとおり、質的には中曽根防衛構想が生きている。つまり、あなたもおっしゃったとおり、近海ということは公海を含む。つまり洋上撃破作戦です。これこそは中曽根防衛構想なんです。有田長官もおっしゃいましたが、有田長官のときに、あなたの防衛大臣のときに、あなたは初めて公海作戦をとる構想を出されましたね。そして中曽根構想に引き継がれた。過去の経緯をよく勉強しておってくださいね。われわれはずっと一連の経過があるのです、質疑の中で。確認してきているのです。結局、中曽根防衛構想の延長なんです。そして正面兵力は三次防の二・四倍です。単なる三次防の延長じゃないのですよ。予算も御承知のとおり二倍になっておる。そして新鋭装備は、量的には一応スローダウンしておるけれども、それは五次防に引き継ぎさえすればいいのですよ。五次防で復活すればいいのです。質的にはちっとも変わらない。いいですか、結局、装備を更改するという、兵器近代化という名によって質的に装備を強化しているのです、あなた方は。そうして、もう何回も審議の中で明らかなとおり、これは大平外務大臣の考えもそうですが、冷戦感覚をちっとも脱しておりませんね、考え方として。そこで、この四次防の論争を私はあと回しにします、時間が限られておりますから。この種の論争はです。  総理大臣にお伺いします。総理石橋質問に答えて、安保条約の極東の範囲に関する統一見解、中華民国の支配する地域を台湾地域と読みかえるとおっしゃいました。台湾地域の具体的な範囲はどうなのですか。
  70. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私からお答えいたします。  中華民国という表現がございましたのを、台湾と読みかえたことで御理解をいただきたいと思います。
  71. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、それは聞いております。だから台湾地域の具体的な範囲をお示し願いたいというのです。
  72. 大平正芳

    ○大平国務大臣 中華民国が支配しておる地域をさすものと思います。
  73. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではちっとも読みかえたことにならぬじゃないですか、実際問題として。何を言っているんです。答弁は変更しませんか。そのとおりですか。いまの答弁だと実質的にはちっとも変わっていないですね。
  74. 大平正芳

    ○大平国務大臣 中華民国政府と外交関係が維持できなくなりましたので、その表現をとりやめいたしまして、台湾と読みかえることにしたということでございます。
  75. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ことばだけ変えて、実質はちっとも変わらないという意味ですね。
  76. 大平正芳

    ○大平国務大臣 日中国交正常化は、いまの安保体制とかかわりなく実行いたしたものでございますので、そのように御理解をいただきたいと思います。
  77. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは実質的にはちっとも変わらないということですね。そうしますと、日中平和友好条約が締結をされてもこれは変わりませんか。
  78. 大平正芳

    ○大平国務大臣 日中平和友好条約につきましては、締結の交渉をしようという合意を見ているだけでございまして、この中身につきましては、まだ、どういうものを盛り込むかにつきましては、相談をいたしていないわけでございます。
  79. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 日中平和友好条約が結ばれるときには、領域の範囲の規定は含みますか。
  80. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いまお答え申し上げましたように、まだ、その内容につきましてどうするかについて、中国側と御相談しておりませんので、ただ締結の交渉をしようじゃないかということだけが合意されておるということは、たびたび本委員会におきましても御答弁申し上げたのでございまして、その内容につきましては、まだ言及する段階ではございません。
  81. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、まだわからないという意味ですね。もし中国の領域が決定されて、台湾を含むというような条約になったときにはどうですか。安保条約の極東の範囲から台湾を除きますか。
  82. 大平正芳

    ○大平国務大臣 台湾につきましては、共同声明の第三項で明らかにいたしておりまする、双方の立場を明らかに書いてあるわけでございまして、ただいま私が申し上げられることはその範囲を出ないわけでございまして、将来どうなりますかということにつきましては、いま予言するわけにはいかないと思います。
  83. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは公明党の矢野書記長への答弁ともかかわり合いがありますから、その統一見解を聞いた上で、機会を得て論議を継続したいと思います。  米華条約が続く限り安保条約の極東の範囲から台湾を除かない、こう理解していいのですか。
  84. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私の申し上げておりますことは、安保体制は従来のままであるということを申し上げておるわけでございます。言いかえれば、日中正常化は現行の安保体制とかかわりなく成就したものであるというところから、御理解をいただきたいと思います。
  85. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その問題も残しておきましょう。  それで、四次防問題に入る前に一応確認をしておきたい基地問題があるのですが、福岡県岡垣町にあります芦屋射爆場、これが米軍から自衛隊に移管される問題が起こっております。この自衛隊の移管についてです。これは自治法の九十六条に基づく町議会の承認議決を必要とするかどうか、自治大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  86. 福田一

    福田国務大臣 その問題は、法律的に町議会の議決を必要とするとは考えておりません。
  87. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 実際の処理としては、町議会の議決があればそれを尊重なさいますか。
  88. 福田一

    福田国務大臣 いままでの慣例は、そういうこともあると存じております。
  89. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 尊重されると解してよろしゅうございますね。——御答弁がなかったらそう解しておきます。尊重する……。  次に、その町長と防衛庁の間に覚書がかわされております。五年間を限って一応貸す、自衛隊移管を認めると。五年たったら返還されますか。そういう含みですか。
  90. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 施設庁長官からお答えをさせたいと思います。
  91. 高松敬治

    ○高松政府委員 関係の町村との間では、使用を開始してから五年を経過した時点において、当該施設周辺の開発状況等を考慮して、その後の使用について関係町長と協議する、こういう合意をいたしております。私どもといたしましては、周辺お開発も現在もうかなり進んでおるようでございますけれども、今後の開発状況その他を見まして、五年たったらもう一回それについての検討をいたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  92. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは覚書に書いてあることでして、知っていますよ、そういうことは。何を言っておるのですか。五年たって、実際の腹は返還するという気なのか。ということは、この覚書を調印した岡垣の町長の地元民に対するこの理解は、五年後には撤去されるんだという理解で覚書に調印した、こうなっているのです。これは間違いですか、町長の考えは。
  93. 高松敬治

    ○高松政府委員 この問題につきましては、反対の御意見が地元にもいろいろあることも承知いたしておりますし、そういう点で、現在までいろいろ協議を重ねてこの合意に至ったわけでございます。で、五年後において再び検討をするという点の合意は成立している。それから、五年後になったらこれをやめるか継続するかというふうな問題は、さらに……。
  94. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そういうことは聞いていないのだ。それはさっき聞いたとおりです。町長は、五年後には協議となっておるけれども、実際には返還されるという理解のもとにこれに調印したと言っているのですが、その町長の考えは間違いですかと聞いているのです。間違いなら間違いと言ってください。
  95. 高松敬治

    ○高松政府委員 現在の合意いたしました範囲におきましては、その問題につきましては、五年後にもう一回検討しようというまでのことでございまして、それから先についてはさらに御相談をする、こういうことでございます。
  96. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうしてそういうことを繰り返すのですか。町長のその理解は間違いですかと言ったら、間違いと言いなさいよ。間違いでしょう、いまの答弁からいったら。
  97. 高松敬治

    ○高松政府委員 合意をしました範囲内は、私が御説明申し上げましたとおりでございまして、それ以上の問題につきましては今後御相談するという、そういう点からいえば、町長がそういうふうに御理解になっているという点につきましては、私どもとしては、主観的にそういうふうにお考えになっているのではなかろうかというふうに思います。
  98. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっとあなた、間違いかどうかだけ言いなさいよ。町長の理解は、それは間違っている……(「町長に聞け」と呼ぶ者あり)町長の考えは、私いま言っておるじゃないか。
  99. 高松敬治

    ○高松政府委員 町長のお考え自身というものについて、あるいは五年後にもっと開発が進んで返還されるような状態になるのだ、こういうふうにお考えになっておられてそういうふうになるということであれば、それは間違いとも必ずしも言えないと思いますし、ただ、私ども申し上げるのは、そういう合意は五年後にもう一回再検討いたしましょう、その点については私どもも十分に用意がございます、何がなんでもこれを使うということで押してまいるのではない、五年後にもう一回御相談申し上げましょう、こういうことをお約束したところでございます。
  100. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この調印に、どういうわけか、元防衛庁の政務次官が加わっておられましょう。その元防衛庁政務次官は、もう選挙が近いので演説して回られております。五年後には返還させる、返還するのだと。ではそれも間違いですね。そういうことはないのだ、結局五年後白紙で覚書のとおりの協議をするだけだ、そういうことですね。
  101. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 繰り返して申し上げるので恐縮ですけれども、この覚書は、いま施設庁長官が説明をしたとおりでございまして、これに対して関係の人々が、立場立場、及び五年後の状況を想定をして、五年後には返してもらうんだというふうにお考えになっているということは、これはもう必ずしも間違いであると言い切るべきことでもあるまいと思うわけでございます。覚書は、もう繰り返し御説明をしたとおりということでございます。
  102. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 結局、あの覚書の文字のとおりであって、何の含みもない、そういうことですね。  総理にお伺いしますが、この件について、福岡県遠賀郡岡垣町の団地の一主婦から、「拝啓 総理大臣様」という書き出しでお手紙が行っておりますか。
  103. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 一人は匿名でございますが、一人は土本吉子さん、三十五歳から来ております。
  104. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この委員会の場を通じて、その手紙を出された方に総理の御回答をください。
  105. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 まだこれに対して、私から直接御返事を申し上げられるような状態ではありません。いま、防衛庁にこの問題に対して検討を求め、報告を求めておる次第でございます。
  106. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 全然誠意がないような感じがしますね。庶民大臣だから、もう少し庶民の声を聞いたらどうですか。  次に、立川の自衛隊の移駐の問題について聞いておきます。  立川への自衛隊の移駐は、六十八国会で非常に問題になったところであります。これは地位協定の二条4項(a)に基づいて、米軍に提供している間一時的に自衛隊が使用する、そういう説明でございました。間違いはありませんか。
  107. 長坂強

    ○長坂政府委員 お問い合わせのとおりでございます。
  108. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 国有財産関東地方審議会は、そういう一時的使用を、つまり二4(a)の一時的使用を前提にして許可したはずですね。間違いありませんね。
  109. 長坂強

    ○長坂政府委員 そういう一時使用、つまり地位協定の二条4項(a)による使用ということで認められたものでございます。
  110. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もし全面返還の際は、同審議会はあらためて審議をし直すことになっておりますね。間違いありませんか。
  111. 長坂強

    ○長坂政府委員 そのとおりでございます。
  112. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 防衛庁筋の発表によると、今月じゅうにも立川は全面返還になる、こういう見通しであります。そうすると、結局、この国有財産関東地方審議会は、その事態に基づいてもう一ぺん審議し直すことになりますね。間違いありませんね。
  113. 長坂強

    ○長坂政府委員 全面返還とか、あるいは立川のその後の状態について、まだ防衛庁から正規に発表したことはございません。  それで、先般の部隊の移駐、それは先般の閣議決定も得ておることでございますので、いまその方向で移駐の時期等について検討いたしておりますが、その後の生ずることがあるべき事態の変化というようなものもにらみ合わせながら対処してまいりたい、このように考えております。
  114. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 十一月四日の各社の新聞は大々的に、「米、在日基地を大幅整理」と、基地労務者の解雇も含めて防衛庁筋が発表したとなっておりますが、これは発表していないのですか。間違いですか、これは。
  115. 長坂強

    ○長坂政府委員 各紙と申しますよりは、特定の一社が四日に発表して記事に掲載しておると思いますが、防衛庁としては、正規に発表いたしておりません。  以上でございます。
  116. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、そのことはそれでいいでしょう。しかし観測によれば、今月末にも立川が全面返還になるという、そういう情勢ですから、まさか選挙前のどさくさに本隊が立川に移駐するようなことはないでしょうね。そして既成事実をつくっておくというようなことはないでしょうね。
  117. 長坂強

    ○長坂政府委員 その移駐の点につきましては、実は今月の初め、立川の市長も防衛庁に増原大臣を訪れまして、不在でございましたので私お会いいたしましたが、事前によく話し合いを行なった上でと申しますか、市長の御発言は、本隊移駐ということについては絶対反対ではあるが、しかし、従来からこのことについては事前に十分に話し合うということになっておるので、どうかひとつ十分に話し合おうじゃありませんかというお話がございまして、もとより私どもとしましても、御納得のいくように十分にお話を申し上げてまいりたいというふうにお話をいたしまして、今週からでも立川の市長と話し合いを始めたい、このように感じておるものでございます。  以上でございます。
  118. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 重ねて言っておきますがね。今月じゅうに立川が全面返還になる模様だ、そうなるともう一ぺん国有財産審議会にかけなければならない、ややこしくなるから、そういう情勢は頭の中に描きながら、先に自衛隊の本隊を移駐させて既成事実をつくる考えがあるように私は思うんです。だから、もしそういうことになったら、この国会ではただじゃ済みませんよ。まあ今度選挙がありますから、私も、骨をかきむしってでもはい上がっていって、もう一ぺんやりますからね。いいですか、念だけ押しておきますよ。  それから四次防問題に入りたいと思います。十月の初めでございましたが、七十六歳になるいわゆる老父が、三十過ぎた青年重症心身障害者を殺した事件がありました。これは各社大きく取り上げた。なぜ殺したかというと、奥さんも入院し、三十こしたその自分の子供は寝たきりである。もう自分の余命も幾ばくもない。いろいろ施設に行ったけれども断わられた。いわゆるおとなの身障者というのはそういう扱いを受けているんです、やっかいなんですから。だから自分がもし死んだらこの子はどうするであろうか、それならいっそ殺したほうがこの子のしあわせになる、そういうことで殺しちまった。そしてその老人はすぐ自首した。  総理大臣、あなたが、その老人の心配に対して、いや、そういう殺すようなことはしてくれるな、こういう方法がある、と言って思いとどまらせるだけの政府の回答がございますか。総理大臣のお考えを聞いておきたい。
  119. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 たいへん悲惨なことで、遺憾なことでございます。いま御指摘になられたような事例、そういう重度心身障害児、障害者等、また寝たきり老人もございます。そういう者を国家、公共の責任でできるだけ早く完全に収容をいたしたいということでございます。しかし、それまでにはまだ幾ばくかの時間がかかるわけでございますが、このような難病対策というものに対しましては、積極的な姿勢でまいりたいと思います。  しかし、自分がなくなったならばどうにもならないだろうから、いま自分で生命を断とうということ、これは親子心中等においてもいろいろございますが、しかしそこはひとつ、人命は非常に重いのでございますし、とうといのでございますから、そういう立場で、殺してしまうというようなことがなくなるように配慮をしてまいらなければならぬと思います。
  120. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 倫理的にはそのとおりですね。それがわかりながらこういう事件が起こったんですね。いまの総理の回答では思いとどまらせることはできないです。説教だけですからね。救えないんだ、いま。救えないんです。それが実情なんだ。厚生大臣御存じのとおりです。これは金がないからです。  厚生大臣、いま原子炉の治療ですね、これが非常にアメリカでまず始められて、そして日本の東大でそれをさらに発展さした。もうガンが不治である、不治の病気であるという時代は、この原子炉治療が発達すればなくなるのだというようにまでいわれておる時代になりました。いいことです。ガンでずいぶんの方がなくなられた。日本に医療用の原子炉がありますか。
  121. 塩見俊二

    ○塩見国務大臣 ございません。
  122. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 何と言われた。すみません、もう一回。
  123. 塩見俊二

    ○塩見国務大臣 医療用の原子炉はございません。
  124. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ日本では原子炉治療が行なわれておりませんか。患者にとってはたいへんな問題なんですよ。
  125. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ガンその他に対する治療は行なっております。たとえば頭の中の脳腫瘍等につきましては、日立の原子炉を使いまして十数回治療をして、東大の佐野教授等のいろいろな技術を使いましてやっております。
  126. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 たいへん正確です。これはただし産業用の原子炉ですね。
  127. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そうでございます。それを応用しております。それで、医療の治療用の原子炉をつくろうと、いまいろいろ研究さしている最中でございます。
  128. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 おっしゃるとおりで、医療用の原子炉はないんです。だから産業用の原子炉を一時しのぎに使っている。しかし、いまおっしゃった産業用の原子炉は、アメリカのいろいろの原子炉に対して五十分の一の出力しかない。だから、からだの深部にいくその効果が非常に薄いんです。これが実情です。間違いありませんね。  それで、いま建設を考えておるという話ですが、医療用原子炉の一基の見積もりの建設費はどのくらいですか。
  129. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いままだ正確にお答え申し上げることができないのは、残念でございます。
  130. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 五億と十億の間といわれております。十億にならない。いいですか、たったのそれだけです。問題のC1中型輸送機、これは一機三十億。T2、これは十五億。RF4E、これは二十億。C1を一機減らしたら三基できる。三基以上できる。C1を三機減らしたら、全国九ブロックに一つずつできる、ガンの患者がどれだけ助かるかわからない。私はこういうことを考えると非常にむなしいんです。C1を二十四機つくることになっておる、今度の四次防で。一機減らしたらどれだけ日本の防衛に差しつかえますか。
  131. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 一機減らしたらどういうように影響するか、これはもう楢崎委員もよく御承知と思いますが、ちょっと測定困難でございます。
  132. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 聞かれましたか総理大臣。一機減らして日本の防衛にどういう影響があるかわからぬと言うのです。じゃなぜ二十四機要るのですか。それで国民に対して説明がつきますか。
  133. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 二十四機を整備して、いまなし得る段階というものを期待しておるということでございまして、二十四機でどういう能力を発揮し得るかは、他の政府委員から具体的なことはお答えをさせたいと思います。
  134. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いいですか、そういうことなんです、政府は。この中型輸送機一機減らせば医療用の原子炉が三つできる。ガンの患者はどれだけ助かるかわからない。一方にそういう切実な問題があるのに、一機減らして日本の防御にどういう影響があるかわからぬ。何という答えですか、これは。それで国民を説得できますか。いいですか、このC1については私も因縁がある。四次防を策定する一番最初の段階は、日本の防衛にこのC1は五十機要るとあなた方は考えたんだ。そしてこの中型輸送機のメーンの会社は川崎重工、エンジンは三菱重工。このときにこのエンジンを現実につくっているのは、経験があるのは石川島播磨だけだ。何の経験もない、工場もない三菱重工になぜエンジンをつくらせるのだ。金がよけいかかる。工場は、農地委員会にはかつて名古屋の近郊の土地を、いまから買って工場を建てて技術者を入れて、それからつくるのですということばだ。私はそのときまぼろしの工場と言ったはずです。  ところが、私が指摘したとおり、エンジンの価格はどんどん上がって、四十一年当時はC1は十四億と言っておったじゃないですか。それが四次防決定では幾らになったですか。三十億になったでしょう。三菱重工のためですよ、こんなに上がったのは。三菱重工に頼んだからです。そしてその結果、予算的に最初防衛構想上五十機要ると言っておったのが、三菱の都合で三十機に減らした。つまり日本の防衛構想は防衛産業の主導によって変わるのだ。これが現実の事例です。いいですか、五十機が三十機に減らされた。そして二十四機でしょう。防衛産業の都合では簡単に二十機も減らす。民生に必要なこの医療用の原子炉をつくるために、どうして一機減らされないのです。防衛産業が言ったときは三十機に減らしている。私はこういうことは国民に対して説明がつかないと思うのです。つまり、現在の日本の防衛というものは防衛産業の主導型になっている。たくさん例がありますよ。ここに産軍癒着の危険な状態がある。  三次防の総額は、人件費の値上がりも含めて、全部で結局幾らになりましたか。
  135. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 約二兆五千三百億円でございます。
  136. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、四次防予算を入れてこの十年間の防衛予算というものは、約八兆円近くになります。同和対策事業特別措置法は四十四年から五十三年まで十年間の時限立法で、もう四年が経過した。この同和対策の十年分の予算は幾らですか。総理大臣
  137. 本名武

    ○本名国務大臣 五千三百億円になっております。
  138. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この同和対策事業は、これこそ各党一致で——私は前佐藤総理大臣に申し上げた。あなたはいろいろあったけれども、これだけはいい法律をつくってくれた。議員立法で各党が一致してこれを成立させた。その必要があったから十年間のこの同和対策事業特別措置法をつくったのです。それが五千億ですよ。防衛予算は十年間に八兆円。こういう比較を考えても、どうしてこれほどの膨大な防衛予算が要るのか。もう少し切実に要求しているいろんな課題がある予算、それを捨ててでもこれだけの防衛予算が必要だと言う。これは国民に対してあなたは説得できないと思いますよ。同和問題は現実に問題がある、手を差し伸べなくちゃいけない問題だ。それが十年間でたったの五千億。防衛予算のほうは、仮想敵国もわからぬ、とにかく独立国だから、相手の力があるから、まぼろしの敵ですよ、これに対して八兆円。現実にある問題については五千億。私は、こういう点を考えても納得がいかないと思うのです。  そこで、総理大臣に一言伺っておきますが、この同和対策事業特別措置法、残されたのはあと六年間です。あなたは本会議で、政治というものは目標を明確にして、期間を設定して、そしてわかりやすくやるのが政治の目的だと演説なさいました。で、ここで約束してもらいたい。残された六年間の同和対策事業の年次別の予算と、具体的な事業内容を計画的に出すようにする気があるかどうか、総理大臣に聞きたいと思います。
  139. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 同和対策に対しては、非常に重要な問題として超党派で政策を行なってまいっておるわけでございます。私も三年間も財政当局者でありましたから、この間の事情をよく承知しておりますし、幾ばくかの努力は続けたつもりでございます。これが対策については、万全な体制でまいりたいと、こう思います。  残余に関しては、担当大臣から答弁をいたします。
  140. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは、しかと約束しておってください。  それで、四次防に移りたいのですけれども、なぜ三次防の二倍になるほどの四次防が急いで決定されたのか、これは国民みんなの疑問だと思うのです。これに答えなくちゃいけない。それで、私はこの点について、総理大臣も外務大臣防衛庁長官も、防衛は日中正常化、アジアの緊張緩和、それとは別だという考えを披瀝されました。私はこの考えは依然としてパワーポリティックスに立っておる、そう思わざるを得ないのです。特に、外務大臣のかしこにおける発言はそうですね。アジアの緊張緩和とは別だ、日中正常化とは別だというこの考えの根底には、やっぱり中国敵視の考えがひそんでいるのではないかと思わざるを得ないのです。つまり日中正常化は、この前の共同声明は始まりである。中身は真の友好親善を深めていくことだ。ほんとうに政府はその気があるのかどうか。一方において不信感を腹の底にたたえながら、表面上は友好親善を口にする。つまり二面性を政府は持っておるのではないか、こういうふうに考えざるを得ないのです。日中正常化、アジアの緊張緩和と四次防のあれは別だというような考え方の底にですね。どうでしょうか、総理大臣
  141. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 日中の正常化によって、日中は長きにわたって善隣友好の実をあげてまいらなければならないということは、全くそのとおりでございます。
  142. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ところが、田中内閣はそういう考え方で全部統一しているのかどうか、疑わしい問題があります。  昭和四十七年八月三十日の警察署長会議における公安部長指示事項、これが公安総務課によって発行されております。資料ナンバー号外、四十七年九月二十日、この中にどういうことが書いてあるかというと、拾い読みをしてみると、「日中正常化の問題も急テンポで進められ、かつ、これが中共ペースで行なわれている」云々。「一番重要なことは、中共の対日基本方針は変わっておらず、日中友好ムードに眩惑されて、楯の半面を見落とさないことがわれわれとしては非常に大事だと思う。」公安部長の考えです。これを見てみると、依然として中国への不信感、あるいは革命を中国は輸出するのではないか、そういう考えの上に公安関係は立っておる。  もう一つあります。内閣調在室、一九七二年九月、「周恩来について」これは私は総理の訪中資料だと思うのですね。「まえがき」にこんなことが書いてあります。「中国を論ずる場合、同首相に関する理解は不可欠である。この論文はそのような観点から、〇〇〇〇に委嘱して周恩来論を簡潔にまとめたものである。」その中に、本論はどういうことが載せられておるかというと、それは確かに人の言っておることということで載せております。しかし、一番最後を見てみると、そうではないことがわかる。周恩来という人は、「人を殺して、その隣の部屋でにんまりと乾杯できる男である。文化革命も林彪事件もすべて彼の舞台回しで行なわれたと見て間違いない。」あるいは、「以上を総じてわれわれは次のように規定できよう。人間としての非情性を発見し、彼に」周恩来に対してですね、「彼に微笑と冷酷性の二面的性格が見出されるということである。多面的に演技することのできる一面的な共産主義者という規定が最も的を射た人物評である。」内閣調査室。私は、こういうことが陰で行なわれておるということは、これは田中総理がもしそうでなかったら、こういう文書に対して厳重な規制を行なわなければならないと思う。どうですか。
  143. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 日中国交正常化後の日中関係については、私がもう間々申し上げておるとおりであります。これはもう私が申し上げておるのでございますから、御信用をいただきたい。そうでなければ、私は日中国交正常化のために北京にまで飛んでまいりません。そういう事実の上に立って、私の発言に対してはひとつ御理解を賜わりたい、こう思います。  警察のお話につきましては、私もその後御質問があるということで事実を調査いたしましたが、これは相手を誹謗したり、そういうことではないようでございます。これは一部の極左分子などが自己流に解釈をして云々ということでございまして、そういう動き等に対して、しっかりやらなければならないという意味のことを述べたものでございまして、相手を誹謗する、平和、友好に水を差すということが前提の発言ではないというふうに理解をしていただきたいと思います。  それから、人物論その他に対しては、私はよく承知をしておりませんが、人物論、見方によって、角度によっていろいろな表現があると思いますが、いま御指摘になったようなことありとせば、それは政府の中の文書とすれば、友好親善という立場にプラスになるものではないと思いますので、そういうものは注意させます。
  144. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 官房長官、その内閣調査室というのは官房長官の指揮下にあると思いますから、ひと  つしっかりと規制をしてもらいたいと思います。  そこで、結局今度の四次防は、総理のおっしゃるとおり、三次防の延長であれば装備計画ですね、もし総理の言うとおりであれば。しかし、これほど四次防を急いでつくらなければならなかったその原因の大きな部分は、防衛産業を困らせないためだ、こう思わざるを得ない。つまり、第四次防御力整備計画というのは防衛産業の整備計画にしかすぎない、兵器産業の育成計画にしかすぎない、そう思わざるを得ないんです。  以下、資料によって私はそれを明らかにしたいと思います。委員長、資料を配付したいと思いますが、よろしゅうございますか。——防衛庁長官にお伺いします。時間を省きますためこちらから言いますから、間違っておったら間違っておるところだけ指摘してください。  防衛庁が物品を調達する場合には、防衛産業に認める利益率は、大体結果としては今日は五%ないし六%である。間違いありませんか。
  145. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 大体はおっしゃるとおりでございます。
  146. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは調達物品等の予定価格の算定基準に関する訓令の七十七条から八十条によって原価計算をすれば、結果としてそうなるということである。で、「防衛産業は、この利益率をオーバーする利益を出した場合、その超過利益の分を防衛庁に返還しなければならない。通常、概算契約の場合は「契約金額の確定に関する特約条項」、利益制限条項付確定契約の場合は「利益制限に関する特約条項」に基づき、基準利益(五—六%)をオーバーした超過利益は防衛庁に返済しなければならない。」ことになっておる。「特約条項がついていない場合でも、利益率は五—六%になるように契約価格は確定される筈である。防衛産業は特約条項に基づき、防衛庁に対して「原価計算実施手続の承認」をうけ、「実際原価計算書」等を作成して、その証拠書類とともに「原価報告」を防衛庁に提出しなければならない。防衛庁は調達実施本部の原価計算課員を「原価監査官」として防衛産業に派遣し、原価計算が適正に行われたかどうかを厳重に監査することになっている。」以上、間違いありませんね。
  147. 黒部穣

    ○黒部政府委員 大筋においては大体合っているわけでございますが、個々の文章につきまして正確かどうかということになりますと、若干相違いたしておるところがございます。
  148. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私がいま申し上げた点は、訓令並びにおたくがつくられた契約書のとおり言っているんですよ、ことばも全部。もし違っておったら、おたくのつくっておられる契約書が違っておる。これは私は確信がありますから先に進みます。全部合っています。これはおたくの契約書のひな形並びにその訓令によって申し上げただけですから、念のために言っておきます。  そこで、調達実施本部には公認会計士は何人おられますか。
  149. 黒部穣

    ○黒部政府委員 一名でございます。
  150. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 五兆円に及ぶ四次防の予算を公認会計士たった一人ですか。それで原価計算を綿密によくやれますね。先に進みましょう。  結局、私は、六十八国会の終わりかた、T2が最初四億円が十億円になり、十四億円に上がった事実を指摘した。そのときここにおられる江崎防衛庁長官は、私がT2の積算基礎を示せと言ったときに、公の場では政府は契約が不利になるからできない、こうおっしゃっておる。私は随意契約だからいいではないかと言ったが、それでもなお積算基礎を示されなかった。そして秘密理事会に持ち込まれて示された。ところが、また本委員会を開いたら、それは言ってはいけないと言う。われわれは審議できない。ところが、こういう問題をこの予算委員会審議することが、政府の契約を不利にするのではない。実はそうじゃないのです。あなた方の監査能力がないから不利になる。随意契約を、ひとつここに例をとってお示ししたいと思うのです。  資料の一番最初の分ですが、「F104Jのナサールの部品調達について」に、「完全に同じ規格の部品単価が一年後の売買では半値近い安値で取引される」まことに奇怪なこれは契約であります。その事実は一番最後に資料として出しております。これはF104Jナサールのマイクロウエーブのウエーブガイドの部品であります。パーツナンバーも書いてある。同じ物品が、四十五年度と四十六年度でこんなに違っておる。約半分近く下がっておる、後年度のほうが。これはなぜですか。
  151. 黒部穣

    ○黒部政府委員 ただいま資料を一読いたしまして、私も思い出したわけでございますが、本件は住友商事が総販売権を握っておる部品でございます。その部品はF104Jのレーダー、火器管制装置の導波管でございまして、これは、この資料にございますアメリカの何とかプロダクトの製品を住友商事が輸入して納める。ところが、アメリカにおきましてもそれ以外の会社で製造してよろしいということになりまして、別の会社があらわれて、これを日本エアクラフトというような、正確な名前じゃございませんが、商事会社が販売権を持ちまして競争になったわけでございます。競争になりました結果、翌年度は非常に値段が下がるということになっております。  二点ほどつけ加えさせていただきたいと思いますが、輸入の品物につきましては、国産品の場合と違いまして、現実問題としては原価監査ということはできがたいわけでございまして、やはり先方のクォーテーション、言い値というものを尊重せざるを得ないというのが第一点でございます。  第二点は、実は、同じような製品をたまたまアメリカの会社で、二社で製造し得る。で、それぞれの輸入会社が競争するという結果、非常に安くなったわけでございます。つきましては、四十五年度に、先生御指摘のとおりかなり高く買ったわけでございまして、それがわかりましたから、住友商事に話しまして、超過利益分として約四十数%のものを、四十六年度末に返納さしております。
  152. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 お聞き及びのとおりです。随意契約の場合、しかも外国の製品だったら向こうの言いなりにならざるを得ない。そのとおりです。だから、T2の値段の値上がりも、エンジンのロールスロイスも、言うままにずっと上がっていったのです。四三%ですか、後年度には返還させたという事実は、これは不当な利益を取っておったからでしょう。会計検査院見えておりますか。−四十五年度の検査について、こういう不当な利益を住友商事が得ていた。不当事項にこれは入っていますか。
  153. 白木康進

    ○白木会計検査院長 四十五年度の決算検査報告の不当事項には入っておりません。
  154. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 会計検査院は何を検査しておるのですか。防衛庁には公認会計士は一名しかいない。せめて会計検査院なりとも、こういう事実を明らかにしてもらいたいと私は思った。これは会計検査院もでたらめだ。  次に、東京螺子の例を出したいと思います。東京螺子の利益率は六%クローズになっておる。ネジですね。それで、飛行機にとってネジというのは絶対なければならぬものですね。ネジがなくてはばらばらになりますから。だから、非常に精密さを要求される。大体、飛行機の全価格に占めるネジの価格は五%だといわれている。  ところが、この東京螺子は六%クローズです。平気で無視して、不当不法な利潤をずっと得ておった。二次防から、三次防から、ずっと得ておった。その資料はここにつけておりますとおりです。これがほんとうの資料なんですね。最後につけてあるでしょう。東京螺子のこの航機会社別損益表、この航機会社は、ほとんど全部といっていいほどこれは軍用機なんです。防衛需要なんです。総原価率を見てごらんなさい。六%クローズになっていますか。平均は八五%。そうすると、一五%の利益を得ておったことになる。九%の利益を不当に着服しておったことになる。これがほんとうの原価計算表なんです。私は、現物を写真にとっております。これが間違いのない原価表なんだ。プライスリストなんだ。  この中で、特に直接防衛庁に納めておるものがありますね。総原価率が七五・九%です。どうしてこういうことになっているのですか。それは、防衛庁に出すプライスリストを東京螺子は改ざんしている。その改ざんの事実はここに書いておるとおりです。四十四年一月から四十五年十二月までの期間の分の、いろんなほんとうの原価のデータを全部改ざんしている、四次防のために。改ざんをした時期は、四十六年の五月八日から始まっておる。六月まで二カ月かかっておる。昨年の六月まで二カ月で改ざんして、そして、改ざんしたものを見せられて、防衛庁は昨年七月一日に、その改ざんされたプライスリストをよく調べもせずに、そのまま監査を通しておる。そうして十一月三日から四日にかけて、防衛庁は、四次防のためのネジ類の最終決定をしている。私は、この事実を直ちに調べてもらいたいと思う、重要な犯罪行為だから。私は、ここに全部資料を備えております。  そこで、念のために申し添えておきますが、大蔵大臣あてに、この東京螺子の有価証券報告書に関する疑惑について、調査申請が出ておるはずである。同時に、東京国税局長あてに、東京螺子の決算報告書の不審点について調査申請が出ておるはずである。御存じなければすぐ調べてもらいたい。どうしてこういう事態が見のがされておるのか。いいですか、それは先ほど言ったとおり、公認会計士が一人しかいない。結局、防衛庁には原価計算の適正さを監査する能力がないのではないか。それから、やろうと思えばこれはできるのですね、すぐしろうとでも。  たとえば、航空機製品元帳を見れば、この東京螺子の場合は、三十五年から現在までの原価、売り値がすぐに明らかになるはずです、ほんとうのものが。また、確定決算報告書や有価証券報告書などを調べても、適正かどうか、公認会計士ならすぐわかるのです。大体、どういう監査を防衛庁はしておるのですか、この東京螺子に対して。私が調べたところによると、たとえば東京タワーの向かいに機械振興会館がある。わざわざ電話のない部屋を選んで、そこに防衛庁は、航空機の場合は、原価計算は調達実施本部の原計四課のはずですが、その役人を、防衛官を呼んで、会社側から適当な資料を持っていって、電話のない部屋で形式的に監査をして、そうしてその足で車で、藤沢の工場の近くにさる料亭がありますが、全部調べておりますが、そこで接待している。何を一体やっておるのですか。この接待役が東京螺子に天下った防衛官で、名前もわかっている。だから、防衛庁には能力がないのではないかということが一つ。  また、監査を適正にしようという、徹底的にしようという意欲がないのではないかと思うのです。なぜ意欲がないと思われるかというと、天下り防衛官に遠慮しておるのではないか。また防衛庁は、防衛産業への天下りの道を閉ざさないように、あまりひどいことを言うと閉ざされるから、その道をあけておくために、天下りの道を確保するために手かげんを加えておるのではないか。そうして、このような産軍癒着のきたない関係を媒介しておるのが防衛庁の天下り防衛官。しかも、この東京螺子の場合は、たった七億円くらいの会社です。これに三菱重工から天下り人事が行なわれておる。社長もそうだし、常務もそうです。これはほかの大きな会社でも行ける人です。それをわざわざ七億くらいのネジ会社に三菱重工から役員を送り込んでおるということは、いわゆる三菱兵器廠が兵器関係の系列化をはかっておると、こう思わざるを得ません。  同時に、こういう三菱からの天下り人事があるから、三菱に遠慮しておるのじゃないか、こう疑いを持たれてもしようがないのですよ、全部。結局、全国の六千というネジ会社、これは苦労している。この東京螺子は、資料につけておるときに、民需の車両関係の資料をつけておるでしょう。車両関係の利益率は九九・九%ですよ。利益じゃない、結局、防衛庁の発注で生きておる会社だ。防衛庁は監査が甘い。ごまかしても通るのだ。こういう防衛庁をなめ切っておるそのことが、結局は企業を堕落させて、このような犯罪を誘発する原因をみずから防衛庁がつくっておるのです。  私は、この事実を、重大ですから直ちに報告してもらいたい、事実かどうか。こういう事態に対する会計検査院の態度をまず聞きたい。
  155. 白木康進

    ○白木会計検査院長 お答えいたします前に、先ほどの住友関係の契約に関する件でございますが、ただいま担当の課長から聞きましたところによりますと、私どもで検査に参った当時、防衛庁でも過払い相当額を徴収いたしまして、すでに国庫に返納済みであったということで、特にこれは故意または重大なる過失というような事態について、そこまでの判断はしなかったということではなかったかと思います。私どもの会議までは上がってきておらない事実でございます。  次に、ただいまの件でございますが、ただいま私いろいろお話を伺っておりましたけれども、詳細な事実の資料を持っておりませんので、具体的なお答えをいたしかねます。御了承ください。
  156. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 調べる気がありますか。
  157. 白木康進

    ○白木会計検査院長 さっそく担当の者にも話しまして、実態を調査いたしたいと思います。
  158. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 こんな事態は、私は、東京螺子のようなところだけを問題にしたくない。しかし、これは資料があまりにも明白であるから、これを問題にしている。防衛産業は大体似たり寄ったりです。この産軍癒着の状態は、これは氷山の一角にすぎない。  そこで、この航空機調達価格に占めるネジの比率はわずか五%です。しかし、これを計算してごらんなさい。四次防全体の調達価格、あるいは三次防から引き続いたファントム等に当てはめてみたら、五%といっても相当の金額になります。そして、昨年十一月三日から四日にかけて、あなた方は四次防のネジ類の価格をきめた。その積算基礎に重大な犯罪行為がある疑いがある。とすれば、この疑いが明確にされるまで、議長がこの前行なった四次防のあの新機種に対する凍結解除、これを禁止することはもちろんのこと、四次防四兆六千三百億の積算の基礎に重大なそごがある。犯罪行為が含まれておる。したがって、四次防の契約は、この疑義が明白になるまで、一切契約をすべきではない。これは氷山の一角ですから、四次防四兆六千三百億、これ全部について防衛庁は洗い直す必要がある。もう一ぺん出直してきなさい。いいですか。  予算委員長にお願いしておきたいことがあります。防衛に対する国会のシビリアンコントロール、石橋書記長が問題にしましたこれは、大体人と、物と、金、マン、マネー、マテリアル、この三Mに対して行なわれなくちゃならない。特に、予算委員会は予算を扱う委員会である。専門の委員会であります。だから、予算価格の公正さあるいは適正さを追及することは、当委員会の直接かかわり合いを持つ主題の問題である。また、それを明らかにすることは、当委員会の義務でもある。予算委員会は徹底的にこの四次防予算を洗い直すことによって、はじめて予算委員会としてのシビリアンコントロールを果たすべきである、そう思います。予算委員長のお考えを聞いておきたい。
  159. 坪川信三

    坪川委員長 楢崎君の御指摘になりました点につきましては、非常に大事な問題でもございますので、理事会においてもそれぞれ協議をいたしておきたいと思います。
  160. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、この際、国防会議議長、防衛庁長官、大蔵大臣は、財政法の予算執行について、凍結解除された新機種について、こういう事態が起こっているのですが、一体どうするか。  あわせて政府は、官房長官でしょうが、議長の今度の凍結解除について、政府としては、国対四委員長の申し入れに対して、国会審議の経過を見て慎重に措置したいということをおっしゃっておる。こういう重大な疑義を私は提出している。予算の執行についても、この凍結解除についても問題があります。この際、もう一度言います。国防会議議長、防衛庁長官、大蔵大臣の見解を聞いておきたい。
  161. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 まず初めに、楢崎委員に御質問いただきました東京螺子の問題でお答え申し上げます。  昨年の十一月、東京螺子の元原価課長より、同社に粉飾の事実がある旨の情報提供があったので、所管の関東財務局に再調査を指示した。再調査は、情報に基づき、たなおろし資産、売り掛け金、固定資産に重点を置いて実施したが、その結果、情報提供者の指摘するような粉飾の事実は認められなかった……(「何だ、それは朗読か」と呼ぶ者あり)しかし、経理処理方法の一部に誤解を与えるような点も見られたので、今後一そう監査を充実するよう監査人に対し注意することとした。  これは、私が特にいま朗読いたしましたのは、事務当局から私への報告の書類を入手したものですから、その中で、調べたのは関東財務局に再調査を指示してあるのですが、だれが調べに行ったかとか、そういう問題になりますと、ただいま存じていないものですから、ありのままを御報告申したわけであります。  なお、ただいまの、その次の御質問に対してお答えいたしますが、これはまた私にとって非常に大事な問題でございますから、経過を一応書かせたものがございます。それによりまして申し上げてみたいと思うのであります。
  162. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 すみません。時間がないのですから、とうとうとやられたんじゃ困るのですから……。
  163. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 簡単にやりますから……。わりあい短いです。  十月九日に四次防が決定されましたので、官房長官から衆議院議長に、四次防の主要項目が決定された旨通知されました。衆議院議長の確認を受け、また、参議院議長にも通報し、その承認を得ているということを承知しております。  そこで、十月十八日に与野党の国会対策委員長から、政府は……。
  164. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そういう経過は私どもは知っているのですよ。それを聞いているのじゃない。東京螺子のこういう詐欺的な行為があるということについて、事態が明白になるまで、その執行をしてはいかぬ。あなたはどう思いますか、それを聞いているのです。経過は知っているのですよ。
  165. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 経過に加えて、最後に私の申し上げることが出ております。
  166. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 時間がないのですから、経過は知っておりますからけっこうです。
  167. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 十月十八日、与野党国対委員長から、政府は、三機種予算の執行については、経緯を尊重し、国会における四次防の十分な論議の経過をまって慎重に行なってもらいたい旨の申し入れがあったことを承知しております。それで、私といたしましては、この申し入れの御趣旨を尊重し、今国会における四次防の十分なる御審議をまって、防衛庁よりの実施計画の承認申請があれば、その内容を審査してまいることといたしております。
  168. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、私の質問に対してはどうなんですか。いままでのは要らないのですよ。
  169. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 だから、防衛庁からの報告をまって私のほうは処理をいたします、こういうことです。
  170. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ということは、この疑義が晴れるまでは執行しない、執行を許可しないということですね。
  171. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 私は、防衛庁からの書類を見、また、本日の御質問の質疑応答の内容も一応聞いておりますから、その上で判断をしたいと思います。
  172. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 時間がありませんから、簡潔に願います。
  173. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 時間がないので、結論だけを遺憾ながら申し上げますが、御指摘になりましたいろいろな事情につきましては、私どもの立場で厳重な調査をいたすつもりでございます。しかし、そのために私どもが予算執行をこの際見合わせる、あるいは四次防を御破算にするというふうなことは、いたしかねるわけでございます。
  174. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 予算の執行につきましては、適正、厳正でなければならぬことは申すまでもありません。今度の四次防の凍結部分につきましては、この国会で、ただいまのように十分審議をいただいて、その結果、適法な処置をとりたい、こう考えます。
  175. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 防衛庁長官のおことばと違いますね、国防会議議長のことばは。十分この適正さを判断して処理するというおことばです。あなたは、提出した疑義に対する問題とは別に、契約はかかわりなくきめると言うのでしょう。いいんですか、それで。
  176. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 繰り返して申し上げまするが、指摘されました疑義につきましては、私どもの立場で調査をすみやかに厳重にいたすつもりでございますが、予算の執行につきましては、いま総理が基本的に申されましたように、本国会における慎重な調査をまくってという申し合わせになっておるわけであります。それをわれわれ踏まえましてのことばでございまして、御破算にする等のことはいたしかねる、こういうことでございます。
  177. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この際、日本社会党は、法務大臣と国家公安委員長に対して、本問題についての告発をしたいと思います。これを私は明確に申し上げておきます。  いずれにしても、この疑義が晴れるまでは、四次防予算の執行はできないじゃありませんか。四次防の積算基礎に犯罪行為があるのだから、もしそれが明白になれば、したがって、私が指摘したこれらの事実が明白かどうか、予算委員会は、予定は一応明日までですから、この予算委員会が終わるまでに、重大問題だから、予算委員長もさっき、これこそシビリアンコントロールの課題だ、十分この適正さを追及するという私の意見について賛意を表されたのだから、明日までに、予算委員会が終わるまでに事態を明白にされたい。その返答を待って、私は、この問題に対する最後の質疑を留保しておきたいと思います。予算委員長のお考えを聞きたい。
  178. 坪川信三

    坪川委員長 いまの御要望の点につきましては、それぞれ理事会において協議をいたしたいと思います。  以上で、楢崎君の質疑は終了いたしました。  この際、三十分間休憩いたします。    午後一時五十五分休憩      ————◇—————    午後二時三十六分開議
  179. 坪川信三

    坪川委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  質疑を続行いたします。二見伸明君。
  180. 二見伸明

    二見委員 私は、土地問題それから経済問題等について、総理並びに関係大臣の御所見を承りたいと思います。  最初に、土地問題について、主として総理大臣の御見解を承りたいわけでありますが、現在、たとえば田中総理大臣がお書きになられました日本列島改造論、これは賛否両論いろいろあります。ここでその賛否両論を評価するのじゃなくて、日本列島改造論を展開された中で、この一番のウイークポイントは何といっても土地対策だろうと思います。主として土地対策について最初にお尋ねしたいわけであります。  これは確かにわが国にとって非常な重要問題であることは事実でございますし、土地問題の解決は、もう緊急の政治課題だと私は思います。私は、二、三の具体的な例を通して総理大臣の御意見を承りながら、最終的には総理大臣の土地に対する御構想を明らかにしていただきたいと思います。  実は、総理大臣も御存じのように、わが党では日本列島改造論が発表された直後から、全国のおもな地域につきまして、いわゆる大手企業による土地の買い占め状況についての調査をしてまいりました。その大要は昨日の各新聞に発表されたとおりでございますが、そのうち、二、三、具体的な点にしぼって、総理大臣の御見解をお承りしたいわけであります。  私、具体的な事例として提起したいのは、日本列島改造論でも大きく取り上げております青森のむつ小川原地域における土地買い占めの状況でございます。御存じのように、むつ小川原開発というものの構想は新全総で明らかにされたものでありますけれども、当初の開発計画は、茨城県鹿島の三倍、一万七千五百ヘクタールという広大なものでございましたが、その後、四十七年六月に発表された第一次基本計画によりますと、六ケ所村七千四百ヘクタール、三沢市五百ヘクタール、合計七千九百ヘクタール、このようになっております。青森県といたしましては、この開発計画を実施するために、昭和四十六年三月にむつ小川原開発株式会社、むつ小川原開発公社、むつ小川原総合開発センターというものをつくりまして、いわゆるトロイカ方式でもってこの開発を進めようとしているわけであります。ただいま公表されております、県が公表いたしました土地買収価格は、二等地ですと、たんぼが十アール当たり七十二万円、畑は六十三万円、山林原野は五十四万円となっております。  ここで私、総理大臣にまず御見解を承りたいというよりも、まず御意見を承りたい、率直な御感想を承りたいのは、むつ小川原というのは、まず新全総で構想が明らかにされ、四十七年六月に第一次基本計画が発表された。これは経緯でございますけれども……。ところが、企業のほうはどうかといいますと、第一次計画が発表される前に、すでに大量の土地の買い占めが行なわれております。これは現地へ行きまして登記簿でもってわれわれが調査したわけでありますけれども、いわゆる六ケ所村、第一次基本計画の中心となります六ケ所村では、四千五百六十八ヘクタールが買い占められております。六ケ所村の総面積というのは二万五千三百三十一ヘクタールでありますして、そのうち国有地というのは一万三千九百九十・六ヘクタール、村有地は五百七十三・四ヘクタール、民有地は一万七百六十七ヘクタールであります。すなわち、六ケ所村では民有地一万七百六十七ヘクタールのおよそ四五%に当たる四千五百六十八ヘクタールが、すでに企業によって買い占められているわけであります。民有地の約半分が、六ヶ所村ではすでに買い占めが完了しております。この事実をまず総理大臣に御認識をしていただいて、こうした計画が行なわれる前に、六ケ所村の民有地の半分近くが買い占められているという実情に対して、総理大臣は、これを好ましいとお考えになるのか、非常にこれは好ましくないというふうに御認識なさるのか、たいへんけっこうじゃないかと積極的な評価をなさるのか、三つのうちのどれかに当たるだろうと思いますので、簡単に御意見を承りたいと思います。
  181. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 とにかく、将来の値上がりということを目標にして買い占めが行なわれるということは、望ましくないと思います。これは何らかの規制を行なわなければならぬ、こう思います。  その六ケ所村が、どういう状態において、いつ買い占められたかは私は存じませんが、このむつ小川原地区というのは、一番初めむつ製鉄というのがありました。これは途中なかでもってやめたわけであります。その後、むつ小川原計画が出てまいりましたのは、新全総の中で出てきたと思います。これを手をつけたのは、経済同友会等を中心にして会社をつくり、県とタイアップをして土地の取得を行なおうということが行なわれたと思いますが、その余のことは承知いたしておりません。
  182. 二見伸明

    二見委員 じゃ、総理大臣はこれは好ましくない、もうけることについては、何らかの規制をすべきであるというふうに御意見は承りました。  もう一つ、やはり御意見を承りますけれども、むつ小川原の全体計画というのは、十六市町村を対象にしているようであります。青森県に問い合わせましたところ、第二次計画というのは四十八年度末から四十九年度にかけて第二次計画を作成するという話でございました。ところが、いま六ケ所村の買い占めについて申し上げましたけれども、六ケ所村の周辺ですね、たとえば東北町というところがございます。ここでは六百九十三ヘクタール、坪数にするとおよそ二百十万坪であります。これがすでに買い占められております。野辺地町というところでは四百七十ヘクタール、約百四十二万三千坪が買い占められております。横浜町というところでは八百七十九ヘクタールが、すでに企業によって買い占められております。これはまだ開発計画の策定はされておりません。おそらく第二次計画の中に入るのではないだろうか、私はこのように推定をしておりますけれども、このことについてもやはり総理大臣は、ただいまの六ケ所村についての御見解と同じように、企業の先買いというもの、そしてそれによってもうけようとするものは、好ましくないというふうな御判断をされておりますか、いかがでしょうか。
  183. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 将来の値上がりということを目標にし、不当利得を得ようとしておったり、また総合的なこれからの開発計画に支障を及ぼすようなおそれがあれば、当然その利益は制約されるべきものである、こう思います。  ただ、土地を取得したというのを、どういう状態において、いつ取得したのかということでもっておのずから中身は分けられるだろうと思います。親子代々持っておったというものは、これはやむを得ないことであります。おやじが死んだから子供が相続をしたということも、これはしようがありません。ですから、全然別な企業が値上がりということを目標にして買い占めておるということになれば、これはもう当然問題になる、こう思います。
  184. 二見伸明

    二見委員 私がただいま指摘しました土地というものは、四十四年から四十七年にかけて企業が取得した土地に限られております。  それでは、もう一点お尋ねをしたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、県が公表した買収価格というのは、十アール当たり、二等地では、田が七十二万円であります。畑は六十三万円、山林原野は五十四万円であります。この地域は昭和四十三年当時、新全総が出る直前でございますね、その当時は十アール当たり五、六千円の価格でございました。それを企業が、あと二、三年もすると開発の法律ができて安く買い上げられてしまうから、いまのうちに売りなさいと言って、三万円から三万八千円くらいの価格でもって企業が一気に買い占めをしております。その結果、昭和四十五年当時にはすでに価格は、たんぼが二十万円になっておりましたし、畑が十万円、山林原野は五万円というのが平均的な売買価格でございました。  ただいま総理大臣は、企業がもうけることを目的として買い占めるのは好ましくないとおっしゃいましたけれども、この七十二万円、たとえばたんぼにいたしますと七十二万円というこの公表価格ですね、これを四十三年当時の価格と比較いたしますと、たんぼは百二十倍であります。畑は百倍であります。山林原野は九十倍であります。計画直前の価格と比較いたしましても、田は三・六倍であります。畑は六・三倍であります。山林原野は十・八倍であります。総理大臣、六ケ所村の民有地の半分は企業によって買い占められているという現実をお踏まえになった上で、この公表価格でもって利益を得るのは、一体どなただと総理大臣は御認識なさいますか。六ケ所村では民有地一万七百ヘクタール余りのうち約四五%、四千五百ヘクタール余りが企業によって買い占められております。これは登記簿を照合していただければすぐわかりますから、不審と思うならばあとでお調べいただければけっこうでありますけれども、民有地の約半分が六ケ所村では買い占められている。しかも、四十三年当時から買い占めが始まっているようでありますけれども、土地価格は、現在の買収価格は、たんぼが七十二万円、畑が六十三万円、山林原野が五十四万円であります。このように非常に高くなっている。この結果もうける、非常に利益を得るのは一体だれであろうというふうに推定をされますか。
  185. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 何を御指摘になっているのかよくわかりませんが、いずれにしても、四十年比較で見ますと、全国の指数で、大体四十七年には土地は三倍になっております。六大都市でも二倍半ぐらいになっていることは、はなはだ遺憾でございます。だから土地政策、土地価格問題が問題になっているのは、以上のことをいうわけであります。  ただ、全国平均はそうでございますが、北海道とか、五十円のものが五千円になったということになると、百倍になっているわけであります。そういう非常に安かったものが、太陽が当たるということで利用価値が出てくると、利用価値、需要と供給とのバランスにおいて対価が出るわけでございますから、これは全国平均ですべてが律しられるというわけではありません。奄美大島とか、返還された沖繩などは非常に安かったわけでありますが、今度の沖繩の海洋博で、返還の間わずか半年間で、何十倍という価格で政府が高速度道路の用地を買わなければいかぬ。これは非常に困っているわけであります。これは、それでも売らない、それでいやだったら売らない、こういう地主がおるわけでございまして、地価というものはなかなかむずかしい問題があることは、これは私も承知しております。  私は、一番驚きましたのは、東京新国際空港、あれを始めるときには、坪当たり七百円くらいの土地であったと思います。これが反当たり二十万円から三十万円、だんだんと上がって百万円、こういうことになったようでございますが、この間には相当な急カーブで地価は上がっておるわけでございます。それでもなお土地は手放さないと言って農民は抵抗しているわけであります。それから鹿島の新工業港は、これは最も理想的なものでございますが、これは、十カ年間五百円だったと思います。いまから考えると、まるでうそのような価格でございますが、これはいま何百倍、何十倍にはなっておるということでございます。だから、むつ小川原などは、むつ製鉄の関係からいうともう十数年来の問題でございますが、あそこらは少なくとも、坪当たり百円などというものではなく、十円台、一けたではなかったかというような気もいたします。そういうものが、やはり利用が明らかにせられると相当なスピードで上がっている。  これは、仄聞するところ、上がっておるような気がいたします。これは不当利得者といって、買い占めを行なった人が利益を得るとすれば、税制その他で何らかの処置が行なわれると思います。もうこれから、土地の利用計画というものが定められるということをまず前提にしておりますし、それだけでも、ウナギ登りの値上がりは確保できないと思っております。それから、政府がまた税制等でもっていろいろなことを考えておりますから、そこでまた第二段の制約が行なわれる。最終的には、では、長く売らなければ保有税という問題で対処もできるわけです。それでなお利益があがれば、法人税で徴収をするということになるわけであります。
  186. 二見伸明

    二見委員 いま総理大臣がおっしゃいました利用計画あるいは税制の問題は、実情認識をされたあとでゆっくりと承りたいと思います。  公表価格で利益を得るのはだれだということについては、総理大臣はあまり確答はしたくなかったようでありますけれども、ただ言外に、買い占めた企業ではないだろうかというようなニュアンスは、私は受け取れたように感じます。私に言わせれば、地価、これによって一番利得を受けたのは、計画決定前に大量の土地を買い占めていた民間企業以外にはないと断定できると思います。またいま、太陽が当たるから利用価値が上がる、だから地価が上がるのだ。それによって利益を得るのは、買い占めてきた企業だと私は思いますけれども、総理大臣、いかがですか、この点は。
  187. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 安く買っておったものが高くなれば、もちろん所有者であるということは、もう言うをまたないことでございます。
  188. 二見伸明

    二見委員 もう一点重ねてお尋ねをいたしますけれども、このように利用価値がありそうだということで地価をつり上げてきたのは、私はやはり買い占めに狂奔した民間企業だというふうに感じておりますけれども、総理大臣は、その点はいかがでしょうか。
  189. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 それはもう、利益を求めて先行投資を行なった業者の活動の結果であるということは、そのとおりだと思います。
  190. 二見伸明

    二見委員 さらに、実情認識を二、三させていただきたいと思います。  六ケ所村の中で最も大量に土地を買い占めたのは、内外不動産という会社であります。およそ千百十ヘクタール、三百三十三万坪の土地を内外不動産という会社は六ケ所村の中で買い占めをしております。私は、ここで特定の企業を攻撃する意図は全然ございませんけれども、一つの例として私はあげるだけでありますけれども、この内外不動産という会社はどういう会社かといいますと、本社は東京中央区日本橋であります。三井不動産の中に内外不動産はございます。そして、三井不動産というものは内外不動産の株式を二百七十二万株所有しておりますし、四十六年下期の貸し付け金残高では二十億六千九百九十一万円であります。この実態から見まして、私は、内外不動産というものは三井不動産の関係会社ではないだろうか、極端な言い方をすれば、ダミーと言ってもあるいはいいのではないか、こういう感じをいたしております。  ところで、むつ小川原の開発につきましては、先ほど申し上げましたように、むつ小川原開発公社というのがあります。これは県の出資だと私は思います。それからむつ小川原開発株式会社というのがあります。これは県と北東公庫が資金の半分を持ち、民間企業が残り半分を持っております。授権資本は六十億、払い込み資本は現在三十億円であります。もう一つ、総合開発センターというのがありまして、これはいわば企画、立案、調整というようなことをやっているはずであります。公社というのは用地買収の交渉に当たります。価格を決定したのは開発株式会社であります。  ところで、三井不動産というのは開発株式会社の出資者の一人であります。私は三井不動産に悪意があったとは思いませんし、おそらく力があるからということで出資者になったのだろうと善意に解釈しておりますけれども、しかし、結果論的に見るならば、親会社である三井不動産がむつ小川原開発株式会社の出資者であり、その子会社ともいうべき内外不動産が、その地域及びその周辺の土地を大量に買い占めているということについて、私は非常に疑問があると思うし、こうしたやり方というのははたして好ましいのかどうか、その点についても私は疑問を感じております。総理大臣はこの点についてはいかがお考えになられるでしょうか、御感想を承りたいと思います。
  191. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 そういう問題を指摘をされても、この三井不動産と内外不動産との関係は、私はよくわかりません。いま初めて聞いたことでございますからわかりませんが、どういう目的で投資をしたのか、これはただ値上がりということだけでやったのか、それからもう一つは、将来計画をしておる同友会の皆さんというような、そういう一環として、買いあさりで値上がりをしては困るので、まずお互いがひとつ買っておこうじゃないかということでやったのか、結果を見ないとよくわかりません。これはよくわかりません。これはいまのむつ小川原だけではなく、志布志でも、それから有明湾でも、それから中海干拓地でも、いま問題になっているところは一ぱいございます。そういう固有名詞を言って、また上げたのはおまえだ、こう言われてはいけませんから、全部取り消してもけっこうでございますが、だれが見てもこれはというところがあります。そういうところへどのような業者が出ているのか、これは私も実情をつまびらかにしませんから、さだかなことは申し上げられません。  しかし、結果的に、一企業が先を見越して買ったのであって、値上がりを待ってそのまま売ったということになれば、その時点においていろいろ評価をされるということはあると思います。
  192. 二見伸明

    二見委員 総理大臣も初めてお聞きになったようでありますから、それ以上この事実についての追及はいたしませんけれども、ただ一つ、こういうことだけは知っておいていただきたい。  内外不動産というのは、かつては第一産業という名前であったそうであります。四十四年から内外不動産というふうに名前が変わりまして、三井不動産からどの程度の金が出ているかというと、四十四年上期では貸し付け残高は四億八千七百二十五万円であります。四十四年下期の貸し付け残高は五億一千八百二十八万円、四十五年上期には十四億九千九百五十万円、四十五年下期には二十二億四千八十万円、四十六年上期には二十一億六千七百十万円、四十六年下期では二十億六千九百九十一万円が、三井不動産から貸し付け残高として貸し付けられております。ということは、ここで三井不動産が内外不動産を通して、おそらく思惑買いをしていたのではないだろうか、開発決定前に思惑買いをしていたのではないだろうかという、私は非常に疑惑を感じております。総理大臣はこれについて初めてお聞きになったということですので、御感想は求めませんけれども、そういう実態、事実があるということを、まず御承知おきいただきたいと思うのです。  もう一つ総理大臣に知っておいていただきたいことは、やはりむつ小川原の問題になりますけれども、むつ小川原開発株式会社に出資している伊藤忠という会社があります。それは周辺地域の横浜町で百九十七ヘクタールをすでに買い占めております。約六十万坪ですね。丸紅飯田も横浜町でもって百六十三・四ヘクタール、およそ五十万坪をすでに買い占めております。伊藤忠にしろ丸紅飯田にしろ、開発株式会社の出資者であり、いわばむつ小川原開発の協力者だろうと思うのです。いわば県に対して協力体制をとっているのが伊藤忠であり、丸紅だろうと思うのです。一方においては県に協力体制をとりながら、他方において将来の値上がりを見越して周辺の土地を買っている。一方においては、現在のむつ小川原開発を県と協力体制をとっていながら、一方においては、横浜町であるとかそうした周辺地域で、ばく大な土地を買い占めているということは、やはり私は素朴な国民感情として許しがたいのではないだろうか。これも結局は、将来の値上がりを待っているんじゃないだろうかという感じが私はするわけでありますけれども、総理大臣はこの点についても、やはりそうした疑念はお感じになるのでしょうか。それともそうした疑念は、全然お感じにならないのでしょうか。
  193. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 私も、むつ小川原の問題は、いま御指摘があってよくわかってまいったのですが、いま指摘されるような状態ですと、北海道をむやみやたらに買って、誇大広告だといわれるような状態でもってつり上げておるものとは、ちょっとケースが違うようでございます。買っておる人たちが伊藤忠であり、それから丸紅飯田であり、いろいろなことをいま御指摘ございましたが、それがまたむつ小川原のある県との協力体制にあるということになると、これは値上がりというよりも、ある意味で先行投資を行なったのかもしれません。これは、だから実行されてみないとわからないと思うのです。  これは、まあ非常にいい例としては、淀橋浄水場を副都心として東京都が売り払ったときには、なかなか一般人の買い手がなくて、商社とか土建会社とか、そういうものに押しつけた。押しつけたらば、それが五倍になり十倍になっておるということで、もう少し留保しておればよかったというような議論が存在するようでございますが、いまのむつ小川原の土地の取得者が、全く無縁の企業ではないようでありますので、その意味では私は、一般の値上がりを待つということだけでやっているんじゃないような気もいたします。しかし、それはいまあなたの指摘に対して、オウム返しにお答えをするだけでございまして、必ずしも的確なお答えでないかもわかりません。
  194. 二見伸明

    二見委員 むつ小川原の買い占めと淀橋浄水場の件とは、私は事の本質が非常に違うと思います。がしかし、それは議論いたしません。  私はいま、むつ小川原の買い占めの状況について、総理大臣にいろいろと実情を認識していただくためにお話をしてきたわけでありますけれども、こうした事実から一つ結論が導き出されるんじゃないだろうか。それは、先ほど総理大臣は、土地利用計画であるとかあるいは税制で措置をとらなければならぬ、こうおっしゃつておりました。それはそのとおりでございますけれども、たとえば新全総を発表された段階で、新全総では土地対策については、全然触れていなかったと言ってもいいと思います。新全総では、むつ小川原を開発しますよといったときに、土地問題についてどういったか。「土地問題」という項目はあります。しかし、たとえば、「公共用地の取得については、その必要性を十分関係住民に周知させ、公益優先の原則を徹底させるとともに、基準価格の設定、先買権制度の強化、超過買収制度、応益負担制等の活用による開発利益の帰属の調整、公的土地保有の拡大等の措置について検討する」すべて検討する、検討する、検討するであります。税制についても検討をする。すべて検討する、検討する、検討するで終わっています。一方においては、むつ小川原は今後開発しますよということを新全総では明らかにされた。一方で構想を明らかにしておいて、それに伴う土地対策については、何ら構想を明らかにしなかった。ということは、どういうことを意味するかといえば、企業にしてみれば、ここは将来開発するんですよ、非常に有望ですよ、さあ幾らでも土地をお買いなさいというのと同じではありませんか。  あなたは、日本列島改造論でもって、具体的な地名を幾つかあげられた。新二十五万都市ということで幾つか具体的な例をあげられた。総理大臣であるあなたが具体的な地名をあげたということは、その地域にとってみれば、あるいは企業にとってみれば、これは絶対将来もうかるぞという考えに直接結びつくだろうと私は思います。しかも、あなたは日本列島改造論の中で、土地問題についてはこのようにして地価を安定させる、このようにして不当にもうけることは規制するという、具体的な提案を何らなされなかった。私は、そうした開発構想の発表のしかたというのは、非常に問題だろうと思うし、むつ小川原の買い占めの問題も、その結果による地価の値上がりの問題も、結局は、新全総を発表したときに、政府のほうがそれに伴う明確な土地対策を明らかにしなかった点にあるのだ、こう思いますし、日本列島改造論が発表されて地価がだいぶ上がっているといううわさを所々方々で聞きます。それも、総理大臣のあの中に、土地対策に対する明確な考え方がなかったからだと、私はこのように思うのです。その点について、総理大臣はどのような御反省をされておりますか。いかがでしょうか。
  195. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 特定な地名をあげてはならない、しかしあげなければ説得力がない、こういうことでありまして、これは全くうらはらな問題でございます。これは鉄道でもそうです。自由民主党が、九千キロ、六十年までの鉄道計画を出しているわけであります。これは経過地で一部違うところもあります。ありますが、全国的に新幹線九千キロの図面を明示しないで政策にはなりません。鉄道の幹線の複線電化計画をつくるというときには、国会にまず図面を出せ、位置を示せ、これは当然のことでございます。だからそういう意味で、あの列島改造というものに対して、いろいろな一つの想定した理想図を提供しなければならぬということは、これは当然だと思います。  ただ、あなたがいま指摘されたように、列島改造はもちろん、これは新全総を進めていくためにも、また拠点開発を進めるためにも、土地の問題というものに対して、万全な体制が前提条件でなければならないということは、私も理解をいたします。ほんとうにそうでなければいかぬ。このごろ、土地対策ができるかできないかということで列島改造の可否がきまるんだ、成否はそこにある、まさにそうだと思います。  しかし、いままで土地政策というもので非常に明確にわかるようになっておったのは、建築基準法と都市計画法だけであります。都市計画法では、住居専用地区をきめるとか、工業地域をきめるとか、それから緑地帯をきめるとか、緑地帯を指定すればかまわず延べ一割しか建ててはならない、こういうことになりますから、住民の意思いかんにかかわらず、きめて公示をすれば一割地区になってしまうわけです。そうすれば一割しか建てられないから、東京都は三十万円であってもそこは三万円しかないということで、自動的に片づくわけであります。また、住居専用地区は、建物は高さは十メートル以上は建ててはならないということになっておりますし、建蔽率は六割以上建ててはならないということになっておりますから、三階で六割ということになれば、もう地価は三十万円でもってとまりであるということがきまるわけですが、これを全国的にかぶせたいという議論を私は長くやっておるんです。四十一年か二年に自民党都市政策大綱をつくるときも、ちゃんとそれが書いてあります。書いてありますが、どうもせっぱ詰まってこないと制度上なじまないということで、だれでもみなあまり賛成をしなかったわけであります。だから、区画整理を必要とするようなところ、過密都市でもって私権は制限されてしかるべきだという場合はやむを得ないが、それは局限すべきである。全国的に、国土総合開発法の改正案等で土地の利用計画を、建築基準法やそれから都市計画法と同じように定めることは、憲法上の問題があるというような考え方が非常に大きかったわけですが、このごろになると、私が土地利用計画をつくると言っても、だれ不反対をしません。  一年くらいの間でこのぐらい世相が変わってきておるということでありまして、いわば全国的土地利用計画が定まる、しかも市町村長や知事がこれを定めるということになれば、値上がり利益というものを押えることができます。ここは四〇%は道路である、残りの五〇%は空地及び緑地である、建物についてはこれだけしか建てさせない、その建蔽率は一〇%であるという地域に指定すれば、いかにどうであっても地価は上がるはずはありません。そういうものも来年通常国会にはどうしても必要である、こういうことをいま考えておるわけでございます。
  196. 二見伸明

    二見委員 土地利用計画が必要なことは私もよくわかりますし、土地利用計画はつくらなければならないと思います。  私、土地利用計画をお伺いする前に、ちょっとまたお尋ねをしたいのでありますが、私は、土地問題を考える場合に、いろいろなサイドからの解決があると思います。土地問題を解決するためには、一方に、先ほどむつ小川原で例示をいたしましたけれども、こうした企業による思惑買いというものを規制しなければならぬだろう、こう思います。あれは土地投機といってもいいかもしれません。要するに、いわゆる思惑買いを規制しなくてはならぬだろう。一方では企業が大量に買い占めている土地を吐き出させなければならないだろう。吐き出させないで企業ががっちり持っていたのでは、やはり土地の問題は解決をしないだろうと思います。どうしてもここは税の問題に来ざるを得ないわけですね。総理大臣伺いますけれども、企業の思惑買いを規制するためには、総理大臣はどういう構想をお考えになっておりますか。
  197. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 思惑買いを押えるには、一番きき目のあるのは土地利用計画でございます。利用計画というものはいまきめてないのです。きめるのは知事や市町村長がきめるわけです。その場合には、条件を十段階にするのか、二十段階にするのかわかりませんが、いまはどこでも住宅ができれば、その敷地の六割は建物を建てることができるという勘定のもとで土地の値上がりを計算しておるわけでございますが、今度はそうはならない。しかし、一定規模以上の開発には学校もつくらなくてはいかぬ、下水も負担しなくてはならない、四〇%の道路も供出しなければならないというような条件がつけば、条件のいかんによっては利益はもう全然確保されなくなります。そういう意味では、憲法でいう私権制限——私権の制限というのは、所有権に関するといろいろな問題になりますが、土地の利用計画は現に幾らでもきめられるわけです。お互いが住んでいる宅地のまん中へ、都市計画路線をちゃんと入れて公示をすれば入るのです。そうすれば、その都市計画路線の範囲内は、耐火建築は建てられないということに法律がなっておりますし、この周辺は官衙地区であって、予算がないから政府は買わない、買わないが、官衙以外のものを建ててはならない、こういう規制が国会の周辺においては現に行なわれておるわけであります。   〔委員長退席、久野委員長代理着席〕 ですから、個人の住宅としての不燃建築が建たないから、このまわりの官衙地区の価格は上がらないわけです。  そういう意味で、まずほんとうに憲法の定めを守りながら、将来の利益というものを不当なものにしないためには、土地利用計画という土地の利用権を厳密に制定することによって、十分押え得るということが一つ。それでもなお幾ばくかでも上がるということになれば、税制が適用されるわけであります。税制は売らない人には保有税ということがあります。売った者には分離課税を行なって、重課を行なうということにもなるでしょう。  吐き出させるためにはどうするか。いろいろな知恵がある。それは無制限ではいけませんが、市街化法によって今度市街化区域に指定して、農地であっても——これはまあいろいろな問題があります。売ったときに売買利得を取るという税制があるにもかかわらず、吐き出させるために宅地並み課税を行ないますと、これはまあある意味では暴論ではないかといわれておるのですが、それもやむを得ぬということで、吐き出させるためには宅地並み課税というのもやっておるわけですから、そういう税制の組み合わせによって、不当利得というか、所有者の利得を制限することは可能であります。それでもなお利益が出た場合には、法人税で徴収をするということになるわけであります。
  198. 二見伸明

    二見委員 私、総理大臣と少し見解を異にいたしまして、土地利用計画が先行するという考えは私は間違いだと思います。土地利用計画は必要だけれども、現に買い占めている土地、現に土地を売ってもうけているということについては、税制以外にないじゃありませんか。私は、いまむつ小川原の問題を出しましたけれども、現実はどうなっておるかというと、どの程度企業が保有しているか。これは大蔵省が発行している有価証券報告書によると、たとえば、三菱地所が四十六年下期に保有している土地面積というのは千四百八十五万平米であります。半期で売った土地面積はどのくらいか。四十六年下半期で売った土地面積は十二万平方メートルであります。保有しているのは千四百八十五万平方メートル。半年で売ったのは十二万平方メートル。ということは、三菱地所は六十年分土地を持っておるということなんです。販売用の土地を三菱地所は六十年分持っておるということです、この割合でいけば。それから東京建物は、四十六年下期には六十八万五千平米持っております。どのくらい売ったのか。その下半期に売ったのはわずか一万四千平米であります。これでいっても、これは半期ですから、この割合でいけば、やはり三十年分の土地は持っておるということになっておる。それは売れない土地もあるだろうと思いますよ。全部が全部売れる状況であるとは私、思いません。しかし、これだけの土地を保有しているということだけは、総理大臣、これを直視する必要がある。これを吐き出させなくてはならない。しかも、この土地は持っていれば持っているほどもうかるような仕組みにいまなっているのじゃありませんか。  あなた、土地利用計画が先行すると言うけれども、いま緊急に手を打てるのは税制じゃないでしょうか。あなたは先ほど、もうけ過ぎるのは好ましくない、規制すべきだ。規制するのは税制じゃありませんか。まっ先に手をつけるのは税制じゃないのですか。保有税でしょう。買い占めておる土地を吐き出させるのは保有税じゃありませんか。高い売買利潤を受けるのに対するのは、法人に関する分離課税の重課以外にないのじゃありませんか。この点をまず先行させるべきだと私は思うのですよ。土地利用計画、それはけっこう、やるべきだろうと思いますけれども、何よりも税が先行すべきじゃないでしょうか。いかがですか。
  199. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 非常にむずかしい問題でございます。とにかく、自由経済という大前提を持ちながら、公共のために土地というものを何とかうまくやろうというのですから、むずかしい問題であることは事実です。だから、調和点をどう見出すかというところであります。  それでありますから、いまの税の問題、確かに一つのきめ手のものとして税はあるでしょう。そういう意味で、売ったときに売買利得税が取れるような仕組みになっておるにもかかわらず、売らせるために、売る意思のいかんにかかわらず重課をすることによって早く吐き出させようということで、農地であるにもかかわらず、市街化区域内の農地は宅地並み課税をしよう、こういう制度をとっておるわけですから、税が土地の吐き出しとかそういうものに働かないとは思いません。働きます。ですから、いま日本じゅうの英知を傾けて、土地問題に対する税制はどうあるべきかということを検討しておるわけです。これは来年には何らかの提案がなされるでありましょう。  しかし、考えなければいかぬのは、えてして簡単な、うんと締めつければ出るだろう、こういう考えは逆に働くこともあるということであります。持っておるものは、それは税金が高くなれば、税金というのは必ず販売価格に転嫁をするという一つの原則もございますから。だから、そういう問題をよほどうまく考えて、うまく吐き出させるということでなければならないわけです。  そして、いま御指摘になったような、東建とかその他の不動産会社の話が出ましたが、これは定款上商売の目的が、宅地を造成し、保有し、これを販売する、こういう会社でありますし、また、その上に不動産を建てて管理をし、維持し、利益をあげるというような商法上の行為をやっているものですから、そういうものと、値上がり利益を目ざして、自分の会社が全然別な仕事をしているにもかかわらず、新しく定款の条項を変更して、そしてひとつもうけようというようなものとも、まだ同一に論じられないわけです。これは民間デベロッパーの果たす宅地供給というもののウエートはどのくらい大きいかというようなこともございますから、そういう問題をいろいろ加味しながら、学問的なものだけではなく、国情に合うものもありますし、十年後にはこれは廃止しなければならぬ問題でも、いまは非常に働く制度もあると思います。そういう意味を十分政府も検討してまいりたいと思います。
  200. 二見伸明

    二見委員 総理大臣、それは自由主義経済のもとですから、利益を得るのは当然だろうと思いますし、それを規制する、全然もうけちゃいけないということは、それはできないだろうと思いますよ。しかし、いわば限られた国民の財産ともいうべき土地を商品として不当にもうけていいのかどうか、これが私、問題だと思います。  それじゃもう一点申し上げましょう。たとえば三井不動産というのは、昭和四十六年下期には不動産部門での営業利益がどのくらいあったかというと、不動産売却原価は九十八億五千三百五十万円でありまして、それによる不動産売却利益は四十五億九千七百八十七万円であります。不動産の売買利益というのは三一・八%であります。三菱地所は、四十六年下期には二五・八%が不動産の売買利益です。それから東京建物の場合には一七・四%、ただし四十五年下期には三五・四%であります。東急不動産は、四十五年の下期が二六・二%、四十六年の上期が二八・一%であります。これは不動産を扱っておりますから、二〇%、三〇%という利益があがるのは、あるいは自由主義経済の論理からいけば、資本の論理からいけばあたりまえかもしれません。もっとも、この企業の、たとえば三井不動産全体としての利益率というのはここまでございませんで、たとえば四十六年下期には九%、三菱地所の場合には四十六年下期が一四・二、東京建物の場合は一一・三、東急不動産は一〇・九であります。ただし、この時期の製造業十億円以上三百社の純利益はどのくらいかというと、不況ということがあったかもしれないけれども、四十五年上期の純利益率というのは三・二四です。四十五年下期は二・八四、四十六年上期が二・三三、四十六年下期が二・〇五が平均の純利益であります。いわゆるデベロッパーといわれているものが、土地を対象にして、会社全体としても一〇%以上の利益をあげ、不動産の売買に関しては二五%も三〇%もの利益をあげているということは、資本の論理からいけば当然かもしれないけれども、これは何らかの規制を加えるのがいま必要なんじゃないだろうか。  これは、結局はいま端的にやれるのは税以外ないんじゃないか。先ほど総理大臣は、どうも税はやりたくないような御答弁でありますけれども、むしろ税をやるべきじゃないか、こう思いますよ。いかがですか、この点は。
  201. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 税はやりたくないというのではございません。税に対しても検討を進めております、こういうことでございます。税だけではなく、とにかくあらゆる角度から地価問題というものと取り組まなければならぬ、こういう姿勢でございます。
  202. 二見伸明

    二見委員 それから先ほど、優良なデベロッパーと、最近そうしたものを始めたものとは違うというお話がありましたけれども、これは総理大臣も知っておいていただきたいのです。東京証券取引所に上場している会社の中で、宅建業で建設大臣の免許を取得したものの数の状況は、昭和四十三年までは一部では四十五だった。二部では五だった。合計五十だった。ところが、四十四年には一部上場では六社ふえ、四十五年には十九社ふえ、四十六年には十九社ふえて、二部では、四十四年にはゼロだったけれども、四十五年には二社ふえ、四十六年には九社ふえた。四十三年当時は、宅建業の免許を持っている会社は一部、二部合わせて五十だったのが、四十七年現在では百五、倍になっているわけです。こうしたデベロッパーといいますか、開発業務、不動産業務をできるものは倍にふえている。ということは、それだけこうした業種に対して魅力があるということになるんじゃないでしょうか。  総理大臣伺いますけれども、確かに土地対策というのは税制だけではない。いろいろな総合的な手を打たなければならないのだという、それはそれでわかりますけれども、総理大臣は先ほど、次の国会には土地利用計画を出したいというお考えを明らかにされましたですね。税制とセットでお出しになるのでしょうか。土地利用計画をまず出して、そのあと税制を考えよう、こういうお考えなんでしょうか。いかがでしょうか。
  203. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 土地利用計画が非常に重要なものであるということで、これは民社党の方々の御発言に対しても答えておるわけでございますが、できるだけ早く、ではいつか、通常国会には何とか成案を得たいと存じます、こういうことを申し上げておるわけです。  実際において土地という問題は、先ほども御質問がございましたが、この十年でございます。この十年というのは、都市現象が非常に進んだということによって、土地問題、地価問題が非常に大きくなってきたと言っても過言でないと思います。十年前といえば、いま三十万円しておる多摩川でも一万円以下で買えたわけでありますから。ですから、これはもう問題にならないぐらい、東京のまん中でそうであったわけであります。そういう意味で、過度集中ということで需要と供給のバランスがくずれてきたということが言えるところに一つ問題があります。もう一つは、家賃というのではなく、借家ではなく、所得が上がったために持ち家を持ちたい。持ち家には土地がどうしても必要である。こういう人間の要求というものが多様化してきた、大きくなってきたということで、需要と供給のバランスがアンバランスになってきているということであります。しかし工業用地、こんなに大きく工業が発展しておるといっても、四十年十万ヘクタールでありますから、三兆円計画としても六十年には三十万ヘクタールでしかないわけです。  ですからそういう意味で、日本人全部が家を持っても、これは昭和の初年のような状態で、全国に住宅が分布するという状態であれば、何も地価が上がらないで土地を与えることはできるわけです。ただ一部のところを対象にしているので地価問題が起こるわけですから、やはり私は全国的な土地の問題ということをどうしても考えなければならぬと思うのです。税の問題は、これは政府だけではなく、税制調査会等、専門家の御審議をいただいておるわけでございます。しかし、これらの問題も、土地の利用計画さえ出さなければならないというときでありますから、検討し結論を得べきであろう、今日の段階ではそうしか申し上げられないわけであります。
  204. 二見伸明

    二見委員 どうしても総理大臣は、土地税制についてはあまり明確な御答弁をしたくないようにしか私は受け取れないわけであります。確かに、土地税制をどうするかということについては、税調で審議しているまっ最中でありますし、政府もその答申を待ってということになるのは、それはわかりますけれども、総理大臣としては、では次の通常国会で土地税制を改正する、手をつけるという御決意はおありになるのでしょうか。  もう一点、先ほど質問しそこないましたので、ちょっと伺いますが、先ほど私は不動産会社が、一般製造業と比べて非常にたくさんの利潤を得ているということを数字でもって申し上げました。それを聞いて総理大臣はどういうふうにお考えになったのか。それでもなおかつ土地という特定のものを、いわば公共の財産ともいうべき土地を材料にして、商品としてばく大の利潤を得る、現実に得ているということに対して、どういう形でこれを今後規制されようとしているのか、この点を明らかにしていただきたいと思うのです。いかがですか。
  205. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 大蔵省から来ておる答弁書には、私がいま言っておるようなことよりももっと慎重に書いてあるのです。これは、税というものは非常にむずかしいものです。税体系をあやまっちゃいけません。ですからこれだけの土地の問題に対して、税に対しても考えなければならないと思います、現に勉強いたしておりますと、こう述べておるのですから、それ以上私が私の立場で、こういう税金を取りますなどということを言える種類のものじゃありません。そういうことはよく御理解いただきたい。
  206. 二見伸明

    二見委員 さらに、では別の観点からお尋ねをしたいと思いますが、総理大臣は土地利用計画というものを、これをまっ先にやるべきだというお考えのようであります。私も土地利用計画には反対じゃございませんが、あなたのお書きになった改造論で見る限りにおいては、こういうことでよろしいですね。あなたの改造論から私は引っぱってきたわけでありますけれども、あなたのいう土地利用計画というのは、「国土総合開発法を改正し、全国的な規模の土地利用計画をたてる」これが一つ、こう書いてあります。その次、「土地利用計画は、単なる色分け計画ではなく、規制力をもって確定する必要がある。」こうもいっていますね。これはあなたの原文どおりですから。その次、「国および自治体が農地、緑地などの保全地域を明確にするとともに市街化区域では工業、商業、住宅など用途別地区をキメこまかく指定する。そして住宅、交通を立体化するなど適正な土地利用を指導し、また、スプロール、土地細分化を規制する。こうして投機的な土地保育などを防ぐ」と、こういうふうにいっております。あなたのお考えになっている土地利用計画というのは、通常国会に出したいという土地利用計画は、こうした内容であるというふうに私は理解してよろしいのでしょうか。
  207. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 「日本列島改造論」というのは、これは田中角榮の著書でございます。しかし、それは全く政党の政策と無縁のものではなく、私が政調の、自民党の党員として都市政策大綱の名において、昭和六十年このようにしなければならないということを立案したのです。それは党議として正確に決定いたしております。政府にも党の政策として送付してあります。それを今度私は、同じような趣旨でありますが、もっと——その中には、まあなかなかむずかしい問題も含んでおるわけです。実際、府県制度はこれを廃止するとか、農地法はどうだとか、自民党としてよく書いたなあといわれたぐらい相当なものであることは事実でございます。それを四、五年たってみましたら、ますます方向として必要であるということで、日本列島改造論というものにしたわけであります。  それで、それはたたき台として国民皆さまの前に提供したわけであります。そしてこれは反応を待たなければいけません。そこが私が言っておる、一つ一つの政策がどんなにりっぱでも、田中角榮の案じゃだめなんだ、国民の支持と理解を得なければ政策効果をあげることはできませんということで公にしたわけでございます。ですから私は、方向としては間違っていないと思っているのです。しかしそれはまだ、政府としては懇談会を二回開いたばかりでございますし、レポートは出してもらっておりますが、まだそれは三回目分ぐらいのものであって、各論に至るまで、それが政府の決定したものであるということにはまいらぬわけであります。だから、おおよその方向として野党の皆さんにも御理解をいただき、よし、これ以外にないと思うから、しかし各論をひとつまとめ上げようじゃないかということでなければならない、こう思います。だから、政府もそういう意味で、いまお述べになった、私が書いたとおりのものが出るとは考えませんし、だから土地の利用計画に対しては、建設省も、それから通産省も、自治省も、経済企画庁も、関係省はみな勉強しておるわけであります。勉強してみても、国土総合開発法の中でもってその改正案が——私は国土総合開発法の立案を、議員立法の当時、二十五年にやったものですから、その法律改正案が一番手がかけやすいかなと思ってそこに引用しただけであります。全然単独法として出すほうがいいかもしれません。国土総合開発法という開発法は閣法ではありますが、これは超党派の議員立法だったという、実態から考えてみて、私はそこに引用したにすぎないということでございまして、利用計画というものは、政府部内でも、民間の有力な意見もあってもっと合理的、理想的なものがあれば望ましい、こう思いますが、国土総合開発法の改正によるということも、一つの手ではないかといまでも考えております。
  208. 二見伸明

    二見委員 要するに総理大臣は、日本列島改造論で明らかにした、お書きになられた土地利用計画というのは、それは田中角榮個人の考えであって、総理大臣田中角榮意見ではないのだ。要するに正式にきまったものじゃないのだ。ということは、土地利用計画とあなたはおっしゃっているけれども、そういうものをつくりたいという意向はおっしゃった。予算委員会でも、土地利用計画さえできれば、もう不当にもうけることはなくなくなるのだ、こうあなたはおっしゃった。二日の予算委員会で、あなたはそういうふうに御答弁をされてます。不当にもうけるようなことがないように、土地利用計画をつくらなければならぬと、わが党の矢野書記長に対しても、民社党の佐々木書記長に対してもそういう御答弁をされた。じゃ、その利用計画とは中身は何かというと、まだ何もきまっておらぬ、はっきり言えばこういうことですね。
  209. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 土地利用計画の策定が必要である、これは内閣総理大臣として述べておる公式な発言でございますが、その内容は、慎重に検討中であります。
  210. 二見伸明

    二見委員 あなたが慎重に検討されておる間に、企業による土地買い占めというのはきょうも進んでいるわけであります、現実は。そして土地利用計画がどういう形でできるかわからないけれども、土地利用計画ができる。しかし、こまかい点については国が全部きめるわけじゃなくて、かなり自治体でこまかい点はきめるようになるのでしょう。まずその点確認しましょう。そうでしょう。
  211. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 土地利用計画の大宗をなすものは、やはり府県であり、市町村でなければならぬ、こういう考え方は同一であります。
  212. 二見伸明

    二見委員 そうすると、いいですか、すでに土地買い占めはきょうも行なわれている。あなたのほうで通常国会でできるか、まとまらなければその次になるかわかりません。いつできるかこれもわからぬわけです。あなたは来国会出したいとおっしゃっているけれども、どうなるかわからぬ。そうすると、土地利用計画という法律ができても、それを具体的にきめる段階では、すでにむつ小川原のようにずっと買い占められている。そうなったならば、市町村で独自の利用計画なんてできるわけがないじゃないですか。企業とまっこうから利害が対立するような土地利用計画なんというのは市町村にできるわけがないし、県にできるわけがないでしょう。口の上では市町村にまかせる、県にまかせると言っても、結局は土地利用計画というのは、土地を買い占めた企業のペースに乗る以外にないじゃありませんか。
  213. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 そこはちょっと違うのです。それは土地の所有者が従前のものであろうが、それから新しく購入したものであろうが、それとは関係ないのです。ですから、われわれが前の所有者から東京都内の土地を買っても、その中に法律による適法な措置がとられ、公示が行なわれれば、土地計画路線は自動的に引かれるんだということでありまして、これはどうしようもないのです。実際において法律制度がそういうふうになれば、これはもう所有者の意思、居住者の意思にかかわらず、君のところは住居専用地区である、君のところは工場地区である、君のところは文教地区であって宿屋などはつくれない、こういうことがきまるわけですから、これは買い占められたからその人の意思によって、恣意によって土地利用計画が制限を受けるということはないと思います。   〔久野委員長代理退席、委員長着席〕
  214. 二見伸明

    二見委員 それから、土地利用計画さえできれば、土地問題が一気に解決するようなお考えをお持ちのように私は感ずるわけでありますけれども、土地利用計画というのは、一面からいえば土地利用規制ですね。裏表の問題ですね、これは。現在土地利用規制がないかといえば、現実にありますね。たとえば、新都市計画法で市街化区域と市街化調整区域に分けた。これも利用計画ですね。しかも建築基準法がありますね。これも土地利用計画ですね。しかし、その土地利用計画があるところですから、すでに土地の買い占めが行なわれ、地価の上昇があり、その地価の上昇をもくろんだ思惑買いがあり、それを利用しての不当なもうけがあるのが現実でしょう。土地利用計画ができれば、それも抜本的に解決され得るとはわれわれは思えないのです。どうしても税というものが表面にこの際出てこなければならない。あなたは、税については答申を尊重する、答申を現在検討中であるということですから、それは検討中でけっこうでございますが、税が表面に出る必要性があるとあなたはお考えにならないのですか。あくまでも土地利用計画が策定されなければ、土地税制というものは実行できないのか。土地利用計画ができなくとも、まずいまの思惑買いをやめるんだ、不当なもうけを規制するんだ、不当に持っている土地を吐き出させるんだ、そのためには税が必要なんだというお考えを持っているのかどうか。
  215. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 税は、吐き出させたり、それから思惑買いを制約したりするために相当な働きを持つものであるというふうに考えます。ですからそういう問題は、分離課税にするのか、それから保有税をどうするのかというような問題は検討いたしております、こう申し上げておるのであります。
  216. 二見伸明

    二見委員 もう一ぺんその点について、非常に重要ですから確認いたします。  分離課税にするのか、保有税にするのかという、その税の体系については、ここまでまだ答申が出ておりませんから議論はいたしません。ただし総理大臣、法人の土地売買による所得を分離課税にするのか、あるいは保有税にするのかということじゃなくて、あるいは答申が両方になるかもしれませんね。あるいは保有税にしろという答申が出るかもしれない。分離課税にしろという答申が出るかもしれない。しかし、総理大臣としては、いかなる形に出てくるにせよ、次の通常国会で何としてでも土地税制をやりたいという決意がおありなのかどうか。どういう形かは、まだ結論は出ていないから、この際別問題にいたしましょう。通常国会では、どうしても土地税制をやりたいんだ、そういう強い決意がおありなのかどうか、その点いかがですか。
  217. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 さっきから何回も申し上げておるのですが、あなたは、次の国会でやる、こう私に言わせたいのですが、税は私だけじゃできないのです。税というのは体系の問題もあります。税の公平論もあるし、非常にむずかしい問題であるということで、この場合とり得る方式としては、大別して譲渡所得の分離課税方式と保有課税方式とが考えられるので、両者の長短等について十分検討し結論を出すことにしたいと考えておる、これが税の答弁ですが、それではあなたは納得しないでしょう。ですから、税というものが投機を抑制したり、吐き出させたりする一つの有力な手段であると思いますので、十分検討、勉強いたします、結論を出すように努力をいたします、こう言っているのですから、それで御理解ください。
  218. 二見伸明

    二見委員 私は、もう通常国会でどうしても土地税制には手をつけなければならない段階に来ていると考えているのです。総理大臣のほうは非常にその点は慎重でありまして、とりようによっては通常国会には間に合わないというふうな不安も私は感じておりますので、さらにそれでは問題をかえまして、この問題から離れるわけじゃありませんけれども、別の実例を総理大臣に知っていただいて、さらに土地問題に対する決意を固めていただきたいと思うのです。  これは沖繩の問題であります。御存じのように、沖繩というのは昭和五十年三月を目標にして海洋万博が行なわれようとしております。そして、すでに本土復帰以前から本土企業による土地買い占めが行なわれているんではないかといううわさは非常にありましたし、新聞でも、本土企業がダミーをつくって沖繩の土地をばく大に買い占めているんじゃないか、こういう疑いが持たれていることは事実であります。  それで、今回私たちは沖繩本島に行って、いろいろ調査をしてまいりました。その実情をまず簡単に御説明申し上げます。  沖繩本島におきましては、海洋博の会場周辺及び関連地域で、現在十九の本土企業によって二百八十四・八ヘクタールの土地が買い占められております。また、十一の沖繩企業によって二百二十ヘクタールが買い占められております。宮古島では、三つの本土企業によって七十七・六ヘクタール、四つの沖繩企業によって七百九十八ヘクタール、八重山群島では、七つの本土企業によって二百十八・六ヘクタール、五つの沖繩企業によって四百四十三・五ヘクタール、沖繩合計ですと、何と二千四十二ヘクタールが買い占められております。しかも、この買い占められた土地というのは万博の周辺地域であり、あるいは沖繩開発にとって非常に重要だと思われる景勝地、そうしたところがほとんど買い占められております。これが実情であります。  ところが、ほとんどが言うなれば本土復帰以前に買い占められておりますので、これは日本政府にとって直接的な責任はないかとは思いますけれども、当時琉球政府のもとでございますから、いや、おれのほうの責任じゃないんだ、こうおっしゃりたいだろうと思いますけれども、そうした買い占めが行なわれているということを、まずすなおにお聞きいただいて、こうした買い占めが行なわれている中で、沖繩の開発にどういう影響があるんだろうか、やり方によっては非常にまずい影響も出てくるんじゃないかというようなことはお考えにならないでしょうか。いかがですか。
  219. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 沖繩に本土の観光業者等が投資を大きくする、その投資の中に、土地投資というものがあるということはあると思います。そういうことによって沖繩で、いままで無価値に近かったようなものを本土の連中が買いあさっておるということであるならば、それだけの問題ならたいしたことはないと思うのです。ただそうではなく、沖繩の地場産業として発展の余地がないようになってしまうということになれば、本土からの進出に対しては弊害があるわけであります。もう一つは、高速道路をつくるとか万博のために用地を確保するとかいうときに、又買いをした本土から行った連中が、もうけなければ売らないということで不当な用地のつり上げを行なっておるとしたなら、これはもう全く困ったものであり、許しがたいことである、こう思います。  私は、いま沖繩の状態がどうなっておるのかよくわかりません。わかりませんが、かつて万博担当大臣もやっておりましたので、万博が短い間に——もう九百日しかないわけでございます。九百日もないわけでありますが、そういう短い間で万博をやるために用地の確保ができなかったりしては、それはたいへんであるので、万般配慮して、地元の協力を得るようにということを指示しておったわけでございますが、あなたがいま御指摘になっておったように、本土の業者がどのくらいつり上げておるのか、買い占めたのか、これが沖繩経済にどのような影響を持つのか、どうもさだかにいたしておりません。
  220. 二見伸明

    二見委員 それではさだかにしていきたいと思います。  石垣島という島があります。八重山群島の石垣島ですね。そこで、これは現地でも非常に問題になりましたけれども、石垣島は総面積が二万三千五百三十六ヘクタールあります。そのうち、海岸線のすばらしい景色のながめのいいところ三百三十八・五ヘクタールというのを沖繩日誠総業という会社が買い占めております。いつ買い占めたかというと、大半は四十六年六月から四十七年三月であります。この間わずか九カ月間に、三百何ヘクタールというばく大な土地の買い占めを行なっております。  この沖繩日誠というのが買い占めた土地の中で、特に一つ問題がありますのは、ここに白保土地改良組合というのがあるのです。それは総面積二百六十二ヘクタールで、機械化されたすばらしい農業団地をつくろうということで琉球政府日本政府が補助を出した。日本政府はたしか七〇年度にもお金を出しているはずです。ところが、これは日本本土と沖繩との土地改良法が違いますので、向こうからいけば合法的なんでしょうけれども、この二百六十二ヘクタールのうちの百八十四ヘクタールというのは、先ほど申し上げました沖繩日誠総業というのが買っちゃったんですね。私は時間がありませんから簡単に説明さしてもらいますけれども、白保土地改良組合が二百六十二ヘクタール持っていた、そのうちの百八十四ヘクタールというのを沖繩日誠総業に売っちゃったんです。沖繩日誠総業の重役と白保土地改良組合の理事長とは同じ人なんです。これはどういう人かというと、宮里安貞さんという人でして、これが白保土地改良組合の理事長。いつなったかというと、一九七〇年六月九日に理事長になっています。その直後に沖繩日誠総業との間に売買契約が結ばれまして、就任したわずか一カ月後の七月五日に、沖繩日誠総業から三万五千ドル、九月三十日に十五万ドル、十月三十一日に十五万八千ドル、合計三十四万三千ドルという金を受け取っております。琉球政府日本政府が何とかすばらしい農業団地をつくりたいということで援助してきた土地が売られておるわけですね。しかも、買ったほうの重役と売ったほうの理事長とが同一人物ということなんです。これは現地で非常に問題になりました。私は、その点もひとついろいろ御意見伺いたいところなんですけれども、ただ時間がありませんから、その点についての御意見伺いません。また、法律が違うからということで逃げられてしまいますので伺いません。そういう事実があったということ、これをまず知っていただきたい。  もう一つ、私は総理大臣に知っていただきたいのは、沖繩日誠総業というのはどういう企業かというと、本土に日誠総業という会社があります。その重役が沖繩日誠総業の重役になっております。いつできたかというと、昭和四十五年五月二十二日に沖繩日誠総業というのは設立されております。ちょうど佐藤・ニクソン会談で沖繩返還がほぼ七二年ごろだということが明らかになった半年後に、沖繩日誠総業というのが、本土にある日誠総業のいわば関連会社として現地に設立をされております。それだけから見て、沖繩日誠総業というのは、復帰前に土地を買い占めてしまおう、復帰目当ての土地買収としか私は考えられないわけです。短い時間の説明でわかりにくいと思いますが、そういうふうに私は感じています。簡単な説明でわかりにくい点はあるかもしれませんけれども、総理大臣、この点についてまず御感想はいかがでしょうか。
  221. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 どうもよくわかりませんが、石垣島といえば南の果てであります。南の果てまで買い占められているのかなということで、その勢いのすさまじさをしみじみと感じたわけでございます。
  222. 二見伸明

    二見委員 確かに沖繩の土地買い占めというのは、非常に重要な問題だと思います。先ほど総理大臣は、沖繩が大量に土地が買い占められていればたいへんなことになるという意味の御発言がありましたけれども、沖繩日誠総業じゃなくて、沖繩日誠総業の親会社ともいうべき日誠総業とはどういう会社かというと、これは三菱商事グループの会社であります。これはことしの八月二十三日の日本経済新聞の広告であります。「三菱商事グループが開発した二百三十二万平方メートルのヴィラタウン 事業主・総販売元日誠総業株式会社」こうなっているんです。ということは、私はこれから端的な推論をすることは危険だということはわかりますけれども、言うなれば、本土復帰以前に沖繩でもって日本の本土企業のダミーが土地を買い占めているといううわさがあったけれども、これが一つの実情じゃないだろうか。四十五年五月に沖繩日誠総業といういわば三菱グループのダミーを現地に設立をして、このようにばく大な土地買い占めが行なわれてきたんだということ、これが今後の沖繩開発にどういう影響を及ぼしてくるか。これは石垣島ばかりじゃありません。万博の周辺地域もそうだし、宮古島でもそうだし、籠るところの沖繩にとって、非常にかけがえのない大事な土地は全部——全部と言ってもいいほど本土企業に買い占められております。  しかも、当時は日本としては手の打ちようがなかったかもしれないけれども、現時点において総理大臣、こういう実情をどういうふうにお考えになるのか。沖繩を開発しなければならぬ、新しい沖繩をつくらなければならぬと言ってみたとこで、いい土地を全部企業に押えられてしまったのでは、沖繩の開発も私はあり得ないだろうと思います。これは、先ほど私が冒頭にむつ小川原に関連して申し上げた土地対策の問題にかかってくるのじゃないか、沖繩の開発ということは。やはり土地対策というもの、あなたのおっしゃった利用計画もけっこう、おやりになってもらいたいと思うけれども、もう一面からいえば、やはり税制の問題もあるんじゃないだろうか。税制の面で抜け穴があるから、こうしたもうけができるんじゃないだろうかと私は感ずるわけです。総理大臣、いかがですか。
  223. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 どうもめんどうな問題なんです。とにかく、石垣島の開発ということが地元の利益に反して独占をされ、いろいろなことが起こったということになれば、これはまた問題なんですが、地場資本のないときには外資さえ入れてやるわけでありますから、これは本土資本を入れるということは何も悪いことじゃないのです。これは、北海道でもってゴルフ場をつくるときには、大体本州の会社でもってみんな会員になって、北海道でもって大きなゴルフ場を全部ということはほとんどないのです。そういうことでもって、それは全部が全部悪いというわけにいかないのです。ですから、ただ地元の効率的な、理想的な開発がそのために阻害をされるということになれば、それはマイナス面に働くわけです。ただ、いままでは一次産業でもって捨ておかれて訪れる人もなかったというのに、そこが観光開発されて、いろいろな施設が行なわれたために花園になり、楽園になるとすれば、それは地元のためになる投資でございますし、これは一様になかなか論じがたいという問題であります。  ただ、全国的に見まして、土地の買いあさり、不当利得というものが問題になっておるときに、やっぱりそういう問題と区別をしながら、当面する土地の問題と長期的な土地の問題というものは、政策的にどうしても取り組まなければならぬ問題だろう、こう考えます。
  224. 二見伸明

    二見委員 私、総理大臣一つお願いがあるのですが、沖繩の開発、本土資本の進出が、総理大臣は全部が全部悪いわけじゃないというお話でございました。それは全部洗ってみなければ、これが悪い、あれがいいということはわからぬだろうと思います。一がいにきめつけることは非常に危険だと思いますけれども、沖繩の土地が本土資本によってどの程度支配されているのか、買い占められているのか、その実情調査をしてみなければ、沖繩のあるべき開発ということは実際にはできにくくなるんじゃないでしょうか。その点、沖繩の土地買い占めについてちょっと調査をされる必要性を私は感ずるわけですが、いかがでございますか。
  225. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 動きが全部わかればいいのですが、必ずしも土地の移動というものは登記が行なわれない場合もあります。ですから、これは沖繩県の問題でして、沖繩県がほんとうに復帰後どうなっておるか、沖繩白書を出すにしても、ここは当然土地の問題も一つの重要な問題になるでしょうから、そういう意味でどのようにするのか、これは沖繩県知事の意見も聞いてやらないと、ここであなたから特に御発言がございましたので、いますぐやりますということにもなかなかならないのです。それなら北海道をどうしてやらないのかという問題になる。そうすると、全国やれという問題にもなるわけでございますので、そこらはひとつもう少し研究さしていただきたい。
  226. 二見伸明

    二見委員 つまり、いま総理大臣が最後にいみじくもおっしゃった、全国をやれということにもなる。私は、全国をやってもらいたいと思っているのです。というのは、私たちは登記簿を通してむつ小川原の実情を調査してきた。あなた方のほうには法務省があり、法務省の中には法務局がある。登記簿はあなた方のほうでがっちり押えられるはずなんです。であるならば、土地の流通の実態というのを登記簿を通してでもいいから把握してみる必要があるのじゃないだろうか。これを把握しなくて、私は土地利用計画も完ぺきなものができるとは思いませんし、土地の実情を私はつかめないと思います。これは全国が無理であれば、あなたは、日本列島改造論で地価が上がったのでは問題だから、その点を調査してもいいという御発言が二日の日に予算委員会でありましたけれども、あなたが、日本列島改造論で具体的に指名された土地について、たとえば一万平米以上とか十万平米以上とか規模はいろいろありますけれども、それについて法務局を通して実態を調査していただきたい、流通の実態を調査して国会に明らかにしていただきたいと思いますけれども、私はこれはできない相談じゃなくてできる相談だと思いますので、ぜひやっていただきたい。その点いかがでしょうか。
  227. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 その実態を、全部どうであるかということを出すのは膨大もないものでございます。三百万件から四百万件もあるわけでございますから、なかなかすぐお出ししますと簡単に答弁はできません。できませんが、府県によって年間動く件数はどのくらいなのかというようなものなら、これは調査ができると思います。いま建設省で、各業者別にアンケートでもって調べたものもございますから。全部実態を明らかにするということになると、登記簿を全部持ってこなければいかぬということになりまして、これは非常にむずかしい問題であるということだけは申し上げておきます。
  228. 二見伸明

    二見委員 あなたはむずかしい、むずかしいとおっしゃるけれども、私たちのほうではこれをやったんですからね、わずか十三地域に限って。しかも、あなた方の目から見ればしろうとかもしれない私たちがそれをやったのですから、専門家のおそろいのあなた方のほうにできないはずはないと思うのですよ。
  229. 郡祐一

    ○郡国務大臣 登記簿によりましても、一応の移動の状況はわかりますけれども、これは二見さんよく御存じのとおり、中間省略の登記をしている場合もあります。それから取得してもしばらく登記をせぬ場合もあります。いろいろの場合がございます。したがって、これによって実態を把握するということはなかなか困難なことだと私は思っております。
  230. 二見伸明

    二見委員 法務大臣、それは確かに登記を移転していない場合もあることを私、知っております。わかっている範囲内でもいいからおやりになることが、土地問題に対する国民のいろいろな疑惑なりあるいは、要望にこたえる道になるのじゃないだろうかということで、わかる範囲内でいいからおやりなさい。登記簿を通してやればいい。売買して登記の移転をしていないものはけっこうですから、それをおやりになっていただけますか。
  231. 郡祐一

    ○郡国務大臣 たとえば、土地売買を届け出せいというようなことを考えますと非常にはっきりした把握ができますけれども、これにはまたそれだけのかなりめんどうな手続をこれからしなければいかぬと思います。それならば登記で全国を把握するか。それについては、先ほど申したような大きな弱点があるんだということを承知しながら検討させていただきたいと思います。
  232. 二見伸明

    二見委員 わずかの時間の中で、土地問題についての質疑というのは限られておりますし、総理大臣との質疑を通して私が率直に感じたことは、土地問題はたいへんだという御認識はお持ちのようだけれども、そして不当にもうけることはいけないという御認識はお持ちだけれども、じゃどうするかというところに続くと、田中総理大臣お得意の決断と実行がどうも伴わなかったのじゃないだろうか。この点については、決断と実行よりも問題が重要だから、慎重だと言えばそれまでですけれども、よく言えば慎重、悪く解釈すると、はたして土地問題は解決できるのだろうか、こういう私は非常に疑惑なり不信感を抱くわけであります。いまでも土地の買い占めが行なわれているでありましょうし、それに対する有効な手というものを私は早急に打っていただきたい。できれば通常国会に出してもらいたい。何としてでもそのように総理大臣決意をしていただきたい。税の問題は、内容のこまかい点は税調の答申に待つとしても、私は総理大臣にそれだけの決意をしていただきたいと思うのです。沖繩の例を出したのも、やはり土地対策がなければだめだ、このまま放置しておけば、安い沖繩の土地を買ってそれでもうけるのは、本土から進出した企業だということを私は総理大臣に知っていただきたかったから沖繩の問題を出したのです。むつ小川原の問題を出したのも、やはりねらいは同じところにあります。  しかし、これは開発地域ばかりでなくて、市街化区域の中においても同じことが行なわれるだろうし、調整区域の中においても、やはり先を見越しての買い占めがこれからも行なわれていくでありましょう。それを規制するのは税しかない。いま端的にできるのは税だ。総合的な対策は必要だけれども、その中でも税が非常に重要な部分を占めるのだと私は思うから、通常国会に何としてでも出していただきたいというふうにお願いをするわけです。総理大臣としては、税調の答申さえ出れば、まとまりさえすれば通常国会にはこれはお出しになりますか。
  233. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 土地問題に対しては、税制問題を含めてあらゆる角度から国民的英知を傾け、政府部内の知恵も結集をしまして、可及的すみやかに、できるだけ早く対策を立てたい、こう思います。
  234. 二見伸明

    二見委員 可及的すみやかにということは、かなり近い期間に出すというふうに私は理解いたします。可及的すみやかで、十年後だったなんということがないことを私は信じておりますので、その点はどうかお含みおきいただきたいと思います。そうして可及的すみやかにということは、通常国会に何とでも間に合わせたいという総理大臣の決意であるというふうに、決意としてはそうなんだ、そういうふうに理解してよろしいのかどうか。非常にしつこいようでございますけれども、これは土地対策のきめ手になるし、かなめの問題でもありますので、御決意をもう一度重ねてお尋ねをしたい。可及的すみやかについての解釈です。
  235. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 先ほどから申し述べておるとおりでございます。できるだけ早く出します。
  236. 二見伸明

    二見委員 時間が参りましたので、最後にまとめて農林大臣にお尋ねいたします。農林大臣は、ここで質問がありませんと、おそらく今国会全然発言をしないで選挙が終わり、内閣改造で一言も発言しない大臣になられると困りますので、明らかにしていただきたいと思います。簡単な問題でございますので、お願いいたします。  一つは、十二月中旬にアメリカのエバリー米大統領通商特別代表が来日するという話を聞いております。おそらく自由化の問題あるいは輸入ワク拡大の問題が論議されるだろうと思いますけれども、アメリカではオレンジの季節自由化について非常に積極的な意見を持っているそうであります。オレンジの季節自由化という問題は、季節自由化というけれども、自由化と本質的に変わらぬと私は考えております。したがって、これは何としてでも阻止してもらいたいという私の考えでありますが、農林大臣はこの点についてどういうふうにお考えになっているかということが一点。  それから、それにあわせてもう一つ、農産物についての自由化、輸入ワク拡大について、今後どういうふうな御見解を持っているのか、これを明らかにしていただきたいのが一点。  もう一点は、いわゆる米の生産調整であります。これを今後どういう方法でやっていくのか。もうおやめになるのか、あるいはまだ依然として続けていくのか。続けていく場合は、地域格差を設けていくのか、そうした点について、簡単に御答弁をお願いしたいと思います。
  237. 足立篤郎

    ○足立国務大臣 エバリーが来るかどうかということは、まだ確報を得ておりません。おっしゃるとおり、アメリカ側のほうはオレンジ並びにジュースの自由化は非常に熱心でございまして、私どももこれに対処する考え方をいろいろ持っておりますが、いま御質問の季節自由化の問題、いろいろ検討してみましたけれども、最近は冷蔵施設がたいへんよくなっておりまして、かりに五月から十月までとか九月までとか切ってやりましても、冷蔵されますと日本のミカンの出盛り期とぶつかりますので、私は、季節自由化ということは全面自由化につながるものだと思っていますから、これはやる気はございません。  ただ、国内の生産量との見合いもございますが、いわゆる端境期ついての時期的な割り当て数量をふやすというような点は、できるだけ努力をしたいと思っていますし、なお果汁は、国産の温州ミカンの果汁とブレンドすることによってたいへんおいしい、日本人に向いたジュースができることが確信を得ましたので、そうした方向で、ブレンドジュースの製造という方向で進みたいというふうに思っております。  なお、農産物全体の自由化でございますが、いま二十四品目残っております。これはいずれも日本農業全体あるいは地域農業について、相当大きな影響を持った品目だけが残っているわけでございますので、どれ一つとってみましてもなかなか影響が大きゅうございますので、私は、いまのところ農産物の自由化を進めるということはどうもむずかしいんじゃないかというふうに考えておりますが、ただ、長期的な観点に立ちまして、いろいろな手当ても考えながら今後検討してまいりたいというふうに思っておりますから、いますぐに農産物の自由化はどうこうするという考え方は持っておりません。  なお、生産調整は昭和五十年まで一応続ける計画で進んでおりますが、ただ、米をつくらなければ国民の税金から補助金を出すというようなことは、なるべく早く打ち切りたいと思いますので、転作を定着させていきたい、そして需給のバランスをとっていきたいというふうに思っております。  なお、生産調整の割り当ては、従来機械的な面がございまして、地域指標をつくって若干味つけをいたしましたけれども、この点はもう少しくふうをして、各都道府県とも協議をして、転作の行くえといいますか、奨励策、そういうものをいろいろかみ合わせまして、現地に合ったような、無理のない生産調整をやるような努力をいたしたいというふうに思っておりますので、地域差を考慮しながら生産調整をやるというふうに御理解をいただきたいと思っております。
  238. 坪川信三

    坪川委員長 二見君、時間ももう経過いたしましたので、結論をお願いします。
  239. 二見伸明

    二見委員 時間が参りましたので、以上でもって終わらせていただきます。ありがとうございました。
  240. 坪川信三

    坪川委員長 以上で二見君の質疑は終了いたしました。  次に、安井吉典君。
  241. 安井吉典

    ○安井委員 初めに、防衛庁の長坂参事官おられますか。——では、あとでおいでいただきたいと思います。  それでは、その部分はあと回しにいたしまして、まず、いわゆる日本列島改造論についてはいまもいろいろ御議論があったわけで、しばしば今国会で取り上げられてまいりましたが、私は、二、三点の質疑と一点だけ提案あるいは主張をするということにとどめたいと思います。  田中総理の答弁をお聞きいたしておりますと、過密過疎の同時解消の田中改造論で、公害も物価も地価対策も、農村問題も福祉対策も、何もかも田中改造論で解決、こういう御答弁がずっと続いてまいりました。まさに田中改造論なるものは万能薬、私は、むしろこれは何とかの一つ覚えというふうなことではないかとも感ずるわけであります。  そこで、いまも二見委員からのお尋ねの中にありましたけれども、総理の言われるいわゆる日本列島改造論なるものは、これはいかなるものなんですか、もう一度はっきり言っていただきたいと思います。政策なのかビジョンなのか、あるいは単なる政治見解なのか。それも、総理のものなのか自民党のものなのか。
  242. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 「日本列島改造論」という表題の本は、私個人が世に公にしたものでございます。しかし、この日本列島改造論の中を貫いておる政策的な方向は、自由民主党が都市政策大綱という名において党議で確定をしたものでございます。それから私が内閣首班になりましてから、私はいろいろな問題を解決するために、日本列島改造というような方向を進めてまいりたいということで、内閣としてもこれを正式に取り上げ、演説の中で、国会で明らかにいたしたわけでございます。それで、また首班に指名をせられた後、内閣としても日本列島改造というものを進めてまいりたいという意思を表明いたしておるわけでございます。  日本列島改造ということばだけではなく、いままで国土総合開発とか各地域開発、北海道、東北開発とか九州、四国開発とか、新産業都市建設促進法とかいろいろなものがございました。北海道東北開発公庫などというものはそういうことによってできたわけでございます。だから、そういうものをひっくるめて新たに言えば日本列島改造論、こう言っても間違いではない、こう理解しております。
  243. 安井吉典

    ○安井委員 田中総理もそれから一般的にも、私、少し論理が混乱しているように思います。日本列島改造ということは、こんなひどい日本列島に自民党がしてしまったわけでありますから、私ども改造しなければならぬと思いますが、しかし改造論ということになりますと、私も改造論を持っているし、あなたも改造論を持っているし、私はあなたの改造論に反対だし、みんなそれぞれ改造論があるわけであります。だからいままでの御答弁の中では——日本列島の改造をしなければいけないのは、こんなのはあたりまえですよ。しかし、問題になっているのはあなたの改造論ではないですか。つまりそれが、あの本が都市政策大綱と相当部分ダブっていますよ。そうでない部分もありますね。ですから、あれは政策なのかビジョンなのか、あなたの日本列島改造のための政策なのかビジョンなのか、私はその点明確にしていただきたい。
  244. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 政策の方向であり、言うなれば政治的なビジョン、こういうことであります。
  245. 安井吉典

    ○安井委員 先ほど私ちょっと申し上げましたけれども、森羅万象すべて改造論で解消する、こういう言い方によって、政策だかビジョンだかわけのわからないようなそういう中に、本来なら農村の政策、中小企業の政策、社会保障政策、それぞれの政策に固有のアプローチをしていかなければいけない問題までを、それを全部日本列島改造論さえできればということでその中に逃げ込んでしまって、当然の政策を埋没させている、私はそういう批判を受けてもしようがないのじゃないかと思います。この間うちの総理の御答弁を聞いておりますと、私はどうしてもそういう気がしてしかたがないわけでありますが、それでは責任のがれじゃないかと思うのですね。どうですか。
  246. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 いま御指摘になったようなことを言っておるのじゃありません。社会保障をやるには社会保障の政策がありますし、住宅政策をやるには住宅の政策があります。文教には文教の政策もございます。しかし、その政策を最終的に決定をするには、ただ政策という各論だけでは解決できません。やはり日本列島改造というものを踏まえて、政策を総合的に行なうことによって解決ができると思います、こう述べておるのです。それはちょっと時間をいただきたいのですが、一、二分ですが、こういうことでしょう。  すなおに述べますと、明治初年国民総生産も国民所得も非常に低かった時代から、わずか百年の間に二つの大きな問題がありました。その一つは戦争がありました。戦争までは、少なくとも一次産業比率がだんだんと減ることによって、二次産業、三次産業へ人口移動することによって国民所得と国民総生産が増大をした。その過程においていろいろな政策が行なわれてきたわけであります。  ところが、今度戦争に敗れました。戦争に敗れましたが、その後も一時はみんな農村に居ついたけれども、人口都市に、二次産業や三次産業に移動することによってこの繁栄が築かれたわけであります。国民所得も国民総生産も築かれたが、しかし、そこには物価の問題とか心の問題とか、住宅不足の問題とか公害の問題とか、いろいろな問題が起こってきたのでしょう。結局、それは都市化、過度集中という現象の中において起こっていることだけは事実なんです。ですから、東京に来なければ——私は新潟の者でありますが、新潟で生まれたとおり新潟におればこんな公害、空気はきたなくならないのです。新潟の水はきれいなんです。ですから、東京に来たから、だから帰ろうというのです。(「じゃ帰ればいい」と呼ぶ者あり)帰るにはただ帰れない。その就職の場所も確保しなければならない。そういうことでもって申し上げておるのでございまして、私は、何でもかんでも全部日本列島改造をやって片づけると逃げ込んでおるのじゃないのです、反論するわけじゃありませんが。ほんとうに総合開発を行なわないで、いままでのこのままの都市に集中することを是認しておって、十年もたたないうちに、六十年なんといわないで五十五年で、きっと総人口の八五%が大都市に寄るということになるでしょうが、それで一体片づくだろうか。  こういうことを考えますと、やはり国土の総合開発というものを進めることによって、その中で各論を一つずつ片づけていくということだと思うのです。
  247. 安井吉典

    ○安井委員 いまそういうふうにおっしゃるけれども、この間の本会議の答弁は、みんな日本列島改造万能論ばかりだったのですよ。いまやっと弁解されているだけじゃないですか。総選挙が近いからそうなのかもしれませんけれども。私は、ただいいことを盛んにおっしゃるが、新全国総合開発計画、その前の全国総合開発計画もありました。あれをよく読んでみると、あのずっと昔の旧全総、あれも過密過疎を解消すると書いてありますよ、あのころの文章も。それから新全総もやはりそう書いてありますよ。過密過疎の同時解消、ここにも書いてありますよ。だから何とかかんとか、きれいな文句で福祉優先とかなんとかおっしゃっていても、結局自民党政治のもとでは、政治の基本を貫くのはやはり資本の論理であって、いかに大きな看板を掲げても、独占資本主義への方向がもうずんずん進んでしまって、結局過密過疎は解消するどころか、旧全総によっても過密過疎は拡大されたわけです。みんなそうですよ、いままで。  だから、これも私は、どうもあの本を拝見いたしてみましても、やはり鉄鋼二倍、石油四倍、年間成長率一〇%を続けて昭和六十年度一兆ドル、アメリカと肩を並べ、アメリカを凌駕する世界一の経済大国になろうとする、それがどうもどぎつく出てしまっている。どぎつく出て、結局はやはり福祉は相変わらず犠牲なんだなあと、こういう印象を国民に与えてしまうことになるのではなかろうか。これは私の直観です。いままでがそうだったから。  私は、だからこういう際にこそ、おっしゃったデメリットをもっと反省する必要がある。いまのような改造しなければならない状態は、自然にできたわけではありません。ずっと自民党政治が引き続いていて、その中でできたのが今日の状態でありますから、そのデメリットを解消していくというところにウエートを置いていく。そのためには、成長率は少しぐらいダウンしたっていいじゃないですか。高度成長の延長の中に立てなくたっていいじゃないですか。それが私は基本ではないかと思うのであります。  また、一人一人の国民大衆の観点からすれば、日本列島が一日経済圏になるということも好ましいかもしれませんけれども、それよりも自分のうちの前のでこぼこ道路をどうしてくれるか、うちの前の下水道をせめてU字溝でも入れてコンクリートのふたでもしてほしいという、そういうのが私は庶民の願いじゃなかろうか。あるいはまた寝たきり老人の問題やら、心身障害者に対するあたたかな手を差し伸べてもらいたい、こういうほんとうのそれこそ庶民の願い、それをかなえる形から列島改造にアプローチをしていくべきではなかろうかと思います。つまり私は、日本列島を改造すれば、日本じゅうどこに住んでいても、どんな仕事をやっていても、しあわせ多い、生きがいのある人生が送れるような、そういう日本列島にすべきだと思う。そこまでは同じかもしれませんね。  しかし、そのためには、別に鉄鋼や石油の大幅な生産拡充だけにウエートを置かなくたって、もう少し庶民の生活にねらいをつけようと思えば、私は自治体というものに、総理、もっと目を向けていただきたいと思います。一つ一つの自治体こそが庶民の生活に直結しているわけです。そこの住民との話し合いの中から、その中で一つの町や村の総合開発計画ができる。それは、私はまあシビルミニマムということばを使いますけれども、そこで住んでいる市民生活は、そういうものが実現できれば、とにもかくにもまあまあという暮らしができるのだという、そういう計画をみんな持っている。現に持っていますよ。そしてまたできてないところはつくらせなければいけません。そういう身近な生活を実現できるような各市町村ごとのシビルミニマムの計画を、三千三百あるんなら、そいつをつなぎ合わせていこうじゃないですか。そうしてそれをつなぎ合わせて調整をとり、総合化していったもの、それこそが私はほんとうの国民の手による下からの日本列島改造計画だと思う。どうですか、総理
  248. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 あなたの言うことも理解できます。あなたも大体私にだんだんと近寄ってまいっておられるようでございますが、この列島改造ということ、私もあなたに近寄っていっていいのです。これは私が、あの本一冊でもってすべてを律しられること自体がたいへんむずかしいことでございますし、あれは一つの方向だけを出したわけでありまして、各論はあの中でとても網羅できるものではないわけでございます。  ただ、潜在成長力はこのくらい力がある、だからその力を利用してということを書いたわけでございますが、私も成長万能ではなく、やはり福祉とか生活重点ということでなければならない。ですから、皆さんも列島改造は必要でないと言われておるわけじゃないんだし、地方開発が必要ではないと言われておるわけではないし、成長はゼロでもっていいと言われておるわけではないのです。ですから、そこは両方お互いに、国内政治でございますから、こうよく話し合ってみると、案外非常に似ておるということかもわかりません。  私自身も、申し上げるのは成長活用型である。あなたは北海道ですから、北海道の例をとっちゃ悪いのですが、炭鉱がとにかくつぶれれば、終閉山をすれば、その人たちを全部札幌へ持ってくる、全部東京へ持ってくるというようなことが行なわれていいわけはないのです。やはりそこには家もあるし町もあるのですから、そこへできれば政府関係機関でも何でも、工場も持ってきたり、産炭地振興というのは、一つにはそういう政策でございますから、また御賛成を願った産業再配置というのも、一口に言うと列島改造の中の各論の一つである、こういうことであって、その一冊の本だけでもって私の考え方を律しられないで、日本人の持つ成長力を活用しながら理想的な、あなたがいま述べられたように、日本の国におるならどこに住んでおっても、職も与えられるし、理想的な環境が確保できるような状態をつくっていきたい、こう考えております。
  249. 安井吉典

    ○安井委員 先々の見通しということになれば、それは似てくるでしょう。しかし、あなたの田中改造論ではできませんよ、これは。どう読んでみてもできませんね、あれは。何もかもできるように書いてあるだけですよ。私はどうしてもそう思う。だから発想の出どころを住民に置いて、下からの庶民の生活から出発しなさいよ。経済の成長をまず大きく取り上げるという態度はもういいんじゃないですか。安定成長でいいでしょう。きょうは一般論ですから、そういうやりとりだけではあまり実りがないかもしれませんけれども、私が申し上げたいのは、自治体のほんとうの庶民からスタートをしたそういう改造でなければならぬ、そのことだけひとつ強調しておきたいわけであります。  そこで、この新全総だとか新長期経済計画等の長期計画の見直しを政府は行なうというふうに伺っているわけでありますが、それはいつごろまでにつくろうというお見込みですか。
  250. 有田喜一

    ○有田国務大臣 御承知のとおり、日本はいままで高度成長の道を歩いてきました。これは国民生活、ことに国民所得の増大という意味では大きな役割りを果たしました。しかし、その後これの一つのひずみといいますか、そういう面ができましたので、現在、いわゆる長期計画を見直しまして、いま福祉充実、国際協調、この二つを大きな柱としながら目下長期計画を策定中ですが、この策定のめどは、本年の十二月中旬ということをめどにしながら策定を進めております。これが一つ日本列島改造の指導条件の整備になる、かように私どもは考えております。  また新全総は、その後公害問題が非常に深刻化してまいりました。そこで、環境改善という視野からこの見直しといいますか、総点検をやっています。この総点検は、いま日本列島改造懇談会がありますが、その委員の意向なんかもよく聞き、また地方、都道府県あるいは自治体等各方面の意見も十分取り入れながら、すみやかに総点検の成果を得たい、こういう考えでおるわけであります。
  251. 安井吉典

    ○安井委員 福祉優先だそうですから、ぜひそうやってほしいと思います。  ただ、政府の計画というものは、計画の作文はなかなかりっぱですけれども、そのとおり実行されたことはただの一度もないわけですから、そこは実行の内閣だそうですから、うまくいくのかと思うが、しかし、私はどうも田中さんの壮大なビジョンというか、それが大きくて、いま人気がすごく上昇している、それだけに、どうも後に幻滅の悲哀ということになって、がったり下がるには、どうも七年七カ月もかからないのじゃないかという気もする。いずれにいたしましても、あくまで福祉優先という姿勢を貫いてもらいたいということだけ、ちょっと申し上げておきたいと思います。  ただ、円の切り上げの問題は、この長期計画にも影響があるし、円の切り上げはこの間からもいろいろありましたけれども、選挙が終わったら切り上げをやるのではないかというふうなうわさも飛んでいます。やりませんね。だれですか、これは大蔵大臣
  252. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 円の再切り上げ等の問題については、われわれは先般十月二十日に、最近のこれに対する対策をいろいろ立てまして、そうしてことしの五月並びに去年の六月に立てました案とあわせて、その効果の発揮のためにあらゆる努力をささげておるつもりであります。  したがいまして、これらの施策に伴う効果は一挙には出てまいりません。世界各国のそれぞれの各専門家等の意見に徴しましても、相当の期間を要するものでございます。その間しばらくは、すぐに貿易黒字が減って、そして外貨の蓄積にその結果があらわれてくるというわけにはまいりませんけれども、効果は徐々に発揮されておるのであります。この勢いでまいりますれば、必ずや円の再切り上げのごときはやらなくて済むということを固く期待し、また、それをやらなければならぬというあらゆる施策をいやが上にも重ねてまいりたい。もし実現がおくれるようなことになれば、またこれについてもでき得る限りの努力をやっていこう、こういう考えでございます。
  253. 安井吉典

    ○安井委員 いつまでの話ですか。来月やらぬという話ですか。それともずっと、いまの対策の結果が出てくるのはだいぶ先だというその意味は、円の再切り上げは絶対やらぬという意味ですか。それともごく最近はやらぬという意味ですか。
  254. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 絶対にやらないというつもりで進んでおります。そうしてこれは必ずや実現できると思っております、こう申し上げておるのであります。
  255. 安井吉典

    ○安井委員 まあこのくらいにしておきましょう。  先ほど防衛庁の長坂参事官が、楢崎委員の質問に対して、例の立川基地自衛隊移駐問題です。先ほどの御答弁では、今後阿部市長と十分話し合っていくというふうな御答弁だったと聞いておりますが、その後聞いていますと、長坂参事官は十一月二日、阿部市長に面会をし、本年中できるだけ早い時期に移駐をする、それは家族の関係もあるからということを明確に通告をされているそうであります。そうだとすると、さっきの答弁と少し違うわけですね。これから話し合ってというのとだいぶ違うようであります。現地では、国会解散直後移駐ということになるのではないかというふうに言われているそうであります。どうですか。
  256. 長坂強

    ○長坂政府委員 お答えいたしたいと思います。青、立川市長さんが防衛庁に来られまして、たまたま大臣御不在でございましたので、私、お会いをいたしました。  その要点は、先ほど申し上げましたとおり、市長のほうからは、市長のお立場はあるけれども、前からの話し合いの続きとして、本隊の移駐前には十分に話し合いをしたいというお示しがございました。そこで私どものほうも、この前の国会以来の経緯もございますし、それから、何ぶんにも地元の首長でいらっしゃる市長さんと十分のお話をするということは、こちらもまたもとより望むところでございますので、そのお申し出はすなおに応じたわけでございます。  それでその際に、なかなか交渉のやりとりの微妙な点がございまして、どこまで明らかにしていいのか、市長さんのお立場もございますでしょうし、われわれのほうの立場もありますので、どの辺までこういう席で申し上げていいのか、ちょっと判断に苦しみますけれども、市長さんのほうからは、自分のほうとしては、立川基地のあと地利用の将来構想というようなものもあるということをお話しになりました。  そこで、私どものほうも、その本隊移駐、つまり自衛隊の移駐ということの立場は変わっておらないけれども、その基地内の関連ある部分についての将来の取り扱いなどについても、そういったお話し合いの中で明らかにしていくことができれば、そういうふうにいたしたいというふうにもお答えしたわけでございます。しかしその一方では、部隊移駐という方針はきまってもおります。閣議の決定もいただいておりますので、私どもとしては、やはり移駐を実現するという立場であります。  そこで、あえて突っ込んで申し上げれば、年内の移駐ということを、市長さん、私どもとしては念願をしておるわけでございますというふうにお話をしたわけでございます。そこで市長さんは、いや、そういうことも察知はいたしておりましたけれども、それは自分の立場としては困るんだというようなお話もございました。先ほど、楢崎委員からの御質問は、十一月中にはやらないであろうなというようなお話でございまして、なかなか微妙なところにわたってまいりますけれども、十分話し合いをしていくそのお話し合いの中で、私どもとしては、この移駐を実現できるような条件なり、あるいは移駐を実現できるような時期というものを見出してまいりたい、このように念願しておるということを、市長さんにもお話し申し上げたところでございます。  以上で御了解いただきたいと思います。
  257. 安井吉典

    ○安井委員 私は、頭が悪いのかよくわからないのですが、つまり現地では、衆議院解散直後移駐だというふうな話になっているそうでありますが、では、そういうことはないのですね。それともそういうことなんですか。
  258. 長坂強

    ○長坂政府委員 先ほどの、午前中の楢崎先生の御質問は、十一月までにはやらないんだろうなということで、ただいまはまた、解散直後であるというように日を限っての御質問で、たいへん答弁に窮しますけれども、私どもの念願といたしますところは、やはり十分なお話し合いを持っている中で、その円満な移駐実現の時期というものを見出してまいりたいということを念願しておるわけでございまして、十一月とか十二月とか、特に現在、そういうような時期に触れてお話を出しているわけではございません。
  259. 安井吉典

    ○安井委員 では、今後阿部市長と十分話し合っていくという答弁、先ほどの答弁でいいのですね。
  260. 長坂強

    ○長坂政府委員 そのとおりでございます。
  261. 安井吉典

    ○安井委員 いまのそのお話で、もう一つ確かめておきたいのは、話し合いの結果時期をきめる、こういうふうに受けとめていいわけですね。
  262. 長坂強

    ○長坂政府委員 市長さんにもたびたびお会いをいたしましてお話し申し上げているつもりでございますが、最終的にお話し申し上げましたことは、そういうお話し合いの中で、私どもが円満に移駐を実現できる条件なり時期なりというものをつかみたいというふうに、市長にお話をしているわけでございます。
  263. 安井吉典

    ○安井委員 話がきちっと済まないうちに、この間みたいなめちゃなことはやらぬでくださいよ。それだけはっきり念を押しておきます。  次に、農政の問題について。さっき二見委員からもいろいろございましたが、私もちょっとお尋ねをするつもりでおります。ただ、本格的な論争をするには、私の時間配当が短いものですからそうはいかないのですが、ただ、田中改造論の中にも、どう読んでも、農地法は廃止をすると受け取らざるを得ないような表現が随所にあるわけです。あれは廃止なんだな、こう受けとめざるを得ません。もともと田中首相は農地法廃止論者だというふうに聞いてはいるのでありますが、これはどっちがいいのですか、総理と農林大臣とに、いま農村は、この問題について非常に大きな混乱を見せておりますので、はっきりお答えいただきたいと思います。
  264. 足立篤郎

    ○足立国務大臣 列島改造論、私も読ましていただきましたが、確かに安井委員御指摘のような面がございます。  私は、実はこの問題については、次のような解釈を自分なりにいたしております。と申しますのは、列島改造論の中には、国土の効率的な利用をはかるというのが大前提になっておる。先ほど来総理も、土地利用という点を強調されていらっしゃいますが、その効率的な利用というものが、何か基本法のようなもので規制をされましてきちっときまれば、現在の農地法のあるべき姿というものが相当変わってくるというふうに私も承知をいたします。しかし、そうした列島改造論の基本的な構想に従って、国土全体の土地の効率的利用に関する基本法のようなものが制定されるまでの間におきましては、私は、今日の農地法というものは必要欠くべからざるものであるというふうに考えております。これは御承知のとおり、自作農創設のときの、それを維持し、耕作権を尊重するための根拠法規でございますから、これをみだりにいま廃止するとかいうことは考えられない。  ただ、今後いろいろ農政を展開する上におきまして、協業化等も進んでまいると思いますので、高能率高生産の農業を実現するために、農地法の一部は手直しをする必要があると思っておりますので、そういう面については、農地法改正点について農林省として検討いたしておる、こういうふうに御承知をいただきたいと思います。
  265. 安井吉典

    ○安井委員 いまの御答弁でもちょっと不明確でありますが、農地法は、戦後、農地改革という一つの大きな歴史的な事実を踏まえての立法であります。そのことによって農地に対する農民の権利が守られてきているというわけでありますから、これを廃止するということになると、また第二の革命にこれはなると思います。しかもその革命は、農民にとってはたしてプラスになるのかどうか非常に疑問のある、そういう方向が生まれてくるのではないかと私は思います。  沖繩はそんなに土地買いがひどいのかねとさっき総理は言われましたけれども、南だけではないですよ。北の北海道もひどいですよ。いま、北海道農業会議が農地を守る運動というのを始めました。九月にこの北海道農業会議が発表した実態調査でも、苫小牧東部工業基地の周辺の農地、胆振、後志、渡島、桧山、十勝、釧路などを中心に、すでに十万ヘクタールが農外資本の手に渡っています。クマの出る山の上が別荘地というようなことで買い占められている。週刊誌に一ぱい書いてある。新聞に広告も出ているでしょう。つまり、売れる可能性も何もないところでも、とにかく買っておきさえすれば何とかなるという、それなんですよ。さっき二見委員が言われたのもその意味だと私は思う。そこに、観光ホテルができたり、何かそんなものができるならいいですけれども、そんなものを全部建てたって、十年分、二十年分ものものがいま買い占められているんだから、ただ単にそれは値上がり待ち、いわゆるブローカーですよ。  そういうような形で買いあさり、買い占めが行なわれて、まさに日本列島総買い占めが行なわれているという現状です。どうも私、さっきから問答を聞いていて歯がゆくてしまうがない。まるで、何か土地会社と田中さんはつながりがあるんじゃないかとさえ錯覚できる。ああいうふうな態度では、全国のほんとうに百姓に打ち込もうという農民や、あるいは何とかせめてこれからの住宅をと考えているサラリーマンの憤激を買うと思います。特に、私はいま農地法のサイドから問題を提起しているわけでありますけれども、その農業基盤を脅かす問題だということで、この北海道農業会議の農地を守る運動、というのは、全道の市町村農業委員会を総動員して強力に展開して、農業外資本には絶対に土地を売るなという運動です。それくらい深刻な受けとめがいま行なわれているという、そういう現状であります。  だから、こういう中で農地法の廃止などはとんでもないことだし、また先ほど、土地利用計画法なり、そういうような法律をつくると、まあそれもはっきりおっしゃらなかったが、それができたらいいだろうとおっしゃるけれども、それができたって、現実に全国の市町村に、日本列島全体の土地の利用計画が策定されるまでに何年かかると思いますか。建設大臣もおいでですが、都市計画だって、いつになったってまだ終わらぬでしょう。なかなかたいへんですよ、これは。だから、それができたら何か終わりそうなお考えをおっしゃるのは間違いで、やはり当面の思惑買いをやめさせるというふうなこと、現在買い占めが行なわれている企業の土地取得については、もう御破算にするとか、それに対するおそろしいほどの税金を取るとか、とりあえずの措置をとらなければ、これは、私はたいへんなことになると思う。  土地利用計画が必要だということは、社会党の私どももずっと以前から主張してきたところであります。必要ですよ。当然やらなければいけませんけれども、いままでやらないのが大体おかしいんでね。英国なんか五十年も前からできているのですからね。それを、いまになってやるのは実はおそいんだが、おそくてもやったほうがいい。しかし、それができるまで待つという姿勢ではだめだということ。  それから、追い出し税ですか、事務所や工場の追い出し税も、新聞の報道によると、何か見送りだというふうな報道もありますね。どうも、何か打ち出しだけはりっぱなようでも、何もかも後退していくような、そういう印象があるわけでありますが、これはぜひ総理から伺いたいと思います。
  266. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 先ほど、土地につきましては、先行きの値上がりを見通して投資をするようなものを押えるために、税制上の問題等十分勉強しなければならないと思いますと、こう答えておるわけでございます。  それから、とにかく国土全体の土地利用計画というものは、知事、市町村長を中心にしたものを早急に立案することが望ましいということで、法律はできるだけ早い機会に国会に提案をしたい、こう述べておるわけであります。  自作農維持創設のためにつくられた農地法というものとは、もう時代がずっと変わっております。相当減反それから転作を必要としておるような状態でございますので、その当時の農地法ということよりも変わった意味の農地法が要求されておることは、これはもう御理解できると思います。だから市街地の再開発法については、再開発区域における農地法の適用はこれを除外しているということを考えてみても、よくおわかりのとおりでございます。ですから、利用計画ができて、農地に対しては、新農地法ともいいますか、そういうものに変わっていくべきであるという考え方を述べたわけでございまして、いまやみくもに農地法を廃止しようということを考えておるわけではないわけでございます。  いずれにしても、いま、北海道で農地を売らないという運動のお話もございましたけれども、これは、新しい大きな農業規模拡大のためには一つの必要な施策だと思います。ただ、農業だけでやっていけないというところもございます。そういう意味で、これから農業人口から二次、三次へ移動しなければならないような人口に対しては、余剰農地というものを明確に区分して、そこを二次産業の基地として提供する、そして、自分がその土地に建てられる職場で収入を得るということになっていかなければならない。いま兼業農家の収入がどんどんふえておる状態、専業と兼業というものをおのずから分けていかなければならないということを考えますと、これはいままでの、ただ二十余年前の自作農維持創設のときの考え方よりももっと弾力的に考えてもいいんじゃないか、こういうことを言っておるわけであります。
  267. 安井吉典

    ○安井委員 これは農林大臣にお聞きいたしたいと思いますが、農地法の問題はこれぐらいの議論じゃ済まないと思いますので、あとに残しますが、食管制度は、これはやはり、米作農民にしても消費者にしても一番大事なささえになってきて、ほとんど実効のない日本農政の中では、ただ一つささえになっている、私はそう思うのです。これに対して農林大臣は、食管制度敵視の姿勢で、ぶつつぶそうというふうなお考え方で取り組んでおられるそうでありますが、どうですか。
  268. 足立篤郎

    ○足立国務大臣 食管の問題について、私、着任早々から記者会見等で、現在の食管制度の中できわめて不合理な点、法律を守れない現状を認識しまして、何とか合理化をはかりたいということを申しておるのでありまして、いま安井委員がおっしゃるような、敵視的な態度で食管と取り組んでおるというわけでは絶対にございません。ただ、三十年の歴史を経る間に、その果たしている役割り、使命といいますか、それがたいへん変わってまいっておりまして、私の認識では、食管が現在期待されているのは、生産農民にとっては米価の保障という大きな期待がある。同時に、消費者の立場からは、消費者価格の水準の安定という点が大きく期待されておる点であると思います。  御承知のとおり、現状は自主流通米等がだんだんふえてまいりまして、形態は、自由流通の形態が非常にシェアを広げてまいっておりますので、こういう実態に合わせた制度に直したらどうであろうかということを私は提案しているわけでございまして、いませっかく専門家の人たちが研究もしてくれておりますので、できれば調査会等をつくりまして、じっくり各方面の御意見も伺って、何とか守れる制度にいたしたい、そして、生産者にも消費者にもまあまあ安心していただけるような制度に直したいというふうに思っておるわけでございます。
  269. 安井吉典

    ○安井委員 農政の一番大事な柱だということを忘れないでいただきたいということだけ、私、申し上げておきたいと思います。  総理に食事に行っていただいた間に、防衛庁長官と郵政大臣伺いたいと思います。  フジテレビの、毎週土曜日の十一時三十分から十五分の番組で、「祭りをつくる人々」というのがあるそうですね。私に資料を提供してくれた人の話によりますと、第一回は青森のねぶた祭り、第二回は仙台の七夕、第三回は阿波踊り、先週は何だったんでしょうか、二十六回続く。その結論は、どの祭りも、どうも自衛隊がつくるというような内容だそうです。ねぶた祭りについても、最後に出てくるのは自衛隊。自衛隊のおかげでできました。仙台の七夕もそうです。阿波踊りも、やはり自衛隊が一生懸命につくって、自衛隊連というのもあって、海上自衛隊の長官ですかな、それも踊っているそうですね。つまり、どの祭りも主人公は自衛隊というふうな仕組みだそうであります。  しかし、内容について私に言わせてもらえば、祭りというのは民衆がつくるものです。日本人は祭り好きです。民衆はその祭りを成功させるために何でも利用する、自衛隊まで利用する、そういう仕組みではないかと思うのでありますが、自衛隊が全部つくってやっているというのはおこがましいと思います。  それからもう一つは、このスポンサーは防衛庁ですね。これはどれぐらい払っておられるわけですか。
  270. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 この「祭りをつくる人々」という問題は、いま各地で催されておりまする伝統的行事に際して、やはりその地その地に駐とんしております自衛隊員がこれに参加をさしてもらうというか、各種の協力を行なうという意味で、地域住民との親和を深めていくという形で参加をしておるということでございます。自衛隊の人々がその祭りをつくっておるなどというつもりのものではございません。  電通のほうで、教養番組として全国における伝統的行事を紹介する番組を企画されました。それで、この番組に自衛隊員が参加をしておる。協力、支援と言ってもいいと思うのですが、これを織り込むという提案がありましたので、防衛庁としては、自衛隊が国民との親近感を深める、そういう状態を見てもらうことが国民との親近感を深めるのに有効であるというふうに判断をして協力をしたものでございまして、その協力のための経費の一部として、制作費千七百五十万円を自衛隊のほうで負担をしておるということでございます。
  271. 安井吉典

    ○安井委員 私は、自衛隊がそんな協力しているなら、自衛隊のほうが千七百万円ぐらいもらっているのかと思った。協力をしてお金を出しているわけですね。しかもまた、あとは何もかも自衛隊というのもおかしいのじゃないですか、いまおっしゃったことから言えばね。では、これからあと自衛隊の出ない番組もあるわけですね。とにかくどの番組もみんな自衛隊がと、見ている人はみんなそう思うそうですよ。  それから、提供は綜合警備保障と、こうなっていて、自衛隊はまさに協力と、こう出ておるそうですね。スポンサーは綜合保障というガードマンの会社だそうでありますが、その点どうですか。
  272. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 たしかスポンサーは、おっしゃった警備保障会社であったと思います。
  273. 安井吉典

    ○安井委員 その千七百万円は何ですか。
  274. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 これは、制作費として千七百五十万円を負担しておるということでございます。
  275. 安井吉典

    ○安井委員 電波料、制作費をみんな払うのをスポンサーというのですよ。一体何です、その御答弁は。
  276. 田代一正

    ○田代政府委員 ただいま大臣お答えいたしましたように、制作費の中で千七百五十万を防衛庁が負担をしております。それ以外に電波料というのがございますけれども、電波料は、全然防衛庁で負担しているわけではございません。
  277. 安井吉典

    ○安井委員 結局、スポンサーは綜合警備と防衛庁との共同負担みたいになっているのでしょう。防衛庁が出しているのは、ダミーのかっこうで、綜合警備だけを前に出しているのじゃないですか。これが実際なんでしょう。どうですか。
  278. 田代一正

    ○田代政府委員 お答えします。  スポンサーは、別に私どものほうでこうこうという指定をしたわけじゃございませんで、テレビ会社のほうでそういうことをいたしている、こういうことでございます。
  279. 安井吉典

    ○安井委員 そんなばかな抜け言がありますか。会計検査院は帰りましたね。これはひとつ会計検査院もこういう仕組みは調べていただきましょう。私は、ダミーでまで、つまり面を隠して防衛庁が自衛隊の宣伝をする、しかも宣伝ではないといいながら、中身は、どの祭りもみんな出てくるのだから、自衛隊は単なる協力じゃありませんよ。単なる協力なら、金を出して協力させてくださいなんという必要はないじゃないですか。そういう欺瞞をまでしてそういうふうな仕組みをやらなければいかぬということが第一の問題。  それから第二の問題は、これは郵政大臣にもちょっと伺っておきたいわけでありますが、放送法の一条の政治的な公平さだとか、あるいは第四十四条の「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」というふうな規定だとか、こういうような法規に触ればしないかという意見がありますが、いかがですか。
  280. 三池信

    ○三池国務大臣 お答えします。  自衛隊は、御承知のとおり、自衛隊法によって国の防衛の任に当たるものでありますから、その自衛隊の姿の一部を国民に紹介する意味をもって、国民との親和をはかるという目的で放送番組に組まれたとしても、それは放送法四十四条に違反するものではないと思います。
  281. 安井吉典

    ○安井委員 おそらくそういう御答弁が来るとは思っておりましたがね。しかし国論は、自衛隊の問題については違憲訴訟すらあるというふうなことで、二分されている重大な背景があるということだけは含んだ運用をしてもらわなければならぬと思う。  そしてまた、政府の広報の限界も問題だと思います。お知らせをするということは、政府としても自治体としても必要になると思う。しかし、政治宣伝というふうな方向にわたるということは問題があり、したがって、そういう方向に行かないようにチェックする必要があるのではないかと思う。そういう点について御検討はなすったことはありませんか。
  282. 三池信

    ○三池国務大臣 実は、私はその放送を実際に見ていないものですから、ちょっとお尋ねに対して的確な御返答ができないと思いますけれども、四十四条の違反ではないと、いま考えておる次第です。
  283. 安井吉典

    ○安井委員 これはもう少し検討していただきたいと思います。政府広報の限界を明確にするというふうな点も含めて、御検討をいただきたいと思います。  それからまた、さっきこういう連絡も来ました。都道府県の職業訓練校に自衛隊員が入校をしてきている。そこまでは別にそう問題はないように聞こえますけれども、ところが、入校をしてきた自衛隊員が盛んに生徒を自衛隊に勧誘をする。単なる友だち的な勧誘じゃなしに、猛烈な勧誘をする。隊員の充足状態が悪いので、意識的に職業訓練校まで利用をし始めたのではないかというふうな疑問を持って、私に連絡してくれた人もありますよ。いまそういう問題を突然長官に申し上げても、御返事はいただけないと思いますが、そういうような点についても、もう少し一般の指摘を受けるようなことがないように、ひとつ御配慮を願いたい。それだけ申し上げておきます。  そこで、総理はまだですか。−安保と四次防の問題について、田中総理は、日中国交回復やあるいは南北朝鮮の緊張緩和、世界的な軍備縮小というふうな傾向の中で、米ニクソン大統領と日米安保条約堅持を約束し、あるいは中国では、周恩来首相と平和五原則を確認し合った共同声明にサインをし、その同じ手で、質、量ともに強大な四次防を決定したというわけであります。引き続いて野党の諸君から議論がされているように、まさに時代逆行の仕打ちだというふうに言わなければならぬと思います。隣の部屋で聞いているんだろうと思いますから、総理に呼びかけますが……。
  284. 坪川信三

    坪川委員長 いま見えます。
  285. 安井吉典

    ○安井委員 今国会での総理の防衛問題についての答弁は、何か戦争への不安を宣伝し、軍備拡大の必要性を手を振り回して強弁をするというそのありさま、これは、単にタカ派であるというふうな本質が露呈されたというどころではありません。何か、かつての軍国主義への道に国民を導き始めたのではないかとさえ思われるくらいでありました。私はそういうふうな状況を見て、総裁選挙のライバルであった福田さんが、平和大国という主張をしていたほうが、まだ何か説得力があったのではないかという気がしてお聞きをしていました。  そこで——すぐ見えますか。
  286. 坪川信三

    坪川委員長 いま参ります。
  287. 安井吉典

    ○安井委員 じゃちょっと待ちましょう。——総理のこの間の本会議ですか、あるいは委員会における発言でも、憲法により当然軍備を持っている国、あるいは原水爆さえ持っている国と、防衛費が多い、少ないというふうな比較をされる。そういう総理の感覚からすれば、もしも他国がどしどし軍備を拡大するというふうな事態が起きた場合、総理も憲法にはおかまいなく、わが国も当然軍備を拡大すべきだという主張になってしまうのではなかろうか。そのためには、平和憲法の改正も辞さないというふうなところまでいきそうな手の振り方でありました、この間は。現に自民党には改憲論者もたくさんいるし、閣僚の中にもおられるわけだし、そこで憲法改正問題についての総理のお考え方を、やはりこの際はっきりさせていただきたいと思います。
  288. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 平和憲法は守ってまいりたいということでございまして、いま改正をするというような考えは全く持っておりません。
  289. 安井吉典

    ○安井委員 四次防に関して防衛の限界を示すと、こういうふうにおっしゃっていたわけでありますけれども、四次防をきめてしまってから防衛の限界をきめるというのは、実はおかしいので、防衛の限界なるものが先にできて、その中で四次防というなら話はわかるのでありますけれども、その辺がどうもはっきりしない。そうじゃないですか。順序があべこべじゃないですか。  そしてそのことと、それからその限界なるものは、数字で示すのかあるいは文章で示すのか。私は数字も大事だし、質をどうするかということも大事だと思う。そしてまたそれはいつごろまでにお示しになるか、それを伺います。
  290. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 総理から、平和時における自衛力の限界というものを示すようにやれということの命を受けております。四次防との関係で、防衛力の限界を皆さんにお示しをしてから四次防をつくるべきではないかという御意見を、すでにいろいろお聞きをしておるわけでございまするが、四次防策定の段階で防衛力の限界というものが問題になりましたのは、要するに、御承知と思いまするが、防衛庁原案といいまする昨年四月に発表されました案は、新防衛力整備計画というふうにいわれたものでありまするが、およそ十年先の情勢を見、これに対処する防衛力というものを考えまして、それに立脚をした五年間の新防衛力整備計画というふうな考え方であったこと、御承知のとおりでございます。そういう意味で十年先のものを考えました。これは相当概括的に示されたものでありまするが、それが、一つの自衛力、防衛力の限界というふうにも受け取られたのであろうというふうに私は思うのでございまするが、そういう意味で、一つの防衛力の限界というものがあって四次防というものをつくるべきではないかという御意見が、私どもに聞かされるに至ったわけでございます。しかし、去年四月に発表しました十年先の見通しというものは、防衛力の限界という形で示されたものではなかったわけでございます。しかし、一つの十年という相当長期にわたるもののめどというものであったことは間違いありません。  その昨年発表しました、いわゆる防衛庁原案が、昨年夏のニクソン大統領の訪中発表なり、あるいはドル・ショックといわれまする世界通貨不安なり、それに伴う国内の景気の沈滞、いろいろ経済上あるいは国際政治上の条件等ともからみまして、第四次防衛力整備計画というものは、ここでひとつ考えてみる必要があるのではないかという御意見が出てまいりましたことは、御承知のとおりでございます。  そういうことで、昨年の夏、おそくも暮れまでには四次防の決定を国防会議でしてもらうという段取りでありましたのが、だんだんおくれてまいりまして、そして本年二月七日に国防会議で第四次防衛力整備計画の基本方針をきめていただいた。この基本方針は、いわゆる新防衛力整備計画とは考え方を基本的に変えまして、三次防の延長という形で第四次防衛力整備計画をつくるということになったわけでございます。  したがいまして、この重要な装備の基本項目にいたしましても、これは主として、従来装備をしましたものがだんだん日を経過いたしまして、新しいものと交代をしなければならぬというものが陸、海、空ともに出てまいっておる。そういうものを新しいものに交代をする。その際に、しかし現在の科学技術の進歩等にかんがみまして有効なものに取りかえていく。戦車でも、同じ戦車でなく六一を新型戦車にかえる。自衛艦にいたしましても、今度の四次防でつくりまする艦数は三次防と同じでありまするが、トン数は合計して約一万五千トンふえる。これは一艦一艦の内容が改善され有力になるということでございます。航空機にいたしましても、86がなくなりまするが、主たる要撃戦闘機はファントムでやるというふうなことがありまするので、数は、たとえば飛行機にしましても三次防よりは若干減るということでございますし、戦車にしても三次防のときよりも若干減るのでありまするが、その効力はふえておるという形で、もとより充実整備をする形で四次防というものがきめられたということでございます。  その段階で、四次防は経費計算をしますと三次防の約二倍ということで、たいへんなものではないかということから、またその他の意味もありまして、防衛力の限界というものが問題になりました。  私どもも、やはり防衛力というものは、いわば本来相対的なものでありまして、なかなか限界を示すということはむずかしいのでありまするが、しかしわが国は、御承知のとおり憲法で、全く専守防衛、自衛に徹するというものでなければ持つことはできないという非常に重大な限界が、これはことばの上ではありまするが、抽象的なものではありまするがございます。核兵器は持たない、攻撃的兵器は持たないという限界もあるわけでございます。それに総理は、平和時の限界という意味で、いまのような緊張緩和が続いていくという前提のもとに、考えてみろということであるわけでございます。日米安保条約を一つの背景といいますか、基調として持っていくということもあります。  そういうものを考えますれば、防衛力の限界、めどというものを一つつけることができるであろうということで、いま作業をいたしておりまして、これはことばであらわすものももちろんあると思いまするが、基本となるものは、やはり数量で限界をお示しをいたしたい、こういうふうに考えております。
  291. 安井吉典

    ○安井委員 それは大事な問題ですからもう少し詰めたいわけでありますが、時間が残り少なくなってまいりましたので、ひとつあとに残しますが、日米安保条約の問題について若干お尋ねをしていきたいと思います。  安保条約に基づいて、米軍の活動が逸脱をするおそれもあるから事前協議制があるので、それが歯どめになるという今日までの政府の説明です。ところが、核の装備だとか、部隊の移動だとか、直接出撃だとか、なかなか問題がつかみづらいわけであります。特に核の問題について、さきの沖繩国会でも佐藤総理大臣は、核がもしも本土内に残っていたならば内閣は総辞職してもいい、それぐらいの決意を示しているわけでありますが、その点は田中総理大臣、同じでしょうね。
  292. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 核三原則は堅持をしておりますので、日本に核が残っておるというような事態は全く考えておりません。
  293. 安井吉典

    ○安井委員 事前協議の中には、ほかに部隊の移動だとか直接出撃だとか、そういうようなものがわれわれのわからないところで行なわれていて、事前協議というのは一方的で、向こうだけがしてくるわけですから、それがしてこなければそれっきり。あるいはまた、網の目がものすごく大きいわけでありますから、なかなかひっかかるような問題はないわけであります。そういうような形で、事前協議の網をのがれた問題が相当あるのではないか。もしそういうふうな事実があったら、政府はどうしますか。
  294. 大平正芳

    ○大平国務大臣 日米間に安保条約がございますが、この根底には、やはり日米間に不動の信頼関係がないと、この条約自体が機能しないわけでございまして、私どもは、安保条約の運営にあたりまして、根本に日米間のゆるぎない信頼をつちかうということを基本にいたしておるわけでございます。したがって、われわれがアメリカとの間に約束をいたしましたことに、アメリカが違反するとは考えておりません。アメリカがもしそういうことをすれば、アメリカは世界に信を失うでございましょうし、日本ばかりでなく世界に信を失うわけでございまして、アメリカ当局もこれに対しては、たいへん真剣に対処しておるものと思います。  ただ、いま安井さんがおっしゃるように、事前協議にかかってくる事例がないということは、陰に、これから離れておるオペレーションがあり得るのではないかという御疑問でございますが、事前協議条項について協議がないということでございますが、この事前協議条項は、私は非常に活発に働いておると思います。こういうルールの中で米軍が活動をいたしておるわけでございまして、これがないからといって、それからはずれることが多いというようなことを、私どもは全然考えていないわけでございます。  万一、しからばそういうことがあったらどうかということでございますが、これは日米間の厳粛な盟約違反でございますから、そういうことはないと思いますけれども、万一あった場合におきましては、厳重な措置をとらなければならぬことは当然だと思います。
  295. 安井吉典

    ○安井委員 厳重な措置とはどういうことですか。
  296. 大平正芳

    ○大平国務大臣 約束を違反したことに対しまして、先方に対して厳重に警告をし、以後そういうことのないようにしなければならぬことは当然だと思いますが、私は、そういうことは万々ないものと確信いたしております。
  297. 安井吉典

    ○安井委員 向こうがそういうふうな事態をもし起こしたとすれば、それをそのまま見のがしてきた日本政府の責任も私はあると思うのですが、どうですか。
  298. 大平正芳

    ○大平国務大臣 当然でございます。
  299. 安井吉典

    ○安井委員 これは防衛庁長官伺いたいと思いますが、沖繩にある第五百四十九QM中隊、需品科中隊というんですかね、御存じですか、どういう性格か。
  300. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 防衛局長も承知をしておらないようで、ちょっと私、存じません。
  301. 安井吉典

    ○安井委員 防衛局長もわかりませんか。
  302. 久保卓也

    ○久保政府委員 ちょっと資料を持ってまいりませんでしたので、記憶いたしておりません。
  303. 安井吉典

    ○安井委員 私の知る限りで、まず申し上げてみましょう。  この第五百四十九需品科中隊は、在沖繩米陸軍基地特別部隊の補給大隊の中隊のようであります。そして、これは在日米陸軍のもとの沖繩基地司令部に属しています。これはもとをただすと、旧在琉米陸軍第二兵たんコマンドがもとの組織で、五月十五日の施政権返還によって名称がえをしたものであります。そのもとの部隊のほうの本部は牧港補給地区。私がいま問題提起いたしましたその五百四十九需品科中隊はこの部隊の所属で、中隊本部はキャンプ瑞慶覧。もともとこの特別部隊のほうは、核兵器、化学兵器を取り扱う部隊をも指揮しております。  そこで、その第五百四十九需品科中隊は、七〇年秋ごろから沖繩に配備されている模様であります。部隊の任務や性格はいまだ明らかにされていません。しかし、いろいろ情報を総合してみますと、G4、いわゆる兵たん関係、そのほかG3、作戦の任務も持っているようであります。したがって、兵員には特殊兵器を専門に取り扱うCBRスペシャリストの士官や下士官が特別に配置されているようであります。この中隊は、連日極秘に沖繩中部の読谷補助飛行場で隊員の航空降下訓練から航空物資降下訓練を実施しているというふうにいわれています。たとえば、落下傘でおりて、一方では分解したスマート爆弾もおろして、それを地上で組み立てる等の特異の訓練もしているようであります。したがって、この中隊は単なる兵たん補給任務だけではなく、特殊作戦に積極的に出動する任務を帯びていることがわかります。  そこで、私どもの入手した一つの文書がありますので、これについてひとつ政府の考え方を伺ってみたいと思います。  これは英文の資料で、委員長、資料が少しありますが、配っていいですか。——久保防衛局長、これは大体どういう資料かわかりますか。
  304. 久保卓也

    ○久保政府委員 この資料は、現在の臨時勤務を、一応次のとおりのものをやらせるということが書いてありますが、どういう勤務になりますか、この文書だけではすぐに判明いたしません。この臨時勤務の済んだあとは本部に帰れという趣旨のことが書いてあると思いますが、ただ、先ほど特殊任務を遂行しているようなお話でありましたが、いまのお話の範囲内から想像いたしますれば、米軍の各種の兵器、中には特殊なものもあるかもしれませんけれども、そういったものの補給、整備、そういったものを担当する部隊であろうというふうに思っております。どういうような兵器を扱っておるか、これは少し調べてみないとわかりません。
  305. 安井吉典

    ○安井委員 これは、私どもが解読したところをちょっと申し上げてみます。これの入手先は申し上げることはできません。ただ、その中身で問題なのは、米陸軍沖繩基地司令部ということになっておりますが、AS−O、緊急命令書、そうして主題は臨時任務といいますか、一時的任務。そして十二人の十二人で二十四人ですか、このインディビデュアルズコンサーンドということで、関係各位殿というふうになっています。そうして、指示された臨時任務を遂行し、それが終わったら恒久ステーションに戻るものとするということで、個々の二十四名のメンバー、名前と、それからIDナンバー、例の認識票ですか、番号が書かれています。そして、特にここで書かれている二十四人のメンバーは、グループリーダーがポール・ジェームズ二等軍曹。だから分隊ぐらいの規模ではないかというふうに考えられます。ただ特徴は兵員構成で、下士官の特技伍長が十三人、上等兵が八人、一等兵二人、このような編成は普通科の場合ではあり得ないことであります。まさに特殊兵器関係を専門に取り扱う部隊にしか配置されないというふうな仕組みではないか。グリーンベレーと同じような組み方であります。そして行動指示、これは司令官の口頭命令というふうなことになっており、移動はダナン、サイゴン。べトナムヘの出撃命令であることは明らかではないか。そうしてベトナムにおいては第百十八ベトナム前線部隊に任務について、六月の二十四日、六十日間の任務遂行期間を命令されているということのようであります。  さらに、二ページ目には特別説明がついており、次の番号の品物の供給ということで番号で書かれており、次の文字の物品の供給、これはアルファベットで書かれています。そしてベトナムに着いてから、レオナルド・パーカー少佐、電話番号が書いてあって、それに連絡せよとの命令であります。サインは、米陸軍補助部隊、大尉、補助代理者というんですか、マキシーン・L・ロバート。  この中隊の任務が特殊任務だということで、たとえばダムの破壊だとか、発電所の破壊だとか、スマート爆弾の組み立てだとか、そういうふうなことも考えられないわけではありません。また、普通ベトナム派遣の兵隊は九十日ぐらいでありますのが、これは六十日、グリーンベレー並みであります。そういうことからいっても、単なる補給ではなく、向こうで任務付与をされていることは明らかであります。  この人たちを送ったという友人たちの話を総合いたしましても、午前四時に出発をして、七十二時間のスタンバイでそれで任務につく、こういうふうな仕組みであります。この内容については、ひとつもっと防衛庁で調査していただきたい。  私がここで申し上げたいのは、部隊移動の戦闘作戦命令というふうな形で緊急命令書が出されているということは、これは明白ではないかと思います。いままでこの種の部隊は明確にされていなかったし、この種の部隊がベトナムに派遣されているとか、いるのではないかという予想はあっても、それを証明する文書というのは、ただの一度もありません。これはおそらく給与の支払いに関係があるのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、ベトナムへの沖繩からの直接出動という点は明らかではないかと思います。これについてどういうふうにお考えですか。
  306. 久保卓也

    ○久保政府委員 この文書はいろんな記号で書かれてありますので、いま直ちに正確には読めませんが、いま御説明になりましたような感じの受け取り方、これは、この内容について、ただいま御説明になりました分について、そんな感じがする面もございます。いずれ正確に調査してみないといけないと思います。  ただし、これらの部隊が補給活動に任じておって、同じような補給活動をかりにベトナムでやったといいましても、これは直ちに作戦行動というふうにはならないんではなかろうかというふうに思いまするけれども、どういうものを扱っており、かつまた沖繩で、あるいはまた、ベトナムかどうかわかりませんが、ベトナムでどういうことをやっているかということは、具体的に調べた上でまた御返事申し上げたいと思います。
  307. 安井吉典

    ○安井委員 理事とも相談いたしましたけれども、これは明確な御調査が済まないと、これ以上質問できませんので、あとわずか残っておるようでありますけれども、あとの質問は保留させていただきます。調査の結果でさらに質問を続けます。そういうふうにお計らいいただけませんか。
  308. 坪川信三

    坪川委員長 安井君に申します。  残り時間幾らかございますので、その範囲内において再び御質疑を願いたいと思います。  西宮弘君から関連質疑の申し出があります。これを許します。西宮弘君。
  309. 西宮弘

    ○西宮委員 私は、政治資金規制の問題で、前に代表質問でわが党の委員長も質問をいたしておりまするし、これらの問題をもう少し具体的にお尋ねをしたいというふうに考えておるわけでございます。したがって、政治資金規制の問題について総理のお考えをお尋ねをいたしますが、ただその前に、政治資金に関連をいたしまする問題で、実は本日たまたま決算委員会において若干の問題が提起をされましたので、これはいわば政治資金の具体的な問題でありまするから、私はまずその点を、事実問題としてお尋ねをいたしまして、そのあとで一般論としての政治資金の問題をお伺いいたしたいと思います。  そこで、田中総理にまず一言お伺いをいたしますが、小佐野賢治という方が、「財界」の八月十五日号、これに「田中総理と二十五年来の仲」こういう題で一文を掲載しておるわけでございますが、このいわゆる小佐野賢治という方について、田中総理はどういう御関係か。あるいは、この方の書いたところによりますと、たいへんじっこんの間だということを書いておりますけれども、どの程度おつき合いをされている方か、どの程度ごじっこんの方か、まず伺っておきたいと思います。
  310. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 小佐野賢治君は国際興業の経営者でありまして、私とは戦後からほとんどのつき合いを持っております。個人的には非常に親しい関係にございます。私が社長をやっておりました越後交通等の取締役を二十五年以来やっておると思います。同じ会社の取締役もやっておりますし、私が経営しておりました日本電建という会社を、私が公職についた後、この経営を引き受けてもらったという関係もありますし、個人的にも非常に親しい間柄であります。
  311. 西宮弘

    ○西宮委員 それでよくわかりましたが、雑誌の中にも同じようなことを書いておるわけです。  そこで私は、この小佐野賢治さんが、いわばたいへんな犠牲を払って田中さんの会社の株を買い取ったということを詳細に書いておるわけであります。これはあとでまた詳しく申し上げますが、私は、それはとてもそのまま信頼するわけにいかないと思います。これは少し何か意味があるんではないかというふうに考えるわけであります。  なお、その前に、たとえばこれなどは私は明らかな間違いではないかと思うのでありますが、「私についていえば虎ノ門の土地問題にしても噴飯もので、元国有地であったあの土地をニューエンパイアという会社が払い下げを受けたのは昭和二十二、三年ごろ、角さんが一年生代議士になりたてで、払い下げにはまったく関係がない」こういうふうに書いてあるわけでありますが、これは政府の記録によりましても、明らかにそうではなしに、昭和三十八年に払い下げをしておるわけであります。そのときはすでに田中さんは大蔵大臣をしておられるわけでありまして、これを払い下げをいたしましたのは昭和三十八年十月一日であります。したがって、そのときは田中さんは大蔵大臣をしておられたわけであります。それを、一年生代議士だなどというのは失礼千万だと思うのでありますが、まあこの点は明らかに間違っておると思います。  それから、私がここでぜひ解明をしなければならぬと考えますことは、「このころ角さんは第一次池田内閣の大蔵大臣という要職にあった。電建の株は角さん一人でもっていたし、社長でもあったから、赤旗をもった組合の代表が大蔵省へ押しかけてくる。これには流石の強気の角さんも参ったらしい。昭和三十九年のある日、私のところへ電建を引受けてほしいと言ってきたのである。私の会社で調べてみたら、満期給付金と称する積立て金の返却金が七十二億円ある。そのほかに赤字が二十二億、経理上当然落すべき経費の未処理金が四十億」こう書いてあるわけですね。だから、とてもこんなものを引き受けたのでは——まだ続きます。「会社の内部では「電建を引受けたら肝心の国際興業」」これが小佐野さんの会社ですね。「「国際興業の大黒柱がガタガタになってしまう。引受けるべきではない」というのが全員の意見で、私も事業と友情は別と割切って、この話を断る肚を固めた」。ところが、「角さんのほうから「のぶ中川」」これは赤坂の二丁目にありますが、「「のぶ中川」に来てくれ」と言われたので行ってみた。そうしたら、断わるつもりで重役連中を全部連れていったところが、いきなり頭から、いや、引き受けてもらってありがとう、私は大蔵省に会議があるので失敬すると言って帰っちゃった。それで、「断りに行ったのに断るひまもない。皆んなあっ気にとられて主のいない座敷でお互い顔を見合せて苦笑するばかりであった。」それで、しかたがないから引き受けることにした、こういうことを言っておるのでありまするけれども、そこで十八億の金を出して引き受けたと書いてあるわけであります。  しかし私は、いまお話を伺うと、二十五年来のたいへんな親交のある方だそうでありまするけれども、どんなに親しい仲でありましょうとも、この人自身が指摘をしておりまするように、当時の日本電建はたいへんな赤字会社であります。そのたいへんな赤字会社を、しかも額面五十円の会社を一株百六十円で買っているわけです。三倍以上の値段にして買っているわけです。そういうことが一体世の中にあるだろうか。小佐野賢治という方はたいへんな義侠心のある方かもしれませんけれども、私はとうていそうは思えない。したがいまして、その点が私がお尋ねをしたい要点なんでありますが、以下申し上げてまいります。私は、これは時間が非常に制限されておりますので一方的に申し上げますから、もし間違いがありましたら、途中で何どきでもけっこうですから、また関係大臣の方から、どなたでもけっこうでありますから、御訂正をいただきたいと思います。  例の、前にも国会で問題になったことがありまするけれども、大阪の光明池という三十一万坪の土地の問題であります。これは最初は民間人の共有でありましたのを、昭和三十六年の一月十六日に神港建設というのが買い取りました。その神港建設は三十六年一月に買って、四月には東洋棉花に譲渡をしております。その年の八月に日本電建が、つまり田中さんが社長であり同時に株を全部持っているという田中さんの日本電建が、これをお買いになったわけであります。そこで、お買いになった田中さんとしては、その会社の経営者としては、これを有効に使いたいと考えるのは当然だと思います。そこで、まず大阪府に折衝をいたしました。大阪では泉北丘陵開発計画というのがありますので、そこで買い取ってほしいということで折衝をいたしましたが、大阪府では、とうていそれは買えないということで断わってまいりました。  田中さんは、そのあくる年の昭和三十七年七月十七日に大蔵大臣におなりになりました。そこで直ちに、その翌日には社長は辞任をいたしました。しかし、株は依然として全株田中さんがお持ちになっておるわけであります。そこで、何とかしてこれを日本住宅公団に買わせたい、こういうことでいろいろ折衝をされたようであります。もちろん、そのときの責任者は名前は変わっておりますけれども、これは、株は全部田中さんの株でありますから、田中さんの意図が十分反映していると想像するのは当然だと思うわけであります。−ところが住宅公団では、大阪支所で検討した結果、これはまずいといって断わってまいりました。しかしおそらく、住宅公団の幹部のほうには、相当な政治的な圧力がかかったのではないかと想像いたします。  そこで問題は、支障になるのは大阪の支所だ、こういうことでねらわれましたのが、大阪の支所の宅地開発部の用地課長永田国善という人であります。この人のところに彼の先輩と称する柴山英二という者があらわれて、昭和三十七年十月の三十一日に二十万円の金を渡しました。これは後に発覚をいたしまして起訴され、裁判になっておりますから、その事情は明らかでありますが、もちろん、その不適当だという証言を改めるようにということで二十万をもらったわけであります。  そこで、このもらった永田課長は、あくる三十八年の五月八日に、支所の部長会議において、これは適地であるという説明をいたしました。そこで、これは住宅公団が買い取るということが決定されました。そこで決定されますると、五日後の五月の十三日には、住宅公団の理事会で、本部で買収決定をいたしております。そして五月の十七日買収契約を結んでおります。まことに驚くべき電光石火の超スピードであります。  これに対して、実はあとで住宅公団の監事から監査の報告書が出ております。ちょっと読んでみたいと思います。「当地区ノ選定ニツイテハ種々問題ガアロウガ、スデニ地区決定ヲシ用地買収費ヲ支払済デアル現在、公団トシテハ事業ヲ遂行スル義務ガ課セラレタノデアル。水道、連絡道路、排水関係特ニ光明池ニ対スル防災工事等問題ハ山積シテイル。又原価試算ヲミルト本地区ノ事業費ガ他地区ト比シテ高クモナッテイル。」さらに、「オッテ、本地区ハ前年度ニオイテ不適地トシタモノデアル。一年経過シテコレガ適地トナルコトハ先ズ常識デハ考エラレヌ事デモアリ、ソレダケ問題点ガアル」云々ということであります。これだけを見ても、私はこの土地がどんなに無理をして公団が買ったか、あるいは公団が買わされたかということが、よく想像できると思うのであります。  さらにふしぎなことは、これは三人の公団の監事が署名をいたしまして、ただいま朗読をしたような監査書が昭和三十八年の七月二十日に提出をされたのであります。ところが同日付で、あとでこれが訂正をされまして、「オッテ、本地区ハ前年度ニオイテ不適地トシタモノデアル。一年経過シテコレガ適地トナルコトハ先ズ常識デハ考エラレヌ」。さらにずっと書いてまいりまして、この問題は、「二律背反ノ典型デアリ」というようなことまで、最初の監事の報告書にはうたってあったわけであります。その部分が削除をされてしまった、こういうふしぎなことがあるわけであります。一人の人が削除をしてしまったわけであります。  それを追及されました国会の答弁では、「これは、地区決定もしたし、それから土地買収も行なえば、いまさらこれを引っ返すこともできない、どうしても事業は公団としてやらなければならないものになってくるのではないかということを、ここで強調しておることだろうと思います」。あるいはさらに続けて、「公団は土地も買い、場所もきめたんじゃないか、相手方に金も払ったんだ、それを元に戻すわけにいかないんだから、十分今後の開発に注意しなければならぬじゃないか、こういうような意味だと私は解釈いたしております」と言っておるわけでございます。これを見ただけでも、私はこの土地がどんなに無理をして買わされたかがよくわかると思うのであります。  つまり、繰り返して申しますが、永田というさっき申しました課長が、これは適地だということを証言するために、三十七年の十月三十一日に二十万の金をもらっておるわけであります。そこで、もうこうなればだいじょうぶ、住宅公団は買えるんだ、こういう見当がつきましたので、三十八年の予算にこの金を計上いたしました。そこで三十八年の四月の一日には、田中さんの会社でありまする日本電建は東洋棉花にその土地を売却しているわけであります。東洋棉花から買った土地をまた東洋棉花に売却をする、ふしぎなことでありますが、とにかく売却をいたしました。さらに一月余りの後、五月十五日には東洋棉花から興亜建設にまた譲渡をいたしております。これは、興亜建設に譲渡をいたしましたときは、すでに住宅公団の理事会ではこの土地を買収するということが決定された後であります。二日後であります。そこで興亜建設は、いま申しました五月の十五日に取得をいたしまして、そして二日後の五月の十七日には公団に売却をしているわけであります。だから、この興亜建設が持ったのはたった二日間でありますよ。最初は田中さんの日本電建が持っておった、それが東洋棉花に譲渡をされて、東洋棉花は一月半で興亜建設に売った、興亜建設はわずかに二日間で住宅公団に売ったわけであります。そのときの住宅公団に売った価格は、坪当たり四千百円であります。これを最初に日本電建がお買いになりましたときは、坪四百円であります。その間に、わずか一年数カ月でありますが、土地の価格は十倍になっておるわけであります。住宅公団が払いましたのは十二億何がしであります。正しく言うと、十一億二千四百九十八万四千八百円、こういう金であります。ちょうど一年数カ月で十倍になってしまったわけであります。  なぜこういうふうに、あるいは東洋棉花、さらにはまた興亜建設というふうに変わっていったのか。思うに、おそらくこの興亜建設という会社は、社長が大橋富重という人でありますけれども、この人の自由自在になる会社であります。したがって、この人ならば何をやらしてもだいじょうぶだ、こういうことで、わずか二日間でありますが、この会社をトンネルさせたんだと思います。この人は、詐欺、公文書偽造、印鑑偽造等で起訴をされている人でありまして、そういういわば札つきの人でありますから、この人ならそういうからくりは十分やってのける、こういうことでやったんではないかと思います。  まあこれが今日までの手続でありますが、大蔵大臣にお尋ねをしたいと思いますが、おわかりでなかったらお答えいただかなくてもけっこうです。  それは、この会社は約十億、先ほど決算委員会での当局の説明だと九億九千三百万円だそうでありますが、約十億の金をそのときから今日まで滞納をしているわけです。昭和三十八年の五月から始まって滞納をしているわけです。これはさっき向こうで報告があったわけですよ。大蔵省は一体何をしているのか。十億という金を滞納させてもうかれこれ十年近くにもなる。それを滞納させてほってある。こういうばかばかしいことが行なわれておるわけであります。おそらく大蔵大臣も御答弁いただけないと思いますから、先へ進みます。
  312. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 ちょっと西宮さん、あとから私が意見を述べる機会はありますでしょうな。非常に間違った数字を述べておられますから……。
  313. 西宮弘

    ○西宮委員 じゃあ、どうぞここで。
  314. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 こんな問題を、国政の最高責任者の立場にある私として、公の立場で御質問を受けなければならぬこと、はなはだ遺憾でございます。この問題は、すでに赤旗その他いろいろな記事に何回か蒸し返し、押し返し、十年来やっておるものでございます。そういう意味で私は、この問題が起こったときに、これは告発をして司直の手で調べていただけば、こんなことにならなかったと思っておるわけでございます。私はこれからでも、時効になっておるということではございませんから、私が公の立場にあるだけに、御指摘のような雰囲気で、違法でなくとも妥当性がない問題に私が関与しておれば、私はそれはもう当然公の責任を負います。明確に申し上げておきます。そういう意味で、これからでもおそくないので、明らかにされたいと思います。  それで、せっかく与えられた時間でありますから、この際でありますので、私も十年間腹の中にあったことを申し上げますが、まあ政治家でありますからいろいろなことを言われてもやむを得ぬ、こう思っておったのが、今日まで非常に大きな問題を起こし、これが民主政治そのものを否定するようなものにつながっては、たいへんな責任であると考えておりますがゆえに申し上げたいんです。  これは、小佐野君が書いた記事そのものは、いまお読みになったことをそう書いてあるんだと思いますが、そういう行間に出ておるそんな問題ではなく、事実を申し述べますと、虎の門の問題というのは、私の大蔵大臣在職中に処分がせられた問題であることは事実であります。しかし、それは私が大蔵省に参らないずうっと以前から係争中の事件であったということを、どうぞひとつ知っていただきたい。しかもそれは、田中彰治君提案によって決算委員会の名代の議題であったということであります。非常に長いこと衆参両院で議論をせられた問題であって、与野党は何回も議論をした問題であります。  その問題はどういうことかというと、ニューエンパイヤという会社が三千万円か何か、当時の金でありますからいまの何十億かわかりませんが、東京都に権利金を払ってあの公園を使用しておった。その問題を国会でもって国有地不法占拠じゃないかというような問題で議論がされ、それでそれが係争になったわけであります。  それで私は、ここらが避けがたい人間のさだめかなあと思うのでございますが、私がちょうど大蔵大臣になったときに、池田総理大臣の命によって、国有財産のいろいろな処分を全部やりなさいという問題があったわけです。それは東久邇さんの問題なども含めてでございますが、そういう問題で、これは当時の閣議決定、閣議了解に立ち会った当時の林法制局長官等もおりますから、これはいずれ事実はいつでも公にできる問題でございますが、そういう問題の一つとして虎の門の問題があったわけです。  この虎の門の問題は係争中の問題でありますから、私がこの払い下げにどうこうするというような立場にはなかったわけです。ですから、これはどういうことでもって解決がしたかというと、裁判所の和解によってやったのであります。裁判所の和解によってやった。ですから、そういう大蔵大臣の行政権が介入する余地のない、裁判所の介入による和解ということできめられた価格でございます。その当時は、ニューエンパイヤのほうでも非常に高くて、三千万円かの権利金を、当時の価格に換算をすればもっと高いものだと言われたものでもありましたが、それは事務当局でしかるべく裁判所の調停に応じなさいということで片づいた問題であります。  そのニューエンパイヤの株を小佐野賢治君がずうっと前から持っておったということ、そういう問題が、まあなんて、そういうところでもって問題がこんがらかるんだなあということで、これは避けがたい私の一つの宿命かもわかりません。しかし私は、これは長い問題でありましたから、きょうこの席をおかりして申し上げたわけでありますが、虎の門の問題は裁判所に記録もございますし、私が大蔵省に参らないずっと以前の問題であり、その後小佐野君が会社を合併したというような問題——私に相談でもあれば、これはもう私が大蔵大臣でもありますし、そのようなことがいかに誤解を受けるかということが述べられたかもわかりませんが、その当時はとても人の言うことを聞くような大将でもございませんでしたし、そういう意味でもう思うことをずばずばやる、その道で生きてきた彼でありますから、これはいかんともなしがたかった。私はそういう意味で人生において、一つのそういう感じで汚名を受けることもあり得るということで、これはそれなりにいずれのときか、これを公のところで申し上げるところがあるだろうと思っておったわけであります。  ですから、第一の問題に対しては以上の経緯であり、私が関与したものでは全くないということだけは明らかにいたしておきます。  もう一つの問題をちょっと申し上げます。これも田中彰治君が国会で問題にしておりますから、記録はずっと国会にあるのです。田中彰治君と私は同郷の代議士でございますが、なんてまあ、こういう因縁にまつわりついておるのか、私も断じがたいのでございますが、これは、もしあなたがいま述べられたような、少しでも不正らしきものに私が関与しておるということであるなら、私は今日の状態などありません。これは明確にいたしておきます。  それはこういうことなんです。私のところへ土地を——当時きっと八、九十億ぐらい持っておったと思うのですが、そういう土地を買うときの一つとして光明池の問題、これは三十六、七万坪から四十万坪あったと思います。これを六億で持ってきたのか九億で持ってきたのかいまわかりませんが、いずれにしてもそんなものであります。ですから、あなたが四百円のものを十倍になったと言うのはこれは誤りでございますから。これは清水建設におった後の専務が紹介をして、どうにもならないような金繰りのときでありました。どうせ土地を買うなら、これを一時預かってくれないかということで、六億で預かって九億で売ったのか、九億で預かって十二億で売ったのか、これから調査をしなければわかりませんが、いずれにしてもそのまま買ったのであります。それはいまでも電建が保有しておると思いますが、東小金井の駅の前に二千坪、当時十万円か九万円で買ったものもありますし、そのほかたくさんあります。それを一、二年持っておったと思いますが、私が大蔵大臣になって、社長を友人にバトンタッチをしたあとだと思いますが、それを買い戻したいということであります。買い戻すときには、その当時関西電力が送電線の下を五千百円か何かで買っておるという実例があるので、そういう意味で、いろいろなことがありましたが、しかし、買い値にプラス四億か何かして売り戻したわけであります。住宅公団との関係は一切ありません。これは明確にしておきます。それは私に戻してくれと、私がバトンタッチをした後継社長に三億か四億のプレミアムをつけますから、買い戻させてくださいと言ってきた後の問題であります。それは、だれが動いてだれがやったのか司直がちゃんと調べておるはずであります。私はここで明らかにいたしません。これは人の名誉に関する問題でありますから私は申し上げませんが、私が本件に関して全く無関係であるということは、これはお調べになっていただければ十分分明することでございます。  ただ、それから仕事を持つ代議士ということで私は出てきたわけでありますが、公の立場にある政治家というものは、やっぱり私企業に関係できないということで、その後は——二十五年から社長をやっておりまして、私でなければならないと地元にいわれておる越後交通の社長も、空席のままで十年おるのでございますが、私はその後もう私企業の代表者にはならない、こういうことでございまして、まだいろいろな問題が流布されております。これはみんな答えられます。私はその中に、職務に関していささかでも妥当性を欠く動きがあれば責任をとります。そういう事情でございますので御了承願います。
  315. 西宮弘

    ○西宮委員 裁判所が中に入って和解したということもよくわかっております。和解をしたのは三十八年の七月二十日であります。ただしその契約は随意契約であります。したがって、随意契約として大蔵省と結んだ契約がこういうことになったのだということを私は言ったので、裁判所の決定が随意契約でありますから、したがって、あとは大蔵省の判断できめたのがさっき申し上げた価格で、これも当時坪三百万が普通ではないかといわれておったところが、坪単価百万で取引をされておる。こういうことで、たいへんに安かったということがいまでも問題になっておることは事実であります。  さらに、田中さんがさっきの土地の問題、住宅公団に買わせるというような問題にどの程度関与されたかというようなことは、これは田中さんもすでに責任者ではありませんから、先刻申し上げたように大蔵大臣に就任した翌日に辞任をいたしておりますから、私は田中さんが動いたと必ずしも申しません。しかし、ただ田中さんがその全株を持っておったというようなことで、その後継の責任者もいろいろな責任を感じたということは十分に想像できる……。
  316. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 ちょっと。私個人が全額を持っておるのではないわけでございます。これは会社その他で、後の分布の状態、届け出ておる分布の状態を見ればおわかりになるとおり、私が全株を持っておったわけではありません。これは会社その他で、株主は、同族会社ではなく普通の会社でございましたから、株は分布しております。
  317. 西宮弘

    ○西宮委員 先ほど引き合いにしました例の小佐野賢治さんの雑誌でありますが、あれにも株は全部田中さんが持っておったということをはっきり書いてあるわけであります。もっともこれに書いてあったからといって、これの信憑性は問題かもしれませんけれども。まあ少なくとも、私は大部分の株を持っておったということは事実であろうと思います。それではこれはあとで、さらにその資料を整えてお尋ねをいたします、どの程度に持っておったか。しかし、大半の株を田中さんが持っておられたということは、私は間違いのない事実であったと考えております。  そこで、さっきの小佐野賢治さんがそういうような十八億も金を出して、しかもたいへんな赤字会社、赤字だけでも二十二億と小佐野さんは言っておるわけでありますが、そういう会社を簡単に買い取ってしまうということは、私には小佐野さんも経済人ならばとうてい想像できない。したがって、これはどう考えてみても、先ほどのニューエンパイヤモーターズの会社ですね、小佐野さんがこれに関与してきたのは昭和三十六年からですよ。三十六年に株の一部を持って、自分の腹心を重役に送り込んで、やがてこれは、そこに入っていれば、おそらく払い下げ等の際は、あのニューエンパイヤモーターズ会社が払い下げを受けるだろうというようなことを想像して、ここに入ってきたのだと思いますけれども、入ってきたわけであります。そして三十八年にその払い下げを受けた。これは小佐野さんにしてみれば予想どおりだった、こういうことになるの、だろうと思います。  そこで、この際いろいろ複雑なことが行なわれているわけであります。たとえばニューエンパイヤモーターズ株式会社なるものから今度はニューエンパイヤ興業株式会社というようなのができてそれに移り、あるいはまた、さらに同じ日に、もう一ぺんそのニューエンパイヤモーターズ株式会社という、名前だけ同じで全然別な法人ができてみたりいたしまして、これはおそらく、こういうふうに転々としてまいりましたのは、この金を全額払っておりません。延納しております。したがって、延納する財産を他に転売することができませんので、要するにこういう財産の転売ができないから、会社を次から次へと変えていって、会社を転売と申しますか、会社を譲渡していって、その間に利ざやをかせぐということが行なわれたんだと思います。そういうことと、それは俊敏な小佐野さんですから、そういうことを抜きにして、単なる友情だけで十八億を投ずるということはとうてい考えられないので、私は、これを関連させて考えるということは決して無理ではないと思う。  そこで、これは住宅公団が非常な無理をして買わされたということは、さっき朗読をいたしました監事報告でも明らかでありますし、そういうことでこれからそこに住宅を建てるということになると、たいへんにコストが高くなる。こういうことになると、そのコストに従って家賃がきまるわけでありますから、将来それは高い住宅ができ上がって、庶民を高い住、宅に入らせなければならぬということになるわけであります。私はその点非常に問題だと思う。  もう一つだけ。つまり、そういうことでどなたがその利益を得たかを別問題にいたしまして、だれかがたいへんな利得を得たために、そのまことに不適当な土地が、そういう不正な手段によって住宅公団に買い上げられた。したがって、そこに建つうちは商いうちが建つんだということになると、ほんとうに住宅に困窮している庶民には、まことに迷惑千万な話であります。私は、そういう点をどうしても看過できないと思う。  次に、この虎の門事件に関連をいたしまして、一つだけ問題を指摘しておきたいと思うのでありますが、それは、辻和子という女性の方があります。この人は昭和二年の三月に深川で生まれた人でありますけれども、この人が神楽坂の辻むらというところに養女に入りました。それから神楽坂から新宿の袋町に転住をいたしました。それからさらに市ケ谷の船河原に転住をいたしました。さららに若宮町に転住をしている、若宮町は形だけの転居のようでありますが。この人が木造二階建てのうちを持っております。その人が、現在のうちに住むまでに住んでおりました新宿の袋町二十五番地の宅地、もとの土地と交換をいたしました。これが、新星企業という会社がありますけれども、この会社が——新星企業というのも、田中さんがいろんな意味で関連をしている会社なんですよ。林太郎という人から土地を買い上げまして、その土地の一部は朝日土地興業に売ったわけであります。これは虎の門の例の土地を現に持っている——現にと申しますか、その途中で、先ほど申し上げたニューエンパイヤから昭和三十九年に引き取った会社であります。この会社が朝日土地興業というのに一部を売って残りに前のうちを建てた、こういうことになるわけでありますが、その朝日土地興業は日本電電公社に売りまして、日本電電公社がさらに大蔵省に売っている、こういう問題であります。これは……。   〔「委員長、何質問しているかわからぬじゃな   いか」と呼び、その他発言する者あり〕
  318. 坪川信三

    坪川委員長 西宮君、お述べになるなにはございましょうけれども、やはり質問を続けていただきたいと、こう思います。
  319. 西宮弘

    ○西宮委員 それではさらに申し上げますが、この辻和子と称する女性が、たいへんに田中さんとじっこんの方でございますので、私はその意味でこれを申し上げたわけであります。  それではもう少し申し上げましょうか。
  320. 坪川信三

    坪川委員長 質問にお入りいただきたいと思います。
  321. 西宮弘

    ○西宮委員 これは同じように、最終的に小佐野賢治とあるいは大蔵省によっていわば最後の結末がついた、こういうことになるわけでありまして、私は、このやり方がきわめて不正、不適当だと考えるわけであります。しかし実は、きょうの決算委員会でさらに詳しい資料を提出されることになっておりますので、私は、それではその資料を得てからこの問題はさらに追及することにいたします。そういう私どもにとりましてはまことに不明朗な問題であるということだけを問題点として指摘をいたしておきます。  それでは次にまいりますが……。
  322. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 ちょっと一言だけ。これは非常に、公の立場で私がいかに何の関係がないと言っても、こういう指摘を受けること、はなはだ心外でもありますし、遺憾でもあります。私も長いこと考えておったのですが、この問題を一つだけ解明してもらえる何かがないのかなと思っておったのは、虎の門が三百万円もするものを百万円で払い下げた、こう言う人がございますが、これはだれが言ったのか、もう私もわかりますが、ひとつ大蔵省に当時の例がございますから。大蔵省に全部ございます。新橋から赤坂見附までの間で、あの時点において取引をされた実例。これは当時百幾らというのは安い価格でないのです。これは非常に不満があってなかなか話がきまらなかったということでございますが、その金額から三千万円を、ニューエンパイヤが払った権利金を、その当時の時価に換算したものを引いた価格でなければいかぬといって争ったことでありますから、これは私は必ずしもそう思いません。思いませんが、少なくともどんな善意なものでも、ふくそうしてくると解きがたいものがございます。なかなか言っても解きがたいものがあるということで、その当時の大蔵省が払い下げた価格が妥当なものだったかどうか、これはあなたもこれだけのことをここで発言なさる以上、ひとつぜひ検討なさっていただければ幸いだと思います。  もう一つ、電建というものは確かに一万人おったものが四千人か五千人、半分ぐらいになって、私が大蔵大臣になりバトンタッチをしたわけでございますが、ただ無価値なものであったのかどうか。いま電建は一体どのくらいに評価されておるのか。五百億とも千億ともいわれておるわけでございますが、それはその当時一体無価値なものだったのか、金繰りだけがつかなかったのか、そういう問題も、やはり国会議論をされる以上、ひとつ御解明されたい。
  323. 西宮弘

    ○西宮委員 さっき申し上げたのは、この電建なる会社は小佐野賢治氏によりましてもたいへんな赤字だ、こういうことを言っているわけですよ。それはもう明らかですよ。したがって……。
  324. 坪川信三

    坪川委員長 御質疑を願います。
  325. 西宮弘

    ○西宮委員 そういう赤字会社を買い取るについては、何かその裏の取引があったのだろう、あるいは何か少なくとも小佐野賢治氏がそういうことを予想したのだろうということを、私は指摘せざるを得ないと申し上げたわけです。  それでは、田中さんが直接間接いろいろな意味関係をしておる会社が幾つもあるわけでありますが、たいへんに増資、増資で、これは田中さんが何も全部株を持っておるというわけでもありませんし、いろいろな意味で関与しておられるわけでありますが、先ほどの日本電建を別にいたしまして、新星企業というのが最初に二億で設立をして、三十九年に一億の増資、四十一年に三億の増資、あるいは新日本電建、現在は……。
  326. 坪川信三

    坪川委員長 西富君に申しますが、御質疑をお願いしたいと思います。単なる御指摘だけでなくして、御質疑を願います。
  327. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは、これらの会社がいずれもたいへんな増資、増資をいたしておりまして、三十六年から四十七年まで十七億九百五十万の増資をしているわけであります。私は、新日本電建、現在は東京日本ニューハウス、あるいは田盛不動産、室町産業、三建企業、パール産業といったようなものが、これだけの増資をしているわけです。  それでは御質問いたしますが、大蔵大臣、こういう増資の金がどこから出てくるのか。これは所得を審査をする際に、十分その審査をして、課税の対象として検討されるということになると思うのですが、こういう増資、増資が毎年ものすごい勢いで続いておる、こういうことに対して、大蔵省としては、その財産査定について、所得の査定についてどういう検査をしておられるかということをお聞きをいたします。
  328. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 何しろ先ほどから私ちょっと中座をした点がありますから、お聞きしてない点もありますが、ただいまの最後の御質問に対しましては、私にとってはすべて新しい聞きごとでございます。したがって、何にも存じておりませんから、いずれ御要望の点についてお答えができるように、できるだけ調査をいたしてみたいと思います。
  329. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは、私の持ち時間は一ぱいになりましたので、私は最後に資料を要求いたしておきます。  これは公取でありますから、監督官庁でお聞きを願いたいと思うのでありますが、昭和三十九年の五月の十三日にニューエンパイヤ興業が朝日土地興業に合併をいたしました。その際、公取に出しました合併の理由、条件などを記載した書面、あるいは昭和四十五年六月一日に朝日土地興業が三井不動産と合併をしたのでありますが、その際に出されました同様の書類、それから大蔵大臣にお願いをいたしますが、昭和三十七年から四十五年度までに払い下げあるいは交換をいたしました国有財産の明細書、これをぜひともこの国会終了までに出していただきたいということをお願いいたします。
  330. 坪川信三

    坪川委員長 以上で西宮君の質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君。
  331. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理にまず、中国問題で若干の質問をしたいと思います。  中国との国交回復にあたりまして、一つの中国という立場に立って、かつ、平和五原則に基づいて国交回復がなされましたことは、中華人民共和国が成立して以来、一貫して中国との国交回復を主張してまいりましたわが党として、これを歓迎するものであります。  ところで、中国との国交回復にあたりまして、日中共同声明の中で総理は、「過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」ということが述べられております。わが党は、戦前から中国に対する侵略戦争に反対をしてまいりましたただ一つの党であります。私は、総理にこの際お聞きしたいのは、あの中国に対する戦争が中国に対する侵略戦争であったということを、総理はお認めになるかどうか、この点のお答えをいただきたいと思います。
  332. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 過去に対してどう考え、どうするかなどということよりも、将来、長きにわたって善隣友好の実をあげたいということでございます。
  333. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理に、私は質問にお答えいただきたいと思うのであります。あの中国に対する戦争を、侵略戦争と考えているかどうかということを私はお聞きしております。  なぜそのことを聞く必要があるかと申しますと、総理は、四次防やその他の軍国主義の復活問題に関する質問に答えて、この国会でも、日本の防衛力はいかなる国にも脅威を与えないとか、日本は平和憲法を守っている、しかも侵略は一切やらないんだというような答弁をしておられる。侵略ということについて、総理がどう考えておるかということはきわめて重要なことです。あの中国に対する戦争を侵略戦争ということを言い渋っているならば、総理は侵略をやらないというふうに言っても、中国に対する侵略戦争と同じようなことを考えているかもしれない。もしそうでないというならば、はっきりと中国に対する侵略戦争であったということを認めればいいと思う。  もう一度同じ質問をいたしますが、総理は、あの中国に対する戦争を侵略戦争と考えておられるかどうか、お聞きしたいと思います。   〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕
  334. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 過去の戦争で中国にたいへんな迷惑をかけ、損害をかけたと深く反省をいたしておりますが、過去の戦争が侵略戦争と断定できるものかどうか、そういうことを、私のいまの立場では申し上げられません。
  335. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理のその答弁では、私は、過去の戦争についての反省は全く口先だけのものではないか。きわめて危険な四次防やその他について、総理が、侵略はやらないんだ、軍国主義の復活ではないんだ、あるいは自衛隊は侵略的な軍隊ではないんだとかいろいろ言っても、それは空言にひとしいということをいま認められたと同じだと、こう思います。  次に質問いたしますが、この中国との国交回復について、自民党の中にはいろいろ反対の意見もあるようでありますが、総理は、あなたの内閣の閣内に反対の意見があった場合はどういたしますか。
  336. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 日中国交の正常化は、国民的な背景をもって行なったことでございまして、党にも内閣にも反対はございません。
  337. 松本善明

    ○松本(善)委員 絶対にないと言い切れますか。——それでは申し上げましょう。  九月の三日に新潟県の建設会館で開かれた中華民国支援勝共北越大会というのがあります。この大会では、ここに大会の決議を私は持ってきておりますが、「一、日本は日華平和条約を遵守し、日華協力のもと、自由アジア諸国との友好協力を強化し、もって世界平和に貢献することを期する。一、中共は、マルクス・レーニン、毛沢東主義による世界革命を狙う国であることを認識し、安易な日中接近は、日本国衰亡の要因となることを日本政府に警告する。」ということを決議としてきめておる。要するに蒋介石政権とあくまで結びつき、中華人民共和国を敵視する決議を採択しておるのでありますが、この大会に現職の稻葉修文部大臣が祝電を打っておるという事実が明らかになりました。この点について総理はどう処置されるか、見解を伺いたいと思います。
  338. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 その大会に出席をするということが、日中国交正常化に反対だときめつけることは、それはもう独断でございまして、私の言うことが正しいのです。
  339. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理は、台湾の蒋介石政権と結びついていく、中華人民共和国を敵視するという大会に祝電を打ったり出席をするということは、中華人民共和国との国交を回復をしても、一向に差しつかえないことだというふうに考えているのかどうか、いまの総理の答弁について、私は総理の真意を聞きたい。あとから文部大臣にもお聞きしたいと思います。
  340. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 そういう決議が行なわれるということを知らないできっと打ったんだと思いますが、しかし、いまあなたにそう思われるような、またそう思われるかもしれないと予測されるような大会や会合には、閣僚は出席しないことが望ましいということは、そう考えております。
  341. 松本善明

    ○松本(善)委員 文部大臣所見をお聞きしたいと思います。
  342. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 いまそういう大会のあったことを覚えておりませんが、祝電を打たれたという事実をあなたがつかんでおられるならば、あるいはうっかり祝電を打ってあるのかもしれません。私は、日中国交正常化の推進論者であります。したがって、そういう決議が行なわれたことをはなはだ遺憾といたします。
  343. 松本善明

    ○松本(善)委員 ここに国際勝共新聞というのが、九月十日付の新聞があります。それには稻葉修氏からの祝電が届いたことが活字になって出ております。しかも、文部大臣稲葉修氏の祝電が最初に披露をされております。あなたはこの祝電は取り消されるつもりですか。
  344. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 そういう決議の行なわれたような会合であれば、取り消すにやぶさかではありません。直ちに取り消します。
  345. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理大臣に、衆参両院のわが党の代表質問におきまして、周恩来首相に総理が、日本共産党と手を握らないでほしいと申し入れたことについて、私どもの代表が質問をいたしました。ところが、これについては総理は、貴党に関する問題は話題にしていないという答弁をされました。この問題についての総理の発言はたびたび報道され、公になっておるところであります。これを全く否定をするということは私は考えられない、無責任なことではないかと思います。九月三十日の自民党両院議員総会で述べられたことは録音もされております。そこでは、日本共産党などとは手を握らないということをひとつやってもらわないと困るんです、聞きづらいことではございますが、というまくらは置いてありましたが、ちゃんと日本人の考え方を述べてまいりました、こう報告している。これはまた翌日の新聞などでも広く報道されておりますし、中曽根通産大臣はさっそく群馬での講演会でも、この内容を演説をしておられる。田中総理はこれと同じことを小金井のカントリー倶楽部でも発言をしたということが報道もされております。総理はこれらの録音や報道が、すべて事実でないということを言われるつもりなのかどうか、真偽を伺いたいと思います。
  346. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 日中の話し合いの過程において、共産党と手を握らないでくださいという発言は、全くなかったことは事実でございます。これはひとつここで明確にお答えをしておきます。自由民主党の議員総会等で御指摘のような発言をしたとすれば、それは私の舌足らずというか、真意を伝えるに適当な表現ではなかったということで、そういうところがあれば、その部分はひとつ取り消しをいたします。これはほんとうになかったのです。あったものをないと言うのならこれはあれですが、なかったのです。私もいかに何でも、北京まで参りまして日本共産党と仲よくしてもらわないようにというような、不見識なことを述べないわけでございます。これは内政不干渉ということと、共産主義が一枚岩でないという問題等を議論したことでございまして、これは北鮮の問題とかいろいろな問題、確かに言及いたしました。そういうことで内政不干渉ということを中心にして話をしたのであって、国際共産主義という問題に対しても言及はいたしましたが、日本共産党などという貴党を名ざしての話は全くありません。これはひとつ、この発言でぜひピリオドを打っていただきたい。
  347. 松本善明

    ○松本(善)委員 私はもうちょっと確かめた上で、場合によってはピリオドを打とうかと思います。  そうすると総理は、あの両院議員総会での発言は全くのでっち上げで、うそを言われたのですか。これは舌足らずとかいうようなものではありませんよ。これは故意にうそを言ったのかどうか、その点をはっきり聞きたいと思います。
  348. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 故意にうそを申し上げるような、うそをつくような人間ではありません。これはもう長いおつき合いでよくおわかりになることだと思います。そうではなく、国際共産主義という問題に対して私が言わんとしたのが、つい身内の会でございますから舌足らずになったのかもわかりません。だからそれは、私は公の席上、もしそのような誤解を与えることがあるなら取り消します、こう言っているのでありますから、それでひとつ了解願いたい。
  349. 松本善明

    ○松本(善)委員 この問題について、私は総理官邸に参りまして二階堂官房長官に申しました。二階堂官房長官総理にかわっておわびをするということを申されました。あなたはわが党に陳謝をされますか、この問題について。
  350. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 取り消し、求めがあれば遺憾の意を表します。
  351. 松本善明

    ○松本(善)委員 もう一つ、国際的な問題でありますのでお聞きしておきますが、この私どもが抗議をした後、十月の二日に砂防会館で、これは自分の発言ではなく周恩来首相の発言であるということを言われたことが報道をされております。一国の首相が外国の首相の言いもしない発言をもしでっち上げて言っていたとするならば、これは日本国民を愚弄するだけではなく、国際的な信義も踏みにじるものだと私は思います。この発言はどういう真意であったか。
  352. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 そういう発言はしておりません。
  353. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、これは報道機関の誤った報道でありますか。報道機関の責任でありますか。それともあなたはこの発言は間違っていたので、取り消すということでありますか。どちらでありますか。
  354. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 報道陣がどのようなニュースソースで記事にされたかはわかりませんが、私は、言わない周恩来首相のことを言ったなどという人間じゃありません。言ってません。
  355. 松本善明

    ○松本(善)委員 この北京発言についての言い分は、この総理のきょうの発言で六転をしております。最初は日本共産党と手を結ぶなということを申し入れたということがある。その次には周恩来首相の発言であるという報道があり、その次は官房長官が私どもに遺憾の意を表された。四番目は、官房長官がテレビで、一国を代表して首相が交渉したことではないということが言われた。本会議では話題にしたことがない。ここでこれを、一切ないということで遺憾の意を表されたわけです。私は一国の総理が、こういう問題についてあまりにもみっともない、無責任きわまるものではないかと思います。総理の重大な反省を、私は日本国民として求めたいと思います。どう考えられますか。
  356. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 私は、五回も六回も話をしておりません。
  357. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、総理が発言したことがそのように国民に受け取られる機会が何回もあったということについて、総理が何らの責任を感じないのかということを聞いておるのです。あなたが言わなかったというだけで済みますか。こういう問題についてどれだけたくさんの報道機関が、どれだけ多くの国民が迷惑を受けているか、あなたには何の反省もないのですか。何も言うことがなければお答えされる必要はありませんが、言うことがあればお答えいただきたい。
  358. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおりです。
  359. 松本善明

    ○松本(善)委員 それではこの問題はその程度にいたしましょう。   〔田中(正)委員長代理退席、委員長着席〕  米軍の沖繩における毒ガスの問題について伺いたいと思います。  最初に申し上げたいのは、いま入った情報でありますが、沖繩の米陸軍司令部の広報部の発表で、本日、十一月七日午後五時二十分、知花弾薬庫でCSガスの粉末の入った袋を処理中、二名の日本人労働者が袋が破れたため、目をいため、キャンプ桑江のアメリカ陸軍病院に収容されたという発表があります。総理はこれを聞いておりますか。
  360. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 まだ聞いておりません。
  361. 松本善明

    ○松本(善)委員 直ちにそのことを調べていただきたい。私はこの質問を続けていきますけれども、政府は毒ガスが沖繩にはないというたてまえでいままで答弁をしてきたわけです。調べた上でお答えをいただきたい。
  362. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 米国大使館からつい先ほどの連絡によりますと、きょう七日、知花弾薬庫内で道路整備車両の一種でありますロードグレーダー、これを運転しておりました現地の労務者二名が、埋没されておりましたCS剤、これは殺鼠剤でございますが、この袋を破ったという事故が起きたということでございます。この二名の労務者は直ちに手当てを受けましたが、何ら異常はなかったようである、こういうことを連絡を受けております。
  363. 松本善明

    ○松本(善)委員 それでは外務大臣にお聞きいたしましょう。わが党は十月二十一日に沖繩県の嘉手納アメリカ空軍基地に致死性神経ガス、GBを充てんした毒ガス爆弾のMC1が貯蔵されているという事実を指摘をして、その撤去の申し入れと、日本側による基地の点検を要求いたしましたが、それについてのアメリカ側の正式の回答はどうであったか、お答えいただきたいと思います。
  364. 大平正芳

    ○大平国務大臣 その問題につきましては、調査の結果、御指摘のMC1でございますか、訓練用模擬爆弾であることが確認されました。  また、沖繩の毒ガスは昨年九月までに撤去されて、日本政府、当時の琉球政府代表を含む調査団が、知花弾薬庫内の毒ガス爆弾庫六十一カ所の全部を点検し、完全撤去をされたことを確認いたしております。
  365. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣は私どもが政府に提供いたしました資料、これは全部見ておられますか。これは二階堂官房長官を通じてお渡ししてあるわけですが、見ておられるかどうかお聞きしたいと思います。  なお、委員長、この点については委員の皆さんにもわかりやすくするために、資料をお配りしたいと思いますが、御許可をお願いいたします。——見ておられるかどうか。
  366. 大平正芳

    ○大平国務大臣 見ております。
  367. 松本善明

    ○松本(善)委員 それではお伺いいたしますが、昨年九月に撤去をしたということを外務大臣申されましたけれども、この撤去した毒ガスは陸軍の第二六七化学科中隊のレッド・ハット・エリアにあった毒ガスだけであって、私どもが指摘をいたしましたアメリカ空軍のものは、撤去の対象になっていなかったのであります。この点については、政府のほうはわかっておるのでありますか。
  368. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 先ほど外務大臣から御答弁ございました、四十六年九月に撤去をされましたのは、知花弾薬庫内にありました致死性毒ガス全部でございます。
  369. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは陸軍の四〇〇MMS、空軍のものについてはその以外です。アメリカ局長はそれはわからないんでしょう。その区別がわかりますか。わかって言っているんですか。
  370. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 四十四年の夏に沖繩にあります毒ガスが問題になりまして以来、米側と折衝いたしました結果、四十六年の九月に全量沖繩にあります致死性の毒ガスは撤去されたということを現地で調べておりますし、その旨は、追っかけて当時のランバー上局等弁務官から、当時の琉球政府屋良主席あてに文書をもって確認いたしてきております。
  371. 松本善明

    ○松本(善)委員 私どもが政府にお渡ししました資料の中に、お配りしました資料の中にもありますが、F4ファントム用のアメリカ空軍の技術指令書があります。その中に、MC1毒ガス爆弾についての説明のある部分があります。このものですけれども、その翻訳もついております。これを読めば明白なんです。「MC1爆弾は、M177多用途爆弾の制式変更と改造によって設計された、一時性毒ガス爆弾である。」そしてこれは永久的に溶接で閉じられてしまう、爆発したときにはその弾体が破裂をして毒ガスがずっと気化をする、そういう仕組みになっている。これは模擬弾と全く同寸同型でありましたら、これは危険きわまりないものなんです。このアメリカの技術指令書そのものも、MC1爆弾というのは実弾だということをここに書いてある。その資料として私どもはこの翻訳を政府にお渡ししたのです。  政府はこの問題については、アメリカ側の回答について、私どものお渡しした資料と引き比べてみて、何の疑問も感じませんでしたか。これは一体だれが責任をもって見ているのです。
  372. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 御指摘ございますMC1に関する仕様書は、米側がまさにそのものであるということを申しておりますけれども、MC1自体には本物のガス弾と模擬弾と二種類ございまして、沖繩にありますと御指摘のものは模擬弾でございます。
  373. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は総理大臣にお聞きしておる。常識的なことなんです。模擬弾と実弾が全く同じで、実弾は溶接をされてしまうのですよ。間違えたらたいへんなことになります。そういうことが常識で考えられるかどうか。こういうことについては、閣僚は何の疑問もなくアメリカ局長だけにまかしておるのかどうか。そういうことで、一体日本国民の安全は守られるのかどうか、総理大臣に聞きたいと思いますよ。
  374. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私どもは、安保条約の運営にあたっておる係官を信頼いたしております。
  375. 松本善明

    ○松本(善)委員 それでは、私は次々とお話を申し上げましょう。この資料の三枚目ですね。政府にお渡ししました週間整備スケジュールの、ページ数でいうと三四ページ、実弾のMC1のガス弾が記載されているものであります。下から二段目にこの記載がございます。この表を見ただけで模擬弾はダミーと表現をされております。下から十三段目になります。それから空弾はエンプティーと表現をされております。これは三カ所もあります。爆発をしない不活性弾は、これまたイナートと表現をされて三カ所あります。それから演習弾はプラクティス・ボム、これも三カ所そういう表現が出ております。この表を見ただけで、演習弾や模擬弾はこういうふうに表示をされておる。これは、政府は何の疑問も感じなかったのか、これについてアメリカ側に対して何の説明も求めなかったのか、これを伺いたいと思います。
  376. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 あらかじめ資料の御提供をいただきましたので、この細部につきまして米側と十分詰めました上で、私は、先ほど来の御答弁を申し上げております。
  377. 松本善明

    ○松本(善)委員 アメリカ側はどういう答弁でしたか。
  378. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 沖繩にありますMC1は、これは模擬弾であって、MC1自体は、実際のMC爆弾と模擬弾と両方ある、しかし、沖繩のものは模擬弾である、こういう説明を繰り返していたしておりますし、私ども、その点は十分確認いたしてございます。
  379. 松本善明

    ○松本(善)委員 この点については、政府は軍事的なことを調べたかどうかわかりませんが、アメリカ軍の爆弾の中で模擬弾のあるのは、私どもの得た軍事知識によれば、核と魚雷だけであります。同一の、同寸同型の模擬弾がつくられておるのは核爆弾と魚雷だけであります。それはなぜかというと、核爆弾と魚雷は特殊な投下演習が必要なんです。だから、同寸同型の模擬弾がつくられております。  毒ガス爆弾はどういう演習をやっておるかというと、先ほどの整備スケジュールの三四ページにも出ておりますが、BDU−33B/Bプラクティス・ボム、六段目にあるものですが、これか、あるいはこの表にはないけれども、BDU−33A/BあるいはMK106という演習弾が使われておる。これが私どもが得ました軍事的な知識であります。そしてアメリカ軍では、模擬弾については別の名称をつけております。たとえば核について言うならば、B43の核爆弾に相当する投下演習用の核模擬爆弾はBDU−8Bという呼び方をして区別をしておる。一体、政府はこういうことを調べておるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  380. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 核の模擬弾その他具体的な呼称をあげての御指摘でございますけれども、私どもは、先ほど申し上げましたように、この表そのものにつきまして米側と詰めた上で、先ほどの御答弁をいたしておるわけでございます。
  381. 松本善明

    ○松本(善)委員 結局、アメリカ局長は、アメリカの言うことをうのみにして言っているだけじゃないですか。私が述べているような具体的な、科学的な論証は全くない。アメリカがそう言っているということだけしか述べられない。  総理、私はお聞きしたいが、この疑問について、私は、日本国民を代表してここで発言していますよ。このことについてどれだけたくさんの人たちが心配をしておるか。心配をして、わざわざ資料をずっと前から渡してやっておることについて、この疑問はこのように解明をされたというような答弁なしに、この問題が済ませると思いますか。アメリカがこう言っておるからこれを信用しろ、それだけの答弁で済むのか。私は総理に、そういう立場からの答弁を求めたいと思います。
  382. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 先刻御答弁申し上げましたように、昨年の九月に沖繩からは、致死性のガス液は全部撤去されております。現地で立ち会いの上で確認いたしておりますし、当時の高等弁務官は、文書をもってそれを確認いたしております。  したがいまして、私どもは、沖繩に致死性のガス兵器、化学兵器はないというふうに確信いたしております。その前提におきまして、先ほど来御答弁申し上げておりますように、米側と詰めまして、模擬弾であるということを申し上げているわけでございます。
  383. 松本善明

    ○松本(善)委員 そういう答弁はだめなんですよ。それはアメリカの言うことを信用していますということをもう一回言っただけじゃないですか。  総理も外務大臣も、政治家としてよく聞いていてください。いいですか、国民の代表が具体的な疑問をあげて聞いておるんです。それについて政府は、アメリカ側にただす義務はないのかどうか。アメリカはこう言っておりますというだけで済むのかどうかということを聞いているのですよ。  もう少し具体的な事実を申しましょう。全部これは、政府に前から、アメリカ側に調べておいてほしいということを言ってあるものばかりです。MC1毒ガス爆弾ですね、これが空弾だとか模擬弾でないという証拠のもう一つは、この整備スケジュールの三ページ、この資料では二枚目。これは訳もつけてあります。本物には訳はもちろん入っておりませんが、ここには、M11毒性除去装置二十九台があるということが、この四〇〇MMSのこの資料の中にあるわけです。これはあるのかどうか。そしてこれは、除去装置があるのは、実弾だということの証明にもなると思いますが、これについてはどう考えているのか聞きたいと思います。
  384. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 御提供いただきました資料に基づきまして調べましたところが、資料三ページにございます「ウイークリー・インスペクション・オブ・M11・デコンタミネーション・アパレータス・二九・イーチ」といいますのは、二十九個のMH型汚染除去器具の毎週点検ということでございまして、Mn型汚染除去器具と申しますのは、訓練用の中和剤噴霧器とのことでありまして、米空軍は、要員の一般的訓練の過程でこの器具を使って、各種汚染除去訓練を行なっている由でございます。
  385. 松本善明

    ○松本(善)委員 その前にありますテクニカル・エスコート、これは技術護送班ですね。これは運び屋なんです。弾薬の運び屋にこの毒性除去装置があるということは、実弾を運んでいるということの証明にはなりませんか。そういうことについては、政府は何の疑問も感じなかったのか。
  386. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 テク・エスコートという略を使ってございますが、これはテクニカル・エスコート、すなわち技術班を意味する、こういうことでございます。
  387. 松本善明

    ○松本(善)委員 もう一つ伺いましょう。  この弾薬整備部隊には、化学生物兵器の専門職の下士官が少なくも六名配備をされております。私どもがいるというふうに知り得ました六名の氏名については、この表の四枚目にもあります。これも政府に渡してあります。この専門職の下士官がいるかどうか、その点についてはどういう回答でありましたか。
  388. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 これもまた、御提示いただきました資料につきまして名簿を調べてみますと、六名は実在の兵員でございまして、本年八月現在、米空軍第四〇〇弾薬整備中隊弾薬取り扱いに所属いたしております。この六名の兵員の頭にそれぞれ記号が、特技記号四六一七OA、四六一五OAというふうに書いてございますが、これはいずれも弾薬取り扱い上の技術要員でございまして、四六一七〇Aのほうが監督者、四六一五OAのほうが取り扱いの要員であるということでございます。  なお、ただいま化学兵器並びに生物兵器の取り扱い技術者であるという御指摘がございましたけれども、調べてみましたところでは、四十七年一月付の米海軍マニュアルには、ケミカルとのみ記載いたしておりまして、これは化学的な汚染を除去する技術について訓練を受けたものであるということを意味している由でございます。生物学兵器のことについては記載はございません。
  389. 松本善明

    ○松本(善)委員 CAFSC四六一七〇Aあるいは四六一五〇A、こういうことについての説明は、除去をするということの訓練だけを受けている専門職、そういうことではないはずです。整備の職務、これは除去することということだけに限られているのですか。
  390. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 記号を付されましたこの六名の人間が、そういう訓練を受けた要員でございまして、実際にいたしておりますのは、弾薬取り扱い上の監督者並びにその取り扱い要員でございます。
  391. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、総理にお聞きしたいと思います。  いままでで私どもは、技術的ないろんな疑問を申しました。しかし、アメリカ側から調べてきたというアメリカ局長のこの答弁は、私どもを決して満足させません。国民も満足しないと思います。軍事的な常識から見ましても、表示の上から見ましても、こういう問題について政府は、日本国民の立場に立って疑問を解明するという義務はないのかどうか、アメリカ側がこう言っておりました、だからこれを信用しますということだけで田中内閣はいくのかどうか、この点について総理お答えをいただきたいと思います。
  392. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 毒ガス兵器は沖繩から撤去するということは、既定の方針になっておったわけでございます。沖繩から撤去した後は、屋良主席を含めた関係者がこれを点検して、沖繩からは撤去をせられたということを確認せられておるわけでございます。  そのあとの問題、あなたからいまいろいろ御指摘がございました問題については、これをアメリカ軍に照会をし、アメリカ側から、それは模擬爆弾であり、それはこういうものであるという正規な回答があった以上は、それを信頼する以外にないわけであります。これは、現地に入って全部これをさがし回るということもできないわけでございますし、安全保障条約というような条約を締結しておる国がお互いが信頼できないということになったら、これはもうどうにもならないわけであります。ですから、両国が信頼関係にある、だから国民全体も、アメリカの言うことは日本政府の言うことと同じように信頼をするということでないと、これはどうしても生命の安全を託せるわけはないのであります。しかも、沖繩と西独にしかガスはないと、こう言っておったものを、国務長官はその後、沖繩から撤去をせられては、今度は毒ガスの存在するのは西独だけである、その他にはございませんと、アメリカの名誉にかけて全世界にそう言っているのですから、それをやはり信頼をしないということになったら、もう日米間の関係というものを保持することはできないわけであります。私たちは、だからそういうことを国民を納得させるために努力をするほうにやっぱり力を注ぐべきである、こう考えます。
  393. 松本善明

    ○松本(善)委員 アメリカの言うことを日本政府の言うことと同じように信頼しなければならない立場にある、これは私はとんでもないことだと思います。一体、田中総理大臣はだれの立場に立っているのか。そんな義務をなぜ日本国民は負わなければなりませんか。アメリカの言うことはすべて信用しなければならない、そんな義務を日本国民は負っておりますか。総理、もう一度お答えいただきたい。
  394. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 どうもあなたの話は、自分の言うとおりにならないとおかしいという論理は、論理の飛躍であります。安全保障条約というものは日本のために必要なのでございます。日米安全保障条約というのは、日本がこれを必要としておるわけでありますから、お互いがチームワークを組んで防衛をやらなければならないという日米の間に、そんなに理解さえもできない、政府が公式に言うことをこの目で確かめなければ、もっと何回も何回もやらなければ信頼ができないということでは、とても生命を託するというわけにはまいらないと思います。やはりお互いでもそうじゃありませんか。信頼したら相手を信頼する、信用するということでなければ……。信は万事のもとをなす、日中間でもってこう言ったのもそれなんです。信なくしてお互いが友好の実をあげることはできるわけありません。これは私は、国際的常識だと思うのです。
  395. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、総理の答弁で、それを聞いた国民はむしろ、なるほどそれでは安保条約を廃棄しなければならぬということになると思います。  まず、その証拠を申し上げましょう。沖繩の自由民主党も含めて、自由民主党も含めてですよ、超党派で、アメリカの言うことは信用できないから、アメリカ軍の基地を点検をさせてほしいと……。   〔発言する者あり〕
  396. 坪川信三

    坪川委員長 静粛に願います。
  397. 松本善明

    ○松本(善)委員 アメリカ軍の基地を点検しろということを超党派で沖繩の県議会がきめて、要請に来ているのを知りませんか、総理は。この県民の意思をあなたは無視をするのか。お答えをいただきたい。
  398. 大平正芳

    ○大平国務大臣 大体、外国の軍隊の駐留を認めている場合には、受け入れいたしました国といたしましては、派遣国または当該軍隊の同意がある場合は別といたしまして、これに立ち入り調査をすることはできないというのが一般の国際法上の原則でございます。(拍手)私は、日本人はやはりこういう国際法上の原則というものを理解していただけると思うのでございます。  しかし、ここに、あなたが言われるように国民の疑惑があり、心配があっちゃ困るから、当該派遣国の同意を得まして、いろいろ御指摘になりましたような問題について、誠心誠意解明いたしまして、それを国会その他で明らかにいたしておるのでありまして、また、これが松本さんをはじめ御理解をいただけない方があるとすれば、これはやはり、私どもの努力がまだ足らないのだと思うわけでございまして、今後、御指摘の沖繩の県民の各位をはじめといたしまして、国民の皆さまに鋭意御理解をいただくように、一そう努力いたしたいと思います。
  399. 松本善明

    ○松本(善)委員 先ほど、まことに不見識なことにも、この立ち入り検査は国際的にはできないのだという発言をされたときに、拍手をした方が、自民党席にもおられました。大平外務大臣、ボン協定というのを御存じですか。外務大臣、ボン協定というのを御存じですか。御存じなければ知らないとお答えいただきたいと思います。
  400. 大平正芳

    ○大平国務大臣 よく調べてみます。
  401. 松本善明

    ○松本(善)委員 西ドイツにおけるNATO軍の地位協定、いわゆるボン協定です。その五十三条に関する署名の議定書でこういうふうになっております。これは外務省の訳に基づくものでありますが、「施設について責任を有する軍隊の指揮官、その他の軍隊の適当な当局は、ドイツの代表者及びその指名する専門家にたいし、ドイツの利益を保護するために必要とするすべての合理的な援助(施設への立ち入りを含む)を与えるものとする。」となっており、基地への立ち入り権を認めておるのです。NATOはドイツで認めているのですよ。日本が、日本国民が、沖繩の県民が一致して要求しておるこれについて、アメリカ軍に要求するという考えはないのですか。
  402. 大平正芳

    ○大平国務大臣 それは、私がいまあなたに説明したように、派遣国側がそのように認めた場合は、当然立ち入り検査をしていいわけでございます。
  403. 松本善明

    ○松本(善)委員 やむを得ずそういうところまで来ましたけれども、もしそうならば、アメリカに要求すべきじゃないかというのですよ。あなたの党の自由民主党に至るまでが、県議会で一致して点検をさせよ、沖繩の県民は不安だと言っているのですよ。そうでしょう。  総理大臣、アメリカに対して、核の撤去とそれから毒ガスの撤去、これを見届けるために、点検をさせるようにという申し入れをする考えはありませんか。そうして、そういうことを約束させる考えはありませんか。
  404. 大平正芳

    ○大平国務大臣 NATO条約と安保条約とはおい立ちが違うわけでございます。これは松本さんに釈迦に説法で、御説明しなくてもわかると思うのでございますが、安保条約の場合は、相互防衛的にはなっていないわけでございまして、したがって、そういう条約の骨格が違う関係で、若干規定上違いがございますけれども、三十五年の改定の際に、基地の使用問題につきましては、NATOを参考にいたしまして、できるだけNATO並みな取り扱いをしようというところで、日米両国で相談いたしまして、いまでき上がっておるのがもろもろの取りきめであるわけでございます。  しかし、それはともかくといたしまして、いまあなたの御提案のように、これで新しく日本から立ち入り検査を全面的に認めろという要求をするかどうかという御意向でございますけれども、その点につきましては、私どもといたしましては、現在われわれが鋭意やっておることで逐次御了解がいただけるのではないかと思っておりますので、いま直ちにアメリカ側に、そういう申し入れをするというつもりはありません。
  405. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理も同じですか。
  406. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 日米間は、とにかく信頼が第一であるということがほんとうに大事なことだと思います。そして、アメリカとの間に話がつけば、先ほども申し上げましたように、毒ガスは知花弾薬庫からは全部搬出したんだということで、その確認には屋良主席も立ち会っておる、実際に現地を確認しておるということも、すでにもう行なわれておるわけであります。  ですから、日本人を納得せしめるためには、国民を納得せしめるためには、いろいろなことの努力をしなければならないでしょう。しかし、それかといって、全部現認をさせよというようなことは、これはもう言うまでもなく、お互いが信頼をしていないということにも通ずるわけでございますので、日米間で十分これらの問題は理解をしておるわけでありますから、いま外務大臣が述べたように、アメリカと話し合いをやることによって十分解決ができる、こういうことでありまして、これからの問題を全部現認させよというふうに申し込むことは、いま考えておらぬということでいいと思います。
  407. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理と外務大臣のいまのお答えは、日米安保条約というものはきわめて従属的なものだ、NATOと比べても従属的なものだということをはからずも暴露したと思いますが、私は、質問としては次に進みたいと思います。  政府は、国連の軍縮委員会では、化学生物兵器の禁止問題で、化学生物兵器は、その使用のみならず、開発、製造、貯蔵も禁止すべきであるといって演説している。これは、昭和四十五年二月二十六日の衆議院予算委員会愛知外務大臣も答弁しておる。  ところが、米軍の毒ガス問題については、結局アメリカの発表をうのみにするということなんですね。毒ガスについて、政府がこういうような態度で国連でやっているとするならば、もっともっと積極的でなければならぬのではないか。こういうものは日本にはいささかも置くわけにいかぬのだ、あるという疑問があるならば、すぐにでも調べてほしいということをやるべきではないかと私は思います。私は、その態度が、国連の態度といまここでいただいた答弁の態度と全く違うように思います。この点についてどうお考えになりますか。
  408. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私どもといたしましては、国連におきましてそういう態度を表明いたしましたし、今後もその方針に従って活動してまいるつもりでございます。すなわち、いまのジュネーブ議定書は、戦時中毒ガスの使用を禁止しておる。これはわが国も批准いたしておるわけでございますが、戦時、平時を問わず、毒ガスの使用、貯蔵その他を禁止していくという方向に、いま世界の世論がだんだんと熟しつつあることでございます。アメリカにおきましても、その条約がいま問題になっておる最中でございまして、そういう方向にわが国の国連外交を進めてまいることは、当然な道行きであろうと考えておるわけでございます。  そして、現実に国内に毒ガスがあっちゃならぬということは、松本さんと全然同感でございまして、厘毫もそういう疑問があった場合には、いま解明いたしておりますように、一々米軍にこまかく照会いたしまして、そのしからざるゆえんを解明いたしておるのでございまして、問題は、そういった解明をなされた結果を信ずるか信じないかの信頼の限界の問題であろうと思うのでございまして、そこをどうしても信頼できないというのなら、これはもう話にならぬわけでございます。
  409. 松本善明

    ○松本(善)委員 別のほうにいきたいと思いますが、国連では、この化学生物兵器の禁止に関して決議が行なわれておりまして、メキシコなど九カ国提出の、すべての国は、化学兵器禁止の合意達成までの間、戦争目的の化学剤の開発、生産及び貯蔵を差し控えるよう要請するという決議に日本も賛成しております。  この決議ができておるわけですが、アメリカが日本の国土に毒ガス兵器を持ち込むということは、これは国連の決議にも反するし、ひいては安保条約違反にもなるのではないか。この問題について、私が政府に最初に申し入れに行きましたときに、二階堂官房長官は、もし事実とすれば重大だ、政府もだまされていたことになるということを述べられました。まさに、そういう事態が起これば、安保条約の存続にかかわるような問題だと思いますけれども、毒ガスが日本国内に黙って持ち込まれていた場合どういうことになるか、この点についての考え方をお聞きしておきたいと思います。
  410. 大平正芳

    ○大平国務大臣 純粋に条約論といたしまして、毒ガスの持ち込みを禁ずるという規定はないのです。ないけれども、このことは、安保条約にそういう規定があるかないかを越えた、もっと高度の政治の問題といたしまして、わが国は、非核三原則その他毒性のガスが国土にあってはならぬという態度をとりまして、いま御指摘のような点につきましても、点検を沖繩でやりまして、またアメリカにその保証を求めて、日本の国土にはそれはないんだということを国民にお知らせいたしておるわけでございますし、今後もこの態度は厳粛に貫いていかなければならぬと思っております。
  411. 松本善明

    ○松本(善)委員 いまの御答弁は、こういうことになりますか。安保条約には直接そういう規定がない。しかし、これは国連の決議にも反することですし、日本政府の方針にも反することです。それが入ってきた場合、これは条約論としては、もし黙って入れてきた場合に、日本政府はどういう態度をとるかということをお聞きしたのですけれども、安保条約に規定がないということを言われたということは、条約論としてはやむを得ないんだ、持ち込むことがあっても、違法とか条約違反だとか、そういうような問題にはならぬ、こういう見解を外務大臣はいま述べられたということでありますか。
  412. 大平正芳

    ○大平国務大臣 そういう次元を越えた問題として、強くこれを拒んでいかなければならぬわけでございまして、安保条約上規定がないということだけは、正直に事実を申し上げただけでございます。
  413. 松本善明

    ○松本(善)委員 国連の決議に反して持ち込まれるというようなことがあった場合、それは別に安保条約とは関係がない、こういうふうに考えるかというのです。
  414. 大平正芳

    ○大平国務大臣 関係あるなしにかかわりませず、頑強に拒んでいくつもりです。
  415. 松本善明

    ○松本(善)委員 どうもはっきりしたお答えをいただけなくてたいへん残念でありますが、最後にこの関係で伺っておきたいのは、沖繩の県議会は、基地の総点検だけではなくて、B52はもう来させないようにしてくれということを超党派で言ってきております、自由民主党も含めて。この要望にはこたえる気はないのですか。一切来させない、こういうふうにするという考えはもうないのかどうか。
  416. 大平正芳

    ○大平国務大臣 これは国会でたびたび御答弁申し上げておりますように、B52の沖繩飛来という問題は、安保条約上はアメリカ側の権利として留保されておることは御案内のとおりでございますけれども、御指摘のように、これは県民感情から申しまして非常にショッキングなことである、望ましいこととは決してわれわれ考えていないわけでございます。  したがいまして、これは悪天候その他緊急やむを得ない避難の場合に厳重に限るということ、そしてその天候にかまけてそういった飛来が定型化することは困るということ、そして天候が回復すれば直後すぐ退去していただくという三つのことは、もう十分アメリカ側に何回も何回も申し入れ、アメリカ側もそれに全幅の理解を示してくれて、現実に過去におきましてB52の緊急の避難による飛来がございましたけれども、この日本側の申し入れに沿ってやっていただいておるわけでございます。  したがいまして、もう悪天候いかんにかかわらず、また途中で緊急避難の場合も、どうしても沖繩基地を利用はできないと言うところまで私は踏み切ることはできないわけでございまして、現在の態度で、日米理解の上で、最小限度真にやむを得ない緊急避難の場合だけは認めざるを得ないと考えております。
  417. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理にこの関係で最後に伺いたいのですが、いままでの答弁をお聞きしておりますと、毒ガスの問題でも、核の問題でも、B52の問題でも、安保条約があるために日本国民はこれをがまんしなければならぬ。自民党も含めての要求がいれられないんですね。これは安保条約が日本の安全をむしろそこなっている、日本の安全のためではなくて、機能をしておるのはアメリカ軍がベトナムの侵略の基地に使っておるということだけではありませんか。十月二十四日付の読売新聞の世論調査では、安保条約の継続を支持する国民は一五%にすぎません。いつの世論調査を見ましても、中立を願う国民の数は六割から七割なんです。できることなら中立になりたい、こういう世論調査の結果が出ております。総理は、日本は他の国と軍事同盟を結ばない、日本の国土の上に他の国の軍事基地は置かない、中立になりたいという国民の要望についてどう考えているか。
  418. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 中立であって、しかも平和が望めるならばという願望は理解できますが、現実の問題として、そういうことでは国の安全は保てないということであるわけでございますから、あくまでも現実的に万全の体制をとらなければならない、こう考えます。  自分で自分を守るということは一つの考え方でございます。最終的に自分を守るものは自分であるかもしれませんが、しかし、とても自分で自分を守るということでは負担が多過ぎる。そういう意味で、合理的な負担で万全な体制をとるには複数以上の集団安全保障体制、国連の安全保障体制が最も望ましいのでありますが、それができない今日、やはり日米安全保障条約のような状態で日本を守るということが理想的なものである。国民の中でもしそれを評価されない面があれば、その事実を訴えて理解を求むべきだと考えます。
  419. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、総理とは見解が違って、中立、平和の日本を求める国民の要望に従ってそれを実際に実現をしていくということを申し上げて、この点はこれで終わりにしたいと思う。  次の質問に移りたいと思います。総理は、日本列島改造論でありますとか本会議での答弁で、物価対策として低生産性部門の合理化とか、流通機構の合理化とか、自由化なんということを言っておられるけれども、これは全部長年の自民党の物価政策そのままなんですね。だけれどもこれは一向に効果があがらなかった。もう証明済みであります。  ただ総理が、今度にあたって違うことを一つ言われたのは、産業人口の地方分散によって、物価に占める地価負担を軽減するということを言われました。これが一つ違うだけです。ところが、これはもう物価対策の大きな柱として総理は言われたのだけれども、全く逆になっているわけです。日本列島改造論が発表されたり、あるいは田中総理総理になられてから、事実は全く反対に、地価は高騰している。これが物価へはね返ってきている。この事実について総理はどう考えるか、簡潔にお答えいただきたい。
  420. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 物価問題といえば、生産性の非常に高い部門に対する賃金のアップが、低生産性部門にも一律に作用するということも一つあります。
  421. 松本善明

    ○松本(善)委員 簡単でけっこうです。
  422. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 それからもう一つは、私が述べておりますように、都市人口が集中をしておるということが一つあります。そのために流通機構その他が万全でないということもあります。それから戦前、戦中、戦後を通じて形の変わった統制というものも行なわれておるということもあります。それは、地価と物価は、あなたみな同じくしておりますが、物価問題を言っているのでしょう。消費者物価の問題を言っているのでしょう。ですから、そういう意味で消費者物価というものがほかの国と違って非常に上がっておるわけでありますから、これは構造的な問題に一つずつメスを入れていくということでなければ物価対策にならないと、こう申し上げておるわけであります。  地価対策というのは、地価は日本じゅう全部どうも買い占めが行なわれているような話がございますが、これは私は率直に申し述べると、日本列島改造というよりもドルの蓄積、外貨の蓄積が非常に急速に進みましたので、その意味で円が非常に大きく散超になっておる。これを一体どう使うのか。超緩慢な金融に対して、結局設備投資というものに使えないために、株と土地の投資というものに集中的に行っているのじゃないかというものが非常に感じられるわけでございまして、ここにやはりメスを入れざるを得ないと、こう思います。
  423. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理、時間もありますから、私の聞いたことに、ぜひ冷静に質問を聞いてお答えいただきたいと思いますが、結局、総理の言われるのとは逆に土地の高騰が起こっているということは、総理も認めざるを得なかったと思うのです。  私がここでお聞きしたいのは、総理が土地投機についての見本を示しておるというふうにいわれる事件が幾つもあります。先ほどからも他の同僚委員も聞かれたこともあります。私は、この土地投機の見本、ここで総理の汚職を追及するとかなんとかというようなことでやろうということではありません。この総理のやられたことについて客観的に見ますと、総理関係しているところはえらいもうけているじゃないかという非難が起こっている。そういう事例について、もし弁明することがあるならば聞きたいと思うわけです。  その一つは、信濃川河川敷の問題であります。これは昭和四十一年十月二十日に、わが党の加藤進議員衆議院の予算委員会で取り上げました。これは三十九年の九月から四十年三月にかけて、水害を防ぐための遊水地ですね、増水期には川底になる河川敷を、あなたに関係の深い室町産業が九十九万平方メートルも五百円で買い取った。何でこんな沼地、川底になるところを買うんだろう、みんなおかしいなと思っておった。それで、そいつを買い占めが終わったらすぐ堤防工事が始まって、そして一年後の四十一年三月にその場所に国道八号線をバイパスで通すという信濃川中央大橋の建設計画が明らかになって、加藤進議員の追及ということになったわけです。現在、加藤議員の追及したとおりに堤防が仕切られて、そしてバイパス工事が進んでいる。地価は高騰している。あなたは当時、将来の値上がりを考えて買い占めたものではないということを記者会見で言われたそうであります。しかし、いま農民の中から、土地は一級地になっているけれども、百姓はこじきになった、角榮にしてやられた、こういう声が起こっているという。これは私は当然じゃないかと思います。この点をどう考えられるのか。あなたは総理です。片っ方ではうんと大もうけする者がある。片っ方では、何だ、だまされたんじゃないか、こう思う農民がいる。この事実についてあなたは総理としてどう考えられるか、お答えいただきたい。
  424. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 私は、いやしくも国会議員の一員でございましたから、将来の膨大な値上がりなどを目標にしておるものではありません。  これは先ほど申し上げましたとおり、私が日本電建という土地の造成をやるような会社の社長を引き受けておりましたときに、もう一つきっと出ると思いますが、新潟の鳥屋野潟という問題といまの問題を持ってきたのです。これは皆さん調べてみてよくおわかりになるとおり、地元から持ってきたわけであります。特に鳥屋野潟の問題は、税金が払えないというので、例の房総観光という事件を起こした会社がございますが、これが税金が納められないし、八千万か一億だったと思いますが、税金を納められないし、あとは、あと金が払えなくてどうにもならないのでという地主の代表と、買った会社の代表が、会社へ持ち込んできたものでございます。  そういうものを、会社が分離をするというときに、新潟県に関するものは引き取るようにということで、別な法人がこれを引き継いで今日に至っておるということでございますが、これは膨大な利益が見込まれると言うけれども、これはまだ売ったものでもございません。売る意思もありません。まあ私だけではございませんから、私はただ一株主でしかないということでございますが、しかし、これは利益を将来どうするかということでございまして、これは国に全部寄付をすることも可能でありますし、いろいろな問題があるわけであって、私が、少なくともこの問題を競争して買い上げたものでもないし、地元の要請によって引き受けさるを得なかったということを——私が引き受けるよりも、当時株主であった法人に引き受けさせたということでございまして、これは現に売ってもございませんし、利得を得ておりません。
  425. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、総理が一私人であれば、一つ一つの経過についてもこまかく聞こうと思いますけれども、私は総理に経過として、全体として、起こっている事態をどう考えるかということを聞きたいのです。  それでもう一つ、鳥屋野潟の話が出ましたが、どちらにしても話がうまくでき過ぎているのです。鳥屋野潟にしても、あなたが関係の深い新星企業、日本電建が、鳥屋野潟と隣接した蓮潟の沼地を約二億円で昭和三十六年に買ったでしょう。そして一年後の昭和三十七年に蓮潟のほうを、同じ約二億円で新潟市と新潟県に売っているわけです。一年の間に、片っ方のほうを二億、同じ値段で売っている。そうすると、鳥屋野潟のほうの買収費約一億円まるまる浮かしたことになる。ただで一年の間に手に入れたことになる。そうしてこの鳥屋野潟は、昭和五十年開通予定の上越新幹線新潟駅南口駅前に位するということになるのです。新星企業の所有地は、八十五ヘクタールの潜在評価額が、何と百億円から百五十億円ではないかというふうにいわれておる。  これは、いろいろ弁解されるかもしれません。これはこういうことだった、こういうことだったと言われるかもしれない。しかし、だれが見ても話がうま過ぎるじゃないか、これは大もうけじゃないか、これを土地投機だと思わないか、国民は思わないと思いますか、あなたは。田中さんはうまくやっていると思いませんか。
  426. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 しかし、それはちょっと無理でしょう。私は十年前には法人の社長だったのですよ。しかも、日本で有数な会社の社長でした。いまは殖産住宅とかみんなございますが、これは全部日本電建から分かれた会社であります。  そういう意味では、私は先ほども申し上げましたが、当時の金で九十億くらいの不動産投資をやっておったと思います。そういう意味で、内容は非常に大きいのです。しかも、一年間に倍になったものばかりじゃありません。それは三倍にも五倍にも十倍にもなっているものもあるのです。ですからその当時のものは、そういう事業をしておったのです。ですから、私はそれを、その会社は、もう大蔵大臣になったので自分ではやれないということで、他の経営者にまかせたわけです。その後経営の主体も移しておるわけであります。ただそのときに、処分のできないようなものは整理をしなければならないということで、法人にそういうものを引き継がせておるわけであります。  私は、いま鳥屋野潟でもうけようなんて、何もありません。必要あれば政府に何でも寄付します。そんな利得を得ようなんという考えは全くない。それはその当時必然的に一その事情はみんな御承知なんでしょう。私が買ったのではな、いのです。持ち込んできたのです。持ち込んできて、税金の滞納になってどうにもならないから、農民の代表が何とかしてこれを一時肩がわりしておいてくださいという要請によって、請願を受けて、当時の法人である会社が肩がわりをせざるを得なかったのです。それは売ってもおりません。まあそれは一部売っております。一部売るなんてそれはもう当然のことなんです。仕事が土地会社だったのです。それをその、きのうきょうのように、列島を買い占めしておるというようなものと同じく一律に考えて、これは私は去年買ったとか、おととし買ったとかいうなら別ですが、そうじゃないのです。十年も前に買ったのです。買ったというよりも、どうにもならず整理を頼まれてきたという、地元の代議士がいろいろなことを持ち込まれる、その例なんです。私は、それを転売して利益を得ておりませんし、そういう問題をよく理解していただきたい。私は、それをほんとうにあなたがあっせんしてくださるなら、寄付してもけっこうです。
  427. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、その実際の土地についての処理についてはあとでお聞きしようと思います。客観的に見れば、その当時確かに田中さんは九十億の投資もしていたと言われます。そのくらいの金があったのでしょう。あったのだろうと思うけれども……(田中内閣総理大臣「会社がです」と呼ぶ)ええ、会社が。しかし結果において、あなたはこれから総理大臣という立場だから、鳥屋野潟だとかあるいはこのいまの信濃川河川敷だとか、いろいろ寄付してもいいというようなことを言われておるけれども一、いまの状態を見れば、国民はこういうのを土地投機だと思うのですよ。私はあとから土地の投機についてのことも聞こうと思いますが、もう一つ、事実について伺っておきたいと思います。  それは、新宿区市ケ谷の船河原町の土地の売買についてのことであります。これはやはりあなたに関係の深い新星企業が船河原町の土地を、当時坪で売買されているので坪で申しますが、八百三十二・六一坪を手に入れて、その土地が二つに分かれて、一つは、やはりあなたに関係のある小佐野さん、先ほど来話が出ておりました小佐野さんが大株主の朝日土地興業を経て、それから日本電信電話公社を経て、大蔵省が取縄をしておる。そしてもう一つの土地は、三百八十七・四六坪、これは辻和子という人の手に渡っておる。この新星企業が手に入れて、そしてこの経過の中で、電電公社が買収した金額は約二十二万円。新星企業が幾らで買ったかははっきりしませんが、もとの地主は坪約十八万円くらいだというふうに言っておる。約一年ぐらいの間に、新昂企業と朝日土地興業が間に入って、坪約四万円、約一年の間に千七百万円もうけているという計算になるわけです。  こういう経過でありますが、その経過について、私はあなたに直接事実を聞きたいのは、一つは、これはいろいろ資料もあるのですけれども、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  428. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 いまの問題に対しては、もう新聞や雑誌にもたくさん書かれたことでございますから、私はここで申し述べません。述べませんが、あなたがそういう問題を公の席上で指摘をされたことはよく覚えておきます。理解をいたしておきます。
  429. 坪川信三

    坪川委員長 松本君に申しますが、一身上の問題につきまして、やはり十分御留意の上に御発言を願いたいと思います。
  430. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、いまの御答弁は事実上……。   〔発言する者あり〕
  431. 坪川信三

    坪川委員長 静粛に願います。
  432. 松本善明

    ○松本(善)委員 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━認めないですか。認めないですか。(発言する者あり)私はこれについて詳しくやろうとは思いません。それでは、はっきり申しましょう。それでははっきりと、あなたのものではありません、辻和子さんという人の名義になっておるけれども、この人は、私はそういうことはあなたに言いたくないから別の言い方をして聞いたのですけれども、あなたが否定される以上は言わなければならない。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━そうですね。それを前提として質問を進めてよろしゅうございますね。
  433. 坪川信三

    坪川委員長 松本君に申します。先ほど申しました点、十分御留意の上発言を願います。
  434. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、総理がいま首を振られたので、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━そして質問を進めたいと思います。  私が聞きたいと思いますのは、そういう私事のことを聞きたいということだけではないのです。それを内容的に言うのは、この取引がずっと行なわれておる間じゅうあなたは大蔵大臣でありました。新星企業はあなたの会社といっていいぐらいの会社であります。この土地を買って、片一方は大蔵省の手に入った、片一方は辻和子さんという人の手に入った、土地が二つに分かれて。そして、たいへん込み入っておるのでありますけれども、しかも、正式にこの土地が書類上大蔵省のものになったのは四十年の六月二十九日でありますが、その直前、六月二日にあなたは大蔵大臣をやめておられます。しかも、きょう決算委員会で明らかになったことによりますと、これは社会党の高田富之議員が質問されたことに対して出てきたことであります。大沢秀行電電公社の建築局長が、この土地について聞かれて、詳しい事情は記憶をしていないけれども、他の物件と交換してもらうため、数件の候補地のうちから大蔵省が選んだ土地を電電公社が買って、大蔵省に渡して、別の土地と交換をしたというのです。そうですね。総理もいまそうだという。そうですね。——ではあとから事実についてもお答えをいただきたいと思います。そうすると、電電公社が手に入れたときには、あなたはまだ大蔵大臣だった。電電公社は大蔵省からの候補地ということでこの土地を買って、そしてすぐに大蔵省へいっているのです。  私は、こういう経過を見ますと、あるいはその間のことについて、あなたは直接の当事者ですから、いろいろ弁解をされるかもしれません。弁明をされるかもしれません。あるいはつじつまが合うかもしれません。しかし全体として、この取引の最中に大蔵大臣となっていたわけです。この問題について、あなたは政治的に何ら責任はない、こういうことはあってもかまわぬというふうにお考えかどうか、お聞きしたいと思います。
  435. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 本件に関しては、全く私は関係ありません。これだけを申し上げる。これは私は今日でありますから、真相を申し上げます。  これはわが党の先輩林屋亀次郎氏が私のところを訪ねてまいったわけであります。そして、自分がめんどうを見た会社がどうにもならない状態になっておる、そして、持っておるものというのはもう何にもない、不渡り手形が出るので何とかしてくれないかということで、その物件をただしましたら、かつて地下鉄の社長であった早川氏の宅地であって、長いこと護国団が使用しておった。護国団、ちょっと違うかもしれませんが、そういうところである、こういう話がありました。それで私は、ではそれを関係会社に話してみましょうということで、急を要する話でありますから、その問題については会社を紹介して、二十万程度で買ったと思います。そうして、その問題は急場を脱したはずであります。  その後、私が錦城商業に学んだことがございまして、私の大臣就任などでもって錦城の学園の皆さんがいろいろ会合をやってくれておりました。これは椎名悦三郎氏とか千葉三郎さんとか、その中におられたのが丹沢氏でございました。丹沢氏がどういう人物であるかは私はわからなかったのです。これは私の学校の先輩ということで幹事をやっておったわけであります。その人が、いまの土地の半分をほしいということで売ったわけであります。それは私が売ったのじゃなく、それはちょうど要らないものを押しつけられたものがあるからということで、会社に話して、会社から丹沢善利氏に売ったわけです。その先のことは、私は全く関知をしてないのですが、これは共産党の新宿の区会議員か何かやっている人が何回かやったのです。それで私は、そのときにどうすることもできないと思った、これは。これこそ自分でもって自家用に使うと言って買ったものを、どういう都合か売ってしまった。しかも、それは京橋の郵便局か何かの隣に、電電公社が何かをつくるときにあったのだそうです。その代がえ地として物色をした。ところが、京橋の郵便局か何かの隣の地は大蔵省のものであった。それで、大蔵省は、代がえ地をよこせば電電公社に大蔵省の持っておる土地を与えるということでやったのが、その土地の一部がそういうものになぜつながったのかと思うぐらい、私はこれはほんとうに避けることのできないことだと思っておったわけでございます。  ですから、これは私を責められる前に、大蔵省や電電公社がこの土地を入手するために何らかの介入があったのかないのか、ほんとうに代がえ地として全く関係なく得たものであるということが解明されない限り、それはあなたの言われるように、何らかあるといってもしようがない。私は、それは甘んじて受けますが、これは全くありません。しかも、私がこんな土地でわずか千万円の利得を得ようといたしますか。考えてみてください。それは徹底的に調べてみてください。ほんとうに私は関知するようなことは全くありません。
  436. 坪川信三

    坪川委員長 松本君に重ねて申しますが、事の指摘でなくして、質疑をおやりください。
  437. 松本善明

    ○松本(善)委員 わかっております。そういうふうにやっております。  私は、総理にお聞きしたいのは、例をいろいろあげてお聞きをいたしましたけれども、これは総理が行政の最高の責任者、そしてその人の行動というのは、これはいろいろの公務員にも影響をいたします。閣僚にも影響をいたします。あるいは最高裁判所の裁判官の任命も内閣がやります。あるいは検察官や、あるいは警察官にもその権限は及びます。そういう立場の人の行動として、これはいろいろ疑惑があるということについては、これは総理にどうしても、もし言うことがあるならば聞かなければならない。これは国民が当然に聞かなければならない。私は、国民の代表として当然の責務であると思います。私は総理に聞きたいのは、政治姿勢政治責任と、あるいは道義的な責任ということについて、私がいま三つの例を申しましたけれども、これはいま起こっているいろいろな土地の投機でありますとか、そういうようなことにも影響する。そういう大きな——私は最初からお断わりしましたように、じゃ総理大臣が汚職をしているというような立場でこれをやっているということではない。その影響するところが大きいから、はっきりとその点についての政治責任あるいは道義的な責任というものを明らかにしてもらいたいということを言ったわけです。その点についての総理の見解を聞きたいと思います。
  438. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 私も、公の立場にある私として、公の立場でこのような御質問を受けなければならないということは、ほんとうにみずから遺憾に存じております。しかし、私は先ほどから述べましたように、ほんとうに解明さるべきものはすべて解明していただきたい、こう考えております。私は不正に対して関知をいたしておりません。しかし、内閣の首班としての立場で、いろいろ長いこと流布されたものがございましたから、いつの日にかこの問題は解明しなければならないことだと心に期してはおりました。  私は、あなたから御指摘を受けたことに対して、事具体的な問題に対しては、私は胸を張って申し上げられると思いますが、公の立場で御叱責を受けたことに対しては、それなりの反省をいたしております。
  439. 松本善明

    ○松本(善)委員 土地の投機の問題で始まったので、私はその土地の投機を押えるための問題について、若干残った時間で総理の見解を聞いておこうと思います。こういうことができるかどうか。  一つは、先ほども、得た土地は場合によってはというようなことや何かは、その信濃川の河川敷なんかはみな国に寄付してもいいというような話がありましたけれども、いま大企業や大土地所有者がものすごく買い占めをやっていますね。この予算委員会でも何度も論議が出ました。この買い占めた土地を、場合によっては国や地方自治体が適正な価格で収用する、そうして民主的に使うというようなことを考えなければならぬのじゃないか、そういうようなことを考える考えがおありかどうか、お聞きしたいと思います。
  440. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 先買いをした者のものをただ単に収用できるかどうか、これは法制上の問題はあると思います。  ただ、資本に対する先買い権を新しい法律で認めるとか、先行投資においても買うことができるとか、収用することができるとかいう道を開けば不可能ではないと思います。しかし、そういうものよりも、先ほどから御指摘がありましたように、やはり税の問題その他で対処するのがいいのではないかと思います。
  441. 松本善明

    ○松本(善)委員 先ほど税の問題について議論がありましたけれども、総理お答えはあまりはっきりしたものではなかったと思います。その利益を吐き出させるということをほんとうに考えるならば、これは法人企業の土地や不動産売却益に高率の課税をやる。法律も、場合によっては、そういうのがはっきりわかっておるものは七〇%から九〇%ぐらい、利益をほんとうに吐き出させるというような税金を考えるということをしなければ、この土地投機は変わらないと思います。これは相当思い切ったことでなければこの土地投機を防ぐことはできないと思います。税制についてももう一度考え方をお聞きしたいと思います。その税制を運用してやるということを言われるのですか。
  442. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 税に対しても、いま検討いたしております。
  443. 松本善明

    ○松本(善)委員 不動産の大資本の買い占めについては、銀行からのばく大な融資があります。この銀行の土地買いあさりについての融資、これを制限をする、これを押えるということを考える気はありませんか。
  444. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 土地の買収をやりまして、そしてそれによって不当な利益を得ておるというような場合、その便宜を与えた場合に、一体税法上これを取り締まることができるかどうか、これについては、いまなおいろいろと研究をいたしております。
  445. 松本善明

    ○松本(善)委員 私がいまお聞きしたのは、銀行融資なんです。その買いあさりについては、銀行の融資が非常に大きな役割りを果たしておる。この融資を押えるということを考えるかということです。
  446. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 そうした問題についても、十分研究をしてみたいと思っております。研究をしております。
  447. 松本善明

    ○松本(善)委員 一定規模以上の土地の買い入れを、地方自治体の許可制にするということを考えられる気はありませんか。総理
  448. 木村武雄

    ○木村国務大臣 許可制というところまではいっておりませんけれども、知事にそれを提出させる、そして場合によれば知事が勧告する、そういうところまでは進めてみたい、こう考えております。  それから土地の問題でありまするが、やはりその土地の騰貴というものに対してはいろいろな原因がありまして、これが決定的だというものはまだ出ておりませんです。しかし建設省としては、いまお話しのように、法人の土地売買なんかについては、所得は分離課税にして、あなたのおっしゃったように、九割二分ぐらいいま考えております。あなたのほうよりも二分多いようであります。九割二分考えております  それから、ものの考え方も、やはりその土地ではもうからないものだ、もうけることは悪いのだというような印象を与えるにはどうしたらいいか、こういうようなことまでも考えて、そして大蔵省とも、党とも相談しておるのです。そういうものがまだきまらないものですから総理は御返事できないでおいでになりまするけれども、それがきまりましたならば、総理のほうも答弁があると思っております。やはり全体の統括者でありまするから、局部の意見がきまりましても、自分として決定的な発言ができない、こういう状態なんでありまして、あなたの考えておいでになりますることなんかも非常に考えております。  それから私は、この国会を通しまして、やはりこの臨時国会があってよかったと思っておるのですよ。各党の意見もお聞きいたしましたし、個人の意見もお聞きいたしました。そういうような意見を集大成いたしますると、何かいいものが出てくるような見通しが大体立ったものですから、私はそういう点で非常に喜んでおりますよ。
  449. 松本善明

    ○松本(善)委員 その土地の問題についていろいろな問題が起こるわけですけれども、都道府県とか市町村に民主的に構成された土地委員会を設けて、土地の所有の状態、土地の利用の実態、あるいは土地売買の実態をつかんで、土地投機でありますとか、民主的な土地利用計画に反する不当な土地の利用を監視をする、そして地方自治体に対してとるべき対策を勧告するというような、総合的に土地のあり方を監視するというような機関をつくるということが必要ではないか。いまこの予算委員会でもいろいろな議論が起こりました。私のみならず他党の同僚の議員もいろいろ論議をいたしましたけれども、そういうことを総合的に監視をするような機関をつくることが必要だと考えないかどうか、総理伺いたいと思います。
  450. 木村武雄

    ○木村国務大臣 御意見は全部まとめまして、そして最高のものをつくってみたいと思っております。あなたの御意見もすべて参考にいたします。
  451. 松本善明

    ○松本(善)委員 最後に伺っておきたいのですが、いま私が地価の安定についていろいろ具体的な提案を申し上げました。ほかにもありますが、そういうことを総合的に含めた、地価を安定をさすために地価安定法というようなものをつくる考えがないかどうか、この点を伺いたいと思います。
  452. 木村武雄

    ○木村国務大臣 いいものはすべて採用するつもりでありますから……。
  453. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、総理に最後に伺っておこうと思いますが、総理の外交問題についての答弁についても、決して満足できるものではありませんでした。それから地価の問題、それから疑惑についても、私はまだいろいろ問題が残っておるかとも思います。しかし、総理がこの時点でいささかも内政問題については疑惑が持たれないような政治をやってほしいということが一つと、それから日本国民の立場に立つべきだ、はっきりと日本国民の立場に立った政治がなさるべきだということを要求し、最後に総理のこの全体を通じての御答弁を求めて、私の質問を終わりにしたいと思います。
  454. 田中角榮

    田中内閣総理大臣 転換期に立っておる国政を処理するにあたっては、真に国民の福祉、国民の利益を追求する立場に立って政治を行なってまいりたい、こう考えます。
  455. 坪川信三

    坪川委員長 以上で松本君の質疑は終了いたしました。  ただいまの松本君の発言中、不穏当の個所があるやに考えられますので、速記録を取り調べの上、委員長において理事会と協議の上、適当に処置いたします。  次回は、明八日午前十時より委員会、午後一時理事会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時十四分散会