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1972-11-08 第70回国会 衆議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十一月八日(水曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 藏内 修治君   理事 稻村佐近四郎君 理事 浦野 幸男君    理事 左藤  恵君 理事 橋口  隆君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 樋上 新一君       荒木萬壽夫君    小川 平二君       大久保武雄君    海部 俊樹君       神田  博君    木部 佳昭君       北澤 直吉君    小山 省二君       坂本三十次君    田中 榮一君       西岡 武夫君    羽田野忠文君       浜田 幸一君    別川悠紀夫君       松永  光君    山田 久就君       大原  亨君    岡田 利春君       田中 武夫君    近江巳記夫君       岡本 富夫君    松尾 信人君       川端 文夫君    米原  昶君  出席政府委員         経済企画政務次         官       木野 晴夫君         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         外務省経済協力         局長      御巫 清尚君         通商産業政務次         官       丹羽 久章君         通商産業省貿易         振興局長    増田  実君         通商産業省企業         局長      山下 英明君         通商産業省重工         業局長     山形 栄治君  委員外出席者         青少年対策本部         参事官     眞下 重雄君         大蔵省主計局給         与課長     西垣  昭君         文部省大学学術         局留学生課長  植木  浩君         建設省都市局都         市計画課長   宮繁  護君         参  考  人         (海外経済協力         基金総裁)   高杉 晋一君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   沖田  守君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 十一月八日  辞任         補欠選任   稲村 利幸君     西岡 武夫君   内田 常雄君     荒木萬壽夫君   鴨田 宗一君     別川悠紀夫君   塩崎  潤君     浜田 幸一君   松平 忠久君     大原  亨君 同日  辞任         補欠選任   荒木萬壽夫君     内田 常雄君   西岡 武夫君     稲村 利幸君   浜田 幸一君     塩崎  潤君   別川悠紀夫君     鴨田 宗一君   大原  亨君     松平 忠久君     ————————————— 本日の会議に付した案件  海外経済協力基金法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七号)  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  対外経済関係調整に関する件      ————◇—————
  2. 藏内修治

    ○藏内委員長 これより会議を開きます。  内閣提出海外経済協力基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 増田貿振局長お尋ねしますが、貿管令による輸出の抑制は、業界納得がなければその実行は不可能ではないかと思うんですが、まあ協力をしている業界もあるようではありますけれども、全般的に見て業界の感触はいかがですか。
  4. 増田実

    増田政府委員 貿管令によりまして輸出調整することにつきましては、先月二十日のいわゆる円対策で決定されまして、そのあと十月の終わりから各業界に対しまして一応その趣旨を説明しております。現在までのところ、貿管令発動いたしまして輸出調整をやる、そしてそれによって円の再切り上げを避けようということにつきましては、業界との間に一応の御了解と申しますか、納得を得ておるわけでございます。ただ、これを現実に行ないますときに、いろいろ技術的な問題もあります。たとえて言いますと、過去の実績で割り当てをするという場合には、後発のものと先発のものとの間にはたしてそれが公平であるかどうか、あるいは既契約のものについてどうするとか、それから品目によりましては企業が非常に多くて、そのためになかなかまとまらないという点はいろいろございますが、私ども先月の終わりから鋭意各業界説明いたしまして、現在までのところ、相当の御理解も得ております。ただ、それの実施につきましてまだいろいろの問題点がございますので、これについて業界十分相談をして、現在そのやり方について話し合いをしている、こういうことでございます。  貿管令発動の今度のやり方につきましてはいろいろ問題点はございますが、私どもとしては、これにより輸出調整の実をあげられる、こういうふうに思っております。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 十八品目考えているようですけれども、これを拡大することもあり得ますか。
  6. 増田実

    増田政府委員 現在一応十八品目予定品目として発表いたしておりますが、それを追加することについては現在のところ考えておりません。ただ、それ以外の業界につきましても、たとえば例をあげますと、輸出実績は去年より落ちておりますが、鉄の業界は総体の金額が非常に大きいものですから、いまの十八品目、あるいは現在やっております制度に入れなくてもその業界に自主的に協力願うということでいろいろ話し合いをしておりますが、ただいま先生お尋ね品目の追加というものは、現在のところは追加する予定はありません。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 いま答弁を伺っていますと、貿管令に対する期待感というものが相当あるように感じられたのですけれども具体的効果というものをどの程度評価というのか分析をしていますか。
  8. 増田実

    増田政府委員 この貿管令をやりましたときにどれだけの輸出が落ちるかという計算は、これは今後の輸出数値というものが非常に予測困難な点もございますが、私どもといたしましては、現在の伸び率のままでこのままあと一年間は続くということに対しまして、貿管令発動する、あるいは貿管令の前に自主調整してやれるものは、これは自主調整してやっていただくわけですが、今回のやり方でどれくらいの効果があるかということを簡単に計算いたしますと、約十億ドルくらいの輸出が、そのまま野放しにするのに対しましては調整される、こういうふうに計算いたしております。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 田中総理は、ハワイにおける日米首脳会談から帰ってきて、両三年の間にGNPの一%程度貿易収支を縮めていきたいということを言われたのですが、この貿管令によって国際収支にどの程度組み込んでいるわけですか。
  10. 増田実

    増田政府委員 ただいま先生のおっしゃいました田中総理ハワイ会談のときに、両三年の間に妥当な規模に国際収支を押えるということは国際的な公約でございますので、私どもも、それに向かってあらゆる措置をやるべきだ、こういうことで輸出のみならず、輸入の面あるいはその他の面においての総合政策をやるわけでございますが、ただいまの貿管令につきましては、むしろ現在非常に輸出の売り急ぎとかその他がございますので、円の再切り上げを避けるための緊急措置、こういう考えでこの措置を行なおうという考えでおります。究極的には両三年のうちに総理の言われた線に持っていくわけですが、現在やっております貿管令は、むしろ円の再切り上げというものをこの際避けるために、輸出調整の望ましい品目につきまして、輸出調整協力してもらうという精神でやっておるわけでございます。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 それはわからないではないですけれども、円の再切り上げを何としても避けていきたいということから、単なるゼスチュアではないでしょうけれども小細工みたいな形でいろいろな施策を講じてみても、私は効果というものはあまり期待できない。やはり基本は、田中総理が言った、両三年中に貿易収支GNPの一%に縮めさせる、それが基本だ。そのためには、いろんな施策を講じていかなければならぬということになるだろう。その一環として貿管令というものを考えたということにならなければいけないのじゃないか、こう思うのです。小細工なんかを考えるときではないのではないかというように思うわけです。  それから田中総理は、この貿管令では不十分だといったような意向表明があったようですが、これは私は新聞報道で読んだのですが、その中で課徴金というものも考慮しているかのような印象を受けたわけですが、通産省自体、あるいは関係各省話し合いの中で、この課徴金というのかあるいは輸出税、それらの点について検討をいま現在進めているわけですか。
  12. 増田実

    増田政府委員 課徴金ないし輸出税をかけまして輸出調整を行なうという意見がこの九月ごろからいろいろございまして、これにつきましては関係各省ともいろいろ打ち合わせ、意見の交換も行なったわけでございますが、十月二十日の円対策を発表する段階におきまして、課徴金あるいは輸出税はとらないという結論を出しまして、そして輸出調整はいわゆる貿管令発動でやるという結論に一応達したわけでございます。  ただ、円対策の発表の文章におきましては、なお課徴金及び輸出税について慎重に検討するという文章が載せられておるわけでございます。ただ、現在のところでは、いま申し上げましたように、課徴金及び輸出税は、いろいろの意味におきましてむしろ円の再切り上げを招くおそれもあるし、また切り上げ幅を大きくするおそれがあるということは西ドイツの例からもございますので、これについてはとらない。そのかわりに輸出貿易関係でやるという結論になっておりますので、ただいま先生お尋ねの、現在課徴金あるいは輸出税をさらにやるべく検討しているかどうかというお話でしたら、現在は輸出貿易関係というものでやるということで、課徴金輸出税については、私どもはもうすでに検討を終わっておりますので、現在はそれについての打ち合わせはやっておりません。ただ、今後国際収支というものが予期しないような事態になった場合には、さらにもう一回慎重に検討するということになっておるわけでございます。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係もありますから、きょうは議論は避けまして、またあらためてお尋ねすることにいたします。  それから通産省は、輸銀金利輸入に対しては一%下げる、輸出については一%上げるという構想をお持ちのようですけれども、これまた関係各省折衝済みなのか、実施するとするといつごろから実施をされるお考えか。同時に、輸出の場合、中小企業等は、これは言うまでもないことなんですけれども競争力が非常に弱い。それらに対しても同様に輸銀金利を一%上げるというようにお考えになっておるかどうか、その点いかがですか。
  14. 増田実

    増田政府委員 ただいま先生お尋ね輸銀金利でございますが、できるだけ輸入をふやすということで、現在輸入金利は基準といたしまして六・五%になっておりますが、これを五・五%に下げて、それから対象も広げる、あるいは品目を広げるのみならず、現在前払いだけでありますのをあと払いにも拡大するということで、それに必要な法的措置も現在国会の御審議を願っておるわけでございます。  それから輸出のほうにつきましては、国際的なプラント輸出金利というものに合わせまして、この際若干輸銀輸出金利を上げるということで、これは円対策の中できまりましたので、その方向で現在やっておりますが、これは現在世界各国プラントものの輸出金利というものが若干上がってきておりますし、それからかたがた、日本におきましては、プラント輸出につきましてはいわゆる協調融資で、輸銀市中銀行と両方が融資するわけでございますが、市中銀行のほうの金利も若干下がってきておりますので、そのはね返りもございます関係から、輸銀輸出金利については一%以内に引き上げるということでやっております。  それから中小企業関係でございますが、輸銀金利は、大部分が船とそれからプラント対象になっておりまして、もちろんプラントにつきましても中小企業影響するところ大でございますが、直接中小企業者がそのまま出す品目はほとんどございません。いわゆるプラント金利を国際的な金利に合わして若干引き上げを行なうというのが今回の輸銀金利調整でございます。実施時期につきましてはできるものからやっていくということで、現在すでに調整を始めておるということでございます。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 木野政務次官お尋ねしますが、現在の外貨準備高は大体どの程度と見ておりますか。
  16. 木野晴夫

    木野政府委員 十月末で百七十七億ドルでございます。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 それは公称じゃありませんか。実際は二百四十億ドルを上回っているのじゃありませんか。
  18. 新田庚一

    新田政府委員 外貨準備としては、ただいま申し上げました百七十七億ドルでございまして、その運用がどういうふうにどの程度されているかということは私ども把握してございません。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 それから運用ということになってくると、いわゆる米国中期債券であるとか、それから外国銀行に対する預託がありますね。それらが大体どの程度になっているか。いまの運用ということは、いま申し上げたようなことを念頭に置いてのお答えであったのか、その点いかがですか。
  20. 新田庚一

    新田政府委員 運用としましては、為替銀行に対する外貨預託、それから輸入金融外貨ユーザンス、それからただいま御指摘ございました短期、中期外国債券、そういったもので運用されています。その内容につきましては、現在資料を持っておりませんのでお答えいたしかねます。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 米国に対するところの中期債券であるとか外国銀行に対する預託ですね。これはいま資料がないからわからないということですが、その数字はわかっていますか。
  22. 新田庚一

    新田政府委員 この正確な数字国際金融当局しか持っておりませんので、私ども把握しておりません。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 このプラント類なんかの輸出についてのレートは大体どの程度ですか。
  24. 増田実

    増田政府委員 輸出レートといわれますのは、プラント業者輸出する場合に一応想定レートをつくって、そうしてもし万が一切り上げがあった場合も損をしないぎりぎりの採算を自社の中ではじくレートでございますが、私どもが聞いておるところでは、約二百九十円あるいは若干それ以下で計算をいたしまして、それでも損をしない、あるいはその場合でもたえ得るということで計算して輸出しているということを聞いております。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 二百七十円ないし二百八十円程度という建て値に私の調査ではなっておるようですね。してみると、円の再切り上げと何か関連というものが出てくるような感じです。円の再切り上げを何としても阻止したいという立場から、このプラント類輸出に対するレートが、あなたは二百九十円あるいはそれ以下だ、私の調査とたいして変わらないですね。これに対して警戒というのか、いろいろ複雑な立場だろうと実は思うのですが、それらの点に対してのいろいろ対策もお立てになっているのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  26. 増田実

    増田政府委員 プラント輸出は長期に回収いたします関係上、その長期間の為替変動というものを一応ヘッジするという必要があるわけですが、現在のわが国のプラント輸出業者に対しましては、それをヘッジする手だてがないということで、先ほど申し上げましたように、各プラント輸出業者は自分のリスクで将来の為替変動というものを考え計算をして輸出をする、こういうことになっておるわけでございます。  これに対しまして、輸出保険為替リスク保険制度を設けてもらいたいということでプラント輸出業界から非常に強い要望もあるわけです。リスク保険というものにつきましては、すでにフランスあるいは西独が始めておりますので、私どもも、プラント輸出というものが将来日本輸出の大宗になる、これにつきまして将来の為替変動の危険をカバーするリスク保険制度というものを、それらの国々の制度に準じた制度をつくるべきかどうかということで現在検討いたしております。私どもとしては、できましたら次の通常国会為替リスク保険制度を新たに設けるため現在の輸出保険法改正の御審議をお願いしたいというふうに考えておるわけでございますが、まだ結論は出ておりません。現在の為替不安におきましてプラント輸出というものが非常にむずかしいというのが実情でございます。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 それでは時間がずいぶんたちましたから、法律案関連をしてお尋ねをしたいと思うのですが、この商品援助の被援助国経済に与えた影響、これは新田局長からひとつお答えをいただきたい。
  28. 新田庚一

    新田政府委員 経済協力基金から現在まで商品援助を与えました国はインドネシアフィリピンビルマ韓国の四カ国でございまして、残高としまして九月末現在で九百六十七億でございます。  御承知のように、商品援助経済安定のために供与することになっております。経済安定と申しますと、国際収支あるいはインフレ、そういったもので発展途上国経済発展をしていく場合についての一番基礎に去る経済状態が非常に悪いという場合に、一時的・緊急的に商品援助をやって、そうして経済再建をはかるというために商品援助が行なわれているわけでございます。  先生指摘のように、最初インドネシアについて行なったわけでございますが、当時インドネシア物価年率八割アップという非常なインフレーションに見舞われておって、一方国際収支も非常に悪かったわけでございます。その後、逐年商品援助をやっておりますが、最近たとえば物価につきましては五%前後ぐらいの物価騰貴に落ちついております。  それから国際収支につきましては、貿易収支だけとってみますと、一昨年あたりから若干の黒字になっておる。ただ、貿易外赤字が約七億ドルほど、非常に大きいために、国際収支全体としては依然五億ドル程度赤字になっておるのですけれども、六八年当時から見ますとかなり改善されておる。経済成長もその当時二%台から七%台に上がっておる。かなりいいパーフォーマンスを持ってきておるのじゃないかと思いますが、まだやはり国際収支全体としてはかなりの赤字を持っておるということで、今後の推移を見る必要があろうかと思います。  フィリピンにつきましては、やはり一九六〇年あたりから非常に債務の累積が大きくなってまいりまして、また物価も、一昨年が約一五%ぐらいの物価騰貴、昨年が二二、三%というふうに、この二、三年非常にインフレが高進してきておるということで、昨年から世銀中心になりまして、インドネシアの場合と同じように、IGGPといいまして、国際機関のもとにフィリピン国際収支を救おうという呼びかけがありまして、それに応じたという経緯がございます。フィリピンにつきましては、昨年から四カ年計画がスタートしておりますので、やはり今後の経済発展のべースとして経済安定というものが当面の非常に重要な課題になっておるということでございます。  それから本年に入りましてから、ビルマにつきまして、この三月に資金供与をやっております。ビルマにつきましては、この二、三年非常に外貨準備が減ってきております。そういったことで、ただ、ビルマとしましては伝統の中立政策をとっておりまして、インドネシアあるいはフィリピンのような世銀中心とする債権国会議のようなものをつくっておりませんけれども、中国と日本西ドイツ援助要請があって、日本がそれにこたえたという経緯がございます。  それから、ことしの夏に韓国に対しまして商品援助をやっておりますが、韓国につきましても、御承知のように、かなり慢性的に物価騰貴国際収支赤字が続いております。特に昨年、日本に対する輸入依存度が非常に高い、四〇%をこえておるということで、日本切り上げ影響をまっこうからかぶりまして、それが国際収支物価両面にはね返っておる。したがいまして、物価年率一〇%以上の騰貴を示しておる。それから国際収支も、貿易収支も十億ドルをこえる赤字を持っておるということで、これはIMFが中心になりまして韓国国際収支難に対処しようということで、本年八月に資金供与をしたという経緯があります。  ビルマ韓国につきましては、本年に入ってからの資金供与でございますので、まだこれがどの程度効果をおさめておるかという実績を示しておりませんけれども、今後かなりいい影響を持ってくるんじゃないかと思います。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 四十三年でしたか、商品援助実施をやりたいという改正法案が提案された。その際、私どもは、商品援助というものは日本の大企業輸出を促進するということであり、それがひもつきなので、相手国経済の安定、国民の福祉につながらないことになるのではないかということから好ましい改正ではないということをあらゆる角度から指摘をし、また最終的にはこれに反対するということになって、この法律案は与党のみによって成立をしたという経緯があるわけです。  その際、当時の水田大蔵大臣に対する私の質問あるいは経済企画庁長官に対する質疑等が行なわれて、議事録をお読みになるとおわかりであろうと思うが、当時の水田大蔵大臣は、インドネシア以外に考えていないというようなお答えがあった。ところが、経済企画庁考え方はそうではなく、他の国に拡大することもあり得る、また行政権の範囲においてこれをやっていくのであって、これを拡大することにおいて別にあらためて法律改正しなければならないという点もないし、また国会意向を問う必要もない、そういった意味答弁がなされたわけでございましたが、しかし、いずれにいたしましても、当時は、商品援助というものはインドネシア一国ということが頭にあったことは間違いない。その後二カ年の間に四カ国に拡大したということについては、いまそれぞれの四カ国に対して拡大したことについての御説明があったわけですが、拡大したことについての説明ということよりも、経済状態にどう寄与したかということについてのお答えがあった。ビルマとか韓国についてはまだわからないというようなお答えがございましたが、この四カ国に拡大をしなければならなかった理由というものは何なのか。相手国から積極的に商品援助を求められたのか、また、日本商品援助をすることのほうが適当であるというような考え方であったのか。いろいろ援助についての申し出があり、むしろ日本側のほうから商品援助というものを押しつけたということばはいかがかとは思いますけれども、他のプロジェクト援助等々よりも商品援助のほうが好ましい、そういうことで、むしろ日本のほうからそれを求めたという形になっておるのではないか。そこらあたり経緯はいかがですか。
  30. 新田庚一

    新田政府委員 先生指摘のとおり、やはり援助の本筋はプロジェクト援助というのがたてまえかと存じます。ただ、商品援助につきましては、発展途上国経済発展をしていく場合に、当面の経済状態国際収支あるいはインフレ状態で、発展のベースとして成り立っていかないというふうな状態の場合にやむを得ず行なわれる援助だろうと思います。国際的に見ましても、DAC諸国援助に占める商品援助の比率というものが四割くらいになっております。そういったことで、商品援助必要性というものはかなり高いと思うわけでございます。ただ、商品援助を無制限にやりますと、それがその国の経済体制の中に組み込まれてしまって、発展途上国自助自立精神というものがスポイルされるというマイナスの面もございますので、その運営にあたっては非常に慎重に行なわるべきものと思います。  御指摘のように、四十三年に商品援助の規定が入りました経緯は、その当時、従来輸銀からインドあるいはパキスタン、セイロン等に行なっておりましたけれどもインドネシアにつきましては経済状態が極度に悪いということで、輸銀が供与し得る条件ではその当時の状態に対処し得ないということで、インドネシアを取り上げたわけでございますが、ただ、その当時、そういった基金のソフトな条件の商品援助というものが当面インドネシア以外に考えられるかという点につきましては、見通しが悪かったと申しますか、当面としてはインドネシアしか念頭に浮かばないというような考え方であったわけでありますが、その後の実態は、先ほど申し上げましたように、フィリピンにしろ、韓国にしろ、ビルマにしろ、やはりインドネシアと同じように極度に経済状態が悪いということで、この商品援助の規定の適用を拡大した、そういう経緯になろうかと思います。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 被援助国経済状態が悪い。どうして経済状態が悪いのか、なぜにインフレが起こってきたのか、国際収支はなぜに悪化しているのか、これはその国の政府の施策よろしきを得なかったという点も多々あるだろう。いろいろ原因があると私は思うのです。しかし、経済援助というものはあくまで平和援助でなければなりません。日本商品援助というものがその援助目的に沿って使われておるかどうかということは重大な問題であるというように私は考えます。  インドネシアに対するところの商品援助、それによって物価が下がった、あるいはインフレが多分に鎮静をしてきた、あたかも商品援助というものの効果が大きくあらわれたというような印象を受けるようなお答えであったわけですが、それはもろもろの施策を講じておられる、したがって、そうした経済状態が若干改善されたということにもなるだろう、商品援助が全く無関係であったというところまで私は断言はいたしませんけれども、しかし伝えられるところによりますと、日本商品援助、その商品をインドネシアで売却をして、その資金で実は軍隊の給料をまかなったということが大きく報道というのか、喧伝されたということは、これは私がそういうことを耳にしているわけですから、経企庁もそうしたことについて耳にしておられないはずはないと私は思う。してみると、この商品援助というものは形を変えた軍事援助という形になっておるとさえ申し上げても差しつかえないと私は思うのであります。この商品援助というものがどういう方面に使われたかということについてのチェックができないということが私は一つの盲点であろうというように思うのです。また、したがって追跡調査なんということもできない。ここに、私ども商品援助が適当ではないということの理由にあげた点も実はあるわけです。ですから、日本商品援助がほんとうに援助目的に沿って使われたのかどうか、いろいろと流布されたことは事実でなかったのかどうか、どの程度までこの商品援助に対して経企庁は関心を持って対処してこられたのか、そこらあたりについてひとつお答えをいただきたいと思う。
  32. 新田庚一

    新田政府委員 第一点の、先ほどちょっと申し落としましたけれども商品援助をやる場合の判断の問題ですが、もちろん私どもとしては、援助供与国サイドとしてのいろいろな検討調査をやっております。ただ、それも日本立場からの判断というものは間違うこともあり得るわけでございますので、やはり原則としまして、たとえばインドネシアの場合にはIGGI、フィリピンの場合にはIGGP、韓国の場合にはIMFで、IGGI、IGGPともに世銀中心になっておりますが、そういった国際的な多国的な調査あるいは評価というものをベースにして、それに日本の判断を加えまして供与をするというふうなたてまえをとっておるわけでございます。したがいまして、インフレーションといい、あるいは国際収支赤字といい、よって来る根はなかなか深いわけでございますが、これが商品援助のみならず、その当該国に対する援助全体の問題として国際的な評価を求めながら援助をするというふうな取り扱いをしておるわけでございます。  それから、御指摘の見返り資金につきましては、やはり商品援助というものは、一面そういったインフレーションあるいは国際収支にプラスになりますけれども、そのもう一つの反対の面としまして、見返り資金の活用という点も商品援助の一つのメリットになっておるわけでございます。ただ、それが御指摘のようなふうに使われました場合には、これは非常に問題があるわけでございます。インドネシアにつきましては、見返り資金はインドネシアのプロジェクトの開発、つまり開発予算に組み入れるというふうな仕組みにしております。それからフィリピンにつきましては、これは別途供与しておりますプロジェクト援助のローカル資金に充てる。あるいは韓国につきましてはその見返り資金を、先般行なわれました韓国の私債の整理資金、つまり企業の合理化資金、年率四〇%程度の私債を韓国では企業が借りているわけでございますが、これを八月に大統領令によってストップしたわけでございますが、そのための、それにかわる輸出産業を中心とする資金の代替が、この見返り資金を通じて低利で行なわれておるということで、それぞれ見返り資金につきましては、商品援助の供与にあたって、その使途について注文をつけるというふうなやり方をやっているので、御指摘のような問題はないと思います。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 後段のお答えは、被援助国経済状態を改善することに若干役立つことなきにしもあらずと私は思うのであります。日本商品援助、これを見返り資金として開発予算に繰り入れていく、こういうことになっていますね。してみると、これはプロジェクト援助というものと質的には変わらないと私は思う。それならば、国際収支の問題であるとかあるいは物価の安定ということに直接的に関連をしてくるというようには私は思わない。いわゆる即効性というものがあるとは思わないのです。ですから、先ほどお答えになりましたものと見返り資金の使い方というものとは関連性がないように私は受け取ったのですが、その点、いかがですか。
  34. 新田庚一

    新田政府委員 プロジェクト援助対象になりますのは、やはり外国から機械とか機材を購入しなければならないというふうないわゆる外資分に対する供与でございまして、見返り資金として使われます、つまり開発予算に組み込まれて使われているのは、現地のローカルコストであるとか、そういった現地で使用する、つまり外資を伴わない分についての必要な経費に充てるということでございます。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 それじゃその見返り資金について、かつて日本の場合、ガリオア、エロア資金、これについては見返り資金によって相当アメリカがチェックしてきた。日本はどの程度チェックしているのですか、見返り資金としてこれが使用されていく場合。
  36. 新田庚一

    新田政府委員 たとえばインドネシアの場合には、世銀の監督のもとに開発予算という形式にはっきり組み込まれて、その使途については国際的な観点からそれをチェックしておるということでございます。それからフィリピンの場合には、その見返り資金を、日本が別途供与するプロジェクト援助のローカルコストとして使用されるかどうかということを、これは基金が融資にあたってチェックしておる、そういうような体制でございます。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 四カ国に対する商品援助援助条件というものは同じではないということになりますか。  それから、いまの見返り資金について、それぞれの国によって使い方が違っておる、制度が違っておると受け取られるようなお答えであったのだけれども、それらについて、日本は協議にあずかっているわけですか。
  38. 新田庚一

    新田政府委員 使い方の大ワクにつきましては、これはIGGIとかIGGPというベースできめまして、その具体的な内容につきましては国際機関の監視にゆだねておるというのが現状でございます。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 国際機関でやっているといったって、そんな国際機関で、使い方がどうだとか、ほんとうに有効にその国の経済改善あるいは国民福祉に使われておるかどうかということをチェックすることはできないでしょう。一つの制度として、国際機関の中にはこうあるべきであるということをきめているにすぎない。そういう国際機関でこれをやっているのだというような答弁を受けるために私は質問したのじゃありませんよ。もっと具体的なことについて、どの程度日本はこれに対してチェックしておるのか、どの程度関心を持っておられるのか、有効に使われているものかどうかということについて私は質問をしているのだから、もう少し具体的なお答えをしてもらわなければならない。
  40. 新田庚一

    新田政府委員 インドネシア政府がその予算を毎年組みます場合に、日本援助、他国の援助もございますけれども、それが開発予算にどういうふうに計上されて、どういうふうな使途を持っているかということは絶えず情報として見ておるわけでございます。そこのところが、どの程度までそれをチェックするかという点、一方、国内の行政にどの程度介入できるかという問題がございますけれども、言われるようなむだな使い道にならないようなチェックは、在外公館も絶えず関心を持って見ておるということでございます。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 四十三年に、この商品援助というものを日本がこれから進めていこうとしたときに、いまいろいろと質疑をしているようなことが問題になったわけですよ。その際に水田大蔵大臣は、インドネシア国も見返り資金制度をつくるから事態は改善される、そういうお答えをしておるわけです。自来、日本インドネシアからフィリピンビルマ韓国、これだけ拡大をしてきている。日本商品援助のあり方ということについて十分な経験を積んでいることだと私は思う。それに対して、四十三年、私ども質疑をしたときに問題となったことについていまそれが明快にお答えができないということは、全く関心を持ってない、商品援助をやって、それは向こうがどんなように使おうとかってたるべし、その使い方というものは国際機関できまっておるのだからそのとおりやっておるだろう、そういう安易な考え方でおやりになっておる。そういうことで国民のコンセンサスを得られますか。商品援助であろうともプロジェクト援助であろうとも、国民の税金でこれは援助する。ほんとうにその国の経済発展に、国民の福祉につながるかどうか、つながって初めて援助をする日本の一億国民のコンセンサスというものが得られるのだと私は思う。少なくともこの問題についていま質疑応答をやっておるようなこの状態を国民が見る場合に、われわれの税金がほんとうに有効に使われておるというふうに考えないでしょう。そうは思いませんか。
  42. 新田庚一

    新田政府委員 ことばが足りませんでしたけれどもインドネシアにつきましては、世銀とかIMFの代表がおりまして、絶えずその予算の内容というものをチェックしております。日本の大使館もそれについて非常な関心を持って見ておるということでございます。フィリピンの場合は、一件一件融資にあたりまして使う場合に基金がチェックをしておるというふうな体制になっております。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 ともかく商品援助というのは、この制度が取り入れられた当時も問題になったし、四年たったいまも、こういうことでなかなか意見が一致しない、混乱をするような援助の形態なんですよ。これは決して好ましい姿ではないのです。私は、本来の経済援助のあり方ではないと思う。単にこれは日本輸出をする側の大資本の利益を擁護しているという形にすぎないのだという苦言を呈したいぐらいですよ。  そこでお尋ねいたしますが、アンタイドの商品援助で、被援助国が本邦以外の地域からの物資輸入をするということになるわけですが、その見通しについてはどのようにお考えになっておられますか。
  44. 新田庚一

    新田政府委員 御承知のように、最近発展途上国から援助全般にわたってアンタイイングの要求が非常に強く出ているわけでございます。国際的にはプロジェクト援助のアンタイイングが先行している形でございますが、最近商品援助に対するアンタイイングの要望が強いということでございます。したがいまして、これは援助でございますのでどういう国からどういうふうな援助要請が出るかはっきり予測することはできませんけれども、今後日本がアンタイイングに踏み切ることによりまして、商品援助につきましてはアンタイイングにしてくれというような要望がかなり強まってくるのじゃないかと思います。  ただその場合に、従来のタイドの場合と同じように、日本で供給し得る品目だけに限定をして——もちろんこの品目につきましては奢侈品とかあるいは公序良俗に反するものとかいうふうなものは除外しておりますが、そのほかに、日本でできる品物に限るというふうな限定をしているのが現在のタイドのやり方でございますけれども、アンタイイングになりました場合には、やはりその点はゆるみまして、日本で供給できないもので必需物資につきましてもその資金が使用できるというふうに変えていく必要があろうかと思いますが、そうしますとやはり域外の第三国からの買い付け、日本以外からの買い付けというものが今後援助要請が強まると同時にだんだんふえてくるというふうに考えられます。  特に発展途上国同士の輸入の中で、大体四割ぐらいが食糧とかあるいは素原料が中心になっております。したがいまして、工業原料とか機械類というふうに限定しますと、日本からのアンタイイングにしましても、結局日本から買ってしまうということになりますので、そこの援助運用を改善することによって発展途上国の要望にこたえるとともに、いわゆる円対策にも寄与するというふうに考えていきたいと思います。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 タイドがアンタイドになる。これは日本の品物だけに限定をしているのがこの限定がなくなる。だからよその国からも買うことができるのだ。それはわかるのですよ、タイドとアンタイドだから。私がこの質問をしておる趣旨は、アンタイドになったが、どこの国が日本援助によって他の国からその物資を購入をするというような見通しがあるのだろうか。またその額についても、商品援助として日本から援助をしておるところの援助額の何%ぐらいが他の国から購入をするということになるのか。それらの見通しはどうなのか。やはりいろいろな調査をいままで行ない、いろいろな見通しの上に立ってタイドからアンタイドという形に変更していくの、だろうと私は思うのですよ。少なくとも被援助国の利益というものを念頭に驚いて、こういう制度の改善をおやりになるのだと私は思っているのです。ただ、国際機関の場において、現在のタイドからアンタイドに直せ、それに協力をするというようなこと、タイドが日本の国の物資に限っているのだけれども、アンタイドはそうじゃないんだ。観念的なことだけで私は今後の運営に当たられるのではないだろう、そう思っているのですよ。  いずれにいたしましても、日本の労働者というものは勤労性が非常に高い。勤労意欲がある。技術も優秀である。したがって、いい品物が安く売られている。したがって、輸出が非常に伸びている。今後もタイドをアンタイドに変えてもその条件は私は変わらないと思う。してみると、いま運用の中で従来のとおりにならないように、この法律改正の趣旨に従って運営の面で効果あらしめるようにしたいという意味お答えがあったのだけれども、それじゃどういったような国からアンタイドが望まれているのか、具体的にどのような見通しの上に立ってこの法律案を御提案になったのか、そこらぐらいのお答えができるのじゃないでしょうか。  それじゃあなたが観念的なお答えだから私から申し上げますが、私が聞いておるところによりますと、バングラデシュだけというのです、タイドをアンタイドに変えることによって他の国から物資を購入するであろうということが見通されるのは。バングラデシュという国は、まだ非常に後進性が強い。近代的な設備が全くない。日本の品物はなかなか使えない。したがって、同じ後進国同士から、インドとか、それらの国から購入をすることにするほうが適当であるというようなことが一つ考えられている。ほかにはもう何にもない。そういう状況ではありませんか。ですから、具体的にお考え方お答えになって、であるからこれをこう改善をしたいというくらいの説得力のある説明をなさらなければ法律案審議にならない。これの成立を期待することにはならぬ。与党が三百人あるからこの三百名の力で、多数でもってこれを成立をさせるんだという安易な考え方を持ってお臨みになるということは、私は適当ではないと思う。
  46. 新田庚一

    新田政府委員 具体的にどの国からアンタイイングの要請があるだろうというふうな推定をすることは非常に困難でございます。ただ、現在やっておる四カ国の中で、たとえばインドネシアはIGGIの会議のつど、これは日本だけではなくて国際的にアンタイイングをしてくれというふうな要請をたびたび行なっておるわけでございます。そういったようなことで、あるいはいま御指摘のバングラデシュも、ちらほらそういう話もございます。おそらくどの国にこれをやるのだということは、これは援助の性格から見てここではっきり申し上げるというふうなことはなかなか困難でございます。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 それでは私が例をあげましたバングラデシュのことについても、あなたは検討しておりませんか。一つの期待感として、これはタイドをアンタイドに変えたならばバングラデシュなんかは直ちにこの効果が発揮できるという、そこらあたり調査もやっておりませんか。
  48. 新田庚一

    新田政府委員 バングラデシュについて具体的にそういった援助供与ということを現在考えておりません。しかし、今後あの国の状態から見て、国際的なコンソーシアムを結成して、そういった方向に国際的な援助の方式が動いていくだろうというふうな推定はできますけれども、現在の段階で具体的に検討しているわけではございません。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 この商品援助は通常のコマーシャルベースに埋もれてしまうような懸念が私はある。それは四十三年の当時もその点を指摘したわけですけれども、そうなってくると、この援助効果というようなものはあがらない。またあがる可能性もない。それだけではなくて、利権に結びつくという点を多分に私は警戒しなければならないというふうに思っておるのですが、今後タイドからアンタイドに変えたというだけではおさまらない。さらに、商品援助というものは強化されるだろうというように思うわけですが、それらの点に対しては今後どう対処していこうというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  50. 新田庚一

    新田政府委員 やはり先ほど申しましたように、援助の本旨というものはプロジェクト援助だろうと思います。ただ、やはり経済状態の非常に悪い国に対して商品援助を行なうわけでございますが、それがその国の経済構造の中に組み込まれて、絶えず商品援助をやらなければその国の経済が成り立っていかないというふうなことになってはたいへんでございますので、そういうことのないように、またその見返り資金が、御指摘のように不当な運用をされないように運用面では十分注意する必要があろうかと思っております。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 この法律改正の主たる目的というものは円対策という形に置かれているのですが、あなたのほうもお答えになりましたし、また有田長官も御説明になりましたが、要するに、国際機関から現在のタイドをアンタイドに変えなければならぬ、いわゆる援助の形態、援助の条件というものを変えてもらいたいという強い要請というものが絶えずあった。その要請にこたえるということが、この改正の主たる目的ではないのかどうか。しかし、いま提案理由の説明の中に出しておりますのは、円対策というのが前面に出てきておる。円対策が主である。そして国際機関からもそういう要請があったからという、これを従的に扱っておるのです。この改正の主たる目的はどちらでしょうか。
  52. 新田庚一

    新田政府委員 やはり御指摘のように、援助のアンタイイングという援助形態に関する、つまり援助の条件の緩和の一環としての要求というものが一方国際的にあるわけでございます。ただ、現在まで基金としましてもプロジェクトについてはアンタイの資金供与が可能でございますので、たとえば昨年ビルマについてやっておりますけれども、まずそういう方面で運用をやっておったわけでございます。  それで一方、やはり今後の間際収支問題としては、貿易収支の問題もさることながら、資本の収支も含めました全体の収支というものを問題にしなければいけない。その場合に、やはり長期資本収支の流出の問題として借款の問題があるわけでございますが、借款をやっても、タイドで一緒に物が出ていっては国際収支対策にはならないという面の配慮が一方ございます。したがいまして、今回のいわゆる円対策として取り上げる場合、その一環としてこの援助形態の問題も取り上げようということにしたのでございまして、ねらいとしましては両面あるわけでございます。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 両面があるんだろうけれども、やはり改正の主たる目的というもの、あるいはねらいというものがあるはずなんですよ。円対策という形にこれを取り上げていく場合、主たる目的とする場合、どれほどこれが円対策に値しますか。これは円対策に値しないですよ。  それじゃ先ほど来私が申し上げましたが、何年後にこの商品援助のタイドをアンタイドに変えたものの効果があらわれてくるとあなたは見ていますか。これはほとんど期待できないですよ。ですから、タイドからアンタイドに変えるということについてはわかるのです。援助の形態がひもつき状態から包括的な方向へ進んでいくことになってくるわけですから、それは従来の商品援助という形態、完全ひもつきというものから一歩前進だということは言えると私は思うのです。しかし、実効性ということになってくるとたいした効果がない。商品援助がさらに拡大をしてくる道が開かれるにすぎないのだという分析を私はしています。  そこで、援助の条件の改善、形態の改善というものが主たる目的であるとするならば、私は先ほど申し上げましたように、六〇年代の援助と七〇年代の援助の規模、形態、目的、これは変わってくるのだ、それならば、この商品援助のタイドをアンタイドに変えるということだけを切り離して提案すべきではない。援助全体の全般的な点から十分検討して、援助効果があらわれるような提案というものをすみやかになされる必要があるという私の考え方なんです。円対策ということになるならば、先ほど申し上げましたように、円対策らしい円対策にはならないじゃないか。どれほどの円対策になるというようにあなたはお答えができますか。  私はもっと極論させていただきますならば、こうした円対策というものが、円の再切り上げを防止するということにどれほど役立ってくるのか。あらゆる角度から、面面があるのなら両面にふさわしい、質問に対するお答えのできるだけの検討というものがなされておるであろうと私は思いますから、それら両面について、私が指摘した点についてひとつ具体的に説得力のある答弁をしてもらいたいと思う。
  54. 新田庚一

    新田政府委員 いわゆる円対策というものの意味でございますが、先般の十月二十日の決定は、対外経済政策の推進、いわゆる対外経済政策全体の調整ということで問題を取り上げているわけでございます。したがいまして、その中には、たとえば資本の自由化というふうなかっこうで、いわゆる国際収支あるいは資金の流れから見ると逆な項目もあるわけでございますけれども日本の現在置かれておる経済環境、経済的地位から見まして、日本として当然やるべきことをこの際取り上げて、対外的な姿勢をはっきり明確化すべきであるという項目もかなり含まれているわけでございます。  経済協力の質の改善あるいは量の拡充という問題もその一環として取り上げられておりまして、欧米への条件緩和、それと並んでアンタイイングの問題も取り上げられているわけでございます。したがいまして、今後対外関係を広く調整していくという場合に、どうしてもやはり輸出調整の問題のほかに輸入の促進という問題も出てくるわけでございまして、そういった場合に、やはり海外からの資源の購入その他がまだふえなければいけない。そういったことで、対外的にそういった条件緩和の一環としてアンタイイングの問題を取り上げるということは、対外経済調整にも広い意味で非常に寄与するというぐあいに考えるわけでございます。  ただ、狭い意味での国際収支効果としまして、確かに、具体的な数字をあげられないのは残念でございますけれども日本商品援助も含めてアンタイイングに踏み切ったということから見て、今後商品援助についてのアンタイイングの要望が強まり、また、それに対応して日本側運用も変えていきますならば、かなりの国際収支上の効果もあげ得ると確信しているわけでございます。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 じゃ、日本から商品援助ということで今度はアンタイドによって他の国から物資を購入することになるのですが、それは物資を購入したかどうかということはどういう方法でこれをチェックするのですか。
  56. 新田庚一

    新田政府委員 それから、ちょっと申し落としましたけれども、アンタイイングの商品援助をやるとした場合に、相手の国が、先ほど申しましたように、日本で生産できないものを優先順位としてはたして高いプライオリティーをもって選ぶかどうかという問題は、具体的な個々のケースが違ってくると思いますが、そういったことからも計量が非常に困難だということになるわけでございますが、具体的にやり方としましては、やはりアンタイイングの資金供与をして、これは円借款としてやるわけでございますが、それを使う場合に、品目としてこういう品物を、これは日本から買いたい、これは第三国から買いたいという振り分けをしまして、そして日本から買うものは従来どおり円の取りくずしでやっていきますけれども、第三国から買う場合には、それをドルにコンバートして第三国から買うわけでございます。これは融資機関である基金が一件一件をチェックするということになろうと思います。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 いずれにいたしましても、先ほど私が指摘いたしましたように、この経済援助の改善といった点が提案の主たる目的であるとするならば、援助全体の抜本的な改善対策ということで十二分に検討して、次の通常国会等で提案すべきであるというように私は思うわけです。また、円対策ということになってくると、全く緊急性も即効性もないそうした改正法案をこの解散国会といわれるきわめて短時日の国会に提案されたということは、きわめて不見識であるということを指摘をしておきたいと思います。  まだいろいろとお尋ねをしてまいりたいと思いますけれども、時間がございませんから結論に入りたいと思いますが、いずれにいたしましても、この商品援助でドルが大量にわが国から東南アジアに移転をするということになってくると、その使われ方いかんによってはこれが流動資金化する、投機的に使われるという可能性もある。そうなってくると、これはむしろ有害だというふうにすら私は考えているわけです。そこで、アンタイドの援助供与というのは、いま円借款ということでございましたが、これは間違いなく円借款か、あるいはドル借款か、その点を明確にしておいていただきたいと思います。
  58. 新田庚一

    新田政府委員 借款はすべて円借款でやっております。今後もそれは変わらないと思います。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 すると、円借款の場合、円の再切り上げが行なわれた場合はそのリスク援助国が負うのか、あるいは被援助国が負うのか、その点はいかがですか。
  60. 新田庚一

    新田政府委員 円借款を行ないまして、その後にかりに切り上げが行なわれました場合は、その分だけ被援助国の返済の場合に外貨としてはふえ刷るということになります。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 いかがですか、ずいぶん問題点指摘してまいりましたが、政府側の答弁も必ずしも明快ではない。十二分に検討されたという評価をどんなにひいき目に見てもするわけにはまいりません。むしろこれは撤回をされることが適当ではないかと思いますが、その点、御意思ございませんか。これは政務次官からお答えをいただきます。
  62. 木野晴夫

    木野政府委員 開発の場合に、私たちは開発プロジェクト第一にやっていく、第一義的に考えていく、これが一番正しいのじゃないかと思っておるわけでございます。  そういった意味で、商品援助につきましては、ただいま先生指摘のとおり、いろいろ問題があるから十分に注意をしろという話がございまして、見返り資金の運用その他につきましてどうであるかとか、いろいろ御質問があったわけでございます。私どものほうも、商品援助を行ないますゆえんのものは経済の安定に資するというのでございまして、そういった点につきましては十分に見ていかなければならぬと思っておるわけでございます。ただ、国際協調をいたしてやっておりますから、そういった関係もございますし、また相手方の国の問題もございますから、そういった所期の目的を達しますように努力していきたい、このことをまずもって申し上げたいと思うわけでございます。  それからただいま御指摘の、いろいろな問題があるから円対策にどのくらい貢献するのだろうかという問題がございました。この円対策の問題につきましては、外貨準備が現在百七十七億ドルたまっておりまして、それをどのようにするか、円の再切り上げをどのように回避するかということで全力を傾注いたしておるわけでございますが、この円対策につきましてドルがどのくらい減るかということも大事でございまして、たとえば輸入の自由化、輸出の適正化、それは直接に関係ございますが、実は経済的にそれだけの力を持った日本の国として国際協調の線で十分果たしておるかどうか、エコノミックアニマルといわれておらないだろうかどうか、そういった点につきましては改善する必要があるわけでございまして、円対策の一つといたしまして大きな恩義があるのではないかと思うのでございます。  それで、国内的には福祉優先の政策をとる、また景気の振興をはかる、そういったこともやっておりますし、また国際的には経済協調の線をこの際大いに打ち出していきたいと思っておるわけでございます。そういった意味で、今回の商品援助をアンタイイングにするということは、各国の要請もございまして、国際的な協調の線が姿勢として非常に生きてまいりますし、私、ぜひともお願いいたしたいと思いますし、かたがた、また日本円対策といたしまして、額でどうこうという問題と姿勢の問題として私はぜひともお願いいたしたい、まあこのように思っておる次第でございます。どうか先生に御理解願いましてお願いいたしたい、このように感ずるわけでございます。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 いまあなたがお答えになっておりますのはまじめな気持ちで答弁をしていると思います。その答弁しているあなたが、自分の気持ちに全然ないものを、質問に対して適当に合わせて答弁をしているというようには思いませんけれども円対策とおっしゃるけれども円対策になっていないのだ、緊急性も即効性もないじゃないか、この私の指摘に対して、こうありますという答弁はできないはずなんです。いままで政府は、円対策というものを幾つも、五項目とか八項目とか何回も出してまいりましたが、何をおやりになったのか、どれだけの効果があらわれているのか。何の効果もあらわれてきていないではないかと私はむしろ指摘したいくらいです。個人消費をもっと伸ばしなさい。低生産性部門の農業であるとか中小企業の生産性を高めなさい。そうすることによって物価を引き下げなさい。あるいは輸入の促進をはかっていくということについても、日本の国際競争力の非常にないところの中小企業であるとか、あるいは競争力のないところの商品ということに対しては十分な配慮をしながら、輸入の促進をはかっていく必要があるということを指摘してまいっておるが、何もおやりになっておられない。ただ、こま切れ的にこれを円対策であるというふうに便乗するがごとき提案をこの臨時国会になさるということは不見識であると私は申し上げている。  また、援助対策、援助の改善であるとするならば、昨日も申し上げましたように、先ほども私が触れましたように、七〇年代の援助のあり方というものは六〇年代と大きく変わってくるのだ。それで抜本的に援助対策については十分検討をして法律改正をしなければならぬ点はこれを改正する。そういうことで、あなたがお答えになりましたように、日本経済力を、相手国の低開発国の国力を非常に強めていくために、経済の改善に、国民の福祉にほんとうに役立つための援助効果あらしめるような方向に持っていかなければならない。そしてあなたが、援助の本来のあり方というものは商品援助ではなくて、投資が中心でなければならぬ、プロジェクトの援助というものが中心でなければならないとするならば、そのプロジェクトの援助にいたしましてもタイドからアンタイドの方向へ持っていかなければならないし、さらに、それもまた二国間ということよりも多国間の方向へ援助も強めていかなければならない、そういったようなほんとうに説得力のある答弁、御提案をなさるならば、私はこの改正案を撤回なさいとは申し上げない。しかし、あなたもお聞きになっておられるように、この質疑を通じてほんとうに説得力のある、ぜひこの臨時国会においてこれを提案をし、成立をさせなければならぬというような切実感というものは生まれてこないではないか。だから、これを撤回をしなさいと私は申し上げたわけであります。  時間が参りましたから、きょうはこれで終わります。
  64. 藏内修治

    ○藏内委員長 岡田利春君。
  65. 岡田利春

    ○岡田委員 中村委員の質問を聞いておりまして、答弁と提案理由の説明というのがずいぶん食い違いがあるのじゃなかろうかという感じがするわけです。大臣の提案理由の説明には、「当面の対外経済関係調整に資するとともに国際的な要請にも対応しわが国の経済協力政策の」と述べられておるわけです。ところが、いまの質問の答弁では、そういう対外的な経済協力政策の一環としての要請に基づくのだという面が主であるがごとき答弁が行なわれておるのですが、そういたしますと、大臣の提案理由の説明の認識といまの答弁とには大きな相違があると思うわけです。それが事実であるとするならば、大臣の提案理由の説明をもう一度訂正をしてやり直しをする必要があると思うのですが、いかがでしょう。
  66. 木野晴夫

    木野政府委員 海外経済協力基金の改正につきまして大臣が提案いたしましたが、日本の国が国際協調の線に基づいていかなければならぬ、そして円対策、百七十七億ドルの外貨がたまった現在におきまして、円対策の一環としてこのことをするんだということで、さらにまた詳しくその辺のところの円対策関係として説明があったのでございます。これを、大臣の説明円対策の話としてなされた、そうして私のただいまの答えないしは局長のいままでの答えをずっと聞いておると、国際協調、その線から出ているじゃないかということがございましたが、この二つは、私からみ合っていると思うのでございます。  先ほど申しましたとおり、日本経済大国になりまして、海外経済協力を行なえということでございまして、そうして海外経済協力に相当協力いたしておるのでございますが、これをばさらに政府援助を多くしろ、ないしは条件をゆるやかにしろということで来ておりまして、先般のUNCTADの会議におきましても、その条件緩和の一つといたしまして、商品援助の場合にはアンタイにしろ、そうしてアンタイにするのがむずかしければせめて開発途上国からの品物についてだけでもいいからアンタイにしろということでございまして、そういった要請にこたえたのでございますが、しかしながらこれは先ほど申しましたとおり、わが国の当面いたしております円対策、これとも非常に関係いたしておるのでございまして、それだけの力があるからできるわけであります。  また、円対策の一環といたしまして、先ほど申し上げましたとおり、日本の国がエコノミックアニマルであるというふうな色彩を払拭する必要があるのでありまして、そういった意味からも、アンタイのこの問題を片づけまして、日本の国は経済的に強くなりましたとともに、その力をば国際協調の線で開発途上国の援助に振り向ける、そうしてまたその場合もアンタイにして、エコノミックアニマルというふうなそしりを除いてしまうということを姿勢から見ましてもぜひともとりたい、このように考えておるのでございます。
  67. 岡田利春

    ○岡田委員 しかしこの発想は、第三次円対策の五項目のその一つの項目を具体化するべく改正案が出された、この点ははっきりしておるのじゃないかと思うのですよ。そういう改正をしながら当面関係方面から要請されたものにもこたえていくことに資することになるのだということも、私はやはりすなおな本法改正案の提案の流れではなかろうか、こういうことで、すなおに答弁をされ、すなおに受けて議論したらいいのではなかろうかという感じを実は強くするわけです。  問題は、経済協力の場合には、国際開発戦略というものはわが国の場合に明確にまだ定められていない。ですから、いろいろな面にやはり混乱があり、いろいろまた被援助国から要請される、指摘をされる面も非常に多いのだと思うわけです。そういう意味では、経済協力の原則あるいはまた国際開発の戦略、こういうものをもう少しびしっと定めて対処するという姿勢がなければいかぬだろう。何か国際機関の国連開発の十年の方向に顔を向けているだけで、向けなければ都合が悪いから顔を向けている。ほんとうにやる気があるかどうかということになると、どうもその辺が不十分である。これがわが国のいまの経済援助の実態ではなかろうか、こう私は実は受けとめておるわけです。  そこで、率直に聞きますけれども対外経済関係調整するということは、対外すなわち対米関係調整ということが一番望ましいのではないかと私は思うわけです、円・ドル対策からいって。だからひもつきを断ち切った場合には、それがアメリカの商品が向けられれば今日の現実的な円・ドル対策からいけば一番有効な措置になるだろう、こうすなおに私は理解せざるを得ないのでありますけれども、この点はいかがですか。
  68. 木野晴夫

    木野政府委員 海外経済協力に対するわが国の態度といたしまして、これだけの力がついたのでありますから、開発途上国に援助するということは当然の姿勢であると思うのであります。その場合に、ただいま先生指摘のとおり、それが相手国に喜んでいただくというものでなければなりませんし、また、その場合に、わが国といたしましてしっかりした統一したものを持っておるべきである。まさに御指摘のとおりであろうと思うのでございます。そういった点から見てまいりますと、国際協調ないしは国際間の協調融資というふうな点を申し上げますと、自主性がないんじゃないかという御指摘でございました。そういった点も、私たちといたしましてはそれにゆだねておるというのではいけないのでありまして、先ほど申しました相手国に喜んでもらう、よくなっていく、経済の安定になるというふうに持っていくべきでありまして、この点につきましては、御指摘の線は十分に銘記いたしまして進んでいきたいと思っておるわけでございます。  それから、商品をアンタイにした場合に、日本との対外経済関係で一番問題はアメリカだから、アメリカの品物が入ってくるんじゃないかという見通しの問題でございますが、開発途上国の現在の情勢を見てまいりますと、日本の品物が非常に良質であって、しかも値段が安いと申しますか、それで日本の品物が実は行っておるわけであります。ただ、素原材料は日本にございませんし、また食料品その他も日本ではないのがございます。そういったものは振りかわるのではないかと思うのでありますが、アメリカの品物がそれにかわるということはあまり考えておらない。むしろ開発途上国の間でそういった域内の取引が行なわれて、開発途上国相手の開発途上国も喜んでもらう、こういうような結果になるんじゃないか、このように見ているわけでございます。
  69. 岡田利春

    ○岡田委員 いわゆる即効的に円・ドル対策をやるということでありますから、即効的に効果をあげるということは、結局急速にわが国の援助額をふやす、商品援助についても援助額をふやすということがその場合に第一に考えられるし、第二の問題として、いま答弁がありましたけれども、その商品援助相手国の条件によって、問題は円・ドル関係の対外経済調整というのは対米調整が主でありますから、結局そういう意味では、アメリカからの商品が買われる、アメリカからの輸出がふえるということが一番望ましいのではないか、こう私は思うのですけれども、そうお思いになりませんか。すなおに聞いているんですけれども……。
  70. 木野晴夫

    木野政府委員 いまの、商品をタイドからアンタイドにするといった場合に、ただいま先生指摘のとおり、その分だけアメリカから入ってくればもうずばりドル問題は片づくわけでございますが、現在タイドにしてあるわけでございます。したがいまして、現在、商品援助いたしますと、日本から品物が出ていくというわけでございまして、これをアンタイにいたしますと、アメリカ以外のどこかの国から買った場合、それだけ日本の外貨が入ってくるのが防げるということがまずございます。それから、アメリカがその品物を売れば、アメリカの国際収支がよくなるということで、その辺のプラスがございますが、先ほど申しましたとおり、どういった品物が出るかといいましたときに、アメリカの品物が出るかどうか、ずばり該当するものがあるかないかということでございまして、全体として見ましたときに、私たちは、たとえば開発途上国の間での品物が動く、そのときに相手の開発途上国もよくなるのではないか、これが第二の効果ではなかろうかと思っておりまして、ずばりの御質問でございますが、アメリカ関係は、そうアンタイにしたことによってアメリカの品物が出ていくとは考えておらないのでございます。
  71. 岡田利春

    ○岡田委員 アンタイにして、もちろん外貨減らしには非常に役立つわけです。後進国同士の場合でも。しかし、経済関係調整というのは対米調整がいま主たるものですから、最も望ましいことは、アンタイドにして、たとえば商品援助の先が、食料品を輸入する、食料品にたよるというような場合には、アメリカは余剰農産物を持っているから、それがアメリカから輸出をされるということになれば、一番円対策としては望ましいのではないだろうか。そればかりという意味ではないですよ。そういうことを期待しても差しつかえないのではないでしょうか。いまの対米経済関係からいえばそう私は思うのですが、いかがですかということです。そうだったらそうだでいいわけですよ。
  72. 木野晴夫

    木野政府委員 対米関係状態をよくするということではそうでございます。  それから、私いま申し上げましたのは、商品の援助をばタイドからアンタイドにするといった場合の話を申し上げたのでございまして、アメリカの関係を見てまいりますと、開発プロジェクトがございまして、それはやはりアメリカの力を借りねばなりませんし、開発プロジェクト関係では相当アメリカの援助と申しますかが入ってくる、このように考えております。
  73. 岡田利春

    ○岡田委員 時間がありませんからあれですが、それに関連して、別な問題になりますけれども、ひとつこの機会に伺っておきたいのですが、先般の商工委員会で、工業再配置・産炭地域振興公団の審議をめぐって、公団職員の給与についていろいろ議論されて、相当詰めて、最終的に、その質問の中で明らかにし、工業再配置促進法並びに団法の改正案が通った、こういういきさつがあるわけです。すでに十月一日から公団が発足をし、新しい総裁並びに副総裁も発令をされ、総裁、副総裁の給与もそれぞれ決定されたわけです。大体今度の公団は、いわば田中総理の目玉商品である列島改造、その中核的な役割りを果たしていくということで設けられた公団でありますから、相当ウエートの高い重要な公団であると私は思うわけです。まさしくA級の公団である、こう思うわけです。したがって、今年度は百五十億でありますけれども、平年度三百億、むしろこれ以上上回る規模にするということがしばしば総理からも述べられておりますし、そういう意味で、前田中通産大臣の答弁としても、当然それに適当な給与水準に改正をいたしますという約束が行なわれておるわけです。そのとおり行なわれなければ、これは田中総理はうそをついていたということになるわけですが、一体この改正については、もう発足をしておるのでありますから、いつ改正するのか、そうしてその改正の水準のめどは、そういう公団の設置の背景なりあるいはまた目ざす方向等から判断をして、どのような水準を考えているか、この際、はっきりした答弁をもらいたいと思うわけです。したがって、これは通産省企業局と、大蔵省の給与課長が来ておると思うのですが、この点どうなっておるのか、答弁願いたいと思います。
  74. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 御指摘のとおりに、十月二日から発足いたしまして、その前後を通じ、現在も新しい公団の職員の給与体系につきまして、通産省、大蔵省で鋭意協議中でございます。  岡田先生指摘の前田中通産大臣の答弁につきましては、私どももしかと心に入れております。
  75. 岡田利春

    ○岡田委員 その給与関係の是正は一体いつごろ行なうのか、もう十一月に入ってきておるのですが、発足当時の総裁、副総裁の場合は暫定で、これは正式にきまったわけです。したがって、当然その間の職員給与についても、もう十一月に入ったわけですから早急に解決されなければならないのではないかと思うわけです。そのめどはいかがですか。
  76. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 御存じと思いますが、正直に申しましていつまでという期限があるわけではございません。ただ、私どもとしては、できるだけ早くというのでいま話を詰めておりますが、もちろんきまればさかのぼって実施するという原則で、それにしても早いほうがいい。ただ、拙速——問題点は、やはり私どもとしては、この機会にほかの公団の状態等と比べて見まして、今度新しく規模もふえ、仕事もふえて、政府関係百幾つの中で、いわゆる格も違ってきたわけでございますから、それ相応の上げ方をしたい。大蔵省もまたいろいろな資料検討しておりまして、私どもとしては、拙速も困るが、できるだけいい形で早く話を詰めたい。先生承知のように、十月のベースアップの作業もございますし、そういうものとからめてやりたい。いま年内までは確実にとお約束できる——もちろんそうしたいと思っておりますが、そしてそれはさかのぼって適用したいと思っておりますが、はっきりした期限をお約束できないと思います。
  77. 岡田利春

    ○岡田委員 この法律案審議のときには相当突っ込んで審議をしておるわけです。特にそういう問題についても十分配慮しなければならぬということで議論が深められておるわけです。そういう意味からいって、もう発足前に相当調査なり準備がなされておってしかるべきではなかろうか、こう思うわけです。三カ月有余の相当の期間があったわけですからね。それがまだ現段階でも調査をしなければなかなかきめられないという理由は一体どこにあるのか、何が問題なのか、調査が不十分だとすればいままで何もやっていなかったのか、この点はどうですか。
  78. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 役所仕事と言われると、またその御非難も受けなければなりませんが、たとえば新公団の役員の給与も発足以前から検討はしておりましたが、最近になってようやく両省の間できまった。それから産炭関係の仕事は実際には従来どおりのわけですけれども、しかし、同じ公団の中では今後交流もやっていきますし、全く同じにやっていくわけですし、共通管理部門などはどっちにしても仕事量がふえるわけですし、そういう考え方は前から議論もし、一致はしておるわけですけれども、それではそれぞれ何ぼにしていくか、体系をどうしていくかという点についてはなお検討を続けておるという状態でございまして、いま特に何が難関か、何が難点かということもございませんですが……。
  79. 岡田利春

    ○岡田委員 企業局長としてはそう答弁されておるのですが、具体的には、やはり給与の関係ですから他の公団その他の関係等の振り合いから、結局大蔵省としてこれに対してどう考えておるのか、何かいままで特に問題点があるのか。審議の流れからいえば、きわめて常識的に自然に問題は解決されてしかるべきではないか、こう私は思うのですが、大蔵当局はどうなのでしょう。何か問題点があるのでしょうか。
  80. 西垣昭

    ○西垣説明員 お答え申し上げます。  いま通産省の企業局長からお答えいたしましたとおり、私どものところでは、通産省から資料をいただいて検討を進めておるところでございます。企業局長が言われましたように、できるだけ早く結論を出したい、かように考えております。  特に問題があるかということでございますが、特定の問題点について検討しておるというのではなくて、一般的にまだ検討は十分進んでない、こういう段階であることだけを申し上げておきたいと思います。
  81. 岡田利春

    ○岡田委員 そうすると、当委員会で、当時の田中通産大臣が発言したその精神を尊重して、その方向で解決をするという点については何ら変わりがないということを私は確認してよろしいですか。
  82. 西垣昭

    ○西垣説明員 通産大臣の御答弁でございますので、基本的な方向としては、その方向で検討を進めてまいりたいと考えております。ただ、先生も御承知のように、法人の給与水準と一がいに申しましても、これは職員構成の違いによりましていろいろ違いがあるものでございます。ですから、そういったものも十分検討に入れまして方向を出してまいりたい、かように考えております。
  83. 岡田利春

    ○岡田委員 終わります。
  84. 藏内修治

    ○藏内委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ————◇—————    午後一時三十五分開議
  85. 藏内修治

    ○藏内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
  86. 近江巳記夫

    ○近江委員 経済協力の問題ということにつきましては、いつもいろいろな角度で論じられてきておるわけでございますが、政府としても、やはりビジョンを確立して、そして今後はひとつルートに乗せたい、そういう、どちらかというと抽象論的な御答弁というのが非常に多かったように思われるわけであります。  それで、きょうは海外経済協力基金の総裁高杉さんもお見えになっておられますので、基本的な考え方、海外経済援助協力という点について、今後どうあるべきであるか、どのようにお考えになっておられるか、ひとつ参考人から御意見をお聞きしたいと思います。
  87. 高杉晋一

    ○高杉参考人 御質問に応じましてお答え申し上げます。  御承知のように、この海外経済協力基金の仕事というものは二つに分かれておりまして、その一つは、政府対政府の直接借款でございます。もう一つの分野は、日本の民間企業発展途上国経済発展協力する場合に日本企業に対して融資を与える、この二つに分かれております。  実際の状況を申し上げますと、基金の仕事がだんだんと政府対政府の借款のほうに重きを置かれるようになりまして、現在におきましては二千四百五十二億円という総体の貸し出し残高になっておりますが、この中で、政府対政府の借款が千九百九億円、これは九月末の残高でありますが、それから一般のほうが五百四十二億円、こういう額になっております。  将来の展望を申し上げますると、この政府対政府の借款が非常にふえてくるのではないか、こう思うのであります。これは御承知のとおり、海外経済協力基本が国民総生産の一%ということになっておりまするから、近いうちには一%になるだろうと思いますが、その中でやはり政府対政府のソフトな貸し出しというものが七割ということが一つの目標になっておりまして、日本もその線に沿うてひとつ前向きにやりましょうということになっておりますので、こういう点から考えますると、将来、政府対政府の借款が大幅に伸びていくのじゃないか、こういうふうに考えられます。  そこで問題が二つ三つあるのでありますが、その一つは地域の問題であります。ただいまにおきましては、この経済協力の地域的の重点というものがアジア、特に東南アジアに置かれております。政府対政府の借款におきましても一〇〇%アジア地域に限っております。アフリカとか中南米とか中近東のようなところにはまだ政府対政府の借款はやっておりません。しかし、この地域的の制限もだんだんと広がってくる傾向にあると思います。たとえばアフリカ、中南米、そういう方面におきましても将来この直接借款の分野が広まっていく、こういうふうに考えられます。もちろん民間の経済協力の活動もこの方面にだんだんふえていく、こういう傾向にあると思います。  ところで、地域の問題はそうでありまするが、ここにわれわれ経済協力の上において非常に注意しなければならぬことが二、三ございます。  その一つは、相手国の国情に応じて適切な経済協力をやっていくのにはどうしたらいいか、こういう問題であります。特に、最近日本に対する経済協力について、いろいろ批判が起こっております。たとえば、エコノミックアニマルとかあるいは経済的の進出、資本の支配とか、あるいは資源の簒奪であるとか、そういう非常にきびしい批判も起こっております。しかし、こういう批判に対してわれわれはこたえていかなければならない、こういう重要な任務がございます。  ところで、経済進出に対するいろいろな批判でありますが、一つの例を申し上げますと、インドネシア経済協力でありまするが、これが非常に大きな額にのぼっております。直接借款千九百億一円というもののうちの半分以上、千億円以上というものがインドネシアにまいっております。また、民間の企業進出における資金の裏づけも一番多くなっております。そういうわけでありまして、インドネシアに対する経済協力に対して、いろいろインドネシアでも批判が起こっております。それは、やはり日本が金をもうけ過ぎるとか、あるいは資源をむだに持っていくとか、そういうような批判が起こっておるのであります。  これにつきまして、先般私がインドネシアに参りましたときに、向こうの大統領との話がこういう話になりました。大統領のほうからは、日本の進出をもっとやってくれ、まだ足らない、こういうような要望があるのでありますので、私は大統領に対しまして、それは非常にけっこうでありまするが、インドネシアにおいては日本経済協力について相当ひどい批判があります、あるいは経済の主導権を日本が持っているとか、資本の進出が強過ぎるとか、あるいはどうも資源をただ持っていくだけで、インドネシア経済、産業の発達にあまり寄与していないというような批判がありますので、われわれも実はどうして協力しようかということで迷っておるのです、こう申し上げたところが、大統領は、それはそういう批判もありましょう、しかし、インドネシアの政府はよく心得ております、日本協力というものがインドネシアにとっては非常に大切である、また日本が非常によくインドネシア援助してくれるということもよく承知しておるのであるからして、そういうことを心配なしにひとつもっとどしどしインドネシアに資金をつぎ込み、経済協力をやってもらいたい、こういうような要請があったわけであります。  そこで、われわれ考えますのには、やはり政府の考えと一般の民間の考えとは多少違うところがあります。どういう国にも批判勢力というものがありまして、それは開発途上国においては、日本に対していいことばかりは言っておりません。反日の新聞もございます。そういう新聞なりマスコミというものは、いろいろとまた日本に対する批判を加える、こういうことがありますので、あまりこれにとらわれておるとほんとうの経済協力はできないと思うのであります。  そこで、われわれは誠意をもってこの低開発国の経済協力にはひとつ長い目で見ていく、これが必要ではないかと思うのです。道中においてはいろいろ批判があるかもしれませんけれども、結果において非常にありがたかった、そういう結果が出るように忍耐と努力をもってやる必要があるのではないかと思います。  それにつきましては、われわれはこういう方針でやっております。先ほど申し上げましたように、資源の簒奪とかあるいは日本が貿易でもうけ過ぎるとかいう考えを押えるために、ただ単に資源の開発を、非鉄金属でもそうであります、木材でもそうであります、また石油のようなものでもそうでありますが、そのものをそのまま日本輸入するという方法はなるべく避けまして、やはり第一次産業から第二次産業、たとえば木材ならば木材の利用、あるいはチップ工場なり木材工場なりパルプ工場なりをその国に興してやる。ニッケル、銅、そういう非鉄金属の開発におきましても、ただ掘り出したものを金を出して持ってくるというのじゃなく、第二次的の製錬工場でもつくってやる、こういう方法でいけば政府も感謝します。また、向こうの国民もそれによって職も得られる、所得もふえる、また、自然第二次産業の開発にもなる、こういうことです。つまり、そういう方針でやらないと、日本経済協力というものが結局は発展途上国からあまり感謝されない、こういうことになります。われわれはそういう方針でやっております。これはひとりインドネシアばかりではありません。  一つの例を申し上げますと、インドネシアでただいまニッケルの開発をやっております。ハルマヘラでニッケルの開発をやっております。これはニッケル関係の会社の総力をあげていま調査中でありますが、調査の結果非常に有望でありまして、これは二、三年かかってさらによく調査をして、その上でひとつ開発を始めよう、そうしてそこにニッケルの製錬工場をつくりましょう、こういうところへきておるわけであります。カリマンタンの木材開発にいたしましても、木材をただ持ってくるというのじゃなく、そこへ第二次産業のパルプ工場でもチップ工場でも木材工場でも興してやろう、そうしてインドネシアの民間に職を与え、そうして所得をふやしてやる、そうすれば、政府の方針もそれによって非常に立っていく、民間も喜ぶ、大体こういう方針でやっていくのがいいのじゃないかと考えております。  向こうに合弁事業を興しましても、ただ単に日本が過半数の株式を持っていつまでも企業を支配するのじゃなく、だんだんとこの企業の経営管理能力が向こうの人にできますれば、向こうの人に経営をゆだねていく、そうして株式も一般に公開して日本はだんだんとそこから引き下がる、こういうような方針でやるのがいいのじゃないかと思うのであります。そういう方針でやれば、向こうの政府も民間も日本経済協力に感謝する、こういうことになるのじゃないか、こういうふうに考えて、われわれはそういう方針で努力しております。  大体われわれは共存共栄、いましきりに言われておるところの日本の資本の侵略とか、資源の簒奪あるいは経済の独占とかいうことが言われないように、共存共栄の立場実績をもってこれを示していく、こういうような方針でやっておるような次第でございます。  御質問に対してこれだけお答え申し上げておきます。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから沖田さんも、きょうは参考人として来られているわけですが、いま総裁からいろいろの考え方をおっしゃっていただいたわけですが、また、それにつけ加えて何かお考えがございましたら、ひとつお聞きしたいと思います。
  89. 沖田守

    ○沖田参考人 ただいま総裁から申し上げましたように、ほんとうに相手国発展途上国経済発展、民生の安定に役立つような経済協力ができるように極力努力いたしておるわけでございます。基本的にどのような国に政府借款を出し、どのような援助の形態をとるかというふうなことにつきましては、大きな政府の方針のもとで経済協力実施機構としてやるわけでございますが、個々のプロジェクトにつきまして少しでもフィージビリティーをよく確かめて、たとえば道路をつくり、港をつくり、ダム、発電所をつくる場合に、経済的にも技術的にもフィージビリティーのしっかりしたものをやって、相手国にほんとうに役に立ったと感謝されるような援助になるように、実施面で努力いたしていきたいと思っておりますし、一般案件におきましても、民間投資につきましても、先ほど総裁から申し上げましたような相手国との合弁、あるいは相手国輸出の振興、あるいは相手国における国産化の推進、雇用の増大、こういうふうなことに役立つような合弁事業を特に優遇して育てていく、こういう見地で個別企業に対する融資も考えて努力いたしておる次第でございます。補足してちょっと御報告申し上げます。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 たしか前に、四十三年でしたか、この改正案が出まして、あのときに、こういう援助の実態というものを私も調べて、いろいろ御意見申し上げたことがあるのです。たとえば一例として、タンジュンプリオク港に日本から新造船ということで出した船が、九隻だったと思いますが、動かなくなって係船してある、おそらく古船じゃないかというような疑いも持たれたわけですけれども、そういう実際の内容自体、だれが見てもおかしいじゃないかというようなケースも前には見受けられたようです。この追跡調査ということで、政府からもそういう調査団が派遣されて、いろいろなレポートも出しておりましたが、そういう正式なレポートの中にも、たとえば、ベニヤ工場でもう機械が全然動かないとか、その他いろいろな工場でも、もう雨ざらしになっておるとか、そういう効果のない援助であれば何にもならぬわけですね。一体そういうことはどういう事情でそのようになっているのかということも非常に不審があるわけですね。その後、相当いろいろと改良もなさっておると思いますけれども、そういうようなケースは最近はないですか。みなうまくいっておりますか。その辺のことをひとつ総裁にお伺いしたいと思います。
  91. 高杉晋一

    ○高杉参考人 この協力がうまくいっているかいないかの問題でありますが、一番批判の的になりまするのはインドネシア経済協力であります。これはスカルノ大統領時代に、賠償金でやった経済協力の工場がそっちこっちにあるのでありますが、これはほんとうの日本インドネシアの相談でできたものじゃないらしいのでございます。大体スカルノ大統領がここへ何を置け、ここへ何を置け、こうばく然とところどころに公平に工場を置くというような方針でやったものらしいのでございます。私その当時は総裁をやっておりませんので詳細はわからないのでありますけれども、聞くところによると、そういうふうにしてこしらえた工場がやはり実地に合わない。人の問題、技術の問題あるいは材料の問題、運搬の問題、そういうことでどうもうまくいかないで工場が眠っておった、こういうことが非常に多いのであります。しかし、その中にもうまくいりているところもあるようであります。それはやはり工場の管理がよくできておるところはうまくいっておる、こういう例も二つ三つあるようでありますが、結局企業というものは所と材料の問題、それから運搬、輸送の問題、それから経営する人の問題、管理の問題、こういうのがやはりうまくかみ合わないとなかなかうまくいかない、こういうことでありまして、スカルノ大統領時代のそういう遺物がそっちこっちにあるのをただいま検討して、できるものなら生かしていこう、こういう努力をやっておるわけでございます。  それから、そのほかの経済協力は、タイ、カンボジア、ビルマ、そういうところにたくさんありますけれども、まだこれからの仕事であるというところがたくさんございます。たとえば、三井物産のやっておりますミツゴロの農場のようなところではトウモロコシをやっておるのでありますが、これはなかなか骨の折れるところでございます。しかし、これは長年かけて成功のところに持っていこうと努力中でございます。  それからまた、カンボジアあたりにもそういうものがありまするけれども、ああいう治安の不確定なところでは実際まだ実行ができない、こういうところもございます。しかし、いまのところは、そういうものは大体においてうまくいっていると思うのでございますが、中にはやはり見込み違いのところもあります。これは仕事のことでありますからいたし方がないと思うのでありますが、大体においてうまくいっている、こういうふうに私は考えております。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 確かに時代もだいぶ変わってきたと思うのですけれども、何せこれは外国でやることでありますし、なかなか目も届かないということで、うまくいくケースのほうが少ないくらいじゃないかというようなこともちょいちょい耳にするわけでありますが、やはりこうしてやっていく以上は、向こうも喜び、また成功をしていくものでなければならないと思うのです。やはり国民のこういう血税を運用していくわけでありますから、その点は慎重にお願いしたいと思います。  それで、今度は政府にちょっとお聞きしたいと思います。  わが国の政府間援助ですけれども、七一年では対GNPが〇・二三%、DACの平均が〇・三五%で、こういう立ちおくれというものが依然として目立っておるわけです。これについてこの拡大目標、また援助計画的な推進をはかるということがこの援助効果の点で非常に大切なことである、このように思うのですが、考え方及び具体的な方針についてお聞きしたいと思うのです。
  93. 新田庚一

    新田政府委員 御指摘のとおり、政府開発援助、いわゆるODAのGNP比は昨年で〇・二三でございます。国際的な要請としまして、発展途上国から少なくとも〇・七にすべきであるという広範な要請が出ております。  これに対して日本としましても、ことしの春の第三回UNCTADにおきまして、〇・七を目標にして達成に努力するという意図表明を行なっておるわけであります。ただ、これをいつまでに実現するかという年次についてのコミットはしておらないわけでございます。しかしながら、日本の最近置かれておる状態から見まして、これをできるだけ早く達成しなければいけないわけでございますが、しかし〇・二三という現状はあまりにも低いわけでございまして、かりに一九八〇年を目標にして〇・七というテンポでいきます場合に、少なくとも七五年には〇・四に引き上げなければいけない。これは現状のDACの平均よりもちょっと高目の標準になるわけでございますが、それにしてもODAの最近までの年平均の伸びというのが約一二%くらいでございます。これをかりに今後成長率——これは仮定でございますけれどもGNPの伸びを一三%くらいに見た場合に、今後三、四年、毎年三割以上のテンポで伸ばさなければいけないという数字になります。そこら辺の問題は、現在経済企画庁で昭和五十二年を目標にする中期計画を策定しておりますが、その計画で見るGNPの伸びに見合って具体的にどういうテンポでODAを伸ばすかということを計画の策定を終わって具体的に検討してみたい、そういうように考えております。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 このようにピアソン報告ですか、これでも〇・七ということがいわれておりますし、わが国としても、やはりアジア全体として日本に対する期待が非常に大きいわけでありますし、いろいろなむずかしい点もあろうかと思いますけれども、やはりこれは国際的なそういう信義に関係することでもありますし、そういう点はひとつ努力をしていただきたいと思います。  それから、この援助条件につきましても、日本の場合金利が三・五%、据え置き期間が六・七年、返済期間が二十二・一年、こうなっておりますが、DACの平均でいきますと、金利は二・六%、据え置き期間が六・四年、返済期間が二十九・一年、こういうように出ておるわけですが、今後やはり少なくともこれは改善していかなければいかぬと思うのです。皆さんもいろいろと努力されておると思うのでありますが、この改善方針をどのようにお考えになっておられるか、この点についてお伺いしたいと思うのです。
  95. 新田庚一

    新田政府委員 御指摘のとおり、日本の借款の条件は、確かに最近累年ソフトにはなってきておりますけれども、DACの平均水準から見ますとまだかなりハードになっておるというのが現状でございます。援助の条件につきましては、御承知のように一九六五年、一九六九年という勧告がございます。最近では、DACの上級会議におきまして、十月にまた新しい一つの目標が設定されまして、日本としてもその達成に格段の努力を払うという意図表明をやっておるのでございますが、これは御承知のように、グラントエレメントとしまして八四という目標になっております。それがDAC平均が現在八二でございますので、DAC諸国の平均から見ますとそう高い水準ではございませんけれども日本の現状は六五でございます。これはさっき御指摘の贈与比率が三三%で、金利が三・五%という水準、これが六五になるわけです。このグラントエレメント八四、これを達成することも先ほど申し上げましたODAの拡充と並行してやらなければいけないと思うわけでございますので、これは財政的にも非常に大きな問題でございますけれども、やはりこの目標に向かって並行的に努力しなければいけないと思います。その場合に、やはり財政資金の質の問題になってくるわけでございまして、一般会計からの出資、つまり財政投融資の資金による出資の比率を逐次上げていかなければならないという問題があるわけでございます。そういった方向に、特にソフトな借款をやっております経済協力基金の条件を逐次緩和しまして、経済協力基金中心として借款の拡充に充てていくというふうにしたいと考えております。  もう一つは、借款の条件のほかに、ODAの中における無償供与——贈与とかあるいは技術協力、無償供与の比率が、DAC諸国平均ではODAの中で五〇%程度占めておりますけれども日本の場合には二五%の低い水準になる。したがいまして、やはり借款の条件のみならず無償供与のウエートを高めるという問題、これは外務省を中心にいろいろ検討していただいていますが、これもやはり借款の条件に劣らず重要な問題と考えます。
  96. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後発展途上諸国との円滑な交流ということがますます大事になってくるわけですが、円滑な交流を発展させていくのに非常に効果がある、こういわれておるのは技術協力の問題なんですが、わが国の場合、DACの加盟国の中で技術協力については最下位になっておるわけですね。こういう点は、やはり格段の努力をする必要があると思うのです。こういう点は、やはり先方も一番期待しておることであると思いますし、これについて具体的な拡大計画というものはどのように考えておりますか。
  97. 新田庚一

    新田政府委員 御指摘のように、現在の日本の技術協力の水準は、私、先ほど申し上げましたけれども、ODAの中における無償供与二五%ですけれども、技術協力はたった五%しかない。これはDAC諸国平均では二二%を占めておるというふうな現状でございまして、資本協力と並びまして技術協力というものが、今後ますます資本協力とタイアップして重要性を増してくると思います。  これにつきましては、やはり外務省が中心になってやっております海外技術協力事業団を中心とする政府ベースの技術協力と並びまして、各省がそれぞれでやっております各事業分野の技術協力をそれぞれ助成しておりますが、その助成予算の拡大というものを通じて技術協力の量質ともにこれを拡充していく必要があるというふうに考えております。
  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 政府の開発援助の拡大充実ということは、今日、外貨もこのようにたくさんあるわけですし、円対策という点からも強く要請されておるところでありますが、これは単なる先進国の責任ということだけじゃなくして、今後わが国と発展途上国とのそういう関係ということからも、そういう計画的あるいは効率的、有機的な推進ということが望まれるわけでありますけれども、そのために、行政機関あるいは実施機関、こういう業務分野というものを明確にすべきじゃないかと思うのです。この点が案外ばく然としておるように思うのですが、この点についてどのように考えておられるか、これをお伺いしたいと思うのです。
  99. 新田庚一

    新田政府委員 確かに先生指摘のとおり、経済協力に関する行政機構はかなり複雑になっております。ただ考えますに、経済協力というものは、これが政府ベースの協力あり、民間ベースがある、あるいは二国間の協力もありますし、マルチの多角的な協力もある、内容的に技術協力もあるし、資本協力もあるというふうに非常にその内容が広範でございまして、関係する省が非常に範囲が広いわけでございます。これに関与している各省も、狭い意味で五省庁で、課としまして十五課くらいございます。これにつきまして、やはり資本協力の面につきましては、これは外務省の外交的な判断とか、それから大蔵省の財政的判断、それから通産省の通商面からくる判断、いろいろなものを総合しまして、特に四省庁が中心になって随時連絡会議を開いて調整しながらやっているというのが現状でございます。また、特に重要な案件は閣僚懇談会で方針の決定をするというふうな運営をしております。  技術協力の面につきましても、これは外務省、それからその所管する技術協力事業団を中心にしまして、そして所要の調整をはかっておるというふうな状態でございます。  この機構問題につきましては、今後ODAの拡充の問題、それから条件の緩和の問題、それから内外の情勢もいろいろ変化している時代に対処いたしまして今後どうするかという点につきまして、政府部内においてもいろいろ検討している次第でございます。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 政府側で検討しておりますと言うけれども、これはもう何年同じことを言っているかわからぬわけですよ。一つも進んでいないわけですね。それで法律改正ばかりこうやって出してくる。そういうことでは困ると思うのですよ。  これはひとつ政務次官にお伺いしますけれども、やはりそういう答弁だけで、実際は一つもそういう結果が出てない、前進してないということであれば何にもならぬと思うのですよ。その点について今後どのようにしていただけるか、基本的な次官のお考えをひとつ承りたいと思うのです。
  101. 木野晴夫

    木野政府委員 基金と輸銀との役割りと申しますか、またその場合の融資の条件その他違うわけであります。私は、これからの趨勢を見てまいりますと、基金のほうがソフトでございますし、基金中心のほうにウエートがかかってくるのじゃないか、こう思っております。  それから、ただいま御指摘のそれを受けまして政府のほうではどうだ、あまりにも機構が繁雑で、また連絡その他は十分にいってないんじゃないかというような御指摘があるかと思いますが、連絡が十分でない点、相互調整の不十分な点は私のほうの所管でございますから、改めまして努力いたします。  それから、現在基金につきましては経済企画庁が主務官庁でありまして、大蔵、外務、通産とこれが関係省でございます。ただいま先生の御指摘の点は非常に大きな問題でございますので、私の一存でこうだということはちょっと申し上げられませんが、先ほど申しましたとおり、これからの海外援助関係は質的には政府が援助をばもっとふやしていく、そうしてまた条件その他につきましてもソフトにしていく、よくしていく、これがわが国に対する要請でもあり、また経済大国になりましたわが国としましても果たすべき義務である、このように思っております。そういたしまして、全体としまして基金に中心が移っていく、このように考えておる次第でございます。
  102. 近江巳記夫

    ○近江委員 次官のほうでは、いま具体的に政府機構をこうするというようなこともすぐには出ないと思いますし、これはまたよく関係の次官会議なり、また大臣にもよく申していただきまして、ひとつすみやかに改善できるように努力を払っていただきたい、これを強く要望しておきます。  それから、円対策の問題ですけれども、外貨がこんなにたまってきまして、いろいろと考えておられるわけですけれども、各種の輸入拡大策というものが講じられておるわけでありますが、しかしわれわれの見るところでは、非常に技術的な面だけが目立つわけです。ほんとうに輸入の拡大をはかっていくためには、関税引き下げの効果というふうなものが流通過程で吸収されないように、流通面におきましても対策を講ずる必要があると思うのですが、こういう点についてはどのように政府としては考えておられるか、これをひとつ貿易振興局長にお伺いしたいと思います。
  103. 増田実

    増田政府委員 ただいま近江先生の御指摘になりました輸入品の価格が、たとえば昨年一六.八八の大幅な円の切り上げがありまして、これの結果として輸入品が相当下がるであろうという期待を国民が持ったわけですが、これがあまり下がってないという点が非常に問題になっておるわけでございます。ただ、現在の日本輸入品につきましては、大体六割以上が原材料でございますので、これらの値下がりというのは直ちに製品に出てこない。それから去年の切り上げ以降また諸外国の原材料価格も相当上がってきております。その点必ずしも円の切り上げ影響がいいほうに出てきてないという問題は御指摘のとおりでございます。それから、それ以外のいわゆる製品、食料品その他につきましていろいろ複雑な流通経路というものがありまして、そこへどうしても吸収されてしまうということがございますが、私どもとしては、この円の切り上げ効果が十分に国民にいい面で出てくるということを達成いたしますために、先般この流通経路の調査もいたしておりますし、また、いわゆる総代理店契約についても、これに対して並行輸入措置ができるようにするということでいろいろの対策を現在一部は実施しておりますし、また今後もこれを推進いたしたい、こういうふうに思っております。
  104. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろいろな対策を推進してこうしたいということを思っておられるわけですけれども、やはりこの効果を出さなければ、何ぼそんなことを言ったってだめなんですよ。ひとつ目に見える、やはり効果のあることをやってもらわなければ、これは答弁ばかりしてもらっても何にもならぬわけです。ですから、ひとつ結果を出してもらいたい。これを申し上げておきます。  それから貿管令運用によって輸出を抑制する措置を講じられるわけですけれども、外為法はわが国の国際収支が現在と逆の立場にあったときに成立しておるわけですが、第一条の目的としておる発展と現在行なおうとしております健全な発展との意味にやはり若干の相違があると思うのです。国際収支の均衡の維持にしても逆のような立場にもなっておりますし、この外為法による貿管令の適用というものについてはかなり無理な面があるように思うわけですが、そういうことについてはどのようにお考えですか。
  105. 増田実

    増田政府委員 今回とろうとしております輸出貿易管理令の運用によります輸出調整と、それから外為法の関係お尋ねでございますが、外国為替及び外国貿易管理法の目的に「外国貿易の正常な発展を図り、国際収支の均衡、通貨の安定及び外貨資金の最も有効な利用を確保するために必要な外国為替、外国貿易及びその他の対外取引の管理を行ない、」ということを目的にうたっておるわけでございまして、この目的に沿う範囲内で、政令で輸出を通産大臣の承認にかからしめておるわけでございますが、これを受けましていわゆる輸出貿易管理令に「国際収支の均衡を維持し、並びに外国貿易及び国民経済の健全な発展を図るため必要があると認めるときは、」通産大臣が輸出の承認をしない、あるいは承認条件を付することができる、こういう規定になっております。  私どもが今度行なおうといたしております貿易管理令によります輸出調整というものは、外国貿易及び国民経済の健全な発展を企図する、こういう考えでございまして、現在輸出が非常に急増いたしておりますし、またそのために円の再切り上げというものがいろいろうわさされておりますし、それに対して一部かけ込み輸出というものも始まっておるわけでございますが、このような輸出の急増あるいはかけ込み輸出がありますと、これが相手国市場においていろいろのトラブルを起こす。これを避けるということが外国貿易及び国民経済の健全な発展をはかるための一つの措置であると考えまして、貿管令により今回のこの輸出調整措置をとったわけでございます。  確かに先生のおっしゃいますように、この貿管令ができました昭和二十四年ごろはこういう黒字ということはほとんど予想できませんで、赤字の場合どうするか、輸出の場合に、その輸出しました代金を必ず確保するという観点で法律が組み立てられておりますのですが、ただ、確かに輸出貿易管理令というのはそういう趣旨のもとに組み立てられたわけでございますが、その後も、この輸出貿易管理令の運用によりまして、輸出秩序の維持のために貿管令をかけるということもやっております。  今回の措置も、確かに外貨対策ではございますが、長期的に見て輸出秩序を維持する、安定的な輸出というものの伸び率を確保することによりまして輸出秩序の維持をするという考えに基づきまして、今度の貿管令発動という外貨対策を運用いたそう、こういう考えでおります。
  106. 近江巳記夫

    ○近江委員 この貿管令による輸出の抑制は、何といっても業界納得といいますか、やはりそういう意見も聞く必要もあるわけですが、そうでなければ実行不可能であると思うのですけれども、その辺の感触はどういうようになっておりますか。
  107. 増田実

    増田政府委員 貿管令発動いたしますにあたりましては、業界納得、理解というものが前提で、それなくしては、貿管令という法令に基づきまして輸出をとめるということも実行上非常にむずかしいという点は御指摘のとおりでございまして、私どもも、この貿管令によりまして輸出調整を行なう措置につきましては、十分関係業界の理解、納得、さらには協力を得るということでやりつつあるわけでございます。  一応この方式をとるということにつきましては、先月の二十日、いわゆる新円対策貿管令の機動的発動によって輸出の適正化をはかるということがきまりまして、その後十月の終わりに、一応貿管令対象となる予定品目を発表いたしましたし、同時に各業界にすでに十月の終わりからそれぞれ説明をし、また納得工作をいたしておるわけでございます。現在も鋭意進めておりまして、大部分の業界につきましてはすでに御納得を得たというふうに思っております。  ただ問題点は、この貿管令実施いたしますときに、その手続あるいは具体的な割り当ての量をどうするかという点にいろいろ問題がありまして、その点まだ詰めの最中であるということでございますが、各業界も、円の再切り上げを避けるためにこの貿管令発動もやむなしという点については御理解いただいていると思っております。
  108. 近江巳記夫

    ○近江委員 現在十八品目に適用するようでありますけれども、それ以外に拡大するというような考えはあるわけですか。
  109. 増田実

    増田政府委員 工業品につきましては現在十八品目というものを考えております。これは一定の客観的基準によりまして選び出したわけでございます。これをさらに拡大する予定があるかどうかというお尋ねでございますが、現在のところは、私どもはこの工業品十八品目をさらに拡大する予定はございません。
  110. 近江巳記夫

    ○近江委員 この十八品目中、鉄鋼は継ぎ目なし鋼管以外対象になっていないわけですね。輸出ウエートの高い鉄鋼について今後問題があるのじゃないかともいわれておるわけですが、どのように取り扱う方針でおられるわけですか。
  111. 増田実

    増田政府委員 今回の工業品十八品目を選びました基準は、まあ三つの基準で行なったわけでございますが、一つには輸出寄与率、それから第二番目には伸び率、第三番目にはその品目の過去一年間の絶対額というもの、この三つの基準で選択いたしたわけでございますが、これに鉄鋼の関係で入りましたのは先生いまおっしゃられました継ぎ目なし鋼管一品目でございます。  この鉄鋼につきましては、確かに御指摘のように非常に大きな金額でございますし、また対米輸出も相当大きな量を占めておるわけでございますが、御存じのように、鉄鋼は相当前から自主規制を行なっておりまして、アメリカ向けについては毎年二・五%しか伸ばさないということになっております。その中でたまたま継ぎ目なし鋼管が二〇%以上になっておりますので、今回の措置対象予定品目にいたしたわけでございますが、鉄鋼全体といたしましては、むしろことしの四月−九月の数字をとりましても昨年の四月−九月に比較しましてドル金額でも落ちている。ですから、物量ベースといいますかトン数でいいますと相当の落ち込みになっているわけでございまして、今回の対象といたしますのはやはり伸び率が現実には二〇%以上をこえたものを対象にするということで、鉄鋼は一品目以外対象になっておらないわけでございます。  ただ、鉄鋼につきましては、これは今回の貿管令対象品目の表では一応一品目しかございませんが、しかし鉄鋼業界に対しましては、今回の輸出適正化措置あるいは円再切り上げを避けるための輸出調整措置に自発的に協力していただきたいということで、現在鉄鋼業界といろいろ話をいたしております。
  112. 近江巳記夫

    ○近江委員 この輸出規制、輸出割り当てについて、同一対象業極内でも輸出の微増企業輸出の急増企業とあるわけですけれども、この規制ということになりますと、当然この輸出急増企業に非常に大きな影響を与えるわけです。こういうことで案外内部が混乱しておるということを聞いておるわけですが、こういうことに対して指導方針はどのように考えておりますか。
  113. 増田実

    増田政府委員 今度の輸出調整をやりますときに、品目の総輸出量をある一定の数字に押えまして輸出調整を行なうわけでございます。その際、各企業輸出数量というものをきめてそれに押えてもらう、こういうことになるわけでございますが、先ほど私からも具体的な手続においてはいろいろな問題点があると申し上げましたのは、いま先生指摘されました、つまり企業によっては急増している企業とそれからそれほど伸びていない企業ということで、その間の公平さというものをどういうようにして保つかという問題がいろいろとございます。現在のところ、私どものほうは、その業種の団体、それから業種の代表者という方方と、個別企業のいまのような急増している企業と、それからそれほど伸びていない企業というものの割り当て数量をどうするかということを通産省が一応基準を示しながら相談をしているという状況でございます。ですから、急増している企業につきましてどれだけ押え、それからそれほど伸びない企業についてどういうワクを与えるかということは、個々のいろいろな事情もからみますので、これらについていろいろ話し合いをしていく。そのために先月の終わりからこの問題について各業界と打ち合わせをしておりますが、現在までまだ最終的結論が出てないというのは、その点についての配慮、それからその実態に即した措置をとるというために、いろいろの計算をしたり、また基準をつくって、それでどういう影響を各企業に与えるかということを一応計算いたしておる、こういう状況でございます。
  114. 近江巳記夫

    ○近江委員 この法律改正案につきまして、先国会と異なりまして基金法の改正案を分離して提出しておられるわけですが、その理由はどこにあるんですか。
  115. 新田庚一

    新田政府委員 前回の場合は、法案の扱い方としまして、暫定措置法というかっこうで各法とも改正しようということで一本の法律にしたわけでございますが、今回はそれぞれの法律の本法を改正するという、改正のしかたを変えましたので、単独法にしたわけでございます。
  116. 近江巳記夫

    ○近江委員 この問題はもう少しまたいろいろ背景にあるんじゃないかと私は思うのですけれども、きょうはあなたの答弁で一応了解しておきます。  それで、今回の改正後、アンタイド援助はどのように運用されていく方針であるかということですね。  それから、第三回UNCTADで愛知代表が全面的アンタイイングの一方的実施についても検討する、このように言明されておるわけですが、今後の方針はどのようにお立てになっておりますか。
  117. 新田庚一

    新田政府委員 第一点のアンタイドの運用の問題でございますけれども、現在、プロジェクトについてはケース・バイ・ケースにやるというたてまえで昨年度一気にやっておりますが、商品援助につきまして、今後アンタイが可能になるというふうに改正した後には、当然運用面についてもくふうがなければならないと思うわけでございます。と申しますのは、従来と同じように、この商品援助対象となる品目というものを、日本で生産可能な商品だけに限定して商品援助を行なうというふうな運用をいたしますと、やはり競争力の強い日本商品が出ていくということで、タイドと実質的に変わらなくなるという問題がございます。したがいまして、これは相手国の希望いかんによるわけでございますけれども、かりに日本で生産できないようなものにつきまして向こうが希望する場合には、それについても対象を拡大するというふうな逆用をすることによりまして、日本以外の第三国、特に商品援助につきましては、発展途上国同士の貿易交流という面から見まして、発展途上国の商品の購入に充て得るというふうな運用も可能になるようにしたい、すべきである、そういうふうに考えております。  それから、第二点の全面的アンタイイングの問題でございますが、御承知のように、一昨年、国際的にDACとしまして全面的にアンタイイングに踏み切ろうという決議までなされたのでございますが、その後、主要国でありますアメリカが、これについて、国際収支難のためにこれに協調できなくなったという事情のために現在足踏み状態でございます。したがいまして、第三回UNCTADにおきまして、愛知代表から希望を表明しておりますけれども、少なくとも一九七四年あるいは五年までには全面的アンタイイングが実施されることを望むという積極的な姿勢を打ち出しておるわけでございます。日本としましては、当面一応制度としてアンタイイングが可能になるようにしまして、ケース・バイ・ケースに相手方の希望によりましてこれを実施していくということになろうかと思いますけれども、今後各国の動向を見きわめながら、ある時点では、日本としては全部アンタイイングするという方向に切りかわる時期があり得ると思います。日本側の事情あるいは国際的な動向というものを見ながらその時期が決定されるべきものと思います。
  118. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからこのアンタイイングの進展ですね。政府開発援助の拡充に伴うアンタイイングの効果の増大とわが国の一部輸出産業に対する影響との関係、これに対する方針というものはどのようになっておりますか。
  119. 新田庚一

    新田政府委員 やはり今後国際的動向に応じましてODAの拡充、その中における借款のアンタイイングという方向を強く推進すべきものと思いますが、やはり一方、国内の輸出、特に中小企業関係に及ぼす影響というものも半面考慮しなければならないと思います。したがいまして、具体的に借款を供与する場合に、その品目の選定にあたりましては、やはり先ほど申し上げました発展途上国に対する配慮と同時に、国内の特に中小輸出産業に及ぼす影響というものを総合勘案しながら品目選定に当たる、そういった運用をとるべきものと思います。
  120. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから政府開発援助、特にこの直接借款の質量両面にわたる拡充のためには、これは何といいましても基金に対する政府出資の大幅増加というものが必要であると思うのです。これに対する今後の方針をお聞きしたいということであります。  それから総裁もその点について御希望をひとつ、さっき若干おっしゃっておりましたが、あらためてお伺いしたいと思うのです。
  121. 新田庚一

    新田政府委員 御指摘のとおり、やはり今後の借款が、基金の役割りというのが非常に強くなるという点、それから国際的に条件緩和の方向に向かう、また日本が特に努力しなければならないという状態におきまして、基金の資金の質をよくするという意味におきまして、やはり政府出資と、それから財政投融資の比率をできるだけ多くするように予算面でもくふうをこらしていきたい、そういうふうに考えております。
  122. 高杉晋一

    ○高杉参考人 先ほども申し上げておきましたが、この基金の直接借款というものが将来だんだんと数量的にふえていくだろう、こういう予測を申し上げましたが、そこで問題は、この資金の補充の問題でございます。ただいまはどういうことになっておるかと申しますと、政府の出資、それと財政資金を借り入れております。これが六分五厘の割合で借りておる。大体半分半分、政府の出資よりもこの借り入れがふえてはいけない、こういう規則にはなっておりますが、御承知のように、将来日本の貸し出しをもっとソフトに持っていくということになりますと、政府の出資、無利息の出資をもっとよけいにしてもらわないとコスト的には基金がやっていけないということになるわけであります。将来もっとソフトにするということになりますと、ただいま六分五厘、半分半分としてそのコストが三分二厘五毛になるわけでありますが、それでは三分以下の貸し出しはコスト的にはできない、こういうことになりますので、基金といたしましてはもっと政府の出資をふやしてもらう、これが一番いいのではないか、こういうふうに希望しておるわけであります。つまり借り入ればいいのでありますが、借り入れよりも、もっと以上に政府の出資をふやしてもらいまして、基金のコストをもっと安く持っていく。そうすると、あるいは三分でも二分五厘でもいい、こういうことにもなるのでございまして、これは基金の希望としましては、政府の出資をもっとふやしていただきたい、こういう考えを持っておるわけでございます。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間もありませんから、あと一問で終わりますが、援助のアンタイイング化の推進に伴って、先ほどからも問題が出ておりますけれども、基金と輸銀との業務調整、これについてどう考えておられるか、参考人の総裁と、最後に政府にお聞きしまして、終わりたいと思います。
  124. 高杉晋一

    ○高杉参考人 実際のことを申し上げますると、ただいま輸銀も基金も同じようなことをやっておるのであります。直接借款のようなものも輸銀でやっておる。これはまだ基金が創設されない前に輸銀というものが存在しまして、基金のやるようなことを輸銀がやっておった。その結果、今日まで続いておる、こういう次第でございます。したがいまして、その仕事の分野につきまして、ときどきどっちへ持っていくかというような問題が起こるのであります。これは輸銀に持っていくべきか、基金に持っていくべきか、非常に長期で低利のものを欲するならば基金に持っていく、しかしそれほどソフトじゃなくてもやっていけるというものなら輸銀に持っていく、こういうこともあります。しかし、本来この輸銀というのは、貿易の決済の延べ払いのような仕事をやるのでありまして、経済協力と、長期にして低利のものは、やはりほんとうは基金の仕事でございます。しかし、そういう仕事が今日なお輸銀に残っておるというようなことがございまして、ときどきその所管問題で問題が起こる、こういうことになっておりますので、これにつきましては、輸銀と基金との間の役員あるいは事務当局におきまして、よく事前に打ち合わせをやりまして、そうしてあとでトラブルのないようにただいまのところやっております。特に輸銀のほうからは一人理事が基金のほうに入っておりまして、役員会にはその理事も出席して、こういう問題についていろいろ率直な意見の交換をやる、こういうことをやっておりまして、ただいまのところはともかく無難に進行しておる、こういうことでございます。これをもっと法律的にはっきりときめるということができれば非常にけっこうでありまするけれども、これはやはり政府の仕事でありますので、そういう点はよく考えていただきたい、こう思っております。  ただいまのところは、そういう方法で、とにかく円満に進んでおる、こういうことを申し上げておきます。
  125. 木野晴夫

    木野政府委員 基金と輸銀との関係でございますが、ただいま総裁からお答えがありましたように、輸銀のほうが早くできておりまして、基金の仕事もやっておったというようないきさつがあるわけでございます。したがいまして、両方におきましてダブるというところがあるわけでございますが、一番大きな点は、基金のほうが条件がソフトである、輸銀のほうは、何と申しましても銀行でございますから、条件がハードである、この点でございます。  それで先ほど申し上げましたとおり、これからの海外援助は基金が中心になっていくのではないか。また、そういったのが各国の開発途上国の要請でもございます。また、できるだけ条件をソフトにしていきたいというのがわが国の考え方でもありますので、私は、これからのウエートは基金にかかっていくのではないか、このように思うのでございます。そこで、この両者をばこの際はっきりしたらいいじゃないかという点がございますが、援助の実態といいますのは、各国各国で違っておりますし、また予算その他いろいろ関係がございますので、いまこの際、制度に手をつけるよりは、できるだけ両者の仕事の連絡を密にいたしまして、また経済企画庁、大蔵省、外務省、通産省、これが関係の役所でございますが、十分に連絡をとりまして、そうして総合調整の権限が経済企画庁の仕事でございますから、経済企画庁といたしましては、その点につきまして全力をあげて、そしてただいま近江先生の御指摘の点につきましては善処していきたい。これが私たちの考えでございます。  なお、また法律その他につきまして検討すべき段階が参りましたならば、その点につきましては十分検討していきたい、このように考えておる次第でございます。
  126. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  127. 藏内修治

    ○藏内委員長 米原昶君。
  128. 米原昶

    ○米原委員 今回の海外経済協力基金法の一部を改正する法律案は、改正点はごく簡単であります。援助ひもつき廃止をするというだけであって、それ自体は、取り出して検討するならば、発展途上国の選択の余地を拡大させる可能性を大きくすることになるわけで、そのこと自体には、われわれも、もともとは反対していないのです。しかし私たちとしては、この改正案が提出された直接の動機——もともと私たちは、この基金法そのものが、この討議の中でも問題になっておりました経済侵略とか資源の収奪とか、そういうことをむしろ助けるように使われているのじゃないかという点で反対してきたわけでありますが、今度の改正案が提出された直接の動機も、いわゆる第三次円対策の一環として出されておる。アメリカの要求に屈服して、政府としてもアメリカのドル防衛の協力のために、アメリカの経済援助の肩がわりを推進するために、以前から検討していたものだということを知っております。  そういう意味では、援助ひもつきを撤廃するということは、発展途上国の要望にこたえる形にはなっておりますけれども、この要求を利用して、現在のような政治的、経済的な支配を背景にして日本の大資本の海外進出を推進し、主としてアジアの反動的な反共政権を激励して、その地域に対するアメリカ帝国主義の支配を拡大しようとするねらいに奉仕させられているものと考えます。発展途上国がアンタイド化によって選択の余地が広がるということは、実際には先ほどもお話がありましたが、日本競争力が強いので、日本から結局は買わざるを得ない、影響が出ても一割程度だろうというふうに見られております。  私は、東南アジアに進出しておる商社の方からもちょっと話を聞いたのですが、ひもつきを撤廃することによって、発展途上国の選択の余地などはほとんどない、いままでどおり続くであろう、むしろ今度のねらいは、アメリカが発展途上国で焦げついている援助を、この資金を利用して回収しようとしているのではないかとさえ言っていたわけであります。そういう点で、私は具体的な問題について二、三聞いてみたいのです。  いま開かれている予算委員会でも、大企業が国内の土地を大量に買い占めている問題が相当問題になっております。大企業がだぶついた資金で土地の買い占めをやっている。しかし、これを海外でもやろうとしている問題があります。ハワイ日本の大企業が土地を買いあさっているために、現地の人から日本人がハワイの地価をつり上げているという非難が出ております。もっと具体的に聞きますと、日本航空が香港で現地と合弁で合計二千万ドルのホテルの建設をやろうとしておりますが、その一割の二百万ドルを日航が出す。その二百万ドルにこの基金を充てようとしていると聞いております。現地が一千八百万ドルも出せる余裕のある相手なのに、この基金を使うということは、経済協力とはほど遠いものじゃないか。この点どうでしょうか、伺いたいのです。
  129. 沖田守

    ○沖田参考人 お答えいたします。  日本航空が海外各地にホテルチェーンを持ちたい、乗客のホテル確保のために、各地にそういうホテル網を自分で持ちたいという計画があることは、私ども承知いたしております。ホテルに対する海外投資、それが経済協力効果を持つか持たないかという一般的な判断につきましては、たとえばインドネシアの賠償におきましても、ホテルインドネシアというのは外貨獲得に非常に役立って、いまジャカルタに参りますとあれが冷房完備の一番いいホテルになって、あれがなかったらいまの援助効果も非常に削減されたのではないか、そういう意味で、雇用吸収力の非常に大きい観光産業に対する日本の投資が経済協力にならないとは、私どもは思わないわけでございまして、いままでもそういうことは前向きに対処いたしておるわけでございますが、香港の件につきましては、まだ具体的にこまかい詰めまで入っておりませんので、いまどうするということについてはお答えいたしかねる段階でございます。
  130. 米原昶

    ○米原委員 ホテルインドネシア、私もインドネシアで見たことがありますが、いま言っておるのは、香港の問題を具体的な例として出したのです。確かにいろいろなケースがあると思いますが、一般的に考えると、このような不動産投資にも基金を使うというのは、どうもおか−一いように思うのです。やめるのが妥当じゃないかと思うのだが、今後もこういう点にも基金をどんどん使われるつもりかどうか、この点を原則的に聞いておきたいのです。
  131. 新田庚一

    新田政府委員 ただいま御指摘になりましたようなホテルの建設、これが経済協力基金の業務として産業の発展経済の安定に寄与する事業かどうか。それから基金の性格から見て、輸銀あるいは市中金融機関の融資に乗りがたいプロジェクトであるかどうか、そういう認定につきましては、基金が十分法律の目的に照らして判断さるべき問題だと思います。
  132. 米原昶

    ○米原委員 この基金を使っていままで不動産取得をやられた状態がどの程度あるか、私、さらに検討してみたいと思うので、そういう資料を提出していただきたいと思うのです。もちろん後ほどでいいです。  それから次に、前にもこの委員会で二回ほどお尋ねした問題ですが、カリマンタン森林開発協力株式会社、FDCの問題で伺いたいのです。二回目に聞いたときも、何か全然はっきりした見通しも何もないような答弁しかもらえなかったのですが、その後の経過についてできるだけ詳しく説明していただきたい。
  133. 新田庚一

    新田政府委員 御質問のいわゆるFDCの問題、カリマンタン森林開発協力株式会社の問題でございますが、御承知のように、昭和三十八年にインドネシアで森林伐採ということでインドネシア側のプルフタニとPS方式で事業を開始したわけでございます。  一応計画としましては、二十事業地を予定してスタートしたわけでございますけれども、四十二年にインドネシア側としまして、外資法の改正によってPS方式というものを新規事業としては認めないというふうな取り扱いに変わりましたので、したがいまして、新規の事業拡充をやめまして、約五事業地に事業規模を縮小したわけでございます。  その後、いろいろな事情が重なりましてなかなか思うように事業が進まない。したがいまして、プルフタニ側の意思によりまして、この事業は四十五年の六月に一応停止しまして、その時点で、やはりPS方式ではなくて、いわゆるコントラクト方式、受け入れ方式に変えようということで基本的な合意を見たわけでございます。その後、このコントラクト方式をどのようにやるかという点につきましていろいろ検討しておったのでございますけれども、先方でプルフタニの改組問題とかあるいはインドネシアの総選挙の問題とか、いろいろな問題がございまして、最近までこの交渉が具体的に詰まらなかったのでございますが、ことしの八月にようやくこのコントラクト方式に関する基本協定ができたわけでございます。  その内容としましては、事業の規模を三十一万七千ヘクタールにすること、それからこの事業の主体をプルフタニからFDCに移しまして、そしてFDCがプルフタニの請負人として事業を行なうということ、それから、そのかわりにコントラクト・フィーをFDCからプルフタニに払いまして、それを財源としまして債務の返済に充てる。そしてその地域における伐採量としましては、年間二十万立米の木材を伐採する。そしてその債務の返済が完了するまでこの伐採を継続するというふうな基本的な合意を見たわけでございまして、現在その細目について、実行契約について打ち合わせをしているという段階でございます。  いろいろ紆余曲折があったわけでございますが、今後はその伐採した木材の輸入とか、あるいは日本に持ってきてからの販売について有力商社の協力も得られる見通しがついておりますし、それから伐採自体につきましては、ただいま申し上げましたように、債務の返済完了まで伐採をするということ、それから農林大臣の保証を取りつけるという問題、それからいろいろな問題が今後あろうかと思いますが、その間に日本インドネシア政府ベースの協議も随時行なうという約束になっておりますので、今後は円滑に進むのじゃないかと思います。
  134. 米原昶

    ○米原委員 その問題については、あとで具体的な質問を別の機会にまたやりたいと思いますけれども、そうしますと、まだインドネシア政府が、その債務を政府の債務として認めたというわけじゃないわけですね。農林大臣のそういう保証を得ようとしているという段階ですか。
  135. 新田庚一

    新田政府委員 ただいま申し上げました農林大臣の保証というのは伐採量についての保証でございまして、債務の確認は、向こうは、プルフタニとしては、はっきりしておるわけでございます。
  136. 米原昶

    ○米原委員 いまのお話だと、返済のための具体的な計画がまだ最終的にはまとまっているわけではないのですね。それから期限が大体いつごろまでになるということはまだきまっているわけではないわけですか。
  137. 新田庚一

    新田政府委員 年間二十万立米という伐採量も確定し、それから立米当たりのコントラクト・フィーの金額も基本協定で確定しておりますし、それを財源として支払う立米当たりの金額も確定しておりますので、したがいまして債務返済は今後その単位でおおむね十七年ぐらいになると思いますが、完済するというふうになっております。
  138. 米原昶

    ○米原委員 もういままでも返済計画は何回か立てられて、すべて失敗しているわけです。そういう点で、まあそれでうまくいくかどうか、いままでの事情からして私はちょっと信じられないのですが、結局どういうふうに最終的に計画がなったか、写しをあと資料としていただきたいのです。その問題は前から検討しておりますから。それだけにします。  それから通産省の方に聞きたいのです。  今回の円対策の中で関税の一律引き下げが一番大きな点だと思うのです。その製品の中には中小企業製品がかなり含まれているので、これが増加することによって、日本中小企業にかなりの犠牲が出ると思うのですが、その点についての対策はどうなっているかということを聞きたいのです。
  139. 増田実

    増田政府委員 今回の円対策のうちで、輸入の促進につきまして一つの大きな項目の中に関税の一律引き下げというものがございます。これは工業品大体ほとんど全部について一律の引き下げになっておりますので、ただいま御指摘のように、その場合、中小企業への影響というものは十分考えられなければならないと思います。今回の引き下げにつきましては、もしこの中小企業関係に悪い影響が生じた場合は、関税の一律引き下げをもとの税率に戻すということで、その法的措置も講ずるように今回の措置の中に入っております。したがいまして、もし事態の推移でそういう悪い影響が出ましたときには、この措置を活用してもとの税率に戻すということを行ないたいと思っております。
  140. 米原昶

    ○米原委員 もうちょっとその点具体的に聞きたいのですが、悪い影響が出た場合に関税率をもとに戻す、そういうやり方は、その措置としてきめましても、大体どういうやり方でそれがきまっていくのですか。
  141. 増田実

    増田政府委員 ただいまの関税暫定措置法におきます救済措置の仕組みでございますが、これは関税暫定措置法の第八条の六の第二項に規定しておりますが、外国製品の価格の低落その他がこれを実施したとき起こりまして、そういう事情の変化、現在はこれにそれほどの悪影響は与えないということで一応二割というものを出しておるわけでございますが、事情が変わりまして、外国において価格が低落して、そして安いものが、二割の下げた関税のもとに入るという場合、あるいは特定の貨物がいままで予想しておりましたよりも非常に多く入ってくる、関税を引き下げましたことによって輸入が急増するという場合、これらによりまして、もし本邦産業に相当な損害を与えるという場合につきましては、関税率の今度行ないました一律二〇%引き下げをもとへ戻すということで、これにつきましては、中小企業庁は十分各業界の実情を把握し、二〇%引き下げ後の状況をトレースいたしまして、必要あればこの措置をとる、こういうことになっております。
  142. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、そういう状況の実際の調べ方ですが、たとえば通関実績とかあるいは業界のほうからそういう申告があるとか、そういうようなことできめていくわけですか。
  143. 増田実

    増田政府委員 ただいま申し上げました各業界の実情を把握して、十分それを注目して、必要あれば措置をとるということでございますが、具体的には業界からの申し出ももちろん私ども聞くわけでございますが、それ以外に価格の動向、それから通関実績による輸入の数量の動きというものを全部把握いたしまして、そしてこの影響が非常に取り返しのつかない段階に至る前にできるだけ早くこの一律引き下げの税率をもとへ戻すという措置を行ないたい、こういうふうに思っております。
  144. 米原昶

    ○米原委員 つまり私が心配しているのは、かなり事態が悪化してから打つようなことにこういうのはなりがちだと思うのです。そういう点で絶対に被害を与えないというような保証がほしいわけなんです。もしそういう被害を与えた場合には、それを必ず補償するというような制度でないといけないのじゃないかと思うのです。
  145. 増田実

    増田政府委員 ただいま御指摘のような点もあるということで、今回のこの救済措置の規定の中には、損害がもうすでに発生したということだけではなくて、損害の見込みというものも含む規定になっております。ですから私どもは、そういう規定を入れて原案を作成いたしましたのは、ただいま先生の御心配になるような点をおそれて、まだ現実には損害が発生していなくても、見込みがあるときに直ちに措置ができるというふうにしております。  それから、これらの一律引き下げによりましていろいろの影響がありましたときには、金融措置その他についても機動的にやっていくつもりでございまして、中小企業が一律引き下げという一つの輸入促進策の犠牲になって非常に悪い影響を受けることがないような措置を迅速にとりたい、こういうふうに思っております。
  146. 米原昶

    ○米原委員 この法案としての問題点は非常に簡単なんで、私はこれでもう質問を終わりたいのです。  ただ、もう一言言っておきたいのは、私たちとしては、国際的な経済協力全部を否認するという立場じゃないということです。いまの形のままでは経済侵略や資源収奪ということになるじゃないかということであって、発達した工業国として、世界の平和と諸民族の独立、全人類の進歩のために積極的な経済協力をやるべきだ、基本的にはそう考えておるのでありますが、現在の行き方では問題があるというふうに、同時に考えております。こういう立場であることを申し上げまして、私の質問を終わります。
  147. 藏内修治

    ○藏内委員長 松尾信人君。
  148. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いままでずいぶん海外経済協力の点につきまして、質疑を重ねてまいりましたが、わが国といたしましても、〇・二三%という低い海外協力の政府の開発援助を引き上げていかなくてはいけないということはあたりまえであります。これを一挙に〇・七%まで引き上げていくということにつきましては、これはいろいろ問題点もありましょうけれども、このDACの加盟諸国の平均、これは〇・三四ですか、そういう国々の平均に比べても非常に少ないというこの現状は、どうしてもこれは当然変えていかなければいけないわけであります。一挙に〇・七%までは無理でありましょうけれども、今後三年間でどうするとか、今後五年間でどうするというような、やはりその見通しというものを立てまして、そして適切なプロジェクトに対して協力する。やはり日本側考え方、これが向こうから言ってきたから応じていくとかいうのじゃなくて、やはり政府自体の考え方というものをきちっとしていきませんと、いろいろ実情にそぐわない結果が出てくるのじゃないか。このままの状態で推移いたしますれば、民間の海外経済協力といっていますけれども、投資関係というものがどんどん伸びていくのじゃないか、GNPの一%というものは、これはもうあと〇・一%で達成するわけでありますけれども、それが主として民間の海外投資によってそのようになっておるのでありまして、いまのような情勢であるならば、民間のほうがどんどん先行的に進みまして、政府のほうがあと打ちになる、今後ともに民間投資は大いに進んでいくだろう、このように私は思いまするし、政府の〇・二三%というような直接借款の問題、これについて今後どのような考えをもって進んでいこうとするのか、まず政務次官にその点をお聞きしたいと思います。
  149. 木野晴夫

    木野政府委員 わが国の海外援助を見てまいりますと、GNPの一%が目標だ、そして日本では〇・九六%までいっておると言っておりますが、その内容を見てまいりますと、ただいま松尾先生指摘のとおり、政府援助は〇・二二%でありまして、DAC平均の〇・三四よりも低いのでございます。これを上げていくということが日本の国の一つの大きな課題でもありますし、各国からも非常に要望のあるところでございます。そしてまた、それが伸びないときには民間のほうが伸びていくじゃないか、これを早急に伸ばすべきだという御意見、これはただいま拝聴いたしましたが、それはさておきまして、政府援助をばふやせ、ふやそうというのが一つの大きな課題でございます。  そこで、ことしの春にUNCTADの会議がございまして、〇・七%まで上げるべきであるという話が出てまいりまして、日本もこれにあえて反対しなかったというのでございます。実は、いままでは、国の力からいいまして困難であると言っておりましたが、あえて反対をしなかった。当時、愛知さんが特使で行かれましたが、愛知さんの話では、むずかしいことではあるが賛成というふうなことで帰ってこられたのでございます。  そこで、ただいま先生から、それでは目標を立ててやるべきであるというお話がございましたが、実はいついつまでにやるということは言っておらないわけでございまして、この点がまさに御指摘のところでございますが、なかなかむずかしい問題でございまして、ほんとうを言いますと、それではいついつまでという話になるべきではなかろうかと思うわけでございますが、将来計画その他ございまして、もう少し検討を加えたい、こういった段階でございます。  それから、日本の国といたしまして政府間援助をばふやすべきであるということと、それから実は条件をソフトにしろということがございまして、利率の問題、償還期限の問題、据え置きの問題、そういったものにつきましてできるだけ有利に、ソフトにしろという問題がございます。そうしてまた、今回提案いたしました商品援助につきまして、タイドからアンタイドにしろという問題がございますが、こういった問題にからまっての問題でございますが、今回取り上げましたのは、商品援助につきましてタイドからアンタイドにしようということでございまして、国際会議その他でも要望のあるところでございますし、また、日本の国といたしまして経済的に力がついてまいりましたので、国際協調の線に沿いまして今回提案いたしたところでございます。
  150. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いまのお答えでありますけれども、要するに、日本の外貨事情から申しましても、これはいまいろいろの点で日本の外貨というものをどうしていくか、円再切り上げの問題があります。それに関連しても、やはり一つは海外経済協力というものにどのように政府が真剣に取り組んでいくかということも大きな円対策になります。ですから、これはいろいろむずかしい問題がありましょうけれども、やはり政府全体としては外貨減らしという面からも、当然これは積極的に、このようにやるのだという三年、五年の計画ぐらいは持っておりませんと、要するに外貨減らしにはならぬ。ですから、ただ条件の緩和とかいうようなことでこれを糊塗していこうというようにしかわれわれには感じられないわけでありまして、ほんとうに円対策の一環としてならば、大きくこれは政府間の開発援助、これは当然でありまして、そこにやはり計画がなくてはいかぬ。そのものがなくてあと打ちになっておりますから、円対策の一環としてもこの海外経済協力の問題が浮揚してこない。そこに、要するに金持ちのくせにどうも金の使い方がおかしいような感じがしてしようがないのですけれども、これは決心だけははっきりしまして、そういう方向へ行くのだ、そうしてやはり円対策の一環としてもがんばっていきたいというぐらいはっきりいたしませんと、これはいまのお答えではちょっと消極的であるというような感じがしますが、いかがですか。
  151. 木野晴夫

    木野政府委員 現在一番緊急な問題となっておるのは円対策でございますが、円対策も、たとえば輸出をば適正化する、輸入を拡大するといった面で外貨の数を減らすという問題がございますが、ただいま松尾先生指摘のとおり、日本の国としましては、それだけ力があるのだから、それで国内体制を整備する、また国際協力を打ち出すということ、また、そういった姿勢を示すことが円対策の大きな一環になるのだということでございまして、私もそのとおりだと考えておるのでございます。さすれば、この国際協力の点につきまして政府の援助が少ない、これをふやすべきであるということでございまして、私もその点お答えいたしましたが、それならばいついつまでにやるべきか、そこまでやらなければ力が弱いじゃないかという話がございましたが、この点は、気持ちはございますが、なかなかむずかしい問題がございますのでひとつ御了承願いたいと思います。
  152. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 まあ相手がありまするし、その相手の開発の問題でありますから、日本だけでこうしようああしようというわけにまいりません。それはよくわかります。わかりますけれども、相手の国は、日本のそのような積極的な姿勢を待っているわけです。そしてやはり大きく先方の開発途上国のためになることをしてもらいたいと待っているわけでありますから、それは日本の姿勢によりましては私はきちっといけるのだ、このように思います。それで、いまおっしゃった点は、精神的には了解できまずから、ひとつこれを積極的に今後ともやっていくのだというお気持ちを具体化してもらいたい。これは強く要望しておく次第であります。  次は、たびたび私もこの委員会で申し上げておることでありますけれども、東南アジアと日本の貿易ですけれども、これは毎年毎年約二十億ドルくらい日本の出超であります。東南アジアの諸国に対する日本経済援助海外経済協力援助というものが大きな柱であります。援助をやっておりますけれども、他方この貿易面におきましては毎年二十億ドルという日本の出超である。東南アジアの諸国は、その間苦しい外貨を日本に払っておる。ですから、どうしてもこれは日本が東南アジアの諸国に対する開発援助について力を入れていきませんと、貿易面におけるドルの取り過ぎ、他方経済協力における政府の出し惜しみというふうなことで、いつまでたってもこの悪循環というものは断てません。どのようにやっていくのかということをたびたび私はここで質問するわけでありますけれども、大いに海外経済協力をやります、いまこのようなプロジェクトもありますと言われるのでありますけれども、一向に——これはいまからの問題ですよ、いまから大いにやるわけでありますから。それができ上がれば日本の貿易輸入量もふえていくことでありましょうけれども、東南アジアと日本の貿易、この毎年毎年の二十億ドルの日本の出超という問題とからんで、この東南アジア諸国に対する経済協力基本的なあり方、こういうものも、もう少しきちっと歩を合わせておきませんと問題はいつまでたっても解決しないのではないか、こう思いますが、これはどなたでもいいのですが、担当の主管のほうからお答え願いたいと思います。
  153. 新田庚一

    新田政府委員 御指摘のとおり、東南アジアと日本の貿易、日本のかなりの出超が続いておることは事実でございます。それに対する日本経済協力のあり方、いろいろございましょうが、やはりきわめて緊急な援助の方式としては、先般来御審議願っております国際収支援助としての商品援助というのが一つの一時的な措置として必要かと思いますが、また、何といっても基本的には、東南アジア諸国の開発による経済水準の向上というのが一番基本になろうかと思います。それによりまして日本輸入も進むというふうなことになるわけでございます。  その場合に、いままで往々にして言われますように、日本の資源の収奪とか、そういったエコノミックアニマル論が出るというようなことがないように、やはり相手の立場に立って、相手の資源でございますので、その資源の開発に協力する結果として日本輸入もふえる。さらに今後は一歩進めまして、現地でできるだけ加工して、相手の工業水準を上げていく、こういう機会をふやしていく、そういうような方向が、また日本輸入構成というものを原材料から製品輸入にだんだん変えていく方向に合致するわけでございます。そういったことで、今後は援助のしかたとしては、そういった資金協力のほかに、さらに技術協力もからまして、実のある経済協力をやっていく必要がある、そういうふうに考える次第でございます。
  154. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そうしますと、この東南アジアに対する日本の出超関係、そういうものを是正していかなくてはならないと思います。それにはやはり輸入の増大、輸出に対するいろいろな考え方、こういうものも当然あると思うのでありますけれども、そういうものをひっくるめて、東南アジアに対する日本の姿勢がいまのままでありますれば、やはり貿易においては出超、経済協力においてはあまり伸びない、こういう悪循環が今後とも必ず起こりますよ。これをやはりきちっとしていきませんと、協力と言いながら、なけなしの外貨を貿易面でありますけれども取っておるので、これはどうにかしなくちゃならぬ。この悪循環というものを断つべきである。何かひとつ政府のほうでも発想を改めて、きちっとした考え方で進んでいかないといけないのじゃないか、この点を言っているわけでありますが、そのような方向で今後ともいかれるかどうか、もう一回念のために聞いておきます。これは政務次官でけっこうです。
  155. 木野晴夫

    木野政府委員 日本海外経済協力をいたしますゆえんのものは、その発展途上国の産業の開発、それから経済の安定に資するためでございまして、そういった目的で援助するわけでございます。ただいま先生のおっしゃったお気持ち、そのとおりでございまして、その点は、われわれといたしましても十分にくみ取りまして、その線で進んでいきたい、このように思っておる次第でございます。
  156. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 この法案の問題につきましては、大体以上で私の質問を終わります。  ただ、この経済協力に直接関連しておるかどうかははっきりいたしませんけれども、やはりそういうことに関連いたしまして、非常にじみな仕事を政府でやっていらっしゃる。文化交流の面とか、または日本と相手の国との友好親善、こういうものをうんと促進しようというような立場でやっておられるわけでありますけれども、その面につきまして二、三質問していきたいと思います。  最初に文部省の関係ですが、まず留学生の問題でございますけれども、大体留学生の相互交流、日本からの派遣の分と受け入れがございますけれども、現状はわかっておりますから、このような留学生問題について今後どのようにやっていこうとするのか。これは予算にも関連いたしてまいりますけれども、まず人員とか相手の国、こういうようなことについてお考えを承りたいと思います。
  157. 植木浩

    ○植木説明員 私ども文部省といたしましては、外務省の御協力を得まして諸外国と留学生交流をやっておるわけでございます。ただいま先生から御質問ございました、今後どのようにこの留学生交流を進めていくか。いろいろと問題点はあるわけでございますが、まず量的な問題というものが一つの問題でございます。日本の場合は、留学生を受け入れる場合、何といいましても諸外国に比べましてまだまだ留学生の受け入れの数が少ないわけでございます。したがいまして、今後とも国内体制の整備あるいは日本語教育の改善、こういった点を進めながら海外からの外国人の留学生の受け入れの数をふやしていきたい、かように考えておりまして、来年度の予算要求でもそういったお願いをしてございます。  それから、日本人の学生を海外にいわば出すほうでございますが、まず現在毎年四千人以上の日本人の学生が海外に出ております。しかしながら、日本の置かれましたこういった地位からいたしまして、もっともっと海外に積極的に日本人の学生を送り出す必要がある、このように私ども考えております。実はいままでは文部省関係の留学生制度でございますと、ほとんど受け入れ制度に重点を置いておったわけでございますが、今年度から新たに日本人の学生を外国の大学へ国費でもって積極的に送り出す学生国際交流制度と申しておりますが、これを発足させまして、来年度以降さらにそういった日本人の学生を海外に大ぜい送り出すという点も拡充をしていきたい、このように考えております。
  158. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 大体考えはわかりましたが、どうもこの留学生の中で、現在は私費の留学生が非常に多い。八〇%に及ぶ、このようなことでありまして、これは経済的にも余裕のある人でなくてはなかなかできない。もう少しこういうところに力を入れて、多くの経済的にも恵まれないような人でも行けるように、いまあなたがおっしゃった国費留学生をふやしていきたい、こういうことでわかりますけれども、今度は、私費と国費の分につきまして今後どのようにやるかということを一言聞きたいと思います。
  159. 植木浩

    ○植木説明員 留学生を大きく分けますと、ただいま先生がおっしゃいましたように、国費留学生と私費留学生、このように私ども一応分類いたしております。国費留学生の制度は昭和二十九年に発足いたしまして、それ以来待遇改善あるいはいろいろな福祉関係の経費の計上と、年々充実をいたしてまいったわけでございます。しかしながら、最近私費留学生に対してもっと手を差し伸べるべきである、ただいま先生がおっしゃったような意見がここ数年来非常に強く出てまいりました。  日本におります留学生四千六百人のうち、約八割というものが実は私費留学生でございまして、やはり日本の大学で勉強するという意味では国費留学生と何ら変わりはないわけでございます。いままでとかく国費留学生に重点を置いておりましたので、私費留学生に対して何らかの援助措置を講ずるべきである、こういうことでいろいろ検討いたしました結果、やはり病気であるとか、けがをするとか、こういった不慮の事故なり病気なりに対してお金がかかる。これに対して援助をするのが留学生の一番要望していることであろうということで、昭和四十六年度に初めて私費外国人留学生に対します医療費の補助制度というものを、国庫補助金で事業としてスタートをさせたわけでございます。本年度は、この私費留学生に対します医療費補助の対象範囲を、原則として日本の高等教育機関で勉学しております全私費留学生を対象とするということで拡充をいたしております。  なお、私費留学生に対しては、もちろん国費留学生と性格は違うわけでございますけれども、私どもとしては、今後ともできるだけ区別しないで福祉面では対策を講じていきたい、このような方向でいまいろいろと予算面もお願いをいたしておる次第でございます。
  160. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 わかりました。いまのは日本のほうの受け入れの問題と思いますけれども日本から出ていく留学生は国費中心でございましょうか。この点いかがでしょう。  また、私費留学生がそこに相当いるということでありまするならば、今後日本から海外へ派遣される留学生に対しても、国費留学生をうんとふやしていく、このようなお考えがあるかどうか、念のために聞いておきます。
  161. 植木浩

    ○植木説明員 ただいま一年に四千人以上の日本人の学生が海外へ出かけております。しかし、その大部分はいわゆる私費で出かけておる学生でございます。そのほか数百名が外国政府の奨学金による者、あるいはこれは必ずしも外国だけではございません、日本のもございますが、いろいろな基金であるとか財団の奨学金を得て行く者がございます。ただ、昨年度までは、日本政府、文部省関係の奨学金をもらって海外へ行っていた学生というものは、一年に四名程度しかございませんでした。  私どもとしては、先ほど申し上げましたように、昭和二十九年度以来受け入れに重点を置いてやってきたわけでございますが、やはり国際的な環境の変化等から、日本の学生を積極的に海外に留学させる、これを国費をもって行なう必要があるということで、今年度から学生国際交流制度というものを設けました。これは日本の大学が外国の大学と連絡をとりましてお互いに学生を交換する、あるいは日本の学生を海外に派遣するという場合に、文部省のほうから往復旅費あるいは十一カ月分の奨学金を支給するというものでございまして、今年度は四十人でございました。しかしながら、こういった時勢でございますので、来年度以降海外へ国費をもって留学生を出す面もできるだけふやしていきたいということで考えておるわけでございます。
  162. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 わかりました。入るほうは向こうがやってくれるわけでありますけれども、何といっても国費で出るほうも経済的にもいろいろ困るでしょうから、国費留学生に対してもあたたかくめんどうを見る、こういう方向でしっかりがんばってください。  それから対中国関係でありますけれども、それぞれ出ていくほうも中国から来るほうも、いままでは台湾関係である、こう思います。そうしますと、いよいよ日中国交回復ができまして、相互の文化交流というものを今後は大いにはかっていかなければ相なりませんが、この新しい中国との関係の留学生をどのように考えていらっしゃるか、また、どのようにやっていこうと思うか、その考えをひとつお示し願いたいと思います。
  163. 植木浩

    ○植木説明員 御質問は、中国と日本との留学生交流、こういう御質問だと思います。先生がただいまおっしゃいましたように、日本におります中国関係の留学生というものはほとんど台湾からの留学生でございます。しかし、国交の回復に伴いまして、今後中国との留学生交流という問題が当然起こってくるわけでございまして、私どもといたしましても、国交が回復いたしました国とは、できるだけ積極的に留学生交流をやっていくというのがこれまで一貫した姿勢、方針でございます。したがいまして、まだ大使館もお互いに設置をされていないという段階でございますので、現段階におきまして具体的には何ともまだ申し上げられませんけれども、大使館などが設置された暁におきまして、当然留学生交流の問題というものが出てくると思いますので、私どもといたしましては、文化、教育の交流を拡充する、こういう観点から前向きに考えていきたいと思っております。
  164. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いま前向きに考えるということで了承するわけでありますけれども、中国は、人的被害というものは、ここで申し上げたくもないほど、この戦争で大きな被害を受けております。また、経済的に申しましても、五百億ドルというような大きな被害を受けておる。その中国が、日本に対してそのような賠償というものを要求しない、このような大きな考え方できておりますから、わが国といたしましても、これにこたえていかなくちゃいかぬのじゃないか。こたえるにはどのような方法でこたえていくかということはありますけれども、日中国交回復というものを一つの転機にいたしまして、このようなじみな仕事の中からしっかりひとつ尽力してもらいたい。ごく当然である、こう思うのです。ひとつ決心を新たにされまして大いにがんばってください。これは私の強い、要望であります。  次に、文部省のほうで現在夏休み期間中、約四週間いろいろ海外に人を派遣するとか、また、たぶん向こうから来てもらうのでしょう。東南アジアの諸国からそのような計画があるようにも聞いたのでありますけれども、どうかということです。そしてあわせて聞いておきますけれども、新たに日中国交回復ができたわけでありますから、そのような計画がかりにあるとするならば、やはり中国からも相当受け入れを考えていかないといかぬのじゃないか。青少年の四週間のおのおのの見学だとかまたは文化交流を通じての友好親善、これをどのようにお考えですか。
  165. 植木浩

    ○植木説明員 私ども留学生交流という場合には、普通には大学で少なくとも一年くらい勉強する、あるいは数年間勉強するという者を対象にいたしておるわけでございます。やはり特にアジア等の開発途上国とわが国との関係考えました場合に、こういった一年とか数年という留学生、長い期間の留学生以外に短期間、ただいま先生がおっしゃいましたように、たとえば夏休みを活用いたしまして数週間日本へ来ていろいろ施設を見学してもらい、あるいは日本人の学生と、ことばの問題はございますけれども、お互いに意見を交換するというような機会をつくったらどうか、その必要性をかねがね感じております。これはいままでは予算がございませんので、そういった点でいろいろと大蔵省のほうにも御相談申し上げているという段階でございます。従来の長期間の留学生のみならず、そういった面でも、これは必ずしも文部省だけでなくて、いろいろなところで似たような事業をおやりになっておりますけれども、そういった面も考えていきたい。それによって日本と各国との友好親善を促進したい。また、そこから将来質のよい留学生が日本へ来るというようなよい意味での循環にもなることを期待していろいろと考えておるわけでございます。
  166. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いまの問題も大いに推進してください。  それから、いまのお話は向こうから呼ぶということが重点でありますけれども、こちらからも行ってもいいのじゃないか、こう思うのです。呼ぶほうにも大いに力を入れてもらいたいのですけれども、やはり出るほうも夏休みの数週間でけっこうでありますから、そういう一つの文化交流、人的な触れ合い、このようなものをしっかりやってもらいたい。いまおことばがありませんでしたけれども、対中国関係についても当然お考えになるかどうか、あわせてお答えください。
  167. 植木浩

    ○植木説明員 ただいまの短期間の夏休み等におきます外国からの学生を呼ぶ計画につきましては、どの国にするかというような点は、まだ予算の段階でいろいろとお願いしておる段階でございますので、ここで国の名前をあげることは遠慮させていただきたいと思いますが、できるだけ、私どもといたしましては、国際交流の趣旨にのっとりまして、幅広くやっていきたいと思うわけでございます。  なお、日本人の留学生を海外に短期間派遣するという点でございますが、これもいろいろな形でいますでに民間の団体の事業などで行なわれております。現在文部省のほうで考えておりますのは、私ども主として大学を中心考えておりまして、日本の大学から海外の大学へ一年程度留学する場合、これに大いに援助しようというのが、ことしから学生国際交流制度ということでスタートしたばかりでございまして、現在はこれを拡充していきたい、かように考えておる次第でございます。
  168. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 文部省の方は以上でけっこうでございます。御苦労でした。  次に、総理関係いらっしゃいますか。
  169. 藏内修治

    ○藏内委員長 おります。
  170. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 お尋ねしますが、現在総理府といたしましても非常にじみな仕事をしていらっしゃいます。これは勤労青少年を海外に派遣してお互い国際交流をはかろうというようなことと思うのでありますけれども、これはごく概略でけっこうでありますから、現在このようにやっておる、その概略を簡単にお知らせ願いたいと思います。
  171. 眞下重雄

    眞下説明員 現在総理府で行なっております青年の国際交流、日本の勤労青年を海外に派遣する事業といたしまして二つございます。一つが青年の船という事業でございます。もう一つが青年の海外派遣という事業でございます。  青年の船の事業でございますが、これは年一回青年の船を運航いたしまして、主として東南アジア諸国を数カ国ずつ訪問いたします。そしてこの船には全国から選びました勤労青年約三百二十名を乗船いたさせまして、船中で研修を行ないながら訪問国を訪問する、こういう事業でございます。  いま一つの青年の海外派遣事業でございますが、これは毎年約百名のやはり全国から選定いたしました勤労青年、これを九つの班に分けまして、世界の各地域に派遣をいたします。そして派遣先では、やはり数カ国ずつ訪問いたしまして、それぞれの国においてその国の青年と交歓をし、またその国の文物を視察をし、国際感覚を養う、そして帰ってまいる、こういうような事業でございます。  大要以上のようでございます。
  172. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 概略はわかりました。  それで東南アジア諸国ということでございますけれども、これはやはり国交回復後の中国に対しましても当然お考えになるべきであろう、こう思うのでありますが、その点いかがですか。
  173. 眞下重雄

    眞下説明員 青年の船は従来東南アジア各国を訪問しておりますが、対中国との国交正常化が行なわれました現在、当然来年度以降におきまして訪問国の一つに中国を考慮するということが考えられると思います。現在のところ、来年度の青年の船の訪問国については未定でございますけれども、その点につきましては、来年度の予算が決定後、前向きに検討いたしたいと思っております。  青年の海外派遣事業でございますが、私先ほど申しました九つの班の中にはアジア班という班がございます。このアジア班の派遣先につきましても同様に考えている次第でございます。
  174. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 よくわかりました。ところが、この青年の船に、勤労青年の船でありますけれども、これは県独自でやっておるところもあります。県独自ではやはりいろいろ予算その他の面で弱体というわけでありますけれども、これは非常に大事なことである。県のやっている勤労青年の船と国の計画、これはつながりはないのですか。何か国からの援助とか、県のそのような計画に対する国の助成というようなことはいかがになっておりますか。
  175. 眞下重雄

    眞下説明員 各県で確保して実施しておりますところの青年の船、近年非常に増加をしてまいりまして、約半数以上の県が現在青年の船を運航しておられる状況でございます。  それで、国の青年の船とのつながりという点でございますけれども、現在のところは直接的なつながりはございません。しかしながら、各県で近年青年の船の事業が活発に行なわれてまいったのは、国におきまして明治百年記念事業の一環といたしまして、青年の船の事業を始めた、それが非常に好評でございまして、成果をあげているということに各県が着目をされまして、そうして独自の立場で県の青年の船の事業を始められた。こういうわけでございますが、従来新たにある県で青年の船の事業を始められる場合には、国で行なっております青年の船の事業に一応範をとられまして、そうして総理府のほうにいろいろ相談に来られるということがございました。それに対して私どものほうから、できるだけの御助言、御指導を申し上げた、こういう経緯がございます。
  176. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 わかりました。できましたらやはり国、県、これはばらばらでなくて、一貫してやる、計画性を持つ、そしてその県、その県でおのおの特色がありますから、そういうものを生かして、大いに国際的な親善友好をはかる、それにはやはり何といっても政府の助成というものがそこにないと成果もあげにくいのじゃないかと思います。今後そういう面におきましてうんと力を入れられるように、これは要望であります。そうしてその点についてどのようにされるか。一言でけっこうですが、それで終わりにいたします。
  177. 眞下重雄

    眞下説明員 御趣旨非常にごもっともであると考えますので、今後お説のような線に沿って検討を進めたいと思っております。
  178. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次に、これは通産関係でありますけれども、現在の覚書貿易、これが約来年一ぱいで発展的に解消するということでありますけれども、これはどのように発展的に解消するのか、そういう点について大まかでいいです。このような線に沿ってやっていく考え方である、そういうことでけっこうであります。  そうして、あわせて一緒に、もう時間がありませんのでお聞きいたしますけれども、次は民間貿易であります。  民間貿易は、ほんとうに国貿促が長年の苦労をしてまいりまして、一生懸命いまがんばっておるわけでありますけれども、いよいよ日中国交回復後の中国との貿易関係になりますると、やはり門戸が開放されていかなければいかぬのじゃないか。友好商社の関係ですね、先方はそれぞれ物資によりまして窓口がきまっております。これはどうしようもありません、これは中国の考えでありますので。しかし、日本側といたしましては、この国貿促に対する今後の考え方、民間貿易の友好商社に対する考え方というものを承りたいと思うのです。
  179. 増田実

    増田政府委員 まずお尋ねの北京にあります覚書事務所が今後どうなるかということでございますが、現在のところでは、北京の覚書貿易事務所は、来年一年で覚書貿易が終了する予定となっておりますので、それに伴って閉鎖される、こういう考えでございます。ただ、事務所の業務には大使館に引き継ぐものと、それからそれ以外のものもございますので、その分につきましては現在まだ中国側には話しておりませんが、そのほうの意見を聞きまして、場合によればジェトロの事務所を設置する、こういうふうに考えております。  それから一般的に中国との今後の貿易関係でございますが、先般調印されました日中共同声明におきましても、貿易に関する協定を締結する交渉を行なうということが合意されておりますので、これにつきましても、いろいろ準備あるいはその前の段階の両方の急患疎通というものが必要と思いますが、それに基づきまして基本的な貿易協定あるいは条約が結ばれるということになると思います。  それからもう一つお尋ねでございました国貿促の関係でございますが、国貿促は中国と日本との間の国交がないときに、その橋渡しの非常に大きな役目を果たしたわけでございます。今後この国貿促がどうなるかにつきましては、非常に大きな役目を果たした点を十分考慮に入れながら今後の事態で考えたい、こういうふうに思っております。
  180. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 最後でありますけれども、覚書にかわる政府間協定に関連しておると思うのでありますけれども、日中経済協会というようなものが日本側の窓口になるのじゃなかろうかというようなことで、これが近く発足できるとかいうことでありますけれども、こういう問題と同じく国貿促の関係でありますけれども、片や民間貿易ですね、そういうものにつきましても、従来の国貿促というものの考え方をどのようにしていくのか、それをさらに整備強化していくのか。やはり民間貿易というのがどのように伸びていくかというのが今後の日中貿易の焦点だろうと思います。現在すでにウエートは民間貿易に移っておるわけでありますから、たくさんの商社がやはり友好商社となりたい——今後ともそのような方式でいくのか。また何か先ほど申し上げました日中経済協会というものに対応する国貿促、その新しい意味の国貿促というもので、これは日本のそのような窓口というものをどのようにしていくのか、または参加希望のいまから出てくるでありましょう貿易商社というもの、そういう方々に対してはどのように考えていくのかということでありますが、いかがでありますか。
  181. 増田実

    増田政府委員 ただいま御質問にありました日中経済協会、これはまだ設立されておりませんですが、今後の日中の経済関係の伸展に対処しまして関係経済界が幅広く結集いたしまして、そして日中経済関係に関します長期ビジョン策定とかあるいは民間ベースでの経済交流の積極的推進あるいは情報、資料の提供サービスを行なうために財団法人として設立が進められることになっておるわけでございます。私どもも、こういう民間の動きに対しては、今後の日中経済の伸展の観点からこれに積極的に協力していきたい、こういうように思っておるわけでございます。  それから、日中経済協会と国貿促との関係でございますが、いま申し上げましたように、日中経済協会のほうは日中経済関係に関します長期ビジョンの策定とか、それから民間ベースでの経済交流の積極的推進、情報、資料の提供サービスということでございまして、従来の国貿促の行なっておりましたのとは若干分野が違うという、ように考えております。国貿促の今後の行き方その他につきましては国貿促自身もいろいろ考えておるようでございますが、日中経済協会で国貿促の仕事が入れかわるということはございません。
  182. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 以上で質問を終わります。      ————◇—————
  183. 藏内修治

    ○藏内委員長 通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
  184. 大原亨

    大原委員 私は、きょうは広島市への三越百貨店の進出をめぐりましてかなり最近情勢が緊迫いたしておりますので、当面のそれをめぐる通産省の見解、これからの方針、そういう問題を、中心に簡潔に質問をいたしたいと思います。  まず第一に、広島市に三越が進出する問題については——十合もバスセンターに出てくるわけでありますが、従来ありました福屋百貨店、天満屋百貨店、これの売り場面積の拡大、こういう問題をめぐって数年来いろいろと小売り商、中小企業との間においてトラブルがございまして、昨年も通産大臣の認可をめぐって訴訟問題が起きておるということであります。  中小企業対策というのは、今日の段階では政府の施策の中においては非常に軽視されておるわけですが、しかし中小企業の位置づけについてどうするかということは、工業、商業を問わずきわめて重要な問題であるわけであります。たとえば需要供給がある程度安定してまいりますと、ヨーロッパ等の先進工業国等では中小企業の専門店、そういうふうなものが百貨店やスーパーよりも高い信頼度やウエートを持って事業を展開をいたしておる、こういう状況を私どもは見るわけでありますが、しかし日本においては今日なお混乱期を脱していないというふうにわれわれは考えるわけです。  そこで、従来の福屋あるいは天満屋の売り場面積の拡大に引き続いて、十合の広島進出についてはかなり理解度が進んでおるわけですが、三越の広島市進出についてなぜこのような問題が起きるのかというところに私は問題があると思うのであります。一つの問題点、論争点は、百貨店法の第五条に基づいて、中小商業の利益を新しく害するおそれがあると認めるときには同条の許可をしてはならないというふうな通産大臣の許可についてのワクをはめておるわけで、著しい影響というのは何かということが非常な大きな論争になっておるわけであります。  地元の小売り商側の意見は、通産省のこの影響に対する調査のしかたというものが非常に非民主的で官僚的であって、地元の小売り商を納得せしめていない、こういう一つの結論があるわけでありますが、著しい影響ということになると、これはかなり複雑な判断の材料があるので、結局は中央官庁の主観的な判断で決定するということになれば、ここに問題が発生する可能性があるわけです。通産省は、著しい影響がある、こういう問題について判断をする際に——簡略に説明してもらいたいと思うのですが、広島の三越進出について、どういう基礎に基づいて著しい影響がないというふうに判断をして三越百貨店の進出を認めたのか、これをひとつ結論的に御答弁をいただきたい。
  185. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 一般論と広島のケースと、両方兼ねたお答えになりますが、ひとつ先立ってお許しを願いますことは、広島の個別のケースにつきましては、現在行政訴訟中の案件でございますので、私ども答弁は行政当局としての答弁に限られる点をお許しいただきたいと思います。  一般的に百貨店法の運用では、問題は、地元小売り商店とのかね合いになります。大原先生指摘のとおり、法五条の基本からそういう問題を処理していかなければならないわけでございますが、したがって、地元の商店、小売り商、これとの摩擦をできるだけ避けて、かりに進出する場合も処置していく。そのために通産省といたしましては地元の商工会議所、商調協等の意見をまず聞くことになっております。  その場合に、それではどういう基準で運用しておるかというのが御質問の焦点だと思いますが、私どもは、その周辺の簡閲というものをまず現場で御考慮いただきたい。といいますことは、大体に行政区域が単位ではございますが、そこに百貨店が進出し、かつ住民が買いものに行く、あるいはその百貨店に買いに来る範囲はどのくらいの地域を考慮すべきか、これが一つと、それからその地域内にいる居住民の人数でございます。その二つと、それから、進出する百質店の広さ、売り場面積、この数字基本的に一つの基準として検討してもらうということが方針でございます。
  186. 大原亨

    大原委員 裁判における反論もあると思うのですが、通産省の昨年来の三越の九千平方メートルの進出許可に対しまして地元側の小売り商があげているのは、昭和四十五年六月一日現在の広島市商業統計調査報告書をもとにして影響調査をしたところ、その結果は、二二%という小売り商にとって経営不能な状態を招く数字となった、こういう主張があるわけです。これは三越だけではありませんが、いままでの百貨店と十合の進出と三越の進出、こういうように全体を見ての議論であると私は思うわけですが、しかしその中で一番地元の抵抗を受けているのは三越であります。  三越に順次焦点をしぼっていくわけですけれども、こういう、ふうな二二%も影響ありというふうに小売り商側が考えておるような、そういう資料や事実があるのに、それに対して納得できるような説得をしないで、そしてはるか離れた中央の通産大臣の所管として、既定方針どおり、いろいろと商調協その他の意見は聞いたけれども、あるいは小売り商サイドの意見は聞いたけれども、どんどん既定方針どおり進めていった、そういうところに私は問題があると思うわけです。そういうデータをあげて、詳細な数字をあげまして反論しておるのに、これを説得しないで行政処分を続けていった、こういうところに問題があるのではないか。この問題についてはどのようにお考えであるか、これは説明員でもよろしいからひとつ御答弁いただきたい。
  187. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 この件は、そもそもが昭和四十四年の十月、三越、十合の申請がありまして、天満屋からは十一月、ほとんど同時期に三店から申請がございました。その申請の希望面積は、三越が二万五千平米、十合が三万平米、天満屋が一万七千平米強、これは相当に大きな数字でございます。そこで、政府側はその三店をそれぞれどのくらいの売り場面積に協調したらよろしいかということで、現地の商調協の審議を願ったわけでございます。  その際、先ほど申し上げました商圏をどうするかという点で、私どもが報告を受けましたところによりますと、広島市を中心に一市十九町の商圏でいこうという御意見があったわけでございます。これは広島地区広域行政懇談会のメンバーの御主張があったわけでございますが、主として小売り商側から一市六町に制限すべきだという主張がございまして、その結果、むしろ小売り商の意見を重要視しようということで、一市六町の商圏を基礎にいたした経過がございます。その数字は二万七千平米近くになるわけでございますが、そこで基準として、三社で二万六千平米までならば現地商業との調和もよかろうという基準になったわけでございます。  それの総額に対しまして、御承知のとおり三越九千五百、十合一万五百、天満屋が六千、それが認可の結論でございますが、商調協の中ではどうであったかと言いますと、私どもが受けておる報告では、多数意見と少数意見に分かれまして、多少こまかくなって恐縮でございますが、簡単に数字だけ申し上げますと、多数意見は、一万平米、二万平米、六千平米にしたらどうか、それから少数意見は、第一百貨店ゼロ、第二百貨店は一万八千平米、第三百貨店は八千平米でいかがか、いずれも総計は二万六千平米になります。  この報告を受けまして百貨店審議会で御審議いただいた結果、天満屋の現地における歴史、増設の歴史等から、これは六千平米、それから三越、十合の関係は、少数意見が根拠としております中心街からの距離七百メートルばかりございますので、それを加味しまして千平米の差をつけて九千五百と一万五百にした、こういう経緯でございます。
  188. 大原亨

    大原委員 日本国株式会社というわけではないけれども、百貨店審議会の審議を経なければならぬ、こういう第五条の規定があって、その審議を経た上で通産大臣がいまのような許可をした、こういうことでありますが、たとえば百貨店審議会のメンバーは六人ですか、その会長さんは三井銀行の会長がやっている。百質店との取引が一番多い、百貨店連盟と取引のある三井銀行の会長が会長をやっている。小汀利得さんがもと会長をやっておられたわけでありますが、そういうことで、他の委員は消費者代表あるいは中立委員でありますけれども、そういうことの疑惑、あるいは百質店連盟の専務に通産省から天下っている。やはり既定方針をきめておいてどんどん仕事を進めていって、小売り商の意見を聞かない、こういう意見で三越に対する反対、抵抗にいま集中をしておるようなかっこうであります。  そこで、一応の経過については説明があり、私も詳細な資料を持っておるわけですけれども、やはり百貨店のそういう売り場面積の許可については、権限は地方自治体に、知事や市町村長に移譲をして、そうして商圏の範囲や影響判断というふうなものをやるべきではないか。遠い東京で権限を通産大臣が持って、これを背景として地方自治体においてその意見をそんたくしながら進めていくという形が、今回のような意見のそごを生んでいるのじゃないか。そういう問題は今後の始末のしかた、処理のしかたを含めて、そういう反省点に立つべきじゃないか、あるいは必要ならば法律改正すべきではないか。こういうものを一々東京のほうでやるということでなしに、中央政府は大きなワクをきめておいて、そうして実際の権限は自治体にまかしておいて、消費者と中小企業の十分の討論や意思統一の上に、やはり百貨店も一定のルールの上で入ってくる、こういうことがよろしいのではないかというふうに私は思いますが、私が指摘した点について反省する余地ありやいなや、いかがですか。
  189. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 第一点の百貨店審議会の委員は、中央で、確かに人数も、現在小汀先生がなくなられて六名、一人欠員、少数の人数でございます。会長は、従来小汀先生が会長の間副会長をしておられて、なくなられると同時に会長につかれたわけでございますが、残りは大学の先生、ジャーナリズム、商工会議所あるいは消費者連盟、地婦連というぐあいにわりあい広く御参加を願っておる次第でございまして、中央の審議会としてはバランスのとれた審議会だと私どもは思っております。  ただ、第二点の先生指摘の県知事その他自治体の長に移譲してはどうかという点につきましては、実は百貨店法をどう運用し、これをあるいは改正が必要でないかということで産業構造審議会の付属委員会におきまして長期にわたって御検討いただいて、八月十四日に答申をいただいたわけでございますが、その委員会でも御検討いただいた一つの項目でございます。  その審議会の答申では、ただ百貨店法改正の方向を示唆されておりますが、その審議会の結論では、現地の商調協というものは従来どおり尊重していくこと、また現在におきましても地方自治体の職員が商調協に参加しておるわけでございます。そのほかに、自治体の意見を聞くということも従来ともやっておったわけでございますが、権限を移譲するという点につきましては、全国統一基準の必要もあるので中央で従来どおりやったらどうかという御意見になっております。  私ども行政機関としては、先生御示唆いただきました点も今後反省、検討の一つの要素として、かりに国会に百貨店法改正の御審議を願う前には再三検討を続けていきたいと存じます。
  190. 大原亨

    大原委員 つまり権限が通産大臣にありますと、商調協でかなり各界の代表がやっておりましても、自治体の代表は、自分が責任を負ってないから、中央へ責任をおっかぶせておいて、そして既定方針どおりやるということになりがちですから、やはり自治体が責任と権限を持って、消費者と中小企業の将来を考えながらそういう仕事の分野を明確にしていくということが必要ではないか。そういうことを中央集権的にやるから、中央においては大きな企業の力が強い、政治力が強い、こういうことが常に疑惑をもって見られる。たとえば、ここのポイントの影響調査をやってないのじゃないか、大ざっぱな数字をはじいただけでやってないのじゃないか、こういう議論がある。  これは最後にいたしておきますが、そこで続いて、私は、これをいろいろ聞くなり資料を調べるなり、いろいろな政策について目を通しながら思ったことでありますが、百貨店の許可、認可にあたって従来どおりでいいかどうか、発想の転換が必要でないかどうかということを痛切に感じた。というのは、広島市は五十数万、六十万の都市ですが、皆さん方のほうでは、仙台と福岡をいつも比較されておりますけれども、しかし、その週辺にはやはり七、八十万あるわけです。ただその商圏にとって、一市六町というお話がありましたけれども、最終的にはそれは全員一致であったというお話でありますが、その周辺からずっと集中している広島の中で、たとえば天満屋、福屋、今度はセンターに十合ができる。今度は三越がビルにできる。四つの百貨店がここへ全部床面積を拡大して集中すれば、自動車もそれからバスも交通機関も、つまり過密状況をそこにつくり出すようなものであって、これは日本列島改造論もインチキくさいけれども、分散とかいうふうな思想とはちょっと離れておるのじゃないか。従来の古い考えじゃないか。この程度の商圏であるから、人口があって面積があるから、百貨店がこれだけはだいじょうぶだという考え方は、いまや捨てなければいけないのじゃないか。ここへ四つの百貨店がずっと集中したら、大きな資本力と信用力と宣伝力をもってやったら、人間が集まってしまって過密による弊害や環境破壊というものが出てくるのじゃないか。こういう観点でのチェックや規制というものはあってもいいのじゃないか。私はそう思うのです。  私は別の角度、この中小企業と百貨店との関係だけをいままで議論してきたというワクだけでなしに、そういう認可のあり方というものが、従来の法律どおりで、あなたが答弁したような形だけのそういう基準でやっていいのかどうか。過密を助長して、そして公害や環境破壊やこういう交通戦争を激化させるようなことがいいのかどうか。  きょうは建設省に出席を願っておりますが、都市計画の上で百貨店の立地その他について、スーパーの立地その他について、やはりそういう観点でチェックをするような立場をとるべきではないのかということを私は小売り商の方々の意見とは別に痛感いたしました。いかがですか、建設省。
  191. 宮繁護

    宮繁説明員 建設省の都市計画課長でございますけれどもお答えいたします。  いまお話がございましたように、特定の地域に大規模な施設が集中いたしまして、過度に市街地の密度が上がってまいりますと、場合によりましては交通の混雑その他の都市環境の悪化をもたらすおそれが多分にございます。それで、それの対策といたしましては、まずその都市なりその地域なりにふさわしい道路とか公団とか駐車場等の都市施設の整備を促進いたさなければなりませんけれども、しかしそれだけではなかなか限度もございましてたいへんでございますので、先般建築基準法を改正いたしまして、都市施設とバランスのとれた密度の市街地を構成できますように、用途地域という制度がございますが、これは都市の中を住居地域であるとか工業地域であるとか、そういったような土地の利用の区分をいたすわけでございますが、そういう土地利用の区分に応じまして建物の容積率、すなわち建物の総延べ面積と敷地面積との割合でございますけれども、これをいま申し上げました地域別にそれぞれ都市計画できめることにいたしました。これはいま申し上げましたように、公共施設の整備計画であるとか、あるいは土地の利用の動向であるとか、こういったものを勘案いたしまして、交通混雑等の都市環境の悪化がもたらされないような適切な容積率というものをそれぞれの地域に都市計画できめてまいる、こういうふうな改正が行なわれたわけでございますけれども、いままでの制度をこれに全部改めますのは、法律で四十八年の十二月までにやることになっております。  広島におきましてはいま作業中でございまして、来年の六月に新制度に切りかえるべく県、市で現在作業をやっております。そういう意味合いでは、現在広島におきましては旧建築基準法の適用がありまして、商業地域におきましては建物の高さが三十一メートル、それから建蔽率、すなわち建物の敷地面積と土地面積の割合が七〇%、こういうような制限が働いておるわけでございます。  それで、いま申し上げましたように市街地の密度といいますか、容積といいますか、それと都市施設がバランスのとれたような新しい容積率を建築基準法の改正で導入したわけでございますけれども先生がいまおっしゃいましたような業種別にチェックの手段ということになりますと、現在の都市計画法の体系ではややむずかしいのではないか。それで都市計画法の中では、いま申し上げましたように、地域別の土地利用の規制あるいは市街地の容積と都市施設のバランスをとる、こういうふうなところまでが規制の限度ではなかろうかというふうに考えております。
  192. 大原亨

    大原委員 あなたの説明することは、あなたのセクトとしての考えとしてはわかるのだけれども、私が言うのは、広島県なら県に百貨店審議会をおろしておいて、そこには都市計画上の観点からも交通上の観点からも全部参加して、そうして消費者や中小企業の利益の調和をはかりながら百貨店の立地をきめていく、あるいは制限をしていく、許可をしていく、こういうやり方をやはり考える必要があるのではないか。中央に置けば、あっちに行ったりこっちに行ったりしなければならないから、知事が総合行政をしておるわけだから、具体的にやるのがいいのではないか。通産大臣の権限をおろしなさいという議論と私は関係しておると思うのです。  問題はもう一つ。これは私が調査しておって考えましたことは、いま日本の高度成長の中でそのメカニズムは、技術革新で大量生産、大量消費だ。商売では過剰サービス、日本くらいサービスをやっているところはないわけです。これは宣伝を含めてやっているわけだ。そこで、そういう資本力があり宣伝力があるところに、やはり百貨店に客が集中するわけです。しかし、これは事実をオーバーして客を集めたり物を消費したりしている点が多分にあるわけです。ですから、これは中小企業では共同化とかいろんな問題になるかもしれないけれども中小企業の育成の問題になるかもしれないが、これが非常に大きな客寄せの原因になっておる。ひどいのになると目玉だけで、あと全部インチキくさいような商売をやっているけれども、目玉を中心にしてばんと客を集めてほかのものを売っていく、こういう宣伝のしかたもある。だから、そういうことについてのコントロールを百貨店にも求めるということは、これは誇大宣伝の問題以外にはむずかしいかと思うけれども、公取の権限その他以外にはむずかしいかと思うけれども、しかし実際上はそれぞれが特売日やその他ずっと特別の宣伝をやると、関係の地元の客が、専門店その他は一斉に潮が引いたように客がいなくなる、その日やその前後はいなくなる、こういうことがいわれておるわけです。だからそういうやり方の問題について、ひとつこれからコントロールする方法があるかないかを聞かしてもらいたい。  それからもう一つは、三越が出てきた場合、問題は三越がなぜ目のかたきになっておるのか。十合等については全部が全部ではないがやや理解はされているが、三越がなぜかというと、やはりいまの三越が許可を受けたビルで九千平方メートル以外に二万数千平方メートル全部でフロアを持っていて、そこへ三越の資本系列とか、あるいは従属下にあるとか、あるいは直接関係のあるような企業が入ってきて、そしてさらに売り場の面積を拡大するという既定事実の上にそこを占拠する、地元からはほとんど入れない、そういうことや、あるいは販売のやり方が非常に独断的であって、何ら天満屋とかあるいは福屋等の地元の百貨店のように、中小企業の団体と意見を交換し、調整してやらないというふうな、そういう三越の持っている体質について、あるいはやり方について、実際に各方面を小売り商の皆さん方が見てきて、これはひどい、こんな企業が来たんでは困る、こういうことになっておるのではないか。これらの問題については、やはり十分意思疎通をした上で、私は、通産大臣は民主的な行政を進めることが必要ではないかと思うわけです。  以上申し上げた二、三点についての見解を聞かしてもらいたい。
  193. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 大企業の広告宣伝のしかたにつきましては、初め一般論になって恐縮でございますが、私どもとしても、おりに触れ行政上の問題とすることがございます。ただ、これを規制するとか、何らかの勧告行政等で一般的に規制する状態ではございません。  そこで、百貨店の場合ですけれども、目に余る場合には、行政指導で当事者と話し合いながら弊害を最小限にしていくようにしておるのが現状でございます。過大の包装あるいは御指摘になりました過剰のサービス等につきまして、私どものところにも苦情のくることがございます。たとえば、包装につきましては、社団法人包装技術協会というようなものもつくって誘導しておりますし、また、百貨店協会の中でも過大包装に関する委員会をつくって、これは私自身が見ますところ、最近は相当に活発にやっております。特に石油化学製品等の公害とからみまして、すみやかな措置でこれを排除したりしてきておる次第でございます。  三越のやり方についての評価を伺いましたが、私どものほうにも、おりに触れそういう非難がくることがございますし、これは広島に限らず全国においてございます。ただ、これはほかの百貨店の場合にも類似のものもございます。その場合に、私どもも、やはり先ほどと同じで目に余る場合には、百貨店法の規定そのものではございませんけれども、行政上の指導として当事者と話し合っております。  広島の場合に私どもも関心を払っておりますのは、御指摘の建物そのものが三万平米近い建物でございまして、その中で売り場面積として九千五百平米を許可した。これは百貨店法の運用上からも、かりにその九千五百平米以外の場所が三越百貨店の売り場に使われることは、これは許可違反ですからありませんが、そういう疑いを庶民なり小売り店から持たれるような運用になることは絶対に避けるように指導してまいりたい、こう思っております。  一部地元の方々が心配しておられます広島以外の地域から大型商店をそこに誘致して、あるいは三越の資本系列のもとに埋めていくというようなことはしないように指導してまいります。できるだけ地元の商店、小売り商、こういう方に入ってもらって活用していくというのを第一に考えておるわけでございます。  そのほか、たとえば地元のスーパーとか地元の百貨店がやっております広告宣伝の慣行あるいは配送区域、こういうものには進出百貨店として当然協調的にやるようにということを指導しておる次第でございます。
  194. 大原亨

    大原委員 それでは重ねて、最後ですが、つまり百貨店の三越の商売のやり方、たとえば千葉等に見られるように他の商店、地元の商店の名前を使いながら実際には三越が出ていくというふうな形をとっていって、トラブルを起こしたような例もあります。もぐりみたいな、脱法行為みたいなものでございますが、やはりいまお答えになりましたような、フロアは狭くやられておるけれども、実際上は大きく使っていって、既成事実をつくっておいていつでも差しかえができるようにしておくというふうな考えでやっているのじゃないかというふうなことや、あるいは過剰サービス等で、買い上げ品についてのいろいろな配達の問題、その他いろいろな問題がございます。したがって、こういう問題に対する対策としては、私は非常にむずかしいと思いますが、やはり小売り商、中小企業自体のいわゆる商圏の確立の問題があって、そしてこれを近代化しあるいは専門化し、存立の独立性というものを発揮できるような施策が必要であると一緒に、これは従業員その他を持っておって一つの大きな消費者を形成いたしておるわけでありますから、やはり私は中小企業が持っておる人間関係というか、品物について責任を持つというか、品物についての勉強のしかたというか、これが専門店として、あるいは小売り商として独自の領域を開くようになって、そして商売が進んでいくならば、それほど大きな混乱はないのじゃないか、世界各国を見て、ないのではないか。一応はやはり専門店であるというふうな考え方が常識化しておるのじゃないか。中小企業はそれ以外にもたくさんの商品を扱っておるわけですから、それぞれ地域に密着しておるのではないか。もちろん生協等の分野についても私はそうだと思いますけれども、そういう点で、いまのやり方は非常に中央集権的であって、天下り的であって、非民主的であって、その影響調査のしかたから、手続の進め方から納得できないという意見が非常にあるわけですから、そういうところを前提として、いま裁判にはなっておりますが、が進んでおることは事実でありますから、それらの意見を十分聞きながら、そのために大きな抵抗ができる、障害ができるというようなことがないように、慎重な配慮をしてもらいたい。  たとえば、三越の包装を持って歩くだけでもかっこうがいいといって買うのがあるのですが、そんなばかげた商売はいまや日本ではあるべきじゃない。外国に行って、日本のようにあんなりっぱな包装をしてくれたり、大きな袋に入れて持ったりするところはないわけです。それよりも値段を下げるとか、内容を充実させるとかいうことに競争を向けるべきです。ですから、そういう点でひとつ、こういう機会に従来の疑惑を一掃するような態度でこれからの問題を処理してもらいたい。  私は、きょうは一応問題点だけをあげておいて、そしてこれから後に、これらの推移を見ながらさらに全体の問題を新しい観点から議論していきたい、こういうふうに思っておりますので、最後にひとつお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  195. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 百貨店法の運用関連いたしまして、百貨店自身の進出がそこの小売り商業と非常に利害が相反する場合がある、と同時に、いま御指摘ありましたとおり、そこの住民、特に消費者の便宜ということも考える、そして流通の近代化を考える、ここにこの法律運用関連いたしまして大きく三つ、四つの観点がございますことは、ただいま御指摘ありましたとおりで、私どももしかと認識しております。したがって、百貨店法そのものの改正と先ほど御説明しましたように取り組んでおる次第でございますとともに、また中小企業庁におきましては、中小小売り商の振興のために、場合によっては次期国会に法案を出す必要があるのじゃないかという点も検討いたしておる次第でございます。ただいまのおことばを体しまして、今後とも検討してまいりたい、こう思います。
  196. 藏内修治

    ○藏内委員長 中村重光君。
  197. 中村重光

    中村(重)委員 それじゃ、山形重工業局長に簡潔に質問いたしますから、答弁もひとつ簡潔明瞭にお答えいただきたい。  三菱製鋼株式会社が長崎場所に対して合理化案を提示しておるということが伝えられておるのですが、その内容を御承知かどうか。
  198. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。  三菱製鋼の長崎製鋼所が、最近の景況の悪さに関係いたしまして、去る九月に二百五十八名の配置転換及びそれに関連して残余の部分の会社からの分離というかっこうの案を非公式に組合側に提示いたしまして、その後、組合と折衝を続けておりますけれども、現時点におきましては、この配置転換をぜひ会社側の実態に応じてのんでいただきたい、そののんでいただく限りにおきましては長崎製鋼所の存続はそのまま存続するというかっこうに現在相なっておるとわれわれのほうは報告を受けております。
  199. 中村重光

    中村(重)委員 二百五十八名の配転案を示しているということですね。それで、そうした合理化をやらなければ長崎場所の存続そのものに問題があるという理由づけであるということですが、どうしてそういうことになったのか、よって来た原因というようなものが私はあるのだろうと思うのですが、この点はいかがですか。
  200. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 三菱製鋼という会社は、御存じのとおり特殊鋼をつくっておりまして、全般的に特殊鋼の景況というのは悪いわけでございますけれども、この長崎製鋼所といいますのは、三菱製鋼所の全部で五つぐらい工場があるうちの一つでございますが、この長崎では大型の鋳鋼品の加工をやっております。この大型の鋳鋼品といいますのは、その用途が電力の発電機のシャフト、それから鉄鋼関係のロール、石油化学の反応塔というふうに、非常に大型の設備投資関連の機材でございまして、御存じのとおり、それらの大型の設備投資がいま沈滞しておりますので、三菱製鋼株式会社の中におきましても、特にこの長崎製鋼所の生産活動というのが非常に沈滞しておるというのが現状でございます。
  201. 中村重光

    中村(重)委員 私の調査によると、累積企業赤字が三十六億、毎月二億ぐらいの赤字が出るのだという。会社側は長崎場所のほうが赤字になっておるということを言っておるようですけれども、そうではない、その赤字の原因というのは長崎場所にあるのではなくて、会社全体の経営のあり方というところに問題があるということになっている、したがって、会社の示す二百五十八名の合理化案というものは組合としてはのめないのだということのようでございます。  局長は、二年前に三菱製鋼が鋳鍛鋼品の大型化計画というものを立てて、日本鋳鍛鋼株式会社を設立した経緯を御承知になっていらっしゃいますか。   〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
  202. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 非常に大型の鋳鍛鋼品につきましてはいわゆる大型のプレスが必要でございまして、これは日本で一番大きいのを持っておりますのが日本製鋼所でございます。三菱製鋼といたしましては、今後の需要等を勘案いたしまして、いま先生指摘のとおり、四十五年に三菱製鋼と新日鉄との共同出資で日本鋳鍛鋼という会社をつくりまして、そこに一万トンプレスを設置いたしたわけでございまして、現時点におきまして一万トン級以上の鍛鋼のプレスを持っておりますのは、先ほど言いました日本製鋼所と三菱製鋼とこの二社でございます。そういう経緯日本鋳鍛鋼という会社をつくったわけでございます。
  203. 中村重光

    中村(重)委員 通産省は、この鉄鋼関係というものには他の産業と比較をして非常に強い関心をお持ちになっておる。私どもから見ると、むしろ過保護といわれるくらいに鉄鋼関係に対しましては情熱を傾けて、いろいろな保護政策をおとりになっておられるようなんです。現在の不況カルテルもその典型的なものだというふうに私は考えるくらいでございます。私は、このカルテルの問題についてはあらためてまた適当な機会にお尋ねをいたしたい、こう思っているわけですが、当時長崎製鋼が日本鋳鍛鋼株式会社を設立するにあたりましては、当然通産省に対する相談があったでしょうし、これに対し適当なサゼスチョンもされたことだろうと思うのでございますが、そのとおりであったかどうか伺いたい。
  204. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 日本鋳鍛鋼ができますときに、簡単に申し上げますと、会社側の要望では一万二千トンのプレスを設置いたしたいということであったわけでございますけれども、先ほど来申し上げましたような、ほかの会社の能力等との関係、今後の需要の見通し等の関係もございまして、これを一万トンプレスに縮減いたしまして、行政指導で行なった経緯はございます。
  205. 中村重光

    中村(重)委員 この日本鋳鍛鋼株式会社の経営がどうも思わしくいかない、軌道に乗らないといったようなことが、いまの三十億という累積赤字を生むに至った原因であるというように私は承知をいたしておるわけです。当時というのは二年前でございますが、会社は、長崎場所の従業員の約六百名を戸畑の日本鋳鍛鋼株式会社、いわゆる新工場に配転をさせたわけです。そのとき、従業員はなかなか配転に応じなかった。三菱製鋼は、どちらかといいますと土着の人が非常に多いわけです。地理的な関係からもそういうことに実はなるのですが、そのとき、会社としても説得これつとめまして、実は条件を出したのですね。そのときの条件は、今後千三百名の人員を必ず確保するということであったわけです。ところが、二年たちました現在、すでに千二百三十名に減らされておるというような実態、それにかてて加えて今回会社は、赤字であるからというので、先ほどお答えになりましたように、この二百五十八名の配転を新たに要求をするということで、組合に提示をしたということになっている。しかもまた、二百五十八名にとどまらないで、二年間にまだ相当の配転がなされるであろうということが予想されているわけです。ここで従業員は非常におこっているわけですね。長崎場所が赤字というけれども、現実にはそうではないじゃないか。赤字の原因というのは会社の見通しの誤りであるし、新工場の経営がうまく軌道に乗らなかったというところにあるのではないか。当時千三百名を確保するという約束をしておりながら、二年たつかたたない間に新たに二百五十八名の配転をしよう。さらにまた、二年の間には相当数の配転というものが要求されるのではないか。また、それだけにとどまらず、長崎場所そのものを根こそぎなくしてしまおうという考え方を持っておるのではないかという不安を実は組合側が持っている。したがって、会社に対して将来のビジョンを示しなさい、こう言っている。ところが会社は一向そのビジョンを示そうといたしません。  今日私は、あなたに対し釈迦に説法を申し上げるまでもないわけでありますけれども、会社の経営というものは経営者、従業員両者が相まってなされておるであろうことは言うまでもないわけであります。二年前の組合に提示された約束というものはほごにしてしまった。会社はこういうことなんだから、どうしてもその二百五十八名減らさなければならないのだ。全く切り捨てごめんというような会社側のそういった態度に対しまして、組合員がこれに対して納得できないということは私は当然であろうと思います。それらの経緯について御承知なのかどうか。私はこの質問をするにあたりましては、その内容等についてあらかじめ局長のほうに御連絡を申し上げておきましたので、局長も会社から事情を聴取されたでありましょうから、それらの点について会社の考え方についてひとつお聞かせいただきたいと思うのです。   〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
  206. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 われわれのほうで聴取しましたところでは、社長のほうから千二百五十名の人員の確保ということを口頭で申し上げたことは確かであるけれども、これはいわゆる協定書というようなかっこうにはなってないという連絡は受けております。ただ、会社側といたしましても、そういう形式論は別にいたしまして、できる限りその方向で努力したい。しかし、何ぶんにもいま長崎製鋼所の設備の稼働率は非常に悪く、反面日本鋳鍛鋼のほうも業績は悪いのでございますけれども、ここは全体の鋳鍛鋼、新日鉄の製品の需要も受けておりまして、長崎製鋼所に比較しますと需給面で若干楽な点もあるので、何とか両方を含めてこの際切り抜けたい、こういう報告をわれわれは受けておる次第でございます。
  207. 中村重光

    中村(重)委員 長崎場所を縮小しなくても、いまあなたがお答えになりましたような新日鉄で生産をしているものを長崎場所でつくるとか、あるいは三菱製鋼で生産をしているものを長崎場所でこれを加工することができるとか、やろうとすればいろいろな方法はあるわけです。むしろ私は、会社の合理化案というものは、あの広大な敷地で、その地価は相当高いおそらく坪当たり五十万あるいは七、八十万くらいの相場が出るのではないか、こう思っているわけですが、むしろこれを処分しようという考え方があるのではないかというように思うわけです。この長崎場所の縮小は下請け関連企業に対しましても重大な影響を及ぼすということは言うまでもないわけであります。  いま一つ私は山形局長に注意を喚起したいことは、工業再配置促進法はすでに実施の段階にございます。田中総理日本列島改造論、いわゆる移転促進地域と調整地域、それから誘導地域という形になっている。長崎は過疎県であります。むしろ誘導地域に指定されなければならない地域にある。その地域へ工場を誘致することはあっても、工場がここから出ていくといったようなことだけは何としても最大の努力をして歯どめを加えなければならない、こう私は考えているわけであります。したがいまして、民間企業でありましょうとも、鉄鋼産業というものは産業の米であるし、また日本経済に及ぼす影響はきわめて重大であるということを考えてみますとき、山形局長は、もっと情熱をもって、この会社がいま提示しておりまするところの二百五十八名の合理化案を撤回させる、できるならば長崎場所というものを健全な姿で運営されるよう指導される必要がある、私はそのように思うのでありますが、山形局長の決意のほどをひとつ伺いたいと思います。
  208. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 私は基本的に先生のお考えに賛成でございます。  実は、先般、会社の代表者を呼びましていろいろと事情も聴取したわけでございますけれども、私たちのほうの基本的な考えは、できるだけ従業員の配置転換は避けるべきであるという考えでございまして、いまの御意見の趣旨も体しまして、再度会社の代表から事情を聴取して、できる限りその方向で処理いたしたい。たとえかりに、どうしてもやるという場合でも、これをできる限り最小限度に行ない、かつ住宅問題、身分保障問題等の万全なる措置というのは当然必要だと思いますが、基本的にはできる限りこの配置転換そのものを避けるような方向で会社側に指導を行ないたい、こう思っておる次第でございます。
  209. 中村重光

    中村(重)委員 五時になりましたから、法律案を上げる約束の時間でございますので私はこれで終わりたいと思いますが、山形局長のいまの答弁に私は大きな期待をいたします。  ともあれ、組合が要求しておりますように、会社は誠意をもってビジョンを示す、そのことが必要であると思いますので、会社に対して、いまお答えがございましたように二百五十八名の撤回ということをさらに強く説得をしていただく。同時に、組合員に対する不安を与えないように、いわゆるビジョンを示すということにつきましても十分適切な指導をしていただくことを要請をいたしまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  210. 藏内修治

    ○藏内委員長 内閣提出海外経済協力基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  211. 藏内修治

    ○藏内委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  海外経済協力基金法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  212. 藏内修治

    ○藏内委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 藏内修治

    ○藏内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  214. 藏内修治

    ○藏内委員長 通商産業基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件について調査を進めます。  この際、おはかりいたします。  対外経済関係調整に関する件について、決議をいたしたいと存じます。  本件につきましては、理事各位において御協議をお願いいたしましたところ、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党間の協議がととのい、お手元に配付いたしておりますとおりの案文がまとまりました。  まず、決議の案文を朗読いたします。    対外経済関係調整に関する件(案)  政府は、現下の内外経済情勢にかんがみ、対外経済関係調整あたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、わが国の経済協力が真に発展途上国の国民福祉の向上に役立つものとするため、すみやかに政府開発援助の量的拡大及び援助条件の改善並びに多国間援助の拡大を図るとともに、経済協力の具体的実施にあたつては、発展途上国意向を十分尊重すること。 二、対外経済関係調整あたり、特に輸出の適正化、輸入の拡大等を図るとともに、中小企業が不当に圧迫をこうむることのないよう万全の対策を講ずること。三、当面する国際収支の均衡回復に資するため、会資本の整備、社会保障、環境保全対策等の抜本的拡充を図り、福祉指向型経済への転換を積極的に促進すること。   右決議する。  おはかりいたします。  ただいま朗読いたしました案文を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 藏内修治

    ○藏内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいまの決議に対し、政府より発言を求められております。これを許します。経済企画政務次木野晴夫君。
  216. 木野晴夫

    木野政府委員 ただいまの御決議につきましては、経済企画庁といたしまして、その御趣旨を尊重し、遺憾なきを期する所存でございます。
  217. 藏内修治

    ○藏内委員長 通商産業政務次官丹羽久章君。
  218. 丹羽久章

    ○丹羽政府委員 ただいま御決議になりました対外経済関係調整に関する件につきましては、通商産業省におきましては、万全の措置をとるべく努力をする所存であります。
  219. 藏内修治

    ○藏内委員長 なお、本決議の議長に対する報告及び関係方面への参考送付の取り扱いについてば、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 藏内修治

    ○藏内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時十七分散会