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1972-08-31 第69回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年八月三十一日(木曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————    委員異動  八月二十四日     辞任         補欠選任      神沢  浄君     上田  哲君  八月三十日     辞任         補欠選任      松下 正寿君     中村 利次君      星野  力君     岩間 正男君  八月三十一日     辞任         補欠選任      峯山 昭範君     塩出 啓典君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高田 浩運君     理 事                 内藤誉三郎君                 中山 太郎君                 鈴木  力君                 水口 宏三君     委 員                 源田  実君                 田口長治郎君                 長屋  茂君                 町村 金五君                 足鹿  覺君                 上田  哲君                 山崎  昇君                 塩出 啓典君                 中村 利次君                 岩間 正男君    国務大臣        法 務 大 臣  郡  祐一君        厚 生 大 臣  塩見 俊二君        郵 政 大 臣  三池  信君        国 務 大 臣  小山 長規君        国 務 大 臣  二階堂 進君        国 務 大 臣  濱野 清吾君        国 務 大 臣  増原 恵吉君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        内閣官房長官  山下 元利君        内閣法制局長官  吉國 一郎君        行政管理政務次        官        山崎 竜男君        行政管理庁行政        管理局長     平井 廸郎君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛施設庁長官  高松 敬治君        防衛施設庁施設        部長       薄田  浩君        経済企画庁総合        開発局長     下河辺 淳君        法務省民事局長  川島 一郎君        外務大臣官房長  鹿取 泰衛君        外務省アメリカ        局安全保障課長  松田 慶文君        外務省条約局長  高島 益郎君        大蔵省主計局主        計官       渡部 周治君        厚生省医務局長  滝沢  正君        農林省農政局長  荒勝  巌君        建設省道路局長  高橋国一郎君        自治政務次官  三ッ林弥太郎君        自治大臣官房情        報管理官     馬場 行雄君        日本電信電話公        社総裁      米沢  滋君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (北富士演習場問題等に関する件)  (国の防衛問題に関する件) ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (行政機関における情報処理問題に関する件)  (厚生省医療行政組織の問題に関する件)     —————————————
  2. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十四日、神沢浄君が委員辞任され、その補欠として上田哲君が委員に選任されました。  昨日、松下正寿君、星野力君が委員辞任され、その補欠として中村利次君、岩間正男君が委員に選任されました。  また、本日、峯山昭範君が委員辞任され、その補欠として塩出啓典君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 次に、国の防衛に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 足鹿覺

    足鹿覺君 最初に、官房長官に、北富士の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思いますが、先般、山梨県知事との間に締結されました暫定使用協定、この案を中心に、大体についてお尋ねをいたします。  その前に確認をいたしたいと思いますが、私の手元にありますもので間違いがあるかないか、至急に関係書類を御提示を願いたいと思います。  第一点は「北富士演習場暫定使用に関する覚書」、これは八月二十八日付で、甲は山梨県知事田辺国男、乙は内閣官房長官二階堂進立ち会い人北富士演習場対策協議会会長小林昌治立ち会い人衆議院議員金丸信とあります。この文書間違いありませんか。
  5. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) いまの、私と山梨県知事とが取りかわした覚え書きの点でございますか。
  6. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうです。
  7. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) その覚え書きを取りかわしたというのは事実でございます。
  8. 足鹿覺

    足鹿覺君 その文案をお示しいただけませんか。
  9. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) これは、私と山梨県知事と、それから山梨県の議長小林さんですか、との間に取りかわした覚え書きでございまして、私は提出してもいいと思いますが、一応、山梨県知事とも話をした上で、提出するかどうかをきめさしていただきたいと思いますが。
  10. 足鹿覺

    足鹿覺君 いずれにせよ、もう大体新聞にも概要出ていますし、お出しになったらどうですか。  それと、「土地賃貸借契約書」、これは同年月日で、甲府市丸の内一六一山梨県知事田辺国男賃借人住所氏名横浜市中区山下町四一横浜防衛施設局長安斉正邦との間に取りかわされた土地賃貸借契約書。  それから同日付の、山梨県知事横浜市中区山下町四一番地横浜防衛施設局長あてに出した「昭和四十七年八月二十六日づけ施横第三七三九号で申請のあった山梨恩賜県有財産使用については、次のとおり許可する。」、これ。  それから同年八月二十六日付富士吉田市外二カ村恩賜県有財産保護組合から山梨県知事田辺国男あてに出された「暫定使用協定について(同意)」書。  それから「北富士演習場地内有地明細」、四十三年三月三十一日現在の、この明細ですね。  大体これだけが、大体五種類あるわけでありますが、これを関係書類と読みまして以下お尋ねを申し上げたいと思います。調印されました関係書類をゼロックスにかけまして直ちに御提示を願いたいと思うのです。もはや秘密にされる必要はなかろうかと思いますが、長官いかがですか。
  11. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 先ほどお尋ねのありましたこの覚え書きは、私はまあおっしゃるとおり提出してもいいと思います。いいと思いますが、一応、山梨県知事とも連絡をとって、できればきょうじゅうにでも提出いたしたいと思います。  それはそうさしていただきたいと思いますが、大体内容は、山梨県知事及び県議会のほうと話をされた内容がそのままでございまして、私は県知事が持ってこられましたものをそのまま了承いたして、何ら意見をつけ加えることなく、私はこれを了承して覚え書き署名をいたしたものでございまして、その内容は御承知のとおりでございますが、北富士演習場について三カ月間、山梨県の土地アメリカ軍演習使用する。それから第二は、国有地開放について引き続き努力をする。第三は、北富士演習場周辺整備事業を進める。第四は、林野庁の補償その他懸案事項解決努力する。第五は、富士保全法を制定し、富士山周辺環境保全をはかる。こういう大体の骨子になっておるものでございまして、この内容は、いずれも山梨県知事及び議長のほうから提出されたものの内容でございます。私は、これに対して何ら意見も差しはさむことなく署名をいたたしたものでございます。
  12. 足鹿覺

    足鹿覺君 これはきわめて政治的な、言うならば紳士協定とでもいいますか、純然たる厳密な意味における法律問題であるべきこの北富士演習場県有地民有地についての政府の無権限状態を終止したことにはならないと私は思うのであります。官房長官は、これで無権限状態が解消したとお考えになりますか。
  13. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) これは施設庁長官から答弁いたさせます。
  14. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 山梨県その他の土地所有者との間に、先ほどちょっと引用されましたが、そういうふうな賃貸借契約あるいは使用許可申請というものを行ないまして、それによって北富士演習場の無権限状態というものはなくなったというふうに考えております。
  15. 足鹿覺

    足鹿覺君 民有地地主との間に、軍用地の再契約をかわされました。県有地についても、再契約もしくは県の使用許可処分がすでになされていないと私は考えておりますが、特に私が先ほど示しました北富士演習場地内有地明細のうち、貸し地となっているほうの富士吉田市外二カ村の保護組合富士吉田市の場合は二つとも転貸をされておるケースが多いのであります。その転貸者同意を得ておりますか。木が植わっているのですよ、木が。
  16. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 県のほうで契約をするにあたって、そういう転貸者同意を得ている、こういうふうに承知しております。
  17. 足鹿覺

    足鹿覺君 しからば、県が同意をしたと言われるならば、その同意書をお示し願いたいと思います。あとでけっこうです。  私の見るところによりますと、演習場対策協議会、これは現在県会議長会長になっておられますが、現にこの締結問題をめぐって、野党一致して推した知事でありますから、したがって演対協にも、社会党も、民社党系新和会も、その他、心ある人々が入っておったわけでありますが、これは社会党脱退をし、新和会脱退をし、忍野村はすでに以前に脱退をいたしておりますが、これらの現状から見まして、この演対協というものがどういう資格で、だれを代表して立会人にお選びになったのか。またこの協約を見ますと、協定を見ますと、衆議院議員金丸信君が立会人になっていらっしゃいますが、これは、数ある衆議院議員の中で特に金丸君がなられました理由は一体どういう理由で御指名になったのでありますか。本人が希望して出たのでありますか。希望して出た者はみなお認めになるのでありますか。どういう事情でこれらを、立ち会い人と称する者をおきめになったのでありますか。これは官房長官あなたが判をついておられるのですね。あなたの判断でおきめになったと思いますが、いかがですか。
  18. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) そう私はむずかしく考えなくて、知事議長立ち会い人として金丸君を同伴してきたということだけでございまして、私はむずかしく、なぜ、あなたはどういう立場で、どういう資格でここに来たのかということなどについては別にお尋ねもいたしませんでした。知事議長が一緒に連れて来て、金丸君を同席させてくれ、こういうことでございましたから、私はおまえ出て行けと言うわけにもまいりませんし、よかろうじゃないかということで、そのまま黙ってすわっていたというのがその場のことでございます。
  19. 足鹿覺

    足鹿覺君 先ほど来申し上げておりますように、これは厳密な意味において法的な効果は私どもは疑わしいと思っておるのであります。つまり、これによって無権限状態が解消したなどということはあり得ないと私どもは思うのです。何となれば、三カ月の暫定協約であって、本契約は結んでない、しかも一方的な、甲が恣意的に選んだ人物を立会人として政府ともあろうものがお認めになるということは、軽率のそしりを免れないと私は思う。したがって、この締結された暫定使用協定そのものについては、われわれはこのものが無権限状態を解消したものなどとは認めません。きわめて政治的なものであると私は思います。そういう意味合いにおきまして、この暫定協定は、一切の入り会い権、あるいは入り会い慣行とあなた方は言っておられますが、そういうようなもの、あるいは転貸を受けて森林を、樹木を育成しておる者、施設を持っておる者等については何ら確かめもしないで、文書による同意書も見ないで、政府が一方的に、こういう重大な、知事から出されたものをうのみにされる、二階堂さんともあろう者が。田中内閣はそういうところから出発すべき筋合いのものでは私はなかろうと思う。その点はまことに遺憾千万に思いますが、もし、三カ月間に折衝を重ねて本契約に達するというが、こういう考え方であるならば、この暫定協定と本契約、すなわち個々の軍用地賃貸借契約あるいは県の使用許可処分との関係をどのように解せばよいのか。この三カ月間を経て本契約に進んでいかれるのか、あるいはこれを更新していかれるのか。この三カ月に限定された理由いかん官房長官政治的判断に基づいておやりになったようでありますので、ひとつ官房長官から御答弁願います。
  20. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) あまり政治的な判断でものを言うというと、またおしかりを受けますが、私はこの覚え書きは、これは法律的な効果といいますか、そういうものはない、紳士協定みたいなもので、まあ長い間これもめておりましても、どうも地元知事さんも地元の人も、いろいろ私のところにも早く何とかしてくれという陳情もあったりなどしまして、あまり好ましいことではないので、何とか施設庁アメリカ当局話し合いをして、円満にひとつ解決していただきたいと思いましたが、なかなかそう簡単にいきそうでもなかったので、まあ知事さんの立場もありましたし、また知事さんともよく相談をして、結局まあこの三カ月間のうちに両方ともひとつ誠心誠意根本的な解決をやろうじゃないか、そうして当面する問題を一応おさめて、この三カ月の間に抜本的なひとつ改正を両方とも真剣にやろうじゃないか、こういうことでこの覚え書きを取りかわしたわけでございまして、その他の詳しい部分的な契約につきましては、先ほど施設庁長官がお答えしたとおりでございます。
  21. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうしますと、この暫定使用契約は三カ月間の、文字どおり暫定使用契約であって、本契約に進むのか、更新するのか、それもはっきりしないと、いわゆる暫定暫定だと、こういうふうに解釈してよろしいですね。
  22. 高松敬治

    説明員高松敬治君) いまの点につきましては、とにかく三カ月の間にいろいろな問題の解決に当たっていこう、そういうことが煮詰まりまして、いろいろな関係の、山梨県はもとより、ほかのそれぞれの恩賜林組合その他の問題もいろいろございます、そういうものを煮詰めてまいりまして、そうして本契約締結に至ろう、こういう性格のものでございます。
  23. 足鹿覺

    足鹿覺君 私の見るところでは、米軍演習を実現するため早くやらせる、冬が来るではないか、こういう矢の催促によって、しかも一方においてはハワイ会談を前に控え、続いて中国との話し合いとの関係もあり、こそくな、一時的な、特にアメリカのほうを考えた、ハワイ会談に視点を合わせた、こそくな、一時的な、その場のがれのびほう策に終わっておるのではないか。むしろこの際、政府安保条約並びに地位協定を実施するためにアメリカ軍に多くの特権を与えております特別法——大体私の計算によりますと十三あるわけであります。国有財産管理に関する特例法土地等使用に関する特別措置法——これはこのたびあなた方が、あめにむちと報道紙が伝えておりますように、一方は百億の金を出す、お互いがそういう話し合いをし、応じなければ、土地等使用に関する特別措置法を適用するのだということをちらつかし、この法律、電波法特例法航空法特例法道路運送法特例法関税法等臨時特例法所得税法臨時特例法地方税法臨時特例法刑事特別法民事特別法郵便法特例法特別損失補償法漁業操業制限法等十三あります。もはやこの中では発動していないものはたくさんあります。また、情勢の変化によって大幅にこれを改廃する時期がきていると私は思います。このようなこそくな手段を、暫定使用協定というようなこそくな手段をおやめになって、堂々と日米合同委員会に問題を提起し、再検討をし、国内法を尊重する独立国家としての態度新田中内閣の責任においてとるべきではなかったか。少なくとも二階堂さんのいままでの経歴、いままでの政治態度、今度の田中内閣外交姿勢等から考えて、それくらいな思い切った態度をとるべきではなかったか。私は非常に失望をいたしておるわけでありますが、その点について、日米合同委員会にかけ、この十三の国内法に優先すると政府考えておる特例法の改廃を検討する気持ちはあるかないか、官房長官の御所見を承っておきたい。
  24. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) なかなかこれむずかしい質問でございまして、私一存で、いまここで、そうしますとか考えますとかいうことを答弁する段階でないように存じますが、まあ関係する各省も非常に多いわけであります。まあ、田中内閣ができて、私もわずか二カ月にしかならないものでございまして、次から次へいろんな問題が起こっておりまして、頭を悩ましておることは事実でございます。まあ、しかし足鹿先生のおっしゃいましたような意見は私も十分頭に入れて、今後正すべきものは正し、検討すべきものは検討してまいったほうがいいのではないか。いま御意見を承ってさように考えますが、これは非常に、先ほど申しましたとおり、広範にわたる、また関係する各省も多いわけでございますので、今後まあ足鹿先生の御意見も参考にしながら、将来考えをまとめていくように努力はいたしてまいりたいと思いますが、何しろ安保条約の基本に関する問題でもありますから慎重に対処することがいいのではないかとも考えます。
  25. 足鹿覺

    足鹿覺君 これには、これを読んでみますと、暫定協定そのものの第一の目的がはっきりしておらない。主としてこの一条をうたい文句で型どおりやって、あとはいろいろ「国有地開放については、従前の経過を基礎として今後も引続き努力する。」「北富士演習場周辺整備事業の実施については北富士演習場周辺立地条件等を勘案し、地域に適合する事業を実施するに必要な財源を確保する。」、これは一説には二百八十七億円を山梨県知事要求したものを百億円で手を打ったといわれておるしろものだと思う。三の「林野雑産物補償及びその他の懸案事項については早期に解決する。」あるいは「富士山及びその周辺自然環境を保全する等のため富士保全法を制定し、適切な措置を講ずる。」、こういったことに主力が置かれておりまして、いわゆるどういう立場で今後本協定——アメリカとの合同委員会等を開いて、そして情勢推移に即応して本協定を結ぶのか、その間の暫定なのか、全くびほう策に終始しておるものと私ども判断せざるを得ないのであります。これは議論になりますからこれ以上申し上げませんが、国有地返還案について、いま長官は、山梨県が持ってきたものをそのままのんだのだとおっしゃいましたね。ところが、この暫定協定締結に至るまでの経過におきましては、政府側国有地の一五%返還案というものを最初出したと伝えられておる。次いで二一%の返還要求を用意し、さらにそれがその後の交渉で、二一%案の国有地区分、約百八十ヘクタールに三十ヘクタールを上乗せして、追加して二百十ヘクタールの返還案提示した、こう聞いておる。これはあなた方が、もっと地元のものは大きかったけれども、あなた方が削った、そこで山梨県は不満だというので、百八十ヘクタールに三十ヘクタールを上乗せして二百十ヘクタールで手を打ったと、私どもは現地へ行きまして詳しくその経緯を調査してまいりましたが、そういうふうに私どもは聞いているんです。最初県側は、海抜千百メートルライン区域国有地八百七十ヘクタール、民有地五百八十ヘクタール、県有地三百五十ヘクタール、計千八百ヘクタールの返還という条件を強く押しておったではありませんか。なぜそれをおのみにならなかったのですか。いまあなた方が、山梨県が持ってきたものをのんだとおっしゃいますけれども、その間にいろいろな、富士保全法あるいは環境整備法の金をやることのいきさつがあって、そうして形としては山梨県側が一方的に持ってきたというかっこうになっておるのであります。こういう一国を象徴する山、あるいは自衛の推移に即応して、安保そのもの憲法体制に反したものであり、憲法を無視した形になっておるものである、国内法にすべて優先するという立場をとっておる。こういうことは、もうすでに改められなければならないという状態のもとにあって、かかるびほう策をとられたことを私は非常に遺憾に思いますが、この国有地返還案について、最初八百七十ヘクタール、民有地五百八十ヘクタール、県有地が三百五十ヘクタール、計千八百ヘクタールで海抜千百メートルライン以下の区域山梨県側が出したということはうそなんでありますか。
  26. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) いまおっしゃいましたとおり、決してびほう策でごまかしたというものではないわけでございますが、最初全面返還知事さんも地元要求されておりましたが、また、その間いろいろ陳情等もありましたし、最終的に覚え書きを交換するまでの間においては、いろいろな折衝があったことは、これは事実でございました。それらの詳細のことにつきましては施設庁長官から答弁をいたさせます。
  27. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 先ほどおっしゃいました一五%から二一%というのは、国有地のみならず県有地、それから民公有地その他を含めてのパーセンテージでございます。それで最初に、そのうち国有地は、二一%案の場合に百八十ヘクタールであった。その次にそれに三十ヘクタールを上乗せして二百十ヘクタールというのが、私ども山梨県に提示した面積に相違ございません。山梨県側の要求が、標高千百メートル以下の国有地返還という要望が非常に強うございましたけれども、これにつきましては、演習所としての機能保持上どうしてもそれは不可能である、そういうようにした場合には演習所としての使用ができなくなる、こういう問題が一つございまして、この点については話し合いがついていない、こういうことでございます。
  28. 足鹿覺

    足鹿覺君 話し合いがついていないということは、長官、どういうことですか。今後、話し合いを続けるということですか、この協定とは別に。
  29. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 施設庁長官から答弁いたさせます。
  30. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 山梨県側の主張と私ども主張との間にまだ差があると、これからそういう問題も含めましていろいろ協議をしてまいると、こういうことでございます。
  31. 足鹿覺

    足鹿覺君 長官も時間が、きょうはお忙しいようでありますから、あまり無理にお引きとめすることも——私はあと一、二お尋ねをいたしまして、具体的な問題は関係当局に伺いますが、先回、六十八国会の末期、すなわち四月二十五日、当委員会におきまして私は質疑を行ないました。その問題は、第一点は入り会い権の問題であります。その際、この記録にも明らかでありますが、詳細は省略することといたしまして、その際、当時の内閣委員長柳田桃太郎君が取りまとめをされまして、「北富士演習場内国有地の入会についての見解」なる文書を、いまも防衛庁はここへ出しておりますが、このような大正四年の判例一点張りでいまだに態度を改めようとしない。ぬけぬけとこういうものをいま配ってきましたが、そのときに柳田君はこう言っておられます。「入り会い権の問題は、」、私の質疑を受けて、「各種各様の形態がありまして、いわゆる官有地に対する入り会い権の問題やいかにというような統一見解では、これは大審院判例が持ち出されることになると思いますが、それぞれの慣行を経て一つ入り会い権あるいは使用権というようなものがあるわけでありますから、北富士演習場についてどういうような見解を今後とるべきかということを、あらためて政府見解として出していただきたいと思います。よろしいですか。」。政府委員の野呂恭一君は、「いま委員長の御指摘のとおり、防衛庁長官とよく御相談申し上げまして、北富士演習場に関する国有地入り会い権についての政府統一見解をまとめていくようにいたしたいと考えます。」と、こういう答弁がありますが、増原防衛庁長官、あなたはこれを引き継いでおられますか。また官房長官なり法制局長官なり林野庁なり、その他関係方面とどのように協議をされ、この野呂恭一君が政府を代表して答弁をし、委員長に対して約束をしたことに対して対処しておられますか。官房長官がおいでになる間に、これはきわめて重要な問題であります、明らかにしていただきたい。
  32. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) ただいまの御質問の趣旨は、各関係省庁と協議をいたしまして統一見解としてお手元に差し上げた「北富士演習場内国有地の入会について」ということでそれを差し出してあるわけでございます。
  33. 足鹿覺

    足鹿覺君 これがですか。
  34. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) さようでございます。
  35. 足鹿覺

    足鹿覺君 これがその統一見解ですか。これがだめだというので新しくやれというのを約束したじゃないですか。何言っているんですか。ふざけちゃいかぬですよ。これがいかぬというので問題になったのだ。あなたは知らないんだ。こういう重大な問題を防衛庁長官が引き継がないというのはおかしいでしょう。何を言っているんですか。
  36. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 先般の四月十三日の参議院当内閣委員会で、防衛施設庁が法務省、大蔵省、林野庁、内閣法制局と一応の意見の調整をしたものを取りまとめまして提出いたしました。しかしそのときに、各省ともそれぞれ上の大臣まで話が上がってないじゃないか、事務部局だけで協議をして、それが統一見解というわけにいかないと、こういうお話でございましたので、再度関係省庁と検討を行ない、成案を得まして、それぞれ関係各省において内部決裁の手続を済ませまして、そして政府統一見解ということで今回の案を提出いたしたわけでございます。
  37. 足鹿覺

    足鹿覺君 あの二階堂官房長官ね、これは大正四年三月十六日の大審院判例をどこまでも固守していくということに若干のつけ加えをしたものです。少なくとも、これがあのときの空気から見て統一見解として示されると私どもは予期しておりませんでした。まあ内閣もかわったわけでありますが、このようなものを官房長官としてお目通しになったのですか。内閣法制局長官は、これで統一見解としての価値あるものとして当時の論争からよろしいとお考えになったのでありますか。とするならば、野呂政務次官はそのとき、この政府統一見解は、かなり時間をちょうだいしていきたい、慎重に御趣旨を体するという態度でありました。しかも本日見たところによりますと、これはもう全く問題になりません。このようなもので、長く続いた入り会い権の問題、現在において民法学者のほとんどの大勢は、入り会い権を肯定しておる。特にそれに依拠して生計を営んでおる現地住民の、長い間先祖から継承した問題としては、当然入り会い慣行ではなくて、入り会い権として認める前進したものをわれわれは期待をしておったのであります。したがって、この点については私は了承いたすわけにはまいりません。あらためて官房長官なり法制局長官において、新内閣において新しい見地から御検討をいただきたい。これは新内閣になってからお話し合いになったんでありますか、前の内閣のときの末期に決定されたものでありますか、それもさだかじゃありません。いま増原長官は直ちに立って御答弁もできませんで、しばらくちゅうちょしておいでになりましたが、おそらく御存じないような風貌でございましたね、お顔つきが。御存じない。まあ利用まかせ、こういう不謹慎な態度であったことを私は残念に思います。事住民の権限に関する、歴史的な経緯を経、学説も大体一致した方向へ向かっておる、しかも極東の情勢は大きく変貌を遂げようとしておる、こういうときにあたって北富士に実在する入り会い権問題が、このような形で統一見解だとぬけぬけと施設庁長官からわれわれが承ることは非常に遺憾千万に思います。  法制局長官に伺いますが、どこの項をどういう意味でお直しになりましたか。これは官房長官にも御相談になりましたか。この暫定使用契約を結ぶにあたってこれは大事な私は文書だと思いますが、官房長官に報告をされ、これでよろしいと、こういうことでお出しになりましたか。
  38. 吉國一郎

    説明員吉國一郎君) 本件につきましては、防衛施設庁が原案を作成いたしまして、法務省、大蔵省、農林省に協議をいたしまして、協議を了しました段階で一ぺん法制局に相談がございました。で、法制局では、いろいろ前の経過その他を検討いたしまして、詳細に説明を聞きまして、その上で本件の文書として法律的に問題はないかどうかということを検討いたしまして、問題はないという認定をいたしまして防衛庁に回答をしたわけでございます。で、防衛庁は、さらに字句その他につきましてはまた関係省とも打ち合わせをいたしましたと思いますが、そういうことで数回往復をいたしまして、最終的にこの四十七年八月二十二日という日付の入った「防衛施設庁政府統一見解)」というものができ上がったわけでございます。政府部内では、先ほど施設庁長官がお答えを申し上げましたように、先般は最上層部までは了解を得てなかったというものが、今回は関係省では全部大臣なり長官のところまで決裁を経まして、関係省としては統一的なものであるということで提出をいたしたようなことでございます。
  39. 足鹿覺

    足鹿覺君 私の手元には防衛施設庁昭和四十七年四月二十四日のものがあります、本日いただいた四十七年八月二十二日のものとありますが、一見してほとんど変わりありませんね。法制局長官、どこがどういうふうに変わったのか御説明ください、比べて。どこが違っていますか。何も違ってやしない。国会を侮辱するもはなはだしい。あなたは法制局長官なんだが、どこがどういうふうに変わったかということを御説明ください。
  40. 吉國一郎

    説明員吉國一郎君) 非常にこまかく字句を対照して申し上げることになりますが……。
  41. 足鹿覺

    足鹿覺君 大筋でいい、どこが、一番大きいところがどういうふうに変わったのか、一番大事なところですよ。字句なんかどうでもいい。
  42. 吉國一郎

    説明員吉國一郎君) 前書きに一部修正がございますが、これはほとんど技術的な修正でございます。第一号の「官有に編入された土地国有地)については、」、そこが従来の案では、「仮に入会権が存在していたとしても、官有編入処分によりすべて消滅したものと解すべきである。」、こういう言い方をいたしまして、大正四年の大審院判決をカッコで引用しておりますけれども、今回の新しい案におきましては、「従前かりに入会権が存在していたとしても、官有編入処分により一切消滅したものと解される。この見解は、大正四年三月十六日の大審院判決によつて示されているところであり、政府としては、司法の最高機関の下したこの判例に従うのが妥当である」ということで、大正四年の大審院判決を引用した趣旨を述べております。それからその次に、前回の案では、「官有編入処分後には新たに入会権が発生したことはない。」という文言がございますが、その点については新しい案では触れないことにいたしております。それから第二号の「民有に編入された土地で、その後国が買収したものについては、次のとおりである。」というところで、その「(1)」の「戦前国(旧陸軍)が買収した土地については、」、旧案では、「国(旧陸軍)は、土地所有者から一切の権利の附着しない完全な所有権を取得することを約して買収しており、かつ、土地利用者に対しても相当な「小作補償」の支払がなされているところからみて、おそくとも、国(旧陸軍)が買収した以後においては、入会権が存在したとは考えられない。」というような表現でございまするが、新案では、「戦前国(旧陸軍)が買収した土地については、買収にあたり土地所有者は国に対し一切の権利の附着しない完全な所有権を移転することを承諾しており、」ということで、昭和十一年五月二十日付恩賜林組合長承諾書第四項を引用しております。「かつ、土地利用者に対しても相当な補償がなされているところからみて、おそくとも、買収後においては、入会権が存在したとは考えられない。」ということにいたしております。おもな改正点はそのようなところでございます。
  43. 足鹿覺

    足鹿覺君 これは時間を節約する意味においてあとでゆっくり検討しますが、私のいま受けた印象では、字句の修正以外のところはかえって悪化しておると解すべき点が多々あるように思います。まあこういう論争をいたしておったのでは時間がありませんから、あとは後日に譲りたいと思います。統一見解としての価値は、私は、この前の内閣委員会における野呂政務次官の委員長に対する約束、これを通じて私に答弁をされたものとは、およそ似ても似つかないものである、かように思います。いずれあらためて論議をしてみたいと思います。  長官がおいでになる間にもう一点だけお尋ねをいたしておきますが、北富士演習を昨日強行いたしました米軍戦車についてであります。この戦車は、かつてこれらの戦車は、いままで二十三回くらい本年になって実弾射撃演習をやっておったと承知いたしますが、一たん沖繩へ来まして、洋上で作戦命令を受けてベトナムに出動しておる場合が多いようであります。あとでまた詳しく言いますが、この場合、安保の事前協議の対象となると私は考えるのでありますが、この点についての御見解を承っておきたい。
  44. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) 足鹿先生の御質問の意味が必ずしもよくわかっておりませんが、戦車が沖繩かう日本の本土へ輸送される場合におきまして、その戦闘作戦命令というお話でございますけれども、私は、そういう関係では事前協議の問題とは関係がないように思いまするが、もう一度おそれ入りますが、質問の御趣旨を……。
  45. 足鹿覺

    足鹿覺君 どこがわからぬのですか。
  46. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) 沖繩から日本の本土へ戦車を輸送するという問題につきましては……。
  47. 足鹿覺

    足鹿覺君 沖繩ということは言ってませんよ。
  48. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) 沖繩と日本の間で米軍が戦車を輸送するという問題につきましては、安保条約上の事前協議の問題ではないというふうに考えます。
  49. 足鹿覺

    足鹿覺君 では聞きますが、この北富士で現在演習をしております米軍戦車の所属及び行動ルートであります。二十九日に北富士演習場に向かった三台の米軍戦車は、第三海兵師団第三戦車大隊に所属するものと伝えられておりますが、第三海兵師団司令部は沖繩の具志川市天願のキャンプ・コートニーに置かれているというが、ほんとうでありますか。事実ですか。
  50. 高松敬治

    説明員高松敬治君) そのとおりであると思います。
  51. 足鹿覺

    足鹿覺君 今回の演習の三台の戦車が具体的にどのような移動ルートをたどってきたか、演習後どのようなルートをたどるのかについては私にはわかりません。しかし、いろいろな情報や新聞報道を総合いたしますと、第三海兵師団の部隊が北富士で実弾演習を行なった後、沖繩へ戻って第七艦隊へ乗り込み洋上で作戦命令を受けてベトナム戦域に送り込まれるケースはこれまでにもあったと伝えられております。あったのですか、なかったのですか。外務省、防衛庁はこれをどのように理解しておられますか。
  52. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) お答え申し上げます。  第三海兵師団に配属されております軍人はおおよそ一年間沖繩に勤務するのが通例とされておりますが、その間におきまして適当な期間、北富士演習場、東富士演習場で戦車砲撃その他の訓練を受けて、また沖繩へ戻ります。また沖繩にも幾つかの訓練場がございまして、そこでもしかるべき訓練を一年間やることは申し上げるまでもございません。このように一個師団を持っております海軍、米海兵隊は、時によりその数量に差があるとは聞いておりますが、若干の部隊を常時第七艦隊に派遣しております。そして、これらの部隊は、これまた一定のローテーションをもって一定期間洋上に待機している、そのようなシステムになっております。  以上です。
  53. 足鹿覺

    足鹿覺君 それは何の答弁ですか。それが私の質問に対する答弁ですか。あんた、どこの人ですか。(「何で長官答えられないんだ」「おかしいじゃないか、何で課長ぐらいが答弁するんだよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  54. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) いまの御質問の問題は、何と申しますか、安保条約地位協定等に関することでございますので、所管の外務省のほうで安全保障課長にお答えをしてもらったと、こういうことでございます。
  55. 足鹿覺

    足鹿覺君 私が聞いておるのは、所属及び行動ルートが明らかになれば、これは当然北富士演習をしておる目的が何であるかということが問題になるわけでありますから、したがって——これがキャンプ・コートニーに置かれておるということは肯定をなさったわけです。今回の演習の三台の戦車が具体的にどのような移動ルートをたどってきたか、演習後どのようなルートをたどるかについては、私は知りませんが、大体世間では、新聞その他では、沖繩へ戻って第七艦隊へ乗り込み、洋上で作戦命令を受けて戦域に行っておるということは事実じゃありませんか。日本の外務省や防衛庁はそんな事実を知らないで北富士演習を許しておるんですか。そんな甘い話がありますか。防衛長官どうですか。そんなことであなたは防衛を論ずる資格がありませんよ、こんなことがわからぬことでは。所管大臣が何ですか、一体。
  56. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 北富士演習をやります部隊は、沖繩から戦車を持って日本へやってきてやる場合と、それから先般の二十九日以降の演習につきましては、東富士のキャンプに戦車をずっと滞留いたしておりました、その戦車を使って演習をやる、大体二通りのやり方をやっておるようでございます。  それから北富士を使いますのは、射程距離からいきまして、北富士演習場はまあ大体五千ないし六千ぐらいの射程距離になりますが、戦車のみならず、普通のりゅう弾砲の演習場としてはいま北富士が一番近くて唯一のものであるということで北富士を使っておると思います。
  57. 足鹿覺

    足鹿覺君 どういうルートで来て、どういうルートで出ていくかということを聞いているんです。それも知らないで、あんたたちはめくらのようにですね、めくらのように演習認めておるんですか。あとで触れますが、人権をじゅうりんするようなことをあんたたちやっているんですよ、アメリカ軍と一緒になって。  じゃ聞きますが、第三海兵師団は岩国の第一海兵航空団とともにいわゆる特殊部隊といわれる第三海兵水陸両用部隊司令部の指揮下にある、これは事実ですね。それも知らぬと言わせぬ。
  58. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) そうした問題は、いわゆる施設提供の関係ではないので、ここにおります者ではっきりわかりかねましたのですが、仰せになったことのようでございます。仰せになったとおりのようでございます。
  59. 足鹿覺

    足鹿覺君 それでは、第三海兵水陸両用部隊は、その一部を常時第七艦隊に乗り込ませており、有事の際に直接戦場におもむく体制をとっておることも事実とお認めになりますね。いなとは言わせぬ。どうですか。——大臣、大臣。
  60. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) この問題は防衛庁よりも外務省のほうでお答えをしてもらうほうが適当だと思うので、さようにします。
  61. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 松田安全保障課長。
  62. 足鹿覺

    足鹿覺君 ちょっと待ってください。私は委員部を通じて何べんも外務省の出席を要求しているんです。これは委員部もよく承知しております。外務大臣の出席を求めます。官房長官も忙しい日程をさいて当委員会に出席を願っておる。なぜ外務大臣は、自分が出ないならば政務次官を出す、あるいは責任ある、この質問に答えられる者を出席さすべきじゃありませんか。大平外務大臣の出席を求めます。官房長官はもうけっこうです。
  63. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 委員長から申し上げますが、外務大臣はハワイに行っておりますので——ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  64. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を起こしてください。  暫時休憩をいたします。    午前十一時四十二分休憩      —————・—————    午後一時七分開会
  65. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  66. 足鹿覺

    足鹿覺君 午前中あのような状態で中断をいたしましたが、この際、外務省の官房長がお見えになっておられますので、あらためて午前中のところを繰り返し、繰り返しの質疑から入りたいと思います。委員長においてもその点は御了承、御便宜をお願いいたします。  そこで、昨日から行なわれております、北富士演習場で実弾射撃を行なっております米軍戦車についてでありますが、その戦車は洋上で作戦命令を受け、ベトナムに出動する場合があろうかと思います。従来もそういう事例があったようでありますが、このような、本土が全土をあげて基地化するような、安保の本土拡大というようなことはきわめて重要なことであろうと思いますので、防衛庁お尋ねをいたしましたら、自分たちはわからない、外務省に聞いてくれということでございます。わからないはずはないと思いますが、つまり私の聞きたいのは、安保の事前協議の対象になる重大な問題だと思うかどうか、こういうことをお聞きしたわけであります。  そこで、これにお答えを願いたいのでありますが、若干補足してお尋ねをいたしますと、この戦車の所属及び行動ルートについて具体的に御答弁願いたい。二十九日、北富士演習場に向かった三台の米軍戦車は、第三海兵師団第三戦車大隊に所属するものと伝えられる。さようでありますね。
  67. 鹿取泰衛

    説明員(鹿取泰衛君) そのとおりでございます。
  68. 足鹿覺

    足鹿覺君 そういたしますと、第三海兵師団司令部は沖繩の具志川市天願のキャンプ・コートニーに置かれておると聞きますが、この点は確かでありますか。
  69. 鹿取泰衛

    説明員(鹿取泰衛君) そのとおりでございます。
  70. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこで、今回の演習の三台の戦車が具体的にどのような移動ルートをたどってきたかということについて伺いたいのであります。が、何年何月、どういうルートでこの北富士へ入ってきましたか、それを明確にしていただきたい。
  71. 鹿取泰衛

    説明員(鹿取泰衛君) その詳細につきましては外務省においてはわかりません。もし、施設庁のほうにおいてわかっておりましたら、そちらで答弁していただきたいと思います。
  72. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 二十九日以来の演習に使っております戦車は、七月十一日に沼津に上陸をいたしまして、自後、東富士キャンプ場にずっといる戦車を使っている、かように承知をしております。
  73. 足鹿覺

    足鹿覺君 どこから来たんですか。
  74. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 沖繩から来たと思います。
  75. 足鹿覺

    足鹿覺君 沖繩の前は。沖繩に来る前は。
  76. 高松敬治

    説明員高松敬治君) それは存じておりません。
  77. 足鹿覺

    足鹿覺君 沖繩に着いたのはいつですか、どこからか知らぬが。
  78. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 沖繩にいる部隊が参ったわけでございますので、沖繩にその部隊が着いたのはいつか、ちょっと私は存じておりません。
  79. 足鹿覺

    足鹿覺君 先ほどキャンプ・コートニーと言いましたが、コトニーだそうですから、私訂正をいたしておきますが、この七月の十二日に東富士キャンプへ入った、そして向こう何日間北富士演習するのでありますか。
  80. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 七月二十八日のいわゆる契約期間切れまでに何回か演習は行なわれたど思いますが、それ以後二十九日まで演習はやってないはずであります。
  81. 足鹿覺

    足鹿覺君 いつまでいるのか。あなたは人の言うことにまともに答弁しなさいよ。悪い癖がある。
  82. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 兵員の交代はあると思いますが、戦車自体は持って帰って新しいのを持ってくるのか、そのまま残すのか、この点は明確でございません。
  83. 足鹿覺

    足鹿覺君 沖繩までの移動ルートは外務省も防衛庁もわからぬ、そういうことですね。そういうふうに理解してよろしいですね。今後、演習が済んだあと、どのようなルートをたどるかについては明らかでありませんか。
  84. 高松敬治

    説明員高松敬治君) いまほど申し上げましたように、演習に参加する兵員は交代するかもわかりませんが、戦車自体は沖繩に持って帰るのか、あるいは当分、東富士キャンプに置いておくのか、その点は明らかでございません。
  85. 足鹿覺

    足鹿覺君 それではおかしいではないですか。いやしくも、あれだけの問題を起こしている北富士演習場に、何日間、どういう目的で滞在するのか。実弾射撃を行なうのか。兵員は交代するけれども、張りつけだ、そういう全く無条件で入れているようなことでよろしいんですか。だから私は、そういう重大性があるならば、もっと堂々とこれは事前協議の対象になさるべきではないか、こういうふうに言わざるを得ないのでありますが、外務省、事前協議の対象にはなさらぬのでありますか、いまの御答弁では。
  86. 鹿取泰衛

    説明員(鹿取泰衛君) 事前協議の対象になるものとは考えておりません。
  87. 足鹿覺

    足鹿覺君 その理由は。
  88. 鹿取泰衛

    説明員(鹿取泰衛君) 理由は安保課長から説明させたいと思います。
  89. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) お答え申し上げます。  安保条約に付属されております交換公文で、御承知のとおり、事前協議の対象とされている事項は、合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更及び日本国から行なわれる戦闘作戦行動、ただし条約第五条の規定に基づいて行なわれるものを除く、のための基地としての日本国内の施設及び区域使用、以上三点でございますが、北富士における戦車訓練これ自体は、ただいま申し上げました事前協議の対象となるべき三項目には該当しないと考える次第でございます。
  90. 足鹿覺

    足鹿覺君 これは、国民は新聞報道その他、総合的に判断をし、見ているわけでありますが、第三海兵師団の部隊が北富士で実弾演習を行なった後、沖繩に戻る——日にちは明確でないでしょうが、沖繩に戻る。そのまま居すわるわけはないでしょう。そうしてそれは第七艦隊に乗り込み、洋上で作戦命令を受けてベトナム戦域に送り込まれたケースがこれまでにもあったといわれますが、ないという断言はできますか。あるんですか、ないんですか。
  91. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 沖繩の復帰前と復帰後の現在とでは、条約的、法律的に局面を分けてお考えいただきたいと存じますが、過去数年間、ベトナムにおきましてアメリカ軍の海兵隊を含む地上介入があったことは御承知のとおりであり、その中には海兵隊も地上作戦に参加したことが過去にあることは私もそのように聞いております。
  92. 足鹿覺

    足鹿覺君 その作戦命令は洋上で受けておりますが、沖繩復帰後においてはそういう事実はないとおっしゃるのですか。
  93. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 問題を二つに分けて御説明さしていただきたいと存じます。海兵隊を含む米軍の、ベトナムに派遣されての戦闘参加ということと、沖繩の第三海兵師団の一部の要員がベトナム戦争ということとは直結せずに、常時第七艦隊の一部の船に一年じゅう乗っておりまして、万一何かあったときにどこかへ派遣されるような体制を常時とっているという二つの側面がある次第でございます。そして、先生がただいま御指摘の、洋上において作戦命令を受けるというお話は、仮定の問題として将来何らかの事態の際に、そのような事態があり得ることは理論的に否定できませんけれども、そのことと過去に海兵隊がベトナムに派遣されたということとは別である。すなわち洋上に待機しているものが行ったというよりは、むしろベトナムにそのまま海兵隊あるいは米陸空軍が過去においては派遣されていた、その兵力は総計陸空軍合わして五十万というレベルにまでいっていた、その事実はそのとおりでございまして、二つ、洋上派遣、洋上待機という編成といいますか体制とベトナム派遣ということとはお分けになってお考え願いたいと存じます。
  94. 足鹿覺

    足鹿覺君 なお、第三海兵師団は岩国の第一海兵航空団とともに、いわゆる特殊部隊といわれる第三海兵水陸両用部隊司令部の指揮下にあるといわれておりますが、そのとおりですか。
  95. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) そのとおりであります。
  96. 足鹿覺

    足鹿覺君 第三海兵水陸両用部隊はその一部を常時第七艦隊にのり込ませており、有事の際に直接戦場におもむくことのできる体制をとっておるということは、いまも安保課長が述べられたとおりで御確認になったわけでありますが、最近において、沖繩復帰後において、ベトナムへ作戦命令を受けて出動したという事実は御確認になっておらないんですか。
  97. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 第三海兵師団の歩兵部隊が常時第七艦隊の艦艇に乗り込んでいることは承知いたしておりまするけれども、その部隊がベトナムに上陸しているという情報は聞いておりません。これは私どももそうでありまするし、いま聞いたところでは外務省のほうも同じだそうであります。
  98. 足鹿覺

    足鹿覺君 昨日から演習が開始されておりますが、強行でありますが、今回で本年何回目でありますか。
  99. 薄田浩

    説明員(薄田浩君) 今年からだけ申し上げますと、大体毎月二へんほどやっておりまして、ちょっと、ざっと数を勘定いたしますと約六十回ぐらいになると思います。
  100. 足鹿覺

    足鹿覺君 六十回、今年になって……。
  101. 薄田浩

    説明員(薄田浩君) 後ほど正確に……。数字が間違っておりましたら訂正させていただきますが……。
  102. 足鹿覺

    足鹿覺君 毎月二回で六十回、それはおかしい。
  103. 薄田浩

    説明員(薄田浩君) 失礼いたしました。四十九回でございます。
  104. 足鹿覺

    足鹿覺君 四十九回、今年になってから。
  105. 薄田浩

    説明員(薄田浩君) はい。
  106. 足鹿覺

    足鹿覺君 月二回ではそういう計算になりませんね。一体防衛庁は何を考えているんですか。いつもあなた方はヘリコプターに乗って現地へ一緒に行っているんでしょう。その回数が的確につかめないのですか。そういうでたらめがありますか。もっと明瞭に——月二回、四十九回、一体そういう計算は防衛庁のどういう計算機でそういう計算が出てきたのですか。そういうたよりのない防衛庁で一体国民が納得しますか。もっとしゃんとした答弁をなさい。
  107. 薄田浩

    説明員(薄田浩君) 失礼いたしました。私の月二へんというのは間違いでございまして、いまずっと勘定いたしまして四十九回、こういうことで、つつしんで訂正させていただきます。
  108. 足鹿覺

    足鹿覺君 本年に入ってからの、何月何日から何日までというようにして、四十九回だということは間違いないというお話でありますから、それを御提出願いたい。そういたしますと、今後の予定は通告を受けておるのでありますか。
  109. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 本日付で九月六日、七日に実施する、こういう通告がまいっております。
  110. 足鹿覺

    足鹿覺君 先の見通しはないですか、次の日程だけしか連絡はないのですか。
  111. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 大体一週間前に演習の通告がある、こういうことになっておりまして、現在通告を受けておりますのは九月六日、七日ということでございます。まだその先にも若干あろうかと思いますけれども、通告はまいっておりません。
  112. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうしますと、これはたいへんな数になると思うのですね。これはたいへんな回数になります、現在見たところ。私どもは現地を何回も見てきておりますが、全く赤茶けた富士の顔がめちゃめちゃになっております。このように回数がだんだんふえてくるということは、本土とベトナムの中継基地化が進んでおるのじゃないか。北富士、沖繩で第七艦隊に乗ってベトナムに行く、それはいまのがすぐ行くということでなくして、待機しながら順繰りに行っている。ということは本土の基地の自由移動の既成事実の積み上げに通ずると思いますが、防衛庁はそのような重要な問題をどのようにお考えになっておるか。外務省も、いまの事実をお考えになっても、なおこれは安保の事前協議の対象にならないという主張を続けられますか、よく慎重に考えて御答弁願いたい。
  113. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) いまの北冨士等における演習が、いま基地の自由移動と言われたように思いますが、基地の自由移動というようなことになるものとは考えられないと思います。
  114. 足鹿覺

    足鹿覺君 考えられないとおっしゃいましても、事実上において実弾演習をやったものが、ここにいろいろな写真がありますが、現在やられているM48ですが、この戦車は動く砲台ですね。さらにまだ大きいのがこれから開発されようとしている。たとえ洋上で作戦命令を受けてもアメリカにとっては作戦行動であります。この事実は何といえども変えることはできません。しからば、当然、連続して五十回近くも、今後も引き続きある、こういうことは基地そのものの移動が自由に、ほとんど事前協議の対象にもならないで自由に移動することとなると私は解釈する。長官の解釈はきわめて事務的な解釈だろうと思う。当然事前協議の対象とすべきものだと思う。基地の移動の特権化は断じて許せないと私は思います。外務省と防衛庁は、この点について、とくと今後この事態を考えられて、対処してもらいたいと考えます。検討の余地がないというお考えでありますか。検討をして対処するというお考えでありますか。
  115. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 北富士演習場等を米軍使用をして演習をする、相当ひんぱんな回数これを行なっておるということが、基地が自由に移動をするというふうに考えるべきものではあるまいというふうに考えます。演習を行なって帰る、演習に来る、ひんぱんに演習に来るということでありまして、基地の移動というふうに考えるべきものではあるまいというふうに考えます。
  116. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) 先生の御質問、二つあるかと思いますけれども、基地の間の移動の自由という点でございまするけれども、沖繩から日本へ、また日本から沖繩へというのは、これは当然米軍としてそういう権利を持っておりまして、安保条約地位協定の第五条に基づきまして、米軍施設区域間を自由に移動することができるということでございますので、この点については格別に問題はなかろうと思うのです。  それから、洋上におります米軍が作戦行動命令を受けましてベトナムに上陸作戦を行なうという点につきましては、これまでの国会におきましてしばしば政府側から防衛の質問に対しましてお答えしていると思いますけれども、これはいわゆる事前協議の対象になる問題ではないということを確認いたしておきたいと思います。
  117. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は、直接ベトナム戦争に介入しておるという断定はいまいたしておりません。間接的には確かに介入しておる、日本の基地から。これは「労働判例」でありますが、「ベトナムの平和は国民大多数の意見、「侵略反対」のプレート着用は憲法上公社職員に許された自由な意思表現行為、戒告処分は無効」という判例が——本年の五月八日、東京高裁で判決が出ております。その判決理由を読んでみますと、重要な点を、一部を読んでみますと、「ベトナム戦争の早期終結による平和の恢復は、世界各国国民の熱望であり、殊に悲惨な戦禍を経て、戦争放棄を憲法に明記するにいたった我が国国民大多数の悲願であり、そのため米国その他第三者たる大国がベトナム戦争に直接、間接を問わず軍事的に介入することの停止を求めることも、我が国国民大多数の切なる念願であることは、すでに顕著な事実というべく、そのことは程度の差はあれ、昭和四二年頃においても変りないところである。」。かような判例が出ておることはよもや御存じないことはありますまい。これは、有名な全電通の「侵略反対」提訴事件として、大きく報道された事件であります。これは、本年の五月八日の、たったこの間の判例ですよ。かくのごとく、判例の上から見ても、沖繩から本土へ、本土から沖繩を経て第七艦隊を経てベトナムへ行く、これは直接、間接を問わず、この判例の趣早にも大きくもとる、時代の流れに合致した動きとは考えられません。少なくともきょうは外務大臣の出席を求めて、これらの点について、これらに対する基本姿勢をただしたかったのでありますが、いずれまた日を改めて私はお尋ねをいたしたいと思います。とくと、この判例等もよくお考えになり、そして今後のあなた方の対処のしかた、これを十分反省をし、検討されることを強く要望しておきたいと思います。  さてM48型戦車がいま富士に来ておるわけですね、いま来ておるのは。
  118. 高松敬治

    説明員高松敬治君) M48型戦車でございます。
  119. 足鹿覺

    足鹿覺君 この問題、この戦車は核砲弾との関係はあるかないかということをお尋ねしますが、今回演習を行なっている戦車はM48型だといま御発言になりましたが、この戦車の主砲は九〇ミリ砲であり、あなた方の自衛隊の主力国産戦車の61式戦車に装備されている砲も九〇ミリ砲である。この九〇ミリ戦車砲で核砲弾を発射することがありはしないかという懸念がありますが、久保さん、あなたは防衛の専門家でありますが、真実はどうですか。
  120. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 61戦車は問題になりませんけれども、米側、特に海兵隊で持っております核砲弾を撃てるものは一五五ミリのりゅう弾砲と二〇三ミリの大砲でありまして、戦車はこれは撃てません。
  121. 足鹿覺

    足鹿覺君 ただ申し上げたいことは、この第三海兵団には、核砲弾を発射できる、いまあなたが言われた一五五ミリりゅう弾砲と八インチ——二〇三ミリりゅう弾砲、いずれも自走砲が配備されておるということであります。動く砲台はまさにこのことであろうと思いますが、第三海兵師団には、このような核弾頭を装備できるりゅう弾砲があるわけであります。これが北富士に来ないという保証は私はないと思います。保証があるとお考えになりますか。断言できますか。
  122. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 施設庁と私の関連することでありますので、私からお答えいたしますけれども、一五五ミリと二〇三ミリの大砲が北富士に来ないという保証はないと思います。いま施設庁のほうから伺いますと、そういうことのようであります。しかしながら、もしかりにそれが北富士に参って——これは仮定の話でありますけれども、参って訓練をするといたしましても、当然普通弾での訓練しかできないはずであります。
  123. 足鹿覺

    足鹿覺君 そんなことはあたりまえのことですよ。核弾頭を装備することはできないことは、核を持たず、核を製造せず、非核三原則ですね、前の佐藤さんが言っておった核を持ち込まない、この三原則の上からいっても、これはあたりまえのことであります。しかしながら、同じ第三海兵師団が、このような核弾頭を装備でき得るりゅう弾砲を、二種類も自走砲を持っておるということはきわめて危険きわまることであります。北富士にもしこれらが来ないと断言できないならば、このような核弾頭を装備でき得るようなもののときには事前協議の対象になさる量見かどうか、これを承っておきたい。
  124. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) お尋ねは核兵器を使用し得る装備の持ち込みは事前協議の対象とすべきではないかという趣旨だと拝察いたしますが、日米間で事前協議の対象とすべき旨、明確に了解しておりますのは、核兵器のわが国への持ち込み並びに中長距離ミサイルの基地の建設ということになっておりまして、物理的、理論的に核兵器が核弾頭を撃ち得るからといって、まあその砲身といいますか、大砲といいますか、そういう装備一切を事前協議の対象とするというふうにはしておりません。  なお、現に海兵隊は沖繩におりまして、先生御指摘のような装備を持っておりますが、沖繩といえども日本の国土の一部でございまして、事前協議との関連で沖繩と本土とを違えて論ずるということはできないのではないかと考えております。
  125. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は、この核装備したもの自体が対象になるということでありますが、核装備し得る、そういうものは、これはあなた方がいつもついて見ておるわけにはまいりますまい。したがって、それがないという保証は、私はあなた方も口幅ったいことは言えないと思うのです。むしろそういう危険のあるものは進んで事前協議の対象にするような姿勢で増原長官に対処してもらいたい、かように私は思いますが、いかがですか。
  126. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) いままでは、いま安全保障課長がお答えをしましたように、核弾頭その他核兵器についての事前協議——事前協議も、これは必ずノーという特別の事前協議ということになるわけでございます。そういうことでまいっておりまするが、核の砲弾を撃ち得るようなものについても事前協議にかけるべきであるかどうか、ちょっと、これ、ただいま私ここで一存でお答えをいたしかねます。検討をさせてもらいたいと思います。
  127. 足鹿覺

    足鹿覺君 十分に慎重な検討をされて善処を強く要望いたします。  そこで、いまもお話がありましたように、ベトナムにおきます核・非核両用りゅう弾砲の使用についてでありますが、第三海兵師団が装備しているといわれる核・非核両用の一五五ミリりゅう弾砲及び八インチ——二〇三ミリりゅう弾砲は、従来からベトナムに搬入されております。最近地上戦から手を引くまで使用されていたことはあなた方も認めておられますが、確認できますね。
  128. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) ただいまおあげになりました両種類のりゅう弾砲を第三海兵師団で持っていることは確かだと思います。
  129. 足鹿覺

    足鹿覺君 なお、この一五五ミリりゅう弾砲は南ベトナム軍にも供与されておることは周知の事実でありますが、これもお認めになりますね。
  130. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 私ども、記憶はちょっと確かでありません。記事で読んだように思いますが、おそらく装備していると思います。
  131. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこで、北のT54に対抗していくためにはM48の、現在来ておるものの増強を南ベトナム側は求めておるようでありますが、戦車の完全なオーバーホールまでできるのは、アジア地域では日本の本土でないとできない、こういうことである。ベトナム北部のクアンチ市が陥落した五月初めから六月にかけて、日本から米軍のC5A大型輸送機で少なくとも十五台のM48が南ベトナムに空輸されたことが南軍筋によつて確認されておりますが、海上輸送でもこれまで数十台運ばれたといわれておりますが、こうなりますと、全く日本はベトナム戦争の補給基地、戦略基地、修理、すべての基地化の道をたどりつつあると思います。したがって、先ほども長官は、今後、核装備をし得る自走砲の大型りゅう弾砲については、事前協議の対象にするかしないかということについては慎重に検討したいということでありますが、このような状態から見ましても、きわめて危険な状態にある。わが国でこのような演習のできるところは、いまのところ北富士を除いてなさそうであります。したがって、小山長官もおいでになったようでありますが、私は北富士の自然を守っていく上におきましても——富士全体が国立公園に指定されておることは、昭和六年ですか、国立公園法以来、今日の自然公園法に至るまで一貫しております。で、これを考えたときに、やはりこの際もう一ぺん洗い直して、北富士の問題についてはあらゆる角度から洗い直して、このような危険な状態を未然に防止することが私は必要であると考えます。環境庁長官、御所見はいかがでありますか。
  132. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 私どもが所管しております公園法によるところの富士山周辺におきましては、いまの演習場は除いてあるわけであります。これはまあ以前から、この古いときから除いてあるわけであります。
  133. 足鹿覺

    足鹿覺君 あとで小山さん、また申し上げますがね、そういう御答弁は、この間の鈴木さんの答弁のときと、あれは暫定使用契約前であったからあなたはそういう御答弁でもこと足りたかもしれませんが、午前中の、官房長官がおいでになっての暫定使用協定が曲がりなりにもできた今日において、いまのあなたの御答弁では、環境庁長官としての御答弁にはならぬと私は思います。あとでこれは詳しくお尋ねをいたしますが、よくそれまで御勘案になっておいてください。よく頭を冷やして、そして考えてください。  次に伺いますが、忍草入会組合、忍草母の会による米軍戦車の演習阻止の行動についてでありますが、法務省のほうに伺いますが、忍草入会組合、忍草母の会の人々は、八月二日から北富士、東富士を結ぶ軍用道路に監視隊を出して、米軍がこの道路を通った場合、通行阻止行動をとることにしておる。この道路は七月二十八日以降すでに自動返還となっておる県有地を通過しておるのであります。その事実との関連においてお尋ねをいたしますが、右の県有地国内法上、提供施設区域としての拘束から免れているのではないか、かように思いますが、施設庁並びに法務省民事局長の御見解を承りたい。
  134. 高松敬治

    説明員高松敬治君) この前にも御答弁申し上げたと思いますが、七月二十八日で県との契約が切れた、したがいまして日本政府としては米軍に対して無権限で区域を提供しておると、こういう形になっております。
  135. 川島一郎

    説明員(川島一郎君) 民事局でございますが、ただいまのお話しになりました事実、私、事実関係をよく承知しておりませんので、ちょっとお答えいたしかねるのでございますが、県有地を戦車が通ることについて何か民事上問題があるのではないかと、そういう御質問でございましょうか。
  136. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうなんです。
  137. 川島一郎

    説明員(川島一郎君) それは県のほうで承知をしたりあるいは黙認をしておられるというのであれば格別問題はないと思いますが、その辺の事実関係は私承知いたしておりませんので、ちょっとそれ以上お答えいたしかねるわけでございます。
  138. 足鹿覺

    足鹿覺君 じゃ申し上げますが、地位協定十六条を引用するまでもないと思いますが、米軍は日本の国内法を尊重する義務を負っております。また裁判所も「日本国とアメリカ合衆国との間の安保条約第三条に基づく行政協定二条一項により、合同委員会の議を経て、日本国においてアメリカ合衆国に対し、特定の物件を提供することを協定しても、それだけでは、日本国がアメリカ合衆国に対し国際法上その物件を使用に供すべき義務を負うに止まり、直接日本国民個人の権利義務に消長を来たすのではなく、日本国が右義務を果たすためには、右協定とは別に、国内法令により、適法に当該物件を使用し得る措置を講ずることを必要とする」、これは昭和二十八年六月二十四日、東京地裁の判決であります。このような判決から見ましても、暫定使用協定前と暫定使用協定後との関係は若干入り組んで私もお尋ねしたようでありますけれども、少なくとも暫定使用協定は、民事局長も午前中官房長官の御答弁をお聞きになったと思いますが、恣意的であり、純法律的にわれわれはこれを理解することができない。これを本協定に直すのか、あるいは暫定使用協定を次々と延長していくのか。どうも午前中の答弁では、暫定協定を結んでおいて、その間に構想を考えよう、こういうことのように受けとめます。したがって事実上においては、これは全く協定内容に値しない、文体といい中身といい利益供与の問題が中心となり、仮空の富士保全法のようなものが出てきて施設区域における助成の措置の問題等が織り込まれてありまして、純粋な意味におけるところの本契約認めがたい。こういう点は官房長官も大体肯定的な見解をとっておられたようであります。そういう意味から、この判決に見られるように、右の県有地はまさにこれに該当しておると思うのです。日本の国内法秩序において、ただいまの判決に該当しておると思うのです。他人所有の土地を、所有者や用益権者に無断で通過することは何人も許されないと私は考えます。どうですか。
  139. 川島一郎

    説明員(川島一郎君) まあ一般的な議論としてお答えさしていただきたいと思いますが、安保条約に基づくその提供義務として土地使用認めるということは、まあいろいろな方法が可能であると思います。正式の契約によることもできますし、暫定的な取りきめでありましても、それが一定の期間効力を有する、使用認めるという取りきめでありますれば、それによることも可能であるというふうに思うわけでございますが、全然そういった契約の対象となっていない土地につきましては、いま最後に足鹿委員の仰せになりましたとおりであろうというふうに思います。
  140. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこで本件の米軍戦車の場合、米軍が強行通過しようとして、これに阻止行動を忍草母の会がやった、また他の人たちもやった、こういう事態は法務省も御存じであろうと思います。現地における混乱はきわめて遺憾であります。で、私は北富士演習場県有地民有地の所有権者の立場から見れば、自分の所有権行使の立場から、侵害排除のため、自力救済も辞さないという態度をとるのは当然であって、この米軍戦車の強行通過という違法的行為を阻止するのは合法的行為と私どもは理解したい、かように思いますが、いかがでありますか。
  141. 川島一郎

    説明員(川島一郎君) 他人の土地を権限なくして使用することが不法行為を構成するかどうかという意味におきましては、まさにそれは不法行為になる場合もあり得るわけでありますから、そういう場合に該当するといたしますと、それを阻止するために自救行為的な阻止行為ということが許される場合もあろうかと思いますけれども、これは具体的な問題につきましてはいろいろな事情によりますので、私は何ともお答えすることができないのであります。
  142. 足鹿覺

    足鹿覺君 まあ時間もありますから次へ移りますが、山梨県警では、県有地内の軍道を米軍が通過するのを阻止する行為は刑法二百三十四条の威力業務妨害罪に該当するとの談話を発表したと聞いておりますが、忍草母の会は、威力を用いるのは、そして威力を用いて業務妨害を行なうなどということはしたことがない、一ぺんもやったことはない。おかあさん方で、年寄りで、何もそんなことをやったことはない。で、むしろ、威力業務妨害とは言いませんが、威力で威圧を加えておるのは警察側じゃありませんか。だが、比較的県警の態度は、これから述べますが、弾力的で、比較的穏当な態度をとっておると聞いております。ここに写真がありますが、これは国道百三十八号線です。この三十八号線から自衛隊廠舎へ向けて村道がある。この村道の取りつけ口からちょっと二十三、四メートルぐらい離れたところに防衛庁はバリケードを築いておる、これがそうであります。また、それから三十六メートルほど奥に鉄材を使って、有刺鉄線を張りめぐらして、さらに門扉をつくっておる。村道にですよ。いつ村道のこのような使用の許可をとっておりますか。村長は許可した事例はありません。このような不法、不当な町村道の使用は道路法上からもゆゆしい問題ではありませんか。
  143. 高松敬治

    説明員高松敬治君) あの道はいわゆるそま道で、村道かどうかはちょっと私のほうではっきりしませんが、いわゆるそま道であり、それから施設区域の中の道でございます。
  144. 足鹿覺

    足鹿覺君 それではごらんに入れましょう。これですね。昭和四十七年三月十八日忍野村忍草三番地渡辺勇から山中湖村長高村捷治あてに、「別添図面のうち赤線にて表示してある道路は山中村道二号線であることの証明を願います」、「上記のとおり相違ないことを証明いたします四十七年三月十八日山梨県南都留郡山中湖村長高村捷治」と、れっきとした判を押してあるではありませんか。あなたたちはこういうものを知っておって、こういうかってな、村道上に、あなた方が威力行為をやっておるんじゃありませんか。この事実をどうしますか。村長が確認した道路を国の施設庁長官ともあろう者が村道かどうかわからぬとは何事ですか。なってないじゃありませんか。そんなことで国政が運用できますか。正しい行政ができますか。長官いかがでありますか。もう少し御反省になってしかるべきと思いますが。
  145. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 事実関係を調べまして後刻御報告したいと思います。
  146. 足鹿覺

    足鹿覺君 冗談じゃない、ちゃんとここに図面があるんじゃないですか。あなた方は全く住民の意思というのを虫けらのごとく考えておる。同じ日本の国民じゃありませんか。あなた方も、防衛庁というあまり国民からは好まれない存在であっても日本人、国民です。忍草の人々も同じ日本人である、国民である。それを、ちゃんとこれだけ村長が証明して、別添赤線のところは村の道だと確認したものを調査の上答弁するとは一体何事ですか。こんなばかな答弁を認めませんよ、これは。内閣委員会を侮辱するか。ふざけたこと言うな。これ持っていって見れ。長官、遺憾の意を表明して陳謝せい。
  147. 高松敬治

    説明員高松敬治君) あの道につきましては若干違うところがございます。それで、その点をよく調査をして正確な御報告を申し上げたいと、かように申し上げたわけでございます。つまり、あの道は山中村道二号線ではなしに、昭和十一年に自衛隊が建設した道路であるというふうな話もあるわけでございます。そこで、その点につきまして、それからまた、もしそれが村道であった場合に、現地で村当局の承認その他の問題をどうしているか、そういうこともあわせて調査をしてお答えを申し上げたい、かように申し上げたわけでございます。
  148. 足鹿覺

    足鹿覺君 増原長官に御所見を承っておきますが、いまお目にかけたとおりであります。このようなことはあなた方のほうがずさんであって、ちゃんと村長が渡辺勇の申請に対して証明をしておるんです。その公道の上にこのような不法構築物をつくって、そして地元住民の入り会い権にしろ入り会い慣行権にしろ、通行を妨害しているんです。そこを通って、今度いよいよ着弾距離におけるところの、いわゆるあなた方の言うゲリラ活動というものが行なわれておる。忍草母の会としては、あるいは心ある人々は自分たちの生活権を守るために危険をおかして入っている。ところが、昨日行なわれた実弾射撃の際の体験談でありますが、地上五メートルくらいのところまで——プロペラ二基のヘリコプターに米軍と、防衛庁の役人かあるいは自衛隊員かもわかりませんが、同乗して五メートルの低空で、ゲリラ排除の目的だというので、公には、隠れておる人がいないか、実弾を撃つとあぶないからという危険防止の美名のもとに五メートルの超低空をやって、そして富士はもう寒いから、たき火を燃やして自分たちの存在を示し、暖をとっておる婦人の顔に火炎をふきかけて負傷せしめておる。一体そういう同じ国民同士、自衛隊員か防衛庁の役人が乗って案内をしてきて、そのまま乗っておったかどうかはこれから調査をしなければわかりませんが、抗議を申し込まれて、一応この問題はこのときはおさまっているようでありますが、超低空飛行をやって負傷者を出した。超低空飛行はいかような名前にしろやめるべきである。そのことそれ自体が人間の生命と身体に危険を及ぼすではありませんか。たとえ米軍がそれをやるといっても、防衛施設庁は、いやそれは困るととめるのがあなた方日本人の立場ではありませんか。その点いかがでありますか。証人はたくさんおりますよ。いつでも長官お目にかけます、あなたに直接。やけどを負った人もおりますし、お目にかけますが、いかがですか。こういう事態を防衛施設庁の現地が米軍と一緒になってやられることは、私は少なくとも——県警のとっておる態度はきわめてものやわらかで、もの腰もきわめて民主的であると現地の人々は言っておりますが、事もあろうに国民を守るという、国土を守ると称する防衛庁、その出先機関がアメリカ演習隊と一緒になってこのようなことをやっておる、ヘリコプターに同乗してやっておるということは許せません。これは忍草母の会その他に対しまして陳謝をし、今後このようなことのないことを長官立場においてはっきり御言明願いたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
  149. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 施設庁長官からお答えをさせたいと思います。
  150. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 従来から、演習を始める際には非常に危険がございますので、安全の確認のためにヘリコプターその他によって、危険区域に人が入っていないかどうかということを確認いたしております。いまお話しのように、私のほうの職員もヘリコプターに乗っておりますけれども、これは米軍自身でいろいろ直接地元住民とぶつかるというふうなことになっては非常にまずいと思います。むしろ施設庁の職員がそれと一緒に行動して、そして、そういう危険が起こらないようにするというのが目的でございます。そしてまた事実そういうふうにやっておるはずだと思います。けれども、超低空でやったという話につきましては、私いま初耳でございますけれども、そういう危険な方法はもちろんとるべきではなかろうと思います。
  151. 足鹿覺

    足鹿覺君 超低空飛行をやることはやめる、門扉その他は撤去する、アメリカ軍のヘリコプターへの同乗は見合わせる、こういう態度で厳正に私は対処してもらいたいと思いますが、増原長官、この点を、あなたも国民から選ばれて御当選になり、初代の保安隊の長官から今日までこの道一筋に生きてこられた人でありますが、国を守る国民の自衛隊たらんというあなた方の念願とこの事実は相反しておると私は思います、反省あってしかるべきだと思う。私たち事実無根なことは申しません。しかとした事実を携えて申し上げておるのであります。御善処を願って御検討いただけますかどうか。
  152. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) そういう事態の起こりますることはまことに遺憾なことでありまして、米軍としても、また同乗します施設庁関係者にいたしましても、危険を予防するという意味における措置としてのヘリコプター視察であるわけでございます。危険の生ずることなどのありませんように、十分気をつけたことをやらせるということを申し上げます。なお、この道路上における造作物は、実は私どものほうの資料とたいへん違っておるので、先ほども、なお一度よく調べさせていただきたいと申したのでありますが、そういうたてまえで申したわけでありまして、おっしゃるとおりの村道であるというふうなことが私どものほうで確認できますれば、さようなものは即刻取り払うことにいたします。
  153. 足鹿覺

    足鹿覺君 先を急ぎますので、十分御善処いただきたいと思います。あなた方のほうが威力を持って業務をやっているのです。忍草母の会ははなはだ穏やかに対処しておる、あなた方が挑発しているのです。ぜひ御善処願いたいと思います。  ちょっともとへ戻りますが、暫定使用協定を結んだ目的は米軍演習要請にこたえるためのみの意図でありますか。官房副長官御答弁願いたい。
  154. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 官房副長官がおられますので、お答えを願いたいと思います。
  155. 山下元利

    説明員山下元利君) まことに申しわけございませんが、もう一度お願いいたします。
  156. 足鹿覺

    足鹿覺君 要するに、暫定使用協定を結んだ意図は米軍演習要請にこたえるためだけのもので暫定協定をお結びになったかどうかということです。
  157. 山下元利

    説明員山下元利君) ただいま御指摘の点は、二階堂官房長官山梨県知事との間の覚え書きの点でございますか。——ども協定ということには解釈をいたしておりませんので、私どもの承知しております官房長官山梨県知事との間の覚え書きは、午前中の会議におきまして官房長官からもその性格について申し上げましたとおりでございまして、その点についてでありますならば、私どもは、この演習場に関しまして地元立場そして国の立場との間において円満な解決をはかる意味をもちまして、官房長官山梨県知事とがその覚え書きを交換いたしたわけでございます。そのように御了承賜わりたいと思います。
  158. 岩間正男

    岩間正男君 聞いていることに答えなければだめですよ。聞いていることは、米軍演習のためにだけやったのかということです。答弁にならぬですよ。官房副長官に教えるのじゃないが、おかしいのだ。
  159. 足鹿覺

    足鹿覺君 山下長官、それを聞いているんです。
  160. 山下元利

    説明員山下元利君) 私どもは、北富士演習場の問題につきまして、山梨県知事官房長官とが覚え書きを交換した、かように考えておる次第でございます。
  161. 足鹿覺

    足鹿覺君 それは午前中に長官は、こまかいことは副長官を残しておくから聞いてくれということなので、それを、長官に上乗りをしたような抽象的な御答弁になったんじゃ困る。私が心配いたしますのは、注釈を加えますと、米軍演習要請にこたえるためのみのものかと聞いておるのは、自衛隊への使用転換をもあわせて実現するためかと、このきらいがありはしないかということ、具体的に言わぬとわからぬらしいから、はっきり申し上げましょう。どうですか。
  162. 山下元利

    説明員山下元利君) 具体的なお示しでございますので、お答え申し上げますが、私どもは、そうした問題もこの話の過程において出たことは事実でございます。しかし、そうしたことの問題も含めまして、今後政府山梨県知事との間におきまして話し合いを進めてまいりたいということでございまして、具体的に米軍との間だけの問題に限られてはおりません。この北富士演習場の問題につきましていろんな問題を誠意を持って解決したいというのがあの覚え書きでございます。
  163. 足鹿覺

    足鹿覺君 協定そのものもわからぬし、あなたの答弁でますますわからなくなるんですが、この暫定協定のほんとうのねらいは米軍使用を保障することを当面の目的としておるが、自衛隊への使用転換にあることは、私はどうもその辺がくさいと、これをいまの国民感情からは許せないと、これに対してはせつ然たる区別をつけて、そしておやりになることが、各論としては——総論は済んだわけですから、山下さんと私との質疑応答は、各論でこまかく聞きましょう。どうですか。断言ができませんか。
  164. 山下元利

    説明員山下元利君) あの覚え書き自体はそのことについては触れておりません。しかしながら、いま先生御指摘の問題はかねがね懸案になっている問題であることも事実でございまして、私どもといたしましては、そうした問題も含めまして、この三カ月の暫定協定の期間の間において円満な話し合いを進めてまいりたい、このように考えておるわけでございまして、各論としてのお答えを申し上げているつもりでございます。
  165. 足鹿覺

    足鹿覺君 その暫定協定のほんとうのねらいは、自衛隊への使用転換にあることはまあ大体間違いないと私どもはにらんでおるんです。そうであってはならぬと、こういうかたい信念で対処してまいりたいと思いますが、しかし自衛隊そのものについての違憲論は別としても、この地域は昭和四十四年——経済企画庁来てますね——新全国総合開発計画の五七ページを見ますと、「自然景観や観光資源に恵まれている箱根、伊豆、富士、上信越、日光、伊豆七島等において、自然を積極的に保全しつつ、レジャー需要の多様化に対応して、海水浴場、別荘地等の整備を行なうとともに、広域観光ルートの形成を進め、とくに、箱根、伊豆および富士北ろく地区においては、国際観光施設を整備する。」、このくだりがあるわけでありますが、経済企画庁は田中新大臣によって、日本列島改造論に基づいて新全総の改定を作業しておるといわれておりますが、同じ内閣ではありませんが同じ自民党内閣で、四十四年のときには富士北ろくは国際観光施設を整備すると言い、一方では米軍使用を許し、行く行くは自衛隊への転換をはかるなどということは閣内不統一もはなはだしいじゃありませんか。ばらばらじゃないですか。出たとこ勝負のこういう行政。しかも新全総は昭和四十四年五月三十日閣議決定、「政府は、別冊新全国総合開発計画をもって国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)第七条第一項に規定する全国総合開発計画とする。」と、こうちゃんときめておるのであります。一体閣議できまり、法律できまったことが自衛隊への転換を腹に持つなどということは、小山長官、一体この新全総は空文でありますか。もう閣議決定で法律化するのも何も全然御破算で、経済企画庁が自衛隊への転換も考えるのだ、これでは環境庁が幾ら元気を出されましても、このような計画を立案いたしましても——あるいは今度改定版をおつくりになるでありましょうが、どのような態度でこれとの調整をはかっていかれる御所存でありますか、まず長官から、続いて経済企画庁から御答弁願いたい。時間がありませんから、要約して御答弁願いたい。
  166. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) この問題は主として経済企画庁が申し上げることだろうと思いますので、経済企画庁からお答えします。
  167. 下河辺淳

    説明員(下河辺淳君) 新全国総合開発計画におきます富士山ろくに関します計画は、いま足鹿委員からお話ありましたとおりでございまして、企画庁としては現在でもこの方針で進むつもりでおりますが、ただし、四十四年にこの計画をきめました当時は、伊豆、箱根、富士という広範な地域についてレジャー地域をつくりたいということで始めておりましたが、御承知のとおり、その後民間によります開発が非常に進みまして、現在の時点ではあまり大きな開発をするよりも保全に重点を置くべきだという考え方が出てきておりますので、先ほど足鹿委員から御指摘ありましたように、総点検の中におきまして八項目ほど考えておりますが、その一つの項目の中で自然環境保全の総点検をしたいということを考えておりまして、環境庁とも相談をしながら全国的に自然環境保全の総点検をいたしますが、その際に富士山ろくについても総点検の対象として環境庁と相談を進めてまいりたいと考えております。
  168. 足鹿覺

    足鹿覺君 前のものよりも後退するんですか。うしろ向きですね、あなた方のやることは。どうも納得がいきませんね。  そこで、この暫定使用協定の中身にもありますが、富士保全法の問題がありますね。小山長官富士保全法、この前あなたは相談を受けておらない——二十三日の当委員会で鈴木委員の御質問に答えて、そういうことは知りません、こう御答弁になりましたね。現在は御承知になっておるでしょうね。
  169. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) あの当時はそのとおりでありましたが、その翌々日でしたか、富士保全法をつくるということを閣議できめられまして、担当庁は環境庁にするということがきめられましたので、現在では、そういう富士保全法というものをどういう観点からつくるかという、いまいろいろ構想を練っている段階であります。
  170. 足鹿覺

    足鹿覺君 この北富士演習場周辺整備事業富士保全法との関連はどのようなものでありますか。富士保全法は保全法でやられる、自衛隊がもし転用を受けたときには環境整備事業で、防衛施設周辺整備法のワクの中で措置するというのか、または別個の予算措置を講ずるつもりなのか、私はそういう点はもっとはっきりしていただきたい。構想を練るというだけでは私は納得がいきません。少なくともこういう契約ができ、地元では大混乱の上、一方的に知事が、あなた方の圧力といろいろな複雑な——保革推薦の知事であってずいぶん努力をされたようでありますが、ついにあめとむちに抗し切れず、このようなことで屈した。この第六の「富士山及び周辺自然環境を保全する等のため富士保全法を制定し、適切な措置を講ずる。」、これは次の国会に、どのような構想でお出しになりますか。
  171. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 次の国会に出すべくこれから準備をやるわけであります。それで、したがって富士保全法という名前のもとに山梨県の知事から印刷物がきておるわけでありますが、これはもう御承知でありましょうけれども、その内容をどういうふうにして固めるかということはこれからであります。
  172. 足鹿覺

    足鹿覺君 小山さんね、あなたも私も衆議院で席を並べておったんですがね、環境庁の長官になられてから切れ味が少し鈍ったんじゃないですか。前の大石さんぐらいの馬力をかけて、型破りのひとつ御答弁をなすったらどうですか。どうもこの間から見ておりますと、あなたの答弁には迫力がない、信念がない。もう少し信念のあるところで、すっきりとした御答弁を願えませんか。どうですか。
  173. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) まだ実はその内容自体が、いま山梨県から出されました素案といいますか、その素案のままではたしてうまくいくのかどうかということについて、われわれは自信がないわけなんです。これが富士山ろくでありますから当然静岡県も関係しておりますし、山梨県も関係しているわけであります。これは、これらとの間のまだ意見の調整もしておりませんし、各省庁との意見の調整もしてない。ただ私どものほうでこの自然保護法を考える場合にはどういう観点から考えるかということだけは私は私なりに考えているわけであります。それは富士山を保全するためにいかなる土地の利用法をやるかという考え方、そういう方向でどのような規制のしかたをすればいいか、あるいはどのような利用のしかたをすればいいかというような点を十分詰めていかなきゃいかぬだろうと、こう思っております。
  174. 足鹿覺

    足鹿覺君 この富士保全法についてでありますが、伝えられるところによりますと、政府側には何らの具体案もなくただ名目だけのものである、県側にたたき台の提案を求めたと伝えられておりますが、まさに世間が言っておるとおりですね。あなたにもまだ何にもない。こういうことで一体国民は納得するでしょうか。全く政治取引の具に供しておる。いやしくもこれだけの環境が汚染をし、公害が全国にびまんをしておる、そういうときにこそ、あなたはみずから進んで短時日の間にいろいろ御検討になってしかるべきだと思います。この前の委員会において、私は大石長官に対して、富士の自然を守る、日本のシンボルとしてのふさわしい環境に置くということについて長官の決意をただしましたが、念のために小山長官、申し上げておきますわ。確かに——大石さんはこう言いました。確かに演習場の問題、私も残念に思う。あの演習地は国立公園に指定するのをあそこだけはずしている、その当時のやむを得なかった事情と思う。できるならば、ほかに代替地があるとか何らかの方法があるなら、やはりあれを自然の姿に戻したいと私も考えておる。そればかりではない。妙な観光道路ができて何万本かの木が枯れておる。情ないと思う。あそこの自然をできるだけ守るため一生懸命努力したいと答弁をしたとたんにちょんになった。それであなたにきた。この大石長官のことばを受けて、あなたは前向きで、いま言った富士保全法というような限定された立場ではなくして、いわゆる自然環境保護に任ずる、自然公園法を所管する大臣として——現在国立公園指定区域演習場との関係は、六千ヘクタールの演習場のうち二千ヘクタールが、自然公園法と演習地が重なっておるわけです。お調べになったでしょう。そういったことをよく御検討になって政府考えておる富士保全法では、富士自然保護ではなく、観光資本の手先にならないように、それに奉仕することにならないようにあなたは対処していかれる責任が私はあると思う。ほんとうに必要なものは、北富士演習場を生活の場としてきた地元民がその土地を旧陸軍に没収をされた、次いで米軍、自衛隊と、硝煙による破壊が続けられて、その被害を一〇〇%こうむってきておる、地元民の生活環境整備が第一に優先され、経済的利益も地元民への還元が保証される形での富士保全法でなけらねばならぬと考えますが、長官の御所見はいかがでありますか。
  175. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) いま足鹿先生が言われましたように、日本列島の象徴としてという意味でいまの特別法考えたらどうか、これは私も同感なのであります。御承知のように、自然の保護の関係は、公園法もあればあるいは自然環境保護法もあるわけですが、それになおプラスして富士山だけに特別立法をするかとなりますと、その富士山は日本列島の象徴であるからという前提でなければならぬ。ですから、富士山を守るためにどのような区域が必要であるか、また、その周辺にはどのような施設なら許していいか、どのような施設を許しちゃいかぬかというようなことを考えながら法律をつくらなければならぬだろうと、こういうふうに思っておるわけです。
  176. 足鹿覺

    足鹿覺君 建設省おいでになっていますか。——道路局長ね、先ほどちょっとあなたに関連して質問することを失念いたしましたが、先ほど防衛庁長官にお見せいたしました道路は山中村道二号線というのであります。山中村道二号線は施設区域に含まれておるのか、いないのか。供用廃止または路線の廃止手続はどうとられておるのか。道路法上の道路であるとすれば道路法の規定が適用されると思いますが、先ほども増原長官においては善処するという御答弁がありましたが、建設省は防衛関係などとは無関係に道路行政のあり方について御所見を承っておきたいと思います。
  177. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 先ほどの村道につきましては実は初めてお聞きしたわけで、さっそく事実関係を調べたいと存じております。もし事実、村道でございました場合には、防衛庁長官から先ほど御答弁ございましたように、さっそく撤去していただくのが最もよろしいかというように考えております。
  178. 足鹿覺

    足鹿覺君 念のために、私が先ほど増原長官にお見せいたしました資料がここにございますから検討していただきたいと思います。  時間がなくなりまして、肝心な入り会い権問題は後日に譲らざるを得なくなりました。まことに遺憾でありますが、この入り会い権問題についてはわずかな時間ではしょった質問をすることはかえって悔を後世に残すというようなことになりますので、きょうは残念でありますが、この問題は後日に留保いたしますので、委員長におかせられましても、その発言の機会をぜひお与えいただきたいと思います。  最後に、国有地開放の問題についてお尋ねをいたしますが、この暫定使用覚え書きの第五の一で国有地開放が約束されておりますが、第五の一、「乙は第三の期間中に次の措置を講ずる。」、「国有地開放については、従前の経過を基礎として今後も引続き努力する。」と、こういうことを書いておりますが、これはどういう意味でありますか。
  179. 山下元利

    説明員山下元利君) ただいまお示しの点につきましては、午前中官房長官の答弁の中にも触れておりましたのでございまして、この問題につきましてはいろいろ経緯をたどりながら結論を得ておりませんけれども、そうした経緯も踏まえて今後この三カ月の間にほかの問題とも一緒に解決のために努力するという趣旨であるかと私は存じております。
  180. 足鹿覺

    足鹿覺君 私から教えてあげねばいけぬようなことでは困る。この資料は山梨県が出しまして私ども調査の際に受けたものでありますが、その一〇八ページ、山梨県南都留郡忍野村忍草区長渡辺勇さんあてに当時の防衛庁長官江崎真澄さんから回答書が出ておる。「政府は、昭和三十五年八月九日付御要望の趣旨を諒とし、早急に最大の努力を払うと共に、貴区が従来所有して来た入会慣行を十分尊重し、誠意を以て善処します。部落民各位には、平静のうちに事態を解決されるよう、切に要望いたします。」、江崎真澄さんはこのような回答書を出しておるのです。このことをさしているのでしょうね、過去の経緯とは。  もう一つありますよ。山下さん、あなたに聞くつもりでおったのだけれども、教えてあげねばいかぬ。まことに困ったものだな。もう一つありますよ。これは同資料一一七ページ、「北富士演習場に対する当面の処理方針について」というものの中に、資料六—四、「覚書」「政府は忍草区長に対する昭和三十五年八月九日付回答書の主旨にしたがい、次の事項を確認する。右により貴区は政府の意のあるところを諒とし現在の事態を早急に収拾されるよう要望する。」「記」「一、政府は貴区民が旧来の慣習にもとづき梨ヶ原入会地に立入り使用収益してきた慣習を確認するとともにこの慣習を将来にわたって尊重する。」「二、政府北富士演習場の早期返還に引続き最大の努力を払う。」「三、政府はすみやかに現行の林野雑産物補償に関する問題点を再検討しその適正化をはかる。」昭和三十六年九月十二日」「防衛庁長官藤枝泉介」、——これは、いまもう地下に眠っていらっしゃいますが。「山梨県南都留郡忍野村忍草区長天野茂美殿」と出ております。この暫定協定五の一、「国有地開放については、従前の経過を基礎として今後も引続き努力する。」、この二つの具体的な事例は明らかに公文で残っておりますよ。これを尊重をされていくかどうか。国有地開放内容は、少なくともこれは最小限度の一線だと思う。私どもはもっと別の角度から考えを持っておりますが、少なくとも、この第五項の「国有地開放については、従前の経過を基礎として今後も引続き努力する。」という意味は、この二つの回答を基礎として今後も進めるという意味に解釈してよろしいですな。
  181. 山下元利

    説明員山下元利君) 繰り返し申しましておりますように、このたびの官房長官山梨県知事との覚え書きは、北富士演習場の問題につきまして現地の方々と十分な円滑な進め方をしたいという趣旨に出ておるわけでございまして、各項につきましては、いろいろ御指摘もございましたけれども、この覚え書き自体の趣旨はそういう精神にのっとったいわば紳士協定のようなものでございまして、この問題につきましての経緯につきましては私どもから答弁いたしますよりは、むしろこの当時の調達庁でございますから、つくられました防衛施設庁のほうから御答弁を願いまして、私どもは全体としての解決に当たりたい、このように考えておるわけでございます。
  182. 足鹿覺

    足鹿覺君 それは山下さん、ぼくは二階堂さんはきょうは御多忙であろうと思って、やはりお互いがお互いの立場を尊重し合うという意味において短時間でお控えをいただいた。あなたが責任を持って答弁するということでありますから、この二つを確認した上に立って前向きに対処すると御答弁のない限り了承はできません。答弁のたらい回しはだめです。はっきりしてください。
  183. 山下元利

    説明員山下元利君) この覚え書きは、先ほどその性格については官房長官の説明を御了承いただいたと私は存じておるわけでございます。この覚え書きにのっとりまして進めていくにつきましては、ただいまも富士保全法等の問題について質疑がございましたように、関係各省と十分協議をいたして解決に当たるという趣旨に出ておるわけでございますから、先生ただいま御指摘の点につきましても、今後防衛施設庁意見も伺い進めてまいるわけでございまして、ただいま、この文書の性格等にもかんがみましてこの程度の答弁でお許し願いたいと思うわけでございます。
  184. 足鹿覺

    足鹿覺君 それは、時間がありませんから私はもうこれ以上申し上げませんが、増原さん、これはあなたの前の防衛庁長官が、江崎それから藤枝両長官が、いま私読み上げた回答を忍草へお与えになった。この精神はあなたも受け継がれますね。いま富士保全法が問題になっておるわけでありますが、しかし、この第五項に基づけば、これは政府態度でありますから、従来の経過を基礎として当然この両回答を尊重しながら各関係省庁と協議をして対処する、このような御答弁のない限り私は了承できません。
  185. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 私に対するお問いでございますのでお答えを申し上げまするが、そこに書いてありまするとおり、従来の経緯を基礎に考え努力をするということでございます。そのとおりにお考えをいただいて、いま申されたようなことが考慮すべき基礎になるということでございます。
  186. 岩間正男

    岩間正男君 ちょっと関連して。  先ほどの応答の中にただしておかないと当委員会の権威に関する問題がありますので、これは明確にしておいてほしい。それは、いままで海兵隊の富士演習場使用状況について何回も資料を求めたわけです。その中にははっきり一五五ミリりゅう弾自走砲、二〇三ミリりゅう弾自走砲は何回も持ち込まれているはずだ。すでに北富士でもそれは演習を開始しているはずだ。これは言うまでもなく原子砲であります。五、六年前にダナンに上陸して、非常に当時世界的に騒がれた原子砲です。これが演習されていることは、何回も当委員会でこれは明らかにされている。政府の出している資料でも明らかなことなんです。それなのに、ひた隠しに先ほどから隠している。この施設庁防衛庁態度というのは、私はこの内閣委員会の論議を前向きに前進させるということにならぬと思うんだ。なぜ隠しているんですか。はっきり入っているんじゃないですか、あなたたちの出しているこの資料の中に。しかも、二〇三ミリりゅう弾砲、一五五ミリは沖繩国会で隠したんです。これ書いてこなかった。それを再追及してまた出さしたはずだ。それまでしているのに、あなたたちはさっきからの答弁の中で当然入っておりますと答えなくちゃならぬはずだ。何ですか。当委員会の権威に関する問題だ、これは。はっきり答えなさい。どうですか。資料を持ってこようか。でたらめもはなはだしいよ。何でも隠す気だ。  それから、ついでに、北富士で何回やったか。北富士で一五五ミリと二〇三ミリ、何べんやったか、それから東富士で何回やったか、ついでに言ってください。これくらいのことただしておかぬとしょうがない。わかんないのか、それ。
  187. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 資料で御提出したいと思います。
  188. 岩間正男

    岩間正男君 いやいや、資料で出したの、いままで何回も。それについて私は言っているんです。だから、あるかないか、はっきり言っておかないと審議にならぬじゃないか。全然入っていないような、ほおかぶりで逃げようとしている。そんなことで許されると思っていますか。当委員会のこれは権威に関する問題だ、いやしくも。足元で起こっている事態に対して何ですか。はっきり入っておるんなら入っていると言いなさい。何回演習したか言いなさい。
  189. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 砲の種類で申しますと……。
  190. 岩間正男

    岩間正男君 いや、入っているか入っていないか言えばいいですよ。そして何回演習したか言いなさい。そんなことぐつぐつ言うことはない、わかっているんだ。
  191. 高松敬治

    説明員高松敬治君) それは入っております。その回数につきましては、ちょっとこれは調べて数えてみなければわかりませんが。
  192. 岩間正男

    岩間正男君 演習はどうです。演習だ、問題は。やった数。演習をやったかいなか。
  193. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 演習はやっております。
  194. 岩間正男

    岩間正男君 やってるでしょう。北富士で何回やっています、北富士で。二〇三ミリ、一五五ミリ。
  195. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 区別で言うのは、数えないとできませんので、至急数えます。
  196. 岩間正男

    岩間正男君 やっていますね。
  197. 高松敬治

    説明員高松敬治君) やっております。
  198. 岩間正男

    岩間正男君 終わるまでに、調べ次第回数言ってください。  どうも失礼しました。
  199. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 本調査についての質疑は一応この程度にとどめます。     —————————————
  200. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 次に、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  201. 中山太郎

    ○中山太郎君 それではまず最初に、行政管理庁長官お尋ねを申し上げたいと思います。  きょうお尋ねをいたす問題といたしましては、先般八月十一日に新聞紙上で報道されましたコンピューター行政推進、各省庁間に通信網、初の情報処理長期計画ということで、行政管理庁から出た資料が新聞記事に載っております。これを中心にいたしまして、これからお尋ねすることは、政府関係の機関における電子計算機の利用状況。それから第二点は、個人コード、統一国民コードの問題についてお尋ねいたしたい。第三番目は、統一個人コードと電子計算機利用に関係をした今後発生を予測される国家機密の漏洩に対する防止の問題、また企業の秘密漏洩に対する防止の問題、あるいは個人のプライバシー侵害に対する防止の問題、その三点について続いてお尋ねいたしたい。四点は、これから政府が情報処理を御計画のような形でやっていく際に必要と思われる電子関係の要員の訓練に関する基本的な計画と構想についてお尋ねをいたしたい。第五点は、以上のような観点から、将来の情報化社会に対する国の基本的施策、方針というものについてお尋ねをいたしたい、かように考えておりますので、ひとつよろしく御答弁のほどをお願い申し上げたいと思います。  まず第一に、行政管理庁長官お尋ねいたしたいことは、先般新聞報道で流された各省庁間に通信網ということで、情報処理長期計画をお持ちのようでございますが、これについてまずお尋ねをいたしたいと思います。
  202. 平井廸郎

    説明員(平井廸郎君) 大臣からお答え申し上げる前に、ちょっと新聞報道について私から釈明させていただきたいと思いますが、私ども先般の新聞報道につきましては、部内における一つの検討資料としていろいろ論議されておりますもののあるものが出たようでございまして、行政管理庁自体として、あの新聞に報道されているような方針によって、確定的な方針によって処理しているという段階のものではございません。また、先生ごらんになってもおわかりになると思いますが、あの中にはかなりいろんな未熟な構想もまじっているわけでございまして、一つの事務段階における試案のものであるということを御了承いただきたいと思います。ただし、全般的な考え方といたしまして、四十三年の閣議決定以来、コンピューターの導入を中心といたしまして行政情報のシステム化という問題を進めているわけでございますが、それについての長期的な構想の必要性があるということは考えておりまして、それで鋭意学識経験者等の御意見を伺いながら固めつつあるという状況でございます。
  203. 濱野清吾

    国務大臣(濱野清吾君) ただいま局長から釈明がございましたし、結論として、ただいま検討中というようなことでございますので、もうしばらくお待ちを願いたいと存じます。
  204. 中山太郎

    ○中山太郎君 それでは私のほうからお尋ねをいたしたいと思う。  最近の統計によると、政府関係各省庁に導入されているコンピューターの状況としては二百六セット、年間予算が七百八十億円、運用費は二百五十五億、年率三〇%のアップ率で日本の行政における情報処理が進んでいるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  205. 平井廸郎

    説明員(平井廸郎君) 昭和四十七年度予算は先生御指摘のとおりでございます。
  206. 中山太郎

    ○中山太郎君 これと関連をするわけですが、将来の行政官庁における電子計算機の利用は、電子計算機とそれに接続される通信回線網の利用であろうと考えております。そういう点で政府はどんどんとこういう方向に向かって行政を進めていかれる、まことにけっこうなことであると私ども考えておりますが、問題は、この通信ネットワークをどう張っていくのか。つまり、ナショナル・インフォーメーション・システムの一つとして、そのべーシックになるプランニングは、いわゆる通信回線の配置である、あるいは各省庁間の連絡のシステムであろうというふうに考えておりますが、これについてはどのようにお考えでございますか、ひとつお尋ねをいたします。
  207. 平井廸郎

    説明員(平井廸郎君) 技術的な観点でございますので、私からお答えいたしますが、現在の段階で、通信回線網の問題として私どもなりあるいは関係省庁で検討中の問題は、各省がそれぞれオンラインシステムをいろんな行政需要に即して導入する過程におきまして、各省庁ばらばらにことを設定いたすということは、非常に需要量の大きい場合にはよろしいわけでございますが、そうでない場合には不経済になるという面もございます。したがいまして、その効率化をはかるという意味におきまして、通信回線網の集中という問題を検討してはいかがかということで、検討を進めている段階でございます。なお、各省庁間の電子計算機の連絡のためのシステムでございますが、これにつきましては、まだ現在のところそう具体的な検討を進めているところではございません。
  208. 中山太郎

    ○中山太郎君 私ども調査では、防衛庁、警察庁関係を除いて現在通信回線を利用している、昨年九月現在、労働省、気象庁の関係を見ると、回線数千四百二十一、回線距離十六万四百キロ、回線経費が十三億九千二百万円経費として使われているわけですね。中継局数が七十三、端末局数九百六十六、オンライン端末機数千六百五十六というふうなデータとして私どもの手元に上がってきているわけでありますが、こういう形で、いまお考えのような行政管理庁が推進しようとされている日本の将来のオンラインマップというものについてはどのような大体の構想をお持ちか、ひとつお考えがあればお示しをいただきたい。
  209. 平井廸郎

    説明員(平井廸郎君) ただいまのところ、先生御指摘のような具体的なオンラインマップというものを設定する段階には至っておりません。御承知のように、先ほど御指摘の気象情報をはじめとして、若干の省庁におきましては、それぞれの専用回線によりますオンラインシステムを進めているわけでございますが、その他におきまして各省庁でこれからオンラインシステムによって全国的なネットワーク網をつくろうというものもいろいろ出てきておりますが、その全体が出そろっているというわけでもございませんし、今後新しい行政需要に即してさらに追加されてくるものもあろうかと考えますので、現在のところ、完結した形でのオンラインシステムのマップというものをつくり上げるところまでは至っておりませんが、ただ、基本的な考え方といたしましては、やはりある程度集中的なオンライン・マップをつくります場合には、一応各地方単位ぐらいの、いわば、いわゆる管区機関が所在いたします地方単位ぐらいの中核になるキー局をつくりまして、それを基本にして端末局を結んでいく。そこへ各省庁の行政需要を集中し、情報網をまとめていくというような考え方が基本になろうかと考えております。
  210. 中山太郎

    ○中山太郎君 問題は、これからオンラインを張る前の導入されるコンピューターのコンバージョンの問題ではないかと思います。現在の日本の行政官庁における導入されたコンピューターの機種の分布は一体どうなっておるか、そのパーセンテージをちょっとお示しいただきたい。
  211. 平井廸郎

    説明員(平井廸郎君) とりあえず国産機器のウエートを申し上げますと、九六%を占めておるわけでございます。
  212. 中山太郎

    ○中山太郎君 ちょっと聞こえにくったのですが、いま私の四十五年度のデータによると、日本電機が三五%、富士通が一八%ですか、東芝が一六%、日立が一二%、沖が一一%、こういうようなシェアになっていると、行政管理庁で出された統計表では出ているわけですが、これに間違いございませんか。
  213. 平井廸郎

    説明員(平井廸郎君) 間違いございません。
  214. 中山太郎

    ○中山太郎君 そういう形で、各メーカーの機種がどんどんと入ってきている。そういう機種の状況をみていくと、ここでオンラインをして、この新聞報道に載せられたような、総理官邸にたとえばディスプレー装置を置くとか、端末を置くということになってきた場合に、コンバージョンがきかないという問題が当然出てくるわけであります。そういうことになってくると、ディスプレーは一台ではすまない。私どもの計算では十九台ぐらい官房長官室にディスプレーを置かないと、現在の導入されたコンピューターの情報処理を集中的にやれない、こういうふうな計算が出ているわけでありますが、こういうふうなままで機種をどんどんと自由に選択させる。そういうふうないわゆる行政管理の観点から、この機種の調整をする必要が、国民の利益というものを考えたときに出てくる。そういう点について行政管理庁の立場、基本的な考え方というものはいかようにお考えか、お示しをいただきたいと思います。
  215. 平井廸郎

    説明員(平井廸郎君) 各省庁のコンピューターの機種は御指摘のような機器でございますが、省庁内の機種の統一につきましては、現在のところ極力推進いたしておるところでございます。ただ、各省庁を通じて機種を統一するという問題は、国産電算機業界育成の立場もございまして、なかなか困難な問題がございますので、先ほど申し上げましたように、とりあず省庁内の機種統一を進めているという段階でございます。もちろんその場合におきまして、先生御指摘のように、一機関の利用をはかっていくためには、 コンバージョンの問題が出てくるわけでございますが、これにつきましては、データ転換用のプログラムの研究を通産省とともに鋭意進めているところでございまして、そういう形で省庁間の機種の相違があります場合にも、利用に不便をきたさないようにつとめてまいりたいと思っております。
  216. 中山太郎

    ○中山太郎君 この問題に関連して、自治省にお尋ねいたしたいと思います。自治省の方来ておられますか。  自治省は、いわゆる省内に電子計算機室をお持ちだと思うのですが、全国の地方公共団体にコンピューターがどのくらい入っているかという現状をちょっと御答弁いただきたい。
  217. 馬場行雄

    説明員(馬場行雄君) 現在四月に調査いたしたところによりますと、都道府県におきましては導入いたしておりますのが四十二セットでございます。これを都道府県の団体で表示いたしますと、導入団体は二十六団体でございます。セットいたしました数は四十二セットでございます。それから、ちなみに、導入はいたしておりませんが、業務を委託しておる団体は、残りの二十団体、全部外部の計算センター等に業務を委託して情報処理をいたしております。  次に、市町村の状況でございますが、市町村は導入をいたしております団体が二百六十六団体ございます。これの導入セット数、これが百九十セットでございます。ちなみに、導入はいたしておりませんが、外部の計算センター等に対して業務を委託しておりまする団体が千二百九十八団体ございます。したがいまして、市町村におきましては、全団体が本年の四月現在で三千二百六十団体ございますので、そのうち導入団体及び非導入でございますが、業務を委託しております団体が千五百六十四団体——導入及び業務委託団体合わせまして千五百六十四団体でございますので、大体四八%程度の市町村が現在電算で業務処理をいたしております。
  218. 中山太郎

    ○中山太郎君 それでは、いま現在の導入状態が千五百六十四セット、セットですか。
  219. 馬場行雄

    説明員(馬場行雄君) 千五百六十四団体でございます。
  220. 中山太郎

    ○中山太郎君 そうすると、約半数が導入されているというふうに考えていいわけですね。
  221. 馬場行雄

    説明員(馬場行雄君) さようでございます。
  222. 中山太郎

    ○中山太郎君 そうすると、あとの残りが大体将来同じようなスピードで入ってくるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  223. 馬場行雄

    説明員(馬場行雄君) よろしいと存じております。
  224. 中山太郎

    ○中山太郎君 そういうことになってくると、三千二百六十団体、地方公共団体にコンピューターが全部行きわたるということになってくると思うのですが、問題は、地方公共団体を管理するといいますか、所管をしている自治省と地方公共団体のデータの互換は現状のような機種の導入をそのまま認めておれば将来たいへんな問題になるということはお考えですか、どういうふうにお感じですか。
  225. 馬場行雄

    説明員(馬場行雄君) 現在地方公共団体で導入いたしております機種は、おおむね四種類と考えております。そこで、地方公共団体相互におけるデータ交換につきましては、私どももいろいろ苦慮いたしまして、機種を規格と申しますか、統制するということは現段階では考えておりませんので、したがいまして、できるだけ相互交換ができるような全体のシステムを考慮したい、かように第一点は考えております。  それから、付言いたしますけれども、私の省で処理いたしております種々なる統計あるいは調査等につきましても、元来その原始データは各市町村及び都道府県のほうにディペンドいたしております。したがいまして、各異った機種を使っておりまする地方公共団体から提供されますところのデータを自治省におきまして一括処理するという問題がございます。それにつきましては、統一仕様書と申しますか、システムを開発いたしまして、各機種によるところの磁気テープを私どものほうに提供されましても、私どものほうの機械によってコンバージョンしまして、統一的に処理するようにはしております。ただし、繰り返しますけれども、各地方公共団体相互間の交換の問題につきましては、今後十分検討いたしてまいりたいと存じております。
  226. 中山太郎

    ○中山太郎君 いまの御答弁伺っておりますと、一応自治省と地方公共団体との間のデータの互換性の問題は、システムを開発してうまくいくだろうというふうなお答えだと私は理解いたします。ただ、そういうお答えの中にも、やはりこの機種の調整の問題は非常に大きな国家の利益に関することであります。その件に関して、やはり将来こういう問題の調整をどうするかということを考える必要があるのではないか。考える必要があるとお考えなら、そういうふうにお答えをいただければけっこうだと思います。
  227. 濱野清吾

    国務大臣(濱野清吾君) 将来、やはりお説のとおりの考えを持って進まなければならないと考えております。
  228. 中山太郎

    ○中山太郎君 こういうふうな新しい社会に向かって国家の行政機構が大きないわゆるシステムの変化を行なう。つまり、農業社会から工業社会に入った百年前と同じように、いま工業化社会から情報化社会に入ろうとする中で、やはり政治システム、行政システムというものをいわゆるエレクトロニクスと結びつけて新しい体質にかえていくことが行政管理庁のこれからの一番大きな私は仕事ではなかろうかというふうに考えます。  そこで、この電子計算機の現状の利用効率というものをやはりデータで一応調べてみると、いまその導入されたコンピューターの利用時間というのは三十八万七千時間、こういうふうに行政管理庁の統計では出ているように私は理解しております。この中で定期的な管理業務が二十一万四千時間、集計計算業務が七万七千時間、試験研究業務が八万一千時間、こういうふうになっておる。ところが、こういうふうな形で使われている中で、使い切れない、この時間帯で処理できない情報処理というものが民間のいわゆるソフトウェアハウスとかコンピューター・センターに委託発注されている。その金額が昭和四十五年度で十六億九十四万円に達しておる。年率三〇%で導入率が進んでいるわけです。そういう形でいくと、これに毎年一三〇%かけていかなければならないということになってくると、いわゆるたいへんな民間発注の金額にならざるを得ないのではないか。いまの政府のその統計によると、コンピューターの一台当たりの有効利用時間というのは一カ月二百四十三時間になっています。これは行政管理庁の統計なんです。そこで、電源投入時間が三百二時間、実際使っているのが二百四十三時間、これは平均値でありますけれども、そうなると、一カ月当たりの利用が二百四十三時間ですが、一カ月三十日と計算をして二十四時間かけると一カ月の時間数は七百二十時間になります。そうすると、一日に八時間コンピューターが利用されているという逆算の結果が出てくる。そうすると、八時間で一日コンピューターを使っている。コンピューターのいわゆるレンタル料というのは大体そういうような八時間単位でいかない。これからおそらく電子計算機の自由化の問題も出てまいって、外国品も入ってくるでしょう。そういうことになってくると、コンピューター二十四時間使うのが私は常識だと思うのです。日本だけだと思います、八時間使っておるのは。八時間使ってもほかのチャージはかかるわけですから、国民の負担というものは毎年三〇%ずつ上がっていく可能性がある。こういう問題について、一体、政府は新しい社会に入っていく中で、この電子計算機が行政の運営上どうしても必要になってくる、不可決の問題になる。そうなってくると、八時間だけワン・シフトで使っておったいままでのいわゆる行政官庁における機械の利用というものは、次の社会では、国際社会では通用しない、日本だけの特殊な形態になってくる。しかもそれが、レンタル料も使用料も全部国民の負担になってくるわけでありますから、これはやはり国際的な観点に立ってスリー・シフトに転換をする必要があるのではないか。アメリカの裁判所に行きましても、これは二十四時間フル運転をしておる。そういうふうな情報化社会における労働の問題、働く人たちの、公務員の問題等については、まあ公務員の方々とも話し合いをする必要があろうと思いますけれども、社会の大きな転換にあたって、政府はやはりそういうふうなコンピューターの利用を中心にした社会体系の変革というものについて行政指導する必要があるのじゃないか。そういう点については、行政管理庁長官はどういうふうにお考えかをお答えを願いたいと思います。
  229. 濱野清吾

    国務大臣(濱野清吾君) 効率からいきましてもお説のとおりだと思います。いまの行政庁の使用しておりますものは小型でございますから、役所といたしましては、小型から中型、大型、そうしてスリー・シフトを行なえるような、そういう装備を今後考えていかなければならないと考えております。ただ、懸念されますのは、労働時間が非常に延長してまいりますから、こういう問題も一つのやっぱり検討課題になろうかと思います。全くお説のとおりであると、かように思います。
  230. 中山太郎

    ○中山太郎君 そういうふうな形で社会の大きな変革によって二十四時間社会、スリー・シフトに民間もどんどんいま移行している。そういう形で行政管理庁が動いていくということになると、公務員の労働協約の問題がまた出てくるのじゃないか。いろいろな労働問題もからめて一つの転換点に立っているという観点で私のほうはお尋ねを申し上げていくわけでありますが、その中で、たとえば今度予算が要求されるという厚生省の医療情報センター、あるいはまた通産が要求している医療関係のデータ・バンク、いろいろな政府関係の各種のデータ・バンクというものが出てくる。それから地方公共団体にもそれぞれ住民の台帳、いわゆる管理するデータ・バンクが出てまいる。これはもう東京都で、美濃部さんのもとでどんどんと区役所ではやっておるわけでありまして、中野区などは三十六万人の住民が全部コーディファイされて区役所に管理されている。そういうことは私はもう次の社会では当然のことだ。この問題はイデオロギーを超越した問題だろう。もう共産圏においてもじゃんじゃんやられている。そういうふうな形になってきて、いかに行政機能を効率よくするか。それからチャージを安くするかということが各国の政府にとっては大きな問題になってくる。そういうふうなつまりデータ・バンク間同士のいわゆる対話といいますか、データをアウト・プットする。あるいは情報処理させるというようなことでデータ通信がこれから出てくる。そういうデータ通信が出てきた場合に、民間企業では最も合理化するために中央管理システムを非常に強化していくだろう。それが最も効率のいいコンピューターの使い方になってくるということにならざるを得ない。民間会社は全部そこにまいると思うのです。しかも、長距離の回線を利用して遠隔操作をする。ところが、政府ももちろんそういうふうな形態に入っていくべきであると私ども考えておりますけれども、こういうふうな観点に立っていく場合に、つまりオンライン・ネットワークを張る張り方に、大きな私は問題が将来の社会に出てくるのではないか。その張り方というのは、結局、トータルシステムをとるかどうか。つまり、法務省と警察庁のオンライン認める。しかし、裁判所とはいけない。いろんないわゆる国民の権利、プライバシーというものを基本にして国の行政をやる上に、個人の秘密とか、いろんな問題が出てまいりますけれども、その張り方というのは、社会主義国家でないわれわれの国家では、やっぱり国民の権利、自由というものを基本にネットワークを張らなくちゃいけない。そういう点について、行政管理庁としてはどのようなお考えをお持ちか、ひとつはっきりお答えを願いたい。
  231. 平井廸郎

    説明員(平井廸郎君) 行政情報のトータルシステムを考えるかどうかという問題が基本にあろうかと思いますが、できるだけ情報の集中をはかるという考え方をとるべきかどうかということ、これは、政府全体としてまだコンセンサスもございませんし、また、非常に膨大な行政情報を一カ所に蓄積するということがはたして効率的かどうかというような問題も、私どもまだ解決されていない問題だと思います。したがいまして、そういう点では、直ちにトータルシステムというような形で全体の情報の集中管理をするということまでは考えておりません。  それから、第二点として、それでは各省庁に蓄積されたデータ・バンクの相互の利用問題は、当然今後、いままで以上に出てまいると思いますが、ただ、その場合におきましても、先生御指摘のように、無制限に相互間の利用を認めるという形になりますと、当然プライバシーの問題その他関連する諸問題が出てまいると思いますので、そういった点につきましても十分検討をいたしまして、そのような弊害の生じないような法的措置なり、あるいは機械的な検討なりを進めていかなければならぬと考えている次第でございます。
  232. 中山太郎

    ○中山太郎君 これは行政管理庁長官にはっきりお答えをいただきたいと思います。これはやっぱり国民にとって一番基本的な人権の問題に関係があると思います。つまり、社会主義、共産主義の国では、これはもう個人のプライバシーというものは私は問題がないと思います、全体中心の考え方でありますから。しかし、われわれは、個人の権利と自由というものを基本にものを考えて政治をやっていくべきだという思想を持っておる。そういう点について、政府として、あくまでも個人の権利を擁護するんだ、プライバシーを擁護する基本線に立ってわれわれはやるということを、ひとつここで明快に御答弁をいただきたい。
  233. 濱野清吾

    国務大臣(濱野清吾君) トータル・システムから当然起きるデータ・バンク、そしていろんなそこに蓄積が行なわれておりますから、こういうものをやはり発展させてまいりますれば、個人の秘密というようなものが当然に漏洩する場合が多い。その場合にどうするかというような問題につきましては、従来の法制は、従来の政府の情報等については、それぞれ法令の規定がございますが、この問題につきましては、やはり別途新しい立法措置を講じなければならない場合があろうと思います。その点につきましては、ただいま役所側で、アメリカの事例やあるいは北欧の事例等、そして西独が今日ただいまこのプライバシーの問題につきまして秘密保護の立法を研究しているというような情報も受けております。そういうようなことも参考といたしまして、将来大いに考えなければならない、こう存じております。
  234. 中山太郎

    ○中山太郎君 法務大臣の時間があまりないということでございますので、ここで法務大臣にひとつお尋ねいたしたい。  後ほど御質問申し上げたいと思っておる個人コードの問題に関連して第三次的に発生してくる秘密の問題、冒頭申し上げたように、国家機密の漏洩に対する防止の問題、あるいは企業の機密漏洩に対する防止の法的措置、あるいは個人のプライバシー擁護のための法的措置、つまりコンピューター利用社会におけるこういうふうな機密漏洩に対する国家としての防御措置は、将来いかなる観点で立法措置をするべきか、ひとつ基本的なお考えでけっこうでございますからお答を願いたいと思います。
  235. 郡祐一

    国務大臣(郡祐一君) 機密保持につきましては、現行刑事法でもそれぞれ規定を持っておりますが、確かに、言われますように、情報化社会においてこうした問題はいよいよ深刻になってくるだろうと思います。それで、法制審議会は、刑事法特別部会を設けまして長い間検討してまいりましたが、昨年末答申をいたしまして、そうして現在、法制審議会で、機密保持に関する部分を重要な点として含めて、全体の刑法草案を検討いたしております。  その中に、いま仰せられました国家機密、企業秘密、個人のプライバシーの保護、こうしたことをそれぞれ規定をいたしておりまして、公務員による機密の漏示——漏らしますとか、それから企業につきましては、企業の、特に技術上の秘密等を漏らしまする場合、また個人のプライバシーに関しましては、一般の秘密文書、あるいはコンサルタントに見ますような信頼関係による秘密、こうしたものを保護する草案をこしらえております。  しかし、これらにつきましては、いまもお話の中にございましたように、国家機密については、共産諸国を含めまして欧米各国に立法例がございまするし、それから企業機密につきましては、発達しておりまするのはヨーロッパの例でございます。これらの立法例も参酌し、法務省としても十分検討いたし、しかし、基本的には、草案を一応きめましてそうして法制審議会の総会に移っておりまする審議会の模様をしばらく待って、そうしてさらに検討を加えたいと思っております。
  236. 中山太郎

    ○中山太郎君 大臣は情報処理関係に関しては権威者のお一人でいらっしゃいますから、ひとつもう少し具体的にお話しをいただきたいと思います。  私どもも存じておる公務員規則、ただいま現行でもございますが、先般も知る権利ということで騒がれた外務省の機密漏洩事件、情報化社会に入ってきて、政府のデータ・バンクのいわゆるテープが盗まれるとか、先般も民間企業のテープが盗まれて、それでトラブルを起こした例がございましたけれども、いわゆるそういう観点に立って、現行の公務員規則、それに対する罰則の規定で、この情報処理関係者のいわゆる規制ができるかどうか。私どもは、そこに一つの大きなポイントがあるのではないか。その点についてはいかがお考えでしょうか。  また、外国等は、政府関係のいわゆるコンピューターセンターの操作要員の人々に対するいわゆる管理システム、あるいは法的措置というものは、非常に他の公務員と比べてきびしいというふうに私どもは存じておりますが、いま急速な勢いで行政官庁の情報化が進んでおる際に、こういう問題は、政府官庁並びに地方公共団体の公務員に対して、当然私どもは、国民の権利と利益を守る観点から、厳重にいわゆる規制する必要が生じてきたと考えておりますが、いかがお考えですか。
  237. 郡祐一

    国務大臣(郡祐一君) 情報化社会における秘密、あるいはさらにそのコードの秘密、これらをどのようにして漏らすか、また、これをどのようにしてそそのかす場合があるか、あるいは、どういうものの共犯関係になるか。これは全く新しい分野として、これからの発達に伴うて検討しなければいけない部分が非常に多いのであります。したがいまして、これは、関係庁とよく相談をいたしまして、実態を——この秘密ということは、確かに違った秘密が出てまいります。罰則によって保護するような秘密、機密は何であるか、また、それをどのようにして守るかということは、別途のひとつ研究として政府部内でも十分議を練りたいと思っております。  それで、いま国家公務員法のお話が出てまいりました。私、ここで国家公務員法の改正をする必要があるかどうかは、必ずしもお答えする立場にはないと思いますが、ただ、先ほども申しました改正刑法草案等で指摘しておりまする点では、現在の国家公務員法は一般職だけを処罰の対象としておるじゃないか。それは、国家公務員法が、公務員の秘密を守る義務を前提として、それに違反した場合は罰するということにしておりまするから、勢い特別職がはずれておる。これで、機密を守るというのでいいであろうか。それから今度は、一応現在の国家公務員法で目的は達しているけれども、秘密と一言に言っているけれども、その秘密というものは、どの程度のものを考えるべきであるか。これは相当高度の国家の利益、あるいは地方公共団体の利益と申しまするか、それに直接影響する機密を守るということに限るべきではないだろうか。そうした問題が現にある。したがって、それらについては、刑法の改正にあたって考えるべき問題として掲示しておりますが、それらの機密を守ります必要と、御指摘になりましたデータ・バンク等の発達に伴う情報化社会における秘密と、これらについての関連は、これはひとつ法務省だけと申しますか、関係省内で十分考えさしていただきたいと思います。
  238. 中山太郎

    ○中山太郎君 最近の銀行の広告によると、総合預金口座というものが出てきた。これはコンピューター利用の一つの大きな結果であろう。そこで、キャッシュレス時代がもうすでに始まって、クレジットカード制度がどんどん普及してくる。ということになってくると、政府の、何と申しましょうか、機密漏洩という問題と並行いたしまして、個人のいわゆる機密が、預託してあるところからいわゆるデータが出て、特に信用販売制度に加盟をしておる各商社は、そういうふうな情報がたいへん価値が出てくるわけで、そういうふうな情報のいわゆる売買というものについては、もうすでに従来の工業化社会でも行なわれてきた。たとえば企業の信用情報というものがすでに営利事業として民間ではどんどん利用されておりますし、それを見て、あの商社とは取引ができない、手形の不渡りが起こる可能性がある、これもやはり情報の一つだろうと思っております。そういう問題が全部コンピューター処理されてくる時代がもう始まっているわけでありますけれども、ただ単なる政府の秘密ということじゃなしに、信用情報というものに対しても、政府はある程度のコントロールをする必要があるのではないか。それと、従来のいわゆる信用状況を情報の価値として売買されておった営利会社、それに対する考え方、いろいろな問題が出てくると思います。そういう点は、従来の機密保持という問題と並行してどういうふうにお考えになりますか、ちょっとお考えを伺いたい。
  239. 郡祐一

    国務大臣(郡祐一君) 従来と比較してとおっしゃいます。確かに、いままでの現行刑法よりもさらに一段進んで、しかも情報化社会に入らない十年ほど前から検討いたしておりまするところでは、一般の人間がお互いに持っておりまする封をした文書、これは信書などについては郵便法その他、それから従来も刑事法にございますけれども、ところが日記に封をして保存しておる、これは当然保護しなければならぬ秘密の対象になるじゃないか、そこまでは進んでおります。今度はただいまデータ・バンク等によって新しく吹き込まれた機密が起こってきた、これも当然、広く情報化社会に一体どの程度これから進んでまいるか、そうしたまた行政管理庁を中心にして各省の間に情報化社会についてのいろいろな検討を進めております。それに応じたいままでの刑事法の考え方の罰則の対象となるべきものというものは、私はおのずからきまってまいると思います。したがいまして、必要な改正を加えますときは、おっしゃいますような点は、同時に含めまして考えなければならず、また、実施されなければならないものだと思います。
  240. 中山太郎

    ○中山太郎君 事はたいへん重大な問題であろうと思いますが、法務大臣として、将来の社会にはこういう問題に関連した、いわゆる情報化社会における法律というものは別途考慮されると伺ってよろしゅうございましょうか、ちょっとその点。
  241. 郡祐一

    国務大臣(郡祐一君) 中山さんのような専門家のお知恵を十分拝借いたしまして、それはぜひ考えませんと……。しかし、同時に、先ほども私、たとえば現行の国家公務員法にある秘密というものを、機密ということに狭めなければいかぬじゃないか、秘密秘密と言っておるが、ごく重要な機密というものを限らなければいけないんじゃないかと申しました。その必要が一方においてはまた強く起こっております。したがいまして、その両方の調和ということをぜひ考えて情報化社会に対処いたしたいと思います。
  242. 中山太郎

    ○中山太郎君 機密を守る手だてとして法律的にこれを規制するやり方と、もう一つは、やはり技術的にこれをカバーする方法と、第三には、やはりそれに、仕事をされる公務員の倫理観のいわゆる問題だろうと思います。この三点がうまくいかないと、私は機密保持は困難である。そういう点で、従来この問題について、技術的に世界的な権威だと言われる日本の電電公社がいろいろ研究されておりますが、その点に関して電電公社としては、技術的な観点から、機密保持に対してはいかなる配慮を払われるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  243. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) お答えいたします。  電電公社といたしましては、前々からこのデータ通信、いわゆるコンピューターをオンラインでつないでいくという問題につきまして研究を進めてまいりましたが、特に、昨年の公衆電気通信法の改正によりまして、公社の電信電話と並びましてデータ通信が正式な業務になりました。  このデータ通信をやる場合に、公社としましては、まず、公社の職員というものは、秘密を確保しなければならないということが、これは公衆電気通信法でもきめられておりますし、われわれといたしまして、まず、電信電話あるいはデータ通信を実際取り扱う場合に、その秘密の確保ということには強く非常に厳正に当たっております。  それからその次に、データ通信につきましては、いわゆる民間がおやりになるものあるいは特別の企業体がおやりになるものに公社が回線をお貸しするものと、それから公社が自分でコンピューターをつなぎましてデータ処理をする、いわゆるデーターの設備を含めたものをやる、この二つがありまして、特に公社といたしましては、みずからやるこのデータ通信につきましては、公共的なシステムあるいは全国的な広がりを持つネットワーク、あるいは開発先導的なシステムというものに重点を置いてやってまいりました。それで先ほど、最初に申し上げましたように、たとえば民間等がおやりになります際のデータ処理については、公社は、線を提供している問題には、この処理に起こる問題はこれは公社が直接責任は持ちませんので、回線部分の機密保持ということについて公社は責任を持っております。それから公社がみずからコンピューターをつなぎましてオンラインでやるデータ処理につきましては、これは先ほど申し上げましたように、秘密保持という実際の処置のほかに、技術的にどういうふうにやっているかということを申し上げますと、これはまず、そのコンピューターにつないだ場合のその端末が適正な端末であるかないか、その適正な端末以外のものがコンピューターにアクセスしても、それは全然働かない、そういう処置を一つとっております。そのとり方としては、これはたとえばある番号を入れておりまして、その番号自体はハードにおきましてそれをやる。そしてそれを封印しておきまして、それは実際つくった状態においてどうなっているか全然外の人にはわからないようになっております。それからまた、その端末を通じてコンピューターにアクセスする場合に、その際にはいろいろ、ちょうど金庫でいえば非常に複雑な、何重となったかぎみたいなものをつくっておりまして、そのかぎというものを知らない限り、それにアクセスすることができないという措置をとっておりまして、少なくとも公社がやっておりますオンラインのデータ処理については、秘密が絶対に漏れないという措置をとっておりますが、詳しいことは、また御質問がありましたらお答えいたします。
  244. 中山太郎

    ○中山太郎君 いまの総裁の御答弁伺っておりまして、私どもは一部の国民が不安に思っておるいわゆる技術的にカバーできないのじゃないかという問題は、いまの御答弁で技術的には十分カバーができるというふうに判断をしたのでありますけれども、具体的にいろいろとデータ伝送が起こってまいると、問題が複雑化してくる。まあこういうことで、その要員の、たとえば操作する要員に一つの、何というか、身分証明書といいますか、IDカード、海外へ行けばほとんどのデータ・バンクには全部IDカードをつけさせております。日本航空でも従業員全部IDカードをつけておりますけれども、いまの公務員ではIDカードをつける必要がないというふうになっておりますけれども、将来こういう問題に関連して、データ・バンクに勤務する公務員についてはIDカードの着用が必要になってくる。その点について行政管理庁長官はどのようなお考えか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  245. 濱野清吾

    国務大臣(濱野清吾君) お説のとおり、庁内でもその問題はただいま研究しておるんでありますが、特殊な技術を習得し、その人が操作をするような場合、やっぱり身分証明を出すことのほうがいいんじゃないか、いやそれほどやらなくてもいいだろうという議論がございまして、ただいま煮詰めているわけでありますが、私の考えといたしましては、やはり秘密漏洩というような立場からいくならば、特定の技術を持ち、しかも、その操作をしている本人に対しましては、カードを持たせたほうがいいんじゃないか、こう考えております。
  246. 中山太郎

    ○中山太郎君 まあ普通の行政情報でも、トップの情報については私は入力すべきじゃないかという考えを持っておりますけれども、まあ裁判所関係なんかのいわゆる個人の秘密に関するようなものを扱っているデータ・バンクでは、アメリカ等におきましても全部厳重な警戒が行なわれている。むしろ日本のほうがルーズなのではないか。こういう問題は、私は非常に重大な問題だと思います。とにかくテープ一本抜かれればどうしようもなくなるわけでありますから、そういうふうな観点に立てば、これはやはり政府としてどういうふうに将来運営するべきか。いまお話の中に出てきたデータ・バンク、つまりコンピューターの設置等は全部データ・バンクで考えるべきでありますから、全国では数千のデータ・バンクがもうすでに作動しておる。それに対して、こういういわゆる要員の身分を確認する必要がやはり出てきている。これについて私は、きわめて近い時期に政府として一つの方針を出されるべきじゃないか、法律によって規制すべきじゃないかというふうに考えておりますが、この点重ねてお尋ねいたしたいと思います。
  247. 濱野清吾

    国務大臣(濱野清吾君) 十分検討いたしまして、お説のような前向きの姿勢でその結論を得たいと考えております。
  248. 中山太郎

    ○中山太郎君 郵政大臣もお見えでございますが、郵政省として将来のデータ伝送を含めて、電電を中心にこれが拡大していくわけでありますけれども、おそらく国際情報化の波というものは、そう遠い世界ではないと思います。先般も新聞に載っておりましたけれども、いわゆる国際間のタイムシェアリング・システムの普及ということが出てまいっております。それが郵政省がこれから許可をされていくわけでありますけれども、どういうふうな形でここ一年ぐらいの間に、いわゆる海外との情報の処理が進行するであろうかという見通しについて、郵政省としてのお考えをお聞かせ願いたい。
  249. 三池信

    国務大臣(三池信君) お答えいたします。このデータ通信は、先般の公衆電気通信法の一部改正で新たに法定化されたものでありますが、それは電電公社と民間業者が相携えてデータ通信によるところの国民の需要に応じていくという体制が整備されたわけでございます。郵政省としては、この新しい制度のデータ通信の今後の発展には十分気を使って健全な発展をお手伝いしたい。将来の問題としては、情報処理の健全な発展をはかるためには、これはまあ国産技術並びにソフトウエアの開発、情報の秘密保持、要員の養成、いろいろ広範な問題が多岐にわたって広い分野であるわけでありますから、そういう問題は、これはもう国際間の情報処理とも関連していろいろの問題が山積しておりますので、これはひとつ関係各機関とも慎重に検討し対処していきたいというふうに考えているわけでございます。
  250. 中山太郎

    ○中山太郎君 まあアメリカのコンピューター利用状況等もわれわれいろいろ調べて一つ感じておることは、まあアメリカには一九六五年にブロックスが出したブロックス法というものがあって、それまで非常にルーズに使われておったコンピューターというものを政府関係ではコントロールするようになった。先ほど申し上げたように、三分の一の利用時間しか持たない日本の行政管理庁の需要において、これはやはり根本的に政府として新しいシステムを出す必要がある、しかもそれは法律によって裏づけされた。まあアメリカの場合は、たとえば商務省でコンピューターを入れて、そうしてそれが十六時間働いておる。あと八時間余っておれば農林省のデータ処理を委託を受けて、そうして使用料を農林省が商務省に払っている。そうしてその処理が、量が多くなってくると、初めて政府が農林省にコンピューターの導入を許可するというふうな制度になっておる。郡法務大臣とともにアメリカに行ったときに、それの説明を実は受けてきたわけでありますけれども、そういう観点からいって、いまの行政管理庁のあり方、これは長官にたいへん失礼でありますけれども、いままでのやり方では、今後はもうとても国民の立場からは、これのままで看過するわけにいかない。そこでブロックス法に見合うべき各国とも全部コンピューター利用に関しては規制する法律あるいは導入に対する指導の法律を持っているわけでありますけれども、やはり日本政府もこういうふうな勢いで流れる情報化の円満な発展のために、情報基本法というようなものを政府として出す必要があるんじゃないか、私どもはそういうふうに考えておりますが、この点に関してひとつ各大臣から御意見をいただきたいと思います。
  251. 平井廸郎

    説明員(平井廸郎君) 大臣の御答弁の前に、ちょっと技術的な御説明を申し上げておきたいと思いますが、確かに、米国連邦政府におきましてはブロックス法を制定いたしまして、行政情報処理の総合的管理体制を定めておりますが、その重点的な内容は電子計算機の政府部門における一括購入と、それから行政管理予算局における総合調整でございます。まあわが国の現段階をとってみますと、電子計算機等についての調達に関する方式がアメリカの場合と異なっております。また現在程度の利用状況においてそのような法的措置を講ずるか、あるいは現実の行政上のいろいろな話し合いによって処置していくかという問題は、なお検討を要する問題であると考えておるのでございまして、いまただちに法制上の措置行政機関の電子計算機についてのみで考えるかどうかという問題は、なお慎重に検討いたしたいと考えております。ただ、全体としていわゆる情報基本法で考えられます問題は、国と民間を通じての問題であろうかと思いますが、そういった問題につきましては、確かにプライバシーの保護等の問題も含めまして、全般的に検討を進めなければならないというふうに考えている次第でございます。
  252. 濱野清吾

    国務大臣(濱野清吾君) 日本のコンピューターの稼働時間が大体八時間、アメリカ等の稼働時間は二十四時間継続してこれを活用している。ですから、先生のお話のように、日本のコンピューターももっと継続して使うようなために、時間帯をつくって他省にもこれを活用させる方途を講ずることが理想的ではないか、また、経済的に効果的ではないか、こういうお説と承っておりますが、まさに経済的にもそのとおりでございますから、将来十分他省間に相談をいたしまして、そしてそういう方向で進めたいと考えております。
  253. 郡祐一

    国務大臣(郡祐一君) 各省考えが十分まとまりまして、そして基本法のようなものがつくられてまいる機運が早くできますことは私も望ましいことと思っております。と申しますことは、先ほどもちょっと刑罰について申しましたように、それぞれの国家公務員法の系統において、あるいは刑法の系統において、あるいはそれ以外の特別法の系統において、いろいろなほうから秘密の保護というのをはからなければ相ならぬような複雑な時期に来ておると思います。そのような意味合いで、情報化社会というものを念頭に置いた系統の法律が整いますことは、これは将来の発展のために期待すべきことだと思っております。
  254. 三池信

    国務大臣(三池信君) やはり情報処理の問題は、これは非常な広範な分野にわたりますので、いまお話のように、縦割りになっている現状からいうと、いろいろ将来むずかしい問題が起こるだろうということは当然予想されるわけであります。郵政省は、いわゆる電気通信関係に関する限りそれの監督、管理並びにそれの進展のためには大いにやらなきゃならぬことだと、一翼をになっている感じでありますけれども、全般にわたっての基本法の制定ということになりますと、これは関係各省庁とも緊密な連絡をとりながら検討調査の上で態度をはっきりしていかなければならぬというふうに考えております。
  255. 中山太郎

    ○中山太郎君 実は、私に与えられた質問時間がもう終わりに近づいておりますので、これからお尋ねをいたしたいと思っておった国民個人番号制の問題、これは次回の内閣委員会に譲らせていただきたいと思います。こういうふうないわゆる社会の内部体制の変革と申しますか、基本的に社会形態がこれから変わろうとしておる段階でどうしても行なわなければならないこと、それはやはり情報処理の問題である、情報処理をしていくについてはどうしても避けられない問題である、それは国民の番号制についてではなかろうかと考えます。これは世界各国コンピューター使うところはもうこれを避けて通ることはできない。避けて通ればコンピューターが稼働しないという結論になるわけでありますが、世の中には番号制にすれば何か徴兵検査をすぐにでもやるような意見を述べるもののわからない人たちもおるわけでありますから、次回の内閣委員会にはこの国民個人コード、これに関してひとつお尋ねをさせていただきたい。この点について次回に延ばさせていただいて、きょうはこの程度で質問を終わらせていただきたいと思います。
  256. 上田哲

    上田哲君 国家行政組織法の観点から医療制度について伺いたいと思います。  問題は、国立病院の再編成の問題でありますけれども、国立病院が戦後、軍病院をそのまま転用して、たいへん古びた建物をそのまま移行して国立病院という名前になったという経過は意外に知られていないわけですが、そういう古い経過を、とにかく建物の面では一応まあ整備し終わったというのが二十何年というところでありましょう。きょうこの時間の中でしぼってお伺いをしたいのは、そういう国立病院というものがいま根本的な再編成の接点にある。その中で、九十をこえる全国の国立病院の中でたった二つだけ軍病院の転用ではなくてつくられた病院がある。これががんセンターと国立小児病院だと思うのですが、この二つの病院が全体の国立病院のいま転期に立つ再編成の中でどういう位置づけにあるのか。しぼってお伺いするけれども、特にがんセンター及び国立小児病院というのは、一般の国病と区別してすぐれた医療施設あるいは研究施設を伴うものに仕上げていこう、こういう方針があるのかどうか。そこにしぼってひとつまず大臣から伺っておきたいと思います。
  257. 塩見俊二

    国務大臣(塩見俊二君) がんセンターと国立小児病院についての御質問でございましたが、がんセンターにつきましては、すでに御案内のとおり相当整備した内容を持ち、また国際的にも評価されるような運営をしておるわけでありまして、私はさらにこれが機能の充実をはかってまいりたいと思うわけでございます。小児病院につきましては、最近特に子供の難病と申しますか、子供の病気の問題が顕著に国民の関心を高めておりますし、また事実そういった対策に急を要するようなものもございますし、また治療方法等につきましても、さらに積極的な研究をしなくちゃならぬという状況にあろうかと思うのでありまして、この国立小児病院につきましては、その使命が重大にむしろなってきたと考えるわけでありまして、これが内容の整備等につきまして努力を払ってまいりたいと思います。
  258. 上田哲

    上田哲君 大綱においてはけっこうなんです。というと、詰めていえば国立病院全体のいま再編成期にあると、そしてその中で、特に新たに軍病院からの転用ではない形でつくられた形の病院についても大いに力を入れていくが、がんセンター並みに少なくとも小児病院も考えなくてはならぬだろうというふうに受け取ってよろしいですね。
  259. 塩見俊二

    国務大臣(塩見俊二君) 御指摘のとおり、この小児病院は国立の新しい病院の一つでございまするが、国立といたしましては、現在たった一つの機能病院でございますし、またこれが小児関係の病気の治療法なり研究なりあるいは研修なりというふうな、センター的な、中枢的な活躍をしなくちゃならぬというふうに考えますので、これが整備をはかりたいと思っております。
  260. 上田哲

    上田哲君 けっこうです。大蔵省にあらかじめ承っておきたいが、そういう認識を財政当局としてお持ちですか。
  261. 渡部周治

    説明員(渡部周治君) われわれも、ただいま厚生大臣のおっしゃいましたような感じを持っております。
  262. 上田哲

    上田哲君 そこで、小児病院にしぼってお伺いをしたいのですが、先般、滝沢医務局長ともどもに私小児病院へ行ってまいりました。就任早々医務局長が現地に行かれて非常に努力をされたということは私は非常に評価しようと思っております。ただ一つ、もう少しく掘って具体的にお伺いをしなければならぬのは、たくさんきょうはデータがあるのですが、たとえば一つ申し上げれば、小児病院の玄関の前にこういう張り紙がありました。「当病院の手術用滅菌器械が突然故障を起こしましたので、この交換に要する期間、八月末までかかるので、手術ができなくなりました、ひとつ御了承いただきたい」、こういう張り紙なんであります。この手術用滅菌器械というのはオートクレーブというやつですけれども、金額にすれば大体二百五十万からせいぜい高くて三百万という種類、これが三つですね。これがこわれたので、大臣、実に二カ月間手術ができなくて、この間五百人の子供たちが手術を見送られたという実態がここにある。どうしても急を要するたとえば心臓手術は、いたしかたがないので三井厚生病院などへ行ったけれども、こんなものは子供を運んで医者がついていけば手術ができるというものではありませんから、この少年は死亡いたしました。こういう問題が具体的に起こっております。これはどういうふうにお考えになりますか。御存じですか。
  263. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) オートクレーブの故障につきましては、先生御指摘のとおり事実でございまして、承知いたしておりますが、実はこの修理に二カ月を要するという間隔は、私は実は率直に申して、もう少し早くできないかという感じは持つわけでございます。  それともう一点は、消毒が他の機関でできないかという問題でございますが、これにつきましては、どうしても滅菌した輸送という問題にからむものですから、現実の問題としては、やはり器械の消毒をそれだけの性能のあるオートクレーブで院内でやり、手術室の隣の中央材料室でやるということからいって、当時の故障で、ある程度の期間を要して、これが手術その他で患者さんに迷惑をかけたということについてはたいへん申しわけなく思っておりますけれども、その当時の打つ手としては、ほかに代替的な方法というものがなかったのじゃないかということで、まことに、この予期したというか、若干故障というものが前々から多少あって心配しておったというのじゃなくて、実態はかなり予期しない故障のようでございますけれども、結論としては、非常に重大な問題であり、こういうものについて早く措置ができるように今後もすべきである、あるいは耐用年数等の問題もからんでそういう問題に対する事前の注意というものをしなければならぬ、こういうふうに感じております。
  264. 上田哲

    上田哲君 それはたいへんおかしい御答弁なんですよ。これは予期しているにきまっているのですよ。小児病院はいつできたか。七年前にできた。それから、いろいろな出入りはありますけれども、大体こういう器械は、たとえばいまのオートクレーブであれば耐用時間というのは四千時間です。これ、五年で切れている。それから二年たっている。だから今回の場合の例でいえば、これは三台のうち二台はもう使いものにならなかったのですよ。ほかで滅菌できないかなんというのは、それはまるっきりほかの洗たく屋へ持っていけというような話だからこれは議論にならない。そんな議論はとにかくもうしろうと向けならほかでやってもらわなければいけない。少なくとももう二台はいかに修理をしてもできなくなったから、ついにたまりかねて——実に二カ月ですよ、手術ができなかったのは。二カ月手術ができなかったので、やっと二つは取りかえたのですよ、使いものにならないから。耐用時間四千時間はとっくの昔に、二年前に切れている。オートクレーブだけじゃないのですね。こんなものは予想できない事故どころの話ではなくて、予想しなければおかしいというのが、二年前から進行していたというのがこの例なんですよ。私はあまり時間がないから例を少し申し上げておきますけれども、こんな話だけ聞いていると何となくひどさの実態がよくわからないのだけれども、たとえばエアコンディショニングが全然ないのですよ、あの日本でたった一つの国立小児病院に。これは寒さ、暑さにどうだこうだという話とは全然違うのです。具体的にいいますと、これがないために血液検査なり諸般の検査がほとんどできない。大体三十四度から三十六、七度までいくのです、室内温度というのは。これは簡単にいいますと、六月から九月までは血液検査、ホルモン検査全然できないのです、これは。ということは、治療が全然できないということなんですよ、かなりの部分について。そんなばかげたことはないんですね。そこで、逆なことをいいますとね、冬場はどういうことになるかというと、今度は湿度が下がっちゃいますから、からからになる。たとえばヘルニアで入院した子供が、おとなならのどが痛くなりましょう、子供はかぜ引いちゃうんですよ。かぜ引いちゃうから手術ができないので、ほかの理由ならともかくですね、手術しようと思って入院させたら、かぜを引いちゃったから、しかたがないからお帰りくださいで退院させるんです。金は一週間分払って、普通なら三日で帰れるんです、ヘルニアなんというのは。ところが、金は先に払っちゃって、それで手術はできません、何だと言ったら、うちじゃかぜを引かさない子供を、何で入院したところでかぜを引かせるんだと親に文句を言われると答えようがない。もう一ぺんいらっしゃいということでなければ手術ができないというばかげた話が出てきているんですね。あるいは、小児病院のある場所というのは有名な光化学スモッグの場所ですよ。いいですか、大蔵省もよく聞いてくださいよ。光化学スモッグがこれだけ問題になってきたので申し上げるならば、この小児病院の隣は有名な太子堂中学ですよ。だから太子堂中学は光化学スモッグのこれはもう広小路であるというので、ここはあなた方のほうでお金をつけていただいて、全部エアコンディショニングがついたんですよ。そのことに文句はつけませんけれども、からだがピンピンとしている子供の中学にはエアコンディショニングがついて、病気だからというので集まってきた子供たちの病院には——これ、壁一つですよ。壁一つでつながっている病院には全然エアコンディショニングがつかない。これはどう考えてもおかしいじゃないか。たとえば、例をあげればね、あるいはどうしたって、これは歯科用の部屋でもって検査をしているんだけれども、せめて何とか扇風機がつかないかというので、扇風機を何とかならぬかと言ったら、扇風機は買えるんだけれども、ソケットを突っ込むとこれ電気がだめになっちゃうんですよ。そこまでしかないんです。だからソケットを突っ込まれたらこの病院が全部パーになる、こういう状態になっているということがある。一つ一つの例をあげるばかりが能ではありませんけれども、もう一つ言っときましょうか。時間があんまりありませんからこまかく言うのはやめましょう。  超音波検査室、四十度ぐらいなりますよ。それから皮膚科と泌尿器科が分離してない。元来は泌尿器科の外来もなかった。あるいは緊急態勢についてまるっきりかまえがないんです。たった一つしかない小児病院に緊急態勢のかまえが何にもないものだから、何かのときに飛び込んできたってどうにもならないんですよ。こういう状態がたくさんあります。時間がないんで残念ですけれどもね。たとえば、むりやりに当直をさせられている先生方がある。たとえば放射線科というのは緊急態勢にとっては絶対必要ですね、子供にとっては。放射線科の泊まりなんかはできないわけですけれども、たとえばむりやりに泊まっていますとね、あの広いところですから、普通の病院、当然なきゃならないんだけれども、ドクターコールですね、大蔵省よく聞いてくださいよ。ドクターコールというのは、ビービーと言ってお医者さん来るわけですね。六十万あればできるんですよ、あの病院で計算してみたら。これもないものですから、緊急患者が来たって、お医者さんをつかまえるのに三十分やそこら絶対かかるんですよ。宿屋だって今日女中さんを呼ぶのにそれがある世の中ですしね、こんなものすらできないという実態が、たった一つ、国立病院の誇りとも言うべき小児病院にあるんです。これはどう考えますか。厚生大臣いじめてもしようがないけれども、大蔵省、それはたいへんひどいと思うでしょう。
  265. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) ただいま先生があげられました問題について、私も現地を視察いたしまして、特にエアコンの問題、それから扇風機を買っても受電容量が限界にきておるというような実態を聞きまして、これらの対策につきましては、病院とも十分相談いたしまして、全体の病院の機能を高めるのに、受電の容量が限界に達しておるということでは、今後の医療器械の使用等にも基本的に差しつかえますので、受電の問題につきましては早急に解決するようにいたしたいというふうに考えております。  そのほか皮膚・泌尿器科の分離の問題等は、医師の確保の問題等もございますけれども、当然小児病院としての希望が強い。それから医療の内容としても、その点について、いま原則的には皮膚科と泌尿器科が一般病院でも区分する方針をとっておりますので、この点についても検討さしていただきます。  緊急態勢につきましては、若干その小児病院自体に、やや地域医療というようなことよりも、全体の小児の困難な病気に対する治療というものを主たる使命として考えている観点から、地域の、近隣地区の救急医療体制について対応するということに対しては確かに欠けるところがございます。しかしながら、事医療ということでございますれば、やはりこれに対応していくのが一つ考え方でございましょうが、この点につきましては、小児病院の性格ともからんでくる、また病院を運営しておる責任者とも十分話し合いまして、この点の態勢については検討いたしたい。  その他、ドクターコール等の問題については、財政上の金額の問題というよりも、院内の考え方もございましょうので、われわれは予算的には措置できる可能性のある問題でございますから、病院等がこれを強く要望して、なおかつ予算措置が不十分であるならば、これらの点については可能な範囲で至急措置いたしたい、こういうふうに考えております。
  266. 上田哲

    上田哲君 やっぱりそれはたいへんお役人的答弁でしかないので、もう少しずばりしたことを申し上げよう。いま、大体小児病院に一日どれくらいの患者が来るか御存じですか。大蔵省どうですか。
  267. 渡部周治

    説明員(渡部周治君) 外来が約八百人来るようでございます。
  268. 上田哲

    上田哲君 八百から千人ですね。八百から千人集まっている中央病院というのはほかにありますか。
  269. 渡部周治

    説明員(渡部周治君) 十分存じておりません。
  270. 上田哲

    上田哲君 こんな例はほとんどないのですよ。じゃ、小児病院にいまベッドが幾つあるか知っていますか。
  271. 渡部周治

    説明員(渡部周治君) ベッドは三百三十五ベッドであります。
  272. 上田哲

    上田哲君 そうじゃないでしょう、医務局長。ベッドは四百ありますね。ベッドは四百あるんですよ。ベッドが四百あるんですが、実際には二百九十八ベッドなんですよ。その差がどういう意味だかわかりますか。ベッドは四百ちゃんとあるんです。ところが実際には二百九十八、つまり三百です。これはお定まりの人手が足りないからですよ。簡単にいえば看護婦さんがいないからです。ところが、その意味は違うんですよ。小児病院は、人手が足りないといっても、看護婦さんを募集すれば一ぱい来ます。足りないというのは、人手が足りないという、通常田植えの人が足りないという意味と違って、お百姓をする人が足りなくなったなどという意味の人手ではなくて、定員をくれないのですよ、あなたのところが。四百ベッドありながら、毎日毎日全部地方のお医者さんの紹介状を持って日本じゅうから八百人から千人も集まって、大体二カ月先くらいでなければ、どんなに早くったって入院できない連中があのまわりに民宿をして待っているんですよ。そういう中で、ベッドが中に四百あって、使えるのは二百九十八しかないのは、それだけの定員しかくれないのですよ。質問を少なくするために申し上げれば、普通は患者対看護婦が四対一です。ここは二・四対一にはなっておりますよ。これじゃ無理なんですよ、小児病院という特殊な症例を問題にするには。それで二・四対一であることを前提として計算をしても、与えられているベッドは二百九十八しか使えない定員しかくれないのですよ。これは問題だと思うんです。大蔵省はそのことを知っていたのかどうか、まず答えてください。
  273. 渡部周治

    説明員(渡部周治君) どうも小児病院だけの実態というのはわれわれつまびらかに存じておりませんが、国立病院全体の状況につきましては、四十七年度予算の際にいろいろ増員要求がございました……。
  274. 上田哲

    上田哲君 そんなことは聞いてないんだ、ぼくは。
  275. 渡部周治

    説明員(渡部周治君) 小児病院のことは存じておりません。
  276. 上田哲

    上田哲君 国立病院一般であるかどうかは議論がこれから分かれていくんです。だから国立病院九十幾つかの中で、がんセンターと小児病院というものは別な優先順位をつけて考えなければならぬなという原理が一番先に確認されている。だから、あなたが来ないから委員会を開かないでこの時間まで待っていたんですよ。厚生大臣もはっきりそのことを言われているんですよ。だから国立病院の平均値で子供を見ちゃいかぬのだよ。国立病院の平均値で子供を見ているから、小児医療というものは決定的におくれているというところにあなたがた財政当局の哲学の不在がある。認識の不足がある。いいですか、小児病院を聞くのだからといって質問をしているのに、このことを調べてこなきゃいかぬのですよ、わかりませんか。
  277. 渡部周治

    説明員(渡部周治君) 委員長
  278. 上田哲

    上田哲君 いや、わかるか、わからないかですよ。しっかり答えてくれないと困るのですよ。
  279. 渡部周治

    説明員(渡部周治君) 小児病院のもちろん定数の割合につきましては、国立病院一般のようなやり方でやっているとは申しておりません。しかし、私が申し上げておりますのは、私が勉強してまいりましたのは、小児医療全体の対策ということで勉強してまいりましたので、小児病院の個々の内容については、いま説明する資料は持っておらないということでございます。
  280. 上田哲

    上田哲君 何を言っているのだ、君は。小児医療がほかにどこにあると言うのだ、それじゃ。小児医療のメッカが小児病院じゃないですか。
  281. 渡部周治

    説明員(渡部周治君) 委員長
  282. 上田哲

    上田哲君 委員長じゃありませんよ。こんな不勉強なことで答弁ができると思いますか。そんなことを言っているから、日本じゅうの子供がかわいそうなんですよ。あなたは、いま答弁している態度の中に、だめなら大臣呼ぶしかしかたがないのだけれども、この答弁している態度の中に、光化学スモッグの太子堂中学がエアコンディショニングを持っていることはけっこうですよ。しかし、そのあすの命もわからないような重症患者が日本じゅうから一日八百名から千人、そこまで全部あなた知っていたじゃないですか。そういう子供たちが、扇風機もないような、血液検査もホルモン内分泌検査もできないようなところで、二カ月間も五百人が手術できなくて、心臓外科で死んだ人もいるというような状態になってても、これは申しわけないという気持ちがなかったら——子供はものを言わぬのですよ。この子供というのは、おとなみたいに痛い痛いと言わないところに特徴がある。それに対して、行政当局がそれじゃ困るじゃないですか。わからなければ教えてあげるよ。  いいですか。小児病院というのは、ほかの国はいろいろありますよ。ロサンゼルス、シカゴ、コロンビア、ボストン、大体これが有名な所です。こまかい数字はあとで何だったら差し上げるから見てください。ベッド数が大体似たようなものなんです。そして外来患者は、さっきあなたが言った日本の八百人から千人に対して、ほかのところが四百四十とか四百十三とか、大体四百から五百までである。そしてこの小児病院では剖検率——病院のアクティビティのレベルですよ、剖検率というのは。その剖検率が、ほかのところが大体五〇から八〇までの間であるのに、この病院は九〇%をこえている。しかし、これは六七年までだ。このごろは非常につらくなって、七四%まで落ちていますよ。この小児病院の、日本の小児病院の職員の数はここに二百九十一人。それに対して、たとえばロサンゼルス千五百五十人、シカゴ千百五十六人、コロンビアが千四十人、これはけたが違うんですよ。ここまでいけとは言わないけれども、これだけ決定的な格差があるので、四百あるベッドがわずかに三百足らずしか使えないという状態になっている。百ふえたらどんなにいいかということがわかるでしょう。そういう問題がここにあるというのですよ。  私は、滝沢医務局長に申し上げるが、この前あなたに行っていただいてたいへんよかったと思うんですよ。よかったと思うんですが、実際に大臣、ひとつ具体例をもう一つ二つ申し上げるのだが、たとえば麻酔のお医者さんがこの間なくなったのだ、五月です。麻酔のお医者さんがなくなると、子供は痛いとは言いませんから、乳児に対しては麻酔を打たないで手術ができるというメリットはあるんですよ。あるんですが、十五歳までですからね、小児医療というのは、小児科というのは。使う場合もありますよ。痛いと言う子供から上は麻酔は要るんです。この麻酔の医師が一人なくなったら、この定員を補充しない。だから手術ができない。あるいは外科の、小児外科の先生が、ある大学の助教授に転出しようとした。辞令が出ようとしたら、もし転出したら、そのあとは定員を埋めないと言われた。そこでこの人は転出できない、こういう事例が発生をしている。この分だけまるっきり手が打てないんですよ。この間、医務局長も一緒に行ってもらって、こんなばかなことはないからといって、さすがに医務局長にも認めてもらって、オーケーになった。よし、この定員はふやしましょうということになった。そうですね、医務局長。けっこうだと思って帰ってきて、その後ずっと見ていたら、喜んで今度は小児病院のほうから手当てをしたら、厚生省がいまストップをかけている。医務局長、現場へ行っておいしいことを言ったのだけれども、これが実現されない。受電室の問題を含めて、せめてこんな——いままで仕事をしていた麻酔の正規の医師が死んだのですよ。死んだ人のあとがまもつくらない、転出したらそのあとをつくらないで、転出したらそれきりだというようなこと、現場に行ってオーケーになってきた以上、あとはその気になって手続をしてみたら、厚生省からストップがかかるなんということは、これはぐあいが悪い。これはひとつこの上でしっかりきめてください。どうですか。
  283. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) この死亡した医師の問題につきましては、小児病院自体が、一般的な定員をもちろん多く配っての上にさらに定員を多く配置しておりまするので、若干事務的にはそのようないきさつがあったようでございますが、私も、もともとこの小児病院は、先ほど来先生のお話のございますように非常に多くの人員を要する。特に医師については、たくさんの機能を果たすためには各方面の医師が必要でございます。こういう点、死亡であるとか転出であるとか、現在持っている定員以上の者を確保することについては、かなり検討しないとなかなか思うようにまいりませんけれども、現在持っている定員の者が死亡し、あるいは転出するという者を補充するということについて、十分な処置が行なわれないということはたいへん遺憾でございますので、私としては、その問題を処置するように検討を命じてございますので、おそらく近くその処置がとられる。特に転出の方は九月一日というふうに聞いておりますので、そのときには間に合うようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  284. 上田哲

    上田哲君 時間がありませんから、私はここに一ぱいデータがあるのだけれども、残念ですけれども実態論はここで終わっておきたいのです。  これは大臣に締めくくっていただきたいのは、この段階で、こういう状況は、これはどういう理屈にかかわらず放置してはならないと思うのですね。何とかひとつこのままではいかぬのだ、善処するのだという積極的な意思表示を明らかにしていただきたいということと、当面、いま滝沢医務局長が言われたけれども、実際に聞いてみると、現場で医務局長が胸を張って答えられたにもかかわらず、ネックになるのは厚生省であって、これはやはり現場の意欲にかかわりますよ。先生方がどんどん頭脳流出、やる気がなくなってしまっているのですよ。これはえらいことなんです。これはたいへんなことですから、やはり現場の先生がなくなったら補充するなんということはこれはまあ社会常識であるので、小児医療の当然のことですから、小児病院の立場からいって、すみやかにこれは確保する。あまりにも目の前過ぎることをこんなところで出すのは卑近過ぎるけれども、このことは、人員を少なくともこの二人だけは間違いなく確保するということを含めて、しっかりまずこの段階で大臣の御答弁を承っておきたいと思うのです。
  285. 塩見俊二

    国務大臣(塩見俊二君) 上田委員から、ただいままで具体的な問題について御指摘をいただいたわけでございまするが、私も確かにそのとおりだと拝聴いたしておったわけであります。  私も、実は近くこの病院も見たいと思っておりまするが、実情につきましてはつまびらかではございませんが、やはり上田委員も御存じのとおり、日本の中枢機関としてこれを今後整備していきたいというような方針でございますし、御指摘のような点も十分に改良いたしまして善処していきたいと思います。  なお、人事につきましては、ただいま医務局長から答弁を申し上げましたとおり、この医療の実態に支障のないように心がけてまいりたいと思います。
  286. 上田哲

    上田哲君 これは、人員の補充はだいじょうぶだということですね。  それから、ぜひ行きたいとおっしゃった。たいへんいいことだ。なるべく近い機会に小児病院に必ず行くのだ、この二点をもう一ぺんひとつ確認しておきたい。
  287. 塩見俊二

    国務大臣(塩見俊二君) 私は、ただいま医務局長御答弁申し上げましたとおり、そういった方向で努力することを申し上げましたが、医務局長も急速にこの欠員を補充したいということを御答弁申し上げておりますので、そのことを確認を申し上げたいと思います。
  288. 上田哲

    上田哲君 大臣は小児病院に行ってくれますね、視察に。
  289. 塩見俊二

    国務大臣(塩見俊二君) これは近く参りたいと思います。
  290. 上田哲

    上田哲君 ひとつ行ったら聞いてください。ポケットマネーで、みんな物件費で人を雇って、訓練がきかないのですよ、そんな急に人を雇ったって。それでやっているのです。相当医局が無理をしてそういうことをやっておるので、この辺ひとつ聞いていただかなきゃならぬ。先生方がほとんど意欲を失ってきつつある。七年たって、このままいったんではこれはもう小児病院は消滅するんじゃないか。器械はとにかく稼働しないんですよ。検査もできない、治療もできないんです。先生方はまるでもう先に進むことができないポケットマネーでやっとやっているというのがわが国にたった一つしかない国立小児病院の実態であるということを、私は破れ目をつかんで引っかき回そうと言っているんじゃないのですよ。あまりにもひどい実態だということ。きょう私が申し上げたかったのはそんなんじゃないんです。問題は、冒頭に申し上げたように、九十幾つという国立病院全体のいま再編成期にあるというのでいろいろ検討なさっていますね。その中でたった二つだけ、軍病院の移管ではなくつくった意欲にあふれた二つの病院が、一方にはがんセンターであり、一方は国立小児病院であったわけです。がんセンター並みにはいこうじゃないかということをさっき大臣もお認めいただいたんだが、がんセンターをセンター化したわけですよ。ところが小児病院は、があっとそのレベルから下になっちゃっている、率直に申し上げるが。おっしゃったように、がんセンターレベルまで小児病院を引き上げてくれというのは決して無理な注文ではない、当然これはビジョンであったはずだ。ところが、五年目に行なわれていればまだわかった、七年たってまだうしろ向きになっているという実態では、もう私は弁解のしようのない状態にきちゃっていると思うんですよ。ここが問題なんだ。特に問題にしたいのは、じゃあ厚生省にその見解がなかったのかといったら、四十四年に厚生省はこの小児病院のセンター化ということを具体的に案をおつくりになっている。これが大蔵当局でつぶれちゃっているということになっているわけですよ。これは予算額というと、私どもの推定だけれども、大体三十億ぐらいという話があったんだが、厚生省の省案というのは十一億ぐらいでつくったんじゃないですか。私がここに持っている幾つかのデータというのは正式にそちらから発表されたもんじゃないけれども、一ぺんは省議を通ったはずなんです。それが今日までうやむやになっているし、もっと突っ込んだ言い方をすれば、いま医務局長になられた滝沢さんが病院課長だったときに、センター化を考えなければならぬということを言われた主唱者でもあったはずです。そういう意味では、これは当然にもう一番初めのビジョンであったし、途中のプロセスもそうであったし、これがこの二、三年のうちに消えてしまったというところが、いま話したのはこんな実態の下の話だけれども、そんなでたらめのところにあるということは当面引き上げるとしても、このがんセンター並みの国立小児病院のセンター化ということは当然なことだと思うんですよ。これを一体どうお考えになっているのか、その辺を御説明いただきたい。
  291. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 先生の御説明のとおり、私、当時、全国の小児医療を強化することが将来の課題であることを見通しまして、神奈川県、大阪等が逐次地方のがんセンターをつくりつつあるときに、国立の小児病院に対する機能の強化ということを考えたのは事実でございます。しかしながら、これは正式に大蔵省まで持ち込んでお話しした事実は、ところまで至っておりません。この点につきましては、その後いろいろあとを継いだ課長その他関係者が検討してまいりまして、私医務局に戻りまして、今回この構想がかなり現実の問題として検討されていることをあらためて承知いたしております。しかしながら、この問題につきましては、国立の東京第一病院の医療センターの問題、あるいは大阪に設置を予定いたしております国立の循環器センター等の機構の問題等ございまして、率直に申しまして、国立小児病院のがんセンターと同様の機能の強化につきましては若干の日時を要するということを申し上げるわけでございます。基本的には、考えをさらに当時の考え以上のものに原案としては推進するような考え方でまいっております。これは当国立の小児病院の現在担当しておられる院長以下の医局のスタッフ等の考えもいれまして具体的な構想を固めつつございますので、これによって私は小児の医療のほんとうのセンターになり得るように努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  292. 上田哲

    上田哲君 それならば、現場の小児病院の先生方の御意見もいれてと、病院側の御意見もいれてということでありますが、病院側のもう青写真はできているわけですよ、これはもう全部できているわけですよ。たとえばこれだけもう組織図まであるわけですよ。これがお蔵になっているところに問題がある。だから、伺いたいのは、大体厚生省でおつくりになるというのは、おつくりになったと私は確認しているつもりなんだけれども、一体それは十一億のほうなのか三十億のほうなのか、そういう言い方でもけっこう。  そしてもう一つ、いま小児病院でつくっているプランのどこが悪いのか。悪いと言われるなら直しゃいい。あなたは病院のほうの意見をいれてとおっしゃっている。もとにしてとおっしゃっているのだから、それはできている。悪いならどこが悪いということをおっしゃっていただかないと先へ進まない。やる気がないということになってしまう。そこのところを具体的に二点伺いたい。
  293. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) この点については三十億、十一億の問題というその案にこだわらずに、私はこの小児病院の、がんセンターと同様、がんセンターはガンというはっきりとした一つの病気に取り組むセンターとしての機構、組織、研究機関の設定ができますが、小児の病気という点について、がんセンターと同様の研究機能を持とうとするとどういう研究機能が必要かという問題について、私はあらためて小児病院の先生方とお話し合いを進め、十一億、三十億という数字を別に白紙に戻して、この点について特に研究機能というものが、あるいは研修機能という、研修に値する機能を持つということがいわゆるがんセンター並みになる根本的な問題点であるというふうに考えておりますので、そういう観点に立って検討を進めたい。もちろん従来おつくりいただいたあるいはお考えというものを基本にしながら、われわれの考えも申し上げて検討いたしたい、こういうふうに考えます。
  294. 上田哲

    上田哲君 そこが非常に重大なんですよ。はっきりしておいてください。いいですか、がんセンター並みならいいんですか。がんセンター並みの機構図ならいいんですか。簡単でいいから、もう時間がないから。
  295. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 単なるがんセンター並みの機構図というよりも、小児医療というもののいわゆる研究機能……
  296. 上田哲

    上田哲君 そんな抽象的な話じゃない。
  297. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 研究機能というものをどう持つかということによって機構が書かれていると思います。
  298. 上田哲

    上田哲君 そうすると、もうこれしか考えようがない。センターというのは、総長がいて、運営部長がいて、病院長がいて、研究所長がいる。これでいいんでしょう。これでいいんですね。必要にして十分な条件というのはこれしかないはずだ。じゃ、研究所はどうだといったらこれしかないですよ。これ以上足らないところがどこかあると言うなら、お手元にあるだろうと思うからこれ言ってもらいたい。私はないと思う。削ることがあってもふやすことはないくらい十分に研究所構想があると思う。やっている人は医療職じゃなくて研究職を十分かねているんですから、どっちでもできるわけです。いいですか、これを十一億規模でやっても三十億規模でやってもどっちでもできるんですからね。いずれにしても、もう青写真はできている。考え方も充足されている。簡単にいえば、あとは金とあなた方のやる気があるかないかの問題なんですよ。私はいま具体的にやってもいいけれども、これ以上時間がないから、お手元に十分資料があるのに違いないからその辺は具体的には論及しませんけれども、データとしては十分だと私は思う。問題はやる気があるのかないのかというところにかかっているんですよ。どうですか、これは。
  299. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 研究の点を特に強調して申し上げましたのは、先生がおっしゃるように、組織については、全国の小児医療の研究を進め研修をしていくための運営部というものも機構としては必要でございますので、がんセンターと同様の機構はこれは必要だと思います。研究の点を私が特に強調いたしておりますのは、私が当時小児病院について考えていて、いろいろ一緒にプランニングを立てたときには臨床研究が主たるものでございましたが、やはりプラス基礎研究というものがあるということを確認したいわけでございます。そしてその必要性というものを実際の機構なり必要性の中に確認して計画を立てたいという意味で研究の問題について強調し、おそらくその当時のものが基本にはなると思いますけれども、かなり私の心配している点は、臨床研究というような形だけでは本来がんセンターと同様の機能を持つには研究機能としては不十分ではないか、こういう観点にございますので御理解いただきたい。
  300. 上田哲

    上田哲君 けっこうです。たいへんけっこうです。臨床そのものの研究じゃなくて基礎研究をやるのだと、けっこうです。もちろんそれは臨床に密着したという基礎研究だとおっしゃるのだと思うからそれでけっこうですね。そういうことでいったらこれで全部入っていますよ。これ以上のことはないです。だから、おやりになるかどうかということに私はもう帰着するだろうと思うのです。これが控え目の言い方でいったら十三、四億のことになる。三十億くらい大したもんじゃないですよ。これはもうおやりになるかどうかということにかかっている。さっき大臣がおっしゃった基本的な方針というものにもう狂いがないならば、これは早くやらなければ小児病院なくなりますよ。たとえば神奈川にできた、あるいは東京都にもできる。しかし、しょせんは国立小児病院が一つしかないもんだから、あれがモデルになるものだから、そのミニチュアしかないのですよ。そうするとこれはネットワークができない。いまにして急がなければ小児医療体系は全部落ちますよ。おわかりでしょう、これは。その意味ではもう図はできているのだ。計算もできている。全部あるのです。あとはあなた方のほうでおやりになるのかどうかの気持ちの問題になってきているというところに問題がある。大臣、ここはどうですか。
  301. 塩見俊二

    国務大臣(塩見俊二君) 私もまだあまりセンター等につきましての認識等もございませんが、先ほども申し上げましたとおり、国立のこの小児病院、この機能をさらに強化するために、かねがねこのセンター化していくというふうな計画があるわけでございまして、これはひとつできるだけ早期に実現をしたいと思っておるわけでございまするが、その機構を一体どういうふうにするかというようなことにつきましては、もちろんガンのセンターの機構あるいはその他のいままでの研究された機構、これなども有力なが材料として私は最もこのセンターが機能を発揮するような、そういう機構というものをここに考えていかなければならぬと考えております。
  302. 上田哲

    上田哲君 もう時間がありませんから、しぼって結論に入りますが、ひとつ大蔵省もしっかり答えていただきたいのですが、センター構想は可及的すみやかに進めるんだという大臣の御決意と承っていいですね。そうしますと、当面とにかく四十八年度からでも発足をしてもらわないと、これはもう国立小児病院がなくなるのですよ。なくなるのです。いまこここで問題が出たから、麻酔科でもって病気で死んだ人の欠員がようやく埋まるが、そうでなかったら埋まらずにいってしまうのですから。そうすれば、あそこに集まった新進気鋭の人たちがみんな流出してしまうというのはもう目の前の問題になっている。ベッドがあいてしまっている。これはとんでもないことになっているわけですが、一番の根本の問題は、だから四十八年度から、せいぜい三億か四億で始めればいいことなんだから、これはやってもらわなければいけない、子供のために。それができなければ。  二つ目には、一番初めに御確認をいただいたように、がんセンター並みのシステムには入れてくれなければいかぬのだ。問題は、一般の軍病院転用から改造してきた国立病院九十幾つとは違うということが問題になっているのだから、がんセンターが財政的にはいま一般会計の中にある。この小児病院というものが特別会計の中に押し込められているものだから、実はソケットを入れたら電気が全部パーになってしまうというようなところから一歩も出られないという状況が続いているわけです。せめてがんセンター並みにこれは一般会計の中に入れるというところまではぜひ決断をしていただかなければならぬだろうと思うのです。  三つ目には、これは病院の運営にも問題があります。行政官が大事なんじゃなくて、やっぱりほんとうの良医が必要なんです。そこを尊重するような病院運営ということを——いまの運営ではだめですよ。具体的には申し上げますまい、いろいろな問題になるから。いまのやり方ではだめですよ。医者の意欲がほとんどなくなってしまうような、ポケットマネーを出すことによってようやく、母親には言いかねるものだから——九〇%の剖検率なんかいま確保している医者なんというものはたいへんなことでしょう。滝沢さん、おわかりだろう、これは。この剖検率を維持しているのが、しかも下がってきているというようなことになると、子供を死なした母親や父親に信頼がなければ医者は解剖なんということは言えないのですからね、信頼がなければ。年寄りの解剖だっていやがるのを、子供がさんざっぱら注射を打たれた、切られた、包帯を巻かれた、もう命を失って息を引き取ったときに、持って帰ろうという気持ちを、どうぞ解剖してくださいなんということになるものじゃないのですよ、普通は。これはたいへんな熱意がここにある。小児外科なんというものは日本にもう二十人といないのですから、ここだけに集中している。ほんとうのセンターなんですよ。そういう連中が全部散逸してしまいます。五年前に寿命の切れている機械をいま一生懸命手づくりで直させながらやっているという日本にたった一つしかない小児病院の実態なんというものは許せないとなると、少なくとも当面、あした、あさっての問題にならないなら、目の前にあるあの病院の運営体制を、人的な問題を含めて手を入れるということにしていただかなければならない。  ちょっと三番目は私は意識的に抽象的に申し上げたけれども、こういう三つの問題をひとつ大臣、時間を私は省略をするから、明確にひとつお答えをいただくということをお願いをして、その前に大蔵当局から、まあ十分な準備がなかったのはそれでいいとして、いまお聞きいただいたようなおそるべき実態があるわけなんだから、しかも厚生省や国が考えた方針というので七年前にはっきりしていたんですから、この方針が全然違ったところへさかさまにみんなきちゃっているという、しかも原理はいま生きているということははっきりしている。しからば、ここをどうするかということは、ぜひひとつがんばらなきゃいかぬのだということを、あなたもひとつ担当者として、思い切って大臣くらいのつもりになって話をしてもらいたいし、それを受けて大蔵当局から鼓舞激励された立場で、厚生大臣のしっかりした御見解を承っておくことで、当面ひとつきょうは終わりたいと思います。答弁によっちゃまた立ちますから。
  303. 渡部周治

    説明員(渡部周治君) 小児医療の重要性につきましては、財政当局としても十分存じておるつもりでございます。で、その小児医療のセンター的機能といたしまして、国立小児病院が果たしておる機能につきましても非常に重要なものであるというぐあいに認識しております。その内容につきましては、われわれ十分に存じておらない点がございまして、先生の御指摘のような点があることにつきましては遺憾であると思っておりますが、この点につきまして、直ちにいま予算の実行で処理できるような問題は厚生省で処理される事項もあるかもしれませんし、それができない問題につきましては、四十八年度の予算の要求というかっこうで、いずれ厚生省からお話があろうかと思います。いずれにいたしましても、先生のお話の趣旨も踏まえまして、来年度予算編成に当たりまして十分配慮したいと思います。
  304. 塩見俊二

    国務大臣(塩見俊二君) まあ基本方針につきましては先ほど申し上げましたとおりでございまするが、これは滝沢局長からも申し上げましたとおり、一面におきまして、第一病院を医療センターとして整備したい、あるいは循環器問題が非常に重要でございますので、これも大阪にセンターをつくりたい。それからこの小児センターというようなものを、これをぜひとも進めてまいりたいと考えておるわけでして、四十八年度の予算に要求できるかどうか、この点につきましては、私は率直にいってそこまでできていないと思います。敷地の関係あるいは計画の関係、練らなくちゃなりませんが、また来年のことを言えば鬼が笑うかもしれませんが、私、うちのほうの資料を見てみますると、四十九年度にはぜひやりたいということを、事務当局からそういう説明を私も受けておるようなことでございまして、決してこれをなおざりにするということじゃなくて、小児センターの実現ということにつきましては熱意をもって進めてまいりたいと思うわけであります。また運営の問題につきましては、先ほど大蔵省からもお話がございましたとおりに、御指摘のような点も改善をするということにつきましては、誠意をもって処したいと思います。
  305. 上田哲

    上田哲君 一言だ。二番目が抜けましたが、四十九年度にはぜひやりたい、これを承っておきましょう。  それから、その一般会計化することですね。がんセンター並みには引き上げようとおっしゃって、これは私はけっこうだと思うのですよ。だから、すぐセンター化の構想が財政的な措置を伴って進むことができないにしても、少なくとも特別会計から一般会計に、がんセンター並みには入れると、これでないと、全国の難病奇病を扱っていて、普通の点数制だけ、保険医療だけではどうにもならなくて、お医者さんが薬の試供品だとかポケットマネーとか、そういうことでやっているような小児病院に、特別会計のワクの中で押しつけているというのは酷ですよ。極端にいえば、これは見合わなくたって、いい治療を鮮明にやるということがセンターでなければならぬのですね。そうでなければ研究機関なんて成り立ちませんね。その意味では、四十九年度からセンター構想化ということが財政的に処置されるかどうかということはしばらくおくとしても、これは承っておくけれども、当面やらなければならぬことは、目の前に八百人から千人の子供が来ているのですから、ベッドがあいているのですから、人を呼べば、必ず看護婦が、意欲を持った者が一ぱい来る状況があってどうにもならないということをぜひ解決する。当面の問題はがんセンター並みにと初めからおっしゃっているのだから、がんセンター並みにこれを特別会計から一般会計に移すと、この措置だけでもとっていただくことになれば、ずいぶん大きな違いが出てくると思います。ここだけはひとつしっかり承っておきたい。——いや大臣から承りたい。大臣じゃなきゃだめだ、最後だから。
  306. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 若干事務的な面として、一般会計に移すためには厚生省組織令の改正を必要といたします。がんセンターは組織としては別建てになっております。この点につきましては、したがいまして会計、いわゆる予算の編成上単なる一般会計に移せばいいというのじゃなくて、法律改正を要した上で、実体に合わした一般会計移行ということについては、先ほど来大臣からもまたお答えがございましたように、がんセンターと同じ機能を持つという考え方は、そういう問題に立って、全国の国立医療の中心にしていきたいという考え方でございます。
  307. 上田哲

    上田哲君 手続はいいんですよ。政治判断として、大臣から一般会計化への移行というものをしっかり打ち出していただきたい。
  308. 塩見俊二

    国務大臣(塩見俊二君) まあ小児病院につきまして、あるいはセンター化等につきまして、予算を十分に確保するということと、特別会計から一般会計に入れるかということ、これはすぐには通じる問題ではないかとも思います。特別会計を設置するか、せぬかということにつきましては、ちょうど大蔵省から見えておりますので、その観点からも論じなくちゃならぬと思いますので……。
  309. 上田哲

    上田哲君 だから、がんセンター並みにはしなきゃいかぬと一番初めにおっしゃったし、そしてあとは手続だけだと医務局長も言われたし、がんセンターはすでにそうなっているんですよ。だから、そうでなきゃおかしいんです。そうでなきゃかわいそうだよ、小児病院は。
  310. 塩見俊二

    国務大臣(塩見俊二君) おっしゃる意味は私もよく理解をいたしますが、ただ、この特別会計、一般会計というこの問題は、これは財政の組織全体の問題にも関連をする問題でございましょうし、これは大蔵省ともよく相談をしなければならぬと思っておりますので、むしろ会計を新たにつくるかどうかということは、むしろ大蔵省の所管ではないかと思いますし、幸い大蔵省が見えておりますから、私からこうするんだということはちょっと遠慮をさせていただきたいと思います。
  311. 上田哲

    上田哲君 意欲と決意を言ってくださいよ。そのほうがいいんでしょう。大蔵省がうんと言えばいいそうだから。大蔵省、その方向がいいんでしょう。
  312. 渡部周治

    説明員(渡部周治君) 小児病院につきまして、これを現在の国立病院特別会計で処理をしておりますが、それを一般会計に移したほうがいいんじゃないかという御指摘につきましては、実は私ちょっと十分に勉強しておりませんので、この席でそれがいいかどうかという判断はちょっとつき得ません。
  313. 上田哲

    上田哲君 何ですか。がんセンター並みにしなきゃいかぬというのが現在出ているんです。がんセンター並みにしなきゃいかぬというのは初めから出ているんですよ。あたりまえなことになっているんだ。厚生大臣だって、そっちがうんと言ってくれればいいということになっていて、子供がかわいそうじゃないですか。その方向でやろうじゃないかと言っているんだから、勉強しなくちゃわからぬなんて、そんな頭じゃどんな勉強したってわからぬよ。それはもっとすっきりしなくちゃ、新内閣——決断と実行だそうじゃないですか。まだ主計局にはそこまで届いてないんだろうか。これは厚生大臣、ひとつ隣にたくさん予算を持っている防衛庁長官もすでにお見えになったから、いろいろ配分も政府部内ではおありだろうけれども、これはたかだか多いと言ったって三十億、小さく言ったって十一億の構想を踏まえてそんな話をしているんじゃないんです。目の前の、たった二つだけでしょう、日本でつくったほんとうの国立病院というのは。一方がガンで、一方は子供なんでしょう。ところが、こんなに違っているんでしょう。ここまでは上げるんだということをおっしゃった。これは正しいんだ。何も技術的に、法理論的にどうだこうだなんていう話は、与野党の問題じゃないですよ、政治判断の問題じゃありませんか。子供を、一般会計にしないで特別会計の中で、払ったお金と投じた薬と、その見合いの中でなければ治療ができぬということじゃ、日本の中心センターとしても難病奇病、ほんとうにそれだけをたよりにして集まってきている子供の医療機関センターにならぬですよ、これは。やはり国がめんどうを見るくらいのことはあたりまえのことなんで、それを、考えてみなきゃわからぬと言うのは、官僚の答弁なら私はがまんもするけれども、なったばかりの厚生大臣がそんなことを言うようじゃ、私はこれは政治姿勢はゼロだと思う。そんなきびしいことを言わせないで、努力をしましょうということをしっかりひとつ言っていただけば、きょうはとにかくこまかいことはいろいろあるんだけれども、これはあとに譲って、問題をあとに譲るから、それだけはひとつ厚生大臣、政治判断として、この方向に進みましょうということを明快に言ってください。
  314. 塩見俊二

    国務大臣(塩見俊二君) 私も非常に上田委員からこの小児病院について激励のおことばをいただいておると思って非常に感謝を申し上げているわけであります。この会計を別にしなくちゃならぬ、あるいは一緒でもいいのか、これは実はいま初めて問題になったわけでございまして、しかしながら、私が申し上げておりますとおり、とにかくこれを拡充していかなくちゃならぬ。特別会計ではそれが足かせ手かせになってできないというようなことになれば、これはもちろんこの壁を破って私は一般会計にいかなくちゃならぬと思いますし、この点は、拡充をするという基本方針のもとに検討をさせていただきたいと思います。
  315. 上田哲

    上田哲君 最大限という意味ですね。受け取っておきましょう。
  316. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 本調査についての質疑は一応この程度にとどめます。     —————————————
  317. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 次に、国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言願います。
  318. 岩間正男

    岩間正男君 農政局長がまだ見えないようですから、その前に一、二あとに残すと困るような問題について先に質問します。  第一の問題は、沼津の今沢海岸で九月六日から八日にかけて自衛隊と米軍が接岸訓練の上陸演習を行なうという、こういう通報があったと聞いておりますが、この訓練の内容、その規模などについてこれは説明してほしい。
  319. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 防衛局長からお答えいたします。
  320. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 自衛隊の訓練は、輸送艇二隻でもって接岸訓練を行なうものでありまして、九月五日から七日にかけて、横須賀を出まして、六日に離着岸訓練、一隻で二回、計四回、それから同じ日に救難訓練計二回、それから七日に館山に帰り、さらに横須賀に帰るということでありまして、この離着岸訓練については、港湾施設のない砂浜に離着する訓練であります。いわば生地訓練であります。それから救難訓練の場合は、砂浜に乗り上げて離岸できなくなった輸送艦をほかの船が曳航して救難をするという、船が船を救難するというやり方であります。
  321. 岩間正男

    岩間正男君 これは自衛隊と米軍が共同してやるんですか。つまり日米共同訓練の一環になるんですか、どうですか。
  322. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 米側との関連は全くありません。
  323. 岩間正男

    岩間正男君 関連がないと言って、自衛隊はいつやるんです。それから米軍はいつやるんです。それから場所は。
  324. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 自衛隊は、いま申し上げましたように、九月五日に横須賀を出て、六日に沼津に到着してそこで訓練をやる。したがいまして、六日に出発をしております。六日に出発をして、七日の午前二時に館山に入港し、午後横須賀に入港する、こういう計画になっております。一方、米軍のほうは、九月七日に沼津に上陸するということでありますから、いわばすれ違いのかっこうになっております。
  325. 岩間正男

    岩間正男君 こういうかっこうで共同訓練というのはしばしばやられているんですね。陸なんかを見ましても別に共同訓練じゃない。しかし、同じ目標に向かって一方から自衛隊が撃ち、一方から米軍が撃つ、こういう事態もあるわけですね。だからこの場所では全然接触がないわけですか、今度のやつは。全然接触はないんですか。沼津は六日ですから一緒になるんでしよう。そういう形での別口の計画でやっているんだと言いながら、関連なしということはこれはちょっと考えられない。その辺はどうなんですか。
  326. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 離着岸訓練は、海上自衛隊の場合に年に数回やっております定例の訓練でありまして、米軍とは全くの関係はありません。いま申し上げましたように、わがほうは六日の夜出発をしておりまするし、米軍は七日に到着するようでありまするし、これは全く関係ございません。たまたま期日が一緒といいますか、近くになったので、あるいは誤解を受けたのかもしれませんが、通常秋に訓練をやるその一環であります。
  327. 岩間正男

    岩間正男君 いつでもそういう説明をされているのでありますが、これは時間の関係から詳細の問題についてはもっと調査し、実情も把握した上で質問しようと思いますが、米軍は七日に通常の上陸訓練をやると言っているんですが、これはあくまで上陸だけであって、現在富士にいる部隊の引き揚げは行なわない、こういうことなんですか。ただ訓練だけですか。この辺はどうなんですか。   〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
  328. 高松敬治

    説明員高松敬治君) いま私どもが受け取ります通報は、先ほど申し上げましたように、九月六日、七日に富士で演習をするという通報を受けております。この七日に沼津へ上陸してくる部隊は、おそらくそのあと演習予定の部隊ではなかろうかというふうに考えておりますが、これについての通報はまだございません。
  329. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、新たな海兵隊ですね。
  330. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 海兵隊でございます。
  331. 岩間正男

    岩間正男君 当然、いままでの慣例から言うと、戦車、輸送車、装甲車、その他の武器をたくさん持ってくるわけですが、そのときにどうなっておりますか。人員はどれくらいですか。
  332. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 人員はいまのところ不明でございます。  それから、持ってくるのは一〇五ミリりゅう弾砲、一〇七ミリ迫撃砲、こういうふうに聞いております。
  333. 岩間正男

    岩間正男君 数はわかりますか。
  334. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 一〇五ミリ、一〇七ミリ、合わせて十門です。
  335. 岩間正男

    岩間正男君 戦車は。   〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕
  336. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 戦車は予定に入っておりません。
  337. 岩間正男

    岩間正男君 これは、いつでも通告があってその通告どおり実施されておりますか。従来どうです。ただばく然と十門。各種のあれを合わせて十門。そういうことになってくるのですが、いまの戦車とか装甲車、人員輸送車、こういうものは来ないんですか。
  338. 高松敬治

    説明員高松敬治君) いままで七日前に通報があって、大体そのとおり守られております。  それから人員輸送車、トラックが若干あるんではなかろうかと思っておりますが、ちょっといまのところ詳細はわかりません。
  339. 岩間正男

    岩間正男君 戦車の問題が問題になっているときですから、戦車がこの中に入っていない、こういうようなこともあり得る。防衛庁の資料を見たって非常に問題になってくる。一五五ミリあるいは二〇三ミリの問題が問題になってくる。去年の沖繩の国会では、これ、ちゃんとわれわれの資料から省いているのですね。追及されて、先ほど言ったように、あわてて今度は追加する、こういうことがあるので、これは米軍のそういうなにというのは一文字どおり向こうに通告がいっているかどうか。そういうものを一体ほんとうに厳密に検査していますか。
  340. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 厳密にこれはいままで調査をしているというふうな形のことはやってないようでございますが、演習場において演習をしているものは何であるかということは、これは明確にわかっております。  それから今回の七日の演習については、実は戦車は含まれていない。これは沼津に上陸するものの中には戦車は含まれていない。これははっきり言えると思います。
  341. 岩間正男

    岩間正男君 そうは言っているけれども、全くこれ、点検できないんですね。日本側に点検の権利もない。沼津の防衛施設局に行って聞いてみるというと、ほとんどこれは通告を受けるだけなんだな。そうして調べるということはないのだな。調べてない。チェックしていないのだ。チェックしていないから、これは戦車がないと言っても、そういうことになるのだ。だから人員を聞いているんです。海兵隊がたくさん入って、その中で戦車の、一体、いま問題になっているけれども、はたしてこれは訓練をやらないのかどうか。一〇五ミリだけが中心になる砲兵部隊なのか、そういう点が明確でないので、あなたのほう、もう少しそこを明確にする努力をすべきだと思う。防衛庁長官どうです。こういう問題について非常にルーズなんです。ほとんどノー・チェックなんだな。向こうのなすがままにまかしておる。そして首都から何キロしか離れていない、日本の象徴、足元、そういうところで、こういうようなノー・チェックでいいのかどうかという問題が、新たな課題としてこれは出ているんです。これはどうなんです。いま戦車問題で非常に国内が、国内法を守るかどうか、あるいは米軍の戦車がこのまま輸送されるかどうかということに非常にこれは国民の関心が高まっているのだ。その中で接岸してくるんです。これに対するはっきりした態度を一体防衛庁長官としてどうとるのか。はっきりとこれは御答弁願いたい。
  342. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) この演習の通告には、このたびの上陸演習の際には戦車はないということであります。御承知のように、東富士のほうには戦車もありまするから、そちらのほうに行って演習をする場合には戦車を使うことはあり得るということであります。全体としてのそういう問題のチェックは、演習の場合そうこまかくチェックをするというふうにはいままでなっていないようでありますが、しかし、そのために地元の人々との間に、何と言いますか、トラブルが起こるということではなりませんので、将来はチェックをすることについては十分の努力をしていく、こういうふうにしたいと思います。
  343. 岩間正男

    岩間正男君 けさほど来のここでの質疑応答ではっきりしておりますが、国民は非常にこういう点であきたらなく思っているわけですね。だから、はっきりした態度でもってこれは米軍に申し入れるべきだ。こういう問題についてチェックをするのかどうか。今後日本の政府態度はこうだ。安保の適用というものは、全くこれは何といいますか、国の主権をもう放棄しているようなかっこうで行なわれているところに大きな問題がある。これに対して立ち向かう姿勢としては、はっきりこれは対決をしなければならない問題です。戦車が何台入ってきて、兵員が何人で、何を訓練して、そうしてこの部隊はどこに行くのかくらいの、そんなものがわからないようでは一体何ができますか。施設局に行ってみてあきれているんだ。全部あれは使われているにすぎない。こういうことを私たち何回も、いまあそこの施設局をたずねておりますがね。それで実際会って聞いてみると、何らこれはたよりがないのだ。問題にならないのですよ。つい最近行ってきた。一週間くらい前に行って、話を聞いております。だからそういう点について、施設庁長官、そうして全体の責任を負う防衛庁長官がはっきりしなければならぬ、こういうことを特につけ加えておいて、この問題については、事前のもっとわれわれの調査、それから発展の中で再質問します。  次にもう一つ、これは車力村のミサイル試射場の問題で、これは車力村のミサイル試射場の設置問題が公になったのは、昨年の十一月の四日、わが党の青森県委員会がこの計画を明らかにして、それからこの問題が国会でも取り上げられた。これはその後どうなっておりますか。
  344. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 車力村の問題につきましては、その後地元及び漁業関係者といろいろ折衝をやってまいりましたが、地元車力村をはじめ関係市町村、それから関係の漁業団体において射撃場設置計画に反対という意向が表明されまして、そうして現在に至っております。私のほうとしても、今後ともひとつ理解を得るように努力を重ねてまいるというのが現在のところでございます。
  345. 岩間正男

    岩間正男君 これは時間の関係で詳細やれませんけれども土地の取り上げ方、ひどいもんです。ブローカーが入って行って買っている。それから、もうほんとうにくずしている。ところが実際問題として、これは明らかにミサイル試射場でしょう。この問題は、青森県は伝統を持っている。昭和二十九年だと思う。岩木山でやはり試射場をつくろうとして、地元の人たちが組織をあげて反対した。そしてとうとうこれはだめになった。で、そういうものにこれはなりかねないのですよ。当然、こういう点については地元民の意思をあくまで尊重する——反対を表明しているのでありますから、そういう意思に従って、強行はこれは絶対しない、こういうことは確認してようございますか。
  346. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 私ども地元の方々にこれからいろいろお話を申し上げて、あくまでも理解を得てやってまいりたいというように考えております。
  347. 岩間正男

    岩間正男君 理解を得て、やるほうにやるんですか。それじゃやっぱりちょっと事実に反するのです。これに対する地元民の意向をはっきり現地に行ってなにしてみてくださいよ。私もこれはまた参りますけれどもね。そういうものではないんだ。これはもうはっきり廃棄すべきだ。地元民の了解を得て、やるほうにやるんでは、これはちょっと話にならぬ。そんなもんではない。そんな試射場を一体あそこにつくる、そういうことでどんどんこれは基地が拡大されていっているのですよね。どうなんです、その点は。あくまでも地元民の納得を得てなどと言っているが、実際は強行をするということになるのじゃないですか。どうですか。
  348. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 施設庁長官が申したのは、岩間委員のおっしゃるような趣旨であるという意味でありまして、われわれとしてはなお地元の人たちによくお話をして、理解を得てこの試射場をつくるようにしたい、しかしそれは決して強制的な措置でやるものではない、こういう趣旨でございます。
  349. 岩間正男

    岩間正男君 了解が得られなければ、これは中止しますね。
  350. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 同じことですけれども、われわれは了解を得ることにつとめる、強制的な措置はとらない、こういうことでございます。
  351. 岩間正男

    岩間正男君 沖繩の強制土地収用でわれわれはちゃんとわかっていますからね。あのとき、あくまでつとめます、五年間の期間のうちにあらゆる努力をすると。ところがどうです。返還後わずかに二カ月足らずして強制発動するというような、  こういうことでやっているじゃないですか。だから、いまのことばというやつは、何というのか、自衛隊式表現なんですよ。だから、防衛庁長官のその言明というやつは、そのとおり文字どおり受け取れない。あなたたちには、何というか、いままでそういう、悪いことばで言えば前科があります。前科と言っちゃ悪いけれども、そういうやり方でこれはやってきておりますからな。だから、努力はします、向こうの了解は得ますと言っているが、しかし陰のほうでは強引、そうしてこれは二面性を持っていますから。そんなこと、われわれいま始まったわけじゃないですからよくわかっています。だから、あくまで地元民のこれはそういう反対が強くなっているのだから、そういう体制の中ではこれはやらぬ。当然、強行はしない。これははっきり言えますね。
  352. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 私はそういうふうに言うたつもりです。繰り返して言えば、われわれとしては地元民の理解を得て設置をしたいけれども、強制的な措置はとりません、こういうことでございます。
  353. 岩間正男

    岩間正男君 確認しておきます。  それじゃ、次の問題に入ります。これは土の問題ですが、去る八月二十三日の当委員会で、わが党の星野委員が、ノースピアから相模補給廠に搬入された戦車に付着している土の問題について質問をしました。この土の輸入は、外国からの土の輸入を禁止しているわが国の植物防疫法に違反しているだけでなく、土を輸入禁止品として取りきめている日米合同委員会の合意事項にも違反している点をきびしく指摘しました。  きょう私は、米軍によって相模補給廠に持ち込まれた土をここに持って来ました。これはもうたくさんありますからね、これは全く一部分ですが、持って来た。この土は、昨年十二月搬入されたM48戦車のキャタピラと戦車の中に付着していたものを本年の七月中旬にはがしたもので、全駐労の労働者が去る二十四日、私に提供してくれたものです。  私は、さっそく日本科学者会議の専門家の協力を得て、この土がほんとうにベトナムの土かどうか分析してもらいました。そうしたら、この土の中から、はっきりしておりますが、これはいろいろな分析の結果出てまいりました。こういうものが、いろいろな物質が出てきておるわけですね。たくさんありますから、あとでこれはお目にかけます。その中で、熱帯の土にしかない結核、結核と同じような呼び方ですが、つまり鉄の結昌が出てきた。ここにあります。これです。さらにこの結核をエックス線回折したところ、赤鉄鉱や針鉄鉱が検出されました。専門家の話では、これだけでもこの土は本土や沖繩のものでないことがはっきりしておる。こういうことが明確になったわけです。戦車についていたとなれば、ベトナムの土であることはまず間違いないと言っているわけです。こまかいことはここに分析をしたデータがございます。これはお目にかけたいと思います。これは科学的な分析をしたデータがございます。そこで、農政局長見えてますね。この土はあなたに差し上げますよ。農林省で科学的にやはり分析して、その結果を出してもらいたい。われわれだけやったのじゃ、共産党だけが秘密に、そして自分に都合のいいような分析をしたのだと言われたんじゃこれはまずいですから、これはあなたにあげますから、これを分析して、その結果を当委員会に報告してください。委員長、いいですね。これは当然御答弁になると思います。これはあとで持っていきます。外務省も農林省も、この事実に対してどのような措置をとられるか、まずこの点をお伺いしたいと思うんです。
  354. 荒勝巌

    説明員荒勝巌君) 先般当委員会で農政局の参事官から答弁申し上げましたとおり、外地から土を搬入することにつきましては、植物防疫法に基づきまして禁止になっておりますので、そういう姿勢で農林省といたしましてはやってきた次第でございまして、アメリカとの間の約束でも、外地からの土は持ち込まないということになっておりまして、いままでは持ち込まれていないという考え方できておる次第でございます。
  355. 岩間正男

    岩間正男君 それから外務省は……。
  356. 鹿取泰衛

    説明員(鹿取泰衛君) 日米合同委員会においても土の持ち込みはしないということになっておりますので、もし戦車に土をつけたまま搬入していることが事実であるということが判明いたしました場合には、厳重に合同委員会を通じて米側に申し入れることにしたいと考えております。
  357. 岩間正男

    岩間正男君 厳重に申し入れると言うのですが、これは今後戦車を持ち込まなければだが、持ち込む。そのほか兵員輸送車の問題もありましょう。装甲車の問題もありましょう。ほとんどこれは戦場から直輸入されておる、こういうかっこうですね。そうすると、その中に土がついておる、そういう場合に、これは入れないということにはっきり処置をとれますか。
  358. 鹿取泰衛

    説明員(鹿取泰衛君) 戦車を持ち込む場合に土を洗い落とせばいいことでございまして、従来からも洗い落としていたはずなんでございますけれども、もし洗い落としが完全でなかったということがわかりました場合には、完全に洗い落とすようなふうな措置をとりたいというように考えております。
  359. 岩間正男

    岩間正男君 これもチェックしますか。どこでチェックしますか。洗い落としたなんて、向こうのやったことをのほほんと聞いておると、これはあとで明らかにしますけれどもとんでもないことなんです。洗い落としました、しかし洗い落としているはずの——洗い落としていたんだってあなたがさっきそう言ったね。洗い落としていないのだ。現実にある。この委員会にはっきりある。そうして私はこれを指摘しておる。そうしてこれは戦車を修理する全駐労の労働者がはっきりはがし取ったものだ。現実にある。この事実はどうだ。そうすればはっきりこれは植物防疫法の違反でしょう。違反だったらどうする。農林省としてこれはどうする。それから洗い落としていたと言うが、洗い落としていないからある。外務省どうです。この両者の答弁を願います。
  360. 鹿取泰衛

    説明員(鹿取泰衛君) いまの詳細につきましては安保課長をしてお答えさせます。
  361. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) お答えいたします……。
  362. 岩間正男

    岩間正男君 端的に言ってください。あなたのはさっきから聞いていたら非常にめんどうくさいから、もっと国民にわかるようなことばでいい。官僚的な粉飾は要らぬ。
  363. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 先ほど官房長が答弁いたしましたけれども、合同委員会で日米間に合意があり、土は持ち込まないということとなっております。これに対する違反、合同委員会合意に対する不履行というのが今回の問題となろうかと思いますので、その趣旨で米側にものを申します。そして、今後そのようなことのないように申し入れたいと存じます。しかしながらいま先生御質問の、そのあとのチェックをどうするかという点でございますが、外国軍隊に対しまして、わが国が権利を持って立ち入り調査し確認するということは、一般国際法上からもできませんので、これは合同委員会を通ずる申し入れによって処置いたしたい、そのように考えております。
  364. 岩間正男

    岩間正男君 そういうことを言っておるのだが、合同委員会違反なんですね。この違反を糾弾しなければならぬでしょう。単に今後持ち込まないからかんべんしてください、こんなことじゃ話にならぬ。国民の意思を代表するなら、いまのような答弁ではだめなんです。これに対して、これは厳重にこの合同委員会違反のこの事実というものは指摘しなさい。そして謝罪なら謝罪をさせる、はっきりする、国民の前に。  もう一つは、今後チェックできないと言ったが、これは悪いことをしないときはチェックできなくてもいいだろう。悪いことをしているんだよ。違反しているんだよ。そのときに、チェックしないで合同委員会を通すなどといった答弁は、答弁になりますか。安保は生きていないんだ。アメリカの言うなりに運用しているからそういうことが起こるんです。生きていないんです。あなたのほうにこれを半分あげますから、これを分析しなさい。これは半分分けて、外務省にも。これは分析をしてみなければだめですよ。  それから、こちらはどうですか。
  365. 荒勝巌

    説明員荒勝巌君) ただいまお見せいただきました土につきましては、農林省といたしましても関係の分析機関に依頼いたしまして分析させていただきたいと思っております。またその土の持ち込みにつきましては、あくまでも私たちは植物防疫法の立場に立ちまして、土の持ち込みは、特定の用途以外の持ち込みは禁止いたしておりますので、その線に沿いまして今後外務省とも協議の上米側に十分申し込みをいたしたいと、こういうふうに考えております。
  366. 岩間正男

    岩間正男君 十分申し込むなどという、ここだけ、ここをのがれるような答弁じゃだめなんだ。いつでもそういうふうに言うんですよ。だから、こういう土をつけたやつを入れないということをはっきりすべきである、国内法を守るという立場からいえば。どっちを優先するんです。しかも日米合同委員会にかけたんだから、はっきりね。持ち込まない、これは輸入禁止します、そうでしょう。現にそうだ、甲子園で四、五年前ですよ、沖繩の高校が来て、そうしてあそこで夏の甲子園の大会をやった。そして帰るときに土を持っていこうとした。アメリカは許されぬ。なぜかといったら、これは防疫法に違反する、日米合同委員会の合意に反する、そういうことで、沖繩のあの高校生は記念のためにこれを入れて持っていこうとしたが許されなかった例がある。そういうことはこれはやるでしょう。沖繩は米軍の占領地域だといって、外国だからというので祖国の土を持ち帰ることができなかった、こういう事実があるのです。同じことですから、これは米側に対してやっぱりはっきり、そのような戦車を入れていかぬし——防疫法には罰則がないんですね。罰則があれば、これは罰則でやっぱりやらなきゃいかぬな、実際は。はなはだけしからぬじゃないか。それでなくても抗議しなさいよ、そういう米軍のやり方に対して。いいですか。その点はどうですか。農林大臣が出ていられないので、農政局長、農政の立場ですから、あなたもう一ぺん御答弁願いたい。  もう少し向こうももっと明確に、日米合同委員会主張しますぐらい言ったって——たいていわかっているんだ、どんなこと言っているか。日米合同委員会、知っているんだ。だからそのとおり、あなた方のことばを割り引きなしに受け取るようなそういう政治体制になっていないことは、よく百も御承知なんだ。だめですよ。ほかの目はくらませてもこっちの目はくらませない。さあはっきり答弁しなさい。きょうは外務大臣いないんだな。ハワイから呼び戻すわけにはいかぬじゃないか、残念なことだ。
  367. 荒勝巌

    説明員荒勝巌君) ただいま御指摘になりましたように、その土がベトナムの土でありますならば、農林省といたしましては、先ほども申し上げましたように、外務省と協議の上、米側に厳重に強く申し入れいたしたい、今後こういうことのないように何らかの今後の進め方について話を進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  368. 岩間正男

    岩間正男君 外務省さん。
  369. 鹿取泰衛

    説明員(鹿取泰衛君) 農林省のほうで調査いたしまして、その結果においてもし土をつけたまま搬入しているという事実が、それが事実であるということが判明した場合には、合同委員会で、これは合同委員会の場で厳重に申し入れる。で、その合同委員会の場で厳重に申し入れることで足りるのかという御意見もあるかと思いますけれども、私どもはこれで十分足りると、合同委員会で厳重に申し入れるということをいたしたいと考えております。
  370. 岩間正男

    岩間正男君 どうもこれじゃハワイから帰ってもらうよりしかないね。そんなあなた答弁、何べん聞いたって、ものの数にならないのだ。チェックにならぬ。合同委員会というのはどういうふうに運営されているかということは百も承知なんだ。そうでしょう。そんなところであなたたち、まあ向こうの顔を見ながら、おどおどしながら、申し入れたって、どんな効果だかというのを知っている。だから、現にどうです。洗い落とした、洗い落としたと言ったって、洗い落としていないのです。去る二十八日、ノースピアの米軍が全駐労の労働者に戦車等についている土を洗い落とすよう指示したといわれている。この事実を政府はつかんでおりますか。この問題がこの前の内閣委員会で問題になった。そうすると、どういうことを命令したかというと、ノースピアの米軍が全駐労の労働者に、戦車についている土を洗い落とせと、これは命令したということは、これはたいへんだと、この土、このままになったらこれは国会でも問題になる。そこで洗い落として、ちゃんと洗ってきましたと、こういうことをちゃんと証拠立てるためにそういうことを彼らが命令したと、こういうのだね。と、その前は全然洗い落としていなかったということがこれははっきりするわけです。これは知っているでしょう、政府で。知らぬですか。これは少なくとも政府は知っていませんか。渉外課はわかっていないですか。外務省わかっていないですか。どうなんです。こういうことは知っていませんか。
  371. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 存じておりません。
  372. 岩間正男

    岩間正男君 これは神奈川県の渉外課に聞いてください。これは全駐労の労働者が組合として神奈川——横浜の渉外労務管理事務所に抗議している。少なくともこの県の渉外課はこれはつかんでおるはずです。この事実をこれは明らかにすれば、いままでいかにでたらめでごまかしてきたかということがはっきりするのです。だから、ここではっきりした態度国内法を守るという立場をとるならば、これは明確にしてもらいたいのですが、このような土をつけた戦車は絶対いけませんぞと、こういう意思まではっきり表明することが、これは国の意思として必要だと思うのです。副長官、いかがですか。防衛庁長官いかがですか。お聞きします。
  373. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) いまこう承っておりまして、土をつけてきたら入れないぞというようにはなかなか行きにくいのじゃないかとちょっといま私考えたのであります。やはり外務省でお答えをしましたように、この合同委員会に持ち出して、さようなことのないように厳重申し入れる、そうして間違いのないように実行してもらうということを厳格にやるということではないかというふうに考えております。
  374. 山下元利

    説明員山下元利君) ただいま防衛庁長官のお答えになったとおりであると考えております。
  375. 岩間正男

    岩間正男君 これは国内法を守るんですか、守らないんですか。
  376. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) もとより国内法を守らせるというたてまえでございます。
  377. 岩間正男

    岩間正男君 国内法を優先するんですか、しないんですか。
  378. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 優先という意味がちょっとわかりかねますが、国内法は守らせる、そういう土を入れさせないということを実行させるとこういうことでございます。
  379. 岩間正男

    岩間正男君 農政局長にお伺いします。  なぜこういう植物防疫法というのができたんです、何のために。
  380. 荒勝巌

    説明員荒勝巌君) この植物防疫法の法の目的は、やはり輸出入の植物によってその蔓延——「植物に有害な動植物を駆除し、及びそのまん延を防止し、もつて農業生産の安全及び助長を図ることを目的とする。」ということで、土につきましては、第七条におきまして「土又は土の附着する植物」ということで、これは輸入禁止品という形になっておる次第でございます。
  381. 岩間正男

    岩間正男君 これはベトナムの戦場から、なまなましい戦場からの土をつけてこれは来ているわけです。このことは一つの非常に大きい。それから、植物防疫法によれば、病原菌とか害虫の卵とか細菌とか、こういうものが入ってきて繁殖したら日本の農業に対する被害が非常に大きい、それだけじゃない、その結果がこれは人体にも影響を与えないという保証はない、そういう点で、非常に厳密にやっているわけです。日米合同委員会で再確認までしておる。その意味というのは非常に重大なんですよ。だから、国内法を守るということは日本の農業を守ることであり、日本人の人体の安全を守るということ、こういうことからきておるのですよ。この防疫法を簡単に考えたんでは話にならぬ。したがってこういう立場からいえば、この国内法をほんとうに守る。したがって米軍がこれを侵犯することは絶対許さない。もう土をつけたこのような戦車についてはこれは絶対に日本の国土に入ることは許さない。したがってこれは厳重にチェックをする。そうすれば、沼津の当然今沢海岸に行って日本政府がチェックするのはあたりまえだ。検疫官も行って、こういうものについて検疫するのがあたりまえだ。当然ですよ。これぐらいのことは最低限度——国内法があるのだ。その国内法を守るという立場に立てばそれは当然だと私は思う。そんな最低限のことができないのですか。したがって日米合同委員会は、何か神だのみみたいな、いつでもほんとうに手をすり合わしてやっているというような合同委員会じゃ期待ができないでしょう。どうなんです、その点は。はっきりさしてください。これは事務当局に聞いても気の毒だかしれませんね。したがってこれは国務大臣、それから官房副長官が答弁する立場でしょう。どうですか。
  382. 山下元利

    説明員山下元利君) 御指摘の点は私ども十分お伺いいたしまして、ただいま外務省からも答弁になったとおりでございますが、安保条約地位協定国内法との関係につきましてはいろいろむずかしい問題を含んでおりますが、ただいまの御指摘の点につきましては、今後この日米合同委員会の場を通じまして十分アメリカ側に申し入れることが必要かと思うわけであります。
  383. 岩間正男

    岩間正男君 こんなになるのは日本のいままでの政府態度にあったのだ。最初からき然としてあればこんなことはなかったわけだ。ところが言いなりほうだいになっておる。全くもう言いなりほうだいになっておる。そして今日まできておる。それが習慣になっておる。そしてあらゆる日本政府のそういう部局の面においてこの問題がほんとうにルーズに扱われておる。その被害は国民に全部きているというのがいまの姿である。だから国内法をはっきり守る、これは日本の独立と深い関係がある問題ですよ。この問題をはっきり守るのかどうか。ことにまあ姿勢は、田中内閣は何でしたっけね、ちょっとこれはまだ施政方針も聞いてないのでよくわからないんだけれども、何ですって、姿勢はどうなんです。積極的に前向きで、そうでしょう。そうしてあくまで官僚政治を排する、そういう姿勢をとるなら、ここではっきりやったらどうです。少なくとも対等平等だったら、これははっきりやったらいいでしょう。ところがやれないんだ。はっきりここで言明もできないんだ、政府の代表者が言明もできないんだ。問題は戦車を入れないことだよ。戦車を入れなきゃ土なんか入らない。どうです。戦車を断わったらどうです。これはベトナムの戦域と直接つながっている。あの戦車が出ていくたんびに何十何百の人が殺されるんだ。こんなことを一体安保条約上に保障した覚えはない、国民もそう考えておる。そういう立場に立てば、当然、私はこの戦車は入るべきじゃないという、そういうところまで、私は、はっきりこれは協力しない、そうしないと、国内法を無視して、ベトナムで洗ってきたなんてうそついて、こっちで洗わしておる。そうしてこのような土がちゃんとこれははっきり出てきておる。調べてみるというとこれははっきりとこういう分析の結果が出てきておるんです。そういうことになったら、どうして一体日本の自主性というのを守るんです。どうなんです。改造論なんかやらないで、それをはっきり改造したらいいんだ。日本の政治を改造しなさい。話にならぬ。どうなんです。
  384. 山下元利

    説明員山下元利君) 政治の姿勢につきましては、新内閣は決断と実行ということでございます。この問題につきましては、わが国が現在アメリカ安保条約締結いたしておりまして、この条約上わが国が負うておる義務を履行することはこれは国際的な信義として当然でございます。ただその履行のあり方につきましては、いろいろ国内法との関連もございますので、今後とも十分にこのあり方につきましては日米委員会等の場を通じて申し入れたいと思う次第でございます。
  385. 岩間正男

    岩間正男君 まあ決断と実行でしたが、どうも決断と実行がはっきりしないですね。田中さんは行く前にちゃんとこういう問題もこれは持って行かれればよかった。少し早過ぎたきらいがある。  で、どうなんです。一体この政府の言い分というのは、いまの、安保に対する義務があると言うんですね。政府は、米軍の所有だから戦車の修理、補給はしかたがない、こういうことを言っているんです。それじゃ私お聞きしたいんだが、この問題、これはいまこの土の問題から発展するわけです、いまの答弁の中にありましたから。安保にあるからその義務を負っているんだ、修理、補給はしかたがないんだ、しかもこれは米軍の戦車なんだからしかたがないんだ、米軍の所有なんだから、だからこれはどこで使おうが——こういうふうなことを言っているんですね、最近。この問題に入りたいと思うんですが、これはどうなんです。米軍の所有している戦車なら何でもこれは修理するというふうに考えておるんですか。どうなんです。
  386. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) 岩間先生の御指摘は——日本の国内にございます施設区域は、安保条約の第六条に規定してございますとおり、日本の安全と極東の平和及び安全の維持に寄与するために使われるという一般的な使用目的が書いてございます。したがいまして、本質的に申しますと、この使用目的に沿う限りにおきまして、日本の施設区域がそれぞれのこの目的の範囲内で使われることについては安保条約上ちっとも差しつかえないというふうに考えております。したがいまして、米軍の戦車等が日本に来まして、それが修理されるということは、この第六条の趣旨に沿う限りにおいて差しつかえないというふうに考える次第でございます。
  387. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、米軍の所有の戦車だったら、とにかく向こうが修理してくれと言えば、全部やる義務を負っているというのですか。はっきり言ってください。
  388. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) 必ずしもそうではございませんで、日本の安全または極東の平和及び安全、これに寄与するという一般的な目的に沿わないもの、たとえば全く米本国にある戦車を日本に持ってきてそれを修理する、あるいはNATOにございます戦車をみんな日本へ持ってきて修理するというふうなことがもしあったとしたら、それは施設区域を提供する目的に合致しませんので、そういうことは考えられません。
  389. 岩間正男

    岩間正男君 一般的にはやっているわけですけれども、少なくとも二つの、これははっきり条件を明らかにしなければならぬと思う。一つは、安保のワク内なのかどうか、これはむろん私たちは、安保の論議に立つとき、これはあなたのような解釈には賛成できませんよ。あくまでこれは党としてははっきり反対の立場に立っているが、かりに安保の立場に立ってあなた方の言うところに従うとしても——かりにですよ——そうすると、まず安保のワク内、そのワク内で使うものでなければならぬという一つのなにができますな。そこが、極東の範囲の問題なんかも出てくるのですが、これはベトナムは極東の範囲をこれは逸脱しているわけだ。ここのところを拡大解釈してあなた方はかってにやっている。もう一つは、米軍が使うものでなければだめでしょう。どうです。この二つの点がはっきりあなたたちの言う、いわゆる米軍の所有する戦車の修理、補給はやむを得ないのだ、こう言っている、その条件をかりに認めるとしたら、そういう条件としては少なくともいまの二つの問題——安保のワク内でなければならぬ、もう一つ米軍が使うものだ、こういう二つのワクがなければならぬと思うが、どうですか。
  390. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) 米軍の所有する戦車であるということはそのとおりだろうと思いますが、それがいろいろな形式によって米軍以外の軍隊が使う、たとえば現在もベトナム紛争における南ベトナム政府軍が使っているという話もございまするけれども、こういう場合に、ベトナムにおける米軍の行動というものが安保条約第六条の趣旨に違反するものではないというたてまえからいたしますると、そのような戦車がベトナムにおいて使われる場合に、必ずしも米軍によって使われなくても条約の趣旨に反するものではないという考えでございます。
  391. 岩間正男

    岩間正男君 ごまかし答弁ですよ。六条に違反しないものとするならばという仮定に立っている。違反するのだ、これは。いまの二つが——安保のワク外で使っているのはこれは違反する。それから米軍が使わないものを修理するのは違反する。私は二つあげている。そんな拡大解釈はありますか。ここがいま焦点になっているのだ。今後の安保に対決する——ほんとうに日本の独立、そういうものを守っていくか、そうして国内法をこれは守るか、憲法を守るか、民主主義を守るか、日本の独立を守るか、そういう問題と、安保を優先してベトナムの侵略に加担するか、この対決が迫られているのはここだ。非常に大きな問題だ。あなたは仮定の上に立っている。六条に違反しないとすればなどという前提に立っていまの議論をしている。いまの答弁というものを分析してごらんなさい。このように分析してみればたいへんなものになる。そんなものは論理的に成り立ちますか。成り立ちませんよ。はっきり認めますか、二つの条件認めなければならぬでしょう。条約局長がこれを認めなかったら、日本の条約なんていうのは吹っ飛んでしまう。どうですか。
  392. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) 私が申し上げていますのは新しいことではなくて、これまで政府が何回も同じような質問に対しましてお答えしてきたことを申し上げたつもりでございます。
  393. 岩間正男

    岩間正男君 次元が変わって、国民のいままで何か潜在しておったのがはっきり、これはことしの八月の四日からですか、はっきり国内法を守るべきだという趣旨に集中がされ始めてきている。これは独立への立ち上がりでもある。そういう段階で、そういうことをまだいま言っているんですか。日米合同委員会でいままであんたたちが果たしてきた役割りというのは天下周知の事実なんだ、外務省が果たしてきた役割りというのは。全然自主性がなかったんです。米軍の言いなりほうだいになってきたということは、これは天下周知の事実だ。まぎれもない事実ですよ。そういう体制の中で、いままでの解釈をあくまで持っていくと、こういうことなんですか。いままでの解釈は間違ってるんです。はっきり間違っている。  では具体的に聞きますけれども、どうですか、米軍が使わぬでもかまわないと言うんですか。米軍以外の第三国人が使うのでもかまわないと言うんですか。はっきりもう一回お聞きしたい。
  394. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) それは、先ほど申しましたとおり、ベトナムにおける米軍の介入というものが安保条約上是認されるものであるという前提に立ちます限りにおいて、米軍の戦車がたとえ米軍以外の者によって使われましても差しつかえないというのが従来からの解釈でありますということを申し上げておく次第であります。
  395. 岩間正男

    岩間正男君 この従来の解釈が間違っている。間違ってますよ。  それじゃ、もう少し角度を変えて私は聞きたいんですけれどもアメリカ軍が南ベトナムかいらい軍に戦車その他の武器を提供している、この法的根拠はどういうことになるんですか。これは、提供している、貸与している、こう二つあると思うんですけれども、何を根拠にしてこれはやってるんですか。
  396. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 米国の国内的には大統領権限に基づいて行なわれております。具体的実施は、米国の対外援助法により財政支出に関する議会の承認を得て、個々の供与、貸与が行なわれておると聞いております。
  397. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、あくまでこれは国内の行政権の発動というような形になるんですか。それともベトナムとの間に何かそういう協定があるんですか。
  398. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 米国とベトナム政府間に二国間の軍事援助協定が存在するとは私どもは承知しておりません。しかしながら、ベトナム政府の支援要請に基づいて、従来より米国としてベトナム支援を公約し、国連憲章第五十一条にいう集団的自衛権の行使として、個々の援助をやっていると存じております。
  399. 岩間正男

    岩間正男君 これは、ベトナムの場合にはないんですか。はっきりないのか、二国間のそういう協定内容はないんですか。あるかないか、はっきり言いなさい。簡単に答えてほしい。
  400. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 御答弁申し上げたつもりでおりますが、存在するとは私どもは承知しておりません。
  401. 岩間正男

    岩間正男君 これはもっと調べてくださいよ。台湾とはどうです。台湾と米国の間、米台。
  402. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 存じません。
  403. 岩間正男

    岩間正男君 これも知らぬ。韓国とは。
  404. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) お尋ねの趣旨がどのような軍事援助協定を結んでいるかという御趣旨でございますならば、私どもまだとっさのことで、御質問で、調べて御回答申し上げたいと存じます。
  405. 岩間正男

    岩間正男君 それはあんた、三日も前からあなたのほうで調べるといって、ぼくのほうから申し込んだはずです。調べていない。これはちゃんと調べなければなりませんよ。どういう根拠によって武器貸与法というようなものがあるのか。対外援助というようなもの、非常にぼうばくな、いろいろ食糧なんかまで含めたものなのか。武器についてはどうなのか。その中の一部にこれはなっているのかどうか。そうしてこの発動でこれはやられていると、大統領権限による対外援助法、これでこの措置をとられて、議会で予算をつけてこれはやられておると、こういうふうななにをやっておるようでありますが、ベトナムの場合なんか特にそうでしょう。これはジュネーブ協定十七条違反だ、まっこうから。(a)、(b)項にまっこうから違反するんだ。あらゆる国はこれに武器を持ち込んではならぬという、このジュネーブ協定の十七条違反なんだよ。だから、公然とここで結べないんだろう、おそらく。だから非常にこれは秘密なかっこうでやっているんです。そんなことはわかる。政治的にははっきりしている。ところが、大統領権限でもいい。対外援助法でもいい。そこでお聞きするが、これは安保を拘束しますか。
  406. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 御質問の意味は、実は申しわけございませんが、つかみとれないでおります。アメリカの対外援助法が安保を拘束するかという御質問ですが、拘束ということばの法律的な意味ないしは条約的な意味が実は理解し得ない次第であります。
  407. 岩間正男

    岩間正男君 対外援助法に対して安保は義務を負うかということです。拘束というのはそういう意味です。
  408. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) 日本との関係におきましては、安保条約は日米安保体制の唯一のものでありますので、それ以外のものは何ら関係ございません。
  409. 岩間正男

    岩間正男君 それではっきりしたでしょう。そうすると、大統領の権限で援助をやっているわけだ、ベトナムね。そうすると、それに対して日本は安保の上での責任は何ら負わないということははっきりしたでしょう。何も拘束されないんだ。大統領権限だとか、それからアメリカの対外援助法、その結果発動している。そのあれでしょう、ベトナムで使う。そうしてベトナムかいらい軍が使うということは、これはこの前の二十四日の大統領の演説ではっきりしているんだ。地上軍の行動はもう終わった。したがって、当然、今後使う戦車——輸送される、修理される、そういう武器というものは明らかにこれはベトナム軍が使うんだと、こう解釈するよりほかはないという外務省の見解が出されている。それを発動するのは、いま言ったように大統領の権限による対外援助法なんです。その援助法は何ら日米安保条約を拘束するものじゃない。そういうことになれば、どこに一体われわれがそんな責任を負う必要があるのか。安保に対してそんな責任をどこに負う必要がある。逸脱ですよ。明らかに逸脱ですよ。これは答弁できますか。対外的にそんなばかげた、気分や何かでやってもらっては困るんです。はっきりあんた、国際法の立場に立って明確にこれしなさい。重大な問題ですぞ。対外援助法が何で安保を拘束するか。安保はその対外援助法の義務を負う必要があるか。ところが、実は戦車を出しているのはこれは明らかに対外援助法。大統領権限によるものだ。そんなものに拘束される必要はない。したがって、明確なことは、これはベトナムで使っておる戦車を、日本の安保条約のもとにあるという名前のもとに、そうしてあなたたちは曲解をし、拡大解釈をして、米軍の所有なんだからこれはしかたがないのだ、修理も輸送もしかたがないのだ、こういうかっこうで今日行なわれておることは、明らかにこれは根本から違反ですよ。どういうふうに抗弁します。言ってごらんなさい、やれるなら。
  410. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) 先生の御質問の意味が必ずしもよくわかりませんが……。
  411. 岩間正男

    岩間正男君 わからないというのはどういうことか。わからないわけないじゃないか。明白じゃないか。いままでの頭で考えているからわからないのだ。
  412. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) よくわかりませんのですけれども、一応お答えをいたしますと、アメリカの戦車を米軍がベトナムに貸与するということにつきましては、日本は何ら責任を負いません。日本に関係のない問題です。日本といたしましては、日米安保条約上、ベトナムで米軍外のものが使う戦車について、安保条約上それを差しつかえないと考え得るかどうかという問題だけでございまして、米軍内部の問題あるいは大統領の権限の問題については、安保条約関係から何ら直接の関連はないという問題であろうかと思います。
  413. 岩間正男

    岩間正男君 いまね、第三国軍の使う戦車について言っているわけです。それについて私は明らかにするために二つの条件をあげた。安保のワク内でなきゃならぬということ。もしかりにあなたたちの言うことがいままでのそれに従うとしても、これは安保のワク内でなきゃならぬ。第二には、第三国の軍隊で使うものであってはならぬ。こういうことをまあ明らかにして、それと今度は対外援助法との関連でこれを明らかにしたわけです。対外援助法によってこれは行なっているわけなんです、米軍は。そうでしょう。安保によってやっているのですか。安保によってやっているのじゃないでしょう。対外援助法でやっておる。そうすると、この米軍の大統領行為に対しては何で安保は責任を負う必要があるのだ。必要ないでしょう。あなたの言っておることは支離滅裂ですよ。いままでの考え方からいくとそうじゃないですか。そうでしょう。そう思いますけれども、これはだれが考えたってそうでしょう。これは安保の道はふさがれておるわけだ。いまの条件二つあるのだから。
  414. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) 米軍所有の戦車が対外援助法によって第三国に貸与されておる。だからこれを日米安保条約認めなければならないということを私は毛頭思っておりません。
  415. 岩間正男

    岩間正男君 だれが考えたって答弁になりませんよ。日本に何も無制限に——あなた言ったでしょう。アメリカの国内の戦車を持ってきて修理する、そんなことは何ら——ところがアメリカはそう言うかもしれぬ。そのときは、これはやらなければならないなんて言い出さないともいえない。しかしそんなことないのです。これはやっぱり安保のワク内だということをひとつどうしてもはっきりワクをはめてもらう。もう一つは、第三国のそういう戦車については修理などはしないのだというワクをはめてもらう。それで、その関係をさらにもう一つ別な面から、私は対外援助法との関係からこれを明らかにしたつもりです。対外援助法の発動でこれは戦車を貸している。それ以外にありますか。安保で貸しているなんというばかなことはあり得ない。安保で貸しているなら、これはちょっと話が違う。対外援助法で貸しているんでしょう。そうでしょう。それは認めますね。いいですね。はっきりひとつ速記録に残しておいてもらいたい。
  416. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) これは米国内部の問題でございますので、われわれのほうとしてとやかく言う立場にございませんけれども、対外援助法に基づいて米軍がその戦車を第三国に貸与しているということについてはわれわれ何ら関係ございませんということを申し上げているのです。
  417. 岩間正男

    岩間正男君 アメリカがやっている行為に対して関係あるとかないとかじゃないでしょう。あなた条約局長でしょう。これを国際法的な立場から明らかにするというのは当然な任務です。そうして、はっきりこれはいま言ったように、もう大統領の権限による対外援助法による行為に対して安保は何ら義務を負うものじゃない、責任を負うものじゃない。したがって相模原で戦車を修理、補給、輸送する、これは全く間違いです。間違い。明瞭であります。対外援助法との関係で今日明瞭です。その違法をやっているんですよ。そして、それを合理化するためにあらゆる詭弁を弄しているのが現在の姿じゃないですか。明瞭です。どうなんですか。反論できないじゃないですか。全然反論になっていません。条約局長気の毒だが、攻撃しているわけじゃありませんけれども、こういうかっこうで国際法に対決できるんですか。今日の事態に対決できるんですか。国内法を守れと、この声から発展して、そうして安保そのものの本質を見きわめようとしている国民のこの意思にあんた抵抗するんですか。いかなるいままでのごまかし論でやってもだめだよ。もう一回はっきりしておいてください。対外援助法との関係はもう明確だ。そうでしょう。  時間がないからこれぐらいにここの問題はしておいて、もう一つだけ。これは北富士演習場の問題です。先ほどこれはずいぶん論議されましたから、最後にこれは簡単にやります。  私がお聞きしたいのは、この内容をもらいましたから、これに対して当然資料を出すべきと私は思っているんですがね。政府がいやしくも結んだこの覚え書き、それを国会で明らかにしないで、山梨県知事に何とかだ、義理立てするなんと言ったって通らぬですよ。はっきり答弁している、二階堂長官がね。ノート出しなさいよ、国会へ。堂々と国民の前に明らかにしなさい。それでなければ、プライベートなこんなものですか。ある県知事政府が話し合ってなれ合って——なれ合ったと言われたってしようがない。第三者なんておかしい人が今度入ってやっているじゃないですか。そういうものを、国会へも出すことができない。何のことです。国会というのはそれほどひどいものですか。全然問題にならぬじゃないですか、これは。だからこれは出すべきだ。とにかくわれわれはいまの段階では、公然とお出しにならぬで、これはプライベートなものとして手に入っている。しかしこれは出すべきだと思いますが、この点はどうですか。お出しになるお考えはありますか。
  418. 山下元利

    説明員山下元利君) 午前中官房長官が申しましたとおり、これは官房長官山梨県知事との間において交換されたものでございますので、官房長官限りでもその問題は処理できませんので、山梨県知事と十分協議いたしましてはかりたいと思いますが、十分ただいまの御発言の御趣旨は承って進みたいと思います。
  419. 岩間正男

    岩間正男君 そういう御答弁ですけれどもね、事は何か貸借関係で金を百億借りたとかなんとかいう問題じゃないですよ、これは。米軍のいまこういうアジアにおける侵略体制をささえている演習場、それを許すかどうかという、こういう重大な問題で、そして県知事政府協定を結んだ。それは国会にも出せない。そういうかっこうでいくなんということは、これは国会無視もはなはだしい。これはやっぱり、まあ山梨県知事と相談してということを言われましたが、これは知事だって断わる理由はないだろうと思います。これは当然の措置です。あるいは政府の責任においてやるべきですよ。決断、そして実行。  そこでお聞きしたいんですが、これは三カ月過ぎたら白紙還元ですか。それとも協定を更新してこれは再延長するということですか。これは端的に答えてください、さっきももう聞いておりますから。
  420. 山下元利

    説明員山下元利君) 三カ月間の間に国と山梨県との間においてこの覚え書きに盛られている諸点につきまして十分話し合いをいたしまして、円満な解決をはかるものでございまして、私どもとしては、現段階において、この精神によりましてこの三カ月以内に諸問題を解決して本使用協定が結ばれることを期待いたしている次第でございます。
  421. 岩間正男

    岩間正男君 だからこの暫定協定というのはまことに妙なものなんですね。そうすると、それはここのところで、あなたたちほんとうの協定をつくるだけの場に、ただ時間稼ぎだね。一つは、これはもうハワイみやげ、持っていかなければきょうあたり会えないんだ、あしたね。これを持っていかなければとても会えませんよ。ニクソンの前に行って会えない。もう一つ戦車も持っていきたかったが、戦車のほうはなかなかそういかない。そこで、まあ富士だけはこれは山梨県のこういうところ、それから演対協などというもの、これは全然何も民主的な運営していませんよ。全然この会長はかってな運営をやっているんだ。われわれ調べたんだ。何回も行ってみて調べた。こういうものを相手にして、そしてつくり上げたってそんなものはだめだ。その間にやろうというんですね。  基本的な問題について二、三聞きますけれども、自衛隊への使用転換を、これは考えているんですな。もうその公算が非常に多い、その場合に地位協定の二4(b)の方法をとって米軍との共用をはっきりこれは明確にする、そういう考えを持っていらっしゃいますかどうですか。これは防衛庁長官ですな。
  422. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 私どもとしては、使用転換をするということを一つの基本的な方針にしております。考え方としてそういう考え方で進みたいと、かように考えております。
  423. 岩間正男

    岩間正男君 わかりました。つまり自衛隊に使用転換をして、それから今度は二4(b)でもって米軍と共用する東富士方式ですね、東富士方式を北富士に持っていこうというのは、これは明確になった。  その次は、県民側はこの演習地に反対している、これはあくまでじゅうりんしても使用転換をやる、こういうことですな。
  424. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 使用転換について山梨側にもいろいろな意見があるようでございます。すべてが反対というふうには私どもは承知しておりません。これにはやっぱりいろいろ意見がありまして、それらをいろいろ総合して県と折衝してまいる、こういうことに相なるかと思います。
  425. 岩間正男

    岩間正男君 あなたたちの分裂工作、あなたたちの懐柔政策、むちとあめということばでいわれますけれども、こういうものは相当きいているんですね。何せこれはいまから二十数年前、朝鮮戦争のときにはあすこにパンパンがいる、全国の中でも大きな問題になったあの山中湖畔を控えている。われわれはあすこは現地に入って見てきているんですからね。こういうものは残っていますよ。こういう立場から見れば、これは懐柔するのはわけないんだ。しかし、それだけじゃないんだ。あくまでやはり富士を守れ、そして郷土を守れ、入り会い権を守れ、自分の生活を守れ、何よりも富士を守れという、そういう闘いに結集している人がたくさんいるんだ、そういう点を私は明確にしなければならぬ。富士を、これはどうですか、防衛庁長官一緒に行って見ましょうか、富士を。私は一週間ほど前に行ってきた、着弾地に。こういう破片ですよ。これはたくさん取ってきておりますから、これは必要ならまたあげます。これはどうもこれ見ると一五五ミリぐらいあるんじゃないですか。非常に重い。これは着弾地に行けば至るところにあるんだ。富士の胴体を、どまん中にぶち込んでいるんですよ。二〇三ミリが入ってきたらこれはもっとすごいことになるんですよ。そうして、これで当然自分の生存権を主張し、さらに平和を主張して戦っているそういう農民に対して、これはあらゆる策謀をやっているわけです。だから、現地の、ことに忍草の母親たちは何と言っている。憲法梨ケ原に死すと言っているんだ。これはいいことばですよ。あそこへ行ってごらんなさい。憲法の何がありますか。国民の権利、地域住民の権利というものは守られていないんです。あそこでは全部じゅうりんされている。憲法梨ケ原に死すだ。富士梨ケ原、あそこで死すだ。こういう問題を今日独立の立場から考え直さなければならない日が来ているんだ、明確に。それを安保体制、安保体制などと言って、その実態はあのベトナムの侵略戦争じゃないですか、国際的にもいまや大きな非難の的になっている。こういうものをあんたたちはささえようとしている。私はそういうかっこうのために——しかも策謀が行なわれている。これは自衛隊の基地に移管して、そして二4Bの米軍との共用を考えているんじゃない。それよりも米軍演習、それをまずほんとうに優先的に考えて、そうしてそのために自衛隊への使用転換という手を考えている。逆なんだ、むしろ。それは米軍演習を優先しているんだ。すでにもういまやっているのがそうだ。必ず米軍演習はやめられない。どんなことがあったってやめられない。こういうかっこうで行なわれている。そして、自衛隊への転換などということは、実はそれを合理化する、地位協定の二条四項Bによって、そうしてあそこが必要があれば米軍が使える、そういう方式をとっている。ところが、実際はどうです。自衛隊に転換された東富士演習場の例を見てごらんなさい。あそこでは六九年ですか、これは自衛隊に使用転換した。そして二4Bで米軍と共用することになった。ところが、農民はそのときどう思ったか。一週間か十日使うのだと思った。ところが、実際は一九七〇年、一昨年のあなたたちからもらった資料によると、二百三十九日使っている。そうして、米軍は千人ぐらいずつの隊でどんどん入っている。そうして、ここに一〇五ミリ、それから一五五ミリ、二〇三ミリ、こういうりゅう弾自走砲がどんどん持ち込まれている。そして、この中の一五五ミリ、二〇三ミリは、明らかにこれは核弾頭をつけることのできる原子砲です。ダナンでも問題になったやつ。こういうものを持ち込んでやっている。そのことをあくまで知らぬ。そしてアジア最大の海兵隊のこの演習地を確保しようというのがこの策謀の背景じゃないですか。明確です。私はこの問題ともずいぶん取っ組んできたから、これは何回もここで論議した問題ですが、そういう策謀についてこれは許すことはできない、こう思うんです。だから、党を代表して、暫定協定というごまかしはやめなさい。それを二階堂長官に言ったんです。だから、二階堂長官が出てくれるんだと思ったらきょう出ない。しかし、こんな形の暫定協定などというものはこれは絶対許されない。その突破口を切り開くという、そういうことは許されないと思う。どうなんです。先ほどからもうあれほど論議されましたから、私はこの政治的な背景というものを明確にしなければならぬと思う。この海兵隊は明らかに沖繩国会では特殊部隊だ。チャップマンという司令の言によれば、太平洋のいかなる地域においても、緊急事態が起こればたちどころに対処することのできる軍隊だ。これは安保の範囲を明らかに逸脱している。この海兵隊が存在するということは、これは安保そのものの拡大であります。これについては、こういう部隊もあるのだから、置いても、しかし使うときにこれに対してチェックすればいいじゃないか。チェックも何もできない、さっきからのなにを聞けば。どうなんですか。この点で、私はこのようなことはやめるべきだ。はっきりやはり民法六百四条の精神で、これは県有地は返す、さらに国有地全面返還の方向にほんとうに文字どおり米軍折衝して道を開くべきだ。安保違反ですよこれは。どうなんですか。
  426. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 私どもといたしましては、米軍の専用の演習場あるいはそういう基地というものは極力減らすべきだというふうに考えます。それで、そういうふうに減らしていって、それを自衛隊に必要なたとえば演習場につきましては自衛隊の使用する演習場としてやっていく、それが日本の国のたてまえからいっても私は当然ではなかろうかと。使用転換方式というものを考えますのは、むしろそういう点からものを考えておるわけでございます。それで、米軍にも必要な場合にはそれを貸していく。なるほどいま御指摘になりましたように、東富士につきましても、使用回数はかなり多いようでありますけれども、しかし、たてまえとしてはそういうふうな形にかえていくということが必要であろう、そういうことで、東富士方式と同じような方式を北富士にもとれないかというのが私ども考え方でございます。
  427. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  428. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を起こして。
  429. 岩間正男

    岩間正男君 そういう答弁、あなた、されていますよ。なるほど自衛隊のほうへと、米軍よりは自衛隊のほうがいいのだと、そういうところをたくみにこれは利用して、実際はあそこはどうです。やはり主人公は依然として東も北もこれは米軍なんだ。そうでしょう。たとえば演習に反対して県有地のところでほんとうにこれを阻止しようとする人たちに対してこういうことをやっている。警官が出動する。それから施設庁が出動する。それに守られなければ、しかし守られて、そうしてしかもあそこで演習をやっているのじゃないですか。アジアの平和とかなんとか言っているが、これは話になりません。  もう一つ、最後にお聞きしたいのは、この富士保全法というやつだね、富士を保全するには米軍演習場を撤去することが最大だと思うが、どうですか。これが一つ米軍演習場をこのままにしておいてこんな富士保全というものがあり得るか。これは欺瞞に過ぎない。第二に、三カ月の暫定期間を条件として富士保全法を出してきた。ところが、田中総理のしばしばの言明によるというと、今年中は、十二月になればこれは当然開くでしょうけれども、国会は開かないと言っている。そうすると、八月の二十八日に発効したこの覚え書きは十一月の二十八日に効を失うことになる。そのときに富士保全法は提案されていないわけです。提案されても通るか通らないかわからないですよ。反対でつぶれるかもしれない。もしも国会を無視してこのようなものを通すのだという形で、このようなものを条件として、そうしていかにもこれで富士は保全されるのだというような印象を与えることによってこのような富士保全法を通すということは、全くこれは大衆欺瞞ですよ。国民欺瞞です。この暫定使用協定というものは私は絶対にそういう点ではこれは了承するわけにいかない。しかも依然として米軍のこのようなアジアの侵略体制、ニクソンの戦略体制をあくまでもこれは守り抜くような方向に力をかす、そういうことをこれは許すことができないのです。これは官房長官に、この前も副長官にお伝えしたのだが、伝えてくれましたか。二階堂さん何と言っていましたか。それを聞いてなかったのだ。党を代表して言ったのだ、一週間前にね。これを要求したでしょう、それを聞いてなかった。だから、あなたが代理で何でも話せるそうですから、答弁してください。
  430. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  431. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を起こして。
  432. 山下元利

    説明員山下元利君) 安保条約のワク内における演習場使用につきましては、私どもはその安保条約の精神によって進んでまいりたいと思っております。  なお、富士保全法につきましては、日本の象徴である富士につきましてその環境をよくするということは、これは私は、このこととは別個においても考えなければならぬことであると思うわけでございますが、この覚え書きの中にございますように、富士保全法を制定して適切な措置を講ずると申しておりますのは、その努力をすることでございます。もちろん、法律は、国会の御審議を得なければこれは成立しないのでございますので、ただいまの段階におきまして、時期的には、三カ月以内に法律が制定せられる見込みにつきましては、これはむずかしいかと思いますけれども、私どもは、この三カ月以内に、保全法の大綱につきまして関係各省庁が協議して、そうして地元の御了解を得ることによりまして、覚え書きの精神は貫けるかと、かように考えている次第でございます。
  433. 鈴木力

    ○鈴木力君 私は、中身についてはもう申し上げません。一番最後ですから、政府にちょっと苦言を申し上げておきたいと思うんです。  それは、内閣委員会で従来もそういうことがよくありましたけれども、きょうは特徴的にあったと思うんです。つまり、それは、委員会政府に要望なり質問なりがあったことを、政府は、やはり各省ともまともにこれを取り上げてもらいたいということなんです、一言で言えば。  御答弁は要りませんけれども、たとえば、いま岩間委員が質問申し上げた中の、北富士演習場覚え書き関係資料について、これはわが党の足鹿委員が午前中に質問しましたときに、二階堂官房長官は、山梨県知事と打ち合わせて、きょうじゅうにでも配りますと、こう言っておる。ところが、きょうじゅうに——いま終わりに近づいても、まだ配る気配も見えない。山梨県に電話をあれからすぐにかけて、直ちにゼロックスをとれば、これまで時間がかかるとは常識では考えられない。結局、委員の質問に対する答弁というものに対して、政府側の責任感というのは全然見えない。  それから、もう一つ具体的に例を申し上げますと、いま岩間委員が質問いたしましたところの、米軍の戦車に付着した土の問題ですね。これは、八月の二十三日の当委員会で、共産党の星野君がこれを質問をしておる。外務省も農林省も出席しておるはずだ。そうしてそれに答弁をしておるはずだ。それから一週間たってのきょうの答弁に、もし事実であればというような答弁が出てくる。いま初めて聞いたような顔をしての答弁なんです。そうすると、この前のこの委員会での質問に対して、外務省と農林省は何をしてきたかということなんです。普通であれば、もし初耳であれば、びっくりして直ちに調査をしなければならないはずです。そうすると、きょうの岩間委員の質問には、調査の結果これこれでございますという答弁が出てこなければいけないはずなんです、まじめに委員会考えておればですよ。まあ、きょうの、大臣の出席するしない、いるいない、これはもういろいろの都合がありますから、このことについて私は言うつもりはありません。少なくとも、しかし、委員会質疑なり討論なりあるいは答弁なり、そういうものに対してはほんとうに責任を持ってもらわないと、この委員会の運営は非常に迷惑をするんです。このことも聞き流すということになれば、容易じゃありませんよ、私がいま言いましたことを。  答弁は要りませんけれども、少なくとも副長官おいでなんですから、官房長官によくお伝えをくださって、閣議を通じてなり、各省とも厳重にこの点は周知徹度をしていただきいと、こう思います。  これだけ要望申し上げておきます。
  434. 山下元利

    説明員山下元利君) 御指摘の点につきましては、御趣旨を体しまして十分善処させていただきたいと思います。
  435. 岩間正男

    岩間正男君 保留したのがあるのです。さっきの北富士と東富士の演習の状況を言ってください、りゅう弾自走砲。何回演習やったか、りゅう弾自走砲、一五五ミリ、二〇三ミリ。
  436. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 先ほど御質問がありまして、後ほどお答え申し上げますとかように申しましたが、一五五ミリ以上の砲を使用しての演習は、本年は一月から八月まで三十五回でございます。そのうち七回は二〇三ミリを一緒に使用して演習をしております。  それから東富士につきましては、材料が六月末までの日にちの調査でございますが、米軍使用いたしまして、迫撃砲、機関銃、バズーカ砲等のものを使ってやりましたのが大体百三十二日でございます。半年で百三十二回ということでございます。
  437. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 本調査についての本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十一分散会