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1972-09-27 第69回国会 参議院 物価等対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年九月二十七日(水曜日)    午前十時九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山下 春江君     理 事                 玉置 猛夫君                 長屋  茂君                 片岡 勝治君                 中沢伊登子君     委 員                 亀井 善彰君                 川野辺 静君                 佐田 一郎君                 嶋崎  均君                 西村 尚治君                 田中寿美子君                 柏原 ヤス君    国務大臣        国 務 大 臣  有田 喜一君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        公正取引委員会        委員長      高橋 俊英君        経済企画政務次        官        木野 晴夫君        経済企画庁国民        生活局長     小島 英敏君        沖繩開発庁総務        局長       岡田 純夫君        大蔵省主計局主        計官       山口 光秀君        国税庁間税部長  守屋九二夫君        農林政務次官   園田 清充君        食糧庁長官    中野 和仁君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○派遣委員報告 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (消費者米価問題に関する件)  (流通機構改善に関する件)     —————————————
  2. 山下春江

    委員長山下春江君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  この際、おはかりいたします。  西村尚治君から、文書をもって、都合により理事辞任いたしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下春江

    委員長山下春江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 山下春江

    委員長山下春江君) ただいまの西村尚治君の理事辞任及び去る七月十二日私の委員長就任に伴い現在二名の理事が欠員となっておりますので、この際理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下春江

    委員長山下春江君) 御異議ないと認めます。  それでは理事に、玉置猛夫君及び長屋茂君を指名いたします。     —————————————
  6. 山下春江

    委員長山下春江君) 次に、派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般、本委員会が行ないました当面の物価及び消費者行政実情調査のための委員派遣について、派遣委員から御報告願います。中沢伊登子君。
  7. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 去る九月四日から八日まで、当面の物価及び消費者行政実情調査のため委員派遣を行ないましたので、御報告申し上げます。  今回の調査には、山下委員長と私と田中委員の三名で、事務局から宮出専門員が同行いたしました。  四日東京発島根に直行、翌五日は早朝五時半宿舎を出発、浜田漁港に到着をし、せりによる魚市場での価格形成実情視察いたしました。日本海や東シナ海におけるトロール漁業を主体としており、水揚げされた魚類は、漁家の主婦たちによって市場に並べられ、午前六時せりの始まるまではもっぱら女の人が働いており、それをせり人が次々とせりにかけ、次々に荷をさばいている状況を見てまいりました。ここでの問題は、一箱一万円も一万五千円もするカレイもありましたが、わずか二百円ぐらいの小イカもあり、箱代を差し引くと百二十円ぐらいの手取りにしかならないものもありました。一般にこの市場で形成される価格は安く、同じカツオやサバでも、市場せり落とされた市場価格と、すぐ二百メートルも離れた小売店の店頭で売られているものとの間には二倍の開きがあり、このような市場のある地方都市にも流通機構考えなければならない多くの問題があることがわかりました。したがって、トロール船に乗り組んで漁業に従事している人が、「首をつろうかトロール船に乗ろうか、どうせ死ぬならトロール船」という歌があることを教えてくれ、漁民の窮状を訴える人もいましたし、市場で働いている婦人の中には、保育園はありがたいが、所得者とみなされるので費用が高いなどと訴える人もいるなど、なまの声を聞くことができました。また委員が朝食も食べずに、早朝のせりの実況を視察したことは感謝され、浜田漁港加工貯蔵施設を完備した流通センターを含む修築計画に対する陳情や、遺族年金の増額を訴える遺族代表陳情等を受けました。  次いで昭和二十四年に設立され、組合員八百四十七名を持つ、山陽国策パルプ江津工場消費生活協同組合視察しました。売り場面積二百四十平方メートル、年間売り上げ二億四千万円というりっぱな生協で、その四一%は食品を取り扱っておりましたが、牛肉百グラム百十円から百二十五円、豚肉五十六円から百二十円、ジュースかんも、五十円のものを三十円で売っている等、職場の生活安定に大きく貢献しているのみならず、一般の町の小売り価格にも指導的な役割りを果たしていることを承り、大いに気をよくし、役員の方と懇談してまいりました。  途中、先般の水害復旧状況や、災害後の物価状況等説明を受けながら出雲市に入り、農協経営生活センター視察しました。昭和三十九年十七カ所の支所店舗を廃止し、工費四億円、延べ一千三百坪の売り場面積を持つりっぱな農協スーパーで、五百台の駐車場もあり、出雲の神さまが直接式場へお出ましになるという結婚式場もあり、もちろん冷暖房づきで、酒だけ置いていないが、一流デパート並みの品ぞろえの整ったスーパーでありました。この物価上昇のおり、一般で七百円の理髪をここでは四百円でやっており、三台の移動販売車の巡回と相まって、地域物価安定に直接間接大きな力となっている由を承り、意を強くいたしました。  松江市に入り、県の消費者センターを見たあと、同じ場所で消費者物価関係者との懇談会を持ちました。日銀の支店長新聞論説委員市会議員婦人代表業界関係者等から、それぞれ当面の物価問題や消費者行政について地方におけるなまの声を直接伺うことができ、たいへん参考になりました。そのおもなものを御紹介いたしますと、物価国際情勢、国の施策等によって大きく支配されるので、総合的、基本的対策考えてほしい、われわれ恩給生活者定額所得者が一番被害者となるので、公共料金値上げ、特にインフレ政策はやめてほしい、物価、賃金にすぐはね返る米価値上げ考え直してほしい、地価対策や、再販価格規制地方でも十分考えてほしい等でありました。また県当局からの陳情があり、一、野菜価格安定事業について、基金造成費だけでなく、補償準備金に助成してほしい、二、災害被災地緊急物価安定対策のため、生鮮食料品等買い入れ投入を行なって効果があったので、これらの対策に助成の道を開く等、繁急確保対策を制度化してほしい。三、消費生活協同組合資金貸し付け限度額が百万円で実情に合わないので引き上げてほしい等でありました。  翌六日、市内の新設の卸売センター視察しましたが、ここでも共同で造成した団地高圧電力個人別支払いになっているので、共同受電に変更してほしい、それによって合同青果市場等の冷蔵庫の電力料負担も安くなるので、共同で受電できるようにしてほしいという陳情がありました。途中、一町村一工場主義で導入された山村工場や、広島県境の赤来町の農協スーパーなどを見て広島県に入り、島根での日程を終わりました。  広島県ではさきに大きな被害を受けました三次市に入り、災害のお見舞いを申し上げるとともに、災害直後の物価状況について伺いました。県では物価急騰を予防するため、さっそく米や野菜畳表等市場近隣産地から行政措置被災地に投入したので、急騰を食いとめたばかりでなく、かえって安くなったものもあった。たとえば災害発生前二十円から百二十円していたトマトが、災害中は十円から五十円、十五円から八十円していたキュウリは七円から五十五円となったといわれており、このような適切な措置に感謝するとともに、産地直送等物価対策重要性をあらためて痛感いたしました。その後、本年三月に竣工した三次総合卸売センターさき水害に会い一階の商品を全部水浸しにしたがみごとに立ち直ったショッピングセンター視察しました。いずれも新たに造成された近代的な卸・小売り施設で、県北十二万人の消費者と、中央高速道等の完成を見こした流通合理化をねらっており、需要の促進と消費生活合理化に役立つよう期待されました。次いで、最近広島市に編入された安佐町におもむき、野菜、花木を中心とする構造改善事業について説明を聞き、その生産団地を見せてもらいました。  広島県での第二日目は、県庁に向い、知事みずから地図等県内動向物価経済事情等説明を受け、県の消費者行政県内物価流通業務団地配置計画消費生活協同組合動向等を聴取、合同庁舎にある公正取引委員会広島地方事務所を訪問、本庁から出向かれた総務課長とともに所長から管内の概況、消費者保護業務、すなわち価格協定規制過大景品つき販売不当表示適用除外カルテル等について、また合併営業譲り受け、事業者団体の届け出、下請法関係等の実績を資料に基づいて説明を受けました。  ついで、消費者等との懇談会場に近い原爆慰霊碑に参拝、直ちに懇談会に入りました。この座談会には、地域婦人団体消費者協会生協連合会代表者業界関係から中央卸売市場魚市場青果食品商組魚商連代表者が出席され、最近の物価対策等について種々懇談をいたしました。そのうちおもな発言を要約しますと、生協代表から、員外利用地域制限を緩和し、職域生協地域生協を一本化し、信用事業も認め、労働金庫等も利用できるようにしてほしい、また消費者代表からは、広島消費者団体広島方式といって「何でも反対」ではなく、できることを実施してもらう運動を進めている、たとえば公共料金どもあまり押えておくと結局いつか大幅な値上げが不可避になるので、物価総合対策の中でできる小幅な値上げにとどまるよう抑制してほしいなどの意見が開陳されました。また流通業務関係の人からは、異常な高値を抑制する政策は必要であるが、生産者流通業者消費者話し合いの場をつくって、みんなが賢くなるようにしたい、流通近代化資金等制度資金の利子を安くしてほしい等の意見が出されました。  座談会を終わり、広島市加古町にある中央卸売市場視察、将来人口百万を目ざすこの市の市場に全国から青果物が集まっている状況年間十一万トンの青果、二万トンの加工食料品を取り扱う市場としては、交通の便はよいが駐車場がなく、荷も渋滞しているので、太田川右岸埋め立て地に移転する計画であることなどの説明を受けました。したがって、広島市営で行なわれている西部開発事業の現場、そこにおける流通業務施設整備基本方針等による新しい総合流通団地構想等について説明を受け、最後に県の消費者センター視察所長の案内で、展示、実験施設等消費者利用状況等視察、全部の日程を終わりました。  なお、広島市のほうから、消費者保護基本法制定日を記念して毎年五月三十日を全国的な消費者の日にするようにとの要望を伺いました。  この報告を終えるにあたり、島根広島両県では種々便宜を与えられ、特にわれわれ調査団のために貴重な資料をつくり、提供されたことをつけ加え、感謝したいと存じます。
  8. 山下春江

    委員長山下春江君) 以上をもって派遣委員報告は終了いたしました。     —————————————
  9. 山下春江

    委員長山下春江君) 次に、当面の物価等対策樹立に関する調査議題といたします。  この際、有田経済企画庁長官木野経済企画政務次官及び高橋公正取引委員会委員長からそれぞれ発言を求められておりますので、これを順次許します。有田経済企画庁長官
  10. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 経済企画庁長官有田喜一でございます。どうかよろしくお願いいたします。  きょうは私が経企庁長官を拝命いたしまして最初物価対策特別委員会でございますから、この際一言ごあいさつ申し上げたいと思います。  申すまでもなく、物価の安定は国民生活の向上にとりまして不可欠の要件であります。また、国民政府に対する最大の要望でもあるのであります。最近の消費者物価は、季節商品あるいは工業製品等の落ちつきによりまして、本年の上半期は前年の同期に比べまして上昇率が四・五%と比較的落ちついておるのであります。今後の動向につきましては、季節商品の先行きあるいは景気上昇のテンポなど不確定要因もありますので、必ずしも楽観を許しませんが、私といたしましては、物価の安定に全力をあげて取り組んでまいる所存でございます。  わが国の消費者物価上昇は、基本的には、急激な経済成長に伴う経済部門生産性上昇率の格差に起因するものと考えられますので、これに対処するために、農業、中小企業サービス業等、低生産性部門近代化構造改善等を強力に推進してまいりたいと考えております。特に近年、流通費用の増大が消費者物価上昇の大きな原因となっていることから、流通機構改善合理化を進める必要があると考えられるのであります。このほか輸入自由化関税引き下げ等輸入政策積極的活用生鮮食料品安定的供給体制の確立とか、あるいはまた競争条件整備等施策を一段と強力に推進してまいる所存でございます。  なお、公共料金につきましては、極力これを抑制するという考えで取り扱うべきであると考えておりますが、一面、サービスの円滑な供給を阻害するようなことがないように、ここにまあ十分配慮することが必要でありますので、公共料金問題につきましては慎重な態度で対処して、そうしてどうしても上げざるを得ない事情にありますときには、国民の方々の深き理解と納得を十分得るように努力して善処していきたいと、かように考えております。  以上述べましたように、各般の物価対策推進に一段と努力を傾注してまいる決意でございますので、本委員会及び委員各位におかれましても、格段の御支援と御鞭撻を賜わりますように切にお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。どうもありがとうございました。
  11. 山下春江

  12. 木野晴夫

    説明員木野晴夫君) このたび経済企画政務次官を拝命いたしました木野晴夫でございます。  ただいま有田長官から所信を述べられましたが、私もこの線に沿いまして努力いたす所存でございます。当委員会並びに委員皆さま方の御鞭撻と御指導をお願いいたす次第でございます。
  13. 山下春江

  14. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 先月公正取引委員会委員長を命ぜられました高橋でございます。  いまいろいろと企画庁長官も申されましたように、国内では景気の問題と物価の問題がからみ合っておりますし、それから一方で円が強過ぎるということで海外からは日本商品の進出に対するきびしい批判がある、その間においてどういう政策をとっていくのか、たいへんむずかしい時期に差しかかっておると思います。さしあたり私どものほうの公正取引委員会といたしましても、そういった現在置かれております諸般の情勢の中でいかなる政策態度で臨むべきか、たいへんに私どもまじめに真剣に取り組んでいかなきゃならぬ問題がだんだんふえてきておる、こういう際にぜひひとつこれらのむずかしい問題につきまして先生方の御意見、御主張を十分私ども参考といたしまして世論の推進に当たり、大過なきを期したいと存ずるのであります。  なお先般は私ども広島にあります地方事務所にわざわざ委員の方がお立ち寄りいただきましてお話をいただき、末端機構実情をお調べくださいましたことに対しまして厚く御礼申し上げます。何とぞよろしくお願いいたします。
  15. 山下春江

    委員長山下春江君) これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 田中寿美子

    田中寿美子君 私、消費者米価引き上げの問題、これと関連してこの問題並びにそれに関連して沖繩米価引き上げ問題、これをおもな趣旨にしてお尋ねしたいと思います。で、米価審議会答申を受けて政府では、十月一日から平均七・五%の消費者米価値上げということにきめたというふうに発表されております。で、これは報道されるところによりますと、七・五%というけれども実質は八%だ、なぜかというと、銘柄米は一二%アップ、それから一等米から四等米までは平均七・五、それからその上に標準価格米も五・三%上げることにしましたですね。それから徳用上米も結局上げちゃったと、どれもこれもみんな上がったということの上に、四十七年産米と四十六年産米と両方とも、四十六年産米も上げるということにした。だから実質最初政府が言っていたように八%値上げすることになったというふうに私たちは解釈いたしますが、その点まずこれはどなたに伺いますかね。その実情ですね。そのとおりであるかどうかということ、これを、食糧庁長官でしょうね、最初にお願いいたします。
  17. 中野和仁

    説明員中野和仁君) ただいまのお尋ねでございますが、最終的に政府が決定いたしました引き上げ率は一−四等平均で七・五%相当額を上げるということにいたしております。ただその内訳は先ほども指摘ありましたように、銘柄米につきましては一二%で、そのほかの一般米につきましては、これは三段階ございまして、一般のお米が大体七%ぐらい、それから減額米というのが二種類ございまして、主として青森なり西南暖地の米を考えておりますが、これにつきましては大体四%台の引き上げ減額米のもう一つのほうは、むしろこれを一%程度引き下げをやった。そして徳用上米につきましては、徳用上米原料になります五等米につきましては五%の引き上げをやります。というようなことで、これを総体平均をいたしますと、実質的には七・一%になるんでございます。で、もうちょっとつけ加えますと、一−四等では七・二%、五等が五%上がります。それを平均いたしますと総体では七・一%の引き上げになるわけでございます。ただ、新聞紙上実質八%ではないかということがいわれたわけでございますが、これは当初政府の原案では八%、一−四等で八%の相当額引き上げるということをいたしますと同時に普通米制度を設ける、これを据え置きにするということをいたしたわけでございます。普通米制度を設けて据え置きにするということをすぐに実施しますためには、据え置きの米が九月、十月は四十六年産米を使いませんとありませんのです。そこで四十六年産米はこれを据え置くということにいたしたわけでございます。ところが、米価審議会の御審議によりますと、普通米制度について批判が非常にございまして、従来から、この四月からとっております標準価格米制度に戻せということでございますので、政府といたしましてはその答申を尊重しましてそれをやめたわけでございます。やめますと、標準価格米につきましてこれの引き上げをどうするかということになるわけでございますが、それが最終的には五・三%の引き上げということになりました。と同時に、四十六年産米につきましては、その標準価格米になってくるものですからこれを据え置くというふうにはなかなか、新米古米といいましてもそれほどの差はございませんので、これも同時に引き上げるということにいたしたわけでございます。したがって、財源的に見ますとちょうどそれが四十六年産米引き上げがパーセントで言いますと〇・五に相当するものですから、あるいは新聞で〇・五を足しまして八%といったようにも思えますけれども引き上げ率としましては総体平均といたしまして七・五%に間違いがないわけでございます。
  18. 田中寿美子

    田中寿美子君 そういうふうに説明すると七・五%アップということになって、最初政府考えていたよりは〇・五だけは低めたのだという御説明になりますけれどもね。最初八%引き上げようと考えていたときのその増収額の予定、たしか五百十四億、今度の計算ではやっぱりちゃんと五百十四億上がるようになっているのでしょう。いかがですか。
  19. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 御指摘のように、ちょうど〇・五が四十六年産米据え置きを、標準価格米原料にしたいというふうにわれわれ考えましたものですから、末端価格では五・三%上がるものですから、その分がちょうど〇・五に当たりますから、結果的には総体政府収入額としては変わらないということになったわけでございます。
  20. 田中寿美子

    田中寿美子君 ですから、最初政府考えた八%アップと結果においては一緒になったということですね。比率のほうは七・五%のつもりだけれども増収分は見込んだとおり増収ができる、こういうことですね。
  21. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 御指摘のとおり引き上げ率は七・五でございますが、政府収入額は約五百億でございまして、それは変わりません。
  22. 田中寿美子

    田中寿美子君 お米を買うわれわれ庶民一般は、率じゃなくてふところから出ていくお金の問題なんで、消費者米価のことはいろいろの物価の中の非常に基本的なものなのですからたいへんやかましいわけで、結果としては庶民ふところから出ていく金は政府の見込みどおり出ていくと、こういうことになると私は思います。それで、経済企画庁長官は、庶民米据え置きますとたいへんはっきりと消費者たちに約束をされたわけなんですがね。それは長官、力が及ばなかったということですか。いかがでしょうか。
  23. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 私の最初考えは、原則的には、消費者米価というものの家計に占める割合は昔と違って少なくなっておりますが、何と申しましても単品で見ると一番大きな家計費割合を占めておる。ことに米が上がるということは波及的効果といいますか、非常にそういうことが懸念にたえない。そこで、いろいろと国民生活の上から見た割合を見ますと、比較的所得の少ない人がやはり米の割合が多くなっておりますね。そして所得の高い人が米を割合少なく買うと、こういう状態ですから、そこで上げるにしましても、中あるいは低所得者に対しては何とかして据え置きたい、こういう考えを持ちました。実は最初は、私たち主張は五・九%程度値上げでしんぼうしてもらいたい、こういうことで、そうなってくると、大体四等米といいますか、四等米を中心としていけば据え置きができる、実はこういう考えをしておって、いろいろと政府部内でも相談し合ったのですが、そのときに主婦連なんかの方とも懇談したことがありますが、私は思わず、自分はこういう考えでおるけれども、残念なるかな総理大臣の権限が与えられていないので努力はするけれどもということでちょっとにごしておいたのですけれども、事実そういうことで進んだことは間違いない。ところがいろいろと折衝をやってみますと、農林省あるいは大蔵省におきましても立場がございまして、何とかして逆ざやは解消しなくちゃならぬ、少なくとも末端逆ざやは解消してもらえぬか、そこで最後の詰めで末端逆ざやをどう解消するかということが課題になったわけです。そこで、われわれは互いに突っぱり合いしておっても話し合いがつかぬというので、そこで最後の妥協がつきまして、末端逆ざやを今年新しい四十七年度米は解消するけれども、昔から残っておる末端逆ざやはそれを私のほうは先にせい、ことしやれ、こういう対立になったのですが、そこで、ついに官房長官その他等のほうからもいろいろと妥協したらどうかということになりまして、残念ながらそのときに、農林省の最初主張の一一・三%上げと私どもの五・九%値上げ、それがいろいろ折衝されて一応八%アップということになった。そこで八%アップでやってみますと、どうしても私たちの言ういわゆる庶民米といいますか、普通米というのが品質が悪くなってくるのですね。そこでいろいろ消費者の方々との意見も交換したのですが、値段が安いことはけっこうだけれども、品質がそう悪くなっちゃ困る、こういう空気が非常に強くて、そうしてあの答申にもありましたように、標準米の制度は残してほしい、そして多少値段の上がることはやむを得ない、こういうような趣旨の答申が出て、私たちもほんとうにこれが消費者のためにもいいんじゃないか、こういうように考え直しまして、そうして先ほど食糧庁長官説明しましたように、新米の平均は七・五%アップでございましたが、そのうちの一等から四等米の標準米は五・三%と比較的割安で押えた、こういう結果になって、私の最初申した庶民米という構想とは少し離れましたけれども、しかしその趣旨は最後まで貫いて、最初出された案よりも比較的いい米になって、そうして価格も多少上がったけれども比較的安い上がり方と。上質米は御承知のとおり一二%、こちらは五・三%、こういうようなことで落ちついた、これが率直なるありのままの経緯でございますが、この点を御了承願いたいと思います。
  24. 田中寿美子

    田中寿美子君 経済企画庁は大体物価を安定させるために一番努力していただく立場にあると思うんです。ですから、新聞紙上で見ているところでは、それこそ農林大臣や大蔵大臣とだいぶ渡り合わなければならない立場にいられたと思います。ですからその努力は十分私も了承したいと思いますけれども庶民米を据え置くと言われたことがたいへん印象に深く残っておるものですから、全体としてとうとう政府の思うとおり八%。最初は一一・三%希望していたけれども、八%のところに落ちついたということについて、これは私たちは米というのが非常に基本的なものなもんですから重要視するわけです。  それで、先ほどもおっしゃった、低所得層の場合には非常に大きく響くと言われたけれども、低所得層、たとえば特に生活保護者の場合は家計の中で食料費の占める割合がいま一体どのくらいで、米はその中でどのくらい買っているのか。これは経企庁の方から御説明いただきたいと思います。
  25. 小島英敏

    説明員(小島英敏君) 特に生活保護世帯ということでは実は統計を持ってまいりませんでしたのでお答えできかねるのでございますけれども、勤労者世帯につきまして階層別の五分位階層に分けたものがございまして、結局、全体の勤労者世帯の中で所得の少ないほうから並べまして五分の一のものが第一の階層でございますけれども、ここにおきましては米支出の割合が、これは昭和四十六年七月から四十七年六月までの一年間の統計でございますけれども、四・八%ということになっておりまして、一から五まで全部の平均は三・四%でございますから、約一・四%ほど第一分位の階層は米の支出割合が高いということでございます。
  26. 田中寿美子

    田中寿美子君 家計調査の中のその五分位の一番低い層というのは相当高いんですよね。私の聞いているのはほんとうの低所得層。生活保護世帯とか低所得層というのは、厚生行政基礎調査みたいなものを見ないとわからないと思うんです。だから、私かねて物価指数の問題ではたいへん意見があるんで、前からずいぶん経済企画庁長官と議論してまいりましたんで、その五分位階層でほんとうの低所得層の状況は見られないということ、これは念のため申し上げておきまして、米代が非常に影響する層というのは非常に低い層である。それから、私が、もう数年前になりますけれども、生活保護世帯のいわゆるエンゲル係数は六〇%ということをそのときは見ておりました。その資料を私きょうは見てこなかったものですからお尋ねしたわけであります。消費者米価をきめるときにその辺は十分考慮に入れませんと、低所得層に非常に響くということが一つ。  それから、先ほどやはり長官もおっしゃいましたが、米が上がると他に及ぼす影響が非常に重大だということなんですが、この波及効果ということについては経企庁なんかもまあ〇・三%ぐらいしか物価の押し上げには今度の米の値上げは影響ないという発表をしていらっしゃいますが、それはそうでしょう、米そのものは。だけれども、米代を上げることによってほかの物価をどんどん押し上げる役割りをしていく。いわゆる便乗値上げのことですね。それをどの程度に見ていらっしゃるか。  それから農林大臣がいらっしゃらないんですが、農林大臣が便乗値上げを押えるということを言っていらっしゃるんですね、この消費者米価アップを決定したときに。一体どうやって押えようとしていらっしゃるのかを伺いたいわけなんですが、もしいま農林大臣にかわる方がいらっしゃらなかったら後ほどお伺いするとしまして、経企庁長官あるいは食糧庁長官、この辺を、つまり波及効果のことと、それから便乗値上げを、どんなものが起こり得るか、そしてそれを押える方法があるのか。押えると言っていられるが、どうやって押えるのか。その辺をお伺いしたいと思います。
  27. 小島英敏

    説明員(小島英敏君) 米の直接の物価指数への影響は、ただいま先生おっしゃいましたように、平年度で〇・二七%ということでございますけれども、これが米が原料になりまして、たとえば外食とかお酒とかみそ、せんべいというような米が原料として使われますものが当然間接的に影響を受けるわけでございます。こういうものにつきまして試算をいたしますと、今度の米価の値上がりによりまして平年度で〇・〇四%程度という計算になるわけでございます。ただ、もう一つのこの問題は、いまもお話ございました、米を原料にしないものまで米価の値上がりというものを理由にして値上げが行なわれるというケースが非常に多いわけでございまして、特に問題がございますのは、やはり外食の関係、これは一部確かにその原料に使ってはおりますけれども、えてして米価が上がりますと、米価の値上がりによりいついつから何%値上げいたしますというようなことになりがちでございます。この辺の影響につきましては非常に統計的に分析がむずかしゅうございまして、過去四十年代になりましてから三回ほど消費者米価値上げが行なわれておりますけれども、このときに外食費に対してどのくらい影響があったかということを調べてみますと、大体三カ月ぐらいのあとまでのその値上がり、外食費の値上がり率を比較してみますと、大ざっぱに申しまして米価の上がったパーセントの大体四分の一ぐらい上がっておると、これも年によってかなりフラクチュエートいたしますので、あまり正確な数字ではございませんけれども、おおむね米価がかりに一〇%上がるといたしますと、その四分の一の二、三%ぐらい外食費が上がっているというような統計がございます。ただ、これが問題は、米価が上がらないときにそれでは外食費が上がらないかというとそうでもございませんで、四十五年のごときは米価が上がりませんのに、やはり外食費が相当上がっております。そういうこともございまして、どうも米価値上げを理由にいたしておりますけれども、外食食堂等は人件費の値上がり等があってやはり毎年ある程度値上げをせざるを得ないような状況がある。まあ毎年とは限りませんが、二年、三年分一ぺんに上げるということもございましょうけれども、そういう事情がやはり基本的にあるように思います。したがいまして、これは便乗値上げ——もし米価が上がらなくても、上がらない場合には米価値上がりによりではなくて、諸物価高騰のおりというような理由をつけておそらく値上げをされるということがあり得ると思うのです。ただわれわれが思いますのに、もしそういうものがなければかりに三十円ぐらいの値上げで済んでいたのが、米価が上がりましたために五十円になってしまうとか、原料計算からいたしますとほとんど一円とか二円とかしか高くなっていないにもかかわらずそれだけの値上がりになってしまうというケースが間々起こりがちでございます。これは一種の便乗値上げで、まことによろしくないわけでございますけれども、どうも法律的には、実はサービスその他が一種のやみカルテルでもございまして、そういう値上げをいたしますとこれは公正取引委員会が独禁法に基づいてチェックできるわけでございますけれども、そういうことがない場合には非常にやはり、まあ指導と申しますか、法律的なきめ手がございませんのでどうも十分な手が打ちにくいということがございます。まあわれわれといたしましては、ですからいま用意しておりますのは、今回の米価の値上がりによってたとえばすしとかカレーライスとかいうような外食食堂あるいはおすし屋さんあるいはおせんべいその他の米を原料に使いますものが今度の米価値上がりによって何円ぐらい上がるかということを表にいたしまして一両日中に発表いたすつもりでございます。これは非常にわずかでございまして、たとえば二百五十円とか三百円の握りずしを例にとりますと、一番良質のたとえば自主流通米を使っておりましたものでも値上がり率はほとんど一円とか二円とか非常にわずかなものにしかすぎないわけでございます。この辺をPRいたしますことによって、消費者のほうに実態をよく認識していただく。それから同時に、やはりそういうことによって業者の方にもあまりこの米価に名をかりた便乗値上げを自粛していただくということができるのじゃないかというふうに考えております。
  28. 田中寿美子

  29. 中野和仁

    説明員中野和仁君) ただいまの米価引き上げに伴います波及の問題につきまして、食糧庁としてとっておるやり方といいましょうか、それを申し上げたいと思いますが、農林大臣からこの米価決定になりました際に農林大臣談話を出しまして、便乗値上げをしないようにと、これは警告でございますが、その後実は一昨日、県の各部長、それから食糧事務所長を全部招集いたしまして、今度の引き上げの趣旨等を説明すると同時に、厳にそういう便乗値上げのないように各県におかれても御指導願いたいということを、注意を喚起するように私からいたしております。それから本日は、米菓業者——これはあられ屋さんとかせんべい屋さんでございます。それから穀粉の業者——もち粉や何かをつくる業者、それからみそ業者、これを全部集めまして、ただいま国民生活局長もおっしゃいましたそういう数字まで示しまして、この程度の値上がりだから引き上げをするな。特にみそ業界につきましては、今回みその原料になります破砕精米はこれは古々米を使っておりますんで上げておりませんから、絶対上げてはいかぬということを業界の責任者を呼びまして注意をきょういたすことにしておるわけでございます。
  30. 田中寿美子

    田中寿美子君 米を原料にするものについては、いまおっしゃったように、たとえば外食の二百五十円のすしでも一円何ぼぐらいしか実際には上がらないんだというようなことをPRすると、これが便乗値上げを押える手段として言われているわけで、これは農林省のほうも経企庁のほうも、そんな警告、指導ということでしょうね、それから周知させるというんだと思いますが、そのぐらいのことでは押えられないんですね、実際にはね、まあ米が上がりますと、おかしいことにおふろ屋代もまた上げていったり、それからことしはいろいろ上がるわけですから、授業料も上がるしガス代も上がるし灯油もずいぶん上がるようです。それから私鉄の運賃も上がってくる。そういうものがみんな一緒になるわけですから、米だけが犯人というわけには確かにいかないと思いますね。ですけれども、米が上がったというと安易感がありますね。その辺が便乗値上げの一番の理由になるだろうと思いますが、これに対する対策というものは私は、便乗値上げを押えると言われたけれど、おそらくあんまりないんじゃないかというふうに思います。さっき、米代が上がらなかったときでも、消費者米価が上がらなかったときでも物価はどんどん上がっているんだというふうにおっしゃったが、まさにそのとおりなんですね。で、先ほど中沢委員から、私ども物価調査視察の御報告がありましたけれども、私もその一部分に参加したわけなんですが、米だけではありません。ことに生鮮食料品なんかの場合ですね、さっきのお話にあったような、イカなどが非常に安く浜でとれましても、これが市場に出ていくときには、まるでそのすぐ近くの市場であってもたいへんな高値になってしまっているというのは、流通機構にたいへん問題があるからであって、物価のどんどん高くなっていく一つの大きな原因は流通機構にあると思うんですが、私ども視察しましただけでも、そこの浜に上がった安いもの、あるいは、その付近でできている——島根県は農業県ですが、野菜類が一たんそこで集荷されたものが大都市の高いところに中間業者によって運ばれていって、そこで高値がついて、Uターンして戻ってくる、そして自分の土地でまた高い値段で売られている。こういうような機構を変えない限り、私どもは、たとえば卸売り団地や、それから流通センター、こういう合理化、非常に大事ですからどんどんやってほしいけれども、かりに卸売りセンターや卸売り団地ができていてもそこに入り込んでくる品物は生産者から幾つかの段階を経てUターンして戻ってきて高くなってくるという、こういうあり方でございますから、そういう事柄も含めて今度の米価消費者米価の値上がりがどれだけ大きな意義を持っているかということは、私が申し上げなくても毎年皆さん消費者から言われていらっしゃることだと思いますが、全体の物価対策と一緒にして、ぜひこのことは深く心にとめておいていただきませんと——経済企画庁長官、大いに奮闘していただいたようですけれども末端逆ざやの解消というのは、錦の御旗みたいなものでどんどん上げられていくという感じがいたします。いま、もう食糧庁長官からお話がありましたけれども、いま農林政務次官がお出でございますので、農林大臣が消費者米価値上げをきめたときに、これによる便乗値上げ、他のものの物価の便乗値上げを押えるということを宣言していらっしゃいますので、どういう方法で押えるつもりでいらっしゃるのかを伺わしていただきたいと思います。
  31. 園田清充

    説明員(園田清充君) おくれてまいりまして恐縮ですが、ちょうどいま御質問になっているようなことを沖繩の方が陳情に見えていて、少しおそくなりまして恐縮です。私が参ります前に食糧庁の長官から、いま伺いますと、大体具体的な対策、指導については御答弁を申し上げたということでございますので、大臣もすでに諸物価に及ぼす影響というようなことを考慮をして当時決意の表明をしておりますし、各県あるいは業界、団体、それぞれ指導をし、対話の機会を持って御指摘のようなことがないようにというようなことで、いま御答弁申し上げたとおりの努力をしておりますので、御了承いただきたいと思います。
  32. 田中寿美子

    田中寿美子君 ということは、結局米価の値上がりというのは、影響するところは、実質的にはほんの少ししかない。それだから、これによって値上げしてはいけないという指導をするということだというふうに私了解しておきますが、それは強力にやっていただかなければならないと思います。  そこで、次に、いまもおっしゃいましたが、私は沖繩米価のことを御質問したいと、それがきょうのおもなことなんで、時間があればほかのこともお伺いいたしますが。実は今度の消費者米価の十月一日からの値上がりにつれて、沖繩消費者米価引き上げるのだという情報がありまして、たいへん沖繩の県民も心配をしており、消費者も心配をしている。私の所属しております日本帰人会議から食糧庁長官、大蔵大臣、それから開発庁長官に申し入れをしてございます。その申し入れをしました趣旨は、十月一月から消費者米価政府の言う七・五%引き上げに対しては私たちは抗議します。第二点は、この引き上げ沖繩にもかぶせるようなことをしてはならない。するように伝えられているけれども、それはやめてほしい。それから第三点は、なぜといえば沖繩はまだ復帰して間もなくて、それで円ドルの切りかえで非常な犠牲を受けている。沖繩の人の計算では為替の差損七十七億というふうにいわれている。それから復帰前からもすでに変動為替相場に入ったときからどんどん物価が上がっているわけなんです。本土よりははるかに物価の値上がりがひどいので、その物価の値上がりの上で、復帰後わずか四カ月というのに、もう消費者米価を本土並みに上げていくというようなことはしてほしくない。それから第四点目は、沖繩の県民は五年間据え置きだと思っていた、特別措置法によって、米価は。沖繩米価は安いですね、ずっと。本土の半分ぐらいですね、消費者米価は。それで据え置きだと思っていたのに、もう引き上げるのかということで、たいへん憤慨している。こういうことで、今度の消費者米価の値上がりが私たちは喜んでいるわけでも何でもないけれども、しかし、沖繩に対して、これと同じことをやらないでほしいということの申し入れをしたわけですが、屋良知事も要請をされているし、二十一日に上京されて、食糧庁長官お会いになったと思いますが。ですから、沖繩のほうの、屋良知事が持ってきた県側の要請の趣旨はどういうことであったかということをちょっと説明していただきたいと思います。
  33. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 先般沖繩の県知事がお見えになりまして御要請があったわけでございますが、その趣旨は、生産者米価については本土並みに引き上げてほしい。消費者米価についてはいましばらく——田中先生おっしゃいましたようないろいろの事情を述られた上で、いましばらく御猶予を願いたい、こういう話の趣旨でございます。
  34. 田中寿美子

    田中寿美子君 昨日からきょうにかけて、沖繩県の中で、生産者消費者米価の問題でいろいろと話し合いをして意思統一をして、そうして政府に申し入れをするというふうなことを私は情報として聞いておりました。その辺御存じでございますか。生産者団体がどういうことをいま話し合ってどういうふうな決定をしているか、消費者団体がどういうことをいま議論しているか、御存じですか。
  35. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 先ほど申し上げました知事が私のところに見えました際に、知事さんも法律の趣旨は、よく特別措置法の趣旨は御存じでございます。それを前提にしていろいろ話し合いをいたしました。即答はできかねるからもう一ぺん県に帰って、関係の方々と相談した上で、実はきのうの晩返事をしてくると、こういうふうに言われたわけであります。きのうの晩連絡がありまして、きょういっぱい待ってほしい、こういうような状況になっております。したがいまして、まだ私県の知事のほうからその後の現地での検討の状況というものは具体的には承知しておりません。きょういっぱい待ってほしいというふうに私たちのほうにはきているわけであります。
  36. 田中寿美子

    田中寿美子君 私けさ電話を入れて聞いたのですが、生産者団体のほうは農林省の決定に従いますというふうにきめたらしいということなんですが、まだ私はきめたというふうには申し上げられませんが、消費者団体のほうは結論が出ていないということで、きょう一日ぐらいかかるらしいのです、あしたきめられるそうですね。生産者米価のほうについて、農林省が決定しているのはどういう線でしょうか。
  37. 中野和仁

    説明員中野和仁君) まだ生産者米価をどうするかということまで正式に決定はいたしておりません。
  38. 田中寿美子

    田中寿美子君 どういう趣旨でございますか。
  39. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 趣旨は、法律にもございますように、これは生産者米価消費者米価ともでございますが、復帰のときの価格を基準にいたしまして、その後は、内地におきます生産者米価なり消費者米価の変化の状況に応じて引き上げるということになっているわけでございます。したがいまして、理屈上だけで申し上げますと、生産者米価につきましては、今度の沖繩の二期作から引き上げる。それから、消費者米価につきましては、この十月一日をめどにして引き上げる。法律どおりやればそういうことになるわけでございますが、ただいまお尋ねにもありましたし、また私たちもいろいろ話を伺っておりますので、内地に準じて引き上げ措置をとるというふうに法令的にはやるべきだと私は考えておりますけれども、いろいろな問題が出ておりますので、なおいま政府部内で検討しておるということでございます。
  40. 田中寿美子

    田中寿美子君 それで、復帰に関する特別措置法の中に、沖繩米価に関しての規定がある。それによれば、いまの御説明のように、生産者米価消費者米価も、本土の米価が上がっていったらそれと同じように上げていくんだということになっているといういま簡単な御説明でございましたですね。で、私、沖繩の復帰に伴う特別措置法の中のことを、その解釈といいますか、考え方なんかをもう少し詳しく説明していただきたいと思っているわけなんです。  私が見ましたところでは、復帰に伴う特別措置法百十二条によりまして——沖繩の私はいま消費者米価のほうだけに限って伺いたいと思いますが、二段階に分けてありますね。この特別措置法に付随した政令五十九条というのがあるわけですが、あの当時私どもは、沖繩国会のときに、もう一緒くたにたくさんの法律が一ぺんに持ってこられまして、とてもとても審議なんかできないような状況でございましたけれども、それでも、その法律に全部政令によって定めるということになっておりまして、あの段階ではとても審議できない、審議する材料も与えられなかったわけです。それでいま、特別措置法百十二条と、それから農林省関係の特別措置の政令ですね、五十九条、この二つで見ますと、大体消費者米価というのは、復帰後の一定期間、これは法律のほうで見ると、これまで沖繩では特に安かった、その「一定期間」の間に、本土の消費者価格米価の「変化の状況を参酌して、農林大臣が定める。」ということを法律では書いてあるわけですね。その法律の内容が、政令によりますと二段階に分かれておって、その第一段階というのは復帰後の五年間である。その五年間に本土の売り渡し価格の変化の状況を参酌して定めるということになっているわけです。第二期目がその後三年間であると。その後の三年間で、農林省の方の説明によりますと、本土の米価、本土並みにまで追いつけるんだと、こういうことでしょう。そういうふうに理解してよろしいですか。
  41. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 御指摘のとおりでございます。
  42. 田中寿美子

    田中寿美子君 ところが、沖繩の県民は五年間据え置きだと思っていたんですよ。それが、私やっぱり、その前からの沖繩国会のときの沖特委員会やなんかでも、当時の山中総務長官米価だけではなしにすべてのものを沖繩には特別の措置をするんだという説明をしていらっしゃったし、それから、向こうの婦人団体の人なんかが上京してまいりましてね、米価はだいじょうぶです、だいじょうぶです。米価は上げられるんじゃないですかと言われたら、いえ、だいじょうぶです、五年間は据え置いておくんです。そういう話だったものでね、みんな据え置きと思い込んでいたわけなんですよ。それで、ことしの夏も、沖繩婦人がたくさん代表がやってきまして私たち集会したときも、本土ではもう消費者米価が上がるということを見通しておりまして、たいへん消費者団体が騒いだ。一緒に米価のことを話し合っても、沖繩はとにかく五年間だいじょうぶなんだ、据え置かれるんだというふうに説明しているんですね。またそう思い込んでいる。それは一体どこにその原因があるかと思います。おたくのほうでは、実は五年間に本土が引き上げる同じ率で沖繩消費者米価も上げていくんだという説明をはっきりしておられたのかどうか。
  43. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 私当時まだ食糧庁長官をやっておりませんので、具体的な審議状況等はよく存じないわけでございますが、この沖繩特別委員会で米の問題はかなり議論があったようでございます。その際にこの説明はたしかいたしております。その後も、琉球政府から県庁になりましても、その趣旨はよく説明をしておりますので、私たちとしましては、今度の法律あるいは政令の考え方というものが沖繩県の現地にもわかっておったというふうに理解しておるわけでございます。
  44. 田中寿美子

    田中寿美子君 沖特委員会で議論されましたか。いつされましたか。私は生産者米価についての議論は議事録で見ましたけれども消費者米価でありますか。
  45. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 参議院の五月十日の沖特で、当時の政府委員食糧庁長官の亀長君がそういう説明委員会でしております。
  46. 田中寿美子

    田中寿美子君 ことしの五月十日ですね。
  47. 中野和仁

    説明員中野和仁君) はい。
  48. 田中寿美子

    田中寿美子君 私は沖繩特別国会のことを言ったんですが、あの当時、あの法律を通すときには政令はなかった。ですから、そういう了解を一体どこでやったか。その後政令をつくっていく段階でそういうふうにしたんだと思うのですがね。それで、本土の消費者米価がどうせ上がるだろう、五年間のうちには。その第一期の五年間に上がっていくのと同じ率でスライドして上げていくという了解は、どこどこで法律が当時討議されたんでしょうか。
  49. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 当時の議事録をいまちょっと私見たわけでございますが、五年間というものの考え方は、当時の国務大臣の山中大臣からそういうことばは委員会で出ておるようでございます。
  50. 田中寿美子

    田中寿美子君 ですけれどもね、その間に本土並みに同率で上げていきますという話は出ていますか。
  51. 中野和仁

    説明員中野和仁君) その点は、先ほど申し上げましたように、当時の食糧庁長官が、内地の変化率に応じて上げるんですということは説明をしているわけでございますから、据え置きというふうには考えていなかったわけでございます。
  52. 田中寿美子

    田中寿美子君 いまおっしゃっているのは、五月の、つまり六十八国会のときですね。——私が言っているのは、沖繩返還協定と沖繩に関する関係法案を通した沖繩国会当時には、まだ政令なんかできていないと思いますよ。そうじゃないですか。
  53. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 五月の委員会のときに、食糧庁長官から、五年間ということは申しておりません。ただ、政令事項としましては、政府部内では五年間は内地の引き上げ率と同じ率にする、それからあと三年間でこれは内地の額まで追っつくと、こういう考え方で終始統一されておったわけでございます。
  54. 田中寿美子

    田中寿美子君 だから、政府部内のことですよね、それは。それで、婦人団体や消費者の代表が来たときには、据え置く据え置くという話だったのですね。それで、据え置くと思い込んでいたのですよ、実は。だから、今度は寝耳に水みたいに向こうではびっくりしちゃったわけですよね。ですから、政府部内の了解は、総理府と大蔵省と農林省でやっているわけですね。それから沖繩県事務所のほうでお伺いしてみますと、復帰対策要綱をつくる際に、だから、当時の琉球政府ですね、のほうは一応了解していたんだと。だから、確かに政府部内の了解はあったんだろうと思います。ですけれども、そういうこまかいことについて、五年間の間に同じような率で引き上げますよというようなことは、だれも一般の県民が知っていなかった。だから、驚いているわけなんですね。だから、私どもあの当時、何でもかんでもみんな政令にまかせることについて、たいへん心配をしておったわけなんですが、沖繩国会で一応法律を通しちゃったあと、こういう方向に持っていったというふうに私は思うのですがね。ただ、問題は、もうそういうふうにきめてしまっていることについてですけれども、そうすると、今度本土の七・五%消費者米価引き上げを、同じ比率で沖繩米価引き上げるのですかどうですか、それをお伺いしたい。
  55. 中野和仁

    説明員中野和仁君) まだ上げる時期、上げる幅をどうするかということにつきまして、政府部内で意思統一はいたしておりませんが、原則から申し上げれば、同じ率が私はよろしいかと思います。ただ、もう少しこまかく申し上げますと、現に沖繩へは九州の米を持っていっておるのです。そうしますと、北海道なり青森なりの米は持っていきませんので、あるいはその理屈だけからいいますと、先ほどと最初に申し上げましたように、安い米が行かないものですから、高くなるということにはなるかと思うのですけれども、その辺はすぐそうするかどうか、そういう点も考えなければならぬと私ども思っておりますし、特に指定銘柄米も一部、やはり沖繩は統制価格下にありますけれども、やはり持っていくべきじゃないかというふうにも考えております。具体的には、引き上げということがきまりました際に、同時に何%にするかということはきめたいと考えております。
  56. 田中寿美子

    田中寿美子君 農林大臣がこれ、きめることになっているのですね、権限は。「変化の状況を参酌して、農林大臣が定める。」ということになっておりますね。ですから、原則として同率というようなことは了解されておるのですか。その三つの省の間で了解事項になっているのでしょうか、それともそのつど農林大臣が参酌してきめるのですか。
  57. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 法文は、いまお話しのように、「変化の状況を参酌して、」ということになっておりますし、それを受けました政令では「割合を参酌して」ということで、率ということをはっきりしております。で、政府部内では同率でやるということで意思統一がされておるわけでございます。ただ、同率で上げるものですから、内地のほうはいま今度上がりまして千六百円、沖繩のものは八百円でございますから、同じ率で上げますと、上げ方は大体半分になるということにはなるわけでございます。
  58. 田中寿美子

    田中寿美子君 それはちょっとおかしい言い方ですよ。上げ方が同率なら同じ率です。同率です。八百円ということは、たいへんいま本土の者から見れば安いです。しかしそのことが、沖繩のこれまでの生活の中ではもう長年の間定着してきたものであったわけですね。それから沖繩の生活状態、生活水準、所得水準というのはずっと低いし、それからさっきも申し上げましたように、返還に伴って非常にたくさんの混乱が起こった、特に円ドル関係でいろいろな問題が起こった、こういう状況の中で、本土の七・五%と同じ率で引き上げられるということ自体、何にしても、物価を、ことにこれは非常に公共的な物価ですからね。それを引き上げるということは、非常に重大な問題であるということを理解していただいているかどうか、これは食糧庁長官や農林大臣のほうは上げたいほうですから。それから大蔵省もたいへんこれはぜひ上げろという線のようでございます。先日私、大蔵政務次官にお目にかかりました。大蔵省考えはどういうふうなものであるか、あるいは農林大臣はどう考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたい。いまその問題で話し合ってきたとおっしゃっていましたが。
  59. 園田清充

    説明員(園田清充君) 事務的には、食糧庁長官が御答弁を申し上げたとおりでございます。先日、沖繩の農林部長が参られまして、私お会いいたしました。いろいろ沖繩の実態についても、陳情と申しますか、要請と申しますか、お受けをいたしましたし、私も近い機会に沖繩をたずねて現地でいろいろ皆さん方の事情もお聞きをしたいということで、御返事を申し上げております。いま長官が申し上げましたとおり、沖繩開発庁等とも相談をして、どうするかということを内部的に検討をしておる段階でございます。  大体私は役人やったことないから、率直に申し上げますけれども、政令自体が、五年間内地の生産者米価消費者米価を参酌しながらスライドしていくという、それから三年後に内地の米価とこれを合わしていくということ、この八年間の期限というものを考えてみますと、非常に無理があるような気がいたします。というのは、いま申し上げましたとおり、初めの段階で合わしていったものを三年間で縮めていく、同一の価格に合わしていくということに非常に無理があるんじゃないかということで、その点までいろいろ含めて、ひとつ私どもはこの際検討すべきではないかということで、ただいまいろいろ事務当局にも頭を悩ましてもらっておるところでございますが、昨日大臣とも相談をいたしましたが、大臣の感触としては、大蔵当局その他にいろいろの抵抗はございますが、できるならばひとつ現地の事情も参酌をして、なるべくならば据え置くというようなことで措置できればということで、私どもはさっき御指摘がございましたが、農林省は上げることが好きだということでなくして、いまのようなことを踏まえつつ、ひとつ政府部内の意思統一をはかる努力をしておるというのが現状でございまして、ただ、努力をしておりますけれども、私どものいま申し上げたようなことの理想的な結論が出るかどうかということには非常に隘路があるということを申し添えておきたいと思います。
  60. 山口光秀

    説明員(山口光秀君) 先ほど食糧庁長官からお話がありましたような法律の関係になっておりますものですから、据え置くというようなことはなかなかむずかしいんじゃないか、おのずと限界がある話ではないかというふうに思いますが、われわれといたしましては、法律の趣旨をすらっと読んで考えてみますと、内地の変化の状況に応じて変えていくということでございますので、時期なり上げ幅につきましても同じように考えていくのがいいんじゃないか、それが法律の趣旨ではないかというふうに考えております。もともと先ほどもお話がありましたように、内地が消費者段階で千五百円ぐらいのところが八百円という非常に安い価格で売っているわけでございますから、五年間はそういう水準の格差というものが続くわけでございます。内地の価格が上がりました場合に、ことばは悪いかもしれませんが、未調整があるということは、これは法律がそれを予定しているんじゃないかというふうに考えております。
  61. 田中寿美子

    田中寿美子君 これは法律からいえば一番権限があると思うんですね。ですから、さっき政務次官がおっしゃったような線で農林大臣に私はぜひ考えていただきたいと思います。で、大蔵省はまあとにかく増収を目ざすのは、これは各省よく知っていることですから、だから、法律のたてまえからいえばそうなるのが当然だという言い方、私はそれはそうだと思う。本来沖繩と本土とは、何にしろ格差があっちゃいけないはずのものなんです。ですけれども、あらゆることに格差があるんですね、現在までに。まず所得も違うでしょうね。社会保障や社会福祉の制度や設備も全部違う。そのほかもうあらゆる面で違ってきた中で生活してきた。しかもまだ米軍もいる。そういう圧迫の中で暮らしていて、八百円の米価というのは、沖繩の人たちにとっては非常に大切なよりどころだったと思うんです。しかし、やがては五年プラス三年の八年の後には、本土と同じに本土並みの消費者米価にならざるを得ない。まあ生産者のほうもそうですけれども、そうするためには、その間に生活全般にわたって本土並みにしなければいけないと思うんですね。そういう政治的な配慮をしませんと、法文上の解釈だけでやれないところがいまの沖繩状況じゃないですか。沖繩の問題というのはみんなそうだと思うんですね。そういう点を考えていただいて、さっきの消費者の団体というのは、この問題をやっているのは沖繩婦人連合会ですね、沖婦連と、地域婦人団体連合協議会、それから遺族会、県労協婦人部その他たくさんの婦人団体が一緒になって消費者米価のことについて相談していて、そしてどの線までなら私たちもがまんできますという線をきょうじゅうにでもきめて本土にお願いするということなんですね。ですから、私は十分そこは、それこそそれを参酌なさるのが農林大臣に与えられている権限だと思います。沖繩は五月十五日に復帰したというけれども、知事選挙があって一月ぐらいは、それから復帰時のあのごたごたで、とても行政だってまともになかなかいかなかった時期がずいぶん続いていたわけですね。それで戻ってきてみたらいろんなことが起こっている。物価がどんどん上がっておる、ドルで損をしている。そうしてまたすぐにもう本土並みに米価が上げられるというんでは、それは私とっても感じとしてたいへん不満を持つだろうと思うんです。ですから、これは政治的な配慮で県側の人たちあるいは消費団体の人たち考え方では、少なくとももう少し落ちつくまでの間、屋良さんの要望書では、なおしばらく据え置いてほしいということですね。ですから、さっき政務次官がおっしゃった据え置くという意味は、五年間据え置くという意味ではおそらくないだろうと思いますが、もうしばらく沖繩の県民の生活状態が落ちつくまで、復帰してたった四カ月でそうしないでくれという意味だと思います。ですから、その意味をあるいは一年間なのか二年間なのか据え置いてほしいと、こういうことだと思いますのですね。その点をぜひこれは農林大臣にお伝えいただきたいんですが、決定権は私は農林大臣にあると思う。農林大臣が決意して、そして大蔵それから開発庁あるいは経済企画庁長官もそれは大いに協力、援助していただかなければいけないと思うんですが、どうでしょうか。
  62. 園田清充

    説明員(園田清充君) さっき御答弁申し上げましたけれども、法律的には食糧庁長官あるいは大蔵省から御答弁申し上げたとおりでございますが、御指摘のとおり、いろいろ沖繩には事情もございますので、私どもの大臣もその点をいろいろ苦慮しておるようでございます。そこで御指摘のような点につきましては、法律上の問題は別といたしまして、政治的に何らかの措置がとられればということで、各省庁ともひとつ連絡をとりながら検討しておるというのが現段階でございますので、ここ一両日時間的な余裕をお与えいただきたいと思います。
  63. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 先ほど来いろいろと伺っておったのでありますが、沖繩はやはり沖繩としての特殊事情がございます。で、法律なり政令というものは無視はできないと思います。しかし十分そういう特殊事情を勘案しながら、時期とかあるいは比率といいますか、上げる率とか、そういうことは十分配慮して、そうして沖繩県民が日本へ復帰してよかったなというような結果がもたらされるように、私も国務大臣としては農林大臣に申し上げたい、かように考えております。一
  64. 田中寿美子

    田中寿美子君 食糧庁長官ね、たしかおたくの方だったと思いますけれども、五年間据え置くという、据え置くということばは、本土の消費者米価が上がってきたらそれと同率で引き上げていけば格差が据え置かれるということなんだと、そういうふうにちょっと口をすべらされたと思うんですが、据え置きというのはそんなふうに考えないでいただきたいと思いますが、いかがですか。
  65. 中野和仁

    説明員中野和仁君) ちょっと私の発言、あるいは誤解を招いたかと思いますが、同率で上げました場合に、もとの値段が違っておりますからむしろ格差は開くということを申し上げたわけでございまして、もし何か誤解があって非常にそれがまずいのであれば取り消してもよろしゅうございますけれども、事実を申し上げただけであります。
  66. 田中寿美子

    田中寿美子君 だから据え置きということばを、みんながそう思っているというのには私は根拠があると思うんです。だからきちんとした説明がなくて、五年の間はこのままでいられるんだなと思っていたのが、実はそうではなかったということがいまになってわかってきて県民は驚いているわけですから、ですからその驚きをできるだけやわらげて、そうして生活にこたえないようにするために、それこそ最善の方法をとっていただきたいということを、ぜひ農林、大蔵、それから開発庁の皆さんにお願いをしておきたいと思いますが、開発庁の方はきょうは一つもまだ御発言いただいてないんですが、直接の担当の方でございますので、これはどういうお考えかちょっと聞かせていただきたい、開発庁長官もいらっしゃいませんけれども
  67. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) いま大体お話がありましたとおりでございますが、復帰の時点の価格を基準にいたしておりますためにかなり安くはなっておりますけれども、しかし県のほうにもいろいろと事情がございますし、現行法、すなわち特別措置法の範囲内で現実に即して考慮できるものならしてもらいたいものであるということで、主務省庁と話し合っているというところでございます。
  68. 田中寿美子

    田中寿美子君 開発庁は特別、沖繩のためにできているんですから、ぜひその点はそういう方向に向かって努力をしていただきたい。結局各省が話し合いできめることになるだろうと思いますので。  それで現在の沖繩物価状況ですね、どういう状況になっているかを御説明いただきたい。
  69. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) 沖繩の町として消費者物価状況、これは統計局等で現在沖繩のほうから資料を取り寄せまして調製中でございますので、まあ来月一ぱいはかかるものというふうに聞いておりますけれども、しかし私どものところで、開発庁のほうで情報としてつかんでおります段階では、御承知と思いますけれども、あそこは野菜、特にキャベツとかあるいはニンジン、トマトといったようなものが、端境期と申しましょうか、夏がれで、こういうふうな系統のものは、特にそういう生鮮食料品の中でも若干値上がりしているようでございます。それにつきましては話が少し先走るかもしれませんけれども、農林省当局とも相談しまして、本土のほうから優先輸送と申しましょうか、キャベツとかニンジン等についてやっておるところでございます。そういうふうな特殊なものを除きましては大体安定しているといいますか、落ち着いておる。まあ一、二だけ具体的な例を申し上げますというと、一番生活に深い関係のあるしょう油とかみそ、こういう点について申し上げますけれど、しょう油について、これは一升でございますが、六月二百七十円である。それが七月では二百四十三円に下がりまして、そしてそのまま八月に二百四十三円と横ばいになっている。六月はおっしゃいましたような復帰後の特殊事情が働いておった。公取がみておりますが、公取のほうの指導もあったと思っております。それからみそにつきましては、一キログラムですが、百四十八円が百五十円で、七、八月と横ばいになっておるということで、その他値下がりしたものもございますし、一部の、先ほどのようなキャベツのような例外を除きましては落ち着いておるということは言えるというふうにつかんでおります。
  70. 田中寿美子

    田中寿美子君 所得水準はどうですか、本土と比べて。
  71. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) 所得水準も公務員等につきましては御承知のように切りかえましたときに、そのまま国家公務員にまあそれぞれ準じさせると申しますか、してありますから、それはそれなりに同じようになっておると思います。しかし、一般的な賃金等につきましては、まあ三分の二程度というふうに従来から言われております。それらにつきましてもさらに調査をいたしまして、今後の振興開発計画等とも関係もございますので把握していきたいというふうに考えております。
  72. 田中寿美子

    田中寿美子君 きっとここにいらっしゃる方も何回か沖繩に行っていると思いますが、所得水準は全体としてたいへん低いですよね、賃金も低いですから。で、国家公務員が切りかわりつつありますが、為替の、円に切りかえたことによりまして、中小零細企業では三百六十円レートの切りかえはしていないというようなことでたいへん苦しんでいる人たちもある。とにかく経済状態は私はまだ安定してしまったというふうに言えないと思います。そういう状況を考慮にぜひ入れなきゃいけないということを申し上げたいと思います。  もう一点、円に切りかえたことによって為替の差損ですが、これは政府側は幾らとみていらっしゃるんですか。
  73. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) 御質問の点、どこに焦点があるか、あるいは取り違えておるかもしれませんけれども、昨年の十月九日でございましたか、現在におけるところの各人の所有現金あるいは純資産と申しますか、債権債務差し引きの純資産につきましては把握いたしました時点で完全に補てんする、三百六十円等の差額を含めるということの措置を講じておりまして、その支出状況につきましてはまず現金につきましては八月末日でほとんど全部支給は済ましております。それはあとは若干こぼれがございましたのは、本人が申請書類をなくなしたというようなことが残っておるようでございますが、現金につきましては全部差額を支給いたしております。それから純資産については現金支給中でございます。それからその他経済界のいわゆる差損と言われました問題につきましては予算措置を講じたもの、あるいは予備費を支出したもの、いろいろございますけれども、四百四十品目ばかりの生活になじみの深い物品につきまして差損と言われるものを補給いたしてまいりましたものが、全体では六十五億というものを措置していっております。その他それぞれの措置をいたしておりますので、一応すべて措置すべきものは措置してきたというふうに考えておるわけでございます。
  74. 田中寿美子

    田中寿美子君 措置すべきものはそれは措置なすったと思うのです。だけれども、九月以降もドルでずっと仕事をしていたわけですね。それで、債権債務のほうは除いてあったわけでしょう。そういうことから沖繩の県民の計算によると七十七億円に当たる差損が生じている、これをどうしてくれるかという話がずいぶん何回もあった。そして山中総務長官は、あなた方に損はさせませんよということをいつも言ってられたのです。これに対してやっぱり政府が何らかの形で補償するということを言ってられるわけでしょう。そうじゃないですか。
  75. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) この問題につきましては、先ほど申し上げましたような現金または純資産の措置を閣議においてとりましたときに、これが長い間の沖繩の方々の御労苦に対する最終的な措置であるというようなことを官房長官談話でございましたか、ということも明らかにしておるといったような経緯もございます。しかしながら前大臣としましては、確かにその後の経済成長によって逆にまあ利益を大きくされた方もあるが、損された人もおるであろうというふうなものについては、非常にむずかしい問題ではあるけれども、それなりにひとつ考えたいという趣旨のことをお答えはされておりまして、私どもといいますか、政府内部におきましても、特に開発庁におきましてはその問題を県のほうとよく連絡をとりまして県民全体のために福祉になるような考え方を取り入れながらどういうようなことが相談していけるものかということを現在県のほうと熱意をもって話し合っているというところでございます。
  76. 田中寿美子

    田中寿美子君 それは大体金額にしてどのくらいというふうに見積っていらっしゃいますか。
  77. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) 金額についてはまだ、どういうふうなものをどういうふうな方法において考えられるのかというところからまず話し合っているところでございますので、巷間では三十二億とか何とか言われておりますが、これはあくまで巷間での話でございまして、まず妥当なあり方、考え方というところから詰めているというところでございます。
  78. 田中寿美子

    田中寿美子君 私、先日植木大蔵大臣にお目にかかったのですよね、この問題で、沖繩婦人団体の人と一緒に。そのときに金額については政府はいまおっしゃった三十何億というふうなことが言われているがというやっぱり話でした。それで沖繩県のほうでは七十七億という計算をしているわけですね、県民のほうでは。それはなかなかはっきりつかみにくい個人個人の資産の損失だと思いますけれども、つかみにくいことはよくわかるのですけれども、それで、その場合にこれを補償するのも個人個人に補償せよという要求も一部には沖繩にはあるわけですけれども、それはたいへんしにくいのじゃないかという意見もあって、そのとき大蔵大臣は、一人一人というのはそれは無理だ、個人への補償というのは無理だとしても全体としての沖繩県民の福祉のためにそういう損害の補償は考えたいというような趣旨のお話があったわけです。そこで、私、これはもう米の問題に戻るわけなんですが、沖繩県民の消費者米価をいま十月一日から本土と同じように七・五%引き上げたとして一体増収がどのくらいになるのですかということですね。まずお伺いします。
  79. 中野和仁

    説明員中野和仁君) いま御指摘の七・五%もし上げるといたしますれば、半年分でございますから、一億六千万円ということになります。
  80. 田中寿美子

    田中寿美子君 半年分でね。沖繩に消費される米の量は……。
  81. 中野和仁

    説明員中野和仁君) あと半年分、この計算では三万九千トンというふうに考えております。
  82. 田中寿美子

    田中寿美子君 三万九千トンですね。ですから本年度一億六千万程度増収のために沖繩県民の生活を乱したり、感情を乱すということは私はやめていただきたいということをお願いしたいわけなんです。円に切りかえたための差損が、個人個人がいろいろな痛手を受けているというところを、個人に返されないなら、全体の福祉のためにという考えを持っているくらいであれば、米というのは一番全体に関係あるものですね。ですから、もし、これは全くかりにですが、七・五%法律上から言えば本土と同じように上げるということがあったとしたら、その分を何かの形で返すというような方法でもとって、県民全体の福祉への支出ということも私は考えていいんではないか、こういうふうに思うんですがね。そういう考え方はどうお思いになりますか。これはどなたでも——みんなに伺いたいんです。農林大臣にも経企庁長官食糧庁長官も開発庁も大蔵省も、特に大蔵省。一億六千万ぐらいの増収が目当てじゃないでしょう。一人ずつ言っていただいて終わります。
  83. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 先ほど私が米の問題で言いましたように、いまのような金額から言えばたいしたことはない。そこがやはり政治判断が要るところです。したがいまして、法律は法律としてその趣旨は通さなくてはなりませんけれども、しかし沖繩の特殊事情というものを十分勘案しながら、その辺のところをやっていくのが私は政治の要諦だと考えておりますから、そういうことで十分農林大臣にも話しまして善処していただきたいと、かように考えております。
  84. 園田清充

    説明員(園田清充君) いま経企長官からお答えになったとおりでございますが、さっきも私申し上げましたとおり、法律は法律、政令は政令のたてまえとしてございますが、しかし沖繩の実態というものを私どもがいろいろ考えてみますと、やはり復帰後間もないことでございますので、その辺の事情も十分勘案しながらこの問題には対処をしていかなければならないということで、いま部内の検討並びに関係省庁との協議を進めておる段階でございますので、できれば御趣旨に沿うような結論を出したいということで努力をいたしたいと思います。
  85. 山下春江

    委員長山下春江君) 小島さんは大臣から御答弁になったからいいでしょう。
  86. 田中寿美子

    田中寿美子君 はい。
  87. 中野和仁

    説明員中野和仁君) ただいま政務次官が御答弁申し上げたとおりでございます。私事務当局の責任者といたしまして、法律のたてまえで申し上げておるわけでございますが、ここでの御論議も、いままだこれ政府部内で結論出していないということは、そういう地元のいろいろな実態ということをよく承知しておるからなんでございまして、そういうことがありませんでしたらとっくに農林大臣告示を出しております。その辺をひとつ御了承いただきたいと思います。
  88. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) 消費者米価の問題なり、あるいはまたおっしゃいました経済成長に見合う差損の問題なり、それはそれなりとして、できるだけ沖繩のためにあたたかく考えていただけるように各省に積極的に話し合ってまいりたいと思います。
  89. 山口光秀

    説明員(山口光秀君) 米価の問題はなお関係省庁とよく相談させていただきます。
  90. 田中寿美子

    田中寿美子君 それじゃ私これで終わりますけれども、二十八日、つまり明日決定されるということを聞いております。きょうじゅうに沖繩側の消費者意見も、それから生産者意見も伝えられるんだろうと思います。それを十分考慮に入れてもらって、ほんとに愛情のある決定をぜひしてほしいということ。  それから、さっきの話はちょっとここの皆さんのところできめられないことだけれども、為替差損の問題をいつも頭に置いていただいて、何かの形でこれを補償していくということはどっからか言い出してもらわなければならない問題だと思います。ぜひそれを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  91. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほど新しい経企庁長官有田長官からごあいさつがありました。その中に、低生産性部門の生産を上げるとか、あるいは流通機構改善をはかるとか、いろんなごあいさつがあったわけですけれども、ことしの消費者物価値上げの目標が五・三%であったと思います。その中で、先ほどのお話しの中に、本年の上半期の物価上昇が四・五%に押えられた、こういうふうなお話しがございましたけれども、これは確かな数字かどうか、ちょっと私はいまわからないのですが、ことしのたぶん七月末であったかと思います、卸売り物価上昇が〇・七二%と発表になったような記憶があるんですけれども、そういたしますと、はたしていま田中委員からもいろいろ御指摘があったように、米価の値上がりがありましたので、これがまたいろんな物価にはね返ってくることは必定でございます。はたして五・三%の物価上昇でおさまるかどうか、その見通しを新しい——長官にお伺いしたい。
  92. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 御承知のとおり、本年は正月早々から公共料金が矢つぎばやにいきましたね。これは一昨年の暮れに一年間公共料金ストップ、それで押えておったのですが、一年間済んだものですから、まるで洪水で堤防が破れたように、次から次と公共料金値上げがあった。にもかかわりませず、季節的な食料ですね、露骨にいえば野菜中心でしょうが、また工業製品も比較的安定しておりまして、それで上半期は、先ほど申したように、四・五%。これは比較的安定した方向できたんですね。公共料金が上がらなければ、それはそんなにいい成績とは言えないかもしれませんが、思ったよりもよかったということなんですね。そこで、さっき卸売り物価の問題がありましたが、これは私非常に心配しておるのです。しかし、一面からいえば、非常に景気がよくなったということが出ておる。卸売り物価のうちでも、問題は、鉄鋼がやや上昇した。これは景気回復のきざしだと思うのです。しかし、合点がいかぬのは、木材が非常に上がった。これは、御承知のとおり、外材がずいぶん入ってきておりますから、そんなに値上がりがするはずはないと私は思っておったところが、案外あった。それは、私の見方では、例の台風によって非常に被害が多かったと、そこで移送の面から、外材がそこにある、どうなんだ、そんなひまがないというので、とりあえず近くの内地材を使えと、こうきた。そこが一つの大きな原因をなしておるのじゃないかと、かように思っておるのです。したがいまして、卸売り物価が七月ちょっと上がってきておりますが、それが私はずうっと上がるとばかりは考えていない。もう少し動向を見ながら見守っていきたいと、かように考えております。  そこで、下半期ですね、何とかして五・三%以下にこぎつけたいと思っておるのですが、消費者米価が上がったこと、これが非常に一つの心配でございます。しかし、これが便乗値上げということがなくて、お互いに十分注意し、また行政指導もやってまいり、また一般国民の声として、便乗値上げをやるのはけしからぬというような声になりますと、案外楽にいくんじゃないかと。そうすると、あとは野菜類なんかの季節的の問題、これは季節がありますので、何ともはっきり明言はできないのでございますが、しかし、いろんな要素がありますけれども、何とかして五・三%におさまるように善処したいと、こういう考えで進んでおる、かような状態でございます。
  93. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまの卸売り物価上昇が、これは景気の回復のきざしではないかと、こういうお話しがいまございましたけれども、実は私多少考え方を異にしておるわけです。といいますのは、日本がたいへん外貨がたくさんだまりましたね。そういう中で輸出を何とかして少し押えないと、日本はいま外国から総攻撃にあっているわけですね。そういう中で、私は、卸売り物価が上がったというのは、いわゆる調整インフレではなかろうか、こういうふうな見方を実はしているわけです。そうなりますと、必ずしもこれは楽観を許さないものではないか、これからもいろんな点で、日本の輸出品に多少高く値段をつける、こういうことで、いわゆる調整インフレになっているのではなかろうかと思いますが、そうしますと、当然これがまた内地の物価にはね返るわけですね。その点はどうお考えになられますか、その調整インフレのことについて。
  94. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 私は、調整インフレは絶対に避けたいと、かように考えております。  そこで、いま景気動向を見ますと、輸出は五月ごろまでは伸び率が非常に鈍化しておった。そして輸入が相当上昇している。非常にいい傾向だと思っておったんですが、ところが六月、七月は御承知のとおり海員ストがありまして、それがアブノーマルの状態で、輸出の伸び率が減退してそれで輸入が上昇するということが、ちょっと見当がはずれた。しかし、八月になりまして、海員ストの影響がなくなった状態を見ますと、もちろん輸出は伸びておりますけれども、伸び率が比較的少なくて、そして輸入の伸び率が増進しておる。黒字の水準が相当高うございますけれども、だんだんと黒字幅は縮まるという傾向にあると思うんですよ。私は、日本の国内がいわゆる調整インフレというようなことになって、物価がどんどん上がってくると、これはもう国民の生活にたいへんな影響を及ぼす。そういうようなことのないように、しかし一方、また円の再切り上げというようなことができましたら、これまたその面から中小企業はじめいろんな産業に大きい影響を与える。その両面で、いま非常に苦慮しておるところですが、そこでとりあえず、御承知のとおり、この間のハワイの最高会談において緊急輸入、あれがまあまあ契約ですから、ことしすぐ解消するというわけにもいきませんでしょうが、数年のうちに何とかするという、ああいう緊急輸入策まで講じまして、そうしてノーマルな状態で、調整インフレなんかやらない、また円の再切り上げなどしないように、こういう考えで、私は、健全な経済の歩みを、成長の歩みをとりながら解決したい、かように思っております。ことにいま私たちが長期計画というものを打ち立てておりますのは、いままで何とかかんとか言いながら、もちろん時期によって多少違いますけれども、基本的には生産第一主義、いわゆる高度成長ですね、それから輸出第一主義と、こういう傾向が非常に強かった。そこで、ここまで日本の経済も大きくなったんだからひとつ方向を変えようというので、いま私たち考えていることは、福祉優先主義、福祉充実、これは、まあ社会保障はもちろんのことでございますが、もっと広い環境の改善というようなものを加えた、広い意味の国民生活の幸福ということを考えた福祉優先に切りかえる。それからまた国際的には国際協調、いままでの日本はエコノミックアニマルといわれるまでに、とにかく商売、海外協力なんといっても、金は貸してやってもあとはひもつきで日本の商品を売るというようなことをやっておりましたけれども、もうその辺のところも改めて、広く世界の中の日本という気持ちで、長い目で見た世界の繁栄も考えなくちゃならぬということで、今回立てておる長期計画は福祉優先、福祉充実、そうして海外協力、こういう旗じるしを立てて、いま計画の樹立に当たっている最中です。少なくともこの十二月半ばごろまでにはそれが完成して、それが来年度予算の一つの指針になるのじゃないか、またそうしたいと、こういう考えでいま臨んでおるところであります。
  95. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまお答えにありましたように、調整インフレとか、あるいは円の再切り上げですね、これは一番国民がいまおそれていることでございますから、こういう時期に経企庁長官になられたということは、たいへん長官の手腕、力量が買われたと思いますし、大いにその力を発揮していただいて、国民の不安がほんとうに困ったということにならないように、ひとつ精一ぱいの御尽力をお願いしたいと思うわけでございます。  そこで、先ほどのごあいさつの中に、もう一つ流通機構改善というお話がございました。先ほど私も委員派遣の御報告を申し上げたわけですけれども、その中にも流通機構改善のことをあっちこっちで要望されてまいりましたし、また私どもも如実にそれを見てまいりまして、特に山下委員長は、どこに参りましても、どうしてもこれは流通機構改善をしなくちゃいけないのだということを、ほんとうにいろいろな場面でおっしゃっておられましたし、山下委員長もそういうことを痛切にお感じになってお帰りになったと思うのですが、その流通機構改善でございますけれども、もうこれも言われてから相当長いのですが、一向にこれが改善をされておりません。そこで流通機構改善の根本は一体何か、何であるか、長官はどういうふうにこれをとらえていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  96. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 私もまだ就任してから日が浅いのでございますが、私が直感しておるのは、日本の生産の面は、何とかかんとか言いながら合理化近代化というものは相当進んでまいりました。しかし、流通面のほうは、少しことばは言い過ぎかもしれませんが、旧態依然たる昔のしきたりがそのまま残っている。ここなんですね。これはいろいろな事情があると思うのですよ。いろいろな事情がありますけれども、この事情をこれがしかたがないとほうっておいてはいつまでたっても解決しない。それで私は、一歩一歩とむずかしい事情を克服してこれの改善に当たりたい。御承知のとおり、いまの物価の大ざっぱに見ますと半分は流通費ですから、その半分の一割を節減、改善してもそれだけ物価は安定するわけですから、そういうように目をつけまして、流通面の改善をはかりたい。ことに卸売り市場の整備、これがまず大事なことじゃないかと思うのです。それからまた共同仕入れ——同じ材料を仕入れしましても、部分的にやるのと共同的にやるのとではえらい違う。また配給といいますか配送といいますか、そういう面も共同配送の推進というようなことが非常に大事です。さっき御報告のありましたように、要するに小売り段階の組織化ということも非常に大事で、生鮮食料品の流通の合理化推進をすることはもとより大事なことで、同時にあるいはボランタリーチェーンとか、あるいは消費生活協同組合をよりよく育成していくとか、あるいは流通業務の団地をつくるとか、物的流通基盤の施設の全国的な整備が私必要じゃないかと思うのですよ。こういうことが急に——、口では言いやすいですが、急に実現はなかなか困難だということはよく承知しておりますが、これを一歩一歩と前進さして、そうして一方においてはいわゆる独禁法の厳正なる運用によりまして、やはり流通部門での競争条件というものを整備して、そうして消費者の立場を考えながら対策を講じていく、これが大事だと思っていますが、ひとつ微力ながらも、先生たちの御協力によりまして、そうしてこの問題の流通機構改善に一歩一歩と前進したいというのが私のいまの考え方ですから、どうぞ一そうの御協力と御鞭撻をお願いしたいと、かように思います。
  97. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほどの報告の原稿を持っていかれてしまってもういまなくなってしまったのですけれども、先ほどの御報告でも申し上げました浜田の魚市場を見ましたときに、さっき言いましたけれども、「首をつろうかトロール船に乗ろうか、同じ死ぬならトロール船」というような歌を、あそこの漁業市場の船員がうたっておるそうでございますけれども、その歌で私はもうすべてが、ほかのこと多くを申し上げなくてもおわかりいただけるかと思いますし、私どももたいへんその歌を聞いたときにショックを受けたわけですけれども、ここの魚を荷揚げしたところから二百メートルぐらい離れたもう同じ場所の中で、売っている魚がもう二倍になっているわけですね。実にびっくりいたしました。そういうようなことですから、いわゆる流通機構ですか、これなかなか改善しようと思っても改善しにくいと思いますね。私はそれは、それぞれの人たちが自分たちの商権を主張して、そしてなかなかこれが改善できない。それで改善する、あるいは流通機構に問題があるんだということを言ってからもうこの委員会でも何回もそれが取り上げられて相当の時間が経過しているのに、一向それが改善をされていかない。そうなりますとそれはもう商権の主張をしていたらきりがないでしょうし、それは政府のほうでもやめさせるわけにもなかなかいかないとは思いますけれども、先ほどおっしゃった中に競争条件の整備もしなくちゃいけない、こういうことをおっしゃったとすれば、私はもうこれが、ひとつどうしても改革ができないんならばあるいは地方自治体でひとつ市場を持って競争させてみたらどうか。あるいはいまのありますその商権を主張している側、それは地方自治体が監督をするぐらいの程度にして、ある一方にはもう地方自治体の経営するような中央卸売市場というようなものをつくってみたらどうか、こんなようなことも実は感じて帰ったわけです。  それで、そういうところがどこかにないかといって調査をしてみましたら、宮崎県の都城ですか、あそこでは何か地方自治体がやっている中央卸売市場があるそうでございますね。ここでは相当の成果をあげているという話をちらっと私は聞いたわけですが、これもう少し調査をしてみたいとは思っておりますけれども、いまのところではそれだけしか私の資料がないわけです。こういうことができないものかどうかということですね。これが一つ。  それからもう一つ、いま御答弁にもありましたように、生産地と直結方式というものをこのごろあちこちでやっておりますね。こういうところも私どもちょろちょろとこの委員会から見にいったわけですけれども、それも安いには違いないけれども、それは出てきて団地の奥さんたちが無料奉仕でやってみたりなんかするものですから、それは安くなるのは当然ですけれども、しかしこういうことは長続きしていない、こういう点もございますので、やはり私はこれは一つの生協をつくっていくと、こういうことが必要ではなかろうかと思います。そして先ほど御報告申し上げました江津の国策パルプの生協はなるほど安うございました。ところがよく懇談会で聞いてみますと、そこに働いている従業員というのは全然そこからは給料もらっていないと。それは会社のほうから給料もらっていますから、ほんとうに会社の従業員のための生協であって、安く売れるのは当然なんですね。ところがそこが安いからというので町の人がみんな買いに行きたいのですが、それではまた江津の市の市場を乱だすということで、一切そこは員外利用を認めない、会社直属の生協ですからその人たちにだけしか売らない、こういう政策をとっておりますから市場が混乱するということはないと思いますけれども、しかしそういったような生協がそこにあるということで江津市の物価の指導役をつとめている、こういうことをそのときに言われて私どもたいへん意を強くしたわけです。ですから、いろいろなところの生協をうんと助成して育成していくというのも一つの方法ではないかと思いますが、私、たまたまこの間東京で、長官が岡山かどこかへいらしたお帰りに灘神戸生協視察にいらした、こういうお話もちらっと耳にはさんだわけであります。私、まだ生協のほうにその後行っておるひまがございませんので行っておりませんけれども長官はああいう生協をごらんになってどのようにお感じになられたか。  以上、三点についてお答えをいただきたいと思います。現職の経企庁長官生協をごらんになられたということは初めてのようでございますので、感想を伺わしていただきたいと思います。
  98. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 先ほど来先生たちの御視察報告を私は耳を傾けて聞いておったのですが、一々ごもっともです。消費者行政を担当しておる、また物価問題を担当しておる経企庁長官としては非常に資するところ大なるところがあったと思っております。先ほど宮崎県とかいろいろなお話もありました。私もつぶさには存じませんけれども、いま地方にもいわゆる公設市場というのがどんどんできておりますが、それを一そう拡大強化して、政府としても伸ばすべきものはどんどん伸ばしていって、消費者のために、また物価問題のために大いに推進したいとか、かように考えております。  さっきお話にありました灘神戸生協でございますか、私行ってみて、大臣でおいでになるのは初めてだということを聞いて実はおやおやと思ったのですよ。御承知のとおり日本の生協では灘神戸というのは一番マンモスであり、模範的だと言われておる。それが私が初めてだったというのは、来てよかったなという感じがしました。まず、私はそこを見まして頭が下げる思いがしたのは、あそこの役職員の方々がとにかく消費者のために何とかして安いいい品物を組合員に売りたいというその基本が徹しておりますね、これは私非常に大事なことだと思うのですよ。私も役人でいろいろやっておりましたけれども、ほかの省ももちろん消費者のことを考えておられるでしょうが、率直に申してどちらかというと、生産者の面に重点を置かれて消費者の面がどうも留守がちになっておるのじゃないか、こういう感じもしまして、まあ公取というものも消費者の立場からやられておりますが、大臣を持っておる官庁としてはわが企画庁が一番消費者のためになる役所と考えまして、私はそういう自分の職責からいいましても消費者のため、物価安定のためということには全力を注いでおるわけです。  そこで、灘の生協を実は見まして——時間がなかったのですけれども、それでも三時間ほどでしたが、案内も合理的にやっていただいて、そして食肉センター、それからパン、めん類、とうふなどの製造工場、また配送センターと申しますか、それから組合のマーケット、あるいは甲南店でしたか、そういうところも拝見したのですが、感じましたことはやはり生協と組合が産地と直結して安いものを入れられておる、そしてやっぱり共同仕入れ、それから製造など、ことにとうふなんかをつくられるところを見ますと、製造から製品になるまでそれから配給まで一貫作業でやっておりますね。小さい問題といいながらいわゆるあげといいますか、油あげといいますか、これなんかは市場では三十五円ですね、ところがあそこは御承知のとおり二十五円ですね、これほど流通面といいますか、むだを省いて三十五円の中で十円も開きが出ているのだ、品物も非常にいいしと、こういうものでますます流通面の改善の必要を痛感いたしました。  それから非常に感じたことは、甲南店へ行きまして、中沢先生も御承知だと思いますが、隣は商店街です、商店街とここに一緒におって摩擦を起こしてないかということを注意深く観察しました。決して摩擦を起こしてないのですね。そしてそれぞれの特徴を生かしながらやっておる、いわゆる共存共栄といいますか、そういう、仲よくそして安いもののいいものと、こういう観点に立って非常に、休みだったですけれどもあそこへ入っておる買いものの主婦の方々たちもいっぱいおられましたね。非常に私はああいうところでは必ず商店街と摩擦を起こすんじゃないかと。それが摩擦がなくいっておった。これはやはりそれぞれの特徴を発揮されておるのです。そこらが非常に私は感じました。ことに配送センターといいますか、コンテナが四十何カ所の各営業所に配置されておりますね。それが非常に合理的にいっておりますね。少しの車の停滞がないように、すっと製品ができたものはどこどこの営業所と、絶えずコンテナのトラックが合理的にやられておる。こういう面においても非常に合理的なものが製品として安く、配給品として安くあがる。こういうようなことを見まして、非常に私は感動を受けながら、こういうような生協が全国に各地にできていくと。それはまあ小売り店と競争——小売り店をつぶすというようなわけにもいかぬけれども、いわゆる競争相手になって、そしてそれぞれの特徴を発揮しながら、消費者のために、また利用者のために非常に貢献ができるのじゃないかということをつくづく感じました。  そこで、先ほどもちょっとお話があったように、県境の辺になってくるとそれがいけない。中沢先生が特に御承知でしょうが、阪神にいる人はよく大阪なんかに行かれるのですね。そうすると生協のいいことを知っておられるから、何とかしてこちらのほうもああいう生協の店を出してほしいという希望が非常にあるのだそうです。ところがそこには行政の境があるということでいけない。こういうことを言いましたが、いいことはやっぱりどんどん押し進めたらいいのじゃないか。ことに私も関西ですから事情をよく知っているのですが、川西、池田なんというのは、川西というのは兵庫県ですが、池田というのは大阪府ですが、町は続いておるのですね。やっぱり市民から言えば、池田の人間であろうが、川西の人間であろうが、こういう生協の品物を買いたいというのは当然だと思うのですよ。そういうことがあまり行政的に境が厳格になっておると、せっかくの消費者の利益がそこなわれちゃうのじゃないか。まあそれは灘生協——神戸生協は区域はあそこでしょうけれども、私はいいことはそういう境を越えても消費者のために利用できるようにやったらいいのじゃないかということをつくづく感じたわけです。  それから政府がそんなら特別に助成しているかというと、必ずしもそうじゃないのですね。ことに痛感したことは、金融なんかの面でも、このほか農協の組合がありますね。その他いろいろああいう組合がありますが、それらよりもワクが小さいのですね。これは消費者のため、みんな喜んでおられる組織ですから、これは少なくとも農協とかその他の組合と同じような資金の協力とか資金のワクを拡大する、こういうようなことは微力ながら大いに押し進めていきたい、かように考えております。  その他いろいろと考えていることがありますが、やはり消費者のため、それから庶民のためという、その基本的の考えで終始やっておられるその態度が私は何よりもとうといものだと思って敬服しております。私も微力ながらそういうつもりでやりますが、ひとつここは、物価対策委員会の皆さまですから、皆さんも同様に消費者のため、そして物価の安定のためというお気持ちが強いと思いますが、ひとつともどもに手を握り合って、私たち考え方の足らざるところは、こうやったらどうかということをどんどん進言をしていただきたいし、私たちも皆さんの知恵を借りながら、また御協力を得ながら、一番大事な消費者行政、そして物価安定策というものに邁進したい、かように考えております。  簡単でございますが、感想の一端を述べて、御参考にいたしたいと思います。
  99. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 御懇篤な感想を承らしていただきましてありがとうございました。いまお話の中にもありましたように、前はやはり生協が出ていきますと、小売り店とあつれきがあったんです。ところが最近は、生協が来てくれると人が寄ってくるというので、むしろ小売り店がここへ生協出てほしいと、こういうふうなことまで要望されるということを私承っておりまして、あつれきはすっかりなくなっております。たいへん消費者にとっても嬉しいことだと思います。消費者生協で物を買おうが、小売り屋さんで買おうが、安い、いいものを買いたいのですから、その点では、どっちも一ぺんに見られるわけですから、たいへん消費者にとってもこれはありがたいことでございます。  そこで、いま生協は産地直結ということを盛んにやっておりますね。ところが今度は、この間の松江なり三次なり——広島県ですね、災害地を見て回りますと、山下委員長が一番心配されたのは、そういう災害地で物価が非常に上がったんではないか。それでもう災害を受けた上に、たいへん食料や何かの物価が上がって、そこら辺の人がお困りになったんではないかというので、特に今度は、災害地をお見舞い申し上げるとともに、その物価調査に行ったわけですが、島根県でも広島県でも、非常に適切な手を打たれたものですから、物価が上がるよりも、むしろふだんよりも物が安かった、こういうふうな実情を私ども見聞してまいりまして、やっぱりやればできることだと、こういうふうに思ったわけです。  そこで、何とかして産地直結で、いいものをたくさん消費者のところに送ってくれれば物価は相当安くなるんじゃないか、こういうふうに思ったわけですけれども、しかし今度は物がそれでたくさんできますね、そうするとそれみんな腐らせるか、たんぼの中にすき込んでしまって、その安いものがなかなか消費者の手に入らない、こういうことになって、悪循環を繰り返しているわけですね。だから、この辺のことをもう少し何か手を打っていただいて、たとえばホーレンソウがたくさんできたというときには、そのホーレンソウがほんとうに安く消費者の手に入る、キャベツがとれ過ぎたというときも、それを牛に食べさせないで、消費者にこれを安く分けてくださる、そういうことも何かひとつ本腰を入れて、産地から直接に消費者のところに送ってもらうというようなことが、何か制度的にできないものだろうか、こういうふうに思うわけですね。ですからその辺のことも長官いろいろなところを見聞して来られたと思いますので、ひとつ御尽力をいただきたい。その実際を私どもは目で見てまいりましたから、行政措置で何とかできるんではなかろうかと思います。  それから、これは広島県のときに要望をされたんですが、いろいろなところに今度行ってみますと、施設がずいぶんりっぱにきれいになっております。どこに行っても、私どもたいへんびっくりするほど、市場にしても、卸売り団地にしても、マーケットにしても、たいへんきれいになっております。ところが、そういう設備をするのに資金が要りますね。その資金がずいぶん、借りたものに対しては——設備資金を借りるとしますと、その借りたお金に対する利息が高いのでたいへん困るという話も聞きましたし、相当自分たちの自己資金を持っていけばそれを償却しなくてはならないということで、そういうものがやっぱり物価にはね返らないわけはございません。ですから、ここら辺のことも十分考えていただきたいと思います。そういう要望もございました。それから、いまの生協に対する貸し付け金ですね。これも島根県の県庁のほうから、いま限度が百万円だと、これもたいへんおかしいじゃありませんかというお話もございましたので、いずれはまた生協法の改正ということも議題に上がってこようかと思いますけれども、その辺のこともひとつ何とか長官の手腕を振っていただいて、消費者がほんとうにいいものを安く買えるようにしていただきたいと思うわけです。  そこで私どももいろいろなところで、やっぱり何か規格のきまった大根を一生懸命でつくっても、それを売るときには何か七円か八円かでしか売れないということを農家の人はたいへん私どもにも訴えておられました。これも流通機構の問題。私どもが買うときはやっぱり四十円なり七十円なり八十円なりで買わなくちゃいけない、こういうことで、生産者生産者としてのたいへん悩みを訴えられておられたわけでございますけれども、そういう点も、もう少し生産者もたくさん収入があるように、何とかこれも流通機構の問題には違いないのですけれども、その辺ももう少し何とか考慮されない限り、それだからといって、じゃあ今度生産者をうんと上げると、消費者になおはね返って高くなると、これも困りますけれども、やっぱり結局はそこら辺の問題がほんとうにことばの上だけでなくて、実際にこれが生かされるような方法が講じられなければならない。  そこで私どもがそういう問題に対していろいろうれしいニュースとして報告してまいりましたのは、農林省はいままで農家の肩ばかり持っていたけれども、ようやく消費者の側にも政治の顔が向いてきて、農林省に今度は流通局というものが設けられて、やっと農林省も消費者の側に立つ行政がなされるようですよということをあっちでもこっちでも実は言ってきたんです。その流通局の問題に対して、あるいはこの間の国会でこれがまだ通らなかったのかどうか知りませんけれども、農林省の流通局の方も来ていらっしゃると思いますが、流通局は一体どういうふうにして行政サービスをなさるか、どういう方針を持っておられるのか、その辺をお伺いさせていただきたいと思います。
  100. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 先ほど来いろいろの御意見を拝聴したんですが、いわゆる季節的の商品ですね、野菜とか魚介類、そういうものはやはりある程度貯蔵が必要だと思うのですね。したがいまして、私はかつて文部大臣をやったときに、科学技術庁長官もやっておりまして、八百屋の店頭に立ったことがあるんですよ。世間では文部大臣が八百屋の店頭に立っている、何だろうと言って、学校給食の関係だろうなんて言われておったんですが、実はそうじゃなくて、コールドチェーンを科学技術庁として試験的にやったんですが、その当時から私、目をつけておったんですが、キャベツでも八百屋さんところでは少しでも新鮮味を見せようというので水をかけるんですね、そうすると晩になって売れ残ったやつの皮をむかなくちゃならない。そうすると、一枚一枚めくれてくるんですね。その目減りと、それからコールドチェーンにかかる経費とを見ますと大体とんとんなんですね。そうすると、一週間でも十日間でも価格が安定しておるだけは消費者のためにも生産者のためにも両方ともいいんじゃないか、こういうことでコールドチェーンを非常に推賞したことがありますが、農林省もそれを最近ではどんどんとやっていらっしゃるようですが、ことに魚なんかも冷凍がありますけれども、私は初めから消費者に渡る小さい冷凍ですか、そして店屋で簡単に一つ一つ売れる、大きな冷凍ではなかなか消費者にすぐり渡りませんから、そういうようなものを考えて、それで要するに冷凍設備——冷凍倉庫というんですか、貯蔵庫といいますか、そういうものをもっともっと普及さして、季節的な変動を避けて、そして安定さしたい、かように思っております。  なお、市場とかその他の施設に対して比較的安い低利資金を供給するということは、これは先ほどもちょっと触れましたように、ひとり生協ばかりじゃなくて、一般的にもそういうことをやって、そして消費者のために、物価安定のために尽くしたいと、かようにいま考えております。それから申しおくれましたが、この間、灘生協で感じたもう一つは、ユニットパーティションといいますかな、ちゃんと大きい量の値段と全体の値段とは書いてありますけれども、普通の消費者はたくさん買うほうが安いとばかり思い詰めておるんですね。ところが必ずしもそうじゃない場合があるんですが、それをちゃんとユニットに、一グラム何ぼと、こういうことまで消費者に親切に表示されておるんですね。あれまた消費者は非常に安心して買えますわ。一般的には、多量のものが安いと思い詰めているけれども、実際いうと多量のものが必ずしも安くない、こういうこともありますから、そういようなことも、これはひとり生協のみならず、一般の小売り店におきましてもそういうことが周知されて、常に消費者のために便益を与えると、こういうことのように指導していくのが非常に大事なことじゃないかと思います。そういうことで、大いに勉強しながら、大いにがんばりたいと、かように思っております。  それから、農林省の流通局の問題は、これはひとつ私から言うのもどうかと思いますけれども、これは実はこの前の国会に出して、これは継続審議になったんですかな。何かそういうことだと思いますが、私が責任をもって言うわけにはいきませんが、農林省の方がいたら農林省のほうから説明していただきたい、かように思います。
  101. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 農林省のほうはきょうは見えていないようですから、またこの次にお伺いするといたしますが、そこで、先ほど田中委員からお米の質問がずいぶんあったわけですけれども長官のお住まいのところも丹波米のとれるところで、お米の産地でございますけれども、私もちょっとお米の質問をしようかと思っていたんですけれども、時間もありませんし、田中さんからずいぶん質問がございましたからなんですが、お米をどんどん上げていくと——いま日本のお米というのは世界一高いのじゃないですか、米価が。そうなりますと、先ほど海員ストの話が出ましたけれども、私はこの間ちょっと船会社の社長さんと食事を一緒にすることがありまして、御一緒に食事をしておりましたときにその社長からこういう話を聞きました。日本のお米がもう高くて高くて、とてもこの船に積んで歩くわけにいかなくなりました。だから、日本の船でありながら、船員の食糧にするお米は外国から買いますと、こういうお答えがありまして、私もちょっとびっくりしたわけですけれども、こういうことになりますと、また生産調整と、こうイタチごっこをせなくちゃいかんわけですね。あまりお米が上がってまいりますと、お米の、だから需要率がどんどん減ってくると、こういうことになるわけですね。だからその辺で私はやはり消費者米価値上げというものもこれはもう一ぺん根本的に考えてみる必要があるのじゃないか、こういうふうに思います。  それから、この間、名古屋へ行ったときも、私タクシーに乗りました。そうしたら、ちょうど駅前からタクシーに乗ったら、そのタクシーの運転手さんがだいぶ若い方でしたけれども、ぶりぶりおこりづめなんですね。それで、あなた、私は兵庫県から来て、名古屋の土地がわからないから、あなたに観光会館に連れていってもらおうと思って乗ったのに、いきなりそんなにぶりぶりおこられたって知りませんよ、私はちょうどあなたの順番が来たから乗らしてもらっただけで、そんなにぶりぶりおこられて、観光会館なんか知らんわいとかどうとか言うのは、あなたは遠いところに行かないと行ってくれないの、と私はこう言ったわけですけれども、いろいろ話を聞いてみますと、駅の前で一時間待った、一時間待ったのに知らない観光会館へ行けと言ったって、どうも地名からいえば駅からあまり遠いところじゃない、百五十円だか百七十円だけしか上がらないところへ連れていけと言ったって引き合わないというようなことなんですね。結局、名古屋の方に私はだいぶ文句を言って、名古屋のタクシーは不親切だと言ってずいぶんおこって、そのナンバーやら会社やらその運転手の名前までみんな書きつけておいて、会社へ電話をしてやるからと言ったら、まあまあそれだけはやてめくれというのでやめたわけですけれども、それは結局、タクシーの値上げをしてしまってどんどん上げましたね。やはり利用者が乗らないようでございます、昼間は。地下鉄を利用したり何かするもんですから、駅でからのタクシーがずいぶん待っている、こういうふうなことになりますしね、タクシーが値上げをしても、必ずしも値上げをした分だけが運転手の身入りになっていない、会社のほうには入っているかもしれないけれども、運転手の賃上げにはあまり回っていない、こういうことで、運転手がしょっちゅうかわるんですという話も伺いました。  こういうようなことを見たり聞いたりしてまいりますと、安易にいろんなものを値上げをしていることはこれはやはりいろんな問題が起こってくるのじゃなかろうか。せっかく日本のおいしいお米がありながら、船員に日本のお米を食べさせないで、安い外米を船が積んでいく、そうすれば何十万トンかやはり日本のお米の消費量が減っていくわけでしょう。こうなると、また農家もたいへんなことになろうかと思いますが、この辺のことを十分私は長官はお考え及びだと思いますけれども、その辺もひとつこれからの問題としてお考えをいただきながら、いま沖繩の問題も出ましたけれども消費者がほんとうにおいしいお米を食べようと思ってもなかなかおいしいお米が食べられないということでは困りますし、これがまたいろんな物価にはね返ったり消費者の生活に——お米を食べないわけにいきませんので、たいへん消費者の生活が苦しくなるということも、これはたいへんな問題でございますから、この辺も十分また御検討をいただきたいと、要望を申し上げておきます。  それから最後に、競争条件の整備ということで、私いま中央卸売市場と同時に生協なんかの育成をはかれと、こういうふうに申し上げたわけですけれども、国税庁のほうに一つだけお伺いをして質問を終わりたいと思います。  それはこの前の六十八国会の最後に私も横浜生協のお酒の免許の問題をいろいろ御質問をしたわけですが、私はよく生協のことを言いますけれども生協の役員でも何でもございませんで、私も一人の組合員にすぎないわけですけれども、家庭の奥さん、組合員の奥さん方からしょっちゅう生協がお酒を置いてくれないと困るというようなことで、私代弁をしているわけですけれども、この間委員派遣出雲市に参りましたときも、出雲の農協のスーパーマーケットでありました生活センター、ここもずいぶんりっぱなセンターでしたけれども、そこでもはからずもお酒の免許はなかなかとれないんです、こういうことでお酒は置けないようでございます。それからうちに帰ってまいりましたら、たまたま伊丹のほうから電話がかかりまして、これは市会議員からですが、ある方が税務署のほうに申請をしたら、距離制限から、あるいはいろんなことから全部合っているから、あなたにはお酒の免許がおりるでしょうということで、さっそくに借金もして、あり金をはたいて一つ店舗を買って整備をしてみたところが、これが一向にお酒の免許がおりないので、私に一ぺん税務署へついて行ってくれという電話がございました。しかし、私も一人の方のためについて歩くほどいまからだにひまがあるわけではございませんので、どうも聞いてみると横浜もそうだったし、出雲もそうだったし、伊丹でもそういう話があるとすれば、これはひょっとしたら全国的な問題かもしれないので、一度東京で調べてきます、こういうふうにお答えをしておいたわけですが、それからもだいぶ日にちがたっておりますが、たまたまこういった物価委員会がきょう開かれたものですから、一体これは競争条件の整備ということであれば、どんどん規格に合っていれば許可をすべきだ、免許をすべきだと、こう思うわけですが、一体どのようになっているか、これをお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  102. 守屋九二夫

    説明員(守屋九二夫君) ただいまの生協に対する酒の小売り免許の方針、どうなっているかという御質問でございますが、前々からこの委員会でもお答えしておりますとおりでございまして、一般の小売り店に対する免許の基準、これは人的要件とか、距離要件とか、あるいは需給要件とか、いろいろこまかく規定してございますが、その基準と、生協の場合、何ら区別しないということでやっておりまして、その点は前から変わっていないわけでございます。四十五年の六月九日の物価対策閣僚協議会で、さらにこの基準を弾力的に運用するように、消費者の便のために、これらの免許要件につきまして、それぞれ弾力条項がございますが、その弾力条項を活用して、できるだけ消費者の便に合った免許行政をすべきであるという、そういう指示がありまして、われわれのほうとしましても、それに従ってこの二、三年やってきているところでございます。現在一般の小売り店、生協ともに従来にまして全体としては免許の件数、あるいは免許の付与率というものは向上してまいってきております。ただ、いま御指摘の横浜の問題は、相当時間がたっておりまして、この前も現在調査中であるということを申し上げたわけでございますが、御承知のように、横浜生協は非常に規模も大きうございまして、その与える影響というものも大きい、そういう観点から、現在担当の税務署と、国税局で検討しているという段階で、できるだけ早く結論を出したいということでございます。  それから出雲のほうのお話でございますが、それもまだ正式に免許申請が出ているということではないようでございまして、一応どういうふうにしたら免許が得られるかというようなことで、検討段階ではないかと思いますが、そういうふうに聞いております。  それから最後の伊丹の件につきましては、先月初めにそういう話があったそうでございます。それで一応申請書が出ていると伺っておりますが、これについて、現在担当の税務署のほうで調査中であると、そういうふうに伺っております。生協に対する免許の方針というものは、最近変わったのではないかという御心配でございますが、そういうことはございませんということを重ねて申し上げておきたいと思います。
  103. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  104. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記を起こして。  本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十七分散会