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1972-11-07 第70回国会 衆議院 商工委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十七年十月二十七日)(金 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の 通りである。    委員長 藏内 修治君   理事 稻村佐四郎君 理事 浦野 幸男君    理事 橋口  隆君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 樋上 新一君    理事 吉田 泰造君       稲村 利幸君    内田 常雄君       小川 平二君    大久保武雄君       海部 俊樹君    金丸  信君       鴨田 宗一君    神田  博君       木部 佳昭君    北澤 直吉君       小山 省二君    左藤  恵君       坂本三十次君    始関 伊平君       塩崎  潤君    田中 榮一君       羽田野忠文君    八田 貞義君       松永  光君    山田 久就君       石川 次夫君    岡田 利春君       加藤 清二君    佐藤木更三君       田中 武夫君    松平 忠久君       近江巳記夫君    岡本 富夫君       松尾 信人君    伊藤卯四郎君       川端 文夫君    米原  昶君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十七年十一月七日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 藏内 修治君   理事 稻村佐四郎君 理事 浦野 幸男君    理事 左藤  恵君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 樋上 新一君       小沢 一郎君    大久保武雄君       大坪 保雄君    神田  博君       北澤 直吉君    小山 省二君       田中 榮一君    福田 繁芳君       松野 幸泰君    山田 久就君       吉田  実君    岡本 富夫君       川端 文夫君    米原  昶君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      有田 喜一君  出席政府委員         経済企画政務次         官       木野 晴夫君         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         通商産業省貿易         振興局長    増田  実君         中小企業庁長官 莊   清君  委員外出席者         参  考  人         (海外経済協力         基金総裁)   高杉 普一君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   沖田  守君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月七日  辞任         補欠選任   海部 俊樹君     吉田  実君   坂本三十次君     松野 幸泰君   塩崎  潤君     小沢 一郎君   羽田野忠文君     福田 繁芳君   松永  光君     大坪 保雄君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     塩崎  潤君   大坪 保雄君     松永  光君   福田 繁芳君     羽田野忠文君   松野 幸泰君     坂本三十次君   吉田  実君     海部 俊樹君 同日  理事進藤一馬君七月十七日委員辞任につき、そ  の補欠として左藤恵君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十月二十七日  海外経済協力基金法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七号)  兵器の輸出禁止に関する法律案伊藤惣助丸  君外一名提出、第六十八回国会衆法第二一号)  武器等製造法の一部を改正する法律案武藤嘉  文君外三名提出、第六十八回国会衆法第四五  号)  火薬類取締法の一部を改正する法律案武藤嘉  文君外三名提出、第六十八回国会衆法第四六  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月六日  中小企業対策に関する陳情書外一件  (第七四号)  輸入手続等の改善に関する陳情書外一件  (第七五号)  日本列島改造計画に伴う地積の正確化に関する  陳情書  (第一三一号)  国土調査促進に関する陳情書  (第一  三二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  海外経済協力基金法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七号)      ――――◇―――――
  2. 藏内修治

    藏内委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  理事補欠選任につきましては、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藏内修治

    藏内委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長佐藤忠君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 藏内修治

    藏内委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、  通商産業基本施策に関する事項  経済総合計画に関する事項  公益事業に関する事項  鉱工業に関する事項  商業に関する事項  通商に関する事項  中小企業に関する事項  特許に関する事項  私的独占禁止及び公正取引に関する事項  鉱業と一般公益との調整等に関する事項 の各事項につきまして、本会期中、国政に関する調査を行なうため、議長に対し承認要求を行なうこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藏内修治

    藏内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 藏内修治

    藏内委員長 内閣提出海外経済協力基金法の一部を改正する法律案議題といたします。
  7. 藏内修治

  8. 有田喜一

    有田国務大臣 ただいま議題となりました海外経済協力基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  海外経済協力基金は、東南アジア等開発途上地域における産業開発及び経済の安定に寄与するため、その開発または安定に必要な資金を供給する等の業務を行ない、わが国経済協力推進に重要な役割りを果たしてまいりましたことは御承知のとおりであります。  海外経済協力基金業務のうち、開発途上地域がその経済の安定に資するため緊要な物資輸入を行なう場合、当該輸入に必要な資金を貸し付けるいわゆる商品援助につきましては、開発途上地域わが国から物資輸入する場合のみに限る、いわゆるタイド援助方式となっております。  しかしながら、このような援助供与国からの輸入との結びつき条件とするタイド援助方式につきましては、これをでき得る限り早期に廃止し、援助効率化を促進すべしということが、最近、強い国際的要請となっているところであります。  一方、最近の経済情勢にかんがみ、政府としては、去る十月二十日、対外経済関係調整するための諸施策を決定しましたが、この施策一環として、援助が直ちにわが国輸出に結びつくことのない、いわゆるアンタイド援助を供与し得るよう所要の措置を講ずることとしたのであります。  このように、当面の対外経済関係調整に資するとともに、国際的な要請にも対応し、わが国経済協力政策の一そうの推進をはかるため、海外経済協力基金による商品援助アンタイイング化が可能となるよう、この法律案を作成し、国会の御審議をお願いすることとした次第であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  改正内容は、開発途上地域がその経済の安定のため緊要と認められる物資輸入を行なう場合に、わが国以外の地域からの輸入についても、海外経済協力基金は、当該輸入に必要な資金を貸し付けることができるようその業務拡充することであります。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。  なお、つけ加えておきますが、御承知のとおり、いま対外経済政策推進といたしまして、依然としてドルの減退が来ません。趨勢としては、輸出増加趨勢鈍化して輸入はふえる趨勢になっておりますけれども、その黒字幅はなお相当のものがあります。つきましては、最近のそういう情勢にかんがみまして、当面、輸入拡大輸出適正化、そうして資本の自由化経済協力拡充、それから福祉対策の充実、この五つの項目を掲げまして、いわゆる円対策というものを去る十月二十日に政府としては決定いたしたのであります。  しこうして、この基金改正法案アンタイイングの問題は、現在の商品援助は、御承知のとおりすべてタイドでありまして、援助を行なってもすべてわが国からの輸出となりまして、現在の国際収支対策上非常に問題があるのであります。最近開発途上国から援助アンタイイング、特に国際収支赤字状況等から商品援助アンタイイングの希望が非常に強うございます。商品援助につきましては、アンタイイングとする場合、従来のタイドの場合のように日本輸出を主眼とした品目でなくて、低開発国等が希望する諸原材料、食糧等を含めれば、第三国からの輸入が増えて、外貨対策相当効果があると考えられます。  さような見地で、円対策一環として本案提出したような次第でございますから、どうかその点御了承の上、ひとつすみやかに御賛同あらんことを重ねてお願い申しまして、説明を終わりたいと思います。
  9. 藏内修治

    藏内委員長 以上で提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  10. 藏内修治

    藏内委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本法律案審査のため、海外経済協力基金総裁高杉晋一君及び理事沖田守君を本案審査参考人として御出席を願うことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 藏内修治

    藏内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  12. 藏内修治

    藏内委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。樋上新一君。
  13. 樋上新一

    樋上委員 田中総理は、日中正常化後のわが国の当面する最重要問題である円の再切り上げはどうしても防ぐというように、あらゆる場所で声明をしております。いま提案理由説明を聞いたのですが、本案につきましても——また、政府は、十月二十日に対外経済政策推進関係閣僚懇談会を開いて、輸入拡大輸出適正化など五本の柱からなる第三次円対策を決定したようでありますが、円対策に関しましては、昨年六月の八項目からなる第一次円対策、ことしの五月に行なわれた七項目からなる第二次円対策を実施したにもかかわらず、黒字は減少するどころか増大の一途をたどっておるのでありまして、従来の対策は全く効果を発揮していない。私は、こういう問題につきましてこれで二回も質問をするのでございますが、政府として、どこに従来の対策効果があがらない原因があるのか、またそれをどのように把握していらっしゃるか、今回の第三次円対策によってそれを補おうとするのか、まず最初にこの問題についてお伺いしたいと思います。
  14. 木野晴夫

    木野政府委員 円対策の問題は非常に大きな問題でございまして、田中内閣としましても全力をあげてこの問題に取り組んでいる次第でございます。  今回提案いたしました海外経済協力基金法改正の問題も、一つは国際的な要請にこたえますとともに、一つはこの円対策一環として出したものでございます。  ただいま樋上先生から御質問がございました、しからば昨年の五月に八項目、続きまして七項目、そしてまた今回の五項目対策が出ておりますが、その効果はどうであるかということでございます。  御承知のとおり、外貨は百七十億ドル近くということでございまして、量としてはふえておる次第でございますが、私たちといたしましては、八項目は八項目なりに、七項目につきましてはそれなりの効果があがったと見ておるわけでございまして、こういった為替調整につきましてはもう少し長い目で見てほしいということも申しておる次第でございますが、あの対策を講じなかったならばどうなるかといいますと、相当また外貨がふえていったであろう、あれなりに私たち効果があったと見ておるのでございますが、ただいま先生から、もう少しその点を詳しくということでございますので、局長に詳細お答えさせたいと思います。
  15. 新田庚一

    新田政府委員 御指摘のように昨年の八項目、本年の春の七項目、いろいろ手を打ってまいったのでございますが、やはり一番基本になりますのは財政の拡充によります景気の回復でございまして、昨年の平価切り上げ、それから景気の浮揚という両面から、趨勢的には、先ほど大臣から御説明がありましたように、国際収支はかなりいい方向に向かってきておると思います。たとえば、本年度の上期の輸出は前年同期で一五%でございます。これは昨年度の二三%の輸出から見ますとかなりの鈍化になっておるわけでございます。一方輸入は昨年度五%でございますけれども、本年度の上期は一八%というふうに、輸出鈍化輸入増大という方向に向かいつつあるという状況かと思います。  ただ、遺憾ながらこの一、二カ月、若干六、七月の海員ストの反動とかその他の影響がございまして、輸出鈍化傾向にまだ定着し切れないものがございますけれども、今後の対策によって黒字幅が逐次縮小していく、そういうふうに私ども期待をしておるわけでございます。
  16. 樋上新一

    樋上委員 通産省としては、従来は輸出適正化については業界自主規制にまかす、こういうぐあいに言っておるのですね。輸出税輸出課徴金は避ける方向で来たわけであろうと思いますが、最近の輸出急増などにより、海外からの批判が高まりつつあり、円の再切り上げに追い込まれるのではないか、それを防ぐために伝家の宝刀ともいうべき目玉商品一つとして輸出貿易管理令発動するようでありますが、この問題について、まずお伺いしたいと思います。
  17. 増田実

    増田政府委員 貿易管理令発動につきましては、十月二十日にきまりました新しい円対策一環といたしまして輸出適正化をはかるということが載っておりますが、それに基づきまして輸出貿易管理令発動につきましての案を一応現在つくっておりまして、輸出貿易管理令発動につきまして、現在いろいろ業界説得につとめておる、これが現状でございます。
  18. 樋上新一

    樋上委員 貿易管理令目的は、秩序ある輸出の確保ということなどから発動する、これはそういう点なら私はわかるような気がするんですが、国際収支の一般的な黒字対策、不均衡を是正するためにこのような手段をとるということは、その性格からいっても私はどうかと思うのですが、この点重ねてお伺いしたいのです。なぜゆえに貿易管理令発動による輸出調整に踏み切ったか、なぜこのような措置をおとりになるのか、この点についてもう少し明確にお答えを願いたいと思います。
  19. 増田実

    増田政府委員 ただいま輸出貿易管理令と、それからいわゆる国際収支対策との関係につきましてのお尋ねでございますが、外国為替及び外国貿易管理法に、一応法の目的といたしまして「外国貿易の正常な発展を図り、国際収支均衡、通貨の安定及び外貨資金の最も有効な利用を確保するために必要な外国為替外国貿易及びその他の対外取引管理を行ない、」ということが載っておりますが、この目的に必要な範囲内で、政令で定めるところによりまして輸出通産大臣承認にかからせるということができることになっております。  具体的に申し上げますと、先ほど申し上げました外国為替及び外国貿易管理法に基づきまして出ております輸出貿易管理令に、「国際収支均衡を維持し、並びに外国貿易及び国民経済の健全な発展を図るため必要があると認めるときは、」通産大臣輸出承認をせず、または承認条件を付することができるという規定がございます。これに基づきまして輸出貿易管理令で今回の措置をいたしたいということでございます。  ただいま樋上先生の御指摘のごとく、従来この輸出貿易管理令を使用いたしておりましたのは、海外において市場撹乱が生じている場合、その輸出秩序維持を行なうために発動いたしておりましたのが、今回はそれをさらに一歩進めまして、輸出が出過ぎておる、しかし、それにつきましてまだ市場撹乱というものは現実に生じてないもの、そういう品目対象とするということになっております。そういう意味では、確かに先生指摘のように新しい措置であると思いますが、現行法に照らしましてこれを実施することは、法の精神からいいましてもこれが可能だ、こういうふうに思っておるわけでございます。
  20. 樋上新一

    樋上委員 特定地域や国に対して特定輸出品が急激にふえるのは、これは当然相手国産業やマーケットを刺激して好ましくないと思うのですが、しかし、これも程度問題でありまして、国際分業による資源配分効果考えた場合、国際競争力の強い商品伸びるのは当然であると思いますし、有利な商品を必要以上に抑制するということは、今後問題が残ると思うのですが、この点いかがお考えになりますか。
  21. 増田実

    増田政府委員 今回行なおうといたしております措置は、輸出伸び方が非常に大きな品物を選びまして、これに対しまして業界輸出調整協力してもらう、こういう趣旨でございます。ですから、私どもも、先生のおっしゃられるように、輸出競争力が強くて、将来日本輸出品の大宗となるべき品物について、ここで抑制措置を行なうことにつきましては、非常な検討もいたしたわけでございますが、先ほど新田局長からもお話ありましたように、九月、十月非常に輸出伸びておりまして、このまま放置いたしますときには、対外的にもいろいろ問題を起こしますし、また、われわれが絶対に避けなければならない円の再切り上げというものに追い込まれるおそれがあるということで、これらの品目を生産しておるもの、あるいは輸出しておる業界に対しまして、輸出急増を避けて、安定した一定伸び率に押えるようにということで、その調整協力をお願いしておる、これが輸出貿易管理令につきましての私どもの根本的な考え方でございます。
  22. 樋上新一

    樋上委員 この貿管令発動して、それでは実際どの程度押えられるかという点についてお聞かせ願いたい。
  23. 増田実

    増田政府委員 貿管令発動につきましては、現在一応予定といたしておりますのは十九品目対象にいたしておりますが、それらがもし野放しでこのままで伸びた場合に比較いたしまして、現在私ども考えておる調整措置というものができましたときには大体十億ドルばかり輸出が減る、こういう計算をいたしております。  ここでちょっとお断わり申し上げたいのは、貿管令発動につきましては、これは最終手段ということで考えておりまして、私どもの現在の貿管令関係措置について御説明いたしますと、最初に、輸出調整の望ましい品目を公表いたしまして、それに基づきまして、その公表されました業界と話し合いをいたしまして、できれば先ほど申しましたような安定した伸び一定比率に押えていただく、そのためにはできれば輸出カルテルでこれをやってもらおう、こういう考えでございます。もしそれができない場合、また非常に困難を伴います場合に、初めて貿管令発動するわけでございます。ですから、私がいま申し上げました十八ないし十九品目対象にすると申しておりますが、全部に対して直ちに貿管令をかけるわけではございませんで、これらの品目を公表いたしました後、できれば輸出カルテルで、ある一定数量までに輸出調整をしてもらうように協力要請いたします。それがもしできないとき、あるいは貿管令をかけたほうが望ましいというときに初めて貿管令対象にいたす、こういうことでございますので、ちょっと制度につきまして御説明を申し上げた次第でございます。
  24. 樋上新一

    樋上委員 少し具体的なことをもう一つお伺いするのですが、貿管令発動されるとすると、その基準はどこに置かれるのか。
  25. 増田実

    増田政府委員 貿管令発動措置について簡単に申し上げますと、輸出が非常に伸びております品目を選びまして、これを最初に公表いたすわけでございます。それで公表いたしまして、先ほど申し上げましたように、一定伸び率調整してもらうようにその公表いたしました商品業界協力要請いたします。その要請業界が受けて、輸出カルテルでやれる場合には、これで終わるわけでございますが、もしそれができない場合には貿管令発動する、こういうシステムになっておるわけでございます。  それで、ただいま先生お尋ねの、どういう基準貿管令発動品目が選ばれるかということでございますが、まずその公表品目対象基準を申し上げますと、これは三つ基準からなっておりまして、第一には、昨年の暮れに大幅な一六・八八の切り上げがあったわけですが、それ以後の輸出実績、本年の一月から七月までの輸出実績をとりまして、その品目の前年同期比の伸び率と、それからもう一つは、その品目が一月−七月に輸出しました数量で、どれだけ日本輸出増加に寄与したかという寄与率というものをはかります。それから第三番目には、過去一年間、具体的に申しますと、四十六年八月から四十七年七月までの  一年間の輸出実績、この三つ基準品目を選ぶわけでございます。  さらに具体的に申し上げますと、伸び率が二〇%以上のもの、それから寄与率が一%以上のもの、それから輸出実績が一億ドル以上のものという三つ基準を選びまして、これによりまして輸出調整対象品目を公表するわけでございます。  それで、先ほどの繰り返しになりますが、これらの品目を公表いたしまして、それぞれに輸出調整業界にお願いする、それができまして輸出カルテルになりましたときには、輸出貿易管理令発動いたさない、ただ、その計画ができないで、どうしても縮まらない場合には、初めて輸出貿易管理令発動する、こういうシステムになっております。ですから、先ほどの三つ基準で選びました品目は、大部分はおそらくカルテルという形で輸出調整が行なわれると思います。それができないときに初めて輸出貿易管理令対象品目になる、こういうことになるわけでございます。
  26. 樋上新一

    樋上委員 その基準の中には、自動車並びに鉄鋼は含まれますか。
  27. 増田実

    増田政府委員 ただいまの基準で計算いたしますと、自動車は乗用車、トラック、それから自動車の部品を含めまして全部これに該当するわけでございます。  それから鉄鋼につきましては、鉄鍋の総体は、御存じのように、ことしの四月−九月の実績も、去年の四月−九月に比べて減っておりますが、ただ品目で選びましたときに継ぎ目なし鋼管、いわゆるシームレスパイプにつきましては、この三項目に該当いたしますので、鉄鋼のうちの継ぎ日なし鋼管はこの対象品目になります。
  28. 樋上新一

    樋上委員 もし基準に当てはまったとしても、その業界が反対した場合、政府として反対を強制的に、強引に押えて発動するのかどうか。  それから、過去にココムリスト対象品目米国向け繊維のいきさつから見ても、まず不可能だと私は思うのですが、このために対象にあげた業界をどこまで説得できるかどうか、今後残された大事な点は、こういう点にあるのかと思いますが、この点はいかがですか。
  29. 増田実

    増田政府委員 ただいま先生のおっしゃられましたように、この制度が実行できるかどうかにつきましては、業界説得が成功するかどうかにかかっていると思います。鋭意私ども、各業界対象品目予定品目につきましてすでに説得につとめておるわけでございまして、大部分業界につきましてはこの趣旨について御理解いただいておる、こういうふうに思っております。ただ、一部の業界につきましては、業界内部にもいろいろ利害の問題もございますので、まだ最終的には御納得いただいていないという点もございますが、業界の納得を得て、その上で、先ほど申しましたように、できればカルテルという形で自主規制をやっていただきたい、こういうふうに思っております。  ただ、これがどうしてもできない場合は、私どもとしては輸出貿易管理令発動をする、こういうことにせざるを得ないというふうに思っておるわけでございますが、そういうふうに至らないようにできるだけ説得をする。それから万が一輸出貿易管理令発動いたす場合も、十分業界にその発動につきましての御理解を得るということでやっていきたいと思います。ですから、もし輸出貿易管理令発動いたしましても、さらに今度は企業別の輸出割り当てが始まるわけですが、そのときにあたりましても十分業界と相談しまして実情に応じた割り当てを行なう、こういうふうに考えております。  それからもう一つ先生からの御質問でココム対象物資についてどういう扱いになるかという御質問でございますが、もしココム物資が入りましても同様な基準でやるということで、これらにつきましても十分業界と話し合いまして説得工作の上、本措置を行ないたい、こういうふうに思っております。
  30. 樋上新一

    樋上委員 その説得を行ないたいというお話ですが、大企業はいろいろ話し合いの上で進められると思いますが、次に問題になるのは中小企業だ、私はこう思うのでございますが、中小企業関係者をどう取り扱うか。これは前に経団連との二回の会合によりまして、中小企業は特に配慮する方針であるというようにも申し合わせているようですが、中小企業でも、企業によって大きく異なっているところが私はあると思うのです。ですから、一律に基準をつくるということは、これは問題だろうと思う。困難だろうと思う。それだけにどこで線を引くか、これが非常に問題になってくると思うのですが、この点はどうお考えになっておりますか。
  31. 増田実

    増田政府委員 ただいまの中小企業の問題につきましては、私どももこれについて十分配慮すべきだという考えでおりまして、そのために、先ほど申し上げました品目を選びますときの基準につきましては、できるだけ中小企業製品が除かれるようにというふうに考えまして、それで一品目、過去の一年間の実績が一億ドル以上の品目をとる。あるいは輸出寄与率が一%以上ということで計算いたしましたのも、こまかい中小企業の製品につきましては、できるだけ今回の対象から除外するという考えでございます。  ただ、いまの基準でやりましても、もちろん中小企業製品というものが対象になってくるわけでございますが、これらにつきましては、割り当てその他配分につきましては中小企業の方々の意見も十分聞きまして、そしてこの輸出調整ができ上がるようにいたしたいと思います。ただ、たとえば自動車は、これは大企業製品というふうにいわれますが、しかし実態は、その下請部品その他すべて中小企業というものがその背後にあるわけでございまして、中小企業を除いて大企業製品だけをこの対象にするということはなかなか困難でございますので、一応品目の選定のときに先ほど言いましたような配慮を行なったのと、それから今後のやり方につきましてできるだけ中小企業者の意見も聞いて、中小企業、大企業の間に不公平な負担というものが出ないようにつとめていきたい、こういうふうに思っております。
  32. 樋上新一

    樋上委員 この貿管令発動するということに対しまして、この実施をするということはかなり業界などとの交渉が難航すると思いますが、こういうことがあってはならないと思いますけれども、どうしても調整がつかない場合は、貿管令発動したそのときのいわゆる監視体制というのをお考えになっているかどうか。
  33. 増田実

    増田政府委員 貿管令発動せざるを得ない事態になったときにどういうやり方をするかということでございますが、私どもも、貿管令発動によりまして、一応輸出貿易管理令の別表の品目にその品目を指定する。そうなりますと、それらの品目輸出いたします場合は、全部通産省の承認が要るという形になるわけでございますが、この承認をするかしないかという割り当て基準につきましては、各業界と十分相談いたしまして、各企業別の割り当てにつきましても、実情に応じ、それから通産省が一方的に権力的に割り当てをするということのないような運用でいきたい、こういうふうに考えております。  具体的に申しますと、私どものほうで一応大まかな基準はつくりますが、その基準に基づいて、輸出組合あるいは業界団体で各企業別の割り当ての数量をつくりまして、その数量の範囲内であれば、輸出組合あるいは工業会が確認書を発行する。そしてその確認書を持っていけば通産省のほうは自動的に輸出承認をする、こういうことで、こういう円対策、私ども切り上げを避けるための臨時緊急の対策でございますので、業界と私どもと一致協力してこの運用をやっていく、こういうふうに考えております。
  34. 樋上新一

    樋上委員 貿管令発動期限はどのくらいかということと、円切り上げになった場合に、発動された業界の処置はどうするのか、これは問題になるのですよ。これはダブルパンチになりますからね、おかしなことになりますと。この点お考えになっていますか。
  35. 増田実

    増田政府委員 ただいまのお尋ねは、貿管令をすでに発動している品目の件数……。
  36. 樋上新一

    樋上委員 貿管令発動しようとした場合、その期限をどのくらいの程度でなにするか、これをお伺いしたい。
  37. 増田実

    増田政府委員 大体私ども現在考えておりますのは、先ほど申し上げましたように、現在各業界に対しまして説得工作をいたして、できれば輸出調整についてカルテルでやってもらうということになりますが、それができない場合に貿管令発動になるわけです。貿管令発動は、私どもいま考えておりますのは、大体十二月の初めまで説得工作を続けまして、それができないときに貿管令発動になるわけでございます。  それから発動いたしましたときにどれくらいの期間この貿管令を施行するかということでございますが、現在考えておりますのは、来年の八月三十一日までということで考えております。  それで、来年の八月三十一日までということを考えましたのは、今回の貿管令発動いたしましたときの割り当てワクは、ことしの九月一日にさかのぼりまして、九月一日から来年の八月三十一日までの一年間のワクにいたしたい、こういうふうに思っております。あくまでも今回の措置は臨時緊急の措置でございますので、明年の八月三十一日までの臨時措置ということで、それまでの期間行なうというふうにやるつもりでございます。
  38. 樋上新一

    樋上委員 もう一つあるんです。貿管令発動された場合、そして今度円切り上げになった場合、その業界に対する処置はどうするのか。
  39. 増田実

    増田政府委員 貿管令発動になって、その上もし万が一不幸にして、円の再切り上げがダブルパンチで来た場合どうするかという御質問でございますが、私どもは、今回の措置は円の再切り上げを避けるために必要やむを得ない措置としてとるわけでございますので、もし貿管令発動以降円の再切り上げがこの貿管令の実施中にありました場合には、この措置は当然撤回するというつもりでございます。ただ、私どもとしては、あくまでも円の再切り上げを避ける、そのためにこの措置を行なうというつもりでございます。
  40. 樋上新一

    樋上委員 そこでもう一つお伺いするのですが、四十七年の貿易収支は、当初予想をかなり上回って九十億ドル以上黒字になると思いますが、貿管令発動や関税引き下げが黒字縮小にどれだけの程度の効果を発揮するか、この点どう予想されていますか。
  41. 新田庚一

    新田政府委員 四十七年度の貿易収支、先般改定しました国際収支の見通しでは、八十二億ドルというふうに見通しを立てております。これは昨年度の八十五億ドルより若干縮小するというふうに見通しをしておるわけでございます。  この数字は、今回の円対策を含めましていろいろな対策を講じて、この程度の数字にしたいというふうな見通し要素になっておりまして、大体実勢から見ますと、おそらく六、七億くらいにこの効果を見込んだ数字と推定しております。
  42. 樋上新一

    樋上委員 最後に政務次官に締めくくりとしてお伺いするのですが、今後いろいろな形で円切り上げの圧力が強まってくると思うのです。このような情勢下でわが国通商政策はどのようにあるべきか、基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  43. 木野晴夫

    木野政府委員 円対策につきましては、第一次、第二次、第三次と、今回第三次対策が出されたわけでございます。それを通じましてどういったことかと申しますと、輸入自由化をはかる、拡大をはかる、輸出適正化をはかるということとともに、国際的な関係では国際協調の線を打ち出そう、国内的には体質の改善、また福祉重点に施策を振り向けていこうということでおるわけでございます。  ただいま先生からいろいろ御質問がございましたが、今回出しました海外経済協力基金法改正も実は円対策一環であり、また国際経済協調の一環でもあるわけでございまして、先生のほうは、主として円対策の観点から、貿易管理令その他の点からずっと御質問になったと思うのでございますが、海外経済協力につきましては、それとともに国際経済協調ということから国際会議、国連その他におきまして非常に要請されておるところでございます。  こういった点も受けて今回出したわけでございますが、ただいま先生から、外貨がたまったこの段階でどういったことを考えていくのかということでございますが、先ほど申しましたとおり、国内的には福祉重点に政策を持っていこう、そうしてまた、構造の改善、そういったことをいたしまして、経済的にももっと強いものにしていこうということとともに、国際的には、こういった外貨がたまったのでございますから、それを活用いたしまして、そうして開発途上国援助その他にも振り向けまして、日本のそういった要請にもこたえていこう、このように感じておるところでございます。
  44. 樋上新一

    樋上委員 沖田さんに最後にお伺いするのですが、商品援助の現状はどうなっているのか、具体的に説明していただきたい。
  45. 藏内修治

    藏内委員長 樋上君に申し上げますが、沖田参考人は、いま書類をとりに下まで行きまして、すぐに上がってきますが、その間政府委員に……。
  46. 新田庚一

    新田政府委員 商品援助につきまして、これは経済協力基金と、それから輸銀、両方から貸し付けを行なっておりますが、両方の本年九月末現在の残高は二千三百五十億でございます。そのうち基金の残高が九百六十六億でございます。
  47. 樋上新一

    樋上委員 当然今回の法案の改正円対策一環であると思うのですが、今回の改正でどの程度の効果、つまり黒字減に発揮することができるかというような点についてお伺いするのですが……。
  48. 藏内修治

    藏内委員長 樋上委員に申し上げますが、調整局長に御質問でございますか、沖田理事に御質問でございますか。
  49. 樋上新一

    樋上委員 沖田さんに……。
  50. 新田庚一

    新田政府委員 今度の法律改正、つまり商品援助アンタイイングすることによる国際収支効果の問題でございますが、これを計数的に把握するということは非常にむずかしい問題でございます。今後商品援助要請がどの程度あるか、またそれを日本としてどういうふうに扱うかということにかかってくるわけでございまして、御承知のように、先般来の国際会議におきまして、特にこの春の第三回UNCTADにおきまして、プロジェクトを含めまして、先進国は少なくとも一九七五年までには全部アンタイイングすべきである、しかし、それが直ちにできないならば、当面開発途上国アンタイイングをやってくれ、これは開発途上国の立場から見まして、商品援助が主になると思いますけれども、その商品援助について開発途上国が潤うようなかっこうのアンタイイングをやるべしという決議をして、日本も支持しておるわけでございます。従来までの商品援助はやはり輸出振興という点に結びつきまして、日本で供給ができないような品目については商品援助対象品目にしないというふうな運用もしておったわけでございますけれども、この際アンタイイングに踏み切る以上は、やはり開発途上国として希望するもの、たとえば日本にできない食糧とかあるいは素原料、そういったものも品目対象に加えざるを得ないと思います。従来のベースですと、やはり日本の得意な品目が中心になっておりますので、機械器具の関係とかあるいは工業原材料とか、そういったものが大体七割か八割占めておる。これは日本の競争力が強いから、アンタイイングをしても、そういった商品を中心にしているとすれば日本輸出が出ていく。日本にできないような、開発途上国が希望するような品目を追加する、これが開発途上国輸入構成の四割か五割占めている、そういったふうにこの援助資金が使われますと、これは開発途上国のためにもなりますし、日本国際収支黒字の削減効果にもなる。これが今後の趨勢としては国際的にもだんだん開発途上国の要望が強くなってくると思いますので、かなりの国際収支効果というものが長期的に考えられるのじゃないかというふうに思っております。
  51. 樋上新一

    樋上委員 私の質問を通じましてお伺いしている感じでは、円再切り上げを絶対避けるというような点につきまして、ほんとうに具体的な抜本的な取り組み方というものがなければならない、こう思うのです。今回のこの法案によってどれだけの効果をあげるか、これが円対策としてどれだけの黒字の減少になるかという点についても、はなはだ疑問の点が多いと思います。  なお私は、抜本的な円対策について今後も真剣に検討していかなければならないと思いますし、また中小企業に対する影響など考えますと、この貿管令発動につきましてもいろいろな問題が残されている、こう思うのですが、その点十分考慮され、協議され、そしてこれを避けていくような方向に持っていっていただきたいということを最後に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  52. 藏内修治

  53. 中村重光

    中村(重)委員 もうすぐ十二時ですから、午前中簡単に質問をしまして、午後に引き続いて質問いたします。  基本的な問題について質問しますが、一九六〇年代と七〇年代とでは援助計画は異なると私は思うのだけれども、その点について考え方をお示しいただきたい。
  54. 木野晴夫

    木野政府委員 わが国海外援助でございますが、御承知のとおり、昔はそれだけの力がなかったものでございますから、海外援助につきましてもそれほどの援助はできなかったようなきらいがございます。しかしながら、最近経済的にも力がついてまいりましたので、日本の国といたしましても、海外経済協力につきましては積極的な姿勢を示しておりますし、また、外国におきましてもそれに対する要請が非常に強うございますので、傾向といたしまして非常に変わってきている、このように申せるかと思います。  現在日本の国で海外経済協力関係では二十一億ドルということでございまして、五年前に比べますと三倍に上がっておるということでございます。アメリカが七十億ドル、日本が二十一億ドルということで、二位を示しておるわけでございます。しかしながら、内容におきまして、政府間の援助がどうかといいますと、非常にそれが少なくて、これをさらによくしていこうということがこれからの課題の一つでございます。  また、条件につきまして、贈与部分を多くしろ、また利率、期間、据え置き期間、そういったものを十分に見ろというふうな要請もございますし、またアンタイにすべきである、そういった条件につきましてどうかという、そういった点につきましても強い要請がございまして、それにこたえていこうという姿勢を示しておるわけでございます。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 いまお答えのように、量的には、国際機関における愛知あるいは福田演説によってGNPの一%ということが明らかにされているのだし、それから政府援助というようなものもこれはもっと高めていかなければならぬ、これはしばしば政府が明らかにしてきているところです。それはわかるのです。いまお答えになりましたことも私の質問に全く触れていないのではないのですけれども、いまの答弁は、どちらかというと援助の規模に重点を置いたお答えであったわけです。その援助の規模とかあるいは援助の形態、援助目的というものが六〇年代と七〇年代とでは私は違ってくるのではないかと思うのです。その点について具体的に考え方をお示しいただきたい、こうお尋ねしているわけです。
  56. 木野晴夫

    木野政府委員 詳しいことは局長から御説明いたすとしまして、私からお答えいたしたいと思いますが、ただいま先生指摘のとおり、海外経済協力基金につきまして、当初は経済発展に必ず寄与する、しかもそれが見通しが必ず成功するのだという事業に限るということで、非常に狭義に解しておりましたが、経済の安定とそれから民生の安定ということで目的を広げてまいりましたし、そういった意味で経済の安定に寄与するということでございまして、多少先生のおっしゃられた点が入っておるように、入る余地のありますように表現が変わっておりまして、そういった点が私からもうかがえると思うのでございます。
  57. 新田庚一

    新田政府委員 経済協力の理念としまして、世界の緊張緩和あるいは国際経済の円滑な運行の問題あるいは人類福祉の問題、そういった理念自体は、六〇年代、七〇年代と変わっておらないと思います。ただ、六〇年代のいわゆるUNDDI、国連最初の十年の成果につきましては、開発途上国は非常にあきたらなく思っておる。それが一昨年のUNDDIIに、国連の総会におきまして、激しい主張となって出ているわけでございます。  その基本は、援助内容の問題としまして、やはり政府開発援助の比重をもっと高めろ、これがGNPの〇・七%という目標になって出ているわけでございますが、そのODAのウエートをふやすという問題、それから条件を緩和する、そういったことで七〇年代の援助効果というものをもっと拡充すべしというような方向にもなっているわけでございます。  これに対する日本関係は、先ほど政務次官からお話がありましたように、やはり六〇年代の日本国際収支の状態から見まして輸出中心になっておりまして、したがいまして、援助の構成を見ましても、やはり輸出信用が非常にウエートが大きい。逆にODAの比重が低い。それから条件も国際的に見まして非常にきびしいという、これが現状でございまして、そういったことからこのODA比率、その中における贈与の比率、これをできるだけ上げろということと条件の緩和ということが、日本に当面課された経済協力上の課題かと思います。
  58. 中村重光

    中村(重)委員 では具体的に尋ねていきますよ。  まず援助の規模ですが、今後援助額がどのような推移をたどっていくのか。また、七〇年代にいたしましても、いまは七二年だから、七五年とかあるいは八〇年ということで規模はどのような推移をたどるという見通しを立てておられるか。
  59. 新田庚一

    新田政府委員 援助の量的な目標は、一応一九七〇年の国連の決議にありますように、GNPの一%というのが一つの国際的な目標になっております。現在の日本の比率は〇・九六ということで、一%にかなり接近しておるという状態でございます。昨年の援助の総額は二十一億四千万ドルでございます。今後これがどういうふうなテンポで伸びるかということは、最終的には中期目標として日本経済伸びを今後中期的にどう見るかということにかかってくるわけでございますが、少なくとも一%というものを最低限にして、GNPの伸びに応じてふやしていくということが当面の目標かと思います。
  60. 中村重光

    中村(重)委員 もう少し具体的な答弁はできませんか。相手国だって計画があるのですね。それに基づいて日本から、たとえば七三年、七五年にはどの程度の援助というものが期待できるのか。それによって開発計画というものを相手国は立てるわけでしょうから、援助する側の日本としても、GNPの一%ということになるならば、経済見通しというものはそれぞれ立てておられるわけだから、それに基づいて七五年にはどの程度に援助の規模というものは拡大をするのか、八〇年にはどうなんだというようなことの見通しというものは当然あるでしょう。そういうことで折衝もしていくでしょう。どうなんですか。
  61. 新田庚一

    新田政府委員 来年以降五カ年の中期計画を現在経済企画庁で作業中でございまして、本年内には完成する見通しでございます。したがいまして、それによる年平均のGNPの伸びをどう見るかということによって規模も違ってくると思います。かりに一つの試算として年率一〇%程度の伸びを見ますと、たとえば昭和五十年にはおそらくGNPは四千億ドルくらいになると思います。したがいまして、五十年のGNP一%といえば四十億ドルになる。そういうことで、具体的にどの程度の規模になるかということは、中期計画の作成をまって検討したいと思います。
  62. 中村重光

    中村(重)委員 いまお答えになりましたように〇・九六%。一%にはいつごろからすることになりますか。
  63. 新田庚一

    新田政府委員 具体的な数字の詰めを行なっておりませんが、この二、三年中には一%には確実になると思います。
  64. 中村重光

    中村(重)委員 それから政務次官お答えになりましたように、この政府援助というもののベースは、日本は非常に低い。したがって、これを拡大をしていかなければならないことは、これはもう当然であるわけです。先ほどの〇・七%という一つの目標というのがある、これからはほど遠いものがありますね、〇・二三%は。だから、年次計画的にこの政府援助というものをどの程度にする、民間ベースとの比較をどうするのだというようなことも、具体的な計画が私はあるだろうと思う。この点は、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  65. 木野晴夫

    木野政府委員 中村先生質問のとおり、経済協力につきましては一%ということで、現在〇・九六%ですか、大体いっておるのでございますが、政府援助はどうかといいますと〇・二一二でございまして、目標の〇・七%にほど遠いものがあるわけでございます。それで、これのアップをしていくということは一つの大きな課題でありまして努力をいたしておるわけでございます。それではいつごろなるかということでございますが、なかなかむずかしい問題でございまして、まあ検討しておるという段階でございます。  それから、実は先生からお話ございました、各国が当てにしておるからどうだということがあるのでございますが、それだからまた相手と話を詰めなければいけない問題もございまして、なかなか話を詰めるべきことがたくさんあるということでございまして、その点御了承願いたいと思うわけでございます。
  66. 中村重光

    中村(重)委員 もう少し具体的に詰めているでしょう、事務当局としては。目標としては〇・七%だけれども、いま〇・二三%だ、だから目標にはほど遠いものがある、だからといって年次的にどの程度政府ベースを引き上げていくのだということはわからないのだ、そんなあいまいなことではないはずです。大体年次的に考え方というものはある一わけでしょう。どうですか、新田さん。
  67. 新田庚一

    新田政府委員 ODAの比率をどういうふうなテンポで上げるか、それから条件緩和をどういうテンポで進めるかという点につきましても、やはりできるだけ具体的に内容を詰めてみたいと思っておりますが、やはり前提となりますのは、これからのGNPの伸びをどう見るのが妥当であるかというこの点は、経済計画の作成を現にやっておりますので、その作成を待って検討したいと思っております。数字が全然ないわけではないのでございまして、従来過去五年間のGNPの平均が一七%でございます。かりに今後五年間二二%くらいのGNPの伸びというものを前提におきますと、ODAのGNP比が昨年で〇・二一二でございますけれども、かりにこれを七五年に〇・四程度に持っていくというふうにいたしますと、過去五年間のODAの平均の伸びが一二%でございますが、これを三割くらいに引き上げなければいけないというような数字もございます。それと条件緩和というものをかみ合わせまして、条件緩和をかりに最近DACで勧告のありましたGE八四というものに八〇年までに持っていくというためには、従来の生平均一四%程度の出資を三五%くらいに上げなければいけないというふうな問題、そういった数字を今後の財政の見通しその他との関連で具体的に作成していかなければならない。いずれにせよ、その一番前提になりますGNPの伸びをどうするかということをもう少し具体的に決定してから検討してみたい、このように考えております。
  68. 中村重光

    中村(重)委員 福田さんとか愛知さんが、それぞれ国際会議出席をして態度を明らかにしているのですね。その中で政府援助というものをいつまでにどの程度引き上げるといったようなことを明らかにしているはずなんですが、その点どうなんですか。
  69. 新田庚一

    新田政府委員 ODAの比率〇・七というのが国際的な目標でございますけれども、この春のuNCTADにおきましては〇・七をいつまでに達成するという時期については、これは西独も同じでございますが、国際的にコミットしておらないわけでございます。やはり一番常識的なカーブとしましては一九七四年代のおしまいになるのじゃないか。そうしますと、当面の目標としましては、現在の〇・二三というものをDAC平均の〇・三四に上げる。ちょうど一九八〇年の〇・七に持っていくためには、中間地点としては七五年あたりが〇・四という数字になりますので、当面はDACの平均水準までともかく持っていこうというのが当面の目標になっております。
  70. 中村重光

    中村(重)委員 私はいま新聞の切り抜きを持っておったつもりなんだけれども、あとで午後の質問で私の持っている資料によってお尋ねしたいと思います。  それから、先ほど援助の形態というものについても別段変わっていないような意味の答弁が実はあったんだけれども、一九六〇年代は国家資本と輸出の信用というものを先行させたということだけは、これはお認めになるだろうと私は思う。そうなってくると、東南アジア全域を日本輸出市場化するというようなことで、それを援助目標にしておったわけですね、六〇年代は。国家資本としても九九・四%というのが東南アジアに集中しておったわけです。ところが、七〇年代になってくるとこの特徴というものが急激に変化してきていると私は思うのですよ。通産省は七〇年代援助政策の基礎として「国際化時代における経済力比較のあり方」というものを発表しておるはずだと私は思うんだけれども、貿振局長、この点についてのお答えをいただきたいと思う。
  71. 増田実

    増田政府委員 中村先生いまお尋ねの国際経済力比較ということですが……
  72. 中村重光

    中村(重)委員 「国際化時代における経済力比較のあり方」というのを発表しているでしょう。——じゃ、私のほうから申します。  それによれば、七〇年代は、貿易にかわって商品の国際援助、それから生産要素としては資本、技術、経済能力、その国際援助の時期であるということを書いてある。その具体的なあらわれとして出てきたのが、十一月一日の「対外直接投資税制で促進、長期輸入拡大テコ入れ、通産省、積み立て率30%に、先進国向け損失準備金」、こう書いてある。これは新聞に報道されているのだけれども、通産省はもっとずっと前に、私がいま申し上げた「国際化時代における経済力比較のあり方」というのを発表して、具体的な考え方というものが示されているはずです。そのことと、今度十一月一日、この新聞に報道されているこれとの関連、今後の考え方、いわゆる援助形態が大きく変わってきていると私は思うのですよ。その点をひとつお答えいただきたい。
  73. 増田実

    増田政府委員 私どものほうといたしましては、従来は日本商品輸出というもので外貨をかせいできたわけでございますが、今後の考え方といたしましては、商品輸出いたしますとどうしても輸出急増その他の問題が起こりますので、むしろ商品ではなくて資本、企業の進出を行ないたい、これを新しい七〇年代の通産省の国際経済施策一つの柱ということで立てておるわけでございます。その意味におきまして、もっと海外日本の企業が積極的に進出するという形で、今後対外経済のあり方を持っていきたい、これが私どもの根本的な考えでございます。それに基づきまして、税制の面その他におきましても企業が進出しやすいような、それを促進するような制度にかえていきたいというのが、先ほどございましたように企業が進出いたしましたときの所得控除その他の率を上げろということで現在大蔵省と折衝中でございます。
  74. 中村重光

    中村(重)委員 政務次官にもそれから新田局長にも考え方を聞いていただかなければならぬのだけれども、いま貿振局長がお答えになったようなことだけを考えてみましても、六〇年代と七〇年代というのは、私は援助計画というものは大きく異なってきていると思うのです。貿易から投資へと変わってきたんです。いま増田さんからお答えになったのをお聞きになっておられますね。相手国もそうなんです。たとえば韓国なら韓国では、貿励ということになってくると、それだけまた貿易あるいは政府借款ということになってまいりましても、元利払いということでたいへんなんですね。ですから投資ということになってくると、その点は相手国の負債勘定という形に入ってこない。むしろそれを歓迎するという一面がある。しかしまた、日本経済侵略というようなこと、経済支配、これを警戒する一面があるが、他面においては、国際収支という面においては身軽くなるというようなことで、低開発国というものはそこに一つの悩みというものはあるのだけれども、どうしても投資というものを歓迎する面がある。その場合に、日本の投資といったようなものが資源開発という形に中心が置かれていると、資源を収奪してくる、それに重点が置かれておるのだ、そういったことに対する警戒であるとか批判というものも出てきている。その調和をどうするかということが私は重大な問題であろう、こう思うのですよ。だから私の質問に対する政務次官並びに新田局長の答弁、それからいまの通産省の答弁ということになってくると、何もそこで関連性がないような感じがしてならない。このような重大な問題が経済企画庁と通産省の間に関連が持たれていないということは、私は、怠慢である、それが問題であると思うのですよ。もっと政府は、海外援助というものに対しては、政府基本的な一つの方針ということによって一貫したものがなければならない、こう思うのです。それらの点に対する考え方はいかがなんですか。
  75. 木野晴夫

    木野政府委員 ただいま御質問のとおり、日本の国は国際協調の線を進めながらいかなければいかぬことは当然でございまして、外貨がこの程度たまりました現在におきまして、外国からの要請もございますし、発展途上国からの希望もございますので、それに応じていくということが非常に大事な仕事であると思うわけであります。  それで、ただいま中村先生おっしゃいますとおり、その場合に、貿易でいきますと元利を払わなければいけない、それよりも投資、一面そういったのが好ましいという形でございますが、また一面経済侵略ということになるおそれはないかということで危惧の念があると思いますが、この点については、たとえば海外経済協力基金ができましたのは、産業開発産業発展に寄与するようにということでできたのでございまして、この精神を十分に守っていきまして、先ほど申しました経済協力の精神というものを生かしていかなければいかぬと思うわけでございます。それで、経済企画庁がこの海外経済協力につきましては総合調整の主管の役所でございますので、通産省その他関係のところとは十分に総合調整の実をあげるように努力いたします。
  76. 新田庚一

    新田政府委員 先ほど六〇年代、七〇年代の援助の違いの問題につきまして、先生指摘のように、私、先ほど申し上げましたように、理念としては変わっておらない。形態の問題として、先ほどちょっとことばが足らなかったのですが、やはり民間ベース、特に輸出信用中心の経済援助の形態というものは日本としては今後改めなければいけない。特に国際的にODAの比率というものが非常に低い。それを改めなければいかぬということを申し上げたのですが、もう一つ、やはり直接投資のウエートも、国際的に見まして、昨年で、援助の中の比率が二三%、これがDAC平均では三二、三%になっておりますので、これも非常に低い。やはり資金と技術と一緒になって出てまいります直接投資というものが今後民間ベースの援助の形態の本流にならなければいけないというふうに思いますので、先生の御指摘のとおりだと思います。  経済協力基金としましても現在全業務の約三割、一般案件として処理しておりますが、その大半が直接投資金融でございまして、現在輸銀につきましても投資金融をやっておりますけれども、いろいろな条件が非常にシビアだということで、今後の改正でも投資金融の緩和というものを改正案に織り込んであるということでございまして、直接投資の重要性というものは御指摘のとおりだと思います。
  77. 中村重光

    中村(重)委員 まあ大体考え方が一致されたようですけれども、私はここにやはり重大な問題を感じるのです。貿易にかわって商品の国際援助ということになり、生産要素ということになり、資本とか技術、経営能力、その点に対する国際援助ということはどろなってくるかというと、海外で物を生産するということになる。それは増田局長もお答えになった。そしてそれを輸入をする。だからして日本外貨はそれだけ減ってくるということですね。ところが、そこで問題になってくるのは、その投資の形態をどうするかということが問題になってくるのです。政務次官も先ほどお答えになりましたが、海外侵略という形になってはいけない、海外侵略にならないように、あるいは資源収奪だというような批判を受けないようにするためにはどうするのかという問題が一つある。その点に対する考え方はどうなんですか。どういう方法でやっていこうというようにお考えになっていらっしゃるか、これは経済企画庁、通産省、両方からひとつお答えいただきたい。
  78. 新田庚一

    新田政府委員 やはり従来もそうであるべきだったのでございますが、直接投資についての心がまえとしましては、日本の、労働力がないから出ていくとかあるいは資源がないから出ていくとかいうことじゃなくて、経済協力、相手の立揚に立って経済活動をやるという心がまえというものが一番先決問題ではないかと思います。したがいまして、現地で合弁会社をつくる場合に、経営権の大半を持たなければいけないとか、そういうふうな最近までのルールというものは変えなければいけない。やはり相手の立場に立って技術と資金と経営能力とを提供する、そして結果的に日本の従来の貿易をインビジブルなかっこうに変えていくというふうになるというふうなことが必要かと思います。
  79. 増田実

    増田政府委員 私ども考え方も、ただいま新田局長から御答弁申し上げたと同じ考え方でございますが、やはり今後経済協力というものは日本の立場というものだけを考えてやるべきではない、むしろ相手国の実情あるいは相手国の利益というものを十分考え、共存共栄という精神でやっていくべきだというふうに考えております。現在日本から相当多数の企業が海外に進出しております。中には若干問題を起こしておるものもございますので、通産省といたしましては、今後海外に進出いたします企業がどういう基準でどういう行動を起こすべきかということにつきましていわゆる行動要綱と申しますか、英語でいいますとコード・オブ・ビへービアというものをつくりまして、それによって受け入れ国の立場というものを十分尊重した経済協力ができるようにいたしたい、ころいうふうに考えております。
  80. 中村重光

    中村(重)委員 理念的にはそのとおりだと思うんですよ。私ども考え方として言わしていただければ、平和自立経済育成の援助原則を確立する、これが理念でなければならないと私は思う。ところが、理念はそうであっても、先ほど新田局長から、理念的には一つも変わっておりませんと、こう言う。変わっていないんだけれども批判を受けていることは事実じゃないか。ところが、理念が理念のとおりになっておらないというところがある。エコノミックアニマルであるとか資源収奪であるとかというごうごうたる批判を受けているということは、理念は間違っていないんだけれども実際にやっていることが間違っているんだから、それを間違わせないためには、非難を受けないためにはどうするのかということを考えていかなければならない。だからもう一度理念ばかりを聞かしてもらおうとは私は思ってないんですよ。具体的にはそれじゃどうしようとするのかです。従来のような批判を受けないようにする、資源収奪型というような批判を受けないようにする、そのためには具体的に、いままでやってきたことはこういう点が具体的に間違っておったんだからこれは今後はこうしていくんだということが具体的に出てこなければ意味がないじゃありませんか。お尋ねしているところもそこなんです。
  81. 木野晴夫

    木野政府委員 海外経済協力につきまして、当初産業開発とありましたのを、経済の安定ということにしまして業務拡大してきましたが、経済の安定が何よりも開発途上国にとって大事であるというふうな趣旨から持ってきたのでありまして、また、具体的な例を申し上げていきますと、先生指摘のとおり、理念は変わったといっていいと思うのでございます。  それで、それに応じまして私たちも対処していこうと思うのでございますが、たとえば今回の商品援助のアンタイドにいたしますのも、日本品物を買うなら金を貸してやろうというふうなことでは、これはエコノミックアニマルというそしりを免れないと思うのでございまして、開発途上国のほうで商品援助が必要である、そのときにはアンタイにしてというのも一つの線じゃなかろうかと思うわけであります。またそれ以外に、先生指摘の資源収奪の傾向はないか、そういったのは私ども改めなければならぬ一つであると思ってい.る次第でございます。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、経済侵略におちいりやすいことを防止するためには、二国間もしくは多国間の投資協定を締結するということの必要はお認めにならないかどうか。
  83. 新田庚一

    新田政府委員 先ほどの御質問に関連しまして、やはり今後の直接投資、先ほど私理念としては変わっておらないと申しましたが、国際的な理念としては変わっておらないけれども日本のそれに対する態度といろものは当然変えなければいかぬということを申し上げたかったのでございます。それにしても、直接投資につきましてもやはりエコノミックアニマル論が出ないように、相手の立場に立って今後事業活動をやらなければいけない。そういったために、日本の企業が海外に出る場合の一つのルールというものは今後どうあるべきかというものを確立する必要があるのではないかと思います。最近通産省あるいは日商あたりでそういった点について真剣な検討が行なわれているようでございますが、そういった方向経済企画庁としても推進したいと思います。  それから投資に関する多国間協定の是非の問題でありますが、これは現在日本にあります保険制度の関連の問題でございます。もちろん投資協定はそれだけの部分的な問題ではなくて、より広範な問題がありますけれども、それとの関係をどう考えるかということで通産省の見解にまちたいと思います。
  84. 増田実

    増田政府委員 今後海外投資が非常にふえていきますし、また先ほど先生の御指摘のように、若干問題の起こっているケースも生じてきておりますので、先ほど私のほうから申し上げましたように、今後どういう形で、またどういうやり方で投資をやるべきか、また、特に留意すべき事項は何かということで、いわゆる投資準則と申しますか、先ほど申しましたようなコード・オブ・ビへービアというものをつくりまして、それに合うように今後投資をしていくように業界を指導して、日本に対する非難を避けたい、こういうふうに思っております。  それからもう一つ先生からありました投資協定というものにつきましては現在検討中でございまして、まだ結論は出ておりませんが、もしどうしても必要だというような事態がありましたら、これらについてもひとつ考えていきたい、こういうふうに思っております。
  85. 中村重光

    中村(重)委員 中国との国交正常化をなさいましたが、ソ連との関係は平和共存という形で活発な経済交流あるいは開発についての話し合いといろものが進められている。そうしたことから考えて、社会主義国家との貿易であるとか、あるいは技術、これらのあり方はどうあるべきかという点についての考え方もあろうと思うので、その点に対するお答えを伺いたい。
  86. 木野晴夫

    木野政府委員 わが国としましては、国際協調の線を進めていくというのが一貫しだ方針でございまして、私はこれが一番大事じゃなかろうかと思うわけであります。したがいまして、先ほど開発途上国援助について話が出てまいりましたが、十分にそういった点は関係各省とも連絡をとりまして、先生の御指摘の点は生かしていきたいと思っているわけであります。そこで、その関係では国連の精神、そういったものも十分にくみ取りましてやっていこうと思っている次第でございます。  なお、中国関係が正常化いたしましたし、また日ソの関係、従来から連絡を密にしてやっておりますが、この点につきましてはただいま申しました国際協力の線で一そう進めていこう、このように考えている次第でございます。
  87. 中村重光

    中村(重)委員 国際協力ということばはいいのですよ。ですけれども、社会主義国家は社会主義国家としての形態がありますね。これに対しては、その国の形態に日本がどう対応するかということは、単に国際協力の精神でやっていきたいということでは答弁にならないのですね。これらの国に対しての日本の貿易とか技術の交流といったようなことは今後どうするのかということについては、もう少し具体的な考え方というか構想がなければならないと私は思うのですね。日本の貿易構造といったようなものを、あるいは資源開発といったような点等々も、特定地域だけに限るということよりも、できるだけ広範な形でやって、これに構造を変えたほうがよろしいという考え方であるならば、やはり社会主義国家との貿易とか技術というものを最高度に発展をさしていく必要があるということをお考えになっておられるのかどうか。もぢ少し基本的にあるいは具体的な考え方というものがなければ私はいけないと思う。いかがですか。
  88. 木野晴夫

    木野政府委員 先生おっしゃいましたとおり理念だけではいけないので、それを具体化するのが必要であるということでございまして、御指摘のとおりでございます。海外経済協力基金関係では開発途上国関係を中心に進めておりまして、着々その実をあげておるのでございますが、ソ連につきましては開発途上国ではございませんので、これは通産省の貿易関係のほうからお答え願うといたしまして、中国との関係は今回国交が正常化いたしましたので、これからの問題といたしましていろいろ検討していきたいと思っておる次第でございます。
  89. 増田実

    増田政府委員 ただいま社会主義国家との間の経済協力の問題でございますが、まずソ連につきまして申し上げますと、政府といたしましては日ソ経済協力を互恵平等の原則に基づきまして商業ベースを前提として進めておるわけでございます。現実にシベリア開発についてもいろいろのプロジェクトが出ておりますが、そういう方針で現在これらのプロジェクトの内容が固まり次第その実施に協力していきたい、こういうふうに思っております。  それから中国の問題でございますが、中国は最近国交が回復いたしましたばかりで、中国のほうの日本に対する要望その他につきましてこれからいろいろ聞くといろことになっております。ただ、精神といたしましては、先ほど言いましたよろな互恵平等の立場で、そしてそれらの資源の開発について、もし日本として協力することができるならこれを行ないたいと思っておりますが、まだ中国からの具体的な申し込みその他きておりませんので、これらについてはむしろ今後の問題として考えております。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 私がお尋ねしておることは、大臣の見解をたださなければならぬような点が中心になっているわけですけれども、予算委員会大臣出席は期待できない、こういうことになるわけですが、そこでそれぞれお答えもございましたが、ともかく日本は、地理的な関係もあってアジアを相当重視しなければならないし、またやっている。また、アジア諸国の日本に対する期待というものは非常に大きいと思う。期待は大きいけれども、また反面に、日本に対する警戒心というものも非常に大きなものがある。これらのことを考えてみると、そうした日本に対する警戒心というものをなくするためにいろいろな措置が講じられなければならないということになってくると、私はアジアの平和経済開発会議というようなものを設置する必要があるのではないか。ということは、南北朝鮮の統一であるとか、あるいは南北のベトナムの問題をやはり統一の方向推進をしていかなければならない。これらのことに対する日本の大きな役割りを果たしていく必要があるということを考えてみると、いま申しましたように、アジアの平和経済開発会議といったようなものがいろいろな面において必要ではないかという感じが私はいたします。この点は、事務当局よりも政務次官から、いろいろと検討しておることだろうと思うので、一つ考え方をお示しいただきたい。
  91. 木野晴夫

    木野政府委員 日中が正常化し、またベトナムも和平が近づいたというふうな段階でございますので、そしてまた、その段階におきまして日本の国の経済も非常に大きくなってきておりますので、アジア関係の平和の推進、また民生の安定、経済の安定にこたえる希望も非常に大きく望まれておりますので、これにこたえていくことが一つの大きな仕事であろうかと思います。  ただいま先生からアジア平和経済開発会議を開いてやったらどうかという御提案がございましたが、問題が非常に大きいものでございますから、私も帰って大臣によくお伝えいたしますが、そういった方向にものを考えていくべきである、またそれが要請されている時代である、私もこのように感じておるものでございます。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 広範な問題についてお尋ねをしたいのですが、これは大臣もいないことでありますから後日に譲ることにいたしまして、午後は法律案内容についてお尋ねをしてまいりたい、こう思いますから、ここで一応休憩をしていただきまして……。
  93. 藏内修治

    藏内委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕