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1972-08-03 第69回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年八月三日(木曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員異動  七月十二日     辞任         補欠選任      安田 隆明君     高田 浩運君  七月二十六日     辞任         補欠選任      土屋 義彦君     田中 茂穂君      黒住 忠行君     塩見 俊二君      細川 護煕君     中山 太郎君  七月二十七日     辞任         補欠選任      塩見 俊二君     内藤誉三郎君     —————————————    委員長異動  七月十二日柳田桃太郎委員長辞任につき、そ  の補欠として高田浩運君を議院において委員長  に選任した。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高田 浩運君     理 事                 内藤誉三郎君                 中山 太郎君                 鈴木  力君     委 員                 世耕 政隆君                 田口長治郎君                 長屋  茂君                 山本茂一郎君                 足鹿  覺君                 上田  哲君                 山崎  昇君                 峯山 昭範君                 中村 利次君                 岩間 正男君    国務大臣        文 部 大 臣  稻葉  修君        国 務 大 臣  濱野 清吾君        国 務 大 臣  本名  武君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        総理府人事局長  宮崎 清文君        行政管理政務次        官        山崎 竜男君        国税庁次長    江口 健司君        文部政務次官   内海 英男君        文部省初等中等        教育局長     岩間英太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (国家公務員給与等に関する件)     —————————————
  2. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  このたび私、当委員会委員長選任されました高田浩運でございます。何ぶんふなれな上に微力な者でございますが、誠意をもってその職責を果たしたいと思っておりますので、何とぞ皆さま方の格別の御指導、御協力をお願い申し上げます。簡単ではございますが、ごあいさつといたします。     —————————————
  3. 高田浩運

    委員長高田浩運君) まず、委員異動について御報告いたします。  去る七月十二日、安田隆明君が委員辞任され、その補欠として私が、七月二十六日、土屋義彦君、黒住忠行君、細川護煕君が委員辞任され、その補欠として田中茂穂君、塩見俊二君、中山太郎君が、また七月二十七日、塩見俊二君が委員辞任され、その補欠として内藤誉三郎君がそれぞれ委員選任されました。     —————————————
  4. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 町村金五君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより、ただいま辞任されました理事及び委員異動により欠員となっております理事都合二名の補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事内藤誉三郎君、中山太郎君を指名いたします。     —————————————
  7. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査のうち、国家公務員給与等に関する件を議題といたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  8. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を起こして。  この際、濱野行政管理庁長官及び本名総理府総務長官から発言を求められておりますから、これを許します。濱野行政管理庁長官
  9. 濱野清吾

    国務大臣濱野清吾君) 私は、先般の新内閣発足にあたりまして行政管理庁長官を拝命いたしました。今後、委員長並びに委員皆さま方に何かと御指導にあずかることと思います。どうぞ将来よろしくお願いいたします。簡単でございますが、ごあいさつといたします。
  10. 高田浩運

  11. 本名武

    国務大臣本名武君) 私、過日の新内閣出発に際しまして、不肖ではございますが総理府総務長官に就任いたしました本名武でございます。よろしく御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
  12. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 引き続き、山崎行政管理庁政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。山崎行政管理庁政務次官
  13. 山崎竜男

    説明員山崎竜男君) 私は、このたび行政管理政務次官を仰せつけられました山崎竜男でございます。今後全力を傾注して職務を全ういたしたいと考えておりますので、皆さま方の御支援と御鞭撻を賜わりますようお願い申し上げまして、ごあいさつといたす次第でございます。     —————————————
  14. 高田浩運

    委員長高田浩運君) これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  15. 山崎昇

    山崎昇君 行管長官に一、二点お伺いしたいと思うのですが、あらためて行管方針については大臣の抱負も交えながら私は詳細に聞きたいと思っておりますが、きょうはあいさつを受けてすぐ苦情を申し上げるのはたいへん私も恐縮でありますけれども、あなたが大臣に就任されて、この間、北海道視察に行かれたのですが、まず、その日程目的、それから視察の時間等、御説明願いたいと思います。
  16. 濱野清吾

    国務大臣濱野清吾君) 北海道に参りましたのは、新しい内閣ができてから行政事務スピードアップをする、こういうことが閣議で決定されまして、私のほうの守備区域は、御案内のとおりなまの政策は持っておりません。しかしながら行政事務監察でありますから、常に行政する客体をよく知っておくということが必要だとかねがね思っております。したがいまして、行政事務スピードアップをきめられた当初から、私は、私のほうの各都道府県にあります行政監察職員に対して、できるだけ、デスクでいろいろ調査する、研究するということも必要でありますが、しかし行政相談を受けた場合は必ず現地の事情というものを十分把握して、それからこの相談事務の解決に当たらなければならない、こういう考え方を日ごろ持っておりました。したがいまして、北海道から東北あるいは関東地区その他、全国の地方にあります行監を回りまして、このことを職員皆さま方に伝えたい、こういう考え日程ができておったわけであります。  お答え趣旨、申し上げますが、札幌に参りまして、行政監察局に過般の監察業務の実態、この御報告を受けました。そして苫小牧港湾公害、こういうものについて監察する計画を持っておりましたから、苫小牧港湾を約二時間、いろいろと市長さんの案内視察しました。そういうことでありまして、特に私が苫小牧に大きな関心を持っておりますことは、鹿島のあの港湾は、苫小牧港湾あれ自体を実はモデルケースとして鹿島の大コンビナートができたわけであります。私が関心を特に持っておりますのは、苫小牧、さらにまた鹿島などの港湾が、陸地を掘り割りにしまして港湾をつくったのでありますから、空気汚染はともかくとして、水の汚染一体どうすべきかというようなことを事前に見ておく必要がある、こういうわけで出張したわけでございます。いろいろ市長さんなどのお話を聞くと、なかなかこの掘り割りの港、その両わきに建設されております各企業が排出する水等汚染等につきましては、実は水がかわらないで困るということであります。そして、市長さんの意見を聞きますと、ここに大きな河川を流し込んで、そして企業から排出した水を緩和するようなくふうが必要であろうというお話でございました。それは山崎さんが御案内のとおり、第二次計画がございます。第二次計画にはぜひやりたいというようなお話でございまして、私どもは、そうするならばあのたまり水になるような、何年たっても水がかわらないようなあの苫小牧港湾を何とかきれいな港にできるんじゃないか。特にあそこには、御案内のとおり軽金属がございますし、ソーダをたくさん使います。さらにまた、あそこには劇薬を取り扱う工場もございますから、この汚水の処理等につきましては、かなり企業としても困難であろうし、あるいは港湾を管理します管理者におきましても容易ならぬ努力が必要であろうと思います。こういうことに関しまして、将来、監察業務というものをとにかくきびしく行なっていく必要がある、こういうふうに感じとってまいったわけでございます。
  17. 山崎昇

    山崎昇君 いま長官から、あなたの行かれた目的、それから、ずいぶんこの視察内容等についての話があった。しかし、現地は、あなたの視察についてはそういう評価いたしておりませんよ。一体大臣は何しに来たのか、あなたが重要だと思うわりあいには、苫小牧視察はわずか一時間か二時間、あとは、翌朝はあなた二時間くらいゴルフをやった。そして二十六日の晩は、ある代議士応援をやっている。一体、あなたがいま述べられた内容とあなたのやっている行動とは違うじゃないですか。私は少なくとも、行政管理庁責任者になってあなたは視察に行ったんなら、もう少しまじめな態度で、ほんとにあの苫小牧東部公害があなたが重要だというなら、なぜもっとあなたの精力をそっちへつぎ込まないのか。これは比較をしてたいへん恐縮でありますが、前の環境庁長官の大石さんがわりあい好評を博したというのは、まじめな態度でやられたことだと私は思う。しかし、あなたの今度の日程、二十六日、二十七日ですね、七月の。この二日の間、何あなたやりましたか。いまあなたの説明でも、わずか一時間か二時間見て、どれほどあなた重要なことつかめますか。そういう姿勢に私は問題があると思う。あなたがゴルフをやることはあなたの自由でしょう。しかし、もしあなたの部下が、それじゃ視察に行って出張旅行中にゴルフをやったとしたら、あなた認めますか。大臣なら認めて部下なら認めないということありますか。少なくとも部下職員を叱咤激励して、これから新しい考え方行政をやっていこうという責任者のあなたがこういう態度で出張する、旅行するなんということは、私はとても認められない。しかし、きょうは、あなたせっかく就任のあいさつに、あんまり文句言うのも、私はどうも気が重いんだけれども、しかし、現地はほんとにこれは批判というよりも、むしろ、何か実行型の田中内閣なんて言っているけれども、来る閣僚はそうでもないではないか、何しに来たんだという、こういう感情が地元にある。私も当時北海道へ行ってました。そういう意味で、私は多くは申しませんが、重大な反省をしてもらいたい、これは。そして、あなたが正しくなければ部下も正しくなりませんよ、幾らあなた百万べん抱負並べてりっぱなこと言ったって。あなた自身がゴルフをやったり、あるいは政治家だから応援もいいでしょう。しかし、それも十日前に、すでに地元代議士は宣伝されて、言うならば、あなたの派閥かどうか知りませんが、その代議士応援演説ゴルフ目的みたいに新聞には書かれる。こういうことで今後の公害視察なんということはおこがましいと私は思う。そういう意味で、あなたから遺憾の意を表してもらいたい。今後そういう姿勢を改めて、十分ひとつ私は、行管庁長官として、公害が重要であればあるほど、身を粉にして、調査するなり、視察するなりは、けっこうでありますから、やってもらいたいと思います。
  18. 濱野清吾

    国務大臣濱野清吾君) 事志と違いまして、北海道朝日新聞地方版記事として扱われました。その記事は、ただいま山崎さんがおっしゃるとおりでございます。私の姿勢、たとえそれが、年をとって運動しなければ健康を阻害するというような見地に立ったとしても、まことに恐縮に考えております。つつしんで遺憾の意を表します。
  19. 山崎昇

    山崎昇君 その問題はそれで終えておきます。  次に、最近あなたはずいぶん行政監察に力点を置かれているようでありますが、おおよそのあなたのお考えがあれば、この機会に聞いておきたい。  それからあわせて、公害監察をやるわけでありますが、もちろん権限も違うし、機能も違うわけでありますが、環境庁の行なう言うならば調査、そして勧告権限を持っておりますが、この環境庁と、行管は、もちろん行政機関が行なう執行上の問題が中心ですけれども公害視察監察というからには私はやはり競合面が出てくるんじゃないかという気がしますが、環境庁との関係についてどのようにお考えになっているか、聞いておきたい。  それからもう一つ、時間がありませんのでつけ加えてお聞きしたいんですが、これはかつて、いま建設大臣をやっておられる木村さんが行管庁長官のときにも私から言ったんですが、その後さっぱり直っておりません。それは政府から出される資料、文書その他、右とじあり、左とじあり、縦書きあり、横書きあり、これはあのときにはきちっとしますということだった。しかし全然それが今日までなされていない。もう二年も三年もたっているわけです。これはぜひ、決断と実行内閣でありますから、あなたの手元で私はきちっとしてもらいたいと思う。きのう管理庁の政府委員室の方が来られまして、一、二サンプルをお見せしましたけれども、これはその省、その省でいろいろつくるんでしょうけれども、一番私はおかしいと思っておりますのは、防衛庁で出しております「防衛実務小六法」というのがあります。これはまん中までは縦書きでありまして、右から見るんです。今度は半分は裏から横書きで見るんです。それはどうしてかというと、法律はなるほど縦書きになって、右とじになっている。ところが、防衛庁省令だとか、あるいは政令だとか、そういう規則類はひっくり返して見なければならない。それもまた、政令省令も半分は縦書きで半分は横書きになっている。これは防衛庁が監修してつくった小六法ではありますけれども、一番極端な例です。ですから、私は、あなたが事務の能率をあげるとか、さまざまなことを述べるんなら、少なくとも政府から出されるそういうものは、特殊な場合は別でありますが、ある程度統一してもらいたいし、また、どっちかにきちっとしてもらいたいと思うんですが、あわせてその点についての見解も聞いておきたい。
  20. 濱野清吾

    国務大臣濱野清吾君) 環境庁業務と私のほうの業務は全然違っておりますけれども、しかし環境庁のお仕事空気汚染その他、水汚染、いろんな面について人間の生命と身体、その擁護に立ちまして推進されているわけでありますが、私のほうとしては、環境庁仕事のあり方について、また環境庁意見等について監察し、あるいはその他の制度上の任務を遂行するのでありますが、事前に、水の問題や空気問題等につきましての来年度の予算等につきましては、十分打ち合わせをしながら推進しているわけでございます。  さらに第二段の山崎さんの御指摘でございますが、いろいろ速記等を見ますと、前の二人の長官にもお尋ねがありまして、それぞれお答えをしているようでございます。木村長官の場合は、はっきりと閣議等において発言して、さらに推進するという答弁を承知しております。さらに荒木さんについては、適当の機会にその趣旨を徹底するような計らいをすると、こういう答弁になっているようであります。ただし、荒木さんの答弁のうちを詳細に検討いたしますと、なかなか、いずれが便宜だということにつきましては、それぞれ各省各事務意見があって統一を欠いている節がないではない、こういうような意見があるようでありますが、私は、いずれにしましても、内閣の通達でございますから、それがいいか悪いかの問題は別として、これは行政事務簡素化にある程度役立つのでありますから、次の閣議に私から申し述べてその徹底を期したいと考えております。
  21. 山崎昇

    山崎昇君 それでは本題の給与のほうに入っていきたいと思います。総務長官にまずお尋ねをしたいと思います。  二、三日来の新聞報道をずっと見ておりますと、大体、人事院勧告が間もなく出るわけでありますが、ことしは四月実施という方向が私どもはほぼ定着しているように思っておりますが、その場合でも、先般の田中総理労働組合幹部との話し合いで、そのとおり実施をする、こうなっておりますから、あらためて長官にどうこうというのじゃありませんが、せっかくの委員会でありますから、ひとつ給与担当大臣としての長官から、四月実施の問題を含めまして、人事院勧告の取り扱いについての見解をまず聞いておきたいと思います。
  22. 本名武

    国務大臣本名武君) 御指摘人事院勧告を私どもお待ちいたしておるわけでございますが、人事院におかれましても、鋭意、早急に御勧告をいただけるような御準備を進めていただいていると信じております。  内容につきましては、先般も、私も組合幹部方々とお目にかかって申し上げ、また衆議院の内閣委員会においてもお答え申し上げたのでございますが、ただいまお話のありましたとおり、私といたしましても、人事院勧告を尊重し、過去二カ年間の完全実施の上に立って、御勧告が四月となれば四月に実施するということに対してそのつもりで善処いたすつもりであります。
  23. 山崎昇

    山崎昇君 長官態度として、あらためて四月実施についていま述べられましたので、私も確認をしておきたいと思います。  そこで、後ほど人事院総理府と関連しながらいろいろとお聞きをしますが、もう一つこの際聞いておきたいのは、先般、総理府人事局から人事院に対して退職手当についての調査を依頼いたしまして、人事院から、ことしの六月だと思いますが、民間退職状況等について結果が発表になりました。総理府のほうにその回答がいっていると思います。そこでこれを受けて、一体総理府としては公務員退職手当等の問題について今後どういうふうにされていこうとするのか、もし庁議できまっておればその方針を聞きたいし、そこまでまだいっていないとするならば、新任の長官でありますから、あなたの見解を聞いておきたい。
  24. 本名武

    国務大臣本名武君) 御指摘のように、人事院におかれましてはたいへん御苦心をいただきまして、調査の御報告をちょうだいいたしました。それに基づきまして総理府におきましては、鋭意検討いたしてまいりました。なおただいまも検討中でございますが、その方向といたしましては、その内容が、民間との対比において、たとえば従業員の数でありますとか、あるいは実質的な退職現況等に照らしますと、簡単に決定することは非常にむずかしいという段階でございますが、やはり今日の情勢からいたしまして、民間との違いを少なくするということが大きなねらいでありますので、引き続き検討いたしまして善処したいと考えております。
  25. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、長官、少しこまかくなりますが、退職手当について私一つ提案をしておきたいと思うんですが、それは、きのう参事官の方もお見えになりましたから一応こまかな点は述べてありますが、こういう事例が最近間々あります。それは公務員退職手当で、御存じのとおり、三条、四条五条でそれぞれ適用範囲が違っているわけです。そこで、五条というのは、簡単に言えば、勤続二十五年以上で定年等でやめたような場合、言うならば、整理退職した場合、あるいは公務上の疾病等でやめたような場合には、この五条割り増しになっているわけです。それから、そうでない者は、それぞれ年数に従いまして三条ないし四条で支給することになっている。ところが、一つ問題点というのは、二十五年以上勤務しているんだが、公務でない病気で死亡する場合があります。この場合はこの五条適用がありませんために、言うならば割り増しが払えない。ところが、もう一つ矛盾してまいりますのは、この退職手当法の附則の二項で、十年以上勤務して定年に達する、言うならば五十五歳か五十七、八歳かに達してやめれば五条適用になっている。そこで、最近どういう現象が起きるかと言えば、二十五年以上勤務しておるわけなんですから五条適用をしてほしいんですが、「公務上の傷病」ということになっているためになかなかできない。そこで、死ぬまぎわの人から退職願いを取って、勧奨退職というようなかっこうにして五条適用をさしておるわけです。ところが、なかなか、本人がいま死ぬかどうかといっているせとぎわに、退職願いを出しなさいとかどうとかなんということはとてもできないと言う。しかし、できなければ割り増しできないから、かなり金額としては違ってくる。そういう苦しみがありまして、病気の場合でも二十五年以上勤務の場合は五条適用をしてもらいたいという声がたいへん強いわけです。こういう技術的なことはまあ長官のところでわからぬかもしれませんが、きのう参事官の人には私のほうから申し上げてあります。そういう意味で、いまの法改正をしなきゃできないかもしれませんが、できるならば、これは何か運用上の便法があればしてもらいたい、こう思うんですが、長官見解を聞いておきたいし、それから、これは総理府所管でありますが、公務員の問題でありますから、人事院としても、こういう点については一体どういう見解をお持ちになっているのか、聞いておきたいと思います。
  26. 本名武

    国務大臣本名武君) ただいまの、二十五年以上勤続して公務外で死亡なさった方の五条適用を除外されるということについては、御指摘のとおり、若干の矛盾も私なりに感じております。しかしながら、やはりこの五条適用については、おそらく私は、長い間おつとめになった功労報償的な観点に立って特別な扱いをしようということになっていると思うのでありまして、それらについてもいささか私なりに矛盾も感じております。また、御指摘もございましたが、これはやはり人事院のほうでいろいろと専門的に御検討いただくことではありましても、われわれとしてもやはり十分検討すべき事項であるというふうに考えております。
  27. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) お話しのような事柄はわれわれもたびたび耳にしておるところでございまして、これは一つの問題には違いないという意識をもって臨んでおります。なおまた、しかし、そういう点について一体民間はどう扱っているんだろうというようなことも調べてみたいというような気持ちも持って、いずれ、いまのお話のように、これは本来は総理府所管事項でございますから、総理府でいろいろお考えとは思いますが、われわれも協力関係に立って、いろいろ思いつきその他があれば、そういう意味で御協力を申し上げたいと思っております。
  28. 山崎昇

    山崎昇君 いまの段階では長官の言うように「検討」ということになるかもしれません。しかし、これからやはり相当こういう方々が出てまいりますので、これはいつまでも「検討」では困るから、できれば——臨時国会になるのか通常国会になるのかわかりませんが、次の国会等まで、もし法律改正が必要だとなるならば必要な手続をとるようにひとつ努力してもらいたい、こういうように要望しておきます。  それから長官にあわせてお聞きをしたいのは、先般来、田中総理大臣が記者会見をやりまして、臨時国会はやらないという何か見解のようですね。そうだとすれば、従来からこの委員会でもずいぶん議論になりましたが、人事院勧告が出て、去年の例で申し上げると八月の二十五日には閣議決定をやっておる。実際に支給されるのは年末になるので、いつでも議論になるのは、早期支給の方法はないかと、こういうことで、前の総務長官が、もし、そういう便法があれば考えてもいいと、こういう話だったんです。ところが、いま申し上げたように、総理大臣は臨時国会をことしはやらないというお考えのようでありますが、もし、そうだとすれば早期支給についてどういう便法があるのか。また、総理府総務長官としては、臨時国会がかりにないとすれば、この給与法の取り扱いはどこでやるのか。これらについて聞いておきたい。
  29. 本名武

    国務大臣本名武君) 御指摘のように、総理は、臨時国会はやらぬということを言っていることは私も聞き及んでおります。ただ、ただいま御指摘給与関係をはじめとして災害等々であるいは臨時国会を必要とする事態もあるかとも思いますが、通常国会もいずれ年内には召集されることであろうと思いますし、それらのかね合いの上から臨時国会を開かなくてもいいじゃないかという御見解ではないかと私はひとり想像いたしておるのであります。問題は、いずれにいたしましても、人事院勧告をいただきながら数カ月、給与の上昇分をお払いできないということはまことにお気の毒であろうと考えておりますが、ただ、一方におきましては、財源については私はある意味では処置ができると思いますが、昇給分につきましては国会の御議決をいただかなければならないというたてまえからいたしますと、やはり早期に国会を召集してこの処置をいたさねばならないと考えております。したがいまして、総理が臨時国会を開かないと言ったことは、こういった臨時国会を必要とする事態に対処して何もやらぬということではなしに、いま申し上げるように、これは私の想像でありますが、通常国会を早期に開くとか何かの方法で処置をしなきゃならぬというふうに私自身は考えております。
  30. 山崎昇

    山崎昇君 何かわかったようでわからないんですが、国会法によれば通常国会は十二月中に召集になりますね。どんなに早くたって十二月の一日以前ということはあり得ないですね。そうすると、いまのあなたの答弁というのは一体どういうふうにとったらいいんですか。通常国会をなるべく早くという意味は、一番早くて十二月一日以降になる。しかし、それでは早期支給との間に矛盾が出てくる。そこで、あなたとしては臨時国会召集の要件が出てくればやらざるを得ないと思うというような発言もある。そうすると、臨時国会は一体いつごろあなたとしては開くのがいいと思っているんですか。また、あなたとしては、開かなければ、国会の議決がなけりゃ支給できないんですから、早期支給との関係で、もう少し明快にしてもらいたいと思うんですがね。
  31. 本名武

    国務大臣本名武君) 御指摘のとおり、やはり早期に支給する態勢をとることが私としては望ましいし、また、そのために努力をいたしたいと考えておりますが、国会召集につきましては、私の立場からするならば、おそくとも十月には開きたいと考えておりますが、私は、ここで十月に開きますということを言明いたす立場ではございませんが、気持ちとしては、そういうふうに考えております。
  32. 山崎昇

    山崎昇君 これね、押し問答してもしようがありませんが、もしそうならば、これは官房長官の御出席でもいただかないことにはどうにもならぬことになってくるんだが、あなたとしては、とにかく十月ごろには臨時国会を開かなければどうにもならぬと思うと、これは総務長官見解として私どもは一応確認をしておきたい。  そこで、もう一つあなたに、これは少し私は、また苦言みたいになりますが、別な用務で、あなた、この間沖繩へ行かれましたね。これは何日間ぐらい行かれて、そしてどういうことを中心に視察をされて、また、どういう方々と会って話をしてこられたのか、ごく簡潔にまずお聞きをしたい。
  33. 本名武

    国務大臣本名武君) 沖繩の問題の前に、臨時国会につきましては全く私の希望的な見解を申し上げたわけでございます。  それから、私がこの間沖繩へ参りましたのは、予定は二十一日に立ちまして、二十三日の夜帰る予定で参りました。二十一日に羽田を出発いたしましたが、六号台風が沖繩に接近いたしておりまして、大阪でやむなく一泊をいたしました。そのまま日程を変更して引き揚げようかと思いましたが、引き揚げることのできない、飛行機が飛びさえすれば行かなければならない用務を持っておりました。  その第一は、平年のことでございますが、本土に復帰された沖繩の明年度の概算要求の原案をつくり上げて、つとめて早くその原案を作成して八月末には大蔵省に提出したいということが第一であります。  第二は、法に示されるように、沖繩の復帰を契機といたしまして、振興開発計画現地において、地元の主体性において御立案をいただくということになっております。しかしながら、顧みますと、沖繩は特に戦後二十七年の間、ああいう状態に置かれました。しかも、今日復帰という喜びの中にも、新しく沖繩というものはいかに再建すべきか、また県民がいかに安心して日本人らしい気持ちを持って進まれるかということを考えてみますと、いろいろ問題がありますので、私は、この振興開発計画こそは沖繩の県民に対して、また沖繩の将来に対して大きな使命を持っておるものである、これがかりにおくれるとか、あるいはいろいろな御検討の過程において御困難をなさるようなことがあったならば、これはたいへんだから、ひとつその進行状況もお聞きしたいし、また、いろいろな問題について、つとめてわれわれとしての考え、あるいはまた、われわれの意欲をお示ししておくほうが都合がいいだろうということが第二でございました。  それから第三は、当面する問題としまして、植樹祭やあるいは国体、さらには国際的な行事である海洋博覧会が開催されることになっております。中央におきましても関係閣僚協議会を数回開きまして、これが積極的な推進のために、または成功のために努力をいたしております。このことが中央と現地におきましてどの程度に結びついておるか、また現地方々がこれに対してどのようなお考えでおられるかということを十分承知してまいりませんと、中央独走ではその効果及び目的を達することに支障を来たすのではないかというようなことを御相談申し上げようということが第三でございます。  それから、これは一般的なことであり、当然のことでありますが、二十七年のいろいろなギャップは、県民をはじめとして、県あるいは市町村の行政の上に、非常に、たいへん失礼なことばでありますが、混迷を来たしていやしないか、あるいはまた戸惑っていられるようなことがありはしないかということも心配でありました。公共事業を推進するにいたしましても、その他の社会資本整備にいたしましても、国は積極的にやろうとしておるときに、お扱いになる、あるいは現地の方のお考えがわれわれと違うようなことがあっても困るし、また現地意見を尊重する立場にありながらも、どうかひとつ御苦労ではございましょう、いろいろなわからない点もおありでございましょうが、積極的にお手伝いするからひとつ活発に自主的なお考えを聞かしていただきたい、こういうようなことを、一般の、中央政府の施策の実行にあたって現地のお気持ちをお聞きしたい、見たいということで参ったわけでございます。  ところが、六号台風がしつこくつきまといまして、ついに二日間延期になりまして、飛ぶに飛ばれず、帰るに帰れずで二日間延期になりましたが、まことに不幸なことではございますが、道路の決壊や山くずれ等がその延期中に起きまして、現地調査等をいたしてまいりまして、そんなことで二十五日の夜、二日間延長して帰ってきたわけでございます。まあ総じて、私はやはり沖繩に対しては、中央政府は、これだけの制度がある、これだけ予算をやる、やれということではなく、やはり県民の皆さん方、県の行政、市町村の行政が、ほんとうに元気を出してひとつ思い切りやっていただきたいということを心から念願しつつ帰ってまいったのでございます。
  34. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、長官、私ども直接聞いたわけではありませんからわかりませんが、新聞報道によれば、あなたが帰ってこられて閣議に対していろいろ報告があったようでありますが、その中で、沖繩の地方行政の姿は問題が多い、行政能力以前の、自治体としての意欲の問題である、今後、自治省と協力して指導を強める、こういうことが閣議になされまして、かなり何か沖繩県政についての批判が行なわれたと報道されているのです、私どもこれ事実かどうかわかりませんが。そこで、もしあなたが閣議でこのとおりやったとするならば、あなたは現地で屋良知事にもお会いになったでしょう、あるいは県議会の議長さん方にもお会いになったでしょう、そのときに、あなたは一体じゃあ現地責任者にどういう指導をなされて、どういう話し合いをなされて、その上でなおかつあなたは、いまの沖繩県政というのはなっておらぬ、だからこれは政府でたたき直すんだという意味で言われたのかどうかわかりませんが、少し私は、長官になって、あんたかみしも着ちゃって勢い込んでいるんじゃないだろうか。言うならば、前の、復帰前の山中さんの場合には、かなり現地と、いろんな問題はあるにしても協力し合いながらやっておる。しかし、あなたが長官になると同時に、何か高飛車に批判だけして、何かたたくというやり方でありますが、そういう形の響きが強過ぎて、かなり現地では新長官に対して不満を漏らしておると私ども聞いておるんだが、一体この閣議にあなたが御報告された内容はどの程度のものなのかお聞きをしたいし、それからつけ加えて私は言うならば、私も北海道でありますが、戦後初めて知事選が行なわれて社会党の知事が誕生した。そのときに中央政府は保守でありましたから、保守から、この地方の革新知事に対するどういう圧力があったかということは、私も身にしみて知っている一人です。さらに初めて地方自治法というのが施行になって、これに基づく条例を次から次つくらなければならない。言うならば、いまと違って、地方自治体をつくり上げていく当時スタッフもなければ、言うならば、そういう能力も欠けた面があったと思う。ちょうどいまの沖繩は、昭和二十二年ごろの地方自治法施行後の状況と私は似ているんではないだろうか。したがって、いま本土は、二十何年もたって、かなり行政的にも進んだ感覚で沖繩の問題を見るとすれば誤りをおかすんではないか、官僚的になっていくんじゃないだろうか、こういうことを心配するんです。そういう意味で、実はあなたがどういう趣旨でどれほどのことを言われたのかわかりませんが、少なくとも私は、少し軽率じゃなかったろうか、もう少し慎重に沖繩県政というものを見る必要があるんじゃないか、こういう気がしてなりませんですがね、その点はどうですか。
  35. 本名武

    国務大臣本名武君) たいへん御注意ありがとうございます。私の発言が誤り伝えられたり、あるいはまた私のことばが足らない点があったとするならば、はなはだ遺憾でございまして、おわび申し上げなければならぬと思います。しかし、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、私の申し上げたのは決してそういうことではございません。  まず第一に、大前提は、二十七年の施政権下にあって、しかもその中で国民として訴えるべきことは中央政府に訴えたがなかなか思うようにいかない、したがって行政能力ではなくして、行政をお預かりになる方々は、実はもう復帰後わずか二カ月足らずでございますから、何かしなきゃならぬがどうしたらいいかといって、もし戸惑いでもあるといけないというのです。しかし、一、二私はそれを感じました。したがいまして、私はそういうことについては、今後自治省とよくお話し合いをしてくださいと。また、自治省に対しては、帰ってまいりましてから自治大臣に対して、普通の指導ではいけませんよ、かりにそれだけおくれているとするならば、あるいはまた、いろいろふなれなことがあるとするならば、あたたかい気持ちで、この二十七年の歴史を必ず心に踏まえて、あたたかい気持ちで教えてあげてくださいということを大臣にお願いいたしました。ただ、限られた紙面に報道されることでありますから、私の真意が全部伝わらず、あるいは御指摘のように県政を批判したと、あるいはまた、なっとらんと言ったというふうにおとりになったかもしれませんが、決して私の真意はそういうことではなくして、そして、いま当面する予算編成をはじめ、あるいは大きな国際的な行事に至るまで、円滑に、しかもその目的を達するために、一日も早く中央と県、あるいは市町村が一体となって推し進められるようにいたしたいという意味のことを閣議で簡単に報告し、特にいま大事なことは、自治行政の中にあって、知事さんをはじめ県庁の方々が本質的に元気を出してほしいと。そして御要求は御要求、そしてやるべきことはもう思いきりひとつやっていただくような処置を中央としても考えてあげるべきではないか、こういう意味を申し上げたのでありますが、それをかいつまんで言うと、なっとらんとか、批判をしたというふうにあるいはお聞きになる点があったかもしれませんが、それは冒頭申し上げましたように私の不徳でございますから、ことばの足らないところ、意の尽くせなかったことはまことに遺憾に存じております。そういう意味でございます。
  36. 山崎昇

    山崎昇君 私も新聞報道が、あなたのいまの答弁と違うということならば、私もまあ了解をしておきたいと思うのですが、ただ、沖繩開発庁をつくるときにもここで議論がありましたように、現地の代官所みたいな機関になっちゃいけませんよと、そういう意味でずいぶんここでも議論のあった点なんです。だから、あなたはこれから、さっきお話のありましたように、四十八年度の予算から、海洋博から、それはいろんな問題を含んでいるわけです。しかし、二、三日前の新聞見てもわかりますように、屋良政権に対する、言うならば県民の支持というものは相当高いというふうに報道されておりますよね。そういう意味で言うならば、行政的に言うならば、なかなか、いろんな問題があったとしても、やはり屋良知事中心に、この振興計画でも、あるいは沖繩の再建というものを考えていかなきゃいかぬ。その場合に、少なくとも注意しなきゃいけませんのは、自治体は政府の下請機関でありませんから、政府の言うことを何でも聞かぬからけしからぬというようなやり方は、これはけしからぬことでありましてね、ですから今後、あなたに私は注意しておきたいと思うのは、少なくともそういう誤解を受けるような態度をとるとか、あるいは現地の知事あるいは県民感情をさかなでするようなことはこんりんざいやってもらいたくない、協力して沖縄の復興というものを早くやってもらいたい、そういう意味でこれは要望しておきたいと思うのだし、注意をしておきたいと思うのです。何かそれにありますか。
  37. 本名武

    国務大臣本名武君) 御趣旨のとおりでございまして、私もそのつもりで対処してまいったのでございますが、先ほども申し上げましたように、誤り伝えられるか、あるいは私のことば足らずでたいへん御迷惑をおかけし、御心配をおかけいたしましたことをおわびいたします。  なお、屋良知事には、ほとんど私、滞在中朝から晩まで御一緒いたしまして、そうして屋良知事の御方針も承っております。また、私の考えも率直に申し上げてまいりました。したがいまして、御指摘のように、決して中央集権的な、あるいは中央の考えを押しつけるというようなことは毛頭ない話し合いをいたしてまいりました。
  38. 山崎昇

    山崎昇君 そこで人事院に今度お聞きをします。  いま総務長官から答弁がありましたように、政府としては、四月実施はもう確認をしております。問題は、きょうの新聞によりますというと、大体十五日に勧告が出るようでありますけれども、先般来の組合とのいきさつあるいは当委員会における答弁等々で私ども判断をしますのに、勧告前でありますからなかなかあなたもきちっとした答弁しにくいかもしれませんが、少なくとも私ども、この場で私の判断として確認をしておきたいのは、もはや四月実施という勧告は、これはもう既定方針みたいなものなんだというふうに私は確認をしておきたいと思うんですがね。あらためてひとつ総裁の心証を聞いておきたいと思う。
  39. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 前もって勧告作業の進捗状況をごく簡単に申し上げておきたいと思いますが、大体例年のとおりのテンポで進んでおります。民間調査も、結果も、いまや最終的な集計の段階に入っておりまして、その結果がどう出るか手に汗を握っておるという段階でございます。そういうことで、大体の見当は、やはりいまおことばにもありましたように、八月十五日をめどにしてよかろうというつもりでやっております。ただ、その内容についてどういうことになりますか、これはこれからの作業でございまして、実は昨日ちょうど記者会見の日でございましたものですから、いろいろ申したところが新聞に伝わっておりますけれども、必ずしも私がはっきり言わなかったという点がわかるようなぐあいにまあみな各社の記事が出ておるということで、はっきり申し上げないのは当然のことでございます。はっきり申し上げないいまの、ことにパーセンテージの問題は当然でございますけれども実施期日をいかにするかということもなおわれわれ着実に検討を進めておる段階でございまして、まだ日もあることでございますから、これは四にするか五にするか、一挙手一投足の問題でございます。何もあわてていま結論を出す必要はない、しかし、着実に前向きで検討は進めますという心がまえで目下進めておるわけでございます。
  40. 山崎昇

    山崎昇君 いまの段階答弁は、私も限界をわきまえて言っているつもりですが、いま前向きでそしてまじめにと、まあこういう話です。きょうの新聞のことばをかりて恐縮でありますが、毎日新聞によれば「調査時期が四月なのでスジ論を通したい」という答弁があったそうでありますが、その二つ合わせて考えると、私の判断として、四月実施はもはや既定の事実になってきていると、こう私は判断をしておきたいと思うのですが、そう間違いないと思うのですが、あなたの、もう一ぺん心証だけ聞いておきたい。
  41. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 筋論を通したいと申しますのはこの場所においてもかねがね申し上げておったと思いますが、私どもとにかく十一年間五月一日実施で、まあ一種の安定した形でやってきておるものですから、それを変更するについては、やはり筋が通らぬことには、これは国民大衆の中にはいろいろまた違った考えを持っておられる方もあるわけです。まあ内輪話を申し上げますと、四月実施などにしてもらうと、むしろ公務員ばかりかわいがって中小企業従業員はどうしてくれるんだというような声もあるわけであります。私どもは、そういう方々も含めて御納得いただけるように筋を通したい、そういう意味考えておるわけでございます。したがいまして、そういう立場に立って着実に検討を進めておるということでございます。
  42. 山崎昇

    山崎昇君 それじゃ着実に四月になるものと確認して次の質問に入ります。  そこで、この内容でありますが、一体去年の調査とことしの調査と、まず特徴点があればお聞かせを願いたいし、それから、もうそろそろ数字的には大体結論近いものがあると思うので、あからさまに言えぬにしても、大筋、この辺に力点を置いて考えていきたいというような点がありましたらお聞かせを願いたい。
  43. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ことしの民間調査はわりあいに問題点が例年に比べますと少ないんでありまして、本来の民間給与調査のほかに扶養手当とそれから通勤手当、これを調べたというような程度でございまして、あまりはでな調査ではありません。まあ大体問題となるようなことはすでにもう実現してしまったということもあるわけであります。そういうようなことで、作業はわりあいに平板な作業になると思いますけれども、たとえば初任給などが、これはまだわれわれのほうの数字はつかんでおりませんけれども、これはもう常識として見て、依然として民間の初任給は高い水準をいっておるわいということが一つあるわけです。とすると、今度はその初任給を出発点として給与の体系をつくり上げていくときに、またこれは初任給ばかりに片寄ったというような場合には、中だるみとかなんとかという例年の問題点が出てくるぞと、そういうことはどうすべきかというような基本的な問題点をいま基礎資料に基づいてやっておるわけでございます。したがいまして、あまりバラエティーに豊んだはでな勧告内容にはならないんじゃないか、そういうことはいま申し上げてよろしいと思います。
  44. 山崎昇

    山崎昇君 そこで去年は初任給を直しまして、そしてそれに伴って在職音調整三・六・九でやりましたね。それからもう一つ去年は、世帯形成時にかなりあなた方力点を置いて給与を是正しておる。そこで、私は従来からずっと公務員給与を見ておりまして、大体公務員給与については三つぐらいの谷間があるんじゃないかと思います。それはどういう意味かというと、一つは初任給ですね、これがやっぱり民間と比較して低い。ですから、どうしても直さなければならぬ。それを直せば当然在職者調整になるんですが、去年の例でいうと八等級ぐらいだけが三・六・九で直ってくるということであって、あまり中堅層には影響が及んでいかないということになっている。したがって、ことしも去年と同じようなやり方をしていくと、また中堅層は置いてきぼりを食っちゃう。こういうことが初任給に関連をして一つ問題があると思う。二つ目は世帯形成時ですが、これも個人によってだいぶ違うにしても、ほぼ二十七、八歳から三十歳前後になってくると思うんだが、簡単に言えば結婚適齢のところにおる者はかなり苦しい状況にある。したがって、こういう者についてことしはどういう配慮をなされるのか。それから第三は、年齢でいうとおそらく四十五歳から五十歳ぐらいになるんじゃないかと思いますが、たとえば大学、高校、中学ぐらいの子供がおったとすれば、かなり家計上ではたいへんな年齢層になっているんじゃないだろうか。そういう意味で言うならば教育等にかなり支出が伴うような年齢層ですね、いま申し上げましたような四十五歳から五十歳前後ぐらいだと思いますが、こういう層に対して一体人事院はどういうお考えを持っておるのか。ここらにかなり力点を置いた配分をやらなければ全体のバランスはとれないんじゃないかと私は思うんですが、どうですか。
  45. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) まさにそれが泣きどころであるわけです。官民格差というものをワクとしてとらえた上での配分の問題になるものですから、これ自由に格差を水増しできれば問題ありませんけれども、その中での配分の問題としては、いま申しましたように確かに泣きどころで、初任給はやっぱり民間水準並みに上げませんと公務員の志願者はもう減ってしまうと、したがって、これは相当の手当てをせにゃなるまいということで、初任給のほうに手厚く配分すれば今度は中だるみが出てくるじゃないかと、四十歳、五十歳辺はどうだというすべて相関関連を持っておりますから、その辺が苦心のしどころだと申し上げなければならないと思います。いまの初任給のお話で在職者調整ということがちょっとおことばにありましたけれども、これは去年われわれが高校卒とか短大卒とか、あの人たちに非常に——われわれ自慢にしておったわけですけれども、非常にいい措置をとったということに関連してのお話かもしれないと思いますが、それとはまた別に根本的な話として、初任給は一般に高くなっているという平面的なお話としてただいまは申し上げておるわけです。  したがって、今度は世帯形成時の問題をどうするかという場合においては、かねがね申し上げておりますように、われわれ従来は標準生計費というものを御承知のとおり初任給のつっかえ棒に使っておりましたけれども、初任給のほうはもう自然に上がってきておりますから、標準生計費はそのほうにもう使う必要はない。そこで今度は二人世帯、三人世帯というような辺のところの一つのものさしにこれを使って、それでまあ今度はわれわれの配分の盛りつけの場合にそれを見ながら適正な配分をしなきゃなるまいという方向で今回も当然それは考えておりますというようなことで、いまの四十歳、五十歳の辺もその延長の問題になるわけです。これから格差の幅がどう出るかということと関連しながらそういう点についてひとつまた大いに勉強せにゃならぬという気持ちでおるわけであります。
  46. 山崎昇

    山崎昇君 勉強もいいですけれども、もうあと十日くらいで勧告ですから、当然その間にいまあなたの言う盛りつけをやらにゃいかぬですね。私は、ずっと調べてみてたくさん問題点はあるけれども、大ざっぱにながめればそこら辺にかなりな問題があると思うから、その点はひとつ十分考えてもらいたい。  それから、初任給は上がってくるんですが、たとえば去年は八等級の二号から八等級の三号にした、ところが、これとうらはらの関係にある昇格になってきますと、初任給を上げたけれども昇格は昔のままになってきている。こういうものはやはり一連の問題点として私は検討願いたい。一号これは上がるのですから、当然七等級にいくのは一年早まったっていいはずです、簡単に言えば。そういう意味で初任給の問題に関連して昇格もひとつ考えてもらいたいということ。  それからあわせて、行(一)の初任給はなるほど八の二から八の三になった、しかし行(二)の高校卒の技能職員なんかの初任給なんかは昔のまんまですね。何にも変えられていない。言うならば、やっぱり現場労働者に対してはどうも差別されているんじゃないだろうか。初任給だけ言うのはおかしいですが、そういう意味で言うならば、行(二)におる高校卒の技能者でありましても当然初任給は改正してやってしかるべきじゃないかと思うので、これはひとつ考えてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  47. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 昨年いわゆる学歴差を短縮をいたしまして、つまり高等学校で入りました者とそれから大学で入ります者との給与の差というのが最近ずっと縮まってきておるという状況を反映をいたしまして、従来高等学校で入りまして六年たった者と大学から入りました者とを一緒にしておったのでございますけれども、これを五年差に縮めるということで一年は短縮するということにしたわけでございますが、それに伴いまして当然に、御指摘のように、上の等級に昇格する際の年数も一年短縮するという方向が当然でございます。しかしながら、これを直ちにやりますと、現在昇格しております者とそれから短縮しましてすぐ昇格する者との間が非常に縮まりまして、そこが九カ月も縮まるわけでございます。そのあとの者はまたずっと一年差という感じになっていくわけでございますが、ある年次だけが非常に縮まるという形になりまして部内の均衝が悪うございますので、大体三カ月、各採用の年次別の差を三カ月差という形で、この一年差を各年次の三カ月差にバランスをとりまして、いわば四年後にそれを改正するというのが内部バランスの上で適当かというふうに考えておりまして、そういう意味合いで、その均衡のとれた時期以降に改善をいたしたいというふうに考えておりますが、そういう意味合いでは本年十月以降という関係になるわけでございます。それが一点。  それからもう一つは、そういう意味で高等学校と大学との学歴差を行政職において縮めたわけでございますが、それは、高等学校と大学の場合には普通は四年差でございますのを給与上は六年差という形でよけい格差を見ておったという関係でございましたのでそれを縮めたわけでございますが、技能関係の場合には従来からそういう学歴差というものを特別に見ておりませんで、つまり高等学校から入りました者が四年たった場合がいわば大学と同じになるという感じ、あるいは中学で入りました者が三年たつと高等学校で入った者と同額になるというふうな形で給与表が構成されておりまして、特別にそれを詰める必要がないという形が従来の俸給表でございますので、実際たとえば御指摘の行(二)職俸給表の初任給でございます四等級一号俸というのは行(一)の初任給に対しましてやや高目につくっておるというような形になっておりますので、御指摘の点は必要がないというふうに考えております。
  48. 山崎昇

    山崎昇君 行(一)と行(二)の関係は、私はあらためてまた議論します、きょうとても時間がありませんから。あなた方の都合のいい答弁では私は納得しませんよ。あらためてこれは後日やります。しかし、いずれにしてもやっぱり技能職のほうは何といっても差別待遇されていることだけは事実です。これはあらためてまたやります。  次に、私の持ち時間ありませんから急いで並べていきますが、諸手当について聞いておきたい。  まず、第一は、今度の勧告で期末手当は一体どういうふうになりますか。これは現行どおりにする考え方なのか、あるいは、ある程度やっていこうという考え方なのか。  それから二番目は、去年の委員会でもずいぶん議論になりましたが、扶養手当と児童手当の調整をことしはある程度考えますということになっておったんだが、いまの段階でどういう方向をとろうとするのか、これを聞いておきたい。あわせて、将来、この児童手当法が昭和四十九年の四月になりますと全面施行になりますが、その際に扶養手当と児童手当の調整を本格的に何かしなければいかぬのではないかと思うが、その見解があれば聞いておきたい。  それから、住宅手当についても、できましてからもう二年経過するわけでありますが、かなりこれは不満が述べられております。いまの実情に合わないのではないか。それから、政府のとっておる持ち家制度を本人が一生懸命やればこういう手当がもらえない、そこに政府方針と実際に支給する手当とのギャップが出てくる。そういう意味では、借金をして自分の家を建てた者についても当然これは考えてしかるべきではないかという声がたいへん多いわけなんですが、額の問題とそういう支給対象の問題について住宅手当をどういうふうにお考えになるのか聞いておきたい。  それから、その次に通勤手当ですが、これも過密の地方と過疎の地方でだいぶ様子が違うと私は思っております。過密の場合はいつでも申し上げておりますが、最近は片道通勤九十分だの百二十分だのというところに家を持っている者が多くなっている。したがって、自宅から駅まで出るバスだとか、あるいは駅からおりて勤務地まで行くバスだとか、そういうものについて当たらぬものですから、性格として、通勤手当を実費弁償にきちっとするならしてもらいたい。そして全通勤区間についてこれは支給してもらいたい、こういう要望が強いんですが、これは主として過密地帯にあると思う。過疎地帯の場合は、大体、大衆公共交通機関というのが最近なくなってきた。特にバスの運行時間がなくなったり、あるいは縮まったり、回数が少なくなったりするものですから、いなかへ行けば行くほど自家用車で行動しなければならぬ。ほとんど役所の用務なんかも自分の車で行かなければとても任務遂行ができないというところまできておる。こういう過疎地帯の通勤手当というものは別な意味でまた重要ではないだろうか、そういう意味で私は分けて聞いているんですが、この通勤手当についてどうされるか。  それから、この八月一日から六大都市のバスあるいは電車料金が上がりました。それから地下鉄も上がりました。国鉄運賃はなるほど上がっておりませんが、これらにどう対処するのか。やがて国鉄運賃等が国会で議論になった場合に、一々この通勤手当だけ法を変えるわけにはいかぬでしょう。そうすると、そういう場合に一体行政庁としてはどういう暫定的な措置をとるのか、そういうことについてもあわせて聞いておきたいと思う。  それから、その次に聞いていきますが、特殊勤務手当、これは最近パーセントで出ているもの、一回幾ら、それから一時間幾ら、一日幾らといろいろあります。しかし、これもずっと押えられっぱなしですから、かなりこの基準については私は直さなければならぬのではないかと思っているんですが、見解があれば聞いておきたい。とりわけ、この中でも危険手当と称されるものについては、とてももう時代おくれになっているんじゃないか。先般、公務員災害補償法のときにも、警視庁のピストルに弾丸詰めをやっているんですが、あれが一日八十円だと。とてもこういうもので危険手当なんて言えるしろものではないのではないだろうか。この特殊勤務手当全般について一体人事院はどういう検討をなされておるのか、今度の勧告報告でどういう形のものが出てくるのか、できればひとつ聞いておきたい。  それから、その次に聞いておきたいのは宿日直手当でありますが、これもずいぶん問題があります。たとえば学校の場合は、土曜日の午後は学寮手当みたいになっている。ところが、これと同じような行政機関で教育機関が一ぱいあります。たとえば自治体にいきますと練習農場とか農業講習所とか、学校に類するものがたくさんあります。しかし、片方は宿日直手当でやっており、片方は学寮手当でやっておりますから、学寮手当の場合は一日千八百円くらいになっておる、片方は土曜日でも七百五十円にしかならない。言うなれば半分以下になっておる。そういう意味でこういう教育機関に類似する行政機関等については当然、教育機関と同じような規模でやっていいのではないか。各都道府県調べてみますと、半分ぐらいは学寮手当のような方法をとっているようであります。したがって、人事院としてはこういう点についても御検討願っておると思うんですが、見解を聞いておきたいと思う。  それから退職手当は先ほど総務長官にちょっとお聞きしました。人事院でも調査を依頼されてやったわけでありますが、あなたの所管ではありませんけれども公務員の老後の生活保障の問題と関連するわけですから、この退職手当の増額、あるいは、きょう大蔵を呼んでおりませんが、所得税問題等も含めまして人事院としても老後の生活保障の問題をどうされようとするのか、もちろんこれだけではありません、年金問題と関連しますが、退職手当についてあなたの見解を聞いておきたい。  それから寒冷地手当についていつ勧告を出すのか。そこで寒冷地手当について二、三聞きたいのですが、昭和四十三年の法改正のときに、いまの一率と定額制度、率と定額と二本立てになったことは御存じのとおりです。あのときは、当時の北海道の大体の平均が五等級の十六号で六万五千九百円だった。それに扶養手当千百円足して六万七千円ですか、これを基礎にして百分の四十をかけて二万六千八百円でしたか、定額制をとっておる。その後ずっと給与改定があります、あるいは定期昇給があります。あるいは扶養家族がふえておる。しかし定額ですからふえませんね。これらをずっと計算していきますと、ベースの改定だけで大体百分の四十五という率の半分くらいはもう減額されているのではなかろうか。これは勧告されたときに私はあらためて数字でお尋ねいたしますが、ざっといま計算しても、当時の六万七千円くらいの基準というのは、現在に引き直せば九万六千円くらいにしなければつり合いがとれないのではなかろうか、言うなれば法改正前の百分の八十五という支給率は現実には百分の六十五くらいまでに下がっているのではないか、これは北海道あるいは寒冷地帯に住む者にとりましてはたいへんな私は減額だと思う。そうして、この委員会でもたびたびこの定額については実情に合うように直しなさいという附帯決議をつけて、あなた方も直しますということになっておったのが三年も四年も放置されておる。こういう意味で、この寒冷地手当を一体あなた方はどうされようとするのか、いつごろ勧告されようとするのか聞いておきたいと思う。  ちなみに、これは先般も申し上げましたが、調整手当と比較するとたいへんな差が出てきておる、たとえば、いまのような率が低下したと考えれば。調整手当六%の人は年間これは七二%になりますが、月に分割して払うために目立ちません。これは率で出ますから、ふえた分は全部出ていきますね。上級職だって同じことになる。ところが、いま申し上げた寒冷地手当は足切りになってしまう。また八%のところは年間九六%になる。こういうことを考えてみるときに寒冷地手当はかなり低下をしてきておる。そういう意味で、ことしは勧告せざるを得ないという総裁の態度のようでありますが、いつごろ、大体どういう方向勧告するのか。そのほか薪炭加給あるいは石炭加給の問題もありますが、北海道の実情をもう少し調べて私はやってもらいたいと思うが、それをお聞きしておきたいと思うんです。  それから、ちょっと落としましたが、指定職俸給表の者については御存じのとおり、ほとんどの諸手当が入って指定職俸給表というのが成り立っています。ところが、ここで問題になりますのは、扶養家族手当をもらっている者で、一定の収入のある奥さん方については扶養手当が出ないことになっている、言うならば制限規定があります。しかし、この規定は、指定職俸給表に盛られている扶養家族手当がどの程度のものかわかりませんが、これとの間に私は均衡を失するのではないかと思うんです。そういう意味で言うならば、この制限規定は削除すべきじゃないかと思うんですが、あわせて見解を聞いておきたいと思います。  ずいぶんいろいろ聞きましたが、一括してひとつお答え願いたい。
  49. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) どう考えるかという形のお尋ねでございますけれども、私どもこれから本格的な作業に取り組みますので、むしろ強力なる御要望というふうな面として承っておったほうが効果的じゃないかという気持ちでおります。したがってお答えのほうも不行き届きになるかもしれませんけれども、期末手当の問題は、これは御承知のように、民間では昨年の下半期ですか、これはどうもあんまり調子がよくないということで、われわれとしてはそういうことを目下心配して集計の結果を見守っておるということでございます。  それから扶養手当につきましては、いろいろお話がございました。指定職の関係のいろいろのお話がございましたけれども、それは給与局長そばにおってちゃんと承っておりますから、とくと肝に銘じさせておきます。  それから住宅の問題も、これはたびたびここでお話ございますけれども、われわれとしては、当面はやはり公務員宿舎に入っている人といない人とのアンバランスの調整ということに焦点を置いてまいる、ことしはそういうことになろうかと思いますけれども、しかし、たとえば持ち家の関係云々等について御要望もございますから、これは検討をなお続けていきたいと思います。ただし、持ち家関係までいきますと、結局もう公務員の皆さんには何らかの形で住居関係のお手当を差し上げにゃならぬということになってしまいますから、それならば本俸のほうへ組み込んでいろいろはね返りさせたほうがお得ではないかという話にもこれはつながってまいりますので、なかなかきわどい問題だと思っております。  それから通勤の面はことし調べております。これは民間調査の結果によりまして、いまお話しのように、たとえば全額実費でいく民間企業の数がどのくらい伸びておるかというような問題にもこれは関連してわれわれは考えなきゃならぬことだと思います。それから過疎地帯に、すでにバスもなくなったところが多いじゃないかというお話もたびたび最近承っておりますので、そういうことも念頭に置いて作業に当たりたいと思っております。  それから特殊勤務手当が時代おくれということは、これはもうわれわれも前々から非常に気にしておりまして、御承知のように、百円未満というのはいかにも恥ずかしいから、これはできるだけ切り捨てようじゃないかというようなことはかねがね措置をしてまいっておりますし、御趣旨に沿った方向でいきたいと思っております。ただ、警視庁の弾丸詰めの話というのは、これは国家公務員のほうにそういう人がいるかどうか、これはわかりませんから、なお調べます。  次は宿日直関係。この学寮手当で、教育機関に近い、何か行政機関で問題がある、おそらくいまのお話では地方お話だったと思います。
  50. 山崎昇

    山崎昇君 いや、職業訓練校なんかもそうですよ、生徒をみんな寮に入れるんですから。
  51. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 福祉事業財団とか——だから、われわれの直接の所管にあればそれはまた検討をいたしましょうということでございます。  それから退職手当は、これは先ほど申しましたように、老後の問題はわれわれ重大な関心を持っておることでございますから、人事局とも緊密な連絡を保ってさらに検討を進めていきたいと思っております。  それから寒冷地手当はいつごろあるか。今度は——例年もそうであったと思いますけれども給与勧告よりはちょっとずれてやることになりますので、勧告のあと、またここでひとつ、とくと、いろいろとお話を承りたいというふうに考えております。
  52. 山崎昇

    山崎昇君 もう私の時間ありませんから、あと一、二点で終えて、後日もっと詳細に私はやろうと思ってますから、譲っておきます。  そこで、総裁に二つほどお聞きをします。総務長官にも一点お聞きをしておきたいんですが、人事院という制度ができて大体二十五年ぐらいになりますね。それから職階に関する法律ができて大体二十年ぐらいになる。それから、いまの現行の給与体系ができ上がりましてからほぼ十五年になる。そして、私はたいへんおそきに失したという感じはありますが、ことしは四月実施まできて、民間労働者と、あるいは公労協と大体実施については肩を並べることになった。そこで、これから人事院として問題が起きてくるのは、一体こういう人事院ができて二十五年にもなって、職階に関する法律があって、これがそのまま死んでおって——私はやれという意味じゃありませんよ——それから、いまの体系もつぎはぎだらけで、言うならば、ほとんど実施期日に焦点が置かれた賃金闘争であったでしょうし、また議論がそうであったと思う。そこで私は、四月実施も含めた完全実施段階を迎えて体系、あるいは一体これからの公務員賃金というものをどういうふうに人事院はされていくのか、何か検討されているとも聞いておるし、いろいろなんですが、一体人事院は、いま検討をされておるとすればどの点が検討されておるのか、そこらのことをひとつこの機会に聞いておきたい。  それからもう一点は週休二日制について聞いておきたい。これは総務長官にもお尋ねいたしますが、人事院総理府検討されているとすれば一体どういうことがいま検討されているのか、それから先般自治体の中では愛媛県庁が半数交代でありますが、実施に踏み切っておる。お聞きをすれば、自治省は、何か自治体が先にやっていくという考え方もあるようであります。いろいろ調べているようでもあります。そこで、週休二日という問題は、労働時間短縮でありますから、短縮にならなければ意味がない。そこで、いまの公務員の勤務時間というのは人事院規則できまっているわけなんですね。週休二日制にもし踏み切るとすれば人事院規則の改正だけで私はやれると思う。週四十四時間を週四十時間にすればできる。そこで人事院総裁は踏み切るだけの決断があるかどうか。いまないとすれば、いつごろまでに踏み切るのか、それを聞いておきたい。それから総務長官としても、この前、労働省なんかサンプル的に実施したようですね、去年は。そこで、あのとき私のほうから、なぜ労働省だけやってほかの省はやらぬのかと質問したこともありますが、総理府としてはこの週休二日制についてどういう御見解を持っておられるか。  それからもう一点お聞きしたいのは、各省の人事課長会議からいろいろ総理府に要望が出ているようです。人事院もこれは見ていると思うんですが、この各省人事課長会議で出されているような問題について一体今後どこまでどうされるのか、すぐは結論出ないかもしれませんが、もし検討されているとすればどういう点が検討されているのか、お聞きをして、私の質問を終わっておきたいと思います。
  53. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ことしは四月実施をやることにきまったようなお話を前提にされていらっしゃいましたけれども、まあそれはさておき、いまの、お話しになりました給与体系の全面的な検討の問題、これは勧告実施期日がいつであろうと、たとえばいままでのままであろうと、われわれとしてはやはり大きな関心を持って勉強しなければならぬことだという心がまえでおるわけでありますが、もう人事院ができて二十何年ということにからみ合わせても、ひとつそろそろこの辺でスタートの足を踏み出そうじゃないかという、この間も給与局長と話し合ったところであります。まあ職階制の問題が一つあります。これは別にやれということではありませんがというお話で、その点はわりあいに気楽に思いますけれども、われわれとして、やはり法律がある以上は、職階制の法律がありながらいつまでもほうっておくわけにはいきませんので、それはそれとして勉強をしておるということだけははっきり申し上げておきませんとわれわれ怠慢ということになります。そういうことを踏まえながら、給与体系全体、あるいはこれは任用制度にも関連いたしますが、そういう点については根本的のひとつ再検討をやろうじゃないかという心がまえをつくりつつあるわけであります。  それから週休二日制の問題は非常に近ごろ世間の話題にもなってまいりました。しかし私どもはやはり公務員法ですか、社会一般の情勢に適応する原則とか何かありまして、わがほうが先んじてやるべきことかどうか、これは一つ問題があります。ありますが、われわれとしては直感的には、なるべくそれはこういう方向に持っていきたいなあという気持ちを持っておることはお察しいただけると思います。ただし、一般の現場の人々の話を聞きますと、いまお話にちょっと出ましたように、愛媛方式みたいなことではあまり満足しないという空気もあるわけであります。そういうことでよければ幾らでもやり方はありますけれども、どうもやはり勤務時間そのものの短縮という方向へいかないと問題の根本の解決にはならぬと思います。そういうこともありまして、ことしの給与調査に付帯して、民間におけるそういう点も含めての勤務時間等々の調査もあわせてやっております。したがって、その結果も楽しみにしておるという段階でございます。  それから一言申し上げておきたいのは、われわれのおあずかりしている職場の中には、まだまだ四十八時間をこすかこさぬかというような過酷な交代制勤務に従事されている職場もあるわけです。週休二日制もさることでありますけれども、そういう点からまず解決すべきじゃないかという問題もありますので、その節は十分御声援のほどをお願いしたいと思っております。まあ一応やるとすれば規則だけでできるじゃないかというお話でありますが、まず根本問題だということを申し上げさしていただきます。
  54. 本名武

    国務大臣本名武君) 週休二日制につきましては、労働省の御指摘を待つまでもなく、日本の今日の経済的、社会的、また特に勤労者の方々の生活の実態からいたしまして、当然考えなきゃならぬことだと思っております。したがいまして、労働省もそれぞれ御検討のようでございますし、また総裁からお話ありましたとおり、人事院としてもそのお立場で御検討いただけると思いますが、私どもとしてもこれと真剣に取り組むために先般来いろいろと検討いたし、特に関係各省と同席いたしましていろいろ検討を始めておるという状況でございます。したがいまして、内容的に勤務時間の繰作をはじめとして、また公務員と一般民間との関係等々においても、やらなきゃならぬことであると同時に、それらの調整も考慮しつつ実現をはかってまいりたいと考えております。
  55. 鈴木力

    ○鈴木力君 それじゃ公務員給与の基本問題、一般問題は、いまわが党の山崎委員のほうから御質問申し上げましたので、残っておる部分について私が若干御質問申し上げたいと思いますが、まず文部大臣にお伺いいたします。  七月十七日付の朝日新聞記事を見ますと、文部省は教員の給与引き上げを計画をされて、文部省の中に調査機関をつくられて教職員給与改善に具体的に着手をなさる、そういう意味の報道がなされております。それで、その文部省が教育職員給与改善をなさろうとする御意図、それから考えられておる方式等についてまず承りたいと思います。
  56. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) お答えいたしますが、新聞には十七日に出たのですが、人事院に対する大臣要望は七月の三日、私の就任前、前大臣の高見三郎さんが人事院総裁あて要望をされたわけであります。要望の文部省の意図は、教育の重要性……。
  57. 鈴木力

    ○鈴木力君 ちょっと委員長、質問と全然違いますから……。
  58. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記をとめて。   〔速記中止
  59. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を起こして。
  60. 鈴木力

    ○鈴木力君 いまの、前の高見文部大臣から人事院総裁に要望した事項についてはあとでお伺いいたします。  そうではなしに、文部省自体が教育職員給与改善のための調査機関をつくって、調査委員会をつくって、そうして給与を改善していくんだという報道がなされておる。これは八月中につくるという報道でありますが、そこで私がお伺いしたいのは、その調査委員会がやるべきこと、どういうことを期待をされて調査委員会をつくるのか、その方向なりあるいは今後の構想なりを承りたいということです。
  61. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) どうも失礼しました。一口にどういう意図でそういう調査委員会を設けるかというと、教員の待遇をよくするためで、どうして教員の待遇をよくするんだと言われれば、教育界にりっぱな人材を集めたい、こういうことでございます。
  62. 鈴木力

    ○鈴木力君 それはわかるのです。そこで、文部省側のほうとして調査委員会をつくって教員の待遇をよくする、そういう構想なようでありますから、私が実はこれをお伺いした意図は、今日の公務員給与を決定する制度の中で、文部省自体が調査委員会をつくって教育職員給与を改善をしていくという、この制度の中での仕組みがどういうことをお考えになっておられるのだろう、それをひとつお伺いしたかったのです。つまり、時間がありませんから回りくどいことは申し上げません、ずばり申し上げますと、いまの公務員給与は、人事院調査をして勧告をして、その勧告の結果に基づいて政府検討をして法律案をつくって国会で決定をする、そういう仕組みになっておるわけです。そういう仕組みの中で文部省が独自に調査機関を設けて、そうして教育職員の賃金をこうこうこうするんだと、そういう構想を打ち出されておるわけですから、私は具体的な、給与がどこがどうなるという問題以前に、いまの制度仕組みの中でどういう構想で文部省がこの調査機関を生かそうとなさっておるのかをお伺いしたい。
  63. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) お答えいたしますが、それは教員給与が一般的によろしくない、一般公務員よりも、初めはいいけれども十六年もたつと陥没しちゃって、それ以後頭打ちになって非常によくないじゃないか、こういうことをいわれておりますので、どういうふうにそれをどの程度直していくかということについては、やっぱり教育ということに関して相当専門的な知識を持ち、しっかりした識見を持っておられる人たちにお願いして、その結果を得て、こういうことでございますから、人事院総裁はひとつこういう方向で教員給与を引き上げてもらいたいという、そういう案を持ってお願いをしてみようかなということがこの調査委員会をつくろうとしたわれわれの意図であります。
  64. 鈴木力

    ○鈴木力君 人事院の総裁に伺いますけれども、かりに文部省がいまのような構想でおやりになられた、今度は農林省は農林省で技術職員はいる、特別ないろいろな仕事をなさっていらっしゃいますから、農林省は農林省の職員給与改善の調査機関なりをつくって、そして、こういうものがよろしいということで人事院に持ち込む、こういう形になってくると、人事院は、これに応待する基本的な考え方はどういうことになりますか。
  65. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) まあ私たちの基本の態度は、やはり合理的ないい給与制度をつくり上げたいということに尽きるわけでありますから、その材料になるような、いろいろなすぐれた意見というものは各方面から広く吸収してまいって、最後はわれわれの独自の責任ある判断によって給与の体制をつくり上げていく。そういう点から申しますと、別に、いろいろな知恵者がお集まりになっていろいろ知恵をお出しになることは、そう害のあることではなさそうだ、われわれがそれに引きずられないという体制を堅持しておる限りは、という気持ちでおります。
  66. 鈴木力

    ○鈴木力君 これは私は、いまのここのことばのやりとりで済ませる問題じゃないような気がするのです。これは私は善意は認めるのですよ。中身については、直ちに文部省がいま考えているであろうと思うことをそのままよろしいと言うつもりはありませんけれども、まあしかし担当といいますか、主務官庁としての文部大臣が教育職員の待遇をよくしようというその気持ちは、善意としてこれは私は受け取ってもいいと思う。しかし、そういうことが非常に大きな問題として報道をされている。しかし、いまの給与の仕組みの中では、いま総裁がお答えになったとおりだと思うのです。そうでなければいけないだろうと思う。となってくると、何か給与の仕組みを——横からいろいろな雑音が入ってくるような、いまの給与の仕組みから申しますと、そういう感じもしないでもないと私は思うのです、ほんとうをいいますと。元来からいいますと、この人事院勧告制度というのは、ほんとうは公務員の人たちのストライキ権がなくなったときに、その代償として人事院が、公正な給与がこれであるという勧告をするのだということになっていると私は理解をしておる。そういうときに、何となしに政府側のそれぞれの機関が、おれのほうは権威のあるものをつくって持ち込むのだということがどんどん出てくるということは、私はどうも望ましいことじゃないという感じがするのですね。これはいま総裁からもお答えいただきましたが、給与担当大臣としての総理府総務長官は、こういうあり方についてのお考えをお持ちだと思いますが、伺いたいと思うんです。
  67. 本名武

    国務大臣本名武君) 御指摘もありましたが、やはり文部大臣お答えになったように、教育の特別の立場を考えますと、やはり教員に対しての処遇が改善されなきゃならぬということについての御意見は私も同感でございます。ただ、いま先生から御指摘がありましたように、同じように他省においていろいろな御意見があろうということも容易に想起できるわけでございますが、これらのことについては、やはり私どもが直接手を加えて検討し、その実施をするという立場ではございませんが、やはり公正なる中立機関である人事院の御勧告を期待いたして、それに対応して対処していきたいと考えております。
  68. 鈴木力

    ○鈴木力君 これはあとのほうで申し上げようと思っておったことですけれども、こういう話になりましたから、私はやはり総務長官がいまのようなお答えで濁している時期ではないような気がするのですが、ここまで、いろいろな——給与の決定のあり方が、仕組みは仕組み、制度制度としてあるけれども、現実問題としてはいろいろな形のものが制度の横から動き出している。こうなってくれば、責任ある政府として、公務員賃金を決定をする仕組みというものがどうなければならないのかということは、もうそろそろ抜本的にメスを入れてもいい時期がきているのではないか。さっき山崎委員からも指摘をされましたように、人事院はもちろん今日までずっとやってこられた。しかし、人事院自体も、いままでの給与勧告のあり方、給与決定のあり方については、なおいろいろ検討をすべきときにきているということを、総裁も先ほどの御答弁でも認められているわけであります。そういう中で、担当大臣としては、ただ何となしに公正に給与がきまることを期待しているという程度で濁している段階ではないのではないか、そういうふうに私はいま感じましたので、一番先に、文部大臣調査会ですか、調査機関、これのあり方について疑問を感じたので申し上げたのです。あまり時間がありませんから、何べんも同じことを繰り返しはしませんけれども。だから、私は文部大臣に申し上げたいのは、そういう調査機関をつくるという善意は認めるけれども、しかし、全体の給与決定の仕組みの中で文部省がどうやっていくのかという、その仕組みのワクの中でどうやるのかということの調整がまず必要ではないのか、文部大臣がそういうところに先に動き出すということが必要ではないのかという気持ちで私はいまのことを申し上げたのです。  と申しますのは、今度の調査会ですが、調査委員会がどういう結論を出されるのかわかりませんし、どういうふうに動いていくのかわかりませんけれども、文部省は、実は大臣がかわるたびに教育職員給与改善について、何べんかそういうことをいわれているのですね。だから、私が記憶する限りにおいても、いまごろ、大臣が就任したときに教員の待遇をよくしようということを言ったことを分析すれば、これはとてもじゃないがよその公務員がうらやんでしようがない給与になっていなければならないはずなんです。ところが、それが全然実施をされないで、新しくなった大臣がぱかっと新聞に大きく出しておしまい、それを繰り返しているわけですからね。それを繰り返しておって、今度は実力者文部大臣といわれておる稻葉先生が大臣になられて、今度は大きくまたぱかっと出たけれども、大きい大臣は大きいほらを吹くとかいうことで静まってしまうのじゃこれもまた意味がない。そういう点で、私は、全体の今日の仕組みの中でこれをどう調整していくのかということ、そこを真剣に大臣が取り上げてやってもらわないと、どこか大臣が独走するようなことを考えてみて、しかし、考えてはみるけれどもこれは考えただけでおしまい——それから他の公務員との均衡ということも、これも考えないわけにはいかないわけでありますから、そういう中でどうするかということでいかなければいけない。これは基本的に私はそういうことを考えておりますので、今後のこの扱い方については、といいますか、つくるのだという方針は出されたわけでありますけれども、相当慎重を期してやってもらいたいということを、まず先に申し上げておきます。  その次に、先ほど大臣が御答弁を始められましたけれども、高見文部大臣時代に、七月三日付だったと思いますが、人事院総裁に要望書を出しているわけであります。一々についてこれをお伺いする時間はありませんけれども、このうちの大筋、文部大臣関係職員の待遇を改善しよう、そうして、よいといいますか、有能な職員を集めて教育効果をあげようというそのことばの御意図はよく理解できます。そのうちでちょっと私が伺いたいのはたくさんありますけれども、時間の関係から二、三の点について伺いたいのでありますが、「高等学校以下の学校関係」についてこういう御要望がありますね。「教頭等について」、「校長を補佐する教頭およびこれに準ずる者については、その職務の困難性および重要性にかんがみ、これらの者に適用する俸給表上の等級として、一般教諭とは別建に現行俸給表における校長の次に新たな等級を設けること。」、それから、「なお、相当規模の学校については、教頭を複数制とし、複数教頭の全員に管理職手当を支給するとともに、教頭に準ずる者にも必要な手当を支給すること。」、こういう要望が出ております。で、これは私は、給与という、金という問題以前に文部省それ自体、教育現場といいますか、学校というその機能が教育効果をあげていくためにはどうなければいけないのかという考え方に相当重要な問題を含んでいると思います。したがいまして私は、ここのいま私が読み上げた要望をなさった考え方を、少しこれを承りたいと思います。
  69. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 先生はどういうことを、私にどういう答えを期待しておられるのかわかりませんが、ここのところは、学校教育法施行規則などで、教頭は校長に事故があるときはかわって管理の職務を行なうというんですから、本来、私は別に法律をつくらなくても管理職だと思っておりますが、そういう者にはそれ相応の——職務の質的にも困難性があり量的にも幅が広いわけですから、それに相応な報酬が与えられるべきだ、給与が与えられるべきだ、こういう考えであります。
  70. 鈴木力

    ○鈴木力君 そこで、具体的にお伺いしたいんですが、実は私は教員出身でございますから、学校の教師をだいぶ長いことやっておりました。
  71. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) よく存じ上げておりますんです。
  72. 鈴木力

    ○鈴木力君 そういう立場からお伺いをいたしますが、管理職が質的にも量的にも一般の教員より非常に責任が重くて、しかも苦労しておる、そうおっしゃるんですけれども、私はどうしてもおっしゃる意味がよくわからぬ。学校教育で少なくとも多少でも効果をあげようと専念をした経験者から言うと、いまのおことばはどうしても理解ができない。したがって、一般の教育職員より管理職として責任が重いという意味はどういう点をさされているんですか。
  73. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 責任が重いということは私申し上げてはおりませんが、職務内容の困難性と量の多いという点から一般教諭よりも高額の給与を与えられるのは当然ではないか、こういうことを申し上げております。
  74. 鈴木力

    ○鈴木力君 職務内容の困難性ということですね、どういう点を指摘されて管理職は職務内容が困難だと思っていらっしゃるんですか。
  75. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 授業も持つ、それから学校の管理運営もやる、それから諸先生方のお世話もするというような点は、普通の教諭、助教諭は生徒を相手に熱心に一生懸命に教えておられるには違いないが、それ以外にそういう余分な多くの事務的な仕事というか、対外的にもいろいろな仕事を課せられておるということから、やっぱり苦労が多いから苦労に報いる高額の給与を与えらるべきだと、こういうふうに思うのであります。
  76. 鈴木力

    ○鈴木力君 文部省のどなたか来ていらっしゃると思いますが、いま大臣が、管理職は授業も持って、そのほかに管理職の仕事をして苦労が多いと、こうおっしゃった、大体いまの全国の管理職のうち学級担任をしている管理職は何%ありますか。
  77. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) 校長の場合で申しますと、授業を担当しておるというのは比較的少ないだろうと思います。それから教頭の場合でございますと、実際に授業を担当しております者は、大体パーセントから申しますと一般教諭の授業時数の半分から多い人でも三分の二という程度のものではないかと思います。
  78. 鈴木力

    ○鈴木力君 私は、なぜこうつまらぬみたいなことを申し上げるのかというと、私は、給与決定の基本になる教育という機能をやっぱり文部大臣に正しく理解してもらいたいという気持ちがあるんです。現在、いまの初中局長からの御答弁でも、実際の管理職が授業を持っているという形態は、小学校では学級担任はありません。ただ、どこかの何か一科目ぐらいを持ってみようというようなことが多い。中学校でも一教科、幾学年ぐらいのところを数クラスしか持っていませんです。そして教育上の、直接的な教育行為の責任は管理職は持っておらぬのです。というのは、責任というのは、私は、政府考えておるような行政的な責任は意味しませんよ。皆さんのほうは、ともすると責任は上司に対する責任を意識しておる。ところが、教育の現場の責任というのは子供と親に対する教育の責任なんです。そうすると、いまの学校という機能の責任の一番大きい場所は、直接教育の任に当たっている者が責任が一番重いんです。おそらく、教諭になったばかしの新しい教師でも、あるいは四十歳代の教師でもこの責任の度合いは同じなんです。何となしに役人的な考えで、教育の場から飛んだ、ずれたところの考え方で、責任があるから管理職手当をやろうとする考え方が、これは私はいまの教育行政の最も悪いところだと思う。つまり事務的に片づけることを教育の体系の中に入れてしまっておる。だから教育というのは、職場で、もうどんどんどんどん殺されてしまっておるんですよ、ほんとうを言いますと。かつて戦争前にといいますか、いまの新しい制度になる前には、もちろん校長という職務はありましたよ、しかし管理職手当というのはなかった。そして校長には、辞令は学校長兼訓導という、直接教育をするという辞令が出ておった。いまの文部省、政府考え方は、学校長兼教諭というその点がもう完全に浮き上がって取り上げられてしまっておる。役人的な考え方の責任しかそこには評価をされていない。そういうところを給与体系の基本に持っていこうとするところにいまの教師の教育意欲を取り上げている根本的な原因がある。そのことを私は申し上げたいんです。  したがって私は、こういう点についてのいたずらに行政的なシステムの中の管理職の優遇ということを——これは優遇はだれの場合に優遇することも私はけっこうなんですけれども、教育意欲をほんとうに現場の教師に、教育に直接責任を持っている職員について意欲を持たせるような給与行政なり人事行政なりということを根本的に考え直さなきゃいけない。どうも最近そういうことに逆な傾向が出てまいりましたし、稻葉文部大臣が就任をされてから、さらにそういうおっしゃり方が強くなったように新聞やなんかからうかがわれるので、やや少し長い時間つまらぬことを申し上げたんですけれども、私のこの気持ちは、ほんとうに教育職員を経験した者の気持ちとしては、まともにひとつ聞いてもらいたいと思う。だがしかし、一応私はこれは重要視しておりますが、人事院総裁に要望としてこれは文部大臣から出されておることでありますから、受けられた人事院総裁は正当な判断でおやりになるということ先ほどお答えいただきましたし、この点についてのお考え方はいかがでございますか。私がさっき経験者の立場から申し上げたことばを御理解いただけましょうか。
  79. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 今度の申し入れ、要望について申し上げると、これはちょっとかどが立ちますから、そういう言い方はしませんけれども、こうこう趣旨の御要望はずっと前からいただいております。しかし、いまだ実現を見るに至っていないということはこれは事実でありますから、事実として申し上げました。私ども考え方としては、これは特別の等級ということになりますというと、やはりよほど職務の実態が制度的にはっきりしていないと、なかなか給与表のほうではっきりした手当てをするわけにはまいらないということが一番前提の問題になっているということを申し上げたのであります。
  80. 鈴木力

    ○鈴木力君 あまりやりとりしてもしようがありませんが、それで私はむしろ教育職員給与考えますときに、文部省のほうが要望としてもう一つグレードをつけろということを要望なさっているわけです。私はさっき言ったように、管理職というのを、行政的な管理職ということを教育の場にあまりなじませてもらっちゃいけないという意味から、ここは十分に慎まなきゃいけない。逆にお考えいただきたいのは、ほんとうに教育に専念している教師をどう引き上げていくかということです。そのときに、皆さんのほうはというか、文部省のほうは管理職を一ぱいふやして月給上げていけばというお考えが基礎になっていると思う。ところが、そうではなしに、おれはもう管理職にならぬでもよろしい、ほんとうに子供と取り組むんだという教師が大部分なんです、いまの教育の職場に。それを月給上げるために管理職というものをたくさんつくって、それによってさそっていこうとすると、みんな教育を捨ててそちらのほうにということになるから教育が死ぬんでしょう。だから、私はそうではなしに、一般の教師の人たち、ほんとうに営々として取り組んでいる人たちを上の等級に上げていくという道こそがいま必要なことなんです。われわれは渡りと、こう言いますがね。たとえば中学校の二等級の教員がいる。おれはもう管理職なんかならぬでもよろしい、英語なら英語の教育に没頭してそれだけやっていくという教師がいます。そういう教師が一等級に、ある一定の年齢から一等級に渡っていけるようなその道を開くことのほうがむしろ先決だ、これこそいまやらないといけないと思うのです。特に学校の場合には学校規模に非常に大きな格差がありますからね。大きな格差がありますから、教頭になっていくのに年齢が大体これくらいといったって、その年齢になればみな教頭になるものでもなし、また、もっと若い教頭も出れば、古くても教頭にもならずに一生懸命やっている教師もいる。それが教育職場のほんとうにあるべき姿なんですから、それにこたえる給与ということをひとつ真剣にこれは考えていただきたいと思います。  それからもう一つ問題点は、これは大臣のさっき言いかけられたことでありますが、これは実は私も大臣がおっしゃったことに賛成なんですけれども、教育職員のいまの給与体系を追ってまいりますと、確かに初任給は行政職より高い、このことを私は、いいかどうかということはどうも直ちに言いかねる。まあしかし教育尊重とかという空気からいえば、そういうことも一応現実としてはそうなっておる。ただ数年たっていきますと、一般行政職からずっと下をいくわけですね。これはやっぱり教師そのものはきわめて職場——職場といいますか、仕事の面からの意欲を相当そがれることになる。これは大臣は、これを埋めるということも一つ仕事だとおっしゃいましたけれども、ここは重要な点だと、こう思います。それで、この点につきましては人事院に伺いたいのですけれども人事院はいろいろと実態調査等もなさっていらっしゃいますから、こういう給与の体系の途中からクロスしていって、そしてやや仕事の意欲を失わしめていくような、こういう体系の是正はなさるべきだと思いますけれども人事院の御見解はいかがですか。
  81. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) かねがねそういう点はわれわれも注意しながらきておるわけで、鈴木委員も御承知のとおり、大体勧告のたびごとに曲線の図を赤やら青やらで書きまして、常に留意をして、そうして当面の措置は大体従来とってきておるというふうに御了解いただけると思います。ことしもこれからの作業になりますが、いまのおことばを十分承って従来の心組みでこれに臨みたいというふうに思っております。
  82. 鈴木力

    ○鈴木力君 たとえば前に尾崎給与局長が、教員は一般の行政職より学力が低いから上のほうが安いのだということを、いつか文教委員会お答えいただいたことがありますが、それは確かにある年配の方は師範学校卒だ、ぼくら程度の学歴のものが多いわけです。それから行政職のほうは大学卒ですからね、わかる。一応それで比較をするということになれば、その一つのものが出るでしょう。ところが新制大学の第一回の卒業生は、いまおそらく四十二歳になっておると思う。その四十二歳に比較をいたしますと、平均の教育職員は九万五千三百円、それから行政職——行政職といっても、これは行(一)のほうです。行(一)の四等級だと思いますが、十万二百円になっておる。これは学歴が低いからということでは説明がつかないことになるわけです。そのほかに教育的な職務の何々という理屈を一応抜いたにしても、これは私はいつまでもほうっておくべきじゃないと、こう思うのですけれども、この点は給与局長の御見解を承ったほうがむしろいいかもしれないのですけれども
  83. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 前にどういうことを申し上げたか、ちょっと記憶してないのでございますけれども、教員給与につきまして、その職務内容と資格要件といったものを考慮しまして、従来から、たとえば昭和二十三年の、団交が行なわれておった時代の一つ給与体系というのがございます。それはその当時は、現在の俸給表で申しますれば五等級と申しますか、行政職でいえば五等級相当のものに対して調整号俸がついておるというような事情があったわけでございますが、それを人事院としましてはずっと踏襲をしてまいっておるという事情であったわけでございますが、その後、そういう従来の曲線ではやはり非常に問題であるといったようなお話もございまして、先ほどの御指摘も、もう一つ上の等級との交差点ということについて、だんだん交差を上げていくという方向にまいっておるわけでございますけれども、とりわけ教員の資格は、ほぼ十年ごとに一年ずつ資格は高まっておるわけでございまして、昭和二十八年以来、新制大学の卒業者が入ってきておるといったような関係がございまして、御指摘のように、その後ほぼ十五年ぐらいになっておりますので、現在約十五号俸程度のところにすでに上がってきておるという点がございます。そういう点を反映しまして、やはり私どもとしましては、いわゆる交差点をかなり引き上げていくという方向が適当かと考えておりまして、先ほど総裁が答弁されましたように、現在もそういう方向検討しておるという実情にございます。
  84. 鈴木力

    ○鈴木力君 そういうことなんですが、これは間違っておれば別ですけれども、どうも私の調べてみたところによりますと、昭和三十九年には、このカーブのクロスするのは、卒業してからというか、就職してから十九年目にクロスしたと思うのです。ところが昭和四十七年、ことしは十六年のところでクロスしておる、逆に三年短くなっておる。そうなってくると、どうも説明と実際というのは合わなくなってくると思うのですが。
  85. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) ちょっといまのお話は十分了解できないのでございますけれども、少なくとも従来は、いわゆる行政職の五等級との関係でその上に厚みをつけるという関係でまいっておったわけでございまして、ただその関係が、厚みが今度薄れたということがございまして、私が給与局長になった当時、そういう厚みが薄れたということで、その関係を直すという点が問題であったわけでございます。さらに上の等級の上に乗っけるように昇給曲線をいたしたいという点が問題になりまして、そういう点で毎年少しずつ上の——三十九年当時のいわゆるクロス点の問題は下の等級とのクロス点のお話でございまして、現在の問題は上の等級との交差点の問題、つまり上の等級といえば、行政職でいえば四等級とのクロス点の問題、御指摘の三十九年当時は、下の等級であります五等級とのクロス点の問題ということであったわけでございまして、当時は四等級とのクロス点の問題というのは存在しなかったわけでございます。で、いまやそういう点が上の等級とのクロス点ということで、毎年そういう点のクロス点を上げておるというのが実情でございます。
  86. 鈴木力

    ○鈴木力君 大体の等級は、私はやっぱりせめて四等級のところまで持っていかないと——かけ声と実際とは違うだろうとは思いますが。  ただもう一つ、こういう点がありはしませんか。ことしのところをわれわれが作業してみると下がるという面は、人事院のほうでは教特、何ですか、特別手当の四%、教職員手当がありましょう、あれは基準内賃金に入っていると思うのです。それを一本にしたもので計算なさっておるということはありませんか。
  87. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 先般行なわれました教職調整額を新しく支給するというようなことによりまして教員の給与体系は一段とよくなったということは確かでございます。で、しかもそれは本俸並みということで行ないましたので、そういう意味合いでいけば基本給だというように考えていいわけでございますけれども、先ほどのお話行政職との比較という点におきましては、先般の教職調整額の支給というのは、ある意味ではいわゆる行政職における超過勤務手当の関係もないわけではなかったわけでございまして、そういうことも別途やっぱり考え、留意しておく必要があることは当然だと思います。で、いわゆる教職調整額の四%支給によりまして、先ほどの関係で申しますと、行政職四等級とのクロス点はこれによって三号か四号上がったという点は確かでございますけれども、それによってそのクロス点を上げていくという点を一休みするといったようなことではないのでございまして、その問題はございましたけれども、さらにその上にクロス点を上げていこうと、こういう点が当面の課題でございます。
  88. 鈴木力

    ○鈴木力君 これは話はあちこちになりますけれども、いまのその四%を基準内賃金に入れたと、人事院が今度の給与改定で官民比較をなさる場合に、教育職員の場合は基準内賃金だから、四%込みにして民間とそれを比較して、その格差ということになりますと、教育職員だけではなしに公務員全体に対しても被害を与えることになるわけですね。これは官民比較のときには当然四%は取り去って、そうして官民比較をしないと、正確な数字が出てこないわけです。元来あれは時間外勤務手当が化けてああいう四%になったわけですから、だから、いまの号俸的な位置づけは基準内賃金であっても、そのものはやっぱり時間外勤務手当です。両方からそれを引いて比較をしないといけないわけです。それを教育職員を込みにして、一般の公務員全体の官民比較の中にそれを入れられると、教育職員以外の公務員にも被害を与える、こういうことになると思いますので、こういう点はやっぱり私は、これから盛りつけをなさるわけですけれども、その盛りつけのときには、一はしぐらいはその点をもう一ぺん盛り足すぐらいの作業は人事院でぜひひとつやってもらいたい、こう思います。いま具体的にその趣旨については御理解いただいているわけでありますから、まあ数字はどうも私の申し上げたのを固執する自信もありませんし、ただその趣旨については人事院にお考えいただいて、そういう形で全部の公務員が調和のとれたような給与体系というものをぜひひとつ今度の勧告では実現していただきたい、こう思います。  それからあと、手当なんかについては、さっき山崎委員のほうからずっと伺いましたので、教育職員に限ってもう一つ申し上げます。これは人事院関係ではありませんが、文部大臣にさっきのような御熱意に基づいて御努力をいただきたい待遇問題が一つございます。これは給与勧告とは関係ないのですけれども、教育職員の旅費です。これは実は私は文教委員をやっておりますときに、文部大臣がおかわりになるたびに三十分ぐらいずつ申し上げておるのですけれども、従来は一向きき目がなかった。まあ多少は予算額が出ておりますから、一向きき目がなかったというのは間違いかもしれませんけれども、教育職員に一番自分たちを、何といいますか、自己卑下といいますかな、ひがみを持たせているものの一つに旅費がある。いまだかつて今日になりましても、同じ旅費規程がありながら規程どおりの旅費をもらって出張する教師というものはきわめて少ない。たとえばお調べいただければわかると思う。文部省が主催して地方から学校長を集めていろいろ研修をやるわけですね。このこと自体はまことに私に言わせればつまらぬことをやっていらっしゃる、管理職の養成ばかりやっているわけですが、その議論は蒸し返しませんが、それはともかくとして、文部省が主催して地方の学校長を集めて研修をやるときでさえ、もちろんグリーン車に乗れるような汽車賃は出ません。宿賃だって正当旅費の宿賃は出ない。いつか私がばか話みたいに言いましたけれども、学校長の教え子の人が教育委員会に入って主事をやっておる。その人が一緒に来ますと、その人は正当旅費をもらってちゃんと東京まで来る。学校長は打ち切り旅費で来る。したがって晩めしの晩酌代は教え子の主事さんが持たされるというような、そんな現象がまだ幾らもある。りっぱなかけ声はどんどんかけられてもいいけれども、せめてやっぱり規程があるなら規程内の旅費で出張できるような道は文部省本気でひとつやってみたらどうか。そのことも実現をしないで調査委員会をつくって何をしますなんというのはラッパにしか聞こえないということなんです。やれることをまずやってみて、それから、おれがやるんだぞとひとつかけ声をかけてみなさい、こういうことを私は申し上げたいのですけれども、旅費については調査もあることと思いますが、時間がありませんから申し上げますが、あとでお調べになっていただいて、各地方の都道府県の教育委員会等も十分に御指導なさって、少なくとも教師が教師であるがゆえに待遇上も明治以来の低く受けてきたものをいつまでも受け継がせていくようなことが今日続いておる時代ではないと思います。こういう点についてひとつ具体的に御指導をなさっていただきたい、こう思います。  もう一つだけ、時間がなくて恐縮ですが、いま多少教員間で問題——問題というと少し大げさでありますが、当事者間で不満を持っておりますものの中に、大学院を担当している教授の給料、これは人事院のほうにもひとつお考えいただきたい。大学院を担当している教授に調整手当がついておるわけでありますけれども、博士課程と修士課程、その対象によって調整手当が違っているんです。教授ばかりではなしに今度は助手も助教授もそれぞれによって格差がある。しかも学問的には同じ力がある人でも大学院を担当しなければ調整手当がなくなる。この辺はもうそろそろ具体的に検討してやるべき時期にきていると私は思います。手当にすれば、こういう面についてもひとつ御配慮をいただきたいと思います。  教育職の給与についてはそのほかたくさんありますけれども、時間もありませんからこれでやめておきますが、重要なことを私はさっき申し上げました。文部省の御熱意は十分理解できるにしても、いまの全体の公務員給与の決定の仕組み、制度というものがありますから、そういう中で何となしに勇ましい、教職員というもののあり方をやや混乱させるような印象を与えることはあまり好ましいことじゃない。そういう意味で全体的に、ひとつ人事院も文部省もあるいは総理府政府全体としての検討に入っていただきたいということが一つ。  それから基本的な考え方について、先ほど以来長いこと申し上げましたが、管理職というものを頭に置いた教員の給与改善という基本的な考え方はいまさっき申し上げたから繰り返しませんが、教育職員のほんとうの意味の教育の意欲をわかせるような待遇改善としては適当でない、このことをはっきり申し上げまして再検討をお願いしたい、こう思います。具体的な問題については省略いたしますが、文部省全体としてもさらにメスを入れた御検討をお願いしたいと思います。終わります。
  89. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 鈴木先生からたいへん有益な御意見の開陳、御質疑をいただきまして、ことに旅費なぞにつきましてはあなたほどの人ですからそのとおりだと私は思います。別に調べるまでもないと思うのですがね。それは非常に大臣として恥ずかしい次第でありますから、口先だけにならぬように改めることをここで申し上げておきます。決断と実行内閣としたい、私はこういうつもりでおりますし、教職員給与一般について画期的な引き上げをしたいと思うておりまして、早く調査会の結論を得て——ものわかりのいい人ですから、総裁も尾崎給与局長も、それはものわかりいいというのは空で言っているわけじゃありませんで、この間も調整額の法律をつくるときにも、将来はやはり教員給与というものは一本別な給与法があってしかるべきものだと。教育を非常に重視しておった時代には三大義務の一つである兵役までも免除される非常な恩典を与えられておったわけであります。今日兵役義務というものはないんですから、何か恩典を与えられるとすれば免税の措置を考えるよりほかないんじゃないかというようなことも考えておりまして、近く私は一両日中にも文部大臣として人事院総裁に御要望申し上げるつもりでおります。そうして人事院からものわかりのいい勧告給与担当大臣にあることを私は信じて疑いません。でありますから、鈴木先生の御意見のようなところへ持っていきますから——そうしてこれからはよくなる一方です。御安心いただきますようにお願いいたします。
  90. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 本件に関する午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時七分休憩      —————・—————    午後二時九分開会
  91. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国家公務員給与等に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、初めに総務長官にお伺いしたいのですが、実は先日の臨時国会で総理の所信表明演説等がございませんでしたので、私たちはそれにかわる、と言ってはなんですけれども、当面する諸問題を質問主意書の形で提出をいたしました。  その中に、実は公務員に関する問題を一つ実は書いておいたのですが、特に公務員制度のあり方というところで主意書を出しました。それに対しまして、答弁がございまして、特にその中で、私たちはかねがねからこの内閣委員会でも、公務員に対する労働三権、特に労働基本権の問題を何べんかこの委員会で取り上げてまいりましたが、その問題について質問をいたしましたところ、これに対する答弁が出ておりますが、この答弁によりますと、「現在公務員制度審議会において、公務員等の労働関係の基本に関する事項について慎重に審議が行なわれているので、政府としては、同審議会の結論をまって検討してまいりたい。」というような答弁でございましてね、これはほんとうにあいそもそっけもない答弁でございまして、こんなんじゃいけませんので、もう少しこの問題について詰めて総務長官見解をお伺いしておきたいと思います。といいますのは、まず先国会で、私たちは、第三次の公務員制度審議会が発足してさっそく一つ答申をしたというのは聞いておりましたのですが、それから後現在どういうふうな動きをしているのか、初めにちょっとお伺いしておきたいと思います。
  93. 本名武

    国務大臣本名武君) 詳細につきましては局長から答えさせます。
  94. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) ただいま御指摘のございました第三次公務員制度審議会、これは昨年の九月四日以降開催されておるわけでございますが、その概況につきまして御説明申し上げます。  第三次公務員制度審議会は昨年の九月の四日にスタートいたしております。審議会の委員は御承知のように二十名でございまして、その内訳は、いわゆる学識経験者——中立委員と言っておりますが——これらの方々八名、実は実際には七名でございます。一名ちょっと予定者がまだ外国から帰っておられませんので七名でございます。あと俗に政府側を代表する——使用者側代表と言っておりますが——使用者側代表の委員が六名、労働代表が六名、計二十名、現実には十九名でございます。現在までに大体月一回のペースで十一回の会議が行なわれております。  それで、第三次公制審の冒頭に議題になりましたのは、これは第一次の公制審及び第二次の公制審で若干宿題になっておりました職員団体の在籍専従期間の制限をどうするかという問題でございます。御承知のように従前の在籍専従期間は、一応国家公務員法、地方公務員法等におきまして、三年間となっておりまして、これはちょっとあまりにも短いのじゃないか、公務員職員団体が円滑に活動するためには少なくともこれはもう少し長くすべきではないかという御議論がございまして、第三次の公務員制度審議会の冒頭でこれが審議の対象になりまして、その結果、これは全会一致で三年を五年に改めるべきであるという御意見になりまして、答申が出ました。これが十月でございます。政府は、御承知のようにその答申を受けまして、昨年のいわゆる沖繩国会に国家公務員法その他の関係諸法の改正案を提案いたしまして、御審議を願った結果、これは原案どおり三年を五年ということで成立いたしたわけでございます。  その後の公務員制度審議会の審議でございますが、第二次の公務員制度審議会におきましては、公務員の労働基本権、これは俗称労働三権といっておりますが、団結権、団交権、スト権とございますが、このうち主として団結権とスト権が審議の対象になったように記憶いたしております。そこで、その場合に、団交権については必ずしも十分な論議が行なわれなかったということでございまして、第三次公制審におきましては、第三回目の会議から、団交権を中心といたしまして、スト権も関連してまいりますが、これにつきましてずっと御議論があったわけでございます。いろいろと各側委員からの御意見が出まして、もちろんまだ中途でございますので、それについて何らか結論が出たということではございませんが、団交権につきましていろいろ御議論がございました。また、ことしの三月以降でございますが、これは一部の新聞等にも出たわけでございますが、この団交権を議論しております過程におきまして、労働側の委員からいわゆる四項目の提案ということが行なわれております。この四項目を非常に簡単に申しますと、労働側の委員の御意見といたしましては、今後公制審で審議を進めていく上においては、使用者側の委員あるいはさらには中立委員も含めて、共通の認識を持たないとなかなか議論が煮詰まらないであろう。そこで労働側から四つの項目を提案するから、これをみんな共通の認識としてもらって、それを足がかりにして今後の審議を進める、こういう御趣旨であったと私たち考えております。  ごく簡単に申しますと、労働側から提案された四項目と申しますのは、一つは、現在の公務員の労働権に対するもろもろのきめは、昭和二十三年でございますか、政令二百一号に端を発しているが、こういうものは現在の時勢にはそぐわないから改めるべきであるというのが一点。それから第二点は、憲法二十八条にいう「勤労者」の中には公務員が当然含まれるので、公務員も原則的には労働三権が保障されていると見るべきである。それから第三点は、昭和四十年以降、御承知のように、最高裁が公務員の労働に関します判例をしばしば出しておりますが、これらの中で憲法十五条の「全体の奏任者」という理由では公務員の労働権は規制できないと言っているじゃないか。またかりに公務員の労働権を制限するとしても、それはあくまでも合理的に考えて必要最小限度にとどまるべきであろうと、これが第三点。これを確認せよ。それから第四点は、諸外国におきましても漸次公務員のスト権というものは解放の方向にある、日本もこれにならうべきであると、こういったような四項目の提案が行なわれました。その次の会議で、これに対しましていわゆる使用者側の委員から反論が行なわれまして、それが現在労働側の四項目の提案と使用者側のそれに対する反論がその後また数回議論として続いております。ごく最近では、これまた使用者側の委員のほうからでございますが、四項目の提案もさることながら、やはり公務員の労働問題を議論する場合には、公務員の性格と範囲というようなものももっと掘り下げていく必要があるんじゃないか、こういう御意見が出まして、現在それらを中心に今後さらに問題を掘り下げていくと、こういうことになっております。今月はちょっとお休みのようでございますが、九月からまた会議が開かれることになる予定でございますので、当面はそういう公務員の性格とか範囲でございますとか、そういう問題をさらに掘り下げるという方向でいろいろの御意見が出るものと考えております。  以上でございます。
  95. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま、第三次公務員制度審議会の動きについては大体わかりましたけれども、これは要するにあれでしょう、総理府設置法の中で公務員制度審議会というものが設置されて、いわゆるその十四条第二項で、審議会の任務というのはさまっているわけでありますが、これは正式に公務員制度審議会に諮問した事項というのはいま何と何なんですか。
  96. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 公務員等の労働関係の基本という事項一つであったと思います。
  97. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、この問題については第二次公務員制度審議会から引き続いてやっておるわけですね。いまお話がございましたように、第二次公務員制度審議会の最終段階には結局この問題は決着がつかなくて、最後の答申には併記するというようなことになっちゃったわけですね。そういう点から考えてみますと、これはやはりいま労働側からの四つの話がありましたけれども、私は現在の世界の情勢から見てもこれは当然だろうと思うのですよ。そういうような点は、結局はこれは総務長官なり掛当のそちらのほうで相当強力に結論を出せるように進めていかないといけないじゃないか、こういうぐあいにやはり思うのですよ。この間の答弁の中でも、審議会の結論を待って検討したいと、こういう答弁書が出ておりますが、これは一体いつごろ結論が出るつもりなのか、そこら辺のところはどうですか。
  98. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 公務員制度審議会自体は、一応現在の法律のたてまえでは、恒久的な制度として設置されてはございますが、委員の任期は二年ということになっております。したがいまして、第三次公務員制度審議会は、先ほど申し上げましたように、昨年の九月四日に委員が任命されておりますので、来年の九月三日に委員の任期が一応切れると、こういうことに相なりますので、第三次公務員制度審議会といたしましては、いわゆるタイムリミットは来年の九月三日ということになろうかと存じます。
  99. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、私はその委員の任期を云々しているのではなくて、これは委員の任期ではなくて、いつまでに結論を出すようにしなければいかぬという強力な政治性が必要だと私は思うのですよね。前の場合だって、第三次公務員制度審議会がなかなかスタートできなかった。もちろん恒久的な機関ではございませんけれども、現実に、いま重要な問題として取り上げられたこの問題がなかなか解決しないというのは、これは非常に遺憾だと私は思うのですよ。そういうふうな意味では、やっぱり新しい総務長官、こういう問題にも積極的に取り組んでいただいて、やはり何らかのきちっとした結論を出していただかないと、この問題はいつまでたっても決着がつかない、いつまでたっても第二次の公務員制度審議会と同じように、また結論を併記するということにとまってしまうと思うのですよ。そういうことではやっぱりいかぬと私は思うのですけれども、そこら辺のところはどうですか。
  100. 本名武

    国務大臣本名武君) いま局長から経過並びに見通しについてお話し申し上げましたが、御指摘のように、御要請は一日も早くということは十分理解いたします。しかし、審議会の運営につきまして私のほうからとやかく申し上げる筋合いでもないと思いますが、ただいまの御意見を十分体しまして、審議会にも一応お願いを申し上げたいと思っております。促進方をお願いを申し上げたいと思っております。
  101. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、これ以上この問題言いませんけれども、要するに審議会の内容について云々するというのではなくて、やっぱり総理大臣がこの公務員制度審議会に諮問をする、その諮問に応じていろいろ議論がされる、こういうことになっているわけですから、この問題は非常に重要な問題なので、いつごろまでに結論を出してほしいと、こういう要望は私はできると思うんですよ。そういう意味で、やっぱりちゃんともうちょっと積極的な結論が出るようにやってもらいたい、こういうことなんですよ。  この問題はこのくらいにしまして、人事院勧告も数日後に迫っておりますので、先ほどから同僚議員より相当議論がございましたので、初めに総裁、私先ほどから聞いておりまして、私のふしぎに思ったことをひとつお伺いしますけれども人事院がスタートしてもう相当になると思うのですよ。その間いろんなことがありましたけれども、総裁に、ちょっと私わかりませんのでお伺いしたいのですが、人事院に対する、たとえば今回のように文部省から要望書が出てきた、あるいは人事担当課長から——私の手元にもありますけれども、相当いろんな要望書が出ておる。こういうふうな要望が、私は人事院がスタートした初めから出たんじゃないと思うのですね。私の聞くところによると、人事院がスタートした初めからこういうものがあったんじゃなくて、最近非常に多くなってきたということを私聞いておるわけなんですが、この辺の事情はどうなんですか。
  102. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私は、実は昭和三十七年から今日までを承知しておるわけであります。各方面からの要望が最近になってふえてきたという観測は実は私はしておりません。最近になってまた特にふえたという感じも持っておりません。すなわち、もう十年ばかり私はおるわけですけれども、初めから役所側は役所側で、これはここを上げてくれ、あそこを上げてくれという強い御要望がある。また、公務員側は公務員側として、あらゆる職員団体からこうしろああしろというような御要望がまいっておって、今日までそれが続いておる。私は、先ほどもちょっと触れましたように、われわれの立場としては、中立機関、あるいは独立機関として責任を持っております以上は、これが独善的な、あるいは独走的な機関になってはいけないと、これを常に戒めとしているわけです。したがいまして、いろいろな実情というものもわきまえた上でわれわれが判断をすべきだという見地に立っておりますために、もう御要望は大いにしてくださいと、そういうことまでは言いませんけれども、御要望があればこれは喜んでお受けをする、お聞きをするということで、組合方々にも実にひんぱんにお目にかかって、現実の声を承っております。しかし、決してそれにそのままなまで拘束されるわけではない。なまで拘束されておった日には勧告がパンクしてしまいますから、事柄の性質からいっても当然ではありますけれども、最終の判断はわれわれが責任をもってこれをきめまして、そうしていずれ国会、内閣勧告を申し上げ、あるいは世論の批判にもさらされるわけであります。それにたえるようなものをという決意でやっているわけであります。
  103. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、人事院としては総裁になってから特別ふえたことはないということでありますが、それはそれでけっこうなんですけれども、こういうふうな要望書、こういうふうな請願みたいな——請願ではありませんけれども、要望書とかいろいろな一ぱいありますね。私は、総裁が直接そういうふうな担当者と会って懇談をする、また実情を聞くというのはいいと思うのですよ。当然、それはやっぱり調査の範囲に入ると思うのですが、それがだんだんだんだんエスカレートしてきまして、それでやはり総裁の考え方を総裁は左右されないとはおっしゃっておりますけれども、やはりこういうふうなものにだんだん左右されるようになってきたのじゃないか、総裁が、最近はね。大体こういうふうなものは、やはり人事院がいつもおっしゃっておりますように、給料のいろいろなあれは基本的な科学的なデータに基づいてやるということを総裁しょっちゅうおっしゃいますね。ところが最近は、先ほどのことばの中にもありましたけれども、その科学的なデータというよりも、やっぱり政治的な配慮ということばがだんだん入ってくる。これは私はきょうの朝刊にも、——これは総裁がそのとおり言ったのかどうかわかりませんよ。わかりませんが、新聞の報道によりましても、やはり政治判断によってきめるしかないと、四月実施の問題ですが、というようなことが出てきていますよね。これはやっぱりだんだんだんだん人事院という性格がいろいろな点から変わってきているのじゃないか。総裁が二、三年前におっしゃっておられたこととは、どうももういつの間にか変わってきている、こういうぐあいに私はこのことばの端々で見えるのですがね。私は総裁が頭をこうやると、私の言うておることが違っておるのかなといつも思うのですが、いつもそれにごまかされるのですが、そんなことないと思うのですよ。総裁、これはどうなんですか。
  104. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) それは具体的にひとつ実例をあげていただかぬことにはさっぱり思い当たるところがありませんから……。たとえば住居手当の問題のように、非常に御要望が強いと、そのために、実現したということがわれわれが政治的にそれに屈したというふうにごらんになれば、それはありますよ。たとえば四月実施の問題にしてもそういう問題をはらんでいるわけですから。われわれとしては、先ほど来たびたび申し上げておりますような立場を堅持して、正しいと信ずるところは断行すると、そして後々の批判にたえ得るものでなければならない。いまの政治的判断というものは、むしろ私のことばとしては、高い識見のもとにと申し上げたはずなんですよ。これはいろいろことばにすると文章のあやというものがありますから、私は政治的ということばは、いまのような御疑問を招くことになりますから、なるべくこれは避けております。
  105. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 確かに総裁おっしゃるように、たとえば住宅手当の問題とか、また先ほども出てまいりました通勤手当の問題等、非常に要望の高いものなんです。当然私はこういうふうな要望はしかるべきだと思いますし、要望がなくても当然、総裁、こういうような問題は実施すべきだと思うのですよ。しかし、いままでの要望の中で私たちが非常に不審に思うこと、あるいはまた昨年の——昨年だったか一昨年だったか、指定職の俸給表の問題ですね、相当議論がありましたけれども、ああいうような問題が、たとえば担当人事課長会議の要望どおりすぱっと上がっちゃった。これはどう考えてもやっぱり圧力をかけられている、おかしいじゃないか——実際実例をあげろと言われるから私は言っているわけですが、どこから見てもやっぱりおかしいということがあるわけですよ。しかも、先ほど聞いておりまして、文部大臣がそばにすわっていてじろっとにらんでいろいろやられると、やっぱり人事院総裁もこれはいかぬなと、またこういうような要望書も、総裁、こういうふうな要望書がどんどん出てくることが好ましいことなのかどうなのか、そこら辺のところは総裁どうなんですかね。実際こういうことをやりだすと、それはもう当然私はこういうような要望書はどんどん出すべきだと思うんです。出すべきだと思うが、ただし、こういうふうな要望書も出せないで非常に安い給料で苦しんでいる人たちというのはずいぶんいるわけですよ。私はそれを言いたいからきょうはこんなことを言っているわけですがね。それはもうほんとうにこういうふうな印刷をして出せるようなところはいいですよ、応援してくれる人があるところはいいですけれども、そうでないところはやっぱり非常にたいへんだと私は思うんです。そういうふうな人たちに対する配慮というものは、これは十分人事院でなされているんだろうと私は思うんですがね。そこら辺のところはやっぱり人事院としてはどういうぐあいに考えていらっしゃるのか。結論的にはわかりますよ、総裁がどういう答弁をされるかというのはわかりますけれども、やはりこういう点については相当基本的にきちっとした姿勢がないといかぬと私は思うんですがね。総裁どうですか。
  106. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ちょうど文部大臣が見えましたけれども、文部大臣がこわいような気持ちというものはいまだかつて抱いたことがないので、非常に親近感を持っております。ちっともこわいことはない。いわんや各省の課長クラスの方方の御要望に屈するとかそういうことを言われると、もう全く悲しくなってしまいます。しかし、ものごとの実質が正しいと信ずるものをたくさん持ち寄っていただくことは、これはもう歓迎すべきことだと。われわれとしてはほんとうはうるさいことです。もう耳をほかに傾けずに、机上にかってに自分たちの信ずるところによって白紙の上に絵をかくようなことは、これは能率的にはいいと思いますけれども、それでは済まぬことではないかということです。それから声なき声ということばも、そういう表現ではありませんでしたけれども、われわれとしてはそういう点はそういう点として、こちらから進んで探る、調査をするという態勢でなければならぬということでございまして、賃上げの反対の要望もこれはございます。これは前から申し上げておりますように、ほんとうに声なき声の、中小企業に従事しておられる方々というような方々からの深刻な反対の声もあります。そういう声もやっぱりあることは意識しながらやりませんと、正しい勧告はできないという気持ちでおるわけでございます。
  107. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、総裁、人事院に給料を上げないでほしいという、給料を上げるということとは反対の陳情があるということはきょう初めて聞くのですけれどもね。また、総裁、最近の傾向として、やっぱり人事院が追い詰められて、それでもうやっと腰を上げると、こういうふうな零囲気でやるのは私いかぬと思うんですよ。たとえばこの四月実施の問題だって、去年からやっていればもう問題ないんだな。ことし、人事院総裁ね、先ほどこの問題についてはほんとうはもう同僚議員が質問しましたので私言いませんけれども、言わないといって言っているんですけれどもね、やっぱり四月実施なんていう問題は、相当、昨年、一昨年何回も何回も言ってまいりましたですね。そして現在の世論、総裁おっしゃった先ほどの話から推しましても、世論にたえ得るものというお話がございましたけれども、そういう点から考えてみますと、これは四月実施に踏み切らないと、現在の社会情勢、いろんなところからいきますと、とてもじゃないけれどもこれはたえられないんじゃないかと私は思うんですよ。そういうところまできているのじゃないかと思うんです、こういうふうな問題についてはね。だから、やっぱり人事院としてはこういうふうな問題については、追い詰められてやるというんじゃなくて、やっぱりちゃんとした見識と先ほど総裁おっしゃったように、きちっとしたあれでやってもらいたい、私はそう思うんです。おそきに失したと思っているんですがね。この四月実施に踏み切れということを違うほうから私言っているんですがね。いずれにしても、この問題については、いまここでぱちっと言うことはできないと思うんですがね。こういうふうな私が言っているような考え方ということは、やっぱりある面から見れば言えるのではないかと私は思うんです、最近。  特に、また先ほど、もう私はこまかいことはできるだけは言わないで早く終わりたいと思っているんですけれども、交通費の問題にしたっておんなじですよ、ほんとうは。昨年も相当やりましたですね。ことしもまたどういう勧告が出るか私知りませんけれども、これはやはり通勤のいろんな事情から考えてみましても、これは実費支給すべきであるという考え方というのは、これはいろんなところに広まってきつつあると思うんですよ。それも人事院というところは、結局はさんざん世論が高まって、追い詰められて最終段階にぽんとやるというんじゃなくて、やっぱり、これはあとで私が言う問題とも関連があるんですけれども、やはり政府主導型といいますかね、民間に追随する調査の方法、いま現在やっているわけですが、それはそれでいいとしましても、何らかの点ではやっぱり政府指導してやってもいいじゃないか、そういう感じもするわけです。こういう点も含めて、総裁どうですか。
  108. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 政府追従型というお声もいま聞いたわけですけれども組合追随型だという声も相当にあるわけです。そういう両方勘案いたしますと、まあ中正な、公正なところをいっておるというような気持ちを持っております。したがいまして、先ほど来申し上げたところを要約すると、いかにも受け身で、何か言ってこなければ、しかも大きな声で言わなければそのとおりやらぬらしいというようなふうにもとれますが、私どもは受け身に徹しておるわけではない。やはりものによっては、先回りして手を打つべきことは打っておる。たとえば、まあ、いま思い出したんですけれども、通勤手当の関係なんかの改善では、数年前にこっちが先回りしてやったような例もこれはありますし、心がまえとしてはそういう気迫を持ってやっておるということを御信頼いただきたいと思います。
  109. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まだ勧告前でありますので、まあこの問題を云々しましてもまだ結論は出てないわけでありますから、これ以上言いません。  それからもう一つ、私はかねがねから思っていることでありますけれども、改善率の問題です。これもやっぱり勧告の前になりますとね、やっぱり新聞の予想というのがしょっちゅう出るわけですね、新聞にね。総裁の口からちらちらちらちら漏れているのかどうか、そんなことは私知りませんがね。これも、それがまた絶対違わないんですね。毎年ですがね、大体合うとるんですよ。やっぱり人事院勧告と合っているんです、大体ね。といいますのも、私は、これは要するに最近の物価指数とかいろんなものいっぱいありますけれども、これは公労委の仲裁裁定というのがありますね、あれと比較しましても、毎年そんなに違わないわけですね。私はこういう点から考えてみましても、たとえば公労委の仲裁裁定をやるところの事務局というのは、人数は大体五十人前後ですね。人事院は七百人ぐらいですか、そうですね。それだけ違う人数で調査をしているわけです、市場調査を。相当人事院のほうが正確に、当然総裁正確にやってるんだとおっしゃりたいでしょうけれども、実際問題はそういうぐあいに仲裁裁定等と比べてみてもそう変わりばえがしないというのは一体どういうところからくるのか。人事院調査そのものにもかえって問題があるんじゃないか。かえってもっと、たとえばこれはあとでまた話をしたいことの一つなんですが、調査の対象ですね、調査の対象。これは毎年いわれていることですが、これもやっぱり、これはもう総裁が人事院総裁になってから、調査のやり方は全然変わってないんじゃないか。初めからこの十年間おんなじやり方でやっているんじゃないか、少なくともこの十年間には、社会情勢にいろんな変化もあると思うのですね。そこで、この調査のやり方等についても、やっぱり根本的に何といいますか、改善といいますか、したほうがいいんじゃないか。特に、たとえばあの調査対象規模、企業規模百人以上、事業所規模五十人以上というような、こういうような問題ももうちょっと引き上げてもいいんじゃないか、実際問題。そういうようなこともあるわけです。そういう点も含めて、これは総裁、どういうようにお考えですか。
  110. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 何かやはり真意はどこかにおありになるんじゃないかという警戒をしつつお答えするわけでございますけれども、まあ最初のお話の、新聞のこの予測というのは、これはもう報道の自由、言論の自由が高く叫ばれておりますときに、これはわれわれのほうとして出さぬでくれというわけにはいきませんし、ただ困るのは、きのうも実は記者会見のときの席上申し上げたのですけれども、クラブの中で相談されて、一本に予測をしぼってお出しになって、そこへ私の写真なんか載っけられると、いかにも私がしゃべったようになるから、これは何とかそういうことはかんべんしていただきたいなあということは言いました。そういうことは言ったことはありますが、大体いままではばらばらのことが多うございます。そんなものについてわれわれのほうが事前にヒントを与えるというようなことはこれはもう絶対にございません。頑迷固陋をもって——文部大臣はものわかりがいいという批評をしてくださいまして、これは唯一の例外でありますけれども、私は大体頑迷固陋という定評つきのものでございますから、その点はもう絶対た事前にヒントを与えるというようなことはいたしておりません。ただしかし、結果的に見ますと、これが公労委にしてもそうですが、一般の相場とたいへんかけ離れた今度は賃上げの幅が出た場合には、これはまた猛然たる人事院調査に対する不信の声が私は出てくるんじゃないか、逆の面から見ますとですね。したがいまして、それが合っていることがいいことか悪いことかといえば、これはまた別のことで、われわれはそういうことにとらわれずに着実に、それこそ着実に、民間調査の結果を基本として、そのものずばりで勧告を申し上げる。それに徹することが一番正しいんです。したがいまして、春闘の結果とかいろんなものは参考にこれは見ます。見ますけれども、そういうものには絶対に引きずられてはおらない。公労委の仲裁裁定のことも、たびたび申し上げておりますけれども、仲裁裁定なり公労委関係給与は、これは実は法律的には国家公務員給与のほうを参考にしてやれというたてまえのものでございまして、われわれのほうがそれを見るということは逆の立場になる。ただ、あとから見てあまり変わりはないということは、公労委にしてはなかなかいい線をやったなという裏づけの面として、われわれの勧告なり何なりがものをいうことになるという論理だろうと思っておるわけでございます。その点については絶対御心配のないようにお願いをいたします。
  111. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ、遡及調査ありますね。ことしもいままでと同じですか。
  112. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) これは積み残しの問題、これがまた毎年勧告のあとで責めたてられる問題でございまして、私ども毎年調査に当たりますころは、ことしの春闘といいますか、これの進みぐあいはどうだろう、これが長引くようだとまた積み残しの問題で今度はこっちがしかられる側になるが、というような気持ちを持ちながら、ここでも春闘の時期については発言権をよこせというような冗談を申し上げたぐらい深刻に考えております。幸いに、ことしの場合、われわれはまだ確定したデータはありませんけれども、大体の春闘の情勢を見ますというと、ことしはわりあいに早目に終わっているように思いますので、従来ほどおしかりを受けることはあるまいというような気持ちで、結果を期待しております。
  113. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、従来と同じということになりますと、やはり六月十五日ごろまででございますか。そうしますと、六月十五日以降——総裁はことしはいつもの年と違って相当早かった、またおしかりを受ける面も少ないだろうという話でございますが、十五日以降少なくとも六月末ぐらいまで、十五日ぐらいでございますが、その間に妥結した会社を私幾つか聞いているわけです、現実の問題として。たとえば味の素ですか、六月二十三日と、こう聞いております。いろいろあるんですが、そういう点については、たとえば六月十五日以降、人事院で拾った以降そこら辺の調査については、これは人事院としてはやっていらっしゃるわけですか。
  114. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) それはもう当然調査は打ち切ってしまいますから、その問題は来年の問題に回されてしまうわけです。それだからこそ、春闘をおやりになるんなら早くやっていただきたいということをいつも声を大にして言っているわけです。ことしは幸いに多少早まったらしいということでございます。調査の打ち切り時期はたびたび——おそらく峯山委員だったと思いますが、できるだけねばって、締め切り期間を延ばせというようなお話も、これは耳にまだこびりついております。したがいまして、あまり早々と切り上げずに、十五日と一応きめておりますけれども、十五日のぎりぎりまでねばりにねばって、つかまえられるものはつかまえろ。ことしなんかは特にその点注意してやっております。
  115. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、総裁、毎年言っておりますように、総裁は私がこれから言いたいことを先に言われてしまったので、言いにくくなってきましたけれども、やっぱり十五日の締め切りというのはずっと前から変わらないわけですけれども、十五日をなんぼねばって十二時まで待ったって、これは十五日は十五日でどうしようもないことで、やっぱりそれをあと十五日延ばすとか、たとえば六月の末ぐらいまで拾うとか、そういうぐあいにしなきゃこれは意味ないと思うのですよ、実際問題として。これはあとの統計調査のそれとも関係があるわけですけれども、昨年も——私は毎年言っているわけですが、調査能力というのが、集計能力ということが、これはいろいろ毎年問題になることですが、これがまた毎年同じように——ことしなんかもっと早く出ているのでしょう、総裁、どうなんですか。六月十五日に打ち切って、七月十五日、きょう八月三日ですが、総裁のもとではもうみんなまとまっているのでしょう。どうなんですか、総裁。
  116. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) その点は、もうたいへんな数の個別の個人個人の票を何万人分をかき集めて、最初は統計局に頼んで新鋭機械でやってもらいますが、いわゆるラスパイレス方式とかなんとかというようなことで分析するむずかしい段階になりますというと、われわれのほうの給与局でやっておるわけであります。それがもう最後の集計の詰めには入っておるということは先ほど申し上げましたとおりであります。いずれこれははっきりと——出ないことには十五日には間に合いませんから急いでやっております。  それから、いまの六月十五日の件は、これは非常に御熱心に前々からお話がございますので、少しずらしてやったらどうかというと、結局いまのような集計その他の技術的の作業の面がございますもんですから、八月、いままでどおりよりもずっとそれだけおくれますよ。そうすると、公務員の諸君の側から言うと、やっぱりなるべく早く知りたいという気分もあるし、というようなこともございまして、それならもうむしろ、これもいやみがましく申し上げますけれども、じゃ六月現在の六月調査、そうすれば四月実施の問題は六月調査、六月実施の問題になる。そういう関連は持ちますけれども、そういうところまで話が発展してまいりまして、ちょっとまあとにかく春闘をやるなら早くやっていただきたいというのが一番手っとり早い解決策だと私は信じております。
  117. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは総裁、そういうことを言うとちょっと本末転倒してきますから、総裁のほうの二カ月かかっている調査、それを縮めるということ、要するにそこの一番のネックは何ですか、二カ月もかかる。たとえばこういういま人事院でやっている調査、私具体的に見たことはないのですが、こういうような調査というのはコンピューターにかければ一番パチッとした問題だと思うのです。こういうようなやつはコンピューターにパッパパッパほうり込めばもう半月でパッとできるということになるのじゃないですか。私そういうぐあいに思うのですが、二カ月もかかって集計をやっているという役所はいまないと思うのですね。そういう点では、私も総裁が頭をかしげるとどうも自信がなくなってくるのですが、何とかそこら辺のところをそういうふうな面でのあれはできないものですかね。またどういう点がネックになっているのか、どういう点が一番長くかかるのか、そこら辺のところをちょっと一ぺん教えてくれませんか。
  118. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 大体官民五十万ずつと見て百万ということになりますから、たいへんな、しかも個人個人の個票でやりますから、それはたいへんなことに違いない。これはおわかりいただけると思う。  よその場合をおっしゃいますけれども、これはこちらから申し上げたいことで、大体各省からいろいろな統計調査報告がまいりますでしょう。これいつ現在かというと、大体前の年か、前の前の年なんというのが多いように私思うのです。そういう点で、よその省の悪口は申しませんけれども、よそに比べておそいようにおっしゃいますから、これは声を大きくして申し上げざるを得ないんで、統計局にもほんとうに御無理を願って最新鋭機を導入してやっていただいているわけで、むしろ日本の各官庁のそういう作業を通じて一番早いというふうに私は信じております。
  119. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、一番早いなら早いでそれはよろしい。二カ月もかかる一番のネックはどこなんですか。
  120. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) それは大体、調査票をお目にかけたこともあるかと思いますけれども調査票をごらんになれば、まず第一にこれはたいへんなこっちゃと、記入する項目だけでも相当なものでございます。それから、それがトラックに何台というふうに集まってまいりまして、そして統計局でまずあらごなしの電算機にかけて、それからあと、今度は職種別、学歴別、年齢別とかなんとかございますね、それにずっとラスパイレスの方式で公務員側に対応するような数字に直すわけですから、それがまたちょっとでも違えば、これはまたたいへんなことで、またおしかりを受けるような場面になります。そういう非常にきわどい仕事をやっているということだけは御同情をお願いしたいと思います。
  121. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、すべて総裁おっしゃるとおりだと、私も全然、寸分も疑いませんけれどもね、十年前といまと全く同じなんですか、それは。これは要するに、たとえば、十年とは言いませんが、少なくともこの五、六年のそういうふうな調査能力の進歩というのは相当なものが私あると思うんですが、これは要するに数年前、少なくとも私たちが国会へ参りましてもう四年になりますが、それ以来ずっと変わらないわけですがね。そういう点から言うと、やっぱり相当進んでいると私は思うんですよ。そういう点はどうなんですかね、総裁。実際問題、非常にデータがたいへんで、比較も、総裁がおっしゃるようにそういうのがみんなたいへんだと、もうそのとおりだと私は思います。いまから五、六年前もそのとおりだったと私思うんですよ。しかし、その五、六年前から現在まで、そこら辺の改善すべき点は全然ないのかどうか、ここら辺のところはどうなんですかね。
  122. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) そういうことは、もう実はおっしゃるまでもなく私どもが第一に気にしているわけでございまして、もうちょっとでもこれが短縮できないかということを、もう三年ぐらい前になりますが、相当深刻に検討したことがございます。で、統計局の人あたりともいろいろ打ち合わせ、検討したのでありますけれども、結局、現在の機械力による限りは、早めて十日か二週間は早まると、こういう話が当時ありました。十日か二週間ではどうもたいした違いはない、それよりも正確をたっとんだほうがよかろうということで、きております。とにかく早く結果を得たいということは全く御同感で、また、そのほうに努力すべきことだと思っております。
  123. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、そこら辺のところは、もう人事院としても相当悩んで苦労していらっしゃるところだと思いますので、まあ総裁のいまのお話にもちらちらと出てきた中を見ると、十日か二週間は縮められるんじゃないかという話もありましたので、そこら辺のところから少しずつでも、改善の方向ですね、積み残しを拾う方向にお願いしたいと思います。  この問題はそのくらいにしまして、あと二、三質問したいと思います。  先ほどの同僚議員の質問の中に、週休二日制の問題が出てまいりました。この問題はやっぱり非常に重要な問題でありますので、これは人事院総裁並びに総務長官にお伺いしたいんですが、まず一つは、人事院で今回調査をした。その結論がまだデータとしてちゃんと出てないということでございましたけれども、この人事院としての調査の意図ですね、これはやはり私は、将来はやはり週休二日制という方向にいくのではないかということも含めての調査であろうと思うんですが、そこら辺のところはどうなんですかね。
  124. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ちょっとその先に、先ほどのお答えがいま給与局長から訂正されましたので申し上げますけれども、十日か二週間の件は、大体調査対象がもう年々ふえておりますから、それでもうカバーしちまったと、これ以上はまた話が別だということを申しておりますので、そのことだけちょっと訂正をいたしておきます。  それから週休二日の問題は、これは私どもは、まあ直観的には非常に好ましいことだと思うということを申し上げておるわけであります。ただし、よそのほうをやはり見回した上でということから、先ほど、いまのおことばにもまたありましたように、今度の調査でその点にも触れて、民間の状況をひとつつかんでみようと、そういう心がまえでございます。
  125. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総務長官、この問題は非常に重要な問題だと私は思うんです。総務長官としても相当御研究をされていらっしゃることと思いますけれども、この問題は、人事院としては全体の働いている瞬間等の問題もありますけれども総務長官のほうとしては、やはり前々から労働省等で相当この問題は取り上げられておりますし、実際、人事院調査した結論が出てまいりましても、民間でこういう問題を取り上げている会社というのはまだ非常に少ないと思うんです。そういう点からいいましても、国民にサービスするという面からいきますと、先ほどの答弁で、官庁主導型でやるということには非常に問題があるということもちょっとお話がございましたが、こういう週休二日制というのは官庁主導型でぴちっとやったらいいんじゃないか。そのほうが民間のほうに、それに合わせて週休二日制というのが大きく広がる波を起こすことにもなると思うんです。そういうふうな考え方もあるわけなんですが、そういう点、長官どうですか。
  126. 本名武

    国務大臣本名武君) 御指摘のとおり、たいへん重大な関心を持ってわれわれも検討いたしております。特に最近の、申し上げるまでもないことでございますが、国際的な労働時間の短縮、あるいは日本の置かれている経済的な、社会的な現況からいたしましても、やはりこれは積極的に取り上げるべきだと考えております。ただ、問題は公務員が主導型になるということ、これはある意味では、御指摘のように日本の新しいしきたりをつくるという点では一つの方法かもしれませんが、公務員を一般国民が眺めます感じ方というのが公共の奉仕のための仕事を持っているんだというような考え方からいたしますと、ただ、いきなり官庁主導型をいいではないかといってとるような段階ではなかろう。特に、中小企業をはじめといたしまして、日本の経済構造、産業構造全体の中において混乱とか摩擦とか、いろいろな弊害のないような形にいたしたいということも一つ検討事項でもあるわけであります。そういうようなことを考えてまいりますと、それらの関連する問題を総合的に検討いたしまして何とか一日も早く実施したい。もちろん、労働省に言われるまでもなくわれわれもずっと検討すべきでありましょうが、幸い労働省は非常に御熱心なようでございますし、また人事院におきましても公正な立場からそれぞれ検討いただくと思います。いずれにいたしましても、これは政府全体の問題として、また新しい日本の行き方としても、真剣にしかも熱心に早急に検討すべき事項だと考えておりまして、いま、いろいろと総合的に検討しておる段階でございます。
  127. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題は、何といいますか、社会情勢といいますか、雰囲気はもう高まってきていると私は思うんですよ。ここら辺で、総理府としても本格的に取り組むべきだと私は思うんです。  そこで、私の持ち時間が三時まででありますのでもう少しで終わりますが、昨年の給与改定で相当初任給の改正をしたわけでありますが、私の手元に来ております資料によりますと、初任給のいわゆる格差というのが実は相当まだあるんですね。特に、ここに来ておりますのでは、たとえば、高校卒業の場合ですが、国家公務員と郵政の方との比較が出ております。一九六五年から去年までのがちょっと出ているんですが、これによりますと、初任給の格差が毎年開いていっているんですね。六五年が四百円、六六年が千円、六七年が二千百円、六八年が三千円、六九年が四千円、七〇年に四千九百円、七一年に五千六百円。国鉄とか電電等含めまして、昨年でも、一番少ないところで五千二百円の格差、それから一番多いところで五千六百円、こういうふうにまだ相当格差があるわけです。こういうような点については、人事院としてはどういうぐあいにお考えになっていらっしゃるのか。ここのところはどうですか。
  128. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) これはおっしゃるとおりにたいへんな違いでございます。しかし、それは私ども民間給与という点でにらんでおりますその目で見ますと、民間の会社のごくごく一流の会社、きわめて有力会社の初任給のランクにこれは並んでおるわけでございます。われわれのやっております百人以上の企業規模の水準という線からいうと、高ねの花的な数字とならざるを得ないと思いますけれども、しかし、この初任給をそんなに上げて、大体中堅クラスとかなんとかの給与のほうはどういうふうにきめておられるんだろうかと、よそごとながら心配して見ますと、やっぱり中だるみにやむを得ずこれはなっておるわけです。そういう点で、総合的に給与体系そのものとして見た場合に、どっちが健全であろうかという考え方も出てくるわけです。私どももいまの民間の一般の水準にはもちろん合わせなければなりません。初任給を合わせなければなりませんけれども、その一般の民間においても近年、去年から、ことしもそうだろうと思いますけれども、相当初任給が不つり合いに上げられておることは把握できるわけです。そして民間企業の、やっぱりこの体系的な目でこれを見ますというと、どうしてもそれが中堅層のほうにしわ寄せになってくる。これはもう厳粛な事実として民間でもそういうへこみはやっぱりあるということが見受けられるわけでございます。しかし、われわれとしては、やはり中だるみは中だるみとして、これはそのままほってはおけない問題である、重大な問題であるという見地をもって、これに先ほど来申したような立場から臨んでおるわけでございます。ただ、初任給だけでむやみに飛びつくということは、それはわれわれとしても公務員を獲得しなければなりませんから、そっちに飛びつきたいことはやまやまでございますけれども、それで給与体系がうまく成り立つかどうかというもう一つの問題のあることを申し上げておきたいと思います。
  129. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ給与表の内容についてもう一点だけお伺いしておきたいんですが、これは毎回問題になることではございますけれども、行(二)の給与表の問題ですね、これはやはり非常に問題だと私は思うんです。といいますのは、総裁ですね、この同じ条件で高校を卒業して、そしてたとえば技能職員になった人と——行(二)の給与表の技能職員になった人と、それから行(一)の給与表についた人がおりますね。この場合、私の手元にある資料によりますと、同じ年齢で同じに卒業して入っても、たとえば私の手元にある資料によりますと、経験年数が二年から三年、こういうふうな場合に、これは要するに行(一)に入った人が一〇〇とすれば、行(二)に入った人は九三・七、十五年から二十年の場合を見ますと、行(一)の人が一〇〇としますと、八〇%、それから三十年から三十五年になりますと、行(一)に入った人が一〇〇、行(二)の人が六七・五と、こういうふうに差がどんどん開いているわけですね。こういうふうな場合、よく考えてみますと、この技能職員の人たちの採用の問題もありますし、民間との問題もありますし、非常に私はこれは重要な問題だと思うんですがね。ここら辺の改善ということについては、これはやはり相当考慮していただかないといけないと思うんですが、この辺のところはどうですか。
  130. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 行政(二)表の関係につきましては適用職種がいろいろございます。たとえば自動車運転手から小型船の船長、乗り組み員等、あるいは普通のボイラー関係の方とか、あるいは守衛、あるいは用務員、そういったようないろんな方々がおられますけれども、いま御指摘の高卒で入ったと、たとえば電工で入ったといったような場合に、高卒で事務のほうで入った場合とどうなるかというお話でございますけれども、そういうたとえば電工等のような技能職員として入ったような場合には、たとえば四等級四号俸からスタートをしてもよろしいという形にいたしておりまして、各省では相当そういう関係でやっております。そういう意味で、初任給の幅を相当設けまして、高いほうからスタートするということも可能だという形にしておりますので、大体若いところにおきまして、二十代におきましては行政(二)表から行政(一)表のほうにかりに移ったといたしますと、数千円低くなって移るというように行政(二)表のほうが非常に高くなっております。そういうような関係で、いま御指摘の何といいますか、二、三年のところで事務のほうが一〇〇に対して行政(二)表のほうは九三とかおっしゃいましたけれども、そういうのは職種としては、いまの運用の上ではそういうふうにはやっていないということでございます。
  131. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまちょっと私、あなたの答弁全部聞いていなかったんですがね。最後のほうだけ、運用の面ではこうなっていないということだけは大きく聞こえたんですがね。もうちょっといまのところ、わかりやすくもう一回御説明を願います。
  132. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) たとえば自動車運転手の方について申し上げますと、普通の民間の自動車運転手の方の場合には、たとえば二十代でも三十代でも四十代でもそう給与が違わないという給与状況になっておるわけでございます。そういう方をしたがって公務員に採用するという場合には、若いたとえば二十代の方についても相当高い給与を出さないと採れないという関係がございます。したがって、そういう技能労務関係の俸給表につきましては、若くても相当商い給与が支給されるような方法でなければならないというふうに考えて、そういう運用をいたしておるわけでございまして、たとえば高卒で電工のような場合に、普通は四等級の一号俸から入るべきところを、一号俸から四号俸までは弾力性をもって採っていいという形の運用をいたしておりまして、そういう関係で普通の事務に入る場合よりも数千円高いという形で初任給を高くいたしております。したがって、若いところではかなり行政(二)表のほうが高いということでございます。で、そのかわりに昇給関係事務よりもやや低下しておりまして、全体としてそういう関係ではまあバランスがとれているのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  133. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あのね、あなたの言うことをよく聞いていると、実際問題、それじゃ逆に言いますと、若いときは技能職に入った人のほうが給料がいい。そうすると、これは十五年ないし二十年、あるいは三十年ないし三十五年になってくるとどうですか、これは三十年ないし三十五年になってくると一般に入った人の半分になるというんじゃこれはしようがないじゃない。私の手元の表はそうなっておるんです。ま、半分というのはちょっとオーバーですよ、さっきちゃんと数字言いましたから、私ね。ですから、やはりこういうような問題は、多少いろんな問題もありましょうけれども、これはやはり一般の社会の会社の運転手さんと多少事情違うと私は思うんですよね。そういう点から考えてみても、こういうふうな給与の格差という問題については、やはりこれは人事院としてももうちょっと実情を調査し、そしてこういうふうなことにならないようにやっぱり私するべきだと思うんですがね、どうですかね。
  134. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) この高卒で入りましてから二十年も二十五年もたった場合に、どういうところに昇進していくか、あるいはどういうところまで段階が上がっていくかといったような関係になりますと、これはもう非常に行政事務の場合と行政(二)表の場合とではいろいろとあり方が違ってまいります。ですから、あんまり上のほうになりますと、年とった関係給与比較というのはなかなか困難な話でございまして、むしろそういう関係で申しますれば、それぞれの職種について民間と大体バランスをしていくというほうをむしろ強く考えていくというほうがたてまえではなかろうかというふうに考えまして、そういう角度から各職種についての官民の状況等についていろいろな角度で検討をしておるわけでございまして、そういう関係で、この数年来あるいは十年来、行政(二)表関係の職種についての民間の引き上げのテンポというのはかなり迷うございます。そういうものに負けないように、追いつく、それと並行いたしまして、行政(二)表のほうの給与割り高な改正ということが最近行なわれているという、こういう状況でございます。
  135. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、この問題については次回の委員会で詳細にまたやりたいと思います。  それで、この行(二)の給与表についてはやはりいろいろな問題がありますし、私たち自身この行(二)の表自体を廃止してもいいんじゃないかという考えを持っているわけですけれども、この点については、あとでまた次回にやりたいと思います。  きょうせっかく文部大臣お見えでございますので、何にも言わないで終わるのも申しわけないですから、一言ちょっとお伺いしたいのですがね。大臣、先ほどから同僚議員からも相当給与の問題について質問ございました。それで当然文部省自身が学校の先生の給与の改善について相当本格的に取り組んでいらっしゃるということはよくわかります。また人事院に対する要望書等についても、各省の要望とは別に相当大幅な要望が出ております。この問題については私趣旨はよくわかるわけでありますが、文部省としてはこれはどういうふうな意図でこういうふうなことをされていらっしゃるのでしょうかね。この問題と、もう一つは、先ほどお話がございました給与問題に関する調査会というのがございましたね。これの設置の意味ですね、これはどういう意図があるのですか、この二つ、あわせて初めにお伺いしておきたいと思います。
  136. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 私どもの意図は、教育公務員の資質の向上、ことに教職員に対する世間一般の尊敬の念を集めるような風潮をつくると同時に、給与の面においても、非常に困難な心身を非常にすり減らす仕事でございますから、いい給与にしてもらいたい。どの程度いい給与にするかは専門家の意見を聞きたい。こう思って調査会を設けた次第でありまして、別にそれ以外変な意図はありません。
  137. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣人事院はこの給与の面で総合格差方式というのをとって、現在給与調査等を相当苦心してやっていらっしゃるということは大臣も御存じだと思うのですよ。それでたとえば行(一)の給与の場合ですね、毎年給与の格差というのが出るわけです。しかし、私たちも大臣がおっしゃるように、学校の先生の給与は当然私はいまの倍にもしてもいいんじゃないかと、そのくらいの気持ちでおります。当然そうすべきだと私は思うのですね。その職務の内容またその重要性等、いろいろな点から考えてそうすべきだと私は思うのです。しかし、現在の人事院がやっている総合格差方式という人事院給与の体制からいきますと、いわゆる民間との格差というのが中心になっておりますから、一般のたとえば行(一)の給与表の人たちというのは昨年度も九%以上の格差があるわけですね。ところが、実際上その総合格差でいうと八%前後になっている。なぜそうなるかというと、そこに学校の先生の給与が高いというのが一つあるわけです、どうしても。そうしますと、こういう学校の先生が高い、その上にまたもうちょっと上げろと、こういうふうになるわけですね。ということは、私、当然上げろというのはあたりまえだと思うのですよ。けれども、これは人事院としても、総裁、これはやはり考えなければいかんと思うのですよ、私は。人事院として、こういう総合格差方式というのをやめて、たとえば行(一)なら行(一)の、これは前々から言っていることですから何度もくどく言いませんけれども、行(一)なら行(一)の調査をがっちりやって、それに合わせて全部算定する、そういうふうにせよということは何回かここでも言っているわけです。いま、たとえば文部大臣がおっしゃっていることは、これは要するに人事院のやっていることとはまるきし逆のことをやっているわけです。人事院のやっていることを批判していることになっちゃうんですね、結局内容的には。それじゃこれは非常に政府としても今後この給与を上げるにあたってやっぱり基本的に考え直さなければいかぬ問題だと私は思うのです。そういう点をあわせて、これは大臣人事院総裁見解をお伺いして、きょうは、私の質問は終わりたいと思います。
  138. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) じゃあ私から先に。  実際、実情だけを申し上げておきますが、義務教育の先生に関する限り、これはもちろん国立の関係ではもう人数も非常に少ないのでありますけれども、われわれの従来の比較の問題からいうと、比較の対象外ということで、ワク外として扱っておりますから、いまのような問題は、義務教育の先生についてはないと、従来の方式でやっておる限りにおいてはないということでございます。
  139. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 国家公務員たる教育公務員、それから学校法人立諸学校の教職員とに差がありますが、これはやっぱり私学についてはその自主性にまかされているものですから、文部省としては差し出がましいことを慎んでおるわけですが、国家公務員たる教育公務員につきましては、その専門職たる特質にかんがみ、専門職にふさわしい待遇をしろということは、ユネスコ、ILOの勧告にもございますし、わが国は八十七号条約も批准をした国でありますので、国際水準並みのやはり教員に対する処遇をすべきだと。ことに、先般自由民主党の総裁選挙が行なわれましてね、その立候補者はすべて教育優先ということでもその一人が総理になり、二人の候補者が外務大臣国務大臣になっておるわけですから、したがって、ひとつ閣議で教育公務員の処遇改善について、文部大臣として特に発言を求めて、内閣全体としてもそういう姿勢でやっていきたいと。そして人事院の総裁に対しても、どうかひとつ教員の待遇をよくしてくださいと、こういうことをお願いしたいのでありますね。それは人事院は厳正な中立の機関でありますから、君の言うことばっかり聞いてられないと、こうおっしゃるかもしらぬけれども、世論も、それから国際的な勧告もあり、総理大臣はじめ約束したことですからね、あれは。やっぱり党員だけに約束するのじゃなくて、国民全般に約束しているのだから、実行に移さないかぬ。口先ばかりで信用を失うような約束になっちゃいかぬと思いますから、私は責任を感ずるわけです。峯山先生の仰せを拳拳服膺いたしまして、しっかりやりたいと思います。
  140. 岩間正男

    岩間正男君 もう時間がないので、文部大臣にいろいろお聞きをしたいことがあるわけですがね、簡単にお聞きしますが、とにかくいまの状態では人材が集まらない。そうすると人材を集める必要がある。こういうことで、いまのようなとにかく教員の待遇を格段にこれは優遇しなきゃならぬ、こういう措置をとられていると言われているのでありますが、これについて、教育の立場から考えれば、この教員の特殊性を認めてそれで待遇改善をやるということについて、基本的にやはりどういう条件がこれはその中で必要なのか、これはどうお考えになっていますか。こういう点についてまず先にお聞きしたいのです。
  141. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 君間先生の御質問がまことにばくたる表現なものですから、私頭が悪くてよくつかめませんですが、もう少し具体的におっしゃっていただけませんでしょうか。
  142. 岩間正男

    岩間正男君 具体的にそれじゃお聞きしますけれども、とにかく教員を優遇すると、しかしこの優遇のしかたの問題だと思うんですね。いまの優遇のしかただというと、午前中から問題になってまいりましたけれども段階方式だ、中教審の指向するそういう方式に合わせた形で非常に格差をつけると。とにかく校長、教頭その他いろいろ学年主任とかそういうような格差を置いてですね、そういうことで俸給が決定されるということになる。そうすると、文部省の指向する方向でこれは教員の内部が支配されてくる、統制されてくるんじゃないか。そういう点は、これはどうなんですか、教育の当然の基本的な観念からいって正しいのかどうかという問題ですね。もう一つは、基本法の精神から考えてもそこのところに抵触するものが出てくると、そう思うんですが、この点はどうお考えになりますか。
  143. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) それは初任給は、同一程度の学校を出た人には初任給は一律にやると、だんだんだんだんやっているうちに、なまけているのと一生懸命やっているのと、愛情深いのとさっぱりなのと、やっぱりどこの社会にも勤勉な人と怠慢な人と出てくると思いますが、それはやっぱりよくその学校を管理する校長なり教頭なりが気をつけておって、そうしてりっぱな人にはりっぱな待避、なまけ者にはなまけ者の待遇、悪平等にならないようにしなければ、せっかく一生懸命にやっている人が、なまけているのと一緒に、いつまでたっても給与に違いがないなんということではかわいそうじゃありませんか。そういうことを考えております。
  144. 岩間正男

    岩間正男君 これは午前中も質問があったわけですね。教育で一番尊重されなくちゃならないところはどこだというふうに考えていますか。つまり校長とか教頭とかそういう支配の体系なんです。そうしてそれは中央の、国家の教育統制をやっていくに都合がいいそういう体制をとるということなんです。そうじゃないんでしょう。はっきりしているでしょう。それは教員とそれから生徒が火花を散らすところだ。そして人間形成の場をほんとうに豊かにこれはつくっていくんでしょう。そこのところは最大にこれは尊重されなくちゃならないわけでしょう。ところがそうなってますか。そうなってないじゃないですか。いまあなたたち考えている五段階の賃金というやつはまるで反対の方向にいっているんじゃないか。この点はどうお考えです。この点が非常に私は重大な課題だと思っている。どう思っていますか。
  145. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 私は、教育者というものは非常に大事だと思っています。それから芸術家だとか宗教家だとか、こういう人間に一番大事な真・善・美の追求者というものが一番大事だと思います。そしてわれわれ政治家は、こういうような人が一番いい環境で、安心して後顧の憂いなく、そのおのおのの天分を発揮していい文化を生むという第二義的な下請機関だと、かように思っています、政府とか国会とかは。けれども、その第二義的な仕事も非常に重要で、その学校の先生が生徒と一生懸命に勉強していくという雰囲気、条件、そういうものをどうやって県の教育委員会と談判をしていい条件にするかということに非常に校長や教頭は骨折っている。そういう骨折りに対してそれ相応の処遇をするということは当然であって、教育統制をするなんという考えは毛頭ございません。
  146. 岩間正男

    岩間正男君 管理職優先という考えでしょう。それのほうが優先されていまの体系がつくられようとしている。これは戦後の教育改革に対して全くさか立ちになるわけです。また戦前に戻ることになる。私は思い起こすんだが、これは全国の教員が結集して教員組合をつくった。第一回の交渉を当時安部文部大臣に持った。そのとき私は当時の責任者だった。私はこう言ったんだ。戦前の教育は、とにかく権力支配の末端に校長でも何でも置かれて、そうしてとにかくもう文部大臣からずっときて視学、そうして校長、そういうところで権力支配のもとに置かれた、これが非常に日本の教育を誤ったのだ。根本からいえば、教育の本来の姿からいえばそうあってはならぬのじゃないか。したがって、一番教育で尊重されなくちゃならないのは、当然教師とそれから生徒がほんとうに人間的な火花を散らしてそこで人間形成を進めるところだ、あとは全部付属機関じゃないかと、文部大臣、あなたもこれは付属だと思うがどうだと、こう言った。これは安部さんは、私はいまのような話を初めて聞いたが非常に私も感銘したと、こういうことを言って、当時そういう考えを述べられた。そこに立っていますか、立っていないじゃないですか、いまは。今度の五段階の賃金体系というやつは、ここで根本的に私は問題だと思う。これは教育基本法の立場から考えたって問題だ。あなたは、一面からいえば人材を集めるんだ、これはもう私も賛成です。けっこうです。これは人材を集めるというためには。しかし同時に教育内容そのもの、教育の内容的な本質から考えれば、当然そこを尊重し、そしてそれを保障する、その体制のもとにこれはやらなきやならない。したがって、当然国家予算というものはひもつきでない、そして教育の自由を真に、これは教育基本法のこういう精神というやつが尊重されるような、そういう立場でこの教員の賃金というやつは決定されていかなくちゃならない。こういうふうに思うのだが、とにかく社会的、経済的、こういう地位が非常に低かった、そうして地位が確定していなかった、そのために権力に支配されがちだった、これが戦争協力にも持っていかれた原因なんです。そういう反省から戦後の教育というものはきているんです。稻葉さん、そこのところに立たれますか、どうですか。これは基本的な課題です。これが今日の対決点になっている。その点に立ってはっきり考えているのかどうか、これが一つ。まあ時間ないから。  もう一つは、佐藤人事院総裁にもお聞きしたいんですが、これは人事院というワク内でこの問題を一緒くたに問題を解決できるのかどうか。  もう一つは、私はそういう経験をあげて恐縮だが、この戦後の教員組合運動の中で、これは東京都でほかの都職労の諸君とか都従の諸君とかと統一行動をやったことがある。当時の教育局長、いまの宇佐美宮内庁長官、これと交渉を持ったことがあります。そういう時代に、このほかの公務員たちが、やはり自分たちの子供が教わる先生だと、したがって先生の待遇は改善、よくしてもらいたい。したがって、われわれよりも二割も三割もとにかくこれは高くすべきだと、こういう主張をほかの公務員がしたことがある。しかし、いままで私も運動をやってきたが、これはこれだけだ、こういう意見というものはこれは出されたことはないわけだ。しかし、父兄の意思というものをほんとうにこれは十分に考えてみれば、そういうものがあるんではないですか。全部それは子供にはね返っていくわけだ、次の時代の。ことに国家的な意思から考えたってそうでしょう。民族的な意思から考えれば次の時代を背負うそういう人材をつくっていくんだから。そういう点からいえば、当然ここでそのような措置をやっていいわけだと思う。この点に対する考慮がこれは人事院総裁にありますか。どうも先ほどからの答弁を聞いていますというと、その点に対する、つまり国の施策というものがあれば、その施策をやはり人事院はこれは当然参酌して、その中で当然そのような方式は決定されていく面があっていいのじゃないか。ただ、いまのやり方によりますというと、これはやっぱり画一主義でしょう、定型主義でしょう。そうして公務員一般というそういうものの中でこれは流されている。むろん公務員労働者としては当然統一の立場がありますから自分だけ独自にいい、こういうことを主張しろというものじゃありません。しかし、ほんとうにこの教育というものの持っている特殊性からいえば、その特殊性というものはやはり全国民の強い支持のもとに私は前進させられる可能性はあるんだというふうに考える。この辺はまあ政策論議になるわけであります。それでまあここで人勧が出されようとしているのです。そういうような機会にこの点一言。先ほどからこの教員の給与についてありましたけれども、基本的なこの構想をもお聞きしたい、どう思いますか。先の第一の問題、これは大臣、第二の問題は人事院総裁にお聞きしたい。
  147. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 現場の教師、実際に子供を相手に愛情を持って親切に教えはぐくんでおられる人、これが教育の場で一番重要なことは当然です。しかし、そういう人が安心して、いい経済的な条件で、勤労の条件で、社会からも尊敬されて、使命感を持って一生子供の教育にささげるというりっぱな精神でやっていただくためには、県の教育委員会や文部省とときには大いに交渉したり、そういうことをして、いい条件をつくり出そうとして教頭さん、校長さんは一生懸命やっておられるんだから、その仕事が重要でないということはない。その仕事はきわめて重要だ。非常に骨を折っておられるから骨折りだけの給与をお渡しする、報酬を差し上げるということは国として当然なわけであって、あなた、一般公務員と教育公務員と画一的だとおっしゃる。やっぱりりっぱな先生とりっぱでないのと、なまけているのと一生懸命なのと画一にしておっちゃおかしいじゃないですか。そういうのが私どもの基本的な考え方でございまして、そういう方向給与を引き上げて、教育界にりっぱな人材をたくさんほしい。教員の養成のしかたにつきましても、教育公務員の養成のしかたにつきましても改むべきことがたくさんある、こういうふうに考えている次第であります。
  148. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私どもの立場は、国家公務員全体をカバーして給与をきめるべき立場におりますからして、研究職の人たちがまた重要な種目の業務に従事しておられるという面その他、あるいは職場、その部門における重要性なり特殊性というものをやはり見渡しながらきめていかなければならぬという基本的な立場におるわけであります。しかしながら、特にこれについては、筋として、この部面についてはさらに優遇すべきものであるという判断に達すれば、たとえば昨年勧告を申し上げました例の教職調整額、これなどはわれわれとしては思い切った措置だと思っておりますが、そういうような措置をそれはとっておるわけで、あくまでも筋が通ることならば勇猛果敢にやる、その一言に尽きると思います。
  149. 岩間正男

    岩間正男君 これは時間を別なときに移してやりたいと思いますが、ただいまの答弁の中で、もう一般的にあなたの言われるそこだけ聞いていればこれは何もないようです。しかし、賃金は明らかに五段階賃金という形で、これは中教審の指向する方向で出されていることは事実です。それから、ひもつきであるかどうかということ、これが支配の道具にされるかどうか、これが非常に重要な問題です。ところが、実際は支配の道具にされ、そして実際はその支配の道具になったのがいまの校長や教頭になる。そういう形で進められるので、私は本体はやはりほんとうに子供と接触するそこのところが一番尊重されなければならない。あとのはそう言っちゃ悪いが付属物ですよ。文部省だって何だって付属物なんだ。この点は明確にしておかぬと逆になっているわけですね。再び国家統制が始まろうとしておる、教育の支配が行なわれようとしておる、そこから議論がいつも出て、そして対決しているのがいまの教育問題じゃないか。その点はどうなんですか、その点をはっきりしておかなければならぬということです。
  150. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 私どもはそんな五段階給与を道具にして教育支配をやるなんという考えは毛頭ない、しかも選挙のときなんかも自民党を支持せいという指令を発したこともない。ところが、あなた方の団体の中には、政党支持の自由ではなくて、この間の秋田の大会の、政党支持の自由は何のことかと言ったら、いままでは社会党一本だったが、共産党も入れろ、民社党や公明党は政党でないような扱い方をやる、そういう教育支配は非常に警戒すべきものであって、そういうことは私は一番大事なのは教育者であり、最初の芸術とか教育とか倫理とか宗教とか、そういうことに対する尊敬の念はあなたと同じに持っております。したがって、そういう人たちが自由にほんとうに良心的にやっていただく社会的な条件をつくる。その条件をつくることも非常に重要なことですから、校長さんや教頭も大事にする。これだけの話であって、決してそんなあなた方のように教育支配をしてあれに投票せい、これに投薬せいなどとそんなことは断じていたしません。
  151. 中村利次

    ○中村利次君 最初に人事院総裁お尋ねをいたします。  去年の十二月にこの委員会で短従制度、短期従事ですね、質問をしましたところが、たいへんに前向きの御答弁があったわけです。だいぶ期間もたっておりますので、特に八月十五日には勧告があるという現時点で決着をつけられるようなそういう前向きの検討がなされているのかどうか。
  152. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 十五日の勧告と直接関係のないことでございますが、それにはこだわりませんが、ますます前向きになっておるということだけ一言申し上げておきます。
  153. 中村利次

    ○中村利次君 それでは、答えが出るという期待をしてよろしうございますか——まあいいでしょう、それは。  午前中から、また先ほど各委員からも今度の国家公務員等の給与等についての調査案件については問題点指摘をされておりますし、私の質問時間は非常に短いですから基本的な問題だけしか質問できません。したがって、これは重複することが非常に多いと思いますが、やはり何といっても実施期日ですね。これは私から言わせますと、最近政府はたいへんに景気のいい打ち上げをいろいろな各般にわたってなさっていらっしゃいますけれども、特にこの人事院勧告実施期日についても、衆議院の内閣委員会でこれは総務長官もあるいは官房長官も四月一日という実施時期を含めて人事院勧告を尊重、実施するという発言があったようでありますし、また、田中総理自身も労働団体との会談の席で、毎年一年ずつ短縮してきておるのだから、ことしは人事院勧告があればこれを完全実施するという答えがあったそうであります。ところが、これはたいへんにかっこうもいいですし、けっこうな話ですけれども、しかしいまそういうまことにかっこうのいいことをおっしゃっておる政府が、人事院勧告はもうよほど前から五月一日の実施というものがあったのですけれども、しかしこれは八月、七月、六月、五月というので、やっとおととしから五月になって、総理はちょっとこれは見落とされたのか、あえて忘れたふりをされたのか、毎年一年刻みで繰り上げとおっしゃったんだが、去年、おととしは五月実施、こういう歴史的な実績があるわけですよ。それがいまここへきて四月実施はもう当然である、人事院勧告するなら実施するのだというそういう姿勢を非常に強くお出しになっておることに対して、これはぜひひとつ総務長官からまずお伺いをしておきたいと思います。
  154. 本名武

    国務大臣本名武君) 先ほども申し上げたのですが、お話のとおり、政府としては、人事院勧告が四月実施勧告をなさった場合はそれを実施いたしますということをはっきり申し上げておる。ただ、いま御指摘のように、既往二年間は完全実施をした、その以前は少しちびったのではないかという意味のことであろうと思いますが、これにはこれなりに、私は三年前まではいろいろな事情があったと思います。しかしながら、私どものいまの考えは、人事院勧告が四月になれば実施いたしますということをさらにもっと深く考えまして、むしろ——われわれの口をいれる場ではありません、人事院は厳正な中立な立場であり、また第三者機関でありますから口はいれられませんけれども、今日の事態において、われわれの気持ちとしては、むしろわれわれ政府からも、私からも人事院にお願い申し上げて、ぜひ勧告は四月から実施をするような御勧告をいただきたいという気持ちでさえいるんであります。それは、申すまでもなく、諸般の事情も変わってまいりました。また公務員の大切な職務の本質も十分わきまえ、それらを勘案して当然であるべきじゃないかとさえ思っているということを申し上げましたので、もう勧告も間近にあろうと思いますが、四月に実施勧告があれば、そのとおり実行するということは、当然いまもって変わりない決意でございます。
  155. 中村利次

    ○中村利次君 そこで人事院総裁お尋ねをしたいんですが、これはいままでの実績、いきさつ等、それからいまも総務長官から御指摘がございましたように、人事院が厳正公平で中立なものである、人事院はそれを守ってこられたと思うんですよ。いまさら、こういう発想の転換時代になったから、人事院を差しおいてというようなことはないんでしょうが、いかにも政府主導型みたいな、人事院勧告があれば完全実施をしますと。人事院勧告があっても、五月一日の勧告があっても実施されなかった、そういう実績を持つ政府がそういうことを言っていらっしゃるのは、これは人院事としては私はあまり愉快なことじゃないと御同情申し上げますけれども、しかし、それはそれといたしまして、いまの大臣の御答弁にもございましたように、政府自体も、これはむしろ人事院が四月一日の勧告をやってほしいというようなそういう情勢である。また、もう世論も四月  一日実施は当然であるということになっておる。まして八、七、六、五ときて、五がダブっているわけですから、これはもう人事院勧告としては当然四月実施であるという世論の先取りがあったろうと思うんですね、人事院として愉快なことであろうとなかろうと。そこら辺はもう八月十五日の勧告というのははっきり打ち出されているわけでありますから、したがって人事院の公正の立場からいって、いまそう言うのは早過ぎるとか早過ぎないとか、そういうことにあえて固執される必要はないんじゃないか、もうここら辺で四月一日の実施を表明されても何ら差しつかえないような客観情勢、環境整備というものは十分になされていると思うんですけれども、いかがですか総裁。
  156. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 世間でいろいろはでに、はなやかに伝えられているいろいろな空気は承知しておりますが、これはまあ理論的に割り切って考えりゃあ、いま愉快、不愉快のおことばがございましたが、それはわれわれとしてはあたりまえのことで、われわれが責任をもって勧告申し上げたのを完全実施していただくのは、何も変わったことじゃなく当然のことであるということで、一向その点は気にしておりません。あと結局勧告するのは、われわれ自身がわれわれ自身の責任においてこれは行なうべきことでございますからして、その責任のもとにおいてこれはきめなけりゃならない。したがって、先ほど来申し上げておりますように、着実に検討を進めておるというのがいまの段階でございますが、ただいまのおことばは非常に強い御激励のおことばとして承っておきます。
  157. 中村利次

    ○中村利次君 次に、給与の実態調査なんですが、これはまあいつも対象になり、先ほどからも言われておりますけれども民間給与の実態調査をなさる。春の賃金闘争とのからみが相当あるわけなんですが、六月十五日までそれをなさる。ところが、公務員給与の実態調査は、一月十五日現在、これは確かに人事院説明を聞きますと、つじつまの合う、合わないことはないんですよ。ありませんけれども、しかしとにかく期末退職とかいろいろな理由があって、ほんとうに引き直して一向差しつかえないという、そういう理由説明はついたとしても、やはりできれば四月の実態調査のほうがベターだと思いますけれども、これもなかなか直しにくいのかどうか、もう一回お伺いしますけれども、どうですか。まあことしは一月十五日の実態調査になったんですが、今後どういうお考えかお伺いします。
  158. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) その点は、いままでこういう委員会の席上でほとんど追及を受けておらない問題ではなかったかと思います。そういう意味で、ここでお答えする機会を得ましたことは、ある意味では意味のあることだと思ってお答えするわけであります。大体の答えの内容はあらかじめお調べ済みらしいですけれども、しかしここで公式にわれわれの立場を御説明さしていただきたいと思います。  いま御同情的なおことばもありましたし何ですけれども、大体結論的にはそれは両方とも四月で合わせるのが一番すなおじゃないか、これはどなたがお考えになっても、われわれとしてもそう思います。しかし、現実問題としては、何ぶん公務員の分だけでも五十万のいわばカードをわれわれは精査しなければならない。と同時に、今度は民間調査の結果やはり五十万程度のものがどっとくる、これを一緒に並行してやろうといっても、とても先ほど来のお話もありましたように、もうちょっと短縮できないかということさえかたわらあるわけであります。われわれはもうこれはちょっと機械的に不可能なことだ、したがって早目にわかるものは早目に手をつけておこうではないか、そのことに尽きるわけです。ただし、一月現在と申しましても、大体四月に昇給することのきまっている人があらかじめわかっております。それらは四月に昇給するものとしてもちろんそこに調整を加えておくわけです。それからもう一つの問題は、初任給の関係で違ってきやしないか。公務員の場合の初任給は勧告によって初めて出てくるわけでありますが、民間のほうはそのときは初任給がきまっているわけですね。したがって、その点がどうなるのかという御疑問もあると思うんですね。これは実は初任給関係は、われわれとしては民間についても新規採用者は含めないで、初任給対初任給ということはまた別の比較の問題にしておりますからしてその点のネックもない。したがって、実際上の機械的な操作の面からしてやむを得ずそういうことをやっておりますけれども、でき上がりの形については、完全に御信頼いただいていい形になっておりますということに尽きるわけです。
  159. 中村利次

    ○中村利次君 たとえば去年のそういう公務員調査対象ですね。それを四月ではなくて、いまおっしゃるような理由で一月が対象になっておる。ことしそういう引き直し、これは想定ですね、想定をやったのと、ことし勧告をやって実施されたその実態との、想定と実態との比較をとって調査されたことございますか。
  160. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) ただいまのお話は、民間調査のほうは四月分を五月から始めまして一月半実態調査をしまして、統計局の集計に一月半かかる、そういう形になっておりますが、それと重複するのは統計局のほうでもとてもキャパシティの問題ございますので、それよりやや前のほうに、ずらさせるということで、やや早目に公務員のほうをやっているわけでございますが、つまり一月十五日現在で調査をするということでございますけれども、その際、四月の状態はどうなるかという関係をこの職員に、あるいは人事課に書かせまして、つまり二カ月半たったあとの状態をもう一つ書かせまして、その状態において集計をするということにいたしておりますので、そういう一月十五日現在で四月の想定をするということが非常に近い関係にございますから、そういう点が現実からずれるという可能性はほとんどないということでございますので、その点は十分御信頼いただいてけっこうだと思います。
  161. 中村利次

    ○中村利次君 ところが、この数字の魔術といいますか、あるはずはないことが起きるんですよ、これは。民間賃金なんかでも、春の賃上げで賃金が決定いたしますね、幾らという。ところが、それを、その後の月々の賃金月報で公表される、それを賃上げの前とあとと公表される月報によって比較をしても、やはりどうもぴたっとしたものがないというのが実態で、それほど数字というものはまことに何といいますか、魔力を持ったもののようです。ですから、確かに私は信頼しないというのではないんですよ。しかし、なお一そう精度を高くするためにも、そのものずばりのものでないことは間違いない、これは一月を四月に引き延ばして想定をされたものをもとにして、現実にきまった民間との比較ですから、したがって、そこに理論的にはズレがあるはずはないということはよくわかりますよ。それだけの正確な調査をしているはずだ、またしていらっしゃる。しかし、それがはたして想定でなくて実態になった場合、想定と実態のズレがないかどうかという、そういうやはりアフターケアまでおやりになるのが私は望ましいと思うのです。ですから、それを私はここで時間もありませんから、そういうことをひとつ考えていただきたい、検討をしていただきたいと思います。  次に進みますけれども、これはだいぶ指摘をされたところでありますけれども、時短、週休二日等の問題については、これはひとつ大臣にお伺いしたいのですが、先ほどの答弁を聞いておりましたところが、非常にごりっぱな御答弁があったのです。しかし、私は答弁をそのまま大臣にお返しをしても、これは時短、週休二日制というのは公務員民間を問わず、とにかく大臣は先ほどの御答弁でおっしゃったように、国際社会の中で日本のありようはどうあるべきかという大きな政策なんですよ。いまや民間に対して介入できないとか、容喙できないとかいう、あるいは公務員の場合はこうだ、公務員先導型は好ましくないというような、そういう議論が私は通らないほど、日本の国策としてこの問題は取り上げるべきだと思うのですね。ですから民間が先であろうと、あるいは公務員が先であろうと、そういう議論をここで私は伺うのはまことにもって納得できないところでして、中小企業なんかに対して重大な影響力があるとおっしゃる。しかし、これは中小企業どころか、零細企業なんか見てごらんなさいよ。労働市場の関係で、商店あるいはそば屋さんまで、サービスの上では、利用する者は困るわけでありますけれども、日曜はお休み、休日にしなければ人手がもう集まらないという、そういう関係で、この休日というものは零細企業に至るまでだんだん浸透して実施されつつある、政策じゃないんです、これは決して。ところが、去年のドルショック、あるいは円切り上げ以降、佐藤内閣ですら発想の転換を言われて、盛んにこの労働時間の問題なんかも打ち上げられた。ところがそうなりますと、これはもう国民の期待なんというものはそこに集まっているのですね。国民というより勤労者の期待なんというものは。それがいまここへきて、公務員先導型というのは好ましくないという議論になったのでは、これは決して政策ではなくして、またぞろ花火は打ち上げるけれども、具体的裏づけは何もしないという、佐藤内閣の国民支持率が二〇%割ったような、そういう好ましくない状態になるのですが、これは大いに人事院にも関係があることですけれども、政策の問題ですから、大臣に、そういう公務員先導型は好ましくない、あるいは、民間先導型が好ましいという議論ではなくて、国の政策として、これはやはり国際社会の中でもこれを実現しなければならぬということになれば、どちらが先導なんということは関係ないでしょう。そういういわゆる政策としての決意と方向性をまず承っておきたいと思います。
  162. 本名武

    国務大臣本名武君) 先ほどのお尋ねの御趣旨は、もう事ここにきたならば当然やるべきである。その一つの行き方としては、やはり公務員主導型でいくのも方法じゃないか、こういうお話でしたから、私はそのこと自体には何も御異議はございません。また、ただいま前段お話がございましたように、これは政策というか、むしろ必然的にわれわれも取り組むだけではなくして、やらなければならないことであるということを前提にしていろいろ考えましたときに、せっかくこういう前向きのことを実現するためには、つとめて混乱の少ないような形を何か見出すことができないか。しかし、それを発見するために非常に時間を費やすようなことがあってはいけないから、われわれも鋭意その方向に向かって実現を一日も早くいたすために努力をいたしています、こうお答えしたわけなんですが、御指摘のように、私どもはこれは一つの今日の日本の置かれた、あるいはまた国際的な事情からしても、当然やるべきことだということを前提にして私ども考えております。ただ、そんなことを言って主導型がどうだこうだ、好ましくないとかなんとかというふうに私は申し上げたのではないつもりなんですが、私のことば足らずして誤解があってはたいへん残念に思いますけれども、そういうような御指摘のような意気込みで、したがって、できることならば、私は、公務員も、あるいは一般民間企業も、そろって一緒にやれるような体制ができないか。しかし、ちょっと考えてみますと、私は全くしろうとですけれども、いろいろな事情で何かありそうな気もするので、私は私なりに大急ぎでひとつ検討いたしまして、早急に実現ができるような運びにいたしたいというつもりで、足らぬながらも一生懸命やっているつもりでございますが、もう御指摘のような政策であり、また、時間をかけて考えるべきではないという点も十分承知をいたして御期待にこたえてまいりたいと考えております。
  163. 中村利次

    ○中村利次君 この問題はひとつ強く期待いたしますので、十分に勇気を持ってなし遂げていただきたいと思います。  次に、税務、港湾等、これは人事院総裁民間対応職種がない職種についても俸給表の問題ですから、これは時間がありませんからこまかく質問することはできませんけれども、大まかな点についてだけでもけっこうですから、たとえば国内の民間に対応する職種がなければ国際比較をやってみるとか、そういう何かお考えがあるのかないのか、こういう民間対照比較ができないような俸給表についてはどうお考えなのか。いままでのやり方ではなくて、今後ですね。
  164. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) おっしゃるとおり、税務、港湾民間に対する比較はやっておりません。それはちょうど先ほど申しました義務教育の先生方の給与についても同じ扱いをしております。それは、向こうに義務教育というのは民間のほうにほとんどないものですから、そういうことになっておることは当然でありますけれども、ただ私どもとしてはどういうところに基準を設けておるかということに尽きるわけでありますけれども、まず行政職がどうしても基準になりまして、そしてそれと比べてその職務と責任の問題ということから、かつ、沿革的には水準差というものがありまして、何%の水準差ということでスタートしておるわけでございます。そういう点も勘案しながら、やはり行政職に比べると優遇した形の俸給表になっておるというわけでございます。外国の、これはまあそういうおことばがあって、たいへん私どもも心強く思うのですが、実は警察官の分は、去年こちらから職員を派遣いたしまして、外国の警察職員給与関係を調べてまいりました。それから、たまたまことしの秋、今度はいまのお話の税務職のほうを調べに人をやろうと言っておるところでございまして、まさにその点はうれしいお尋ねであったわけです。
  165. 中村利次

    ○中村利次君 もっと内容的にお伺いをしたいところですけれども、もう時間もぼつぼつきますから、次に進みますけれども、これは何か新聞等にも書かれております、特別休暇の結婚休暇ですね。これはいまのあれでは、ないほうがむしろ不自然なくらいでして、民間でこれは結婚休暇制度がないところがあるのかないのか、これはさがすほうが苦労するのではないかと思うのですが、これは人事院では調査をされただろうから、その点についてはいかがですか。
  166. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) それも実はわれわれとしては問題点として考えてきております。まあ、有給休暇が公務員の場合は先導型でありませんけれども民間よりちょっとよけいになったものですから、そういう点にからめていろいろ議論する向きもありますけれども、まあこれはそんなことにとらわれずに検討していい事柄ではなかろうかという心組みで、もう前向きということばはだいぶん使い過ぎましたけれども、それに近いような形で、実は私自身の気持ちは、まだ人事院全体の問題にはしておりません、私自身はそういう気持ちで検討すべきだなという気持ちを持っております。
  167. 中村利次

    ○中村利次君 これは非常に、何といいますか、解釈に苦しむようなものはなるべくやはり常識の線に沿って改定をなさるように、私は特にこれは希望をしておきたいと思うんです。  次は、これは退職金、年金等いろいろありますけれども、これは午前中指摘をされて御質問がございましたし——国税庁からお見えになっておりますか、これは国税庁の特殊なあれとして、高校卒を採用しますと税務大学校に入れて、一年間教育をされておりますね。この税務大学について今後の方針はどういうぐあいにお持ちなのか、まず……。
  168. 江口健司

    説明員(江口健司君) 御指摘のとおり、私ども、高等学校卒業生を毎年、最近は大体千六百名採用いたしまして、一年間税務大学校で基礎教育をしておるわけでございますが、この一年間の基礎教育につきまして、内容の問題と、それから教育期間の問題と二つ実は問題がございます。  なぜこの一年間の教育をしなければならないかという点でございますが、こまかなデータは省略さしていただきますけれども、御承知のとおり、税務の仕事は、先ほど公安職と並べて、ほかに比較するものがないというお話でございましたが、なかなかむずかしい。しかも、率直に申し上げますと、なかなか世間からはほめていただけない、まあわれわれからすれば不快感の高い仕事というようなことでございますが、そういう個人の私どもの感じは別といたしまして、経済関係は御承知のように非常に拡大してきておりますし、なかなか取引関係も複雑になってきておりますのと、また、納税者のほうのいわゆる学校水準というものが非常に高まってきておりますので、私どもの一番大きな戦力になっております高等学校卒業の方方については、それらの納税者に対応するために、あるいは複雑な経済事情というものを十分に探求する目をつくるために、あるいは対人間の接触の問題について十分教養のある応待ができるようにと、いろいろな観点から最小限度一年間の特別の教育をする必要があるということでございますが、第一線のほうではまた、フレッシュな若い諸君を第一線のほうに早く配属することを強く希望をしておりますので、それらの状況と合わせまして、現在のところは一年ということになっているわけでございます。  ただ、一年でございますが、先ほどいろいろ申し上げましたようないろんな観点から考えますと、教育の科目の点につきましては、いまのところははなはだ欲が深いようでございますけれども、きわめて稠密な内容になっております。たった一年間でございますけれども、時間数にいたしますと千五百時間、この千五百時間というのは、二年の短大を例にとりますと、いまのところは九百二十時間程度というのが基準になっているように伺っておりますが、それをはるかに上回るというような状態で、あるいは四年の総合大学でございますと、全体としては千九百二十時間という時間数でございますが、私どものほうは年間ほとんど休暇がないという、年間フルに学校を動かしているという関係もございますけれども、ほぼ四年制の大学に近いような時間数の、まあ現実をいえば詰め込み式な教育をしなければならない。こういうことでは、なかなかあまりにも先を急ぎ過ぎて、十分な効果もあげられないということでございますので、でき得るならば一年を二年に、やはり少し余裕を持って、もう少し深みのある教育をしたほうが人間養成にも役立つのではないかという考え方を実は持っているわけでございます。一方、一年制を二年制度にいたしますと、それだけ第一線に配属される時期がおくれますので、第一線がフレッシュマンを早くほしいという期待にはこたえ得ない悩みが現実にはございます。これはまあわれわれの方針でございますが、もう一つは、最近の社会の一般的な傾向と申しますか、非常に上級の学校に進学するという傾向が強くなっております。私どものほうは毎年千六百名ほどの高校出の方に来てもらっているわけでございますが、これらの方々も、中に入っている段階で聞いてみますと、過半数の者が進学したかったのだ、しかしいろんな事情から進学を断念せざるを得なかったということを申しております。現に税大を一年たちまして、二年目に第一線に配属になりますが、税大の教育を通じまして、さらに進学の熱に燃えて五七%ほどの人たちがあるいは大学に——夜学でございますけれども、昼間つとめながら夜また大学に通っている。あるいはそれも考えながら、早く進学の機会を持ちたいという人たちが非常に多いわけでございます。したがって、これらの人たちの希望にこたえるためには、やはりわれわれの中の、付属機関ではございますけれども、税務大学校を通じまして、少なくとも短大程度の教育を施し、また、でき得るならば——いまの学校教育法あるいは国立学校設置法の関係でいろいろめんどうな問題はございますけれども、でき得れば、二年制にして短大の資格も付与して、希望する者があれば一般大学の三年に編入できるといったような方法をとりたいということで、せっかく具体的な私どもの内部の事情、あるいは文部当局のほうのいろいろな事情等もかね合わせまして現在検討中であり、また事務的にはいろいろお願いしているという段階でございます。
  169. 中村利次

    ○中村利次君 よくわかりました。私も、実はいまいろいろそういう詳しく答えていただいたのですが、幾らか部分的にやはりいろいろ問題があるということを耳にしたものですから。しかし、きょうの段階では、文部大臣も先ほどいらしてましたけれども、文部大臣にお伺いする段階ではないと思ったのですが、いまおっしゃったようなことと、あるいは企業内で、企業内認定というのは民間会社ではあるのですよ。これは人事院にも関係のあるいろんな問題、文部省にも関係のあるいろんな問題を含んでいると思いますけれども、特に私は、これは失礼ですけれども、大体は警察官の次ぐらいに税務署なんというのは国民から非常にいやがられる性格を持っておるあれで、やりようによっては、税そのものに対する不満も加えてプラスアルファとして、やはり何というんですか、国税庁職員なんかのありようによっては、たいへんにどうも国民的に好ましくないようなこともあると思うんですね。だから、そういうことを十分に配慮されて、いまのお答えは万全を期していきたいというようなお答えとして税務大学校の今後をお考えになっているようですから、私はここでひとつぜひ、それもいろんな関連がございましょうが、もっと煮詰めていただいて、政府部内等でもそれで前向きにそいつはひとつ進めていただきたい。また私は、いずれそのうちにこの問題をもっと具体的に質問をしてみたいと思うんです。  以上。
  170. 岩間正男

    岩間正男君 最初に本名長官にお伺いしますが、これはさっきの沖繩発言の問題です。沖繩の自治体は意欲がないと、こういう発言をされたわけですが、これについての質問がありました。もっと慎重にやるべきだったというような、そういう御答弁があったわけでありますけれども、これはあらためてお聞きしますけれども、沖繩に対するやっぱり理解というものが非常に不十分だというふうに思うんですが、どうでしょうか、この点は。
  171. 本名武

    国務大臣本名武君) 私は、沖繩に対していろいろな認識が欠けている点はないとは申しません。しかし、私は就任早々、日は浅いのでありますが、沖繩に対しては今日まで私なりに沖繩をながめてきたつもりでございます。特にこの立場になりましてから私が一番感じましたことは、就任早々官邸の第一回の記者会見でも申し上げましたとおり、私は沖繩の自治体についていろいろ近い歴史も、また変遷も頭に入れながら、何としても沖繩の自主性を尊重してまいりたい、これが第一であるということを私は申し上げました。なぜそのことを申し上げたかと申しますと、私は、たいへん失礼な言い方でありますが、本土につきましては、やはり戦後いろいろな混乱あるいは桎梏の中から立ち上がって、苦しい点はたくさんあったろうと思います。あったけれども、長年にわたって一応の形がだんだんと整備されてまいりました。特に地方行政あるいは市町村行政等々を含めましてかなり御苦労もいただきましたが、かなり進歩もしていると考えております。しかし、沖繩におきます自治体というものが私は決してそのようにはなっていないと考えます。二十七年の施政権下にありまして、やはりアメリカのいろいろな意見に従わなければならなかった、あるいはまた、足らないところは日本国民として中央政府にいろいろ頼まなきゃならぬというような実態そのものが私は沖繩の今日まで置かれた歴史的な一つの、表現は悪いんですが、悲劇であったのではないかと考えております。したがって、この悲劇を一日も早く払拭して、そうして、たとえ本土に欠陥はあるにしても、まず本土並みに実質ともに持っていくことが必要である。そのためには、私、今回旅行いたしましてその点を気にしながら参りましたところが、たいへん御遠慮な御発言もあり、また中には、これまた失礼な言い方でありますが、どういう方法でどういう手続でどういう手段でこの意見を、みずからの意見を実現していったらいいのかということにお迷いになっている点もあるのではないかということがいささか察知されたのであります。  これでは、私の考えております沖繩の再建はもとより、沖繩の将来に対してたいへんな不幸を今日かもし出すもとをつくってはたいへんだ、今日にしてひとつ皆さん元気を出してください、そうして思う存分皆さんの希望を述べてください、しかし、述べっぱなしではいけないから、みずからがこの目的を実現するためにはどういう手段、どういう手続を経てやったらいいかということについては、いろいろとおわかりにならないことは、本土政府のいろんな指導と申しますか、いろいろなその話をお聞きになることも必要であります。しかし、何といっても沖繩の皆さん方が、そういう意味に立ってひとつ元気を出していただきたいということは、私は各界の方々、あるいは知事さんを先頭に県庁の幹部方々、あるいは市町村の代表の方々等にも懇々とお願いしてきたところであります。そういうことをお願いしてまいりましたということ。特にいま当面することは、予算編成に当面している、あるいはまた、国内的には植樹祭とか、あるいは国体、さらには国際的には世界にもまれな海洋博をやらなきゃならぬ、時間に限られた問題であります。こういう当面する緊急を要する問題等については、政府は一生懸命やろうと思うから、どうかそれに対応して皆さんにも御協力をいただきたいと、こういうむずかしい急ぐ問題をかかえて、ひとつ元気を出してお互いに手を結んでやろうではありませんか、特に行政的には自治省が責任を持ってあたたかい気持ちで指導していただきたいという意味のことを、体験し、また感じ、そして閣議で一応、旅行の報告も兼ねて、そのことを申し上げたわけであります。ただ新聞に伝わるところによりますと……。
  172. 岩間正男

    岩間正男君 なるたけ短くやってください。私のほうの質問時間がなくなります。
  173. 本名武

    国務大臣本名武君) いろいろな御批判があったようでありますけれども、それを繰り返し申し上げたようなわけでございます。
  174. 岩間正男

    岩間正男君 具体的にお聞きしますが、沖繩には何回、長官おいでになりました。それから、だれと会ったのですか。もう一ぺん……。
  175. 本名武

    国務大臣本名武君) いままでは二回。
  176. 岩間正男

    岩間正男君 何日ごろ、何日ぐらい……。
  177. 本名武

    国務大臣本名武君) これは復帰前でございますが、二回行っております。それから、今回参りましたのは二十二日から二十五日までおりました。予定を……。
  178. 岩間正男

    岩間正男君 だれとお会いになりました。屋良さんと、あと……。
  179. 本名武

    国務大臣本名武君) 屋良さん及び副知事を除く幹部方々にお目にかかり、それから市町村代表の方、それからあとは各地におきまして視察調査のかたわら現地方々にお目にかかってまいりました。
  180. 岩間正男

    岩間正男君 その程度の経験では、これは非常にやはり沖繩の理解というのは進まないのじゃないか。私たちも何回か参っておりますけれども、とてもわからない面がまだまだありますよ。これはもっとやはり慎重にすべきじゃないか。もう少し時間をかけて実態をつかむということが必要だし、それから多くの人の意見も聞く。ことに沖繩には御承知のように基地反対なんかをやってきた民主勢力があるわけですね。そういう人たちにも、これは反対派にも会ってよくお聞きになる必要があるんじゃないか、こういうふうに感ずるわけですわ。どうも結論あまり早く出過ぎましたね。そうして沖繩にはいかにも自治がないようなこれは御発言になっているわけですね。しかも熱意がないとかなんとか言いますけれども、その熱意というのは何か。それはあなたの感じている熱意と、それから沖繩の県民の感じている熱意というものは必ずしもこれは同じじゃないかもしれません。こういう点についてもっと私は浸透した理解をする、そういう努力が必要だと思うんです。非常にそれは急がれたのじゃないか。沖繩に自治がないというような御発言になるわけですね。熱意もない、それから非常におくれておる。そういうことですけれども、そういうような見方では、そういう面もありましょう、それは。しかも本土の立場から見ればそういうふうに見えるという点もあるんじゃないか。つまり自治体のあり方というものは非常に違っております。その運営のしかたもこれはいままで違う歴史的な経過がありますから、そういう点からそんな結論を出されるのは非常に早計じゃなかったかと思う。この点いかがでしょう。
  181. 本名武

    国務大臣本名武君) 私さっき申し上げましたように、結論を出してどうしろこうしろというお指図は毛頭いたしたこともありませんし、また帰ってまいりましてからも報告いたしたこともございません。それから熱意がないということではなくて、私はそういうような変遷の中にある沖繩でありますから、さらに一段と熱意を持っていただきたいということは申し上げました。したがいまして、いま御指摘のような基地反対の運動があったことも、私は現地ではなく、こちらで承知をいたしております。そのほか、いろいろないわゆる不幸な施政権下にあったそのあと始末もたくさん残っていることも承知いたしております。そういうことを私は私なりに、足らないことは十分承知しておりますが、承知しながら、私として、このことは二年、三年先になって気がついたように申し上げるよりも、どうかひとつ元気を出して一緒に手を携えて諸般の目的を達成しようではありませんかということを申し上げてきたわけであります。特に、大切な沖繩の十年のこれからの再建を目ざす振興開発計画の策定中でございますから、それについては一たんおきめになったものを、あとで改正する、取りかえるということにはまいらないでございましょうから、その点についてもひとつ真剣に協力してやれるような体制でりっぱな案をおつくりいただきたいということまで申し上げてきたわけであります。そういうわけでありますから、私は冒頭申し上げましたように、決して、私は十分沖繩を承知しているなどとは考えておりません。しかしながら、先にいってから私の意見を申し上げるよりも、いま気がついたことを一つ一つ申し上げて、そしてお互いに批判もし、また御叱正もいただきながら、政府政府としての責任を全うしていきたい。それに対してどうか御理解と協協力を賜ると同時に、その前提となるのは地元の皆さん方の自主的な、主体的なお考えというものをつとめて尊重してまいりたいと思うから、一そう御奮起をお願いしたいという意味のことを申し上げたわけであります。
  182. 岩間正男

    岩間正男君 あなたはどういうふうにお考えになっていられるか知りませんが、これが沖繩県民に与えた心理的ないろいろな影響、それがやはり今後の施政の上でいろいろ影響持ってくるだろうというふうに思うわけです。自治に対する考えというものは、これはどういうふうにあなた考えていられるか、具体的にお聞きしましょう。振興開発の問題が出ました。これはどうですか、あなたたち一つのもう方法、何を持っていられるわけですな。つまりこれはずいぶんこの設置法案について当委員会で論議をした、その論議をしたときに、結局はこれは新全総の一環としてやるんだ、こういう考えを基本的にお持ちになっていますか、第一。  さらに——これは要点だけでいきましょう、お互いにね、質問も要点でやりますから。  もう一つは、これは田中総理の「日本列島改造論」とどうからまってくるのか、これは端的にあなたがいま考えておられることをお聞きしたい。
  183. 本名武

    国務大臣本名武君) 端的に申し上げます。新全総、三年前ですか、決定をいたしました新全総は、新全総みずからも改定の時期だと私は考えております。改定する必要があろうと考えております。いわんや新しい沖繩の振興開発計画策定にあたりましては、現在の新全総に必ずしも全面的による必要はないと私は考えております。  それから田中さんの「日本列島改造論」につきましては、これは細部にわたってどの県はどうという明示はないかもしれません。しかし、沖繩は一つの立ちおくれを取り戻すということではなくして、私は沖繩自体の新しい開発の使命、そして沖繩の未来図というものは沖繩自体が持ち、また、それに対して日本政府は、沖繩独特のいわゆる地理的に、気候的には亜熱帯地帯としての特色ある開発を進めていかんきゃならぬということのために、新全総の具体論におきましては、私は沖繩というものは特異な開発方式、特異な内容目的を持った開発をすべきだと痛感いたしております。
  184. 岩間正男

    岩間正男君 非常にそこはあいまいなんですね。全面的には新全総によらなくてもいいというのでありますけれども、しかし、それは部分的修正をやるということ、基本的には新全総の一環としてやられるということと違うと思うのですね。そこのところはどうなのです。基本的構想としてどうなのかと、こうお聞きしておる。だから新全総は、これは沖繩にはこういう方針でいかないのだ、こうはっきりおっしゃられますか、どうですか。
  185. 本名武

    国務大臣本名武君) 振興法の制定当時には、新全総に一応準拠して沖繩の開発も進めるべきであるという考えに立ったことを、私はそういう記憶をいたしております。しかしながら、そうありながらも、沖繩というものの開発については調整をする必要がある。その場合には必ず調整の上に立って沖繩の開発を進めるべきであるということにきめられていたと私は記憶いたしております。
  186. 岩間正男

    岩間正男君 調整はあり得ますよ。手直しというものはこれはあるでしょう。しかし、基本的にどうかと聞いておる。ここは非常に重要なんで、沖繩の県民が聞きたいのはそこなんですね。この点についてはやはりあのときの方針というものは、別に田中内閣になって訂正されたということを聞いてないのですがな。ですからあなたがいま部分的に調整、それはあり得ますよ。どんどんこれは時代変わるのですから。そういう調整はあり得るけれども、基本的にはこれに立つのでしょう。その点、明確にしてください。そうでないのですか。それとも、それ廃棄するか、全部こういう方針というやつを改めますか。その上に立つのですか。その点、明確にしないと、ことばのあやじゃ困るのです。どうですか。
  187. 本名武

    国務大臣本名武君) 私、私の考えとして先ほど申し上げましたように、新全総自体についても私は再検討の時期が参りまして、政府としても私は当然新全総に対して近い将来において改定を加えられるべきじゃないかと考えております。したがって、田中総理の言ういわゆる「日本列島改造論」というのは、田中総理の構想として描かれたものであり、それが新しい、かりに、私の言う改定された新全総にどう盛り込まれるかということは今後の問題だろうと思います。しかし、少なくとも沖繩については、さっき申し上げたように、新しい角度からながめる必要があると私自身は考えて参りました。
  188. 岩間正男

    岩間正男君 だから、田中総理の施政方針も所信表明もなされない、ここで、国会で論議しているということのかたわな論議を感ずるわけです。そういえば、あなた自身の方針がないみたいな、なくて沖繩だけに行って、そうして沖繩の県民に対して熱意がないとかなんとかと言ったという結論になりませんか。概念は持っているけれども方針は策定されていないのですよ。そういうことをはしなくもいまこれは暴露されたのですね、そうじゃないですか。だからそういう点について、やはりこれは基本的にはその新全総の——というのは、これは名前はどうだろうが、結局所得倍増的な計画を推進していく。具体的には、それならさらにまたこれと関連してお聞きしますけれども、たとえば屋良さん時代からいままで要望書が出されておったわけですね。その要望書の中に、とにかく非常にガルフなんかの石油精製、あのような公害産業じゃ困るのだ、労働力が非常に豊富に提供される、そういう産業がどうしても必要なんだ。もう一つは、基地を取り払わなければ、どうしてもこれは真の沖繩の開発というのはできないのだ。基地撤去の要求というものはこれと非常に深い関係になってきて出されているはずです。これは御承知でしょう。少なくともこの二つの点は、これは産業開発にとって重要な課題なんです。この問題、あなたどうお考えになります。この点に対する考えで、つまり沖繩の自治体に対するあなたの見解というものは明らかになるわけです。どっちに立っているのです。
  189. 本名武

    国務大臣本名武君) まあガルフの石油をはじめとして、沖繩が工業的にいかにあるべきかということ、あるいはまた、一番の問題の一つであるところの基地対策というものは、もうなるほど沖繩の将来にとって、特に当面する計画の上に重大な関連があることは私ども承知いたしております。ただ、基地の問題等につきましては、これは私の申し上げる権限外のことでございますが、私どもも、一日も早く基地の整理がなされて、日本らしき国土としての姿を取り戻していきたいという気持ちは持っておりますが、これはいま申しましたように、私の権限外でございますが、さらに大事なことは、私はやはり沖繩の将来を描く方向としては、やはり一次産業とそれから住民の生活というものがどの方向にいくかということが第一の問題であり、さらには二次産業が、はたして沖繩の将来の生活に、経済をになう二次産業が生活にどういう影響を及ぼすかということ、これもまた沖繩にとっては一つの大きな課題であろうと思います。さらには、三次産業に関連いたしまして、沖繩のあの自然と美しさというものをわれわれ国民のためにも、あるいは世界の人のためにもどのような姿でつくり上げるかということ、これらについては私はこの復帰後の沖繩を再建する一つの大きな考え方の基本であると思うわけでございます。したがって、振興開発計画においてもこれらのことに十分私は留意をして、そういう見地からおつくりいただいた計画を拝見して検討してまいりたいというふうに考えております。
  190. 岩間正男

    岩間正男君 どうもその点が、基本的な開発計画というものは、ただいまの長官の御答弁そのものによって一貫したものではないということが明らかになったと思う。そういう中で、ことばによっていろいろ言われておりますけれども、私がお聞きした二つの問題、とにかく公害産業は寄せつけないのだという、そして労働力の集約のできる、供給のできる、そういう産業を望んでいるという問題と、真の開発のためにはどうしてもこれは基地の撤去ということが必要条件になってくるのだ、こういうものに対しては明確な御答弁がなかったのです。だから、そこのととろが非常に私は重大だと思うのです。あなたの発言の背景にはそういうものがあるのだということを考えざるを得ない。  同時に、これは開発法によりますというと、原案作成は知事の権限に属しておるわけですね。知事が原案を出す。しかし、それについてはどういうふうにこれは尊重されますか。それは審議会の議を経て最後には長官決定ということになってるわけだ、法制的には。そうしますと、今度の場合、当然県知事が選ばれたわけだ。この県知事については、すでにこれは保守と革新の間で戦いがありました。ずいぶんこれは自民党さんのほうも努力をされたと思う。といいますのは、この自民党の息のかかった原案を出したいということが背景にあるのだということを、私はこの法案の審議の中でも指摘をしてまいったわけです。ところが実際は七万以上の差をもって革新知事が当選をしたわけですね。そうなると、そこのところに、どうしてもこれは県民のそういう要求、それから政府考えている全国開発計画、そういうものの一環としてなされていく計画との間に、当然そこにこれはそごが出てこざるを得ないと思いますね。屋良さんはあくまでそういう民主勢力の代表としての原案を提出するでしょう。当然のことです。そういうふうになったときにこれはどうするのですか。私はあなたのあせり——あせりと言って悪ければ、何と言いますか、とにかくあまりに慎重でなかった。そういうかっこうで沖繩も一応あなた自身が指示をされた、その背景にはそれがあるんじゃないか。熱意がないのだとか、それから非常に能力以前の問題だとか言いますけれども、それは政府のそういう施策に対して、ほんとうにそこに力を集中している面から考えれば、沖繩の人の二十七年の歴史があります、戦いがあります。そういう結果が、あなたが簡単にあそこに行って感ずる、そういうものとは非常に違ってくる、異質なものがあるはずです。あって当然だ。そこにまた民主的な下からの連帯があって燃えてきた面があるのですから、抵抗の戦いがあるわけですよ。そういうものをほんとうに見て、これを尊重しないで、どうして一体そういう発言が出てくるか。だから私は、これは政策と関連してこの問題は非常に重大だと考えているのです。これは単なる一長官の失言などという問題じゃないのです。今後の沖繩の基本的な方針としてどうなるかという重大な問題を含んでいると、こういうふうに考えているわけです。これは長官、時間がありませんからもう少し簡単にやってください。
  191. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記をとめて。   〔速記中止
  192. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を始めて。
  193. 本名武

    国務大臣本名武君) いろいろ御指摘がございましたが、私どもの先般の発言につきましては、私の意が伝わらなかったことを非常に遺憾に存じます。と同時に、またいろいろ御判断の基本が多少食い違っておるところがあるように思いますが、これはあるいはやむを得ないかもしれませんが、ここで論議をいたしたいとは存じません。ただ、先ほど御指摘の開発につきましては、やはり公害と——いわゆる生産と住民の生活の調和というものをどうはかるべきかということには私は重大な関心を持っております。それにあわせて労働力の供給、労働力の吸収というものについても当然関心を持つことは必然でございます。ただ私は、いまこれ以上のことは計画の御策定中に申し上げることは差し控えたいと存じます。したがって、どういう計画が出るかということ、出てまいりました、知事さんがおつくりになった計画を拝見した上で、それぞれその計画に対する意見というものを述べさしていただきたいと思います。
  194. 岩間正男

    岩間正男君 あくまで尊重するというたてまえに立たれますね、その原案は。
  195. 本名武

    国務大臣本名武君) 尊重ということばは非常に何といいますか、便利なことばでございますけれども制度そのものがやはり自主的におつくりになることを規定もいたし、また、われわれもそれを期待いたしておるわけでございます。
  196. 岩間正男

    岩間正男君 そこはだいぶ議論されたところですが、時間の関係から繰り返しません。とにかく出すは出す。しかし、考えは違うのだ、最後の決定権は長官にあるのだ、こういうかっこうでいけば、結局この発言の裏にあるものが押しかぶさってくる。そういう事態が想定されるから、私はこの質問をしているのです。  しかし、これはあとに譲りまして、給与の問題について基本的にお尋ねしておきたいのです。  この公務員給与というものは、長官どうお考えになっていらっしゃいますか。国民に責任を負うというのは公務員の当然の立場だ。そうすると国民に責任を負う、その生活権を保障する。そうして権力の支配するそういう公務員にならない、そういうための保障、そのための給与であるというふうに私はこれは考えなきゃならぬ。これは少なくとも新憲法の志向する強い精神だと思う。ところが実際は非常にこれは権力の支配する、そして結局は政府の手足というような形で公務員の権利というものが侵犯されているという事態が起こってきておる。そのための給与というような性格を非常に帯びてきておる。そのための給与がやはり非常に差別的であり、さらに上厚下薄というような性格を持ってきておる。これは支配の道具である、それでいいのかどうか。これは長官は基本的に、その点についてどうお考えになりますか。
  197. 本名武

    国務大臣本名武君) 私は、公務員は権力の支配によって同化され、動いているとは考えておりません。あくまでも、やはり国民に対する正しい奉仕者としての崇高な責任と、または仕事を持っていると考えております。したがって、それにふさわしい給与を支給すること、また一方においては、その給与内容は、やはり国の経済の中にあって国民全体の給与体系の中で均衡のとれた体系でなけりゃならぬというふうに考えて、給与に対する考えを押し進めていきたいと考えているわけでございます。
  198. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃ基本的なその態度は伺っておきます。  そうすると当然給与に対する責任は、これはむろん最終的には政府が持つ。さらに人事院勧告というものもこれはあるわけですが、法制的には人事院勧告に従うというたてまえをとっているわけですが、しかし、必ずしも全部従ってきたかというと、そうじゃないわけですね。先ほどからちょっと指摘をされましたように、実施時期については、これはだんだんだんだん近づいてはきたけれども、これはほとんど長い間勧告はそのまま行なわれなかった。額については行なわれてきたかしれないけれども実施時期についてはこれは非常に何というか、逃げられてきたわけですね。そういうことになりますと、実際はこれは公務員がそれで生活権の問題が非常に問題になって、絶えず政府に対して要求して戦ってきたわけなんですね。実施できなかったというその理由は何なんです、実施できなかった理由は何だ。
  199. 本名武

    国務大臣本名武君) 過去において実施できなかった、これは私なりに判断いたしますと、財政上の問題もあり、また一般民間給与体系の実態等もあり、いろいろな問題があったと思いますが、しかし、先ほどもお答えいたしましたように、やはり勧告を完全に実施するということは当然いたさねばならない時代も参りまして、二カ年間完全実施実行してきたのでありますから、この期においても、人事院勧告に従いますということを申し上げてきたわけでございます。
  200. 岩間正男

    岩間正男君 これは財政的な原因だったでしょう、いままでも。財政的にこれは十分でなかった。そこで、これは実施時期をおくらしてきた、こういう問題だったですね。しかし、いまは実施をするんだと、こういうことを言っているわけですね。そうすると、人事院では、私は四月勧告はほとんど大鼓判だと、こういうふうに考えておりますが、かりに、人事院がそのような勧告をしない場合だって、政府は責任を持ってやることが当然最終責任者の私は任務だというふうに考えます。それで、すでにもう政府としては、何回も、とにかく人事院さえ出せばそれは四月から実施をするんだと、こう言っているわけです。そうすると、そういうこともあり得るんですか。これはほとんど仮定ですね。仮定の問題かもしれませんけれども人事院勧告よりも上回って実施するということは、これはあり得ないのですか。いままでは、財政的理由によって、これを削減して実施してきたというのがいままでの姿だったですね。しかし、ほんとうに責任を持つ政府としては当然それをやるべきだ、そういうことはあり得るわけですから、そういうこともあり得るのですか。いまあなたの御答弁によるというと、四月から国が実施することはもう十分に可能だ、総理もそういう言明をされている。そういう中であくまでやる、そういうことですか。そういうふうに受け取っていいですか。
  201. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  202. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を起こしてください。
  203. 本名武

    国務大臣本名武君) 先ほど来申し上げますように、今年は人事院勧告を完全に実施いたすということは、もう前にも申し上げたとおりでございます。それから、それを上回る処置ということは、今日、私……。
  204. 岩間正男

    岩間正男君 上回るというよりも、かりに不完全な、四月実施でないという勧告が出ても、あくまでやる気があるのかどうかということです。政府の責任ではこれはできるのか、どうなんです。
  205. 本名武

    国務大臣本名武君) 私、不敏にして詳しいあれはわかりませんけれども、五月実施ではなくして四月実施を心から期待し、また、さっきもちょっとたいへん失礼なことを申し上げましたが、私自身としては、人事院にお願い申し上げて、ぜひ四月実施勧告していただきたいという気持ちでいるということを申し上げたわけでありますが、私は、かりに五月勧告になった場合には、また三年前にさかのぼって、五月には実施できませんなどということは絶対あり得ないというふうに考えますし、考えるんじゃなく、そうあるべきだと思いますし、またさらに、政府の責任で、勧告は五月であっても四月に実施するということについては、人事院政府のたてまえからいたしまして、私は、そのときはまことに遺憾でありますけれども人事院勧告に従わざるを得ないのではないかと考えております。
  206. 岩間正男

    岩間正男君 都合いいときはかってに切ったわけですね、そうでしょう、財源の関係から。それはもう五月実施するというやつをどんどん切って、そのときは従わないのだ、そのときは差しつかえないと、こう言うんですね。そして今度の場合は、ちゃんと財政的な措置ができそうだから、そして田中内閣になって相当人気取りもやらなくちゃならぬ面もあるでしょう。そういうことも含んで、それで今度は実施をするんだといって催促をされているわけなんだが、これはやっぱり終始一貫、首尾一貫していないところがあるわけなんです。そこで私は、だれが責任者か、最終責任者ははっきりこれは政府なんだと、その点を明確にしておる。人事院勧告というのは、これは公務員法による一つの措置としてあります。しかし、問題はもう、いま人事院のやり方、それだけで必ずしも公務員は満足していない。基本的には、もっと政府が責任を持ってこれをやるべきだと、こういうことを言っているわけです。そういう点からいうと、はっきり責任の主体は政府にあるんだ。その点から、はっきりものを判断するんだという私は当然の筋を明確にしておくということが重要だろうと考えるわけです。それでようございますね。ようございますか。
  207. 本名武

    国務大臣本名武君) 勧告に対しての処置の責任は政府にあることは当然でございます。しかし、既往において財政その他の事情から勧告どおりに実施できなかったということはほんとうに遺憾なことではありますが、この期において勧告をはずれて実施をするというようなことはあり得ないということを申し上げたわけであります。
  208. 岩間正男

    岩間正男君 お帰りになっていただいてけっこうです、お急ぎでしたら。——それは財政事情でわからないのですからね、いろいろ。だから、そういうふうにあくまで勧告というのは一〇〇%実施するんだというたてまえに立っているんなら、そういうことを信用できますけれども、しかし、今後あくまで勧告を一〇〇%実施するというたてまえを貫かなきゃならぬと思う。  ところで、どうです総裁、いままでの決意、政府の決意というのはそれほどまで述べられて、そしてあなたは五月実施なんということはあり得ないと、当然なことですけれども、当然もう結論は出ているんじゃないでしょうか。どうですか、そう思い込んじゃまずいのか、どうなんですか。財源措置の問題から全部もうちゃんとそろっているわけなんですが、お聞きしなくてもいいかもしれませんが、これは期待していいですか。当然、それ以外ないだろうと思うんです。
  209. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 御期待なり御激励として承っておきます。
  210. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  211. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を起こして。  本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会