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国務大臣(
有田喜一君) 先ほど来先生
たちの御
視察の
報告を私は耳を傾けて聞いておったのですが、一々ごもっともです。
消費者行政を担当しておる、また
物価問題を担当しておる
経企庁長官としては非常に資するところ大なるところがあったと思っております。先ほど宮崎県とかいろいろなお話もありました。私もつぶさには存じませんけれ
ども、いま
地方にもいわゆる公設
市場というのがどんどんできておりますが、それを一そう拡大強化して、
政府としても伸ばすべきものはどんどん伸ばしていって、
消費者のために、また
物価問題のために大いに
推進したいとか、かように
考えております。
さっきお話にありました灘神戸
生協でございますか、私行ってみて、大臣でおいでになるのは初めてだということを聞いて実はおやおやと思ったのですよ。御承知のとおり日本の
生協では灘神戸というのは一番マンモスであり、模範的だと言われておる。それが私が初めてだったというのは、来てよかったなという感じがしました。まず、私はそこを見まして頭が下げる思いがしたのは、あそこの役職員の方々がとにかく
消費者のために何とかして安いいい品物を
組合員に売りたいというその基本が徹しておりますね、これは私非常に大事なことだと思うのですよ。私も役人でいろいろやっておりましたけれ
ども、ほかの省ももちろん
消費者のことを
考えておられるでしょうが、率直に申してどちらかというと、
生産者の面に重点を置かれて
消費者の面がどうも留守がちになっておるのじゃないか、こういう感じもしまして、まあ公取というものも
消費者の立場からやられておりますが、大臣を持っておる官庁としてはわが企画庁が一番
消費者のためになる役所と
考えまして、私はそういう自分の職責からいいましても
消費者のため、
物価安定のためということには全力を注いでおるわけです。
そこで、灘の
生協を実は見まして——時間がなかったのですけれ
ども、それでも三時間ほどでしたが、案内も合理的にやっていただいて、そして食肉センター、それからパン、めん類、とうふなどの製造工場、また配送センターと申しますか、それから組合のマーケット、あるいは甲南店でしたか、そういうところも拝見したのですが、感じましたことはやはり
生協と組合が産地と直結して安いものを入れられておる、そしてやっぱり
共同仕入れ、それから製造など、ことにとうふなんかをつくられるところを見ますと、製造から製品になるまでそれから配給まで一貫作業でやっておりますね。小さい問題といいながらいわゆるあげといいますか、油あげといいますか、これなんかは
市場では三十五円ですね、ところがあそこは御承知のとおり二十五円ですね、これほど流通面といいますか、むだを省いて三十五円の中で十円も開きが出ているのだ、品物も非常にいいしと、こういうものでますます流通面の
改善の必要を痛感いたしました。
それから非常に感じたことは、甲南店へ行きまして、中沢先生も御承知だと思いますが、隣は商店街です、商店街とここに一緒におって摩擦を起こしてないかということを注意深く観察しました。決して摩擦を起こしてないのですね。そしてそれぞれの特徴を生かしながらやっておる、いわゆる共存共栄といいますか、そういう、仲よくそして安いもののいいものと、こういう観点に立って非常に、休みだったですけれ
どもあそこへ入っておる買いものの主婦の方々
たちもいっぱいおられましたね。非常に私はああいうところでは必ず商店街と摩擦を起こすんじゃないかと。それが摩擦がなくいっておった。これはやはりそれぞれの特徴を発揮されておるのです。そこらが非常に私は感じました。ことに配送センターといいますか、コンテナが四十何カ所の各営業所に配置されておりますね。それが非常に合理的にいっておりますね。少しの車の停滞がないように、すっと製品ができたものはどこどこの営業所と、絶えずコンテナのトラックが合理的にやられておる。こういう面においても非常に合理的なものが製品として安く、配給品として安くあがる。こういうようなことを見まして、非常に私は感動を受けながら、こういうような
生協が全国に各地にできていくと。それはまあ小売り店と競争——小売り店をつぶすというようなわけにもいかぬけれ
ども、いわゆる競争相手になって、そしてそれぞれの特徴を発揮しながら、
消費者のために、また利用者のために非常に貢献ができるのじゃないかということをつくづく感じました。
そこで、先ほ
どもちょっとお話があったように、県境の辺になってくるとそれがいけない。中沢先生が特に御承知でしょうが、阪神にいる人はよく大阪なんかに行かれるのですね。そうすると
生協のいいことを知っておられるから、何とかしてこちらのほうもああいう
生協の店を出してほしいという希望が非常にあるのだそうです。ところがそこには行政の境があるということでいけない。こういうことを言いましたが、いいことはやっぱりどんどん押し進めたらいいのじゃないか。ことに私も関西ですから
事情をよく知っているのですが、川西、池田なんというのは、川西というのは兵庫県ですが、池田というのは大阪府ですが、町は続いておるのですね。やっぱり市民から言えば、池田の人間であろうが、川西の人間であろうが、こういう
生協の品物を買いたいというのは当然だと思うのですよ。そういうことがあまり行政的に境が厳格になっておると、せっかくの
消費者の利益がそこなわれちゃうのじゃないか。まあそれは灘
生協——神戸
生協は区域はあそこでしょうけれ
ども、私はいいことはそういう境を越えても
消費者のために利用できるようにやったらいいのじゃないかということをつくづく感じたわけです。
それから
政府がそんなら特別に助成しているかというと、必ずしもそうじゃないのですね。ことに痛感したことは、金融なんかの面でも、このほか農協の組合がありますね。その他いろいろああいう組合がありますが、それらよりもワクが小さいのですね。これは
消費者のため、みんな喜んでおられる組織ですから、これは少なくとも農協とかその他の組合と同じような資金の協力とか資金のワクを拡大する、こういうようなことは微力ながら大いに押し進めていきたい、かように
考えております。
その他いろいろと
考えていることがありますが、やはり
消費者のため、それから
庶民のためという、その基本的の
考えで終始やっておられるその
態度が私は何よりもとうといものだと思って敬服しております。私も微力ながらそういうつもりでやりますが、ひとつここは、
物価対策委員会の皆さまですから、皆さんも同様に
消費者のため、そして
物価の安定のためというお気持ちが強いと思いますが、ひとつとも
どもに手を握り合って、私
たちの
考え方の足らざるところは、こうやったらどうかということをどんどん進言をしていただきたいし、私
たちも皆さんの知恵を借りながら、また御協力を得ながら、一番大事な
消費者行政、そして
物価安定策というものに邁進したい、かように
考えております。
簡単でございますが、感想の一端を述べて、御
参考にいたしたいと思います。