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1972-11-08 第70回国会 衆議院 本会議 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十一月八日(水曜日)     —————————————  議事日程 第五号   昭和四十七年十一月八日    午後二時開議  第一 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律   案(第六十八回国会内閣提出)  第二 一般職職員給与に関する法律の一部   を改正する法律案内閣提出)  第三 特別職職員給与に関する法律の一部   を改正する法律案内閣提出)  第四 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  第五 法務省設置法の一部を改正する法律の一   部を改正する法律案内閣提出)  第六 防災のための集団移転促進事業に係る国   の財政上の特別措置等に関する法律案災害   対策特別委員長提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  米田東吾君の故議員高橋清一郎君に対する追悼   演説  議員古内広雄逝去につき弔詞を贈呈すること   とし、弔詞議長に一任するの件(議長発   議)  西宮弘君の故議員古内広雄君に対する追悼演説  昭和四十七年度一般会計補正予算(第1号)  昭和四十七年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和四十七年度政府関係機関補正予算(機第1   号)  日程第一 防衛庁職員給与法の一部を改正する   法律案(第六十八回国会内閣提出)  日程第二 一般職職員給与に関する法律の   一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 特別職職員給与に関する法律の   一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 防衛庁職員給与法の一部を改正する   法律案内閣提出)  日程第五 法務省設置法の一部を改正する法律   の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 防災のための集団移転促進事業に係   る国の財政上の特別措置等に関する法律案(   災害対策特別委員長提出)  激甚(じん)災害に対処するための特別の財政   援助等に関する法律の一部を改正する法律案   (災害対策特別委員長提出)  昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関す   る法律の一部を改正する法律案内閣提出)  裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する   法律案内閣提出)  検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する   法律案内閣提出)  対外経済関係を調整するための租税特別措置法   等の一部を改正する法律案内閣提出)  海外経済協力基金法の一部を改正する法律案(   内閣提出)  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(   第六十八回国会内閣提出)  都市モノレール整備促進に関する法律案(   運輸委員長提出)  日中共同声明に関する決議案田澤吉郎君外九   名提出)     午後七時三十四分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 船田中

    議長船田中君) 御報告いたすことがあります。  議員高橋清一郎君は、去る十月二十九日逝去せられました。まことに哀悼痛惜至りにたえません。  同君に対する弔詞は、去る五日贈呈いたしました。これを朗読いたします。   〔総員起立〕  衆議院は多年憲政のために尽力しさきに逓信委員長の要職にあたられた議員従三位勲二等高橋清一郎君の長逝哀悼しつつしん弔詞をささげます     —————————————  故議員高橋清一郎君に対する追悼演説
  4. 船田中

    議長船田中君) この際、弔意を表するため、米田東吾君から発言を求められております。これを許します。米田東吾君。   〔米田東吾登壇
  5. 米田東吾

    米田東吾君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員高橋清一郎君は、去る十月二十九日逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。  ここに私は、諸君の御同意を得て、議員一同代表し、つつしん追悼ことばを申し述べたいと存じます。(拍手)  私が高橋先生と最後のことばをかわしましたのは、つい先ごろの七月初旬のことであります。第六十九回臨時国会が召集されて間もなく、私たちは第一会館の議員サロンに昼食をともにしながら、やがて予想される総選挙について、お互いの健闘を誓い、励まし合ったのでございます。わずか四カ月という短い間に、幽明界を異にしようとは思いもよらぬことでありまして、まことに痛恨のきわみでございます。  私は、芭蕉の辞世、「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」の一句をしばし思い浮かべながら、病床にあって、越後平野の枯野に繰り広げられる選挙のきびしい戦いにひたすら思いをはせていたであろう先生をしのび、言いようもない無念さと深い悲しみに心打たれるばかりでございます。(拍手)  高橋先生は、明治四十三年二月、新潟市に四人きょうだいの長男としてお生まれになりました。家庭が貧しかったために、幼少から生活辛酸をなめながらも、向学の志に燃え、小学校を卒業するや、新潟夜間中学に進まれたのであります。「午前二時に起床し、牛乳二百本を積んだ荷車を引いて、配り終わるのは八時ごろ。凍りついた古町十字路で車がスリップして動けなくなったときなど、この仕事のつらさは身にしみた」と、後年高橋先生はみずからの若き日の思い出をなつかしんで、そう語っているのでありますが、この苦労の生活が、やがて地元の人々の語りぐさとなり、以後の政治生活における独自の人気をささえることになったのであります。  このようにして先生は、文字どおり苦学力行高等学校入学検定資格試験にみごとに合格し、新潟高等学校を経て、京都帝国大学法学部に進まれました。  昭和十一年、大学を卒業された先生は、その翌年から兵役について南方に派遣され、除隊後、サイゴンで終戦を迎えられたのでございます。  先生は、少年時代を通じての幾多の貴重な体験から、やがて政治家となって広く社会民衆のために奉仕しようとの志を抱いておられましたが、戦後の荒廃なまなましかたった昭和二十二年四月、新潟県議会議員及び新潟市議会議員となって、長年の宿願である政治家としての第一歩を踏み出されたのでございます。  自来、地方政界にあって先生は、持ち前の行動力をもって東奔西走、縦横活躍をし、戦後の復興と民生の安定向上に大きな寄与をされたのであります。この献心的な活躍は広く人々の信頼と期待を集めるところとなり、昭和三十三年五月、第二十八回衆議院議員選挙に際しては、郷党から推されて勇躍立候補されました。無所属の新人候補であった先生は苦戦を余儀なくされましたが、地方政界における実績と誠意に満ちた戦いぶりをもって、みごと初当選栄冠を獲得されたのであります。(拍手)  本院に議席を得られた先生は、運輸地方行政逓信委員会委員あるいは理事として熱心に審議に当たられました。先生は、現実に密着してものを見詰め、かつ現実の中から問題を的確に把握されたのでありまして、その言動には常に同僚委員を感嘆させ、説得してやまないものがあり、まさに独自の野人的風格を備えた存在として、つとに知られるところでありました。  昭和三十九年には防衛政務次官に就任されました。そして昭和四十二年には郵政政務次官につかれましたが、この間、情報化社会の急速な発展の中にあって、郵政行政近代化に尽力し、また、郵便の遅配解消問題と取り組んで、郵便番号制の実施に大きな貢献をされました。  昨年七月には逓信委員長の重職にあげられました。そして、多年懸案となっていた有線テレビジョン放送法案審議されましたが、先生委員長として、誠実にして公正な態度をもって与野党間の話し合いを精力的に進められました。その結果、視聴者利益保護の徹底を期するための共同修正案がまとまり、円満のうちに本院を通過し、成立するに至りました。  また、いわゆる庶民金融として大きな注目を浴びた郵便貯金法改正案についても、逓信委員長としてこれが実現に尽力し、よく国民期待にこたえられたのであります。  高橋先生は、また郷土に対しても人一倍意を用いられ、軍人遺家族の援護あるいは離島佐渡における道路整備通信施設近代化等に残された業績は、枚挙にいとまがありません。  ことに、特筆すべきものとして関屋分水事業があります。これは、新潟市街を貫く延長二千メートルに及ぶ人工の通水路をつくって、信濃川からの水を日本海に放流し、水害からの解放と流出土砂からの海岸防護をはかる新潟市百年の大計ともいうべき歴史的な大事業でありますが、本年八月に完成を見、いまや信濃川の水はとうとうとしてこの通水路を流れております。この大事業完成のために、先生が献身的な努力を傾注されたことは高く評価されなければなりません。(拍手)  かくて、高橋先生は、本院議員当選すること連続五回、在職十四年七カ月に及び、この間国政に残された功績は、まことに大なるものがあったのであります。  高橋先生は、困窮の中から身を起こし、あらゆる辛酸をなめながら、不撓不屈の信念を堅持して、よく人生の苦難の道を開拓されました。先生は、「かつて味わった苦しみが、人の身になって苦しさを考えることを私に教えてくれた」とみずからを顧みて語っておられますが、政治家高橋先生は、まさに情の政治家であり、その政治生涯は、大衆思い大衆を愛する至情に貫かれていたのであります。そして、イバラの道を歩いた人とは思えぬほど、みじんも暗さはなく、明朗にして純朴、天衣無縫な方であり、だれにでも気軽に肩をたたき、新潟弁まる出しで語り合われたのでありまして、先生の周囲にはいつも笑い声が絶えず、独特の魅力を放っておりました。世に大衆政治家と呼ばれる政治家は少なくありませんが、しかし、先生ほどに庶民に愛され続けた政治家もまれでありましょう。  みずからを顧みず、すべてを政治にささげられた先生も、ついに六十二年にわたる奮闘の生涯を閉じていかれました。もはやわれわれはその温容に接することはできません。先生が永遠の眠りにつかれる郷里新潟は、これから日本海の荒波がたけり狂い、ふぶきが吹き荒れるきびしい冬を迎えようとしておりますが、いまはなき先生を思うとき、郷土人たちの胸中にはほのぼのとした心のぬくもりが、いつまでもいつまでも消え去らないことでありましょう。  現下、わが国は、内政外交にきわめて重要な時期に直面し、国民政治に対する期待と関心は大きな高まりを見せております。このときにあたり、大衆とともにあり、ひたすら大衆のために尽瘁してこられた政治家を失いましたことは、本院にとっても、国家にとっても、まことに大きな損失であると申さなければなりません。(拍手)  ここに、高橋先生の生前の功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りして、追悼ことばといたします。(拍手)      ————◇—————  弔詞贈呈の件
  6. 船田中

    議長船田中君) 御報告いたすことがあります。  議員古内広雄君は、去る五日逝去せられました。まことに哀悼痛惜至りにたえません。  つきましては、同君に対し、弔詞を贈呈いたしたいと存じます。弔詞議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  弔詞を朗読いたします。   〔総員起立〕  衆議院議員正三位勲二等古内広雄君の長逝哀悼しつつしん弔詞をささげます  この弔詞贈呈方議長において取り計らいます。     —————————————  故議員古内広雄君に対する追悼演説
  8. 船田中

    議長船田中君) この際、弔意を表するため、西宮弘君から発言を求められております。これを許します。西宮弘君。   〔西宮弘登壇
  9. 西宮弘

    西宮弘君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員古内広雄君は、去る五日逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。私は、諸君の御同意を得まして、議員一同代表し、つつしん哀悼ことばを申し述べたいと存じます。(拍手)  古内君と私とは所属政党を異にし、政見政策には幾つかの違いはありまするが、人間古内広雄には無条件に魅せられ、君の温厚誠実な人柄と、国際人として洗練された識見をもって着実に国政に取り組んでいかれる姿に、私は心から尊敬の念を抱くとともに、同じ選挙区に君を持ち得たことを常に誇りとしておったのであります。  私は、いまこの壇上に立つとき、ありし日の君の温顔がほうふつとして浮かんでまいります。しかし、もはや君のあの元気な姿はこの議場に見ることはできません。いま私は、限りない寂寥の感に打たれ、運命の無慈悲に痛憤やるかたないものを覚えるのであります。  古内君は、明治四十年十月、宮城岩沼市の由緒ある旧家にお生まれになり、長じて第二高等学校を経て、東京帝国大学法学部に学ばれ、大学在学中に高等文官外交科試験に合格されました。昭和五年大学卒業とともに外務省に入り、在外研究員としてドイツに留学し、研さんを積まれ、やがて省内切ってのドイツ通として活躍される素地をつちかわれたのであります。その後、外交官として主としてドイツに勤務し、多くの業績をあげられました。昭和十六年に本省に戻られ、戦争が終結するや進駐軍との終戦連絡の衝に当たり、冷静な判断と行動によって数々の困難な局面を打開せられました。  終戦後の経済的困窮のさなかの昭和二十七年には、公正取引委員会事務局長として、消費者利益確保のために敏腕をふるわれましたが、その翌年には再び外務省に帰って外交政策立案に参画し、次いでオーストリア、パキスタン、インドネシアの各国大使として、わが国平和外交推進に寄与し、多大の成果をあげられたのであります。  またこの間、国際原子力機関理事会初代日本政府代表として、原子力平和利用研究開発等に貢献されるなど、海外における君の御活躍は目ざましいものがありました。  やがて君の識見と力量は、いまはなき池田元首相に嘱目されるところとなり、同首相のすすめもあって政界入りを決意するに至り昭和三十九年八月、二十有余年にわたる外交官生活に終止符を打たれたのであります。  そのときの君の心境は、いままでは外交官職責上、国の代表として奉仕をしてきたが、これからはもっぱら今日まで自分をはぐくみ育ててくれた郷土のために一切を捧げたいとの願いからであったのであります。  昭和四十二年一月、第三十一回衆議院議員選挙宮城県第一区から立候補し、君は、「明るく豊かな未来の建設」をスローガンとしてその抱負を披瀝し、アジア善隣外交の確立と郷土経済発展のために渾身の努力を払うことを約束されました。君のこの政見選挙民の力強い支持を受け、みごと当選栄冠をかちえられたのであります。(拍手)  君は、本院議員として、庶民生活に密着した実際的な感覚と、多年にわたってつちかわれた国際的視野とをもって、国政の各分野活躍されました。逓信内閣建設などの各常任委員会委員として、常に熱心に国政審議に当たられ、その精励ぶりは、与野党の別なく、同僚委員のひとしく敬服していたところであります。  外交分野においては、多年の経験と卓越した識見縦横に駆使して、東南アジア諸国の首脳を歴訪し、善隣友好関係促進アジア国民経済生活向上のためにあらゆる努力を払われたのであります。  また、かつて君が赴任された西ドイツオーストリア等中心に、ヨーロッパ各国指導者とも親交を重ね、政治経済上の諸問題の解決について忌憚のない意見の交換をされるなど、強力な議員外交を展開し、政府のよき助言者として大きな役割りを果たされました。そして、昭和四十四年には列国議会同盟の春季会議に、昭和四十六年にはパリにおける第五十九回同盟会議に本院から派遣され、これに参加しておられます。  自由民主党においては、広報委員会情報局国際部長政調通信部会部会長あるいは外交調査会委員として、党務の処理、政策立案推進のために尽力されました。  かくて、古内君は、本院議員当選すること二回、在職期間は六年でありましたが、その間、終始真摯な態度審議に参加され、国会議員としての職責を全うされました。その功績は、まことに大なるものがあります。(拍手)  思うに、古内君は、あたたかい愛情のこもった人間味豊かな政治家でありました。そして、常に相手の立場を尊重し、決して自己の考えを押しつけることなく、だれからも気軽に語りかけられる政治家でありました。君の事務室には「托鉢」の額が掲げられ、托鉢をする僧侶のごとく一人一人の住民と語り合い、その心をくんで、これを政治に生かすことを信条としておられました。だから、どんな山間僻地までも、いささかもいとうことなく足を運び、選挙民の心を心とし、声なき声をみずからのものとして、常に国政の上に反映させてこられました。この豊かな庶民性のゆえに、ほんとうの声を受けとめてくれる新しい政治家、気のおけない大衆政治家として、郷党のだれもが敬慕してやまなかったのであります。今回の御逝去にあたり、郷党ひとしくこれを悲しみ、来たる十一日に岩沼市の市民葬をもってその礼を尽くされるのも、またむべなるかなというべきであります。(拍手)  君は、高等学校大学時代を通じて陸上競技の選手として活躍をされ、また、乗馬を楽しみ、音楽に親しむという趣味の豊かな方でありました。かつての外交官時代から、かのウイーン交響楽団の著名な指揮者カラヤン氏とも親密な間柄であり、オーストリア大使を辞された君の帰国に際しては、同交響楽団ウイーン空港別れの演奏を行ない、君との別れを惜しんだということであります。その後、選挙民との会合でも、ときに興至れば「知床旅情」などを口ずさみ、聞く人々の胸にしみじみとしみ入ったことも、いまは思い出語り草となりました。  古内君は、日ごろから健康を誇りとされていたのでありますが、自己を顧みず、ひたすら世のため、人のために働いてこられた長年の過労のためでありましょうか、防衛政務次官に就任されたあとの八月十八日、郷里会合に出席されていた君は、突然からだの異常を訴えられたのだそうであります。実は私は、その翌日の八月十九日、ある会合で君と同席するはずでありましたが、その姿が見えないので、ふしぎに思い、お尋ねをしたところ、脳貧血で倒れたとのことでありましたから、そんな程度ならば常にあることだと深く気にもとめなかったのでした。ところが、その後九月半ば東京自衛隊中央病院に移ったことをお聞きをし、それでは相当の病状なのかと想像いたしましたが、まさかこんなことになろうとは、とうてい夢にも考えられなかったのであります。君が逝去された去る五日、私はたまたま選挙区に帰っておりまして、ラジオニュースで君の計を聞かされ、驚きのあまり、私はとるものもとりあえず君の実兄、岩沼市長のお宅をおたずねいたしましたところ、発病後の症状は全くのつるべ落としに悪化していったと聞かされ、私はお慰めのことばもありませんでした。あとになって知ったことでありまするが、東京自衛隊病院に移るとき、すでに病魔は君のからだを強くおかし、ほとんど意識さえも混濁した状態であったにもかかわらず、君を見送り、出迎える自衛官の敬礼を不動の姿勢で受けられ、「御苦労さん、お世話になります。」とお礼のことばをかけられたとのことでありまするが、私はこのことを聞き、君のみずからにきびしい御心情を思い、粛然として身の引き締まる思いがいたしました。(拍手)  いまや、わが国は、内政外交ともにきわめて重要な課題が山積し、多難な政局に直面いたしております。とりわけ、日中国交回復後のわが国外交あり方などが喫緊の政治日程中心となっているとき、私は、数少ない外交官出身政治家として、君がいよいよその真価を発揮されることを期待いたしておりました。しかし、このような君への期待もむなしく、天命とはいえ、卒然として六十五歳の生涯を閉じていかれましたことは、返す返すも残念なことであり、ひとり自由民主党のみならず、本院にとっても、国家にとっても大きな損失であり、哀惜の情ひとしお切なるものがあります。(拍手)  ここに、古内君の生前の御功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りいたしまして、追悼ことばといたします。(拍手)      ————◇—————  昭和四十七年度一般会計補正予算(第1号)  昭和四十七年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和四十七年度政府関係機関補正予算(機第1号)
  10. 浜田幸一

    浜田幸一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、昭和四十七年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十七年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十七年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三件を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  11. 船田中

    議長船田中君) 浜田幸一君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  昭和四十七年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十七年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十七年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三件を一括して議題といたします。     —————————————  昭和四十七年度一般会計補正予算(第1号)  昭和四十七年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和四十七年度政府関係機関補正予算(機第1号)   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  13. 船田中

  14. 坪川信三

    坪川信三君 ただいま議題となりました昭和四十七年度補正予算三案につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  この補正予算三案は、去る十月二十七日に予算委員会に付託され、十一月一日提案理由の説明があり、翌日より質疑に入り、本日、質疑終了後、討論採決をいたしたものであります。  まず、補正予算の概要を簡単に申し上げます。  一般会計は、歳入歳出ともそれぞれ六千五百十三億円を追加するものでありまして、歳入におきましては、租税自然増収及び専売納付金増収見込み等、総額二千九百十三億円を追加するとともに、財政法第四条に基づく公債金三千六百億円を増額することとし、歳出におきましては、公務員給与改善費地方交付税交付金、米の生産調整関係費及び義務教育費国庫負担金等義務的経費追加等二千二百四十二億円のほか、公共投資五千三百六十五億円を追加するとともに、予備費を含む既定経費を千九十四億円を減額することといたしております。  また、特別会計においては、一般会計予算補正等に関連して、道路整備特別会計ほか十四特別会計所要補正を行なうことといたしており、政府関係機関予算においては、日本国有鉄道については、運輸収入減収等に伴う所要補正日本電信電話公社については、事業規模の拡大を行なうための所要補正を講ずることといたしております。  次に、質疑について申し上げます。  質疑は、外交防衛経済等、きわめて広範にわたって行なわれました。  すなわち、外交に関しては、日中正常化後の外交方針日米安保条約あり方、今後の日台関係等について、また、防衛については、緊張緩和と四次防策定との関係防衛費の限界、防衛社会保障等にわたりましたが、まず外交防衛の基本的問題としては、「日中国交正常化自体は高く評価できるが、それ以後の政府動き、すなわち、日米安保条約の堅持、四次防の作成は、国際緊張緩和動きに逆行するものではないか」との質疑がありました。これに対し、政府より、「日中国交正常化は、八億の国民と一億の国民とが、従来の不幸な、不自然な状態から脱却して、お互いに相談し合っていける状態になったので、国際的な、特にアジア緊張緩和に役立つことは言うまでもない。しかし、日本対外的立場には長い間の歴史の重みがついているから、従来の立場を一挙に変えることは不可能であり、日本としては、日米安保条約及び関連取りきめは全体として維持していき、また、自国の防衛力は引き続いて保持していく」との答弁がありました。  さらに、「日中国交回復日米安保条約関係なく行なわれたとしても、安保条約にいう極東の範囲に従来どおり台湾を含ませ、また、佐藤・ニクソン共同声明の台湾条項をそのままに残しておくことは、中国への内政干渉となり、日中の友好関係を阻害することになるのではないか」との質疑がありました。これに対し、政府は、「わが国は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府立場を十分理解し、尊重しており、中華人民共和国と台湾との間の対立の問題は、基本的には中国の国内問題であると考える。わが国としては、この問題の当事者間の平和的解決を望むものであり、また、武力紛争に発展する現実の可能性はないと思う。万一の仮定の場合の議論をするのは、外交的に望ましいことではないが、万一の場合の安保条約の運用にあたっては、日中両国間の友好関係をも念頭に置いて、慎重に配慮していきたい。現実と論理的な面が必ずしも一致しない点もあるが、政府は、現実を踏まえて、平和に向かって前進しようと努力しており、その努力日中正常化となってあらわれたものと理解してほしい」との趣旨の答弁がありました。  次に、四次防において購入を予定しているFST2改、対地支援戦闘機は攻撃的性格を持っているとして、次のごとき趣旨の質疑が行なわれました。すなわち、「政府は、かつて、戦闘機の購入に際して、攻撃的な性能を持っているかいなかの判断は、爆撃装置を持つか持たないかによるものとの見解を示したことがあるにかかわらず、四次防で購入を予定しているFST2改には爆撃装置をつけることとしている。このことは、従来の政府の見解と食い違っており、攻撃的性格を持つものと判断せざるを得ず、憲法上問題があるのではないか」というのであります。これに対して、政府より、「わが国防衛力として保有すべき装備は、憲法上の制約により、自衛のため必要最小限度のものに限られることは言うまでもない。三次防の際には、要撃戦闘を任務とする、ある程度行動半径の長いものを選定することとしていたので、爆撃装置を施すことによって、他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるようなものとの誤解を生じかねないとの配慮のもとに、同装置を施さないこととしたものと考える。四次防で装備するFST2改は、わが国土及び沿岸海域において、わが国防衛に必要な支援戦闘を実施することを主目的とする戦闘機であるので、この任務を効率的に遂行するために必要な器材として爆撃装置をつけることとしている。しかしながら、同機の行動半径は短く、他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるおそれを生ずるようなものではない」との見解が示されました。  次に、田中首相の提唱されておる日本列島改造論について、公害、物価、福祉と成長、税制等、各種各様の面から質疑が行なわれましたが、特にその性格及び土地対策等につきまして、「列島改造の性格は、工業先行型、公共投資主導型、新工業都市の建設を柱としているが、これは過去に失敗した所得倍増計画や新全総の発想と同じであって、低福祉を条件とする生産中心であり、公害、自然破壊、ごみの蓄積等、人間のしあわせにつながらないのではないか。また、日本列島改造論が世に問われてから、土地の買いあさりだけが大規模に進められ、この五カ月間に全国の地価は平均五〇%も上昇している。土地対策をどうするのか」との趣旨の質疑が行なわれました。これに対して、政府より、「所得倍増計画等は、失敗でなく、成功したもので、国際収支の黒字をつくり、所得もヨーロッパと同じ水準に達した。しかし、現在の都市集中による大拠点主義を続けていくと、宅地難、物価高、公害等、デメリットが多くなるので、今後は量から質へ転換をはからなければならない。また、社会資本、社会保障の水準は欧米より劣っているので、これを理想的な水準に持っていくには、今後とも成長を続け、福祉と成長を調和させ両立させなければならないと考える。土地の買いあさりについては心を悩ましているが、これが列島改造論のせいであるとは思われない。外貨事情の関係で金融が緩和し、民間の余剰資産が土地と証券に投資されていることも一因となっている。思惑買いをした者に対しては、土地利用計画をかぶせたり、また、税制を活用するなどの方途を講じ、特別の利益が得られないよう、可及的すみやかに万全の措置を講じたい」との答弁がありました。  質疑は、以上のほか、日中平和友好条約、米軍毒ガス貯蔵、円対策、調整インフレ、物価、土地対策、農業、福祉計画の策定、年金問題、週休二日制、地方財政議員定数の是正、北陸トンネル列車火災事故、石狩炭鉱爆発事故、日航機ハイジャック事件、その他国政の各般にわたって、きわめて熱心に質疑が行なわれ、政府からそれぞれ答弁がありましたが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。  本日、質疑終了後、日本社会党、公明党及び民社党の三党共同提案による昭和四十七年度補正予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議提出され、趣旨説明が行なわれたあと、予算三案及び三党共同の動議を一括して討論に付したところ、自由民主党は、政府原案に賛成、三党共同提案の動議に反対、日本社会党、公明党及び民社党は、三党共同提案の動議に賛成、政府原案に反対、日本共産党は政府原案に反対の討論を行ない、採決の結果、三党共同提案の動議は否決され、予算三案は多数をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  15. 船田中

    議長船田中君) 昭和四十七年度一般会計補正予算(第1号)外二件に対しては、北山愛郎君外十八名から、三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議提出されております。
  16. 船田中

    議長船田中君) この際、その趣旨弁明を許します。細谷治嘉君。   〔細谷治嘉君登壇
  17. 細谷治嘉

    ○細谷治嘉君 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本社会党、公明党、民社党三党共同提案にかかる昭和四十七年度一般会計補正予算昭和四十七年度特別会計補正予算及び昭和四十七年度政府関係機関補正予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議につき、提案の理由とその概要を御説明申し上げます。(拍手)  すでに動議の案文についてはお手元に配付いたしてありますので、御参照いただきたいと思います。  今回の補正予算は、福祉優先の政策とは名ばかりであり、人間尊重、国民生活、福祉充実を願う国民世論に逆行するものとなっており、国民期待にこたえることはとうてい不可能であります。  政府補正予算の根本的欠陥は、すでに国内の景気回復が進み、国民総生産は大幅な伸びを示し、消費者物価のみならず、卸売り物価の高騰が見られるとき、あえて三千六百億円の公債を発行し、これを財源に大型予算を組み、第二次財投追加を行なうことは、景気を一段と刺激し、物価高騰、インフレを招く福祉軽視のインフレ予算だということであります。  いま、福祉優先の政策を実施するため必要なことは、高度経済成長の過程で生み出されたひずみや国民生活の犠牲、格差と不公平を是正することであります。しかるに、今回の補正予算は、相変わらず産業基盤投資に偏した公共投資を重点的に行ない、生活福祉関連施設の充実は軽視され、大企業本位、大土木業者中心の田中内閣の姿勢をあらわにしていることであります。  しかも、土地投機の規制や地価対策あるいは地方財政に何ら手を打つことなく巨額の公共投資を追加することは、地価暴騰に一そう火をつけ、地方自治を崩壊させ、予算を浪費する以外の何ものでもありません。  すなわち、このような補正予算は、国民福祉に逆行し、景気を一段と刺激するだけであって、政府のいう円対策には何ら役立たず、明らかに総選挙を目当てにした無計画、ずさんな、おおばんぶるまいだと申さなければなりません。(拍手)したがいまして、政府補正予算を容認することは断じてできないところであります。  以上が、日本社会党、公明党、民社党三党が共同して、政府案を撤回し、この組み替え要綱に基づいての編成替えを強く求める基本的な理由でございます。  次に、組み替えの重点及びその具体的内容を申し上げます。  第一に、補正予算を組み替えるにあたっては、人間尊重、福祉優先の政策を実施するため、長い間国民生活を犠牲にしてきた高度成長の経済運営を根本的に切りかえることが前提であります。今日、社会保障の飛躍的な充実、なかんずく老齢年金の拡充と社会福祉関連施設の緊急整備は、何にも増して最優先的に推進さるべきであります。  第二は、日中の恒久的友好関係を確立し、アジア緊張緩和推進するため、四次防計画を中止し、防衛費はこの際大幅に削減して、平和財政へと転換をはかるべきであります。  したがいまして、今回の補正予算は、以上の方針に沿い、緊急優先順位に基づいて、最低限、次のような要綱に従って組み替えを行なうべきであります。  その一つは、社会保障、社会福祉関係費等の増額であります。  まず、老人福祉対策の緊急性にかんがみ、老齢福祉年金については、現在七十歳以上、一人月額三千三百円を、昭和四十八年一月から一人月額一万円支給とすることにいたしております。四十七年八月現在の老齢福祉年金の受給者は三百三十一万人余りでありますが、その後の増加を五万人程度見込み、歳出額を六百七十六億円増額いたします。なお、四十八年度からの給付は六十五歳以上とするよう対処し、厚生、国民両年金については、老齢福祉年金一万円とあわせて、直ちに従来の積み立て方式を賦課方式に改め、同時に大幅増額を実施、支給できるよう、法改正等制度の抜本的改正を行なうものであります。  また、老人福祉関係費については、寝たきり老人、一人暮らし老人対策等の緊急措置として、既定予算計上額の第四・四半期分の予算をほぼ倍増させ、百億円を追加することとし、難病対策では、医療の無料化、施設、調査、研究等の拡充を目ざし、当初予算のほぼ倍増、十億円を増額し、さらに社会福祉関連諸施設の充実のため、社会福祉施設整備費、国立病院及び療養所施設費などの経費として百億円を追加増額することといたしております。  以上によりまして、社会福祉充実の緊急対策として、合計八百八十六億円の追加増額と相なるのであります。  その二は、歳出予算の減額であります。  一つは、公共事業関係費の削減であります。すなわち、公共投資追加のうち、景気刺激を招く産業基盤投資に偏した公共事業費その他の施設費は、この際削減することにいたしております。したがいまして、公共投資の追加五千三百六十五億円のうち、災害復旧事業費、道路整備費中国民生活に密着した市町村道の改良等、及び住宅対策、生活環境施設整備、その他社会福祉諸施設、文教施設等を除き、三千百四十八億円を削減することといたしております。  二つ目は、国債整理基金特別会計への繰り入れ金については、公債の追加増発を取りやめることにより、これを削減し、緊急を要しないその他の費用と合わせて二十九億円を削減することといたしております。  三つには、既定経費の節減であります。政府補正においても、既定経費につき三百九十四億円の節減を行なっているのでありますが、内容精査の結果、既定経費の五%に相当する金額を節減し、新たに三百三十六億円を加え、合わせて七百二十九億円を節減することといたしております。  四つには、予備費千八百億円を半減することとし、政府補正と合わせて九百億円を減額することといたします。  五つには、防衛関係費の削減であります。日中国交回復の実現により、アジアの緊張が緩和の方向に向かおうとしているとき、四次防計画に基づく軍備増強政策を改めることは国民的な要求であります。しかるに、巨額の公債を発行する一方で、防衛関係費を既定予算のまま温存することは、国民福祉に逆行するのみでなく、インフレ、軍事予算の再現につながる危険性をはらんでいると申さなければなりません。防衛関係費のうち、武器、車両、航空機、艦船、施設整備研究開発等の装備費は三千九十二億円にのぼっております。そこで、ほぼその四分の一を減額し、事業の執行を停止することが、国民期待にこたえ、平和への道を進むものであり、この際、七百七十三億円を減額しようとするものであります。  以上申し上げました諸施策を実施することにより、公債発行予定額の追加三千六百億円は増発の必要がなくなり、全額削減することができるのであります。  かくして、一般会計補正予算歳出追加額の合計は五千三百十五億円となるのでありますが、既定経費の節減、予備費の減額及び防衛費の削減が行なわれるため、この組み替え案による歳入歳出の規模増加額は二千九百十二億円と相なり、政府案の六千五百十二億円の規模増に比し、三千六百億円の縮小と相なるのであります。  以上、日本社会党、公明党、民社党、三党共同組み替え案の理由及び概要を申し上げましたが、これらは当面緊急を要する最低限度の要求であります。政府は、いさぎよく今回の補正予算案を撤回し、政治の流れを変えるため、すみやかに組み替えを行ない、再提出されるよう強く要求いたしまして、趣旨弁明を終わります。(拍手
  18. 船田中

    議長船田中君) これより、補正予算三件に対する討論と、動議に対する討論とを一括して行ないます。順次これを許します。田中正巳君。   〔田中正巳君登壇
  19. 田中正巳

    ○田中正巳君 私は、自由民主党代表して、ただいま議題となっております補正予算三案につきまして、政府原案に賛成し、三党共同提案の組み替え動議に反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)  今日、わが国をめぐる内外の情勢はきわめて流動的であり、新しい政治課題が山積いたしております。さらに先般の田中総理の訪中という大英断によりまして、日中国交の正常化が確立され、四分の一世紀以上の長きに及んだ両国間の不幸な断絶に終止符が打たれたのであります。日中国交正常化の達成という大偉業は、時代の流れの中にあって、よく国際情勢と国民世論を踏まえたわが党政府の決断と実行の政治姿勢を如実に示したものとして、高く評価さるべきものであります。(拍手)  しかしながら、他方、わが国が独立国家として安全を確保するため、日米安全保障条約はこれを堅持し、また、自衛力を整備していく必要があることは言うまでもありません。私は、外交上の輝かしい成果をあげたこの際にこそ、わが国民が国際政治現実動きを直視しながら、みずからの生命財産を守るためには、いかなる安全保障の方途を講ずべきかという問題を真剣に考えることを期待してやまないものであります。(拍手)  日中復交が成ったからといって、直ちに安保無用論や廃棄論を叫ぶのは、日本人特有のせっかちさからか、はたまた反米論からか知りませんが、およそ現実的な議論ではありません。現に、独ソ条約が成立したからといって、NATO条約やワルシャワ条約機構を廃棄せよという論がヨーロッパではないではありませんか。いま少しく冷静に世界の情勢を知っていただきたいものだと思うのであります。(拍手)  最近、世界は緊張緩和の方向に動きつつあるのでありますが、さればといって、いまだ国連が国際紛争の解決に絶対的なきめ手を持たない今日、不測の事態に対応し、国土を守り、国民の生命財産を保障するために、国力に相応した程度の防衛力を持つことは、独立国として当然のことであります。  いわゆる四次防の四兆六千三百億という金額も、今年度のわが国防衛費が八千億であり、その五カ年分、すなわち五倍の四兆円を若干上回った金額にすぎませんし、現に西独の防衛費の二年分程度の金額であり、また国民一人当たりの年間防衛費は約八千円で、世界の一流国としてはきわめて小さな金額であります。これをしも不相応な金額、規模という論をなす者は、事実を知らざるか、はたまた他の特殊な意図を持つ者としか考えられないのであります。(拍手)  次に、経済問題に目を転じますと、昨年来続いている不況も、政府、民間の努力により、今春ごろよりようやく回復に向かい、今日では、実質で年率一〇%以上の経済成長率を見られるほどに活気を呈するようになりました。  しかし、現在最も問題となっているのは、言うまでもなく国際収支の黒字、外貨の累積であり、十月末の外貨準備高が百七十八億ドルにも達しております。このまま推移するならば、諸外国のわが国に対する貿易均衡を求める圧力はますます増大し、ついには円平価の再切り上げというきわめて重大な局面さえ予測されるのであります。本問題に対する本格的対策は今後大きく展開されるものと思われるのでありますが、今回の補正予算の内容も、このような異常事態解消の一助になるものと信ずるのであります。  さらに、補正予算の特色となっているのは、五千三百数十億円にのぼる公共投資の追加であります。  わが国の社会資本の整備は、欧米に比して大きく立ちおくれておりますので、これに対する国家的要請はきわめて強いものがあります。金融超緩和のこのときに、公債の追加発行を財源とした大型の補正予算を編成し、住宅、公園、上下水道、道路等、生活環境の整備をはかることは、まことに時宜を得た財政政策でありまして、これにより、福祉の充実と並んで、内需の拡大、輸出の抑制、輸入の増大に役立たせようとする、まさに一石二鳥の案であると考えられるのであります。  なお、試算によれば、この補正予算により、年間十五億ドル程度の貿易収支の改善が見込まれるのでありまして、これは国際収支対策上、減税以上の効果を生むものと信ずるのであります。  また、一部には、財政支出の増大を理由に、インフレの心配をいたす向きもありますが、わが国経済においては需給ギャップが依然として残っており、この程度の財政支出の追加では、直ちにこのことによってインフレを招来する心配はないものと思うのであります。  このほか、公務員給与改善につきましては、民間給与の上昇に見合って毎年改善を行なっているところでありますが、政府は、過般の人事院勧告を完全実施するために、四月にさかのぼってベースアップを行なわんとするものであり、労使関係の正常化をはかる上からもまことに適切な措置であります。  最後に、経済政策の基本について申し上げたいと思います。  わが国を取り巻く経済情勢はきわめてきびしく、国際社会の中において安定的成長を続けてまいりますためには、日本経済の国際化、経済機構、産業構造の改革は当然でありまして、まさに発想の転換を必要とされる時期が到来しておるのであります。わが国は、長い間国際収支の赤字国としての苦悩を味わってまいりましたが、いまや一転して黒字国の責任という重圧にあえいでいるのであります。景気の不況を理由に黒字を説明できる時代は過ぎ去ったのであります。輸出優先、なりふりかまわぬもうけ主義の経済は、国際社会の中ではもはや通用しなくなりました。わが国は、いまや経済大国として、世界の経済交流を安定拡大し、自由貿易を維持していく大きな責任を課せられております。  近代国家としてのわが国は、政治の流れを変え、新しい時代に即応していかなければなりません。明治百年の間の大都市集積のメリットの時代は過ぎ、いまや過密過疎、公害等のデメリットが目立つ時代に入りました。国内の経済社会の構造も再検討、再出発しなければなりません。さらに、国家の目的が、社会資本の整備をはかり、年金制度の充実等を主軸とした豊かな福祉社会を建設することにあることは、いまや時の流れでもあり、時代の要請でもあります。  本補正予算は、かかる政策転換を指向する第一歩として、財政面より内需を喚起し、輸出抑制と輸入促進により国際収支の均衡回復をはからんとするものであり、まことに時宜を得たものと考える次第であります。  次に、野党三党提出の組み替え動議でありますが、残念ながら私どもはこれに反対をいたさざるを得ないのであります。  その理由の第一は、前に述べたとおり、当面の最も大切な円対策について何らの見るべき配慮が見られないのであります。  第二に、防衛費をいたずらに削減することについては、さきに述べた理由により、現実的な施策とは認めがたいのであります。  第三は、公共事業関係は特殊なものを除き削減するのは、現下のわが国社会資本の著しい立ちおくれに対応し早急に対策を立てねばならないという当面の国家的要請を無視しているからであります。  第四に、老齢者対策に対する予算のずさんさであります。老人対策は目下の重要施策であることは同感でありますが、単に老齢福祉年金を増額するだけを考えておられるようですが、年金の三つの柱である障害、母子の年金をいかがにお考えになっているか、お忘れになっているのではないかと思うのであります。また、予算金額についても、きわめて不正確な数字をお用いになっております。さらに、驚いたことには、老齢福祉年金を来年一月から三カ月間計上をするということになっておりますが、一月から三月まで計上するならば、この福祉年金は年四回支給でありまするから、予算の計上の必要がないのであります。かような予算編成の基本のルールを御存じなしに組み替え動議をお出しになった野党の不勉強さかげんは、まことに驚く以外の何ものでもありません。(拍手)  さらに、拠出年金についても、単に賦課方式に改めればよいということでは、あまりにも年金制度についてのしろうと的論議であります。従来の積み立て方式をどう具体的に切りかえるか、厚生年金、国民年金、各種共済制度等との間をいかにすべきか、複雑慎重な考慮と検討を要する問題であることは、与党の年金制度改善の担当者である私が最もよく腐心をしているところであります。(拍手)このような点について配慮を欠くこの動議は、これこそまさしく選挙目当ての場当たり組み替え動議というべきでありましょう。(拍手)  以上により、私どもは、同組み替え案動議には残念ながら反対せざるを得ないのであります。  以上の理由により、私は政府原案の補正予算三案に賛成し、野党共同提案の組み替え動議に反対し、討論を終わるものであります。(拍手
  20. 船田中

    議長船田中君) 原茂君。   〔原茂君登壇
  21. 原茂

    ○原茂君 私は、日本社会党を代表いたしまして、昭和四十七年度補正予算政府三案に対し反対、社会、公明、民社三党提案の組み替えを求める動議に賛成の態度を表明いたしたいと存じます。(拍手)  本臨時国会は、田中内閣が成立いたしまして最初の国会であります。そしてまた、田中内閣の手によって初めて編成された予算が今回の補正予算なのであります。  したがって、国民は、この国会並びに本補正予算案に大きな関心と期待を持ったものでございました。今日の物価高と公害、社会保障、住宅の立ちおくれなど、いま悩んでいる問題に、決断と実行力の田中内閣が何かやってくれるのではないか、庶民性が売りものならば、庶民の気持ちがわかる政治への徴候でも見出せないか、これが国民の偽らざる気持ちであります。また、日中国交回復によってかもし出されました平和ムードを定着化させ、日本が軍国化の方向をたどらないという保証が得られるのではないか、こうした期待が広がっておったのは当然でございました。  国会が始まってすでに二週間近くなりますが、残念ながら国民のこのような期待は完全に裏切られたといわなければなりません。(拍手)何よりもまず、今回の補正予算は、国民の台所を圧迫するインフレ、物価上昇予算であるからであります。  四月の物統令適用廃止のときには、政府消費者米価は上げないといいながら、米の値段を上げる、ガス料金が値上がりする、地下鉄料金が上がる、その他公共料金や日常諸物価が次々に値上がりする中で、勤労者の家計は深刻に圧迫されています。台所のやりくりをしている主婦たちは、ほんとうに悲鳴をあげているのが現状ではないでしょうか。  申し上げるまでもなく、物価上昇の原因はいろいろとあるでしょう。独占価格、管理価格など、価格が独占資本擁護のカルテルなどを通じて硬直している問題もあれば、流通機構が著しく前近代的な要素を持っているといった問題もあります。地価のとほうもない値上がり、特に日本列島改造論に便乗した土地投機や買い占めが物価上昇に拍車をかけておることは、皆さんよく御存じのところと存じます。  当然私は、これらに対する有効な措置を総合的な観点から行なうとともに、政府財政金融政策の運用よろしきを得ることが、物価対策の枢要な課題であると思うのでございます。  では、財政金融政策の運用よろしきを得るとは一体何か。それは、あまりに多く国債にたより過ぎる財政資金の調達を押え、悪性インフレへの道に歯どめをかけるとともに、国民が緊急に必要としている社会保障や住宅や公害対策に重点的に支出をふやして、予算の構造を変えることであります。  大型補正予算を組むなら、ここで思い切って直ちにお年寄りの福祉年金を月一万円に上げたらどうでしょうか。六十歳以上の老人千百万人のうち、公的年金の受給権者はわずか百万人ちょっとなのです。一千万人近くのお年寄りが、年金制度のワク外に放置されている現状から、いろいろと悲惨な老人問題が起こっていることは御承知のとおりです。老人の自殺率は、まことに遺憾ながら世界有数ではございませんか。難病や長期療養患者や重度障害者の治療費や施設などをどんどんつくることも、いま国民の切実な要求でございます。  四次防に国民一人当たり五万円の負担をかけるというのに、政府はいま困っている国民に対する予算措置は、できるだけ安上がりに済ませようといたしておるのがこの補正予算でございます。そして、補正予算六千五百億円の半分以上にも当たる三千六百億円という巨額の資金を国債でまかなうことにいたしておりますが、当初予算の一兆九千五百億円の国債発行額を合わせますと二兆三千億円、実に一般会計規模の二〇%にも近くなる額でございます。この借金の大膨張がインフレを促進することは、火を見るよりも明らかでございます。  私は、田中総理は歴代保守党の首相としては、決断と実行力において傑出した人であると信じます。しかしながら、この傑出した総理が、福祉を口にしながら、それが具体的政策とならず、ムードに終わっているのは、一体どういうわけでしょうか。  私の記憶では、田中総理は確かに年度内減税を言われておりましたが、今回の補正予算において、減税のゲの字もないことは、まことに解せないところでございます。税金の重みにたえかねている庶民にとっては、期待はずれもはなはだしいといわなければなりません。  五万円年金なるものもけっこうでございますが、国民年金の場合、十四年先の話なのです。年とって所得能力を失った国民は、いま生活できる年金をほしがっているのであり、十四年先の希望を食って生きていくわけにはまいりません。  予算委員会質問の中でやりとりのありましたC1輸送機、三十億円もするこれ一機だけでも、ガン治療のための原子炉なら少なくとも三基、心身障害者や寝たきり老人のための病院、リハビリテーション施設なら何十カ所もできるわけであります。  察するに、田中総理は、減税もやりたい、年金もいますぐ出したい、C1輸送機を多少減らしても福祉のほうに回したいと考えられたかもしれません。いやしくも福祉を言うからには、コンピューターつきと呼ばれる田中総理に、それくらいの数字の計算がないとは考えられません。  ところが、現実の四次防予算や今回の補正予算においては、これらの施策がさっぱり具体化されていないのは一体どういうわけなのでしょうか。「ままならぬは賀茂川の水と叡山の法師」と後白河法皇が嘆いたあの故事になぞらえれば、このすぐれた宰相田中角榮氏にして「ままならぬは官僚」なのでしょうか。私は、コンピューターにそろそろ狂いが生じつつあるのではないかと心配をいたしておるものであります。(拍手)もし、コンピューターが狂ったとするならば、日本列島がブルドーザーで破壊されかねないから心配いたすのであります。そして、現実日本列島改造論の構想に沿って、現に六千五百億円の一般会計補正、五千億円の財政投融資という大型補正予算が組まれ、「福祉抜き、インフレつき」のおおばんぶるまいが行なわれようといたしております。この補正予算が、いわゆる十五兆円予算の玄関口であるとするならば、一級建築士たる田中総理がつくる十五兆円予算の豪華美邸ははたして青写真がしっかりできているのでしょうか、心配です。国民の住めない、一部の人たちしか使えないものになりはしないかと心から心配いたすものであります。  ところで、賢明なる田中総理は、「野党の言うことでもよいことは何でも取り入れる」と公言されてまいりました。もし、その言にして偽りがなければ、わが党及び公明、民社三党のまさに福祉を優先する補正予算組み替えの動議を、予算委員会においてなぜにべもなく拒否されたのでありましょうか。こんな姿勢だからこそ、野党に耳を傾ける全閣僚の厳粛さはなく、閣僚の中でも、たとえば口を開けばピンぼけ放言をなしたり、あるいはまた、遺憾なくいまはやりの「こうこつぶり」を発揮する大臣など、国民のひんしゅくを買っているのであります。田中総理は、はたしてこのことを持っている重要な意義を十分理解されておられるでしょうか。  田中内閣の姿勢について、さらに強く指摘しておきたいことがございます。それは、わが党の同僚議員によってすでに指摘されましたとおり、憲法じゅうりんを一歩進める四次防と、これと一体となった産軍癒着の災いの問題であります。  FST2改の爆撃装置に関する政府の統一見解は、たとえこの機種がF4Eファントムより航続距離が短いとしても、「爆撃装置を持つことは平和憲法の限界を越える」と言ってきた従来の政府見解を明らかに越えるものであり、憲法じゅうりん行為のエスカレートであります。しかも、こうした軍備強化の基礎に、軍需産業の急速な発展があり、注文を受ける企業の都合によって、たとえばC1輸送機の値段が二倍にもはね上がり、そのために計画機数を半減するような不当な契約が公然と行なわれているのであります。私は、このような産軍結合の実態について強く警鐘を鳴らしておきたいと存じます。  問題は、日中国交回復、南北朝鮮統一の機運、ベトナム停戦の話し合いの進行といった新たな国際情勢の展開の中で、積極的に平和の旗振りの役割りを果たすべき日本にとって、四次防を急いでやらねばならぬ理由がどこにもないということであります。  また、春風が吹いてあたたかくなってきたのに、なぜまたいま厚着をしなければならないのか、国民にとっては納得のいかぬところでございます。政府は、四次防をすみやかに中止し、十分に情勢を再検討して、わが国の安全保障の方途を探るべきだと存じます。  なお、私は、今回の補正予算が円対策の一環として組まれていることに言及したいと存じます。  政府は、国内の景気回復が進み、消費者物価のみならず、卸売り物価も上昇しつつある今日、あえて大型補正予算を組むことにより、いわゆる調整インフレ的効果を期待しているものと考えられますが、こうしたインフレ政策庶民生活を圧迫するものであることは、すでに指摘したとおりでございます。しかし、かかる政策をもってしても、円の両切り上げは必至の情勢であり、中小企業や国民生活への打撃を防ぐ事前の手だても直ちに配意すべきときだと存じます。  インフレで圧迫され、福祉は値切られ、四次防の税負担を強要され、公害で悩む国民生活の前途は、暗たんたるものがございます。今回の補正予算にしても、十五兆円予算構想にしても、何でも大型で、「大きいことはいいことだ」というのが田中内閣財政政策の特徴のようでございますが、この大型の中身は、国民にとっては要するにたいへん高値につくということを意味するようでございます。  私は、田中内閣が初めて編成した今回の補正予算が、物価、公害、社会保障、税金の諸般にわたって……
  22. 船田中

    議長船田中君) 原君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  23. 原茂

    ○原茂君(続) 高くつく政府としての田中内閣の性格を示したものとして注目いたしますとともに、このような国民期待を裏切る施策に対し明確なる反対の態度を表明し、ただいま細谷議員より心を込めて提案のありました、わが党並びに公明、民社三党による組み替え動議に心から賛意を表しまして、私の討論を終わります。(拍手
  24. 船田中

    議長船田中君) 多田時子君。   〔多田時子君登壇
  25. 多田時子

    ○多田時子君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十七年度補正予算三案に反対し、日本社会党、公明党、民社党三党共同提出補正予算二案の組み替え動議に賛成の討論を行ないたいと思います。(拍手)  まず初めに申し上げたいことは、田中総理の「日本列島改造論」は、これまでの経済成長一本やりの政策が、今日の弊害をもたらしたという深刻な反省もなく、高度経済成長を維持し、持続させ、かつまた、日中交渉以後もことさらに日米安保の堅持を強調し、さきの車両制限令の改悪、あるいはB52の沖繩飛来の容認等、国内法を安保条約に従属させ、米軍の自由を大幅に認めるというはなはだ危険な軍事優先政策をとり続け、しかも、アジア緊張緩和の方向に逆行する総額五兆一千億にも達する四次防計画を強行しようとしているのであります。  四次防計画は、三次防に比べて量的に膨大なものであるだけでなく、質的にも攻撃的装備を含むものであることは、予算委員会で明らかにされたところであります。このことは、平和と福祉を願う国民の意思にそむくといわざるを得ませんし、まことに遺憾であります。  さて、今回の補正予算は、福祉充実のための社会保障関係費の増額や、生活水準向上のための所得税減税を待ちわびていた国民の、今度こそは国民生活優先の政治を、という期待に全くこたえておりません。  すなわち、政府提出補正予算案は、依然として国民福祉を無視し、加えて、円対策に名をかりた景気刺激のインフレ予算、選挙目当ての場当たり予算であります。田中総理が声を張り上げておっしゃっておられた、「国内にあっては国民福祉の向上に最善を尽くすことを政治の目標としてまいります。」そして「世界の国々からは一そう信頼され、国民の一人一人がこの国に生をうけたことを喜びとする国をつくり上げていくために、全力を傾けてまいります。」という所信表明演説は、この補正予算等によってそのそらぞらしさを国民に与えました。(拍手)まさにこの補正予算によって田中内閣の本質が暴露されたと言っても過言ではないでありましょう。(拍手)  以下、政府提出補正予算案に対する反対理由を述べ、それと関連して三党提出の組み替え動議に賛成する理由を述べたいと思います。  政府案に反対する最大の理由は、政府案が三千六百億円にのぼる巨額な公債を発行し、一般会計の追加規模六千五百十二億円、財政投融資の第二次追加五千三十億円を含めて事業ベースで一兆五千億円という超大型予算を編成したことであり、福祉軽視のインフレ予算であるからであります。  すでに国内景気は順調な回復過程を進んでおり、本年度改定経済見通しでは、名目成長率は一四・八%が見込まれております。日銀筋の見方では、いまの段階で大型補正予算を編成することは物価上昇に結びつく危険があり、財政が福祉や対外調整との関係でどうしてもふくらむものであれば、金融政策面で対策を考えなければならないという状況下にあるのであります。このような時期に、何ゆえに巨額な公債を増発し、超大型補正予算を編成しようとするのか、理解に苦しむのであります。  政府は、円再切り上げを防止するために国内景気を浮揚させ、輸出圧力を減退させなければならないと説明しております。しかし、国内景気が沈滞していたことが、輸出ドライブの一因になっていたことは認めるにやぶさかではないにいたしましても、景気上昇が直接輸出抑制に結びつくという考えは認めることはできません。輸出の増勢の原因は、政府・自民党が戦後一貫してとり続けた、産業優先、輸出至上主義によって固められた経済体質や産業構造にあるのであって、景気の浮揚によってすべてが解決するがごとく宣伝する政府の姿勢は、事の本質に故意に目をつぶろうとしている以外の何ものでもなく、結局は、一時的には輸入がふえることがあったとしても、最終的には景気過熱、民間設備投資再燃、輸出増加へという従来のパターンを繰り返すことは想像にかたくないのであります。(拍手)  すでに、卸売り物価は八月〇・七%、九月〇・九%という上昇率を続けており、年初来の上昇率は二・六%に及んでいるのであります。四十一年から四十六年までの年平均上昇率が一・七%程度であることと比較して、驚くほどの上昇率を示しているのであります。この状態が今回の超大型補正によってさらに激化されるとすれば、当然のこととして懸念されるのが、消費者物価への波及であり、昭和四十一年から四十六年までの卸売り物価と消費者物価の関係、すなわち、卸売り物価一%の上昇は消費者物価の三・三%の上昇を誘発するといわれることから見て、消費者物価の高騰にさらに拍車がかかることは必至といわなければなりません。  私どもは、インフレを高進させ、消費者物価の高騰によって国民生活を苦しめさせることが予想される補正予算案に強く反対するものであります。なお、この意味から見ても、三千六百億円の公債を削減すると同時に、補正予算規模を縮小し、なおかつ、老人年金の増額ほか国民福祉の充実、向上を重点に補正予算を組み替えることを提案した三党共同の組み替え動議に賛成するものであります。(拍手)  さらに政府案は、産業優先の公共投資を何にも増して重視しているのであります。  その証拠に、一般公共事業三千八百十九億円のうち生活環境施設は一六%の六百十六億円にすぎず、道路整備関係予算は、地方道路分はあるにしても一千四百七十八億円であり、いってみればその大部分を産業基盤整備に費やしているのであります。従来の高度成長のパターンは民間の設備投資と産業基盤整備に公共事業がリンクしたものであり、また産業基盤整備公共投資がさらに民間設備投資を誘発するという繰り返しだったのであります。しかも、公共事業遂行上欠くことのできない土地利用及び地価対策については、何ら具体的な政策を打ち出していない現状であります。  公明党が今回発表した「大手不動産業者による土地買い占めの実態」の中間報告によって明らかにされたように、「日本列島改造論」が全国にわたって土地の投機的買い占めをあおっているのであります。当然予想される結果は、公共事業費の三割近くが用地費に費やされているといういままでの状況をさらに悪化することになるのであります。公共事業が土地対策の無策によって用地費の増大を余儀なくされることは、結局、国民の税金がむだ使いされることになるわけであります。  また、公共事業拡大に伴って、地方財政への負担の増圧は約三千億円にのぼるとされていますが、その大部分を地方債の発行にたよろうとしております。これは、最終的には、地方財政負担は住民の負担に結びつくのであります。産業優先の公共事業と土地対策の無策によって国民大衆が犠牲にされるということに対して、全く納得できないのは当然でございましょう。  われわれは、以上のような理由で補正予算に対し反対するものでありますが、最後に一言申し上げたいのは、これらの納得することのできない補正予算の背景には、日本列島改造論によって高度経済成長を維持し、持続させようとする田中総理の政策の基調から、来年度予算につなぐ公債発行、公共事業による大型補正予算生まれ、総選挙目当ての景気刺激が前面に出たと言うことができるのであります。田中内閣の独善的政策によって政府補正予算が成立するならば、インフレの危険はさらに増大し、国民生活が一そう苦しみを増すことは明らかであります。  かかる理由から、私どもは、断じて政府補正予算案を認めることはできないのであり、国民福祉を優先した日本社会党、公明党、民社党三党共同提出の組み替え動議に賛同し、討論を終わります。(拍手
  26. 船田中

    議長船田中君) 吉田之久君。   〔吉田之久君登壇
  27. 吉田之久

    ○吉田之久君 私は、民社党を代表して、政府提出昭和四十七年度一般会計補正予算案等三案に対し、一括して反対するとともに、日本社会党、公明党及びわが党の共同提案になる補正予算案の組み替え動議に賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)  私がここであらためて申し上げるまでもなく、いま、わが国政治がなさなければならない最大の急務は、久しく続いた高度経済成長政策の結果、最大の利益を得た大企業、大資本の権力的経済支配を、もはやこれ以上許してはならないということであります。そして今日までの、国民を軽視し、人間を消耗品扱いにしてきた政治経済と訣別し、いまこそ、豊かな福祉にささえられた人間尊重の政治に一大転換をはからなければならないということであります。にもかかわらず、田中内閣は、これまでのよどみ切った惰性の政治から一歩も抜け切れず、明らかに国民期待を裏切った政策を継続しようとしております。決断と実行をスローガンに掲げ、庶民宰相をあえて売りものにして、国民に何がしかの期待感を持たせた田中内閣の仮面は、早くもこの政府予算案によって、みずからの手ではぎ取ったというべきでありましよう。  すなわち、その第一は、大企業、大資本の経済活動を一そう促進するため、産業基盤整備を目的とした大土木事業に重点を置き、一般公共事業関係費を突如として三千八百二十億円も計上した反面、緊急を問われている福祉関係費は、わずかに千百三十四億円しか計上していないという予算編成態度そのものであります。しかも、問題は、景気浮揚を目標とした当初予算がいまだ十分に消化されていない今日、さらに三千六百億円もの追加公債を財源とした補正予算案を上積みしようとすることであります。察するに、田中内閣は、あらゆる理由を見つけて、より多くの財政資金を土建業と不動産業につぎ込む企てを露骨にあらわしたといわなければなりません。(拍手)したがって、このような反国民的な政府補正予算案を認めることは断じてできません。  私が政府補正予算案に反対する第二の理由は、ただいま申し上げたように、当初予算に組まれた公共事業費が未消化の現状にありますから、むしろ行政の側から予算の執行を強要する事態が各所で見られ、ゆえに工事単価が急速に高まるなど、行財政がインフレを促進する傾向が出始めていることであります。したがって、いま、この政府案を認めるならば、一挙にふえる資金のだぶつきは一そう一般物価の上昇を刺激することに重大な問題があります。すでに卸売り物価が戦後最高の上昇率を示しているのも、言うならば、田中内閣のこうした財政乱費傾向をいち早く見越した経済界の反応であると見るべきでありましょう。まさに田中内閣こそは、物価上昇とインフレ地獄の中に再び国民をおとしいれる暴政のきざしを見せ始めたというべきであります。  第三の反対理由は、六千五百十二億円の政府補正予算案のうち、約六〇%が一般公共事業関係費であって、いかにも総選挙を意識した、見せかけのおおばんぶるまい予算であるということであります。国民生活の安定や福祉の向上に大きな責任を持たなければならない政治が、このような思いつき、人気取り政策を厳正なるべき予算案の中に盛り込んだことは、許せない行為であります。まさに、このことは、物価の上昇と福祉の貧困に泣く国民の苦痛に、麻薬をかがせるにひとしい悪政というべきであります。  田中内閣内政面での初仕事は、かくて国民の血税を無定見、無責任に乱費し、退勢傾向の強い政府・与党の歯どめに使ったといっても過言ではありません。  政府は、口に福祉充実を唱えながら、その実、何一つ決断も実行もいたしておりません。もし、そうでないというのであるならば、政府は直ちに、今国会に五万円年金案を上程すべきであります。われわれ野党は、委員会審査を省略してでも、直ちに本会議で満場一致の賛成を与えるでありましよう。(拍手)  われわれ三党は、ここに国民の声を代表して、いま国民が最も渇望している福祉政策の強化のために、具体的な組み替え動議提出して、政府の反省と政府案の撤回を求めているのであります。  われわれは、この予算案を組み替えることによって、直ちに七十歳以上の老人に、さしあたり月一万円の福祉年金を贈ることを実現し、また、積み立て方式から賦課方式への切りかえによって、先進国並みの厚生年金と国民年金の支給を行ない、さらに、寝た切り老人や一人暮らし老人をあたたかく守る措置を具体的に講じようとするものであります。そうして、総選挙を意識して、実行する気もなしに五万円年金を口ばしる政府・与党に、猛省を促さんとするものであります。(拍手)  要するに、福祉国家建設は、かけ声ばかりではどうにもなりません。一にも二にも実行あるのみで、われわれは、まず態度で示そうではないかという意欲に満ちた出発を、この組み替え案に盛り込んだのであります。したがって、政府は、率直にこの組み替え動議に従い、われわれとともに、この補正予算を手始めとして、福祉国家建設への政治の第一歩を歩み出すべきであります。「あやまちを改むるにはばかることなかれ」という古人の教えに従うべきであります。  最後に、私は、国民の世論に敏感なる政府国民の要請に忠実なる政府になるためには、田中総理は、日本列島の改造よりも、まず、独断と自己過信に満ちているあなた自身の改造を行なわれることを強く要請いたしまして、(拍手政府案に反対し、組み替え動議に賛成する討論を終わります。(拍手
  28. 船田中

    議長船田中君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、北山愛郎君外十八名提出昭和四十七年度一般会計補正予算(第1号)外二件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。  北山愛郎君外十八名提出動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  29. 船田中

    議長船田中君) 起立少数。よって、北山愛郎君外十八名提出動議は否決されました。  次に、昭和四十七年度一般会計補正予算(第1号)外二件を一括して採決いたします。  三件の委員長報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  30. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、三件とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  日程第一 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(第六十八回国会内閣提出)  日程第二 一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 法務省設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案内閣提出
  31. 船田中

    議長船田中君) 日程第一、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(第六十八回国会内閣提出)、日程第二、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案日程第三、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案日程第四、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案日程第五、法務省設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、右五案を一括して議題といたします。     —————————————  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(第六十八回国会提出)  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案  特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案  法務省設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  32. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。内閣委員長前田正男君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔前田正男君登壇
  33. 前田正男

    ○前田正男君 ただいま議題となりました五法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(第六十八回国会、閣法第五四号)について申し上げます。  本案は、予備自衛官手当の月額を五百円増額しようとするものでありまして、第六十八回国会提出され、今国会まで引き続き継続審査となってきたものであります。  十一月六日質疑を終了いたしましたところ、野呂委員より、施行期日についての修正案が提出され、趣旨説明の後、討論もなく、採決の結果、多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。  次に、給与改定三法案について申し上げます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案は、本年八月十五日付の人事院の勧告に基づいて、勧告どおり全俸給表の全俸給月額、医師の初任給調整手当、扶養手当及び通勤手当の額の改定等を本年四月一日から実施しようとするものであります。  特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案は、一般職職員給与改定に伴い、特別職職員の俸給月額の改定等を行なおうとするものであります。  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案は、一般職職員給与改定の例に準じ、防衛職員の俸給月額の改定等を行なおうとするものであります。  右三法案は、十月二十七日本委員会に付託、十一月六日政府より提案理由の説明を聴取し、質疑に入り、これを終了、討論もなく、採決の結果、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決し、他の二法案はいずれも多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  最後に、法務省設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、羽田入国管理事務所の廃止及び成田入国管理事務所の設置を新東京国際空港の供用開始の日としようとするものでありまして、十一月二日本委員会に付託、十一月六日政府より提案理由の説明を聴取し、質疑に入り、これを終了、討論もなく、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  34. 船田中

    議長船田中君) これより採決に入ります。  まず、日程第一、第三及び第四の三案を一括して採決いたします。  日程第一の委員長報告は修正、第三及び第四の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  35. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり決しました。  次に、日程第二につき採決いたします。  本案は委員、長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第五につき採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  37. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第六 防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律案災害対策特別委員長提出)  激甚(じん)災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案災害対策特別委員長提出
  38. 浜田幸一

    浜田幸一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、日程第六は委員会の審査を省略し、本案とともに、災害対策特別委員長提出、激甚(じん)災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案委員会の審査を省略して追加し、両案を一括議題となし、委員長の趣旨弁明を求め、その審議を進められんことを望みます。
  39. 船田中

    議長船田中君) 浜田幸一君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日程第六、防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律案、激甚(じん)災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————  防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置法案等に関する法律案  激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  41. 船田中

    議長船田中君) 委員長の趣旨弁明を許します。災害対策特別委員長高田富之君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔高田富之君登壇
  42. 高田富之

    ○高田富之君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、提案の趣旨とその概要を御説明申し上げます。  まず、防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律案について申し上げます。  本案は、豪雨、洪水、高潮等の災害の発生した地域または建築基準法第三十九条の災害危険区域のうち、住民の居住に適当でないと認められる区域内にある住居の集団的移転を促進するため、地方公共団体が行なう集団移転促進事業に係る経費について国が財政上の特別の措置を行ない、住民の生命、身体及び財産を災害から保護しようとするものであります。  そのおもな内容は、  第一に市町村が自治大臣の承認を受け、集団移転促進事業計画を策定し、実施するものでありますが、実施困難な場合には市町村の申し出により都道府県が実施することができることになっております。  第二は、財政上の措置で、住宅団地の取得及び造成に要する経費、移転者の住宅団地における住宅の建設もしくは購入または住宅用地の購入に対する補助に要する経費、住宅団地に係る道路その他政令で定める公共施設の整備に要する経費、移転促進区域内の農地等の買取りに要する経費、移転者の住居移転に関連して必要と認められる農林水産業に係る生産基盤の整備及びその近代化のための施設の整備で政令で定めるものに要する経費、移転者の住居の移転に対する補助に要する経費、以上の諸経費につきましては、政令で定めるところにより、四分の三を下らない割合で国が補助するものとし、また、地方公共団体は、当該事業に必要な経費につき地方債を起こすことができ、資金事情の許す限り、政府資金をもってその全額を引き受けるものとすることになっております。  その他事業計画の策定及び実施のため国及び地方公共団体の必要な助言、指導及び移転者の生活確保に必要な援助等所要の規定を設けております。  なお、本法は公布の日から施行するものとしております。  次に、激甚(じん)災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、最近の低金利政策等にかんがみ、中小企業者に対する災害による貸付金の利率を引き下げるとともに、特に激甚な災害を受けた者に対して、さらに低い利率を適用し、被災者の救済に万全を期そうとするもので、そのおもな内容は、  第一に、激甚災害を受けた中小企業者に対する商工組合中央金庫の貸付金の現行利率年六分五厘を年六・二%とすることであります。  第二に、激甚災害による損失額が事務所もしくは事業用資産の価額または事業による総収入に比し、政令で定める程度以上である旨の証明を市町村長等から受けた特別被害者等に対しては、政令で定めるところにより年三%とすることであります。  なお、施行期日につきましては、公布の日から施行し、昭和四十七年六月一日以後の災害につき適用することとなっております。  災害対策特別委員会におきましては、両案につきまして、災害対策の基本問題に関する小委員会において鋭意検討を重ね、集団移転促進法案につきましては昨日小委員長から報告を受け、内閣の意見を聴取、全会一致をもって委員提出法律案とするに決し、激甚法改正案につきましては、本日、小委員長から報告を受け、内閣の意見を聴取し、全会一致をもって委員提出法律案とするに決した次第であります。  なお、災害対策特別委員会におきましては、両案の提出に際し、集団移転促進事業等に伴う被災住民の救済に関する件及び各種災害融資等の諸条件の改善に関する件について決議を行ない、被災者の救済と災害融資制度の今後一そうの改善について政府に対して要望を行ないましたことを申し添えておきます。  何とぞ議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  43. 船田中

    議長船田中君) 両案を一括して採決いたします。  両案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも可決いたしました。      ————◇—————  昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出
  45. 浜田幸一

    浜田幸一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  46. 船田中

    議長船田中君) 浜田幸一君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  48. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。地方行政委員長谷垣專一君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔谷垣專一君登壇
  49. 谷垣專一

    ○谷垣專一君 ただいま議題となりました昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、地方財政の現状にかんがみ、  第一に、地方公務員の給与改定に要する経費の財源を地方公共団体に付与するため、昭和四十七年度分の普通交付税の額の算定に用いる単位費用を改定することとしております。  第二に、今回の補正予算により昭和四十七年度分の地方交付税交付金の交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れが増額されたことに伴い、同特別会計における同年度分の借入金の一部を減額し、昭和四十八年度における償還額の減額をはかることとしております。  本案は、十月二十七日当委員会に付託され、本日福田自治大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行ない、討論の申し出もなく、採決を行ないましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対して、自由民主党日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案により、明年度における地方財政の財源不足について地方交付税所要額の確保、地方税源の充実等による総合対策、都市税源の充実及び過密過疎対策、地方道路目的税源の拡充、公営交通事業財政再建対策、超過負担の解消を内容とする附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  50. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  51. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出
  52. 浜田幸一

    浜田幸一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  53. 船田中

    議長船田中君) 浜田幸一君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————  裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案  検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  55. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。法務委員長谷川和穗君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔谷川和穗君登壇
  56. 谷川和穗

    ○谷川和穗君 ただいま議題となりました両法律案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  両法律案は、裁判官及び検察官について、一般の政府職員の例に準じてその給与を改善しようとするものであり、その内容は次のとおりであります。  最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給については、これに対応する特別職職員の俸給の増額と、その他の裁判官の報酬並びに検察官の俸給については、これに対応する一般職職員の俸給の増額とおおむね同一の比率でそれぞれこれを増額することとし、これらの改正を本年四月一日にさかのぼって適用しようとするものであります。  当委員会におきましては、十一月七日両法律案提案理由の説明を聴取いたしました後、慎重審査を行ない、本日質疑を終了、採決の結果、右両法律案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  57. 船田中

    議長船田中君) 両案を一括して採決いたします。  両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  対外経済関係を調整するための租税特別措置   法等の一部を改正する法律案内閣提出
  59. 浜田幸一

    浜田幸一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出対外経済関係を調整するための租税特別措置法等の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  60. 船田中

    議長船田中君) 浜田幸一君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  対外経済関係を調整するための租税特別措置法等の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  対外経済関係を調整するための租税特別措置法等の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  62. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。大蔵委員長金子一平君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔金子一平君登壇
  63. 金子一平

    ○金子一平君 ただいま議題となりました対外経済関係を調整するための租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、最近の内外経済情勢にかんがみ、対外経済関係の調整をはかるため、既存の輸出優遇の制度を整理する一方、輸入を促進するための関税上及び金融上の措置を講ずるとともに、資本収支面においても、わが国海外投資を容易にするための措置を講じようとするものでありまして、そのおもな内容は次のとおりであります。  まず、租税特別措置法の一部改正についてであります。  現在の輸出振興税制のうち、資本金十億円をこえる法人に対する海外市場開拓準備金については、昭和四十九年三月末の期限到来を待たずに、今回これを廃止することといたしております。  次に、関税暫定措置法の一部改正についてであります。  第一に、輸入の拡大をはかる見地から、鉱工業産品及び農産加工品の関税率を一律に現行税率の五分の四に引き下げることとしております。ただし、関税収入が特別会計の財源となっております原重油及び非自由化品目等は引き下げの例外といたしております。なお、国内産業に対する配慮から、この関税率の軽減措置により、特定の貨物の輸入が増加し、国内産業に相当な損害を生ずる場合には、この軽減措置を停止することができることといたしております。また、この関税率の軽減措置に伴いまして、入国者が携帯して輸入する貨物に対する簡易税率につきましても所要の調整を行なうことといたしております。  第二に、現在、加工のため輸出された貨物を原材料とする製品が輸入される場合に、その原材料の関税相当額を減税する制度が設けられておりますが、この対象品目として、発展途上国との関係を考慮し、ラジオ受信機、音声再生機等五品目を追加することとしております。  最後に、日本輸出入銀行法の一部改正についてであります。  第一に、輸入金融の対象となる重要物資の範囲を拡大するとともに、前払い金以外の融資も行ない得ることとする等輸入金融を拡大することとしております。  第二に、本邦法人等の海外投資のために必要な資金について、設備関係以外の長期事業資金についても融資対象とする等海外投資金融の拡大をはかることとしております。  第三に、日本輸出入銀行は、外国政府等または外国の銀行その他の金融機関に対し、本邦の輸出入と直接結びつかない場合も融資し得ることとしております。  第四に、このような業務範囲の拡大に伴い事業量が増加すると考えられるため、現在、自己資本の三倍とされている借入金の限度額を四倍に引き上げることとしております。  本案につきましては、審査の結果、本日質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  64. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  65. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  海外経済協力基金法の一部を改正する法律案   (内閣提出
  66. 浜田幸一

    浜田幸一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出海外経済協力基金法の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  67. 船田中

    議長船田中君) 浜田幸一君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  海外経済協力基金法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  海外経済協力基金法の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  69. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。商工委員長藏内修治君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔藏内修治君登壇
  70. 藏内修治

    ○藏内修治君 ただいま議題となりました海外経済協力基金法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  従来、海外経済協力基金の行なう商品援助は、東南アジア等の地域がわが国から物資を輸入する場合のみに限るいわゆるタイドの援助方式となっておりますが、最近の経済協力に関する国際的要請への対応並びにいわゆる円対策の観点から、援助が直ちにわが国の輸出に結びつかないアンタイドの援助方式を推進することが必要となっております。  本案は、このような情勢にかんがみ、海外経済協力基金の行なう東南アジア等の地域の外国政府等に対する資金の貸し付けについて、わが国以外の地域からの物資の輸入についても必要資金を貸し付けるアンタイドの商品援助を行なうことができるよう、その業務を拡充するものであります。  本案は、去る十月二十七日本委員会に付託され、十一月七日有田経済企画庁長官から提案理由の説明を聴取した後、参考人を招致する等、審査を行ない、本日質疑を終了、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  71. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  72. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(第六十八回国会内閣提出)  都市モノレール整備促進に関する法律案運輸委員長提出
  73. 浜田幸一

    浜田幸一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、第六十八回国会内閣提出臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案とともに、運輸委員長提出都市モノレール整備促進に関する法律案は、委員会の審査を省略して、両案を一括議題となし、委員長報告及び趣旨弁明を求め、その審議を進められんことを望みます。
  74. 船田中

    議長船田中君) 浜田幸一君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案都市モノレール整備促進に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————  臨時船舶建造調憲法の一部を改正する法律案  都市モノレール整備促進に関する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  76. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告及び趣旨弁明を求めます。運輸委員長細田吉藏君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔細田吉藏君登壇
  77. 細田吉藏

    ○細田吉藏君 まず、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  本案は、わが国の国際海運及び造船の現状にかんがみ、臨時船舶建造調整法の有効期間を、現在実施中の改定新海運政策の計画期間に合わせて、昭和五十年三月三十一日まで二年間延長することとするとともに、同法による許可対象船舶の範囲を、現行の「総トン数五百トン以上又は長さ五十メートル以上」のものから「総トン数二千五百トン以上又は長さ九十メートル以上」のものに改めようとするものであります。  本案は、第六十八回国会提出され、今国会に継続審査となったものでありますが、今国会におきましては、十月二十七日当委員会に付託され、木十一月八日質疑を行なった後、採決の結果、本案は多数をもって可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。  次に、都市モノレール整備促進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  本案は、運輸委員会におきまして、全会一致をもって起草提出することに決したものであります。  まず、本案提出の趣旨について申し上げます。  都市における交通事情は、人口と産業の集中及び自動車の増加に伴い、通勤通学交通の混雑、道路交通の渋滞など、著しく悪化しております。このため、交通空間の有効な利用及び効率的な輸送機関の整備の観点から、都市モノレール整備促進し、交通の円滑化をはかり、もって公衆の利便の増進に寄与しようとするのが本案提出の趣旨でございます。  次に、本案の内容の概要について申し上げます。  第一に、都市モノレールとは、主として道路に架設される一本の軌道けたに跨座し、または懸垂して走行する車両によって人または貨物を運送する施設で、一般交通の用に供するものであって、その路線の大部分が都市計画区域内に存するものといたしております。  第二に、都市計画区域内に存する都市モノレールの路線については、都市計画において定めることといたしております。  第三に、国及び地方公共団体は、都市モノレール整備促進に資するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるようつとめなければならないことといたしております。  第四に、道路管理者は、都市モノレールについて都市計画が定められている場合において、当該都市モノレールの路線に係る道路を新設しまたは改築しようとするときは、当該都市モノレール建設が円滑に遂行できるよう十分な配慮をしなければならないことといたしております。  以上が本案の提出の趣旨及び内容の概要であります。  何とぞ御賛成いただきますよう、お願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  78. 船田中

    議長船田中君) これより採決に入ります。  まず、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  79. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、都市モノレール整備促進に関する法律案につき採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。      ————◇—————  日中共同声明に関する決議案田澤吉郎君外九名提出)          (委員会審査省略要求案件)
  81. 浜田幸一

    浜田幸一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、田澤吉郎君外九名提出日中共同声明に関する決議案は、提出者の要求のとおり委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  82. 船田中

    議長船田中君) 浜田幸一君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日中共同声明に関する決議案議題といたします。
  84. 船田中

    議長船田中君) 提出者の趣旨弁明を許します。田澤吉郎君   〔田澤吉郎登壇
  85. 田澤吉郎

    田澤吉郎君 私は、ただいま議題となりました自由民主党日本社会党、公明党及び民社党の共同提案にかかる日中共同声明に関する決議案につきまして、提案者を代表して、趣旨弁明を行なわんとするものであります。  決議案を朗読いたします。     日中共同声明に関する決議案   さきの日中共同声明により、多年の懸案であつた両国間の国交が正常化され、友好関係の基礎が樹立されたことは、国民とともに慶賀にたえない。   政府は、両国間の二千年にわたる長い交流の歴史にかんがみ、共同声明にうたわれた諸原則のもとに、すみやかに平和友好条約の締結等を進め、両国間の恒久的な平和友好関係を確立するとともに、両国の親善友好が、ひいてはアジアの安定と繁栄に寄与し、さらに世界の平和に貢献するよう最大の努力をいたすべきである。   右決議する。   〔拍手〕  去る九月下旬、北京において、田中内閣総理大臣と毛沢東主席、周恩来首相らの間で、日中首脳会談が行なわれた結果、九月二十九日に、日中両国間の共同声明が発表されました。かくて、日中両国間の不正常な状態は、この日をもって終わりを告げ、友好関係の基礎が樹立されました。(拍手)  時代の流れの中にあって、世論が高まり、各方面の方々の努力が積み重ねられて、ここに、国交の正常化が実現したのでありますが、国民とともに慶賀にたえないところであります。  しかしながら、両国間の恒久的な友好関係の確立は、両国国民政府の今後の努力にまつべきものであります。  この際、政府は、両国間の二千年にわたる長い交流の歴史にかんがみ、特に過去半世紀に及んだ両国間の不幸な関係思いをいたし、共同声明にうたわれた諸原則のもとに、日中相互間に不動の信頼をつちかい、恒久的な平和友好関係を確立するため、最善を尽くすべきであります。さらに、また、両国の関係が、いやしくも他国に対して脅威を与えることのないよう万全の配慮をし、両国の親善友好がひいてはアジアの安定と繁栄に寄与し、さらに世界の平和に貢献するよう最大の努力を払うべきであります。  ここに、日中間の国交正常化に対し歓迎の意を表明するとともに、政府に対し特段の努力を要請するものであります。  本決議案は、各党の議院運営委員の間で協議の上、四党共同で提案いたしたものであります。諸君の御賛同をお願いして、趣旨弁明を終わります。(拍手)     —————————————
  86. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。  この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣田中角榮君。   〔内閣総理大臣田中角榮君登壇
  88. 田中角榮

    内閣総理大臣(田中角榮君) 日中共同声明につきまして、ここに衆議院の御理解と御支持を得ましたことを感謝いたします。  政府といたしましては、本日の決議の趣旨を十分尊重し、日中共同声明の精神にのっとり、日中両国間の恒久的な平和、友好関係を確立するために努力してまいる所存であります。(拍手)      ————◇—————
  89. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後九時五十二分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  田中 角榮君         法 務 大 臣 郡  祐一君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 植木庚子郎君         文 部 大 臣 稻葉  修君         厚 生 大 臣 塩見 俊二君         農 林 大 臣 足立 篤郎君         通商産業大臣  中曽根康弘君         運 輸 大 臣 佐々木秀世君         郵 政 大 臣 三池  信君         労 働 大 臣 田村  元君         建 設 大 臣 木村 武雄君         自 治 大 臣 福田  一君         国 務 大 臣 有田 喜一君         国 務 大 臣 小山 長規君         国 務 大 臣 二階堂 進君         国 務 大 臣 濱野 清吾君         国 務 大 臣 本名  武君         国 務 大 臣 増原 恵吉君         国 務 大 臣 三木 武夫君      ————◇—————